○
中井(徳)
委員 私日本社会党を代表しまして、ただいま議題にな
つております
政府の
原案に
反対をいたし、また改進党の
床次さんほか三名から出されました
修正案につきましては、どうも途中までは大いに同調したいと思
つて、実は努力をいたしたのでありますが、はなはだ残念ではありましたが、
入場税を
地方税にそのまま置く、及びこれに関連するもの以外には
反対せざるを得ないという
立場になりました。以下簡単にその
理由を申し上げます。
本
年度の
政府の
予算の組み方を拝見をいたしますると、一兆
予算という形において、国の
予算は極力圧縮をしたということで、今回デフレ
予算を組んだと言われておりますが、国民経済全般からいたしますと、デフレ
予算であるか、どうかということは、
地方財政と国の
予算と両方あわせ考えなければ意味がないのであります。その意味から申しまして、今回
政府の出された
原案におきましては、国は一兆でも二割押えたが、
地方財政の方としましては、新しく
府県や
市町村において税を設けるとか、あるいはこれまでの
税額を実質上増税に導くとかいうような形をなしております。私どもといえども、現在の日本の
地方財政は非常に困難にな
つておるから、これを何とか救わなくてはいかぬということについては、もちろんもとより賛成なのでありますが、かような形においてなされるという点において、どうも
政府の言
つておられることは、羊頭を掲げて狗肉を売
つておるというふうな感じがしてならないのである。
従つてこの点を基本にいたしまして、先般来いろいろと
質疑をいたしました結果、やはり私どもはそのことが明らかに
なつたと思わざるを得ないのであります。
以下私は各税目その他を追いまして、その
反対の
理由を申し述べてみたいと思うのであります。
まず第一に
道府県民税であります。今回
政府の出されました
道府県民税は、その内容を調べてみますと、これまでありました
市町村民税のピンを四分の一ほどはねまして、これを都
道府県にやろうというのであります。一応はああそうかいなと思うのでありますが、よく考えてみますと、現在日本の都
道府県というものは、自治体の形よりも、ほとんど国の出先機関としての
性格が毎年々々強くな
つております。
従つてや
つております仕事は
市町村を育成するとか、監督するとかいうことよりも、国の下請の仕事の方が非常に多いのであります。現に先ほども北山先生からお話がありましたように、知事の官選論なんかが出ておるのも、おそらくそういうことから出ておることだと思うのでありますが、その推移からいたしますると、この
道府県民税というものはあくまで
国税から譲
つてもらうべきものであ
つて、現在の
市町村はちつとも余裕があるわけではないのでありますから、その四分の一ほどとろうというのは、大筋において私は間違つた考え方であろう、かように思うのであります。ことにその内容を見ますと、いろいろ問題はありますが、たとえば
均等割におきまして、私どもの門司
委員から強く指摘いたしましたように、
均等割は現在におきまして、大都市におきましては金額が多いのであります。
町村におきましては全額が少い。七百円から三百円の間にな
つておりますが、それから一律に百円ずつ
府県民税にかえるということになりますと、この面から見まして貧弱な
町村の
道府県民税への移譲の額が非常にふえて来るというふうな矛盾をここに暴露をいたしておると思わざるを得ないのであります。
第三で、この点で特に私どもが不愉快に感じますのは、この
道府県民税の実際の徴収の事務をやりますのは、
市町村でありますが、これに対する手数料と申しますか、徴税費と申しますか、これはきわめて少いのであります。わずかに二分五厘であります。そうして徴税令書一通について三十円というような数字にな
つておる。一方先般来問題にな
つておりまする
入場税につきましては、手数料が一割というのであります。四倍であります。しかも手数はどちらがかかるか、
道府県民税の方がかかるのは、これは明々白々であります。かような考え方におきまして、現
政府の考えておりますことはどうも弱い若いじめであるというふうな、非常にか
つてな、大蔵官僚のまことに独断的な考え方が、こういう面にまでどんどんと浸透をして来ておるということを、私どもは指摘いたしたいと思うのであります。少くとも
入場税国税移管によ
つて、税務署が一割必要とするならば、
市町村におきましても、徴税費は一割とるのがあたりまえであらうと私は思う。実際はこの逆でありまして、
道府県民税の徴収については事務が非常に煩瑣であります。これがまつたく逆な面に出ておるということにおきまして、今回の
改正案はきわめてずさんであるといわなければならぬと私は考えるのであります。
第二に、
事業税の問題に移りますが、附加価値税を
廃止をすることについては、私どもも賛成であります。しかし実際はここ二、三年行われなかつたのであります。そうして
事業税につきましては、今日日本の税金の中で一番非難の多いのは
事業税である。いわゆる天下の悪税と言われるものをあけてみろということになると、まず
事業税ということになります。しかもそのうちのどの点が悪いかということになると、
個人企業家に対する
個人事業税であります。この点は国民全般のよく知
つておるところであります。
政府におかれても、この点についてもつと何とか抜本的な施策を講ずべき時期に来ておると私は思う。にもかかわりませず、わずかに
基礎控除を一万円上げるとかいうような程度であります。改進党はこの点におきまして十万円に
基礎控除をしろということを言われておりますが、本
年度は
財源の関係で七万円ということにな
つておる。私どもの考え方は、これが問題になりますのは、
個人企業の皆さんのいわゆる人件費を考えないことにあるのである。今や全国に脱税
法人が雨後のたけのこのごとく生れております。
従つて私どもは少くとも月に二万円程度の人件費をこれから控除をしなくちやいかぬ。
従つて社会党は二十四万円の
基礎控除を言
つております。二十四万円と言いますと、そんなにたくさんしてどうなるかというふうな声が多いのでありますが、私どもは
所得税におきましても二、三年前から二十万円の
基礎控除を叫んで参りました。とろとうことしはそういうふうに
なつたではありませんか。この点は私どもは強く将来にわた
つて要求をしなければならぬと思
つておりまして、現在のような
政府のなまぬるい対策では、とうてい賛成がいたしかねるのであります。この点につきまして改進党の
修正案は少し上つたのでありますから、私どもはもう少し上つたならば、ひとつ賛成をしようじやないかと言
つておつたのでありますが、残念ながら折合いがつかなかつた。それからさらにこれに関連しまして五十万円以下の
法人についての特別の
措置をしております。これはひとつ撤廃をすべきであるということを私どもは主張いたしました。改進党の
修正案におきましても、一時はそういう案も出たのでありまして、非常に嵩んでおりましたが、最終案におきましては、やはりだめだということになりました。この点も私ども非常に残念に考えるものであります。
時間がありませんから、こまかいところは飛ばして参りますが、その次の
不動産取得税であります。こういう新税を設けるというこのこと自体が、私ども実はあまり賛成をいたしかねます。取引高税的な
性格あるいは附加価価税的な
性格でありまして、新しいものがまた生れる。こういうものは戦時中の
特例であるべきものでありますが、それがさらに出て来たという点において、こういう面にまで税金をとるならば、私は株式の売買などについてもとつたらどうかというふうな考え方をいたしておるものであります。
次に第五の
市町村民税について申し上げてみたいと思います。この点については、現在の全国の
市町村の
市町村民税のとり方を見ておりますと、三つの方式があります。そうしてオプシヨン・ワン・ツー・スリーとありまして、そのどちらをと
つてもいいということにな
つておりますが、過去の統計によりますと、おのずからこの間にランクができてしまいまして、大都市においては百分の十八というのを、オプシヨン・ワンを使
つておる。中小都市において、あるいは
町村に至
つてはほとんどオプシヨン・・ツーとかスリーとかいうようなことにな
つて、固定をいたしております。このことは私非常に重要な問題であろうかと思うのであります。
政府は今回
地方税制の
改正にあたりまして、ここに目をつけられなかつたという点において、大いに残念に考えておる次第であります。
第六の
固定資産税について申し上げます。
固定資産税につきましては、今回は率として少し下りました。私どもはまことにけつこうだと考えておりました。ところが、実際の行政の
措置におきまして、全国の
市町村に向
つて政府から通牒を出されたらしくて、
土地や家屋につきましては、昨
年度よりも評価を二割増してもいいとか、三割でもいいとかいうような通牒を出しておられるやに実は伺
つております。これがもし真実なりといたしますと、いくら
税率を下げましても、百日の説法へ
一つであります。しかもここで非常に問題になりましたのは
固定資産の
特例のことであります。先ほども他の議員さんからもお話がありました発電所の関係、あるいは
地方鉄道の関係、あるいは企業合理化促進法に基く関係、あるいは船舶に対する関係、あるいは航空に対する関係、私どもは
趣旨におきましてはあるいはこういうものもわからぬではありませんが、最近、先ほど申しましたように各
個人々々の
土地や建物につきましては、毎年々々評価を上げておるにもかかわりませず、こういう特殊産業につきましては、たとえば電力につきまして電力料金の値上げに影響があるから、こういうものを特に下げろというふうな考え方、一応いいようでありますが、それはあくまで国の税金において片をつけるべきであ
つて、さようなものを
地方税に持ち込むのは第一
原則として筋違いである。第二に発電所関係のものについて計算をいたしました。今回のこれをもし下げないで、
現行通りとすればどれだけ料金に影響があるかという計算をいたしましたところが、千円のものがわずかに千二円になるだけであります。今回電力社会が申し出ております一割などというものには、はなはだ縁の遠い、きわめてわずかな金額であります。しかも船舶とかあるいは地下鉄の問題に至りましては、今や疑獄のまつ最中であります。かような際に、これは総計にして二十億ばかりの税金でありますが、私は
政府があつかましくもまた下げようという案を出されたという、この政治的な道義心を実は疑
つておるのであります。
従つて小
委員会におきましては、このことを強くわれわれは主張いたしました。
従つて改進党の案は多少は遠慮をいたしまして、過去にはさかのぼらないというふうにはなりましたけれども、依然として昨年
通りということにはな
つておりません。これによりまして二十数億の税金をわれわれは失うのであります。しかも実際計算をいたしますと、ほとんど大したことはない。ことに地下鉄の問題について私がお尋ねいたしましたところが、三百万円か九百万円の減税になるといいまして、そのあくる月に地下鉄総裁は召喚され留置されております。かような際にこういうものを出すべきじやない、潔くこういうものは撤回されるべきものである。私は議会政治の名誉のために大きく叫けびたい、かように考える次第でございます。
あと大きな
固定資産につきまして、
町村の分を県に取上げるというふうな考えもありました。このことにつきましては
趣旨としては私どもは賛成であります。やり方において多少問題はあると思いますが本日はそれに触れないでおきたいと思います。
次に
タバコ消費税についてであります。
地方制度調査会がやかましく取上げましたのは、この
タバコ消費税の問題でありまして、このことについて、
政府はお取上げに
なつたことについては私どもは賛意を表するが、実は名前を与えただけで、と
つておりません。百分の二十、百分の十の
税率でありましたのを百分の十、百分の五に最初いたし、それも専売公社の横やりでも
つて百十五分の十だとか、百十五分の五だとか、まことにわかりにくい
税率を出して参りました。百十五分の十というのをわれわれが計算いたしますと、百分の八・七になります。ちやんと一・三さばを読まれておりますが、かようなものをせめて百分の十五にするだけでも
つて、現在の
入場税をあつちに持
つて行くの、こつちに持
つて行くのというふうなものは、ほとんど私は解決されるのではないかとさえ思うのであります。このような小細工の法案はもうわれわれは断じて賛成いたしかねるのであります。
地方制度調査会の
答申をおとりになるならば、これは率もよほど考えていただかなければならぬ。名前だけはと
つて率は半分であるというのでは、ほとんど問題になりません。
その次に、小さな問題でありますが、
自動車税の問題であります。これは金額は小さいようでありますが、私は思想として断じて承服できないのであります。
自動車税につきましては、昨年も値上げをいたしました。そして本年はさらにガソリン税も上げております。一方先ほど申し上げましたように全国の電気軌道、私鉄などにつきましては
固定資産税の計算において全国まとめまして自治庁がやる。その値段は時価に比べて非常に低い、帳簿
価格とあまり違わない、六十何パーセントだという話を伺いましたけれども、その帳簿
価格自体が再評価をいたしてありませんから非常に低いのであります。同じ交通
事業であります。今や世界各国とも鉄道から自動車へという転換時期にありますにもかかわりませず、
自動車税につきましては毎年々々上るというふうなこと、ことしもさらに五割程度価上げになるということでありますが、かような思想の不統一な考え方、とれそうなものはどつからでもとれというような考え方、これは断じて承服はできません。改進党の
修正案はこの点においてさすがに考えておられましたけれども、私どもはもう少し現状のままで行くのがほんとうの考え方ではなかろうか、かように考える次第であります。
狩猟者税につきましては改進党の
修正案はまことにけつこうでありまして、これはこれまでや
つておられましたのとあまりかわりません。非常にけつこうだと存じます。
最後に
自転車荷車税であります。これも私どもは絶えず主張いたしましたように、現在の
地方財政の
税収入総計三千五百億、その中で
自転車荷車税はわずか三十五億であります。今や自転車は農民にと
つても中小企業者にとりましてもまつたく足にな
つている。商人の天びん棒といわざるを得ないということを私は申しましたが、そうな
つております。しかもわずかに三十五億で、これをとりますのに
市町村が非常に難渋をいたしておる。かようなものこそ、かような大衆的な税金こそ早く撤廃をすべきものである、われわれはかように考える次第であります。
以上各税目にわたりまして簡単に
反対の
理由を申し上げましたが、要するに私どもの考え方は、税を改めるならばもう少し慎重にや
つていただきたい、全国の
府県市町村また国民大衆は毎年々々ちよこちよこと
税率をかえられまして、今年は一体幾ら税金を納めたらいいのかというような
予算が、全然立たない現在におきましても、
府県市町村は前
年度の税制でや
つております。これが曲りなりにも変な形で何とか
通りますと、またそれから
修正をやるというようなこと、しかもすつきりした形が出ておらない。うちに入
つてみますと、大衆のための税金は依然としてそのまま残る。
入場税の問題にいたしましても、
遊興飲食税あるいは
パチンコというようなものは、ちよつと陳情がありますとまたひつ込める。今残
つておりますものは国民大衆の娯楽の最も
中心でありまする映画とか、演劇のみがんば
つておるというような非常に情ない改革の姿をここに見るのであります。そういう意味におきまして、はなはだ残念ではありますけれども、皆さんせつかくおつくりになりましたけれども、この
改正案には私どもは絶対に賛成はできない。また改進党の
修正案につきましては、申し上げましたように、ある面におきましては大いにけつこうでございますが、歩み寄りができなかつた
部分については、残念ながら
反対をせざるを得ないということを、はつきり申し上げまして私の討論を終りたいと存じます。(拍手)