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1954-07-27 第19回国会 衆議院 地方行政委員会 第77号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年七月二十七日(火曜日)     午後二時四分開議  出席委員    委員長 中井 一夫君    理事 加藤 精三君 理事 佐藤 親弘君    理事 灘尾 弘吉君 理事 鈴木 幹雄君    理事 西村 力弥君 理事 門司  亮君       藤田 義光君    石村 英雄君       北山 愛郎君    伊瀬幸太郎君       中井徳次郎君    松永  東君  出席国務大臣         国 務 大 臣 塚田十一郎君  委員外出店者         警察庁長官   斎藤  昇君         自治政務次官  青木  正君         自治庁次長   鈴木 俊一君         総理府事務官         (自治庁財政部         長)      後藤  博君         総理府事務官         (自治庁財政部         理財課長)   大村 襄治君         総理府事務官         (自治庁税務部         長)      奧野 誠亮君         大蔵政務次官  植木庚子郎君         大蔵事務官         (主計局長)  森永貞一郎君         大蔵事務官         (理財局長)  阪田 泰二君         大蔵事務官         (理材局地方資         金課長)    牧野 誠一君         参  考  人         (日本銀行理事         営業局長)   佐々木 直君         専  門  員 有松  昇君         専  門  員 長橋 茂男君      ――――◇――――― 七月二十七日  委員古井喜實君辞任につき、その補欠として橋  本清吉君が議長の指名で委員に選任された。 本日の会議に付した事件  地方税法施行に関する件  地方財政に関する件  派遣委員より報告聴取     ―――――――――――――
  2. 中井一夫

    中井委員長 これより会議を開きます。  本日はまず地方税法施行に関する問題につきまして調査を進めることといたします。前国会において改正いたしました地方税法のその後の施行状況につきまして政府より説明を聴取いたしたいと思います。奥野税務部長
  3. 奧野誠亮

    奧野説明員 お手元地方税法施行令の一部を改正する政令案要綱がございますので、それをごらんいただきたいと思います。改正地方税法の成立と同時に、地方税法施行令改正政令も公布したわけでありますが、当時からいろいろ御論議がありまして、よく研究した上で善処いたしますとお答え申し上げておつたわけでございますが、その結果がこの要綱でございます。これは案じやございませんで、すでに公布施行になつておるわけであります。     〔委員長退席佐藤(親)委員長代理着席〕 その一つ事業税でありますが、「事業税非課税とされる教科書供給を行う事業範囲を、教科書供給に係る売上金額が、これを含む出版物販売に係る総売上金額の十分の一(現行二分の一)に相当する額をこえるものとすること。」であります。二分の一にしておりますと、非課税恩典を受けますところの教科書供給業というものが非常に少くなるのでありますの、で、この範囲を広げたい、広げるにつきまし、ては一割以内にその売上げ金額がとどまりますものは付随事業とも見られるものでありますので、そういうものについてまで適用いたしますことは、かえつて税務行政を煩雑ならしめますので、それを除きました以外の部分につきましては、全面的に非課税適用をはかりたい、かように考えたわけであります。  第二は遊興飲食税でありますが、「遊興飲食税非課税とされる「もつぱら茶菓その他これに類するものを提供する場所」又は「大衆飲食店」の範囲を、提供品目の総販売数量のうち一品の価格が(イ)米飯、めん類、パン類その他の主食を伴うものにあつては百二十円以下のもの(ロ)飲料アルコール分を含むものを除く。)にあつては五十円以下のもの(ハ)その他のものにあつては百円以下(現行きつ茶店にあつては一律に五十円以下、大衆飲食店にあつては一律に百円以下)のものの数量がそれぞれの種類について通常十分の八以上であるものとすること。」喫茶店大衆飲食店とは名前は異なつておりましても、販売いたしておりまする品物等を見ました場合には、ほとんど差異のないものも多いわけでございますので、大衆飲食店であるからどうであるとか、喫茶店であるからどうであるというようなことで、大衆性判定をいたしますことは適当ではございませんので、そこに販売されておりまする品物性質によりまして金額を定めまして、そうして大衆性判定に資したいというふうに考えたわけであります。その結果販売されておりまするものを三つに区分いたしまして、一つ主食一つ飲料一つはその他のものというようにいたしまして、それらの種類のものの一般の販売金額がどの程度であるかというようなことから大衆性決定をいたしたい、かように考えたわけであります。  次に遊興飲食税非課税とされる大衆旅館範囲についても改正を加えたわけでありますが、その一つは「風俗常業許可を受けなければならない営業の刑に供さない客室の数が当該旅館における客室総数の十分の八以上(現行全部)であるものとすること。」いなかに参りますと、料理営業旅館営業とを兼ねている場合が非常に多いわけであります。また兼ねないとなかなか営業も成り立たないという話を伺つているのであります。そうしますと、風俗常業許可を受ければ一切米麦についての非課税恩典が受けられないということになります。そういたしますと、またいなかにおいてそのような規定適用を受けるものはないということになつて参りますので、部屋のうちの二つくらいについてはそういうものがあつてもやむを得ないというところで、多小緩和いたしたわけであります。  その(2)は「各客室について一人一泊の宿泊料金の額が七百円をこえない客室の数が当該旅館における客室総数の十分の八以上(現行全部)であるものとすること。」これにつきましても旅館業の実態から考えた場合には団体客も扱い、大部分は低い価額でとめるわけであるけれども、しかし一つ二つはいい部屋を置いておかなければ、その旅館の信用といいましようか、あるいは営業性といいますか、そういうものが成り立たないのだというふうな話がございまして、もつともであると考えられますので、そういうものにつきましてもやはり非課税規定適用がありますような規定のいたし方をいたしたわけであります。そういう趣旨でそれらの範囲だけを改正いたしたわけでございまして、現にいずれも施行になつているわけでございます。
  4. 佐藤親弘

    佐藤(親)委員長代理 質疑の通告があります。これを許します。北山愛郎君。
  5. 北山愛郎

    北山委員 私はただいま御説明施行令の問題ではなくて、地方税法改正関係する問題についてお伺いをしたいのですが、それは今年度から新しく設けられました道府県民税についてであります。道府県民税市町村配分する場合に、所得税額一定率ということになつておりますが、伝えるところによりますと、そのうち市町村に対する配付が非常に不公平である、ある場合にはその標準を越えて非常に多くの配付をしている例があるというふうに聞いております。それについていろいろトラブルといいますか、そういう問題がおそらく自治庁にも持ち込まれておると思うのでありますが、そういう例があるかないか御調査なつたものがあればその点をお伺いしたい。それから、そういうことが一体どうして出て来るのであるか、そういうこともあわせてお伺いしたい。
  6. 奧野誠亮

    奧野説明員 お話のように、府県民税個人分総額所得税総額の五%といたしまして、府県内の市町村配分するわけであります。配分いたします所得税額は、二十八年の所得税額であります。しかしながら給与所得者等関係から、所得税勤務地徴収される。しかしながら住奥秘住所地で課税する。従つて、この所得税額総額住所地市町村ごと配分しなければならないわけでありますが、何を価準配分するかということでございます。大体今年におきましては、昨年の地方財政平衡交付金決定に用いました基準財政収入額によつて按分いたしております。この基準財政収入額は昨年の基準財政収入額でありますので、自然また所得税額市町村間の分配は、二十七年分の所得税額によつているわけであります。従つてまた二十八年分の所得税額市町村ごと配付いたします場合には、その前年の二十七年の所得税額を使つている。ここに一つ問題があるわけであります。それだけであればよろしいのでありますが、われわれも従来から非常に注意をいたして参りまして、適正化に努力して参つておるのでありますが、この基準財政収入額を、県によりましては地方財政平衡交付金配分を受けないような市町村によけい持つて行つてつた従つて地方財政平衡交付金交付を受けないような市町村につきましては、市町村民税が本来の姿よりももつとよけい徴収できるのだ。こういうことにしておつたわけであります。反面またそれ以外の市町村におきましては、基準財政収入額市町村民税に関しまする限り少く算定される。その結果、また地方財政平衡交付金配分をよけい受けることができる。こういう不公平が若干あつたようであります。われわれも従来からこの点非常に警戒して参つたのでありますが、今回の府県民税配分にあたりまして、こういう問題が明るみに出て参つているところもあるようであります。これが一つの問題であります。  もう一つは、二十七年の所得税と二十八年の所得税は、たとえば工業地帯が不景気になつているとかいうような関係がありまして、一律に変化しては参つていない。ある市町村においては非常にふえているかわり、他の市町村においては非常に減つて来ているという問題があるのであります。しかしこういう問題は、一年遅れになると見れば、それでもがまんできるわけでありますが、ただ鉱山地帯のようなところにおきましては、一挙に所得税納税義務者が千人内外も減つて来ているという事例もあるのであります。そういう場合には、こういうことをおもんばかりまして、地方税法の中に機械的に算定された配付額軽減することができるという規定がございますので、この規定適用すればよろしいのでありますが、どちらかといいますと、税額を確保したいというようなことから、こういう意味軽減に多少臆病であつたという県があるようであります。こういうことが顕著な面につきましては、積極的に軽減すべきであるという指導をいたして参つておりまして、その結果また市町村と県との間の摩擦も緩和されて参つたと思います。わずかのものでありましたならば、一年遅れで問題が解決されて行く、それによつてまずがまんができるのではないだろうか、こういうふうに考えているわけであります。従いまして将来の問題といたしましては、第一には基準財政収入額がより適正に決定されることになるだろうに考えますし、また非常な激減があります場合には、第二に今申しました軽減規定適用されることによつて摩擦なく運営されるのではなかろうか、こういう見通しを持つているわけであります。
  7. 北山愛郎

    北山委員 そうしますと、その点についてはトラブルがあつても、この問題としては一応解決をしている、また将来立法上の措置をしないでも、今のところ何とかやつて行けるというようなお見込みでありますが、その点についてもう一度はつきりとお答えを願いたい。  それからあわせてこの固定資産税についてでありますが、ことしは標準税率はなるほど一・六から一・五に下げた。しかし評価基準を相当額高めましたので田畑土地あるいは家屋等についても、実際にこの切符が行く場合には、昨年よりも相当に上まわつているというような状況各地ともあるようであります。ところでこれは当委員会でも問題にしたのでありますが、田について公定小作料との関係がある。大体反当六百円としますと、今度の基準で行けば四百三十円くらいが普通の出に対する固定資産税だ。そうするとその面からして、固定資産税が引上げられたことによつて小作料を上げるような一つの原因をつくつて来るのではないかという点を、委員会で問題にしたわけでありますが、私もこの点についてはそういうふうな例を実は聞くのであります。というのは、小作料よりも高い固定資産税なつたというふうな例がある。それは税率標準で、一・五なら一・五でやればまだいいでしようが、二であるとか、あるいは二・五というふうに超過をして標準税率よりも高い率を賦課するというような場所においては、確かに評価の方も上る。それから率の方も上るというようなわけで、小作料よりも高い固定資産税が行くのではないか。こういうふうな例が出て来ると思うのですが、こういう実例を自治庁の方でお聞きになつておらないか。またこれに対してはどういうお考えでおられるか。それをお伺いします。
  8. 奧野誠亮

    奧野説明員 府県民税配分について現在起きております問題は、別に地方税法改正いたしませんでも、漸次是正されて円滑な運営が行われるようになるというふうに現在考えております。  第二の固定資産税の問題につきましては、まさに御指摘の問題があるのでありまして、私たちも非常に困つております。小作料一反当り最高が六百円である。従つて、現在のように一反当りの地価がだんだん上つて参つておりますので、固定資産税だけでこの六百円を上まわるというふうなところは、都市周辺田畑についてはたくさんあるわけでございます。そういう場合には、現在はやむを得ませんので六百円を越えないように、それを越える部分については減免する、こういう指導行つてつて来ているわけであります。こういう性質の問題につきましては、たとえば地代、家賃の統制の問題がございます。この統制方式もその後改められまして、むしろ一ころは固定資産税外わくにする、さらに現存におきましては、固定資産税課税標準となる価格が基礎になつて統制額が定められる、こういうふうにかわつて来て参つているわけであります。やはり小作料につきましても、私たちの立場から考えました場合には、米価も動いているのだし、また田畑価格も動いているわけなのだから、小作料もやはり多くする、少くするは別問題といたしまして、動くのが本来の姿じやないのだろうか、こういうような希望も持つておるわけであります。この辺の問題につきましては、将来なお減免の措置で行かなければならないのか、あるいは統制方式をかえるのかというふうなことにつきまして、農林省にも一応の考え方を持ち込んではいるわけでございまして、ぜひ制度上問題にならないような姿にいたしたい。もちろん農地改革の精神の徹底という問題もございましようけれども、御指摘のような矛盾が起きておりますので、どう是正して行くかということにつきまして、政府部内においてもせつかく話合いをいたしているわけであります。
  9. 北山愛郎

    北山委員 今の田畑に対する固定次産税につきましては、確かに小作料に対する影響が相当あると思うのであります。そこでやはりこの農地小作料等の問題については、農地政策とい武ような別な観点から考えられることでありますが、固定資産税というような地方税の面からして、これに影響することのないような建前をやはりとつて行かなければならぬのじやないか。言いかえれば、小作料についてこれを押し上げて行くような程度に、固定資産税土地についてはとつてはならない、こういうこうに私どもは思つておりますので、ひとつそのような建前で進んでいただきたいというふうに要望するものであります。  なお地方税については、最近ちよつと新聞等で見るのでありますが、電気料金値上げ問題にからみまして、通産省としては、電気料金を平均六分八厘くらい値上げをしなければならぬということを強く要望しておる。しかしそれはできない。そこでその赤字分をやはりこの前と同じように税の軽減措置等によつてこれをカバーしよう、あるいは金利を安くすることによつてカバーしようというような話合いがあるように聞いておりますが、おそらく固定資産税なりあるいは電気ガス税等に対する影響が非常に少くないと思うのでありますが、そういうような話合いがあるかないか、問題になつておるかどうか、なつておるとすればどの程度にその話合いがなつておるのであるか、これをひとつお伺いをいたします。
  10. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 その点につきましては、先般閣議におきまして電気料金が問題になりました際に、値上げが困難であるとすれば、税法その他の面で考える余地がないだろうかというような話が、通産大臣からありまして、自分としては考える余地は今日の税法ではとてもない意うじかしまあご意見であるならばよく検討をいたしてみましよう。こういうことでその後いろいろ検討いたしておるのでありますけれども、今日の地方財政の状態を見て、これ以上なお税金を下げてその面に協力をするという余地はなかなか見当りそうにないので、話はそれなりになつております。おそらくこの問題はそういう形においては解決は至難なのではなかろうか、実はそういうような見通しをしておるわけであります。
  11. 北山愛郎

    北山委員 その点については、ただいまの御答弁のような方針で進んでいただきたい。何しろ電気料金の上ること自体は問題でありますけれども、これを地方税でもつてカバーして行くというようなやり方は、これは適当でない。そうでなくても、すでに発電設備等固定資産税については、非常に大幅な軽減措置がとられている。それだけしわ寄せが来ているのだということが言えるのでありまして、今後さらに地方税にそのようなしわ寄せを受けることは好ましくないと思いますので、そのように進んでいただきたい思います。  この際、本年度の今後の地方税徴収見通しといいますが、それについてあらためてお伺いしたいのでありますが、今度の地方税法あるいは地方財政計画を前国会で審議する際にも、非常にことしの地方財政計画の中には無理があるのだということを御指摘申上げたわけなんですが、その後のデフレ政策深刻化といいますか、それによつて大蔵当局も、今後の徴税については懸念があるというような見解をお出しになつているようであります。国税の方は、これは相当固く見ている。固く見ている国税につきましてもそのような調子でありますが、地方税は、相当大幅な自然増収というものを見ているだけに、しかも地方団体の税源というのは中小企業が中心でございまして、一鞭まつ先に景気の影響を受けるところの中小企業、こういうようなものが次から次へと倒れて閉鎖をして行くようなこの情勢下において、本年度地方税徴収は、はたして心配がないか、計画通り、あの国会で答弁なさつたように、非常に楽観的な見通しで行けるか、これについてこの際あらためて御見解を承つておきたいと思います。
  12. 奧野誠亮

    奧野説明員 地方税徴収の、二十九年度に入りましてからの毎月の実績は、まだわかつていないのであります。ただ御指摘になりましたような関係から、あるいは現在より以上に納期をわけてもらいたい、むしろ毎月徴収するようにしてもらいたいというようなことを、経済団体から地方団体が申入れを受けましたり、あるいはまた手形によつて税金を納めたい、またその手形が不払いになるというような事例も若干多きを加えて参つているようでございます。そういう意味から考えまして、二十九年度地方税徴収についても、相当くふうを尽して行かなければならないだろうと考えております。しかしながら、そうだからといつて二十九年度地方財政計画に見込みました税収入が確保されないじやないだろうかというおそれは、現在のところは持つていないのでありまして、大体計画通り徴収ができるのじやないだろうかと考えております。毎年々々地方税徴収成績は若干ずつ上つて来ているようでございます。二十六年よりも二十七年、二十七年よりも二十八年と若干ずつよくなつているようであります。これはむしろ新しい制度になれて来たというところにあるのだろうと思いますし、また今度のデフレ政策というものは最近始まつたばかりでありますので、今までずつとよくなつて来たから、二十九年もよろしいのだということにはならないと思うのでありますけれども、しかしとにかく毎年毎年成績が向上して来ておりますことは事実であります。と同時に最近の法人事業税成績だけを見てみますと、地方財政計画数字は確実に確保できるだろう、こういうふうな見通しを立てることができるようになつて来ております。
  13. 北山愛郎

    北山委員 ただいまのお答えは、一貫したものでないような感じがするのです。当面はいろいろな諸情勢の混乱というものを認めつつ、毎年地方税税収がふえているのだから、それで考えれば大丈夫だということは、どうも私は矛盾するのじやないかと思うのであります。やはり今お話にあつたように、ことしの情勢というものはなまやさしいものじやないのじやないか。去年もおととしもあつたというような情勢ではなくて、非常に深刻な情勢なつい来ておるのじやないかと思います。それから税収についても、税収滞納とかそういうふうな傾向から見ますと、かえつて税の滞納については徴収率が悪くなるという傾向は、農村の方にもだんだん浸透して行つているような気がするのであります。むしろ税収が上つておるということは、予算と比較してみて上つておる。というのは結局調定額を少し水増しをしている、そして率は下つて予算だけのものはとつてもいるというようなことから、結果的には伸びていると数学的にはそういうふうな結果が出ておつても、しかし事実的に見ると地方税徴収というものは悪化して来ておる、こういうふうに考えられるわけであります。特に最近やはり数年前あつたように住民税等についての組織的な相当多数の人によるところの反税闘争と言いますか、集団陳情と言いますか、そういうものが各地に起つておる。これは今の事業者についても、今お話のような傾向があると同時に、住民税等についてもその不公平というものがやはり潜在しておりまして、それが生活が苦しくなればなるほど、税の額がふえればふえるほどますます深刻になつて来ておるのじやないか、こういうふうに思われるのであります。従つてお聞きをしたいのは、なかなかむずかしい情勢になつて来た、だからこれに対しては何らかの手を打たなければならぬというようなお話でありますが、一体それじやどういうふうな方法でどういう手をお打ちになるおつもりであるか、それをお伺いしたいのです。
  14. 奧野誠亮

    奧野説明員 最近地方税徴収成績が向上して参つて来ておると申し上げましたのは、調定額収入済額とを比較いたしました割合いというものが若干上つて来ている、そういう意味で申し上げたわけでございます。三月三十一日現在について比較いたしました数字手元に持つておりますのでそれについて申し上げますと、これは府県分であります。二十七年の三月末は調停済額に対します収入見込額が七三・三%、二十八年の三月末が七三・九%、二十九年の三月末が七五・五%、こういうふうに若干ずつよくなつてつておるようであります。もちろん御指摘のように、だからことしもよくなるのだ、こういう結論は簡単には出せないと思いますし、その点についてはいろいろ心配もいたしておるわけでありますが、さしあたりもつと税務行政の上におきまして、国と府県市町村とが力を貸し合う道はないものだろうか、こういうことを考えておるわけでございまして、さきの地方税法改正にあたりましても、これを一つの大きな方針として掲げておつたわけであります。具体の問題もいろいろ解決したわけでありますが、運営の問題につきましてもなお努力しなければならぬ点もあるようであります。こういうものにつきまして現在国税庁と話合いを進めて参つて来ております。徴収を確保するという点から考えますと、やはり納税貯蓄組合のようなものを単に国税だけ、あるいは府県税だけ、あるいは市町村税だけということではなしに、国税府県税市町村税を通じた納税貯蓄組合をもつと組織し、これを育成して行きたい、そうして個人の状況から考えまして、むしろ徴収委譲をしなければならぬような場合につきましては、三税につきまして必要な措置を講じて行きたい、反面納めることのできる人たちにつきましては、毎月々々一定金額を貯蓄することによりまして納税の苦痛を緩和して参りたい、こういうような考えも持つておるわけであります。さらにまた納税について国民に協力を求めますような働きかけにつきましても、歩調を合せてやつて参りたい、また表彰段階につきましても、そういう線で互いに相談をしてやつて参りたい、こういうようなことで現在話を進めておる最中であります。近いうちにそういうことをまとめまして、地方団体の方にも通達したい、こういうふうに思つております。
  15. 北山愛郎

    北山委員 大蔵省関係の人が来られてからお聞きすることがいろいろあるかと思うのでありますが、この数日来問題になりました地方団体の赤字、ことに給料等の遅欠配の問題でありますが、これについて九月の交付税を繰上げて八月に支給するということを、自治庁で検討中であるというふうなことをお伺いしておるのですが、そういうふうな措置、とにかくりくつは放逐にして、しかも単に一、二の地方団体ばかりではなくて、むしろ全面的にこれは黙つておればどんどん蔓延して行くのではないかと思うような情勢でありますが、これに対して今の交付税の繰上げ支給というような措置がとれるかどうか、この点を率直にお伺いしたいのです。それが可能であるならば、ただちにそういう措置をとつてもらいたい、こういうふうに思います。
  16. 後藤博

    ○後藤説明員 お答えいたします。九月の第三回分の交付税を八月に繰上げてもらいたいという要望が、最近の東北その他の知事会議でも要望がございまして、いろいろ個別にその資金繰りの状況を承つて見ますと、八月が非常に苦しくて九月は少し楽だ。こういう県が非常に多いのであります。災害のところもございますし、できれば御趣旨に沿いたいと思いまして、現在そういう方向で研究をしております。私どもとしてはできれば八月中に、八月二十五日以前に繰上げて支給してやりたい、かように考えております。ただ心配になりますのは県の方はこれでよいのでありますが、市町村のうち市の警察がなくなりました市におきましては、交付税の交付団体から不交付団体へ移つて行くものがございます。そういうものがございますので、その辺の計算のめどがつくかどうか、これをめどをつけておりませんと、あとから返してもらうという問題が起りますので、その辺のめどがつければ市町村あわせて交付してもよいのではないか、こういうふうに考えて、現在作業をいたしております。大蔵省の方にもそういう申入れを現在いたしておるのであります。
  17. 北山愛郎

    北山委員 それではその問題はただいまの一つの困難な事情も、技術的に常識的に考えましても解決のつく問題でありますから、そういう措置をとつていただきたいと思います。それから今度の警察法の改正による不足分の問題でありますが、これも四十億とかなんとかいうお話がございましたが、とにかく自治庁としてはやはり不足だというふうな一つのめどを持つておられるのじやないかと思います。一説によれば四十五億くらいというような説もあるようでありますが、一応の内部的な調査をなさつて、そうして一つ数字的なめどを持つておられるのじやないか、こういうふうに考えるわけでありまして、実地調査をしなければ、はたして不足かどうかわからぬというものじやなくて、やはりもう不足は不足だ、どの程度に不足があるというふうなこまかい点についてなお調査を要する、こういうふうな段階に来ているのじやないか、私はそのように了解しておるのですが、四十億なり、あるいは四十五億というようなものが大体不足だと考えておられるか。調査をしなければわからぬじやなくて、大体不足ということは確認されておるのではないか、こう思うのですがいかがですか。
  18. 後藤博

    ○後藤説明員 お話の通り大体私ども達観いたしまして、四十億くらい足りないのではないか、こういうふうに考えておりますが、今度の警察費の問題につきましては、大体三つの問題があると思つております。一つは国警とそれから府県警察、旧国警を中心にした府県警察の費用として最初に考えました二百三十八億という警察財政規模そのものに問題があるのか、それともその中で百二十億支出した残りの八十九億という府県警察に移つて来る分に問題があるのか、これが第二点でありまして、第三の点は実際市町村警察が府県に上つて来るもの、これは従来は財政計画とそれから現実の予算との間に差額がございます。そういうものは差額が縮まつてつて来はおるはずでおりますが、それがどのくらい縮まつてつて来ておるかというところに問題があります。この三つの関係をしさいに検討しなければ、国が財政措置をしなければならない額がきまらないわけでございます。私どものところに個々の県が予算の査定をいたしまして、総額的な通知をいたしておりますけれども、しさいな点につきましてはやはり書類を持つて来ないのであります。これほど重要な問題でありながら、こまかい資料を持つて来ないで、ただ一億足りなかつた、二億足りなかつたというふうな話ばかり持つて来ておりますので、私どもといたしましてはまとまつた資料がないので、現在までこまかい資料を照会いたしておりますから、資料が参りますれば調査をしなくてもわかる部分が相当ございます。調査しなければわからない部分もございます。それを仕訳いたしまして、そうして実際の調査の場合には、調査を必要とするものだけを調査して行きたい。おつしやる通りはつきりこちらの方でわかるものもございます。ただ行きまして確認だけすればいいというようなものもございますので、やはり調査をいたさなければなりませんが、われわれの方でもつかみ得るところの資料は提出した資料だけでもある程度つかめる、かように考えて現在調査を進めておるわけであります。
  19. 北山愛郎

    北山委員 そうしますと、やはり大体四十億くらいのものは不足という見通しのもとにこまかい点を調査するということでございますが、それならばこの四十億というものを一体どういうふうな財政措置をするか。地方財政においては今年度は財政措置をしなければならぬものが、それ以外のガソリン譲与税のはねかえり三十八億とか、あるいは交付公債の利子というようなものもあるわけでありますが、そういうものについて一体どういうふうな財政措置をとられるつもりであるか、特に警察費についてはどういうふうな措置をとられるつもりであるかそれをお伺いしたい。
  20. 後藤博

    ○後藤説明員 警察費の不足分についての財政措置については、私どもといたしましてはいろいろ考え方を持つておりますが、まだ大蔵省と折衝する段階にないので、結論的に申上げるわけに行かぬのであります。ともかくも財源措置を講じてもらわなければ困る、こういう気持で現在おります。それからお話のガソリン税等の分は、これは別個の問題でありまして、主として起債の問題になりますので、先般の国の実行予算に伴つて財政計画七十億ばかり余裕ができて来ることになりましたので、そちらの方の問題として片づけて行きたい、かように考えております。
  21. 北山愛郎

    北山委員 そうすると、警察費の不足分については、例の節約実行予算関係とは、別個に処理したいというふうに了解をいたしましたが、そこで塚田長官にお伺いしますが、一体政府は約二百億の一般会計の予算を節約実行予算というような名前で、節約をする方針のようでありますが、これは現在の憲法の第八十三条等から見まして、やはり予算の、いわゆる財政の運営でありますから、これは国会の議決を要する事項ではないだろうか、単に歳出の金額範囲内でやるんだから、節約することは政府にまかされた権限であるということは、現在の憲法の解釈では通らないのじやないか。やはり一定の方針によつて節約するという以上は、これは国会の議決が必要ではないかと思うのですが、この点について塚田さんはどういうふうにお考えですか。
  22. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 これはどうも私自分の所管の問題でもございませんので、ついそこまで法的なことを検討したことはないのでありますが、ただ国会において大蔵省がそのような方針を立て、また各省がそれに協力をするので、私の所管の範囲においても協力するものは協力するというように、きわめて漠然と考えておつたわけであります。しかし今ちよつと事務当局の者に聞いてみますと、いろいろな学者の間に若干の意見の食い違いがあるようでありまして、大多数の人間はやはり御指摘の条文の解釈は最高限をきめておるのじやないか、こういう考え方であるように承知をしておりますが、聞いたばかりの話でありますので、なお正確には法制局長官でも呼んでお確かめいただきたいと存じます。
  23. 北山愛郎

    北山委員 大臣は所管外と仰せられましたが、これは閣議で決定なさつたわけでありまして、国務大臣としてはやはり関係事項であろうかと思うのです。やはり憲法八十三条の原則というのは、国の財政を処理する権限というものは、国会の議決に基いてやるのだというような意味合いにおいて、憲法とは違つた解釈をすべきじやないかと考えているのです。歳入のものについては一般的な基準によつてやればいい、しかし歳出についてはそれが自然に出て来た予算以内の執行であればこれは格別でありますが、少くとも公共事業費を一割削る、そこから出て来たものをよそへまわすというようなことは、やはり国の財政政策の大きな変更ではないか、こういうような程度になるものであれば、これは当然国会の議決を経なければならぬと思うのです。従つて私はそのように解釈するのでありますが、今度の問題はその裏といいますか、地方負担額に対する公共事業費なら、公共事業費を一割節減することによつて起る地方負担の軽減、これを地方財政計画上の財源にするという関係でありますから、その点についてだけお伺いするのですが、しかし今のようなものを財源としましても、やはり公共事業費に伴う地方負担額というものは起債財源が多いのじやないか。従つてこの起債財源をもつて財源措置をされたといいましても、その公共事業を減らしてしまえば、それに伴う起債というものもなくなるわけでありますから、結局財源にはならないのじやないか、こういう点を実は私は懸念するのでありますが、その点についてはどういうふうにお考えになりますか。
  24. 後藤博

    ○後藤説明員 おつしやる点私ども御同感の点もあるのでありますが、公共事業が縮減されますと、それに伴うところの起伏額も減つて参ります。同時に一般財源も減つて来るわけであります。上ですから起伏が減つただけ一般財源の方が裏で浮く関係にもなりますから、現在のまま財政計画をしますと、七十三億だけ余裕ができる。その七十三億のうち先ほど申されましたようなガソリン税、その他の三十八億に見合うところのものの起債を考えて、なおかつ余裕がありますれば、そちらの方にも振り向けられるのじやないか、起債をつければそれだけ一般財源が浮く、こういう考え方で全然財源的に考えられないということではない、かように私は考えております。
  25. 佐藤親弘

    佐藤(親)委員長代理 ただいま鈴木自治庁次長が出席されましたから、質問のある方は鈴木さんのもやつていただきたいと思います。
  26. 北山愛郎

    北山委員 そういたしますと、公共事業をかりに一割減らされる。それに伴つて地方負担分の見合い財源の起債が減らされても、それはガソリン譲与税に伴つて三十八億分に起債として向けられる、こういうふうに解釈していいのですか。
  27. 後藤博

    ○後藤説明員 ガソリン譲与税の方に見合うところの三十八億分も七十三億の余裕でもつて消してもらうようにお願いしたいと申し上げました。
  28. 門司亮

    ○門司委員 私は自治庁の長官か次長にお聞きしたいと思います。警察費の問題ですが、警察費の問題で警察法施行令の三条には、都道府県の警察職員については補助対象から除いてあります。従つて今回起つておる問題が主として警察官の職員費であるというようなことになると、足りないだけを出せといつても、なかなか私は出しにくい形ができはしないかということが考えられるのでありますが、この警察法施行令の三条は警察法の三十七条を受けてこしらえた法律ですが、予算範囲と書いてあるところをなお書きわけた施行令ですが、この三条をこしらえるときには、これは長官は御承知だつたかどうか、これは相談がなかつたわけではないと思いますが……。
  29. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 もちろんこの政令ができますときには、当該警察関係の方と私の方とが協議をいたして、これを作成いたしておりますから、この作成にはよく関与をいたして、承知をいたしております。
  30. 門司亮

    ○門司委員 そうだとすると、ただいま問題になつております警察費の不足額が、主として人件費だということになると、これの国から出す方法は私は非常に困難ではないかと思うのです。これは何だか大蔵省がやかましいことを言つているようですが、やはりこういうところに一つの根拠があるのじやないかと思います。施行令の三条にこういうふうに書いてあります。「法第三十七条第三項の規定により、都道府県の支弁に係る都道府県警察に要する経費について、国がその一部を補助する経費は、当該都道府県の支弁する経費のうち警察職員の俸給その他の給与、警察官の被服費その他警察職員の設置に伴い必要となるもの以外のものとする。」と、こう書いてあります。従つて警察職員に関する限りは、この給与あるいは被服給というようなものについては補助対象にしないということをはつきり書いてあります。その次に「前項の規定により、国が都道府県に補助することとなる経費については、国は、当該都道府県の警察官数、警察署数、犯罪の発生件数その他の事項を基準として所要額を算出し、その十分の五を補助するものとする。但し、特別の事情があるときは、その所要額の十分の五をこえて補助することができる。」こういうふうに、大体三十七条の、いわゆる警察法審議のときに非常に問題になつて参りました予算範囲内において補助するということの規定を三条で明確にしております。本法の方には予算範囲内と書いて、こちらには明らかに十分の五以上を補助できるものも十分の五しか補助しないで、特別の場合にはこれを越えることができると逃げております。従つて今度の警察費の不足額がもしこの施行令の三条の前項に該当するものであるということになると、法の三十七条の規定では補助ができない、あるいは金を出すことが困難だというようなことが必然的に生れて来やせぬか、そういうことが考えられませんか。不足額だけは出せますか。
  31. 後藤博

    ○後藤説明員 私はこの条文は警察活動費に関する条文だと思つております。警察活動費に関する限りにおいては、御承知の通り二分の一であるということに政令でなつております。法律には、「一部を補助する。」こういうことになつておりますので、警察活動費が調査の結果不足であるといたしますれば、補助率を変更するという手が実はあるのではないか、かように考えられるのであります。  給与の問題につきましては、これは条文の問題ではなくて、国が立てました国警と二十九年度の国家警察が存置した場合の財政規模の二百三十八億というものに問題がある。さらにその中から八十九億分だけ府県警察に移るという場合にそこにまた問題がある。この二つの問題でありますから、これは法律の問題ではなくてわけ方の問題ではないか、かように私は考えておるのであります。
  32. 門司亮

    ○門司委員 その点がはつきりしておらぬと、また大蔵省にいじめられると思うのだが、今のような答弁でよろしゆうございますか。当初であるから、それのわけ方についてもし不合理な点があるならば、いわゆる財政の規模の立て方が最初は違つてつたのだ、だからこれを是正するということは、これは法律上できますか。それをはつきりしておいてもらいたい。
  33. 後藤博

    ○後藤説明員 私は警察費が過少であるということは、最初の国家地方警察が二十九年度存置した場合の財政規模の立て方に問題があり、同町にその置き方にまた問題がある。この問題を考えなければ是正はできないのではないか、そこのところの考え方をかえてもらわなければ給与の是正はもちろんできない。活動費については、この法律上は一部の補助でありますから、これは半分であろうが三分の二であろうがかまわないのではないか、これは政令の改正で行けるのではないか、こういうふうに考えております。
  34. 中井徳次郎

    中井(徳)委員 今警察の不足財源のことで問題になつておりますから、それに関連してちよつと一、二お尋ねしたいのであります。数日前からいろいろこの間に論争があつたのですが、大体引継ぎましたときには現員現給で引継がれたかどうか、その辺のところは大体わかつておられると思いますが、ちよつとお尋ねしておきたい。
  35. 後藤博

    ○後藤説明員 国警から引継ぐ分につきましては、財政計画上現員現給で引継ぐことになつておりますから、従つてその通りわれわれは府県には指示いたしまして、これについてはもちろん国警側の財政計画上現員現給で引継ぐということになつておることを、われわれは強調することについては出論がなかつたのであります。従つて部分府県がやはり現員現給で引継いでおろうと考えております。
  36. 中井徳次郎

    中井(徳)委員 私はやはりそこに問題があると思うのであります。少し脱線をいたしますが、実際問題といたしまして国警と自警との間に相当給与の差がある。このことについては警察法の審議の場合には、むしろ説明といたしましては自警の給与は高過ぎるというふうな考え方の説明であつたので、従いまして今回この改訂にあたりましても、自警の皆さんには補給金を出す、あるいはこの間聞いて驚いたのでありますが、その補給金も七千五百円以上は打切りをするというふうな考え方であります。しかし実際の常識的な見解でもつて参りますと、私ども決してそうじやなかつたと思う。自警の給与が高いのではなくて、国警の給与が非常に低過ぎたのだと私は思う。しかもそのことをここ一、二年存じておりながら、政府当局はこれを無理に押えておつたような状況があると思うのであります。そのことは地方に参りますとよく言われる。今に国難と自警が一本になつたら、ぼくたちも給与が上るのだというのが、国警の下級の警察官のいわゆるないしよ話でありました。こういうことが今回の統一を機といたしまして相当出ておる、爆発したのだと思うのであります。従いまして、このことにつきまして坪論は現員現給ということで了承してやつたと思います。が、各府以におきましては、たとえばこういう府県があります。現員現給でやろうと思つた、ところがその府原の平均の一般職の給与は他の川原よりも高かつた、あるいは一般の国家公務員より高かつた申そうなりますと警察官も、われわれも今回ある府県の職員になる、従つてその府県の職員において特に国警の警察官であつた者が、比率的に非常に低くなる、これではいけない、その府県の一般並にまで持つて行つてもらわなければならぬというので、ある隊長のごときは休を張つて折衝するということを放言しておりましたことを私は聞いております。そういうことは必ずしも防ぎ切れるものでないし、またその隊長の言動もある意味においてはやむを得なかつたろうと私は思うのであります。そういう点を、政府は今後の折衝におきまして無理に押えるというようなことは大きな見方からいつてどうかと考えておりますので、お尋ねしたのであります。資料としてはまだ出ていないでしよう、また詳しくは調査をなすつても、そういうことにつきましては具体的なものは出て来ないかと思いますが、しかし定期昇給をきちつと大幅やるとかいろいろな関係におきまして、先ほど後藤氏か説明がありましたように、現員現給で、あるいは政府予算の最初の見積りと実際問題と相当の隔りがある、おそらく今回の四十億の最も大きな原因はそれだろうと私は思うのであります。これらの詳細は承つておりませんけれども、四十府県の実情を大体伺つてみますと、政府が示しました予算、それから国警本部が県当局に出しました予算、それから県が裁定をいたしましたもの、これは大体三つの線になつております。各府県ともまん中をとつておるというような形になつて現われておるように私は聞いております。従いまして、そういう意味からいつて、私どもは警察法成立にはあくまで反対いたしましたし、現在もそういう立場をとつておりますが、そのことと、これまで国警の警察官として長く非常に薄給に甘んじて、しかもそういうことですから、どこにしわ寄せが行つたかと言いますと、やはり一般大衆にしわ寄せ行つております。この改正案のときに私が大いに議論いたしましたのは、国警に対する寄付金の問題であります。そういう形でもつて私はこれまで出ておつたと思うのでありますから、どうぞそういう面もよく御勘案を願つて、私はやはり四十億不足になつたことにきましては十分な理由があつた、そういう隠れた理由があつた。これは全部ではありませんが、かなり有力な理由であると私は思うのであります。そういうことを御判断なさつて善処していただきたい、かように思うのであります。たいへんどうも一般論のようなことを申し上げましたが、こういう現実の姿に対しまして、自治庁長官としてひとつ率直な見解を承つておきたいと思うのであります。
  37. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 これは警察制度改正に伴いまして、自治警と国警との間に給与の開きがあるということは隠れもない事実で、これをどういうぐあいに措置して行くか、高い方の自治警に寄せて行くか、低い方の国警に寄せるかということは、これは法案の審議の際にも、当委員会においても問題になりましたように承知いたしております。また法案が通過いたしました後におきましても、実施段再において私どもと警察庁との間にもかなり意見が食い違つてつたのでありますが、いろいろ話合いをいたしました結果、このたび措置いたしましたように、ただいま財政部長からお答えいたしましたように掛直して行く、つまり原則としては低い方の国警の給与に寄せて行く、こうい考え方で、その線に沿うて財政計画を組んだわけであります。従つて今の政府の考え方としては今申し上げたような考え方になつておるわけであります。従つて財政計画はそういうふうに考えておるのでありますから、四十億というものとそれと関係のないもの、四十億はそういうような考え方でものを考えましても、なおかつ今の警察関係予算の中に不足分がその程度あるのではないか、こういう考え方をしておるわけでありまして、その点はぜひ補つて行かなければならぬ、こういうふうに考えておるわけであります。
  38. 北山愛郎

    北山委員 警察費の問題については、先ほど自治庁の方から四十億程度のものは足りないらしい、そうしてそれに対しては何らかの財政措置をする、またそれも例の政府の実行予算、節約予算に伴う地方財政計画のただ計算上の措置ではなくして、別個に切り離してこれを措置するというようなお答えでありましたので、ひとつ塚田長官からこの際今度の実地調査の結果はつきりしたならば、必ずそのような措置をとるようにしていただくようなはつきりした御見解を聞いておきたいということ、それからもう一つは各地方団体が非常な財政的な窮境にあつて、しかも給与の遅欠配が各地で続発しておる、これに対しては自治庁としては今まででもそのケースごとに、いわゆるケース・バイ・ケースといいますか、その段階ごとにいろいろ指導をなすつて措置をして来られておるようでありますが、やはり相当一般的な、普遍的な原因に基くものであるというふうに考えられますので、この際は自治庁の責任としても、ひとつこの地方団体一般にわたる窮状を打開するために交付税の繰上げ支給なりそういうものを措置する、こういうふうな方法によつて至急措置をとるこいうことについてのはつきりとした御見解、御所信をお伺いしておきたいのであります。
  39. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 お尋ねの第一点の警察の不足につきましては、しばしばお答え申し上げておりますように調査をいたしまして、その原因がどこから出ておるかということを確かめた上で、その原因に応じた適切な財源措置を必ずいたしたい、こういうように考えております。  それから第二の地方財政の不足、ことに当面の金繰り上の不足につきましては、ことしは一方に緊縮政策をとつております関係上、地方銀行あたりの自治団体に対する協力というものを相当得にくい状態にあるので、一層この状態が一般化して困難になつておるように思いますので、先ほど財政部長からもちよつとお答えを申し上げましたように、これは全体の問題として取上げて、交付金で行けるならば交付金の繰上げ支給その他いろいろな方法を考えて、一般的な問題としてなお善処して行きたいと考えておる次第でございます。
  40. 北山愛郎

    北山委員 なおこの際にお伺いしておきたいのですが、御承知のように現在当面しておる地方財政の問題は今始まつたことじやなくて、もう数年来地方財政の窮状ということが問題になつて来たわけであります。そして地方財政の赤字については昨年も当委員会において塚田長官は御見解を示された。二十八年度においてはその模様をよく見て、なお二十九年度でもひとつ措置をいたしたいというようなお話が昨年あつたわけであります。ところがまた昨日でありましいか、大蔵省の方のお話では、この赤字問題についてはひとつ本年じつと模様を見て、その上で処置をしたいようなお話もあつたわけであります。そうすると大蔵省の方もよくながめてみてそれからやるんだ自治庁の方でもしばらくその状況をよく見た上でというようなお話であつて、そうしているうちにどんどん事態が悪化して行くというようなことになつて、いつまでたつてもこれじや地方財政の赤字の問題、あるいは窮状の問題は解決せられない。ますます病気が悪くなるのじやないかと思うのでありまして、ことし中にはもうどん詰まり、ぎりぎりのところへ行くのじやなかろうか。政府がこれに対する適切な対策を立てなければ、国会がやらなければならないし、とにかく今年あたりは何とかこれを根本的に措置しなければならぬというような事態にさしかかつておる、こういうふうに思うのでありますが、塚田さんはやはりこの赤字の問題については、今までのような御見解で行くのであるか、あるいはまた最近伝えられるように、地方団体の赤字という問題の原因は首長の公選制度にあるのだ、だからひとつ官選の方へ持つて行けば赤字は解消するのだというようなお話をなさつたようにも伝えられておりますが、やはりそんな考え方でおられるのであるか、その赤字対策についてつつ込んだ御意見をこの際承る必要があると思うのであります。
  41. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 これは赤字と一言に言われておりますけれども、いろいろに内容に違つたものがあると思うのでありまして、ただいま北山委員からお話のものも過去に生じた赤字をどうするかという問題と、さらに今後生ずる赤字に対する措置がどうなるかという問題と二様にあると思います。私はこの二つのうちではどちらの問題が大事なのかというと、それはやはり今後赤字が生じるような状態になつているかどうかという問題が一番大事なのであつて、過去に生じた赤字の問題は、それは当面の非常に困難な事態になつたとすれば、それは資金繰りの上において出て来る。ですからして資金繰りの上においてある程度片づいておれば、一応これが再建整備の法律に従つて長期債に振りかえられようが、短期のつなぎで行こうが、何とかずれているという意味においてはそう大きな違いではない、こういうふうに考えておるわけであります。もちろん過去において生じた赤魚がなるべく早くそういう安定した形において長期伍でもつて借りかえられてしまうということになる方が、財政に当られる当来者のお立場からも非常に好ましいことでもあるし、私どももぜひそうやりたいと考えておるのでありますけれども、何にいたしましても今年は起債の総わく、蓄積資金わくに限りがあつて、とうとうその目的が達せられないで、まことに遺憾に思つているわけであります。従いましてその問題は今後そういう金融情勢ともにらみ合せ、また国会側の再建整備法の御審議の進捗状況ともにらみ合せて、ぜひ善処して行きたいと考えているわけであります。  それとは別個に本質の問題として地方財政に今後も長く赤字が生ずるかという問題でありますが、もしそういうような状態であるならば、これはゆゆしい大問題でありまして、そういうようになる原因はどこにあるかというと、しばしば申し上げておりますように、なるほど財政計画の十分でなかつた点については、二十九年度予算においてはある程度財政計画の策定のし直しをいたしまして、これは相当程度カバーできているはずであるというふうにお答え申し上げているわけであります。しかしそれだけではおそらく今後も地方財政の赤字はなくならないであろう、その面では自治団体の御協力にまつほかはないのではないか、自治団体の側ではおそらく人件費などにおいても御考慮願う必要があるでありましようし、また収入の面においては税の徴収のぐあいというような面においても、もう少しお考え願うところがあるのではないだろうか。そのほか単独事業をおやりになるやり方についても、もう少し御検討の必要があるのではないだろうか。自治団体がそういう赤字を出さないという強い決意のもとにいろいろ打たれる、手に応じて私どもも協力をして行く。またさらに政府側において責任のある部分があるならば、それらの点を大蔵省と折御して解決して行くという形において、地方財政の健全化を期待いたしたいというふうに考えているわけであります。
  42. 石村英雄

    ○石村委員 今の赤字の問題ですが、既定財政計画を二十九年度は是正された、これは百四十九億のお話だと思うのですが、あの百四十九億というものは二十九年度の財政計画をお立てになる場合に、従来の二十八年度あるいは二十七年度のやり方では、それは漏れたはずのものを今度は入れたのだ、二十九年度だけの金額だ、こういうふうに解釈するのですが、これが二十八年度、二十七年度、また二十六年度というように、過去における算定の仕方の不足分を百四十九億の中に入れているという意味でございますか、どちらでございますか。
  43. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 それは御指摘のように二十九年度の財政計画においては、そういう原因から来る赤字のないように二十九年度の財政計画はそれだけ直つておりますという意味であります。
  44. 石村英雄

    ○石村委員 そういたしますと、従来の平衡交付制度ということから考えますと、二十九年度より前のそういう算入漏れというものは、やはり地方財政の赤字の原因に大いになつているということが言われるのではないかと思う。平衡交付金という制度から考えると、この点については政府の責任が大いにあるのではないか、赤字の具体的な原因についてはあるいは市長のやり方が悪いとか、県知事のやり方が悪いという個々の問題はあるでしようが、制度自体から見ると、その点に算定の誤りの政府の責任というものが大いにあるということを言わざるを得ぬのじやないか、こう思いますが、いかがでしようか。
  45. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 これはただいまも申し上げましたように、この地方財政に赤字の出る原因というものは、国の側においてもあつたし、また地方の側にあつた。これからもあるということは過去においてもその通りであつたということであるわけであります。従つて過去二十八年度までで、最近の累計では三百七十億近く赤字が累積しておるかと思うのでありますが、その過去に累積した三百七十億の赤字の内訳をなすものについても、やはり御指摘のように国の側において措置すべきもので十分でなかつたものもある。しかしまたその中には地方団体の側でもう少し締めていただくべきものであつたものもある、こういうふうに申し上げられると思うわけであります。
  46. 石村英雄

    ○石村委員 だから、そういう個々の責任もあるでしようが、政府の計画上の誤りという問題があるわけですから、過去の赤字の処理、再建整備ということに対しては、単に地方の赤字のしりぬぐいをしてやるのだ、お前たちがいいかげんなことをしたからこんなことになつたのだから、今後一応金を貸してやるから償却しろというだけでなしに、政府の責任としてこの赤字の処理をするという考え方が、相当なければならないのではないかと思いますが、いかがですか。
  47. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 これは原因が先ほど申し上げた通りでありますからして、全部が地方団体のだらしなさから来たものであるという考え方もいたしませんけれども、そうかといつて、国が全部責任を負うべきものである、従つて赤字のしりぬぐいは、これは国の責任を果すのだ、全部的にそうであるというような物の考え方もできないと思うわけでありまして、それらのいろいろな要素を頭に赴きながら今後の再建整備をどういうぐあいに持つて行くかということがきめらるべきであると考えます。
  48. 北山愛郎

    北山委員 大蔵省の人たちも来られたよう。ありますから、私塚田長官に対しては一つだけお尋ねしますが、今知事官選の問題についてはお答えがなかつたわけであります。長官はしばしば官選について談話を発表されておるのでありますが、この際やはり今でも官選を押し進めるという考えでおられるか。それから最近何か伝えられるところによると、官選問題はなかなかめんどうくさいからこれはやめて、そうして府県に対する監督権というものを強化した方がいいのだというふうにも伝えられておりますが、やはり官選を進めて行くという考え方を持つておられるのか。もし官選に持つて行かれるという考え方であるならば、それは現在の憲法の九十三条ですか、あれを改正しないで解釈によつて官選制が可能であるとお考えになつておるか。あるいは現行憲法のもとでは無理であるから、あの規定改正しなければ知事公選をやめるというわけには行かいというようにお考えになつておるか。この点をこの機会にお伺いをしておきます。
  49. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 問題もしばしば当委員会においてもお答え申上げておるのでありますが、決して私が官選を主張しておるわけでも何でもないのでありまして、今までの制度、つまり公選の制度についていろいろな点で考えなければならない点がたくさんあるのではないか。従つて公選そのものを再検討してみる必要があるのではないかという考え方であつたわけであります。従つてそれから先の憲法との関係その他につきましても、十分自分としても考えてもおらない問題でありますので、ここでお答え申し上げるのは御容赦いただきたいと思うのであります。ただ現在の公選制度について若干考えなければならぬ点があるのではないかという点の一つとして、今の公選制度地方財政の厖大化を来す一つの要因になつているように自分には思われる。そういうことも考えられるから、かたがたもう一度検討してみたらどうかということであるわけであります。     〔「佐藤(親)委員長代理退席、委員長着席〕
  50. 中井一夫

    中井委員長 ちよつと申上げます。ただいま昨日の、委員会決定に基きまして大蔵当局及び日本銀行営業局長佐々木直君らが出席されましたから、これより主として昨日来の地方財政に関する問題につきまして質疑をお願いたしたいと思います。なお佐々木営業局長は参考人として発言を許すことといたしますから、さよう御承知を願います。  御質問の便宜のために、ただいま御出席の諸君のお名前を申上げます。自治庁関係といたしましては塚田国務大臣鈴木自治庁次長、後藤財政部長、奥野税務部長、大村理財課長、それから大蔵省関係といたしましては、植木大蔵政務次官、森永主計局長、阪田理財局長、牧野地方資金課長、それにただいま申しました参考人として日本銀行営業局長日本銀行理事佐々木画君、これらの皆さんが出席でありますから、さよう御承知を願います。藤田君。
  51. 藤田義光

    ○藤田委員 まず植木政務次官にお伺いいたしたいと思いますが、年々間々地方財政に関する論議は深刻になつてつております。特に最近大蔵省の地方資金課等のごとき第一線の課はとにかくとして、大蔵省最高幹部の考え方にわれわれ非常な疑問を抱いておるのであります。それは昨日来の質問に対する答弁でも解明された点でありますが、現在約一万になんなんとする地方自治体に対する大蔵省資金の放出にあたりまして、どうも一般のいわゆる株式会社に対する投資のごとき感覚をもつて問題を処理されておるという印象が、非常に私たちには強いのであります。この際植木政務次長にお伺いいたしたいことは、資金運用部資金の放出にあたりまして、民間の産業投資と地方自治体に対する投資とどういう見解を持つておられますか。まつたく同一な見解のもとに資金運用部資金を出されておるのかどうか。私は民主主義の基礎的な地盤である地方自治体は、国家機関の一部である。おのずから産業会社などは別個な角度で考えなくてはならない問題であろうかと思うのであります。ところが実際上大蔵省の貸出しの方式を見ておりますると、地方自治体も一般の産業会社もまつたく同一に考えて資金が放出されておるという印象を受けるのでありますが、いかがお考えでありますか。
  52. 植木庚子郎

    ○植木説明員 地方自治団体に対する大蔵省の資金融通の態度と、その他の民間の一般産業関係に対する態度との違いがあるかないかという御質問でありますが、われわれといたしましては地方行政の非常に大切な点から考えまして、当然これは公共的な性質のものでございますから、これに対してはでき得る限りその御意向を尊重し、その需要を満すように心がけたいと思つております。ただ問題となりますのは、地方公共団体の場合におきましては、御承知の通り近年財政需要がだんだんと増進する傾向にありまして、従つてそれが赤字の一つの原因をなしておる場合炉多分に見受けられる。また実際におきまして当該団体の財政運営の実情について、もう少し反省を求めたいと思われる点もときどきございますので、従つて個々の融資の御要求に対しましては、でき得る限りその実情を聴取して、その上で融資をするという建前にいたしております。ところが他の民間産業に対しまする場合には、政府が一応計画を立て、これを国会の皆さんに御相談いたしまして、その御相談の結果まとまりました金額あるいは計画、その計画のもとにおおむね運営せられております。従つてかかる場合においては、実際地方団体に対して融資をいたしまする場合よりは、比較的手数が簡単に進んでおるような場合が多いのであります。この点が、あるいはただいま御指摘になりましたように、いかにも民間産業団体等に対してはゆるやかに順調に貸しておる。ところが地方公共団体に対してはどうも態度がにぶいとかあるいは親切心が足りないとかいうふうな御印象をお受けになる原因ではないかと想像いたしておる次第であります。われわれといたしましては、もちろん公共団体の方を尊重いたして参ることは当然である。しかしながら国会の御決議をいただきましたところに従つて、産業団体等に融資する場合におきましては、これまた当然同様に尊重して参ることは申すまでもありません。
  53. 藤田義光

    ○藤田委員 ただいま政務次官が言われた通りでありまして、どうも私は政府資金の貸出しに対しまして、一般の産業団体等には非常にゆるやかにやつておりますが、地方公共団体には相当渋いのでないかというような印象を持つております。本年度のいわゆる地方公共団体に対する起伏の額はわかつておりますが、一般産業団体、会社等に対する貸出しの状況を大筋だけでけつこうでございますが、お示し願いたいと思います。
  54. 植木庚子郎

    ○植木説明員 すでに過般の国会におきまして何回か御答弁申し上げ、あるいは資料を差上げてあると思いますが、当時申し上げました通り、政府関係機関の貸付の部分におきましては、国鉄におきまして七十億、住宅金融公庫におきまして九十五億、国民金融公庫に対しまして九十一億、中小企業金融公庫に対しまして百五億、農林漁業金融公庫に対しまして同じく百五億、開発銀行に対しまして二百六十億というような政府関係機関に対する計画に相なつております。また地方価といたしましては、御承知の通り四百三十四億円と計画いたしております。勤労者更生資金として三十五億、金融債といたしまして百九十億、帝都高速度に対しまして十億、電源開発会社に対しまして百六十位、かような計画になつておるのであります。これはいずれも年度を通じての計画でございますが、これを適当に各四半期ごとにいろいろな計画を立て、さらにこれを月別にくふうあんばいをいたしまして、政府手元資金の都合とにらみ合せて、それぞれ融資をいたしておる次第でございます。
  55. 藤田義光

    ○藤田委員 昭和三十八年度の地方銀行が地方団体に融通しました金額は、二十七年度に比べまして約百二十億の純増であります。現在の地方自治団体の財政状況からいたしまして、この地方銀行というものが自治体の財政からそつぽを向きましたならば、非常な混乱が起きるということは、昨年の状況だけを見ましてもはつきりいたしておるのであります。私たちはこういう観点から、政府が資金運用部資金あるいは簡保資金で引受けておりますところの地方債やその他の問題を処理するにあたりまして、産業投資と地方団体に対する融資の間の競合を避けるため、当然大蔵省としましては銀行等と相談の上に適切な措置を考えなくてはならぬ、かように考えております。たとえば公募債の発行等にあたりまして何らかの措置を考えられておりますかどうですか。その点をお伺いしたい。
  56. 阪田泰二

    ○阪田説明員 公募債の問題でございますが、御承知のように昭和二十八年度の公募債の発行につきましては、これは前年度に比べまして発行額が非常に増加いたしております。しかも一方におきまして金融引締めというような事態によりまして、地方の金融機関その他の引受け余力も大分低くなつておる関係上、相当地方でも公募の実行には御苦心されたように伺つておりますが、昭和二十九年度の公募債これは大体本年度の計画におきましては二百億円というものが予定されておるのでございますが、この公募も実は現在の金融市場の情勢を見ますと、一般の社債、あるいは株式その他の状況を見ましても、かなり詰まつてつておるわけであります、従いまして、二百億の公募債を目標通り達成することは、かなり困難じやないかというふうに考えられ亨の、で、いろいろと起債の承認等をいたします場合にも、大蔵省といたしましては、公募の見込みのないものを起伏の承認をする、承認を受けただけで実現ができないというようなことのないように、各起債団体においていろいろと公募の計画、見通し等を立てますが、そのものをよく伺いまして公募の見通しが確実なものに限つて承認するように持つて行きたい、かような気持ちで本年度として公募債の問題を処理いたしたい、かように考えております。
  57. 藤田義光

    ○藤田委員 そこで日銀の佐々木参考人にお伺いしたいのでありますが、日銀の政策委員会におきましては、先月の二十一日と記憶いたしておりますが、地方銀行の地方債引受けのための日鉄の貸出しは絶対やらぬということを決定されたようであります。どういう理由でそういう決定をされたか、ひとつ率直にお伺いしたい。
  58. 佐々木直

    ○佐々木参考人 ただいま日本銀行の政策委員会において、地方銀行が地方公共団体に貸付をするために、日本銀行の資金を利用することは一切相ならぬという決定をしたというお話でございますが、私は全然そういう事実を聞いておりません。かねがね地方公共団体に対する貸出しのために日本銀行の貸出しがふえるというようなことが望ましくないという、一般的な方針はいろいろ議論されておりますけれども、一切相ならぬという意味決定的な、何といいますかストップ令と申しますか、そういうものが出ておるわけではございません。その点は何か違う問題ではないかと思います。
  59. 藤田義光

    ○藤田委員 私がお伺いしたのは、地方銀行への、地方債を引当てにした地方公共団体の借金に対しまして、日銀の貸出しは絶対にやらぬ。そういうことを政策委員会決定したというふうにわれわれは了解するのですが、真相をお伺いしたいのです。
  60. 佐々木直

    ○佐々木参考人 今の地方債を引当ていたしかねますけれども、実質的に申せばやはり地方公共団体がとにかく金がいる。その金を地方銀行がまかなう。そのまかなうときに預金の増加がこれに足りないために、日本銀行の信用を使う。こういう筋道だと思いますが、そういうことは望ましくない、できるだけ避けたいという意向は、かねがねいろいろな場合に議論されておりますが、決定的な禁止令といつたようなものは私聞いておりません。
  61. 藤田義光

    ○藤田委員 それでは日銀の方針としまして、地方自治団体と地方銀行の関係、その金融等に対しまして何らの指示もあるいは希望も具申されたことはないというふうに了解してよろしうございますか、どうか、この点に関しましては、いずれ総裁の御出席を願つて近い機会にはつきりさせたいと思いますが、理事として当然御承知と思いますので、お伺いしておきます。
  62. 佐々木直

    ○佐々木参考人 ただいまもちよつと申上げましたように、日本銀行の信用を利用して、地方公共団体の資金不足を地方銀行の貸出しによつてまかなうことは望ましくないという意味のはことかねがね議論をしておりまして、そういう方針は今でもかわつておりません。これは何も地方公共団体だけをそういうふうに申しておるのではなくて、御承知のように今の金融引締め政策のもとにおきましては、事業会社に対する貸出しについてはもちろんのこと、そういうような面から日本銀行から追加信用を供給しなければならぬということはできるだけ避けなければもらぬ。この点は今の金融引締めの基本的な方針でございまして、これれが今の公共団体の場合にもやはりその根本的な考え方は同じように現われておる、そういうふうに私どもは理解いたしております。
  63. 藤田義光

    ○藤田委員 日本銀行は昨年の暮れごろから、このデフレ予算見通しまして、一般市中銀行どんどん引揚げ強化を断行しております。一兆億予算になりました今日においては、これは日銭としまして当然のことでありますが、その前からただいまの御答弁のような政策が強行されております。ところがただいまの御答弁でもありましたが、一般の産業会社等と同率に地方団体というものを日銀としては取扱われておりますか、どうですか。あるいは地方公共団体だけは多少優先的な取扱いをされておりますか、どうですか。その地方銀行の信用だけでまかない切れない不足分を、日銀がめんどうを見るということはできない。それはもう地方公共団体でも一律にそういうふうに解釈されておりますか、どうですか。
  64. 佐々木直

    ○佐々木参考人 ただいまの御質問の場合におきまして、私どもとしては地方銀行に対して、地方銀行がまず最初にその貸出しの安全度と申しますか、要するにその貸出しの回収性をどういう点に考えておるかということが、まず地方銀行で検討されるわけでございまして、その上で地方銀行がこれならば貸せる、それ。銀行として預金者の利益を害しないで、こういう資金の運用ができるという判断をいたしました場合に、初めて日本銀行へこういうことで金がいるから、うちの方に少し金を貸してくれないか、こういうような話になるわけであります。従いまして初めに日本銀行がそれぞれの個々の貸出しの内容を審査しまして、これを貸していいとか貸して悪いとかいう判断をするわけではなくて、第一の判断は銀行自身で、その窓口においてまたはその首脳部において決定をするわけであります。従いましてその相談を今度日本銀行が受けました場合に、地方公共団体の場合と一般の産業会社の場合と違うという問題になつて来ると思いますが、その場合にわれわれとしてはもちろん地方公共団体の公共性というものは十分考えておりまして、普通の町の営利会社の資金を必要とする場合とはやはり別に考えております。
  65. 藤田義光

    ○藤田委員 現実の扱いにおいては全然別にやつておられません。まつたく一般の民間団体と同様に、最近地方銀行は日銀の方針だということで、短期融資も何も全部ストップしておるということは、先日来の当委員会の審査でもはつきりいたしております。ただいまの佐々木理事の答弁と食い違いますが、これは先日来のわれわれの議が間違つてつたかどうか。まつたく一銭も新年度になつてから短期融資も出さぬという非常にきつい方針が、一般民間会社と同率に第一線で扱われておるのであります。しかも地方銀行は非常に現金の手持ちが少いために、すべて日銀のごきげんを奉伺しないと最近の貸出しはできないのであります。回収能力の有無というようなことを、第一次的には地方銀行でやられるということでありますが、これもほとんど実権は日本銀行の金融統制によつて完全に押えられてしまつておる。そういう観点からしまして、私は地方銀行が短期融資も全部ストップしたのは、これは当然その裏で実権を握つている日銀の方針ではないかというふうに考えております。また先般の新聞では先月の三十一日の日銀の政策委員会でそういうような決定もあつたということを私は拝聴しておりますので、非常にくどいようでありますがお伺いしておるのであります。もう一度ひとつ御答弁をお願いしたいと思います。
  66. 佐々木直

    ○佐々木参考人 昨日までのこの委員会でどういういろいろの御議論がありましたか、実は私存じませんのでございますが、ただいま手元にあります貸出しの数字を見ますと、今のお話の点と多少違つておるように存ぜられるのでございます。二十九年度になりましてから、四月と五月の全国の銀行の貸出しの数字がわかつておりますが、四月、五月が二箇月で全国銀行の総貸出しはわずかに十三億しかふえておりません。これは全体としての金融引締め方針の徹底と、もう一つは輸入金融が輸入の最盛期を越えましたために、輸入金融の金額が減つておるのが反映しておるわけでございますが、とにかく総貸出し高が十三億しか増額いたしておりません。しかるに業神別に只ますと、公共団体に対する貸出しは五十億増加いたしております。従いまして五十億と十三億の差額であります三十七億というものは、ほかの事業会社に対する貸出しは減つておるのでございます。この点は地方銀行の数字を見ましても、はつきりいたすのでございますが、地方銀行の総貸出し荷は三十九年の四月と五月の二箇月で十四億増加いたしております。しかるに地方銀行の地方公共団体に対する貸出しは一十九億増加いたしております。従いまして地方銀行の貸出しの中におきましても、公共団体以外の貸出しは十五億ほど減少しておることに相なつております。従いまして今年度におきましてオール・ストップというようなお話がございましたが、実数はこのように、ほかの産業会社はむしろマイナスであるけれども、公共団体に対する貸出しは漸増いたしておる、こういう事実がございます。六月の全国銀行の数字はまだまとまりませんので、とりあえず四月と五月だけを申し上げます。
  67. 藤田義光

    ○藤田委員 ただいまの御答弁でございますが、昨年度末における地方公共団体は、厦次の災害、それから再三にわたる断定予算あるいは追加予算等によりまして、これを受入れます地方公共団体は財政的に非常な混乱があつたのであります。年度措置としていろいろ地方の財務局等と相談の上で金繰りに苦慮をいたしたようでありますが、それが出納閉鎖の五月までその波が及んだために、ただいまのような数字が出ているんじやないかと思いますが、佐々木理事の答弁されました、いわゆる四月、五月の一般民間融資よりも地方公共団体がふえたという真相に関しまして、ひとつ理財局長の御見解をお伺いしておきたいと思います。
  68. 阪田泰二

    ○阪田説明員 これは御承知のように地方公共団体におきます短期資金の需要でありますが、これは例年のことでありますが、年度初めには大体歳入が入らないうちに、歳出はかなり出るものがありまして、年度初めは例年地方団体の現金の資金繰りといたしましてはかなりの不足を来す、そういう現象がございます。それに対しまして従来から資金運用部、簡易保険あるいは地方銀行等において、そういう短期の金を融資をして参つておるわけであります。今年は昨日御説明申し上げましたように、資金運用部、簡易保険等で貸しておる金は、年度内の短期融資の関係でありますが、年度初めではいわばゼロになつておるわけでありまして、それが現在百七十数億程度出ておるわけであります。地方銀行等からもただいま佐々木理事がおつしやいましたような金額が出ておるわけでありまして、これらを合せまして年度初めのそういつた式の短期資金の需要というものが充足せられておるという状態であろうと思います。ただやはり地方団体関係はいろいろと需要も非常に旺盛といいますか、大きな資金の所要見込み額というものがいろいろ出おりまして、そういうような需要希望額に対しましては十分でない。従つて金融が梗塞しておるとか銀行から十分に貸してもらえない、こういう声があるのではないかと思いますが、資金としてはやはり当然その程度のものは、年度初めの貸出しとしては出るのが普通であろうと思います。
  69. 藤田義光

    ○藤田委員 そこで佐々木理事にお伺いしたいのでありますが、先ほど来申されたように、この銀行というものに対する地方公共団体の依存度、これは財政的に見まして非常に大きな部面を占めて参つております。従いましてこの日本銀行の地方公共団体財政に対する見解が、非常に重大な関心を集めて参つたのであります。地方公共団体におきしても今後いろいろ自粛省すべき点が多々あることは、われわれも率直に認めるのでありますが、日本銀行としまして、この際デフレ予算を執行する上におきまして、地方公共団体はかくあるべし、それに対しまして日本銀行としましては日本銀行法による特権と義務を完遂するためには、かような姿であつてほしいということがおのずから出て来なくてはならぬとわれわれは想像するのでありますが、何かその点に関する御所見がありましたら、お伺いしておきたいと思います。
  70. 佐々木直

    ○佐々木参考人 日本銀行といたしましては、結局通貨価値の安定ということが、最終的な目標でございますので、その最終目的を達成するためにどういう施策を講じなければならないかということを、いつもいろいろやる施策のものさしとして考えておるわけでございますが、今の地方公共団体の問題も、地方公共団体の赤字のために、日本銀行から追加信用が出され、その結果日本の円の低位の安定が害されることのないようにということが、われわれとしてはいつも考えの基礎になつております。現在国家財政につきましては、財政法その他ひいわゆる赤字公債は出せなくなつております。日本銀行から国家に対する貸出しも今いたしておるわけでもございません。新しい国債も出ておらないのでありますが、地方公共団体の場合には、さつきから議論がいろいろございきたように結局日本銀行の貸出し増をもたらすような銀行の貸出しが、地方財政のためには行われているのが実情でございます従つて私どもとしては地方財政がやはり国家財政と同じように、歳入の範囲内において歳出をまかなわれることを心から希望するわけでございまして、従いまして一年度を通じてのバランスはとれるけれども、季節的には多少波がある。資金のシヨートを来すような場合には、これはももろん地方銀行としてきわめて短期な貸出しになりますし、われわれとしても言い基節性を考えて金融の調整をはかることは、総体としてのいわゆる通貨価値の維持に何らの支障も起すものでもございませんし、この点われわれとしても資金の調達にはやぶさかではございませんけれども、全般としてバランスのとれない、結局非常に固定してしまつて、日本銀行の追加信用が出つぱなしになるというようなことはできるだけこれを避けたい、こういうふうに考えております。地方財政のあり方自身につきましては、私個人としてここで申し上げるだけの準備も実はいたしておりませんので、これはまた他の機会にお願いいたしたいと思います。
  71. 藤田義光

    ○藤田委員 この地方公共団体と地方銀行の関係を見まして、地方公共団体の融資ということが、地方銀行の資金繰りを相当圧迫しつつあるという状態は、われわれも率直に認めるのであります。それだけに地方銀行と地方公共団体の関係が非常に深刻になつてつておるわけであります。ただいま佐々木理事の御答弁の通り、私は昨日も財政支出の平準化と申しますか、第一・四半期、第三・四半期にややもすれば財政資金が集中して放出される、これを何とか第三・四半期の分は第二・四半期に繰上げて支出する、そういう方法によつて年間を通じて、この地方財政支出が平均化されることが非常に勇ましいというふうに考えておりますが、ただいまの御答弁のような措置のことを大蔵省あるいは自治庁方面に具申されたことがありますかどうですか。また大蔵省が日本銀行とそういうことを相談されるということが過去においてありましたかどうか、お伺いしたいと思います。
  72. 佐々木直

    ○佐々木参考人 ただいまの御質問は、政府の資金の受払いの季節性と申しますか、時期による波をできるだけ平準化しなければならぬ、そういう問題について日本銀行は大蔵省と話合いをしたことがあるかという御質問と了解いたしますが、その点については実はかねがねしよつちゆう御相談申し上げております。御承知のように今年の第一・四半期には三百三十億円の政府資金が払い超過になりました。七月は最初の見込みでは二百億円くらいの引揚げ超過になるという見込みでございましたけれども、外国為替特別会計などの引揚げが案外少いということで、今の見込みでは百億以下の引揚げ超過で済みそうでございます。八月も今の勢いでは最初予想されておつたよりも引揚げ超過は少くなるのではないかというようなことで、第二・四半期が非常に大きな引揚げ超過になるという心配も、いろいろな点から大分解消しつつあるように存じております。においてもこの季節的な波をできるだけ穏やかにしたいということわかねがね考えておられますし、私どもも常に希望いたしておりまして、いつも具体的なお話合いをいたしておる実情でございます。
  73. 藤田義光

    ○藤田委員 ほかに御質問があると思いますから簡単にしたいと思いますが、非常に具体的な問題でありますが、新聞で御存じの通り、昨今府県等におきまして職員の給料の遅配欠配が起りつつある。これは考え方によつては赤字でありますが、この赤字補填のための燃費は銀行としてしたくないのは当然でありますが、現実に県庁の職員に月給が遅れたということになりますと、影響するところ非常に正大であります。現実に知事等から地方銀行にこういう問題で相談があつた場合、日本銀行の方針あるいは通貨価値安定の目的に反するような融資になりますので、日本銀行法の目的に反するような懸念もありますが、私は府県が借金をして地方銀行をつぶすというようなことは常識的にあり得ないと思うのでありますが、そういう場合、現実の問題になつておりますので、もし地方銀行等の相談があつた場合、日本銀行においてはいかなる処理をされる方針でありますか。これは仮定の事実ではありますが、現に大蔵省の短期融資も非常に締められておりますし、地方銀行との相談ということがすぐに具体的問題になつて来るであろうと私は想像しておりますが、それに対する御見解をお伺いしておきます。
  74. 佐々木直

    ○佐々木参考人 今の問題は抽象的にはなかなかお話しにくいことだと思いますが、一般的に今考えられますことは、そういうような地方財政にとつてはゆゆしき大事に立ち至りましたときには、もちろんわれわれとしてその問題の重要性は十分認識するのではございますけれども、そこまで参りました場合に、個々の団体における今後のやり方、そういう状態になつて来た場合にどういうふうな措置を講じて、その展開をはかるか、そういう点について十分な検討が行われてそこに見通しが立ちますならば、それだけ緊急な状態に対しては、日本銀行としては必要な手を打たざるを得ないと思います。そういう場合に責任者において十分な将来に対する措置をお考えいただくことがまず第一番であります。それが十分納得の行くものが立てられますれば、そういう緊急事態の解消にできるだけの力をいたすべきだ、こういうように考えております。
  75. 藤田義光

    ○藤田委員 ただいまの御答弁からいたしますと、結局日本銀行としましては、一般の産業会社が銀行から金を借りると同じような手続が必要になります。将来の見通し、どういう再建方式をとるかというようなことを詳細調査の上でないと、何ともできないようであります。私は四十六都道府県の一箇所でもこういうことが起きました際におきましては、国家としましても重大な問題である。四十六分の一箇所において、そういう問題が起きたということは、国家的な大問題になろうかと想像いたします。従いましてそういう問題は当然政府において責任を持つて、日本銀行あるいは地方銀行に方針をはつきりさせておくということが焦眉の急ではないか。一々日本銀行が相手の府県と交渉をいたしまして、貸しても大丈夫だという認定を銀行がやるというようなことは、実に不見識な話であります。そういうことに関しまして、そういう事態が起きないように、省等では当然何らかの手を打つべきでありますが、植木さんどうでしようか、ひとつ具体的に各個の県あるいは市等が銀行に相談するというような不見識をやめまして、政府方針として何らかの一つの柱を事前に建てておく必要があるのじやないか。もちろん地元としましては、財政再建整備の一つの具体的な方式を提出する必要はありましようが、そういう事態が全国に波及しつつある今日におきまして、ただちに全国の自治体は財政の建直しの整備計画を出せということも必要でありましようけれども、何かそういう具体的方策をお考えでございますかどうですか。
  76. 植木庚子郎

    ○植木説明員 お答え申上げます。地方公共団体におきまして、ただいまお話のごとき給料の遅配欠配というような問題が当該月に起るということは、先ほど佐々木理事お答えになりました通り、われわれ大蔵当局といたしましてもゆゆしい大問題と考えます。従つてかような事態が起きないように、極力善処したいと思うのであります。しかし善処とはしからばどうすることかということになりますと、やはりかような場合におきましては、当該団体の理事者から十分なる期間的ゆとりをとつていただいて、そうしてお互いに十分話合いをし、調査もできて、かような事態が月末までに起らぬようにやつて参りたいと思うのであります。それを当該団体が無責任にいつまでも放置しておかれて、そうして月末まであとほんの二日か三日くらいになつてから、こういう状況であるからと言われましても、――そういう場合にも極力われわれとしてはできるだけ大綱をつかんで、かかる事態の起きないようにしたいとは存じますけれども、しかしながら必ずそうしますとは申し上げかねます。と申しますのは、やはりせつぱ詰まつたところまで追い込めておいて、そうして政府にあくまでもしりをぬぐえというようなお考えでは、はなはだ困るのでありまして、でき得るならば相当な期間を置いて事前に御相談をくださるならば、われわれ当局といたしましても、かかる場合におきましては、あえて地方銀行ばかりにおせわにならなくとも、預金部資金もございますし、従つて短期の融資ならば、この資金をもつて善処することもできるのでありますから、それぞれ十分御相談をいただきたい、かように存ずる次第であります。
  77. 藤田義光

    ○藤田委員 七月一日から新しい警察法が施行されまして、これに伴う歳入欠陥というか、赤字が相当額あるようであります。これは精細な数字はまだつかんでおりませんが、百億近い数字になるのじやないかと想像するのであります。財政節約のための警察法改正であつたのが、結果においては逆になつております。こういう問題も出ておりまして、地方財政の赤字に拍車を加えておるのであります。ただいま政務次官の御答弁でありますが、実はこの資金運用部資金の放出等に関しましてもいろいろ問題がありまして、なかなか次官の御答弁のような緊急な措置は期待できないのではないかと思うのであります。いろいろあとに質問者がたくさんおられるようでありますが、自治庁長官としまして、大蔵省の財政資金の問題はとにかくとしまして、一般銀行と地方公共団体との関係、これの調整のために何かひとつ手を打とうという腹はございませんかどうですか、自治庁長官から最後にお伺いしておきたい。これは地方団体の銀行に対する依存度が非常に大きくなつてつておりますので、この機会に御答弁をお願いいたします。
  78. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 私といたしましては、先ほど日銀の佐々木理事の御答弁を伺つて、やはりそういう考え方はもつともである、そういうように感じているのであります。もちろん地方銀行が、自治庁団体に御協力くださつていることは、過去においてもそうでありましたし、今後もぜひそのようにお願いをしたいということであり、また地方銀行も、できる範囲においては御協力願つていると私も思つているのでありますが、しかし今自治団体が赤字が出て来て、金繰りに困つているというときに、その土地の地方銀行に相談をして、その土地の地方銀行が日銀にしりを持つて来なければ金繰りがつかないというようなときに、自治団体にひとつ協力していただきたいということは、おそらく今日の金融政策の基本の考え方から無理だろうと私も思うわけであります、それではどうするかということでありますが、おそらく現実の問題としては、やはりそういうものはそうたんとございませんし、今までもそういう考え方で指導して参つておるのでありますが、やはり中央においてまず見る。大蔵省の資金運用部資金でつなぐか、あるいは私の方の郵政省の簡保の資金でつなぐか、そういうことをまず考えるべきであるし、また現在現実に問題の起きております幾つかの県の措置などについては、大体その行き方でもつて問題は片づくであろうと私は考えているわけであります。そのほか一般的な問題につきましては、やはり先ほどもちよつと申し上げましたように、これは交付税の繰上げ支給であるとか何か、そういう措置をとつて行く方が、むしろ今日の金融政策全般とマッチした考え方じやないだろうか、かように考えているわけであります。
  79. 藤田義光

    ○藤田委員 これはある新聞の報道でありますが、東日本だけの最近の県庁の財政状況を正ますと、給料だけに関して、青森県が完全に昇給を停止しております。部長用の自動車十台あつたのを七台も売つてしまう。それから群馬、茨城等は、月に六回にわけて月給を支払う。それから埼玉県は定期昇給をストップいたしております。新潟は、自治庁長官の郷里でありますが、新潟県においても、給料は分割払いということになつてしまつております。長野県も来月から遅配、それから秋田県は一切昇給を停止する。こういう状態で軒並に非常に深刻な状態になりつつありますので、最後に、大蔵省、自治庁におきましては、何とか至急具体的な方策を講じていただきたいということを要望いたしまして、私の質問を終ります。
  80. 中井一夫

    中井委員長 門司君。
  81. 門司亮

    ○門司委員 今藤田君から、相当長い間詳細にわたつて聞かれておりますので、これ以上あまり聞くこともないかと思いますが、今の質疑及び答弁を拝聴いたしておりますと、最後の自治庁長官の御答弁は、非常に楽観的であります。自治庁長官のお考えのように、何も大蔵省の資金運用部の利用とか、あるいは郵政省の持つている資金でまかなえるならば、私は大した議論の余地はないと思う。しかし昨日から大蔵省の事務当局の諸君の意見を聞いてみますと、当面なかなかそうも行きそうもないのであります。どうも調査してとか何とか、いろいろ文句が多いのであつて、そう簡単に片づきそうもない。そこで一応政務次官にお聞きしておきたいと思いますが、政務次官は、大蔵省としても今の自治庁長官と同じような考えで、この現実に起りつつある問題に対しては、政府は責任を持つて処置をするというように、われわれ解釈してよろしゆうございますか。
  82. 植木庚子郎

    ○植木説明員 先ほど長官のお答えになりました通り、大蔵当局といたしましても、政府資金をもつてでき得る限り善処して参ろう、かように考える次第であります。
  83. 門司亮

    ○門司委員 大体でき得る限りということ以外答弁はできないと私は思いますが、しかし問題は二つにわけて考えなければならない段階に来ていると思います。今日支払いにも困つているというような状態になつておりますものの中には、先ほどからいろいろ議論されておりますように、一つの大きな問題は、やはり何と言つて政府の施策に基く金融の引締めが、かなり大きな影響を持つているということは、私は事実だと思う。先ほど日本銀行の方のお話によりますと、四月、五月にはむしろよけい貸し出しているというようなお話でございますが、この時期はこれも先ほどからお話のありましたように、地方の公共団体としては金のない時期であつて必要な時期でありますので、必然的にこういう現象が出て来ると思う。  それから先ほどの藤田君の質問に対する日銀の佐々木さんの御答弁の中で、私ちよつと理解に苦しむ点が一つあるのでありますから、この点を一応日銀の方にお聞きしておきたいと思います。藤田君の聞きましたことは、市中銀行から借出しをいたします場合に、日銀としては返済の方法として短期融資を引当てにした返済財源については融資をしないというようにきめられたのではないかというように、私ども大体了承しておるのでありますが、それと違いますか、返済の引当て財源が短期融資のようなもの、いわゆる不確定のものであつては困る、こういうことにわれわれ解釈しおつたのでありますが、それと違いますか。
  84. 佐々木直

    ○佐々木参考人 どうも私今の御質問の点がなかなか理解しにくいのありますが、繰り返して申しますように、日銀としましてはそういう貸出しのために銀行が自分の預金の増加によつてまかない得る場合は、また一応別の場合もございますが、日本銀行の貸出し増をもたらすような場合には、地方公団体にいろいろな金を貸すということは、それが季節的な波によつて生ずるものである場合は別といたしまして、そういう貸出しはこちらとして望ましくないということは考えておりますけれども、返済資源が何であるかという点によつて貸出しをいいとか悪いとかいうような区別をいたしますことは、私どもとしてはちよつと考えられないのであります。もしその返済資源について問題があるとすれば、たとえばその借入金自身は相当長いものではある。地方公共団体としてすぐに返済はできない。しかしながら八月になれば政府のたとえば資金運用部から貸出しが行われるのですし、資金のいるのは今月いるのであるから、それまでの二箇月間つなぎに金を貸せ、こういうのであればちようど季節的な波によつて起る金の貸出しと同じようなことで、その程度のことであるならば、もし日銀の追加信用を使われましても、きわめて短期でありますから、われわれは別に反対はない。要するに私どもの判断のよりどころは、日本銀行の追加信用の増大をとめるということ、もし追加信用がやむを得ない場合は、それがはたして短期のもので、それがすぐまたもとへもどるものかどうかという点で判断をする。この二つの判断の材料がございまして、それ以外に、たとえば短期貸付を引当てとするものという意味が、たとえば政府の方から出ます金が短期のものだから貸す、長期のものなら貸さないとか、あるいは短期のものなら貸さないが長期のものなら貸すとか、そういう点はわれわれとしては別に一般的には区別する理由がないように存じております。
  85. 門司亮

    ○門司委員 大体わかりましたが、そういたしますと、今度は大蔵省にお聞きしたいのでありますが、今日銀の関係ではいろいろ現在の地方自治体の困つております一つの原因として、市中銀行の貸出しが非常に引締められておるということが原因となつておる、こういうことが言われております。一応日銀の方針もわかつたのでありますが、今の日銀の御答弁から見ますと、短期融資その他の見通しのついたといいますが、そういうものについては別にさしさわりもないのだ、貸出してもよいのだ、こういふうに解釈してもさしつかえないと思います。そうなつて参りますと、問題はやはり大蔵省の腹にかかつて来ると思います。従つて大蔵省は今の御答弁では事情の許す限りというようなお話でありましたが、この点は地方公共団体にとつてはかなり大きな問題でありまして、大蔵省は短期融資をしてくれるというのなら、今市中銀行からでも借りられないことはないというようなことになつて参りますと、もう少し大蔵省の態度は私ははつきりしておいていただきたいと思います。そういたしますと、現在給与の支払い等にも困つておるというような状況に対しては、大蔵省は積極的にこれについては短期の融資なりをして、そうして地方自治体にそういうことのないように一応方策をとるという大蔵省の態度と解釈しておいてもよろしゆうございますか。
  86. 植木庚子郎

    ○植木説明員 その短期の融資を必要とする場合でありましても、当該公共団体の経理の状況、すなわち他の方面において、濫費とは言えなくても、ルーズな金の出し方をしているとか、あるいはその他の事業にいたしましても、当該地方団体の財政事情から考えれば、本来は実行を遠慮すべきものであると思われるようなものでも、どんどん遠慮会釈なくやつている。そうしてたまたま給与お支払期日に及んで、給与の資源が足りないということになりますと、これは非常にまずいと思います。言いかえれば、当該公共団体の年度を通じての赤字になるような財政状態になる場合には、非常にまずいと思います。従つてかようなことが起きないようにできる得る限り十分に御相談して、かかる場合には切り詰めるところはもつと切り詰める十分な処置をしていただくかたいお約束をしていただいて、なお給与の支払いにさしあたつては困つているというような場合には、給与そのものの性質にかんがみまして、かようなことの起きないように処置いたしたいと考える次第であります。
  87. 門司亮

    ○門司委員 それでは最後に二、三点について大蔵省の意見を聞いておきたいと考えておりますが、大蔵省としては現在の地方公共団体の非常な金詰り、これは単に都道府県だけじやないと思います。おそらく市町村にもごく近いうちに出て来はしないかと思います。それは昨日もお話をいたしましたように、産業の非常に不振なところができておりまして、その産業に依存したというか、その産業だけで持つているような都市が日本にはたくさんあります。それらの地点は、産業の衰退と同時に、市の財政も大きな赤字を出して来て、ちよつとどうにもならないようなものができて来る。これは政府一つの施策に基く犠牲――という言葉は当るか当らぬかわかりませんが、とにかく犠牲に近いようなもの、はつきり言えば今日の繊維産業によつて主として市の財政を支えている八王子、伊勢崎、高崎、あるいは桐生というようなところは、大体そういうものがごく近い機会に出て来はしないかと思われる。それから造船産業などでも、このままの姿で行けば、先ほども申し上げましたが、桐生市のごときは、市の予算の約半分はあそこの造船所と従業員の納める税金でありますので、この仕事がとまつてしまえば、市の財政も半分はとまるという形が出て来る。しかし財政需要の上から言えば一応の収入にはなることになつておるが、実際の担税能力がなければどうにもならない。従つてそれらの問題が政府のとつているデフレ政策から来る一つの原因であることはいなめない事実だと思います。そういうことを一応大蔵省がお認めになるかどうか同時にもう一つの問題は、税制の改革が行われて参つております。従つてこの税制改革と同時に政府のとつてつたデフレの政策によつて。徴税が非常に困難である。いわゆる滞納がふえて来はしないか。これらはいわゆる帳面の上では財政の収入はあるようになつておりましても、現実の姿としては収入は非常に減つて来ることが一つの原因でないかと考える。それからその次の原因といたしましては、大体二十九年度地方財政の見積りの上に、一つの大きな欠陥があつたと考えられる。特にその大きな問題の主たるものは警察費の関係であります。今申し上げました三つないし四つの問題が、たとい一時の現象であつても、地方財政を極度に今日のような窮迫な状態に追い込んだ一つの大きな原因だと考えられる。従つてこれらの個々の実態の見方については、おのおのあるのでございましようけれども、これらの原因だけは政府特に大蔵省は率直に認むべきだと考えておりますが、この点について大蔵省はお認めになるかどうか。
  88. 植木庚子郎

    ○植木説明員 仰せのごとき事態が原因になりまして、最近の地方の財政収入の赤字の原因になつておるというようなことは、ところによつてはあり得ると思います。私自身も最近そういう事態を見ております。しかしながらこれがよほど気をつけなければなりませんのは、そうしたことを誇大に、非難に宣伝と申しますか、理由づけて、そうして実際はもう少しまじめに、まじめというと語弊がありますが、忠実に調査をしたり、あるいはたとえば滞納の問題にいたしましても、十分なる事務の進捗をはからないで、そうしてただそういうことにこと寄せて、のんきにしていると言わなければならぬような場合もどうもあるように私見ているところがあるのであります。従つて仰せのごとき問題は、われわれとしても時と場合により地方によつて認めなければならぬことがあることは承知いたしますけれども、しかしその声の通りただちについて行けるかどうかについては、少し調査を要するものがあると思います。
  89. 門司亮

    ○門司委員 これは自治庁の長官と植木さんと両方一緒に御見解を聞いておきたいと思うのでありますが、先ほどからいろいろ問題になつております問題は、どうもそういう赤字の一つの原因が、いかにも公選知事の何かルーズな行き方、同時に何かごきげんとりの関係から、そういうものが出ているのじやないかということが、ちよいちよい政府当局の意見の中に出て来るのであります。これは見方によつては非常に大きな問題を起す問題だと考える。それは公選知事でありまする限りにおいては、地方住民の監視が私は相当になければならないはずだと思います。従つて知事は赤字を出すことがちよつとも手柄にはなつていないと思います。これは知事の選挙のときに植木さんも御存じだと思いますが、一つの大きな問題になるのは、あの知事はこういう大きな赤字を出した、あの市長はこういう赤字を出している、ことにこれだけの財政負担をかけているというようなことは、一つの攻撃材料になるのであります。従つて知事がみずから好んで赤字を出すというようなことは私はおそらくないと思います。同町にまたこれは住民の十分なる監視がなければならないと思います。ところが政府の方では何かこれは知事官選の道具にでも使おうというような考えがあるかどうかというようなことは、これは私の邪推でありますが、ややもすると今日の地方財政の行き詰まりということは、どうも知事がルーズにやつているためだというようなことをしばしば承つておる。この点は非常に遺憾に考えておる。私はもしそういうことがあるとすれば、これは地方住民の責任において解決すべきだ、知事が何も赤字を背負うわけでもなければ、また借金を背負うわけでもありません。地方の住民が背負うのであります。私はその見解をここで大蔵省と自治庁との間に、はつきり聞いておきたいと思いますることは、しばしば私はそういうことを耳にいたしますので一体大蔵省としても、自治庁といたしましても、知事が自分の保身術というか、そのために一体県の財政をみだりに使つて赤字にしておるというようなことが言えるかどうか。それよりもむしろ都道府県に迷惑をかけているのは国の財政と行政のあり方のために、地方から東京に出張所を設けなければならないような事態そのものが悪いのじやないかと思う。国がもう少し従来の平衡交付金なりいろいろなものについて、厳格に調査して、そうして陳情を必要としないというようなことがもしあるとすれば――私はそういうことはないと思います。たとえばはつきり言うとさしさわりがあるかもしれませんが、山口県の一寒村に災害復旧と言つて十何億の金が行つているということを聞いておる。この責任はどこにあるかというと、大蔵省に言わせれば、これは建設省が出したという答えでありますけれども、建設省がそうたくさんの金を出したわけでもないと思う。大蔵省が現実に調査をしなかつたから、そういうことが現実の姿として出ておるのであります。従つて運動をした者あるいは政府にお百度を踏んだ者が、よけいに平衡交付金をもらえるとか、あるいは起債のわくがよけいもらえるということになれば、勢い陳情ということができて来るのであります。従つてこれをしない知事はあまりよく言われないのであります。これは自治庁の長官がおいでになつたからはつきり聞いておきたいことは、しばしば言われるように公選知事であるから、どうも財政が放漫であるということについては私は取消しを願つておきたいと思う。地方の住民を非常に侮辱した言い方だと思う、公選知事にとつては、さつきから申しておりますように知事の赤字は知事の恥辱であります。それは仕事との見合いでありますから、仕事をしないで赤字ばかり出したということになれば、その知事は無能であるということになる。従つて知事は自分の無能を暴露するような赤字政策はとらないと思う。同時に住民は自分たちの借金になる以上はあまり見のがすわけには参りません。おのずからこれを監督して行くということであります。従つてわれわれの考え方からすれば政府の言つておりまする、どうも公選知事だから財政をみだりにするという言葉は、私は政府としては少し慎んでもらいたいと思う、むしろ政府自体に陳情を必要とする施策がとられておる、それをおやめになつた方がよいのではないかと考えておる。何を好んで地方から出て来なければならぬかという原因は、私はもう少しほかの方にあると思う。この点についてもし自治庁の長官にして、あるいは大蔵省の当局にして、公選知事であるからどうもルーズであるというようなことが、抽象的でなくして実際的に、一体どこでどういうところで使つておるかというようなことが御説明ができるならば、この際説明をしておいてもらいたいと思う。
  90. 西村力弥

    ○西村(力)委員 ちよつと関連して……。先ほどの自治庁長官に対して、門司さんが指摘されたことを、私も非常に憤懣に思つてつたわけであります。知事が公選であるから、ただその人気取りのために放漫財政をやる、こういう言い方でございますが、現在の吉田内閣の皆さんでも、頼みます、拝みますと言わないにしても、一生懸命やつて来て公選せられておる。その上に吉田内閣ができて来ておると思う。知事の公選を云々すると同様に、やはり政府自体もそういう立場にあるのではないか、かように思つておる。朝鮮動乱の契機というものが、日本のいろいろの再建のために非常に好機であつたにかかわらず、実際に吉田政府の施策というものが、今日の事態に追い込んだということは、これは争われないじやないか、こう思う。これはみずから顧みて他を言うことであつて、そういう自治庁長官の発言というものは、私は認められないと思つてつたのです。幸い門司さんがさような発言をなさいましたので、私からもその点の釈明をお願い申し上げたいと思うのでございます。
  91. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 これは地方財政の赤字がどういうぐあいに出て来るかということの、結局究明だと思うのでありまして、ものを言う角度によつて、いろいろ言い方があると思うのでありまして、私は公選の形が今日の財政を放漫にする一つの原因である、ただ一つの原因であるというようには毛頭思つておらないのでございまして、私も、ことに私が自治庁長官であるという立場である場合に、赤字がどこからどういうぐあいにして出て来るかということを言う場合には、かなりこれけ責任は重大であると考えて発言をしておるわけであります。しかしずつとこう見ておりまして、私はやはり公選であることが少くとも財政を放漫にする一つの要因になつておるということけ争われないだろう、私はそういう感じは依然として強く持つております。しかし公選であることがただ一つの原因であつて、他のものはどんなになつてつても、公選さえ直すならば赤字はなくなるというようなものの考え方けいたしておりませんし、そういうふうに考えておるならば、これは御指摘のように確かに間違いであると思います。赤字になる原因は、門司委員が御指摘になるように、公選知事でありましても、他の面が中央に出て来て運動をして金をよけいもらつて行かなければならないような制度でなく、別の制度であるということであるならば、和もその面からも赤字が押えられる要事があると思います。従つて私どもが赤字をなくするという場合には、公選歩官選に直せば、もしくは官選でないまでも別な形になれば赤字がなくなるとは、ちつとも考えてはおりませんので、いろいろ考えられる機構の面、その他万般の赤字をなくすることの可能と思われる面をいろいろ考えられる一つの要因の中にやはりこういう問題も考えてみたらどうだろうか、こういう意味でありまして、その点はどうか誤解のないようにお聞きおきいただきたいと思います。
  92. 北山愛郎

    北山委員 今の問題は私も同じような関心を深く持つておるのです。特に、たとえばこの前の国会に出されまして継続審議になつた、補助金等の予算執行の適正化に関する法律というような法律を大蔵省から提案された、その内容を見ましてもどうも地方公共団体は何か黙つてつておけばよくないことばかりしておるんだというふうな印象を大蔵省側としては持つておられるのではないか。ことに大蔵大臣はよくそういうことを音われる。昭和二十七年の会計検査院のあの検査報告というものを材料にして、地方団体地方財政が放漫であるとか、あるいは不正であるとか、そういうものを攻撃されるのです。しかし先ほど西村委員が言われたように、政府側としてもこの点はみずからかえりみてもらわなければならぬじやないか、私は深くそう思つておるのです。ことに地方財政のみならず、一般の財政投融資の経過はどうなつておるか、重点産業について、鉄鋼なり石炭なりあるいは船なり、そういうものに対して相当な財政投融資、国家資金を注ぎ込んでおるが、その結果ははたして有効適切に運用されておるのかどうか、そういう点についても私どもは――今の政府は公選でも何でもないはずでありますが、しかしやはり同じようなことが出て来ておるのではないか、こういうことを十分反省をしなければならぬじやないか。地方団体側にもそういう事情のあることは否定できない。しかし問題は中央地方を通じてその病気があるんじやないかというように共通の問題として考えてみたらどうか。そういう態度に政府、大蔵省はなつてもらわなければならぬと思います。ことにそれはこの委員会でもときどき問題になりましたが、例の火災保険会社の業績を大蔵省は厳に監督なさつておられるその成績を見ますと、たとえば昭和二十八年の上半期において百四十九億、約百五十億の保険料を集めて、そうしてわずかに保険金として返すものは三十四億である、ほんの何分の一のものしか返しておらない。あとのものはこの保険料の半分以上七十八億というようなものを事業費に使つておる。もし地方団体が集めた金の半分も保険契約の募集費に使つておるというようなことになれば、大蔵省はおそらくそれは放漫だ、そう言うに違いないのです。しかし保険会社の監督に限つてはそういうことを認めておられる。そうしていわば独占的な保険料金というものを認めておられる。こういうふうな事情についてこの委員会でも再々問題になりましたが、私は率直に言いますけれども、現在の火災保険会社に対する指導監督のごときは、保全経済会と実質においては大した違いはないのだと思うのです。ただ片方は非合法であり、片方は合法化されて、むろ大蔵省の保護を受けておるのだ。その実質においては大衆の金を集めて、そうしてほんの一部のものしか還元しておらないという点においては何らかわりはないし、政治献金をやつている点においてもかわりない。損害保険協会というものは莫大な政治献金もやつておる。その点は保全経済会も同じだ。ただ片方は法律によつて保護されておる。こういうような民間の金融機関というものに対してはそのような監督をしておいて、そうして地方公共団体に対してはあそこが悪い、ここが悪い、まるで濫費や不正の巣であるように言う資格は大蔵省にはないと思います。これは一例を申し上げたのですが、ひとつ率直に政府の悪いところ、あるいは地方団体の悪いところを共同の責任で直す。そしてそのやり方を単に金融の引締めでやるというのではなくて、やはり制度的なものとして、地方団体はやはり国の仕事と同じような子供のような仕事をやつているのですから、制度的なものとしてこれを画して行く、濫費があるならば濫費をさせないような制度として改正して行くというふうにやつていただいて、そうじやなくて、今のように普通の会社のように、首を切つて人員整理をしたならば、金を貸してやるぞというような言い方は間違いだ、私どもはそういう点を深く平素考えておりますので、今ほかの委員から御質問のあつたこの点については深く同感するのでございます。私も強く大蔵省あるいは政府側のこの点に対する反省を求めます。これは答弁はいりませんが要望いたしておきます。
  93. 西村力弥

    ○西村(力)委員 先ほど奥野税務部長より今年の徴税は心配ないという御答弁があつた。それは今まで例年徴税率が上昇しておるというような理由からでございましたが、それはしかしあまりに機械的な考え方ではないかと思うのです。今年の麦の値段のきめ方を見ましても、あるいは蚕の繭が一万掛を欠けておるというような状態、私たちの県なんかはきゆうりもならない、なすもならない、こういう状態になつている。豆なんかを植えても一方で消えちやつて、そばを植えなければならぬというようなぐあいになつておる。そういう状況から見ても、農家の金詰まりも非常に深刻になつて来つつある。先ほども奥野さんから言われた造船のごときは極端であります。それは局部だと言えば局部になると思いますが、農村一般の金詰まりは争われない状態になつております。しかも一昨日か昨日の新聞によりましても、失業対策費は政府は増額せられるようなことを言われておる。そういう点からいつてどうしても徴税というものは非常な困難を来す、これは所期の納税を求めることは困難になるのではないか、私はさように見通しておるわけなのでございますが、奥野税務部長がそういう事務的な答弁をなさる裏づけとしまして、政府側においては現在の政策を転換するといつたようなことを内々考えておられるのか、そういう裏づけがなければ事務的に徴税は不安がないということは、今の政策を強行される限り不可能ではないかと思つておる。徴税が不安ないという奥野税務部長の答弁に対する、自治庁長官の御見解をひとつ伺いたい。
  94. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 先ほど奥野君がいろいろ答えを申し上げたのでありますが、感じでは若干税務部長の感じとは違うと思うのであります。当初私どもが二十九年度の経済情勢というものを見通しをし、その年度に上げられるであろう税収入というものを考え、それを財政計画の上に策定をした場合には、こんなにひどくなるということはそう的確には考えておりませんでした。従つて相当程度にきびしくなつておりますから、当初考えておつたよりは若干かわつた税収の結果が出て来るであろうという感じにおいては、西村委員と同じだと思う。ただしかし例年の見積りと実績が上まわるという要素を頭に置きますならば、もちろん全体としての話でありますが、財政計画にそのため破綻炉出て来るというような形にまで、われわれが立てました地方財政の計画がくずれて行くというようなことは万ないのじやないか、そこまで行かずにもちろん局地的にはそういう場所が出て来て、特別交付税などでめんどうを見なければならぬ個所が出て来るかもしれませんが、全体として財政計画に非常に齟齬を生ずるというようなところまでは行かないだろうと考えておるわけであります。  そこでお尋ねの第二段の、それでは緊縮政策は調整をするのじやないか、そういう感じでおるのじやないかということでございますけれども、これは私の所管の問題ではありませんので、植木政務次官からお答えを願つた方がいいのじやないかと思います。しかし私どもとしましては全体として日本経済が続いて行く最小限度の線というものを、政府の政策の上で必ずとられるべき性質のものであり、すべてのものがみな詰まつてしまう政策というものは、政策としてはあり得ないから、そういうことを漠然として頭に置いても今の程度見通しは持つて行かれるのではないかというように感じておるわけでございます。
  95. 石村英雄

    ○石村委員 ちよつと佐々木さんにお尋ね申上げます。今全国の銀行が地方公共団体に融資している中には公債の形でもあるでありましようが、総体幾らあつて、そのうちでこげついておると推定される金額はどのくらいあるか。おわかりになりますか。
  96. 佐々木直

    ○佐々木参考人 残高は全国銀行に対する貸出し残高でございます。これは地方債の有価証券になつておりますものが入つておりませんが、残高は五月末で四百六十八億でございます。これは最近ずつとふえておりまして、二十六年度末は百三十八億であつたのが、最近は四百六十八億までふえて来ておるのでございます。このふえ方はほかの貸出しのふえ方よりもパーセンテージは高いのでございますが、ただこのこげつきというのは――ちよつと今の公共団体に対するこげつきはあり得ないものと私は了解しておるのでございます。どれだけこげつきという推定は私どもの方として立てておりません。
  97. 石村英雄

    ○石村委員 こげつきという言葉を使つたから悪いでしようが、実際今給料を払えないというところはどつちかといえばこげつき――銀行からも相当借りておつて、それがこげつきであるかどうかしれぬが、短期が実は長期にかわつて来ておるというのが多いように、自分のところの状態から見ると思うわけです。はつきりした数字としては出されないでしようが、営業局長としての達観で四百八十六億のうちどれくらい長期化したのがあるか、達観程度の、責任をお持ちにならぬ程度数字はおわかりになりませんか。
  98. 佐々木直

    ○佐々木参考人 どうもこれは達観も困難でございますので申し上げかねます。
  99. 中井一夫

    中井委員長 本日の質疑はこの程度で打切つてよろしゆうございますか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  100. 中井一夫

    中井委員長 それではこの機会に自治庁に対しまして資料の御作成をお願いしておきたいと思います。それは国家全体の経済から見まして政府の支払いがきわめて重要な地位を占めますことは申すまでもありませんが、同時に地方にこれを見ますと、地方の都道府県市町村の支払いが、その地方における経済の上に重要な地位を占めることまた同様であります。従いましてその支払いが円満に行われるかどうかということは、地方において経済上なかなか大きな影響を持つこと、これまた申すまでもありません。つきましては最近地方公共団体において、その職員の給料の遅配欠配が現われて参りましたが、私見によりますれば、今日職員組合もあるし、またその職員はその地方公共団体の内部におる人なんであります。のみならずその日その日のかてのために支払いを必要とする人、それだからこれらの人に対する給料を遅配欠配するということはよくくのことで、いわば最後の段階でなくてはならないと思うのであります。しかるにこういうような事態が起つて来る以上は、それまでに支払わねばならないものをずいぶん支払わずに来ておるのではないかということが想像されるわけであります。具体的に言いまするならば、請負代金だとか、あるいは都道府県市町村に対して売り込んだ品物の支払いなどというものについては、これを支払わずにおいて来ておる。そのとどのつまりが最後のものとして、給料の遅配欠配ということになるのではないかという疑いを持つのであります。従いましてこの際給料の遅配欠配を始めているようなところだけでなく、その他一般の地方団体において、支払わなければならぬ責任があるにもかかわらず、支払わないでこれをためておるというような状態を知るということは、非常に私は必要なことだと思います。これは相当めんどうな調査にはなると思いますけれども、このことを御調査になりますことは、やがて地方団体に対し一つの警告を与えることになる。放漫な政策はやめるがいい。無用な金は使わぬがいいという一つの警告にもなりますから、地方団体において支払うべき責任があるのに支払わないで、これをためておるというようなものが一体どのくらいあるであろうかというようなことについて、調査御報告が願えれば幸いだと思うのであります。
  101. 鈴木俊一

    鈴木説明員 できるだけ御趣旨に従いました資料を配付、御提出したいと思います。
  102. 中井一夫

    中井委員長 それでは佐々木参考人に申し上げます。  本日は御多用中にもかかわりませず、わざわざ御出席いただきまして、長時間にわたり貴重なるお話を承ることができましたことは、まことにありがたく存じます。委員会を代表して厚くお礼を申し上げます。     ―――――――――――――
  103. 中井一夫

    中井委員長 それではこの機会に派遣委員の報告をしてもよろしゆうございますか。   (「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  104. 中井一夫

    中井委員長 それでは、派遣委員より調査報告を聴取することといたします。すなわち本委員会におきましては、本国全中議長の承認を得て、制度改革及び町村合併促進に関する問題、地方財政再建整備及び地方税改正に関する問題、並びに警察消防等に関する調査のため、九州、中国地方、中部地方及び近畿地方にそれぞれ委員を派遣いたしましたが、その調査も終了いたしましたので、これよりその調査の結果について報告を聴取することといたします。まず第一班より報告を聴取いたします。  私は調査班第一班といたしまして、その御報告をいたすものでございます。すなわちさきに行いました国政調査のための委員派遣につき、私からは九州、中国班の調査の概要を御報告いたします。われわれの班は、阿部議員と私とそれに曽根調査員を伴い、去る七月八日東京発、同十四日帰院までの七日間、地域としては福岡、山口、広島、島根、鳥取の五県にわたり、福岡県では門司、小倉、八幡の三市、山口県では下関市を訪問して、主として関門港をめぐるそれぞれの都市の港湾行政のあり方について調査し、かたわらこれら都市の市政一般並びにこの両県の村政事情をも聴取し、広島、島根、鳥取の三県では、直接県庁を訪問して、県及び県下市町村の財政事情、町村合併の進行状況改正警察法の施行に伴う諸問題、また広島市、松江市、鳥取市の三市については、それぞれ原爆被害や災害の復旧状況、赤字財政の問題等、各市の特異な事情を調査し、さらに島根県では合併町村の一例として東出雲町を視察、鳥取県では境町に立ち寄る等、短時日の間に、相当広汎な地域に足を伸ばして参つた次第であります。この間私どもに与えられました各団体当事者の熱心なる御協力は、われらの深く感謝いたすところでございます。  詳細な報告は後日に譲ることとして、ただいまはとりあえず各地で得た印象のおもなるもの二、三を申し上げて報告にかえたいと思います。  まず町村合併の促進状況について申しますと、各県とも少くとも県当局は非常な熱意を持つて促進に努力しており、広島県のごときは県側の推進力が強過ぎるという批判もあるくらいであり、住民の合併一の意欲もなかなか旺盛なものがあるようでありまして、おおむね法律の意図する町村数三分の二減少の目標達成は可能であると感ぜられたのであります。鳥取県のごときは、すでに昭和二十七年七月全市町村に一斉に知事勧告を発して、その実現に努力して来たのであつて、昭和二十六年四月の百六十八市町村が現在九十に減少しており、進捗率六〇%という成績であり、さらに本年度中に三十六町村を減少する予定であるということであります。このように促進法制定以前より合併に努力して成績を上げて来た県では、促進法に規定せられた特例自体が、かえつてじやまになるという売方もあり、特に議員の任期や定数の特例、住民投票の規定等は不投票な混乱を生ぜしめるものであるという意見もあつたのであります。  広島県のごときも県としては議員の任期延長の特例は援用せず、編入合併のときは吸収市町村の議員の残存任期に合せる方針のもとに指尊して来ており、事実一、二の例外のほかはその方針を貫いているということでありました。同県では法第六条の建設計画は、むしろ合併後に立てさせる方が実情に即し、かつ後になつて住民に失望感を与えないでよいのではないか。また知事の諮問については県議会の議決は不要である等の意見が出ていたのであります。  島根県の合併計画は、昭和二十六年四月一日の二百十四市町村が、二十八年四月までに二百二に減少せられており、合併町村はそれぞれ急速整備を要する事業に漕手し、すでに施工済みのものもあつて、促進法による国、県の優先的取扱いが相当効果的であつたことが認められているのであります。合併後の町村の財政は、おおむね健全であるようでありますが、合併前に、合併を見越してそれぞれの町村が不急未済の事業の完成を急ぐため、赤字を生ずる例が少くないようでありました。結論として、いずれの県においても、財政的裏づけの多少が町村合併の成否のかぎを握るものとして、その一層の強化を希望していたことは当然であり、この点を改善することによつて、町村合併は予期以上の成績を収め、将来の地方自治に一大飛躍が期待されるものと心強く感じて参つたのであります。  地方財政の問題、特に赤字の問題は、大体われわれの推定したような実情であつて、再建整備法の実施の必要を深く感じて来たのでありますが、事詳細にわたりますので、ここには触れないことにいたしますが、特に財政と関連して改正警察法の施行に伴う財源不足の問題と、原爆都市広島市に対する国の財政措置の問題は緊急の問題でありますので、実情の一端を述べて、特に政府並びに委員各位のご考慮を煩わしたいと存じます。  新警察法施行に伴う国の財政措置が不十分であることは、すでに各位のひとしく認められるところでありまして、今回訪問した行原とも多少の差はあつても、いずれも財源不足を訴えているのであります。山口県は二億八千万円、広島県一億五千万円、島根県五十三百万円、鳥取県三億円、いずれも県費の超過持出しを要するという計算でありました。これは国の策定する地方財政計画の算定基礎となる単価が低いこと、定員外を認めないこと、調整手当の最高額を新給与の三割または七千五百円と定めたこと、事務職員の割合が実際は定員をはるかに上まわること、通信費のごときも、たとえば四級線の電話料金は半額国原補助の対象から除かれていること等が、その原因と見られているのであります。福岡県のごときは、自治体警察の職員数が約七割五分を占め、しかも給与ベースが高いという特殊の事情から、負担はきわめて重いものがあるのであります。もちろん一方、市の側では一千万、二千万円程度の財政負担の軽減があるのでありますが、これも警察用財産の無償移譲については、かなりの不満があるようであり、現に広島市では、将来市のために利用する含みをもつて、目抜きの場所に新築した庁舎が、土地ごと取上げられるというような事情にあつて、市長は非常な不満の点を表しておられたのであります。いずれにしましても、新警察法施行の結果は、その影響するところ重大なものがありますので、その推移を注視する必要があると思うのであります。  次に、各位の注意を喚起したい問題は、原爆の犠牲となつた広島市の特殊事情についてであります。御承知の通り、広島市は、広島平和記念都市建設法の制定により、昭和二十五年度から長崎市と合せて年二億七十万円、広島分一億八十万円の都市建設資金が五箇年計画で建設省から流されているのでありますが、これはいわば戦争の最も悲惨な犠牲をひとり背負つてつた広島市の立ち上りのために、国が支出する金額としてはきわめて零細なものと言うほかなく、現にこれによつて実施されて来た都市計画は、区画整理七四%、排水施設一〇%、幹線街路四九%公共施設六%程度の進捗を見ているにすぎない状態であつて、四〇メートルのメイン・ストリートがいまだに鋪装されず、住民の非難に苦慮しているという市長の述懐を同情を持つて開いて来たのであります。私は歩道から先に鋪装せらるるがよろしかろうとお勧めして来たような次第でありました。戦時中人口三十四万の住民の大半が原爆の犠牲となり、人口十三万に減少した同市が、今や実人吉四十万の大都市として立ち上りつつあることを思うならば、国の同市に対する援助はあまりにも非沖であると言うべきであります。ことに同市は、今なお原爆障害者六千名、うちさしあたり治療処置を要する者十六百名をかかえている実清でありまして、これに対する対策は、乏しい弧費と市費と民間医療関係者の奉仕とによつて、辛うじて続けられている実情であります。国はほとんど何らの援助をも与えていないということは、今度現地に行つて初めて認識したところであつて、実に驚くはかなかつたところであります。米国は、いち早く原爆障害調査委員会、すなわちABCCなるものを設置して、市内に広大な施設を持ち、わが国の厚生省の協力のもとに、一箇年数億円の経費を使つて、被爆者の症状調査、健康管理を行つて、原爆症の診断治療の基礎をつくりつつあつて、治療上有益な示唆を与えてはおりますが、いわば患者は研究の材料にされるにとどまり、かんじんな治療自体には手を染めていないのであつて、われわれ予期に反した遺憾千万な事実を見まして感慨無量のものがございました。アメリカのためにもまことに遺憾十万に存ずるのであります。  現地の関係者の広く要望するごとく、原子力災害の研究と治療の総合機関を広島に設けて、よりよい治療の手段を知り、かつ将来起り得べき障害を予知し、さらに類似の災害時における救護方法を研究することの必要は、すでに原子力時代に突入し、ビキニの灰のもとに生活する現下のわが国として、緊急の事案であると考えるのでございます。この施設の設置に約一億五千万円程度、年間の経常費三千万円、治療費約六千万円、このほかは、治療中の患者の生活保証費若干を要するというのでありますが、国は当然その責任と面目において、この程度の施策を講ずべきであると思うのでありまして、私は各位とともに、ぜひともこの実現を期したいと存ずるものでございます。  最後に、町村合併によりまして市制をしきたい場合の人口要件の問題でありますが、その一事例として今回見て参りました鳥取県の境町という山陰地方屈指の良港を持つ町が、付近五箇町村と合併して港湾都市として市制をしきたいというのであります。この場合、現に災人口は三万三千に達するが、告示人口は、三万人に対しわずか二百五十七名ほど不足しているのであります。しかしてこの町の海湾の規模並びに将来性を考えるとき、当然都市としての性格を約束されているにかかわらず、地形上三万は海、一方は米子市に囲まれていて、他に合併すべき町村もしくは一時人吉を借りて来る地域を持たないのが実情であります。これに対し、現地はもとより、県も特例として市となることを許していただきたいと強く要望しておるのでありますが、かかる場合何らか特例措置のとれる道を考究すべきではありますまいか、この点特に自治庁の深き御考慮を煩わしたいと思うのでございます。  いろいろ御報告いたすべき問題はございますが、以上とりあえず心づきました数点のみを申し上げまして、私の御報告にかえる次第でございます。(拍手)
  105. 佐藤親弘

    佐藤(親)委員 私は近畿班の調査報告をいたしますが、簡単でありますから、少しの間お聞き取りを願います。  近畿班は佐藤親弘、鈴木幹雄の二人で長橋専門員とともに参りました。二十二日から二十四日に至る三日間であります。その径路は大阪府、大阪市、兵庫県、神戸市、奈良県、奈良市等でありまして、地方行政につき調査を行つたのでありますが、財政状況については近畿各府県とも連年の大水害等の災害による打撃は非常なものであり、その大被害の状態を訴えられました。奈良県は一億六十三百万円の赤字、兵庫県は十五価七十万円の赤字、大阪市は十六億五十万円の赤字、神戸市は九億円の赤子、奈良市は一億円の赤字という状況で、ひとり大阪府のみが黒字漸滅の方向に向つております。しかしなお五億円の黒字という次第でありました。市町村の財政についても一般に赤字増高の傾向にあり、大阪府下の市町村では逐年赤字団体の増加を見、かつその赤字額も増高するのに対処しまして、府県総務部において大阪府市町村財政再建整備要綱決定し、本年度よりいよいよ再建整備に乗り出していました。もとより地方財政再建整備法案の成立通過を熱望していたことは他の地方と同じであります。兵庫県下においても赤字市町村は二十七年度で三十九団体約十億円に及び、二十八年度では赤字市町村の数は倍加し、その赤字合計は十四億円を越すに至つております。奈良県下では赤字市町村数は十五でありまして、県内の都市が三市とも赤字に悩んでいるのに反し、町村の方は黒字団体が百十四で、赤字団体はわずか十二にとどまつております。  新警察法の実施については議会に提案の準備ができていましたが、大阪府及び兵庫県、奈良の両県とも警察費国庫負担の少額であることを遺憾としており、大阪府庁では義務教育費国庫負担制度にならつて警察費国庫負担法を制定し、その全経費の一定分以上を国庫で負担することを法律で明らかにせられたいと要望しておりました。  町村合併については各府県ともきわめて熱心に取組んでおりまして、いずれも相当成果をあげています。ただいずこでも促進法に明定している補助等につき国が予算措置をすることや、建設計画をすることや、建設計画達成上起債措置を実行せられたいと強く要望しておりました。  なお税財政制度の改革等についても各府、各県、各市種々意見があり、全般的に詳細御報告したいことがありますけれども、それらはいずれ適当な機会があればその機会にそれを譲ることといたし、本日は右の状態を簡単に御報告申し上げて、近畿班の報告といたす次第であります。(拍手)
  106. 中井一夫

    中井委員長 なお第二班の調査報告は中井徳次郎委員から御提出になつております。これは皆様の御了解を得まして速記録に載せて御報告にかえたいと存じます。さよう御承知を願います。  これをもちまして報告は終了いたしました。藤田君。
  107. 藤田義光

    ○藤田委員 私はこの際地方財政に関する動議を提出いたしたいと思います。当委員会は去る金曜日から四日間にわたりまして炎暑の中、真剣に論議して参つたのでございますが、いろいろ政府委員と問答の結果に基きまして、一応次のような決議案文を作成いたしましたので、朗読させていただきます。    地方財政に対する緊急措置に関する件   政府は、一部府県の給与問題をはじめ深刻化した地方公共団体の財政窮迫の重大性に鑑み、その実情を速かに把握し短期融資等の応急対策を早急に具体化すること。   右決議する。  以上であります。この趣旨につきましてはもう私から説明の必要はないのでありますが、一言簡単に申し上げておきます。  昭和二十二年に新しい地方自治制度が発足したのであります。これはマツカーサー元帥の占領政策で成功したものの一つであります。この地方自治は幾多の美点を持つておりますが、その反面に非常に財政的に重い負損を要求しておつたのでございます。この矛盾を解決するために昭和二十五年にシヤウプさんの勧告が提出されました。ところがその勧告の内容が国情、習慣等にそぐわない点が多々ありまして、幾多の矛省齟齬を来し、今日の地方財政の赤字を現出した重大な原因になつておるのであります。特に前年度におきましては災害が相次いで起り、また国の予算が暫定的に編成されるというような非常に苦しい問題もありました。また森永主計局長も御存じの通り改進党の予算修正におきまして学校の老朽校舎の補助金を増額したり、あるいは水道の補助金を増額いたしたのでありますが、これに伴う地方負担の問題がほとんど解決されないままで予算修正が行われたというようなこともありまして、一方論議をかもしました新警察法の実施という問題に関連して、地方財政は非常に急速度に悪化して参つたのでございます。この問題に関しましては塚田自治庁長官その他政府委員各位の真剣な御答弁もありましたが、この際地方自治体もすみやかにみずからの力によりまして、再建整備計画を立てる必要を私たちは率直に認めます。そういうものが政府当局に提出されました場合におきましては、以上申上げました決議案の趣旨に沿いまして、至急善処していただきたい。実はこのことも決議案に入れたいと思いましたが、各党の一致を得るために多少簡略にいたしまして決議そのものが要を得ない点もございますが、実際の趣旨は地方自治体においても反省すべき点は率直に反省してもらう。そのかわり政府は責任をもつてすみやかに善処していただくという私の気持も、この際敷衍して御説明申し上げておきたいと思います。何分早々の間に立案いたした決議案でありまして、非常にずさんなものでありますが、当委員の意のあるところを了解していただきまして、どうぞ当委員会満場一致で本決議案を、当委員会の意思として御採択になるようお願いいたします。動議として提出いたします。
  108. 中井一夫

    中井委員長 お諮りをいたします。ただいま提出されました藤岡義光君御提出の決議案につき御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  109. 中井一夫

    中井委員長 御異議なしと認めます。よつて本決議案は決定されました。  この際政府より御意見があれば承りたいと存じます。
  110. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 ただいまの御決議の趣旨、かつ三日間にわたりまするいろいろな御質疑の趣旨を体しましてぜひ善処いたしたいと考えます。
  111. 植木庚子郎

    ○植木説明員 大蔵当局といたしましても御決議の趣旨を尊重いたしまして、でき得る限り善処いたしたいと存じます。
  112. 中井一夫

    中井委員長 この際申し上げます。政府当局におかれましては、塚田国務大臣を初め、炎暑の折からにもかかわりませず、数日間、格別御精励をいただきまして、まことにありがとう存じました。委員諸君におかれましても、まことに朝早くから夜おそくまで御精励をいただきまして、この重要なる案件、大体審議を終ることのできましたことは、まことに幸いであります。  ここに各位の御精励に感謝して、閉会の言葉といたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後五時二十一分散会