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床次委員 ただいま上程されました
地方財政再建整備法案につきまして提案理由の御説明をいたします。
御承知のごとく本法案は、
地方財政の窮迫がいよいよはなはだしく、特に昭和二十七年度決算の結果、赤字
団体一の数、赤字の額が前年に比し、飛躍的な増大を示して参りました
実情にかんがみ、去る第十六回国会において、この赤字の解消をはかるための方策を樹立する必要を認め、特に小
委員会を設置して検討を重ねました結果、法文化して提案されたものであります。
しかるに、この実施に伴う財源設置等について見通しが立たないままに、前二側の国会においても継続
審査に付されて、今国会に持ち込まれて来ている
実情であります。
政府におきましては、
地方制度調査会の答申にもかかわらず、昭和二十九年度
予算にこれを取上げていないのでありますが、事緊急を要する次第でありますので、一方大蔵省と折衝を行いつつ、ともかくも、本法案を成立に持ち込みたいと思いまし、て努力をしておる状態であります。この法案の
内容につきましては、先般来の小
委員会におきましても必要な
改正を加えることに意見の一致を見ておるのでありますが、さしあたり現在の法案につきまして御説明を申し上げ、その後におきまして小
委員会の御報告を申し上げたいと思うのであります。
まず本案の説明でありますが、第一条にありますごとく、「この
法律は、
地方財政の健全性を確保し、
地方自治の発達に資するため、
地方公共団体の
財政の再建整備を図ることを目的とする。」これによ
つて明らかにな
つております。
しこうして、いかなる
団体の
財政を健全化するかという目標に対しましては、第二条にありまするごとく、昭和二十七年度決算において歳入が歳出に不足するため、昭和二十八年度の歳入を繰上げてこれに充てた都道府県もしく
市町村、または実質上歳入が歳出に不足するため、二十七年度において支払うべき債務の支払いを二十八年度に繰延べ、もしくは二十七年度において執行すべき
事業を二十八年度に繰越す措置をとつた、実質上の歳入が不足しておりまするところの
地方団体を対象といたしておるのであります。
この整備のためには、第三条にありまするごとく、
財政再建繁殖
計画を立てることにな
つておるのであります。
しこうして、この再建整備は、第四条に規定いたしましたことく、十年間を目標といたしまして、その
地方位の
償還を完了することとしておるのであります。その
計画の
内容は、第五条以下五箇条にわたりまして、必要なる事項を明確に規定いたしまして、これを
計画通り実施せしめて再建をはかろうとするのであります。
特に申し上げたいことは、第二項にありまして、この
計画を実施いたします間におきましては、過去の滞納を十分整理いたしますとともに、徴収成績に対しましては、普通以上の成績をあげるように努力いたしますとともに、その
団体の徴税に関しましては、第三号に掲げますごとく、都道府県に対しましては
事業税、
市町村に対しましては
市町村民税、固定資産税のそれぞれ標準税率のおおむね一二倍を越える税率におきまして増収
計画をするとか、あるいはこれに匹敵するだけの節約を実行いたしまして、再建の
基礎を固めたいと存ずるものであります。
第六条は、この問題が住民の理解を必要とするために、住民に公表いたしまして、その協力を得る措置をとらなければならないということを明らかにしております。
なお、各団員体内の
関係行政
委員会の協力も必要でありまして、特に最近
財政膨脹の原因をなしておりますところの教育
委員会、公安
委員会、その他の
委員会に対しましては、特にこの
計画の樹立達成に対して強い協力を要望しておる次第であります。
なお、その他の
公共団体等に対しましても、第八条におきまして協力を希望しておるのであります。
第九条は、歳入欠陥補填の方法でありますが、特に
地方財政法の例外といたしまして、
地方債をも
つて財源とする道を開いたのであります。
第十条にありましては、
地方債を起すことができる
地方団体に対しましては、無利子で国庫金を貸し付けるという道を開いております。
なお、第二項におきまして、国は二十八年度及び二十九年度において、前項の国庫金に充てるために必要な額を、国庫貸付金として
予算に計上しなければならない旨を規定しております。
この
地方債は十年度以内において償還をする予定でありまするが、なおこの償還に関しましては、第十一条の二項におきまして、場合によりましたならば、延滞金に対しましては利子をつけるという規定を赴き、また災害その他のやむを得ないときにおきましては、変更を認めておるの、あります。
原則といたしまして第十二条に掲げまするごとく、国から費し付けましたもの以外に対しましては、利子の全部または一部を補給するという形式によりまして、整備を順調に進めんとしているのであります。
なお第十三条におきましては、再建整備を確実に実行するために、監査
委員を、従来は任意設置でありました
地方に対しましても、義務設置にいたしまして、
計画の実施の完全を期したわけであります。
なお、第十四条におきましては、整備
計画の樹立または実施につき、
関係行政庁に対しまして、それそ、助言を求める道を開いておるのであります。なお
自治庁長官に
関係行政庁へのあつせんを求め得ることとしてあります。
十五条以下は、その実施に関するものでありますが、毎年の実施に関しましては、
自治庁長官に報告すると同時に、住民に公表しなければならないことを規定しておるの、であります。
その他は国の監督でありますが、十七条におきましては、この
計画の実行が
計画通り行われますように、常に、
自治庁におきましては指導に努めまして、その運営が
計画通り行われますよう勧告の道を開きますと同時に、国から利子補給等をいたしました場合においては、
団体がその規定
通り行わないときにありましては、利子補給を停止するという道を開いておるのであります。
以上が本法案の要旨ございますが、何と、ぞ慎重御審議をいただきまして、すみやかに成立いたしますよう御援助をいただきたいのであります。
なおこの
機会に小
委員長といたしまして、
審査の経過について御報告をさせていただきたいと思うのであります。先ほども申し上げましたように継続審議にな
つておるのでありまして、その間すでに
地方制度調査会におきましては、ほぼ本法案と同
趣旨におきまして答申をいたしまして、
地方の再建整備の急速実現を要黒いたしておつたのであります。なお
関係六
団体におきましても、それぞれ本案に対しまして希望意見並びに実現のすみやかなることを強く要望いたしておつた次第であります。しこうして政府におきましては、すでに赤字の確定を待ちましてこの再建整備に着手するとの意図を漏らしておつたのでありますが、遺憾ながら本年度におきましては、遂に何ら財源措置を見ることができなかつたのでありまして、その点ははなはだ残念に思
つておるのでありまするが、今日小
委員会におきましては、すでに二回開会いたしまして、その財源の確保をはかるとともに、本法案の不備を整備いたしまするために研究を続けておりまして、法案に対しましては若干の修正案を得ております。ただいまこの
機会に、小
委員会におきまして修正せんとする場所に対しまして、ごく簡単に御説明をつけ加えておきたいと思います。
修正の第一点は、お手元に案が参
つておりまするが、提案いたしました原案に対します修正案が加えてあります。おもな事項は第二条にあります。第二条におきまして、従来対象になりましたのは二十七年度決算において赤字を生じた
地方団体でありまするが、すでに法案の施行が遅れましたので、昭和二十八年度決算において赤字を生じた
地方団体を対象といたしたいのであります。なお三条は二条と、
条文の整理を行
つております。
それから第四条は、新しく第三条といたしましたが、償還方法が、従来は十年度以内におきまして償還を完了するということにな
つておつたのでありますが、
地方団体の
実情によりまして翌々年度以降五年間、すなわち二箇年間すえ置き、五箇年均等償還という形式によりまして
財政計画を行うことが、最も実際に適合するのではないか、かように
考えておる次第であります。
次に修正を行いたいという点は旧第五条でありまするが、再建整備に必要なる財源に対しましてはおおむね一・二倍の増収をいたす、あるいはその増収額に匹敵するところの節約額を当初予定しておつたのでありまするが、これを一・二倍という率にいたしまして、少くとも一・二倍以上の増収を期待することとし、しかもこの増収のためには、都道府県におきましては都道府県民税、
事業税により、
市町村にありましては
市町村民税及び固定資産税をもちまして、それぞれ標準税率の一・二倍以上ということにいたしたいと思うのであります。なおこの増収に関しましては、特に再建整備の実現を容易ならしめ、なお
市町村民、府県民に対しましてその徹底を得るために、特に再建整備特別税という名称のもとにこれを実施いたしたいと
考えておる次第であります。
次に
改正の点は第十条であります。従来本案におきましては、国におきまして無利子で国庫金を貸し付けるということにいたしておつたのでありますが、今日の
地方債の
実情から見ますると、これはやはり普通の利息年六分五厘を付しまして、これに対しまして二分の一の利子補給をいたす方が実現に容易ではないかということを
考えている次第であります。これが修正の一点であります。
次に第十二条でありますが、ただいまの二分の一の利子補給を規定いたしております。旧第十三条は、さきに御説明申し上げましたが、再建整備を行わんとする
団体におきましては、監査
委員を強制設置することにいたしておつたのでありますが、強制設置いたしましたことによりまして費用の増額することをおそれまして、これは特に強制設置にいたさずして、
地方団体の監査
委員の役割は都道府県においてこれを行うことにいたしまして、その斐川を節約するとともに、その監査の徹底を期待いたしておるのであります。
なお国の監督に対しまして若二十修正を加えんとするのであります。すなわち旧第十七条、新しく第十六条といたしておりますが、国の承認いたしましたところの再建整備
計画に対しまして、
地方団体の運営がこれに適合しないものがあります場合におきましては、当該
公共団体に対し
予算の一部の執行の停止または再建整備
計画の変更を命ずる権限を
自治庁長官に与えたのでありまして、その監督権行使を迅速にいたしまして、一層再建整備の確実を期したわけであります。
附則におきましては以上に関連いたしましたところの修正を予定いたしておるの百であります。
ただいま申し上げましたような点におきまして、小、
委員会におきましては、今日研究いたしておるのでありますが、最も重要な問題は、この際皆様方にも御報告申し上げておきまして、さらに今後の方針に対しまして御支持を得たいと思うのでありますが、今日大蔵省におきましては、
財政資金の欠乏によりまして、また預金部資金がすでに手元にないという理、由によりまして、この再建整備
計画の承認に非常に難色を示している次第であります。これに対しまして、今日
自治庁におきましては、たとい額は少くなりましても、今日におきまして、でき得る限り将来再建整備の端緒を開いておきたいという立場におきまして、でき得る限り資金繰りの可能な方法を講じたいと、種々考慮いたしておるのでありまして、たとえば都道府県が負担いたしておりますところの質担金、これが未納にな
つておりまして、約六十億ぐらいあるのであります。この負担金を公等伏に借りかえまして、その資金を再建整備の方に充てるとか、あるい、は性来増額を予定されるところの簡易保険の資金を考慮いたします等によりまして、何とかいたしまして本年度再建整備の吉平をいたしたいと
考えておつたわけでありますが、これに対しましても、今日まだ大蔵省におきましては十分なる了解が得られないでおる次第であります。しかしながら現下の
地方団体の様子を見ておりますと、昨年に引続きまして一層悪化いたしておるの下ありまして、本年度下半期におきましては、必ずや
相当数の
地方団体の
財政がまつたく行き詰ま
つて来ることを予期せられておるのでありまして、今吉におきまして政府がすでに言明いたましたことく、この再建整備に対する
ほんとうの協力を見なかつた場合に七ましては、重大なる問題にもなるの一はないかということを私どもはおそあている次第であります。どうか皆様本の十分なる御審議によりまして適切な修正が行われ、そうして本法案が美和できますようお願いする次第であります。
簡単でありますが、小
委員長としての経過の報告をあわせまして、この
機会に御了解を得る次第であります。