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1954-03-12 第19回国会 衆議院 通商産業委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年三月十二日(金曜日)     午前十時五十三分開議  出席委員    委員長 大西 禎夫君    理事 小平 久雄君 理事 首藤 新八君    理事 中村 幸八君 理事 福田  一君    理事 山手 滿男君 理事 永井勝次郎君       小川 平二君    始関 伊平君       田中 龍夫君    馬場 元治君       笹本 一雄君    長谷川四郎君       柳原 三郎君    加藤 鐐造君       中崎  敏君    川上 貫一君  出席国務大臣         通商産業大臣  愛知 揆一君  出席政府委員         通商産業事務官         (大臣官房長) 岩武 照彦君         通商産業事務官         (通商局次長) 松尾泰一郎君         通商産業事務官         (繊維局長)  吉岡千代三君  委員外出席者         通商産業事務官         (通商局長)  牛場 信彦君         専  門  員 谷崎  明君         専  門  員 越田 清七君     ――――――――――――― 三月十二日  委員坪川信三君及び加藤鐐造君辞任につき、そ  の補欠として田中伊三次君及び井上良二君が議  長の指名委員に選任された。 同 日  委員井上良二辞任につき、その補欠として加  藤鐐造君が議長の指名委員に選任された。     ――――――――――――― 三月十日  電力料金値上げ反対に関する請願三浦寅之助  君外二名紹介)(第三二一〇号)  中国電力株式会社電力料金値上げ反対に関す  る請願小枝一雄紹介)(第三二八九号)  電力料金地域差調整制度強化に関する請願(小  枝一雄紹介)(第三二九〇号)  石炭産業危機対策確立に関する請願大石ヨシ  エ君紹介)(第三三三〇号) の審査を本委員会に付託された。 同 日  貿易振興に関する陳情書  (第一六三一号)  貿易金融正常化に関する陳情書  (第一六三二号)  日中貿易促進に関する陳情書  (第一六三三号)  中小企業に対する金融等に関する陳情書外一件  (第一六三四号)  同  (第一六三五号)  石油輸入対策に関する陳情書  (第一六三六号)  イラン石油輸入に関する陳情書  (第一六三七号)  産業工芸試験所九州出張所存続に関する陳情書  (第一六七一号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  繊維に関する件  貿易に関する件     ―――――――――――――
  2. 大西禎夫

    大西委員長 これより会議を開きます。  繊維に関する件について発言通告がございますので、この際これを、許します。長谷川四郎君。
  3. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 先日石油の問題に関連をいたしまして大臣にお願いしておきましたが、それは当然大臣の方から私に対して御答弁があると思いますが、この際、先日私が石油業者の方とお会いして、この人たちに申し上げたことを述べまして、参考に供したいと思います。  最近国内石油需要が非常に高まつて来ている。そこで私は国外から入つて来る石油がどのくらいであるかということを調査いたしました。ところが昨年の十月を境にして外国輸入石油は非常に値下りをしております。さらにこれを輸送するところのタンカーにおきましても、大体三〇%の値下りをしております。しかし国内需要に対する供給価格は逆に倍以上の価格になつて来ておる。これはおそらく大臣は御承知だと思います。従つてこれをそのままにしておいて、通産大臣としての使命を全からしめることができるかどうかということをまず伺つておきます。  またこのときにおいて社会問題云々というような話が出ましたが、私は社会問題とはあなた方が起していることであつて、原価が半分になつたのに、それを逆に倍以上の価格で売るということが社会問題である、外貨割当に関してわれわれはこれに向かつて大きな目を開いて監督しなければならないというように申しておきました。ところが外貨割当ということをめぐりまして——今汚職だとかいろいろな問題が起つておりますが、これらに関連があるようなうわさも聞いております。でありますから、外貨割当に対しては大臣はどのような考え方をもつて監督をしておるか、これらの問題に関連して、将来、あるいは目先においても、われわれが危惧するような問題は何ら起らないかという点についてもお話を承つておきます。  従つて私は先日大臣に申し上げた通り、何とか国家規制をしなければならない、放任しておいたのではいけないのではないか、こういう考え方であります。私の考え方は、現在の石油会社、十幾つある輸入会社資本を全部統合させて、一つのものにする。そして国家のものに、国策に沿うような配分輸入をさせて行きたいというのが私の考え方でございますが、その点についての大臣の御見解を承りたいと思うのでございます。
  4. 愛知揆一

    愛知国務大臣 ただいま御指摘になりましたことはまことにごもつともに存じます。実は先般来申し上げておりますように、この三月の下旬には二十九年度輸入計画とでも申しますか、外貨割当計画大綱成案を得べく現存鋭意努力いたしておるわけでございますが、その際におきまして、前に申し上げましたように、最近の外国石油輸入は二十七年度等に比べて非常に激増いたしておりますので、この国内的な対策もあわせて措置いたしたいと考えておりまして、今鋭意案を練つているようなわけでございます。  大体そういう状況でございますから、詳細にわたりまして的確に石油対策について、どうするかということをこまかく申し上げるまでに至つておらないのでありますが、法的な規制措置がはたして必要であるかどうかということにつきましては、実はまだそこまで考えておらないのでありまして、たとえば国内における消費節約の勧奨の問題、あるいは燃料需要者側の協力というふうなことがどの程度自主的に行われるであろうかということを中心にいたしまして、現在案を練つておるようなわけでございます。  それから重油、燈油、揮発油等に対して、年間あるいは半年間あるいは三箇月間に今後どれだけの外貨を配当できるであろうかというような点につきましても、他の主要な原材料輸入確保いたしたいという観点や、削減し得る物資等関係から、いたしまして、総合的に案を立てておりますので、その数量等についてはまだ的確に申し上げるまでのところには至つていないのでありますが、ただいまお話のございました御趣旨を十分体しまして、至急に態度をきめて行きたいと考えておるわけであります。
  5. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 非常に大きな問題でございますので、ここで簡単に三分や五分で解決がつく問題ではありませんから、いま一つ申し上げておきます。私は外国資本が入ることがいけないと言うのでもなければ、もうけたものが外国に持つて行かれるからいけないということばかりではございません、一つの例を申し上げますと、外国から資本を投じておる会社へはみな外国人が入つて来ております。そうして大体月額八十万円から八十五万円の月給をとつております。しかるに日本人の同じクラスでは四万から五万くらいのものしかとつていないこういうような点等もよく考えてもらわなければならないと思うのでございます。従つて今申し上げたように、特に気をつけてもらわなければならないのは、輸入割当に対して非常におもしろくない話があつちこつちで出ておりますから、この点については十分監督をしてもらわなければならないと考えております。もし大臣の言うことを聞かなくて、やるのであつたならば、あるいは石油など何となろうともしかたがない、輸入する必要は私はないと思う。政策に沿わない業者があるならば、これをカットしなければならないと私は考えます。いかに外国資本が入つていようとも、独立国家である以上は平等なる権限を持たなければならないと思います。これだけは申し上げておきます。  そこでもう一つ伺いたいのであります。先般の人絹の問題でありますが、国内供給が高いという点につきまして、国内業者がこの人絹を何とかして輸入したいという考え方から、イタリア人絹会社手紙を出した。ところが、手紙返事が来ております。その返事は、人絹を出すことはけつこうだ、あなた方で買つてくれるならば何百ポンドでも出しましよう、価格もこれこれで出すという御返事でございます。その返事によつて大臣の御意見を承るのでありますが、これから業者申請をする段取りになつておりますから、この外国人絹輸入をぜひ御許可願いたい。そうしたならば、私が常に申し上げているような、国内に売るものが三万円で、輸出するものか一万九千円だというようなばかなことがなくなるのではないか、こういうふうに私は考えます。であるから今申請をする段階にまで入つておりますが、ぜひともこれの輸入許可をお願い申し上げたいこれに対する大臣のお考え方を述べていただきたい。先日外国人絹糸輸入してみても、国内の織機には不向きだというお話を聞きましたのでつぶさに調査をいたしましたところ、絶対にそういうことはあり得ません。私はそこまで調査しました結果、そういうことは絶対ありません。これだけは断言申し上げます。ですから人絹糸輸入を御許可願いたいと思うのであります。しかしこれには私は私としての考え方を持つております。どういうふうなやり方をするかということでございます。かつて昭和の初期において、福井方面におきまして保税倉庫というようなものをやつた経験がございます。これを活用したときには、国内人絹需要に対する配分も非常によかつた。こういうような点から考えて、保税倉庫というものをやらせたらどうか。たとえば外国から許可をして輸入したものがあつたならば、それを全部倉庫に入れて、その倉庫から出したものはそつくりそのまま加工賃だけ日本がもうけて、そのま在外国へまた織物にして出してやるという方法でございます。こういう方法を今通産省考えておるようなものの面にあわせて考えたならば、原糸を入れまして出て行くまでの間、染色とか整理とか工程がございますこういう工程を見ましても、大体五箇月間くらいたてばこれが完全にドルとなつてつて来るわけでございます。ですからその間の加工賃をプラスして行きますから、非常に大きな働きを一面するのではないかと思うのでございます。これは外貨を出して出しつぱなしの石油や何かと違いまして、必ず外貨を獲得することは明らかな事実でございますから、こういうような点から考え保税倉庫というものをぜひとも設置してもらつた方がいいのではないかと私は考えております。その点についても御答弁をお願い申し上げます。
  6. 愛知揆一

    愛知国務大臣 イタリア人絹糸輸入の問題でございますが、実はただいまも御意見を伺いまして、なるほどと思える点もあるのでありますが、私どもが従来考えて参りました考え方は、要するに現在の日本人絹糸価格が高いということで、これの根本的な対策は、結局供給力不足にあると私ども考えておるわけであります。従つてそれならば輸入をすればいいではないかということも一つ考え方ではあろうかと思うのでありますけれども、ここでイタリア等人絹糸輸入するということになりますと、一時的にがたつと人絹の値段を下げることができるというような速効を上げることは確かにできる。しかし一面から見ますならば、取引の円滑を阻害ずるというような程度価格が暴露するということもいかがかと思われると考えて参りました。それからいま一つ先般も当委員会で問題になつたと思いますが、イタリア人絹糸は、イタリア国内においてのいろいろの措置関係上、二重価格制を御承知のようにとつておりまして、輸出についてはイタリア国内価格の約半分ぐらいではなかろうかと思うのでありまして、これは非常に特殊な事例でございますので、従来の私ども考え方といたしましては、イタリアにとりましても有力な競争相手である日本立場においては、将来他国の輸出についての競争相手でもありますので、日本側としてはもう少しオーソドツクスな輸出努力をして増産対策を堂々とやつて参つた方がいいのではなかろうかということで、従来はイタリア輸入の希望については、われわれの考え方は消極的であつたのでございますが、ただいまいろいろの御覧もございましたので、なおとくと研究させていただきたいと思います。
  7. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 大臣の御答弁けつこうなんですけれども、やはり私たち考え方が違つております。供給が悪いから価格が高いのだ、生産とマッチしないのだというお考えが根本から違うと思います。それはひとつ考えてもらわなければなりません。決してそうではないのです。供給が悪いから足らないのだという考え方でなくて輸出をどうやるかという考え方なんで、私は国内の問題に触れているのではないのです。今現政府がこれほどまでに頭を病んでおるのは何が原因かというと、輸出が出ないから足らないのだ、こういうふうに頭を病んでおるのでしよう。ですから私が言うのは人絹織物を出す場合に、原糸というものに対してもう少し政府国策に沿うような考え方をしてくださいということなんであつて競争相手である人絹糸を入れることが品か非かは別問題でございます。どうしても現在の政府の手に負えないような状態にあるとするならば、これは速効薬のように考えたら違うのじやないかと思います。であるから現在国内には三万円で売つていても、輸出をしろといえば一万九千円から二万円で輸出ができて、それで国内は損が行つていない。それで生産者は損が行くというならばこれは何も申し上げません。一万九千円で出しても損が行つていないのです。それを国内輸出業者に三万円で売つて、それで一万九千円で原糸を出してやつたところで、三万円で買つた原糸織物をつくつて出してやつて、どうして引合いますか。こういう意味なんです。これは国内業者を生かさなければいけないのです。どうやつて生かすか、その点に対するくふうが足りないのではないか。だから供給の面が不足だから商いということは私は当てはまらないと思います。ですからその問題について原糸価格をいかに安定性を持たせるかということを私はこの前申し上げました。決して私は人絹会社にもうけさせてはならないというのではありません。企業である以上は当然もうけさせなければなりません。私どもに政治の上に立つてもこれらの利益を与えなければなりません。けれどもべらぼうな利潤を与えるということはいけないのじやないかということでございます。ですからその問題に対してせつかく今政府共同購入方式とかいろいろなものを考えておるものですから、それと相伴つた価格の安定というものをどういうふうに持つて行くかということをまず考えなければなし得られない。これは一にかかつて大臣の大きな使命だと思う、ですから今抜本的なことをやつても、決して業者には満足を与えることはないと思う。これを未許可でおくということは大きな社会問題です。六つしかない人絹会社が莫大にもうけて、二十何方の業者か滅亡に瀕しておることを見のがしておることは社会問題です。そこに何とか目鼻をつけてやらなければならないのじやないか。目鼻というのは、輸出入絹に対する何か考慮を払うべきであろう、こういうふうに私は考えるわけであります。常にこういうことを言つているのははずかしいような気もいたしますので、ぜひとも大臣の心からの業者に寄せられる愛情と、また目的とするところの輸出をいかに向上させるかという点についての御研究を一段と願わなければならない、こう思うのでございます。ぜひともこの点をお考えおき願つて、早急にこれを実現化していただきたいということをお願い申し上げまして私の質問を終らしていただきます。
  8. 大西禎夫

    大西委員長 次に貿易に関する件について調査を進めます。発言通告がありまするので順次これを許します。なお質疑者多数のため、先ほどの申合せにより一人の質疑時間を二十分程度といたしましたので御了承を願います。山手滿男君。
  9. 山手滿男

    山手委員 私はこの際大臣から承つておきたいと思います。それは外貨予算編成を急いでおられるようでありますが、非常に票が重大になつて参りまして、日本産業界は相当以上に神経をとがらしておるようであります。そこで明年度外貨予算編成に当つて、私は政府が今日どういう態度で臨んでおられるのか、大蔵省関係あるいは日銀というものと通産省側意見の対立も相当にあるように思いますが、調整のできた面ももちろんあるようでありますが、どういう方針で臨んでおられるのか、まずその説明を承りたい。
  10. 愛知揆一

    愛知国務大臣 実は前回の当委員会に伺いまして、中間的に御報告をいたしたいと思いまして、その準備をいたしておつたのでありますが、たまたま参議院の予算案審議等のために私が伺えませんでしたので、まことに申訳なく存じております。ただいま山手さんからお尋ねの点につきまして、概略この際最近までの考え方を申し上げたいと思います。実は新聞等にもいろ、いろ報道されておるのでありますが、過般来外貨の問題、特に二十九年度輸入計画をどういうふうにするかということは、今後における国内経済措置の上にも非常に関係するところが大きくありまするし、またいわゆる一兆円予算を先頭といたします諸般の経済政策一つ中心をなす課題でもありますので、政府といたしましても、あらゆる資料をそろえまたあらゆる考え方響も率直に意見交換をし合いまして、一つの方向を見出すことに努力をして参りました。その間、たとえば大蔵省的な立場、あるいは産業官庁としての立場、あるいは政府ではございませんが、金融中心である日本銀行等というようなところとも、意見交換の途上においては、かなり意見の食い違いもあつたこともございますが、それらは数回あるいはそれ以上の打合せ等によりまして、だんだん思想の統一ができて参りました。それと見合つて、一昨日外貨についての閣僚審議会を開催いたしまして、その閣僚審議会におきまして、大体意見か一致いたしましたところは、結論の方から先に申し上げますと、二十九年度輸入計画については、大体二十億ドルを下らざる範囲において組み立ててみようということが一つでございます。それからこまかいことは後に補足して申し上げますが、その次に国際収支のしりをいつ合せるか、これについては二十九年度中に収支とんとんにするということでやつて行くべきであるという意見もございましたけれどもどもといたしましては、一月の末に経済演説等で申し上げましたように、一挙に他の政策が歩調が合わないうちに急激に外貨予算だけを削減するということは、いろいろの影響がかえつておもしろくないのではなかろうか。すなわち一月の当時に申し上げましたごとく、年度の末において、大体九千万ドルから一億ドル程度の赤字が出るということはやむを得ないが、その範囲内で輸入計画を立ててみようということにいたしたわけでございまして、年度中に収支を均衡させようという新しく出て来た考え方は、これをとらないことにいたしたわけでございます。それから二十億ドルを下らざる限度といいますることは、実はこれは抽象論だけをやつてつても始まらないのでありまして、各物資別に相当こまかく検討して行かなければならないわけでございまして、その物資別のこまかい検討は、先ほど申しましたように大体今月の二十日過ぎくらいに大体の成案を得る程度のスピードで今やつておるわけでありますが、あるいは今月ぎりぎりのところまでこれがかかるかもしれないわけであります。しかしながら考え方といたしましてはいろいろの点がございますが、輸出について必要とする原材料、これは何としても確保いたしたいという考え方一つ中心でございまして、ここで話が前後いたして恐縮でございますが、輸出特需についての考え方でございますが、これも一月末にわれわれの見通し、計画として申し上げましたのは、輸出は十三億七千万ドル、特需は七億六千万ドルということを基礎にして進めて参りたい、こういうことを申し上げたのでありますが、今もつてその目標はかえる必要はない、なおむしろ目標として何としても輸出努力特需獲得努力を続けて行こうということを政府部内においては再確認いたしておるのであります。しかしながら輸入割当といいますか、輸入計画をつくります場合には、この目標ときちきちのところでやつて参りますると齟齬を生ずるおそれもございますし、従いまして相当大事をとりまして、ただいま申しましたような二十億ドルを下らざるところで具体的な物資別極討をやつてみよう。その結果従つて輸入の、いわゆるわれわれの言葉でいいますと確認分と申しますか、それで行けば外貨予算の数字は二十一億何十万ドルとかいつたような程度になろうかと思います。あるいはそれを多少上まわるか下まわるか、これはまだ詰めてみないとわからないのでありますが、要するにそういうふうな考え方でやつて参りたいと思つております。  それから輸出努力を前々から申し上げましたような規模でやりたいという以上は、今も申しましたように輸入原材料確保しなければならぬということはもちろんでございますが、同時に輸出振興をはかりますためには、輸入輸出関係につきましても、原材料と製品との間の関係輸出リンク制度というようなものについては相当改善しあるいは拡充する考え方が出て来るのではなかろうか、これは政策の中身になりますが、そういう考え方も持つております。そうして加工貿易を拡充したい。求償取引促進等もあわせてはかりまして外貨の受取りを増大するような考え方で進めて参りたい。これが一つでございます。先ほど来申しておりましたような輸出及び特需原材料確保ということは何より第一に来ることでございますが、さつき申しましたのが第一の考え方とすれば、これは第二の考え方でございます。  それから第三には、重要な民生への必要物資国民生活の安定のためにどうしても必要な民生物資というものがいろいろあるわけでございますが、これについては、やはり極力これの確保をはかりたいということで計画をつくりたいと思つております。  それから第四には、申すまでもなく不急不要の商品というようなものは全面的にこれを防遏して外貨割当を削減するつもりでございますが、ただわずかの例外として、いわゆる通商協定その他の関係で、相手国との関係向うにたくさんの物を買つてもらうというような関係から、呼び水として通商協定その他において向うがどうしても希望するというものについては、これはごくわずかと思いますけれども入れざるを得ないかと思いますので、これは不急不要品の中の一つ例外になるかと思います。  それから自動承認制については、前回も申し上げましたように、いろいろまだ検討を続けておるのでありますが、これもたとえば通商協定というような方面から申しまして、やむを得ない地域については、これを続ける必要があると考えております。それからまた自動承認制度から引きおろす品目の中で、特に思惑が非常に起つて来るおそれのあるようなものについては、場合によりましてそのあるものを割当品目に切りかえるというようなごとが必要であるかと考えております。  それからその次に、思惑を防止したい、それから一般的に輸入の抑制をいたしたいということのためには、国内金融措置がまず先行して行かなければならないと考えましたので、輸入金融の引締めにつきましては、すでに三月の七日でございましたかの日銀政策委員会の決定という形式で、担保率の引上げ、保証金の指定、それから日銀預託比率の変更というようなことを実行することにいたしました。またその他いろいろの点におきまして、こまかいくふうを配意して実行することにいたしたわけでございます。大体大きな考え方の筋といたしましては、今申し上げましたようなことを考えておりまするし、その考え方の大体の大綱については、閣僚審議会その他政府部内の打合せにおきましては、思想統一ができました。くどいようでございますが、それに基いて一両日前がら、あらためて各物資等についての、こういう方針によるところの今後一箇年の、需給状況の推移、それに伴つて特別の措置国内的に必要であるかどうか、その必要の有無、またありとすれば、どういう措置が必要であろうかというような点について、至急案をまとめつつあるわけでございます。これらについては、先ほど申しましたように、三月下旬までの間に、政府部内としての成案を得たいというふうに考えておるわけでございます。
  11. 山手滿男

    山手委員 ただいまの御説明一応了承をいたしますが、どうも私どもからいたしますと、ふに落ちないことばかりであります。二十九年度は二十億ドルを下らざる範囲ということは、大体二十億ドル程度になるのであろうと思います。外貨事情が急にこういうふうな状態になつたというので、あわて騒いで、二十八年度から見ますと相当大幅の輸入の削減をいたすわけでありますが、一つ一つこれとこれはどうしても確保しなければならないし、これだけはどうしても入れることが日本経済の自立化、健全化に必要であるということで、下から積み上げて行つて総わくをきめて行くという態度ではなくて、外貨がこういうふうになつたからというので、この段階ですぐ上から逆算をして、下の方まで持つて行くという態度は、私は通産当局としてはとるべからざる態度である、こういうような考えをいたしております。この点については、金融当局ともいろいろ折衝し、苦心をされておるだろうと思います。不要、不急品あるいは思惑品の抑制というようなお話がありましたが、そういうものは、今日はほとんどないといつていい状態であつて、二十億ドルに切り下げるとなると、相当いろいろな混乱が起きて来ると思いますが、その点について、大臣はどういう見通しを持つておられるか、承りたい。
  12. 愛知揆一

    愛知国務大臣 ごもつともなお尋ねでありますが、まず第一の私の考え方といたしましては、一九五〇年以降の各国でとりました措置等についてもあらためて相当研究いたしまして、その結果におきまして、たとえば私どもの見通し、計画からいえば、鉱工業生産指数で一五二の規模が、二十九年度における姿であるということを想定いたしております。それを想定しながらまず第一に、やはり財政金融措置というものが、タイミングから申せば先行するというとあるいは言い過ぎかもしれませんが、そういう面を押し出して参りまして、それにマッチするような程度において外貨割当方針をきめるのが私は一番妥当な行き方であると考えておるわけでございます。従いましてただいまお話がございました、本来ならば物の方を積み上げて行くということももちろんでございますが、今申しましたような考え方にマッチするようにということであれば、自然一年を通じて画一的、平均的な割当をすべきか、あるいは、たとえば物価や生産の上昇がとまる程度に応じて下期にある程度強くして行くか、そういうところを十分考慮して参りたいと思います。積上げ作業が先か、あるいは国際収支のしり、あるいは二十九年度末の外貨として必要な運転資金を確保するといういま一つの見通しから作業を進めて行くか。ここではどつちが先ということが問題になるのでありますけれども、現在の計画といたしましてはうらはらに進めて行くことによつて、両方の考え方が大体一つの軌道に乗つて行くのではないかと思うのであります。そういうふうな考え方をもあわせまして、金融的な考え方、産業的な考え方という両方の考え方か接近して行つて、ほとんど一つの線にまとまつて参りまして、先ほど申しましたような今後の措置として、これから具体的な問題に入り、またそれから翻つて措置を必要とするものも出て参ると思います。  それから最後にもう一つ申し上げておきたいと思いますのは、今切る余地のあるものはほとんどないというようなお話がございましたが、二十八年中の傾向をたどつてみましても、二十八年のある時期とある時期におきまして、たとえば十月から十二月ごろまでの姿を延ばして一年の全体の出実績と、いうふうに見る場合には、これとこれからつくろうする計画との間には非常なる開きが起るかと思いますが、そういう点を考えますと同時に、われわれから見ますと、相当多量のものが入り過ぎておるということも言えないわけではないのであります。こういう点は削減いたしましても、今申しました二十九年度の全体の国民経済の姿を見れば、これは切り過ぎにはならない。ものもあろうかと考えたわけでございます。
  13. 山手滿男

    山手委員 下から積み上げて行くか上から大わくをはめて押えて行くかという議論でありますが、今大臣から御説明のありました財政金融措置が先行して行くのだという考え方は、私は一面の真理でもあるし、方法でもあろうかと思いますが、これが私は非常に問題だと思う。上から大わくをかぶせて押えて行くということと、うらはらの政策になつて行くように、輸入金融を今極端に引締めようとしておられまするし、いろいろな措置がとられておりますが、ああいう措置を敏感に受けて崩壊しつつあるのは、日本の中堅、大どころを含めての商社であります。あるいは中小企業者なのであります。こういうふうに上から大わくをはめて行くと、金融のつくものはいくら引締められてもついて行くけれども金融のつかぬところの、しかも日本貿易なり産業の中で潤滑油のような役割を果しておるところが、重大な悪影響をこうむつて、倒産続出ということになつて来ております。私が言いたいことに、単に金融だけで引締める。あるいは外貨が足りなくなつたというわけで、上から大わくだけで締めて行くということだけではなく、むしろ一つ一つの社会体制といいますか、産業体制というか、そういうものから締めて行く、それとマツチさせた輸入をして行く、こういうことでなければいけないと思う。今日御承知のように賃金は本年度内においてまだ数パーセント上昇の見込みである。こういうことは政府の御説明もあつた通りであります。賃金は今後さらに上昇する予定である。外貨は削られて、取引量は急激に少くなつて行く。それから設備は二重投資になつて、金利的なものか重なつて来る。そこで金融を引締められる。そういう状態で日本の中産階級がどうして立つて行けるか。私は立つて行けないと思う。どういうふうにしてこれをしのいで行かれるか。党でもこの間からいろいろ話が出ておりますが、この八、九月ごろには重大な事態が起きて来て、中小企業日本の中産階級救済のための臨時国会を召集せざるを得ない最悪の事態が来るであろう。頭をぶつつけてからそういう国会を開いてもしようがないのであつて、この際大臣がそういうことについてどういう見通しを持つておられるのか、はつきりしておいてもらわなければ困る、こういうことを議論しているのでありますが、単に上からかぶせて行くということだけで、金融措置が先行するんだというお考えだけでは、われわれはこの難局は切り抜けられないと思つている。外貨を引締めさえすれば物価が下つて行くというようなことでなしに、逆に上つて行くだろうと思うのであります。国際収支がうまくつじつまが合つて行く、こういうお考えは非常に軽率であろうと思いますが、その点についてもう少し御説明を願います。
  14. 愛知揆一

    愛知国務大臣 先ほども申しましたように、私は外貨だけを急激に引締めることになるとかえつて物価が上る。物価が上れば輸出もできない。そうしていわゆる縮小均衡になつて、また一方においてインフレが促進される。これは策の上一なるものではないと考えます。従つてもし外貨の。ポジションとか金融財政政策だけからいえば、ほんとうは二十億ドルを下らざるということに思想統一いたしました点についても私は相当考えたつもりでございますが、先ほど申しましたように過程においてはいろいろの議論があつた。その中には急激な引締めというものももちろんありました。それではいかぬと思う。金融が先だと申しましたのはまだ言い足りないのでありまして、いわゆる過剰投資とか、非常に大きくなり過ぎている有効需要を切つて行くことは、やつぱり基本的には財政や金融政策であろう、こういうことを申し上げたわけでございます。  それからただいま賃金等の問題と、最も大きな問題として中小企業の点を御指摘にたりましたが、これは私も非常に深刻に考えている点でございまして、これもまた二十九年度中に一挙に国際収支の均衡をするんだというようなドラスティックな考え方で行きますとなおさらそこにしわが寄つて参りますので、これを回避するためにも二十九年度、三十年度くらいで正常な姿にしたい。そこに多少のゆとりを持つて、また中小企業に対する波及の度もできるだけ少くすると同時に、なおかつその受ける余波を、最小限度に食い止めるような努力を続けて参りたいと思うのであります。そういう点から、予算案の修正等においても、中小金融の額、財政投資の額が相当ふえたことなども私は通産省立場においては非常にありがたかつたと考えているのでございます。
  15. 大西禎夫

    大西委員長 山手君に申し上げますが、時間が参りました。
  16. 山手滿男

    山手委員 この程度で話を切つたんじや、議論にならないですよ。  私は結局日本の通貨価値の問題ともからんで来て、輸出が非常に減退して来ている根本になつていると思うのであり。政府の最近のいろいろな作業をされる場合、あるいは発表をされる場合を見摂しても、ほとんど日本の円貨というものを問題外にして、ほとんどドル建で、輸出が何ドル、輸入が何ドルというようなお話であります。ところが国内で物を生産する場における通貨というものは円であつて、ドルとは直接には何らつながりのない貨幣価値で表示をされて行つている。ところが輸出とか輸入とかいうものになると、何ドル——二十億ドルを下らざる範囲というようなことで、縁の遠い他国の通貨をもつて表示をし、いわば日本の円貨を非常にないがしろにされた計画をお立てになつておられる。私はそういう考え方自体が、日本輸出業不振を来し、日本の円価をますます価値のないものにして行くんだと思う。日本の円の実際価値とドルの実際価値が完全に上下に動いて行く、平均を保つて動いて行くという状態においてこそ、ほんとうの輸出ができる。それを日本の円貨で表示をしたのでは、円貨というものは国際的に値打ちがないもの、だから、ドルで言い表わさないと輸出輸入が完全に把握できないというふうな考え方、これは直接にはそんなことはないとおつしやるでしようけれども、そういうものの見方自体が、輸出を阻害し、日本の産業の自立化を非常に妨げていると私は思う。今後は政府輸出をどうする、輸入をどうするというふうなことに対しては、外国の通貨をもつて表示をしてこういうふうにするんだとかなんとかいう主張は、やめてもらいたい。今年度輸出は何千億円だ、輸入は何千億円だ、そうして円を安定した上に立つて日本の産業の自立化をするんだ、こういう一つの信念をもつて突き進んでもらいたい。外国のドルやポンドを標準にして、日本の円貨なんというものは貿易面ではほとんど問題にならぬというふうなやり方を即時是正をしてもらわなければ、日本輸出促進はとうてい実現することができないと思うのですが、まずその辺について大臣から承りたい。
  17. 愛知揆一

    愛知国務大臣 決してそういう意味でドル建とかポンド建でやつているわけではないのでありまして、外貨の運用の計画あるいは国際収支という点から見て、早い話が一体日本でこれから経済自立をやつて行くのには、貿易関係その他で、いわば国全体として運転資金が外貨としてどれだけいるであろうかというようなことも一つ中心疎通であつてその場合はもちろん円で換算して表示いたしましてもけつこうなことでございますが、便宜上これを五億ドルとか六億ドルとか申しまして、それから外貨予算というような言葉もあるものでありますから、外貨予算という点についてはドルとか。ボンドとか、オープン・アカウントとか、それぞれ別の外貨で表現すると不便でありますので、便宜上ドルで表現しているわけでありますが、ただいまの、お話もごもつともでございますから、将来の発表の方法なりあるいは表現の方法なりについては、十分考えることにいたしたいと思います。
  18. 山手滿男

    山手委員 発表の方法で何でもないように考える向きがあるかもわかりませんけれども、こういうものの考え方が、日本貿易をいよいよ悪化さして行く原因になつていると私は思う。日本の円の価値を厳重に守るという建前から行けば、もつと考えられなければ私はいけないと思うのです。
  19. 大西禎夫

  20. 永井勝次郎

    ○永井委員 ただいま大臣から一挙に均衡をはかるということではなしに、なしくずしに均衡をはかつて行くのだ、こういうお話がありました。閣内においても一挙に均衡をはかるか、なしくずしに均衡をはかるかについて、いろいろ意見がわかれた、こういうことであります。そこで大臣にお聞きしたいことは、これらの政策の基準となる日本経済の実態に対する把握の上において、この二つの政策を樹立するように意見がわかれて来た基本において違いがあるのではないか、認識の上に違いがあるのではないかと考えるのでありますが、この政策の違つて来た根本における日本経済の実態に対する把握の仕方においてどうであつたか承りたいと思います。
  21. 愛知揆一

    愛知国務大臣 私はできるだけ正確に経過を申し上げたいと思いましたので、経過においてはいろいろの考え方があつた、こういうような考え方もあつたというようなことを申し上げたのであります。いろいろそういうような討議の段階を経まして、ただいまのところは先ほど御報告いたしましたようにその思想が統一されております。その考え方では産業の実態ということについて、どういうふうに把握しておるかというお尋ねでありますが、これは必ずしもみんなが全部はつきりと思想を統一したとは申し上げにくいかと思いますから、私見が少し入ると思いますけれども、私の考えといたしましては、大体昭和二十九年度と三十年度と二年間かかつてこういう政策を推進して参れば、俗な言葉で言えば大体ぜい肉がなくなつて均整のとれた日本経済の姿になるのではなかろうか、また将来の見通しといたしましても国際収支の均衡が維持できて、その範囲内において経済自立を伸ばして行くことができるであろう。大体三十一年度あたりから再び上昇といいますか、積極的な明るい政策ができるのではなかろうか、私見としてはこういうふうに考えております。そこで二十九年度におきましては決して無理をしてはいけない。しかし同時に好むと好まざるとにかかわらず、国際経済の中の一環としての日本の現状のことでございますから、外貨をこれ以上喪失するような計画を立てたのでは、これは再び立つあたわざるようなことになるのではなかろうかということから、先ほど申しました程度輸入計画を二十九年度は立てて、しかもこれが二十億ドルを下らざる程度原材料等を確保することができれば、先般来るる申し上げておりますように産業の規模が動くその中心は大体戦前に比べて一五〇から一五二、三の鉱工業生産の規模である、大体こういうふうに考えておるつもりでございます。
  22. 永井勝次郎

    ○永井委員 今までの政府のやり方を見ましても、そこに一つの現象が現われると、それに対してまつ正面から、そ都度行政といいますか、その問題だけにとつ組んでいる。その問題にとつ組んでいるうちに、また違つたところに吹き出ものが出て来ると、またそつちに焦点を合せてとつ組んで行くということで、根本的な対策が立たないで右往左往するという状況が、従来のやり方であります。今日外貨の問題が非常に重大な段階に来まして、これがくずれますならば、日本経済の根本が吹つ飛んでしまうというような段階に来ておる。こういう段階においてその実態がどうであるかという把握の仕方について、正確なデータを持ちますならば、意見としてはそんなにわかれて来るわけはない。御承知のように英国において外貨が非常な危機に瀕しました場合における政策というものは、はつきりと一本に集約されて出て来ております。意見がわかれるというところに現状把握に対する認識の仕方に違いがあるのではないかと考えるのであります。こういうような政府のこの問題にとつ組んでおる態度及び現在樹立しようとしておる政策の中にそうした不安なものが流れておりますから、一般的には二十九年度の上期はデフレだ、下期はインフレだと言つておる。政府はデフレの政策を押し通せないだろう、下期になると政策の転換をやつてインフレだというふうに、政府のデフレ政策に対する信頼感というものはこれほどないのであります。従つてこういう、国の将来に対する大きな基本的な問題にとつ組む場合には、もつと現状に対する説明が大臣からなされませんと、ただこういうふうにするのだ、ああいうふうにするのだという将来の政策だけでは、われわれは判断の基磯が出て来ないと思うのです。従つて企業在庫の状況なりそういうものを一体どういうふうに把握してこの思惑を抑制するか、こういう一つの合理的な説明がなされませんければ、われわれは納得ができないのであります。これに対して、さらに企業在庫の状況どこからどういうふうな点が思惑であると判断するのかということについて、主観的な判断だけではなしに、客観的な一つのデータをお示し願いたいと思います。
  23. 愛知揆一

    愛知国務大臣 まことにごもつともでございまして、私も実はその点について、自分といたしましてはできるだけの努力をしておるつもりでございます。と申しますのは、客観的なデータに基いて国民の納得ずくでこれから、やろうという政策に対しての理解と協力を求めなければならないということはまつたく御説の通りでございます。従つて先ほど申しましたように、現在あらゆる可能なるデータを集約いたしまして、それに暴いての一つ計画ということで今後の外貨予算の問題その他を処理して参りたいと思つております。ところがこれもざつくばらんに申しまして、私も在庫の調査ということは非常に大事な問題だと思いますが、必ずしも従来的確な資料等がなかつた点は遺憾でございまして、この点はただいま最も努力を注いでおるつもりでございます。  それからいろいろの議論があるはずがないではないかという点でございますが、これはお言葉を返すようではなはだ恐縮でありますが、英国でもたとえばバトラーの政策なり、フイリツプスの政策なりというものがまとまりますまでの間には、政府部内におきましても、あるいは民間におきましても非常な激論があり、いろいろの見方がありそれをだんだんに集大成して一つのがつちりした政策にしたように承知しておるのであります。そこで私もそのまねをするわけではございませんが、たとえば従来は外貨についての閣僚審議会が開かれることは非常にまれであつて、法律上の要請に基いてどうしてもやらなければならないときだけやつて、どちらかといえばそれまでにできました事務局の案に盲判を押すという態度でなかつたかと思うのであります。そういう点も考えまして、必ずしも具体的な議題がありませんでも、検討し分析するという意味から、できるだけ閣僚審議会ども頻繁に開くようにいたしたいと思いまして、すでにその緒についておるわけでございます。また事務当局の連繋についても特に意を用いておるつもりでございまして、従来たとえば経済審議庁ではこういうふうにデータを集めた。ところがほかのある省から見れば、それは違つておるというようなこともなきにしもあらずであつたのでありますが、そういう資料の見方、取上げ方等についての事務当局間の連繋というようなことも最近においては相当うまく働きつつあるように私としては考えておるわけであります。
  24. 永井勝次郎

    ○永井委員 これらの政策の根本になるものは、やはり私は日本経済の自立態勢を強化する、こういう性格が基本になければならないと考えるのであります。日本経済の自立を確立して行く性格に、おいてこれらの問題が——その一環として外貨の問題が考えられておりますならば、日本経済の産業構造に対する基本的な考え方、それからなしくずしにいたしましても、均衡をとるそのプログラムというものがもつと合理的に国民に示されて、これならばという信頼感と安心感があつて、初めてこれが正常なコースに乗つて来ると思うのでありますが、現在のところは国民全体が政府のこれらの政策に対して、客観的に判断する資料が与えられていない、その性格が不明確である。そうしてそこに至るプログラムというものが明確に示されておらない。こういう何もかも不ぞろいな条件の中で、漠然とした、昭和三十年にはこうなる、昭和三十一年にはこうなるであろうというただ漠然とした抽象論だけでありますから、すでに二十九年度においても上期デフレ、下期インフレであろう、こういうような輿論が出て来る、根本はそこにあるとわれわれは考えるのであります。MSAを受諾して今後再軍備を大きく打出すということになれば、当然平和産業から軍需産業への産業構造の改編は不可避な状況になると思う。国内の産業構造におけるそういう改編に対して、当局は一体どういうふうなプログラムを組んでおるのか。その過程に起るところの混乱というものをどういうふうに考えておるか。  それから先ほど山手委員からもお話がありましたように、今日本の大産業は設備を近代化するということで、固定資本の方へ相当の投下がされておる。資本か固定されておる。その一面中小企業の下請産業に対しましては支払いが非常に延びておる、先日中小企業関係でいろいろ実情を調査たしましたところ、現金取引というのはほとんどなくて、手形はもう百六十日、はなはだしいのは百八、九十日というのがあり、毎日々々この繰越しが多くなつて帳じりがふくれて行つておる、こういうことでこの中小企業をつぶして一つの大企業に集約するという方向が打出されておる、こういうふうに、国会においては政府政策が固定していない、安定していないから、すでに大臣も認めておるように、外貨の上に思惑があるように、今後の経済政策においても一つ思惑があつて、現在相当の混乱が来ておると考えておるのでありえます。今言つたように、政府がほんとうにこのなしくずし均衡を国の運命をがけた一つ政策としてとつ組んで行くならば、国内におけるこうした産業構造及び経済一般に対する態度というものはもつと真剣で、もつと内閣全体の運命をかけた態度で臨まなければいけないと考えるのであります。外貨による食糧というものは大きく輸入しておいて、一面それで酒をどんどんつくらしておるとか、この経済危機に対する認識度が非常に甘いのではないか、いいかげんな政策をやつて、そうしてただ収支のバランス、数字計算だけをやつて、ほんとうにその数字を実行する態勢、根のある一つの基礎的な条件というものとはとつ組んでいないのではないか。それが日本の経済界に与える一つの不安であり、混乱を来す大きな要素になつておるのではないかとわれわれ考えるのでありますが、これをほんとうになしくずし均衡政策によつて昭和三十一年度から正常な軌庶に臨ハせるとするならば、貿易収支の面から来る国内産業、それに対する経済政策、どういうふうに足をつけ、どういうふうな混乱を避ける一つ政策があるのか。先ほど来の大臣答弁では非常に抽象的でわかりません。酒の方の収入は税収ではたくさん見ております。米の消費を酒の方へまわさないというような、こういう非常な決意というものはどこにも示されておりません。ただ外貨の問題が問題になれば、その面だけ口の上で強調され、経済政策、財政政策の上ではそういうものがほとんど現われておらない。こういうアンバランスになつておるわけでありますが、こういう点について三十一年度から正常に行くとするならば、それに対する具体的なプログラムというものがあるはずであります。それに個一々の、羊毛はどうするのか、あるいは綿花はどうするのか、あるいは砂糖の関係はどうするのか、石油関係はどうするのか、個々の場合において、そのプログラムを明示していただきたい。
  25. 愛知揆一

    愛知国務大臣 先ほども申しましたように、まことにごもつともでございます。ただ弁解がましくなりますが、具体的なものについては、たとえば外貨予算の二十九年度の問題に対しましても、物資別地域刑、あるいは期間別のこまかい計画というものがまだできておりませんので、その点はまことに潰憾でありますが、これができるのと相照応いたしまして、先ほど申しましたように合理的な説明がつくような、将来の具体的な見通しに基く計画というものを逐次打出して参りたいと考えております。申し上げるまでもないことでございますが、すでに電源開発を初め、あるいは合成繊維であるとかあるいは食糧であるとか硫安の問題、あるいは外航船の増強の問題、また鉄鋼の合理化、石炭の合理化、機械工業の設備の近代化といつたようなものにつきましては、相当具体的に将来の見通しもあわせての計画政府としては持つており、その相当の部分は、すでに軌道に乗つておるわけでございますが、あらためて私の意見といたしましては、外貨の問題についての大体の検討が具体的につきました場合に、これにあわせまして、将来の各産業あるは物資に対する国内措置というようなものをもあわせまして、具体的に打出して参るように、この上とも努力いたしたいと考えます。
  26. 永井勝次郎

    ○永井委員 時間がございませんから最後に一言だけ……。そういう政策をあわせて進めて行くということになれば、これは自由放任経済では、そういう方式でばやれない。どうしてもこれは計画的な経済、ないしは統制の方式はどういう方式をとるにいたしましても、何らかの規制的な方式がとられ、ざるを得ないではないか。そこに政府の根本的な転換を必要とする段階が来ておるのではないかと考えるのでありますが、これは超党派的な問題といたしまして、日本の経済の再出発の問題といたして、われわれは真剣に考えるのでありまして、自由放任経済にとらわれることもいけませんし、あるいは計画経済というような問題にとらわれることもいけない。要は実態に対してこれに適応ずる適切な対症療法というものがここに出て来なければいけないと考え立場において、私はそういう政策の転換の段階に来ておるのではないか、こう思うのでありますが、大臣のこれに対するお考えはどうですか、これは最後に一点伺つておきます。
  27. 愛知揆一

    愛知国務大臣 前にも申し上げたことがあると思うのでありますが、私は自由放任経済政策をよしとしておりません。具体的に申しましても、外貨に対する政府のやり方というものは、これは言葉の使い方によつていろいろな誤解を生ずるかと思いますが、これは一つの総合的な計画的なやり方であると思います。この面から、さらに新しく考え直さなければならない点が、国内措置の上にも要請されるのであれは、その方法はいろいろございましようし、十分ただいまもお話がございましたように、大局的な立場に立つて日本的な、日本国民の感覚の上において、その創意とくふうが生かせ得るような方法考えることにいたしたいと思つております。
  28. 大西禎夫

    大西委員長 次に中崎敏君
  29. 中崎敏

    ○中崎委員 外貨予算に関する問題というものは、国の予算に関する問題とは車の両輪のごとくに考えております。一面においては、財政の面における国の予算を実施し、二面においては国並びに国民経済というものに影響するのが外貨予算であるようにも考え得るだけ非常に重要に考えるわけであります。ところが実際に国の予算は、なかなか真剣に国会においても論議されるが、外貨予算については、ややもすれば軽く見られるような傾向が従来はあつた。ようやく最近になつて何だか気がついたというふうなかつこうでありますが、それといつても、まだ政府の方においても外貨予算さえも組まれていない。もう年度はかわるというのに、まだそれくらい幾分かおろそかに扱われておるという傾向が今まであつたのであります。そこで私たちは、これではいけないというので、この際特に通産大臣の出席を要求いたしまして、ここに審議をすることになつたのでありますが、ただ遺憾なことには、非常に時間の制約を受けておりまして十分の論蔵ができないのであります。そこでこれはきように限らず、引続いて次の機会会においても、この問題と真剣に取組んで、そうしてわれわれは通産行政の面から強力に外貨の問題に対処して行きたいという考え方を持つておるのであります。そこできようはきわめて簡単に、要領よく質問をしたいと思いますので、通産大臣の側においてもそういう心組みで御答弁をお願いしたいと思います。  まず第一に、MSAがいよいよ調印されたようでありますが、これによつて中共などに対するところの貿易が、どういう影響を受けるか。通産大臣の説明によりますと、最近の協議においても大して外貨予算の面におきいて大きな変化をしな、い、ということは、MSAというものが中共貿易の弧においては、大きな影響がないというふうに一応とれるのでありますが、しかし今まで中共について、アメリカなどとの話合いというものにも、協定品目といいますか、そういう品目があつたはずだと思うのでありますが、そういう面において、一つの影響を受けるのかどうか、さらに今度幅を広げると予定されておるというようなものも考え得るのでありますか、そういうものについても一つの制約を受けるかどうか。こうした問題をお伺いしたいと思うのであります。
  30. 愛知揆一

    愛知国務大臣 MSA協定と、それから中共その他の貿易との関係でございますが、これはしばしばMSAをめぐりましての今日主での論議にも現われております通りでございますが、あらためて申し上げますと、今回のMSA協定の締結に伴いまして、他の平和愛好国と同様の立場を共産主義国との間の貿易についてとるということが明らかになつておりますが、これは決して新たなる義務とか、新たなる考え方が課せられたものでは断じてないわけでございまして、この点はその衝に直接当りました岡崎外務大臣からもお聞き取り願いたいと思いますが、私はさように確信をいたしておるわけであります。従つて従来とかわるところはない、と申しまする点は、これもしばしば申し上げておりますように、私どもとしては、他の平和愛好国と同様に、自由主義国家と同様の態度をとる国連に協力するという建前のもとにおける限りにおいては、できるだけ禁輸品目を削減し、できるだけ中央との貿易、あるいはいわゆる東西貿易についてもこれを伸ばして行きたいということを私どもといたしましては基本的な考え方にいたしております。それでこれも具体的に前回にも申し上げたと思いますが、まだ微々たるものではございますが、昭和二十七年ごろに比べれば二十八年の後期以降にお、いて、輸出輸入とも、全体の金額はまだ十分とは申せませんが、かなり伸びておることは事実でございます。
  31. 中崎敏

    ○中崎委員 次に外国映画に関する輸入の問題でございます。これはこの前も意見を申し上げたのでありますが、できるだけこの数量を減らすということ、しかも今まで大蔵省において所管しておつたのだが、むしろこれは通産省において原則的に取上げてやるべきであるということを申し上げておつたのでありますが、これは一体その後どういうふうに進んでおるか、こういうことをひとつお聞きしたい。
  32. 愛知揆一

    愛知国務大臣 外国映画の問題につきましては、前々回私こちらに出席いたしましたときに中崎委員からも御指摘がありまして、私もごもつともだと思いましたので、さつそく従来の所管でありまする大蔵省の方にも話を申し入れまして、今回の外貨の問題の扱い方の一環として、できるだけ御趣旨に沿うような方法をとりたいと考えております。これは一必ずしも中崎委員の御指摘のありました以降ではないのでありますが、その前から御承知のように委員会制度をとりあえずつくりまして、通産省通商局長もその委員になりまして、通産省立場というものも明確に反映させるようにとりあえずいたしておりまするが、これは私見でございますが、できるならばひとつ御協力によりまして通産省でこれをやるということにいたしたい。またできれば国際的の関係も微妙な問題ではござい手が、今日われわれの申しておりまする耐乏生活というような点から申せば、できるだけこれを減らして参りたい、こういうふうに考えております。
  33. 中崎敏

    ○中崎委員 映画の国内的の行政としても、外国の例を見ますと、相当映画に国家的に身を入れておつて、これが助長振興をはかつておるということになつております。ことに日本では最近外貨の獲得のための輸出にはやや努力をされておりますが、まだ隔靴掻痒の感があるわけです。それでまず映画に対する輸出振興並びに国内における映画産業の振興、さらに輸入の抑圧といいますか、これら三者一体の形において強力に通産行政の面において推進さるべきものだというふうに考えておるのであります。そういう面においても、この割当については、ややもすれれば大蔵省の所管になつておる現在は相乗明朗だということ。われわれはその事実も知つておるが、一々こういうふうな場面にそういうものは指摘しませんが、この際大いにこうした従前の旧弊を一掃するようなことも含め、また強力に外国資本の圧迫を受けないということも含めてひとつつてもらいたいと思うのであります。  それから砂糖とバターでありますが、これについては国民生活に必要欠くべからざるものであるにもかかわらず——ことにバターについては食生活改善に関する院議の満場一致の決定があつたの関連して、バターを輸入する外貨をよけい使う、その輸入というような問題も相当大きな問題でありますが、この値段がべらぼうに上つておる。国内においても少数のこれにタツチしておる業者がべらぼうな暴利をむさぼつておる。砂糖についても同様に——ことに砂糖はほとんど輸入品であるというふうな関係上、少数の独占的な傾向を持つところの大資本家が一方的な暴利をむさぼつておる。しかもこれの商品の取引所などがあつて、そして絶えず思惑の対象にされておる、こういう生活必需物資は大部分輸入に仰ぐ、しかもそれが外貨が非常に少いために、必需物資の輸入さえも多くの問題にされているときに、一つの大きな思惑の対象になつて一部の連中が大もうけするというようなやり方は検討をする必要がある。そこでこのバターと砂糖については、これは農林省からの出席を要求しているのですが、委員長どうですか、
  34. 大西禎夫

    大西委員長 今呼びに行つているのだそうです。
  35. 中崎敏

    ○中崎委員 これもきわめて重要な問題でありまして、こういうふうなものが政治献金にも大きく流れているというようなこともときどきうわさされておるのでありますが、いずれにいたしましても重要な問題でありますので、慎重にバター、砂糖の輸入の問題を考え、さらにこれを国家的にどういうふうな管理の方法によるか、こういうことについて一応通産省としても何らかのお考えがあると思うのですが、この点についてひとつ御見解をお聞きしておきたいのであります。
  36. 愛知揆一

    愛知国務大臣 まず砂糖の問題でございますが、これは私率直に申しますのですか、今いろいろ私も自分としての試案を持つておるのでありますが、何とかして政府部内その他をとりまとめて、ただいま御指摘のような欠陥がとまるようにいたしたいと思つておりますが、まだ成案として申し上げるまでに至つておりません。  それからバターの問題につきましては、これは国内の粉食奨励と申しますか、米食偏重の是正ということにも関連し、それから国民の体位の向上ということから考えまして、これはある程度外国からも入れた方がいいと私は思うのであります。ところが輸入の方式なりあるいはやり方なりについて、御指摘のようなこともあつてはなりませんので、その方法等についてただいま通産省としてもいろいろ研究しておるのでありますが、一案といたしましては、アメリカでやはりバターも非常に過剰のようでございまして、外貨を使わないで入れて、しかもその他に国内的に弊害がないということで考え得るならば、この行き方も一つの行き方ではなかろうかと思うのであります。
  37. 中崎敏

    ○中崎委員 次に自動承認制の問題でありますが、これがうまく行けば実に申分のない制度でありますが、実際においてはある意味において行きて詰まりを来しておるのであります。そこで先ほどの通産大臣の説明によりますと、やむを得ない地域においては自動承認制を認める、そのほかの地域については川心惑のおそれれのあるものは割当品目の中に加えるというので、自動承認制品目からはずすということだろうと思うのですが、これについてもう少し説明をしてもらいたいと思うのです。
  38. 愛知揆一

    愛知国務大臣 まだあまり具体的に申し上げられないのでありますが、前回も問題になりましたように、自動承認制につきましては日英協定というような関係から、ポンド地域につきましては原則的に自動承認制を続けて行きたいと考えます。しかし同時に自助承認制につきましては、非常に私もいい制度、だと思うのでありますが、最近の経験に徴しまして相当これが思惑に使われたというようなことも多いので、思惑に向けられそうなおそれのあるもの、あるいは非常に金額の多い品目等につきましてはこれを割当品目に切りかえることはいかがであろうかと考えまして、これを具体的に現在作業いたしておるような次第であります。
  39. 中崎敏

    ○中崎委員 そこで問題になるのでありますが、非常に金額が多いということは国民生活にそてれだけつながつているということだろうと思うのです。そうしますと、これが自動承認制によつて必要な場合には、いつも原料が輸入できてるのだ、ということによつてその同じ製品の暴騰を押えて国民経済を円滑にやつてつたのであります。それが一定のわくでそれだけしかもらえないのだ、これだけ足りないということになれば、必然的に国民経済に大きな重大な影響があると思うのです。そこで私たちに、こうした物資については、少くとも統制というか規制というか、何らか今までよりも強力な経済的な手を打たなければならぬというように考えるのでありますか、この点についてどういうようにお考えになつておりますか。
  40. 愛知揆一

    愛知国務大臣 この点はまことに申訳ないのでありますが、いろいろ考えている点もあるのでありますが、具体的にどの品目をどれだけ割当品目の方に切りかえるかというような点についてまだ作業が進んでおりませんので、それとあわせて考えたいと思つておるわけでございます。
  41. 中崎敏

    ○中崎委員 次に石油の問題でありますが、この石油につきましては、ほとんど外国から輸入せざるを得ない、しかも重要物資であります。ところが元来政府の方では、石油の使用を奨励して設備等も民間においてどんどん石油を使うような設備に切りかえられておる。ところが最近になつて石油がまた足りないというので、急拠今度は石油、重油の消費規正といいますか、これについてある程度抑えるというふうな手を打つておられるということを存じております。そうしますと、一面において今度は石油と石炭のあり方、まず値段の面においてこの石炭の量を一体どういうようにするのか、従つてまた石油輸入をどうするのかというふうな問題が重要に関連をして来るのでありますが、それについてこの委員会において通産大臣から、具体的な説明をお願いしておきたいと思います。
  42. 愛知揆一

    愛知国務大臣 これはいまさら申し上げる主でもないことでございますが、私はまず国内の石炭鉱業の合理化という点が一番問題だというのでありまして、前にも申し上げた通り、石炭については適正な出炭規模というものをはつきり打出して、そのためにあわせて合理化、炭価の引下げということをはつきり打出すことによつて需要者側の協力を求める、外貨事情も現在あのような状況でございますから、できるだけ国内資源の活用をするという点から申しまして、重油等の輸入については、従来よりも少くて済むような方向をとつて参りたいと考えております。その結果いろいろの油類について国内措置をどうするかという点については、先ほど来申しておりますような一連の問題といたしまして、今対案を急いでおるような次第でございます。
  43. 中崎敏

    ○中崎委員 次に先ほど大臣から説明のありました輸入に関する一つの基準といいますか、方針といいますか、そういうものの第四項の中に、不急不要の商品は極力これを輸入しないことにするということであります。これはけつこうなことだと思うのであります。ところが実際にお、いては、たとえば非常に大きな綿花とかあるいは羊毛とか、石油というようなものははつきりわかるのでありますが、化学品なんかになりますと、非常に品種も多いのでありまして、金額的には莫大なものではありませんが、これはやはり相当の量が、積り積つて大きな金額をなすのであります。これについては、いわば十分に検討されないままに、うのみでもないですけれども、相手の顔によつて割当をされるというような傾向か相当あるように思うのでありますが、そこで私たちは原則的にそういうふうなものをどういうふうにするかというと、国内で間に合うものは輸入しない。ところが実際においては輸入業者がこれはどうしてもいるのだということになつて国内で一応間に合うというようなものも、機械的にといいますか、反射的に輸入されておるというような傾向もありますが、ことに私たちいろいろ関係しておるのでありますけれども、たとえば活性材とか何とかいうので、割合近代的なものでありますが、こういうものはほとんど今日国産で間に合うのですが、何百種類もどんどん輸入されて、一面において国内産業を押えるといいますか、振興をはばみ、一面において不要の外貨を流しておるというような傾向もあるので、こうしたものについて十分検討されまして、そしてこれこそ不急不要であるから、そういうものについて具体的に輸入を抑えるという方針に進んでもらいたいというふうに考えておるのであります。  それから輸出振興についての宣伝と、いうような面において、どういうふうな考え方を持つておるか。ただ物価を下げて輸出をやりよくするというこの根本的な考え方は当然のことでありますが、それだけで決して輸出が十分に行けるというのではない。立ち遅れておる日本輸出をぐんぐんやつて行くためには、やはり十分に海外に日本の商品の価値並びに日本のあり方を知らす必要があるのでありますが、これについてはどういうような考えを持ち、具体的にどういう政策を持つておられるかを御説明願いたい。
  44. 愛知揆一

    愛知国務大臣 まず第一の問題でありますが、これはまつたくお説の通りで、ずいぶんこまごました物資もありまして、私などもさつぱりわからないものがたくさんあるのでありますが、根本は、やはり輸出原材料として安くていいものがある、必ずこれが輸出に入用であるというものに限定して、あとは抑えることにすべきである、私はこう考えておるのであります。そこでまことにしろうとくさいことを申すようでありますが、ただいまも御指摘がありましたように、国産を愛用するということを大きく打出さなければならないと考えまして、先般来考えておつたのでありますが、一つの方向として、実はきようの閣議で、まず政府の必要とする物資は原則的に国産でなければならない、たとえば保安隊等を含めます繊維製品の需要ども、金額にすると一年間六十何億かになるのでありますが、これは原則的に合成繊維を買うことにしようじやな、いかということ、あるいは自動車の問題、ガソリンの節約の問題、あるいは官庁その他の食堂等においていまだに主食が心知られているというようなところもございますが、こういうところは完全に締め出すとか、これは精神的な連動も必要だと思いますので、きよう閣議できめてもらいまして、各省にそれぞれ手わけをいたしまして、なるべく輸入品は使わないような努力をいたしたいと考えております。  それから第二の輸出振興の点は、これも先般来申し上げております通り、たとえば市場調査でありますとか、あつせん所でありますとか、見本市でありますとか、単に国内の基本的な物価の引下げというようなごとだけにはとどまらないで、もう少し海外の市場をよく調査し、またこちらの宣伝啓蒙を大いにやらなければならないと思うのであります。これも余談でございますが、御承知のように是近カナダの総理大臣一行が来ておりますが、カナダに対しましても非常な片貿易で、もう少しこちらのものを買つてもらわなければどうにもならない。そこでことしの四月かにトロントでたまたま見本市がございますが、これに対して日本品がどういう趣向でどういうものならば売れるであろうかというようなことについて、日本の有力な貿易関係の人にも行つてもらいまして、カナダ政府側の協力も求めて日本輸出努力をやりたいということで、これはカナダの総理も非常に喜んで賛意を表してくれまして協力を約してくれたようなわけであります。ごういつた努力を各方面に対しまして徹底的にやりたいと考えております。また同時に日本でも、御承知の大阪で、四月の下旬に国際見本市が開かれますがこれにも予算等の措置はきわめて微々たるのではあつたのでありますが、金以外の点でも政府として協力のできる点は多々あると思いますのでこれについてはできるだけ政府側としても協力をいたしまして、幸い外国側からの来朝の希望が非常に多いようでございますので、こういう機会を百パーセントに活用さしていた、だきたい、こういうふうに考えております。
  45. 中崎敏

    ○中崎委員 国産愛護の方針は非常にけつこうだと思います。こいねがわくはこれを強力に国民運動まで推進できるようにやられたら一層けつこうじやないかと考えております。そして見本市の問題でありますが、これは大阪の場合においても予算か少いと言われるのでありますけれども、あるいは自転車競技法の問題等とも関連して、あれらの金などもこうしたようなものへむしろ積極的に使われ、さらに外国へ出すような場合においても積極的にそういうようなものをほんとうに生かして使うというふうな方向を望みたいと考えているのです。もう一つお聞きしておきたいのでありますが、最近における情勢等によりまして、むしろ経済審議庁が単なる調査機関でたしに、またもとの安本のごとくほんとうの実施機関であるということが必要じやないのか。たとえ、は砂糖の問題でも、バターの問題でも、これは一面農林省にも所管がある。そうすると一体どこがどういうふうにしていいのか、大蔵省も通産省も農林省もというふうなことで、あると、場合によれば責任をよそに持つて行く、場合によればなわ張り争いで自分の方に持つて来たいということになるから、やはりそれをうまく調整して強力に推進するということが必要だと考えるのでありますが、審議上庁長官としての愛知さんの考えをお聞きしておきたいと思います。
  46. 愛知揆一

    愛知国務大臣 まず先ほど御指摘の点につきましては、これは私から申すのもまことにおかしいのでありますが、ぜひ輸出振興に通産委員会としての御協力もお願いいたしたい。それから経済審議庁の問題は、これもまた私としては非常にありがたいお言葉でございまして、ただ私は基本の政策としていわゆる物資統制とかなんとかいうところまでは現在のところ考えておらぬのでありますが、こういう国際経済の中に伍して日本経済を持つて参ります場合には、幸い経済審議庁には、私から申すのもいかがかと思いますが非常にいいスタッフがたくさんおりますし、大いにこれを活用し、かつ拡充して行くということは、私も持論でございますから、さような方向にひつぱつて参りたいと考えております。
  47. 大西禎夫

    大西委員長 それでは次は川上貫一君。
  48. 川上貫一

    ○川上委員 時間が非常に制約されておりますから、答弁してくださる方も、説明でなしに事実を答弁していただきたい。私の方も事実を承りたいと思います。  今日の貿易を論じます場合に、中国、ソ同盟の貿易を全然度外視しておいて、貿易問題、日本の経済問題を論ずるということはまつたくナンセンスだと思うのでありますが、昨年の十二月十四日のこの委員会で、中国向けの硫安問題について一質問したときに、三月までは輸出能力がない、こういう答弁であつたのでありますけれども、一月二十二日の入札で朝鮮向け硫安十一万七千九百トンの落札が行われておるのであります。これは一体どういうことであつたのか、この点を大臣からお聞きしたいと思います。
  49. 愛知揆一

    愛知国務大臣 今年の二月に韓国向けの硫安、大体十二万トン程度と思いますが、これが国際的なビツドで落札をしたということは事実でございます。その積出しの時期は多分四月以降じやなかろうかと思つております。
  50. 川上貫一

    ○川上委員 しかし一月に台湾向け十三万トンを契約しておられる。これは三月に一万トン出ておると思います。
  51. 牛場信彦

    牛場説明員 台湾向けの分はたしか去年の九月ごろに契約ができまして、一月にデリヴアリの分があつたと思います。従つて三月ごろには輸出力が事実ないのでありまして、中共向けの分に、ちようど三月デリヴアリという分がありまして、その分は輸出力がないということになつております。
  52. 川上貫一

    ○川上委員 それは違います。去年の秋に台湾向けに輸出した分は別です。一月に台湾向けを十三万トン契約して、これが三月に一万トン出ている。これは別口です。だから私が聞きたいのは、三月まで輸出力がないといつて中共貿易をとめておいて、実際は輸出しているじやないかということなんです。
  53. 愛知揆一

    愛知国務大臣 三月までは輸出余力がそれ以上にないということであつたのだろうと私は思います。輸出余力さえあれば、中共向けといえども他の政治的理由その他でとめることはございません。
  54. 川上貫一

    ○川上委員 昨年九月ごろからアルゼンチン三千トン、ブラジル三千トン、メキシコ三万トンの引合いがあつたはずです。これは政府のライセンスあるいは開銀のライセンス付であつて、FOB六十ドル以上、これは今もつて輸出を許しておらぬ。しかるに台湾、朝鮮に対しては思う存分アメリカの命令通りに輸出が行われているのです。これは一体どういうことになるのですか。なぜアルゼンチンやブラジルに輸出しないのか。
  55. 愛知揆一

    愛知国務大臣 これは経済的に見まして、たとえ、は特需としてドルの収入が確保されるというような観点から言つて、どちらを先にする、どちらの数量を多くするというような観点から割り出されたものと思います。
  56. 川上貫一

    ○川上委員 そういう説明は私はいかぬと思う。中国に対しては極力輸出努力しますと政府が言うていながら出さずに置いておいて、あとになると特需関係だなどということはいいかげんなごとだと私は思う。大体去年からことしの番にかけて宇部興産その他から二万トンの中国向けの輸出申請があつたはずです。あつたでしよう。これをなぜ許さないのか。これはバーター操作で、実際には価格がFOBで六十四ドルぐらいになるはずです。ところが朝鮮向けということになると、価格なつちやおらぬのです。CIFで六十一ドル五十セント、これに運賃がかかり、紙袋代がかかる。そうすると、実際には五十六ないし七ドルしかとれない。そんな出血輸出をやつている。これはアメリカの圧力です。政府の自主性がないからでしよう。これはどうなんです。
  57. 愛知揆一

    愛知国務大臣 昨年十一月、十二月ごろにどういう話がありましたかは、私は遺憾なから存じません。アメリカの圧力云々ということはあるはずがないと思います。
  58. 川上貫一

    ○川上委員 昨年十一月十四日農林省、通産省の首脳部は外務省へ集まつてアメリカのミツシヨンと協議したことはありませんか。その時分にアメリカはどういうこと塗言うたか、これを聞きたい。
  59. 愛知揆一

    愛知国務大臣 私は遺憾ながらお答えができません。その事情を知りません。
  60. 川上貫一

    ○川上委員 その事情を知らぬはずはない。朝鮮向けの輸出を要請するためにアメリカのミツシヨンが大きな圧力をわけて来て、十一月の十四日に会議したはずです。その時分にアメリカの言うておるところもわれわれは資料を持つている。気の毒だから今ここでは出しませんけれども……。これを通産大臣、知らぬなんて言うちやだあです。知つているんです。知つているに違いない。きようどうしても言えぬというのなら、あとの委員会であつたかなかつたか調べて回答してもらいたい。その時分にアメリカがどういうことを言つているかについては、私がこの前の委員会において言つている通りなんです。三回言うておることを知つている。それは猛烈な圧力だ。こういうわれわれの要請に応じないならば、今後この種の買付けについてきわめて重大な悪影響があることを注意を喚起するという意味のことが述べられていると思う。こういうことはありませんか。私が聞いているのですから、通産大臣正直に答えてもらいたいと思う。なぜこういうことを私が聞くかというと、中国、ソ同盟の貿易を度外視して貿易の自立も、日本の経済の自主性もないということを私なんかは考えるのに、政府は全然自主的な考えがないではないか、こういうことなんです。これはどうでしよう。
  61. 愛知揆一

    愛知国務大臣 まず第一に私は昨年の十一月十四日には、物理的に日本におりませんので、私は存じません。  それから第二に、経済的な日本の自立については、ソ同盟と中国との貿易なくしてはやれないんだというお話でございますが、私は中国とソ同盟と貿易ができたからといつて、それで経済自立が成立つものではない。やはりこれは総合的に考えてその一環としてなし得る限りの中国貿易もやりたい、また東西貿易もやつて経済自立を補完したい、こういう考え方を持つております。
  62. 川上貫一

    ○川上委員 私は中国、ソ同盟と貿易をすれば、それだけで経済自立が成立つというようなことを言つているのではない。世界の人口の大半を占める社会主義並びに人民民主主義諸国と貿易をせず、アメリカに隷属し、アメリカのあごで使われ、自主を失うた貿易をしておつて、どうして経済自立、貿易の自主性ができるかということを聞いているのであります。お隣りの人口は五億五千万いるのです。この人口を無視して貿易の自立がありますか。ソ同盟は三億五千万の人口がいるのです。これを無視して一体貿易の自主性がありますか。ごらんなさい。イギリスでもフランスでも、社会主義圏、東方諸国との貿易は経済の死活に関するというので、チヤーチル首相でさえもあれほど本気になつている。日本通産大臣が中国やソ同盟との貿易は何でもないというようなことを答弁するのは、これはまつたく驚くべき答弁であつて日本の経済自立を担当する資格がないのじやないかと思う。ひとつこれは考えてもらいたいと思う。私は聞くが、政府貿易をアメリカの頤使のままにされておつて、事実上管理されておつて、正常の貿易を云々することができぬような状態になつてつて国際収支の悪化の一つの大きな原因がここにあると私は考えるが、通産大臣はどうお考えになりますか。
  63. 愛知揆一

    愛知国務大臣 私がさつき申し上げたことは川上さんも肯定なさつていらつしやるので、中国貿易ができて、東西貿易ができたからといつてそれだけで日本の経済自立はできない。これは全体としての国際経済の中においてどうやつたら日本の経済自立ができるかということを考える場合に、国連との協力という建前の中でできるだけ中共貿易を伸ばしたい。東西貿易もやりたい。現在のところでは、私の立場としてはこれを補完的に考えている、こういう私の考え方でございます。決して無視しているわけでばございません。
  64. 川上貫一

    ○川上委員 無視している。中国、ソ同盟との貿易をしさえすればそれだけで行くというのではないか、それをしなかつたらいけない。  第二の問題は、国連々々と言うが、国連は一体どこが入つている。国連はアメリカのことですか。ソ同盟は国連ですよ。国連の言うことをきいてソ同盟に出さぬ、これはどんなことになるのですか。あなたは国連とはアメリカだと思つているのか。
  65. 愛知揆一

    愛知国務大臣 国連に形式的にソ連がその一員であることは承知しておりますが、私の立場におきまして、現在の世界の情勢から見ての国連の立場からいつて、私が今申しましたことが正しいと思つております。国連をアメリカなどと思うことはとんでもないことだと思います。
  66. 川上貫一

    ○川上委員 それは重大だ。ソ連の国連参加は形式ですか。はつきりそう言えますか。ソ連が国連に加わつているのは単なる形式だと言い切れますか、はつきり言つてください。
  67. 愛知揆一

    愛知国務大臣 ソ連が国連の一員であるということを申したのであります。
  68. 川上貫一

    ○川上委員 形式ですか。ソ連が国連に加州おつているのは単なる形式であつて、国連の実体はアメリカなんですか。形式ということです。形式とは何ですか。
  69. 愛知揆一

    愛知国務大臣 形式上入つておるわけではありませんか。
  70. 川上貫一

    ○川上委員 いかぬいかぬ。そんなむちやくちやなことを答弁してはだめなんです。ソ連が国連に入つておるのは形式上の問題であると言つたじやありませんか。国連に信義を尽さなければならぬからソ連とは貿易ができぬ、こう言うておるでしよう。そうすればソ連は国連の一員じやない、そうして国連に形式的におるだけだと答弁しておるのです。これをはつきりさせなければいけない。今でもすでにはつきりとしておりますけれども、これをもう一ぺん、ひとつはつきりしましよう。
  71. 愛知揆一

    愛知国務大臣 今申し上げた通りでございます。
  72. 川上貫一

    ○川上委員 それ以上答弁ができないのでしよう。これは重大な問題、だから今後もわれわれはこの問題につい濠政府の見解として追究したいと思う。きようは時間がありませんからこの問題は追究しません。——アメリカの意のままにされておると思いませんかどうですかこの点をもう一ぺん聞きましよう。
  73. 愛知揆一

    愛知国務大臣 何べん申しても同じことであります。
  74. 川上貫一

    ○川上委員 そうすれば、聞きますが、大阪の螢光商事という会社が中国から輸入した天津産のマツチ用の原料を加工してアメリカに向けて輸出しようとしたことがある。そのときにアメリカの大使館の商務官のシンガーは——通産省の通商局輸出課に原田という室長がおるはずだ。これを通じて螢光商事を呼びして事情を調べておりますが、これを認めますか、認めませんか。
  75. 愛知揆一

    愛知国務大臣 申訳ございませんが、私はまだ聞いておりません。
  76. 川上貫一

    ○川上委員 こういう資料は幾らでもあるのです。なぜアメリカのシンガーが日本の商社を呼び出して調べなければならぬか。これでもアメリカの指図を受けておらぬと言いますか。通産大臣はシンガーという商務官を知つておるはずではありませんか。
  77. 愛知揆一

    愛知国務大臣 会つたことはありません。今は日本にいないようでございます。
  78. 川上貫一

    ○川上委員 いつ帰りましたか。
  79. 愛知揆一

    愛知国務大臣 知りません。
  80. 川上貫一

    ○川上委員 通産省へ毎日来ておつて、そうして前には山下という事務官と毎日会つてつてそれを知りません。——そんなはずはないのですよ。いつ帰つたくらいは知つておらないはずはないのだ。これは答弁できないのだ。こういう事実が幾らでもあるが、これでもあなたの方ではアメリカが日本貿易を事実上管理しておると思いませんか。アメリカの管理によつて日本は中国との貿易がでをてぬのだと思いませんか。これは通産大臣、どう思いますか。
  81. 愛知揆一

    愛知国務大臣 いくら申しても同じごとでありますが、日本貿易がアメリカに管理されているという事実にございません。
  82. 大西禎夫

    大西委員長 川上委員そろそろ時間でございます。
  83. 川上貫一

    ○川上委員 そういう答弁通産大臣なり政府がしておるから日本貿易はだめです。逆調になるのはあたりまえです。そういう形で予算を組んで、そういう形で政治をしておるということが根本的な問題じやないですか。日本がこの非常に重大な時期に際しているときに、私が最後に一言申したいのは、アジアの十億の人口のうち幾らの人口を敵としようとしておるのですか。その八割の人口を敵とするような貿易政策をとつておるじやないですか。そ、うしてその中心にはアメリカがおるじやないですか。これをはつきりと政府が認めぬ限り、ここに反省しない限り、日本貿易はいくらいじくつても私は伸びないと思う。通産大臣も腹の中ではこの点はわかつておるが、しかたなしにやつておるのだろうと思う。しかたなしにやるようなことは国の将来のためにやめた方がよかろうと思います。これは私は意見は聞きませんが、さきの国連に対するソ連とアメリカの関係については、問題が重大だと思いますから、その問題は留保しておいて、後日質問したいと思います。
  84. 大西禎夫

    大西委員長 次は加藤鐐造君
  85. 加藤鐐造

    加藤(鐐造)委員 大体予定の時間か来たようでありますし、外貨並びに貿易上の問題が、取上げられて質問されておるようでございますから、私はきようは、個々の問題を取上げて質問いたすことは後日に譲りたいと思います。ただ先ほど来永井、中崎両委員から、日本貿易政策の根本問題についていろいろ質問がございました。これに対する通産大臣の御答弁は、私のお聞きしたところでは、従来と何ら前進しておらないように思うのでございます。ただ大臣が非常に苦慮しておられることは御答弁の節々にうかがえますが、現在の金融財政上の措置だけで、貿易上の非常な逆調を転換させることはできない段階に来ておるという点は、大臣も認められておるように伺いました。私は多少議論になると思いますが、これは結局私の希望意見としてお聞き願う以外に、現段階においては方法はないかと思うのでございます。私どもは従来吉田内閣の産業政策を見て参りまして、その一番中心であります通産省における産業政策というものが、まつたくおざなりであつたという点に今日の行詰まりがあると思います。今多少とも日本の産業経済に通じておられる大臣通産大臣として来ておられて、私はこの大臣に期待するところが大きい。これはおせじでも何でもない。この大きな問題は、単にいわゆる属僚政治では今日の苦境を切り扱けては行けないということを感じますがゆえに、私はあなたがこの際——自由党の政策もあることでございましようけれも、やはりこの苦境を転換するために、あなたが先ほど来いろいろの憂ついて考えるところがあるとおつしやいましたその考えをひとつできてるだけ早く出してやつていただきたいという点に大きな期待をかけておるのでございます。先般来の御答弁では、結局期待はずれに終るのではないかということを考えざるを得ないのでございます。たとえば外貨予算を二十億に圧縮しなければならないということも先般私が指摘したところでございます。日本の産業規模と消費水準を維持して行こうとするならば、今の自由経済のもとにおいては外貨予算は二十三億ドルを要するのではないかと考えるのでございますが、これが二十一億四千万ドルという数字で一応打出されておる。それをさらにわずかな期間に二十億ドルに圧縮しなければならぬということになりますと、一体この一億四千万ドルというものはどこで圧縮するかという問題になります。この重要な産業の原料の点において圧縮するのか、あるいは生活消費物資の点において圧縮するのかという問題でございます。原料の点において圧縮しますれば、日本の産業規模は今のような行き方では著しく縮小せざるを得ないものになります。また消費物資の点において圧縮すれば、生活水準を切下げなければならないということになるわけでございます。私どもは今の吉田内閣の経済政策を見ておりますと、消費水準を著しく圧縮して、ある程度国民の犠牲において国民の苦境を切抜けて立て直そうという考えがはつきりと現われておると思うのでございます。たとえば端的に先般来問題になつておる砂糖の問題を取上げてみますと、ここで外貨を圧縮いたしますれば、もうそういうことをちよつと漏らしただけで砂糖の価格は著しく暴騰する。そういう場合に砂糖をあたかもぜいたく品のように考えて、この際国民は砂糖をそんなにぜいたくに食わなくてもいいじやないか、こういうようなことを言う人が出て来るのでございます。この砂糖の輸入が圧縮された場合にどこに一番そのしわが寄るかと申しますれば、やはり直接大衆の消費の面に寄つて参ります。こういうようなことを考えますと、先般来あなたが言つておられるところの金融の面だけで一体操作ができるのかどうか。先ほど来他の諸君もこの点を質問しておられましたけれども、なお足りないところは行政措置によつて何とかやつて行く、こういうことで逃げておられます。この行政措置というものが一体どこまでやられるのか、またこれをこの困難な中にやろうといたしますならば、規正を法的処置において行つたよりもかえつて大きな弊害が出て参ると思う。この点は先ほど中崎君も質問しておられました。また石油の問題をとらえて考えてみます。石油輸入を減らさなければならないということになりますと、先般行政措置によつてその足りなくなつたものを何とか必要なところに流すようにするとおつしやいました。しかし私はそれは今言つたような理由でできないと考える。たとえば一番しわ寄せされるのは、私は農業用の石油ではないかと考えます。そういうことを考えますると、この際大臣にひとつ考え願いたいことは、今までの政策から大きな前進あるいは大転換をしてもらわなければ、日本の経済はいたずらに国民に犠牲をし、い、そして生産の面においても大企業中心となつて企業がその犠牲にならなければならないということになると思うのでございますが、この点先ほど永井委員の質問に対してでありましたか、従来のいわゆる規正方式でなく日本的なものをひとつ考えようという御答弁でございました。一体日本的なものとは何か。私は結局こうした状態においてとり得る方法は、生産の面において、あるいは消費の面において、必要なる規正をする以外にないと思いますが、その規正をする場合に、日本の実情に応じてやるということは当然でございます。ドイツのものをそのまま借りて来る、イギリスのものをそのまま借りて来るということでなくして、日本の実情に応じていわゆる日本的なやり方をする。これはあなたがおつしやるまでもなく当然だ。従来あまりにも外国の借り物をそのまま使つて来たためにいろいろな弊害が起り、また国民がそれに懲りておるということで、今日あつものに懲りてなますを吹くというような状態になつておりますが、私はつづまるところはやはりある程度の規正をする以外にはないと考えております。そこで大臣はそういう点を全然考えられないのか、あるいはある段階に来ればそれを考えなければいけないと考えておられるのか、その一点だけを私はお伺いしておきたいと思うのでございます。
  86. 愛知揆一

    愛知国務大臣 先ほどお述べになりましたことで、ちよつと私の申し残したことがあると思いますので申し上げます。大体二十億ドルを割らざる程度輸入計画と申しましたが、これはただいま御指摘のように、従来と比べれば一億何千万ドルの削減になるというような勘定も一応出て来るわけでありますが、この点は、先ほど申しましたように、輸出特需等をそれ自体の計画よりは相当手堅く輸入計画の方には見ておりますので、これが計画通り輸出なり特需なりが伸びるということでありますと、その姿がかわつて来るわけであります。申すまでもなく国内の円の予算と違いまして、その幅なり時間的な要素を考え合せるときにおきましては、必ずしも何割かあるいは何億ドルかの削減というふうにはならないかと思いますので、その点は念のために申し上げておきます。  それから結局規正をしなければならぬのではないかというお尋ねでございますが、これは先ほど来るる申しておりますように、従来戦時中あるいはその後に行つておりましたような物を中心とする規正、配給切符制というようなことはなるべくやりたくないと考えておりますが、外貨の問題等とあわせまして、あるものについては国内的に新しい何らかのくふうが必要ではなかろうか。その具体案を至急に考えまして御説明をし、御審議を願うことにいたしたいと思います。
  87. 加藤鐐造

    加藤(鐐造)委員 時間が来ましたからこれ以上は質問はいたしませんが、従来大臣の御答弁でいつも感じますことは、あまりにも御希望的な観測が多いということでございます。二十億ドルに外貨予算を圧縮したが、これは最低線であつて輸出特需が伸びれば断然ふやすというようなお話でございます。もちろんそうであろうと思います。しかしはたして伸びる見込みがあるのかどうか。この点について先ほど来の各委員の質問に対する御答弁を聞いても、あまりにも希望的な観測が多過ぎると思うのでございます。一月の国際収支の赤字が八千七百万ドルでございました。二月は五千万ドルと聞いております。こういう状態で、はたして大臣の希望されるような輸出の伸び、特需の伸びができるかどうか。来年度になればというようなことをどこかで大臣が語つておられたようでございますが、来年度になれば、これがデフレ予算に切りかえられるというときに、国民の生活水準を切下げて物価の引下げをはかる、こういうことに唯一の期待をかけられておると思うのでありますけれども、それが非常な希望的な観測であり、また国民生活水準を単に切下げるということだけで、国民が安心して、また協力的態勢において政府の施策に信頼して行くという、こうした行き方でなくて、単に水準を切下げるという、こういう方式を政府に献策した人があるということも私は聞いておるのでありますが、こういう行き方で、政府が来年度に入つて輸出の伸びを期待されるということは、私は根本的に誤つておるというふうに思うわけでございます。これは結局、私の意見として聞いておいていただくにすぎないと思います。これ以上大臣の御答弁を承つても今までとかわつたところは承れないと思いますが、ただ一点だけ、国民の消費水準を下げることだけに期待しておるという行き方に対してお伺いしたい。
  88. 愛知揆一

    愛知国務大臣 これは必ずしもそこだけに焦点を合せておるつもりはないのでありまして、それらの点につきましては前にもたしか、国民消費水準等についての見通しを、御説明いたしたつもりでございまして、そこだけにしわを寄せるというのではございませんが、しかしこれは大中小の企業を通じ、あるいは国民全体として、耐乏という言葉で一口には表現されるのがありますが、現在の日本の経済の情勢において、並々ならぬ犠牲をお互いに払いつつやつて行かなければならぬ、こういうふうな考え方でおりますので、ある程度はどうしてもそこにしわが寄ることはいたし方がなかろうかと考えるのであります。ただ、今のいろいろの御高見につきましては、私どものこれからの対策の樹立に際しまして、十分考えて参りたいと思います。
  89. 大西禎夫

    大西委員長 本日はこの程度にて散会いたします。なお次会は公報をもつてお知らせいたします。     午後一時三分散会