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1954-03-19 第19回国会 衆議院 通商産業委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年三月十九日(金曜日)    午前十一時五分開議  出席委員    委員長 大西 禎夫君    理事 小平 久雄君 理事 首藤 新八君    理事 中村 幸八君 理事 山手 滿男君    理事 永井勝次郎君 理事 加藤 鐐造君       田中 龍夫君    土倉 宗明君       笹本 一雄君    長谷川四郎君       加藤 清二君    齋木 重一君       帆足  計君    伊藤卯四郎君       中崎  敏君  出席政府委員         通商産業政務次         官       古池 信三君         通商産業事務官         (大臣官房長) 岩武 昭彦君         通商産業事務官         (通商局次長) 松尾泰一郎君         中小企業庁長官 岡田 秀男君  委員外出席者         通商産業事務官         (鉱山局鉱山政         課長)     村田  繁君         専  門  員 谷崎  明君         専  門  員 越田 清七君     ――――――――――――― 三月十七日  委員始関伊平辞任につき、その補欠として世  耕弘一君が議長指名委員に選任された。 同月十九日  委員世耕弘一辞任につき、その補欠として始  関伊平君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 三月十八日  輸出保険法の一部を改正する法律案内閣提出  第五七号)(参議院送付) 同月十六日  電力料金値上げ反対に関する請願助川良平君  紹介)(第三五三四号)  同(佐藤善一郎紹介)(第三五三五号)  同(粟山博紹介)(第三五七九号)  同(山下春江紹介)(第三五八〇号)  かんがい排水用電力料金値上げ反対等に関する  請願小平久雄紹介)(第三五七五号)  重油並びに外国炭輸入制限に関する請願(佐  竹新市紹介)(第三六二〇号)  只見川電源地一帯に対する電力料金地域差設定  に関する請願菅家喜六紹介)(第三六二一  号)  の審査を本委員会に付託された。 同月十七日  中小企業に対する金融等に関する陳情書  (第一九四五号)  同  (第一九四六号)  同  (第一九  四七号)  同  (第一九四八号)  同  (第一九四九号)  同  (第  一九五〇号)  同(第一九五一  号)  同  (第一九五二号)  同  (第一九五三号)  同  (第一九五四号)  同  (第一九五五号)  マツチ工業に対する中小企業安定法第二十九条  発動に関する陳情書  (第一九五六号)  電気事業関係法令改正に関する陳情書  (第一九五七号)  電気法制定に伴う電気事業者兼業投資に関す  る陳情書(第  一九五八号)  同(第一九五  九号)  電気料金値上げ反対に関する陳情書  (第一九  六〇号)  同(第一九六一  号)  同(第一九六二  号)  電源開発に伴う総合開発事業の推進に関する陳  情書(第一九六三  号)  ガス事業法改正に関する陳情書  (第一九六四号)  石炭鉱業対策に関する陳情書  (第一九六五号)  イラン石油輸入に関する陳情書  (第一九六六  号)  中小企業に対する金融等に関する陳情書  (第二〇二六号)  光学機械輸出振興に関する陳情書  (第二〇二七号)  電源開発促進に関する陳情書  (第二〇二八号)  電気料金値上げ反対に関する陳情書  (第二〇二九号)  同(第  二〇三〇号)  同(第二〇二二  号)  同  (第二〇三二号)  石炭鉱業対策に関する陳情書  (第二〇三三号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  参考人招致に関する件  中小企業金融公庫法の一部を改正する法律案  (内閣提出第三七号)  中小企業信用保険法の一部を改正する法律案(  内閣提出第三八号)  輸出保険法の一部を改正する法律案内閣提出  第五七号)(参議院送付)  国際的供給不足物資等需給調整に関する臨時  措置に関する法律の一部を改正する法律案(内  閣提出第六四号)     ―――――――――――――
  2. 大西禎夫

    大西委員長 これより会議を開きます。  まず小委員会参考人についてお諮りいたします。二十三日の木材に関する小委員会において、紙パルプ連合理事長日本石炭協会会長及び日本瓦斯協会会長を、それぞれ参考人として意見を聴取いたしたいとの小委員長よりの申出がありますので、これを許可するに御異疑ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 大西禎夫

    大西委員長 それではそのように決定いたします。  なお参考人にその後変更があつた場合は、その補欠選定委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 大西禎夫

    大西委員長 それではそのように決定いたします。     —————————————
  5. 大西禎夫

    大西委員長 次に中小企業金融公庫法の一部を改正する法律案及び中小企業信用保険法の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。両案に対する御質疑はございませんか。——小平君。
  6. 小平久雄

    小平(久)委員 私は最初に公庫法に関して一点だけ承つておきたいと思います。というのは、御承知のように金融公庫法案を当委員会において審議し、またこれを可決する際に、多分十箇条であつたと思いますが、附帯条件を付して可決をしたはずであります。その中でもちろんその後、たとえば十一大の銀行等代理店に使うというような点で、委員会自身が了解して変更したという点もあると思いますが、その他いろいろな条件について、その後当局としてどういうような処置をとられたか。また中には、そういう処置をとつていないものもあると思いますが、そういうものについて今後どういう処置をなさろうとされておられるか。そういう点についてこの際伺つておきたいと思います。
  7. 岡田秀男

    岡田(秀)政府委員 昨年の第十六国会におきまして成立を見ました中小企業金融公庫法関連をいたしまして、当委員会において附帯決議が行われておるのでございます。その趣旨につきましては、私どもといたしましては御趣旨公庫運用に反映せしめますように、十分の注意を払つたつもりでありまするが、その附帯決議の第一点につきましては、農林漁業金融公庫と、中央企業金融公庫との関係におきまして、重複を来さないように、農林漁業等原始産業に直結する事業の融資は、農林漁業金融公庫で取扱うように注意してやれという点が第一点であります。この点につきましては大体御趣旨に沿いまして、農林漁業金融公庫中小企業金融公庫との間においてそれぞれの特徴に応じて仕事をやつて参りまするように、厳に不都合のない運用が行われておるものと確信いたしておるのであります。  第二点は、貸付金利の点でございますが、年一割は高過ぎるから年七分五厘程度に軽減するように努めよということでございます。私どもといたしましても、金利を極力低く持つて行くことについては、一般論としてはもとよりしかあるべきものと考えるのでございますけれども、最近の情勢といたしまして、国民購買力の抑制をいたし、国内のインフレ的な情勢を抑えまして、わが国の物価国際物価に近寄らしめました上で、輸出の増進をやつて行こう、日本経済の健全なる立て直しをやろうという情勢にありますときのにおいて、金利の点をどういうふうにやるかということはよほど慎重を要するような情勢でもございます。一般金利体系が全体としてどういうふうに動くかということもあわせて考えながら、この公庫金利というものもやつて行かなければならぬと考えますので、この点につきましては決議の御趣旨に沿うようにいろいろと研究いたしながらも、いまだこれを実現する段階に至つておりませんことをここでお断りを申し上げておきたいのであります。今後日本経済がインフレ的な情勢を脱却し、健全なる姿におちついたということになりますれば、おそらくは日本金利水準全体が低下して行く時期が来るものと期待いたすのでございます。そのときにおきましては、当然中小企業金融公庫金利もこれに伴つて低下措置がとられ得るものと考えるのでございまして、いま少しく経済界全般の様子をながめながら、この問題を処理するのに時間をかしていただきたいと存ずるのでございます。  受託金融機関つまり代理店関係におきましては、商工中金、相互銀行、信用金庫、地方銀行日本興業銀行、農林中央金庫というようなものに、当分の間限定するようにということでございましたが、この点については今の御質問にもございましたように、その後の情勢の変化によりまして十一大銀行等も加えるというのことにさせていただいたのでございます。  その次は「一企業に対する貸付金総額差当り三〇〇万円程度とすること。但し特に必要あるときは一、〇〇〇万円迄貸付け得るものとする。」、けれどもさしあたり三百万円程度にした方が適当ではないかという御趣旨でございますが、これは結局公庫資金総額と貸出し希望者との関係をお考えになりまして、あまり一口が大きくなると貸出し数が減るということに対する御配慮だと思うのでありますが、私どもといたしましても、公庫の方で代理店代理手数料を出します際に、この三百万円というのものに一つの線を引きまして、三百万円を越える貸出しと三百万円以下の貸出しとにおきまして、年五厘程度手数料の差をつけまして、大体三百万円程度のところで金融機関貸付をいたしますように、誘導をいたしておるのでございます。最近におきます貸付実績を見ますと、平均二百万円を少し出る程度でございまして、大体この御趣旨に沿い得たのではなかろうかと存じておるのでございます。  またその次におきまして、「本公庫資金運用は、業種別地域別に出来うる限り不公平のそしりなきよう普遍的に均てんし、広く零細企業に及ぼすこと。」、こういうことでございますが、この点つきましては、貸出しの実績を見まして、府県状況によりましては、でこぼこは相当あることはあるのでございますけれども、一件も貸出しのない府県というのは今のところなくなつて、ともかくあまねく各府県に出ておるという状態にはなつております。ただ経済力の多い地方と少い地方、あるいは同じ程度経済力のあります地方とを見ましても、その地方における代理店営業方針等によりまして、若干その地域別公庫の金の出方にでこぼこがあるのは現在否定し得ないところでございます。これらにつきましては、なお代理店公庫との間の結びつき、連繋を今後強くし、代理店を鞭撻する等の方法もとりながら、その辺のところを善処して参りたいと思つておるのでございます。  その次の七番目は、「受託金融機関固有の不良の貨付を本公庫よりの委託分を以つて肩替することなきよう厳重監督すること。」ということでございます。公庫といたしましても、来年度から監督の仕事に人を振りわけることができるような段階にもなつて参りましたので、これらの点につきましては十分指導をいたしておるのでございますが、さらに進んで監査の面からかようなことの防止もなし得るような段階になつて来たことを、御報告申し上げておきたいと思うのであります。  第八番目としては、「受託手数料最高年四分程度とし、能うれば段階制を設け、小額貸付の場合を有利ならしめる措置をとること。」、この点につきましては、先ほど企業に対する貸付三百万円との関連におきまして御説明申し上げた通りでござまして、三百万円というものを一つの境目といたしまして、手数料に五厘程度の差をつけており、手数料といたしましては大体年四分というものを中心にいたしておるのでございますが、甲方式つまり銀行側に八割の責任を持つてもらう分につきましては、三百万円以下の小額分貸付につきまして四分五厘ということで、金額の少い方の貸付促進方をはかつておるのでございます。その意味最高年四分程度という考え方もございましようが、小額分の方に四分五厘というものを認めておる点におきまして御趣旨から見て不都合はないものと考えてやつておる次第でございます。  なお九番目の「自転車産業貸付」の点は、二十八年度といたしましては、公庫として別わく処理をいたしたのであります。二十九年度からは自転車からの金が国庫に上つて来ることがなくなりますので、二十九年度以降は、一応この問題は新規には貸出しが行われるということがなくなるわけでございます。この四億の貸出しの状況を見ますと、大体三月三十一日までにおおむね全額貸出しが完了するような状況に今推進しておりまするので、四億が大体三月三十一日までに解消してしまうということになりますならば、大体これでこの問題が解決したというふうに解し得るのじやないかと思つておるのであります。  十番目は、「公庫役員には、中小企業に理解ある者を充て、商工組合中央金庫の業務との円滑化を図る為、要すれば役員人事の交流を図ることとする。」という点であります。この点は実績上この趣旨を生かしまするように現にやつておりますることを申し上げておきたいと思うのでございますが、今後といたしましても重要な都市における中金の支所を公庫相談室等に活用する等の措置もさらにとつて参りたいと思つておりますので、両者の連繋は一層綿密になるものと考えるのでございます。  今後におきましてもかような御決議趣旨にのつとりまして、公庫をして一層所期の目的を達成せしめるように努力をして参りたいと存じております。
  8. 小平久雄

    小平(久)委員 ただいま長官から附帯条件についてのその後の取扱いについて御説明をいただいたのですが、大体われわれが納得の行く方向行つておると思うのであります。  ただ補充的に一、二あと伺いたいと思いますが、たとえば農林中金との調整の問題であります。これも話合いでうまく行つておるという御趣旨と承りましたが、これは要すれば農林中金法ですか、あれの改正というようなこともあの際話題になつたように記憶するのですが、そういう法律的な処置というものは今のところ必要としないのかどうか、この点が第一点であります。  それから金利の点についてでありますが、これは当時も非常に強い要望がありまして、農林中金等々と比較してあるいは大企業と比較して、この中小企業に対する国家資金貸付についての利息というものを、少くも七分五厘くらい程度にという強い要望であつたと思うのであります。中小企業金融については、もちろんこれはいわゆる一般のベースによるということも考えられましようが、しかし国家資金まで出してやるということ自体が、むしろこれは単なる産業政策というか、経済政策のというよりも、社会政策的な考えも相当織り込まなければならぬと思いますので、この引下げということについては、私は一層御考慮を願いたいと思うのであります。  それから第三点としまして、業種別地方別資金が行きわたるように、公平にという一つ条件でありますが、これもただいまお話通り大体はうまく行つておるようにわれわれも見るのでありますが、しかしまだまだ万全とは行つておらぬ節もずいぶん見受けられるようであります。そこで今長官お話になりましたように、地方代理店熱意いかんということが、結局その地方へ金がどう流れて行くかということを今では決定的にしておる。それは代理機関そのものについて考えれば、どうも不熱心なものはしようがない、こういうことも言えるかもしれませんが、それではその地方民がやり切れないのであります。従つてこの弊害をただ単にこの代理機関を説得するとか、そういう方法だけで今後欠陥がためられるのかどうか、これは私は非常に疑問を持つておるのであります。この点についてさらに私は積極的な何らかのくふうがいるのじやないかというのふうに考えるのであります。先般小委員会でも私は申しましたが、どうも今せつかく申し込みましても、てんで代理機関が受付けてくれないというようなこともたまたま聞くのであります。少くとも国家資金中小企業者のために流すというのでありますから、私はそういつた地方苦情処理とでも申しますか、そういつた何らかの一つ機関でもつくつて熱意を持たぬ金融機閥はやはり公の席でこれを批判するといつたような機会をつくる、そういうことがどうしても必要なのじやないかというふうな気もいたすのでありますが、その点についてのひとつ御所見を承つておきたいと思います。  それからこれと関連して貸出し方式についてでありますが、いわゆる甲法式では代理機関が八割を保償する、こういうことになつておると思いますが、これを金融機関からいたしますと、大体八割の保証というものは多過ぎるのじやないか、もう少しこれを下げて五割とまでは行かぬでも、六割くらいの保証で、国の金なんだからひとつ流せるようにしてもらつたらどうかという希望もずいぶんあるようであります。この点について金融機関保証率を引下げる御意思がないかどうか、この点もひとつつておきたい思います。  それから次に自転車貸付関係でありますが、これはなるほど今回のこの二十九年度の予算では、もう吸い上げる金が国には参りませんから、新たなるものは来ないと思いますが、従来貸し付けてあるものの回収金これは今後、どういうふうにして運用なさつて行くおつもりなのか、これはあるいは役所から言うと十分公庫にも関係がありますが、この点もひとつわかりましたならば、この際承つておきたいと存じます。大体以上の点についてお尋ねいたします。
  9. 岡田秀男

    岡田(秀)政府委員 農林漁業金融公庫と当公庫との関係におきまして、法律制定当時多少みな問題にしましたのは、たとえば漁船というものについて農林漁業金融公庫が貸し得る態勢になかつた、そこで水産業中心をなしておるところの漁船というものに、この公庫から金を出すというようなことは、とんでもないことではないかというようなことが、どつちかと申しますと両公庫仕事調整ということにからんで一番問題になつたと思うのであります。漁船に関しましては農林漁業金融公庫の方において取扱い得ることに修正をいたしておりまして、一応問題の解決を見ております。なお農林漁業金融公庫の方においては、若干向う側で都合の悪い点は直そうかというような気分もあるようでありますが、当座といたしましては、漁船が片づきましてので、そうむずかしい問題はないというふうに考えておる次第であります。金利の点でございますが、これは先ほども申しましたように、やはりあまり不自然でなくこれを下げ得る情勢を早くつくり上げることが必要なんじやなかろうか、ただ中小企業金融公庫だけが飛び出して金利を下げるということだけでは、やはり不自然な点があつて、うまく行かぬのではないかというふうに考えるのでございますが、ともかくも金利体系と申しますか、そういうものとの関連において、一日も早く公庫金利が引下げ得るような情勢になるということを期待いたしたいと考えて、この方の努力をさしていただきたいと思います。なお熱意のない金融機関つまり公庫代理店として公庫の金を運用する上において、とかく熱意がないと申しますか、臆病と申しますか、ともかく結果においてあまり成績の上つておらぬような金融機関というものについて、どういうふうにやるかという問題から、たとえば苦情処理機構のようなものをこしらえて、そこで公に批判するというふうなことはどうかというお尋ねであつたと思うのであります。もとよりこの金融機関が、金を借りに来ました中小企業者に対しまして、どういう態度をとるかというふうなことについての問題は別といたしまして、貸してくれ、貸しましようという気合が合わないと、これはなかなかうまく行かぬ点があろうかと思うのでありまして、無理やりに貸すようにしてやるということも困難でありましよう。しかし借りたい者がその金融機関行つてはねられた場合に、どうして自分が貸してもらえなかつたのかということについて、納得し得ないという点がございますれば、これは当該代理店のみならず、公庫としてもはなはだ遺憾なことでありますので、各代理店に対しまして、断わるなら断わるでよいから、どうしてこの際金を貸すことができないのかという理由を、十分納得するように指導をいたしますとともに、公庫自身としても、そういう方がなぜ借りることができなかつたのか、今後借りるようにするにはどうすればよいかというようなことで相談に参られた場合に、これを話して上げる、そうして当該代理店とも連絡をとつて、なるべくならばその人が借りられ得るような方向誘導して行くというふうなことができますようなことになれば、非常によろしいのではないかと思うのでございます。これは公開の席上でその当該代理店が不親切であつたという点を責め、あげるということもあるいは一つ方法かと存じますが、その前に私としては借り手である中小企業者に対して、断わるなら断わるでよいから、なぜその人に貸すことができないかということを納得さすという方向に持つて行つて、また同時に公庫としても当該代理店がなぜけつたのか、そこでこれがけられないでもよいようなものをけつたというようなことでございますけば、代理店側にある程度のものは貸してやるようにしたらどうだというあつせん、誘導をするというふうなことのをやつて行くことによつても相当の改善ができるのじやないかというように考えるのでございます。さような意味において、やはり苦情のある者が苦情をぶちまけて来るような制度を公庫としてつくつてみたらどうかというふうに私は考えておるのでございます。  それから代理店公庫に対して保証しておりまする保証率は、現在八割になつておるが、これが高過ぎる、これを下げるような方向へ持つて行く意思があるかどうかというお話だつたと思うのであります。これは現在のところ甲方式乙方式というものを考えまして、甲方式では、代理店公庫に対して八割の責任を持つ、乙方式におきましては、代理店公庫に対して三割の責任を持つというふうにいたしておるのであります。従来乙方式の採用につきましては、公庫において貸すか貸さないかの決定をいたさねばなりません関係上、その公庫審査能力の充実ということに努力を傾けて参つたのであります。最近その審査の部門に多年の経験を持つておりますところの相当熟練した職員を採用することができましたので、従来も乙方式というものを断つてつたのではございませんけれども、やや積極的にやるという態勢が完備されたのであります。この乙方式というものをうまく運用して参りますれば、保証率の点で八割と三割との使いわけによりまして、大体の趣旨は達成し得るのではないかと私どもとしては考えておるのであります。むしろ保証率が八割というふうな中途半端なことでなしに、八割保証するのであれば、これは全部保証するのも同じことだから、銀行に百パーセントの責任を持たして、そのかわり事務の進行についても銀行側にもう少しまかしてもらいたいというような、逆の要望も相当あるのでございます。これらの点もあわせまして、目下公庫側においても具体的な案を研究いたしておりまするが、結論を得次第御批判を仰ぎたいと思うのであります。  それから四億の点でありますが、これはいきさつから申しますといろいろあつたのでございますが、とにかく公庫の手持ちの運用資金百五十億、実際上は百二十億運用したわけでございます。つまり百二十億の中に四億のという別わくをつくつて自転車産業向け貸付を実施したわけでございます。従つて四億円を貸し出してしまえば、あとの問題は回収の問題になると思うのでありますけれども、一応わくをつけて貸してはおりまするが、その金が四億円程度にすぎないものでありまするし、それが次々と回収されて百万円返つて来たからこれをだれに貸すかというふうな操作もたいへんむずかしい問題でございますので、私どもといたしましては、貸し出しについては、四億なくなるまで貸す、それで本制度は一応済んだので、回収金は、さらに回収金に色をつけてそれを自転車に返すということになりますと、公庫の操作上非常に複雑な状態を来すのではないか、私はさように考えておるのでございます。その点の事務的な解決方法でもつといい名案があればとも思いますが、四億円貸したらその回収金にまで色をつけてやるということは非常に複雑なことでありますので、それはごかんべん願つておく方が、かえつて双方ともぐあいがよろしいのじやないか、こう考えておる次第であります。
  10. 小平久雄

    小平(久)委員 今の最後の点ですが、これは公庫で扱うようになつてからはなるほど四億かもしれませんが、その前にあるのです。それは何か金融機関へ委託をしておいて、返つて来たものがそのまま回転しておるというふうにわれわれ聞いておるのですが、それとの関係でそういうものと一緒にして——公庫が扱つた以前のものですね。つまりそれと一緒にして何か特殊な扱いでもして、——特殊な扱いというのは、いわゆる自転車用としてぐるぐるまわして貸してやる、こういうふうにも考えたのですが、その点はどうですか。
  11. 岡田秀男

    岡田(秀)政府委員 これは公庫がやります前、つまり一般会計から銀行を指定してやつておりますものは、これは自転車関係だけの金として回収があれば、十年間銀行に貸しておつて銀行自転車にその金を貸しておるわけでありますから、十年間はぐるぐるまわしておつてその金が銀行に返つて来れば、さらにその金が自転車にまわるという操作を続けるのでございましようが、公庫の分はとにかく四億円しかないのでございまして、これが逐次貸出し条件によつて少しずつ返つて来る、返つて来るところの分は自転車の分だというのでその返つて来た四億円の回収金をその都度押えてまた自転車に貸す。こうなりますと、なかなかめんどうじやないかと思われる点と、公庫の四億円を別途はずして従来のものと合併するというのは、公庫法の現在の建前からは非常に困難なことに相なつておりますので、これはほんとうに競輪の金が公庫の百二十億の中に四億入つてつたのかどうかといういきさつの議論もあるのでございまして、建前からいいますと、実はこちらの方は四億を損したような経緯もあるのでございます。ともかく四億はお貸しするが、回収金は済んだことにしていただくとほんとうに諸事好都合ではなかろうかと私は考えております。
  12. 大西禎夫

    大西委員長 永井君。
  13. 永井勝次郎

    ○永井委員 簡単にお尋ねしておきます。先ほど小平君からも話がありましたが、貸出しについて地域差ができて来て、その地域差は経済的な条件による地域差ではなしに代理貸し金融機関熱意いかんによつて、あるいは事務的な処理の関係でそういう地域差ができて来ておる。こういうことなら少いところほど切実な融資の希望であるだろうと思うのであります。それに対して相談所というようなものをそういう地域にまず優先的に置いて、その面から金融機関への協力、融資を受けたいという関係に対する啓蒙指導、こういうような形によつて両者相まつてその地方を改善して行くことが必要ではないか、代理貸し金融機関熱意がないからやらないのだといつて放任しておくことは許されないのではないかと思いますが、そういう地帯に優先的に相談所を置いて、そういう面から改善して行くというお考えがあるかどうか、この点が一つ。  それからこの金融公庫の公告を見ますと、設備資金に対して九七・八パーセント、運転資金が三%内外でありますが、この設備資金のうち増設が四〇%、拡張が二五%というふうに非常に生産規模が拡大されて行く傾向がある。そうでなくても二重投資、過剰投資というような現象が現われて来ておるのでありますが、これらが正しく二重投資、過剰投資というような結果になつて来ないかどうかということを心配されるわけであります。従つてこれらについては、やはり今の金融の大きな流れは何と申しましても系列融資、選別融資、そのしわ寄せが中小企業へ来ておるのでありますが、そういうしわ寄せを金融公庫が融資して、それがまた過剰投資になつて行つて、次の金融がつかなくて、かえつて大きな設備によつてつて行く、こういう事態の混乱を来す心配がありはしないかと心配されるわけでありますが、そういう点については、単に代理貸し金融機関金融的な視野からそういう信用があるないといつて、単に金を貸す貸さないということの選別をするのではなしに、もつと大きな視野から中小企業庁がそういう行政的な立場から、その融資の対象をある程度整理するものはやはり整理し、将来混乱を来さないような措置をして行くことが必要ではないか、こう思うのでございますが、そういう代理貸し金融機関一つの判別の標準と、それから金融公庫考えておる考え方と、中小企業庁の考え方と、また大きく、今後の国の経済的な動向、こういうものの間に矛盾か何かが生ずるおそれがあるのではないかという心配があるのでありますが、そういう点についてはどういうふうに対処するお考えであるか。  それからもう一点。これはこの運転資金が三%内外より出ていないわけでありますが、運転資金といつてもあるいは設備資金といつても、そこにははつきりとした区別があるのではなくて、金融機関から見離されているようなものである、あるいは非常に弱い関係に立つておるこれらの業者に対しては、設備の方に重点を置けば運転資金の方が欠乏して来るし、運転資金があれば設備資金が蓄積されて行くという相関関係にあるわけでありますからそれらの実情に即応して、必ずしも名目的な設備資金に貸すんだというしやくし定規的な考え方でなく、もつと一つのその企業の総合的な視野に立つて設備資金、運転資金というものを考えて、運転資金についてはもう少し拡大解釈をする必要があるのではないか、その方がかえつて実情に適応することになるのではないか、こういうふうに考えるのでありますが、この点はどういうふうに対処されるお考えであるか。それからこの報告によると資本金一億というような大企業、それから従業員が五百何十名というようなものに貸出しをしておるようでありますが、これはどういう業態であるのかちよつと御説明を願いたい。
  14. 岡田秀男

    岡田(秀)政府委員 代理店熱意いかんによりまして、当該地方への公庫の金の貸出しが左右されるということから関連いたしまして、さような場所に対して相談所をまずつくつたらどうだというお話だと思うのであります。代理店熱意というものが、この報告書等の各府県別の貸出し残高等を見ますとかなりでこぼこがあるのでありますから、これによつて代理店熱意いかんということも推定はされるかと思うのでありますが、それはやはりそれぞれの地方経済力と申しますか、公庫の金に対する欲求の程度等もございましようから、ある県の貸出し残高が悪いというのが、すなわち全部代理店熱意がないのだというふうに見てしまえるかどうか、これは多少の余裕を見て行かなくちやならぬかと思うのであります。要するにある地方で、その経済的な状況が違わぬと思われるような府県があるのに、一方の県にはかなりの金が出ておつて一方の県にはほとんど金が出ない。それから与えられたわくから見れば大差がないという場合には、何かそこに代理店のやり方にも批判されるべき点があるのじやないかというふうに考えられるわけであります。さような場合におきましては、先ほど私が申し上げましたように、貸してもらえなかつた人が、なぜ貸してもらえないのかということが納得できるようにさせて行くということによつて、問題の解決をはかり得る面がかなりあるのじやないか。たとえば公庫なら公庫で、そういう人が苦情を言つて来るところを設けておつて、自分は何々代理店に行つたら断わられたんだが、どうしても納得が行かないということを聞きまして、なるほどと思えば、その公庫がその当該代理店に対して、ああいうものをけるというのは、少しおかしくないかというふうに内部的に連絡し、また公庫の立場から指導するということも可能であろうかと思うのでありまして、各府県にそれぞれ相談所をつくるということも困難かと思いますので、さしあたり支所といたしましては、大阪でございますが、相談程度のものをブロツクの中心地点くらいに設けまして、その相談室と申しますのは、中金の支所を大体活用して参りたいと思つておるのでありますが、それも公庫相談室ということにいたしまして、今のようなことも重要な仕事一つとして扱わせて行かせたらどうかと考えておるのであります。いずれにいたしましても公庫代理店代理店とその代理店におられます中小企業者との関係が、もう少し円滑に行き得るようなくふうを今後一段と重ねて行くべきものであろうと考えるのであります。  設備費の貸出しの中で増設というのがかなりの割合を占めておるという点から、いわゆる大企業その他におきまする二重投資その他の他の関係、これが中小企業の方面においても起るようなことがあつてはいけないということでございます。まことにさように存ずるのでありまして、私どもといたしましては、大体から申しますれば、設備能力の増加を来さざる内部の補強、内部の近代化あるいは当該企業として設備全体がバランスがとれておらないというふうな場合、そのバランスのとれておらない点に設備の若干のつぎ足しをやれば、全体が調子よく動くということになることもありましよう。さような場合においては、若干の設備の拡張ということになつても、これは金を貸すということが必要であろうかと思うのであります。私も今年の春ごろ若干公庫の貸出先を歩いてみたのでございますが、なかなかみな設備の急所急所をとらえまして、そこを公庫の金によつて合理化して行くという方向努力をされておるのを目のあたり見まして非常に愉快に感じたのであります。私どもといたしましても今後単に代理店金融上の見地からのみの、貸す貸さないの決定のほかに、大きく申しますれば政府全体の経済政策、あるいはさようなものから来ます、公庫の貸出しについての方針というものが要請されることに相なりますれば、それが代理店に十分に反映するような方向に持つて行かなければならぬと思います。特にこれが二重投資でありますとか、あるいはむだな方向へ金が流れるというようなことになつては相ならぬのでございます。さような方向はもとよりやめるとしても、中小企業全般の各業種に金を流して行く関係でございまするので、あまり重点主義的な貸出方針というようなことをむずかしく考え出しますと、この公庫運用というものはなかなかむずかしかろうと思うのでございます。ごく大まかな点についての御注意のありました点は、今後運営の上でも十分注意して参りたいと思います。  運転資金に関しましては、当初公庫が業務を開始いたしまして以来、審査能力その他の関係から、運転資金はちよつと見送ることにいたしまして、設備資金でスタートをした、その後運転資金につきましても、一応一年以上の長い運転資金というものはかようなものであつて、これに該当するものには金をお貸しいたしますということを申したのでありまするが、すでに設備資金を貸してくれという、俗語で申しますと行列が相当長くでき上つておりましたために、運転資金希望者が何十番目かの行列のあとにつかれたというふうな関係もありまして、今までのところ設備資金貸出しの方が非常にふえておるわけであります。もとより設備資金と運転資金とは企業としてうらはらになるのでありますから、両方見合つて出さねばならぬということは当然であろうかと思いまするが、私どもとしましては、今後デフレの状況にありまして、金融が引締まつて来る、財政の面もこれに歩調を合せて来るということから、中小企業者が非常な苦しみに出あうということになりますれば、いわゆる長期運転資金によりまして、企業の安定を期するということが非常に必要になつて来るのではなかろうかと思うのでありますが、インフレの状態にあつてはごまかしきれた企業の内部の欠陥というものがデフレのときには隠そうとしても隠しきれずに、必ず外へ現われて来て、その企業を倒すというふうな結果に相なるわけであります。公庫の運転資金等につきましては、さような面に使つていただいて、企業の内部を健全にする、企業の運営を安定せしめるという方向に御利用願いたいと思うのであります。さような趣旨から公庫におきましても、今後運転資金の貸出しの面に特段の努力を払うというふうな態勢にいたしておるのでございます。今後さような意味において、御注意にありました点を、十分公庫運用に生かして参りたいと考える次第でございます。  資本金一億円の点は、従業員が三百人未満のもので資本金一億円というのがまぎれ込んだのではないかと思うのであります。  それから五百八十八名というのは、おそらく鉱山等で従業員千人まで認めるということにいたしましたから、五百八十八名というものが入つておる。これは五百八十八名で資本金が一千万円未満で入つて来たというよりは、むしろ炭鉱の関係、あるいは鉱山の関係で、入つて来たと考える方が正しいかと思うのであります。業種は調べまして別途お答えいたしますが、りくつから言えばこれはおそらく三百人で入つて来ましたか、あるいは鉱山等における従業員千人というので入つて来たか、要するに従業員関係で逃げたやつだと思います。
  15. 齋木重一

    ○齋木委員 関連して……。ただいま企業庁の説明を聞いてわかつたのですが、私が一点聞きたいことは、代理店制度に対するところの考え方として、国民金融公庫のごとく、各府県とか主要都市等に直接な機関を設ける心構えはないかどうか。取扱い銀行業者は、自分の金融機関わく内におけるところの取扱いはやるけれども、そういつたほかの関係のないような中小企業に対しては、厳格な規定と申しましようか、説明等をして、なかなか融資をしてくれないというのが現在の成り行きじやないかと私ども考えておりますので、国民金融公庫のごとき直接の支店、出張所というようなものを設置いたしまして、そして徹底させる。苦情処理相談とかなんとか、そういう苦情というものを予想して考えるようなことじやなくて、その機関が直接に苦情の起きないような親切心をもつて融資のあつせんとか、融資に当るということが原則であつて苦情が起きるようなことを予想してやるということは、まことにまずいのじやないか、予想するということはもつてのほかであろうと私ども考えるので、そういう点についてお考えがあるかどうかをお聞きいたしたいのであります。
  16. 岡田秀男

    岡田(秀)政府委員 昨年公庫ができまする場合に、大体公庫は非常に簡素な形で、人間もそう使わずに、経費もたくさん使わずに、そして全国の中小企業者には広く御利用願うという形で、この代理貸し制度をやるということでスタートいたのであります。これはいろいろ考え方もあろうかと思うのでありますが、開店早々わずか半年間に、十二月の末までにおきましても、貸出件数が二千七百件くらい、貸付で六十一億でした。それが現在の段階になりますると、四千件を越す程度のもので、もう百億を越したという状況であります。これは代理貸しがいろいろと悪口を言われながらも、全国に広く窓口を持つて処理しておるというために、やはりこの短時日にこれだけの貸出しの処理ができたということになるのじやないかと思うのでありまして、代理貸しの欠陥もありまするけれども、その長所もまたあるということをまず御認識を願いたいのであります。  なお公庫が直接貸し付けることをやらねばいかぬので、苦情があることを予定しておるようなことはつまらぬじやないかというお話もございます。これはいかなる制度をやりましても、あらゆる関係者から全部おほめを願うということは考えられぬのでありまして、たとえばいろいろな方全部に金を貸すことができますれば、よろしいかもしれませんけれども、若干の御批判を受けるのはやむを得ないのでありまして、その御批判のうち、ごもつともなものはなるべくうまく行くように処理して行こうという趣旨から出たのでありますが、直接貸しの点につきましては、確かに直接貸しするだけの理論的根拠が十分あると思うのであります。ただ新しく金融機関をつくりまして、しかも全国的に仕事をやる金融機関でございますから、かりに直接貸しをやるといたしますれば、店舗の数におきましても、また特に公庫の設立の精神を体して、厳正公平、親切丁寧に貸出しに当り得る職員を相当数養成し訓練をして行くということは、なかなか容易ならぬことなのであります。もしへたな人間を集めて直接貸しをやつて、これがちよつと成績が悪いというと、およそどうにもならぬくらいおしかりを受けると思うのでございまして、やはり直接貸しをやり得るには、それだけの準備がいるかと思うのであります。そういう点でやつて参りたいと思うのでございますが、大体日本興業銀行なんかで聞いてみますと、直接設備資金等の長期資金関係の処理ををやるといたしますと、一人で一箇月三件ぐらいしかやれないそうであります。そうしますと、代理貸しを併用しながらとは申しながら直接貸しをやるといたしますと、相当な人間を用意しなければならぬということになるわけであります。いろいろな情勢がこれを許すようになりますれば、直接貸しをやるということによりまして、代理金融機関に刺激を与え、また公庫ないし政府の意思が、貸出しに直接反映し得る長所を発揮するように努力いたしたいのでございますが、今のところはむしろ公庫といたしましても、今の状態において点数をかぐ方へ努力をする以外に、ただちに直接貸しをやるところまで飛び込むことは、できがたい実情にあるということを申し上げておきたいのでございます。逐次さような方向に行くことができるようになりますれば、非常にけつこうだと思うのでございますが、今のところはちよつと無理でございます。
  17. 齋木重一

    ○齋木委員 ただいまの御答弁でございますが、国民金融公庫等が、直接貸しの調査をやつて相当の効果を上げております。そうすれば中小企業金融公庫でも、そういつたことはでき得ないということはあり得ないと思うのです。そういう心構えがあるかどうかということを私はお尋ね申すのであります。
  18. 岡田秀男

    岡田(秀)政府委員 お答え申し上げます。国民金融公庫は庶民金融公庫と恩給公庫というものを引継ぎまして、本来相当な職員が初めからおつたのであります。それで現在のところにおきましてはそういう歴史がございましたから、相当金融の処理もできる職員がすでにおつた、これを基礎にして現在千七百人くらいの人間がおるわけでございます。中小企業公庫におきましては、とにかく昨年の九月から、人間を各方面から集まつてもらいまして、また新卒業生なんかをとりまして、それを訓練しながら現在の業務をやつておるのでございますから、私どもの方といたしましても、情勢が許し、また金融公庫として直接貸しをやり得るだけの人的、物的条件が整うということになりますれば、直接貸しをやるということは、われわれとしても喜んでやりたいと思うのでございますけれども、今ただちにこれをやるということにつきましては、ちよつといたしかねるような状態であるということを申し上げておるわけであります。
  19. 中崎敏

    ○中崎委員 金融公庫において対人信用、対物信用というのがあるわけですが、対人信用に対してどの程度貸付をしておるのか。
  20. 岡田秀男

    岡田(秀)政府委員 公庫の貸出しにおきましては、大体担保をとるというのが一応建前でありまして、そのほか保証人をとるということになつているのであります。その担保と保証人とどの程度の割合を申しますか、ウエートの置き方になつているかということは、まだそこまでの調査はできておりませんので、何とも実績の御説明はいたしかねるのでございますが、これはケース・バイ・ケースによつて、担保に十分なる力がありますれば保証人の方は軽く、担保がやや不十分でありますれば、保証人等に相当力を置いて処理するということに相なろうかと思うのでございますが、ちよつと実績上の数字その他からの調査は、今のところ持ち合せておりません。
  21. 中崎敏

    ○中崎委員 信用による貸出しは、いまだ一口もないのかどうか、それをお聞きしたいのです。単なる担保でなしに、信用のみによつて貸出しをした実例があるかどうか。
  22. 岡田秀男

    岡田(秀)政府委員 この点については、今のところ資料を持ち合せておりませんけれども公庫の金は原則といたしまして——原則ではなく、必ず一年以上の長い金であります。従つて現在のごとき経済の動きから見まして、一年以上の金をお貸いたす場合におきましては、私はケース・バイ・ケースではあるといえども、相当の物的担保力というものを持たずして金を貸すということは、この長期資金運用から見て考えられぬのじやないか、こう考えているのでございます。原則として物的担保をある程度つてつていると思います。
  23. 中崎敏

    ○中崎委員 どうも長官は、この金融についてはしろうとです。長期信用の場合において対人信用があり得ないということになりますと、農林金融の場合にはほとんど長期信用です。それからまた国民金融公庫においても、相当の部分が純然たる信用貸しです。しかもこれがただ一年だけじやない。二年、三年、五年と相当長期にわたつている。ことに農林関係においては、二十年、三十年という長きにわたるものがあるが、大部分がこれは信用である。であるから、長期であるから信用貸しはあり得ないという考え方は、私は認識が足りないと考えている。それでまた、先ほど言うように、国民金融公庫などの場合においては、あれだけの好成績を上げている。非常に広範囲の人に対して、金額こそあるいは平均的には少い場合があるかもしれないけれども、場合によれば五十万程度の信用貸しもある。物的担保の場合においては、二百万円限度までは当然貸されるというようなことになる。それが非常に成績がいいというこの例から見ても、これだけの金額を扱い、広汎な組織を持つところのこの中小企業金融公庫において、信用貸しが一つもないというのは、どうも私は長官は認識を欠いておられる思うのですが、この点もう一度所信を聞いておきたいと思います。
  24. 岡田秀男

    岡田(秀)政府委員 これは私の所信というような問題ではなくて、代理店であります金融機関が、八割の責任を持つているのでありますから、それがどう考えるかということが根本になろうかと思うのでありますけれども、私としては、先ほど申し上げましたように、物的担保をとることがこの中小企業金融公庫の貸出しの部面については原則であろうということを申し上げたのでありますが、それは今でも私はかわらないのでございます。たとえば農業関係の貸出しというものにつきましては、この産業の性質から申しまして、借りた人がどこかへ動くというふうなこともそうありませんし、それは旱魃があるとか、昨年のように不作があるとかいうこともございましようけれども、全般的に見て、製造工業でありますとかその他の中小企業金融公庫が貸出しの対象といたしております企業体と比べまして非常な差がある。いわゆる中小企業金融公庫が昨年できましたときに、附帯決議でありましたような、原始産業といわゆる製造工業あるいは販売業等との間には、相当の差がありますがゆえに、公庫についても別途つくり、また貸出しの期限にいたしましても、片方の方が非常に長いし、いろいろと特殊の扱いをしている。これはやはり対象の性質が違うのじやないかと思うのであります。国民金融公庫につきましては、これは事業資金貸出しにいたしましても、この中小企業公庫とは大体一件当りの貸出し金額が非常に少いということと、それから公庫それ自体の貸す趣旨が、純粋の経済的なものというよりは、そこに幾分の非経済的な意味も加味されたような貸出しの趣旨もあるわけでありまして、更生資金でありますとか、その他のやや社会政策的な貸出しの金も同時に行われておるようなわけであります。比較的成績のいい資金の回転をいたしておりますことは、私も承知いたしておるのでございます。しかしながら私の方の公庫といたしましては、貸出しの対象は国民金融公庫よりはややまとまつた方面をねらいまして、長期の事業資金をお貸しするわけでございます。従つてこれらと比べまして、この中小企業金融公庫の場合に、純粋に物的担保なしに人的信用だけでやつてさしつかえないと言い切る場面があるのかどうかということについて、私はいろいろ金融の専門家に聞いてみますと、やはり物的担保はある程度つておかなければいけないのだというのが、従来の研究によります大体の結論のように承知いたしておるのであります。なおそういう点について、公庫側においても保証人と担保の関係等につきましては、十分研究をさせておりますので、そういう点についての確信が得られますれば、またさような方向に行くことももとより不可能ではないと思います。なお今後の研究にまちたいと思いますけれども、今までのところは、担保なしに貸すのは金融常識に反するというのが結論でございます。
  25. 中崎敏

    ○中崎委員 国民金融公庫法によると、先ほど言つたように五十万円程度の信用貸しはたくさんやつておる。それがどうかというと、ただ一人や二人ではない、十人というような多数の人間をやることによつて危険の分散をしておる。言いかえれば、物的担保が一時的にいくら十分だと思つても、条件によればこれは非常に不安定のものです。それよりは、人間を何人も金縛りにしておくことが、より安全なんです。だからこの点についても、十分の研究をされて中小企業者は元来十分の物的担保がないのが本来の姿なんです。しかも十分の担保を要求されても、なかなかまかなえるものではない。その点悩んでおるのだから、その点は事業の実際において、この事業はこういう人がやつておれば大丈夫だという人的信用が十分に安心感が置けれは、その方がむしろ安全なんだ。これは普通の銀行行つて研究してみてごらんなさい。信用貸しでやつたところが、あるときにはぐあいが悪い場合もあるけれども、長い間めんどうを見てやると、そういういい人間は迷惑をかけないで、しまいには必で債務を果しておる例がたくさんあります。だから、人的信用もやはり一つの大きな信用の要素であるから、十分の重きを置いて考えて行く方向に、今後の運営をしてもらいたいと思います。ただあなたが言われるように、普通の金融機関を通じてやるものだから、やはり人的信用だけではなかなか出しにくいのであろう、それはわかる。そうすると、そういう場合には、むしろ直接に公庫でやるということも、今後においてはあわせて考えていただきたい。いろいろ考え方の相違はありますけれども、この点もあわせて研究してもらいたいということを、私は要求しておきたいと思います。  それから次に、銀行に対する代理扱いの手数料は四分五厘が普通でありますが、これは国会における決議趣旨に反しておる。しかも現案に四分五厘まで高く引上げて行かなければ、銀行が扱わないのかどうか。たとえば国民金融公庫の場合、あの場合には小額のものになるのですが、そういう場合においてもでありますが、こんな四分五厘も出さなければ普通の銀行が扱わないのか。この金庫の金は、割合に金額のレベルが高い。でありますから、そんなにたくさんの手数料をやらぬでもいい。普通の銀行はもうけておるのだから、それほどサービスしないでもいいのだと考えておりますが、このコストについて研究されたことがあるか。たとえば一口五十万円なら五十万円、百万円なら百万円の貸付をするのに、どの程度のコストがかかるか。あるいは先ほど言われた国民金融公庫の場合に、千七百人程度の職員を持つておる。これはここ一、二年にふやしております。実に運営がうまい。扱つておる件数もぐんぐん伸びておる。それであれだけのものをこなしておるのだが、この公庫においても自分のところで、直接ある程度の金額以上を扱うというような考え方をもあわせ考えて、一人当りのコストがどのくらいかかるか一応検討してみられたことがあるかどうか。
  26. 岡田秀男

    岡田(秀)政府委員 それは国民金融公庫が連帯責任でやる場合に無担保で貸す場合がある。これは私もよく承知いたしております。しかしながら国民金融公庫も、五十万円以下を貸します場合には無担保で、連帯でもよろしいのでありますが、これが二百万円のもつと大口の部分に入つて参りますと、必ず担保がいるということにいたしておるのであります。私ども公庫の貸出しからいいますと、二百万円という程度が平均になつて来ておるのでございます。従つて国民金融公庫といえども、金額が張るものはただ人的担保だけでなしに、物的担保もとるという建前にいたしておるのであります。これらを総合勘案してみますると、担保をとるということは、やはり金融上の常識じやないかと思います。また一方において、中小企業者は担保がないという点もあるかもしれませんが、保証人という人的保証につきましても、同族会社で重役が自分の会社の保証をするというような場合は割合よろしいかもしれませんが、他人の債務を保証するという意味における保証人を募集するといいますか、探すことはきわめてむずかしいという事態が私は多いのじやないかと思うのです。私ども公庫の方では、担保の場合にも、不動産を担保をとつて貸すという関係もございますので、担保をとることによつて非常に都合が悪いということ、むしろ人的担保に考え方を移した方が便利じやないかということは言えるか言えぬか疑問があると思うのであります。その点のところは今後十分研究を加えてやつて参りたいと思いますが、今のところはさような気持でおることを申し上げる次第であります。  中小企業金融公庫代理店に対する手数料が四分五厘ということでありますが、これは先ほども申し上げましたように、甲方式の場合であります。代理店が八〇%の責任をとつておる場合でありまして、貸出金額が三百万円に至らざるものについて、手数料を四分五厘やる。三百万円を越えるものについては四分ということにいたしたのであります。附帯決議におきましても、「最高年四分程度とし」とここに書いてございますので、三百万円の上下によりまして、手数料に差をつけて、それによりまして小額のものいえども金融機関が区別せずに——できればかえつて小額のものについても熱心にやるという態勢をつくりたいと思つていたしたのでございます、私どもの見解では、必ずしも当委員会附帯決議に反しているものとは考えないのでございまするが同時に他の金融機関のやり方を見ましても、国民金融公庫責任を五〇%負担させまして、手数料を五分やるというふうなこと、また日本開発銀行中小企業の貸出しをやつておりました分は、代理店に一〇〇%の責任を負わせた場合にやはり手数料を五分やつてつたのであります。それらの点から考えますれば、この公庫代理店に対する手数料というものは、甲方式の場合に四分が原則であり、三百万円を下る小額の分について四分四厘、乙方式の場合には三分五厘が三百万円未満、それ以上は三分というふうな形になつておりますので、多過ぎるというふうには考えておらぬのでございます。
  27. 中崎敏

    ○中崎委員 私たちの常識的な見解では、大体三分程度が妥当じやないかというふうに考えております。それでもなおかつ銀行が扱うのか扱わぬのか、そこをほんとうを言えばもつと真剣に検討してもらいたかつたのです。四分というのは最高を示すものであつて、その最高の、四分はぜひ出さなければならぬというふうに考えてもらう必要はない。いわんや四分五厘というのは限度を越えておるものです。私たちの常識的なところでは、金額にもよるが、三分程度なら十分だと考える。実際において銀行というものは、そのほかにそれだけの幅の利ざやの危険というふうなものがある程度あるのでありますが、その場合においても長い間の経験に基いて慎重にやつていて、なかなか簡単に金を貸出しするものではない。であるから、たとえば手数料をもらわぬで、自分で金を調達してやつた場合にも、同じ危険性が十分あるはずだと思う。しかも政府の方で三割なら三割というものを負担すればそれだけは楽になるのだから、通常の手数料としては三分もあればたくさんだと思う。そこでいわゆる資金運用のコストを公庫自体でやるならばどの程度の費用がかかるのか、それを一応検討されたら自然出て来ると思う。それには国民金融公庫なんかの実例もあるのだから、そういうものを一応基準にして、そうしたもののコストを検討されれば、それが妥当であるかどうかはすぐ出て来る。いずれにしても四分を越えたものは非常に私たちは高いと思う。その点についてもう一度御見解を聞きたい。
  28. 岡田秀男

    岡田(秀)政府委員 先はども申し上げましたように、国民金融公庫は自分で直接貸しをしながら、代理店に対しましては五分の手数料をやつておるのであります。つまり五〇%の責任代理店に持たせながら、五分の手数料を国民金融公庫はやつておる。日本開発銀行が従来中小企業向けのものをやつておつた場合にも、五分やつておつた。あるいは長期信用銀行が代理貸しをやれば、それにつきましてもそれ相応の手数料が出ておるということになつておりまして、この公庫に、他のバランスをはずれたような手数料をつくるということは、公庫の金について中小企業者に親切、丁寧にやつてもらうという趣旨から言うと、やはりおかしいのではないかと思うのであります。世間並の手数料をやる、そのかわりに代理店としては中小企業者に親切、丁寧にやつてもらうということの方が、私はむしろよろしいのではないかと思うのでありまして、手数料を三分にするか四分にするかということは、最終金利には全然無関係でございます。やはり代理店手数料というものは世間相場があるものでありますから、世間相場並にやつておいて、そのかわり実が上るという方向に行つた方が実際的ではなかろうかというのが私ども考え方でございます。
  29. 中崎敏

    ○中崎委員 世間相場と言われますが、たとえば平均五万円程度の一口の扱いをするのと平均一千万円程度の扱いをするのとでは、非常にコストが違います。たとえば五万円円程度で五%手数料をやつても、たつた二千五百円しかならない、ところが一千万円だつたら五%ですから五十万円です。だから何ぼの金額のものを一体平均的に扱うか、これが大きな問題なんです、たかが五万円一口では、手形も出さなければならぬし、印紙も張らなければならぬとなると、紙代や何かで消えてしまうわけです。ところが五十万円なり百万円になると、ころつとかわつて来るのです。だからそこをひとつ考えて、国民金融公庫中小企業金融公庫と同じものなら、中小企業金融公庫は必要でないのだから、すなわちその金額において開銀と国民金融公庫との中間的な扱いをする、こういうところに一つのねらいがあり、存在意義があるはずである。従つて国民金融公庫を標準にされて世間並と言われても、私は長官考え方がちよつとおかしいのじやないかというふうに思うのですが、もう一度、金利の点についてさらに一度検討してみる余地があるのかないのか、それをお聞きしておきたいのです。
  30. 岡田秀男

    岡田(秀)政府委員 私が世間並と言いましたのは日本開発銀行が従来やつておりましたのは一〇〇%の責任で五分の手数料をやつておつた。国民金融公庫は五〇%の責任で五分をやつておる。今度の中小企業金融公庫は四分が原則で、三百万円を割る小額の分について四分五厘にして、三百万円を越えるものは四分にしておる。こういうわけで、日本開発銀行なりあるいは国民金融公庫のそれぞれの状況から見て、ちようど中間どころのころ合いにあるので、世間並の手数料ではないか、こう考えておるのであります。なおこれはお説のように、この手数料をだんだん下げて行つて、安くやつてもらうということになれば、公庫としてはもとより願わしいことでございましようけれども、今のところは公庫仕事を始めまして、まだ半年になるかならぬかのところであります。代理店の方としてもサービスの方へ意を用いてもらうようにやつた方が、かえつて公庫運用上よろしいのじやなかろうかというふうに考えた旨を申し上げたわけでありまして、今後ともそういうふうに誘導して行く方がよろしいのではないか、こう考えております。
  31. 中崎敏

    ○中崎委員 次に先ほど長官からのお話では、銀行においては今後の場合において全額危険の責任を持つ、そういうふうにしてやりたいというふうな話もあるということでしたが、そうですか。
  32. 岡田秀男

    岡田(秀)政府委員 そういうふうな希望を今持つておる向きもかなりあるのでありまして、私どもとしては一〇〇%責任の形で代理店にやらすような方法考えてみよう。しかし手数料といたしましては、三百万円までは四分五厘、三百万円を越える分については四分という現在の甲方式手数料以上の手数料を出す意思は毛頭ございません。
  33. 中崎敏

    ○中崎委員 かりにそういうふうな場合が考えられるとして、全額金融機関責任を持つ、その場合においては手数料は一体どういうふうになるのですか。まだ上つて六分、七分、八分になるのですか。
  34. 岡田秀男

    岡田(秀)政府委員 今申しましたような現行の甲方式手数料、三百万円までは四分五厘、三百万円を越えるものは四分という手数料より多くの手数料を払う意思はない。これは今申し上げたばかりでございます。
  35. 中崎敏

    ○中崎委員 そうすると、今度は危険は今までよりもよけい持つのみですか。今まではたとえば甲の場合においては三割、それから乙の場合には七割ですか、そういうふうになつておるのが、今度は全額持つというわけなんですが、危険負担分というものは全然考慮されないのか。
  36. 岡田秀男

    岡田(秀)政府委員 代理店として今八割ぐらいまで保証するならば、一〇〇%責任を持つてやるようにさしてもらつた方が銀行としての事務運営上便利であるという考え方でございます。従いましてさようならば一〇〇%という制度をつくつてみたらどうかと思うて今研究をいたしておるのでございますが、かりにさような一〇〇%の制度を実施するといたしましても、手数料の上においてこれを優遇するようなことは考えたくないと思いますし、考えるつもりもございませんということを申し上げておきたいと思います。
  37. 中崎敏

    ○中崎委員 そうしますと、かりに一〇〇%の責任を持つて向うが貸出しするということになれば、むしろひもつきの預託金にしたらいいと思うのです。そうしたら手数料は一文もいらない、そういうふうにまで徹底したらどうかということを考えるのですが……。
  38. 岡田秀男

    岡田(秀)政府委員 それは預託金の場合でありますると、それから一〇〇%の責任と申しましても、その都度のケースについて公庫の方へ資金の交付を求めるという意味で、一応連絡しなくちやならぬわけでありますから、やはり公庫仕事というものが間違いなく行つておるかとか、あるいは中小企業にあらざる者に貸しておるか貸しておらぬかというふうな一応の形式的審査はやはり一〇〇%の責任におきましてもやらねばならぬわけでございますから、金を預託しておいて、その範囲内において自由に運営をまかすというのとはよほど事情が違うと思います。
  39. 中崎敏

    ○中崎委員 オーバー・ローンの日本金融状態においては、今は金融機関資金がほしい、だから今言つたように、三割も政府の方で危険の負担をやつてやるといつても、そんなものは必要ないのだ、全額自分の方で負担をやるから資金をまわしてくれというわけです。そうすると結局において資金をまわす場合においては、今みたように、これはこういうふうな方向運用してほしいとひもをつけられると思う。それでもなおかつ金融機関は利益金が出て来るのだから、そういうふうに直接公庫で大口なり必要な範囲は自分のところで将来持つてつて、そうしてそれ以上のものは、今の金融機関に預託みたいな形でやつて、そうして大局的な一つの監督をする、指導もする、そのかわり危険の負担も持たないという形になつてもいいのじやないかというふうに考えるのです。徹底すればあなたのように、向うが全部危険の負担をするから、それでそういうふうなものを出そうというふうに考えておるという、そこまでむしろ徹底して、預託金の制度でやつてしまつた方がいいのじやないかというふうに考える。そうすると政府の方でも手数料を出さないで、めんどうも見ないけつこうじやじやないか、ただ監督だけやればいいのじやないかと思うのですが、そこの点どうですか。
  40. 岡田秀男

    岡田(秀)政府委員 一つの御意見として拝聴いたすわけでありますが、金を預託しておいて、その間の金のもどりを見て、手数料をやらないかわりに、その金を自由に扱わすということは、公庫趣旨から見てはなはだ不適当であろうと思うのでありまして、やはり代理機関が現案の公庫の目的とする趣旨によつて金を貸すということが決定した場合に、公庫からその金融機関に金が流れるという趣旨で進むのでなければ、やはり預託という制度による金がどこへどうなつておるのかわからぬような状態は少くとも避けたい、私は現在のところさように考えておるのでありまして、行く行くは公庫の直接貸しというものができる情勢になりますれば、これは、代理貸しと直接貸しとの関係においてさらに公庫の権威というものが確立して来るであろうとは思いまするが、いずれ一〇〇%の責任銀行に持たすということになりましたとすれば、ただちに直接貸しが伴つてやれるということでもございませんし、一〇〇%の責任を持つと申しましても、その持つておるのが公庫わくの中においてやつておるかどうかということについては、やはり公庫としてもにらみをきかさなければならないという関係もありますから、かりに一〇〇%責任のものをつくるといたしましても、その運用として、金をあらかじめわくをやるのじやなくて、金を預託しておくという形において一〇〇%責任運用するということは今のところは考えていない、こう申し上げておるのであります。
  41. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 長官はもうくたびれたろうから振興部長でけつこうです。中小企業という定義にあなた方の間違いがありはしないかと感じます。ですから中小企業者というものの定義をここではつきり述べてください。
  42. 岡田秀男

    岡田(秀)政府委員 中小企業の定義と申しますれば、少くとも公庫関係におきましての中小企業者の定義は、「この法律において「中小企業者」とは、左に掲げるものをいう。一、資本の額又は出資の総額が一千万円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が三百人(商業又はサービス業を主たる事業とする事業者については三十人、鉱業を主たる事業とする事業者については千人)以下の会社及び個人であつて、政令で定める業種に属する事業(以下「特定事業」という。)を行うもの、二、中小企業等協同組合、農業協同組合、農業協同組合連合会、水産業協同組合、森林組合及び森林組合連合会であつて、特定事業を行うもの又はその構成員の三分の二以上が特定事業を行う者であるもの、三、医業を主たる事業とする法人であつて、常時使用する従業員の数が三百人以下のもの(前二号に掲げるものを除く。)四、調整組合及び調整組合連合会、五、酒造組合、酒造組合連合会及び酒造組合中央会であつて、その直接又は間接の構成員たる酒類製造業者の三分の二以上が常時三百人以下の従業員を使用する者であるもの並びに酒販組合、酒販組合連合会及び油販組合中央会であつて、その直接又は間接の構成員たる酒類販売業者の三分の二以上が常時三十人以下の従業員を使用する者であるもの」、こういうふうになつておりまして、少くともこの公庫法に関する限り、中小企業者とは現在のところはこういうものを言うのだということになつているわけであります。
  43. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 それでは第一の、中小企業者の定義中に新たに塩業組合、消費生活協同組合、消費生活協同組合連合会をお加えになつております。消費生活協同組合を中小企業者とあなたはみなすかいなや、それをはつきりと答えてください。
  44. 岡田秀男

    岡田(秀)政府委員 この消費生活協同組合の関係はおきましては、昨年の十六国会において当公庫法がこの委員会で御採択になりまするとき、生活協同組合を入れておらぬのはおかしいぞという御質問がございまして、いろいろとお話いたしましたところ、皆さんでこれは今ここでこの法律改正するはどのことはないけれども、近く改正の必要があるようなときには、これはよく考えて入れるようにしたらどうだというふうな御注意もありまして、その後いろいろと研究いたしましたところ、消費生活協同組合というものは、必ずしもその組合員が中小企業者であるとは限りませんので、またこれが営利を目的とするものでないという点もございますけれども、ちようど農業協同組合の購買事業が、組合員に物をわけるという仕事の性質が、消費生活協同組合とほぼ似たようなことをやつておるのでありまして、営利の目的であるかないかは別といたしまして、組合の行つておる事業そのものが他の協同組合等の仕事の性質とほとんどかわるところがないというふうに認められますので、かたがたいろのこの前の当委員会におきまする御意見の趣旨もございますのでこの際ちようど法律改正の機会が参りましたから消費生活協同組合もここにいいますところの中小企業者に追加指定をいたすことが適当ではないか、かように考えたわけでございます。
  45. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 長官のお説は委員会の意見を非常に尊重するとの御意見でございまして、今までお聞きの通り、あなたの御答弁通りの御意見がたくさん出ておりますからさぞかし全部お取上げになつてこの中に新しい公庫法案というものをおつくりになるという大いなる期待を持ちます。従いまして、期待ばかりでなくて、今国会にさらに修正等を提案いたしますから御採択のほどを前もつてお願い申し上げておきます。  それから消費生活協同組合の実態というものがどういうふうに構成されておるかという考え方に、あなたの大きな間違いが生じております。中小企業金融公庫の本質というものについてあなたはみずから大きな間違つた判断を下しております。中小企業金融公庫の性格というものは、そういう精神のものであるかいなやでございます。すなわち今貧しているところの中小業者というものをどうやつてつてやろうかという考えのもとにこういう面に対して幾分でも親心を持つて政府が金を出して救つてやれる面があるならばやりたいというのが一つの精神でございましよう。しかるに中小業者と相反するところの消費業者の結成されたものをあなたがこれを中小企業と見るというのは、どういうようなお気持から生まれたかということを私は考えなければなりません。私が申し上げておるのは消費生活協同組合の構成のことですから、その点をあなたから承りましよう。
  46. 岡田秀男

    岡田(秀)政府委員 消費生活協同組合というものは、国民の自発的な生活協同組織といたしまして、組合員の生活の安定と文化の向上を期するということを目的といたしておるのでありますが、現在のところその活動状況に対しまして、いかなる限度まで組合員外の人に利用さすかとかいろいろな点について、厚生省の方におきましては、はつきりした基準を示さないでその運営の点を地方庁にまかしておる面が多いように承つておるのであります。その結果組合の職域における消費生活協同組合等におきまして、その職域を離れまして、一般の人々の利用にも供するというふうなことの結果、特定の地域におきまして、この消費生活協同組合とこれと異なる一般の、特に小売商の関係におきまして、ある程度深刻な問題が起きておるということは私どもも承知いたしておるのでございます。厚生省側に対しましてはこの消費生活協同組合の認可をやるとか、あるいは員外利用を認めるとかいうふうなことについて妥当なるわくを設けてもらうということが必要であり、従つて一方において、法の精神から見て行き過ぎだと思われるような運用をされることに対してはこちらとしても十分文句をつけねばならぬと同時に、一方においてこういう生活協同組合というものが本来の姿の中において仕事をして行く、そういうことで国民の福祉の増進に寄与してくれるのでございますればこれはあえて反対すべきものでもなかろうじやないかというので、両方のことを考えて、一方では正しく活動してもらうように努力をいたしまするし、正しく動いてもらつている範囲内におきましては、農協であるとか、漁業協同組合とかいうふうなものとの関連において、これは知らぬのだといつておくのもかえつて悪いのじやなかろうかというふうな考え方から今回の改正をお願い申し上げておる次第であります。
  47. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 消費組合の意義があなたにはわかつておらない。みずからが出資者であつて、みずからが消費者でございます。こういうようなことが少しもわかつていないのであります。あなたからそういうよううな御説明を承るとするならば、あなたが受持つ分野ではないのではないか。これはあなたが受持つ分野ではございません。これらは育成しなければならぬことは当然でありますけれども中小企業と銘打つた中にこの保護政策を行うべきものではないと私は思う。こういうような点から考えて、けさの朝日新聞にあなたが大分御立腹なさつているようなお話が出ておりましたけれどもこういうようなお考えをするところにあなたが御立腹しなければならぬ原因があるのではないか。こういうような大きなあやまちを犯して、どうしてあなたが受持たなければならないか、あなたの受持つべき分野ではございません。従いましてさらに申し上げなければならないことはこういう点についての大きなあやまちが出ておるところへ、二十億というものを今度はよけい政府が出すというこういうものはたとえば五億なら五億というものを別途のものにあげて、百五十億なら百五十億にして、育成すべき道を新たに開いて、その分野にくつつけべきじやないですか。この中に入れて、あなたが二十五億よけいとつたなどと言つたら大きな間違いです。幾らふえていますか。貸付の対象がふえて行つておるのに二十五億とつたものが、今までより金融処置が受けられるようになるとお考えになりますか、承ります。
  48. 岡田秀男

    岡田(秀)政府委員 消費生活協同組合は私の方で中小企業行政として相手にすべきものじやないじやないかということでございますが、これは考え方もあろうかと思いますが、中小企業行政の中には厚生省で担当しておりますお医者さんでも、一定の規模でございますれば中小企業行政のわく内に入つて来て、たとえば公庫といたしましても、お医者さんに金を貸すということをいたしておるのであります。生活協同組合のために何か金融措置がいるなら、またそれに応ずる別途の金融機関をつくつたらいいということになりますれば、これはまた医者のためには医者の公庫、別の業態には別の公庫というようなことになつて、非常に複雑なことになりはしないかと思います。先ほど申しましたように消費生活協同組合というものもその正当なるわく内において仕事をして行つてもらいます限りにおいては、これを中小企業者と見て、他の農協とか漁業協同組合と区別する必要もないじやないか、中小企業行政のわくはどの程度が分担すべき分野であるかということについてはいろいろ御意見もあろうかと思いますけれども先ほど申しましたような医者の関係やら農協やら漁業協同組合やらいろいろの点を総括的にやるというのが今までの行き方になつておりますので、その点で御了承を得たいと思います。
  49. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 複雑化する云々というのはあなたのおつしやる言葉ではございません。あなたは中小企業庁長官でございます。あなたが今の通商産業大臣ならば、複雑化するから中小企業に入れたというのならばこれはわかりますが、あなたが複雑化するから云々だと言うことはもつてのほかの言葉です。あなたには中小企業庁長官というりつぱな名前が与えられてあるはずです。中小企業庁長官としての御答弁をなさい、それはあなたの大きな間違いであり、越権です。そういうような、大きな間違いを犯しては行き過ぎです。すなわちこういうような中小企業を担当する長官として、消費生活協同組合というものをどう見るかということです。複雑化するから云々ということはあなたのおつしやる言葉でないということは先ほど申し上げた通りであります。中小企業庁長官としてお答えください。
  50. 岡田秀男

    岡田(秀)政府委員 いろいろとおしかりを受けて恐縮ですが、私どもは現在のところすでに公庫といたしまして、医療とか他の所管の小企業者、中小規模の事業をやつておる者という意味における限りにおきましては、他の省の所管につきましてもいろいろと施策をやつておるわけであります。従いましてそういう趣旨から消費生活協同組合というものも小規模の形において事業を営んでおるという意味において中小企業者考えてこの公庫の対象なりあるいは信用保険の対象なりにしてもさしつかえないのじやないか、こう考えまして改正を御提案したわけでございます。
  51. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 大分時間もたちましたから、長官委員会の意見を十分尊重するとのことでございますので、新しく私たちの考えている修正等もございますので、今日は私の質問はこの程度で終りまして、明日は修正の案を持つて参りますから、それを御採択くださることをお願い申し上げまして私の質問をこれにて打切つておきます。
  52. 大西禎夫

    大西委員長 山手君。
  53. 山手滿男

    ○山手委員 中小企業金融公庫の問題でございますが、いろいろ実地に貸し出しておる状況を見ますと、われわれも、どうもこれじやいかぬという点が多々あると思いますが、さつき同僚委員からもお話があつたかと思いますが、要は私は代理貸しというものをどういうふうに見るか、あるいは公庫の性格をどういうふうに見て行くかということから問題が発足しておると思います。そこで代理貸しの場合においては、危険負担の大部分を代理の方に背負わして中央の方では二割か三割しか危険負担をしない。国家は二割か三割しかしない。従つてこれは形式的な最低限度の書類審査だけで行つて、そこにどつちが危険負担をどういうふうにするかという問題があつて、末端においては六割も七割もの危険負担をするんだから、お前たちには貸せないという気分が代理店の方に起きて参る、そういうところにもこの窓口に行つた者に対して非常に不愉快な感じを与える原因があろうと思います。この点は私は法には直接の規定はないと思つておりますが、施行令か何かでおやりになつておられるのでありますが、どういう経緯であの危険負担率がとられたものか、もう一ぺん詳細にお聞きしておきたい。
  54. 岡田秀男

    岡田(秀)委員 現在公庫でやつております貸出しの方式は、甲方式でありますので、いわゆる代理店が八〇%責任を持つて公庫が二〇%責任を持つ。乙方式としては代理店が三〇%責任を持ちまして公庫が逆に七〇%責任を持つ。この八〇%と二〇%、逆に三〇%と七〇%という比率が一番いい形のものだという科学的な根拠と申しますか、それはなかなかむずかしいのでございますが、これは開発銀行が従来一〇〇%で代理店責任を持たせてやつて来た。しかし一〇〇%責任を持たすということであると、せつかく公庫という国の機関ができて金融を始めるのに、代理店に一〇〇%その責任を持たしたのじやせつかくのありがた味と申しますか、普通の金融機関では貸せない金を貸すのだという建前から見て、やはり公庫の方においてもある程度責任を分担するという形で行かないと、一方においてぐあいが悪いのじやないか。貸出しの対象の状況によりましては信用からいうと多少首をかしげなければならぬけれども、これは今後大いに仲ばして行くことが必要だというふうなケースがかりにあるといたしますれば、さようなものは代理店責任が非常に多くては貸しにくいけれども、少しならお手伝いしてもいいということが出て来るであろうと考えられるのでありまして、さようなわけで甲乙両方の制度をつくりまして、まず銀行側に大体の責任を持たせて、公庫の方は簡単に済ませて行こうというのは代理店に八〇%持つてもらつたならばこのくらいでいいんじやないか、それから公庫の方で責任を大体持つのだけれども、しかし代理店審査その他にも依頼をしなくてはならぬわけでありますから、全然代理店責任がゼロということになつてもかえつてこれはぐあいが悪かろう。だから三〇%程度責任代理店に残しておいたらいいんじやないか、かような配慮からいたして来たのでありまして、特に科学分析とかいうむずかしいことでやつたのではないので、ある程度腰だめのねらいという点もあろうかと思うのでございます。
  55. 山手滿男

    ○山手委員 長官の御説明はよくわかるのでありまして、その通りであろうと思いますが、頭の向け方が私どもの向けておる方向と逆の方向に向けておいでになるように思う。というのは公庫というものは、一般金融機関とは違うのであつて中小企業の特殊性にかんがみて、特別に国家が財政資金を放出してめんどうをみてやろうということが公庫の発足の本意であります。従つて私はこの代理店が、自分が、審査をし、大部分の採否を決定するから八〇%持たす。中央の方は形式的に審査をするだけで、二〇%の危険負担をするということでは、公庫自体を発足させた意味が非常に少くなつて来る。この甲の方式においても、私は代理店の危険負担は二〇%程度でよかろう、大部分は国家が危険負担をしてやつてこそ、中小企業金融公庫を発足させた趣旨が生きて来る。乙方式になつて大部分が中央の公庫自体によつて審査される場合においては、私はもしろ地方代理店、窓口になつた方の危険負担は、単に取次ぐの手数料だけやりておつて、そんな危険負担をさす義理合いでもないのであつて、それは一〇〇%中央がむしろ危険負担をかぶるべし、私はそういうことに徹しなければこの金融が引締められて、中小企業金融がいよいよ逼迫をして来つつある現在の状態では、ほんとうに公庫が生きて来ないと考えるのです。それを市中銀行金融的な考え方でこういう責任の割振りをされたところに、窓口に行つた一般国民の非常に当惑する原因が生れておると思う。そういうことについてどうなんですか。私どもはこの問題についても先般来少し研究をしておつて、ほかの開銀とか何とかの法律にはないのでありますが、法律の中に、こういう危険負担の割合についても少し書き込むくらいの修正をすることはどうであろうか、そういうことを一応考えておるのでありますが、政府側の方の見解を承りたい。
  56. 岡田秀男

    岡田(秀)政府委員 いろいろと具体的に御指摘をくださつてども非常に敬意を払う次第でございます。まず私どもの見解を申し上げてみたいと思いますのは、中小企業者がいろいろと自己の企業を運営して行きます上において困つておる点は、どこにあるかというのを考えてみますと、第一に中小企業にまわつて来る資金源が非常に少い。中小企業金融公庫をつくりました趣旨は、資金源のうち長期資金源を確保しようという趣旨でつくつたのでありますが、かりに資金源があつても、企業自体の信用がなかなかつかないので困る、それから次に中小企業自身の中にいろいろ経営上の欠陥、あるいは、下請との関係等において非常に困つた状態になつて来るというような関係から考えてみると、とにかく中小企業金融公庫で長期の資金源は一応確保しようという趣旨でできたものであろうと思うのであります。従いまして資金源を中小企業に流す建前から言いまして、いろいろ流し方があろうと思うのでございまするが、設立早々、ともかく一応全国的に金が流れるような仕組みといたしましてはさしあたりとしては、この代理方式を使うより方法がない。かように考えまして、公庫代理店との関係をまずまずと思われるところに持つて行くのには、どの程度責任負担、どの程度手数料というふうなことが考えられるかということで、先ほど申し上げましたような趣旨から甲方式乙方式というものをつくつたのでございまするが、私どもといたしましては、公庫審査能力関係から、乙方式というものについては、どつちかといえばそつとしておくような態度で従来公庫が来ておつたことも認めるのであります。決して門戸を閉鎖したのではないけれども乙方式はどうも何となしに当分手をつけかねるというような態度で来ておつたのでありまするが、最近公庫におきましても、陣容の整備に伴いまして、やや信頼できる審査能力を持つようになりましたので、来年度から乙方式をむしろ積極的に推進いたしたい、かように考えておるのであります。特に今後の経済情勢に対処して公庫の運営を考えてみまするならば、金融機関責任が比較的少い、三割程度公庫が金を出し得る乙方式というものを、従来以上に積極的に活用して参りたいと考えておるのであります。今の七割、三割がいいのか、あるいは公庫が直接決定するという場合における責任量として代理店に三割を負担さしておる今の制度がいいのか悪いのかという点につましては、これは技術的な問題もあろうかと思いまするので、十分今まで半年間の経験並びにいろいろと専門家の意見を聞きまして、より以上よい数字が出て参りますれば、これは改正するにやぶさかではないと思うのでございまして、この点は御意見も十分拝聴さしていただきましたので、今後の研究に対してよりよき割合、よりよき責任の歩合というものを見出して参りたい、かように考えております。
  57. 山手滿男

    ○山手委員 この問題は単に貸出事務の技術的な問題だけではないのでありまして、代理店の窓口で代理店が担保を要求するような場合でも、不当な担保を要求して一応それにこじつけて自分たちの系列に入らないものは敬遠するとかなんとかいうふうな貸出しの持味の問題になつて来る。言いかえるならば、公庫がどの程度社会政策的な意味も合めてこの金融をやつて行くかということになつて来るので、本質的なことにつながつて行くと私は思うんです。そこで公庫の方で直接貸しを来年度からはやる意思があるんだというふうな長官お話でございますが、私はなかなかできやしないかと思う。今の程度の陣容で直接貸しもやらなければいかぬから、その求めに応じて行こう、こういうことをおつしやいましても、私は実際には人手が足りなくて、なかなかできるものじやない。思い切つて代理貸しを大改革して、代理店における危険負担の責任を軽減してやる、そうして公庫事態の監督もやはりある程度するものはして行くという建前で、積極的に気軽な意味で窓口が貸出しをして行けるように切りかえてやる必要がある。それをやらなければ、今日銀を中心にして大蔵省や何かがタイ・アツプして、金融引締めをどんどんやつて、そのしわは全部中小企業に寄つて来るのであります。そうするとこれらの物価を引下げようとする場合においては、担保価値の評価の仕方というものがいよいよ辛くなつて来て、中小企業者にはどうにも手に負えぬしろものになつて来ると私は思う。それで今の問題を単にそういう事務的に見るだけでなしに、施行細則か事業方法書か何か、そういうものの内容を改正して、積極的に政府がこれに手をつけて行くということであるなら、法律の中にわざわざそこまで書き込む必要はないかもしらぬが、いいかげんに研究しておこうという程度であるならば、この際私はそういうことを積極的に書き込んででも、ひとつ修正をして行く方がよろしかろうと思うのでありまするが、長官からもう少しその辺の担保や貸出しのいろいろな窓口における条件なんかとにらみ合して、この問題をどう考えるか御説明願います。
  58. 岡田秀男

    岡田(秀)政府委員 代理店責任を非常に軽くして、そして非常に手軽に公庫の金が中小企業者に流れるようにするということは、ここで議論しておる限りにおいては割合にいいようにも私は思いまするが、実際に金融という面に当てはめてやりますると、公庫代理店と申しましても四百を越える代理店でありまして、そう気軽にという点が、代理店によつてはいかように運用されるかということに、なかなか困難な点があろうかと思います。かりに先ほど一〇〇%の責任でやらしてくれというふうな要望もかなりある、こういうことを申したのでありまするが、普通の金融機関でございますれば、八割でも十割でも責任を持つてやるということについては、何ら差をつけてやるものじやないんです。あるいは五割の責任だから貸し方をいいかげんにしてやるんだというようなことはありません、というふうに申すのではございまするが、場合によりましては、かりに代理店責任が二割くらいで、公庫責任が八割くらいだ、そしてごく気楽にお前らの方も事務運用してくれと言うた場合に、そのこちらの趣旨が十分にこなし得るだけの代理店ばかりであるかどうかということについて、いささか私としてはまだ懸念なきあたわざるような感じがいたすのでございます。従つて代理店に対しては、一応三割、八割という両者を選び得るような責任程度をつくつておきまする現状で、しかも公庫乙方式と申しまするか、代理店責任の分野が、八割から比べればよはど低い三割の程度でやり得る乙方式の実施を、来年度以降積極的に推進する態勢ができておりまするので、八割と三割との運用のかね合いによりまして、割に今御懸念の点も都合よく解決し得るのじやなかろうか。この乙方式を積極的にやつて見た上におきまして、どうもやはりそれでは不十分であろ、甲と乙との二つの方式ではどうもうまく行かぬということでありますれば、さらにそれらの経験を生かしながら、どの程度にやれば一番ぐあいがよろしいかということを、代理店事務のやり方等ともにらみ合せて私も考えてみたいと思うのでございます。今ようやく乙方式本格的にやろうといたしておるときでございますので、その結果を一応見た上で研究するということにさしていただいたらいかがかという趣旨で申し上げたのであります。
  59. 山手滿男

    ○山手委員 代理店の窓口の方で、一〇〇%この危険を負担してもいいから、やらしてくれというふうな希望さえあるのだというお話でありましたが、これは私どもは議論としては適当でないと思うのです。というのは、金融機関としては資金金源ができるだけほしいのであつて、長期に安定した資金がたとい一万円でも百万円でも多くあれば、非常に自分の店の勢力の拡張になるわけであつて、それは希望するのは当然のことなんです。そういうふうにして行くと、公庫の方からこういうふうに中小企業にできるだけ資金を集中的に流して行くといような、主体性というものはほとんど支店網に対しては失われてしまう。私どもが言つているのは、金融をますます引締めようとしているこの際でありますから、中央における中小企業金融という特殊な性格の線に沿わして、できるだけ気軽に、手続簡略にやれるような、公庫自体の責任性を確立すべしということであつて、一〇〇%責任を持つてもいいから、全部やらしてくれという議論さえあるということを引合いに出されるということは、私どもの向けている方向とは逆だと私は申しておるのであります。この点については、この法案をあげるまでにもう少し私どもは説明を聞いて——現在公庫自体に対する批判の大部分はこういうところから来ておると思いますから、各党の人々とも協議をして善処をする。しかし法律によらないでも、実際にこういうふうに改善をして行くという政府側の誠意のある手が打たれるという見通しがつくならば、そういうことはやらなくてもよろしかろうと思うのですが、私は委員長に申入れをしておきますが、この法案は、この問題をもう少し研究してからあげるようにしてもらいたい。と申しますのは、この書類にいたしましても、簡略にということを昨年以来申しておりました。ところがなるほど簡略にはなつていますが、窓口から公庫に来るべらべらの調査書類がきわめて簡略であるということで、実際に貸付を受ける方が窓口に出す書類は、ちつとも簡略になつておりません。それはお調べになると非常によくわかりますが、簡略になつておりません。あるいはまた公庫から窓口に送金をされる送金のされ方なんかを見ましても、まことにぎこちない送金をしておられます。たとえて言えば、何日と何日というふうに一月のうちに日を切つて、送金しておる。従つて中小企業者が窓口に行つて、何とかしてあす、あさつて金融がつけたいとというふうな場合でも、いや送金がどうとか何とかいうふうなことで窓口は断つたりしている。それについては公庫は何ら改善の手を加えようとしておらないというのが案頭でございます。それの大部分の責任代理店、窓口に負わしているから、公庫の方としてもあまりのことは言えない、気軽に金融をつけてやるという趣旨が徹底をして行かないといことになるのでてあるまいか、こういうふうな気がいたします。でありますから、これは各党とよく相談してその成案が得られるか、政府側の方で十分の説明が得られて初めてこの法案はあげるようにしていただきたい、これを申し入れておきます。
  60. 小平久雄

    小平(久)委員 最後に簡単な点を承つておきますが、業種の点です。十七条ですが、指定業種があるようですが、この点も先般の小委員会でちよつと話が出ましたが、たとえば床屋さんであるとかあるいはクリーニング屋さんとか、こういうものから、この業種指定になつていないので、非常に困るという陳情をわれわれは受けておるのであります。その他われわれの耳に入らない部面でも、そういうものがあるのではないかと思うが、こういうふうに列挙主義で限定するということも一つ方法ではありましようが、場合によつては、いわゆる中小企業という観念に一般世間で入るものは、なるべく広く入れてやるということが私はいいのではないかと思うのですが、そういう点で何か当局で考えておられることがあつたら、ひとつこの際承つておきたい。
  61. 岡田秀男

    岡田(秀)政府委員 業種の指定につきましては、この法案が審議されます当時には一方では強くしぼれというふうな御意見もありましたり、いろいろありまして、一応十七条というものになつたのでありますが、その後いろいろやつてみますと、さしあたり出て来ましたのが、クリーニング業をどうするかという問題が具体的に出て来まして、さあそうなつてみますと、今指定しております業種とクリーニング業と比べて、クリーニング業をはずして当然だというりくつもなかなか見つかりにくいのであります。そこでわれわれといたしましては、今のような形で個別に書いておいて、これにクリーニング業ならクリーニング業というものを追加するということにいたすのがよろしいか、あるいは大体十七か十八か何ぼになればもうこれ以上出て来ることは考えられぬのだから、それでいいのだということにしておきますか、あるいは多少ゆとりのあるような書き方をしておけば、かりにクリーニング業というようなものがもし出て来たというような場合に、またあわてて追加するということをせぬでもいいようなふうに書いておく方がよろしいかというふうなことについて、今それぞれ研究いたしております。いずれにいたしましても、その辺は至急解決いたしたいと存ずるのであります。  なお山手委員の方から、いろいろの点で改善をするという見通しがつかなければということでございましたが、私が繰返して申し上げておりますように、来年度以降乙方式による公庫運用を、積極的にやり得るような態勢ができたので、この乙方式運用というものを実際やつて見た上で、一体代理店公庫との間の責任の割合その他というものが、今め甲乙両方式というものでいいのか悪いのかということが実際上わかつて来るわけでありますから、その起用の結果を見え、妥当な比率というようなものを見つけるような努力を続けて行きたい、かように言うているのであります。あるいは公庫から代理店へ送金するというような場合におきましても、これはもつぱら事務手続の関係で、月に何回か締切つて送るというふうなことが、あるいは必要なのかもしれませんし、その二回がいけなければ三回にふやすということもできましよう。こういうものはもとより事務上の改善をして、サービスの改善をして、今後も努むべきものでございましよう。ただ手続の問題といたしましては、少くとも中小企業金融公庫には運用上いろいろの色合いを持たすか持たさぬかは別といたしまして、貸した金は返してもらう建前の公庫であります。従いまして、経済界の現在の段階におきまして、二年なり三年なり五年なりというお金を貸します場合に、借りた中小企業者が、その間どういうふうに事業の運営をやり、この金をどういうふうに使つて、そうしてどういうふうに金を返すのだという事業の見通しなり何なりについて資料を提出していただくということは、これはいずれにしても絶対に必要なことであろうと思うのであります。その点と、それからなるべく中小企業者というのは、いろいろな面において書類をつくることは下手な人が多いのであるから、なるべく簡単にしてやろうじやないか、またしてあげるべきであろうという、この二つの要求をどこで調和さすのかということに苦労をいたすのでありまして、あれやこれやと苦労をしておりますが、結局この貸した人間がこれをどう使つてどうしているかということまでも、もういいかげんなところでよろしいのだということまで割切るのはこれはちよつと困難だと思います。今後とも両方の要求はどの辺で調和させるか、なるべく中小企業者が出しやすいような書類にしなくちならぬと考えますと同時に中小企業者側においても、計理の面においてもう少し御勉強願つて、平生の帳簿の作成ができておりますれば、公庫で要求する程度の資料はできねばならぬと思うのでありますが、その方向へも別途の方から努力を傾注して行きたい、かように考えているのでありまして、大体の意味から言うと、いま少し様子を見ていただきたい、かように私は考えるわけであります。
  62. 大西禎夫

    大西委員長 それでは両法案に対する質疑は一応終了いたしました。     —————————————
  63. 大西禎夫

    大西委員長 次に韓国人の鉱業権の問題について発言を求められておりますので、これを許します。帆足君。
  64. 帆足計

    ○帆足委員 時間が移つておりますので、皆様御迷惑でしようからごく簡単にいたします。実は緊急質問を提案いたしましたのは、鉱業権の、韓国人に対する特別規定が、四月二十七日に期限が切れるものでございますから、ただいまのうちに政府に御注意申上げて、ひとつ深甚なる御研究、並びにこの問題は多少政治的考慮も要する問題でありますから、通産同僚各委員慎重な御考慮を参考にして、ぜひともきめていただきたいと存じます。  御承知のように朝鮮人諸君の状況は、朝鮮人の祖国たる朝鮮が長い間戦乱にあい、二つにわかれて統一が行われておらないために、きわめて不幸な同情すべき状況にあることは、御承知の通りであります。従つて今日一般外国人として認められておりますけれども一般外国人の場合には、多くその国と日本との間に条約ができておりまして、財産権の収得等につきましても、外国人の財産取得に関する政令等の規定がありまして、政府が認可いたしました場合には、国際条約に基いて当該外国人の権利を擁護し得るようになつておるのでございます。しかし朝鮮の諸君の場合には、こういうような条約の規定がまだございませんために、南北朝鮮とも条約はただいまない状況でございます。従つていろいろな面において、過去においては日本の植民地として取扱いを受けて力つた国々であり、貧しいために、民族的な偏見をもつてこの人たちが遇せられておるというような事情もあります。今日朝鮮人の諸君といえば、何かやみか犯罪の巣窟であるかのごとき偏見も多少流布されておるような状況でありまして、結局そういうことも、朝鮮人諸君の、環境の悪い、貧しい状況に置かれておること等から来ておることなども、十分了察しなければならないと思います。また日本人の朝鮮及び中国における権利は、敗戦国として、また植民地収奪をやつた結果として、全面的に否定されておりますから、彼我勘案いたしまして、われわれは何の権利も認められていないのに、朝鮮の諸君に相当の待遇を与えることは不均衡ではないかという御議論も承つております。しかし何分にもこれは大きな戦争のあとでございますし、過去の時代には正当化されておりましても、今日の国際連合の趣旨から言えば不当であると言われておる、植民地収奪の混乱から起つたことも十分理解していなければならないと存じます。従つて隣邦朝鮮の国民諸君に対しては、できるだけ理解のある態度を示すことが、国の大きな利益からいつて私は望ましいことであると思います。積善の家に余慶ありという言葉がありますが、善根を施しておいて悪いことはないのでありますし、今後朝鮮が統一されまして——四月二十六日にはゼネヴアでアジア平和会議が開かれまして、朝鮮問題及びヴエトナムの問題も、解決の端緒をつかむと思いますし、あと一両年で、国際情勢も安定に向つて進むと思います。そういう重要な転換期でございますから、この問題につきましては、政府当局においてはできるだけ寛大な理解ある措置を示されまして、一両年経過をごらんになる方が国のためになるのではないかと私は思います。政治問題もからんでおることでございますから、この問題につきましては深甚な御考慮を願いたいと思います。
  65. 古池信三

    ○古池政府委員 ただいまの問題はかねて御承知のように、一昨年の四月二十八日以後は、本来朝鮮の人々に対しましては、鉱業法の第十七条によりまして、わが法人の国籍をお持ちにならないのでありますから、当然鉱業権者たり得ないのであります。しかしただちにそういう措置をとるのもお気の毒なわけでありますので、本年の四月二十七日まで二箇年の過渡的な猶予期間と申しますか、これを設けまして、その間にでき得る限り合理的な措置をとつていただくように考えて参つたのであります。そこでその鉱業権の数はどのくらいあるかということをこの機会に御参考までに申し上げますと、昨年十月に調べましたのでは、全国で七十件に上つております。これは試掘権、採掘権、両者合計であります。ところがその後だんだんあるいは邦人に譲渡されるとか、あるいは権利を放棄されるとか、そういうような措置がとられて来ておるのでありまするが、ただいまのところ、資料といたしましては、二十五件がすでにさような措置をとられたのであります。残つておりますのは四十五件となつておりますけれども、ちよつと資料が古うございますので、本年になつてからも、おそらくこの四十五件のうちのある部分は、適当な措置をされておるのではないか、かように考えます。そこでこの二年間になぜもつと多くかような措置がとられなかつたかということを想像してみますのに、私の方といたしましては、関係の各通産局を通じまして、いろいろと御通知をいたしたり、その他の措置を講じておるのでありますけれども、鉱業権者の住所がまつたく不明で、どうしてもこちらの連絡がとれないというような場合も多いのであります。むろんわれわれは朝鮮の人が非常にお気の毒な事情にあることは十分に察しておりまするし、ただいま御指摘になりましたように、朝鮮の方の中にもまじめな、とつぱな方もたくさんおられるのでありまするから、決して偏見と申しまするか、へんぱな措置を講ずるつもりは毛頭ございません。しかし二年間の特別な措置をすでに認めたのでありまするから、これ以上さらに認めるのはいかがかと考えて、一応本年の四月二十七日をもつてこの問題は打切りたい、今のところはかように考ておるのであります。
  66. 帆足計

    ○帆足委員 この問題につきまして実は朝鮮の利害関係者の諸君からも話を聞きました。もちろん問題の解決はそういう利害の問題だけでなしに、やはり総合的考慮と、実情に即して解決すべき問題でございます。現実の問題を調べておくことが参考になるようでございますから、私どもの方でも実情を調査いたします。また政府の方の調査の実情も伺いまして、通産委員の諸君にもその実情をよく知つていただきまして、今打切ることが、適当な時期になつておるのか、それともう少し考慮の余地があるのか、もう少し調査しておきめ願いたいと思います。幸いに通産委員会も連日奮闘して開かれておることですから、どうか委員会の諸君の御意見及び調査も御尊重くださいまして、円滑な御処理をお願いしたいと思います。早急な決断をしばらく延期していただきますようお願いいたします。  それからもう時間もございませんが、ただいま中小金融のことが問題になつております。朝鮮人の諸君に対する中小金融は、日本国民でありませんから非常な苦労をしておる状況ございます。これに対しましても、実情に即して、やはり便宜をはかつていただくことが、両国の将来のためにも好ましいことと思いますので、あわせて御考慮のほどを願つておきたいと思います。
  67. 古池信三

    ○古池政府委員 帆足さんがいろいろ具体的な事情も調査して、この問題をできるだけ円満に、すべてをよく解決できるように御尽力いただくということは、私もまことにけつこうなことだと存じます。さようなわけで現在行方不明であります朝鮮の鉱業権者の方々の住所がわかるとかいうようなことがありまして、お申出になりますならば、われわれといたしましてもできる限り御便宜をはかつて、権利の譲渡その他が都合よく参りますように御協力いたしたいと考えております。  なお金融の問題等につきましては、具体的な場合に適合いたしまして善処して参りたいと考えております。
  68. 帆足計

    ○帆足委員 それではこの問題につきましては、さらに調査いたしまして、そして次官並びに責任当局にいろいろお願いもし、また御考慮も願いますから、質問はこれで留保しておきまして、次会にまた御相談申し上げたいと思います。     —————————————
  69. 大西禎夫

    大西委員長 次に国際的供給不足物資等需給調整に関する臨時措置に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の通告を求められております。中崎敏君。
  70. 中崎敏

    ○中崎委員 時間も大分過ぎておりますからごく簡単に申し上げたいと思います。それでこの法律制定当時から問題になつてつたのですが、われわれとしてはただ国際的な稀少物資に限らず、国内的においても相当に物資が不足して、これは国民生活に大きな影響のあるというような物資についても、やはりこれと同じ範疇において取扱いをされるような規定にしてほしいというふうな意向を述べたのでありますが、それが今日まで実現していなかつたのであります。ところがその後における経過を見ますと、国際的な稀少物資というものは、むしろ戦争の緊迫感というものが漸次緩和することによつてつて来たような状況であります。逆に日本の国内の情勢から言いますと、国内的にこの不足するような物資が逆にできて来た、その問題がむしろ重要であるというふうな段階に立ち至つておるのであります。ことに石油のごときも国際的には物資は十分ある。ところが外貨等の問題とからみ合せてみて、正常の国内の需要にマツチするだけの供給というものは十分にできない、こういうふうなものについて、一体どういうふうな措置をするか、この問題に対する適当な措置を誤れば、日本の経済界においては大きな影響がある。過般この農水産用の石油については、政府の方でもある程度の考慮を払われておるということを聞いておるのでありますが、これは通産大臣に対しても、こうした問題についての報告を要求しておるのでありますが、まだわれわれには通産委員会を通して報告を受けていない。ところがこの問題なんかも今相当に大きな問題ばかりでなく、さらに先般来問題となつておるバターの問題にしても、あるいはまた砂糖の問題にしても、非常に国民生活に重大な影響がある、しかもこれが一部独占的な傾向を持つところの事業によつて、あるいはカルテル等の形において、あるいは少数の大きな資本のえじきにされておるというような、そういう状態になつておる、こういうふうな問題についても、すみやかに政府の側において方策を示されて、そうしてこういう方針おいて大衆の生活を脅かされないような、そういう手を打つ、日本の圧縮されておるところの経済を、こういうふうにむしろ拡張生産の方向にむけるのだというような方途を講じてもらうことを要求するのでありますが、これについてこの法案に関連してこうした問題をこの法案の中に取り入れていくとか、あるいは何らか規制するような措置を講ずる用意があるか、そういう問題を大局に説明してもらいたいと思うのであります。
  71. 岩武昭彦

    ○岩武政府委員 この法律の施行以来の経過、情勢の変化はただいま御指摘の通りでございます。本来ねらつておりました方の需給調整措置を講ずる必要はむしろだんだん薄らいで参りました。ただ御指摘のように、今後外貨その他の見地から輸入の制限がございますから、いろいろな事態も起るかと存じております。その際に処しまする対策の一つとして、この法律がある範囲で利用できる——利用できるというという言葉は悪いかと思いますが、この法律に適当する場合が生じて来るのではないかというふうなこともございますので、今回期限延長の改正法律をお願いしておるわけでございます。その点はこの法律の第二条の第一項第三号でございます。「国内において供給が特に不足する物資であつて、その需給の調整を行わないときは、国民経済の正常な運行に著しい支障を生じ、公共の利益を害するおそれがあるもの」、この場合におきましては、使用、譲渡、譲受あるいは引渡しの制限あるいは禁止ができる、こういうふうになつております。  なお特定のものにおきましては、いわゆる割当配給措置はできないが、使用制限あるいは譲渡制限等はこれは別表にいれなくてもできることになつております。今後の情勢におきまして、割当配給等の措置をこの法律で法規的にやるというようなことは、これはなお急速には行われないかと存じておりますし、ことにそういう措置になりますと、非常に広汎な統制措置もいりますし、またそれに従事いたします官庁関係の陣容の問題あるいは取締り当局等の問題もございますので、これは私一個の見通しでございますが、そういうふうに法規的な措置によりまして、広い範囲の割当配給措置ということは、これはちよつとやるということは非常に至難ではないかと思つております。今回はその法の別表に物を追加するという措置は講じておりません。むしろ必要ないものを削除して参る措置になつております。ただ使用制限、譲渡制限等はこれは全面的な配給調整あるいは、需給調整というほどの大きな効果は持ちませんけれども、そういう措置を講じませんと、国民経済の正常な運行を阻害し、あるいは公共の利益を阻害する、言葉は極端になるかもしれませんが、たとえば石炭等の不足のために、あるいは発電所が火力発電の発電がうまくできないとか、あるいは鉄道の運行を阻害するということになれば、これはむしろ応急に需給調整の手打つ必要があるだろうと思います。石油等がこういう措置が必要になりますかどうか、これは現在まだ外貨予算もきまつておりませんので、われわれもまだ研究中でございますが、おそらくは急速にはそういうふうな事態には相ならぬかと存じたおりますけれども、しかしいろいろな情勢によりましてはそういう事態に相なつて、しかも何ら需給調整措置は講ぜられない、公共の利益も阻害されるということであれば、これはわれわれといたしましても、はなはだ申訳ない事態に相なりますので、とりふえずこの法律の期限を一年延長いたしまこて、万が一にもそうい事態に相なりますれば、この規定によりまして臨時応急の措置は講じたいこういうふうに考えております。ただ御指摘がありました、どういう品物にどうなるかということは、これはちよつと現在の事態では予測いたしかねますし、またその事態が起ります時期もそう急速なことではないだろうと思つております。外貸予算の方も目下具体的な作業を進めておりますが、品物ことにいろいろ検討いたしておりますので、少くともこの上期の外貸予算におきましては、現在までの作業の進捗段階では法規的に需給調整をしないと、需給関係が著しく混乱するということは起らないだろうと思つております。砂糖等の問題も御指摘がございましたが、これにつきましては、これは人によつて見方が違うと存じますが、供給不足という点が今の事態を特にひどくしておりますのが、あるいはいろいろな設備能力と原料等のアンバランスがそういう事態を生じでおるのか、若干まだ問題があろうと存じておりますし、また一つは特にこの法律で予定しますような措置を法規的に講ずるよりも、むしろ別途いういろいろな措置を講ずる方が実際に適しはせぬか、こういうふうな国民生活に広く必要な品物、しかも消費的な物資を単に使用制限とか譲渡制限等のごとき措置ではとても需給調整はできません。そこに別途の措置もいるのではないかということで、目下農林当局でも具体的な検討を進めております。従いまして、この法律でやりまするような品物としましては、目下のところ具体的にはちよつと予想しておりませんが、あるいはことしの秋以降におきまして、燃料関係において相当混乱が生じて、その結果、あるいは汽車の運行の不都合を生ずるとか、あるいは汽船の航行等に燃料が不足するというようなことで、ひどく困つた事態が起りますれば、あるいはその条項によりまして、臨時応急の措置を講ずることがあるかと存じておりますが、法規でやるよりもある程度のことは実際の行政指導運用で、許されております範囲で行いました方がかえつて効果があるかと存じておりますが、なおそれで足りないときにはこの条項を発動するときがあり得るかとも存じております。大体今予想しております範囲はその程度であります。
  72. 中崎敏

    ○中崎委員 時間の関係がありますのであまり長く質問しませんが、いずれにしても、長い間の自由主義政策が大きな壁にぶつかつて、そうして大転換をせなければならぬといつて苦悶しておるのが今の政治の状態だろうと思うのです。そこで輸入の問題と関連して、不足物資というものに相当でこぼこが生じてきておる。一面場合によれば輸入インフレみたような、ある物資についてはやたらにインフレ的な高いやみ的なものが横行する。一面において景気が非常にアンバランスになつて来て、跋行的な状態が生じる。そこでこういう輸入というふうな血の一滴にも該当するような物資をもつて莫大な利益をむさぼる、こういうふうなものにたいしても、少なくともいわゆる暴利取締りとでもいいますか、さらにその裏付けとして臨時利得とでもいいますか、そういうふうなものに対して税金面においてこれを適性に国の方で取上げる、一面暴利をむさぼつたそういう不徳行為に対して、少なくとも社会悪であるというふうな考え方から、暴利の取締りをやるというふうな措置考え得られるかどうか。これはほんとうをいえば大臣なり総理大臣に聞くベきだと思うのでありますが、一体どういうように考えておられるか、ちよつと聞いておきたいと思います。
  73. 岩武昭彦

    ○岩武政府委員 事務的な研究の範囲を御答弁したいと思いますが、例の暴利取締令でございますか、あれは実施以以来長い年月を立つておりますが、実はあの暴利という観念が非常にあいまいのようで、きまつた解釈、あるいは判例等もないようでございますので、具体的にはおそらく米騒勅以来には適用したことがないように聞いております。実は物価統制令の方にも同じように不当高価というような取締りの規定もございますけれども、これは現実に発動します場合の基準が非常に明確でありませんので、何が暴利か、何が不当だということになりますと、きわめてあいまいになりまして、結局悪統制をやるならば、単独に講じたいということになるのであります。ところが現在の事態になりましては、今御指摘のように、一部に輸入による利益が生じておるものもございます。これは別の形でこれを吸い上げる、つまり税金以外の形で何か国に吸い上げるというような措置もいろいろ考えておるわけでございますが、これも現実の問題としてはむずかしい問題もございまして、なかなか簡単に参りません。言葉は悪うございますが、その一部のものをただいま輸出の方のいろいろな差損等の補填に使わしてもらつておるものもございます。これ現実の通商政策の見地から考えますと、国際的には必ずしもベストな方法ではないかもしれませんが、現実に輸出面におきますいろいろな価格上の伸び悩みもございまするし、また他面輸入によりまする相当な差益、ことにそれがものによりましては通商協定上本来ならば入らないものを、協定上の制約によりまして入れておるものものもあります。これは輸出を伸ばすためにやつておるのであります。そうしますと、その反射的な利益を何らかの形で通商の振興に寄与せしめたらどうかということで一部そういう措置も講じておりますが、根本的にはこれは打開策としてはなかなかむずかしい問題でございまして、社会的には相当問題がありますが、その利益を経済的に、あるいは国の政策としまして、ある力によりましてそれを吸収するということは、現実としてはなかなか検討すべき問題が多いような考えでおります。いろいろ研究はいたしおりますが、具体的な結論を得ておりませんような状況であります。     —————————————
  74. 大西禎夫

    大西委員長 次に昨日本付託になりました輸出保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。本案について政府委員より発言の通告がありますからこれを許します。時間が大変遅くなつておりますので、ごく要領よく簡潔にお願いします。松尾政府委員
  75. 松尾泰一郎

    ○松尾政府委員 今同御審題をお願いいたしております輸出保険法の一部を改正する法律案について一言で申し上げますと、委託販売輸出保険を新しく設けたいというわけであります。その条文について御説明をいたしまするとやや複雑でございますので、お手元に実例の資料をお配りしておりますので、それについて申し上げるのが一番簡単だと思います。  例といたしまして、A商品十個を委託販売輸出する場合に支出しました費用を一応百万円といたします。販売期間内に販売すべき販売価格を一個十一万円と仮定をいたしたのであります。その場合に、法律によりますと、販売期間を契約で規定することになつておりますし、また販売価格もその契約の中で規定することになつておりまして、販売価格は支出した費用、いわゆるコストに百分の五以上加えるということになつでおります。従いまして、この場合いは、一個十万円のものを十一万円で売るという例でございますが、十万五千円で販売価格をきめられる場合もあるわけであります。この場合に、この販売期間内に十個のうち五個が販売ができまして、あと五個が売れ残りた場合いにどうなるかといいますと、その売れ残つた五個を、本邦に積みもどしをし処分をした場合と、それから通商産業大臣の承認を得まして、いわゆる本邦外、積み出しました現地または、たとえばアメリカで処分する場合もありましようし、それからアメリカからヴエネズエラならヴエネズエラに持つて行つて処分する場合もありますが、要するに本邦外で処分した場合と、それから第三の場合として、通商産業大臣の許可を受けないで本邦外で処分した場合、この三つの場合について支払保険金の計算がどういようになるかという例でございます。  まず第一の売れ残りましたものを日本へ持ち帰りまして、それを一個七万円で処分した場合はどうことになるかと申しますと、そこへ数字で書いてありますように、五個は現地で売れたわけで十一万円で売れたことになるわけであります。あとの五個につきましては持ち帰りまして、七万円で処分ができたわけでありますが、一個につきまして、積みもどしのために運賃諸掛等が幾らかかつたか、こういうことになるわけであります。そういたしますと、そこに規定をいたしておりますような算式によりまして、結局損失は十五万円になるわけであります。その十五万円の百分の八十、十二万円がいわゆる支払保険金の額になるわけでございます。  それから第二の場合には、その売れ残りましたものを現地で所管大臣の承認を得て、一箇八万円で処分した場合でございますが、この場合は損失額の全体はここに規定しておりますような算式によりますと五万円になりまして、その五万円の百分の八十、四万円が支払い保険金になるわけであります。  それから第三の場合は、その売れ残りました五個をかつてに現地で処分をした場合であります。かつてに処分をなした場合には一応コストでもつて処分をしたと見なしますので、いわゆる一個十万円で売れ残つた五個を処分したとして計算いたしますので、この場合はマイナス五万円、いわゆる損失が出ないという計算になりますので、この場合は政府側として填補しないということになるわけであります。  そこで現実の問題といたしまして、実際はこの(イ)と(ロ)の競合の場合いずれをを選ぶかというのが一番問題になろうかと思います。積みもどして処分をした方がいいか、あるいは現地で少し値引きをして処分をした方がいいかというのが一番判断のむずかしい点に相なります。そこで結局売れ残りましたものを通商産業大臣が現地で処分をいたしますことを承認をする基準はどうであるかというのが、今度の新しい保険法の運用の上におきまして一番重大な問題に相なろうかと思うのであります。お手元に半ぺらの承認をする場合の基準というものをお配りいたしておりますのでそれをごらん願いたいのでありますが、販売期間内に販売されなかつた貨物を本邦外で処分をする場合の承認の基準でございます。それは次に掲げますような三つの面件をいずれも備えている場合に承認をいたす、こういう予定になつておるのでありますが、そのまず第一は、当該の貨物が売れ残つて相手方の管理下にあるということがはつきりと証明されるとうりことがまず第一の要件であります。実際は売れておるのにふかわらず、売れ残つたという偽つた報告ではなしに、売れ残つておるということが現実に確認される場合でありまして、この確認方法としましては、在外公館なりあるいは現地の各会議所なりあるいは国際的に信用あるコントローラー等の機関によりまして十分証明されると思うのであります。  第二の要件としましては、持つて帰りまして処分をするよりも、現地で処分をした方が要するに有利であるという場合でございます。これも具体的には持つて帰るとかくかくの運賃がかかる、そうして持つてつて売つた場合は幾らにしか売れない、その売れた額からそういう運賃等を引くと幾らぐらいの手取りになるが、現地ではこの程度の値引きをすれば処分ができるであろうというようなことで簡単に判断がつくのであります。  それから第三の場合は、本邦外におきまして処分をいたしました場合の見込みの価格が、当該地域への正常の輸出を阻害しないと認められる価格であること、これの認定は実際問題として非常に困難を伴うかとも思うのでありますが、関係輸出組合等の協力を得まして、若干値引きして売ることがいわゆるダンピング等にならないということがはつきしりする場合、言いかえますと、いわゆる正常輸出を阻害しない価格であるということがはつきりする場合、この三つの条件を満たす場合に現地での処分を認め得るわけでありまして、しからざる場合は、原則としていくら費用がかかりましても、持つてつて処分をして損失額を計算をして、その百分の八十を足して保険金を支払うというわけであります。要するに正常貿易を阻止しないということと、現地で処分をした方が、持つてつて処分をいたしますよりも有利な場合、これの判断を巧妙にやることによつて、この保険の運用を適切にやらなければならぬという点が、この保険の一番最大の眼目であろうかと思うのであります。非常に簡単でございますがこの程度で私の御説明を終ります。
  76. 首藤新八

    ○首藤委員 ただいま次長から御説明を承つたのですが、この問題の一番重要な点は価格の問題と私は了解する。海外で処分をする場合一番危険なことは、どうせクレームがついた品物であるから、販売するとすれば相当安値でなければ販売できない。ところが安値で販売すれば、それがその土地の価格になつてしまう。そこであとの引合いが当然その安値を対象とした引合いに落ちて来るおそれがある。しかもこれは、正常の輸出を阻害しないということになつておりますけれども、これは人によつてみんな考え方が違う、また複雑でありまた変動の早い価格を一定の固定したものとして考えるところに大きな危険がある。  もう一つの点から考えれば、これは悪用されるおそれもある。初めからもう悪い製品をつくつて、クレームがついてもかまわない、向うで安く売つても損をしないということに悪用されるおそれも多分にありますから、この点はよほど考えてもらいたいと思います。御答弁はいりません。
  77. 大西禎夫

    大西委員長 本日はこの程度にて散会いたします。なお次会は二十三日午前十時より開会いたします。     午後一時五十八分散会