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1954-10-05 第19回国会 衆議院 地方行政委員会 第79号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年十月五日(火曜日)     午後一時五十九分開議  出席委員    委員長 中井  一夫君    理事 加藤 精三君 理事 熊谷 憲一君    理事 佐藤 親弘君 理事 鈴木 幹雄君    理事 西村 力弥君 理事 門司  亮君       前尾繁三郎君    保岡 武久君       山本 友一君    藤田 義光君       阿部 五郎君    北山 愛郎君       伊瀬幸太郎君    大石ヨシエ君       大矢 省三君    中井徳次郎君       松永  東君  出席国務大臣         国 務 大 臣 塚田十一郎君  委員外出席者         自治政務次官  石村 幸作君         自治庁次長   鈴木 俊一君         総理府事務官         (自治庁財政部         長)      後藤  博君         参  考  人         (広島市長)  浜井 信三君         参  考  人         (長崎市長)  田川  務君         専  門  員 有松  昇君         専  門  員 長橋 茂男君     ————————————— 本日の会議に付した事件  地方財政に関する件     —————————————
  2. 中井一夫

    中井委員長 これより会議を開きます。本日は地方財政を主題といたしまして調査を進めることといたします。本日は昨日の委員会の決定に基きまして、広島市長浜井信三君、長崎市長田川務君の両君が参考人として御出席になつておりしますので、これについて議事を進めることといたします。  申すまでもなく広島長崎両市原爆を受けた世界最初都市であり、まことに御同情にたえないところでありまして、被爆患者の一日も早き治療両市の完全なる復興とを切に祈念いたしておる次第であります。  私がここに申し上げるまでもございませんが、近時の地方財政はきわめて窮乏したしており、まことに憂慮いたしておるわけでありますが、特に他の市町村と比較して特殊な地位に置かれている両市におきましては、その被爆患者治療問題や復興対策問題につきまして、市の行財政に及ぼす影響が大なるものありと存ぜられますので、両市行財政の実情につきまして特に説明を承りたく、ここに御出席願つた次第であります。  両参考人に申し上げますが、本日はご多忙中わざわざ遠路御出席くださいまして、厚く御礼を申し上げますとともに、忌憚なき御説明をくださるならば幸いと存じます。  この際申し上げたいことがございます。すなわち小原国家公安委員長は本日出席さるべきはずでございましたが、明後七日午後一時半から同五時まででなければ時間の都合がつかないとの申出がありました。よつて警察問題につきましては、七日に小原国家公安委員長出席を得た上、あらためて進行いたすことにいたしたいと存じますから、さよう御承知を願います。  なお自治庁関係当局は、ただいまそれぞれ本庁から本院へ向け出発中の由でありますが、ただいま御出席になつておりますのは塚田自治庁長官でございます。  それではまず広島市長さんからお願いいたします。浜井参考人
  3. 浜井信三

    浜井参考人 私、広島市長浜井でございます。本日はお忙しい中を特に広島長崎に関する問題につきましてお聞きくださいまして、さらに両市の財政問題について御検討くださることを厚く御礼申し上げます。  さつそく御指示によりまして、私どもが今日当面いたしております二つの問題につきまして、お聞き取りを願いたいと思うのであります。お手元へ、時間を節約いたしますために資料をお配りいたしておきました。  今日お開き取り願いたい一つの問題は、広島市の建設状況でございます。お手元地図を配つておきましたが、広島市はこの地図の赤く囲んでありますところ約四百万坪をまつたく焼失いたしました。その他の区域の家屋等もほとんど原爆の爆風によつて大破いたしておるのでありますが、昭和二十四年に広島平和記念都市建設法が制定になりまして、その際この焼け跡の四百万坪につきまして、総合的な建設計画建設省とともに立てまして出発して参つたのであります、その延段状況は、「昭和二十九年九月、広島平和記念都市建設事業の進捗について」という資料をお手元にお配りいたしておきましたので、その資料について御説明申し上げたいと思いますが、その資料の終りの方に一覧表をつけてあります。当時これだけの焼け跡建設するにつきましては、総合的な建設計画を立てることが必要であるということから、大規模な総合的な建設計画を立てたのであります。それが最初の表にございます総額二百八十億という厖大事業費を持つ計画なのであります。もつともこの中には河川改修でありますとか、港湾修築のような、国が直轄事業としてやつておる事業も含まれておるのであります。こうした総合計画に基きまして、その表にございますように、とりあえず昭和二十五年度から広島平和記念とし建設事業五箇年計画というものを、建設省の承認を経て立てまして、昭和二十九年度までにこの基礎的な事業を遂行しようということで今日に至つておるのであります。その事業費総額は二十八億でございます。先ほどの総合計画に基きまして立てた基礎的なものだけを抜きとりまして二十八億という事業費を一応もくろみまして、それを政府補助金手持ち資金とで遂行して行くというので今年に至つておるのであります。しかるに昭和二十九年度、今年度最終年度当りますが、なおかつ相当事業が今日残されておるのであります。お手元に配りました資料の最後に「五箇年計画残」というのがございますが、十一億円千二百七十六万というような事業が今日残されておるのであります。私の申し上げるまでもなく都市計画は一旦出発いたしますと、これはもう変更あるいは修正はほとんど不可能なのでありまして、何といたしましてもこれらの計画は遂行しなければならない状態に相なつておるのであります。いずれにしましてもこれは今後をかけましてやり遂げなければならぬと思いますが、ここで政府補助金等が打切られますと、広島市は財政的にも非常な困難に遭遇することに相なりますので、かたがた建設省の方へ今後なおこの事業を継続していただくことを陳情いたしておりますが、当委員会におかれましても何とぞ事業継続について御配慮をお願いいたしたいと考えるのであります。  大体復興状況につきましては、はなはだ簡単でありますが以上にとどめまして、次に今日私どもが非常な困難にぶつかつておりますのは、原爆障害者治療対策の問題なのでありますが、お手元に「昭和二十九年九月、原爆障害者治療対策の概況」という資料をお配りいたしておりますので、これについてごらんをお願いいたしたいと思います。  広島市の原爆の直後にアメリカ日本政府では、厚生省と共同という触れ出しだつたのでありますが、共同事業として広島原爆災害調査委員会施設ができまして、そこで原爆障害者災害調査研究が行われて参つたのであります。これを私どもABCCと称しておるのであります。それはアトミック・ボンブ・キヤジユアルテイー・コミツシヨンの頭文字をとりました略字だそうであります。このABCCができますときに私どもは、ここにおきましてどういうふうな仕事をして行くのかということにつきまして、アメリカ側と折衝いたしたのでありますが、アメリカ側では、原爆障害に対する調査研究は行うが、治療はいたさないということであつたのであります。その際にも私は、仕事それ自体は非常に有意義なものであるといたしましても、市民の側から、言えば、調査研究よりも障害それ自体治療を欲しておるのであるから、ABCCとしても、治療をしながら調査研究を進めて、小行くことが、市民にほんとうに協力させるゆえんではないかということを強調いたしたのでありますが、ワシントンの命令で治療はできないのだということで、爾来治療はやつておらないのであります。向う言い分を聞きますと、日本にも医師病院もあるので、アメリカ側日本へ乗り込んで来て治療まで手を出すということはよくない、従つてABCCでは調査をして、その本人健康状態等をすべて記録に示して、それを主治医の方にまわして、主治医治療をさせるという方法をとりたい、こういうふうな言い分なのであります。しかしながら、ABCCに対しましては、研究対象となつております広島市の障害者の中にも相当反感がありますし、いろいろの問題を残しておりますので、先年私ワシントンへ参りましたときにも、ABCCの本部である学術研究所の方へ参りまして、この事情を訴え、障害治療を、やつてもらいたいということを強く申し出たのであります。当時その点については、アメリカ側でも十分に研究すると言つておりましたが、今もつて治療はいたしておらないのであります。  原爆障害者の問題につきましては、当初われわれにも認識不足な点が多少あつたと思うのでありますが、主としてあの原爆によりまして外傷を受けまして、非常に醜い顔になり、また手足の機能を失つておるような者がたくさんおりますので、これらの不自由な人あるいは醜い容貌等になつた人整形外科等を施して、できるだけそれの治療をやつてたらなければならないのじやないかというような、主として外傷患者関心対象が向けられておつたのであります。しかしながら、だんだん調査いたしてみますと、この原爆障害の問題は、外傷患者よりも、むしろ放射能影響を受けた内科的な患者に大きな問題があるということがわかつてつたのであります。従いまして、広島市といたしましては、昭和二十七年一月に市政調査員を使いまして、個別的に原爆障害の要治療者かどのくらいおるかということを調べてみたのであります。その結果、市内に約四千三十八名という数字が出て参りました。これらの者につきまして、医師会と協力いたしまして、順次その診断をやつて参りまして、その症状を調べることにいたしたのであります。だんだん調べておりますと、これは放置できない問題であるということがわかつて参りまして、さつそく市といたしましては、医師会と市と、各公立病院長等共同いたしまして、広島原爆障害者治療対策協議会というものをつくりまして、この協議会におきまして治療対策を講じて行く、場合によつては、協議会におきまして医師を手配して無料治療をやつてやるという態勢を整えたのであります。しかし問題は経費でありまして、非常に悩んだのでありますが、ハワイの同胞が広島市に送つてくれました寄付金の一部をとりあえずさきまして、その治療費に充てて、細々ながら治療を開始いたしたのであります。その後昭和二十八年八月一日からNHKの主催で、全国的な寄付募集運動をやつていただきまして、その結果広島市に三百五十八万円という金を送つて来られたのであります。それでとりあえず県、市が出しました八十万円の補助金と、直接に原爆障害者治療費に充ててくれと言つてつて参りましたこの金等で、今日までやつてつておるのであります。しかしながら、この治療費の問題は、これを市費あるいは県費で出すということになりますと、相当厖大金額が必要なのでありまして、財政的にも非常に困難でありますので、ぜひ国家において取上げていただきたいと考えまして、さきの国会に、原子爆弾による障害者に対する治療援助に関する請願という請願を行いまして、いずれも去年の八月に衆議院も参議院もこれを採択していただいておるのであります。そこにいろいろと今日までやつて参りました治療状況資料を簡単に載せておりますが、今後の問題といたしまして、政府並びに国会において御考慮をお願いしたいと思いますととは、大体われわれの調査に基きます推定で、広島市に治療を要する者が約六千人おると考えておるのであります。その六千人に対する治療費を、ぜひ国庫において負担していただきたい。繰返して申しますが、この問題はだんだんに、障害者を調べれば調べるほど、一つの人道問題であり、放置できない問題であるとわれわれは考えまして、これはどうしても個人の責任においてその治療をまかせておくべきではない。公共団体あるいは国が、どうしても責任をもつてその治療対策を講じてやらなければならないと考えております。これを地方において解決するとなりますと、後ほど申し上げますような非常な厖大経費がいりますので、地方財政上もはなはだ困難な点もございますから、ぜひ国家においてこれを御考慮願いたいと考えるのであります。大体その六千人につきまして概算いたしてみますと、六千人のうち外科的の治療を要する者が二千四百人、一人当り治療費が二万円かかるといたしまして、これが四千八百万円必要でございます。次に内科的の治療を要する者が三千人と見まして、これに一人当り五万円の経費がかかるといたしまして一億五千万円の金がいるわけであります。そのほかに眼科その他の患者がおります。これを六百人と見まして一人当り、一万五千円として九百万円の金がいるわけであります。総計いたしまして、広島市だけで二億七百万円の治療費が必要なのであります。  なおもう一つ問題がありますのは、これらの人たちは貧困な者が非常に多いのであります。治療をするといたしましても、ある程度治療期間生活保護の問題を考えてやらなければ事実上治療ができないという者がおるのであります。これを大体一割五分と見まして、一箇月に、五千円の保護費を与えるといたしまして、その総計が千八百万円に相なるのであります。今後これらの原爆障害者治療をやつて行くといたしますと以上申し上げたような経費が必要なのであります。しかしながら治療期間関係もあり、また医師の人数の問題等もありまして、これらの患者を一どきに治療して行くということはとうてい不可能でありますので、大体年間ただいま申し上げた金額の四分の一程度のもので、最も急ぐ者から治療を開始して行つたらいかがかとわれわれは考えておるのであります。この点につきましては、過般長崎市と協議いたしまして、双方の金額を合計いたしまして、政府並びに各政党にお願いをいたしたのであります。なお将来の問題といたしましてお願いいたしたいと思いますことは—大体今原爆を受けて生き残つておる者が全一国に十五万人いるはずでございます。十五万人のうち九万八千人が広島市に住んでおるのでありますが、これらの者のうちには、現在健康そうに見えましても、将来いつ放射能症を起して来るかわからないというようなおそれのあるものが相当あるのでございます。これらに対しましてはやはり適当な時期に健康管理をやりまして、時々本人健康管理をして行かないと—今日内科的な疾患を起している者でも、戦後しばらくは健康で過して来た者もおるのであります。最近になりまして非常にからだが悪くなつたというので医師の手にかけてみますと、やはり放射能症であつたというふうなものも出て来るのでありまして、将来の問題といたしましては、少くとも原子爆弾にあつた者については、健康管理の問題を考えて行かなければならないのじやないか、特に私ども非常に危惧いたしますのは、当時まだ小さかつた小学校、中学校の生徒でありまして、これらについては、ぜひ健康管理をやつて行きたいと考えておりますので、この問題も国会において御考慮をお願いいたしたいのであります、  なお地方財政の問題とは別個であり手が、たまたま原爆症とわれわれ称しておりますが、放射能症につきまして、今日治療を要する者だけでも広島市に六千人、原爆弾を受けた者は九万おるのでありますから、これらを対象といたしまして、将来放射能症に対する的確な治療対策を講じられるということは、国としても重要なことじやなかろうか。それにつきましてはそれらの研究機関広島市あるいは、長崎市に設置されるように、国家に要望いたしたいと考えるのであります。  以上はなはだ簡単でありますが、この問題につきまして、市といたしましても非常に悩んでおりますので、国家におきましてもどうぞ将来の御配慮をお願いいたしたいと考える次第であります。
  4. 中井一夫

    中井委員長 浜井広島市長の陳述は終りましたから、引続き田川長崎市長のお話を承りたいと思います。
  5. 田川務

    田川参考人 長崎市長田川でございます。  人体原爆の問題につきましては、広島長崎は同じような関係に立つておりまして、原爆を受けたのが八月六日と九日でございます。地形的な関係その他から被害状況その他若干の相違はございますけれども人体において、同じような結果にたつておるのでございます。大体の状況はお手元に「原爆による被害復興救護状況」として差上げてありますが、原爆直後いろいろな角度から調査いたしました結果、家屋の焼失した地区が約二百万坪に当つておるようでございます。原爆によつて直接焼失いたしました家屋が約一万八千戸。この中には全焼と全壊がございます。人的損害といたしまして、死体を確認したもの、その他昭和二十一年三月ごろまでにあらゆる角度から調査して確認できた数字が七万三千八百八十四人、直接原爆によつて生命を落した市民が二万三千人、こういうことになつているのであります。昭和十一年三月ごろ調べまして、なおかつ病院その他において治療を受けておりましたもの等を計算いたしまして約七万四千人、これは全九州にわたつて病院その他に収容して治療を受けた人でございます。そういうことになつておりまして、約二年くらいというものはもう何とも手のつけようがない、俗に言うぼう然自失の状態でございましたが、いくらか落つきをとりもどしまして、特に国会におかれましては昭和二十四年に、広島長崎復興のために特別都市法広島平和都市長崎文化都市としての建設法をつくつていただき、これにより政府の方にも向う五箇年間を区切つて広島長崎復興のためにお力添えを願うことになり、皆さん方の御同情によつてこれでどうにか長崎復興できるのではなかろうかということで、本格的な計画を立てたのでございますが、そのときに、主として戦災復興関係につきましては建設省の方で五箇年計画を立てていただきまして、広島と同じように本年度最終年度に当つておるのでございます。二十五年以降においては計画をお立て願いまして進んで参りました状況は、プリントの中の「戦災復興」という部分、「文化施設」という部分、「排水施設」「都市公共施設」「承要幹線街路」「文教施設」「住宅建設」「厚生施設」「港湾施設」こういうふうにわけまして、大体の計画を立てていただいたのでございますが、ただいまのところ大体五箇年計画の約七〇%程度が形の上においてはできておるようでございます。しかし政府の予算の御事情その他からいたしまして、形の上において約三〇%ほど残つたことにはなつておりますけれども、資材の値上がりその他によりまして、実際の進行状況は約五〇%程度ではないか。そこで現在におきましては、大体復興関係におきまして、国際文化都市、いわゆる特別都市法によつて建設を願いました部分といたしましては七〇%ほどできておりますけれども、これに要します費用の点は、最初計画願つた分残事業として約半分程度のものが残るのではないか、こういうふうに考えるのでございます。この点につきましては、同じプリントの中に「国に対する要望事項」として掲げてございます前段の部分がそれに当るのであります。数字的に当るのは省略いたしますが、大体そういうようなことにただいまのところなつておりますので、あと二箇年だけ御援助願つたならば、特別都市法のねらいといたしております復興が多少目鼻がつくのではないか、こういうように考えておるのでございます。特に当委員会皆さんにお願い申し上げたいと思いますのは—復興関係につきましては、他の戦災都市のお立場に立つておられる方々と、考え方によつては大同小異だということになるかと思うのでございますが、特に原爆関係におきまして御考慮を願いたいと思いますのは、ただいま広島浜井市長から述べられました原爆障害者治療関係の問題でございます。建設の問題にいたしましても、原爆によつて障害を受けた人々治療関係につきましても、私どもとしてこういうことを申し上げることは、今度は同じ国内において戦災を受けられた他都市立場から原爆による戦災も、あるいは爆弾もしくは焼夷弾による戦災も、戦災にはかわりはないのだといつたような観念と、肝原爆の問題についてかれこれ言うということは、アメリカ占領政策当時においては非常につたなかつたアメリカ側でこれを非常にきらつてつたという傾向が多分にございます。特に私一昨年の十一月に太平洋市長会議が当東京都において開かれしました際に、出席されたアメリカ側市長に対して、今後第三次世界大戦が勃発するような問題が起つたならば、各国は競つて原子兵器を使用するといつた問題が起るのではなかろうかと思われるが、今日アメリカ市民考え方として、原子兵器に対してはどういつた考え方でしようか、こういうことを尋ねましたところが、妙な顔をされまして—もうそのときに、なるほど原子なんということを言つちやいかぬのじやないかと直感いたしたのですが、黙考された結果、実は原子兵器に対しては、アメリカ市民としても、最初の間は広島長崎被害状況がつまびらかになるのにつれて、あまりにもつたなかつた—非常な恐怖の眼をもつて見ておつたのだが、今のアメリカ市民の輿論としては、今後の戦争が起つたならば必ず原子兵器は使えるものだというのが常識である、だから原子兵器が使われた場合の避難訓練というようなことに、われわれ市長としては全力を尽して、市民を指導しなければならぬということで、今そういう方向に向つておるという答弁を得たわけでございます。こういつたことからいたしまして、原子兵器ということをわれわれの方で品にすることは非常につたなかつた、そういつたことから、まだ占領当時はわれわれとしても努めて遠慮がちになつて、こういうこともあまり大びらに申し上げないというふうになつてつたのでございますが、占領が解けまして後にいろいろの方面から調査いたしてみますると、原爆によつて障害を受け、いまなお内外科方面にわたつて治療を要する人々の数が相当数に上つておる。これはこのまま放つてはおけないのだというので、広島とも御相談申し上げまして、相ともにこの原爆障害者治療対策についての委員会のようなものをこしらえまして、取調べをいたしました結果、一昨年の四月に長崎として調べました結果が、このプリントの中に書いておりまする通りに一千二百八十八名。これは長崎市内に現存した人々のみでございますが、この中には内科的疾患の分はほとんど含まつておりません。ほとんど外科的な治療だけを要する人々が千二百八十八名といつたような数字になつておるのでございます。その後例のビキニ環礁水爆実験による被害者方々症状その他がはつきりとなつて参りました結果、医者方面からもこの点について関心を持たれて、内科的疾患状況についてもあらゆる角度から調べてもらつておりますが、これは私どもの考えておつた以上に、十年たつた今日、なお原爆症として苦しんでおる方があるというような問題が次々に出て参つておるのであります。  そこで私の方といたしましては、一昨年、特に戦災を受けた学校地区で、戦災当時、いわゆる原爆直後において、一、二歳くらいの子供がただいまのところ小学校の二年か三年、四年くらいになりますので、その子供対象といたしまして—ある学校のごときは、その当時原爆の直接放射の被害を受けた地区子供だけを一クラス寄せまして、これに対して特に学校の先生、大学の教授と連繋をとられまして、あらゆる角度から—先ほど浜井市長が言われました健康管理のの問題について、児童の健康に及ぼす影響いかんといつたような方面を十分調べておられますが、知能的方面におきましても、あらゆる面において非常に劣つておるというような数字が出ております。これは外部に対するいろいろの問題がございますので、公表することは差控えておりますが、現在そういつた状況が出ております。  そういう関係から、これは、やはり相当原爆影響をこうむつた放射能による被害者が多数ある。こういうことで、実は一昨年から本格的に県、市、大学方面とも連絡をとりまして、これの治療その他に乗り出して来たのでありますが、案外費用がよけいにかかるのであつて、なかなか簡単に治療ができないというようなことで、現在の地方財政の切迫したところから、そこまで手が伸びかねるというのが、ただいま地方財政としての現状でございます。従いましてこの復興関係につきまして多分の費用を要しております両市立場といたしましては、特に人的被害に対する回復の他について、これは本来ならばもつと早くやらなければならなかつた事項でございまするが、そういうことでどうしても手が伸びかねておつたというようなことから、実は市費のみをもつてしてはどうしてもまかない切れないということと、ただいま長崎方面に内外観光客等が見えまして、あの実情を見られた結果、そこに三万なり二万なり、原爆の傷害者の治療費用に充ててくれといつたような寄付がございますので、そういうもの、あるいは私費といつた—昨年はNHKの全国助け合い運動ということで、全国の皆さん方の御同情のもとに若干の費用をいただきまして、現在大学の方が一本となつて主として治療に当つてくれておるというのが現状であります。ところがその反面におきましては、非常に生活扶助を要すべき家庭がふえて参つております。その中で、特に医療扶助の関係で今わかつてつておりますのは、原爆症によつて治療を要すべき医療扶助の患者相当ふえて来つつあるようであります。これについて長崎市として負担しております。医療扶助の関係は、全部ひつくるめまして、一箇月約四百万円くらい出しておるようでありますが、年額約五千万円くらい。それから一般の生活扶助関係について一億二千万円くらい出しておりますが、こういう点を考えて参りますと、直接原爆影響を受けた関係において、地方財政を圧迫するといつた特殊のものが、かなりあるように思われるのでございます。そういう意味におきまして、原爆被害者に対する直接の御計画なり、御援助の元締めは厚生省の方の管轄に属するかと存じますし、また復興関係につきましては建設省関係ではないかと存じまするけれども、一般的な地方財政に及ぼす影響は、こういつた特殊な面がございますから、この点特に地方行政委員会皆さん方におかれましても、地方財政に及ぼす影響を御考慮賜わりまして、この上ともの御援助を得たいことを切望いたす次第でございます。どうぞひとつよろしくお願い申し上げます。
  6. 中井一夫

    中井委員長 参考人に対しまする委員諸君の御質疑、またこれに関連しまして政府当局からの意見の発表というようなものを引続き進めたいのでありまするが、この機会に今回自治庁の政務次官として御就任になりました参議院議員の石村幸作君から、ごあいさつをしたいというお申出がありましたので、この際これをしていただくことにいたします。石村幸作君。
  7. 石村幸作

    ○石村説明員 貴重な時間を拝借して恐縮でございますが、この機会に、一言ごあいさつをさせていただきます。  ただいまの委員長のお言葉の通り、私先般自治政務次官に就任いたしたのでございますが、私そういう役柄には不向きだ、こういうことはみずから十分承知しておる次第でありますが、長年—長年と申しましても四年数箇月、地方行政委員として皆さんとともにこの地方行政、財政面に携わらしていただいた、そういう関係で、自分は非常に感激に満ちて就任さしていただいたようなわけであります。幸いに衆議院の地方行政員会の委員の皆さんもお顔なじみの方が多いのでありますから、どうかひとつ、この地方財政その他地方制度等非常にむずかしくなつて来たときでございまして、自分の責任も非常に重い、使命も重大だ、こう考えておりますが、よろしく今まで通り御支援をいただいて任務を全うさしていただきたい。特にこの機会にお願いいたしまして、私のごあいさつにかえます。
  8. 中井一夫

    中井委員長 次に両参考人のお話に対し、委員諸君の御質疑がありまするならば質疑を進められんことを願います。北山君。
  9. 北山愛郎

    ○北山委員 ただいまの市長さんたちのお話を聞きまして、終戦後九年たつて原爆の災禍を受けた都市復興ができておらない、また原爆症患者の方方に対する治療もさつぱり進んでおらないということに対しましては、まことに残念でございます。特にきようこうして市長さん方から、われわれがこのような問題について陳情を受けなければならぬということについて、何とたしに恥ずか」いような感じもするのであります、というのは、この原爆の物的な被害にしましても、あるいは、人間に対する、國民に対する原爆症被害にしましても、これは国の責任でやるのが当然、だれしもそう考えるだろうと思います。ところが、この原爆症治療に当つておるのは、国ではなくて、広島市の原爆障害者治療対世協議会というような団体であり、その財源としては、助け合いの義捐金であるとか、あるいは寄付金であるとか、そういうような金でまかなつておる。しかもまた、地方財政の中でも非常に乏しい中から出していただいておるというような実態でありまして、まことにこの点は残念に思うのであります。これはいろいろ事情があろうかと思いますが、今まで長い間に、おそらく当然のこととして、この原爆症治療に対する経費については、厚生省なり政府方面にこれを出してもらいたいということを、地元の市あるいは県におかれましては交渉されたことがあるだろうと、私は当然想像するわけでありますが、そういうことがあつたかどうか。そしてこれはどういう経過をたどつてそれが出ないのであるか、それをお伺いしたいのです。
  10. 浜井信三

    浜井参考人 お答えいたします。占領当時に、この問題は、先ほど申しましたように、当時われわれも多少認識不足もございまして、内科的なものにそうした重大問題があろうということは、あまり気がつかなかつたわけでございます。それで外傷を受けた者の、今機能障害を来しておる者とか、先ほど申しましたさように非常に顔面等が引きつつて醜くなつておる者の外科治療ということの方に、一般の関心があつたようでありまして、それらの問題につきまして政府にもお話したことがございましたし、GHQの方面にも話しましたが、はなはだ残念ながら、GHQにおきましてもほとんど取上げてくれないばかりでなくて、あべこベに叱られたようなことで今日に至つたわけでございます。
  11. 北山愛郎

    ○北山委員 この問題は担当は厚生省の関係でございますが、厚生大臣も来ておりませんので、責任のある担当者の御意見が聞けないのでありますが、塚田大臣がおいでになつておりますので、国務大臣としての塚田さんに御見解を承りたい。ただいまも御説明にありましたような、原爆症に対する治療というような非常に重大な問題、しかもこれは当然国が責任を負わなければならぬと思われるような問題が、このパンフレットによりますれば、今まで治療費に使われているのが五百万円にも足りない。しかもそれは助け合いの募金であるとか、あるいは県の方でも予算を五十万円出しておるというような、地方団体あるいは一般の募金という中から出しておるのでありますが、そういう形でやつて行くのがいいのであるか。これは当然政府の方から国の責任において予算をとつて、そうして原爆症に対する治療費を国が責任を持つて出す、あるいはその治療機関というものを直接に国が持つということが正しいと思うのですが、大臣は政府の国務大臣として、どういうふうにお考えになるか、塚田さんの御意見を承りたいと思います。
  12. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 私の所管の問題でもありませんし、従つて、今までにこの問題について特に研究をしてみた、調査をしてみたということもありませんので、何とも責任のあるお答えは申し上げかねるわけでありますが、本日両市長のいろいろな供述を伺つてつて、またただいま北山委員のお尋ねを受けて私の感じを率直に申し上げまするならば、今日の状態でまだこれだけの人たちが要治療者として残つておられる、しかもその治療も、相当まだ時間的にもひまがいるであろうし、金もかかるであろうということが考えられますならば、やはり御指摘のように、もう少し国としても何らかの措置をした方がいいのではないかという感じは確かにあるわけであります。
  13. 北山愛郎

    ○北山委員 ただいまの塚田さんの御意見に基いて、政府部内において急速にこの実現に努力せられるようなお考えがあるかどうか、重ねてお伺いいたしたい。
  14. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 これは私が努力すると言うことでありますよりも、本日の委員会のいろいろなお話を伺つたことその他を関係の厚生省に御連絡申し上げて、むしろ厚生省に指導的な立場において御判断を願い、またそれが閣議において問題になるときは、自分としても積極的に御協力申し上げる、こういう行き方をいたしたいと思います。
  15. 西村力弥

    ○西村(力)委員 このABCCというのは研究、調査にだけ当るということでございますが、広島では四十何万人、長崎では十何万人ですか、それをモルモツトにして研究するというのは世界一の研究だと私は思うのです。それに対して治療方をお願いされたというお話でございましたが、どうしてそういう方面に発展できないのか、こういう障害はどこにあるのかということを、ちよつとお尋ね申し上げます。
  16. 浜井信三

    浜井参考人 お答え申し上げます。先ほどもちよつと触れましたが、ABCCなりワシントンなりでの意向は、私どもには、治療までわれわれ行つてやるということは行き過ぎである、治療はどこまでも日本医師にまかせたいということで方針を立てた、こういう説明をいたしておるのであります。
  17. 西村力弥

    ○西村(力)委員 それはそれでいいですが、久保山氏の場合において、日本医師アメリカ医師がその診療団に加わることを拒否するから、ああいう結果になつたのだというような放言をやつておるのであります。これでは立場が逆じやないか、こういうぐあいに感じられる。しかし向う様のことですからどうもしようがない。ただ先ほど塚田長官が厚生省の問題だということでありますけれども、実際に地方財政か圧迫せられておるという、こういう現状が認められるとするならば、それに対する自治庁としての対策をどう立てるか、その点だけの自治庁長官としての御答弁を願いたい。
  18. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 これはもちろんこの全部の費用負担を当該自治団体において御負担になるということになれば、当然特別交付金などで考慮すべきものであると思うのであります。また今まででもやはり今までの政府考え方に応じていろいろ地方団体に、広島市なり長崎市なりが御負担になる分については、私も今記憶しておりませんが、おそらく今の制度、今の考え方のもとで応分の自治庁としての措置はいたしておつたと思うのであります。従つて今後何らかの新しい方法が考えられ、国からも補助金が出る。それに応じて地方負担も増加するということであれは、当然その面においてさらにプラスの考慮をいたしたい、こういうふうに考えております。
  19. 西村力弥

    ○西村(力)委員 ただいまの御答弁ですと、今までは十分に見ておるというぐあいでございますが、そうすると広島市、長崎市がヒューマニズムに基いて自分たちの住民を投げて置けないので自己負担でいろいろやつておる。そういうことは政府の関知するところではない、こういう冷淡な答弁に聞える。今まで補助金を十分財政的に見てやつたからそれで十分だというように聞える。そうするとせつかくの広島長崎市長さんあるいはそのほかのヒューマニズムに基いてやつておることが国の責任では全然ない。かつてにやつておるのだ、こういうぐあいに聞える。現実に地方財政が圧迫されておるという先ほどの陳述がございます。これまで裏づけをしておつた、こう一方的に仰せられることはあまりに冷淡じやないか、かように思われるのです。今後新しい補助金などが出た場合に考えるのではなくして、今までそういうぐあいに広島市、長崎市が真剣に住民の置かれておる不幸な立場を解消しようと努力しておる点についても、十分御考慮を願いたい。御答弁願います。
  20. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 これはたとえば何らかの措置をするといたしましても、今の制度の上で自治庁が考えるといたしますならば、たとえば復興の面で起債の面をどうするか、起債のわくをどのように特別考慮をして差上げるか、また治療の面で現実に御負担があるならば、それは特別交付金で見てあげるということになつてつたと思うのです。おそらく過去にそういうものを特別交付金で見ておつたか、またどの程度見ておつたか、私も今ちよつととつさのことで承知しないのですが、おそらく当時のそれぞれの事情に応じて応分の考慮はいたしておつたと思うのです。それが十分であつたかないかは確かめておらないわけであります。しかし今後もそういうことがありますならば、今日の財政のわくで許される範囲内においては一層積極的に考慮をいたしたい、こういうふうに考えておるわけであります。
  21. 西村力弥

    ○西村(力)委員 今までのことを具体的に鈴木次長に伺いたい。
  22. 鈴木俊一

    鈴木説明員 ただいま大臣から御答弁申し上げました通りでございますが、自治庁といたしましては、結局交付税のうち普通交付税では見られない特別な財政需要につきまして、長崎市なり広島市なりについて、どういう点を見るかということか第一に問題であるわけであります。この点は今ここに具体的な資料を持つておりませんけれども、従来とも両市につきましてはその特殊な事情からいたしまして、自治庁としては相当に考えて参つて来ておるわけであります。第二には起債の問題でございますが、起債につきましては二通りあると思うのであります。ただいまお話のございました両市の五箇年の復興計画に基いてそれぞれ、たとえば都市計画のことであれば、建設省事業をおきめになり、あるいは道路のことも建設省でやられるというようなことで、それぞれ公共事業費あるいは都市計画事業といたしまして具体的な事業がきまりますれば、それに対して補助金が出る、それに対応する地方負担は一般の起債をもつて当然見て行く、こういうことになるわけであります。これは一般の原則、国の行政のやり方を、この五箇年計画がその計画の線に沿つて実現できるように、できるだけ各省がそういう考え方補助金をつけてもらう、こういうことでございますが、自治庁といたしましては、単独事業の起債の配分にあたりましては、やはり同様両市の御希望の線に沿つて、要するにこれは五箇年の復興計画が基本になつておると思いますが、それに基いてこの事業に最も優先的に起債を充当いたしたい、こういう御希望の線に従つて単独事業の起債を割当てて来ておるわけでございます。もちろん全体として非常にきゆうくつな際でございますから、それらの御希望の線まで逃していないということもあろうと思いますけれども自治庁といたしましては、現在許されておりまする範囲内におきまして可能な限りの努力をいたしたつもりでございます。しかし今後ともさらに十分考えて参りたいというふうに思う次第であります。
  23. 西村力弥

    ○西村(力)委員 これでやめますが、市当局としましては投げて置けない、こういう気持でやられておる、あるいは一般の募金に訴えられて零細な金が集められておる。あるいはたまたま長崎をたずねる人か貧者の一燈を——貧者だかどうですか、そういうものを出して行く、こういう状態に皆の気持がなつておるときに、政府当局の答弁はどうもあまり事務的に過ぎるのじやないか、こういうぐあいに思われるのです。そうしてまた原爆被害からわれわれか立ち上つて行く、こういう点に熱意を加えることはただちに平和確保の非常な熟慮と通ずるものであると私は思う。それでただいまの御答弁にありますように、せつかくの犠牲を受けられた、最大の、そうして世界最初の犠牲を受けられた長崎及び広島市のそういう立上りには、ただいまの御答弁をほんとうに具体化せられるように希望して私は質問を終りたいと思う。
  24. 門司亮

    ○門司委員 ちよつと確かめておきたいのですが、今の鈴木次長の答弁だが、もし広島長崎に対して特別の取扱いをした、あるいは優先的にやつたというような事実があるなら、この際示しておいてもらいたい。
  25. 鈴木俊一

    鈴木説明員 ここに具体的の資料を持つておりませんので、また資料に基きまして御説明申し上げるごとにいたしたいと思います。
  26. 門司亮

    ○門司委員 私がそういう質問をしますのは、これはあとで長官によく聞きたいと思う一つのことでありますから、ここで深く聞く必要はないと思いますが、長官は八月十三日の閣議で地方の自治体の赤字の最も大きな原因は政府地方補助金あるいは負担金というようなものについての算定の誤りかあつたのだということを言われておるのであります。このことは広島長崎にただちに通ずるのではないかと私は思う。広島長崎の場合は他都市よりも非常に大きな財源を必要とする各般の仕事を持つておる。従つてそれに対する政府の、厚生省あるいは建設省関係からも普通の都市と違つた補助金なり負担金をやはりなされておると私は思う。従つて両市の負担はそれだけ多かつたと私は思う。政府の予算の見積りに誤りがあればるほど地方負担というものはふえるのである。従つて今の長官並びに自治庁の意見を聞いてみますると、何か今までもやつてつたと言われますが、そのやつてつたことはやつてつたに違いないのだが、実質的なもの、実際的なものが、長官も認められておるような形で非常に大きな差かあつてその差を長崎並びに広島が負担しておつたとすれば、他都市よりも事業の多いだけ、いわゆる補助事業の多いだけ、自己負担もやはりふえておるということが、私は言えると思う。従つてその面が両市の財政圧迫になつておるのではないかというように考えられるから、そういう面について特別の考慮がされるべきである。ただ事務的に考慮するとかあるいは事務的にものを考えるだけでなくして、政府がめんどうを見なければならないような仕事があれはあるほど、地方の自己負担というものはふえておる、こういう観点に立つて処理さるべきが妥当ではないかと考えられるのであります。従つてそれらの問題についての、今までのものは今はわからんと言われれはやむを得ませんが、将来の問題等についてはそういうことを考えて、両市に対する財政的の処置をされるようなお考えがあるかどうか、これだけ聞いておきたいと思います。
  27. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 抽象的に考えますと、私も門司委員のお尋ねになつておる点ごもつともな点があると思います。ただ具体的にはたしてそういう事態が広島及び長崎であつたかどうか、これは先ほど次長からもお答え申し上げましたように、なお資料を調べた上で、そういうものか一層よけいにこの両市の財政の圧迫になつてつたかどうかということは、調べた上で後ほど十分検討し、またそうであるならば今度の一般的な対象の際にあわせて対策を立てたいと考える次第であります。ただ今までの行き方から申しますならば、こういう特別の事業は特別の事業として考えるという考え方でおつたものでありますからして、ここのところへつまり特別交付税もしくは特別平衡交付金で考えるときに、そういう他の面の不足まで考えるというところまでは、今までの行き方がなつておりませんでしたので、先ほど次長からお答え申し上げましたように、災害による部分はいろいろな面を含めて、おそらくこの問題による費用も含めて、過去の配分の際には特別平衡交付金で考慮してあつたろう、こういうふうにお答えを申し上げた次第であります。なお十分検討いたしまして、後ほど御報告申し上げます。
  28. 中井一夫

    中井委員長 どうですか、両市に対する御同情の余り、種々の御意見のあることはまことにごもつともとは存じますが、本日は一般行政に関する問題か主題となつておりますから、この問題につきましてはこの程度で一応打切りたいと思います。
  29. 北山愛郎

    ○北山委員 議事進行について。先ほど塚田長官に御質問した原爆症治療に関する問題は、やはり担当責任のある官庁というのは厚生省でありますから、ひとつ日程が許すならは厚生大臣に来ていただいて、そして明らかな政府の見解なり方針というものを聞きたい、かように考えますので、委員長にさような処置をお願いいたします。
  30. 中井一夫

    中井委員長 了承いたしました。それでは一応この問題はこれで終了いたすことにいたしまして、北山さんの御意見につきましてはあらためて皆さんにお諮りをいたして決定をいたします。  浜井広島市長田川長崎市長、両市長さんに申し上げます。本日は遠路わざわざ御上京いただいて、貴重なるお話を承ることのできましたことをありがたく存じます。両市状態につきましてはまことに御同情にたえません。委員会といたしましても御趣旨にかなうべく、できるだけの御尽力をいたしたいと存じます。ここにつつしんで犠牲となられました方々の御冥福、また現に原爆のためにわずらうておられます方々の御健康の一日も早く御全快になるよう、さらに両市復興のすみやかならんことをお祈りいたしましてごあいさつといたします。ありがとうございました。  お諮りをいたします。ただいま北山君から広島長崎両市長の陳述に基きまして厚生関係の問題が出て参りましたから、この点を明らかにすべく厚生大臣の出席を求めたい、こういう御動議でございますが、いかがでございますか。
  31. 藤田義光

    ○藤田委員 実は厚生省所管の厚生年金を中心とした、いわゆる資金通用部資金的なものの扱いにつきましても、厚生大臣の御意見をいろいろ聞きたいことがあります。ぜひとも広島長崎の問題に局限せられず、厚生年金の問題等も質問いたしたいのでありますが、明日あたり大臣に出ていただきまして、当委員会で審議を続けていただきたい。
  32. 中井一夫

    中井委員長 お聞きの通り、ただいま藤田君から右ようの御意見が提出されました。この問題は厚生委員会において取扱うべき問題も当然出ます。しかしながらどんな政治問題でもすべて各方面関係のないものはございませんから、そういう意味合いにおきまして、当委員会の所管の範囲において厚生大臣の出席を求めてその意見を聞く、こういうふうにいたしたいと思います。御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  33. 中井一夫

    中井委員長 さように決定いたします。  なお出席の日取り等につきましては大臣の都合を伺いまして、そうしてこれを一両日のうちに決定をする、こういうことにおまかせおきを願いたいと思います。従いまして明日は町村合併を主題といたしているわけなのでありますけれどもつてそれ以外の問題にも当然及びますから、その点は何とぞ御了承を願いたいと存じます。
  34. 中井一夫

    中井委員長 引続いて一般地方財政問題について質疑を進められんことを望みます。
  35. 藤田義光

    ○藤田委員 先般政府におきましてはいわゆる新政策の立案を各省に命令されまして、各省の当務当局ではいろいろ研究されたようであります。自治庁におきましても関係者が大分苦労されまして、いろいろ研究中であつたようでございます。一方地方制度調査会も並行審議を続けられているようでありますが、自治庁として何か新政策に関しまして構想が固まつておれば、要綱だけでもけつこうでありますがお示し願いたいと思います。     〔委員長退席、西村(力)委員長代理着席〕
  36. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 先般自由党が発表いたしました新政策の中には、私どもの所管のものはないはずでございます。しかしそれとは別に、私ども自治庁の問題としていろいろ考え直さなければならない点も多々あると考えておりまして、制度の面、それから財政計画などの面、いろいろ検討をいたしておりますけれども、まだ具体的にこれといつて固まつたものはないのであります。ただ二、三先般大蔵省に三十年度の予算の折衝を始めます際に、いろいろとその予算要求の中に盛りました問題点が二、三ございますので、その点もしお尋ねでありますならば自治庁からお答え申し上げます。
  37. 鈴木俊一

    鈴木説明員 ただいま大臣が申し上げましたような趣旨のことでございまして、まだもちろん政府としては固まつたものでもないわけでありますが、来年度において検討し成案を得れば実現したいと考えておりますものの二、三を申し上げたいと思います。  その一つ地方財政の再建整備の問題でございますが、これはもうすでに当委員会で継続になつて御審議中のあの法案と同じ趣旨のものでございますが、これにつきましては政府としましてぜひ三十年度から実現をするように努力いたしたいと考えておるのであります。  第二の問題としましては、今の赤字の地方団体の問題に関連をいたしまして、また毎年地方の起債の中に公募債というのが財政計画上含まれておりますので、そういう公募債の償還を円滑ならしむる、また赤字債の長期債への切りかえということについて、これを円滑ならしむるというような趣旨から地方債の証券公庫と申しますか、そういうような趣旨のものを設けて、たとえば自治振興債券というような銘柄の統一されましたものを発行いたし、それによつて地方公募債の償還を容易ならしめるようにいたしたいということで、目下研究をいたしておるのでございます。  それから第三は税率の関係でございますが、地方道路税の問題でございまして、これは御承知のように昭和二十九年度においてとりあえず揮発油譲与税というものが実現をいたしておるわけでございますが、その中には道路五箇年整備計画の使途に充当いたすためのいわゆる四十八億の額のものと、地方の一般の道路の財政需要に充てますための三十一億の部分と両方あるわけでございますが、このうちの四十八億の部分は道路五箇年整備計画に充当されるものでございますからこれは別といたしまして、三十一億の部分は結局本年度におきまして揮発油税を一万一千円を一万三千円に、要するに二千円これを引上げましてその財源を充当した部分でございます。要するに揮発油税を増徴いたしました部分が、地方の道路の一般財政需要に充てる譲与税として三十一億あるわけでございます。この部分地方道路税というような形にいたしまして、揮発油税の二千円に相当いたします部分を、地方道路税として徴収するようにいたしまして、それを道府県道路の費用として譲与する、こういうような形のものを考えております。これが地方道路税であります。この点はなお建設省などと特に話合いをすべき点でございますが、そういう考え方を持つて自治庁といたしましては相談をいたしておる次第でございます。  特に主要な点の改革と申しますか案と申しますものは以上のような点でございます。その他は来年度特に新たなる見地から大きな改革をするというようなことは今のところ考えておりませんが、ただ地方制度調査会の審議がだんだんと進んでおられますので、地方制度調査会におきましていろいろ研究になります主題が、府県制度の改革ということに先般総会で御決定になりましたので、自治庁といたしましても地方制度調査会に諮問をするというような建前から、それらの御要求に応ずるような準備はして行かなければならない、こういうことでいろいろ府県制度に関する調査はいたしたい、まずそういうふうに考えておるのでございます。なお昨年地方制度調査会から答申になりまして今日に至りますまで、地方自治法の改正を中心とする改正につきましてはいまだ主要部分が実現をしておりませんが、その部分はでき得ますならは次の国会に提案をいたして実現をするように努力いたしたいというふうに考えておる次第であります。
  38. 藤田義光

    ○藤田委員 大体大蔵省と折衝中の予算に関連のある大きな問題は、地方財政再建整備法に関連したものと、地方債証券公庫あるいは地方道路税というようなことでありますが、地方債証券公庫と申しますものは、農林漁業公庫的な性格のものでありますかどうですか。もしこの公庫の資金額が予定されておつたり、あるいはどのくらいの陣容で、どういうふうに運用しようという腹構えがありましたならば、この際われわれの研究題目としてひとつお示しを願いたい。
  39. 鈴木俊一

    鈴木説明員 先ほど申し上げましたように、まだまつたく研究過程でございまして、具体的にこういう機構をもつてこれだけの資金を背景としてやつて行く、こういうところまで明確な腹案を実は固めていないのでございます。たた先ほど申し上げましたように、本年度も御承知のごとく地方財政計画に二百億の公募債というものが含まれておるわけでございまして、地方財政が赤字を出すか、出さないかということの一つは、やはりこの財政計画の上に見込まれております。公募債が現実化するか、しないかというところにかかる点が相当大きくございますので、これをどうしても現実化しなければならない。もしもこれがすべて政府資金をもつてまかない得て、公募債に頼らないでいいというなら、地方団体といたしましてはこれに越したことはないのでございますけれども、今日の状況におきましてはそれはやはり困難であろう、やはりここ当分そういうような公募債というものを見込まざるを得ないといたしますならば、それはやはり実現するためにはどうしたらよろしいか、こういう見地から考えておるのであります。ただ昨年の地方制度調査会で答申のございました地方団体中央金庫とやや似通つた案でございますか、この方では国と地方団体がともに出資をいたしまして、そうして預金業務も扱う、こういうような形になつてつたのでございますけれども、今考えておりまする地方債証券公庫についてはそういう形で拠金業務は扱わない、要するに地方債の共通の銘柄の債券を発行するということが主体であり、その債券につきましてはできればこれを政府が補償をするというようなかつこうにしてもらいたい、従つてまたその職員等につきましても、でき得ますならば、政府からごく若干の基礎的なものの出資をしてもらいまして、その職員も政府の職員、従つてその予算等も国会に提案をして議決してもらうというような形にしてもらつたらどうであろうかという程度のことを考えておりますが、これはまつたくまだ素案でありまして、今後さらに大蔵省等と十分相談をいたさなければならぬ次第でございます。
  40. 藤田義光

    ○藤田委員 地方自治体当面の大きな問題といたしまして、赤字財政の問題と機構の問題、それに先ほど陳情がありました合併町村あるいは今後の予定町村の対策であります。本年度末までの赤字財政対策に関しましては、昨日来の論議において何も表面化しておりません。この地方債のわくの問題あるいは昨年までのいわゆる平衡交付金制度と違いまして、交付税制度でパーセンテージが固定化して参りましたので、法律改正も本年度の赤字財政計画には間に合いません。しかし一方におきまして、地方自治体の赤字財政は、警察費等も関連しまして非常に莫大な額に上つて来ております。臨時国会も十一月末ごろには開かれる模様でありますが、本年度の赤字対策というようなものを、御研究は相当進んでおると思いますが、ひとつお示しを願いたいと思います。
  41. 鈴木俊一

    鈴木説明員 本年度地方財政の上では、いろいろ御心配いただいおりますように、警察費の問題が歳出の面におきましては一番問題であるわけでございまして、これは大蔵省、警察庁、自治庁三者の調査が先般ようやく終了いたしまして、今回の当委員会の開会中に、いわば生の資料を提出して御参考に供することができようかと考えております。しかしこの調査によりますと、大体先般二百五十億という警察費につきましての政府で立てました見込額に対しまして、百億余り上まわつて三百五十八億くらいの警察費が現実に計上されておるのでございます。この中には財源措置の問題として考えますと、要するに、政府の方針以上に出て計上しておりますものもございまするので、そういうものは財源措置の問題としては落して見て行くほかはないと思いまするし、また交付税の参りませんような地方団体の部分につきましては、これも落して見て行くというようなことでございまするので、この百億余りの開きというものを、さらに精細に調査をいたして行かなければならぬと考えております。その結果どの程度数字が出て参りますか、今のところまだ明らかでありませんか、出て参りました以上はその数字を何らかの方法によつて調整をしなければならないというふうに考えております。この警察費の問題が第一の問題でございます。  あとは歳入の面等におきましてやはり入場税の問題などもあるわけでございますが、これも実施後半年余りを経過して参つたわけでございまして、それらの実情から考えてみますと、徴収の状況相当努力を要するように思われる面があるようでございます。これはしかしながら法律の上で百五十五億五千万円は、もしも入場税がとれませんでも一般会計の負担においてこれを保証するということに相なつておりまするので、その辺の措置は、もしも入場税が予算の額に達しませんでも何らかの措置を講じなければならぬということを考えております。またタバコ消君税等も当初見込みました額よりも、やはりこれも落ちて来るように思われるのでございます。  そういうような点におきましていろいろ問題がございますが、さらに道路五箇年整備計画のうちの、先ほどちよつと申し上げました四十八億に相当いたします部分のうち十億だけは、すでに地方財政計画で見ておるわけでありますが、残りの三十八億の財源措置をどうするかということにつきまして、これは自治庁、大蔵省、建設省の間におきましてまだ最終的な財源措置に対しまする話合いが完了いたしておりません。これはすみやかに措置をいたして行きたいと考えておりますが、この点も一つの問題でございます。  なおこまかいことでございますが、国の事業に対する直轄分担金をいわゆる地方団体から国に対しまする交付公債に切りかえるということになつておりますが、その部分の利子等が若干残つておるのであります。そういうようなものの総体の地方財政の本年度の調整をどうするかということは、ただいま政府として検討中でございますが、警察費の最終結果の判明を待ちますころまでには考えを明確にいたしまして措置をするようにいたさなければならぬものと考えておる次第でございます。
  42. 藤田義光

    ○藤田委員 そうしますと、九州の東部あるいは四国方面に大災害があつたのでありますが、これによりまして地方財政の歳入欠陥がまた相当大きくなつて来る。これを予備費等で手当いたしましてももちろん足りませんが、特別交付金であまり食われますと、ほかの自治体に大分しわが寄つて来ますが、この方面の、いわゆる罹災府県市町村の対策は何か考えておられますか。
  43. 鈴木俊一

    鈴木説明員 災害復旧の問題でございますが、これは本年だんだんしり上りに災害状況が深刻の度合いを加えておりまする府県が相当あるわけでございまして、私どもといたしましても、その災害額の判明を待ちまして何らか処置をしなければならぬと考えているのでございますが、ただいまのお話にもございましたように、予備費をもつて賄い得ます限度でございますれば、その災害復旧事業費に対しまする地方負担分につきましては、現在の地方債のわくの中において処置できると思うのでございますが、それ以上に出てて何らかの災害復旧事業の処置が必要である、こういうような事態になりますれば、地方負担につきましては、それに対応いたしまする地方債をさらに増額する必要があろうかと考えております。お話のように、特別交付税をもつて賄うということにつきましてはおのずから限度がございまするので、そこにすべてを求めるというようなことはできないと私ども考えておる次第でございます。
  44. 藤田義光

    ○藤田委員 大臣にお伺いしたいのでありますが、先般大蔵省では大体一〇%程度の予算の節約を強行して、各省に相当はげしい命令を出しまして、大体それは実施されたよう品であります。たとえば水道等に関しましては一〇%の節約を命令しましたが、その後ゆるみまして、近く七%程度にして、三%は復活をしようというような動きもあります。この節約しました財源の中には地方財政の赤字補填のための新規財源を求めるということが可能ではないかと思うのでありますが、その点何か閣議等におきましてお話が出ておりますか。
  45. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 この節約いたしましたものは、きようの閣議でも若干そういう問題があつたのでありますが、やはり問題が出て参りますと、その都度都度新しく出て来た問題の重要さに応じて節約の解除ということをいたして、本年度中にその支出ができるようになつております。しかしどれくらいあつたか今ちよつと総額を記憶いたしておりませんが、相当大きな額になると思うのでありますが、節約されたときの気持は一般財政的に考慮もいたしましたでしようし、それにあわせて予備費の不足というものにも万一の場合備えておくという考え方もあつたのではないかと考えております。従つて地方財政の面で今後だんだんと検討いたして参りまして、どうしてもこの年度内に予算措置をしなければならないというものが出て参りますれば、予備費で賄われない、もしくは予備費で賄うべき性質でないものにつきましては、おそらくその節約の額が対象になつて、そこから幾らかとつて来るということになると思う。そのまま予備費を使うというわけには行きませんので、節約は節約、新しい要求が出ますれば補正予算を組まなければならないのでありますが、ただ補正予算を組む場合にも、節約によつて一応一兆のわくの中で控除してある部分があるわけでございますから、かりに追加予算を地方財政の上で必要としてこれを要求する場合にも、総体の財政計画の上では比較的大蔵省としても応じやすい立場におるのじやないか、こういうふうに考えるわけであります。
  46. 藤田義光

    ○藤田委員 この赤字財政に関連しまして、実は自治庁でも成行きによつては一番痛手を受ける問題は、合併町村の財政対策であります。たとえば熊本県におきましては、本年度内に三百箇町村ありましたのが、三分の一減りまして二百筒町村くらいになるという趨勢は確定的になつております。ところかせつかく合併いたしましても財政的に非常に苦しいというので、一部の合併を終つた町村にやや不安な雰囲気が出ておる。なるほど財政部においてはことし合併した町村の役場庁舎の建設等に対しては、最優先で起債を認めていただきまして、一部には非常に反響かあつたようでありますが、一般交付税がどうも予想より少かつた。先ほど陳情が参りましたが、直接数字の上で合併前の町村の合計と今回の交付税額を比較いたしまして、これが一番素朴な村会議員等に深刻な影響を与えております。それで年度末まであと半年ありますが、財政的な恩典を自治庁としては考えておるか、恵みの金ではございませんが、何かひとつここでせつかく盛り上つて来た合併の雰囲気をこわさないような手を打つていただきたい。これは町村合併促進法が予定した法の特典のわく内でもちろんけつこうでありますが、特に何か研究せられる用意はありませんか、どうですか。われわれも連日非常に深刻なお話を拝聴しておりますか、何かここで考えてみないといかぬのじやないか。たとえばこれは先の問題でありますが、特別交付税等で多少そういう合併後財政状態が悪くなつておるようなところには、あの基準を再検討していただきまして、従来の平衡交付金の基準もありまし、ようが、何らか合併に伴う地方自治体の立ち上りを強めるという方式を考えていただきたいと思いますが、御意見がありましたならば、お伺いしたいと思います。
  47. 後藤博

    ○後藤説明員 合併しました町村の交付税のお尋ねでありますが、これは私どもとしては普通交付税の場合には、大体合併後の町村の数字を集めて算定をするわけであります。従つて特別交付税の際にはもう一ぺん、ばらしまして、もとの合併しない状況においてもう一ぺん計算をし直します。その際差額が出たものをあとから追給する。こういうことにいたしております。ただ昨年よりも全体的に交付税が減つたものでありますから、昨年度とすぐ比較をされるとちよつと困るのであります。合併前の状況にばらして計算をしますれば、ほかの町村と比較して決して損にはならないわけでありまして、ふえるところが大部分じやないかと考えております。
  48. 藤田義光

    ○藤田委員 その点は了承しましたが、目下自治庁におきましてはいわゆる公共事業の起債お査定中であります。これは大体法律的に補助金額と同額とかいろいろきめておりますし、なかなか変更は困難とは思いますが、事業によりましては相当変動し得るものもありますので、さしあたり公共事業の起債の査定等におきまして、財政部において、不安を解消する方法もありはしないか、自動的に公共事業の起債がつくものもありますが、それ以外におきましても考慮の余地がありはしないか、一応理財課の方と御研究願います余地がありますかどうか、よく私もわかりませんが、財政部長のお考えがありましたらお伺いしたい。
  49. 後藤博

    ○後藤説明員 公共事業の起債の問題でありますか、これは私どもといたしまして市町村分は各県別に総額割当をいたしております。総額割当をいたしましたものを今度は各市町村の財政事情をにらんで県で配分する、こういうことに相なりまして、その際多少合併町村により多くをやるか、やらぬかということになりますが、財政状況をにらんでやつてもらいたいということになりますので、合併町村が財政状況が悪けれは起債の割当率は高くなつて参る、こういうことに相なろうかと思います。大体そういう方向に私は黙つてつても府県がやるのではないか、かように考えております。
  50. 門司亮

    ○門司委員 私はこの機会にごく簡単に一つ、二つお聞きしておきたいと思いますことは、町村合併から来る問題も非常に重要な問題でありますが、今年の地方財政のきゆうくつさというものは長官よく御存じだと思います。それで問題になりますのは、一体どのくらい地方財政にこの年度内に赤字が出るかというようなことの一応推定でもございましたならば、この際ひとつ発表しておいていただきたいと思います。
  51. 鈴木俊一

    鈴木説明員 先ほど藤田委員のお尋ねに対しまして、問題になります要点につきましては一応申し上げたわけでありますが、しからばそういうものかそれぞれどの程度の財源不足になるか、どの程度の欠陥を生ずるかということを、実はまだ私どもといたしましても固まつた数字を持つていないのであります。固まつたと申しますよりも一応とりまとめた数字を持つていないのでございます。何分一番重要な中心になつております問題は警察費の問題でございますので、これを早急に精査をいたしまして固めたいと考えておりますが、ただいまのところ御要望の数字はまだできていない次第であります。
  52. 門司亮

    ○門司委員 警察費の問題も問題でありますが、そのほかの費用としては特に社会専業関係の費用が大都市を中心として大体足りないであろうということは想像にかたくないのであります。それは御承知のように、都市に人口が非常に集中されておりますということと、それから都市には必然的にそういうことから来る生活扶助であるとか、あるいはその他の生活困窮から来る補助費というものか当然ふえて来るのであります。     〔西村(力)委員長代理退席、委員長着席〕 このことは政府の施策の中に非常に大きな欠陥と申しますか、問題がありまして、御承知のように生活扶助費等に対しましても、町村の段階においては大体国が全額見てやろう、市の段階においては八〇%見て、二割はやはり市が出せというようなことになつておりますから、結局裏から言いかえれば、町村が財政が楽だから、あるいは町村の方にそういう諸君が集まるのではないかという考え方もありますが、実際問題としてはやはり町村の人口は最近はそうふえていないのであります。これは特定の町村でありますが、ふえておるのはやはり大都市を中心としたところである。こういうところには予想外のそういう経費がいるのであります。われわれの推定から申し上げましても、あるいはある程度資料から推察いたして参りましても、大都市等のごときは結局二箇月分くらいのそうした費用が足りなくなるのではないか、今さしあたり足りないのではないのだか、来年一月一ばいくらいまで使えは、そういう費用が当初予算で考えていたよりも足りなくなるのではないか、こう推定してさしつかえないのであります。結局こういう費用がたくさんかさんで来ると思うのです。従つてそれに対する見通しも、警察だけの問題ではありませんで、われわれ必要だと思うのですが、そういう点について自治庁は何か考えておりますか。
  53. 鈴木俊一

    鈴木説明員 御指摘の失業対策の事業でございますとか、あるいは生活保護費の地方負担分でございますか、こういうようなものはだんだんと事業費ないし経費それ自体がふえる傾向にあることは御指摘の通りでございまして、従つてそういうふうにふえて参りますのに伴いまして、それに対応して地方負担も当然にふえて来るわけでございます。ただそのほか児童、生徒の増加に伴います、たとえば来年度からのいろいろな校舎の問題とか、そういうふうな問題もあろうかと思いますが、そういう予想される経費につきましては、本年度の問題としては地方財政の先ほど来申し上げましたような各種の要素を十分に勘案いたします際に、ただいま御指摘になりましたような経費についても、一応検討を加えてみたいと考えておりますが、それら総体を見合いました上で、考えてみたいと思つている次第であります。
  54. 門司亮

    ○門司委員 それからこれにやはり関連した町村の問題でありますが、ことに最近はなはだしいのは小さな炭鉱を持つております町村の実態であります。これは炭鉱がつぶれればそこから税金が上つて参りませんし、それから従業員の給料の遅配、欠配というようなことが、ただちに町村の財政に影響することは当然であります。そのことのために、まつた地方の町村というものの財政的の希望は非常に大きいのである。同時にそれらの町村では—ここに私福岡で出しております福岡日日新聞の「黒い飢餓地帯」と書いた一ページをさいて実情を報じております新聞を持つておりますが、これを読んでみますと、まつたくどうにもならないのた。それから先般ちよつと地方に参つて私の見て来ました範囲におきましては、小学校においても欠食児童が非常に多いということ、同時に持つて来ております弁当がひんぴんとして盗まれてどうにもならないということ。それから農民は農民で野荒しが非常に多くて、これもどうにもならぬということ。これはさつまいもの畑をやぶつ蚊に食われながら農民は番をしなければならぬ。ちようど終戦後の非常に苦しかつた時代と同じような様相を来している。これらに関しては、給食の問題は文部省の管轄だから文部省が知つていると言えばあるいは言えるかもしれませんが、しかしこれらのものは全部地方財政にしわ寄せされている。そして住民の電燈はほとんど全部切られておつてろうそくで食事をしている。はなはだしいのは、ここに書いてありますが、この町におつてはどうにもしようがないと、医者が町から逃げ出したということが書いてあるのでありますが、こういうことで、まつた地方の財政というものは住民のそうした生活の困窮と相ともに地方の財政も破綻しなければならぬような形が実質的にでき上つております。ことにひどいのは炭鉱地帯であり、それから造船関係を持つている都市であり、あるいは織物、繊維産業を中心として今日まで立つて来た都市が非常に財政的に困つておりますが、これらの問題について一体自治庁は何か手当をするなり、あるいはお考えになつているようなことがあるかどうかということを伺いたい。
  55. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 これはもちろん自治庁としましても一応所管の問題については当然考えなければならぬと思います。どれくらいの税の減収が起るかということも考えてみなければなりません。ただいつでもこういう問題—たとえば災害救助の問題か起きましたときも、自治庁が措置しますのは一番最後の総しめくくりということになるのでありまして、今具体的にそれらの土地へどれだけ金を出すというようなことには行つておらぬのであります。しかし政府といたしましては、お聞き及びでもありましようが、非常に頭を痛めているのでありまして、現に本日の閣議におきましても当面これらの失業対策といたしまして、先ほどちよつと申し上げました節約の解除、それから予備費の使用、それからそのほかを含めて約七億で約一万人のそれらの失業者を救済しようという案が本日通産省から提出されまして閣議決定になつたわけでございます。従つて自治庁といたしましては、それらの他の省所管の面でいろいろ打たれる対策というもの、そしてそれらの対策がどういう効果をあげて来るかということとにらみ合せて、やはり必要な時期に必要な措置を、ぜひしなければならないというように考えているわけであります。
  56. 門司亮

    ○門司委員 きわめて抽象的な常識的の答弁で、私どもとても満足するわけに参りませんが、一応そういうものがどう処置されているかということと、それからその次に聞いておきたいと思いますことは、最近の地方の赤字の原因としてあげられております大蔵省方面からの一つの見方に、知事が公選であるから従つて知事がいろいろな人気とりをやる、そのことのために必要以上の経費が支出されていることが、今日地方財政を圧迫している一つの原因だということを、つい十日ぐらい前に大蔵政務次官から直接私聞いたのであります。これは官公労の諸君と向うに参りまして、地方財政から来る地方公務員諸君の給与の遅払いその他のことを話しに行つて私立会いに参りましたときに、山本大蔵政務次官ははつきりそういうことを言つておりました。このことは行政の面にも、非常に知事官選の問題ともからんでおりますが、しかし大蔵省のこの意見を一体自治庁はどうお考えになつているか。自治庁長官のお立場としてお考えを承つておきたいと思ます。
  57. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 私もそういう意見はときどき聞くのでありまして、ただ私といたしましてはどこかの府県でそういう要因からして財政が膨脹を来しているというものも全然ないとは自分も言えない。つまり理事者の頭の考え方自体では、そういう危険性というものは起り得るように現在の組織がなつておりますからそれは全然否定はできないが、しかしそうでないところも多々あるからしてそれは一般的な議論ではない。どつかにあれば特殊なところに特殊な事情である。こういうふうに考えます。それでは赤字はどこから出るかということでありますが、これもしばしばの機会に私が申し上げているのでありますが、やはり原因、責任の観点から申しますならば、国が措置すべくして措置し足りないでおつた面もあり、また自治団体がもう少し自分の財政というものを考えて緊縮されてしかるべきものが緊縮が十分でなかつたという面もある。だからそれらの両面でひとつ直してもらわなければならぬ。また原因の点から見るならば、いろいろ自治庁におきましても赤字対策をしなければならぬものでありますからして、赤字の特に多いところを逐次に順を追うて調査をいたしておりますが、それらの調査の結果明らかにされた一般的な傾向としては、やはり人件費にもう少し節約してもらつてしかるべき余地があるのじやないだろうか。それからやはり特に大きく赤字を出しておられるところには、単独事業が少しやり過ぎられているという感じがあるのが一般的な傾向ではないか。そのほか個々の府県によりまして特殊な事情がそれぞれあるのでありますが、一般的な感じではそういうところに原因がある、こういうふうに今のところ判断をいたしているわけであります。
  58. 門司亮

    ○門司委員 大蔵省の意見についてはきわめて遠慮がちに何か当りさわりのないような答弁をされているようでありますが、このことはさつきも申し上げたように知事官選論が出ておりますこの際、非常に大きな影響を持つているのであります。地方の赤字というものをそういう角度から見ているという大蔵省の見解があるとするならば、私はこの機会にひとつ、ほかにも問題がありますので、委員長にお願いをしておきたいと思いますことは、大蔵省の政務次官なりあるいはだれかをここに来ていただきまして、赤字に対するほんとうの大蔵省の見方を私どももう少し追究する必要があるのじやないかというように考えておりますので、ひとつ次官なり事務次官なりにぜひ出ていただきまして、そうして大蔵省側から見た地方財政の赤字の原因というものを少し追究して行きたい。そういたしませんと、やはり次に来る再建整備法などの関係等につきましても、非常に大きな問題が残されると思いますので、委員長にはひとつ明日でも明後日でも大蔵省の責任者を呼んでいただきまして、そうしてなお赤字の問題々検討して行きたいと考えております。委員長にしかるべくおはからい願いたいと思います。  それからもう一つ、これも聞いておきたいと思いますことは、例の八月十三日の閣議における長官の発言の内容の中に、もう一つどもとして見のがすことのできないものが一つある。それは今お話のありましたような十分な補助事業等に対する単価の見積りや何かの誤りがあつて、そうして実態に沿わなかつたようなものがあるということは、われわれも概念的にも言えますし、また実際にもそうだと考える。長官のそのときのお言葉の中に——これは新聞でありますから必ずしも長官がそう言われたとは申しませんが、つまり国庫の負担金の未清算分がまだあるのではないかということを言われておると思いますが、もしそういうことがあるとするならば、これは大蔵省が地方にかけておる非常に大きな迷惑であつて、その額は一体どのくらいになつておるか、もし自治庁でおわかりになるならば、この機会にひとつ聞かせておいていただきたいと思います。
  59. 後藤博

    ○後藤説明員 未清算分と申しますと二十八年度の決算で未清算分で—二十九年度には払つておるのでありますが、年度区分から申しますと二十八年度に支払われていない、その額はたしか義務教育で私も十億くらいと思つておりましたが、大体八億か九億くらいあつたと思います。それは年度区分で申しますと二十八年度は赤となつて出て来るわけであります。そういうことかほかにもあるのじやないかと思つております。大きなものは義務教育であります。
  60. 大石ヨシエ

    ○大石委員 塚田長官にお尋ねしたいのですが、京都は七月より昇給ストップ調査中、現在見込みなし、これはどういうわけなんでしようか。私京都の出身ですからとても気になるのですか、どういうことですか、ちよつと聞かせていただきたい。
  61. 鈴木俊一

    鈴木説明員 京都につきましてはただいま御指摘のように七月にたしか非常に金繰りが苦しくなりまして、俸給の規則で定まりました支給自に俸給が支払い得ないということで中央の方にも参りまして、短期融資をしてもらいたい、こういう要望が強くあつたわけであります。ただ京都はいろいろ調査をいたしますと、財政全般として非常に苦しいようでございまするので、京都の全体の財政再建の処置を講じていただきたい、そういう見通しをつけなければ資金運用部の資金といたしましても、結局これはそれぞれの長期債等に充てるべき金でございますから、短期で三箇月間融資するはずのものが、なかなか三箇月では返つて来ないということになりますと、それだけ穴が明くというようなことで、命を管理する大蔵省側と申しますか、資金運用部の側といたしましては、やはりそこいらの償還の見通しをはつきりしてもらいたい、そういう意味で地方財政の再建計画をすみやかに立ててもらいたい、こういうような要望もありまして、私どももその点はそういうふうに考えて、そういう計画を立てた上でお許しをいただく、こういうことで、その後再建計画の樹立につきまして京都府と自治庁及び大蔵省の間に話合いがあつたのでございまして、そのうちに京都府とされましては若干他の方面から融通を得られまして、その俸給の支払いをとにかく了した、こういうような話でございます。最近はたしか再建麟がだんだん固まつてつておりまするので、大蔵省の方ではその融資に応ずるというような段階になつて来ておるのではないかと思いますが、具体的のことは私今ここにつまびらかにいたしておりません。大体そういうような状況でございます。
  62. 大石ヨシエ

    ○大石委員 鈴木さんにお尋ねいたしますが、何が原因でこんなに赤字になつたのでしようか。日本で一番赤字の多いのは京都府であるということを聞いておりますが、ある人が選挙演説で、これは自由党が悪いのだ、自由党の財政政策が悪いからして、そのしわ寄せでこうなつたと言つておりますか、もちろん自由党のやり方についてはいろいろ考えが私たちと違つおりますが、しからば全日本に京都府のように赤字を出しておるところはございますでしようか、いかがでしようか。京都銀行からも八億五千万円を借りておる。そうして一日に三十二万円の利子を払つておる。赤字財政ということはあえて京都府のみではありません。もちろん国のやり方が悪いことは私はよく知つておりますけれども、黒字のところもあるのですが、これは一体、どの点で京都にこんなに赤字がたくさん出たのか、どうぞあなた、専門家ですから教えていただきたい。
  63. 後藤博

    ○後藤説明員 私からかわつてお答えいたします。京都府の赤字は、二十八年度の決算見込みによりますと大体十八億ぐらいあるかと思つておりますか、全体の県のうちでは財政規模に比べて非常に赤字の率の高い方であります。赤字の原因でありますが、一番大きな原因はやはり教育費の問題だろうと思います。これは一般職員もありますが、つまり職員給与費が非常に高くなつております。高くなりました原因は、二十五年でありましたか、教育委員会と府と両方からベース・アップの予算が出まして、教育委員会の方は通つたのであります。そのときの差額は六千万円程度の差額であつたのでありまして、それが毎年ベース・アツプごとに増加いたしまして、最近は四億幾ら、五億近い差額になつて来ております。それが年々積み重なつて来ておりまして、それによるものが十億ぐらいありはしないか、そのほかは、五、六億のものは他の原因によるものであります。この給与が非常に高くなつておるということ、これは大阪の近所であります関係からいたしまして、ある程度はやむを得ぬかと思いますけれども、一般職員の給与がたしか大阪とほとんどわからない。それから学校職員の給与は、小学校は大阪と大体同じくらいでありますが、中学校は大阪より高いというふうに、全国的に見ましても非常に高い給与になつております。従つてその給与費に手をつけなければ赤字の解消というのはなかなかむずかしいのではないかと考えます。  そのほかの原因といたしましては遊興飲食税の問題でありますが、遊興飲食税の徴収成績が必ずしもよくもありません。従つてわれわれの方の基準財政収入としての遊興飲食税の見方と、それから向うの見方との間に非常に差額がございましたのです。その差額が相当ありましたのを昨年は多少補正をいたしたのでありますけれども、以前からその問題がありまして、大体大きな原因と申しますと教育費と遊興飲食税の問題を申し上げることができるかと思います。
  64. 中井一夫

    中井委員長 ちよつと今の御説明に私附加してお尋ねしたいのだか、今のお話のうちにあつた教育委員会と何かの差額が六千万円と言われたが、その差額というのは、はつきりもう一度おつしやるとどういうことになるのですか。
  65. 後藤博

    ○後藤説明員 御承知の通り、教育委員会は府とは別に予算案を提出する権限が教育委員会法にあります。それによりまして、ベース・アップの際に高いベース・アップをいたしました案を教育委員会から出したわけであります。府の方は普通のベース・アップの案を出したのでありまして、その差額は当時は六千万円程度であつたのでありますが、それがだんだん大きしくなつてつたということを申し上げたわけであります。
  66. 大石ヨシエ

    ○大石委員 それでは遊興飲血税についてもう少し詳細に説明を聞かしてください。
  67. 後藤博

    ○後藤説明員 先ほど申しましたように遊興飲食税は、交付金の時代でありますが、交付金の時代の基準財政収入の見方と、現実の京都府の徴収成績というものがあまりよく合いませんで、その現実の徴収の方が低い、その差額が二、三億たしかあつたと思います。そういうものが向うの京都府側といたしますれば、それは過大な見積りを自治庁がした、こういうことを言うのでありますが、われわれの方は所得税を基礎にしてやつておりますので、必ずしも過大でない、こういうことで、そういうものか二、三億程度つたと思います。しかしそれもいろいろ向う事情もわかりまして、昨年度の交付金の察には多少補正をいたしまして、その差は最近非常に少くなつて来ておりますので、知事さんが公開の席上では、その問題は過去の問題としておつしやつているようであります。
  68. 大石ヨシエ

    ○大石委員 遊興飲食税は私が調べた範囲では京都府が一番人頭割で高くとつております。それになぜこんな赤字が出るか私はふしぎでならないのです。三重県なんか遊興飲食税は非常に少いのです。あなたはどうお考えですか。
  69. 後藤博

    ○後藤説明員 おつしやいますことは個々の賦課が非常に高いということじやないかと思います。私が申し上げましたのは徴収率が非常に低いということでございまして、現実に賦課いたしまして徴収歩合が非常に低いということを申し上げたのであります。
  70. 大石ヨシエ

    ○大石委員 それからちよつと教えていただきたいのですが、麻雀を宿屋でやつているでしよう。あれはやはり一月五百円税金を徴収するのと違いますか、どうですか。たしか一台五百円でした。
  71. 後藤博

    ○後藤説明員 あれは徴収いたしておりません。
  72. 大石ヨシエ

    ○大石委員 京都府だけですか。
  73. 後藤博

    ○後藤説明員 麻雀を業としているものでありませんので、徴収は全国的にいたしておりません。
  74. 大石ヨシエ

    ○大石委員 しかし宿屋によつて一台何ぼで金をとつて麻雀させておつたら、それは業じやありませんか。そういうところに脱税があるじやありませんか。そうでしよう。全国的にとらなかつたらだめじやありませんか。昼日中麻雀をするようなものの税金はとるのかあたりまえじやありませんか。そんなぼやぼやしているからだめなんですよ。昼日中一時間何ぼでみな麻雀をやつておる。そしたら、これは明らかに業務ですよ。税金をとるのがあたりまえじやありませんか。そうして地方税をもつと豊かにしてやる、後藤さんもつとしつかりしなさい。
  75. 後藤博

    ○後藤説明員 私の所管でないのでありますが、麻雀を貸しまして、その貸料をとつてやりますと麻雀業に類似した行為になります。従つてその場合にそれが麻雀業ということに—それは宿屋だと思いますが、麻雀業的になれば、やはり麻雀屋と同じような意味で税金がかけられると思います。しかし現実には貸料をとつておるかどうかわからないので、課税漏れがあるかとも思いますけれども、現実にとつて、それが麻雀屋と同じものであるということを認められれば私はかかるものと思います。
  76. 大石ヨシエ

    ○大石委員 私のとまつているところは、元京都府の府庁の寮だつたのですか、現に京都府の吏員が毎日麻雀をしておる、それだのに税金を徴収していない。そんな、ばかなことがありますか。そうして赤字々々と言つている。そういうことをしつかりやらぬとだめだ。  それから私が聞きたいのは、今回京都府の交付税が少かつたその理由、ほかの県はどうでもいいから、京都一府の場合、これはどういう理由なのか聞かしてください。
  77. 後藤博

    ○後藤説明員 私どもももう少し交付税がたくさん行くかと思つてつたのでありますが、計算した結果、意外に少かつたので、どうして少かつたかその原因を検討しておるわけでありますか、やはり税収が伸びたために少くなつたのじやないか、かように考えております。
  78. 大石ヨシエ

    ○大石委員 税収が伸びたということは、どういうわけですか。
  79. 後藤博

    ○後藤説明員 府県民税とかタバコ消関税が入つて参りました。従つて税の総額がわれわれの考えていた以上にえた、そのふえたために基準財政需要額と基準財政収入額との差額を基礎にして交付税が配られます。従つて収入の方が多くなつて参りますれば、自然に交付税が減つて参ります。財政需要の方の問題ではなしに、歳入の方、税の収入の方がずつと多くなつて参りましたために少くなつてつた、かように考えております。
  80. 大石ヨシエ

    ○大石委員 塚田さんにお尋ねしますが、京都府知事は、塚田さんが不公平な処置をとつたために交付税が少いと言つてつておりますが、あなたはどうされたのですか。
  81. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 もし京都府知事がそのように言つておられるなら、それはたいへんな考え違いであるということを、この機会に私からはつきり申し上げたいと存じます。御承知のように、交付税をどれだけ差上げるかということは、今財政部長がお答え申し上げましたように、ある方式に従つて算出した纈を差上げることになるのでありまして、その算出した額はいかに長官の私でも一銭一厘これは左右できないということになつておるのが今日の制度でありますので、その間にまつたく恣意というものは加えられておりませんから、どうぞ御了承いただきたいと思います。
  82. 大石ヨシエ

    ○大石委員 京都府知事は、塚田さんを一生恨むと言つてつた。それに私も帰つたら話をせんなりません。それでそんな抽象的なことではなしに、もつと具体化したことを聞かしてください。あなたも一生恨まれたら損です
  83. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 私も京都府知事だけでなしに、だれからでも一生恨まれるということはまことに好ましくないことでありますけれども、しかし恨まれることがこわいから国の行政の仕方を曲げるというわけには参りません。この交付税の配分というものは、先ほど申し上げましたようにきまつた方式できちんと計算する。具体的にということでありますが、具体的な計算の資料を今持ち合せておりませんが、しかし財政部ではある数字を出しました場合には、必ずそれがしつかりした計算の基礎に立つてできておるのである、その数字が出ておるのであるということだけははつきり申し上げられるわけであります。
  84. 大石ヨシエ

    ○大石委員 もう一点後藤さんにお尋ねしますが、八億五千万円を京都府が京都銀行に借りておるというのはほんとうですか。そして一日三十二万円の利息を払つておるというのですが、これはほんとうですか、どうですか。あなたは御存じないのですか。
  85. 後藤博

    ○後藤説明員 大体七月の終りに七億だつたと思います。それから一億借りまして、その後どういうふうになつておるか私存じませんが、八億から九億の間ではないか、私はこのように考えております。
  86. 大石ヨシエ

    ○大石委員 それを一ぺん調べてください。
  87. 西村力弥

    ○西村(力)委員 ただいまの大石さんの地元の京都の問題でございますが、京都では昨年度いろいろ努力をいたして赤字解消を大体五億ぐらいやつたと私は聞いておるのですが、そういう努力を現実にやつておるのにかかわらず、なお一段と努力をしなければ金も貸してやらないというような無慈悲なやり方、これはあまりよろしくないと私は思うのです。やはり赤字解消の方向に向いていても、なおかつ自治庁としては強く努力を要求するのであるかどうか。そのために現在京都においては学年半ばで教員が児童の手からもぎ取られておる。こういうことは児童にとつてはまことに不幸そのものである。一年ごとに先生がかわつても、子供たちにとつてはその数日というのはまことに気がめいつた状態があるので、親としてはそれは見るにたえないことがある。ましてや学年の途中でもぎとつて行くということは教育上許せない。人の親である皆さんであるから、そんなことは言わぬでもわかると思うのです。それからもう一つは、税の滞納の徴収とか、そういう方面の努力が、未亡人の手内職にしているミシンまではぎとつて、そうして大蔵省や自治庁の御期待に沿わなければならぬというような状態にまで京都の実情は進んでおる。こういう状帳にしておいて、なおかつ冷酷にいかにしてなすのかというような、まるで無慈悲なお医者さんが瀕死の重病人を前にして、薬価をいかにして払うか、その契約をはつきりしてそのめどをつけないうちは注射を打つてやらない、そういうような態度に出るということはあまりに酷じやないかと私は思う。それで質問したいのは、現実にその赤字解消の努力がちやんと軌道に乗つているというのはそのまま認めるということは、大蔵省あるいは自治庁政府当局ではできないのか、それをひとつはつきりと御答弁を願いたい。
  88. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 これは具体的に京都府の事情もしくは京都市事情がどういうぐあいであつたか私は承知しませんけれども、一般的な考え方といたしましては、赤字解消の努力というものか納得できる線においてなされておるならば、短期のつなぎ融資その他の面におきましても、最大限の御協力を申し上げるという方針にいたしておりますから、おそらく京都府が昨年中解消の努力をされたけれども、なお本年具体的に問題になつたときに一層の努力を要請されたということであるならば、私ども立場から見ますと、もう少しやはり御努力を願う余地があつたということではないか、こういうように考えております。
  89. 西村力弥

    ○西村(力)委員 そういう話はあまりに抽象的な話でわからないのですが、現実に去年五億なら五億の赤字を解消したということは、努力の現われではないかと思うのです。そういうのに追い討ちをかけるようなやり方はあまりに芳ばしくない。そういう点を御調査になつているかどうかわかりませんか、私はそういうぐあいに聞いておる。
  90. 後藤博

    ○後藤説明員 京都府は昨年はなるほど最初相当の赤字解消をうたつてつたのであります。ところが途中で災害がございましたので、その赤字解消計画が大分ぼけて参りました。特に職員の整理は府下はやりましたけれども市内はほとんど手をつけなかつた、こういう結果になつております。これは知事さんは、やはり災害のためにそうしたのだ、こういうことをおつしやつておりますが、そういうことになつておりますので、ことしは全体的にもう一度やりたい、こういうことで整理の計画を新しく立てておるわけであります。消費的経費相当昨年ごろからやはり節約をされておるようであります。その額を私今はつきり承知をいたしておりませんが、これはどの東でも昨年ごろから非常に節約をいたしておられます。しかし私どもの開いた範囲では、昨年の当初立てました整理の計画よりも災害のために大分落して計画が実施された、こういうふうなことに相なつておるのであります。
  91. 西村力弥

    ○西村(力)委員 不慮の災害計画がずれるということは、これは天命であつてどうもしようがない。それまで計算に入れて、それでもやらないのはけしからぬという意見は私どもとして受取れない。各府県とも努力しているのですが、努力をあまり進めちやつて、私どもの県などでは県道の橋がバスの通つたあと自然につぶれてしまつた。バスが一丈以上もある高いところを通つているときにつぶれたらどうなるか。幸いにしてどうしたものか通つたあとで自然につぶれたから人畜に被害がなくて終つたのですが、そんなところまであまり努力したつて困るのは国民だけじやないかと思う。自治庁は一体人件費を相当目のかたきにしておりまするが、今年度の四月以降の各府県の一般職員及び教職員、そういう公務員に対する昇級昇格の実施状況はどういうようになつておるか。それから賃金の遅欠配はどうなつておるか。これに対する具体的な調査はおありでございますか。これは私どもの知つている範囲ではまことに極端な事象が現われておるが、こういう調査はおありでございますか。もしあつた自治庁調査をひとつ明日中にでも提出してもらいたい。
  92. 鈴木俊一

    鈴木説明員 地方団体の財政の状況が非常にきゆうくつであつて、俸給の支払いに非常に困難しておるというのは実は七月ごろの状況でございまして、そういう関係で定期昇給を通常通り行つておる団体と、一部を停止したりあるいは延期をしたりしている団体が相当ございます。これは七月三十日現存の調査でございますので、その後若干変動はあろうと思いますけれども、通常通りの定期昇給を行つておる団体またはその予定の団体は六団体で、三十団体が定期昇給を一部停止しておる、あるいは延期しておるという状況であります。なおそのほかに定期昇給は行わないという団体あるいはその予定の団体が四団体という、これは当時のごく概略の調査でありますが、そういう調査がございます。これは都道府県だけでございまして、市町村については実はそれまでの調査がまだできておりません。
  93. 西村力弥

    ○西村(力)委員 概略御調査になつておるようでございますが、こういう事態は法律に基いて当然昇給し昇格させなければならないことをやむを得ずやつておる地方自治体の理事者としましても、自分が使用しているそういう公務員の当然の昇給昇格をストップしなければならないということは、まことに苦しい次第だろうと思うわけなんですが、こういう状態に放置されているそのことが正しいと思うか、よいと思うか。自治庁としては、そういうことは一つの財政切かえのために、財政の現在の状況を改めるためにやむを得ない苦痛であるから見のがしているという立場をとつていらつしやるか。こういうことはあまり好ましいことでもない、であるからこの解消に向つて努力をしなければならない、かように考えておられるか、その考え方をお聞きしたいのですが、私がいろいろ自治庁側の御答弁やら何やらをお聞きしますと、とにかく自治体の方面において人件費を中心とする放漫財政が強いから、こういうことはやはり苦しくとも見のがして行かねばならぬ、むしろ内心は奨励して行かねばならぬというぐあいに思つておられるように聞いておりますが、自治庁側のこういう事象に対する見解をひとつお聞きしたい。
  94. 鈴木俊一

    鈴木説明員 地方団体の財政の状況はいろいろ御心配をいただいおりますようになかなか困難で、ございまして、昨年のベース・アップ以来相当きゆうくつの度合いがふえて参つたように考えております。二十七年の最近の一番新しい決算の状況で判断をして参りますと、地方財政計画と現実に支出しております地方団体の支出との間に相当のずれがございます。そのずれのうち、経営費に属する分を見ますと、約四百億でございます。ただそのうち、人件費と、庁費その他の物件費があるわけでありますが、この経営費の中で物件費の方は大体百数十億程度府県、市町村としては節約をいたしまして、それを今の人件費の足りない部分にまわしておるというような状況であります。従つてこの両者を見て参りますと、大体経営費におきまして二百億を越える足が出ておる。その足は結局今申しましたように、人件費が中心になつておると思うのであります。これは経営費の方の問題でございますが、臨時費におきましては、やはりそれぞれ若干ではございますが、単独事業なり公共事業なりの地方負担分というものが地方財政計画に比較して上まわつておるのであります。ですからこれを通じて申しますと、要するに人件費において決算と地方財政計画との間には相当に開きがある。また事業費におきましても、相当に開きがある、こういうことが言えるのであります。事業費の方は大体百億程度の開きがあるように考えております。事業費の方は、内容によつてなかなか節減できない面もあろうかとも思いますけれども、これはまずできるだけ節減していただかなければならぬと思うのであります。人件費につきましても、その原因を個々の団体について探究して参りまして、その原因が、たとえば政府地方財政計画において考えましたより以上に、ある時期において一斉昇給をしておるというようなことが原因であります場合においては、やはりそういうずれかその後数回のベース・アツプによつてだんだん大きくなつて来るわけでありまして、それが地方財政の上に相当大きくのしかかつて来ておるわけでありますから、そういう場合にはその人件費を調整するという努力をその団体がなさるのは、やむを得ない結果だろうと思うのであります。もちろん期待をいたしております昇給を延ばすとか、その割合を少くするとかいうことは好ましいことではございませんが、またそういうことがなくしてやり得るのならば、それはそれでけつこうだと思います。また、総体のその団体の財政として、政府の財政計画以上に給与の引上げをいたしましてもやつて行けるということが現実にあるならば、それはそれでもいいと思うのでございますが、今日いろいろ調査をいたしましたところ、やはりなかなかそういうような団体はないわけでございまして、いわゆる交付税をもらつていないような団体でもなかなかきゆうくつでございます。そういうところで、私どもとしては個々の団体の調査を具体的にいたしまして、同じような地域に存存する同じような規模なり構造なりを持つた地方団体相互の間において、非常に大きな特定の経費についての開きかある、あるいは特定の収入についての開きがあるというような場合には、それを相互に比較してどこにその原因があるかということを歳入歳出両面にわたつて検討して、それぞれその原因を解消して行くという努力をしなければならぬわけでございます。そういう趣旨で自治庁の方で調査をいたしました結果、所要の助言をいたしておりますがその助言は御心配のように人件費のみを目のかたきにするというようなことは決してございません。これは歳入の面にわたり、あるいは歳出のすべての面にわたつて、どれが問題であるかという点を指摘して、その点についての助言を申すのであります。ただたまたまその助言の結果が人件費に触れている場合が相当多いということは事実でありまして、そういう事実は、地方財政計画全体と地方全体の決算とを比較して見ますと、人件費の上において相当大きな開きがあるということを示しておると思うのであります。何回も繰返すようでございますが、人件費が圧縮されるということは決して好ましいことではございませんが、しかし今申し上げましたような具体的の実情に即する措置としてはやむを得ないことであろうか、そういう場合もあるというふうに考えておる次第でございます。
  95. 西村力弥

    ○西村(力)委員 ただいまの御答弁は、日本国民の敵というふうな答弁だろうと私は思う。それはなぜかというと、一体エンゲル係数が五〇%、六〇%で、これだけ食つたことはいけないといいますか。エンゲル係数が六〇%になつたのはお前らがいけないというかという問題です。われわれの生活費に充当すべき金が少くて、どうしても食費に六〇%かかる、これは決して国民の責めではなくて、もつと高いところに責任がある。しかるに食費を六〇%使うからお前らがいけないのだ、こういうのと一致する理論じやないかと思います。地方財政計画のわく内において人件費だけはパーセンテージが多くなつておる、だからお前らはいけない、これは結局自分たちがつくつたごまかしの地方財政計画を唯一無二、絶対のものとしているから、そういうことになる。絶対量によつて支配されて来ると、結局この金はこれだけいるのだからあとのところは締めなければならぬ、こういうことになつて来る。これは日本国民の生活の現状そのままじやないか、こういうぐあいに思われる。それとともに、自治庁の助言というものでございますが、先ほども京都の教職員の俸給が高いと言いますが、あの近辺は—この間ちよつとした用事で奈良県に行つたときに、私たち奥田知事にもお話したことがあるのですけれども、奈良県も大阪が近いものだから、教職員あるいはそのほか一般職員の給与は大阪並に上げなければ、大阪にどんどん吸収されてどうにもかなわぬということです。京都もそれは当然だろうと思う。そういう実情を見ないで、ただ単に大阪と比べて同じだとか少し高いとか、こういう観点から指導なさるなんというのはどんなものか。また山形県—私どもの県のことを言うのは不調法ですが、私の方の県の教職員の給与が高い、高いはずです。有資格者が非常な比率を占めていて、助教員、無資格者が少い、そういう実情にあるのを、教職員の給与の平均単価が高いからお前の県では人件費を多く払うということは誤りだなんということは、教育そのものを侮辱する言じやないか。そういう実情を考えずに、ただ単に現われた数字や何かだけによつて助言をするということは少し当を得ないことではないか。いろいろな例からさように考えられる。  ところで、先ほど今年度の赤字の問題に関する藤田、門司各委員の御質問に対して、警察費の警察法施行に伴う赤字、そのほか税収の見込収入減とか様々あつて赤字が出るのだから、これに対しては生のままをいろいろ検討し整理して対策を立てたい、こういうことでございましたが、こういう対策は、それだけにとどまつてそれで十分だと考えるわけには参らないと思う。現実に人件費やそのほかの事業費なんかに食い込んでいる圧縮を緩和するというところまでその規模を拡げる、ただ警察費はこれだけ詰めるからこれだけ見ればよい、ぎりぎりしぼつたものを出す、こつちの税の収入減はこれだけしぼつて、そこの赤字だけは埋める、これではやつばりだめなんだ。現在事業費や人件費に食い込んでおるのを相当緩和するというところまで、赤字解消の努力は進めてもらわなければならぬ、かように思うのです。今年度の赤字解消の点に関しては、そこまでひとつ努力してもらいたいと切に希望するのですが、それに対する御見解をひとつお伺いいたします。
  96. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 いろいろと伺つたのでありますが、少し誤解されておるところがあるのではないかと実は思うのであります。もし西村委員がおつしやるようだということになりますと、ある府県なり市町村が、これは正当なうなずかれる理由があつて金がかかつたものならば、全部国がめんどうを見る。またそういうぐあいに赤字が出ておるのは、全部国の責任だという結論になるというのでありますが、私どもはそうは思わないのでありまして、平たく申し上げますならば、私どもは自治一体がどのような予算をお組みになり、どのような支出をなさつても、これはその意味においては、自治団体でありますから何もさしずをする必要もなし、またする意思もないのであります。ただ今の制度は御承知のようにある線というものを頭に置いてそれに足りない分は国からめんどうを見て差上げるという機構になつておるものでありますから、従つてまた地方でも足りない部分は国でめんどうを見るべきだという考えをお持ちになるというときには、私どもとしましては、国がめんどうを見ると考えております線はこの線でございます、たとえば山形県の例で、非常に有資格者がたくさんおつて、給料が高いということであるならば、あるいはそこまで国がめんどうを見るということになつておりますか、もしなつていないとするならば、国がめんどうを見る分はこの部分までございますからして、それから上もしそれぞれの府県に支出が必要であるとするならば、今の機構では当該自治団体の住民の御負担でやつていただくようになつておるのであります。そういう考え方をしておるわけであります。従つてお出しになること自体を責めておるのではありませんが、もしそれを国でしりを見ろというお考えであるならば、ここまでやつていただかなければ、こうしてやつていただかなければどうにもならないのですということを助言や勧告で申し上げておるわけです。決して当該自治体がどれだけお使いになつておるかということを絶対的な姿において非難をしておるわけでは毛頭ないのでありますから、その点どうか誤解のないようにお聞きいただきたいと思います。しかしそうは申し上げましても、先ほど来しばしば申し上げておりますように、なお国の立場におきましても地方財政の赤字というものに対しては十分検討をし、調査をし、努力をしなければならない面が多多あると考えておりますので、その面につきましては、ひとつ今後とも努力して参りたいと考えるわけであります。
  97. 加藤精三

    ○加藤(精)委員 ただいま自治庁の次長から初めてわれわれが長年要望したような地方財政計画の立て方についてのお話を承つたのでございまして、われわれとしてはまことに欣快にたえない。こういう地方財政計画考え方をしていただきますようにと思つて、過去私たち新米としては二箇年間、そのほかの委員としては長年主張し続けて来たわけでございますが、自治庁におかれましては命がけで、そういうふうな考え方の実現をはかられるべく、ひとつ政治力を発揮していただきたい、こう考えておりますが、これに関しまして特に私が考えておりますことを申し上げまして、塚田国務大臣以下の御批判をいただき、また御意見も承つておきたい。そう思うことは、きわめて根本的なことでございまして、直蔵簡明にいろいろ乱暴な表現を使つたりいたすかもしれませんけれども、それはお許しを願いますことにして御答弁いただきたいのであります。と申しますのは、地方行政及び地方財政というものは自主性というものが一番大事なわけだ。これはただいま自治庁長官が言われた通りでありまして、何もかも地方団体の運営の悪いのまでみな国家責任であり、政府責任であるかのようなことを言うのはきわめて当らないことなんでございます。これは京都府が先生の俸給を高くし過ぎたということは天下周知の事実でございまして、それは京都府の財政力に比例して考えられることなんです。また同時に京都府の教育尊重ということも一緒に考えらるべきことでありましようが、単に有資格教員が多いか少いかという問題は、専門家の設によりますと全国にわたつて資格をあまり安売りし過ぎたかどうかという問題とも関係があるそうであります。要するに国の公務員制度全般と照し合せまして、公務員の労働の生産性というようなことに関連して考えらるべきものだとこう考える。しかしながら、いずれにいたしましてもこの自主性の喪失ということの根本の原因は税制にあると私は考えております。わが国の公の税金のうち約四分の一は国税である。専売益金を加えますと四分の三以上だと私は思うのです。しかも公の行政業務の分量は、国と地方団体とが一対一よりも、むしろ自治体の方が多いと思うのです。多いと申しますのは、国の財政は一兆でありまして、これはいつでも剰余金を生ずるのです。しかしながら地方団体は二十九年度地方財政計画のみをもつてしても九千六百億か幾らかであつて、実質的には相当な金を使つております。使う中に、地方財政にむだがあるとするならば国の財政にもむだがあるので、これは五分々々の言い分です。結局実際に使つておるものは一兆をはるかに越して地方財政は使つておるということは、地方団体に与えてある業務の分量が政府自身の業務の分量よりも多いということなんであります。しかしながらかりに国の仕事が一で地方団体の仕事が一だと仮定いたしましても、これは四分の二は国で税金としてとり、四分の一しか地方に与えないとするならば、その四分の一は国税から地方税にもどされなければならぬのであります。ところがその量はきわめて十分ではないのでございまして、しかもその四分の一はみな義務を伴うのでありまして、その四分の一というものを悪用されて、そうして地方団体は首を押えられ、手足押えられておるような状況でございまして、現在どこに地方財政の自主性ありや、地方行政の自主性ありやということが考えられるわけでございます。しかもこの税の配分でありますが、先ほど山形県の例が出たから申しますが、山形県のような場合は、農業に事業税がかけられないのにかかわらず、山形県は非常な農村県でありまして、しかも所得税から来るところのこの住民税関係にいたしましても、現在の政治米価から申しまして、三奨励金には税金がついていないのでございまして、それから響くところの県税の不徴収部分というものは相当なものでございます。そんな関係で、ガソリン税関係は使途を制限されておりまして身動きができない状況でございまして、九十何億の県の予算のうち県税でとり得るものは八億幾らしかないというのが現況でございまして、その県税はほとんど七割何分も学校の先生の俸給に使わざるを得ないという状況でございます。こういう哀れな状況にある地方行政を続けて行くということは、それ自身大分不自然なのでございまして、そういう点を特に考えていだたかなければならぬと思うのでございますが、りくつは抜きにして何よりも困りまするのは、府県の財政の自己負担部分は、現在では三十年度、三十一年度に関する限りどうしても教員俸給が非常な上りぐあいをするのでありまして、まさにピークであります。これは戦時中産めよふやせよという非常な大きな国策から生じた児童の増加であります。それが四、五年たちますと、今度は復員と同時に大量に子供を生んだこのピークが来るのであります。しかも現在の憲法におきましては、これは絶対に教育の平等を要求しております。必然的に府県の財政で最も自己負担分の税源を圧迫する教員の俸給と、それから市町村におきまして最も税の自己負担部分占領するところの学校建築、これが解決せられなければ結局地方財政は解決できない。しわ寄せがほかに行きまして、ことに私承るところによれば、長崎、尾道等のごとき一日に数時間しか水道の水を供給し得ない、こういうふうに市町村の住民に対するサービスが不十分なところもできる 結局この経費原則に従いまして、経営収入の一部は臨時費にまわせるというのが財政学の最も大事な点であります。ところが経営費を臨時費にまわさなければならぬとか、あるいは経営費中人件費を物件費にまわさなければならぬというこの病的な、財政学上最も不健全な状態は、これはすべて税の分配に起因している。またその税の分配の仕方にきわめて不合理なものがある。こういう日本の税の立て方の根本に基因している。しかもデフレ下におきまして前年中の実績ということをとる関係で、デフレ下におきまして前年の実績をとる住民税ないし事業税等におきましては非常な減収を来すのであります。かかる点もすべて大きく再検討されまして、とうてい交付税を一、二分上げましても何ともならぬのでありますから、ここでこの地方行政委員会が超党派的に想を練りまして、そして再軍備費を削ればいいじやないかとかなんとか上育つたつてしようがないのですから、(笑声)もうちよつとまじめになつて全部力を合せて、政党政派の区別なしにいい税制を立案さしていただいて、自治庁御当局、ことに非常に自由な考え方をなさる塚田国務大臣の御協力をいただきまして立案したらどうかと思うのであります。非常に笑う声が多いので私の質問はあまり当を得てないのかもしれませんが、ひとつ十分な御意見を聞かしてもらいたいと思います。
  98. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 いろいろな問題点があつたように伺つたのでありますけれども地方の財源に充てるものとしてもつと税をたくさん、しかもいい税をほしいということ、はまつたく同感であります。ぜひそういうようにしたいと思つて現在もそのように考え、なお三十年度の予算にも努力をしておるわけであります。ただ私どもいろいろ今まで検討いたしました結果ではなかなかいい税が見つかりませんものでありますから、こんなような状態になつておるわけであります。なお国会皆さん方のお知恵でもつといい税がありますならば、私どもとしてもぜひひとつそういうように改正をいたしたい、こういうように考えるわけであります。  ただ国と地方との配分の問題でありますが、国の場合には税をよけいとる、仕事は最低限の仕事をして、余ればこれは剰余金になるのでありますから、剰余金は次年度の財源になるか、もしそういうものが非常にたくさんあれば減税の財源になるというようなことになるので、多少事情が違うのでありますけれども地方の場合には個々の自治団体が予算をお組みになるものでありますから、そう自治庁が策定いたします財政計画の甘いものをつくるというわけには行かないわけであります。その点私どももしよつちゆう悩んでおるわけであります。ただしかし少くとも自治団体側が自治団体として当然しなければならないこと、それが法律的にもしくは法律的でなくとも自治団体の本来の任務として当然しなければならないようなもろもろのの仕事、また必要な人間をお雇いになる、そういうものに十分とは行かないまでも、少くとも不足のない程度地方財政計画というものを、ぜひつくりたいという強い希望は絶えず持つておるわけであります。そしてその地方財政計画においての必要な財源は、できるならば今のような国から行く交付税その他の税もしくは負担金という形のものでなしに、なるべく独自の財源でまかなえる部分が多くなることの多いほどけつこうである、こういうように考えておるわけなのであります。
  99. 中井一夫

    中井委員長 ただいまの加藤君の御質疑に関連して、私からちよつとお尋ねしたいと思うのであります。  加藤君の御意見はまことに適切なる御意見として謹聴いたしましたが、先ほど来者委員諸君と政府当局との質疑応答のうちに現われて参りまする問題点としては、地方の人件費の問題といものか非常に強く現われて来ておるのであります。これはまことにもつともな意見なのでありますか、同伴に人件費の問題に関連しては何としても行政機構が厖大になり、複雑化しておることと、また事務のあまりにも煩雑であるということがその基礎的な要素をつつておることは申すまでもありません。数日来自治庁格別の御勉強でおつくりになりました自治展覧会における持々の資料を拝見いたしましても、戦前に比べて現在の行政機構はいかに厖大なものになつたか、従つてまた人員がいかに増加したかということはきわめて明瞭であります。この点を特に自治庁においては強く指摘して、一般国民の注意を喚起しておられるのであります。そこで私がもう常に思いますことは、何としても行政機構並びに事務の簡素化——これは同時に事務の再配分ということを含むのでありますが、この点については、塚田長官は自治庁の長官であられると同時に行政管理庁の長官でおありになります、御就任以来常にごの問題につき格別の努力を払われておることをよく承知いたしております。しかるに残念ながらそれがとんと実現されて参つていないということは、いかにもどうも遺憾にたえないのであります。自治法の改正につきましても前国会において、その意味で自治庁においては大体腹案までできたと承知いたしておりますのに、遂に御提出にならないで終つてしまつたのであります、私はこれをほんとうに残念に思うのであり、しかも赤字の問題が出ると大蔵省を初め一般の実情を知らぬ者は地方が悪いのだということを言つておりますけれども、実は、その根本は国家の行政のあり方が大きな原因をなしておることは申し上げるまでもございません。そこでこの際ぜひ自治方面につき格別の御熱意と御見識をお持ちになる塚田大臣の手元で、でき得る限りの大改革をやつてもらいたいということを念願いたすのでありますか、地方制度調査会等の成り行き、あわせて自治庁におかれては、また行政管理庁におかれてはどういうお考えを持ち、またどういう程度までその御計画が進んでおるかをこの際承りたいのであります。
  100. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 お尋ねの点はまことにごもつともであり、私もまつたく同感な考え方でおるわけであります。ただ私が昨年行政整理をちよつとやりかけてみまして、人員整理の点は若干できたのでありますけれども、機構の面にはほとんど手がつかずに終つてしまいましたのは、やつてみて問題が非常に重大であり、かつ困難な問題であるということがよくわかり、これをやりますのには断片的に、一つの省の一つの局、もしくは府県なり市町村の部制とか課制とか、そういうものだけを取上げておつたのでは、とてもこの問題は成就しないのであり、やはり機構の問題は日本におきましては国と地方を通じて総合的に、しかも戦前のものと比べてみて根本的に、徹底的に調査をして、やるならば一度にやる、そうしてそれ以後はもうやらないのだということでないと、これはとても国会側の御賛成も得ることができないし、従つてまた実現が困難だという見通しを立てましたので、一応昨年計画いたしました行政整理のうち機構改革の部分は見送つたという形になつておるわけであります。で、私が感じますことは、これはやはり国と地方のあり方というものからまず検討してかかつて、その新しい構想がまとまつたならば、その構想の上に立つて、それでは国の出先ならは国の出先はどういうぐあいにするか、それから国の出先がかりになくなつた場合に、それを受けて地方の機構をどういうぐあいにするかというふうに総合的にきめて行く、こういうことが一番正しいと考えますので、今の段階では機構の改革は、まず自治一体のあり方というものをどういうぐあいにするかということを第一着手に考えていただこう、こういう考え方地方制度調査会にいろいろお願いをし、御研究を願つておるわけであります。もちろんそれにつきしては、いろいろと個人的や意見など、自分の今までの経験で感じましたことを申し上げて、何がしかの参考にしていただきたいというふうにお願いしておるわけでありますけれども、今そういう構想でおります。そうでありませんと、昨年よりやつて来ました実例、自分の感じからいたしましても、なかなかある一つの省の何かの局をつぶすということになりますと、御賛成願わなければならない国会側からは、非常に反対が出て来るというような実例が非常に多くて、容易にこの問題というものは成就しないのだ。従つて強い政治力も必要であり、また今申し上げたような総合的な徹底的な検討をした上での立案も必要である、こういうように考えておるわけであります。
  101. 中井一夫

    中井委員長 重ねてお尋ねいたすのですが、ただいまの御意見はまことにごもつともで、実情から見てそうよりしようがないかとも思います。しかしただいまのような御意見でお進めになるとするならば、それはいわゆる理想案であつて、百年河清を待つにひとしいような気持がいたします。しかし今の国民の状態地方の現状から見ますれば、それが待てないのではないか、また私の確信するところによれば、必ずしもさような根本的な立て直しから進めなければできないというような問題ばかりではない。きわめて卑近な問題についてこれを断行することは非常にむずかしいことではないのである。これをやることによつて大体その目的を達することができるものも多々あると存じます。従つてただいまお話になつたような根本的な理想案は一面お考えになりつつ、さしあたり卑近なる問題につきこれをおやりになるだけでも大いに国益になると信ずるのであります。現に町村合併の問題というものは、これは実にわが国における行政改革中の大問題でございましたが、さておやりになると案外すらすら行きます、私はよくこれがやれたものだと考えたほどなのであります。それが以外にうまく行つておるということを見ます場合において、やはりこれはできるだけのことをおやりになるということが必要ではないかと思います。その懲吹において少くとも事務の再配分、国が持つておられる権限を府県市町村に譲られ、府県が持つておられる権限を市町村に譲られる。それによつて自然に出て来る事務の簡素化、自然に出て来るところの人員の整理、自然に出て来るところの無用な費用の節約というようなことになることは明らかなんでありますから、あまり慎重にのみお考えにならず、ひとつ勇を鼓してできるだけの改革をせられるべく——少くとも前の議会において自治庁でお考えになつてつた事務再配分の実行ぐらいはなされることを希望してやまぬのであります。この点あらためてお伺いいたしておきます。
  102. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 そういう意味のものは、もちろん次の国会には必ずやりたいと思つております。なおよく検討いたしまして、当面措置できる問題がありますならば、そのつもりでぜひ努力して参りたいと存じます。ただこれをやつたから非常に国費も節約ができたというような実効の非常に大きく伴うものは、今申し上げたように徹底的にやるのでなければおそらく困難ではないか、こういうような感じで申し上げたわけであります。
  103. 門司亮

    ○門司委員 さつきちよつと中断しましたからもう少し申し上げておきたいと思います。国の未払いその他いわゆる未清算分が十億ぐらいだというお話でありますが、そのほかにはつきりした数字はわかりませんか。これは次の再建整備に非常に大きな問題として出て参りしますので、一応聞いておきたいと思います。
  104. 後藤博

    ○後藤説明員 今、大きなものだけを申し上げたのでありますが、それ以外に児童福祉費でありますとか、いろいろの経費にあるのではないかと思います。私どもの方でははつきりわかりかねますが、農林関係にも多少あるのではないかと思う。これはちよくちよく地方団体の方に聞きますが、補助金は翌年まわしというお話もよく聞きます。そこで今資料を集めておるのでありますが、なかなかそういう資料が集まらないのであります。結局は支払われるのでありますけれども年度がずれて参りまして、半年度過ぎた場合に赤字になる、こういうようなことになるわけであります。
  105. 門司亮

    ○門司委員 そこで、私はあとで資料を請求する前に、一応はつきりと長官に腹をきめて返答してもらいたいことかあるのだが、今の長官のお話でありますと、結局地方財政の赤字というものか四百億はかりあるという原因の中には、さつき申し上げたようないわゆる補助金その他の単価の見積り等が実情に沿わなかつたとか、あるいはいろいろな未清算分があるとか、政府の金融の引締めから来る市中銀心行のつなぎ融資がなかつたとかいうようないろいろな点があげられております。しかしいずれにいたしましても赤字の出ておることは事実である。しかも警察問題に関する赤字等のごときは、これは政府責任を持つてお払いになるべきである。警察法の審議のときには逆に警察費を百億あるいは九十億節約するんたということを言つておいて、—それは国の方はあるいは節約されたかもしれないが、地方の方にはこういうべらぼうなものが出て来ています、従つて少くとも政府が全責任を負つてさつそく解決すべき問題だと解釈することが正しいと思う。従つて塚田長官に聞きたいと思いますが、これを解決しようとするには、諸般の事情を勘案して参りますと、政府が一兆の予算を堅持し、さらに実行予算で二百数十億の節減を見ておりまする現在のものの考え方では、私はこの赤字の解消はできないと考えております。従つて自治庁の長官としては、これを解消することのために内閣に対して補正予算を要求される御意思があるかないか。
  106. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 やはり最終的には、少くも警察費などの場合には、補正をしなければ解決がつかないであろうと思つております。また警察だけでなしに、先ほど次長からいろいろ申し上げましたように、いろいろな問題が二十九年度の財政計画策定以後に起つているものもありますし、どうしてもそれらのものを総合的に検討しました上で、必要があるならばその必要な額において補正を要求したい、こういう考えであります。
  107. 門司亮

    ○門司委員 委員長にひとつお願いしておきたいと思います。再建整備の問題について私ども資料にいたしたいと思いますので、委員会全体に明らかにしておきたいと思いますことは、大蔵省の持つております資金部の資金の運用について、各自治体が償還期限が来ているにもかかわらずこれを償還していない額か一体どのくらいあるかということ、さらにこれは元金だけでありませんで、利息は一体どのくらいあるか、一応この御調査を願いたい。もう一つ委員長から大蔵省に請求していただいてけつこうだと思いますが、大蔵省が今日まで資金部の資金を運用しておりますいわゆる金融投資、あるいは総括して財政投資と申し上げております民間融資に関する問題で、一体どのくらいのものが未償還になつているか、その額を私ども次の再建整備をいたします場合の参考資料にいたしたいと思いますので、できましたらひとつ大蔵省に要求していただきたいと思います。
  108. 中井一夫

    中井委員長 ただいま門司君の御要求になりました資料のうち、自治庁関係の分につきお取調べの結果御報告になることができますか。
  109. 後藤博

    ○後藤説明員 私の方の資料でなくて大蔵省の資料になりますけれども、私どもでもお願いしましてやつて参りたいと思います。ただ資金の未払いの分でございますが、それは一時資金だけでございますか。
  110. 門司亮

    ○門司委員 償還期限の来ているのに払つていないもの。
  111. 後藤博

    ○後藤説明員 一時金も普通の債務もですか。
  112. 門司亮

    ○門司委員 そうです。
  113. 中井一夫

    中井委員長 それでは門司君の御要求になりました資料につきましては、すみやかに御提出あらんことを願います。   本日はこれをもつて閉会いたします。     午後五時四分散会