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1954-05-08 第19回国会 衆議院 地方行政委員会 第57号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年五月八日(土曜日)     午前十一時三十九分開議  出席委員    委員長 中井 一夫君    理事 加藤 精三君 理事 佐藤 親弘君    理事 灘尾 弘吉君 理事 吉田 重延君    理事 鈴木 幹雄君 理事 西村 力弥君    理事 門司  亮君       生田 宏一君    尾関 義一君       熊谷 憲一君    田渕 光一君       西村 直己君    山本 友一君       床次 徳二君    藤田 義光君       古井 喜實君    阿部 五郎君       石村 英雄君    北山 愛郎君       横路 節雄君    伊瀬幸太郎君       大石ヨシエ君    大矢 省三君       中井徳次郎君    松永  東君  出席国務大臣         国 務 大 臣 小坂善太郎君  出席政府委員         国家地方警察本         部長官     斎藤  昇君         国家地方警察本         部長官     谷口  寛君         国家地方警察本         部警視長         (総務部長)  柴田 達夫君         国家地方警察本         部警視長         (警務部長)  石井 榮三君         国家地方警察本         部警視長         (刑事部長)  中川 董治君         国家地方警察本         部警視長         (警備部長)  山口 善雄君  委員外出席者         専  門  員 有松  昇君         専  門  員 長橋 茂男君     ————————————— 五月八日  委員石村英雄君辞任につき、その補欠として横  路節雄君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  警察法案内閣提出第三一号)  警察法の施行に伴う関係法令の整理に関する法  律案内閣提出第三二号)     —————————————
  2. 中井一夫

    中井委員長 これより会議を開きます。  警察法に関する二法案を議題として質疑を行います。本日の逐条質疑は第四章都道府県警察、すなわち第三十六条より第六十条までであります。床次徳二君。
  3. 床次徳二

    床次委員 すでに質疑があつたと思いまするが、ちよつと簡単にお尋ねいたしたい。第十六条の第二項「警察庁所掌事務について、都道府県警察指揮監督する。」という字句につきましては、本来指揮監督し得べきものは、第五条にありますごとく、きわめて限定された事項だけでありますが、この規定で見ると、警察庁所掌事務全般について指揮監督ができるかのように誤解があると思うのです。この問題は、管区の警察局につきましても同じように同じ字句が書いてありますので、指揮監督範囲が非常に広く見えるのでありますが、この指揮監督というのは、第五条に定められたところの指揮監督とは多少違う意味において解すべきものではないかと思うのですが、この点をお伺いしたい。
  4. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 ただいまのお尋ねの点は、すなわち第十六条第二項の指揮監督は、第五条の二項の各号に掲げておりまするものについて指揮監督をするということでございますが、この二項の各号の中にも、指揮監督の伴うものと伴わないものと、この内容自体においてあるわけでございます。たとえば第一号の諸制度の企画及び調査とか、国の予算に関すること、あるいは十一号、十二号のごときは指揮監督は当然に伴わないのでございます。従いしまてその他の第三号、第四号——第五号は皇宮警察だけでありますから当然脱けるのであります。それから六号ないし十号の統轄事項については、その統轄範囲内で指揮監督ができることに相なりますが、この項目を越えて指揮監督するということはないのでございます。昨日もさような御質問がございまして、その点はこの法案の中では明瞭ではない。少くとも第五条第二項各号に掲げるものについてのみ指揮監督ができるということは読めるが、第五条の二項各の中にも指揮監督の伴わないものがあるということを条文上明瞭にすべきではないかという御質問もあつたのでございます。この点は法制局におきましても、条文作成の際に五条二項各号に掲ぐるものの中で、事柄の性質上当然指揮監督の伴うもの伴わないものとあるのだから、それは他の各省の設置法その他にも同様のことがあるから、このうちの第何号と何号々々についてだけしか指揮監督はないということを書く必要はなかろうということでありましたので、かような条文の形になつたわけでございます。
  5. 床次徳二

    床次委員 最近の犯罪状況を見ますると、いわゆる麻薬犯罪が非常にふえておる。同時に輸出入に関するいわゆる密輸犯罪が少くないと思うのですが、この犯罪に関しまして、今日当局はいかなる取締りをいたしておるか。これはどうも取締りが徹底しないのではないか。特に麻薬のごときものに関しましては、往々にして地方のいわゆるボスというものとも結託しやすい問題ではないか、そのために非常に弊害が助長される。一見いたしますると小さい犯罪のようではありますが、社会風教その他全般から見まして、これが大きな原因になつておるのでありますが、これを現在いかように処置せられておるか。また国警対いわゆる自治警関係におきましていかように扱つておられるか。なお今後の場合、ただいまお答えになりました広い意味指揮監督という立場において、これに対していかように処置されるお考えであるか、伺いたいのであります。
  6. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 現在といたしましては、麻薬警察麻薬取締官、この関係を緊密にいたしてやつておるのでございます。これも自治警国家地方警察との間におきましてももちろん連絡を緊密にいたしてやつているのでございますが、御指摘のようになかなかうまく行かない点も多々ありますので、恐縮に存じておるのでございます。また密輸入等におきましても同様でございまして、これは自治警国警及び税関の間に緊密な連絡をとりながらやつておるのでございますが、今度の警察法になりますと、少くとも府県が一本の運営になりますから、府県内の数多い自治体警察国家地方警察との間の連絡は、一本になる結果当然非常によくなつて参ると考えます。府県間の連絡、ことに今御指摘になりました地方の利害に関係する場合も密輸入等につきましては相当ございますし、これにつながるボス関係というものも、麻薬にも相当あるのでございますが、これらの関係警察府県に一本化されることによりまして、その弊害が除去されることが相当多くなるだろう、かように考えております。府県間の連絡、そういうような面におきましは、必要に応じましてこの第十二号の調整というようなことで、中央からの連絡ということでまかなつて行けるのではないであろうか、特に指揮監督というものを法律上持ち出してやりませんでも、この府県間の連絡調整によつてまかない得るもの、府県一本になるという事柄とこの連絡調整というもので十分やつて行けるのではないだろうか、かように考えております。もしこれを権限をもつて指揮監督するということになりますと、だんだんと範囲が広くなりまして、かえつてそのためにまた無用の不安を国民に起させるという心配もございますので、新しい警察法案といたしましては、この程度でやつてみまして、これで十分やつて行けると思いますが、これでも相当欠陥があるならば、またその実施の状況を見て考え直してみるべきではなかろうか、かように考えております。
  7. 床次徳二

    床次委員 ただいまの御答弁によりますと、新しい制度によつて、小さい区域から大きな区域に一本化されることによつて相当能率が上るのじやないかという御趣旨のようでありますが、現在の麻薬等犯罪の事実は、単にその程度だけではなかなかこれが根本的な対策というふうにはならないのじやないか。やはり麻薬取締官、あるいは半面における密輸等に関しましてはやはり特別に強力な取締り機構を必要とするのじやないか、この意味において、もう少し警察官といわゆる取締官との間に制度的に考慮をし直す必要があるのじやないかと思うのですが、この点について、やはりこういう機会麻薬犯罪というものに対する対策を確立されたらいかがかと思いますが、伺いたいと思います。
  8. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 結局麻薬取締官というものを警察機構の中に入れてしまうかどうかという問題に帰着すると思いますが、この点は将来十分考えなければならない残された問題だと考えております。一面麻薬取扱いについての行政処置をやります者と取締りをいたす者、これを一致させるために今別の麻薬取締官になつておるのでございます。警察の中にいろいろ、許可、認可という行政措置を持ち込むことがはたしてどうであろうか、昔のように行政処分警察の中に持ち込んで来るということについていろいろな——麻薬だけにとどまり得るか得ないかという問題もありますので、慎重に考えてみたいと思つております。ただいま床次委員の御意見はまことにごもつともな点がございますが、しばらく時をかしていただきたい、かように考えております。
  9. 床次徳二

    床次委員 麻薬に関しましては、根本的な研究をされます前に、現下の麻薬に対しましてもう少し社会弊害を少くする意味において、一層の努力をされんことを特にこの機会に要望しておく次第であります。  次にお尋ねいたしたいのは人事交流の問題でありますが、将来になりまして、いわゆる国家公務員たる者と地方都道府県警察におりまする地方公務員たる者との間にいかなる人事交流を行われまするか、この点について伺いたいのであります。警視正以上の者に関しましては、一律に全部国家公務員になります関係上、相当人事交流が行い得ると考えますが、それ以下の者についてどのようなことをお考えになつておるか、それをお伺いいたします。
  10. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 お尋ね警視以下の府県間あるいは警察庁との人事交流の点だと考えます。この点におきましては、大体現在も警視以下のところでは、同じ国警の地域内におきましても人事交流がそう頻繁ではないのでございます。しかしながらある県において警視の課長が必要である、全国的に考えて何県の警視、あるいは警部で今度警視になる適任者があるというような場合こは、中央において連絡をいたしながら当該府県間であつせんをいたしておるのであります。現在同じ国家地方警察の中におきましては、全部国家公務員でございまするが、それとてもただ命令的に中央から動かすというのではなくして、府県間の事実上の話合いということでいたしておるのでございます。さようでございまするから、今後このように警察制度が改正せられましても、現在程度府県間の交流は十分でき得るものだ、かように考えておるのであります。
  11. 床次徳二

    床次委員 今度の制度によりますと、警視正より下の階級にあります者は大体地方公務員でありまするが、地方公務員が将来昇進いたしましてだんだん上に上ろうという場合には、どうしても国家公務員たる警視正にならなければならぬ。この場合には国家公安委員会が任命する形になるのであります。従つて警視正になるまでの人事というものは、地方都道府県公安委員会で見ておる。従つて優秀な者を新たに警視正に採用する場合におきまして、はたして国家公安委員会十分地方人材警視正として採用するかどうかということについて、相当不自由があるのではないかということをおそれるのであります。国家公安委員会自分の所属のところからのみどんどんと警視正をつくつて地方の有能なる人士がなかなか警視正に上れないということがあつたのでは困ると思うのであります。この点に関しまして、実際の取扱い上において、どの程度まで地方の有為な人士警視正以上にその才能において十分活動ができる道を開くということをお考えになつておるか伺いたい。
  12. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 ただいまの関係は、この法案によりますると、警察庁長官警視正以上を任命することになつておりますが、地方公務員でございましても、隊長、警視正を通じまして、当該府県内の優秀な人材というものは絶えず中央にはわかつておるのでございます。いろいろ仕事関係からも密接に絶えず連絡をいたしておりますから、その点におきましては、現在の国家地方警察内部におけると同じ程度にわかり得ると、かように考えております。従いまして警視から警視正以上に昇進をして参ります道も、おそらく今日の国家地方警察自治体警察を通じて考えました場合と、その道においては大して支障はないと考えております。警察庁内部におきましては、警視正になる候補者の数というものはごく限られておるのでございまして、また警察庁の中における警部以下の人たちにいたしましても、これはやはり絶えず都道府県から警察庁の方に入つてもらう、あるいは警察庁の方から都道府県に出て行く、これがなければ実際の人事がやつて参れませんので、その点につきましては御心配をいただく必要はなかろう、かように考えております。
  13. 床次徳二

    床次委員 ただいまの御答弁によりますと、地方本部長が相当人事については詳しいから、昇進の道には支障なかろうというお話、なるほどごもつともでありまするが、実は私どもがおそれるのは、ただいまもお話がありましたように、本部長というものが相当強力な発言権を持つて参ります。従つて地方公安委員会というものがありましても、地方公安員会というものがなかなかその権限を十分行使できず、結局本部長というものが中心になつて仕事が行われるのじやないか。それによつて国家的な色彩が非常に強くなつて来て、自治体警察、いわゆる民主的な管理運営と申しますか、公安委員会による作用が薄くなるのではないかということを憂慮するのであります。人事的につながりがあるということが何よりも強いことでありまして、これが結局警察中央集権化する一つの大きな弊害の欠点にもなるのじやないかということをおそれるのでありまして、もう少しこの点に対しては慎重なお考えが得られなかつたろうかということを思うのでありますが、この点に関してもう一回所信を伺いたい。
  14. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 なるほど御意見の点は十分拝聴をいたすのでございますが、今度のこの法案によりますると、まず都道府県予算警察の費用が原則としてまかわれる、従つて府県会からきびしい監督監視を受けます。また知事が任命せられました公安委員が何といたしましても責任をもつて管理をせられるのでございまして、従つて地方的な事情に基く警察運営というものは、私はこれで十分満足ができるのじやないであろうか。また都道府県内の一般民衆警察とのつながり、親しみというものも十分つちかわれる。少くとも今日の国家地方警察府県及び府県住民に対する関係よりも、今度の方が非常に民主的と申しまするか、地方的と申しまするか、地方的色彩を非常に多く帯びたわけでございまして、人事について中央一本という仰せではございまするが、しかし都道府県公安委員会の存在というものは、この人事をやりまする上においても、都道府県公安委員の意向というものが強く当然反映せられるのでございまするし、また都道府県警察本部長自分の部下、ことに府県内の警察署長を任免するという場合も、都道府県公安委員会意見を聞かなければならないのでございまするから、私は三年間おられる都道府県公安委員さんというものは、少くとも民衆を代表せられて、そうして最もよく警察内部を知られ、警察を十分コントロールし得るだけのそういつた立場にあられる人たち管理を受けておりますということは、従前の旧警察のあり方とは非常な相違ではなかろうか、かように考えておるのでございます。
  15. 床次徳二

    床次委員 現在の府県公安委員というものに対しましては、これはまだ警察全体に対する理解が、とても一般の都市における自治体警察公安委員会とは大分内容において開きがある。今度の新しい法律におきましては、都道府県公安委員会が相当広汎な状態にわたりまして、人事その他に関しても知識を得ることについては当然なことでございます。従つて先ほどもちよつと申し上げましたが、たとえば警視正等のごとき者に対しましては、むしろ都道府県公安委員会がある程度まで必要なりつば人材に対しましては推薦するとか、広く都道府県公安委員会意見というものを参酌されて、そうしてこれを採用して昇進の道を開く。単なる国家公安委員会あるいは警察庁長官自分立場においてやるというよりも、やはりよく今まで人事に熟知しておりますところの都道府県公安委員会というものは、そういう際に尊重するのがいいのじやないかということを実は考えておるわけであります。規定におきましては、懲戒免官等に関しましては都道府県公安委員会意見を聞くということになつておりまするが、登用する場合におきましても、相当これは実際において十分都道府県公安委員会意見を参酌されて、地方公務員として活動しておつた者が将来やはり十分活動できるような道を、公安委員会の得ておる知識を通じて反映させることも私は非常に大事じやないかということを考えたので、この点申し上げた次第であります。  なおさらに一つお尋ねいたしたいのは、今後の警察官というものは、ほとんど警察職務だけでもつてずつと上まで上つて来るということになるのであります。現在警察幹部の諸公が、一般行政その他比較的広い現野において活動せられた経験を持つて今日警察のそれぞれの責任者になつておられるのとは大分違う。その点将来の警察官というものは非常に専門的でありますと同時に、その視野が非常に狭くなるということをおそれますが、この点に関しては、当局としてはいかよう警察官としての良識というものを涵養せられるお考えか、それに対するお考えを伺いたい。
  16. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 ただいまのお述べの御趣旨から考えましても、この公安委員会制度が肝要であろうと考えるのであります。公安委員方々は、警察専門家というよりはむしろ良識のある方、この良識のある公安委員管理指導によりまして、警察専門家の見識の狭くなることを常時日常業務を通じて管理指導していただくという、ここに本制度の妙味があるのではなかろうかと考えるのでございます。警察官はしろうとであるよりは広い知識を持つた、しかも警察専門家であるということがやはり肝要であろうと考えるのであります。しかし警察専門的知識だけでは、これは警察の十分な任務を果すことが困難でございまするから、警察専門知識を涵養いたしますると同時に、また専門知識と同程度におきまして広く各種の知識を身につける、かような意味におきまして、一般教養面において留意をする必要があると考えておるのでございます。ただ他の方面においてすでに何らかの経験を持つた、従前警察幹部のように、他の同じく府県でありましても、あるいは学務部長、あるいは経済部長総務部長といつたような経験を一ぺんふむという機会が以前は相当あつたわけでありまするが、今日のこの警察制度、また各府県制度その他全般制度の改革によりまして、そういつた面をふむということは事実上困難になつてつておるのであります。このことは警察といたしましては、先ほど申しますように警察専門方面知識経験を深くするということには役立つておりますが、ただいまおつしやるような面におきましては狭くなつておりまするが、これを教養面におきましてできるだけ補つて参りたい。もちろん警察日常接触しておりまする事柄は、これは非常に広い方面でございますから、これに若干のそういつた一般教養を特に注意をいたしますることによりまして、その一般教養面警察日常業務の遂行に十分役立ち得るのでありますから、従いましてそういつた面において教義指導を怠らないようにいたしたい、かように考えておるのであります。
  17. 床次徳二

    床次委員 ただいまのお言葉を承つておりましても一抹の疑問を持つのでありますが、それは、政府のお考えがあまりにも警察本部長というものを中心考えておられるのであります。警察本部長公安委員会という両者が互いに警察任務を助け合いながら行うというところに、ほんとうのいい効果が上るのではないかと思つておるのでありますが、お考えはどうも本部長という個人が中心になつておる。そうして本部長専門的知識を持つて警察事務を行うと同時に、それの足らない一般常識委員の方から吸収して取入れながら、それをためて行くというふうな考え方が多いのであります。この点は公安委員会の本質にも関係するのでありますが、公安委員会もいわゆる行政委員会一つといたしまして、相当専門的な知識を持つべきである、単なる本部長良識を補うところの調整機関というような委員会ではないのではないか、その程度ではいけないのではないかと思うのであります。この点は、今日まですでに長い間の公安委員会経験がおありになりすから、相当当局におきましても公安委員会の実態、どういうふうな公安委員会が望ましいかということについてお考えがあるかもしれませんが、往々にすると警察庁の言うことをよく聞いて、まつたくロボツト化する委員会があるということがいわれておるのは、はなはだ私ども遺憾に思つておるところであります。やはりある程度まで公安委員会におきましても警察事務に習熟すると同時に、一般常識を十分持つていていただいて、一般常識をもつて警察の行き過ぎをためるということを委員自体考え得るような人でなければならないのではないかと思うのであります。この点は、今回の政府改正案におきましては若干その委員たる資格制限を撤廃しておられるのでありまするが、しかし依然として「警察又は検察職務を行う職業的公務員前歴のない者」というふうな制限があるのでありまして、警察的知識を持たない者だけを対象としておられるように見えるのであります。これでは警察本部長義務を執行いたしますのに、警察という義務と一段的な教養というものとの調和に対してはたして十分かどうか。警察本部長が非常によければ、公安委員会の言うことをよく取入れてだんだんとりつばな人物になるだろうと思うのでありますが、本部長自体にだけそれを望むということはなかなか困難ではないか。委員会自体といたしましても、当然警察的な立場において考えると同時に、一般的教養視野の面から見まして警察事務を行うべきではないかと思うのでありまして、この点は委員前歴というものに対してもう少し警察的、専門的知識を理解し得る者があつてもよろしいのではないか。具体的に申しますならば、かつて警察あるいは検察事務に従事しておりました者にありましても、相当期間がたつておりまして、その身分が現在の警察事務の執行に対して不当なる影響を与えない限度に達した者に対しましては、これを委員として採用いたしましてもさしつかえない、場合によりましならば、かかる専門的な立場委員があることの方が委員会としての機能がよいのではないかということが考えられるのであります。他の例をもつて申し上げますならば、たとえば教育委員会におきましても、むしろ教育専門家が集まつてつておるわけでありまして、行政委員会の本体から申しますならば、その方がしかるべきもの。警察に関する限り、公安委員会は日本の委員会制度の例外をなしておつたのが今までの現状であります。この点に関しまして、あるいはすでに御質疑があつたかと思いますが、委員資格制限緩和に関しまする当局の御意見を伺いたいと思います。
  18. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 ただいまお述べになられました御意見も、まことにごもつともな点もあると拝聴をいたしました。もちろん警察検察経歴者でありましても、りつぱな方は相当多いと私は思います。しかしながらいわゆる警察官僚化を防いで、絶えず新しい良識を持つて広い視野から指導して行くという面から考えました場合に、中にはただいまお述のように非常にりつぱな方々も相当私はあると考えまするが、しかし必ずしもそうではなくて、その方々りつぱな方でありましても、いろいろな意味から、ただいまもちつよとお述べになりましたように、ただ古い経験あるいは経歴というものによつて無条件にやるということはおもしろくない状態が生じて来るということもまた考えられるのでございます。さような意味合いにおきまして、やはり原則といたしましては、広い良識を持つた公安委員会というこの線をくずさないために、警察検察専門家公安委員にはなれないという原則を立てた方がよろしいのではないか、かように考えておるのでございます。
  19. 中井一夫

    中井委員長 床次委員の御質疑は一応終りました。次は北山愛郎君。
  20. 北山愛郎

    ○北山委員 今度は第四章の都道府県警察ということになつて来たわけでありますが、いよいよこれが自治体警察なりやいなやというような、今まで再々この質疑の重要中心点となつたところへさしかかつたわけであります。  そこで、やはり私どもはこの警察法の改正に関連をしまして、自治法の改正が当然これに伴つて行われなければならぬじやないか、かように考えておるわけでありますが、本日の新聞に、政府地方自治法の改正を必要最小限だけ出すということが報ぜられております。それで、その内容がよくわからないのでございますが、今度の地方自治法の改正案の中には、警察法の改正に伴う改正が含まれるかどうか、この点が私どもとしては非常に関心を持つておるところであり、また本案の審議についても必要じやないか、こう思うのでございます。ついては委員長にお願いを申し上げますが、昨日も西村委員から要求がありました通り、この地方自治法の改正の点につきまして、自治庁長官に当委員会に出席をしていただきたい、特に本日の新聞で、自治法の改正案を出すというようなことが報ぜられておりますので、この点を特に要望いたしたいのであります。  そこで自治法の改正の点につきまして小坂国務大臣にお伺いしたいと思いますが、やはり私どもは自治法を見てみますと、最小限度この警察法に伴つてどうしても直さなければならぬという部分があるわけであります。たとえば地方自治法第百八十条の四の中に、都道府県公安委員会のことが書いてありますが、その事項は明らかに今度の警察法には当てはまらないような事項でございますから、これは当然改正しなければならないと思うのでありますが、そういうふうな事項が自治法の中にほかにも相当あると思うのです。こういうものは、一体どういうふうにおやりになるつもりであるか、これを警察担当大臣からひとつお考えを承りたいと思います。
  21. 中井一夫

    中井委員長 小坂国務大臣から御答弁のある以前に、委員長から、北山君並びに先般来数たび御発言のありました西村君に御報告いたしておきたいことがあります。自治法の改正につきましては、先般も申し上げました通り、時局、また今日の地方自治体の実情にかんがみて根本的な改正のでき上ることを期待いたしておつたのでありますけれども、いろいろな事情よりいたしまして根本的な改正というところまでは参らず、ただいま北山君がおつしやいましたような必要やむを得ざる程度のものにつきその改正をせられ、その案は本日政府より提出せられる旨昨日自治庁関係者から通知を受けましたから、この段申し上げておきます。
  22. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 ただいまお述べになりました点は、ごもつともでありまして、政府といたしましても、たとえば公安委員会の点であるとか、あるいは従来市町村関係でいたしておりましたものを府県単位に直しますので、それに伴いましての当然に要しまする整理、これにつきましては法案を提出する、かように考えております。
  23. 北山愛郎

    ○北山委員 重ねて小坂大臣にお伺いしますが、そうしますと、今委員長からお話がございました、今回政府が決定をしてお出しになるというものの中には、ただいまお話警察法の改正に伴う部分が含まれておる、かように了解してよろしゆうございますか。
  24. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 さようでございます。
  25. 北山愛郎

    ○北山委員 それでは、その点につきましてはできれば私どもは早く内容が知りたいのでございますから、本日の午後にでも自治庁長官においでを願つて、その法案の内容等について御説明をいただきたい、これを委員長にお願いを申し上げておきます。  それで次にこの第四章に入りますが、まず第一に第三十七条でございす。三十七条には、国庫が支弁する都道府県警察の経費が列挙されておるわけでありますが、その本文の中に、「都道府県警察に要する左に掲げる経費で政令で定めるものは、国庫が支弁する。」と書いてありますが、政令でどういうふうな範囲のものを定めるのであるか、列挙したいろいろな経費についてどういう範囲で国庫が負担するのであるか、その政令の内容等について、すでに大体きまつているとしますならばその内容を御説明願いたいのであります。
  26. 中井一夫

    中井委員長 今の北川君の御質疑については、これはいろいろ項目があるようですが、むしろ書面にしてでもお出しになつたらいかがですか。
  27. 柴田達夫

    ○柴田(達)政府委員 政令の内容でございますが、第三十七条の一号から七号までにつきましては、大体この範囲がここに詳しく掲げてございますので明らかなのであります。ただ経費に関することでありますので、何しろ予算的な意味におきまして、学校につきましても、施設費であるとか補修費であるとか庁費であるとかいつたようなものだけをこれに加える予定をいたしております。ただこの中の八号の「国の公安に係る犯罪の捜査に要する経費」これは文句自体がきわめて抽象的なものでございますので、二十九年度予算をつくりますにあたりまして、大蔵省との間で将来政令をつくるということを目安にして予算折衝をいたしましたところの内容のものがございましたので、本日お手元に第八号の分につきましては羅列してお配りをいたしたような次第であります。
  28. 北山愛郎

    ○北山委員 次に、第一号から第八号までを一々お伺いをしたいのでございますが、第一の「警視正以上の階級にある警察官の俸給その他の給与、国家公務員共済組合負担金及び公務災害補償に要する経費」とございますが、それは一体どの程度になつておるものであるか、その金額、内容等について概要の御説明を願いたいのであります。それから同時にこの国家公務員の共済組合についてでございますが、それ以外に、この共済組合の内容が一体どういうふうになつておるか。それから一般に現在警察官につきましての福利厚生の施設というものがどういうふうになつておるか、その現状をひとつ御説明を願いたいのであります。
  29. 柴田達夫

    ○柴田(達)政府委員 第一号の警視正以上の階級にある警察官の人件費の範囲をこれは明らかにしたのございますが、これは七月以降の分だけを二十九年度予算は計上いたしておりますのが一億三千四百万円——第一号は二十九年度予算におきましては九箇月分として一億三千四百万円で、これを平年額、一年分に直しますと一億八千七百万円というふうに御承知を願いたいと思います。  共済組合と福利厚生のことにつきましては、他の政府委員からお答えいたします。
  30. 石井榮三

    ○石井(榮)政府委員 共済組合関係につきまして私からお答えいたします。国家公務員共済組合法によりまして、現在警察関係の共済組合が一つの単位になつて警察全般国警といわず自警といわず、またがつて警察の中に消防も含まれておりました当時からの警察共済組合というものがそのまま今日存続いたしておりまして、各府県にそれぞれ支部があります。また大都市の消防の組織がありますところにはそれぞれ消防の支部もあるわけであります。かつて警察時代の警察共済組合というものがそのままの姿で今日に及んでおります。従いまして現在共済組合の組合員は約十六万になつております。共済組合の事業といいますか、組合員に対してどういう福利厚生の給付があるかという点につきましては、組合法にいわれておりますそのすべてをそれぞれやつておるわけでございまして、たとえば保険給付、退職給付、廃疾給付、災害給付、いろいろ法律にきめられておりますが、そうしたそれぞれの事項をすべて福利厚生として実施をいたしておる状態でありまして、今日までの私どもの共済組合の実施の状況は、おかげさまをもちましてきわめて健全な運営がなされておりまして、黒字財政と申しますか、きわめて健全な財政状況でございます。組合員に対する福利厚生の面にも相当の金額が支出されまして、組合員の福利厚生の面につきましてはかなり実績が上つておるような状況であります。
  31. 北山愛郎

    ○北山委員 そうしますとこの第一号の経費のうちで、国庫支弁をするものは「警視正以上の階級にある警察官の俸給その他の給与、」については全部、それから共済組合とかあるいは公務災害補償に要する経済については全部ではなかろうと思いますが、どの程度都道府県に対して国庫支弁をするというのであるか、その基準をお示しを願いたいのであります。
  32. 柴田達夫

    ○柴田(達)政府委員 それは「警視正以上の階級にある警察官」それがしまいの「経費」までかかるわけでありまして、警視正以上の階級にある警察官の給与に関する経費、こういうふうな意味でございます。従いまして給与も共済組合負担金も公務災害補償に要する経費も、警視正以上の警察官国家公務員ということになつておりますので、要するに国家公務員である警察官についてはその人件費は国庫が支弁する、こういうことであります。
  33. 北山愛郎

    ○北山委員 では次に第二号でございますが、「警察教養施設の維持管理及び警察学校における教育訓練に要する経費」この学校以外の教養施設というものは現在どういうものがあるか、また将来どういうものを予想しているか、これをできるだけ具体的にお答えを願います。
  34. 柴田達夫

    ○柴田(達)政府委員 第二号の警察学校における教育訓練に要する経費、これは警察教養の中で、この法律案にございます各種の警察学校がございますが、これに関する経費、教育訓練の経費だけは国庫が支弁する、それ以外の経費につきましては、三十七条の二項によりまして府県が負担するというように仕訳をしたわけであります。警察学校における教育訓練は、警察教養施設の維持管理自身を国が統轄してやるという建前になつておりますので、その学校の中におきますところの教育訓練もすべて一括して国庫が支弁することが適当であろう、かように考えたわけでございます。その残りを一般教養と申しておりますが、一般教養と申しますのは、普通の場合におきましては、それぞれの警察官が勤務の状態において、その勤務を通じて教養を受けるというかつこうでございまして、もちろんその中には臨時の講習会というようなものをやるというような場合はあるわけでございますが、学校というまとまつた、法律で定まつた学校に正規の学生生徒として入校いたしまして、所定の教養課目について所定の期間教育訓練を受ける経費というのは国庫で支弁をいたしますが、それ以外に研究会をやりますか、講習会をやりますとか、あるいは教養のために臨時に人を集めて資料を配るといつたような関係につきましては、これは地方々々で相当ユ二ークな方法をとる場合が実際は多いと思いますので、府県責任においてそれは負担をするという方が適当であろうと思いまして、仕訳をしたわけであります。警察学校以外の施設といたしましては、全部にあるわけではございませんが、将来の問題として、かりにただ講習会場のようなものをつくりますとか、そういうようなものをつくりますれば、それは入るわけでございますけれども、現在のところ警察学校以外には、それほどまとまつた教養の施設はないのでございます。
  35. 北山愛郎

    ○北山委員 そうすると第二号の警察教養施設等につきまして、都道府県警察都道府県で負担する分の総経費は幾らであるか、そのうち国庫支弁のものが幾らであるか、その金額をひとつお示しを願いたい。
  36. 柴田達夫

    ○柴田(達)政府委員 お尋ねの中の広い意味警察教養全部についての経費が幾らになるかということにつきましては、一般教義の部分につきましては府県が支弁することになりますので、はつきりした数字を今つかんでおらないわけでございます。国庫が支弁する二号そのものに当る経費は、二十九年度予算におきまして八億七千二百万、これは九箇月分でございますので、一年分に改めますと九億三千八百万、かように相なるわけであります。  なお各号に当ります経費は順次お尋ねがあるかと思いますので、三十七条関係の一応の二十九年度予算等をめぐりましてこれを一年分に直したもの、それから将来の三万人の整理後のおちついた場合の経費につきましては、一応資料を用意してありますので、お配りさしていただきたいと思います。
  37. 北山愛郎

    ○北山委員 それでは三十七条の各号に属する経費内容につきましては、資料がいただけるそうでありますから、資料をいただいて、それを見て、その上で質疑をいたしたいと思うのですが、ただその前にちよつと二、三の点だけを伺つておきます。それは、この教育訓練については学校に派遣するという問題があり、その旅費、あるいは教育訓練に派遣する都道府県等におけるいろいろな経費があるわけであります。現在でもそういう経費を自治体でも負担している。それについては、一体あとの方の国の方で補助するという分に入るのか、あるいは国庫支弁をするという分に入るのか、その点をお答え願いたい。  それからあわせて次の第三号の通信施設でありますが、昨日の御説明の中に、都道府県警察の中に通信の出張所というものを設けるというようなお話があつたわけであります。この出張所というものは一体どういうものであるか、その出張所というのは、警察庁の方に属して都道府県警察には属していない。ただ都道府県の中に間借りをしておる通信部の出張所であるのか、そのお話がありましたから、その点をお答え願いたいのであります。
  38. 柴田達夫

    ○柴田(達)政府委員 警察学校に関連しての経費についてのお尋ねでございますが、警察学校の中におきまするところの教育訓練に要する経費、つまり警察学校自体の施設費と庁費、それからその他の事務費、それからその教養課程のために必要な教材、備品、消耗品、あるいは講師を招く場合の謝金、生徒の実務研究旅費、在学中におきますところの学生、生徒に対する日額旅費、ここまでのものはいわゆる警察学校における教育訓練に要する経費と見まして、国庫支弁にいたしておりまして、先ほどお尋ねがありました警察学校外の一般教養関係経費は、府県費の負担にいたしております。それから警察学校に入校いたしますための往復旅費、これも府県費の負担にいたしておるのであります。但し、この一般教養の経費、それから府県警察学校、各種の警察学校への往復旅費、こういうものにつきましては、第三項における国庫の補助の対象になるわけであります。  次にお尋ねの通信の出張所のお話でございますが、警察通信施設につきましては、第五条によつて国が統轄することになつておりますが、警察通信というものが物的にも人的にも非常に均一性並びにその水準の平均した保持を確保する必要がある関係上、警察通信につきましては、大体におきまして管区警察局統轄の中でみずから実施するという建前をとつておるのであります。これは現行法に基きましてもそういう建前になつておるのでありますが、警察通信につきましてもその現行法の考え方を踏襲して参りまして、統轄と申しましても、ほとんど大部分を警察庁並びに警察庁地方出先機関である管区警察局がみずから実施する。従いまして昨日定員についてもお尋ねがございましたように、通信の職員というものは非常に多数国家公務員として管区警察局に所属することになつてておるのであります。それはお尋ねのように、管区警察局の所在地自体におりましては仕事ができないわけでございまして——管区警察局の中にも通信部があるわけでございますが、各府県におきまして、管区警察局府県出張所といたしまして——現在も出張所があるわけでございますが、その施設はそのままにいたしまして、国の機関であるところの警察庁、その地方機関であるところの管区警察局府県にある出張所、府県自治体警察の機関としてではなくて、国の機関として府県の出張所を置くという考え方をいたしておるのであります。
  39. 中井一夫

    中井委員長 それでは午前の審議はこの程度で一時中止いたしまして、午後は二時から続行をいたします。     午後零時三十八分休憩      —————・—————     午後二時二十七分開議
  40. 中井一夫

    中井委員長 午前に引続きまして、警察関係法案について逐条審議を進めます。柴田総務部長
  41. 柴田達夫

    ○柴田(達)政府委員 午前中北山さんからの御質問にお答えいたしました中で、資料を配付いたしたのでありますが、資料にミスがございまして、私のお答えしました中にも数字上の誤りがございますので、訂正をさせていただきたい。訂正いたしました方の資料は、この府県警察費中国庫支弁の経費内訳、この三十七条の各号に見合いまして、その金額が、二十九年度の予算で幾らになつておるかという資料でございます。各号の順番の配列が間違つておりますので、赤いしるしで訂正いたしましたものが、この三十七条に見合うものであります。先ほどの北山委員からの御質問の中の第一号の数字は正しいのでございますが、警察教養に関する警察学校の教育訓練、この二号の経費を、資料の誤りのために六号のもの——これは装備費に当るわけでありますが、これをお答えいたしました。警察教養の二号に当りますのは、この資料にございますように、九箇月分として二十九年度予算は六千二百万円、平年度に直しまして七千三百万円、かように御訂正をお願いいたしたいと思います。     —————————————
  42. 中井一夫

    中井委員長 この機会にちよつと御報告いたすべきものがあります。午前中参議院の修正のことに関しまして概略御報告いたしておきましたが、ただいま参議院の方から、参議院の地方行政委員会におきまして決定せられたところの修正案要綱というものを入手いたしましたから、これを御報告いたします。すなわち、  地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案に対する修正案要綱一、交付税の率は、所得税、法人税及び酒税の百分の二十二とすること(政府原案 二十、衆議院修正 二十五)一、娯楽施設利用税を基準財政収入額中に算入するものとすること。一、昭和二十九年度分に限り、同年度中の地方税収入となつた入場税をも基準財政収入額中に算入するものとすること。  以上でございます。     —————————————
  43. 中井一夫

    中井委員長 引続き北山君の御質疑を願います。北山愛郎君。
  44. 北山愛郎

    ○北山委員 まず最初に、午前中に委員長にお願いしておきましたが、午後は自治庁長官はお見えにならぬわけですか、御都合を伺いたいと思います。
  45. 中井一夫

    中井委員長 自治庁長官の出席を要求いたしつつあります。間もなく見えると思いますが、さらになお念のために都合を聞き合せてみましよう。
  46. 北山愛郎

    ○北山委員 では午前の質疑を続行いたします。  ただいま第三十七条の経費につきまして資料をいただいたわけでございますが、この資料は概要でございまして、なおお聞きしなければならぬ点があります。たとえば六号に「警察用車両及び船舶並びに警備業備品の整備に要する経費」というような事項がございます。現在の国警及び自治警、こういうふうな警察用の装備品、ことに車両、船舶というような点は一体どういうような現状になつておりますか、それをひとつ参考にお伺いしておきます。
  47. 柴田達夫

    ○柴田(達)政府委員 現在の制度におきましては、警察用車両、これは国家地方警察用のものについてだけは国費といたしまして、予算を認めてもらつているわけでございます。警察用の車両の種類から申しますと、乗用車、指揮官車、出動車、特車、単車、ビス・モーター、ラジオ・カー、鑑識車、その他の特殊車、こういうものにわかれているわけであります。その予算の内容を申し上げますと、車両の購入費が六億八千万円でございます。これは毎年若干のものを消耗いたしまして、新規購入分といたしましていたしておるわけでございますが、これがそのうちの一億四千六百万円、それから減耗の補充分といたし出して五億三千四百万円、こういうことになつております。
  48. 北山愛郎

    ○北山委員 そうしますと、そのような車両あるいは装備品というようなものを、今後各都道府県警察において整備する場合は、中央から一つの基準を与えられて、こういう車を備えつけるというようなことによつてされるんだと思うのですが、そういうような経費については全部国の支弁とされるのであるか、どの範囲で、どの割合で都道府県に負担をさせ、どの割合で国費の方で支弁するのであるか、それらの方針をひとつお伺いしておきたいのであります。
  49. 柴田達夫

    ○柴田(達)政府委員 まず警察用車両、船舶、警備装備品というものの種類、内容でありますが、これは国庫が支弁をいたします。三十七条に当るものにつきましては、純粋の警察の活動用にできているもの、警察用車両と特に銘打ちましたのもその意味でございます。それから装備品につきましても、警備装備品というふうにいたしましたのは、特に警備活動についての装備品、その裏には準なる乗用車、普通に乗りまわすための用途に供する乗用車はこれに入つておりません。装備品にいたしましても、普通の被服でございますとか、普通に警察官が携帯いたしますような個人装備に属するものは、国庫支弁の中に入つていないわけであります。純粋な警察用の車両、船舶、警備装備品の購入費につきましては、これは国庫支弁にいたしまして、これの維持費は、第三項による補助の対象にいたしている次第であります。
  50. 中井一夫

    中井委員長 北山君にちよつと申し上げます。御要求の自治庁長官は、ただいま参議院の内閣委員会におきまして、行政機関職員定員法の一部を改正する法律案の審議中であり、まさに討論採決に入るような形勢であるそうでありまして、暫時その席をはずしがたき旨の通告がござりました。さよう御承知を願います。
  51. 北山愛郎

    ○北山委員 次の第七号の「警衛及び警備に要する経費」これは資料によりますと、二十九年度におきましても十一億二千三百万円、相当多額に上つておりますが、これの内容を御説明願います。
  52. 柴田達夫

    ○柴田(達)政府委員 第七号につきましては、警備の出動、それから警備の情報収集、警衛警護、列車警乗、不法入国者取締り等に要する活動経費、物件費を国庫支弁にいたす考えであります。
  53. 北山愛郎

    ○北山委員 そういたしますと、本法第五条の二項の例の第三号、この経費は一体どの程度に見積つてこの第七号の中に入つておるか、その部分についてだけお示しを願いたいと思います。
  54. 柴田達夫

    ○柴田(達)政府委員 経費の方といたしましては、ただいま申し上げました警衛、警備に要する経費を一括いたしまして計上いたしておりますので、事態の内容につきまして、第五条の災害、騒乱、こういうものがそのうちどれくらいの割合を占めているかにつきましては、その中に入つていることはもう間違いないのでありますが、内訳は今ちよつとはつきりいたしておりません。
  55. 北山愛郎

    ○北山委員 これは当然のことでございますが、第五条の第二項第三号に要する経費というものは、全額国庫で支弁するのが当然だと思うのでございますが、そういうような建前でおるかどうか。従つてそういうような事態というものは初めから予測ができませんからして、ある場合には相当な経費をこの予算以上に食う場合があるわけであります。そういうような場合には、その経費の見積りの中ではどういうふうにこれを経理される予定であるか、それをあわせてお伺いしておきます。
  56. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 第五条第二項第三号の経費は全額国費負担だ、かように御承知を願いたいと思います。これは不時の出費が非常に多いわけでありますから、さような場合には、多くは予備費、あるいは予算の補正ということになる場合が多いと思います。
  57. 北山愛郎

    ○北山委員 次は第八号でございますが「国の公安に係る犯罪そ他特殊の犯罪の捜査に要する経費」これはただいま資料をいただきまして、この「国の公安に係る犯罪その他特殊の犯罪」というものをここに列挙されておるわけであります。この内容をまだ十分検討する時間がございませんが、内乱、外患、国交、騒擾、これに準ずべき事犯というようなことは当然でありますが、その他たとえば国の所有または使用する財産または施設等に関する重要な事犯であるとか、学校、交通、通信、言論機関、重要施設に対する放火等の破壊的な事犯であるとか、いろいろとたくさんの事項が列挙されてございますが、こういうものについてこの費用を国庫支弁として出されるというような趣旨はどこにあるのであるか、その国庫支弁をするという趣旨お尋ねをいたしたいのであります。
  58. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 こういつたような費用は、本来ならばあるいは当該自治体の府県で支弁すべきであるかもわかりませんが、しかしこういつた施設があるためにそういつた犯罪が起る、あるいは当該府県としてはさように痛痒を感じないけれども、国としては非常に痛痒を感ずる、そういうものに対しては府県としては費用が出しがたい。現在の町村の自治体警察におかれましても、こういつたような費用はできるだけ国庫負担にしてもらいたい、あるいは補助の道を開いてもらいたいという声が非常に多いのでございまして、かような関係からいたしまして、こういつたものはできるだけ府県費の負担でなくて国費の負担にいたすのが筋合いであろう、かように考えてつくつた次第であります。
  59. 北山愛郎

    ○北山委員 今申し上げたように、この事項についてはいろいろ雑多なものが入つておりますが、国の財産であるとか、あるいは国がやつておる事業に関する犯罪であるとか、そういうような捜査を都道府県警察でやる場合には、これは国の利害に関するものであるから国の方で金を出すのだという趣旨は、ちよつと納得しがたいように思うのです。というのは、国のものであろうと、地方団体のものであろうと、個人のものであろうと、これは一般の国並びに地方公共団体の警察活動の対象としては平等でなければならぬ。その費用をどういうふうに負担するかということは、警察の働きなり、事務の配分なり、あるいは財源の配分というようなことによつてきまつて来なければならぬのでありまして、その財産なり事業というものが国のものであるから、それを守つてやつたのだから、これは国の方で出してやらなければならぬという考え方は、少し別の考え方と混淆しておるのではないか。これを押し詰めて行けば、個人の財産を守つてもらうのに、その守つてもらう代償として金を出すんだというようなことにその考え方は演繹されるというふうにも思うのでありまして、国家的な事犯というようなものの中にあまり項目を入れ過ぎるのじやないか。騒擾であるとか内乱であるとかいうのは、その事犯の態様から見て、国家的なものである、国の公安に関するものである、こういうふうに考えられますが、それ以外のこの項目の中のあるものについては、たとえば酒税法違反、専売法違反等の事犯といつたようなものは、何となく一つの利害団体として、国が受益者として金を支払うというような考え方がそこに入つていると思うのですが、その点どういうお考えか、これで正しいのであるか、お答え願いたい。
  60. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 ただいまの御意見も一応ごもつともだと存じます。従いまして、今日の警察法のもとにおきまして市町村警察に対して補助を行えないという原則があるのもそれであろうと思うのであります。さような意味で、われわれ政府といたしましてもしばしば御要望に対してさよう答弁いたしておるのでありますが、この委員会また他の委員会等におきましても強い御要望がございまして、またその御要望も一面ただいま私が申し上げますように、まことにもつともな理由もございますので、この費用負担区分をはつきりいたします際に、できるだけさような御要望にこたえ、またこの御要望にもただいま私が申しますようなりくつが非常にあるわけでございますから、今日すでに東京警視庁に対して補助金が出せるというのも、こういつた考え方が入つておるわけであります。あの際もこの思想を全自治体警察に及ぼしてもらいたいという御希望はたしかこの委員会でもあつたのでございます。さような趣旨でこれを立法化いたしたのであります。
  61. 北山愛郎

    ○北山委員 補助金という場合と国がが国費で支弁するという場合とは違うと思うのでございます。またかりに当委員会でそういうような希望があつたにしましても、それは現在の府県なりあるいは市町村自治体警察の側で財源的な余裕がないというような関係から自然に出た声であつて、本来ならばやはりその警察機能が十分活動できるような財源を別な形で固有の財源として与えるという方が正しいのじやないか、こう思うのでございますが、まあ現実にそういうような趣旨から、各項目たくさんの事犯について、これに関連する経費をこの第八号でもつて国庫で支弁するというふうな御説明でありますが、そうしますと、一体その国庫の支弁というものはどの程度に支弁されるのであるか。非常にたくさんの項目がございまして、これに関係する経費というようなことも、これは実際に全部やるとすればなかなか大したものになると思うのですが、どの程度におやりになるのであるか。あるいはまた最近ちよつと新聞等にもありますように、総理大臣が大磯に御出張になるというか、滞在する場合には、警視庁の方から護衛警察官が行つておるというようなことでございますが、そういうような経費はやはり現在でも国の方から出しておるのであるか、将来はどうなるのであるか。要するにこの八号の内容として列挙されておりますこの経費について、どの程度に国庫支弁をされるのであるか、それをお伺いしたいのであります。
  62. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 八号に該当いたしまする限りにおいては全額を支弁いたしたい、かように考えておる次第であります。
  63. 北山愛郎

    ○北山委員 もちろんこれは当然のことでございますが、この経費を全額支弁するということは、この前の第五条の二項とは関係がないのだ、要するに金を出してやるから、それだけこの金はああ使えこう使えというような指揮監督権がそれに件うというのではなくて、これは単にいろいろな意味で、第五条第二項第三号の部分もありますが、それ以外の、先ほど来お話のあつたような国のいろいろな都合によつて国が費用を負担した方がいいというだけであつて、この警察運営については何も第五条とは関係がないのだ、こう考えてよろしゆうございますか。
  64. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 御所見の通りでございます。
  65. 北山愛郎

    ○北山委員 その次に第三項補助の方でございますが、「予算範囲内において、政令で定めるところにより、国がその一部を補助する。」とございますが、その補助の基準あるいは範囲というようなものを御説明いただきたいのであります。
  66. 柴田達夫

    ○柴田(達)政府委員 第三項の補助金でありますが、これは第一項を除きますところの残りの経費というものは府県の負担になるわけでございますが、そのうちの一部につきまして、政令で定めるととろによつて補助金を出す、その政令でもつては、純県費と申しますか、補助の対象に全然ならないものといたしまして、つまり除外するものといたしまして、地方公務員でありますととろの職員の人件費、被服費、それから赴任旅費、人頭庁費——予算上の用語でありますが、といいますように、通常職員の設置に伴い当然必要な経費、五百人おれば五百人分としてかけ算をすれば当然出て来るような経費であるわけなのです。そういつたような通常職員の設置に要する経費だけは除外をいたしまして、つまり補助の対象といたしませんで、その残りの府県の負担になる経費につきまして原則として半額を補助いたしたい、この旨を政令で定めたい、かように考えております。
  67. 北山愛郎

    ○北山委員 ただいまの純県費でやる分として被服費などがございますが、被服なども、おそらく服制については中央から基準なりその服制を定めて来ると思うのです。そうしますと、やはり一部を補助した方がしかるべきものじやないか、こう思うのでありますが、この点はどうであるか、まずそれをお伺いします。
  68. 柴田達夫

    ○柴田(達)政府委員 警察装備というものを警察庁が所管する関係上、被服の服制、服のかつこうはどういうふうでなければならないとか、どこに階級章をつけなければならないとかいつたようなことにつきましては、なるほど統轄をいたすと思いますけれども、職員というものはこれは地方公務員としてあります限り、その職員に伴いますところの被服のつまり生地、仕立ての代金になるわけでございますが、こういうものは、やはりその職員の所属する地方公務員という身分を持つておりますものである以上は、そのものにつきましては府県が純粋に質相することが適当であろう、かように考えまして統県費の負担ということにいたしました。
  69. 北山愛郎

    ○北山委員 それからこの補助金のことでございますが、今度の地方財政計画によりますると、改正警察法が施行になりますと、本年度において都道府県は三百十五億の警察費を負担しなければならぬとあるわけでございます。ところがこの前、公聴会でございましたか、そこである県知事が言うことは、三百十五億と書いてあるけれども、実際は四百二十億ぐらいかかるのじやないか、要するに三百十五億というのは基準であつて、それ以外に実際上はもつと百億もよけいかかるのだというようなお話でございました。事実今府県予算をつくりつつあるわけでありまするが、それによりますると、所要警察費というものを見積つて今の国庫支弁金というものを差引き、それから基準のいわゆる補助になる分であるとか、そういう措置の分、平衡交付金等の基準になる分を差引いて、あと相当額というものを自己財源によつて警察費をまかなわなければならぬという分が相当あるようでありますが、これらの実態については政府としてはどういうふうに考えておるのであるか。一応の基準は示しても、実際警察を維持して行く、都通府県警察仕事をやつて行くという際に、相当額の持出しをしてこれをやつて行かなければならぬということになけば、われわれがおそれておつたように——今度都道府県に創立を見たところの道府県民税であるとか、あるいは不動産取得税、そういうものによつて相当税の増収になるわけでありますが、その増収分をほとんど全部、あるいはそれ以上を警察費に注ぎ込んでしまわなければならぬ、こういうような現実の様相が今各都道府県予算編成期にあたつて出ているわけなんです。     〔委員長退席、佐藤(親)委員長代理着席〕  これを私どもは非常に心配いたすのでございますが、一体政府の方では、大丈夫そういうことはない、平衡交付金一なり、あるいは国庫支弁金なり、あるいは補助金なり、そういうもので十分都道府県警察が維持して行けるのだというような自信があるかどうか。先ほどの、実際は四百二十億もかかるというような知事の所見に対してはどういうふうに見ておるか、そんなことはないと見ておるか。
  70. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 これはいつもここで起つておる問題でございますが、中央地方の財政需要として見ておりまするものと実際に使うものとの開きが現実に今あるわけであります。それを知事さんが言われるのだと考えます。今度の財政需要の見方は、警察費は、都道政県は人件費がほとんど大部分でございまするか、これは国の警察官の給与に準じたものがきめられるという前提に立ちまして、現実に都市においては給与が高うございますから、その現実に高い部分の差額を支給があるものとして、これを正直に見まして、それを人件費の財政需要に見ておりますが、都道府県におかれては、先般も御説明いたしましたように、実際は国の給与水準よりも少し高い水準にきめなければなるまいかというところにその差額が出て来るものだ、かように御承知を願いたいと思います。
  71. 北山愛郎

    ○北山委員 ただいまのお話だと、それは単に人件費の差額から出て来るというようなお話でありましたが、それ以外については絶対に出て来ないという自信がおありであるかどうか。特にこの委員会でも前に非常に問題になつ警察の寄付金の問題であります。ほとんど全国にわたりまして、特に国家地方警察においては、庁舎の建築費であるとか、あるいはその他の維持費等が足りないために、市町村から相当な寄付金をもらつて運営をしておる。あるいは一般の住民からも寄付金をもらつておるということが、地方財政法違反であるということでこの委員会指摘されておりましたが、今度の三十七条なりあるいはその他の財源措置をやればそういうふうな寄付金をもらわなくても都道府県警察はやつて行けるというようなお見込みであるかどうか。従つてそういうような寄付金にたよらないで末端のそういう経費は今度の予算で十分出す、こういうふうなお考えであるか。これは寄付はいかぬいかぬといつても、やはり各警察署なりそういうところに配当される予算が少なければ、自然と地元にお願いをしてもらうということになるわけです。従つてそういうことのないように、十分な必要経費が末端まで配当されるというふうなお考えのもとに、今御説明があつたような負掛金なりあるいは補助金なり、そういうふうな財源措置をなさつておられるか、その点を確かめておきたいのであります。
  72. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 大体御所見のように、無理な寄付金がなくても十分やつて行ける、かように考えておるのでございます。
  73. 北山愛郎

    ○北山委員 私は第三十七条については大体以上で終ります。前へもどるようでございますが、第三十六条の第二項、「都道府県警察は、当該都道府県区域につき、第二条の責務に任ずる。」こう書いてあります。それであとの方で、第三十八条の第四項に「都道府県公安委員会は、その権限に属する事務に関し、」こう書いてあります。そこで都道府県警察あるいは都道府県公安委員会権限範囲というものが必ずしも明瞭でないのですが、三十六条の二項の「第二県の責務に任ずる。」この「責務」の範囲がすなわち権限範囲である、かように考えてよろしゆうございますか。
  74. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 さようにお考えいただいてさしつかえないと存じます。これ以外に、他の法令で公安委員会権限というものがもし付与されるならば、それも考えていただきたい。
  75. 西村力弥

    西村(力)委員 ちよつと関連。私のは三十七条でございますが、人件費、旅費、そういうものは県原費でやるというのですか。そうすると警視正以上は国家公務員の旅費規程でやり、あとのものは地方の旅費規程でやると、そこに差ができる。どうしても地方の旅費規程はうんと低いということになる。そういうものに対して感情的というかそこに間隙が出ないか。あるいはまたこの前もちよつとお尋ねしたのでございますが、国家公務員には年末手当のプラスアルフアがついてあとの連中にはつかない。こういう同じ警察の中で、警察は上司の、すなわち府県本部長であるとか、そういう人々を信頼して、そうして警察運営が行われなければならないのに、直接の経済的な問題においてそこに非常に差ができる。上厚下薄の現象ができる、こういうことになるわけなんです。そういう場合にそのまま見のがして行くのか、それとも何か便法を講ぜられるか、そういう点についてお尋ねをしたい、これが第一点。  次に、先ほどの北山君からの質問に対して、いろいろ国庫補助とか、あるいは国庫支弁とか、そういうもので間に合う、こういうお話でございますが、これは直接にこの予算を組む責任に当つておる府県知事の大方の意向を聞いての御答弁か、あるいは単にこういう計画であるからそれは不足しない、こういう言い方であるか、いずれであるか、その二点について御答弁を願いたい。
  76. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 国家公務員地方公務員との間に給与の相違が自然に若干できることはやむを得ないと考えておるのであります。以前の警察におきましても、国の給与にかかるものと地方の給与にかかるものと両方の職員があつたわけでございますが、そのためにさしたる支障は生じなかつたと考えておるのでございます。給与全体から申しまするならば、やはり地方公務員の給与の方が比較的潤沢であろう、かように思うのでありまして、上が給与が厚くてこれを恨むというような御心配はないと考えます。  それから今度の予算の策定につきましては、今日の国家地方警察で使つておりまする予算、それから地方自治警察で使つております予算、これを勘案いたしまして、これで大体まかなえる、こういう考えを持つたのでございます。知事の御意見は直接には聞いておりませんが、これをもつて一応実施して行きたいと考えておるのであります。
  77. 西村力弥

    西村(力)委員 従来そういうことがあつてもさしたる支障はなかつたということでございますが、それはやはり警察の指揮系統というか、それが厳としておりまして、抗抵干犯の措置あるべからずというあの考え方がとられておる、日本の封建時代からの考え方では、親方は何して子方は何してというあんなつまらない歌がある、そういう考え方が貫いておる。実際あなたはそう言いますけれども、日本の府県というものを平均を引いてみると、平均以下に行く県が非常に多い、平均以上に行くのは六県しかないというような現状である。それであるから国家公務員よりも地方公務員が給与面において有利になつておるというようなことは絶対に言えない。しかもそうでないばかりじやなくて、地方においては俸給の遅配ということもぼつぼつ起きておる。警察官に限り俸給は十分にやるといつても、他の公務員一般との均衡がとれないために、そこに県の全体の運営というものに対して支障を来す、こういうことになるので、その点は認識が非常に不足ではないかと思われる。また今予算面において不足を来さないと言いますけれども、私の聞いた知事さん方の話では、これはやはり不足する、こういうことを私は聞いておるので、一概にそういうぐあいに、言つても、それは実際そう言うだけのことであるのじやないかと思われるのです。やはりどうしても府県の方よりは国家公務員が低いのだから、上厚下薄などということはできない、こういうようなぐあいに思われるかどうか、御答弁をほしいのですが、この点は私の見解の相違を申し上げておくだけで、答弁を求めないで終りたいと思います。
  78. 北山愛郎

    ○北山委員 第三十六条、第三十七条はいろいろ問題がありますが、大体以上で終りまして、次に府県公安委員会についてちよつとお伺いしますが、この前、きのうでございましたか、府県公安委員会警察庁長官指揮監督を受けるけれども、しかし府県公安委員会に対しては警察庁長官は上司ではない、こういうような御説明であつたわけでありますが、それはどういうふうな根拠でそういうことを言われるのであるか。普通であれば、職務上の指揮監督のもとにあるものにとつては、その指揮監督権のあるものが上司、そういうふうに上可という意味考えておるわけでありますが、上司でないというのはどういうふうな根拠であるか。それをお伺いしたいと思います。
  79. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 上司と申しまするのは、一つの組織内における上下の関係を下から見て上司、かようにに使つておるのだと観念いたしておるのであります。前の制度で、たとえば知事が市町村長を指揮監督しておりました、あるいは懲戒罷免権も持つておりましたが、しかし市町村長から見て知事が上司という観念ではやつぱりございません。同一組織内の上下関係、かように了解をいたしておるのであります。
  80. 北山愛郎

    ○北山委員 次に都道府県公安委員の給与のことでありますが、これは報酬なりあるいは実費弁償をもらう。現在でもそうであり、また将来でもそうであろうと思うのですが、一体現在はどの程度に報酬を公安委員に対して出しておるか、あるいは将来も現在と同じ程度考えてあるか。それをお答え願います。
  81. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 現在府県によつて非常に相違をいたしておりまするが、大体一万円ないし三万円の範囲かと考えております。将来もこれについては中央で基準を設けるという考えは持つておりません。
  82. 北山愛郎

    ○北山委員 次にこの委員会仕事のやり方でございますが、やはりこれも合議制の機関であると思うのでありますが、国家公安委員会の方とは違つて会議に関する規定がないようであります。この公安委員会運営はどういうふうにやつて行くのであるか、会はやはり多数決というようなやり方でやつて行くのであるか。その点についてお答えを願います。
  83. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 これは四十五条によりまして、公安委員会がその運営規定を設けることになつておりまするが、多数決であることは、会議体でありますから申し上げるまでもございません。
  84. 北山愛郎

    ○北山委員 この点は厳密に考えると案外問題だと思うのであります。国家公安委員会の方は委員が五人である、こつちは三人だというようなことからして、むしろ国家公安委員会のやり方とは違うような、一つの協議機関のような形でやつておるのではないかと思うのですが、現在では一体どういうふうに都道府県公安委員会運営がなされておるか。おそらく現在でも、運営に関して必要な事項公安委員会がきめておるのだろうと思うのですが、現在ではどういうふうにやつておるのですか。
  85. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 先般国家公安委員会運営規程をお示しいたしましたが、あれにほとんど似寄つた規定を各都道府県でそれぞれ設けて運営をいたしております。
  86. 北山愛郎

    ○北山委員 これは国家公安委員会でも同じでありますが、都道府県公安委員会でも、実は現在の運営のやり方というものがよくわからないのであります。ただ諸規程なりあるいは非常に簡単な会議録をもらつただけでは、一番大事な公安委員会運営がどういうふうになされておるか、あるいは将来なされるであろうかという点がはつきりしない。従つて、これは当委員会としても当初から問題になつておつた点でございますが、国家公安委員、あるいは委員長でもいいのですが、都道府県公安委員というような人たちをここに参考人として来ていただいて、その実情を一ぺん聞く機会を持ちたい、また持たなければならぬと私は思うのでありますが、ひとつこの点は委員長にお願いして、あとで理事会等で御処理をしていただきたい。これは一つの懸案であつて、実行されてない点でありますから、特にお願いをいたしておきます。  次に第五十条「警察本部長は、長官が国家公安委員会意見を聞いて、任免する。」私どもは、警察庁長官国家公安委員会管理のもとにある、こういうふうに考えておるのであります。ところがこの文句を見ると、警察庁長官国家公安委員会とは全然別個なものであつて、その意見を聞いて、警察本部長を任免する、こう書いてある。まことに解せない体裁でございます。長官が国家公安委員会の承認を得てとか、そういうような文句ならばまだしもわかるのでありますが、その管理のもとにある長官が、その上級の管理機関である国家公安委員会意見を聞いて任免するということは、法文の形から見ても納得の行かない条項でございますが、これについて説明を願いたい。
  87. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 原案の趣旨は、都道府県警察本部長を任命する任命権者を国家公安委員会にした方がよろしいか、あるいは長官にした方がよろしいか、この問題があるわけでございますが、原案といたしましては、国家公安委員会管理のもとに長官が責任をもつて権限を行使するのであるから、従つてそれが任命権者は長官の方がよかろう、かような意味で長官といたしたのでございます。さようでありまするから、その場合に公安委員会の、たとえば承認を得てとか、あるいは同意を得てということでありまするならば、これは公安委員会に移した方がよろしいのでございます。さような意味から長官に持たせた、しかも長官がただ黙つてやるというのではなく、公安委員会意見をよく聞いてやるという趣旨でございます。
  88. 北山愛郎

    ○北山委員 前へもどるようでございますが、この警察法では、警察庁長官の任免、あるいは警視総監の任免というような点が一番問題になると思うのですが、第四十九条「警視総監は、内閣総理大臣が国家公安委員会意見を聞いて、任免する。」とあります。それから警察庁長官についても同様でありますが、一体どうして内閣総理大臣が都の、いわゆる地方警察官まで任免しなければならぬか、これは再々御答弁の中にある警察の民主的な保障というものとむしろ逆行するような、内閣総理大臣に巨大な権限を与えておるのではないかと思うのでありますが、どうしてこれが絶対に必要なものであるかということをはつきりとお答えを願いたい。
  89. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 警視総監は中央で任命をした方がよろしいということは、前から御説明をいたしておる通りでありますが、その場合に、しからば国家公安委員会が任命するか、あるいは総理大臣が任命するかという問題だと存じます。昨日もいろいろ御質問がありましたように、この任免権を持つておりましても、国家公定委員会意見を聞かなければなりませんし、また日常仕事は、警視総監ならば都の公安委員会管理下にあるわけでありますから、任免権を通じて政府の意図のように動かされるということは、これは不可能なことではございますが、帝都の治安という国の治安に密接する重要な警察のポストでございますから、その人事管理につきましては、政府として直接責任を負えるようにというのが趣旨でございます。
  90. 北山愛郎

    ○北山委員 警視総監は、都の公安委員会管理のもとで都の警察をやるわけであります。従つて人事管理について内閣総理大臣が責任が負えるということは、すなわちその都の警察仕事についても責任を負えるということにならなくてはならないので、むしろ内閣総理大臣が警視総監の人事権を持つことによつて都の警察に影響を及ぼすということを当然予想しておるのじやないかと思うのですが、その点はいかがでしようか。
  91. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 悪い意味の影響力は、これは国家公安委員会、あるいは都道府県会安委員会で当然チエツクをされるものだと考えておるのであります。帝都の治安の維持の責任者として瑕疵のない人間であるかどうか、非行がないかどうかというような事柄については、これはやはり政府が直接責任を持つてその人事管理をした方がよろしい、かように考えております。
  92. 北山愛郎

    ○北山委員 内閣総理大臣がやればいい人事管理ができて、都の公安委員会がやればそこに何か悪い人事管理ができるような、特に相違があるかどうか。どうもお話のようでありますと、総理大臣がやればりつぱに行くのだ、そういうふうに聞えるのでありますが、特に内閣総理大臣がやれば、偉い人がやるのだからりつぱに行くのだというような意味合いであるか、それをお伺いしたいと思うのです。
  93. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 それはりつぱにやれる、やれぬということもさることながら、それよりは、むしろそういつた人をそのままポストにつけておくことの可否ということについて政府が直接責任を負う、こういう趣旨でございます。
  94. 北山愛郎

    ○北山委員 そうすると、政府警察についての責任を負うのには、やはり人事権を持つていなければいかぬということになつて、何でもかでも人事権を持つておれば責任が負えるが、持つていなければ責任が負えないというふうに聞えるのでありますが、私どもはどうもそのりくつが納得できない。特に警視総監を総理大臣が——建前からいえば都の公安委員会がやるべきものを、みずから政府がやるということ自体が、いわゆる自治体警察というものの趣旨をもうすでに侵害していると思うのであります。     〔佐藤(親)委員長代理退席、委員長着席〕内閣総理大臣というのは、この警察法の初めにも所轄とあります通り、いわゆる非常に広い意味警察あるいは治安の最終的な責任を負うというのであつて人事権だとか、そういうものを持たなければ責任が負えないという趣旨ではないと思うのであります。わざわざ都の公安委員会からこの権限を奪つておいて、そうして総理大臣みずからがやるというような意味合いがどうもはつきりしないのでありますが、もう一ぺんひとつお答えを願いたい。
  95. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 お尋ねの前提になつております事柄は二つあると思います。一つは都の公安委員会で任命させていいものをなぜ中央で任命しなければならぬか、もう一つは、中央で任命するにしても、国家公安委員会とか、あるいは中央の長官ではなくてなぜ総理大臣に持つて行くか、この二つだと思います。前者の方につきましては、これはすべて道府県警察本部長と同じ趣旨でございまして、これはたびたび申し上げておりますから省略をいたします。後者の分につきましては、先ほどから申し上げておりますように、首都は特に治安上大事なところであります。従つてこれは警察日常仕事管理、あるいは指揮監督というものも直接政府が持つた方が責任を負いやすいのでありますが、さようにいたしますと、いろいろ御心配になつておられますように、あまりに政治化されるおそれはないかという不安が多くなりますので、人事権だけにとどめておく、こういう趣旨でございます。
  96. 北山愛郎

    ○北山委員 この問題はほかにもいろいろの点で出て来ると思いますので、この程度にこの場所ではいたします。  次に第四十七条第四項「警察庁及び道府県警察本部の内部組織は、政令で定める基準に従い、条例で定める。」こういうふうにあります。またそれ以外の各規定の中に、都道府県で条例で定める事項、それはすべて「政令で定める基準に従い、」あるいは「国家公安委員会意見を聞いて、条例で定める。」とかあつて、その「条例で定める。」というのがただかつこうだけである。自治体警察という体裁をつけるために条例で定める事項としてあるだけであつて、実際その内容的には政令で縛つておる。こういうようなことは都道府県の自主立法権というものを過度に制約するものであつて、むしろ条例で定める、いわゆる自治体の立法ではなくて、法律なり命令なり、国のそういう法令のもとでただ委任されておる事項規定するにとどまるというようなことであつて、この自治体警察であるという趣旨が明らかでない、そういうふうに思われるのでありますが、一体この警察法の各所に見える条例で決定する事項のほかに、自主的に都道府県警察に関して条例で定める場合があるのかどうか、あるとすればそれはどういう場合であるか、それをお答え願いたい。
  97. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 第四十七条の第四項の条例の基準を政令で定めます理由は、警察本部の内部組織が各府県非常にばらばらであつてはお互いに不便なこともありますので、一応その基準をきめるということでございまして、もちろんこれには警視正以上を配置する必要もありますから、そういつた基準を政令で示すわけであります。ただこれをもつて自給体警察の自治体たるゆえんを奪うものではなかろうと思つております。現在の自治法におきましても、たとえば府県の各内部の組織は、これを法律で書いてあることは御承知の通りであります。  次にここに条例で定めると規定していないものについて、何か条例で定め得るものがあるかどうかというお尋ねでありますが、これは組織法でございますから、大体組織に関してきめなければならないような点は、ほとんど法律に条例で定めるとそれぞれ書いてございますから、組織につきましては、ここに書いてある条例以外の条例できめるような事項はなかろう、ほとんどここに書かれておる条例で尽きる、かように考えております。
  98. 北山愛郎

    ○北山委員 組織については、ほとんどここに網羅されておるというお答えであります。確かに五十六条の地方警察職員の定員につきましても「条例で定める。」但し「この場合において、警察官の定員については、政令で定める基準に従わなければならない。」こう書いてあります。また第五十二条では「警察署の名称、位置及び管轄区域は、政令で定める基準に従い、条例で定める」と書いてある。それから第五十五条もそうであります。都道府県警察の職員の任用、給与勤務時間その他の勤務条件、服務及び公務災害補償に関しては、やはり三十四条第一項に規定する職員の例を基準として条例または人事委員会規則で定めるということになつてつて、自主的に定めるものは何もない。ただ条例でやるという形式であつて都道府県の議会としては、そこにはほとんど自由裁量の余地がないというふうに考えられまして、この点については、少くともこの都道府県警察というものは自治体警察という性格がほとんどないというふうに考えられるわけであります。ところがただいまのお話でありますと、なるほど組織法であるから、ほとんど網羅されておる。それでは警察の執行なり活動について条例で定め得るか、そういうものが一体どういう範囲にあるか、それをひとつお示し願いたい。
  99. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 活動につきましては、これは他の法令で制限せられておらない以上は、先般からときどき引用しておられます、地方自治体は地方公共の云々というあれによりまして、条例がつくれるわけであります。たとえば公安条例であるとか、あるいは騒音取締り条例であるとか、売春取締り条例であるとか、そういうようなものはそれぞれつくれるわけであります。
  100. 北山愛郎

    ○北山委員 ただいまのお話一般の行政条例の一部であつて、直接に警察とは関係がないのではないかと思うのです。そういうことじやなくて、警察官なり、そういうものの活動について一体条例で定め得るのか。たとえばこの第五条第二項の第十一号「警察職員の任用、勤務及び活動の基準に関すること。」と書いてあります。だからそういうことについては、都道府県は条例で自主的に定め得る、そう考えてよろしゆうございますか。
  101. 柴田達夫

    ○柴田(達)政府委員 先ほど長官からお答えいたしましたように、警察の組織関係につきましての重要な事項は、ほとんど条例で定めるということを法案に書いてありますので、それ以外には組織ではないだろうというお答えでありまして、それ以外にあるとすれば条例できめるものと考えてよいかという重ねてのお尋ねでありますが、それ以外の活動勤務等につきまして、五条の基準に見合うようなものにつきましては、警察内部関係事柄が多いと思いますので、これは条例というよりはむしろ府県公安委員会に規則制定権を認めておるので、府県公安委員会の規則でそれらのものが定められる場合が多かろう、かように考えます。
  102. 北山愛郎

    ○北山委員 そういたしますと、結局直接警察という部面においては、その組織においても、執行活動についても、都道府県が条例を定め得るような余地はほとんどないのだというふうに解してよいか。もしそういうふうに解するならば、そういう範囲におきましては、ほとんど政令の基準に従うということでございますから、都道府県の自主性がない。従つて自治体警察であるという性格はその範囲ではほとんどないのだ、こう考えてよろしゆうございますか。
  103. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 前々から申しておりますように、警察事務都道府県事務ということにいたしたわけでありますが、しかし国の治安という事柄とも相当深い関係を持ちますので、必要最小限度において法律規定し、あるいは条例で設けます場合にも、必要に応じて基準を示す、かようにいたしておるのであります、見方によりましては、条例というものは与えておるけれども、その条例で伸縮し得る幅はきわめて狭いじやないかとおつしやいますが、その幅は狭いわけでありますけれども、その基準に従つて地方状況に応じて条例を定めることができるわけでありますから、自主性を全然失つてしまつたとは言えないと思うのであります。     〔委員長退席、西村(力)委員長代理着席〕
  104. 北山愛郎

    ○北山委員 自主立法といいますか、自治権といいますか、これは私どもの了解する範囲では、ただいまのお話のようなものでなくて、やはり自主的にその内容をある程度にはきめ得るものでなければならぬと思うのです。ただいまのような御答弁でありますと、ほとんど都道府県の議会は警察の組織、あるいは警察の執行についてはその基準をきめ得ない。ただ政令なり、あるいは法律なり、あるいは国家公安委員会意見なり、そういうものの範囲できめられた事項を県議会にかけて、そして条例という名前をくつつけて出すという程度であつて、この点では、自治体警察という性格はほとんどない。私どもはさよう了解するわけであります。ところで政令で定める基準というような言葉の中にも、警察法ではいろいろ使いわけがしてあるわけであります。第四十七条の第四項は「警視庁及び道府県警察本部の内部組織は、政令で定める基準に従い、条例で定める。」と書いてある。ところが第五十一条は「方面本部の数、名称、位置及び管轄区域は、国家公安委員会意見を聞いて、条例で定める。」と書いてある。それから第五十六条に、先ほども指摘しましたが「地方警察職員の定員は、条例で定める。」と書いて、次に「この場合において、警察官の定員については、政令で定める基準に従わなければならない。」というふうに表現がいろいろかわつておるわけなのです。特に第五十六条の二項の表現と、それから第五十二条の四項の表現、こういう表現にはそこに差違があるのであつて、何らか意味があるのであるか、どういう違いがあるか。
  105. 柴田達夫

    ○柴田(達)政府委員 四十七条の四項のような書き方と五十六条の二項の書き方については相違はございません。五十六条の二項の方は、条文関係上、定員一般は条例できめますが、その中の警察官の定員についてだけ政令の基準に従う。一般職員はもう自由だ。こういうことで二項に書きわけたわけであります。ただもう一つお尋ねの五十一条の五項は、これは内容が違うのでございまして、政令で基準を定めるというところまで行きませんで、具体的にこれは北海道の方面本部だけの問題でありますので、どこにどういう方面本部を置こう。そうしてその管轄区域をどういう広さにしよう、幾つに北海道をわけようかという、これは政令の基準ではございませんで、具体的処置について国家公安委員会意見を聞いて条例で定めてもらいたい、こういうのであります。
  106. 北山愛郎

    ○北山委員 まだあちこち疑問の点があるのでありますが、一人でやつてもほかの方に御迷惑でございますから、一時中止して、あと保留いたしまして、ほかの方にもございましたらやつていただきたいと思います。
  107. 西村力弥

    西村(力)委員長代理 北山君の保留を認めて、次に移ります。大石ヨシエ
  108. 大石ヨシエ

    ○大石委員 大臣は新米ですから私はお尋ねしませんで、齋藤国警長官にお尋ねしますが、私はわからないところがあります。第三十八条の「都道府県知事の所轄の下に、」ということはどういうふうに解釈したらよろしゆうございましようか。私はちよつと京都府の知事さんと意見を異にしております。選挙のときに非常に圧迫されますから、この点齋脚長官にお聞きしたいと思います。これはどうでしよう。そういうところまで干渉されると困る。その点を明らかにしたい。
  109. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 これは、都道府県公安委員会というものがどこに所属しているかと申しますると、知事に所属しているという趣旨でありまして、公安委員会に対して指揮をしたり、命令したりする権限はありません。従いまして選挙などにつきましても、知事が公安委員会を動かしてどうということはございませんから、御安心を願いたいと思います。
  110. 大石ヨシエ

    ○大石委員 しかし現にそういう公安委員を動かして事をやつておることを私は知つておるのです。この法文は、何とかこれはもつといいように修正を特に皆さんにお願いしたいと思います。斎藤さん頼みますよ。(笑声)  それからもう一つお頼みせねばならぬことは皇宮警察学校のことで、私はこれをお聞きします。実はきのう皇宮警察には八百九十三人のおまわりさんがおるということを聞いて、実は私は唖然とした。今度警察法が通りましたら、斎藤国警長官がいずれ長官におなりであろうと思いますから、それで斎藤さん聞いておつてちやうだいよ。そこで私をコミユニストと間違えてどうぞひつぱらないようにしていただきたいと思うのでございます。それでこの皇宮警察のこうした方面に特に皇宮警察学校というものが存在するということは、これは時代錯誤もはなはだしいものである。これはあなたは那辺にお考えでございますか。この点事詳細に承りたい。
  111. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 たびたび申しておりますように、皇宮警察学校の前身は皇宮警察練習所でございますが、その当時各府県警察練習所というものがございまして、府県によりましては五百名、あるいは六百名しか定員のないところにおきましても、そこの警察官教養のために一つの練習所を持つております。これが今日府県警察学校になつております。練習所という名前を学校という名前にかえまして、教授内容を充実したわけであります。さようなわけでありまして、皇宮警察も八百人定員を持つているわけでありますから、従来からの練習所から引続いて、今日も皇宮警察学校というのが現にあるわけです。それをそのまま新しい法律はおいても認めていただいたということであります。  なお皇宮警察につきましては、ただ宮城内の警備警衛だけではなくて、たとえば京都の御所、あるいはその他の離宮といつたところの警備警衛も全部この皇宮警察本部で担当いたしておるのでございます。
  112. 大石ヨシエ

    ○大石委員 そうしますと、長官は皇宮警察のいろいろな行事や職務を行うときに、どういう方法でこれを国家公安委員長と御相談になるのでございますか。この点を私は知りたいと思います。
  113. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 毎週一日、国家公安委員会の定例会合がございますから、その会合の際には、私以下関係職員が出席をいたしまして、そこでいろいろ御説明をし、あるいはまたいろいろ御指示を受けるというようにいたしております。また急に用の起りました際には、それぞれ便宜な方法で会合を願つて御指示を仰いでいるわけでございます。
  114. 大石ヨシエ

    ○大石委員 それから第四十七条に「警視庁は特別区の」とありますが、この特別区というのは何をさしたものを特別区と称するのでございますか、お数え願いたいと思います。
  115. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 東京都の特別区と申しますのは自治法上東京都の区をすべて特別区と称しておるのでございまして、いわゆる特別区のないところは三多摩地域であります。
  116. 大石ヨシエ

    ○大石委員 そうすると、特別区とは東京都のそういうようなところを特別区と称するのですか。五大府県は別に入らないのですか。その点をはつきり知りたいのです。
  117. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 特別区と申しますのは、東京都に区が二十三ございます。品川区とか、千代田区とか、この東京都の区をいうのであります。
  118. 大石ヨシエ

    ○大石委員 それから別の観点でお伺いしたいのですが、税務官吏の酒、タバコ、アルコール、これは大蔵省関係ですね。それから麻薬取締り機関、これは厚生関係。入国審査官、これは法務省。それから森林主事、これは農林省。それから海上保安官、鉄道公安官、これは運輸省ですが、こういう人人はピストルを所持しておるのでございましようか。その辺を知りたいと思うのですが、こういうものはこれこそ国警に移行するのがほんとうであろうと思います。斎藤さん、これは国警にすぐ入れてちようだいよ。どうですか、ピストルを持つておるかどうであるか。この点を知りたい。
  119. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 ピストルを持つておりますのは鉄道公安官、それから海上保安官、それから海上公安官、税関の官吏、監獄職員、それから入国管理局の入国審査官がピストルを持つておるのでございます。その問題につきましては、たびたび御意見を承つておりまするし、他の委員方々からも御同様の意見の御開陳をたびたび承つておるのでございます。これらのうちの海上保安官を除きましては、他の行政事務と非常に密接に関係をしながら、いわゆる特別司法警察職員の役割を果しているのでございまするので、それらの行政事務との関係をも勘案をいたしまして、当委員会においてもしばしば同様の御意見の御開陳がございまするので、若干時間をおかしをいただきまして、政府部内の全体といたしまして十分慎重に考慮いたしたい、かように考えておるのでございます。
  120. 大石ヨシエ

    ○大石委員 憲法の第十四条には、国民はすべて法の下に平等であるということがございます。私もこの席上でたびたび申し上げたのですが、先ほど先輩の床次先生からもおつしやいましたが、この公安委員をあまり制限しておる。私は、警察官の経歴を持つた人、裁判官の経歴を持つた人、そういうような人は、二年くらい休んだら公安委員に入つてもらつて、一人くらいそういう人がおつて、そうしてその人がしつかり指導した方がよいと思います。あなたはどういうふうに思われますか。
  121. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 これも中井委員床次委員にもお答えを申し上げましたが、中井委員床次委員は違つた所見を持つておられるようでございます。やはり警察官僚化を防ぐといつた意味からいたしまして、私はこういつたかつて専門家であつた方々は、公安委員資格から除外しておく方が警察の民主化に役立つものと、かように考えております。それで過去二年、あるいは数年間その職を離れていたという者については、もう臭味がないからよかろうという御意見もごもつともでございますが、考えようによりますると、古い警察知識で新しい警察を、しかも公安委員という立場指導をされますることは、場合によりましては、非常に弊害を生ずるおそれでございますので、その点はわれわれといたしましては、これはすべて人によることでございまするが、原則といたしましては除外をいたすことが無難である、かように考えておるのでございます。
  122. 大石ヨシエ

    ○大石委員 結局私は、これは人間の問題であると思う。それで警察官をしておつた人でも、非常に民主主義的な新しい考え方を持つた人がありますから、そういう人は一人くらい入れておいても私はよいと思つておるような考えですが、私より齋藤さんの頭の方がはるかに進んでいらつしやるのに敬意を表します。  そこで私は今度違う論点からお聞きしたいのですが、法案の第五十五条の二項の点について、私はお聞きいたしたいと思うのです。——第二項の点について説明を聞きたいと思うのです。斎藤さん、わかりましたか。これは警官の士気を鼓舞し、また恩給その他の関係がありますから、二項について、これを聞きたい。
  123. 西村力弥

    西村(力)委員長代理 大石さん、答弁者は柴田総務部長でよろしゆうございますか。
  124. 大石ヨシエ

    ○大石委員 いや斎藤国警長官でなければあかぬ。(「逐条説明は済んだのだ」と呼ぶ者あり)いらぬことを言うな。
  125. 柴田達夫

    ○柴田(達)政府委員 五十五条の二項は、府県警察の職員の中で警視正以上の者は国家公務員になるわけであります。それを除きました残りの職員、これは十一万人の警察官と一万五千の一般職員でございますから、約十二万五千人の大部分の府県警察警視以下の職員になるわけであります。この職員は地方公務員でありまして、地方公務員法の適用を受けるわけであります。地方公務員法によりますと、ここにありますようなその職員の任用でありますとか、給与でありますとか、勤務時間その他の勤務条件でありますとか、服務でありますとか、公務災害補償につきましては、それぞれ府県の条例または人事委員会規則でその詳細をきめなければならないことになつておるのであります。ただ地方公務員と申しましても、警察の勤務に服する者でありますので、警察の勤務の特殊性からいたしまして、自由自在にきめてしまうというわけには行かないものがあるわけであります。そういうような事柄につきましては、国家公務員であるところの警察庁の職員の方にきまりがございますので、そのきまり通りにというわけには参りませぬのでありましようけれども、そのきまりを基準といたしまして、たとえば一番代表的なものは、給与等につきましてもこれを基準といたしまして、かたがた各府県一般職員との振合いの問題でございますとか、そういう点を参酌いたしまして、各府県が条例で給与をきめる、あるいはここに掲げてありますようなほかの事柄も、それぞれ府県国家公務員の方の例を基準といたしまして、なおかつ府県の実情に合うようにきめるということを規定いたしたものであります。
  126. 大石ヨシエ

    ○大石委員 そうすると斎藤さんにお尋ねしますが、自治体警察の有能な幹部、長年勤続して熟練した職員が退職の余儀なきに至つたときに、これは非常に哀れな状態である。これはどういうふうにしたら一番よろしいでしようか。そうして恩給その他に非常に響きます。これを私は、もしこの法案が通つたときに、非常に気の毒だと思う。これは柴田さんでなしに、斎藤さんから言うてください。責任あることですから……。
  127. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 ただいまの点は、現在自治体警察におられて、国家地方警察警察官よりも非常に高い俸給をもらつておられる方が、今度は府県警察になられた。その場合に、従前通りの俸給が府県規定上もらえないという場合のことだと存じます。その場合には、なるほどおつしやいますように当分の間、本俸が現在の給与よりも高くなるまでの間は調整額としてもらいますが、これは恩給やあるいは退職金の基準には算入をされませんので、その間におやめになる場合には確かに損をされるので、まことにお気の毒だと存じます。しかしこの期間はそう長い期間ではございませんので、短かければ二、三年以内、長くても四、五年、非常に高い俸給をとつておられる方でも四、五年ぐらいの間には追いつかれると思うのでございまして、できるだけその間に退職をされないように望んでおるのでございます。たが実際問題といたしまして、現在もらつておられる給与そのままで都道府県警察官として引継がれるということになりますと非常によろしいのでございますが、御承知のようにさようにいたしますと、今日の低い給与をもらつておりまする国家地方警察の職員、及び小さい自治体警察の職員の方々の給与をうんと引上げなければならない、これは非常な財源を要することでございます。今日低い給与をもらつております職員から見ますならば、従前同じ給与をもらい、同じ勤務をしておつた、今も勤務の内容はかわらないけれども、たまたま大都市に行かれた人は非常な高い給与をもらつているというので、過去数年間低い給与をもらつております国警の諸君から見ますならば、これは非常な羨望の念を持つておるのでありまして、この給与の相違というものをいつかは何らかの方法によつてならさなければ、これは警察全体にとりまして大きな事態が起りはしないかと思つて憂えておつたのであります。その給与を均一にする方法と申しますのは、大体その中間くらいに定めまして、そして引下つたものは、手取りは下らないが、若干は恩給の基準とか何とかいう点で二、三年あるいは四、五年の間は損をされるかしれませんが、一方非常に低い給与で数年間甘んじておつたという者のあることをも考えていただいて、それはがまんをしていただくということで初めて解決がつくのじやなかろうか、これが今度の警察法案の給与の考え方でございます。
  128. 大石ヨシエ

    ○大石委員 ただいま斎藤さんの御意見拝聴いたしまして、斎藤さん自身も非常に気の毒であるということをお考えになつておる。そうしたらこの法文の中で何とかそれをうたつてやつたらどうか、そんな有能な人がそういう気の毒な目にあうということは、この法文ができたためである。これを何とか直してやらなかつたらかわいそうではないか。あなたもかわいそうであるということを認識なさつておる。しからばこの点を、ぜひとも何とか直してやつていただきたい。これは小坂さん頼みますよ。どうですか。私初めて小坂さんにお願いするんですが、これは何とかしてやつていただきませんと、斎藤さんも非常にこの点は気の毒に思うとただいまここではつきりおつしやつたのでございますが、小坂さんのお考えはいかがでございましよう。あなたは新米ですから、私はお聞きするのも非常に遠慮しておりましたが、この点をどうぞはつきりおつしやつていただきたいと思います。
  129. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 現在の給与は、中央地方において差等があるということは一般に御認識をいただいていることだと思います。しからば地方において給与財源その他すべての財源が潤沢であるかといいますると、そうでないことも御承知の通りだと思います。私どもといたしましては、どうしたら同じ国民全体に奉仕し、あるいは地方民全体に奉仕するこうした公務員中央地方を問わず、その間の給与の差等をなくすことができるかということにつきまして、いろいろと心を砕いておるつもりでございます。しかしながら現実にそうしたものがある実態でございますので、これを漸を追うて調整いたして参りたい、こういう気持を持つております。ただいまお述べの警察官の給与について、ありますが、なるほど御指摘のような点につきましては、私どもといたしましても十分なる配慮をもちまして、その給与が変動を生じないように調整措置を講じておりますことは、御承知の通りでございます。
  130. 大石ヨシエ

    ○大石委員 私は小坂さんをゼントルマンと信じておりますから、うそはお言いにならないと思いますので、私は小坂大臣の答弁に非常に満足の意を表します。  そこで斎藤国警長官にお尋ねしたいのは五十一条の方面本部、これはただいま田中警視総監がやつておられる新撰組と称するものと同じなんでしようか、その点をちよつとお聞きしたい。
  131. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 この方面本部と申しますのは、北海道だけにある現地の組織でございまして、北海道は非常に地域が広うございますので、あれを札幌、釧路、北川、旭川、函館というぐあいに五つの地域にわけまして、そうしてその地域を担当する警察を置いているのでございます。今度この制度の改正によりまして、北海道は一つの道の警察になりますが、その道の警察の下部組織として、五つの地域を依然方面本部として残しておきたい、こういうのが趣旨でございまして、特殊な警察という意味は毛頭ございません。
  132. 大石ヨシエ

    ○大石委員 重ねて斎藤さんにお願いしておきますが、ただいまの警視庁の第一方面何とか、第二方面何とか、あれはいわゆる新撰組でございます。もしこの法案が通りましたあかつきには、あなたが全日本の警察権を持たれるのですから、そういう新撰組とか、警察予備隊とか、そういうくだらぬものをおつくりになつて国民の負担を多くさして、血税を使わないようにしてああいう方面隊と申しますか、予備隊を今後も残して行くかどうかという問題はあろうと思いますが、これは主として東京都の公安委員会でおきめになる事項でございます。御所見の点はよく申し伝えておきたいと思います。
  133. 大石ヨシエ

    ○大石委員 それから斎藤さん、あの五月のメーデーに労働者が興奮するということは、ああいう新撰組というような警官隊がたさくん出るから、警官隊と労働者が衝突するわけなんです。この法案が通れば、多分あなたが長官になられることと私は思つておりますが、その際には、どうぞメーデーには警官をあまりたくさん繰出さないようにしていただきたいと思いますが、どうですか、そう約束してくださいますか、いかがでございましよう、お聞きしたい。
  134. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 大衆が興奮いたします際の警察官の用い方というものは非常に大事でございまして、ただいま大石委員の御意見の点は、まことにその通りだと存じます。この警察官の運用の仕方につきましては、ただいまの御意見の点を十分念慮に入れまして、今日におきましてもさように指導いたしておりますが、今後も十分配慮いたしたいと思います。
  135. 西村力弥

    西村(力)委員長代理 私ちよつと質問いたしますが、今の大石さんに対する答弁と第五十六条の二というのは齟齬しているように思いますが、国警長官の答弁を求めたい。
  136. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 五十六条の二によりまして、警察官の定員は政令で定める基準により、これは府県の条例できめられるわけであります。従つて東京都に何人の警察官を置くかということは、東京都の条例できめられるわけであります。その警察官をどういう組織にして使うというのは、これは公安委員会できめます。さよう御承知願います。
  137. 西村力弥

    西村(力)委員長代理 門司君。
  138. 門司亮

    ○門司委員 私はきようはごく簡単に少しばかりお聞きしておきたいと思います。  これはしばしば聞かれておりますので、念を押す必要はないかと思いますが、三十六条に来ましたので、三十六条の規定を一応聞いておきたいと思いますが、この法案全体を通じて、やはり三十六条は大きな問題を投げかけておるのであります。三十六条には、御存じのように「都道府県に、都道府県警察を置く。」「都道府県警察は、当該都道府県区域につき、第二条の責務に任ずる。」こう書いてあります。このものの考え方ですが、現行警察法には、御存じのように「その区域内において警察を維持し、法律及び秩序の執行の責に任ずる。」こういうふうに書いてあります。従つて必置部である。いわゆる府県に必ず置かなければならないという自治法から、これを必置部である、こう考えれば、必置部の中にあるいは入るかもしれない。しかしながら問題は、これを都道府県に置くという書きつぱなしでなくて、やはり現行警察法のように、警察を持つことができるということをここにはつきり規定した方が、法の体裁といい、それから同時に自治警察という感じが非常に強く出るのでありますが、この点、現行法と著しくかけ離れておる理由を一応聞かしていただきたい。
  139. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 これも門司委員のお休みのときでございましたか、同じ御質問がござまして、ただいまの御意見の通りだと申し上げたのでございます。いわゆる都道府県警察を維持し、その管轄区域内について、法令の定むるところに従つて第二条の責に任ずる、こういうように書いたのと同じことでございまして、なぜそう書かなかつたのか、その方がよかつたのではないかという御意見は、私も同感と申しますのはおかしゆうございますが、率直に申しましてそう書いておいた方が誤解が少なかつたであろう、かように考えております。
  140. 門司亮

    ○門司委員 この問題はやはり五条に関係を持ち、さらに十七条に関係を持つ一つの大きなポイントだと私は思うのでありまして、もし当局にそういうふうに書いた方がいいというお考えがあるとするならば、やはりここは自治警察であるという建前をこの辺ではつきり表わしておきませんと、しばしば議論をいたしましたように、どうも団体委任ではない、どこまでも機関委任のような形がここに現われておると思います。この条文をこのまま読めば、だれが考えても、これは機関委任だとしか考えない。団体委任とはわれわれには受取りにくいのでありますが、この議論についてはかなりたくさん行われておりますので、これ以上私は議論することを避けます。  次に問題になつて参りますのは、先ほどからいろいろ議論のありました三十七条の三項であります。いわゆる「都通府県の支弁に係る都道府県警察に要する経費については、予算範囲内において、政令で定めるところにより、国がその一部を補助する。」この規定は、先ほどの国警長の答弁にもありましたように、これが東京郷に現在適用されておるのであります。たしか昭和二十七年かと記憶いたしておりますが、いわゆる特別区の警察のところに、あとから入れた一つの条項であります。なぜ一体ああいう規定を入れなければならなかつたかということは、東京都の警視庁が、都自身の、いわゆる自治体自身の警察事務あるいは警察仕事というよりも、むしろ国家的の要素を非常にたくさん含んでおる。従つてこれを単なる自治警察として、その費用を全額都が負担するという規定、いわゆる現行警察法の最初の規定のようなわけには参らぬではないかというようなことが、あの規定を設けさせた一つの大きな原因でありまして、現行法できめておりますあの規定というものは、東京都の警視庁は、首都警察であるという一つの特殊性を持つた警察であるから、あの規定を入れておるのであります。今度の三十七条の三項によりますと、これは全体の都道府県に及ぼそうとする規定になつておるのでありますが、しかもそれは予算範囲内ということで一切これが区切られておる。ここにもかつての連帯支弁法的なものの考え方があるのではないか。いわゆる警察は国家警察であることに間違いはない、ただ負担区分の関係から、国と地方がこれが支弁を別々にしているのであるという、いわゆる連帯支弁的のものの考え方がここに出ておるのではないかというふうに私は感ずる。先ほどからの御答弁によると、現行警察法にもあるから、そのときにも、他の府県にも及ぼしたらどうかという意見もあつたという御答弁を聞いたのでありますが、現行警察法趣旨と非常にかけ離れたあの規定を特に設けたというのは、私がさつき申し上げたようなことで確かにあの修正は行われたと私は記憶しておる。従つてここに書いてありますことは、先ほどから申し上げておりますように、どうも連帯支弁法的なものの考え方であつて、やはり警察仕事というものは、すべて国家的の仕事であるという観念の上に打出されている一つの現われであると私は考える。一体政府はこれをどう考えておいでになつているのか、やはり自治警察でも国家が補助すべきだとお考えになつているのかどうか。
  141. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 現行警察法に、警視庁に対して補助をする規定がある、その趣旨は、第一項について私は申し上げたのであります。いわゆる首都は国の治安という面をたくさん預かつているから、そういう意味で、特に警視庁は例外として補助をすることにいたした。それを今度は国庫支弁という形にして、あの際にも、その関係警察庁だけでなく、厚薄の差こそあるけれども、他の地方にも広くあるわけだから、これを全体に及ぼしてもらいたいというお声もありましたと申し上げておつたのであります。それはむしろ第一項の考え方であります。第二項の考え方は、これは連帯支弁的な考えじやないかという仰せでございますが、あるいはさようにお考えになられてもやむを得ないかとも存じますが、連帯支弁と申しますのは、都道府県で必要とした経費の中で何割は国、何割は地方というのが連帯支弁の考え方でございますが、これはさようでございませんので、従つて連帯支弁というべきものではございません。ただ考え方としてはそれに似通うものがあるんじやないかと存じます。警察仕事は、地方の行政事務として今度は規定はいたしましたが、しかしながらやはり国の治安に関係を持つた点が多々あるわけでございまして、しかもその度合いというものは各府県によつて府県がこの程度でよいと考えておつても、国の施設とか、国の関係とか、いろいろな面から特によけい警察官も置き、費用も持たなければならないという点もございますので、従いまして一定の費用につきましては国が半額くらい負担するという方が、警察都道府県運営される場合に費用の面から非常に困るということで、運営に齟齬を来さないというための保障として適当ではなかろうか、かように考えているのであります。
  142. 門司亮

    ○門司委員 これは非常にむずかしい考え方が出て来ると私は思いますが、現行自治法の建前から申して参りますと、おのおの独立した一つの機関であります。いわゆる国家事務に対して国が支出金あるいは補助金を出すことについては、別に文句はないのでありますが、少くとも自治体というものが一個の独立した機関であることに間違いがないのでありまして、従つてその独立した一つの自治体の業務に対して連帯支弁的のものの考え方が入つて来るということになつて参りますと、この警察法は、人的の関係においても警視正までが国家公務員であることは間違いがないのである。その上に今度は経費についてまた国が支弁してやるからいいのではないかというようなことで、経費の面でこれまたひもをつけて行くというようなことになつて参りますると、自主性というものはおそらく今度の警察法ではなくなるのではないか。従来の警察制度は、これは国の警察でございましたから、何も連帯支弁法的なものがあつても、これは国の法律できめて行く分にはさしつかえなかなつた。しかし現行の法律の建前からいえば、市町村、都道府県もおのおの一個の独立した団体であることに間違いがないのであります。これに対しては国のいかなる機関といえども、これを指揮命令することは困難な状態になつておる。ところが警察法に限つては、先ほども申し上げておりますように、任免の面で一応国家公務員地方公務員をかねた仕事をしておる。これは私は地方公務員をかねたと申し上げた方がいいと思う。かねておることに間違いがないと思う。さらに費用の面までも、これがひもをつけて行くということになれば、勢いやはり私は自治体としての警察制度の性格というものが非常に失われる形ができはしないかと考えておるのでありますが、この点についてはどうお考えになりますか。
  143. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 この点は、経費の面から都道府県警察中央がコントロールしようという考えは毛頭持つておりませんが、ただ経費が十分に潤沢でないということによつて警察業務が十分果せないということを防ぎたい、かような考え以外に何ものもございません。
  144. 門司亮

    ○門司委員 この経費の点については、ちよつとさつき北山君からも話があつたかと思いますが、これは自治庁の長官に出て来てもらいまして、ここはよほどはつきりしておきませんと、私はやはり相当大きな問題を起して来ると思う。この前も国会で問題になりましたように、この市町村の寄付行為がもし今後行われるようなことがありまするならば、それは明らかにやはり財政法なり、あるいは地方自治法なりの違反行為であることに間違いがないのでありますから、強制でなければいいという御意見もありましたが、しかし強制であつてもなくても、やつてはいけないという規定になつておりまする以上は、ああいう行為は今後許さるべきではない。いわゆる市町村がこの府県警察に対して寄付行為を行うというようなことは、やはり私はこれをやめなければならぬというように考えておりまするのと、それからこれは斎藤君に聞きましても、あるいは大臣に聞いても無理でございまするので、費用の分担区分については、いずれ自治庁の長官にひとつ出て来てもらうように、委員長からとりはからいを願いたいと思います。
  145. 西村力弥

    西村(力)委員長代理 了承いたしました。
  146. 門司亮

    ○門司委員 それから三十八条でありますが、三十八条の規定で私がまず最初に聞いておきたいと思いますことは、これは公安委員の任免に関する問題と公安委員資格の喪失の問題であります。地方自治法の十三条によりますると、住民の権利として、公安委員会に対してはリコールができるように書いてあります。従つて現行警察法の四十条にはそれが規定してあります。いわゆるこれこれこれこれのここに書いてありまするようなものに該当したもの以外に、地方自治法に定めるリコールを行われた場合には失格するものであるということが、ちやんと現行法には書いてある。ところが今度の警察法にはないわけでありますが、それはどういうわけですか。
  147. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 これはやはり自治法に当然あるわけであります。
  148. 門司亮

    ○門司委員 自治法にあるから、やはりここにも書いておかないと、法律の完璧を期するには、これは委員の失格条項でありますから、一応自治法のこの規定はここに準用するということをやはり書いておいた方が法律としてはわかりいいので、自治法にリコール制があるから、これもリコールができるのは当然だということは一応言えるのでありますが、法律の建前から行けば、やはりここに一項を加えておいて、そうして自治法の十三条の規定でリコールされることがある、その場合には当然失格するというようにやはり規定してもらつた方が私はいいのじやないかと考える。
  149. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 立案の際にさような意見を持つておつたのでありますが、法制局で、これは自治法にあるからこちらに書く必要はない、こういうことでこちらには書かなかつたという次第でございます。
  150. 門司亮

    ○門司委員 それでははつきり、逐条審議でありますからここできまりをつけておきたいと思いますが、往々にして、法は新しい法が優先するとか、いろいろなことが問題になつて来て、そしてこういうことからやはり問題を起すと思います。だからこの条項の中には、いわゆる三十九条のこの欠格の条項あるいは罷免の条項の中には、地方自治法の十三条の規定はこれを含むものであるというふうにはつきり解釈してよろしゆうございますね。
  151. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 御所見の通りであります。
  152. 門司亮

    ○門司委員 その次に聞いておきたいと思いますることは四十九条でございますが、四十九条の警視総監の問題であります。警視総監は内閣総理大臣が任命をすることになつておりますが、一体内閣総理大臣でなければ警視総監が任命できないということになつて参りますると、同時にこれに対しましては、「国家公安委員会意見を聞いて、」となつておりまして、東京都の公安委員会はただ単に罷免の権限を持つておるだけである。これは地方都道府県警察隊長は警察庁の長官が任命することになつておる、ここがただ違うだけでございます。この規定はしばしば議論されておりますように、やはりこの場合、東京都の公安委員会に相談さるべきが至当ではないか。いわゆる国家公安委員会に聞くということは少し不穏当ではないか。それはなぜかといいますと、経費は大体東京都の諸君がこれを支弁しなければなりません。都道府県の隊長の場合は、警察庁の長官が都道府県公安委員会意見を聞くことになつておりますから、意見を聞かなければならぬ。ただ任免をすることができるとなつております。こういう面がやはり今度の警察法全体を通じた、一つの大きな費用を負担をするものと、それから任命権者との大きな開きである。ことに東京都の警視総監に対して、私は少くとも東京都の公安委員会に相談するということが正しいあり方であるというように考えるのでありますが、この点はどういうわけですか。
  153. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 警視総監及び都道府県警察本部長の任免につきまして、地方公安委員会意見を聞くことが当然ではないかという御意見であります。これは一応ごもつともな意見だとぞんじます。ただ大臣からしばしばお答えになつておられますように、各都道府県本部長の任免につきましては、全国的に見ましてりつぱな人を持つて行くということが最も肝要であるわけでございますが、事実上は都道府県公安委員の御意見を十分聞きまして、まつたく事実上意思を疏通させながら任命をするということが、円満な運営上絶対必要な要件でありますから、さようにいたさなければならないわけでございますが、法制上さようにいたしますことは、もし何かの異論があつた場合に、長くそこに警察本部長が置けないというようなことになつても困るのではなかろうか、かような意味から、法文の上にはこれを表わさなかつたのでございまして、東京の警視庁だけ聞かないというわけではございません。全体の建前としてさように考えた次第でございます。
  154. 門司亮

    ○門司委員 これもしばしば議論されておりますから、私あまり長くなりますので申し上げませんが、やはり費用の分担の関係と土地に何といいまするか、なじんで行くという関係からいえば当該公安委員意見を当然いれることの方が、この法律がもし自治警察であるとするならば、私はその方が正しいと思う。自治体警察でなければ私はこれでさしつかえないと思います。少くとも自治体警察といつている以上は、やはり自治体に任命権を与えるべきである。罷免権だけ与えておいて任命権を与えておらないというところに、私はこの警察法の官僚的というか、国家警察的の色彩が非常に強いのではないかと考える。  それからもう一つその前の条項にありまする四十七条の規定でありますが、四十七条の規定には、警視庁は置くとは書いておるが、書きつぱなしであつて、都警察及び道府県警察事務をつかさどるというようになつておりまして、名称の問題だけではあるが、書きつぱなしでは、いかにも警視庁というものは単なる本部の名前であつて、都の警察が別にあるような感じがするのでありますが、少くともやはり従来の東京の警視庁の歴史というものはこの際踏襲してもちよつともさしつかえないのではないか。法文の上に東京都の警察という名前よりも、やはり警視庁という名前の方がいいんじやないかというように考えるが、この点はどういうものですか。
  155. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 これは御所見のように、従来の歴史を尊重しまして、警視庁というのを踏襲したわけであります。
  156. 門司亮

    ○門司委員 そういうことになつておりますが、これは単に都警察の本部として警視庁を置く、こういうことが書いてあつて、そしてその次には「警視庁及び道府警察本部は、それぞれ、都道府県公安委員会管理の下に、都警察及び道府県警察事務をつかさどる。」こういうように都という文字を使つております。これはやはり警視庁なら警視庁という名前でいいのではないかというように考えますので、もしできれば、これは政令か何かで、東京都の警察警視庁であるというように書いた方が都合がいいのではないかと考えられるのであります。  その次は五十三条であります。五十三条にありまする警察学校のことでありますが、この学校のことはこの前も聞いたのでありますが、この学校に収容されておりますものは一体警察官であるかどうか、その身分関係をお伺いします。
  157. 柴田達夫

    ○柴田(達)政府委員 警察官でございます。
  158. 門司亮

    ○門司委員 この学校におりまするものが、かりに警察官だということになつて参りますと、警察職員の素養あるいは訓練というようなものが、非常な幼稚なものになりはしないかと考える。私はここで考えておきたいと思いますことは、少くとも警察学校であります以上は、ここである程度の訓練を行い、ある程度教養をしたものの中からさらに再選考をするという建前の方が警察学校にふさわしいようにと思うが、この点はいかがですか。
  159. 柴田達夫

    ○柴田(達)政府委員 先ほどのお尋ねの答えが少し簡単に過ぎましたので御疑念を生じましたかと思いますが、もう少し詳しく申しますと、新任教養のために入るものと、それから現任教養のために入るものとがありますので、私は簡単に一口に警察官と申しましたが、新任教養として入つて来る巡査見習生は、定員上の扱いにつきましても、いわゆる警察官の定員に入りませんので、巡査見習生として定員外に置かれることになつておるのであります。現任教養のものにつきましては、警察官もございますし、それからまた一般職員もこの学校に入れないわけではございませんので、警察官もおれば、巡査見習生もおれば、一般職員もあるということになります。巡査見習生につきましては、警察官の職権行使の面から申しましても、いわゆる警察官としての刑事訴訟法なり職務執行法なりの職権行使というものはできない、かような扱いになつております。
  160. 門司亮

    ○門司委員 私がここで聞いておりますのは、何か問題が少し起つて参りますと、この学校から生徒がたくさん出て来るようなことがしばしばあるように見受けられるのであります。これは警察官という身分があれば問題はないのでありますが、もし身分がないということになれば、やはりあまりいいことではないようにわれわれ考えております。従つて身分がどうかということを聞いたのですが、そういう警察学校におりまするいわゆる初任あるいは新任の警察官、見習いの人が、昔はよく桜の花みたようなものをつけて街頭を歩いておつたのですが、ああいう連中が警察官の指揮のもとに動いておる。これは警察官の身分がなければこれを動員するわけにはなかなかいかないのではないか、この点はどうなんですか。
  161. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 これは見習生でありますから、警察官としてのいわゆる職務権限の行使はできないのでありまして、一般の、たとえば消防の人に出てもらうとか、職務権限の扱い方では、さように扱つておるのであります。従つて取調べをいたしましたりすることはいたさない、こういうことであります。
  162. 門司亮

    ○門司委員 消防はちよつと違うと思うのです。消防は消防で、消防組織法に基いて、非常時の場合警察官に協力できるようにきまつておると思うのであります。そういう記憶を持つておるのですが、これは生徒であつて警察官でないということになれば、これを引率して外に出て警察の補充に使うということは実際はどうかと思うのです。  それから身分は一体地方公務員であるのか、どういう形になつておるのか、この点はつきりしていただきたい。
  163. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 身分は、この警察法によりますると地方公務員でございます。現在は国家公務員でございます。
  164. 門司亮

    ○門司委員 そうすると地方公務員であつて警察官でもなければ何でもない、こういうことになるわけですが、これは少しおかしいのではないかと思うのであります。定員外であつて地方公務員であつて警察官でないということになると、実に妙なものができやしないか。これは身分上の取扱いですが、これは生徒なら生徒として新任は取扱うべきではないか。いわゆる費用の問題等もございましようが、少くとも身分は、まだ地方公務員ではないという身分をやはり与えるべきではないか。警察官になつて初めて地方公務員という身分が出て来るのではないかと思うのでありますが、その前にそういう措置ができますか。
  165. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 警察職員であることには間違いはないわけであります。従つて必要な場合に警察官としての職務権限を行使しないという限度において警察仕事に従事させるという点は、さしつかえないというように考えております。
  166. 門司亮

    ○門司委員 これはきわめて重大なところだろうと思うのですが、警察職員の仕事というものは、おのずから範囲がきまつておるのであつて、たとえば若い連中が出て来て犯罪の予防をするとか、あるいはデモ行進等の場合にスクラムを組んで一つの防壁を張つておるというようなことも、警察官としての行為ではないかと考えられるのであります。何も司法権を与えておらないから警察官でないのだというだけでは済まされないと思う。やはりある程度の行政権を持つておれば、一応私は警察官として——でなければそういう行為はできないのじやないか。私がこういう質問をいたしておりますのは、われわれもいろいろ集団的の運動をやつて参りますが、その場合に非常に気持の悪いのは、どうも学校から来た若い職員が来ておつて、ちようどああいうデモや何かの訓練をしているというように考えられる。あれは学校の一つの訓練かもしれないが、そういう感じを非常に受ける。従つて一体警察官であるのかないのかという見当がわれわれにはつかないのでありまして、もし警察官でないとするならば、私はやはりああいう職務に携わるということは少し行き過ぎではないかと思いますが、これはどうなんですか。
  167. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 巡査見習生をああいう場合に使うのがいいのかどうかという実態の問題は、これは御議論があろうかと存じます。交通整理をボーイ・スカウトに手伝つてもらう場合もありますし、いろいろな協力を求める場合もあるわけでありますが、ただ一人前の警察官としての職務権限は行使ができませんけれども、しかし警察職員であることには間違いがございませんし、職務の執行の場合に、警察官としての職務の執行でない場合——あの使い方が適当であるかどうか、これにつきましては、私の方といたしましては、ずつと長年の慣例になずんだというわけではございませんが、不適当な措置だとは考えておらないのでございます。
  168. 門司亮

    ○門司委員 さらにもう一つわからぬから聞いておきますが、今警察官ではないが警察職員だとおつしやいますが、職員の定員は、昨日の話を聞きますと大体きまつておるのであります。警察官が何人で職員が何人ということになりますと、その職員の範囲でやはり警察学校の生徒はおるのでありますか。さつき定員外だという話を聞いておりますが、職員である以上は定員の中へ入れなければならないと思いますが、どうなつていますか。
  169. 柴田達夫

    ○柴田(達)政府委員 巡査見習生の身分でありますが、これは第五十四条の「都道府県警察に、警察官事務吏員、技術吏員その他所要の職員を置く。」という中の警察官には当らないで、その他所要の職員の中に入ると思います。警察官たるべく養成するところの新任教養中の生徒であるところの職員に当る。その意味において、長官からもお答えがありましたように、府県警察警察職員には違いないけれども、警察官として一本になつておらない、こういう意味でございます。その定員法上の措置は、これは定員外ということになつておりますが、ただこれを採用いたしまして教育します予算上の措置が必要でありますので、この予算定員があるということになつております。
  170. 門司亮

    ○門司委員 そうするとおかしいのだが、予算定員だとかなんとか、役人はよくそういうごまかしの変なことを言うんだが、予算定員と実定員とが違うというばかばかしいことを、警察でもやつぱりやつているのですか。しかも多くの場合は、予算定員をたくさんとつておくとか、そうしてこの費用を余らすという一つの方法もあり、またある場合には予算定員を非常に少くしておいて、そうして臨時をたくさん雇つて入れるというような費用の使い方もあろうと思う。しかし少くともここで、警察の見習官が職員である、しかしこれは定員外であるということになつて参りますと、予算措置の上からいうと非常に迷惑を来すわけです。こういうことがやはり認められておりますか。そうしてこれは地方の自体治へもこれをしいようというのですか。
  171. 柴田達夫

    ○柴田(達)政府委員 行政機関職員定員法の法文の上におきましても、「行政機関に常時勤務する国家公務員一般職に属する者」ということで、この扱いからいたしまして、常時勤務する職員ではないということで、定員法の中の定員に入つていないという意味におきまして、定員外だと申して来ているわけであります。しかしそれでは無制限にその巡査見習生を雇つておいていいかということは、これは非常識な問題で、定員法に基く意味においての定員としては定員外の扱いでありますけれども、予算上は年々どれだけ減耗するだろうかということで、予算査定におきまして大蔵省がある程度の減耗を見るわけで、定員が今何名おるが、それに対する何パーセントという意味予算上の定員がございまして、その範囲内においてまかなう。かりに欠員ができましても、予算措置を変更しない限り、予算範囲内でしか減耗補充ができないという実際の扱いになつております。
  172. 門司亮

    ○門司委員 そうしますと非常に問題になりはしないか、私はここで議論することは避けたいと思いますが、どうも答弁がおかしいので聞くのですが、そうすると、たとえば減耗が少かつた場合にはこの予備の警察官が余るわけであつて、六箇月学校において卒業しても一人前の警察官になれない、これは定員で縛られておる以上はなれないことになりますか。
  173. 柴田達夫

    ○柴田(達)政府委員 警察官の方に厳格なる定員がございますから、たとい予算がよけいありましても、減粍が実際は予期したより少かつた場合におきましては、これを採用するため卒業させますと、ほんとうの定員の方が定員超過になつてしまいますので、そこで事前に制限される。予算があつても、初めの見積りよりは減耗が少かつた場合には、あまり採用しないということになります。
  174. 門司亮

    ○門司委員 そんな変な答弁はない。事実に基いて私は聞いておるのだから、何も帳面上のことで聞いておるのではない。たとえば今年三百人減粍するであろうから、定員一ぱいの三百人の新しい生徒を見習生としてかりに入れたところが、たまたま二百五十人しか減耗しなかつたために、六箇月間学校におつた者で五十人だけが余ることになる、これは落第させるのかどうかということになる。
  175. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 実際そういう場合は起り得るのであります。各府県によりまして、今年は大体二十人欠員を生ずるだろうということで二十人養成したところが、十三人しか欠員が出なかつたという場合は、七人は当分見習生として待つておる、こういうことになると思います。
  176. 門司亮

    ○門司委員 どうもそのように落第生をこしらえるという制度はあまりいい制度じやないと私は思います。しかも警察官として正式の警察官でなくとも、警察職員の中に入つておるということになると、これは心ずしもいい結果にならないと思います。従つてここでは、こういうことがいいか悪いかということは別の問題であります。しかしたまたまここにおりますあなた方が、昭和二十二年に、現行警察法の前の帝国議会時応の占領直後に、斎藤さんもメンバーの中に入つておりますし、あるいはここにおられる鈴木幹雄君なども当時警視総監としてメンバーの中に入つておりますが、警察制度に対する調査会の速記録を読んでみると、この点に触れております。そしていろいろと議論いたしております。そうしてその中に多くの委員意見として、よりよい警察官を採用するのには、ちようど鉄道の方の岩倉鉄道学校のようなものをこしらえて、そこを卒業した者は警察官として優先的に採用して行くというような一つの職業学校を先にこしらえて、ここで養成した者を採用して行つた方がよいのじやないかというような意見が、その当時の速記録の方々に書いてあるのであります。この制度が私個人の考え方でよいとか悪いとかいうことは別といたしまして、一体そういう制度にして警察官教養なりあるいは警察官社会的地位を高めて行くという必要がこの際あるのではないかというように考えておりますので、この学校の施設のところであわせて開いておきたいと思いますが、そういう制度は設けられないのですか。
  177. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 そのような制度は、私はまことに傾聴すべき一つ制度だと考えます。しかしながら何分にも、そこを卒業したならば必ず採用されるという保障もつかないということになりますと、はたしていい者がそこから得られるかどうかということにもなりますので、現在のように、教養をする前に、もし他の条件さえよければよろしいかどうかということで、あらゆる学術試験、体格検査等をした上で入れる、また減耗の様子も考えて採用するという仕方の方がやはり現実に合うのじやなかろうか。ただいまの制度は非常にいい制度だと思いますが、まだその制度に移りかわつてみようというだけの自信がつかない次第でございます。
  178. 門司亮

    ○門司委員 私がこのことを申し上げましたのは、ちよつと議論になるようですが、警察自体のあり方について、何かそれが特殊の社会的な職業であるかのような考え方がやはり警察官の間に非常に強くあり、これが警察官をして往々にして独善約行為に陥らしめる一つのものの考え方なのだろうと思うからであります。おれたちだけが法律を知り、おれたちだけがこういうことをやるという考え方が警察官の間にたくさんあると思う。従つてそういうものをなくして、社会通念としては警察官仕事はこうであるということが、やはり犯罪の予防その他の面からいつて一つの喫緊の仕事になるのではないかと考えられる。警察官というものが、特殊の学校に入れられて特殊の教育を受け、型にはまつて行くことになりますと、どうしても世間に通用しない人間ができ上つてしまいはしないか。やはり警察官にも社会一般の常識と異ならざる常識があつて、ただその中で捜査あるいは検挙のようなものだけが一つの技術にひとしいものなのではないかと考えられる。何も警察という特殊の型に追い込まなくても、人としての完成が十分にでき上ることの方が、むしろ自治警察の警察官としては望ましいのである。いわゆる権力警察としての警察官には、今の制度で権力的なものだけを教えればそれでいい。片輪というと怒られるかもしれないが、やや片輪に近い社会常識を持つた警察官がまた将来でき上りはしないか。従つてそういうことを申し上げたのであります。  その次に聞いておきますのは第五十四条でございますが、この中に今もちよつとお聞きをいたしましたように、警察官にあらざる見習い巡査がやはり警察官にひとしいような行動をすることのために動員をされるということが載つております。従つてここにあります事務員あるいは技術吏員というようなものについては、特定の場合においてはこれに警察官としての職務を執行させるようなことがありはしないかと考えるが、この点はいかがですか。
  179. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 警察官としての職務の執行を警察官以外の事務員、技術吏員等にいたさせる場合は絶対にございません。
  180. 門司亮

    ○門司委員 私がそれを聞いておりますのは、たとえば通信事務などに従事をいたしております諸君は、単に事務員、技術吏員というだけでは職責を真に全うすることが困難な事態がありはしないかと考えられるのでありまして、これにはやはりある程度警察官というようなものがあつた方が、職務の遂行上好都合な場合がありはしないかと考えられますので、こういうことをお聞きしたわけであります。たとえば一つの通信機関が集団的に襲撃されるとかなんとかいう場合もあり得るのではないかと考えられる。これが他の警察警察官で守り得ればいいが、そうではなかつた場合に、やはり警察一つの機能であります以上は、その機能を確保することのためには、ある程度警察官としての職務のできるような組織が——組織というか、あるいは組織はなくてもそういう行為をする危険性があると考えるが、そういうことはございませんか。
  181. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 通信職員がたとえば暴徒等に襲われる場合の、みずからを守るという意味の訓練ということは必要だと存じますが、その際に警察官としての職務権限まで行い得るような、そういうものを持たせるということは、また他面弊害も生じますので、さような際には、むしろ現実の警察官をそこに派遣して守らせるということよりしようがないと思つておるのであります。一面警察官自身にこの通信の仕事を教え、技術を持たせることが肝要でありますので、警察通信職員ではございませんが、警察官であつて、そして通信事務ができるという者は、これを養成しなければならぬと思つておるのでございます。ことにパトロール・カーに乗つて行く、あるいは騒擾等の場合において通信事務に従事するという場合に、通信技術員のほかに、警察官自身もその通信ができるようにいたして行かなければならないので、さように訓練をいたしておるのであります。
  182. 門司亮

    ○門司委員 その次は五十五条であります。五十五条はしばしば議論をされた点でありますので、そう深く聞く必要もないかと思いますが、現在の職制の中で、警視正以上の階級にある警察官は大体どの範囲までですか。あるいは署長までが警視正であるのか、府県の部長程度であるのか、どの範囲までが大体警視正なのでありますか。
  183. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 国家地方警察におきましては、都道府県におきましては警察本部長警察隊長以上であります。それから自治体警察におきましては、大きな署長が警視正、あるいは中くらいの、中より少し大きいくらいの市の警察局長が警視正になつておる例が相当多うございます。それから大きな自治体警察の部長は、六大都市は大体警視正以上、かようになつております。
  184. 門司亮

    ○門司委員 そうしますと、現行警視正をそのままお認めになるようなことになるのですか。それともこれは新たにかえられますか。
  185. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 大体現行の警視正以上の方が新警察法によつて警察正以上になれるように考えておるのであります。
  186. 門司亮

    ○門司委員 それからあとは、この問題はずいぶんここで議論をされておりますので申し上げる必要もないかと思いますが、警視正以上が国家公務員である場合に、それ以下の府県警察職員でありますが、これは地方公務員であるという一つ考え方——この中でこの警視正以上が国家公務員であります場合に、地方公務員である警視の階級にある人が警視正昇進をいたします場合のその処置といいますか、身分、給与その他は、これをどこでかえるのでありますか。やはり人事委員会の規則によつてこれをかえて行くということになるのでありますか。
  187. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 地方公務員国家公務員になる場合でございますから、国家公務員法の規定、それから国の人事委員会規定、これによつて切りかえるわけであります。
  188. 門司亮

    ○門司委員 そこで聞いておきたいと思いますことは、国家公務員にいたしましても、地方公務員にいたしましても、いわゆる昇任あるいは昇給という言葉を使つております。そうすると地方公務員である警視警視正になります場合は、やはり昇任ということになるのでありますか。位が上るということで上に任じられたということになるのですか。新規採用という形にこれを持つて行かれるのでありますか。
  189. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 法律上はやはり新規採用ということになるわけであります。ただそれでございますけれども、恩給その他は引継ぐ、こういつた特例を置いております。
  190. 門司亮

    ○門司委員 それからちよつとあとに返るのでありますが、聞いておきたいと思いますことは、この規定の中には、現行法にありまする東京都の特別区に対する公安委員会規定がないようでありますが、これはもし特別に設けなくてもいいというお考えが何らかの理由であるとするならば、それを一つお聞かせ願いたいと思います。
  191. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 東京都は一つ警察単位になりますから、東京都の公安委員会で足りるのでありまして、特別区だけを別にする必要がない、かように考えております。
  192. 門司亮

    ○門司委員 現行の警察法による特別区というのは、御存じのように、特別区は市に準ずるという自治法に規定があるものだから、あそこにああいうものが一つできちやつておかしな形をこしらえたのです。従つて私は、これがなくなるということについては理論上一応承認ができるのであります。しかし、東京都の場合におきましては、やはりかなり広い地域を持つておりますのと、それから同時にたくさんの警察を持つておるのでありまして、これが単に都の公安委員会だけで十分に任務が果せるかどうかということになると、私は非常に疑問があると思う。国家公安委員会が五人、委員長を入れて六人であつて、東京都の公安委員会もやはり三人であるということになると、これは少し仕事が大き過ぎやしないかという感じがするから聞いたのでありますが、こういう気持はございませんかどうか。
  193. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 これはたくさんの仕事といいますが、仕事の分量という点に応じて人数を増すという性質ではございませんので、従いまして、都道府県というものは、大きな都道府県もありましようし、また小さな府県もありますけれども、この数は一定でいいのじやなかろうか、かように考えておるのであります。お互いに事務を分担し合つて仕事の繁閑に応じて仕事をやるという性質のものではございませんから、これで十分ではなかろうかと考えておるものであります。
  194. 門司亮

    ○門司委員 私は公安委員会制度については、この点に多少の疑義といいますか、意見を持つているのですが、これを私が聞いておりますのは、仕事が同じような仕事だからといいますが、なるほどこの法律の面から見れば同じような仕事に間違いないのであります。ところが実際の面から見ますると、たとえば交通事故を一つ処理して行くというような面から考えて参りましても、東京都には大体一年に二万五千から三万くらいの大きな事故数を持つている。小さな県に行けば、一年中かかつても千か二千くらいの事故数しか持つていない。その中にはやはり公安条例その他にひつかかつて来るとか、あるいは公聴会を開かなければならないとかいうような大きな交通事故が出て来る。そういう場合には、やはり公安委員は必ず立ち会わなければならない。そういたして参りますと、非常にたくさんの事故件数のありまする都道府県というものは、公安委員会が三人でありまする場合には、非常に事務が煩雑になりはしないか、ほとんど毎日のように出ていなければ事務処理が困難ではないかというようなことが実は考えられるのであります。それだからこういう質問をしてみたのでありますが、その点のお考えがございませんか。
  195. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 その点は、なるほど御所見ごもつともな点があると存じます。と申しまするのは、たとえば現在の特別区の公安委員、これは現在のままでも三人で足るのかどうかという御議論であろうと私は思うのであります。あと三多摩だけ加わつたからさらに仕事がふえるかと申しますると、そう大したことはない。むしろ今の御議論であれば、今の東京都の特別区の公安委員三人ではたして十分やつて行けるかどうかという段階だと存じます。今まで東京にしましても、大阪市にしましても、公安委員三人で仕事がふえて非常に困る、数を増員すべく法律の改正をしてもらいたいというような要求は全然出ておりませんので、私どもといたしましては、さような点は、立案の際にちよつと考えはついていなかつたのでありますが、ただいまおつしやいまする点は、まことに考えるべき事柄じやないだろうか、従つて大都会のあるようなところは、公安委員の数もあるいは実際上もう少しあつた方がいいのじやなかろうか、私は最近さような感じもいたしておるのであります。
  196. 門司亮

    ○門司委員 これは単におせじだけでなく考えてもらいたいのでありますが、交通取締法の一部改正をやつたときに、交通事故に対する取締りの公聴会の限度をどこにするかという点は非常に議論になつたのであります。東京都のごときは、そういうように三人で十五日ぐらいの公聴会にかけるということは事務的にとてもできないということで、結局一箇月以上になつて、事実上有名無実のような法律になつてしまつており、やはり運転手は救われていないというのが現実だと思う。そういうものを、現実に法律趣旨を生かして行つて、運転手諸君の非常に因つている現状をめんどうを見てやろうとするには、やはり公安委員会の手があつて、そういう事務処理ができるという組織にしておかないと、組織が小さくて事務処理ができないから取上げないという行き方は、民主警察の行き方としてはいい行き方はないと思う。その点は十分考慮しておいてもらいたいのであります。  それからその次にもう一つ最後に聞いておきたいと思いますことは、この警察法の第四章の一番最後にありまする六十条でありまするが、六十条の中で「都道府県警察は、その管轄区域内における犯罪の鎮圧及び捜査、被疑者の逮捕その他公安の維持に関連して必要がある限度においては、その管轄区域外にも、権限を及ぼすことができる。」というふうに書いてありますが、この「必要がある限度」というのは一体どの程度の必要がある限度になつているのか、この点をひとつ教えていただきたい。現行法にはこの点が、何かこれもしやくし定規でありますが、一応何メートル以内ということで規定されております。しかしこれは必要という文字だけを使つておりますので、大体どの範囲をお考えになつているのですか。
  197. 柴田達夫

    ○柴田(達)政府委員 お話の通り、現行法におきましては、六十条に当る規定が五十八条その他にあるのでございまして、非常に厳格に精密にできておるのであります。管轄区域外に職権が及ぶ場合といたしましては、「その管轄区域内に行われた犯罪又はその管轄区域内に始まり、若しくはその管轄区域内に及んだ犯罪並びにこれらに関連する犯罪」となつておるのでありまして、それからさらにこの五百メートルの区域におきましては、境界外におきましても権限を及ぼす、こういう規定があるのでございます。これは御承知の通り、現行法におきましては国家地方警察と市町村警察というものが相互に協力するのでありますけれども、市町村警察国家地方警察管理に服さないどいう厳格な規定もございます。それから警察の単位が非常に細分化されておりまして、それぞれの管轄権の主体というものが非常に込み入つているわけで、それだけに厳格に規定を要する面があつたと思うのでありますが、今度の法案におきましては、何と申しましても府県を単位といたしておりますので、かつどの府県がどの府県管理に服さないというようなこともこれまた当然のことでございますので、かように非常に厳格に規定をいたさなくても、犯罪中心としたような規定をいたしませんでも、六十条にございますように、第二条の責務でありますような犯罪の予防、鎮圧、捜査、被疑者の逮捕、その他公安の維持、これは一口に言えば、第二条の責務のおもなものを掲げたわけでございますが、それに関連して、必要がある限度において職権を及ぼすことができる。その解釈といたしましては、大体現行法の五十八条の犯罪について申しますならば、その管轄区域内で行われ、始まり、及んだという関係、及びそれに関連する関係、この範囲が、同じく今度の六十条におきましては「関連して必要がある限度」と、現行法とほとんどかわりがないというように解釈する考えでございます。
  198. 門司亮

    ○門司委員 大体それでわかりましたがこの条文は、今のお話のように、この法令で見ましても、やはり都道府県警察というものは協力をしなければならないというだけでありまして、ここの第四章にはそれだけしか書いてない。いわゆる都道府県相互間の警察関係ということだけしか書いてないのであります。それから同時にこの規定の中には経済的の規定一つも設けてない。いわゆる協力の義務が書いてある。援助の要求が書いてあるが、その場合における今日地方自活体等で最も問題になつておる経済関係のことがここに書いてないのであります。これは現行法ではやはり明確にこまかく書いております。これは何も都道府県にわかれたからといつて、私は経済的な行為は同じことだと思う。やはりこういうものも警察法の中に書いておきませんと、現行警察法がそういうことでいろいろ問題を起したように、都道府県の間でまた問題を起すのではないかというように考えられる。この点について、経済的な問題にこれで触れていないのはどういうわけですか。
  199. 柴田達夫

    ○柴田(達)政府委員 お尋ねの通り、現行法には経費の関係規定がございますが、この法案の方はそれを省略してございます。その理由といたしまするところは、今度の法案におきましては、府県単位の管轄になつておりますので、大きな事案で、府県間に援助要求があるというような場合におきましては、おおむね先ほどの三十七条の警備警察、あるいは国の公安にかかる犯罪、またはその他の特殊の犯罪の捜査ということにつきまして、国庫支弁になる場合が多いと思うのであります。しかし必ずしもそういう場合に限りませず、きわめてまれな場合には、ほんのわずかなことで何らかの援助要求をするという場合はあるかと思いますが、これは現行法におきましても、自治体警察との応援の関係におきまして、国が要請して出動をした、こういう場合については、それについて自治体警察が他の区域に応援に出ましても、それは本来自分区域仕事ではなしに外へ出たのだから、国家的な必要があつて、その要請によつて出たのだから、国が負担をすべきだということの経費の規定でございますが、今度の場合におきましてはは、そういうような場合においては、国庫が支弁いたすことになりますし、まつたく対等に府県間において援助要求がありましたような場合においては、援助を要求したところが当然にこれは負担すべきものであろうと思います。これは現行法におきましても、自治体警察相互の関係におきましては規定がないのでありまして、解釈上は、やはり援助の要求をしたところが負担するということになつておりますので、省略をいたした次第であります。
  200. 門司亮

    ○門司委員 今の答弁でございますが、やはり経費の問題だけは明確に書いておきませんと、これは都道府県だからいいと言いますが、都道府県においても、市町村においても、経済的の関係に大したかわりはないと私は思う。現行警察法の中でもし欠陥がかりにあるとするなら、やはりこの辺に実はあるのであります。どうも犯罪がいろいろあつても、経費がないものだから、つい要請を渋つたというような事実はないわけではないと私は思う。従つてやはり警察法の完璧を期しておこうとするには、経費の問題は当然地方の自治体に負担させる、あるいは国が負担をするというような区分というものは明確にしておいて、そういう経済的な考え方から時機を失することのないようにしておいた方がいいのではないか。今のお話ではそういうように解釈するということであるが、解釈すればそれでいいかもしれませんが、現実にはなかなかそう参らないのではないかというように私は考えるので、実はお聞きをしたのであります。そういたしますと、現行警察法の精神とまつたく同じようなものであるというように解釈しておいてさしつかえございませんですね。
  201. 柴田達夫

    ○柴田(達)政府委員 さようでございます。
  202. 門司亮

    ○門司委員 一応これで打切つておきます。
  203. 西村力弥

    西村(力)委員長代理 次の質疑者は阿部さんになつておりますが、石村君は都合があるそうですから、先にひとつ譲つていただきたいと思います。よろしいですか。——それでは石村英雄君。
  204. 石村英雄

    石村委員 それではただ一点だけお聞きしておきます。それは警察職員の身分の保障の問題ですが、五十四条、五十五条に関連してお聞きするわけですが、現行警察法では「国家公務員法の規定に基き、」とか、あるいは自治体警察の場合は、「警察職員の任免、」云々は「地方公務員法の定めるところによる。」ということがはつきりあるわけでありますが、今度の警察法では三十四条に、警察庁に置かれる職員の任免ということについては国家公務員法の定めるところによる、こうあるだけで、ほかについてあまり見当りませんが、私の不勉強のせいかもしれませんが、この点どうなつておるのか、お聞かせ願いたいと思います。
  205. 柴田達夫

    ○柴田(達)政府委員 現行法は一々国家公務員法とか、そういうものを引用いたしておるようでございますが、これは法の体裁でございまして、五十五条の一項によつて一般職の国家公務員としたものは当然国家公務員法の適用を受ける、それから第二項の地方公務員法の規定によるものは当然地方公務員法の適用を受けるということで、特にそのことを書く必要がなかろうということで、法制をつくります関係上、法制局の方の意見にも従いましてかようにいたしただけの意味で、深い違いの意味はございません。
  206. 石村英雄

    石村委員 あるいはそういうことではないかと思つておつたのですが、五十五条の二項には任用とあつて、任免とないわけです。この任用をお書きになれば、ついでに任免となさつた方がはつきりするのではないかと思うのですが、いかがですか。特に任用に限られた理由はどこにありますか。
  207. 柴田達夫

    ○柴田(達)政府委員 国家公務員法とか地方公務員法の用語でございまして、この任用というのを一番広い意味に使つておるようでございます。任免と申しますと、任命と罷免ということになりますので、長官とか警察本部長のところでは使つておりますが、その任用関係、つまりそのうちの転任でございますとか、昇任でございますとか、降任でございますとかいうようなものをすべて含めて、公務員法の方では任用というふうに使つておりますので、一番広い意味で、むろん任免も含む意味で、やめたり、新しく任命されるというときだけでなくて、内部におきますところの配置がえとか、昇任とか、こういうことをすべて含む意味におきまして任用という言葉を使つた次第でございます。
  208. 石村英雄

    石村委員 国家公務員法ではという御説明ですが、地方公務員法でもやはり任用といえば任命罷免を含む用語になつておるわけですか。
  209. 柴田達夫

    ○柴田(達)政府委員 さようでございます。
  210. 門司亮

    ○門司委員 ちよつと関連して。今の石村君の質問でございますが、実は任免、任用、採用という三つの使いわけをしておるわけです。それで今度わざわざ地方公務員法を改正して、従来の任用と書いたところを採用と改正しようとする政府の原案が出ておりますので、もしこの用語を合せようとするならば、やはり政府当局はここは採用というようなぐあいに改めたらどうか。石村君が言いますように、やはり採用、任用というよりも、むしろ任免と書いた方がものがはつきりするのだというふうになりはしないか。これは地方公務員法の中ではいわゆる特定の臨時的任用とかなんとかいういろいろな文字を使つておつたものですから、それを全部整理して、そうして採用という文字に改めようという——まだここで審議はいたしておりませんが、警察法の審議が終つたら、おそらく審議をすることになると思いますが、現在そういうことになりつつあると思うのですが、この点の改正はどうなんですか。この場合はやはり石村君の言うようにはつきりしておいた方がいいのではないか。そういう用語はかわつて来ておりますが、この場合はやはり任免なら任免とはつきりしておいた方がいいのじやないか。これは特別採用であるとか、期限付任用であるとかいうようなことが悪いというので採用という文字に直しておるのですが、特別の場合でああいう言葉を使つておりますが、これは特別の場合でなくて、やはり明らかに任免だと思うのです。
  211. 柴田達夫

    ○柴田(達)政府委員 法律上の用語につきまして将来改正の御意見もあるということでございますので、そういうふうにまたかわつて参りますれば、用語も改めて参らなければならないと思いますが、ここでは「地方公務員法の規定により」ということで、公務員法の中におきまして、条例や人事委員会規則で定めることをどう定めるかというような公務員法に規定の条項でございますので、すべて公務員法の用語に従いまして、この任用も公務員法のある章節の題になつておるのでございます。それから給与、勤務時間その他の勤務条件も公務員法の用話でございます。服務、公務災害補償、いずれも公務員法の用語に従つたのでございまして、今の公務員法におきましては、採用というのは新規に採用する、将来かわれば別でございますが……。任用というのは採用と昇任、降任、転任とこの四つを含んでいる一番広い意味でございまして、ここで言いたいことは、いわゆる狭い意味の新規採用だけでなくて、警察官が階級で上つて行く昇任という場合につきましても、最低限何年といつたような一定の規格というものは、やはり国家公務員の例を基準にしてもらいたいという気持がございますので、広い意味におきましての任用という言葉を用いた次第でございます。
  212. 石村英雄

    石村委員 ただいまの説明は、任用のうちには四つとこうおつしやつたのですが、四つのうちには罷免が入つていなかつたのですが、さつきの御答弁と違うように承るのですが、どうですか。
  213. 柴田達夫

    ○柴田(達)政府委員 任用といたしましては罷免も含むのでございます。四つと申し上げましたのは罷免を落しました。ほかの方が四つでございまして、その職務関係に入りましてから採用、昇任、降任、転任がある。それ以外にやめる場合は罷免というものがあるわけでございます。その点を補足いたします。
  214. 西村力弥

    西村(力)委員長代理 質疑者はまだ残つておりまするが、国事多端の折から諸君の健康を考え、暫時休憩をいたしたいと思います。再開は七時半にいたします。     午後五時二十二分休憩      —————・—————     午後六時五十五分開議
  215. 中井一夫

    中井委員長 再開をいたします。  休憩前に引続き、警察関係法案を議題として質疑を続行いたします。阿部五郎君
  216. 阿部五郎

    ○阿部委員 私は、都道府県警察は直接に民衆に接する重要な役割を持つておりますので、二、三点伺いたいと思います。この都道府県警察に対して国家警察の意思が及ぶ道筋、範囲、その他の関連について伺いたいのであります。まず警察庁長官都道府県警察を指揮命令するのは、第五条の第二項第三号及び第四号の場合、これのみに限ると了解してよろしゆうございますか。
  217. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 運営についてはその通りでございますが、統轄事項の第六号から第十号までの統轄範囲内におきまして、指揮監督をいたすのでございます。
  218. 阿部五郎

    ○阿部委員 仰せの通りに第六号以下——そのほかにも国警長官が都道府県警察に対して指揮する場合があることは、私も条文について了解いたしておりまするが、そういう点につきましては、第五条の第一項において、国家公安委員会が異なつた三つの形において都道府県警察に関連を持つております。すなわち第一番には、国の公安にかかわる警察運営をつかさどるという部面、その次にはいわゆるこの文言によりますると、統轄するという部面、さらにまたその次には調整を行う、こういう三つの形によつて国家公安委員会都道府県警察にその意思を反映させるということになつておりますが、それらの点はいずれも国警長官以下を指揮して行う、そういう手足を使つて行う、こういうことになるのでありましようか。その中で統轄とか、あるいは調整という部面でなく、直接に具体的な案件について一々指揮命令のできるものは、第五条第二項の第三号、第四号であると承つてよろしゆうございますか。
  219. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 御所見の通りでございます。
  220. 阿部五郎

    ○阿部委員 しからば直接に民衆に接する都道府県警察職務を行うにあたつて、国の公安にかかわる部面については、国警長官から直接の指揮命令を受ける。その他第五条の第一項の統轄というておる部面は相当範囲が広いのでございますが、それらの部面についても国家警察の指揮を受ける。その次には警察行政に関しては調整ということに相なるのでありまするけれども、警察のような仕事は、当然統一という部面が大切でありますから、上からの意思が下に及ぶ、こう思わなければなりませんが、こういうおのおの異なつた反映の仕方をするのでありまして、第一の部面は、一々その命令に従わなければならない。従わなかつたならば、それは義務違反になる、こういう形である。その次の統轄という部面につきましては、都道府県警察の意思、また都道府県公安委員会の意思が相当程度生きて働く部面であります。最後の調整という部面につきましては、おそらくこれは勧告ぐらいのはなはだ弱い程度であろうと思う。しかしながらこういう異なつたものが上から来るのでありますが、受ける方の下の都道府県警察といたしましては、それが混同されるおそれが多分にあろうと思います。しかもそれを受ける都道府県の長官が、国警長官に任命されておる。こういうような関係考えましたならば、これらの三つのものがいずれも一つになつて都道府県警察に対しては絶対のものとして反映して行くおそれが多分にあろうかと思うのであります。その点いかがでございましようか。のみならずこれらの国家警察の意思が都道府県警察に反映する。公に法文の上に示されている以外の部面、すなわち一般犯罪捜査とか予防とかいうような一般警察事務につきましても、任命権者であるところの国家警察の長官の意思というものは絶えず反映して来る。これは条文によらずしても、その任命の権限を打つものでありますから、絶えず反映するものと思わなければならぬのであります。そういう部面を考えますと、都道府県警察というものはまつたく国家警察に願使され、あごで使われるようになるやに思われますが、その点いかがでございましようか。
  221. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 国家警察という観念はこれにはございませんで、都道府県警察仕事を第五条によつて監督をしたり、あるいは調整をしたりする国の機関でございます。都道府県警察と国家警察と二つあるという考え方ではありませんので、この点は申し上げるまでもないと思います。上から来た注意にしても、勧告程度のものにしても、都道府県警察本部長は長官から任命をせられているのであるから、その間に何の区別もつけず、そのまま聞いてしまうであろうという御所見でございますが、やはり都通府県公安委員会を通じて行うのでございまして、都道府県公安委員会自分府県において適当であろうかどうかという判断を加えて管理いたしているわけでございますから、ただいまのような御心配はないものと考えるのでございます。
  222. 阿部五郎

    ○阿部委員 しからば伺いますが、国家公安委員会が第五条の一項に掲げてあるところの任務を遂行するにあたつて、長官以下の人々を機関として使つて行うでありましようが、長官以下はこの任務を遂行するにあたつて都道府県公安委員会に対して行うのでありますか。それとも都道府県本部長に対して直接に行うのでありますか。
  223. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 これは公安委員会に対して行うのでございます。
  224. 阿部五郎

    ○阿部委員 これは私たちが実際において今まで管区長と現在の警察隊長との関係などを見ておるところとは、ただいまの御答弁はやや違うように思われるのでありますが、それは将来にわたつておかえになるのでございますか、それとも今まで通りやるのでございますか。
  225. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 現在は、都道府県公安委員会は行政管理は全然いたしておりません。行政管理に関する面はすべて長官あるいは管区本部長から警察隊長へ、こういうことに相なるわけでございまして、従いましていろいろな基準であるとか、あるいは多くの事柄はほとんど行政管理という面でいたしております関係から、公安委員会を通じない場合が多い。ところが今度は行政、運営両方の管理、すべて都道府県公安委員会が持ちますから、このたびの改正によりまして、都道府県公安委員会の性格が一変いたしますので、そういつた関係も今までとはかわるわけでございます。
  226. 阿部五郎

    ○阿部委員 そういたしますと、ただいまのお答えによりますと、あたかも法務大臣が検事総長を通じてのみ検察庁を指揮命令するがごどくに、警察庁長官が、あるいは警察庁という役所が都道府県警察を指揮命令するにあたつては、都道府県会安委員会を通じてのみなさる、かように伺つてよろしゆうございますか。
  227. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 お説の通りでございます。
  228. 阿部五郎

    ○阿部委員 それでは警察庁長官都道府県警察を指揮命令するにあたつて、この第五条の三つの形をとられるのでありますが、この三つの形をとるにあたつて、それがいずれに属するやは、たとえばその事件が国の公安にかかる部面であるかどうかというようなことについて解釈する権能は国家公安委員会にある、かような答弁を私は承つておりますが、その三つの形の上において、それがいずれかであるかということは、地方のものとしては、いずれも上から来る命令に近いものであるから、なかなか判別に苦しむのであります。そこで第一の部面でありましたならば、絶対にそれに従わなければならないし、第二の部面におきましては、向うの意図を入れる余地もあるが、第三の部面におきましては、単に忠告あるいは連絡、監督というような程度として軽く扱つてよい、こういう筋合いのものになつておるのでありますけれども、実際この区別の権限は上にあつて下にはないのありますが、さような場合におきましては、この区別をして、それがどういう程度のものであるかということは、何かその命令において区別をする形式をおとりなさる御用意があるのでございますか。
  229. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 この権限内に属するかどうか、そうしてその区別はどれにあたるかということは、これは出す場合に、出すものがさように認定をして出す。そうして受けた方では、はたしてそれに該当するかどうかということをやはり認定する。受けた方で、これは第五条の各号にあたらない、こう認定もできましよう。そこで極端な場合を申しますと、これは違法な指揮監督であるというように考えて、それに従わないという場合もあり得ると思うのであります。そこで、しからば指揮監督として出されたものであるか、あるいは調整として出されたものであるか、大体事柄の内容によつて当然わかり得る事柄ではございますが、少くともこの調整という場合におきましては、指揮監督が伴わないのでございますから、用語も若干かえた方がよくはないだろうか、かように考えております。
  230. 阿部五郎

    ○阿部委員 よくはないかとお考えになつておられるそうでありますが、ただいまのところは、この三つはいずれも形式上区別する、あるいはこれは国家が国民に命令する場合に、法律、政令、省令、その他のものの区別を形式上いたしておるがごとくに、三つの区別をおつけなさる御用意をなさつておるわけではないのでございますか。
  231. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 通牒の用語といたしましてどういうように区別をするか、まだ確定をいたした考えは持つておりません。
  232. 阿部五郎

    ○阿部委員 大体区別をなさつて地方委員会をまどわすがごときことのないような十分な処置をおとりになることを希望しておきます。  それから次にお尋ねいたしますが、この第四章によりまして、従来存在いたしておりましたところのいわゆる自治警察なるものが抹殺されてしまつたのであります。そこでこの第四章なるものは、従来の自治警察をなくしてしまうところの一章なのでありますが、そういうことをなさる理由が、従来の自治警察では国家的色彩があまりに薄く、警察事務なるものは国家的要素と自治的要素の相互を含んでおるにもかかわらず、その国家的要素を満たすことが困難である、できないからである、かように今まで御説明を承つておるのであります。そこで従来の国家警察はあまりにも国家的である、自治警察はあまりにも地方的であるから、両方合せて都道府県自治体警察になさる、こういうふうに御説明を承つておつたのでありまして、そうしてその実例としてお示しになつておりますのが吹田事件とか、あるいは内灘の事件、メーデーの事件、そういうものをお示しになつておつたのであります。そこで私は、過般来他の委員との質疑応答においてそれらの点を承つておりますと、これらの事件において、自治体警察が国家的要素を欠くがために事件の処理において不満足な点があつたのである、かような御説明があつたのでありますならば、私もその限りにおいてはもつともと思いますけれども、これらの事件について国警長官が御説明なさつたところによると、これらの事件を処理するにあたつて不満足な点があり、それは自治体警察にも国家警察にも双方に不満なる点があつたのである、かような御説明であつたのであります。それならば、今までの自治体警察が国家性を欠くがために起つたものでもなければ、また国家性を欠くがために今回のような改革をしなければならぬという理由もないやに聞えるのでありまして、私はこの点を絶えずふしぎに思つておつたのであります。そこでこの際これらの問題について、今までの自治体警察でははなはだ不満であつたという具体的事実を示して、この際その理由を承つておきたいと思うのあります。
  233. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 先般の吹田事件とか、その他の事件を例にあげましたのは、責任が明確でないということで困つたという具体的な特殊なものがあつたら出してみないかという御質問でございましたから、その具体的な例として、しいてあげればこういうものでございましよう、これは責任が不明確であると申しますことは、治安対象がほとんど、体であるのに、そこをいろいろな自治体警察国家地方警察というように区域がわかれておる、一つの事件に対処をするのに数警察、しかも性格の違つたものが寄り集まらなければ解決ができないということ、そういう場合には、責任がそれぞれにあるわけですから、分割されておつて非常に困ります。こういう例に申し上げたわけでございます。従つてあの例は、今度の警察法の改正の必要なるゆえんのすべてを満たした例ではございません。むしろ今度の警察法の改正は、できるだけ民主的であり、政治的に中央の政治にも地方の政治にも左右されない、そうして能率的な、また経費も少くて済む警察にして行きたい、こういう趣旨なのでございます。しからばそれについての何か一つの例をあげろとおつしやいましても、これにぴつたり当てはまるような例はないと思うのであります。国家地方警察におきましても、地方的な性格が実際その組織に現われていない。先ほど申しますように、公安委員会にいたしましても、行政管理については全然権限を持たない。従つて民主的に選ばれた公安委員方々は、これらについて全然関与ができないという組織は、これは民主的な見地から考えましてよろしくないように思うのでございます。国家地方警察におきましても、もつとやはり都道府県というような自治体の議会の監督を受け、また全面的に公安委員会管理をしていただくという方が、政府といたしましては国民との間、住民との間の近親感ももつとふえるでありましようし、運営地方の実情にもつとぴつたり行くのじやないか、かような趣旨でございます。自治体警察の方は、組織の面から申しまして、全面的に地方自治体の管理のもとにあるのであります。これにつきまして、国の方からは特に異例な場合でなければ指示ができないという形になつておりますか、日常警察行政を国家的見地から処理していただくという場合における組織といたしましては不十分である、かように申し上げておるのでございます。
  234. 阿部五郎

    ○阿部委員 ただいまのお言葉は、私としてはなはだ意外に思います。過般来治安維持の責任云々を問答されておりましたのは、治安維持に関する政府責任の帰着点が明らかでないという点を政府側においては主張せられておる、かように思うておるのでありまして、一管轄区域と隣の管轄区域とのその責任のいかんなどというものは、あまり重大な問題としては扱われておらなかつたように思つておりますし、私もそれらの点はあまり重大視しておらないのであります。かりにこれが都道府県警察となりましても、その境において、あるいは両方に通ずる事件というようなものは、これは非常に多いのであります。一つの詐欺事件あるいは強盗事件というような問題につきましても、両県にまたがつてその証拠が存在したり、あるいは犯罪の始まつた場所と終つた場所との間が両県にまたがつたり、あるいは犯人の所在が犯行の県とは異なつておつたり、こういうような場合がいくらでもあるのであります。そしてそんな場合に、犯罪を犯した場所の管轄区域と、犯人の現在おるところで検挙する権能を持つておる管轄区域とが異なつておるというようなことはいくらでもあるのである。また従来警察署と警察署との間の管轄の問題についても、どちらの署長が責任を負うかということはいくらでも起るのでありまして、そんなことはあまり大した問題ではないのでありまして、その治安維持の責任という場合においては、これは政府の政治責任が問題になつておつたものだと私は思つておつたのであります。しかるにそういう区々たる責任問題をおつしやつておられるようでありますが、そんなことはどちらになりましたところで、片一方の警察隊長が責任を負うて、あるいは場合によつたならば、懲戒の原因になるくらいが関の山であります。そんなことはこの国会で重要視して取上げるほどの問題とは私は思うておらないのであります。  そこでこの際私は大臣にお尋ねいたしたいと思いますが、今回のこの警察法の改正は、政府の治安維持の責任を明らかにするためというのが、その理由の相当大きな部分を占めておるように御説明を聞いておるのであります。これは私はあなたからお聞きしたのではありませんけれども、前の犬養大臣から承つておるのであつて、現大臣もその説明に限つてはまつたく同意見だという御発表もあつたのであります。一体その政府の政治責任を、政府においてはいかにお考えになつておられるか。かりに治安が乱れた場合に、政府が政治責任をとらなければならない、とるべきであるという場合はどういう場合であるか。またその責任をとるためにはどういうことをするか。またそれはこの改正警察法案に定めてあるがごとくに、何もかも政府の意思が——すなわち警察庁長官を任命するのは総理大臣である、その総理大臣から任命せられた警察庁長官都道府県本部長を任命し、その本部長は、公安委員の意思は加わるとはいいながらも、末端の一巡査まで任命する、こういう上から下まで筋が通つた、しかも一線に当る都道府県警察は、第五条に定めてある部分全部について——これは相当広い範囲でありますが、国家公安委員会の命令を受け、しかも本来入らない、範囲外の一般犯罪の予防や検挙というような部分、あるいは犯罪の捜査というような部分についても、とにかく総理大臣が任命したところの警察庁長官がさらに任命した本部長は指揮命令に服する、こういうふうにあくまでも政府と直結して筋が通つておらなかつたならば、政府責任を負えないものであるかどうか。元来東洋における政治思想においては、政府責任、為政者の責任というものは、そういうものではなくて、古い考え方で言いましたならば、天災地変まで為政者がその責任を負う、こういうように考えられておるのでありますが、現在の憲法は西洋式の考えでありますから、そういう極端な責任まで問うておるわけではありません。それでも直接政府が命令しなくても、あるいは直接政府が任命した者が事に当らなくても、とにかく政府全般の政治責任をとるというふうに憲法はなつておるように思いますが、そうでなくて、あくまで政府の意思が末端までずつと通るようにしなければ責任は負えないのでありますか。これらの点を大臣からお答え願いたいと思います。
  235. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 責任という問題について、非常に御造詣の深い御意見を承つたのでありますが、責任を非常に強調する思想というものは、いわゆる東洋的なものであるかもしれませんけれども、これにはやはり限度があるのでありまして、元来責任問題を論ずる際には、私は、そうしたことがないようにする、事前にそうした事態を防ぐことの責任ということが、政治責任としては一番大きなものであろうかと思うのであります。ただいま、警察制度を改正することによつで政府責任を明確化すると言つておるが、これは治安に対する政府責任をいうのか、あるいはその他の、国警長官が言われましたような、制度自体から来る非能率化の問題についての責任をいうのであるかという御質問でございましたが、私はこれは両方あると思うのであります。大体今申し上げましたように、政府は行政一般について国会に対して、国民に対して責任を負うのでありますが、この行政一般責任というものの中に、治安に対する責任も当然含まれていると考えるのであります。そこで現在のような制度でございますと、警察行政というものの中立性を非常に強調するあまり、いわゆる政府責任と申しましても、政府は何も知らぬ間にただ形式的な責任を負わせられるという面が非常に多いのであります。そこで、まず人を正しく得ることによつて種々の事態の紛淆を防ぐことが必要であるという意味において、人事について政府責任を持つ、こういう考え方をこの際とつております。しかし警察行政の特殊性からいたしまして、政府責任論を強く言いますあまり、内部に深く立ち入りますことは、かえつて政治的に警察を動かすという危険がございますので、そういう点については深く立ち入らぬことにしておる。これがこの警察法案に一貫して流れております精神かと心得ております。そういうことによつて政府が治安の混乱することを何とか事前に防ぐ、こういう責任を申しておるのでございますが、一方制度自体から来る欠陥——政府としては国民に対して、できるだけ国民の負担を少く、しかも国民の幸福を招来すべき責任があると思うのでありますが、この警察制度運営いたします場合に、私どもが過去七年間の経験を通じて見まして、国警自治警との二本建になつているその制度自体から来るところの混乱の責任をやはり明確にしておく必要がありはしないか、制度がそこに不完全なものを内蔵しておつても、運用によつて十分やれるんじやないかという御議論もございますけれども、やはり運用の妙を発揮し得る限界というものがあるのであつて、現在は警察単位が非常にこまかくわかれておるということから、警察の効率的運営制度自体が阻害している、それが国民の負担を非常に加重しておるとすれば、この欠陥は是正せねばならぬ、こういうことを考えまして、この警察法案を立案し、御審議をいただいておる、こういうふうに御理解を願いたいと思います。
  236. 阿部五郎

    ○阿部委員 大臣は、従来責任政府に帰着するやいなや明確ならざる場合においても、政府責任をとることがしばしばあるがごとく仰せられましたが、私は不敏にしてそんな事実があつたことを聞いておらないのであります。もし政府責任を負うというのでありましたならば、それはおそらく国会に対して負われるのでありましようが、国会がはたして今まで政府責任にあらざる失態について政府責任を問うたことがあるのでございましようか。
  237. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 何か誤解をしていらつしやると思いますが、私は従来の東洋的な考え方においてということを申したのでありまして、最近のことを申しておるのではないのでございます。戦争前の旧憲法時代におきまして、いわゆる不敬事件というようなことによつて政府責任をとつたということはあると思います。これは直接政府責任ではない、私は現在の考え方からすれば、そういうものではないと思つております。ただ政府が行政一般責任を持つという考え方は、もちろん治安を含んでおるということを申し上げました。その考え方からいたしますと、政府は治安の乱れざるように、事前にできるだけの措置を講ずる必要があろう。それには現在の制度でございますと、さつき申し上げたような種々の欠陥がございますので、こういう改正を考えた、こう言うのであります。
  238. 阿部五郎

    ○阿部委員 どうも顧みて他をおつしやるのであつて、われわれは何も東洋的な考え方が現在行われておるというのではありません。東洋にはこういう考え方もあつたが、現在は西洋式な考え方で日本の憲法ができておるのであつて、そんな責任を問うことはないであろうということを言うたのであります。しかも今大臣がおつしやつたのは、旧憲法時代に、しばしば政府責任を負うのは適当でない場合においても世間から責任を問われたことがある、われわれはそんなことを言うでおるのではありません。今の現行警察法を変更しよう、しかも根本的に変更しようというのでありますから、現行警察法のもとにおいて、政府が問わるべからざる責任を問われたことがあるかどうかということを言うておるのであります。ただいま大臣はそういうことがあつたかのごとき答弁をなさつたのでありますから、それで私はそういう事実があつたのかどうか、こういうことを伺つておるのであります。それはいかにもおつしやる通りに、現行警察法にもいろいろ欠陥はありましようが、私がただいま問題にしております。のは、政府の政治責任が現行警察法では負えないから、これをかえる、こういうのが今回の警察法案提案の重要な理由の一部になつておるのでありますから、その点をお尋ねしておるのであります。
  239. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 私は政府が行政一般に対して責任を持つべきものであるし、その中には治安に対する責任も入つておるということを申し上げましたが、であるからといつて、現在までそういう事態があつたが、それに対しては責任が負えぬとか負えるとか、こういうことを申したのではないのであります。そういう性質のものであるということを申したのであります。幸いにいたしまして、今終戦以来のことを仰せられておりますから、その時代について申し上げますと、治安が乱れていかんともいたしがたいという事態は、現在まではなかつたと存じます。しかしそういうことは常に念頭に置いて、そういう事態がないようにいたすということが必要であろうと私は考えるのであります。そこで現在の警察組織を見ますと、国家行政組織法上の担当大臣は総理大臣である。主務大臣は総理大臣であるわけであります。しかし総理大臣と国家公安委員会との間も連絡がきわめて悪いと率直に申してさしつかえない。よくこの委員会でも例に引かれるのでありますが、斎藤国警長官の躍免問題も、かりに政府国警当局との連絡がよく行つておりますれば、ああした問題は起きなかつたと私は思つております。そういうふうに人事について非常に関連の薄い制度が、将来において非常に憂慮すべき事態を生むこともあることは予見してさしつかえない。そういう点をもう少し有機的に連絡する必要があろう。こういうのが今般の人事をもう少し明確に政府と関連づけるという改正の主たる眼目であります。しかし明確に関連づけるということと、政府が中へ入つて干渉をするということとは別でありまして、その点についてのチェック・アンド・バランスの法則は、この法案審議の過程において種々御説明申し上げました通り、出ていると考えております。
  240. 阿部五郎

    ○阿部委員 お答えによりますと、従来の警察法改正の有力な理由の一つであつた政府責任が明確でないという部面については、あまり確かな根拠がないようでありまして、ただ一つ、長官の罷免が総理大臣によつて自由にできなかつたことがある。こういうことがただ一つの理由であるかのごとくに承りました。しかしながらこれ以上申しておりますと議論にわたりますから差控えておきますが、まことにこれは承つて意外であり、かつあきれるという感なきにしもあらずであります。  次にお尋ねいたしますが、第三十七条に、都道府県警察の費用を国家が全額支弁をするという規定で一から八まであげてございます。実際にこれが負担をするにあたりましては、おそらくこれは国の予算で総額を決定して、それを何らかの標準によつて都道府県に割当てる。平たく言うとあてがい扶持でこれを都道府県警察にやらせるのであつて、この第五条の国家公安委員会統轄を受けて、都道府県警察が自己の意思をいれてどういう程度にこういうことをやるかを決定して、たとえば警察教養の施設を維持管理するについてどれだけくらいやろう。あるいはまた警察教養をどの程度までやろうと都道府県警察が自主的にやる程度をきめて、その費用を国からくれ、こういうてもらえるというような筋合いのものでなくて、国の方できめた金額については、都通府県側の意思をいれる余地はないものであろうかと思うのでありますが、いかがであろうか、伺いたいのであります。
  241. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 これは都道府県の使います費用のうちで、こういうものは国で支弁をするということでございますから、予算の要求はまず都道府県から出て来るわけであります。それを集めまして大蔵省に要求をするわけでありまして、都道府県の要求通り大蔵省からもらえるとは思えませんけれども、できるだけ警察庁において奔起いたしましてとれるようにする、かような手続になるわけでございます。
  242. 阿部五郎

    ○阿部委員 お答えはよくわかります。現在あらゆる方面においてやられておる事実がたいていその通りなんでありまして、自治体側の費用として国家が交付金、あるいは補助金、あるいはその他いろいろな名目をもつて、そのものはすべて自治体側が要求をして、それを所轄の省へ集めて、その省が予算要求をして、さらにそれを大蔵省が査定して国会の議決で流す、こういうようなことでありますから、おつしやる通りだろうと思います。思いますが、しかしながら事実としてはこれは金額に制限せられるのでありますから、現われて来る部面は、一旦予算がきまつた以上国から与えられて来て、都道府県警察としては抜きさしならぬものであつて、何ともこれは伸縮の余地が全然ないものであろうと思います。そうしましたならば、一切の仕事というものは、ことにこの一から七までにあげられておるような仕事というものは、金額によつて制限を受けるのでありますから、第五条において都道府県警察の意思の入れられる余地ありと御説明になりましたこの統轄というものが、実際上はもう上からの、国家公安委員会からの命ずるところにひたすらよらざるを得ない。結果としてはさようなものになる、こう思われるのでありますが、いかがでありますか。
  243. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 これは第五条とは関係がございませんので、たとえば犯罪統計について統轄をするとございますが、これはどういう犯罪統計を、こういう様式でこういうように報告をしてもらいたいというのが統轄でございます。そこで犯罪統計を作成したりする費用は、これは報告をするとしないとにかかわらず、国の費用として負担をするわけでございます。また警衛警備について指揮監督する場合がございますが、ふだんの場合は指揮監督はいたしません。警衛警備に関する基準というようなものは定めるかもわかりませんが、この基準に従つてどういう警備をやるか、また何回そういう警備があつたかというような実態と統轄の内容とは違いますので、従つて五条とこの警備の負担というものは直接の関係がないと御理解をいただきたいと存じます。
  244. 阿部五郎

    ○阿部委員 ついでにちよつと伺つておきますが、この中の二号、三号、四号及び六号、こう比べてみますと、六号においては「装備品の整備に要する経費」となつておりますし、二、三、四号の場合においては、維持管理に要する経費というふうになつておるようでありますが、この維持管理に要する費用というのは、施設を設置する費用は除かれておるものと思われますが、さようでありますか。
  245. 柴田達夫

    ○柴田(達)政府委員 設置に要する費用は維持管理に要する費用に入つております。
  246. 阿部五郎

    ○阿部委員 次にお尋ねいたしますが、第三十七条の第三項、この費用は、やはり手続としましては、先ほど長官が言われたように、都道府県警察から予算要求をして、それを国家公安委員会でまとめて、予算要求をして、定まつたものを配分するということになると思いますが、その通りでございますか。
  247. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 さようでございます。
  248. 阿部五郎

    ○阿部委員 そういたしますと、この部面については、本来都道府県警察権限に属することが多いのでありますから、それで都道府県警察は、独自の立場から自己の予算を立てるであろうと思います。もちろん国が基準を示すでありましようけれども、この基準の範囲内において、できるだけ自由なる行政活動を地方民の幸福増進のためにやるであろうと思います。その場合に、午前中に御説明になつたところによりますと、国が補助をしない部分は警察官の給与及びそれに類する部分と、その人数に比例したる庁費であつて、それ以外の費用については半額を国庫が補助する御意思である、かように承つたのであります。ところがその場合に、地方において地方公安委員会が大いに地方民の幸福増進のために予算計画を立てて、幸いにして地方の議会がそれを承認いたしたといたしましても、やはり国の方から制限を受けて、それが一向実現しないということになつて来るのではないか。すなわち、せつかくたとえば一億円なら一億円という経費を地方においては予算に計上し、地方議会がそれを承認いたしましても、そのうち半額の五千万円を国から補助はくれないということになつて来るのでありますから、かりに予算を組んでおきましてもそれを更正しなければならないし、あるいはあらかじめ国の予算ができておりまして、それを都道府県警察、すなわちそのもとであるところの都道府県に配分して来た場合、その来てから後というものは、いくら地方においてよい行政、よい施設を行おうとしましても、それが制限を受けて何事もできない、かような結果になるのではあるまいかと思いますが、いかがでございましようか。
  249. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 さようなことはございませんので、都道府県においてたとえば一億いるという計画を立てまして、国の方でそれは八千万円でよろしいじやないか、こうなりました場合に、地方の方でいや自分の方ではどうしても一億だけやりたいという場合には、二千万円県費でおやりになることは何らさしつかえはないのであります。当然そうなるであろうと思います。
  250. 阿部五郎

    ○阿部委員 そういうお考え方をなさつたならば、地方は何でもやりましよう。自己の一切の予算でやるというのでありましたならば、何でもやりますが、私が問うておるのは、半額は国庫が負担するという、あくまで半額は負担するのであつて、それを負担をもらわないでやるというのであつたならば、それはやりますけれども、半額国庫負担でやらなければなりません。そして半額は当然国家が持つてくれるにもかかわらず、地方がそれをもらわずしてやるというようなことは、地方に許されるはずがないのであります。そんなことを私は聞いておるのではありません。ここに国が一定の御計画を持つておる、そしてたとえば機動警察をつくるに自動車とか、あるいはその他の速力をもつてする施設は、国がこの程度でいいと思つておるにかかわらず、地方においては犯罪捜査の敏速を期するためにもつと完備したものを持とうとしましても、国の方針に縛られて実際やれない結果になるであろうと思いますが、その点いかがでありますか。
  251. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 それは都道府県の計画がやれなくなるということにはなりません。先ほど申しますように、都道府県がやつた方がよろしいという費用は、国ではそのうちこの程度でよろしいと考えても、都道府県としては府県の実情上どうしてもこの程度やりたいというならば、都道府県費でもつて支弁されることは何らさしつかえないと思います。
  252. 阿部五郎

    ○阿部委員 御意思はわかりましたが、それでは先ほどの御説明はまつたく羊頭狗肉でありまして、半額は補助するなどということはおつしやらない方がよかつたのであります。事実と相違しております。国庫補助の対象にならない部分、これは議論の余地がありませんけれども、そのほかは補助の対象になつて、しかもその補助率は半額である、かようににおつしやつたのでありまするが、あにはからんや、実際に政府の意思以上によいことをしようとしたならば、それは自弁でやれというので、補助はせぬということでありますから、それは半額でも何でもないのであります。どうもはなはだ巧妙といいますか、あるいはちよつと横着な御答弁であつたと思うのであります。  それから次に第三十八条でございますが、その第五項に定めてありますところの都道府県公安委員会国家公安委員会及び他の都道府県公安委員会との連絡でありますが、この連絡をとる必要があることは私たちもよくわかるのでありますが、その連絡について、一つは上と下との連絡であり、一つは相互間の連絡であります。この場合に、国家公安委員会都道府県公安委員会との間の関係については、これは公安委員会公安委員会との関係のみならず、公安委員会を通じての警察庁都道府県公安委員会との関係にもなるように思うのでありますが、逆に都道府県警察から国家公安委員会の方への連絡は、あくまで公安委員会を通じての連絡であつて、直接に警察庁への連絡はない、こう思つてよろしゆうございますか。
  253. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 ちよつと質問意味を伺いかねますが……。
  254. 阿部五郎

    ○阿部委員 いずれの警察中央においては国家公安委員会警察庁地方においては都道府県公安委員会都道府県警察、こういうふうに警察がおのおの二つの機関にわかれております。それでその相互の連絡というものが、公安委員会公安委員会との相互の連絡か、あるいは公安委員会警察庁、あるいは都道府県警察本部長と直接に警察庁、こういうふうな連絡もあろうかと思いますが、その第五項に書いてあるのは、その実際の連絡というものはどういう筋道を通つた連絡になるのであろうかというのであります。
  255. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 第五項の意味は、都道府県公安委員会都道府県警察都道府県における最高責任者でございますから、従つて国の最高責任機関である国家公安委員会とまた他の府県責任者と、お互いに常時緊密に連絡を保つてつてもらいたいという抽象的な注意規定でございます。
  256. 阿部五郎

    ○阿部委員 それはわかつておるのでありますが、私がこういうことをお尋ねする理由といいますと、すなわちこの都道府県警察に対して、国家公安委員会を通ぜずして、もとはそこから出ておるのかもしれませんけれども、直接には警察庁から連絡がある、事実はそうなるのであろうと思います。逆にまた地方から行く場合にも、国家公安委員会連絡をするのではなくて、直接に警察庁連絡する、こういうことになるのであろうか、こういう点なのであります。
  257. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 普通の事務の行き方は、先ほども申しましたように、警察庁の長官が都道府県公安委員会仕事連絡をいたします。また従つて都道府県公安委員会からも警察庁長官連絡があるわけであります。事務のルートといたしましてこれは当然のことであります。しかしながら、国家公安委員会というものが警察庁長官管理しておりますし、また都道府県公安委員会は、長官の任命した都道府県警察本部長について罷免やら勧告やら、そういつた権限も持つておりますので、中央国家公安委員会に対しまして、あなたのところの長官のやつておる事柄についてどうもこういう点がぐあいが悪い、自分直接にも言つておるけれども、監督機関である公安委員会においてこういう点を注意してもらいたいとか、あるいは国家公安委員会から見れば、うちの長官がいろいろ仕事を私の言いつけでやらしておるけれども、一体うまくやつておるようにあなたたちはごらんになりますかどうですかというぐあいに、その最高責任者同士がよく意思を疏通さして、御心配になつておるように、長官が都道府県本部長に対してこそこそと悪いことをやらしておらぬか、そういうことのないようによく緊密に連絡して監督をうまくやつてもらいたい、こういうのが法の趣旨でございます。
  258. 阿部五郎

    ○阿部委員 その次に伺いたいと思いますのは給与の点であります。従来は国家警察自治体警察との間には給与に相当な開きができております。今度のこの法案によりますと、都道府県警察の給与のごときはもつぱらその地方の定めるところになつておりますが、将来とも都道府県警察警察庁警察官との間に、あるいはまた都道府県相互の間に給与の差が生じて来るというおそれはあるのでございましようか、それともないのでございましようか。
  259. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 このおそれはやはりあると言わざるを得ないと思います。今日各府県間の吏員の給与水準が、府県によつて若干違つている、国の水準とも違つておるというぐあいに、若干は違つて来よう。しかし今日の大都市と小さな市町村、あるいは大都市と府県、それと国との間、そういつた大きな開きは将来起らないであろう。かように考えます。
  260. 阿部五郎

    ○阿部委員 そういたしますと、給与の開きが生じて来るということは、これは好ましいこととは言えぬかもしれませんけれども、それは実情に応じて相当開くことは当然であり、やむを得ないことであると認めておられるのでありますか。
  261. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 今日の自治法なり、自治体の自主性というものから考えましてやむを得ない、かように観念をいたしております。
  262. 阿部五郎

    ○阿部委員 それから給与の実際でありまするが、これは国家の方は国家公務員法によるのでありましようし、都道府県の方は地方公務員法によるのでありましよう。ところで従来、これは私は前の警察のことを言うのでありまするが、理想から言いましたならば、警察において直接に民衆に接して最も重要なる仕事をするのは駐在所、あるいは警察署においては部長くらいのところの人が直接民衆に接して非常に重大なる任務を負うておると思うのであります。そこでこれらの最も重要なる任務にある人々が、その地位の昇進いかんにかかわらず職務に精励し、しかもよい仕事をするようになるためには、これらの人がその地位のままで相当よい待遇を受ける道を開いておかなければならぬと思うのでありますが、昔の警察を見ますと、大体において年功によつて巡査であつても古い者は相当高給をとり、警部補とか警部の若い人たちは、巡査の古い人たちよりも本給は低いというような事実もあつたように聞いております。そうして、それはいろいろな見方もありましようけれども、相当長所のある制度であつたやに思つておつたのであります。私は将来は巡査あるいは巡査部長というくらいのところで、しかも相当優遇の道を講じ得る道がなければならぬのじやないかと思つておりますが、この警察法においては、それらの点はいかなる考慮が払われておるのでありましようか、御説明を願いたいと思うのであります。
  263. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 ただいまの関係は、昔よりも今の方がもつとよくなつておると思います。たとえば巡査でありましても、長年勤務をいたしております者は、巡査部長あるいは警部補の下の方よりも高い俸給がもらえるというように、階級が上らなくても給与が相当高く上れるようになつておるのでございます。
  264. 阿部五郎

    ○阿部委員 この点はまことに明確なお答えをいただきまして感謝いたします。そこでその巡査あるいは巡査部長が適当な例かと思いますが、巡査部長として最高どこまで上り得るものでございますか、承つておきたいと思います。
  265. 石井榮三

    ○石井(榮)政府委員 ただいまの御質問にお答えいたします。巡査部長の最高は二万二千円ということになつております。これは現在の国家警察の巡査部長であります。
  266. 阿部五郎

    ○阿部委員 一応私の質疑はこれで終つておきます。
  267. 中井一夫

    中井委員長 西村力弥君。
  268. 西村力弥

    西村(力)委員 ただいままで各委員から大分質疑がございましたので、あまりお尋ねする点もございませんが、この組織法そのものは政府の治安に対する責任を明確化するんだ、こういう目的をはつきり大きく打出してあるのでありますが、一体今度は、都道府県内における治安の責任というものはどこにあると考えてこの法律をつくつているかという点についてお伺いしたいわけなんです。
  269. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 県内の治安の責任は、これは県の公安委員会にございます。
  270. 西村力弥

    西村(力)委員 しからば国家公安委員会そのものに治安の責任を持たせて、そうして大きい政治的な施策でもつて政府は治安の責任をとるというぐあいに、なぜ考えをとどめ置くことができなかつたか、こういう一つの矛盾を感ずるのでございます。その点はいかがでございますか。
  271. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 政府の政治施策万般が治安に影響いたすことはもちろんでございます。従いましてそういつた治安そのものでなしに、政府全般の施策の責任というものが重大であることは申し上げるまでもございません。しかしながら治安そのものの処理の仕方というものにつきましても、私はその都道府県内においては都道府県公安委員会責任を持つ、これを前提といたしておると申し上げておりましたが、その都道府県公安委員会責任を遂行いたします場合に、国の見地から見まして必要と認める最小限度は、第五条に列記してあります範囲内において国が積極的に責任を持つて参加をする、こういうことでございます。
  272. 西村力弥

    西村(力)委員 国の治安の責任政府において明確化するということは、これは前々からの説明でありますことは申し上げるまでもないのであります。それを答弁をかえられるとするならば、これはそもそもスタートにもどらざるを得ないということに相なるわけなんです。この考え方から行けば、どうしても府県の治安の責任は知事にある、こういう考え方であれば一貫するのではないかと思うのです。そうしますと、県の治安の責任に対しては、府県知事が責任を最終的な立場において持つという必要はない、あるいは全然持つ必要がない、こういう観点を明確にしていただきたい。
  273. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 私はこの警察法上におきまして、通常いわれている警察運営、行政の責任という意味で申し上げましたが、今お尋ね趣旨におきます県における最終責任は、やはり知事でございます。かるがゆえに知事が公安委員を任命し、また予算を提案するというわけでございますから、そういう意味におきましては、最終の責任府県においては知事に帰着するでございましよう。しかしそれを、この警察法によつて実際の運営をしておりますのは公安委員会であると申し上げておるのであります。
  274. 西村力弥

    西村(力)委員 そういうことになると明確になつて来る。その筋が一貫されれば、自治体警察だと私たちは認めて行きたい、かように思うのです。ところが政府責任は明確にしなければならぬから、警察庁長官はおれが任命する、国家公安委員会には大臣を入れて政府の意思を浸透するのだ、こういうことを言つている。県知事としましても、県民に対して治安の責任を明確化する、県議会に対してその責任を負う、こういう立場に立ちたいのは、内閣総理大臣と政府と同じ立場であると私は思う。そういう考え方に立てば、政府考え通り、府県知事の立場もあたたかく見てやれば——当然なものとして、あるいは同一のものとして見てやろうとするならば、やはり都道府県警察本部長は、この組織通りの方向をとれば、知事の任命であり、また府県公安委員会の中に委員長として副知事とか何かを入れる、この前の改正法案のようなぐあいに行つてこそ形が同じものであり、一貫した姿である。かように私たちは思うのですが、なぜそういうぐあいになさらずに、このような組織になさつておるか、この点について大臣の答弁を願いたい。
  275. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 御承知のように警察事務というものは、国の事務と自治体事務と双方に関連があると思います。そこで国の事務等につきましては、これは国がやはり全国的に、第五条二項以下にありますようなそうした筋を通さなければならない。一方自治的な面におきましては、府県自治体警察という面におきまして筋を通す、その両方をあんばいいたしたものがこの結論である。こういうふうにしばしば申し上げておる次第であります。
  276. 西村力弥

    西村(力)委員 あんばいはいいけれども、手前みそのあんばいが強い、こう言わざるを得ないと思う。府県知事だつて一つの住民に対する責任がある。政府でもやはり国民全体に対する責任がある。その範囲は同じでないけれども、責任の軽重は同じであると思う。そういう立場からいうと、あんばいをあまり手前みそにやつて人事権という筋を通して、ずつと末端まで政府に直結させることは、これは一方的な立場であつて、絶対に今の答弁では私たちは納得できない。そういうぐあいになつて参りますれば、公安委員会に対して、この警察庁長官一つ指揮監督をする、こういうことに相なるわけでございますが、それをぜひ聞かなければならぬかという質問に対しては、絶対に聞かなければならぬということもないのだ、こういうような答弁でございまして、聞かないとするならば、府県知事がこれを罷免するであろう、こういうことを言われましたが、実際この都道府県公安委員会というものは、それほど不安定なものであるかどうか。この公安委員職務上の義務違反、あるいは委員たるに適しない非行、こういうものにそれが該当するかどうか。この前の答弁によりますと、この第四十一条の二項、これにはつきり該当するというぐあいに答弁せられているのでございまして、私たちとしては、それでは都道府県公安委員会というものの自主性は何ら認められていない、こういうぐあいになつて来ると思います。この点から言いましても、先ほど申しましたように、治安の責任のある知事の立場を認めず、また都道府県公安委員会の独立性、身分の保障というようなものも非常に危険な状態に置かれている。これはあまりに国家警察的な方向をとつている姿であると私は言わざるを得ないのです。そこでお尋ねいたしたいと思うことは、都道府県公安委員会が、警察庁長官指揮監督を拒否した場合に、それは委員たるにふさわしくない非行あるいは職務上の義務違反と認めるというこの条項に入るのかどうか、この点について御答弁を願いたい。
  277. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 警察庁長官の適法なる指揮監督に故意に従わないという場合は、これは明らかに職務上の義務違反、かように考えます。
  278. 西村力弥

    西村(力)委員 公安委員会は三人の合議制でございまして、適法、不適法というような判断は、それは十分なし得る。なし得られないとするならば、おかしなものであると私は思う。また三人の者が心をそろえて故意にこれに反するというようなことにない。これを故意に反したと認めるならば、これはその命令を発するものの優越性から判断するものではないか、こういうぐあいにいわざるを得ない。そういう点から言いまして、その故意に違反した、あるいは適法の何を否定した、こういうようなことをだれが判断するかということになります。この点についてひとつお尋ねをいたしたいと思う。
  279. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 御所見のように、公安委員会は合議制でございます。従いまして故意に適法なる指揮監督を適法にあらずとして拒否するということは、私は事実上はあり得ないと思います。あつた場合にどうであるかという御質問でありますから、あつた場合には、これは知事が罷免をすべき筋合いであると申し上げております。そうしてその認定はだれがするかといいますと、知事が認定をするわけでございます。
  280. 西村力弥

    西村(力)委員 私たちは最悪の事態を予想しておるわけなんでございまするが、いろいろ前々から問題になつておるように、政府の指揮系統を通つて来る、そういう立場から来るものは、命令を発するときは適法としても、それを受取る方から見れば、独立性を持つものから見れば、これはまことに一方的だ、かように受取る場合が非常に多いと思う。そういう点から、当然こいつは政府の方向に警察行政そのものの方向をねじ曲げて行くのだ、こういうぐあいに判断する場合が将来起きることだろうと思うのですが、そういう判断をして拒否してこそ、ほんとうに公安委員会立場が立つのでございまするが、そういう場合において、これが適法の命に対する不遵奉というか、非遵奉というか、遵奉しない、こういうようなぐあいに判断されるということは、これはまことにうまくないことである、そういうふうなことのないようなぐあいに十分にやはり保障して行く必要があると思うわけなんです。その点についての何はこのくらいにいたしまするが、こういうぐあいに都道府県警察本部長警察庁長官の任命にかかる。そうしますと、今までも各県の国警隊長を中央に集めていろいろ訓示をされておる。その例を拝見いたしましたが、今度はあの場合と、長官と各県の本部長との関係は、今までのものと相当違つたものになつて来ると思う。やはりその立場、相対する二つの立場というものは全然違つたものになつて来る。前よりも長官の立場が弱くなるか、強くなるか、こういうところはどういうぐあいにお考えになりますか。
  281. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 都道府県警察本部長と長官の間には、今度は全面的に公安委員会が入つて参りますから、その限りにおきましてはあるいは弱まつた、かように言えると存じます。しかし隊長会議というもの、隊長を集めて会議を開いたりすることは絶対ないというお尋ねであるといたしますならば、たとえば都道府県の知事会議に参集をしてもらう場合もあります。また都道府が県の各部長が集まつて協議をしてもらう場合もありますから、隊長を集めて協議をするという場合もございましよう。しかしその立場は、その上に都道府県公安委員会があるということによりまして、今まご直接に接触をしておりましたのが間接になる、こういう弱まり方は今度はできて参ります。
  282. 西村力弥

    西村(力)委員 その点今までもよりも弱くなるようにも見えまするが、実際にその首を押えておる人と押えられておる人とが集まつて相対して、従前よりも弱くなるというようなぐあいには私はちよつと理解されないのであります。今までの訓示の内容をずつと見ましても、大分遠慮せられて、相手の隊長の立場や人格を尊重するといつて、たいへんりつぱな御訓示をなさつていらつしやるようですが、今後はもつときつい立場に立つてその訓示が進められ、命令というようなぐあいに行くのではないか、こういうこどをおそれるわけなんです。ずつと二十三年から二十八年までの訓示の内容を見てみますと、憲法を遵守しなければならないとか、さまざまなことが言われておるが、そのあと次第々々に警察本来の訓示形式になつて来つつある。そういう変化を示しておるのですが、それ以上にきついものになつて来るのではないかと思うのです。そういうことにならないという保障は一体どこにあるのであるか。単に都道府県公安委員会が中間にあるからといいましても、それだけでは私は十分な保障であるとは思われない。その点ひとつ御答弁願いたい。
  283. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 やはり都道府県公安委員会都道府県の一番の管理責任者でありますから、従いましてその都道府県公安委員会を無視したような行動を中央の長官なり国家公安委員会がいたしまするならば、これは都道府県公安委員会中央との関係が将来うまく参りませんから、そういうことによりまして、自然にそういつた御心配は防禦できると思うのであります。
  284. 伊瀬幸太郎

    ○伊瀬委員 議事進行について……。どうもお見かけしますところ、すでに八時も過ぎまして、皆さん眠たそうだし、職員も政府委員もお疲れのようですし、改進党もおられません。御質問もまだ大分残つておるようですから、今晩はこれで打切つて、明後日残余の質問を続行してもらうように議事進行を願います。
  285. 中井一夫

    中井委員長 改進党からは、他に所用があつて出られないけれども、いなくても逐条審議は進めてもらつても異議はないとの申出がございました。従いまして改進党のおられませんことにつきましては、御心配御無用と存じます。
  286. 伊瀬幸太郎

    ○伊瀬委員 ひとつ今晩はこれで打切つて、残余は明後日やつていただくという議事進行について諮つていただきたい。
  287. 中井一夫

    中井委員長 政府委員の諸君も決して困つてはおらないようでありますから、どうかお進めくださいませ。答弁の方は御配慮に及びませんから、どうぞ御質疑を進めていただきたいと思います。但し、御質疑をなさることにつきましては、だんだん名論卓説も承りました、また微に入り細に入り、なかなかよく御研究になつておることも承知をいたしました。しかし同じことをたびたびお繰返しであります。これはお互いにそういうことのないようにしていただきましたら、答弁する方でもしやんとすることであろうと思います。あまり同じことが繰返されますから、ついだれるのではないかと私はひそかに思つておりました……。     〔「議事進行の動議はどうした」と呼ぶ者あり〕
  288. 西村力弥

    西村(力)委員 ただいまの私の質問を保留して、残余は明後日これを続行するという伊瀬委員の議事進行の動議に私は賛成をいたします。
  289. 中井一夫

    中井委員長 西村君に御相談いたしますが、明日は日曜で休みにもなりますし、今打切りますと中途半端になりますので、西村君の御質疑だけでもお進め願つて、終つていただきたいと思いますが、いかがでしようか。     〔「散会」と呼び、その他発言する者あり〕
  290. 中井一夫

    中井委員長 伊瀬さんにもう一度御相談をいたします。この進行につきましては、もとより委員長がかつてに定めることのできるものではありませんけれども、西村君がせつかくこうして質疑御進行中ですから、西村君の御質疑だけをきよう終つて、そうしてあとはほがらかに散会と、こういうことにいたしたらいかがでしよう。そうして動議とかいうようなことでむずかしくならずに、ひとつきようはそういたしましよう。
  291. 北山愛郎

    ○北山委員 議事進行について。先ほどの委員長の御発言の中で、質疑がいろいろ重複しておるというようなことがあつたので私は申し上げたいのですが、これは当委員会が十分な定足数をもつて、相当多数の出席でもつて審議を進めておればそう重複することは起らないのじやないかと思うのです。ところが何しろ定足数が足りない、ごくわずかの数でもつて質疑をやつているのです。だからしてあとから参加して来た人は、前の人が、どういう質問をしたかわからぬから、また同じことをやるという場合もあり得る。ですからして、これは従来のこの委員会の審議においてそういうふうなやり方をして来た結果、やはり多少重複するという点があつたのじやないかと思うのでありまして、これはわざわざ各委員もことさらに重複させたのじやないと思うのです。また同じ質問も、問題が重要であるからいろいろな角度からこれを追究したのであつて、そういう点で私どもは、今の委員長の御意見ではございますが、それを本日のこの審議を進めることについて、委員長の私見としてお話くださつたことにはどうも納得いたしかねるので、この点を申し上げて、そうして本日は土曜日でありますし、また連日がんばつておるのですから、適当なところでもう散会いただきたい、これをお願い申し上げます。
  292. 中井一夫

    中井委員長 北山君に申し上げます。私の申したことにつき済まぬことがございましたら、まことに相済みません。これははつきり取消します。従いまして、どうぞ西村君の御質疑だけはこの際お進めいただいて、そうして本日はわかれることにいたしたいと思います。西村君、どうぞひとつお進めくださらんことをお願いをいたします。
  293. 西村力弥

    西村(力)委員 私の質疑が終れば本日は解放してくださるという委員長の確約をいただきまして、これから質疑を続行いたしたいと思いますが、迷論卓説という、しんにゆうの迷論のようなぐあいのことを委員長が言われますので、そろそろやめにしたいと思います。  どうも府県警察という別荘に東京の旦那のばかむすこではないが、そういう者が来ている、都道府県公安委員会は別荘番だ、こういうようなかつこうに見えてしようがない。建物を管理することにしているけれども、中の主人は旦那のむすこであるから、ちよつと手も触れられない。しかしあまりうちの家財道具を持ち出して遊興にふけるなんという場合にあうと、中央の旦那に済まないから罷免の勧告権を出そう、こういうような程度都道府県公安委員会に見えてしようがない。確かに都道府県公安委員会はそういう形に置かれていると思えてしようがないが、そういうことですか。一体前々から府県警察に対しては、予算を通して相当意思を浸透することができる、コントロールができる、こういうことでございましたが、人件費の一部とか被服費とか、そのほかに出すものは補助金に見合う半額の二十五億、これくらいしかないとするならば、一体これで府県の議会がほんとうに予算を通して都道府県警察に、自治体警察らしい一つの何というか、指導的な立場、こういうものがとれるだろうか、こういう点について私は非常に疑念を持つわけです。むしろ多くの支出をするという国家の立場予算面においても優位をするのではないか、こういう懸念を持たざるを得ないわけなんでございます。そういう点についてのひとつ見解を示していただきたいと思うのであります。
  294. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 私は都道府県予算を持つことに相なりますれば、その一部は国庫の補助があつたり、あるいは国庫支弁がありましても、十分の勧告を、予算を通じて予算議会において行使できる、かように考えるのでございます。
  295. 西村力弥

    西村(力)委員 しかしそうは申しましても、それは答弁のための答弁以外に私には聞えないのでございます。しからば警察教養の施設とか、通信施設とか、そういうものの設置、維持、管理、そこまで国費で支弁するということになりますれば、この物件の所属というものは一体どこになるのか、やはり県というぐあいになるわけですか。県というぐあいになれば、その物件を維持、管理する人の責任は、だれに向つてとるべきかという点について、金は出してもらつている、しかもおれのものだ、だからおれのかつてだというぐあいには、警察庁長官はあまり許さないようになるのではないかと思われる。こういう点はいかが相なりますか、御答弁を願いたいと思います。
  296. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 現実にこれを管理いたします責任者は、都道府県公安委員会、その命を受けた本部長、こういうことに相なります。
  297. 西村力弥

    西村(力)委員 その施設は県の所有物、こうなるとするならば、公安委員会は県に対してその管理責任をとるだけでよろしいかどうか。それに対して警察庁長官、あるいは金を出す政府は、そういうものに対する口出しというか、にらみというか、報告の要求とか、そういう点について何ら関知しない、こういうことに相なりますかどうか、金は全部出しておいて、あとはまかせ切りというぐあいに、あつさり行き得ますかどうかという点を伺いたいと思います。
  298. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 国費支弁のものにつきましては、管理責任はやはり国に対しても負うわけであります。従つて国の会計検査院も検査に参ります。
  299. 西村力弥

    西村(力)委員 あといろいろございますけれども、以上をもつて私の第四章に対する質疑を終りにいたしたいと思います。
  300. 中井一夫

    中井委員長 それでは本日はこの程度で散会をいたします。     午後八時三十一分散会