運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1954-05-24 第19回国会 衆議院 通商産業委員会 第54号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年五月二十四日(月曜日)     午前十時四十八分開議  出席委員    委員長 大西 禎夫君    理事 小平 久雄君 理事 福田  一君    理事 中村 幸八君 理事 山手 滿男君    理事 永井勝次郎君 理事 加藤 鐐造君       小川 平二君    小金 義照君       始関 伊平君    笹本 一雄君       長谷川四郎君    柳原 三郎君       加藤 清二君    齋木 重一君       中崎  敏君    帆足  計君       川上 貫一君  出席国務大臣         通商産業大臣  愛知 揆一君  出席政府委員         保安庁局長         (保安庁装備局         長)      久保 亀夫君         通商産業事務官         (大臣官房長) 岩武 照彦君         通商産業事務官         (重工業局長) 徳永 久次君         通商産業事務官         (鉱山局長)  川上 為治君  委員外出席者         参  考  人         (新三菱重工業         株式会社社長) 藤井 深造君         参  考  人         (富士精密工業         株式会社専務) 新山 春雄君         参  考  人         (東京計器製造         所社長)    橋井  真君         参  考  人         (昭和飛行機工         業株式会社社         長)      石塚 粂蔵君         参  考  人         (国際航空整備         株式会社社長) 中本  守君         参  考  人         (経団連航空委         員会委員長)  岡野保次郎君         専  門  員 谷崎  明君         専  門  員 越田 清七君     ————————————— 本日の会議に付した事件  航空機製造法の一部を改正する法律案内閣提  出第一三八号)     —————————————
  2. 大西禎夫

    大西委員長 これより会議を開きます。  本日は、航空機製造法の一部を改正する法律案について、関係各界方々参考人として御意見を承ることになつております。  この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。本日は御多忙中のところ特に本委員会に御出席くだされ、まことにありがとう存じました。何とぞ十分に隔意ない御意見を御開陳くださるようお願い申し上げます。  なお御一人の御発言の時間は、時間の都合上約十分内外とし、御発言の順序はお手元に配布いたしてあります名簿順にお願いいたしたいと思いますので、あらかじめ御了承願つておきます。  それでは藤井深造君よりお願いいたします。
  3. 藤井深造

    藤井参考人 私藤井でございます。今回の改正法律案は、従来の届出主義許可主義にするということにあるようでございますが、航空機事業は御承知通り最も進歩した各種工業を総合したものでございます。日本空白の数年を送つております間に非常に外国は進歩して参りました。御承知通り日本経済情勢でございますので、業者、特に機械工業者におきましては、こういう新規の進歩した技術を迎えまして自分の技術の進歩をはかりたいというのは、工業家としましては当然の希望なのでございますが、しかしこの進歩した技術の実施にあたりまして、相当設備従つて相当資金を要します。またかくいたしませんと、性能のよいものはとうていできないと存じます。日本工業の過去を考えてみましても、たとえば製鉄あるいは製艦のような事業は、国家みずから経営していたように思います。その後需要がふえて、順次民間が同時に経営するようになつたと私ども解釈しているのであります。この航空機事業におきましても、さしあたり需要は多くない。しかし非常に高度の技術設備を要し、人を要するようなものにおきましては、むしろ経済の貧弱なわが国におきまして、国家の手厚い保護が必要であると思います。  それはともかくといたしまして、もし自由な事業といたします場合には、自然濫立が免れないと思います。これは個々の企業が経営できないという結果になりまして、従つて設備過剰投資は免れないと思います。航空機事業におきましては、ぜひとも現在の届出という制度許可制度に改正する必要があると私ども深く希望している次第でございます。
  4. 大西禎夫

    大西委員長 次に新山春雄君。
  5. 新山春雄

    新山参考人 新山春雄でございます。ただいま藤井さんのおつしやつたことと重複するかもしれませんが、簡単に私の考えを申し上げます。  日本航空機事業は、御承知通り戦争で非常に大きなギヤツプを受けまして、この状態から立ち上らなければならぬという事態に追い込まれております。昨年私はヨーロツパとアメリカ航空機事業を見て参りました上に、なおいろいろ考えてみたのでありますが、この状態にあつて、どういうふうにして航空機日本修理生産して行くかということは、非常な問題でありまして、一歩誤りますと、取返しのつかないことになるというふうに強く考えます。たとえて申ますと、フランスのように完全に政府投資でやつて行くか、あるいはイギリスのように重点的に政府の支持を受けてやつて行くか、あるいはアメリカのようにかつて自由競争で行くかということは、いろいろな見方があると思いますが、私としては、貧乏国である日本は、自由競争ということには実際に弊害があるのではないかということを強く感じます。そういうことを申しますと、この法律によつて、たとえば私どもの工場が選に漏れることは当然あり得るのでありますが、そういうことは別にいたしまして、広く考えると、どうしてもある程度政府のコントロールを受けて、各社が適切な仕事を安心して進めて行くという態勢をとらなければ、悔いを永久に残すのではないかと思います。と申しますのは、たとえばある会社飛行機をやりたいと考え、金をくめんして外国からパテントを買つて来る。そしてパテントを押えまして、日本政府でやりたいという機種を押えてしまう。これによつて能力がないにかかわらず、権利を保有して、苦しい中から何とか無理してやろうといたし出しますと、苦労するばかりで実績がちつとも上らない。やはり実力のあるところに集中して、それを政府であくまで援助し、航空機事業の発展をして行くということは、あらゆる意味で非常に大事じやないかと思います。現在政府のやつていらつしやることを批評する気はないのでありますが、もつとてきぱきと指導といいますか、旗を振つていただいて進めていただかないと、日本航空機工業はまごまごしているばかりでさつぱり進まぬということがあるんじやないかと思います。今度の法律にしましても、こういう法律を早くつくつていただいて、てきぱき方針を示してくださるためには、こういう法律がないといけないじやないかということを私は非常に強く考える一人なんです。その程度でございます。
  6. 大西禎夫

    大西委員長 次に橋井真君。
  7. 橋井真

    ○橋井参考人 すでに私の申し上げたいと思うことは、大部分について同じ御意見が述べられております。過剰の投資を避けて現在の不足な日本経済力を集中することが、航空機工業全体の急速な発達のためには、ぜひとも必要であると思うのであります。そういう意味からいたしますと、こういう統制法規はやむを得ざるものであり、しかも非常に必要なものであると信ずるのであります。  なお多少つけ加えて私の卑見を申し上げまして、何らかの御考慮を煩わしたい点があるのでありますが、それは従来の事業法でありますと、しばしば戦前においては助成的な規定がありました。たとえてみますと、必要な材料とか部品とか設備等を輸入いたします場合に、その輸入税を免除するというような規定であります。その他これに類する助成的な規定がありましたが、今度の法律には載つておりません。これは政府としてはすでに同時に並行的に種々財政的な措置をお考えになつていると考えますので、この法律に関する欠陥とは私は思わないのでありますけれども、そういう御考慮も何らかの形で煩わしたい、こういうことが絶対に必要だと思うのであります。強い統制をてきぱきとお行いになりまして、不必要な競争が起り、過剰な投資が起ることのないようになさいますこと等に、強い指導的な立場に立つていただくことが、今後われわれが安心して勇敢にこの仕事を進めて行くために必要だと考えるのであります。そういう意味合いからいたしまして、この法律が早く実現いたしますこと、これと並んで各種助成指導措置政府において行われますことを希望にたえないのであります。
  8. 大西禎夫

  9. 石塚粂蔵

    石塚参考人 今回の航空機事業法が、在来の検査を中心とする技術立法からやや統制に向います経済立法に移りましたことにつきまして、私はこの法案に対して全幅の賛成を表するものでございます。その理由といたしましては、前に藤井さん、新山さん、橋井さんの述べられましたことで十分尽されていると思いますけれども、なおこれに加えまして、こういうあぶなげのない企業を助成することについては、航空機注文なさる方の方において非常に御安心なさることと私は考えるのであります。技術もしつかりしており、設備もよろしい、経験もある。ただ若干今日まで空白のあつたところを補い得る力を持つているところを選択いたしまして、この事業を育成して行く、こういう法律に対しましては、非常に危険な、いつ落ちるかもしれない航空機を御注文なさる方々に非常な御安心を与えることだと思います。この意味におきまして、私はこの法案が一刻も早く成立されんことを望むものでございます。以上でございます。
  10. 大西禎夫

    大西委員長 次に中本守君。
  11. 中本守

    中本参考人 中本であります。この法案航空機製造業界から望まれておりますことはすでに皆さんがお述べになつたところでありますので、つけ加えて申し上げることはございませんが、先ほどもお話が出たかと思いますが、航空機製造というものは、日本工業各種類の総合であります。そういう点からいたしまして、この法案内容にございますが、少し詳細になりますが、特定設備生産技術上の基準に適合することという項目がございますが、これらは各製造する者及び関係する事業においてひとつ内容の研究をお願いしたい。しかもこの基準は時とともに変更するわけでありますから、絶えずこれらの項目については御検討を続けられまして、その時期に適合するようにしていただけばたいへんけつこうだと考えております。以上であります。
  12. 大西禎夫

  13. 岡野保次郎

    岡野参考人 岡野保次郎でございます。私は、そこにも書いてありますように、経済団体連盟航空機委員会委員長としてお呼び出しにあずかつたことと存じます。もともと私は中正のものでありますので、そういう立場から今度の航空機製造事業法について意見を述べたいと存じます。  結論から申し上げますと、日本の戦後小さくなつた経済現状から申しますと、今度の許可制ということは、これはどうしてもやむを得ない、しかもやむを得ないというばかりでなしに、現在においては、ぜひこういうことにすることが必要であるというようなふうに考えるのであります。その理由は、前の参考人の方からいろいろ述べられたようでありますが、戦後貧乏になつ日本、これが製造業者濫立、そういうようなことになれば、自然国家の大事な資金方々に使う、それで不必要なる競争というようなことが自然出て来る、これはもつたいないことである。私はただ日本現状を申し上げましたわけですが、ここで議論をしますと、統制がよろしいか、あるいは許可制がよろしいか、これはずいぶんあると思いますが、この法律は私の考えでは、おそらくアメリカの法にならつたのじやないかというふうにも考えるのでありますが、かつて経団連航空委員会として、早い時期に濫立を避けるような許可制にすべきである、なぜかというと、イギリスが現に重点主義でありまして、御承知通りアメリカより資本は貧しいのであります。日本よりはゆたかだとは思いますが、その英国すら重点主義をとつて、ある適正の技術設備を持つておるところに許可を与えて、これに非常に強力な援助を与える、たとえばせんだつてロールスロイスのミスター・バーチが参りまして、去年ですか一千万ポンドの補助金があるということで、コメツトをつくつたロールスロイス会社ですが、その八割はロールスロイス会社でつくつたのであります。補助金も莫大でありますが、その中の八割を政府が思い切つて補助金をその会社一社に与えて、世間がこれを何とも言わないということは、これはやはりこの国の良識の問題にも関連すると思いますが、あのコメツトは去年だけの話ですが、ずつと長い間これをやつておるのであります。これが成功のもとであつてアメリカに対抗してそれ以上の飛行機イギリスで完成した、こういうような理由重点主義のためであります。先ほど新川さんからフランスは主として政府がやつておるというお話がありましたが、私は政府事業をやるということについては、長い間反対しておる者の一人であります。それにもし欠陥が出そうだというならば、それは私は適宜ほかの方法でこれを是正して行く、それでもしこのまま日本航空機、しかも七年の空白の立ち遅れの日本航空機というものをこのままに放任しておいて、しかも濫立の弊がもし出て来たとすると、これは既成事実となりまして、非常にやりずらくなりはしないか、これを私は航空委員長として非常におそれるものであります。しかし日本でも業者の自力でもつてそういうふうなことはお互いにできるじやないかと思うけれども、今の日本状態にこれを適用しようとしても、お前はやるな、この会社はやれというような、あるいはいろいろの事業者団体連盟がございますが、それがお前はやめておけ、この会社がやるんだということは日本の従来の例から申しますと、これは非常にむずかしいことであり、場合によると、これは年がいもなく形容的になるかと思いますが、不可能というくらいに近くはないかと思います。たとえば造船工業会船主協会あるいは鉄鋼連盟、これがお前の会社はやめろ、お前の会社はやれ、こういうことはなかなか日本の場合には不可能に近いことではないか。この際やはり政府は何といつてもニユートラリテイに考えますので、今の既成事実のできない前に、できるだけ早く国家に属する金を二重投資とかむだにならないように、そういう意味においてこの法律は一応できるだけ早い時期に通して、それに関連するいろいろの危険が出るとすれば、これはやり方において是正する、こういうようなことにすることが今の日本経済に対してはぜひ必要である、かつてにやつたというような既成事実ができない前にできるだけやる、こういうぐあいに私は考えるものであります。その他の理由につきましては、前の参考人が申し上げましたので、時間の関係でここに繰返して申し上げません。  これで終ります。
  14. 大西禎夫

    大西委員長 以上で参考人よりの御発言は終りました。引続いて質疑に入りますが、この際参考人各位に念のために一言申し上げておきます。御答弁の際はその都度委員長許可を得られることになつておりますので、御了承を願つておきます。  質疑の通告がありますのでこれを許します。山手滿男君。
  15. 山手滿男

    山手委員 業界皆さん方に多数おいでをいただいて、貴重な御意見を承つたこの際に、二、三お伺いしてみたいと思います。  まず私は藤井さんにお伺いをしたいのでありますが、ただいま御公述がございました、非常に濫立が起きる可能性がある、従つてここらあたり許可制にして参つた方がよかろう、こういうお話でございましたが、今日では機体だけにつきましても十数社が届出をしていろいろ準備をいたしているということでありますが、現在の日本経済事情等、いろいろな関係を勘案をいたしてみまして、大体何社くらいが適当な数であろうか、そういうことについて御意向があれば承りたい。  もう一つ承りたいことは、航空機工業というようなものはある程度量産をしなければうまく成り立つて行かないと思うのでありますが、お宅あたりでこの生産目標をどの程度に置き、どの程度の規模でやりたいという御意向であるのか、その点もあわせてお伺いをいたしておきます。
  16. 藤井深造

    藤井参考人 日本においては業者は幾つあれば適当であるかという問題につきましては、需要が幾らあるかということがまことにはつきりいたしません。しかし少くとも多くないということは、とりあえずの状況として事実である、かような場合には少ければ少いだけがよい、しかしこれは一社というようなことはやはりいけないのでありまして、競争業者の存在は必要であると思います。そういう見地から少くとも二社、三社というふうなところが適当な数字ではないかと存じます。  私のところで何機製造すれば一番よいかというお話ですが、これはやはり需要と関連する問題でありまして、現状におきましての数量は、機種がどういうものであるかということと非常に関係が深いのでございますが、一機種でたくさん需要があるという状況も、今すぐは想像できませんので、ある一つ機種を選ぶといたしますと、資金その他のことから考えまして、まず創業早々は、たとえば戦闘機のようなものであれば十数機、もう少し大きな飛行機であれば十機内外というふうなところが適当な量ではないかと考えております。これは創業早々におきましては、工場設備、人的の要素、こういう問題もございますので、まずその辺が適当な量ではないかと考えております。
  17. 山手滿男

    山手委員 ただいまのような御公述がありましたが、石塚さんのところもいろいろおやりになつておられるように聞いておりますけれども、今の点についてどういうようなお考えがございますか、この際お伺いしたいと思います。
  18. 石塚粂蔵

    石塚参考人 ただいま昭和飛行機におきましては、修理を主体としてやつております。しかしこの修理米軍指導のもとにやつておりまして、あまり自主性を持たぬのであります。修理にいたしましても、自主的にやることが工業をやつて行く上において必要であると考えております。ことに米軍注文永続性を期することができないものであります。従つてある機会におきましては新製の方にも進出したいと考えておるのでございます。それだけの知識をもちまして、ただいまの御質問に答えますことはちよつとできかねるかと存じますが、大体航空機に関しまして、軍用あるいは輸送機、軽飛行機、ヘリコプター、こういうものを考えますときには、この表に出ておりますような会社は今日大体資格があるのじやないかと私は考えております。ただこれが経済的に成り立つか成り立たないかにつきましては、その会社当局者がよく考え仕事をやつて行く上に決定されるものじやないかと存じております。機数といたしましては、ただいまお話のございました通り、大体月産十機あるいは十五機ぐらいが一番適当ではないかと存じておる次第でございます。十五機と申しますと少し小さくなります。
  19. 山手滿男

    山手委員 航空機も一種の兵器産業のわくの中に入るわけでありますが、一般の兵器産業あるいは航空機製造業というふうなものは、今お話がありましたように、現在の日本では注文量も非常に少いという見通しがあるわけでありますが、こういうものを現在のような非常に弱い経済情勢下日本において専業でやつてもらうということは、危険が伴つてなかなかむずかしいことではあるまいか、やはり副業的に大きな部分一つ——副業といつたらちよつと語弊がありますが、兼業でおやり願つた方が、比較的経済界の、あるいは注文の多い少いによる波のあおりを受けることが少くてうまくやつて行けるような気がいたします。そうすると昭和飛行機さんのようなところは、いろいろおやりになつておられると思うのでありますが、今お話のありましたような米軍修理を主としておやりになつておられるので、比較的自主性がないというふうなお話でございましたが、今後この法律の適用を受けたり、あるいは修理そのものについて、事変の終結その他によつて今後どういうふうになつて行くものか、いわば専業的におやりになつておられる会社の進路はどういうふうになつて行くものか、この際承つておきたいと思います。
  20. 石塚粂蔵

    石塚参考人 ただいま自主性のないと申しましたのは、いろいろの便宜を払つてもらつておるという点にあるのでありまして、それによつて何も技術を修得してないわけではない。たとえば会社の経営といたしますと、材料心配とか、あるいは器具の心配とかいうことは、向うの方でよくやつてくれております。そのために、場合によると、こういうものを使いたいなというときに、使えないものがある、そういうことだとお考えを願いたいと思います。それから、注文の少いということに関してでありますが、日本の軍備あるいは日本民間需要というものは非常に少いと考えておりますが、承るところによりますと、海外、主として東南アジアの方面に対しまする需要は、これからだんだんとふえるかと考えておる次第でございます。それから航空機のみを専業でやつてつてはいかぬというお話でございます。ごもつともと思います。われわれのところでは自動車修理もやつております。それから新しく、米軍が占拠いたしております外側に向いまして、若干の土地も持つておりますし、建物も持つておりますので、航空機並びに自動車部品ということについても考えておりまして、単にこれのみを専門にやることは考えておりません。了承を願います。
  21. 山手滿男

    山手委員 新山さんにお伺いをいたしたいと思いますが、さつきお話のありました外国のメーカーと話し合つてパテントを買つたり何かして、それを押えられたり何かをすると困る。こういう事態が起きる可能性がある、こういうお話でありましたが、実際に届けられている各社のうちで、いろいろパテントや何かを買つた方、あるいは買うような手配がされておつてお話のような憂うべき事態が起きる可能性があるものかどうか。言いかえますと、今この法律通つて、二社、三社程度許可をされる。そうすると外国の商社と非常に重要な契約をしている会社があつて、その契約をキヤンセルするとか何とかいうふうなことで、いろいろ混乱する事態があるのかどうか。さつきお話にからんでもう少し伺いたい。
  22. 新山春雄

    新山参考人 お答えいたします。今の御質問に対しましては、現状はそういう空気が非常にある。空気といいましても程度問題でありますが、相当進んでいるところはたくさんあると思います。しかし実際はとことんまで行つてのつぴきならないというところまでは行つていないのが大部分であると思います。非常に混乱している、あるいはしようとしている状態にあるのではないかと思います。この辺ではつきりしませんと、これがだんだんどうにものつぴきならないところに来るおそれがあるというのが現実の状況ではないかと考えております。それでよろしゆうございますか。
  23. 大西禎夫

  24. 永井勝次郎

    永井委員 第一に岡野さんにお伺いいたします。こういう産業は、日本経済の実情に照して自由放任経済の地盤では無理である。どうしても計画的な一つの効果的なやり方をしなければならないという事柄はごもつともだと思いますが、これはひとり航空機の面ばかりでなくて、日本のように破壊された経済の中から、しかも長い戦争期間のブランクを超克して国際経済界に立ち向つて行くというためには急テンポで回復をしなければいけない。そういう意味から申しますと、これは非常に緻密な計画の上に立つた計画的な、そうして少しのむだもないというような考え方の上に立つた計画的な経済施策が必要ではないか、こう思うのでありますが、航空機生産について現在計画的にやらなければならないというふうな必要性が非常に備わつておる。その航空機関係からこれに関連する諸産業において——やはり航空機はほんとうにこれを効率的に運用して行くためにはこれに関連する他産業の合理化あるいは計画化、こういうことも引続いてその必要性が強く考えられるのではないかと考えるのでありますが、この点はいかがでございましようか。航空機生産というものを中心にいたしまして、日本経済界産業界の現在の欠陥、これに対する是正というような考えをお持ちでありましたら、率直にごひろうを願いたいと存じます。
  25. 岡野保次郎

    岡野参考人 今の御質問に対してお答えいたします。私は日本経済力産業状態現状においてはということを特に力強く繰返して申し上げたつもりであります。日本産業が永久にフリー・コンペツシヨンはいけなくて、やはり許可制が不可ということは、私は毛頭考えておりません。ただ現状において必要である。特に私は航空機の再出発に際してこの許可性は必要であると信ずるものであります。ほかにも非常に重要産業があつて、ほぼ同様なことが言えるのじやないかというお話ですけれども、航空機は御承知通り、戦争終了と同時に全部放棄を余儀なくされた。しかもその航空機は例の大東亜戦争の初期においてはむしろアメリカよりも進んでおつた飛行機があつた。これは日本人の技術あるいはこういう産業に対する適性を証明しておるものだと思うのであります。それが十年間ですでに遅れております。ほかの関連産業の話が出ましたが、造船工業は総合工業だと言われます。これは精密工業でない面の総合工業であります。非常に多くの製品の種類からいつて、すなわちメーカーの数からでなしに申しましても三百近く造船ではありますが、航空機の方は戦前で二百五十六かと思いましたが、戦後はいわゆるエレクトロニツクスとか、計器その他、いろいろ利用される面が非常に範囲が多くなりました。それでこれはおそらくやはり三百前後にふえておるのじやないかと思われます。しかもこれは精密総合工業であります。これを盛んにすることはこの何百かの関連産業技術、しかも精密工業を盛んにするというようなことが言えるだろうと思うのであります。その意味から申しまして——と申しますのは十年間の空白を取返さなければならない。しかも取返すアビリテイは十分前に証明されておる。方法よろしきを得れば、その方法のうちの一つがとりあえずは若干保護的というか、中正的の政府——先ほど申し上げましたように民間だけでは非常にむずかしいことでありますので、日本の現在では一番えこひいきなしにやり得るのは政府ではないか。それから場合によると、どなたからか意見がございましたが、しばらくの間は——永久じやございません、航空機産業が一人立ちができるまで、あるいは南の方に輸出ができるまでは、ある程度の育成保護も必要であると思います。それらを実行する一つの手段として、既成事実ができない前にこの許可制を一日も早く実行して、政府は強力にその方針を示して行つて行く、こういうようなことが国家のために必要でないかというふうに私は考えるのであります。
  26. 永井勝次郎

    永井委員 こうした航空機生産というような産業は、民間の発注を期待しておる、あるいは防衛産業として企業の主目的としておる。こういうことは、発注が不確定であり不安定であるものを対象にしてはならない。やはりこれは国防計画と申しますか、防衛産業と申しますか、そういうものの一環として国の発注が安定したものがあつて初めて企業計画が成り立つのである、かように考えるのであります。従つて民間の発注あるいは東南アジア方面への輸出というようなものは二次的、三次的なもので、現在日本で問題になつております主たるものは、やはり防衛産業としての航空機である。こういうことが主流として考えられて問題になつておるのではないかと思いますが、この点に対する御見解と、それからこの法案の中に、これらの許可については防衛庁の長官の承認を得なければいけない、協議しなければいけないというようなことがあります。こういうような点から見ても、今日問題になつておる航空機産業というものは、防衛産業としての航空機生産というふうに理解すべきであろうと考えるのでありますが、この点についてはいかがでありますか。  また今各種産業が、航空機産業希望者として濫立しておる。その中から許可制によつて二つ、三つを抜き出して、あとは許可しないで押えて行く。許可したものに対しては国がどんどん助成して、ほかの競争者は全部整理してしまう。選だんものに対しては国がどんどん金をつぎ込んで、一人歩きができるようにしてやる。そうして一人歩きができるようになつたとき、おれはもう一人歩きができるから国の干渉はいらぬ、これから自由にやらせろ、こういうような御意見と思つたのでありますが、そうなればあまりに虫のよい話であります。こういうことは少し無理ではないか。国家産業として重要であるならば、一貫した国家の重要産業として、そういう公共性なり何なりを貫いたものでなければなりません。一定の段階に来て私企業として開放しろというようなお考えは、少し虫がよ過ぎるのではないかと思いますが、この点についてはどうですか。
  27. 岡野保次郎

    岡野参考人 今これは防衛産業としてというように申されたのでありますが、私は日本の航空産業は防衛産業のみであつてはならないと思います。むしろそれに対しては反対の意見を持つておるものであります。もちろんこの防衛産業というようなことは、この産業をつちかうための一つの基盤となり得るし、またそれがなる方が都合がよろしいと思います。しかし御承知通り国際航空もすでに始めたのであります。少し余談になりますが、小型飛行機の研究を航空委員会でやつたこともありますが、大体日本でスピードのおそい、主として民間あるいは雑用軍用機を月に十五機ないし二十機やりますと——承知通りアメリカでは莫大なる量産であります。従いまして相当の資本を入れましてもペイするのであります。アメリカでも困つておりますが、飛行機のような非常に最先端を行く産業は、非常にかわり過ぎて困るのであります。ですからアメリカでも投資をうんとして取返しできない会社相当ございます。それらの点に対しては、日本人というものは非常に器用であります。戦前あれだけの水準に達したし、また達し得るアビリテイを持つておる。非常に器用な人間が多いのであります。ですから万能機械でいずれの目的でも使えるというのは非常にむずかしいが、それを人間の器用さでもつてかわらせる。アダプタビリテイが非常にありますから、アメリカに比較したら比較的小さい規模で継続して行ける。しかもかわることに対しては、機械よりは人間の方が適応性が大きい。かるがゆえに、日本という国に対しては非常に適した工業と私は考えます。  それから許可制の問題を永久でないと申しましたことに対して、何らか少し取違えたように思いますが、許可制は、現在でも挙国一致の考えから国の目的に合うために育成しなければならぬという意味で申したのであります。私は今は隠退しておりますが、航空産業には元携わつておつた関係上、これに興味を失うほど隠退したくないのであります。但し考え方は日本航空機産業を将来日本の国のために興す、そういうような意味合いから航空機が防空の目的だけに使われることを今重点として考えておりません。日本産業、貿易を盛んにさせるためにこれはぜひ必要である。あたかも百五十年前微々たる家庭工業から、非常に能力のあるスイツツル人が、時計工業を興した。これは国家の育成が非常にありました。だんだんこれが発達しましてあれが世界的の工業になりました。微細な精密の工業に適しておる国民の性質と、それからだんだんほしくなるに従つて今世界的の機械工業——もう二つ、三つあげても、実に世界的の工業に発達しております。今あそこは保護をほとんど受けておらないといつていいくらいであります。そういう時期になるために、今ある保護あるいは許可制、こういうようなことをやむを得ざるアクト——理論的に言うとあるいはアクトともいえるでしよう。しかしそれをやつて日本のこの産業が盛んになり、貿易が盛んになり、先ほどの小型の六百機の調べても、大した、アメリカほどの資本を入れなくても、六百機を持てば、ある機種に二割ないし三割安くなる。これは非常に小型のものでありますが、あまり機械力をやらなくてもできる。いわんやこれが十機——先ほど十五機と申しましたけれども、それくらいでもペイし得る、やり方次第で行き得ると思うのであります。そういうふうにだんだんやつて行きまして、国家の保護を受けずに行けるようになつたならば、私はその会社のために万々歳とかなんとかいうことを考えずに、国のために万々歳だと思うのであります。個々の会社のことは私考えておりません。ほんとうに考えておらないといつてもいい、また考えてはならないと私は信じておるのであります。
  28. 永井勝次郎

    永井委員 次にお尋ねいたしたいと思いますが、私はまつたくのしろうとで、門外漢的な質問かと思いますが、これから日本航空機生産に再出発する。現在のところ、アメリカ飛行機修理がおもでありますが、生産する場合、いろいろアメリカの様式をとつてやるということになれば、パテントのことが問題になつて来ると思いますが、日本のこれから出発する航空機生産と、そういう外国パテント関係はどうなのか、一々パテントをとつてやらなくちやならないのか。それから武器生産について東南アジアから発注がある。その発注についてはアメリカの規格による、こういう注文がある。その場合アメリカ材料、規格は日本には使わせない、こういうことがあつて実際引合いはあるが、輸出のとりきめは困難であるというようなことを聞いておるのでありますが、航空機の輸出の場合も向うから、これこれの材料、規格でこうだというふうに、アメリカ規格で発注があつた場合、日本独自の生産態勢の中で引受けられないという事態が起るのではないかと思うのでありますが、そういう関係はどうであるか。それから工賃が日本は割に安い。それから航空機産業のように、機械化するといつてもどうしても人手による組立てという作業過程が非常に大きな部分を占めておる、そういう関係で、東南アジアヘの輸出はアメリカから部分品を持つて来て日本で組立てをする、こういう一つの過程がとられるのではないか、そういう一つの見通しが強いようにしろうとには考えられるのでありますが、そういう関係はどうでありますか。  それからお話のありましたように、非常に飛行機は日進月歩でいろいろ進んで行く、そういうようなことでアメリカなどでもそのたびに生産態勢を切りかえて行かなければならないということで、追いついて行けない。そこでそういう部分に対しては、国が補償する制度を設けて、一般の民間産業と国の防衛生産というものを切り離して、武器の生産を非常に要求するときはどんどんそれをふやして行く。それが平時の態勢になつて防衛生産が縮減したときには、一般の平常な生産には影響を与えないようにこの施設を遊休にして、武器増産の後に来る経済界の恐慌というものを取除くためにそういう態勢にして行く、こういうことを聞いておるのでありますが、そういう関係と、今日本民間需要とか貿易というものはそう多くは期待できない。希望的な観測はいろいろあるでありましようが、実際の企業計画の面においては、何としても防衛生産が主体であつて民間貿易というものはそう期待できない。そういう企業態勢のもとで今日何か御考慮されておることはないかどうか。  それから橋井さんにお尋ねしたいのでありますが、あなたの会社アメリカのスペリー会社の資本が約半分近く入つておると考えるのでありますが、今後この航空機生産の中には外国資本が相当つて来る、また資本と技術を入れなければ実際動けない態勢にあるのではないか。また動けるとしても、そういう要請が相当アメリカから強いのではないか、こういうふうに考えられるのでありますが、そういう関係はどうであるか。  それから昭和飛行機工業はほとんどこれは資本系統が証券関係の資本だと思いますが、こういう証券関係の資本と航空機生産という技術関係はどういうふうになるのか。証券資本で十分こういう生産態勢を合理的に組み立てることができる諾条件があるかどうか。こういう点についてお伺いしたい。
  29. 岡野保次郎

    岡野参考人 あるいは抜けたところもあるかもしれませんが、メモの順序に御質問にお答えいたします。まずパテントのことからお答えいたします。パテントの問題については、私どこかで実は発表したことがあると思いますが、日本技術の水準が戦前には世界のレベルに、あるものはこれを凌駕したものがありましたが、その後十年間に飛行機技術は、日本の三十五年間の脅威的進歩を来したものをぴたりととめられたのであります。それでパテントの問題でありますが、この急速な進歩をした陰には、いわゆる普通の、門外からは想像のできないほどの大きな研究費を要します。それで日本が日清戦争以来造船、機械、電気器具その他が外国の水準に参りましたのは、パテントを利用したからだという意味は、その方が国の財を多く使わずに済むからというような考え方も一つ考え方なのであります。それから同時に、向うと同じレベルに技術を早く生かす、わかりやすい言葉で申しますと、日本独自の考え方でむしろ戦前の技術を基礎にして、今から相当の金をつぎ込んで研究を始めたといたしますと、これは不可能ではありません。しかしできるものはたとえば先進国のイギリスアメリカよりも非常に遅れたものしかできないということは断言できると思うのです。ですからあの特許料というようなものはいかにもむだのように見えますが、それはその効果いかんを考えるのでありまして、永久に日本は先進国に遅れておるということにがまんできるのならば、これはいいと思いますが、日本独自のものでやつて行く——ところがおそらくトータルにしても、研究費よりも比較にならぬほどの少さな、しかも日本のような貧乏な国で、機体をつくることの何パーセント、これはほとんどネグレクテイブルであります。相当高いと見えますが、研究費に比較いたしますとネグレクテイブルであります。そういうことは日本人は非常にりこうでありますから、向うの飛行機がジヤンピング・アツプします。すると向うと同様に、ジヤンピング・アツプしたものを、日本人はまねることが上手だといいますが、まねることだけじやない、たとえば零戦などはアメリカの脅威の的であつた。こういうように技術がレベルまでに行けば、あとはくふうのできる国民であります。しかしある時期はどうしてもさるまねしたと言われても甘んぜざるを得なかつた。今度は幸いにして一番大きいものが飛行機。これも多くはまねみたいなものでありましよう。しかしトータルは研究費よりは非常に小さい。いわゆるなしくずしでもつて月々あるいは年々に払つて行ける。こういう世界的の技術の本体があまり不利がない条件でもつてつてくれるということであつたらば、私はぜひそういう方法をとるべきだと思う。ただしかしとるにしても、どこでもここでもというふうなことであれば、今の能力のない、経験のないところもやれるようなことになるのを放任すれば、これはウエイスト・オブ・マネーになるのであります。それは一会社の問題でなくて、国の金をウエイストする。だからしてこれに対してもある程度資格を判断する。これはきようの話とは別になりますが、資格を判断して、その能力ありや、あるいはウエイスト・オブ・マネーになるかならないか、こういうような方面は、どこかがニュートラルに、無色透明の体、あるいはコミツテイのシステム、必ずしも通産省とは言いませんが、あるいは議会でもいいと思います。中正的なところがあつて、挙国一致の、あるいは国家の大目的の線に沿うようなところでこれを許可して行く。こういうふうなことも関連した必要な点ではないかと思うのであります。  次に御質問材料の問題でありますが、これは私は、今しからばと、こう言われると、かなりの部分アメリカから輸入しなければならぬということは言い得ると思います。しかしそこが、先ほど申しました、日本で独立で、何ら外国の援助を受けずに、世界的の飛行機ができた、世界最大の戦艦ができた、こういうようなことが可能であつたのであります。ただこれも材料学において、あるいは材料工業において、今は遺憾ながら非常に遅れております。これがむしろ完成品の飛行機と比較して、より以上に日本の現在の弱点であると言える部分のものもあるように思います。しかしこれは前に達したと同じように、日本にもし資材がなくてこれを輸入しても決して不利な立場にならぬように、相当部分は持つて行けると私は確信いたします。ただ今、きよう、あしたどうであるか、こういうことを言われると、かなりの部分を輸入にまつほかにないというようなものがあると思いますが、しかしもうすでに相当のものは日本でスタートを切つております。これはあなたの御心配なさるほどのものではない。ただ日本に原料のないものがあります。これもある方法で、ちようど製鉄が日本では不可能だ、しかし国策上絶対に必要だというので輸入もやつております。今少し高いですが、そういうように、そう杞憂とまで、あまりはげしい言葉は使いませんが、それほど心配することはないじやないか。ある程度御安心して、日本技術者にまかしてくれていいんじやないか。将来も……。  それから、どうしても防衛生産がもとになり、民間はあまり大した期待ができない、これはしばらくそうであろうと思います。それからアメリカは、防衛生産が必要なくなつた、それは閉鎖して、そうして、民間需要に移つておる——けれども、あれは戦争中のという形容詞がその頭につくのであります。戦争中に陸海軍は天文学的数字、こういうふうに言われたほど大きく伸ばしたのであります。しかもそれは全部政府の金でもつて工場、機械を設備したのであります。その伸ばしたものを平時はそれほどいらないから、その一部分を一時閉鎖して、しかも機械その他、油をつけて実に完全に保存しております。それは一朝事あるときのためであります。またそういうことのできるように戦争中にスタートしたのであります。だからして予定の計画で閉鎖をした。そういうようなものが大部分であると私は考えます。あれは戦争中だけであります。  それから日本はこういう経済力の小さな国であるから、どうも日本にそういう金のいる——質問の要領はあるいは間違つておるかもしれませんが、輸出なんかを当てにするというのはどうも少し大き過ぎはしないかというふうに私は解釈したのでありますが、先ほども申し上げましたように、日本の将来の航空機産業というものに対しては、民需産業に重点を置いております。しかも輸出の面にまで国のためにこれを伸ばすべき性格の産業である、こういうふうに申し上げたわけでありますが、それはいけない、だからそれほど力を入れる必要はないということならば万事終りと思います。しかし私はこれは国民の覚悟次第であると思います。とにかく挙国一致で重要だという判定がついたらば、これはほんとうにやらなければいけないのだ。先ほどちよつと触れましたが、イギリスコメツト機のあの発明、生産イギリス人の負けじ魂であります。アメリカにいつまでもたよつておることはシエームである。かるがゆえに、あの社長が去年の初めの年次大会で初めて、イギリスというものはそれまではアメリカの民需の大きな発達した航空機をほとんど全部買つておつた。それをここで初めてわれわれ英国人は独占して、アメリカの世話にもならずに、自分の飛行機で国際飛行が可能になつた。これは皆さんとともに実に慶賀すべきことであると言つております。これは挙国一致のイギリスの不屈の魂が実つて、そうしてああいうふうに来たものだと思います。日本技術は今はイギリスより非常に劣つております。しかし永久に非常に劣つておるということは信じなくてよろしい。だから国民の覚悟次第である。国としてぜひそういうふうに持つて行つてもらいたい。こういうふうな意味から軍需産業だけに限りたくないし、また限る必要もない。これは必ず可能である。特に商船なんかでも最近は相当輸出をしておりますが、商船なんかよりもこまかい精密工業で、ちようど時計工業と同じように指先の器用さによる産業であります。それで材料は比較的少くて、日本人には最も適した産業であります。将来発展さすべき産業である。しかもその可能性のある産業ではないかというふうに私は信じておるのであります。
  30. 橋井真

    ○橋井参考人 資本と技術の二つの問題でありますが、資本の問題につきましては、会社内容にわたることでありますので、多少詳しく申し上げます。現在アメリカのスペリー・コーポレーシヨンの持つておる株は四分の一で、それ以上ではございません。これを持ちました経過は、元来スペリーと東京計器との関係は、数十年にわたる非常に長いものであります。ジヤイロ・コンパスの製造から始まりまして、戦後さらにそれを広げまして、レーダー・ロラーンのような航空計器に関するもの、ジヤイロ・コンパスから出ました各種の新しい自動操縦装置その他にわたつております。さらに昨年以降航空計器のスペリー社の技術に関する全部の権利を持つております。そういうような非常に深い関係にあるのでありますが、資本を持ちましたのは、元来スペリーはアメリカで第一の日本びいきの会社でございます。これは非常に常識的になつておりまして、戦争中そのゆえをもつてアメリカ国内で苦しい立場に立つたこともあるというように承知しております。そういう会社でありますので、戦後東京計器を通じて日本産業の復興に何でもできることはいたしたい、こういう気持から資本についても持つてくれたのであります。従いましてこの資本を使いまして、日本産業をコントロールする、こういうような気持は全然持つておりません。現に私どもの会社におきましても、私以下重役は全部日本人でございます。スペリーから経営に関するコントロールを受けたことは全然ございませんし、今後においてもさようであるというようにお互いにかたく話合つております。資本につきましては、四分の一を除き、過半のものは私どもが直接コントロールいたしております。従いましてさらにその四分の一がほかの方法で取得された株によつてスペリーのコントロールに移る。日本側以外のコントロールに移るという懸念は現在は全然持つておらないのでありまして、この四分の一の払い込みにつきましては、スペリーのものをつくりました私どもから元来外貨で送らなければならぬものを、日本に最初はある程度ためておきまして、これが大体払込みになつて、その間私どもはその資本金を使つておりました。その後において増資した場合等におきましても、こちらから向うに送りました金から税金を除いた残りを当社に払込みをいたしております。そういうわけで技術を入れまして送りました外貨を、払込みの形でとつておるのであります。外貨を節約しつつ技術を入れる、こういうような形になつております。  もう一つ申し上げますと、資本的な関係を持ちますと、どうしても親類感といいますか、お互いの親愛感が強いのであります。私どもでレーダーを始めました場合に、二年半ばかりにわたりまして、プランク・デミツトといいますが、初めて海のレーダーをつけたときに、そのとりつけをやりました技師がおりまして、日本のあらゆる技術者を訓練いたしました。それによりまして現在私どもでつくつておりますレーダーは相当外国へも出しております。そういうような事情であります。また現在航空機に関する一流の技術者も参つております。そのプランク・デミツトの費用は全部向うで持ちまして、一文も日本では負担いたしません。そういうような意味合いからいたしまして、ある程度の資本的提携を持つておることは、これによつて強制を受けることがない限りにおいては非常にいい、こういうふうに信じております。  なおスペリーは実はイギリスにおきましてはロンドン・スペリーという会社を持ちまして、イギリス生産をコントロールしております。カナダにおいてもカナダのスペリーを持つております。現在おもなものをつくつておりますのはニユーヨークと東京とロンドンであります。そのうちで日本だけがそういう長い間の歴史によりまして独立性を持ち、しかもスペリーの全面的なサポートを受けておる、こういう事情であります。それが資本に関する偽らざる内容でございます。  次に技術の問題について申し上げます。スペリーは相当な特許を日本に持つております。従いまして世界で第一と言われますスペリーの航海計器、それから航空計器を今後つくつて行きまして、これによつてすでに私どもは、十億とは申しませんが、数億のものを、輸入しないで日本の船につけ、外国船に輸出いたしております。そういう意味からいたしますと、スペリーの特許を使うだけの契約は今後も長く持つて行く方がいいと思います。一例を申し上げますと、たつた一品目の自動操縦機をつくりますために、スペリーは五、六百万ドルの金を使つております。飛行場をある程度持ち、そしてたくさんの飛行機を持ち、当然これに乗る者、これに携わる技術者を持ちまして、いろいろなものを研究しております。それから電子関係でも非常に多くの金を使つておりまして、年に多いときは数千万ドルの金を使つておる。もつとも昨年の暮れの状況を見ましても、手持受注だけで約二千億円、ドルにいたしまして四億数千万ドルの手持受注が残つておる。それだけの金でありますので、向うにしては大きな負担ではないかと思うのでありますが、それだけの金を使つて、従来のアメリカ会社が到達した技術にわれわれが到達し、しかもこれを越すということは現在不可能でございます。今後同じような状態相当続くと思います。私どもの願つておりますことは、とにかく教わつて向うと同じ技術程度まで行きたい、それからあとは発達したものをできるだけ取入れて自分の力を養つて行きたい、こういう点でございます。そういう点では現在のみならず、今後におきましてもある程度技術的提携を、私どもはスペリー、ウオールター・キデイ、ベンデイツクスというような世界一流の会社技術提携をいたしておりますが、これを続けて行きまして、一方に外貨を節約し、一方にわれわれの力を養つて行く、これが当面の目標でございます。
  31. 石塚粂蔵

    石塚参考人 証券業者相当の株を持つているという御質問でございますが、これは事実でございます。証券業者が持つているからといつて企業が不安になるということは私は考えておりません。現にその証券業者たる株主を含めた株主総会で私も選任されておるのでありますが、ただ証券業者というものはときどき金のいることがございます。それで株を売ることがございまして、昨年の暮れにはすでに四万株が他に移動しております。その場合におきましては、経営者と相談いたしまして、できるだけ元の資本系統のところに納めることになつております。なお近き将来に六万株は移動すると考えておりますので、大体株主層は安定しておるとお考えになつてさしつかえないと思います。
  32. 大西禎夫

    大西委員長 次に川上貫一君、
  33. 川上貫一

    川上委員 岡野さんにお伺いいたしますが、ごく簡単にお答えください。お伺いしたいのは、今度出ております法案でありますが、これはその内容政府許可をするということが中心で、そのほかのことは何も触れていないわけなんです。ところが当面はどうしても防衛産業を中心とする航空機になるという御説はその通りなんですが、そこで許可をするというだけではなしに、あなた方の要求、注文といいますか、希望としては助成措置というものが伴うておつたのじやないかと思うが、従来の経団連その他の関係からの政府に対して要望なさつた点には助成措置はなかつたのかどうか聞きたい。それから法律の問題で、許可制だけでよいのかどうか。どうも許可ということは皆さん御賛成なんですが、助成措置の伴わぬ許可というだけで一体いいのかどうか。これでまことにけつこうだとお考えになるのですか。これじや足らぬとお考えになるかという点を聞いておきたい。それからそれにつけて御参考に申し上げておきますが、通産大臣も助成措置はいらぬということを言つておる。許可だけでよろしいと答弁になつておる。私の方では助成措置が伴わなければ、実際のしんばり棒が抜けるのではないかということを言つた。そうしたら、助成措置はいらぬ、許可だけでよい、こういう通産大臣の答弁なんです。これで経団連の方ではよろしいのでしようか、どうでしようか、こういう点。ついでに岡野さんは時間がなさそうですからもう一点聞きますが、特許権の問題、それから原材料輸入の問題、こういうような問題がある。原材料輸入の問題にしましても、当面は必要のものがある。これに対しては育成の措置を特別に講じなければ、お宅の方の考えではいけないのではないか、この点。それから特許権につきましても、これをアメリカは売りつぱなしにはしない。どうしてもこの権利をとつて行こうとしたら、技術提携とか、あるいは簡単な言葉で言えば、日米合弁、こうならなければならぬと思うが、これは御賛成になるのかどうか。資本提携の形態、合弁の形態、この点をどうお考えになるか、結論的な御意見だけでけつこうですからお聞かせ願いたい。
  34. 岡野保次郎

    岡野参考人 お答えいたします。これは私が先ほど申し上げましたように、助成が必要不必要という問題よりも、既成事実ができない前に許可制を早くとれ、とるのが必要である、こういう意味で、これは助成の問題に今触れなくとも一日も早くこの許可制の問題を解決しておく、これが必要であると思います。ほかの言葉で言うと、助成の問題は今触れなくとも、とにかくこの問題は既成事実ができると国家に非常に損でありますし、政府も非常にやりずらくなります。業界も非常にやりずらくなります。それを防ぐためには一日も早くこれをやる方がよろしい、一日も便々としておるときではない。それから特に日本政府のためにもこういう法律ができて来れば、相当法律によつて政府が対抗する。こういうようなことは今の特許の問題にも触れますが、特許も日本全体の利益にならぬようなものは許可しなければいいのです。ところが法律とかそういうようなものがなければ、われわれ個々の会社でやりましてもどうしても対抗できないのです。そういう意味においてこの事業許可の問題は、こういうことになつているんだから一日も早く日本政府意見としてもこういうふうにやるべきであると私は考える。ところが何を根処としてやつておるかというような場合に、日本政府に、ということは国民を代表する政府に対抗力を持つて来る部分が非常に強くなる、こういうふうに私は想像いたします。これは間違つておるかもしれません。  それから合弁の問題ですが、私どもの方では、これは昔の私の経験でありますが、五〇、五〇以上には絶対にやらない。やつたのは一会社ですけれども、これはその後九五%こつちが持ち得るようなふうになりました。しかしパテントというものはその内容いかんによつては、高額な金をかけずに日本技術を育成する、ジヤンピング・アツプして外国と同じレベルに早くなり得るというような目的に合致するパテントは一日も早く——これは何もアメリカばかりじやございません、スイツツルでもよし、フランスでもよし、世界にそういうふうな特許があつて、これは日本だけの力では特許法でもつてどうしてもできないというような場合、しかもその研究費を計算してみたらば、研究費に対しては九牛の一毛というような場合が多いのです。これは多いということは断言できると思います。だからして日本産業を育成し、産業の将来のためにプラスになるようなものは、何も特許権に対しては、いわゆる面子とかいうようなことは考えない方がいいと思います。しかし永久に特許権あさりばかりのためにやるんじやないということは国民が銘記しなければならぬ点であると思います。今の状態においては、国家目的の産業育成、国際対抗の目的、国際競争に合い得るような目的のために特許権を買うという場合には、金が特許料として出るとか出ないとかいうようなものはあまり重点を重く考えない方がいいと思います。いわんやそれが長い間の研究費に比較したらばおそらく大した金でない。しかもこれを年賦みたようなもので払つて、向うと同じ日本技術程度と、それから日本人のりこうさ、これをもつて開発して行けば、向うと同じ程度に非常に早く達し得ると思います。
  35. 川上貫一

    川上委員 藤井さんにちよつとお伺いしたいのですが、あなたの方でジエツト・エンジンの修理アメリカから発注があつたときに、見積書をお出しになつたことがありますか。それに対してアメリカの方から、アメリカの資本との技術の提携の内容を出せ、こういうことがあつたと聞いておるのでありますが、そういうことがありましたかどうか。
  36. 藤井深造

    藤井参考人 ジエツト・エンジンの修理の見積りは出してございます。それでもしこれが実現するようになりますと、アメリカ修理技術と提携するわけです。しかしこれはアメリカ修理を専門にやつておる会社でございまして、この技術の提携料というものについては、私しさいの数字は実は記憶していないのでございますが、かようなものは起りましても極少のものでございます。もちろん参加とかそういう問題ではなくて、ただ修理技術の指南技術料、こういうものでございます。
  37. 川上貫一

    川上委員 石塚さんの方では、修理を受けて、アメリカの方でいろいろ世話をしてくれておる、こういうようなお話だつたと思うのです。これはあなたの方で仕事をなさつておる上に、アメリカの方でタツチしておるのはどの程度であるかということを伺いたい。
  38. 石塚粂蔵

    石塚参考人 アメリカの機体修理でございますが、大体教科書みたいなものがあります。マニユアルと申しまして、その教科書によつてやるのであります。特に先生というものは来ておるわけじやありません。大体監督、検査の人間だけであります。マニユアルをよく説明して、その通りやるということであります。
  39. 川上貫一

    川上委員 さつき自主性希望しておられるようなお話でしたが、それは……。
  40. 石塚粂蔵

    石塚参考人 それは自主性というと語弊がありますが、全部向うの言う通りにやらなければならないということを、でき得ればこつちの技術的の自主性を持つてやることができればいい、こういうことを申し上げただけでございます。
  41. 川上貫一

    川上委員 向うから、いろいろ修理その他で発注して来る時分に、向うの言う通りやらないでもやらせると思いますかどうですか。これはなかなかむずかしいのじやないですか。自主性を持つてやるといいますけれども、向うが手放しでやらせますか、実際問題を聞きたい。
  42. 石塚粂蔵

    石塚参考人 近ごろは、できるだけこつちの創意を聞き入れるという方向に向いて来ました。ただ私が自主性を持ちたいと言つたのは、アメリカでなしに、日本飛行機修理とか製造を、できれば接収されていない場所でやりたい、こういうことでございます。
  43. 大西禎夫

    大西委員長 他に御質疑はございませんか。—それではこの際参考人各位に一言お礼を申し上げておきます。参考人各位には長時間にわたり、種々貴重な御意見を御開陳くださいましてまことにありがとう存じました。当委員会といたしましては、各位の御意見を十分参考とし、本案の審議を行つて参りたいと存じます。  この際午後一時半まで休憩いたします。     午後零時二十六分休憩      ————◇—————     午後二時四十九分開議
  44. 大西禎夫

    大西委員長 休憩前に引続いて会議を開きます。  航空機製造法の一部を改正する法律案を議題といたします。質疑の通告がありますのでこれを許します。長谷川四郎君。
  45. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 鉱山局長にお伺いいたしますが、御承知のようにいよいよ保安隊の方においてもジエツト機を使うというようなことになり、ただいま審議にかけられている航空機製造法におきましても、修理並びにその需要が非常に多くなつて来ているという数字をあげております。そういたしてみますと保安隊の方の石油という問題は、どういう面からこれを捻出して行くか、また現在きめられておる石油輸入量の中をさいて保安隊の方へ供給するつもりなのか、これらは別途に供給源を求める考えであるか、その点についてお伺いをしたいのでございます。
  46. 川上為治

    川上政府委員 保安隊関係のガソリンとか、あるいは機械油、重油、そういうものにつきましては、昨年度におきましては、大体十五、六万キロリツトルという、きわめて少量でありまして、一般の石油にほとんど影響のないような程度であつたのでありますが、本年度の外貨の中におきまして、私どもの方としましては、大体二十万程度考えて組んであります。実は保安隊に対しまして今後どれくらいふえるかという点につきまして、再々今まで連絡をとつて話はしておるのですけれども、今までのところでは、一応二十九年度におきましてはその程度でよろしいと考えておりますので、もしこれが非常にふえるということになりますれば、これを全体のわくの中でまかなうことはできませんので、別わくに考えなければならないのではないかと考えますけれども、一応二十九年度におきましてはその程度で行けるのではないかと、私どもの方としましては考えております。そうしますと、現在の全体のわくの中でまかなうことになるかと思うのであります。
  47. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 私に言わせると、本年度は二十万キロリツトルというようなことではとうていまかない得るものではないと考えております。そうなつて参りますと、二十万以上出た場合になりますと、わくの中ではこれをまかなうことができないから、わく外に求める、こういう御答弁でございますが、わく外に求めることになりますと、新しく燃料を仕入れなければならぬ、原油なら原油、またそのジエツトに必要な油を仕入れて来なければならないことになるが、そのときには外貨の点についてどういうふうにお考えになつておられるか、お伺いいたします。
  48. 川上為治

    川上政府委員 先ほど申し上げましたように、現在のところでは、大体二十万足らず、石油全体の外貨の中に組んであると申し上げましたが、それ以上に非常に大きくなりました場合、たとえば四十万とか五十万とか、あるいはそれ以上になりました場合におきましては、これはどうしても現在のわくでまかなうことになりますと、一般の民需というものを、単に重油だけではなくて、ガソリンにしましても、あるいは機械油にしましても、その他のものも相当削減しなければならぬことになりますので、私どもの方としましては、今後の推移を見まして、削減することが非常にむずかしいということでありますれば、やはりある程度外貨をふやしまして、まかなつてもらうよりほかにないと考えております。いかにふえましても、本年度におきまして、これが百万も百五十万もになる可能性はまずないと私どもは考えますので、二十万ふえるとか、三十万ふえるという程度のものであれば、外貨の問題からいいますれば、それほど大きな問題ではないと考えます。
  49. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 本年度二十万キロの予算にいたしましても、たとえばこれが五万キロくらいオーバーしたとしても、現在の日本の石油の需要状態から行きますと、容易でない問題だと思うのでございます。局長は単に五万キロや十万キロは何でもないようにお考えになつているか知らないけれども、あなたも新聞を見ておるでしよう、私も新聞を見ておりますが、事実そうであるかないかという点について私は二、三の製油会社、また精製されたものを運んで来るような会社の実態を調査いたしてみました。ところがそれと相合せて現在の重油という問題をひとつ取上げて考えてみて、どういうようにお考えになつておるか、まず伺つてみたいと思うことは、あなたの方から調整をする要領とかあるいはこうしなければいけないというような面についていろいろな書類をもつて発送をしておるようでございます。しかしたとえば重油の割当が幾らあるのか、四月に四十八万キロ、五月に四十五万キロをもうすでに使つている。こういうことになつて来ると、六月、七月、八月、九月とこれだけの月があるから、これをあなた方の計画で行くと、結局三十万キロくらいしか使われないという結論になるわけでございます。この三十万キロで六、七、八、九月の需要期をあなたはまかない得るというお考えでございますか。私は今業界をあげていろいろな陳情を受けておりますけれども、私はこのようなことでは絶対まかなうことができ得ないという判断に立つているのでございますが、その点についてひとつ局長のお考えを御発表願います。
  50. 川上為治

    川上政府委員 重油の問題につきましては、これは単に外貨の問題だけではなくて、石炭企業との関係から非常に問題になつておりまして、本年度におきましては一応外貨の面からは五百三十七万キロリツトルが決定を見たわけでございます。私の方としましては、重油の問題は自然に放置いたしますと、おそらく六百七、八十万キロリツトルくらい二十九年度は必要ではないかと考えられるのでありますけれども、先ほども申し上げましたように、石炭企業との関係の調整とか、あるいはまたこの委員会におきましても先般この問題をとらえまして、重油と石炭につきましては調整しなければならぬということもおつしやられましたので、われわれとしましては単に外貨の面だけではなくて、重油につきましては石炭企業との関係からどうしても重油を抑制しなければならないと考えておるのであります。先ほどおつしやいました保安隊関係の油、これはむしろジエツト・エンジンの関係でありますれば燈油、それから航空ガソリンでありまして、これらは実は石炭関係というものはほとんどありませんので、私は先ほども申し上げましたように、外貨の面から見ますると、二十万くらいふえてもそう大きなものではない。そうシーリアスな問題ではないということを、もちろん外貨の問題は非常に大事なことでありますけれども、石油類全体で約一千万くらい使つておりますから、二十万と申しますと、非常に大きい重油みたいな問題ではないということを実は申し上げたのであります。それから今お話がありました重油では四月に四十八万キロリツトル使つておるではないか、それから五月においても四十五万くらい使つておる、そういうことになれば、六月から七月、八月、九月という時期において三十万そこそこではたして一般の産業がやつて行けるかどうかという問題でありますが、実は私どもとしましては、五百三十七万キロリツターというのを、この上半期の月の平均にいたしますと、四十二万くらいというふうに考えまして、大体毎月四十二万くらいで何とかして業界の方ではやつてもらいたいという行政指導的なことを従来やつてつたのでありますが、先ほどお話申し上げましたように、四月には四十八万、五月には四十五万くらいという販売実績があるわけでございます。私の方としましては、特に石炭との調整の関係から、本年度は五百三十七万キロリツターというのをきめたのでありますので、これをどうしてもふやしたくない、何とかしてこれで収めて行きたいという考えを持つております。少くとも五百三十七万、上半期の分としましては二百五十二万、大体そういうところで収めて行きたいという考えを持つておりまして、業界がこれに対しまして十分協力してもらつて、何とかしてこの線で収めてもらうということになりますれば、四月、五月の量を考えますと、大体三十数万キロリツターでなければ上半期におきましてはその数字に収まらぬというふうに考えておるのであります。しかしはたしてこの三十数万くらいで何とかやつて行けるかどうかという点につきましては、私自身ある程度疑問は持つておりますけれども、ただ従来、相当買い込んでいたという事実がどうもあるようでございまして、四月あるいは五月におきまして、それが予想以上に販売されていたということは、一面におきまして、相当長期の買付を需要者の方がやつていたというふうに聞いておりますので、そういう点も考えますと、まあなんとかこの三十数万というところで乗り切つて行けないものだろうかというふうに考えておるわけであります。なお現存この六月以降その程度ではたしてやつて行けるかどうかという点につきましては、業種別、工場別に現在需要量を各原局の方と相談をいたしておりまして、節約された数字が、はたしてどの程度この三十数万キロリツターと食い違いがあるかという点について、いろいろ現在検討中でございます。
  51. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 昨年度三十五万キロリツターばかりのものを食い込んで来ている。さらに九月末にに三十五万八千キロリツターの在庫を持てというあなたの方の御指令でございます。昨年度三十五万キロリツターというこの食い込んだものを、本年度分の中に入れるというあなたの方のお考えが間違つているのではないか。すでに本年度の中に三十五万キロリツター食い込んで来ているのだから、それをその中に入れておいて、さらに三十五万八千キロリツターというものを九月末には在庫しなければならない、こういうことが現実に行い得るか得ないかということです。行われる可能性のないものをあえてこういうものを出してやるということは、いたずらに現在重油を使つておるところの業界を混乱するものだといわなければならない。これがもとでまたまた値上げをするとか、あるいは裏へまわつてリベート的なものをやつて、そうしてさらにみずからの過誤を招く。大体在庫三十五万八千キロリツターにしろといつてもできやしないのだ、これはおどかしに出したのだろうけれども、この一時のおどかしがどういうふうに響くかということをよく考えてもらわなければならないと思うのであります。そこであなたの方の指令通りに、三十五万八千キロリツターの在庫ができるかできないか、これは議論をする余地がない問題だと私は思う。あなたは三十五万八千キロリツターというものをどうしても在庫させなければならぬという考え方なのか、それとも、場合によつてはこれはそのときによつて流用させてもいいのだという考えなんですか、どつちなんですか。
  52. 川上為治

    川上政府委員 私としましては、先ほど申し上げましたように、昨年の三月までに今年の四月以降の外貨を食つて、今長谷川先生がおつしやいましたように、三十万以上のものを食つておるわけなんです。それから四月、五月においてわれわれが予定いたしました四十二万キロリツターよりもはるかに多い数字を食つておるわけでございますが、これは先ほども申し上げましたよりに、その食つた数字というものは全然消費されたものではなくて、ある程度需要者の方が先約的な契約をいたしまして、買い込んでおるというような事実をわれわれの方としても聞いておりますので、たとい六月以降におきまして三十数万キロリツターということで指示をいたしましても、実際の食い方というのは同じものを食うということになりますから、ある程度それよりもふえるということを考えますれば、一応九月末におきまして三十六万くらいのものをストツクさせるということはそうむずかしいことではないのじやないか、ただもしそのときにどうなるかということでありますが、その場合におきましては、今の場合全然九月末の在庫をその前に繰上げて食つてはいけないということで、われわれの方は行きたいと思つておりますが、これはやはり六月、七月ごろの様相が実際にどういうふうになるかという点を十分に見きわめた上で、私の方としてはその点を考えて行きたいと思います。私どもの方としましては、少くとも通常在庫を常に持つておるべきだと思いますので、九月末三十五万ないし六万くらいのものはぜひとも保有してもらいたい。今まで食い過ぎたのは実際に食つたのではなくて、ある程度買いだめをしておるというふうに考えられますので、今申し上げましたように、この在庫につきましては三十五、六万のものはぜひとも持たせたいという気持でおります。
  53. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 買いだめ云々と言われますが、すべて原因は政府にあるのでありまして、政府に一貫した政策なく、ただ場当たり的な、たとえば重油なら重油という一つの面になつて来ると、あなたの方からいろいろな指令を出して、そしてそれがどういうふうに響いて行くか、みなそれが買いだめをしなければならぬ、あるいは何とかそこに約束をされなければならぬということになつて、これが値段をつり上げさせておる。全部行政のあり方一つでこれが行われて行つておる。たとえばわれわれ中小企業がそういう指令通りに事を進めて行くということになると、もしも燃料機械の転換をする場合、政府はどのくらいの御負担をなさる御予定でおられるか、その予算等をお聞かせ願いたい。
  54. 川上為治

    川上政府委員 私どもの方としましては、専焼設備を持つておるものにつきましては、これはなるべく配給してやりたいというふうに考えておりまして、併用設備を持つておるものは、これは石炭をぜひとも使うようにしてもらいたい、重油の方は使わさぬようにしてもらいたいという考えを持つております。また暖厨房等につきましては、これは現在におきましてはもう使わなくたつていいじやないかという考えを持つておりますので、そういう点から、今申し上げました数字が、各産業別に大体どれくらいになるかということとにらみ合せて、今の三十数万というのが妥当であるか、あるいはもつと四十万くらい必要であるかという点につきまして、はつきりした数字を私の方としまして早急につかみたい。その上で措置をとりたいというふうに考えております。たださしあたり六月、七月、八月というものは、今までの食いつぶしなりそういうことを考えますと、三十数万くらいにしかならぬのだから、これで何とかやつてもらわなければ、これ以上にじやんじやん使いますと、結局石炭企業との関係が従来以上になつて来るというふうに考えますので、今申しましたような数年でさしあたりつてみて、そして先ほど申し上げました専焼設備、併用設備あるいは輸出産業関係のもの、いろいろなものを業種別に当りまして、その数字と今の月々の配給数量とを調整して、そうして適当な線でまとめて行きたいというふうに考えております。
  55. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 官房長にお伺いいたします。今われわれの方は官房長も局長も知つている通り、当面の燃料政策をどう持つて行くかということで、いろいろ小委員会においても決定を見たわけでございます。石炭の問題は次に残して、重油の問題で伺うんだけれども、現在の中小企業は、今の政府の指令による供給の統制で非常に困つて来ておる。今お聞きの通り、たとえば重油を確保してあるとか、あるいは買いだめしてあるとかいう言葉ですけれども、あなたはそれだけの余裕が現実に中小企業にあると考えるか、ないと考えるか。まずあなたの考え方を聞いて、そして質問に入つて行きましよう。
  56. 岩武照彦

    ○岩武政府委員 中小企業の方で重油その他の燃料を買いだめする余裕があるかというお尋ねでありますが、中小企業はいろいろな業態もあると思います。重油の方はいろいろ施設の関係もあると思いまするし、また金融的な面もございましようから、そう数箇月分も買い持つということは、金融上のみならず、施設的にもむずかしいのじやないかと思つておるわけでございます。それで鉱山局長からも御説明したと思いまするが、われわれとしましては指導の対象を大口工場に置きまして、この方は専焼設備、専焼設備という言葉もいろいろ解釈等があると思いまするが、できるだけ広い意味に解釈いたしまして、その施設外で石炭をたく設備を持つておりまするものは、併用というように取扱いまして、できるだけ石炭の方を優先的に使つてもらう。重油の設備しかないところは、これをある程度そこに重油が入るようなことは考えますが、同時にこれとてもそうふんだんに使い、あるいは買持ちしていいというわけでもございませんので、この方もできるだけ操業に合せまして、最低限のもので有効に使用していただくというふうに考えております。中小企業の方はいろいろ実際の仕事といたしまして、工場の数も多いことでございまするし、また業態もそれぞれ複雑なものがございまするので、重油をできるだけ消費節約していただくことは当然でございましようが、ただ大口工場みたいに重油を石炭に切りかえろというふうな指導は、これは事実問題としてむずかしいと存じますので、この際転換の指導は大口工場を中心にしたいと考えております。
  57. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 ただいまの石炭の事情を調べてみると、確かに投売りがされている。投売りはされているけれども、実際どの程度のものが投売りをやつているかというと、結局中小炭鉱が投売りしているということが現われて来ております。そして大炭鉱は依然としてそういうようなことをやらなくても、そのままでやつて行かれるようであります。そこであなた方は石炭の採算ベースというものをどのくらいと見ているのか。今石炭々々ということでございますけれども、われわれは決して石炭をたくさん消費させるということに対してはやぶさかでないんですけれども、石炭というものに対する考え方が何となくマツチしないのじやないかというふうに私は考えるんです。一体官房長はどのくらいが石炭の採算ベースだと思うか。われわれは四千八百万トンを目標に掘れと委員会としては言つたけれども、採算ベースというものがあるわけなので、そこに無理をさせるところに結局高くなつて行かなければならないし、そこでやはり依然として補助的なものを要求して来ているということになるのであつて、こういう面もよほど考えてみなければならぬと思うのでございます。業界意見を尊重して、一方は石油の面を自主的にやれという。業界意見を尊重して自主的に規正しろという言葉はまことに聞きいい言葉だけれども、与えられた一つのこのものが、今申し上げたようにわれわれの考えとは非常に相違をしている。三十五万キロリツトル出してあるのだ、それを食い込んで去年使つたんだから、去年の分まで今年切るのだ、そのほかに三十五万八千キロリツトルまた九月の末に残すのだ、こういうふうにあなたの方から通牒が出ている。こういう通牒が出ているために非常に混乱を来している。その混乱を来しているから、官房長が今考えていることは、何かの法律の中にこれをくつつけなければならないとあなたは考えているだろう。それで国際的供給不足物資等の需給調整に関する臨時措置に関する法律というものを一年延ばして来た。この中にくつつけるならば政令でくつつけられるから、一つの政令としてこれを出そうという考え方があるかないか、明らかにしていただきたい。
  58. 岩武照彦

    ○岩武政府委員 お尋ねの法律に基く処置の問題でございまするが、あの御審議願いました法律の第一条第一項の第三号でございまするが、国内で供給が不足する物資であつて、その需給関係が逼迫して混乱を来して、公共の利益を害するような場合には云々の処置をとり得るとなつているわけでございます。その場合も割当配給というようなことは、法律の別表に上つた物資だけでございまして、石油関係は上つておりませんので、かりにその条項に該当いたしまするような事態が起るといたしましても、使用の制限でありますとか、あるいは譲渡等の制限というふうな一般的な制限措置しか法律的にはできないことになつております。これは政令あるいは省令等の段階でできるわけでございますが、ただわれわれ事務当局といたしましては、目下御承知のように燃料の関係は下需要期だと考えますので、おそらく上期のうちにおきましては、鉱山局長が御説明いたしましたような需給調整の措置をとりましても、法規的にそれをやつて参らなければならないというふうな事態には相ならないのではないかと思つておりまして、法規的な処置は目下のところはいたす考えを持つておりません。しからば下期におきましてどうかというお尋ねがあるかと思いますが、下期のことは今からなかなか予断も許しませんが、鉱山局長が申し上げましたような、九月末におきまするある程度の流通面の元売在庫を持つております。また全体の外貨予算の編成の際に検討いたしましたように、年間を通じまして五百三十七万キロというふうなベースで考えますると、この数字からは下期の消費ベースの方がかなりふえまするので、何とかこの下期のふえまする需要——ことに下期にふえまするのは電力関係あるいはガス関係が中心かと思いまするが、その方の需要にも何とか対処して参れるのではないかと思つておりまして、目下のところは需給調整のために広くあの条項に規定してありまするような、いわば需給の混乱を来し、公共の利益を害するというふうな事態は起ることはまずないのではないか、起るおそれも具体的に予見されるようなことはないのではないだろうかというふうに考えております。但しこの前燃料対策小委員会の節にも関係の方から申し上げたと思いますが、暖厨房的な用途につきましては、石炭関係で十分まかないますと同時に、またその転換等の措置も著しい混乱はなくしてやれるのではないかと考えられますので、これは状況によりまして法規的に設備的な面の制限を加えて参つたらどうかと存じておりますが、これもそういうふうな事態を予想いたしました段階でございまして、できるだけ小範囲の措置で食いとめたいと思つております。大規模な配給統制的な法規措置は目下のところはやりたくないと考えておるような次第でございます。
  59. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 私たちがこれらの供給不足物資に対して審議したのは、そういうようなことは毛頭考えておらないし、今日本がこの法律に石油をくつけるということになると世界の笑われ者になる。この点はあとでゆつくりお話を申し上げます。  大臣に少し伺いますが、現在重油と石炭という問題をめぐつて需要者が非常に混乱をしておる。私のところまでも重油のことについて常にいろいろな御注文がありますし、石炭のことについてもいろいろな御注文が来ております。そこで重油の面をきようは伺つておるのでありますが、お考え通りにお進めになるということになりますと、非常な大きな混乱を来すであろうということを予見いたさなければならないと思うのでございまして、そういう点についておわかりにくければちよつとお話申し上げますが、五百三十七万キロのうち今年度に食い込んだのが三十五万キロある。さらに九月末には三十五万八千キロというものを在庫しなければいけないというように指示が出ているわけでございますが、そうなつて来ると、四月には四十八万キロ使つているし、五月には四十五万キロ使つている。それを差引いたしますとちようど三十万キロしか九月まで使えないことになるのです。そうなつて来ると来月から非常な混乱を来すと私は考えるのですが、これに対して何か大臣の御意見があると思うのですが、それを承りたい。
  60. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 ただいまのお尋ねは意見を申しますよりも経過を御説明することが第一かと思うのであります。当委員会の総合燃料対策小委員会におきましても、かねがね各方面から御検討を願いまして、いろいろと御研究を続けていただいたわけでございますが、すでに去る三月下旬におきまして、政府側といたしましては外貨予算の編成にも関連いたしまして、重油については昨年度程度の消費の総額で今年度の消費は押えていただきたい。それを一つの基礎にいたしまして他の燃料の政策をあわせて考えて行きたいということで、これらの点につきましては当時各方面ともいろいろ御相談をいたしましたが、もちろんこれはいかなる立場の人も全部それでよろしいというわけではございませんが、大体のものの考え方、全体の立場から言うならば、こういう点はやむを得なかろうということで、たとえば政府側におきましては、外貨審議会においてもその議を決定いたしましたが、同時にその当時から見通された問題としては、先ほど官房長からもお答えいたしましたように、十月以降においてはある程度暖厨房用の重油等については法的規制もしなければ、それだけの需要額に圧縮することはできないということで、これもまた政府部内としては閣議の了解のもとに、あらかじめ今から予告をして、これに備えていただきたいということで、予告をする旨の発表もいたして参つたようなわけでございます。従つて今日の状態は、ただいま御指摘がございました通り、前年度同様の程度の消費量に対して外貨を配当するということであれば、すでにその前年度実績とその当時見通されました五百三十七万のうちから相当のものが先食いされておる。従つて外貨予算をその当時組みましたもの以上に重油に対して割当をせざる限りにおいては、今後数箇月の間は非常に苦しいことになる。そこでそういうような条件を頭に持ちまして、これを規正するとすれば、今後数箇月の間に何の業態についてはどのくらいという割当をしてみよう。その作業をやり、また業界、特に消費者側とも十分に連繋をとり、いろいろの点からひるがえつてまた結論を出すことにしようということで現在その作業を急いでおるわけでございます。従つて前年度同様ということで、外貨予算の割当をそれよりもふやさざる限りにおいて、またふやすことはわれわれとしては現在いたしたくないのでありますから、その範囲内でどの方面にどういう問題が起り、それに対してどの程度までは解決できるだろうかということを中心にして、現在具体的に数字的な検討を初めておる、これが現在の状況でございます。それについていろいろの御議論がすでに起つており、あるいは石油業者からも業界をあげての陳情も受けておりますけれども、とにかく先ほども申しましたように、全部が全部よろしいというような程度の解決はとうてい不可能だと思いますので、各方面の納得づくで、いわゆる行政措置を進めて参りたいものである、こういうふうに考えておるわけであります。
  61. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 大臣がお急ぎだそうでありますから、次会に質問を延ばします。ただよく考えてみてもらわなければならないことは、そう急速にあなた方の考え方がこうだということでやつてみても、一貫した政策のないところから今日このようになつて現われて来ておるのでありまして、これは愛知さんそのものの責任ではないと思う。あなたが大臣になつてから急に今度は燃料政策を確立しようじやないかということになつたのであつて、あなたの前には石油を使え、重油を使え、また今度は石炭でなければならないというふうに、しよつちゆう繰返されて来たことである。従つてその点も十分御考慮の上に立つて行政指導をしてもらわなければならぬと思う。ただそうであるからそうだというわけにはなかなか参らないので、その点も十分御考慮の上に立つてその政策を進めていただきたい、私はこれだけ申し上げておきます。あとの質問は、次会にまたゆつくり御質問申し上げます。
  62. 山手滿男

    山手委員 関連して伺つておきたいと思いますが、さつき官房長の説明された点は非常に大切なことで、新聞にもしよつちゆう出ていることで、私も聞いてみようと思つたのですが、今長谷川君の質問で、国際的供給不足物資に関するあの法律を適用することも通産省は考えている、こういうことなんですか。
  63. 岩武照彦

    ○岩武政府委員 先ほど申し上げました条項は、国内の不足物資につきましても一定の条件の場合には云々の措置をとり得ることになつております。おそらく現在残つております配給管理需給調整の法律としましては、これだけだろうと存じますが、これをただちに重油の場合に当てはめるかどうかということは、現在の段階では問題があるだろうと存じます。需給が混乱を来しまして公共の利益を害する段階にも立ち至つておりませんし、またそのおそれが具体的にあるという段階でございませんので、現在ではそういうことはないかと存じますが、下期の需要等を考えまして、そういうふうな事態が起ります場合には、そういう措置もとり得るし、あるいは公共の利益を守りますためには、そうした方がいいのではないかという事態も起るかと存じております。
  64. 山手滿男

    山手委員 その官房長の答弁は重大な答弁です。われわれこの法律をつくるときから関係した者として、絶対にこれは承服することはできない。あの国際的供給不足物資等の需給調整に関する臨時措置に関する法律は、そういうものまでも含めてはおらないのです。これはあくまでもこの法律の頭に書いてある国際的な供給不足物資であつて、モリブデンとか、タングステンとか、コバルトとかいうような、世界中で不足しておる物資に限つてこの法律は適用されるのです。ただ官房長の言うのは、第二条の三を当てはめようというのだと思うのですが、第二条の劈頭にもやはり国際的に不足した物資、こういうことがうたつてあるのであつて、しかも別表に五つばかりきちつと載つてつて、これを石油なんかに当てはめるということになると、これは不当な拡張解釈であります。これをやるということになると、日本では食糧も足りない、それでは食糧でもやれるということになる。この法律が何にでも当てはめられるということになつて、これは不当な拡張解釈である。この法律をつくつて石油の統制をやろうという苦しまぎれのような事態が起るならば、これは法律違反だ。現在の段階ではやらぬが、公共の福祉云々ということになるとやるかもしれぬというようなことになると、これは重大な問題であつて、承服することはできません。この法律の解釈上からいつても絶対にそういう意味は出て来ないのですが、大臣から御答弁願いたい。
  65. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 この問題は、私もはつきりしたところを調べまして御答弁申し上げたいと思うのでありますが、この法案が当委員会で審議せられましたときに、私の記憶では、たとえば今後石油の消費規正等をやる場合に、どういう用途に使つてはいけないというような政令がこれから出せるのではないか、また出すようなことを考えるべきではないかというようなお尋ねがありましたのに対しまして、私どもからそういう解釈ができますということをお答えしたことがあると思います。これは一度ならずそういうような御討議があつたように思いますが、なおそれらの点についてはとくと当時の速記録等を調べましてお答えすることにいたしたいと思います。
  66. 山手滿男

    山手委員 これは新聞に最近出ておつて、たまたま長谷川君から聞いたことであつて、これは明らかにわれわれの方からも指摘しておく必要があると思うのであります。石油の統制を行政措置——閣僚審議会なんかでいろいろ外貨の割当をやつておるのだが、どういう根拠でやつておるかと思つて私は一ぺん調査をして勉強してみたことがあるのでありますが、石油のような国際的にはむしろ供給過剰の物資はこれに当てはまりません。世界中の油田が枯渇して、世界中の石油の絶対量が需要より非常に少くなつた場合には、あるいはいろいろな関係から何か異変が起きて石油が枯渇したというような場合にはこれは考えられるが、今日のように国際的に供給過剰であつて、むしろそれの処理に弱つておるような状態では、この法律は絶対適用すべからざるものである、しかもこの第二条の第一項にははつきりと別表によると書いてあるのでありますから、少くともそれを実行しようと思えば、政府がこの法律を改正してかからなければいかぬのであつて、石油の配給や割当や消費規正をやるのに、いかなる事態が起きても法律の改正もしないでいきなりこの法律による政令で行くということになると、これは法律違反だと解釈せざるを得ないのです。この点をはつきりしておいてもらいたい。
  67. 岩武照彦

    ○岩武政府委員 お尋ねの点ごもつともと存じます。昭和二十七年でありますか、この法律を制定いたしますときに国会の御審議におきましてもいろいろ議論があつたのでございますが、一般的にはお尋ねのように、国際的に不足いたしまして当時の情勢としましては国際的な割当、輸出制限等の措置がとられておる物資について行う、これが第二条の第一号並びに第二号に掲げられてある物資であります。第三号のは国内的に供給不足という事態の起つておる物資でございます。それから制限の大要でございますが、割当、配給をいたします場合は、法律の別表に商品の名前をあげて明示して参るということになつております。従つてお尋ねのように、配給のやり方につきまして、たとえば切符制とかいうようなことをとります場合は、別表に記載されておる物資しかできないことは当然であります。ただそこにございますように需給調整のやり方としまして、使用の制限でありますとか、あるいは譲渡、引渡し等の制限という場合には、別表に掲げてあることを必ずしも必要としないとなつておるわけでございますので、法律的なあれといたしましては、国内的な不足物資といたしましても、ここにあがつておるような事態が起りますれば、第三号の規定によつて引渡し、譲渡、使用制限ができる、こういうふうに解釈ができることになつております。問題は第三号の事態が起きるかどうかということだろうと存じております。
  68. 中崎敏

    ○中崎委員 議事進行について。この問題は相当検討を要する問題だと思うのです。そこでこれは今すぐ結論は出ぬと思う。政府の方でももう少し検討されて、次の早い機会に、あるいは委員の質問なり、あるいは政府の方でみずから進んでやられるなり、そういうふうにした方がいいと思います。きようは時間の関係がありますので、この問題が長くなるのはどうかと思います。
  69. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 先ほども申し上げましたごとく、この点はとくとその当時の審議の経過等にかんがみまして、また政府部内の研究のその当時のあれも翻つて調べてみまして、その上でお答えすることにいたしたいと思います。
  70. 山手滿男

    山手委員 この問題は確かにわれわれもよく調べてみたいと思うのですが、私どもはそういうふうに解釈しておらないので、これは国際的に供給不足物資に限つておる。それだから、いきなり法律の冒頭に国際的に供給不足物資と書いてあるのであつて、世界的には供給不足だが、たまたま国内で非常に豊富にあるものもあるわけですから、これは法律の頭に書いてある通り正当に解釈して行かなければいかぬ。もし官房長が言うように解釈するならば、これはたいへん広範囲な物資に関して委任立法をしたことになるのであつて、私はこれは絶対に承服できない。これは苦しまぎれに政府考え出したことだろうと思うのですが、よく考えてやつてもらいたい。
  71. 大西禎夫

    大西委員長 中崎君。
  72. 中崎敏

    ○中崎委員 ごく問題をしぼつて、今の石油の問題に関連してお尋ねしたいが、まず石炭が非常にあり余つておる。最近そうした方面において幾多の困難が生じて来ておるということはわれわれも率直に認めるわけですが、ただ四千八百万トンの当初計画をどこまでも維持しなければならぬのかというところに一つの大きな問題があると思う。同じように現下政策の影響を受けてあらゆる業界が非常に困つておるということは事実なんです。ただ石炭だけが困つておるのじやない。従つて産業の規模全体としてある程度圧縮しなければならぬということを私は再検討する余地があると思う。そこでそのしわ寄せを石油にのみ持つて来るというのは問題ではないかと思いますから、この点については一度再検討願いたいと思います。  それから先ほど鉱山局長からの話によると、先約をしておる、あるいは大臣は先物を食つておるというふうなことでありましたが、一部にはそれがあるかとも思うのです。ところが最近になつて、これは特に先物を食つたというのでなしに、長年の間何かずつと継続しているのではないかというふうに考えておるのであります。と申しますのは、昨年の九月ごろの実績が四十二万キロ、十月が五十、十一月が五十一、十二月が六十、一月が五十一、二月が五十四、三月が五十五というふうに、大体一定の率を維持しておつて、四月あるいは五月になつて業者がよけい買つた。販売量がふえたということになれば、そういうことも言えるのだけれども、大体において傾向的なものが現われて、そのために先物をよけいに買つたという事態はここには見られない。一つには不景気でそれだけのものをたくさん買い置きするだけの余裕は、日本経済では全般的に見てどこにもないのではないか。それだけの先物を持つているということではなしに、事業をやるためには、一月か二月分のランニング・ストツクが必要であるという意味においてストツクはあるかもしれないが、特に先物をよけい買つてつているということは具体的にはないのではないかと考えているのですが、この点について説明を要求したい。
  73. 川上為治

    川上政府委員 私どもといたしましては、二月なり三月の時期において五十五万というような数字にはならないのではないかと考えていたのでございます。特に三月、四月におきましてはもつと減るのじやないかと考えていたのですが、これが予定以上に食つていた。四月におきましては四十八万くらいになつている。昨年の四月を見ますと大体四十二万、二月が三十八万、九月ごろになりましても三十九万とか四十万とかいう数字であるのですが、これが二月、三月、四月になりまして非常にふえていることは、もちろん転換しました設備相当つてふえていることは事実でありましようけれども、やはりある程度先物を食つているのではないかと考えられるわけでございます。二十九年度は大体五百三十七万キロ・リツターぐらいになるであろうと考えましたのは、大体二月の末か三月の初めごろでありまして、これは業界の方と十分連絡もつけ、大体それくらいになるだろうと考えていたのですが、それが実際ふたをあけてみましたら、それ以上相当つている。しかも二月、三月ごろにわれわれが予想した以上に食つているということは、近いうちに相当規正されるということを予想されて、特に大口工場等におきましてある程度買い込んだのじやないかと考えられるわけです。私どもとしましては、これを徹底的に調査して、ほんとうにそれだけ売つているか、買つているかという点を早急に調査したいと考えています。そういう事実はないだろうというお話なんですが、実際いろいろ当つてみますと、ある大きな会社の方で、相当長期にわたつて普通以上に買つている。しかもそのタンクは自分のタンクではなくて、石油の販売業者のタンクを使つているというようなことも聞いております。はたしてこれが事実であるかどうかわかりませんが、そういう点を考えますと、じやこの際月どれくらい配給したらいいかという点がはつきりつかめぬのです。一応三十数万トンというところでやつてみた場合にどういう結果が生ずるかという点を、われわれとしては細部の調査をしまして検討してみたいと考えております。その際の規正のやり方としましては、大口の方を対象に考えて、中小企業については、特に専焼設備を持つているものについては、この際中小企業を転換させて行くというようなことは、われわれとして今のところ考えていないと申し上げたいのであります。
  74. 中崎敏

    ○中崎委員 これは大臣に質問したいのでありますが、この四月から九月までの間において重油の割当の量が相当に減らされている。特に六月以降になりますと、九月のごときは三十万と著しく予定よりも圧縮されているのであります。これによつて重油価格の上に大きな変動を来しはせぬか。先ほど鉱山局長が言いますように、ある大きい工場では相当にストツクをしている形勢がある。もちろんこれは全般的ではないと思いますが、そういうふうなものから見ても、具体的な数字を出されると相当大きな混乱を来しはせぬか。需要家もそうでありますが、ことに供給者の側においてこういう無理な方針は実行できない、責任が持てぬということをはつきり言うているのでありますが、その際における大きな混乱というものについて一体どういう責任をもつて対処されんとするのであるか。また価格の点については一体どういうふうに考えられるか。これだけの無理な規正を一挙にやつて、過去何箇月間の先食いをしたものを、六箇月の間に一ぺんに元へもどせ。しかもその間においては今までよりもよけいストツクを用意し、言いかえればその間における消費量を圧縮して行く。そういうむちやをやつて日本産業全体の上に大きな影響を受けはしないかということを心配するのですが、その点についてどういうふうに対処されるかを伺いたい。
  75. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 その御懸念はまことにごもつともでございますので、先ほど申し上げましたように、しいて言えば五百三十七万キロリツターに対する外貨の割当は、実はものさしのとりようによりまして幾分不明確なものではございますが、要するに昨年度以上の重油の消費量に対して外貨の割当はいたしたくないということを基本方針として、先ほど御指摘がありましたように、石油業者等も伝えられた第一次の通産省の試案ではちよつと自分らも責任を持てないというような申入れや陳情も来るくらいでございますから、それを一つの基礎にして、できるだけ無理のないように事態が推移するようにいたしたいと考えているのでありまして、要は数字の問題になつて来ておりますので、この作業の方も急いで進めるようにいたしたいと思います。その結果多少の調整ということは考えなければならないかと思います。まだ的確な見込みまでは持つておりません。  それから価格の点につきましては、需要者がどれくらいの貯油を持つているかということも、実は法制の背景がございませんから、実際は聞き込みとか調査とかいう程度になるのでありますが、ある程度のものは用意がされているらしいので、現実には今度パイプから出すものをある程度締めましても、実際の需要に対する影響は、あるいは想像よりは緩和されるのかもしれないのであります。そういう点は特に大口の需要者等に対しては、数も少いことでございますから、業界を通じてざつくばらんにできるだけ腹を合せて、この危局を乗り切るのにどうしたらいいかということで話合いを進めたいと思います。価格の点につきましては、的確にどれくらい上るであろうかという点は、今のところ需給の関係がはつきりした見すえがつきませんので、多少上る傾向にあるいはなろうかとも思いますが、大したことはないのではなかろうかと今のところは感じております。
  76. 中崎敏

    ○中崎委員 一面において重油の採算的に低い燃料が押えられていて、それだけ産業はコスト高になる。一面において重油が押えられて、価格の値上りによつてそれだけコストが高くなる。そうすると、これらを使つている重要産業が、逆にコスト高によつて原価が上つて来る。そうすると政府考えておられる物価を五%か一〇%下げて行くという目標から見ても、反対の方向に行くのではないかと考えられて、われわれ憂慮しているのであります。この点についての見通しはいかがですか。
  77. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 その点は、一つは石炭の炭価がどの程度になるであろうかという見通しとあわせて考えなければなりませんので、的確に申し上げるには、たとえば石炭の出炭量をどれくらいが適正なものとして、新しいこの段階において設定できるであろうかということがきまらない現状においては、数字的にちよつと私も申し上げるだけの自信がないのでありますが、もし重油が非常に暴騰するということがあつて、それがコストに対する影響ありということになりますと、これは私どもが期待しておりますようなこととは結果が逆になることは御指摘の通りでございます。しかし燃料としての重油の消費を各業態別にずつと当つて参りますと、比率としては比較的少いということも言えるわけでございますので、今のところ抽象的にしか申し上げられないので遺憾でございますが、ただいま御指摘になりましたようなことを総合的に研究いたしまして、至急にその見通しを立てたいと思つております。
  78. 中崎敏

    ○中崎委員 もう一点だけ簡単にお伺いいたします。ここまで無理をして行かれるということになると、業界全体としてはことに供給側の意向が強いのでありますが、むしろ切符制によつて行かなければ非常に混乱を生ずるのではないか、言いかえればこの事業にはこれだけ割当てると計画的にやつて行く、横流しをやつた者は徹底的な処分をするというような方法において責任を持つた計画の線に乗つて行くのでなければ実行できないということを言うておるのですが、この重油に対する切符制度については一体どういうふうに考えておられますか。
  79. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 この点も実はその当時から御説明申し上げておりましたように、私としては外貨予算の編成と関連いたしまして、ある物資についていわゆる統制が必要であるかどうかということを真剣に検討いたしたのでありますが、現在のところその必要なしということで私どもとしての結論を出しました。重油につきましては、先ほど御論議がございましたが、その消費の規正についてはできるだけ切符制度というような具体的な直接統制を行わずして、行政的に、あるいは業界の自主的御協力によつて、あるいは場合によつて法制の基礎を持つものとしても既存の法制を援用してやれる程度にとどめたいと現在でも考えておりますが、しかし事態が非常にかわつて参りますればまたそのときはそのときといたしまして考究いたさなければならぬかと思つております。
  80. 中崎敏

    ○中崎委員 私はこれで終ります。
  81. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 官房長に御質問します。あなたの考え方に大きな間違いを生じているから私が教えてあげます。国際的供給不足物資等の需給調整に関する臨時措置に関する法律という長い名前の法律は、これは他国の要求等によつてつくつたものであつて、本年に入つて一年延期をしなければならないという理由もそこにあるのである、それを一年延期する理由の中にはあなたのような解釈のものは少しもありません。一年延期しようというあなたの魂胆がこの石油にあつたのならば、その当時からあつたとはつきり言つてください。私たちはもつと純真な、清純な気持でもつてあなたを信頼して、そのまま通したつもりでございます。しかるに今日に至つて、その中に政令で入れてもさしつかえないなどというあなたの考え方には、私は大きな異見があります。冒頭からそういうお考えであつてわれわれをかくだまかそうという計画であつたかいなかをはつきり言つてください。
  82. 岩武照彦

    ○岩武政府委員 ただいま長谷川委員からのお尋ねでございますが、延期いたします当時は、その当時残つておりますフエロモリブデン、タングステンの問題でありましたか、それにつきましてアメリカで輸出制限等の措置が講じられておりますので、そのために延期したわけでございますが、当時からこういう事態を予見いたしまして何とか委員会を通してあとでというようなことは毛頭考えておりません。ただこれは法律書生の三百代言というふうにおとりになるとはなはだ何でございますが、非常な事態が急に起りまして公共の安全を害するというふうなまでになりましたときに、国では何も手が打てないのか、国会の開会まで荏苒手をこまねいて持つのかというような事態になりますと、これは解釈上この法律でも何とかでき得る道があるのでございますから、そういうときにはこの法律でやつて行こう、こういうことでございまして、いわば若干こじつけになるかと存じますけれども、法律的には一応成り立ち得るかと存じておりますので、御了承願いたいと存じます。
  83. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 とんでもない話です。モリブデンやタングステンは世界の生産量が幾らあるか御承知なんですか。石油の生産量は世界的になんぼあるか。一九五二年には七億四千万トンですよ。モリブデンやタングステンはどのくらいあるかあなたは知つておりますか。その品目と同様に取扱うなどという考え方を持つだけでも、世界の人々に笑われますよ。だれがそうさせたのですか。あなた方の内閣がかくのごとく追い込んだのではないか。その責任をさらにこういうふうな法律によつて一般中小企業を苦しめようなどという考え方は、実に何といつてお話申し上げていいか、私は話の申し上げようがない。この種の法律の中に石油を取扱うなどという考え方は毛頭思つてはならないということです。行政の仕方でもつてこれらは幾らでもどんなやりくりでもついて行くことです。それをあなた方は、ただ法律をつくつて政令で出せばそれで行くのだ、こういう考え方をいまだ持つておる。政府にそういう方があるということは、もうその話を聞いただけで話を進める気持がありません。  もう一つ局長に伺います。官房長や大臣の考え政府考え方は、これは問題にならぬ。行政に直接担当する局長は、政府の燃料及び動力の政策を、政府はどういうふうに考えて進んで行く考え方なのか。本日の毎日新聞の社説を見て私は非常に感に打たれました。議会は何をしているのだ、政府政府で場当り的な政治をまだ繰返す考え方なのか、こういうふうに言つております。私はその通りだと考えます。そこで私たちの考え方は、少くともあなたがおつしやつた五百三十七万キロリツターというものを確保するという考え方で行くならば、これは石炭との関係もあるからやむを得ないという考え方でもつて今日それが推進されるものなりと考えて来た。ところが三十五万キロリツター前貸しがあるのだから、その前貸しを天引きしてよこせとかなんとか言つておるけれども、あなたが行政をやつておる上において——これはあなたの行政の所管ですよ。それをあなたは大臣が言つたから、さようでございますかと言つて聞いて来たのでしよう。あなたは貸しがあるのだから、これをふんだくつて、あと三十五万キロリツター取上げましよう、とあなたが言つておるのか。あなたの話をさつきから聞いておりますと非常に矛盾があり過ぎる。矛盾があり過ぎるということは、予想した買付だとか、あるいは買いだめがあるとか言つておる。買いだめがあるなどといつても、先ほど言つた通り大きなところの一、二社しかない。一、二社だけしかないものをあなたはひつぱり出して、そうして行政を担当するあなた自身が中小企業一般を苦しめるようなことを言つておるではないか。これは政策問題なんだから、燃料及び動力に対する大きな政策をどういうふうに持つて行くか、それから承つておきましよう。
  84. 川上為治

    川上政府委員 重油につきましては、この委員会におきましてもお話がありましたように、やはり石炭との調整ということを主眼に考えまして、五百三十七万キロリツターというものをきめたわけでございます。私どもの方としましては五百三十七万キロリツターでとどめたいということは、実は今年の三月、あるいはもう二月の末ごろから業界に対しましてはそういう線でひとつ販売をやつてもらいたい、そうしますと上半期においては月に大体四十二万キロリツターということになりますので、大体その程度で配給をひとつやつてもらいたい、従つてそのためには暖厨房とかあるいはそれに類するようなものについては極力配給しないでやつてもらいたい、そのかわりに農水産関係とか、そういうものは確保して参りたいというような行政指導をずつとやつてつたのであります。これは今回のごとく通牒を発してまでそれによつて規正しようとまでは行つておりませんでしたが、実は業界の方から、その程度の数字を示しますならば、われわれとしては自主的にやるからという話がありましたので、われわれは石油業界のそういう考え方を信頼いたしまして、実はこの五百三十七万キロリツトルというものを実行することに相なつたわけであります。ただはなはだ遺憾なのは、そういうことが実行されなかつた。最初の四十二万キロリツトルというベースが、四月においては四十八万とか、あるいは五月においては四十五万、しかも四月以降に当然食うべきものを、四月以前の二月、三月ごろに食つておるというようなことからいたしまして、われわれとしては急にこの際こういうような措置をとらなければならぬことになつたわけであります。業界の方でも石炭との関係とか、あるいは外貨との関係とか、そういう点をほんとうに考えて、われわれの方に協力してくれるならば、私どもの方としましては、おそらく四十二万を越すような、そういう販売の状況にはならなかつたのじやないかと考えますが、その点につきましては、そういうふうに業界を強く指導しなかつた私どもの責任でありますけれども、少くとも私としましては、従来からそういうことを再々言つて参りましたし、それは自主的にやるからということを信頼して参つた関係からいいましても、少くとも私は三月までに食つてしまつた三十五万は、どうしてもひとつ業界の方で返してもらわなければならぬというような気持で、この問題については今対処しておるわけであります。決して大臣の方からその話があつて、お前は三十五万を取返すようにやれといつたのではなくて、私は少くともそういうような気持で業界の方が、これに協力してくれるようにという意味から、今申しました少くとも先売りしたものは返してもらう。返すということは、それだけ将来においても節約し、また一面自分が持つておる取得をそのままにしておいて、これをなるべく節約して行くようにと言つておるわけでございます。
  85. 山手滿男

    山手委員 関連して。国際的供給不足物資について、政府相当研究しておられるし、鉱山局長が今のような答弁をされることについても、何であろうかということで、いろいろ腹を合せて研究をしておられるようであります。私どもは、この石油なんか実際統制をしてやるならやるように、法律をつくつてやるべきだ。そして国民にもこういうものは大切にしなければならぬということを教えてやる必要もあるのだ。それをこじつけていいかげんなことをすることはいかぬと私どもは思つておるのでありまして、今の官房長の見解に対して、私どもはまつ向から反対せざるを得ない。重要なことですから、ここでひとつ研究もしてもらわなければいかぬし、私どもの見解を明らかにしておきます。この法律の第一条に、「この法律は、国際的に供給が不足する物資等の需給を調整することにより、国民経済の健全な発展を図るとともに、国際経済の円滑な運行に寄与することを目的とする。」と書いてある。官房長はおそらく「国際的に供給が不足する物資等」の「等」という字句にひつかかつて、国際的に供給下足でないものまでも入れ得るとお考えのようでありますが、この法律の目的は、そのあとの段に書いてある「国民経済の健全な発展を図るとともに、国際経済の円滑な運行に寄与することを目的とする。」というのであつて、「国際経済の円滑な運行に寄与する」ということが、この法律の目標であります。しかし、それにはもう一つ「国民経済の健全な発展を図るとともに、」と書いてある。だから、国際経済の発展をはかるためだけに、この法律を適用することはできない。「国民経済の健全な発展を図るとともに、国際経済の円滑な運行に寄与する」という方法、目的がなければならないわけでありまして、これを抜きにして国際経済に何ら寄与することのないような、日本が石油の統制をやつて配給消費規正をやつて、何で国際経済の運営に寄与できるのですか。これは何の役にも立たない。この目的を逸脱しては、この法律は運営できないのですよ。私はそういう考え方のもとに、政府が思想統一をし、その上に立つて、鉱山局が今お話のような行政指導をやるのだ、そうでなければこれでやるのだといつて業界をおどしつけて行くというようなやり方は邪道だと思います。私はこういう見解を明らかに申し上げておきますから、ひとつ研究してもらいたい。
  86. 岩武照彦

    ○岩武政府委員 法律の目的と手段との関係につきましては因果関係のいろいろな問題があるだろうと思いますが、国民経済の健全な発達ということが目的の第一に上つて来るわけでございます。石油関係の需給が混乱いたしましたときに、これがはたしてどうしたら国民経済の健全な発達をはかり得るかという問題になるだろうと思います。そこで最小限度の需給調整の措置を講じまして混乱をなくするということも一つの方法かと存じております。なお法律的にはいろいろこじつけがましいような議論になりまして、先ほど「等」の文字にこだわつておるという御指摘もありましたが、不足しない物資につきましても、国民経済の健全な発達をはるためには、場合によつてはこの法律を援用し得るのではないかと法律的には一応考えたのであります。国際経済の発展に寄与すると申しますのは、これは御指摘のような場合にはなかなかむずかしいかと存じますが、ひいて国民経済の健全な発達をはかり、それと同時に日本の国民経済が健全になりますことによつて世界経済の発展にも寄与するのじやないか、こういうふうに考えておるわけでございます。石油のような事態が起きました場合、日本のように外貨保有高の少い国は、無制限に輸入いたしますと、相当巨額に達することは当然想像できるのであります。そうした場合に、日本の外貨ポジシヨンの問題からしまして、ある程度の混乱が世界経済に起きることも考えられますので、この辺の因果関係の御説明は若干循環の道があるかと存じますが、いずれにしましても、ある程度国内の需給安定をさせまして、国民経済の混乱を少くさせるということが一応この法律の目標という中に入り得ると考えてよいのじやないかと存じております。  なお御指摘のように全体の立法の建前といたしましては、これは国内だけで不足しておりまする物資の需給調整をはかりますために、別途のはつきりした法律、たとえばこの法律が作用いたします場合、臨時物資需給調整法といつた形のものができますれば、そういうふうな法律で正面から取つ組んでやるのが適当かとも存ぜられますが、現在の時代ではそういう立法も期待できませんし、かたがた需給が逼迫いたしましては公共の安全を害するということになりまして、行政府の方で何も打つ手を考えなくて、ただ見て行政指導だけでやつておるということも、行政機関たる責務を果すゆえんでもないかと存ぜられますので、万一の場合にはそういうふうな寄りかかりによりまして、何らかの措置を講ずることも、これまた行政機関の責務かとも存じております。十分そういう点を研究して参りたいと存じておりますが、一応今の考え方といたしましては以上申し上げた通りでございます。
  87. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 局長に伺います。かつて私が委員会においてあなたに質問申し上げたときの中村小委員長もおりますが、重という名前のつく産業には石炭を使うことをきめたらどうか、なぜきめなければならないかというと、重要産業というものと石油というものは最も重大な関係を持つのである。国内の石油というものは、日本国内で使つているところの〇・五くらいしかとれてない。であるから重要産業には全部石炭を使つてもらうのが当然じやないか。総合燃料政策を樹立する上においては、当然そうすべきであると私はあなたに問うたことがある。ところがあなたの方は、重要産業は第一義であるというので、この燃料政策というものが出て来た。私の案に賛成してくれる者は当時なかつたために、とうとう本省のあなた方の案がそのままでき上つたわけであります。今日振りかえつて見るのに、それほど重要産業が不安な燃料にまたなければならないという結果がここに現われて来ておるのでありまして、今後の重要産業というもの、さらに輸出産業は、コストが第一に考えられて、コスト高であるがゆえに日本の輸出貿易が行われないのだということを常に政府は答えている。そうなつて来ると、すべての政策、政治、つまり行政の面にも矛盾が現われて来はしないか。あなたの考えは、その当時の考えと今の考え方と同じであるかどうかという点をひとつ聞かしていただきたいのであります。
  88. 川上為治

    川上政府委員 谷川先生がおつしやいますように、石油というのは国際的に非常に不安であるから、国内のたとえば鉄鋼でありますとか、あるいは電力でありますとか、そういうような重点産業につきましては、石炭を原則として使うべきであつて、重油を使うべきではないというようなお考えにつきましては、非常にごもつともな点が私はあると考えられるのであります。ただ現在この石油の供給につきましては、ある程度の外貨を出しますればほとんど買い得るというような状況にありますし、買えないというようなことは、ここ見通しとしましてもないんじやないかというふうに考えますと、その貴重な外貨をもつてこの国内産業なり、そうした方面に配給するということになりますれば、やはり暖厨房とかそういうものに配給しないで、輸出向けの産業とか、そういう特別に重要な産業に配給すべきではないかというふうに私はまだ考えておりますし、先般申し上げましたような考え方は、今のところは全然かえておりません。また通産省の内部におきましても、大部分がそういうような考えを持つておりますし、先般のこの委員会におきましても、大体そういうようなお考えじやなかつたかというふうに考えるわけです。ただ長谷川先生のお考えは、私はまたもつともな点もあると考えておりまして、その点は将来の問題として十分研究をしたいと考えております。
  89. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 そこで局長にくどいようだけれども承るのですが、そういうふうな考え方がかわつてないのだということになると、局のあなた方みずからの出した指令には矛盾が現われて来はしないかと思う。三十五万八千は九月末には在庫しろというようなこと、それで三十万で行けということになつて来るとやれつこないのです。やれつこないことを政府がそういう命令を出したために、今あなたのところに陳情書を持つて行つた。また中小企業を問わず、重要産業を問わず、重点産業を問わず、たくさん陳情が来ておる。だからこういうようなばかげたことを言わないで、三十五万八千は九月末に在庫させるなどと書くようなことをしなくても、行政の方法があるんじやないかと考える。何でもそうなんです。一つの数字に現わしてしまうのだから、さあ少いから買付するということになつて来る。そういう原動力をつけるのはみなあなた方がつけるのです。ですからそういうことをやるためにも、これがあるとしたならば、なるべく抑える方法として、四十二万から四十五万を使つたことになつたら、言葉なら言葉をもつてしても指示ができると思う。こういうプリントしたものを一々出してやると、いささか疑惑を持たれて騒ぎが起つて来る。まだ今月はよいが、来月に三十万を出してやるとしたらやつてごらんなさい。あなたのお部屋には朝から晩まで陳情で一ぱいです。中小企業、大企業といわず、何ゆえに重油に転換したのかという原因はわかつておるでしよう。石炭は高いことと、またそれを使うのに大きな広場が必要だ。たとえば東京都内のような密集したところに行つてみれば、それらの置場にも困つておる。そういういろいろな条件が出て来た。まず第一に考えられるのが価格という面である。その価格でもつて、重油を使つて生産して、その製品を世界市場に出してやつても、日本の製品が負けないでやつて行けるという考え方でもつて、あなた方はこれを一時ずいぶん奨励した。奨励して、その舌のかわかぬうちに規正するのだと言う。するならしてもよいけれども、それを極端にやつて行こうというところに問題があるのですから、こういう点について十分考えてみてもらわなければならぬと思う。従つて三十万トンというこんなべらぼうなことを言つたところで、業者はとうていこんなことでは承服するものではない。業者はどうあろうとかまわないが、一般産業界は、これでは、さようでございますかと言つて納得はいたしません。であるから、この点についての考えを直さなければならぬ。私は次会に大臣が来てからゆつくり御質問申し上げますけれども、使え使えといつて奨励しておいて、昨年度の割当分が今年度に食い込んで予算を使い過ぎたから、今になつてこれを差引くのだという、そんなべらぼうなことはない。そんな政策を立てられ、それを実現しようという大臣がいまだこの世の中におるとすれば大きな間違いだから、ゆつくり次会にまた伺いますけれども、局長は直接行政に当るお方ですから、もう少し親心をもつて考慮願いたいということを申し上げて、私の質問は終ります。
  90. 川上為治

    川上政府委員 実は先ほど申し上げましたように、私の方としては、この二月ごろ二十九年度の外貨予算をいろいろ研究しておりました際に、五百五十万とか五百万以下とかいうようないろいろな説もあつて、本年度は二十八年度程度でやつてもらわなければ、石炭との関係とか何かの関係でとてもうまく行かないから、そういうことでやつてもらいたいということを業界の方にもさんざん話をし、また業界の方でも、そういう数字を示してもらえば、われわれの方としては、それで十分ひとつ協力して行くというような話もありまして、この五百三十七万ということにきまつたのでありますが、それを大体一月の量にいたしますと、四十二万くらいということは先ほど申し上げた通りであります。四月、五月は四十二万くらいで踏み出す予定になつておりまして、そういうことで業界の方でも大体了承して参つて来ていただいたものが、ふたをあけてみたら相当使い込んでいた。長谷川さんは、私が何とか言えば業界もちやんと守つてやるだろう、私が通牒を出さなくてもよいでしようというお話でしたけれども、実は決してそういうものではなくて、私が相当口をすつぱくして言いましても、なかなかそう思うように行かないのです。ほんとうにそういうように協力してくれればまことにけつこうだと思いますけれども、そういうようなことで結局相当程度つてしまうようになる状態になつておりますので、われわれとしては、この際どうしても相当強く引締めなければ、年間の五百三十七万というものもこれではとても収まらぬということになるおそれがありますので、私どもとしましては、こういう方針をはつきりきめて、これで何とか引締めて行きたいというふうに考えております。九月末に三十五、六万必ず持たせるということでなければ、ルーズになつて、ついまた相当の量を食つてしまつて、結局年間五百三十七万というベースは全然くずれてしまつて、おそらく六百万以上ということになつて来はせぬか。そうなりますと、石炭企業が非常に弱つている最中でありますので、これはたいへんなことになるというふうに私どもの方では考えておるわけでありまして、何とかしてこの際需要者の方もまた中間の販売業者もこれに対しまして協力して持つて行きたいというふうに考えています。ただ三十何万というのは、現在なお作業いたしておりますが、需要者別の方からにらんで、それではたして収まるかということは、先ほども大臣からお話がありましたように、ある程度の調整は行うことになるかもしれないというふうに私は考えていますが、いずれにしても、どうしてもこの際引締めなければ——これは引締めないでおくととんでもないことになるという点だけははつきりしておるというふうに考えるのであります。
  91. 大西禎夫

    大西委員長 中崎君。
  92. 中崎敏

    ○中崎委員 今の問題にちよつと関連して伺いますが、当初外貨予算を組まれる際に、重油について五百三十七万キロという線が出されたわけですが、金額については全然議論されなかつたわけです。言いかえると、数量によつて押えて行く。ところが外貨予算というのは金額の予算でありますから、金額の面においてはどういうふうな考慮を払われたかお聞きしたい。
  93. 川上為治

    川上政府委員 五百三十七万キロリツターに該当する金額そのものは今日持つてつておりませんが、大体ガソリンとか重油とか全体を合せまして一億三千幾らあります。はつきりした数字を覚えておりませんが、大体一億四千万ドル弱ということになつておりまして、数量的に見ますとこのうち大体半分程度、これが重油になつております。従いまして外貨予算におきましても、一応わくというのはきまつておるのですが、しかし重油については外貨予算ということよりも、むしろ数量が非常に問題になつたわけでありまして、この通産委員会の小委員会におきましても、この問題が非常に論議されまして、石炭との見合いから五百三十七万くらいが適当であろうということになりまして、その線はわれわれとしても何とかしてどこまでも進めて行きたいという考えを持つておるわけです。ガソリンとかあるいは燈軽油、特に燈油というようなものについては、これはたしか一応五十万という数字が出ておりますが、これは若干ふえてもそれほど問題じやないというようなことでございまして、これは外貨の方は一応押えられておりますけれども、値段を安くして数量を五十万からもつとふやすということは、これは大した問題になつていないわけです。ただ重油については、石炭企業との関係から五百三十七万というのは非常にやかましくきめられておる数字でありますので、私どもの方としては何とかしてこれで進みたいというふうに考えておるわけであります。また最近におきましては、五百三十七万という数字そのものについても、石炭企業の現在の状況からいつてもう百万キロリツター切れとか、あるいは六、七十万切れという声が非常に多いわけでありまして、実はこの委員会におきましては、まだそういうお話は聞きませんけれども、ほかの委員会におきましてわれわれの方に非常に強くそういうことを言われておる人たちも多いわけでございます。その点はよけいなことでありますけれども、ちよつと申し上げておきたいと思います。
  94. 中崎敏

    ○中崎委員 こういう石油系について非常に無理をされておる、ことに重油についてそうですが、これは自由党の吉田さんの側近の炭鉱の大手筋のもののいろいろな圧力があるのではないかという印象を受けておる人も相当あるわけです。だからどう見ても納得の行くような、むちやをしておるという印象を受けないように、ことに石油行政に責任を持つておられる鉱山局長は腹をすえて検討をしていただきたい。ことに今四千八百万トンの石炭などというものは、これは日本経済が引続いて上伸の状態にあるところのものの目標であつて、すべてがこの半年の間に行き詰まつて来て、一切の生産が停止して、逆に逆転しておるというときにおいて、石炭のみの増産をはかつておる。そしてその合理化もはからないでそれだけを温存させようということは、最も跛行的な行政だと考えるわけです。そういう意味において石油のみに圧力を加えないで、少くとも全体の均衡のとれた合理的な一つの政策を打立てられるように、一層強力にその点を推進していただきたいということを要望しておきます。  次に飛行機に関する問題でありますが、防衛隊の五箇年計画程度のものはすでにお持ち合せになつておると思いますが、これはなかなかそう簡単に発表にならないようであります。これをまた局長に聞くのも少し問題が大き過ぎやしないかと思うのでありますが、少くとも航空機に関する製造を許可するとか、どの工場をどういうようにするとか、どの機種をどういうふうにするというような根本問題を検討する上において、一番大きな需要者で、ここ当分ほとんど大部分を占めると考えられる保安庁において、どういう飛行機等に対する計画を持つておられるか、それを知る必要があると思うのでありますので、その範囲においてひとつ御説明願いたい。
  95. 久保亀夫

    ○久保政府委員 仰せの通り私どもは事務当局といたしまして、計画としてはいろいろああでもないこうでもないという、小さい、大きい計画もありますし、保安庁としてきまつたもの等も参つておりませんし、もちろん政府としての案というものは率直に申しますとないと申し上げるよりほかないのであります。ただ私どもの研究題目といたしまして、たとえば機種の問題にいたしましても、練習機にはどういう系列を使う、あるいは第一線機にはどういう機種が主になるであろうということにつきましては、もちろんMSAの供与機種と関連して、また日本側の見解も加えていろいろと検討しておることは事実であります。たとえば練習機については、初級の練習機としてT三四メンターを採用するという前提で、これはすでに御承知かと思いますが、ある程度生産段階にも入りつつあるわけであります。それからまたジエツトの練習機といたしましては、大体T三三が中心になるのではないか、あるいは第一線機といたしましては、今のところF八六の系列が大体主力になるのではないか、この数字につきましてはただいま初めに申し上げましたように、いろいろな見方、いろいろな計画がありまして、簡単に申し上げられません。またきまつた計画もございませんが、生産計画としましては、たとえば最小経済単位といつたようなものを頭におきまして、生産の計画といいますか、ここまで参りませんでも、そういつたものを頭に置いて考えて行く、こういう程度のことは研究題目として私どもも頭に持つて研究しておる、こういうことは申し上げられるかと思います。
  96. 中崎敏

    ○中崎委員 たとえば防衛にいたしましても、ソ連がどうであるとか、中共がどうであるとか、世界の情勢がどうであるということを絶えず研究して、その上に一つの防衛計画を立てられ、これが実行されるべきものだと思うのです。何もかもいわゆる自由主義で、行き当りばつたりで、何も計画がないというのでは防衛というものはできぬと思います。そういう意味において、何らかの計画はあると思う。ことに管轄しておられる飛行機についても、本年度はどうであつて来年度はどうであつて、少くとも二、三年程度の見通しは立てられるはずだと思うのですが、そういうふうなものが明らかにされないということは、現に持ち合せがないのか。持ち合せがないとするならば、たとえばアメリカに、そのときになつて一々その年度のことを小きざみに相談して行かなければできぬのであるか、あるいは日本政府はもう少し自主的にそういうことができる立場に置かれておるのか、そういう意味のことを少しでもここでお話願いたいと思います。
  97. 久保亀夫

    ○久保政府委員 それは非常にむずかしい問題でありまして、もちろん初めにおつしやつたような外国の勢力とかそういつたものとあわせ考え、またアメリカとの共同作戦というようなことで、研究課題としていろいろな情勢を想定して、ああでもない、こうでもないといつた数字は幾つも持ち合わせておると申しますか、あるいはきまつたものはないと申し上げた方がよいかもしれませんが、持つておりますが、いずれにしても毎年度の予算あるいは財政のわくの見通し、あるいは米軍の供与の情勢、そういうものを見合せないと、コンクリートな計画にはどうしても到達できないわけです。私どもとしては遺憾ながら、いわゆる長期計画としては、コンクリートな、固まつたものとして提示するといつたような事態になつていないわけでありまして、その面において若干仕事のやりにくい点はもちろんあるわけでございますが、計算の面からいたしますと、たとえば最小経済単位といつたようなものを別途想定して計画を立てる、そういうことをあわせ考えつつ、そういつた計画を調整しておるわけであります。
  98. 中崎敏

    ○中崎委員 たとえば通産省においてこの法律法律化された場合にどういう工場に対してどういう設備を許し、どういう種類の製造をさせるということを一々許可されることになるのでありますが、一番大きな需要先であるあなた方の方の方針なり見通しなりが今のような状態では、通産省としても手の出しようがないと思うのです。その点はどういうことになるのですか。
  99. 久保亀夫

    ○久保政府委員 ただいま申し上げましたように、機種につきましては、そう遠からずある程度確実なものがきまつて来ましようし、それから繰返し申し上げるようでありますが、主力となる機種につきましては、少くとも最小経済単位の生産計画を立てるとか、そういうことはできるのではないか。これは必ずしも何機とかあるいは何十機とかいうことがはつきりしなくても、最小経済単位としては、五機とかあるいはものによつては十機、そういうような考え方で立つて行くのではないかと考えております。
  100. 中崎敏

    ○中崎委員 私至つてしろうとで、様子がわからないのでありますが、機種についてはざつと見通しはつくのでありますが、最小経済単位というものがどの機種についてはどの程度であるかということは全然わからないのですが、経済単位のおよその常識的なものでもいいからひとつお示し願いたいと思います。
  101. 久保亀夫

    ○久保政府委員 それははつきりと私どもから申し上げるわけには参りませんが、あるいはこれはむしろ通産省の方で御研究になることかと思いますが、ある設備資金あるいはでき上りの一機当りの価格、そういつたようなものをかりにアメリカあたり生産費とも比べて、この程度ならばコマーシヤル・ベースに乗るのではないか、そういつたようないろいろな要素から研究して行けば、経済単位といいますか、大体最小このくらいならば生産計画が立つて行く、あるいは経営して行けるという計画は立つものと考えております。
  102. 中崎敏

    ○中崎委員 徳永局長にお伺いしますが、今の最低経済単位を取扱われる際において、一応通産省の方においても一つの見通しを立てて許可されるのが当然のことと思います。ただ漫然とこれではいかぬとか、一つにするとかなんとかいうことはできないわけです。資金計画、設備計画、ことに二重投資を防ぐということがこの法案の趣旨でもあります。そういうような点から見て、各機種を単位にして経済単位の数量的なものはおよそどんな見通しを立つておられるかお聞きしたいのであります。
  103. 徳永久次

    ○徳永政府委員 なかなかむずかしい問題でありますけれども、結局一番大きく影響いたしますのは、その機種ごとに投下設備にどのくらいのお金を要するかということが一番大きく影響するだろうと思います。同じ機体にいたしましても、練習機の機体の場合あるいはジエツト機の機体の場合でその投下の額が非常に違つて来るわけであります。また投下資本の大きくなるものは、同時にまたむずかしいから投下資本が大きくなる。従つてでき上ります製品自体も、簡単なものは安いし、むずかしいものは高いということにもなるわけであります。そこらから出て参るわけでありますけれども、どう考えましても月産五機まで下り得ますかどうか、まあ十機程度までがいいところかと思いますが、しかし十機なければ成り立たぬということにも一概に言えないだろうと思います。これは機体の場合であります。エンジンの場合は、それがもう少し台数が多くなりまして、機体の倍程度の割合の生産にならないと、おそらく企業的なそろばんに合わぬだろうというふうに見ておるわけであります、しかし、これは最初に申し上げましたように、機種そのものによりまして最小限度五機でも成り立つということも言えると思います。あるいは十機なければ成り立たぬということもありますが、大ざつぱに申しますと、機体では五機ないし十機程度というのが最低だろうというふうに見ていいのではなかろうかと思つております。
  104. 中崎敏

    ○中崎委員 そうしますと、大体一機種会社というふうな方針で行かれるのですか、あるいはものによつては二会社ぐらい考えておるというようなことになるのですか、そこのところをお伺いしたい。
  105. 徳永久次

    ○徳永政府委員 これは先ほど保安庁の方からお話ございましたように、もとの計画自身がはつきりいたさない点もあるわけであります。抽象的にだけ考えますれば、同じ機種について企業が二つあつた方が両方競争して事業の進歩に役立つということも言えるのですが、需要があまり少い段階でしたら、むしろ一機種企業の形にした方がその企業経済的に安定し得るし伸び得る。その最小限度の基準を割つてしまえば、もういずれも経済的には成立たなくなるということで、航空機工業自身が育ち得ないということにもなるわけでありまして、それはもつぱら需要いかんによるということでございますが、まあある程度考えられますことは、日本経済力の今の弱さということから見ますと、一機種に数工場といううなことは、今の状態からもう少し日本の国力が伸びない場合には、しばらくの間はむずかしいのじやなかろうかということも考えておるわけであります。  それから先ほどちよつと申し忘れましたけれども、機種が違いましても、たとえばある機種がタイプが似ておるというような場合には、同じ装置、投下設備で二つのものがこなし得るというようなことにも相なりまするし、機種としては違うが、二つを合せて一企業でというようなことも考えられるわけでありまして、たとえばある機種は月産五機くらいの需要しかない、しかしほとんど類似の機械がかりに月産二機なら二機というくらいの需要があれば、合せて七機くらいになつて、どうにか企業的に成り立つという関係も出て参るわけであります。具体的な需要のかたまりに応じて、その機種の組合せ等から見て、これは日本企業的に成り立つか成り立たぬかということもきめて行かなければならぬと考えておるわけであります。
  106. 中崎敏

    ○中崎委員 ことに保安庁の方からはあまり国民を納得せしめるようなことは全然知らされていないのです、今まで国会を通して。これは非常に遺憾なことと思うのでありますが、これは機密保護法、ああいう類のものができれば、今度はその保護法の根拠の上に立つて、そうしたようなことを話さない立場を与えるのかどうか。そういう権限というか、法的にそういうふうになるのかどうか、そこのところをひとつ聞きたい。
  107. 久保亀夫

    ○久保政府委員 機密保護法との関係は、現在審議されております法案通り、装備品の性能あるいは数量あるいはそれに関する技術、知識といつたような限定をされておりまして、それが御承知のように米軍側で秘密になつておるものということになつておるわけでありまして、向う側で秘密になつていない事項が、日本側だけで秘密になるといつたような解釈はございません。ですからもしそういう計画ができますれば、私ども国会で御質問があれば、当然お答えをすべきものだ、かように考えております。ただ計画がないということでありますれば、これは申し上げる段階にも参らぬと思います。私の考えでは、もし計画ができますれば、機密保護法で申し上げないということには参らないと考えております。
  108. 中崎敏

    ○中崎委員 率直に言つて、計画はないないと言つておられるが、ないはずはないと思うんです。そこまで言わなければならぬというのは、ことにアメリカに対する関係であるのか、あるいは軍機に関することであるというふうにお考えになつておるのか、どつちかでなければならぬと思うんです。言いかえると、ソ連等にそういうことは知らしたくないというふうな考え方であるか。あるいはアメリカの方との関係において、およその見通しはついておるんだが、まだ決定的なところまで行つていないのか。あるいはアメリカの方においてこういうことは発表されては困るというふうな申合せ等でもあつて、そうしておるのか。そのうちのどれかに当るものじやないかと思うのでありますが、そこらの点について多少でもこうだというふうな事情が、納得が行くというか、そう詳しい説明をせぬでも、およそどういうふうなものであろうかというようなことは、知らしておく必要があるのじやないかと思いますが、そこらの点について、ことに飛行機の計画等に関する範囲でいいですから、お聞かせ願いたいと思います。
  109. 久保亀夫

    ○久保政府委員 その点は繰返し申し上げるようですが、私ども事務当局としては、もちろん研究課題として、航空機に限らず、全体の防衛計画としても、ああでもない、こうでもない、小さいのもありますれば、大きいのもありますれば、まん中ごろのものもある。いろいろ数字を持ち合せて検討しておる。これに対してこれが財政のわくから行くとどうなるだろうか。あるいは先ほどお話のあつた外国の勢力はどうであるとか、あるいは共同作戦はどうであるとか、いろいろな角度から今の案を検討しておるわけであります。ですからこれが現存持つておる計画であるということは申し上げるわけには参らぬ、こういう意味で申し上げたわけであります。五つも六つもある、百から千まであるというようなことでは、これはお示しする計画ということにはならないのではないか、かように存じております。
  110. 中崎敏

    ○中崎委員 どうも国会でそういう白白しいことを言われると、私たちは子供ではないのですから、ちよつと困るのです。だから実際においてこういう事情で発表できぬとかいうことを言うてもらえばわかるのですが、いやしくも一国の安全を一手に預かつておる立場にあるところにおいて、どうなるのだか計画さえもないのだとか、そういうものじやないと思う。言いかえれば、何ぼかあるのだけれども、結局においてそのうちのどれかはどうなんだというものが必ず何かなければならぬ。ただ行き当りばつたりで、そこらあたりで頼まれているというのじやない。一切の生命と財産と、一国の安危をこれによつて背負つておるのですから、そういうようなものが何ら計画がないということを白々しく言うということは、木村君にしても非常におかしいと思うんです。もう少し何らか納得行くような説明なら説明をしてもらいたいと思うわけです。言いかえますと、少くとも予算がどうであるとか、来年のことはわからぬといえばわからぬのだけれども、少くともこういう方針のもとに保安庁としては政府に要求するのだ、大蔵省へ言うて行くのだ、それが成り立たぬ場合があるかもしれぬ、しかしこういう案もあるのだ、これでなくちややれぬのだというものが当然あると思う。そこを私たちは言うのでありますが、これ以上あなたに言うてみても始まらぬのだけれども、どうも答弁があまりに白々しいような、子供扱いみたいな感じで非常に不愉快に思う。  さて次にMSAに関する問題で、千万ドルの本年度の予算の中で、飛行機に関連するものがどういうふうになろうとするのか、そこらの見通しをひとつお聞きしたい。
  111. 徳永久次

    ○徳永政府委員 三十六億円の使途をどうするかということは、まだ政府部内で最終的に結論は得ておりませんが、実は通産省ばかりではございませんで、運輸省も要求者の一人になつておるわけであります。通産省が一番大口のわけ前を期待しておるわけでありますが、私どもの出しておりますものを今関係省でもんでもらつておるわけであります。経審が中心になりまして各省をまわりましてもんでもらつておるわけであります。私どもが一応出しておりますのは、大体の見当で申し上げますと、三分の二くらいを飛行機関係に使わしていただきたい。但しそれは全部生産設備ばかりでございませんで、研究関係のものも含めてでございます。残りの三分の一くらいのものが武器あるいは艦船等の関係、今概数で申し上げますと、それくらいの見当で、それをこまかく一つ一つまだ検討中であるというのが今の段階でございます。
  112. 中崎敏

    ○中崎委員 運輸省でも要求しておるという話がありましたが、運輸省では航空機関係ですか、そのほかの何かありますか。
  113. 徳永久次

    ○徳永政府委員 水上部隊になります分の研究費的なものであります。ガス・タービンなんかの研究に要するものが出ております。
  114. 中崎敏

    ○中崎委員 それでは金額としては運輸省の方はそう大きいものではないと考えていいかどうか、
  115. 徳永久次

    ○徳永政府委員 さようでございます。
  116. 大西禎夫

    大西委員長 本日はこの程度にして、次会は明日午前十時より開会いたします。  これにて散会いたします。     午後四時五十一分散会