○川上委員 二つの問題が出たのですが、農家経済の問題と
輸出の問題の立場からこの
法案が成立する必要がある、こういう御答弁ですが、だから私は二つにわけてお伺いしたいのですが、まず第一の農家の経済の問題でありますが、その
コストはちようど石炭の場合におけるようなもので、
コストはなかなか明らかにならない。また実際においては明らかにしようとしないのです。ことに十四社が
硫安協会をつく
つてお
つてこういう問題は非常に秘密にしておるのです。ところがもし農家経済を助けるためにこういうものがいるというのであれば、二重
価格をいつまでもやるというような前提でカルテル
価格をきめたりするよりも、
コストの引下げという問題で
努力しなければならぬ。これが一番重要なのである。ところがこの
コストについては、たとえば合化労連の二十七年秋から八年春にかけての調査によると、
コストが平均五十ドルないし五十一ドルとな
つておる。また二十七年の十二月から翌年五月にかけて朝鮮向けに二十二万五千トンを出しておる。この
価格はたしか五十一ドル六十セントであ
つたと思う。しかしこれはほかの場合と違
つて補償がついておりません。でもやはり
会社は二割以上の配当をちやんとや
つておるのです。この五十一ドル六十セントで出した分の
国内価格は六十七ドル内外であ
つたと思う。ところがちやんと配当をしておるではありませんか。そうすると現在の
コストコストと言
つておるものが、石炭の場合と同じように、いかに怪しいものであるかということは明らかである。ここに手をつけなければならぬ、これが第一点。
第二点は、これは常識だと思うのですが、
硫安工業は操業度が二割上れば
コストは一割下るというのが業界の常識だと思う。ところが五箇年計画によると三十二年には三百五十万トン
生産をするというふうにうた
つておる。現在
国内需要は百七十万トンくらいでありますが、今年の
生産は二百四十万トンという、さきにも
政府側の御答弁があ
つたのであるが、この順で行くと
コストは下らなければならぬ。なお今言
つておる
コストでもこれは非常に怪しい
コストであ
つて、調べ上げなければならぬ。今度できた
安定法では調べ上げるとい
つておるが、あの形ではこれは調べ上げられはしません。石炭と同じことです。だから
コストに手をつける気はないと私は思う。こういうことをほ
つておいて、一方では
輸出会社をこしらえる、そうして業界は非常に助かるでありましようが、しかしこれは農家の利益には何らならぬ。ほんとうに農家の利益を考えてや
つたというのであれば、
輸出会社というようなものをつくることはないと私は思う。もつと五箇年計画なら五箇年計画の
方向をどんどん推進させながら
——コストが実際は低いのですからこれを十分に調べ上げる。
価格を下げたら
国内需要はどんどん増すのです。
国内需要がうんと増すと同時に、二割の増産をしたら
コストが一割下るのですから、これで農家は潤うのです。この点をほ
つておいて
輸出会社のようなものをつくり上げて、カルテル
価格を放任するようなことを
硫安に限
つてやるという点が私にはわからない。ほかの
輸出産業はつぶれようとしておる。実にえらいことにな
つておる。ことに中小企業のごときは、倒産に次ぐに倒産をも
つてして実にえらいことにな
つている時分に、
硫安会社をこんなことをして助けなければならぬか。そこには何か理由がなければならぬ。今の
政府の御答弁ではこの理由が出て来ないのです。どういうわけで
硫安だけこういうことをしなければならぬか、その点をもつと明確にする必要がある。
第二の問題は、
輸出が大切だということでありますが、
輸出が大切だという問題は
硫安に限
つたことじやない。これはあとで、また
質問しますが、
硫安に限
つてそれほど
輸出が大切であるのか。ほかの
産業はどうするのか。
硫安だけが
輸出が大事だという特殊な理由があればそれを御
説明願いたい。これは
輸出の面でありますが、この点についてはまた申しますけれども、今私の申しましたのは、第一点は、農家経済を考えるならばほかの
考え方があるはずであります。
輸出の面を言うならば、なぜ
硫安だけにこれほどのことをしなければならぬ理由があるのか、この二点を伺いたい。