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1954-05-06 第19回国会 衆議院 通商産業委員会 第43号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年五月六日(木曜日)     午後二時四分開議  出席委員    委員長 大西 禎夫君    理事 小平 久雄君 理事 首藤 新八君    理事 中村 幸八君 理事 福田  一君    理事 山手 滿男君 理事 加藤 鐐造君       小川 平二君    小金 義照君       始関 伊平君    田中 龍夫君       土倉 宗明君    坪川 信三君       村上  勇君    笹本 一雄君       長谷川四郎君    加藤 清二君       齋木 重一君    帆足  計君       伊藤卯四郎君    中崎  敏君  出席国務大臣         通商産業大臣  愛知 揆一君  出席政府委員 通商産業事務官         (通商局次長) 松尾泰一郎君         通商産業事務官         (軽工業局長) 中村辰五郎君         通商産業事務官         (繊維局長)  吉岡千代三君  委員外出席者         通商産業技官         (軽工業化学肥         料部長)    柿手 操六君         専  門  員 谷崎  明君         専  門  員 越田 清七君     ————————————— 本日の会議に付した事件  外貨割当に関する件硫安工業合理化及び硫安輸  出調整臨時措置法案内閣提出、第十六回国会  閣法第一六八号)     —————————————
  2. 中村幸八

    中村(幸)委員長代理 それではこれより会議を開きます。  本日は私が委員長の職務を行います。  まず外貨予算割当に関する問題について発言を求められておりますので、この際これを許します。加藤清二君。
  3. 加藤清二

    加藤(清)委員 私は本年度の外貨割当の問題につきまして、実はきようでこれで二十一回お願いをしておるのでございますが、きよう幸いにして委員長の同情ある配慮によりまして、この機会の与えられましたことを、まず厚くお礼を申し上げる次第でございます。実は私がこの問題につきましてなぜそのように何回かお願いしておるかということは、通産委員のみならず、国の経済関心を持つておる方ならばもうすでによくおわかりのことと存じますが、実はせつかく与えられましても、今年度の外貨割当てられてしまつた今日では、死んだ子の年を数えるような感じがなきにしもあらずでございますが、将来のことも考えまして、もう済んだことは省いて、簡単に要点だけをお尋ねしたいと存じます。  まず第一点は、御承知通り今年度の円の予算は一兆、この一兆の予算審議にあたりましては、国会があげて数箇月を要して慎重審議をやつておられるようでございますが、これと同等以上に国の経済を動かす基となる外貨割当については、今日行政措置としてこれを行つておられるようでございます。先般の質問に対しまして、大臣国会意向をも反映するというお答えでございましたが、今日でもその考え方にはかわりがありませんか、お尋ねいたします。
  4. 愛知揆一

    愛知国務大臣 外貨予算の問題は当委員会におきましても申し上げたことがあると思いますが、これは国の予算性格がまつたく違うものでございますから、予算と同じような形式において国会審議にかけるということは不適当でもありますし、場合によりまして不可能の点もございますということを私は申し上げたことがある通りでございまして、今もその気持にかわりはございません。同時に、ただいま御指摘の、それならば国会とはまつたく無関係行政措置でやるのかというお尋ねに対しましては、これはもとより民意が集中されて表現されておるところでございますから、国会の、特に通産委員会のいろいろの日ごろの御意見、御主張等については、行政措置としてこれを十分に尊重し、かつ取入れて行くよう配意をすることは当然のことと考えておるのでございまして、その点も前に申し上げました通り、現在も気持において毛頭かわつておりません。
  5. 加藤清二

    加藤(清)委員 それではお尋ねいたしますが、今年度上期の外貨予算編成されるにあたりまして、国会意向はどのようにおくみとりなつたのでございますか。
  6. 愛知揆一

    愛知国務大臣 これは具体的に物資を指定いたしまして、こういうものについてはどのくらいの割当をせよというようなことは、御意見としても出ておりませんでしたし、またこれはそういうふうな関係において出て来るものではないと思うのであります。国会意思あるいは当通産委員会のお気持をそんたくいたしまして、十分尊重してあの上期の予算をつくつたつもりでございます。これは三月の末あるいは四月の初めに概略御説明いたしたと思いますが、要するに国内経済活動を急激に圧迫するようなことがあつてはならない。国内経済活動——輸出振興はもちろんでありますが、国内の正常な内需を圧迫しないように、特に原材料生活必需物資等については、できるだけ十分な輸入というものを考えて行くということを痛感しての御意見であつたと思いますので、特に閣僚審議会におきましても、通産省立場においてさような御意見の反映に努めたつもりでございます。その結果十億五千万ドルの輸入貨物予算額をきめましたし、またある程度予備金をも組むことができたのでございまして、その後の各界の批評等を見ましても、まずこの程度ならばよかつたという声が多いように見受けているような次第でございます。
  7. 加藤清二

    加藤(清)委員 今後も外貨予算編成については、国会意思を反映する意思ありと認めてよろしゆうございますか。
  8. 愛知揆一

    愛知国務大臣 もちろんそうでございます。ただそれと具体的に国内予算を同じように扱うということとの間には、相当性格上の相違がございますれば、款項にわかれてはつきりした国会意思がきまるわけでございますが、本件につきましてはそこまでは参りませんから、原則的に私どもの主観においては十分尊重したつもりでございましても、いろいろ客観的にあるいは立場立場でごらんになれば、お前は十分尊重しなかつたじやないかという御批判を受けるという程度の差はあるものと思います。
  9. 加藤清二

    加藤(清)委員 すでにこの外貨予算が発表されましてから、新聞その他でも、あるいはあなた方が関西へ出られて業界の方々とお話なつた場合にも、問題が出ているようでございます。どんなことをやつたつて批判はつきものでございますから、そう思つておけば事は済むかもしれませんけれども、私の見たところから行きましても、今年度の政府方針である外貨予算削減から来る業界混乱は、黙視することができない点が多々あるのでございます。それからまた財政の緊縮とか企業の合理化であるとかいう面、長期計画からやがて貿易を伸張させて国際収支を改善しなければならないという通産大臣及び大蔵大臣一般施政方針演説にかんがみましても、なお具体的に現われた方策が、それと必ずしも相マツチしていない点が多々あるように思うわけでございます。そこで私といたしましては、一般論を言つておりますと時間が足りませんので、一々具体的に例をあげて御質問をしてみたいと思います。  まず第一番に、日本政府がせつかく以上の目的のもとに外貨割当てられましても、その外貨以外の外貸が日本経済混乱に陥れる点はありやなしやということでございます。そこで政府のチエツクできる外貨はよろしゆうございますが、チエツクできない外貨が今日日本にありやいなやという点について、大臣の所見を伺いたいと思います。
  10. 愛知揆一

    愛知国務大臣 まつとうに申しますれば、チエツクできない外貨はあり得ないわけでありますが、おそらくただいま御指摘の点はある一部の、たとえば無為替輸入の問題でありますとか、あるいは完全なやみの問題、あるいは外国銀行取引関係等から生じて来るものというような点であると思いますが、これらの点については、コントロールできない、チエツクできないものがないように、あらゆる法律その他を援用し、外国政府側の協力も求めて、チエツクできないよう外貨はないようにするということにかねがね努力しているつもりでございますし、今後もこれを続けて参りたいと考えております。またこれがかりに万々あるといたしましても、私の考えといたしましては、現在においてもきわめて少額のものであろうと推測いたしております。
  11. 加藤清二

    加藤(清)委員 きわめて少量であればまことにけつこうでありますけれども、私の見ましたところ、外国外貨、特に日本政府がチエツクできない外貨おかげ日本商社がほとんど外国商社下請といつた形に置かれる結果が、ぼちぼち現われて来ているようでございます。この原因は、もちろんほかにもございますけれども、そういうよう日本商社下請仕事しかできなくされている点、また時計とか貴金属その他の運搬しやすい物件が、日本外貨以外の外貨によつてどんどん輸入されているように思いますが、たとえば銀座の店頭を見ましても、日本政府が許していない銘柄の時計がたくさんある。羽田の飛行場でもついせんだつてそういう事件が起きたというようなことで、間々起つているようであります。こういう点から考えまして、外貨は当然削減をしなければならぬけれども需要の面をそのままに放置して、供給の面だけで締めて行つた場合には、必ずやみが行われる。特に貴金属とか時計のたぐいのごときは、それが行われやすい物品であるがゆえに、いかにあなたが完全にやみ行為をさせないようにするとおつしやつても、なおそれは行われると予想する方が正しい、現実に相マツチした判断ではないかと思うわけでございます。そういうことは当然すでにおわかりのはずでございますのに、なお今年度の上期の時計に対する外貨はほとんど割り当てられていないようでございます。これは大蔵省との関係もあるでございましようが、はたして全部削減してしまつて、正常の経済の上に時計商売が成り立つとお考えになりますか。それとも需要はもう全然ないとお考えになりましようか。通産省の調査によれば、内地の生産ではなお年間三十万個程度不足しているという結果が出ているようでございますけれども、この不足分は一体どのようになさろうというお考えでございましようか。
  12. 愛知揆一

    愛知国務大臣 この点は結論としてはあるいは御意見と多少違うかもしれないのでありますが、外貨につきましては、今時計お話がございましたが、御承知通り輸入品目から全然削除して一文も出さないというのが、競馬の競走馬、それから製造タバコ、テレビジヨン、その部品というようなことになつております。こういうものは私は現在の一般的な社会感覚から申しましても、当然一般的に御承認が願えるものと思うのであります。それから時計につきましては、完成時計は全部削除いたしました。しかしただいまも御指摘の三十万個というような見通しが正しいかどうか、実は正確に推計することもなかなか困難でございますが、部品等は若干の外貨割当もいたしておるわけであります。これは経済問題であると同時に社会問題でもあると思いますけれども、私はやはり時計等については、一段の努力をすれば内地品りつぱなものができるのでございますから、今後の態度としても、時計輸入については外貨判当はいたしたくない、こういうふうに考えております。
  13. 加藤清二

    加藤(清)委員 それでは今年度は時計外貨については、時計完成品外貨割当はしないというお考えでございますか。
  14. 松尾泰一郎

    松尾(泰)政府委員 ことしの上期、つまり四月、五月の外貨予算では、完成品としての時計輸入をいたさないということになつております。ああいう小さい商品でありますので、個々別別予算編成ということはいたしておりませんが、やるとすれば雑の中から許可をするということになるわけでありますが、一応今の予定といたしましては、上期においては完成時計輸入をいたさないというつもりで進んでおります。
  15. 加藤清二

    加藤(清)委員 もしそういうことになりますと、業界混乱といいましようか、やみ商人の跋扈といいましようか、これを一体どうなさるかということを承らなければならないわけでございますが、それを聞いておりますと時間がなくなりますから、これはいずれまた他日に譲ることにしたいと思います。  とにもかくにも、角をためて牛は殺さないという大臣の御方針とこれとは少し違うように思うわけでございます。以前のよう商社輸出輸入も同時に行つていた場合におきましては、広い範囲の仕事をしております関係上、一つや二つの商売ができなくなつてもこれは問題ではございませんけれども、今日のよう輸入専門であるとか、輸出専門であるとか、あるいは同じ輸入にいたしましても、総合的な輸入商社でなくして、単一な輸入商社が非常に多い今日、半年間商売が全然できないというようなことが行われます場合におきましては、これが二年も三年も前から通告があつてのことなら準備もできるでありましようけれども、それが急に、もうお前の商売はやめだというようなことになりますと、業界混乱だけではとどまらないという結果が生じて来るのではないか。その上その結果からやみが跋扈するということになつては、一層思想の問題にも影響があり、犯罪の問題にも関係を生じますので、これは御一考を煩わさなければならない問題ではないかと思うわけでございます。  次にお尋ねしたい点は、外貨が前から削減しなければならないと言われておるゆえんのものは、不要不急なぜいたく品に外貨を食いつぶすからいけないというのが根本じやないかと思うのです。もしそれがギヴ・アンド・テークの立場から行われる外貨であるとすれば、これは別に使つたつて日本経済にはマイナスになるものではない。ところで、そういう意味から見まして、どうしても考えておかなければならないことは、外貨輸出振興策としての財源としてはたして有効に使われておるやいなやという立場に立つてみました場合に、非常に遺憾な点が多いように思うわけでございます。外貨割当てられた業者は、特権を得たおかげでもうけつぱなしになつておるようでございます。ところが、割当てられるまでは統制でございますけれども割当てられて、これに加工を加えたとか、あるいは加工せずにでも、販売するときには、とたんに自由販売になつておるようでございます。ここからまたいろいろな問題が起きておるようでございますけれども、特に私が関心を持つておりますことは繊維に対する外貨でございます。食糧に次いで大きい外貨割当を受けておるのは、何と申しましても綿と毛と砂糖でございますが、業界系列をながめてみますと、先ほど申し上げましたことがぴしやりと当るのでございます。紡績の方はもうけつばなしでございます。ところが機場の方は原料高製品安でございます。ところでこれを扱うところの商社は、高い商品を受けて、先行き不安その他あまたの原因おかげで、今日倒産商社が続出しておるという状況でございます。外貨割当を受けた者のみが得をして、その他の者は見殺しにされておるようでございますけれども、これに対して政府としては何らかの打つ手がありやいなや、はたして打つておられるのか、おられないのか、これに対して将来どのように対処されようとしておるのか、この点をお尋ねいたします。
  16. 愛知揆一

    愛知国務大臣 これはひとり外貨割当の面からのみ論ずることはできない問題であるかと思うのであります。全体としていわゆるデフレ的な政策をとつておりますから、どうしても楽なことはないわけでございますが、ただその楽でないということを、できるだけ均分に平均して負担に耐えるようにしなければならないという点については、ただいま御指摘通りでございます。御承知通り原綿にいたしましても、最近の混紡等状況から申しますれば、今回の割当月当り計画を見ますならば、年間二百十万俵の外貨予算を組んでおるわけでございますが、これは輸出が伸びた場合におきまして輸出業者に対する外貨割当の増加ということを考えておる点もございますが、大体月当りに十八万梱を基礎にいたしまして、十八万三千梱までやる、これは混紛その他の関係もございますが、一方において全体の政策の浸透によつてデフレ的効果一般経済界に現われて来て、需要の方もそれが減退するということになりますと、需要供給をマツチさせるという点から申しても、全体の計画としては不当な計画ではないかと存じます。
  17. 加藤清二

    加藤(清)委員 私が申しました外貨割当を受けた者だけが得をして、同じ産業に従事しているその他の者が非常な冷遇を受けているという点がおわかりにならないではないでございましようが、私はもつとはつきりさせるために、具体的な数字をあげて申し上げてみたいと思います。昨年度原綿割当は大体二百四十九万俵だつたと記憶しております。これがどう考え直してみましても、梱に直して加工をいたしまして、いろいろこの糸が上場されるまでの間の工賃、利益その他を差引きましても、なお私の計算から行きますると二百八十八億のネツト利益があるのでございます。もし必要であれば詳細お示しいたします。それから原毛は約七十万俵と私ふみたいのでございますが、今年は六十一万俵とかに減るようでございますけれども、七十四万俵の原毛加工いたしまして外貨割当を受けた紡績利益、しかもこれはネツトだけでございますが、それがどうふみ直してみても、三百五十から四百億という特別な利益がここに保留されているわけでございます。この結果は一体どういうことを招来したかと申しますると、紡績外貨を来年なお継続的にたくさんもらいたいという意思と相マツチいたしまして、増錘運動ということが行われる。この増錘運動は百五万錘が二百三十万錘という数字を現わし、このおかげでここが二重投資と言われ、今年度の外貨割当の難点の一つになつているようでございます。ところがここから生じて来る糸を買つて織機を動かしている連中は、原料高製品安、おまけに今度の金融の引締めその他の原因から倒産続出で、今日地方へおまわりになりましたらよくおわかりでございましようけれども、織場はばたばた倒れているのでございます。これを扱つた糸へん商社は、これも思惑だと前の通産大臣ようにおつしやれば事は簡単に済むかもしれませんけれども、今日倒産商社が続出いたしてありますその約四〇%は、糸へんを扱つている商社でございます。一体同じ仕事をしておりながら紡績だけがそれほどもうかつて、その他のこの系列に入る業界が倒れて行くという原因はどこにあるかということをよく調べてみると、結局これは外貨割当によるところの利益が一方的に集結されているということが非常に大きな原因ように思いまするけれども大臣としてはこれに対して別なお考えをお持ちでございますか。もし別なお考えを持つていらつしやるというならば、もう少し詳しい数字をあげて私説明してみたいと思います。いかがでございますか。     〔中村(幸)委員長代理退席委員長着席
  18. 愛知揆一

    愛知国務大臣 この紡績が比較的有利であつて、織屋、商社が非常な不利な立場に立つということは、これは先ほどもちよつと申したのでありますが、私はひとり外貨割当という問題だけでなくて、たとえば資本力の強弱の問題でありますとか、そのほかいろいろの原因があるものと思うのであります。しかしながらそれだからといつて織屋、商社が倒れることを傍観しておつてよろしいということには決して考ておりません。原料高製品安というようなことが、こういう際にほつておけば一番現われて来るところの現象でございますから、何とかしてそういう普通に起り得る現象を回避したいということで、いろいろと対策を講ずるし、また具体的に打出しておるつもりでございます。紡績会社利益お話がありましたが、必ずしもこのおあげになりました数字と、政府側の見ておるものとは一致しないかもしれませんけれども、大体の傾向は御指摘通りだと思います。しかしこれに対しましては、高額の税の対象になることももちろんでございます。  それから先ほどあげましたような今回の外貨予算割当にしても、特にこの点につきましては、いろいろと考慮したつもりでございまして、紡績だけが左うちわで、ほかに全部のしわ寄せをすることを考えておるということでは毛頭ありません。それから増錘関係については、増錘をしたからといつて、それを動かすがために貴重な外貨を入れたり、国内需要輸出の見込みなどから、オーバーするよう外貨割当といいますか、原料割当をする、特にこれを大紡績会社に対してやるというようなことは、全然考えていないつもりでございます。その受け得る影響は、できるだけ織屋や商社に対しての影響も少くするようにとどめたいということで、いろいろの対策を講じておるつもりでざごいます。
  19. 加藤清二

    加藤(清)委員 大臣もお認めのように、外貨割当を受けた者が非常な利益を得るということはもう世間周知の事実でございまして、だれが何と言おうと、外貨割当を受ければもうかる。だから通産省にお参りをするという業者が続々跡を絶たないわけだ。こんなことはりくつではないのです。具体的事実なんです。そこでこの外貨不足するということは、残念ながら今後恒久的と見るのが妥当であると思います。もしそうでないとするならば、外貨戦前ように自由になさる意思があるかないか。もしないとするならば、外貨に制約をつけておきながら、あとは野放しにしておかれるというところに欠陥が生じて来るのではないかと思うわけでございます。戦前におきましても価格差益の問題につきましては、為替平衡資金とかいうものがございまして、これで調節がとられておつたようでございますが、私は紡績がもうけることを何も恨むものではありません。日本産業がもうかるということならば、それがどなたであろうと、どういう産業であろうと、そんなけつこうなことはないわけであります。ただ同じ系列に働いている者に非常な不均衡があることを何よりも遺憾に思うわけでございます。そこで以前にもありましたよう為替平衡資金とかなんとかいう名前はいずれでもよいのでございますが、とにかく価相差益金を設けまして、これを均分に与えるという考え方をお持ちでございますか。それともそういうことはつゆさら考えたことはないとおつしやるのでございますか。
  20. 愛知揆一

    愛知国務大臣 この問題につきましては、当委員会におきましても、先々月でありますかに率直に申し上げましたように、私といたしましても、もし輸入外貨割当てられたというただそれだけのことでもつて、たとえばそれを輸出原材料に使わなかつたりあるいは横流しをしたりというようなことが顕著に現われるようであれば、これに対しては断固なる措置を講じなければならない。それからまたもつと基本的な考え方といたしまして、輸入物資等について特別会計の設置というようなことを考えることも一案ではないだろうかというような点につきましても、深刻に検討いたしまして、またこれは常に情勢に応じて対処できるような、政府としての研究は続けて行かなければならないと思つておりますが、三月三十一日に上期の外貨予算をつくりましたときには、その際にも申し上げましたように、重油類につきまして、十月一日から法的な消費規制をいたしますということを予告いたします以外には、ただちにいわゆる統制的な措置を他の物資についてやるということはそれには及ぶまいという結論を私どもは出したわけでございますから、ただいまのところは、今御指摘ようなものを政府の案として早急に打出すだけの用意はまだいたしておりません。
  21. 加藤清二

    加藤(清)委員 それでは別な面でお尋ねいたします。毛製品輸出に関しましては、昨年度の政府特別助成策商社の犠牲的な努力によりまして、非常に伸展を見ました。二十七年度二百万ポンドであつたものが、二千五百万ポンドばかりに伸びておるようでございますが、外貨消費に終始しておりました国内産業地位から、この毛製品というものを輸出産業地位に高めた。そうしてその将来性を再認識させた、こういう点について私は昨年度打たれました通商局及び繊維局態度に対して非常に敬意を払つているものでございますが、このたびそれとは少し考え方の違うことが行われるのじやないかと私思つておるわけでございます。昨年度の制度をもつと安定かつ恒久的なものとして、そうして特需によるフラノ旋風の悲劇などというものを業界から一掃しなければならない、私はそのよう考える。業界もそのよう考えておるようでございます。ところでこの間の日英会談から、二百万ポンドの毛製品輸入しなければならぬことに相なつたようでございます。これはイギリスとの国交調整上、他の物資輸出振興上、これはやむを得ないことである、これがギヴ・アンド・テークの立場に立つて、やがて日本輸出振興になるということであるならばまことにけつこうでございますけれども、遺憾なことに、ここから入ります二百万ポンドというものは、FOB価格でそうですから、日本へ持つて参りまして店頭に飾られるときには少くとも五十億ぐらい、どうふみ直してみても四十億から五十億の間の価格になるのじやないか、こう思われるわけです。これが時計産業ように、年間三十万個も不足している、こういうものならばよろしゆうございますけれども毛製品、綿製品のごときは日本ではあり余つているのです。でき過ぎるくらいできているのです。昨年度なんかは暖冬異変で、金額にして二百億のものが残つている。これが倒産商社の大きな原因一つをなしている、こういう状況下にあつて、なおまた五十億近いものが輸入される、こういうことになれば、当然業界が受ける圧迫というもの、それから生ずる経済界混乱商社の倒産に拍車をかけて行くことは火を見るよりも明らかではないか。こんなことは経済を知らぬものでも、私のようなしろうとでもよくわかることなんでございます。ところで実にふしぎなことに、そこから生ずるところの利益を、漏れ承わるところによりますと、GETROへ持つて行きますとか、あるいは他の物品の輸出振興に振り向けるとかいうようお話でございますが、この点はあなたが関西へ行かれました折に、大阪でも名古屋でもこの機場地区の毛工の代表と、商工会議所の連中がるる陳情したことではないかと思つておるわけでございますが、一体大臣としてはこれをどのようにお考えになつておるのでございましようか。先ほど外貨割当おかげで、もうかるのは紡績だけであつて、機屋と商社はいかれるとおつしやいましたが、今度このおかげでいかれるのはまた機場商社であるという勘定になります。なぜならば入つて来る商品が吉田総理大臣のおつしやるところの、いわゆるぜいたく品を排除するという考え方とはまるきり逆の、ぜいたく品が入つて来るわけでございます。いわゆる高級品でございます。この高級品をつくつておるのは失礼ながら大紡績ではございません。五十台、百台を持つておるところの機場、ここの製品でございます。これが圧迫を受ける。そこまで圧迫を受けたつて、これが輸出振興によつて、片方で押えたけれども、片方出て行くということならば、業界としては政府のおやりになつた日英会談を何も恨みに思わないわけでございますけれども、それが圧迫され放しで放任され、しかも得た利益はよそへ持つて行かれる、こういうことになりますと、これは踏んだりけたりで、いくら弱い機場であろうと、いくら弱い商社であろうと、これを見てじつとしておるということはとうていあり得ないことは、繊維にちよつと税金がかかるということだけで、あれほどの運動をするのですから、もうすでに経験済みだと思います。これについて一体どのようにお考えになつていらつしやいますか。私ならば、このために一番影響を受ける、圧迫を受ける業界の品物が、輸出振興によつて補われ、これがえびたい、禍いを転じて福となすという方向に持つて行きたいと念願するわけです。これは私のみならずだれしもそう思いつくところでございますが、これをGETROへ持つて行くのどうのというお話でございますが、もしそれGETROへ持つて行きますならば、綿の業界における二百億から三百億のネツト利益、それから毛の紡績におけるところの三百億から約四百億の利益を、一体何がゆえに放任されようとしておるのか。それを放任して、これに対しては価格差差益金制度、特別会計制度は設けない結論に達しておるという。あなたがたつた紡績利益くらいにしか匹敵しない小さいものの利益を、何がゆえによそへ持つて行かなければならないか。この点を私は実に不可思議千万であると思うわけでございます。大臣の明快なる答弁を煩わしたいわけでございます。
  22. 愛知揆一

    愛知国務大臣 イギリスの毛織物を輸入しなければならないというのは、日英間の協定を円滑に進めたいという大きな目的から出ましたことでありまして、全体の事情から言うとやむを得ないことであると私は考えます。その間の事情については、十分御理解をいただいておることと思いますが、それによつて今度得たところの利益をGETROその他打撃を受けるものではない。そのほかの連中にくれてやる、その方に使うのはけしからぬというお話でございますが、もしそういうことになれば私もけしからぬことだと思うのであります。その点はそういうふうなことにならいように、原則としては、ただいま加藤さんの言われましたような方向へその金を使うとすれば使うように、具体的な措置を検討いたしておるわけでございます。ただいまおあげになりましたGETROその他の方に金をまわすというようなことは、私どもとしての考えではございません。
  23. 加藤清二

    加藤(清)委員 そういたしますると、大臣は私と同じ考えのもとにこの問題を処理しようというお考えでございまするが、それは間違いございませんか。
  24. 愛知揆一

    愛知国務大臣 その点どういう使途に使えばよろしいということについて、具体的にまだ加藤さんも御指摘になつていないように思うのですが、私はあなたのお考えがわかるような気がいたしますので、多少先まわつたかと思いますが、そういうふうなお答えをいたしたわけでございます。
  25. 加藤清二

    加藤(清)委員 それではこの際具体的に私の考え方を申し上げまするならば、先年度のマル外の方針、これは先ほど申し上げましたように、政府措置よろしきを得まして、輸出振興に非常に功績があつたわけでございまするが、これが今年度はやや下まわる割当に相なつておるようでございます。しかもこの下まわるのは紡績二〇%、最終仕上げ部門が二〇%、それから商社が三〇%、ところでこれだけは削られるようでございますけれども輸出奨励完遂に関する紡績割当の三〇%というものは、そのまますえ置きなんです。それからこれの材料であるところの八〇%に近いものも、これまたすえ置きなんです。ところで最終仕上げの機場ないしは整理場に割当てられる外貨も、それから輸出商社割当てられる外貨も、これは割当てられるというだけのことであつて、これの行使権といいまするか、実権はみな紡績が握つておる。これを集計いたしますると、約一七〇から一八〇の外貨紡績が獲得する、こういうことになるわけであります。ところが紡績は一〇〇を輸出した場合に、一八〇でもつてつたところの原材料を半分使えば十分に一〇〇は輸出できる。残りの半分は高い内地製品をつくつて、ここでまた、ぞろもうけることができる。そこで一〇〇を輸出いたしますると、また完遂の三〇と八十幾つがもらえる。だからこれはねずみ算式になつてどんどんこれがふえて行くという状態になつておる。ところが、商社の方はそうじやないんです。三〇%もらえるけれども、これはそのまま紡績へ献上しなければならない。最終仕上げの機場も整理場も二〇%もらえるというても、これは献上しなければならないという状況なんです。そこで最終末端まで行使するところの権限を与えるという考え方があるのかないのか。いやそれよりも、これを削減ようという考え方が行われているようでございまするから、そんな親心はとうてい考えられません。ところで政府の今年度の方針から行きますると去年度は二千五百伸びたとはいうものの、今年度は外貨のバランスを出しましたバランス・シートから見ますると、毛製品は四千五百程度伸ばそう、それでないとあの帳じりが合わないわけなんです。はたしてそれだけのことができるか、できないか。いやできたといたしましても、結局これは紡績もうけに終つてしまつて倒産商社の続出するところのこれを救うといら道は開けない。かたがた考えてみまするのに、毛製品のみならず、その他の商品でもでございまするが、世界の物価指数というものは下降の一途をたどつておる。これと海外市場において競争しなければならぬ。そうなりました場合には、輸出の場合には、さなきだに出血輸出、出輸出と言われておりまするやさき、相当振幅を持たした、余裕を持たしたタンクとか、あるいは山の上の溜池程度のものを用意されないと、政府が予定されました通り輸出振興はちよつと困難じやないかと思うわけでございます。そこで絶えず流動して行くところの海外市場に順応させるには、どうしても商社資本の増大、下請企業の健全化ということが当然の結果として考えられるわけでございまするか、この問題につきまして、今度の外貨割当、あるいは二百万ポンドから生じて来るところの使用いかんによつては、まるつきり逆な結果を生じて来るおそれが多分にあるのでございます。さればこそ業界としてもこれを非常に苦痛の種にして、わざわざ大臣にも陳情に及んだ、こういうことでございます。そこで少くとも輸出振興の立場から考えてみれば、輸出組合の強化であるとか、あるいは輸出用のための資金の確保であるとか、いろいろ考えられまするけれども紡績のみを主体にせずに、つまり外貨を受けるところのみを中心にせずに、輸出参加者をもつと優遇するということ、それによつて市場開拓をさせるということが一番大切なことであり、経済的にこれらに余裕を持たせるということが輸出振興の根本策ではないかと思うわけでございます。私の考えはそういうことなんですが、大臣のこれに対する所見を承りたいわけでございます。
  26. 愛知揆一

    愛知国務大臣 加藤さんの御意見につきましては、先ほどちよつと早まわり過ぎたかと思うのでありますが、ただいま仰せになりましたよう輸出参加者という、言葉を使われましたが、それの優遇について特段の措置を講じなければならないという点については、まつたく私も同感でございます。それから商社の強化、資本力の充実という面も、まつたくこれがなければいけないことであると思いますので、基本的には私は同感をいたします。具体的にどうやつたらば、そういう趣旨にのつとつて行けるかという点につきまして、今後とも十分努力をし、計画をいたしたいと思います。
  27. 加藤清二

    加藤(清)委員 最後に、これは外貨に関連のあることでございますが、OSS、SPSという伏魔殿的存在が、東京でも目抜きの銀座界隈で、私の見たところによれば、資本の少くとも三分の一程度輸入品を扱う商社においては五割以上を占めているという実例を私握つているのでございまするけれども、これに対して一体どういう手を打つたならばよろしいか。かてて加えまして、あの資産再評価が促進しておりません。それから商品取引所法が行われました折に私意見を申し述べたところ、その場合にも適当な措置がとられておりません。証券市場またしかりでございまするが、日本は国際争奪の市場に相なつている。日本の市場は国際資金が導入されて、争奪の場にされているという向きが非常に多い。従つて最初にも申し上げました通り輸出入の問題になりますと、商社資本の少い悲しさで、下請程度仕事にけ落されつつあるというのが現状なんです。さればこそ業界では、商社を合同しなければならない、資本を増大しなければならないということが言われておるわけでございますが、資産の再評価が十分にできない。かりに大蔵委員会でこれが通りましても、まだ第二次の再評価さえもできていないような会社がたくさんある今日、あの白木屋の争奪戦みたいなことが、日本資金で行われるうちはよろしゆうございますけれども、日米友好通商航海条約から生ずるところの結果は、三年先には再評価ができようができまいが、日本人がどのようなことを考えようが、どうしようが、外国の資本は、日本人と同等の待遇のもとに及得することができる。また今度のMSAから来るところの協約によりまして、これに対して一層保護を加えられるという状況に相なつておるわけでございますが、今日のこの会社の様子から行けば、独禁法によつて、持株は社長にしても重役にしてもわずか一%ぐらいしか持てない。三〇%をとられてしまつたらもうお手あげなんです。すでに電源など電気関係はねらわれておるし、石油関係はほとんど取上げられたような形でございますが、この次にねらわれるものは何といつて日本の独得の産業であるところの繊維産業、これではないかと思うわけでございます。これに対して一体どういう手を打たれようとしておるのか、長期計画というものはあるのかないか。もしないとおつしやるならば、私ども考えておるところの外貨割当の基本方針をよく御調査されずに、幼稚だとかどうだとかおつしやつたそうでありますが、むしろどつちが幼稚であるか、空理空論という言葉は返上したいという気持になるわけでございますが、一体どのようなこれに対するお考えがございますか、お尋ねするわけてございます。
  28. 愛知揆一

    愛知国務大臣 時間もあれでございますから、簡単にお答えいたします。OSS、SPSに対しては昨年十月ごろから割当はしないことになつておりますので、結局この問題については、税関なり為替管理法なりの適正な執行、監査というようなことで行かなければならないと思うのであります。  それから紡績等に対しての外資の進出というような御懸念でございますが、これは私見を申し上げるのは恐縮でございますが、日本の一番の基幹産業である繊維工業等につきまして、わざわざ外国資本の導入を求めないでも、十分やつて行けるだけのお互いに自信を持ちたいものであるというふうに考えるわけでございます。     〔「もうやめろ」と呼ぶ者あり〕
  29. 加藤清二

    加藤(清)委員 もうこれでおしまいです。こちらから希望しなくても、証券取引法あるいは商品取引所法等が野放しになつている今日、だれだつてそこへ目をつけるのは当然なんです。それから資産再評価が十分に行われていない。かてて加えて日米友好通商航海条約という、こちらが好まなくても向うが入つて来るという道がこれでつけられておる。その上今度はそれを同等に保護してやるという条約ができている。だからあなたが外国人の立場に立つてごらんになつたら、この次は一体どれに手を伸ばそうと考えた場合に、当然行われる。あなたがそういうことがないとおつしやれば、先般の株式市場におきましては、どんどん株は買われて行つた。高くなつたからいいというのでみんなが喜んで売つた。ところがあとで調べてみたら、あにはからんやそれは外国資本が、日本人の名義によつてこま切れにして買つてつた。従つてこれには税金もかからなければ法的な罰則もない。いやとられては大変だというので、今度買い取ろうとしたときにはべらぼうな高値で買い取らなければならぬ。そこでその瞬間に向うは投げて、数億の金が一挙にしてとられてしまつた。それが白木屋のように、堀久さんがもうけたというだけで終るなら、これは簡単でございますが、この間のあれはそうじやない。外国資本がもうけて行つた。こういうことが幾らでも行われる。そうなれば証券市場も、この間申し上げました三品市場も撹乱されるのは当然です。これに対して長期の計画とか方針とかいうものが——それは導入しないからと言うても、こつちが好まぬでも向うが好んで導入して来るのです。侵入するような道行きがつけてあるのですから、これに対してどのようにお考えでございますかというのです。
  30. 愛知揆一

    愛知国務大臣 法律的、条約的には、そういうこともあり得ようかと思うのでありますが、しかし実際問題として、今御懸念のよう事件が起るためには、非常に巨大な資本の移動が、アメリカなりそのほかの国から起つて来なければならない。外国人だから日本人と違つてみな金持で、いつでも遊金を持つているわけじやありませんから、その元を押えるということのためには、為替管理法の適用というようなものは、これは通商航海条約とまた違う法源によりまして、独立した権限があるわけでありますから、私は実際問題として、そう御懸念のようなことはないと思います。それからまた、そういうことがいよいよあぶないというようなときになれば、これはまた別個の対策も立て得ると思いますが、私はその御懸念はないと思いますし、そのくらいの自信は、お互いに持ちたいものだと思うのであります。
  31. 大西禎夫

    ○大西委員長 加藤君に申し上げますが、もう約束の時間が過ぎておりますから……。
  32. 加藤清二

    加藤(清)委員 同僚議員が大分興奮しているようでありますから、私の質問は、まだ繊維局長が答弁するというその答弁も残つておりますけれども、きようはこの程度にやめまして、いずれ詳細また他日に譲りたいと思います。
  33. 齋木重一

    ○齋木委員 議事進行に関して、一言委員長質問をいたします。これから硫安工業合理化及び硫安輸調整臨時措置法案を上げるとか何とかいうことですが、これは結論といたしましては輸出株式会社法案だと私どもは見ております。これらに対しまして委員会として、審議の過程におきまして小委員会まで設けましたが、土倉小委員長はまだ一回しか小委員会を開かないのに、農林委員会の方から押されて来て、きよう上げようというようなことは、ちと通産委員会としては軽率だと私は考える。もう少し掘り下げて研究をしてやるべき筋合いのものであつて、農林委員会の方から関連の法案が上つたから、ただ単に字句の修正を農林委員会でやられただけだから、これを上げようなんというようなことは、私どもは納得が行かない。また本委員会といたしましても、小委員会までつくつてつたにもかかわらず、土倉委員長は一回しか小委員会をやつていない。そのときにおきましても、この硫安の業界の代表者が参考人となつて委員会に出て来たときに、横柄きわまることを言うている。それは価格の問題の質疑の過程においてでありますが、政府なり議会なりが、補助金なり融資をするということを明確にしなければ、すなわち硫安のコストなんかを明示することはできない。そしてただコストの明示をするということになると、ただストリツプを見てああこれはおもしろかつたというようなばかげたことでは、われわれは生産コストというものを言うわけには行かないというような横着きわまる陳述を、硫安輸出協会の代表者がしております。そういうようなことに対して、本委員会といたしましてもまた専門の小委員会といたしましても、一回だけしかやつていない。私はこれに出席していないが、それを今日上げようということは、議事進行といたしましてもう少し慎重に、まだ会期も何だか延長されるようなけはいもあります。だから本日上げることは慎重に考えていただきたい。もう二、三日なり三、四回なり慎重な審議をした上において、これを上げるなら上げるとかなんとかいうことにしても、おそきには失しないと私は考えるのであります。委員長は今まで怠慢きわまると私は思う。これに対して本委員会といたしまして何をやつてつたか。だからもう少し質疑をするとか、いろいろな角度から研究をし、討議をいたしまして、完全なるものを上げて行くということにやりたいと私ども考えておりますので、この取扱いに対しては、本日上げるということは私どもは反対をいたしますとともに、皆さんの御賛成を願いたいと思う次第であります。
  34. 大西禎夫

    ○大西委員長 齋木さんにお答えをいたします。齋木さんの御意見では、きよう上げることはきわめて軽率であり、しかも納得ができないというお話なんでありますが、きよう上げますことにつきましては、この前の理事会において全員一致でもつて決議になり、しかもきよう理事会でもつてそういうふうにきまつたということなのでありまして、委員会の運営をやつて参ります上に、理事会を尊重してやつておるのがこの委員会の建前でありまして、あなたが軽率であり、納得ができないとおつしやる御意見はよくわかりますけれども、多数の方々がそういうふうにおきめになりました議決というものを尊重して私はやつて行きたい、かよう考えますから、どうぞ御了承願いたいと思います。
  35. 齋木重一

    ○齋木委員 わが党の方では理事はそのときに出席しておりません。了承はしておらないのであります。だからそれまでも押し切つてやるなら、多数なら多数でやりなさい。またきようどうしてもやらなければならぬというような情勢がどこにあるか、私はないと思います。     〔山手委員「だから秘密会を開いてそれをやるというのです。」と呼ぶ〕
  36. 中崎敏

    ○中崎委員 今山手君から非公式に言いましたように、一応秘密会を開いて、そしてこの前協議した事項を説明してもらつて、それからあとで質疑を続行して、どういうふうにするかということをきめてもらいたい、そういうことにお運び願いたい。
  37. 大西禎夫

    ○大西委員長 けつこうであります。それではそういたします。     —————————————
  38. 大西禎夫

    ○大西委員長 それでは次に硫安工業合理化及び硫安輸調整臨時措置法案を議題といたします。  この際お諮りいたしますが、硫安の価格問題その他につきまして秘密会を開きたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  39. 大西禎夫

    ○大西委員長 それではさよう決定いたします。委員関係政府当局及び議院事務局関係職員を除き、退場を願います。      ————◇—————     〔午後三時十四分秘密会に入る〕
  40. 大西禎夫

    ○大西委員長 これより秘密会を開きます。  硫安の価格について政府当局より説明を求めます。柿手部長。
  41. 柿手操六

    柿手説明員 お手元に配付いたしました資料のうち、「硫安原価試算」という方から先に御説明をいたします。これは現在合成硫安工業が十四社、十七工場ございますが、その十七工場の生産数量を大体現在の状況下にあるものと想定いたしまして、すなわち硫安の生産量をその工場ができますアンモニアを全部硫安につくつた場合における操業度といたしまして、それが年間二百三十四万三千トンでございます。それを操業度といたしまして、原材料の価格等も、現在の推定価格、市価を基礎にし、その他各種の資料を参考といたしまして、日本の硫安工業の全体的な平均的原価を私どものところで推定いたしましたものをここにお示しいたしたのでございます。結論から申しますと、総原価が━━━━━━━━━でございますが、これは現在取引上使つております価格は、全国着駅オン・レール、十貫一かますで取引されておりますので、その価格に比較してみますと、━━━━━━━━━は━━━━━━━━ということになります。その━━━━━━━━というのは、備考の2にありますように、配当とかあるいは利益、積立金等のいわゆる企業の利潤を含んでおらない数字であります。これは各種目がここに出ておりますが、この計算の方法は、各工場の原材料その他物量的なものは大体の見当はつくのでありますが、実際の取引単価になりますと、非常に━━━━━━━━、なかなかわかりません。従いまして、大体の市価を見当にして物量の原単位にかけまして、そして生産総数量で割つたのであります。  それから硫安会社と申しましても、硫安会社の現在の資本金が総計百五十三億ございますが、その硫安会社の固定資産の内容から見ますと、硫安部門は約四割に相当する五十三億見当になるような企業でございます。一般の各製品の共通費目というものは、そういうふうな大きな前提を持つた比で按分して割当てているというようなものでございますので、固々にはその数値は非常にエラーが多いと思うのでございますが、大数観察としては当らずといえども遠からずというものが出るのではないかと考えて、この試算をいたしたのであります。  もう一つの昭和二十八年度開発銀行融資対象工場生産原価というのは、これは今年度この六工場につきまして、私どもの方から開発銀行に対しまして合理化工事の融資を推薦したのでございますが、その場合に、その工場の工事内容とか、工事をやることによつてどういう効果があるとかいうことについて資料を出してもらつたり、あるいは担当官とその工場の担当者との話でいろいろヒアリングをやつたりいたしました際に、それらの資料をもとにいたしまして、この推薦した工場の現状の原価はどういうものであろうかということにつきまして、平均的原価よりはやや詳しい資料が入手できました。たとえば原材料の単価等につきましてやや詳しいものが得られますし、償却等につきましても、設備ごとにそれぞれの耐用年数等も異なつたものを手にいたしましたので、それをもとにいたしまして試算いたしたのでございます。実はここにABCDEFと符号で書いてあるのでございますが、この六工場は名前をあげることをいろいろな意味において御容赦願いたいというのでこういうふうにしたのでございます。六工場の名前を御参考にあげますと、東北肥料秋田工場、日本水素工業小名浜工場、昭和電工川崎工場、東洋高圧砂川工場、北海道であります。新日本窒素肥料水俣工場、別府化学工業株式会社別府工場、明石の付近にございます。この六工場についての私どもでの推定原価でございます。これも結論にございますように、最低は━━━━━━最高が━━━━━というふうにいろいろになつております。これも相当に私どもで推定した部分があるのでございますが、平均的原価よりやや各個の事情が詳しく判明いたしましたので、この六工場につきまして、特に御説明いたしたわけでございます。
  42. 大西禎夫

    ○大西委員長 以上で説明は終りました。御質疑はありませんか。
  43. 中崎敏

    ○中崎委員 六社の原価計算表を見ますと、相当重要な要素というか、部面に大きな開きがあるようです。特に硫化鉄とか電力、燃料、これらの主たる原材料費には相当大きな開きがあるようでございます。そうしてまた直接原材料費を見ましても、相当大幅の開きがある。そこで肥料の合理化を促進する意味において、非常にコストの安い工場だけに集中生産をさして、コストの高いようなところは一応転廃といいますか、やめさすというふうな手を打つことも必要じやないだろうかと考えるのでありますが、この点について大臣はどういうふうに考えますか。
  44. 愛知揆一

    愛知国務大臣 硫安の問題については、ただいま御指摘よう関係もございますが、私どもとしては結局農村の硫安に対する期待も低廉なものが十分に配当されることが望ましいことは申すまでもございません。それにつきましては、できるだけ増産をやり、コストの切下げをやつて、一方においては輸出も伸ばして行くことが、結局農村の要望にもこたえ得ることになると思いますので、できる限り増産をやりたいという観点から申しますと、いいところだけを伸ばして他は捨てるという考え方はとりたくないと考えているわけでございます。
  45. 加藤鐐造

    加藤(鐐造)委員 今の御報告によりますと、相当推定によつて割出されたものが多いように思いますが、それは大体この費目のどの部分があるのですか。
  46. 柿手操六

    柿手説明員 これは各費目とも工場からの報告をとつたものでないのでございまして、先ほども御説明申し上げました開発銀行融資に関しまして、その合理化工事の工事内容とか、あるいは工事をやればどういうふうな効果があるというようなことについていろいろ説明を求めております際に資料を出しておりますので、それらをもとにしてすべての項目にわたつて推定をいたしているというてよろしいと思います。
  47. 加藤鐐造

    加藤(鐐造)委員 今度の硫安工業合理化法によりますと、肥料審講会が企業の合理化について相当生産業者に指導的な役割を果すわけでありますが、その際正確なコストについての資料がなければ、十分にその使命を果すことができないわけでありますが、その点について将来この法の運用にあたつて硫安審議会はその点十分に調査することができるかどうか。会社側があるいはそれぞれ秘密を固執するというような場合には手がつけられないのかどうか、それらの点について大臣の御見解を承りたい。
  48. 愛知揆一

    愛知国務大臣 ただいまの御質疑の点は、需給安定法の第十三条によりまして、硫安の生産業者または販売業者に対し、政令の定めるところによつて、農林大臣及び通産大臣は必要な事項の報告を求めることができる。それから第二項におきまして、帳簿書類その他の物件を検査させることができるというような規定がございまして、相当立ち入つた調査ができることに考えております。  それから両者の共管といいますか、これは最近ではこういうふうな二つの省が共管することは例がまれなのでございますが、会社ごとに、あるいは工場ごとに生産費が違うわけでございますので、農業の立場も十分考慮し、また工業の立場も適切に反映させることが必要でございますので、それらの立場を考慮いたしまして、できるだけ公正な価格ができるようにというふうに配意をいたしたわけでございます。
  49. 加藤鐐造

    加藤(鐐造)委員 この法律が実施されれば、立入り検査ができるので、徹底的な調査ができる、また製造業者もそれに応じなければならない、こういうことになつておるわけであります。そこで今回われわれがこの法案を審議するにあたりまして的確なる資料の調査を要求したわけでありますが、この場合そういう調査が十分できなくて推定で行われたのは、会社側が協力しなかつたのか、あるいは通産省がまだ立入り検査の規定がないので遠慮されたのか、この点もう一度承りたい。
  50. 愛知揆一

    愛知国務大臣 実はこの硫安会社の製造の原価につきましては……。(「怠慢だ、通産省が硫安製造会社の手先だからだ。」と呼ぶ者あり)私どもが硫安会社の手先などであるということは毛頭ございません。実はこの件につきましては、衆参両院の農林委員会あるいは議院運営委員会におきましても非常に大きな問題としてお取上げになりましたので、私といたしても誠意を尽してわれわれの態度を御説明申し上げたのでございます。たまたまそれから当委員会におきまして御説明する機会がありませんでしたのでこの際申し上げますと、これは今申し上げましたように会社の手先であるというようなことは毛頭ないのでありまして、実情を御説明いたしますと、これはある意味で当然なことかと思いますけれども、たとえば昭和二十八年度におきましては、この資料にあげました六つの工場については開発銀行の融資ができております。その開発銀行が融資をきめます場合に一つの参考資料として通産省の推薦を重んじたことも当然でございます。従つて融資の推薦をするくらいならば、開銀に対して事こまかに内容を検討した上で推薦したのであろう、従つて通産省においては的確な資料があるはずだ、こういうふうに思われるのは私は無理からぬところだと思うのであります。しかしながら実際のやり方はそうやつておるのでありまして、話はくどくなりますが、開銀の設立の当初からの沿革にさかのぼらなければならぬわけでありますが、復興金融金庫がその仕事をやつております時期におきまして、政府の各部局があまりにこまかくその融資に関与した、あたかも大蔵省の主計局が予算の査定をやつたと同じようなところまで政府官庁が関与したということが、当時非常な批判の的になりまして、開発銀行設立の際におきましては、政府側は一切さようなことはやらない。具体的にどこの会社にどういう条件で貸すかということについては、開発銀行が自主的にやるようにまかせるというのが開発銀行法制定の趣旨でございました、それがいいか悪いかは、これは御批判の的であるとは思いますけれども、現状におきましては、通産省としては側面的に融資の推薦をするというだけにとどまるのでございまして、私ども通産省として勉強のなし得る限りにおいての資料と、事務当局の長年の経験から、これらの工場の現状の製造の原価を推算するということは可能でもございますし、その可能なところに基きましてこの資料を提出いたしたような次第でございます。  なお、これらの点につきましては、将来はともかくといたしまして、現状におきまして、私どもは会社から権限をもつて生産原価の調査をとることはできませんでしたので、こういう資料は相当推算が入つておる関係上、いろいろの関係から、これがこのまま生で出ますことは影響がいかがかと考えますので、こういう形にして、私どもの持つております資料を生のままごらんに入れ、かつ御説明を申し上げたような次第であります。
  51. 加藤鐐造

    加藤(鐐造)委員 製造業者側がなるべく内容を明らかにしたくないという気持は一応わかりますが、私どもは従来こうした肥料の一つの統制の一歩を踏み出た法律が提案されるにあたつて、農林委員会においても、当委員会においても、おそらく正確な資料、特にコストについての資料の要求があつたことと思うのであります。私は政府が従来硫安メーカーに対して非常に遠慮して、こういうものの調査を怠つて来られたのではないかと思うのでございます。また硫安メーカーがこういう点をことさら隠蔽して来たということが、当然行わるべき企業の合理化が行われなかつた大きな原因になるのではないかと思うのでございます。そこで、私が事務当局にお尋ねした、一体どの部分が推定になつておるかということについても明瞭な御答弁がございませんでしたが、そうしますと私どもはこの資料が十分信用するに足るかどうか疑わしくなると思うわけであります。  さらに一、二点お伺いいたしますが、先ほど中崎君からもいろいろ御質問がありました通り、いろいろな費用について非常に大きな開きがございます。そこでその点について関係のありますことは、生産高の問題でございます。個々の工場についての生産高が出ておらないようですが、それを承りたい。
  52. 柿手操六

    柿手説明員 この計算をいたします場合に、もちろん操業度が幾らになるかということが大きな前提でございますので、その操業度の見込みといたしまして、A工場から申しますと、A工場は年間硫安といたしまして——これは先ほども申し上げましたように、できますアンモニアを全部硫安にした場合を想定してやつておりますが、A工場は━━━━━━━、B工場が━━━━━━、C工場が━━━━、D工場が━━━━━━━、E工場が━━━━、F工場が、━━━━━━━、いずれも年産その程度の生産が上る場合における原価の推定でございます。
  53. 加藤鐐造

    加藤(鐐造)委員 もう一つ金利の問題ですが、これも工場によつて大きな開きがございます。この借入れ金額と利子のぐあい等について承りたい。
  54. 柿手操六

    柿手説明員 これは各社の問の借入金総額のうちで、社債のものと一般の長期設備資金借入れというふうに、相当に各社とも違つております。そこでまずA工場から申しますと、設備資金の借入れ総額が━━━━━━、社債の残が━━━━━━、合計━━━━━━でありまして、その設備借入れの方は利率を年一割、社債の方を九分といたしまして、年間の支払い金利が━━━━━━━━になります。それを生産数量で割つてみますと、トン当り━━━━━━という率になります。それから運転資金は大体製品、半製品、原料等、工場によつて違いますが、まず製品について四箇月分だけいるというふうに推定いたしまして、これが金利一割としまして━━━━━━になります。大体これが合計いたしましてその下にあります金利になるのであります。それからB工場につきましては、社債を出しておられぬのでありまして、設備資金の借入れ残が━━━━━━━であります。それを年一割といたしまして、製造数量で割りましてトン当り━━━━━━、この工場の運転資金につきましては、約三箇月分で足りると想定いたしまして、━━━━━━でありまして、こに書いてある合計に合うのでございます。C工場はこれまた社債がありませんで、設備資金の借入れ残が━━━━━━であります。同様な方法で説明いたしますと、A工場のようになるのであります。Dは設備資金の措入れ残が━━━━━━━━━でありまして、社債が━━━━━━━━、合計━━━━━━━━━でありまして、一般の市中借入れの設備資金の金利一割、社債を同じく九分といたしまして、この方は非常にもよりによくさばけるという強みがありまして、大体これは二月半で回転するというふうに見まして、合計━━━になるのであります。その次のE工場は、設備資金が━━━━━━━━、社債の残が━━━━━━、同様な方法で計算して、この場合運転資金は三月といたしまして、合計━━━━━━となります。次のFは、社債がございませんで、設備資金の借入れ残が━━━━━━━でございます。金利は同じく一割で、これは二箇月半の運転資金を要するとしまして━━━━━というふうになります。
  55. 加藤鐐造

    加藤(鐐造)委員 私は工場ごとの借入れ金額についてお伺いしたのですが、今の御答弁は会社ごとですね。
  56. 柿手操六

    柿手説明員 今のはこの工場における社債及び設備の借入れであります。一工場のものはもちろん借入れですが、二つ以上工場を持つておるものはその工場の設備の借入れを推定いたしたのであります。
  57. 加藤鐐造

    加藤(鐐造)委員 工場ごとにはわからないのですか。
  58. 柿手操六

    柿手説明員 各工場を持つておりますものは借入れは全体として出ておりますが、それを私どもの方で推定して区わけをいたしております。
  59. 齋木重一

    ○齋木委員 関連して。部長の御答弁はちよつとわかりかねる。わかるように説明する原案を持つていらつしやるなら、その原案に秘の判を押して早く出しなさいよ。工場とか会社とかいうことになると、二つ以上の工場は何々会社ということになるから、一つの会社で幾つもの工場を持つていて、電解法でやつている工場もあればガス法でやつている工場もある。製造過程において工場ごとに出したのか、会社ごとに出したのか、明確にはわからないように思います。どこそこの会社は電解工場であるから、それを電解工場の分として計算したとか、それからまた一つの会社の中でガス法でやつたところがある。製造工程が二つにわかれておる。そうすると━━━からの融資をやつたということになると、工場別ということになれば一つの工場へ━━━融資をやつたということにも解釈できると思うのです。そんなことはありますまい。開発銀行から一つの工場に━━━も貸し出したかどうかというようなことも起るわけなんだ、そこを明確にしていただきたいと思うのです。それからまた悪かつたら秘の判を押してまわしてください。そうすればスムーズに行くよ。
  60. 柿手操六

    柿手説明員 私の説明が非常にまずかつたのでありますが、一会社で一つしか硫安工場を持つていないところはこれははつきりいたしますが、硫安工場を二つ以上持つておるところにつきましては、私どもである程度推定をいたしております。長期の設備資金の借入れにつきましては、この借入金はどの工場のどの設備のために借り入れるということは、大体運転資金を考えまして、会社でもわかつておる部分があろうと思うのであります。それをできるだけ明らかにするように会社にも聞きまして推定いたし、そしてどうしてもわからない部分は全体の固定資産の額の比率等で私どもは推定をいたしたのでございます。
  61. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 この法案は御承知ように、提案されてから相当時間がたつておるのです。この法案を提案された当時の生産原価及び販売価格というものと今日とにおいては相当開きが起つて来ております。従つてここにABCなど六つの何が示されておりますが、その六つの工場の法案を出された当時の原価及び現在の販売価格、六つの工場の当時の生産数量及び現在の生産数量等をお知らせ願いたい。
  62. 柿手操六

    柿手説明員 この法案を提出いたしました昨年の七月下旬の当時の原価につきまして調査をいたしておらないのでございまして、そのときと現在との比較はできませんが、生産量は当時十八万トン程度であつたと思いますが、現在は二十万トン、さらに四月においては二十一万二千トンというふうに相当の生産を上げております。しかしながらこれは非常に季節的に変動がございまして、あるいは電力事情に左右され、年間を通じますと大体去年の夏ごろからのべースは約二百二十万トンないし二百三十万トンというところでございまして、二十九年度においての生産計画がどの辺になるだろうかということにつきまして、私ども事務的に推算をいたしておりますが、まあよくて二百四十万トン以上はむづかしいのじやないか。今までのようなピツチをもつての増産はそう期待できないのではないか、こう考えております。
  63. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 私はその数量に伴う価格の問題をお尋ねしておるのですが、それの御答弁がないようです。
  64. 柿手操六

    柿手説明員 この法案を立案いたします当時の市価は、これはメーカーが全購連と契約します価格でありまするが、去年の春は大体八百七、八十円見当だつたと思います。それが去年の秋は、月によつて違いますが、平均で申しますと八百五十五円だつたと記憶します。二十九年の一月ごろは八百三十三円。契約では大体この春の平均を八百四十三円というところに持つて行くということで契約をいたしておるわけでありますが、今の平均から申しますと八百四十三円に対して十円くらい安い値で取引されておる。一月、二月が相当下まわつておりますが、平均すれば大体八百四十三円ということになると思います。
  65. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 どうも御答弁が私のお尋ねしていることからするとちよつと抽象的になつて、私の頭の悪いせいか聞き取りにくいのですが、私のお尋ねしているのは、この法案を提案された当時の生産数量と原価及び販売価格、現在の生産数量に伴う原価及び販売価格がどのように違つて来ておるかということを聞いておるのでございます。それを私がなぜ聞くかと申しますと、この需給調整法においてもさることながら、この法案とうらはらになつておるといわれておる硫安輸出調整臨時措置法ともきわめて関係が深いので、これをはつきりしなければ私どもがこの二つの法案をあわせて審議することに正確さを得ることができないから、その点を聞いておるのでございますから、これをきちつと御答弁してください。
  66. 柿手操六

    柿手説明員 この法案を提案いたしました去年の七月当時の原価と現在の原価との比較をとおつしやるのでありますが、当時原価につきましての調査をいたしておらぬのでありまして、その比較はできかねるのであります。
  67. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 それではそれをお調べになつて先にお出しください。委員長、それを要求しておきます。それを明らかにしておかなければ、輸出法との関係がございますから、これを審議する上に重大な影響があるのでありますから、その資料を先に御提出されることを要求しておきます。要するに私のお尋ねしておるのは、この硫安輸出調整臨時措置法と非常に関係があるのであります。従つてこの輸出法に関連して国家のいろいろなことに関係がある。たとえば資金の問題その他いろいろな関係があるのであります。従つてそれは価格の問題に重大な影響があるのでございます。国内消費者に対する影響もまた大きいのでございます。従つて今私のお尋ねしていることが明らかにならなければ、この輸出法との関係をわれわれは審議できません。これが明らかにならなければ、従つて調整法に対する価格その他の問題等についてもわれわれは——今それをやるからいいじやないかとおつしやるかもしれませんが、あなたがこの法案をつくられるにあたつて、私が今お尋ねしている問題が、明らかに数字的に出されないで、一体法案に対する正確さを持つて審議をしてくれということはできないだろうから要求するのでございます。
  68. 愛知揆一

    愛知国務大臣 ちよつと私からお答えいたしますが、先ほどもるる申し上げました通り、この法案の御審議を願いましてからずいぶんの時間になるのでありますが、この原価の問題について、これは通産省で何かあるであろう、あるいはなければ推算でもいいからというお話が最近になりましてからきわめて具体化いたしまして、そうしてただいまお配りいたしました六工場、あるいは平均の原価の試算というようなものは、私から申し上げるのもいかがかと思いますが、事務当局としてもこれはずいぶん苦心してつくりましたものであります。苦心してつくりましたが、同時にこれを公の資料とのて、秘扱いでなく、オープンにこれを公表するだけの自信はないのであります。そういう状況でありますから、ますますもつてこういつたような法律案の成立を私も心から一日も早くと期待しておるような次第でございます。ただいま伊藤さんの御意見は私もごもつともだと思うのでありますが、実際問題としては、これは非常にざつくばらんな申しようになりますが、まあほんとうの推計を、御希望に応ずるようなものをでつち上げるよりほかないのでありまして、そういうことでは、私はかえつて誠実な御審議を願うゆえんでないと思いますので、お願いでございますが、この程度でひとつごかんべん願いたいと思います。
  69. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 私は決して無理な質問をしておるのではございません。それは大臣も今御答弁でお認めになつておることを知るのでありますが、なるほど今日御提出になつたこの資料等においても、いろいろ会社の内部に触れて資料等をおつくりになつたのであろうから、さだめし苦心をなされたであろうことはわかります。またこれは多分に推定的なものが入つておることもわれわれはわかります。私はそれらの点は十分理解をするのでありますが、私がさつきから資料の点を求めておりますのは、われわれが一応段階的に知らなければならぬことだと思うのでございます。この法案を提案される当時の原価を知らなければならぬ。それがどのよう国内及び国外に売られてある原価であるかを知らなければなりません。それから相当年限がたつて、生産数量等にも相当影響が起つて来ております。従つて生産数量がこれらの工場においてどのようにかわつて来ておるかを知らなければなりません。さらに今日において価格の問題が相当違つて来ておることは大臣はお認めになつておるでしよう。国際価格の上においても相当違つてつております。国内価格の上においても相当違つて来ております。従つて数量的に違うと同時に、価格的にどのように違つておるかということを知らなければ、このうらはらになつておるという硫安輸出調整臨時措置法をわれわれが審議できないじやございませんか。これは国家的ないろいろな資金その他の問題等が影響あるじやございませんか。これをする必要がないのか、しなければならないのか。関連があるじやございませんか。それなのに私が今求めておるところのものをお出しにならないで、ただもうその辺はひとつ推量でまかせて、腹でやつてくれということは、これはわれわれ議員としてはできません。国家の資金投入の問題が関連するからできません。そういう点からひとつ私の求めておる点については至急御提出を願います。  同じことを繰返すので私もはなはだおもしろくないのですが、原価の問題が一応わからなければなりません。原価の問題がわからないでどうしてそんなら輸出調整法を出そうとされるのですか。これに対してはちやんとその原価をかくのごとき原価であつて、この二重価格制ではこういうことになるからというのでこれを出されておるのじやありませんか。従つて二重価格云々という以上、原価がわからないで二重価格とは言えないでしよう。そういう点からもう少し筋を立てなければならぬと思います。そういう点で私の申しておることは決して無理を言つておるのではないと思いますから、通産大臣は係官に十分その辺においてひとつ調査というか、至急私の申出の資料等について、本日中にできなければ明日中にでも至急お出しを願います。
  70. 愛知揆一

    愛知国務大臣 先ほど私が申し上げました通り、あなたのおつしやることはごもつともだということは私認めておるのでありますが、しかしそういうことであるからこそこの法律案の御審議を急いで願いたい。実際これはわからないのであります。今すぐにでもあるいは今日中にでもという御希望であれば、ますますもつてどもとしては、非常に率直なことを申し上げましてお怒りを買うかもしれませんが、まあいいかげんなものでお出しするよりほかないのでありまして、正確な資料を責任をもつてお出しするということは、この程度以上には私の力ではできないのであります。  もう一つの御質疑でございますが、二重価格の問題はともかくとして、たとえば外国、と申しましても西欧諸国でありますが、西欧諸国に比して常識的に相当の割高なコストであるということは明らかであると私は思いますので、有権的なコスト調査が行えなくて、この法律案の御審議を願つておりますけれども、これは常識的にお考えいただきまして、国際的価格に対してまだ相当の高位にある。従つて今後コストの調査も権限をもつてするということがどうしても必要である、こういう見解に私どもつておるのであります。
  71. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 私が今明日にでもといつて求めましたのは、この法案を上げることに政府側もまた委員長も相当お急ぎになつておるようでございますから、急いでこの法案を上げられるように、できることならわれわれも協力をしたい、こう思うがゆえに私は資料の提出を急いで申しておるのでございます。しかし何も私のみがそう資料を急ぐ必要はないのでありますけれども、法案を上げるのに協力する意味で私は申し上げておるのでございます。だから時間関係を急いで申しておるのでございます。政府の方が正確を期する意味において、五日でも一週間でも与えられなければ困るとおつしやるのなら、それは五日分も一週間でも私はお待ちいたします。さらに資料等において正確を期することはできぬ、あるいは推定ということを考えざるを得ぬという大臣の御答弁でございますが、それが正確であるか推定であるかは、お出しをいただきますと、私どもの方も一応研究したものもありますし、なおお互いに各委員審議をしてみますと、それはわかるだろうと思うのでございます。そういうわけでございますから、一応政府側の方でこの程度であると思われる点をお出しを願いたいと思います。
  72. 大西禎夫

    ○大西委員長 ちよつと皆さんにお諮りいたしますが、この問題少し行き違いもあるようでございますから、ここでちよつと休憩して懇談したいと思いますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  73. 大西禎夫

    ○大西委員長 それではさようにいたしまして、懇談でお話願いたいと思います。  暫時休憩いたします。     午後四時十一分休憩      ————◇—————     午後四時四十七分開議
  74. 大西禎夫

    ○大西委員長 休憩前に引続き秘密会を再開たいします。  硫安のコスト問題について質疑を継続いたします。まず先ほどの伊藤委員質問に対する答弁があります。柿手料部長
  75. 柿手操六

    柿手説明員 先ほどの御質問に対してお答えいたします。最近の原価につきましては、私どもの手元において先ほど御説明いたしましたような推定をいたしたのでございますが、この法律を提案いたしました昨年七月当時のコストはどのくらいであつたかという御質問でございますけれども、宅ほど来御説明申し上げます通り、当時の原価を調査いたしておりませんので、的確に申し上げることは困難でございますけれども、いろいろな客観的な私どもの推定を申し上げますと、相当当時はこの原価より高かつたものと推定をされるのでございまして、これを各種目ごとに具体的に御説明を申し上げるだけの資料がないのははなはだ遺憾でございますが、いろいろな要素からしいて推定をいたしてみますと、硫安製造の非常に大きな部分を占めております石炭、コークス、硫化鉱等の値下りが、これが製法によつて非常に差がございまして、これを平均的に今ここですぐ申し上げることは私ども技術者としては非常に躊躇するものでございますが、今ここで休憩中に私どもで大まかに推定いたしますと、現在は一割前後の値下りをいたしておりますので、当時は今のものよりその程度高かつたというふうに計算をいたします。  それから操業度につきましても、先ほど御説明いたしましたように最近は当時より七、八パーセントの操業度の上昇が見込まれると考えられますので、それらをごく大ざつぱに計算をしてみますと、大体一かます当り————————程度は高かつたものというふうに、これはごく大ざつぱな推定ではなはだ申訳ございませんが、その程度と推定をされる次第でございます。
  76. 加藤清二

    加藤(清)委員 関連いたしまして、先ほど来大臣の御答弁にも局長の御答弁にもありましたが、肥料の原価計算書が会社の方からとれないということでございました。私思い起しますのですが、藤山愛一郎さんが前のこの委員会に出席されて参考人として答弁がありました折に、私質問いたしまして、あなたたちは出血輸出だからそれで何とか援助をしてもらいたいということであるけれども、どこからどこまでが出血でどうなつておるのやらわからない、そこでぜひ原価計算書を出してもらいたいということを申し上げましたところ、そのころは肥料とは言わずに硫安審議会と言うておつたらしいのですが、硫安審議会の方に各会社別に出してある、従つてそこからとつてもらいたい、こういう御答弁でございました。私古証文は持つて来ておりませんけれども、それは委員会の記録ですからあるはずです。その折にそれではあとでそちらからとつてということで、あとから承つたものがあります。それを私はここへ持つて来ております。マル秘で出ておる。ところでこれは政府側からどうやつて出されたのか知りませんけれども、とにかく三通り出ておる。それを私が質問いたしましたところ、たいへんずさんであるという結果が出て来たのであります。そこでこれではいかぬ、ずさんでないものを出してもらいたいと要望しましたけれども、さようにいたしましようということで今日になつておるわけでございます。だから先ほどの伊藤さんのような御質問が出るのは当然のことだと思うわけなんです。そこでこれもおそらく推定で出たものでしようし、今度新しく出たものも推定でございましようけれども、それで順番にこの内容を聞きたいのでございますが、第一にわかり切つたことをお尋ねいたします。すでにこの二つを対照してみますと、実にふかしぎきわまることがあるのです。一例を言うと、運賃は上つたはずでございますけれども、下つたように出ております。貨物運賃はあれから上つておるのです。今の肥料の取引でございますと庭先渡しでありますけれども、当時はオン・レールであつたはずなんです。これにもオン・レールと書いてある。ところがこちらの新しいのも、オン・レールだという答弁です。にもかかわらず、同じ目方を運んでいて、汽車の運賃は上つているのに、この表から行くと下つておる。それは下るほどいいのですけれども、おかしな話だと思うのですが、一例を言うとそういうことなんです。以下各項にわたつて、私比較対照してお尋ねしたいと思うわけでありますが、これは一体どういうことでございましようか。推定の誤りでございますか。
  77. 愛知揆一

    愛知国務大臣 そういうお尋ねが出ますので、実は私どもも非常に困つたわけなんでありますが、先ほどお尋ねの通り、肥料、対策委員会等に硫安協会ですか、肥料協会ですか、そこを通じて出たものは、私どもの試算推計をいたしましたものと、やつた人も全然違えば、私どものは新しいといいますか、通産省立場においてつくりましたものでありますから、それとこれとを御対照になりますと、これは柿手部長から御説明いたしますが、出て来た結果はかなり違うのであります。そこで先ほども、昨年の七月ごろの原価の推計の何かないかとお尋ねがあつた場合に、たとえばその肥料対策委員会にある案も私ちよつと頭に出たのでありますが、これはつくつた人が通産省の人でないものでありますから、正確にこれを批評することはできない、こう思いましたので、あくまで私どもは私ども立場において権威のあるものはできないということを率直に申し上げたのです。そういうふうな環境にありますことだけ御了承願いたいと思います。
  78. 加藤清二

    加藤(清)委員 そうすると、この前いただきました三通りの原価計算書なるものは、通産省で手を加えずに、硫安審議会のものをそのまま出されたのですか。
  79. 愛知揆一

    愛知国務大臣 それは私の就任前だつたかと思いますが、私その後調べましたところ、肥料対策委員会から直接にか、あるいは経済審議庁を通じたかもしれませんが、通産省の、手を通ぜず、従つて何らの修正を加えておらないはずでございます。
  80. 加藤清二

    加藤(清)委員 これは藤山さんのお話によりますと、各社別のものが硫安審議会に出してあるから、そこからとつてくれというお話でございました。ところでこれはガス法と電解法との平均のものが出ておるようでございます。その平均することは硫安審議会の方でやられたのですか、通産省でやられたのですか。
  81. 柿手操六

    柿手説明員 この前十六国会で御要求になりました当時、私どもの手元に肥料のコストの調べがないものでございますから、肥料対策委員会に生産者側代表として御出席になつております藤山委員から、肥料対策委員会に御提出になつた資料がございますので、それをそのまま対策委員会から拝借しまして、本委員会にお配りしたというわけでございまして、政府といたしましてはその資料についてタツチをしておらないのでございます。
  82. 加藤清二

    加藤(清)委員 そうすると、これは政府が提出されたことになつておりますが、手は加えていらつしやらない、こういう意味ですか、それとも責任が持てませんという意味ですか。
  83. 柿手操六

    柿手説明員 当時政府に対してコストの御要求があつたのでございますが、政府はそのコストの調査はしておりませんので、対策委員会に生産者側代表として藤山委員から御提出になつたものがありますから、それを拝借して参考資料として配付いたしますということをお断りして、本委員会にお配りしたのでございます。
  84. 加藤清二

    加藤(清)委員 わかりました。そうすると、これはあくまで参考資料ということでございますか、政府としてはきようのこれではなくて、元のこちらの方は責任が持てない、こういうことでございますか。
  85. 柿手操六

    柿手説明員 その通りでございまして、これはどこまでも肥料対策委員会に提出されたものを、私の方でその委員会からちようだいいたしまして、そうして提出したのであります。
  86. 加藤清二

    加藤(清)委員 私の聞いていることは、これはあくまで人のつくつたものであつて信用が置けない、だから政府としては責任が持てない、あくまで参考資料として配付した、こうおつしやるのですか。それともこれはある程度信憑性のあるものだ、かようにお考えでございますか。その点だけでいいのです。ほかのことはけつこうです。
  87. 柿手操六

    柿手説明員 この資料が信憑性があるかないかということは、私は批評はできないのでございますが、要するにこれをさらに、この内容が正しいが正しくないかということにつきまして審査、あるいは調査はいたしておらないのでございまして、どこまでも対策委員会に出されたものをお取次してお配りしたということであります。
  88. 加藤清二

    加藤(清)委員 それではお尋ねしますが、きようお出しになつたこれはいかがでございますか。これは政府が現実に調べたり、あるいは推定を加えたりして作成されたものでありますか、これは責任が持てるとこうおつしやるのでありますか。
  89. 柿手操六

    柿手説明員 これは私どもの推定いたした範囲において、責任を持つております。
  90. 加藤清二

    加藤(清)委員 ところで私がこれに対して質問をしました折に、あなたと中村さんの二人でお答えになつていらつしやるはずなんです。その質問を私はそのまま書いてちやんと持つている、それに対してあなたが答えていらつしやるわけですが、そうするとこれは、この前の責任の持てないやつに対してあなたは答弁なさつたというわけですか。あの当時あなた方は責任を持つてお答えしますとおつしやつた。そうでしよう。この間そういう古証文を出して私はみんなに笑われたから、きようは持つて来ませんでしたけれども、もし何ならいつでも持つて来ます。あなたの答えたことがちやんと資科になつて出ておるのです。今もし必要とあらば、私は間違いなくあの当時のことをもう一ぺん質問してもいいのです。てにをはは多少違うかもしれませんが、要点においてはかわりなくできるつもりです。そこでお聞きするのですが、これには責任が持てない、しかし新しい方のには責任が持てる、こうおつしやるわけですが、しかしこれもまた半年くらいたつて、いやこれには責任が持てない、こうおつしやられると私としても非常に困りますから、念のためもう一度責任が持てるか持てないかお尋ねいたしておきます。これは何も私は政府側をいじめて、どういうしようというのではありませんから、あなたの方も遠慮なくおつしやつていただきたい。
  91. 柿手操六

    柿手説明員 本日提出いたしました二つの資料は、御説明申し上げましたようにいろいろな推定はいたしておりますけれども、その推定をいたした限度においては私どもの責任でございます。
  92. 加藤清二

    加藤(清)委員 まあこれを責任が持てないとおつしやれば何をか言わんやでございます。しかしそうなれば、この前私が御配付いただいたその日に質問いたしましたときの御答弁というものが、おかしなことになつて来る。責任の持てない参考資料に対して、あなた方が御答弁なさつたということで、実におかしなことになる。しかしもしあなた方がこれに対しても責任が持てるとおつしやるならば、あくまで比較対照してこれをお尋ねしなければならないのです。そうするといろいろな問題が出て来るわけです。たとえばこの新しい原価計算書によつても古い方の原価計算書によつても同じことが言えるのですが、第一に時期がわからない。それから生産能力、量というもの、これは今おつしやいましたからいいですが、次に従業員の問題とか投資の額とかいうことがわかつていないきようのこれですと全然わからないのです。その原価計算書の根本になるものから審議をしないと事が間違うのです。だから材料が整つておりませんので私の質問もずさんになるかもしれませんが、大体お尋ねをいたします。この二十八年度開発銀行融資対象工場生産原価表についてお尋ねをいたします。これにつきましては、私ぜひお尋ねしなければならぬことがある。それは控除項目というところを見ていただきたいのです。これによるとA工場、B工場、C工場はほとんど控除項目というものがない。ところが肥料会社を調べてごらんになるとおわかりだと思いますが、当然石炭やコークスをたきますと副産物が出るのでございます。原価計算書の中に副産物というものはマイナスで入つていなければ大きな手落ちじやないかと思いますが、ここは推定ができなかつたとおつしやいますか。それともこれは手落ちであつたのでございましようか。A工場は━━━ばかりあるようでございますが、BCにおいては副産物というものは全然ないとおつしやるのでございますか。それをお尋ねしたいのです。
  93. 柿手操六

    柿手説明員 この控除項目は経理の仕方によりまして、工場によつていろいろ差があるのでございますが、控除項目のおもなるものは硫化鉱のシンダーというのが一番多いのでございまして、BCの工場においては硫化鉱の種類によつては製鉄の原料にならなくて売れないというものがありますが、そういう硫化鉱を使つておるということから控除項目にはならないのであります。そこで全然ないかという御質問でございますが、なるほどコークスにはブリーズが出ますので、それが副産物になるのでありますが、それは大きな金額ではないのでありまして、それはコークスの買入れ単価と相殺をいたす経理をいたしておりまして、コークスの場合において、それが副産物という欄に上らないだけ単価が安くなつておるという経理をやつておるのでございます。
  94. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 加藤君の関連質問がまだあるようでございますけれども、本会議のベルが鳴つたようでございます。それで委員長にお尋ねしたいのですが、委員長は質疑をきようお打切りになる予定ですか、それとも続行されるのでしようか。それによつて私も予定があるのですが……。
  95. 大西禎夫

    ○大西委員長 明日本審議が開かれますまで質疑を続行いたしまして、そうして本会議以前に決をとりたい、かよう考えておるわけであります。
  96. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 それではなお今晩一晩政府側の方に時間があるようでございますので、先ほど政府側の方で私の質問にお答えになりましたのは非常に抽象的でございますことは申すまでもありません。そこで先ほど御答弁になつたものをもう少し今晩のうちにおまとめになつて、あしたの朝でも御提出願いたいと思います。たとえばこの法案を提出された当時から比べると、硫化鉱だけでも一割五分以上下つておるということが明らかになつておると私ども見ておりますが、石炭の方においても、先般大臣がお答えになつたときにも、大体六、七百円下つておるのはうれしいとおつしやつた。その後国鉄、電力その他大手方面の契約を見ますと、四百円から六百円の値下り契約をしております。そういたしますと、大手筋を標準にした一つの平均した価格として、トン当り千円以上下つております。そういう点からこの硫安製造に対するそういう諸原料のおもなものをあげましても、私が計算いたしますと一割五分から二割ぐらい上つております。そうすれば先ほどの操業度の関係などと勘案して、三十円から四十円という目安よりもつと下るという、きわめて明らかな数字が大ざつぱにも出るわけでございますから、そういう点で硫安製造の原料費のおもなものはこのくらい下つている。従つて生産及び販売の価格は一応現在においてはこのくらい下つているという目安についての資料を——こまかいことは申しません、意地の悪いことは申しません、大ざつぱなものでよろしゆうございますから、明朝までにこの点をまとめて資料として御提出になるように、委員長から政府側に要望しておいていただきたいと思います。
  97. 大西禎夫

    ○大西委員長 承知いたしました。これにて秘密会を終ります。     〔午後五時十一分秘密会を終る〕      ————◇—————
  98. 大西禎夫

    ○大西委員長 本日はこれにて散会し、明日午前十時より開会いたします。     午後五時十二分散会