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1954-04-07 第19回国会 衆議院 通商産業委員会 第32号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年四月七日(水曜日)     午前十時五十二分開議  出席委員    委員長 大西 禎夫君    理事 小平 久雄君 理事 首藤 新八君    理事 中村 幸八君 理事 山手 滿男君    理事 永井勝次郎君 理事 加藤 鐐造君       小川 平二君    小金 義照君       始関 伊平君    田中 龍夫君       土倉 宗明君    長谷川四郎君       加藤 清二君    齋木 重一君       帆足  計君    中崎  敏君  出席政府委員         通商産業政務次         官       古池 信三君         通商産業事務官         (大臣官房長) 岩武 照彦君         通商産業事務官         (重工業局長) 徳永 久次君         通商産業事務官         (繊維局長)  吉岡千代美君         通商産業事務官         (鉱山局長)  川上 為治君  委員外出席者         専  門  員 谷崎  明君         専  門  員 越田 清七君     ————————————— 本日の会議に付した事件  参考人招致に関する件  日本製鉄株式会社法廃止法の一部を改正する法  律案内閣提出第一二七号)  地方自治法第百五十六条第六項の規定に基き、  繊維製品検査所の出張所の設置に関し承認を求  めるの件(内閣提出承認第二号)  石油及び可燃性天然ガス資源開発法の一部を改  正する法律案内閣提出第九八号)  石油資源探鉱促進臨時措置法案内閣提出第九  九号)     —————————————
  2. 大西禎夫

    大西委員長 これより会議を開きます。  まず小委員会参考人招致の件についてお諮りいたします。次回の木材利用に関する小委員会において日米石綿株式会社社長日本石綿スレート協議会会長、以上二名を参考人として意見を聴取いたしたいとの小委員長よりの申出がありますので、これを許可するに御異議ございませんか。
  3. 大西禎夫

    大西委員長 それではさよう決定いたします。     —————————————
  4. 大西禎夫

    大西委員長 次に日本製鉄株式会社法廃止法の一部を改正する法律案議題といたします。本案について御質疑はございませんか。——長谷川四郎君。
  5. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 日本製鉄株式会社法廃止法の一部を改正する法律案提案理由によりますと、この法律を廃止し、また新しく法律をつくるという点につきましては相当の期間とまた多額の費用が必要であろうというような考え方もあるのでございまして、それがために延期してもらいたいとの要望だと信ずるのでございます。こういうような点からいつて、この法案そのものに対しては、特にこの種のものだけに特別な法律を設けてそうして待遇をしているということは、私たちは納得することができ得ないのであります。けれども今申し上げたように、これを修正し、また新しく法律をつくるという場合には、相当な費用がかかるので、そのかかる一定の期間だけはやむを得ない法律ではないかというふうに私は考えますので、この法律をその期間のみに限つて、次の機会には新しい法律をもつて平等なる取扱いをするようにしたい、こういうように考えるのであります。以上申し上げたような点によりまして、万やむを得ない処置として私はこれに賛意を表する次第でございます。
  6. 大西禎夫

    大西委員長 ほかに御質疑はございませんか。——他に御質疑がなければ本案に対する質疑は終局いたしました。引続いて討論を省略して本案を採決いたします。本案に賛成の諸君の御起立を願います。
  7. 大西禎夫

    大西委員長 起立総員。よつて本案は原案の通り可決すべきものと決しました。  本案に対する委員会報告書作成の件につきましては、先例により委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  8. 大西禎夫

    大西委員長 それではさよう決定いたします。     —————————————
  9. 大西禎夫

    大西委員長 次に石油及び可燃性天然ガス資源開発法の一部を改正する法律案、及び石油資源探鉱促進臨時措置法案を一括して議題といたします。質疑の通告がありますのでこれを許します。長谷川四郎君。
  10. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 天然ガスを先に伺います。このたびの法律で参りますと、天然ガス石油と同様に取扱うのだと思うのですが、これに対して指定するような地区だとかあるいはその他において、石油と同様に二分の一なら二分の一を補助するとか、こういうようなことはどうなつているか、その点についてお伺いしたいと思います。
  11. 川上為治

    川上政府委員 天然ガスにつきましては、今度のこの石油資源探鉱促進臨時措置法によりましては、別に対象考えておりません。これは石油だけを考えておりまして、天然ガスにつきましては、今申し上げましたように、この法律対象には考えておりませんけれども助成金としましては、従来も天然ガス開発に対しましては相当の金額を出しておりますので、今後におきましても、石油と同じように、天然ガスに対しましても助成金を出したいというふうに考えております。助成金の割合につきましては、従来所要経費の大体半分程度というふうに考えてやつて参りましたが、今後におきましても大体さように考えております。
  12. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 所要経費の二分の一といいますと、その項目はどういう面から支出されておるのか。また天然ガスの新しく探鉱し採鉱する件数を、局長はどのくらいの程度考えておるか、金額をどの程度までに見積つておるか、こういう点について御説明を願います。
  13. 川上為治

    川上政府委員 従来におきましても、助成金石油天然ガス関係は一本になつておりまして、今年においても一億三千万円というのがきまりましたが、その中で天然ガスに対しましても、大体従来の経験からいたしまして一割程度出るのじやないかと考えております。
  14. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 そういたしますと、本年度の予算石油に対する一億三千万円のうちの大体一割くらいがこれに充当されるであろう、こういうようなお考えでございますね。そこで先日来としてのいろいろな質疑も行われ、この委員会といたしましても、当面はかくしなければならない、恒久的な考え方はかく進まなければならないということがはつきりと打出されたわけでございまして、この天然ガスの問題もこれに対する大きな関連もあり、またこれを重要視しなければならないのではないかと私は思うのでございます。私は当面の問題として石油よりももつと重点を置くべき点が多々あるのではないか、私は先日来千葉方面を視察いたしましたが、千葉県の茂原中心とした天然ガスが、ただいたずらに捨ててあるという面がたくさんあります。たとえば沃素なら沃素をとるのに、天然ガス一緒にとりたいけれどもパイプを引く費用がかかるために、天然ガスはそのまま捨ててある。こういうような面はあなたも御承知だと思うのでございますが、これらの施設に対してどういうような考え方をもつて指導して来ているか。今後こういう国内資源の重要視される燃料に対して、あなたはどういう御指導をなさるつもりであるか、まずそれから承つてみたいと思うのであります。
  15. 川上為治

    川上政府委員 天然ガスにつきましては、私どもの方としましても、石油に劣らないきわめて重大な資源だというふうに考えておりますが、実はいろいろなものを一緒に出しますと、非常に厖大な金額にもなりますので、私どもの方としましては、今年は石油の方に重点を置きまして、こういう計画を出し、また法律を出すことになつたわけなんですが、天然ガスにつきましてもなるべく近いうちにその方針を立てまして、これが急速な開発を進めたいというふうに考えております。しかし従来からもこの問題につきましては、早急に開発をしなければならぬという考え方がなかつたわけではないのでありまして、開銀資金のあつせんでありますとか、あるいは先ほど申しました助成金の交付でありますとかというようなことによりまして、いろいろ助成策は講じて参つたのであります。開銀資金につきましても、今私の方で推薦をいたしまして、開銀の方へ持ち込んでおるものもございまして、今お話のありましたパイプの問題でありますとか、そういう設備資金関係開銀なりあるいは興銀なり、そういう長期資金関係銀行から極力出してもらうようにあつせんをしたいと考えております。  それから助成金につきましても、先ほど申し上げましたように、大体石油一緒なつておりますが、一割程度は試掘とかあるいは調査とか、そうした方面に出すことを考えておりますが、ただ問題はその天然ガスをいかに利用するかというのがやはり問題でありまして、たとえば、新潟、秋田方面相当天然ガスが出ますけれども、これを工業地帯であります東京地方に持つて参りますことはなかなかむずかしい問題もありますし、非常な設備資金を要する関係もありますので、実はそういう方面についてわれわれとしてはもう少し研究をした上で、石油と同じような五箇年計画とか三箇年計画というような方針を立てまして、進めて行きたいというように考えております。
  16. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 次官にお伺いいたします、局長考えはただいまお聞きの通りでございます。しかし私の見た目から申しまして、今局長の御指導なさつているのは、なるほど局長としては精一ぱいの御指導であろうと思います。しかしながら私がたびたび申し上げるように、国内にこれだけ大きな資源があるのですから、その燃料をどういうふうにやるかという点については、ただいまも申し上げた通り、たとえばガスと並行して出る沃素だけはとるまでに来たけれどもガスを捨てている。さらにガスを捨てているだけでなく、ブロームを全部捨てている、こういうのが現状であります。今検査をいたしますと、大体三分の一は実用化されておらないということになるわけでございます。ですから七割もブロームガスを捨てておるということになるわけでございまして、よく話を聞いてみますと、実際の業務に携わつておる人たちは、補助金もほしいが、そういうものよりももつと何か金融をつけてもらえば、これを一ぺんに工業化する方法があるのだということでございます。これは切実な叫びだと思う。従つて私は日本地下資源をいかに生かすかという点については、たびたび次官にも質問をしておる通りなのでございまして、この人たちが唱える声こそ聞き入れてやらなければならない、日本はいろいろ大きな地下資源を持つておる。たとえば天然ガスなら天然ガスをたくさん持つておる。しかし残念ながらそれを担保にしては金融はできないのでございます。ただ地上の物件にのみ担保権があるのでございまして、日本では地下にあるものは銀行としては見られないことになつていて、見てくれません。こういうような点から、要は頼みとするのは、少くとも開銀とか興業銀行というような面でなければならない。そこで政府の肝いりがなければ借り入れることができないわけなのでございます。こういうようなことでございますので、何とかこの点について考え方はないかと私は思うのでございます。従つて私はあえてこれを記録になんか残しておきたくないのであつて、要はこれに携わるところの大臣なり次官なりがみずから日本現実を見て、いかに日本政治を持つて行つたならば、行政が向上するかというはつきりした見きわめの上に立つて私は行つていただかなければならないのじやないかということを痛切に考えて参つたのでございまして、このような点から申し上げるのであります。天然ガスというものを掘り出すと、同時に沃素が出て来る。その沃素だけをとつて天然ガスを捨てておる。さらに日本ではブロームブロームとして別に工場を建ててつくつておる。こういうことがある。これをもう少し金をかけてブローム一緒にとるということまでやることになるならば、その費用というものは莫大に安くなる。これを莫大に安くなられたのでは困るというので、政治的に現政府の中を押えていて、わざわざ高いコストになるブロームだけの工場を生かすようにして、これに金融政府みずからがあつせんしてやつておるというようなことでございます。これは事実やつておるのでございまして、そういうようなことをやつておられるということになると、国民全体から見た目においては、これは政治の上において非常な大きな疑惑を持たなければならないと思うのでございまして、ぜひ天然ガスとともに出る沃素ブロームも総合的に生かして余すところなく国民生活に寄与させたいというのが私の考え方でございます。ぜひこれらに対する金融の面を次官には新しくお考えなつてもらわなければならないし、そういうような面に対して何らか政府の骨折りにあずかることができるやいなやを承つてみたいのであります。
  17. 古池信三

    古池政府委員 谷川さんからかねがねわが国の地下資源をもつと力を入れて開発をし、かつこれを利用せねばならぬではないかという御意見を再再承りまして、そのたびに大いに傾聴いたしておるのでございます。現在日本の置かれた立場から考えましても特に最近のよう貿易事情が非常に困難になつて来ておるという状態から見ましても、よく国内資源を早急にかつ大規模に開発して、これをわれわれの利用に充てるということはまことに私も同意見であります。従つて先ほど鉱山局長から御説明申し上げましたようなわけで、これにつきましても政府としては相当な深い関心は持つておるのでありますが、何分にも日本資金が足りない、これははなはだ残念ながら現実状態であります。そこでこの少い資金をどうしたら最も効率的に使えるかということで頭を悩しておる次第でありまして、もちろん天然ガス開発につきましても、十分資金は使いたいのでありますが、まず当面しておる石油開発、あるいは石炭の合理化ということに、とりあえず金をまわしておるようなわけでありまして、従つて天然ガスの方には十分資金がまわりかねておるということはまことに私も残念に思つておるのであります。ことに二十九年度は、財政投資の面も非常に削減され、その影響として開発銀行資金のわくもおのずから縮まつて来ておるようなわけであります。そんな関係から二十九年度にどの程度天然ガス方面開発に向けられるかということはお約束は申し上げられませんけれども、今後十分検討を加えまして、資金の許す限り、でき得る限りこの方面開発助成あるいは融資ということにも力を入れてみたいと考えます。ただ最初から申し上げましたように、今政府財政も民間の資金も非常に枯渇しておりますがゆえに、御期待に沿うような融資ができるかどうかは危惧しておりますけれども、お尋ねの御趣旨、御精神についてはまつたく私も同感であることを申し上げておきます。
  18. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 現在千葉県から出ているヨード、これが御承知のように大体四十トン以上出ております。しかし船を一そうつくるには幾らくらいの融資をするか。これは船と違うでしようけれども、国策というところに立てば大して違わないのでありまして、わずか二億円の金を政府が貸してくれることができるならば、私は三箇年を待たずしてヨード百トンは完全に堀らしてみせる、出させてみせる。百トンのヨードが出ますると同時に、申し上げたようなブローム一貫作業もできる。天然ガスをむだにしないでこれは全部使つて、たとえばこういうことになつて来る。今一つ会社があるが、天然ガスは全部捨てている。しかしその沃素をつくるのには熱がいる。その熱を持つて来るパイプをつくる金がないが、捨てているガスをそのまま持つて来てこれを熱量とすればこの費用が莫大に安くなつて来るわけです。ですからこういうような点とともにブロームを今捨てているが、私は二億円の金を政府があつせんしてくれるならば、年間百五十トンのヨードを堀らしてみせる確信を持つております。ヨード一トンが幾らしているかといえば御承知のように今百八十万円でございます。こういうような点から考えて、南米チリーがほとんどヨードが出ておりません。つまり世界に誇るところの南米チリーが今では悲鳴を上げて、日本に売場というか、輸出先を何とか二人で打合せをしようじやないか。価格という点に対しても、何とか打合せをしてお互いに行こうじやないかとまで申し込んで来ておる。百五十トンのヨードが出るということになれば、日本以外にヨード国と言える国は一つもありません。現在でも私は日本の右に出る国はないのじやないかという確信を持つております。わずか二億の金を政府があつせんしてくれるというならば、鉱山局長を向うにまわしても私が絶対責任を持つて出させます。鉱山局長は私の申し上げたような点について深く考えたことがあるかどうかをまず承つてみなければならないと思うのであります。
  19. 川上為治

    川上政府委員 今おつしやいました点につきましては、具体的な問題と思うのでありますが、私の方としましては、先ほども申し上げましたように、やはり天然ガスにつきましては燃料としましてもあるいはまた化学製品の原料としましてもきわめて重要なものと考えます。ただ問題は工場立地条件、そういうのが相当問題ではないか。それからまたその工場関係開発する場所との関係、これはいろいろ問題があると思うのでありますが、具体的な問題として、たとえば千葉方面におきまして具体的にそういうような問題がありますれば、私の方としては十分御相談をし、何とかしてものにするように持つて行きたいというように考えております。先ほども申し上げましたように、二十八年度におきましても約一億五千万円程度開銀貸金を、実は天然ガス開発のために要求しておるような事情でございまして、具体的な問題が出ますれば十分その点は御相談して、なるべくそのお考えに沿うように持つて行きたいと考えております。
  20. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 どうも局長さんは少し認識が不足でございまして、これは私は御多忙だから御無理もないと思う。千葉県の茂原中心とするところのヨードはあなたはまだ見ておらないのでしよう。だからこれはあなたに申し上げても話になりません。大体百トン出るとしたら幾ら出ます。金額としては十八億です。あなたが局長として御視察をなさつておられないというところにあなたの答弁のあいまいさがあると思う。ですから私があなたを一度御案内を申し上げますから、ひとつ御視察ください。  そこでそれはその程度にしておきまして、石油の方でございますが、新聞によりますと、石油事情の好転ということで、統制色彩を排除するということでございます。これはあなた方の方の発表だそうでございますが、石油事情が好転しておるという理由がどこにあるのでしようか。それほどの御自信がおありならひとつ明らかにしていただかなければなりません。
  21. 川上為治

    川上政府委員 その新聞は実は一昨日の日本経済と思うのですが、私もその新聞を見まして実はびつくりしまして、通産省がそういうふうに考えておると載つておりますが、私はそういうことを発表したこともありませんし、またおそらくそういうことを言つた者もないと思うのです。新聞でそういうふうに書いたのじやないかと思いますけれども、私の方としましては、昨日も申し上げましたように、ガソリンとか、燈油とか、軽油とか、そういうものにつきましては、まあかつかつのところで何とか行けるのじやないかと考えておるのでありますが、重油につきましては、自然のまま放置します場合におきましては、少くとも年間六百二、三十万キロリツターぐらいはどうしてもいるだろうと考えます。これが今年の外貨予算におきましては、五百三十七万キロリツターに該当するものが割当てられることになりましたので、どうしてもある程度の強力な行政指導をしなければうまく行かないということは、昨日も申し上げました通りでございまして、私の方としましては法的な統制を今は考えておりませんけれども、やはり行政指導による何らかの調整措置を講じなければならぬということだけは私ははつきりして、またその考え方は全然かわつておりません。その新聞はこれは非常に間違つておるのじやないかと考えております。
  22. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 現在の日本石油問題に対して、これが非常に好転しておるなどと当局がまさか言うはずはありますまい。私もさようと心得ますから、了承いたします。そこでお聞きしたいのは、あなたのところで調べているところの、つまり原油を持つて来まして抽出するところのパーセンテージをもう一度言つてみてください。どうも私は納得の行かない面がある。あなたのところのパーセントがどのくらいなパーセントであるか、もう一度はつきり言つていただいて私は疑問を晴らしたいと思うわけでございます。
  23. 川上為治

    川上政府委員 大体の数字は私も知つておるのですが、ここにそのままの非常にこまかいはつきりした数字を持つてつておりませんので、これはあとではつきりした数字を申し上げたいと思います。
  24. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 資料はわかつているのですけれども、たとえばあなたのところのガソリンパーセントは非常に少いようにも私は考えている。要は、その重要性をどこに置くかということになるのだと思うのです。たとえば重油なら重油というものに重点を置いてあなたのところで抽出方法考えている点もあるが、たとえばガソリンならガソリンというものに重点を置いてやつているのか、それとも潤滑油なら潤滑油重点を置いているのか、原油を持つて来て、製品重点を置いているのかということでございます。それがお聞きしたいのです。通産省といたしましては何に重点を置いて原油を輸入しているかということをお聞きいたします。
  25. 川上為治

    川上政府委員 先ほど数字を実は係の者が持つて来ておりましたのでそれを申し上げますが、これはやはり原油種類あるいはその仕入れ地状況等によりまして、若干パーセンテージはかわつて参りますが、大体揮発油につきましては全体の二八・八%、それから燈油が五・三%、軽油が八・四%、重油が四一・三%、その他が五%ないし七%それから自家燃料としまして四%ないし五%、減耗分が二%ないし四%というふうに一応見ておりますが、この数字につきましては、先ほども申し上げましたように、やはり仕入れ地の問題でありますとか、あるいはその原油種類の問題でありますとか、そういうようなことによりましてある程度かわつて参りますので、必ずしもその率でいつまでもやるというふうには考えておりませんので、その外貨の割当の季節、その時期別によりまして若干の違いが生ずると考えております。それから何に重点を置いているかという問題でありますが、私の方としましては、別に何に重点を置くということは考えていないのでありまして、これは技術的に相当検討しました結果が今申し上げましたような大体の平均のパーセンテージなつておりますが、重油の需要が非常に大きいですから、やはり重油あるいは潤滑油という方面重点を置いてやるべきじやないかというふうに考えております。
  26. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 あなたの関係ではないけれども製油会社がこれに対して、たとえばガソリン一つの例をとりましても、彼らの抽出しておるのはこれよりもはるかに上でございます。五%上をガソリンについてとつて行くということになると、年間に二十億の脱税をしておることになります。このようなことはあなたには関係のないことでありますけれども、こういうようなパーセントによつていたずらに税金がかけられているということになると、三十億円という莫大なものを彼ら十何社だけがふところに入れているということになるわけでございます。われわれは彼ら十何社のいけにえになつてそれだけのものを払つているということになるわけです。これはあなたの関係ではないから別としまして、あなたは重油というようなものにも重点を置かなければならないと言われるが、これは明らかな事実だと私は思う。しかし重油重点を置いて行くということになると、これは国内原油を持つて来た上においては非常に不利ではないだろうか、こういうふうに考えます。というのは、計算からいいますと、原油で持つて来て、たとえば潤滑油重点を置いたということになると、パーセントは、三〇〇ということになる。またガソリン重点を置いたということになると一四〇になる。あるいは燈油に置いたときには一〇〇になり、重油に置いたということになるとただの六〇になるという数字が出るのであつて、そこで私の先日来申し上げておることは、どうしても重油というようなものが必要であるという必要性に今迫られておるという上から見て、輸入外貨を区別しないで一本化して、そうして重要性のあるものから製品を輸人する、製品ばかりではないから原油も持つて来なければならないけれども、それをアジヤストするためにも、どうしても外貨を一本化する必要があるんじやないか、一本化すべきである、こういうふうに私は考えておるのでございますが、次官はこういうような点について何かお考えなつたことがございましようか。それとも何か省議でもつて、どうも国際的に云々だから、どうしても原油を持つて来てアメリカへもこびを売ろうというような考え方もあつたのかいなや、ひとつつてみたいと思うのでございます。
  27. 古池信三

    古池政府委員 外貨の使用にあたりましては、その面からのみ考えれば、できるだけ単価の安いものを入れるということが外貨の節約の上においては有利であろうと思います。従つてその面から言えば、原油で入れて、これを内地で精製するということが有利でありますけれども、しかしまた一面、重油そのものとして輸入することが価格その他の面から有利であることも考えられる場合があると思います。従つてこれはやはりそれらの重油なりあるいはガソリンその他の油とのバランスをとつて適当に輸入するということが一番よいのではないかと思うのであります。  外貨の一本化ということをお話になりましたけれども、これは一応われわれとしましては、国内の需要に見合いましてどういう油をどのくらい入れたらよかろうかということから計画をして参りまするので、結局一本化したとしましても、またその内訳の計画がいるわけでありますから、現在のやり方と比しましてそれほどかわつたことにはなるまいかと思うのであります。しかしお話の点は十分今後検討してみたいと存じます。
  28. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 こういうふうに原油というようなものをたくさん持つて来なければならない、去年よりも増加率を二七%よけい持つて来るんだということを先にきめることがいいか悪いかという問題でございます。ですから政府の腹芸において自然に競争化さして、なるべく安い品物を持つて来る。よし製品として安ければ製品を持つて来てやる、原油が安ければ原油を持つて来るぞと言つて、ここにいばつていて、そうして安いものを選択をさせて、そうして輸入をさせる、こういうようなやり方をするのが、やはり国民経済の上に大きな貢献をするのではないだろうか、こういうふうに考えるのでございます。そこでことしは原油を昨年に比較して二七%よけいに持つて来ることにしているし、その半面重油というようなものにもやはり考え方はあると思う。また製品というようなものにも考え方があると思うのですが、何ゆえに原油をことしは二七%よけい持つて来なければならないという案が示されているのか、どこを基準としてこういう案がつくられているかということをお伺いいたします。
  29. 川上為治

    川上政府委員 原油を持つて来た方がいいか、それとも製品を持つて来た方がいいかという問題につきましては、きのうのこの委員会におきましても私から申し上げておきましたが、やはり外貨の面から申しますと、現在におきましては原油で持つて来た方が相当外貨の節約になる、これははつきりした計算ができるわけでありますが、そういうことになるわけであります。ただしかしながら原油だけ持つて来て、精製して販売するというようなことになりますと、勢いこれに対して刺激して、あるいはその価格のチエツクでありますとか、また合理化をさせるというような点につきましてまつたくルーズになつて行きますので、やはり私はある程度製品をこの際入れて競争させなければ、いけないというふうに考えるわけであります。従いましてガソリンにつきましても大体一割三分程度製品はどうしても入れるべきだ。単に外貨の節約という面だけからこの問題はきめるべきではなくて、今申し上げましたように競争によつて値段を下げさせるとか、あるいは合理化をさせるというような面からいいましても、どうしても製品をある程度入れなければならないということで、一割三分程度のものをガソリンは入れるということになつておりますし、また重油につきましては、原油からできますその重油は約三百万キロ・リツトルくらいでありますけれども製品としては二百万以上のものをさらに輸入をするということを言つておるわけでありまして、今申し上げました原油については昨年よりも二七%ふえているが、製品はそんなにふえていないじやないかというようなお話でありますが、私の方としましては、やはり現在の外貨事情なりあるいはまた現在の国内の需給関係等を考えますと、やはり原則的には原油を持つて来るべきではないかというふうに考えておるわけでありまして、今も申し上げましたように原油の輸入量は相当ふえておるわけでございます。しかしやはりある程度製品はどうしても入れて競争させなければなければならぬという考え方から、ガソリンについては一割三分程度重油についてはこれは非常に大きい数字でありますが、二百万キロ・リツトル程度入れるということになつておるわけでございます。  なおその外貨の一本化の問題につきましては、先ほど政務次官の方からお話がありましたが、私はやはり理想としましては、目標としましては外貨一本化に持つて行くのが筋であるというふうに考えておりまして、これは需給関係が逼迫しないで、相当量十分に輸入ができるというような情勢にありましては、極力一本化の方へ持つて行くべきだ、また国内の精製業者も一日も早く近代化して輸入製品に対抗できるような態勢を一日も早くつくらなければならぬというような関係からいいましても、製品原油とは将来一本化すべきであるというふうに私は考えております。ただ現在のように、その需給が非常に逼迫しているという場合におきましては、やはり別々に割当をしなければならないのじやないかというふうに考えるわけでございます。特に重油方面につきましては、もしこれを何でも引いてよろしいということになりますと、重油の需要が多いものですから、どんどん重油を引いてきて、そしてまた石炭企業との間に問題を起したりして、いろいろな問題が出るのではないかというふうに考えますので、現在におきましては原油製品は別々にわけて輸入せざるを得ないのじやないかというふうに考えておるわけでございます。
  30. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 局長さんのお答えと、なさつていることが反対ではないかと私は考えます。たとえば製油を持つて来て競争させるということは、これはごもつともなことですが、数量から見て、昨年三十五万キロですか持つて来ておつて、今年は二十九万八千キロしか持つて来ないということになつて、去年より少くして、競争裡に立たせようという考え方ですが、原油を昨年よりも二七%よけい持つて来させておいて、そうして精製したものを去年より少くしておいて、そこでどうして競争というものが成り立つか。昨年度競争というものがどういうふうに現われたか。原油を持つて来るといつても、原油には国際カルテルがあつて、これも原油の買入れの競争ということをさせていない。こういうような点からいつて去年より品物を少く持つて来ておいて、さあ競争させるのだということが成り立つか、成り立たないか。あなたは商人でないからわからないだろうけれども、商人はそういうことを見て、競争の相手が出たら競争しなければならなくなりやしないかというような考えは持ちません。あなたはお役人だから少しでも持つて来ればそれで競争させられるのだと考えるかもしれないが、それがお役人の情ないところなんで、お役人が考えるような考えで、こんなことは逆に暴騰をしようとも、競争をして価格を引下げるなどということは、絶対にあり得べきものではありません。ですからそういうようなお考えがあるとすれば、何で今年精製したものを持つて来る額を引下げたかということです。原油を二七%よけい持つて来ることについて、重油を持つて来ることを二七%少くさせておる。そういうような点からいつて、どうしてこれが競争裡に立てると思うか。競争をさせるという心理がどこから現われて来るか。よく考えてみてください。それはあなたの詭弁であつて、われわれはあなた方の詭弁を聞くのではなくて、どうやつたならばわれわれの責任を全からしめることができ得るかという観点に立つて、総合燃料というようなものの政策を考えているのでありまして、私たちは一石油会社や輸入外国資本に圧迫をされて国内政治を誤つてはなりません、こういうような考え方で私たちは進んでいるのであります。一局長大臣の責任ではありません。いつも言う通りわれわれ通産委員二十五名の絶対の責任だとわれわれは考えるからであります。こういうような点から考えてあなたのお話は一つの詭弁でございます。商人という実業をする心理をあなたは知らないから、そんなことを恥かしくもなく人の前でしやべるのだ。であるから、もつとはつきりとした理念に立つて総合燃料政策というものが決定されて、そういう面からしてかくしたのだいう明らかなる理由があるならば承りますからお述べください。
  31. 川上為治

    川上政府委員 ガソリンの輸入につきましては、昨年の実績は大体三十五万キロリツトルとおつしやいましたが、その通りであります。これは昨年の外貨予算からしましても、われわれが大体これくらい持つて来てもらいたいという数量は、二十六万キロリツトル程度でございます。それがなぜそんなにふえたかと申しますと、出光興産が非常に安い油をイランの方から持つて参りましたので、従つて三十五万キロリツトルというふうに非常にふえたわけでありまして、私の方としましては、今年は大体三十万キロリツトル程度に該当するガソリン外貨をつけることになつております。これは昨年と比べますと、二十六万程度よりもさらに四万程度ふえるということになるわけでありまして、この三十万キロリツトルに該当する外貨の中で極力安い油を引くということになりますれば、昨年の三十五万よりもあるいは四十万とか、四十万以上に私はこれは獲得できるのじやないかというふうに考えておりまして、去年の予定よりもことしは先ほど申し上げましたように四万程度はふやしておるということになつておるわけであります。私の方としましては、一定の外貨をつけますと、その範囲内におきましていくらでも安いものを入れてくれることはまことにけつこうでありまして、ぜひそうしてもらいたいと考えておるのであります。それから全体の製品あるいは原油の割当の問題につきましては、最初すでに一億三千万ドルという外貨がぴしつともうきまりましたので、私の方としましては、その範囲内におきまして需給をそれだけ圧迫させないようにするためには、どうしても原油の方が外貨的には安くなりますので、そのためにどうしても原油の方をよけいに入れなければならぬということになつたわけでありまして、外貨がいくらでもつけられるということでありますれば、私はもつと製品を入れてもいいのじやないかというふうに考えておりますけれども、今申し上げましたような事情で、この問題は外貨のわくで縛られて、そのためにもつと製品も入れたいが、それができないというような事情なつておると私は思うのであります。そういたしますと、結局製品輸入業者に対しまして非常な影響を与えるということになりますので、ガソリンにつきましては、先ほども申し上げましたように昨年よりもよけいに三十万キロリツトル程度認めましたが、重油につきましては昨年よりもある程度つておるのじやないかというふうに考えますので、そのかわり精製業者が原油製品と両方輸入しておりますが、この製品輸入は精製業者は原則としてやめてもらつて、そしてその分だけは一般の輸入業者の方にこれを振り向けて、そしてその調整はしたいというふうに考えておりまして、製品の輸入業者に非常な打撃を与えないように、迷惑をかけないように私は今回の割当においてはする考えでおりまして、そういう考え方のもとに現在作業をいたしております。
  32. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 そういたしますと、次官に伺いますが、たとえば二十九年度一億三千万ドルという外貨予算が基本でこういうものができ上つたのだ、これはよくわかりますが、ここで二十九年度の輸入する原油と精製したものが区分をされております。お話によりますと、去年は二十六万キロリツトル、つまり二十六万トンの予算であつた。けれども結論としてイランから持つて来る石油が安かつたために三十五万トンを持つて来たのだ、こういうことでございます。ですから昨年の予定よりは四万トンはよけい持つて来るのだという局長の御説明でございます。そこで精製したもの、つまりイランから来るものが安かつたから三十五万トン持つて来たので、国内の当時の価格は下つて行つた、これは御承知通りだと思うのであります。ところがイランから持つて来ないということになつたら、もうすでに倍の価格に国内は売られていた、競争というのはこういうものなんです。そういう原理を局長はよく知つてもらわなければなりません。ですから基本的なものを考える場合はこれでもよろしいかもしれないけれども、二十九年度に、精製したもの、たとえばガソリンは二十九万八千キロリツトル、こういうことにきまつておるけれども、もしも安いものがあるとするならば、原油という面に食い込んでこの御処置がとれるかとれないか。外貨は一億三千万ドルでございます。よけい認めるわけには参りません。一億三千万ドルであるから、製品が安いとするならば原油の分に食い込んでもさしつかえないか、いいか悪いか、どういうふうなお考えでこういうものをつくつたか、高くても安くてもそのままのものを持つて来るんだという考え方と、もし安いものがあるならば、安いものを持つて来れば何も申し上げることなく国民がそれだけ楽になるのですから、精製したものに安いものがあるならば原油の中に食い込んでもいいのだというお考えをもつてこの案をおつくりになつたかいなかを承らなくてはならないと思うのでございます。以上申し上げたような点についてはつきりとした御説明をしていただきます。
  33. 古池信三

    古池政府委員 ただいまお尋ねのような事情が将来できますならば、今後の外貨割当の実施面において、原油重油との間の調整をはかつて参りたいと存じます。
  34. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 そうするとこれが一応の案ではあるけれども、固定したものではないのだ、こういう意味でございますか。
  35. 古池信三

    古池政府委員 これはもちろん一応の予算でございますから、今後の事情の変動に即応いたしまして、たとえば下期においてこれを調整するというようなことは可能であると存じます。
  36. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 そこで私はこういう点についてははつきりと打出しておかなければならないと思うのでございます。要は原油を持つて来る方が外貨が得をするのだというような点も、これは一つのベースのとり方によつてであろうと思うのでございます。今局長考えておるベースから行けばそういうようなそろばんも成り立たないことはないと私は思います。ですからどういうところから持つて来る——たとえば石油ベースでやるのか、ガソリン・ベースでやるのか、こういう点に、つまり重点の置き方において相違があると思うのでございます。こういうところは別でございまして、ですからそういう考え方も現われて来るであろうということは私は納得をすることができます。そこでくどいようだが、石油外貨の割当を、申し上げたようにどうしてもこれは一本化して行くことによつて、安いものならば持つて来る。そろばんを立てて、安いものならば原油だけでなくて入れるのだということを一つの基本的なものの中にはつきりとしておいて、そして政府みずからが業者をあやつるというような程度まで持つて行かなければだめなのじやないか。いかに局長さんがさか立ちしたつて、あなたが商人なんかにかなうものではありません。昔は統制時代だといつてあなたがいばつている。いばつているやつよりも商人の方がりこうでもうけてしまう。みなよくわかるでしよう。あなたのふところには百も入らなくても、あなたの前にぺこぺこ頭を下げている方がもうけている。もうけるためにあなたのところに行つてうまいことを言つて、それがほんとうだと思つているのが局長なんだから、そういうことをもう少し考えてもらわなけれでならぬ。こういうふうに石油という問題は議論が多いほど——もちろん多くなければならない。何でこれはこんなに議論が多いかというと、これは国民生活になくてはならない品物である。公共性を帯びている。いたずらなる一つの物品ではないのでありまして、政府考え方一つによつて国民生活に大きな影響を及ぼすからであります。たとえば、申し上げたようにその抽出方法において、今持つて来る原油の数量だけでも、五%よけいにガソリンが出たとするならば、三十億という莫大なものが彼らのふところに利潤となつて入つて行くのであります。私はもうけてはならないと言うのではありません。もうけるための企業であり、もうけるためにわざわざ外国から日本に莫大な資本を投じて会社をつくつているのですから、もうけてならないということは申し上げません。もうけるのはけつこうだけれども、その上に立つ局長であり、それを行う行政という面に対しては、はつきりとしたものを持つて進まなければいけない。そこでこういうような案を立てることもけつこうだけれども、こういう案を立てたがこれが固定的なものではないというお話の通りに、であるから、原油を安くするならば原油ばかりでもしてやるぞ、精製したものが安ければ原油を全部やめてしまつて、精製したものを持つて来てやるぞ、このくらいの腹があるぞということをやはり示してやるようにしなければ、自然競争はでき得ないのでございますから、その点には十分考慮をしてもらいたいと思うのでございます。あとにまだ永井さんから質問があるようですから、私は長くなりますので質問をとめますが、いずれにいたしましても、行政を行うにあたつて、これは一石油の問題でございますけれども政府はたとえば砂糖をことし八十万トンしか持つて来ないのだと言えば、もう砂糖が倍の価格になつておる。そう発表する政府は鬼の首でもとつたように発表をするけれども、それを運用してもうけているのはだれだ。一、二のブローカー的存在の商人だけではないか。国民生活に大きな影響を及ぼす、こういうことは、おきめになつてすぐ発表するよりも、たとえば次官会議でおきめになつたなら、局長の腹の中にしまわせておく。そうしてたとえば二七%原油をよけい持つて来させようとか、重油を二七%減らさせようというようなことを発表することがよいか悪いかという面に十分気をつけてもらわなければならぬ。これは一石油の問題ですけれども、すべてそういう点で、現在の政府考え方と逆行して国内の物価が上昇機運にあるということは、みな政府の責任であるということを知つてもらわなければなりません。あるいは政府が何かと通じて金をもうけさせるためにやつた措置だと言われても、何とも答弁のしようがないのではないかと考えます。行政に携わる皆さんはこの点を頭の中にはつきり入れて御処置を願いたいということを申し上げまして、私の質問を終ります。     —————————————
  37. 大西禎夫

    大西委員長 次に地方自治法第百五十六条第六項の規定に基き、繊維製品検査所の出張所の設置に関し承認を求めるの件を議題といたします。  この際委員長より政府委員に一言御注意を申し上げます。本案審議の場合に、担当政府委員は時間を厳守せられたいと存じます。しからざる場合には法案審議につき重大な困難も起り得るかもしれませんので、右十分御注意されるよう要請しておきます。御質問はございませんか。
  38. 小平久雄

    ○小平(久)委員 本案は非常に簡単な案であり、その趣旨にも別段異存はないのでありますが、提案の理由によりますと、現在鹿児島においては出張検査をいたしております。その受託出張規則に基いて、出張職員の旅費その他を地元で負担するということになつておりますが、その旅費は一体どれくらい負担させているのか。実績並びに今後の見通しについて参考に承りたいと思います。  それから、この提案理由によりますと、今回の増設については人員並びに経費の増加は必要でないと書いてありますが、一体どういつた規模で、人員は何人くらいでやるのか。あるいは建物なりその他の検査施設等については一体どんなふうにやつているのか、また今後どうするのか、この点について伺つておきます。
  39. 吉岡千代三

    ○吉岡政府委員 たいへん時間を遅れまして申訳ございません。はなはだ言訳がましくなりますが、実は先般来問題になつております可燃性織物につきまして、国立の繊維工業試験所からこの設備を持つております大阪の方へ担当官が出張いたしまして、その結果をきよう聞くことになつておりまして、多数の技術者も参りまして問題が非常に急ぐものでありますので、その関係で遅れましたことをはなはだ申訳なく存じます。  次にただいま御質疑の点でございますが、第一点の旅費の問題は、会計法の定めるところによりまして、職員の受託出張規則というものが省令できまつておりまして、鹿児島において検査を受けたい輸出業者は旅費を負担していただくことになつております。ただいま福岡の支所から大体月に三回ないし四回出張いたして検査をいたしております。一回の委託旅費が大体四千円足らずになつておりまして、これを年間で計算いたしますと、約二十万円の検査旅費を負担していただいているという実情でございます。それで鹿児島の港から出ます絹、人絹織物は、大体地元のデパートなり一般の繊維関係の業者が内地品として仕入れまして、これを主として沖縄関係等で引合いがあり、契約ができますと、検査を受けて出す、こういう形になつておりますので、従つて最初から輸出品という形で仕入れておりませんので、どうしてもそういう形にならざるを得ない。それで検査の手数料といたしましては、絹、人絹織物は国営検査でやつておりますので、その他の一般の民間の検査団体でやつているものに比較いたしまして、非常に低率の料金をとつております。大体FOB価格に対して千分の一以内ということを標準に料率をきめているのでありまして、鹿児島の港から昨年金額にして約三千万円程度の絹、人絹織物が輸出されております。従いましてこれの〇・一%といたしますと、検査手数料は約三万円程度である。それに対して委託出張旅費が二十万円とられている。そこでこういう非常に薄い利潤で輸出取引をやつている業者にとりましては、むしろ委託出張の旅費の方が数倍の負担になる、こういう実情でございまして、昨年来県並びに商工会議所等地元から非常に強い要望がございまして、どうしても鹿児島に出張所を置いてもらいたい。民間の検査機関におきましては、いろいろ法制上の問題もございませんので、そういう要望にこたえまして、綿、スフ、毛、メリヤス織物、染色更正品、雑品等、大体繊維関係の主要な輸出品につきましては、それぞれ鹿児島に出張所を設置して便宜をはかつているわけでございます。ただ国の検査所につきましては、やはり法規による手続を必要といたします。また一般にこういう官庁機構をたとい形の上でも広げるというような印象を与えることは、なかなか通りが悪かつたのでございますが、ただいま申し上げましたような実情にかんがみまして、行政管理庁その他関係方面から御了解を願いまして、今日御承認をお願いする運びになつたわけでございます。従いましてこれを御承認願うことによりまして、関係業者の便宜はもちろん、あらゆる面において非常に好結果を来すと考えております。  それから規模並びに人員の点でございますが、これは全体として絹、人絹の国営検査に従事しております人員が、昭和十二年ごろは千二百人ばかりおりましたが、その後いろいろ人員整理等によりまして、現在は約四百名になつております。これは同町に民間の検査機関の監督の仕事もやつておりますので、直接国営検査に従事しております人員は、戦前は約九百名でございましたが、現在は約三百名ということで、人員におきましては全体として戦前の三分の一になつております。従いまして一人当りの検査の取扱い高は、戦前の二倍以上になつておる現状でございまして、全国的に見まして大体一日平均一人当り五百点の検査をやつておる現状でごいざます。このうち、やはり何と申しましても福井、金沢等に多数の人員を配置いたしておりますので、現在福岡の支所といたしましては、福岡支所全体で三名人員を配置しております。この福岡の支所そのものの仕事は、先ほど申しました民間の検査機関の監督という仕事が主でございまして、直接の仕事としては、やはり鹿児島港における輸出検査というのが現業と申しますか、具体的の仕事としてはむしろウエートを占めておつたわけでありますが、今回の措置といたしましては、従来福岡から出張して検査しておりました専門の者を、このうちから一名鹿児島に常駐いたさせまして、それによつて先ほど申し上げました出張旅費等の負担を避けることといたしたい、かように考えております。  なお検査の施設につきましては、これは地元の御好意によりまして、現在民間検査団体も含めまして、地元の商工会議所の建物、施設を利用させていただいておりますので、この点については国としての負担は直接かからない。要するに人員経費等につきましては従来通りの形においていたして参りたい、かように考えております。
  40. 小平久雄

    ○小平(久)委員 大体わかりましたが、この沖縄との取引の関係でありますが、これは現在の状況からすれば大体一般外国並に扱つておると思いますが、本件の輸出絹織物というようなものは、大体向うの島民の需要じやないかと思うのです。そういうわけですから、普通の外国向けの物とは違う性質もあると考えられますが、そういう点で内地物と同じように取扱えるように米国あたりと折衝したことはありませんか。その点が一つ。  それから今回の出張所の設置についてですが、その施設については官庁には負担がかからないということであります。私は、この点について言うのではないですが、一般に地方出先機関の整理ということはここ数年来の政府の大方針であろうと思います。そこで万一設置するとしても、この地方自治法にもうたつてありますように、「国の地方行政機関の設置及び運営に要する経費は、国においてこれを負担しなければならない。」とちやんとうたつてあるわけであります。しかし一般に、国の出先機関が地方にできますと、名目だけは地元の協力というようなたいへんうまいことを言いますが、とかく寄付を集めてそれでものをつくつたり、ほんのおしるしの借入金などでやるとか、そういう傾向がある。これはひとり通産省関係だけではありませんが、たいがいの役所がそういうことをやつていると思う。関係の業者はお上手を言いながらやつておりますが、腹の中では不満であるのが実情であとる思つております。そういう点から——これは一人を置くのでありますし、大した施設でもないから、大して問題はないと思うけれども、広く国の出先機関という立場から考えるときには、どうもそういう傾向が多い、ましてや出先機関の整理ということを考えますときには、どうも国の方針ないしは自治法にうたつてあるところとまるで逆行するようなことを、ややもすれば行つておるという点がございますが、そういう点、どうですか、政務次官からひとつお答えを願いたい。
  41. 古池信三

    古池政府委員 国の出先機関を置く場合に、地方の人たちに迷惑をかけないように、必要があれば国から経費を要求して施設をすべきであるという御意見は、私もまことに同意見に存じます。従つてかような場合、必要の生ずるごとに予算要求をすべきものと考えるのでありますが、ただこのたびの鹿児島市におきまする問題は、従来も出張して参つた場合に、商工会議所が部屋を貸してくれまして、その部屋で検査をやつておつたような状態もあります。今回は従来出張しておつた一名を向うに常駐しようということでありますし、商工会議所の方でもこれに好意的に積極的に協力しておられるのでありますので、この程度のことならば、地元に大きな迷惑をかけるというものでもなく、また地元の業者としてもそれを非常に喜ばれるのでありますから、まあやむを得ないものとしてわれわれはそれを認めていただきたい、かように考えております。
  42. 吉岡千代三

    ○吉岡政府委員 沖縄を内地並の扱いにしてはどうかという点でございますが、実は占領中に司令部の指示等もございまして、繊維関係検査機関は——その他の検査機関も同様でございますが、原則として民間の検査機関に移すということになつたわけでございます。ただ絹、人絹織物につきましては、特に検査の厳格であることが必要だということは、むしろ海外の方から非常に強く要望がございまして、これだけは国の検査ということで残りまして現在に至つておるわけであります。しかしながらそれもなお場合によつてクレーム等もございますので、昨年でございましたか、特に検査のやり方を二段と厳格にいたしまして、昨年九月の綿業会議等におきましてもそのことを日本側から説明をいたしまして、綿業会議として感謝決議を受けておるというような経過もございます。  なお、鹿児島港から出ます品物は大半が沖縄向けでございますが、一部台湾向けあるいは香港向けもあるわけでございます。さらに沖縄に出ましてからこれらの近隣の地区に再輸出されるということも予想されるわけでございますので、それらの点を考えまして、これにつきましてはやはりこの際としては一応輸出の扱いをすべきであると考えております。なお占領中にもこの問題について司令部と話合つたこともあるようでございますが、その際もただいま申しましたような扱いが適当であるという経過になつておると思います。
  43. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 これに関連しまして一言局長に注意といいますか、申し上げておきたいことがあるのです。この検査所の問題で非常に頭を悩ましたことは、私ばかりではなく、たくさんの方々があるのじやないかと思うのです。たとえば検査所の方が市内へ自転車で出て来るのに出張旅費をとるわけです。そこで国の方の予算がなくなつたから一箇月のうちに十七日しか出られない。こういうようなことで、それではあとの十三日間を、どうしても輸出も忙しいので検査してもらわなければならないから、それを民間で負担するからどうかやつてくれないかと言つても、民間の負担なんかということはとんでもない話だ。われわれはとにかく国から出張旅費をもらうのでなければ、出張して検査することはできませんというお答えもありました。いずれにいたしましても輸出製品は一たび整理工場に持つてつて再び検査所まで運ぶ。そうして検査所で検査を受けて、また整理工場に運んで荷づくりをする。こういうことになるためにキヤンセルされたとか、いろいろな問題がたくさん併発するおそれがあります。こういうようなことなので、何とか方法考えなければならない。市内出張するにしても旅費をとる。旅費をとるのがいけないというのではないのであつて、何とか輸出製品だけに御考慮を願うことができないかということで、納得をするようにもなつたのでございますが、現に検査はどういうふうになつておるか。昨年度の予算で参りますると、そのくらいの予算しかなくて、どんな輸出品であつて検査することができないというようなことであつたのだが今年はどういうようなことになつておるか、それをまず承らなければならないと思うのでございます。私は鹿児島へつくるということに反対する意味ではございませんけれども、それに関連をいたしまして、なるべくそういう出張を可能なようにしてやる。こういう輸出製品になりますと、夜夜中でもこの人たちは出て、一時間でも早く検査を済ましてやらなければならないというような観点もございますので、どういうふうになつておるか、ひとつつてみたいと思うのでございます。
  44. 吉岡千代三

    ○吉岡政府委員 先ほど申し上げましたように、戦前に比べまして検査が厳重になりましたに反して、人員等の関係は非常に手不足になつております。それで今回の行政改革におきましても、通商局の方から強く減員は困るということを主張いたしました結果、最も低い整理率でがまんをしていただいたわけでございますが、予算関係としましては、二十八年度におきましては総額におきまして九千二百万円、二十九年度予算といたしましては一億二百万円、この程度の経費を計上しておりますが、このうち先ほど申しました検査機関の監督等の経費を除きまして、純粋な検査に必要とする経費が、大体昨年度におきまして約七千万円足らず、今年度は七千七百万円、こういう見込みでございます。これに対しまして検査手数料の収入額は、昨年度におきまして約四千万円でございまして、まず全体の必要経費、直接検査に使う経費の六割程度になりますという状況でございます。そこでこの点につきましては、前々から大蔵当局からも手数料の値上げ方を要請されておるのでございますが、御承知のように非常に零細な業者ないしはきわめて薄い利益を対象として仕事をしておる輸出業者の負担を考えまして、何とかしんぼうをしてもらいたいということでただいままで参つておる現状でございます。従いまして、人員、予算等にきゆうくつの結果、先ほど御指摘のような点が起つて来たのではないかと思うのであります。具体的問題といたしましては、現在のところ市内に出張いたします場合には、電車あるいはバスの実費のみを支払つておるということでございますが、なおもし具体的に不都合な点がございましたら、もつと詳しく実情を伺いまして、できるだけ御迷惑のかからないようにいたしたいと考えております。
  45. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 私は市内出張をして出張旅費をとるのがいけないというのではないのであります。統制がなくなり、すべてこういう時代になれば、より以上検査にたよるほかに道がないのではないか。検査はなるべく厳格な検査をしなければならない。従つて輸出等においては、日本の輸出製品には送り返すものはないのだという、こういうような面にまではつきり浸透させた指導を行わなければならぬと思うのでございます。輸出製品は整理工場に行つて厳格な検査を行つてやるようになるべく奨励をしなければならないのではないか、こういうふうに考えるから申し上げたのであります。またそれが検査所まで荷づくりに持つて来るときには、ああいうような広幅のものになると、薄物ですから必ず痛みが出て来るので、そういう点を十分考慮に入れて検査をしてもらわなければならぬ。検査に当る検査員の方々も、輸出について絶対に責任を持つ意味において、気やすく出張して、みずから輸出奨励の意味をよく自分の精神に打込んで検査するという方法で進んでいただきたいことを強く要望する次第であります。従いまして局長さんあたりからも、また次官通牒としても、そういうようなものにしなければならぬぞということを強く御指示願いたいのであります。また鹿児島市に新しくできることは当然でございまして、これらに関する人員も非常に不足であろうと思うのでございますが、予算の許す限りなるべく検査員を拡大して、余すところなく厳重な検査を行うよう希望いたします。
  46. 山手滿男

    ○山手委員 関連して。これは昨年あたりもたびたび聞いておるのですが、日本からの輸出品にクレームがついて非常な国際的な不信を買つておる事実をいろいろ聞いております。たとえて言えば、昨年の上期において、薄板鉄板をアフリカ方面に輸出する大阪商人が、外だけは規格品をつくつておきながら、中味はさびたものやいろいろ規格外のものなんかを送つてつて、全部クレームになつた。だんだん調査して行つたところが、最後には送り出した荷づくりをした連中はもうすつかり倒産をしたような形になつておつて、所在をくらましておつた。そういう事実があつて、裁判になり刑事問題になつておる事実があります。あるいは昨年あたりも、通産省の方もよく御存じの問題でありますが、バンコツク方面に対する大量のクレームの問題は、日本の信用失墜を来しておる有名な事実であります。アメリカに行きますと、日本のベニヤ板などについてもまがい品が出ておつて、私がアメリカで聞いたところによると、政府検査証のついているものは一番信用がない。日本政府検査証がつけてあるものは比較的品物が悪いかもわからぬというような風評さえあるということを日本の業者が言つておりました。こういう事態は、輸出の振興をしなければならぬ現状からいたしましてもほつておくことはできない事態であつて、私は昨年の暮れに帰つて来て、その当時事務次官にもちよつと話したことがあります。次官あるいは官房長もおいででございますから、現在の政府検査はどういうふうに励行をされておるのか、あるいは最近どういうふうに取締りをせられるか、具体的にこの際お開きいたしたいと思います。
  47. 岩武照彦

    ○岩武政府委員 御指摘がありました亜鉛鉄板の件は、これはまことに遺憾な点でございまして、日本品の声価を傷つけましたことははなはだしいものでありまして、この措置は法の命ずるところによつてつておりますが、現在の検査機関のあり方といたしましては、御承知のように繊維関係、それから一般の工業製品関係も国営の検査機関と、民間の会社あるいは協会といつた団体等でやります検査と並行しておるわけでありまして、どういう検査によるかということは商品によつて違いますが、大体は輸出契約の内容によつてサーべーをどつちにつけるかということになつております。従いまして民間の検査機構でも、海外に声価を持つておりまして信用されて、あそこのサーべーならというふうなものであれば、それによつてやることになつておるわけでありますが、国営の検査機関を指定するものも間々ございます。ことにプラント関係のものの一部などにおきましては、民間の検査機構が十分でないために、むしろ東南アジア方面からは、国営の検査機関のサテイスフイケートがほしいということがありまして、われわれとしてはこういうものに対しましては、できるだけ検査に臨んでおるわけであります。ただこの問題はいろいろなむずかしい問題がございまして、占領時代には検査は国営という形は少し行き過ぎじやないか、これは当事者間の契約にまかせて、むしろ民営の検査機関の発達助長をはかるべきではないかというような指導方針が相当とられましたために、機構、予算、人員等の面におきましては現在は繊維関係を除きましては非常に不十分に思つております。ただそういうことで、実はわれわれとしても国営の機構によるべきものと、民営の機構にある程度まかして当事者間の契約によつて一般的に処理していいものとあるようでありますが、実はその辺につきましてどういう品物、あるいはどういう場合に国営の検査機関が出ましてやつた方がいいか、あるいは民間の方にまかせた方がいいかという点につきまして目下検討中でございます。  それからもう一つは、そういうふうに契約だけにまかしていいかどうかという問題がございまして、ものによりましてはやはり国が出て現品検査を現場、ことに包装前あるいは包装後の積出し期におきましてやつた方がいいのではないかという商品もございまして、そういうものにつきましては規格も日本輸出規格できまつておりますものがありますが、そういうものに基いて現地で臨機にスポツト・チエツクをやるという建前になつております。これも今申し上げたような考え方もございますので、戦前みたいに強制検査、つまり国営にしろあるいは民営の機関にしろ強制検査という建前を広く採用するまでに至つておりませんので、弊害の防止に協力して参るという態勢でございます。その辺の考え方につきましては、なお通産省としましても、もう少し実態をはつきり分析しまして、検査機構、検査制度というものをどういうふうに持つて行つたらいいか研究中でございます。
  48. 古池信三

    古池政府委員 わが国の輸出品がたまたまクレームを受けたりあるいはキヤンセルになるということは非常に遺憾なことと考えます。これはその商品を扱つた業者にとつて大きな損失であるのはもとよりのこと、それ以上に国の信用というものを対外的に非常に失墜するおそれが多分にありますので、どうしても輸出品の検査というものをはつきりしなければいかぬと私は考えておるのであります。しかし基本的に申せば、何としてもわが国の輸出業者の道徳の問題になつて来ると思いまして、もう少し全般的に商業道徳を高揚することが必要ではなかろうかと考え、これについては業界の反省をぜひ願いたいと考えております。  それから検査機関の問題でありますが、ただいま官房長からも御説明申し上げましたけれども、これについて業界の意見を聞いてみますと、やはり品物品物によつてそれぞれ意見が異なつておるように考えます。あるものは国営の検査機関をよしとし、あるものは業者の団体等にやらせるのがいい。また大きなメーカー等につきましては、そういうものに託すよりも、責任をもつて自分の社内の検査を励行するから、これが一番能率的でいいではないかというような意見も現われておるのでありまして、これはやはり品物に応じて、最も適切に厳正に検査の行われるような方法を立てて行かなければならぬというので、通産省におきましても目下検討中でありまして、将来そういうクレームの起らないようにぜひして参りたいと考えております。
  49. 山手滿男

    ○山手委員 私はやはり中には非常に悪質なものがあるのじやないかという気がいたします。ことにこれから金融が引締まつて参りますと、苦肉の策でそういうことをやる人が出て来るだろうと思います。昨年の夏起きたアフリカ向けの鉄板の問題などは、外側だけは正規のものを入れておいて、中の方はでたらめという状態であつて、先方も非常に憤慨して来て、刑事問題になつて、調べてみたところが、計画的に所在をくらましておる。ようやく検察庁もつかまえたという話でありますが、刑がいわゆる詐欺罪のようなことだけであつて、ほとんどとるに足りない処罰になつてしまう。こういうことでありますと私は取返しがつかないと思う。国営検査をやつて取締るのなら、もう少し何か法律を改正するなり何かして効果的な取締りをする方がいい。しかしやたらに国営検査のわくを広げるということもどうだろうかと思いますし、できるならば自主的な業界での検査というふうなものも好ましいわけでございますから、早く徹底的に検査制度の確立を政府にやつてもらいたい。さつき言いましたように、アメリカ方面でも、どうも政府検査証のあるものは、信用度が低いといううわさを私ども聞いて驚いて帰つて来たわけでありますが、その点を要望しておきたいと思います。
  50. 大西禎夫

    大西委員長 齋木君。
  51. 齋木重一

    ○齋木委員 検査員の問題でありますが、私どもの県におきましても検査員の質が悪いのじやないかということを痛感しておる。国営検査検査員の検査したものがキヤンセルを食い、商社にいるところの業者が見たものは通つて輸出される。そうすると検査員は何をしておるのかということになり、そういう面に対するところの訓練、教育と申しますか、それがあまりにもずさんじやないかということを私どもは、まざまざと県におきましても見ておるのであります。それらに対するところの問題と、今鹿児島に一名常駐させるということ、これ自体も今日まで三名が出張してやつていた。今度は一人が常駐してやる。私は鹿児島に出張することにおいては何も反対はありませんが、まず人を使う上おいて、またその人を採用する上において、検査員なら検査員としての識見と手腕とを考えなければいけないと思う。それをやらなけれぱ政府検査した検査品が不合格になつて、今山手委員なり長谷川委員なりが質問されたごとく、検査員の不合格としたものが合格して輸出されるなど、逆な現象が起つて政府の信用というものはどこにあるかというようなことで、非常に輸出問題としては大きな損害を来しておるのではないか。また業者としても非常な損害を受けるということに私はなると思うのであります。これは私は身をもつて福井県においてよくわかつておる。実際において当面した問題をわれわれは聞いておるのであります。何も検査員のあの青判の判ぐらいはへつちやらだ。あんなものは通らないのだ。私のところの商社にいる検査員というか、店員が見たのが通つて、どんどん商いされておる。それがりつぱに輸出されておる。国営検査員の判を押したがキヤンセルを食つておる。そうすると検査員は何をしているかわからない。ただ月給取りを養うているだけだ。それで給料がないとか予算がないとか言つておるが、それはちよつと変な話なんだ。通産省は、そういつたような特に繊維製品検査の問題に対しまして、まず人をこしらえるという問題はどうお考えなつておるのか。そういう制度とか訓練とか、いろいろな教養とかいうようなこともあるでしようけれども、採用にあたつても細心の注意を払つてその技術者を採用しなければいかぬのじやないかと私は思うのであります。これに対する心構えを繊維局長なり政務次官は何とお考えなつておるか。
  52. 古池信三

    古池政府委員 まことにお説はごもつともと存じます。私どもまわつて歩きましても、検査員の中に非常に優秀な人もあるのでありますけれども、やはり多数の検査員の中には今お話のような人もなきにしもあらずだと思います。一体その原因はどこにあるかといいますと、私はやはりこれは大局的に見て、戦争の犠牲の一つであろうと思います。これはあの戦争以来、それからその後の状態からいいまして、わが国の貿易というものはまつたくなかつたのでありますから、貿易のための検査というようなことは、戦争中あるいは戦後においてはほとんど行われなかつた。従つて優秀なる技術員が生れなかつたというのは、やはりそういう原因があるのであろうと思うのであります。しかしわれわれとしましては、できる限り優秀なる人を極力充実をして参りたい、かように考えております。
  53. 齋木重一

    ○齋木委員 優秀なる人は戦争以前にはたくさんあつたと言われる。先ほど局長の答弁では、優秀な人が戦前において八百名も九百名もあつて、現在は三百名、仕事は二倍も負荷されておる。これでは検査員はいかなる優秀な人でも、千手観音ならいざ知らず、仕事の加重を二倍も三倍も押しつけてやられていては、いかなる優秀な人でも私は手がまわらぬと思う。目が通せぬと思う。そういつた人が戦前に優秀な人があるならば、どんどん採用してやるべ筋合いだと私ども考えます。こういう点でも頭をちつと検査していただきたいと思いますが、どうなんですか。
  54. 吉岡千代三

    ○吉岡政府委員 繊維製品検査につきましては、輸出に占めるウエート並びに海外からの要望等もございまして、先ほど申しましたように、少くとも他の品物に比較いたしました場合には非常に厳重にやつておるつもりでございます。戦後におきましても昨年までは実は輸出品取締法に定められました基準と申しますか、品質の表示を原則として自己検査でやつてよろしい、これは絹、人絹は国営でございますから別でありますが、ほかの品物につきましてはそういうことを原則にして、ただ行政指導といたしまして二十三年以降民間の検査機関の設立を指導いたしまして、なるべくその検査を受けるようにということでしておつたわけでありますが、昨年の六月以降におきましては、繊維製品については、国ないし国の指定する検査機関の検査を必ず受けなければならぬ。輸出品取締法の七条の二によりまして、いわゆる強制検査の制度を実施して参つておりますが、自主検査だけでありますと、等級を表示して輸出すればいい。従つて向うのバイヤーとの契約によりましては、買手の方が同点すれば非常に品質の低いものを出してもいいということになるわけでございますが、これが末端の消費者に参りました場合には、やはりこれは日本の品物が悪いということになるわけでございますので、先般輸出品取締法に基く委員会を開きまして、これはいろいろ議論はございましたが、本年の五月十日の予定でございますが、その以降におきましては、最低の基準をきめまして、品物別にある一定の品質以下のものは輸出できないという制度にすることにいたしました。これによりまして繊維製品のおもなるもの二十五品物につきましては、全部そういうふうな最低表示をさせる。それ以下のものは輸出できないというように逐次厳正にこの制度を改正しつつあるわけでございます。それから国営検査の現状について申し上げますと、現在のところ、これはあらかじめ定めました標準に照らしましてその具体的な品物がどの規格に合致するかということを検査するわけでございますが、絹について申し上げますと、全体の約七〇%がA級、それから二八%がB級、二%がC級ということになつております。それから人絹につきましては、全体の八五%がA級、一四%がB級、一%がC級ということになつておりまして、C級品は輸出できないということになつております。それからB級品はB級であるという表示をしなければ輸出できないというわけでございまして、検査員の訓練なり素質の向上につきましては、今後とも御指摘の点を考えまして努力をいたしたいと思いますが、少くとも他の品物に比べれば相当厳格にやつておるということを申し上げておきたいと思います。
  55. 齋木重一

    ○齋木委員 厳格ということにおいては、官僚的な厳格でなくして対外的な信用を受ける検査をやるということであると私は考えるのです。そうじやなくして、ただしやくし定規に、官僚的に厳格なだけじや問題にならないのです。対外市場に国営検査の通つたものはどんどん大手を振つて輸出できるという、信用なり何なりをやらなければならない。その技術者を——検査員を採用してやつて行く考えがあるかということを私どもは申し上げたのです。それには四百も五百も戦前にりつぱな者があるならば、それを採用してでもやつて行つたらいいじやないか、こういう考えなのです。そういうことを私らは問うておるのであります。
  56. 吉岡千代三

    ○吉岡政府委員 私どもの立場としては、まつたくお話の通りに、現在の毎日五百点を検査することは確かに過重であると思います。しかしながらこれは全般に公務員をなるべく減らせというような御方針でございまして、実は検査機関、これは繊維に限りませず、あるいは繊維におきましても生糸の方は御承知のように農林省になつておりますが、この一般の検査機関の人員の減少が最小限度にとどめ得たという点は、主として絹人絹の国営検査の実情を行政管理庁ないしは関係のところに御説明いたしまして、それがきつかけになつたということも聞いておりますので、私どもといたしましてはもちろんこれで満足とは申し上げかねるのでございますが、現在の情勢のもとにおいては最大限の考慮を払つていただいた。従いましてわれわれの任務としては、この人員をもつて何とか御期待に沿うような成績を上げて行くということに努力せざるを得ないと思います。なおただいま御指摘のような点もございますので、検査をいたしました商品には全部一連の番号をつけまして、もしクレームが起つた場合にいつだれが検査したかということがただちにわかるような制度を最近からとつております。クレームの件数も大体毎年二百件、あるいは二十七年あたりはもう少し多かつたのでありますが、昨年におきましては百件程度に減少しております。しかしこれはなお今後の推移を見ませんことには、ただちにこれをもつて判断できないと思いますが、今後とも鋭意御指摘のような点については努力いたしたいと思つております。
  57. 齋木重一

    ○齋木委員 そうすると今局長さんは輸出の問題についてクレームがついたら検査員の責任を何だとかおつしやるが、検査員の方々は、もしも誤つて検査をしてクレームがついたということになると、その損害は検査員が補償するのかどうか。どういうような責任を持つておるのですか。損は必ず業者なら業者が持たなければならぬということになると私どもは思う。だから重大だと思うのです。それはどうなつているのですか。
  58. 吉岡千代三

    ○吉岡政府委員 少し言葉が足りなかつたと思いますが、そのクレームが起きたからただちに個人の責任を追究するというわけではございませんが、やはり責任を明らかにしておくということは必要である。それ以後の処理につきましては、その実情によつて明らかにその検査員の過怠によつてクレームが起つた、あるいはある特定の検査員の検査いたしましたものについて、集中的にクレームが来るということになれば、これは考えなければならぬと思いますが、クレームがついたからといつてすぐ個人の責任を問うという趣旨で申し上げたわけではございませんので、そういう趣旨に御了解を願いたいと思います。
  59. 大西禎夫

    大西委員長 他に御質疑はございませんか。——他に御質疑がなければ本件に対する質疑は終局いたしました。  引続いて討論は省略して本件を採決いたします。本件に御賛成の諸君は御起立願います。     〔総員起立
  60. 大西禎夫

    大西委員長 起立総員。よつて本件はこれを承認すべきものと決しました。  本件に対する委員会報告書作成の件につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  61. 大西禎夫

    大西委員長 それではさよう決定いたします。     —————————————
  62. 大西禎夫

    大西委員長 この際過日の委員会において齋木委員より御質疑のありましたアルコール工業に関する問題について政府より発言を求められておりますので、これを許します。岩武政府委員
  63. 岩武照彦

    ○岩武政府委員 先日の委員会におきまして齋木委員から御質問がありましたアルコール関係の未納金の処理の問題並びに最近におきます米材の輸入割当の問題につきまして、当日はなはだ残念でございましたが、手元に資料がございませんで、即座に御答弁申し上げて御疑念を解く機会を得ませんでしたので、はなはだ残念に思つておりましたが、幸に本日機会を得ましたので、委細御答弁いたしまして御了解を得たいと思つております。  まず最初の米材の方でございますが、これは御案内のように、当初輸入関係は自動承認制になつておりまして、だれでも申請すれば輸入の承認が得られて、輸入手配ができるという建前になつておりましたが、この年が始まりましてからずつと輸入の申請が殺到いたしまして、輸入が相当ありましたので、二月四日に自動承認制を停止しております。当時大体六百七十六万ドル程度、石数にしまして約六十七万石程度かと思いますが入つております。その後承認制を停止しておりましたが、いろいろ輸入の要望もございますので、かたがた国内の木材の需給関係が昨年の風水害等の関係もございまして、相当高騰して参りましたので、需給緩和の一策にもと存じまして、三月の中旬は月割当制によりまして、一部の輸入を行つたわけでございます。これが御指摘に相なりました問題のケースでございます。この輸入の総額は百七十万ドル、石数にして約十七万石見当かと存じております。この方式は自動承認制の際においては、外貨の申請が非常にあつて困りますので、資金割当制によつてやることにいたしました。ところが通常の資金割当は、御承知のように最終の需要家に割当をしておりますが、最終の木材を消費する需要家ということが重要な条件ということになつておりますけれども、この場合非常に需要家の範囲が多岐多端でございますので、そういうことをいたしますと、かえつて不公平に相なりますので、一応輸入業者に割当をいたしたのでございます。その基準は昨年の一月から十二月までに、当時の承認制のもとで行つておりました輸入の実績によりまして、按分したわけでございます。その結果大体三十社に割当がきまつたわけでございます。この割当の方式につきましては、林野庁の係官とも相談いたしまして決定したものでございます。先日の御質問におきまして木材の輸入実績のないものに割当てられたのではないかという御質問でございましたが、これは先日も申し上げましたが、米材の輸入は戦後一時とだえておつた。戦争中もそうでございますが、その間にいろいろ商社の栄枯盛衰等もございまして、しかもかわつた形になつて参つておりますのと、戦後価格の関係で米材が割高になりまして、なかなか国内に輸入して需要に供するというようなことがむずかしかつたのでございまして、それがこの両三年来運賃の低下を主因といたしまして、片一方国内におきまする木材価格の高騰等ともからみまして、特殊の大きな用材あるいは一般用材等も、ある程度輸入して引合う段階に相なりましたので、だんだん自動承認制の施行に伴いまして、輸入商社が扱つて来たという段階でございます。従いまして、戦前から扱つていた商社が、あるいはその間におきまして、企業の合併、整理あるいは栄枯盛衰等の関係もありまして、戦後扱つていなかつたのもあるかと存じます。また両三年来の自動承認制の実施の結果、ある程度つて参りましたものが実績を持ちまして、今回の割当の中に入つておるということにはなつておると思います。いずれにしても商品の入着の状況がそういうふうな経過をたどつておりますので、あるいは木材問屋といつた形のもので、この輸入を申請しなかつたものも相当あるかと存じております。やはりそういうふうな事情で、あるいは見なれない商社が入つておるということもあるかと存じております。  それから次にアルコールの問題でございますが、これは当委員会の皆さん方、御承知のような状況でございまして、一昨年六月にアルコール工業並びに生産業の両者の経理を強制監査いたしましたところが、相当額の不良債権が発見されたのであります。この実態等はすでに御承知と存じますので詳細は省略いたしますが、その後のこの措置につきまして最近のこともございますので御報告し、御了承を得たいと思います。  この両社にわたりまして不良債権あるいは一部におきましては業務上正当な範囲に属しない金の動きもあつた結果、国庫に対します納付金が延滞して参つたわけでございますが、それを強制検査の結果発見いたしまして、まず第一になすべきことは、そういうふうな経理状況を公認していた会社幹部に対する責任の追究の問題でございまして、これはすでに一部は刑事事件にもなつております。通産省としましては人事刷新をはかりますために、御質問に御指摘がありましたが、通産省出身の人に首脳者をお願いいたしまして、アルコール工業の方の久保喜六氏並びに酒精産業の立花俊一氏にそれぞれ社長に就任していただきまして重役陣等を一新いたしまして、再建に邁進していただくことに相なつたわけでございます。その際に、法規上特殊な監督の立場に立つておるわけではございませんが、会社首脳部と契約いたしまして、会社の経理あるいは帳簿等に対します監査あるいは予算実施状況の随時監督等のことを申し入れ、その了承を得ておるわけでございます。この内容の債権につきましては、まず経費の節減ということで、これは両社とも人件費あるいは一般経費等につきましてそれぞれ二割ないし三割の節減をはかり、かつ会社の支出につきまして厳重な予算統制を実施させまして、あらかじめ立てました予算に基いて経費の支出を行つて、その結果を役所に報告させるという建前をとつております。この予算統制の実施の結果も大体今申しましたような程度に人件費並びに一般経費の節約をはかつておるようであります。  それから最後に、問題は不良債権の保全と、もう一つは国庫に対します延滞金の納入の問題であります。初めの方の不良債券の回収につきましては、いろいろな不良債券があるわけでございまして、先ほど申し上げましたように、中には必ずしも正当な業務の範囲内に属しない資金の動きもあつたようでございますが、それらにつきましては、それぞれ相手方の実情を調べてみますと、いろいろ支払い能力その他におきまして困難な問題もございますが、これに担保をつけさす、あるいは訴訟を起して回収をはかるという措置を講じたいと思つております。現に訴訟事件も一、二起しております。それから国庫に対します延滞金の納入の問題がございますが、これにつきましてはいろいろ関係方面、ことに会計監査に当ります官庁の方とも連絡いたしました結果、まず債務額を確定いたして、それからそれに対する延滞利息算を含めて何年の計画で、どういうふうに納入さすか、それに対する確保の方法はどうするかという問題がありまして、この方法としましては、まず国におきまして債務名義をもちまして執行力を持たせることが債権確保の上から必要と存じまして、裁判上の和解というふうなことにいたしまして、先月の二十五日に両社とも国との間に裁判上の和解契約が成立したわけでございます。その内容は、アルコール工業の方は実は債務額の二億四千五百万円のうち、この三月十五日に第一回支払いを千八百五十万円余いたしましたので、残金の二億二千六百九十万日余につきまして、これを昭和三十年以降三十六年まで七箇年間に、三千六百万円ずつ分割納付せしめる。同時にこの和解契約成立前の延滞利息千九百万円並びに和解成立後の利息四千百万円について、もう一年ほど延ばしまして、三十七年の三月二十五日までに分割納付せしめるというふうな契約が成立いたしたわけであります。また酒精産業の方は債務額が比較的少額でございまして、五千七百五十万円でございましたが、これも第一回の納付を七百五十万円ほど三月十五日にいたしましたので、残金の四千九百九十九万円につきまして昭和三十年から三十二年までの三箇年間に分割納付させる。なお和解成立前の延滞利息並びに和解後の利息につきまして、同じく三十二年の三月二十五日までに全額完済せしめるというふうな和解契約を成立させまして、これを債務名義として国において執行力を持つて納付せしめるというふうな予定になつております。御報告が遅れましたが、そういう内容におきまして、国の債権の保全並びに両会社の貸出先のといいますか、両会社が債権者たる相手方の債権債務の関係の保全に努めておるような次第であります。大体最近の傾向は、先ほど申し上げましたように第一回納付金もそれぞれいたしましたように、予算の監査を厳重にいたしまして、この国庫の不当な損失をできるだけ短期に補償いたしますように努力いたしておる次第でございます。以上遅ればせながら御報告申し上げます。
  64. 齋木重一

    ○齋木委員 ただいまの官房長の報告の米材の問題で、林野庁と相談をしたというが、私は先般木材利用の小委員会で林野庁長官に聞いたのですけれども、林野庁がそんな問題は聞いたことはない、相談も受けたことはない、そんなことはもつてのほかだというようなことをはつきり言つておる。そのいきさつはどうなつておるか。それと同時に、三十社の申込みを一日で締め切つて、そう切つたところを継いだように、ぴしやつとできるはずはない。それと同時に、三十社のうち七社は木材も自動承認制でしよう、輸入業者にしろ実績なり何なりがあるのだが、あとの二十三社は木材の木という字も知らない、取扱つたことがないものなんだ。それで私は林野庁長官に聞いたのです。するとそういう相談を受けたこともないし、一切聞いたことはないという。官房長は実際の衝に当つたのじやないだろうから知らないけれども、私はちやんと調査をしている。だから米材の輸入業者は、神奈川県においても横浜においてもごうごうたる問題になつている。それと同時に米材は二十万石も三十万石もまだ売れずにあつて、横浜なり東京なりでひ割れしているのを御存じないのですか。今度の十七万石、百七十万ドルの問題にしても、石当りにすると、日本外貨割当で見ると三千七百円なんです。ラワン材において一石当り二千七百二十円になる。そういう高いものを——その前輸入した米材ですら今日なお水の中に浮んでひ割れでばりばり割れている。これをどうするかが米材輸入に対する問題となつたと思つている。その上にまだ高い、石当り円貨に直して三千七百幾らのものをやつたわけなんです。木材ということは通産委員会で総合燃料対策、治山、治水の上からも大きな課題になつて取上げられている。これに関して輸入するなというのでも何でもありませんけれども、実際の取上げ方なり、商社に外貨を割当てるなりに、何ら経験のない二十何社に割当てて、しかも三千ドルや三千五百ドルぐらい割当ててやつたところで、米材を買いつけるだけの能力はないんですよ。三十社の末端を見てごらんなさい。三千五百五十ドルのあわや商事とか何とかいうのがびりつこになつている。一番大きな割当で一万一千何百ドルでしよう。これらは不見識もはなはだしい。だから三十社の割当それ自体にわれわれは疑惑を持つている。それでお問い申しているのであります。だからみんなやみドルになつてしまうんだ。二十三社の外貨割当というものは実際なつちやおらぬ。われわれはこの前の木材小委員会で林野庁長官に聞いたら、そういうことはわれわれは一切関知いたしません。通産省の中においてやつたんでしよう、われわれは知らないと言つている。そこに食い違いができた。両方あつちへ行つたりこつちへ行つたり、蝙蝠安のようなことを言つて、さつぱりつかみどころがない。これは官房長を責めるのじやないですよ。それからアルコールの問題ですが、本年の三月には解決したけれども、検察庁に摘発されたのはいつですか。二十六年じやないですか。そのときにちやんとアルコール工業に対しては五箇年、酒精に対しては三箇年といつて、そのときに裁判所においてちやんときまつている。それについて今年の三月二十六日に和解の裁判ができたなんて、もつてのほかである。そういう答弁は私は納得が行かない。不良貸付とか何とかいう意味じやないんですよ。会社自体が——特に専売品ですからね。それで全国を二つの会社に分割して販売をさせている。専売局の労働者などは実に働いて、単価を引下げ、能率を上げることに努力している。そのかたわらにおいて、指定された二つの会社においてはだらしないことをやつて、何億もの負債を抱えている。そして国家にこういう損害を与えている。どうしてこういうことになつたんだ。さつぱりわからぬ。今の米材割当についての林野庁とあなたの方の問題と同じでわからない。この点明確にお答え願いたい。
  65. 岩武照彦

    ○岩武政府委員 米材の問題でございますが、これは林野庁長官の名前をあげて反駁するわけではございませんが、事務の方としましては林産課の係官と協議してやつております。係官の名前をあげるのもどうかと存じますので省略いたしますが、ただ長官の方はあるいはそういう事実を御承知なかつたかと思いますが、いずれにしましても、通産省の方は、農林省関係の品物につきましては、どの品物でも、割当の基準、やり方、あるいは輸入の数量、時期等については単独でやるわけはありませんので、必ず話合つてつておりますので、本件も当時の係がちやんと出席して相談してやつたものでございます。これは林野庁長官があるいはこまかい点を御承知なかつたかと存じますが、申し上げておきます。いずれにしましても割当の法制上の権限は通産省でございますので、通産省としてその分の責任はとるべきだと思つております。  それからもう一つ、三月一日だけでということでございましたが、これは割当制でございますので、割当の基準等がきまりますれば、それに従つてこの金額をはじいて出すわけでございますので、それで出して申請をするわけでございますから、これは一日で済むことに相なるかと存じます。  それから木材に関係のない商社ということでございましたが、ここにも割当のリストがございますが、私こまかにどの商社が木材に経験があるかないか一々判定する能力もございませんが、ただ先ほど申し上げましたように、過去において輸入の実績を持つてつて——昭和二十八年の一年間に輸入の実績を持ち、自分で入れてさばいた実績を持つている商社にその比率でわけたわけでございますので、比較的短期の経験かもしれませんが、やはり木材を扱つた経験を持つているものだと思つております。木材を全然扱つたことのない商社は入つていないのではないかと考えております。  それから木材の滞貨等のお話でございますが、これも実は私よく存じませんので、林野庁の方にお聞き取り願つた方がいいかと存じますので、失礼させていただきます。  それからアルコールの問題でございますが、これは途中の再建計画等のお話もございましたが、これは実はよく聞いてみますと、決定したものではないそうでありまして、いろいろな話を先ほど省略いたしましたが、この両会社の再建につきましては、その他税法上の問題もございますし、もう一つ銀行の歩積預金を解除するというような問題もございまして、いろいろ複雑な前提の処理を必要といたしましたので、勢いこの計画が延び延びになりまして、ようやく先月正式に成立いたしました。これが延びましたことは申訳ないことと存じておりますが、これをもちまして何とか国に対する損害を完済せしめる所存でございますので、御了承願いたいと存じます。
  66. 齋木重一

    ○齋木委員 まだこの二つの問題は、私は納得が行きません。しかし一時も過ぎておりますので、この次に冒頭に質問をいたしたいと思います。あなたの答弁では私は納得が行かない。私どもの収集したる材料と符合しない点がまだまだあります。今日は時間もありませんから、遠慮いたしてこの次にお伺いいたしたいと思いますが、第一この会社自体が専売品を取扱うのにこんなに赤字が出るとか何とかいうことはありはしない。実際だらしがないからです。腐つておるからです。アルコールづけにしておいたらこんなことはないはずです。へんなつけ方をするからこんなことになる。こんなデレスコンの問題でも、進駐軍との問題でも、こういうばかげたことをやるからです。これは徹底的に追究しなければならぬ。本日はこの程度に留保しておいて、この次にじつくりと時間をとつてお聞きいたしたいと思います。
  67. 大西禎夫

    大西委員長 この際加藤清二委員より緊急質問の申出がありますのでこれを許します。
  68. 加藤清二

    加藤(清)委員 私は実は外貨の問題について、その質問の時間を与えてもらいたいという希望を、今回で九回申し出ておるのでございますが、委員会のいろいろな都合で、いつもそれができなくてまことに残念に思つております。ほんとうはきようはこんなにおそいのですからやめたいところですが、どうしてもきようやらなければならない理由がありますから、それを最初に申し上げます。と申しますのは、今度大臣が金曜日から火曜日にかけて、関係局長を連れて関西へ乗り込むという話です。その折に集められる相手方は大体経済関係の方々で、そこで必ず外貨の問題が出ます。これに対して一体政府はどういうことを述べられようとするのか、大体の見当もついております。ところが私がどうしてもきようここで言わなければならぬことは今度の外貨の削減のおかげで、業界ではてんやわんやのところがあるのです。それに対して政府としては一体国民の意思を、あるいは業界の意思を反映させるかさせないかということについて、私は先般大臣にお尋ねいたしましたところ、十分に反映させます、こういう御答弁があつた。ところが反映させますと口で言いながら、大わくはすでに決定されてしまつておる。受付はこの六日からするという話です。それができ上つたればこそ、関係局長を連れての今度の関西行きであるということになつたわけです。まことにおかしな話です。私はこの間に九回も、ぜひ国民の意思をここで反映させろということを申したにもかかわらず、いまだにそれが行われていない。実にふかしぎきわまることです。そこで今度の外貨の削減の問題、デフレの政策、金融引締めというこの一連の政府の政策が、国民の協力なくしてできるというならそれはけつこうなお話です。この点を次官に承りたいのでございますけれども、かつてのデフレの政策にしても、外貨の削減にしても、いついかなる場合でもですが、ほとんど三井なり三菱なり、ときにはGHQのバツク・アツプがあつてこそその目的が達成されておる。ところが今度はそういうものがないのです。いくら吉田さんが耐乏生活を国会で叫んでみたところで、それは銀座通りまで響いて行きません。ましてや関西の業界には響きません。そこでほんとうに実行に移す気であるならば、国民の協力にまたなければその施策は行われないと私は思つておるのですが、はたして私の考え方は間違いでございましようか。国民の意思を何も反映せぬで、政府のきめた通りに実行して行けばいいのだ、それで車はまわつて行くのだ、中小企業はぶつ倒れてもいいのだ、外貨を削減されたおかげで、紡績の新紡、新々紡はとまつてしまつてもいいのだ、こういう考え方であれば、これは何をか言わんやであります。耐乏生活だとか、外貨削減だとか、輸出振興だとか、デフレ政策だとかいうことは、これは日本経済の至上命令でございますから、これに反対するわけではない。それを具体的に実行に移して行くのに、先ほどのお話の通り、繊維のわからぬ検査官が繊維を検査しておると同じようなケースが、経済の上にも間々あるのです。だからこれについては国民の意思をよく反映させて——それをとるとらないは政府の自由でございましようけれども、せめて国民の意思を反映させるくらいの心の余裕は持つていただいてもいいのじやなかろうかと思つて申し上げたわけであります。
  69. 古池信三

    古池政府委員 申し上げるまでもなく、政府の政策の遂行にあたりましては、これは国民とともにやつて行かなければ、とうていの満足のできないことは申し上げるまでもないと思います。従つて国民諸君の御意見も十分聞き、また御協力を願つて国家の復興のために政府はあくまでも尽力して参りたいと考えます。
  70. 加藤清二

    加藤(清)委員 時間もないようですから、いずれゆつくりお尋ねするとして、本日はその要点をかいつまんで申し上げます。大体砂糖とか綿とか毛というものの外貨の割当基準は設備台数によつて行われると思つております。設備台数に基準を置くゆえんのものに、原料では消費ができない、あるいは輸出ができない、加工するがゆえだとこう見ております。しかしながら砂糖におきましては、実に奇妙きてれつなことが行われておるのです。日本一大きいところの横井さんの名古屋精糖、ここは設備が日本一大きい。その原因はまた他日に譲るといたしまして、これが外貨を受けて輸入された砂糖の元が、実は業界の方では御承知通り名古屋では駄菓子の生産がこれまた日本一たくさん行われておるわけです。そこで使うのは何も三盆白でなければならないことはない。むしろ三盆白でない方がよろしい。そこで需要があればこそ供給が行われるというわけで、精製されずに出て行くという実績がある。それが必ずしも名古屋精糖から出たとは言いませんが、いずれにしてもそういうことが精製すべきという理由によつて貴重な外貨が割当てられ、それによつて輸入されたものが精製されずに使われているというケースがある。ところがこれが加工業者、つまり第二次加工業者が買入れるときの値段が輸入の方からの換算でなくして、三盆白の加工したものの方からの換算によつて売買が行われている。従つてこの業界からは、おれらもそのまま使うんじやから、ぜひ外貨の割当がもらいたいという希望がじやんじやん行われておるようでございます。これは大臣の手元にも出ておると思います。あえてことしもまた設備に割当を行われているようでございますが、政府としては、これに対してどう対処なさろうとするのでございましようか。
  71. 古池信三

    古池政府委員 大体原料として輸入する場合の基準は、原則としては設備によつてやるということはただいまお話の通りであります。それから砂糖の問題につきましては、なるほどわれわれ外貨の割当の事務は行いますけれども、それによつて輸入された砂糖がどういうふうに流れるかというような問題につきましては、御承知のように農林省が監督官庁でありまして、農林省においてしかるべく監督されるものと考えます。なお砂糖の輸入につきましては、われわれは十分農林省と打ち合せまして相談の上でやつておるような次第であります。
  72. 加藤清二

    加藤(清)委員 この問題につきましては、問題が多く残つております。おそらく政治問題になるであろうことは、地元の議員も御存じのはずであります。そこで私は時間がないので先を急ぎまして、次に方向をかえて綿と毛の割当についてお尋ねしたいと思います。原毛で見ますると、二十八年度には七十三万俵、ところがことしは六十一万俵に減つているようでございます。これも外貨削減のおかげならやむを得ぬことでございまして、その減つたことを云々するわけではございません。問題はその政府の施策のおかげで増錘々々ということが行われたはずでございます。二十七年三月におきましては百五万錘でございましたものが、ただいまでは二百三十万錘余でございます。需要がふえて供給が減つた場合に業界にどういう混乱が起るかということは、私よりも政府当局の方がよく御存じのはずでございます。その削減された理由について、手持ちがあるからよいというお言葉がございましたが、手持ちのあるのは日毛とか東洋紡とか日紡というような毛の六大紡で、なるほど半年分以上、ひどいのは一年半分以上も買いだめをしておる。つまり買いだめをしておるというのは、去年の外費が多過ぎたということなんです。ところが新紡、新々紡に至りますと、外貨の割当が少いので、手持ちはおろか、もう操業を停止しなければならない。操業を短縮しただけで足りない、短縮々々で自粛してやりながらなお足りないので、やむなく化繊を水増しして操業する。それもできないから、今度は操業を停止しなければならない。操業を停止すれば、ここで働いているところの労働者はどうなるかは自明の理であります。こういう業界の経営の問題から、労働問題から、社会問題が起きようとしておりますが、さりとて私は六十一万俵をもう一度元のように八十万俵にふやしなさいとは言いません。ここに何らかのバランスをとつて、大紡も中小紡も新紡も新々紡も、同じように外貨割当の削減という味を味わう方法は考究されているものかいないものか。もしそれが考究されていないということに相なりますと、これは政府の怠慢ということを言われてもやむを得ないと存じます。それともう一つはそこから生じて来る問題でありますが、去年七十三万俵入つておりましても、なお操業は六〇%でございましたが、今度はこの削減によりまして操業度は五〇%以下に下らなければならないだろうと思います。この際どうしても申し上げておかなければならぬことがある。それはほかでもございませんが、錘の設備に政府外貨を割当てるおかげ、しかも十一月末をもつてその認可はしないという指令があつたおかげ、時期を失したおかげで、増錘々々といつて二百三十五万錘になつた。ところが中に毛紡や麻紡からわざと切りかえた形跡が多分にある。形跡ではない。私はその数まで知つておる。これが大隈で新しく仕入れて買つた、あるいは豊和で新しく仕入れて買つたというなら話はわかる。ところがそうではない。どうせろくな糸もひけない麻紡や絹紡がかわつて外貨を受けたい。つまり幽霊人口をつくつたわけだ。こういうものについても大紡なるがゆえにあえて外貨を割当てなさろうとするならば、これは業界の混乱を一層倍加する原因になると思いますが、こういう問題について、どのような手だてを施した上で外貨削減を行いになつたか。おそらく大臣が関西に下られて行けば、商工会議所では、その点について第一の質問が発せられて、大臣が矢面に立たなければならぬわけです。一体どのような手だてが施されておりますか。
  73. 古池信三

    古池政府委員 二十九年度の外貨が非常に逼迫いたしましたために、あらゆる面において輸入を抑制して行かなければならぬという事態に立ち至りましたことは、ただいま御了承願つた通りであります。大わくといたしましてかような原材料が昨年度に比べて減つたのでありまして、そのわく内でこれをいかに配分し、割当をするかということは、今事務当局においていろいろ検討を加えつつあるところであります。そこで私どもといたしましては、ただいま御指摘のように、この少い材料を配分する上においては、できる限りこれによつて受ける不利益を業界に公平に分担してもらうという方針で行くことが今最も必要ではないか、そういう線に沿つて事務的な作業を進めてもらいたい、かように考えておるわけであります。ただいま御指摘になつた具体的な問題につきましては、そういうわけでありますから、私現在どうなるかということについて申し上げる段階でもありませんし、詳細はまだ私自身としても知つておらぬようなわけであります。
  74. 加藤清二

    加藤(清)委員 もうあと二点で終ります。そこで、こういうやさきに外貨が削減されるということは、私は賛成なんです。ところが、政府もあげて耐乏生活を実行に移そうとしておるやさきに、実にわからぬことが一つある。それは日英貿易協定によりましていろいろなことが行われたわけですが、日英会談の目的というものは、私は日本の輸出振興にあるとこう心得ておりますが、逆でございましようか。それで実にふかしぎきわまることには、これほど外貨が足りない足りないというときに、二百万ポンドの毛製品輸入ということが約束されて来ておる。英国の毛製品はぜいたく品でございます。なるほど値段は日本のものよりも安いけれども日本に持つて来ればこれははね上つて来る。この理由は、イギリスのほこ先を緩和させて、まあまあそうおつしやるな、あなたの方も買つてあげましよう、そのかわり私の方もあなたの輸出市場と競争しなければならないのだから、われわれの荷物が出て行つたときもまあまあこれを大目に見てください、こういう下心があつての話ならば、私はこれはやむを得ぬ。いくら社会党であつても、事経済を口にする者なら当然の原理ですから、これはやむを得ぬということで、牛場通商局長にもそこまでは賛成だ。しかしそこから上つて来るその利益というものは、当然国内において圧迫された毛製品の輸出振興に向けられるべきであると考えるのは、私のみならず業界のひとしく考えているところであり、そういうケースは同じ通産省においても他のケースである。バナナのようなものは、これは肥料の出血にまわされてもいいでありましよう。同じものが足りないということならこれは別でございますけれども、需要と供給のバランスがとれないということなら別でございますが、しかしでき過ぎる。そのものにかてて加えて、犠牲を背負つて輸入したその利益はよそへ持つて行かれちやつた。話に聞くとJETROとか何とかに持つて行つちやう、またその上に持つて行くという話でありますが、一体こうなりますと毛織業界は踏んだりけつたりなんです。今日の政府のおかげで踏んだりけつたりなんです。しかも外貨割当の面において大紡の方は大へんかわいがられておる。しかし中小紡から機場の方は原料高の製品安で苦しい。ところが輸出に向けられるのは御承知通り大紡の製品じやございません。機場、中小紡でつくるところの柄物が多い。高級なものが多い。これが内地で押えられておる。輸入のおかげで押えられる。だから当然これの輸出のためにこの利益が使われたつて、なお政府が大紡へ援助の手を延べているその延べ方と比べたならば、これは九牛の一毛なんだ。にもかかわらずあえてそれをよそへ持つて行こうという原案が着着進んでおるようでございますが、陽気のかげんでちよつと頭が狂つたんじやございませんか、その点をお尋ねするわけでございます。
  75. 古池信三

    古池政府委員 日英会談は、わが国の輸出を振興し、特にイギリスとの間におきまして円満なる協定を遂げまして、わが国の市場を拡張して参りたい、こういう目的にあることはお示しの通りであります。しからばイギリス製の毛製品なり毛織物なりあるいはウイスキーのようなものを一体どうして日本に輸入するのか。これはただいまお話にありましたように、やはり一つの商売でありますから、ギヴ・アンド・テークの原則で、こつちがある主張を通そうと思えば向うの主張も入れなければならない。今の日本としてはもちろん輸入すべきものではないかもしれませんけれども、そういう関係からある程度の輸入をせざるを得ないわけでございまして、これはよくお認め願つたわけでございます。そこでこれによつてわが国の業者が得るであろう利益はどういうふうに使うか、こういう問題でありますが、これはなかなか重要な問題でありますので、今事務当局が盛んに検討をしておるところでありまして、お話のようなふうな、きまつたということはないのであります。これも輸出振興という目的の上に役立たせるように使つて行くことが大いに必要であろうと思いますが、ただいまのお話も十分に考慮に入れまして、今後の研究を進めて参りたいと思つております。
  76. 加藤清二

    加藤(清)委員 この問題につきましては、次官さんはようおわかりになると思います。その道に育つたお方ですから……。ところが中には、国際法はよく知つておるけれども、通商貿易のことは一向わからぬという人がなきにしもあらず。そこで今度は私はこれを図解説明いたして——もう図を書いてつくつております。いずれ時間が許されたときに持つて来て、そうして皆さんによくわかつていただきたいと思いますが、これは毛工、毛商が死ぬか生きるかの境目でございますから、ただ机上において、イギリスからちよいとこういうことを言われたから、その手前、あるいはOSS、SPSの関係か何か知らぬけれども、そのなれの果てにちよいと言われたぐらいのことで腰が折れて、日本の毛工や毛商をつぶす。現在金融の引締めその他の関係で、さなきだに自転車操業をやつておる機場、それから倒産続出の商社が、自分の仕事を削られて——事実もう削られるのだから、内地の金にしたら二十億円削られるのだから。そうして働いて得た金をよそへ持つて行かれちまうのだから、これはもうさるかに合戦ではなくて、賽の河原の石積みだ。賽の河原の石積みも命の続く限りやるでしようけれども、これは九月ごろになつたらばたばたいかれるだろうということは、火を見るよりも明らかである。またこのきまつつたというきまり方が響いて行くだけで、もう心理的作用によつていかれるということは、これはもう次官さんなら経験者ですからようおわかりでございましよう。そこでこれはひとつ慎重に研究して、ほんとうに日本の輸出振興に貢献あるように、日英会談の目的をほんとうに実現できるような施策をこの際考えていただきたい、こう思うわけでございます。  次に今度は逆の場合を例にとつてみます。同じ削減する削減すると言つても、内地の生産と内地の需要とのバランスのとれないものを、つまり需要がふんだんにあるにかかわらず、その供給面だけを削減すれば、これは当然その需要を満たすために、表以外の裏街道が繁昌するというのは、これは理の当然でございます。それが今行われようとしている。一例をあげると時計でございます。時計は、通産省の調べによりますと、年々歳々大体三十万個不足でございます。ところがこれに対する外貨の割当は、どのように相なつておるか知りませんけれども外貨が去年までは、少なかつたおかげで、日本政府が与えている外貨の六、七倍のやみの時計が入つておるのであります、ウオツチだけでございます。さればこそ羽田の飛行場や港が繁昌して、さつき言つた検査官以外の保税倉庫の役人さんたちが、てんやわんやしなければならない、責任をとらなければならぬという問題までできて、それのみならずピストル事件まで起る、こういうことでここに社会悪を流しておる。この実例は、次官が銀座通りをお歩きになればすぐおわかりになると思います。なぜならば、あなた方が許可なさつた以外の銘柄の時計が、シヨーウインドーにでんとたくさん並んでおる。これは一体何を物語るか。こういう削減したおかげでやみを助長し、社会悪を増大させるようなものについては、同じ削減するのでも、削減する道がもつとほかにもあると思いますので、この点は慎重に、その施策から生じて来る結果をも考慮に入れられて、そろばんをはじいていただかなければならぬじやないか、こう思うのでございます。  以上ほんの一、二に例をとりましたが、私はこれ以上大きい問題は綿の割当だと思います。これについては、もうきようは時間がございませんから、いずれ委員長の許可を得まして、詳細な図解説明から何から持つて臨みたいと思うわけでございます。以上。
  77. 大西禎夫

    大西委員長 本日はこの程度で散会いたします。なお次会は明後九日午前十時より開会いたします。     午後一時四十三分散会