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1954-04-27 第19回国会 衆議院 通商産業委員会 第40号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年四月二十七日(火曜日)     午後二時二十四分開議  出席委員    委員長 大西 禎夫君    理事 小平 久雄君 理事 首藤 新八君    理事 中村 幸八君 理事 福田  一君    理事 加藤 鐐造君       小川 平二君    小金 義照君       始関 伊平君    土倉 宗明君       馬場 元治君    村上  勇君       笹本 一雄君    柳原 三郎君       井手 以誠君    加藤 清二君       中崎  敏君    川上 貫一君  出席政府委員         通商産業政務次         官       古池 信三君         通商産業事務官         (大臣官房長) 岩武 照彦君         通商産業事務官         (企業局長)  記内 角一君         通商産業事務官         (重工業局長) 徳永 久次君         通商産業事務官         (繊維局長)  吉岡千代三君  委員外出席者         専  門  員 谷崎  明君         専  門  員 越田 清七君     ――――――――――――― 四月二十七日  委員齋木重一君辞任につき、その補欠として井  手以誠君が議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 四月二十四日  自転車競技法等臨時特例に関する法律案(大  西禎夫君外十六名提出衆法第二四号) 同月二十三日  奄美大島電力発電並びに既存電力施設改善に関  する請願山中貞則紹介)(第四五五〇号)  矢部川鉱さい流出に伴う漁業被害補償に関する  請願田中稔男紹介)(第四六〇三号)  電気事業法制定に関する請願中澤茂一君紹  介)(第四六〇九号)  農業用電力料金後納措置に関する請願(只野  直三郎君紹介)(第四六一〇号)  米国可燃性織物輸入禁止措置対策に関する請  願(助川良平紹介)(第四六二二号) の審査を本委員会に付託された。 同月二十四日  朝鮮のり輸入停止に関する陳情書  (第二九四九号)  電気料金値上げ反対に関する陳情書  (第二九五〇号)  北洋材輸入に関する陳情書  (第二九八七号)  生糸の輸出振興に関する陳情書  (第二九八八号)  米国可燃性織物輸入禁止緩和に関する陳情書  (第二九  八九号)  北海道におけるセメント工業振興に関する陳  情書(第二九九〇  号)  朝鮮のり輸入停止に関する陳情書  (第三〇〇〇号)  石炭鉱業対策に関する陳情書  (第三〇〇一号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  自転車競技法等臨時特例に関する法律案(大  西禎夫君外十六名提出衆法第二四号)  商品取引所法の一部を改正する法律案内閣提  出第七七号)(参議院送付)  通商産業省関係法令の整理に関する法律案(内  閣提出第一四五号)     ―――――――――――――
  2. 大西禎夫

    大西委員長 これより会議を開きます。  まず去る二十四日、本委員会に付託せられました自転車競技法等臨時特例に関する法律案議題とし、その提案理由説明を求めます。福田一君。
  3. 福田一

    福田(一)委員 ただいま議題となりました自転車競技法等臨時特例に関する法律案につきまして、提案理由を御説明申し上げます。  自転車競技法小型自動車競走法及びモーターボート競走法は、それぞれ自転車自動車モーターボート工業等振興地方財政の増収を目的としていることは、御承知通りでございますが、今年度の予算性格にかんがみ、国庫納付金が、今年度に限り停止され、これに伴い、各産業振興費予算面から落ちることになりました。しかしながら自転車競技法等目的にかんがみ、何らかの方法により産業振興費を支出することは、絶対に必要な事柄でございますので、関係各方面と慎重に検討を行いまして、この法律案提出した次第であります。  次に本法案の概要を御説明申し上げます。第一にこの法律は、従来の国庫納付金にかわるべき納入金の制度を臨時に設けまして、これを財源として中小機械工業設備近代化生産技術向上機械輸出の伸長その他機械工業振興をはかるため必要な経費に充てようとするものでございます。次に、自転車小型自動車については、それぞれの法律目的にのつとり、従前とほぼ同様の方向で産業振興をはかつて参るつもりでございます。なおモーターボートについても同様の方法をとる所存でございます。第三に振興対象自転車自動車のほかに、一般機械工業範囲まで拡大したことでございます。わが国機械工業のうち、輸出機械工業部門重要部品製造部門機械工業基礎工業部門には、中小企業が多数存在しておりますが、これらの企業設備近代化技術向上は、我が国の機械輸出の増進、輸入の防遏に大きな影響を有しているのであります。しかるにこれらの企業設備資金の調達には、諸種の隘路があることにかんがみ、これらの企業設備近代化を促進しようとするものであります。  第四に納入金受入機関として自転車振興会連合会小型自動車競走会連合会全国モーターボート競走会連合会を選んだわけでございますが、この納入金公的性格にかんがみ、その使途については、一切主務大臣の定める計画及び指示に従つて行わせますとともに、納入金の一切の取扱いは、商工組合中央金庫に委託させることとしたのでございます。  第五に、この法律有効期限昭和三十年三月三十一日までとし、その期間終了時における自転車振興会連合会等の資産及び負債はこれを国に帰属することとしたのでございます。すでに衆議院を通過しました補助金等臨時特例に関する法律により、国庫納付金の停上期間昭和三十年三月三十一日までとなつていることに対応したものでございます。  次に納入金の率については、地方財政現状考えまして、大幅に引下げますとともに、売上金の少いものについては納入金を免除することといたした次第でございます。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成あらんことを御願いいたします。
  4. 大西禎夫

    大西委員長 以上で提出者よりの提案理由説明は終りました。質疑次会以後にこれを行うことといたします。     ―――――――――――――
  5. 大西禎夫

    大西委員長 次に過日の理事会申合せによりまして、商品取引所法の一部を改正する法律案議題といたします。質疑の通告がありますので、これを許します。加藤清二君。
  6. 加藤清二

    加藤(清)委員 私はただいま上程されております商品取引所法の一部を改正する法律案について、委員長から再三再四早く上げるようにと催促を受けております関係上、委員長を徳といたしまして、きようはその御意思に沿うべく、なるべく簡明直截に御質問を申し上げ、でき得るならばきよう意思に沿いたいと思うておりますから、御答弁の方もなるべく簡明にお願いしたいことをまず最初にお願いいたしまして、質問を二、三させていただきたいと存じます。  まず第一に、この問題は当委員会にかかつているわけでございますが、その取扱いまする内容上、農林委員会にも重大な関係を持つておる関係上、農林委員会としても以前から重大な関心を持つてこのたびこれを上げるにつきましては、附帯決議なるものを当委員会提出されているようでございまするが、これの取扱い方につきまして、まず委員長にお尋ねしたいと思いまするが、これを一体どのような形にして農林委員会全員一致決議をくみとろうとなさいまするか、まず第一にそれをお尋ねするわけでございます。
  7. 大西禎夫

    大西委員長 農林委員会から農林委員会の総意として、ここに皆様のお手元に配付をいたしておりまするような書き物が来ておるのでありまするが、先方の井出委員長の御申出によりますると、そちらの方で、この内容に御賛成の点があるならば、これを取入れて附帯決議か何かの形で善処をせられたい、こういうふうな御申出があつたのでありますので、もしあなた方の方におかれて附帯決議でもおつけになろうという御意思があるならば、さようにしていただきたい、かよう考えております。  なお本申入れ事項は参照として会議録に掲載いたしたいと存じますので、さよう御了承願います。
  8. 加藤清二

    加藤(清)委員 第二点に今度のこの改正法律を見ますると、これは私のひが目かもしれませんが、その改正要点なるものはどう考えてみましても、取引所運営合理化ということに要点が置かれておるようでございまするが、私の見ましたところによりますると、これは仲買人の便宜をはかるということにウエートが置かれておるように思えてならぬのでございます。改正要点の一から五に至るまでは、ほとんど過去の仲買人が不便を感じていたことを直す、こういうことだけにとどまつているようでございます。そこではたしてそのようであるかないかを第一点にお尋ねするわけでございます。もし私がほんとうにこれを改正するとするならば、私はこのよう改正も必要かもしれませんが、それにとどまらずに、ほんとうはこの法律のよつて生れた原因でありまするところの、いわゆるここから商品を買う者の立場、つまり商品取引所法は、ここから商品を買う者が、自分企業を営むにあたつて、その材料が不足したり、あるいはこれが騰貴いたしますると困りまするので、つなぎの場としてこれが生れて来たものと心得ております。しかも値段が騰貴いたしますれば、結局その材料を購入いたしまして、これを加工し、販売するところの業界にとつてはたいへんな痛手でございます。そこでこれを防ぐために行われているものと心得ておりまするが、それに対しての考慮がはたしてどのように払われているかとながめてみますると、遺憾なことに、これに対する手だてがほとんど見当らないようでございますが、現今の商品市場及び個々商品市場にごやつかいに相なりまして、ここで商品を買い入れて実際に仕事をしている者の立場に立つて考えてみますると、ここは過去においては必ずしもその目的が十分に行われていない、特に先般来盛んに論議されました砂糖もさようでございまするが、糸におきましても、紡績の経営というものは外貨割当関係からスムーズに行き、利益も相当上げられておりまするけれども、ここから糸を購入する方の機場立場に立つてみますると、これは原料高製品安自転車操業を余儀なくされなければならない。また個々商品を依頼したところの商社は、これはその商品の先行きの不安と、スムーズに流れない点と、購入したこの生地があまりにも国際価格を上まわつて高過ぎるという点から、不渡り続出倒産商社続出、こういうことに相なつておるようであります。今日毎日のように行われておりまする倒産商社続出を、ただ金融引締めだけに原因を求めるのは大きなあやまちでありまして、商品取引所がその目的とは違つた場に使われておる関係上、倒産商社続出の大きな原因に相なつておるようでございますが、これに対して、はたして今度のこの法律改正されるにあたつて、どのよう考慮が払われておるか、ほんとう政府にして、中小企業ないしは機場が困る、商社が倒れて行く、この姿をながめて涙があるならば、この際この法律改正にも親心が施されてしかるべきであると考えておりまするのに、その点が見当らないのを非常に残念に思うておるのでございます。この点にどのよう考慮が払われておりますかを、まず承りたいのでございます。
  9. 記内角一

    記内政府委員 今度の改正は御指摘通り取引所内部取引合理化の面を考えておりますが、同時に最初に申し上げましたように、設立の認可制並びに業務規程定款等の変更の認可制ということによつて業務運営適正化を期しておる次第でございます。ただいま御指摘になりました、この取引所においていろいろな過当取引が行われる、そういうふうな結果、中小企業が非常な圧迫を受けるというふうなお話でございましたが、この過当取引が行われるにあたりましては、この定款あるいは業務規程運営を適正にいたしまして、たとえば証拠金の引上げの問題とか、あるいは販売高制限とか、あるいは受渡し供用品範囲の拡大とかいうふうなことによりまして、これらの過当な取引が行われることを防止して参りたいというふうに考えておるのでございまして、その点におきましては、今度の改正におきましても、あるいは改正をまたなくても相当やつてつておるつもりでありますが、今後ともその運用によりまして、この適正を期して参りたいというふうに考えておる次第でございます。もちろんこの間の事情は、単に取引所ばかりの原因によつてそういうことになつたとも断定いたしかねるわけでございますが、取引所取引所としての分に応じまして、適正な運営が行われますように、指導して参りたいというふうに考えておる次第でございます。
  10. 加藤清二

    加藤(清)委員 政府当局気持はわかるのでございますが、御承知通り商品取引市場に業を営むよう方々は、非常に経済界の機微に早い人です。非常に神経過敏な方々が多いのでございまして、これをただ気持だけで取締りのどうのと言つてみたつて、とうていできることじやない、この法律改正されなくても、相当すでにそれは留意しておつたというお話でありますが、その留意されておりました過去におきまして、ストツプ高が何べん行われたかわからない、ついせんだつての、ことに砂糖もそのようなことでございましたが、綿にしてもそうでございます。原価計算をやれば二〇の一梱は大体八万円見当でけつこうだ、そろばんがはじけると思うにもかかわらず、これが二十万円もプラスされて、二十八万円から三十万円にもはね上つて毎日ストツプ高が続いたというようなことがあつたわけでございますけれども、今後特に私が心配いたしまする点は、特に今年度は綿におきましても毛におきましてもそうでございますが、政府の御方針によりまして原料に大きな制限が加えられ、外貨が削減されました。毛については七十四万俵のものが、ことしは六十一万俵に減らされて参つたわけであります。ところで機械設備はそれと逆行いたしまして、去年の百五万錘からことしは二百三十万錘にふえておる。このよう機械設備の点から行けば、当然需要がふえるという勘定が生じて来るわけでございます。もちろんこれだけで算定することはできませんけれども、とにもかくにも需要はふえておる。かたがた政府方針から行けば、輸出振興をはからなければならないということに相なつておる。業界もまたそれに相呼応して努力しているわけです。毛製品にしても二百万ドルの輸出が二千五百万ドルになり、ことしは四千五百万ドルくらいの輸出を計画されて、外貨の収支のバランスを調節していらつしやるようでございますが、この目的に合うには、どうしても上場されるところの材料がふえなければならないにもかかわりませず、減るという見通しがついておる。需要と供給の関係から行けば、当然ここに商品値上りということが考慮されるわけです。また一面、過去において値上りした実例内容を御調査なさつていらつしやる当局では、よくおわかりでございましようけれども、何がゆえにそれほど騰貴したかといえば、ほんとうに糸なり生地なりを買つて加工しようとする業者、つまり商品取引所法の精神にのつとつて、これをつなぎの場として利用している方々以外の資本が多く導入されているということなんです。証券市場の金がここへころがり込んだ、あるいは銀行の金融資本の金や保険会社金等が大口にこの取引所員あるいは会員の手を通じて導入されている。生産される商品が一定しておつて、ここに金がふえれば当然物価高に相なるわけであります。ところで金融資本家方々は、ここを自分のもうけの対象とされたつて、それは月末に金で解決ができるからよろしいようなものの、ほんとうに糸を実際に決済して買つて仕事をしなければならない者は、たださえ紡績のために、原料高が行われているやさき、ここで一層つり上げされれば、さなきだに困つている業界は一層原料高で困らなければならない、こういう状況が当然目に見えて来るわけです。そこで改正されるならば、政府外貨割当てなさいまするときに、これを加工する機械設備を持つ者以外には割当てないという方式をここへも当然取入れられて、加工するところの設備を持たない者はこの商品の場を利用することができないというくらいのことはなさつても、決して政府の過去にとつておられました政策とは相矛盾するものじやないと思うわけでございます。そのようなことをして、ほんとう商品取引所法目的が実際に行われ、業界がそれによつて安心して仕事ができるような方策をこの際取入れる意思があるやいなや。今日この法案を上げるにあたつて、そのことができないとするならば、近き将来において、そのような施策をする考えを持つていらつしやるかいらつしやらないか、この点についてお尋ねするわけでございます。
  11. 記内角一

    記内政府委員 会員資格を有する者以外の者は、ここで売買することをさしとめたらどうかという御意見でございますが、日本の過去の歴史においても、また各国の例などを見ましても、そういう事例はないよう承知いたしておるわけでございます。しかし御指摘ような点もございますので、この点については今後とくと研究いたしたいと考えておる次第であります。
  12. 加藤清二

    加藤(清)委員 ほんとう自由主義経済わが国に行われておるというならば、ほんとうにそれが行われておるアメリカの例になぞらえておやりになつてもさしつかえないでしようけれども、御承知通り今日この商品取引所法によつて上場されますところの物品の、原料は、ほとんど輸入にまたなければならないわけであります。原毛しかり、原綿しかり、砂糖またしかりでございます。ところがこれは、今日政府は口には自由主義経済だと言いながら、割当が完全にきめられておる。これは完全な統制なんです。これを統制でないと言い得る人は、日本国中だれしもないと思う。白を黒と言い切るほどの方でも、このことに統制でないとは言えないだろうと思うわけです。本が統制で末が野放しだから、そこに悪事が横行するということになるわけだ。さればこそこの問題については、すでに日経連においても商工会議所においても、日本経済はある程度計画的に行かなければ、行きあたりばつたりの自由経済ではいけないということを、今年度予算の組まれる当初において言われておるわけです。もうぼつぽつここらあたりにも、その考え方が少しくらいは導入されても何ら罰は当らない。つまり原料統制であれば、それに従つて材料がスムーズに均分化されて行くということが行われてしかるべきだと思うにもかかわらず、一層自由販売を助長し、ここに他の資本が導入されて値をつり上げることのみが行われるようになつておる。この組織、形態については、すでに以前から批判が行われておるわけです。かつて繊維局長徳永さんが名古屋にいらつしやつたときも、この問題が業界で取上げられて、相当いろいろな苦しい答弁をしておられたはずでございますが、研究しておくといつて、あれからすでに半年の余にもなつておりますけれども、その研究効果は一向具体化されていないようでございますが、これは一体どうしたことですか。現在の企業局長としては、そういうことをアメリカでやつておるからかまわない、そつくりそのままの相似形日本でつくつてもさしつかえないという考えですか。
  13. 記内角一

    記内政府委員 取引所運営といたしましては、今のような点も一応考慮にはいたしたわけでありますが、これを禁止した場合にそれの及ぼす影響、それからまた取引仲買人に注文して参る者の資格等を一々調査することができるかどうかといういろいろデリケートな問題が伏在いたしておりますので、われわれといたしましてはもう少し慎重に研究させていただきたいというふうに考えておる次第であります。
  14. 加藤清二

    加藤(清)委員 この問題はこの程度にとどめますが、慎重に研究されることはまことにけつこうでございますけれども、その慎重の研究おかげで具体的に現われないということであるならば、この考えはまさに休むに似たりであつて、結局具体的には何ら効果を及さないということであります。設備を持つか持たないか、会員資格をどう規定するかということが非常に困難であるという仰せでございますが、これはまた異なことを聞くものであつて、もしあなたの言葉がそれで是とするならば、今日の原毛原綿砂糖外貨割当は一体いかなる調査といかなる基準によつてつていらつしやるかとお尋ねいたしたいのでございます。これは同一系統のものである。それが行われないというはずがないのであります。ただそれは怠慢であるか、やりたくないのか、いずれかであつて、慎重に審議するというような、その場のがれの政治家的な答弁でなくして、業界がまさに倒れて行かんとするこの時期にあたつて、首をつつて死ななければならない人がじやんじやん出て来る。昨日もきようも新三品の皮の問題で親子心中の記事が新聞ににぎわつている、こういうときにあたつてこれの指導育成強化の直接任に当るところの最高の企業局長は、そうそういつまでも研究する必要はない。要はカンフル注射を打たなければならぬときです。ひとつ早急にこれに対する具体策を立てていただきたいものだと要望するわけでございます。  次に申し上げたいことは、外貨割当の削減が行われました。そのおかげで、原毛原綿は少くなるということでございます。しかし機械設備はこれに反して、紡績があまりにも過去に資本の蓄積という美名、政府手当おかげでもうかり過ぎて設備はじやんじやんふやされました。毛の紡績に例をとりますと、去年の百五万錘に対する七十四万俵の割当であつても、なお稼働率は六〇%以下でございます。六人働いて十人の食いぶちを持つというおかげで、コストが高くなつているという実例は十分御承知のはずでございます。このたびは、二百三十万錘にふえて材料が六十一万俵に減つております。稼働率は五〇%以下とだれしもそろばんをはじかなければなりません。五人働いて十人を食わせるということに相なりますれば、ますますコストは高くならざるを得ないのでございます。これは理の当然でございます。そこで業界としては戦時中の米と同じように、何とかして水増しして、いも粉でもいい、とうもろこしでもいい、何でもいいで、ふやしてまぜ御飯をたいて食い延ばしをしよう、こういう努力が今行われておるわけでございます。そのやさきに、まぜ御飯になる材料であるスフ、人絹は、樺太がとられて、こちらへは十分な手当ができません。イタリアに安い人絹があるというても、これを買うこともなかなか容易に行われないようでございます。一体政府としてはこのまぜ御飯をどこに求めようとしていらつしやいますのか。おそらく合成繊維化学繊維とお答えになりたいでございましようが、これは新しい産物のたどる運命といたしまして、この運命と同じ道をたどつて行く。すなわち親工場、小工場兄弟工場系列に配給がほとんど行われておりまして、系列以外の方へは漏れて行くことがたいへん少いのでございます。その少い方の系列が一層材料不足で困難を来しておる、新紡、新々紡がそれでございます。これを上場しておけばますます値上りを来す。この三品市場つなぎ市場でなくして投機の市場である、金融資本利益の場と化するという想像がだれしも生れて来るわけでございますが、これに対しては一体どのよう考慮が払われ、どのよう手だてが行われておりますか、これについての将来の見通しと、これに対する手の打ち方の手のうちをひとつお示し願いたいのでございます。これは繊維局長にもお願いしたいのでございます。
  15. 記内角一

    記内政府委員 御指摘通り合成繊維は今後ともわれわれとしては大いに増産して、国民にこれを消費していただくように、その必要によつて綿花、羊毛の輸入を削減するようにいたしたいと考えておるわけでございますが、現状におきましては、まだまだその増産態勢も整つておりません。従つて目下盛んに増産奨励を行いつつあるところでございますけれども、ここ当分の間の見通しとしては、生産高もそれほど多くない、そういう状況下におきましては、これらの原料取引所の上場商品として考えることは適当でないというふうに考えておりまして、目下のところ上場商品として指定する意思は持つておりません。但し今後生産高が随時増高して参りまして、さらに取引の実態も一般の上場品と同じような程度にまで上つて参るというふうに相なりますれば、まず第一にはいわゆる供用品としまして、現在取引されておる品物にかわつて、受渡しのできる商品というふうなことで考え、さらにはその他その生産高のいかんによりましては、上場品目自体にも考えるというふうにいたしたいとは考えておりますけれども、当分そういう事態にはならないというふうに考えておる次第でございます。
  16. 吉岡千代三

    ○吉岡政府委員 外貨予算の削減に関連しましての糸値の安定の対策というお尋ねでございますが、毛について申し上げますと、昨年度は外貨予算の面におきまする外貨割当額は、九十万俵以上であつたかと思いますが、現実にこれを消費いたしております消費ベースと申しますか、毎月の原毛を消化しておりました数量は、純毛換算にいたしまして大体月七万俵ベース、その程度にお考えつてよろしいかと思います。それに対しまして本年度の外貨予算は、先ほど御指摘ように、外貨予算の面におきましては六十万俵そこそこでございますが、昨年度相当量の持越しを持つておりますので、来年の端境期におきまして相当量、すなわちストツクとそれから手当中のものを含めまして、七箇月分のいわゆる毛についてのストツクを考慮いたしまして、今年度といたしましては純毛換算月六万俵程度の操業はできるのじやなかろうか。大体七万俵か六万俵程度の操業になるという状況でございます。  それから綿につきましては、昨年度に最近三箇月ばかりは二十万梱を越えておりますが、年間を平均いたしますと、大体十九万梱程度の生産のベースということになるわけでございますが、これにつきましても、今年度におきましても、大体年間を通じまして平均十八万梱程度の生産は維持できる。従いまして、若干の減少は見たわけでございますが、急激に操業の上に、外貨予算関係において影響を来すというようなことも、これは一方金融引締め等の影響もございまして、そのために糸値が急激に値上りするという状況は、ただいまのところないことは御承知通りでございます。ただ問題といたしましては、いろいろ通商政策上の関係等からいたしまして、いわゆるバーター、コンビネーシヨン取引、あるいは特別外貨による原毛原綿輸入額が相当量に達して参りますので、これを放任いたしておきますと、当然輸入原料が割高になるという傾向を持つて来るわけでございますので、これにつきましては、需要者と申しますか、紡績別にある程度のわくをつくりまして、過当にお互いが奪い合いをする結果、値をつり上げることがないような措置をとつておる次第でございます。  なお一例を申し上げますと、今回鉄鋼輸出とのコンビネーシヨン取引輸入いたしまするアルゼンチンの羊毛等につきましては、まず買付の段階におきまして、商社の競争によつて従来のように非常に値段をつり上げるということのないように、輸入商社を限定いたしまして、そういう面からも原価の高騰を抑制しておる、こういう状況でございます。  次に取引所との関連におきましては、取引がいわゆる過当投機と申しますか、先走つて急激な相場を出しまして、それに実取引の価格がさや寄せされるという危険のあることは、先般人絹糸の例におきましても御承知通りでございまして、これに対しましては、まず実取引がなるべくその取引所の異常な値段に追随しないようにという措置を第一段としてとりたいと考えております。先般人絹糸につきまして、いわゆるメーカーの出し値制をとりまして、取引所の現物相場は三百円を越すというような値段を出したわけでございますが、実際のメーカーの出し値につきましては、出し値抑制の措置をとりまして、少くとも値上りを食いとめる措置をとつたわけでございます。しかしながら今後御指摘ように、現在のところは糸値はむしろ非常に値下りの影響が現われておるという現状でございますが、今後の問題といたしましては、この点については特に注意をしなければならぬと考えておる次第でございます。  なお合成繊維の上場につきましては、企業局長から申し上げた通り考えております。
  17. 川上貫一

    ○川上委員 関連して……。質問なりお答えを聞いておるんですけれども、これは今に始まつたのじやなくて、加藤議員がたびたび質問しているんです。今具体的に言うと、この点がちよつと私にはわからぬ。加藤君の方では稼働率は六〇%、今度は原料が入らないから五〇%程度になりはしないか。これをほつておいて、コストを高くしておいて、値下げをしようというても、それはできつこはないんじやないか、これはどういう考えでおるのかというところに、質問の一つの要点があると思うんです。それについてはお答えになつておらぬのです。これは外貨が少くてそれ以上は行かぬというのですか。今のお答えを聞いておると、今くらい入れておけば、ストツクもあるし、これでけつこうなんだ。こういうよう答弁ように聞えるのです。ところが加藤議員の聞いておるのはそうじやないのじやないか。そこがはつきりしないのですが、それはどうなんですか。外貨の操作上そういうことになるというのですか。これは私がしろうとですから聞くことになるのですが、必要な点だと思う。この点をちよつと御答弁願いたい。
  18. 吉岡千代三

    ○吉岡政府委員 ただいま純毛換算の数字を申し上げたわけでございますが、これは内需の今後の量をどう見るかという問題にも関連すると思うのでございますが、内需が昨年と同様の消費購買力を維持するということになりますと、御指摘ように明らかに輸入量が減つておるわけでございますから、そこに若干の値上りの危険性があるということは避けられないと思います。ただ加藤先生も御指摘になりましたように、紡績といたしましては、一面相当設備を拡張いたしておりますので、これは紡績メーカーの判断によりまして、純毛品をよけいつくつた方がいいか、あるいは混紡品によつて量的に数量を増した方が採算上有利か、こういう判断の問題もあるかと思いますが、かりに消費購買力が昨年と同様と考えました場合におきましては、昨年の混紡率が、梳毛について申し上げますと、大体平均いたしまして九〇%になつておると思います。今年度消費購買力が昨年と同様であるという場合におきましては、これを八二%程度に純毛の率を落さなければならぬ。外貨予算の面におきましてはこういうことになります。ただこれにつきましては、同時に輸出の面を考える必要があるわけでございまして、先ほど加藤先生も御指摘になりましたように、昨年の下半期以降、毛の輸出は急激に増加しております。今年度は特需を含めまして年間四千百万ドル、特需を除きますと三千六百万ドル、月三百万ドル・ベースというのが一応外貨予算の上における輸出計画になつておるわけでございますが、これに対しまして、一月から三月までにおきまして、すでに一千百万ドルの実績を示しております。かりにこの傾向で参るといたしますと、これは特需を除いた数字でございまして、純粋の輸出だけで四千万ドルを越すということになるわけでございます。かよう輸出が計画を越えました場合には、綿並びに毛におきまして、これは外貨予算の上でいわゆるスライド・アロケーシヨンと申しますか、輸出が計画を越えた場合には、その越えた輸出に必要な原料、これにいわゆる輸出のインセンテイヴを加えましたものを自動的に追加割当をしてもらうということに了解がついております。従いまして、簡単に申し上げますと、輸出がふえた場合には、その輸出用の原材料はもちろん、それにプラス・インセンテイヴの相当部分の原料が追加輸入されることになりますので、その他落ち毛の関係とかいろいろな面において内需用の原料を相当潤し得る結果になる。現在までの傾向におきましては、綿、毛両方を通じまして相当に輸出の実績が計画を越えるという傾向が出ておりますので、私どもといたしましては、一面におきまして国内でいわゆる食いつぶしの輸入原料は極力これを節約いたさなければならぬわけでありますが、輸出振興によりまして操業率を上げると同時に、内需をもできるだけ潤したい。さらにそれで足りません分は混紡等によつて処理いたして参りたい、こういう考えでおるわけであります。
  19. 川上貫一

    ○川上委員 その点は一応わかるのですが、具体的に外貨予算を通じて政府は生産を統制する意思があるのかどうか。どうもお話を聞いておると、生産統制考えておるように聞える。これが一点です。それから第二点は、外貨がたくさんあればもつと入れるのかどうか。問題は簡単なんです。あつてもなくてもこのくらいでいいというておるのか、そこがはつきりしない。外貨が潤沢ならば、もつと綿花、羊毛を入れる気であるのかどうか、この二点だけを伺つておきたい。
  20. 吉岡千代三

    ○吉岡政府委員 外貨の上におきまして綿花、羊毛が非常に大きいウエートを占めておるということは申し上げるまでもございません。たとえば昨年におきましては繊維関係だけについて申し上げますと……。
  21. 川上貫一

    ○川上委員 ちよつとそれは質問していることと違うのですが、私の質問要点だけ答えていただきたいのです。
  22. 吉岡千代三

    ○吉岡政府委員 外貨現状にかんがみまして、輸入原料は極力節約しなければならぬということは申し上げるまでもございません。しかしながらこれによつて直接生産の統制と申しますか、たとえば先ほど例として申し上げました混紡率等の問題も昨年と消費購買力が同じであると仮定すれば、こういう混紡の程度になるということを申し上げたわけでございまして、どの程度の品物をどういうふうにつくつて行くかということは現在のところ別段統制はいたしておらないわけでございます。その意味におきましては、生産統制はいたしておらないと申し上げてさしつかえないかと思います。それから外貨予算が潤沢であつた場合に繊維原料をさらに多く入れるかというお尋ねでございますが、これは他の生産資材なり他の消費財との重要性の判断におきまして、いずれをどの程度入れるかということが問題になるかと思いますが、しかし現在の国民衣料の消費量というものは、諸外国に比べましてもなお比較的低い水準にあると思いますし、私ども国民衣料の関係を所管しておりますものといたしましては、国民の皆さんがそれ以上に消費したいという御要望のある限りは、できるだけその御期待に沿いたいという考えは持つておりますが、生産資材なり他の消費財との関連におきまして、その重要性に応じてこれを決定して参りたい、こういうことになるかと思います。
  23. 加藤清二

    加藤(清)委員 私はあと三問で終る予定でございます。三問で鐘でございますから、どうぞお願いいたします。簡単にお答え願つてけつこうであります。ただいまの繊維局長のお答えはしごくごもつともでございまして、その通りでございます。私はそれをどうこう言うわけではないが、悲しいことに今のお答えはその通りではありますが、それは平均値を考えていらつしやるのであつて個々を尋ねてみますと、遺憾なことに必ずしもさようではございません。たとえば手持の問題を例にとりましてもそうでございますが、毛に例をとれば、日毛のごときは半年以上の手持を持つております。ところが新しい紡績のごときはせいぜい二、三箇月、だから原毛までも上場してもらいたいというようなことを言いかけておるところがあるわけなんです。そこで問題はどういうことかと申しますと、割当基準がミル換算の錘のおかげで多く割当てられたところは、これをうまくあんばいすることができますが、小さな紡績においてはそれをすることができません。一月、二月の材料を持つたくらいでは先行き不安なんです。織場もしかりでございます。先行き不安は一体この三品市場にどういう影響を及ぼすかといえば、ここに過当の取引、思惑の取引を一層倍加するという結果になり、やがては操業短縮となり、それはやがてここに働く方々の首切りの前提条件に相なつて来、ここで生産されたものの取引は織場ないしは糸商に向つて手形の短縮を要求することに相なりまして、緊縮で締められ、金融引締めで攻められている商社や織場の連中がさなきだに苦しんでいるのに、これで苦しめられた日には、一層ここを倒産に追いやるという結果に相なりまして、大紡だけはぬくぬくと行けるけれども、新紡、新々紡は倒産のうき目にあいこことの取引をしているものは、日々不安の状態になり、不安はやがて業界の萎縮ということになつて、社会不安をかもし出していることは、次官さんもよく御存じのところでございます。これをどうするかということが目下の急務ではないかと考えるのでございますが、この点を次官にお尋ねするわけでございます。  引続いて同じ問題で、紡績は二百三十万錘にふえたと申しましたけれども、これは政府がこれに外貨割当てるという利点があればこそ、二百三十万錘というておるのでございますが、この錘は内訳を調べてみますと、悲しいことに、毛紡の錘ではなくて、麻紡から切りかえたり、絹紡から切りかえて、ろくな糸はできないけれども、外貨をもらいたいがゆえに、幽霊人口ということに相なつておりますが、そういう錘が私の調査によりますれば、少くとも五十万錘余はあります。何紡と指摘せよとおつしやいますれば、何紡に何錘というてもよろしゆうございますが、これは大紡に多いようでございます。これもほんとうに糸の引ける錘と同じよう外貨ないしは原毛割当ようとなさつていらつしやるのか、これについては何かの研究が進められていて、ほんとうに幽霊ではない、糸を使つて十分輸出にも向けるようなりつぱな糸の引けるところへのみ割当ようとなさるのか、この点をお尋ねするわけでございます。  引続きまして同じ問題で、政府は濠州のメリノを遠慮して南米羊毛に切りかえ、その量を大分ふやしていらつしやるようですが、これは一体原因が那辺にあるのか、政府の計算に上りますと、南米羊毛は二百二十ドル、濠州は平均で二百五十ドルと換算していらつしやるようでありますが、実質におきましては南米羊毛はさにあらずで、去年でさえもこれよりも一割五分以上の高値で買つておられるようでございます。なぜ質の悪いものをあえて高値で買わなければならないのか、これが業界に及ぼす影響また甚大であります。南米羊毛になれていない紡績に、いい糸を引けと言うて南米羊毛を割当てられても、これは業界が困るだけなんです。端的に例を引けば、米が足りないからというて麦を入れて、その輸入した麦によつてお酒をつくる米のかわりにしろと言つたつて、麦からお酒はできません。輸出振興を叫ばれますやさき、どうしても輸出振興には品質のよきものを選ばなければなりませんが、悪い材料を与えてよき品質のものをつくれと言うてもこれはちよつと無理だと思うのでありますが、この辺のいきさつは一体どのように相なつておりますか、以上は繊維局長にお尋ねするわけでございます。
  24. 古池信三

    ○古池政府委員 ただいまの加藤さんの最初のお尋ねに対しまして、所見を申し上げたいと存じます。現在紡績におきましても、あるいは機屋におきましても、いわゆる中小の企業とも申すべき方々がいろいろな点からお困りになつておるということはよく了承しております。その原因は那辺にあるか、これは非常に種々雑多の原因がそこに総合されて来ておるのではないかと思うのであります。中小企業に属しておられる方々は何分にも数が多いのでありますから、中にはその企業家の見通しが悪かつたという場合もありましようし、あるいはいわゆる運が悪かつたという人もありましよう。それから企業合理化が大企業ほどにはできておらぬというような点もございましよう。あるいは非常に資力が不足しておるというような点もございましようが、それらが重なり合つて不況の状況を来しておられる方がたくさんあるということは、まことに私も遺憾に存じておるのであります。この根本的な理由といたしましては、やはり現在の日本経済力がきわめて弱小である、経済の底が浅いということに根本的な原因があるのではないかと思うのでありますが、私どももこれらにつきましては鋭意その立直り、繁栄のために努力しておるわけであります。これは単に繊維関係のみではなく、その他の業界におきましても同様な点が見られますので、一つの中小企業対策といたしまして、あるいは合理化の指導であるとか、あるいは資金の面におけるできる限りの御協力を政府もいたすというような政策を今後より一層推し進めて行きたいと思つておるのでありますが、また業者の方におかれましても、この際はたとえば組合を強化するというような、組織力を使つて、できるだけ有利に企業を進めて行かれるようにお願いをしたいと考えるのであります。  なおその他の点につきましては繊維局長の方からお答えを申し上げます。
  25. 吉岡千代三

    ○吉岡政府委員 紡績の大小によりまして原料のポジシヨンが違うという面は、御指摘通り綿につきましても毛につきましても同様の事情があると思います。企業の安定と申しますか、そういう面から申しますと、いわゆる設備基準の割当を多くする方がそういう不均衡を是正するに役立つわけでございますが、一面輸出振興の建前から申しまして、いわゆる輸出リンクによる割当量をなるべく多くしてもらいたいという要求も通商政策との面から強く要望されておりますので、その間のできる限りの調整をはかりたいという考えをもちまして、私どもとしては考えておるわけでございます。その一端といたしまして、従来毛につきましては毛製品輸出振興という意味から、リンクの率が他の綿その他に比べまして非常によくなつておりましたのを、これをあまりよくいたしますと、かえつて安売りを誘発するという関係もございまして、最近において若干是正をいたしました。なお今後半年くらいの予定をもちまして、従来のインセンテイブの額を大体半減するということを予告いたしまして、そういう方向によつてできるだけこの調整をはかつて参りたい、かよう考えておる次第でございます。  それから麻、スフ紡等からの転換の設備に対する割当の問題でございますが、この点は先日もちよつとお答え申し上たげかと思いますけれども、梳毛設備の確認につきましては一定の基準を定めまして、それによつて専門の方が現地の設備を見まして、現実に梳毛が引けるというものについて確認をやつたわけでございまして、その関係において、現状におきましては従来からございますものと同じ程度の設備であれば同じ割当をいたしておる、こういう現状でございます。もちろんこの点もただいま申し上げました輸出インセンテイブ等の関係によりまして、現実に輸出毛製品を引けるところは割当が結果的によくなつて行くという傾向はあるかと思いますが、一応設備関係においては削減をいたしておらないという現状でございます。  それから濠州羊毛、特にメリノを減らして南米羊毛をふやしたのはどういうわけかというお尋ねでございますが、これはまつた外貨収支の関係からの理由によるわけでございまして、もちろん品質といたしましては特に絹の感触になれております日本の消費者としては、手ざわりがやわらかいメリノ種を好まれるという傾向のあることは十分承知いたしておるわけでございますが、何分濠州は非常な片貿易、入超になつております。しかもその大きな部分を羊毛の輸入で占めておるという関係から、これはやむを得ない措置といたしまして、アルゼンチンその他の南米羊毛に転換をしつつあるわけでございます。ただ濠州につきましても、もちろん望むらくはむしろわが方からの輸出を増大いたしまして、いわゆる拡大均衡の方向に向うべきでございます。そのために従前から通商協定の申入れを通産省としてもいたしておつたわけでございますが、御承知ような対日感情からなかなか円滑に運ばなかつた。しかし最近におきましては、先方におきましても、いつまでもこういう片貿易を続けておつたのでは、結局日本としても濠州からの輸入を減らさざるを得ないというようなことを認識せられたようでございまして、先般濠州側においても、政府の最高首脳者がそういう発言をされております。近い時期に通商協定の運びにもなるのではないかということを期待しているわけでございまして、事態がさように好転して参りますれば、この辺もある程度緩和されるのではないかということを期待している次第でございます。
  26. 加藤清二

    加藤(清)委員 最後にお尋ねしたいことがございます。ただいまの繊維局長のお答えにある割当の不公平から、手持原料の相違を来し、これがやがて社会不安となり、業界同士の相剋と相なつておりますが、この問題につきましては、日にちをあらためて、外貨割当と相関連した折に、もつとつつ込んでお尋ねしたいと思いますので、それまでに十分具体的な研究を進めておいていただきたいと存じます。私も具体的な実例を持つて臨みたいと思います。  次にお尋ねしたいことは、実はこれは大臣か外務大臣にお尋ねしたいことでございますが、日本証券市場あるいは三品市場は門戸開放の形になつております。機械設備を内地に持たない者には、ここでは売買をさせないという形が今日とられておりますれば心配のないことでございますが、それは研究しておく、研究しておくというてできておりません。今日このままの状態にしておいたら、一体どういう事態が出来するかという点について、次官の御所見を承りたいのでございます。それはほかでもございませんけれども、日米友好通商航海条約の中に、この三年先、つまり資産再評価が行われた後においては、アメリカ方々は内国人と同等の待遇によつて株、またそれ以外のものも取得することができる。あるいは内地に資金を投入することもできるように相なつておりますが、これが三品市場に入つた場合に一体どういうことが行われるか。日米友好通商航海条約の条文が発効されない今日におきましても、つい先ごろさる株屋を通じてじやんじやん買いあさつていた。その株が値上りしてかなわない、どうもふしぎだというて調べてみますと、実はその背後は円でなくてドルであつたという具体的な事実がございます。日本が敗れまして、ほんとう日本人の手で育てたもので残つたものに何があるかといえば、富士山の頂上と紡績資本だけでないですか。あるいはそこから生ずるところの売買の権利だけじやないですか。日米友好通商航海条約の発動とともに当然ここに手が伸びて来るということは、外国資本アメリカ、特にイギリス、これらが競争国であればこそ、外国市場において競争しなければならない相手であればこそ、一層ここに目をつけている。いやことしあたりは目をつけているどころの騒ぎではございません。日本が友好的にあの日英会談によつて買上げました二百万ドルの毛製品にまで、ひもをつけようとしているじやございませんか。こつちが金を出して買つて来たものにまでひもをつけて、向うの利益擁護をしようとしているやさきに、こつちはガツト加入が許されておりません。こつちはノー・ズロースの形なんです。こういうことが行われましたならば、日本の三品市場の受ける影響は、糸へんのみならず、新三品におけるゴムにしても、砂糖にしても、一挙にやられちやうんです。こういうことに対して、一体どのような措置が講ぜられておりますか。そういうことは思うたこともないとおつしやるのか、あるいは党が違うから、それはお前の杞憂だとおつしやいますか。これは私が党の立場に立つて言うておるのではありません。日本経済ほんとうに健全に自立させるのには、この問題が一番大事な問題でございます。さればこそ、業界においてはこれに対する杞憂が今すでに行われているのでございます。一体政府としてはどのような措置を講じられますか。いかに自由党が先行きが短かいというて、おやめになつても、きようつくられましたこの法律から生ずるところの責任は、当然業界が負わなければならぬことになり、人はやめて行つても、この制度と糸へんは永久に続くものでございますから、この点に関するはつきりした将来の見通しと、日本の健全経済の自立という立場に立つて、お答え願いたいと思うわけでございます。
  27. 古池信三

    ○古池政府委員 ただいまの加藤さんの御心配の点は、まことに私もごもつともに拝聴いたしているのであります。それでこれに対する対策といたしまして、まず当面考えておりますことは、御承知ような資産の再評価をやりまして、できるだけすみやかにわが国の資力を増加して行く、これによつて外国に対抗する手段を講じて行きたいと考えますが、ただいま御指摘ような点は、非常に重大なる問題であると存じます。特に今後わが国経済の自立をいよいよ確立して行く上におきましても、きわめて重要なる問題でありますから、とくと研究をいたします所存でございます。
  28. 川上貫一

    ○川上委員 関連して。国内の需要その他いろいろな点を考え外貨割当てる、量の問題にも関係があるというお話なんですが、私はそれでは国内の生産を統制するつもりがあるのですかと聞いたところが、そういうつもりはないという御答弁であつた。これはわずかなことなんですが、通産政務次官がおいでになつているので聞いておきたい。外貨問題でそれほど非常に注意をして外貨割当はされていますが、最近明治パン工業株式会社というのができた。あれに機械を入れて、それに外貨割当を三月ごろに同僚会議できまつている。この点御承知だろうと思う。どうしてああいう会社に外貨まで使つているか。これは東京の製パン業者は大問題を起していると思うが、これは私にはわからぬ。大小の問題ではなくて、外貨予算割当てる性格の問題に関係して来る。ちよつとそれを開いておきたい。御承知でなければ次会にお答え願いたい。御承知なら答えてもらいたい。
  29. 古池信三

    ○古池政府委員 ただいま具体的にお示しになりました明治パン何がしに対する外貨割当につきましては、私ただいま承知しておりません。たくさんの業者に対してたくさんの外貨割当をやつておるわけでございますから、ただいまのところ調べてありませんので、必要があれば後刻調べてお答えいたします。
  30. 大西禎夫

    大西委員長 ちよつと速記をとめて。     〔速記中止〕
  31. 大西禎夫

    大西委員長 速記を始めて。他に御質疑はございませんか。     〔「なし」と呼ぶ者あり〕
  32. 大西禎夫

    大西委員長 それでは本案に対する質疑は終局いたしました。引続いて討論を省略して本案を採決いたします。本案に御賛成の諸君は御起立を願います。     〔総員起立〕
  33. 大西禎夫

    大西委員長 起立総員。よつて本案はこれを原案の通り可決すべきものと決しました。  この際加藤清二君外六名提出の本案に対する附帯決議案が提出されておりますので、提出者の趣旨弁明を許します。加藤清二君。
  34. 加藤清二

    加藤(清)委員 ただいま本委員会におきまして総員賛成によつて可決いたしました、この商品取引所法の一部を改正する法律案につきましては、実は何人といえどもこれが万全のものである、今日の経済状況下においてこれを乗り切る上に完全なものであると認めての賛成ではございません。この法案改正要点が、ほとんど取引所において業務を遂行する人の便宜の点のみにウエートが置かれ、この法律目的からここを利用する業界方々の困難な点、あるいは三年後に日米友好通商航海条約から生じて来る困難な点、思考し得る経済上の不安、こういうものに対する考慮が十分に払われていない。そこでわれわれといたしましては、ぜひこれを改正の主要点にいたしたいのでございますが、時期がございませんので、政府といたしましても、十分考慮の上、近き将来において善処するというお言葉をかたく信じまして、今回はこの委員会において研究をし、かたがた農林委員会からありました申入れ等をしんしやくいたしまして、次に述べることを附帯決議にいたしたいと存ずるわけでございます。  その案文を読まさしていただきます。    商品取引所法の一部を改正する法律案に関する附帯決議   砂糖、大豆、ゴム等輸入依存度の高い商品については、外貨事情の推移に即応し、第一二四条(定款業務規程等の変更命令)、第一二一条(一定期間業務停止)の発動について遺憾なきを期すること。  以上でございます。
  35. 大西禎夫

    大西委員長 以上で趣旨弁明は終りました。  引続いて採決いたします。本決議案に御賛成の諸君は御起立を願います。     〔総員起立〕
  36. 大西禎夫

    大西委員長 起立総員。よつて決議案は可決いたしました。  政府より発言を求められております。これを許します。古池政務次官。
  37. 古池信三

    ○古池政府委員 ただいま御決議になりました附帯決議につきましては、御趣旨を十分尊重いたしまして、今後の監督上遺漏なきを期して参りたいと存じます。
  38. 大西禎夫

    大西委員長 この際委員会報告書作成の件につきましてお諮りいたします。これは先例により委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  39. 大西禎夫

    大西委員長 それではさよう決定いたします。     ―――――――――――――
  40. 大西禎夫

    大西委員長 次に通商産業省関係法令の整理に関する法律案議題といたします。本案に対する質疑はありませんか。――別に御質疑がなければ、本案に対する質疑は終局いたしました。  引続いて討論を省略して本案を採決いたします。本案に御賛成の諸君は御起立を願います。     〔総員起立〕
  41. 大西禎夫

    大西委員長 起立総員。よつて、本案は原案の通り可決すべきものと決しました。  本案に対する委員会報書作成の件につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  42. 大西禎夫

    大西委員長 それではさよう決定いたします。  本日はこの程度にて散会いたします。次会は明日午前十時より開会いたします。     午後三時五十八分散会