○柳原
委員 簡単に
質問いたしますが、
中小企業の育成に関連いたしまして、最近の行き過ぎた広告宣伝に関しまして
公正取引の問題について二、三
質問をいたします。
最近われわれが歩くところ、昼夜の別なく広告と宣伝の氾濫であります。そうしてわれわれの目も耳もその広告宣伝のために疲れ果てると言
つても過言ではない現在の情勢でございます。現在日本の国で広告について使われる金――広告宣伝費と言うてもよいかもわかりませんが、これがどのくらいだろうかという計算を、私はいろいろ興味を持
つてや
つておるのであります。あなたの方でもいろいろの統計をと
つておられますので、資料があると思いますが、この広告のためにどのくらい消費される金額があるかということをつかむことはなかなか困難でございます。それは広告とか、宣伝を行う主体がきわめて広
範囲にわたると同時に、広告宣伝を行う方法も、新聞、雑誌、書籍、ラジオ、ポスター、看板、映画等の非常に多岐にわた
つておりまして、これらのすべてを把握して正確にその費用をつかむということは不可能に近いことでございます。広告宣伝にかかわる税金というものをもとにする計算の方法もございます。
その税金の問題について最初に申し述べますが、先ほど
中小企業金融公庫に財源がないから、今年度はこれよりいたし方がないのではないかという
意見もございまして、財源については――私は野党としてこういうことを言うのもどうかと思いますが、広告税というものを国税としてと
つてもよいと思
つておるのであります。で、広告税は
昭和十七年の増税のときに国税として創設されたのが始まりでございます。それから
昭和二十一年の八月の税制改正で一時廃止されてしまいました。
昭和二十二年の市町村税として再び日の目を見ることにな
つて、
昭和二十五年のシヤウプ税制改正後も存置されることになりました。しかしその後第十三国会においてその税額も少くかつ普遍的な税源でもないという理由で、漁業権税と接客人税とともに雑税整理のやり玉にあげられて、
昭和二十七年七月一日以降は、法定普通税として廃止されました。現在では市町村の法定外普通税として広告税または宣伝広告税の名称で一部の市町村に施行されておる状態でございます。それでその税額等その他のことを考慮に入れまして、いろいろ研究いたしましたが、
昭和二十二年には十五億円ぐらいのものが広告宣伝費として使われておる、二十三年では三十三億、二十四年では九十五億、二十五年では百五十億、二十六年では二百億、最近ではおそらく三百億を突破しておる。これと国民所得との比率から
考えてみますと、二割以上というものが広告のためにむだに使われておる状態ではなかろうか、こういうことを
考えるのであります。私の計算と、あなたの方は今資料を持
つておられないと思いますが、あとからでもよろしいが、この宣伝広告のためにどれほどのものが使われておるか、こういうことがひとつ照し合してみたいと思うのであります。現在東京都においても新しい大きなネオンなどがつくられておりますが、三百万、五百万というものがざらにあるそうであります。はたしてこういうものが必要であるかどうか、私は現在広告宣伝というものが、日本のいわゆる非常にか弱い経済状態の上においては行き過ぎである、こう断定しておるものであります。この広告宣伝税は地方的に偏在して来るのでありますから、国税としても私はどんどんと
つてもいい、こういうふうに思
つておるのであります。そうしてこれを抑制しなければいかぬ、広告宣伝というものが行き過ぎておりまして、現在のいわゆるコスト高の
一つの要素にな
つておることも間違いないのであります。こういう面にひとつ大いに考慮を払
つてもらいたい、こういうことも申し添えておきます。
それからこの広告宣伝の行き過ぎと関連いたしまして、最近の不
公正取引の問題でございますが、せんだ
つての白井とエスピノザの試合をラジオで聞いておりますと、どちらが勝つかを当てた方にはこの次の海外における選手権の試合に無料でサービスするというようなことを言
つておつた、これは外国の資本が入
つておりますから外貨の問題も
関係ありませんけれども、こういうバヤリースの飲料水についての宣伝も完全なる行き過ぎでございます。その他もう数え上げれば枚挙にいとまがありません。キヤラメルの中に五百円とか千円が入
つておるという話も聞いております。これのポスターがでかでかと書かれておる、こういう状態はこれは
中小企業を共食いさせるものであり、また大
企業の宣伝のための行き過ぎによ
つて圧迫しておるものであります。これも
是正しなければいかぬ。現在みそとか、しようゆとか、ゴムのはきものについて、公正なる
取引をしなければならぬという指定がされておるようでありますが、現在非常な広
範囲にわた
つてこの指定を行うべきである、こういうことを
考えておりますが、これは
公正取引委員会のやる仕事でありまして、あなたの方もひとつこれによく実際を話されまして、この指定の業種というものをどんどん追加されるように要望しておきたいのであります。そういう問題につきまして、ひとつ簡単でよろしいから御
意見を伺
つておきたいのでございます。