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加藤(清)
委員 関連して、
中小企業の倒産続出に対する一点だけ……。
中小企業に対する悪影響の少かれかしと祈
つていらつしやる
大臣に、具体的方策を示してもらいたいから、お尋ねするわけでございますが、
大臣もすでに御
承知の
通り、
中小企業関係の不渡りが日に五千枚ぐらいずつ毎日出ている。倒産商社は去年の今ごろからずつと倒産の数がふえまして、十二月に至
つてちよつと
政府の融資のおかけで下火にはなりましたものの、また一月からこちらにかけてずつとふえて来ている。少くとも表に現われているものだけで、日に二商社ずつは数えられるわけなんです。一体これがどこから来ているか。池田さんの言われましたように、思惑で倒れて行くのならこれは私もある
程度認めます。ところが今日倒れて行く商社の
状態、あるいは
中小企業の
状態というものは、必ずしも
自分の思惑ではないわけなんです。これに対して
大臣は一体どのような手を打たれようとしているのか。
金融引締めから来るところの高率適用の
強化の問題について、私は昨年の十月ごろから、何べんもこの点について対処方を要求しているにもか
かわりませず、これについては一層引締めて行くと言う。日本経済はそれに耐え得るかと尋ねたら、耐え得ると言うている。耐え得るということは、一体どれだけ倒れたら
承知ができるのか。耐え得ないという限界はどれだけ倒れるともう耐え得られないというのか。
金融引締めだけならばよろしゆうございますけれ
ども、これが大企業の下請企業に対する遅払いというものが、一層
金融難に拍車をかけている。五箇月や六箇月の遅払いならばよろしゆうございますけれ
ども、
品物を納めてから二箇月、三箇月た
つて、その後に五箇月先払いの手形を受けるというのが、もう普通の状況にな
つている。
中小企業金融公庫で百億や二百億これに与えてみたところで、これは焼石に水なんです。むしろあの公庫や商工中金から与えられる二階から目薬
程度の金額よりも、下請企業が大企業からすでにもらわなければならない
債権の方が、はるかに上まわ
つている。これに対しても何ら手を打
つていただくすべがない。この不渡りは今御
承知の
通りでございます。あなたが
金融関係の専門家であるから、私はその点だけで具体的に申し上げるわけでございますけれ
ども、
大臣御
承知の
通り、この
中小企業に対する
金融的な圧迫が、不渡り手形の続出、倒産を招いて来ている。これはやがて一体どこに
品物を納めていいのやら、どこに売
つていいのやら、わからぬということにな
つて来ている。そこで心配だからというので、現金売りしかできません、手形はもうかないません、それがもうきようこのごろは
通り越えて来て、どこへ売
つても心配だ。前にも申し上げました
通り、糸へんの商社のごときは、三百年来続いておりました春日井商事が倒れ、大阪の糸岡が倒れ、東京の織荘が倒れた。バランスシート十億
程度のものがばたばた倒れて行くということになると、工場側としてはどこへ売
つていいかわからぬという状況にな
つて来ている。そこでやむを得ず仕事を縮めるよりほかに手がない。縮めて、でき上
つたものを工場にストツクさせておけば、資金の回転ができませんから、やがて操短にな
つて来る。そこでその操短ということは……、(「簡単」と呼ぶ者あり)簡単とあなたたちおつしやいますけれ
ども、
自分の地元に行
つてよう見てごらんなさい。こういうのがたくさんあるでしよう。それでこれが操業短縮のおがげで——
自分から操業短縮がすきでや
つているのではない。大企業の操業短縮は
自分のコストを維持せんがための操短でございますけれ
ども、
中小企業の操短というものは、これはそれと結果は同じかもしれませんけれ
ども、
金融措置によ
つてやむを得ず
自分の企業を縮小している状況なんです。そのために、操業率はもう五割以下に下
つているのが普通なんです。もつとひどいのになりますと、三割以下なんです。三人で働いて十人を食わせなければならぬという状況にな
つて来ておる。だからますます内部的にも崩壊の原因をつく
つている。これが、私前にも申し上げましたけれ
ども、糸へんで言えば三、六、九の値がわりの時期、値ぎめの時期、それとかてて加えて四月、五月は何とい
つたつて、去年のインフレ予算の余韻と申しましようか、余波、影響がありまするからまだよろしいものの、今度のデフレ政策の影響がぽつぽつ六月、七月には現われて来るだろうと思う。そうなりますると、六月から九月にかけては、どうしてもゼネラル・パニツクが来るのではないかということが当然
考えられる。そのはしりが糸へんに出て来ていることは、あなたよく御存じなんでしよう。二〇の短糸が一時二十六万も七万もしたものが、きようは八万台の大台を割
つておる。四八の純毛の繰糸が千円台を割
つておる。こんなことは日本始ま
つて以来、終戦後初めての状況なんであります。どうしてそうな
つたかというと、これは何もデフレ予算の影響、効果がここに現われたというのではなくして、買い手がないからこうな
つて来た。そうして中小機は操短から生じて来たところの値下り、この値下りは先行き不安が伴
つておる。三品市場はすでにストツプ安なんです。きのう、きのうの新聞をごらんになればようかわる。繊糸だけでもポンドについて五十円も下
つておる。人絹がそうなんだ。これは今にして手を打たなければ、この次に来るところのゼネラル・パニツクは、
中小企業のみならず、その余波を受ける連関産業、連関する商社、連関する大企業まで痛手をこうむることは火を見るより明らかなんです。私は先ほどこれを流行性感冒だ、こう言いましたけれ
ども、もうきようこのごろは流行性感冒を
通り越えて、台風下における火事なんです。火の粉が、いつどこへ飛んで来るかわからない、こういう状況にかんがみて、なお
大臣は、影響の少からんことを願うということを言
つていらつしやるが——私がこういうことを言うと、ここでは皆さんそんなことを言うなんとおつしやいますけれ
ども、地元へ行
つて倒れつつある相手を見てそんなことが言えますか。
大臣としてもそういうことが言えますか。今倒れつつあるのは具体的に倒れておるのです。私の
考えからすれば、お百姓のところに台風が来たら救農
国会をや
つたではありませんか。これと同じように、目には見えないけれ
ども、実際商売をや
つておる連中が見れば、ようわか
つておるのです。台風が来てばたばた倒れておるのです。私は
中小企業を救うための救援
国会を
臨時に開いてしかるべきだというくらいに思
つておる。このままに放置せんか、必ずそういうときが来るから見てお
つてごらんなさい。七月、八月には必ず来ます。もしそれが来ても放任しておくということであ
つたならば、日本経済は根底からくつがえ
つて来る。じようだんごとじやないのです。これに対して
大臣としては一体具体的にどのような
態度をとられようとするのか。まず具体的に遅払いをどうするかという問題だけでもけつこうです。それから不渡り手形の続出に対して一体どう対処するか、この
二つだけでけつこうですから、空理空論でなくして、私はあくまで具体的にお尋ねしますから、二点だけでけつこうですから具体的にお答え願いたい。そうして最後に、この問題に対処して、救農
国会を開いたと同じように、
中小企業救援のための特別な議会を催す用意ありやいなや、衆知を結集してこれを救うだけの親心ありやいなや、これについてお尋ねいたします。