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1954-04-06 第19回国会 衆議院 地方行政委員会 第39号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年四月六日(火曜日)     午前十一時十七分開議  出席委員    委員長 中井 一夫君    理事 加藤 精三君 理事 佐藤 親弘君    理事 灘尾 弘吉君 理事 吉田 重延君    理事 鈴木 幹雄君 理事 門司  亮君       木村 武雄君    濱地 文平君       前尾繁三郎君    三池  信君       山本 友一君    床次 徳二君       橋本 清吉君    石村 英雄君       北山 愛郎君    伊瀬幸太郎君       大石ヨシエ君    大矢 省三君       中井徳次郎君    松永  東君  出席国務大臣         国 務 大 臣 塚田十一郎君  出席政府委員         自治政務次官  青木  正君         自治庁次長   鈴木 俊一君         総理府事務官         (自治庁財政部         長)      後藤  博君         総理府事務官         (自治庁選挙部         長)      金丸 三郎君         大蔵政務次官  植木庚子郎君         大蔵事務官         (主計局次長) 正示啓次郎君  委員外出席者         総理府事務官         (自治庁財政部         財政課長)   柴田  護君         大蔵事務官         (主計官)   鳩山威一郎君         専  門  員 有松  昇君         専  門  員 長橋 茂男君     ————————————— 本日の会議に付した事件  国会議員選挙等執行経費基準に関する法  律の一部を改正する法律内閣提出第八七号) 地方財政平衡交付金法の一部を改正法律案(内  閣提出第九二号) 地方財政法の一部を改正する法律案内閣提出第  一〇五号)     —————————————
  2. 中井一夫

    中井委員長 これより開会いたします。  前会に引締き、地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案及び地方財政法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を続行いたします。質疑の通告がありますから順次これを許します。中井徳次郎君。     〔委員長退席佐藤(親)委員長代理着席
  3. 中井徳次郎

    中井(徳)委員 ただいま質疑継続中の地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案、これは結局今回は地方交付税法ということになるように伺つておるのでありますが、問題は過去数年間にわたりまして、平衡交付金制度そのものについては、理論的には一応うなずける面がありましても、実際の面におきまして、国の財政の都合という非常に一方的な見解でもつて、毎年毎年平衡交付金の問題が、金額の総体において府県及び市町村を満足せしめなかつたという点に問題があつたわけであります。そういう意味において、今地方交付税法案におきまして、一応線が確定を見た。今度の改正案によりましても、百分の二十というふうな数字が出ておりますが、私どもは過去の平衡交付金のこれまでのあり方、また政府のこれまでとつて参りましたあり方から考えまして、数字がこのままずつと継続されて行くものであるかというふうな点についても、実は多少の疑問といいますか、政府に対して信用をおけないような感じを持つのであります。その点についての政府見通しをまず第一にはつきりとお伺いをいたしたいと思います。それから私どもの基本的な考え方といたしましては、百分の二十というふうな線が一体どうして出されたか、これは地方制度調査会等におかれましても、答申案その他は百分の三十というふうになつておるように聞いておるわけであります。この点につきましては昨日の一般的な質疑のときにも、おそらくどなたか御質疑があつたと私は思うのでありますが、昨日ちよつと欠席をいたしましたので、この百分の三十というふうな線がどうして出るようになつたかというふうなこと、それから今申しましたように、百分の二十というのは、これは絶対動かないものであるかどうかという点について、まずあらためてお伺いをいたしたいと思います。
  4. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 現行制度であります地方財政平衡交付金制度を、今回地方交付税制度改正をするということに対して、過去四年余りこの制度をやつて来たわけでありますが、それを今回かえる、また将来何か地方交付税制度をかえてしまうのではないかということで、その辺についての政府に対する信念を明らかにせよというような御趣旨の御質問でございましたが、この点につきましては私どもといたしましては、今日のように一方において各種の法令あるいは国の予算等によりまして、地方団体に対して処理を要求せられる事務が、非常に広汎多岐にわたつてふえて来ておる。しかも反面そういう事務を処理いたすべき財源となるところの地方自主財源は、いかようなる税源を与えましても、どうしても経済の集中しておるような、人口の集中しておるようなところにのみ集中して行つて農村方面山間方面には行き渡らないというようなところから、どうしても地方財政調整ということは、今田は不可避である。これは地方財政平衡交付金制度が占領の所産ということだけでなくて、その以前から財政調整ということは絶対に不可欠であるということは、御承知のごとく理論として考えられ、実際の制度の上でも地方分与税制度地方配付税制度としてあつたわけでございまして、将来におきましても、この地方交付税制度はあくまでも堅持して参りたいこいうふうに考えておるのであります。どうしてもこのような制度がなければ今日の行政計画的な運営ということは不可能であるように考えられるりであります。ただ、従来の地方財政平衡交付金制度が、いわゆる積上げ方式で、財源不足額を毎年国が予算に計上して、地方に交付するという理論的ば制度上の建前になつておりながら、天際上は必ずしも理論通り運営されていないということと、予算で結局において毎年々々幾ら交付するかということが定められまするために、毎年の予算編成期においては、地方財源不足額推計ということについて、国庫財政当局地方財政当局との間においては、どうしても意見が食い違うというようなところにいろいろ問題があつたわけでございまして、今回はさような点を国税の有力なる法人税所得税、また地方にも普遍的にありますような酒税というようなものにリンクをして、その一定割合のものを地方財政調整に使う、こういうふうに根本的にきめてしまおう、その結果中央の財政に対する依存の風潮をできるだけ少くしよう、いわゆる自主性を強化しよう、こういうのがねらいであるわけでございまして、これは地方財政平衡交付金制度の実際上の運用における欠陥と弊害とを除去して、その長所を存続して参ろうという考え方に立つものでありまして、私どもといたしましては、この地方交付税制度は将来とも、もし両院の議決を得られますらならば、これを堅持して参りたいというふうに考えておるのであります。  なお地方交付税税率を二十九年度において経過的な措置として所得税法人税に対しましては一九・六六%、酒税に対しては一〇%、平年度はいずれも二〇%、こういうふうにいたした理由いかんということでございますが、この点は本年度は従来の地方財政平衡交付金算定と同じような方式地方財政計画をつくり、財源不足額推計いたしまして、その所要額として千二百十六億の計上を予算の上にいたしたわけでございます。従つてそれだけのものを現在の法人税所得税あるいは酒税収入見込額に対してはじき出しますような率の算定をいたしたのであります。ただ酒税につきましては、一方この自主財源としてタバコ消費税という新しい制度を今回創設することにいたしたのでありますが、それに対応する意味もございまして、またがつて酒消費税というような税が地方の税であつたような沿革も考慮いたしまして、酒税に対しては二〇%という税率一つの恒久的な、できるだけ動かさない税率として考えて行つて酒消費税というような実体のものを交付税特別会計に入れて配分をする、こういうような考え方に立つておりますので、従つて酒に対しては二〇%というものをまずきめまして、それによつてはじき出しました残りの額、すなわち千二百十六億から引きました残りの額を法人税所得税収入見込額によるためには何パーセントにしたらよろしいかという計算をいたし、その結果一九・六六という結果になつたのであります。平年度につきましてはそれぞれいろいろ推計をいたしておりますが、二〇%ということで将来の地方財政の確保もできるというふうに考えておるのであります。ことに税収の見込みにつきましては、大蔵当局においては非常に堅実なる見積りを例年いたしておられるわけでありまして、従来の地方財政平衡交付金制度でございますと、予算に計上せられた、今年度ならば千三百十六億というもの以外は、かりに一億ふやすのでも、すべて予算的措置がいるというのが原則でありますが、この税の一定割合、二〇%あるいは一九・六六%というふうにリンクいたしますならば、実際の税収入徴収額がふえて参りますならば、当然にそれよりふえて参る。過去の例に徹しましても、やはりこの点は、平衡交付金伸びと申しますものよりも、かような法人税所得税伸びの方がはるかに大きいという実際上の数字も出ておりますので、かような国税一定割合をもつて地方調整財源とするという制度は、私どもはそういう意味では弾力性のある、伸長性のある調整ができるというふうに考えておるのであります。将来なお例年引続いて相当程度のアンバランスが生ずる、たとえばベース・アツプとかいつたような、引続き地方財政の上で財源措置を講じなければならない事態が生じます場合においては、この割合をかえる。あるいは地方行政財政制度根本的にかえるというようなことで、制度によつて最終的には調整をして参ろうということも考えておるわけであります。
  5. 中井徳次郎

    中井(徳)委員 今お尋ねをいたしましたので、一応政府考え方はわかりましたが、酒については百分の二十を堅持いたしたい、しかし所得税法人税については、今年地方財政一般全国計算をやつてみたところが、千二百十六億足りなかつた。そこでまず酒を二〇%にして、あと所得税法人税割合を逆算したところが、十九・何パーセントになつたというようなことになりますと、この所得税法人税、この二つの比率というものは、今後とも毎年結果から見てかえて行きたいというふうな考え方でおられるのかどうか、その点をもう一度お尋ねいたします。
  6. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 所得税法人税酒税比率変更するということは、原則として引続き地方財政相当の新たなる需要が生じ、地方財政が新財源を要するというような段階にならなければ、これをかえないという考え方であります。酒税なり、法人税所得税割合変更する場合には、どちらの方を先に変更するかということについて、まず酒税について二〇%ということを申し上げましたので、あるいは酒税の方はすえ渇きで、法人税所得税は年々かえるのではないかという御疑問を晦趣いたしまして、たいへん恐縮でございますが、そういう意味では毛頭ないのでございます。ただ法人税とか、所得税とかいうものは面接税でございますから、税率をかえるような場合においては、これらが相伴つてかえられるというような場合が相当にあり得るわけでございますが、そういうことも考えますとともに、反面酒税は御承知のごとく消費税でございますので、これも税率等が別個に動かされるという可能性も多いわけであります。要するに増減税を国税として行う場合においては、これは当然割合をかえなければならぬということになろうかと思いますけれども、そうでないない限りにおきましては、要するに単純な自然増収が見込まれるという程度で、しかも地方財政規模にはさしたる大きな変化がないという状況でございますならば、この割合はできるだけかえないようにすべきであるというふうに考えておるのであります。
  7. 中井徳次郎

    中井(徳)委員 この地方交付税をつくられました趣旨を、私どもは実はもつとすなおに考えておつたのでございます。過去六年間の平衡交付金をめぐるいろいろなごたごた、いろいろな紛争というようなものの根本は、結局毎年毎年金額確定を見ないということなんであります。皆さんは紙の上で計算をなさつて、今年はどれだけ不足だというふうなことをなさつておりますが、いつかも申し上げましたように、地方財政計画なんというものは、政府で立てまうとして、理論的には立てられないものであると私は思うのであります。各府原市町村が独自の予算を組む権限があるわけでありますから、一定のわくはあるにいたしましても、五十億や百億は始終かわるのがあたりまえ、もつとたくさんかわるでありましよう。そういう意味から言いまして、平衡交付金がこれまでいろいろな問題になりました根本は、あらかじめその金額が予定されないということにあつたと私は思うのであります。従つて本年度あたりでも、たとえば全国都道府県市町村予算を組んでおりますが、新しい税制ができ上り、こういう地方交付税その他が通るのを待つて、前年度通りのことで予算を組んでいるように伺つております。毎年々々平衡交付金の問題が年度の途中で多少修正されるとか、あるいは年度末において増額されるとかいうようなことがありますので、実際金園の府県市町村予算組みようがない。知事にいたしましても、大体の目安というふうなことでありますが、全然はつきりとした自信を持つて予算を組めない。平衡交付金をもらつていない府は別であります。しかし大部分の府県市町村平衡交付金をもらつているわけでありますから、そういう意味において、この全額が確定しない、自信を持つて予算が細めないというところに、私は非常な地方財政全般欠陥があつたと思うのであります。そのことはまた裏を返しますと、足らないだけはひとつ運動をしてもらつて来てやろうというような意欲が出て参るというようなことになりまして、いろいろな要因から地方財政が必要以上に膨脹しているとか、あるいは地方行政がぜいたくな部面があるとかいうことは、私はこういうものに大いに原因があるように思うのであります。もつと前にはつきりとしておれはよいというふうな意味におきまして、私は平衡交付金よりも地方交付税の方が一歩前進であるという意味で、実は内心大いに歓迎をしてこの法案を拝見しておつたわけであります。従いまして、そういう意味から言いまして今の御答弁では私はまだ満足はできません。もちろん所得税法人税酒税そのもの税率がかわるとかいうことになれば、変更はあるかもしれませんが、先ほどの御説明では、一応計算をして千二百十六億不足、そこで逆算をして二十になつた。この二十はせいぜい動かさないというような考え方よりも、一応、二十というものを出したならば、それは所得税法人税、及び酒税根本税そのものの率がかわるというふうなことのない限りは、幾品所得税増収になり、法人税酒税も、大蔵省が非常に堅実に計算をして、結果において増収になつても、やはりこの数字はがばんつて行つてもらいたいと思うのであります。そういう意味におきまして、先ほどの御説明はどうも少し納得できないのでありますが、どうでありますか。実際問題といたしまして来年度さらに少しいじるというような考え方を持つておられるのか。また大蔵省あたりとも折衝の過程においてそういう話が出たことはないかどうかさらに伺つてみたいと思います。
  8. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 この提案をいたしました法案におきましては、三十年以降の、要するに平年度原則として、百分の二十という原則を立てており、二十九年度の特例として、経過的措置として一九六六というのを法人税所得税酒税附合にいたしておるわけであります。従つて三十年度以降のことも、この率を定めるにあたりましては、見通しを立てて定めたわけでございまして、ただいまといたしましては、これを変更するつもりは全然ないのであります。何らか特別の大きな制度上の変更がございましたり、あるいはさらにベース・アップというような大きな財政規模の変革がございますれば別でありますけれども、このままで推移いたしますれば、さようなことは考えないつもりであります。
  9. 中井徳次郎

    中井(徳)委員 それでは次をお尋ねいたします。この交付税配分方法につきましては、平衡交付金配分方法を、大体根本方針はそのまま踏襲されておるようでありまするが、それでよろしいのですか。
  10. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 平衡交付金の立て方は、要するに地方財源を保障し、調整し、補填をするといつたような面と、それから先ほど申し上げましたように、地方行政をある程度計画的に運営をして行つて地方がやるために必要な事務財源は、それによつて保障をする、こういう一つ機能を持つておるわけでございまして、地方財政平衡交付金配分にあたりましては、さような機能を十分満たし得まするように、それぞれの測定単位単位費用、あるいはその数値の補正というようなことを通じまして、各地方団体に定められました行政事務が十分にやつて行けるようにしようということに、ねらいがあるわけでありまして、配分にあたつてさような原則が貫かれておるわけでございます。今回の地方交付税法案におきましても、さような配分上の原則はこれをそのまま踏襲をする、ただその後さらに若干改善を要するところは改善をいたしておりますが、建前といたしましては、これをそのまま踏襲するという考え方でございます。
  11. 中井徳次郎

    中井(徳)委員 建前はそういうふうにこれまで通り踏襲するということでありますが、実際は単位費用につきましては、毎年々々過去においてかわつたように私どもは記憶いたしておるのであります。将来とも単位費用は毎年かえるつもりでありますか。
  12. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 これは今までかえて参りましたのも、また今回単位費用をかえておりますのも、たとえばべース・アツプがあつて給与費算定基礎になつております場合には、これは当然改訂しなければならない。あるいは今回は補助金等整理が若干ございましたので、従来補助金で交付しておつたものを、一般財源で見るということになりますと、これも単位費用を改訂しなければならない。あるいは制度改正によつて行政事務がふえたり減つたりするというようなことになりますと、これもまたそれに伴つて単位費用を面さなければならない。要するにさような他動的な原因によつて、どうしても改正しなければならない事態は、これは今後といえどもあろうかと思うのでありますが、それでなくして特に変更をするということは、これは先ほどもいろいろ御指摘のございましたように、安定性を書することでございますので、そういうことはできるだけ避けたいというふうに考えております。今回の単位費用をいじつております点も、今申しましたような給与の改訂とか、補助金整理でございますとか、行政事務制度改廃といつたような面だけに限つておるわけでございます。
  13. 中井徳次郎

    中井(徳)委員 もう一つお尋ねいたしたいのですが、この平衡交付金の実際の配分にあたりまして、いつも問題になりますのは、ことしは府県には五三%、市町村には四七%、あるいは来年は府県には六五%だとか、市町村には三五形というふうなことがありまして、実際の金額は、たとえば国全体として去年よりも百億なら百億ふえたと言つて全国町村長が大いに喜んでおりますと、ふえたけれども、それは実際は全部ことしは県の方に行くというようなことがありまして、末端の市町村におきましては、予算を組む場合に非常に困難を経験しておるのであります。そういう府県幾ら配分になるか、市町村幾らくらい配分になるかというパーセンテージの問題ですが、これにつきまして少し政府の現在の考え方をお聞かせいただきたい。先ほど鈴木さんの御答弁で大体わかつたようにも思いますが、なるべく動かさないということであるならば、毎年動かないわけであります。これについて政府考え方伺つてみたいと思うのであります。  それから参考までに、これまで平衡交付金制度が行われましてから、過失において、昭和二十三年か四年ごろでありましようが、毎年府県市町村に対する配分比率はどんなふうであつたか、ちよつと御説明をいただきたいと思います。
  14. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 地方財政平衡交付金というものを頭から比率によつて府県市町村に振りわけをするといううな考え方は、根本的にはとつていないのであります。財政計画を一方に立てまして、既定の財政規模に対して、その年度に新しくふえて参ります財政需要が、府県なり市町村なりにそれぞれ加わつて参るわけでございますから、そういうところから従来の振りわけの上に積み重ねて財政計画をつくつており、そういうものを基礎にして配分をいたします場合の平衡交付金単位費用をはじき出しておるわけでございますので、これは基礎にとつておりますいわゆる標準団体というものを想定をして、いろいろ単位費用を出しておるわけでございますが、従来の配付税などのように、頭から地方団体の種類によつて一定のものをわけてしまうというようなやり方はしないわけでございます。ただ今御指摘のように、府県市町村の実際の問題として、昨年これだけ自分の市では平衡交付金が来たのだから、ことしもこれだけ平衡交付金が来るだろうと予想しておつたところが、それだけ来なかつたということでありますが、それは平衡交付金制度施行の当初一、二年度においては、そういうことがあつたかと思いますが、最近においては要するに税と——市町村の場合は百分の七十、府県の場合は百分の八十というその基準税収入と、平衡交付金の瀬とを足したものが、大体各年度そう大きな開きがない。その年度においてもしもベース・アツプがあつたならば、その分程度は当然ふえるけれども、税と平衡交付金とを合せたものは、各年度間においてそう大きな変動がないような割合で来るという一つのめどが、地方団体としてはそれそぞれ持ち得るわけであります。従いましてそう大きな狂いはないのではないか。ただ補助金などでございますと、昨年これだけ来たから、ことしもこれだけ来るというような一つの予想をいたすでございましようが、たとえば税収入が本年度非常にふえたということになれ、は、平衡交付金はそれに応じて減ることは当然でございますから、そういう点の感覚さえ地方団体はつきり持つようになりますならば、これは非常に不安定だということはなくなるのでありまして、両方を通じて定の財源が常に保障される、こういう考え方でございます。交付税につきましても、大体そういう考え方配分をいたしますので、税の自然増収程度伸びは出て参りましようけれども、そう大きな変動はないように思うのであります。
  15. 中井徳次郎

    中井(徳)委員 次長の非常に上手な答弁で、非常に円満にこれまで行つたような印象を受けるわけでありますが、過去におきましては残念ながら必ずしもそうではなかつたように、私どもは記憶するのであります。しかしいずれにいたしましても、平衡交付金よりも地方交付税というふうな考え方、これ先ほどからたびたび申しますように、一つの安定の段階に一歩前進をしたという意味において、私どももその点はよく認めるわけでありますが、根本はあくまで県や市町村自主性というものに——この平衡交付金制度のたびたびの改廃によつて財政的な自主権の確立といいますか、そういうものに不安を与えないようなはつきりしたものにしていただきたいというのが、私どもの念願であります。  最後に一点だけお尋ねしたいのですが、この単位費用の問題につきまして、警察費単位費用が、この改正案の六ページにありますが、一人について三十万六十二十円ということになつておりますが、この警察費単位費用平衡交付金時代からの過去の数字を聞かしてもらいたい、かように思います。
  16. 柴田護

    柴田説明員 従来市町村におきまして、市町村警察費があつたのでありますが、その単位費用を申し上げますと、昭和二十五年におきましては十六万三千五百円、昭和二十六年は十九万五百円、この測定単位は警察吏員数であります。そうしてこれに想定いたしております標準団体は人口十万の都市であります。それから昭和二十七年から測定単位が人口にかわりまして、二十七年度は人口一人当りの単位費用が二百八十、三円七十三銭、昭和二十八年度が二百九十九円十二銭であります。
  17. 中井徳次郎

    中井(徳)委員 二百六十三円とか、二百九十九円、これを警察吏員に割りますと、どれくらいになりますか。
  18. 柴田護

    柴田説明員 計算いたしまして、あとでお答えいたしたいと思います。
  19. 中井徳次郎

    中井(徳)委員 どうも現在、全国の自治体警察を存続いたしておりますところでは、平衡交付金では警察費用はとてもこれまでまかなえておらぬのであります。そうしてそのことが非常に問題になりまして、群小の町村の警察は、ほとんど財政上の理由から警察を返上したということになつております。従つてどもは、この当時から単位費用さえ上げればいいのではないかということをやかましく言つておりました。十六万円とか十七万円とかいうのが長く続いております。今回この単位費用を見ますと、一挙に三十万円になつておるのであります。ここに私は大いに問題にしなければならぬ点があると思うのであります。自治体警察はもう返上しようじやないかという原因は、あくまでほとんど財政的なものであつて、そのときには財源を与えないでおいて、今度大改正をして府県に行くということになると、一挙に三十万円というふうなことについて、われわれはとうてい納得できない。この点もう少し詳細にひとつ説明してもらわなければならぬ。今の人口比率の問題につきまして、また昼からでも明白でも、ひとつ金額を出していただいて、それからの質問を継続することにいたします。この点につきましてはちよつと保留をさせていただきます。
  20. 佐藤親弘

    佐藤(親)委員長代理 大石ヨシエ君。
  21. 大石ヨシエ

    ○大石委員 鈴木さんにお尋ねします。きのう門司先生がちよつとお聞きになつておりましたが、地方財政平衡交付金法が今回題名をかえて地方交付税法、かつまた地方交付税法によつて交付金を交付税にした、普通交付金を普通交付税にした、また特別交付金が特別交付税、そうするとこう毎年々々ねこの目の玉よりもつとよくかわる。これは今まで平衡交付金と言うたのがこんなにかわつた、来年度はまたどういうふうな名前にかわるのか。一体ねこの目の玉でもこんなにかわらない。これでは市町村が非常に困ると思う。あなた方は机上の空論で、官僚で何も御存じありませんが、こんなにぐるぐるかえられると市町村事務をとつている人、府県会議員はどれだけ困りますか、これを御存じでございましようか、お聞きしたい。
  22. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 今回の地方財政平衡交付金地方交付税にかえましたことにつきましては、先般来から提案理由で申し上げたと思うのでありますが、昨年の地方制度調査会の答申の中に、すでに今の地方財政平衡交付金制度地方交付税という制度にかえたらよろしい、こういう勧告が内閣に対して出されておつたのでございます。これは床次委員どもその部長として直接その審議に参加せられ、また門司委員も有力な委員の一人として参加せられておつたのでございまして、そういうような調査会の答申を政府としては尊重いたして、今回さように改正をいたしたのであります。しかし改正はいたしましたけれども、その改正の一番眼目は、先ほどもお話がございましたように、従来の地方財政平衡交付金制度でございますと、ことしはこれだけ地方財政で金が足らない、だからそれをひとつ地方財政平衡交付金として、一般会計の予算に計上して地方に出してもらいたい、それを交付金の配分方法配分する、こういうことになつてつたのでございます。そこで年々歳々その平衡交付金の額をどうするかということで、これはひとり自治庁と大蔵省との間だけでなくて、国会の関係の方面におきましてもても、いろいろ議論て来ておつたわけであります。そこにいろいろ問題があつたわけでございます。それを今度は法人税所得税酒税の二〇%というふうに法律の上できつちりきめてしまう。従つて年々歳々いわゆる予算の獲得騒ぎ、平衡交付金の獲得騒ぎとしうものを起さなしようにしよう、こういうところに根本のねら「がある存でございまして、そういうふうにして定められた交付税の総額というものは、これは従来の平衡交付金配分の仕方と同じような仕方でこれを配分するということでございますから、そう根本的にものをかえたわけでもない。ただその総額を決定する方法が、まるでかわつてつたという点に眼目があるのであります。従つて将来もまたしばしばかような改正はないかというようなお話でございますが、これは決して私どもが机上でかえないということを申すのではなくて、この制度先ほど中井委員もけつこうだという趣旨を仰せになりましたが、私どももこの制度の方が今までの平衡交付金制度よりいい、従つて将来とも長くかような方式を継続して堅持して参りたいというふうに強く考えておるのであります。
  23. 大石ヨシエ

    ○大石委員 どうもただいま鈴木さんがおつしやいましたことについて私はちよつと疑問があるのですが、その内容はどういうふうになるのですか。やはり同じことじやありませんか。平衡交付金交付税になつても、やはり地方の人は運動に出て来る、プラス、マイナス何もならない、結局官僚のためにわれわれが道具に使われる。結局同じことじやありませんか。平衡交付金でもそうです。交付税と名前がかわつても内容は同じことじやありませんか。そういうようなことをしてはわれわれ困りますよ。答申案々々たとおつしやいますが、それならば、われわれの地方行政委員会よりか、その答申案の方にあなた方は重点を置いてお考えでございますか。
  24. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 政府は、従来の平衡交付金制度をどういうふうにしたらよいかと、いろいろ御議論があつたものでございますから、この点について地方制度調査会の御意見があつたら、ぜひ承りたいと考えておつたのでありますが、それに対して昨年地方交付税制度を採用するようにという答申案があつたわけであります。これは決して地方制度調査会の方を尊重して、当委員会を尊重しないなんという考えではないわけでございまして政付としてはさような地方制度調査会の意見に基いて政府案を立案し、それを国会に提案して可否を御審議願つていただきたい、こういうことであります。
  25. 大石ヨシエ

    ○大石委員 今回競輪の納付金が廃止になりましたが、それはどういういきさつで、どういうふうになつておるか、これをちよつとお聞きしたい。
  26. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 これは私どもの方から申し上げるのが、はたして適切であるがどうか存じませんが、地方競輪のような財源を、一般財源基礎として見るということは、国庫財政の健全化という点から必ずしも適当でない、かようなものは地方的色彩の非常に濃いものであるから、むしろ地方財政の方にまわしたらいいのではないかという考え方で、政府としては国庫納付金の制度を廃止する措置をとつたものと、私ども了解しているのであります。     〔佐藤(親)委員長代理退席、委員   着長席〕
  27. 大石ヨシエ

    ○大石委員 それでは交付団体の超過財源は何ほどでございますか、お聞かせ願います。
  28. 柴田護

    柴田説明員 正確な数字は後ほど調べてお答えいたしますが、大体三百十五、六億だと思います。
  29. 大石ヨシエ

    ○大石委員 そんな二百億もないよ。月給もろとつて、そんなこと知らぬのか。
  30. 柴田護

    柴田説明員 競輪の超過団体の富裕財源と、競輪関係の特別会計から特別会計自体の施設に使うようなもの、それらのものを含めまして九億を想定いたしております。
  31. 大石ヨシエ

    ○大石委員 そうすると交付団体の超過財源が九億ですね、柴田さん。
  32. 柴田護

    柴田説明員 全部が超過財源ではございませんけれども、主として超過財源であります。
  33. 大石ヨシエ

    ○大石委員 主として……。
  34. 柴田護

    柴田説明員 はい。
  35. 大石ヨシエ

    ○大石委員 主としての内容をちよつと聞かしてください。
  36. 柴田護

    柴田説明員 競輪特別会計から一般会計に繰入れます財源は、大体十三億円を想定いたしております。昭和二十九年度におきましては、従来の制度で行きますと大体二十二億円が競輪関係の収益から国に納まるものという勘定になるのでありますが、競輪特別会計から上ります収益のうちで、一部は競輪場の施設の償還財源等に充てられるわけでありまして、さようなものを含めまして九億円を主として富裕団体の超過財源というふうに計算いたしておるのであります。
  37. 大石ヨシエ

    ○大石委員 そうすると交付団体の九億円を起債の抑制で考慮せられるから、今回の国庫納付金制度の廃止によつて生ずる増収額は、地方自治体の財源として期待することはできなくなりますが、これはどういうふうにしたらよろしいでしようか。あなたのお考えを開かせていただきたい。
  38. 柴田護

    柴田説明員 補助金等の特例に関する法律案が通過いたしません場合においては、地方財政計画上収入を見込んでおります十三億円は穴があくわけであります。もしもさようなことになりました場合においては、この十三億円の穴に対しまして財源措置をせざるを得ないことになるのであります。私たちといたしましては、補助金等の臨時特例法を通過させていただきまして、地方財政計画上穴があくことのないようにということを考えております、
  39. 大石ヨシエ

    ○大石委員 でも現に穴があきますよ。これはどういうふうにしたらよろしいのでしようか。実際において穴があきますので、地方公共団体は非常に則ります。それを御承知願いたいと思います。私は関連質問ですから簡単にしますが、これをひとつよく御相談くださいまして、もう一度御研究を願いたいと思います。研究してくれますか。
  40. 後藤博

    ○後藤政府委員 御質問の趣旨が私どもよくわかりませんが、一般財政計画の中の国庫納付金をやめたために競輪の収入十三億円がなくなつた場合には、地方団体の方で起債及び交付金で加減されたら意味がないじやないか、こういう御質問ではないかと思うのであります。そういうことを競輪をやつておられる地方団体の方が、われわれの方に言つて来られることも聞いております。しかし実際問題として起債の場合でも交付金の場合でも競輪の収入が多いとかなんとかいうことでなくて、一般的超過財源のあるところとそうでないところとの間に起債をつけます場合に、優先順位の差をつけておることは事実であります。この問題はやはり競輪の国庫納付金が廃止されまして、それを一般財政計画に入れました場合でも同じことであるのであります。超過財源が多くなるだけでありまして、その超過財源は全部差引くようにはいたしておらないのであります。その辺か多少誤解があるように私どもは考えております。これは競輪のある団体の側から申しますればそういうことになりますが、一般の競輪をやつていない地方団体財源は、十三億を一般会計に入れましたことによつてむしろ減つたというふうに考えられるのであります。従つて平衡交付金配分のときには、もちろん税だけを対象にいたしまして基準財政收入を算定いたしますので、競輪の収入は特別交付金の場合に多少考慮することかある程度でありまして、一般の普通交付金の場合には全然考慮をいたしておりません。従つて競輪の施行団体の方々の御心配になるようなことはないと思うのでありますが、その辺に多少誤解がございますので、おそらくそういう意味の御質問じやないかと考えておるのであります。
  41. 門司亮

    ○門司委員 きよう大蔵大臣か次官に出て来てもらいたいと考えておつたのでありますが、事務的の答弁だけではきよう私はちよつと困るのです。私のきよう聞こうと思つておりますことは、この配付税の問題について、一体大蔵省地方財政をどう考えておるかということを聞きたいと思うのです。いろいろ議論になつてはおりますが、地方財政平衡交付金交付税にかわりました原因については、すでに御承知だと思う。従来国の予算の都合でその年その年の交付金がかわつて来るというようなことでは、地方の自治体といたしましては非常に困る。従つて地方財源を確保し、かつこれが確定的なものにすることのためには、どうしても法人税あるいは所得税酒税一定割合というものを地方に出して、それによつて地方財政を一応確保したい。今までの地方財政平衡交付金は、法律自体からいえば積上げ方式であつて、きわめて民主的にできておるようには見えるが、しかし実際には国がなかなかその通りにやらぬのであつて大蔵省がいくらやかましいことを言つても、言うことを聞かぬのであります。大蔵省がこういう形である限りにおいてはいかにりつぱな体裁を整えた法律であつても、その法律の施行は困難である。従つて大蔵省がそうわがままを言わぬように一定割合をこれらの地方に出すようにしようというのが、今度のこの交付税法にかわつた最も大きな原因である、そう考えて参りますと、この交付税自体をきめます場合には、やはり地方財源というものがどれだけ必要かということを考えて、その上に立つて、この処置が当然講ぜられるべきである、そういうふうにわれわれが考えて参りますと、昨年の地方財政平衡交付金の総額は補正予算を入れてすべてで一千三百七十六億であつたことは御存じの通りである。ことしの交付税の総額は一千二百十六億という数字になつておる、こういう数字は一体どこから来たかということは、これはタバコ消費税があるからとか、いろいろな問題がここにはあると私は思う。しかしタバコ消費税あるいはこの財源をもつて充ててみましても、地方財政というものが、これで完全にまかなえるかどうかということには非常に大きな疑問がある。と申し上げることは、今度出て参りました地方交付税法の内容には算定基準が書かれておりますが、この算定基準というものは、従来の交付金のときの算定基準とほとんどかわつておらない。そこでこれから割出されて大体千三百十六億という数字が出て来ておる。従つてこれは実質の地方の公共団体の赤字を一体どうするかということについては、何ら考慮が加えられておらない。従つて私の聞きたいと思いますことは、大蔵省地方財政の赤字を一体どうお考えになつておるかということである。財源不足をどうお考えになつておるかということである。今国会は御承知のように地方財政の再建整備法という法律をこしらえて、従来の赤字を一応解消することに努力をいたしておりますが、しかし従来の赤字をいくら解消いたして参りましても、あとからあとから赤字が出て来るのではどうにもならない従つてその赤字をいかにして補填していくかということが、今度この交付税法に名前を改めた最も大きな原因であるということになつて参りますと、大蔵省地方財政に対する認識を少し改めてもらいたい。私は実はここを質問をいたしますので、特に政治的答弁を必要とする関係から、大臣あるいは次官に来てもらわなければ実際の問題は困る、こう考えておつたのであります。幸い次長がおいでになつておるのであるからよく数字で御説明——一応私がするよりも政府当局の力がよく御存じだと思いまするが、今度内閣総理大臣から衆議院の議長あてに出された昭和二十七年度の国庫財政地方財政との関係についての書類が参つております。この内閣総理大臣から堤議長にあてて出されておりまする報告書の中の二十七年度の決算額を見てみますると、私はこまかいことを申し上げる必要はないと思いまするが、昭和二十七年の国庫財政というものは歳入が一兆七百八十八億円になつておる。そうして歳出は八千七百三十九億であつて、歳計の剰余金というものが二千四十九億円になつておるのであります。そうしてさらに翌年度の繰越しであるとかあるいは歳出の財源にこれを充当するというようなことで大体千百九十億を差引いて参りましても、実質的に決算面で剰余金を出しておりまするものは八百五十九億という数字が出て来ておる。大蔵省は二十七年度の決算面で明らかに翌年度の事業の繰越しその他の財源に充当する——さつき申し上げました千百九十億を差引いてもなおかつ八百五十九億という黒字を出しておる。ところが地方財政は一体どうなつておるか。地方財政の力は、歳入総額が八千五百三十億であつて、そうして歳出総額が八千四百二十億になつておる。これの歳計の剰余金は百十億になつておるのでございますが、これを翌年度の繰越しの歳出に充てて参る、いわゆる事業繰越し及び支払い繰延べ等の財源に充当して参りますると、その額が大体二百九十六億である。従つて実質的には決算においては百八十五億の赤字を出しておるということが、内閣総理大臣の報告書にはつきり書いてある。国は二十七年度において、さつき申し上げましたように八百五十九億も黒字を出し、地方はほんとうの赤字でありますが、繰延べその他を差引いたほんとうの赤字というものが百八十五億ある。さらにこういう状態でありまするから、地方年度繰延べあるいは事業の繰越しというようなものについては、おそらく財源置は一応充当すれば二百九十六億を必要とするのであるが、その財源もないのではないかと考える。そういたしますると、この百八十五億と、さらに二百九十六億というものが赤字ではないかということが私は臆測できるのであります。さらにその次に書いてある報告書を読んでみますると、どういうことになつておるかと言いますと、御承知のように赤字団体が年々ふえて来ておりまして、昭和二十六年の赤字団体よりも昭和二十七年の赤字団体は一・五倍にふえておる。同じように歳出の不足額もやはり百五十四億というような金額がふえておる。そうしてその金額は前年度の二・四倍になつておる。こういうふうにずつとなつておりまして、昭和二十七年度の最終的の財源不足額というものは、大体三百億であるということが、政府当局から衆議院にあてて報告された数字である。この数字は私は間違いがないと思う。そういたしますと、地方制度調査会その他でいろいろ審議をし検討をいたしました結果、大体地方財政に対しては三百億内外のものを現在の財政規模の上に見積らなければ、とうてい地方財源というものはまかない得ないのだという結論か出ておる。この結論とちようど符合した数字が大体総理大臣の報告書に書いてあるのであります。従つて地方財政をいかにするかという問題については、この三百億というものをやはり地方財源として一応財政計画の上に加えるべきではないかと考える。これが加えられない限りにおいては、年々歳歳これを繰返しておつて、いつまでたつて地方財政というものはゆたかにならない、そう考えておりますのに、今度これを交付税といたしましたことについては、冒頭に申し上げましたよりに、それらのものを解消することのために、こういう法律に改めるのである。ところが法律を改めて参りましても、大蔵省は依然としてそういうことに気がつかないで、昨年の地方財政平衡交付金よりもさらに三百億余り出そうというようなものの考え方をしておる、私はこの点についての大蔵省の所見を実は聞きたいのでありますが、もしあなたにしてこれに御答弁が願えるなら一応あなたの御見解をこの際聞いておきたい。
  42. 中井一夫

    中井委員長 門司君にお伺いしますが、ただいまのお話のその書面は日付はいつになつておりますか。
  43. 門司亮

    ○門司委員 お答えいたしておきまするが、これは昭和二十九年三月九日受領と書いてあります。「内閣総印第四十四号昭和二十九年三月九日、内閣総理大臣吉田茂、衆議院議長堤康次郎殿、地方財政法第三十条の二の規定により、地方財政の状況を別冊のとおり報告する。」こう書いてあります。
  44. 中井一夫

    中井委員長 ありがとうございました。
  45. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 お答え申し上げます。地方財政に関して御造詣の深い門司委員から、大蔵省地方財政に対する認識につきまして、まことに重要な御質問でございまして、あるいは私がお答えするのは適当でないと存じまするが、私の存じております限りのことをお答え申し上げたいと存じます。  御指摘の通り昭和二十七年度地方財政は非常に困難な結末を告げておりまして、かような次第もございましたので、かねがね政府としてもこの地方財政については根本的な対策を講ずる必要があるという認識に立つて、当委員会の有力なる委員の方々に御参加を願いまして、地方制度調査会等も開催せられ、その答申に基いて、御承知のような財政きわめて多端のときでございますが、私どもとしても地方財政についてはできるだけの措置を講じて、今国会に予算案、法律案を提案いたしたのでございます。御指摘の通りに、地方村政が非常に赤字であるが、これに対する根本的の対策を講じていないじやないか、なるほど交付税制度は、地方制慶調査会の御答申にもございましたし、また先ほど来のお話にもあります通り、一歩前進をしたものであるという点は認めるけれども、なおこれでは従来の赤字の原因を抜本的に解決する風になつていないではないかというふうな御趣旨のように拝聴いたしたのであります。この点については、御承知のように本年は国家財政はいわゆる一兆予算ということで、相当シビヤーな緊縮政策がとられております。これに対して私どもは十分とは申せませんが、地方制度調査会においていろいろ御議論のあつた点について、国の緊縮政策のもとではありますが、できる限りの措置を講じたいという気持をもちまして、まず交付税制度あるいは譲与税制度、その他地方のプロパーな財源について、できる限りの充実をはかるという措置を講じておることは、当委員会においてかねて御審議のところから明らかであろうと存じます。  なおまた赤字の対策いとたしましては、地方制度調査会において、なるほど二つの重要な提案がございましたが、この点については、政府部内においてもいろいろ検討を加えました結果、一時にすべてを解決するということもなかなか困難でありますけれども、幸いにして今回の制度改正等も行われますならば、地方財政相当自主性を増すものであるという認識を持つて、とりあえずの措置として、最小限度この既定財政規模に修正を要する点については、この際修正を行うという方針のもとに、ただいまお話になつたような赤字発生の一半については措置をしているような次第でございます。なお今後においては、そういう制度根本改正をお認め願つた上で、さらに国地方を通じて財政の合理化、健全化に努めまして、なおどうしても措置をしなければならないような問題については、今後において十分慎重に検討を加えて行こう、こういうふうな考え方をもちまして、今回の予算案、法律案がつくられたような次第でございます。  なお御参考までに国の一般会計の財政規模は九千九百九十五億でありまして、これは従来の二十七年度あるいは二十八年度の規模に比較して、国民所得との関係等の割合もむしろ比較的減少いたしておることは御承知の通りであります。地方財政につきましてはそういう緊縮の財政でございまして、もとより相当の節約等もはかられておることにつきましては、私どもも深甚な敬意を表しておるのでございますが、結果的に見ますと、昨年度に対しましてなお数百億の規模の増大になり、これはまた先ほど申したような既定計画の修正というものを加味しての結果でございますが、国民所得に対する割合等もむしろある程度のふくらみを持つておるような次第でございます。交付税制度につきましては、門司委員もすでに御承知の通りのような大きなメリツトを持つておる点は、先ほど来お話のありましたことによつても明らかなところであります。私どもといたしましては、今後とも交付税基礎になります二税の確保、その堅実なる見積りと運営上の増収等によりまして、いわば今回せつかく地方制度調査会の御答申によつてつくられました新制度が、その本来企図されました趣旨を遺憾なく発揮いたしまして、地方財政自主性を与え、弾力性を与えて行くということが実現しますことを、心からお祈りをいたしておるような次第であります。
  46. 門司亮

    ○門司委員 非常に長い答弁でございますが、私はそういう答弁を実は要求したわけではありません。それ以上答えられないということになるかもしれませんが、もし今のお話が真意とすれば、この六条の規定は何ですか、もし大蔵省地方財政に対する認識がはつきりしておつて、ほんとうに今の御答弁のようなお考えでやられるなら、この六条にこういうことは書けないはずである。「所税得、法人税及び酒税収入見込額のそれぞれ百分の二十」と、こう書いてある。いわゆる収入の見込額というのは当初予算の見積額と解釈するのが正しいと思う。そういたしますと、この税金はあなた方の方がよく御存じのように、いつでもかなり幅のある税金であります。従つてさつき私が、二十七年度の決算をそのまま読みましたように、やはり歳入の上では二十七年度でも大体二千億からのたくさんの歳入がふくらんで来ておる。この原因は主としてやはり所得税法人税酒税であつたと考える。もし大蔵省がそういうお考えであるとするなら、当然六条の百分の二十というところについては、税の収入の見込額というようなことでなくして、当該年度税収入の総額の百分の二十ということがここに書かれなければならない。ここに私は大蔵省の制限的一つの大きな現われがあると考える。第六条二項には「毎年度分として交付すべき交付税の総額は、当該年度における所得税法人税及び酒税収入見込額のそれぞれ百分の二十に相当する額の合算額」これは見込額に相当する額であります。従つて当初予算に計上された収入額に対する百分の三十であります。それはどこに出て来ているかというと、これが特別会計に入つております。従つて特別会計にこれが収入されております以上は、これは税の総額の百分の二十ではないと考える。もしこれが特別会計でなくして、単にこれだけのものを地方に交付するというなら、これはまた一応考え方がありますが、ここは税収の見込額の百分の二十ということをはつきり書いて、その次に特別会計にこの数字をあげておるということは、明らかに特別会計の中の関連性から考えて来ると、そういう含みはこの中にないと私は考える。もし大蔵省がその含みがあるというなら、その点をはつきりお答え願いたい。
  47. 後藤博

    ○後藤政府委員 便宜私の方からお答え申し上げますが、前の方の文句は「所得税法人税及び酒税の収入見込願のそれぞれ百分の二十に相当する額」これは国の予算の組み方をここに書いたものであります。さらにその「合算額に当該年度の前年度以前の年度における交付税で、まだ交付していない額を加算し、」これは決算において自然増収が出た場合にはやはり入る、こういう意味であります。あとの「又は当該前年度以前の年度において交付すべきであつた額をこえて交付した額を当該合算額から減額した額とする。」これは国の予算額よりも減収になつた場合には差引く。国の予算額よりも自然増収なつた場合は前の規定で加わつて来る、こういうことでありまして、この規定全体でもつておつしやるようなことに相なつておるのであります。
  48. 門司亮

    ○門司委員 私は後藤君に特に聞く必要はなかつたのだが、大蔵省はこの条文について昨日もそういう説明があつたのでありますが、この規定の中には、もしそうだとすればまわりくどいことを書かなくて、明確にやはり当該年度のそれだけだと書いて、はつきりした数字を書くべきだと考える。ここにいろいろな問題が出て来やしないか。従来こういう規定をこしらえた場合には、こういう考え方ではなかつたはずである。たとえば今までの昭和十五年から二十四年までの間にあつたと思いますが、例の交付税というような税のきめ方は、こういうような響き方をしていなかつたはずだ。今度に限つてこういう書き方をして出て来ている。さつき書いておりますように、もし大蔵省がほんとうに減点があるなら、こういう書き方ではなくて、当該年度のものは全額これを支給するのだということで、差引をするというような書き方でない方が私はいいと思う。私がなぜそういうことを言うかといいますと、これは差引をして、そうして余つただけをやるということになりますと、地方の団体に交付する額においては非常に大きな問題を将来に残して行く。財源がこれだけ余つておるから、この財源はこつちにやるということが必ず出て来るので、こういうややこしい問題になるから、実際上の問題として私は大蔵省にお聞きしているのであります。
  49. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 お答え申し上げます。ただいま門司先生のおつしやる御趣旨は、配付税のときの用例と多少違つておるじやないかという御趣旨のようでありますが、配付税の場合は、前前年度の実績ということで配付することになつておりましたことは仰せの通りでございます。私どもはこの条文につきましては、地方制度調査会の御答申を実は尊重申し上げた次第でございまして、こういう趣旨配付税の場合よりも、むしろ地方に対しまして有利であろうというふうに考えておるのでございます。と申しますのは、今日は終戦後の要するに税制等ですべてそういう建前をとつておるのでございますが、大体予算主義ということになつておるのでございます。戦争中は税金その他でも決算主義でございまして、地方の実績によつて税をかけ、実績によつて地方に配付するというような建前でございまして、確実なことはあるいは確実かもしれませんが、要するに次第にある程度遅れて参るのでございまして、弾力性という意味におきましては、むしろ予算主義よりそれは減る場合もございますが、しかしながら最近の実績よりもむしろ予算によつてやるということの方が、一般に税収その他におきましても、いわば合理的であろうということで、そういう建前をとられておるものと思うのでございます。ただいま自治庁の方からお答えになりました通りに、予算につきましては、もとより見込額による以外はないのでございますが、しかしながら決算的にはこれは実績で実際に出したものの二割というものは、地方に確保するという建前だということで、あとの方の規定ができておるのでございますから、これで地方は御損はないわけでございまして、ふえた分はあとから出すということで結局は渡るのでございます。従いましてやはり国の予算と同じように、予算で見込みましたものの二割をまず予算に計上いたしまして、実際に自然増収その他がございました場合には、その増収したもののさらに二割を翌々年度において地方に交付する、こういうふうな建前をとりまして、むしろ地方がそれによつて有利である、こういうふうに考えております。
  50. 北山愛郎

    ○北山委員 ただいまの御答弁ちよつと気がついたのですが、実は私も疑問に思つてつた点ですが、この交付税所得税法人税酒税一定割合でやる、年度の初めにおいては国の予算の当該税収見積額の百分の二十なら二十というものをやると同時に、今の第六条の条文には、「所得税法人税及び酒税収入見込額のそれぞれ百分の二十に相当する額の合算額に当該年度の前年度以前の年度における交付税で、まだ交付していない額を加算し、」こう書いてあります。これは当然二十九年度で実際の収入見込みよりも自然増収が出て、そのふえた分の百分の二十というものは、翌年度において交付される合算額の中に入る。かようにこの規定は考えておつたのですが、ただいまの説明の中に翌々年度というようなお言葉があつたのでありますが、その点非常に疑問なんです。また同時にこのことは入場税、入場譲与税についてはその伸びは翌年度にやる。今の交付税については翌々年度にやるというような御方針を、大蔵省でお立てになつたというようなことも実はちよつと開いておる。どうして一体翌々年度になるのか、この規定から行くと、前年度以前の年度でありますから、ちよつとその意味がわからない。ただいまの御説明ですと、二十九年度伸びは三十一年にならなければもらえないというように解釈されるのですが、どういうわけでそういうことをなさるのか、それを確かめておきたい。
  51. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 それはもつぱら技術的な問題でございまして、御承知のように国の決算は七月末に国の主計簿は締め切ります、むろん翌年度予算につきまして前年度の決算がはつきりいたしますれば、これは翌年度予算においてやるべきでありましようが、決算が確定いたしませんので、翌々年度ということに相なるのでございます。入場税は御承知のように上りました分を譲与して行くという建前でございますので、いわば実績に近いものが譲与されて行く、こういうことに相なりますので、その点が多少技術的な理由から違つているわけでございまして、決して大蔵省がそういう方針をとつたということではございません。できるだけ早く実績によつて交付すべきであるということは、私ども同様に考えておるのでありますが、ただ遺憾なことに決算の確定が遅れますので、翌々年度になる。ただ予算において翌年度にそういうところが考慮されないかというと、それはそうではございませんので、所得税法人税酒税の現実の収入状況を見まして、翌年度予算に組まれるのでありますから、収入状況が非常にいい場合には、翌年度予算がそれだけ伸びて来るわけでありますので、そういう点におきまして同じ二割と申しましても、翌年度予算に十分反映されて来るものと確信をしておるのであります。
  52. 北山愛郎

    ○北山委員 ちよつと入場税との関連がよくわからないのですが、入場税におきましてもやはりその年の出納閉鎖期までに納入になつた分について決算になるのではないか、としますならば、所得税法人税酒税でもやはり同じではないかと思う。まさか年度の出納閉鎖期を越した分を決算の際に、またさらに追加してやるというわけのものではなかろうと思う。年度区分の決算においては入場税であろうが、所得税であろうが、酒税であろうが、法人税であろうが、同じであろうと思う。ただ技術的な意味において両者を区分するということがよくわからないので、もう少し技術的という点を御説明願いたい。
  53. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 結局これは予算の歳出権の問題になつて来るわけでありまして、今度の交付税が千二百十六億ということで、国会の議決を求めているわけでございますが、国会において議決せられますと、それだけの歳出権が政府の方にできるわけであります。すなわち千二百十六億はまず一般会計から交付税及び譲与税の配付金特別会計に繰入れができるわけでございます。そうしまして、この特別会計から地方に配付せられるわけでございます。入場税につきましては、やはりそういうふうな剰余金として支出されるのでございますが、その際に、実際の交付といたしましては、これは御承知のように特別会計で徴収をいたしまして、その実績に従つて交付するのであります。なお入場税については弾力条項という技術的なものを設けまして、実績に応じて出し得るようにいたしておるのであります。ただ所得税法人税酒税は、御承知のように一般会計の主要な財源でございまして、まず一般会計がこれを収納いたしまして、その二割を見込んで特別会計に繰入れて特別会計から出される、こういうことに仕組みが違うわけでございます。従いまして、ただいま申し上げましたように、その決算上の措置は翌々年度において、決算の確定を待つていたす、こういうことに考えておるのでございます。そこでおつしやる御趣旨は、結局その見積りを的確にすべきではないかという御趣旨になつて来るのでございますが、この点につきましてはまことにごもつともでございまして、従来とかく国の税金の見積りが内輪であるという御非難がございますから、その点は先ほども申し上げましたように、今年の収入実績等をよく見まして、来年度予算の計上にあたりましては、十分最近の趨勢等を見込んで予算に計上したい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  54. 北山愛郎

    ○北山委員 一応わかつたような気がしますが、予算技術上入場譲与税の場合と交付税の場合、そういう差別をして、しかも交付税については当該年度伸びを翌々年度でなければもらえぬというようなことのないようにできなかつたか、それはたしか交付税の方の特別会計予算総則の中にそういう説明がついて、そういつた措置がとられることになつておるはずですが、一般会計の方の予算総則なり予算の補正なり、そういうことでもつて——交付税についても決算という意味においては私は同一だと思うのです。そこで予算措置について、翌年度において合算をするという手続が、技術的にどうしても不可能であるかどうか、その方法がないかどうか、もう一ぺん確かめておきたい。同時にこの問題は相当重要だと思うのです。私どもは普通に考えれば、二十九年度所得税法人税の税の伸びがあつた場合には、翌年度交付税はそれだけふえるんだというふうに一応期待するわけであります。ところが実のところは、それは三十一年度にならなければもらえぬということでは、どうなるかわからぬのですから、これは相当な問題でありますが、これに対して一体自治庁はどういうふうにお考えになつておるか、技術的に何とか翌年度においてもらえるような方法がとれなかつたのかどうか、それを伺いたい。
  55. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 先ほどの私の説明があるいは不十分であつたかと存じますので、ちよとつけ加えさしていただきますが、技術的に全然方法がないかという御質問に対しましては、これは年度の途中において補正予算を出すということは技術的には可能でございます。ただ、内閣がそういう方針をとるかどうかは別問題といたしまして、技術的には、要するに国会の議決を求めまして歳出権をとるということが前提でございますから、補正予算によつて措置するということは可能ではございます。それから予算総則等でおつしやるような趣旨は、入場税のようないわば弾力条項的な考え方かと思うのでありますが、これはちよつと一般会計全体に響いて参る問題でございまして、無理かと思うのであります。それから建前といたしまして、入場税は一兆予算のからくりだということで、ずいぶんおしかりを受けたのでありますが、元来地方の税を特別会計でとりまして、それを右から左に譲与する、配り万は人口配分で行く、こういう建前でございますので、できるだけ現実の徴収に近いものでなければならぬわけでございます。ところが、法人、所得、酒というふうなものになりますと、国もそれを財源の大宗にいたしておるのでございますが、そういう財源の範囲内で一応の予算を立てまして、国会の御議決を得ましたならば、その予算を一応くずさないということで進むのが、国としても当然のやり方であります。地方にいたしましても、国がそういう建前予算運営いたして行くのでありますから、その国の財源の大宗であるところの三税の一定割合を交付されるような場合には、それは一応年度の途中には原則として動かないものとして、自主的に財政計画をお定めになるということの方が、むしろ安定性があるわけなのでございまして、これはふえる場合はよいのでございますが、それでは減る場合はどうだということになりますと、これはまた非常に不安な要素も出て参るわけであります。それらの点につきましては、やはり私どもとしては予算の定めるところによつて、国会のお認めになつた歳出権の範囲内で措置すべきもの、そしてあとから決算的にアジヤストすることが合理的であろうと考えております。
  56. 北山愛郎

    ○北山委員 ただいま技術的なことを承つたのでありますが、そうすると、この第六条第二項のはつきりした明文の「当該年度の前年度以前の年度」というのは、前年度の分は技術的に入らないわけですね。今のような御説明であると、前年度の分ではなくて、前々年度以前と書くべきがほんとうじやないかと思うのです。前年度以前ならば前年度も入るのですから、前年度の分も翌年度にもらえるということに法律は書いてある。これはどうしてもそう解釈しなければならぬのですが、ただいまの御説明とは法律の明文が矛盾しているのじやないかと思いますが、それでもよいですか。
  57. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 字句の解釈としては、御指摘の通り「前年度以前の年度における」でありますから、前年度を含むわけでありますが、今実際の技術的な運用の問題としては、先ほど来正示主計局次長の言われました通り、前年度の分をその翌年度において加算をする、あるいは減額するということは非常に異例な措置である、ただ理論的に考えますと、決算が、七月三十一日で国は締め切られるわけでございますから、補正というようなことがあれば、あり得ないことはないわけでありますし、また非常に大きな変動を生ずる——たとえば八月なり九月ごろから、ベースアツプを相当高額やるといつたようなことになつて地方としては何とか財源がいる、しかし七月で締め切つた見通しでは、相当自然増収が三税の上で考えられているというような場合には、特にそういうことをやつてもらうことも理論的にはあり得ると思うのであります。そこでやはり法文の上としては、かような姿のものを残しておいてさしつかえないのじやないかと考えるのでありますが、実際上の運用といたしましては、先ほど来お話がありましたように、通常の場合を考慮いたしますならば、年度の途中でそういう大きな変革があるということは本来地方財政地方行政の安定の上から好ましくないことでありますので、そういう事態が起らないように避けなければならぬと思いますし、またそういうことがない以上は、年度の途中で急に財源をふやす、あるいは減らすということはなおさら好ましくないことでありますから、やはり翌々年度措置をするという本来的な方式が一番望ましいと私ども考えておるわけであります。
  58. 加藤精三

    ○加藤(精)委員 関連して。この際地方交付税についてわれわれ地方行政委員会側の意向、考え方を、端的に述べまして、十分ただすべきところはただしたいのでありますが、しかしわが国現在の財政関係から見まして、国策として緊縮方針をとるというようなことでありますので、私たちは政府原案を支持する立場で、交付税を考えているものでありますが、どうも地方行政側や、地方行政委員会の有力なるメンバーが入つている地方制度調査会の意見を、政府側並びに大蔵省側が相当チエツクしている傾向があると思うのでありまして、その点につきましては地方制度調査会並びに地方行政側の意向を、もう少し尊重してもらいたいということを明らかにしたい、こう考えておるのであります。そういう意味におきまして、ただいま非常に上手な御答弁を正示主計局次長がやられるのでありまして、御答弁を聞いているとまことにごもつともなように感じますが、その中にはいろいろな問題を知つておりながらお知りにならぬふりをして御答弁されておることもあるような気がいたしますので、そういう点を明らかにすることが国政上必要なことじやないか、こう考えておる次第でございます。  第一に、どこまでも正直にお答えいただきたいのでありますが、地方制度調査会の答申に基いて平衡交付税をつくつたとおつしやるけれども地方制度調査会の答申と、今回提案されました平衡交付税制度の間にどういう差異があるのか、それをどういうように認識しておられるのか、まずその点を大蔵省にお聞きしたい。どうも大蔵省側が地方制度調査会の答申に基いて交付税制度をつくつたとおつしやるので、大蔵省側の政府委員にお聞きしておくのが、この際非常に事態はつきりさせることであると思う。もし大蔵省側の認識が間違つている点があるなら正しておきたいし、特に正示次長地方府県自治体の主要幹部をおやりになつた経験もありますし、正示次長地方財政に御理解がなければ、大蔵省内では、ほかの人に十分な認識を持つてもらうこともきわめて困難であると思いますので、最大限度御理解ある正示次長の御答弁をお願いしたい。
  59. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 お答えを申し上げます。私どもとしましては先ほど申し上げましたように、地方制度調査会の御答申の大綱と申しますか精神につきましては、それを極力尊重いたしておるのでありますが、多少技術的と申しますか、こまかい点等につきましては違つておるのであります。これは加藤委員は最もお詳しいのでございますが、一、二の点をあげますると、たとえば年度間の調整措置はいろいろ検討の結果、自治庁とも御相談申し上げましてとりやめました。また借入金を認むべきではないかというようなお話もあつたかと思うのでありますが、この点につきましても、やはり地方公共団体の行政費の裏づけをするような財源の性質から考えまして、やはり国につきまして、財政法はそういうものを借金でまかなうことを禁じておるのでございますので、そういう精神から考えまして、その点はできるだけ健全にいたさなければならぬのではないかというような気持で、そういう規定は削除されているのであります。要するに、いろいろ御答申の線と食い違つております点は、できるだけ国と地方との財源配分あるいは公共団体相互の調整につきましても、大綱としては調査会のせつかくの御研究を尊重いたしますが、できる限り、なおその線に沿うて健全化をはかりたいというような気持が強く出ているように存じております。なおしかしながらこれらの点につきましては、先ほど門司委員にお答え申し上げましたように、今後大きな基礎が築かれました上で、いろいろと地方財政問題につきましては、今後なお十分研究をいたして行く余地はあるというふうに考えております。
  60. 中井一夫

    中井委員長 大蔵省関係の御質疑につきましては、大蔵省はあまりどうも地方行政の方面につき御理解と御同情がないようでありますから、この機会に少し徹底して御意見を承つておいた方がいいと思いますので、午後も引続き行うことにいたします。
  61. 中井一夫

    中井委員長 ついては各党派間における御都合もありますので、この際議題を変更して討論採決に入りたいと思います。すなわち国会議員選挙等執行経費基準に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、これより質疑を行いたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  62. 中井一夫

    中井委員長 それではさように進めます。御質疑はないようでございますが、ないとしてよろしゆうございますか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  63. 中井一夫

    中井委員長 それならば質疑は終了いたしました。  本案に対しこれより討論採決に入ります。まず討論はいかがにいたしますか。     〔「省略」と呼ぶ者あり〕
  64. 中井一夫

    中井委員長 討論を省略してただちに採決するに御異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  65. 中井一夫

    中井委員長 御異議なしと認めさように決しました。  これより採決いたします。本案に賛成の諸君の御起立を願います。     〔総員起立〕
  66. 中井一夫

    中井委員長 起立総員。よつて本案は原案の通り可決されました。  この際お諮りいたします。本案に関する報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  67. 中井一夫

    中井委員長 御異議なしと認め、さように決定します。  午後は正二時半より開会いたします。大蔵省政府委員諸君は、ぜひ御出席を願います。     午後零時五十八分休憩      ————◇—————     午後三時十三分開議
  68. 中井一夫

    中井委員長 午前に引続き再開いたします。  休憩前にお申合せの通り、地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案及び地方財政法の一部を改正する法律案の両策を一括して議題とし、質疑を続行いたします。通告がございますからこれを許可いたします。北山君。
  69. 北山愛郎

    ○北山委員 私はこの法案についての考え方と、それから内容について若干お尋ねをいたします。     〔委員長退席佐藤(親)委員長代理着席〕  これは平衡交付金法を今度は交付税に改めたわけでありますが、どうも私どもの受ける印象では、今までの平衡交付金制度では地方団体財政需要財政収入との差額、不足の額を交付金によつて補填しておつたのだ。ところが今度はそれを国の方で補填をする額に一定のわくをはめて、もうこれ以上は出せぬぞという最高限をきめてしまう。これをたとえていいますと、今までは何人かの子供たちに対して小づかいが不足の分は、それぞれその不足額に応じて交付しておつたが、今度はもうこれだけですぞという、一月分なら一月分、一年分の小つかいの総体の額をきめて、そうしてこの範囲でしかるべくわけろというような式に改めたのだ。要するに今までは地方財政の補填をすることを考えておつたのであるが、今度は完全な補填ではなくて、国でめんどうを見る責任額というものをきめてしまうのだ。それだけ国の方では責任の負担を免れるというような趣旨に見えるのです。こういうふうに了解してよろしいか。私どもはどうしても法案の全体から受ける感じがそのように見えるのですが、そのように了解してよろしいかどうか。この点について自治庁の方の見解を承りたいのであります。
  70. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 ただいまの御指摘の点は、今回の地方交付税制度は、国税一定割合をもつてリンクいたしまして、従つて国としてはもうそれ以上のめんどうは見ないのだという意味において、国の方が責任を免れるといいますか、そういうような感じがしてならない、こういう御疑問のようでございますが、私どもといたしましては必ずしもさようには考えておりません。地方交付税という制度と今までの地方財政平衡交付金制度との違う最も特色ある点は、総額の決定にあたつて年度予算に交付金の総額を計上するという方式、すなわち一億円といえどもそれをふやすには、さらに予算の補正その他の措置がない限りは、これを増加するということは不可能であるわけでありますが、この交付税制度は、予算で定められた額というのではなくて、すなわち伸びのないものではなくて、法人税所得税酒税にリンクしているわけでございますから、これらの伸びはそのままひとり国庫財政を潤すのみでなくて、地方財政にも均霑をするというのが、やはりこの制度の大きな長所であろうと思うのであります。従つて問題は、そのリンクする割合がどうであるかというところでございますけれども、この点については先ほど来御説明申し上げました通りに、二十九年度並びに将来の平年度としての一応の見通しを立てました上で二〇%という数字、また二十九年度の特例の一九・六六という割合を出しておるのでありますので、私どもといたしましてはそれらを総体に観察いたしまして、この制度の方が従来の制度よりも地方財政のためには望ましい点が多いというふうに考えているのであります。
  71. 北山愛郎

    ○北山委員 まあそういうふうな見方も出て来るわけではありますが、しかし私が申し上げたのは、やはりこの改正案の第一条の中で、従来の「地方団体に対し、適当な財源を供与し、」という言葉を除いてしまつている。そして単に「地方団体の独立性」をはかるというような言葉を残している。それから第三条でも「補てんすることができるように配分しなければならない。」という言葉を改めて、「補てんすることを目途として交付しなければならない。」というふうに国の方の責任というものが軽くなるような規定になつておりますので、そのような効果は別にあろうとも、やはり国の方は、毎年毎年地方団体からその不足額の資料を持つて来られては困るから、そこでまあこの程度一つの限度、国税に対する一定割合という形で示しておるのじやないか、かような印象はどうしてもぬぐうことができないわけであります。そこで、ただいまお話のような説明であるとしますれば、一体所得税法人税酒税一定割合ということが理論的には何できまるかという問題なんです。ところが今度は百分の二十ときまつた。私は二十九年度地方財政計画というものを基礎にしてきめられた千二百十六億という交付税の額、これは決して理論的にいつまでも地方団体財政に対してただいま次長がお話になつたような意味を持つものではなくして、やはり偶然的な二十九年度地方財政計画そのものを基礎にしたのじやないかと思うのです。そうして千二百十六億を基礎にして百分の二十というのが出て来たのじやないかとも考えられるのですが、そうじやなくて、百分の二十というのは別個の立場から、別個の根拠からそういう率が出て来たのであるというならば、その根拠を示していただきたい。その百分の二十というのは一体どこから出て来たか。おそらく本年度における地方財政計画なり、そういうふうな偶然的なというか本年度限りの事情を基礎にしたものじやないかと思うのですがその点どうか御答弁願いたい。
  72. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 地方交付税法人税所得税に対する割合は、平年度すなわち三十年度以降は二〇%でありますが、二十九年度は御承知のごとく一九・六六ということを附則に書いております。酒税の方はこれはずつと通じて二〇%であります。この考え方は、先ほども申し上げましたように、タバコ消費税に対応するような意味も含めまして、一種の酒消費税地方配分をするというような考え方から、酒の二〇%というものは、今年の二十九年度の暫定的な率を定めるにあたりましても特にかえないで、この二〇%をまず先にとつて行く。要するに千二百十六億というのは、本年の地方財政計画の上から、地方不足とする必要の財源でございますが、そのうちから酒税収入見込額の二〇%というものをまず抜くわけであります。残りの額を本年の法人税所得税収入見込額で割りますると、一九・六六という数字が出て来るわけであります。従つて二十九年度といたしましてはそれで行くのでありますが、本年の財政計画は御承知のように、たとえば警察は政府といたしましては七月一日から移管するというような建前になつておりますから、従つて年度化いたしますと、あるいはベース・アツプの関係も同様でありますが、これを平年度化いたしますと、若干かわつて来るわけであります。そういう点を財政計画の上で考慮して参りますと、三十年度以降はそれを二〇%にするならば、若干の数字の上での余裕がむしろ出る、要するに調整はそれでとれて行く、こういう考え方で平年度以降は二〇%、こういう建前にいたしておるのであります。
  73. 石村英雄

    ○石村委員 関連して……。ただいまの百分の二十の出て来た根拠の御説明では、どうもはつきりわれわれは了解できないのです。それはけさほど門司委員がお聞きになりました吉田内閣総理大臣として議長に出されておる地方財政法第三十条の二の規定による地方財政の状況という報告を見ましても、この中には実は政府自身が自分のおやりになつていることに批判を加えておいでになる。読み上げてみますと、「昭和二十九年度地方財政の問題点」として七十二ページに、「(1)最近の地方財政の赤字は著しく、二十七年度決算で繰上充用額が一五七億円、実質上の財源不足額三〇〇億円で二十八年度の実質財源不足額は現在三六〇億円に達するものと推定される。この赤字団体の再建整備について、地方制度調査会は、財政資金の貸付を行い、財政再建整備を行わせるように答申されているにもかかわらず、政府予算案においては、これが取上げられていない。(2)地方公募債は、一般会計分一三五億円、公営企業会計分六五億円で合計一〇〇億円の計画となつているが、この消化は相当に困難であつて地方制度調査会の答申の指摘する地方公募債の消化促進策として、地方団体中央金庫の創設が必要とされているのに、考慮されていない。(3)昭和二十九年度地方財政計画相当厳しいものである。すなわち既定財政規模の是正として、地方制度調査会は、是正すべき額として少くとも三〇〇億円の必要を指摘しているにかかわらず、その半分程度の一回九億円しか是正されていない。しかも、財政規模の合理的縮減を期待して節約額一二〇億円を予定しているのである。」こういうように政府自身が自分のやつておいでになることを御批判せられておる。この批判があるにもかかわらず、百分の二十というのをお出しになつた根拠は、こうした点をどのようにお考えになつてお出しになつたのか。その点もう少しお開かせ願いたい。あるいは見込額が実際は非常に多くなる。それでこうした問題点は解決されるというようなお考えかどうか。百分の二十の出て来た基礎はつきりしないわけです。
  74. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 ただいま御指摘になりましたことは、これは事実でございます。財源不足額といいますか、いわゆる赤字が、二十七年度の決算で三百億程度であるということは、午前中にも門司委員から御指摘のあつた通りであります。また二十八年の今まで自治庁が得た地方からの資料によりますと、大体三百六十億程度の赤字になるであろうということも、これは事実であります。これを今日解決する。またそういうふうにしてもらえるということは、自治庁としては最も希望いたすところでありますけれども、今日の、ことに今回の国家予算の編成の基本方針から申しまして、かような点について十分なる措置をしていたがくことは、相当困難であつたわけでございまして、またそのようにせざる得なかつた国家財政としての理由も、われわれとしても十分理解し得る点があるのであります。そういう苦しい中ではありましたけれども、既定財政規模の是正として、ここにございますように百四十九億、約百五十億の措置を講じたということは、これは確かに一つの考慮を払つてもらつたことにはなると思うのでございますが、しかしこの三百億あるいは、三百六十億という赤字は、現実の問題として存するわけでございまして、この点については私どもといたしましては、今回の警察制度改正であるいは税制の改正、こういうような地方財源配分の上に、相当大きな影響を及ぼす制度の改革を政府として予定をし、関係の法案を提案いたしておるわけでございまして、もしもそれが国会を通過し、実施するということに相なりますと、たとえば市の中にも今日相当多くの赤字の団体がございますが、警察を維持しておる市が警察を維持しなくなつたというようなことになりますと、そこにはやはりある程度財政上の緩和の事態が生じて参る。一方また府県の方におきましては、その点若干あるいは苦しくなる面も出て来るかもしれない。それらの制度改革による結果の帰趨をよく見きわめました上で、さらに政府としては最後の結論を出したいということで、今日の段階におきましては、さしあたつてその結果どういう影響を生ずるかということを見る、またかたがた当委員会におかれましても関係の法案を御審議中でございますので、その結果も拝見をいたしたいというふうに考えておるわけであります。決してこの問題を将来のこととして済ましてしまつたというつもりはない。少くとも自治庁としては今後もなお十分考えて参りたいと思つておるのであります。今の交付税割合を二〇%に定める際に、この点をなぜ考慮しなかつたかという点でございますが、これは要するに今日ありますところの赤字の問題でありまして、将来既定規模の是正とも関連があることはありますけれども、その点は先ほど申し上げました百五十億程度改善を見ておりますし、また従来の平衡交付金と違つて国税の税収見込みはいつも相当堅実に見積られるのが大蔵当局の例でございますので、午前中にもお話合いがございましたように、少くとも綱々年度におきましては、ある程度のいわゆる伸びというものが見込み得るのではないか、そういうふうに私ども考えて、その点には若干将来期待はしているのでありますが、しかしそれにつきましてもそれは三十一年度以降の問題でありますので、本年度、三十年度、この二年度における今の赤字の処理という問題については、さらに私どもといたしましては大蔵当局にもとくと相談申し上げて、何らかの解決策を見出すように努力したいという考えを持つておるわけであります。
  75. 北山愛郎

    ○北山委員 実は私も今の赤字の問題と、それから今度の交付金法の改正というものには一つの矛盾といいますか、ずれがあるというふうに考えておるわけなのです。今度の交付金法の改正というのは、ただいま指摘があつたように非常に長期的な、昭和三十年あるいは三十一年というようなころにはだんだんよくなるというような、長い先を見た一つ制度改正じやないか、こう思われるのです。ところが地方団体が当面しておるのは、ただいまお話があり、しかも政府の正式の書類の中で認めておる三百六十億あるいはそれ以上の現実の赤字に悩んでおるというのが地方団体の実態なんです。その赤字の方はそのままに処理されないでおいて、そうして恒久的な制度の切りかえを行う、そうして二年後、三年後になればだんだんよくなるということでは、昭和三十一年になれば地方団体相当多数のものがくたばつてしまうというか、ますます麻痺状態に陥つてしまうのではないか、こう思うので、事態に対処する一つの政策としては順序を誤つておるのではないか、まずもつて当面しておる赤字問題なり、そういうものを解決して、それから今の交付金法の改正等によつて、恒久的な地方財政の対策を、国の政策というものを立てなければならぬ、そういうふうなやり方が正しいと思うのですが、そういう考え方からすれば、今度の交付金法の改正というのは赤字問題を一向考慮しておらないという点において、それに対する処理をしておらないということは、私は順序が間違つておると思うのですが、この点についての塚田長官の御意見を承りたい。
  76. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 今鈴木次長からお答え申し上げた通りの考え方をしておるわけでありますけれども、いつも申し上げておりますように、実は過去に生じておる赤字というもの、これは私もほんとうの筋からすれば、そうしてまたしばしばそのようにお答えを申し上げておつたのでありますが、これから新しく赤字を生じない財政というものの構想を考えた場合には、過去のものは整理をして行くべきであるという考え方は御意見の通りであると思うわけであります。ぜひそうしたいと思いますが、ただ今鈴木次長もお答え申し上げましたように、一応今度の改正ではこれからは赤字が生じないのではないか、またぜひ生じないようにわれわれも考えるし、また地方団体にも御協力願つてこれからそういうように運営してもらいたいという構想を、一応打ち出したわけであります。そうしてその構想の中には、ただいま繰返して申し上げましたように、今までの赤字を生じて来たこととは大分違つた形になるのではないかという見通しがあるわけでありまして、いつも申し上げますように実は今まで生じた三百六十億という赤字が、府県市町村を通じた全団体に平均して生じておる赤字であるということになると、問題は非常に簡単になるのでありますけれども、そうでなしに府県市町村を通じて一万近い団体の中から赤字を生じたものがそれだけある。それの累計が三百六十億という数年になる、こういうものの考え方になるわけでありますから、またこれを新しい制度の上で、そのまま考えて行くということはなかなかこれはできにくいのでありまして、やはり考えるのには問題は別に切離してただこの時期に一緒に考えれば考えるということになると思うのであります。そこで一緒に考えれば考えるということになるが、問題は別であるということが、もう一つの面にあるものでありますから、それでこれから生じて来る新しい事態というものを見きわめてからでもおそくはないのではないだろうか、こういう考え方をいたしましたのが他のいろいろな面、たとえば再建整備法の御構想もまだ最終的におきまりになつておらないし、かたがた二十九年の当初の財政においてはかなり資金面に困難もあり、いろいろな事情から少し先に延ばして問題を処理しよう、こういうことにいたした理由なのであります。何とかして最終的な見通しがついた上におきましては、その構想の上に最も国民負担の少い形において、国と地方が力を合せてこの赤字の解消はぜひやりたい、こういうように考えておるわけであります。
  77. 北山愛郎

    ○北山委員 この赤字の問題については昨年来しばしばこの委員会でも質疑がかわされておるのですが、昨年たしかこの委員会でもつて赤字の問題が出ましたときに、大臣からよく事情を調査して、二十九年度からはこれに対する対策を立てたい、二十八年度ではちよつと無理であるというようなお答えを聞いたはずなのです。そこで二十九年度地方財政計画なり、あるいは今回におけるこの交付金法の改正なりあるいは予算に盛られた交付税の額なり起債の額なりというものが、大臣のその赤字対策をどの程度に現実化しておられるか。それとも先ほどお話があつたように、ことしもひとつ見守つて事態をじつくりと見て行く、今まで出た三百六十億は一応たな上げで、今回の措置によつてさらにこれがふえるか減るか、もう少しじつくりと一年間ばかり見ていようというようなお考えであるのか、その点ははつきりとお答えを願いたい。
  78. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 私は赤字の問題を、一つは今後もほうつておくとまだこのまま赤字がふえて行く、また新しいところに赤字の団体が出て来るという問題と、いま一つは、今まで累積しておる赤字の問題と二つにわけて考えておるわけでありまして、今後に生ずるいわゆる地方財政全般の窮乏と考えられておる面は、これもしばしば申し上げておりますように、二十九年の財政規模におきましては既定規模の是正をいたしますもの、それからさきに交付税配分その他によつて、その他の適切でない面から出て参つておるものは、そういう面にも十分の考慮を加えて何とかしてこれはとめたい、またとまるのじやないか、こういう見通しをつけて今度の財政計画というものを策定したわけです。そこでこれからの分は一応そういうぐあいになる、私どもといたしましてはこれからそういうぐあいに赤字が生じないようにするというものの中に、実は二十九年度以降の恒常の財政計画、各自治団体の個々の財政計画の上からも、独自の多少の緊縮その他の合理化、そういうものでもつて赤字を生じておられる団体が過去の赤字を消化して行かれるようになることを、ほんとうは期待するわけであります。しかしおそらくはそういうことは特殊の団体については、最終的に全額をそのようにされるということがほとんど無理なものも相当あるのじやないか、こういうように感じるわけです。そこでそういうことを頭に置きながらいろいろ考えてみますと、やはり今度出て来る姿というものを見た上で、手を打つ方が、少くとも地方財政全体、しかも国民負担というものも考え、また大きくいつて地方財政幾らかでも赤字が生ずるような傾向にあることは争えないのでありますから、この地方財政の膨脹しそうな傾向というものをチエツクするといういろいろな意味においても、そのときの方がむしろ私は適切じやないか、こういうふうに感じておるわけであります。これはいつか申し上げたかと思いますが、実は昨年私は相当率直に、二十九年度においては過去に生じた赤字はぜひ何とかしたいという国会の皆さん方の御意見もあり、私もそう思う、自分もそうしたいということを率直に申し上げたところが、どうも若干の団体については政府が何とかするそうだから、赤字を出すならこの機会だというような何がしかの風潮を誘発したということも、全然否定はできないような状態、なかなかそういう微妙なことがありまして、やはり軽々に赤字の処理というものは、りくつとしてはすべきものなんでありますが、するということを発表すること自体に利害損失があるものでありまして、そこで今度は国会側の御意向もそのうちにはつきりされるであろうし、また新しい財政計画に基く地方の情勢というものもはつきり出て来るであろうから、その上でぎりぎりと申しますことは、国民負担に最も少い形においてこれが解決できるような形をひとつ考えることが、一番適切な方法じやないだろうか、こういうように感じておるわけです。
  79. 北山愛郎

    ○北山委員 どうも適切なお答えが出ないのが残念でございますが、大臣もただいまのお言葉の中で認めておられるように、赤字の原因というものは政府の方でもつくつておられるのです。昨年大臣が赤字対策を考えるんだと言つたことが、地方団体に赤字の誘発になつたらしいということをお認めになつておられるようでありますが、それと同じようなことがたくさんあるわけなんです。それは現実に地方に新しい仕事を言いつけておいて、財源を与えないというような例もありますし、またこの前の町村合併の問題にしましても、昨年の委員会で合併に伴う建設計画に対する助成措置、これは法律はつきりうたつておる。これに対してどういうようなことをするかと言つたところが、当時の愛知大蔵政務次官は、必ずプラスアルフアの予算を組むのだというようなことをはつきりつておられる。そうしておいて、今はその責任の衝におられないから、これくらい都合のいい責任回避はないと思うのでありますが、そういうようなことが結局地方団体に赤字の原因をどんどんつくつておるのではないかと思うのです。ですから、先ほど来のお言葉の中にもちよつとあつたのですが、どうも赤字の原因地方団体にあるようだ、赤字を出しておる団体もあれば出していない団体もあるのだから、そこには国の責任というよりも地方団体のやり方が悪いところに赤字が出ておるのだというような口ぶりでございましたが、私はそうじやなくて、やはり大半の責任は、国の地方団体に対するいろいろな政策というものの中にあるのだ、かように考え、かつ先だつてこの委員会でもつて、公聴会を開いたときの公述人である大阪の府知事も、その点ははつきりと認めておられる。大臣もまた先ほどのお言葉の中で、それをみずからお認めになつておるようでございますが、この赤字の原因というものが、いつでもおつしやる通り、主として地方団体の中にあるというのか、あるいは政府側にも相当な責任があり、大臣の昨年来の政策の中でもそれがあるというのか、その点をまずはつきりしてもらいたいと思うのです。  それから、その赤字の対策と、今度の平衡交付金法の改正との関連なんですが、どうも先ほどのお言葉の中では、一応の手は二十九年度で打つておるのだ、だから今年度の対策によつてどういう効果が出るか、もう少しじつと見ておる、それから赤字対策を考えるというふうに見えるのですが、そうすると当面しておるこの改正案というものは、赤字対策とは一向関係のないものであるか、あるいは若干はあるものであるか、その点もあわせてお答えを願いたいのです。
  80. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 地方財政の赤字の発生する原因がどこにあるか、従つてまた責任がどこにあるかということ、これもしばしばお尋ねを受けておるわけであります。赤字の発生する原因は、私は全般に共通した原因から来ておるものもあると思う。それからまた個々の団体に特有な原因もあると思うわけであります。従つてまたそれらの原因従つて、責任の所在がおのずからきまつて参るわけでありますけれども、しかし大ざつぱに申しまして、赤字発生の原因は若干政府の側にもあるのであろうし、また自治団体の側にも確かにないとは言えない。そこでどちらの方が大きな部分を占めておるかという状態は、ちよつと私も調査が届いておりませんので、結論を申し上げられませんが、双方に相当ずつ原因がある、こう考えておるわけであります。  そこで赤字問題というものが非常に深刻に考えられますのは、一つは過去に赤字がある、その上にまだまだふえて行くんだ、しかも今まで赤字を出しておる団体の赤字金額がふえると、さらに赤字を生じていない団体が逐次赤字になつて来る。ここに赤字団体を深刻に、シリアスに取上げなければならない問題面があると思うのであります。そのうち私どもはむしろ非常に深刻なのは、まだふえて行く、毎年々々ふえて行くのだというところにある、こういうように考えておるわけであります。その面だけはどういうぐあいの結果になりますか、私どもとしては最大限の努力をいたしまして、是正すべきものは是正もいたしました、それから配分の面も今後十分考慮いたしまして、赤字を発生しないように努力をいたしますということになつておりますから、今度の措置に対して赤字という問題の解決が全然ないかと言つたら、私はやはりあるといたしておるのであります。しかも私どもの見方からすれば、赤字問題の一番シリアスな、重大な面に対する措置はいたしました、ただそのときに、過去に累積しておる部分だけは今まだ未解決で残つております、しかしそれをそうしておるのはどういう気持からか、またどういう見通しを持つておるかということは、今までしばしば申し上げたとおりであります、こういうようにお答えしておるわけであります。
  81. 北山愛郎

    ○北山委員 ところが残念ながら、私は二十九年度地方財政計画なりあるいは地方税の制度、そういうものは二十八年度の赤字をさらに増大せしめるいろいろな要素を持つておるのではないかと思うのです。それはすでに政府の発表された先ほどの書類の中でも、二十九年度地方財政計画相当にきびしいものであるということをお書きになつておる。そのきびしいという意味はどこにあるかと言いますと、この委員会で何回も御指摘申し上げた通り、地方税を非常に増税さしておるわけだ、増税を要求しておるのです。一〇%以上の自然増収を見込ましておる。国税においては先ほど来お話があつたように、非常にかたく堅実にお見込みになつておる。ですから年度のおしまいに行くと、何百億もの増収が出て来るのであります。ところが地方税においては、年度の当初においてふくらまして、一割以上の伸び計算に入れてその税金をとれ、とらなければこれこれの仕業できないぞ、しかもさらに本年度財政の是正をしたと言われましたけれども、逆に三百六十五億の節約を命じておる、要求しておる。三百六十五億の節約をさせ、四百億以上の税金の自然増収を期待して、そうしてやつとこの地方財政計画が成り立つておる。従つてその結果として平衡交付金は百六十億減らし、起債も百四十億ばかり減らしておる。そういうふうなきびしい地方財政計画であるから、私は今年の地方財政は昨年の三百何十億というような赤字に加えて、もつともつとひどい状態になるのではないかと思う。  そこでお伺いしたいのは、この税の自然増収という点については自治庁の方の御見解は前からお伺いしたのですが、国税との関係について大蔵省の方がおいでになつておるようでありますから、お伺いしたいのですが、国税の方では税制調査会の見積りよりも相当下まわる税収の見込みを立てておられる。ところが地方税においては税制調査会の見積りより二百億もよけい見込んでおる。地方税において一〇%以上もの税の増収を見、国税においてはほんの少しばかりの増収しか見ておらないということは、一体国と地方を通ずる税制として正しいものであるかどうか。本年の経済界の情勢なり国民所得の見込みからして、国税の方はかたく見ておる。ところが地方税はそれを全然無視して、昨年よりもさらに一割以上も増収が出るという計算になつておる。これが正しいかどうか、その点を大蔵省のどなたかからお伺いしたい。
  82. 植木庚子郎

    ○植木政府委員 国の租税収入見積りにつきまして、本年度の税収見積りが非常にかたくできておる、ところが税制調査会の答申当時におきましてはもつとゆるかつたのじやないか。なぜそんなに辛くしたかということに質問の御一点があつたと思うのであります。その点につきましては御承知のように税制調査会は、昨年の秋ごろの経済情勢におきまして、まだ統計その他その当時の状況もはつきりわからぬ春ごろ以来、その直近までの状況によつて見積りをしておつたのであります。御承知のようにわが国の国際収支の状況が非常に悪くなつて参りましたのは、昨年の憂以降、ことに下半期においてでございます。その状況に応じまして、年末から年始にかけて、政府としては、従来のような甘い見方をしておるべき時期ではないという反省をいたしまして、御承知のような今回の一兆円予算というものを編成し、また金融政策の上におきましても、うんと切り詰めた政策を立案しなければならないという情勢に立ち至つたからであります。この情勢におきまして、本年の経済界の推移を推察いたしてみますと、どうしても自然増収というようなものをたくさん見ることは、不可能であるという結論に達しましたので、国税の面におきましては非常に切り詰めた、御指摘のようなかたい見積りになつておる次第でございます。  地方財政の問題につきましては、いずれ地方自治庁の方からお答えがあると思いますけれども、これは見積りの仕方の問題で、技術面にも関係いたしますから、その方からお答え願うことにいたします。
  83. 北山愛郎

    ○北山委員 地方税の方は自治庁の管轄だから自治庁でお答えになればよろしい、適当に見積ればよろしいというような答弁のようであつたのですが、私どもはそうじやないと思う。地方財政計画を立てて平衡交付金の額をきめる、地方起債の額をきめるということには大蔵省は決定権というか関与しているわけなので、全然関係がなくて自治庁だけできめるものじやない。従つて大蔵省関係において地方財政計画を立てる、地方財政平衡交付金の額をきめるとか、地方税の見積りをどうしたらいいかということは、国税と同じように考えなければならない問題です。地方財政だからおれの方は関係ないということは言わせない。だからこれはやはり国税地方税と関連して考えなければならぬ。ところが先ほど申し上げたように、国税においては非常にかたく見ておる。地方税においては大きな自然増を見て、さらに増税までしておる。不動産取得税とか新税を設定しておるというようなことは非常な矛盾じやないか、こういうことをお伺いしているわけなのです。この点は大蔵省側からどうしてもお伺いしなければならぬ。
  84. 植木庚子郎

    ○植木政府委員 お答え申し上げます。私が地方税の見積りについての問題を、自治庁の御当局にお願いしようかと思いましたのは、その方が私のような未熟の者よりもさらに正確にお答えできるだろうと思つたからであります。もちろん大蔵省といたしましては、地方税につきましても国税につきましても、両方の権衡その他を十分勘案しておりますし、御相談にも十分乗つております。  地方税につきましてお答えいたしますが、地方税の場合におきましては国税と違いまして、たとえば地方税の住民税でありますとか、あるいは町村民税でありますとか、個人の事業税といつたようなものは、前年の業績によりまして、あるいは前年の所得によつて、それを基準として計算いたします。ところが国税の場合におきましては、所得税法人税——税の大宗でありますが、こうしたものにつきましてその当該年度の所得及び業績によつて課税される。従いまして国税では本年度のいわゆる経済界の事情を十二分に見通しを勘案しなければならぬ。ところが地方税におきましては、今申しました個人事業税でありますとか、あるいは住民税というようなものにつきましては、前年の実績によりますから、これによるとその前の年に計上した予算額よりもどうしてもこれは多く見積られる、こういうことになつております。もつとも地方税の中でも当該年度の業績によつて課税基準になるものもございますから、こういうものについては減るものは減るように、あるいは増加の少いものは少いように見込んでおる次第であります。その詳細につきましては、自治庁の当局からお答えした方が的確にお答えできるかと思う次第であります。
  85. 北山愛郎

    ○北山委員 お答えではございますが、それはただ徴税の技術上のことを御答弁されただけであります。税をどの程度にとつたらいいかという大きな政策の上からの御答弁ではないのです。ことしの経済界なり、国民の生活なり、所得の水準なり——地方税といえども、昨年の基準といつても、昨年の金で税金を納めるわけでなくて、ことしの所得の中から納めるのでありまして、ただ基準が昨年であつたというにとどまるのです。ですから本年の国民所得の中から、はたして一〇%もよけいとつていいかどうかの問題です。しかしこの点はしばらくおきまして、先ほど来国の方では緊縮財政、一兆円予算を組んでおるのだから、地方でもひとつこれにならつてつてもらうのだというお話がありましたが、この点についても私どもは納得の行かない点があるのです。というのは国の歳出というものは、相当弾力性のある融通性のあるものであつて、大幅に切捨てたりあるいはふやしたりするようなことはある程度は自由だ、地方団体の仕事というのは教育にしても土木にしても、ほんとうに目の先にある現実の問題と取つ組んでおるわけでありまして、それを新しい年度だからといつて、大幅に切捨てたりすることができない、それだけの弾力性、融通性がない、そういうふうな予算の性格というものを、よく念頭において見ていただきたいと思うのですが、国の方では一兆円予算といつておりますが、実際はそれだけ圧縮してないのじやないかと思うのです。というのはまず第一に国税の歳入の中から還付金を落しておる。それから入場税というものを今度国に移管する、入場税を特別会計に入れて、そうして一般会計の一兆円の中では計算に入れないようなくふうをこらしておる、それから財政投融資、それを二百何十億か大幅に削減しておる。ところがこれは政府資金の方の資金運用部資金とかいうものでカバーしておる。だから一般会計の予算からは出しておらないが、ちやんと出る道があるのです。そういうふうなことをあわせ考えると、国の歳出の規模というものは、昨年の一兆二百七十億ですか、それをオーバーするのじやないか。しかも昨年の予算というのは、御承知のようにあの大災害をこうむつた災害予算であつて、平年の予算ではないわけです。それよりもむしろ実質においては越しておるのじやないか。だから二十九年度の国の予算というものは決して緊縮予算でも何でもないのだ。あるものは減らしたかもしれぬ。しかしあるものはふやしておる。全体として見れば、歳出のわくは表向き数字の上では減つておるけれども、実質をつつついて見ると、昨年の最終予算を越しておるのじやないか、かように考えるのですが、この点は大蔵省の方ではいかがですか。
  86. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 事実を事実として申し上げます。一兆予算ということであるが、入場税を特別会計でとつておるではないか、あるいはそれの払いもどし金が計上されていないではないかという御質問でございますが、この点につきましては、私どもは一兆予算にするためにさような措置を講じたのではございませんので、入場税は御承知のように従来地方税でありましたのを、全国的な財政力の調整をいたすために、国においてこれを徴収して地方に譲与する、そういう必要性のために国に移管をいたすことに相なつたのでございまして、そのために特別会計を設けまして、そこでとりましたものを人口割合配分いたす、こういうためにいたしたのであります。これはすでに配付税等におきましても、特別会計において徴収いたして配付いたしたような先例もあることでございまして、きわめて明確に経理いたすために、さような措置を講じた次第であります。例の払いもどし金につきましては、これは現在の租税の大宗でありますところの申告納税制度におきまして、いわゆる予算納税が行われておりますことは、御承知の通りでございますが、その予算納税をいたします際におきまして、要するに実績に照しまして過納になるものが相当あるのであります。かかるものは国の歳入とすることは不適当なものでございまして、財政法の第二条に、収入とは、国の各般の需要に充てる財源そのものであるということを、国会においても御明定に相なつておるのでありますが、本来納税者に還付すべきものを歳入に見込むということは、財政の健全性からとらないところでございます。そこで今回多年の懸案でございましたが、特に法律を国会にお出しいたしまして、かような不安定な分子はこれを最初から排除して参りまして、純粋に各般の需要に充てるべきものを歳入として組む、これは多年大蔵省におきまして研究をいたしました結果のものを、今回法律として国会に提案いたし、すでに衆参両院とも御議決を願つた次第でございます。ただいまお話を伺いますと、しかしいろいろ言うが、どうも全体として財政規模が縮小されていないじやないかというお話でございますが、御承知のようにいろいろと財政需要が多かつたのでございます。先ほど政務次官から申し上げましたような現下の国際収支の状況、その他経済の根本的な建直しのために必要な見地から、財政の圧縮ということに私どもはできる限り努力をいたしまして、特に公共事業あるいは建設資というふうな面におきましては、相当の圧縮をはかつておることは、御承知の通りであります。これを国民所得に対する比率から申し上げましても、先ほどちよつと触れましたが、二十八年度は国の一般会計の国民所得に対する割合が一割七分二厘でございましたが、二十九年度は一割六分七厘ということに相なつておるのでございます。これに対しまして地方財政規模は、先ほどちよつと申し上げましたが、二十八年度は国民所得に対する割合が一割五分三厘でございましたが、ただいま御審議をいただいております二十九年度計画によりますと、割六分一厘ということになつております。私どもといたしましての、地方の歳出に相当特殊なものがあり、弾力性が国に比較いたしまして非常に少いということはよく存じておるのでございまして、そういう見地からただいまのようなことに相なつていることも十分承知をいたしておるのであります。もとよりいろいろやりたいことが十分充足されているというふうには考えませんが、現下の財政経済の要請に対しまして、そういう諸制約のもとにおきまして相当の考慮を加えましたということは、申し上げてさしつかえないものかと思います。
  87. 北山愛郎

    ○北山委員 あと一つの点を伺いしておきます。起債の問題でございますが、これも地方財政に関係がある。二十八年度の公募債というものは二百三十五億であつたはずであります。この公募債についはなかなか消化がむずかしいのではないかというようなことが、この委員会でも何回も問題になりましたが、大丈夫、年度末までには何とか消化できる見込みであるという御答弁でありました。その後の消化状況はどうであるか、五月までにこれが完全に消化できる見通しであるかという点が一つであります。それから今後の経済情勢なり金融情勢から見まして、やはり二十九年度の公募債というものはなかなか消化できないんじやないかと思うのであります。これにもさらに新年度の公募債は二百億見込んでいるわけでありますが、これがはたして今までのように消化できるものであるか、その見通し。これができないというようなことが赤字の原因をつくるのであります。二十八年度においても公募債の消化がなかなかむずかしいということがやはり赤字の原因になり、二十九年度でもそうなるんじやないかと思うのでありますから、その点公募債の二十八年度、二十九年度の情勢と見通し伺いたい。  もう一つは、これは根本的な問題でありますが、本年の財政計画によりますと、地方起債の元利償還金というものは三百八十五億に上つておるわけであります。元金の方が百六十五億、利子の方が二百二十億というように非常に尨大な額になつております。そういたしますと、本年の地方起債は約一千億でありますが、一千億の金を借りて、そうして三百八十五億円を返すというのが、この借金関係から見た二十九年度地方団体の情勢なんです。借りた金の三分の一以上、四割近くは借金の元利に返さなければならぬということに結果的にはなるわけです。これがどんどんふえて行くんじやないかと思う。これを一体どういうふうにされるのであるか。今後の恒久的な交付金制度をお考えになつておると同時に、この将来の地方団体の起債問題の処理について、長期的な計画をお立てになつておると思うのですが、その計画があれば、どういうふうにしてこれを処理して行くかということを承りたい。これは自治庁の方からお願いいたします。
  88. 後藤博

    ○後藤政府委員 理財局の方がおいでになつておりませんので、お尋ねの点について私の方からお答えいしたます。  第一点の公募債の本年の消化状況及び将来の見通しの問題でありますが、本年度の二百三十五億の消化状況は、私どもの現在までの情報では、相当よく消化されておるようでありまして、三月三十一日現在で見ますと、あまり返してくれという希望のものがないのでございます。実は私どもが考えておりました以上に消化がいいのでありますが、しかし年度の終りになつてみませんと正確なことはわかりません。今までの状況では、われわれが予想しておつた以上に消化はよろしいと考えております。それから来年度の二百億でありますが、これは見通しの問題でありますけれども、私どもはこの程度のものはやはり消化できるのではないかというふうに考えております。先般も銀行協会の方々といろいろお話申し上げ、また大蔵省にもいろいろ申し上げ、最近また証券業者の方々とも懇談の機会を持つて、いろいろ地方財政の実情を申し上げまして懇請いたしたいと考えておりますが、大体二百億程度のものであれば消化できるのではないか、かように考えております。  それからもう一点の公募債の元利償還金が三百八十億になる。しかして一方起債額は千九十億でありますので、三分の一返さなければならないというお話でございますが、これは地方団体は単一の団体でありませんので、必ずしもそれが重複するとは限らぬのであります。従つて団体によりましては起債額と償還額とが同じ程度になるようなことが出て来るかもしれません。しかし現在のところでは、二十九年度はまだそういう団体は出て来ないで、もう少しおそくなりまして、三十一年くらいになりますと、そういう団体がぼつぼつ出て来る、こういうふうに私ども考えております。従つて個々の団体に起債を割振りますので、単一団体の場合とは様相が違つて来るかと思います。しかしお話のような点も、そろそろわれわれとして心配しなければならぬ点でありますので、どうしたらいいか、借りかえの問題が一つあると思いますが、そういう問題等についても研究いたしております。
  89. 北山愛郎

    ○北山委員 その公募債の今までの状況という点は、どうも非常にお答えが抽象的であります。ただわくを返して来ないから多分順調に行つているんだろうというような程度であるか。私どもの聞いているところでは、市中公募の分六十億はこれは大丈夫である。それから縁故の方は、何でも三月中に処理消化しなければならぬのが、消化見込みが百四億、それから四、五に残る分が四十七億というふうな数字ちよつと何かで見たのでありますが、大体そんな状況でございますか。その現地の情報によつて消化見込みありというのでありますか。それともいまだそのわくをもとして来ないから、今まで何とも言つて来ないから大丈夫であろうという程度であるか、もう少し数字的にはつきりとお答え願いたい。
  90. 後藤博

    ○後藤政府委員 この公募債のうちで市中公募分については大体可能であるというふうに考えておりますが、縁故の分につきましてははつきりしたことはわかりませんので、地方団体の主務課長に集まつてもらいまして、その際に個々に聞いておつたわけであります。個々に聞いてみますると、それをやりましたのは大体三月の中旬ごろでありましたので、はつきりしたことはわかりませんが、大体年度末までにどの程度起債が返つて来る、こういう見通しをみんなそれぞれ聞いたわけであります。現在の見通しでは十億程度のものは返つて来るかもしれないが、これは返つて来ると申しましても、公募債の消化ばかりでなくて、たとえば公共事業の補助金も返還するし、同時にあわせて起債も返還する、こういうものも含まつております。従つてその程度のものが返つて来る、こういうことでありまして、私どもが心配しておりましたものよりも案外少いのではないか、こういうふうに私どもつておるのであります。四十七億だけ未消化があるというお話、実は私今初めてお聞きするわけでありますが、そんなに多くの未消化はないと私どもは考えております。
  91. 中井徳次郎

    中井(徳)委員 きよう午前中に地方交付税の単位費府の問題で警察の問題についてお伺いした、それについて午後から返事をするというようなことでありましたので、お答えを願いたい。
  92. 柴田護

    柴田説明員 午前中御質問がございましたことにつきましては、現在の市町村警察費標準団体の規模をそのまま引伸ばしまして、地方財政平衡交付金法の一部改正法案の中では三箇月分しか組んでございませんが、これを年間に引伸ばしまして、それを標準団体の百四十人という警察職員で除しまして、警察職員一人当りの基準財政需要額、言いかえますならば、警察職員数を市町村につきましての測定単位といたしました場合の単位費用を出しますと、二十五万千九百二十円になります。
  93. 中井徳次郎

    中井(徳)委員 私の質問に対する答弁は、ちよつと勘違いされておるように思うのであります。午前中に伺つたところによると、二十五年度において単位費用は警察官一人当り十六万三千五百円、二十六年度において十九万五百円。二十七年度と二十八年度は警察官一人当りじやなくて、人口一人当りについて幾らという数字を出した。二十七年度は人口一人について二百六十三円七十二銭というのであります。人口十万に直しますと二千六百三十七万二千円、これを百四十人で割ると、十八万円にしかならないのだが、どうして二十五万というような数字が出て来たか。それから二十八年度においては二百九十九円十二銭、これをやはり人口十万として百四十人で割ると、二十一万にしかなりません。今の御答弁の二十五万というのはどういう数字ですか。
  94. 柴田護

    柴田説明員 地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案の附則の第四項に、市町村警察費といたしまして、人口一人につき九十円五十七銭というのがあります。結局今の御質問の趣旨は、二十八年に伸ばさなければいけませんが、給与改訂の平年度化が入つておりませんので、おそらくその関係の差異じやないかと思います。
  95. 中井徳次郎

    中井(徳)委員 これ非常に変なお話を伺つたわけだが、今の御答弁によると、二十九年度の四、五、六の三箇月のやつを年間に直せば二十五万円ということであつて、私の尋ねたのは二十七年、八年、過去はどうであるかということです。そこで現在警察制度が大問題になつておるわけでありますが、今般上程された法案説明において犬養法務大臣は、最後の理由といたしまして、私どもは現状がいいと言うのに対して、そういうことをおつしやるが、過去において群小の町村警察はどんどん廃棄をした、どうでもいいといつて廃棄を大いに希望した、こういうふうなことを言われました。これは過去の実績がそれを証明してると言われました。しかしそれを裏を返して考えてみますると、貧弱な町村においても必ずしも全部警察を返したいというような気持じやなく、ただ財源財政難で大赤字になるので、非常に困つて、いやいやながら警察を手放しているというのが、私はほんとうのところだと思うのであります。そこで過去において警察の単位費用計算において、全国の警察を持つております市町村におきましては、これを増額をしてくれ、一人当り十七万円どころでは、とてもどうにもならぬというので、毎年々々やかましく言つたはずである。しかるにそれを今日まで押えておいて、今度の改正案を拝見すると、一拳に三十万円になさつておるのであります。過去十七万円とか十八万円でやつてつたのを一挙に三十万円にした。ここに私は今の政府の巧みな謀略があると考えたいのでありまして、もし二、三年前から単位費用三十万円と言つておるならば、私は貧弱な全国市町村においても、ちつとも警察を放さなかつたであろうと考えますが、そういう問題に対して明快な答弁を願いたい。
  96. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 警察費単位費用につきまして、警察吏員をとり、また人口をとり、また今回は警察吏員、こういうふうにいたしておるわけでありますが、かような単位費用をとるにつきましては、従来基礎が政令でありましたものを、途中でかわつたものでありますから、従つて人口等をとるような形になつたと記憶しておりますが、今回また制度改正に関連をいたしまして、警察職員の数を基礎にして単位をとるというふうに考えてやつておりますけれども、実質的に申しますと、過去の分と今日の分とどこが違うかといいますならば、やはり主たる違いはベース・アツプであります。御承知のように一割を相当越ゆるベース・アツプが最近毎年あつたわけでありまして、さような点で今回もその点が一番大きな額の違いであろうと考えております。その他今回の国の統一単価費用が若干改定になりましたので、その新しい統一単価費用を地方財政計画算定の際にも用いましたので、そういう関係で若干増になつておる面もございますので、今御指摘がございましたような警察の移管というようなことを前提にして考えておるのではなくて、その他の府県ないし市町村地方財政算定基礎におきましても、その統一単価費用を使つておるわけでございまして、それをただ警察の場合にも押し及ぼしたということにすぎないのでございます。御指摘のような意味で含みをもつて特にかような単位費用を定めたという点は、全然ないのでございます。
  97. 中井徳次郎

    中井(徳)委員 どうも今の答弁では納得できません。ベース・アツプ、ベース・アツプと言うが、それでは給料を一挙に五割でも値上げをするならば私はよくわかりますが、二十八年度において二十一万三千円、十八万円に対して三十万円というと大体五割、場合によつては五割以上という数字になつておるのでございます。本年もしこの法案が通りましたならば——われわれは通るまいとは考えておりますが、通りましたならば、市町村側が総額においては一千二百十六万、ちつともかわりありません。それだけ市町村がしわ得せをされまして、警察はとられるわ、またその上平衡交付金算定において損をするというふうな、踏んだりけつたりの状況になるように思うのであります。あなたはベース・アツプと言われますが、それではそれの根拠をこの次この問題を上程されるまでに、数字的にはつきり余していただきたいと思います。
  98. 門司亮

    ○門司委員 最初に大蔵省にお伺いしておきたいのですが、植木さん、この問題は地方財政にとりましては、きわめて大きな問題でございますので、ひとつはつきりとこの際大臣にかわつてお答えが願いたいと思います。このことは今審議いたしておりまする地方財政法と密接不分可な関係を持ち、さらに交付税の関係にも非常に大きな関連を持つておりまする地方財政に対する一つの大きな問題であります。それは今度の予算で、政府の内部事情でありますから、われわれの大して関知するところではありませんが、とにかく特別会計が設けられて、その中に地方交付税が入れられておる。同時にこの中には入場譲与税が入つておるし、また揮発油譲与税が入つております。この特別会計を見ておりますと、入場税はどうなるかわかりませんが、この揮発油税の譲与金は法律によりますと、二十九年度に限りというふうにわれわれは解釈するのであります。そういたしますると、総額は大体七十九億であります。二十九年度限りのこういう税制ができて参りますと、一体三十年度については、大蔵省はこの七十九億の補填について何かはつきりしたお考えがあるかどうかということを聞いておきませんと、ことしのこの税法をそう簡単に上げるわけにはいかなくなつて来る。私ども地方財政全体を見てみますと、これが非常に大きな不安となつておりますので、大蔵省は七十九億は本年度限りの税金であるが、来年度はこれの補填はこういう税金でまかなうとか、あるいは地方交付税の中にそれを必ず入れるとか、ひとつはつきりとした御答弁をこの際願つておきたいと思います。
  99. 植木庚子郎

    ○植木政府委員 揮発油譲与税の今年度特別会計へ入れます分七十九億円、この揮発油譲与税が今年度限りの譲与という建前になつておりますので、来年三十年度以降はどうするかという御質問でございますが、この点につきましては三十年度予算編成までに十二分に考究の上、この揮発油譲与税につきましては、別途また道路財源として重要な問題もございます。いろいろ国会の皆さんの御意見の筋もございますので、大蔵当局といたしましては十二分に考慮の上で、しかも地方財源としての赤がそこに生ずることのないように措置して参ろうと考えておるのであります。
  100. 門司亮

    ○門司委員 今のせつかくの御答弁でございますが、どうもわれわれは今の答弁だけで承知するわけには参りません。おそらくそれ以外には答弁はないかと思いますが、本年度の七十九億の予算の内容は御存じのように四十八億は道路整備五箇年計画特別法でございますか、その指定するものに使用するということになつておる。そうすると地方財源にほんとうに寄与するものは三十一億であります。でこの本年度予算の中にもそういう四十八億というようなひもつきの財源が実は人つておるわけでありまして、これは建設省にあつても何もさしつかえないものであります。ただ予算面だけで地方に割振られておる。これは政府が一兆円予算を組むための非常に苦しい数字上のやりくりであつたと解釈することが正しいと思いますが、こういうふうに地方財政というものは、何というか、悪い言葉でいえばごまかされておる。その上になお来年度は何とか措置して行きたいというような御答弁だけでは、私どもはこれを承認するわけにはいかない。われわれがそういうことを申し上げますのは、御承知のように今日までの日本の国と地方を通ずる財政計画について、先ほど正示君から地方の方が何か国民所得の割合からいえば、少しよけいに見ておるというような御答弁があつたようでありますが、しかし財政の裏づけをいたしておりまする収入の面から見ますと、おそらく国庫財政は、タバコの専売納付金等を含めて参りますと、歳入の七八%くらいは大体税金でまかなわれておるということは数字はつきりしておる。一方地方財政はどのくらいになつておるかということも、皆さんは御存じでございましようが、地方財政地方財政平衡交付金を含めても、なおかつ五二%くらいしか自主的財源を持つておらない。残り財源は全部起債であるとかあるいは補助金で今日まかなつておる。これが実情でございましよう。これは政府から出した書類にこう書いてあるから私は大体間違いないと思う。このように地方財政というものは非常に窮迫した状態に置かれておりますときに、地方財政財源的に処置されようとする大蔵省の意向として、さつきから申し上げておりますような、地方財政計画政府予算編成の犠牲にされるようなことがあつては私ども断じていけないと考える。従つて先ほどのような質問をいたしておるのでありますが、もう少しはつきりした答弁大蔵省にはできないのかどうか。何とか処置したいということはだれでも言います。そう言わざるを得ないということである。われわれはそのくらいの答弁をお聞きするなら、何もお聞きしなくても来年は何とかするだろうということで、こつちで承認しておいてもいいのであります。しかし私どもといたしましては、地方財政計画の上で、こういう何というか、ごまかしと言えば少し言い過ぎがあるかもしれないが、承服ができないような処置がとられておることについて、大蔵省からこの際はつきり言つていただいて、今日地方財政平衡交付金にかわる交付税法の税率というか、配分基礎になつております酒税、あるいは所得税法人税の百分の二十というものをやはり変更しておきませんと、来年度についてもどうしても安心ができない。大蔵省はこの百分の二十というものについて、来年度変更する御意思がございますか。この点ひとつ伺いしておきたい。
  101. 植木庚子郎

    ○植木政府委員 揮発油譲与税の三十年度以降の問題につきましては、先ほど申し上げましたように、政府としては国会その他の方面における御意向等も十分参酌して進んで参りたい、かように存じておるのであります。従いまして、かりに来年度揮発油譲与税を引続き実施しないということになりますれば、これによつて生じます交付金の特別会計の赤字と申しますか、前年度相当額七十九億円の処理の問題につきましては、十分考究して参る。と申しますのは、そのときに来年度の国の財政地方財政全体を通じて、どうせまた全体的な十二分な見出しをしなければならぬと思いますが、その際にあたりまして、たとえば本年度から施行いたしますタバコ消費税自然増収問題もあろうかと思います。あるいはまた不動産取得税の自然増収問題もあろうかと思います。それからなお本年度国も地方行政整理をいたします。これによつてどういうふうに国及び地方、両方ともの経費の節約ができるかというような問題もあります。かたがたこれら全体を見直しまして、そうしていわゆる交付税の交付率の見直しということは、当然行わなければならぬと思うのであります。従つて百分の二十がこのまま永久にすえ置かれるかというと、もちろんそうではないと思います。また来年度それをただちに直すかと言われれば、やはり財政需要全般を中央、地方を通じて見直しまして、おそらくは直さなければならない結果が起るのではないかと、今日の単なる私見としては申し上げることができます。
  102. 門司亮

    ○門司委員 その点については自治庁の長官はどうお考えになりますか。こういうあてがい扶持の、ことし限りの税制をもらつて、これで一体地方財源が完全だというようにお考えになつておるかどうか。私はきわめて不安定の上に置かれておると思うが、自治庁長官としてこれで満足しておられるかどうか、それをこの機会に聞かせておいていただきたい。
  103. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 これは当初のスタートは、これでやつて行けるという数字、また構想であつたと思いますが、その後若干の点においていろいろな意見が出て参りまして、当初の構想がくずれておる面がないというわけには申し上げられないのであります。従つてその限りにおいては、私はやはり来年は手直し程度の修正をどこかの面でして行かなければならない、けれどもその場合に二〇%というような数字に手をつけるということになるか、あるいはその他の面で調整ができるということになるか、今のところまだ終局的の見通しはつきませんが、ただ今申し上げたように、どこかの面で何がしか手直し程度のことをしないと、ほんとうにこれから先長く確立した地方財政計画の構想というものにはならないのじやないか、こういうふうに考えておるわけです。
  104. 門司亮

    ○門司委員 今私は揮発油譲与税の問題を議論しておるわけではありませんので、いずれこれが議題になつて参りましたときに、なおつつ込んで議論したいと存じますが、元来こういう問題が出て参りますゆえんは、自治庁が非常に弱くて、大蔵省が何でもかでも財政をひつかきまわしておいて、こういう無理なものを押しつける、これでは地方財政というものはまるでめちやくちやです。  そこで私のもう一つはつきり聞いておきたいと思いますことは、こういうことでは地方財政というものは、われわれ安心してやつて行くわけには参りませんし、また地方の自治体もおそらく安心するわけには参りません。本年度は七十九億もらつておるが、来年度はこの財源はどうなるかわからない、おそらく何か見てくれるだろうというようなことでは、自主財源であるとか、地方の自治体を育成強化するなんというようなことは言わない方がよいと思う。地方自治体というものは、国の余り財源で何とかつじつまを合せて行けばいいのだということは、政府のものの考え方というよりも、むしろ大蔵省がそう考えておるのじやないかと思います。大蔵省に対してはつきり聞いておきたいと思いますことは、午前中正示さんからも一応答弁を得たのでありますが、この地方財政平衡交付金地方交付税に但しましたゆえんは——従来の地方財政平衡交付金は、制度自体が積上げ方式になつてつて、きわめて自主的の財源のように見ておる。しかしその通りに政府がやつてくれればこの制度で私はよいと思うのだが、これは大蔵省が悪いのです。現在日本の各地方公共団体にはおのおの処理をしなければならないたくさんの仕事を持つておりまして、その事業内容はおのおの異なつておりますので、その事業内容に対処するにはそう簡単に行かないと思いますが、しかし平衡交付金の本来の使命から言えば、積上げ方式になつておりますので、ある程度自主的の操作ができるように考えられておる。しかしいつもこの問題で地方から積み上げて来たものが多いとか少いとか言つて、自治庁が大蔵省言つて大蔵省がそれを聞いてくれないで、常に国の財源の都合によつて伸び縮みがされており、大体あてがい扶持でよいという状態です。従つてこれの配分基準になつております財政需要額の基礎数字というものは、すべて逆算されて上から勘定されておる。供出だけにどのくらいいるのか、人間一人にどれくらいの事務費がかかるかということは、総額を国できめておいて、それからぼちぼち割出して行くというような逆算方式がされておつて、まつた平衡交付金法の趣旨というものが没却されておる。従つてこういうことでは地方財政もどうもぐあいが悪いということで、これを改めて地方交付税という名前にかえたのである。そうしてその趣旨とするところは、かつて日本にありました、あなたもよく御存じの配付税的な性格を持たせて行つて、そうして国は一定割合を必ず地方配分しなければならないということにしたらどうか、地方財政というものが自主的ではないと言つても、ある程度安定感を持つのじやないかということが、そもそもこの税法のできた原因だと私は考えております。これはわれわれも地方制度調査会において意見を申し述べたことがあるのでありますが、そのでき上つた法律を見てみると、そういうことがまつたく没却されておる。そうして単位費用等についても、先ほど中井君との間に質疑応答がございましたが、これを数字的に見てみますと、ふえたものもあれば減つたものもあつて、どれだけどうなつておるのか一向見当がつかないのであります。こういう状態ではどうもいけません。この税法においても、政府予算の都合によつてその配分比率というものがかわるようなことであつては、今までの地方財政平衡交付金とほとんどかわりがないのです。ですからこれはやはり先ほど申したように、年々歳歳できるだけ確固としたものに築き上げて行かねばならぬと思う。  もう一つ最も重要な問題は、先ほどからお聞きの通り、地方財政は年々大体三百億内外の赤字があるということは、これまた政府から発表された数字はつきりしておる。従つて地方財政を今日この地方交付税法によつて完全にして行こうとする意図のあります以上は、やはりこの赤字というものをはつきり見込んだ数字地方に配付されない限りは、地方財政というものは十分にまかなえない。いつまでたつても国の支配のもとに地方財政は苦しまなければならない。従つて大蔵省自身、いわゆる内閣自身がはつきり認めておりまする地方財政の大体の不足額、一年について三百億くらいのものは、どうしてもこの機会にこの税法の中に織り込んで行つて、たとえば具体的に申し上げますならば、今百分の二十でありまするが、これを百分の二十五にすれば約三百億の金が出るはずである。そのくらいのものはやはりこの中に織り込んで行つて、国が地方にこれを配付するという建前をとらなければ、地方の赤字の解消はできないのであります。従つてこの赤字の解消に対して大蔵省は一体どういうふうな御見解をお持ちになつておるか。今までの累積された赤字については、再建整備法その他によつてこれを何とか整理して行こうという考え方は持つております。しかし今後今の大蔵省のものの考え方でありますれば、また数年ならずして数百億の赤字が必ず私は出て来ると思う。従つて地方財政平衡交付金法を改めて地方交付税法にしておりますのは、この際ぜひ将来の赤字の出ないような処置をとるということが、この税法をこしらえた最も大きな目的だろうと考えておる。従つて大蔵省としては、年々出るであろうと考えられる三百億の赤字に対して財源を充当することのために、どういう処置をおとりになるつもりでおるか、この点を私はこの機会にはつきり聞かせておいていただきたいと思うのでございます。
  105. 植木庚子郎

    ○植木政府委員 ただいまの御笠間のうちに、将来地方財政に起るであろうところの赤字に対して云々という点がございましたが、私ども大蔵当局といたしまして、今回の中央地方を通じての財政調整のための制度改正の態度といたしましては、今後は今回のこの調整によつて地方も善処していただいて、極力赤字が起きないようにやつていただきたい、かように期待するものであります。しかしながら、今日まですでに起つてしまつておりますところの府県市町村を通じての三百六十億でございますか、その相当額の赤字の処理の問題につきましては、先ほど自治庁長官からもお答えになりました通り、十分政府として関係当局研究協議の上に善処して参りたい、かように思います。従いまして今回の交付税の交付率の問題のごときは、仰せの通り年年少しくらいの状況変化等によつてどんどん率をかえるということは適当でないと私も考えます。しかしながら基本的な問題が起つた場合、たとえば先ほども例示されましたような、揮発油譲与税がかりに一年六箇月でなくなつてしまつたような場合には、これはその他の地方税全体の問題を十分考究いたしまして、財源に対する十分な考究の上で、どうしても交付率を直して行つた方がいいという結論に達しますれば、そのときには交付率もかえて行く、こういうふうにやらなければならぬと思う次第でございます。
  106. 門司亮

    ○門司委員 今の御答弁でございますが、今までの分は何かするが、これから先は赤字が出ないように、こういうことでございます。地方制度調査会は先ほどから聞いておりますると、夏ごろのようなお話をされたように承つたのですが、これを政府に出しましたのは昨年の十月、予算編成の直前であります。私はそう時間的にずれていないと思う。その当時の地方制度調査会の答申案をごらんになりましても、大体地方財政というものについては二百億ないし三百億——当初には五百億と書いてあるが、その中の二百億くらいは大体地方財政の節約その他でまかなつてもらいたい。三百億くらいのものはこういう村政規模の下ではどうしても赤字が出るのだから、これに対しては何とか対処してもらいたいということが、答申案はつきり書いてある。これはあなたの方にあると思う。またこの書類はあなたの方から出たのに間違いない。だから私は大蔵次官にはつきり聞いておきます。それなら地方財政の中には赤字はないという確信のもとに御答弁されたのでありますか。もしそういう御意見なら、私はこれから材料等を集めれば数字があるから、責任を持つて赤字は解消してもらわなければならない。今までの赤字については埋める、これから先は赤字が出ないように——そうはつきり言い切られたわけではないが、そういう口吻でありましたが、今この財政規模のもとに赤字が出ないはずだという御確信がありますか。もしそういう御確信があるならば、私はひとつ資料を出してもらいたいと思います。
  107. 植木庚子郎

    ○植木政府委員 お答え申し上げます。私は赤字が出ないと断言しておるのではございませんで、今回の財政調整によりまして、赤字が出ないように経理していただくことを期待しておる、かように申し上げたのであります。なるほど仰せの通り地方制度調査会の答申は、去年の夏でございましよう。しかし夏であればあるだけに、なおさらその後の経済情勢の変化によつて……(門司委員「十月だよ、秋だよ。あなたの方から出た書類にはつきり書いてある。」と呼ぶ)わかりました。十月であればあるだけに、なおさらその後におけるわが国の経済情勢の変化によりまして、政府としてはあの一兆円予算というきゆうくつな予算を組まなければならず、また金融の方面においても非常に緊縮した方針をとらなければならないように情勢がかわつてつておる。すなわち去年の暮れから今年の正月へかけまして——最後の予算編成は御承知の通り一月の初めでございますが、その当時までにおきましても、慶以降の経済情勢の推移を見ておりますと、これはたいへんなことになるというので、やむを得ず今回政府がああしたきゆうくつな財政金融の方針をとつておるのであります。国がそうした方針をとつておりますので、これはまたおのずから地方に対してもでき得る限り緊縮の方針をとつていただきたい、かように政府としては期待いたし、希望をいたしておる次第でございます。
  108. 門司亮

    ○門司委員 そういう答弁では承服しません。もしあなたの見込みが正しいとすれば、今問題になつております揮発油税の中の四十八億をなぜ一体上にあげないのですか。四十八億というものは、例の建設省の道路整備五箇年計画ですか、臨時措置法ですかの目的で指定したものに使うということが、はつきりしているじやありませんか。これは明らかに国の予算です。それがただあなたの方で一兆円の予算を組むということのために、これが地方におろされているだけのことです。もしあなたのような御答弁なら、あの四十八億をひとつ上にあげておいてもらいたい。そうして四十八億だけのものを別途に地方財政に繰込んでもらいたい。それでなければ地方財政はつじつまが合わぬです。大蔵省の今のような御答弁で、そうして財政上のすべてのしわ寄せを地方財政に持つて来ようとするところに、私は無理があると思う。地方財政が今までもずつと毎年々々こういう赤字が出たということは、地方から出て来る地方財政平衡交付金算定基礎というものから勘定してみて、そうして今年はどうしてもこれだけの平衡交付金をもらわなければならないという数字を自治庁に集めてそれを大蔵省に交渉する場合に、大蔵省はいつもこれを削つております。これらの問題が赤字の一番大きな問題じやないか。地方財政平衡交付金法の規定の通りに、従来から大蔵省が自治庁の言うことを聞いておれば、私は今日のような赤字は出なかつたかと思う。国の予算を編成することのために、それの犠牲を全部地方財政にしわ寄せることのために、今日のような状態ができておる。これがやはり地方制度調査会等でも問題になつて参りまして、これではいつまでたつて地方財政というものは完全なものにならない、そこでこれを打開するには、やはりこういう税金の一定割合というものを、税という名前をつけて政府が義務的に地方に配付しなければならないようにすることがいいのじやないかということが、この税金のできた根本趣旨だと考える。われわれもそう考えておる。しかるに今の御答弁のように、どうも国の予算を組むためにやむを得ずこうなつたのだというなら、地方財政はきわめて迷惑であります。従つて私の聞いておりますのは、大蔵省地方財政に対してもう少し理解を持つというか、目をあけて、こういう問題のないようにしてもらいたい。そのことのためには、くどいようでありますがもう一応答弁をしていただきたいと思いますことは、現在のこの交付税の百分の二十では地方の赤字を解消するというわけには参りませんし、先ほどから何度も申し上げておりますように、かりに四十八億だけでも——これは道路整備五箇年計画のために使う金であつて、表面だけは地方に配付するように書いてありますが、実質的にはひもつきの金であります。でありますからこれはやはり地方財政にはプラスにならぬと思う。当然国がやるべき仕事を地方がやつたというだけでひもつきの金に間違いはない。そういたしますと四十八億だけでもいきなり赤字が出て来ておる、穴があいておる、こういうものを埋めますためには、どうしても今日のこの配付税一定割合という数字を二〇%を二五%にする、あるいは三〇%にしておかなければ、赤字の解消もできなければ、地方財政というものは完全にやつて行けないと私は思う。従つて大蔵省に要求いたしますことは、われわれはこれを三五%まで上げたいと考えておりますが、大蔵省はそれに対して一体どういうお考えをお持ちになつておるか。二〇%で完全にやつて行けるというお考えをお持ちになつておるかどうか、その点をひとつはつきりお聞かせ願いたいと思います。
  109. 植木庚子郎

    ○植木政府委員 お答え申し上げます。地方財政に対して国の財政がしわ寄せしておるという御批評でありますが、大蔵当局といたしましても、国の財政地方財政が両方とも大事なことは十二分に心得ておるつもりであります。しかしながら今日までの結果から見てそうした御批評を受けるならば、これまたやむを得ぬかと思いますが、大蔵当局は、地方財政のしわ寄せになつてもどうなつてもしかたがないのだというような考えでは毛頭おりません。将来の問題といたしましてももちろん同様でありまして、今回の交付率の問題等につきましても関係御当局と十分研究もし、御協議もいたしまして、まずこれでもつて今回の法律上の制度としては出発をして、でき得る限りこの中でもつて善処していただきたい、こういう方針でおるのであります。しかし将来それでは赤字が出ないかといえば、私は出ないことを期待いたしますが、もちろんいろいろな事情によつて起る場合もありましよう。そうした場合におきましては、また十分御相談の上善処するよりほかにない、私はかように存じます。  また門司委員と所見を異にしてはなはだ恐縮でございますが、七十九億円の問題につきましても、そのうちの四十八億円は国の経費に計上すべきものであつて地方財源としてはおかしいではないかというお言葉もありますが私といたしましては、やはり七十九億円は地方財源として譲与したものであり、なるほどそのうちの四十八億円の問題については、国の道路整備計画という計画の中に入つてつて、道路その他に使つていただくという部分に該当することは申すまでもございません。しかしそれは、たとえば国の整備計画をつくつてつたからといつて地方はそれに対して全然ほうつておけばいいかといえばそうでないのでありまして、道路をよくするということは国も大いに寄与しなければならぬ。また国がこうして困つておる際でありますから、地方も当該固有の道路財源の中で、こうしたことにもでき得るだけ寄与していただく。両々相まつてわが国の道路整備を完全にして行きたい。かように考えておる次第でございます。
  110. 門司亮

    ○門司委員 今の次官の御答弁でございますが、どうもおざなりの答弁だけであつて、こんなことで地方財政というものを、ここで考えるわけには行かぬのでありまして、これは次官もよくお考えを願いたいのであります。地方財政と国の財政というものは、私はお昼前に正示君に申し上げましたので、重複することを避けたいと思つて実は数字を申し上げておりませんが、政府から出した書類を読んでみますと、二十七年度において国の方には予算の総額よりも非常に大きな金が徴収されておる。その額をはつきり申し上げますと、大体歳計剰余金は二千四十九億と書いてある。これは二十七年度の決算でありますが、三十七年度もそういうものが出て来ておる。そうしてそのうちのさらに翌年度に繰越しました事業、その他の歳出の財源に充当する額を一千百九十億と見ましても、八百五十九億という数字で国には黒字が出ております。ところが地方財政は、二十八年の歳計の剰余金は百十億しか出ていない。しかもこれは年度繰越しの歳出、いわゆる事業繰延べとさらに支払いの繰延べであります。これらのものに引当てますことのために、二百九十六億を差引いて参りますと、実質的の決算額におきましては、結局百八十五億というものが実は赤字となつて出て来るわけであります。国は一切のそういうものを差引いても、八百五十九億という黒字を持つておる。ところが地方は二十七年度において御存じのように百八十五億の赤字を出しておる。こういう赤字は単に二十七年度だけでございませんで、その後の数字はおそらく二十八年度の決算にも出るでありましようし、あるいは二十九年度の決算にも出るかもしれません。しかも地方財政の状況は、それなら一体どうなつておるかと申しますと、御承知のように決算上において不足の赤字の団体というものは年々ふえております。二十七年度は大体赤字の団体の数は一千六十九団体といつておりますが、これを比率にいたしますと、二十六年度の一五倍になつておる。それからさらにこの歳出の不足額は百五十四億であつて、これが金額にいたしますと二・四倍になつておる。こういうものを翌年度の繰越し事業あるいは支払いの繰延べ等に充当いたします財源等にずつと勘案して参りますと、財源不足団体というものは全部加えまして二千六百三十一という数字になつておる。しかも不足額の総額は三百億という数字はつきり出て来ておる。これが今日の日本の地方自治体の現状だと思う。しかも二十七年度以降におきまする、いわゆる朝鮮動乱の終局が一応つきまして、地方税の中で最も大きなウエートを占めております例の事業税の減少、いわゆる法人事業税が著しく減少いたしました結果は、従来富裕府県と考えられておりました大阪を初めとして二十二府県というものが、従来は大体何とかまかなえるのではないかと思われるような大府県がだんだん赤字が出て参つておりまして、そうしてそれらの財政の窮迫というものは、おそらく非常におびただしい数字が出て来るのではないかということがわれわれには考えられる。この事態の推移は、今大蔵次官がお答えになつたような生やさしい推移ではないと考える。従つてここで地方交付税法を審議いたします過程におきましては、やはりこの際これらの実情を大蔵当局においてはよく知つていただいて、地方財政というものはどういう形に推移しつつあるかということ、これを私どもは非常に心配するのであります。従つてそういう事態にありますときに、なおかつ二十九年度を限りというような譲与税で、地方財源がまかなわれることになつて参りますと、私だけではないと思う。全国の日本の自治体に関係を持つております諸君は、みなかなり大きな不安があると思う。従つてこれらを解消いたしますことのために、大蔵省としては、もう少し地方税法に対して真剣にひとつお考えを願いたいと私は思う。国の財政の都合で平衡交付金がふえたり減つたりするようなことが、この交付税でまた再び行われるということになつて参りますと、こういう法律を書いて参りましても、結果においては同じようなことを繰返さなければならない。幸いここで新しい税法として出発をしようとしておりますこの交付税の当初におきましては、大蔵省からそういうおざなりの答弁でなくして、——地方の赤字の団体はだんだんふえつつある。赤字の数字はだんだん増加するであろうということは想像にかたくないのである。従つてこれらに対して大蔵省としては、十分それを見て行くという態度をこの際実はとつてほしいのでありまして、ただ政治的の答弁だけでわれわれ満足するわけに参りません。  そこで大蔵省に対してなお念を押してお聞きしておきたいと思いますことは、配付税税率というものが、来年度にはさつきから申し上げておりますように七十九億がなくなるということになれば、この率はかえなければおつつかぬということを考えており、ここで調節する以外にないと考えておる。交付税の率を修正する意向をわれわれは十分持つておりますが、これについて大蔵省としてはそれに応じられるというような、これは突き進んだ話でありますが、お考えがあるかどうか、この点まで聞いておきたいと思います。
  111. 植木庚子郎

    ○植木政府委員 今の最後の御質問の点は、七十九億の揮発油譲与税が三十年度では、もし引続き施行しなくなつた場合には、その七十九億に相当する分を交付税の交付率であんばいすべきではないか、そういう意思はないかという趣旨のお尋ねと拝承いたしますが、この点につきましては、先ほどもお答えいたしましたように、単に交付率の異動のみによつて善処するか、あるいは先ほど申しましたような、本年度から創設いたしましたタバコ消費税あるいは不動産取得税等々の自然増収及び平年度に達するがための増収等々も考慮に入れ、そのほか、今年度におきまして政府地方行政整理等をやつてもらつておりますが、これがどういうふうに実施されるか、これらの結果等もにらみ合せてみなければなりませんし、その他来年度財政全体の都合を見まして、そうして百分の二十という率を直すがいいか、あるいは他に収入の道があるかということを、十分地方財政を尊重しつつ考慮して参りたい、かようにお答え申し上げます。
  112. 門司亮

    ○門司委員 今ちよつと私の質問に誤解があつたと思いますが、ガソリン譲与税が来年度なくなるからということは、これは一例に引いただけでありまして、これがなくなれば、私はなお赤字が出て来ると思うし、従つて、赤字に対処することのために、私どもといたしましては、どうしても、ことしの地方財政というものについては、やはりここで二百億ないし三百億の財政処置をしておかなければ、地方財政というものは赤字が出て困るだろうと思う。これは少し話が長くなつて恐縮でございますが、大蔵次官に一つお耳に入れておきたいと思いますことは、大蔵次官としては、地方財政というものを平面的にごらんになつているかもしれませんが、今日の地方行政の中には国の面の仕事がたくさんあるでございましようが、実際地方の学級の不足——年度におきましても二十五万の児童がふえておることは御存じの通りであります。これに対する処置は、これも大蔵省にも問題が残つておると思いますが、昨年の十六国会かと思いますが、あるいは今国会であつたかもしれませんけれど、昨年の暮れ以来、二十五万の児童がことし急激にふえる、これの校舎の問題をどうするかということで、大蔵省は一応十五億出しているからこれでやりなさいという。ところが、文部省の方では十五億が全部学校に使われるというが、自治庁に聞けば、その中の三億くらいはほかに使われるのだということで、三億の金がどつちにどうなるか、われわれは結論をはつきり聞いておりませんが、いずれにしましてもそういう財政措置をしておる。ところが、これと同じように地方の自治体が今日どうしてもしなければならない老朽校舎の問題、あるいは二部教授の解消というような、教育自体を完全にすることのためにも、私は数千億の金が必要だと考える。もしあなたの方で数字が必要だとあれば私の方から出してもいいし、文部省にお聞きになればすぐわかると思う。そういうことで、地方財政というものは、決して大蔵省の考えておりますような、節約をしてそうしてあてがいぶちで行けるような事態ではないのであります。今日の地方自治体というものの財政規模というものは、大蔵省で考えているような財政規模でやつて行けるというようにお考えになつていること自体が、私は誤りだと思う。もう少し大蔵省地方の現実というものを見ていただきたい。そうして地方の自治体がどう困つておるか、これは地方の自治体から出て参つておりまするこれにもおそらく書いてあると思いますが、これは大蔵省ももう一度よく見てもらいたいと思います。事業費とその他の費用との割振りを見てごらんなさい、今日地方の自治体の財政というものは、ほとんど事業というものはやらないで、事務費その他に使われてしまつておる。しかも事務費は、この書類によりますと、二十六年度よりも二十七年度は幾分節約しておるということが数字はつきり現われておる。地方の自治体は節約するだけは十分節約しておる。そうしてもなおかつ地方の自治体というものの財政が非常に苦しいということは、財政需要というものはやはり住民の負託にこたえる仕事をして行かなければならないから、そういうものができ上つて来たのである。こういうことに大蔵省が目をおおつて、単に財政基準額から考え出したところの、いわゆる人口一人当りについて幾らというような方法、しかもこれが積上げでなくして、今までの国の予算の都合でこれだけ金を向うにやれる、それから逆算して数字を割出して来るというような方法で考えられておるところが、今日の地方財政の行き詰まりのもとであります。私は、大蔵省に、もう少しこの地方の自治体の様相というものをはつきり見ていただきたい。そうして、自治庁から要求いたしておりまするものについてのいろいろなお話合いはけつこうでありますが、何でもかでも国の財政の都合で、これを押し切るというような態度について私は承服しがたいのであります。この点はひとつ特に大蔵省としてはお考えが願いたい。そうして、地方財政がまがりなりにもやつて行けるような自治体にしていただきたいということを考えております。こういう考え方のもとにもう一応大蔵省に聞いておきたいと思いますことは、大蔵省が直接考えられておりまする本年度地方財政に対する財政規模といいますか、それは一体——ここに、自治庁からもらつたもので、九千幾らですか、そういう数字の出たものがありますが、一体大蔵省としては、地方財政に対する考え方を、今日の財政規模でいいというふうにお考えになつているのかどうか。おそらく、今日の財政規模でいいという考え方で、こういう数字が自治庁と話合いの上でできているのだというように御答弁になると思いますが、それでは私は承服できません。この点は正示君の方から聞いた方がいいと思うが、一体正示君の万では、今出されている財政規模地方財政規模は十分であるというようにお考えになつているのかどうか、数字的にもしおわかりになればお聞かせを願いたいと思います。
  113. 佐藤親弘

    佐藤(親)委員長代理 ちよつと速記をとめてください。     〔速記中止〕
  114. 佐藤親弘

    佐藤(親)委員長代理 速記を始めて……。  中井徳次郎君。
  115. 中井徳次郎

    中井(徳)委員 大蔵省の政務次官に、先ほどの御答弁に関連して申し上げたいと思いますが、植木さんは、今度の改正によつて地方財政にはかなり余裕を見たつもりであるから、二十九年度あたりからは赤字を出さないことを大いに期待されるというお話でありました。一応私どももすなおに考えてそういうことがわかるわけでありますが、他の問題は、どうも植木さん少し簡単にお考えになつているのじやないかと思うのであります。もしかりに皆さんの御意見のように二十九年度において相当の余裕を見たといたしましても、私たちの方からしますと、それが実効があがるのはやはり昭和三十年度からではないかと思うのであります。といいまするのは、こう毎年々々税制を改正されますと、全国府県市町村は、一体いつ予算を組んだらよいかわからない、自信のある予算なんてものは過去五、六年間組んだことはありません。これは端的に申し上げます。本年度においても、おそらく旧法によつて予算を組んでおりましよう。この法案がまがりなりにも大いに修正を受けて通るといたしましても、それが下部機構にまで行きまするにはおそらく二月や三月はかかります。しかも平衡交付金計算はそれからさらに半年あとになる、あるいは起債の関係は年度の終りでないといけない。現在の日本の財政の状況、内政の状況をはつきり申しますと、大蔵省の御都合によりまして、一年ずつ全国の自治体の財政はずれておる、遅れておるのであります。この点はどうぞはつきりと認識してもらいたい。さつき北山さんからも御質問がありましたが、大蔵省はことし大いにデフレ予算を組んだ、しかしながら地方財政はふくれておる。この点についても、善意に解釈いたしますと、一年遅れであるからふくれざるを得ない、そういう意味でふくれておるのだろうと私は思います。従いまして、ことし税制を改正したから、ことしすぐに効果があがるなんてことを期待されるのは非常に私は甘いと思う、この点は十分考えていただきたいと思います。現に全国の自治団体で大いに赤字であると言われておりますが、この金額府県市町村予算総計の比率を出してごらんなさい。せいぜい二%、今年あたりは八千五百億の予算の二%で百七十億という数字になります。それは東京都とか大阪市とか、大きなりつぱなスタツフがあるところは、十分調査研究もするからわかるでありましようが、わずかに一千万円ぐらいの予算市町村が非常に多いのでありますから、そういうところで五万円、十万円赤字を出したつてこれは一%になるわけです。現在のよに毎年毎年ねこの眼がかわるように税制を改めておりますと、そこまで節約しろといつたつてする基準がない、その基準をきめるころには、もう年度末に来ているというふうな状況が実は非常にたくさんある。全国府県市町村が一番困つておりますのは、一体いつ予算自信を持つて組めるかということ、二十九年度予算は少くとも二十八年度三月の終りにおいて、一応自信のあるもりを組めるというふうな体系になりますと、あなたのおつしやるように、今年は多少よけいやつたから行けるだろうというふうなことも言えるのでありますが、まるで五里霧中でもつて予算を組んで、それで年度の途中へ行くと、災害問題とか火災の問題とかいろいろな突発事故が起つて、つい使つてしまえということになる。大蔵省に交渉したつて、それはまだ自治庁と折衝しておるからというので、なかなか起債の額もきまらない。ほうつておけないから少々額をよけい立てておけというので、一千万円の起債なら七百万円くらいまでやつてしまい、年度末になつて認可されたのは五百万円であるというようなものが結集しておるのであります。この点は大蔵省事務当局の方は御存じだろうと思うが、もつと上層部のいわゆる財政を牛耳つておられるとわれわれが考えおる人々は、もつと真剣に——日本の自治体の財政問題について、あまりそれを踏みつけにして、それならそこへ置いておこうかというふうなことをやられては、ますます赤字をふやすということを、私は一言申し上げておきたいのであります。  今回のガソリンの譲与税の問題にしましても、はつきり申しますが、府県や大都市にとりましてはどつちでも同じことであります。全部建設省にやりましてもどうせ助成金として三分の一くらいは府県市町村に行くでありましよう。わざわざ一兆予算のためにああいう細工をなさつたわけでありますが、そういう面においてもつと深く考えてやつてもらいたい。そうでないと、下の事務当局は非常に困り抜いておられるのじやないかとさえ考えられるのであります。はなはだ思い過ぎのようでありまするけれども、一言私の見解を申し述べて、植木さんの率直な御見を聞かしていただきたい、かように考えるのであります。
  116. 植木庚子郎

    ○植木政府委員 お答え申し上げます。われわれのなお劣勢しておらない点は今後一層勉強して参りたいと思います。しかし先ほど来いろいろ大蔵当局地方財政を理解しない、理解しないというお言葉を各委員からちようだいしまして。まことに私残念に思つておるのでございます。大蔵当局といたしましては十二分に関係当局の御意見も開き、御協議も受けて相談に乗つておる、またいろいろな機会に地方へも出かけて参りまして、地方の実情等も見せてもらつておるのであります。ことにたまたま今私大蔵政務次官になつておりますが、皆さんと同じ一議員でございまして、地方のためにも、代表で出ており、自分の郷里の実情も十二分に知つておるつもりであります。そうした立場におきましても、なお本年度予算の編成の際には、国の財政地方財政を通じて考えました場合に、やむを得ず今回の程度地方と中央の財政調整をいたした、こう申し上げておるのでありまして、本年度におきましても、中井委員が余裕があるというふうなお言葉にお使いになつたかもしれませんが、先ほどから、本年度から余裕のある財源を与えておるとか、あるいは来年度から非常に財源の余裕があるとかいうようなことは一言も触れておりません。むしろそう言われますれば、教えていただきたいようなものでありまして、私は今日大蔵省やまた地方がそれほど楽な財源や何かを持ち得る時代ではないと思つております。私も御承知のように長い間大蔵省におりまして、ことに主計局におりまして、地方財政には相当関係が深かつたつもりであります。その当時以来ずつと中央と地方財政調整では、何回も関係いたして来ておりますが、そのたびごとに大蔵省が一番頭を悩ましますのは、やはりこの問題で、皆さんの御心配になると同様に、大蔵省としてもでき得る限り地方の自治の尊重という建前から、独立的な財源で、しかも弾力性があつて恒久性があるというものを制度の上に残したいということは、そのときどきいつも考えておるのであります。しかしその際その際における税制全体の一つの仕組みの問題がございますから、一貫して今日までずつと踏襲されている制度は残念ながらございませんが、しかし、かわればかわつても、何とかこうもしたらとか、あるいは配付金の制度にしたらいいか、あるいは平衡交付金のような制度にしたらいいか、あつちへ行きこつちへ行き迷つておるのが、国全体の迷いであり、これは単に大蔵当局のみが迷つている問題ではないと思います。私はやはり国全体、地方全体を通じて悩み悩み抜いて今日のような姿になつておると思う。今回の調整に関しましても、ようやく時代もだんだん安定化して参りましたのです。たまたま不幸にして一兆円予算を組まなければならぬような時期に向つたことは残念でありますけれども、しかし経済の全体は一時から見ますれば、国も独立し、安定の方向に向つてつておりますこの際にこそ、ひとつ恒久化した制度によつて——今までの平衡交付金にも利害得失いろいろありましようが、今回は交付税、譲与税、両方の制度をこしらえてこれによつてつて参りたい。こういう理想で手をかけた、そういうことであります。それが中途にして、こういう制度にしようと思つたものが、たまたま一年限りの譲与税になつたというような問題等もございまして、体系上非常にまずい点があります。このまずい点につきましては、先ほどからも申し上げます通り、今後十分財政全般からまた見直して適切な制度にして参りたい、かように思うのであります。ことに私個人的な意見を申し上げますならば、たとえばガソリン消費税が一年度限りの譲与税であるということになります場合には、交付税としては理論的に言うならば、本年度——かりに本年度のこの通りの情勢であるとして、今来年度以降の率をきめるということになつたならば、それだけのものは交付金の方でふやすのは当然である、私はこうした意見を持つております。しかしさしあたつて暫定的に今年一年限りで行こう、こういう建前になつておりましたし、またいろいろな問題も関連しておるところがございますから、恒久的にここ数年間の率を確定しておくことはできませんが、関係御当局と御相談の上で百分の二十、当年度に限つては百分の十九何がしということでまず発足して行こう、こういうことに相なつたのであります。従つてこの率はある意味から言えば、先ほど門司委員の仰せになりますように、将来も必ず赤字が起るであろう。その赤字は恒常的に今の制度で行けば起るのだから、それを三十年度から交付金の方で加減しろ、これも一つのりつぱな御意見だと思います。しかし財政当局といたしまして、はたして来年そうしたことができるかどうかということは、まだとても私自信が持てませんので、それで来年度は来年度として、この率をできるだけかえないで、地方確定した財源を与えるという建前から、一つの方針をとりつつ、しかも地方財源欠陥に対しては十分に善処して参りいたい、かようにお答え申し上げておるわけであります。
  117. 中井徳次郎

    中井(徳)委員 御懇篤なる御答弁をいただいて、ぼくも非常にその通りだと考えますが、ただしかし先ほど来私申し上げましたように、まだ十分おわかりにならぬところがあつたと思う。その点私申しますのは、まあ野党とか与党とかいうことを離れて、一応地方財政の安定ということをぜひ考えてもらいたい。国の都合によつて一番最後にこせこせと改められるというふうなことでは非常に困る、それがまた赤字の原因になつておるとこういうのです。現在の地方団体の赤字は一%か二%であります。これをもし来年度はもう何もかえないとか、再来年度はこうであると、はつきりした方針を立てておりましたならば、一%ぐらいのものは全国府県市町村でもつて節約が必ずできるだろう。ただ毎年々々制度をかえることによつて、それに便乗する分子もできて来るでしようし、いろいろなことでもつてこんな赤字になつておる。もういいかげんはつきりてくれ、こういうことでありまして、その点を特に要望しておきたい。  それから、百分の二十の問題に触れますけれども、これは先ほどちよつと御答弁伺いますと、将来にわたりましては、たとえば昭和二十九年度の所得の額の実際の収入がわかりますのは三十一年度であります。従つて三十一年度には自然増収があつた部分の百分の二十はそこへ入りますけれども、二十九年度と三十年度は過去にさかのぼらないから、二十七年度あるいは二十八年度自然増収の分が入らないということである、そうなりますると、ここに大分数字の食い違いが起つて来る。そういう面からだけでも、われわれは来年度と再来年度くらいは百分の二十という数字は多少いじらなければならぬ、いじつてもいいのじやないか。大蔵省はもうそれをほかにまわしおられるという話も聞かぬわけではありませんけれども、少くとも二十八年度における自然増収の分だけでも、これはぜひとも百分の二十でもつてまわしてもらわなければいかぬ、私はこういうふうに考えております。以上意見やら何やらをちよつと申し上げます。
  118. 床次徳二

    ○床次委員 同僚諸君から今質問があつたのでありますが、なお一言大蔵当局の意見を確かめておきたいと思います。地方財政計画に関連いたしまして、将来これが現在よりもつと大きくなると見ておられるか、あるいは場合によつてはもつと小さくなると予想しておられるか、これは非常に大蔵省の煩悶のようでありますが、大体の趨勢はおわかりになつておると思いますが、いかようにお考えになつておりますか。
  119. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 私から便宜お答え申し上げますが、先ほど来政務次官からお答えを申し上げましたように、今度の床次委員、門司委員その他地方制度調査会の有力な方々の御答申の線に沿いまして、交付税制度というものができました。これによりまして、先ほど来お話がございましたように、結局地方公共団体が財政に対しまして、ただいまもるるお話がございましたように、一つの大きなよりどころができる。従来はとかく中央依存の傾向で、しかもそれがどういうふうにきめられるかという点に、非常な不安があつたわけであります。また一方におきましては、各省はとにかく地方にこれだけの仕事をしてもらう、あとは何とか平衡交付金等で見てもらえるのだというふうなきわめて無責任と申しますか、あるいは安易と申しますか、そのような点もあつたかと思うのでありますが、その点今回幸いにして大きなよりどころができて参るということになりますと、これによつて国及び地方を通じましての財政計画というものが、だんだんはつきりした基礎の上に確立されて行くというふうにも考えられるのであります。ただいま端的な御質問でありまして、この点私のような事務当局として申し上げるのは非常におこがましいのでございますが、従来のような傾向で、だんだん地方財政の規模がふくれておりますことにつきましては、これは国としても非常に責任があることは先ほど来御指摘の通りでございます。また地方側におかれましてもいろいろ制度的な問題がありまして、減らない事由はございましたが、やはりお互いにむずかしい面があつたかと思うのでありまして、それらの点につきまして、せつかく今回の制度改正によつて、ある程度のよりどころが与えられて行くということになれば、中央、地方それぞれいわゆる仕事の実をあげ、計画性を持つて参りますことによつて、かりに膨脹いたすということがありましても、要するにこれは計画的に膨脹して行くということであろうと思うのであります。たとえば人件費の問題一つをとりましても、従来は国の方で人事院の勧告なり、あるいは仲裁裁定等の結果によりまして、一般の非現業と現業の公務員のベース・アツプがございますと、地方も当然それによつてつてつたのでございますが、これらの点につきましても経済の基盤を確立し、物価の抑制というようなことにつきまして、いわゆる無計画なことにならずに、計画的に進められるということになりますと、おのずからやはり従来のような膨脹傾向というものに一応終止符を打ちまして、やはり国と地方と全体を通じましての財政資金の合理的な配分ということによつて処理されるのではないか。実は先ほど門司委員の御質問に対してもお答えをいたしておらないのでありますが、私どもは、先ほど来政務次官も申されましたように、地方がやりたいとお考えになつておるお仕事、あるいは各省からやつてくれと言われた、いわば命令され、義務づけられておるような仕事につきましても、十分にあるいは余裕のある財源が与えられておるとは決して考えておりません。きゆうくつなことは国も地方も同じであり、あるいは地方によつては非常にきゆうくつな団体もあられるのであります。しかし一方におきましては、比較的ゆとりのある団体のあることもまた事実かと思うのでありまして、今後の進み方といたしましては、全体のいろいろ事情の違つた団体相互の間、あるいは国と地方との間におきまして、財源配分の合理化を推進いたしまして、限りある財政資金をより効率的に使つて行くということ以外に、この正しい解決方法はないのではないか。全体としてインフレ的な施策をとりますことは、結局実質的なマイナスでございますので、やはり限りある財政資金のより一層効果的な、合理的な配分ということによつて問題を処理して行くべきではないかというふうに、私どもとしては考えております。
  120. 床次徳二

    ○床次委員 私きわめて端的に質問いたしたのでありますが、私案は、財政計画相当合理化いたしましても、だんだん増加の傾向にあるのではないかという答弁を期待しておつたのですが、非常に長い多くの言葉をもつて答弁なつた、そこに私は大蔵当局の非常な悩みがあるのじやないか。同時にこの法案の審議において同僚各位がしつくりしない、私自体も納得しにくいところがあるという感じがするのでありまして、多少繰返すようになりまするけれども、私の見方を申し上げてみると、地方制度調査会におきまして答申いたしましたのは、地方財政計画のわくを三百億ふやして、そうして地方自主性を持たせながら調整して行きたいというので、交付税制度ができたのであります。今日の政府の案によりますると、第一条あるいは第三条もそういう前提のもとに成り立つ、たとえば「地方団体に対して適当な財源を供与し、もつてその独立性」という言葉をかえまして、「資するとともに、地方団体の独立性」と改められてもかまわないし、第三条にありますが、「補てんすることができるように配分しなければならない。」という字句を補てんすることを目途として交付しなければならない。しこういうふうに改めましても、その前提の財政のわくがありまするならばさしつかえない。調査会も私はそういう意味において答申いたしたのだと思うのです。しかるに政府が今日とられましたのは、法案の文章はただいまのごとく改められておりまするが、実質におきましては相当わくが小さくなつておるのであります。このわくの問題につきましては、先ほど来御意見がありました。私自身の見方を率直に申しまするならば、現在でもすでに赤字をつくりつつある。過去において赤字をつくつた、これは別個の方途によりまして解決する。将来できるものにつきましても、これは別個に解決すべきでありまするが、現在すでに生じつつあると思うのです。その生じつつあるものを無視した前提のもとに、これが提案されておるのではないかというところに、私の大きな疑問があるわけであります。はなはだ皮肉な言い方でありまするが、大蔵当局が中央地方財政調整に非常に苦心しておられるということは、小さなわくの交付金法の中に地方財政を追い込んでおつて、そうしてできるだけ節約をしいてだんだん小さくさせて行く、小さいわくをあてがつておきまして、そうしてこの一条並びに三条というような規定の中で、地方がまかなつてだんだん地方財政規模を小さくして行く、そうしてこれを節約させるというが、縮小させるというふうな誤解も、すればし得るのです。そういう考え方が若干残つておるのじやないか、これは地方財政の独立性を与えようということとはおよそ遠いのでありまして、どうも中央地方を通ずる財政調整と言われる内容におきましては、暗々裡にそういうところがあるのではないか。従つて先ほど指摘いたしましたごとく、大蔵当局地方財政のわくが将来伸びるか縮むかということに対する御答弁に対して非常に苦心をせられて、長い言葉をもつて説明しておられるのではないか。非常に皮肉な言い方でありますが、そういうような印象を与えておる。この印象を払拭してほんとうに地方財政に役立ち、しかも中央と地方との財政調整に役立たせるということが、ほんとうに本法の目的ではないかと思うのでありますが、どうも政府のとりました措置は、そういう趣旨において納得しがたいものがあるように思うのです。この点に関しまして、すでに同僚に答えられたところによりましても大体明らかなようでありますが、どうもしかし了解しがたいところがありますので、重ねて質問する次第であります。
  121. 植木庚子郎

    ○植木政府委員 同じようなお答えになるかもしれんが、われわれ大蔵当局といたしましても、やはり地方財政に対して中央財政と同様に尊重もして参りたい、そしてまたその財源配分につきましても、でき得る限り節約に節約を重ねて両方とも節約して進んで参りたい、かように考えておるのでありまして、本年度財政のあんばいといたしましては、今回の交付税の交付率その他地方税全体を通じて、おおむねこの程度で善処をしていただきたい、こういう考えでおることを繰返すよりほかございません。
  122. 門司亮

    ○門司委員 今の御答弁でございますが、私はこれはちよつと大蔵省にほんとうに考えておいてもらいたいのです。地方財政の規模、こう言つておりますけれども、従来日本の地方財政の規模と、国の財政規模というものは昭和十一年の統計を見てみますと、国の一〇〇に対する地方財政は一二五であります。これは昭和八年、九年あたりから大体ずつと地方財政が充実いたして参りまして、いわゆる日本における最後の平和の年といつていい——十二年から支那事変が起つておりますので、大体最後の平和な年だつたと思うのです。そのときには国の一〇〇に対して地方財政は一二五という計数が出ております。それから戦争に突入してからだんだん減つて昭和十九年には国の一〇〇に対する地方は二五という数字に著しく減つておる。これは統計が明らかに示しております。しかもその当時におきましては、昭和十一年ごろにいたしましても、連帯支弁法がありまして全部の費用というものを、地方の団体が出しておつたわけではございません。ある程度国が支弁しておることには間違いはない。連帯支弁法の方式をとつておりました当時においても、そういう形を示しておりますので、私は今日の地方財政と国の財政規模というものは、今日の状態より以上に地方財政は、やはり膨脹して行くということが常道ではないかと考える。国が非常時態勢で、われわれから言わしめますれば約二千億に近いようなばかばかしい再軍備をやつておるものだから、そのしわ寄せが地方に来ておるのであつて、あの当時日本は軍備があつたはずでありますが、軍備があつてもなおかつ日本の国と地方との財政調整というものには、そういう数字が出ておつたことは私は事実だろうと思うのです。従つて日本の将来における国と地方との財政規模あり方というものは、だんだん地方財政がやはり充実して行くという言葉を使うことが私は正しいと思うのですが、地方財政を充実せしめようとするならば、数字の上ではだんだんこれがふくらんで行くというのは常識的な見方だと思う。この私どもの常識的な見方に対して、大蔵省の見方が違うのだというお考えがあるならば、非常に大きな問題だと私は思うのです。その点に対する大蔵省の見解はどういう御見解をおとりになつておるか。床次さんへのさつきの答弁は、どうも私ども聞いておつてはつきりいたしませんので、国と地方を通ずる財政規模の問題の将来の見通しを、大蔵省の見解をこの機会に、はつきりさせておいていただきたいと思います。
  123. 植木庚子郎

    ○植木政府委員 地方財政が今後現在よりもどんどんふえて行つて、国の財政との比率相当今よりかわつて行きはせぬか、それが当然と見るべきではないかという御質問でありますが、私は今日の国費と地方費の関係、言いかえれば国の行政地方行政との関係が、今日のままで推移するという前提で考えますならば、今よりは若干ふえて行くだろうと考えます。しかし国費と地方費との関係を一体どう見るべきかという根本問題になりますと、これは私はいろいろ議論が立つと思います。また議論し得ると思います。なるほど一般的に申しますれば、財政膨脹の原則で国の財政地方財政も膨脹するかもしれません。長い目で見ればそういう原則が行われておると思います。その意味におきまして地方財政も長い目で免ればやはり膨脹して行くだろうということは考えられます。ところが他面、また国の行政地方行政がどういう部分を国の行政にし、どういう仕事を地方行政にするかという問題については、皆様多年の御うん蓄あるところであろうと考えますが、これについては私いろいろなやり方があると思うのであります。そのやり方によりましては必ずしも地方財政伸びないで、国の財政の方が、むしろ国家で全部やる方がいいというような仕事がどんどん国の方の仕事に取入れられて、国の分野の方が大きくなつて地方の分野がある程度圧縮されるということもあり得るのではないかと私は思います。ことにこれは政党政派によりましていろいろかわつたお考えを持つていらつしやるようでございますが、地方に何でもかんでも——地方自治の尊重すべきことはもちろんでありますけれども、しかし仕事によつてこれは国の仕事に移すべきだという仕事も相当あると私は思います。見方によりますとこういうものをどんどん国の行政に取入れて行けば、国の財政がもつとふえ方が多くなつて地方財政伸びない、小さくなるという場合もある、かように思うのでありますが、これは単なる議論でありまして、一般的な、常識的な見方で考えますと、おおむね今日のような国の行政地方行政という実情で見ると、若干ずつはふえて参るだろう、かように結論ができるのではないかと思う。しかしこれは長い目で見た場合の問題でありまして、それでは三十年度は必ず二十九年度よりふえると確言するのか、あるいはそのことを言つているのかと言われますと、そうでございますとはお答えしかねますが、しかし来年度は来年度としてこれから後いわゆる経済界の推移その他をながめて、そうしてこれによつて年度の仕事をどういうふうにやつて行くかということをきめなければならぬ場面が、必ず近い将来に来ると思いますから、三十年度すぐどう考えるかと言われますと、今ただちにお答えできかねる、かように申し上げるよりほかはないと思います。
  124. 門司亮

    ○門司委員 私が先ほどお聞きいたしましたのは、大蔵省が率直にこの際われわれに示してもらいたいのは、今地方財政の規模が自治庁から出されております。地方財政計画に対して大蔵省はどういう見解を持つてつたかということを、もし数字があるならば率直に知らしていただきたい。大蔵省と自治庁との折衝の過程における大蔵省側の意見というものを、この際はつきり出しておいていただきたい。もし数字をプリントしたものがあるならば全員に参考資料として配つていただきたいと思いますが、プリントしたものがなければ、この際答弁を願いたいと思います。
  125. 植木庚子郎

    ○植木政府委員 お答えを申し上げますが、自治庁と大蔵省は同じような仕事をやつてまとめる役目でございますので、見解の相違が非常に少いのでございます。むろんいろいろ議論はいたします。こういう案もある、ああいう案もあるということは申しますが、お互いにまとめる役でございますので、結論はいつもよく合つておるわけでございます。門司委員のおつしやいましたような実は記録としてこの見解の開きというものはちよつとないのでございます。ただ先ほど御質問の御趣旨をもう一度私考え直しまして、今日の地方財政計画の中に、何か無理があるのじやないかという御指摘に対しまして、われわれ事務当局といたしまして考えておりますことを率直に申し上げますと、これは自治庁もまつたく同じように、そういう点を私どもにもしよつちゆうお話くださるのでありますが、先ほど来御議論のありました既定財政規模の修正というふうな点は、少くとも今出しております案で、十分これでなし遂げたというふうにはなかなか見られないのではないか。これらの点については、なお問題を残しておるのではないか。それからさらに先ほども御指摘がございましたが、地方債の発行が年々多額に上つておりますが、こういうものの累増して行きますのに対する対策といいますか、これらの点につきましては、やはり自主的な財源を考える場合に、十分考えて行かなければならない問題であるというふうなことも、お互いによく話合う点でございます。  それから節約の問題でありますが、実は国の方におきましては、目下のところ今般の予算の修正等の結果もございまして、どうしても実行上の節約をはからなければならない、こういうふうに思つておるのでございまするが、同じような経費で、たとえば国が三分の一を見る、地方が三分の二を負担するというふうなものにつきましては、同じような方式をとらなければならぬのでございますが、しかしながら、一般的に人件費等の占める割合が非常に高い地方財政におきまして、しろうとがちよつと考えますように、総額で、国が幾ら幾らの節約をした、従つて財政規模から見ると、むしろ国よりも地方は大きなこれこれの節約をすべきであるというふうな単純な議論は、私どもとしてはとりてい受入れることができないのではないか。それらの点につきましては、先ほど来お話もございましたような財政の構成と申しますか、内容的に経費の性質を洗つて、合理的な節約ということを考えなければならないのではないか。それらの点については、どうも世間一般にしろうとが、総額というふうなことから単純に、幾ら幾らの節約をしたら、それが国の会計の何分になる、何割になる、従つて地方としてもこうだというふうな議論に対しては、軽々に応じ得ないのではないかというふうなことも、常に話合つておる点でございます。しかしそれでは事務費等でなお節約の余地がないかという点につきましては、これは、世間一般の輿論の中にも傾聴すべき点が相当あることも、また否定できないのでありまして、今日国及び地方において非常にきゆうくつな財政のわく内において仕事をしておりますような場合に、もう少し冗費の節約というふうな点において、くふうをはかる余地があるのではないかという点については、私ども虚心の反省をいたさなければならないというふうにも考えておるのであります。要しまするに、今までとかく平衡交付金で最後のつじつまを合せる仕組みになつておりましたために、非常に不安動揺といいますか、不安定な基礎の上に立つておりました地方財政に対し、今回地方制度調査会の御答申によつて、大きなよりどころを与えられるということは、今申し上げたようないろいろな問題を、今後処理して行く場合におきましても、相当大きな改善の実をあげ得ることになるのではないか。すべて個々の団体が自主的に計画を立て、その自主的な計画従つて合理化を進めて行くということが必要なときでありますので、今側のこの改正はぜひとも実現いたしまして、今申し上げたようないろいろな問題につきましても、一層合理的にして行きますことを、政府としては希望いたしておるような次第であります。
  126. 中井徳次郎

    中井(徳)委員 正示次長さんにちよつとお尋ねするんですが、先ほどから門司委員あるいは床次委員から率直な御発言があつた地方財政はこれからふくれるかどうかということであります、そのことについてはあなた方は言葉を濁しておられるわけでありますが、その立場もわれわれはわからぬわけではありませんけれども、この問題はひとつ深く考えていただきませんと、困ると思う。私が先ほどお尋ねいたしましたのは、現在の府県市町村の赤字というものは国のやり方によつて左右され、いわゆる無計異な赤字ができている。このことは厳に慎むべきものであるということは言えます。しかしながら将来にわたつては、現在のままで置きますと、おそらく計画的な赤字というふうにどうしてもなつて来る。全国府県市町村の自治体の財政というものは、どうしてもふくらまざるを得ないと私は思うのであります。といいまするのは、あなたに申し上げるまでもありませんが、日本の内政というものを客観的に見ますと、アメリカとかフランスとかイギリスと違いまして、日本は残念ながら明治維新以来軍国主義的な形で参りました。従つて内政問題の犠牲において、国家財政を盛り立てて行つたという形がどうしてもあります。そこでたとえば都市行政一つをとりましても、欧米におきましては、すでに一応終止符を打つている。上水道も下水道もできている、ガスも末端まで行つている、道路、住宅も一応でき上つておる。ところがわれわれはそれをこれから追いかけて行かなければならぬというところに、非常に大きな問題があると思う。この問題を忘れて、財政の都合、財政の都合でもつて行かれたのでは、国民生活はたまつたものではない。われわれは戦争に負けてあれだけの犠牲を払つておるのですから、この犠牲を無にしないたために、この点はだれが考えてやらねばならぬことである、自由党がどうだ、改進党がどうだという問題ではないのであります。従つて大蔵省の皆さんは、そこまで真剣に考えていただいておるかどうかという点において、これまでの実績は、残念ながら、そういうことを犠牲にしてでもやむを得ないという思想が、皆さんの中に非常に流れているのではないかということを非常におそれまするので、この際そういう点に対する率直なあなた方の意見を聞かしてもらつておきたいと思います。
  127. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 お答え申し上げます。日本の民主化を推し進めて行く基本が、地方自治の育成強化にあるという中井委員の御質問に対しましては、私も満腔の賛意を表するところであります。ただ私この点につきましては実は前からいろいろ考えおる点もございまして、同じ目的、理想を達成いたすにつきましても、できる限り合理的な方法ということは、やはり方法論としてはいろいろあろうか思うのであります。ただいま御指摘のように、大きな重点を地方自治の育成強化に置くという方針につきましては、私どももまつたく同感でございますが、いろいろの方法論ということにつきまして、先ほども申し上げましたように、限りある財政資金でございますから、これをより合理的、効率的に配分するくふうをすることが必要であるということを申し上げた次第であります。この点につきまして、私はかねがね当委員会で非常に御熱心に推進されておりますところの町村合併というようなことに対しまして、深甚なる敬意を実は表しておるのであります。これはやはり今後財政資金の効率的な活用の上におきまして、非常に必要な点であろうかと思うのであります。かつて占領時代によく司令部の方々ともいろいろ話をしたことがあるのでありますが、アメリカは日本において広域行政といいますか、自治を進めたけれども、在来の行政単位といいますか、行政区画に一指も染めなかつたということは実に残念であつた。これは私ども——実は私もあるふるさとを持つておるのでありますが、私のふるさとがつぶれるということは限りなき郷愁を覚えるのであります。しかしこれが私でなく、私より偉い人がぱつとやれば、簡単に行つたのではないかと思うのです。しかし今日私の生れた県、私の生れた村がなくなるということは、やはり非常にさびしいのであります。それに対しまして、本委員会が町村合併ということで、大はいを掲げて推進されているということに対しては、ほんとうに心から敬意を表しております。今年は一兆円予算で非常に苦しかつたのでありますが、町村合併の促進費につきましては、主計局は特別扱いをしまして、大いに敬意を表したのであります。将来ともこういう方策でやつて行きたいと、心から念願している次第であります。
  128. 北山愛郎

    ○北山委員 どうもたいへん調子のいい話でありますので質問したくなつたのですが、第一点は、経費を合理的に便わなければならぬ。国の場合も地方も同じだというような立場で、そういう基準からやはり地方財政に対しても、大蔵省らしいめがねをもつて見ておられるじやないかと思うのです。ところが私どもから見ると、経費の非合理的使用ということを、国自身が範を示しているような例をたくさん見るのです。これは申し上げるまでもなく、地方財政にも非常に関係のある財政投融資等におきまして、何千億という金をこの数年間で重要産業の方へ投資をされた。そしてその相当部分がさつぱり返つて来ない、利子も非常に安くしておられる。現に今年度でも、先ほど財政投融資の点に触れましたが、一般会計では確かに二百二十八億圧縮している。ところが資金運用部資金の方から、開発銀行に対しても、電源開発会社に対しても、そつちの方へむしろうんと金をふやしている。だから、そのしわ寄せが結局地方財政の方の起債にも響いている。そのように、何千億という金を重要産業に投資をして——それは効果があつた面も確かにあつたでしようが、しかし石炭にしても、あるいは鉄にしても、あるいは船にしても、一体どれだけの効果が上つているか。副作用が起つて、いろいろお困りになつている向きもあるようであります。地方団体にはリベートというものはあまりありませんから、まああつたとしても、非常に小さい作用だけなのであります。そういうふうなことを地方の住民としてもやはりあわせ考えなければならぬ。また地方団体の立場に立つものとしても、どうも国がそういうことを言う、しかも国の台所を預かつている大蔵省の人が両々相まつて考えてやつておられるならば、地方同体に対してのきびしいお言葉もわかるのですが、しかし全体としてそういう風潮を流している。これがあるいは地方団体にも多少影響しているかもしれない。それからもう一つは、今の政府財政金融政策なんです。やはり中央集権的な、大産業を保護する、あるいは資本の蓄積を強行するというような政策によつて地方の金が吸い上げられるということなんです。保全経済会などはその政策の一端ではなかろうかと思いますが、しかしあれなども非合法のままで、ああいう投資機関というものが約一千億という金を地方から巻き上げて、そしてまるつきり役にも立たぬようなところへこれを消費してしまつた地方ではこれは今非常に困つているのです。それぞれあの御弱な農村からなけなしの金を吸い上げて、それを数年前から気がついておりながら、今ごろになつてやつと取締り法規を出すというような大蔵省のやり方です。そういうふうなことがみな関連して、地方の経済なり、あるいは地方団体財政というものに響いているのですから、そういうことをちやんとおやりになつて、しかる上に地方団体財政運営が悪いとか、いいとかおつしやるならばこれはわかる。これは普通の健全な常識を持つている者なら当然考えることなんですから、そういう点についてどうお考えになつているか。ひとつその御見解を承りたい。  もう一つは、町村合併のことを非常に言われたのですけれども、私どもは実を言うと、これは疑問を持つておる。わずかに十九億やそこらの金につられて町村合併をして、一生懸命やる。ところがはたしてこれがその目標に掲げられておるような強力なる適正規模の地方団体ができるかどうか。下手すると、建設計画につられて、夢を見て、合併さえすれば何とかしてくれるのだ、これは政府の御方針だというようなことでやつてみて、かえつて経費がよけいかかるのではないかとも思われる。そして夢は破れ、それから経費はよけいかかつて、かえつて地方団体が困るような結果にならなければいいがと、実は地方行政委員会はそれを心配している。あなたのように礼讃するような気持にはまだなつておらない。むしろ批判的になつておる。ですから、噂に十九億をおみやげに出したというような言葉で表現されては非常に迷惑です。ですから、これなどについても、案外その美しい言葉の陰には、町村合併すれば町村団体の数は減るのだ、減るから、これは結局においては安上りな地方行政ができるのだというような頭で、町村というものを行政整理をするというような考え方で、大蔵省はこれを見ておるのじやないか。それまでには少しばかりの資本投下はしても、結局地方財政規模は圧縮されるのだから、今は少し出しておけばいいのだというような程度にお考えになつておるのじやないかと私は思うのですが、それについてもあわせてお答え願いたい。
  129. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 お答え申し上げます。地方財政を圧縮することばかり努めて、国の歳出面においてなお相当放漫な点があるように思うが、というお話でございます。ことに地方においていろいろ財政投融資等に関して遺憾な点があつたという点につきましては、これは私どもとしても率直に反省をいたしまして、今年度の建設資計画は、ただいまお話のように、一般会計においても相当の縮小を見ておりますし、国全体といたしましても、建設資計画につきましては相当の圧縮をはかつておるのであります。また公共事業等につきましても、従来とかく総花主義であるという御非難がございましたので、本年度の公共事業費につきましては、相当重点主義、効率主義ということで、先般予算を御審議を願つたことは御承知の通りでございます。既往においていろいろ遺憾な点がありました点につきましては、率直に反省をいたし、改むべきものは改めて参りたいというふうに考えておるのであります。将来も私どもは国及び地方を通じまして、財政資金というものは結局納税者の血税でございまするから、その血税は厘毫もおろそかにしてはならぬという考え方をもつて予算の編成に臨むことはもとより、執行にあたりましても、厳正を期して参らなければならないと考えておるのであります。この点、なおいろいろ至らぬ点もあるのでありますが、今国会におきましても、いろいろ関係の法律案等も御審議を賜わりまして、それによつて将来運営上の改善に資して参りたいということを念願いたしておるような次第でございます。  また町村合併につきまして、先ほど私非常に楽観的に申し上げた点につきまして御指摘がございましたが、私どもはただ単に金でセーヴすればいいというようなことを考えておるのではございませんので、やはり内容的に充実して行く、しかもそれはただいま申し上げた納税者の血税によつてまかなつて行くのでございますから、むだなく充実をはかつて行くということが眼目であることは、もとよりそのように心得ておるのでございます。私も一寒村の生れでありまして、自分の小さいときは非常に貧弱な学校に学んだのでありますが、それらがだんだんと新しい学制のもとで、物的な設備その他も整備されて行くということを見るのは、非常に嬉しいのでありまして、そういう面につきまして、だんだん施設その他が改善をはかられて行く、しかもそれがむだなく、全体としてバランスのとれた、岡と地方とのバランス、あるいは地方団体相互の間のバランスというものが、よく均整のとれたものとしてだんだんよくなつて行くということを、私どもは期待しなければならないと思うのであります。国ばかりがひとり健全財政を謳歌するというような気持を持つておるわけではございません。国と地方全体を通じまして健全になつて行くことこそ、私どもとしては庶幾いたさなければならないというふうに考えておる次第であります。     〔佐藤(親)委員長代理退席、委員   長着席〕
  130. 中井一夫

    中井委員長 それでは本日はこれをもつて散会いたします。  明日は午後一時より開会いたします。     午後六時三分散会