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1954-03-30 第19回国会 衆議院 通商産業委員会 第28号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年三月三十日(火曜日)     午前十時三十三分開議  出席委員    委員長 大西 禎夫君    理事 小平 久雄君 理事 首藤 新八君    理事 中村 幸八君 理事 福田  一君    理事 山手 滿男君 理事 永井勝次郎君    理事 加藤 鐐造君       小金 義照君    始関 伊平君       田中 龍夫君    村上  勇君       齋藤 憲三君    長谷川四郎君       柳原 三郎君    加藤 清二君       齋木 重一君    帆足  計君       伊藤卯四郎君    中崎  敏君       川上 貫一君  出席国務大臣         通商産業大臣  愛知 揆一君  出席政府委員         林野庁長官   柴田  栄君         通商産業政務次         官       古池 信三君         通商産業事務官         (大臣官房長) 岩武 照彦君         通商産業事務官         (繊維局長)  吉岡千代三君         通商産業事務官         (鉱山局長)  川上 為治君         通商産業事務官         (公益事業局         長)      中島 征帆君  委員外出席者         議     員 笹本 一雄君         通商産業事務官         (公益事業局ガ         ス課長)    吉田  剛君         専  門  員 谷崎  明君         専  門  員 越田 清七君     ————————————— 三月二十九日  委員坪川信三君辞任につき、その補欠として中  山マサ君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 三月二十九日  輸出絹ハンカチーフ及びマフラーの検査標準設  定に関する請願助川良平紹介)(第四〇八  七号)  水産用燃油類輸入外貨需要者割当に関する請  願(鈴木善幸紹介)(第四一〇二号)  米国の可燃性織物輸入禁止措置対策に関する請  願(助川良平紹介)(第四一〇三号)  横浜繊維製品検査所川俣支所を本所に昇格等の  請願小川平二紹介)(第四一五〇号)  電力料金値上げ反対に関する請願只野直三郎  君紹介)(第四一五五号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  参考人招致に関する件  ガス事業法案内閣提出第一号)  貿易に関する件     —————————————
  2. 大西禎夫

    大西委員長 これより会議を開きます。  まず小委員会参考人招致の件についてお諮りいたします。次回の中小企業に関する小委員会において、日本銀行理事五十嵐虎雄君、地方銀行協会会長遠田淳君、全国銀行協会連合会会長金良宗三郎君、以上三名を参考人として意見を聴取いたしたいとの小委員長よりの申出がありますので、これを許可するに御異議ございませんか。
  3. 大西禎夫

    大西委員長 それではさよう決定いたします。なお変更の場合は委員長に御一任願います。     —————————————
  4. 大西禎夫

    大西委員長 次に鉱業権に関する問題について発言の通告がありますのでこの際これを許します。なお時間の関係もありますので簡潔にお願いいたします。齋藤君。
  5. 齋藤憲三

    齋藤委員 こまかいところは一切長谷川委員にお願いいたしまして、今後機会あるごとに御質問をして解決をいたしたいと思いますから、私は簡潔に問題の焦点を鉱山局長にお尋ねをいたしたいと思います。  この鉱業法第五条に規定してございます「同種鉱床中に存する他の鉱物を掘採し、」こうございますが、同種異種鉱床の区別というものは、私の承知いたしております限りにおいては、昭和二十六年の五月十一日に資源庁の三六三という通牒によりまして原則を規定しておるようでありますが、これは全国的に原則を規定してあるのでありますか、どうでありますか、この点をひとつお伺いいたしたいと思います。
  6. 川上為治

    川上政府委員 同種異種扱いにつきましては、これは法律には別段規定になつておらないのでありまして、当時の資源庁長官から地方通産局長通牒行つておりまして、その通牒によりまして措置をすることになつておりますが、これは今齋藤先生からおつしやいました通りでありまして、これは原則でありまして、原則としまして鉱種につきましては五つ分類をしております。一つ石炭亜炭同種、それから石油可燃性天然ガス、アスフアルト、これが同種扱い、それから砂鉱、それから石灰石、ドロマイト、これが同種、それからその他ということになつておりますが、これはどこまでも一応の原則でありまして、地方によりましてはその原則に対しまして例外的な取扱いをしてもよろしいということになつております。もちろんその場合におきましては中央相談をしまして、その上で措置をとるということに従来扱いとしましてはなつております。
  7. 齋藤憲三

    齋藤委員 全国で特に慣例として、この原則に規定してある以外の取扱いをする地区というのがありますか。
  8. 川上為治

    川上政府委員 実はきよう全国の各地区のものを資料として持つて参りませんでしたが、札幌通産局管内におきましては、硫黄鉄鉱とは異種扱い原則としてやつておるということになつておりまして、実はすでに現在までに二十件ぐらい異種扱い措置をとつて参つております。
  9. 齋藤憲三

    齋藤委員 そういう場合においては、この地区原則として異種扱いをするということの明示はどこかにありますか。
  10. 川上為治

    川上政府委員 これはもちろんその局におきましてそういう異種扱いにするという原則を立てておるわけでありまして、もちろん例外の場合もあるわけでありまして、今お話がありましたように、この問題につきましては、そういう措置札幌通産局長にまかしておるということになつております。
  11. 齋藤憲三

    齋藤委員 いや、そうでなく、原則資源庁通牒でもつて全国的に出してあるわけです。それですから鉱山をやる者はこの原則によつて鉱種をきめるわけです。その際に札幌鉱山局だけは原則に反する取扱い原則としておるということは、これを何かに明示をしていなければ一般の人にはわからないわけでありますが、それは一体どういう取扱いをいたしておりますか。
  12. 川上為治

    川上政府委員 札幌管区におきまして、そういうことをはつきりと明示するということは、公告なりそういうような手段によりましてやつていないと思いますが、ただ従来相当長い間そういう扱いをやつておりますので、おそらく業界におきましてはそういう点は御承知の方も大分あるんじやないかというふうに考えております。
  13. 齋藤憲三

    齋藤委員 どうもそこは私はちつともわからないのでありますが、大体原則というものはこれは日本全国一般のきめなんです。それを札幌管内だけにおいては原則として硫黄と鉄というものは異種鉱物に取扱う、これをはつきり明示しておかなければ非常に大きなあやまちが起きるということは当然なんでありますが、こういう取扱い鉱山局長として正当な取扱いであるとお考えになつておるのですか、これは大きな欠点であるとお考えになつておるのですか、その点を伺いたいと思います。
  14. 川上為治

    川上政府委員 この問題につきましては、私としましては、そういうことを原則として取扱うという明示を従来文書等でしてなかつたということは、行政上のある程度の欠陥ではないかと考えておりまして、私の方としましては、今後そういうことがないように、この点ははつきりさせたいと思つております。
  15. 齋藤憲三

    齋藤委員 もし鉱山局長の言われるがごとくに、いわゆる五つ分類によつて原則同種異種鉱物はきまつている。しかるに札幌区内においても、ある地点に対して、そういう鉄と硫黄というものは同種であるのが原則であるけれども、その地点だけは原則として異種取扱いをしているということにひつかかつて鉱業権取得の上における大きな支障を来したということになりますと、この責任は鉱山局の方にあるのではないかと思うのですが、これに対して鉱山局長はどうお考えになつておりますか。
  16. 川上為治

    川上政府委員 私どもの方としましては、従来から札幌管区におきましては、こういう特別な地方について異種扱いをしているということにつきましては、先ほども申し上げましたように、長い経験と申しますか、そういうことになつておりましたので、もちろん一番出先であります登録課であるとか出願課の方におきましては、十分業界の方にも、もし出願して来ましたような場合におきましては、そういう扱いになつておるがということは話しておると思いますので、私どもとしましては、従来あまりこの問題につきまして問題にしていなかつたのですが、今齋藤先生からおつしやいますように、この問題について非常にシリアスな問題が出て参りましたので、従来のやり方をはつきりさせるためには、あるいはその地方通産局で、中央から指令しました以外の特別な措置をとつておるところにつきましては、はつきり業界なり各一般に対しまして、徹底するような措置を講じたいと考えております。
  17. 齋藤憲三

    齋藤委員 ただいま鉱山局長は、札幌管区では原則として鉄と硫黄とは異種鉱物に取扱つておる、こう言われますけれども、許可いたしました試掘登録ないし採掘権登録を見ますと、硫黄と鉄とは同時に許可しておる事例もあるのであります。それでありますから、これは非常にあいまいなところでありまして、私の手元にあります胆振の国の採掘登録五七七六というものは、金、銀、銅、硫化鉄となつておる。そのほかには金、銀、鉄、銅、硫化鉄と、この硫黄と鉄というものは同種に取扱つておる事例もたくさんあるのであります。鉱山局長原則として硫黄と鉄は異種扱つておるが例外もある。そういうふうになりますと、一体原則はあくまでも硫黄と鉄は同種に取扱うということが原則であつて札幌管区のある一部分においては、異例として鉄と硫黄異種鉱物として取扱う。こうでなければならぬと思うのですが、賢明な鉱山局長は、ちよつと間違つて答えられたのではないかと思いますから、あえてもう一度お伺いしておきます。
  18. 川上為治

    川上政府委員 私の聞いておりますところでは、先ほども申し上げましたように、鉄と硫黄につきましては、道南地区につきましては異種扱いにしておりますが、異種扱いにしておるにかかわらず、一部につきましては同種扱いがあるように聞いております。しかしこれはきわめて数が少いように聞いておりまして、やはり原則としましては硫黄と鉄につきましては異種扱いにしておるというふうに聞いておりますので、大体原則通りつておるというふうに考えております。
  19. 齋藤憲三

    齋藤委員 それは水かけ論になりますから、あとで一切の資料を整えまして、同僚委員におまかせして御質問を継続してもらうことにいたしますが、ただ念のために伺つておきたいのは、この第五条に規定してあります鉱床というものに対して、どういうふうな御見解を持つておられるか。
  20. 川上為治

    川上政府委員 この第五条は、たとえば試掘権について、申し上げますと、その試掘権の内容について、鉄なら鉄と硫黄というものとが同じ鉱床の中にあります場合におきましては、一本の試掘権考えるべきだというように考えておりまして、その鉱床というのは、明らかにその鉱物採掘について、硫黄と鉄とをどうしても一緒に掘らなければ掘れないというような状況のもとに賦存しているというふうに考えるべきじやないかと思うのであります。
  21. 齋藤憲三

    齋藤委員 私から申し上げるまでもなく、鉱床という字は非常にこれはむずかしい字でございまして、私は念のために図書館に行つてこの本を借りて参つたのでありますが、いやしくも鉱山のことを論議しますときに、鉱床というものに対する概念をはつきり把握しておかなければ、鉱業法の全体がわからない。でありますから、一口に鉱床と申しましても、この本に書いてあります通り火成鉱床もあれば、成層鉱床もあれば、沖積鉱床もあるし、それから残留鉱床交代鉱床鉱染鉱床接触鉱床もある。鉱床という字を使つてありますと、この鉱床を全部含むのであります。それでありますから、結局百万坪というところの一区画を限つて、これに対して出願優先権を認めて、そうして出願料をとり、登録料をとり、それから鉱区税をかけて、この百万坪一単位に対して、いわゆる採鉱優先権を認めるというのが試掘権なんであります。それでありますから、一体硫黄褐鉄鉱異種鉱物として認めるかどうか、それが沖積鉱床であるとするならば、お互いに沖積鉱床の中に硫黄があるときもあるし褐鉄鉱があるときもある。接触鉱床のところでもある。あらゆる鉱床に、硫黄と鉄というものはともに賦存し得べきところの状態考えられるから、これは同種鉱物として取扱つておるのであります。見たところ鉄と硫黄とが一緒になつておらぬから、これは同種鉱物じやないじやないかというような、そんなばかな見解を持つと誤りが起つて来る。どこに一体硫黄褐鉄鉱と同じく賦存しているところがありますか。ないのです。もし褐鉄鉱の中に一%の硫黄が含まれておつたら、それは褐鉄鉱としての価値はないのです。ですから褐鉄鉱として使い得るところのものは、必ず〇・何パーセントの硫黄でなければならぬわけです。しかしその近くには必ず硫黄というものが賦存しているのが通説です。だから褐鉄鉱というものと硫黄とは、同種鉱物に取扱うということになつている。だからあなた方の考えているのは、見た目に硫黄褐鉄鉱一緒になつていないから、異種鉱物で同じ鉱床の中にいないのだという見地に立つていると思うが、そうじやない。鉱床という字は、大きな意味を含んだところの鉱床なんです。そういう点から考えますと、私は試掘権というものに対して、鉱山局長は妙な観念を持つているのじやないかと思う。ですから試掘権というものに対してどう考えておられるか、もう一ぺん気の毒ですが御答弁願います。
  22. 川上為治

    川上政府委員 硫黄鉄鉱同種であるか異種であるかという問題につきましては、実はこれは北海道におきましても、各地方におきましても、それぞれのその方のエキスパートがいろいろ相談をしまして、かつまた学者の意見も十分聞きまして、そうしてきめているわけでありまして、またきめた範囲内においてほんとうにその地区同種であるか異種であるかという問題につきましては、具体的に調査の上で決定することでありますので、私から北海道のある地区原則として異種として取扱うべきか、あるいは同種として見るべきかという問題につきましては、私実は技術屋で、ございませんで、何とも言えませんが、これは今申し上げましたように、その道のエキスパートが集まりまして、いろいろ検討いたしました結果そういう原則を立てておりますので、齋藤先生のそういう御意見もありますけれども、この問題につきましては、私はむしろその方の意見はつきり伺つた方がよくはないかというふうに考えられます。私としましては、そういたエキスパート意見を十分尊重いたしましてこれを異種扱いにするか同種扱いにするかということはきめて参つておりますので、さように御了承願いたいと思うのであります。  それから試掘権の問題につきましては、これは鉱業法第十一条にもありますように、鉱業権というのは試掘権採掘権の二つからなつておるわけでありますが、試掘権というのは本格的な採掘をやる前の、すなわち調査と申しますか、そういうことが主になつておるかと考えられるのでありまして、従つて試掘権に対する国々の保護とかあるいは義務とかいうような点につきましては、採掘権と相当違つておるのでありまして、たとえば試掘権存続期間というのを二年にしてあるとか、あるいは施業案の問題でありますとか、あるいは鉱区税の問題でありますとか、あるいは土地収用の問題でありますとか、そういういろいろな点につきまして採掘権とは相当違つた措置をとつておりまして、試掘というのは、あくまでも採掘をやる前の前提条件としての調査、そういうことについての権限というふうにわれわれの方では解釈いたしておるわけでございます。
  23. 齋藤憲三

    齋藤委員 私の質問しておるのと鉱山局長の答弁しておるのは全然違う。観点が合わない。これは非常に重要な問題でありますけれども、てんで鉱山局長は妙なことを言うのです。エキスパート調査によつておれたちはやるのだと言うが、そうじやないのですよ。原則をきめたところの鉱床というものは広い意味をなしておるのであつて、あなた方は鉱脈考えておるのじやないですか。そうじやない。鉱脈というのも鉱床のある一つ状態として入るのであつて、そこに鉄と硫黄とが賦存していなかつたからこれは異種鉱物だという断定にはならぬのですよ。そういう根本的なあやまちをやつてつてはいかぬ、鉱山局長帰つて鉱床というものをもう一ぺん調べてみたらよろしい。鉱脈というものは鉱床のある一つの形なんです。鉱床というのは交代鉱床もあれは沖積鉱床もあれば、あらゆる部面が鉱床の中に含まれておる。だからそこの広い鉱床という立場において鉄と硫黄はともに同じ鉱床の中にあることを予想して同種異種ということをきめて、そして試掘権というものを許可しておるのでしよう。ですから試掘権を握つたものは、二年間はその権利の中の同種鉱物一切を探鉱する権利を持つのですよ。そうならなければ、また何のために試掘権をとるのです。ちやんとそういうふうに書いてある、それはある一つ鉱種をもつて出願をしたときには、その出願をした鉱種のみならず、それと同種鉱物をも探鉱し、採取する権利を与えるというのがあなた試掘権でしよう。これは問題が非常にむずかしいのでありますから、どうも与えられた時間ではできません。もう少し鉱山局長に勉強してもらわぬと、根本的に違うのです。こういうことを言つていたら、何時間あつても問題の核心が突けませんから、私はこの問題はやめます。  それでほかの問題を鉱山局長にお尋ねいたしますが、法定鉱物の中に今日問題になつておる鉱種を人れてもらいたいということを私は昨年からお願いしてあるのですが、それに対するお考えを承りたい。
  24. 川上為治

    川上政府委員 齋藤先生から昨年でしたか、はつきり覚えておりませんが、お話のありましたのは、たしかゲルマニウム鉱石といいますか、それとチタニウム鉱石、それからウラニウム鉱石法定鉱物にしてもらいたいというお話があつたのですが、これは齋藤先生に対しましては釈迦に説法かもしれませんけれども法定鉱物ということになりますと、鉱業権を設定されることになりまして、鉱業権の設定というのは鉱業法に基きまして、非常な権限を取得するということになりますので、私どもの方としましては、これらの鉱物法定鉱物として取扱う場合におきましてはきわめて慎重な態度を今までとつて参つておるのであります。従いましてこれらの鉱物につきまして、はたしてこれを法定鉱物として鉱業権対象にするかという問題につきましては、たとえばウラニウム鉱についてはウラニウム鉱という名前ではなくて、いろいろな鉱物の中に、ウラニウムが入つておる鉱物が相当国内に存在しておるということは私ども承知いたしております。たとえば福岡県とか、山口県あるいは福島県とか、北海道とか、広く国内に分布されておることをよく聞いております。しかしながら、このウラニウム鉱はわれわれが従来聞き、あるいは調べたところによりますれば、品位が非常に低い、経済的な採掘単位にならないということをわれわれは聞いておりまして、現在までにこの鉱物法定鉱物とするということにつきましては実現を見ていないので、ありますけれども、この問題につきましては最近非常に問題も大きくなつて参つておりますし、また経済価値いかんによらず、これを鉱業法法定鉱物に指定すべきじやないかという意見もあるやに聞いておりますので、この問題につきましてはさらにいろいろ検討をやりたいと考えております。  それからゲルマニウムの問題につきましては、私どもの方としましてはゲルマニウム鉱石というものは実は全然聞いておりません。これは石炭の中に入つておりますとか、あるいは亜炭の中に入つておりますとか、あるいは亜鉛とか、そういうものに入つておりますし、あるいは金鉱の中にも入つております。従いまして特別な鉱物としてでなくて、今申し上げましたような鉱物を製錬する場合のバイ・プロダクトとして従来考えておりまして、これをこの際法定鉱物にすることはどうかというふうにわれわれの方としては考えております。  それからチタニウムの問題につきましては、いわゆるイルメナイト鉱石みたいなものが日本にあるかどうかという問題につきしましても、われわれの方でもいろいろ調べました結果は、北海道地方なりあるいは三重県地方にそういう鉱物が賦存しておるように聞いておりますので、チタニウム鉱石につきましては、これは法定鉱物として取扱つた方がよくはないかというふうに考えております。現在大体そういうふうに考えておりますが、いずれにしましてもこれは相当権威ある人たち意見も十分聞いて、私の方としましては慎重に扱つて、そしてこれを法定鉱物として取扱つた方がよろしいということになりますれば、早急に法律を改正して法定鉱物取扱いをしなければならないというふうに考えておりますが、現在ウラニウムの問題につきましても、チタンの問題につきましても、せつかく通産大臣諮問機関地下資源開発審議会というのがありますが、そこのメンバーの方々といろいろ相談をいたしておるような次第でございます。
  25. 齋藤憲三

    齋藤委員 時間がありませんから答弁を簡単に願います。御承知通り今日原子力の平和利用ということに対しまして非常に大きな問題が世界的に起きているのです。ウラン鉱というものが日本にもあるかないかということは、日本ではガイガー計数管をひつさげて調査をやつた人は一人もないからわからない。ところが最近いろいろな問題が起きましてから、非常にウラニウム鉱石の発見というものが行われて来たのであります。ところが法定鉱物の中にはウラン鉱というものは入つておらぬ。私の言うのは、ウラニウム鉱石というものはウラン鉱石だけで賦存するものではない。あなたのおつしやるようにいろいろな鉱石の中に入つて来るのです。だからこれは何も法定鉱物の中に入れることは非常にむずかしいことじやない。ウラニウム鉱法定鉱物の中に入れて、どの種の列に配属させるかをきめなければならぬ。そうすればウラニウム鉱というものは簡単に世の中に出て来る。今法定鉱物の中にウラニウム鉱がないから、ウラニウム鉱を発見してもだれもこれを世の中に出さない。法定鉱物としての権利がない、法によつて守られることがないから、だれも発見したとは言わない。そこに非常に大きな問題があると思うのでありますが、そういういろいろな角度から考えてみますと、ゲルマニウムもそうであるし、チタンもそうなんです。そういうように調査して価値があるとかないとかいうことじやないのです。日本ウラニウム鉱があることはわかつている。しかもそれが今度は世界的にMSAの問題の中でも、アメリカの持たざるものが日本にあつた場合にそれをアメリカによこすかどうかという対象の中に、ウラニウム鉱が入つているかどうかということで騒いでいる。そのときに日本鉱業法の中に、世界が最も必要としているウラニウム鉱石というものか法定鉱物として入つていないというような鉱業法というものは、非常に尊敬すべからざる鉱業法だと考えるのですが、その点は鉱山局長とつ配慮し、早急に処置をしていただきたい。  それからもう一つつておきたいのでありますが、今度当委員会において御審議されている石油資源採鉱促進臨時措置法案について一問か、二問だけお伺いしたい。これは通産大臣石油資源開発をはかるため採鉱を急速に実施する必要があると認める地域を指定する。この地域石油及び可燃性天然ガス資源開発審議会に諮つてその意見を徴収する。こういうことなんであります。これはこの通りでございましようが、特に石油資源採鉱促進臨時措置法としておつくりになりましたこの法案の目的は、この臨時措置法案をつくらなければとうてい新しい石油資源開発はできないというところをねらうのですか、そうでなくほうつておいてもいずれは開発される見込みはあるけれども、そこをもつとつつ込んでやろうというのですか、一体どつちを意味している法案なんですか。
  26. 川上為治

    川上政府委員 私の方としましては血として前者の方を考えておりまして、やはりこういう措置をとらなければ早急に試掘が行われない。試掘が行われないと、結局どの程度国内石油資源があるかということもよくわからないし、また開発の方も進んで行かないという関係から、今おつしやいました前者の方を主として考えております。
  27. 齋藤憲三

    齋藤委員 実際の事例を御質問申し上げます。帝石にはわれわれも戦時中に関係いたしたのでありますが、日本石油資源の確保及び開発ということによつて強制合併をやつて、非常に有望な鉱区だけを強制収用したのです。それでありますから、帝石は政府も株を持つている関係上、非常に潤沢な資金を自分の鉱区の開発につぎ込める。前者の方をおとりになるということになると、石油資源採鉱臨時措置法は帝石などは重点的に考えないんだ。あれは自分の力で自分の鉱区の有望なところはやればいいんだ。しかしその他において発見せられるところがある。こういうものはどうしても政府の力をもつてやらなければ開発ができない。こういうことをお考えになつて、帝石など実際の力を持つているものはたな上げだ。そうでなく、実際その他に散らばつてつて、政府が助成しなければ新しい油田地帯の開発ができないものを優先的にお取扱いになるのですか、どちらですか。
  28. 川上為治

    川上政府委員 石油試掘鉱区につきましては、帝石は相当持つておりますし、また相当有望な地域を持つておりますが、帝石が自分の現在の力において早急にほとんどその有望地区の全部を試掘できるかという問題につきましては、私は齋藤先生とは別な見解を持つておりまして、それは非常にむずかしいじやないかというふうにも考えております。もちろん齋藤先生がおつしやいましたように、なかなか資金的な余裕のないものに対しましては、われわれの方としては助成金なりあるいは金融の道を講じてやるなり、そういう措置を講じて極力帝石以外のものにつきましても、開発試掘を促進さして行きたいと考えますが、必ずしもそれが一時的な問題ではないのでありまして、帝石についてもこの際早急に開発を進めて行かなければならぬと考えておりますので、帝石の資金の余裕のある限りにおいては試掘をどんどん進めて行くように、この法律措置をとりたいと考えております。
  29. 齋藤憲三

    齋藤委員 私から申し上げるまでもなく、西ドイツはもうすでに二百万トン近くの石油を出しております。戦争中は日本と同じく三十万トンくらいの石油しか出ていなかつた。それが西ドイツにおいて二百万トン出て来ている。それは政府が重力探鉱班というものを二百班なら二百班こしらえて、西ドイツの地区は重力探鉱をやり、地震探鉱をやり、電気探鉱をやり、政府の力をもつて試錐をやつて新しい油田地帯を見つけたがために、今二百万トン出る。ところが日本は今この五箇年計画を立てて、五箇年中に百万トンに上げようというのです。そういう点におきましては、局長の言われました通りに、帝石はもつと国家の向うべき方向に向つて自分の鉱区の有望な地区をどんどん探鉱、試錐して参りましたならば、そういう目的は私は達ぜられると思う。そういうことでなく、この一億三千万円を目標として臨時措置法をおつくりになります以上は、西ドイツのごとくほんとうに政府が手をつけて行かなければ、有望な地区開発されないというところに重点的にお使いになるものじやないか、そう考えております。日本全体を調査いたしますれば、帝石の鉱区として帝石が独占権を握つているもの以外に、非常に有望な地区があつて、政府の力によつてどんどん開発される地区はたくさんあると思いますから、こういう点に鉱山局長も十分御留意くださいまして、わずかな金でございますけれども、これが有効適切に使われることによつて、初めて内陸石油の五箇年増産計画も本格的になつて来るだろうと思いますから、従来帝石におびただしい補助金が流れておつた——私は過去に帝石に流れた補助金の行方を知つているから言うのです。あえてそれを剔抉しようというのではない。しかし石油開発の補助金はどういう形でどこへ流れてどういうふうに使われたかということは、私は帝石の最も盛んな事業所のところにいる人間でありますから、それをうすうす知つている、またいろいろ聞いたことがある。だから一億三千万円の臨時措置法というものが、また大幅に帝石の方に流れて行つて、過去のような形においてこの貴重なる補助金が使われてしまつたならば、いつまでたつて日本の新しい油田は開発されないと考えるがために、今われわれは局長にお願いするのでありますから、この点はこの委員会において、委員各位も十分に御審議くださることとは存じますか、今後特にその点ひとつ鉱山局長にも御留意を願いたいと思います。私の質問はこれで終ります。
  30. 大西禎夫

    大西委員長 それでは暫時休憩いたします。     午前十一時十一分休憩      ————◇—————     午前十一時二十九分開議
  31. 大西禎夫

    大西委員長 休憩前に引続いて開会いたします。  ガス事業法案を議題といたします。ただいま委員長の手元に齋木重一君外二十四名提出の本案に対する修正案が提出されておりますので、この際提出者の趣旨弁明を許します。齋木君。
  32. 齋木重一

    ○齋木委員 ただいま審議中でありますガス事業法案に対する修正の動議を提出し、説明せんとするものであります。  ガス事業法案の一部を次のように修正することにいたしたいと思うのであります。第三十三条第四項第一号中の「二年」とありまするのを「一年」に改める、こういうぐあいに修正をいたしたいと思うのであります。各委員の御賛成を願いたいと思います。
  33. 大西禎夫

    大西委員長 以上で趣旨弁明は終りました。  引続いて修正案を採決いたします。本修正案に御賛成の諸君は御起立を願います。
  34. 大西禎夫

    大西委員長 起立総員。よつて本修正案は可決せられました。  次に修正部分を除く原案について採決いたします。修正部分を除く原案に御賛成の諸君は御起立を願います。
  35. 大西禎夫

    大西委員長 起立総員。よつて本案は齋木重一君ほか二十四名提出の修正案の通り修正議決すべきものと決しました。  ただいま委員長の手元に小平久雄君ほか三名提出の、本案に対する附帯決議案が提出されておりまするので、この際提出者の趣旨弁明を許します。小平久雄君。
  36. 小平久雄

    ○小平(久)委員 ただいま可決されましたガス専業法案につきまして、各党共同提案にかかる附帯決議を提出いたしたいと思います。  まず決議案文を朗読します。    附帯決議案   本法案の運用に当り、政府は、特に、次の点に留意して、万遺憾なきを期すべきである。  一、ガス拡充五カ年計画を強力に推進して、夥しい未処理需用家数の絶滅を速やかに図ること。  二、従来のガス事業者の営業方針は、普及率の向上よりも、需用家当り使用量の増加を重点としているか、今後は普及率の向上を重点とする様業者を指導監督すること。  三、従来のガス事業者中、ガス使用申込の場合、ガス器具の抱合せを条件とし、又は多量使用申込者に限り優先供給する事例あり、かかる選択供給については、その取締を厳重に励行すること。  四、ガス事業の経理を正確明朗のものとするため、ガス事業者の行うガス事業以外の事業についても、その内容を監査し、公益事業としての本分を逸脱しないよう充分監督すること。  五、供給規程は、本法の趣旨に則りサービス本位のものにすること。  六、ガスの料金に関し、これが不適当と認められる場合は、遅滞なく本法第十八条の規定によるガス料金の変更措置を行うこと。  七、現在のガス事業者中、経営規模過小、弱体にして、公益事業として、不適当のものについては、その統合につき検討のこと。  八、本法第十二条による兼業の許可に関しては、当該事業の中小企業者を圧迫するが如き事のない様配慮すること。  九、第五十三条の規定は労働組合運動の正常なる活動を阻止することなきよう運用すること。 以上であります。  この決議案の内容につきましては、詳細にうたつてありますから、別段あらためて説明を要しないと存じますが、ただ一、二申し上げますならば、特にガス料金の問題でありますが、この決議案におきましては、そのガス料金が不適当と認められた場合には、遅滞なく変更措置をしてもらいたいとうたつておりますが、さしあたつての問題としましては、炭価の下落、従つてガス会社においても経理上相当余裕が現在見られるんじやないかというふうに一般にとられておりますので、こういう点につきましても、この際検討をしてもらいたいという趣旨であります。  その他の点はもうこまかくうたつてありますから、別段説明を要しないと思います。どうぞ全会一致の御賛同を賜わりたいと思います。
  37. 大西禎夫

    大西委員長 以上で趣旨弁明は終りました。  本決議案に御賛成の諸君は御起立を願います。
  38. 大西禎夫

    大西委員長 起立総員。よつて本附帯決議案は可決せられました。古池政務次官。
  39. 古池信三

    ○古池政府委員 ただいま御決定になりました附帯決議の御趣旨につきましては、政府といたしましては、本法律の施行にあたりまして、十分これを尊重し、万遺漏なきを期して参りたいと存じます。
  40. 大西禎夫

    大西委員長 この際お諮りいたしまするが、両案に対する委員会報告書作成の件につきましては、先例により委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  41. 大西禎夫

    大西委員長 それではさよう決定いたします。     —————————————
  42. 大西禎夫

    大西委員長 この際委員外の笹本一雄君より発言を求められておりますので、これを許可いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  43. 大西禎夫

    大西委員長 御異議ないと認めまして許可いたします。笹本君。
  44. 笹本一雄

    ○笹本一雄君 私は今問題になつておりまする可燃性繊維に対するアメリカの販売輸入禁止に対する問題に対して質問をいたしたいと思うのであります。この問題は今やわが国の各業界におきまして深刻な影響を与えておるのでありまして、一日もすみやかに明確にして適切妥当な対策が確立されなければならないと思つておるのであります。そこで私は大臣の御出席を願つて、先般来大臣がこの問題について大使館等に熱心な交渉をされたというので、その経過もあわせて聞きたいと思いまして、あえて大臣の出席をお願いしたのでありますが、大臣以上この問題について非常に熱心に政務次官が研究せられておるというお話でありまするから、まず政務次官にこれをお伺いしまして、他の箇所については大臣と特に御相談になつて、適当な機会に答弁をしていただきたいと思うのであります。  問題というのは、近くアメリカにおいて実施されようとしておりますところの、さいぜん申し上げましたいわゆる燃える衣料の使用禁止、つまり可燃性織物の製造販売並びに輸入の禁止措置の問題であります。これはすでにわが国の絹織物関係業者に深刻な動揺を与え、かつまた新聞やラジオにおいてはもとより、去る二十四日には参議院の本会議におきまして、またその前の二十三日には参議院の予算委員会において、すでに論及されたところでありまするが、問題の重要性にかんがみまして、私はここにこの通産委員会であえてこれを取上げて、そして十分論議検討を重ねたいと思うのであります。これから幾つかの問題につきまして御質問申し上げたいと存じます。  まず第一にお伺いしたいのは、可燃性織物禁止についてどんな交渉をしておつたか。わが国の輸出絹織物の生産高は、申すまでもなく一九五二年、つまり昭和二十七年においては八千八百万ヤール、二十八年には六千万ヤール、そのうちアメリカ向けの輸出はその約五〇%から六〇%になつておるのであります。しかもその生産高の約八〇%はいわゆる軽目もの、羽二重及びオーガンジーであつて、そしてこれらの絹織物の生産地は、申すまでもなく福島県の川俣地方あるいは福井県、石川県であるのでありますか、月産約四百万ヤールを生産しているのであります。すべてこれらは中小企業に属するものでありまして、今回この禁止法か実施されますあかつきにおきましては、わが国の絹織物生産業者に与える打撃というものはきわめて大であります。そしてまた非常に深刻なものがあるのであります。なかんずく福島県のこれら機業者は全滅し、福井、石川県の織物業者もその半数は職を失うような結果になるのであります。またこれらの従業員家族は、新聞にも出ておる通り二万五千といわれておりますが、そのほかに横浜付近のプリント工業とか、家内工業に従事しているところの人たちが約四万といわれております。この人たちはこれによつてたちどころに生活に窮することは言うまでもありません。これはまことにゆゆしい社会問題が起つて来るのであります。年間六百万ドルから八百万ドルをかせいで、わが国の対米輸山貿易に大なる4貢献をなし、かつまた日本経済の復興に重要な役割を果しつつあるこれら軽目、羽二重すなわち絹織物の中小企業者を苦難困窮に追いやることは重大問題であります。かかる重大な、深刻な影響のある米国における禁止法の施行に対しては、政府はいかなる交渉を行つているのであろうか。さいぜん話しましたごとく、大臣はこの問題が起きますと、いち早く大使館と熱心に交渉したと言われますが、その交渉の内容と今後の見通しについて詳細な答弁を願いたいのであります。  第二は、この一年間を通ずる政府の無策の責任についてであります。この法律は昨年の六月三十日米国の第八十三国会において通過成立し、本年の七月一日より実施されることになつておるのであります。つまり実施までに一年の猶予期間があつたのでありますが、しかるにその一年間の間、わが政府はその影響すこぶる大なる本法律案に対し、何らの関心も持たず、情報も持たず、従つて、何らの対策も持つておらなかつたといわれておるのでありますが、まことに荏苒むなしく日を送つて、いよいよ実施の間近になつた今ごろになつて騒ぎ出し、周章狼狽しておるのはまさに怠慢といわざるを得ないのであります。昨年米国会においては、公聴会を開いて禁止法案に賛成して、あるいはまたこれに対する四十五度の傾斜で四秒以内に燃焼という商業規格を決定したのでございます。そして、アメリカ業界は、この間にすでに燃えにくくする研究とか、あるいは製造工程の切りかえを済ましていたという。これに対しましてわが国では、今ごろになつてその対策に、あるいはまた外交交渉に右往左往するというがごときは、その差幾ばくでありますか。あまりにも無為、あまりにも無策で、まことにその処置は遺憾であるのであります。しかしアメリカ業界から、貴社の商品見本を試験したが、四秒以内に完全に燃えてしまつたという意味のキャンセルの電報を受けて驚いた日本業界筋の動揺から、初めて知つたというがごときは、まつたくもつて話にならぬ。現に駐日アメリカ大使も、この一年間何らの意思表示もなく、今となつていろいろなことを申し出されても、事は困難である。何ゆえもつと早くから手を打つて来なかつたかという、非難とも、好意の苦言とも見られるような発言をしたということも聞いておるのであります。また昨年十月、世界の国際絹業大会がイタリアで開かれたのでありますが、私もこれに出席したのでありますが、そのミラノ会議に、わが国の政府といたしましては、通産省からは繊維局長、農林省からは蚕糸局長が出席しておりますが、この問題については何ら一言も発言がなかつたのであります。またわれわれの代表、同僚も今や絹製品問題についてはアメリカにおいてこういう重大な問題があるということも一言も聞かなかつたのであります。本問題についてそういう情報を持ちながらだまつていたとすれば、これは大いに譴責しなければならぬと思うのであります。全然知らなかつたとすれば、あまりにもうかつ千万なことであります。どつちにしましても何のための出席であつたか、意味なしといわねばならないのであります。この問題が起きますると、業者の関係から、あのミラノの会議のときにこの問題を取上げなかつたという問合せがたくさんあるのであります。そうしますと、そういう情報を持ちながら、わかりながらも、それに対してしてわれわれにもその話をしない。何のためにそういう人を派遣されたか。これは次官非常に重大な問題であります。しかも虫が、わが国にできる桑を食つて、何ら外国から原材料を入れずに輸出してドルを獲得するということは、この生糸だけであります。しかも四回目のミラノの国際絹業大会に各国から来ておるのであります。ミラノの会議は、アメリカ外十七箇国の人たちが集つてアメリカ業界の代表の人もたくさん来ておつたのであります。ここで議題にすれば、多少なりとも米業界の情報も得られましよう。これが対策も一応強力に推進することかできたと思うのでありますが、この点につきまして、徳永君は帰つて来るとすぐ重工業局長になつてしまつた。一体何のために出したのか。この点については、農林大臣も、蚕糸局長に関して、この世界の会議に出席する上において、こういう自分の所管に属することもうかつにしているようなことについては、今後の見せしめもあるから、こういう機会に適当な処置をとるべきものだと思うのであります。  一体わが国の存外公館は、この問題について何をしているのであろうか。もつと商業的努力があつてよいのではないかと思うのであります。特に通産省より人事交流もしておりますし、優秀なる人物を派遣しておるのでありますか、今回のごとき件についてはまことに遺憾にたえないのであります。これは外務大臣に通商大臣から聞いていただきたいのでありますが、ややもすると、通産省から優秀な人が行つてつても、こういうすべての報告をする場合において、外務省へ一括しなければいけない。通産省としては非常に必要なことがあつても、そういう報告に対しての費用の関係で通信の制限とかいうような圧迫があるのではないか、こういう点について出先地もよく調べて、もしそういうことがかりにあつたとするならば、これは重大な問題であります。優秀なる通産省の在外派遣員が行つておりましても、その行動したことが一つ日本の経済界に通じないということになつたならば、これこそ重大であります。この答弁に対しては、多分外務大臣はそういうことは絶対にないということを言うかもしれませんけれども、この実情は実際大事であります。実際の問題にしてなおそういうことを言うのであつたならば、私は先般欧米をまわつて参りまして実際の問題をたくさん聞いておりますが、この点についてはせつかく通産省から出した人たちが十分に働けて、十分に視察したこと、調査したことを本省にたちどころに通報のできるように、そうして日本の産業に寄与できるように、これを機会に強力に外務省に申し入れていただきたいと思うのであります。西ドイツの在外公館などは、海外の輸出市場の開拓に非常に熱心だと聞いておりますが、わが国の在外公館はもつとこれに学ばなければならないと思うのであります。本問題のごときについては、当然注意の上万全の予防措置をとり得るよう、いち早く情報や資料をキヤツチして逐一報告、政府に連絡、警告すべきであると思うのであります。私の知つている限りにおいては、この三月八日ワシントン大使館及びニユーヨーク領事館から外務省に入つた公報がこれに関した最初の明瞭な情報であるということであります。もしこれが事実であるとするならば、まことに遺憾きわまるものであります。またわが政府当局においても怠慢の非難を受けなければならぬと思うのであります。在外公館を督励し、常に海外の情報に注意を払い、たとえばあの費用を出しているところのJETROの筋を通して調査するとか、あるいはまた外務省、通産省当局が常に緊密なるところの連絡と提携をもつて情報の入手交換に今後遺漏のないことを期していただきたいと思うのであります。今次その失態あるいは醜態をさらすようなことになつたことは、まことに遺憾にたえません。これらについて政府の誠意ある答弁を承りたいのであります。まずこの二点について次官の知つている範囲において御答弁を願いたい。
  45. 古池信三

    ○古池政府委員 ただいまお尋ねになりましたアメリカの可燃性織物禁止法に関する問題でございますが、これは御指摘のように昨年の六月三十日のアメリカの国会において可決された法律でございまして、本年の七月一日から施行されるというふうに承知しております。このわが国の貿易重大なる影響を持つ法律が施行に及ばんとしておるのに、なぜもつと早く日本はこの情報を知らなかつたかという点はまことに私ども遺憾に存じます。これはわが国としましてもアメリカには大使館あり、それぞれ優秀な人が行つておるのでありますけれども、この法律の通つたことにつきましては、いろいろ理由はありましようが、結果的に見て非常に私は遺憾なことであると考えます。昨年ミラノで絹業会議がございまして、その際に各国のその道の人たちが集まつたにもかかわらず、日本はもとより、イタリアもフランスもイギリスもどこの国の人も全然この問題は知らなかつた、その情報を得ていしなかつた。従つてその会議における議題にも上らなかつたということは、重ね重ね日本としては不運なことに遭遇したものであると考えております。もし役所の方の筋で情報がキヤツチできない場合でも、多数の民間の人も行つておられますから、そういう方面からでも今までの例から申しますと、たいがい情報は入るのでありますが、今回の例に限つてそういう民間の優秀な人たちも遂にこの問題については何らの情報も得ていなかつたということは返す返すも残念に存じております。  そこで現在どういうような交渉をしておるかというお尋ねでございますが、これにつきましてはやがて施行細則もできようとしておるときでありますので、急速にその施行細則におきまして何らかわが国に有利な除外的な措置を講じてもらいたいというので、交渉しておるのであります。たとえばあの法律によりますと、帽子でありますとか、くつ下、手袋のごとき敏速にからだからとりはずすことのできるようなものは一応除外例になつておるのであります。従つてわが国から輸出するものの中で非常に大量にありますハンカチ、スカーフというようなものは、これは手袋やくつ下以上に早く身辺から除くことができるものでありますから、こういうような類は害の少いものとしてこの対象品目から除外してもらいたいというので、外務省を通じましてそういう折衝をただいまやつておるのであります。  それから外務省の処置として、通産省が非常に活動をしようと考えておるのに対して、これを抑制するようなことはないかというお話でございます。現に御承知のように外務省に対しましては、通産省からそれぞれりつぱな人を出しておるのでありますが、これは皆様方も御承知のように通産省の身分ではなく、外務省の人として向うに派遣しております。従つてすべてが外務大臣の完全なる指揮監督下において、活躍しておるわけでございますが、もちろん在外公館は外務省の代表ではなく、国全体の代表でありますから、通産省の仕事だからどうする、農林省の仕事であるからどうするというような差別的な処遇はもちろんやるべきではなく、またやつてはならないものと私は考えておりますが、ただいまのお話もございましたので、十分実際を調べまして、もしそこに外務省のやり方において不当と認められるような点がございましたら、厳重に申入れをしたいと考えております。以上簡単でございますが、お答えといたします。
  46. 笹本一雄

    ○笹本一雄君 今政務次官の答弁でありますが、ミラノの会議において各国の人も知らなかつた、話題にならなかつたと言つておりましたが、またその通りでありましたけれども、しかし絹は御承知通り世界の——中共は別としまして、世界の産出を十としますと、八割二分は日本が占めておる。イタリアが一割であとの八分というものが、南方諸国がやつておるということでありますが、日本が世界の八割以上も生産しておるということからいいまして、こういう会議では、日本が一番大事に気をつけなければなりません。欧米あたりは化繊その他が非常に発達しておりますので、こういう燃えやすいものは少いのであります。でありますから、その会議に行くのにも、世界の人の話題に上らなかつたのではなく、こつちからそういうことを出すべきである。日本の繊維のすべての関係を扱うその人が、行く前にそのくらいのことは調査をして、思想統一の上においてもわれわれに説明をして、そうしてこつちから持ち出さなければならぬ。帰つて来てどういう御報告をされておるか知りませんが、これはまた非常に遺憾なことだと思うのであります。  それからまた在外公館の問題でありますが、これは申すまでもなく、今次官のおつしやる通りに、あちらへ参りますれば、各省の人も外務省の役人になるのでありますが、なぜ通産省の人を向うへ交流さしてやるかということは、申すまでもなく通商産業のためにエキスパートの人を向うヘやるのであります。その人たちは向うでその点について、非常な活躍をしておる現実を見て参りましたが、その見て来た人と、外務省の人とが、通商に対する頭の感覚が違うのであります。たとえば外交交渉あるいは外交辞令とかいうほかの問題では優秀であるかもしれませんが、通商のことになりますと、外務省の人たちの感覚は、通産省から見ると、大人と子供の感がある。最近においてあなたのところで通商局に、あるいは外務省の人たちが、人事交流でたくさん来ておりますか、そういうことで教育されて行つた人たちはまだいい。そうでない人はなかなか理解ができない。でありますから、こういう点について通商大臣から外務大臣を通じて、これはほかのこと以上に、すぐ日本の貿易及び産業振興に関係があることでありますから、十分なる御留意をいただきたい。  またJETROのごときもそうであります。せつかく通産省が骨を折つて、つくつたJETROでありますから、こういう問題こそやつてもらつて、JETRO情報というものがほんとうに絹業界から見て確かなものであつたときに、なお補助金のごとき問題はそれにも増して次に必ず出て来るのではないかと思います。これらについても留意していただきたいのであります。  次にここで交渉の内容に関して大臣から直接もつと詳しく聞きたいと思つていたのでありますが、今のあなたのお話によりまして、本問題を契機とする絹輸出に対する当局の根本対策を伺いたいと思うのであります。まずその順序としまして、さきの私の交渉内容に関する質問に答えられた大臣の説明、及び先般参議院において大臣がいろいろ言われておりますが、その内容について、もう少し聞いてみたいと思うのであります。公益保護の見地より、不適当と認められたときはその修正提案をすべきことと同禁止法に定められていると開いているのであります。これが行政的に同法を変更し得る唯一の可能性であると思われるが、わが政府はこれをどう解釈するかということを伺いたい。  次に参議院における大臣の御説明のうち、禁止法の施行延期について、事態が今日に及んでは、私は大臣と同じくこの要請受諾に最大の望みを嘱するものであります。私は大臣に、万全にして最善の努力をいたされんことを切にお願いするのであります。  ところで情報によりますと、去る二十六日、駐米大使館の島公使が米国務省に、国務次官補代理にこの問題について日本側の実情を説明したというが、その際国務次官補代理は次のように答えたということが新聞その他に出ているのであります。この法律は一年間の猶予期間を置いたのだから、これ以上、延期することは不可能だ。日本側においても、米側の業者と同じように、人命保護を目的とするこの法律の精神に順応して、十八インチ四方の生地で、四十五度の傾斜にして四秒以内で燃え切らぬよう、布地を厚くするなり、あるいは化学的加工をくふうすべきだと。この言から判ずると、われわれの最大の望みもきわめてはかない結果になるのではないかと懸念するのでありますが、これについて、大臣からあなたが交渉の経過を聞いておられたら、その見通しを伺いたい。ついでながらこの最本法律の細目規則案が二十五日に発表されたと聞いている。新聞紙にその一部が出ているのでありますが、その詳細が役所の方にキヤツチされておりますならば、あわせて御説明いただきたい。その詳細の写しがございましたら、プリントして委員会に出していただきたいと思うのであります。  次に、本問題に対する善後処置に対することでありますが、たとえば当面の過程措置とも言えると思います。ついてはこの当面の措置とあわせて、政府の考えておられる恒久的の措置をできるだけ具体的にかつ詳細にご説明を願いたいと思います。この両措置をあわせ伺つて、初めて本問題の対策の全貌が理解できると思つております。  それから七月一日から実施されるとすれば、同禁止法は、当然四月以降に船積みされましたものがすべて適用の対象となるのでありまして、これがキャンセルはたくさん出て来ているだろうと思います。これらに対して政府はどういう方法をもつて救済して行くか、これに対する御答弁を伺いたい。まずその三点について御答弁願います。
  47. 古池信三

    ○古池政府委員 先ほどお話申し上げましたアメリカに対する外交交渉のその後の経過について、何か御答弁申し上げるようなことがないかということでございますが、ただいま御指摘になりましたような島公使の情報と申しますか、これは私も通信情報として非公式に承知をしておりますけれども、外務省を樋じた公式の回答としては今のところまだ受取つておりません。  それから先ほどお話がございましたように、在外公館における通産省出身の人たちの活躍の上において、外務省のやり方等に関して不自由な点がありはしないかというようなお話につきましては、十分に調べまして、これは大臣にも私から話しまして、通産大臣から外務大臣に将来そういうことのないように十分中入れをしてもらいたいと考えます。  なお御指摘になりましたJETRO等についても、今後かような重大な情報については政府と協力してすみやかにこれをキヤツチされるように、私どもの方から話をしたいと考えております。  また今後法律施行までの間に輸出したかような品目について、もし向うにおいてキャンセルになるような場合は、その損害はどういう処置を講ずるかという問題につきましては、繊維局長からお答え申し上げます。
  48. 吉岡千代三

    ○吉岡政府委員 ただいまの交渉の主眼といたしましては、スカーフ、ハンカチ類はいわゆる衣料でないという解釈のもとに全面的適用除外を強く主張していることは、先ほど政務次官からお答え申し上げました通りでございます。この点について三月二十日に井口大使からの連絡によりますと、ハンカチーフについては十八インチ平方以下のものは衣料でないという解釈のもとに適用除外は有望の見込みであるという電報が来ております。それでハンカチーフが除外になりますと、大体製品類約五百万ドルのうち四割程度はこれで除外されるじやないかと考える次第であります。それからなおこれは二十六日のUPの電報でございますが、この法律を制定したときの委員長でありました民主党のクロッサーという方が、自分としてはこの法律をつくるときは子供用のセーター、カウボーイの、ズボンのことを考えてつくつたので、衣料製品のことを考えてつくつたわけではない、それによつて日本人の感情を悪くするようなことはしたくないというようなことを言つておられるようであります。この人は現在は委員長ではありませんが、有力なる委員であるということでございます。  それから施行細則につきましては、先般その案が発表されたのでありますが、要点は前に御説明しております通りでございまして、これにつきまして四月の二十二日に公聴会が開かれるということになつておりますので、その際にはアメリカ側の業者と協力いたしまして、有力なる公述人を選定して、わが方の主張をその公聴会に反映するようにいたしたい、こういう準備をいたしておる次第でございます。  それから織物につきましては、これは先方において大体スカーフ、ハンカチーフを加工せられ、ないしはケミカル・レースといつております薬品でがらを抜きまして、アクセサリー等に使うものに使われる、あるいは絶縁材料その他衣料品以外の用途に使われるものがありますが、これらにつきましては、この法律が直接身につける衣料品を取締りの対象にしておりますので、さような加工用の原材料であるということを明確にすれば、それでできるのではないかということを在京のバイヤー等は申しておるような次第であります。いずれにいたしましても、直接最も影響をこうむると考えられますのは、スカーフが適用除外されるかどうかという点でございますが、この点は先ほど政務次官のお答え申し上げました通り、スカーフは衣料でないという解釈によつて、極力適用除外を中心に交渉いたしたい、かように考えております。  次にこの法律に基くテストでございますが、これは現在国立の繊維工業試験所において、先力の方式によつてこれを行いますと同時に、アメリカ側にもテストを依頼してその結果をとつておるわけでございますが、現状におきましては、やはり四匁ないし五匁というところか大体ボーダー・ラインになるのではなかろうか。ただそれ以下の貫目のものにつきましても、この法律は御承知のように幅二インチ、長さ六インチのものにつきまして四秒というのが限界になつておりますが、大体、三秒半とかいうすれすれのところで燃えつくということでございますので、絶対に燃えないという加工をすることは非常に困難でありますけれども、若干樹脂加工等によつて燃焼速度を遅くするということはまず可能ではなかろうかという意見でございます。もちろんこれはただいまのところは適用除外を中心にやつておりますので、最悪の場合においては、そういう不燃加工によつて輸出に対する影響を最小限度にとどめたい。実は先般繊維工業試験所において、従来から研究しておりました不燃加工を試みたものにつきまして、これをアメリカに送りました。これは三匁半のものにつきまして資料を送つて向うで試験をしてもらつたのであります。二種類つくりまして、一つはパスし、一つは少し時間が足りぬということでございますので、これは今後の研究によりましてその程度のことは可能ではないか、かように考えております。なおこの点につきましては、工業技術院の方とも話をいたしまして、御承知のこの試験研究補助金、これは来年度のものは、実は本年の二月末をもつて一応申請を締切つておるのでございますが、この問題はその後に突発的に起つた問題でございますので、この軽目織物に対する不燃加工の研究については、若干の締切り期限を延長いたしまして、広くそういう研究を助成し、優秀なものを探し出すという努力をいたす考えでございます。なおこの点につきましては、アメリカのこの法律に基く検査機関の一つでありますUS・テステイング・カンパニーというところから、この不燃加工についてアドバイスを提供したいという申入れもあるわけであります。ただ問題は不燃加工そのものは必ずしもむずかしくないわけでございますが、その軽目羽二重の風味をそこなわない形においてやることか問題であります。その点については、先方もまだ十分自信がないというようなことを申して来ております。しかし何らかの参考になるならばこれもひとつ協力を得たいと考えまして、ただいま協議をいたしております。  それから最後にこの違契約についての問題でありますが、この点につきましては、御承知のように輸出契約品のキャンセル等の場合における輸出業者の損害につきまして、政府がこの輸出信用保険の制度をとり、これによつて損失額の九割を補償しておるわけであります。実は軽目羽二重につきましては、従来ほとんどと申しますか、全然と申しますか、輸出保険によつて保護されておらなかつたわけであります。しかしこの問題が起りまして保険をつけたいという申込みが来ておりますので、この扱いにつきまして協議をしたのでございますが、純粋の保険の理論から申しますれば、かような場合においては、少くとも料率について、やはりこれを相当引上げるということを考えなければならぬ場合かとも考えられるのでございます。この問題の重要性並びに政府としては、先方に対してまだ折衝中であるという関係を考慮いたしまして、当分の間従来通りの条件によつてこれを引受けるという措置を通商局と話合つてつたわけであります。この軽目羽二重並びにマフラー、スカーフ、ハンカチーフ等の製品はほとんどその全部が注文製品でありまして、輸出商社がバイヤーからの注文を受けまして、それによつて織屋に発注する。なお福島県におきましては、その注文を基礎にいたしまして、県の方で補償の制度をとられまして、それによつて織屋さんの運転資金あるいは原糸の仕入れ資金等の金融をはかつておられるという関係もありますので、そういう関係から考えましても、この信用保険はぜひとも継続しなければならぬということで、この点は保険のりくつからは若干の問題はあつたようでございますが、そういう措置をとることにしたわけでございます。従いまして既契約のキャンセル等によつて輸出業者ないしはその関連から、織屋さんが損害を受けられるということは、これによつて避け得るのではないか、かように考えております。なお法律の条文につきましては、別途資料として提出いたしたいと思います。
  49. 笹本一雄

    ○笹本一雄君 本法案に対する細目規則案が十項目か十何項目かになつて発表されております。二十五日に発表されたということでありますが、これは新聞なんかには一部出ております。さいぜん申しましたごとく、これに対するところの細則の法案が手に入つておりましたらこれをプリントにしてひとつ出していただきたいと思います。  それから今の繊維局長の説明でありますが、前段のお話は新聞にみな出ていることであります。私が読んでも同じことであります。ここに全部ありますからこれから一、二時間読んで差上げてもよろしゆうございますが、そうでなく今のお話のうちに、工業技術院で今これに対するところの研究をして補助金を出しておるということがあつた。これはいいことであります。そういうことを聞きたいのであります。それから公聴会が四月二十二日かに向うで設けられるようでありますが、それに対して在外関係でどういう手を打つておられるか。今度共和党になりましたが、前の委員長がこの法案を出すときには、こういう考えで出したのじやなかつたということが新聞に出ておるのであります。そういうような新聞なんかに出ていないところでもつて、この問題が起きてから政府の打つている手を聞きたい。今工業技術院なんかに対して、補助金の関係を少し繰延ばしてやつておることはけつこうでありますが、義太夫の文句じやありませんが、一年前にこれをやつたらこういう歎きはなかつた、これはお役人さん、頭のいいことじやありません。こういうものに対して私は責任制をとつたらどうだろうかと思うのでありますが、こういうことは業界は非常に神経質になつておりますから、繊維新聞、あるいは経済新聞にはそういうことはすぐ発表してこういう手を打つ、あるいはまた工業技術院でこういう研究をやつている、あるいは、また輸出保険の問題でありますが、これに対してもこういう措置をする、そうすれば今後輸出保険なんかに積極的に加入して来ると思う。この機会にこれは積極的に新聞を通して、今日この問題については業界の関係者は毎日新聞記事を見ておるのであるから、その点に留意していただきたいと思います。  次に六月からちようど春蚕のあがるときでありまして、春蚕の出盛りの月においてこういう話題が出ますと、製糸業者から養蚕農家に対して買いたたきがありはせぬか、買いたたきをするにはいい材料でありますので、それを非常におそれるのであります。製糸の増産につきましては、これはわれわれも昨年の国際絹業会議に参りまして、そして絹は一、二割安くすれば七、八倍の売れ行きを保証すると言われた。それに対して収穫を上げて、増産をするようにということを各地に演説して歩いたのでありまして、その結果増産をしたわ、買いたたかれたわということになりますと、これはたいへんな問題になる。それに対してこんな事態が生じたときには、養蚕農家のせつかくの生産の意欲も非常に萎縮してしまう。営々と苦心して、それで農家の収入が著しく低くなつて行くということは重大な問題であると思うのでありますが、これに対して、参議院の予算委員会において、大臣は製糸業者が買いたたくことのないように注意すると言つておりますが、その具体的の方策はどうであるか、これを伺いたい。  それからさいぜん申しましたわが国の重要産業でありますところの、しかも重要な輸出品であるところの生糸、絹織物の育成助長については、ぜひその熱意と信念を通じて恒久的の施策と強力なる推進を期待するのであります。私らのいなかは養蚕農家が多いのでありますが、先般来帰りますと、この問題が非常に広がつておりまして、不安を感じておる。絹ハンカチとか、またあなたは言わなかつたが、新聞によりますと肌着も除外されるということが出ておる。この影響というものは大したことはないだろうと思いますけれども、絹全部をアメリカが使わなくなつたということになりますと、これは非常に影響する。それから御説明を聞いておれば、この輸出の対象となるのは総輸出の何パーセントでありますが、これが生産意欲に非常に影響を及ぼすのでありますから、その点を新聞なりラジオなりを通じて、あるいは各種団体その他を通してそれを徹底さす。私はこういう法案が出ても、決して日本の絹糸輸出というものは増額はされても減ることはないと思いますが、この点についてひとつ万全の処置を講じていただきたいと思う。  最後に、将来の予想に属する問題でありますが、米国の業界の圧迫によつて、この禁止法が、さいぜんお話なつたセルローズ系繊維とか、たとえば人絹スフ、アセテート系のこういう織物にも波及するおそれがありはしないかと考えるのでありますが、その点についてはどうでありますか。さいぜん話しましたマフラーとかハンカチ、帽子、くつ下、手袋、あるいはまた肌着というものは除外されておりますけれども、化学繊維その他についての問題はどうであるか。それからこの問題は、最初これを報道されましたときに、昨年は一般の養蚕家とか製糸業者はこれにあまり関心を持たなかつた。先般の報道によりましてこれを非常に重大視したのでありますが、この問題は最初米国の化学繊維業界一が業者を擁護するために、わが国の特産であるところの絹の輸入に対するところの弾圧ではなかつたかという説がかなり強かつたのであります。その後の新聞あるいはその他いろいろな情報、並びに今の説明を聞いてみましても、全然その事実はなく、まつたく生命の危険を伴う燃えやすい衣類の販売を禁止したというふうになつておるのでありますが、こういう点につきまして、私は徹底して業界及び養蚕農家にもわかるようにしていただきたいと思います。時間がありませんから質問をこれだけにいたしますが、昨年一年間、こういう重大な問題が起きておるのに、これが今になつて騒ぎ出したということは、返す返すも遺憾なことでありまして、中小企業、大企業と言わず、業界は不況の方に日に日に向いております。手形の問題一つ考えてみましても容易ならないときである。しかもこの五月、六月どういうふうな状況になつて行くであろうか、お互いに心配しておるところであります。従つてこれからあなたの方の役所に相談に来る人たちは、今までは切符を書いてもらうとか、あるいはたくさんの配給をもらうとかいうことでありましたが、今通産省に相談に来るのは、すべて真剣に、首をつるかつられないかという状態で、相談に来ているのであります。この機会にひとつ——あなたの部下の人たちは頭がいいばかりじやいけない。よく時局を考えて、相談に行つた人にひとつ親切に指導してもらいたい。ややもすると不遜な態度で、さながら自分は別の役人で、人民とは別にいるというような態度がないとは言えないんです。しかもそういう者があつても、その直属の上の人が一箇月たつてもその状況を知らぬということでは、りつぱな行政はできないと私は思うのであります。次官は通産省には前から深い関係があるのでありまするが、今の状態は実に深刻になつております。こういう題についても、貿易する人は、やはり何としても政府をたよりにするのですから、どうかその点に留意して、本問題を有利に、しかもこれに対するところの善処をお願いたしまして、私の質問を終ります。
  50. 古池信三

    ○古池政府委員 ただいまるるお話くださいました点は、私も一々ごもつともに拝聴いたしたのであります。この問題が当初アメリカに起りましたのは、私の聞いておりますところでは、化繊の織物に火がついて少女がやけどをしたということが、そもそもの原因だというふうに聞いておるのであります。従つて元は化繊から来たものでございましようけれども、これが現在絹織物にも適用されるということになつて参つたのであります。アメリカの化繊業者が日本の絹織物の輸入を抑えるために、こういうことを計画したのではないかというのは、私はやや考え過ぎではないかと思つております。現在化繊については、もとよりわが国からアメリカへ行くのはきわめて微々たるものでありまするし、原因は化繊から来ましても、ただいまのようなことは私はおそらくないだろうと信じております。それから今後一層いろいろと技術を指導、育成いたしまして、できるだけ羽二重の風味を害しないで、不燃性をこれに加工するというようなことについても、十分に研究して参りたいと思つております。また応急の措置といたしまして、業者の方々に対して輸出信用保険なり、あるいは金融等につきましても、でき得る限り政府としましては御協力申し上げたいと考えておる次第であります。もちろん役人としまして親切に仕事に従事すべきことは仰せの通りでありまして、私もすべて人には親切に当るべきものだと考えておりまするので、省内一般にそういう空気を浸透いたしまするように、微力ながら努力して参りたいと考えております。なおそれらの諸方法を講ずるにあたりましては、業界新聞その他に機会あるごとに発表いたしまして、一般の人に早くこれを知つていただいて、利用していただくということにも心がけて参りたいと存じます。  それから養蚕の問題でありますが、これは仰せの通りわが国の農村にとりまして、非常に重大なる問題でございます。これにつきましては先般参議院の予算委員会においても、農林大臣からこれに対する所見の発表があつたように承知しておりますが、われわれといたしましても、十分所管省たる農林省ともよくお話をしまして、協議をして善処して参りたいと考えております。
  51. 笹本一雄

    ○笹本一雄君 今の質問でありまするが、大臣が途中から来るということでしたが、来ませんでしたが、ある機会におきまして重ねて大臣からこれに対する所信を総括的に伺いたいと思いますので、委員長からそういうように御配慮願います。
  52. 加藤清二

    加藤(清)委員 笹本議員の質問に関連いたしまして、私も二、三この問題についてお尋ねしたいと思います。実はこの問題は、わが党といたしましては、この席でやるのではなくて、本会議で緊急質問をする予定をしておつたのでございます。しかるに議運の方で、それでは将来の計画についてしつくり行かないだろう、そこで委員会においてよくおちついて、これに対する対策、将来の計画その他のことどもを研究的にやつてもらいたい、こういうことで当委員会にまかされたわけでございます。従いましてこれはただ単に十分や二十分の質問で片づけるということでなくして、今笹本さんからもお話のありましたように、大臣にもよくわかつてもらいたい。そのためにはいずれ相当の時間をかけ、大臣も要すれば外務大臣、農林大臣にも来ていただいて、慎重審議をしていただきたいものだと思います。  今日さしあたつて私がお尋ねしたいと思いますることは、ただいまの次官の答弁その他に関連してでございます。この問題は、きのうきよう始まつたようにお考えのようでございますけれども先ほどの次官の答弁にもあつたようでございますが、これはそんなものではございません。そこで野党ではあるけれども、私の言うことをよく聞いてもらいたい。と申し上げますることは、この問題はすでにこの委員会において私は述べておる。なぜなれば、数年前というよりも、昭和二十二年から三年にかけて、日本でサンフオライズのことが云々されました折に、向うのバイヤーから、やがて火のつくような繊維については買うことができなくなるかもしれない、こういうことを言うて来ておるのでございます。そこで私はこの議員になりました当初におきまして、日本の繊維を輸出するにあたつては、どうしてもやらなければならぬことがある。それは遅れておるところの最終仕上げの部門である。これについて一体政府としてはどのような研究態度をとるかという形で質問をしておるのでございます。うそだとお思いなさつたら、速記録を調べてもらいたい。そのときに私はリップルとか、サッカーとか、エバーグレーズとか、あるいはサンフオライズの名前を取上げまして、そうしてこういうように繊維が進歩しておるが、これは何も組織の問題ではなく、繊維材料の問題でなくて、これは最終仕上げの問題である。繊維というものは文化が進むに従つて進んで行くのだから、十年間も遅れをとつた日本の最終仕上げ部門は、この際はつきりとふんどしをしめ直さなければいけないのだ。それでなければ、いくら輸出振興を叫んでみても、輸出振興はできなくなるのだということを申し上げたはずでございます。ところが何か野党の連中が言いますると、経済的にプラスになることを言うておつても、何か政府のやつておることに反対するかのごとくにとられて、そのときには重きを置いてもらえなかつた。そこでこういう問題が起きて来るのでございますが、私のここで述べますること、特に繊維に関して述べますることは、野党だから政府がやつておることを攻撃するということでなくして、ほんとうに日本の繊維産業を振興させて、そうして輸出振興に持つて行きたいという心からなる気持から、業界で育つた人間として心から願つておることを申し上げておるのでございまするから、慎重に聞いていただきたいと思う。そこで次官は、とにかくきのうきよう起こつて来たことだ、アメリカの一ベビーがやけどしたからこうなつたというふうにおつしやつてみえたようですが、それは確かに原因ではあるが、原因のうちの近因なんです、遠因はそんなところじやない。すでにバイヤーは何度もそういうことを述べておる。従いまして、この問題について先ほど繊維局長は、工業技術院で研究しておるというようなお話でございましたけれども、今日の工業技術院とかあるいは輸出振興のJETROなんというものは、失礼な言い分でございますが、業界の進歩した研究家と比較すれば、ずつと劣つておる。従つてこの問題を、契機として、日本の繊維の最終の仕上げ部門の技術を一層向上させるべく努力する気持があるのかないのか。このことは私が再々今まで述べて来たことなんです。その気持ありやいなやを次官から承りたい。
  53. 古池信三

    ○古池政府委員 私は野党の方であるからどう、与党の方であるからどうという気持はちつとも持つておりません。ことに繊維に関しましては、知識経験の深い加藤さんの御意見は、従来から私は非常に尊重して伺つておるのであります。お説の通り毛にしましても、綿にしましても、あるいは絹製品にしましても、やはり最後の仕上げというものが一番大事である。いかに材料がよくても最後の仕上げがまずければ、とうていこれは人前へ出せないという結果になりますので、いわゆる染色整理の事業というものは、私は非常に大事な事業であると考えます。従つて今後これにつきましては、政府といたしまして十分に努力して、できる限りの便宜をはかり、またその助成に努めて参りたいということをここに申し上げます。
  54. 加藤清二

    加藤(清)委員 第二点にお伺いしたいことは、この可燃性織物に関する条例が七月二日から向うで発効された場合に、日本のスカーフ、ハンカチ、いわゆる軽量目の羽二重の被害をこうむりますところの金額の量は、国産の絹の大体何パーセントくらいを占めているものであるかを承りたい。
  55. 古池信三

    ○古池政府委員 これははたしてどういうものか実際に禁止されて損害を受けるかということは、公式のテストをしてみないとはつきりしたことは申し上げられませんけれどもの方で軽目物にして五匁程度以下のものが問題になるとして調べてみましたところ、絹織物輸出総額の約五〇%、金額にいたしまして三百四十万ドル、それからスカーフ、ハンカチ類の対米輸出総額の約六〇%、五百万ドルがあるいはこの禁止にかかる危険があるのではないかというふうに考えております。
  56. 加藤清二

    加藤(清)委員 五〇%から六〇%に至るということになりますと、日本の絹の生産者、つまり養蚕家あるいは機場、紡績あるいは輸出商社に及ぼす影響は非常に大きいと思います。これはちよつとやそつとの、ここらあたりの座談で済ませることではないと思いますが、その対策についてはいろいろ研究していらつしやるようですから何ですが、緊急にお尋ねしたいことがあるのです。それはその法律が向うで上程されて、実施に移されるにあたつて、その一部分のスカーフ、ハンカチーフ等について除外してもらう、つまり陳情をしてもらうことについて、向うから運動費を要求して来ているとほのかに聞いておるのでございますが、それはうそかほんとうか。もしそういうことでアメリカ国内において運動費がいるということならば、私はわからぬでもないのです。五〇%の余、五百万ドルにも及ぶ欠損が生ずるということならば、少々の連動費くらいは問題でないのでありましようが、これは日本が被害をこうむると同時に、向うのこれの取扱い業者、これも影響は甚大だと思うのです。先ほどおつしやつておりましたが、これは法律によりますと、輸送から、店頭販売からみんな禁止されるようでございますが、こうなると向うの運送業まで被害をこうむるのでございますので、この点一体向うにも持たせるべきであつて、こちらだけが痛めつけられるということは、どうも当を得ないと思いますが、はたしてそういうことがあつたかなかつたか、それはうそであればまことに幸いでございますが、一体どのようでございますか。
  57. 古池信三

    ○古池政府委員 お話通りアメリカの絹織物輸入業者も、これによつて損失をこうむるであろうということは予測されるのであります。私のただいま仄聞しておりますところでは、向うの輸入業者がこちらの業者に照会をして参りまして、ただいま申し上げましたような、この法令の緩和について、運動と申しますか、法律上弁護士等を雇わねばならぬ。その弁護士を雇う費用などについて、日本側においても負担をしてくれないかという話が来ているように聞いておりますが、直接これは私聞いたわけではございませんけれども、そういうことは確かにあると存じております。
  58. 加藤清二

    加藤(清)委員 この間うち日本は原爆でやられ、絹でやられ、日米通商航海条約が結ばれておつても一方的に痛めつけられて、ノー・ズロースである。そこでこういう問題が再々向うから起るというようなことになれば、一寸の虫でも五分の魂で、報復手段をとるということも考えられる。もし政府にして腹があるとするならば、こんなことはすぐとれる。米綿の借款問題その他で、もうわしの方は米綿をもらわなくても、エジプト綿と印綿を混綿すれば、幾らでもいいものをつくれますからというようなことで声をあげるだけでも、これは向うの綿業者にとつては相当な打撃になることは事実でございます。そこでそういうことをこの委員会で決議するなり何なりすれば、向うには大きな影響を及ぼすと思いますが、それは隆車に向うかまきりだとお考えになつて、だめだとお考えになるか、ないしはだめなればこそ、いつもいつも痛めつけられてノー・ズロースでしんぼうしようと考えておられますか、その点どうです。
  59. 古池信三

    ○古池政府委員 ただいまお尋ねの点は非常に重大な、また微妙な点でございまして、この問題はよほど広くかつ深く考えて、アメリカとわが国との間のあらゆる国際的な問題を十分検討して、その利害得失を勘案した上でなければ、簡単にこの問題たけで報復云々ということは、少しまだ早いのではないか。私ども今のところさようなことは考えておりません。
  60. 加藤清二

    加藤(清)委員 それでは最後に輸出振興、特に繊維の輸出振興について政府の態度をお尋ねいたします。さきに申し上げましたように、この最終仕上げの問題を研究すると同時にもう一つその輸出振興に欠けている点がございます。その点やる気があるのかないのかということによつて、あなたのおつしやる輸出振興はから念仏に終る、こういうことになるわけであります。そこでお尋ねしたいことは、日本の繊維を向うへ輸出した場合に、よくクレームがつく、そのおかげで日本の商社は年がら年中痛めつけられているわけでありますが、これを早急に直す手はないものかと私はいろいろ考えてみたら、あるのです。私が向うへ行つてみてよくわかつた。それは向うへ行つている海外の公館の中に、国際法はよく心得、向うの人とダンスをやることだけはよく心得ておられる方がいるけれども、この繊維のことについては、技術的に知つている人がほとんどおらぬ。一体だれがそれを担当しているかというと、日本の商社の代表者がその部門を担当しているということで、みんな片手落ちなんです。商社の人では、外交権力が少い。従つて向うとやり合うときに、いつでもいかれる。片や技術のことを知らぬ。そこで海外公館に派遣する場合に、通産省で修業した人を外交官の中に入れて送ることが、手取り早い一番いい方法ではないか。それか万全の策ではないけれども、さしあたつて当面の諸問題を解決するにはいい方法ではないかと心得ておりますが、さようなことは及びもつかぬことであるとお答えになるか、この点。  次に、他の国の輸出と日本の国の輸出とを輸入国に行つて比較してみますと、インドにおいても、パキスタンにおいても、どこでもよろしいのでございますが、日本との違いがどこにあるかというと、向うのごとき輸出先進国は、サービスが非常に行き届いている。機械にでも商品にでも、何にでも、技術屋がついて行くんです。そうして機械のすえつけから、運転から、能率の上るまでちやんとついておつて指導をする。その間にその機械の宣伝をじやんじやんやる。商品でもまた同じでございます。日本の製品はこういうところが悪いと盛んにやる。国際会議でもそうでした。私はたまらなくなつたから、いいところを宣伝しましたけれども、向うの方が先に宣伝が行き届いている。これについて、今後輸出振興をはかられます場合には、やはり国際法だけをよく勉強した人のみを送つて事足れりと考えていらつしやるのか。あるいは将来、いや今日でもすでに見本市が開かれようとしておりますが、こういう場合にほんとうに修業を積んだ者を商品なり、機械につけてやるだけの御用意があるか。もしありとすれば、日本の絹についてももつと早期に知ることができたでございましようし、打つ手も早くできたでしよう。アメリカ国内において、日本の絹製のハンカチやスカーフがこういう運命にはならなかつたと思うが、この点いかがでございますか。
  61. 古池信三

    ○古池政府委員 今回の絹製織物に関する情報の入手が遅れましたことは、重ね重ね遺憾に存じております。そこで在外公館に対しては、外務省の官吏ばかりでなく、通産省においてその道の勉強をした者を派遣したらどうかというお話でございますが、まことに仰せの通りと存じます。現在、かつて通産省においてそれぞれの産業部門について経験のある人たち十七名を外国に送つているのでありますが、数から言いましてもこれではとうてい足りないので、今後でき得る限り増加して参りたいと存じております。なおそのほか貿易斡旋所その他の施設も拡充して、できるだけ今お話のような対外宣伝の線は拡充して参りたいと思うのであります。ただ通産省にいた者としても、特定の専門の部門に当つては、やはり民間にいてその事だけに三十年も四十年もかけてやられたほんとうの専門家にはかなわないと思います。でありますから、外国におられるそういう民間の方々とも十分連絡をいたしまして、そういう人たちの知恵も借り、また政府機関としてやるべきことは十分やり、相協力して輸出振興のために一段と努力をして参りたいと考えている次第でございます。
  62. 齋木重一

    ○齋木委員 関連して。私は今の問題は、日本の輸出振興に関して重大な問題だと思う。通産当局が、繊維に関する認識の点について、他山の石とし、また頂門の一針としてお考え願いたいと思う点を申し上げておきます。  私どもの県におきましても、輸出産業、織物に関しては重大な関心を持つておりますと同時に、技術の点においてもそうであります。アメリカは重目羽二重に対しては、輸入の必要がないまでに発展していると同時に、そういうことに関心を持たない。ということは、今日ではアメリカ日本の薄物を輸入する段階が克服されて、輸入する必要がないまでに、生産技術においても向上して来ている。その一環として現われて来たのが、この薄物輸入の禁止であると私ども考えているのです。これは大きな問題である。日本の輸出作業に対する問題であると同時に、織物の輸出ということに対する障害が——アメリカ本国においては薄物の、三匁、二匁というような繊維は、もう生産技術が日本より以上に発達して来ていることを裏書きするのでありまして、この認識が足らないから、そういうおろそかなことにもなるし、一人失態を来すものであると私たち考えている。この認識が、どうあるかをまず承りたい。これは大きな問題だと思います。
  63. 吉岡千代三

    ○吉岡政府委員 ただいまお話の点、やや私ども調査が不十分の関係かと思いますが、私どもの調べました範囲におきましては、どちらかと申しますと、軽目羽二重の方は工賃が割高になります関係上、労働賃金の高い国においては採算上不利だというような関係もございまして、現在においてもアメリカに輸出している軽目羽二重はほとんど日本の製品でございます。それからスカーフ自身にいたしましても、これはきわめて最近のことでございますが、今から七、八年前ごろまではアメリカ国内産に対して、日本からの輸出割合が二割程度であつたのでございますが、最近割合が増加して参りまして、現在におきましては、逆に日本から輸入品が九割近く、六年くらいの間に関係が逆になつて来ております。それでこれは一つは流行の関係者もあるかのように聞いておりますが、アメリカの方では御承知のようにふちを機械でかがつているわけでありますが、現在はほとんど手巻きのものにかわりつつある。従いまして工賃の関係等で、日本からの輸出が急激にふえて来ているのでございます。いずれにいたしましても、軽目羽二重の輸出につきましては、今後ともきわめて重要なる輸出品であるという考えのもとに、できる限りの振興策はとつて参らなければならぬ、かように考えておる次第であります。
  64. 加藤清二

    加藤(清)委員 それではお持ちかねの大臣が見えたようでございますので、この問題は保留いたしまして、新しく議事を進行されんことを望みます。     —————————————
  65. 大西禎夫

    大西委員長 次に貿易に関する件について調査を進めます。質疑の通告がありまするからこれを許します、加藤鐐造君。
  66. 加藤鐐造

    加藤(鐐造)委員 大臣は参議院の予算委員会に出席のため、ほんのわずかな時間しかないというお話でございまするが、通産委員会日本の通産行政をいろいろと審議しておるのであるから、大臣はもう心しこの委員会意見を重視せられ、そのためにはもつとこちらに重点を置いて出席をしていただきたいと思います。私のあとにまだ多数質問者があるようでございまするからして、私もできるだけ時間を節約して質問をいたしますから、大臣の方でもひとつなるべく問題の焦点をはずさないで明確に御答弁願つて、わずかな時間でありますならば、できるだけ有効に使えるようにしていただきたいと思うわけであります。  そこで私は、本日はMSAの援助に関する経済問題を主として、通産大臣にお聞きしたいと思つておりまするが、MSAの援助の問題が日本の国会において取上げられてから、ずいぶんいろいろな議論が行われました。国会側の要望としては、もちろん全部ではないでございましようが、できるだけこの援助が日本の経済の自立に役立つものでなければならない。そうでなかつたならば、この援助は受けるべきではないという意見が強かつたのでございます。それに対して政府としましても、MSAの援助は経済援助を伴うものである。またできるだけそのための努力をしなければならない。そうしてその結果としては、朝鮮特需の減少をカバーすることができるようにしなければならない、そうするつもりであるというような答弁をしばしばして来られたのでございます。ところが今回成立したこれは、MSA援助の協定に付随する経済援助であると政府は言つておりますが、協定を見ますると、これを経済援助と言うにはあまりにも僅少なものであるという判断をせざるを得ないのでございます。 この点については、昨年池田特使並びに現在の通産大臣がその当時大蔵政務次官として特使の随員として行かれた際にいろいろな折衝が行われて、その当時行われた折衝の内容が今日MSAの援助となつて現われて来て、おるというふうに私どもは見ておるのでございます。私は、ただいまここで表面に現われた経済援助の問題を繰返して聞こうとするものではございません。あなたが随員として行かれた池田特使は、吉田総理の個人的な代表であつたそうでございますが、しかしこれはMSA援助の基礎をなすものでございますからして、その際いろいろな折衝が行われた過程におきまして、経済援助についても、いろいろな話が出ておるのでございましよう。それらのものが今後どういう形で現われて来るか、あるいはまたそういうものは一切なかつたのかどうか。私どもの聞くところによりますと、池田特使が四週間の長きにわたつて折衝された内容は、一に経済援助の問題であつたと聞いております。その点をひとつ率直にお尋ねいたしますから、率直に述べていただきたい。このMSAの援助は現在はわずかなものであるけれども、将来大きなものになつて発展するかどうかというような点について、お答えが願いたいと思うのでございます。  そこでまず第一にお聞きしたいことは、現在この協定の中に現われたものは、五千万ドルの小麦の買付が行われて、その中から一千万ドルだけ直接援助の形になつて現われて来ておるわけでございますが、これ以外に何かMSAの援助を受けることによつて、間接的にこの日本の経済援助となるものがあるか、あるいは経済の自立を助けるところのものがあるか、こういうようなことについてまずお伺いしたいと思います。
  67. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 MSAの問題につきまして、これに関連して昨年秋のいわゆる池田ミツシヨンについてのお尋ねがございましたが、これはいわゆる池田ミツシヨンと、それから当時の私自身の資格とは必ずしも一体でないのであります。しかしながら私の知れる限りにおきまして、池田特使としては、その当時日本アメリカと両方の会談に出席いたしました者の共同コミユニケを発表しておりますが、それに結局その話は尽きるものであるというふうに私は思つております。ただ私は私なりに、その当時におきましていろいろな調査なりあるいは研究なりをいたして参りましたから、必ずしも池田ミツシヨンとしての立場だけでなく、私個人としてのいろいろな見解も当時持つたわけでございます。それと今回のMSA協定の関係というようなお尋ねでございますが、大体その当時から予想され、あるいは私の目に映じましたようなことが、だんだん両国の正式機関の間に話合いが進んで参りまして、今日のMSA協定案になつておるのだと思うのであります。  その次に簡単にというお尋ねでありますから、簡単に申し上げますが、MSAの今回の協定と、それ以外にどういう経済援助が考えられるのかというお話でございますが、これは一口に申しまして、例のランドル委員会の報告にも現われておるように、あるいはアメリカの官辺筋のいろいろな演説や議会での証言などにも現われておりますように、一般的の問題として、アメリカ政府としては、贈与的な意味の経済援助というものは考えないということが基本的な考え方になつておるようでございます。従つてMSAの内容をなすものについては主として、軍事援助でございましようし、それからその他の経済援助という面につきましては、いわゆるオフ・シヨアをできるだけ多くすることとか、あるいはまた前々からの懸案であります外資の導入というような問題とか、そういうような面におきましては、MSAの協定が調印され、実施されるというような新しい事態の起りました以後におきましては、従来よりも話が楽になるというような面は期待されると思うわけでございます。今具体的にどれとこれと申し上げるところまでは私も材料を持つておらない、これが真相であります。
  68. 加藤鐐造

    加藤(鐐造)委員 MSAの援助を、アメリカ日本に関する限り軍事援助を一本として考えており、経済援助をあまり考えておらないということをおつしやいましたが、これはもう初めからわかつておるので、池田君にしてもあなたにしても、国会の総意あるいはまた国民の輿論にかんがみて、この中にできるだけ経済援助を盛り込ませなければならないという考えで、その交渉をするために行かれたものと私どもは解釈しておりますし、またその当時の言論機関もそういうふうに報道をいたしておりました。そうしますと、結果として、池田特使がわざわざ行かれたにもかかわらず何ら見るべきものがなかつた、結局はアメリカの方針通り押し切られたということになると思いますが、あなたは池田特使とは別の使命を帯びて行つたと言われますか、あなたの行かれた使命もそういうところにあつたのではないか、その点についてもう一度承りたいと思います。
  69. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 私が参りましたのは、その当時の閣議決定もござまいすが、日米両国に関係のある経済的な問題等について調査をするというような役目で参つたわけでございます。従つて私はMSA協定それ自体についての折衝等も何らやつたことはないのでありますが、先ほど申し上げましたようにいろいろと調査をし、あるいは先方の人たち意見を聞くということそれ自体は、こういう問題についてもちろん密接不離の関係にあつたわけでありますが、私はMSA協定それ自体の折衝についての権限を付与されて行つたわけではございません。それから池田特使が行つて何もできたかつたじやないかというお話でございますが、これは見方によることでございますので、それぞれの見方によつて批判が違うだろうと私は存じます。ただ当時いろいろ報道機関などにも伝えられて、おりましたように、必ずしもアメリカ政府全体の決定的な意向ということではなかつたのでございましようが、少くとも、部の国防担当関係などの人たちの間には、非常に急速な、非常に大量な、たとえば地上兵力の増強というようなことも考えられておつたようでありますが、そういうこととは別個に、私の私見をもつていたしますれば、今回日本側で自主的に計画いたし、予算がすでに衆議院では通過いたしておりますが、いわゆる保安庁の自衛力漸増計画というようなものが、日本の立場からいつてまことにリーズナブルな程度にとどまつたというようなことは、これらに関連をしてひとつ御判定を願いたい、かように考えております。
  70. 加藤鐐造

    加藤(鐐造)委員 アメリカ日本に期待する厖大な軍備拡張計画を抑えただけでも効果があつたとおつしやいましたが、私どもの想像するところによりますと、池田特使なり——今あなたは別だとおつしやいますが、日本側がもつと積極的な経済援助を懇請しようという意向で行つたところが、向うのいわゆる日本の自衛力漸増計画があまりにも大きなものを持ち出したので、結局こちらの要求を強く主張することができなかつたので、三十五万を十八万とか十六万、十五万というようなふうに切上げさせるのが関の山であつたというふうに聞いております。そこで私はこの日米共同コミユニケに現われております問題について一応承りたいと思いますが、まず中共貿易の問題が取上げられております。コミユニケの中にはあまり具体的には出ておりませんが、これは向うからいろいろと強い要求が出たのを欧州並にするということについての了解を得たというふうにこの間発表されておりますが、この点はどうか、そうしてもしそういうふうであるといたしますれば、これは今後いかなる方法において実現されるかという問題が一つございます。それからもう一つは、ガリオア援助の債権の確認の問題でございますが、この池田特使ロバートソン氏との話合いの間に、ガリオア援助を債権として確認するという話がついた、こういうふうにいわれておりますが、はたしてそうであるかどうかという問題。そうなりますとこれも今後どういう形で現われて来るか。言うまでもなくこれは日本が正式の借款として借入れたものでもございません。国会で決議をして借入れたものでもございませんので、今後どういう形でこれが具体化されるか、こういう問題。それからまたこの共同コミユニケの発表と同時に、アメリカの政府筋で同日発表しておるところによりますと、日本に対する特需七億五千万ドルを維持するであろうというふうに発表されております。これはコミユニケの中には現われておりませんが、アメリカ政府筋が同時に発表しておるところを見ますと、当然話合いの中にも出て参つたのではないか。非公式の話合いというようなものもあつたのではないかというふうに思いますので、この点について承りたい。その内容としては、朝鮮復興特需の買付の問題、あるいはまた東南アジアの後進国開発計画に基く買付の問題等がおもなるものではないかと思いますが、もちろんその間にアメリカの駐留軍が日本において買い付けるもの等もございまするか、そういうものを含めておそらく七億五千万ドルという数字が出て来たのではないかと思います。これらの点についてお答え願いたい。これは知らぬとおつしやらないで、もし話合いに出ておるものならばお話を願いたいと存じます。
  71. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 まず第一に中共の問題でございますが、これは今私ここにコミユニケを持つて来ておりませんので、正確な文章を忘れましたけれども、この日本が中共との貿易を促進したいということは、日本側としても非常な希望であり、アメリカ会議出席者アメリカの立場を述べた。しかしともかくもこれは両国の正式の政府係関の間で、必要ならばまた話合いをしようじやないかというような趣旨であつたと思うのでございまして、この問題についてはその会談の席はともかくといたしまして、あらゆる機会に日本側としては中国との貿易も大いに促進しなければならないのだということの必要性なり、あるいは日本国民のこれに対する考え方等を説くのに私は努めたわけでございますが、それらについてもし日米間に必要があるなら、また正式のいわゆる外交係関等を通しての話になるのであろうと私は思うのでありまして、そういう気持がそのコミユニケの上に出ておるのであります。それからガリオアについては、今御指摘の通りでございまして、日本側としては、総理以下しばしば答弁いたしておりますように債務と心得えておるということは申しておりますけれども、しかしこれが法律的に日本の債務となつておるわけでもございませんし、またそうするということが必要であるということになれば、当然国会の議決を経なければならぬ問題だと考えるのであります。この問題については、これもコミユニケの文句を正確には記憶いたしておりませんが、要するに東京でもつて話し合つてみようじやないかという提議があつてこれに応じたということになつておるのでありまして、その後政府としてのその後の進み方を私は全然存じておりません。すなわちいつどういうふうな方式で会談を始めようというようなことはまだきまつていないものと了解いたしております。それからもしそういう話合いが先方の希望で始まるというようなことになれば、それはそういう新しい事実を基礎にいたしまして国内の手続その他を考えなければならぬものである、こういうふうに考えております。  それから特需七億五千万ドルのお話でございましたが、これはそのコミユニケの発表された同日にこういう発表が出たのであつたかどうか私は記憶がないのでありますが、しかしコミユニケにはもちろん出ておりませんけれども、先般来当委員会で現在の状態においても私が力説して御説明しておりますように、昨年一年間の、あるいは二十八年度の実績から申しましても、八億ドル前後の特需があるわけでございますが、二十九年度においては七億六千万ドルというのをわれわれとしては計画をいたしておる。輸入計画の積算の基礎としては大事をとつて五千万ドル、これから低いところで輸入計画は立てておりますけれども、私どもとしては八億ドルくらいまでとりたいものであるというふうに考えております。あるいはそれ以上にとらなければ日本の国際収支は安泰でないというふうに、今もつてこれは大いに重点を置いて考えておることでございますから、以前私どもが滞米中におきましても、とにかく日本が特需などによらないで、どうしても自力で国際収支の改善をするという努力は一方において非常にしなければならぬけれども、差向きここ一、二年の間はとにかく外貨の収支の状況からいつてもこれはぜひ頼みたいところであるということは率直に訴えもし、説明にも努めました。大体原則的にごもつともだ、自分らとしてもその日本の国際収支の均衡計画についてはできるだけの協力を惜しまないという発言の中に、数字なども非公式の会談でございますから、自然責任を持つた数字が出て来るわけではございませんけれども、今おあげになりました七億五千万ドルよりももつと多い数字が、そういうところの話題にはしばしば出ておつたことは事実でございます。私どもはそれをさらに分析して、どういうふうなことにこの内容がなるのであろうかというようなことについても、ずいぶんと検討し分析をしたいと思つたのでありますが、それらの検討は必ずしも私どもとしても十分な成果を上げることはできませんでした。抽象的に申しますと八億ドル前後という話はしよつちゆう出ておりました。
  72. 加藤鐐造

    加藤(鐐造)委員 特需の内容についてはまたあとで質問をいたしまするが、そこで簡単でしたが今までの御答弁から判断いたしましても、いわゆる経済の面においては大した期待は持てない、こういう結論になるよでございます。そこで私はあらためてお尋ねしたいことは、昨年の六月二十四日にMSAの援助を受けようという腹をきめたと政府は言つておりますが、とにかくそのとき政府がアメリカにMSAの日本に対する援助の方針について問い合わせたとき以来、日本の経済の安定が先決要件であるということを至るところに言つておりますると同時に、いろいろな文章の上に現われております。たとえばアメリカの回答の中にも、まず日本の経済が安定し、発展することが先決要件であると考えるというふうに回答しております。こういうことを言つてもらいたいという質問をこちらからしたためであろうと思いまするが……。この文句から考えますると、現在の日本の経済が安定しておるからいわゆる防衛力の増強計画が立てられるという意味なのか、あるいは日本の経済を安定させるために経済援助が必要であるという意味なのか、外務省関係の方がおいでになりませんからして、あるいはこれは質問することが無理かもしれませんけれども、あなたはこのときの回答の文章からこれをどういうふうに判断されるかということをまず承りたい。
  73. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 その回答の文章の文理上の解釈がどういうふうになるかということは、別に外務省筋からお答え申し上げた方が妥当であると思います。私はそれとは離れて、考え方の基礎でございますが、私は何としても日本の経済自立が確保される、日本の経済が安定するんだということが前提であつて、その上に初めて防衛力の増強ということが考えられるのである、私はかように考えます。従つて一面において日本の経済自立を達成するために必要な援助ができるならば、これは外国からももらいたい。そうかといつて、それに対していろいろなひもがつくことは困ることは申し上げるまでもないと思うのであります。同時に日本経済の安定が第一だということ、日本自体がやるべき自衛力増強も、そのテンポなり規模なりは大きなものであつたり、あるいは小さいものであつては困るから、またさらにその次にそういう考え方から適当な規模の大きさのいわゆる防衛力でございましても、それをつくるために援助がもらえれば、これもまた当然に期待したいというところであります。その相互の関連はかなり複雑な態様になると思いますが、基本的な考え方は、私は経済自立が前提だということに間違いはないと思います。
  74. 加藤鐐造

    加藤(鐐造)委員 今回のこの協定の前文の中にある「日本国のための防衛援助計画の策定に当つては経済の安定が日本国の防衛能力の発展のために欠くことのできない要素であり、」というような、こういう文章の解釈について私は明確にしなければならないと思いますが、外務当局でなければ答弁できないとおつしやれば、これは後の問題にいたしますが、今大臣が、経済の安定がやはり先決の要件であるということは明確に答弁されました。これはだれが考えてもその通りであると思いますが、そうすると日本の経済は安定しているかどうかという問題になつて参ります。日本の経済が今安定していると考える者はだれもございません。ますます不安定な状態になりつつある、日本の経済は悪くなりつつある、これはだれしも考えておるところでございます。そうすると経済援助がほとんどない。少くとも今回の協定によつては経済援助というものはほとんど生れて来ない。一千ドルといういわゆる贈与以外にはほとんどないのだ。あとは日本がいろいろと期待しておるだけであるということになりますと、私は今回のMSAの援助というものは、アメリカから強要されたために、この先決要件である日本の経済の安定がないのに、いわゆる防衛力の増強を急がなければならない立場に追い込まれた、こういうことになると思います。その点について大臣はどうお考えになるか。私は経済の安定しない前に日本の防衛力を今日以上に——現在でも日本の実力不相応なものであると考える。むしろその前にもつと経済の安定をはからなければならないと考えるのであるが、さらにこれを増強しようということは一体どういうことであるか。今答弁されたところを見ると、結局あなたは安定が先決の要件であると考えながら、経済の不安定のままに防衛力の増強を今日やらなければならないことになつたという具体的な事実がMSAの援助によつて現われておるが、この点はどういうふうにお考えになりますか。
  75. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 その基本的な一つの問題の取上げ方について、私は率直に申しまして、大分お尋ねの点と私の考えとは違うように思うのでありますが、経済自立ということがあくまで第一義であるということは、私は何べん申しても間違いないことだと思う。しかしこれがかくのごとくなつたならば、そのときに初めて自衛力ということを考えるのだというのは、私は同時に間違いだと思うのでありまして、私は独立国である以上は、その分に相応した、また逆に言えば、国民経済に対してこれ以上不当な圧迫を加えない限りにおいて、みずから守る力を徐々にではあつても持ちたいというのが私たちの基本的な気持でございます。従つて私はどういう客観的な公式ができるかわかりませんが、一つの経済安定がここまで来る間は、一つも防衛力を持たないのだという考え方は、私はとりたくないのでございます。そういう考え方から参りますと、先ほども申しましたように、経済自立それ自体に対しての経済的の援助というものかあれば、望ましいということはもちろんでございます。それから第二には、国力がまた十分ではないのでありますから、その間につくろうとするところの自衛力の増強については、これに対しても日本国民の経済負担にならないように、相当の部分が援助でできればこれもまたけつこうではないか、こういうふうに考えるわけでございます。さらにその第一の経済自立に対する援助ということは、これはアメリカの経済の現状から申しましても、あるいはもつと抽象的な議論から申しましても、一体経済援助というようなことをそうそう他国が考えてくれるものでもないのではなかろうかと思いますし、もしかりにそういうことがありとした場合におきましては、先ほど申しましたように、いろいろのひもがつくといようなことは、これはできるだけ避けなければならないということも考えたいと思うのでありまして、私は、なるほど今度のMSA協定それ自体から来るところの経済的な問題は、しばしば御指摘がございましたように、五千万ドルの過剰農産物を日本の不況対策として入れて来るということ、その価格が初め予想されたように高くないということ、外貨を使わないでこれだけのものが入るということ、それからその中の二割が贈与になつて、防衛生産その他に対する金の手当ができるというようなこと、そういう意味からいつて、この点は、私ども考え方では有利なとりきめだと思いますが、それ以外にも何もないではないかと仰せになるかもしれません。しかし一方におきまして、わが国の産業に対しての域外の買付がふえるというようなこと、そのほかに一般産業に対する発注も期待できようと思いますし、また先ほど申しましたように、コマーシヤル・べーシスのものではあつても、両国の雰囲気が非常に友好的になるということであれば、コマーシヤル・べーシスではあつても、米国側の銀行その他からの資金の導入といことも、現在までのところよりは、いろいろ話合いが具体的に進み得る可能性があるのじやないかというようなことを考え合せますと、私はこの協定に伴う経済的の効果というものは、相当なものがあるというふうに考えているわけでございます。
  76. 加藤鐐造

    加藤(鐐造)委員 いろいろな協定やとりかわした文書の解釈については、議論していると長くなりますし、外務省の関係の方もおいでになりませんからやめたいと思いますが、今大臣がおつしやつたような考え方ですと、私はこの協定の中に、ことさらに「経済の安定が日本国の防衛能力の発展のために欠くことのできない要素であり、」というようなことを入れる必要がない。経済の許す範囲内でやるということを書けばいいのであつて、外国の文書というものはまわりくどいものであるから、こういうことになるという見方もあるいはあるかもしれませんけれども、私はどうもこの点納得できない。これは国民をごまかした文句である。いかにも経済的な援助を考えている、いわゆる日本の自立経済の達成という点に重点を置いているということを、言葉の上でごまかしたにすぎないのではないかと私は思う。おそらくほかの人の受ける印象も、そういう点にあると思うのでございますが、その点について一体それはごまかしでないというお考えであるかどうか。この条約上の解釈は外務省にまかせると言われますけれども、大臣は一体個人としてどういうように考えられるかという点を、もう一度承りたいと思います。
  77. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 先ほどのお答えと同じことを繰返すだけで、まことに恐縮でありますが、経済の安定ということか、そもそも自衛力の増強いうようなものを考える場合に、その基礎として絶対に考えなければならないことであるという気持が、私はここに出ていると思うのであります。必ずしも経済の援助をやるから自衛力を増強させる、そういうギヴ・アンド・テークの気持が出ているものじやないのじやなかろうか、こういうふうに思います。
  78. 加藤鐐造

    加藤(鐐造)委員 そこで麦の輸入買付の問題ですが、これが非常な日本の経済援助になるというような宣伝、あるいは政府もそういうことを言つているようでありますが、私はアメリカのでき過ぎた小麦を、いわゆる世界的な価格で買うのに、これが非常な手柄であつたというようなことを言われるのは私の方として迷惑しごくだというふうに考えるものでございますが、もしこれがもう一歩進んで日本に対する援助というようなことを考えたならば、米国はパキスタンに対しても七十万トンというような小麦を無償で与えおる。そういうことを言うと、日本は独立国であり、またいわゆる日本の建前からいつても無償でもらうというようなことは、というようなことをおつしやるかもしれませんけれども、しかしながらこの買付代金の中の一千万ドルか贈与せられるということを、非常に誇大に、経済援助であるというふうに言つておられるところを見ると、必ずしもそういう考えでないわけですが、とにかく私どもはこれが非常に大きな経済援助であるというふうには思わない。そこで一千万ドルの金は日本の工業生産及び潜在的経済力の発展を援助する目的で農産物の購入のための資金にこれを充てたのでありまして、日本の兵器生産の資金としてこれを使うということでございますが、私どもはここに現われた——また言葉の解釈になりますが、工業生産及び潜在的経済力の発展というならば、兵器生産に限られるべきではない、むしろかりに兵器生産というものを日本でやる必要を認めるとしましても、日本の工業全体の基礎を固めるためにこれを使うべきではないか、いわゆる兵器生産にのみ重点を置いて工業力の発展をはかるということになりますと、日本の経済は非常に危険な状態になつて来る。たとえば日平産業のように兵器生産に重点を置いたために常にその企業が不安定であつて、遂に倒れてしまうというような一つの事実もわれわれは見ております。なぜこれはこの言葉の通り日本の生産力の発展のために、あるいは潜在的経済力の発展のために、兵器産業ということに限らずにそうした基礎的なものに使うように交渉されなかつたか、こういうような点について承りたい。
  79. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 この条文は、御承知のようにいろいろな話合いの結果、両国の代表者間においてこの字句を練りまして、こういうかつこうになつておるのでありまして、その一つ一つ日本だけの頭で見ますと、こういう表現よりはこういう表現がよかつたというようなことも私はあると思います。これは率直に認めます。しかし基本的な考え方は、これは防衛産業に使うことに限定されているわけでもございませんし、一般の工業力の増強に使うということはもちろんこの協定からは出て来るわけでございます。しかしここでちよつと御説明しておきたいと思いますのは、現実の問題として私どもは、たとえば先ほど申しましたように特需に対して相当の期待を持たざるを得ない状況である。それからたとえば保安庁におきまして二十九年度にある程度保安庁自体が必要とする装備等を国内でつくらなければならない。そこで保安庁自体の発注の確実なもの、あるいは特需の面からいうてこれだけの設備があれば特需がとりやすくなるというようなものか具体的にあるのでありまして、しかもそのためにはいわゆる設備資金として現在の資本の蓄積力では足らぬ、かように思うのでございます。具体的に現在考えますと、そういうところに出した力が国際収支の改善というような面からいつて有利であるというものもございますので、まだ政府部内でこの千万ドル相当額の使途についてははつきりした結論を得ておりませんけれども、協定自体とすればこれは幅の広い考え方で行ける、しかし実際具体的な問題となりますと、いわゆる防衛支持的な工業関係に現実の問題としては比較的多くのものをさいていだだかなければ、今の特需の計画などの遂行が不十分にしかならない、こういうふうな考え方を持つております。
  80. 加藤鐐造

    加藤(鐐造)委員 時間がないそうですからできるだけ簡略にいたしますが、それは必ずしも兵器生産に限つて使えるというひもがついておるのではないとおつしやいます。それからもう一つついでにこの問題について承りたいことは、残余の一千万ドルの日本に対する贈与であるが、残余の四千万ドルの使途でございます。これはアメリカがかつてに使うものでありましようか。この点について何らかの話合いがあるのかどうか、これは日本においてアメリカが使う金であるけれども日本において物資を買い付ける場合においてのみ使うとか、あるいはまた東南アジアの域外買付等に対しても、この資金が使われるのかその点承りたい。
  81. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 この点につきましても正確にこまかいデータは私どももまだ入手しておらぬのでありますが、確実な連絡として受けておりますことは、今後今年の六月末までの米国会計年度分におきまして当初からの予定として伝えられておりました、五千五百万ドルのいわゆる域外注文、これは約六千万ドルということで、六月までに注文ができる。これはドル払いでございます。それにプラスいたしまして四千万ドル相当の円でもつて日本国内で支払われるとところの域外注文に充当する、こういう計画でやりたいということは、関係筋から私の方へも直接あるいは間接に連絡を受けているわけでございます。
  82. 加藤鐐造

    加藤(鐐造)委員 そういたしますと、この農産物買付の額というものは、今後増額される見込みがあるのか、あるいは贈与の額についてもそういうことが考えられるのか、これを承りたいのであります。
  83. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 ただいままでに御答弁申し上げましたのは先般の五千万ドルの協定について申し上げたのでございます。実は御承知のように、今年の一月にアイゼンハウアー大統領が、今後約十億ドルの過剰農産物を処理することに関連して、今後三年間の対外援助計画をつくるということを発表しておりますか、このアメリカとしての計画の対象の一環には向うの考え方として日本が入つておることは当然だろうと思います。通産省としてまだ正式に外国側から何らの通報を受けておりませんけれども、私どもとしては、この問題については慎重にあらゆる条件、あらゆる場合を想定してみる。これが多く入ればそれだけいいといつたような単純な問題ではないと思いますので、これに対するわが方の考え方、その中に参考にしてもらいたい通産省あるいは経済審議庁としての考え方というものを現在慎重に検討いたしまして、政府部内の意思の統一に備えておるような次第でございます。
  84. 加藤鐐造

    加藤(鐐造)委員 私は実はMSAの援助によるところの防衛力の増強と経済自立の関連についてもう少し具体的に質問したいと思いましたが、時間がございませんので、しり切れとんぼのような質問でありますが、これでやめますけれども、私はこの際一言したいことは、自立経済と防衛力の増強という課題が、吉田内閣の従来の終始一貫した方針であつたと思う。そこで私はこのMSAの協定の問題——結ばれたこの協定の内容を見ますと、いわゆる自立経済に役立つものが非常に少いということになる。大臣はいわゆる防御力の増強、いわゆる自衛力の増強は、これは独立国として必要なことであるからやらなければならぬとおつしやる。しかしながら吉田内閣の従来の方針は、自立経済と防衛力の増強を一つの一貫した切り離すことのできない課題として、そういう方針をとつて来られた。そこに、従来の方針に大きな矛盾があつた。この点について、私はなお具体的な問題をいろいろ承りたいと思いましたけれども、MSAの援助と離れる問題になつて参りますから、これは後日に譲ります。  本日私は質問したいと思つておりましたが、時間がございませんから、この際資料として出していただきたいものがあります。それは特需の収入の問題でございます。二十八年度については、もうすでに資料が整つておると思いますが、二十八年度のいろいろな内容別について、たとえば駐留軍関係の購入あるいは駐留軍軍人個人の使用した金額あるいは朝鮮における買付あるいは東南アジアの関係というものについて、できるだけ項目別に資料を御提出願いたい。  なお、二十九年度については、今大臣は八億ドルを予定しておる、それを上まるものを予定しておると申されましたが、私どもはその八億ドルというあなたの期待については、非常な不安を持つております、従つて大体その内容について、ただいま申し上げましたような内容別に、どれくらいのものが現われて来るかという点について、文書でけつこうですから御提出を願いたいと思います。これで私の質問を終ります。
  85. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 ただいまの加藤さんの御要求、承知いたしました。ただ、先ほど私あまりざつくばらんに申し上げたのですが、八億ドルあるいはそれ以上というのは、私の希望でありまして、政府の計画としては、先ほど申しましたように七億六千万ドル、あるいは輸入のもとになる計画としては、七億一千万ドルというふうに二十九年度見ておりますから、その内容を差上げることにいたします。
  86. 大西禎夫

    大西委員長 次に川上君。川上君に申し上げますが、今参議院の予算委員会から大臣に早く来てくれという要求が来ておりますので、お約束を二十分ぐらいにしていただきます。お願い申し上げておきます。
  87. 川上貫一

    川上委員 実はMSAの問題について、ことに経済問題に関連していろいろ聞きたいことがあるのですが、とても時間がなくて、きようは聞けません。先ほどから加藤委員質問に対して大臣がお答えになつておるのを聞いていても、アメリカに対する考え方がわれわれと相当違うことが明らかになつて来ました。そこで私は、直接MSAに関係いたしませんが、通商大臣のお考え方を少し聞いておきたいと思います。時間がないので、質問をまとめていたしますから、あとで簡略に要点だけをまとめてお答えを願いたい。  第一点は水爆被出の問題なんです。第五福龍丸の問題で、アメリカの両院の合同原子力委員長のコールは、日本人の漁船や漁夫の被害は大げさに報道されておるが、これは日本人か漁業以外の目的で——もちろんスパイ行為でという意味でありますが、実験区域に来たかもしれないということを言つておる。これが報道されておる。それからジョン・パストア上院議員は、日本人の漁夫の傷は大したことはない、これは皮膚にやけどをしただけであるという暴言をしておると思うのです。ちようどそれと符節を合せるように、アリソンアメリカ大使は、被害に補償するということの申出はあつたようでありますが、いまだ一言も陳謝の意を表していない。実に傲慢不遜なアメリカの態度だと思うのですが、これに対して吉田政府はどうお考えになつておりますか。これが第一点。  第二点は、アメリカの申入れによつて政府の方では、ビキニ水爆の被害漁夫の治療や衛生問題で、通産省も加わつてアメリカ極東軍の軍医や極東空軍の軍人や、アメリカ大使館の情報官などと日米連絡協議会というものをつくつておられるようでありますが、日本人は明らかに被害者であります。アメリカ政府は歴然たる加害者であると思う。この重大な被害を受けた日本が、不法とわれわれは考える加害者であるアメリカの軍人や情報官と、どういうわけで合同協議しなければならないか。通産省、厚生省も加わつてやるというけれども、何でこんなことをしなければならないか。これが第二点であります。  第三点は、アメリカは水爆の実験を理由にして公海をかつてに専有しておると思う。このために日本の経済に直接的な影響が加わる。しかもアメリカは危険の海域を、直径約百マイルから突如として四百五十マイルに拡大しておる。国際法上これは前例がない。そのために日本の漁夫、漁業が影響を受けるし、日本の経済に大打撃を受ける。これが一つ。またアメリカは信託統治のもとにある住民に重大な危険を与えておる。これは信託統治の精神からいつて、住民に危険を与えてはならない、生命財産を保護しなければならないことになつておるのに危険を与えておる。これは明らかに平和と民主主義の破壊であつて、国際憲章の違反であると思うのです。政府の方では、水爆の実験に協力するということを岡崎大臣は言つておられるようでありますか、これに抗議をし——日本の政府として国際憲章の立場から、また日本の利益を守らなければならない立場から、これに対してどういう態度と処置をとられるつもりであるか。これは直接日本の産業経済に影響すると思うのですから、第三点としてお尋ねいたします。  第四点として、ビキニの水爆の被害は、アメリカの市民を含む全世界の人人に大衝撃を与えたと思うのですが、特に日本の国の中では、単に漁業者ばかりではありません。国全体が直接の被害者として、世界の平和を望む人々と一緒に、どうしても五大国その他の話合いで原爆の禁止をしてもらわなければならぬという考え方が、ほうはいとして起つておるのであります。国会でもこの問題が重要な問題となろうとしておるのでありますが、政府の方では、どう考えておられるのであるか。通産大臣加藤委員に対する答弁だけを聞いておりましても、日本の政府は独立した国だと言つておりますが、どうもその見地から考えアメリカに対する考え方が、大体隷属的であつて、MSAの問題でもそういう形をとつておると思います。  以上の四点について、経済審議庁長官として、また閣僚の中の通産大臣として、どうお考えになるかという点を、要点でけつこうでありますからこの際お答えを願いたい。この四点であります。
  88. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 ただいまお尋ねの問題は、もちろん私も国務大臣としての立場におきまして、責任を回避するものではございませんけれども、的確な御答弁を申し上げることは、他の閣僚の方が適当であると思います。従つて私の申し上げますことは、十分な御満足を得ないかと思いますが、とりあえずお答え申し上げます。  四つにわけてのお尋ねでございますが、第一の、水爆の被害というものは、わが国といたしましてはたいへんな問題であるという御指摘の点は私もまつたく同感でございます。これは今後の経済問題とかあるいは補償の問題とかいうだけではなくて、もつと大きな政治的な問題であると考えるのでありまして、とりあえずこの被害の対策について、政府として国務大臣を長といたします特別の対策協議会をつくりまして、これら関係各省と緊密な連絡をとつて、とりあえずの対策に遺憾なきを期しておりますことは御承知通りと思います。たとえばあとの方でお尋ねが出ましたか、損害の補償の問題あるいは船舶の始末の問題あるいは研究治療の問題というようなことにつきまして、毎日のようにこの会合は活発に働いておると了解いたしております。  それから第二の治療その他の日米間の連絡協議会は、原告と被告とを一緒にしたようなものであつておもしろくないからとこういうお話でございます。これは見方によるとそういう点もあろうかと思うのでありますが、実際上早く仕事をして参ります上におきましては、やはり直接に関係当時者同士が協議をいたしまして、迅速に措置をやるということが私は適当ではないかと思うのでありまして、いろいろ法律論的その他から申しますと、あるいは第三国に依頼するとかあるいは国際的な機関に移すとかいろいろの方法も考えられましようが、とりあえず手取り早く処置を考えるという場合におきましては、こういうやり方か最も実際的で妥当であると考えます。  それから第三の公海の利用、国際法上の見解等につきましては、これは私あまり国際法をよく知りませんから、常識的なお答えをいたしますことはかえつていかがかと思いますから、この点についてはお答えをいたしません。ただ先ほどお話がございましたように、産業経済の面にも重要な関係がある問題であつて、その点について君の意見はどうかというお尋ねでございましたが、この点は第四の御質問と関連してお答えいたしたいと存じます。  第四は、原子力というもの全般に対して政府はどういう態度をとつておるかというお尋ねでございますが、これはたまたま私も、原子力の問題というものは先ほど申し上げましたように単なる今回の問題だけではない、非常に大きな問題であると思いますので、政府側としてもこの原子力の利用等について、まず法制的な整備をどういうふうに考えるか。あるいは先ほど申しましたように、今回の被害が起りましても、これを一まとめにとりまとめて処理する機関がございませんが、政府内としてはどういう機構が、——この原子力の問題は、国際政治あるいは人類の運命、平和というような大きなところから、卑近なところではこれの工業化利用に至りますまで、各般の問題があるわけでございます。こういう点について、政府部内としても至急各方面の意見を入れて、これに対してどういう態度をとつて行くかということをとりまとめようではないかということを、たまたま私も非常に気になりましたので、先般の閣議でも発言をいたしまして、現在これに対する政府の取上げ方の対策を至急講じておる次第であります。その際もちろんただいまお尋ねの国際憲章の問題や、あるいは産業経済に及ぼす影響、あるいは未然にいかなる対策を施すかというようなこともあわせて考えたい、こういうふうに考えております。
  89. 川上貫一

    川上委員 時間がありませんから、あと二つだけ質問しておきますが、アメリカに対して陳謝させる気持があるかどうか。賠償の要求だけではなくて、これは国際的な慣例からいいましても、いかなる場合においても当然のことだと思う。ところがアメリカはこういうことをしておりません。そうして賠償だけはすると言うておるのであるが、そういう意思表示はしておらぬ。これは一国と一国との間において私は重大な問題であろうと思う。  それからもう一点は、原爆を日本の中でどうするかという問題もありましようが、五つの大国が話合いによつて原爆の禁止のとり結びをするということに対して、政府はどう考えるか。この二点を、簡略でよろしゆうございますから、お答えを願いたい。
  90. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 失礼いたしました。先ほど第一のお尋ねの中で、アメリカが被害はきわめて僅少なんだ、やけどくらいのものだと言つておるというお話がございましたが、これは実に不穏当なことではないかと思います。ただこれが公式の見解であるのか、あるいは単純に医者としての見解であるのか、そこら辺のところはわかりませんが、先ほど申しましたようにこの水爆の被害ということは私はたいへんな問題である、そういうふうに考えております。  それでアメリカに陳謝を要求する考えがあるかどうかというお話でございますが、これは外務大臣等からお答えいたした方がよろしいかと思います。  それから第二の問題は、実は率直に申しまして従来政府の研究も十分でなかつたと私は思うのであります。先ほど申しました第四の点に触れますけれども、こういう問題を至急取上げて、政府としての自主的な、白紙の上に立つて、この原子力問題というものにどういうふうに対処したらいいかということを検討いたしたいということを、私も提議しておるような次第でございます。従つて今すぐこれに対してどうというところまで、まだ政府の見解としては統一しておりません。
  91. 大西禎夫

    大西委員長 それでは今政務次官を呼びに行つておりますから、参りますまで、暫時休憩いたします。     午後二時七分休憩      ————◇—————     午後二時三十五分開議
  92. 大西禎夫

    大西委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  貿易に関する件について調査を続けます。齋木重一君。
  93. 齋木重一

    ○齋木委員 私は目下汚職疑獄等に対して世間を騒がし、国民の批判を受けている問題のうち、通産省の関係といたしまして、アルコール専売公社の不正事件に対して、当局は次官初め御存じになつておるかどうか、一言お問い申したいのであります。  どだいアルコール専売の機構といたしましては、私どもの聞くところによりますと、酒精産業株式会社、アルコール工業株式会社の二社を指定をいたして、これを払い下げておるということになつておるそうであります。全国の区域を二社に分割いたし、独占させておる。酒精株式会社の区域は東京、仙台、北海道通産局管内、アルコール工業株式会社の区域は名古屋、大阪、広島、四国、九州の各通産局管内に分割しているそうであります。そうして昭和二十六年度からアルコール工業株式会社では約三億の未納金が今日まで残つておるということを聞いておるのであります。これはわれわれの知るところでは、すなわち浮貸し、焦げつきに原因があるようであります。もともとアルコールの代金決済が、三箇月の延納期間があることを利用して、悪用して、こういうばかげたことをやつておるので、本年の三月の検察当局の摘発によつて社長は辞職をいたしましたが、後任の社長は通産省の元鉱山局長である久保喜六氏が就任をいたしておるのであります。これらの内部におけるところの職員の腐敗も今日粛正ができないままになつておることをまことに遺憾に思うのであります。この三億円の未納金の処理に対しては、アルコール工業に将来五箇年間に払い込ましめるということの条件をつけて就任をさしたということも聞いております。それから酒精株式会社も約三千万円の焦げつきを持つておる。これらの返納は三箇年間の期限をつけてやつておるということも聞いておるのであります。アルコール専売の代金がかくのごとくに未納のままに放任されておるということは、まことにずさん千万であり、監督官庁であるところの通産大臣並びに当局は、いかなる処置をもつてこれを善処せんとするか、われわれは実に疑わざるを得ないのであります。一言つけ加えておきますが、このアルコールの三億円の赤字の原因は、父島におけるデレスコンという農薬の問題で、この権利アメリカからとるために進駐軍その他に約一億円の運動費を使つて、これが焦げつきの原因となつておるということも聞いておるのであります。またアルコール工業株式会社の静岡の事務所の事務員が百万円からの使い込みをやつておるにもかかわらず、幹部が前述のごとき不正なることをやつておる関係上、これらのものを粛止することもできず今日に至つておるということは、まことに遺憾千万なことである。これらに対して当局はいかなる処置をなさんとするか、私どもは最も遺憾と存じておりますので、これらの成行きに対し、また今後対処せんとするところの心構えその他をまず承りたいと思うのであります。  次には、林野庁長官が見えましたから質問をいたしたいと思うのでありますが、米材の輸入に関して、二十八年度の下半期の外貨予算の米材追加分の百七十万ドルの本月十八日の通産省の商社割当の決定であります。聞くところによると、これらは大体において林野庁の内部において、こういう割当をやつておる。この外材の割当は三十社に割当ててありますが、人体専門的に、また実際にこれを取扱つておる今日までの商社は三十社中五社か六社しかないと思います。第一番には第一物産、安宅産業、岩井、山長、浅野物産、三井木材、田村商会、これ以外には、あとの二十四社というものは木材の木も知らなければ、米材の米も知らないようなもので、これに外貨の割当を最低三千五百五十ドル以上ずつ割当をやつております。そうしてこの輸入の申請手続におけるところの既定契約の優先割当方式を変更しで、二十八年度輸入実績のみを基準として割当てることとしたと発表しておる。しかしこの場合は小額な実績者の割当額が米材輸入の一日の最小取引額三千ドルと抑えたとある。はたしてあやは商事の三千五百五十ドル以上は、実際の米材並びに南洋材を取扱つておる商社が何社あるかということを詳細に検討した上においてこういうことをやつたかどうか。実際においてはわれわれは、三十社中六社以外にはその実績その他といたしましてもないと思うのであります。  それのみならずこの申請締切りに関しましては、本月の二十日一日をもつて即日締め切りをいたしたのであります。これらの申請がさつと二十日に一齊に出て来ましてこれを締め切つたかどうか。これらにも少し臭いところがあるのじやないか。そういうように申請が一日にさつと三十社も出たりすることはないと思う。木材界の人々は通産省のこの処置に対しては疑問の目をもつて囂々たる批判をいたしておるのが実情である。米材を輸人するのに三千ドルや五千ドルの割当をやつて、はたして一日当りの買付けがせられるかどうか、実は疑わざるを得ないのであります。三十社に最低三千五百五十ドルずつ割当てて当局がやつておる。こういう認識不足なことをやつて林野庁長官がもしこれらに介在いたしまして、木材の木もわからないような三十社中の二十何社に対して制当てた原因をなしておるとするならば、認識不足もはなはだしいと私どもは思うのであります。また輸入方式は米材比島のラワンは割当制、インドネシヤ及びポンド地域、南洋材はAA、自動承認制と二つの方式をとつておるやに聞くが、明年度の外材輸入の予算四千万ドルの割当方式も、二つの方式においてやるのかどうか。私は自動承認制一本の方式において割当てすることが妥当と考えるのであります。これらに対しまするところの当局の明確なる答弁を願いたいと思うとともに、治山治水の上から見ましても木材輸入その他については重要なる観点を持つへきものでありまして、今や木材の価格は全国的に高くなつておりますが、先般の二十万石の米材の大商社の手持であるとか、また米材といたしまして十七万石、これに百七十万ドルの割当をする、二十八年度末として南洋のラワン材、アビト、カボール材等においては二百十七万ドルの三十一万石を三月六日に割当てられた。そうすると、米材に直しますと、一石当り日本の円貨に直して三千七百円になるのであります。また南洋材におきましても、一石当り二千五百二十円になるのであります。こういうような高い米材を買いつけて、はたして日本の木材界に対する影響はどうなるかということを詳細に検討の上においでやつたものかどうか。ただ場当り式にやることは現政府のやり方でありまして、少しも遠大な理想とか計画とかを持つてつていないことを物語るものと私ども考えております。これら二点に対して明確なるお答えを願いたいと思います。
  94. 古池信三

    ○古池政府委員 お答え申し上げます。  まず第一のアルコール専売に関する問題でございますが、この問題は私の就任前の問題でありまして、かようなことが起りましたことははなはだ遺憾に考えております。これに対しまする措置といたしましては、会社に関しましても厳重に建て直すことを申し渡しまして、人事の面におきましても大刷新を断行したと承知しております。なお国の損失のないように、未支払い分につきましては会計検査院とも十分打合せをいたしまして、今後計画的に国に納入させるようにはからつておるわけであります。なおその数字等につきましては、ここに私資料を持ち合せておりませんので、御必要に応じましてはさらに資料としてお届けいたしてもよろしいと存じます。  それから第二の問題でございますが、これは御承知のように貿易関係が非常に昨年下期から悪くなりまして、外貨事情が逼迫した関係上、自動承認制はでき得る限りこれを縮小して参る方針でおるのであります。お尋ねの木材の輸入割当等につきましては、主管省の農林省と十分に協議をしてその割当をやつておるのでありまして、私どもとしてはその間に何ら不正はないと考えておりますが、なお詳細につきましては農林省の方からお答えを願いたいと思います。
  95. 柴田栄

    ○柴田政府委員 第一点の、年度末におきまする追加割当分に対しまして、特に米材関係百七十万ドルの追加に対しまして、三十社を選定し、しかも非常に小口に、実際に扱つていなかつたような商社を選んだのではないか、それに林野庁が関係しておるんではないか、こういうお尋ねでございまするが、商社の選定は一切私どもの関係しないところでございまして、輸入された際のいろいろな調整関係等に関しましては、国内の需給価格の調整等に関して御相談はいたしておりまするが、商社の選定は一切私どもでは関係いたしておらないので、その点は何か誤解があるのではないかと存じます。なお私どもといたしましてもその経過を詳細に調査をいたしてみたいと思つておりますが、はつきりと私どもは何ら関係していないということを申し上げざるを得ない、かように存じております。  それから第二点の、現在米材の輸入材の価格あるいは南洋材の価格が高過ぎるために、日本の材の価格をつり上げるのではないかというような御質問のようでございまするが、現在の価格からいたしますると、品質によりまする評価を妥当にされておりまして、現在入つております米材等が、内地の針葉樹の価格と比較いたしまして、大体平均あるいは多少安いくらいの傾向になつております。米材を高く入れるために、内地材がつり上がるという傾向は、現在においてはないと申し上げ得ると存じております。  それから南洋材に関しましても、最近のラワンを対象といたします輸出ベニヤの原料といたしまして、内地の闊葉樹と比較してかえつて多少安目であるという傾向でありまして、一時は逆にラワン材が非常に格安に入るために、内地の闊葉樹材の取引を非常に不活発にしたという時代もあつたのであります。しかし最近は大体平衡かとれておるという現状であります。全体の需給の調整のために、二十八年度程度は二十九年度においてもぜひ必要だと考えておりまするが、現在の価格で輸入することによりまして、わが国の木材の価格を安定させこそすれ、これを撹乱することはなかろうと私は考えておるのでございます。
  96. 齋木重一

    ○齋木委員 今長官は、商社の選定に対しては関係がないとおつしやつたから、それを一応信じます。そうすると、この三十社の選定、また申請の受付等に対するところの処理は、どこでやるのですか。
  97. 岩武照彦

    ○岩武政府委員 実は突然のお尋ねなので、そういうことで木材の輸入をやつておりますか、私実は存じません。後刻詳細に取調べて御回答申し上げたいと思います。ただこういう事情かと存じまして御答弁申し上げます。  南洋材の方は、ポンド地域あるいはオープン・アカウント地域が多いのであります。在来から自動承認制をとつております。従つて商社の割当ということは行われませんで、いわば申込みに応じて金融をつける。しかも役所の方でそれを許可するとかしないとかいたしませんで、銀行の窓口限りで——簡単に言えば信用状を開く金がつけは、そのまま取引ができるという形になつております。明年度つまり明後日から入ります二十九年度におきましても、自動承認制は、先ほど政務次官から申し上げましたように、できるだけ狭めたいとに存じておりますが、ポンド地域は過般の日英支払協定の趣旨もありますので、これは自動承認制のままで実施することと存じております。  それから米材の方でございますが——お尋ねは多分米材の方だと思いますが、私実は先ほど申し上げましたように、これはどういう割当方式をやつておりますか、つまびらかに存じません。ただ想像できますことは、御承知のように米材の価格は、従来は船運賃が高かつた等の関係で、入れても内地ではけなかつた、特殊の大口径の材木以外は、国内ではなかなかはけにくかつたと存じます。最近国内価格が上つて参りましたのと、船運賃の低下等もございますので、現在ではある程度入つておると思います。商社別に割当をいたしまするか、あるいはその他の方式で輸入しておりまするか、実は今のところ御答弁申し上げる資料を持つておりませんので、御必要でありますれば、後刻取調べの上御回答したいと考えております。
  98. 齋木重一

    ○齋木委員 これは異な御答弁を承る。三月十九日の木材新聞を見ますと、「商社別割当は、十八日通産省がこれを決定、直ちに関係商社に割当額を通知した。この割当決定に当り通産省当局は予算額一七〇万ドルに対し、申請三十社、総額二四〇万ドルであつたことから当初予定していた輸入申請停止前の既契約の優先割当方式を変更、二十八年度輸入実績のみを基準に割当ることにした。しかしこの場合小額実績者の割当額が米材輸入一口の最小取引金額と認められる三千ドルに達しない点を考慮、一社の最低額を三千ドルに押えこれに実績による割当金額を加算して決定するに至つた。」とあります。決定している問題をあなたは知らなんだ、調査するなどというのは、官房長としてははなはだしいことだ。
  99. 岩武照彦

    ○岩武政府委員 輸入の品物はずいぶんございますので、一々の品物について存じておりませんことははなはだ恐縮に存じております。残念ながら、私は通商局でやつておりまするすべての物資につきまして、即座に御答弁申し上げるだけの研究も何もございませんので、はなはだ恐縮でございますが、お尋ねのことにつきましては、もつと正確に調べてから御答弁申し上げたいと思います。ただ商社に対して、かりに割当制度で輸入いたしまするときに、木材輸入に経験なりあるいは能力の乏しい商社に割当てることは、いろいろ不都合なことも起りますので、多分そこは過去の実績を一応の目安にして、比較的取扱いの経験の少いところに対しては、あるいは割当を遠慮したのではないか、かように想像いたしております。
  100. 齋木重一

    ○齋木委員 そういつた面において、三十社中二十何社は実は木材の木も知らないものが多い。それにもかかわらず、申請しただけでそういうものにこういうふうに割当てた。第一物産には、二十三万一千四十ドル、安宅産業には二十二万二千七百二十ドル、岩井産業には十九万八千ドル、東貿には十二万七千九十ドル、山長に十二万六千五百四十ドル、こういうぐあいにずつと割当てて、あやは商事に三千五百五十ドル割当ててある。これは明確に出ておる。三十あります各商社に対しては、通産省から指令が十八日以後に出ておるはずだ。こういつたような米材の輸入について、三千ドルや四千ドルを割当ててやつたところで、買いつけられるものじやない。失礼だけれども、商社でもないそういうものに一律に、しかも二十社をどう選定して受付けたのか知らないが、これを決定してやつたということは、奇怪しごくた。自分が買いつけられもしないでドルの割当だけをもらつて、このドルはどこに行くのかということをわれわれは考えればならない。みんなドルのやみ売買に行つてしまう。それらを考えていただきたい。こういう取扱いをやつて、三十社に決定した。それを林野庁長官は私の方ではやらないというが、私は林野庁長官がこの原案をこしらえて通産省の方にやつたというように聞いているのです。長官はやらないというから私はそれを信じますが、そうすれは通産当局がどこかの課においてやつておるはずである。  それから米材の問題については、深川であるとか横浜であるとかには二十万石も、日に割れてぱりぱりになつている米材が売れ残つているわけなんだ。これらをも考えてこういうことをやつたかどうか。私どもはふしぎにたえない。それも専門家にやらせるならいざ知らず、何も知らないものにこういうことをやらせ、割当てる。これはちようどやみドルの助長をやつているように私ども考えるが、これを明確にしていただくことを強く要求するものであります。
  101. 岩武照彦

    ○岩武政府委員 どうも突然のお尋ねなので、明確に御答弁できる資料を持ち合せていないのをはなはだ残念に思いますか、ただこういうふうに輸入の問題を御了解を願いたいと思います。かりに商社に割当をいたしますときに、どの商社に対してどういうものを輸入をする、金額幾ら、いつまでの期限に信用状を開く、あるいは支払い期はいつまでということで割当をいたしておりますので、御心配のございましたように——その許可証を使いまして銀行に行きまして、信用状を開いて買いつけるわけでございますので、その金が御指摘のありましたような用途に流用されることは、ちよつとないのではないだろうかと存じます。つまり向うから言えば輸入商、こちらから言えば輸出商でありますが、向うのシッパーと契約の上で、その契約に基きましてこちらから信用状を開きます。それにはちやんと木材のどういう規格のもの、数量幾ら、期限いつというふうな信用状を開くわけでございますので、それに基きまして向うから手形を組み、品物を積み出すわけでございます。その信用状で開きました金額のドルがほかの用途に向けられるということは、これはあまりないのではないかと存じております。  それから今御指摘のありました割当の方式、基準等につきましては、先ほど来申し上げたようにはなはだ残念でございますが、実は現在お答えするだけの資料と知識を持つておりませんので、後刻取調べて御報告申し上げたいと思います。
  102. 齋木重一

    ○齋木委員 割当の方式等は不明だと今官房長が言われたから、後日詳細なることをお問いいたしたいと思いますので、留保いたします。  次官が答弁になつているアルコールの問題に対して、ただ善処しますで日を暮して行つて、そのままに内閣が倒れたら責任はなくなる。こういうようなずるい考えで今日までこういうようなことを処理していたということについては、私たちは納得か行かない。これらに対してどのような明確な処理方法をやつているのか。三年とか五年とかいうような処理方法の条件をつけてやつているのか。アルコール専売というのは、官吏の退避線なんです。前の鉱山局長が社長になつて行くとかいうことになつて一つの機関を持つているようなことにもなつております。金額の点においても私は強くは言いませんけれども、こういう不始末なことで今日までやつていて、知らぬとかいうようなことはどうかと思うのです。この際こういうようなことは明確に公表して、その処理はこういうぐあいにしたということを国民に知らせる必要があると思う。特に専売事業であります。特定の二つの会社に指定して、日本の国を二つに割つて、独占の形態を持つところの独占企業ではないか。その下始末を国家に負担させておいて、もうかつたときには黙つておいて、損をしたときにはこういうことをやられては遺憾にたえないと思います。この処置を急速に整理をしていただきたい。と同時にその覚悟があるかどうかをお問いするのであります。
  103. 古池信三

    ○古池政府委員 御質問の点は十分了承いたしました。ただ本日はアルコール問題について御質疑のあることを承知しておりましたならば、資料もとりそろえ、担当の者もこちらに一緒に参りまして、御納得の行くように十分御説明を申し上げることができたかと思うのですが、実はそのお話を聞いていなかつたものですから、何ら資料も持たないで参りました。従つて私の申し上げたこともはなはだ不徹底のような感を抱かせるのでありますか、この問題につきましては、今後絶対にそういうことかないように、またすでに済んだ問題については、国家に損失を与えないように、返済の計画も立て、人事も刷新いたしまして、遺憾のないように現在処理しております。ただその金額あるいは返済計画の内容の詳しいことにつきましては、追つて担当の者から御説明申し上げることにしたいと存じます。
  104. 齋木重一

    ○齋木委員 要領を得ない御答弁でありますが、この二件の問題については、すべて準備をして来て、明確にしてもらいたいと思いますので、留保いたします。
  105. 大西禎夫

    大西委員長 加藤清二君。
  106. 加藤清二

    加藤(清)委員 私はMSAの援助に関する問題と、それに関連する外貨割当の問題をお尋ねしたいと思つて、すでに二週間も前からお順いしていたのでございますが、大臣は忙しい忙しいの一言で私の質問に対して答弁をする機会を与えていただけない。そのうちにMSAは本会議へ上つてしまいます。死んでしまつてからカノフル注射を打とうと思つても何にもならぬ。死んだ子の年を数えるようなことになつては相ならぬのでありまして、お忙しい次官さんにかわつていただいたわけでございます。従いまして大臣さんのかわりとして次官さんはその点をはつきりお答え願いたいと思います。私の質問はしごく簡単であります。従いまして答弁が簡単であれば時間は短くて済みますから、そのつもりでお願いいたします。  まず第一番にお尋ねしたいことは、このMSA援助は経済援助だということに相なつております。ところがそのおかげで武器等製造の業界は、今の不況を打開しようというので、旱天の慈雨のごとくに考えていたわけでございます。ところが私が調査したところによりますと、これで喜ぶのは、アメリカの武器製造会社で古兵器の処理をもてあましている会社であつて日本の援助にはならない。このような答えが出て来るのでございます。そこで日本業界に、はたしてどの程度の援助がもたらされるものであるかということを、はつきりと御答弁願えれば、それでけつこうでございます。  そこでまずお尋ねしたい問題は、日本業界が受けるところの域外買付ないしは兵器の種類、あるいは先ほど大臣は一般産業の発注も増加すると言つておられましたが、はたして一般産業の何業にMSAの援助のおかげで発注が行われるものか、この点をお尋ねしたい。特に過去の状態を見ますと、日本の武器製造会社の製造状態は、まるでかたわな状態なんです。なぜならば、同じ機関銃にいたしましても、たまは発注を受けるけれども、機関銃そのものの発注は受けない。機関銃に受けたけれども、その一部分の部分品だけであつた。完成したものを注文されたためしはほとんどない。飛行機工場へ行つてみますと、修理はやつているけれども、これをこちらでつくるとか組立てるとかいうことはほとんど許されていないわけであります。それなればこそ私は品目を承るわけでございますが、日本業界としては将来もなおあえてかたわな生産を要求されたければならないのか。それから日本の保安隊で使う兵器くらいは日本の工場でつくらせてもいいと思うけれども、これもつくることが許されていない状況にございます。これは一体将来永久にこういうことが続くものか、もし続かないとするならば、いつのころからほんとうに自立経済、独立した経済のもとに日本の工場で生産したものが、日本の保安隊に使われるようになるのか、この点をお尋ねしたい。
  107. 古池信三

    ○古池政府委員 MSAの関係は、御承知のように昨年愛知大臣も向うに行つて、いろいろ折衝に当られたのでありますから、大臣が一番詳しいわけであります。先ほど私はこの席を退席いたしまして、大臣にかわつてもらつたのでありますか、その際大臣に対してあるいはお尋ねがあつたかと思います。従つて私は同席しておりませんでしたので、大臣の答えと私の答えとがもし違えば、大臣の方が正当なものと御了承願いたいと思います。  経済的援助ではないじやないか、軍事援助じやないかというお話でありますか、これは相手国のある問題でありまするし、アメリカの方針、政策としましては、外国に対する経済援助はだんだんやめようという形勢にあると承知しております。従つて今回のMSAによります協定につきましても、表からわが国に対して経済援助をするのだというのではなく、軍事援助をしながら、あとう限り経済的にも援助しようと、こういうふうなものであると私は端的に解釈しておるのであります。それではさしあたつて一体日本に対してどういうような利益があるだろうかというお尋ねでありますが、御承知のように今度円貨でもつて五千万ドル、アメリカの農産物を買いつけることになつたのでありますが、これは必要なる食糧を輸入する場合にそれだけ外貨でなく円貨でもつて払えることも、一つの利益でありましよう。さらにその購入代金の円貨は今後アメリカ日本において域外調達をする場合に使用されるのみならず、そのうちの二割すなわち一千万ドル——三十六億円はわが日本の産業増強のために使うことを認めてくれるのでありますから、これはわが国としては相当な経済的な利益をもたらすものと考えておるのであります。  それからなお引続いて、現在日本は航空機のオーバーホールはやつておるけれども、まだ完成機としてはあまりつくれないではないかというお説でありますか、これは何といたしましても戦後ほとんど十年に近い聞というものは、航空機の製造を日本はやつていなかつた。従いましてその間に外国においては長足なる進歩をしておることは申し上げるまでもないのでありまして、これだけ技術的にもあるいは財政的にも日本業界というものは非常に後退をしておるのでありますから、今ただちに国際的水準に達するような完成機を製造することはすぐにはとうてい困難であろうと思うのであります。しかしオーバーホールをいたしたり、あるいは部品をつくるというようなことか今にだんだんりつぱな完成機をつくり上げることができるようになろうと考えております。  それから保安隊の使用いたしまする装備につきましても、とりあえず完成したるものをアメリカから入れることになりましようが、これも漸次わが国の防衛産業の発達するに伴いまして、わが国で供給されるようになるだろう、かように私は考えております。もちろんそれが何年度からどのくらいというような数字につきましては、ただいま申し上げる資料もありませんし、おそらくこれは今検討中で申し上げるような段階には至つていないと考えますけれども、大体の筋としましては、そういう方向に行くものと承知しております。
  108. 加藤清二

    加藤(清)委員 気がせきますので十分なお尋ねができないのでございますが、さて域外買付と一般産業の発注の増加がある、それはわかりました。それの日本のメーカー側の発注の受け方でございますが、この受け方に非常に問題かあるのでございます。それはどういうことかと申しますれば、これは武器等製造法の折に相当慎重に研究されたことでございますので、よくおわかりのことと存じますが、この受ける方法によつて日本のメーカーは非常な出血になつておるのでございます。詳細この数字をあげて、何会社がどうなつたということを言いたいのですが、近ごろの日平あるいは日本冶金、こういうものがはつきりとその姿を見せておるわけでございますが、はたして今日の注文の受け方はJPAと日本メーカーとの間において自由にとりきめができるものでありましようか。それともここに日本の商法が適出されておるものでございましようか、この点をお尋ねいたします。
  109. 古池信三

    ○古池政府委員 これは実際問題になりますが、アメリカ日本におきましての調達機関かございます。その調達機関が発注をし、契約をやるわけでありますから、日本の商法というよりも向うの調達機関のいろいろ基準なり拘束があるわけでありますから、これによつて向うは発注する、こう考えております。
  110. 加藤清二

    加藤(清)委員 それだからたいへんなんだ。これはイギリスの発注の仕方あるいはチエコ、イタリア、ドイツあたりではそのようになつていないわけなんだ。日本だげが特別にそうなつていればこそ、アメリカの一方的なキヤンセルを甘んじて受けなければならない。つまり出血輸出にならなければならない、こういうことなんです。そこで大臣として答えていただきたいのですが、外務大臣は日本の商法が適用されていると言うておりますが、日本通産大臣のおつしやることが正しいのか、日本の外務大臣のおつしやることが正しいのか、この点をひとつはつきりしていただきたいのでございます。
  111. 古池信三

    ○古池政府委員 具体的の問題になりますけれども、もちろんわが国の防衛産業自体は、日本の商法に基いて設立もせられ、動いておるわけであります。従つてわが国の商法を無視するというわけではないのですけれども、その中において特に調達の問題に限定しましては、向うの調達の機関の拘束に従う、こういうふうに私は解釈いたします。従つて外務大臣はどういうふうに答弁されたか、私は聞いておりませんから知りませんが、外務大臣の言われるのも一般的にはもちろん日本の商法に従つてやるのだ、こういう意味ではないかと存じます。
  112. 加藤清二

    加藤(清)委員 私のお尋ねしておりますのは、武器等製造のメーカーと限定しておるわけでございます。そこでその業界が注文を調達機関から受ける。たとえば甲の会社が受けたといたします。値が高い。乙の会社が、安くやりますと言うと乙の会社へそのまま持つて行かれる。今度乙の会社は材料を買い入れ、工場の機械設備をし、そうしてさてつくつて納めましようかという段になりますと、丙の会社が私のところではもつと安くやりますと申します。そうすると乙の会社との契約は一方的なキャンセルになりまして、今度は丙の会社に発注が行われる。そのおかげで日本の甲と乙の会社は、設備、材料その他で非常な出血を見る。それだけではございません。溶接一つを例にとりましても、日本のガス・タンクの溶接の仕方とアメリカのガス・タンクの溶接の仕方とは違う。溶接の研究費だけでガス代が二十万円かかつておるという例がある。せつかくそうやつておきながら、丙の会社にとられてしまう。丙の会社はどうかというと、ほかの会社が四十セントで受けるべきものを、注文をあえてほしい、おぼれんとするものはわらでもつかむ、二十七セントで受けた。これは事実なんだ。そのおかげで当面資金繰りもできなければ材料の購入もできなければ、納めても利益が非常に薄いということで、ばたばた倒れて行く原因になつている。日本冶金しかり、日平しかりなんです。日平はつい先週にはもうもろ手をあげて、銀行は不渡りを食つておる。何も宮嶋社長が悪いことをやつただけの原因じやない。会社がまわらないようになつておる。そのおかげで困つたことは、この下請企業に払われるべき工賃が、遅払いはおろか全部抹殺されてしまつておるという状況が日本全国あちらにもこちらにも起きておる。金へんの中小企業のぶつ倒れておる原因の一番大きいのはこれなんだ。そういうように援助と思つてつかんだものは、自分の会社を倒し、工員を首切り、親子心中をしなければならない原因をつくつてしまつておる。その原因がどこにあるかといえば、この契約の根本から生じて来ておる。そこで私は外務委員会行つて、契約はいかがになつておるか、この次またMSAで受けるということだけならけつこうだ、援助という限りにおいては何らかの援助があるかと思つて聞いたら、日本の商法は完全に適用できるというお答えであつた。私はこれを三日間念を押した。そうしたら完全にそうだというお話だ。しかし今日の業界はそうではない。事実そうではない。大臣は食言しておる。ところが通産大臣、通産当局、重工業局長その他に聞いてみると、やはり私の調査が正しいということになつた。今大臣は、日本の商法は適用できぬというお答えだ。いずれがほんとうでございますか。これは直接注文を受けるメーカーだけのみならず、その傘下におるたくさんな業界の命取りになることであるし、せつかく注文を受けた方も出血々々の注文だから、かつては行政監督上、通産省として日平に手を入れようじやないかということが起きたはずなんです。今後このMSAの援助を受けるがゆえにもうけさしてもらえるということならばいいけれども、損をしなければならぬ、首つらなければならぬということがこの中に包蔵されておればこそ私はお尋ねするわけでございます。はつきりと御答弁が願いたい、どうなつているのですか。
  113. 古池信三

    ○古池政府委員 商法と先方の調達機関の法規との間の関係につきましては、先ほど私か申し上げた通りと存じます。ただ今お活になりましたように、防衛産業の会社でつぶれる会社がある。しかしこのつぶれる原因というものはいろいろあるだろうと私は思います。しかし出血受注すなわちあらかじめ赤字が出ることを承知の上で注文をとるということは、経営者としてとるべき問題じやないと思います。入札さして安いところへ落すということは、日本におきましてもどこにおきましても同じだろうと思います。その場合に、自分が無理だと知りながらそういう注文を受けるということは、これは十分経営者として考え、慎まなければならぬ問題だと思うのであります。しかしながらそれによつて中小企業が非常に困るということも、お話通りごもつともであります。もしそういうような場合に、不当に中小企業に対する金払いを悪くするというようなときには、これは先刻御承知のように、公正取引委員会もこの点については厳重に注意をしておるわけでありますから、そういうようにしわ寄せを中小企業に持つて行かないように、政府としては十分な措置を講じなければならぬと思います。
  114. 岩武照彦

    ○岩武政府委員 ただいまのお尋ねの点につきまして、技術的な見地から若干補足説明を申し上げたいと思います。  第一点の、調達がどういう法規によつてやられるかという問題でございますが、これは政務次官から御答弁いたしましたように、現在のところはJPA、フイムカムその他のやり方はアメリカ軍の調達法規に基いてやつておる、この関係は在来の日本の軍時代と同じであろうかと思います。要するに軍の関係の調達の法規に基いてやつておる。ただこの場合にどういうような調弁のやり方をしたらいいかということが、行政協定の締結当時も問題になつたのでありますが、先ほど御指摘がありましたように、イギリスその他の国では、駐留国の調達法規に基いて他国軍隊の需要の調弁に当つたわけであります。日本もその方式をとつたらどうかというような議論もございましたが、これはいろいろな関係からそういうことはかえつて不都合な場合もあるということで、これは行政協定第十条の第一項でございますかにありますように、駐屯車の法規に基いてやるということになつております。その関係でアメリカ軍のそういう法規に基いてやつております。しかしながら今お話に商法というお言葉がございましたが、お話にあります商法ということが、商法典、あの法典だけを意味しますか、あるいは日本の商習慣ということまでも含めての御発言でありますと、これは話が少し違つて参りまして、商法の方は、これは会社法にしましても手形法その他にしましても大体御承知のようにそのままの形で現在の軍需会社にも適用されております。ただ従来の日本の調達の習慣——まあこれは日本のやり方がいいか、どうかはともかくとしまして、現在の調弁法規でありますと、たとえばよく軍需産業に行われますような前払い制度が行われていないとか、あるいは価格の算定上に金利をコストに計上してないとか、さらに、これは法規そのものではないと思つておりますが、実行上の問題としましては、入札後にネゴシエーシヨンという形を用いまして、ある程度の操作が行われるようであります。その結果、あるいは一番札必ずしも一番札ならずということもあるようであります。最近はそういう例はないように聞いておりますが、二、三年前には若干そういうことがあつたようであります、そこで法律がどういうものが行われておるかというと、これは純粋に法律的な問題でありまして、むしろ実際問題としましては、日本の在来の調達のやり方、習慣等に合わないし、かつ現在の日本の経済の事情に合わないようなやり方では困るわけでございますから、そういうことのないように、現在も行政協定の実行面に当ります委員会をつくりまして、その中に調達の調整委員会、調進の調停委員会と二つありまして、この調停の方でいろいろなクレームを取上げまして処理いたしております。そこで先ほど申し上げましたようなクレームもございますし、また先ほどちよつと申し落しましたが、たとえば契約を打切つた場合に補償措置等が十分考えられておらない点もございますので、そういう点等につきましても、向うの調達の規約をはつきりさせますと同時に、あとの救済措置につきまして先方と折衝を重ねて、事実上あまり問題が起らぬようにやつておるわけであります。  それからもう一つお尋ねの赤字入札、出血入札のことでございますが、これは経営者といたしまして自分の引合わないコストで入札するということは、商業人としてはいかがかと存ずるのでありますが、実際問題としましては、いろいろの競争があるわけでございますので、そういう結果、ある程度自分の会社の経営政策上から、若干の負担は忍んでも、その注文を受けた方が将来のためにいいというような判断から、あるいはそういう場合も若干あるかと存じております。
  115. 加藤清二

    加藤(清)委員 時間がないようでございますので、簡単にお答え願えればけつこうです。私の尋ねておることについてのみお答え願いたいと思います。  アメリカが武器の製造をイギリス、イタリア、チエコ、ドイツ、こういうところに注文いたします場合には、私の調査によれば、全部その注文を受ける国の国内法が適用されておるようでございます。ところがひとり日本のみ米国の出先機関であるJPAの会計法が適用されておるようであります。そのゆえに日本としては、商習慣が行われないというだけではございません。商法の第五百二十四条によれば、一方的な理由によるキャンセルの場合には競売の請求ができるということか明らかにうたつてある。ところで私が先ほど申し上げましたようなケース、甲の公社に注文を発したか、値段が高いからというので、使様書から何からちやんときまつちやつて準備をしておるにもかかわらず、乙の会社へ切りかえられる、乙の会社から、丙の会社に切りかえられる。この折に甲や乙は日本の商法によれば当然請求ができるはずなんです。ところがこれがいまだかつて受付けられたためしはございません。あるというなら示してもらいたい。そうなれば、これは完全に日本の商法が踏みにじられているということなんです。そこで私はこの問題を当時者であるところの外務大臣に尋ねた。そうしたら外務大臣の答えにいわく、いや、それはあなたの間違いであろう。MSAについてはさようなことはござらぬ。もしさようなことがあるとするならば、それは条約と別な条件を公社が結んでおるのであろう。これは記録に残つておるから見てください。それからもつとひどいのは、それは請求権を放棄したんじやろう、もつとひどい。それは、通産省の指導が悪いからそのようになつておるのだ、こういう御答弁でございました。はたしてしかく岡崎大臣の言われをように、さように相なつているのかいないのか。もし岡崎大臣の答えたことが正しいとするならば、これこそほんとうに通産省は指導が悪いということになつて業界の指導育成強化に当らなければならないところの通産省は、業界をして涙をこぼさせ、涙をこぼさせるだけならいいけれども、下請企業をぶつ倒し、かくしてそこに働いていた人間を退職手当も与えずに路頭に迷わせ、路頭に迷つた人間がやがて町に流れて罪悪を犯す。こういう具体的事実を行わせておるのであります。それから次官のおつしやいました遅払いの件でございますが、さようなことがあつてはいかぬから、公取委にも注意してやらせる、こういう話でございますが、現在すでに五箇月の遅払いは常識に相なつております。さなきだに資金に困つておる下請企業は五箇月は常識で、しかもその五箇月はどういうことになつているかというと、それ以上書かせることができないから、品物を納めてから二箇月くらい後に五箇月先払いの手形を渡すというのか常識になつておる。もつとひどいのは三年先というのがございます。事実次官さんはほんとうにそれを助けてやろうという気があるならば、今ただちに発動してもらわなければならぬ問題でございます。これはうそも隠しもございません。ここの会議において証人か証言しておる。いやそれだけではございません。私は名古屋地方の実態を知つておりますけれども、もつとひどいのがあります。これを一体どうしようとなさるのでございますか。日本経済を援助するというのはまつたくのから念仏で終らなければならぬということが今行われておる。はたしてそのから念仏に終ることが、通産省の指導の下手なゆえにそういうことが起つているのか、あるいは納めた品物が仕様書と間違つていたからさようなことが行われているのか、あるいはアメリカの出先機関における会計法によつて行われるがゆえにそのような結果が生じて来るものか、答えは一点でよろしゆうございます。
  116. 岩武照彦

    ○岩武政府委員 最初の点でございますが、これはこういうふうにお考えつたらどうかと思つております。このJPA、アメリカの陸軍の契約の一般基準規約と申しますか、ゼネラル・プロヴイジヨンというものがございまして、これは相当事こまかに一般的な基準をきめておりますが、それを一般的な建前としまして、それに基きまして個々の会社と個々の契約を結ぶということになつておるわけであります。企業の経理といたしましては、それを十分承知の上で契約を締結するのが建前と思つておりますが、遺憾ながら今まで実情を見ておりますと、最近はそんなことはないと思いますが、当初は相当長文のかつ英語でできた複雑なものでございましたので、その点をあるいは知らないで、ただ注文さえ受ければいいということで飛びついたというような形勢があるように存じております。それでは困りますので、通産省としましてはJPAが日本政府に切りかえてやりますときに、日本政府がかわりまして発注いたしますときに、その規定を翻訳しまして相当周知徹底に努めたつもりでございますが、その中に実は打切りの点も相当あつたかと思うのであります。今のお言葉にありました商法の規定とは異なつた規定があつたやに覚えております。その結果いろいろ問題が起りますので、先ほど申し上げましたように、打切りの際におきますいろいろな仲裁の点につきしては、現在も現に一件か二件かクレームも出ておりまして、調達の調停委員会で先方と打合せてできるだけ被害が少いようにやつております。  それからもう一つは、先ほどお話のありました点は、成規の契約をいたしました途中で打切りになりました点でありまするか、あるいは自分も注文に応じようということでいろいろ設備をいたしまして、いわば見込みの投資をいたしまして、そうして入札に応じた、ところがほかの方に注文が落ちて契約は落ちなかつた、そういう場合もあるように思います。そういう点は、通産省としましても、そういうふうに濫立して、かつ向うの事情も知らぬでただ気ばかりあせつて入札に応ずることは困りますので、許可制度をしきまして調整いたしたいと考えておるわけでありまして、現在やつておりますが、なお今後につきましてもそういうことをやりたいと考えておりまして、後日御審議をお願いすることになつております。  なお下請代金の問題は、過日来中小企業庁の長官も申しておりますように、公取の方と相談いたしまして、何かそういうふうな下請代金の支払いにつきまして公正取引と相なるよう基準をつくつて励行さしたらどうかということでせつかくやつておるのでございますので、これは不日でき上ると存じております。
  117. 加藤清二

    加藤(清)委員 通産省の御努力については、私は何をか言わんやでございまして、それを今どうこうしようということを言つておるんじやないのです。根本の問題はMSAなり何なりの協約を結ぶときに、援助と言いながら日本の経済にプラスになるように結んでないからこういうことが起つて来るのであつて、そのあとのけつぬぐいを通産省にやらせておいて、そうして通産省の指導が悪いと知らぬ半兵衛をきめている外務省の仕方について、私のみならず業界の人は憤懣おくあたわざるものがあるわけです。さればこそ工場をやめてもわざわざそのことを言いに公聴会に来たければならぬ人がたくさんいらつしやるわけです。その点を私はお尋ねしておるわけでございます。で今後あなたは今おつしやつたように指導よろしきを得てやるとおつしやるのは、今後の問題はそれでいいかしれぬけれども、武器等製造法はすでにできてから大分たつていますよ。向うの契約の内容も知らず、向うの会計法も知らずに契約を結ぶという人は、それは下請にはあるかもしれませんけれども、親工場にしてそれを知らずにやつたというのは、それは朝鮮事変直後のことであつて、今日ではそんなことはない。もしあつたとすれば、それはあなたの指導が悪いという外務大臣の言うことをほんとうに裏書きすることと同じことになるのではありませんか。そこで私が言いたいのは、同じ敗戦国でありながら、イタリアとドイツとが受けるその契約の受け方と日本の受け方が違う。おかげで日本業界のみが非常に不利な立場に立たされて倒産をして行かなければならぬ。この具体的事実は、過去の場合は別でございまするけれども、すでに過去にたくさんあつて、今業界から怨嗟の声ならいいけれども、うめき声が出ている。それを政府当局が知りつつも、またぞろこの経済的措置、これは何かというと向うの財産のみを保障するかのごときものを結ばれるということが私にはわからぬ、こう言うのです。これは外務省の問題になつて来ますから申し上げません。  次にぜひ承りたいことがありますけれども、時間がありませんから、今度はつきり答えができるように答案を書いて来てもらいたいために申し上げておきますが、契約の資料、これは契約書のコツピーでいいのです。会社とJPAの結んでおるところのコツピーでけつこうであります。これはあなたの方が許可した会社でなければ結べぬはずでございますからとれるはずでございます。次に日米友好通商航海条約から生じて来るアメリカ人の日本の株の取得の問題でございまするが、これの財産の保障権は、これによつて一層強化されることと思いますが、その点で日本の会社について資産再評価が行われている進行状況のわかるデータ、ことにこれは第三次いの再評価をやらせようという法律もできておるようでございますから当然でございましようけれども、それにも関連がございます。次に困る問題は、発注量の将来性でございます。これは前の小笠原大臣にも再三お尋ねしたことですけれども、たつた一回の注文なるがゆえに、減価償却ができないおかげで出血に終るのです。こういうことが将来も続くか続かないかという問題、これは通産省の指導ないしは武器等製造法によつて許可する会社の数、質にも関連して来ることでございます。そこで将来性があるかないか、やがてこれは業界を助けることになつて来ます。それともう一つ特に最後にお尋ねしたいことは、特別調達庁はなくなりました。それからOSS、SPSも大体なくなつたようでありますが、この伏魔殿的存在が今日もなお別な姿に相かわりまして、日本の経済を相当に動かしておる実例を私知つております。今度それをあげてお尋ねしますが、それと関連して外貨の割当でございます。この外貨をいかように扱うかということによつて、ますます日本国内にやみドル事件を横行させ、やみ輸入事件を助成させる。特にこれは時計、貴金属その他の隠して持つて来るのに都合のいいものでございます。これを助長させて、日本の正直に商売をしておる業界をしてばかを見させる。毛織物もまたしかりでございます。今度の質問に対してなるべく時間を有効に早く済ませるためには、今申し上げましたデータを出しておいていただきたい。それから時計の内国産の生産量、日本の現在の国内の需要量、それから外国から輸入されておる量、これに割当てられておるところの外貨、これはでき得べくんばOSS、SPS時代のものと、それがなくなつたときのものとを比較していただきたいと思います。それと今度の外貨割当の計画、これを兼ね合せないと、この間も羽田の飛行場で大量の密輸入があつたということでございますが、それを防止することはできなくなるのでございます。私は日本経済がほんとうに健全に発達し、日本国民がその経済の上に腹鼓みを打つて楽しむような状態を一日も早く招来させんがために申し上げるわけでございます。
  118. 大西禎夫

    大西委員長 本日はこの程度で散会いたします。なお次会は明日午前十時より開会し、石油関係二法案について審議を進める予定であります。     午後三時五十五分散会