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1954-04-07 第19回国会 衆議院 地方行政委員会 第40号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年四月七日(水曜日)     午後三時十九分開議  出席委員    委員長 中井 一夫君    理事 加藤 精三君 理事 佐藤 親弘君    理事 灘尾 弘吉君 理事 吉田 重延者    理事 鈴木 幹雄君 理事 西村 力弥君    理事 門司  亮君       生田 宏一君    木村 武雄君       前尾繁三郎君    三池  信君       山田 彌一君    山本 正一君       山本 友一君    川崎 秀二君       床次 徳二君    橋本 清吉君       北山 愛郎君    滝井 義高君       横路 節雄君    伊瀬幸太郎君       大石ヨシエ君    大矢 省三君       中井徳次郎君    池田正之輔君  出席国務大臣         国 務 大 臣 塚田十一郎君  出席政府委員         自治政務次官  青木  正君         自治庁次長   鈴木 俊一君         総理府事務官         (自治庁税務部         長)      奥野 誠亮君         大蔵政務次官  植木庚子郎君  委員外出席者         総理府事務官         (自治庁財政部         財政課長)   柴田  護君         大蔵事務官         (主計官)   鳩山威一郎君         専  門  員 有松  昇君         専  門  員 長橋 茂男君     ————————————— 四月七日  委員生田宏一君、木村武雄君、濱地文平君、阿  部五郎君、石村英雄君及び松永東辞任につき、  その補欠として山本正一君、山口喜久一郎君、  山田彌一君、横路節雄君、滝井義高君及び池田  正之輔君議長指名委員に選任された。 同日  委員山口喜久一郎辞任につき、その補欠とし  て木村武雄君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  地方税法の一部を改正する法律案内閣提出第  五六号)  入場譲与税法案内閣提出第六六号)     —————————————
  2. 中井一夫

    中井委員長 これより会議を開きます。  地方税法の一部を改正する法律案を議題といたします。この際地方税法改正に関する小委員長報告を求めます。小委員長灘尾弘吉君。
  3. 灘尾弘吉

    灘尾委員 先般地方税法の一部を改正する法律案につきまして小委員として御指名をいただいたわけであります。不肖私小委員長といたしましてその審議に携わつたわけでございますが、ここにその審議の経過について御報告申し上げたいと存じます。  小委員会に付託せられましてから、各委員の方々におかれましては、連日きわめて熱心に御審議願つたのであります。問題が重要な、しかも広汎にわたる議案でありまするので、その審議にもかなり時間を費したわけでありますが、この間いろいろ御意見もございましたが、私はここに各党から提出せられました意見についてまずもつて御披露申し上げたいと思うのであります。  今回の地方税法改正案に対する各党意見といたしまして、自由党はもちろん与党でございまするので、これは原案支持立場に立つことは当然のことであります。  改進党におかれましては、次のような意見の御提示があつたのであります。  一、市町村民税寡婦控除現行十万円から十二万円に引上げる。  二、事業税。1、個人事業税基礎控除を、七万円(昭和二十九年度に限り六万円)を、十万円(昭和二十九年度に限り七万円)とする。2、法人事業税所得五十万円までの部分現行にすえ置く。3、教科書供給事業及び新聞広告代理業現行通り非課税とする。4、運送業トラックバス事業外形標準調君を所得課税に改める。  三、不動産取得税住宅公庫または公益法人よりの取得する不動産については新築住宅取得に準ずる。  四、固定資産税。1、土地改良区及び土地改良連合非課税とする。2、農家の厩舎、畜舎、蚕舎堆肥舎非課税とする。3、大規模償却資産への市町村課税制限を若干緩和する。  五、自動車税、おおむね現在の税額範囲内にて次のごとく修正する。1、常業用乗用自動車は一万八千円を一万五千円とする。2、自家用トラックは三万三千円を二万四千円とする。3、軽油バスを二万三千円を二万一千円に、軽油観光貸切を五万円を四万五千円とする。  六、狩猟税。二千四百円を所得税納税額により一千八百円と三千六百円とする。  七、遊興飲食税。1、普通飲食の主食(すし等)を百二十円までを非課税とする。2、甘味喫茶は百円以下を非課税とする。3、普通宿泊政令の定めるところにより五百円ないし八百円とする。  八、入場税。1、国税移管を中止する。2、国税移管中止に伴う不足額タバコ消費税配分により調整する。3、第三種入場税パチンコ、麻雀、玉突等)を免許税のごとく改め、従来の税額はそのまま確保する。  以上が改進党の御提示にかかわる修正案であります。  次に社会党左派より提示せられました修正意見を御披露申し上げます。  道府県税。1、道府県民税廃止。(市町村にすえ置き)  2、事業税修正。(1)個人事業税基礎控除二十万円(または自家労賃「主人及び従事家族控除」)。(2)非課税範囲に次を加える。農協農協連合会教科書供給業新聞広告業。(3)次の項を削除する。第八十四条の四号(徴税吏員の質問に答えない場合の罰則)。  3、不動産収得税。(1)固定資産税の前取り的性格のものであるから原則的には反対。(2)修正の場合。(イ)公営住宅居住者に払い下げる場合は免税。(ロ)耐火建築免税点を百五十万円に引上げる。(ハ)既設住宅購入の場合は基礎控除を五十万円とする。  4、遊興飲食税。(1)大衆利用飲食店そば屋すし屋大衆喫茶等)の場合の飲食で一回百五十円までの飲食免税とする。(2)旅館宿泊の場合、二食付千五百円以下の宿泊の場合に限り五百円の基礎控除を行う。  5、タバコ消費税。百三十分の二十を道府県配分する。  6、自動車税税額を次の通り改正する。一、乗用車、普通自動車に属するもの、営業用軸距(前輪の車軸中心から後輪の車軸中心までの間の距離をいう。以下本号において同じ)が百二十インチ以下のもの年額一万四千円(原案一万八千円)。軸距が百二十インチを越えるもの年額二万円(原案三万円)。自家用軸距が百二十インチ以下のもの年額四万円(原案三万六千円)。軸距が百二十インチを越えるもの年額八万円(原案六万円)。四輪以上の小型自動車に属するもの、営業用年額四千二百円(原案八千円)。自家用年額一万円(原案一万六千円)。二、トラック揮発油燃料とするもの、年額一万四千円(原案通り)その他年額二万一千円(原案三万二千円)。三、バス、主として観光貸切用のもの、揮発油燃料とするもの年額二万五千円(原案三万円)その他年額四万円(原案五万円)。その他揮発油燃料とするもの年額一万四千円、その他年額二万一千円(原案二万三千円)。四、三輪の小型自動車年額二千八百円(原案四千二百円)。五、二輪の小型自動車年額一千四百円(原案二千五百円)。六、軽自動車年額七百円(原案一千七百円)。  7狩猟者税現行通りにもどす。すなわち業とするもの年額千八百円、それ以外のもの年額三千六百円。  8、入場税。(1)国税移管反対する。(2)入場税の第三種(マージャン、玉突パチンコ、ゴルフ)を法定する。  市町村税1、市町村民税(1)税率現行通りとする。(府県民税廃止伴つてその分は市町村民税に繰入れられる)。(2)給与所得者市町村民税軽減する。(税額からその百分の十五を控除して課税する。但し最高控除額二千百円にとどめる)。(3)未亡人控除を十五万に引上げる。  2、固定資産税。(1)地方軌道高速度交通営団、造船、航空等特別措置は全部廃止する。(2)田畑に対する固定資場税率を百分の一・〇(原案百分の一・五)とする。(3)非課税範囲土地改良区を加える。(4)(イ)大規模償却資産課税標準を次の通りとする。市町村の区分、金額。人口五千人未満町村三億円。人口五千人以上一万人未満町村、三億六千万円に人口千人を増すごとに六千万円を加算した額。人口一万人以上三万人未満市町村、三億三千万円に人口千人を増すごとに三千万円を加算した額。人口三万人以上の市町村、十二億円(当該規模償却資産価額の十分の二の額が十二億円を越えるときは当該規模償却資産価額の十分の二の額とする)。(ロ)関係町村配分する(現行三百九十一条を復活させる)。  3自転車荷車税廃止する。  4電気ガス税税率を百分の五(原案百分の十)に引下げる。  5木材引取税脱税防止措置をとる。  6市町村タバコ消費税、百三十分の十とする。  以上が社会会党左派の御意見であります。  次に社会党右派提示せられました御意見をごひろう申し上げます。一、(1)府県民税創設反対理由現行市町村民税中より一部をさいて府県民税にすることは反対する。個人人頭割を各階級公共団体から一体に百円を府県民税に徴収することは、町村に対する負担割合が多くなるから、市町村は今日より以上の税率となるから。  (2)事業税修正事業税外形標準課税を廃し、原則として純益課税とする。税率は百分の〇・六とし基礎控除個人にあつては二十四万円まで引上げる。事業税は可及的すみやかに撤廃の方向に持つて行く。  (3)遊興飲食税入場税修正遊興飲食税及び入場税現行通り地方税として存置する。但し、遊興飲食とを区別し飲食については高級飲食以外のものは課税の対象としないよう措置する。一回の飲食百五十円までは課税せず、一泊の宿料七百円までは課税しない。入場税については百分の五十、百分の三十百分の二十の三段階とする。以上の段階都道府県知事の認定による。  (4)不動産取得税修正使用者課税を削除する。  (5)市町村民税修正市町村民税勤労控除を百分の十五とし、前年度所得税の百分の十八を標準税率とし、百分の二十を制限税率とする。均等割現行通りとし世帯主に限り、法人割は百分の十八まで引上げる。  (6)固定資産税修正償却資産課税率は百分の〇・八とし、基礎控除は十万円とする(現行三万円)。なお一定基準額以上の大規模償却資産に対しては配分を合理化する。  (7)その他の税。(イ)自転車荷車税廃止。(ロ)市町村たばこ消費税修正。百十五分の五を百分の十として府県配分する。百十五分の十を百分の二十として市町村配分する。(ハ)木材引取税修正現行百分の五を百分の二に引下げる。(ニ)狩猟者税修正現行税法通りとする。もつぱら狩猟を業とする者には千八百円、スポーツ的な者は三千六百円。(ホ)自動車税修正。条文中納税証明書提示がなければ車体検査を施行しないという条項を削る。各種税額については修正する。(ヘ)電気ガス税修正。  (8)地方財政平衡交付金法廃止し、新たに(イ)所得税法人税、及び酒税の一定割合地方に交付する。その割合は総額の三〇%。  なお修正要項数字的内容がございますが、これは省略いたします。     —————————————     ————————————— 注といたしまして農林委員会からの申出についての御意見であります。  (1)農林漁業組合、同連合会等の所有する全部の固定資産について非課税とすること。  (2)農林漁業組合、同連合会等がその事業の用に供するため取得する不動産に対する不動産取得税は、すべてこれを非課税とすること。  (3)土地改良区、同連合会に対しては、不動産取得税並びに固定資産税を賦課しないよう明記すること。  (4)農林漁業組合、同連合会等に対する事業税非課税規定を存続すること。  (5)農山漁村電気導入促進法に基いて設ける発電施設に対しては、固定資産税を免除すること。以上であります。  なおこの審議の過程におきまして、他の常任委員会より申出のあつた点につきましてごひろう申し上げておきます。  第一は建設常任委員会からの申出であります。地方税法の一部を改正する法律案に対する修正案要綱。第一住宅購入した場合における不動産取得税課税標準特例。1第百十一条の十四第一項を修正して、個人自己居住の用に供する目的をもつて住宅購入した場合における不動産取得税課税標準算定については、一戸につき五十万円を価格から控除するものとすること。2第百十一条の十四第二項を修正して、自己居住の用に供する目的をもつて住宅購入した者が当該住宅購入後一年以内にその住宅と一構えとなるべき住宅購入した場合においては、前後の購入にかかる住宅をもつて一戸の住宅とみなして、不動産取得税課税標準算定につき五十万円を価格から控除するものとすること。  第二土地つき住宅購入した場合における土地についての不動産取得税課税標準特例。第百十一条の二十四第一項を修正して、個人自己居住の用に供する目的をもつて土地つき住宅購入した場合における当該土地取得に対する不動産取得税については、土地取得した者が当該土地取得した日から一年以内に当該土地の上に住宅を新築した場合と同様の減額規定を設けること。  第三新築小住宅における固定資産税課税標準特例。第三百四十九条の三の次に一条を設け、新たに建設された床面積の合計が二十坪以下の住宅共同住宅等にあつては、居住の用に供するために独立的に区画された一の部分床面積がいずれも二十坪以下のもの)に対して課する固定資産税課税標準は、当分の間、第三百四十九条の規定にかかわらず、当該固定資産に対して新たに固定資産税が課されることとなつ年度から五年度分の固定資産税については、当該固定資産価格賦課期日現在における固定資産課税台帳に登録された価格をいう。)の二分の一の額とするようにすること。以上であります。   次に農林常任委員会の方から申し出られました要望について申し上げます。  一、修正事百項。(一)農林漁業組合、同連合会等の所有する全部の固定資産について非課税とすること。(二)農林漁業組合連合会等がその事業の用に供するため取得する不動産に対する不動産取得税は、すべてこれを非課税とすること。(三)土地改良区、同連合会に対しては、不動産取得税並びに固定資産税を、賦課しないよう明記すること。(四)農林漁業組合、同連合会等に対する事業税非課税規定を存続すること。(五)農山漁村電気導入促進法に基いて設ける発電施設に対しては、固定資産税を免除すること。  二、附帯決議事項自治庁長官固定資産税に関する農地、農家等平均評価額算定するにあたつては、農林大臣と協議し、その適正を期すること。以上であります。  次に水陸常任委員会の方から申し越されました要望書について申し上げます。  水産業協同組合共済会は、水産業協同組合法第六章の二の規定により設立される非出資法人であつて、現在事業税等非課税となつている。しかるに、今回貴委員会において審議中の地方税法の一部を改正する法律案によれば、本共済会は、事業税においては、非出資組合である水産業協同組合として扱われていないとともに、道府県民税等においては、協同組合法による組合及び連合会に含められていないため、全面的に地方税課税されることになつている。よつて共済会の行う事業性格及び他の協同組合との取扱いの均衡にかんがみ、政府案修正して非課税の適用を受けられるように、貴委員会の特段の御配慮を得たく右要望する。以上であります。  小委員会におきましては、これら各党から御提出になりました御意見、並びに他の常任委員会から提出せられましたところの要望意見等につきましても、十分に検討いたしまして、いろいろ意見を交換いたしたわけでございますけれども、またできるならばこの小委員会におきまして一つのまとまつた修正意見でも成案を得ればというふうに考えまして各委員ともに非常に熱心に御審議をいただいたわけでございますけれども、遺憾ながら遂に一つのまとまつた意見をつくり上げることができなくて、結局今日まで成案を得るに至らないのでございます。  今日までの審議状況につきまして、まことに簡単でございますけれども以上御報告申し上げます。
  4. 中井一夫

    中井委員長 このまま暫時休憩いたします。     午後三時四十三分休憩      ————◇—————     午後三時四十五分開議
  5. 中井一夫

    中井委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  小委員長の御報告は終りました。本案につきましてはすでに一応質疑を終了いたしておりますが、これについて本案に対する質疑は終了してよろしゆうございますか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 中井一夫

    中井委員長 御異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。  ただいま地方税法の一部を改正する法律案に対しまして、床次徳二君外三名より修正案委員長手元提出されておりますので、その趣旨弁明を求めます。     —————————————     —————————————
  7. 床次徳二

    ○床次委員 お手元地方税法の一部を改正する法律案に対する修正案をお配りしてありますが、長くなりますので朗読は省略いたしまして、速記に記載をするよう手配をお願いしておきまして、簡単にその提案の理由を御説明申し上げたいと思うのであります。  まずその前に、われわれ政府の提案せられました地方税法に対しましていろいろの疑念を持つております。  第一点は、非常に地方財政の窮乏の折から、今回のごとき地方税法案が提案せられまして、著しく国の緊縮財政地方にしわ寄せしているのではないかという疑念を持つておる次第であります。御承知の通り九千九百九十五億の予算のうち、地方財政のわくは九千六百五十三億をきめられておりますが、そのうち地方税によりますものが三千四百七十四億になつておるのであります。しこうしてこの地方財政のわくというものは、地方制度調査会等答申におきまして述べられました三百億の増額ということに対しましては、その半額を考慮せられたにすぎないという状態なのであります。  第二点といたしまして考慮いたしたいことは、地方財政に対しましてでき得る限り自主財源を付与いたしたいということが多年の懸案でありましたが、今回提案せられました中におきましてはこの配慮がまことに不十分である。中央におきましては所得税法人税等軽減が行われておりますが、これに反して地方税の内部におきましては、従来の税をかえつて分割しておるのでありまして、府県民税が創設せられ、あるいは不動産取得税が創設せられたごとき地方税の内部において操作が行われておりまして、財源が中央から移譲されておらないという点において問題があると思うのであります。  第三点は偏在の是正でありますが、答申案等によりますならば、遊興飲食税入場税をもつて偏在是正をするがごとく答申せられておるのでありますが、本案におきましては遊興飲食税を除外いたしまして、入場税国税移管のみを行い、これによりまして偏在是正を考慮せられておるのでありまして、むしろ今日の地方財政の状況から見ますならば、義務教育国庫負担金等におきまして、偏在是正を考慮することも考慮すべきものではないかという点が問題になつておるのであります。  第四点といたしまして、今日地方は非常に窮乏に陥つておりまして、地方の赤字の消滅、財政再建整備等の問題があるのでありますが、政府におきましてはこれに対する考慮がなかつた、かような状態になつておるのであります。従つてこの税法につきましても相当抜本的な修正も行うべきでありますが、すでに予算も決定しておりますので、最も実現し得やすい範囲内におきまする修正であるということを、あらかじめ御了承おきをいただきたいと思うのであります。お手元修正案要項というものが配つてありますので、この要項の順序に従つて簡単に事柄のみを御説明申し上げたいと思います。  その第一は事業税に関してであります。  第一に、個人事業税基礎控除を、政府原案では七万円、昭和二十九年度に限り六万円とあるのを、昭和二十九年度より七万円とし、将来十万円に引上げるよう改めることであります。事業税における個人中小企業事業税負担法人のそれに比してはなはだしく過重であることは、一般に認められているところでありまして、近年、個人事業にして法人形態をとるものが続出し、そのため府県の税収を著しく減少せしめている事例が随所に見られるのであつて、いかにその負担がたえがたいものになつているかを如実に示しているのであります。今回の改正により、税率を三分の二程度に引上げ基礎控除を本年度六万円に引上げることとしても、同時に課税標準たる所得を原則的に所得税のそれに合せることとなる結果、実際上ほとんど軽減の効果を期待できない場合も出て来るのであります。とくに所得税非課税限度額以下の者については、負担の不均衡が生じやすいのでありまして、税務行政上からもこれらの低額所得者非課税とする方向が望ましいとされ、税制調査会答申もかような見地から、基礎控除二十九年度八万円、平年度十万円の線を出しているのであります。われわれはでき得れば一層根本的な検討を加えたいのでありますが、負担軽減方法については、専従者控除方法とか、免除点設置方法とか、なお種々考究すべき余地が残されているので、他の所得者との負担権衡の激変と、急激な税収減とを避けつつ、将来一層の軽減を期待する含みをもつて、ただいま申しましたような修正を加えることにいたしたのであります。  次に、第二といたしまして、水産協同組合共済会並びに政令で定める教科書供給業新聞広告取扱業及び教育映画製作業非課税範囲に加えることにいたしたことであります。このうち前の三者は、現行法ではいずれも非課税とされているものでありますが、今回の改正案におきましては、非課税整理という根本方針に基いて、その範囲から除外されたものであります。われわれも負担均衡立場から非課税整理の方針には賛成いたすものでありますが、これらの事業とほぼ同様な性格なり、立場なりにある他の若干の事業が、依然非課税として存置されていることにかんがみまして、また教科書供給及び広告の両事業は昨年の国会修正に際して、その公益性及び他との均衡上特にその妥当性が認識せられて、新たに非課税範囲に加えられたものでありまして、今ただちにこれを廃止することは法の威信からもいかがかというふうに考えましたので、修正いたさんとするものであります。  その第三は、輸出所得損金算入措置をとりやめることであります。今回の改正案におきましては、さきにも触れましたごとく、事業税課税標準たる所得については、原則として法人税あるいは所得税において決定したものによることに改正されるのでありますが、その結果、租税特別措置法規定によつて輸出関係業者に対し、所得計算上損金に算入することを認められている収入または所得一定割合が、自動的に課税標準から除外されることとなるのであります。もちろん輸出奨励趣旨を国税において取入れることは当然でありますが、地方税たる事業税にまでこれを及ぼすことにつきましては、今日の地方財政立場から見ましていかがかと存じまして、これを修正せんとするものであります。  次に修正の第二点は、不動産収得税に関してであります。  その一は、土地改良区及び土地改良連合が本来の事業の用に供する不動産取得する場合、これを非課税とすることであります。これは、この法人公法人的性格にかんがみまして、他の非課税団体との均衡をはかつたのにすぎないのであります。  その二は、公営住宅等入居者が、その居住する住宅の払下げを受けた場合は、住宅新築の場合に準じて負担緩和措置をとることであります。住宅払底の折から、住宅建築を阻害しない趣旨において、原案では、住宅新築の場合の基礎控除を認めているのでありますが、庶民の住宅事情緩和の趣旨からいうならば、あえて新築に限る必要はないのであります。ただこれを広く中古住宅取得にまで及ぼすことは、なお種々検討を要する問題がありますのでとりあえず、この範囲に限つて特例措置を認めようとするものであります。  修正の第三点は入場税でありますが、これは後刻に譲りまして、その次の遊興飲食税について申し上げたいと思います。  その第一は、政令で指定する大衆飲食店における一人一回百二十円以下の飲食非課税とすること。その二は、同じく政令で定める甘味喫茶店等における一人一回百円以下の喫茶等を非課税とすること。その三は、同じく政令で指定する地域における旅館での宿泊は、室付の部分につき四百円から七百円までの間で、政令の定めるところに従い、これを非課税とすることであります。現行法では、一及び二の場合につきましては、一括して一人一回の料金が百円以下で、かつ一品の価格が五十円以下となつているのでありますが、今日の物価水準から見まして、また大衆飲食の現状に照しまして、あまりにきゆうくつに過ぎると思われますのと、他面主として主食を供する場合を、甘味喫茶等を供する場合と区別することが合理的であると考えられますので、この修正を行わんとするものであります。三の旅館の宿泊につきましては、いわば家庭の延長とも考えられますので、遊興にわたることなく、またあまりに高級なものを除く意味におきまして、普通の宿泊を無税とする趣旨であります。  修正の第四点は、自動車税についてでありますが、これは車の種類や用途による負担能力を考慮しまして、トラックについて常業用、自家用の区別を設けたほか、税率を多少とも原案の線より軽減いたしまするが、税収におきましては予定を確保するようになつております。  修正の第五点は、狩猟者税についてでありますが、政府原案は、昨年の国会修正によつて設けられた、業とするものといなとによる税率の区分を廃止しているのでありますが、実施後一年に満たずして格別の理由もなく、早くもこれを改正することは不適当でありますので、これをとりやめ、ただ業者といなとの区分には問題もありますので、所得税の納税義務者たるといなとによる区分並びに農業を主たる生業とするものという区分に改めることにしたのであります。  修正の第六点は、市町村民税及び道府県民税につき、寡婦、老人等についての非課税範囲を、所得十万円以下とあるのを十二万円以下に改め、負担軽減をはからんとするものであります。  修正の第七点は、固定資産税に関するものでありまするが、その一は、土地改良区及びその連合会並びに健康保険組合及びその連合会が所有し、かつ使用する事務所及び政令で定める保険施設並びに水産業協同組合共済会が所有しかつ使用する事務所を非課税範囲に加えることでありまして、これは他の同性質の団体との均衡をはかるものであります。  その二は、地方鉄軌道、企業合理化用資産、重要物産製造用資産及び航空運送事業用航空機に対する政府原案第三百四十九条の二に規定する負担緩和特例措置につき、その遡及適用をとりやめんとするものであります。もとよりわが国の経済再建上重要な要因をなすこれらの資産に対しまして、一定期間租税面からの保護を厚くすることは趣旨において賛成でありますが、今日の地方財政から見ますと、その地元市町村が、思わざる減収に当面する場合、財政の安定が著しくそこなわれることも考慮しなければなりませんし、他の税源との関係におきまして、これを現行通りといたしまして、今後におきまして課税の対象となるべき部分についてのみ、政府原案措置を認めんとするものでありまして、やむを得ないことと考えておる次第であります。  その三は、政府原案第三百四十九条の三の大規模償却資産所在の市町村に対する課税権制限に関連した財源保障措置規定中、基準財政需要額の百分の百二十とありますのを百分の百三十まで増額せんとするものであります。この措置昭和三十年より実施に移される措置でありますが、従来これら資産の所在する市町村に、相当多額の固定資産税が集中する場合、その一部を隣接する関係市町村に配分して参つたのであります。今回の改正案ではこれをとりやめて、団体の人口区分に応じて、それぞれ課税し得る価額の最高限を定め、それ以上の部分の課税権を道府県に移す措置を講じているのでありますが、これによつて従来の税収が著しく減少して、財政運営に支障を来す団体も生ずることが予想されますので、前年度の地方財政平衡交付金の算定の基礎となつた基準財政収入額に、この減少を織り込んだ額が、基準財政需要額の百分の百二十に満たない団体については、その限度まで税収を上げ得るよう保障することとしているのでありますが、この限度をさらに百分の百三十に引上げて、税収の激減による打撃を多少とも緩和せんとするものであります。  その第四は制限税率を百分の三から百分の二・五に引下げんとするものであります。従来固定資産税標準税率は百分の一・六であり、制限税率昭和二十六年度より二十八年度まで百分の三と規定されていたのでありますが、政府原案標準税率昭和二十九年度百分の一・五、平年度百分の一・四に引下げながら、制限税率の百分の三をそのまま存置しているのであります。従来も標準税率の二倍に近い制限税率を設けていることには批判の存したところでありますが、今回前者を引下げる以上、当然後者の引下げを行うべきであり、この際他の税種の場合ともにらみ合せまして百分の二程度とすべきかと思うのでありますが、現在少数ながら制限率またはそれに近い率を用いている団体もありますので、一応百分の二・五に引下げることとし、一層の引下げを将来に期することにいたしたのであります。  次に、入場税に関する修正であります。御承知の通り、本税は昭和十三年国税より地方税に移され、爾来地方税として存続して参つたのでありまして、その性質上からも地方の行政と密接不離な関係にあるものであります。しかるにその収入があまりにも地域的に偏在しているというところから、さきに両調査会の答申においては、遊興飲食税とともにこれを国税に移管して、税率の引下げ、課税範囲の合理化をはかるとともに、その収入額の大部分を人口に按分して、地方に還元せしめる措置を勧告しているのであります。政府原案はこの答申を尊重して立案されたはずのものでありますが、何ゆえかひとり入場税のみを国税に移管し、遊興飲食税はこれを地方税に残しているのであります。両者を一括して国税に移すか、あるいは偏在度が一層はなはだしく徴税技術上からもきわめて困難な税目で、むしろ国税に移すことにある程度の理由が認められる遊興飲食税の方を国税に移管するというならば、一応筋道が立つと思うのでありますが、徴収もきわめて容易な入場税のみを切り離して国税に移すという理由は、まつたく理解に苦しむのであります。財源偏在の是正という観点からするならば、むしろ義務教育費国庫負担制度の面においてこそ調整すべきであつて、その措置に出ずして、逆に地方の最もよき独立財源たる入場税を取上げることによつて調整の目的を達しようとすることは、地方の自主性を犠牲とする以外の何ものでもないのであります。われわれはかような見地に立つてあくまで入場税国税移管に反対し、原案修正して、これを地方税として存続させることといたしたのであります。ただその際、税率については、かねて相当程度の引下げの必要を痛感して参りましたので、一応政府原案程度に引下げることとし、また現行入場税中にある第三種の施設の利用に関する部分が、政府原案ではまつたく規定を欠いておりますのでこれを補足するとともに、競馬場、競輪場の入場のごとき第三種との均衡を得せしめる措置をいたし、また麻雀場、パチンコ場等に対する外形標準課税を行う場合の税率基準を明定し、かつこれらの施設のうち風俗営業取締りの対象となるものに対する入場税を、免許税的なものとして運営の妙を得せしむるように改めたのであります。  最後に、この入場税国税移管廃止に伴いまして、当然入場譲与税法案も廃案となることとなるのでありまして、自然この方途によつて達成しようとしていた財源偏在の是正が一応御破算となるわけであります。従つてこの点を別途考慮する必要が生じて参るのでありますが、幸いに今回創設されることとなつている道府県タバコ消費税の一部富裕府県に対する課税権を制限して、この部分を他の府県に対し、人口に按分して納付せしめることにより入場譲与税制度による場合と、ほとんどまつたく同一の財政調整効果が達せられるのであります。すなわち入場税地方税に存置する場合、国税の場合に比して、東京及び大阪において増加する税収入は、約五十一億三百万円でありますが、タバコ消費税においてただいま述べました措置をとる結果、減少する額は五十一億四千万円程度となり、実質的には増減を生ぜず、他の府県についても実質的の財源変動を生ぜしめないこととなるのであります。要綱第九の特例であります。  以上が修正の内容とその趣旨の大要を申し上げたのでありますが、なお右に伴いますところの地方財源の異動調べは別紙お手元に配付してありまするがごとく、昭和二十九年度におきましては十六億六千七百万円の赤字になりまするが、これは入場税地方税として存置することによつて補い得ると考える次第であります。さきにも申し述べましたごとく、われわれはこの程度の修正をもつて満足すべきものとは考えていないのでありますが、すでに国の予算も成立を見、交付税その他いろいろの関係も深いので、この程度の修正にとどめた次第であります。  何とぞ各位の御賛成をお願いする次第であります。
  8. 中井一夫

    中井委員長 ただいまの床次徳二君外三名提出修正案に対する質疑を簡単に許します。質疑の通告がありますから、順次これを許可いたします。大石ヨシエさん。
  9. 大石ヨシエ

    ○大石委員 床次さんにちよつとお尋ねいたしますが第七十七条の入場税の「ロ」の点ですが、「もつぱら交響楽、楽器、声楽等の純音楽、純オペラ、純舞踊」、これは法律になるのですから、こういう言葉は、専門家が見ると日本の代議士は何と文化程度の低い代議士だろうと非難を受けます。ゆえにこの点は私は修正してほしい。どういうふうに修正してほしいかというと、交響楽はオーケストラといつたらいい、それから、器楽、声楽、この純音楽はクラシック、ミュージックといつたら、これで純音楽です。それから純オペラとは何をいつていらつしやるのでしようか。それからここには純舞踊として例もあるのですが、これは日本舞踊でしようか、バレーでしようか。専門家が見ても納得の行くような法律をつくりませんと、他方行政委員会のわれわれが笑われます。それから第三種の「舞踏場、」これは床次さんはダンスホールをさしておつしやつておるのでございましようか。舞踏とは踊とのことです。しからば日本舞踊をさしていらつしやるのでしようか。一般に入場税をとつておるいわゆる俗に言うダンスホールのことをいつておるのでしようか。この辺で非常に曖昧模糊である。これはやはり専門家が見ても納得するような言葉を用いてもらいたい。その点同僚の床次さんにこういうことを質問するのははなはだ悪いのですが、その限界をお聞かせ願いたいと思います。
  10. 床次徳二

    床次委員 ただいま大石委員から御質問がありましたことですが、音楽その他専門的な御理解が非常に深いように伺つておつたのでありますが、ここに書きました文字は、実は現行法ですでに使つておるのでありまして、関係当局等もこの文句によりまして運用しておる次第であります。従つて適正な運用を期待する場合は、やはり従来使つて参りまして、行い得ましたものをそのまま使つた方が便利ではないかと思いましてここに書いた次第であります。  なお解釈その他につきまして御疑問がありますならば、現在すでに実施しております関係当局からお聞きを願いたいと思います。舞踏場はダンスホールの意味であるということをつけ加えて申し上げておきます。
  11. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 現行法第七十七条に、ただいま大石委員から御指摘になりました表現を、そのまま用いてあるわけであります。それぞれの交響楽とは何ぞや、器楽とは何ぞやということにつきましては、若干疑義はあろうかと思いますけれども、税率の上では要するにここに書いてありますもののいずれかに入りますならば、税率を百分の二十にするということでございますから、全体といたしまして運用上特に困難なことは起つていないのであります。さよう御了承を願います。
  12. 大石ヨシエ

    ○大石委員 簡単に言いますが、こういう言葉を用いると人が笑うのです。やはり交響楽はオーケストラと、これはただちに改めていただきたい。器楽も声楽も何もいりません。クラシック・ミュージック、これで純音楽は入ります。オペラはただオペラです。純舞踊とはこれはどういうものですか。それからこの舞踏場はダンスホールのことならダンスホールと書いた方が非常に明瞭です。この点はつきりしませんと、われわれの頭はどうかしておると言つて人が笑いますから、私は念のために言うのですが、これはかえる必要があると思います。何でもないことではありませんか。これをはつきり書いておかぬと、裸ダンスしても純舞踊の中に入つたらどうなるのですか、純オペラと言わぬでも、やはりオペラはオペラです。この点やはり一つの法律になるのですからどこへ出しても、専門家が見ても笑わないような言葉を使つて、そうしてこの交響楽をオーケストラ、クラシック・ミュージック、純をとつてオペラ、これでいいではありませんか。舞踊は舞踊、歌謡曲はそれではどこに入るのですか、これは私の言うようにしてください。その通りせなんだら承知せん。
  13. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 ただいまの点は、実は立法の沿革から申しますと、参議院の地方行政委員会の方で御発案がありまして修正をせられましたものが載つておるのでございます。ただいま御指摘のように、クラシック・ミュージックあるいはオーケストラというような言葉の方が、大石先生のような方方にはあるいは一般化しておるのかも存じませんが、一般的に申しますとやはり日本文字の交響楽の方がわかりやすいというようなこともあつて、おそらく参議院としてかような表現をお持ちになつたものと考えておるのであります。修正になりました御趣旨は、ただいま大石先生のお述べになりましたような御趣旨とまつたく同じでございますので、そういう趣旨で私は今まで運用して参つたのでございます。
  14. 中井一夫

    中井委員長 西村力弥君。
  15. 西村力弥

    ○西村(力)委員 簡単にお尋ねいたします。事業税非課税の対象に、「もつぱら教育の用に供する映画を製作する事業」とありましたが、それの判定をだれがやるかということと、それから教育といいましても学校教育とか社会教育とか、いろいろ幅があるわけですが、そういう社会教育的な見地から、ニュース映画の製作というのはこの中に解釈として加わるものであるかどうか、その点について修正案提案者の御答弁をお願いしたい。
  16. 床次徳二

    床次委員 教育の問題に関しましては、これは施行当局から大体お答えをいただくことにいたしたいと思うのであります。なおニュース映画につきましても、いろいろ小委員会におきましても問題になつたのでありまして、これを考慮すべきかどうかということにつきましては、相当考慮すべしという強い御意見もあつたのでありますが、今回修正を行いますまでにおきましては、最後的な結論は得られなかつたので、将来の研究に持ち越したい、かような意味におきましてこれを保留した次第でございます。
  17. 西村力弥

    ○西村(力)委員 次にこの今提案せられました修正案によりますと、十六億六千七百万円の歳入欠陥が出るところがこの修正には自由党としても入場税関係を除いて賛成だ、こうなつておられる。ところがこの修正案の赤字の穴埋めは、入場税地方にもどすことによつて、十九億の金を地方に返すことによつて穴埋めができる、こういうぐあいに言つているわけなのです。それで今大蔵委員会にかかつておる日本自由党のあつせんに基く入場税修正案ですが、それに基くと歳入欠陥が出て、そうしてそれは一般会計に繰入れる、こういうことになつたのです。その繰入れなければならぬ額が幾らになるかわからないけれども、結局百七十二億を越えないという程度においてこれを繰入れるということになるわけなんです。そうなりますればこの修正案には賛成して、入場税国税にすえ置くという自由党の立場が通つた場合においては、一般会計から十六億六千七百万円のものをやはりよけいに見なければこの財政のバランスがとれない、こういうことになるのではないか、そこに自由党及び政府一つの思い残しがあるのじやないか、こういうぐあいに思われる。そういう場合政府においてはどういう措置をとられるのか、入場税税率を下げて欠陥が出る部分は一般会計から埋める。それにプラス十六億六千七百万円のあれを埋めるようにするかどうか、こういう点について政府の答弁をお願いしたい。
  18. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 ただいま改進党の床次委員から御提案になりましたこの修正の案につきましては、私どもも拝聴いたしたのでございますが、なおこの財源としてお掲げになりました十六億六千七百万という数字につきましては、私どもなお十分ひとつ検討をさせていただきまして、その通りの数字でございますならばそれをいかにするかということにつきまして、さらに検討をいたさなければならないと考えております。
  19. 西村力弥

    ○西村(力)委員 一応検討するというような、そういう答弁では了解できない、いやしくもこれまで日時を経て、そうして今日大詰めに来てのこの提案であり、またその党それぞれの態度であり、こういうときに十七億近くの歳入欠陥をみすみす見のがしながら、このことを素通りするというわけには私たちは参らないと思う。私ははつきりその点を大臣の答弁をいただいておかなければならぬと思う。
  20. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 ただいま次長からお答え申し上げた通りでありますが、なおつけ加えて申し上げますならば、私どもとしましては政府原案の線で予算措置というものを考えておるわけであります。今回御修正があつた場合には新しい事態に応じて新しい問題を必要な時期までに十分検討して善処したい、こういうように考えております。
  21. 北山愛郎

    ○北山委員 私も実は今のそれに関連いたしますが、これは修正案の提案者のお気持でもあつたと思うのですが、ただいまの十六億幾らのマイナスというものは、入場税地方に移管し、えうしてこの修正案による徴税をやれば十分間に合うというお見込みのようであります。これはあるいはこの案の中にありますところの入場税の第三種、いわゆるパチンコ、麻雀あるいは玉突きというものの徴税方法が非常に新しい方法になつております。確実に捕捉ができるような方法になつておりますので、税率の方は多少ゆるやかになつておりますが、捕捉ができるから実際は今までのような二十億ということじやなくてもう少しは行けるのじやないか、こういうような見当をつけておられるのじやないか。修正案の提案者の方もそういう点に期待を持つておるのじやないかと思うのですが、その点にお答えを願いたい。  同時に自治庁の方にもこの修正案のようないわゆる入場税三種の取り方をいたしますれば大体どの程度にこの税収があがるか、大体の見当をお聞かせを願いたい、それが多少とも増収になれば、今の歳入欠陥というものは、十分補い得るのじやないかというようにも考えますので、その点を確めておきたいと思います。
  22. 床次徳二

    床次委員 政府が法定外課税として、国税入場税からはずれました第二種入場税がありますので、この分を大体三十億近くの財源を予想することができると思つております。なおこの修正案の中にもありまするごとく、麻雀、玉突き、パチンコ等の徴収の合理化の制度が行われますので、この点につきましては財源は十分確保できるということを信じております。
  23. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 ただいま御指摘の点でございますが、政府といたしましては先ほど申し上げましたように、すべての数字についてさらによく検討を加えなければ結論的なことは申し上げられませんが、俊体のただいま修正趣旨の弁明を承りましたところから察しますると、率は若干下つておるわけでございますが、反面免許の更新につきまして所要の措置を講じておられるようでございますので、両者合せますると、大体二十億五千万という数字は確保できるのじやないかというように考えております。
  24. 北山愛郎

    ○北山委員 もう一点確かめておきたいのですが、タバコ消費税配分の仕方であります。これについては政府部内でも、こういうやり方についてはいろいろ反対論があるようであります。その一つ反対論は、富裕府県タバコ消費税を貧弱府県の方へその課税権を配分するというようなやり方は、これは憲法に違反するというような反対論が大蔵省側にあるようでありますが、その点さしつかえないかどうか。これは自治庁からその点を明らかにしていただきたい。
  25. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 ただいまの点でございますが、これは表現の仕方によつては、あるいはお話のようなこともあろうかと思いますけれども、ただいま承りました床次委員の御説明の趣旨でございますと、特に地方団体を指定されていない、抽象的な一般的な基準で地方団体を定めているようなふうに承りましたので、そういうことでございますならば、憲法違反ということはないかと考えております。
  26. 中井一夫

    中井委員長 これをもつて質疑は終了したりとして御異議はございませんか。   (「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  27. 中井一夫

    中井委員長 御異議なしと認め、さように決定いたします。  各党派の態度決定のため暫時休憩いたしまして、正五時から再開いたします。    午後四時二十三分体感      ————◇—————     午後五時二十一分開議
  28. 中井一夫

    中井委員長 休憩前に引続いて、再開をいたします。  地方税法の一部を改正する法律案を議題といたします。すでに本案に対する質疑及び床次徳二君外三名提出修正案に対する質疑も終了いたしておりますので、これより原案並びに床次徳二君外三名提出修正案を一括して討論に付します。討論の通告がありますので順次これを許します。加藤精三君。
  29. 加藤精三

    ○加藤(精)委員 自由党を代表いたしまして、床次委員外三名の提案にかかる修正案に対しまして、入場税に関しまする部分を除きまして全面的に賛成をいたさんとするものであります。  今回の画期的な国税地方税を通じましての大規模な税制改正は、現在の税制は国、府県市町村にわたりましてきわめて複雑なる構成を持つておるので、本委員会の小委員会におきましては非常なる苦心をもつて、その機構の解明に努力いたしまして、住民負担軽減と、各地方団体間の財源配分をできるだけ理想に近きものにする意図を持つて検討して参つたのでありますが、一方衆議院の各常任委員会よりも、非常に多数の修正意見が出されておつたのであります。これらの間に処し、国庫財源及び地方財政計画との関係を調整しながら成案を得たのでありまして、各党とも党派を超越いたしまして最も妥当なる結論を得たわけでありますので、自由党といたしましてもその全部に対して同意をいたしたいのでありますが、入場税並びに入場譲与税の関係は党の方針もあることでございますから、その点につきまして同意いたしかねることは、まことに遺憾であるのであります。  以上の意味をもちまして、床次委員外三名の提案にかかりますところの修正案の、入場税関係を除きました部分に対しまして、自由党といたしましては全面的に賛成の意を表するものであります。
  30. 中井一夫

    中井委員長 鈴木幹雄君。
  31. 鈴木幹雄

    鈴木(幹)委員 改進党を代表いたしまして、ただいま議題となつておりまする地方税法の一部を改正する法律案につきまして、わが党より提案いたしました修正案並びに修正部分を除く原案につきまして賛成の意見を述べたいと思います。  現行地方税制は、制定後いまだ四年に満たないものでありますが、御承知のごとく世論の批判も相当にきびしいものがあり、わが国の現状においては税制本来の目的を達し得ない面が多いのであります。  地方税制度の改正を論ずるにあたりましては、まずこれを地方財政計画全体との関連において考察する必要があると思うのであります。現行地方税制度の最大の問題点は、地方税の量、すなわち税収の総額が過少であつて、その地方歳入中に占める割合が、僅々三〇%というきわめて低い率であることでありまして、この自主財源の徹底的な欠乏状態地方団体の中央への依存度を高め、その自主自立性を弱め、かくして地方自治の健全な発展を阻害する最大の原因をなしていることは、いまさら申すまでもないところであります。しこうして近年の地方財政における一般的窮乏化の傾向は、みずからの放漫、無能な施策の結果と考えられないことはないのでありますが、根本的には政府の策定する地方財政計画の規模が、不当に圧縮せられていることから、必然的に招来されていると断定せざるを得ないのでありまして、われわれはこの点につき、従来絶えず政府の注意を喚起して、その是正要望して参つたのであります。さきに行われました地方制度調査会の答申におきましても、地方財政計画の総額が過少であつて地方の実情に即しないことが指摘せられ、その是正のためには、地方財源として新たに三百億、見方によつては三百六十億程度を必要とするとし、さらに警察制度の改正を実施する場合には、国から都道府県に百四十億程度の財源を移譲すべきであるとしているのであります。これに対して、政府提出した昭和二十九年度地方財政計画は、総額九千六百五十三億、その後衆議院の修正によりまして九千六百七十七億となつたのでありまして、二十八年度に比して約五百億の増加となつているのであります。国の予算は一兆予算として、二十八年度に比し三百億弱の削減が行われているのに比べまして、一見いかにも地方財政の緊縮が不十分であり、むしろ財政規模が拡大されているかのごとき感を抱かせるのでありますが、これはもつぱら国と地方との財政構成の相違から来る帰結でありまして、実質的には財政緊縮の程度は、国の場合と同程度ないしそれ以上であるということができるのであります。たとえば国においては財政出資金、価格調整費のごとき、国民経済の安定化に伴つて減少し得る経費があるのに対し、地方にはさような経費はまつたくないのでありまして、ベース・アップの平年度化に伴う財政需要の自然的増加だけでも、四百億を見込まなければならない実情であります。これに警察制度改正に伴う財政需要の増加百五億を加えますならば、それだけですでに昨年度よりの増加分は消えてなくなるのであります。その上に、物件費や臨時事業費の節約約一〇%、百二十億を見込んでいるのでありますが、多くの行政が国の委任によるものである実情において、はたしてこの節約に国の側からの協力が得られるか、はなはだ疑問なのであります。また災害復旧費の削減にしましても、地方の単独事業費を圧迫する可能性は十分にあるのであります。かような圧縮を加えながら、一方既定財政が模の是正額としてはわずかに百四十九億を計上しておるにすぎないのでありまして、調査会の答申によりましても、最低三百億の線に達せざること、はるかなものがあるのであります。歳入の面におきましても、なとえば所得税の減税に伴う市町村民税の収入減をカバーするために、経費の面においては標準経費によりながら、ここでは第二方式、第三方式による実質上の増税約四十六億程度を見込んでおることなどは、いわば増税を強要するがごときものでありまして、健全なる見積りとは言えないと思うのであります。かように見て参りますと、昭和二十九年度財政計画は、地方財政規模を前年度よりさらに一層縮小しようとする意図のもとに立案されたものであるとさえ考えざるを得ないのでありまして、このような歳出の過小見積りと歳入の過大見積りとの板ばさみにあつて地方税収入の総額の策定がきわめて不十分なものとなつていることは当然の帰結と言わざるを得ないのであります。  次に税法改正の質的な方面に目を転じます場合に、ここにも多くの問題があるのであります。今日国民の租税負担がほぼ限界に来ていますことはいまさら申すまでもないところでありまして、国税地方税を含む租税負担昭和二十八年度において約二〇・四%であつて、戦前における一二%程度に比しまして、生活水準の低下をも勘案いたしますならば、きわめて重い負担と言わなければなりません。近年国税においてしばしば減税措置が講ぜられて参りましたことは当然のことでありますが、地方税におきましてはむしろそのしわ寄せにより税収の自然的な伸張が妨げられ、その結果は地方財政窮乏化に伴つて税の増徴、徴収強化等、住民負担の過重を著しくして来ておるのであります。特に中小企業や勤労大衆の負担は極度に高められ、他面資本蓄積の阻害も大きな問題となつて来ている実情であります。かような過重な住民負担を緩和し、しかも地方の独立財源の充実強化をはかるところに、今日の地方税改正の大きな課題があると思うのであります。このためには、結局国の財源地方の特定財源に移すという方途によるほか解決の道はないのでありまして、国と地方との財源配分の問題に帰するのであります。この問題は、究極において、地方団体の行政と国の行政との対比においてどの程度まで重要視するか、すなわち地方行政の地位をいかに評価するかにかかる問題であります。われわれが常に感じて参りましたことは、この地方財政の地位があるべき姿に置かれていないということ、すなわち中央の認識がきわめて不十分であるということであります。今回の改正案を見ましても、国から地方に移譲された純粋の独立財源は、わずかにタバコ消費税のみであり、しかもその税率は両調査会の答申に比して半分以下にすぎません。しかも一方地方の最もとりやすく、かつ弾力性ある税源である入場税が、偏在是正の名目のもとに国税に移管されて、譲与税となつて還付されることになつておるのであります。われわれは道府県民税のごときも、その財源市町村民税の割譲に求むべきでなく、国の財源を移譲すべきであつたと考えますし、酒消費税のごときも、少くとも将来は地方税として考慮すべきであると思うのであります。最も重要な住民負担軽減課税の課題も、以上のような改正案方針のもとにあつては、多くを期待し得ないことは当然でありましよう。なるほど各税目を通じて負担軽減ないし負担緩和措置が新たに相当織り込まれておることは事実でありますが、それらの中には特に重要産業、基礎産業等、主として大企業の保護育成の趣旨によるものが多く、逆に中小企業等については非課税整理負担の合理化等の名目のもとに、従来の軽減措置廃止せられるものも見出されるのであります。もちろん税率の一般的な引下げ、基礎控除引上げ等、全般的な改善も見られるのではありますが、われわれが常に強調して参りました中小企業、零細所得者に対する負担軽減の重要性は、大企業近点産業等に対する軽減措置に押されて十分反映されるに至つていない点をまことに遺憾とするものであります。国策的見地から重要産業等を保護することは必要でありますが、これを窮乏その極にある地方団体の負担において行わんとすることには、にわかに賛成し得ないのであります。これは明らかに行き過ぎであると言わなければなりません。  以上申し述べましたような立場において、われわれは原案に対しまして現在可能な限りの修正を加えることによりまして、本案に賛成いたしたいと思うのであります。以上をもつて討論を終ります。
  32. 中井一夫

    中井委員長 北山愛郎君。
  33. 北山愛郎

    ○北山委員 私は日本社会党を代表しまして地方税法改正政府原案反対をし、床次徳二君外三名提案にかかります修正部分のうち入場税及びこれに関連する道府県タバコ消費税特例部分については賛成するものでございますが、その他の修正点につきましては、遺憾ながら賛成することができないのでございます。  以下簡単にその理由を申し上げますが、まず今回の地方税改正につきましての政府原案は、われわれが長年期待しておりました地方税制の改善という点においては何ら見るべきところがなくて、しかもはなはだしい改悪であるという点であります。政府は本年度の国の財政政策といたしまして、いわゆる一兆円予算というものを緊縮政策の名のもとに提案しておるわけでありますが、それは実はほんとうの意味の緊縮政策ではなくして、一方においては再軍備の経費を大幅に増額いたしておる。いわゆる再軍備予算のしわ寄せの重圧を地方財政におつかぶせる。この結果が今回の地方税法改正案となつて現われて来たのであると、われわれは断ぜざるを得ないのでございます。  その大要を申し上げれば、本年の地方財政計画におきまして、地方財政規模はどうしてもその地方行政の性質上相当な膨脹を来すということはやむを得ない結果であつたにもかかわらず、これをまず歳出の面におきまして三百六十五億という大幅な節約を地方に押しつけておる。また一方におきましては地方税におきまして四百二十八億円という、二十八年度地方税総額三千百二億円に対して一割以上にも上る大幅な自然増収を見込んで、その基礎の上に本年度の税制を立てておるわけであります。しかも一方におきまして自然増収以外に不動産取得税であるとか、あるいは自動車税の増税であるとか、そのような税の増徴をはかつておる。この結果たとい政府タバコ消費税二百九十二億、ガソリン譲与税七十九億というものを地方に移譲いたしたといたしましても、最後のしりへ行きますと、ほんとうの意味の地方税の増税は三百七十四億にも上つておるのであります。このように一方においては地方団体に事業費の大幅な圧縮を命じ、一方においては今までも相当重い地方税をますます増税させよう、ここに私が申し上げた再軍備財政のしわ寄せが地方団体に加わつておるという、実際の数字が見られるのであります。  以下簡単にこの法案の諸点につきまして、その矛盾している点、あるいは不当な点について二、三の点に触れてみたいと思うのでありますが、まず今回の改正は、政府の説明によりますれば、地方自主財源を与えるのである。たとえば道府県に対して道府県民税というような独立財源を与えて、道府県の自主性を高め、かつ自治体としての性格を明らかにするのだというようなことを言つておるわけでありますが、この道府県昂税というものは、その内容において、その理論的な基礎において、はなはだしく不当であるということは、本委員会における質疑にも明らかにされた点でございます。しかも政府は、一方におきましては知事の官選を企図しておる。あるいは警察を中央集権化しようとしておる。あるいは地方府県に国の事務官を置いて、地方府県の行政というものを国の出先機関のようにしようとしておる。一方においてはそのように府県を国の出先機関のようにしようとしておりながら、一方においてはこれに自治体的な独立財源を与えるというような非常な矛盾を示しておるのでありまして、これを露骨に現わすのがこわいのかどうか、今回は地方自治法の改正案をなかなか出して来ない。われわれはこの法案の審議の際にどうしても並行して地方自治法の改正案というものを審議しなければならぬと主張したのでありますが、いまだにお出しにならないということは、今申し上げたような矛盾というものがはつきりと現われることをおそれる結果であろうと思うのであります。しかもこの道府県民税は、市町村にその徴税を命じておる。市町村市町村民税の一部をわけて道府県に納めるのでございますが、その徴税事務をやつて、そうして百分の一・五ですか、少しばかりの徴税費だけを府県からもらうにすぎないというようなかつこうになつておりますのに、一方においては、御承知の通りに、政府入場税国税に移管をして、その手数料として一割、一〇%というものを取上げよう、あとの九割を地方に配付する。国の方は一割の手数料をもらわなければ、入場税地方配分するために徴税することはできない、しかし市町村には二分か三分でよろしいのだというような考え方、しかもそのために市町村におきましては、市長会あるいは町村会が全面的に道府県民税の創設に反対をしておるのに、それには一顧だに与えないで、これを強行しようとしておる。こういう一端にもこの税法の矛盾というものが現われておるのであります。しかも現行市町村民税に横たわつておりますいろいろな問題、特に勤労者に対する課税が重いというような点においても、何らの改正もいたしておらない。むしろ道府県民税という新税を創設することによつて、ますます住民税の負担が増大するであろうという危険すら生じておるわけであります。  また事業税につきましても、個人事業税は、すでに数年前から、個人の常業者の税負担が非常に重いというので、中小企業等におきましては強い軽減の声が上つておることは御承知の通りでありますが、しかしこれに対しましても、基礎控除をわずかに五万円を六万円に一万円だけ上げたという措置でありまして、税率軽減は、大きな法人であるとかあるいは大きな事業家の方にもその恩恵が及ぶのでありますが、今回の幾らかの軽減によつては、最も困つておる小さな企業者はほとんど恩典を受けない。まことに残念な次第でございます。  また不動産取得税なども、百分の三というものを不動産取得について創設をするのでありますが、われわれが思い出しますのは、戦争に入る前に、この不動産取得税が百分の三という率で始まり、そうして戦争の遂行と並行してこの率がどんどん上つて来て、最後には百分の二十まで上つた。ちようど今政府が再軍備を始めようとする、これから本格的にやろうとするときに、不動産取得税を創設をした、そうしてそれがやはり同じような百分の三で始まつておるということは、非常に皮肉な歴史を思い出させるのでございます。  また固定資産税につきましても、標準税率を百の一・六から一・五に〇・一だけ下げた、こう言うておりますが、実際税収の見積りの最後へ行きますと、一割以上の九十七億の増収を見込んでおる。その内容は、結局固定資産の値上りというものを大幅に見て、ことに農村の田畑等におきましては、昨年に比べまして二割五分というような大幅な値上りを見ておりますために、率を〇・一下げましても、実際には税金の面からいえば大きな増税になつている。こういうような諸点につきまして、私どもは、先ほど申し申げましたように、今度の税制は、国の再軍備政策の遂行に伴う地方財政へのしわ寄せの結果が、至るところに現われておるというような証拠を各所に見るのでございます。特にここに指摘したいと思いますのは、新しい警察制度の創設の結果として、地方財政負担が大幅にふえるという点であります。政府の案によりましても、昨年度よりも百五億円というような大きな地方団体の負担増であります。これを実際の額にいたしますれば、四百億以上のものがこの新しい警察を維持する道府県負担となつて現われる、かように言われておるのでありますが、これを運営する警察の機構というものは、御承知のように、内閣総理大臣が全国の警察をほとんどこの人事の系統によつて一手に掌握するというような中央集権的なものになつておりますけれども、その経費の方は道府県負担となつておる。四百億というようなものが都通府県負担になつて来ておるのでありまして、従つて、ただいま申し上げたような増税というものや、あるいはタバコ消費税地方移譲についても、その大きな部分というものはほとんどこの中央集権的な警察維持のために使われてしまうというような、非常に不当なる結果が出ておるのであります。以上例示的に二、三の点をあげて、この政府原案かまことに不当であるということを申し上げたわけであります。  次に、改進党の方から出されました修正案のうち、入場税及びこれに関連する部分につきましては、わが党が前から主張しておりましたように、入場税は本来地方財源である地方税として発達して来たものでありまして、この性格からして地方に残すのがほんとうである。今回政府は富裕府県と貧弱府県との間の財源調整をはかるのである、税の偏在是正するために国税に移管してこれを地方配分するのであると、かように申しておりますが、税の偏在を直すというのであれば、別な方法がたくさんあるはずであります。たとえばタバコの消費税にしましても、これをもしも税源の偏在を直すために使うならば、なぜこれを従量課税にしないで従価課税にしたか、従価課税にいたしますれば、大都市については当然よけいの税収になるわけであります。こういう方法をとらないで、入場税という本来地方税であるべきものを地方から取上げて、自分のふところを痛めないで、地方財源によつて横に地ならしをするというのが、この入場税国税移管趣旨でございまして、そういう点につきまして私どもは今回の入場税国税移管反対をしておるのであります。また同じ趣旨から今回の改進党の修正案に対しては、これに関連するタバコ消費税の調整というような、非常に苦心の存した特例を設けた点については、いささか問題は存すると思いますが、しかし今申し上げたような入場税は本来地方財源として残す。そうして税の偏在というものは別個の方法において、これを国の責任においてなすべきである、かような趣旨からその部分については賛成を申し上げる次第でございます。  その他の部分につきましては、すでに本委員会の小委員会等におきましてお互いに論議をした部分がその主要な点でございますので、大体了解はつくのでございますが、ただ遺憾ながら先ほど申し上げたような個人事業税基礎控除におきまして、わずかに政府原案よりも一万円上げた七万円にしておるという点については、私どもはきわめて不満足なのでありまして、これを少くとも本年度から十万円に引上げたい、こういう点において賛成することかできないのであります。また同時に固定資産税部分につきましても、ここにあります地方鉄軌道、あるいは企業合理化機械、重要物産製造設備及び航空運送事業等に対する負担緩和特例措置につきまして、小委員会等でもお話合いをいたしました通りに、この趣旨については賛成するものでございますが、残念なことには、この中から例の発電事業等の電気事業に対する特例措置の遡及部分を除外しておる。小委員会ではその部分はとりやめにしよう、こういうようなお話合いもありましたが、その除外されておるというような諸点について、われわれがどうしても賛成できない部分があるのは、きわめて遺憾に存ずるところであります。  これを要するに、政府原案というものは、地方公共団体が現在置かれておる、いわゆる三百六十億という厖大な赤字の解決には何ら役立たないばかりではなくて、この税制で二十九年度を過しますならば、ますますその赤字は累増をいたしまして、遂には地方財政が破局に瀕するというような危険すら感ずるのでありまして、かような不当なる原案には、社会党の立場から断固として反対を申し上げる次第でございます。  以上きわめて簡単に反対趣旨を申し上げまして討論を終る次第でございます。(拍手)
  34. 中井一夫

    中井委員長 次には中井徳次郎君。
  35. 中井徳次郎

    中井(徳)委員 私日本社会党を代表しまして、ただいま議題になつております政府原案反対をいたし、また改進党の床次さんほか三名から出されました修正案につきましては、どうも途中までは大いに同調したいと思つて、実は努力をいたしたのでありますが、はなはだ残念ではありましたが、入場税地方税にそのまま置く、及びこれに関連するもの以外には反対せざるを得ないという立場になりました。以下簡単にその理由を申し上げます。  本年度政府予算の組み方を拝見をいたしますると、一兆予算という形において、国の予算は極力圧縮をしたということで、今回デフレ予算を組んだと言われておりますが、国民経済全般からいたしますと、デフレ予算であるか、どうかということは、地方財政と国の予算と両方あわせ考えなければ意味がないのであります。その意味から申しまして、今回政府の出された原案におきましては、国は一兆でも二割押えたが、地方財政の方としましては、新しく府県市町村において税を設けるとか、あるいはこれまでの税額を実質上増税に導くとかいうような形をなしております。私どもといえども、現在の日本の地方財政は非常に困難になつておるから、これを何とか救わなくてはいかぬということについては、もちろんもとより賛成なのでありますが、かような形においてなされるという点において、どうも政府の言つておられることは、羊頭を掲げて狗肉を売つておるというふうな感じがしてならないのである。従つてこの点を基本にいたしまして、先般来いろいろと質疑をいたしました結果、やはり私どもはそのことが明らかになつたと思わざるを得ないのであります。  以下私は各税目その他を追いまして、その反対理由を申し述べてみたいと思うのであります。  まず第一に道府県民税であります。今回政府の出されました道府県民税は、その内容を調べてみますと、これまでありました市町村民税のピンを四分の一ほどはねまして、これを都道府県にやろうというのであります。一応はああそうかいなと思うのでありますが、よく考えてみますと、現在日本の都道府県というものは、自治体の形よりも、ほとんど国の出先機関としての性格が毎年々々強くなつております。従つてつております仕事は市町村を育成するとか、監督するとかいうことよりも、国の下請の仕事の方が非常に多いのであります。現に先ほども北山先生からお話がありましたように、知事の官選論なんかが出ておるのも、おそらくそういうことから出ておることだと思うのでありますが、その推移からいたしますると、この道府県民税というものはあくまで国税から譲つてもらうべきものであつて、現在の市町村はちつとも余裕があるわけではないのでありますから、その四分の一ほどとろうというのは、大筋において私は間違つた考え方であろう、かように思うのであります。ことにその内容を見ますと、いろいろ問題はありますが、たとえば均等割におきまして、私どもの門司委員から強く指摘いたしましたように、均等割は現在におきまして、大都市におきましては金額が多いのであります。町村におきましては全額が少い。七百円から三百円の間になつておりますが、それから一律に百円ずつ府県民税にかえるということになりますと、この面から見まして貧弱な町村道府県民税への移譲の額が非常にふえて来るというふうな矛盾をここに暴露をいたしておると思わざるを得ないのであります。  第三で、この点で特に私どもが不愉快に感じますのは、この道府県民税の実際の徴収の事務をやりますのは、市町村でありますが、これに対する手数料と申しますか、徴税費と申しますか、これはきわめて少いのであります。わずかに二分五厘であります。そうして徴税令書一通について三十円というような数字になつておる。一方先般来問題になつておりまする入場税につきましては、手数料が一割というのであります。四倍であります。しかも手数はどちらがかかるか、道府県民税の方がかかるのは、これは明々白々であります。かような考え方におきまして、現政府の考えておりますことはどうも弱い若いじめであるというふうな、非常にかつてな、大蔵官僚のまことに独断的な考え方が、こういう面にまでどんどんと浸透をして来ておるということを、私どもは指摘いたしたいと思うのであります。少くとも入場税国税移管によつて、税務署が一割必要とするならば、市町村におきましても、徴税費は一割とるのがあたりまえであらうと私は思う。実際はこの逆でありまして、道府県民税の徴収については事務が非常に煩瑣であります。これがまつたく逆な面に出ておるということにおきまして、今回の改正案はきわめてずさんであるといわなければならぬと私は考えるのであります。  第二に、事業税の問題に移りますが、附加価値税を廃止をすることについては、私どもも賛成であります。しかし実際はここ二、三年行われなかつたのであります。そうして事業税につきましては、今日日本の税金の中で一番非難の多いのは事業税である。いわゆる天下の悪税と言われるものをあけてみろということになると、まず事業税ということになります。しかもそのうちのどの点が悪いかということになると、個人企業家に対する個人事業税であります。この点は国民全般のよく知つておるところであります。政府におかれても、この点についてもつと何とか抜本的な施策を講ずべき時期に来ておると私は思う。にもかかわりませず、わずかに基礎控除を一万円上げるとかいうような程度であります。改進党はこの点におきまして十万円に基礎控除をしろということを言われておりますが、本年度財源の関係で七万円ということになつておる。私どもの考え方は、これが問題になりますのは、個人企業の皆さんのいわゆる人件費を考えないことにあるのである。今や全国に脱税法人が雨後のたけのこのごとく生れております。従つて私どもは少くとも月に二万円程度の人件費をこれから控除をしなくちやいかぬ。従つて社会党は二十四万円の基礎控除を言つております。二十四万円と言いますと、そんなにたくさんしてどうなるかというふうな声が多いのでありますが、私どもは所得税におきましても二、三年前から二十万円の基礎控除を叫んで参りました。とろとうことしはそういうふうになつたではありませんか。この点は私どもは強く将来にわたつて要求をしなければならぬと思つておりまして、現在のような政府のなまぬるい対策では、とうてい賛成がいたしかねるのであります。この点につきまして改進党の修正案は少し上つたのでありますから、私どもはもう少し上つたならば、ひとつ賛成をしようじやないかと言つておつたのでありますが、残念ながら折合いがつかなかつた。それからさらにこれに関連しまして五十万円以下の法人についての特別の措置をしております。これはひとつ撤廃をすべきであるということを私どもは主張いたしました。改進党の修正案におきましても、一時はそういう案も出たのでありまして、非常に嵩んでおりましたが、最終案におきましては、やはりだめだということになりました。この点も私ども非常に残念に考えるものであります。  時間がありませんから、こまかいところは飛ばして参りますが、その次の不動産取得税であります。こういう新税を設けるというこのこと自体が、私ども実はあまり賛成をいたしかねます。取引高税的な性格あるいは附加価価税的な性格でありまして、新しいものがまた生れる。こういうものは戦時中の特例であるべきものでありますが、それがさらに出て来たという点において、こういう面にまで税金をとるならば、私は株式の売買などについてもとつたらどうかというふうな考え方をいたしておるものであります。  次に第五の市町村民税について申し上げてみたいと思います。この点については、現在の全国の市町村市町村民税のとり方を見ておりますと、三つの方式があります。そうしてオプシヨン・ワン・ツー・スリーとありまして、そのどちらをとつてもいいということになつておりますが、過去の統計によりますと、おのずからこの間にランクができてしまいまして、大都市においては百分の十八というのを、オプシヨン・ワンを使つておる。中小都市において、あるいは町村に至つてはほとんどオプシヨン・・ツーとかスリーとかいうようなことになつて、固定をいたしております。このことは私非常に重要な問題であろうかと思うのであります。政府は今回地方税制の改正にあたりまして、ここに目をつけられなかつたという点において、大いに残念に考えておる次第であります。  第六の固定資産税について申し上げます。固定資産税につきましては、今回は率として少し下りました。私どもはまことにけつこうだと考えておりました。ところが、実際の行政の措置におきまして、全国の市町村に向つて政府から通牒を出されたらしくて、土地や家屋につきましては、昨年度よりも評価を二割増してもいいとか、三割でもいいとかいうような通牒を出しておられるやに実は伺つております。これがもし真実なりといたしますと、いくら税率を下げましても、百日の説法へ一つであります。しかもここで非常に問題になりましたのは固定資産特例のことであります。先ほども他の議員さんからもお話がありました発電所の関係、あるいは地方鉄道の関係、あるいは企業合理化促進法に基く関係、あるいは船舶に対する関係、あるいは航空に対する関係、私どもは趣旨におきましてはあるいはこういうものもわからぬではありませんが、最近、先ほど申しましたように各個人々々の土地や建物につきましては、毎年々々評価を上げておるにもかかわりませず、こういう特殊産業につきましては、たとえば電力につきまして電力料金の値上げに影響があるから、こういうものを特に下げろというふうな考え方、一応いいようでありますが、それはあくまで国の税金において片をつけるべきであつて、さようなものを地方税に持ち込むのは第一原則として筋違いである。第二に発電所関係のものについて計算をいたしました。今回のこれをもし下げないで、現行通りとすればどれだけ料金に影響があるかという計算をいたしましたところが、千円のものがわずかに千二円になるだけであります。今回電力社会が申し出ております一割などというものには、はなはだ縁の遠い、きわめてわずかな金額であります。しかも船舶とかあるいは地下鉄の問題に至りましては、今や疑獄のまつ最中であります。かような際に、これは総計にして二十億ばかりの税金でありますが、私は政府があつかましくもまた下げようという案を出されたという、この政治的な道義心を実は疑つておるのであります。従つて委員会におきましては、このことを強くわれわれは主張いたしました。従つて改進党の案は多少は遠慮をいたしまして、過去にはさかのぼらないというふうにはなりましたけれども、依然として昨年通りということにはなつておりません。これによりまして二十数億の税金をわれわれは失うのであります。しかも実際計算をいたしますと、ほとんど大したことはない。ことに地下鉄の問題について私がお尋ねいたしましたところが、三百万円か九百万円の減税になるといいまして、そのあくる月に地下鉄総裁は召喚され留置されております。かような際にこういうものを出すべきじやない、潔くこういうものは撤回されるべきものである。私は議会政治の名誉のために大きく叫けびたい、かように考える次第でございます。  あと大きな固定資産につきまして、町村の分を県に取上げるというふうな考えもありました。このことにつきましては趣旨としては私どもは賛成であります。やり方において多少問題はあると思いますが本日はそれに触れないでおきたいと思います。  次にタバコ消費税についてであります。地方制度調査会がやかましく取上げましたのは、このタバコ消費税の問題でありまして、このことについて、政府はお取上げになつたことについては私どもは賛意を表するが、実は名前を与えただけで、とつておりません。百分の二十、百分の十の税率でありましたのを百分の十、百分の五に最初いたし、それも専売公社の横やりでもつて百十五分の十だとか、百十五分の五だとか、まことにわかりにくい税率を出して参りました。百十五分の十というのをわれわれが計算いたしますと、百分の八・七になります。ちやんと一・三さばを読まれておりますが、かようなものをせめて百分の十五にするだけでもつて、現在の入場税をあつちに持つて行くの、こつちに持つて行くのというふうなものは、ほとんど私は解決されるのではないかとさえ思うのであります。このような小細工の法案はもうわれわれは断じて賛成いたしかねるのであります。地方制度調査会の答申をおとりになるならば、これは率もよほど考えていただかなければならぬ。名前だけはとつて率は半分であるというのでは、ほとんど問題になりません。  その次に、小さな問題でありますが、自動車税の問題であります。これは金額は小さいようでありますが、私は思想として断じて承服できないのであります。自動車税につきましては、昨年も値上げをいたしました。そして本年はさらにガソリン税も上げております。一方先ほど申し上げましたように全国の電気軌道、私鉄などにつきましては固定資産税の計算において全国まとめまして自治庁がやる。その値段は時価に比べて非常に低い、帳簿価格とあまり違わない、六十何パーセントだという話を伺いましたけれども、その帳簿価格自体が再評価をいたしてありませんから非常に低いのであります。同じ交通事業であります。今や世界各国とも鉄道から自動車へという転換時期にありますにもかかわりませず、自動車税につきましては毎年々々上るというふうなこと、ことしもさらに五割程度価上げになるということでありますが、かような思想の不統一な考え方、とれそうなものはどつからでもとれというような考え方、これは断じて承服はできません。改進党の修正案はこの点においてさすがに考えておられましたけれども、私どもはもう少し現状のままで行くのがほんとうの考え方ではなかろうか、かように考える次第であります。  狩猟者税につきましては改進党の修正案はまことにけつこうでありまして、これはこれまでやつておられましたのとあまりかわりません。非常にけつこうだと存じます。  最後に自転車荷車税であります。これも私どもは絶えず主張いたしましたように、現在の地方財政税収入総計三千五百億、その中で自転車荷車税はわずか三十五億であります。今や自転車は農民にとつても中小企業者にとりましてもまつたく足になつている。商人の天びん棒といわざるを得ないということを私は申しましたが、そうなつております。しかもわずかに三十五億で、これをとりますのに市町村が非常に難渋をいたしておる。かようなものこそ、かような大衆的な税金こそ早く撤廃をすべきものである、われわれはかように考える次第であります。  以上各税目にわたりまして簡単に反対理由を申し上げましたが、要するに私どもの考え方は、税を改めるならばもう少し慎重にやつていただきたい、全国の府県市町村また国民大衆は毎年々々ちよこちよこと税率をかえられまして、今年は一体幾ら税金を納めたらいいのかというような予算が、全然立たない現在におきましても、府県市町村は前年度の税制でやつております。これが曲りなりにも変な形で何とか通りますと、またそれから修正をやるというようなこと、しかもすつきりした形が出ておらない。うちに入つてみますと、大衆のための税金は依然としてそのまま残る。入場税の問題にいたしましても、遊興飲食税あるいはパチンコというようなものは、ちよつと陳情がありますとまたひつ込める。今残つておりますものは国民大衆の娯楽の最も中心でありまする映画とか、演劇のみがんばつておるというような非常に情ない改革の姿をここに見るのであります。そういう意味におきまして、はなはだ残念ではありますけれども、皆さんせつかくおつくりになりましたけれども、この改正案には私どもは絶対に賛成はできない。また改進党の修正案につきましては、申し上げましたように、ある面におきましては大いにけつこうでございますが、歩み寄りができなかつた部分については、残念ながら反対をせざるを得ないということを、はつきり申し上げまして私の討論を終りたいと存じます。(拍手)
  36. 中井一夫

    中井委員長 これにて原案及び床次徳二君外三名提出修正案に対する討論は終局をいたしました。  これより採決をいたします。まず本案に対する床次徳二君外三名提出修正案について採決するのでありますが、この修正案については、先刻理事会で協議いたしました通り方法によつてこれを行います。すなわち入場税関係の修正部分とその他の部分について、それぞれ分割して採決をいたします。まず最初に入場税関係を除いた修正案について採決いたします。これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  37. 中井一夫

    中井委員長 起立多数。よつて入場税関係を除いた修正案は可決されました。  次にただいま議決されました以外の、すなわち入場税関係の修正案について採決いたします。これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  38. 中井一夫

    中井委員長 起立多数。よつて入場税関係の修正案は可決されました。(拍手)  終りに、ただいま議決いたしました修正部分を除いた原案について採決をいたします。これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  39. 中井一夫

    中井委員長 起立多数。よつて本案床次徳二君外三名提出修正案通り修正議決いたしました。     —————————————
  40. 中井一夫

    中井委員長 引続き入場譲与税法案を議題といたします。  ただいま加藤精三君外十一名から、自由党の共同提案にかかる修正案委員長手元提出されておりますから、これよりその趣旨弁明を求めます。加藤精三君。     —————————————
  41. 加藤精三

    ○加藤(精)委員 入場譲与税法案に対する修正案提出いたします。   入場譲与税法案の一部を次のように修正する。   附則第四項を附則第五項とし、附則第二項及び附則第一項を次のように改める。   2 昭和一十九年度における入場税法の規定により収納した入場税の収入額の十分の九に相当する額が百七十二億八十万円に満たない場合においては、同年度分の入場譲与税は、第一条の規定にかかわらず、百七十二億八千万円とし、その差額は、一般会計の負担とする。  3 昭和二十九年度分の入場譲与税については、第三条の規定にかかわらず七月、十月、一月及び三月において、それぞれ政令で定める金額を譲与するものとする。  4 昭和三十年度に限り、第三条第一項の表中「三月から五月までの間に収納した入場税の収入額の十分の九に相当する」額とあるのは、「四月及び五月において収納した入場税の収入額の十分の九に相当する額(前二項の規定によつて昭和二十九年度に譲与した額が同年度における入場税法の規定により収納した入場税の収入額の十分の九に相当する額に満たなかつた場合においては、その差額に相当する金額を加算した額)」と読み替えるものとする。  以上の修正案でございます。  この趣旨は、ただいまお手元に配付中の入場税法案に対する修正案から来たものでございまして、その点につきましては、はなはだ恐縮でございますが、入場税法をちよつとお開きになつていただきまして、それと合せてごらんになりませんと、この印刷物の方は非常に読みにくいので、それと合せて御説明いたします。  第四条に「入場税は、入場料金を課税標準として、左の各号に掲げる税率により課する。」とありまして、第一種の場所「入場料金が一人一回について四十円以下であるとき」を「五十円以下であるとき」として、入場料金の百分の十になる。それから「入場料金が一人一回について五十円をこえ、八十円以下であるとき」と規定する。これが百分の二十になるわけです。そういうふうになつて行くのでありますから、こういうふうに進行するものと御了解願いたい。ここにあげますものは、簡単に申し上げますと、今のような税率修正一つある。そう御了解願いたい。  「交響楽、器楽、声楽等の純音楽、純オペラ、純舞踊、雅楽、文楽若しくは能楽をもつぱら研究発表する会場への入場又はスポーツを催す競技場への入場については、前項第一号の規定にかかわらず、左の税率により課する。」といつて、安い方の分の七百円以下であるときは百分の二十、高い方のハイフエッッというようなものもみな一本にして百分の二十にして、文化生活を楽しめるようにするということです。  その次は「入場料金が一人一回について二十円以下であるときは、入場税を課さない。」ことになつておりますが、これは博覧会や教育には適用して、映画なんかには二十円以下でも非課税にしないという条項の改正一つつている。  それからあとは、公布時期がちよつと遅れたので、施行期日を「四月一日」とあるのを、公布の日から起算して五日と改める。  この四点を含んでおります。  そういうふうに税率を下げたものだから、あるいは減収になるかもしれないのでその減収の処理策をこの修正案のようにやつたわけです。  あまりこまかく申し上げないで御了承願います。
  42. 中井一夫

    中井委員長 ただいまの加藤精三君外十一名提出による修正案及び原案に対する質疑があれば、この際これを許可いたします。
  43. 鈴木幹雄

    鈴木(幹)委員 ごく簡単に二点ほどお伺いしたいと思います。一つは、入場税法の改正によりまして百七十二億の元となつております約百九十億からどれだけの減収が生ずるか。二十九年度あるいは三十年度以降においてこの算出の基準をお伺いいたします。
  44. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 ただいま加藤委員からお話のございました修正案による入場税の減収額が、どのくらいあるかという御質問のようでございますがこれにつきましては政府といたしまして、原案において算定をいたしましたあの基礎によつて計算をいたしますると、平年度六十七億程度の減収になるように考えております。しかしなおこれは精細に検討しなければならないと考えております。
  45. 鈴木幹雄

    鈴木(幹)委員 六十七億の減収になるといたしますと、二十九年度におきましては百七十二億の譲与税を見込んでおりますが、それに足らない分が、私の推定によりますと約四十億程度のものが出て来るのではないかと思うのでありますが、これについては一般財源から補填をする、こういう建前のようであります。そうすると、これは提案著にお伺いいたしたいのでありますが、これを補填する一般財源というものは、いかにしてこれを捻出するかという問題、並びにこの問題は二十九年度においては一応一般財源から持つて来るということによつて解決はするでありましようが、昭和三十年度以降におきましては、やはりこの百七十二億というものを基準にして立てられる。そうしますと、入場譲与税というものの制定の本旨に反するのではないか。この問題について提案者から御説明を承りたいのであります。
  46. 加藤精三

    ○加藤(精)委員 非常にむずかしい御質問でありますので、お答えにたいへん困難するのでありますが、修正案の定めるところに従いまして、二十九年度におきましては、国の一般財源より補填いたしたい考えであります。それで三十年度以降におきましては、この税率が暫定税率でございませんので、本税率と御了承いただきたいと思います。
  47. 門司亮

    ○門司委員 私が最初に大蔵当局に一応お聞きしておきたいと思いますことは、今の加藤君の説明によりますと、一般会計の方からこれに繰入れるということに大体なつておるのでありますが、これは国の方針はたしか特別会計になつておつたはずだと思うのであります。そこで一般会計からただちに国の特別会計に繰入れるというようなことについては、やはり予算委員会において予算修正をしておかなければ、こういうことはできないのじやないですか。これは容易にできますか。予算委員会の方がどうなるかわからぬものを、先にここで議決していいというように大蔵省は了承されておりますか。この点を一つ大蔵省に聞いておきたいと思います。
  48. 植木庚子郎

    ○植木政府委員 ただいまの修正による政府の当初見込みの税収入額がどれくらいに減るかという問題につきましては修正をされましたこの修正案の提案者の方々の御意見を承りますと、相当額とれるのじやないか、言いかえれば、減収になるかもしれないが、減収がどの程度であるかということについては、容易に予測が困難である、こういうことであるように考えるのであります。従いまして、今回の一般会計からの繰入れの問題も、今後の経過に顧みまして、もし減収が生じた場合には、これに対して善処をする、その善処の建前を法律の上に置いておこう、こういうお考えだと考えております。
  49. 門司亮

    ○門司委員 この問題は非常にむずかしいのでありまして、大蔵省にもう一度念を押して聞いておきますが、こちらの本案の方を見てみますと、大体月別にずつとわけて書いてありまして、そして譲与の時期が明確にされております。従つてほんとうにあるかないかということの最終決定は、一番最後の譲与時期にならなければ結局これが現われて参りません。そういたしますと、二十九年度の暫定の措置のように一応説明は承つたのでありますが、予算措置といたしましては、その時期に必ず国会が開かれたり、あるいは予算措置のできるような状況にあればよいのでありますが、もし予算措置をすることのできないような状態にあつたときには、やはりこれは予算の方をあらかじめ直しておいていただかぬと、地方にただ口先だけで、どうなるかわからぬのだから、仮定的にこういうように書いておいたのだというような不見識なことでは、私は地方財政というものを十分に見るわけにはいかぬと思う。足りなければおれの方でやるから、これでやつておけというようなばかばかしいことで、地方財政というものが考えられるかどうか。私どもは今日まで地方財政というものを考えていろいろ議論をいたしておる。ところが国の方針というものは、地方財政をちつとも考えないで、ほとんどあてがいぶちでやつている。今鈴木さんのお話を聞きますと、大体六十七億という赤字が出ることは予測にかたくないと言つている。そういたしますと、当然政府はこの六十七億の財源措置というものをして、地方に安心を与えることが私はやはり必要だと考える。こういう点について、今の大蔵当局の意見では、大体提案者がそう言うから、それでよかろうというようなあいまいなことだが、一体これをこのまま見のがすわけに行きますか。私は提案者にはつきり聞いておきますが、一般会計から容易に繰入れることができるものであつて、これの施行が完全にできるということは、何か法律的の根拠の上に立つて、こういう提案をされたかどうか、この点をはつきり聞かせていただきたいと思います。
  50. 加藤精三

    ○加藤(精)委員 最後の御質問の内容がよくわかりかねましたので、もう一回御質問をお聞きしたいのでありますが……。
  51. 門司亮

    ○門司委員 私の聞いておりますのは、御承知のように、この入場譲与税に関しましては、本年度政府の一兆予算の関係から特別会計にこれが編入されることになつている。そこで特別会計に不足を生じた場合には、ただちに一般会計から繰入れるということが、修正案で見れば書いてあるようである。しかし一体これが容易に財政法その他からでき得るようになつておりますか。予算はあるいは今から補正されるかもしれないが、とにかく通過している。予算が通過した後にこういう処置がとれるという法律的の根拠がどこにあるかということをお示し願つておきたい。
  52. 加藤精三

    ○加藤(精)委員 これは説明の時期が繰上つたというか、印刷物の出方が遅れたというか、御配付申し上げるべくして御配付申し上げなかつた交付税及び譲与税配付金特別会計法案の修正案も一緒にお出しすれば、門司さんの疑問はなくなつたのでありますが、その点まことに申訳ないと思つております。その特別会計法によりまして、国の一般財源を特別会計に繰入れまして、入場譲与税法の定めるところに従いまして入場譲与税譲与金にその金額を加えて配付するということになるのでございます。その点、先ほどの一箇年を四半期ごとに時期を定めまして、この入場譲与税の譲与金を都道府県に配付するというのに、今度新たに、もし減収があつた場合には、みなす規定によりましてできるところの入場譲与税譲与金を加えて配付する、その配付の仕方をどういうふうにするかということは、門司委員のただいまおつしやいますように、地方団体の財源の逼迫、また時期的にもらいたいという欲望その他を十分に勘案いたしまして、適切な政令をつくつて配付することにいたします。
  53. 門司亮

    ○門司委員 私には一向わかりません。ただ仮定のものを仮定としてここに法律にすることは、予算は通つておりますし、いかがと思いますが、これ以上質問はいたしません。  最後に自治庁にお伺いしたいと思います。これは先ほど同僚の鈴木さんからもお聞きになつた点でありますが、自治庁の大臣といたしましては、三十年度以降のこうした問題については、財源は必ず確保するという御確信がおありでございますか。
  54. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 私といたしましては、地方財政が所期のように十分な財源を得られるということが、重大な関心事であるわけであります。国会において御修正になるという動きがあるので、まことに当惑いたしておるのでありますが、しかし御修正があるならば、その御修正を前提に置いて最大限の措置をしなければならないというので、この修正案に盛られておるところをいろいろ検討いたしました結果、二十九年度分は何とかこれで処置をして行けるという見通しがついて、一応安心をしておるわけであります。従つて三十年度以降の分が問題になるわけでありますが、私はもともとこの入場譲与税というものの考え方が出て参つた当時のこと、それから原案の構想というものは、三十年度以降においてやはり適切な改正によつて確保しなければならない、そういう確信を持つておるわけであります。
  55. 中井一夫

  56. 滝井義高

    滝井委員 ちよつと大蔵当局にお尋ねしたいのですが、現在地方財政の赤字が三百八十億あるわけなんです。もしこの六十七億というものがほんとうに一般会計から地方財政に移らないということになれば、これは大問題なんです。で、私は特に一般的な国の財政の運営の仕方について尋ねたいのですが、しやし繊維品消費税八十五億、これも怪しい、それからしかも現在三党の予算修正において、予備費の中から五十億というものはもう使われちやつた。そうすると今度はこれで六十七億—予備費は百七十五億だから、全部これは食つちまう。そうすると大体大蔵省は、ことしの財政は何か緊急の場合ができたら、もう一文も出せぬということになるが、これはどうするのですか。この点をひとつはつきりしてもらわぬと、地方公共団体もたいへんなんです。これがまず第一点。  それからもう一つは加藤さんの方にお尋ねしなければならぬのですが、この附則四項の三で「それぞれ政令で定める金額を譲与するものとする。」ということになつておるわけなんです。ところがこのもとの原案の方では、それぞれ七月、十月、一月、三月と九割をやることになつておる。これが何ぼか金額はわからぬ、あなたの方は政令で定めるのだから……。そうすると地方公共団体は税金は取立てた、そうしてその九割はもらえると思つておつたのだが、国の都合で、政令でお前のところはその三分の一しかやれぬということになると、まつたく地方公共団体は財政計画も何も立たないのです。こういう点をもつとはつきりしてもらわなければ—国の方の予備費ももうこれでなくなつてしまつた。それから入場税を何ぼもらえるかさつぱりわからぬというのでは、こんなむごたらしい政策というものは私はないと思う。これはいずれ予算委員会でもまた問題にしなければならぬと思いますが、ここで地方行政委員会におけるはつきりとした答弁をもらつておかなければ、どうにもならぬということなんです。これはもしかすると本会議で通るかもしれないのですから、(笑声)ここで勝つても本会議で通るかもしれない。だからこれはやはりはつきりしてもらわぬと、地方公共団体にとつては笑い事ではない。これは大臣の責任問題ですよ。だからはつきりひとつ大蔵当局と加藤さん答弁してくださいよ。その二点だけであとは質問しません。
  57. 植木庚子郎

    ○植木政府委員 予算の三党修正に伴いまして、予備費の分から五十億をほかに今回使つております。あの五十億円の問題につきましては、政府はその当時の御協定の趣旨を体しまして、実行予算の上におきまして庁費あるいは物件費等を極力節約いたしまして、そうしてこの財源に相当する金額を捻出したい、かように考えております。  次にしやし繊維品税の問題でございますが、これはわれわれといたしまし、ては、皆様の御協力によりまして、ぜひともこの国会中に通していただいて、これが実行に移り得ることを期待してやまない次第でございます。なお今回の修正案に伴いまする減収分につきましては、ただいま六十七億というお話もございましたが、これは年度に入つてみまして、経過を見ないとその数字は確定しないものだと私は考えます。従いましてこの問題につきましては、今後年度の経過に伴いまして、適当なる時期に行きましてから善処するのが、最も至当であろう、かように考える次第でございます。
  58. 加藤精三

    ○加藤(精)委員 ただいま滝井委員よりきわめて適切なる御質問があつたのでございまして、入場譲与税法の附則の第二項、の第一欄の「譲与時期」「七月」、それから「譲与時期ごとに譲与すべき額」「五月及び六月において収納した入場税の収入額の十分の九に相当する額」これは動きませんから、これは地方団体に予定できるわけです。この七月の分、これが今度の修正で……、譲与時期の欄はこれでかわらないのですが、この間におそらく五月と六月にはまだ見通しがはつきりつかないと思いますので、十月の譲与時期の分からは、減収の見通しがついたら、必ずその補填分の金を差上げる存念でございます。(笑声)
  59. 中井一夫

    中井委員長 北山君。
  60. 北山愛郎

    ○北山委員 一つお聞きしておきたいのは、この奇妙きてれつなる修正案、これに関連して植木さんにお伺いしたいのです。それはこの修正案は単に加藤さんたちから出されたものではなくて、昨日大蔵大臣なりあるいは自治庁長官等も参画してできたものらしいのです。従つてお伺いしたいのですが、この前地方交付税法の問題について、例の地方交付税は所得税法人税、それから酒税の百分の二十というような率でもつてきめられておる。従つてその年度の決算によつて、できれば、翌年度にはみ出した自然収の分は翌年度にもらいたい、地方団体にやりたい、こう言つたところが、これは予算技術上できないのだ、要するに予算では千三百十六億という予算を組んでおる。だからその歳出源というものがその範囲にとどまつておるから、翌々年度しかできないのだというような御説明だつた。しかしこのような法案ができるとすれば、やはり同じように、その年度所得税法人税あるいは酒税の収入の実績が百分の二十の割合ではみ出すならば、その予算以上に一般会計から出すことができるということを、あの交付税法の中に入れてもさしつかえないのですか、そういうような方法もできると同じことなんだ。あの当時は予算技術上できないというようなお話だつたのですが、こういうようなことができるとすれば、非常にあの交付税においても、一般会計の負担においてその所得税法人税、酒税の収入に応じて、地方交付税を増額して交付することができるという規定ができるはずです。法律が少くともできるのじやないか。それはこれと同じように考えて、できると考えてよろしゆごうざいましようか。ちよつとその点をお伺いしたい。
  61. 植木庚子郎

    ○植木政府委員 交付税の場合の御質問でございますが、交付税の当該税の収入が幾らくらいになるかということは、やはり決算をしてみないと正確な数字はわからないと思います。従いまして百分の二十に相当する金が、予算に計上してあります分よりもさらによけいにとれました場合に、なおその百分の二十を予算に計上した金額よりもふえた分を、いつ地方に差上げるようにするかということにつきましては、やはり翌々年度に至つて決算が確定してからでないと確定いたしませんので、それでやはり当該税法規定してございます翌々年度に処理をする、こういうことになつております。
  62. 中井一夫

    中井委員長 これにて加藤精三君他十一名提出修正案及び原案に対する質疑は終了いたしました。  これより原案修正案を一括して討論に付します。討論は通告順によつてこれを許します。門司亮君。
  63. 門司亮

    ○門司委員 きわめて簡単に反対の意思表示だけをいたします。  原案対しましては、しばしば申し上げておりますように、入場税の本質が当然地方税であるべきものであるという原則の上に立つて、これに反対をしたいと思うのであります。なお政治的に考えて参りますと、地方制度調査会の答申の中には、地方財政偏在是正するということのために、入場税ばかりでなくて遊興飲食税もやはり国税に移管して、これを配分すべしということが答申されておつたはずである。にもかかわらず、今回非常に徴収のしにくい遊興飲食税を依然として地方に残しておいて、比較的徴税の楽である入場税だけを国税に移管されるということについては、私どもはこれをやはり政治的に考えて参りますときに、納得の行かざる点であります。  それからさらに修正案に至りましては、これはまつたくめちやくちやでありまして、この修正案を読んでみますと、この入場譲与税法案の本質をまつたく没却いたしております。いわゆる徴収されたものの十分の九という額—収徴の率がどのくらいになるかわからないとして、それらの額の大体九割というものを地方に配付するという本案に対しまして、これが百七十二億八千万円というような限られた数字が明確に書かれております以上は、これはまつたくこの原案をほとんど否定した修正案であつて、こういう案に対しては私ども賛成するわけには行かない。同時に先ほどから質問申し上げましたような点について明確なる御答弁がいただけませんので、私どもは本案に対しては絶対に反対の意を表明するものであります。(拍手)
  64. 中井一夫

    中井委員長 西村力弥君。
  65. 西村力弥

    ○西村(力)委員 入場譲与税法案原案及び修正案に、日本社会党を代表して反対いたします。  入場税そのものは沿革的に見ましても地方税である、こういう点から反対することが第一点。それからこれは地方自治団体の財政のでこぼこを是正するのだという趣旨に立つて中央に吸い上げて還元するわけですが、そのことは結局低いところに流して行くという立場であります。理由はとにかくとしましても、地方自治団体の自立的な立場というものは大きく阻害されるし、また緊縮予算のしわ寄せをこうむらなければならない、こういう結果を見るわけでありまして、そういう点から反対するのが第二であります。  第三点は、先ほど門司委員から申されました通り遊興飲食税入場税をともどもに中央に吸い上げて、そしてそれを還元するということであつたならば、考え方が一貫しておるのでございますが、遊興飲食税だけはこれを地方にすえ置いた。そういう点から巷間いろいろな疑惑を生んでおる。安藤国務大臣が東京の何か料飲店組合の顧問であるとか、あるいは大野木元国務大臣が全国花街連盟の顧問であるとか、そしてまた池田政調会長とか、吉田総理が大阪あるいは九州に飛んだときには、きれいどころがたくさん飛行場に待ち構えておつて、そして陳情攻めにあつた。こういう点からいいまして、このやり口に対しては一般国民が、政治に対して一つの不信を持つ傾向を示しておる、こう言わざるを得ない。とりにくいのはすえ置くということばかりでなくて、そこに政治が何か別の方から動かされているというような不信の念が起きておるということを思うときに、これは遊興飲食税をすえ置いたら、入場税地方にすえ置いて、そういう不信を払拭するという方向に進むのが妥当である、かように考えておるのであります。  しかもこの修正案を見ますと、一般会計からこれを補填するというぐあいになつておりますけれども、その保証というのは実にあぶないものである。植木大蔵政務次官の先ほどの答弁でありますと、立案者においては、これは一般会計から負担をしなくとも、大体埋まるであろうというぐあいに考えておるということもあつたのです。そういうぐあいになりますと、この入場税の徴税強化にならざるを得ない。それでも穴が埋まらない、一般会計からは出す道がないということになると、自由党と日本自由党の共同主催でも開いて、そうしてさあいらつしやいと宣伝これ努めて、入場税の増収をはかるというようなぐあいにでもせざるを得ないじやないか、さように結論的になつて来るのでございます。そういうぐあいであつて、まことにめちやくちやであり、また百七十二億八千万円というようにこの額を押えたということは、譲与税の本質を失つておることであるし、また先ほど地方税質疑申しましたように、改進党の修正案に賛成せられて、十六億七千万円の歳入欠陥が出るということは、はつきりわかつておるのだから、せつかくだからここに十六億七千万円プラスして百八十九億五千万円、こういうぐあいにすれば精神分製をしない。ところがこればかりにしておくと、やはり先ほどの賛成の立場と、この百七十二億八千万円との間に分裂を感ずる、こう言わざるを得ない。  そういう点からいいまして、われわれとしては断固反対せざるを得ないのでございます。(拍手)
  66. 中井一夫

    中井委員長 鈴木幹雄君。
  67. 鈴木幹雄

    鈴木(幹)委員 改進党を代表いたしまして、簡単に反対の意思を表明いたしたいと思います。  私どもは地方税法におきまして、入場税の移管について反対をいたしました。その趣旨によつて入場譲与税につきましては反対をいたします。ことに修正案に至りましては、私の質疑申し上げました点も提案者から明確な説明を得ることができません。ただいま門司委員から反対趣旨の説明にありました通り、この修正案によりますれば譲与税の本質を害することになります。ことに予算措置におきましては、予算の本質を害するおそれがあります。昭和二十年度以降におきましては、当然改正をしなければならないはめに追い込まれるであろうと存じます。かような法案に私どもは絶対に賛成するわけには参りません。(拍手)
  68. 中井一夫

    中井委員長 これにて原案並びに修正案に対する討論は終局いたしました。  これより採決いたします。まず加藤精三君外十一名提出修正案について採決をいたします。本修正案に賛成の諸君の御起立を願います。     〔賛成者起立〕
  69. 中井一夫

    中井委員長 起立少数。よつて加藤精三君外十一名提出修正案は否決されました。  次に原案について採決いたします。原案に賛成の諸君の御起立を願います。     〔賛成者起立〕
  70. 中井一夫

    中井委員長 起立少数。よつて原案は否決されました。(拍手)  この際お諮りいたしたいことがございます。ただいま議決いたしました両案の委員会報告書については、先例により委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  71. 中井一夫

    中井委員長 御異議なしと認め、さように決定いたします。  本日はこれをもつて散会いたします。     午後七時一分散会