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1954-02-24 第19回国会 衆議院 通商産業委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年二月二十四日(水曜日)     午後一時四十七分開議  出席委員    委員長 大西 禎夫君    理事 小平 久雄君 理事 中村 幸八君    理事 福田  一君 理事 山手 滿男君    理事 永井勝次郎君 理事 加藤 鐐造君       小金 義照君    始関 伊平君       土倉 宗明君    笹本 一雄君       長谷川四郎君    柳原 三郎君       齋木 重一君    帆足  計君       伊藤卯四郎君    中崎  敏君  出席政府委員         外務事務官         (経済局長)  黄田多喜夫君         通商産業政務次         官       古池 信三君         通商産業事務官         (石炭局長)  佐久  洋君  委員外出席者         通商産業事務官         (通商局長)  牛場 信彦君         専  門  員 谷崎  明君         専  門  員 越田 清七君     ――――――――――――― 二月二十三日  輸出保険法の一部を改正する法律案内閣提出  第五七号)(予) 同月二十日  イラン石油輸入促進に関する請願岡田五郎君  紹介)(第一九八二号)  茨城県下炭鉱電気周波数変更に関する請願(  塚原俊郎紹介)(第一九八九号)  県北炭鉱地区電気周波数変更に関する請願(  塚原俊郎紹介)(第一九九〇号) 同月二十二日  国営小林アルコール工場存置に関する請願(片  島港君紹介)(第二一四八号) の審査を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 同月二十日  中小企業に対する緊急金融対策に関する陳情書  (第九三八号)  映画の輸出振興策に関する陳情書  (第九三九号)  地域差電気料金の設定に関する陳情書  (第九四〇号)  電気事業法改正に関する陳情書  (第九四一号)  電気料金値上げ反対に関する陳情書  (第九四二号)  水力発電地帯電力会社に対する水火力調整金撤  廃等に関する陳情書  (第九四三号)  熊野川電源地点早期着工に関する陳情書  (第九四四  号)  石油資源総合開発五箇年計画に関する陳情書外  一件  (第九四五号)  同  (第九四六号)  石油資源開発促進に関する陳情書  (第九四七号)  東北、北海道の冷害地区に対する競輪施行者国  庫納付金免除特例適用に関する陳情書  (第九四八号) 同月二十三日  対中華人民共和国貿易制限緩和に関する陳情  書  (第九九四号)  神戸通商事務所存置並びに機構拡充に関する陳  情書  (第九九五号)  日中貿易促進に関する陳情書  (第一〇〇七号)  電気供給力増加電力事情打開に関する陳情書  (第一〇三六号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  小委員会及び小委員長選任  特別鉱害復旧臨時措置法の一部を改正する法律  案(内閣提出第二号)  貿易に関する件     ―――――――――――――
  2. 大西禎夫

    大西委員長 これより会議を開きます。  この際各小委員会の小委員及び小委員長を御指名申し上げたいと存じます。小委員及び小委員長選任につきましては、過日の委員会におきまして、委員長及び各派の理事に御一任願つたのでございまするが、その後理事各位と協議いたしました結果、次のように決定いたしましたので、以下御指名申し上げます。  一、総合燃料対策及び地下資源開発に関する小委員    小川 平二君  小金 義照君    小平 久雄君  始関 伊平君    田中 龍夫君  中村 幸八君    馬場 元治君  長谷川四郎君    山手 滿男君  加藤 清二君    帆足  計君  伊藤卯四郎君    加藤 鐐造君  以上十三名、小委員長中村幸八君  一、電気及びガラスに関する小委員    小平 久雄君  始関 伊平君    田中 龍夫君  土倉 宗明君    中村 幸八君  福田  一君    村上  勇君  長谷川四郎君    柳原 三郎君  齋木 重一君    帆足  計君  伊藤卯四郎君    加藤 鐐造君  以上十三名、小委員長長谷川四郎君  一、木材利用に関する小委員    小平 久雄君  首藤 新八君    土倉 宗明君  坪川 信三君    馬場 元治君  中村 幸八君    村上  勇君  笹本 一雄君    山手 滿男君  齋木 重一君    永井勝次郎君  伊藤卯四郷君    中崎  敏君  以上十三名、小委員長中崎敏君  一、中小企業に関する小委員    小川 平二君  小金 義照君    小平 久雄君  首藤 新八君    坪川 信三君  中村 幸八君    福田  一君  笹本 一雄君    柳原 三郎君  加藤 清二君    永井勝次郎君  加藤 鐐造君    中崎  敏君  川上 貫一君  以上十四名、小委員長永井勝次郎君  以上御指名申し上げました。     —————————————
  3. 大西禎夫

    大西委員長 次に、特別鉱害復旧臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。質疑の通告がありまするので、これを許します。加藤鐐造君
  4. 加藤鐐造

    加藤鐐造委員 私の質問いたしたい点は、ただいま上程になつておりまする特別鉱害復旧法とは直接の関係はございませんが、やはり鉱害問題についてでございまするので、この際石炭局長から明確なる御答弁をお願いしたいと思います。  臨時鉱害復旧法国会に提出されて通過したのは、第十三国会であつたと思いまするが、その際石炭一般鉱害とともに亜炭鉱害についてもこれを適用する、こういう決議になつております。しかるにこの亜炭鉱害で最もはなはだしい地域は、岐阜県の御嵩地方で一ございまするが、この地方におきまする亜炭鉱害状況は、おそらく詳細には調査されておらないのではないかと思いまするが、通産省における大体の調査によりましても数億円に上つておると言われておるのでございます。しかるにその後二箇年以上になりましても、石炭鉱害については、予定通りではないようでございまするが、ある程度復旧事業が遂行されておるようでありますが、亜炭鉱害については全然手がつけられておりません。岐阜御嵩地方亜炭鉱害状況は、おそらく通産省当局も表面に現われた事実については相当詳細に調査しておられると思いまするが、最近特にはなはだしいものがあります。特に耕地の荒廃は目も当てられない状況になつておりまして、これは重大な社会問題になつておるのでございます。この中には特別鉱害復旧法適用しなければならない部分も実はあるのでございます。戦争中の強制命令によつて濫掘された結果が鉱害となつて現われて来る部分も相当あるのでございますが、特別鉱害復旧法が出された際に適用をされなかつたということは、一に関係地方の声が小さかつた、輿論が提案者である政府を動かすまでに至らなかつたという事情によるのでございます。しかるに臨時鉱害復旧法が提案された際には、地元関係者の強い要望によつてこれが加えられたわけでございまするが、その後何ら復旧について着手されておりません。この原因はいろいろございまするが、私どもの見るところによりますると、大体加害鉱業権者が熱がない、あるいは鉱業権者が弱体であるとか、あるいはまた加出鉱業権者が不明であるというような理由によつて加害鉱業権者が本法の施行について協力しないというような点が大きな原因であると私どもは見ておるのでございます。私はこういう問題については、通産省当局がもつと熱意を持つて、あるいは加害鉱業権者を説得し、そうして関係地方のあるいは自治体また被害者等も加えて、すみやかにこのはなはだしい鉱害実情から関係者を救うという措置が講ぜられなければならない問題であると考えるのでございます。従つて一方におきましては、これがまだ着手されない原因といたしましては、通産省当局の怠慢ということも強く指摘しなければならないと私は私えるものでございます。私はそれらの点を考えまして、この際通産省当局がこの問題についてどれだけの熱意を持つて考えておられるかという点を承りたいのでございます。直接監督関係にありまする名古屋通産局におきましては、いろいろな案を考えておられるようでございますが、それが一つ実施の運びに至つておりません。結局いかなる名案といえども、これが実施されなければいわゆる画餅でございます。私はこの際単にこういう案があるとかいうようなことだけではなく、通産省当局がどうしてもやらなければならない重大な社会問題である。いわゆる区域としてはきわめて狭い範囲でございまするが、その地方としては重大な社会問題と化しておりまするこの問題の解決について、どれだけの熱意を持つて対処せんとしておられるかという点を承りたいのでございます。
  5. 佐久洋

    佐久政府委員 ただいま石炭局鉱害復旧に対する努力が足りぬというおしかりを受けましたが、見るべき効果がいまだ発生していないという点についてはおしかりを受けてもやむを得ない、こう考えております。今お話がありましたように、特別鉱害に該当するかどうかという点につきましては、もちろんこの特別鉱害臨時措置法というものがつくられるときに、岐阜県その他の地方亜灰鉱害問題も相当宣伝されておれば、当然特別鉱害臨時措置法の中に入つたものと思います。ただ特別鉱害臨時措置法におきましては、石炭だけを取扱いまして、亜炭の問題が入つておりませんので、ただいま私ども処置といたしましては、特別鉱害でどうするという方法は実はございません。そこで昭和二十七年八月一日に施行されました一般鉱害法律によつて救済の道がないかということでございますが、法律の条文から申しますと、一般鉱害法律の中には亜炭も含まれておりますから、観念的には救済し得るということになるわけでございます。この鉱害の問題は、率直に申し上げまして、私がいろいろ今まで役人の生活をして参りましたそのうちで一番むずかしい、頭の痛い問題でございまして、何分昭和二十七年八月一日にできましたこの一般鉱害法律施行後、その復旧事業に着手するまでにいろいろの手続が必要でございましたが、各省との連絡がなかなか円滑に運びませんので、復旧事業に着手したのがかなり遅れて参つております。その間に、私の記憶では昨年の夏ごろではなかつたかと思いますが、岐阜県の亜炭鉱害について相当深刻な問題が起きておるということで、私ども実は研究を始めたのでございます。それで一般鉱害法でこれが救済できるかどうかという点について、現地の、現地と申しますのは、名古屋通産局なりあるいは岐阜県なりあるいは地元の代表の方々の意見をいろいろお聞きしまして、地元市町村の方にも調査をお願いしまして、どの程度の鉱害量があるかということを詳細調査をいたしたのであります。ただいままで検討いたしました結論を申し上げますと、一般鉱害法復旧事業を行う場合には、事業団というものをつくつて、その事業団復旧費納付金を徴収したり、支出したりというような事務を行うというような形になつておるのでございます。岐阜県の亜炭鉱害実態を見ますというと、復旧事業量として、これは調査によつて違いますが、市町村の報告によりますと、約一億九千万円でございます。それから炭鉱側の認めている鉱害分としては四百万円というので、ここに非常に大きな開きがございます。これをどういうふうに調整するかというのは一つの問題でございますが、九州鉱害の二百三十億というようなものに比べると、金額として小さいのでございます。それからもう一つは、岐阜県の亜炭鉱害実態を個々について見てみますると、鉱業法上当然なすべき金銭賠償をすでに完了しておるものもありますし、また賠償を全然しないで事業を放擲して現在どこに行つているのか行方不明というようなものも相当ございます。そこでなお事業者自体の資力が非常に乏しいというような状態になつております。それからもう一つは、現在岐阜県で採掘しておりますのが、亜炭の層としては五層ほどありますが、現在掘つておるところは二層でございます。今後も残る三層を掘るであろうということが予想されますが、そういたしますと、現在復旧した鉱害がさらに鉱害を生んで行くというような関係になりまして、それをどういうふうに扱うかという問題が一つございます。九州におきまして先ほど申しました二百三十億の鉱害のうち百十億が大体復旧の対象になるわけでございます。これは完全に鉱害発生後数年あるいは十年を経過しまして、これ以上鉱害が発生しないという地域だけを選定して復旧をいたすのでありますが、岐阜県の場合には今後も鉱害が引続き発生するだろうというような予想がありますだけに、取扱いが非常にめんどうになつて参るわけであります。それから一般鉱害法事業団をつくる場合には、地元関係者意見一つにまとまりませんと、非常にこれはつくりにくいものでございますが、その点もまだはつきりした見通しがない、こういうことで、今までの検討の結果におきましては、一般鉱害法によつて岐阜県の鉱害復旧をするということはちよつと無理があるのではないかということでございます。と申しましても、私どもの耳にしております鉱害状況が相当ひどいということは私もよく承知しておりますので、このままにはほつておけないということで、こういつた法律問題を論議するかたがたと申しますか、その結論をまついとまがございませんので、さしあたり何らかの方法鉱害復旧をしたい、鉱害復旧と申しますよりも、鉱害によつて生ずるいろいろの不利益をさしあたりの方法として除去したいということで各省といろいろ話合いをいたしました。先ほどお話がございました農地関係被害が相当はげしいということでございますが、農地関係については実はまだ農林省と話がついておりません。一般の住民の水道、飲み水、こういう方面の不便を除くため厚生省と再三折衝いたしまして、ようやく最近一つの話し合いができて、二十八年度の工事といたしまして飲料水については厚生省でその復旧を引受ける、こういうことになつている次第でございます。今後私どもはできるだけ——法律論法律論として別にいたしますが、ただ法律論がむずかしいからということで岐阜鉱害を放擲するということは適当でございません。私どもとしても関係省とよく相談をいたしまして、農地については一般農地復旧というような方面からの予算の使い方を考える余地がないかどうか、さらに検討を進めたい、こういうふうに考えております。
  6. 加藤鐐造

    加藤鐐造委員 石炭局長の御答弁によりまして通産省としても熱意をもつてこの問題の解決に当ろうとしておられるお気持だけはよくわかるような気がいたしますので、私はこまかい点にわたつていろいろ具体的に質問をいたしたいと思つておりましたが、それはしばらく見合せまして、かすに多少の時日をもつていたしたいと思つております。法によつてこれを行おうとすればいろいろな障害もあることは私は十分承知いたしておりますから、この点についての御研究余地をお与えしたい、こういうように考えております。ただ、今局長が申されました、まだ鉱害が起りつつある状況である、また採掘上層の、いわゆる二つの層だけが採掘されておる現状であつて、将来さらに第三層、第四層に及んでなお大きな鉱害が起るであろう、従つて一応鉱害が安定した場合に根本的な対策を考えたいというようなお考えではないかと今の御答弁で私は看取したのでございますが、その点について一応申し上げて、通産省の認識を改めていただきたいことは、地方においても中小炭鉱においてはそういう点があると思いまするが、亜炭のごとき、ことに零細なる鉱業権者が多い地方におきましては、いわゆる法の適用ということが非常に等閑に付せられるものである。鉱業法の中のいろいろな保安関係条項、あるいは鉱山保安法というものはあつてなきがごとき状態であると言つてもさしつかえないように思います。特にこの四月からは、これが全部取上げられることになるのですが、第三国人が経営しておる炭鉱が多いのである。これらについては率直に申しますならば、地元の各鉱山部においては手が出せないという状態でございました。第三国人が経営しておるところには坑内に入つて調査することも危険であるというような見解のもとにこれを放擲をしておかれたという事実も今まではあつたのでございます。そういう点から、当然保安法等によつて実施しなければならない鉱業権者の適当な措置というものが講ぜられておらない。そのために最近の採掘箇所においてもさらに鉱害が起りつつある、こういう実情にあるのでございます。従つて鉱業法あるいは鉱山保安法というものの処置が大体において完全に通産局指導によつてとられておるならば、今後の鉱害というものはある程度防ぎ得るというふうに私は見ておるのであります。だからしてそういう点については、特に通産省当局地元通産局を督励しまして、十分なる監督指導を行つていただきたい。そうして鉱害を未然に防ぐという措置を講じていただきたいということを、私はこの際強く要望しておきます。  それからもう一つの問題は、臨時鉱害復旧法では、今局長がおつしやつたように鉱業権者鉱害被害者地元自治体と、三者一体となつての協力がなければ復旧事業がなかなかできない、こういうことでございます。そこで該鉱業権者が言を左右にして協力しないということになりますならば、これは実施できないということになりますので、そこで鉱業権者が不明である、あるいはまた零細企業者のために実力がない、というような点があつたといたしますならば——私は必ずしもそうではないと考えます。だからその点はさらに十分なる御調査を願いたいと存じますが、もしそういう点の障害のために、これの実施が遅れておるといたしますならば、おのずからそこに別の方法を考えて参らなければならない。場合によつては特別の立法も考えていただかなければならない。要するに通産省としての誠意は、今局長がおつしやいましたからしてそれを認めますが、法をたてにとつてこの重大な社会問題の解決を遅らせるということでなく、ほんとうにこの際誠意をもつて解決に当つていただきたいということを、重ねて要望したい。その点について簡単でけつこうでございますから、もう一言お答えを願いたい。
  7. 佐久洋

    佐久政府委員 ただいまお話のありました亜炭企業者が非常に中小企業であるという点は、これはもう私もよく承知しております。中小企業者であるという場合、いろいろ先ほど私が申し上げましたように鉱害が現在進行の過程にあり、さらに下層を掘つた場合に、その鉱害が倍加されるというような心配があるという問題を解決する方法には、技術的になるべく深部採掘をやるような指導をして行つたらどうかというふうに考えております。深部採掘をやる場合、ごくわずかな資本でもつて採掘することは困難でありますので、その場合やはり今後の経営としては共同組織というものを考えて行くべきではないか、実はこういうふうに思うわけであります。それから現在行われておりますのはきわめて上層地下三メートルというような極端な例がございますが、そういうところを掘つておりますので、それではどういう監督をいたしましても、これは地表の陥落は必然でございまして、それによつて生ずる鉱害賠償をしてもらい、かつ亜炭を掘つた方が利益があるかどうかという点についても疑念があります。そういうところの監督上の問題でございますが、これは確かに加藤委員からお話のありましたように、かつて第三国人が相当めちやくちやな採掘をやつて燃料不足のときに相当もうけて、それきりどこかに逃げてしまつたという点で、行政官庁としての過去の監督に不行届の点があつたということは聞いております。この問題が起きました後におきましては、これは私の直接の所管ではございませんで、鉱山保安主務局に十分の監督をしてほしいということをしばしば申出をいたしております。  それから先ほど申しましたことを重ねて申すことになりますが、鉱業法法律上の問題あるいは一般鉱害として扱い得るかどうかという法律手続上の問題、あるいは解釈上の問題にもちろんわれわれとしては論議を尽さなければなりませんが、そのために中小亜炭鉱害を放擲するというようなことはしたくない、こういうふうに考えております。     —————————————
  8. 大西禎夫

    大西委員長 次に貿易に関する件について調査を進めます。本件に関し、まず政府当局より日英支払協定の問題について説明を聴取いたしたいと存じます。牛場通商局長
  9. 牛場信彦

    牛場説明員 今回の日英支払協定は、その一番大きな目的支払協定の一年間延長ということでございまして、これは本年の十二月三十一日まで、一年間延長ということにとりきめができた次第であります。協定そのものにつきまして、若干の変更がありましたが、これはイギリス側為替管理のやり方が少しかわりまして、為替レートを大体バンク・オブ・イングランドの毎日の市場の相場を見ながら立てて行くということにかわりましたので、その建値にわが方でも同調して、その建値がある一定限度以上動いた場合に、こちらの方も円とポンドとの建値をロンドンの相場に応じて改訂して行くということにいたしたわけであります。これは実質的な変更ではございません。それから協定の裏打ちとしまして貿易の問題に話がなりました。御承知の通り昨年はイギリス連邦諸国の非常な輸入制限のために、わが方の輸出が半分近く減りましたので、今回の会談におきましても、先方輸入制限緩和を求めることを第一の目的といたしまして、初めからそれに重点を置いて話を運んだわけであります。先方日本側の希望に応じて、各植民地などに対して日本品をどれくらい輸入できる見込みかということをずつと問合せを出した模様でありまして、その結果が大体十二月の末ぐらいに集まり、数字の引合せということになりまして、大体片道二償九百五十万ポンドというような売払いの一応の目標ができたわけであります。ただ今回の会談は相手がイギリス本国英領植民地だけについて義務を負い、約束をし得る立場にあります。従いましてわが方としましても、約束しましたのは英本国及び英領植民地からの輸入についてある程度の約束をしておるということであります。そのほかのスターリング地域内の各独立国におきましては、これは一応の推定はできておりますが、しかし具体的にこれを実行に移す場合におきましては、ある国との間においてはあるいはなお具体的な話合いをしなければならないということが起ることと存じます、私どもの一番問題といたします輸入制限緩和については、私ども要求いたしましたことは、とにかくスターリング地域内の各国相互貿易がある程度特恵的な条項で行われることはやむを得ないけれども、その他の国かうの輸入ということについては、日本に対しても平等な待遇、一番いい待遇を与えてもらいたいということであります。それから大体その総額をきめることはやむを得ないけれども総額範囲内において品目別の区別をすることをやつてもらいたい、それから第三としまして、ことに日本からの輸出品のうちでは繊維品が非常に重大なウエイトを占めるのであるから、繊維品輸出制限することは特にやめてもらいたい。大体この三点を申しました。それからさららにつけ加えまして、香港、シンガール、それからアデンというような中継港については、これは全然制限をやめるようにしてもらいたいということを申したのであります。これにつきましても大体日本の言い分が通つたわけでありますが、やや制限が残りましたのは、先方植民地のうちで東アフリカ、それからジヤマイカ、サイプラス、この三つの場所であります。東アフリカにつきましては、これは先方にいろいろな内政上の理由がありまして、日本からの繊維品は特別に制限せざるを得ないということ、これははつきり申しております。それからジヤマイカとサイプラスにつきましては繊維品輸入一般制限しているので、日本もその例外となすわけにはいかない、だからほかの国と同じような制限に付するということでありますそれ以外の植民地、そのうちで一番大きなのは西アフリカ、すなわちニジエリア及びゴールド・コーストでありますが、これは一定の総額の中におきましては全然品目別の区別は設けないということははつきり申しましたし、それから香港、シンガポール、アデンにつきましては一応目標の数字はきまりましたが、これは決して最上の条件ではないのであります。これ以行つてもかまわないということを申しておりますし、日本品の再輸出につきましてはほとんど全部フリーにするということであります。スターリング地域向けの再輸出について若干の制限が残つておりますが、これはほとんど案質的にはないと同じでありまして、現に香港におきましてもシンガポールにおきましても、またアデンにおきしても、そういうような方針が政府の方で明らかにされております。きめたことは余部向うでやつてくれたという状況であります。それからさらに英本国におきましては、これは初めから制限なしに物を入れるということは無理でありますから、品目別の割当をつくりまして、できるだけたくさん割当をとるように交渉したわけであります。その結果総量におきまして千四百五十万ポンド、そのうちで新しい品物を七百七十万ポンド入れよう、それからさらに現在でも入つておる品物六百八十万ポンドを合せて千四百五十万ポンドという数字を約束したわけであります。この新品目七百七十万ポンドのうちでは、繊維品輸入がやはり一番大きいのでありまして、これは先方にとりましても非常に大きな政治問題であるために、日業の要求をのむことを渋つたのでありますが、最後に大体こちらの要求の七、八割はのむことになりました。繊維は全部で三百三十万ポンド、それにメリヤス類を入れますと三百六十万ポンドというわくをとつたわけであります。そのほかに陶磁器でありますとか、おもちやでありますとか、象牙細工でありますとか、紙製品、ちようちんのようなもの、あるいは豆電球のようなもの、そういう雑貨輸出を少しずつでありますがとりました。それからさらに向うで非常に好意を示しましたのはカン詰類でありまして、みかんのカン詰、それからさけのカン詰につきましては、これは一定のわくがありますが、このわくを越えても買つていいんだということを向うもはつきり申しておりました。これはむしろ日本側がどれだけ出せるかということによるだろうと思います。そういうような約束をいたしたのであります。  その対価として日本側が何を約束したかということであります。大体わが国の貿易構造から申しまして、英本国植民地に対しましてはこれは相当の輸出超過になつて、その輸出超過の分で、たとえば濠州でありますとか、あるいはニユージーランドというような国からの輸入をまかなうというかつこうになるわけであります。従いまして今回一応の目標としてきめました数字も、英本国及び植民地につきましてはこちらは約五千万ポンドほどの輸出超過という数字になつておるわけであります。従いまして先方から言えば輸入超過になる約束をするにつきまして、イギリス側からの輸出が去年以下に下まわるようなことがあつては、これはとうてい国内的に説明しにくい、どうしてもこれは去年のべースくらいは維持してもらわないことには、政治的にとても日本からの輸入制限緩和ということはできないということを当初からしきりに申しまして、その結果こういう数字になつて一応おちついたのでありますが、先方の気持はあくまでもつと売りたいということであります。日本がバランスした貿易をするには、すでにかせいだだけのポンドしか使わないということをはつきり申しましたので、それではしかたがないということにはなりましたが、自分たちの真意は、日本にはポンド品に対する需要がもつとあると思うしまた実際売れると思うのだということを最後まで申しておつた次第であります。従いまして対日輸出について日本からやはりある程度の約束をとりつけたいということは非常に執拗に迫つたところでありまして、その結果といたしまして結局約束いたしましたことは、いわゆる自動承認制の輸入でありますが、この輸入を四——九の外貨予算において継続するということ、その一定の額がございますが、その額の点は割合に小さな額でありますが、継続するということを約束いたしました。それから石油の輸入につきましてある程度の公正な割合をポンドに割当てるということを約束しました。さらに英本国からの輸入につきましては、毛輸物とオートバイそれからウイスキー、チヨコレートというようなものにつきまして、ごく少量でありますけれども、少しずつのわくをつけてくれ、それから植民地からの輸入といたしましては、綿花、塩それからコーヒーというものにつきまして、これも大体昨年の実績並のわくをつける、そういうことでこれを約束いたした次第であります。以上が協定の大要であります。  それ以外に小さな問題といたしましては、たとえば海運の問題について、日本が平和条約で約束した通りにやつてもらいたい、つまり差別待遇をしないでくれということ、それから映画から上る収入の送金にあたりまして、アメリカその他と差別待遇をしないでくれ、これは当然現在でも差別待遇はしておらないわけであります。新しい義務を負つたわけではございません。それから最後に通商航海条約のことにつきまして早く結びたいということを申したに対して、向うもそれを了承するということを申しております。これはそれだけのことで別にそれ以上の約束ではないのでありますので、とにかく日本が主張しておるということは先方でも十分認識はしておる次第であります。  この貿易の話と関連いたしまして金融の問題も議に上りました。御承知の通り日本が現在ポンドの手持ちが枯渇いたしまして、国際通貨基金あたりからポンドを借り入れておるような状況で、この際先方から幾分の金融的便宜を得たいということを申したのでありますが、先方は原則論としては絶対にこれは困るということであります。支払協定は決してクレジツトを与えるための協定ではないのであつて支払協定を結んだ相手方が、ある程度のポンドの操作資金というものを持つことは当然であつて、それがなくなつたからといつて、金を貸してくれと言われても困るということをはつきり申しておつたのでありますが、最後にこの点も折れ合いまして、一定限度の金融の便宜を得たわけであります。ただこれがきわめて例外的なものであり、かつこれ以上はやらないということもはつきり向うは申しました。  大要かような次第であります。
  10. 大西禎夫

    大西委員長 以上で政府当局よりの説明は終了いたしました。質疑の通告がありますので、順次これを辞します。山手滿男君。
  11. 山手滿男

    山手委員 ロンドンに行かれて、長日月非常な御苦労をされたことに対して敬意を表します。私ども勉強不足でよくわからないので、少し局長から御説明を承つてみたいと思つております。表面的にはこの協定はうまく行つたというふうに伝えられておるのでありますが、要はこの日英通商支払協定の問題は、今後に問題がかかつておるのではなかろうかと考えます。自治領諸国と今後個別的に話合うというふうなことに、まだまだ伏線を張つておるように思うのであります。日英協定の実際の具体的な実行者というのは、いわゆるユナテイツド・キングドムという線を包括しておるのか、自治領諸国というのはどの程度までかという、そういうところをまずお伺いしてみたい。そして英本国におけるこの協定の締結について、それらの自治領諸国は、どの程度まで具体的に共同の責任を負つてこの協定に参加をしておるものであるか、まずその辺を伺いたいと思います。
  12. 牛場信彦

    牛場説明員 スターリング地域に属する独立国というのは、つまり濠州、ニユージーランド、インド、パキスタン、南アフリカ、セイロンでありまして、いわゆるコモンウエルスに入つてない独立国は、ビルマ、イラクということになるわけでありますが、これらの国はこの場合については全然責任を持たぬわけであります。私どももこれらの国との間柄における輸出入については、全然責任を持たないということであります。もちろんこれらの国はおそらく本国からの通報は受けてもるのでありましようし、先方が数字を出して来た裏には、これらの国と相談をして出して来たと思われる節もあるわけでありますが、いわゆる協定上の責任というものは全然ないということであります。
  13. 山手滿男

    山手委員 そうしますと、ここに穴があいているように私は考える点があるのであります。一方的に日本側が相当の量を輸出し得るだけの大わくだけはとつた。しかし、反面に、二億九百五十万ドルの線でバランスを合せようということになれば、日本側はさらに大きな輸入をしなければいかぬ。しかもその輸入の品目については、今言いましたようにオーストラリアに対しましても、ウイスキーだとか、チヨコレートのようなこまかいものでありますけれども、いろいろな約束もしておられるようであります。片一方で、この輸入は大国と小国との関係になるので、こちらが履行を迫ることは非常にむずかしいのですが、向うが履行を迫つて来ることはやすいという関係になるわけであります。それらの自治領諸国がこの協定をすなおに受けられないというふうな事態が起きた場合には、どういうことになるのか、その辺をもつと詳しく御説明願いたいと思います。
  14. 牛場信彦

    牛場説明員 自治領からの輸入については全然コミツトいたしておらぬわけであります。今のウイスキーなどは、これは英本国からの輸入でありまして、濠州には関係のないことであります。ただコミツトしている点があるとすれば、自動承認制の継続を約束したという点であります。これは先ほども申しましたように、金額は非常に小さいものであります。しかも自治領からの自動承認制で入つて来るものは、総額としても非常にわずかなものであります。これは大して意に介する必要はないと思つております。それからまた自治領諸国との間柄におきましては、日本品に対して全然差別待遇をしない国が相当あるわけであります。ビルマとも協定ができまして、これには最恵国待遇を与えております。セイロンとかインドなどは、日本品には全然軟貨国扱いでありまして、最恵国待遇をもらつてないので、話をする必要もないと言えばないと思います。もし話をすれば、日本の方がもつと買わなければならないおそれもあるわけであります。従いましてもし話をする必要があるとすれば、これは濠州、パキスタン、ニユージーランドということになると思います。  それから南アフリカの関係の問題でございますが、関税問題はこの協定範囲外ということになります。結局濠州、パキスタンその他が一番大きな相手方になると思います。しかしながら先ほど申しましたように、こちらは何も義務を負つておらぬわけでありますから、もし向うが買わないならこつちが買わないでもちつともさしつかえないわけであります。現に本国と植民地に対しましては五千六百方ポンド近い出超の数字になつておりますが、こちらがこれについて自治領と今度交渉する心要があるということになりますと、その点は、こちらに十分行動の自由があるものと考えております。
  15. 山手滿男

    山手委員 今お話のありましたように、自動承認制の継続を約束されたようであります。これは今日の日本の外貨事情から行きまして、一つは金融の引締め、一つはいわゆる外貨予算の削減というふうなことによつて手が打たれて行くであろうかと思いますが、外貨予算の削減ということになると、どうしても自動承認制に手をつけなければならない、それは具体的な方策になるわけでありますが、その自動承認制を日英協定の線で継続することに約束されるといことになれば、勢い日本の全体の外貨予算の組み方についても非常な拘束がされて——今耐乏予算だとかいろいろ言われておりまするこういう予算、今後の物価の引下げ等についても、種々問題、支障が起きて来るであろうと私は考えます。金頭は非常に少いというお話でありますが、自動承認制のようなものを継続して行くことについては、これは協定の線から離れておるものはよろしゆうございますが、外貨予算が非常に苦しくなつておる。ある新聞の報道、そのほかによりますと、八月ごろには五億ドル程度にまで日本の手持ち外貨が減つて行くのであろう、こういうことが言われておるのですが、こういう自動承認制の継続を受諾するというふうなことについては、外貨予算の組み方に支障は起きませんか、ひとつ承りたいと思います。
  16. 牛場信彦

    牛場説明員 先ほども申しましたように、こちらはとにかく、向うの輸入について相当輸入方式の細部まで立入りまして、輸入を自由にしてくれということを要求したのでありまして、それに対して先方もこういうことを申して来たということであります。それが交渉の経過でございますが、自動承認制そのものにつきましては、私は元来これはいい制度だと思つております。ただこれが非常に思惑を誘発をしているという点、確かに功罪半ばしたところもあると思います。しかしながら今後の予算の引締め、金融の引締め等によりまして、国内の思惑けはいというものがしずまれば、やはりこれは維持して行く方がよい制度であると思つております。また約束いたしましたの、は四——九の予算についてだけであります。それも八月には再検討をやるということになつております。もしそれまでに心要が起れば、その際これを持出して、再検討する余地は十分あるわけであります。
  17. 山手滿男

    山手委員 たとえて言えば、パキスタンのような国でありますが、日本側が非常に多く輸入しておるのはいわゆるインド綿であります。六十何万俵も買つておりながら、実際には昨年度日本から綿布を買う約束になつておるものについても、一言を左右してライセンスをおろさない。すつたもんだ言つて、トラブルを起しておることはみんなが承知をしておるところであります。そういうところで日本側がさらに大きなわくをはめて、綿花を英領諸国から相当大幅に買い込むという強い約束をされるということになりますと、価格は非常に高くて、米綿に比べて比較的不利な条件のものを大きく買うということになるのであります。私はこの綿花のようなものは、大きな総わくの中に入れてこれを交渉すべきではなくて、むしろそれに見返るものはこれだということで交渉しなければ、非常に弱かつたんではなかろうか。綿花を入れる以上は、その見返りとして綿布を入れろ、こういうふうな線の方が非常によくて、今のようにいろいろ心ずしも日本の緊縮財政にマツチしないものまでも含めての対象に綿花をいきなり頭から出して行かれるということについては、日本側もに相当な犠牲であつたと思う。これはパキスタンとかインド、そういうふうな諸国はこの綿花が非常に大きなものでありますが、この綿花というふうなものについては、非常に日本に引取りを強要して来る。それにからんで向うが輸入をするものについては、比較的渋るという事態が起る可能性が当然ある。この日パ協定そのものを実行しつつも、ああいう協定に背反したような態度をとつて来ておるのでありますから、そういうことがあると思いますが、その点これは非常に重要な問題でありますから、どう考えるか承りたいと思います。
  18. 牛場信彦

    牛場説明員 今回の協定はパキスタンものの買付は少しも約束しておらぬわけであります。約束しましたのはウガンダからの綿花買付でありまして、これは従来は英本国の一手買付になつておりましたために、日本が買いたくても買えない事情にあつたのであります。これはむしろ米綿あるいはエジプト綿に代替するものでありまして、これにつきましてある程度の輸入約束しましたが、これは日本の綿紡の状況から申しまして、容易に消化できるものだと思つております。もとよりその見返りとして、こちらからほぼ同量のものが輸出できることになつております。パキスタンにつきましては何も約束がないのでありまして、昨年の協定実施上遺憾な点があつたことは、確かにその通りであります。本年は十分注意をいたしまして、そのようなことのないようにいたしたいと思います。
  19. 山手滿男

    山手委員 その点は了承いたします。それから例の石油の問題だけは、向うがいろいろなことで注文をつけて来たようでありますが、この委員会でも先般来イランの石油の問題が非常な問題になつて、社会党の同僚議員からも非常に熱意をもつて話がされておりましたが、ポンド地域からの石油輸入について、相当大きなわくをとつておくという、わくをつけるという約束をされたようであります。これは世界の石油業界におけるカルテルの現状から見れば、こういうことが非常に深刻に行われることは想像できるのでありますが、この石油はどこから輸入をされるものでありますか。英本国から輸入をされるというものであるならば、その地域はどこから買い付けたものを輸入をするというのか、承りたいと思います。
  20. 牛場信彦

    牛場説明員 この石油は、協定の本筋から申しますとやや例外になつておりまして、要するにポンド地域といいますのは、イギリス系の石油会社の支配している石油のことをさして言うのであります。これはイギリスの為替管理法上におきましても特例になつております。従いまして、たとえばアラビアから来ようと、あるいはまたどこかほかから来ようと、地域というよりは、イギリスの石油会社の支配している石油について、ポンド払いで買うということになつておるわけであります。今回先方協定いたしましたことは、要するに日本の全石油輸入量の中で適正なだけの割当をする——これは今年一年のことでありますけれども、そういう約束をしたわけでありまして、その割合は従来の実績等に比べまして、決して多過ぎる割合にはなつておらないと思つております。
  21. 山手滿男

    山手委員 そういたしますと、そこで問題があるわけであるわけでありますが、いわゆるアングロ・イラニアンが待つておりますイランの石油というものも、当然この中に含まれて行くだろうと思うのでありますが、皆さんが協定を締結するためにロンドンにおいでになつておられるときにも、ここでもイランの石油に対してどういう態度で行くか、アメリカも割込んでイランの石油を買い付けようとしておる、直接買いをやろうとしておる。イラン市場というものは、日本にとつては開拓できる非常に大きな市場である、しかも日本の一、二の商社が先鞭をつけておつて、対日感情もいいの、だから、英国を通して買うということでなく、直接イラン政府と交渉すべきであるという声が高つておつたのでありますが、そういうことについてどういう話合いであつたのか。イラン政府日本側と直接交渉して、直接輸入するという話合いはされなかつたものかどうか、話合いがもしされたとするならば、どういうことに向うが出て来たのか、お話を承りたい。
  22. 牛場信彦

    牛場説明員 イランの石油の輸入につきましては、昨年の五月でありますか、先方から日本がイランから石油を直接買うことはやめてもらいたいということを申して参りまして、それ以来本年の一月末をもつて輸入が打切られまして、現在では買つておらないわけでありまして、今回の話合いにおきましても、その基本方針は継続するということに、いたしておるわけであります。
  23. 山手滿男

    山手委員 そうすると、政府の昨年末来ここで御答弁なつたことと今の局長お話とは、ちよつと食い違いがあるわけでありますが、政府の方はちようど大臣も出席をされまして、今支払協定の改訂の問題で日本から代表が行つてるんだから、直接買えるようになるかどうか、その点についても交渉を進めさせ、そういう訓令を出すというようなお話であつたと思うのでありますが、そこでは全然そういう話には触れられなかつたのか、もし触れたとするならば、どういうような経緯であつたのか、その辺をもう少し御説明を願いたい。これは日本だけでなしに、日本は石油については完全な消費国でありますが、アメリカのような国さえここへ割込んで直接にこのイランの石油を買えるように工作をしておる。この日英支払協定の改訂するチヤンスは、その問題を解決するのにいいチヤンスであつたと思うのでありますが、それがされなかつたものか、もう一ぺん御答弁をお願いいたします。
  24. 牛場信彦

    牛場説明員 私どもロンドンにおりますときに、確かに外務省から訓令が参りまして、向うと話はいたしたのでありますが、とにかくもうしばらく待つていてくれないか、現在話も進んでおることであつて、近く解決する見込みもないではないのだから、もう少し待つてくれということで留保にした次第であります。
  25. 中崎敏

    中崎委員 この点は非常に重要な問題だと思います。先ほど局長お話がありましたが、昨年の五月にイギリスの方からイランからの石油を買わないでくれという申入れがあつた、それが今年の一月でとにかく一応の契約のものといいますか、実行の過程のものは完了した、その後それを了承して向うから買付けしないということにした、今回においてもその通りに承認をして来たと言われたと私ども解釈するのでありますが、それにかわりないか、もう一度確かめておきたい。
  26. 牛場信彦

    牛場説明員 買わないということにつきまして、もちろんわれわれは非常に困るということは十分申したのでありまして、従いまして買わないということは書いてありません。しかし買えば何かそこに不利が起るというふうになつておるわけであります。
  27. 中崎敏

    中崎委員 言いかえますと、買わないということが書いてあるないの問題じやない。決定の中には精神的の意味ももちろん含めてでありますが、すべてが関連して、買わないというような結論がつくようなふうに決定されて来たのかどうかお聞きしたい。
  28. 牛場信彦

    牛場説明員 その通りであります。
  29. 中崎敏

    中崎委員 この問題、非常に重大でありますので、先般来通産大臣並びに外務省の方から出て来て言いましたこと相当食い違いがあると思うのです。そこでここへ通産大臣並びに外務大臣の出席を要求して、この問題を徹底的にひとつ検討して行きたいと思います。さつそく委員長の方でそういうふうにお運び願いたいと思います。
  30. 大西禎夫

    大西委員長 一応連絡いたしてみますから、その後に御返事をいたします。
  31. 山手滿男

    山手委員 その問題はあとでゆつくり、ひとつ専門的にお聞きしてみたいと思います。  次に局長にお伺いしたいと思うのであります。政府が新年度の外貨予算に関して作業し決定をいたしておりまする線は、大体二十一億ドル前後の貿易収支でありますが、今のお話でございますと、二十一億四千万ドル前後では日本輸入はなかなか押えられなくなる、外貨予算がそういう線では組めなくなる、こういうふうに考えておるのであります。ということは、日英支払協定によつて、やはり相当大幅な輸入を強制されるので、日本政府通産省が考えておるところの二十億ドルくらいで輸入の予算をチエツクして行くことが非常に困難になる、こういうふうな気がいたしますが、この点についてどういうふうにお考えになりますか。
  32. 牛場信彦

    牛場説明員 支払協定——この間話をして来ましたこととただいまのお説とはあまり関係がないと思うのであります。これは先ほどから申します通り約束しました限りにおきましては、日本の方が五千ポンドの輸出超過でございまして、たとい輸出が思う通りに行かなくても、そのために予算の規模が非常にふくらまざるを得ないということにはならないと存じます。問題は、要するに今の国内のでインフレ的といわれる傾向をどういうようにして押えて行くか、それについて金融財政の面がもちろん主導になりまが、外貨の面においても、どの程度まで締めて大丈夫かというところにあるわけでありまして、そういうわくが非常にふくらんだということはないということが申し上げられると思います。
  33. 中崎敏

    中崎委員 議事進行に関して——先ほど来通商局長のいろいろな御説明があつたわけですが、きわめて概念的で、その全貌をわれわれ十分に知り得ないのです。そこでこれを資料として近く提出されるよう要求しておきます。委員長の方でおとりはからい願います。
  34. 大西禎夫

    大西委員長 承知いたしました。それでは以上で本日は散会いたします。  なお次会は明後二十六日午後一時よりと予定いたしておきます。     午後二時五十五分散会