運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1954-05-25 第19回国会 衆議院 通商産業委員会 第55号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年五月二十五日(火曜日)     午前十一時八分開議  出席委員    委員長 大西 禎夫君    理事 小平 久雄君 理事 首藤 新八君    理事 中村 幸八君 理事 福田  一君    理事 山手 滿男君 理事 永井勝次郎君    理事 加藤 鐐造君       小川 平二君    小金 義照君       始関 伊平君    田中 龍夫君       土倉 宗明君    馬場 元治君       笹本 一雄君    柳原 三郎君       加藤 清二君    齋木 重一君       帆足  計君    伊藤卯四郎君       中崎  敏君    川上 貫一君  出席国務大臣         通商産業大臣  愛知 揆一君  出席政府委員         通商産業政務次         官       古池 信三君         通商産業事務官         (重工業局長) 徳永 久次君  委員外出席者         専  門  員 谷崎  明君         専  門  員 越田 清七君     ————————————— 五月二十五日  委員村上勇君辞任につき、その補欠として田中  伊三次君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  連合審査会開会に関する件  航空機製造法の一部を改正する法律案内閣提  出第一三八号)     —————————————
  2. 大西禎夫

    大西委員長 これより会議を開きます。  まず連合審査会開会に関する件についてお諮りいたします。ただいま当委員会において審査中の砂利採取法案について、農林委員会より連合審査会開会の申入れがありました場合は、農林委員会連合審査会を開会するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 大西禎夫

    大西委員長 それではさよう決定いたします。     —————————————
  4. 大西禎夫

    大西委員長 次に航空機製造法の一部を改正す法律案を議題といたします。質疑の通告がありまするので、これを許します。永井勝次郎君。
  5. 永井勝次郎

    永井委員 大臣お尋ねいたしたいと思いますが、この航空機製造法によつて業者整理を行う、許可制度にして整理をし、これの振興をはかるという内容のように思われるのでありますが、その航空機産業平和産業としての性格振興させるのであるか、あるいは軍需産業としての性格においてこれを振興させるのであるか、再軍備充実に並行した一つ産業武器製造面を、この法によつて一部航空機に関して充実させる、こういう必要に迫られた改正なのであるか、この点を明確にお伺いいたしたいと思います。
  6. 愛知揆一

    愛知国務大臣 まず第一のお尋ねでございますが、建前の問題といたしましては、平和的用途に用いるところの航空機製造あるいは修理というものももちろん含めて考えておるわけでございます。ただ実際上の当面の問題といたしましては、前会も御説明いたしましたように、たとえば今日の状態でいいますと、昭和二十八年度あるいは二十九年度の予算において保安庁から発注されておる航空機製造、それから極東米空軍の使用しております航空機修理オーバーホールというようなものを中心に考えておるわけでございますから、もしさような極東空軍飛行機オーバーホールというものが軍事目的であり、あるいはまた保安庁の使う飛行機防衛上の必要ということになりますれば、その意味において当面のところは防衛的な性格航空機製造あるいは修理ということが対象になると考えられる、こう申すことが正確かと思います。
  7. 永井勝次郎

    永井委員 日本が現在軍隊を持つことによつて、その軍隊の費用の負担というものが国民生活に大きく影響を与える。その大きな影響がさらに拡大されて、産業構造の中で軍需産業という分野が非常に拡張されて参りますと、平和産業構造が相当ゆがめられた形になつて参ろうと存ずるのであります。そういうゆがめられた形の経済政策がとられ、そのことによつて政府が唱えておる貿易振興というような面に悪い影響がもたらされることは必至であろうと考えますが、この平和産業による輸出貿易振興と、国内における軍需産業生産比重の拡大、こういう相関関係大臣はどのようにお考えになり、どのようにこれを調整をし、これを運営して行くお考えであるか、基本的な考え方についてお伺いをいたしたいと思います。
  8. 愛知揆一

    愛知国務大臣 その点はごもつともな御質疑と思いますけれども、先般来申しておりますように、航空機はもちろん、防衛生産全体についても、現在の日本としては自衛力漸増というものが、国民経済負担になることができるだけ少いように、国民経済充実がまず第一の問題であつて防衛はどちらかといえば第二義的なものであるというふうな考え方をとつております関係上、いろいろの内外の要請があるにかかわらず、たとえば保安隊の人員の増強も当年度においては陸上では約二万人にとどめる。あたかもそれと同じように、航空機関係におきましても、これは先般も数字をもつて申し上げたと思いますが、昭和二十七年四月以来極東米空軍から今日まで受けました発注は千三百万ドルの修理発注でございまして、これはそれ自体がドル収入にも相なる。またその程度以上にはなかなか期待もできませんし、非常に積極的な計画はこの際持つべきものではないと考えております。それから保安庁関係は、一年度で大体練習機が四、五十機程度のところでございますから、これも今のところは規模の大きな計画じやありません。従つてあまり先買つて、将来航空機が非常に伸びるであろうということで、いわゆる過重な設備や、過重な期待が起ることを未然に防いで、計画的に航空機生産あるいは修理集約化をやりたいというのがこの法律目的でございます。そういう点から申しますと、普通の輸出産業をこれによつて非常に圧迫をするとか、あるいは国内平和産業をこれによつて圧迫するとかいう程度のものにはならない、比重としては今日のところはきわめてわずかなものである。前会も御質問にお答えしたと思いますが、たとえば従来今申しましたような修理で千三百万ドルとか、あるいは一年間に四、五十機の飛行機をつくるとかいう程度実績を上げ、さらに今後もその程度のものができるというのならば、従来投下されました国内民間資本その他は約二十億程度にすぎなかつた、こういう点から申しましても、議論としてはただいま御指摘のような点を非常に大きな問題として考えなければなりませんが、現実の姿としてはまだそこまで行つておりませんし、今後もできるだけその点は注意して参りたい、こういうふうに考えております。  なお最後につけ加えて申し上げますが、この航空機修理オーバーホール、さらに進んで生産ということになりますと、一般機械製造と非常に密接な関係があるといいますか、総合的な生産業でございますから、機械合理化とかあるいは技術の進歩とかいうことについては副産物的に、派生的ではございますが、非常に得るところがあるというふうに考えておるわけであります。
  9. 永井勝次郎

    永井委員 昨日の参考人意見によりますと、航空機生産のようなものは、現在の国際水準から非常に遅れをとつておる。それを急速に穴埋めをして、国際競争に立ち向つて国際水準まで引上げるためには自力ではできない。どうしても国の助力にまたなければこれは不可能に近い、こういう専門的な参考人からのお話があつたわけでありますが、今後政府は第一段階として許可制によつて業界整理を行う、第二段階として国の補助政策が実現の段階に至る、こういうような順序を持つた予備的な一つ整理ではないか、こう思われるのですが、国家助成についてはどういうふうにお考えになるのか。あるいは武器生産航空機生産について、防衛庁発注の量がふえて行けばふえるに従つて、これらの機種もかわつて参りましようし、一つ機種だけで生産するということはないと思う。どこの国におきましても航空機生産はしよつちゆう機種がかわつて行く。それに従つて生産過程を改めて行かなければならない。そういう施設の改善々々に追われて採算はとれないというのが通常でありまして、その採算を割るものについては国が助成する。世界的に全部そのようでありますが、日本においては今後航空機産業をどのような形で振興させ、国の助成というものをどういうふうに考えておるのか、この点を伺いたい。
  10. 愛知揆一

    愛知国務大臣 この問題は段階をわけて私の考え方を御説明いたしたいと思うのでありますが、今日の段階は俗な言葉で申しますと、交通整理を必要とする段階だろうと思うのであります。何人が考えましても航空機製造ということは、これから非常に広がるというか、将来の見込みのあるものである、これは常識的にもまた専門的にも考え得る問題だろうと思います。そこでこの一つ産業に対して十年の空白がございますけれども、戦争中の経験者も、経験した企業家もずいぶんおるものでありますから、ともすると俗な言葉で言えばわれわれが見ておつてもあぶなつかしい計画が起るおそれもある。それからまた率直に申しますと、海外の会社との技術提携というようなことがまず先行して、一つの既成事実ができて、それだから今度は日本で事業をやらなければならないというふうに持ち込んで来るようなおそれのあるものも見受けられるのではないか。それで今のところは交通整理をして、先ほど申しましたように現に実績についてもすでに大した設備資金を使わないでも、一年千万ドルあるいは八百万ドルという程度修理等による外貨の獲得もできておるのでありますから、そういう程度のものを合理的に、あまり過剰にならざるようにするために許可制度をしきたい。その場合、過去においてはその程度のことならば助成もいらなかつたわけであります。それから次に、昨日私は参考人の方々の御意見を直接当委員会では伺うことができませんでしたが、そういう点がやはり業界としても、国会や政府に望むところではなかろうかと私は想像いたしておるわけであります。それで今後当分のところとしてはそういう態勢で、先ほど申しましたように地道に行きたいと思います。しかし一方において当今の航空機の問題からいえばジエツト・エンジンあるいはジエツト機等について徹底的な研究なり試作なりを、これは軍事目的というだけではなくて、新しい世界の進運に遅れないためにも、日本としては少くとも早くとりかかることが必要であると思います。そういう問題になつて参りますと、どうしても国家的な広い意味での助成が必要である。たとえば資金調達をいたす場合におきましても、御承知のように政府の方針として、きまつた政策とは言えないのでありますが、研究案としては、たとえば余剰農産物の代金のうちの贈与になる三十六億円のうちの何がしかはその方面にも使いたいという計画も現にあるくらいでございまして、それらの点についての将来の問題としては——助成と申しましてもその方法にはいろいろあると思います。補助金を必ずしも出さなくても金融上のあつせんをして、財政資金を出してやるということも一つでございましよう。それから企業の形態としても政府が出資するというような形で、特殊会社をつくるという形も考えられるでございましよう。それらの問題につきましては、今後自衛力漸増計画あるいはその他の経済計画上の問題と照応いたしまして、地についた研究を慎重に進めて参りたい、こう考えております。
  11. 永井勝次郎

    永井委員 先ほど大臣航空機産業については交通整理をするのが現在の段階においてとるべき方法である、こういうふうな御答弁があつたのであります。航空機産業だけを一つ抜き出して来て、これを交通整理をやる、こういうのでありますが、その前に航空機産業基盤である日本産業構造全体についてもつと検討を行つてそして土台から築き上げて行く、そして国際水準まで日本産業全体を盛り上げて行く、その中から現われて来たものが重工業であり、あるいは化学工業であり、航空機産業であり、あるいは造船である、こういうものがその結果として実つて来なければならない。従つて現在の日本産業構造の実情に考えてみますと、産業全体にわたる交通整理段階ではないか、そうしてその中からいいものを伸ばして行く、一つの基礎的な条件を今は整理する段階ではないかと思う。けれども飛行機だから飛躍するのがあたりまえかもしれないけれども土台のないところに、しかも近代産業で三百種からの関連産業を持つておる航空機産業だけを、そういう基盤を持たないでさつと飛ばそうとする、こういう飛躍した考えの間違いを犯しておるのではないか。正しい意味において、日本産業全体を、ほんとうに真剣に考えますならば、将来の発展ということを熱心に考えますならば、われわれはそういう土台から築かなければならないのではないかと、こう思うのでありますが、そうではなくて航空機産業というものは今育つたように防衛一環としての生産の必要が非常に迫つて来た。そこであらゆるものを犠牲にしても、航空機産業のところにいろいろな力を集約して、これをつくり上げようという、戦時中のような航空機生産という性格が、この法案ほんとう性格ではないか、こう思うのでありますが、大臣はこの点についてはどう考えるのか。日本産業全体について、交通整理なり何なり土台を築いて行かなければ将来の国際社会に入つて競争力もないのではないか。そういう土台を無視しておいて、航空機産業だけを交通整理し、いいものを飛び立たせよう、こういう飛躍した考えがあるのではないかと思うのでありますが、その辺はいかがでありますか伺いたい。
  12. 愛知揆一

    愛知国務大臣 ただいま御指摘の点は、昨日山手委員からも御追究を受けたのでありますが、この交通整理ということをまず航空機製造業について考えましたのには、私としては二つの立場があるわけでございます。その一つは、御承知のように、先ほど冒頭に御説明いたしましたが、このところ修理発注する人も、それからできた航空機を買う人も、ほとんど全部が国あるいは外国なのであります。そういう点から申しまして、まず日本の国なり政府立場からしても、会社が濫立しておりますと、発注する場合においても直接財政負担が多くなるということをおそれたわけでございます。それからい一つは、さしむきのところの問題でございますが、JPAなり、特に外国発注対象としなければならない。そこで国内態勢というものが、その外国発注者側の御都合によつて撹乱されるということを押えなければならない、この点は技術提携その他の例を引きまして、先ほども一端を申し上げたのでありますが、そういうおそれのある場合におきまして、日本としての態勢を確立したい、こういう気持で許可制度ということを、さしあたりの措置としてとらせていただきたい、こういうふうに考えたわけでございます。なおその他の一般基幹産業やその他の産業についても交通整理をする、あるいは計画的な許可制その他の方策をとつたらどうかという御意見に対しましては、ひとつどもも十分に、いろいろの面でさらに研究問題として、まじめに研究をすべきものであるということは考えておりますが、とりあえず先ほど申しましたような理由で、航空機に対して考えておるのでございますから、他の全般につきましては、今すぐにこういう意見であるということを申し上げるところまでは研究をいたしておらないような次第であります。
  13. 永井勝次郎

    永井委員 私の質問に対して半分くらいは妥当であり、半分くらいは私の質問間違つての御答弁だと思うのであります。航空機産業は、三百からの関連産業を持つておる。従つて組立て産業だけをどのように考えても、部品から何からそういう基盤を持たなければ、航空機生産は軌道に乗つて来ないと思うのであります。従つて航空機産業だけを取上げてどうこうというのではなくて、航空機生産をする前に、まず日本産業基盤を確立してかからなければ、航空機産業まで飛躍することは行き過ぎではないか、こういう趣旨お尋ねいたしたのであります。たとえば日本産業の中における工作機械は、現在どうなつておるか。横浜における日平産業などは、これは相当進んだ方であると思いますが、銃丸の生産において、最終の工程まで行きまして約四割がおしやかになるのであります。そうすると、いかに日本労働者生産性を高めるということで努力いたしましても、最終段階で四割までだめになるというような、こういう工作機械の中では、これは国際経済の中で闘える条件というものはありません。従つてまずこれらの産業においては、工作機械を整備するということが諸産業における現在の基本的な問題ではないか。それから日本産業構造の中における系列の問題にしたつて、もつと交通整理をきちつとする必要があるのではないか。そういう基盤の上に、航空機産業というものを組み立てなければならないのではないか。そういう土台を何もしないで、そして近代産業である航空機産業だけを取上げて云々するということはさか立ちしているのではないかと考えるのでありますが、日本の現在の産業構造の中における、いろいろな遅れておる諸問題というものをどういうふうにお考えになつているのか。あるいは系列整備の問題については、どういうふうにお考えになつているのか。そういうことなしに、航空機生産というものをそのぐらついている土台の上に乗せようとすることは間違いではないか、まだ早いのではないか。ほんとう航空機産業をやろうというならば、まずそういう基礎的なことを一つ一つ築き上げて、あるいは並行的に築き上げて行く努力の上に航空機産業というものを考えなければならないのではないか。そういうことをちつとも考えないで、投げつばなしにしておいて、そして航空機産業だけをここに取上げるというのはおかしいのではないかというのが私の質問趣旨であつたわけでありますが、それに対してお答えを願いたい。
  14. 愛知揆一

    愛知国務大臣 私の先ほどお答えいたしました点は、やはりただいまのお尋ねに対しましても同じことを御答弁申し上げることになると思うのでありますが、まずそれに関連いたしましておしやかがたくさん出るという問題でありますが、これは実はまことに遺憾なことでありましたが、過去の例におきまして、たとえば日平でございますれば、四割くらいおしやかが出たという例も御指摘通りございますが、それはいろいろ事情を調べてみると、保安庁空包等の例でありまして、その規格が間違つてつたとか、なれませんために、いろいろの手違いがあつた点から来ておるものが大部分でございまして、今後はさような点は起らないように十分注意をいたしたいと考えております。  それから三百種にも上る産業あるいは工業の上に立つのが航空機製造業であり修理業である、これはお説の通りであります。しかし先ほど来申しておりまするように、私どもはまず航空機製造という方から押えてかかつて交通整理をする、これが現実内外状況に照しまして今ただちに取上げなければならない問題である、まずここからひとつ交通整理をさせていただきたい、こういう考え方でございまして、あるいは御意見によりますと、その順序が逆だというお話にもなろうかと思いますが、ある意味におきましては、この方の許可制交通整理をするということが非常に差迫つて必要な問題でありまして、一方のその基礎になるところの産業に対しては、さらに基本的な問題であろうかとも思いますので、この方については周到に研究をいたしました上で、必要ならば、手を打つという順序にいたしたいと考えるわけであります。
  15. 永井勝次郎

    永井委員 前にこの委員会におきまして、武器等製造法の審議をいたしました。その場合この武器等製造法日本軍備拡充一環としての法律である。この法律の実施によつて日本産業構造平和産業から軍需産業への転換が行われ、質的に変質するものであつて日本のアジアにおける平和的な産業振興して、そうして輸出振興するということは、逆な方向に動くものである。こういう立場において、われわれは武器等製造法については反対したのでありますが、当時この委員会における政府当局答弁は、これは軍需産業一環として考えるのではない、武器をつくつてもそれは輸出産業として考えるのだ、こういうような答弁であつたのでありますが、今でも武器等製造法に基くいろいろなこれらの産業というものは、やはり国内軍備というものは考えていないのだ、武器製造しても、これは輸出産業として考えている。航空機にしましても、当面は防衛庁発注を受けるかもしれない、あるいはアメリカ軍修理をするかもれないが、行く行くはこれは輸出産業としての性格を持つ、そういうねらいを持つてこれを振興させるのだというお考えなのか、その辺を伺いたいと思います。
  16. 愛知揆一

    愛知国務大臣 武器等製造法を御審議願いました当時の状況は今御指摘通りであると私考えるのでありまして、すなわちこれは一種輸出産業であるというふうに、当時の考え方としてはそれを主流に考えておつたことは事実でございますし、その後の状態を見ましても、御承知のように、いわゆる武器につきましても、今二十九年度におきましても、おそらく九割まではいわゆる特需であると思うのであります。その特需というものは輸出一種のようなものでございますから、そういう意味から申しますれば、その当時と考え方はかわつておらないわけであります。ただ、ただいまも御指摘がございましたように、保安庁武器発注するその財源は、日本の本来の予算でもつて支出されるものであります。これは輸出ではございません。それは日本自衛力増強のために使われるものでありますから、将来の問題といたしましては、その幅が広がつて行くか、あるいは特需が多少狭まつて行くかという程度の問題はあろうと思いますれども、当時御説明申し上げた考え方と、原則的に、あるいは流れの主流としてはかわることはないわけでございます。
  17. 永井勝次郎

    永井委員 今のような答弁のところにごまかしがある。そういうことが日本産業界の混乱を来させる原因になつているのではないか。私は議会における答弁というものが、単にそのときどきの口先だけのものではなくて、ほんとうにこういう論議が日本産業の指針を示すところの重要な発言でなければならない、責任を持ち合う発言でなければならないと考えるのであります。武器等製造法のごときも表面上猟銃はどうする、あるいは機関銃の台はどうするということを本分に書いて、そうして政令では機関銃はどうだ、戦車はどうだ。こういう表面に打出している法文の内容政令できめる内容とは、政令の方がずつと重要な問題を内容としてきめている。こういうところに法案ごまかしがあると私は考えるのであります。またJPAの特需発注だといいますが、これについてもアメリカの方では、日本教育期間として一定の期間教育のためこういうものを発注するのであつて、行く行くは日本みずからの防衛一環としてこういう産業を整備させよう、こういうねらいを持つていることは、大臣も明らかに御承知のことと思うのであります。そういう教育期間における単なる特需というものが、これは特需だから貿易産業なんだというようなそういう答弁は、われわれは納得しないのであります。従つてこの航空機の問題においても一応ここは許可制度によつて整理はする。幾つかの財閥関係産業が、指定されるでありましよう。されれば、それに対して今度は補助金がどんどん投入される。そうしてこれが強化されて行く。そこに武器生産というものは、これは発注者は国でありますから、国がここに集中的に発注をして行く。そういう形において、その単価なり何なりは、国の特定の会社との間の取引でありますから、単価採算の十分とれるものになつて来るであろう。大体日本産業構造の中には、明治初年以来国の補助によつて、国の力によつて育て上げられた武器製造基盤を持つております。いつでもこれは武器生産転換される。平和産業への転換ということこそむずかしいけれども武器生産への転換ということは簡単にできる。そういう技術的な要素も持つておるし、設備内容も持つておる。そういう組立てである。その中において通産当局として努力しなければならないことは、いかにしてこれを平和産業転換させるか、そうして国際市場における今後の競争は、軽工業から重化工業への方向をとつておるのでありますから、いかにしてその競争的な基盤を一日も早く確立するかというところに、通産省の産業に対する経済施策の方向というか、指向するものがそういう点になければならないと考えるのでありますが、そういう弱点を持つておる中にすぐ航空機生産だ、武器生産だとまた復元的な方向を打出して、平和産業というものがそれによつて大きな圧迫を受ける。日本の重化学工業というものは、ほとんど国の軍需産業との結びつきにおいて従来育てられて来ておるのでありますが、それがさらにひもつきによつて強化され、補助金がそこに投入される、こういう形に復元するということは、せつかく伸びようとしておる日本平和産業を踏みにじるものであつて、将来われわれが日本産業を国際的に発展させる上においても、大きな障害になると考えるのであります。従つてわれわれは、今日この航空機製造法の一部改正について問題にするのは、これは整理をしたあとに国が補助金を相当ここにつぎ込むのである、そうして武器としての航空機発注というものをここに集中的にやつて行くのである、そういう一つのプログラムに従つたところの改訂をここでこの法案できめるものである、こういうふうに考えるのでありますが、先ほど来申し上げました通りに、日本産業構造は、そういう軍需産業の要素を持つておる。それを復元することによつて平和産業が相当な打撃を受けて、輸出の上においては相当後退せざるを得ない。ことに経済力の浅い日本においては、この軍需産業の重圧の中に、平和産業というものは閉塞してしまうのではないか、こういうふうに考えるのでありますが、大臣はこの点に対してはどういうふうにお考えになりますか。補助及び発注の見通しです。産業界においても、今経団連なんかでも国有民営にすべきだ、いろいろな施設は国で持つて、経営は民間にまかせるべきだ、それから軍需に対する見通しを明確に政府はさし示すべきだ、助成政策を明確に確立すべきだ、こういう要望があるのでありますが、その要望にこたえるようにこの法案が出て来ておるのでありますか、その辺の関連はどういうふうにお考えになつておるか承つておきたい。
  18. 愛知揆一

    愛知国務大臣 私もいろいろただいまの御意見については申し上げたいことがございますが、簡潔にお答えいたしますと、まず基本的には、先ほどから何べんも申し上げておりますように、私は航空機のみならず、いわゆる軍需生産によつて民需を圧迫する、あるいは国民経済を圧迫して軍需産業を発展させるというような気持は、実は私は毛頭持つていないのでありまして、率直に申しますと、ただいまおあげになりましたが、一部財界等において軍需工業をうんとこの際やるのだ、それに補助金をうんとやる、発注を確保しようという空気があることに私が非常に批判的な態度をとつておることは、従来の私どもの態度でも御了解いただけることと思います。この法案許可制度にしていただきたいということを御提案申し上げておりますのも、むしろ濫立を防いだり、あるいは先ほど申しておりますように、国が相手方でありますが、そういう関係から申しまして特にその必要があります。また製造機械等についてこれを集約的にやつて行くという点において、どちらかというとむしろ過大に広がるところを押えて行こう、そうしてただいま御懸念のような事態が起つて、たとえば経済単位として相当過大なものをここで計画の基礎に置くことによつて、そういう用途がなくなつたり、発注者がなくなつたりした場合に、再転換をすることが非常に困難だということを起すことは未然に防ぎたいというような気持から、このような御提案を申し上げておるわけであります。従つて業界においても許可制度にしてくれという要望がありますことは、昨日参考人としてその人たちが意見を申し上げた通りでございまして、その限りにおいては政府側の考えと同じでありましようが、いろいろその人たちがさらに期待しておつた考えておつたりすることと、われわれの考え方との間には、あるいは相当開きのある部面もあろうかと思います。どちらかと申しますと、私の考え方はただいま永井さんの御懸念になつた点と、あるいは私の方の考え方が近いのではないか、こういうふうにさえ考えるわけであります。
  19. 大西禎夫

    大西委員長 次に加藤鐐造君。
  20. 加藤鐐造

    加藤(鐐造)委員 先刻来各委員らいろいろな角度から質問がありましたし、私自身も時間の都合がございますので、ただ一点だけお伺いしたいと思いまするが、それはこの法律を提案せられた趣旨が、日本における航空機産業の健全な発達をはかるにある、こういうことでございます。私は自由党なり現政府のいわゆる産業の発達ということに関する今までの政策というものは、大体自由主義経済を基本にした政策で、自由競争のうちに大いに技術の向上をはかり、産業の発展をはかるという考え方でありましたのを、航空機工業に限つてこうした許可制度をとつて、少数の企業にのみ限つて許可するというお考えを持たれたということにつきましては、少しまゆにつばをつけて考えなければならないということ、それからまた航空機工業のような、いわゆる近代産業の中で代表的な精密重工業であり、また複雑な生産工程を持つておる工業の健全な発達ということが、単なるこの法律だけで期せられるかどうかという点に疑問を持つものでございます。  まず第一にお伺いしたいことは、この法律だけを見ますと、航空機組立て工業の発達というようなことになりはしないかと思うのであります。というのは、その航空機が完成されるまでの他のいろいろな関連産業というものについては、考えておらないということじやないかと思うわけでございます。私は根本問題として、関連産業、特に航空機生産に一番大切なものは、アルミニウム、あるいはジユラルミンというような資材であると思います。ところが政府は、おそらく今日はそういう点を考えないで、外国からそういう資材、部品の輸入を仰いで、そうして組立てをやるという考えであろうと思いますが、この点についてまず伺いたい。
  21. 徳永久次

    ○徳永政府委員 航空機工業の成立ちのために、材料部門というものが大事だということはお話通りでございます。ただ材料部門につきましては、御指摘のように、たとえばアルミニウムはあつてもジユラルミンはないというようなことでございますが、これは現状におきまして、需要の大きさというものが、そこまでの事業を起せないというような環境にあるところから来ているわけであります。ただ私どもとしましては、そうは言いましても、材料部門の生産が起ります際、国際的なレベルに少しでも遅れないようにというようなつもりで、たとえば技術研究等につきましては、航空機関連の材料部門の研究に対してそれ相応の援助というか、奨励金の交付等の措置は講じたいというふうに考えておるわけです。
  22. 加藤鐐造

    加藤(鐐造)委員 昨日も参考人意見の中で言つておられましたが、日本航空機工業というものは戦前には世界最高の水準にあつた、こういうことが言われております。これはいろいろな技術の面において言われるでございましようが、第一にジユラルミンの純度が非常に高かつたという点に大きな理由があろうと思います。そこで航空機工業の健全な発達をはかるということになりますと、そうした重要資材並びに部品工業の健全な発達をはからなければならないと思うのでございます。今徳永局長がおつしやつた、現在は航空機そのものの生産が非常に量的に少いからそういう資材の生産において大いに力を注ぐことができないというようなことでございましたが、日本の戦前の航空機工業の発達の過程を見ましても、やはりそういうところから順次積み上げて行つて、世界最高の水準に達して来ております。だから私は航空機工業の健全な発達をはかるというならば、やはりそうした下から積み上げて行くべきではないかと思うわけでございますが、今政府考えておりますのは、先ほど来永井君も御指摘になりましたが、今日の日本の兵器としての航空機の需要に応ずるために、急速にこの航空機工業の発達をはからなければならない、こういう点にあろうと思うのでございます。私は、そういう軍事的な需要に応ずるために、こうしたさか立ちをした一つ産業の発展策を考えるべきではなくて、テンポはおそくとも、やはり基礎から順次積み上げて行くべきではないかと考えます。そうしますと、いわゆる組立て工業段階にあります今の航空機工業の発展をはかるのには、やはりアルミニウム、ジユラルミンその他の重要資材についてもこうした考慮、いわゆる十分な発達をはかり得るような方法において規制をして行くべきではないかと考えるのでございますが、この点についての大臣のお考えを承りたい。
  23. 愛知揆一

    愛知国務大臣 先ほど来他の委員にもお答え申し上げておりますように、そもそもこの法律案の第一条をあらためてごらんをいただきたいと私は思うのでありますが、先ほど来私が申しておりますことは、この関係事業の事業活動を調整することによつて国民経済の健全な運行に寄与するということを立案者といたしましては根本に考えておるわけでございます。従つてこの法律は、いわゆる助成法ではございませんで、事業調整ということが目的である。それで今後の段階におきまして、航空機全般について、材料や部品というものが同時に育成される必要があるということは御指摘通りでありまして、この点は私もまつた異議はないのでありますが、実はそこまでまだ踏み込んで将来の対策というものを考えておらないのでございまして、さしむきのところ、まずもつて事業の調整を中心に許可制度ということをやらせていただきたい。そうしてこの交通整理でがたがたしたところを防いでおきまして、その背後におきまして、今後あらゆる考え得る状態のもとにおいて航空機工業というものをどういうふうに持つて行くべきか、たとえばジエツト・エンジン機などを中心として助成をする必要があると国の方針がきまりますれば、それに即応して、ただいま御指摘のように材料や部品というようなものも同時に育成をはかるというふうな方針になるわけだと思うのでありますが、それらの点につきましては、そうすることがいいか悪いかという点につきまして、現下の日本の国情、経済状況といたしましては、研究段階にあつて、実行の問題として結論を出すのにはまだ早いのじやないか、こういうふうに私は考えておるわけでございます。
  24. 加藤鐐造

    加藤(鐐造)委員 そうしますと、そういうやり方というものがいわゆるこの法律案の中にあります健全な発達と言えますか。私はそういうやり方は航空機工業の健全な発達とはいえないと考えますが、大臣はこういうやり方が航空機工業の健全なる発達の方法であるとお考えになりますか。
  25. 愛知揆一

    愛知国務大臣 これはちよつとお言葉を返すようになつて恐縮なんでありますが、今私はたまたまこの第一条を引いたのでありまして、第一条は「国民経済の健全な運行に寄与するとともに、航空機及び航空機用機器の製造及び修理方法を規律することによつて、その生産技術の向上を図ることを目的とする。」となつており、こういうふうに書きましたのが、総括的に申しまして立案者としての私の気持なんでございまして、御了承願いたいと思います。
  26. 加藤鐐造

    加藤(鐐造)委員 では大臣も、航空機工業そのものについては、これは健全な発達の方法ではないとお考えになるというふうに私は一応解釈いたします。  そこで私は、時間がございませんから、この点だけをもう少し掘り下げて簡単に質問いたしますが、結局現段階においては第一に外国技術を導入しなければならない、資材の点についてもこういうことはいわれますが、そういうことになろうと思います。どこの国との技術提携考えておられるか。
  27. 愛知揆一

    愛知国務大臣 この点につきましては前回も御説明いたしたのでありますが、現実に今技術提携をやり、または話合い、引合いが出ておりますのは米国でございます。しかし政府の方針としては、米国に限定して考えてはおらぬのでございます。ただいまフランスなりイタリアなりあるいはイギリスとの間には、具体的な話は進行しておりませんが、これを阻止しているものではございません。
  28. 加藤鐐造

    加藤(鐐造)委員 由来日本において遅れた技術を導入する場合は、ほとんどアメリカ対象としておられます。私はこのやり方は、すでに占領が解かれた今日においては改めらるべきではないかと思います。われわれは世界中のあらゆる技術対象にして必要ならば入れるべきではないかと考えます。そこで私は事務当局に承りたいが、今日いわゆる航空機生産状況及びその技術の面において、米英等のどこがすぐれておるか。これは大体のことでよろしい。それから、日本と同じような状況にありますドイツの航空機工業というものはどういう状況にあるか、また政府がどういう方策をとつて航空機工業の発達をはかつておるか、そういう点について概略御説明願いたい。
  29. 徳永久次

    ○徳永政府委員 外国の事情でございますので十分の研究もいたしておりませんから、非常に概略的な御説明になります。  第一問の航空機関係技術につきまして、イギリス、アメリカ等の各国においてどこが一番すぐれておるかということでございますが、非常に広汎な質問でむずかしいのでございますけれども、最近におきまする航空機工業の主力をなしておりますジエツト関係につきましては、加藤先生も御承知だと思いますが、アメリカにおきましてもいろいろな工場がたくさんございますし、相当進歩もいたしておりますが、しかし専門家の間では数社ではあるが、技術のレベルとしてはむしろイギリスの方が進んでおるというふうに言われておるわけであります。御承知日本におきまして、今ジエツト・エンジンの試作会社というものがございますが、そこの技術者も、ジエツト・エンジンについては、できれば英国のロールス・ロイスの技術に早くクローズしたいという希望を持つていろいろと接触もしておるようであります。  それからもう一つ、これは航空機直接と申しますより電子機器関係になりますが、この部門におきましても、経済力はアメリカよりやや劣ると見られておるイギリスの方が、技術的には進んでおるというようなことが言われておるのであります。これも私どもいろいろ技術屋さんから聞かされておるところによりますと、研究体制がアメリカの方が分散的といいますか。散漫で、英国の方が集約化されておるという、その効果ではなかろうかということであります。  それから航空機工業に対しまして、日本と似たような状況にあるドイツがどういう状況にあるかというお尋ねでありますが、この点につきましては、ドイツは御承知のように政治的な立場といいますか、被占領態勢にあつて日本のようにまだ独立の段階には入つておりません関係から、航空機工業生産そのものがいまだ禁止状態にありまして、まだブランクであるというふうに承知いたしておるわけであります。
  30. 加藤鐐造

    加藤(鐐造)委員 私も航空機工業について詳しく調査したわけでありませんので、責任あることは申せませんが、大体ジエツト・エンジン等については、アメリカよりもイギリスの方がすぐれておるということは一般に言われております。そういう状況であるのに、今大臣がおつしやつたように、アメリカ技術をまず入れようと考えておるということはどういう事情でありますか。資金等の関係がありますか、外資等を入れる関係がありますか、その点をお伺いいたします。
  31. 愛知揆一

    愛知国務大臣 これは先ほど来申し上げております通り、実際上の問題としては需要との関係のつながりで、現実におきましてはアメリカ技術導入ばかりになつてつたわけであります。ところが先ほど具体的にまだ商談の引合いがないと申しましたが、これはまだ契約をとりかわすに至つていない程度のものの意味で申し上げたのであります。たとえば英国のロールス・ロイス会社でありますが、特にジエツト・エンジンについては最近非常に進んでおるようであります。これがどういうものであり、また提携ができるものならということで、アプローチしておるような事実もございますわけで、今後そういう面は相当広がつて参るかと考えるわけであります。
  32. 加藤鐐造

    加藤(鐐造)委員 需要の関係と申しますか、たとえば駐留軍の関係はどの程度であるか。またアメリカが今日経済的、あるいは軍事的な援助をしております南方諸国に対する輸出等が予定されておるのか。その点具体的に承りたい。
  33. 愛知揆一

    愛知国務大臣 需要というふうに、抽象的に申し上げまして恐縮でございますが、たとえば従来は、先ほど来申し上げておりますように、昭和二十七年四月以来、オーバーホール関係で千三百ドルくらい発注があつたわけであります。これは現実極東空軍アメリカ会社でつくつた機体を持つて来て、そのオーバーホールをやろうというのでございますから、どうしても過去においては、その需要の関係からさようにならざるを得なかつたわけでありまして、今後におきましては、そういう条件もだんだん違つて参ると考えておるのであります。
  34. 加藤鐐造

    加藤(鐐造)委員 私はその点、単に需要の関係でなく、部品等の関係があろうと思います。現在やはり日本の経済は直接間接アメリカの援助のもとに進んでおりますが、そういう関係でやはりアメリカとの提携をしないと航空機工業の発達が困難だ、こういう考えがあるのではないかと思いますが、そういう点はどうですか。
  35. 徳永久次

    ○徳永政府委員 この点は先日参考人、専門家からも意見を述べたと思いますが、すべての技術を、何もかも向うからもらわなければどうにもならぬというわけでもないのであります。技術提携をいたしますのは、日本に向うからオーバーホールその他の発注があつたとしまして、それを自分の技術でできます限りはそれで済ませているわけであります。ただ自分に技術がないという限りにおきまして、その技術をまず自分の身につけなければならぬということから、目先、生産あるいは修理しなければならないものに関連する技術というものを取入れようということを業者として考えるわけでありまして、これはその限りにおいてやむを得ないことだと思うわけであります。
  36. 加藤鐐造

    加藤(鐐造)委員 私は大体従来の政府考え方が、アメリカとの提携によつてつて行こう、日本産業の発展を考えようという非常に安易な気持がここにも現われておるのではないかと思います。ほんとう日本航空機工業がどんどん発進して、外国等にもどんどん輸出することができるようになる、しかもそれが低コストで世界の航空機と競争ができるようになるというふうに持つて行くためには、アメリカ以外といえどもそういう点に最も合致するような技術を取入れることが必要ではないかと考えるわけであります。もう少し日本のこうした重要産業の発達については、自主的な立場から政府が育成政策をとるならばとるべきではないかと考えますが、こういう点について大臣どうお考えでありますか。
  37. 愛知揆一

    愛知国務大臣 まつたくごもつともと考えるわけでございまして、従来のいろいろ占領中からの施策の関係から現在御指摘のような点がございますが、これらの点については自主的に日本としての最も望ましい立場において考えて行きたいというふうに思つております。
  38. 加藤鐐造

    加藤(鐐造)委員 私、時間の関係がございますからこれでやめますが、最後に一つだけ承つておきたいことは、第十三条に「製造証明のない航空機用機器を航空機製造又は修理に用いてはならない。」とあつてその中に「輸入されたものを除く。」とありますが、輸入されたものは日本では検査する必要は認めないお考えでありますか。
  39. 徳永久次

    ○徳永政府委員 航空機の機体あるいは機器等につきましては、国際的にほぼ同様な基準のもとに法制的な国際条約もございまして連絡がついておりまして、輸入されたものの適用を除外しました趣旨は、輸入されたものにつきましては日本製造証明をすると同様のものが、国際条約において承認されておるレベルのものが輸入の航空機機器についてもなされておるという前提がございますので、その意味で二重にする必要はないということで除外したわけでございます。
  40. 加藤鐐造

    加藤(鐐造)委員 そうしますと第二条の五の二項の規定というものはまつたく余分なものになつて来ると思います。そうした航空機に用いられる機器というものが、国際的に認められた検査制度のもとに検査されれば、それでどこへでも使えるということになりますと、何も日本において軍事用に使う場合に、その設備を許可する場合にまず防衛庁長官の意見を求めなければならないということにはちよつとならないように思うのですが、この点どうですか。
  41. 徳永久次

    ○徳永政府委員 第二条の五の二項に「通産大臣は、武器を装備し、又はとう載する構造を有する航空機製造又は修理の事業については第二条の二の許可をするときは、あらかじめ、防衛庁長官の意見をきかなければならない。」と書いております趣旨は、この法律によりまして航空機及びその特定機器の製造修理の事業は、通産大臣許可制によりまして許可する。しかしその許可は極力機種ごとにやるつもりでおるわけでございますが、国内におきましての大口の需要者でございます保安庁発注のものにつきまして、その発注のすべてではございませんが、保安庁の専用機といいますか、専用機という感じを法律的に表現して書いておるつもりでございますが、専用機のものにつきましては、かりに業界からある種の機種についての製造をやりたいからということで製造許可の申請が出たといたしまして、その際に私どもはそれが保安庁の採用するような機種になつておるかどうかということを確かめてやりませんと、機種によりまして装置も異なることでもございますし、むだなことになつらいけないという意味から、保安庁に、業者が申請しておる保安庁の注文のものをやるといつてこういうものを出しているが、これはお宅の方で採用する機種になつているのですかどうですかということを照会するという意味の規定でございまして、先ほどお尋ねがございました検査の規定とこの第二条の五の二項とはちよつと関連のない規定でございます。
  42. 大西禎夫

    大西委員長 次に中崎君。
  43. 中崎敏

    ○中崎委員 昨日通産大臣は中途からあちらに行かれましたので多少質問を残しまして困つたのでありますが、時間の関係でごくしぼつてお伺いしたいと思います。  まず航空燃料に関する問題であります。それから昨日も質問の継続中でありましたが、石油と石炭との関係、それから石油の調整に関する事項、それから国際的供給不足物資等の需給調整に関する問題、この四つについてごく簡単にお伺いしたいと思います。  航空燃料については特殊の燃料として非常な関心を持つておりますが、現在どういうふうになつているか、そうして今後漸次軍備増強態勢に順応して燃料に対する対策をどういうように考えておられるか、あわせて四日市の工場が航空燃料の製造について一つの役割を果すような方向にあるのじやないかと想像できるのでありますが、四日市のあの工場がその後どういうふうに進みつつあるかということ、そうして燃料対策と四日市の工場との関係がどういうようになつておるかということをまず第一にお聞きしたいのであります。
  44. 愛知揆一

    愛知国務大臣 航空機用燃料の件につきましては、二十九年度の外貨予算で大体二十万キロ程度の輸入ということが計画されておるわけでございます。  それから四日市の旧燃料廠の問題につきましては、これは当委員会におきましても非常な御関心を持ち、御督促、御激励をいただいて日ごろ恐縮しておるのでありますが、去る四月の上旬に当委員会において関係の各製油会社の首脳部の意見をもお聞取りいただいたわけでありますが、当時その人たちがお約束をしておりましたような現実に即して各方面からしぼりました案というものが、その後経過はいろいろございますが、結論的に申しますと、ちようど約一週間前にでき上りました。そうしてそれにつきまして、大体前々から御説明申し上げておりまするような線に沿うて、すなわち関係八社が出資者となり、そうして政府の援助を求めてこの四日市燃料廠を動かして行くということにだんだんと具体的に詰まつて参りました。政府といたしましても熱意を新たにいたしまして、早急に結論を出そうというふうな段階になつております。そのこととそれから燃料政策との関係でございますが、これは昨年の秋の閣議で了解ができましたその当時から、一応民需用の精製工場としてという考え方に相なつておるわけでございます。
  45. 中崎敏

    ○中崎委員 関係八社において引続いてこの計画を進めておるというのですが、資金については政府資金は第一段階としては使わないというふうなことにもなつておるようでありますが、その点はどういうふうになつておりますか。
  46. 愛知揆一

    愛知国務大臣 これはただいまの研究の線で参りますると、私はいずれは政府資金という問題を考えなければならないと思いますが、さしあたりできるだけひとつ各社が、先般も当委員会でも問題になりましたように、それぞれの立場で、あるいは将来過剰になると保しがたいような計画もないではないのでございますから、そういうことをやらずに、できるだけ自己資本と申しますか、これでやつて行くということをあくまで第一義として計画を進めたいものと思つております。御承知のように、今回の二十九年度の財政資金計画では、計画ができたもののみならず、すでに進行中の基幹事業等につきましてもある程度相当に財政資金を減額しなければならなかつたような実情にもかんがみて、また石油精製業については今申しました事情もございますから、これはできるだけ自己調達可能な資金を中心にして考えたい、こういうふうに思つております。
  47. 中崎敏

    ○中崎委員 次に本年度航空燃料は、外貨予算で二十万キロの予算を組んであるということでありますが、これは全額外国輸入によるものであるのか、あるいは国内のものである部分を間に合わせるのか、今後においてこの外貨の節約等のために少くとも国産をもつてつて行く何らかの具体的計画があるのかどうか。この点はもし何でしたら鉱山局長の関係もありますので、やはりそうしたことの何でなければまたあらためてお聞きしてもいいと思います。それから次に石炭と石油との関係でありますが、大体四千八百万トンの石炭の生産目標を達成するための施策というのは無理ではないか。ことにきのうもちよつとありましたが、この石炭についてはいろいろ総理大臣の身辺等の関係において大きな石炭業者等の圧力があつて、それでそれが石油の方に大きく影響しているのではないか。それでないと、たとえば六、七、八、九と四箇月間は三十万キロ程度の重油で間に合せるというけれども、その中で十五万キロというのは農林水産関係等のひもつきであるというのでありまして、あと十五万キロで全体をまかなうことは何といつても無理な計画であるということが言われておるわけなんです。そういう無理を短期間にどうしてやらなければならぬかということについてもわれわれに納得の行かないところの問題があるわけなんです。ここに相当無理をして来ているのではないかという感じがしております。まず第一に四千八百万トンというのは、四千五百万トンはおろか、四千三百万トン程度でもいいのではないか、実際においてもその程度でも間に合うようなというか、その程度でもやむを得ないのではないかというような情勢ではないかというふうにも考えておるのでありまして、ある程度石炭の用途の合理化ということもこの際あわせて考える。そうしてまた新しい需要の面において人造石油というようなことも、私は先般この委員会でも申し上げたことがありますが、そういうようなこともあわせて新しい用途を考え、そうして石炭産業の将来をも画策して行くことも必要だと考えるのでありますが、この点についてその後の政府の熱意が一体どうなつておるかということを、これもあわせてお聞きしておきたいと思うのであります。
  48. 愛知揆一

    愛知国務大臣 この問題につきましては、御承知のように、当委員会におかれましても燃料の総合対策について至大の御関心をお持ちになり、特に小委員会をお設けになつて御検討をいただいておりますので、当局側の考え方もこの委員会におきましてはもちろんでございますが、その小委員会におきましてはさらに詳細に、さらに率直に過去の経過等についても十分と御論議を重ね、また当局の考え方も聞いていただいておるようなわけでありますが、私は根本的な考え方は、大体燃料についての小委員会を当委員会がお設けになり、そこでお出しになりました結論とわれわれの考え方とはほとんど一致しておるというか、まつたく同じ考え方であろうと思うのであります。それで、大体三月末ごろの状況であれば、全体の集中された一つ考え方として、四千八百万トンを目標にして、これを適正出炭規模ということに一方においては考える。一方におきましては昨年度消費せられたであろうところの重油の量に対して今期の外貨予算の配当をする、この二本の柱で所要の措置を講じて行こうというので、非常にこまかい具体的な措置等についてもいろいろと御意見を拝聴いたしまして、その要略は御決議にもなつておるわけでありまして、われわれはその線に沿うて、ずつとこまかに作業をやつてつたわけであります。ところがその後多少状況の変化もありまして、また九州方面におきます中小炭鉱においての窮迫状況も相当憂慮すべき状態になつて参りました。そこで石炭につきましては広範囲にわたります対症療法的な対策というものも逐次とりまとめまして、これはひとり通産省だけで処理し得ないものもたくさんございますので、関係各省あるいは公社等に対しましてもできるだけの協力を頼み、あるいは金融のケース・バイ・ケースによる処理、あるいは炭価の早期決定というようなことについてあらゆる努力を現在傾注いたしておるわけであります。しかしながら同時に、ただいまも御指摘がありましたように、日本の経済自立計画の基幹として石炭の適正出炭規模は四千八百万トンを下らざるものにしたいというのが私の念願でございます。ただ現在の状況下において、ざつくばらんに申しますと、この目的は二十九年度においては適当なるものと言えないと思うのでありまして、ある程度これに調整を加えまして、そうして三月の当時に考えましたところよりは、石炭業界、これは労使両面にわたる石炭の関係者でございますが、それらに対しまして協力を願わなければならない。また同時に重油につきましては、昨年の消費量と同様のものに対しては外貨を確保したい。これをさらに切り込むということは考えないが、しかし割当を増さざる限りにおいては、今後数箇月においてはかなりきゆうくつな状態になる。そこでどういうきゆうくつな状態になるかということを具体的に、石油の販売業者はもとよりでありますが、需要者方面の各業界に対して、ただいま鉱山局を中心にいたしまして、誠意を尽して政府立場の説明に努める、協力を仰ぐということで、一番政府としてはこうやつていただきたいということは、相当にきゆうくつな案ではございますが、その一つの試案を中心にして、どういうふうな御協力が求められるか、またこれではどうしても責任がとれないというならば、どの点を調整したならばいいかということにつきまして、各業界についてその割当の率等について、鋭意ただいま相談を進めておるわけでございます。それの目途が一方においてつきますと同時に、他方におきましては、二十九年度における石炭の出炭の適正な規模というものはある程度調整減額をいたしまして、石炭の方面の御納得も得なければならない、こう考えておるのでありまして、私は繰返して申しますが、石炭の方に窮迫した問題が出て来たからというて、重油の方にだけこれをぶつつけて、そこで解決しようとしておる態度ではないのでありまして、すでに三月三十一日の閣僚審議会で私ども決心をいたしまして、石油についてはその当時の資料でいえば五百三十七万キロリツターでありますが、外貨はこれだけで、それ以外は重油については外貨を配当しないということにいたしたのであります。それ以上にひどいことをしようということを言つておるのではないのでありまして、昨日も申しましたが、四月に入りましてから、いわゆる俗な言葉で言つて、どれだけ食われたか、あるいは三月までの消費量がどれだけ持ち越されて来ておるのかという点を十分つつ込んでみまして、そうして適当な調整措置を講じたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  49. 中崎敏

    ○中崎委員 ごく簡単にもう一点だけお伺いいたしますが、国際的供給不足物資等の需給調整に関する臨時措置に関する法律におきまして、あの規定によります品目が国際的供給不足物資として掲げてありますが、あれは大臣の方では列挙主義と考えておられますか、あるいは例示主義と考えておられますか、その点を伺いたいのであります。
  50. 愛知揆一

    愛知国務大臣 ただいまここにその条文を持つておりませんが、私の記憶ではあれには三つの号がございまして、それぞれに表現が違つた書き方をしていたのではなかつたかと思いますが、ただいまそういう御質問があるとは思いませんで、たいへん失礼でございますが、ちよつと持つてつておりませんから……。
  51. 大西禎夫

    大西委員長 中崎さんに申し上げますが、この問題はまだあとに論議を残しておりますのであとでやつていただけませんか。
  52. 中崎敏

    ○中崎委員 それではこの次の機会に譲ることにいたします。
  53. 大西禎夫

    大西委員長 それでは本案に対する質疑は終了いたしました。  引続いて本案を討論に付します。討論は通告順に従つてこれを許します。山手滿男君。
  54. 山手滿男

    山手委員 私どもはこの法案に賛成でございます。航空機製造を私どもは単に兵器の製造というふうに考えたくないのであつて、今日科学の進歩とともに、航空機の、交通そのほかいろいろな面に寄与しております役割というものは、何人も無視することはできない。従つて日本が新しい建国をやりまして、新しい国家として伸びて参りまする上から、健全な航空機工業さえも持つておらぬというふうなことでは、新しい健全な国家と私は言うことさえできないのじやないか、こういうふうに考えるわけでございまして、今日のようにいたずらに濫立をし、何を健全に育てたらいいのかわからないような状態に放置をしておくということは、私は非常な国家的な損失であろうと思うわけでありまして、これを優秀な数社にわけて、許可制によつて許可をし育てて行くという方向については、いささかも異論をはさむものではございません。むしろ今日のわが国産業経済の実態は、その多くが二重投資に悩まされておる実情でございます。私がむしろこの際希望いたしますことは、政府が、企業意欲を十分に持ち、信用も技術も十二分に持つておりまする優秀な企業を選んで、積極的に日本航空機産業を育成するという見地に立つてこの法律を運用していただきたい、こう考える次第でございまして、私は改進党を代表いたしましてこの法案に賛意を表する次第であります。
  55. 大西禎夫

  56. 永井勝次郎

    永井委員 私は日本社会党を代表しまして本案に反対をいたしたいと存じます。  反対の第一は、本法案軍需産業振興させる意図に基くものである。これは軍需産業でないといいましても、わが国の現在とつておる政策、国際的な地位及び産業のいろいろの環境、こういう面から見まして、この法案軍需産業であることは明らかであります。従つて軍備増強と並行して武器等製造法が生れて来、それに並行して航空機製造法が生れて来たものであります。ポツダム宣言その他日本の現在の憲法の上においては、このような産業は許されないわけであります。これは自主的にこういう産業振興させるというものではなくて、日本の再軍備増強一環として、アメリカの旗振りで立つたりすわつたりしておるだけのものである。このさしずに基いてこの法案が生れて来たものである。これは軍需産業であり、自主的な一つの国民的な要請に基いた法案ではない。アメリカのさしずによつて生れて来たのである。こういう立場において反対をいたします。  第二は、航空機産業は、このようなやり方では、日本産業振興にはならないということであります。先ほど質問の間にも申し述べました通りに、ほんとう日本産業を国際的な水準まで引上げようといたしますならば、工作機械なりあるいは技術の面なりあるいは系列関係におきましても、もつと基礎的に総合的にこれらの問題を取扱わなければならない。そういう基盤となる日本産業の総合的な施策というものは何ら示されないで、ただぽつんと航空機産業だけを持つて来て、そうしてこれを統制する、あるいは振興するというような偏向したやり方では、日本産業全体の振興には百害あつても一利はない。しかもこういう統制の仕方というものは、航空機生産独占資本の擁護以外の何ものでもない、かように考えるのでありまして、この立場においてわれわれは反対をいたします。航空機産業関連産業が三百種からあるのでありますから、これらについては科学的な技術的なものを基礎的に築き上げて行かなければならないと考えるのでありますが、そういうことをやらないで、たとえば原子力の問題についても、そういう基礎をつちかわないで、ぽつんと原子炉をつくる予算を出す。こういうような関係は、すべて現内閣の性格として飛躍した形で出て来るものであります。  第三は、平和産業から軍需産業産業構造を変質させるものである。国際的にはどうかといえば、各国とも軍需産業平和産業に切りかえて、いかにして国際市場を獲得するかということに努力をしているときに、日本のみはこれに逆行いたしまして再軍備増強する、平和産業軍需産業転換させるというような仕方では、世界の国際市場を日本輸出振興によつて獲得するという方向とは逆行するものでありまして、われわれはそういうような点から反対をせざるを得ない。しかも本法案目的にあります国民経済の健全なる運行ということとはおよそ逆行するものでありまして、この法案の実施によりまして国民生活は圧迫され、日本平和産業は圧縮され、貿易は萎縮し、やがては日本の経済の自立性を喪失するものである、こういうような見地に立つて本案に反対をいたします。
  57. 大西禎夫

    大西委員長 次に中崎敏君。
  58. 中崎敏

    ○中崎委員 私は日本社会党を代表いたしまして本案に賛成するのでありますが。若干の希望意見を申し述べておきたいと思います。  まずわが党は、戦争反対ということをもつてその主張として参つておるのであります。無防備の平和憲法が知らず知らずのうちに自衛権の発動としての再軍備を準備し、さらにこの勢いが余つて積極的な戦争介入のおそれがないでもないということは、何人も否定できない状態になつておるのであります。ことに現在の憲法をこのままにしてのこのこうした行き過ぎ並びに将来の不安については、国民とともども非常に遺憾に考えておるのであります。従いまして武器製造とかいうふうなこうした軍需目的オンリーのものについては賛成をしないのでありますが、この航空機の場合においては、元来戦争目的のためと、同時に平和目的のためとの二つの道が開かれておるのであります。民間航空あるいはまた平和産業としての外国への輸出など、こうした平和産業助長の意味においては、われわれは積極的熱意を持つてこれらの問題に対処せんとするものであります。一つ飛行機産業が、一面においては戦争目的飛行機になるかもしれぬけれども、一面においては平和目的飛行機にもなるのでありまして、これを戦争回避のために、片方の平和目的に使われようとする産業までとめるということは、あたかも角をためんとして牛を殺すような類だと考えられます。ただこの運用について、戦争目的のために使われるような面においては極力政府の側において自制を加えつつ、平和産業助長のために、海外輸出等のために一層力を注がれまして、そうしてこの航空機事業の健全な発展のために努力されることを希望しておるのであります。いずれにいたしましてもそうした平和目的のために積極的な協力を私らは希望するのであります。  さらにもう一つの希望といたしましては、あまりに工業状態が米国依存に偏するのではないかというふうな憂いがあるのでありまして、今後の許可等の運用の場合においては、こうした一方的なある国の力にのみ押されて日本のすべての政治、経済が動くのだというような印象並びに実績を極力払拭するような方向に努力されることを要望しておくものであります。もう一つ、こうした工業はごく高度の、国の一切の産業を代表するような重要な産業でもありますので、むしろこうした重要産業については、行く行くは将来国営の目標のもとにこれが運営されるべきものだと思うのであります。これはわが党の主張として特につけ加えておきたいのであります。  以上三点を希望条件といたしまして賛成するものであります。
  59. 大西禎夫

    大西委員長 以上で討論は終局いたしました。  引続いて本案を採決いたします。本案に賛成の諸君は御起立を願います。     〔賛成者起立〕
  60. 大西禎夫

    大西委員長 起立多数。よつて本案は原案の通り可決することに決しました。  この際お諮りいたします。本案に対する委員会報告書作成の件につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  61. 大西禎夫

    大西委員長 それではさよう決定いたしました。  午後は二時より農林委員会との連合審査会を開会いたします。委員会はこの際、暫時休憩いたします。     午後零時四十六分休憩      ————◇—————     〔休憩後は開会に至らなかつた