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1954-05-29 第19回国会 衆議院 地方行政委員会 第70号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年五月二十九日(土曜日)     午前十一時四十五分開議  出席委員    委員長 中井 一夫君    理事 加藤 精三君 理事 佐藤 親弘君    理事 灘尾 弘吉君 理事 吉田 重延君    理事 西村 力弥君 理事 門司  亮君       生田 宏一君    熊谷 憲一君       保岡 武久君    山中 貞則君       山本 友一君    床次 徳二君       古井 喜實君    石村 英雄君       北山 愛郎君    伊瀬幸太郎君       大石ヨシエ君    大矢 省三君       中井徳次郎君  出席国務大臣        大 蔵 大 臣 小笠原三九郎君         国 務 大 臣 塚田十一郎君  出席政府委員         自治政務次官  青木  正君         総理府事務官         (自治庁行政部         長)      小林與三次君         総理府事務官         (自治庁財政部         長)      後藤  博君         総理府事務官         (自治庁税務部         長)      奧野 誠亮君         大蔵事務官         (主計局長)  森永貞一郎君         大蔵事務官         (主計局次長) 正示啓次郎君  委員外出席者         参  考  人         (大阪市警視総         監)      田中 猶一君         参  考  人         (名古屋市警察         長)      宮崎 四郎君         参  考  人         (国家地方警察         警部)     村松  榮君         専  門  員 有松  昇君         専  門  員 長橋 茂男君 五月二十六日  委員山中貞則辞任につき、その補欠として坪  川信三君が議長指名委員に選任された。 同日  委員坪川信三辞任につき、その補欠として山  中貞則君が議長指名委員に選任された。 同月二十七日  委員徳安實藏辞任につき、その補欠として生  田宏一君が議長指名委員に選任された。   ————————————— 本日の会議に付した事件  参考人招致の件  奄美群島復興特別措置法案保岡武久君外二十  四名提出衆法第四三号)  地方財政再建整備法案床次徳二君外三名提出、  第十六回国会衆法第八七号)  警察に関する件   —————————————
  2. 中井徳次郎

    中井委員長 これより会議を開きます。  奄美群島復興特別措置法案議題として質疑を行いますが、本案につきましては正誤表が出ておりますので、念のためその説明を聴取いたします。山中君。
  3. 山中貞則

    山中(貞)委員 提出されました正誤表について御説明申し上げます。  奄美群島復興特別措置法案印刷物中、四ページ一行「製糖等」は「製糖水産等」の誤り、四ページ八行の次に次の一項が入るべきの誤り、「3 第一項の復興計画には、道路整備費財源等に関する臨時措置法昭和二十八年法律第七十二号)第二条の規定による道路整備五箇年計画に基く道路のほ装その他の改築及び修繕は、含まれないものとする。」七ページ一〇行「事業内閣総理大臣指定」は「事業内閣総理大臣主務大臣と協議して指定」の誤り、八ページ六行の「四」を「五」とし、五行の次に次の一行が入るべきの誤り、「四 水産亜熱帯性農林作物生産及び養蚕の振興に関し必要な事業」九ページ三行「漁業」は「水産業」の誤り、九ページ四行及び五行は刈るべきの誤り、九ページ六行「6」は「5」の誤り、同じく六行「第四項」は「前項」の誤り、十一ページ六行「を所管する各省大臣」は「の実施について、主務大臣」の誤り、十三ページ七行「3」を「4」とし、六行の次に次の一項を入れるべきの誤り、「3 奄美群島における道路のほ装その他の改築及び修繕で第二条第三項に掲げるものに要する経費は、他の法令の規定にかかわらず、予算の範囲内で、国が支弁する。」、十四ページ及び一五ページの別表中「内閣総理大臣指定」は「内閣総理大臣主務大臣と協議して指定」の誤り、十四ページ別表第一港湾欄中川改良で」は「改良並びに同法同条同項に規定する港湾施設用地取得及び整備で」の誤り、十四ページ別表第一漁港欄中「又は漁港利用及び管理上重要な輸送施設新設及び改良で」は、「、漁港利用及び管理上重要な輸送施設又は漁業用通信施設新設及び改良並びに同法同条に規定する漁港施設用地取得及び整備で」の誤り。  以上であります。
  4. 中井徳次郎

    中井委員長 これについて御質疑はございませんか——質疑は別にないようでありますから、本案に対する質疑は終了いたします。  これより討論採決を行いたいと思います。討論の通告がありますから、これより討論をいたします。灘尾弘吉君。
  5. 灘尾弘吉

    灘尾委員 私は自由党を代表いたしまして、奄美群島復興特別措置法案に対しまして賛成の意を表したいと存ずるものであります。  奄美群島は昨年の暮れに復帰することとなりまして、現地皆様方はもちろんのこと、われわれ内地におりますものといたしましても、一日もすみやかにその復帰を待望いたしておつたのでありますが、心からなる喜びをもちきてわれわれはその復帰の日を迎えたのであります。その当時われわれといたしましては、復帰善後措置に関する法律案提出いたし、法律を制定いたしまして、その間の推移をなめらかにいたしたいと考えた次第でございますが、何分にも奄美群島は、御承知通り大洋のまつただ中にある島であります。ずいぶん、長い間、戦争中ないし戦後と畑じまして、現地方々が非常な御苦労をいたされましたことは、私ども常に心からなる同情をもつて考えておつた次第であります。幸いに復帰いたしましたけれども現地産業経済、文化、その状態は実にお気の毒な状態であります。ことに産業経済の力が非常に微弱でありますので、その急速なる復興ということはなかなか困難であります。現地方々も非常な熱意をもつて、今後の復興ということを湾えておられるわけでありますけれども、いかんせん力が不十心でありますので、思うように参らないということが、その切実なる嘆きであろうと考えるのであります。われわれといたしましては、この際、長い間御苦労になりました現地皆様方の御労苦にお報いする意味におきましても、また互い兄弟の間柄にあるわれわれといたしましても、これを放置するに忍びないのであります。皆様方の御労苦にお報いする意味におきましても、また今後の立上りをお助けするということが、われわれがこの御労苦にお報いする唯一の道ではないかと考えるのであります。そこでわれわれといたしましては、この奄美群島復興に関しまして特別な措置を講じまして、できるだけすみやかに奄美群島復興せられるようにいたしたい、かような念願をもちまして、今回この奄美群島復興特別措置法案提出いたしたような次第であります。  このことにつきましては、院内各会派、各党派一致協力、心からなる熱意をもちまして、この法案成立を期待しておる次第であります。もちろんこの法律実施にあたりましては、政府の万全の措置、またこれが遂行に対する熱意というものをわれわれは期待いたす次第でありまして、政府におかれましてはこの法案の立案にあたりましても、非常な協力を示されましたことをわれわれまことに多とするものであります。と同時に、またこの法律案成立いたしまして、これが実施に移るという場合におきましても、もちろん奄美群島復興は、何と申しましても奄美群島皆様方それ自身の御努力にまたなくてはなりません。いわゆる古い言葉でありますけれども自力更生熱意は、どこまでもその復興の根本をなすものであろうと考えるのであります。私どもといたしましては、いささかなりともこの贈りものをささげることによりまして、奄美群島皆様方がいよいよ決意を新たにし、努力を示されまして、その急速なる復興にいそしまれることを心から待望いたしておる次第であります。  この法律案の内容は、何と申しましても先ほど申しましたことく、政府予算措置あるいは行政機構等につきまして、万全の注意と努力とをわれわれは期待しております旨を重ねて申し上げまして、この法律案に対する賛成意見を表明する次第であります。
  6. 中井徳次郎

    中井委員長 次は床次徳二君。
  7. 床次徳二

    床次委員 私は改進党を代表いたしまして、本案賛成の意を表する次第であります。  すでにお話がありましたが、奄美群島復帰に関しましては、本院としまして数年来の熱意を示しまして、この復帰を要晒し、遂に昨年その実現を見たのでありますが、その実現にあたりまして臨時措置法案によりまして、でき得る限りすみやかにこの受入れ態勢の完備をはかつたのでありますが、いよいよ今般これを受入れんとする内地立場並び受入れられる現地との間に、密接なる意思の疏通のものに、今回本格的な復興のために、この措置法が提案せられましたことにつきましては、まことに御同慶の意を表する次第であります。一日も早く本法案趣旨が十分に実現せられることを強く要望するのでありますが、そのためには何と申しましても予算の裏づけが必要であると思います。事業に必要な十分なる予算というものが、今日いまだ計上せられておらないうらみがあるのでありまして、今日までの予算を検討してみますと、もつぱら人件費が大部分でありまして、かんじんな事業費というものはきわめて小部分でありまして、その二割、三割というようになつておりまして、あとはほとんど人件費に使われておるというのが今の状態であろうと思いますが、今回の法案に決定せられましたような各種の方針のもとに、着々として事業が進むように今後特に要望してやまない次第であります。  なお法案規定を見てみますと、相当機構が複雑のようであります。むしろ多大な人件費をかけるよりも、強力な一元的、能率的経営ということの方が望ましいと思うのであります。この点は地元並びに地元官庁の密接なる協力が必要と思うのであります。この機会に今後のそういう方面における多大なる改善の努力をされんことを要望いたしまして、私の討論を終る次第であります。
  8. 中井徳次郎

  9. 西村力弥

    西村(力)委員 私は日本社会党を代表いたしまして、奄美群島復興特別措置法案について賛成の意を表します。  昨年祖国日本復帰せられることになつて、われわれも島民各位とともにそのことを心から喜んだのでございますが、ただ八年間アメリカ軍がこれを占領しておつた。この占領やり方そのものが実にけしからぬ、あまりに放置してもう見るにたえない状態にして親元に返してよこした。こういうぐあいに住民各位の陳情あるいは証言によつてこれを知り、その点まことにわれわれとしては遺憾にたえないのであつたのでございます。しかしこのままに放置できないというような事情から、その受入れ態勢をつくり、爾後この復興のために党派を越えて努力して参つたのでございます。この点の審議にあたりましていろいろ考えられる点は、鹿児島の知事に所管せしめることに対して反対の意向がありましたが、こういうことに対してのわれわれの考えとしましては、どうしてもやはり自治体に包括された一つの地域としてやるべきである、これが至当であるという立場をとつて来たのであります。それとともにわれわれの主張したいのは、北海道開発についても政府が直接手を下すということをやめて、かつて通り北海道庁にこれをまかすべきである。北海道において社会党田中知事が当選したとたんに、北海道開発政府の手に取上げられた。こういうようなことは開発そのものが政治的に利用されておるということを思うので、われわれは非常に残念であります。そういう点からいいましても、このたびの選挙の結果保岡委員が当選せられまして、そういうところからこの法案が特別に推進されたということに対して、われわれはいささかも疑点を持つわけではございませんけれども、なにかしらそのような動きも考えられるというようなぐあいであります。これは、私の少し思い過しでございますか、いずれにいたしましても、こういう問題が超党派的に考えられるというようなことに対しては、われわれはあまり賛成できないのでございます。  次に、先ほど床次委員からも指摘がありました通り復興経費はその大方の費用というものが直接的に使用されなければならないのでございまする」が、間々こういう事業がやられることになりますると、それに対する諸経費、ことに機構あるいはその取締る人間、そういう人々の費消する経費というものが莫大に上りまして、実質的に使用される部分が非常に少いということになる弊を常々持つておるのでございますが、そういう点については十分に戒心ありまして、この効率の万全を期せられたい、かように念願するものでございます。この法案ができたことを基礎として、住民各位努力によつて一日も早く奄美群島復興を見て、ほんとうに気候のよい奄美群島が楽しい楽土にかわりますことをお祈りいたしまして、私の討論を終ります。(拍手
  10. 中井徳次郎

  11. 門司亮

    門司委員 ただいま議題になつております奄美群島復興特別措置法案に対して、社会党を代表いたしまして賛成の意を表するものでございます。  すでに各位から申されておりまする通り大島は長い間アメリカ行政のもとに置かれておりました。そのアメリカ行政が必ずしも満足なものでなかつたというよりも、今日こういう法律案提出しなければならないほど、実際はしいたげられておつたことを申し上げても、決してさしつかえはないのでございます。従つて、わが国の内地国民が敗戦によつて非常に苦しい思いをいたしましたよりも、それに数十倍すると申し上げていいほど、実際上の占領下における行政のもとに苦難をなめておいでになりました二十万の同胞諸君の苦労を考えてみまするときに、奄美群島復興は、単に政治的のゼスチュアであり、あるいは政策的の復興であつてはならないのでありまして、住民各位に対してほんとうにこの法案によつて過去の痛手を直させてやることのできるだけの処置がどうしても講じられなければならないのであります。往々にして従来の復興計画あるいはその他の問題は政治的の問題に走りがちでありまして、住民外位が忘れられておることがしばしば見受けられるのであります。従つてこの法律を施行するにあたりましては、政府は特にその点に留意をしていただきたいと思うのであります。奄美大島復興はあくまでも奄美大島島民生活の安定を基礎にすること、やはり奄美大島島民諸君自力によつて復興できるような根本的の機構が里ましいと私は考えておるのであります。従つて政府にこの法律案趣旨を十分体していただきまして、いたずらにこれが政争の具になつたり、あるいは地元勢力争いの具になつたり、あるいは本省の所管争いになるというようなことのないように、あげて住民各位生産生活の安定のために努力をしていただきたいということを申し上げて、私の賛成意見にかえる次第であります。(拍手
  12. 中井徳次郎

    中井委員長 これにて討論は終局いたしました。  これより採決をいたします。本案賛成諸君起立を求めます。   (総員起立
  13. 中井徳次郎

    中井委員長 起立総員。よつて本案は原案の通り可決されました。  次に、床次徳二君より本案附帯決議を付したいとの動議提出されておりますから、同君よりその趣旨について説明を聴取いたします。床次君。
  14. 床次徳二

    床次委員 本案提案者であります本委員会全員意向によりまして、本涙案附帯決議を付したいと思うのであります。まず附帯決議を朗読いたします。    附帯決議(案)   奄美群島母国復帰して既に半歳を経たが、その根本的な復興対策は未だ確立をみず、二十万島民疲弊困憊の中に在つて一日も速かな母国の強力な復興対策を待望している。政府奄美群島復興特別措置法制定趣旨にかんがみ、すべからく左の諸点に留意し、同島の急速な復興に特別の力を致すべきである。   一、同群島における行政は専ら産業復興と民生安定とにその力を集中しできるだけ簡素な行政機構により、最少の行政経費を以て最大の行政効果を最も速かにあげるよう特に留意すること。   二、復興計画を急速に実現するため充分な予算措置を講ずること。奄美群島復帰善後措置費はあげて復興事業に充当し、国民の期待と信頼とに反せざるを期すること。   三、復興嵐業に関する経費については、特に厳正にして効率的な執行を期すること。   四、復興事業遂行は、同島現状にかんがみ一日も遅滞を許さないので、復興計画の決定前においても取敢えず適切な措置を講ずること。   五、現地特殊事情に即し、一般産業復興に関する融資についても別段の考慮をすること。  以上であります。  特に御説明を要しないと思いますが、ただいま申し上げた趣旨によりまして、本法案実施並びに関連しましたところの同群島復興が完全に行われることを念願いたしまして、附帯決議提出した次第であります。御賛成を願います。
  15. 中井徳次郎

    中井委員長 ただいまの床次君の動議につきましては別に御質疑も御意見でもないようであります。よつてただちに床次君の附帯決議を付すべしとの動議について採決をいたします。床次君の動議賛成諸君起立を求めます。     〔総員起立
  16. 中井徳次郎

    中井委員長 起立総員。よつて床次君の仰せのごとき附帯決議を付するに決しました。  次にお諮りいたします。本案に関する報告書の作成につきましては委員長に御一任を願いたいと思いますが、これに御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  17. 中井徳次郎

    中井委員長 御異議なしと認めまして、さように決します。なおこの機会政府より所見を披瀝されんことを希望いたします。
  18. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 奄美群島復興につきましては、政府におきましても非常な関心を打つてつたのでありますが、このたび本委員会におきまして、議員立法といたして奄美群島復興特別措置法案がただいま可決になり、あわせて附帯決議もただいま可決になりました。まことにその趣旨に帯しては賛成でありますので、法律趣旨及び附帯決議趣旨を十分尊重いたしまして、今後復興努力いたしたいと考えるわけであります。(拍手
  19. 中井徳次郎

    中井委員長 引続き地方財政再建整備法案議題として質疑を行います。床次徳二君。
  20. 床次徳二

    床次委員 大蔵大臣にお伺いいたします。すでにお聞きのことと思うのでありますが、地方財政現状は相当窮迫しておりまして、そのうちの数団体におきましては、現状におきましてはこれを放置し得ない状態になつておるのであります。この点はすでに昨年の決算におきましてもはつきりしておつたの、ありまするが、引続き一年間を経過いたしました今日におきましては、ますますこの状態が明らかになつております。このままにして参りますると、地方自治運営に対しまして相当支障が生ずるのではないかということを憂慮いたしておるのであります。特に最近における金融の引締めその他につきましては、強い影響を与えられておるのでありまして、この機会におきまして、かかる市町村をいたしまして財政的に再建整備いたしまして、新しい地方制度地方財政制度に適合するような運営を完全にスタートすることのできるようにさせることが必要なことじやないかと考えまして、かねて当委員会におきましては再建整備法案なるものをつくりまして、その実施を実は期待しておつたのでありますが、今日まで審議をいたしました経過におきまして、大蔵省筆におきましても今日かかる団体再建整備のために充つべき資金等がないという理由をもちまして、この法案成立が実は行き悩みになつておる次第であります。大蔵当局のお考えによりまする、資金運用部資金が入る場合、あるいは簡保資金等をいずれ将来においては、融資するから、そのときになつたならばあるいは考慮してもいいだろうというようなお考えのように承るのであります。しかし今日の状態になりますると、なかなか各地方団体状態は窮迫して、来年を待つにいたしましては、その影響があまりにも大きくなるのではないかということを私ども恐れておるのでありまして、でき得る限りすみやかなる時期におきまして、この法案趣旨を明らかにいたしまして、本年度内におきましてもその事業に着手する、あるいは最小限度におきましても再建整備の目標を明らかにいたしまして、地方自治団体をして将来誤りない財政運用をさせるところの基準を示す。そうして明年度以降におきまして政府資金の融通を待ちまして、これを救済するというようにすることも必要ではないかと思いまして、この点に対しまして大蔵省当局から十分な協力を得たいと思うのでありまするが、今日までのところは遺憾ながら大蔵当局意見では困難であるというお答えがあるので、この点は実に残念に思うのであります。地方財政に対する見方につきましてはいろいろ見方はありましよう。しかし自治庁長官その他国務大臣としてこの点は十分御了承になつておることと思うのでありまするが、大蔵当局のこれに対する特別なる配意があるべきものだと私は思つております。もし今日においてこれを放任しておきましたならば、近き将来において相当大きな問題ができるだろうと思うのでありまして、特にこの機会大蔵大臣の御所見を伺つておきたいと思う次第であります。
  21. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 ただいま御質問の御趣旨はまことによくわかるのであります。私ども地方財政事情につきましては深い関心を持つてつて、ことに最近赤字がどんどんふえておる、仰せなつたような実情等から見て、何らかの対策がいるとは考えておるのでありますが、またこれに対して二十九年度予算で乏しい国の予算としては税その他におきましてもできるだけの配意をいたしておることは御了承通りでありますが、今お話になりました再建整備法、この法につきましても、私ども大体お考えの点は、これも私のごく気持だけを申せばごもつともな点が多々あると思いますが、しかし二十九年度予算ではなかなかそういう予算処置がとり得ないことは、床次さん御承知通りであります。従つてこれは三十年度以降の問題としてどうかということであります。そういたしますと、三十年度以降のお考のもとはよくわかるのでありますが、こういつたことについて、たとえば赤字関係地方債をどういうふうにするかといつた幾多の問題等があつて、それらの点、あるいは地方債引受け関係政府資金関係民間資金関係がどうなるか、あるいは利子補給の点がどうなるか、いろいろの点についてかれこ考える点もあるので、私どもとしてはこれもまだ熟した私の考えではございませんが、これをこの案を見まして申し上げますと、大体においてのお考えはごもつともだと存じまするが、しかし法案個々細目といいますかについて申し上げますと、大蔵省としては多少希望とでも申しまするか、御注文と申しまするかいうものを実は持つておる次第なんでございまして、先般たしか政務次官からもお話を申し上げたかと思いますが、今かりに私がここでかいつまんで申し上げますれば、赤字地方債政府資金による引受けは三十年度からにしたいのでありますが、その場合に赤字地方債政府資金民間資金引受けるものといたしまして、政府資金による場合は通常の金利、それから民間資金の場合は、政府資金との差異がありますれば、これに対する利子補給考える。それから再建整備計画の承認とか、地方伏の許可についてはあらかじめ大蔵大臣に御協議を願いたい。また再建整備計画には経費節減、これは床次さん御承知のように、地方費の膨張にはいろいろ理由もありまするが、なお相当節減の余地があることも世間の一般が認めておるところでございまして、そういうことについても具体的な計画を立てていただかなければならぬと思うし、また赤字地方債の償還をどういうふうにするか、それも含めた予算ができて、そうして歳入歳出が毎年度の均衡を得るにはどういうふうに持つて行くか、あるいは再建整備期間中の借入金についてどういうふうな監督をするか、あるいはまた整備計画の完了をどういうふうに持つて行くか、たとえば何年間に完了するか、たとえばそれを五箇年間に完了するなら五箇年間に完了するように持つて行く、あるいは再建整備計画が成績が上らなかつたらどうするか、こういうようなこと等についていろいろ大蔵当局でも意見を持つておりますので、御意向の大体は私ども了承するのでありまして賛成でありますが、そういう大蔵省意向も織り込んでいただくようにお願いをいたしたいと存じております。
  22. 床次徳二

    床次委員 ただいま大臣の御答弁を承りまして、事務的にもいろいろ事務当局の御意向があるようでありまして、この点に関しましては法案審議としては、私どもも十分検討いたしまして完全なものにいたしたいと思つております。しかしながら財政の再建ということに対しましては、実ははつきりした目標を定めておくことが、これを実施させるのに非常に大事なことでありまして、整備をいたしましたならば、この程度までのことはできるという見通しを関係者にはつきりと持たせる、しこうしてその確信の上に立つて整備を行わせることが必要だろう、御承知通り明年におきましては市町村長、議員の全部の改選にもなつておるのでありまして、これは非常に微妙な問題なんです。従つてその前におきまして、ある程度までの再建整備の目標を立てさせること、その基準を法律等におきまして国が明示しておきますことは、理事者をしてその実施を非常に容易ならしめる、協力しやすい状態に置くものだと思つております。三十年度において実施するから三十年度において制定すればいいというものではなくて、実は今日においてその基準を示しておくことが、三十年度にいたしましても実施を非常に容易ならしめるゆえんである。さような立場におきまして、私どもはできるだけすみやかな法案の制定を実は要望しておるのであります。この点に関しまして、さらに大蔵当局といたしましても、できるだけ早くこの基準を示し、そうしてその基準に従つて関係者が誠意をもつて努力すれば必ず再建できるというところのめどを、ひとつ与えていただきたい。できるならば本年度内におきましても、できるだけ政府資金あるいは民間資金、あるいはそれに対する利子補給の程度でもかまわぬと思いますが、財政上の立場をお考えになりまして、この実現方に特に大臣としての御配慮を仰ぎたいと思うのであります。  なお多少意見にわたるかもしれませんが、地方財政の規模を縮小して、節約を実行するということにつきましては当然必要であると思います。しかし今日までのやり万を見て参りますと、往々にしてわくだけ小さくすれば節約できるんじやないかというような、そういうきらいがなきにしもあらずと言えると思うのであります。私どもはやはり地方自治体のほんとうの責任、自治という立場に立ちまして、自分の力と責任において節約をし、負担の軽減をはかるということを十分強調いたしたい。それだけの余裕を与えながら節約をし、財政規模を縮小せしめるように導くべきだ。いたずらにわくだけを抑えまして小さい範囲内に押しつけて節約をはかろうということは、今日の地方制度の上からは実はかえつて効果が上らないものだと思うのであります。この点におきましても十分ひとつ大臣におかれましても御考慮になりまして、なるべく早く、実は今からいたしましてもどうせ相当時間がかからなければ計画はできないものでありまして、実際の金の交付ということはおそらく年度末ぐらいに遅れて参るだろうと思います。しかし一定の基準におきまして整理節約をいたしましたならば再建のめどが立つということは、実は今日において示しておきたいものだと思うのでありまして、この点に対しては提案者並びに当委員会全員の希望だと思うのでありますが、この点に関しましては十分大臣としても御考慮いただきまして、一日も早くこれが実行できるようお願いいたしたいと思うのであります。今日の日本の情勢におきまして、地方団体がその運営に行き詰まりを生ずるようなことがありましたならば、行政方面におきましてもまた経済方面におきましても、私どもはゆゆしい問題だろうと思います。特に来年は選挙を控えておりますので、私はこういう大事なときに地方団体が壊滅に瀕するというようなことのないように、今日においてこれを防止することは、あるいは国家財政の面からいうと御迷惑かもしれませんが、実は大事なことであると強く考えますので、特に大臣に御配慮をお願いする次第であります。
  23. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 ただいまお話になりまして、来年はこういうような事情であるから、できるだけこの法案の早く成立することを御希望になりました点は、私どもも非常にごもつともと思う次第でございまして、私どもこの法案のできることについても、大体におきましては御同感の点がありますことは先ほど申し上げた通りであります。ただ予算措置につきましては、御了承願わなければならぬのは、これは資金関係等ございまして、どうしてもこれは三十年度以降でないととりがたい。このことは十分ひとつ御了承を願つておきたいと存ずるのでありますが、法案のできますことについては今お話のような、これによつてよるべきところを得るというような意味合いからでございますれば、私どもといたしましても、全面的には私どもの希望が多々あるということは先ほども申し上げた通りでありますが、この点については決して異存を申しておるわけではございません。この点ひとつできるだけ早くやるように、私どもの方も努力いたしたいと考えておるわけであります。
  24. 加藤精三

    ○加藤(精)委員 本日当委員会大蔵大臣及び主計局長がお見えになりましたことは、いまだかつてないことでありますが、これくらい明確に地方財政再建整備法について御賛成の意思の発表のあつたことはないのでありまして、この点について関係者一同としてまことに心強く、また頼もしく感ずる次第でございます。政府当局としてはいろいろなお立場もありましようし、また細部のことはいろいろ御折衝申し上げる点があると思いまするが、政府御当局ができるだけひとつ地方財政現状を十分御同情いただきまして、県市町村は国家の子供なんでありますから、親が子供を愛するというような愛情に基いて、この問題につきましての諸般の措置をとつていただきますようにお願いをいたしたいと思います。それでごく一例を申し上げますれば、たびたびの大火災にあいました鳥取市のごときは、ほとんど歳計の二分の一ないし三分の一くらいの赤字をかかえまして、市中銀行等にはこれ以上借りられる余地がないほどでありまして、まつたく茫然自失しているほど財政が破壊直前、瀕死直前になつているようなところもあるようでございます。私たちが申し上げたいのは、府県ことに市町村のごときは国民生活の生命を守るその一番最後の責任を持つているところでございまして、これはもうそうした点から見ますと、中央官庁におられまして全国を見ておられる面におきましては、全国一万内外の府県、市町村等の地方公共団体を通ずる平均値というか、公約数的なものだけにどうも考え方、行為がとらわれがちだと思うのでございます。そうしてその中にときどき放漫財政等で指弾を受けるものもあることも存じておりまするし、あるいは身分不相応な事業をやつているところも往々にあると考えておりまして、地方行政委員の中で、長く地方行政の方をやつておられる古参の委員さんたちの中にも、何とかしてこれは事業分量の調整というようなことにも、もう少し何か策を施すべきじやないかというような意見も現にあるのです。あるのですが、この天災地変とか、住民所得の急激な減少その他で、もうまことにかわいそうな実情にある地方団体もございます。それで、黙々として働く吏員等は激務とそれから給料が貧弱なこと等のために引続いて結核になつて、悲惨な状態にあるような地方団体もあるのでございます。また大多数の地方団体は、この財政窮迫のために不要不急事業とか、あるいは経費の濫費なんかがとてもできないほど窮迫をきわめておるのでございます。そのうちに鳥取市のごとく特にひどいところもございますので、これは大事な国民を預かつている地方政庁でございますしそうした点から考えまして、特別の親心をもちましてこの地方行政委員会全員の熱烈な希望に照応して御協力をいただきたい、こういう希望を申し上げまして、われわれの心持を表わしておきたい、こういうふうに考えております。
  25. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 各委員お話を伺いましてまことによくわかりました。私どもはひとつできるだけ御協力を申し上げるところにおいて最善を尽します。いろいろまた私どもの方の事務的なこともよく申し上げましてひとつ御相談いたしまして、この法案についての御協力をいたしたいと考えておる次第でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
  26. 石村英雄

    ○石村委員 ただいまの加藤さんの御質問なり、また大蔵大臣の答弁を聞いていますと、実は私はこの国会で初めて地方行政委員会を受持つたので、しろうとであるいは見当違いな感じかもしれませんが、どうも大蔵大臣は非常に再建整備に消極的であつて、そうして加藤さんのお話は反対に哀願せられるような態度なんです。私初めて地方行政を受持つて説明を聞いてみますと、昭和二十九年度の財政計画といたしましても、塚田大臣の説明でも地方財政赤字の原因は、従来必要経費の算入漏れがあつたのだ、それを二十九年度は百四十九億あげたんだ、この赤字の原因の一つはここにあつたのだ、こういう御説明がありましたし、また吉田総理大臣名での国会の報告書を見ますと、やはりこの問題に触れておられるのでありまして、算入漏れは三百億からあるのを半分程度の百四十九億しか見ていないということが書いてある。そうすると地方財政赤字というものは、もちろん個々の市町村長の放漫のやり方ということも原因はありましようが、やはり根本的には今までの算入漏れというような政府の出任が大きく響いておるのではないか、今までの御説を聞いてみると、こういうふうにしろうと考えで判断するわけです。大蔵大臣はやはり政府に責任があるのだということをお考えになるのかどうか、この点はつきり御説明願いたいのです。もし政府の責任だとするとこれは哀願すべきことではなくて、政府の当然自分の責任において今まで算入漏れ等から赤字が起つておるとすれば、処置すべきものだ、こう私は考えるのですが、いかがなものですか。
  27. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 やはり地方財政につきまして処理いたしますことも、国全体としての財政計画等から出て来るのでありまして、従つてそれの調整方についてはいろいろやりますが、政府のみの責任とは考えておりません。また今加藤さんなりが哀願になつたとは思つておりません。お心持をお伝えくださつたので、私もよくわかつておる。こういうふうに言つておるのでありまして、さようにはとつておりません。ただ御承知のごとくにああいう調査会の答申等もありますが、しかし一方私どもとしましても、本年度税制その他について多少新しい措置を講じておりますので、従つてそういう結果をも見た上でいろいろなことを措置したい、こういうふうに考えておつたわけでありまして、ちようどここへ床次さんたちの法案も出ておるので、これについて私ども意見を述べるについては、先ほど申し上げました通りであります。私どもとしましては三十年度には実は考えたいとは思つてつたのでありますが、今年はああいうふうに制度その他をかえたものですから、その結果を見た上で原因をよく確かめて措置いたしたい、大蔵省としてはこういうふうに考えておつた次第でございます。
  28. 北山愛郎

    ○北山委員 大蔵大臣はただいまのお話でも二十九年度の予算においては、地方財政に対して相当の措置を講じているというようなお話でございましたが、どうもこれが納得ができないのです。それはおそらくタバコ消費税等を二百九十何億地方にやつたというようなことを、言われるのでありましようが、しかし同時に地方においては平衡交付金を百六十億減らしておる、それから起債を百三十九億減らしておる、それに加えてこの警察制度の改正に伴つての百億以上の財政負担が地方に重くかかつて行くというようなことを考えますと、どうも二十九年度予算において、地方財政に対して特段の配慮をしたというふうには考えられない、むしろ逆なんです。政府は本年度においては地方団体に対して財政需要額がふえておつても、それは地方団体の増税でまかなえ、あるいは経費の節約を三百六十五億もやらして、それでまかなえというふうな措置をとつているんじやないか、ですから私どもはこの点については、どうも大臣のお言葉は実際に合つておらないのではないかと思うのでありますが、その点を重ねてお答えを願いたいのであります。  それから同時にこの国会で問題になりました地方交付税の率の問題でありますが、あれは衆議院の方で法人税、所得税、酒税の百分の二十五を来年度から適用するというように修正になつたのを、参議院にまわりまして百分の二十二に切下げられた、この間自治庁と大蔵省の間には猛烈なせり合いがあつたというふうに伝えられておりますが、そのような意見の不一致があつたかどうか。またその結果として出て来ました百分の三十三というものは、地方財政の需要額というものを基礎にして、そうして大蔵大臣がこれだけは必要であるというようにお認めになつたと思うの、でありますが、その百分の二十二の基礎になつておる、たとえば入湯税の修正による歳入欠陥であるとか、あるいは直轄工事の分担金の交付公債の利子の増加であるとか、あるいはガソリン譲与税による道路費の地方財政へのはね返りであるとか、そういうようなものは来年度だけじやなくて、今年度からすでに起つて来ておる事態なのです。そういたしますと来年度において百分の二十二が適切であるとお考えになると同時に、その原因は本年にもあるわけでありますから、ただいま申し上げたような数字につきましては、本年において地方財政計画赤字になるものというふうに大蔵省はお認めになつておるかどうか。こういう点からいたしましても、さらに二十九年度の地方財政赤字がふえる、政府予算上もそうであるし、ま国会のいろいろな修正によつても赤子がふえるというように考えられるのでありますが、その点についてお答えを願いたいのであります。
  29. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 御答弁が前後するかもしれませんが、政府の方といたしましては何ら意見の不一致はございません。私どもは当初百分の二十をもつて課率としておつたのでございまするが、その後の国会の方の御審議のことで二十二とかわつた次第で、その御審議の結果を尊車しておる次第なのでございます。私ども予算として二十というものを出しておつて、その間に意見の不一致等はなかつたことをはつきりと申し上げておきます。  それからただいまのお話でございまするが、私どもはタバコ税等で三百九十二億ですか、出しておるというようなぐあいで、本年は交付税等と相まつて、相当特別な配意をいたしておると考えるのでありますが、個々のこまかいことにつきましては私も大体の数しか承知しておりませんから、あるいは政府委員より申し上げる方が適切かと考えます。
  30. 森永貞一郎

    ○森永政府委員 本年度の地方財政が楽になつたかどうかというのが第一点でございます。これは個々の数字の比較につきましてはいろいろ問題もあろうかと思いますが、総体として申して申し上げますと、二十八年度は平衡交付金で十三百七十六億円、これにかわ二百九十五億円で、一見減少いたしておりますが、それは先ほどお話にもございましたように、タバコ消費税を別に二百九十二億創設いたしておるわけでございまして、それをあわせて考えますと、事実のやりくりにつきましては楽になつておる、数字的にも楽になつておるということはいえると思います。そのほかに質的な問題といたしまして、従来は毎年々々平衡交付金というような形で、予算折価の問題としてきめられて参つたのでございますが、本年度以降は三税に対して百分の二十ないし二十二というようなことで、あらかじめ目見当がついた金額が交付されるということになつたわけでございまして、いわば自主性はそこに増加しておるわけでございます。そういう質的な面、またタバコ消費税のごとく独立税的なものが譲与されたわけでございまして、これによりまして考えますと、地方財政の自主性は相当強化せられたと考える次第でございます。なお本年度における国会修正の結果、赤字が起るのではないかという点も御指摘がございましたが、この点は入場税につきましては、国会の修正の際に、当初予定いたしました入場譲与税額を一般会計において補償する措置が講ぜられておるわけでございまして、その点に関する限りは何ら不安はないはずであります。またガソリン税等に関連して若干問題がございましたが、この点につきましても極力資金の貯蓄の増加等に努めまして起債を増額し、ないしは単独事業の調整節約等によりまして、大体穴埋めすることができるかと存ずる次第でございまして、制度的に赤字が生ずるという要素はないものと考えておる次第でございます。  来年度以降の問題につきましては、百分の二十二に修正せられました結果、これによりまして入場譲与税の減少、事業税の減税、ガソリン税等の関係の財源が補充せられたわけでございまして、もつともこの入場税の減少等につきましては、歳入見積りにつきまして若干意見の食い違いもございます。私どもはもう少し少くて済むのではないかと考えますが、その際にはそれだけ若干ながらゆとりも生ずることになろうかと存ずるわけでございまして、国会の修正によつて生じました穴は、来年度以降につきましても埋まつておる、そういうふうに考えておる次第でございます。
  31. 中井徳次郎

    中井(徳)委員 関連して。先ほどからお話を伺つておりまして、大蔵省の御意見も私わからないわけではないのでありますが、ただ先ほど大蔵大臣の御答弁の中で、今日の地方財政赤字の責任でありますが、こんなことをむし返してもと思いますけれども、これは国に責任があるとは思わないというようなお話、また森永さんの御答弁の中にありましたが、制度上赤字というものは起らないと確信しておるということであります。これは大蔵省当局としてはそういうふうにお考えになつておるのだろうと思うのでありますが、しかし私実情はそうじやないと思うのでありまして、終戦後九年間、全国の府県や市町村におきましては、きわめてまじめにやつておるものが大部分であります。大臣のおつしやる通り、多少濫費をしておる、あるいは皆さんから指摘をされるという都市とか府県もあると思います。しかしそういうことこう思うのであります。といいますのは、過去における日本全国の都道府県の赤字をよく御調査なさつてください。そういたしますと、それは公選の知事の人物によつて、同じような人吉の府県であれば、この県は非常に赤字であつてこの県は非常に黒字であるというふうなものは、ほとんどないのでありまして、客観的に、大体府県のうちでは、六大都市をかかえておるというふうなものが何とかやつて行く、しかしそれでもまだ二部教授をやつている。東北方面は二部教授をやらざるを得ないというふうな状況であります。大体において客観的にきまつている。こういう程度のものを、二流県、三流県と言つておるのであつて、いくら節約しても赤字になつておるというわけであります。この原因は、実は府県にあるのではありません。過去において、終戦後の非常な日本の移りかわりにつれまして、非常にたくさんの法令が出ました。その法令をまじめにやるということになりますと、どうしても赤字になる。しかも皆さんの御意見の中には、そういう法令は議員立法が多いというようなことなんでありますが、決してそうじやありません。私は過大のことを言うておるのでありますが、内閣提案の法令をまじめにやれば、どうしても赤字になるというのが、実際過去の実例であつたわけでございます。そこで私どもはこの再建整備法案を出すにつきましては、この間も私政務次官に申し上げたのでありますが、これは何も地方自治体がかわいいから、それを何とかしてやるというのではない、かわいいと同時にこれはしかる法案である、ここで線を引いてしつかりやり直しなさいというしかる法案である、それにはやはり国としてあめ玉を一つやつてもらいたい、そのあめ玉もそんな少々ではいけません、この辺のところではつきりした線を引いてやらなければいかぬということを申し上げたのであります。その点について、どうも皆さんの御認識は、私はさらに突き進んで申し上げますが、皆さんに直接折衝なさつている、あるいは皆さんのところへ参ります書類、これはやはり何といつても過去数十年の慣習から行きまして、何とかして赤字を出さないような報告をしよう、あるいは皆さんに直接お目にかかつて話をするような、そういう有力な人たちの属している市町村あるいは都道府県というものは、大体いい方の部類であります。実際悪い市町村などは、東京へ出て来る旅費も何もありはしません。今全国の地方公務員の大半は超過勤務手当なんかとつておりません。本俸でも一割ぐらいは返そうというような条例を岩手県あたりでつくつているとかいう話であります。このことをよく考えて同情をもつて——これは私はやはり国の義務だと思います。将来にわたつて私は申し上げているわけでございません。過去の実績である決算の結果であります。どうぞそういう面からもう少し積極的な御意見をお伺いいたしたい、かように思うのであります。
  32. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 ただいまの御意向の点もよくわかります。私どもも、やはり国としては事務の整理というものはもつと必要じやないか、それから起つていることも相当あるということも、これはお話通りだと私は考えます。しかし終戦後非常な乏しい財政の上でやつて来たものですから、そこに非常な御不満の点が多いということも、私どもはこれはまことに遺憾とする点でありますが、しかしその赤字について、私がさつき申し上げたことが、もし誤解があつたらいけませんが、私はそういうふうにまだ相当節約の余地のあるところもあるが、最初から私は赤字が起つて来るについては、相当深い関心をもつて、これは徹底的に付とかしなければいかぬと考えている、こういうことを申しておつて、今御指摘になつたまじめにおやりになつているもの——ほとんど大多数がそうであると思いますが、それに対して申し上げた意味でございませんので、この点はひとつ誤解のないようにお願いします。  なお今お出しになつている法案につきましての考え方は、先ほど申し上げました通り、私どもも大体において御趣意ごもつともと思つているのでありますが、ただ予算措置はどうかということになりますと、これはどうも本年は何ともいたし方ないので、資金的な関係は来年からにお願いしたいということを申し上げているわけであります。
  33. 中井徳次郎

    中井(徳)委員 よくわかるのでありますが、先ほどから申し上げたような趣旨から言いますと、これは早ければ早いほどいい。大蔵省の例に立つてみましても、早いほど金額も少くて済むのではないか。実はそこまで考えているわけであります。そういう意味におきまして本年予算掛詞はむずかしいとおつしやいますが、融資の面その他いろいろ関連があると思いますから、そういう点でもう一つ事務的な御答弁でもけつこうでございます。
  34. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 ちよつと私の、言葉が悪かつたかもしれません。予算措置と申したので悪かつたかもしれません。実は預金部等に最近資金がございませんので、予算措置ということは資金措置というように御了承願えば非常にはつきりいたすのでございます。
  35. 中井徳次郎

    中井(徳)委員 資金措置ということであれば、将来資金措置ができるような状態になれば、二十九年度においてもおやりくださるわけでありますか。
  36. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 ただいまの見込みではなかなかそう思いませんが、しかしこの点はそのときに至つて実情に即して考えたいと思つております。
  37. 門司亮

    門司委員 これは委員長に聞いておきますが、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律案というのが出ておりますが、これはあとで大蔵大臣に来てもらいますか。
  38. 中井徳次郎

    中井委員長 それでは日を改めて大蔵大臣の御出席を願うことにいたします。
  39. 門司亮

    門司委員 それではそのことだけ保留しておきます。今の問題でございますが、ただいま大臣にちよつと聞いておきたいと思います。
  40. 中井徳次郎

    中井委員長 大臣は午後も来ますから……。
  41. 門司亮

    門司委員 それならば事務当局に聞いておきますが、さつきの事務当局のような答弁ではわれわれ承服できない。われわれが地方財政を心配しておるということは、本年度の地方財政を見てごらんなさい。本年度限りの限時法がたくさんある。一体こういう財政の組み方で恒久的に安心できますか。ただあなたの方は本年度の予算についてこういうふうにしておるというが、大蔵省の物の考え方がけしからぬ。ガソリン税だつて今年限りでしよう。来年くれますか。法律は今年限りとなつているでしよう。そうすればそれだけ来年の地方財政に穴が明く、穴が明きませんか。こういう国の財政のしわ寄せを地方財政に持つて来ておいて、ただ数字のつじつまが合つたということで、一体地方財政が安心しておられるかどうかということです。そのほかに大体総額百八十何億くらいのものが、今年限時法になつておるでしよう。それだけのものを来年一体どこから持つて来るか。来年同じように九千六百億を地方財政が必要とするということになれば、いやがおうでも今年限りの財政処理を、来年もとらなければならない地方がある。そういう状態にあなた方自身追い込んで来ておる。もしほんとう地方財政を論ずるならば、地方で安心できるような財政を組んでごらんなさい。組んでいないじやありませんか、来年はどうするつもりですか。
  42. 森永貞一郎

    ○森永政府委員 ただいま御指摘がございました限時法の関係でございますが、限時法で本年度の財政を処理しなければならなかつたということは、私どもも実は残念に存じておるところであります。しかしただいまお話にありましたガソリン譲与税、これは限時法になつておりますが、本年度においてはこの譲与税の収入がないものとして当初の地方財政計画、交付税の税率の来年度分をきめたわけでございます。この分は自治庁当局にもお聞きいただければはつきりいたします。本年度の地方財政計画が来年度以降どういうふうに平年度化するか、それを考えて交付税をきめておるわけであります。その場合にガソリン譲与税は本年度限りということを、十分考慮に入れておりまずことだけを申し上げたいと存じます。なおその他の限時法の関係といたしましては、補助金の整理に関する法律、これは本年度約三十億くらいの財政の節約に寄与しておるわけであります。これが限時法になりましたことは残念でございます。このままの状態で推移いたしますれば、来年度はそれだけの財政需要がふえるわけでありますが、しかしこれは国会の審議の際にも御指摘がございましたように、本年度取上げました限られたる補助金だけでなくて、むしろ、もつと根本的に広汎な範囲で補助金整理の再検討をすべきである、そういう議論が強かつたわけでありまして、私どもも実は時間的余裕があれば本年度整理いたしました分以外にも、もつと広い根本的な再検討をしたいと思つてつたところとございますので、この点は御趣旨に従いまして、ぜひ来年度予算の編成の前に、根本的な整理の方法をとりたい、さように考えておる次第でございます。
  43. 中井徳次郎

    中井委員長 午前はこの程度で休憩をいたします。     午後零時五十五分休憩     午後三時三十一分開議
  44. 中井徳次郎

    中井委員長 休憩前に引続きまして会議を開きます。  この際お諮りをいたします。すなわち警察法案審議の過程におきまして、警察大学校におけるいわゆる特別講習問題について、関係者よりその実情を聴取されたいとの意見もあり、去る五月十二日の理事会においても、今会期中には呼ぶことになつてつたのであります。しかして、昨日の理事会におきましてもこの問題につき協議いたしました結果、大阪警視総監、名古屋市警察本部長及びその受講者一名を参考人として呼び、その実情を聴取することになつたのであります。  つきましては、ただいま大阪警視総田中猶一君、名古屋市警察本部長宮崎四郎君、国家地方警察警部村松榮君が出席されましたので、これより参考人としてこれらの方々よりその実情を聴取することにいたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  45. 中井徳次郎

    中井委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。これより順次その実情を聴取いたします。  発言の通告がありますから、これを許します。門司亮君。
  46. 門司亮

    門司委員 今委員長の報告のように、警察法の審議の過程におきまして、いわゆる旧特高警察的の教育を行つておるという発言が、同僚猪俣議員から行われました。その猪俣議員の発言に基いて、一応齋藤国警長官はこのことを是認いたしておるのであります。従つて、その齋藤国警長官が是認いたしました事項に基いて、われわれは、少くとも警察が憲法違反であると疑われるような行為を警察大学でやつておるという事態は、今回の警察法の改正に対してはきわめて重要な問題でございますし、従つて出然これは警察審議の過程の上において行うべきであつたと思いますが、当委員会は、直接これが警察法の各条文と総合して関連性が薄いのではないか、いわゆる警察行政の一端として見るべきであろうというようなことで、これは警察審議の過程の上においては齋藤国警長官の意見だけを聞いて、残余の実態の問題等については、これが審議をされていないのであります。従つてきようはそのことのために、今委員長の報告のように、参考人に来ていただきまして、それらのことをわれわれはただしたいと思うのであります。従つてまず私は、齋藤国警長官と猪俣君との間の質疑応答によつて現われて参りましたところの、いわゆる他人の持つておりまするもの、金庫でありまするとか、あるいはカバンでありまするとか、そういうようなものをあけることを教えているということ、あるいは信書の開封または信書の検査等について、捜査上必要があるときはこれが秘密のうちに行われているというような事態について、その直接教育を受けられました村松警部に、ひとつその教育の実態についてこの機会お話を願えれば非常にけつこうだと思います。
  47. 村松榮

    ○村松参考人 私が警察大学で教養を受けましたのは、昭和二十七年の四月初句から五月末までの約二箇月間でありました。その内容を申し上げますと、大半の約三分の二くらいは、基本教育の情報の収集の要領ですか、これに基いて学科の教養があつたわけです。それから実科、いわゆる技術関係の教養と申しますか、その種類は、尾行、張込み、写真撮影、それから超短波のやはり技術関係。それから、今後万一、捜査上あるいは情報の収集上、のりを張つたやつをはがしてそれを見る必要がある場合を仮定いたしまして、それのはがし方。いま一つはカバンのかぎのあけ方でありますが、これもやはり、カバンの中に、ダイナマイトとか拳銃とか、あるいは不当の破壊活動分子の何か印刷物でもあるかというような場合を仮想いたしまして、万が一そういうことがあつた場合には参考になるのではないかというふうにこしらえたわけで、これは協力者というのが前提になりまして、協力者の持つて来たもの。それから、協力者が、この中には多分拳銃が入つているのではないか、だからあけてみてくださいというように、協力者の管理に属するものは協力者の承諾を得てあける。いやしくも法律に違反してまでもそういう情報の収集というものをしてはいかぬということを強く注意を与えられまして、そうしてこの講習があつたわけですが、その中で時間的に一番多いのが尾行、張込み、写真、それから超短波技術ですが、これもしろうとでありまして、時間が大分かかりまして、そういうのりのはがし方とか、カバンをあける方法等については、大体四時間か五時間、多くて六時間くらいの短期間でありましたので、身につけて帰ることがなかなか困難でりました。そこでこの方法を実際やつているかどうかという問題でありますが、これは協力者というものはございますが、その協力者に直接来たものを協力者が封を開いて、それからこちらへ情報を提供していただくので、帰りましてからそういう場面にぶつかつたことがありませんので、現在使用しておりません。
  48. 門司亮

    門司委員 今のお話、非常に要領のいい答弁でありますが、われわれのふに落ちないのは、今言われておりまする協力者という人であります。この協力者というのは持主でないことははつきりいたしております。従つて第三者であることに私は間違いないと思う。そうすると第三者が警察に、この中に何が入つておるか見てもらいたいというようなことを届出ることは私には考えられない。この今言われた協力者というのは、所持者であるかあるいは第三者であるか、これは特高の今までの行き方としては非常にむずかしいところであります。あなた方は協力岩と言われておりますが、この協力者というのは何をさすのであるか、はつきりしておいてもらいたい。
  49. 村松榮

    ○村松参考人 協力者はいろいろございまして、その協力者が持つて来た場合、もし万一そういうことがあるのじやないかということでありまして、そういう仮定を予想して習つたのでありまして、そういうことがなければやはりできないのであります。しかしそういう協力者が持つて来た場合があるかどうか、そういうところには遭遇いたしませんので、この点は、協力者が見てくださいといつて進んで持つて来た場合に、あるいはやる場合があるのじやないかというふうに教えられたわけであります。
  50. 門司亮

    門司委員 どうもその協力者という意味がわからないのです。協力者が他人のものを黙つてつて来れば窃盗罪です。警察がこれに協力したということになれば警察も共犯だということになります。その点はもう少し明白にする必要があると思います。  それからさらに聞いておきたいと思いますことは、文書の問題でありますが、文書の秘密は公開することができないということは憲法にはつきりいたしておりまするし、同時にあなた方の方もよく御存じだと思いまするが、昭和二十八年一月二十九日付で郵政大臣官房文書誤長の名前で内閣法制局第一部長にあてた「通信の秘密に関する疑義について」という文書を読んでみますと、たとえば文書を開封するということは、これはもちろん秘密に属することでございますし、同町に行先あるいは差出人というものを調べるというようなことについても、これは明らかに違反行為である。いわゆる郵便法第九条の違反に該当するものであるということが内閣法制局から答弁されておるのであります。しかしこの間の齋藤君の意見を聞いてみますと、文書等に対しても、捜査の必要がある場合は、これを開封して中を見たり、あるいは現実に起つておりまする問題としては、ある特定の文書の配付先等について、警察官が取調べたという事実がたくさんあるのであります。これらの信書の秘密に対することを知り得る手段としては、一体警察大学ではどういうことで教養をされておるのか、その詳細を、ひとつありのままをお教えを願いたいと思います。
  51. 村松榮

    ○村松参考人 警察大学で私が教わりましたのは、信書とかそういうものではなく、内容から見てこの中は間違いなく機関紙である、そういうことを協力者の方でわかりますので、協力者が持つて来た場合にあけるのであつて、信書の秘密を侵してまでもあけてはいかぬというふうに、強く言われて教養を受けたのであります。
  52. 門司亮

    門司委員 どうも私にはわからぬのですが、たとえばこの内容は機関紙である、その機関紙も、われわれから考えて、ごく善意に解釈して参りますると、発行停止になつておるものである、配付してはならない書類である、たといそうでありましても、郵便法から行くならば、中に包まれております以上は明らかな信書であることに間違いない。そこでこれを協力者が持つて行くとすれば、その協力者は郵使物に関しては郵便局の局員だと私は思う。局員にはそういう権限もなければ、またそういうことを局員が犯したとすれば、郵便局の局員みずからが自分の商売の違反を犯しているということであつて、そんなことは私は想像できない。われわれが聞きたいのは、たとえば信書の秘密にいたしましても、協力者があつてと言われておりますが、その協力者とは一体だれであるかということである。この協力者は表面は郵便局におりまする局員であつても、あるいは警察のスパイであるかもしれない、そういうことが言えるかもしれない、こうなつて来ると非常に大きな問題だと思う。郵便局の中にも警察のスパイが入つてつて、中をひつかきまわしておるということになると、まつたく暗黒の社会にならざるを得ない。だから今お話のように、郵便局の中におる協力者が持つて来て、これはどうもおかしい書類であるから見てくれという場合は見るということになれば、これは郵便局の中にスパイがおるということになる、とんでもないことである。そういうことをあなた方が御想像なさつて教育を受けられたということに間違いございませんね。
  53. 村松榮

    ○村松参考人 郵便に関するそういう協力者はございません。私の言う協力者は郵便配達というそういう使命を帯びた人に対してはこれは当然違反になりますので、それ以外の協力者から、あて名もなく、発送人の名前もなく、協力者が持つて来たものを、協力者の承諾を得て、これは中にこういうものが入つておるからあけて見てくれと言われた場合に、あけるように教わりましたので、この線でもつて教養を受けたということであります。
  54. 門司亮

    門司委員 どうもおかしいのです。あて名もなければ行先もないというのはこれは信書ではないと思う。これは郵便法違反にもならない。信書でないものは一体そうした郵便法に触れるものであるかどうか、個人の持つております書類自体は、何もそういうことはないと私は思う。もしそれが他人のものであるとすれば、その協力者はどこからそれを持つて来たか、他人のものを持つて来れば窃盗でしよう、窃盗に協力する警察も共犯である、その点が私にはどうしても了解ができない。協力者々々々と言われておりますが、たとえばカバンにしても、郵便物にしても、協力者とはたれかということです。協力者がカバンの持主である、あるいは手紙の持主であるということになれば、その協力者は本人自身です。本人と協力者が違うということになれば、何らかそこにあやがなければならぬ。あなたは協力者々々々と言われるが、どうも私どもにはわからないのですが、一体協力者とはだれであるか、純然たる第三者であるかどうか。
  55. 村松榮

    ○村松参考人 その協力者は——これはちよつと質問の要旨が、郵便法によるところの郵便のようにのみ込んでおつて、私に聞かれておるような気がするのでありますが、私の言うのは郵便ではありません。協力者は自分が他人から預かる、それを保管を依頼されるという、そういうものであつて、これは当然原則としてもう発送人も何もないわけです。協力者はちやんとその場所を知つておりますし、人間はわかつておりますから持つて来るのでありますが、そういう協力者にこちらに協力していただきまして、それで承諾を得てあける、そういう場合もあるだろうから、万が一あつた場合には、それが参考になるか、のりの開き方はこういうふうにしたらいいんじやないかというふうに教授を受けたわけであります。
  56. 門司亮

    門司委員 私はその点は一向まだわからぬのですが、齋藤君のこの間の答弁を聞いてみますると、猪俣君から質問されておりまする、要するに封書のあけ方等をやつておるということが言われておる、ところがその封書のあけ方等についても、齋藤君は、できるだけやはりそうした犯罪の行力を探す必要があるということのために、ある程度そういうものの秘密を知る必要があるから、そういうことを行つておる、こういう答弁をなされておる。そういたしますと今のあなたのお話を聞いてみますると、それはおそらく依拠された者が警察に持つてつて、中にどういうものが入つておるか見てくれということで持つて行くとは、私にはどうしても考えられないのであります。これは警察のスパイでもない限りにおいては、共産党あるいは社会党の中にそういうスパイがいるかもしれない。あるいは警察がスパイを入れておいて、そうして化けてその党員になつておる、あるいはその組合員になつおる。そうしてこういう書類がお前のところに来たら警察にそつと密告せよということを教えられて、そうしてこれが行われておるということになれば、これは警察自身が暗黒社会をこしらえる一つの大きなことをやつておる、単に共産党だけとは限らぬ、いずれの政党、いずれの団体にもこういうことは適用されると私は思う。いわゆる反政府的の考え方を持つておる者あるいは同じ政党であつても、ある場合においては警察権を利用して自分たちの考えておることを達成することのためには、他人の秘密を知ることのために、そういうスパイ行為が平気で行われるということになつて参りますると、これは明朗な警察行政でなくなつて来る。われわれはそういう警察行政を非常に恐れておるから問題にしておるのであります。従つてそれならあなたの言われる第三者というものは、要するに一つの団体に所属しておる者が、警察協力し得る立場にある者だと考えてさしつかえございませんか。
  57. 村松榮

    ○村松参考人 協力者はやはりいろいろありまして、普通の一般の何でもない人もあります。それから団体に入つておる人もあります。それはやはり一様にこれであるという限定はできないと思います。
  58. 門司亮

    門司委員 今の御答弁、これはあげ足をとるようでありますけれども、最後まで聞いておかぬと安心ができないから聞くのでありますが、いずれの団体にも協力者があるという話でありますが、警察当局はいずれの団体にもそういうスパイを入れておるのですか。
  59. 村松榮

    ○村松参考人 いずれの団体とは申しません。それはいろいろ場合によつてありまして、いずれの団体ではなく、一般の人もあれば団体の人もありますと申し上げたわけです。
  60. 門司亮

    門司委員 そういう水かけ論をいつまでしておつても始まらぬと思います。それでこの間問題になりましたのは、名古屋その他等で、こういう郵便物その他の事件がいろいろ起つおるという話も聞いておりまするし、それから国警の——国警というよりもむしろ今日の警察大学の所管が国警にありまする関係から、警察大学におきまして主として国警の諸君が教養をいたしておるわけでありまするが、その教養を受けて帰つて参りましたいわゆる今日の幹部級の警察官を最も多く持つておいでになり、問題になつておりまする名古屋の警察隊長さんに一言お聞きをしておきたいと思いまするが、名古屋あるいは大阪等におきましては、こういう教育を受けて帰りました警察官の教養というものは、ただちにこれが全警察官の一つの教材として利用されておるかどうかということであります。いわゆる幹部の諸君警察大学に行つて教わつて来たことは全部の警察署員が、やはりそういう者の指揮命令とは言わないかもしれませんが、結局指導を受けておりはしないかというようにわれわれ考えられるのでありまするが、そういうことがあつたかなかつたかということを一応聞いておきたいと思います。
  61. 宮崎四郎

    ○宮崎参考人 私の方では昨年の春以来、一回そういう御慫慂があつたのでありますが、入つてつて来た者の報告を聞きましたところが、意外なことがあるので、私の方としては、そのことだけ忘れてしまえ——創設以来非合法は一切やつてはならぬということにしてありますので、そういう点は一般警察の中には全然知れておらぬわけであります。私は上司である関係で知つておるわけであります。また一般の普及の、大学校の教育において教養を得ましたものは、できるだけ下部に徹底するようにしておりますが、この大学において行われた講習と申しましても、これは特別な講習であります。結果を聞いて非常に心配になることがありましたので、私のところに関する限りは御本人だけでとめておるのであります。御本人と課長と部長と私より以外の者は関知しないと考えております。
  62. 中井徳次郎

    中井委員長 どうです、その点について大阪の警視総監の意見を聞いたら……。引続き大阪警視総田中猶一君。
  63. 田中猶一

    田中参考人 実はこの問題は私はこの二月の末ごろに東京に来ましたときに、こういうことがあるということを耳にしたのでありまして、手紙の開封というような重大な問題を含んでおりますので、帰りましてただちに部内の講習を受けた者を、直接ではありませんが、警備課長を通じて調べたのでありまして、たしか六回で十二人でしか、講習を受けておる。ところが帰りまして、現にそういう手紙の開封等をやつておるかということが問題でありますので、詳しく調べたのでありますが、絶対にそういうことはやつていない。帰りましてから、もちろん中央で講習を受けました必要ないろいろな問題については、部内でまた講習をやつておるのでありますが、信書の開封の問題とか、そういつた問題については、一切講習もいたしておりません。
  64. 門司亮

    門司委員 今まであの国警の講習をじかに受けられた警部のお話を聞いておるのでありまするが、お話によりますると、この協力者という人の範囲が、われわれにはどうしても納得できないのであります。従つて名古屋の警察長並びに大阪の警視庁の責任者のお話によりますと、やはり信書その他の開封だと言われておりますが、もしここで御発表ができますならば、ひとつその信書とは一体いかなるものを指しているのか。それから今国警の諸君が言つておりますように、協力者というのは、手紙を配達することを依頼された人、そういう者に限られているのか、あるいは一般のこれが信書であるというように解釈していいのか。その点がもしおわかりでしたら、さしつかえなかつたお話願いたいと思います。
  65. 田中猶一

    田中参考人 私はその手紙の開封の仕方というようなことを、技術講習として受けているということは聞いておりますが、しかしそれをこまかくどういう場合にはさしつかえないが、どういう場合はいかぬということまでこまかい講習を受けたかどうか、そこまで私は知つていないのであります。
  66. 中井徳次郎

    中井(徳)委員 ちよつと簡単にお尋ねいたしますが、講習を受けたということでありますが、その講師はどんな人ですか、日本人ですか。
  67. 村松榮

    ○村松参考人 講師は国警の本部の幹部の方であります。
  68. 中井徳次郎

    中井(徳)委員 その人たちは戦争前からずつと十長く勤めておつた人たち場、か。あるいはおそらく私想像いたしますのに、外部の人で特にそういう技術がある人で国警の嘱託になつているとかいう形の人でないかと思いますが、その辺のところ、はつきりした名前は承らなくてもけつこうですが、伺いたいと思います。
  69. 村松榮

    ○村松参考人 私は地方におりますので国警の中央の人の経歴とかいうことはよくわかりませんが、特別に外部から嘱託として来たという方には教わつておりません。全部現職の方であります。
  70. 中井徳次郎

    中井(徳)委員 全部現職の人ですか。実は私知つとるんだ。そういう信書をあけたりなんかする技術にたけた人。それから戦時中に金庫をあけて歩いた人も実は知つている。今警察官ではありません、その人たちは。また現にそれを商売にしている人も私は知つとる。それは方々で金庫があかないようになると、その人に頼みに行くとすぐあけてくれるというので。実は私の選挙区にもおります、それを商売にしている人が。ですからそういうことで私はお尋ねをしたいと思つたの、ありますが、これは私はけしからぬとかけしからぬことでないとかいう前に、そういうものと警察の結びつきその他を伺つておきたいと思つたのですが、あなたのお話によると、現職で警察官の職にある人から教えられた、こういうことですが、この点は確かですね。
  71. 村松榮

    ○村松参考人 私の教わつたのは先ほど申し上げた通り、金庫のあけ方は教わつておりません。ただカバンの簡単なやつを、万が一こういうときがあつた場合に、あける方法がある。しかしそれもなかなか技術がやはり不徹底でありまして、そういううでのいい人から教わればよくわかつたと思いますが、私現在もそれはできません。そういう状態でありますので、カバンもできませんが、金庫なんというああいう精密なやつは、私のときには指導を受けませんでした。
  72. 中井徳次郎

    中井(徳)委員 そういたしますと、講習を受けてもあまり効果がなかつたようなことになるのでありますが、想像いたしますのにそれの教え方が相当科学的なものであつたかどうかということを伺つてみたいと思います。一つの個人々々の芸であつて、いわゆる面伝というようなものではなくて、一般的な科学的なものであつたかどうか。この点を最後に伺つておきたいと思います。
  73. 村松榮

    ○村松参考人 その方法につきましては、やはり他言をしないことになつておりますし、今後の捜査上も支障を来しますので申し上げられませんが、これは科学的な方法ではございません。
  74. 中井徳次郎

    中井(徳)委員 科学的な方法じやないのですか。それじや一向につまらぬ。わかりました。
  75. 石村英雄

    ○石村委員 村松さんにお尋ねしますが、あなたが講習を受けてお帰りになつたときの勤務地はどこなんですか。
  76. 村松榮

    ○村松参考人 私の勤務地は埼玉県の国警の本部であります。
  77. 石村英雄

    ○石村委員 講習を受けてお帰りになりまして、あなたどういう地位の方か存じませんが、上司にこうした——まあこの問題はいかに詭弁を弄しましても、憲法違反という問題を含んでいることですが、上司に報告をされたかどうか。その点をお尋ねします。
  78. 村松榮

    ○村松参考人 ただいまここで申し上げた通りの事実を、やはりそのまま報告しております。
  79. 石村英雄

    ○石村委員 さつきの御説明で、まだそういう事例にぶつかつていないというようなお話つたんですが、報告をされたのだが、結局そういうことをしてはいかぬ、大阪や名古屋の本部長さんのような御注意を受けられなかつたと思うのですが、その報告をさらに県の隊長を通じて県の公安委員会に報告するというようなことが行われたかどうか。公安委員会でこういう講習が行われているという事実を知つているかどうか。あなたの方でおわかりになればお答えを願いたい。
  80. 村松榮

    ○村松参考人 やはりその限度というものは法律の範囲内においてやるので、これは法律を犯してまでやつちやいかないということが原則になつておりますので、その通り報告いたしましたが、その上部隊長あるいは公安委員会に報告したことは私は知つておりません。
  81. 石村英雄

    ○石村委員 別に注意をお受けになつたことはないのですか。法律を犯してはいかぬという条件はついているようですが、それについて何かこういうことをおやりになる上の注意のようなことは、上司からあるいは公安委員会からあつたかなかつたか明らかにしていただきたい。
  82. 村松榮

    ○村松参考人 教わつたことについては、やはりただいま申し上げた通り法を犯してはいかぬというのでありまして、これは報告をして注意は別に受けませんでした。
  83. 門司亮

    門司委員 今の中井君、石村君等の御質問に関連してでありますが、話を聞いておりますと法を犯してはならない範囲でということになりますと、信書の秘密を犯してはならないということは法にはつきり書いてある。憲法にはつきり書いてある。法律違反どころでなくして憲法違反であることは間違いない。そうすると実際できないということになる。法を犯さない範囲で、信書の秘密を暴露しようといつてもできない相談だと思う。だからそういうことを言つてもらつちやいかぬ。事実上教わつたこと自身が法に触れてはならないということであれば、最初からできないということになる。他人のカバンです。本人のものなら別です。それから遺失物その他で、中からへんな臭気を発するとか何とかでやむを得ざる場合であつて、公開に警察官立会いのもとでやろうといえばこれはまた別の話です。ところがそうじやないでしよう。あなたの言われる協力者というものは、カバンを持つて来たところで持主でないことは明らかである。持主でない者が他人のものを持つて来て、それであけてみることがどうとかこうとかいうことについては、私はどうしてもあなたの言うことは考えられない。結局あなた方のおやりになつておりますことは、法律に触れてはならないということは、見つかつてはならない、見つからないようにやれということなのです。そうなんでしよう。見つかつたのでは法律に触れるに間違いないから、従つて見つからないようにこれをやるというスパイ行為であることに間違いがないと思う。同時に往年の特高警察的の行き方に間違いがないと思います。私はこの点を心配しておるのであります。先ほどから申し上げておりますように、もしこういうことが平気で行われることになりますと、まつたく暗黒の社会になる。いつどこでだれがどういうことをやつておるかわからなくなつて来る。私どもはもう少し聞いておきたいと思いますが、もしあなたでおわかりにならなければわかるように、この問題だけは私たちは明確にしてもらわなければならないと思います。何度も繰返して申したようでありますが、その協力者というのは、たとえば、手紙なら手紙の持主ではないということ、いわゆる依頼を受けた人であるかもしれないが、その手紙の主人公でないということだけは確かなんですね。
  84. 村松榮

    ○村松参考人 それはもしそういう場合が万が一あるかしれぬというのでありまして、あるいはその協力者の所有である場合もあります。それからほかのものを保管された場合もあります。
  85. 門司亮

    門司委員 どうしてもその点がわからないのですが、つまり自分のものなら自分であけるにきまつておる。何も警察に持つて行く必要はない。これを没収するということなら、まだそこに多少の考え方が出て来る。しかもそれを一度見ておいてまた封をして先に持つて行く。これは明らかに途中で盗み読みをすることに間違いない。これは信書の秘密だ。信書の秘密を犯したということになる。もし信書の秘密を犯すことを協力者がやつたということになると、第三者も共犯だ、はつきり私はそう言えると思います。だから共犯までも犯して信書の秘密をあばこうとする人は、これはそういうことがあり得るかもしれないからというお話でありますが、私はあり得るとするならば警察自身が違反だからやめなさいというのはあたりまえだ。警察みずからが罪を犯させるようなことを平気でやつておるのは、何か品的がなければできないことでしよう。警察みずからが犯罪を構成させ、犯罪をやらせておる。そういうことではここではぐあいが悪い。あなたは国警の人であるから、あるいは国警のことを言つてはどうも悪いというようなお考えで、極力これをかばおうとされておる、その気持は私もよくわかる。わかるがそれではわれわれが聞いておることの解明はできません。今問題になつておりますように、警察が住民の手の届かないような国家警察になり、日本がいわゆる警察国家にまたなろうとするとき、日本の国民は過去の警察制度の陰険さというものには恐れをなしておるのです。それが再びここで繰返されることになつて参りますと、これは実にゆゆしい問題でありますから、われわれは心配して聞いておるのである。あなたも一個の警察官の立場として、みずから罪を犯すことを肯定するようなことは言えないはずだと思う。他人の信書を他人が持つて来たものを、警察があけて読んで、また封をしてそのまま送り返させるというようなばかげたことはできないはずだ。第三者が持つて来れば、それはさつき申しましたようにあけて見ること自身が違反だ。そういうことをしては困るといつて、送り届けさせるのがほんとうだと私は思う。さつき私が読みました法制局の回答によりますと、信書の中でなくとも、たとえば上書きであつても、これは一つの信書に含まれたものである。その行先をみだりに他人に知らせることは、やはり一つの信書の秘密である。中に書いた文章だけが信書の秘密ではないのだという解釈ははつきりしておる。こういうことが平気で行われておりますから、この機会委員長に了解を得たいと思いますが、警察官がそうした信書の秘密を犯す段階の前提条件として、新聞その他で非常に大きく伝えられておりますように、警察官が手紙の行先を調べた事例がたくさんあるのであります。高知県に二箇所、島根県、神奈川県、群馬県、群馬県は二箇所であります。これが今日まで新聞その他でわれわれの知り得ております警察官が特定文書の行先等について、あて名その他を郵便局において、あるいは郵便を配達しております諸君について調べた事実なのであります。この事実は新聞その他でわれわれは知り得たのでありますが、幸いここにこれに直接の関連を持つ神奈川県の郵便局に籍のあります全逓信従業員組合神奈川県地区本部執行委員長内田欽三君が傍聴に参つておりますので、そう長い時間は必要ないと思いますが、一応これら新聞に書いてありますことが事実であつたかどうかということの裏づけを、この機会にいたしたいと思いますので、委員長においてそのようにおとりはからい願いたいと思います。
  86. 中井徳次郎

    中井委員長 了承いたしましたが、それに先立ちまして、わざわざ大阪、名古屋から総監、及び本部長が見えておるのでありますから、この際すでに決定された参考人についての御質疑があるならばお進めになる方がよいと思います。  なお申し上げますが、本日は本会議があるのでありまして、それには重要法案が提案をされるので、記名投票が行われるわけでありますから、もしそれが始まりますと、自然皆さんの退席が必要になるかもしれません。それゆえ御質疑につきましては、ひとつ簡明に要領を得ておやりになることが必要かと思います。西村君。
  87. 西村力弥

    西村(力)委員 村松さんにお尋ねいたしますが、あなたが警察大学に入学なさるときに隊長からどんな話がございまして入校せられたか。埼玉県の国警の隊長からどういう話があつたか、これについてお尋ねいたします。
  88. 村松榮

    ○村松参考人 私は受諾する前にお話があつたのは、警備情報収集について講習があるから、行つて受講してもらいたいというふうに私は聞きました。
  89. 西村力弥

    西村(力)委員 宮崎さんと田中さんにお伺いしますが、この前の委員会における齋藤国警長官の答弁では、この講習に出る場合には、このような警備活動一般に適する人間を選んで来るようにということを事前に話をして、適任者を選んで来ているのだから、このような技術講習をやつても決して法律を犯してやるような心配はない、こういう答弁をしておる。確かにそのようなぐあいに事前に話合いがあつて、それでは何々を受講させよう、こういう手続をとられましたかどうか。
  90. 田中猶一

    田中参考人 事前にこういう計画の内容はもちろん詳しくないのでありますが、科目、時間等書面で連絡がありまして、そうして割当が大阪市警から第一回は何名、こういうのであります。それで警備関係の警部、警部補が出席するのだと思いますが、そのうちの適任者を出すようにということで、私どもとしては警備に限らず、刑事その他各種のこうした講習がありますので、その前例にならいまして、その中から大体優秀な者を順次講習に送つた次第でございます。
  91. 宮崎四郎

    ○宮崎参考人 私の方では東京で警備のための特別講習があるから、人を派遣しないかということなので、こういう者が適任だと思うからどうだということで、私どもの方で非常に適任だと思つて派遣したのでありますが、行つて、検討会というのがあります。やつておるうちにいろいろ検挙報告をしたり、いろいろな会合があるようであります。そこで他のところから来た人が気負い立つて私の方から参りました者がびつくりするようなことを、平然と誇らしげに話をしておられるので、びつくりして、私の方から参りました者は、今までうちでは一切非合法をやつてはならぬというので、そのつもりでやつてつたところが、今度来てみて私は驚いた。こういうことでは警察官の信念として、どうも私は警察官をやれぬようになるような気がするということを言つたらしいのですが、おいでになりました某幹部はお前何を言うかということがあつたように聞いております。その後私の方の課長に、名古屋から来ておるのは赤ではないかということまで、言われたそうであります。私としてはりつぱな日本の警察官が変な目で見られるようにまで、何か偏向して考えておられる考え方が、将来の警察に非常に問題になるのじやないかというように考えております。
  92. 西村力弥

    西村(力)委員 この講習を受けられまして、村松さんお帰りになりましてこの技術について他の人々にこれを伝授する、こういうようなことがありませんでしたか。
  93. 村松榮

    ○村松参考人 他の人にこれは伝授をしてはいかぬというように、かたく禁じられておりましたのでだれにも伝授しておりません。
  94. 西村力弥

    西村(力)委員 先ほど協力者について非常にあいまいな御答弁でございましたが、この協力者には一般人も、あるいは組織人もおる、そういうことでございましたのですが、そういう人々はそれは協力者である限り、今までも相当いろいろな点において協力をしておられたと思う。それはやはりこういう信書の秘密を侵すまでに至るようなものでなく、聞き込みとか、こういう点だけにとどまつておるのでありますか、そのほかにどういう協力を求めていらつしやるのか、それはお互いを通じての協力者であるのかどうか——私は協力を受けようとする形であると思いますが、いかなる形の協力が行われておるか、さしつかえない範囲において御答弁が願いたい。
  95. 村松榮

    ○村松参考人 現在協力者から情報を提供していただいているのは、本人に来た情報あるいはほかのいろいろな状況とかいうものを、本人から直接聞いております。
  96. 西村力弥

    西村(力)委員 こういう信書の秘密を侵したり何かする技術を講習するのは、法律に違反しないというぐあいに、その範囲内でとか、いろいろ齋藤国警長官は答弁なさいましたが、その受講の報告を聞かれた宮崎さん、あるいは田中さんはこういうことはいかぬというわけで、これをとめられた、こういうわけでそこに明らかに法解釈上の立場が相違をしている。われわれももちろんどんなぐあいにりくつをつけられましても、このことは決して認められる限界内ではない。かように思うのでございますが、そういうぐあいに判断せられた宮崎さんとか、田中さんの見解——どういうわけでこのことは本人だけにとどめて、また本人も忘れろというぐあいにまで強く指示されたのか、この点について伺いたい。
  97. 田中猶一

    田中参考人 手紙の開封ということは、これはいわゆる信書の秘密に関係する重大な問題になつておりますので、そういうようにさらにこまかく検討して、いい場合、悪い場合というふうなことを考えないで、全般的に申し上げた次第でございます。
  98. 宮崎四郎

    ○宮崎参考人 開封の問題につきましては総監と同じでありますが、信書を入手するために家屋に侵入するということがあるようであります。そういうように聞いておりますが、そういたしますと、憲法上逮捕、捜査等につきましては支障があるはずでありまして、そういう点で憲法違反になるのではないかという疑いと、もう一つは警察法の第一条にも、憲法の九十九条にも義務が課せられておるように思うのであります。そういう点で非常に私疑問を持つたのであります。
  99. 西村力弥

    西村(力)委員 田中さんにちよつとお伺いしますが、そうしますと、やはりあなたは齋藤長官の言われるように、信書の開封も法に触れない場合があり得る、そういうように考えられたかどうかお伺いいたしたい。
  100. 田中猶一

    田中参考人 私がそういうことを申したのは、別にそのような区別をしなかつたわけです。先般新聞によりまして齋藤長官の答弁を見ましたが、その点まだ詳しく検討していないのであります。
  101. 西村力弥

    西村(力)委員 村松さんにお聞きしますが、その道のべテランが一緒に集まられて、いろいろ警備活動のことについて講習を受けて、相互に検討したわけですが、その場合においてあなたはやはりこの講習に来て、今まで知らぬことをよけい覚えたとか、まつたくこれはすばらしいというようなぐあいにお感じになられたか、それともこんなものは陳腐だというぐあいにお感じになられたか、どうですか、その点あなた自身はどういうぐあいにお感じになりましたか。
  102. 村松榮

    ○村松参考人 私はやはり講習を受けまして、情報の収集の要領、これはその知識とかあるいは世界情勢とか、国内情勢というものの知識を得たので、ためになつたと思つて帰りました。
  103. 古井喜實

    ○古井委員 三人の参考人の御意見を伺つて問題になつた点が、なべて二つあるように思つたのです。つまり協力というものが御説明では明瞭でないという点に疑問が残つたようであります。そこでこの協力者という観念は、これは警察大学校で講習したときに、協力者という観念を用いて教えたのですか、どうですか。協力者という観念を用いて、協力者が持つて来たものに限つて調べてもよろしいのだというわけで、この観念を大学校で示して教えたのであるかどうか、これが一つの点であります。それから聞きましよう。
  104. 村松榮

    ○村松参考人 先ほども申し上げました通り協力者がのりで張つたやつを持つて来て、それも中味は当然機関紙である、従つてこれは信書ではないというふうに予想いたしまして、そうして協力者の承諾を得てあけることがあるのではないか、今後いろいろの情報活動というようなものの必要ができまして、そういう場合に立ち至ることがあるのではないか、そのときにはこういうふうにしたらいいじやないかというふうに仮定して教わつたわけであります。
  105. 古井喜實

    ○古井委員 そこでどういうものが協力者かということを教わつたかどうかということを聞いておるのです。協力者という観念を用いて教わつたかどうか、またどういうものが協力者かということを習つたかどうかということだけを聞いておきたい。
  106. 村松榮

    ○村松参考人 協力者のことにつきましては今も運営しておりますので、具体的なことは申し上げられません。
  107. 古井喜實

    ○古井委員 言いにくいということですか。そこで協力者が持つて来たら、それは協力者の判断で、こちは何も判断しないであけてもいいもの、こういうふうに協力者の判断通り警察は調べていいのだ、こういうふうに習つたわけですか。
  108. 村松榮

    ○村松参考人 それは協力者のみにまかせておかないで、こちらでも手ざわりとか、あるいはそういう協力者の言動と、両方検討してやる場合もあるだろうというふうに教わつたのであります。
  109. 古井喜實

    ○古井委員 そうするとこれは協力者の判断に絶対的に従うという意味ではない、将来警察職員の方でも判断して扱うということですね。
  110. 村松榮

    ○村松参考人 重点はそういうことであります。今日その協力者は大体わかつておるわけであります。この内容は何であるかということは、もう託されておりますのでわかつております。それとやはりこちらの検討を加えまして、そういうことをやるときがあるのではないかということで習つたわけであります。
  111. 古井喜實

    ○古井委員 国警の方の御説明と大阪の警視総監、名古屋の本部長の事重大であるという判断との間に食違いがあるということが第二の点であります。そこで一つ伺つておきたいのは、事重大であると思つて、自分の管内ではやるなということは命じておるというのですが、そのことを国警の長官あるいは国警の幹部、警察大学校の責任者に、こういうことは事重大だからやらないようにしてくれというようなことを意見を述べたことがありますかどうですか。
  112. 宮崎四郎

    ○宮崎参考人 私の参つたのが昨年の春、二月から三月にかけての講習であつたと思います。その後五月ごろであつたかと思いますが、自警の会議がありまして、そのとき東京に参りましたので、山口警備部長のところに行つて、お前のところではとんでもないことをやつておるが、おれのところはおれがおるから大丈夫だということを申し上げただけであります。
  113. 古井喜實

    ○古井委員 国警の人に意見を言つた以外に、外部の者に今日までの間に、こういうことがあつたということを漏らしたのではないかということをしきりに世上で伝えられておる、つまり国警、自治警のどろ試合ではないか、こういうことを疑われておる。そこで一体名古屋の本部長あるいは大阪の警視総監はかかる事実があつたということを、国警の者にはとにかくとして、外部の者に漏らしたことがあるのかないのか、これは警察全体のために私は伺つておきたいような気がするのであります。この点を責任を持つたお答えを願つておきたいと思います。
  114. 宮崎四郎

    ○宮崎参考人 私は現内閣の閣僚二人、最高検察庁の最高首脳二人、自由党の最高幹部二人に申しました。
  115. 田中猶一

    田中参考人 私はこの問題は、行き過ぎであつてもやはり内部の問題でありますので、内部的に処理するのが適当と考えておりますので、私の口からは外部のだれにも漏らしておりません。
  116. 古井喜實

    ○古井委員 そうすると大阪の警視総監は、このことは外部の者にだれにも口外したことがない。それから名古屋の隊長は、今お話なつた閣僚二人、最高検察庁の幹部に二人、自由党幹部に二人、その六人だけに話した。そうするとそれ以外にはもう絶対にお話なつたことはない、もう一ぺん念のためにこれは確めておきたいと思う。
  117. 宮崎四郎

    ○宮崎参考人 私が具体当に申し上げたのはただいまの通りであります。そのほかに戦前の特高にもひとしいようなことが行われておるようだという意味におきまして、国家公安委員にも申し上げた、その他一、二の代議士にも申し上げた、これはきわめて抽象的であります。ただいま申しましたように戦前の特高にもひとしいようだという意味では申し上げた。
  118. 古井喜實

    ○古井委員 最後にそれでは新聞に出たごときことは、さきにお話なつた人だけに限つてあなたはお話なつた、それ以外には絶対にお話にならぬ。つまり新聞に出た出所が、もしあなたのルートからありとすれば、その六人以外にはないとこれは確言できますか。もしそれ以外のルートであるとするならば、あなた以外の者から出ているということを確言できますか、どうですか。
  119. 宮崎四郎

    ○宮崎参考人 私はどこか他のソースから出ておるものと考えております。
  120. 門司亮

    門司委員 きようはあと内田君もせつかく来ておりますが、きわめて、重大な本会議がございますので、この程度で一応散会を願いたたい思います。  それで今の、質疑応答からいいましても、どうしても国警の長官に来ていただかなければ、話の食い違いが相当あるようであります。従つてこの次の委員会にひとつぜひ国警の長官を呼んでいただきたいと思います。内田君にはきわめて気の毒でありますが、機会がございますならば、この次にひとつ譲つていただきまして、本日はこれで一応散会をしていただくことをお願いいたしたいと思います。
  121. 中井徳次郎

    中井委員長 門司君の御発議につきましては、いずれ理事会に諮りましてこれを決定いたします。  なお参考人の方々にはお忙しいところ、遠方わざわざおいでいただきましてまことにありがとうございました。  本日はこれをもつて散会いたします。     午後四時四十二分散会