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1954-04-19 第19回国会 衆議院 地方行政委員会 第47号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年四月十九日(月曜日)     午前十一時二十八分開議  出席委員    委員長 中井 一夫君    理事 加藤 精三君 理事 佐藤 親弘君    理事 灘尾 弘吉君 理事 吉田 重延君    理事 西村 力弥君 理事 門司  亮君       尾関 義一君    熊谷 憲一君       西村 直己君    濱地 文平君       床次 徳二君    橋本 清吉君       古井 喜實君    阿部 五郎君       北山 愛郎君    横路 節雄君       大石ヨシエ君    大矢 省三君       中井徳次郎君    山下 榮二君       松永  東君  出席国務大臣         国 務 大 臣 塚田十一郎君  出席政府委員         人  事  官 入江誠一郎君         人事院事務官         (事務総局任用         局長)     大山  先君         人事院事務官         (事務総局給与         局長)     滝本 忠男君         国家地方警察本         部長官     斎藤  昇君         国家地方警察本         部警視長         (総務部長)  柴田 達夫君         総理府事務官         (自治庁財政部         長)      後藤  博君         総理府事務官         (自治庁税務部         長)      奧野 誠亮君  委員外出席者         総理府事務官         (自治庁行政部         行政課長)   長野 士郎君         専  門  員 有松  昇君         専  門  員 長崎 茂男君     ――――――――――――― 四月十九日  委員生田宏一君、鈴木幹雄君及び伊瀬幸太郎君  辞任につき、その補欠として熊谷憲一君、床次  徳二君及び山下榮二君が議長の指名で委員に選  任された。     ――――――――――――― 四月十七日  昭和二十九年度分の市町村民税臨時特例に関する法律案内閣提出第一五五号) の審査を本委員会に付託された。 同日  市町村自治体警察制度廃止反対陳情書(第二八一五号)  法令に基かない器附金等の規正に関する陳情書(第二八一八号)  名瀬市の復興並びに民生安定に関する陳情書(第二八一七号)  地方税法の一部改正反対陳情書(第二八三八号)  市町村自治体警察制度廃止反対陳情書(第二八三九号)  退職地方公務員恩給支給に関する陳情書(第二八四〇号)  公職選挙法改正に関する陳情書(第二八四一号)  地方税法改正に関する陳情書(第二八七二号)  市町村自治体警察制度廃止反対陳情書(第二八七三号)  同(第二八七四号)  公職選挙法改正に関する陳情書(第二八七五号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  警察法案内閣提出第三一号)  警察法施行に伴う関係法令整理に関する法律案内閣提出第三二号)  自治庁関係法令整理に関する法律案内閣提出第一五一号)  昭和二十九年度分の市町村民税臨時特例に関する法律案内閣提出第一五五号)     ―――――――――――――
  2. 中井一夫

    中井委員長 これより会議を開きます。  自治庁関係法令整理に関する法律案及び昭和二十九年度分の市町村民税臨時特例に関する法律案の両案を一括して議題といたします。自治庁関係法令整理に関する法律案につきましては、すでに提案理由説明を聴取いたしておりますので、これより昭和二十九年度分の市町村民税臨時特例に関する法律案について、政府よりその提案理由説明を聴取いたします。塚田国務大臣。     ―――――――――――――
  3. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 ただいま議題に供されました昭和二十九年度分の市町村民税臨時特例に関する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概略を申し上げます。この法律は、さきに提案いたしました地方税法の一部を改正する法律案が目下国会において御審議中でありますので、その制定施行されるまでの間、市町村民税特別徴収手続に関し昭和二十九年度の特例を設け、市町村及び特別徴収義務者における徴収事務について無用の混乱を避ける措置として立案されたものであります。すなわち現行法によれば、市町村民税特別徴収方法によつて徴収しようとする場合においては、市町村長は、四月三十日までに特別徴収税額通知をいたしまして、当該通知を受けた特別徴収義務者は五月から翌年二月まで給与の支払いをする際これを徴収することとされておりますが、さきに提案いたしました地方税法の一部を改正する法律案におきましては、特別徴収税額通知を五月三十一日までとし、その特別徴収を六月から翌年三月までの間に行うことといたしております。従いまして、地方税法の一部を改正する法律案がその成立を見ていない現在において、市町村現行法規定によつてその手続を進め、特別徴収義務者においても五月から特別徴収を行うといたしますれば、さきに提案いたしました地方税法の一部を改正する法律案制定施行されました際におきましては、市町村改正法によつてあらためて手続をとらなければならないこととなり、その徴収事務上無用の手数を要することとなり、また一面、納税者及び特別徴収義務者にも多大の迷惑を及ぼすこととなりますので、地方税法の一部を改正する法律案と同様に、特別徴収税額通知の期限を五月三十一日までとし、六月から翌年三月までの間において特別徴収を行うように、さしあたり地方税法の一部を改正する法律案制定施行されるまでの間、特例措置を講ずることといたしたのであります。  何とぞ慎重御審議の上すみやかに本法律案成立を見ますようお願いいたす次第であります。
  4. 中井一夫

    中井委員長 これより両案に対する質疑に入りますが、質疑はございましようか。北山君。
  5. 北山愛郎

    北山委員 ちよつと質問したいのですが、自治庁関係法令整理に関する法律案でございますが、この内容を見ますると、ずいぶん古い法律あるいは規定であるようであります。なぜこれを今までほつておいてあつたのか、今に至つて整理しなければならぬ、この間の事情がよくわかつておりませんので、ひとつ御説明をいただきたい。忘れておつたのか、整理すべきものをほつたらかしておいて今になつて一括してやる、こういう意味であるか、その間の事情をひとつ御説明願いたいのであります。
  6. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 これは自治庁関係だけでありませんで、各省全部今同じようなことをいたしておるわけでありますが、それは昨年中から懸案にいたしておりました政府行政機構改革、その一環といたしまして、法令整理をするという方針が一つあるわけであります。その法令整理一環として当然整理すべきものとしてこれだけが取上げられたわけでありまして、中にはもちろんもうすでに実質的には全然効力を持たない、事柄自体が消滅しておるとか、いろいろな事情効力を持たないものもみなあの中に含まれておるわけでありますが、そういうものも含めて、要するに今まで当然廃止さるべくして手続ができていなかつたものを、この機会にまとめてする、こういう考え方でございます。
  7. 北山愛郎

    北山委員 そうしますと、まあ今までの法令の役に立たないやつを、この際大掃除しよう、こういうわけのようでありますが、これでもつて大体自治庁関係法令整理は済むのであるか、それ以外にもまたすす払いでもつて出て来るものがあるか、大体これで一段落であるかという点を重ねてお答えを願いたい。
  8. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 臨時行政改革本部法令整理という問題を取上げましたのは、こういうものだけではもちろんないのでありまして、現に効力を持つておるものであつても、この機会に国の今日の事情というものをあわせて考えてみても、たとえばこれが国でする必要のない仕事であるというように考えられるものは、基礎法である法律をなくして、もしくは改めて、そうしてこの事務を国以外のものに移すというようなことも考えて、問題の検討をしておりますけれども、今度御審議願つております部分はそういうものではなしに、当然に廃止されてしかるべきものだけが取上げられたのでありまして、そういう意味のものとしてはこれで全部であります。しかし広い意味法令整理という意味のものは、今後なお検討してあるいは追加されるということになるわけであります。
  9. 中井一夫

    中井委員長 ほかに御質疑はございませんか。ないようでありますから、両案に対する質疑はこれにて終局いたしました。  これより討論に入りたいと思いますが、別に討論の御通告もございません。よつてただちに採決することといたします。御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 中井一夫

    中井委員長 御異議なしと認め、さように決定いたします。  両案に賛成の諸君の御起立を願います。     〔総員起立
  11. 中井一夫

    中井委員長 趣立総員。よつて両案は原案の通り可決されました。  この際お諮りをいたしますが、ただいま議決になりました両案に関する報告書の作成につきましては、委員長に御一任を願いたいと思いますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 中井一夫

    中井委員長 御異議なしと認め、さように決しました。     ―――――――――――――
  13. 中井一夫

    中井委員長 次に警察法案及び警察法施行に伴う関係法令整理に関する法律案の両案を一括議題として、質疑を続行いたします。
  14. 北山愛郎

    北山委員 議事の逆行について。警察法案審議については、これを慎重にやるということは当初からのわれわれ委員会申合せでございます。ところで一般質問もそろそろ終りに近づいておるわけでありますが、その間かんじんの担当大臣である法務大臣の御出席が非常に少いのでございまして、今日おいでになりました委員の中にも、法務大臣にはまだ一ぺんも質疑をしておらない方もおありのようであります。従いましてひとつこの際法務大臣出席を求めて審議を進められんことを希望いたします。
  15. 中井一夫

    中井委員長 北山君の御発言は当然の御要求でございまして、そのことについては、先般来たびたび委員会の方から注意をいたしておるような次第であります。なお本日あらためてその旨法務大臣に伝えて、出席要求することにいたします。門司亮君。
  16. 門司亮

    門司委員 今北山君からお話がありましたように、大臣はどうなんですか、出て来られませんか。大臣が出て来られないと、話の実際が進めようがないのでございますがね。だから警察法審議といつても、これから説明員事務当局に聞いてもいいような事件もありますが、しかし大体においては大臣に出て来てもらいませんと、審議の過程においては、非常に支障があると私は思うのです。たから大臣おいでになるまで一応質問は保留して、大臣おいでになつてから質問したらどうですかね。
  17. 佐藤親弘

    佐藤(親)委員 関連北山先生門司先生から、法務大臣出席を求めるからそれまでは休むというような御趣旨の質問でありますが、何とかこの間理事会においてきめたように、ひとつ逐条審議の方にでも入つて、その審議を進めていたたくというように、北山さんや門司先生の方に御了解を願えるように、委員長から交渉願いたいのであります。
  18. 門司亮

    門司委員 今せつかく佐藤委員からお話もございますが、この間から要請をしておりますように、いずれ人事委員会の方は人事委員会としてのお話もあるでございましようし、これは連合審査ももちろんできるてしようが、この委員会としましても、やはり大臣に出て来てもらいまして、そして逐条審議かできるだけ早く上るように、一応われわれの法案全体に対する認識を持つておきたいと思う。そうしませんと、これは逐条審議に入りましても勢いそこへぶつかると思う。さつきから申し上げておりますように、人事の交流の問題あるいは給与関係等はやはり人事院総裁に聞かないと、そう簡単に一方の説明だけではこれを通すわけには参らない、承知するわけには参りません。それからさらにこの法律で最も重要な点が、従来の警察法の行き方から考えて欠けておりますところは、自衛隊法案との関連性がこの警察法の中にはほとんど見えないのでありまして、これは治安関係からいえばきわめて重大な問題でありまして、いわゆるこの自衛隊法案の中にもその第三条には明らかに、公共秩序維持に必要な場合には出動するということが書いてある。その次には御承知のように、七十八条の命令による治安出動あるいは八十一条以下の府県知事要請に対する保安隊出動、こういうものと警察制度というものは一体どう関連しておるのか、そういう場合の指揮命令権がどこに行くのかということがはつきりしておりません。今までの警察予備隊あるいは保安庁法の当時にもこれは審議されたのでありますが、警察予備隊のときには御存じのように、法令の中にはつきり警察の足りないところを補うのだということで一応警察との関連性は明確になつてつた。それが現行法であります保安庁法になつてからややぼやけて参りました。いわゆる軍隊の性格が強くなつた関係から、警察との関連性が非常に薄くなつて来ておる。ところが今度は自衛隊法という法案が出て参りまして、この法案の中をずつと読んでみますと、結局内閣総理大臣が必要があると認める場合には、地方出動命令することができるということが書かれておる。さらに府県知事は必要がある場合においては保安隊出動要請することができるということが書いてある。その場合の警察権所属というものは一体どつちに行くのか、従来日本軍隊のありましたときの戒厳令その他の場合のように、軍隊がその場合には指導権を握つてやるのか、どつちか一体その場合の指導権を握るのかということが明確になつおらない。われわれといたしましては、今日この警察法審議しようといたします場合には、自衛隊法案との関連性というようなものも十分に知つておきたい。そうしませんと、日本治安全体のものの考え方というものが明確に浮んで来ない。私はこういう観点から、やはり木村保安庁長官にでも来ていただいて、非常事態の布告された場合あるいは府県知事要請される場合等に対する警察権所属一体どつちが握るのかということを考えて行きませんと、これは非常にむずかしい問題でありまして、いわゆる統帥権にひとしい軍隊出動その他を総理大臣が握つて、それからもう一つ警察におきまする権力行政総理大臣が握る。一人の人が両方の手に一切の権力を握るということになると、ゆゆしい日本フアツシヨ化であつて、そう簡単に片づけるわけには行かない。そこで両方関連性というものをこういう法律審議の際に明確にしておきたいと思う。こういうことから、もしここに法務大臣おいでにならないというならば、木村保安庁長官なりあるいは浅井人事院総裁なりに来ていただいて、そうしてそれらの総括的の質問を一応終らしておいた方が、私は逐条審議の場合に非常にスムースに行くのじやないかと思う。それらの問題がやはり逐条審議の場合にどうしてもひつかかつて来ると思う。できるならばこの際木村保安庁長官出席を求めていただきたいと思いますことと、これはずつと前に要請されて委員長も了承されております例の浅井人事院総裁にも出てもらう、法務大臣が出られない限りはやはりこれらの人たちに出ていただきまして、そうして一応総括的な討議を進めて行きたい、こういうふうに考えておりますので、委員長はしかるべく御配慮いただきたいと思います。
  19. 中井一夫

    中井委員長 門司君の御要求につきましては了承いたしました。長官総裁に対し出席要求いたします。なおただいまはちようど国務大臣塚田自治庁長官出席しておられますから、警察法自治庁に関する問題につきまして、御質疑があればこの際お進めいただいたら非常に便宜かと思います。
  20. 北山愛郎

    北山委員 この警察法地方自治の問題、これは逐条審議に入りましてもまず第一条から問題になるであろうと思うのですが、この委員会で前に、はたして今度の都道府県警察というものは自治体警察なりや、あるいは単に国家警察府県に委任されたものでもるかというような点について質疑をされたわけでありますが、この点がまたはつきりしておらないかと思うのであります。     〔委員長退席佐藤(親)委員長代理着席〕  従つてこの前に門司委員あるいはその他の委員からも要求がありましたように、今予定されておる地方自治法改正案が出て来ないというと、警察法審議に非常にさしさわりがある、私どももその点は同感なわけであります。今度の警察法改正関連をいたしまして、自治法関係のある部分というのはいろいろな点があるのであります。たとえばこの前指摘になりましたように、地方自治法の第二条第三項第一号、普通地方公共団体仕事としてそこに規定されてあります列挙事項の中には「地方公共秩序維持し、」伝云ということがある。でありますから、その自治体の独自の固有の仕事として地方公共秩序維持するという任務地方団体が持つておるというふうに解されるわけであります。従つて一体新しい警察法を出したあとで自治法改正によつて、このような規定に変化を来すものであるかどうか、これらは私どもが今度の警察というものが、はたして自治体警察であるかそうでないかということを判定する上に非常に関係がある事項であります。従つてこの際もつと具体的に聞いておきたいのは、今度の予定されておる自治法改正案の中で、この第二条第三項の「地方公共秩序維持し、」云々という規定は変更するということを考えておるかどうか、これについてまずお答えを願いたいのであります。
  21. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 御指摘の第二条第三項第一号の規定は単に警察だけをさしておるというわけではないのでありまして、地方公共団体地方公共秩序維持する任務全体を総括的に書いておるわけであります。従つて今度の警察法改正によりまして、この部分地方自治体の仕事として全然なくなるということはないと考えられますので、この部分についてはおそらく変更する必要がない、こういうように考えておるわけであります。
  22. 北山愛郎

    北山委員 それではただいまの自治法の第二条第三項第一号の事項というのは、警察手段による公共秩序維持以外のことを指すものであるというのか。あるいは警察仕事もその中に含むというのであるか。包括的に何らかの警察以外の手段をもつてした場合でも、あるいは警察方法による場合でも、とにかく地方公債秩序維持する広いそういう仕事を持つている、こういう意味において存置する考えであるか。それらの点もう少しはつきりお答え願いたいのであります。
  23. 長野士郎

    長野説明員 地方自治法にいいますところの地方公共秩序維持ということにつきましては、それぞれ一般的に広く規定をしておりますので、一般的な任務として地方団体がこういうものを持つているというわけでありますから、警察関係の作用もそれ以外のものもすべて含めてここに規定したのであると心得ております。
  24. 北山愛郎

    北山委員 そういうことの当然の結果といたしまして、同じく地方自治法の第十四条の地方公共団体法令に違反しない限りにおいて条例制定権利かあるということであります、従つて今の二条に定めてある公共団体仕事関係しては、法令に違反しない限りにおいて条例制定権利地方団体にあるわけであります。従つてこのような第十四条の条例制定権あるいは第十五条の規則の制定権、そういうものも警察関係しても法令に違反しない限りにおいては、都道府県は自由に条例制定する権利がある。こういうふうに解釈していいのでございますか、お伺いいたします。
  25. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 御意見の通りでございます。
  26. 北山愛郎

    北山委員 そういたしますと、さらにそれから関連しましてそのような条例制定あるいは改廃請求という点につきましては、御承知のように地方自治法の第七十四条に一般の住民からして条例制定改廃請求権がある、こういうものもやはり警察関係する条例についてもこの規定適用になるか。あるいは同じく第七十五条に監査請求権、これは公安委員会事務執行に関して監査請求をすることができる。あるいは自治法の八十六条の公安委員解職請求権、あるいは同じく九八条の府県議会公安委員会報告請求、あるいは事務監査議決執行、その他出納についての検査を請求する権利等々いろいろな規定があるのでございますが、それがやはり警察関係する部分についても同じく適用されると私どもは解釈するのでございますが、その通り解してさしつかえないか。またその点については今後もその通り改正されないで従来のまま行うつもりであるか。それらの点をお答え願います。
  27. 長野士郎

    長野説明員 ただいまお話になりました条例制定改廃請求でありますとか、公安委員に対するリコールとか、議会に対する出席の問題あるいは事務監査の問題は、いずれも警察に関しましても今まで同様に適用があるものと心得ております。
  28. 北山愛郎

    北山委員 これは一般的な質問なんでありますが、今度の都道府県警察というものは、本委員会質疑においても自治体警察であるというふうに一応言われている。しかしまたその説明の中には、従来の自治体警察とは違うのだというような説明をなされているわけです。そこで自治庁の立場から見まして、従来の自治体警察と今度の新警察法にある府県警察、これが基本的にはどういう点が違うのであるかということが一つ。それから府県自治体警察としての内容を持つ一番基本的な点は何であるか。単に府県警察が置かれており、その経費府県負担するというだけでなしに、この自治体仕事として警察なら警察が行われるというのには、何が一番基本的なものであるか、これこれの条件にかなつておればこれは自治体仕事としていわゆる自治体警察ということが言えるというのか。それらの点についての自治庁としての御見解を聞きたいのであります。     〔佐藤(親)委員長代理退席委員長着席
  29. 長野士郎

    長野説明員 府県警察自治体警察であるという意味におきまして、地方自治法の建前からの関連を申し上げますと、やはり警察府県公安委員会というものの管理に属しております。また同町に職員あるいは経費負担その他につきましても、都道府県自体が責任をもつてこれを運営して行く。ただ今までと異なりますのは、特定の事務につきまして国の関与と申しますか、その点が多少加わつているというところに違いがございますが、基本的には府県警察として府県という自治体警察であるということに考えられると思うのであります。
  30. 北山愛郎

    北山委員 自治庁関係に問題を限られておりますとどうも幅がないのでありますが、これは前回の委員会で問題になつたところの例の警察に対する地方公共団体等寄附金等の問題でありますが、それの結論的なものがまだ出ていないんじやないかと思うのであります。その後いろいろな資料を見ますと、この前問題になつた茨城県のような例は各府県にあるようであります。栃木県、長野県あるいは滋賀県あるいは東京都下、福岡県その他の各県において、相当な寄附金協力会とかいうような名前のもとに、町村に一つの割当的な形でもつて負担をされている。それ以外に警察の庁舎をつくるための経費相当部分寄附をしなければならぬ、これがまた地方団体負担がかかつおつたというようないろいろな資料が続々と集まつているわけなんであります。この点について一体自治庁はこれはもうすぐにこの問題を解決しなければならぬのでありますが、どういうふうになさるのか。立法的に何か今の法律が抜け道があるというならば、ただちにこれをそういうことのないように、もう少し地方財政法なりあるいは地方自治法なりの規定を強化して、そうしてやるという御意思があるかどうか。この点をはつきりとしておきたいと思います。また同時に国警長官の方におかれましても、このような法令によらないで、強制割当ではなくても、実質は市町村等の好まないところの負担金がかかつておるというような事態は好ましくない、こういうふうに見ておられるようでありますからして、一体今後どういうふうになさるのか、現在ほとんど全国的にある治安協力会であるとか、後援会とか、そういうような名称のものを解散をさせるという御意思があるか、これは長官のいわゆる行政管理の部類に完全に属しておるものである、かように考えるのでありますが、即刻そういう措置をおとりになる考えがあるか、その点を結論的にはつきりしておいていただきたい。これは自治庁と国警の長官にお願いいたします。
  31. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 お尋ねのうち私に関する部分は、実は現在の地方自治法、それから地方財政法というものは、そういう意味においてはかなり詳細に踏み込んで規定をいたしておると私は思うのでありまして、現有の規定に対する考え方、解釈は先般お答え申し上げた通りでありまして、私といたしましては規定の上でこれ以上にさらに何と申しますか、表現を強くし、または詳細にわたつて規定をするということは、行政事務の上にかえつて支障が起きて来るのではないかというように考えられますので、この規定を頭に置いて運営の上で私の方も注意をする、また関係警察その他の当局にも御注意を願うというようにして万全を期して参りたい、そういうように今思つておるわけでございます。現実にそういうような事態が出て来ることは、一つは私はやはり警察に関する予算が十分ないということがきつと原因になると思うのでありまして、こういう面については私の方も十分措置しなければならないと思います。それからいま一つは、やはり事柄自体事務自体の性格からして、地元の住民の側にも必ずしも強制的にという意味ではないが、自発的に少しでもめんどうを見てやろうという考え方が出て来る面もあるのじやないか、こういうものはやはり住民の考え方、それから警察当局の考え方、そういうものがみんな相伴つてこういうことをなくするというように持つて行くのでないといけないのじやないかというように考えておるわけであります。
  32. 斎藤昇

    ○斎藤(昇)政府委員 私も塚田自治庁長官の御意見とまつたく同様に考えております。
  33. 北山愛郎

    北山委員 きわめて不満な御答弁であります。先日国警長官は、その中には相当数地元が自発的に警察の庁舎は規定よりも大きくもう少しりつぱにしたらどうだというようなことで、地元の市町村から自発的に寄附をするような例も相当あるというようなことを言われておる。これは実は私としてはもしあるとしてもきわめてまれな例ではないかと思うのでありまして、もしもそういう例がたくさんおありになるといたしますならば、その具体的な例というものを、どことどこがそうであるという実例をここに出していただきたい。市町村は、警察に限らず法令に基かないところのこういうような負担金寄附金等に対しては実に不愉快というか、非常に困つておるのです。困つておるからこそ町村会や市長会が、これコレの負担金寄附金ガあるのだということを、無理をしてたくさんの市町村から資料を集めて、そうして大会を開いたときにその決議としてそういうことはやめてもらいたいという決議をしておるのです。再々こういうことをやつている。だからもしもお話のようにほんとうの自発的なものがありとするならば、そういう現象が起らないはずである。そういうことは塚田長官にも町村会やあるいは市長会、そういう会合にお出になつて、あいさつなどをお述べになつておる機会もあるのですからして、その決議の中にははつきりとそういう事項があるということを御承知のはずなんです。それほど地方団体は、ことに市町村というものはそれらの負担金寄附金に対しては何とかしてもらいたいという強い要望を抱いておる、一般的にいえばそういうふうに見るのが正しいのです。ですから今の両者の御答弁の中の、あるいはほんとうの自発的なものもあるかもしれぬから、それを強く押えてしまうということはどうかと思うというようなことは、私としてはきわめて不満足であり、私が不満足である、ばかりでなく、全国の市町村は不満足だと思うのです。しかも実態に合わない。もう少し事態を正しく見て、そうして実態に合うような措置をおとりになる方が正しいのじやないか、こう思うのですか、重ねてこの点を答弁していただきたい。
  34. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 これは私どもの感じからいたしますならば、どうして地元住民から寄附という形の支出が出て来るか、もしくは地方団体から出て来るかということは、先ほど申し上げましたようにやはり予算が十分でないという面があると、これはどうしても出て来る。そうしてこの場合には自発的というよりは強制的に出て来ると思うわけであります。従つてその面は直さなければならないと考えるわけでありますが、しかしその面を直すということは先ほど申し上げましたようにこの法律の条項とは関係はないはずなのでありまして、これは予算措置の上で考えるべき事柄で、規定の上ではこれ以上のものを置かなければその面を押えられないということは私はないと思う。このあとは先ほど申し上げたように、要するに十分国が予算を組んでも、なおかつ寄付というものが出て来るとすれば、これは警察事務の性質そのものからやはり来るのではないだろうか、ここでそういう性質から来るものが住民の意思や自治団体の意思と離れて出て来るということであれば、そういう面は押えなければならないと思います。またそれが強制という場合には押えられるというような法規定ができておるものでありますから、これ以上法規定としても踏み込んで行くということは、やはり適当ではないのではないだろうかというように感じておるわけであります。
  35. 北山愛郎

    北山委員 長官からさつきの具体的な例をひとつ……。
  36. 斎藤昇

    ○斎藤(昇)政府委員 具体的の例というお話でございますが、私ども聞いておりますのは、たとえば駐在所あるいは庁舎というような場合に寄付を仰いでおりますのは、われわれの方から強制的にそんな寄付を申し入れてはいかぬということを強く言つておるのでありまして、ほとんど町村から気持よく寄付を申し込んでもらつておる、かように聞いておるのであります。ただ先ほど北山委員のお述べのように市町村長の大会その他でこういうことのないようにしてもらいたいという決議のあることも承知をいたしております。従いましてどこでもそういう寄付がなくてやれることが望ましい、ぜひそういうことにしてもらいたい、ことに庁舎なんかにつきましては、こういう御意見であろうと思うのであります。これは塚田大臣もおつしやいますように、国の予算がこの程度しかない、地元としてはその程度ではあまりみすぼらしいではないか、だから国の予算で地元の希望される程度のものをつくれるようにという決議といいますか、御意思であろう、かように思つておるのであります。さような意味から、われわれといたしましてもできるだけ地元の要望にこたえられる程度の庁舎の修築あるいは新設の予算のとれますように非常に努力をいたしておるのでありますけれども、しかしなかなかそこまでの予算がとれませんそこで寄付という問題になつて来ると思つておるのであります。しかし今後も予算の面におきましては十分努力をいたしまして、御迷惑のかからぬようにいたしたいと思います。
  37. 大矢省三

    ○大矢委員 関連して。今寄付の問題でいろいろあるようですが、私の手元に来ております寄付の国警の調査、これは全部でなしに一部あるのですが、これによると単なる自発的ではなくして相当強制的な割当があるのです。たとえば町村の均等割で各町に対して幾ら、村に対して幾ら、人口一人に対して幾らというふうな相当額の――これを承認されるかどうか、手元に調査があるのかどうか知りませんが、これによりますと山形県、栃木県、長野県、滋賀県、福岡県、熊本県、佐賀県、長崎県、こういうものが来ております。これは相当額です。栃木県のごときは百八十五万円、それから長野県は、これも割合少いのですが、二百五十万円、それから滋賀県が百九十四万円で、また警察庁舎を二つ増築するために六百万円、この中には独身寮をつくるとか、さらに乗用車を買い入れるために百何十万円と集まつておる。福岡県が二千万円、それから熊本県が九百万円、佐賀県が千百九十七万円、長崎県が千五百万円、これは単なる国警の一部でありますが、私は地方自治体警察の中にも相当あるのじやないかと思う、単に国警だけじやない、従つてこの寄附行為をやるときには、ぜひ府県知事の許可を必要とする、しかも警察がこういう寄附を集める場合に許可を受けておるかどうか。警察のことだからかつてにそういうふうにしていいということではない。許可があつてつているのか、そういうことは、許可があつてこやつていれば自治庁にちやんとわかつていると思う。この点自治体警察並びに国警が現在までに――二十七、八年ぐらいでもけつこうですから最近に集めた金、これは大体そんなに自発的になされたような金ではないと思うが、その金と、それから使途、これは使い道に対してわれわれは非常な疑問を持つておるので、そういう意味で今後国警になつた場合に一層強くなる傾向があると思いますから、この機会にひとつ資料を提出してもらいたい、それから、私は今トータルだけを言つて、その内容は言つておりませんか、これを承認されるかどうか、そういうことがあるかどうかということ、この二点について資料を提出してもらいたいということと、それから国警がこういうふうにして集めたものは知事の許可を受けているかどうか、こういうことについて承つておきたい。
  38. 斎藤昇

    ○斎藤(昇)政府委員 土曜日でしたか申し上げましたように、私の方でもこの寄附の調べを昨年でしたかいたしまして、この委員会でしたか、あるいは決算委員会でしたか差上げたものがございますから、資料として提出をいたしたいと思つております。この寄附一般募集という形の場合は、あるいは知事が許可するということになつておるかもわかりませんが、町村会で今度はこういうようにして寄附をしようじやないかということになつてきまりますようなものにつきましては、これは知事の許可というものはないと思います。
  39. 門司亮

    門司委員 今の斎藤長官の答弁ですが、これはその通りなんです。それはその通りでなければならぬのです。なぜその通りでなければならぬかというと、土曜日に私は塚田大臣によく開きましたが、これは法制上の違反なんです。市町村警察寄附をしてはならないということがはつきり書いてある。それを市町村できめて、そうして警察寄附するということになれば、これは自治法違反を犯しておるものを県が許可するわけにいかないし、また県に申請するわけにもいかぬと思う。そこで私はよく聞いておきたいと思うのだが、将来こういう問題が起ると思うのだが、市町村警察に対して、今度の警察法でどうなるかわからぬが、現行の地方財政法の十三条には明らかに国家地方警察寄附しちやいけないということが書いてある。それをあえて行つております現在の制度というものは、私は認めちやいけないと思う。従つて国警の長官としてはそういう市町村議決によつて寄附を受けることは、将来まかりならぬという通牒を発せられる御意思があるかどうか。これは私は発せられなければならぬと思うのだが、発せられる御意思があるかどうかということを、この機会に承つて、おきたいと思います。
  40. 斎藤昇

    ○斎藤(昇)政府委員 これは自治庁ともよく協議いたしたいと思いますが、私は自治法は、市町村警察に絶対寄附をしてはいかぬというようには読めないのじやないか、かように考えております。そうかといつてこれは奨励するということはもちろんありませんか……。
  41. 門司亮

    門司委員 私はおとといですか話をして、斎藤国警長官はそこでよくお聞きになつてつたから、もうおわかりたと思うので今お伺いしたのですが、私がここで自治庁長官にお聞きしたところでは、自治法の二百三十一条の規定には公益団体に対して寄附をすることができると書いてあり、そうしてそこには「寄附又は補助」と明らかに書いてあるはずであります。これは法律を見てこらんなさい、そう書いてある。そういう字句を設けたということは、自治法にいう公益団体というのは、これは国家の一つの大きな団体ではございませんで、一応は個人のやつております公益団体と目されるいろいろな仕事がある。たとえば聾唖学校の仕事とか、あるいはその他の公益性を持つたものがある、それらに対する寄附あるいは補助をすることができるという自治法規定であつて、これは決して国の機関に対して地方自治体寄附をしてもいいという規定ではないのであります。同時に、これも土曜日に塚田大臣と大分長い間議論をしまして、斎藤長官も、そこにおいでになつてつたから。お聞きになつたと思うのありますが、地方財政法の第四条の二にも、明らかに国は強制的に寄附を徴収するようなことがあつてはならないということがはつきり書いてある。しかもその場合においては強制的な寄附だから、自発的な寄附ならばいい、こういうお話もあつたのでありますが、しかしそのことにつきましても、この四条の二を受けて書いてあります十二条には、明らかに「地方公共団体が処理する権限を有しない事務を行うために要する経費については、法律又は政令で定めるものを除く外、国は、地方公共団体に対し、その経費負担させるような措置をしてはならない。」、こう書いてある。そうしてその次の二項に「前項の経費は、左に掲げるようなものとする。」、こう書いてあつて、「国の機関の設置、維持及び運営に関する経費」、これが第一号である。そして第二号には、明らかに、「国家地方警察に要する経費」と、こう書いてある。従つて地方財政法からいいますと、明らかに国家地方警察経費というものを地方公共団体負担をさせてはならないということが書いてある。そういたしますと、これは自治庁長官もお認めになつておるように、市町村が国家地方警察経費に、もしも寄附をするということがあれば、これは地方財政法の違反であると申し上げても、私は間違いがないと思う。従つて、先ほどから聞いておりますと、どうもその点があいまいでありますから、国警長官の御意見を聞くのでありますが、これほど明確に地方財政法に書いてあるものについて、将来寄附を受けてはならないということを、長官が各都道府県にある国家地方警察に指示されることは当然だと思う。だからそういう措置をされるかどうかということを聞いておるのである。法を守る御本尊様である警察が、こういう法を犯してもいいということになりますとおかしいのでありますから、これは、自治体はこの地方財政法に基いて警察その他の設備には寄附をしてはならない、寄附を受けてはならないというような明確な指示をしていただきませんと、この次に、この警察法が通つて、これが今度は府県警察一本になつて参りますと、勢いまたそこには再び昔の警鐘と同じようにこういうものが行われて来る。これは決して強要ではない、あるいは府県自治体の自発的なものかもしれないが、しかし自発的なものにしても、法が禁じております以上は、やはりこれをしてはならないということ、この点を、ひとつ齋藤国警長官のお考えをこの機会に明確に承つておきたいと思います。
  42. 斎藤昇

    ○斎藤(昇)政府委員 私も塚田長官がここでお答えになつておるところをお伺いしておりましたが、私が了解いたしましたのは、国が積極的に国家地方警察経費市町村団体から出させるようなそういう措置をしてはならぬ、たとえば百万円どうしてもかかるものを五十万円しか出さない。そして市町村から出させる、そういう措置をしてはならないといので、国が見て百万円程度でよろしいと考えたものを、さらに二十万円あるいは五千万円、地方の方から自発的に寄附の申出があるという場合に、それも受けてはならぬというようにまで解釈をするというようには伺わなかつたのであります。しかしただいまの御意見の点もありますから、この点は十分考慮いたしまして、できるだけ市町村に御迷惑のかかることの少いようにいたしたいと考えま。
  43. 横路節雄

    ○横路委員 委員長にお願いいたしますが、法務大臣に来てもらわないと、今度の警察法改正で一番中心になることは、政府治安に関する責任を明確化するということと、それから警察の政治的中立というより政党的中立、この点が一体どうなるのかという点であります。私は犬養法務大臣の提案説明を読んでみましたし、地方行政委員会における、今まで犬養法務大臣から御説明のありました会議録を丹念に読んで参りましたがとんと了解ができない。たとえば法務大臣の当委員会における提案説明によると、政府治安に対する国家的な考え方警察の政治的中立は一体何で確保されるか。その警察の政治的中立性とは、国務大臣公安委員長であり、公安委員長がいわゆる表決に加わらないことをもつて政治的な中立だ、こういう答弁をしておるよりに見える。ところがこの法案を見てみると、いわゆる採決に関しては可否同数の場合に採決すると言つている。これはどこの委員長つて可否同数の場合に初めて自分がきめるのであつて、みずから委員会において一票を行使する委員長はないのであります。そうするとわれわれの心配している警察の政治的中立は一体どこで確保されるかということは、まつたくこの提案説明並びに今までの会議における質疑応答から見て私は納得できないのであります。いわゆる治安に関しては政府みずからが責任を負うのだ。そのことが逆に警察の政治的中立性を破壊されると困るから、警察の政治的中立性はこういうように確保しているのだという――だれが考えても、戦前にもない、全世界にもない、いわゆる内閣総理大臣警察庁長を任命し、警察長官が一切の人事権を掌握するというようなやり方でありますから、警察の政治的中立がどうやつて確保されるのかという点については、何といつてもこれは犬養法務大臣おいでをいただいて、われわれの納得の行く説明をしてもらわなければならない。従つて私は、本問題が明確にならない限りそれぞれの立場はございましようけれども、しかし一応大臣の考えておる点、政府の考えておる点が明確にならなければ、私は逐条審議をやつてもむだではないかと思うのであります。  もう一つは先ほど門司委員からお話がありましたいわゆる緊急事態に対するところの問題であります。この問題につきましては、門司委員からもお話がありましたように、今度の自衛隊法案の中にも明確にございますが、どうも私どもに了解の行かない点があるのであります。それは警察法に関しましては、国家公安委員会の勧告によつて内閣総理大臣がこの緊急事態の宣言をやるわけです。ところが自衛隊法案では、いわゆる国会の承認を得ますが、緊急やむを得ない場合、たとえば間接侵略等は、直接の外国の武力侵略ではないが、そういう場合にも内閣総理大臣は自分の権限でやれるのであります。こういう点の矛盾等につきましては、これはやはり法務大臣と保安庁長官とお二人にせひ来ていただいて、この点について明らかにしていただかなければならない。政府がみずから治安については責任をおとりになるというのですから、その点を今度出されました自衛隊法案、防衛庁設置法案との関連においても、保安庁長官法務大臣とお二人に来ていただかなければ、私は疑義が晴らされないと思うのであります。今度の警察法の一番のねらいである政府治安の責任を明確にするということ、同時に懸念されている警察の政治的中立性を明確にするということ。しかも緊急事態に対する、警察法自衛隊法における直接侵略に伴う間接侵略に関する、私どもから考えての食い違いについてはどうなのか。これらの点についてぜひ説明をいただかなければ、一条ずつ入つても、ただちに第一章のところで、第三条の「この法律により警察の職務を行うすべての職員は、日本国憲法及び法律を擁護し、不編不党且つ公平中正にその職務を遂行する旨の服務の宣誓を行うものとする。」というのにかかつて来るのです。この点はすでに衆議院を通過いたしました教育二条法案のうちでも、義務教育学校における政治的中立確保という問題で、あれほどやかましくうたつて、懲役一年以下の刑罰を科するようにさえなつておるのであります。ところがこの警察法においては、町の政党の支配下に置かれるところの警察に関する政治的な中立が、これだけの法文では何ら明確にされていないのであります。従つてこの点を明らかにするために法務大臣と保安庁長官のお二人に来ていただきたいのでありますが、この点について委員長はどういうようにお考えになられておりますか、もちろん今日午前中の検察当局の首脳部会議におきまして、新聞の伝えるところ等によりますれば、政局に重大な影響を来すような問題等もあるそうでありますが、しかしそれはそれとして、この際当面の責任者として、最終的な段階になりました総括質問に対する法務大臣出席がいつ得られるのか。それから防衛庁設置法案との関連において、保安庁長官はいつおいでになるのか、この点をまず、委員長から明らかにしていただきたい、このことはこれから私が質問する上に重要な点でありますから、ひとつ質問したいと思います。
  44. 中井一夫

    中井委員長 御発言のお趣旨はよく了承いたしております。この警察法の問題につきましては当然主管大臣たる法務大臣が出て来て、これを説明せられることが適当であることは申すまでもございません。それゆえ先ほども申し上げましたように法務大臣出席要求いたしておるのであります、またさきに保安庁長官出席要求もありましたから、それもあわせていたしておる次第でありますが、ただいまのところ出席いたしがたいというわけなのであります。午後あらためて交渉いたしまして、せひ出席を得たいと存じております。つきましては御趣旨はよくわかりましたから、ただいま塚田国務大臣が出ておられますので、ひとつ塚田国務大臣に対する質疑をお進めいただきたいと思います。塚田国務大臣はお昼からば参議院の方に出席要求されておるそうでありますから、この際塚田国務大臣に御質疑を集中せられんことを希望いたします、
  45. 横路節雄

    ○横路委員 それでは塚田長官にお尋ねいたしますが、やはり門司さんや他の皆さんからお話のありました警察協力会、防犯協会等の予算措置は、これは自治庁においても資料はとつておると思うのであります。この点はそれぞれの自治体警察を置いてない市町村においては丁寧を明確にしている。防犯協会に対する補助幾ら、あるいは警察協力会に対する補助幾らというふうに、私の間違いでければ、町村によつては一戸当り百円というようなものが、予算書に明確に載つておる。この点は今門司さんからもお話がありましたように、地方財政法の違反だと思う。これは昨年の解散直前の第十五国会でも本委員会でやかましく言つた。この点は地方財政法の第四条の二、第十二条に明確になつておる。さらに今後この警察法が通つた後において、もしも市町村にそういう負担をさせるならば、これは地方財政法第十三条の違反措置になる。そこで、もしも警察法との関係で、いや市町村から受けてもよいのだ、こういうことになるならば、当然地方財政法第四条の二、第十二、条の第一項の二、国家地方警察に要する経費というのを名前をかえ、さらに第十三条、こういう点等について明確にされなければならないし、この点地方財政法をおかえになるのか。かえられないのであれば、やはりここで明確に、今の警察協力会に出しておるのは、それは地方財政法違反でございましたとか、何とかいうことにならなければ――本委員会ではこのことはもう何べんも繰返され、ここで質疑されておる。だから、地方財政法違反であつたというのか、違反でないというのか、しての点はつきりしていただきたいと思う。
  46. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 これは昨日でしたか一昨日でしたか、私がお答え申し上げました通り、今行われておるもので強制的でないものであるならば、地方財政法に違反はしておらない、こういうように私は考えておるわけであります。ただ現実に行われておるものの中に、実際に調べてみれば強制になつておるものがあるという感じは、私も持つておるのでありまして、これが強制によつて行われておるか行われておらないかということは、実態的に調べてみませんとなかなかわかりません。しかし少くともりくつだけで考えて行きましたならば、強制的に行われるものでない限りは、私は違反にはならないと思います。問題になります第四条の一にいたしましても、十二条にいたしましても、実質的には地方自治体というものを中心においてものを考え規律をしておるのでありますが、自治団体を中心にしてものを考え規律をしておりながら、この表現の仕方は、どちらもそれを国の側の制限、国の側がこういうことをやつてはいけないというふうに書いてあるのでありまして、自治体の側にこういうことをしてはいけないというようには表現してないのであります。国の側がこういうことをすることによつて、それが自治団体に影響することのないようにという規律の仕方でありますから、かりに自治団体の予算にそういう費用のものが出て参りましても、それが自治団体から自発的に出て来るものであるならば、地方財政法の違反というわけにはいかない、こういうように私は感じておるわけであります。
  47. 横路節雄

    ○横路委員 そうすると、今までそれぞれの町村がやつておりました防犯協会、警察協力会の費用は、地方財政法違反ではない、こういうのですか。それでは、昨年の第十六国会が終りまして地方行政委員のわれわれが、それぞれ班をわけまして市町村の実態を見ました場合に、何か一体町村財政の赤字になつておるのかといえば、その赤字の一つは、国が当然措置をしたければならないもの、たとえば今ここで警察庁舎の問題がありましたが、ただ単にそれは警察庁舎の問題ばかりではないのです。法務局の問題にいたしましても何の問題にしましても、その庁舎が実際には八百万円かかるものを、どうだ、国で、三百万しかないのだが、ここでお前の方であと五百万出してくれないか、いやたらこつちの方をやるから、こう言われるものですから、泣く泣く出しておるのです。それで調べてみますと、一件が十万、二十万、五十万というような、なるほどあなたからおつしやれば地方財政法上の違反ではないかもしれないけれども、道路整備協力会、港湾協会から始まつてあらゆるものに出しておる、決してそれは町村の自発的意思ではないのです。これは国務大臣として、は国警長官を隣に並べておいて、地方財政法違反ですということは言いにくいかもしれませんけれども、好ましくないということくらいひとつ言つてもらわなければ、いかにも奨励しておるようで、まことにおかしいと思う。好ましくないとということだけはひとつ明らかにしてもらいたい。
  48. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 好ましくないという点は確かに好ましくないと私ども考えているのでありしますが、そうして先ほども申し上げておりますように、私は少くとも地方団体が自発的に支出する以上は財政法違反ではないと思うけれども、現実に行われているものがその通りのものであるかどうかは、私もにわかには断言申し上げられない、そうして現実に行われているものに若干強制的な気持が入つて来るということがもしあるとすれば、これは国の財政措置が十分でないというところにおそらく実態的な原因があるんだろう、こういう面は自治庁長官としても十分気をつけなければならない、こういうふうに申し上げているわけであります。
  49. 横路節雄

    ○横路委員 好ましくないということですから、そこで第四条の一ですが、私はこれはこの警察法施行になつてからも問題が起きると思う。ここには大臣ごらんの通り「地方公共団体は他の地方公共団体又は住民に対し、面接であると間接であるとを問わず、寄附金(これに相当する物品等を含む)を割り当てて強制的に徴収(これに相当する行為を含む。)するようなことをしてはならない。」そして今度は、――今までは地方財政法の第十二条というのは、いわゆる国家地方警察とそれぞれの町村との関係でありましたが、今度はこの警察法施行になれば、都道府県警察自治体警察かどうかは非常に疑問で、私はあとで自治体警察とおきめになるのか、その条文の解釈をお尋ねしようと思つておりますが、ここでは一応政府の言われる通り今度できる都道府県警察自治体警察であるということにして、そのときには今度こそ第四条の二の適用によつて市町村自治体にそういう行為をさしてはならない。これははつきりするのではないでしようか。これはどうなりましようか。先ほど大臣は国と地方との関係は明確でないと言われております。第四条の二では地方公共団体地方公共団体との関係は明確なんですが、どうでしようか。
  50. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 これは今度の警察制度改正のあるなしにかかわらず、この点は私ははつきりしていると思うのでありまして、国が国以下の地方公共団体府県及び市町村、または府県が自分以下の公共団体、つまり市町村に強制的にこういうものを割当ててはいけないということになつておりますからして、今度はかりに府県自治体警察というものができて、府県が財政措置が十分にできないで、それを市町村に強制的に制当てるということになれば、これは明らかに四条の二の違反になるわけであります。そうなれば、これは府県に対しては自治庁というものは何がしかの発言権を持つておりますから、こういうことをさせないようにという措置はできる、こう感じているわけであります。
  51. 北山愛郎

    北山委員 寄附の問題は非常に部分的な問題のようで、これは私は相当重要だと思うのです。しかもよほど前から当委員会で何べんも問題になつて解決されておらぬ、この点がきわめて遺憾なのです、また長官は好ましくないというようなお話でございましたが、好ましくないはかりでなく、明らかに地方財政法違反であるというような事例かあるわけでありまして、これは一昨日この委員会でも問題になりました例の茨城県の下館町におけるようなケースも、この寄附を引受けた下館の町長さんが言つておる。寄附というものは税金の性質を帯びており、感心しないと思つたが、ほかに方法がないので引受けた。引受けた以上は、警察署の方から署長さんか何かが行つて何とかしてくれと言つたに違いない。そうするとこれは今の第十二条にある経費負担させるような措置のうちに入るのじやないか、こういうふうな一つのケースなんです。それ以外にもたくさんケースがありますが、このような全国的に行われておる国警に対する寄附というものは、ほとんど私は自発的というのじやなくて、警察の方から協力会をつくつてもらいたい、防犯協会をつくつてもらいたいと働きかけて、その結果つくり、やむを得ずほかにしようがないからというので引受けたのが実態でないか。従つてこれは地方財政法第十二条違反である、かように判断するのであります。従つてこれはさまつなことであるというようにお考えにならないで、何とか現行法の中で自治庁長官あるいは国警長官として措置をなされるなり、これが不服であるならば立法的な措置をおとりになつてしかるべき問題であろうと思うのであります。  次にもう一点、ちよつと自治庁長官に、これは今の政府の行政機構の改革についてのお仕事をやつておられるという関係で、一点参考にお聞きしておきますが、私どもは今度の警察法にあります警察庁というものの性格がよくわからない。これはこの前逐条説明の中にもいろいろありましたが、一体警察庁というものは塚田さんの自治庁と同じように、これは国家行政組織法の第三条の第三項にある外局であるかどうか。国家行政組織法の第三条にはこうあるのです。「国の行政機関の組織は、この法律でこれを定めるものとする。」とこうありまして、第二項に「行政組織のために置かれる国の行政機関は、府、省、委員会及び庁とし、その設置及び廃止は、別に法律の定めるところによる。」とあります。第三項は「委員会及び庁は、総理府、又は各省の外局として置かれるものとする。」こうあります。警察庁もやはり自治庁と同じように庁のわけであります。従つてこれは総理府なり各省の外局となるものであるか。どうもその点がこの逐条説明の際にも、この警察庁というものの性格が明らかでない。第三条の規定による庁であるか、あるいはその他のものであるかという点が明らかでないものでありますからして、この点をひとつ塚田長官に御説明をいただきたい。
  52. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 この点は立法いたしますときに、私の方とそれから法制局と警察担当の部局との間にずいぶん議論いたしました点でありまして、その結果いろいろ検討いたしまして、今の警察庁は、これは御指摘のような行政組織法第三条の外局ではない、組織法第八条第一項の付属機関ということで規定をする、こういうように概念して規定をいたしたわけであります。
  53. 北山愛郎

    北山委員 そうすると警察庁という庁は、この第三条というよりは、国家行政組織法に書いてある国家行政機関としての庁というものではない、庁という名前をつけておるが、自治庁とかそういうものと違う、こういう意味でありますか。
  54. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 さようであります。
  55. 北山愛郎

    北山委員 そうすると、これは逐条説明のときにもあつたのですが、警察庁の部局というようなものは法律で定めるように国家行政組織法に書いてあるから、そこで警察法の中には警察庁の内部部局というものを詳細に規定してあるのだという説明をされておる。そうすると、まさに前後矛盾するのではないか。ある場合にはしいていえば国家行政組織法の第八条のいわゆる付属機関である審議会または協議会、試験所、研究所、医療施設等々と同じようなものであると言つておきながら、そうして内部部局をきめるというときには、今の三条の一つの庁として、その部局というものは法律に定めるということになつておりますから、第七条でありますか、それを引用して説明をなさつておるそこに混乱があるのではないか。国家公安委員会そのものがすでに外局であるということは明らかであります、ところがそこにくつついた庁というものは単なる付属機関である。ところがその内部組織というものは行政組織法の規定の庁であるというような解釈でもつて説明をなさつておる。まことに不可解なことでありまして、私どもはどうも警察庁の性格がよくわからないのですが、ひとつ塚田さんの専門的な解釈を御披露をしていただきたいのであります。
  56. 斎藤昇

    ○斎藤(昇)政府委員 これは行政組織法上言う外局の庁ではありませんが、しかし相当大きな機構でありますから、従つてこれに準じて法律で内部部局も規定して置いた方がよかろう、こういうわけで規定をいたした次第であります。
  57. 北山愛郎

    北山委員 そうすると、この前の逐条説明のときの説明とは違うわけですが、それでいいのですか。逐条説明のときにはたしか警察庁の内部部局というものは法律できめなければならぬというように国家行政組織法に書いてあるから、そこでこの法律規定したのだこいう説明でありましたが、今の長官説明でありますと、機構が相当大きいから、やはり法律規定するのが常識的に至当であるというように前後矛盾する。どうもこれについての答弁がまちまちであるということは、すなわち警察庁自体の性格が非常にあいまいであるということなのです。警察庁は国家公安委員会の中に置くと書いてあるが、公安委員会そのものが外局である。しかも警察庁が実際においては自治庁と同じような庁としての取扱いを受けておる。とにかく総務部長長官説明は矛盾するわけです。もうーぺん明らかにしてもらいたい、
  58. 柴田達夫

    ○柴田(達)政府委員 逐条説明の際に私から御説明を申し上げました関係上そのことを御指摘になつて、ただいまの御答弁との聞の矛盾を御指摘になつておりますので、私からお答えをいたしたいと思います。  先ほど塚田長官からお話がございましたように、警察庁の性格をきめます際には、今のような機関で相談をし合つたわけで解釈を一定したわけでございますが、端的に申し上げれば、その最後の性格は国家行政組織法の第八条の付属機関、総理府の外局であるところの国家公安委員会の付属機関ということになります。しかしながら同時に国家行政組織法におきますところの委員会というものには事務局を置かなければならないことになつておりますので、警察庁の性格は国家公安委員会という総理府の外局から申しますならば、それの事務局である役割もあるのであります。事務局である性格が全然否定されるわけではないのでありますか一単なる事務局ではなくして、法案の第五条に掲けますところの権限をみずから権限として執行することができるところの機関、この意味においては第八条の付属機関になるわけでございます。従つて事務局たる性格をも持つか、単なる事務局ではなくして、八条の付属機関とも申すべき独自の権限を委員会に付属して行うことができる機関である。こういう関係からいたしまして、その内部部局は、事務局である場合には法律できめなければならないという国家行政組織法の規定もありますので、その内部部局をば、大きな組織であるから法律できめた方がいいという精神もございますし、それから法律上は、事務局である性格においては、法律できめなければならないという意味におきまして、法律で定めることにした、こういう説明を申し上げたわけであります。
  59. 北山愛郎

    北山委員 それはどうもあいまいな御説明であつて、この前ははつきり一つの国家行政組織法の庁に当るような意味において言つているのです。今の説明では、やはり警察庁は国家公安委員会事務局であるような性格もある、こう言つておるのですが、この事務局であるかないかということは、今度の警察法の第何条でありましたか、警察庁が国家公安委員会の庶務をつかさどるという規定を特に置いてあるからこそ、そうなんです。黙つておれはこれは今までのような事務局ではない、今までの国警本部のようなものではない、独立の機関であるという説明を前からしておるのです。今の説明でありますと、警察庁というものは、第八条に書いてある国家公安委員会の付属機関でもあり、あるいは第七条の委員会事務局でもある、一体どつちなんですか、どうもはつきりしない。その点もう少し明らかにしてもらいたいということと、それから警察庁というものを庁としての扱いをしない、いわゆる国家行政組織法の第三条に定める庁でないということになれば、同様に、別表第一の中にいろいろ行政機関か書いてあり、そこに総理府所管の委員会及び庁が書いてありますが、その中には入らない、国家公安委員会に付属する機関として、この中には別に掲示されない警察庁である、こういうふうに考えていいのですか。
  60. 柴田達夫

    ○柴田(達)政府委員 逐条説明の際の御説明の言葉が、あるいは十分でなかつた点があるかもしれませんが、ここにちようど逐条説明の際の御説明がありますので朗読いたします。「すなわち警察庁は、総理府の外局であるところの国家公安委員会に付属いたしまして、二面におきましてもちろんその事務局であるところの役割を国家行政組織法上果すわけでございますけれども、単なる事務部局ではなくして、みずから第五条第二項に掲げる権限を行うことができるところの地位を持つ機関でございます。すなわち言葉をかえて申しますならば、国家公安委員会が中央におきますところの警察の管理機関であるのに対しまして、警察庁はその管理を受けまして、その管理のもとにおきまして、第五条第二項に掲げる権限をみずから執行することができるところの機関でございます。国家行政組織法上に当てはめますならば、単なる事務部局ではなくて、国家行政組織法の八条にございますところの行政機関に付属する機関という地位に当るのでございます。」こういうふうに説明をいたしているのでございます。それでさらに内部部局の際におきましては、そのうちのいかなる性格であるからこれを法律できめなければならないという前の性格の方を二度繰返すことを省略いたしておりまして、「本来法律に書くことになつておりますので、」ということを申しておるのであります。これは今の事務局である場合には法律で書かなければならないということを受けまして、単なる事務局ではございませんけれども事務局たる性格以上のものを持つわけでございますので、法律の精神から申しましても、当然内部部局は法律で書くことが正当であろう、両両相合わして――大体非常に込み入つたところでございますので、あるいは説明が不十分であつたかと存じますか、こういうつもりで説明を申し上げた次第であります。  それから、あとの御指摘は、国家行政組織法の別表の方で申しますならば、これは国家公安委員会委員会として、総理府の外局として別表第一に載るのでありまして、ここに庁として警察庁が載るのではございません。御指摘の通りでございます。
  61. 北山愛郎

    北山委員 ただいまの御説明では、警察庁は当然国家公安委員会に置かれるものであるから、その事務局であるというようなお話であつたのです。ところが、この前第十三条の御説明のときには、警察庁は今までのような単なる事務部局ではないのであるから、特に委員会の庶務はどこでやるか、国家消防本部でやるか、あるいは警察庁でやるか、明らかでないのであるから、十三条に「国家公安委員会の庶務は、警察庁において処理する。」と特に規定したのだ、こういう御説明なんです。もしも今の御説のように警察庁が当然国家公安委員会事務局であるとしますならば、何もこんな規定はいらないのです。だから、前後矛盾しておる。何ぼ御説明を聞いても、警察庁というものが国家行政組織法上どういう性格のものであるかということは実に不明瞭なんです。この点については、さらに法制局等の意見も伺つて明らかにしなければならぬと思いますから、あとでまた逐条審議等の場合に、法制局長官出席を要望されるように、委員長さんにお願いをいたしておきます。
  62. 横路節雄

    ○横路委員 塚田長官にお尋ねしますが、都道府県の新しくできる警察自治体警察だというのは何をもつて言うのでしよう。この法案の、どこを見ても都道府県警察自治体警察だということはわからないのです。     〔委員長退席佐藤(親)委員長代理着席〕 その点ひとつ自治庁長官から、法文の上から解釈してもらいたい。
  63. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 私は、ごく大ざつぱに判断をいたしまして、この警察の本来の責務であります仕事は、第三十六条の二項で「都道府県警察は、当該都道府県の区域につき、第二条の責務に任ずる。」ということになつてつて、ここのところに今度の警察の本来の基本的なあり方が書いてある、こういうように了解をしておるのであります。従つて、そこを中心において、先ほども申し上げましたように、必要な範囲において国が関与して来るという形になつておると了解しておるのでありまして、具体的に申し上げますならば、第一には、府県警察自治法による府県執行機関である府県会安委員会の管理のもとに置かれておる、第二の点府県警察の組織、警察署の設置、職員の給与その他人事管理その他行政管理に関する重要事項府県条例で定める、第三、大部分警察職責は地方公務員であり、条例に基いて府県から給与を受ける、こういうようないろいろな点が、今申し上げたような基本の構想から出て来ておるからして、警察と旧いう仕事の本来の性格から来るある程度において国が関与するという例外はあつても、やはり私はこれは自治体警察である、こういうように解釈するのが正しいのではないかという判断をしておるのであります。
  64. 横路節雄

    ○横路委員 私は今お話がございましたが、第三十六条の「都道府県に、都道府県警察を置く。」、第二項に、「都道府県警察は、当該都道府県の区域につき、第二条の責務に任ずる。」、第二条の責務は、警察本来の目的を書いてあるわけです。このことをもつて私は都道府県警察自治体警察だとは毛頭考えられないのです。やはりこれはこの都道府県警察自治体警察だということになれば、これは大臣もひとつごらんいただきたいのですが、地方公務員法の第三章人事機関の第六条の任命権者の中に明確にうたつてある。ですから私は今あなたがお話のように、都道府県警察本部長が、都道府県公安委員会で任免せられて、その都道府県警察本部長が、都道府県警察職員を任免するのであれば、あなたのおつしやるように、なるほど都道府県警察自治体警察であるといわれれば、まあそうだなと思う。これは世間伝えられるような改進党の修正案というものは、そういう意味で私は都道府県自治体警察としての筋は一応通つておると思う。しかし政府のこれはどこをどう見たところで、私は都道府県警察自治体警察であるという条文の解釈は成り立たないと思うのです。これはやはり大臣、そうでないならば、そうでないとおつしやつていただいた方がいいと思う。それを都道府県警察自治体警察だというから、改進党の修正案と称せられるものが筋が通るので、今の第三十六条の第二項と本文の第二条では何としても成り立ちません。これはどうなんです。
  65. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 これは自治体警察というものをどういうぐあいに概念するか、私も完全な意味において相当大きな例外が出ておるからして、自治体警察であるということはあるいはいえないか、こういうようには思うのです。しかし今自治体警察国家警察のどちらかにひとつはつきりわけろということであれば、また自治体警察としての性格が非常に強く本質的に残つております、こういうように申し上げておるのでありまして、大体ものを定義いたしましたり、区分わけをいたします場合に、さつきの警察庁の性格にいたしましても、行政組織法上のどこにきちんと入れるかということになると、できておる法律にきちんとどれにも当てはまらない警察庁というものの性格が出て来る。しかし私はそういうように概念の上できちんとさすことが、行政機関として適当であるかどうか、またそうしなければならないかどうかということを考える場合に、これをどういうぐあいに構想するかということは、運営をする上に適切であるということを主に置いて考えるのが一番正しいのでありまして、そうした上で出て来た構想が、今までのいろいろな概念の中に当てはまらない場合には、これはその範囲において例外的な考慮がなされたのである、こういうように概念しておくのでないと、あまり概念にとらわれて、これにきちんと当てはめるようにこしらえてしまうということは、かえつて運営の上に困難を生ずるのではないか、こういうように考えておるわけであります。
  66. 横路節雄

    ○横路委員 大臣の今のお話で、運営の上から幅を持つた方がいいという考え方は、それは私は逆だと思う。それは、大臣にお尋ねしますが、たとえばいわゆる地方公務員である都道府県警察は、これは地方公務員法の適用を受けて、人事委員会あるいは公平委員会の機関において、それぞれ不当な免職等があつた場合にその取扱いができますか、この点はどうなつておるのですか。これは明らかに地方公務員法においては、人事委員会あるいは公平委員会等をやる、そういうことになつておるかどうか。
  67. 柴田達夫

    ○柴田(達)政府委員 これは法案の中の第五十五条にもございますように、地方公務員であるところの職員につきましては、当然に地方公務員法の適用を受けるのでございまして、地方公務員法によりますれば、それらの人事管理の諸般の事項については、条例または人事委員会規則で定めるということになつておるのでございます。警察地方職員につきましても、同様に条例人事委員会規則でそれぞれ諸般の列挙してございますような事項につきましてきめるわけでございますが、そのきめ方を国家公務員であるところの警察庁の職員の例を基準としてきめる、これはただきめ方だけのことでありまして、条例もしくは人事委員会規則で地方公務員法によつてきめるということには何らかわりないところであります。
  68. 横路節雄

    ○横路委員 今の点は非常に大事なんです。いわゆる国家警察である職員の任用その他の条例によつてやるというのなら一番大事なのは、この地方公務員法の第八条にあるいわゆる人事委員会または公平委員会等の権限の問題なんだ。そこで職員の給与、勤務時間、その他不当な利益の処分等に関して、この地方公務員であるところの警察職員は公平委員会において取扱いができますか。できるということがこの第五十五条のどこに規定されておりますか、その点をひとつ明確にしてもらいたい。
  69. 柴田達夫

    ○柴田(達)政府委員 これは当然に御指摘の通りでございます。地方公務員法の規定によりまして、条例人事委員会規則で定めるということで、当然にできることになるのであります。
  70. 横路節雄

    ○横路委員 それでは私は塚田長官にお尋ねしますが、地方公務員法第二章第六条の第一項では、任命権者についてはそれぞれ規定してあるわけです。「地方公共団体の長、議会の議長、選挙管理委員会監査委員会公安委員会、」その他たくさんあるわけです。それで第二項には「前項の任命権者は、同項の規定する権限の一部をその補助機関たる上級の地方公務員に委任することができる。」、こうなつておるわけです。警察本部長というのは、あれは明らかに地方公務員のいわゆる上級機関ではないのです。なぜ上級機関でないかというと、全然都道府県公安委員会の意向を聞いて任命したわけではないのです。そうすると、この地方公務員法の第六条の第二項にもこれは抵触するのではないでしようか。そうすれば当然私は、いわゆる都道府県警察があなたのおつしやる自治体警察であるというのであるならば、これは改進党の修正案と世間で言われておるように、都道府県警察本部長は、都道府県の公案委員会の任命によつた警察本部長がやるということが正しいのであつて、どうしてもこれはおかしいのです。しかし塚田さんのように国家警察が七分で自治体警察が三分ぐらいだと言うのならまた話は違いますが、その点はどうなつておりますか。
  71. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 御指摘法律は、どこまでも地方自治体自体においてのお話でありますが、御指摘のように任命権者だけははつきりと例外になつておるわけであります。そうしてその例外は、法制的にはこの警察法に基いて例外ということになるわけでありまして、そういう例外を置く方がわれわれとしては警察の運営の上に適切であるという考え方から、このように措置をいたしたわけであります。
  72. 横路節雄

    ○横路委員 長官にお尋ねしますが、国家公務員が地方公務員を任命権者としてやつておるというのは、例はどんなところにありましようか。
  73. 長野士郎

    長野説明員 現在国家公務員が地方公共団体の職員として勤務しておる例は、たとえば社会保険でありますとか、道路運送でありますとか、そういうものにつきましては、現在国家公務員が都道府県の職員として都道府県に勤務をしておる例はございます。
  74. 横路節雄

    ○横路委員 どうも声が小さくて、私今よくわからなかつたのですが、たとえば職業安定所の職員だとか、そういう者が給与についてはいわゆる国家公務員の例にならつて給与を受けている、それはそれぞれの都道府県に勤務しているということを言つているが、私の聞いているのは、国家公務員が任命権者としてこういうように地方公務員を十一万も任命するわけですが、こういうような例外はありますかと聞いているのです。
  75. 長野士郎

    長野説明員 今申し上げましたのはちよつと御質問の趣旨を取違えておつたかもしれませんが、国家公務員が都道府県の職員として勤務しておる例を実は申し上げたのであります。そういうものとしては、職業安定課に勤務しておる職員あるいは社会保険関係事務に従事しておる職員は国家公務員でありますけれども、これが都道府県の職員として勤務をしておる。この任命、進退、身分の取扱いにつきましては、主務大臣が都道府県知事にその心見を開いて処理をすることになつております。お話のような国家公務員が地方公務員の任命権者としてやつておるという例は、現在は警察一つの例外ではないかというふうに考えております。
  76. 横路節雄

    ○横路委員 今の点私もそうだと思つておるのです。ですから今お話のように、初めてこの警察法でいわゆる国家公務員が任命権者として地方公務員を任命するという、それこそ特例を開いたわけです。自由党はとにかく今のところ、日本自由党やその他の方の賛成を得られれば、一応つくつた法律は何ぼでも通るから、前に地方公務員法その他の法律はあつても、どんどん例外規定でやれるのだということになればこれは論外でございますが、やはり法の建前から言つて、しかもこれは地方公務員法のいろいろな適用を受けるというのであるならば、この点は例外規定でなしに、地方公務員の警察職員に関してはここに書かれてあるところの地方公務員法の第六条にうたつている者が、明確に任命権者となるという意味でも、やはり警察本部長が地方公務員であることが法の建前としてはどうしても正しいのですが、何としてもこの点だけは例外規定を設けなければならないのでしようか。この点でわれわれが指摘している自治体警察だとは言なえい。少くとも自治体警察であるとか地方職員であるとかいうことは、任命権者がやはり地方公務員でなければいけない。国家公務員の者が地方公務員を任命して、何で一体それが自治体警察と言えるでしようか。この点はどうしてもわれわれのふに落ちないところです。今のお話では初めて例外規定をつくつたと言うのですから、その点はどうなのですか。
  77. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 これは先ほどもお答え申し上げましたように、要するに地方公務員が地方公務員を任命するという形でなければ自治体でない、そういう考え方から仰せになるならば私もその通りだと思うのでありまして、そういう意味におきましては相当大きな、皆さん方のお考えになり、そうしてまた従来の考えによる自治体警察という概念からは、はずれておるものがあると私も考えるわけであります。しかし先ほども申し上げましたようにそういう考え方に合致させる行き方で行くがいいか、それとも例外的な措置を設けて多少自治体警察としての性格に違う部分ができて来ても、運営の上でぐあいのいいようにうまく行く方がいいのかという判断をいたしました場合には、私どもとしては過去何年かの運営の実績から見て、こうすることが運営上適当であるというふうに結論を出しましたわけでありまして、重ねて申し上げますが、その意味においてそれだけ自治体警察という概念からは、ずれて参つておる、こういうふうに御了解願いたいと思います。
  78. 横路節雄

    ○横路委員 それでは今塚田長官から初めての例外規定で、いわゆる地方公務員の任命権者が地方公務員であるという建前からすれば、これは自治体警察ではない、こういうことになれば私たちはそう承つておきます。この点をどうしても今まで自治体警察だ、自治体警察だと言うから、私らはそうでないのだと言つて論争して来たのですが、今長官から初めて従来の既定概念からすれば、これは自治体警察ではないとおつしやるから、それで私はそういうふうに了解をいたします。
  79. 佐藤親弘

    佐藤(親)委員長代理 午前中の審議はこれで休憩いたしまして、午後は二時半から委員会を続行します。     午後一時十五分休憩      ――――◇―――――     午後三時十一分開議
  80. 中井一夫

    中井委員長 午前に引続いて再開をいたします。  休憩前に警察法案及び警察法施行に伴う関係法令整理に関する法律案の両案を一括して議題としておりましたから、これに関する質疑を続行いたします。門司委員。  なおただいま出席政府委員人事院入江人事官、滝本給与局長政府委員であります。
  81. 門司亮

    門司委員 まず最初に聞いておきたいと思いますことは、これはきわめて概念的のことでありますが、この警察法の今問題の焦点になつておりますのは、御存じのように、例の国家警察であるのかあるいは自治警察であるのかということが一応まだはつきりしない段階に置かれておるということであります。午前中あるいは一昨日も自治庁長官に出ていただきまして、自治庁としての物の考え方その他を一応聞いたのであります。従つて地方公務員法との関連性を聞いたのでありますが、これは自治庁としての見解であつて人事に関する国の機関としての所轄官庁でありまする人事院の意見をこの機会はつきりさせておきたいと思いますことは、この法律の中で、国家公務員であるとされておりまする者が、地方公務員に対する任命権を持つておる、こういうことであります。このことは先ほどの自治庁長官の答弁、あるいは警察関係の諸君のお話では、いわゆる特例法である、だから地方公務員法のいわゆる六条の規定には触れないのだ、六条の規定にはなるほど任命権者という者が限られておる。しかしそれはあくまでも地方自治体の中で、それを行うのであるということがはつきり書かれてある。しかしこの場合はそういうことではなくして、これは一つ特例法であるからさしつかえがない、こういうことで、一昨日も塚田長官は話をしておるのであります。法律でできないものは男を女にすることだけだといえば、あとは法律できめれば何でもきまるということになりますが、しかしおよそ民主主義の政治の形というものは、やはり責任政治でなければならないと思う。責任政治でなければならないということになつて参りますと、任命権者と人事権というものが非常に大きな問題になつて来る。同時に任命権のないところに給与その他を支払うという義務が生ずるかどうかということ、こういうかなり複雑な問題が出て来ると私は思います。従つて人事院としての立場から、国家公務員が地方公務員を任命して、しかもその任命された地方公務員の給与地方公共団体が支払いをしなければならぬという義務が一体生ずるかどうか、の点についてひとつ人事院からの御解釈を承つておきたいと思います。
  82. 入江誠一郎

    ○入江政府委員 お答え申し上げます。国家公務員の任免権はお話の通り通常の場合には国家公務員に属しまして、また任命権者たる国家公務員は、国家公務員を任命するのが普通でございますけれども、国家公務員法におきましても法律で特別に認める場合は除外例を認めておるわけでありまして、法律によつてさよう御規定になりますれば別段違法ではないと存じます。
  83. 門司亮

    門司委員 私の聞いておりますのは、さきにも申し上げましたように、法律できめれば何でもやれるからといつて法律できめることは非常に危険があるということです。そうなつて参りまするならば一つの独裁政治であつて、必ずしも民主政治ではないということになります。民主主義の建前というものは、やはり何と申し上げましても権利と義務というものがおのずから明確になつて来なければならない、いわゆる責任政治でなければならぬ。そういたしますと、人の任命した者に対して給与を支払うという義務が一体出て来るかどうかということです。従来の日本の制度の中にはそういうものがあつたのであります。従来の警察官というものはそういうことになつておるのであります。しかしその当時における日本の行政組織というものは、都道府県地方公共団体として限られていなかつた。知事が官選でありました関係から、府県というものは地方自治体として取扱いが明確になつておらなかつた。しかし今日では憲法九十二条で規定いたしておりますいわゆる「自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。」という、この憲法九十二条から来る地方自治法の一条の二に、はつきり府県地方公共団体とこう書いてあります。そうしますと、かつて警察の制度の場合は、今のような解釈でもあるいはよいかと思う。ちようど内務大臣かできて、警保局長ができて、さらに地方局から人事の異動その他が行われる、それで警察部長ができて、その県の警察部長が巡査に至るまで任命するということが一応国家の一つのつながつたこととして系統的にやれたのであります。そうしてあとは負担分任の関係でこれからまでは国費で支払う、いわゆる任官するという警部補までは国家が支払う、警部補以下の者に対しては地方が支払う、これは昔の組織の関係から言えばそれができたと思う。しかし今日の組織の上から行けばそうは行かないのであります。地方府県というものは明らかに公共団体として、そうして長は公選になつておる、公選の長であります者が国家公務員の任命した者に対して給料その他を支払わなければならない財政上の義務を負うかどうかということであります。この点は今のお答えでは法律できめればそれができるのだということは、きわめてしやくし定規的な物の考え方であります。私はそういうことでなくして、一体そういうことが理論上民主政治の今日許されるかどうかということであります。繰返して申し上げますが、知事は公選である、公選の建前の上から行つておる行政の中で、人の定めた公務員に対して給料を支払わなければならないということになつて参りますと、体給料の査定その他というものがどういう形で行われなければならないか、これは私は非常に大きな問題だと思う。御存じのように、一定された給与ではございませんで、任命権者によりますならばおのおの俸給の違つた者が任命されると思う。その任命された者についての俸給は都道府県知事は無条件でこれをのまなければならないということができて来るのであります。ここに私はやはり給与との間における権利義務の問題が出て参りまして、必ずしも明確でないと思う。従つて今のような答弁だけでは承服するわけには参りませんので、重ねて聞いておきますか、今日の組織の上で人事院としては、そういう昔の観念と全然違つた明らかに別の組織である地方公共団体に対して、財政上の負担をかけてはならないということは、地方財政法の中にもはつきり書かれておる。しかしこの線から見て参りましても、国家公務員が任命するということになれば、必ずしも私は財政上の負担をかけないとは言えない。その財政上の負担をかける人事の問題を、国家公務員が定めるということになつております。そういう点から考えて必ずしも今の御答弁だけではわれわれは承伏するわけには参りませんので聞いておきたいと思いますことは、今日民主政治で公選された知事が何らの人事権を持たない、そして給与だけを支払わなければならない義務があるかどうかということです。そういう点についてもしあなたの方でお考えがございますならば、この機会に伺つておきたいと思います。
  84. 入江誠一郎

    ○入江政府委員 府県の職員の経費をどういうふうに支弁いたすべきかという問題は、地方団体なり役所としましては、自治庁の考えにまたなければならぬと思つておるのであります。人事院としましてはこういう一つの建前ができましたものが、国家公務員法上違法かどうかということは関心があるわけでございますが、その点につきましては先ほどから申します通り特別な法令とも認め得るわけでございまして、人事院としては別に違法とは存じておりません。
  85. 門司亮

    門司委員 人事院としてそれがわからぬ。特別の法律ができればそれでいいというような、やはり同じ趣旨の今の答弁だというふうに承つたのでありますが、私の聞いておりますのは法律ができたからそれでいいのだ、あるいは法律に違反するからというようなことでなくして、こういう形で行つて参りますと、もう一つ――これはあるいは人事院に聞くことはどうかと思いますし、むしろ自治庁長官に聞いた方がそういう御答弁なら、いいかとも思いますが、今の地方自治体に対しましては、やつております所掌事務というのがおのずから明確にされておるのであります。同時に国が地方公共団体に団体委任の形で行うものにつきましても、やはり地方自治法の中には明確にそれが書かれておる。従つてもしこれが地方警察府県警察であるとするならば、先ほどから申し上げておりますような人事権とともに、給与を支払わなければならないという義務と権利の問題が出て来る。もしこれが国家警察であるとするならば、当然これは団体委任の形でやはり地方が委任を受けられる仕事でなければ、私はそういう処置をとることはできないのではないかというように考えております。従つてそれらの点についてこの警察制度というものは、人事院の立場からこれは法律できめるから、特例だから何でもいいのだというのではなくして、私はむしろ国が行う警察制度というものを、地方に団体委任の形で委任するという行き方が一応正しいのではないかというように考えるのでありますが、この点について、もしお考えがございますならばひとつお伺いしておきたいと思います。
  86. 入江誠一郎

    ○入江政府委員 先ほど申し上げましたことを繰返すようになりますので恐縮でございますけれども警察制度をどういうふうにいたすべきかという問題は、政府なり、一つ警察行政の見地から考えらるべき問題でございまして、人事院といたしましてはこの組織が国家公務員法の立場から申しまして思わしくないという点につきましては、見解を述べる必要があると思つておりますけれども、任免権をいかに構成し、それに対してどういうふうに経費負担をすべきかという問題は、人事院としてとかくのことを申し上げる筋合いではございませんので、その点は先ほどの申し上げたことによつて御了承願いたいと思います。
  87. 門司亮

    門司委員 私は人事院としてはそういうことを申し上げることはできないというような意味の今の御答弁のように承りましたが、私は人事院の仕事というものはやはりそういう命令の系統というか、いわゆる任免権の問題と、それから同時に給与関係人事院の仕事だと私は考える。そう考えて参りますと、この問題はほとんど全部といつていいほど私が今聞いておりますのは任免権と給与との関連性であります。従つてもう一応聞いておきますが、任免権を持たざるものについて給与を支払う義務があるかないかということであります。
  88. 入江誠一郎

    ○入江政府委員 任免権を持たざるものに給与を支払い得るかどうか、あるいは支払うことがあり得るかどうかということにつきましては、これは一つの制度の立て方でございますから、制度の通常上最も適当なように立法をされれはいいのではないかと思つております。ただこの問題につきまして抽象的に一つの組織体としての是非の問題から申しますれば、これは何も人事院の特別の問題でございませんけれども、やはり組織の長がその組織に属しますものの任免、給与その他の一つの管理上の権限を持つということは、組織の運営上必要なことでございまして、やはり警察制度につきましても組織の、長が国家公務員でありまする以上は、法律の許す範囲内においてそのものがある程度の人事管理上の権限を持つことは、組織の運営上適当ではないかと思つております。
  89. 門司亮

    門司委員 組織の運営から行けば当然その通りであります。警察行政というようなものは特にそういうことが必要であります。何度も申し上げておりますように、事件を処理するにはきわめて迅速であつて、ある程度――ある程度、というよりはむしろ機密が保たれなければならないということと、それから最も団体的な訓練のよく行き届いた団体でなければならないということは、この警察制度一つの大きな任務というか、この本質を遂行して行こうとするには、やはり任免権者が一本であるということが望ましい姿であるということは、一応この警察制度についても考えれば考えられないことはない、またそのことのために警察法ができているかもしれない。しかしそう申し上げて参りましても、これが地方の自治警察という建前で答弁がされております以上は、自治体の長というものは先ほどから申し上げておりますように、憲法の九十二条に基いた今日の地方公共団体であるということには間違いがない。従つてもし組織がそれの運営が便利だからこれがいいんだという御解釈になつて参りますと、明らかに地方公共団体に対する国家権力の侵犯というまでは言えないかもしれませんが、ある程度の干犯たと思う。そうするとこれは人事院の所轄に基くものがこれの中心をなしておる、いわゆる警察の行動あるいは警察の作用ではありません。事実上の任免と給与の問題から考えて参りますと、国があまりにも地方自治体に関与し過ぎるのではないか、おれの方で任命するものに対して、お前の方で給与を支払えというくらい大きな関与はないと思う。そういうことが一体今までの答弁では法律でこしらえればやむを得ないのだという御答弁でありますが、しかし法律といえどもやはり国の基本的なものの考え方を曲げてこしらえるべきではないと考える。人事院の規則あるいは人事院の今日存在いたしておりますゆえんもやはりそうしたことを明確にして、そうして任免権者とさらにこれに給与を支払うものとの義務づけというようなものが、私は人事院が今日ある一つの大きな存在の理由になつていると考えられる。従つてもう一応その点から人事院としては、こういう規定でも、先ほどから承つておりますと特例法であるからという話でありますが、ただ特例法だからさしつかえないというのではなくして、この際もう一歩進んで聞いておきたいと思いますことは、国家権力地方公共団体人事権に対して関与するものであるというように私どもは解釈するのでありますが、そういうふうに解釈していいかどうか。
  90. 入江誠一郎

    ○入江政府委員 お答え申し上げますが、先ほど申し上げました通り、この立て方をどういうふうにおきめになりますかということは警察制度の運用上の問題でございまして、人事院としてこれに対して、どういう方法が適当かということは申し上げかねるのであります。     〔委員長退席佐藤(親)委員長代理着席〕 その結果につきましては、われわれとしては法律がさようにきめられますれば、その法律は何らさしつかえないものと思つております。
  91. 横路節雄

    ○横路委員 ちよつと関連して入江人事官にお尋ねしますが、この警察法案の附則の十五項に「給与に関する経過規定」というのがありまして、「この法律施行の際国家地方警察又は自治体警察の職員が地方警察職員となつた場合におけるその者が受けるべき俸給その他の給与は、当該都道府県条例の定めるところによるものとし、その俸給月額がこの法律施行前の日で政令で定める日現在におけるその者の俸給月額に達しないこととなる場合においては、その調整のため、都道府県は、政令で定める基準に従い条例で定めるところにより、手当を支給するものとする。」とあるが、地方公務員に対する給与に関して、地方団体に対してお前の方では俸給でもない、超過勤務手当でもない、石炭手当でもない、こういうものを、国の法律でこういうように経過的な措置として、地方公務員にこういうようにしてやれと言うことが、今までの慣例上できますか。
  92. 入江誠一郎

    ○入江政府委員 こういう手当の問題をいかように考えるべきかということは、やはり制度の立て方の問題であり、立法上の措置でございまして、法律できめまする以上は、もちろん可能であると思います。
  93. 横路節雄

    ○横路委員 それはおかしいでしよう。あなたの方で出している国家公務員法の六十三条に「給与準則による給与の支給」というのがありまして、この六十三条には、「職員の給与は、法律により定められる給与準則に基いてなされ、これに基かずには、いかなる金銭又は有価物も支給せられることはできない。」「人事院は、必要な調査研究を行い、職階制に適合した給与準則を立案し、これを国会及び内閣に提出しなければならない。」こうなつておる。そのために給与準則がある。この給与準則にもないものを、お前の方でこれを払えと言つて、それを一体国が都道府県地方自治体に命令することができますか。こういうことは今までないでしよう。その点、はつきりしてもらいたい。
  94. 入江誠一郎

    ○入江政府委員 給与準則は、御存じの通り、国会の方へ提案をいたしておるのであります。国家公務員につきましては、給与準則によつてその内容に基く給与を支給していただくようにお願いしておるわけであります。現在のところでは一般給与法によりまして国家公務員に対する給与が支給されておるわけでございまして、この法律によつて給与が支給されまする以上は、もちろんいかなる給与でありましても、支給されるものと思います。
  95. 横路節雄

    ○横路委員 私が入江人事官にお尋ねしたいのは、今私が聞いておる附則の十五項は、これは国家公務員に対してでないのです。地方公務員の警察職員なんです。地方公務員に対して、国が、お前の方ではこれをやれと言つて地方団体に命ずることはできないでしようと私は言つている。たとえば今までは地方公務員に対してこれこれの給与をやれと言うことはできないのです。あなたが御存じのように、たとえば都道府県一般職員並びに都道府県の学校職員、この職員については、これこれの基準に準じてやれということはできても、その通りやらなければ処罰するぞとは言えない。だからどういうことが今行われているかというと、あなたの御承知のように、平衡交付金で算定して、給与法に一応は基いて渡しているけれども、いわゆる一般地方公務員並びに学校職員に関しては、それぞれの都道府県において別な条例をつくつて適当にやつている。だから地方財政上の欠陥を生じて、赤字が出ているのだか、こういうように法律で、地方公共団体に対して、この地方公務員にはこれをやらなければならないなんということはできないはずですよ。今まで人事院としてはそんなことはできないでしよう。どうなんですか。これは地方公務員に関して言つているのですよ。地方公務員に関してこういうことを今までやつたことはございませんでしよう、と私は聞いているのです。こういう例が今までありましたか。
  96. 滝本忠男

    ○滝本政府委員 こういう措置はおそらく今回が初めであるかもしれません。ただ附則の十五項できめておりまするところは、今横路委員がお読み上げになりましたように、「政令で定める日現在におけるその者の俸給月額に達しないこととなる場合においては、その調整のため、都道府県は、政令で定める基準」ということで、政令で定める基準の範囲内において地方措置するということをこの法律できめようということでありますから、もちろんそういうことをおきめになれば、これはできると考えるのであります。
  97. 横路節雄

    ○横路委員 給与局長にお尋ねしますが、この条例をつくるかどうかということは、地方公共団体の任意なんです。こういうものは経過措置に伴うところの手当を支給するような条例をつくつてもいいし、つくらなくともいい。これは地方公共団体に対して拘束することはできないはずです。これは人事院としてはどう考えますか。拘束することはできないでしよう。だからつくつてもいい、つくらなくともいい。この点は人事院としてはどうですか。
  98. 滝本忠男

    ○滝本政府委員 仰せのように、給与条例は各府県でおつくりになる、また給与条例をおつくりにならぬで、国家公務員に適用されております一般職の給与法を適用されておる向きもあります。この附則の十五項できめようとしておりまするものは、政令で定める基準に従つて都道府県条例で定めるようにいたしたいというのでありますから、もちろんこの点に関する限り地方条例というものはこれに制約される、こういうことになるであろうと思います。
  99. 横路節雄

    ○横路委員 これは法律でこう定めても、地方公共団体を制約することはできない。そうじやございませんか。もしも制約ができるものであれば、地方公共団体はそれぞれ給与法に基いてやつているのであるから、地方公共団体地方公務員の給与が高いということはあり得ない。拘束はできない。だからこれはやつてもいい、やらなくともいい、こういうことになりませんか。あなたの方では今まで国家公務員に対してやつてつたでしよう。そのことは地方に対してはそこまで拘束はできない。それができるといえば、今まで地方公務員の方が国家公務員より高いということは起きはしない。だからこれは一つの基準であつて、これはこういうように拘束はできない。だからこれはやつてもいいし、やらなくともいい、こういうふうに考えるんですが、あなたの方で拘束力があると思われるのかどうか。これは国家公務員に対してはありますよ。だから地方公務員に対してはどうなのかということを聞いているわけです。
  100. 滝本忠男

    ○滝本政府委員 国家公務員法に定められておりまする一般職の給与法を都道府県が準用いたします場合、これは何も拘束力がある問題ではありません。これはあくまでも準用であります。この十五項できめようといたしておりますることは、この政令で定める基準に従つて地方条例をつくるようにしたい、こういうことをきめようとしておるわけであります。従いまして先ほどお話がありました、従来一般職の給与法が地方を拘束することはないではないかという問題と、この十五項で定めようとしていることは、ちよつと問題の性質が違うように思います。
  101. 横路節雄

    ○横路委員 今給与局長からお話がありましたが、あなたの方でしたいと、こう言うから、国はこの法律の定めによつて政令で定める基準に従つてこういう条例をつくつてもらいたい、こういうことをこの法律の中でうたつてある、こういうのであれば、私はそれで了解する。なぜ了解するかといえば、都道府県条例というものは、これは明らかにそれぞれの人事委員会都道府県議会条例を出して、都道府県議会がこれを定めるのです。都道府県議会が自主的に定めるのですから、これはこういうようにしてもらいたいものであるという、これは希望です。これは最後までの拘束力はあり得ないのだ。もしもそういうことであるならば、これは都道府県議会を縛つてしまうことになる。その点は、今あなたのおつしやるように、そうありたいものであるということで私も了解いたします。  次に門司さんからお話のございましたこの給与と任命権者との問題です。この給与と任命権者との問題につきましては、これは明らかに人事院規則の職員の任免の項のところの第三章任用の第五条並びに第六条のところにございます。私はここで入江人事官にお尋ねしたいのは、門司さんからお話がありましたが、任命権者は国家公務員なんです。この国家公務員である任免権者が、その地方公務員を任命するときに、お前は何級の何号俸なんだぞということを任命するのです。ところが何級の何号だと任命された者はどこから金をもらうかというと、これは地方公共団体から金をもらう。そうすると、その金を出すかどうかということは地方公共団体がきめる、発令する側の任命権者は国家公務員である警察本部長で、それが任命する、こういうことよ私はあり得ないと思うのです。これはお前を都道府県警察官に任命するぞというならば、まだ話はわかりますが、お前の給与は何級の何号俸である、従つて七千五百円であるぞということを、一体国家公務員である任命権者が地方公務員を任命できますか。これは入江人事官並びに給与局長にお尋ねいたします。
  102. 大山先

    ○大山政府委員 新警察法の第五十五条の第二項にありますように、地方公務員たる警察職員につきまして、任用、給与の基準は、やはり最終的には地方条例または人事委員会で定めるというように承知いたしておるのでありまして、具体的には警察本部長が何級何号ということを定めることになるかと考えますが、その基準はやはり地方当該府県において定めるものである、かように承知いたしております。
  103. 横路節雄

    ○横路委員 私が今任用局長にお尋ねしておりますのは、一体その任命権者である国家公務員が地方公務員を任用するということ自体がおかしいのです。入江人事官、そういうことは日本の国には今までありませんね。国家公務員である任命権者が地方公務員を任命するということはないですな。
  104. 入江誠一郎

    ○入江政府委員 全然絶無ではございません。
  105. 横路節雄

    ○横路委員 それじや例をひとつ示してください。
  106. 入江誠一郎

    ○入江政府委員 これはきわめてまれな例でございますが、国家公務員たる厚生大臣が民生委員を任命していたのがその一つの例であります。
  107. 横路節雄

    ○横路委員 入江人事官、その民生委員というのは、地方公務員ですか。ちやんと給与準則に基いてやつておるのですか。そしてその民生委員というのは一般職なんですか。
  108. 入江誠一郎

    ○入江政府委員 ただいま申し上げましたのは、任命権の所属の異なる一つの例を申し上げたのであります。
  109. 横路節雄

    ○横路委員 一般職について聞いているのです。
  110. 入江誠一郎

    ○入江政府委員 一般職についてはございません。
  111. 横路節雄

    ○横路委員 それならそれでいい。それならば、国家公務員である任命権者が地方公務員の一般職の者を任命すること自体がおかしいと思う。それよりも大事なことは、その任命権者が地方公務員を任命するときには、同級の何号で、お前は七千五百円だ、一万五千円だ、一万八千円だとやるか、給与都道府県から受ける。任命はそうやつて、国家公務員たる者が、自分の俸給支払いでないところに対して、お前は何給何号だということができますか。なるほどこれを法律でやれば――今門司君も言われたように、何でもかんでも新しく法律で書き入れれはできるということになつたらできるかもしれませんが、そういうことはちよつとできないですね、それはどうですか。それこそそういうことは好ましいですか。
  112. 入江誠一郎

    ○入江政府委員 この問題は、先ほど申し上げました通り、任命権者をどこに置くかということは、制度の運営上どういう方が適当であるかということによつてきめられる問題でございまして、それによつて給与の支払いがいかになるかということは別問題として考え得ると思います。
  113. 横路節雄

    ○横路委員 私はたくさん聞きたいですが、あまりやりましても、あとの質問者が困ると思いますから、これ一つだけにします。  附則の第十五ですが、先ほど給与局長お話のように、こういうようにしたいものであるということになりますと、これは非常に問題なんです。なぜ問題かというと、実際に書類が出ておりますように、国家公務員である国家地方警察の職員とそれから自治体職員である自治体警察の職員との間にはそれぞれ大きな違いがあるわけです。そこでその自治警察の職員がわれわれの言う国家警察に編入されて、その給与を受ける場合に、新たに都道府県条例で、やるというけれども、今あなたが申された第五十五条の第二項によつて、国家公務員である警察職員の例にならつた条例給与を受けるのですから、従つて相当の開きがありますから、その間の手当をもらう。ところが都道府県の財政状態から行つて、おれのところはそういうことはできないのだといつて、これは一つの希望条項なんだから、渡しませんということになると、これは自治体職員はどうにもしようがないのです。現に都道府県の財政がよければいいですよ。都道府県は現につらいことは事実なんだから、条例でできないということになるわけです。これに対して異議の申立とかなんとかいうことはどうなるでしようか。都道府県条例で出さないということになつたら、これはできませんね。入江人事官、どうなんですか。警察官の方からの答弁ではためなんですよ。
  114. 入江誠一郎

    ○入江政府委員 この問題は、府県職員の警察官の給与の問題でございますので、国警当局からお答え願います。
  115. 横路節雄

    ○横路委員 これは国警の方に何ぼ聞いてもだめなんです。なぜならば、支払いをするものは決して国家警察ではないのです。国家警察であるいわゆる警察庁が払うならいいし、あるいは法務省が払うのなら、今斎藤さんがいますから、その方面から御答弁を願つてもいいのですが、払う主体は都道府県です。たから、国警の方にお聞きしてもだめだということになる。だから、この際人事院の方から御答弁できなければ、私は塚田さんがおいでになるまで待ちます。
  116. 門司亮

    門司委員 今の問題ですが、塚田自治庁長官おいでになれば話がわかるかとも思いますが、この機会にもう一言聞いておきたいと思いますことは、この警察法施行されますと、今横路君の言われたような事件が起つて来ると思う。その場合に当然われわれはできると思いますが、不利益処分に対する処置をお考えになつているかどうか。私はこれは明らかに不利益処分に該当する事件だと考えますが、この点についてどうお考えでありますか。
  117. 入江誠一郎

    ○入江政府委員 この問題は、法律に基きまして身分が切りかえられるわけでありまして、従つて不当な処分とは申し上げかねますので、不利益処分の対象にならぬと思います。
  118. 門司亮

    門司委員 これは非常に重大な問題です。法律で身分が切りかえられるから不当な不利益処分にならぬというお話でございますが、地方公務員であることに間違いはないのであります。ただ今まで同じ地方公務員であつても、自治警察に勤めておつた者かどうかということです。これは主として国家地方警察の者にはあまり問題は起らぬと私は思います。起るのは大体自治警察の職員の中にこれが起つて来ると思います。いわゆる給与が下げられるという危険性の多い方に、この問題は起つて来る思う。従つてわれわれから考えて参りまするならば、当然これは公務員法に基いた、不利益処分の条項に該当する、こう私は考える以外にないのであります。そういうことを申し上げますのは、あなたの方は法律できめるからいいというお話でありまするが、しかし地方公務員法その他から考えて参りますると、公務員の給与というものは、大体その時代の物価の指数であるとか、あるいはその地方における同じような立場にある人の給与を算定するとかというようなことが考えられておる。そのほかにもう一つ条項がしいてあるとすれば、その地方公共団体の財政というものを考えないわけには行かない。こういう大体三つか四つの条項がこの法律に書かれておると思います。しかしいずれにいたしましても今日の状態から、自治警から国警に移りまする場合には、そういう事件が必ず私は起ると思う。起ると思うから、従つてこれはただ法律で定められれはしかたがないんだということになつて参りますと、一体この不利益処分の規定というものが何のために置かれているのか、一向わからなくなつて来る。だから私は当然、小利益処分の規定に該当するということを今でも考えておるのでありますが、今の御答弁で、法律できめるから何でもいいということになると、私はこれはもう少し話が行き過ぎだと思う。これではもう話の余地もなければ何もありはしない。そういうことこそ、先ほど申し上げましたような明らかな全体主義の思想であつて、いわゆる国が法律できめれば、何でもこれに従わなければならぬということになりますれば、これは右翼であるか、左翼であるか何かわからぬが、とにかく全体主義の思想であつて、決して民主主義の思想ではないと思う。今日本の国が民主主義を要求いたしておりまするときに、民主主義の立場からできた現行法をやはり守るということが私は正しいと思う。従つて今の答弁だけでは私は満足ができませんが、それならばどうして一体不利益処分の条項にこれが該当しないのか、その点はただ単に法律ができたからそれでいいというようなことでなくして、具体的にひとつお話し願いたいと思います。
  119. 入江誠一郎

    ○入江政府委員 御存じの通り不利益処分の規定は国家公務員法の八十九条にございますが、結局この不利益処分と申しますのは、御存じの通り不当に不利益な処分を受けました場合の救済の方法が講ぜられておるわけでありまして、合法的に処分を受けました場合には、この問題は対象になりませんわけでございます。もつとも先ほど来のお話のように、実際の地方公務員の警察官の場合におきましては、実は地方公務員法の不利益処分の問題でございまして、人事院でとかくのことを申し上げるのもいかがかと思いますけれども、やはりこの不利益処分の性質上から申しますと、当然法律規定上において一定の身分の切りかえが行われまする場合には、対象にならないと考えるのが適当かと思つております。
  120. 門司亮

    門司委員 どうも私にはその点がわからぬのですがね。そうだといたしますと、ここに経過規定なんというものはほとんどいらないのじやないか。経過規定を設けておりますゆえんのものは、やはりそういうことが十分考えられて経過規定を設けて、給与、号俸を下げる、やむを得ず下げなければならぬ場合には、何かほかの手当で補つて行けというので経過規定ができておる。従つて今のあなたの御答弁のように、法律で身分の切りかえだからやむを得ないのだということでは、こういう経過規定はいらないじやないか。経過規定を置かれている以上は、やはりその辺を多少お考えになつて、どうも法律で身分の切りかえをするからそれだけで事足れりというお考えでなくして、私はやはりそういう考えがあると思う。従つてそういう考えがあつて、ここに経過規定が設けられておるとするならば、私はやはりこの不利益処分に該当して提訴ができるのじやないかというようなことが考えられる。従つてもしここで、あなたはおそらくこれは全部不利益処分に該当して提訴ができるのだということになると、えらい問題になるのだというような御考慮から、あるいはそういう御答弁をされておるのか知りませんが、私はおそらくこれは提訴することができるというように考えておるのでありますが、人事院のお考えとしては、提訴するというようなことも不可能だというようにお考えになつておりますか。
  121. 入江誠一郎

    ○入江政府委員 先ほど申し上げました通りでございます。
  122. 門司亮

    門司委員 今、さつきの答弁以外に答弁はできないとお話でありますが、われわれが心配するのはそういうところでありまして、それから同時に、警察官の身分に関する問題というものは、非常に大きな警察官全体を通じた問題であります。これはあなたは御存じでございましようが、国が行政管理のもとに約六万ないし七万の人員整理をしようという中で、この警察法で三万の首を切ろうということになつております。明らかに書かれております。国の人員整理の最も大きな対象になつておるのがこの警察官であります。そうしてここから大体費用を九十億浮かそうということが大臣の提案説明の中にはつきり書いてある。従つて今日の警察官というものは、こういうものについて非常に大きな杞憂を持つております。同時にこれについては都道府県も非常に大きな財政的大負担を背負わせられておる。この経過規定の中にはやはり待命制度というようなものも書かれております。もし待命制度というようなものができて、三万の警察官を一時に首切るわけに行かないから、何人かは待命をさせておくというようなことになつて参りますと、地方公共団体はこの法律に基いて非常に大きな財政上の負担をしなければならぬようになつておる。これは地方公共団体負担でありますから、この負担の対象になりまする警察官自身というものは、かなり大きな杞憂を持つておると私は思う。しかもこの一万の整理対象にならざる、残つておる諸君といえども、今日給与差のあることは御存じの通りであります。その給与差のあるものが依然としてその給与を守ることができないということになつて参りますると、これは非常に大きな問題になる。そこで私、今までの御答弁にもう一つつけ加えて、突き進んでお聞きをしておきたいと思いますことは、この警察官は勢い異動が行われます。今までの分野でありまするならば、たとえば一つの都市における警察官は一つの都市の中で大体人事異動が行われる、あるいはその他に移る場合においても、給与その他については大体間違いのないような処置が講ぜられておると思うし、あるいは本人の納得の上で他に転任をしておると私は思う。しかし今度の場合は国家公務員がこれを任命するのでありまするから、国家公務員の物の考え方でその府県内にありまする全部の警察官の異動が行われることになつておる。そういたしますると、はつきり言えば、たとえば六大都市あるいは大都市の比較的給与の高いところで勤務をしておつた者が、ずつといなかに行くという可能性はたくさん出て来る。そういう場合にそれだけの給与を払うかどうかということは非常に問題になつて来る。これは国家公務員が人事権を持つておりまする限りにおいては、国家公務員の意思によつてそういう不都合の問題が私は方々に出て来ると思う。これにも甘んじて県はやはり給与の支給をしなければならないでごさいましようか。同時にその処置を受ける警察官というものは、私はたとい法律で身分の切りかえが行われたからといつても、もし給与その他に対する著しい損害がありまするならば、私は地方公務員の不利益処分の条項に、当然当てはまるというように考えられるのでありまするが、もしこの点についてのお考えがありまするならば、ひとつお聞かせを願つておきたいと思います。
  123. 入江誠一郎

    ○入江政府委員 この問題は門司さんも御存じの通り、不利益処分は降給、降任その他身分上の不利益を受けましたときに、救済を求め得る規定でございまして、かりにこの地方公務員の問題でありまするけれども、身分が切りかえられました後に、いろいろ不利益な処分を受けました場合には、これはもちろん救済の対象になると思います。しかしながら身分の切りかえられることは、これは法律に基きまして合法的に行われたことでございますから、この問題に関する限りは、先ほど申し上げました通り不利益処分の対象になりませんのでございます。
  124. 門司亮

    門司委員 私はそういう画一的なことを聞いておるわけではございません。なるほど法律で身分の切りかえができます。それまでは私はけつこうだと思います。それまで別に異存を言うわけではない。法律で身分の切りかえが絶対できないとは言わない。できた後における処置が十分であるかどうかということが問題になつて来る。従つて法律によつて身分の切りかえをする、その後におけるそういう不利益の処分をされた場合は、当然その不利益処分に対する提訴ができるものだというように私は解釈するのでありますが、その解釈は違いますか。
  125. 入江誠一郎

    ○入江政府委員 たびたび申します通り、この問題は地方公務員の問題でございまして、いろいろ私の方からとかくのことを申し上げるのはいかがかと思いますけれども、しかしながら警察の当局におかれましても、もちろん身分切りかえ並びにそれに伴う異動等については最善の措置を講ぜられることと思つております。身分の切りかえられました後の問題については、その状況によつてそれぞれ不利益処分の対象になり得ると思います。
  126. 門司亮

    門司委員 だんだん明確なつてつたのでありまして、われわれの心配しておりましたのは、今の御答弁のように、これは当然身分の切りかえられた後において必然的に起つて来る問題で、身分の切りかえられない前は警察法施行の前でありますから、私はそういう事件は起らないと思います。それからもう一つ聞いておきたいと思いますことは、もしそうなつた場合、不利益処分の提訴ができるということになつて参りますと、今日のこの警察法改正は、その対象となつておる警察官の間にはかなり大きな問題を投げかけているのではないか、同時にこの経過規定の中にあるような処置では十分でない。むしろ経過規定の中にとるというならば、俸給その他については絶対そういう不利益処分の対象になるようなことをしてはならないというような規定を設けた方があるいは安全ではないか、これは私の少し思い過ぎかもしれませんが、そういう経過規定の方がむしろいいのではないかというふうに考えますが、人事院当局としてのお考えをひとつお聞かせ願いたいと思います。
  127. 入江誠一郎

    ○入江政府委員 人事院といたしましても、この切りかえ後の問題については、それぞれ措置があることと思いますから、この際の問題としてはこれで適当ではないかと思つております。
  128. 門司亮

    門司委員 その点が私はあなたとどうも気持がぴつたりしないのですが、私どもの心配しているのは、法律のできるまでは画然と地方の公務員ということになつておりますから、これはこれでいいと思います。法律で身分の切りかえが起ると同時にそういう問題が起つて来るのであつて、これは不可分のものだ、別々に考えるわけには行かない。法律の文章の上では別々に考えられるかもしれないが、実際の問題としては、法律適用されるその日からこの問題は起つて来ると思う。同時に今警察官全部の心配している大きな問題の中にそういうものがありますから、従つて警察法の逐条の審議の際には国警の諸君にその辺はよく聞くつもりであります。しかし人事院としてあなた方にお出かけ願いましたのは、地方公務員のことであるから、地方公務員法によつてということになつておりますけれども地方公務員自身がやはり国家公務員に準ずるということが大体原則になつております。従つて国家公務員を所管されておる人事院がある程度これには明確な答弁を与えるべきだというように私は考えております。従つてあなたにもう一応念のために聞いておきますが、もしそういう事態が起つた場合、いわゆる号俸を切り下げなければならないような事態が起つた場合、あるいは手当その他が下げられた場合等については、不利益処分を提訴することができるかどうかということを、念のためにもう一ぺん明確に聞いておきたいと思います。  もう一つ、この法律によりますと、当然待命処分というものが行われて来るのであります。そうすると、待命処分に対するものについては、これは国家の法律に基いて地方公共団体にそれだけの費用を負担させるということになる。今まで市町村が行つておりましたが、今度は市町村警察官が府県警察官というように身分かかわつて参ります。身分がかわると同時に府県はそれだけ負担をしなければならぬ。これは私は財政的の大きな負担だと思います。これは塚田君に聞いた方があるいはいいかもしれませんが、地方財政法の建前からいえば、国は地方公共団体に経済的の負担をかけるような処置をとつてはならないということが明確に書かれておる。しかもその中でこの人事給与に対しては、今まで都道府県警察官でなかつたのでありますから、問題はないのでありますが、今度は法律的に都道府県警察になると同時に、こういう経済負担をさせられるということになつて参ります。一体そういうことが人事院の関係から見て、多少的はずれかもしれませんが、これを合法的にお考えになつておるかどうか、今まで府県は任命権も何にもなかつたけれども法律がかわつたからそれを背負い込むという形になるのです。従つて全然任命権のなかつたものについてそういう負担をするということがいいか悪いか、この点をもう一応聞いておきたいと思います。
  129. 入江誠一郎

    ○入江政府委員 切りかえに関連いたしましての不利益処分につきましては、先ほど申し上げましたことに特につけ加えることもございません。  それに関連する経費負担の問題でございますが、この問題はやはり警察の運営並びに地方団体の問題でございまして、地方自治庁の方からお答え願うように願いたいと思います。
  130. 門司亮

    門司委員 自治庁の方から聞けばいいということでありますが、それならもう一つ聞いておきますが、やはり任命権と給与関係であります。もしこの法律に書いてあります通りに行われて来れば、当然待命処分が出ると思う。その場合に待命を任命する者は大体私は国家公務員だと思う。そういたしますと、それについて都道府県はやはり給与を支払わなければならない、こういうことになつて参ります。この関係はあなたに聞くことはどうかと思いますが、非常にデリケートな問題でありまして、今まで自分のところの公務員でなかつたのが、この法律改正と同時に公務員になる、それと同時にその特命は国家公務員が発令するやはりその待命に対する余分な費用だけは府県が支払わなければならぬ、こういう形が出て来る。従つて待命処分に対する権利義務の関係でありますが、国家公務員の待命を命じた者について、地方公共団体はその待命中の給与を支払わなければならないような義務が一体生ずるかどうか、これは自分のところで現在持つておる警察官の外でありますから、これについてのあなたの方のお考えがもしおわかりでしたら、ひとつ教えていただきたいと思います。
  131. 入江誠一郎

    ○入江政府委員 この問題も前の問題と大体同様なものでございまして、この待命その他の場合における経費負担の適不適の問題になつて参るのでございますが、やはり地方団体の問題でございますので、われわれの方からとかくのことを申し上げるのはいかがかと思います。
  132. 門司亮

    門司委員 どうもその点私にははつきりしないのですが、地方団体のことだから地方団体でやれと言われましても、地方公務員は大体国家公務員法に準ずるという建前になつておりまして、給与その他についてもやはり国家公務員に準ずるという建前を地方はとつておるのであります。従つて人事院のものの考え方というものが、やはり地方公共団体にかなり大きく響かなければならぬ。同時にもしそういうことになつて参りますならば、疑義があれば地方公共団体人事院に向つてお尋ねをして来ると私は思う。その場合には人事院はやはりこれに対してお答えをなさると思う。それだけの義務があると思う。私の聞いておりますのは、国家公務員が、先ほどから申し上げておりますように、待命の発令をする、しかもそれは従来の府県の公務員、地方事務員でも何でもなかつた。ただ制度がかわつたからそういう負担をしなければならないという場合に、私どもはこういう処置については、現在地方公務員としての立場から離れた者には、やはり国が支弁するのが当然じやないかと思う。これを地方公共団体が支弁しなければならないという理論的根拠があるかどうか疑わしいのであります。従つて人事院としての立場から今のように自治庁に聞いてくれということになりますると、自治庁長官に来ていただいて聞きますけれども人事院の考え方を、もう一つ詳しくお答えを願つておきたいと思います。
  133. 入江誠一郎

    ○入江政府委員 今回は地方公務員でありまする警察官につきましても、国家公務員の給与一つの基準によることになつておりまして、これは御存じの通り給与の基準と申しますか、一つ給与内容につきましては、国家公務員の例に準ずることになるわけであります。ただいまの御質問の御趣旨は一つの場合に地方公共団体経費負担することが適当かどうかというふうな意味の御質問のように思われますので、この問題は人事院としてとかくのことを申し上げることはいかがかと思つております
  134. 佐藤親弘

    佐藤(親)委員長代理 大石ヨシエ君料
  135. 大石ヨシエ

    ○大石委員 斎藤国警長官にお尋ねいたしますが、一体府県警察というものは自治体警察でございますか、それとも国警でございますか。これはたとえて言うたら男か女かわからぬというような品物であります。これはちようど保安庁と同じようなもので、一体これはどうでございましようか。これはほんとうに国警であるならそういう覚悟をきめねばならないし、一体自治体警察でございますか、その点をはつきり私はお伺いしたい、こういうあいのこのようなものは、私たちは合点が行きません。納得が行くように御答弁を願いたいと思います。
  136. 斎藤昇

    ○斎藤(昇)政府委員 この点は犬養大臣、それから塚田大臣も今までたびたびお答えをしておられますように、自治体のものであるか、あるいは国のものであるかということになりますると、これは自治体のものだ、こう言わざるを得ないと思うのであります。しかしながら完全に自治体のものというかといえば、自治体のものではあるが、しかしこの警察の必要に応じて国のある程度の関与を受けている、そういう自治体警察である、こういうわけであります。従いまして現在の自治体警察ほど完全なものではありませんが、しかしさりとてこれは現在の国家地方警察のような完全な国家の機関ではありません。むしろ自治体が、府県がこの法律に基いて国から制約を受けることはありますが、しかしその制約の範囲内に、おいて府県自治体警察である、かように考えておるのでございます。
  137. 大石ヨシエ

    ○大石委員 しからば私が申し上げました通りこれは中間的存在であつて、ちようど私のように男か女かわからぬというようなものであるというように私は思うのでございますが、(笑声)さよう承知いたしましてよろしゆうございますか、いかがでございましよう。
  138. 斎藤昇

    ○斎藤(昇)政府委員 おたとえでございまするが、若干男のような性格はありますけれども、しかし本質はどちらかといえば、やはりこれは女であります。
  139. 大石ヨシエ

    ○大石委員 そうすると、結局これは中間的存在であるけれども、やはりこれは男の方が多分多くて、警察の一本化をはかつていらつしやると私は思うのでございます。それでこれは警察国家と自分は信じております。そこで斎藤さんにお聞きしたいのは、先日もちよつとお伺いいたしましたが、あなたはこの法案の作成にあたつて、どういうふうに発言をなさいましたでしようか。自治体警察は六年にわたりまして治安維持して参りました。しかしてこの法案をつくるときにあなたはどういうふうな場所でどういうふうに――あなたの意見がどれだけ入つておりますか、それをまず私は知りたいのでございます。
  140. 斎藤昇

    ○斎藤(昇)政府委員 いつか御答弁申し上げましたように、この法案の骨子になるもとは自由党の行政改革委員会でおつくりになられた。行政改革委員会におかれましてはこの前の警察法案内容、それから地方制度調査会における内容等も参酌せられたことと思うのであります。私どもの意見もいろいろ聞かれたのであります。それらを参酌して大体の骨子をおつくりになつたものと考えます。その骨子が政府の方に送られまして、政府の方でこの骨子で行こう、そこでこれを法文化をするようにという御下命がありまして、われわれが法文化にあたつた、かような経過であります。
  141. 大石ヨシエ

    ○大石委員 しからば斎藤さんが、主になつてこの法案をおつくりになつたのでございますね。さよう信じてよろしゆうございますか。
  142. 斎藤昇

    ○斎藤(昇)政府委員 この法律の条文は、先ほど申しました政府の示された要綱に従つて事務の方といたしましては条文化は私が主になつていたしたのであります。
  143. 大石ヨシエ

    ○大石委員 しからば斎藤さんは本法案において警察人事権を中央において握る必要を非常に強硬に主張されたということを聞いて、おるのでありますが、そういうふうなことがございましたでしようか。人の言うことはあまり信ずることができませんが、その点を伺いたい、その点を伺いましたら、これがあいのこか、男か、女か、はつきりわかります。それを知らしていただきたい。
  144. 斎藤昇

    ○斎藤(昇)政府委員 自由党の方でお考えになられておりますときにもいるいろ意見を聞かれました。私はあらゆ石ところで意見を聞かれます際には、現在の警察制度は国家地方警察自治体警察、こう二つにわかれておりまして、一方は完全な自治体になつておる。一方は国家地方警察で分権になつている、そこでこれを両方つきまぜた程度のものが適当ではなかろうか、さような意味から、都道府県警察本部長の人事権が、完全に都道府県公安委員会の任命にかかるということになりますと、日本警察は完全な自治体警察だけになつてしまいますから、それは警察の運用の面から申しますると困つた面が今日より以上に出て来るであろうという意見は、私はあらゆるところで、申し上げております。、
  145. 大石ヨシエ

    ○大石委員 ただいま門司先生もおつしやいましたが、給与の面でございます。少数の現在の国警の職員を基礎にして、多数の自治警職員をそれに従属させるような現状に置かれておる。そうすると国警の給与は従来に比して非常に上つて来るし、自治体警察は反対に引下げられる結果となります。そういうことはどういうふうに解釈したらよろしゆうございますでしようか、ちよつと教えていただきたい。
  146. 斎藤昇

    ○斎藤(昇)政府委員 今日の自治体警察警察職員の給与も、これは国家公務員の給与に準じてきめるようになつておるのでありますが、しかしそれは当議市町村条例できめることでありますから、実際は相当高いものになつておるのであります、従つて今お述べになりますような差ができておるのであります。これが今度全部府県の吏員になりますと、今度は府県給与条例できめられることになるのであります。従いまして、御意見のようにあるいは国家地方警察の現在の給与水準よりも、幾らか高いところに府県条例できめられるということに相なるところもありましよう。     〔佐藤(親)委員長代理退席委員長着席〕  しかし市の給与水準よりも低いところにきめられるものができて来るわけであります。そこで今までの市の給与よりも低く格付をされるということになりました場合には、実際問題としてお気の毒でありますから、その給与差は原則として別の調整額として手当として府県で出してもらう、そうしてその給与に要する財源は国で裏づけをいたして行く、こういうことであります。
  147. 大石ヨシエ

    ○大石委員 これはたびたび門司先生から伺つた点でございますから、私はほかの観点からお伺いしたいと思います。もしこの法案審議未了に終つた、あるいはまたこれが修正された、こういうような場合にはあなたはどういうふうな態度をおとりになります。か、それを聞かしていただきたい。
  148. 斎藤昇

    ○斎藤(昇)政府委員 さような場合におきまする私の態度ということでありますが、それはそのときのことにしていただきたいと思います。ただいまそ、ういうことを申し上げることは差控えさしていただきたいと思います。
  149. 中井一夫

    中井委員長 加藤君……。
  150. 大石ヨシエ

    ○大石委員 私の発言中そんなことをしたらいかぬ。  それは了承いたしました。そこで、これは日品も申しました通り、水上警察と海上保安庁とダブるようなことがある。現にそういうことかあるのです、海上保安庁――木村さんの方の保安庁と違いますよ。海上保安庁と水上警察とこれは、ダブる仕事をしておる。これはどつちか一つにせねばならないと思います。ゆえに委員長にお願いいたしますが、あなたは男の人のことばつかりお聞きになりますが、ここに明日でも海上保安庁の長官か次長を呼んでこの見解を私は聞きたいと思います。海上保安庁と水上警察は同じような仕事をしておる。これは国費の濫費である。こういう点は私は詳細に聞きたいから、海上保安庁の長官か、もしくはだれかお呼び願いたいと思います。  それから斎藤さんにお尋ねいたしますが、鉄道公安官の人ですが、これは国警に属するのですか、どつちに属するのですか。
  151. 斎藤昇

    ○斎藤(昇)政府委員 鉄道公安官は国鉄の方でございます、
  152. 大石ヨシエ

    ○大石委員 国鉄ですか、
  153. 斎藤昇

    ○斎藤(昇)政府委員 国警ではございませんで、国鉄の方でございます。
  154. 大石ヨシエ

    ○大石委員 それから私はちよつと今ついでですからお聞きしたいのですが汚職というので非常に汚職の問題が出ております。これは自由党からも改進党からもたいへん汚職が出ておる。そこで私が聞きたいのは、もし私たち社会党――社会党にはそんなことはありませんよ。まあ自由党の人、社会党の人、共産党の人、この人が労働団体からこういう法案を通してほしい、こういうことをしてほしいというて頼まれたときに、その代議士がその方面に働いたときにはこれは汚職にならぬのですか、なるのですか、これを聞きたい、これを聞かしておいてもらいませんと私もあがるかもしれぬから聞たい(笑声)
  155. 斎藤昇

    ○斎藤(昇)政府委員 代議士の方々がそういつた団体からある法案を通すために金銭その他の利益を得て、そしてその職務に関してお働きになつたということになれば汚職になるわけであります。
  156. 大石ヨシエ

    ○大石委員 職務とはどういう意味ですか。
  157. 斎藤昇

    ○斎藤(昇)政府委員 たとえばその法律審議される委員会委員の方々が、その法律について金銭をもらつて、そうして賛否を決定されたというような場合には、職務に関してということになるわけであります。こういうことを頼まれたから、こういうようにやつてもらいたいと他の人に頼まれたという場合には、今の何か汚職のあつせんでありますか、これは現行法では取締れない、こういうことになつておるわけであります。
  158. 大石ヨシエ

    ○大石委員 それから私は斎藤さんに一言物を申したい。それは私のあの選挙のときにあなたは事前運動であるといつて私を非常に取締つた。ところが現在社会党の蜷川さんが事前運動をして常に一万くらいビラを張る、五十万も六十万もビラを各戸に配布しておる。これは自由党であろうと改進党であろうと、社会党であろうと、左派であろうと、共産党であろうと、悪いことは悪い。なぜこれをあなたはちやんと検挙するとかなんとかしないか、私ばかり取調べて不公平きわまる。これはどうなんですか。
  159. 斎藤昇

    ○斎藤(昇)政府委員 ただいまの御例示の分は、府の公報の問題だと思います。この公報の発行部数それから配布の方法、それからそこに書かれております内容等によつて慎重に考えませんと、これは公職選挙法違反であるかどうか疑問の点が多々ありましたので、京都の国警、自治警、検察庁三者寄りまして十分検討を遂げたのでありますが、しかく明瞭でないということで一応警告処分にした、こういう報告を受けておるのであります。
  160. 大石ヨシエ

    ○大石委員 そうしたら私たちは選挙のときにそういうふうに事前運動をしてよろしゆうございますね。みなよろしいんですね。警告を発したくらいで終るならば、われわれ代議士はこぞつて事前運動をしてよろしいと解釈してよろしゆうございますね。(「ばかなとを言うな」と呼ぶ者あり)取締りませんね。どうですか。収締つた承知せぬぞ。(笑声)
  161. 斎藤昇

    ○斎藤(昇)政府委員 ただいまのような御例示と同じよりな場合であれば、やはり同じような警告処分になるだろうと思います。
  162. 大石ヨシエ

    ○大石委員 そうしたら、われわれは事前運動をしますが、これはどうなんですか。
  163. 斎藤昇

    ○斎藤(昇)政府委員 それよりもはつきりしたものならば、取締りの対象になります。
  164. 大石ヨシエ

    ○大石委員 これでよろしゆうございます。
  165. 西村力弥

    西村(力)委員 先ほどから人事官にいろいろお尋ねがありましたが、切りかえが終つたあと、地方の公務員に警察官が落ちついてからでも、不利益処分の問題は起ると思うのです。そういう場合の提訴は、結局県の人事委員会か何かにやつて、そうして結論が出て、人事委員会がそれは不当であるということになれば、国家公務員である警察本部長ですか、それにその是正の指示をする、こいうことになるわけですか。その点を明確にしてもらいたい。
  166. 入江誠一郎

    ○入江政府委員 それは本部長にやる。地方の長において適当な措置を講ぜられると思います。
  167. 西村力弥

    西村(力)委員 地方の長にやる。任命権者はあくまでも警察隊長でしよう。それに国家公務員であるその人にやる。それが府県人事委員会がそれに対して是正の指示をするということになるわけだが、その効果に対してはあなたはどういう評価をされるかということです。
  168. 入江誠一郎

    ○入江政府委員 もちろん不利益処分の裁定と申しますものは、どこまでも公平にやらなければなりませんので、府県人事委員会その他から勧告その他適当の措置を講ずると思います。
  169. 西村力弥

    西村(力)委員 適当の措置よりも、この人事委員会の是正をすべきであるという指示が国警隊長に出されて、それがどれほどの効果があるのか、それについてのあなたの評価をお聞きしたい。たとえば府県人事委員会が、任命権者が府県知事の場合には府県知事に是正の勧告指示をするでしよう。それが今度は国家公務員である国警隊長にそれを指示しなければならぬ。そういう指示の効力というか、できるかどうかというのは、法律がきまればできるとあなたは前から言われているのだから、言われるでしようけれども効力云々の問題をどう評価されるか。人事官としての見解を承りたい“
  170. 入江誠一郎

    ○入江政府委員 もとよりこの不利益処分に対する仲裁の問題は、どういう方面から勧告その他の指示がありましても、当然これは公正に措置すべきものでありますから、その重さは別段かわらぬと思います。
  171. 西村力弥

    西村(力)委員 国警長官にちよつとお尋ねしますが、私の知つている警察官が村の人に左派社会党に投票して何になる、こういうことを言つたということを私は聞いている。その事実云々は確かめようともしませんが、そういう場合に私はけしからぬやつだと思つて、そうして政府の方に行くとか、あるいは直接には府県の国警隊長にああいうやつはこうだと言つた場合に、それが任免をする大元であり、時の政府とつながつている政党の者であつた場合に、本部長は確かに動くであろうと私は思う。それでもし動いて、その警察官が不当なる転出をせられたというような場合も起らないとも限らない将来の見通しを持つていなければならぬと思う。そういう場合、今のようなぐあいに県の人事委員会に提訴して、人事委員会が不当と認めて是正の指示をした場合に、ほんとうに国警隊長にそもを拘束するぐらいの力を持ち得るかどうか。人事官の見解としてはいかなる場合もそれを尊重しなければならぬ相当強い拘束力を持つがごとき答弁であるが、国警側としてもそういう場合に政治的な立場からの要請とか、そういうものによつてなされた場合に、それが完全にその人事委員会の勧告是正通りに是正され得るかどうか。こういうことを私はお聞きしたい。
  172. 斎藤昇

    ○斎藤(昇)政府委員 この点は私は府県警察本部長が、国家公務員であると地方公務員であるとを問わず、そういつた公平委員会あるいは人事委員会から指示があれば、それに従いますことはかわりがないと思います。またわれわれ人事管理上もさようであるように、これを確保するように努めたいと思います。
  173. 西村力弥

    西村(力)委員 そういう場合に、府県人事委員会がそういうことをなすつた場合にそれに従わざるを得ない、そのまま受取れない。そればどこに求めますか。
  174. 斎藤昇

    ○斎藤(昇)政府委員 地方人事委員会または、公平委員会の指示に従わない場合には罰則がございますから、罰則によつても処罰されるのであります。
  175. 西村力弥

    西村(力)委員 その点について私まだ納得できない。それだけの答弁では納得できない。人事官の方からもひとつ見解を表明していただきたいと思います。
  176. 斎藤昇

    ○斎藤(昇)政府委員 ちよつと補足しておきますが、先ほどの御質問を伺つておりまして若干誤解がおありじやないかと思いますのは、府県警察本部長は国家公務員でありますけれども、しかし任命されて府県警察本部長になりました以上は、これは府県という地方の団体の機関であります。地方の職員でごさいしますからその点は誤解のないように願います。従いましてこれが任命をいたしますのも国が任命をいたすのではございませんので、府県の機関として任命をいたすのでございます。
  177. 横路節雄

    ○横路委員 それはまつたく私ども聞いていてにふに落ちませんがね。ちよつと国警長官に聞きますが、そうすると今都道府県警察本部長というのは、国家公務員ではないのですか、一たん任命された以上、今あなたのお話だと何か地方の機関だというようなことを言つていますが、一体そういうことが成り立つのですか
  178. 斎藤昇

    ○斎藤(昇)政府委員 国家公務員ではございますが、しかし警察本部長のやります仕事と申しますか任免その他すべてこれは府県の機関としてやるわけでございます。その府県の機関に国家公務員を入れるというのが、この制度でございます。たとえば日銀の総裁は、これは株式会社の総裁であります。これは国が任命をいたしておりますが、しかし株式会社の総裁であり株式会社の機関であります、それと同様に都道府県警察本部長は国の官吏であり、国が任命をいたしますが、しかしその仕事都道府県の機関としてする仕事でございます。国が任命をするというわけではございません。従つて都道府県警察本部長が職務上損害賠償を訴えられるとか何とかいうような場合には、これは都道府県の機関でありますから国の責任というわけではないのでございます。
  179. 横路節雄

    ○横路委員 入江人事官にお尋ねしますが、今のお話ではまだ私は非常に問題になつてなかなかこの問題は解決――解決というよりは相当審議しなければ逐条審議に入れないのじやないかと思う。地方公務員法には明確に人事委員会、公平委員会があるわけです。ところが警察本部長というのはこれは国家公務員であつて、任命権者は上部機関で任命している。そこで不利益その他の問題で人出委員会あるいは公平委員会にかかつて来た、こういう場合に警察本部長は地方公務員でないのですから、かりにそれに従わないというような場合が起きても、それに対して何も拘束はないのですね。それともあるのですか。国家公務員である者に対して、地方公務員法で定めた人事委員会あるいは公平委員会で、何か勧告その他をやつても全然それを受付けない。おれは国から任命されたのだ。何を言つているのかと言つて、かりにこれをけ飛ばすということもあり得るのですが、これに対して何か拘束するものがありますか。
  180. 入江誠一郎

    ○入江政府委員 この問題も実は先ほど来の御質問と同様に、人事院の直接の関係ではありませんけれども、しかしながら人事院の関係から申しますと、実は国家公務員につきまして、ただいいま御説明のように救済がありまして、この場合は府県人事委員会でなくしてわれわれ人事院が勧告いたします、その場合にはやはり任命権者は当然それに従いまして適当の措置を談じておる次第であります。適当な措置を講じぬ場合にどうするか、こうおつしやいますけれども、これは当然国家公務員法の命ずる義務でございますので、公務員としては当然これに従う必要があり、従来から人事院の勧告あるいは指示に対して、従わなかつた事例もございません。ただこの場合におきましては、地方人事委員会または公平委員会から、国家公務員たる本部長に指示あるいは勧告をいたしました場合のことを御心配になつておるのだろうと思いますが、しかしながらこれは身分が国家公務員でございましても、当然法律に基く勧告または指示でございますから、国家公務員たる本部長は、当然この指示に従うべきでございまして、ただいま国警長官からも、これは警察の公正を保つ上からいつても、当然従うことを期待するというお話がありましたが、一般の国家公務員たる身分の問題について、われわれの勧告を遵奉していただきますのと同じように、当駅ただいま御心配のような問題についても同様の措置があるものと思います。
  181. 横路節雄

    ○横路委員 これはぜひ斎藤さんから御答弁をいただきたいと思いますが、附則第十五の不利益処分の問題であります。これは先ほど給与局長からお話があつたように、希望条項である。希望条項であるということは、本法第五十五条第二項に、国家公務員である警察職員に準じて条例をつくるとあるのですから、本法の方が正しく生きるのです。従つて第十五については希望条項だからやらない場合もあり得る。私はその点斎藤さんは失礼ですけれども、いわゆる戦争前の旧憲法によるところの地方自治法その他の建前でおやりになつておるのではないかと思う。そこで地方自治体の職員が七月一日からそれぞれ都道府県自治体の職員になつたならばというふうに附則の第十五になつておるから、これは不利益だからその差額についてはもらいたいのだ、こう言つて行く、そのときに人事委員会の他ではどういうことになるかというと、国家公務員である任命権者と、人事委員会とに意見の食い違いが生じて来る。なぜ意見の食い違いが生じて来るかというと、都道府県条例ではそういうことがないからだめですとこう言う、そこで任命権者の警察本部長に対して、そういうことはない。この警察法附則の第十五にあるからやつてもらいたい。こう言つて行く。そういうときにこの任命権者たる国家公務員の警察本部長は、いやそんなことを言うても、都道府県条例がないからできないではないですか。こう言つて責任を都道府県におつかぶせることもできる。従つてやはり地方自治体の職員の不利益処分については、結局のところよりどころがないということになる。その点、あなたが先ほど来言つておるように、国家公務員については明らかに国家公務員法において、そういう不利益処分については審査その他できまつたものは、きまつた通りやれるのだが、この場合は両方からそれぞれ逃げられてしまつて、いわゆる不利益処分の救済は、最終的にはできないことになる。できないでしよう。任命権者のところに持つてつても、給与に関する実体を持つていないのですから、それは都道府県に聞いてくれと言う。都道府県に行けば、それは給与条例をつくつたので、私の方は任命権者でないからだめです、こう言う。ですからこれによつて地方自治体警察の職員から、都道府県警察の職員になつたものの不利益処分については、結局異議の申立てに関する道は何にも開けないということになる。どこで開けるかということが、まわりまわつて今聞いておるところなんです。この点はどこで開けるのでしようか。
  182. 入江誠一郎

    ○入江政府委員 これはただいま警察当局の方からもお答えがありましたように、地方、公務員法におきましては、故意に公平委員会の指指示に従わなかつた場合には、罰則の規定もございます。ので、当然法律の期待する合法的な取扱いを故意に曲げた場合には罰則の適用があるのでございまして、その点は十分救済し得るものと考えます。
  183. 横路節雄

    ○横路委員 人事官に聞きますが、故意にした場合には罰則の規定があるとおつしやる、そこでこの附則の第十五にうたつてあるではないか。だから不利益を受けた――これは月平均三千円ぐらいになるのだから相当の不利益を受けるのです。そこで任命権者である警察本部長に言つて行く。そのときに給与に関しては都道府県条例できめているのですから、そういうことはできません、こう言うに違いありません。そこでその点は逃げられる。それでは今の市町村自治体警察の職員が、都道府県自治体警察の職員になつて不利益処分を受けたとき、一体どこに道が開けるのですかと聞いておるのです。これはどこに開けるのですか。
  184. 入江誠一郎

    ○入江政府委員 私どもといたしましては、やはり人事委員会の指示あるいはそれに対する本部長の処置が、国家公務員法の立場から見て、法律上どういうふうに考えるかということをお答え申し上げるよりしかたがございませんので、地方公共団体経費負担その他の関係は、やはり国警当局なり、あるいは自治庁の方から伺つていただきたいと思います。
  185. 横路節雄

    ○横路委員 これは一番大きな問題ですよ。あなたは当然人事官として国家公務員についてということでしようが、しかしあなたの方でお示しになる給与準則というものは、地方公務員もそれに準じてやつておるのです。だからいやおれは国家公務員の方だから、地方公務員の方は国警本部や自治庁の方で適当にやるであろうと言われても、今は現実のこの切りかえについて聞いておるのです。それでもう一ぺんあなたにお尋ねいたします。わからないならわからないでよいのですが、この不利益処分では道が開けないとあなたはお思いになりませんか。その点をひとつ私はお尋ねいたします。
  186. 入江誠一郎

    ○入江政府委員 先ほども申し上げました通り、今回の地方公務員たる警察官が国家公務員の給与の基準に準じて、行くということは、給与の基準が国家公務員に準ずるのでありますから、経費負担関係その他のところはこの問題とは別個の問題だろうと思います。なおこの不利益処分に対する救済の措置としては、これで合法的な道が講じ得るわけであります。
  187. 西村力弥

    西村(力)委員 不利益処分の問題ですが、昨年の年末手当のプラス・アルフアーは、国家公務員については〇・二五だつたか出した。その財源は地方団体にもやつたが、そういうものを出さない府県がたくさんある。そうしますと年末手当を法律できまつた通り出す、出さないは地方団体のかつてでありますが、同じ国警の中に、警視正以上は年末手当も法律通りプラス・アルフアーが出ればその通り、ところが地方公務員は下級の者はそれがもらえません。こういうふうな事態が出て来る。そういうぐあいになつたら、警察の運営そのものがうまく行くかどうか。私としては全然自信がないというか、問題があると思う。ところで今それよりも一歩進んで、昇給のストツプとかあるいは遅払いとか、そういうことが各地で自治団体には頻発しておる、そういうときに警視以下の公務員はそういう措置を受けるのです。ところが警視正以下の者だけはもうぬくぬくと規程通りもらえるというぐあいになつて来る。そういう場合にこれは不当な措置であるというぐあいにして――警察官は労働組合を組織する力がない、許されていないのだから、やはり人事委員会、公平委員会にその旨を訴えて処置を願うよりほかにない。そういう場合に公平委員会が、これはいかぬからただちに所定の俸給を支払え、こういうぐあいに任命権者である警察本部長にそれの是正の指示をする。ところが警察本部長は何も金を持つていない、払うのはあちらだということになるのだから、警察本部長は任命権者としてその正当に是正の指示を聞いたとしても、実際に行えないのじやないか、何にもできないじやないか。こういうことにはつきりつて来るんじやないかと私は思うのです。そういうところを一体どういうぐあいに解決するか。第一点は、給与が上に厚く下がもう水を飲んでいるというような状態に置かれているときに、警察の運営そのものを国警長官はどう思うか。それから、いろいろな不当なる処置に対して公平委員会人事委員会に提訴して、人事委員会が是正の指示をした場合のその相手方が国警本部長であるのに、それが不当処置を是正する財政的な能力というか、そういう権限が全然ないということになつたならば、一体どこで是正されるか。この点について御答弁願いたい。
  188. 加藤精三

    ○加藤(精)委員 関連して。先ほどから数時間にわたりまして、附則第十五項を中心として御議論があるのでありますが、どうもはなはだしく私は遺憾にたえないと思うのでありまして、この点についての質問をいたしたい。附則第十五項の規定には「条例で定めるところにより、手当を支給するものとする。」とある、「支給するものとする。」というのは、私の解釈では、必ず支給しなければならないというので、ちつとも心配がない規定じやないかと思いますが、これに対しての国警長官の御回答をお願いいたします。
  189. 斎藤昇

    ○斎藤(昇)政府委員 この附則十五項は、府県がこういう条例をつくつて、そして支給をするものだということを明記いたしておりますが、万一この通り条例をつくらなかつた場合にどうするかという問題がやはり残るのでありまして、その点を西村委員や横路委員がお尋ねになつておられるのだと思います。私ども法律で期待をしておりますことは、自治体においては条例をつくつていただけるもの、かように理解をいたしておりますので、これが実施されるものと存じておるのであります。しかしながら、そのために先ほど申しますように財源も裏づけがあるのでありますが、しかし条例を期待通りにつくらないという場合に、現在公共団体に対してその条例を是正する道はないのであります。従いまして先ほど西村委員もおあげになりましたように、市町村あるいは府県で財源がないからといつて給与条例をかえて引下げてしまう、あるいは予算がないから当分給与が払えないというような場合にどうするか、この問題は現在もあるわけであります。現在自治体警察におきまして、この公平委員会あるいは人事委員会から指示を受けるのは、任命権者でありますから、自治体警察本部長だと思いますが、しかしそこで俸給の遅配が起つた、あるいは条例改正されて非常に悪くなつたという場合に、はたして地方の公平委員会で不当処分として任命権者に指示ができるのかどうか私は疑問に思いますが、もしできるといたしましても、現在ではいかんともやりようがない。予算を提案をいたしますのは市長であり、これを議決するのは市会であります。それが市会の議決を得られなかつた、そういう場合に任命権者である市の警察本部長に、不当の状態を是正せよといつて、そういう指示が出せるものか出せないものか。私は条例できめられたその範囲内において行つているのを、個々の職員に対して不利益な処分をしたという場合に、その不利益の処分の是正を要求されるものだと考えるのであります。今度これが府県警察になりましても、その点は同様でありまして、そうして警察本部長が地方公務員でありますと国家公務員でありますといずれであるとを問わず、地方人事委員会あるいは公平委員会から、地方公務員法第五十条の規定従つて指示されました場合、これに従わなかつた場合には六十条によつて罰則で処罰をされる、そのように相なるのでございます。
  190. 床次徳二

    床次委員 ただいまの御答弁大体了解いたしましたが、問題は「都道府県は、政会に定める基準に従い」ということが入つているが、いかなる政令をつくられるかということが、今委員各位の問題だと思います。この政令において従来の差額調整ということが不可能な場合というか、比較的低い基準でもつて差額調整をされるというようなことがあるとすれば、これは条例そのものによつて相当不利益を受けるのではないかという結果になります。従つていかなる政令を出されるかということについて大体試案があればこれを氷されることが、この際議論を解決するゆえんだろうと思います。この点に関してひとつ御答弁をお願いいたします。
  191. 斎藤昇

    ○斎藤(昇)政府委員 この政令におきましては、いつの現実の給与を押えるか、何月何日現在を押えるかということが一つと、それから差額全額であるかどうか、この二点だと考えます。前者につきましてはできるだけ、この法案が幸いに通過をいたして七月一日から施行ということになりますれば、六月三十日現在を押えたい、かように考えておりますが、もしこれを見越してこの以前に給与を非常に高く上げるというような例が二、三起つて来れば、その弊害の起らないときにいたしたいとかように考えております。それから給与の差額を全額であるかどうかということでありますが、私どものただいまの原案といたしましては、原則としては全額、ただ異例に高い、たとえば警察長等二、三の幹部が一般都道府県できめる基準の二倍、三倍という異例に高いというものは、これはそこまで若干チエツクをしてもやむを得ないのじやないだろうか、かような程度で考えております。財源といたしましては、ほとんど全部の差額が支給できるだけの財源措置自治庁の方で見てあるのであります。
  192. 加藤精三

    ○加藤(精)委員 すでに国警長官から御説明がありましたように、附則第十五項は義務規定でありまして、条例でその県で金の都合か何かで低い基準をきめていいとかなんとかいう問題じやないので、この国の差額支給の観念に従つて、必ず計上しなければならぬのでありまして、何も私は問題がないと思うのであります。しかも従来の実績にかんがみまして、警察官の待遇はその改善競争をやつてつて、どうもあまり高くなり過ぎて、各自治体などはそれで悲鳴を上げているのが現状じやないですか。特に横路先生のおられる北海道あたりはべらぼうに上げておつて、上げ過ぎの心配があるのですが、どうも下げ過ぎの心配をされるということは実情から見てきわめておかしいと思うのです。しかもこの地方公務員法の第五条には、必ずこの条例を知事が法律従つて定めなければならぬことになつておるのであつて、新警察法の第五十五条や附則十五項はその該当の条項である。もしそういうことを府県知事が提案しない場合におきましては、この監督規定までちやんと準備されている。そういう状況におきまして、何も好んで法律違反を各府県ともやるわけはない。しかもこれは国の公務員が地方公務員となるのは不愉快だから、あまり忠実にやらないであろうというかのごとき口吻が、御質問者の中にあるのじやないかと思うのですが、これはとんでもないことでありまして、その点は法律構成からおかしいというようないろいろな御論議がありましたけれども、これは形式論でありまして、どこまでも都道府県公安委員会が従来の運営管理のほかに、今度は行政管理までやるのであります。その警察本部長はその下の部局であります。ことごとくこの警察法には明らかにこの都道府県警察は、都道府県公安委員会が管理する旨の規定もあります。そうして警察官の人事をやります場合は、それぞれ都道府県公安委員会の意見を聞いて人事をやり、行政管理をやるのでありまして、そこに何らの心配はないのであります。どうも事実あり得べからざることを故意に非常に強調される。もしあるにしてもきわめてまれなことを非常に強調されて、いたずらに社会に不安をもたらし、いたずらに国家警察と自治警察の両陣営の間に感情上の摩擦を生ぜしめることは、私は非常に考うべきことだと思つておるのであります。なお法律構成の問題につきまして、(「討論じやない、質問だよ。」と呼ぶ者あり)その質問に対して、その前提となる事柄を述べただけのことでありまして、その意味においてしばらく御清聴を願いたいと思います。それをもしそういうような給与をしないということでございましたら、条例制定の問題にも関連し、その怠慢が責めらるべきでありまするけれども、また一面自治体警察よりもはるかに多くの単位費用を計算いたしまして、潤沢に地方交付税を出すのでありまして、もし地方交付税を十分にもらつて、これを支給しないのであるならば、これはまさしく補助金の詐取であります。そういう点から見ても、どう考えても条理あり得べからざることを、いかにも問題にしてひんぴんと起るであろうというような声を出して、いたずらに社会不安を増し、国家警察地方警察の間の感情の尖鋭化することを結果するがごきは、われわれは国家に忠実なる政治家としてとらざるところと考えるのであります。  なおたびたび申している中に入らないのでありますが、この点について御質問をいたしたいのでありますが、すでに現行の警察法におきまして都道府県公安委員会というものは、これは一種の都道府県の機関であろうと思うのであります。すなわち公安委員会委員というものは、すでに府県の公務員であると思います。府県の公務員が国家公務員の運営管理をやつている。そういうような現行法こそ奇妙なものだと思つている。そういう奇妙な問題を論ぜずして―今度の警察本部長は、その法律構成として明らかに府県の機関である府県公安委員会のもとにおいての府県の機関であります。そうしてその府県の機関が府県の機関のもとにある警察官を任命して行く。これはどこにもおかしいところがない。しかも国家公務員と地方公務員との関係でございますが、これは多分に警察事務そのものが隣保輯睦の普通の公共事務とは違うのであります。その地帯に水道をつくるとか、病院をつくるとかいうのとわけが違うのでありまして、行政事務であることは田上教授の申される通りであります。すでにきようの会議におきまして門司委員警察の活動、警察の作用そのものには立ち人つているわけでもないけれども人事や規律の法律構成がおかしい、こうおつしやる。これは行政管理と運営管理ということで、特に前から問題になつているところでありまして、行政管理、運営管理という言葉では、どうしてもそこの法律構成がうまく説明ができないので、今度は行政管理というような言葉を省かれたようでありますが、実際上の問題として警察活動そのものは、たとえば工場におきましては商品を生産する過程そのもので、自治体警察としてはこれに任じているのでありますが、都道府県会安委員会そのものはこれを運営管理しているのでありまして、そこには立ち人つていない、立ち入る場合には例外として五条にあるような場合、たとえば内乱、騒擾、それから天災地変の全国的な場合だけについて立ち入るのでありまして、一般にはどこまでも府県自治体として府県自治警察の実をあげるのでありまして、男も女も問題はないのでありまして、そういう意味では完全に女なのであります。ある部分だけが男なのである。そういう建前であります。これがそういう建前にしたくないなら別ですけれども、われわれ地方行政に任ずるものはどこまでもそういう建前にして行くように助力すべきであるのであります。そういう警察活動、警察作用そのもの、たとえばそれを行政管理という言葉より、工場の生産そのもののような、門司さんの言われる、いわゆる警察活動、警察作用そのものは、これは実際に地方行政団体でやる。しかしながら工場で言えば物を生産することから離れて、品質のいい悪いを検査するとか、人事、会計とかいうものは、また別にこれは一つの管理系統があつてもさしつかえないのでありまして、生産行為そのものには関係ない。そういう点は地方機関中に国家公務員を置いてやつてもいいし、あるいはその系統で指導してもいいというお考えで、基準を示してもいいということで行くのでありまして、どうも法律構成としてはいささかもおかしいところがない、こういうように感ずるのでございますが、国警長官の御所見を伺いたい。
  193. 斎藤昇

    ○斎藤(昇)政府委員 ただいまの加藤委員の御所見は、かねがね法務大臣その他の大臣、またわれわれども説明を申し上げておる通りでございまして、まつたく同感でございます。法律構成といたしましては何ら矛盾撞着はないと考えております。先ほどの附則の十五項の条例の定めるところによつて支給するものとすると申しますのも、これは府県地方自治体でございますから、従つてどうしても条例府県が支給するというその意思は表明をされなければならないのでありますが、しかし支給するものとするということは、条例でその通り支給をされるという法律上の義務はあるだろうと私は思つております。ただ先ほども申しますように、この条例を政令の定める基準に従つて定めないというような場合において、これをどう是正するか、この是正があまり行き過ぎますと、自治団体に対する干渉ということに相なるわけでありますから、現在といたしましては現行法自治体に対する国の監督という程度で、やむを得ないと考えておるのであります。警察署をどこに設けるか、幾つ設けるか、すべてこれらも条例でありまして、そういう条例をつくらない、あるいは不当につくられたという場合におきましても、現在としては是正の規定がないのであります。現在といたしましては地方公共団体というものが、法律の条文なりまたその趣旨を十分理解され、これに従つて運営をされるものという前提のもとに立つておるのであります。この前提を否認いたしますならば、今日の自治体というものを相手にいたしました国の仕事は全然成り立たぬ、かように相なるのでありまして、この点は御趣旨の通りであります。
  194. 北山愛郎

    北山委員 加藤警察庁政務次官の御意見を拝聴して一言申し上げたいのでありますが、時間もないようでありますから人事官にお伺いいたします。これは私どもこの新しい警察法を見ます場合に、やはり中央集権的にこの権力を中央に集中しておるという点は、これは疑いを入れないのであります。このような警察権力というものを中央集権にするということによつて起る弊害を少くすることができるというためには、警察官の民主的な訓練といいますか、教養といいますか、そういうものが相当のレベルに達しておらなければならぬ、こういう点からお尋ねするのですが、現在の国家公安委員会あるいは国家警察というものの中に、その組織あるいは活動の中に非民主的なものがあるのではないか、例を申し上げるのですが、ここに国家公安委員会が規則としてきめた国家地方警察基本規程というものがあるのです。その中に第七十四条に、警察官が厳格に守らなければならぬといういろいろな事項が書いてあります。その第十一のところに警察職員の義務として「勤務の内外を問わず、みだりに宗教的父は政治的議論をすることを避けなければならない。」こう書いてある。これは国家公務員法やあるいは人事院規則で定めておる政治活動の制限というものから少し行き過ぎておるのではないか、「職務の内外を問わず、みだりに宗教的又は政治的議論をすることを避けなければならない。」そうしてこれを警察官は厳格に守らなければならぬということが、この基本規程の中にあるわけです。これは憲法の第二十条の信仰の自由、二十一条の言論の自由というものを不当に制限しているのじやないか、かように考えるのですが、入江人事官の御意見を承りたい。
  195. 入江誠一郎

    ○入江政府委員 実はただいまのお話の要綱も初めて聞きましたが、おのおの国家公務員の一つの職域におきましては、職域の目的によつておのずからそこに服務の要請すべきものがございますわけです。従つてこの警察というものが特定の目的を持つております関係上、こういうふうな規程を設けることが職責の遂行上必要であるという場合においては、別段さしつかえないものであります。
  196. 北山愛郎

    北山委員 しかしこの公務員の政治活動の制限というものは、例の規則でもつて大体こまかく列挙されておるわけです。その中にはこのような行き過ぎたものはないわけなのです。勤務の内外を問わず宗教的なあるいは政治的な議論をすることは避けなければならぬということは、これは公務員という特殊な地位を考えましてもさらに行き過ぎておるのだ。一般の国民に対する憲法上の基本的な自由というものを不当に制限しているのじやないか、一体それぞれの職域によつてこういう宗教的な議論であるとか、あるいは政治的た議論をすることを制限してさしつかえないのですか。
  197. 入江誠一郎

    ○入江政府委員 御存じの通り一般の国家公務員の政治活動の禁止につきましては一つの建前があるわけでございますが、警察官につきましてはいろいろな労働基本権その他につきましてもまた特定な制限がありますように、やはり公務員の行動につきましてはその職域によりまして職域の一つの目的な違成するために制限を加える必要がある場合はあり得ると思います。警察当局におきまして警察官の職責を尽す上において、この要綱を守る必要があると認めておると信じますので、人事院といたしましてもこれが不適当とは考えませんです。
  198. 北山愛郎

    北山委員 しかしその認定は、とにかく憲法に許されておる基本的な自由というものを制限するには、少くともやはり法律か何かでもつてはつきりときめなければならぬ、だから人事院規則においても国家公務員法に基いて人事院規則でもつて非常に具体的に列挙してその制限をしておるわけなのです。ところがこれは単なる国家公安委員会の規則なのです。だからそれぞれの行政機関におきまして、それぞれおれの方はこういう都合上必要であるといつて、そうして公務員に対して国家公務員法にないような、あるいは人事院規則にないような制限をどんどんやつていいのですか。人事院はそんな考え方でおつていいのですか。
  199. 入江誠一郎

    ○入江政府委員 御存じのごとく一般の国家公務員につきましても、それぞれの個人の基本権は当然保障されるべきものでございますが、国家公務員の一つ公共性と申しますか、一般の国民に奉仕するという立場から、やはり特定の公共的目的によりまして基本権が制限されることはこれはあり得るわけであります。その程度は職域によりましておのおの異にするわけでございまして、警察官がみだりに一つの行動をすることが警察目的を速成する上において不適当であり、これが全体の奉仕者としての警察官の職責に支障が起る場合におきましては、別段憲法違反にもならないと思います。
  200. 北山愛郎

    北山委員 どうも奇態なことを承るのですが、とにかく憲法に記載されておる国民の基本的な人権あるいは自由というものは、ある場合には法律によつてすらも、これは憲法違反になる場合がある。法律できめたからさしつかえないということも言えない。いわんや各行政官庁が、その機関の中の規則あるいは命令でもつて、そういう憲法によつて与えられておる権利を職務の都合によつてどんどん制限していいというふうなお考えは、完全に間違つた考えであると思うのですが、かんじんの公務員の身分なり権利を守るためにある人事官がそんな考え方では、まるきり私どもは納得が行かない。重ねてお伺いしますが、そうしますと、警察官に限らず、どこの職域でも国家公務員法ないしは人事院規則、そういう法律以外に職域の行政機関の長なり何なりの機関のかつてな考えによつて、憲法にきめられておる国民の権利あるいは自由を制限していいという解釈ですか。
  201. 入江誠一郎

    ○入江政府委員 私ども警察行政の内容は十分存じませんけれどもお話のごとく現在憲法上認められておりますところの個人の基本権は、特別に尊重しなければならぬことはもちろんであります。問題は警察行政の目的を達する、つまり全体の奉仕者としての警察公務員として、この程度の制限を適当とするかどうかの問題でございまして、やはり全体の奉仕者としての職責を遂行する上においてどうしても必要であるとすれば、この兼ね合いの問題としてやむを得ないと思います。
  202. 北山愛郎

    北山委員 一体必要であるかないかという問題はだれが判定するのですか。行政機関の長なり、そういう機関の中でかつてに判定して、これは必要だといつて制限してもいいのですか。問題はそれをはつきり法律でもつてきめなければならぬというので、国家公務員法なり人事院規則がつくられておる。もしもかつてに行政機関がきめていいということになれば、あんな人事院規則なんかいらない。それぞれのところでかつてに自分の見解できめてもいい―こういうことはどこで有権的にきめ得るかという問題とも関連して来るのです。  この御答弁には私どもはなはだしく予想を裏切るものがあるのですが、なおその次に、第十二にこういうことまである。「職務上必要がある場合の外、いかがわしい人と交際し、又はいかがわしい場所に立入つてはならない。」これも常識的に考えればもつともであろうと思うのですけれども、これは国警長官に、今の十一の政治的あるいは宗教的な議論を制限しているということと関連して一緒にお伺いしますが、一体こういうことはどういう場合をさすのか。たとえば中川とか長谷川というようなりつぱな料亭でなくても、料理屋というようなところで被疑者に関係のある者と一緒に酒を飲むとか冷たいものを飲むという場合には、この第十二に該当するわけですか。十一の問題についても、これが適当であるかどうかお伺いしたい。
  203. 斎藤昇

    ○斎藤(昇)政府委員 十一の方は、これは宗教的、政治的議論をあまりに高調すると、警察官といたしましては、警察権を持つておりますから、他人の宗教の信条とか、あるいは政治的な自由というものにまで不当に悪い影響を与えるおそれがある。これは非常によろしくない。従つて憲法で保障されております宗教、政治の自由を保障するために、警察官としては特にその点は慎んでもらわなければならぬという趣旨でございまして、この規定の用語も、みだりに、しかもそういうことは避けねばならぬというふうに、用意周到に書いてございます。いかがわしい場所に立ち入つてはならぬというのは、これは常識判断でございますが、いわゆる赤線、青線というようなところにみだりに立ち入るようなことは、やはり警察官としての品位をそこなりから、そういうことのないようにという注意の規定でございます。
  204. 西村力弥

    西村(力)委員 床次委員の先ほどの質問関連して一点だけ質問をいたしたいのですが、その前に、先ほど加藤委員の発言をずつと傾聴しておつたのでございますけれども、あなたの仰せられるところは、警察は人民の触れるべきことじやない、こういうことを意味するようなぐあいに発言があつたのです。俸給そのほかの問題について、警察官に限つてわれわれがそれを云々することは不届きしごくだというように聞える。それでは人民のコントロールということはどこにもない。民主警察なんというものは全然ありはしない。こんなことを、あなた自身がはつきりと語るに落ちる立場を表明しておる、こういうぐあいに思われる。  そんなことは別問題として、先ほど床次委員質問なさいました差額の問題ですね、これは全額やりたいという長官の御答弁でありましたが、そうやつてつて、その後昇給とかさまざまの問題において絶対に差別的な措置はしない―つまり、一方は俸給だけ、一方はその俸給と手当、こうなつて、同じ警察内で実質的には待遇の差異が出ているのですが、その差異を埋めるために、一方はスピードを上げるとか、一方はストップしておくとか、そういうことを全然しないという言明と、そういう法律的な裏づけをお示し願いたい。
  205. 斎藤昇

    ○斎藤(昇)政府委員 この府県警察ができましたならば、給与条例府県条例でできます。その条例に基いて各警察官―国家地方警察から入りましたものも、自治体警察から入りましたものも、格付が行われる。そこで、今までもらつてつた給与よりも低く格付をされるという場合には、その差額を本俸のほかに給与する。その格付される本俸は、国家地方警察から参りましたものも、自治体警察から参りましたものも同一の基準で格付されるわけでありますから、これが昇任も同一の基準によつて昇任をして行くわけで、自警から来たものと国家地方警察から入つたものとの間に、どちらが早くなりどちらが遅くなるということは考えられないのであります。差額給与をもらつておる人は、たとえば一万円もらつてつて、俸給が、入つて来て格付をせられたときよりも、さらに三千円上つたということになりますと、一万円の差額給与をもらつていたものが七千円になる、本俸が上ればそれだけ差額給与が減るという形にはなるわけでありますが、本俸自身の上り方は何ら差別はございません。
  206. 中井一夫

    中井委員長 本日はこれをもつて散会いたします。     午後五時三十分散会      ――――◇―――――