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1954-03-24 第19回国会 衆議院 通商産業委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年三月二十四日(水曜日)     午前十時五十四分開議  出席委員    委員長 大西 禎夫君    理事 小平 久雄君 理事 首藤 新八君    理事 中村 幸八君 理事 山手 滿男君    理事 永井勝次郎君 理事 加藤 鐐造君       始関 伊平君    田中 龍夫君       笹本 一雄君    長谷川四郎君       柳原 三郎君    加藤 清二君       齋木 重一君    川上 貫一君  出席政府委員         通商産業政務次         官       古池 信三君         通商産業事務官         (鉱山局長)  川上 為治君         通商産業事務官         (公益事業局         長)      中島 征帆君  委員外出席者         通商産業事務官         (公益事業局ガ         ス課長)    吉田  剛君         専  門  員 谷崎  明君         専  門  員 越田 清七君     ――――――――――――― 三月二十三日  委員岡田春夫君辞任につき、その補欠として川  上貫一君が議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 三月二十三日  中小企業に対する金融等に関する陳情書  (第二二四〇号)  同  (第二二四一号)  電気料金値上げ反対に関する陳情書  (第二二四二号)  同(第二二  四三号)  同  (第二二四四号)  同(第二二四五  号)  同(第二二四六  号)  かんがい排水用電気料金値上げ反対に関する陳  情書  (第二二四八号)  イラン石油の輸入に関する陳情書  (第二二四九号)  中小企業に対する金融等に関する陳情書  (第二  三三六号)  電気料金値上げに関する陳情書  (第二三三七号)  電気料金値上げ反対に関する陳情書  (第二三  三八号)  同(第  二三三九号)  同  (第二三四〇号)  同(第二三四一号)  同  (第二三四二号)  同外二件  (第二三四三号)  電気法制定に伴う電気事業者兼業投資に関す  る陳情書  (第二三四四号)  電気事業法に関する陳情書  (第二三  四五号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  ガス事業法案内閣提出第一号)     ―――――――――――――
  2. 大西禎夫

    大西委員長 これより会議を開きます。  ガス事業法案を議題といたします。質疑の通告がありますのでこれを許します。長谷川君。
  3. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 大臣次官も来ない不熱心きわまりない委員会だから、局長はわからなかつたらばわからないと答えてください。それは保留してあらためて次官大臣に伺いますから、あまり長たらしくやらないように御注意をしておきます。簡単にわかりやすく説明してください。  まず答申書というものが審議会から出ている。局長は直接これに関連はないと思うが、しかしこのガス関係法令審議会というものをつくつて大臣級の者を四十名も集めておる。ほかに専門的な者が二十名、しかも半年間、二月から八月までの長い間審議をした結果、答申案が作成されてそれを提出した。提出をしてそれだけの長い期間練り練つた答申内容が今度の法案の中に現われている部分が非常に少い。こういう点について局長はどういうような考え方を持つて——おそらくあなたは大臣からさらに諮問されただろうが、そのときあなたはこれをどういうふうにお答えしているか、こういう点についてまず承つておきます。
  4. 中島征帆

    中島政府委員 法令審議会答申内容は大部分この法案の中に盛り込まれておるつもりでございます。一、二答申違つた事項もございますけれども、大体において答申の線に沿つて立案したつもりであります。
  5. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 大部分というのは大部分が削除された、こういう意味だと思いますからそう解釈をいたします。私に言わせるならば、こういう大がかりなものを無視するなら、そんなに大げさなことを初めからやらなくてもよかつたのだ、こういうふうに私は考えている。そこで伺いますが、先日来次官局長消費者というものに重点を置いて今度の法案を作成した、こういうことでございます。消費者重点を置いたというが、どういうところからそういうはつきりとしたことが言えるか。それは非常に部分的であつてガス事業法というものは、公益事業という表看板で、内容はどういう点に重点が置かれているかというところに大いなる疑いを持たなければなりません。こういうような点について伺つてみたいのです。たとえば東京瓦斯けつこうですが、従業員の待遇は、電産のような電気関係と比較してどういうようになつておりますか、この一点を伺います。
  6. 中島征帆

    中島政府委員 消費者保護あるいは需用者立場からどういう規定があるかということでありますが、簡単に列挙いたしますと、事業法的独占を排しました五条の規定でありますとか、許可を受けた者が設備を必ず設置しなければならないというような第七条の規定でありますとか、ガス事業者がある一部分の区域にガス供給を怠つている場合にその許可を取消して他のガス事業者供給させるというようなことができるようにいたしました供給義務取消規定というのが十五条にございますが、その他ガス熱量圧力等測定義務とか、有害成分の検査の義務でありますとか、ガス供給に関する苦情申立制度とか、こういうものを新しくこの法案に受入れております。これはいずれも従来やりました制度のほかに、新しく需用者保護の見地から今度取入れた次第であります。それからただいまの御質問のガス事業に従事する、たとえば東京瓦斯の職員、労務者の給与ベースが電産と比べてどうかということでありますが、数字はあとで申し上げますけれども、若干ガスの方が電気に比べると高くなつております。
  7. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 何パーセントくらいですか。
  8. 中島征帆

    中島政府委員 九年—十一年の年間における基準産業別賃金較差は、全産業を一〇〇といたしまして、ガスが一五七、電気が一三八ということになつております。
  9. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 保安責任という点について、一般家庭保安責任事業者責任の境界があると思うのですが、そういう点はこの法律でどういうところをさすのか。これに対してどういう考え方を持つておられるか、それを伺います。
  10. 中島征帆

    中島政府委員 ガス設備に関する保安責任は、ガス事業法におきましては、大体ガス設備所有者が持つということになつております。従いましてガスの場合には、戸口のメーターのところまでがガス事業者の施設でありますから、そこまでの工事責任並びにその後における責任ガス事業者者に属します。家庭内の分につきましては、その所有者あるいは住居者が持つことになつております。従つてたとえばガスぶろあるいはガスこんろ等処理の結果、あるいはその設備の不十分な結果災害が起きた場合には、一応その責任はその住居者が負うわけでありますけれども、もしその工事そのものが不備の結果そういう災害を起した場合には、工事実施者が負うことはもちろんであります。しかし工事が正当にされている場合には、あとの維持及び保持に関する責任は、実際使う者が負うわけでございます。
  11. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 何条にあるのか。
  12. 中島征帆

    中島政府委員 第二十八条の「ガス事業者は、ガス工作物通商産業省令で定める保安上の基準に適合するように維持しなければならない。」これがガス事業者保安責任規定でございまして、その規定の範囲内で責任を持つことになつております。
  13. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 現在ガス圧力といおうか、こういう点についていろいろ批判もありますし、またいろいろな事故があつてもなかなか来てくれないというので、非常な苦情が出ておりますから、今度五十一条が法定されたということになるのでしようが、こうなつて来て、今度はお役所の方へ何か苦情を申し込めば、お役所の方、つまりあなたの方でその処理を急速にやらなければならないという命令を出すんだ、こういうことなんです。となると、あなたの方の人員は必然的に増されていなければならない。サービスをいたしますといつて苦情引受所を新しくつくつた。つくつたが、そのいすにはだれもいないということはないはずなんだが、そういう点でこれらのサービスに充てる人員を何名くらいの用意をして、どのくらいの予算をもつてこれに当るつもりかを伺いたい。
  14. 中島征帆

    中島政府委員 苦情申立て処理に関しましては、できるだけ迅速にするという方針でございますけれども、現在のところどの程度苦情申立てがあるかどうか。またある程度ございましても、現在の陣容で一応行けるという考え方のもとに、このために特別に人員あるいは予算を請求いたしておりません。現在ありまする人員でもつて一応処理いたしまして、その間にもし非常に苦情がたくさん出まして、とうてい現状では処理しきれないということになりましたならば、その上であらためて人員予算等を請求しなければならぬと思つております。
  15. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 それは局長たいへんな大間違いです。そういう頭でこの法律をつくつたというのなら、たいへんな間違いです。それほどあなたはガス事業苦情がないという前提に立つてこの法律をおつくりになつたということになると、たいへんな間違いですよ。これに対する苦情が今ちまたにどれくらい沸騰しているか。それを予算人員の裏づけがなくて一切をやるというならば、あなたのところは今までよほど人間が余つていたことを裏づけている。私はあなたのところの人間がそれほど余つていたとは考えられなかつた。それほど余つているならば、今までの人員整理に対しては何の不満もないはずだと思う。それほど余つているならば、通産省で行わなければならない整理は、あなたのところで一切受持つてもらわなければなりません。その点はどうですか。
  16. 中島征帆

    中島政府委員 こういう制度がありましても、これに基いて始終数十、数百の苦情申出があるという状況では、本来ガス事業監督が適当に行われていないことになると思うのであります。従つてこういう道を開きますけれども、この規定に基きましていろいろな苦情申出があれば、これを処理する。処理するかたわらにおいてガス事業者の方の事務処理と申しますか、サービスについて不行届きの点があればあわせて十分警告するということは当然やらなければならぬわけであります。そういうことについて一つ一つ矯正して行きますと、苦情が絶無にはならないでしようけれども、始終あるということはないじやないか。またそういうことになれば、ガス監督自体考え直さなければなりませんし、あるいはまた苦情処理意義等についても考えなければならぬと思いますけれども、現在のところは、多少出ましても、これを迅速的確に処理することによつてだんだん少くするという方向に持つて行くべきだと思つております。
  17. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 東京といつてもこれだけ広い中で、苦情引受所が一箇所ですから、あまたの方はおれのところは来つこないという前提に立つていると思う。これが消費者に対するサービスだなんといつたつて大間違いじやないか。私はあなたのお考えがそういうところにあると思う。あなたがそれだけのお考えを持つてサービスということが前提にあるとするならば、各社に別にサービス受け所といおうか苦情受け所はつきりとつくらせることが、あなたの使命ではなかつたかと私は考えます。どういうところにあつても、なるほどあるには違いないだろうけれども、ガス会社が一箇所にあつて出張所が各所にある。各出張所に一人でも二人でも交互に苦情を受けるところをつくらなければならない。お役人が民間にサービス係をやろうなんといつても、八千数百万人ある人間に対してお役人サービスできますか。それほど日本のお役人サービスできるように向上されていると思いますか。これはまつたく間違いじやないかと私は考える。しかしあなたの考え方がそういうところにあつたから、こういうふうにつくつたんだと思うけれども、私は改めてもらいたい。なるほどお役人は公僕であるかもしれないけれども、それほど公僕化されているお役人というものはただの一人もございません。こういうような点から考えて、私企業の長所を生かさせなければいけない。ガス事業者ガス供給によつて自分たちの役を全うすることができる、こういう点においては、各出張所一箇所に苦情受け所をつくりなさい。こういうことが自然でなかろうかと私は考えます。あなたはこれで間違いがないという自信があるとするならば、いま一度お考え方を述べてください。
  18. 中島征帆

    中島政府委員 各会社でそういうふうな苦情受付をつくるということは、これはもちろんわれわれも賛成でございまして、また事実会社もそういうふうにいたしております。各営業所ごとに、今までのようにガス会社あるいは電気事業者というものをこわがらせないで、どんどん文句受付けるということにしなければならないわけでありまして、これは今後とも大いに奨励すべきことだと思います。  それから五十一条で申しますと、苦情申立ては、ここにもあります通り文書提出するということになつておりますが、現在この窓口と考えておりますのは、各地区にあります通産局でございます。通産局は全国で八つしかございませんで、その数が少いということはあるかもしれませんけれども、一応文書提出することになりますが、郵便の時間の関係もございますけれども、一応事由を記載して出しまして、それによつて調査をする、従つて営業所ごと役所のブランチがなくても一応受付としてはさしつかえないわけですが、それによつて場合によりましては実際に調査もいたしましようし、会社の方に問合せをしたりなんかいたしまして、適当な処理をして行く。あわせて先ほどもおつしやたように、各会社でもそういうような苦情受入れ態勢をつくつて、ぜひ迅速にサービス改善をはかる、こういうことをあわせてやつて行く必要があると思います。
  19. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 しかし、あなたの方では、たとえば東京にだつて一箇所しかない、それでかりに文書が来たからといつて、その手紙受取つて、それからさらに検討を加えて処理するというのですが、あなた方は要するに監督立場にあるのだから、それをやつてしまつたのでは、監督という立場がこんがらがつてしまう。だから私は文書で来るのもけつこうだけれども、監督という立場にあるということだけは忘れてはならない。従つてこの監督をする上においては、そういう機関をつくらせておいて、その機関にさらにそういうような注意があつた場合は、役所としては監督権を発動する。いかにあなた方が監督をするといつても、来た手紙に一々、こういうことは第何条に抵触するものであるから一切まかりならぬ、従つてこれはこうだと言うことは、これはあなた方はやれませんよ。あの大企業瓦斯会社に向つて、あなた方のような一役人がそんなことを言つたつて、向うではそんなことはとり合つてはくれませんよ。局長がそんなことで役人風を吹かせましても、こんな時勢にだれがこんなことをとり合つてくれますか。役人がみずからサービスに出ようと考えているのじやないですか。私はこういう点において五十一条は削除すべし、従つて私が先ほど申し上げたような点に修正を行うべし、これがこの第五十一条に対する私の意見であります。第十七条の供給規程需要家申出に対して必ずこれを処理するという機関出張所ごとに持たせるということにすべきではないか、私はこう考えます。だから五十一条は削除して修正をすべし、こういうふうに私は考えます。  さらに伺いますが、ガス供給規程の第三十五条に「標準熱量が三、六〇〇キロカロリーより二%を超えて低い場合は、その低い部分についてその月の料金から差引きます。」とありますが、そういう標準熱量より低い供給に対して、一般需用家として料金払いもどしを請求することができるかできないか。またできるとして、どこでそれをはかるのか。一々その熱量をはかる機械を各一軒々々に与えておくか、こういうことも考えなければなりません。そこで結局こういうことを書いておくのはけつこうであるかもしれないけれども、そういう低下したところの状況を知るすべがないのではないか、こういうふうに私は考えますが、そういう点について何か名案がおありのことと思うのですが、それについてはどういうような考え方を持つておられますか。
  20. 中島征帆

    中島政府委員 ただいまのお尋ねの前に、先ほど苦情申立ての五十一条を削除すべしという御意見のようでございますが、会社におきましてそういうふうなサービス機関を置くことはたいへん望ましいことであります。しかし会社だけにまかしておくと、これは会社サービスに対して会社文句をつけるわけでございますから、それが納得できないというときに、やはり監督官庁の方にかけ込むという道もあつた方が需用家のためであろうと考えまして、五十一条は必要であると私どもは考えるわけであります。  それから熱量不足の場合でございますが、これは今度の法案の二十一条によりまして「ガス事業者は、政令で定める方法により、その供給するガス熱量及び圧力を測定し、その結果を記録しておかなければならない。」こういう規定がございますが、これによつてガス事業者供給しておるガス熱量がど程度のものであるかということが常にはつきり記録に出ておるわけであります。もしもその記録を見まして、熱量供給規程の三十五条にあります二%以上低い場合には、ガス事業者は自発的に料金を差引かなければならぬということになるわけでございます。これは認可を与えました供給規程でございますが、法律自体といたしましては、一応この二十一条によつて測定義務を課しまして、それが規程で定める熱量以下の場合には、業務改善命令を出しまして、それに従わない場合には罰則が行く、こういう取締りのやり方をいたします。消費者に対しましては、この供給規程によりまして、一定以上の熱量を保持しない場合におきましては、料金を差引くということをガス事業者自体がみずからやらなければならぬことになつております。
  21. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 いずれにしても需用者というのは無知なものでありまして、その無知な一般需用者に対する保護政策をどうするかということもお考えなつたと思う。しかし通産局が今まで事業者をどういうふうに監督をして来たか、今までのあり方はどうであるかということを承つてみます。それに二十一条の熱量等測定義務事業者に課せられることになりましたが、万一低下の場合必ず払いもどすというようなことが可能であるかどうか、これをひとつはつきり伺つておかなければなりません。
  22. 中島征帆

    中島政府委員 ガス熱量は、熱量を測定する場所におきまして明確に記録されておりますから、それが二%以下になるかならぬかということは明らかであります。従つてその場合におきまして、この供給規程の三十五条に当る場合には、当然差引くということも明らかに可能になるわけでございます。
  23. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 かまどやこんろは無税であつてガス器具には二割の物品税がかけられる。こういうことを局長はどう考えているのですか。国民生活においてなくてはならない燃料において、ガス器具に対してだけ課税されておるということになるのですが、あなたはどういう考えを持つておるか。こういうことは不合理だから撤廃してもらいたい、しなければならないというような運動を、あなたは大臣にどういうふうにさせたか、その経過を承ります。
  24. 中島征帆

    中島政府委員 一般必需品でありますガス及びガス器具に対しまして、必要以上の消費税をかけますことは適当ではございません。こういうふうに考えております。従いましてガス税あるいはガス器具に対します物品税というものについては、常にわれわれの立場といたしましては、これを軽減あるいは全免するようなことはすでに運動しておるわけであります。ことにガス器具につきましては、非常に程度の高い、たとえばガスの冷蔵庫でありますとか、そういうふうなものにつきましては格別でありますけれども、一般の大衆がだれも使うこんろ等につきましては、物品税を撤廃してくれということは機会あるごとにわれわれは言つておるわけでありまして、こういう免税に関するような事務は、通産省におきましては企業局でとりまとめて大蔵省と折衝いたしております。従つてわれわれの方は企業局の方へは常に機会あるごとにこういうことを申し出ております。また大蔵省の方にじかに掛合つたこともあります。同様にガス税につきましても、今度の税制改正につきましては、そういう点については強く主張いたしておりますが、なかなかわれわれの希望通り実現しないようなわけでございます。
  25. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 あなたのお気持はよくわかりましたが、大臣は何とお答えになりました。そういう話をしたときに、大臣はあなたに対してどういうふうに答えたか。そして大臣がこれらに対して運動した形跡があるかないか、これを明らかにしていただきたい。
  26. 中島征帆

    中島政府委員 器具免税に関しましては、私直接に大臣にお願いしたことはございません。おそらく企業局の方で話はしておると思いますが、ガス税につきましては話したことがございますが、結局これは地方税制全体の問題だから、自治庁とよく相談してみようということで、自治庁長官にこの点につきましてのお話合いはあつたのではないかと思います。
  27. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 ガス税地方税で、電気もかかつておるから当然かかつて来るのはやむを得ない。しかし私の言うのは、機械器具だ。ガス供給上なくてはならない、当然必要な資材に対して、どうしてガスにだけかけるのか。これに対してあなたが運動したことは聞いたけれども、大臣——大臣という名前がつけば責任者だから幾らか価値があると思うのだが、その大臣をあなたはどういうふうに動かしたか。大臣はこれに対して従来どういう答弁をしたか。大臣はどういう気持でいたか、こういうことを聞いておるのです。あなたが大臣に全然こういうことを相談したことがございませんということになると、あなたの責任は重大ですよ。たとえば、消費者本位で今度の法律を作成したということになると、消費者本位という言葉から今度は考え直さなければならないので、そういう点について伺つておるわけですから、その点を明らかにしていただきたい。
  28. 中島征帆

    中島政府委員 先ほども申し上げました通りに、ガス器具免税の問題は、通産省では企業局でまとめることになつておりまして、私から直接この話を大臣に持ち出したことはございません。
  29. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 企業局なんというのはけしからぬ。この次は企業局を呼んでください。  そこで特定供給ガス料金には税金が課せられていないというのですが、特定供給ガス料金に対する税金がかけられないことになると、税の公平な原則をここでくつがえすことになると思う。これに対してあなたは何かの根拠があつたことと思うが、これに対してのお考え方を伺います。
  30. 中島征帆

    中島政府委員 もともとガス税というものは、いかなるガスについてもかけてもらいたくないというのがわれわれの希望でございますが、一般供給ガスに対してガス税がかかり、特定のものにはかけておらぬ。これはおそらくその地方地方徴税技術上の理由だろうと思います。ことに一般の場合におきましては、ある地区内の需用家が全部一つのガス会社にかかつておる。ところが特定供給の場合におきましては、地区外需用家が隣の地区ガス業者から供給を受けますとか、あるいは自家用ガスを持つているものが隣の工場に供給いたしますとか、そういう特殊な場合でありますので、そこまでを同じガス業として地方としては取扱わないで、税金の対象としない、こういうふうな状態にあるのではないかと思います。しかし公平の観念から言えば、そこにも当然ガス税は賦課すべきだという議論も成り立つと思いますが、その点につきましてはどうもわれわれとしてはあまりしつかりしたりくつは考えにくいわけであります。
  31. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 私は、ガス税金はとらせろということではないのであつて、税の公平という原則に対して考えなければならないということを申し上げておるのです。そうなつて来ると、特定という名のもとに何人も税金を込わないのを好むのは人間の常である。こういう点からこういうような供給区域に対しての混乱はまぬがれなくなりはしないかということを私は考えます。こういう点についてそういう心配がないということをあなたには断言できるかということを伺います。
  32. 中島征帆

    中島政府委員 今度の法案の第二十三条によりますと、特定供給はその供給区域外の地域においてガス供給するときという場合を言つておるのでありまして、従いまして、たとえばある地域内、東京なら東京地区内におきます特定の工場に東京瓦斯がいろいろな契約をいたしまして供給いたしましても、これは特定供給とは申さないのであります。従つてこれにつきましては一般供給で当然ガス税が支払われるわけでありまして、地域外にあります隣の特定の工場に供給します場合には特定供給ということになりまして、これについてはその地域の町村なり何なりがガス税をとるかとらぬかということをきめるわけであります。従つて区域内におきましては特定のものを選びまして、それに対して特定供給を行つてガス税を免除するという措置は絶対に行えないということははつきり言えます。
  33. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 そうすると区域内には特定というものは絶対に入れさせない、こういう考え方ですが。
  34. 中島征帆

    中島政府委員 その通りであります。
  35. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 そこで天然ガスの占める割合というものがどのくらいになつておるか。たとえば天然ガスというものが全国の推移から見て行つてどのくらいの割合を占めておるか。今後の天然ガスの発展をして行くことは当然予想されなければならないが、この推移をあなたはどのくらいに見ておるかということをひとつ伺います。
  36. 中島征帆

    中島政府委員 現在では、全体のガス業から供給されますガス供給量の中で、天然ガスの占める割合は、五%足らずでございます。将来これがどの程度ふえるかということは、天然ガスの探知されます地域が限定されておりまして、しかもこれはどちらかというと都会地に少くて、ガスの需用が比較的少いいなかに多いという関係もありまして、これが非常に伸びるということはちよつと考えにくいのではないか。伸びてもせいぜい一割かそこらではないかというふうに想像するわけであります。
  37. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 いま一点。天然ガスと石炭ガスとの現行料金の差というのはどのくらいになつておるか。それから今後各所で新設備というものに対する料金の差というものの予想。またガス五箇年計画には天然ガスというものはどのくらいに見積られておるかということをあなたに伺うのですが、今の御答弁の中にあつたような、五箇年計画の中にある天然ガスが一割ということであなたのお考えが正しいかいなやを伺います。
  38. 中島征帆

    中島政府委員 五箇年計画の中にはほとんど天然ガスは問題にしておりませんで、現在のパーセンテージ程度、せいぜい四、五パーセントくらいからそうよけい伸びないというふうに考えておるわけであります。それから天然ガスのコストは一般ガスよりよほど安くなつておるわけでありますが、現在天然ガス事業の中で一番高いものを見ましても、石炭ガスに比べますとまだ若干安い、こういうふうな傾向にございます。
  39. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 天然ガスはもう伸びないんだなんて、あなたが本気で言つておるとは解釈しないからいいけれども、もしあなたが本気でそういうことを言つたんだつたらこれから二、三時間あなたとやらなければならないと思う。あなたが天然ガスはもう伸びないと言つたのは、それは答弁のついでに言つたのだと思うが、あなたがそういう確信の上に立つているなら、私はこれから二、三時間あなたと討論しなければなりません。あなたがそんなに軽々しく国内資源を見ておるなら——海外から持つて来る石炭はあなたのところでたくさん使つておるのであつて、しかも国内から出る天然ガス料金は安いのだと言つてつて、もう限度だからこれは出ないという考えに立つておつたらこれは大した間違いなんです。真剣にあなたが言つたとするならば私は討論するのだけれども、その辺をはつきりしてください。
  40. 中島征帆

    中島政府委員 あまり伸びないということを申しましたのは、実は今の比率がこれ以上大きくなるだろうということはちよつと考えがたい。むろん天然ガスがどんどん出まして都会地で使えるということは望ましいことでありまして、そういう可能性がありますならば、むしろこの面を伸ばすのがほんとうだろうと思います。しかし出るのが都会から離れた新潟とか千葉の一部に限られておりまして、これから五箇年計画で伸ばそうというところは東京、大阪、名古屋という大都市中心でありまして、そういう地方で出ましたガスをこちらの方へ何らかの形で簡単に運べる、また東京方面でも江東地区で一部出ておるようでありますが、それがどんどん出て来るようであればこれをどんどん伸ばすべきであると思いますが、今の見通しではそう伸びないのではないかという私の感じでございます。
  41. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 とにかく隣に川上局長がおるから、あなたがそういう頭だどたいへんな間違いだから、よく局長に聞いてください。あなたは何も石炭ガスだけに重点を置く必要はないのであつて、ひとしく日本民族である以上は、国内資源をそんなに軽々しくあなたが考えているということになると、聞き捨てにならぬ言葉だけれども、川上さん恐れ入りますが、事業局長はちよつと頭が悪いようだ、国内資源をあまりにも軽々しく見ていて、外国から持つて来る石炭の方がいいという考え方を持つておるようでありいす。そんな考え方ではわれわれとはマッチしないから、よく話してやつてください。さつき申し上げたように、二、三の点についてはどうしても考え方を直してもらわなければならない。先ほどの五十一条にいたしましても、なるほどそういうような役所があつてもいい、それは認める。けれども他にそういうようなものを、つまりガス出張所一箇所にはそういう苦情承り所を一つはつくらせなければならないというふうに私は考えます。なお二、三の点はどうしても修正をしていただかなければなりません。きようの私の質問はこれで終りまして、次会にはその修正したところをお目にかけて、御判断を仰ぐことにいたします。
  42. 大西禎夫

    大西委員長 次に柳原君。
  43. 柳原三郎

    ○柳原委員 簡単に質問いたします。現在市場で販売されておるコークスの中で、ガス業者が副産物としてできたコークスを売られておる率はどのくらいですか。
  44. 中島征帆

    中島政府委員 いわゆる市販コークスの中でガス事業から出るコークスの割合が大体六〇%でございます。
  45. 柳原三郎

    ○柳原委員 要するに市販のうちの六〇%はガス業者がコークスを供給しておる、こういうことになつて参りました。そこで私はせんだつて尋ねたのですが。これらの大きなガス会社、つまり東京瓦斯、大阪瓦斯、東邦瓦斯等でありますが、その一つの例をとりますと、東京瓦斯の子会社といつた方がいいでしよう、傍系会社というのかもわかりません。それが東京コークス株式会社というものに、これは資本金が二億円であるが、全部東京瓦斯が株式を持つてつて、しかも役員、取締役を五名も送つておる、こういう関係になつておるのでありますが、要するに公益事業であるガス事業者が全額出資した会社において市販の六〇%を占めるコークスを取扱わしておいてよいかどうか、こういう問題でありますが、その辺について公益事業と関連して、この子会社への出港等について、これでよいかどうかという御見解が承りたいと思います。
  46. 中島征帆

    中島政府委員 お話の通り東京コークスは東京瓦斯の子会社でございます。これは完全に東京瓦斯と一体をなした会社でございまして、本来からいえば、コークスの販売はガス事業者が当然の副業といたしましてみずから行つてさしつかえない性質のものでございますが、特別の販売行為であります。またしかもその量もかなり多い関係から、別会社といたしておる。しかしながらこれは東京瓦斯のコークス販売部門と考えましたならば、必ずしもこれに対しまして全面的にガス会社の方でタツチするということが適当でないとは言えないと思います。将来といたしましても、もしこの東京コークスがほかの同じような立場にあるコークス元売業者と競争の立場に立つということであれば問題でございますが、これが競争の立場に立ちますのは、たとえば大阪でありますとか名古屋でありますとか、同じようなガス会社の別会社との競争関係でございまして、東京のコークス業者とコークス卸業者との関係におきましては、全体の総元卸的な関係に立ちますので、いわば生産業者の販売部門というような立場に立ちますので、いわゆる独占禁止法的な関係からいたしましても、これを不適当だとは言いがたいのではないか、またこの東京コークス会社の経理等につきましては、東京ガスで全面的に責任を持つておりまして、それが間接にはガス事業に対します監督を通じて通産省監督下にございますので、東京コークス自体が非常な利益を受けまして、それがガス会社にもどらずに、その利益が別に適当でない方面に飛んでしまうというふうなことは監督上十分取締ることができるだろうことと思います。
  47. 柳原三郎

    ○柳原委員 ガス事業の年間の収益の三割以上を占めているコークスは、ガスの副産物の最たるものである。要するにコークスの販売値段によつてガス料金に非常な影響を与えるということは以前の委員会でくどくどしく言われたところでありますが、六割のコークスをガス会社供給するということになれば、市場の価格は、ガス会社の独断的な意向によつてその価格を左右することは当然だと思います。そういうことになりますと、ともすれば親子の関係にあるガスとコークスは、親の利潤を子の方にまわして、子は公共事業会令の適用を受けないのでありますから、そこでどういう経理をやつてもあなた方の監督を当然受けない、こういうことになつて参ります。参考に承りますが、たとえば東京コークスの配当率などはどんなものか、最近一、二年のでけつこうでございますからひとつ教えてもらいたい。
  48. 中島征帆

    中島政府委員 東京コークスの配当率は後ほど調べてお答えいたしますが、大体組織はいわばトンネル会社みたいなものでございまして、赤字が出ました場合には結局ガス会社が補填する。また利益が非常に上りました場合はガス会社の方に還元されるというふうなことになつているんじやないかと思います。六割の市場を確保しているということでありますけれども、これはガス事業全体から出ますコークスが六割であるということでありまして、ガス事業の中でも、東京とか、大阪、名古屋という大会社相互間の競争もございますし、その他中小の会社もありますが、その間の競争は相当激烈でございます。従つて東京コークスの競争相手は、東邦瓦斯の子会社であるコークス会社、または大阪瓦斯の子会社であるコークス会社、これらとの競争があるわけであります。一つ一つの会社が六割の市場を確保しておるということはないわけであります。  それからコークス会社において出ました損益が、ガス会社あるいはガス事業者の負担においてなされるのではないかということでありますが、これは先ほど申しましたように完全な子会社でありましても、いわば販売部門というふうに考えます場合には、おそらくコークス会社の配当率は親会社でありますガス会社とそう大差ないと思います。そういうことによりまして、あとの余剰の利益は、またガス事業者の方に還元いたしまして、そこでガス事業の利益として出て来るわけであります。従つてもし非常に利益が出ました場合には、ガス事業の原価がそれだけ下げ得ることになります。またコークスの面において赤字が出ることは、コークスの市場が非常に悪くて、予定通り売れなかつたということでありますから、ガスの原価自体にこれが響いて、料金が上がることに響いて来るわけであります。
  49. 柳原三郎

    ○柳原委員 せんだつて委員会でもそういうようなお話があつたのですが、要するに石炭が上れば、コークスの収入もそうなるのだから、ガス会社の方も大してかわりはない、また下がればコークスも下つて来るのだからという理論でお話されたのであります。しかしえてして親子関係にある会社は、世間から疑惑を招く。石炭はなるほど最近下つておりますが、コークスは、はたして子会社にそんなに下げて売られておるかどうか。そういうところを疑問に思うわけでありますから、私が言いたいのは、この二十六条でこれから——これからでもありません、今まででもありますが、ガス事業者通商産業省令で経理の監督と申しますか、いろいろの制約を受けております。そうすると、一〇〇%投資されておる子会社ならば、当然同一のわくをはめなければならない、こういうふうに考えておるわけなんです。二十六条を読んでみますと、この二十六条はどこの会社でも同じことじやありませんか。たとえば何々の経費は賃金でもよろしい、その他の交際費でもよろしいとか、これ以上支払つてはいけないとか、資本金の比率等を割出しまして、一定のわくを押えることならばけつこうでありますが、ただ様式だけをきめて整理せよということだけでは、公益事業としての監督、取締りは不十分のように思われます。その辺はどんなものか、それの監督を強化するわくをはめるというならば、子会社にもはめてもらい、こういうことを考えておるのですが、二六十条はこれでよろしいのですか。
  50. 中島征帆

    中島政府委員 二十六条でいろいろな会計上の様式をきめておりますが、これはやはり会計の監督をいたします場合に、整理の方法がまちまちでありますと、なかなか目が行き届かないという関係から、少くとも様式だけをはつきり規定いたしまして、監督のしやすいようにということであります。その結果につきましては、ここでは直接書いておりませんけれども、二十七条によりまして、減価償却が少い場合には適当な償却を行うべしというような命令をすることができることになつております。その他の点につきましては、監査の結果を公表するというようなことによりまして、逐次会計の内容改善させる、また最終的には、監査の結果きわめて利益が多過ぎるという場合においては、原価の改訂を命じまして、料金を下げさせるというようなこともできるわけであります。
  51. 柳原三郎

    ○柳原委員 監査していろいろの命令を出す、こういうようなお話でありますが、実際においてはなかなかできないことだと思うのであります。二十六条の非常に抽象的な、たとえば経費で余分に放漫に使われておつたというような事例に対して、注意とか警告を発せられたことがありますか。
  52. 中島征帆

    中島政府委員 かつて会計検査をいたしまして、その結果について警告を出したことはあると思います。
  53. 柳原三郎

    ○柳原委員 次に移ります。東京瓦斯、大阪瓦斯、東邦瓦斯の問題であります。これは大きいから私は例にとつて言うのでありますが、その定款を見ると、私の見たのは昭和二十七年度の会社年鑑で見たのでありますから、現在はかわつておるかもしれません。そこまで勉強しておりませんから、参考に伺いますが、営業の目的の中に、東京瓦斯ガス器具の販売もやると書いてある。大阪瓦斯はそういうことはやらないと書いてある。全然うたつてありません。東邦瓦斯は、ガス器具の販売及びガス器具の貸与もやるのだと書いてあるのです。こういうガス業者が営業の目的がまちまちであつてよいものかどうか。ガス器具の販売とか貸与というものがあるために、世にいわれる抱合せが行われるのではないか。ここに原因があるのではないかと思うのですが、その辺について統一した指示というか、そういうことをおやりになるお考えがあるのかないのか、その点ひとつ御説明願いたい。
  54. 中島征帆

    中島政府委員 現在の各会社の附帯事業あるいは定款等は、大分占い、瓦斯事業決時代から継続いたしておる事項でございます。従つて法案提出されます場合には、附帯事業に関するわれわれの考え方も一応統一いたしまして、そういう点についての方針はやはり整理すべきだと思いますが、まだその点についての研究は十分行つておりません。今後十分研究いたしたいと思つております。
  55. 柳原三郎

    ○柳原委員 統一したいというお考えならけつこうでありますが、早急に統一してもらつた方がいいと思うのです。そうすればとかくの悪評をこうむらずに済む。そうして公益事業としてすつきり行くことができると思うのです。私に言わせれば、公益事業としてのガス会社は、ガス器具の貸与ということまではやらない方がいいと思うのです。それはそれぞれ専門の業者にまかせた方がいい。技術的に考えて、ガス業者ガス器具をつくつたり売つたりすることは、いい面もございますが、そのくらいのことは民間の会社でも十分やれることでありますから、切り離した方がいいと考えます。歴史的に見ても、かつてガスこんろの問屋さんとか、ガス・ストーブとか、ガス冷蔵庫の問屋さんは、今は姿を消してしまつたのであります。これらは主として中小企業であります。大企業がこういうことを逐次始めに、抱合せに移つて行つたがために、現在ではその姿が消えて行つた。これは電気事業にも同じことが言えると思うのでありますが、そういう面はひとつ切り離してもらいたい。こういうことを要望しておく次第であります。
  56. 大西禎夫

    大西委員長 齋木君。
  57. 齋木重一

    ○齋木委員 第一点として質問いたしたいのは、三十三条の第四項第一号にガス主任技術者免状の返納を命ぜられた者は、二箇年を経過しないときは再交付しないとありますが、いかなる観点に立つて二箇年という年限をきめたのでありますか、まずお伺いいたします。
  58. 中島征帆

    中島政府委員 二箇年というのは、必ずしも計数的に割出した数字ではございませんが、たとえば第四項の第一号の規定により免状の返納を命じられた場合というのは、第三十四条によりますと、免状の交付を受けている者が法律違反をした場合あるいは命令違反をした場合でございます。従つて法律あるいは命令に違反したような事態がありました場合には、一種の懲罰的な意味におきまして、二年間はこれを停止するという趣旨にいたしておるわけであります。
  59. 齋木重一

    ○齋木委員 法律違反の問題もありますが、二箇年の点がわからないのです。これは一箇年にするとか、半年にするとかいうお考えはお持ちではないのですか。
  60. 中島征帆

    中島政府委員 これは半年、一年ではいけないという理由もないのでございますが、この場合ガス主任技術者の免状を取上げましても、ガス技術者として職務に従事することはできるわけであります。ただ主任技術者としての責任を与えるということは、そういうふうな違反行為をしたものにつきましては、しばらくの間は適当でない、それは少くとも半年は短か過ぎるし、一年でもいいかもしれませんが、二年くらいは禁止をした方がよくはないか、こういう趣旨であります。
  61. 齋木重一

    ○齋木委員 二箇年くらいはいいではないかというような観点で、そうしてガス主任技術者というものは全国で多数おありになつて、製造事業会社その他においてちようど事務的な技術者があるというお考えですか、そういう観点に立つて二箇年くらいは罰則の規定を設けてもよいのじやないかという考えのもとに二箇年としたのでありますか。
  62. 中島征帆

    中島政府委員 主任技術者の免状を持つておる者はたくさんございますが、しかしある工場だけを考えますと、その主任技術者がいなくなると、あとかわりのものがいないということは考えられないこともないわけでございます。しかしいやしくも主任技術者としては法令等を守るということは絶対必要でございますので、まずそういうふうな法令違反ということがないようにということを十分考えさせる必要がございますので、もし違反した場合には、このくらいのきつい制裁をしろということはやはり明らかにする必要があるのじやないか、またこれは法文によりまして、交付を行わないことができるのでありますから、もしその違反等が何か特別の事情によつたものであり、しかもその間の実情においてすみやかにこれをまた復帰させるということが必要であるという場合には、二年たちませんでも、さらに再交付することはできるつけであります。
  63. 齋木重一

    ○齋木委員 そうすると五十三条の三項、一項等に関連すると思うのでありますが、経営者に対するところの罰則等においては、これを予想されていない、ただ従業員とか、技術者とか、勤労者の方にのみ罰則を強要するというような傾きがあるのであります。五十三条の一項中におけるところの、「その他ガス工作物の機能に障害を与えて、ガス供給を妨害した者は、」とあるが、これらに対するところのガス従業員等が、もしもいろいろな面において休暇戦術その他の時間外の労働等の拒否をした場合におけるところの手不足のために、工作物の機能に影響するがごときことを予想される場合が私どもはなきにしもあらずと考える。そうすると五十三条の一項に該当するかどうかというようなことも考えられる。これらはどういうような解釈をなされるお考えですか。
  64. 中島征帆

    中島政府委員 この解釈は法務省なりあるいは裁判所の方でやるわけでございますが、ここにありますのは、やはり故意にこういうことをねらつてやつた場合でありまして、その間において、ただいまのお話のような事情がある場合には、むろんこの対象になるかどうか、その事情によつて解釈されるべきでありまして、状況によつては実際上こういうふうな結果が起りましても、それが本人の責任でないということになりましたならば、こういう五十三条の罰則にむろんかからないと思います。
  65. 齋木重一

    ○齋木委員 故意という解釈がどういうようなぐあいになるのでありますか、故意とは労働協約その他において確認されている範囲内においてやることを故意と私どもは認めないのであります。それらに対するところの問題については、今後に依存するというようなことは、少しどうも見当違いじやないかと思うのでありますが、その点を明確にしていただきたいと思います。
  66. 中島征帆

    中島政府委員 この五十三条の三項には「正当な事由」というような言葉がございますが、要するに正当な事由があります場合には、故意でありましてもさしつかえないということになるわけでありますが、こういう点につきましては、法の実際の運用は裁判所でいたしますので、私どもがあまり有権的な解釈をするということは適当でないと思います。
  67. 齋木重一

    ○齋木委員 五十三条の二項は一方的に都合のよい拡大解釈をされるおそれが十分にあると思うのであります。これらは全部削除するお考えがあるかどうか、また第十二条の一項において他事業との兼業を禁止していながら、第二項においては抽象的に兼業を認めておることはその後に企業体におけるところの変化が現われた場合、監督官庁の処置はいかようにするかということも起つて来るわけであります。これら諸点を関連してお伺いしたいと思います。
  68. 中島征帆

    中島政府委員 五十三条の二項の罰則はこれは全然則除することはちよつと適当でないと思います。これが拡張解釈されるということは、むろんわれわれも望むところではございませんけれども、少くとも故意にガスの工作物を破壊いたしますとか、あるいはその機能に障害を与えまして、その結果が保安上の問題を起すというようなことは、これは非常に警戒すべきことでありますので、そういうものはやはり罰則をもつて厳重にこれを取締るということが必要であろうと思います。  それから十二条の兼業の許可をいたしまして、その後で事業を変更した場合にはどうかということございますが、これはお話の通りに、この法律面から行きますと、一旦許可をいたしますと、その取消しということは、特別の事情がない場合特別の事情と申しますのは、法令違反等の事情がない場合にはできないことになつております。しかし事業の変更いかんによつては、これはそういう兼業を営ませることが適当でないと考えられますようなものにつきましては、あらかじめ許可をおろしますときに一定の条件を付するということによりまして、環境がそれに適しないときにはそれをまた取消すとか、あるいは期限をつけるというようなことで、縮めくくりをつけることは可能でございます。
  69. 齋木重一

    ○齋木委員 また従業員とかそういつた者に罰則の規定が重過ぎるのと、五十七条の罰則の規定はそれに反して軽過ぎるではないか、こういうことを私どもは思うわけであります。二十三条の二項に特定供給許可をする場合、中小企業を保護する建前から、その企業に従事する従業員意見をくみ入れるように施行細則において織り込んでいただきたい、同時に本罰則の規定は、企業面におけるところの立案の際から認めてこういつたようなものは必要なりとして起案をいたしたものか、また他の面から強要されて、こういつたような罰則規定を起案したものか、私どもは少しふしぎに思う点があるので、これを明確にしていただきたいと思うのであります。
  70. 中島征帆

    中島政府委員 これらの罰則はいずれも従来のガス事業法あるいは公共事業令等にとられておりました罰則の原則を大体において承継いたしまして、さらに再検討いたしております。しかしいずれも実質的に考えまして、こういうような事態が起きました場合には、やはり罰則でもつて縛るということが必要であると考えましてやつたわけでありまして、自分の方からの要望が根幹になつておるということはありません。むしろこれの規定につきましては、刑事局の方とは十分打合せをして、実際の適用につきまして、支障のないような表現並びに内容をとつておるつもりでございます。
  71. 齋木重一

    ○齋木委員 えらい自主的なように御答弁になりましたが、私どもはそう考えておりませんので、先ほどの諸点の要望に対しましては、施行細則その他におきまして、十分なる考慮をされて削除または訂正するところの心構えを強く要求いたしておきます。
  72. 永井勝次郎

    ○永井委員 関連して、ただいまの齋木委員から質問があつたのでございますが、この法案全部を見て、経営全体の責任を負うのはやはり経営者である、従つて経営の中には労務の関係も当然その一部として入つておるわけであります。たとえば主任技術者の個人的な責任に属するもの、あるいは労務者個人の責任に帰するもの、こういうものはその個人がその責任に当らなければならないことは言うまでもないことです。しかしその企業の中の労務の関係において経営者といろいろ問題が起つたというような場合その必然の関係から出て来るいろいろの事象に対しては、これは単に独立した行為とはおのずから違う経済行為の中の一部であるこういうふうに解釈しなければならぬと思うのですが、そういうふうな区分関係について、労務関係、労働者側に責任があるとするならば、それを総括経営の任に当る経営者にもこの責任が生じて来る場合があり得ると考えるのでありますが、これらについてはどういうふうにお考えになつておるか。
  73. 中島征帆

    中島政府委員 企業として責任のある場合には、すべて企業の代表者である者があの罰則上の責任を負う、こういうふうな規定になつておるわけであります。
  74. 永井勝次郎

    ○永井委員 第二十六条の会計の整理、それから第四十六条の報告の徴収、帳簿におけるところのいろいろな記帳、こういう規定がありますが、こういうものは役所がこれを求めて提出した場合、これは公文書という形になるのでありますか、これらの書類の取扱いはどういう関係になるのでありますか。
  75. 中島征帆

    中島政府委員 この規定に基きまして徴収されますような報告書は、私文書になります。
  76. 永井勝次郎

    ○永井委員 私文書であるとすれば、たとえば虚偽の記載をしてもさしつかえない、こういうことになるのでありますが、法的には別に虚偽の記載をしてもさしつかえないということになるのかどうか。
  77. 中島征帆

    中島政府委員 これはこの法律自体によりまして、たえば二十六条の問題につきましては、第六十一条に、二十六条の規定に違反したものに対しまする罰則があるはずであります。それから四十六条の報告につきましては五十九条に、「又は虚偽の報告をした者」というふうにして、やはり罰則がございます。
  78. 永井勝次郎

    ○永井委員 これは公企業として経営上重大なその基本ともいうべき、たとえば会計の内容あるいは報告の徴収、こういうようなことに違反した場合に一万円以下の過料に処する。こういうようなことは、公企業に対する一つの考え方として非常に微温的というよりは、形式的に一応条文を整備したというだけであつて、ほんとうに正確な報告を求める、帳簿記帳を求めるというような意思が、この法文の中にはないのではないか、こう思うのでありますが、一万円以下の過料で十分その目的を達し得られるとお考えになるか。
  79. 中島征帆

    中島政府委員 二十六条の場合には、一定の様式に従つて会計を整理しなければならぬ、これだけの事項でございまして、その様式を守らなかつたということであります。従つてそれについては、一万円以下の過料程度で一応罰則としては十分であつて、むしろそれを発見いたしましたならば、訂正して早く所定の様式に直してもらうということが必要なわけであります。たとえば四十六条の場合におきましては、提出を求めました報告書に虚偽の報告をした場合には、これは事態が多少違いますので、五十九条に基きますと三万円以下の罰金ということになつておりますが、これは明らかに非常に悪質でありますから、罰金をもつてこれを処理するというふうにいたしたわけであります。
  80. 永井勝次郎

    ○永井委員 罪の解釈に対するいろいろな価値批判というものはあるわけでありますが、個人がどろぼうした、食えないために盗んで食つたという罪に対しては、これは懲役何年というような罪が科される。しかし公の機関において、それぞれの職務においてその影響するところは非常に社会悪的なもの、国民全体の利害に影響するというような、こういう社会性、普通性を持つた罪に対しては、非常に罪の組立てというものが軽く規定されておる。こういうのは資本主義社会組織における一つの逃げ道でもありましようけれども、そういうような形においてそれが法的にも実際的にも擁護されるという形が出ておるというのは不均衡だと思います。ここにも個人が何しても懲役何年というような、それから主任技術者がどうしても二年間免状をとる。五十六条においては、二年以下の懲役もしくは二十万円というような規定をしておる。経営において何十億というような利益を得るこの経営の規模にある者に対して、過料一万円とか、罰金三万円とか、これは形式であつて実際にはその効用を持たないとわれわれ考える。この法全体の運営にあたりましては、何と申しましても、国家管理ではない私企業の形態を残して、そういう性格の上に立つて公共の福祉をはかるという国民経済的な立場で、公共的な企業を推進させて行くというからには、それの帳簿記載なり、会計なり、いろいろな報告書は、原則として虚偽は書かないのだという上に立たなければ、この法律は成り立たないと思います。従つて原則として虚偽は書かないのであるというからには、もしもそういう信頼性の上に立つた法律の中において、ごまかしていろいろなこをやるということに対しては、国民の名において厳重な処罪をしてさしつかえないとわれわれ考える。こういう点に立つて局長は、こういう過料一万円、罰金三万円というような程度において、十分に会計報告あるいはいろいろな報告が期待できるようなお考えであるのか。お考えであるとするならば、その理由はどういうところにあるか、この点をお伺いいたしたいと思います。
  81. 中島征帆

    中島政府委員 法規を守らせるために、その手段として罰則を厳重に置くというだけでよいかどうかについては問題があろうかと思いますが、しかしただいまのような世間一般に非常に大きな影響を及ぼすような事項につきましては、さらに厳重な罰則にすべしという議論につきましては、私もある程度感じを同じうするものであります。ただ現在の刑罰法規の体系にはやはり一定の原則がございまして、それに基きまし刑事局の方では罰則を想定いたしておりますので、われわれといたしましては、現在あります罰則に基いて、それぞれの事項に応じた罰を規定することを認めたわけでありまして、これにつきまして特にしろうと的な意見を申して強くやるということはいたしておりませが、大体現状として刑法体系の中でのバランスをとつてこういうふうにいたしたわけであります。
  82. 大西禎夫

    大西委員 小平久雄君。
  83. 小平久雄

    ○小平(久)委員 大体質疑は尽されたようでありますが、二、三簡単に伺つてみたいと思います。第一にこの事業許可関係でありますが、今回の法案によりますと、第五条においてこれを規定いたしまして、いわゆる地域独占の従来のきめ方を改めたということですが、これを法文について見ますと、現行法の第二十八条においては、なるほど「同一の地域を供給区域とする二以上の公益事業許可をしてはならない。」こういう明文があつたわけでありまして、これは今回の法案では明らかに削除されておる。この点はわかるのでありますが、ただこの第五条の主文の書き方であります。これによりますと「通商産業大臣は、第三条の許可の申請が左の各号に適合していると認めるときでなければ、同条の許可をしてはならない。」こういうふうに書いてあるわけです。これは現行法によりますと、一定条件にかなつた場合にはむしろ進んで公益事業許可をしなければならない、こういうふうにうたつてあるようであります。最近の立法例を見ますと、もし私の記憶が間違つておらなければ武器等の製造法なども一定の基準に合致した場合においては大臣はこれを許可をしなければならぬ、こういうふうに義務づけておりまして、行政当局の自由裁量の余地をなくしておる、こういうふうに考えておりますが、今回の場合にはそういう場合にはそういう書き方をしておらぬのであります。これはどういうわけでありますか。
  84. 中島征帆

    中島政府委員 この点は裏から書きましても表から書きましても、その解釈は同じだという大体の考え方でございます。ただ気分的にはこういうふうに書きますと少くともこういうふうな条件に合致しておらなければ許可はもらえないのだ、逆の場合におきましては、これだけの条件が当てはまつている場合には必ず許可がもらえるということになるわけでありまして、この間に若干の相違がございますが、大体結果においてはどちらから書きましても運用上は大差ないというふうに考えております。
  85. 小平久雄

    ○小平(久)委員 どう書いても大体は同じ結論になる、こういう趣旨だと思います。これは何回読んでみても、乏しいわれわれの国語の知識をもつてしても、大体同じ結論になると思いますが、厳密に言えば、これは第五条をすなおに読んでみますと、この第一号ないし五号の条件に適合する場合であつて許可しないでもよろしい、適合した場合に許可をするのであるが、それでもなおかつ許可をしないでもよろしい、あるいは許可をしない場合があり得る。すなおにこの条文だけを見ると少くもそう見えるのでありますが、そういう場合を何か予想しておりますか。
  86. 中島征帆

    中島政府委員 どうも厳密にその辺私どももまだ突き詰めて考えておらないのでありますが、たとえばこれを逆に許可しなけれならないといたしますと、この第一号におきましてガス事業の開始が一般の需用に適合しておるかどうかということは計数的な問題でございませんので、若干そこにあいまいの点があるわけでございます。従つてそこにも議論の余地がありまして、適合しないということをかりにわれわれが考えましても、あるいは他の方では適合するという解釈ができるかとも思いますが、そういう場合においてはもしも適合しているということであれば、どうしても許可をしなければならぬ。ところがそういうあいまいな計数が一にも二にも三にも四にも、常に共通にあるという場合におきましては、やはり全体をひつくるめまして相当疑問であるから許可をしないということも起り得ると思いますが、逆の書き方をしておりますと、いずれも六十点以上の場合にはやはりどうしても許可をしなければならぬというふうに追い込まれるおそれもありますので、そういう点における多少の気分的な余裕を持たしたということではないかと思います。  それからついでにちよつと先ほどの御質問にお答えしておきます。コークス会社の問題でありましたが、東京コークスとそれから大阪瓦斯の子会社であります近畿コークスの配当は、今年度は上、下とも配当しておりません。ゼロでございます。それから名古屋の東邦コークスのことはまだわかつておりません。
  87. 小平久雄

    ○小平(久)委員 何か今の御説明によりますと、第五条第一号で、たとえば「そのガス事業の開始が一般の需用に適合すること。」とありますが、こちらでは適合すると思うけれども、他の方では適合しないことがあり得るというお話でありましたが、これはこの主文には通商産業大臣がこれこれに適合していると認めるのでありまして、だれもほかのものが認めるんじやない。大臣自体が各号に適合しておるかしていないかということを認めるのであつて、何としてもほかのものが認めるんじやない。この法文だけを見れば大臣が適合したと認めても、なおかつ許可をしないでもよろしい、こういう場合があり得るようにどうしてもとれるのですが、いかがですか。認定そのものはあくまでも大臣がやるのでありまして、ほかのものがかれこれ言おうと、それはあくまで参考であつて、認定は大臣その人がやるのか。
  88. 中島征帆

    中島政府委員 それは法文上から言うとまさにお説の通りでありますが、そういうふうに認めるか認めぬかということを判断する場合において、こういうふうな書き方をしておると、幾らか気楽に認められるというようなことがあるんじやないか、はなはだ法律的でない説明で恐縮でありますが、どちらから言つても同じことでありますけれども、しいて区別をすればそういうところではないかと思うのであります。
  89. 小平久雄

    ○小平(久)委員 第五条はそのくらいにして、それから次に十二条の兼業の問題でありますが、これにつきましても大分論議が出ておりますが、特に兼業という観念でありますが、これもどなたからか質問があつたと思います。この法律でいう兼業というのは、具体的に申しますれば、東京瓦斯自体がほかのガス事業以外のものをやるということがもちろん兼業であろうと思いますが、いわゆる小会社なり関係会社ということには当然法律上及ばないものと思いますが、その点いかがですか、確認しておきたい。
  90. 中島征帆

    中島政府委員 これはお話の通りでございまして、東京瓦斯自体がやる場合だけをさしております。子会社の場合はこの規定は及びません。
  91. 小平久雄

    ○小平(久)委員 これは先ほど柳原君からも詳しく質疑がありましたが、この提出された資料によりますと、たとえば東束瓦斯の投資会社として東京コークス、関東タールというものがある。いずれも東京瓦斯が一〇〇%株式の保有をいたしておる。また大阪瓦斯においても、近畿コークスほか四社の小会社とも称するものがありまして、これまた大部分株式を保有しておる。それから東邦瓦斯も、これは株式保有関係はよくわかりませんが、投資が兼務しておる。そこで役員の兼務関係が非常に多いようでありまして、一つの親会社がそのほとんどまる抱えの小会社を持つておる。そこで役員が中には五つも兼任しておる、こういうのでありますが、具体的に申しましてどうですか、たとえば東京瓦斯なり大阪瓦斯なりの一人の役員が他の会社の、おそらく三つも四つも兼務いたしておるというような場合もあるんじやないかと思いますが、どうなつておりますか。
  92. 中島征帆

    中島政府委員 このコークス会社でありますとか、タール会社の役員を兼務しておることはございますが、それ以外にガス会社の役員が非常にたくさんな会社の役員を兼務しておる例はあまりないのであります。
  93. 小平久雄

    ○小平(久)委員 いや、私は具体的に尋ねたのであつて、一人が最大限幾つの会社を兼務しておりますか。
  94. 中島征帆

    中島政府委員 全役員につきましての調べはたいへんでございますが、一、二の例につきまして後刻取調べて答えいたします。
  95. 小平久雄

    ○小平(久)委員 この点はガス事業というものが、いわゆる公益事業であるという色彩を強く出そう。またそういう建前でこのガス事業に対する行政を進めて行こう、資金は他の関連においてこちらに最も重点を置いてやらなければならないのだという考え方で行きますならば、むしろ役員の兼務といういうなものは禁じて行くというくらいのことは当然あつてしかるべきであると私は思うのでありますが、これについてどういう御所見を持つておられるか、政務次官からお伺いしたいと思います。
  96. 古池信三

    ○古池政府委員 たとえばコークス会社のごとく全部株式を持つておるというような小会社の場合におきましては、これは利害関係も重大でありますから、その役員を兼務するということも場合によつては了承できるのではないかと思うのでありまするが、それがあまり関係の薄いような会社をたくさんに兼務するということになりますると、本来の公益事業たるガス事業の円満なる遂行の上に自然支障を来すというおそれは私はあり得ると考えます。従つて全然厳格に禁止をするのはいかがかと思いますけれども、さように比較的たくさんの兼務をするということを、行政上しないように勧告をするということは私は適切なる措置ではないかと考えます。
  97. 小平久雄

    ○小平(久)委員 せつかくの御答弁でありますが、私はそこのところはむしろ逆に考えるのです。ガス会社と全然関係のない会社との兼務であるならばまだしも、ガス会社とコークスの販売会社、これは先ほども論じられましたが、関係はなるほど密接でありましよう。それだけに利害の点から言うとむしろ相反する場合が多いのではないか。そういう関係からして利害の相反する、しかもきわめ密接な関係にある事業についてこそ兼業を禁止すべきじやないか。申すまでもなく、ガス会社でできるコークスを幾らでコークス会社に売るか、そういうことについても、すでにもうガス会社とコークス会社というものは利害が相反する。そういうときの兼務を認めておくということが、公益事業であればあるほど私はおかしいと思うのだが、どうですか。
  98. 古池信三

    ○古池政府委員 今のお話を伺いますと、まことにごもつとものようにも思いすけれども、しかし実態はガス事業から副産物として生ずるコークスをほとんど全部その会社を通して販売するというだけのものでありますから、それほど両者が相対立するものとは私は考えないので、むしろガス事業のためにコークス会社が外にあつてその利益を守るもの、かように考えるのであります。これはちよつと考え方が違うように私は思うのであります。
  99. 小平久雄

    ○小平(久)委員 ガス会社ならガス会社の性質がどうだこうだといつても、ガス会社はなるほど利益は少くても、小会社の方で利益をためておくのじやないか、そういつた一般の疑惑というものはあつてもしかたがない。そういつた世の疑惑を避けるという意味から申しましても、直接関係の深い会社の役員を義務しておるというのは、常識的に見ると避ける方がむしろ常識的じやないかという気がするのでありますが、これは意見の相違ですからやめておきます。  次に十三条の事業の休廃止の場合について伺ついてみたいのですが、この事業の休廃止につきましては、現行法におきましては第三十六条で規定いたしております。特に三十六条の第三項におきましては、「通商産業大臣は、第一項の許可又は前項の許可の申請があつた場合において、その事業の休止若しくは廃止又は法人の解散により公共の利益が著しく阻害されるおそれがないと認めるときは、許可又は認可をしなければならない。」こううたつてあつたわけです。ところが今回の法案によりますると、案文の書き方そのものも大分やわらいで書いてあるようであります。特に私が問題にして今尋ねしたいのは、今回の第十三条第三項におきましては、「通商産業大臣は、ガス事業の休止若しくは廃止又は法人の解散により公共の利益が阻害されるおそれがないと認めるときでなければ、第一項の許可又は前項の認可をしてはならない」。こううたつてあるのでありますが、元来ガス事業許可の要件として、これは公共上必要であるということを元来建前にして許可ができておるわけであります。許可の要件としてそういうことがうたつてあるわけであります。これは先ほどの五条でしたかにそういう一文が設けられてあつて、公共上必要であるという建前でできておる。従つて第十三条に予想しておる事業を廃止いたしましても公共の利益が阻害されるおそれがないという場合は私はもともとないんじやないかと思う。公共の利益の上に必要があるから初めて許可になつておつた。廃止するということになれば、もうこれは当然公共の利益を害するんだと初めからわかつでおることなのであつて、こういう事態は一体に想像されない。もちろんたとえば人口が非常に減つてしまつて、もうガスの必要がなくなつた。そういつた常識で考えられる場合とは逆に、都市の衰退などがあつた、そういう場合はもちろんありましようが、通常の場合は、どうもこれに該当するようなことは起こらないのじやないか。特に先ほど読み上げました現行法においては「著しく」云々、こういうことまでうたつてある。今度はそういうことは省いてしまつておる。どうも第十三条でこういうことをうたつてつても、実際問題としてこういうことはあり得ないのじやないかとさえ考えるのでありますが、その点いかがですか。
  100. 中島征帆

    中島政府委員 現在の公共事業令とこれとの書き方は、ここでもうらはらになつておりまして、現行法では、「著しく阻害されるおそれがないと認めるときは、許可又は認可をしなければならない。」、この場合は「おそれがないと認めるときでなければ、第一項の許可又は前項の認可ををしてはならない。」こういう書き方で、ちよつと違う書き方であります。そこでただいまの場合でございますが、なるほど公益事業は公益のために必要であると認めて許可をしておるわけでございますが、その後その地区内の需用が初めに予定しておりました通りについて来なかつた場合におきましては、ガス事業としてはきわめて採算上不利な事業を続けて行かなければならないということになるわけであります。その場合においては、一応地区内の全体を考えます場合には、たとえば大部分のものはそのガス事業について行かなかつた。ガス事業の必要を認めなかつた。たまたま申し込んでガスを引いた少数の需用者は便利でありますからガスがなくなつちや困るという考えを持つのは当然でございますが、その場合に公共の利益が阻害されるかされないかということにつきましては、単にガスだけの問題ではないと思いますけれども、そこでいろいろ考慮すべき余地があると思うのであります。現に具体的な例を申し上げますると、ある場所におきましてガス事業の需用が非常に少くて、事業者としてはとうてい立ち行かない。かりに現在の需用者に対しまして料金を大幅に値上げすればこれはパイできるわけでございますが、しかし料金を上げますと、さらに現在の需用者自体も脱落して行くということになりますし、負担能力の関係もございましてこれも不可能だ。従つてこの状況では、ガス事業というものは休止止せざるを得ないというような例があつたわけでございます。その場合におきましては、この十三条の三項を働かせまして休廃止の認可をするということも一面において可能でございますけれども、やはりその場合の行政措置といたしましては、現在の需用家を守り、かつまたガス事業がさらに健全に発達しまして、全体にさらに低廉なガス供給し得るようにということをいたしますために、またガスの引かれていない部分につきましても事業拡張をいたしまして、そこで会社の基礎を固めて、さらに継続をさしたというふうな事例がございますが、そういうふうな措置もできますから、必ずしもこの十三条三項を働かす必要がないことが多いわけでありますけれども、どうしてもそういうような事業拡張の方法も全然見込みがないという場合には、当初の見込み違いがあつたという場合には、休廃止の認可をしなければならないことになろわけでありますが、その場合に公共の利益が害されるかどうかということが問題になるわけでありますが、全体のことを考えないで、現在ガスを引かれておるもののみの利益を考えておるというわけではない、こういうふうな解釈をしておるわけであります。
  101. 小平久雄

    ○小平(久)委員 公共の利益といえば、これはガスを引くときの公共の利益と、今度は事業を廃止するときの公共の利益が違うというような今の御説明のようだが、今のお答えはちよいとよくわかりませんが、引くときに公共の利益の上で必要だというならば、廃止するときもこれは公共の利益の関係から廃止すべきじやないか、そのときの公共という意味が違うというのもどうも私よくわかりませんが、それはとにかくとしまして、第三項を適用することによつて事業の廃止、あるいは法人の解散というようなことを、どちらかというとなるべく認めまいという方針が出ておるようにとれるのであります。そういうことになりますと、一方においてはあくまでも私企業立場をまた認めておるわけであります。私企業の自由という点から考えますと、一体どういうことになるのでありましよう。当局は公共の利益が阻害されるからといつて事業の廃止なり法人の解散を認めない。しかし私企業としてどうもやつて行けない、こういう事態も当然想像されるわけです。そういうときは一体どういう処置をなさるのですか。
  102. 中島征帆

    中島政府委員 具体的な例を申し上げますと、かりにガス事業者が、需用家があまり伸びないために非常に利益が少い。こういう資金はむしろほかの方に投資した方がよろしいからガス事業はやめたい、こういう場合にはこれは当然ガス休止によつて一般の利益を害するということで、三項の規定を働かせまして認可をしないことが適当であろうと思います。ところがそうじやなくて、実際に現在においても赤字を出しておる。その赤字はいかに努力いたしましても長いことその赤字を消すことができない。従つてそのためには何らか別の措置、たとえばさらに需用家がふえるとか、あるいは供給量を広げるということができれば格別であるけれども現在のところはそれもできそうもないから、これ以上続けられないという場合におきまして他の手段で救済方法がない場合には、結局赤字経営を続けるということ自体、いつかは会社がつぶれて、現在の需用家ガスを使えないことになりますので、その場合におきましては、被害をできるだけ早く食いとめるために、申請の時期において廃止の認可をするということも起り得るわけであります。ケースケースによりまして、事態があまりに極端な場合には、認可をする場合と認可をしない場合もあり得ると思います。ただお話のように、限界の場合におきましてちよつと疑問の点があるのでありますが、その点につきましてできるだけ需用家の利益を擁護する意味におきまして努力いたしまして、どうしてもそれで救えない場合にはやむを得ず廃止を認める、こういうことになると思います。
  103. 小平久雄

    ○小平(久)委員 ちよつと前にもどりますが、先ほどの公共の利益の観念ですが、先ほど申し上げましたように、事業許可する場合の公共の利益という観念と、事業を廃止あるいは休止する場合の公共の利益という観念とが違うというのは、私はちよつとおかしいと思いますが、さきにも申しました通り、現行法では少くとも著しく公共の利益が阻害される、こういうふうに著しくという言葉を使つておつたわけであります。つまり事業許可する場合の公共の利益という観念と、事業の休廃止をするといつた場合における公共の利益の差でありますが、すなわち休廃止しなくても著しく公共の利益が害される、こういう場合はほんとうにはなはだしい場合だけに限られておつたのでありまして、私はこの点は現行法程度の差を認める意味において、著しくといつたような言葉を書いておいた方がむしろいいのじやないかという感じがするのでありますが、その点をひとつ承りたいと思います。  なおまた今も御説明のうちにありましたが、休廃止を認める場合については、やはり私企業という建前を認めている以上は、要するに、私企業としての経営をすることがどうしても困難だといつたような場合には、これは認めるのだということをやはり明文ではつきりしておいた方がいいんじやないかと思いますが、その点はいかがでしようか。
  104. 中島征帆

    中島政府委員 初めの点の公共の利益というものは、許可するときと、休廃止を認可する場合とが違つたものであるとは決して考えておりません。ただ当初予定しておりましたいわゆる実際にガス事業について来る公共というものと、それからガス事業を開始いたしまして廃止する直前におけるガスの公共というものが、当初と違いまして、非常に小さい。従つて初めガス事業を開始しますときには、地区内の大部分の住民がガス需用家になると考えておつたところが、従つてその全体の公共のためにガス事業を開始することが利益であると考えておつたところが、その後開いてみた結果においては、そのうちのごく一部分しかガス需用家としては出て来なかつた。従つてその残りのいわゆる公共については、ガスがそれほど利益でなかつたという見込み違いがあつたということを私は先ほど申し上げたのであります。  それから私企業であるから赤字経常をいつまでもさせるということは適当でない。従つてそういう場合には、休廃止をもちろん認めているわけでありますけれども、しかしもしその企業の努力が不十分であるために、また何らかほかの救済措置をすれば事業経営をし得るにかかわらず、目先たまたま赤字経営であるという事由をもつてガス事業の廃止をするということは、やはりガス事業の公共性からいつて、少し早過ぎるのではないか。やはりそこでほかの事情も考えて、どういう方法を講じてもこれ以上続けることが一般利益にならないというふうに認められるときでなければ、許可しないという方が公共事業としての建前ではないか、こういうふうに考えておるわけであります
  105. 小平久雄

    ○小平(久)委員 次に会計の関係で簡単に承つてみたいと思うのであります。先ほどもどなたでしたか、質疑がありましたが、いかにも法の上から見ますと、会計の監督という点についての規定は、これはガス事業公益事業という立場から見ますと、まことに簡単過ぎるくらい簡単にうたつてあると思うのであります。その整理の仕方あるいは減価償却額についての指示の規定があるだけであります。特に先ほど申しましたが、これがもちろんこの規定はいわゆる他の子会社なりあるいは関係会社に適用にはならぬものだろうと思います。そこで、一般から見ますと、こういつた事業であればあるほどこの会計の内容というものを詳しく知りたい。特に料金値上げというような問題が起れば起るほど会計の内容を知りたいのが人情であり、常識であると思うのです。ところがいかにも簡単であり、特に法文からしますと、当局が進んで何か会計の張簿書類等を出させるとか、あるいは立入り検査をするとか、そういつれことについては何ら規定がないようであります。これで一般公益事業に対する考え、特に料金などについて重大な関心、こういうものにこたえるのにこの規定で十分でありますか。
  106. 中島征帆

    中島政府委員 ガス事業に対しまする会計規定をごく簡略にいたしましたるは、要するにガス事業の自主性を尊重するという建前をとつたわけでありまして、最終的には結局業務監査をいたしまして、その結果によつて料金自体でこれをいじらせるということによつて締めくくりをつければいいのではないかという考え方をとつたわけであります。それから会計の諸報告等につきましては、四十六条に業務に関して報告をさせることがでまるという規定がありまして、これによつて経理内容等についての監査は十分できるわけであります。
  107. 小平久雄

    ○小平(久)委員 その四十六条による業務監査というものは、いわゆる関係会社についてはどの程度できますか。親会社と関連する限りにおいてとくらいに今観念的には想像されますが、その辺はいかがですか。
  108. 中島征帆

    中島政府委員 これは親会社の方の経理にいろいろ出て参ります。あるいは事業そのものの内容につきましても、ある程度出て来るわけでありまして、それに関連してこれについては調査できます。しかし表向き直接に関連会社内容について調査することは不可能でございますが、実際問題といたしましては、親会社の経理あるいは業務の内容を十分説明させるためには、やはり子会社内容もある程度明らかにせざるを得ないことになると思います。従つて間接にそういうものについてはかなり明らかにすることができると思います。
  109. 小平久雄

    ○小平(久)委員 ガス熱量及び圧力の維持等の関係でありますが、これらはもつぱら供給規程によつて行わせる建前のようであります。しかしていろいろと記録簿を取寄せて監督しようというお考えのようでありますが、東京瓦斯さんの供給規程第二十九条を見ますと、天然等やむを得ない事由によつて云々ということがうたわれている。最後に但しこの場合使用者の受けた損害については当社は責任を負いません、こうはつきりうたつているわけであります。そこでよく問題になるのは、労働争議等が長期に及んで石炭が不足したような場合には——一昨年から昨年にかけてそういう問題が大分ちまたに起つたのであります。労働争議はもちろんいわゆる不可抗力の部類に入るだろうと思うのですが、これは一般需用者側から言うと、どうもそういう取扱いは納得が行かないというのがほんとうの気持であろうと思う。従つてこういう点について、一体天災等やむを得ない事由というのはどこが判断するものですか。ガス会社自体が判断するのですか。規程から見ると、ガス会社が一方的に判断するように見えますが、こういう点は当局の判断によつて裁定を下す余地は何らないのでありますか。条文上見当らぬような気がしますが、どうでしようか。
  110. 中島征帆

    中島政府委員 何か特別の事由によつて供給できないという場合には、ガス供給をとめ、あるいは制限をするわけでありますが、そういう場合にはあらかじめ当局の承認を得てからやつて行きます。それで承認を得た場合には正当な事由と認められるのじやないかと思います。
  111. 小平久雄

    ○小平(久)委員 具体的に申しまして会社責任を負わなければならない事態、つまり会社の責めに帰すべきだという場合はどんな場合ですか。
  112. 中島征帆

    中島政府委員 おそらくはガス事業者が自分のガスの工作物、あるいは供給設備であるとか配管とかいうものの維持を十分やつていなくては、過失によつて事故が起きましたためにガスが送れなかつたという場合に、やはりガス事業者責任を負うべき性質だろうと思います。
  113. 小平久雄

    ○小平(久)委員 今までその具体的な例がありますか。責任を負うて料金を引いたという例がありましたら、一つでも二つでも……。
  114. 中島征帆

    中島政府委員 その例はちよつと私存じませんが、たとえばガス設備の折損でありますとか、あるいは破壊された場合、その支障を来したのがガス事業者責任である場合には、その損害を賠償したという例はございます。しかしガス料金をそれで差引たという例はちよつと私存じません。
  115. 小平久雄

    ○小平(久)委員 その点料金を差引くほどの責任を負つた例がないということになりますと、ガス会社の措置はこれすべて万全である、逆に言えばこういう結論になるじやないかと思うのでありますが、その例がもしありましたら、調べてどこかの具体例をお示し願いたい。そうでないと、せつかくこういう規定があつても、実際は需用者側からいえばこれは空文であつて、どんな場合でも結局はガス会社責任じやないんだ、どんなことがあつて料金から引いていなんだ、こういうことになつてしまうのでありまして、どうもその点が消費者立場からするといささか納得が行かぬ点だと思うのでありますから、今まで具体的な例がありましたら、お調べの上に資料として御提出を願いたいと思います。  最後に一点伺いますが、当局がガス事業に非常に力を注いでおられ、特に五箇年計画等もお立てになり、この方面に力をいたされていることについてはわれわれも非常に共鳴を感ずるのであります。ただガス事業はいかにも大都会中心の事業である。もちろん従来はガス事業が大都会を中心にしなければ事業そのものが成り立たなかつたことも事実だろうと思いますが、わが国の全体の総会的な燃料の対策の一面から、特に国内資源の活用というか、愛用と申しますか、そういう面から国内の石炭の活用というような立場からいたしましても、もう少しガス事業地方の中小都市にまで及ぶように当局においても努力を願いたいと私はかねがね考えているのでありますが、たとえば都市施設として最も代表的である水道の設備、これと比べますと、ガス事業に関する施策が相当遅れているんじやないかという見方をいたしているのであります。御承知の通り水道については、簡易水道というようなものがこのごろ盛んに行われまして、地方の中小都市でも相当普及して参つている。ところがガスの方はなかなかそう参らぬ。この点について私はもう少し中小の規模においても何とかガス事業そのものが成り立つような技術的な研究も大いにいたしてもらい、またそれに対して当局としても、でき得る限りの行政的な援助も考えてもらう、こういう面ももう少し力をいたしてもらいたいという考えを日ごろから持つておるのでありますが、この点について当局の御所見を承つて私の質問を終りたいと思います。
  116. 古池信三

    ○古池政府委員 ただいまのお尋ねは私もまことにごもつともだと存じます。ただ水道と比較いたしましてガスの方が技術的な困難性が多いと存じます。簡易水道は最近非常に普及いたされましてけつこうでありますけれども、ガスの方は今の状態では簡易水道を引くほど簡便にはなつていないのでありまして、もちろん今後とも技術的の面におきましても十分研究を重ねまして、都会に限らずいなかの方にも普及いたすように、できる限り努力をして参りたいと思います。
  117. 永井勝次郎

    ○永井委員 この政令案要綱をもらつたのですが、これでは参考にも何にもなりません。要求した資料になりません。この法案は四月一日から実施をしたいということで審議を急がれておる。それでは四月一日から実施をするというのに、こういう政令の要綱よりないのだということでは、準備が不整備だと思いますし、あるならばひとつはつきりとそれを出していただきたいと思う。大体最近の法案は、法律を見ただけでは何のことだかわからない。抽象的なことだけを法案に出して、具体的なことは全部政令に譲つて、政令でひねつて行こうというのですから、これはこの法案と並行して政令を照し合せて行かなければ、法律案の条文解釈が具体的にどういう形になつて現われて行くかということが理解できないのでありまして、この審議を促進する上から行きましても、もつと誠意のある政令案の資料を出していただくことを、委員会の名において要求いたします。
  118. 齋木重一

    ○齋木委員 私は公共の福祉という観点から質問いたしたいと思います。  ただいま小平委員東京瓦斯を非常に例にとられたが、私の県の福井県の敦賀市のガス会社に対するところの問題——会社は小さいかもしれないけれども、大きな問題が起つておるのであります。公共の福祉などというものは無視されて、現社長はガス導管を引揚げるとか何とかいうことで脅迫して、市役所等においても問題が起きているのですが、局長はそういうことについて今日まで情報を受取つておるかどうか、また警告を発しておるのかどうか承りたいのであります。これは公共の福祉に反するか反しないかという問題であります。
  119. 中島征帆

    中島政府委員 先ほど事業許可の例で申し上げましたことは実は敦賀の例でありまして、かつて敦賀市では需用家が少くて経営が困難であるという理由でやめたいという問題が起きまして、これでは市民一般が困るという別の意見もありました。そのためにこちらからガス課長を現地に派遣しまして、市と会社の当事者と十分打合せをしまして、そこで将来の需用を一応確保する、それに対して市からも相当な援助をするということによつて事業を継続するということで、事業そのものを休止することなくして済んだのであります。その後におきましては、そのとりきめによりまして、今日においてはガス事業が順調に進展しているのじやないかと承知しております。
  120. 齋木重一

    ○齋木委員 あなたは順調に行つているような報告だというけれども、順調も何も、ちつとも行つていないのです。——ス課長はどこへ出張したのですか。
  121. 吉田剛

    ○吉田説明員 お答えいたします。あの問題は、前の敦賀瓦斯が非常にこわれまして、それを修復する金と需用戸数わずか三百戸ではとても引合わないというのが理由でございます。私昨年の八月に敦賀に参りまして三日間市の方々、敦賀瓦斯両方の代表者と会いまして、それぞれの言い分をいろいろ聞きましたし、その再建策といたしまして、ではこのガス会社は、今後幾ら投資をしてどういうやり方で何戸までふやせばやめないで済むかというふうな問題につきまして討議いたしました。その結果市あるいは市会議員の方々、あるいは会社の人々の間におきまして一つの再建策を立てました。一応われわれの検査をいたしました結果では、相当の金をつぎ込みましても、二年以内に一千戸に到達すれば事業としては経営が成り立つ、その一千戸になるまでは赤字は会社側で負担する、それからあとのいろいろな市税その他については、市としては免除するというようなラインで協定を結びました。その後現在までそのラインでずつと進めておりまして、実はわれわれといたしましては一年半以内に千戸になればいいという目標を立てておつたのでございますが、最近の報告では、この三月の半ばまでに八百戸に達しております。そうしてガス料金も従前のままで、市民の方からも、市長の方からの報告によりましても、ガスの出が前の敦賀瓦斯はお湯をわかす程度しか出なかつたが、最近はガスの質がよくなつて厨房用に使えるようになつたという報告が参つております。私どもといたしましては、そういうふうな問題につきまして現地解決をするような場合にはただちに参りまして、いろいろ再建策について検討いたしております。今どういう事情かというお尋ねがございましたが、実はこの問題につきましては、今申しましたような経過でありまして、現在のところ予定よりは早く目的を達成するのじやないかというふうに考えております。一年半という再建策を立てましたものが、あるいは一年以内に可能になるのではないかというふうに私どもは見ております。これは敦賀瓦斯の一例でございますけれども、そのほか一、二問題が現在ございますが、御承知のようにガス地方公共団体との関係が非常に密でございますので、そういう問題の解決等については、その事例ごとに地方通産局でもやつておりますし、事と次第によりましては、ガス課長みずから参りまして解決するという方策で臨んでおります。
  122. 齋木重一

    ○齋木委員 そうすると公共の福祉ということに対して相反するような結果が生じて来て、会社の怠慢によつて赤字が出たという場合において、地方公共団体等にその負担をさせるとかなんとかいうことで会社がごてて横車を押すような場合には公共の福祉を増進するということに当てはまらないと私は思うのであります。それと同時に、八百戸と言うけれども、私の手もとに来た報告では、千戸以上の申込みがあるけれども、会社では——料金面か資金か知りませんけれども、それに応ずることをしないで、怠慢でしないのか、できないのか知りませんが、実際においてはやつていないということをわれわれは聞いておるのであります。今の報告のように、一年半が一年でできるということは机上の議論であつて、実際においては成り立たないということになつておる。そうすると公共の福祉ということに相反すると思いますが、その点はどうなつておりますか。
  123. 吉田剛

    ○吉田説明員 今の敦賀瓦斯の問題でございますが、実際問題としまして、資金調達の量もございますし、われわれとしましてはいろいろな計画で資金調達の道を講じてやれば、大体一年半で千戸になることは非常に努力はいると思いますが、可能であると認めたわけでございます。  それから市の方が云々というお話がございましたが私どもとして市の方の負担にお願いいたしましたのは、結局市に対するガス税でございます。こういうものに相当するものだけは一応免除してやつてくれという形で行つたのでありましてその間特に市からほかのソースから補助金を出させるという形ではございませんで、たとえば事業税とかガス税というものを、再建政策が立つまでは一応それに見合つたものとして補助金を交付したいということにして、免税してやつてもらうという形をとつたのでございます。これはもしそういうことをして早く建直しさせませんと、結局ガス企業としては、私の参りました当時は非常に小さな会社でございますが、会計検査を全部やりましたところが、日々二万円、三万円の赤字が出ておりました。そういう状況で続けておりましたのでは、ある程度の免除措置でもとつてやらなければ再建整備は不可能であるという原則からやつたのであります。その間何も新しい財政的のソースから特に補助金をやつたという形ではないのでありまして、あの間の契約を見ていただけばよくわかるんじやないかと思つております。  なお今敦賀市におきましては、申込みが非常に多いのにかかわらず引けないというお話でございましたが、私どもその申込みが非常に多くなつたことをむしろ喜んでおります。と申しますことは、あの敦賀瓦斯がつぶれかけましたときは、毎日々々やめるという家庭が多くて新しく引くという家庭がないという点で、三百戸すら割るという状態でありました。その状態でありましたのは、実は非常に悪いガスが送られておつた。正直に申しまして飯がたけないというようなガスが行つておりました。これにつきましては、全部その点では本管を掘り起しまして検査をやつた。その中にタールが詰まつておるとかあるいは腐蝕しておるという点がありまして、その点を全部調査をやりまして引きかえるのにどれだけの資金がかかるか、その資金についていつまでにそれを調達するかという計画を立てまして、無理のない可能な面としては、早く一千戸まで持つて行くべし、そうしてその再建計画は一年半でやるということでやつたのでございます。従いましてもう近く千戸になるということになりますと、われわれといたしましては、一年以内に千戸になつたということは、敦賀瓦斯のその後の努力は買つてやるべきではないかというように考えております。その点従前の敦賀瓦斯としては非常に非難に値することはたくさんあつたと思いますが、昨年の九月以来の努力につきましては、私どもとしては十分やつておることと了解いたしております。なお今後の問題につきましても、絶えず報告をとりまして進捗況を見て行きたいと考えております。
  124. 齋木重一

    ○齋木委員 えらい異なことを聞くものであります。従来のガスは悪かつたから、需用者から申込みがなかつたと申されたように聞きます。検査とかなんとかいうものはどこがやるのか。ガスがよいとか悪いとかいうようような点について、戒告なり警告なり発するところはどこか。取締り官庁として取締る法律があるはずだ。それを放任しておいて、ガスが悪かつたから、需用者がふえなかつたから、赤字になつたということでは、会社も怠慢だが、当局も怠慢ではないか。その責任会社ばかりに負わせるつもりでおいでになりますか。
  125. 中島征帆

    中島政府委員 ガス熱量の測量義務は、従来の規定にはございませんけれども、供給規程によつて一定の熱量供給する義務がある。当局といたししましても、この供給規程を守るよう監督する義務があるのでありまして、そういうような事態が起きたことは、当然監督官庁にその責任があるわけであります。しかし一応弁解いたしますならば、戦後いずれの会社も、そういうようなことによつて一時ガス供給に非常な障害があつたということは言えるのではないか。その戦後の状態からの回復がはなはだ遅れておつたという事情にあるかと思いますが、その間においての監督不十分の責めは当局にあると考えるものであります。
  126. 大西禎夫

    大西委員長 それでは本日はこの程度で散会いたします。なお次会は二十六日午前十時より開会いたします。     午後一時五分散会