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1954-07-26 第19回国会 衆議院 地方行政委員会 第76号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年七月二十六日(月曜日)     午前十一時三十一分開議  出席委員    委員長 中井 一夫君    理事 加藤 精三君 理事 佐藤 親弘君    理事 灘尾 弘吉君 理事 鈴木 幹雄君    理事 西村 力弥君 理事 門司  亮君       宮原幸三郎君    藤田 義光君       石村 英雄君    北山 愛郎君       辻原 弘市君    伊瀬幸太郎君       中井徳次郎君    松永  東君  出席国務大臣         国 務 大 臣 小坂善太郎君  委員外出席者         警察庁長官   斎藤  昇君         警  視  長         (長官官房長) 柴田 達夫君         警  視  監         (警務部長)  石井 栄三君         警  視  長         (警備部長)  山口 喜雄君         自治政務次官  青木  正君         自治庁次長   鈴木 俊一君         総理府事務官         (自治庁財政部         長)      後藤  博君         大蔵事務官         (主計局長)  森永貞一郎君         大蔵事務官         (主計官)   鳩山威一郎君         大蔵事務官         (理財局長)  阪田 泰二君         大蔵事務官         (理財局地方資         金課長)    牧野 誠一君         大蔵事務官   大角  武君         参  考  人         (京都府知事) 蜷川 虎三君         専  門  員 有松  昇君         専  門  員 長橋 茂男君     ————————————— 七月二十六日  委員佐藤觀次郎君辞任につき、その補欠として  辻原弘市君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  警察法施行に関する件  地方財政に関する件     —————————————
  2. 中井一夫

    中井委員長 これより会議を開きます。  まず警察法施行に関する問題について調査を進めることといたします。通告順によつて質疑を許可いたします。藤田義光君。
  3. 藤田義光

    藤田委員 時間が非常に少いそうですから、要点だけを簡単にお伺いしたいと思います。いずれ二十九日から労働委員になりまして、足らぬ点は労働委員会でまたやりたいと思います。  今回施行されました警察法の問題でありますが、われわれは数箇月にわたる審議過程におきまして、新しい警察法施行後の人の問題に重大な関心を寄せているということを再三強調したのであります。ところがただいま配付されました資料によれば、都道府県本部長はほとんど全面的に従来の顔ぶれになつております。これは予算上、技術上、多少の支障はあつたかもしれません。しかしあえて国会において大乱闘事件まで起しながら通過いたしました重大法律案でありますから、政府当局が事務的に、あるいは技術的に、こういう人事をやらざるを得なかつたという弁解はできないと思います。小坂大臣がしばしば強調されたように、新警察法を真に政府意図するような方向で実施せんとすれば、当然その施行第一線責任者を更迭すべきであります。しかるにもかかわりませず、ほとんど大部分そのまま留任させておる。これでは小坂大臣が浮いてしまつているのではないか。あなたがほんとうに善意をもつて真剣に考えるならば、法律を動かす人を当然更迭すべきであつたと思うのでありますが、人事をやられました初代の国家公安委員長としては、どういう方針人事をやられたのか。まずお伺いしておきたい。
  4. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 警察制度を新しくわが国の国情に適するごとく改正するということで、先国会におきまして十分御審議をいただきまして、その間にも貴重な御意見を承りまして、私ども大いに裨益するところもございましたし、まことに同感の点も少くなかつたのでございます。そうした気持におきまして民主的な、また時勢にふさわしい、国情にも合つた警察制度を運用するに適したところの人材をという考えで、この警察制度の切りかえにあたりましても十分配意いたしたつもりでございますが、御承知のごとく人事関係任命は、国家公安委員会がいたすことになつております。そこで従来から国家公安委員の職におられました方々には、それぞれ任期もございます。従来の国家公安委員の各位におかれまして、非常に良識をもつて、慎重に、冷静によくこの重要なる警察行政のことに当つて来ていただいたと考えますので、国会にもお諮りを申し上げ、御承知のごとく青木、小汀、高野、金正、植村の五君の任命を承諾していただいたのでございます。この国家公安委員会のいたしまする任命につきまして、いかようにはからつたらよろしいかということでございますが、これまた法案にもございますように、府県におきまする公安委員会同意を得ていたすことになつております。一方警察制度というものは、当初考えましたときは、大体四月一日までに法案の議了をいただきまして、準備期間を三箇月置いて、発足を七月一日よりいたすということになつておつたのでありますが、種々の情勢のために六月八日に警察法を公布いたしまして、七月一日から発足することにいたしたのであります。そこで時間を限られておりましたけれども、その間においてできる限りのことをいたしたいということで、まず公安委員の御承諾を得て、七月一日発足以前においていろいろの準備をするために、公安委員の内定をいたしておきましたこの公安委員諸君とお諮りいたし、また府県においてそのときまで公安委員会がそれぞれございますが、その公安委員長等におかれまして、知事が再び公安委員として任命するという意向を持たれる方はだれであるかということをそれぞれ知事にも連絡をいたし、またそういうことを予定され、公安委員になられると確定しておる方の御意見も伺いまして、あとの本部長あるいは警視総監等人事を勧めました次第でございます。この点につきまして、期間は非常にわずかでございましたが、われわれといたしましては最善の努力をいたし、府県公安委員同意が十分喜んで得られるような人選をいたしたつもりでございまして、今申し上げましたよう趣旨におきまして、ここに資料をお配り申し上げておりますよう警察本部長あるいは警視総監が、それぞれ任命せられた次第でございまして、この間におきましては、いろいろ難航を予想されました警察制度を新しく切りかえるに際しましての諸般の施策というものは、比較的円満に行つたのではないかと、さように心得ておる次第でございます。
  5. 藤田義光

    藤田委員 御答弁でありますが、私はこの一覧表を見まして、たとえば警察本部長名簿によりますと、全国ほとんど全部が元警察隊長本部長へ切りかわつただけであります。非常に意地が悪いようでありますが、ただいまの御答弁は単なる詭弁にすぎないのじやないか。むしろ私は、率直に、技術的に間に合わなかつた暫定措置としてかようにしたのであつて、近い将来に全面的に検討する、そういう用意でもあるかどうかに関しまして、率直な御答弁を期待いたしたのであります。ただいまの大臣答弁からしますと、半面従来優秀な人が自治体首長にすわつてつたが、ほとんど全部が首になつておる。こういうことでは当委員会といたしましては、民主主義の基盤たる地方自治育成するという重大なる審議を継続できないのであります。私は行政権範囲内たる人事に関しまして、とやかくけちをつけようというけちな根性はございません。しかしながら今回の警察法を運用する人、この点に関しましてはとかくに新警察法に誤解がありましたので、私はいろいろお聞きしておるのであります。ただいまの大臣答弁からすれば、自治体警察幹部として長年苦労して育てて来られた人々は、いずれも適任でなかつた。あるいは都道府果公安委員同意を得なかつた、かように解釈してよろしゆうございますか、どうですか。
  6. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 お言葉でございますが、自治体警察におきましては、特に自分はこの際退職をいたしたいという方以外の方で退職された方はございません。全部それ以外の方はそれぞれの職についておられる次第でございます。御承知のごとく、この新警察制度のいわゆるワンマン・コントロール——一人の意図によつて人事が一刀両断にせられるということは、この警察の持つ特性からいたしまして危険であるというので、その任命権者国家公安委員会なり、また府県公安委員会同意を得てせられるということになつておりますので、そういつた関係を十分考慮いたしまして、それぞれその方方が、本部長あるいは警視総監任命せられておるのでありますが、その過程におきましては、法案趣旨を十分しんしやくいたし、府県公安委員になられるという見込みの十分ある方々について——設置が七月一日以前でございますから、そういつた内定せられた方でございますが、これらの隊長本部長となるのがふさわしかろうという方が、ここに名を連ねておる次第でございます。むしろ一人の意思でその人がいいのだから、これからこつちにまわつてもらうというような手荒なはげしい異動をしない方が、この警察法趣旨に沿うものではなかろうかとすら、私は考えておる次第でございます。
  7. 藤田義光

    藤田委員 そうしますると、たとえば自治体警察育成に涙ぐましい努力をされて来まして、非常な功績をあげられた——具体的で恐縮でございますが、東京の警視総監、あるいは名古屋の市警の本部長——私は決算委員現地調査で先月末名古屋に参りまして、約五分間名古屋本部長ともお会いした。七月一日の大異動の直前でありましたが、本人には全然勇退の意思はなかつたのであります。人間でありますから、とかく欠陥もあつたかもしれませんが、非常に直剣に自治体警察育成のために闘つて来られた方々であります。こういう方々が忽然として姿を消しておる。私も若いころ内務省の新聞記者をしておりまして、役所の人事というものに多少関心を持つております。結局行政は人がやるわけでありまして、その人を得ざれば行政の運営はうまく行かぬ。自由党の最高幹部にも先般お会いしたときはつきり具体的事実を申し上げて、私は小坂委員長の心境を疑つている事実を述べたのであります。せつかく国会面接責任を持つために国家公安委員長国務大臣にするという重大な法律改正がありますのに、万が一にも事務官僚人事問題で牛耳られることがありますならば、新警察法発足の第一歩において大失敗であります。公安委員長としましては、おそらく事務官僚が出しました一覧表をそのまま盲判を押したのではないかと私は邪推しておりますが、どうですか。その点をお伺いしたい。
  8. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 先ほど申し上げたように、自警側に今まで置かれておつた方々で、私どもの方からどうこうということでなしに、御本人がやめたいという意思を表明された方はやめていただいております。そうでない方は、それぞれのポストにおいて職務に従事せられておる次第でございます。この警察本部長名簿の内容について、いろいろ御見解の表明がありましたが、私どもは今申し上げたよう法案の建前からいたしまして、府県公安委員同意を得て、国家公安委員会任命するのでございますから、それにふさわしい人物がなられたのである、かように了解いたしておる次第でございまして、決して事務官僚と私どもの間に見解相違があるわけのものでもなし、まことにこの際の人事として府県も納得の上、しかも切りかえが十分できるという線から言いますれば、現に何ら問題も起きていないことでもありまするし、とかく言われました実態から見ますれば、まことに円満に新警察法の切りかえができたものではなかろうかとすら考えておる次第でございます。
  9. 藤田義光

    藤田委員 人事の問題は見解相違になりますので、いずれ次の国会におきまして具体的資料を携えまして、詳細お伺いすることをはつきり申し上げておきます。ただ、ただいまの公安委員長の御答弁でありますが、第一線には今回の人事に対して非常に不平不満かある、こういう事実を御存じないよりであります。私は具体的に不平不満の材料を携えまして、公安委員長のただいまの答弁の真相を究明したい、かように考えております。また三十九日から三日間の労働委員会においてもこの問題を詳細お尋ねするつもりですか、本日は時間的制約がありますので、人事問題はこの程度にいたしておきます。  次にお伺いいたしたいのは、今回の警察法改正最大限目でありました冗費の節約と申しますか、財政の緊縮、こういう点を非常に強調されたのであります。ところが御存じ通り、一昨昨日の委員会において、塚田自治庁長官が言明しましたように、警察法改正に伴う出費に、約四十億の穴があつたということがはつきりしたのであります。ところがわれわれの推測によれば、八十億ないし百億という厖大な、警察制度改正に伴う出費の穴ができておるのであります。この見地からしまして、私はこの際あの法案答弁を一手に引受けられました大臣にお伺いしたいことは、現実財政上の欠陥が出て来ましたならば、どういうふうな方法においてこれを是正しようという方針でありますか、率直な御答弁をお願いします。
  10. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 新警察法への切りかえに対しまして、特に費用がふえたということは考えられないのであります。従来からも不足と見られておつたものが明らかになつたという点もありましようし、またいろいろ調査してみなければわからぬことでございますが、全額そのものにつきましても、今のお話のごとくに多いとは私は考えておりませんが、いずれにいたしましても、四十億と自治庁が申しております差額実態をよく調査いたしまして、これに対して足らざるものについては何といたしましても給与の問題は大事でございますから、これに対する処置を十分とつて参りたい、かように考えております。御承知のごとく大蔵省でも自治庁でも、これに対する調査を八月一日から始める、かように申しておりますから、私ども警察の立場といたしましても、その実態相違のないように、警察制度の円満な運行が期待し得られるよう努力を、私どもの側からいたしましても調査にも十分協力をいたし、要求すべきものは要求もいたしたい、かように思つておる次第であります。
  11. 藤田義光

    藤田委員 非常に漠然とした御答弁はつきりわかりませんが、昨日の読売新聞を見ましても、相次いで各県の県費が非常に重大な危機に直面いたしております。職員の給料は遅配、欠配の危険が増大いたしておる、これは唐突としてこうした現象が出て来たのではない、長年にわたる地方財政軽視一つの集大成であるということはわかりますが、直接の導因になりましたのは、何と申しましても警察法の実施に伴う府県負担の増大であります。この観点からいたしまして、私たちは先般通過いたしました警察法の三十七条でありましたか、その中で予算範囲内で補助するというような無法な規定ができてしまつた。ただいまの大臣の御答弁でありまするが、この法律をたてにとられまして、大蔵省で拒否されましたならばどうにもならぬ。もう一押し強く国警当局がこの点がんばつたならば、大蔵省も折れたであろうということを、地方自治庁の人がはつきり認めております。大臣が何とかして対策を講じたいと言われますが、予算追加でもやられる予定でありますか、あるいは警察法改正をしまして、予算範囲内になんというわくをとつてしまいまして、必要なだけ補助金をとるというふうな方式でもやられるつもりでありますか、あるいは最後に戦前の警察のごとく、連帯支弁金制度でも採用するという具体的構想でもありますかどうか、そういう点をお伺いしたい。
  12. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 佐賀県において給料の遅欠配の問題が表面化し、この傾向があちらこちらに出て来るであろうということで、最近の大きな問題になつておることは御承知通りで、あります。私はこの導因というものは、決して警察法と直接関連はないというふうに思つております。ということは、佐賀県で問題になりましたのは、まだ警察給与の支払い以前から、この問題が出ておるのでありまして、問題は最近の金融引締め政策の一環といたしまして、地方にございます金融機関府県への融資ということについて、非常にしぶい態度で出て来たということが問題なのでありまして、実態は金が払える、払えないという現実の問題が起きる以前から地方財政状況というものが問題になつて来ておることは、御承知通りであります。しかし国に地方財政計画があるのでありまして、この地方財政計画というものにのつとつてつて行くという根本方針がございまするので、その計画がありながら、どうしてもやつて行けないという点がありましたならば、その原因が那辺にあるかということを十分見きわめてみる必要がある。足りないからただ払えということでは私はいかぬと思うのでありまして、国において間違つておる点があり、それは無理な点であるということであれば、その点を修正する必要がありましようし、地方においてやつておることで、この点は少し行き過ぎておるというならば、その点も修正しなければならない。要するに十分実態を見た上でやつて行かなければならぬ、かように思うのであります。警察法関連してお述べになりました、私はその点は特に御心配のようなことはないと申し上げましたが、三十七条の国庫負担金の問題であります。連帯支弁金構想と言われますが、これは本来は国の警察に対して地方協力するという場合でございますが、これは府県警察に対して国が補助をするという順序が逆になつておると思うので、私は連帯支弁金制度をただちに考えるということは、今のところ考えておらぬのであります。いずれにいたしましても先ほど申し上げましたように、八月一日からの調査が現に行われるのでありまして、その調査の結果をまちまして、十分善処いたしたいと思います。
  13. 藤田義光

    藤田委員 私は現吉田内閣における最も新進気鋭の真剣な大臣たる小坂国務大臣に、実は警察法施行に伴う費用範囲内において御答弁をお願いしたいのであります。十分善処するということでは、現在の、ここに京都府知事もお見えになつておりますが、地方自治体首長は納得しない。せつかく暑いさ中にこういう委員会を開きましたのも、こういう具体的問題をとらえまして、何とか見通しを明るくしたいという委員長の配慮からでありまして、八月一日から調査しました結果、予算追加の必要があれば追加したい。あるいは法律改正の必要があれば改正したい、昔の連帯支弁金制度がよろしいということであればそれを採用したい、さような具体的な御答弁を、いま一度お聞かせ願いたいのであります。善処することは国務大臣として当然のことでありますが、どう善処されるのか、お伺いしたい。
  14. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 これはよく調査をしてみないとわからないのでありますが、調査の結果どういう点に問題があるかによつて、その事柄の性質に従つて、あるいは平衡交付税で見るとか、あるいは起債で見るとか、あるいは予備金の支出を考えるとか、そうした問題が出て来ると思いますが、ただ一概に足りないからそれじや何で見るんだということは申し上げにくいのでございます。いずれにいたしましてもよく調査いたしまして、どういう点が不足額原因なつているか、近く十分精査して結果も出ることでありますから、結果が出た場合に十分申し上げもし、御協力も煩わしたいと考えます。
  15. 門司亮

    門司委員 関連して。今のせつかくの藤岡君の質問に対する大臣の御答弁でございますが、経費の問題については、いまさら調査する必要はないと思います。当初からわかつていた。この会議でもしばしばその点は指摘せられております。この前の委員会でも私から申し上げましたように、知事会代表者であつた友末君は、ここに来て、百億くらいの金は足りないんだということを言われている。このことが政府にわからなかつたはずはないのであります。施行されて一箇月出るか出ないうちにこういう問題を起すことは、大体法案を提出したときの政府調査が非常に疎漏であつたことを、おおい隠すことはできない事実だと思います。今さら調査してその原因がどこにあつたかというようなことを言わないで、当然今の問題は政府が善処すべきである。同時にその経費の最も足りない一番大きな原因はどこにあるかというと、いろいろな問題もございましようが、主として警察官諸君給料の問題が一番大きな問題じやないかと思う。この給料に関する限りにおいては、警察官の士気の上にも非常に大きな影響を持つておりますので、政府は単に善処するということでなくして、警察大臣としては責任を持つて府県の足りないだけは支弁するという言明をはつきりしてもらわないと、府県財政の上に安心のできないものがありはしないかと考えられるわけです。この点大臣はもう少しつつ込んではつきりした答弁を願えませんか。何といつてもあなたの方の落度です。このくらいのことは最初からわかつていた。しばしばこの委員会でもつかれて、ああだこうだと言いのがれをしていたから、この結果が出た。この結果のしりぬぐいをして、警察法改正されたのであるから、一応この辺でかぶとを脱いで、足りないものだけは責任をもつて出すというように、もう少しはつきりしたらどうですか。
  16. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 先ほどから申し上げておりますように、不足額が出れば何とかせねばならぬ問題です。ことに給与の問題は大事でありますから、何とかしたいと思つております。しかし何で出て来たかという原因は、調べてみなければわかりませんが、やはり自治体警察もたくさんあるのでありまして、その状況も当時の仕組みからいいまして、なかなか正確に把握しがたい実情もあつたと思います。これは御了解願えると思います。今度はそういうことについて十分調査をしてみる機関ができておりまして、またそういう態勢でもあるのでありますから、十分調査してみたいと思います。いずれにしても足りないということでありますれば、今申し上げたよう自治庁当局にもお話をし、大蔵省側にも十分御了解を得るよう努力をいたしてみたいと思います。  しかしただ一つ申し上げておきたいことは、警察費の問題と現に一般的に言われている地方財政給料の遅欠配と伴つて非常な危機的な状態を一つの問題とお考え願うことは、少し困るのであります。これが関連ないとは申しません。それはその一部でございましよう。しかし警察費がふえたから、地方財政全体が給料も払えなくなつたということではないのでございますから、その点ははつきり申し上げておきます。
  17. 門司亮

    門司委員 私は何も警察費がふえたから県の財政が非常に困難になつた、これが原因をそこに持つて行こうというのじやない。しかし県の警察費用が非常にきゆうくつになつているところに、こういうもので、いわゆる国の無理押しの制度で拍車をかけて来たことはいなめない事実だと思う。従つてこの経費だけについては、特に国が責任をもつて支払うことが、委員会で明らかにされない限り、われわれとしてはそういうことを見のがすわけに行かない。ことに警察法審議過程においては、しばしば当局から話されておりますように、自治体警察との間の給与差額等については、十分考慮してあるはずだという答弁を現に斎藤君がやつている。斎藤君はそのときそういう処置を考えておつたと思う。だから今日調べることも何もいりやしない。ほとんど自治警察であつたものが県に移つて来ておるのである。調査の必要は毛頭ないと思う。もし公安委員会調査する必要があるとするならば——地方自治体の自治的に行つております給与その他の全面的のものに対して、政府が再検討を加えようという意図があれば、これは別の問題であります。しかしそのことは、今ここでただちに許さるべきものでもございませんし、また政府が容易になし得るものでもない、またなすべき筋合いのものでもないと考える。それを今ごろになつ調査して、その結果がどこにあるかなどということは、およそ妙な答弁だと思う。最初からわかつてつたはずだ。最初からこの警察法を出すときにごまかしがあつたから、こんなものが出て来ておる。だから、私は大臣に対する押し問答は、時間の関係もありますからこれ以上申し上げませんが、大臣としてはそういうことの絶対にないように、県の財政に負担をかけないということをはつきりしておいてもらいたい。そうしてもらわないと、県としては非常に困るだろうと思います。  その次に、この機会に聞いておきたいと思いますことは、非常に突き進んだ問題でありますが、警察本部長任命については、先ほど藤田君から質問のあつた通りであります。このことも、政治的に見ると非常に大きな問題であります。大臣はどうお考えになつているか知りませんけれども、自治警と国警との間には、制度改正についての相当な軋轢——軋轢という言葉はどうかと思いますが、問題があつたはずであります。その場合に、自治警におりました警察署長というものの大部分は——大部分という言葉が当るかどうか知りませんけれども、場所によつては大部分といつていいほどの上級幹部はやめております。その場合に、国家地方警察本部長でありました者が、そのまま今度の警察制度の切りかえによつて部長にすわつておるということは、政治的に与えます印象がいかにもよくないのです。公安委員長である大臣は、当然その点を考慮さるべきではなかつたか。どちらが負けたのでも勝つたのでもない。制度はこういう形で組まれたのだということで、人事の公正を期すべきではなかつたか。それを一方は本人がかつてにやめたからしかたがないのだ、私の方ではやめる必要がなかつたからこういうことにしたのだというような事務的の割切り方では、私は警察の本体についての心理的の影響は必ずしも良好ではないと考える。  同町にもう一つ、手続の問題として公安委員になられた人たちだというような話がありましたが、これは非常に大きな越権であります。警視総監の問題もそうであります。東京都公安委員会ができないうちに、江口君の問題がすでに問題になつておつた。そして大体これがきめられておつた公安委員会制度は何のためにあるのだ、都道府県警察の持つております公安委員会にいたしましても、新しく発足することになれば、新しく発足した公安委員会が、その県の本部長を定むべきである。大体こういうことになるであろうからということで、議会の承認を得ないうちに知事がそれをきめたとする事実があるならば、知事の非常に大きな越権であります。議会無視もはなはだしいと思う。ちようど今の吉田さんのやつておることと大してかわらないと思う。これは大臣の言葉でありますが、その言葉だけこの場合取消しておいてもらえませんか。
  18. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 私はこの法律が成立いたしました直後におきましても、当時国警隊長会議がございましたが、そこに参りまして話をいたしました際にも、警察法改正は自警も国警もともになくして、新しい制度のもとにおける警察制度ができるのだから、従来のような対立的な感情が、世間に伝えられているようなものがあるかないか知らないけれども、もしありとすれば、そういうことは厳重にやめてもらわなければ困る、しかし世間では、往々にしてこの法案が通つたことをもつて、国警側が一応主張を通したような論評を加えておる者があるのである、この主張の当否は別として、とにかくそういう論評があるという事実は、諸君に十分考えてもらわなければならぬということを申したのであります。むしろ世間では国警の御主張が通つた、いわゆる勝つた負けたで言えば勝つたということであるならば、むしろ勝つたと言われておる側において、一歩下つて事を処理するような気にならなければ、問題はうまく行かぬ。世の中のことは、私も経験が浅いのだけれども、いわゆる地のしろうとになれといいますか、そうした気持で、能力のある者は必ず栄達するのであるから、一歩下つてものを考えるということでなければならぬということを話した。その通りにみなも了承いたしておつたのであります。しかし今申し上げたように、任命制度というものは委員会任命するのでありまして、委員会発足し、これが七月一日に任命するに際しましては、事前にどういうものであるかというような内意を調査しておく必要はあるのであります。そういう人を持つてつたところが七月一日になつ任命されないということになりましては、制度の新しき発足に非常な汚点を残すことになるのでありますから、そういう点については十分に事前に、この問題は慎重に運ばねばならぬと私は考えておつたのであります。江口警視総監の例が引かれたのでありますが、江口警視総監につきましては、現在も公安委員であります当時の公安委員長の橋本氏においてもA・ワンの人事をやつていただいた。公安委員同士交渉しておられる。委員各位は喜んで、私どもはもし引続いて公安委員任命されることがあれば、こういう人になつてもらうことが非常に望ましいことであるという見解を表明しておつたのであります。しかし正式な話ではありません。正式には七月一日において、その当時交渉されておつた公安委員会によつて任命されるのであります。でありますから、これは正式な話ではありませんが、問題はこうした政治的にも治安的にも影響の大きい問題をどう扱うかということを、そう卒爾としてものをなすことはできない。必ず事前行動をしなければなりません。その事前行動の一環として、十分に円滑に進むであろうよう見通しをつける努力をいたしたのであります。こういうことでありますから御了承願います。
  19. 門司亮

    門司委員 今大臣の言つたせつかくの言葉ですが、一歩後退したとは見えないので、一歩前進しておる。そのことは警察行政自体の上から考えても非常に大きな問題だと思う。なぜ私はそういうことを申し上げるかといいますると、従来の国警の仕組みの立場から申し上げて参りますると、おのおのの管区本部長があつて、その下におる県の隊長は国警の組織の中から見れば一県をたばねる一つの役目であつたことに私は間違いないと思う。しかしその職責の範囲においては、治安の問題の最も大きな部分である都市は、すべてこれらの管轄以外になつたということであります。従つて従来の警察本部長の管轄下に置かれておりました範囲は、その県自体の治安関係から見れば、地域こそきわめて広かつたかもしれませんが、実質的には一小部分であつたといつても、私はちつともさしつかえないと思う。従つてほんとうに今大臣ようなお考え方があるとするならば、今までの府県警察隊長というものを考えないで、その県全体のいわゆる都市と農村と、犯罪の発生その他等を十分勘案して、警察行政を将来十分に担当し得る能力のあるものを見つけるべきであつたと思う。この人事をそのまま見てごらんなさい。大都市というか、中都市というか、そこにおつたような諸君はほんとうに使いものにならない。ただ国家地方警察隊長だけが、いかにも警察の機能を十分に発揮し得る脂力を持つておるものだということを明らかに物語つておると申し上げても、私はちつともさしつかえないと思う。こういう人事の仕方は先ほど藤田君も心配しておりましたが、警察行政全体の上によくないと私は思う。少くとも地方自治警察を持つておりましたものの中にも、多数優秀たる諸君かおつたと考える。しかし自治警察の人々を十分取上げられておらない。われわれはこの点をかなり憂慮しておるのである。この中で自治警察の中から上つた県の本部長がたれかありますか。わずかに横浜あるいは京都名古屋でありますか、残つておりまするが、横浜のごときは小林君がやめてわずか五日か六日しかなかつたのである。これも政治的にものを言うならば、もし横浜市で新しい本部長が来てやることになれば、警察官の気持は違つて来るであろう。従つて事前に小林君の更迭をお願いして、横浜市の従来の警察隊長が引続いて警察隊長をやるのだ、いわゆる人事の問題、人と人との間において何らの支障のないようにしてもらいたいという公安委員会の親心からこういうものができておる。従つて小林君は制度の切りかえ前に、ちやんと辞職していると思う。私は少くとも治安の大任に当つて参ります警察官をたばねようとするならば、そのくらいの配慮があつてしかるべきだと思う。従つて私はこのことについてやかましい文句は言いませんが、最後に聞いておきたいと思いますことは、国家地方警察でありました当時における第一線の署長が、制度切りかえ後に何人辞職されたか、自治警察の管区内においでになつた第一線の署長さんが制度切りかえと同時に何人辞職されたかというその数字をひとつ明らかにしてもらいたい。私がこのことを聞きますのは、自治警察におりました諸君が、制度の切りかえと同時に第一線の署長あるいは警察長というようなものを辞職された原因等が十分知りたいからである。しかしその原因を聞きます前に、一応どのくらいの比例になつておるか、その点を数字でひとつ明らかに示しておいていただきたいと思います。
  20. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 いずれ資料として御提出申し上げてよろしいと思いますが、先ほども申し上げたように、やはり自治警の方においてやめたいという方について、一応これを慰留して、どうしてもやめるということであればその辞表を受理する。国警側の人においても同様でありまして、それは個人個人の実情であろうと思うのであります。その原因が那辺にあるかということはお調べになり、また御見解の表明がありますればそれを承りますが、私はそういうことで個人的な事情であろうと思つておるのであります。先ほどから当時の警察隊長本部長になつたということについて、いろいろ御不満の意の表明がありましたけれども、そういうことでなしに、やはり警察一体として考えるということが、府県公安委員会も、こういう人がなつてもらうのがよかろう、こういう内々の御希望があればその人を任命するのが警察法の精神であろうと私は思うのです。中央からこれがいいからこれを押しつける、こういうことであつては、御心配のような政治警察化するおそれも出て来るのでありまして、やはり地方公安委員会の意向を十分そんたくするということが御修正になりました同意を得てということでもあろうか、かように心得ておる次第でございます。     —————————————
  21. 中井一夫

    中井委員長 蜷川京都府知事が出席をされまして説明の機会を待つておられますから、警察に関する質疑応答はこの程度で続行いたすことにいたします。  この際お諮りをいたしますが、去る二十三日の理事会におきまして、最近の地方財政の窮乏にかんがみ、関係者よりその実情を聴取することに決定いたしましたので、委員長において交渉をいたし、ただいま京都府知事蜷川虎三君の出席をいただいたわけであります。つきましては同知事より参考人として京都府職員に対する給料の遅配、その分割払いをせなければならなくなつた理由、あるいは新警察法施工に伴う地方財政に及ぼす影響等、主として地方財政窮乏の原因について説明を聴取することといたしたいと思うのでありますが、これに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  22. 中井一夫

    中井委員長 御異議なしと認め、蜷川京都府知事より説明を聴取することといたします。  この際参考人蜷川京都府知事に申し上げます。地方財政の窮乏が叫ばれて以来すでに久しいのでありますが、最近特に破局的な様相を示すものもあるに至りました。すでに職員の給与の支払いにすら窮する地方団体が随所に見られる状態にあるのでありまして、このことは国家のためにまことに憂慮にたえない次第であります。すでにわが国有数の大府県である京都府のごときも、七月の職員給与の三億七千万円の支給の金繰りがつかず、今回蜷川知事みずからそのため短期融資の獲得のために大蔵省に折衝のため上京されたということを承知いたしたのであります。すなわち本委員会は、蜷川知事の御出席を煩わして、何ゆえにかかる窮状に立ち至つたかの原因、その具体的な実情につき御説明をお願いいたすことになつた次第でございます。本委員会としましては、地方財政の刻下の窮迫した状態につき、その原因を究明して、その実情を把握し、これに対する応急的並びに根本的の措置を講ずる目的で、国会の閉会中にもかかわらずこの数日間委員会を開会いたしておる次第でございますが、蜷川知事におかれましても、右の事情をよく御了承の上率直にしてかつ忌憚なき御意見を開陳せられ、審議の上に誤りなき参考に供せられんことを切望いたす次第であります。  まず蜷川参考人より京都府の財政事情、特にこのたび職員給料について分割払いをせなければならぬようになつた理由等につき御説明をお願いをいたします。
  23. 蜷川虎三

    ○蜷川参考人 本日地方財政の現在非常に困つている実情について御聴取いただける機会を得ましたことは、まことにありがたいことで厚くお礼を申し上げる次第であります。ただ土曜日の夕方急に御連絡あつたものでございますから、広く調べている余裕もなく、もつばら京都府の事情について申し上げることになると思いますが、この点御了承をいただきたいと存ずる次第であります。  今日地方財政が非常に窮迫いたしまして、いろいろ問題持つておりますが、その問題は結局二つに帰するわけであります。一つは、この二十五年の平衡交付金制度並びに地方制度を二大支柱にいたしまして、地方財政の大転換をいたしました、これ以来各府県に起つておる赤字であります。これをどうやつて解決し、解消し、そうして地方財政を再建するかということが、一つの問題になつておるわけであります。第一は、これは焦眉の問題でございますが、ただいま委員長からも御指摘ございましたように、府県によりましては、特に京都のごときはまつたく職員の給与が支払えない。七月は、わずかにその半分を七月の十六日に支給して、その金策ができたらば、あと半分を払うということで努力しているような実情でございます。新聞によりますと、他の県におきましても給与の支払いが延びたり困難なところもあるやに見ておりますが、これは結局どこに原因するのか、ただいま委員長の御質問に率直にお答えいたしますならば、第二の焦眉の問題である給与の支払いにも困難をしているということは、この四月から当然なさるべき各府県におけるほとんど季節的変動とも見られるようなその一時借入金がとめられているということであります。各府県いろいろ事情が違いまして、京都ようなところは七大府県の中に入つておりますがそれの一番しりつぼにあり、しかもその他の府県の上にあるというような、ちよう地方財政の谷間にあるようなところでございまして、従つてその大きな府県ようにも行きませんし、またほかの府県ようにも参らない実情があるわけであります。京都市という人口百十二万の大都市をかかえていながら、京都市そのものは非常に古い都でありながら、近代的な工業都市でございませんので、もつぱら伝統的な産業である染織であるとか、西陣織であるとか宇治茶であるとか、その他の手工業を中心にして生きている町であります。その他はまつたく文化、芸術その他の消費面の問題である。従いましてこういうところにおきましては、大法人もなく法人税に多く依存することはできないことは、大阪や兵庫あるいは愛知、神奈川、福岡等と非常に違う点であります。  それからもう一つ、中小の県におきましては御承知ように、いわゆる自己財源でまかなつているというのは、みな五割以下でございまして、わずかに七大府県が五五%以上を自己財源でまかなつておる。その他の府県は少くも三十九府県近くのものは、まつたくこの三〇%あるいは四〇%というようなものを自己財源でまかなつているというような実情であります。たとえば大体標準財政規模で比較してみますと、非常に京都府に近いのは福島県であります。ところがその二十五年、二十六年、二十七年の標準税額を見ますと京都府が百二十億近くであるのに福島県はわずかに三十億であります。そういうふうに自己財源、特に税に依存している程度というものは、三十九府県におきましては非常に京都と違うわけです。また七大府県とはまつたく違うわけであります。従つて現在、いわゆる一時借入金がなくて困るという場合にも、自己財源に依存する程度の低いところにおきましては、国庫支出金だの、それからまた、もし平衡交付金の前払いが早くできますなら、それだけで救われるわけでありますが、京都ように平衡交付金なんぞに依存することが少く、従つてもつぱら税をとらなければならないというよう府県におきましては、一時借入金がとめられるということは、これはもう全然、赤字があるなしにかかわらず、財政はまかなえないわけであります。昨年におきましても、大体六月ごろにおいて、資金運用部の資金を九億くらい融通していただいてまかなつておつたわけです。ことしはそれがわずかに資金運用部の資金が二億、簡保の資金が二億、四億しかないのであります。従つて現在のところでは、全然給与が払えないというわけであります。こういう点について、現在焦眉の問題として、京都府に似たような事情における県が、金繰りに困つているわけであります。そこで私どもは、それじやそうなることは今急に六月、七月になつてから払えなくなつてから大騒ぎするのはおかしいとも考えられるのでありますが、私どもはこれは昨年から見越しておつたわけであります。おそらくこの二十八年の秋ごろからは金融引締めを断行されるであろう。従つてできるだけそうした面に対応する措置を講じておかなければならないと思いまして、二十八年度の予算において、これはほとんど世間から非難されるほどのはげしい財政の縮小を行つたわけであります。そうしてまた、教員が約一万二千でございまして、それから府庁の職員が四千二百七十人ばかりでありますが、約一万七千の教職員、府庁員をかかえているわけであります。ところがこういう人々の中で、老齢あるいは高給の方であつて、隠退後別に生活に困らないという方があるならば、できるだけ後進に道を譲つてほしいということをいたしましたのですが、実はわれわれは、政府がなさるように特別退職金その他の金がやはりないわけであります。でありますから、自分たちでかき集められるだけかき集めまして、そうして政府の方へもお願いして、教員の方もやりたいというので、お願いもしておつたのですが、ようやく府の職員で非常な年寄りを五十人しりぞいてもらつたわけであります。いよいよこれから教員の方にお願いをしようというときに、御承知ような南山城の台風の災害が起りましたのと、また九月には十三号台風の災害がございまして、もはや人員整理その他のできない事情になりまして、今日に至つたわけであります。従いまして、私どもとしては、二十七年の暮れからこの用心をして参つたのでありますが、知事としての能力の欠けておりますために、こうした事態に至りまして、何とも申訳ない次第だと考えておる次第であります。そこで現在のところ、何にいたしましても、府県が困つておりますのは、そうした財政上の季節的変動である四月から八月までにおける資金の不足をカバーするために、どうかそうした資金運用部の資金なり、簡保の資金なりを、私どもは今七月に二億、八月に二億合せて四億——ほんとうは六億必要なのでありますが、あらゆる努力をいたしまして四億、おそらくその他の府県でも三億、四億の資金が融通されますなら、この危機は切り抜けられると思うのであります。そうして九月、十月ごろから財政は安定して来る。何となればそこから個人事業税が入つて参りますから、そういう点でわれわれは今お願いしているのです。これは赤字とは何ら関係はございません。しかしながら私は二十二日以来、方々お願いに上つておりますと、お前のところは赤字がひどいんだから貸せない、赤字をどうするかという方策を講じて来いと言うのでありますが、職員はもう今月給料をもらえなければ参つてしまうのでありまして、赤字の対策——赤字を出したからこの資金の運用に困つておるのでございませんので一つ財政的な季節的変動ですから、この点は御容赦を願いたいと思つておる次第であります。  しかしながら、第一のそれではなぜ地方は赤字を出したかという点を申し上げたいと存じます。これにつきましては二十五年に御承知ように、地方税制と平衡交付金制度を二大支柱にいたしまして、地方財政制度が大転換いたしました。それで地方はこの制度にのつとつて地方財政を運営して行くべきであるのであります。それで私ども知事がこの制度をよく適用できなかつたという点は、知事として大いに反省しなければならない点であると存じておりますが、同時にこの制度自体も十分検討せらるべきであるというのが、私どもの考えであります。ではどういう点にあるかと言えば、これは当時制定せられましたときに、参議院のお招きを受けて、この平衡交付金制度における考え方の問題と計算方法の問題と具体的な資料の問題と、それが地方財政に及ぼす影響の問題と、四点にわたつて私はお願いをしたのでございますが、その後四年間にだんだんに改善されたとは申せ、多くの問題を含んでおるわけであります。それは二十五年という年は、非常に経済の危機の迫つた年でありました。それで中小企業も農村も非常に弱つているときでございましたが、幸いであつたか、あるいは不幸であつたかいずれにいたしましても二十五年の六月に朝鮮動乱が起り、この朝鮮ブームの影響というものが相当あつたわけであります。でありますから、大体大工業の下請工業をしている部面まではその影響がございましたから、二十五年あたりにすでにみんな各府県財政的によたよたしたのでありますが、二十六年に、二十五年に起つた朝鮮ブームの影響を受けて、かなりそこでもつてバランスをとり得た府県があつた。そしてその場合におきましては、政府で計算いただいた基準財政収入額を非常にオーバーするような収入のあつた府県もございまして、二十五年の赤をそれでうまく消しておつたわけであります。しかしながら二十七年にはもうそれが続きません。でありますから、二十五年には繰上げ充用をして、ほんとうの意味の赤字を出したのは、たしか四団体ぐらいであつたと思いますが、それがもう二十七年には三十一団体にまで進むという状態でございました。おそらく二十八年の決算見込みで見れば、もつとふえているだろうと想像されるわけでございます。その理由は、一つは税制におきまして、個人事業税あるいは遊興飲食税あるいは入場税というようなものにおきまして、京都では非常にこの税が困難である。大阪のようなところにおきましては、大工業に依存する中小企業のところでございますから、かなりそのいい時期でございましたし、それから法人事業税の末端にまで及ばないでもかなり過せる。ところが京都ように、まつたく伝統的な産業であり、問屋に依存するような零細企業でございましては、日雇い大工の外資まで差押えなければ税がとれないというような、二十五年あたりは実情でございました。私どもはそういうような悲劇はとめさせまして、あらゆる点で合理的な税をとるよう努力いたしましたが、なかなか標準税額に及びません。二十五年、二十六年、二十七年の三年間の累計で見ますと、もうすでにそこで八九%ぐらいしか標準税額に対してとれておらない。お手元に差上げました京都財政状態を一般に書きしるしましたものの表の中にございますが、標準税額については八九%ぐらいしかとれておりません。それで、よく世間では、地方が貧乏するのはむだが多いからだ、濫費をしているからだという御批評があるわけでありますが、少くも京都府のその例で見ていただけますように、標準財政規模に対して一〇一%、わずかに一%オーバーしているだけでありまして、平均が七大府県で一〇二%という状態であります。従いまして標準税額と平衡交付金と目的税その他の税とそれから企業収入と合したものを標準財政規模に考えますならば、ほとんどその標準財政規模に近い運営をしておる。それにかかわらず赤字を出すということは、結局基準財政収入額が過大に見積られているということしかないのであります。特に京都府の場合におきましては、遊興飲食税が標準税額の五二%ぐらいしかとれておりません。これはまつたく私どもの力足らざる点でもございますけれども京都の古いそうした業者の経営は、新しい遊興飲食税のような課税対象としては非常にむずかしいのである。それから、最近におきましては飲食物が五十円以下のものは非課税になりましたけれども、当時におきましては、ラムネを売る家、ぜんざいを売る家におきましても、遊興飲食税をとる。これらをぎゆうぎゆう取上げても金額においてはわずかなもので、片一方は払えるんだが、払うような課税対象はなく、従つてお茶屋さんだの大きなお料理屋さんなどでは、国の方で所得税を調べると非常に大きいものですから、それから売上げが多いはずだと算定されるのでありますが、これは所得は多いのかもしれませんが、遊興飲食税の対象になるようなものは少い。ここが京都の前資本主義的な経営をやつている店の特徴ではないかと私どもは思つておるわけであります。こういうふうに赤字を出して来たというものは、もつぱらこの標準税額に及ばざる税収に原因する。これは各府県におきましていろいろ事情はございますが、何かの税にからまつてそれがあると思うのであります。  それから第二には、基準財政需要額を算定されまして、私どもが一般財源を使うのと比べてみますと、たとえば教育費などにおきまして、この基準財政需要額で計算される率が非常に低いのであります。特に義務教育などになりますと、基準財政需要額をわれわれが一般財源でまかなつておるものを、分母にして割つてみますと、八〇%ぐらいであります。言いかえてみれば二〇%はどうしても府県費を持ち出さなければならない。二分の一国庫負担になりましてよほど緩和されましたが、それにいたしましても、二十八年が三億五千万円、二十九年も予想いたしまして三億四千万円程度の純府費を持ち出さなければ、義務教育はやれないという実情であります。京都府の特別な事情といたしまして、すでに各方面から御指摘をいただいているのは、そういうふうに教育費が高いのは結局先生の給料が高いのであるという御批評であります。府庁員について見ますと、お手元に差上げております表でおわかりの通り、全国平均を一〇〇といたしますと、大体一〇六%ぐらいになります。それから小学校の先生を見ますと、これも全国平均を一〇〇とすると、京都府は一一一・六ぐらい、すなわち一一%高いというような点が問題であります。従つて京都府の赤字はどこから来たかといえば、いろいろございますけれども、根本は遊興飲食税における過大見積りと申しますか、あるいは私ども努力が足りないで、五〇%内外しかとれなかつたということ、そして年々三億以上の歳入欠陥を出しておつたということと、それから先生の給与が一般的に高く、そのために四億、五億の府費を持ち出して行かなければならないというようなところにあつたと思うのであります。しかしながら皆様方に御指導を願わなければならない点は、知事がいかにこの古い先生と新しい先生、高給をとられる先生と学芸大学を出たばかりの先生、それと交流さしたいと思いましても——大体古い先生一人やめていただくと、新しい先生三人が採用されるわけであります。でありますからこれをしたいと思いましても、知事には何ら人事権がないのであります。そこでまつた知事といたしましては、教育委員会にお願いする以外にはない。教育委員会にそれをやる気がなければ、いつまでもやれない。戦争後におきまして、地方行政機関としていろいろな委員会ができました。これはみんな独立の機関である。知事はただそのお台所を受持つだけであつて、その予算の執行も人事もほとんどが、その各委員会でなされるわけであります。先ほど来問題になつておりました警察につきましても、これは教育委員会と違いまして、予算の二本建ということは、公安委員会予算の提出権がございませんから起りませんけれども、結局われわれは何となしにやはり教育委員会と同じような苦労をなめなければならないのではないかということを私どもは心配しておるわけでありますが、これは公安委員会委員方々及び公安委員会の運営において御考慮いただければ、この心配は雲散霧消することは信じておるわけであります。こういうふうに最近におけるいろいろの委員会制度によつて知事の権限ではどうにもならない、予算の節約やあるいは人事異動のできませんために、あれよあれよといつているうちにどんどん赤字がふえて行くというのが実情でございます。そこの点で世間の批評はたいてい二つございまして、知事が大体府県費を濫費しているのではないか。しかしこれは標準財政規模、それは全国府県が出ておりますから、それと御比較いただけば、知事が濫費しているかどうか、これははつきり否定されると思います。それから地方公務員の給料が国家公務員より高過ぎるということがありますが、これは高過ぎるかどうかということは何を基準にして比較するかということが示されない限り、にわかに聞き得ないと思うのであります。質の違うものをただ量的に同じ給料という貨幣額で現わされているからというので、その貨幣額を比較することによつて、高いか低いかということはちよつとわれわれとしては聞き得ないわけであります。しかしながら京都府のような場合は、全国平均に比べて高いということは事実で、そしてこれは確かに人事交流を行わなければならないと存じますので、私ども京都市の教育委員会にお願いいたしまして、人事交流をはかつていただく。同時に年とつた方々がやめていただけるだけの条件をつくりたい。そのために約四億五千万円の退職金に充てる金がいりますので、その半分くらいもまず融資をしていただいて、そうして三年ぐらいの期間で整理するか、あるいはもつと短かい期間で全部処理するかということは、政府から融資していただける状態によると思います。よく政府側からも地方が人員の整理も何もしないで、手をこまねいていると言われますけれども、こまねいているのでなしに、退職される方に生活の安定をはかるだけの退職金を出す資金を持たないからであります。どこでもそういう点では苦労しておるのでございまして、ただいまのところ私ども京都府におきましては、教育委員会について聞いても、また先生方に伺つてみても、また教員組合に聞いてみても、皆さんは、人事の交流を六年間も京都市はやつておらない。これをやらなけば教育上にもさしつかえるという御意見で、私はこの時期が来るのを待つております。二十七年の暮れから啓蒙宣伝に努めて、二十八年の八月の半ばにこれを行おうとしたのが、台風のために今年に延びたわけでございます。でありますから、われわれとしては何も急に今あわてているわけではございませんが、短期融資のないために非常に苦労している次第でございます。国会の方のお力によりまして、四十六都道府県の大部分が、今その一時的な資金融通に困つておりますので、この点御打開いただければ、われわれとしてはまことにありがたいと思う次第であります。
  24. 中井一夫

    中井委員長 参考人の御陳述は一応終了いたしましたが、これに対し御質疑があれば許可をいたします。
  25. 北山愛郎

    ○北山委員 現在の地方団体が非常に財政的な窮境にあることは、すでに今蜷川さんのおつしやつたようなことを私ども地方行政委員としても、前々から考えておつたわけであります。ことに本年度の地方財政計画が非常に無理があるというような点から、本年はおそらく地方財政は全般的に相当破局的な様相を呈して来るであろうということを想像しておつたのでありますが、はたしてそのような事態がやつて来たと考えますので、今の参考人の蜷川さんのお話も一々うなずけるごもつともなことに思うのであります。従つて別にそう大した質問もないのでありますが、二、三点お伺いをしたい。  それは最近におけるデフレ政策というようなものも、地方財政の上に非常に大きな影響があると思います。この数年来の重なつた重圧に加えて、今年における急角度のデフレ政策が、地方の諸団体に及ぼす財政的な影響は、非常に大きいじやないかと思うのです。従つて京都府の場合に、税収が思わしくない、これが赤字の累積した原因であるというお話でありましたが、現在当面しているデフレの様相と京都府の税収というような点について、もう少し最近の情勢、ことに昭和二十八年度の決算等による徴税の状態、これについてもう少し御説明を願いたいと思います。
  26. 蜷川虎三

    ○蜷川参考人 これはお手元に差上げました資料京都財政資料の第一、昭和二十八年度決算見込額調に出ておりますように、二十八年度の決算見込みにおいて繰上げ充用をしなければならなかつたものが、十五億八千九百万円という大きな数字になつているわけです。その場合に歳入の面におきまして、当初予算を組んでから決算見込額を定めるところに行きました間に、その三、四ページにわたりましてその費用が出ております。四ページの一番右の三十八億三千五百九十四万三千円というのが歳入不足なつております。そういう事態でございますので、私どもは異常な災害を受けて苦しんでいるときではございましたけれども、あらゆる行政費を節約して、第五ページの最下段の右の欄にございますように、三十二億四千四百九十四万三千円というものを節約いたしました。この差額がちようど十五億八千九百万円でありますから、ここで私どもは税収で二億二千六百万円の不足を告げたわけであります。御承知ように私どもは大体個人事業税が中心でありますが、これは二十七年の収入に百分の十二をかけています。デフレが進行する——これは非常におかしな言い方でございますが、一方にインフレを進行させるためにデフレが進行しているというような事態もございますので、地方の中小企業や農村に影響する影響の仕方は非常に複雑ではないか。京都府といたしましては、二十九年の仕事といたしまして第一に災害の復旧をできるだけはかる。それから第二には中小企業にてこを入れる。それからデフレの影響がおそらくこの出来秋には農村に侵入して来るだろう。それは同時に昭和五年の世界恐慌の漁村の状態と同じで、全国の漁村は世界恐慌に見舞われたにもかかわらず不漁を訴えておつたわけです。そしてそれが決して世界恐慌であるとは漁師は認識しなかつた。おそらくこの出来秋には農民諸君はデフレの苦しさを思うよりも、凶作であるということが出て来るのじやないか。この三段を考えて、私どもは二十九年度の予算においてあらゆる節約はいたしておりまして、そういう面の努力をいたしております。ただ税収もその関係上おそらく非常に困難であろう、こういうふうに考えております。
  27. 北山愛郎

    ○北山委員 それから先ほどのお話であれは、さしむきの問題として金繰りの苦しいこと、すなわち四月から八月までは、年度の前半には、地方団体はどこでも税収がなくて困るのだというお話でありまして、この際短期融資なり何なりを昨年と同じようにやつてくれればしのげるのだというようお話があつたのでありますが、それでやつて行ける見通しがありますか、どうですか。たとえば九月に交付される交付税を八月に繰上げて支給するというようなことで息がつける、そしてあとは先ほどお話があつたよう財政の節約なり何なりによつて、何とかやれるというお考えであるかどうか、その点をひとつ承りたい。
  28. 蜷川虎三

    ○蜷川参考人 実際には、先ほど申し上げましたように二通りあると思うのでございます。一つは税収にもつぱら依存して財政をまかなつている府県。それから平衡交付金並びに国庫支出金等に依存することが多い面、いわゆる自己財源でまかなう部面の少い府県におきましては、借入金の方はあまり響かないだろう。ちよう地方財政の谷間にあるよう京都府において、これが一番はげしい問題である。私どもは、これを実際に計算すれば六億なのでありますが、今そういうことを申しても困難でありますから、四億の融資をいただいて九月までしのごう、その間におきまして、なお三月決算の法人事業税の残つておるものや、滞納の取立てに努力いたしてしのがねばならなしという考えでおるわけであります。非常に困難だとは存じます。
  29. 北山愛郎

    ○北山委員 時間もないようでありますから、最後に一つ。一部には、地方団体の最近の赤字の原因は、知事の公選制にある、市長の公選制が赤字の原因であるというような説をなす人もあるわけです。これについて、公選知事であられる蜷川さんは、どういうふうにお考えであるか、率直にお伺いしたいと思います。
  30. 蜷川虎三

    ○蜷川参考人 どうもお答えしにくい問題でありますけれども、公選知事だからといつて地方費を濫費したりごきげんとりをすることは、私はまずないと思います。現に自分のことを申しては何ですが、私は今年の四月選挙でございましたが、二十八年度の予算を徹底的に切つたわけであります。これはおそらく勤労者の予算なんぞからも、非難されるほどにはげしく切つたものであります。しかしながらそのこと自体は地方の住民の利益を伸ばすのであつて、別に地方の住民の利益を損ずるものでないものですから、どこの知事でもそういうことは平気でやられると思うのであります。公選知事だから非常にごきげんとりのことをするようなことは、まずどこの府県でも私はないと信じております。ただ官選がいいということを主張するために、地方費を濫費するとか、あるいは地方費の整理がいいかげんであるとか、あるいは公務員の給与が高いとかいうような御批判もあるが、こういう御批判は知事といたしましては十分拝承して反省して、正しき地方住民の利益をはからなければならないと信じております。  もう一つ自治体はどこまでも市町村だということを確信いたしております。従つて真に地方自治体が民主的に確立されますならば、府県というものは次第にその力を弱めて行つていいのじやないか。しかしながら今日においては町村合併と申しましたつて、住民の総意を結して町村合併をやるようなところまで行きませんので、町村民の自治を振興し、町村民の民主化をはかり、生活を安定するよう府県が手伝つて行くのでなければ、ほんとうに市町村の民主化と自治の確立はできないと思います。また御承知ように中央から、これは占領政策以来のことだと思うのですが、いろいろ仕事を地方に配つて来るわけです。しかも財政の裏打ちのない仕事をどんどん配つて来る。二十八年度の私どもの赤字の中で、四億七千万円ほどは、仕事はいただきまして裏づけされません負担超過分であります。そのうち義務教育費が三億五千万円ばかりありますから、一億二、三千万円がいろいろのものであります。たとえば引揚者が帰つて来るから引揚げ住宅をつくれ、二分の一国庫負担だというふうに言われるのですが、単価が非常に安いために、結局三分の二までは府費で負担しなければならぬ。もしそれを知事がやらなかつたら、引揚者の方々や住民一般から批判を受けるわけです。どうしてもしなければならないもので裏づけられないものがありまして、地方自治体を守るためには、やはり町村と国の行政との間に府県というものがあつて、中央ともよく連絡し、協力し、町村自治を助けて行くということが大事だ、そのためにはやはり何といつて地方住民の信頼を得られて公選せられる知事でなければならないと私は信じておりますが、幾分これは手前みその点もあると思いますが、お許しいただきたいと思います。
  31. 藤田義光

    藤田委員 京都知事さんは異色のある知事さんで非常にいい機会ですので、ゆつくり質問したいのでありますが、大分瞬間が迫つておりますから、要点だけをお伺いしておきたいと思います。先ほど地方財政の赤字の原因を一通りお話になりましたが、われわれもここにおります門司委員等と一緒に、シヤウプ博士に会いまして、地方財政確立の方策に関して、いろいろ意見を述べた一員であります。先ほど地方税と平衡交付金の問題を強調されました。そのほかに災害復旧費全額国庫負担あるいは起債のわくをある程度確保しろ、あるいは国と府県、市町村の事務を再配分しろ、こういう五本の柱が必要であつたのでありますが、それが途中でうやむやになりました関係上、特に地方財政が非常に苦しくなつて来たようであります。この機会にまずお伺いしたいことは、先ほど問題になつておりました警察の都道府県移管と申しますか、一応内容はともかくとしまして、名目上経費府県警察のていさいだけはとつて参りまして、これで大分御迷惑かと思いますが、京都府の場合は財政上どのくらいの変動がありましたか、大まかな数字だけでけつこうです。
  32. 蜷川虎三

    ○蜷川参考人 京都府のは五大府県の場合でございまして、五大市の警察が来年の七月から入つて来る、それまでは従来国家地方警察が担当しております郡部だけでありますが、政令によります新定員が千十名であります。そしてこれに予算として計上され、国からいわれておりますのが二億七千五百万円。しかしながら実際府が組みました予算は三億七千万円というような状態であります。大体純府費を持ち出す分は約七千万円あるのじやないかというふうに考えておりますが、御承知ように、やはり今まであつたことでありますが、いろいろの委員会ができておりますと、暮れになると国家公務員でありましても、地方でも少しお礼を出せというような、そういう実は知事としては表面に言えないいろいろな問題があるわけです。従つてその屋台が広くなると、やはりそういうつき合いも大きくなるんじやないかということを心配するわけです。それで東京で新聞で見ましたのでは、京都は何か年間一人当りの経費が三十六万円とかいつて高過ぎるというのですが、これは千十三名で計算されたように拝見いたしましたが、実際におきましては現在員は警察官だけで千八十二名おります。そして政令定員が千十名でございますから、七十二名オーバーしているわけです。この七十二名についてやはり問題がございますし、それからまた見習いと、すでに国家地方警察の時分に待命を仰せつつておるものがあるわけです。これに対する給料も払わなければならぬ。この見習いと休職者で四十八名。それから事務員が三百三名。ですから政令定員として千十名と申しましても、千四百三十三名というものを今台所を担当する知事としては、給与の面で抱えているということを申し上げていいと思うのです。それからもう一つは、千十名という政令定員、あるいは千八十二名の現員に対して、機動力が大体政府で示された基準の二倍ほどございまして、これのために一千万円ほど予算をオーバーしなければならぬ。それから通信設備も約一千万円くらいオーバーしなければならないというような点がございまして、今後公安委員会とよく折衝し、またその結果をもちまして政府の方へお願いいたしたいと考えている次第でございます。
  33. 藤田義光

    藤田委員 知事さんに御注意願いたいのは、実は市町村警察は、大部分が財政上の理由で取上げられたのであります。ただいまお話の点はよく了承いたしましたが、またこういうことを理由に名実ともに国家警察に移管してしまうという口実を与えはしないかと、われわれは非常に憂慮いたします。その点に関しましては今後具体的に御検討を願つておきたいと思います。  先年私の郷里の熊本県の三百七の市町村の年間の寄付金、特に官庁からの強制的の寄付金を調査いたしましたところ、昭和二十七年度が四億二千万円、実に厖大な数字であります。京都府の場合、府としてどれくらいこういうえたいの知れない実質上の負担金に相当する帯付金的なものを負担されておりますか。数字がありましたらお示しを願います。
  34. 蜷川虎三

    ○蜷川参考人 京都府としましては、二十五年から赤字を出しておるような状態で、私どもいろいろ注文されるものは一切受付けておりません。それで何とか協会だとかいろいろございますけれども、そういうものについて府費を持ち出しておらないわけであります。それから二十九年度の予算におきましていろいろの団体補助というものは全部打切りまして、たとえば町村長会の補助金百万円も切つてしまいました。たいへん義理を欠くようですけれども、私どもの方はそういう負担は全然しないし、それから個人として協会とか何かに入会することはいいといたしまして、私ども知事会議に結びついておる以外に、どこにも関係しておらないわけであります。その点非常に楽になつております。
  35. 中井一夫

    中井委員長 ちよつとただいまの点に関連してお尋ねいたしますが、府としてそういうものを全部拒絶しておるということはわかりましたが、府下の市町村に対し直接いろいろな関係での負担金などの要求があるはずなんでありますが、そういう場合について直接市町村が負担をして支弁をしておるところの費用は、どれくらいだというようなことについての御調査はございませんか。
  36. 蜷川虎三

    ○蜷川参考人 これは今手元に資料を持つておりませんので帰つて調べてみますが、府の方から、府を仲介にして市町村に出しておるものは全然ございません。それで私ども役人は管轄内の郡部に出張するのでも、町村のものは一切ごちそうにならないということをきびしく言いつけてございます。ただ、今御注意になりました点は、警察ですね、これは各市町村に警察関係で幾分あります。それから消防関係だと思いますが、いろいろ御注意を受けましたが、これは今私のところは調べておりませんけれども警察と消防だと思います。
  37. 藤田義光

    藤田委員 次に昨年京都府におきましても大規模な災害がございましたが、この災害復旧に関しまして、われわれが一番けしからぬと思つておりますことは、大蔵省あるいは行政管理庁、会計検査院及び農地の災害でございましたら農林省、その他関係行庁が相次いで現地監督なり、査定をやります。これが災害府県市町村の復旧をかえつて非常に遅らせまして、特にはなはだしきは、最近のごときは会計検査院が法規を逸脱いたしまして、現地査定をやつておる。予算の結果に対する検査権はありましよう。ところが執行前の予算の査定をやるという不届きなことを各地でやつておる。これはいずれ決算委員会で大問題になるかと私は想像いたしておりますが、災害復旧に関しまして、昨日の日本経済新聞によれば、知事の監督権を非常に強化したい、インチキをなくする半面に必要な経費はどんどん中央から出させる、そのためには先ほど知事さんが言われた通り知事が仲介機関として公正な要求を中央になし、中央は必要なものは出す、こういう態勢を考えたいという政府の御意向でありますが、私は一見識と思いますが、現地で累次の災害で非常に苦しまれた京都府知事から、この機会にこの災害復旧というものに対しまして、何か御所見を簡単にお伺いしたいと思います。
  38. 蜷川虎三

    ○蜷川参考人 災害復旧については、ただいま御指摘の通りでございまして、私ども京都府の町村をまわりましても、復旧よりも査定と監督においでになるので、その方で忙しいということは、よく村長がくどいておるわけでありますが、しかしそれだけに、やはりそれだけ用心していただかないと、セメントの厚さが薄かつたり、また針金を入れるところを抜いてありましたりする点も少くないであろうと思うのであります。でありますからそういう点知事におまかせ願つて知事に監督さしていただければ、よほどお手数は省けるだろうと思うのであります。そうして知事を監督していただけば間違いないだろうと思うのですが、何と申しましても、災害復旧は二十八年度の災害からああした特例法が出まして、非常に御配慮いただけることになつて感謝いたしておりますけれども、今までの場合でございますと非常に単価が安うございましたり、査定が少かつたりいたしまして、しかもそこへ地元負担というものが相当ございますので、貧乏な町村としてはこの地元負担を逃げようとしてつい砂利を薄くしたり、セメントを薄くするというような県庁の厖大な機構は、国の行政機構のことがあつた思うのです。従つて監督より何より、やはり必要な、設計通りの工事ができるだけの単価をお認めいただきたいと私お願いいたす次第であります。
  39. 藤田義光

    藤田委員 最後に、これは一昨日も塚田長官にお伺いした点でありますが、機構の問題についてお伺いいたします。鹿児島県等におきましては地方事務所をすでに廃止いたしております。私は町村合併促進法の施行によりまして、なおさら——戦時中に政府行政統制と申しますか、国家統制を浸透させるための暫定措置として地方事務所ができた。当時私はその関係官庁に新聞社からまわつておりまして、できました経緯を多少知つておりますが、現在におきましては地方事務所等はまつたくほとんど無用に近い中間機関なつてしまつておる。これの存廃に関する知事さんの御意見と、それからついでにお伺いしておきますが、県の部制と申しますか、これは旧内務省時代においては総務部、経済部あるいは学務部、警察部、三部か四部で運営されておつた。現在の府県庁というものは室、部だけでも十に近いというような非常に厖大なる人員と機構になつております。これは文化の進展につれまして行政の文化といいますか、そういうものも行われて来ることは必至でありますが、あまりにどうも機構が厖大過ぎる。従来四台で済んだ自動車が十台必要になつて来るというようなことから、すべてに冗費的なものがふえて来ておるのではないか。この際地方自治法の改正ということももう考えていい段階ではないか。この貧乏国で府県庁の厖大な機構は、国の行政機構の改革が先決でありますが、なかなか国はやり切らぬでありますが、府県知事としての御所見をお伺いしておきたい、かように考えます。
  40. 蜷川虎三

    ○蜷川参考人 第一の問題でございますが、地方事務所が非常に無用のものになつておるという御意見と、地方事務所をもつと強化しろというご意見と二つあるわけでございますが、私は府下を四年間見て歩いた結果によりますと、できるだけ京都府庁本庁におる人間を少くして、そうして地方事務所に配属し、地方事務所に権限を増加し——今私どもの方では地方事務所長というのは大体課長と部長の間の人で、将来部長になるような人を出しておる。そこで地方の住民の方が京都府庁までおいでにならないで済むように、あるいは東京までおいでにならないで済むようにしておるのですが、なかなかいなかの方は東京に魅力を感じて御上京になるのが多いものですから、せつかくのそうした設備が十分でないかもしれませんが、これはほんとうに地方の民主化をはかろうとすれば第一線を強化して、本庁をもつと簡略にすべきではないかというのが、京都府あたりの経験でございます。それから今京都府といたしましては九部、一室、一局を持つておるわけであります。九つの部と、知事公室と、出納局、それで十一あるわけでございますが、そのうちそれを八人の部長でやる。土木と建築を一人でやらす、民生と労働を一人でやらす、経済と農地を一人でやらせるというふうに、みんな部長の兼任でやらしていますので、二台いる車も一台で済むし、それからいろいろの費用が半減される。しかしながらそれは地方において衛生部を廃止して民生部に吸収さしたらどうかと考えられるのでありますが、そうするといろいろ厚生省の衛生方面の関係の窓口がなくなりまして、やはり中央の機構がかえられない限り、地方の機構をかえると、いただける国庫支出金もいただけないというようなことも起るのじやないか、私どもの方は部は存続していて部長を廃止しているという状態であります。
  41. 中井一夫

    中井委員長 中井君、質疑をお続けになりますならば、まことにお気の毒ですが、時間がなくなりましたからどうぞ簡明にお願いをいたしたいと存じます。
  42. 中井徳次郎

    中井(徳)委員 私の質問はいつも簡明であると思つているのですが、いろいろお尋ねがありまして、私の尋ねたいと思うことの半分ぐらいあつたのでありますが、先ほどの御説明のみにつきまして少しお尋ねをいたしておきたい。たいへん理論的な御説明でよくわかつたのでありますが、問題は二つにわかれておると思います。そこでひとつお尋ねをいたしたいのですが、二十八年度の決算において十六億円の赤字をお出しになつたということでありますが、これの資金繰りの面はどうされておりますか。おそらく国へ納付する金その他支払いをとめておられるのでしようが、資金繰りと赤字と、その辺の関係をひとつ承りたい。
  43. 蜷川虎三

    ○蜷川参考人 御指摘の通りでありまして、足を出してとるのは払いようがないものですから、できるだけ支払いを延ばしているというのであります。しかし工事人や何かには迷惑をかけないように、できるだけそれは金融機関に融資をしてもらうというようなこともあつせんして、できるだけ業者に迷惑をかけないよう努力しながら、まず払えるものから払つて行くというので、人件費だけを考えても先ほど申し上げたような融資がほしいのでありますが、今の御指摘の通り支払いを延ばしているものを早く支払うとすれば、どうしても六億近くの融資を望んでいる次第であります。
  44. 中井徳次郎

    中井(徳)委員 そういう非常にお苦しいことはよくわかるのですが、先ほどの御説明によりますると、今の現金繰りは短期融資でやつて、十月ごろには返せる、昔の大蔵省証券と同じようなものだろうと思うのでありますが、そういうことであるといたしますと、説明が納得が行けば私は政府においては何らか考えておられるだろうと思うのでありますが、はなはだどうも率直なお尋ねですけれども、これまで御上京なすつた経過で、それはうまく行けそうだとお考えでありましようか、どうでありましようか。
  45. 蜷川虎三

    ○蜷川参考人 毎日私それで苦慮いたしておる次第でございますが、大蔵省の方面の御意見は、お前のところは赤字が多いのだから赤字を整理する方策をしつかりしなければ短期融資もできないと、そう言うのは金融としては御無理もないことだと思うのであります。私どもはお手元に差上げました資料ような、そうした方策を二十七年の暮れから建てて二十八年度の予算からやつておりますので、これは大蔵省も、自治庁の方でもお認めいただけるだろう、あとは早く今月中に資金を出していただくということをお願いしている以外にないのでありますが、何しろ、どこの県でもそうだと思うのですが、今出していただかなければみんな手をあげなければならないという状態であります。
  46. 中井徳次郎

    中井(徳)委員 今の問題に関連をいたしまして、先ほども伺いますると支払いなんかについても、市中銀行に世話をしてくれというようお話がありました。非常にむずかしいことだと思いますが、もし政府が出さなければ一般市中銀行から出してやろうというような折衝はやつておられるのかどうか、またその場合に、おそらく銀行側としても大蔵省あたりから相当牽制がありまして、なかなかそれは出しにくいという情勢であろうかと思うのでありますが、その辺の今の折衝の模様をお話願いたい。
  47. 蜷川虎三

    ○蜷川参考人 市中銀行の方は中小企業の金融さえできない状態であるから、府県の金融なんぞはできないというのが一つと、それからはつきり申し上げると日銀の監督がやかましくてどうにもできない、あるいはその銀行が日銀にかこつけているのかもしれませんけれども、とにかくどこの府県の実情もそうであります。また市中の銀行の金を長く借りたのでは金利も高うございますし、やはり知事としては資金運用部の運用資金を拝借したいと願つているわけです。
  48. 中井徳次郎

    中井(徳)委員 ちよつと今のお話関連しまして、ちよう大蔵省主計局長も見えておりますし、自治庁の方も見えておられますのでその人たちにお尋ねをしたいと思うのですが、どうでありますか。
  49. 中井一夫

    中井委員長 相談はあとでしたいと思います。その点について今すでにお話が起つておりますから。
  50. 中井徳次郎

    中井(徳)委員 わかりました。  ではもう一点お尋ねをいたします。現在の都道府県市町村の赤字の原因は公選知事にあるとかなんとか、仕事をやり過ぎるとか、そういうことの建前に立つておるのではありません。これは今の内閣は日本の内政についてはなはだどうも怠慢である、放任主義であるという建前から実はお尋ねをいたしておるのでありますが、しかしそういう主張をいたしまするためにも、やはり都道府県、市町村側においてもあげ足をとられないような形を整えてもらわなければならぬと思うのです。そこでそういう点から申しまして、実はこれは非常に俗なことをお尋ねするのでありますが、終戦後新しく全国の都道府県が全部東京に出張所を設けました。こういうことなどは実際私は必要であつたのだろう、ことに四、五年前までは食糧も不足でありますし、旅館などもなくて必要であつたろうと思うのですが、しかし私はすなおに考えまして、戦争前には一つもなかつたものが終戦後全部できまして、中には、これは京都府ではありませんが、車を三台も持つて乗りまわしておるというようなところもあるやに承つておるのであります。先ほど地方自治法の改廃の問題もありましたが、こういうものを私どもといたしましてはできるだけ早く打切つて、いわゆる皆さんの再建整備でありますか、その五箇年計画か何かをお立てになるときに、非常に小さいことではあるがそういうことを積極的にひとつおやりになつたらどうかと私は考えるのですが、その辺について知事さんの御意見をお伺いいたしたいのであります。
  51. 蜷川虎三

    ○蜷川参考人 地方といたしましてはもうどこでも切り詰められるだけ切り詰めておると思いますが、御承知ように最近は非常に仕事がふえております。たとえば供米の場合におきましても今ごろから米のことについているろろ報告をし、技術者も参りますればわれわれも参つて、よく作況を報告しておくというようなこともございますし、平衡交付金についても一々計算し、われわれの計算も見ていただくというように戦争前と比べますと非常に仕事が多岐にわたり、かつ細分化されたと思うのでございます。それでどうしても中央との結びつきが多くなり、そのためにだれか始終来ておるということもあるわけだと思うのですが、私どもの方ではもう出張などは非常に監督しておりまして、知事としましても四月以来今度初めて出て来たくらいなのであります。どこの府県でもこのころそこまで気負つておりますから、東京の事務所も一つは物産のあつせんをするということまでしておる事務所もございますし、いろいろ仕事が多くなつたせいだろうと思つております。私どもはどこまでもそういう点を徹底的に緊縮して、住民の負担を少くしたいというふうに考えております。
  52. 中井一夫

    中井委員長 蜷川参考人に申し上げます。本日は御多用中御出席をいただきまして、長時間にわたり貴重な御陳述をいだきましたことはまことにありがたく存じます。これをもつてあなたに対しまする質疑応答は終りましたから、何とぞ御退出を願います。ありがとうございました。  門司君。
  53. 門司亮

    門司委員 私今の京都府知事お話から、一応次の段階に入りますわれわれの参考の資料として大蔵省当局にお願いをしておきたいのでありますが、現在の資金部の運用資金の明細がわかるように、ひとつ至急お出しを願いたいと思います。これは今のお話でお聞きになつておりましたように、府県財政のこの急場をしのぐにはその問題がどうも中心らしいのでありまして、従つてわれわれもその内容を十分知つておきたいと思います。運用部資金の運用の状況をひとつ明細に御提出を願いたい。  それからもう一つ、これは委員長にお願いをしておきますが、ここに塚田大臣がお見えになりませんので、塚田大臣がおいでになつたらお願いをするはずでありますが、郵政省の持つておりまするいわゆる簡易保険の融資の関係等についても、大蔵省と同様の資料を至急出していただきますようにお願いをしておきます。
  54. 中井一夫

    中井委員長 門司君の御要求につきましては了承いたしました。なお塚田自治庁長官は明日の午後御出席になることになつております。御質疑等がございましたならば、明日の午後からお進めを願いたいと存じております。  それでは午前はこれをもつて一応休憩といたしまして、午後正三時より再開をいたします。     午後一時三十分休憩      ————◇—————     午後三時四十三分開議
  55. 中井一夫

    中井委員長 午前中に引続き開会をいたします。  この際お諮りをいたします。一昨日来の種々の御審議の結果、大体地方行政委員会といたしましても、その締めくくりをいたすべきときが近づいたと思われますので、この際明日午後の委員会におきまして塚田自治庁長官、小坂国家公安委員長、小笠原大蔵大臣、日本銀行の理事で営業局長である佐々木武氏、これらの人の出席を求めておきたいと思いますが御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  56. 中井一夫

    中井委員長 御異議がないと認め、さように決定をいたしました。     —————————————
  57. 中井一夫

    中井委員長 質疑の通告がありますから順次これを許します。宮原幸三郎君。
  58. 宮原幸三郎

    ○宮原委員 まず第一に自治庁にお伺いしたいのは、一昨日この委員会で私の質問に対する塚田国務大臣の御答弁によりますれば、自治庁は特殊事情にある市町村、たとえば駐留軍基地等に対しては特別の事情を考慮する。従つて国連軍基地であるところの呉市あたりから要請されておる財政補償等に対しましても、金額は明言できないが、特別の考慮をするという趣旨であつたように解釈したのであります。異議があつてはいけませんから簡単に速記録の要点だけをここに拾つて朗読いたします。  大臣答弁の要旨は「国連軍もしくは駐留軍関係の市町村財政に及ぼす影響というものは、一方の面において当該自治団体の需要が増加するという面があり、また今度のようにいろいろな税の上の特別措置をいたしました場合には、収入が減ずるという面があつて、両方の面から財政的な補償をして行かなければならない」「ただその額が宮原君が御指摘のように双方合せて九千万円に上るものであるかどうか、私もまだ検討しておりませんので早急に申し上げられませんけれども、考え方といたしましては当然にこれは出してしかるべきものと考えておるわけであります。」「ただ全体としてそういう特殊事情についての考慮が薄いということは、あるいはあるかもしれないと思つております。」「その根本の問題につきましては、今後なおその運営の実情を見て検討して参りたいと考えておるわけであります。」ただいま朗読いたしましたのは、速記録を一言一句も違わないそのままをここに抽出して御披露したわけでありますが、自治庁の御当局とせられて、この大臣答弁趣旨を、もちろん御尊重相なつて善処せられるものと期待をするのでありますけれども、この私の判断について御意見を承つておきます。
  59. 鈴木俊一

    鈴木説明員 一昨日お尋ねの件につきまして、自治庁長官の塚田大臣から御答弁申し上げました趣旨はもちろんその通りでございまして、今年度の交付税、交付金の配分にあたりましては、御指摘のような国連軍関係の渉外経費につきまして、特別な財政需要を特に要したもののあるものにつきましては、従来もその点は見ておつたと思うのでございますが、当然基準財政審要の算定の中に入つておりますもののほか、特別交付税の方で見て行く面が出て来るものと考えております。  また収入の面につきましても、先般の国連軍に対する地方税の課税の特例に関する法律が通過いたしましたので、その関係で、たとえば電気ガス税のごときものは、国連軍隊からとらないということになりましたので、そのよう関係のものは基準財政収入額の算定の際には当然入らないものとして計算をされますので、その分は普通交付税をもつて当然にカバーされることになるものと考えるのであります。そういうようなことによりまして、御指摘の関係の基準財政需要あるいは基準財政収入の面における特別な負担ないし減収の原因というものは、相当程度調整されることになるかと考えます。
  60. 宮原幸三郎

    ○宮原委員 国連軍の地方税が非課税になりますために、基地の失います税収減ということは、あるいは直接立法の行き過ぎかもしれませんが、期待税源を失うわけです。これに対して財政上の都合も政府あたりにはおありになることと思いますが、財政事情が許するならば、この地元の一種の損害に対しまして補償が必要であるように私は考えるのでありますが、これについての御意向を伺いたいと思います。その第一に市民税、それから固定資産税、電気ガス税、これらにわけて——ただいま電気ガス税に触れては一応の御説明がありましたが、これらの算定のこまかいことはここで申し上げないでも、自治庁とせられてはおよそ釈迦に説法でおわかりになつておることでありますからくだくだしくは申しませんが、これらの算定は国連軍の非課税の方針によつて基地が失う税収減である。呉市の場合は年間五千九百万円というふうに予想されておるのでありますが、これは既得権ではない、期待権ではあります。その程度のものではありますけれども財政事情が許すならば、これの補償は政府または国連軍において考慮せらるべきものであるように考えるのであります。大体期待権的なものでありますから、要請ということも結局陳情に終るきらいがあるかのごとく見えますけれども、第二に申し上げます損害をもほぼ含めまして、四月二十八日の外務委員会で、昨日も申しましたが、自由党を代表して私が発言をいたしまして、それから改進党並びに両派社会党の御賛同を得ました希望意見が述べられてあります。この希望意見という線から出て参りますと、現行法でかりに補償が困難であれば、あるいは立法措置もとり、予算的措置も講じて、地元の損害を補償するようにという趣旨なつております。従いまして、ついでにこの特別損害に対する補償の問題を簡単に申し上げますが、申すまでもなく特別警備増強費、特別消火対策費、性病特別対策賢、渉外道路橋梁費等というような名称で現わされておりますところの特別の負担というものが、独立後の昭和二十七年度、また二十八年度及び本年度の三箇年にわたつて地元の負担のままに全額放置せられておるのであります。かくのごとき普通都市に例のない渉外負担、また駐留軍による特別負担、すなわち駐留がなければ負担を要せざるもの、こういうものに対しましての予算的立法的措置を、財政事情が許すならば政府としてこれを取上げた方がより適切である。もつとも即時二十九年度に取上げることが困難であれば、あるいは二十九年度に頭を出して次年度からさらにこれを充実するとか、少くともこれを取上げるというようなことが——市町村の健全なる発達を講ずるという趣旨から、単に平衡交付金とか起債とかいうような事務的の問題でなく、大きな角度から特殊事情のある市町村を取上げて、これが発達を育成するという見地からこの問題を取上げていただく、こういうことが自治庁としてより適当であるように私は考えるのでありますが、その点についての自治庁の御意見と、それからなお自治庁だけではありませんが、この問題を今の財政事情と税収減の問題だけでなく、そのほか代替施設の問題等におきまして、他の省からはこの国連軍の引揚げによつて生じました補償の予算措置について大蔵省に持ち込んでおるというのが現況でありますが、いずれにしても大蔵省に持ち込んだ場合に、大蔵省主計局長はこれについて相当同情あり理解ある御処置を煩わしたいと思いますが、それに対する主計局長の御見解をあわせて伺いたいと思うのであります。
  61. 鈴木俊一

    鈴木説明員 第一点の税の減収に関する補償というような言葉で御指摘になりました点の問題ですが、この点は先ほど例示に申し上げましたように、国連軍の使用いたします電気ガス税というような問題は、法律上明らかに非課税になつたわけでありますから、これは先ほど申し上げましたよう趣旨で、当然に一般の税収がそれだけ減つたものとして計算をされる。従つてその穴埋めに交付税が当然出て参る、こういうことになるわけであります。固定資産税あるいは市民税というふうに御指摘になりました点は、どういう趣旨かなおよく承らなければわかりませんが、国連軍の部隊の所在しております土地あるいは家屋というようなものから固定資産税がとれない。あるいはそのような地域にもしも一般の市民が住んでおつたならば、それからは市民税がとれるであろう、要するに軍隊が市民であつたならば市民税がとれるであろうというような意味の御計算かとも存じますが、それらの問題になりますと、いろいろ理論的にも計算の上でも若干めんどうな問題があろうかと存じますので、なおよく研究をさしていただきたいと思いますが、とにかく直接的に国連軍の駐留に関連をいたしまして、先般の地方税法の特例によつて地方自治団体が課税できないということになりましたものにつきましては、これは必ず普通交付税の基準財政収入がそれだけ減ずることに相なりますので、当然にその穴埋めが行われるということになろうと思うのであります。今お話の期待権といいますか、そういう、もしも一般の者が住んでおつたならばこのくらいのものが入つて来るであろうという面の問題につきましては、なおこの上にも研究をさしていただきたいと思う次第でございます。  第二点の国連軍の駐留に伴いまして、たとえば性病対策によけい金がいる、あるいは橋梁を特別に補修しなければならぬ、そういうようなことは確かにあろうかと考えるのであります。このよう経費につきましては、国から特別にそのよう補助金の出ておるものもございましようし、あるいはまたそれに伴います地方負担につきましては、地方の一般起債の中におきまして、当然にこれを見る面もあろうかと思いますが、なお先ほど申し上げましたように、これらの渉外関係経費のうち、各地方団体の状況にかんがみまして、呉市ももちろんでございますが、その他の渉外関係の事務の多いところにつきましては、特別交付税におきましてある程度の調整をいたしておるということは、大臣からもここで申し上げた通りでございます。ただこれらの収入なりあるいは需要に対します調整措置が必ずしも十分でないという点は御指摘の通りかと思うのでございます。従つて今後も現行制度あるいは予算のわく内におきまして処理いたし得まする限りは、極力御趣意を尊重いたしまして努力いたしたいと考えておりますが、この点それでは徹底しないから立法化したらどうかというようなつつ込んだ御意見でございますが、そのような措置が行い得ますならば、それは地方財政の面から申しますとけつこうかと存じますが、なお国全体の立場からの大蔵省の御見解もあろうかと存じますので、私どもも、さらに研究せさていただきたいと思います。
  62. 森永貞一郎

    ○森永説明員 国連軍の協定がこの前の国会で御承認を願いまして、それに伴いまして国連軍の駐留に伴う損失補償等の関係につきましても述べたのでございますが、その関係の損失補償等の要求が、目下調達庁の方から私どもの方にも参つております。私もその要請が参る前から事情はよく伺つておりましたし、目下係官をして鋭意その査定をいたしておるところでございます。目下の財政事情でございますから、特に防衛支出金等の金額がすでにきまつております関係上、はたしてどの程度のことができるかまだ結論を得ておりませんが、法規並びに予算範囲中で、できるだけのことはやりたいというふうに考えまして、目下鋭意査定をしておる最中でございます。  なお将来の立法政策の問題になろうかと思いますが、たとえば呉地区が国連軍に接収されておる、これらの地域は大部分国有財産であります。その国有財産がもし接収されていなくて、民間に払い下げられておつたとすれば固定資産税が入るであろう、こういうふうなことになることは私どもよくわかります。つまり国連軍の駐留によつてある意味で繁栄が害されておる、そういう意味で期待利益が失われておるという事情はわかるのでございますが、そういう期待収益までも国庫の補償の対象にするということは、先ほど自治庁からも御答弁がございましたように理論的にもいろいろ問題があるようでございますし、またそこまでめんどうを見るだけの財政的余裕もないわけでございます。そこで結局接収されておるということによる租税収入の減収、それを地方財政計画における交付税の配分の際に十二分に考慮していただくというような、交付税の配分の問題ということで、解決をせざるを得ないのではないか、さように考える次第でございまして、電気ガス税につきましてはそういうようなことでもございますが、やはり租税収入がそれだけしか上らぬ、その事実を交付税の配分にいかにして反映させるかという問題だろうと思うのでございます。直接それを政府が補償なり補助なりをするということはちよつと困難ではないか、さように考える次第でございます。
  63. 宮原幸三郎

    ○宮原委員 例は少し古くさいのでございますが、旧軍港市は海軍がありました当時は、海軍助成金というものでかろうじて財政のつじつまを合せていたのでございます。それと同等というわけにも行きますまいけれども、最近の自治庁のお立場というものは、とかく平衡交付金とか起債の方面で財政の引締めという方面がどうも主になつていて、昔の政府のごとく適切なる手を打つだけの余裕があるように見えないのは、こういう特殊事情にある市町村にとりましては、これを看過されてはまことに困る問題だろうと思うのであります。先ほど来のお二人さんの御答弁は御誠意のあるところは大いにわかるのでありますけれども自治庁のお立場あるいは自治庁のお立場を考慮せられまして、大蔵省におかれてもこの際適切なる御措置をお考え願いたい、こういうことを要望いたします。二十七年度、八年度及び九年度の三年度にわたりまして、この財政需要及び税収減というものをかりに認めるといたしましたならば、呉市だけでもその損害は二十七年、八年度で一億九千万円、二十九年度がかりに八千万円といたしまして、貧弱な財政としては相当多額の被害をこうむつたという感じを与えておるのであります。おそらくこれについては本日をもつて問題を新たに起つたものと御認定いただきまして、今後深い幅の広い御検討を煩わしたいと思うのであります。これは私の意見でございますが、これに対する自治庁側の御意見を伺つて、私は質問を終ることにいたします。
  64. 鈴木俊一

    鈴木説明員 ただいま御指摘になりましたように、かつて鎮守府と軍港所在地等に対しまして、海軍助成金というものが出ておりましたことはその通りでございます。この思想は国有財産と申しますか、国有の施設が多くありますようなところに対しまして、先ほども御指摘のようなそれに見合うだけの税収がこの場合においては得られない、固定資産税あるいは市民税等におきまして、そういうものが得られないということを考慮して、何らか税制上において措置をすべきである、こういう意見見解はかねて御案内のごとくあるわけでございます。国有鉄道等につきまして本来の事業の用に供しない財産に対しては固定資産税を課していい、こういうような一種の規定が国会において御修正によつてできましたことは、御承知通りだと思いますが、そういうような国有施設、国有財産等に対しまして、何とかそういう措置を講ぜよということは地方自治という立場から申しますと、ことに限られたる地方財政の立場から申しますと当然出て来る主張だと思うのでございます。国有林野交付金というようなものも同じような性格のものかと考えます。こういうようなものにつきましての諸外国の立法例等におきましては、たとえばアメリカあたりにおきましては何らかの、連邦の側からあるいは州政府の側からこれに対する補償的な措置を講ずる、あるいはそういうものに対しても一般と同じように税金を課する、こういうよう制度上の配慮を加えておるところもあるようでございます。しかしこれは何分非常に広汎な影響を与える重大な問題でございますので、現在の建前としては結局交付税の収入算定の際におきまして、そういうようなものからそれだけの税金が入つて来ないというところで反面交付税がそれだけよけい行く、こういうような調節にまかしておるわけでございます。それが不十分であるという点はあろうかと思いますが、非常に大きな根本問題でありますので、私どもといたしましても、今後さらに研究させていただきたいと存じます。
  65. 中井一夫

    中井委員長 御質疑の御便宜のため、この際御報告いたしておきます。政府側からは、自治庁側として鈴木次長、後藤財政部長の御出席は、御承知通りでありますが、大蔵省側からは森永主計局長、鳩山主計官、阪田理財局長、牧野地方金課長、大角同課長補佐、これらの皆さんが出席されておりますからさよう承知を願います。  なおできますならばこの際せつかく大蔵省側からは、こうして両局長とも御出席でもありますから、この両局長に関する御質疑を集中してお進めくだされば、双方、互いに便宜かと思います。中井徳次郎君。
  66. 中井徳次郎

    中井(徳)委員 けさほど実は私ども京都府の蜷川知事を呼びまして供述をしてもらつたわけでございますが、この地方財政の赤字の問題、これは数年来叫ばれておりますが、日本の内政のうちで一番大きながんであると思います。このことにつきましては、二、三年前まではインフレその他たいへんな変動もございましたし、また内政におきましても占領下にあつたというような事情もありましたので、一応その年年を何とかしてごまかしてつじつまを合せて行くというような形であつたと思いますが、もういいかげんにこの辺でもつて線を引いて、はつきりしたことをやらないと日本の内政はもうめちやくちやであるというようなことを考えるので、第十九国会でもずいぶん私どもはその問題について論じたのであります。     〔委員長退席、佐藤(親)委員長代理着席〕 けさほどの話を聞いてみますと、なるほど京都府における特殊事情というものもありますが、やはり一般的な県の赤字というものが普遍的な問題として取上げられねばならぬというふうな感を、私ども非常に深くいたしたのであります。ちようどけさは大蔵省関係員それから自治庁の職員の皆さんも聞いておられたと思いますが、あの話を聞かれましてどういう感想を持たれたか、それをひとつ大蔵省自治庁側から承りたい、かように思います。
  67. 森永貞一郎

    ○森永説明員 地方財政関連いたしまして、毎年今までは地方財政平衡交付金なり、ことしからは交付税ということで、地方財源の充実をはかる措置を構じて参つたのでございますが、予算の編成に際しましてはそのときそどきの利用し得る最善の資料を利用いたしまして、合理的な地方財政需要に対しまし十分な地方財源を確保するという考え方で臨んで参りましたことは、申すまでもないと思います。ただ過去数年間の経験にかんがみまして、地方財源の偏在を是正し、また地方経費の負担区分を合理化するというような観点から、いろいろなすべきことが少なかつたわけでございまして、本年度の予算におきましては、地方制度調査会の答申も尊重いたしまして、地方税における諸般の改革、また警察制度の改革、そういつたようなことが行われたわけでございます。それらの事態に適応するよう予算を編成いたして参つているわけでございまして、私どもといたしましては、所定の地方財源の中で、いろいろ苦しい点ももちろんございましようが、その範囲内でできるだけ差繰つていただきまして、その中で納めるよう地方団体側の努力をお願いいたしたい、さような気持を持つているわけでございます。自治団体側におきましても、いろいろ御苦心のあるところは私もよく承知いたしておりますし、またけさの京都府知事のいろいろな御努力の跡も承つたのでございますが、建前の問題といたしまして、やはり与えられた財源の中で、できるだけ差繰つてつじつま合せていただきたい、根本的な態度としてはさような考え方をかえていないわけでございます。ただ過去におきまする赤字の問題がだんだん重要な問題になつて参りましたことは、私どももこれを認めるのに決してやぶさかではないわけでございまして、地方財政の再建整備の問題について真劔な考慮を政府側としても、中央の財政側としても配慮すべき段階が来ていると私どもも考えます。先般国会に御提案になりました地方財政再建整備法案につきましても、この際地方財政を何とか立て直さなければならぬという、その根本趣旨につきましてはあえて異存はないわけでございまして、ただいま審議中のこの法案の問題につきましても、自治庁当局と十分御相談をいたして参りたいと思つております。ただ私どもとして特に強調いたしたい点は、この赤字についてただ漫然たる安易な救済策に堕するというようなことになるのでは、また赤字を繰返すというような問題にもなりかねないと思うのでありまして、その点を一番心配いたしております。従いまして、地方側におきましても、もちろんできるだけのことは手を尽されておると思いますが、その上にもなお真剣な財政再建の努力をお願いいたしまして、歳入の増強、また経費の節減になお一層御努力を願う、その真剣な、みずから立ち直る御努力をなさる団体に対しましては、われわれとしても財政の許す限りできるだけのことをいたしたい、さような考え方を持つておるわけでございます。そういう意味合いにおきまして、具体案につきましては今後自治庁当局と十分相談を続けて参りたい、さように考えておる次第でございます。
  68. 鈴木俊一

    鈴木説明員 けさほどの京都府知事お話につきまして、どういう感想を持つかというお話でございますが、私どもといたしましては、京都一つの例として具体的なお話を御聴取なつたわけでございますが二十八年の決算じりの速報をだんだん見て参りますると、三、四県程度を除きましてはいずれも実質的な赤字を生じておる、こういうかつこうになつておるようでございます。この事態につきましては、従来この赤字の責任が、あるいは中央の地方財政計画が必ずしも適当でない、こういうような批判が一方的においてあり、また他面地方団体の財政運営が適切でない、こういう批判がまたあつたわけでございまして、私どもはこのいずれもがやはり真実であろうと思うのであります。このような苦しい状態におきましても、県によりましては、ごく例外的ではありますけれども、どうやら黒字になつて今日までやつて来ておる、こういうような状態のところもあるわけでございますので、そういうようなもとにおきましても、地方財政の運営のやり方が、相当大きな影響を与えるものであるということは考えるのでありますけれども、しかし何と申しましても、地方財政計画が相当切り詰められた計画であるということは、私どももさように考えておるのでございまして、その点から運営の上につきましても、よほど配意をしていただかなければならぬというように考えておるのでございます。それらが両方のいろいろの原因から積り積つて、今日の各地方団体の赤字の状況に相なつておると思うのでございますが、この傾向につきまして先般の警察法改正の結果、県は教育公務員、警察公務員並びに一般の公務員を合わせまして百万を越える職員給与費をまかなつて行かなければならないというような種類の負担を背負うことになつたわけでございまして、府県のそういうような弾力性のない経費がいよいよふえて参つたということは、府県財政は今後いよいよ多難であるということを私どもも考えるのでございます。そこで問題はやはり今までに累積して来ておりまするこの赤字をいかにして消し、健全なる財政に持つて行くかということであるかと思うのでございますが、これはただいまの主計局長が御答弁になりましたように、私どももすみやかに当院に継続せられておりまする地方財政再建整備法を制定していただきまして、それに基いてそれぞれの地方団体に対しまして再建整備計画を立てていただき、そうして必要なる限度の資金の融通をはかつていただく反面、また当該団体としてはとり得る税金をとり、あるいは節約し得る点は節約をする。こういうことを極力やつていただきまして自己の力また一時的な融資、起債というようなものによりましてこれを消して行くという以外に方法はないのではないか。今日の段階におきましては自力をもつて再建をし得るという団体はだんだんと少くなつて来ておるだろうと思うのでありまして、やはりこのよう法律によりましてまたそれに伴うしかるべき資金措置によりまして、初めて再建が可能であると考えるのであります。  これは全体の問題でございますが、半面資金繰りの問題でございますが、本年度の地方財政計画それ自体といたしましてはつじつまの合つた、バランスのとれたものと私ども考えておりますが、第一・四半期、第二・四半期におきましては、この期に要しまする経費補助金、交付税あるいは本来の地方税というようなものを全部見込んで参りましても、相当程度足りなくなる計画なつております。第三・四半期、第四・四半期に至りまして、初めて全体のバランスが合うという全体の資金繰りの状態に相なつておりますので、第一・四半期、ことに第二・四半期の後半八月ごろが最も苦しい時期ではないかと考えますので、これらの時期におきましては資金運用部資金あるいは簡保資金等の融通を大蔵省あるいは郵政省から適時適切に行つていただくとともに、またある程度は市中金融にもたよらなければならぬ事態があるのではないかと考えておるのでございます。これらの点は特に大蔵省の方に御心配をいただきたいというふうに考えている次第であります。
  69. 中井徳次郎

    中井(徳)委員 森永さん、それから鈴木さんのお話を伺いますと、一応地方財政の困難な事情はよく了解できるのですが、しかし実際は私をして言わしむれば、もうすでに時期が少し遅過ぎるのではないかという感じを持つのであります。先ほど森永さんは、たとえば地方制度調査会の案を大いに参考にしてということを言われたのですが、問題は金額の絶対額であります。タバコ消費税をそういう意見によつて地方財源にしたといたしましても、地方制度調査会は百分の二十であります。それをわれわれはやむなく反対いたしましたが、成立いたしました法律は百分の八・一七ということであります。問題はここにあると思うのです。そういう意味で地方側には節約をさせて行く、それでやつておる間に多少努力もするであろう。また大蔵省側としては当然であろうと思いますが、今の全国の赤字の状況はそういうものでは実はありません。その限界を私は越えておると思うのであります。けさも蜷川知事に東京出張所をやめたらどうだろうということを言いました。これは非常に小さなことですが、あの知事は実は最初から外へ出るときには手弁当で行くというよう知事なんです。そういう意味におきましては、非常に節約をいたしております。また世間が見て今の府県がぜいたくであると考えておるような数字を集計いたしましても、これは案外小さな額である。これはやはり東京出張所を必要とするということ自体にむしろ問題があるのであつて、何でもかでも東京へ出て来ないと仕事が片づかないというような傾き、これはやはり財政をしぼつておるというような形であります。実は率直に申しまして、私は昭和二十九年度は二十八年度よりは多少楽になるだろう、いわゆる峠を越えたような感じを持つておりました。しかしそうしたからといつて、これまでのものをほつておいてはいけない。早くここで線を引きませんと、全国の府県知事や市町村長がやけになつて赤字くらいは何だということになつて参りますと、これはたいへんである。従いましてぜひともそういう点において再建整備法、われわれもことしこれを期待したのですが、大蔵省からは予算がないから法律は通つてもことしは何ともならないというようお話がありましたので、これはしゆんとしておるようなかつこうですが、行政措置でも何でもいいのであります。早く線を引かなければならないと実は考えておるのであります。そういう意味から再建の三箇年計画とか、五箇年計画とかいうものは、おそらく各府県で持つておると思いますが、そういうものを皆さんの方で提出を求めて檢討する。これはあくまでも監督の域は脱しないであろうと思いますが、そういうことについても早く手を打つていただきたいと思うのであります。  それからけさから問題になりました短期融資の問題でありますが、このことはあの知事の説明によりますと、一応十月には返すということであります。これにつきましてこの際局長さんあたりでもつて何か、先ほどから申しましたような理由であります、一応融資のわくもおありではありましようけれども、明日も日銀の営業局長を呼ぶということを育つておりますが、このようなことをしなくても、大蔵省自体においてこれはひとつ片付けていただきたいのであります。現在京都府だけではありません。佐賀県その他二、三の県があるように伺つておりますが、そういう県に対する短期融資の対策が、今どういうように進んでおるのか、その実情を伺つておきたいと思います。
  70. 阪田泰二

    ○阪田説明員 資金運用部の短期融資のことについてお尋ねでありますが、先ほど鈴本自治庁次長からもお話がありましたように、資金運用部では短期融資を地方団体に出しておりまして、これは、長期の地方債と違いまして、年度内の金繰りのために融資をするという建前のものでございます。つまり収入なり支出の時期が違うものでありますので、その間の金繰りのために融資する、こういう建前でできた制度でございますが、現在政府資金といたしまして、これは短期の金ですからいろいろ出入りがありますが、大体簡易保険の方と資金運用部の方と合せまして百八十億くらいの資金が出ていると思います。そんな状態でありますが、その内容について見ますと、先ほど来いろいろ話が出ておりますように、地方団体の赤字ということに関連いたしまして、実際上はそういう年度内の金の出入り、過不足が時期によつて生じますが、それを調整する資金ということでなくて実質的には年度を経過しても補填されないような赤字というものの裏づけになつているというような形になつてしまつたものが、かなりあると思うのであります。それで本年度といたしまして、そういうような傾向も考えまして、実際問題として短期資金を出しますときに、ただ地方の需要に応じて、現金が不足するから短期の融資をつけるというような、全体の金繰りの年度末までの見通しを立てないで融資をしておる従来のようなやり方でいたしますと、結局ますますそういうような傾向を助長ずる。短期の金が実際上年度末になつても解決されないで、結局地方団体の赤字が知らず知らずのうちにできてしまう。そういうことも助長するというよう関係にもなるので、資金の使途なり、あるいはその将来の資金繰りの見通しというものを十分検討して、融資するというような建前をとつておるわけでございます。そういうよう関係上、従来赤字を出しております地方団体、しかも二十九年度につきましても収支の見込みを立ててみると、赤字が減らないどころかますますふえる、あるいは二十九年度の財政計画を見ると、どういうことになるか、めどが立つていないというようなぐあいでありますと、個々の場合に資金が足りないから、そのためにただ資金をつけておくというような状態でありますと、やはり従来のような轍を踏むことになります。融資をいたします場合、特に赤字団体の場合には、その辺のところを十分検討いたしまして、融資された資金によつてさらに赤字がふえるというようなことのない、むしろ地方財政の再建に役立つというような意味で、短期資金をつけて行きたいというふうに考えておるわけでございます。それで地方団体には、先ほど来いろいろお話があつたように、赤字団体が相当多いものでありますから、資金繰りも季節的の変動という以上に、なお苦しい面があるわけでございます。地方からもいろいろお話がございますので、それらにつきましては、それぞれお話を伺いまして処置いたしておるようなわけでございます。京都府等につきましては、先日やはり私どもの方でもお話を伺いましで、ただいま検討しておるようなわけでございます。それで大体いろいろそういうところも見まして、大体こういうような意向で、どこに問題があり、どういうふうな対策でこれを処置して行くか——これは京都府あたりのような、非常に大きな赤字を蓄積しまして、なおいろいろむずかしい事情がありまして、なかなか対策も立ちにくいというような場合におきましては、これは一年度で赤字を解消せよ、あるいはいろいろそういつた計画をすぐに立てることはなかなか困難であろうと思いますが、しかしできるだけ努力していただきまして、私どもの方でも資金の融資をするめどをつけることに努力いたしまして、何とか処置いたしたいというように考えておるわけでございます。他の府県あるいは市町村等そういつた式の融資につきましては、すでに相当融資いたしたものもございます。先ほど資金のわくというようお話がございましたが、これは大体御承知ように、地方財務局、財務部等で処理のつきます簡単な件は、地方にまかせてやらせております。そういうような意味におきまして、地方にある程度、これだけの金額は地方限りでやつてもいいというような指示がしてございます。そういうような金額はございますが、これは長期の運用と違いまして、資金運用部等の短期の金繰りの問題がありまして、その金繰りによりまして、どの程度地方団体に対する短期融資を出し得るのかということが、さしあたり出て来るわけでございますが、その面からどうも出せない。つまり先ほど仰せになりましたわくがないから出せないというような状態には、さしあたりのところはなつておりません。従いまして、いろいろ検討いたしまして、お話も伺いました上で、出し得るものには出すようにして行きたいというふうに考えておるような次第でございます。
  71. 中井徳次郎

    中井(徳)委員 今よく伺いましたが、わくというようはつきりしたものはないというふうなことで、御案内の通り佐賀県や京都府はもう月給も払えないようなところまで追い込まれておるのであります。これは過去においていろいろ皆さんといたしましても言い分もあろうと私は思います。きようも伺つたところによりますと、他府県よりも教職員の平均ベースが高いとか、いろいろな事情がある思いますが、しかしそれはそれといたしましても、やはり具体的に当つてみますと理由はあろうかと思います。私は京都府じやありませんが、京都府のよう府県でありますと、先生の寿命がきわめて長い、そういたします結果、やはり非常に給料が高くなるというような特殊の事情が必ずあるやに私は思うのであります。今回の問題はきわめて差迫つたことでありまして、十分研究をしてというようお話もありましたが、そういうふうな客観的な大きな日本の内政上の問題になつております。わくがなければ、ぜひひとつこれはつなぎ資金のめんどうを政府は見てもらいたいと思います。先ほども自由党の委員の方から、どうも大蔵省はむずかしかろうから、今度は銀行の方を呼んだられいさつぱりと前進していただきたい。私が言いますのは、先ほども言いましたように、必ずどこかで線を切つて、皆さんの言いたいことも言つて条件をつけて、そうして前進をする、こういう形を早くとりませんと、いつまでたつてもこの問題は私は片づかないと思います。特にこの点を要望するのでありますが、率直な気持を伺つておきたいと思います。
  72. 阪田泰二

    ○阪田説明員 ただいま仰せになつた通りでありまして、具体的例に出しております京都府にいたしましても、給与が高いとか、人員が多いとか、いろいろ経費のかかる原因がございますが、その原因は、給与が高いといいましても、人員構成が高度であるとか、古い人が多いとか、いろいろそういうようなことから原因がなかなか複雑であり、深いところにあると思います。ちようど俸給が、資金繰り上その支給がむずかしいというような事態になりまして、急に私どもの方でも話を伺いまして、根本的な検討をやるにつきましても、なかなかこれはむずかしいと思います。これは自治庁の方にも十分お願いいたしまして、根本的な検討、練り直しをぜひお願いしたいと思つております。要するに、まあそこまできつぱりした、過去のいろいろな赤字の原因を深くきわめまして、それに応じた整理計画が確実に立つというところまで行きますと、これはなかなかたいへんなことになると思うのでありますが、しかしいずれにいたしましても、そういうよう計画を立てるのだ、そういう目途ができるのだということでないと、やはりこれは融資をする者の立場からいたしましても、ただ当座資金が不足する、現金が足りないということだけで、すぐに金を出して行くということは、——従来そういうような弊がたくさんあつたかと思います。結局地方といたしましても、そういう財政計画を根本的に練り直し、考え直す機会がなくて、漫然と赤字支出を続けて行くというようなことを、金をつけることによつて助長することにもなるかと思います。そういう意味で、とにかく根本的なすみからすみまで、はつきりした計画が立つというところまで行きませんでも、何とか見通しのつく程度までは考え方をはつきりさせて、そういう場合には持つて行きたい、こういうふうに考えておるわけであります。  ただいま、国の資金がつかないならば、銀行の方からでもというようお話がございましたが、これは銀行としてもやはり金融機関としての立場がございまして、ことに昨年末以来金融引締めの影響もございますが、やはり地方財政の状態というものを考えまして、短期融資のつもりで貸した資金が赤字債になりまして固定して、いわばたな上げされたことになる。これはやはり政府ばかりでなくて金融機関の立場としても、お困りのことであろうと思います。これはめどがつくものならば金融機関にまつまでもなく、政府資金も貸すことができるというふうに私は考えております。
  73. 中井徳次郎

    中井(徳)委員 最後にちよつと、こんなことまで言わなくてもいいのでありますが、今詳しく調べて出す、漫然と出しては赤字をふやすというのでありますが、今の全国の府県市町村は、もうそんなのんきな政治的な借金だとか、かけひきだとかいう段階を実は過ぎておると私は思うのであります。私はむしろ政治的なそういう融資という問題につきましては、昨年度あたりの災害に対する大蔵省の融資というものはでたらめだつたと思うのであります。これは調べる時間がなかつたといえばそれまででありましようが、一年たつて正式に調査をして国庫助成を出して、それから差引する。私は全国の一覧表をもらいまして、府県によりまして非常に相違がある。名前はさしませんが、一年の国庫助成金でもつて返せないようなところが二、三県あります。まだそれではとても足りない、三分の一も融資をしてもらつていないという県が二、三あります。私どもはあまり裏をのぞいて、こうやつてお尋ねするのはいやでありますから、正式に正規の問答を実はいたしておるのであります。そういう観点からいたしまして、調査をするとおつしやつたつてそれは一日か二日あれば短期の融資のことは私はできると思うのでありまして、もつとはつきりした態度で出ていただいて、ちつともさしつかえない。こういう府県の赤字なんというものは調書も何もきちつとできておるものであります。災害などと違うものでありますから、一応そういう数字が出て来れば信用してやつても、去年の災害のようなああいうでこぼこな融資には決してならない、かように考えるのであります。どうぞひとつそういう意味で積極的にこの問題に取組んでいただきたいということを、最後にもう一度お願いをして私の質問を終ります。
  74. 阪田泰二

    ○阪田説明員 ただいまのお話でございますが、仰せの通りただいま短期資金を緊切に要望して参ります地方公共団体の場合でありますと、それはやはり政策的な資金とかそういうことでなくて、当座の緊急やむを得ない俸給その他の支払いに必要な現金がほしい、こういうことで言つて参るわけてあります。ただ先ほど来申し上げましたように、これは短期の金繰りの資金でありますから、融資いたしまして出るときには、なるほど俸給その他の緊急な、ぜひ出さなければならないものに出るわけでありますが、結局年度を通じましてその他の収入あるいはその他の支出と通計いたしてみますと、短期の金が財源なしに赤字的な支出に充てられたような計算になるという結果になるわけであります。出るときにはなるほどそのほかの不必要な緊急でない用途に使うという金ではないかもしれませんが、全体としてそういうことに最後にはなるということがありますので、そういうことでやや迂遠なようでありますが、やはり年度内の財政計画、見通しというものについて、ある程度めどをつけた上で出したいということを申し上げたわけであります。ただおつしやるように、まことに非常に緊急な資金でありますので、先ほど申し上げましたように、非常にやかましい計画がきつちり立つまでは出さないというようなことを申しておるのではございません。どういうような形で解決されるか、どういう方法で行くべきかというめどが立ちますれば、できるだけ急速に処理することにいたしたいと考えておるような次第であります。
  75. 門司亮

    門司委員 きわめて簡単に率直に聞きますから、ひとつはつきり言つてもらいたいと思います。一つの問題は、今中井君から聞かれました短期融資の財政計画の問題でありますが、これはわくかあるとかないとかいう議論がされておりますが、大蔵省はわくのないはずはないのであります。従つて本年度大体短期融資として大蔵省が出せる限度というものはどれくらいであるのか、ひとつ数字をはつきりしてもらいたい。今百八十億くらいの数字が出ておるのではないかと思うが、本年度出し得る数字はどれくらいあるのか、これを先にはつきりしておいてもらいたい。
  76. 阪田泰二

    ○阪田説明員 先ほどのわくというようお話は特別に考えていないと申し上げたわけですが、そのとき申し上げましたように、地方に財務局、財務部等もございます。それから簡易保険等におきましても、地方の部局にある程度仕事をまかせてやらしておるわけでありますから、そういうような意味で、地方に大体この程度地方の権限で出していいというふうな金額になつておりますわくは、現在いろいろその都度きめたものがございますが、大体百二十億くらいのものであろうと思います。ところがそういうのがその百二十億のわく以上に絶対に貸してはいかぬというものではないわけであります。従つて先ほど御説明申し上げましたように、大体百八十億近い金が現在出ておるわけであります。年度内幾らが最高のわくかというお尋ねでありますが、これ先ほど来たびたび申し上げておりますように、年度内の資金繰りの金でありますから、年度中いろいろ増減がございます。それでこれはその年度内の歳入で解決されてなくなる性質のものであります。そういう意味におきまして、年度内の最高が幾らというふうなことも別段考えていないわけであります。  それから先ほど申し上げましたように、どれくらい出せるのか、資金の方の余力からどうかということになりますと、これは資金運用部の資金といたしましても、いろいろ郵便貯金その他の原資が増加いたして参ります。その関係といろいろ中央資金以外の融資が出て参りますかげんと、両方によりまして、短期的な資金の余裕というものは、そのときどきによりましてふえたり減つたりするわけでありますが、今の地方のこういう短期融資にさしあたり出すという程度の短期の資金的な余裕は、現在のところ資金運用部としては十分ございますわけであります。その面から制約されることはさしあたりはないように考えております。
  77. 門司亮

    門司委員 今の答弁はつきりしないと私は思うのです。問題になりますのは、さつき蜷川知事お話にもありましたように、一応資金がストップされておるのが、苦しい一つ原因だとはつきり言われておる。今の答弁を聞くと、資金があるとはつきり言われておる。あれば出せるはずだと考える。百二十億くらいのものが出ておるはずだというお話でありますが、資金運用部には私が午前中に資料を要求いたしておりますが、その資料がまだ出されておりません。大体本年度の融資のわくというものは、全部私はきまつておるはずだと思う。従つて手持ちとして短期融資に充てられる額はきまつておるだろうと思う。資金繰りをしておるからというお話でありますが、それはぐるぐるまわつておるかもしれませんが、まわつているいないにかかわらず、本年度に財政余裕金がある。その余裕金の中で短期融資にまわせるというものはなくてはならぬはずです。それでなければ、大蔵省の運用部資金の計画は立たぬでしよう。無制限に出されておるわけではないでしよう。だから私の聞いておりますのは、大体出し得る限度というものは、大蔵省の資金運用部資金の計画というものがどういうふうになつておるのか、その中で短期融資に一体どれだけまわせるのか、この点を私ははつきり知りたいと思う。今のよう答弁をいつまで聞いておつても同じことです。これは財政余裕金から出るのでしよう従つて財政余裕金は一体どのくらいあるのですか。
  78. 阪田泰二

    ○阪田説明員 ただいまお尋ねの点でありますが、資金運用部の運用計画には、御承知ように長期の計画と短期の計画がございまして、長期の計画で行きますと、年度内を通じて郵便貯金がどれくらいふえるか、あるいは特別会計の預託金がどれくらいふえるか、あるいは利益がどれくらいふえるかというような数字がございまして、そういうものは長期の運用にまわせるということで、各種の地方債の引受けとか、あるいは金庫に対する融資、そのほか投資等に使われるわけでありますが、これは本年度の計画といたしましては、大体増加しました資金を全部投融資にまわす。——前年度からの繰越資金は百二億円でありますが、それを同じものを三十年度に繰越し、増加した資金を全部使うという計画なつておるわけであります。先ほども言いましたように、長期の計画としては、そういうことになりますが、増加して参ります一般資金の増加するものについては、全体としては時間的には運用があとになりますので、その間の年度中は短期に使える。年度末に入つて来るものなら、今のうちは貸しておいてもいいという資金の余裕ができるわけであります。その資金の短期の来年繰越しの余裕につきましては、これの年間の運用計画はなかなか立ちにくいのでありまして、毎月その月の資金のふえる予定、あるいは長期資金へ出す予定のものを見通しまして、どの程度の短期の余裕があるかということを見て出しておるようなわけであります。そういう短期の余裕なら、現在相当あるということを申し上げておるわけでありまして、長期資金の余裕といたしましては、実は先般実行予算の内容という問題等に関連いたしまして、資金運用部におきましても、多少そういつた預託金の増加が見込み通り増加しないものが出そうなおそれがありましたので、多少長期の投資等の削減をする必要があるのではないかということで、検討中でありまして、長期の運用の収支といたしましては、現在のところ保有がないという状況なつております。
  79. 門司亮

    門司委員 私は長期を聞いておるのではない。だからもう少しはつきりしておいてください。資料を午前中お願いしましたが、その資料を至急ひとつ出してもらうことと、短期融資の問題はいろいろ議論があると思いますが、二十八年度から繰越された余裕財源は一体どのくらいあるのか。これはもう大体わかつておるはずだと思います。わかつておれば大体これをこの際至急に資料にして出してくれませんか。私ども明日の会議審議資料としていただきたいと思います。そういうことにしていただきたい。  もう一つ大蔵省見解を——大臣見解を聞いた方がいいかもしれないが、一応事務当局見解をただしておきたいと思いますことは、本年度の地方財政に対して、最初から非常に大きなしわ寄せのあつたということは、予算審議、税法その他の審議のときに十分申し上げておりますから申し上げません。今日のような状態になつて、非常に地方税を問題にしなければならない一つ原因は、今の短期の融資を大蔵省が非常にしぶつているということが、非常に大きな原因であるということは、私は争えない一つの事実だと思う。その次に出て参りますものは、地方にとりましては、税の徴収その他がきわめて困難だということです。こういうことで、これらの問題が一つ原因になることは間違いない。それからもう一つは、地方税法改正による徴収の時日の遅れたということと、新しい税制のために徴収がやや困難であろうということが一つ原因ではないかと考えられる。その次にあるものは、やはり何といつてもデフレ政策による市中銀行の貸出しの引締めということが影響を持つておると思います。これら四つの原因がある。この四つの原因は、いずれも地方自治体行政上の措置がいいとか悪いとかいう問題でなくて、政府のとつたデフレ政策から来る自然に現われた現象だと思う。従つてこれに対しては政府責任を持つて対処すべきであると考えられる。この点に対する大蔵省の事務当局見解はどうであるか、承つておきたいと思う。
  80. 阪田泰二

    ○阪田説明員 ただいま私どもの省での短期融資の引締め、あるいは金融機関関係で、金融機関地方団体に対する融資を引締めておるということが、地方財政の困難な原因なつておるというようお話でございます。この点は確かに表面的に現われた結果を見ますれば、そういうようなふうにも見られるわけでありますが、先ほど来たびたび申し上げておりますように、地方団体の財政の状態が、漫然と、年度全体の財政計画のめどが立たないのに支出を続けて行く。こういうことが赤字財政の因となる。(門司委員「赤字財政を聞いておるのではない、今年どうするんだということを言つておるのです。」と呼ぶ)それ自体の裏づけとして、短期融資を出さなければ、財政問題が解決しない、具体的に支出がさしつかえるという問題が起つておるわけでありまして、基本的に地方財政の収支というものは、バランスをとつて健全な財政が行われておるという状態になつておりますれば、短期融資も、これは国家資金にいたしましても、銀行の資金にいたしましても、きわめてつきやすいわけでございます。一時的に資金が足りないという事実がありまして、これを融資いたしましても、確定的の収入がありまして、必ず返済されるという形になつております。それならば短期融資の問題は、銀行にいたしましても国にいたしましても、解決しやすいわけであります。やはり短期融資の問題が財政困難の原因ということでなしに、やはりその問題を短期融資で、どういうふうに解決して行くかという点に非常にむずかしい問題があります。根本的には財政計画を立て直すというふうな点について、はつきりしためどが立つということが、金融の問題といたしましては根本的に必要なことではないかと私どもは考えておるわけであります。
  81. 門司亮

    門司委員 私の聞いておりますのは、そういうことじやないのです。短期融資の関係についても、あなたの方には、いろいろ調査されたものがあるように思うので、その見通しその他について聞いているのです。先ほどから申しておりますように、政府の施策が地方財政に非常に大きな影響を持つことは争えない事実です。そこで私は一つの実例を申しておきます。明日になればもう少しはつきり資料がたくさん集まると思いますが、それがあなたの方にぴんと来るか来ないかわかりませんが、たとえば第十次造船の問題がはつきりしておらないということは、造船だけの問題じやありません。ここに私の持つております統計表から申しますと、兵庫県の相生市では年間の予算が二億三千万円であります。人口がわずかに二万九千という小さな市であります。そこで播磨造船の納めておる年間の税額が約八千万円、従業員個人が納めております市民税その他が二千八百万円、合せて一億八百万円であります。市の年間予算の約半分は、造船並びに造船関係の従業員が持つているわけです。ところが現在造船所は仕事をしておりません。従つて税金をとりたくても、とりようがない。これは明らかに国の施策の影響です。人口も少いし、造船産業によつてつた部分が多いこの市の財政を、だれの責任において解決するか。私はほかに四つばかり統計表を持つておりますから、一々人口との比例をこまかく申してもさしつかえないが、単に造船産業に根拠を持つている都市町村というものは、大体これと似かよつたケースをとつております。こういうことは単に市町村あるいは都道府県財政のやりくりがいいとか悪いとか、財政計画が立つとか立たぬとかいう筋合いではなくなつておる。現実の問題として、国の施策に基いて、こういう地方財政の赤字あるいは財政困難の面ができて来ている。従つて私の聞いておりますのは、将来こういうものが必ず出て来ると思うが、それに対して大蔵省としてはどういう心構えを持つておるかということを聞いておるのであります。局長に御答弁ができなければ大臣に聞いた方がいいが、実にいろいろの問題があつて、困難を来している。返すめどがつけば貸してもいいわけで、返さぬということは責任があるわけです。こういうことを目の前にして、あなた方のような考えはどうであるかを伺いたい。それは市が悪いのだと言うのか。造船所を持つたのは市がけしからぬ、そういう産業を持つていた市が悪いのだというように片づけるわけには参らぬでしよう。こういう点について大蔵当局はどういうお考えですか、同時にさつき申し上げましたように、徴税は非常に困難です。これはこういう土地だけじやない。ほかの府県においても、徴税はことしは非常に困難であります。それらの責任はあげてやはり大蔵省がこれをめんどうを見るという態度をとつてもらわなければ困るから私は聞いておる。もし見解を表明されるなら、それもひとつ聞いておきたいと思います。
  82. 森永貞一郎

    ○森永説明員 ことしの予算がいわゆるデフレ予算だと言われておりますが、政策を立てます場合には、その政策の効果を十二分に考慮に入れて、いかなる推移をたどるであろうかということも考慮に入れて、諸般の施策ないしは計画を立てて行かなければらぬことだと思うのでございまして、そういう意味で、本年度の国家予算におきましては、税収入の見方も内輪目に立てております。その内輪目な税収入を基幹として、交付税等の金額の方もきまつて来ておるわけでございます。あらかじめできるだけの最善の考慮を尽して、効果を十二分に反映するようにという努力をしなければならぬことは当然だと思います。国の税収入がどうなつておるか、これはまだ四月、五月、六月三箇月だけでございまして、年度を通じてどうなるかということの的確な予想はつけにくいようでございます。六月までのところでは、第一・四半期の徴収歩合は前年度の実績と第一・四半期の実績、本年度の予算と本年度の第一・四半期の実績と比べました場合、国の方はむしろ歩合がよくなつておる。これは去年の経済が上り坂の経済であつたのに、ことしは下り坂であるということから来る当然の結果でもあろうかと思いますが、しかしそんなに悪くはない。しかし私はもちろん楽観はいたしておりません。法人税の九月の決算期がどうなるかというような問題、これは九月になつてみないとわかりませんが、楽観はいたしておりませんが、大体所期の税収入が確保できるのじやないかという望みは持つております。地方につきましても、一般的にはそういうことが言えるのじやないかと思うわけであります。ただその間、ただいまお示しがございましたような造船業に依存しておつたようなところ、あるいはきわめて特殊なしかも非常な不況に陥つておる産業に依存しておるようなところ、そういうところによけいしわが寄つておるということは、もちろんわれわれも承知いたしております。ことに造船業の場合には、何がしかの船を年々つくつて行くということが、どうしても必要であるというような観点からも、一日も早く第十次造船が手につくようにということを考慮して、政府関係各省も鋭意努力いたしておるところでありまして、そういう努力はもちろんしなければならぬのでございます。しかし他面こういうことも考えなくちやならぬのでございます。つまり、各地方団体が一様に好況、不況になるその程度がいつも同じであるというわけに行かないのでありまして、たとえば造船に依存しておる相生市においても、おそらくは過去においていい年もあつたでございましよう。波が片寄つておる。これはある程度各地方地方の特殊性に応じてやむを得ないことである。それを全部一律に好況、不況をならすということは、とてもできることではないのでありまして、ある程度の波が起ることはやむを得ないじやないか。その起つた波に応じて、地方財政計画で交付税を配分する場合にも、おのずから考慮が払われる。さような段取りで考えなくちやならぬ性質のものだと思うのであります。もちろん造船業そのものについても、第十次造船をできるだけ早くやるということについては、われわれ異論はないのでありまして、できるだけ早くこの問題を解決するようにということをこいねがつておるわけでございますが、一般論からすれば、好況不況の波が起り、ところによつては非常にでこほこがあることは、これはある程度いたし方ないじやないか、さように考えるわけでございます。それに合わせて交付税の配分を調整するという事後の措置の問題も、もちろんあると思いますけれども、一般論としてはさようなことになるのであります。
  83. 門司亮

    門司委員 私はただそういう一つの例を引いただけであつて地方税は前年度の税収を追つております。従つてその点の徴収といいますか、税の性格が多少異なつておりまして、従つて国税と同じにものを考えられては迷惑する。不景気になつても、前年度の税収を追つて行かなければならぬ関係から、納税は非常に苦しくなるということは当然でございまして、国税はその年の現在に行つておるものから来る税制でありますから、割合楽であります。この収入が減れば所得税は減るのである。しかし地方税の方は、前年度の所得を追つて来るということになれば、市町村民税、県民税にいたしましても減らぬのであります。ことし収入がなくても、去年あつたからそれにかけられて来るので、性格を異にしておる。大蔵省が同じに考えておることは誤りだ。もう少し地方の実情を知つておいてもらいたい。それから最後に聞いておきたいと思いますが、ちようど今の大蔵省答弁を聞いていると、現在の地方交付税を、以前の平衡交付金のものの考え方で答弁されておる。平衡交付金は、これは足りなければ追加予算でふやせたのであります。ところが今度は最初からきまつておる。この税金の配分が多くなつたり少くなつたりということは、これは事実上できないと思うが、できますか。これは税ではつきりきまつてつて、何々の税金が何パーセントというふうに、はつきり数字が出ておる。従つてわれわれは今年度の財政計画から行けば、当然政府の出して来た百分の二十を、百分の二十五でなければ足りないであろうということを議決したのに、参議院において百分の二十二に減らされて来ている。これは大蔵省努力したという。大蔵省が今のよう答弁ができるなら、なぜ百分の二十五にしておかなかつたか、足りないことはわかつておる。これらをはつきりしておきますが、平衡交付金の場合は、多少削られようと、足りなければ次の臨時国会でふやせばいい。今度は税がきまつておる。これは臨時国会でふやそうとしても、税制改正をしなければふやせない。従つて今度は万全の策を講じなければならぬというので、衆議院では、百分の二十五でなければ足りないだろうということで、全会一致で百分の二十五にしておいたのを、大蔵省がやかましく言つて百分の二十二に削らしておいて、今ごろになつて足りなければ何とかあんばいすると言うが、一体それであんばいできますか。そんなばかばかしい無責任答弁は聞きたくない。あなたの方でやれますか。     〔佐藤(親)、委員長代理退席、委員   長着席〕
  84. 森永貞一郎

    ○森永説明員 少し誤解があるから申し上げますが、交付税は、平衡交付金と違つたものであるということを前提として、答弁いたしておるわけであります。その見積りについて、先ほど多少内輪目な見積りを国税の方でしておるので、地方税の方についてもそういう見積りになつておつたのだ。その後、税収入は国税の方はこうだということを申し上げたにとどまるわけでありまして、交付税が足りなければそれをふやすという考え方は全然持つておりません。私が申し上げましたのは、交付税の総額は率できまつておるわけでありまして、国税の方がふえれば地方の交付税もふえますが、これの率をみだりに動かすべきものではないことは当然でありまして、ただその総額とか率はきまつておる。中の配分の問題として、各地方団体の財政収入と国の財政収入とを見てやるわけであります。その場合に、呉市の場合に、電気ガス税の収入がなくなつたとか、あるいは固定資産税、市民税が少いというような事情が、交付税の配分の場合に考慮されると同じ意味で、もし相生市なら相生市の造船業が、今後ともずつと不況に陥つて税収入が上らぬという事情があれば、標準財政収入が少いわけでありますから、そういうことは事実として交付税の配分の中に考慮さるべきである。そういうことを申し上げたにとどまるのでございまして、平衡交付金時代みたいに、足りないからというのでみだりにふやすべきものでないということは、むしろ大蔵省が一番必要とし、またその主張をし、よくわかつておるつもりであります。
  85. 門司亮

    門司委員 そういう詭弁はどうかと思う。どうなんです。あなたの言つているように、たとえば呉市の問題等についても、相生市のようなものがあるでしよう。八王子市のようなところ、伊勢崎市、高崎市もみな同じでありますが、しかしそれは標準財政需要額と収入額というものを最初に見積るときには予期されていない。従つてもしこれを出そうとすれば、あの税法の内容を読んでごらんなさい。これこれのものがこれの対象になると書いてある。税金が減つたからよけいやるとは書いてない。財政収入の見積りというものは、前年度を追つてやるということがちやんときまつておる。ところがそれが事実上徴収が困難である、できない、こういう場合には勢いそこには特別の交付金以外にはないでしよう。そうすれば、特別の事情でありますから特別の交付金にまわされるものは百億か百二十億くらいのものの中で、一割とつてみても十二億そこらしかない。その他の都市が当然受くべき権利を持つておるこの交付金を減らすわけには参らぬでしよう。私はこの点は非常にむずかしい問題だと思う。ここに非常な需要ができたからといつて、それの穴埋めのために他府県あるいは他の市町村に当然配分すべき額を減額するわけには行かぬでしよう。そうするとあなたの言つておられるようにその中で操作すると言つたつて、どこで操作すればいいのですか。私は操作のしようがないと考えておる。従つてこれらの問題についてはやはり何らかの特別な処置がとらるべきである。それを何でもかでも昔の平衡交付金と同じような考え方で、足りなければ平衡交付金で出すといつてもこれはできやしません。他の都府県にあるいは市町村に出すときめられた、当然受くべき配付税を減らして行こうというような考えがあれば、あるいはできるかもしれない。しかしそんなことはできない。そうすると私は少し数字上のつじつまが合わぬところがありやしないかと思う。ですから今の答弁だけでは、何かあまりにもめちやくちやな答弁をし過ぎて、一体あなたはそういうことを答弁しておいて、それで責任が持てますか。
  86. 森永貞一郎

    ○森永説明員 財政収入は一応前年度の見積りで見ますから、その後において著しい変動が起つたときは、非常に気の毒なことになるわけですが、その場合の調整ということも含めて、特別平衡交付金、特別交付税というものもあるわけでありまして、その中でできるだけ調整していただく、そういうことになるわけであります。私は先ほどそのことも考えまして、もしずつと未来永劫に造船業が衰微するということになれば、これは本年度の少くなつた実績が来年度考慮されるわけですから、そういうことも含めて先ほど未来永劫にということも申し上げたつもりでございますが、そういうふうに永久的な長い問題としては実績がそのまま反映せられ、それから年度の途中に起つた場合には特別平衡交付金が、これは不十分ではございましようが、できるだけそういう調整に役立てらるべきである、さような意味でお答え申し上げておるわけであります。
  87. 藤田義光

    藤田委員 明日大臣が来られるそうですから、その際いろいろお伺いしますが、簡単にお伺いしておきます。  現在さしあたり府県財政が非常な深刻な問題になつて来ております。この原因に関しましては、昨年ひんぴんたる暫定予算の編成とか、あるいは累積した赤字の問題、あるいは昨年の災害とか、それから一番大きい問題としましては、どうも国家財政がデフレ財政なつておるのに、地方財政はインフレ財政である。その措置を講ぜずしていろいろな問題を処理しておるがために、デフレ要因とインフレ要因とが交錯いたしまして、こういう混乱を非常に深刻にしておると私は考えます。  そこでお伺いしたいのは、銀行関係が最近地方財政に必要以上の圧力と申しますか、拘束を加えておる。日本銀行は地銀の短期貸付等に対しましては絶対責任を持たぬ。一般の産業会社の貿手以上の厳重な制限をつけております。これは大蔵省と御相談の上にされておりますかどうですか。銀行関係特に日本銀行が地方銀行に対する厳重な指令をしておる裏には、何か大蔵省としても計画があつたのではないかと思いますが、その点に関しましてお伺いしたい。
  88. 阪田泰二

    ○阪田説明員 日本銀行の貸出しの方針あるいは市中銀行の貸出しの方針等につきまして、地方公共団体に対しましてかなり貸出しを引締めておる、こういり仰向がございますことはいろいろ私どもの方も伺つております。私ども直接日本銀行あるいは市中銀行等を監督する部局ではございませんけれども、大体地方銀行あるいは市中銀行等の地方団体に対しましては、これは御承知ように昨年度あたりは資金運用部あるいは簡易保険その他と同様に、先ほど来問題になつておりまする短期の金繰り資金等もかなり出ておつたと思います。ただその資金の融資額が実際問題といたしまして、ただいまちよつと的確な数字を持つておりませんが、一昨年、昨年とだんだんに残高が累積して行つて非常にふえておる。たしか一昨年に比べると昨年は倍くらいにふえておつたのではないかと思います。しかも先ほど来のような赤字の裏づけになる融資額がふえて参りました結果、どうしても短期に貸しましたものが回収されないで固定して来るというような傾向もあるわけであります。そこへ昨今銀行自身としても非常に金融引締めの影響を受けまして、預金の増加等もあまり好調でないというようなことから、銀行自身としても非常に苦しい。一方では資金の増加が十分でありませんし、他方地方団体に対する貸出しが累増いたしまして、銀行の貸出しの中で占める割合がふえて来ておる。銀行自体としても非常に苦しいというところから、これは全体としては問題がありますが、地方団体に対する貸付を引締める、こういう方向に向つて来ておるのではないかというふうに考えておるわけであります。
  89. 藤田義光

    藤田委員 その問題はいずれ明日日本銀行から見えるそうでありますから、その際お伺いしたいと思いますが、実は全国一万の自治体に対する財政資金散布の問題は、非常に根本的な問題になつて来つつあります。数日前のどこかの新聞に財政支出の平準化をやる、従来の実績からしましても、どうしても財政支出が第一・四半期と第三・四半期に集中される。従つて第一・四半期はすでに経過しておるから、第三・四半期の財政支出を第二・四半期に繰上げて調整をはかろう。そうしないと第二・四半期において相当自治体は苦しいというので、大蔵省準備を開始したというような報道があつたように記憶いたしておりますが、何かそういう準備がありますか、お伺いしておきたいと思います。特に第三・四半期には御存じ通り供米代金の支払いがあります。これでどうしても財政資金の散布超過になるという従来の実績からしましても、こういう研究が大蔵省で行われておるのではないかと想像いたしますが……。
  90. 阪田泰二

    ○阪田説明員 ただいまの国庫収支の問題でありますが、これは根本的な問題といたしましては、ただいま御説のように国庫の収支といたしましては、これは年度にもよりますが、大体第三・四半期には食糧の関係等がありまして、非常に大きな散布超過がある。その他の期は大体において引揚げでございますが、本年度ちようど第一・四半期には昨年度よりの繰越し支出等が相当多く出ましたので、第一・四半期においても実は散布超過になつておるような実情でございますが、こういうよう政府関係で散布超過があり、あるいは引揚げ超過が季節的に非常に大きな動きがあるということは、これは実は金融の調整といいますか、非常にぐあいの悪い点でありまして、散布するときにはどうしてもこれを十分に引揚げ切れないで通貨が膨脹するという結果を来しますし、引揚げの際にはどうしてもこれは金融が引締めになり、政府の収支のために金融市場へその都度いろいろ影響を及ぼしまして、まあインフレの抑制、こういつたような問題につきましても、あまりぐあいのよいことにはなつていないわけであります。これを根本的に全体の収支、この中でもまとまつて大きなものは、御承知ように食糧関係のほかは、地方に対する収支がまとめてみますと非常に大きいものでありますが、こういうようなものの収支を調整するということにつきましては、実は私どもの方といたしましても根本的な問題といたしまして、いろいろ研究はさせておるわけであります。ただいまお話ように具体的にこの第二、第三・四半川にどういう対策を立ててどういうふうに実行するということには、はなはだ遺憾でございますが、まだなつていないわけでございます。
  91. 藤田義光

    藤田委員 地方財政問題は、非常に深刻になつて参りました。従来の繰返された論争を越えまして、本質的な検討を行わなければならぬ段階になつておると思うのであります。特に自治団体側におきましてもいろいろ是正すべき点が、多々あることはいつも痛切に感じております。そこで私最後にお伺いしたいのは、この問題に直接間接関係があります大蔵省としまして、機構的には主計局長のもとにおいて責任を持つて各局と調整をはかりながら、本質的な問題を研究されるというのが、大蔵省設置法の建前からは本筋でありますかどうですか。起債の問題は理材局でやりますが、こういう地方財政万般を国家財政と見合うような態勢に再編成して行く、こういうことは大蔵省としては当然考えなければならぬ。そういう場合に面接の責任の局というものはどこで担当されて行くようになりますか。現在のところは主計局に相談に行つたり、理財局に行つたり、あるいはときと場合には官房長になつたり、いろいろなルートがあるのであります。いずれこれは明日大臣の気持もお聞きしてみたいと思いますが、たとえば財政問題を論議するときにはただちに主計官、理財局の関係者と双方の出席を求める、こういう態勢が非常によろしいのかどうか、何かお考えがありましたら、官房長もやつておりましたので非常にその方面を勉強されておる主計局長の御答弁を願いたい。
  92. 森永貞一郎

    ○森永説明員 大蔵部内の地方財政関係の担当が非常にわかれておりますことは、ただいまお話通りでございます。予算の面では私どもの主計局に関係があります。起債は理材局、地方税の面になりますと主税局、交付税の方は官制上は主税局ということになつております。しかしこれは多かれ少かれ予算関係がございますので、主計局が関係する面が一番多いかとも思うのでございますが、省内の総合調整は官房で従来からいたしておりますので、重要な問題は次官、官房長の手で調整される、さような段取りになつております。
  93. 北山愛郎

    ○北山委員 簡単な点を二つばかりお聞きします。先ほど門司委員からも御質問があつたのですが、地方団体に対する一時短期融資の金額であります。おそらくそれぞれの四半期ごとにその現在高の調べがあると思うのであります。ことしの六月現在で、政府資金と民間資金とにわけまして一体どれだけの残高がありますか、これをお示し願いたい。それから昨年の同期と比べてどういう変化が来ているかという点をお知らせ願いたい。
  94. 阪田泰二

    ○阪田説明員 資金運用部と簡易保険と合計いたしまして——財政資金は両方から出ているわけでありますが、ことし六月末におきまして大体百八十億弱の資金が地方には短期の融資として出ているわけであります。これに対しまして昨年の六月末といたしましては大体簡保、資金運用部合計いたしまして二百五十億程度の資金が出ておりましたので、昨年に比べまして相当の減少になつております。
  95. 北山愛郎

    ○北山委員 民間資金の方は……。
  96. 阪田泰二

    ○阪田説明員 銀行から地方団体に対する短期の融資額につきましては、大体期末等の数字を収集している程度でありまして、最近の数字はよくわからないのでありますが、昨年の九月期末には二百六十三億円というものが銀行から地方団体に出ているということになつております。
  97. 北山愛郎

    ○北山委員 それで大体このような印象を私どもは受けているのです。要するに今の数字でもわかるように、地方団体に対する短期融資は、政府資金の方を本年になつてから急に非常に引締める、そこで地方団体は金繰りがつかぬから地方銀行にこれをお願いするということになつて、ある程度地方銀行の方ではそうなりますと一般の産業資金とか、そういう点の金繰りがきゆうくつになりますので、そこで困つて来た。また一方日本銀行においても、地方団体に対してあまり金を貸すなというような指導をなさつているようであります。従つて現在の状態ではおそらく地方団体は政府資金の方からも締められ、それから民間資金の方からも締められ、両方から締められて非常に苦しい状態にあるじやないか。これが現在の状態であるとすれば、それが原因なつて、そこで今の給料欠配とか遅配等が起つておるじやないか。原因は非常に深いところにあるでしようが、さしむきこの金繰りという点から言えば、そういうことが言えるじやなかろうかと思いますが、どうですか。
  98. 阪田泰二

    ○阪田説明員 その点は確かにお示しのよう地方銀行あるいは市中銀行等におきましては、地方に対する短期の融資額が累積いたしまして、なお固定化する傾向がございますので、これを引締めようという傾向にあることは事実であると思います。なお地方債につきましても、これは資金運用部、簡易保険等で引受けるもの以外に、市場で公募するものがありますが、これの公募等につきましても、結局市場で公募すると申しましても、地方の銀行等の引受けに依存するわけであります。  これは大体年度末、四、五月ころにかなりの分が、地方の銀行等において消化せられまして、その方面の資金の圧迫等も相当ございまして、銀行が再び資金を引締めるという傾向になつていることは事実でございます。なお先ほど来いろいろと資金運用部の短資のお話がございましたが、お答え申し上げておりますように、私の方ではわくを引締めてこれ以上出せないから引締めるというような考えはとつておりません。ただ漫然と必要に応じて、それだけ金が足りないからというような出し方をしてはいかがであろうかということで、地方のいろいろそういう財政の見通し等を見ました上で出すということにかえました点が、昨年あたりと多少かわつて来た点であります。わくを設けてこれ以上貸さないというように制限をしておるというつもりはないのであります。
  99. 北山愛郎

    ○北山委員 今の問題はまだまだいろいろあると思いますが、省略しまして、どうも先ほど来御説明を聞いておりますと、政府の方では地方団体の赤字原因というものを相当つくつておりながら、今度はその結果として出て来たものについて、金繰りにおいて引締めるというようなことになつておるのではないかと思うのです。  それで、これはこの前の国会の際に時間がなくて十分お聞きをすることができなかつたのでこの際お聞きしますが、本年度の地方財政計画において、地方財政需要というものは、昨年に比べて相当ふえておるということは政府自身が認めておるわけなんです。これは節約を入れなければ八百五十億くらいの財政需要がふえておる、節約をしましても約五百億に近いものがふえておるということを地方財政計画では認めておる。ところがこれに対して政府は、その財源としては積極的には見ておらぬじやないか。この前には政府の方ではこれを見ておるという答弁大蔵省側からあつたのですが、私どもの計算からいうと見ておらぬ。というのはたとえばタバコ消費税を二百九十二億見ておるという話ですが、一方においては平衡交付金と、地方起債で約三百億減らしておるわけですから、それが大体とんとんになる。ガソリン譲与税の七十九億というものは、四十八億はひもつきでありますから三十億くらいが積極的な地方財源となるかもしれません。ところが一方においては、昨日来委員会で問題になつております今度の警察費において、地方財政に対するしわ寄せが計画上においてすらも百五十億というものは警察制度改正によつて地方財政にしわ寄せになつた、こういうふうに考えられるのですが、一方においては地方財政は昨年に比べて相当に金がかかるということを認めておきながら、その財源措置については今申し上げたように積極的な財源措置を援助しておらない。そして主として地方税の無理な増徴によつて、これをカバーしようとしたという本年度の地方財政計画の無理が今、もう半年もたたないうちに現われて来たのだ、かように考えるのですが、この点について大蔵省はどうお考えですか。
  100. 森永貞一郎

    ○森永説明員 地方財政計画の詳細につきましては、あるいは自治庁から御説明があるべきかとも思いますが、私ども自治庁と相談いたしまして、二十九年度の地方財政計画を立てましたときには、増加する地方財政需要に応じ、また本年度から変更になります地方制度の改革に応じ、国と地方との財源配分、または地方相互間における財源配分をいたしたわけでございとまして、財政計画といたしましては、つじつまが合つてつたわけでございます。たださきに問題になつております警察費の問題がございますが、これも実は私どもといたしましては、利用し得る限りの最善の資料を基礎として計画を立てたつもりでございます。しかし実際やつてみて各県とも足りないというようお話で、せんだつて来問題になつているわけでございますが、この点は私どももむしろ積極的にいかなる状況にあるのか、またその不足があるとすればいかなる原因によつてそれが生じて来たのか、そういつた実情の調査に積極的に協力をいたしたい、八月になりますればその調査が開始されるわけでございますが、その調査にわれわれとしても非常な関心を持つておるわけでございまして、その実態の把握をまちまして原因を究明したしかる後に、いかなる手段を講ずべきか十分検討いたしたいと思つておる次第でございます。その問題を除きますれば、そういたずらに地方財政にしわが寄せられているということではないのでありまして、地方財政計画に即応した財源を考慮しておるつもりでございます。
  101. 西村力弥

    ○西村(力)委員 阪田理財局長にお伺いしたいのですが、先ほどめどがある、金があるからまわしていいのだ、こう言いますが、その地方財政の赤字の原因云々についてはとにかくとしまして、現実に困つておるので、そのめどというものをはつきりしておかないと、運動の濃淡とか、あるいはことには巧拙とか、そのほかわれわれの耳に入る点は、地方住民の責任でない政治的な考慮によつてまでも、それが左右されているというようなことを聞くのですが、そんなことがあつては困るので、ひとつはつきりそこのめどをどういうぐあいにお考えになつていらつしやるのか、めどといいましても、実は主観的に左右されて、しかも大蔵省としては、今までお聞きしておりますそ非常に冷酷に、結局地方団体が身を請めて行かざるを得ないようにし向けて行つて、そういう見通しが立てばやつてやるんだというぐあいになりますので、そのめどというものをもう少し具体的に、こういうことになればぼくの方では許してやるのだということをお話願いたいの百です。
  102. 阪田泰二

    ○阪田説明員 地方団体に対しまして短期融資を、恵のままにどういう程度までの見通しがつけば資金の融資をするかという問題でございますが、これにつ冒してはいろいろ地方団体ごとにかなり実情も違つております。また赤字の程度にも差異があるわけであります。大体短期の融資を申し込んで参ります場合に、ただ現在資金が不足する、現金が足りないので、必要な支払いができない、何とか足りないからそれだけ貸してほしい、こういうような形で、借入れの申込みが、ただ現金が足りなくなつたという事情によつて出て参ります場合でありますと、実際どういうわけでそれだけの資金不足が今日出ているのかというようなことにつきまして、地方の公共団体の当局者も十分わかつていない、認識していない場合が多いわけであります。結局そういうような場合に、そのまま現在金が足りないということで資金を融通しておりますと、結局その支出の内容が赤字になる。最後には赤字の累増というような結果になるというようなものにつきましても、あるいはほんとうに必要でやむを得ないものにつきましても、無差別に資金の融通をするということになりますので、やはり融資の申請が出て来ましたときには、不足がどういうようなところから出て来ておるか、先ほど来いろいろお話がございますように、税収等の時期が片富るとか、あるいは歳出の時期が片寄るというようなことで、一時的に現金の不足が出る。しかしいつどういう歳入が入ればこれが決済される。こういうような見通しが立つものであれば、融資もきわめてしやすいわけであります。その程度の内容がわかれば、これはそういうものを引当てに短期融資もきわめて簡単にできるわけでありますが、そういうようなところまで行かないで、突き詰めてみないとどうしてこういうふうな不足が出て来るのか、はつきり当局者にもわかつていないというような場合には、やはり財政全体から見まして、大体どういうところに問題があつて、どういうふうな方策を講じて行かないと収支が合わない。資金を借りましても、これが年度内に返されるというめどが立たないということになりますので、その辺の点が確定的な計画とは行きませんでも、とにかく見通しが立つという程度までの調査なり、自治体当局者の御説明を伺つた上で、融資の決定をすることにいたしたいというふうに扱つておるわけでございます。
  103. 西村力弥

    ○西村(力)委員 今の御答弁では先ほどと何らかわりがないようであります。今のお考えをまとめてゆきますと地方自治団体が大蔵省の意に沿うよう原因の発見と、その解決策を得たときにはオーヶと言う。あるいはまたその力が足りないでここに原因があるからごうせいといつたときに、これを引受けた場合にはオーヶと言う。こういうのがめどだと見られる。そうでなければ財政一般の限度によつておれの総合判断によるのだ、こういうぐあいに三つに考えられる。しかし現実に俸給も払えないという状況にある。その程度に行つたならば、これはこういう原因の問題は一応話合うにしましても、さしあたつての問題として、おれたちはやらざるを得ないのだというところに一つの線を引く、こういうようなめどを立ててもらわないと困るのではないか、今のようなことでは結局大蔵省の意のままに、自治団体が将来の自分の行くべき道を定めたときに、あるいは自分の判断を除いて、大蔵省の意の通りに断定した場合になくなるのでありまして、それではめどといつてもあまりに一方的であり、また独断的である、かように思われるのです。もう少しめどを具体的にお話願えませんか、この程度だつたら、やはり大蔵省としてはさしあたつての問題としてはやらざるを得ない、かように考えているとかいうようなめどはございませんか。
  104. 阪田泰二

    ○阪田説明員 先ほどお答え申し上げましたように、これは地方によりまして非常に事情、程度等も区々でありまして、具体的にこういうふうな要綱で、こういうふうな項目についてのこういう条件を私どもの方できめて押しつける、こういうようなことは考えていないわけであります。地方の実情等も十分伺つておりまするし、なお全体の地方財政計画の問題になりますので、自治庁等の御意見自治庁がその地方団体について、どう見ておられるかというようなことも十分伺いまして、参考にいたしておるつもりでございます。全体として標準とかそういうものをきめて、その通りつて来た気に入つたものだけに貸すとか、そういうような考えはとつていないわけであります。十分それぞれの実情をお伺いして、必要なものは御触驚いたしておる、こういうようにいたしておるつもりでございます。
  105. 石村英雄

    ○石村委員 先ほど森永主計局長は、二十九年度の財政計画はきちんとできておる、こういうようお話ですがほんとうは二十九年度の地方財政計画の根本的な欠陥は、今までの赤字の累積の影響というものを全然見ずに計画が立てられてある、その処理というものを考えずに計画ができておるというところに、根本的の欠陥があるのではないか。もちろん警察費の算定の誤りとかいろいろなものもありましようが、今までの数年間の赤字の累積、これが地方財政に及ぼす影響というものを全然考慮せずに、触れずに三十九年度の財政計画が立てられておるということが、大きな原因ではないかと思うのですが、そういう点、大蔵省はやはりあんなものは別問題だというお考えでいらつしやいますか。
  106. 森永貞一郎

    ○森永説明員 一十九年度の財政需要並びに財源という観点から考えました場合には、地方財政計画はつじつまが合つておるわけでございまして、それに対する過年度の赤字の影響があること、これは私どもも否定はいたしません。ことに赤字を多く背負つておる団体にはそれだけ重圧が加わつておるわけでございます。この赤字の処理については、実は当初は、三十九年度はいろいろ制度の改革も行つたわけでございまするし、交付税というような新しい財源方策も考えられたわけでございますから、二十九年度の推移をもう一ぺんながめて、その上で対策を立てるべきじやないか、そんなような考え方を持つてつたわけでございます。さよう趣旨のお答えをいたしたこともあるやにも記憶いたしておりますが、ただ昨今の状況から見ますと、赤字の問題が相当重要な問題になつて来ておりますので、先ほどもお答え申し上げましたように、まじめな再建努力をみずから立てられる。そういういう団体に対しては、われわれとしても財政の許す限りの御援助をすべきであるというような気持になつて来ておるわけでございまして、御提案になつておりまする法案につきましても、具体的にいろいろ検討をいたしておる、さような段階でございます。
  107. 中井一夫

    中井委員長 各位に申し上げますが、大蔵大臣は二十八日まで旅行だそうであります。従いまして、かんじんのこの問題の相手方となるべき大臣が来られぬということであります、と、明日はいかにこれを取扱いましようか。     〔「政務次官はどうですか」と呼ぶ者あり〕
  108. 中井一夫

    中井委員長 政務次官も来れないそうです。——それでは大蔵大臣と政務次官は来られませんから、事務次官と阪出、森永両局長に来ていただいて、この問題を徹底的に検討するということにおきめになつたとしてよろしゆうございましようか。——それならばさように明日はとりはからうことにいたします。  大蔵当局に申し上げますが、本日は暑さのみぎり、ことに御多用中を特にお繰合せいただいて、長い時間質疑に御応答くださいましたことをありがたく存じます。本委員会といたし出しては、前から大蔵当局地方行政に常に同情を持ち、御理解のあることはよく承知いたしておるのでありますが、一カ日治体側におきましてはそうは思わないず、大蔵省地方行政につき、きわめて冷酷無情であると、いつもお恨みをいたしておるような次第なのであります。しかし事態はいよいよ最後の事態に参りまして、かりにも府県や市町村が給料の不払い、分割払いなどをしなければならぬというようなことになりますこどは、いかにしても国家のために黙過することのできない重大問題であります。この際本委員会がこの問題に対し真剣に、まじめに検討を開始いたしましたことも、当然のことだと御了解くださることができると存じます。それにつきまして何分にも政治的な対象となるのは大蔵省なのでありまして、大蔵省方々がこの問題につきいかに理解をせられ、またいかなる決心を持つて対処せられるかということが、この問題解決のかぎであることは申すまでもございません。地方自治体側に不行届きがあるならば、これを矯正するためにはわれわれ尽力をいたしますが、同時にまた国家としても国策をどう持つて行くかということについては、この際こそほんとうにお考え直しを願つてお進み願うべきときであろうと存ずるのであります。何とぞこの真剣なる問題につきまして、本委員会が真剣なる態度で臨んでいるのだということを十分に御理解をくだされ、明日は重ねて御意見を伺うことにいたしますから、午後一時半より御出席くださらんことをお願いをいたしておきます。  本日はこの程度で散会いたします。     午後五時四十八分散会