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1954-04-05 第19回国会 衆議院 地方行政委員会 第38号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年四月五日(月曜日)     午後二時十二分開議  出席委員    委員長 中井 一夫君    理事 加藤 精三君 理事 佐藤 親弘君    理事 灘尾 弘吉君 理事 吉田 重延君    理事 鈴木 幹雄君 理事 西村 力弥君    理事 門司  亮君       生田 宏一君    木村 武雄君       三池  信君    床次 徳二君       橋本 清吉君    石村 英雄君       北山 愛郎君    大石ヨシエ君  出席国務大臣         国 務 大 臣 塚田十一郎君  出席政府委員         法制局次長   林  修三君         自治政務次官  青木  正君         自治庁次長   鈴木 俊一君         総理府事務官         (自治庁財政部         長)      後藤  博君  委員外出席者         総理府事務官         (自治庁財政部         財政課長)   柴田  護君         総理府技官         (経済審議庁計         画部総合開発第         二課長)    奥田  亨君         大蔵事務官         (主計官)   鳩山威一郎君         専  門  員 有松  昇君         専  門  員 長橋 茂男君     ――――――――――――― 四月三日  委員尾関義一君及び石村英雄辞任につき、そ  の補欠として三池信君及び勝間田清一君が議長  の指名委員に選任された。 同月五日  委員勝間田清一辞任につき、その補欠として  石村英雄君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 四月三日  選挙違反連座制強化に関する請願山口シヅ  エ君紹介)(第四一六五号)  地方税法の一部改正に関する請願外一件(小笠  公韶君紹介)(第四一六六号)  貨物自動車運送事業に対する事業税外形標準  課税廃止に関する請願中村清紹介)(第四  一六七号)  営業用トラックに対する自動車税軽減に関する  請願中村清紹介)(第四一六八号)  クリーニング業に対する地方税軽減に関する請  願(青柳一郎紹介)(第四一六九号)  同(井出一太郎紹介)(第四一七〇号)  同(加藤高藏君紹介)(第四一七一号)  同(池田清志紹介)(第四一七二号)  同(石村英雄紹介)(第四一七三号)  同(古屋貞雄紹介)(第四一七四号)  同(三宅正一紹介)(第四二〇八号)  同(伊藤好道紹介)(第四二〇九号)  同(今澄勇紹介)(第四二三九号)  同(田中彰治紹介)(第四二四〇号)  同(北れい吉紹介)(第四二四一号)  同(三浦一雄紹介)(第四二四二号)  同(喜多壯一郎紹介)(第四二六五号)  同(椎熊三郎紹介)(第四二六六号)  古書籍業に対する事業税免除に関する請願(長  谷川保紹介)(第四一七五号)  都市警察存置に関する請願大矢省三紹介)  (第四二〇五号)  町村合併促進関係法規改正に関する請願(鈴  木義男紹介)(第四二〇六号)  同(助川良平紹介)(第四二〇七号)  同(粟山博紹介)(第四二三八号)  同(佐藤善一郎紹介)(第四二六四号)  乗合自動車税軽減に関する請願高橋圓三郎君  紹介)(第四二三六号)  乗合自動車事業税外形標準課税廃止に関する  請願高橋圓三郎紹介)(第四二三七号) の審査を本委員会に付託された。 同月一日  地方財政確立に関する陳情書  (第二五八五号)  地方財政再建整備法制定に関する陳情書  (第二五八六号)  営業用トラックに対する自動車税の据置き並び  に外形標準課税に関する陳情書  (第  二五八七号)  バスに対する自動車税軽減に関する陳情書  (第二五八八号)  同(第二五八九号)  バス企業における外形標準課税廃止陳情書  (第二五九〇号)  同(第二五九一号)  市町村自治体警察制度廃止反対陳情書  (第二五九二号)  同(第二五九三  号)  同  (第二五九四号)  同(第二五  九五号)  小型自動車税並びに軽自動車税町村移譲に関  する陳情書  (第二六一九号)  町村合併に伴う起債のわく拡大並びにその確保  等に関する陳情書  (第二六二〇号)  警察制度の改革に関する陳情書  (第二六二一号)  市町村自治体警察制度廃止反対陳情書  (第二六二二号)  同(第二六二三  号)  地方税法改正要綱に関する陳情書  (第二六五〇号)  地方税制改正に関する陳情書  (第二六五一号)  同(第二六五二号)  市町村自治体警察制度廃止反対陳情書  (第二六五三号)  同(第二六五四  号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案  (内閣提出第九二号)  地方財政法の一部を改正する法律案内閣提出  第一〇五号)     ―――――――――――――
  2. 中井一夫

    中井委員長 これより開会をいたします。  ニユース映画を非課税にしてもらいたいという陳情につきまして、大石さんからその陳情をこの際聞きたいとの御発議がありましたけれども、これはすでに各関係者から陳情書を提出されたそうであります。これを各議員に配付することによつて陳情を省略したいと思います。さようどうぞ御承知を願います。  それじや今のニユース映画の方から持つて来られた陳情書を各委員に配付してください。     —————————————
  3. 中井一夫

    中井委員長 これより地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案及び地方財政法の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。両案につきましてはすでに提案理由説明政府より聴取いたしておりますが、さらにこれが補足説明政府より聴取いたすことといたします。柴田財政課長
  4. 柴田護

    柴田説明員 地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案並びに地方財政法の一部を改正する法律案につきまして、逐条的に御説明申し上げます。便宜上お配り申し上げております新旧対照表をごらん願いたいと思います。新旧対照表に従いまして御説明さしていただきたいと思います。  地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案でございますが、最初に地方財政平衡交付金法の題名を地方交付税法と改めております。これは地方財政平衡交付金法基本理念に立脚しながら、その地方団体調整財源としての地方交付税の持つております性格より地方団体独立財源としての性格を強くするというのが、この改正一つ根本目標でございますので、それに従いまして地方財政平衡交付金という名称を全部地方交付税に改めたのであります。それに従いまして法律の名前を地方交付税法に改めました。  第一条は、法律の目的でありますが、「地方自治の本旨の実現に資するために地方団体に対し適当な財源を供与し、もつてその独立性を」というところの「地方団体に対し適当な財源を供与し、」という文句を削除いたしております。これは地方交付税地方団体共有地方財源であるという趣旨にかんがみまして、地方団体に国から何か財源をやるんだという感じが、既存の条文を踏襲いたしますと残つて参りますので、その部分を落しまして、地方団体独立財源だという観念を強くさすために、「適当な財源を供与し、」という条文を削つたのであります。  第二条は、地方交付税意義を掲げております。その第一号に地方交付税意義としまして「第六条の規定により算定した所得税法人税及び酒税のそれぞれの一定割合の額で地方団体がひとしくその行うべき事務を遂行することができるように国が交付する税をいう。」第六条の規定と申しますのは、あとで出て参りますが、所得税法人税酒税一定割合の額をもつて地方交付税とするという条文でございます。それで「地方団体がひとしくその行うべき事務を遂行することができるように」という文句を残しておりますのは、地方交付税究極におきましては、地方団体地方財源に関して行います事務最小限度を保障するんだという基本観念を残しておりますので、「ひとしくその行うべき事務を遂行することができるように」という字句を存置したのであります。第六号は測定単位規定でございますが、「普通交付金総額算定し、及び配分する」、とあるのを削ります。地方財政交付金の場合におきましては、その総額算定測定単位数値に、それぞれ単位費用を乗じました額を積み上げたものを総額として計上しなければならないというのが本来の総額のきめ方でありますが、そのきめ方がかわつて来ますので、その総額算定する基礎として測定単位が直接働いて来るのはなくなつて参るわけであります。そこで「普通交付金総額算定し」という条文を削りまして、「普通交付税を交付する」ということにかえたのであります。第七号は、用語の整理でありまして、読みかえだけでございます。  第三条は運営の基本に関しまする条文でございますが、第一項、第二項は、地方交付税総額は、当然に所得税法人税及び酒税一定割合の額としてきまつて参りますので、国がどのように予算を組むかという予算組み方あるいは国が予算の成立後におきまして、数値増加云々というようなことはまつたく意義を失つて参りますので、一項、二項を削除したのであります。従いまして旧第三条第三項が第一項になつて参ります。この旧第三条第三項の初めの改正は、「国の予算に計上された交付金総額」というのは、当然に第六条の規定によりまして、自動的に算定された地方交付税総額になるわけでありまして、またその末尾の「衡平にその超過額を補てんすることができるように配分しなければならない。」というのは、地方財政平衡交付金の場合におきましては、その基本財政需要額財政収入額との差額そのもの地方財政平衡交付金の額になるわけであります。地方交付税の場合におきましては、究極におきましてはその超過額を補填することを目標といたしておりますので、都市によりましてはその差額よりもオーバーする場合もありますし、また都市によりましては少い場合もあるわけであります。それで「その超過額を補てんすることを目途として交付しなければならない。」というふうに、長期的に財源を保障するという感覚を出しておるのであります。第四項は字句の読みかえであります。  第四条も第五条もともに交付税を交付いたしますことによりまする字句整理であります。  第六条は交付税総額規定であります。「所得税法人税及び酒税収入額のそれぞれ百分の二十をもつて交付税とする。」所得税法人税及び酒税収入額のそれぞれ百分の二十であります。従いまして、本来徴収されましたもののそれぞれの百分の二十の額が交付税になるわけであります。しかしながら現実問題といたしましては、予算にはそのように組むわけには参らないので、第二項で予算組み方を書いておるわけであります。「毎年度分として交付すべき交付税総額は、当該年度における所得税法人税及び酒税収入見込額のそれぞれ百分の二十に相当する額の合算額」これが国の予算に上げられますと、所得税法人税及び酒税収入見込額の百分の二十の額でございますから、つまり収入見込額一定の額、それに「当該年度の前年度以前の年度における交付税で、まだ交付していない額を加算し、又は当該年度以前の年度において交付すべきであつた額をこえて交付した額を当該合算額から減額した額とする。」これは当初予算に一応組みました所得税法人税酒税の二〇%の額が組まれるわけでありますが、それが決算いたしますと、年度によりましてあるいは自然増収があつたり、あるいはその予算額税収入が至らなかつたというような場合があるわけでありますが、それが翌々年度において第一項の規定によりまして、当然にそのうちの二〇%の額というものは、地方税なのでありまして、地方団体財源なのでありますから、予算に組まなければならないことになるわけであります。その額のことを後段に書いておるわけであります。従いまして毎年度分として予算に計上すべき額というものは、その年度におきますところの見込税額と、それからその以前の年度におきまして実際に収入された額と予算額との差額の二〇%の額、これをかげんした額であるということが、ここにうたつてあるわけであります。  第六条の二は交付税種類でございます。交付税種類は、地方財政平衡交付金の場合と同じように、普通交付税特別交付税になるわけでありますが、普通交付税の額と特別交付税との額のきめ方は、交付税総額が初めからきまつて参るわけでありますので、地方財政平衡交付金の場合のように、普通交付税の額を基礎にいたしまして特別交付税の額を算出するわけには参らないのであります。そこで大体現行法平衡交付金普通交付金特別交付金との比率を参酌いたしまして、総額の百分の九十二に相当する額を普通交付税とし、総額の百分の八に相当する額を特別交付税にすることといたしたのであります。  第六条の三は、特別交付税の額の変更等であります、これは総額が自動的にきまつて参りますために、基準財政需要額基準財政収入額との差額につきまして普通交付税計算するわけでありますが、その場合にその差額合算額普通交付税総額とが合致しない場合ができて参ります。そこでその場合におきましては、もしその差額、つまり現行法では財源不足額という言葉を使つてございますが、財源不足額をオーバーして普通交付税総額がある場合におきましては、その越えた部分特別交付税の中に入れる。もし足らない場合におきましては、まず交付税全体の中で調節をする。その場合にまず特別交付税からその足らない部分を補う、但し特別交付税総額の百分の六を限度として、六になるまでの間は特別交付税を食つて行くということにいたしまして、できるだけ交付税の中におきましてその間の調節をして行くという建前にしておるわけであります。しかしながらこの財源不足額交付税総額つまり所得税法人税酒税一定割合の額とが非常に開いて参つた場合、この場合におきましては、やはり地方交付税総額の問題につきまして検討を加えなければならないわけでありまして、その場合におきましては、引続きその財源不足額総額、つまり第十条第二項の本文の規定によつて、各地方団体について算定した額の合算額、これと非常に異つて参りました場合においては、まず地方財政もしくは地方行政に対して制度改正等を考える。それからまたは所得税法人税及び酒税の二〇%という率につきまして検討を行う、このようにいたしまして地方団体が必要な事務を行うために最小限度必要とされる財源の補償を、なるべく地方団体自力でやるということをまず建前にいたしまして、地方財政自律性を強化するということをねらいとしたのであります。  第七条、第八条、第九条はともに地方財政平衡交付金地方交付税法変更いたしましたに伴いましての字句整理であります。  それから第十条は各地方団体に対して交付いたします普通交付税の額の算定でございますが、この算定方法としては現在の地方財政平衡交付金の中の普通平衡交付金算定方法を踏襲いたしておりますが、ただその基準財政需要額基準財政収入額との差額が、普通交付税総額に不足いたします場合に、百分の二の額を限度といたしまして、特別交付税の額を普通交付税にまわし、それでもなお足りないという場合におきましては、基準財政需要額に按分いたしまして調整をいたすことといたしたのであります。この調整方法現行法におきます地方財政平衡交付金の場合と同じであります。第三項、第四項、第五項ともに字句整理であります。第五項の場合は、これは普通交付金算定いたしました場合に、その普通交付金総額が各地方団体に対しまして交付すべき普通交付金総額との間の差額がありました場合、その誤差調整する規定でありますが、その場合に現行法におきましては余つた場合と不足するときとの調整規定を置いておりますが、地方交付税の場合には余つた場合は特別交付税に入れるという規定を前に置いてありますので、足らなかつた場合だけの調整方法をここに書いておるわけでございます。「不足額は、当該年度特別交付税総額の一部をもつて充てる」言いかえますならば、まず普通交付税総額所得税法人税酒税の百分の二十できまつて来るので、そのきまつて来た総額と、各地方団体につきまして基準財政需要額基準財政収入額との差額を集計いたしました額とが非常に違つて来る。その場合において不足する場合におきましては、まず特別交付税の一部をもつて充てる。つまり総額の百分の二を充てる。それでもなお不足いたします場合におきましては、調整率を乗じて調整する。そこで生じた誤差は、この十条の五項の規定によりまして、特別交付税の一部をもつて充てる。結局残りました百分の六の一部をもつて充てるということであります。いろいろ計算して参ります場合の一番最後の調整規定が、十条の第五項であります。  第十二条は測定単位範囲及び費用規定であります。経費種類につきましては、ことしの七月から新しく府県府県警察が設けられますのと、従いまして地方団体道府県経費種類の中に、新しく警察費という費目を設けまして、測定単位警察職員数といたしました。と申しますのは、警察職員数につきましては、新警察法案一定基準政令できめることになつておりますが、その政令できめましたところの定員を基礎にして計算いたしますのが、警察費基準財政需要額計算いたしますのに、最もよく経費の大小を現わすことになりますので、警察職員数測定単位にとつたのであります。  それから単位費用計算の中で変更いたしましたのは、別途お手元に、単位費用積算につきまして改訂要領をお配りしてございますが、主として給与改訂の平年度化に伴いますところの財政需要変更と、それから今回の予算国庫補助金等につきまして整理が行われましたのに伴いまして、特定財源等変更して参ります。それによります変更、それから物件費につきまして若干の手直しをいたしました。お手元にお配りいたしておりまする地方交付税関係参考資料という刷りものの八ページにその要領を掲げてございます。一つは、給与関係経費につきまして、べース・アツプの平年度化計算に入れたのであります。それから賃金等については、国に準じて統一単価表によつて計算いたしました。旅費につきましては、鉄道運賃改訂を織り込んでおります。それから普通庁費につきましては、国庫予算におきますところの地方ブロック官庁単価によるほか、建築単価自動車維持費等につきましては、いずれも国の予算単価基礎にしてきめたのであります。それから国庫補助負担金を伴う経費につきまして、それぞれ特定財源として控除すべき国庫補助負担金の率がかわつて参りますので、かわつた率につきまして計算をし直しております。言いかえますならば、補助金等整理に伴いまして、地方一般財源に振りかえられましたものを積算基礎に入れたのであります。廃止補助金につきましても同様であります。  それから十二条の第二項でございますが、測定単位数値算定基礎を明らかにいたしました。これは測定単位でそれぞれ警察職員数とか、人口とか、道路の面積といつたようなものをそれぞれ使つておりますが、それがどういうものかということの定義を明らかにしたのであります。従来大体総理府令できめておつたのでありますが、それを法文の上にこういうふうにあげまして、明確化したのであります。  第十三条は測定単位数値補正であります。補正方法につきまして、従来は細目まで法律では簡単な規定がありまして、それに基いて法律できめることになつておつたのでありますが、昭和二十八年までは総理府令できめてもいいということになつておつたのであります。今回は元の趣旨にもどりまして、法律規定し得る範囲だけ法律規定することにいたしました。  従いまして十三条の一項は、「法律で定める方法により、」というのを削除いたしまして、その方法を四項以下に書いたわけであります。  第二項は種別補正方法を明らかにしております。  それから古い第二項、新しい第三項の改正規定は、第一項、第二項の改正に伴う整理であります。  第四項から第五項、第六項、第七項、第八項、これが新しい規定であります。第四項は、測定単位補正係数算定方法について、基本原則を書いております。どういうもので測定単位補正して行くかということは、新しい三項、現行法の二項にあげておるわけでありまして、四つの補正事由があるわけでありますが、その補正事由のそれぞれのきめ方を四項以下に書いておるわけであります。この第四項以下において書いておりますのは、大体現行法に基きまして、現在総理府令できめております方法をここにあげておりますが、ただ第四項の但書で「前項第一号から第四号までの補正の二以上をあわせて行う場合においては、二以上の事由を通じて一の率を定め、又は各事由ごと算定した率を連乗して得た率によるものとする、」これは最も顕著な例は、密度補正段階補正をあわせ行いました場合に適用することを予想しておるのでございますが、密度が非常に低いところで、段階補正がきき過ぎて、密度補正が十分に働かない場合があります。つまり密度補正で上げて、段階補正係数が落ち過ぎるというような場合がありまして、不必要に基準財政需要を越す場合があるのであります。そういう場合におきましては、密度補正に応じまして、段階補正率をきめて行くのが適当ではないか。そこで同じような事由は、密度段階の場合に限らず、いわゆる三号の態容補正段階補正というような場合にも起り得ると予想されるのでありますが、そういつた場合を予想して、二以上の事由を通じて一つの率をきめる、両方の係数をかみ合せて一つ補正係数をきめて行くという方法とつておるのであります。かような方法でそういうようなことができる。またその事由ごと算定した率を連乗して、出た率を乗じて補正をして行くということにしたのであります。四項の第一号が段階補正のきめ方でありまして、段階補正算定はその「行政に要する経費の額が測定単位数値の増減に応じて逓減又は逓増するものについて行うものとし、当該補正に係る係数は、超過累退又は超過累進方法によつて総理府令で定める率を用いて算定した数値当該率を用いないで算定した数値で除して算定する。」二号は密度補正算定方法を書いております。三号は態容補正であります。四号は寒冷補正であります。この算定方法あとで具体的に例をあげまして御説明申し上げたいと思います。  それから第十四条は基準財政収入額算定方法でございます。これも現行法規定を大体踏襲いたしておりますが、入場譲与税法制定に伴いまして、入場譲与税の持つております性格交付税と本質上同じでありますので、基準財政収入額算定いたします場合に、基準財政収入といたしましては当該地方団体普通交付税総額と、その団体入場譲与税収入見込額合算額基準財政収入額とする。言いかえますならば府県につきましては入場譲与税というものはまるまる百パーセント控除する。基準財政需要額基準財政収入額との差額、つまり交付基準額を定めます場合には全部が収入とみなす。言いかえますならば、入場譲与税地方交付税の一部と考えておるわけであります。十四条第二項は地方税法改正道府県民税を創設いたしますのに伴いまして、その所得割基準財政収入額算定方法を書いております。その二項のまん中どころに「個人に対する道府県民税所得割については、所得割課税総額算定に用いる標準率」百分の五であります。「標準率とし、個人に対する市町村民税所得割については、所得税額を課税標準として算定するものとし、その税率は、百分の十三とする。」これは道府県民税制定に伴いましま市町村民税の標準税率が落ちて来るわけでありますので、落ちて来た標準税率百分の十三を使うことにいたしております。税法改正に伴いまする訂正であります。第三項は基準財政収入額算定方法基礎を明らかにいたしております。これも新しい規定でありますが、道府県民税につきましては均等割につきましては個人分は人口、法人及び法人でない財団等は納税義務者数、これを基礎にして算定をする。所得割は前年度分所得税額を使う。法人税割は現在の法人事業税と同じように最近のいわゆる分割法人につきましては「最近の事業年度に係る法人税割の課税標準」額を使い、その他の法人につきましてはその区域内におきまする前年度分法人税額から分割法人にかかる法人税額を引いたものを使う。事業税につきましては個人の行います事業に対する事業税は、事業所統計を使いまして、それぞれ個人業主の数と、それから個人業主の所得額を使いまして算定いたすことといたしております。これは大体現在やつております事業税算定方法と同じであります。法人の事業税につきましても大体現在と同じでありまして、分割法人につきましては最近の事業税の課税標準をとる、言いかえますならば実績をとつておるわけであります。その他の法人分につきましてはその区域の法人税の課税の基礎なつ所得額をとりまして、それから分割法人の分を引くということにいたしております。不動産取得税は前年度中におきまする登録税額並びに前年中の家屋の建築坪数を基礎にいたしまして算定をいたすことにいたしております。道府県タバコ消費税は前年度中のタバコ小売売上額を基礎とすることにいたしております。遊興飲食税につきましては個人と法人にわかちまして、個人は飲食店、旅館、貸席の別にそれぞれ前年度分所得税の課税の基礎なつ所得額を使い、法人につきましても同じように法人税の課税の基礎なつ所得額を使うことといたしております。自動車税は自動車の種類別の台数を使います。鉱区税は鉱業法によりまして登録された鉱区の面積を使う。狩猟税は狩猟者法の規定によりまして知事が狩猟免許状を下付いたしました者の数を使うことにいたしております。固定資産税は大規模償却資産で府県分の固定資産税は昭和三十年から働くことに地方税法改正案ではなつておりますが、いわゆる大規模償却資産で一定のものにつきましては道府県に課税権を持たすという規定によりまして、道府県に固定資産税が徴求されることがあるわけでありますが、その場合の固定資産税の算定方法を書いておるわけであります。そこでそれは大規模償却資産につきまして道府県が固定資産税を課することができるとされる当該年度分の価額の合計額から市町村が課することができる固定資産税の課税標準額を——別途市町村の固定資産税の算定で課税標準額の総額は出て参るわけでありますから、それから市町村分を引けばいいわけであります。入場譲与税道府県の人口を使うことといたしております。市町村民税基準財政収入額算定方法も、おおむね道府県と同じように現行の算定方法基礎にいたしまして規定いたしております。市町村民税の均等割、所得割法人税割は府県民税と同様であります。固定資産税の土地は平均価格を使うことにいたしております。但し宅地、田、畑、山林、原野及び塩田以外のものにつきましては、種類別の賃貸価格を使うことにいたしております。家屋は一坪当りの平均価格及び床面積を使います。償却資産につきましては自治庁長官または都道府県知事が配分いたしますものにつきましては配分価格、船舶につきましては市町村の区域内に定繋港を有する船舶のトン数を使う。その他の償却資産につきましては最近の事業所統計調査の結果による従業者数を使うことといたしております。これも大体今までやつて参りましたのを基礎にいたしまして、その方法規定することにいたしておるのであります。自転車荷車税は種類別の台数、タバコ消費税は道府県タバコ消費税と同じように前年度中のタバコ小売売上額、電気ガス税は前年度中に納入され、または納付された電気ガス税、鉱産税は生産量及び山元価格をとる。木材引取税は木材の生産石数及び価格、入湯税は旅館業法によりますホテル及び旅館で、鉱泉浴場を持つもの、またはその客室の畳数によることといたしております。  十五条は特別交付税の額の算定規定でありますが、実体は地方財政平衡交付金の場合の特別交付金と同じように、基準財政需要額算定方法によつて捕捉されなかつた特別の財政需要があること、また基準財政収入額のうちで著しく過大に算定されて財政収入があること、あるいは交付税算定期日後に生じた災害等のために特別の財政需要があり、あるいは財政収入の減少があつたというような特別な事情によつて配ることといたしております。従いまして条文といたしましては、字句整理をいたしております。  十六条は交付時期であります。これも基本的な考え方は現行法と同じでありまして、字句整理であります。  以下十七条から二十条の三まで、ずつと交付税交付金字句整理をいたしております。  それから附則でありますが、附則の第一項は交付税の施行並びに適用時期であります。  二項は固定資産税にかかる個々の財政収入額算定基礎に関します条文でありますが、この条文のうちで固定資産税にかかります部分は、地方税法改正法でも、昭和三十年度からということになつておりますから、交付税法におきましても、三十年度から適用することにいたしております。  第三項は、昭和二十九年度におきますところの所得税法人税酒税の率の読みかえであります。昭和二十九年度におきましては、所得税及び法人税並びに酒税の百分の二十というのが、所得税及び法人税収入額のそれぞれ百分の一九・六六、酒税の百分の二十というように使いわけております。酒税の百分の二十というのは、所得税法人税酒税とは税の性格が違いまして、片方は直税でありますが、片方は間税であります。また地方団体側からも、酒消費税をつくれといつたような要望等もありますので、酒税につきましては、酒税に対しまする交付税の割合といたしましては百分の二十を原則といたしまして、片方の所得税法人税の率をば本年度地方財政計画を基礎にいたしまして、地方交付税額の総額を出しましたこれとの比率を求めた結果、一九・六六となつたのであります。  それから第四項は、単位費用測定単位数値並びに単位費用のところで、昭和二十九年度におきましては警察費につきましては、道府県警察費は七月以降九箇月分でありますので、九箇月分の額をここに掲げてあります。また市町村分につきましては、二十九年度の七月までは警察費があるわけでありますので、本法では警察消防費の警察費を全部削除いたしておりますが、昭和二十九年度におきましては、警察費を存置することにいたしております。  それから第五項でありますが、第五項は基準財政収入算定方法であります。法人税割の算定方法につきましては、当該法人にかかる最近の事業年度にかかる法人税割の課税標準、つまり道府県民税のうち法人税割につきましては最近の法人税割の額、つまり市町村民税法人税割の額でありますが、この法人税割と書きました場合には最近の法人税割の額をとるのでありますが、最初の初年度におきましては道府県民税等におきまして法人税割の額がないわけであります。そこで便宜最初の年度におきましては、市町村民税のうちの法人税割の課税標準額をとるということに読みかえておく必要があるのであります。また償却資産につきましても、同じように三百八十九条の規定により自治庁長官または都道府県知事が価格を決定し、決定した価格を配分するものだということを規定いたしております。その場合に、昭和二十九年度におきましては三百九十一条の規定が残るわけでありますが、三百九十一条の規定によつて自治庁長官または都道府県知事が価格を決定し、決定した価格を配分するものというふうに読みかえておく必要があるのであります。     〔委員長退席、加藤(精)委員長代理着席〕  それから第六項は普通交付税の交付の算定方法に関する規定でありますが、この場合に前年度における当該地方団体に対する普通交付税の額ということに本法はなつておりますが、昭和二十九年度におきましては、前年度におきましては平衡交付金だけがありまして交付税がないわけでありますので、普通交付金の額というふうに読みかえておくのであります。  この次の七項、十九条の規定に関します経過措置は、地方財政平衡交付金法規定によりまして算定された普通交付金の額の算定について錯誤がありました場合においては、二十八年度以前の地方財政平衡交付金における錯誤は、昭和二十九年度以降において普通交付税において措置することができるという、錯誤是正に関しまする規定のつなぎの規定であります。これを置いておきませんと、錯誤の訂正ができなくなりますので、経過的に読みかえ規定を設けておく必要があるのであります。  それから第八項は奄美群島に関します地方交付税法の特例であります。これは地方交付税は別途地方交付税及び地方譲与税の特別会計法によつて経理されるわけでありますが、奄美群島に関します地方交付税に関しましては、奄美群島善後処理費といたしまして一般会計に一括して計上されておりますので、放置しておきますと、これが交付税として適用がなくなるのであります。そこで奄美群島にかかります地方交付税につきましては、政令で特例を設けまして、一般会計から直接算定いたしまして奄美群島にかかる市町村に交付ができるようにいたす必要があるわけであります。つまり言いかえますならば、このまま置いておきますと、奄美群島にかかりまする善後処理費から地方交付税にかかりまする特別会計に移すわけでありますが、その移しかえができなくなるのであります。そこで特例を設けまして、移しかえずに一般会計からすぐ出せるようにするために、特例を設けたのであります。  九項は、自治庁設置法の規定整理であります。地方財政平衡交付金地方交付税にかわりますことに伴いまして、字句整理をいたしております。  十項、十一項、十二項、十三項は、地方税法、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法、町村合併促進法、災害救助法、いずれも地方財政平衡交付金地方交付税にかわることによる字句の修正であります。  以上が地方財政平衡交付金法の一部改正の逐条の御説明であります。
  5. 加藤精三

    加藤(精)委員長代理 引続き地方財政法の一部を改正する法律案の逐条説明を願います。
  6. 柴田護

    柴田説明員 引続きまして、地方財政法の一部を改正する法律案につきまして、条文について御説明申し上げます。  これも便宜お手元にお配りいたしてあります新旧対照表をごらん願いたいと思います。  第四条の二は、地方公共団体におきます財政運営の基本原則として、年度間の財源調整規定を設けることといたしたのであります。「地方公共団体は、当該年度において地方交付税法の定めるところにより交付を受けた交付税の額とその算定に用いられた基準財政収入額との合算額が、当該交付税の額の算定に用いられた基準財政需要額を著しくこえる場合においては、災害その他やむを得ない事由がある場合を除き、当該超過額に相当する額の一部を積み立て、又は地方債の償還財源に充てる等翌年度以降における財政の健全な運営に資するための措置を講ずるようにしなければならない。」これは地方交付税制度が設けられますに伴いまして、地方団体側から見ますならば、年度間におきましては非常に必要額をオーバーいたしまして、一時に普通交付税が交付される場合、あるいは特別交付税を含めて交付税が多く交付される場合もあります。また交付税が必要額を満たさない場合も起るわけであります。そこでこの間の調節を国の側でやるか、地方の側でやるかという問題があるわけでありますが、地方財政の自主性という見地から、地方団体自体においてその間の調節をとるのが望ましいのであります。そこで今回の地方交付税にかわります法律規定におきましても、そういう場合には地方団体が自分で自己の財源調節をやるのだという建前で、制度改正を考えておるのであります。それに伴いまして地方財政法の一部を改正いたしまして、地方団体は、非常に多く地方交付税が参りました場合においては、不足する場合のことを考えに入れて財政運営をやらなければならぬという、財政運営の原則を規定することといたしたのであります。ここで「交付を受けた交付税の額とその算定に用いられた基準財政収入額との合算額」と書いてありますのは、いわゆる一般財源と称されるものでありまして、「当該交付税の額の算定に用いられた基準財政需要額」というのは、一般財源によつてまかなうべきところの必要最小限度の額を算定いたしているわけであります。従いまして、一般財源の額が基準財政需要額を著しく越える場合というのは、財源が非常によけい来たという場合であります。この場合におきましては、災害の場合は別でありますが、一般的にその一部を積み立て、あるいは地方債の償還財源に充てまして、間接的に将来の財政負担を軽減するという措置をとることにいたしまして、将来の財政運営の健全性を確保するという措置をとるようにというのが、第四条の二の趣旨であります。  第五条は、地方債の制限に関する規定でありますが、これは地方税法改正に伴いまして所要の規定の整備をはかつたのでありまして、第五号の「普通税の税率がいずれも標準税率以上である地方公共団体において」云々という条文は、いわゆる公共施設並びに公用施設につきましては、標準税率以上をとつておる場合でなければ、地方債を起すことができないというような規定でありますが、この場合に従来入場税、鉱区税等いわゆる一定税率のものにつきましては除外例を置いておつたのであります。つまり標準税率がないわけでありますので、そのものにつきましてはいずれも税率そのものという規定を置いておつたのでありますが、入場税が入場譲与税にかわりましたので、これがなくなる、そのかわりに新たにタバコ消費税が加わりますので、タバコ消費税を加えて、字句整理をはかつたのであります。また個人に対する道府県民税所得割につきましては、標準率を使うというように字句整理をいたしております。  第三項の場合は、道府県民税制定に伴いまして市町村民税のいわゆる第二方式をとりました場合の読みかえ規定でありますが、この場合に道府県民税ができますので、百分の十八を百分の十三、百分の十を百分の七・五というように変更いたしております。これも地方税法改正に伴います字句整理であります。  第五条の四は、地方債に関します商法の準用規定であります。これはいわゆる公募債が最近地方債の場合に多くなつて参つておりますが、この地方債の消化を完全にし、また信用を高めますために、ある程度商法の規定を準用しておりますが、社債の規定と債券の規定を新たに準用いたしまして、三百七条と申しますのは記名社債の移転の規定であり、三百十六条というのは社債元利金請求権の時効の規定であります。  第十条の規定は、負担区分に関する規定でありますが、第十条の二十二号の未引揚邦人の調査に要する経費は、地方団体が負担する義務を負わない経費の方に移しました。それから漁業関係の調整に要する経費、これは従来地方団体が負担する義務を負わない経費とされておりましたが、これは現在国が全部負担する関係の仕事がほとんどなくなりましたので、国がその一部を負担する経費といたしました。そういうことで未引揚邦人の調査に要する経費の方は、国の負担する経費に持つて行つたわけであります。  十条の三は、条文整理であります。  十条の四は、あへんの取締に要する経費で、これは従来なかつたのでありますが、あへんに関します法律制定に伴いまして、この経費を十条の四に、地方公共団体が負担する義務を負わない経費といたしまして加えることにいたしたのであります。  十一条の二は、字句整理であります。  十二条は、警察制度改正に伴いまして、地方公共団体が処理する権限を有しない事務を行うために要する経費のうち、国家地方警察に要する経費を警察庁に要する経費と振りかえたのであります。  二十六条は、地方財政平衡交付金の減額に関します規定でありまするが、これも地方交付税制定に伴いまして地方交付税に改めまして、字句整理をいたしております。  それから三十六条でございますが、国がその全部又は一部を負担する法令に基いて実施しなければならない事務に要する経費に関する特例第十条第七号の二の規定、及び同条第八号の規定中、母子手帳に関しまする規定は、今回の補助金整理に関しまする特例法によりまして、当分の間国が負担せずに、全部地方財源に振りかえるという建前なつております。それでそれに歩調を合せまして、第三十六条におきまして、これらの規定につきましては、当分の間、適用しないという特例を置きまして整備をはかつているのであります。  以上が地方財政法の一部を改正する法律案につきましての逐条の御説明でございます。
  7. 加藤精三

    加藤(精)委員長代理 これより以上二つの法案に対しまする質疑を行います。質疑の通告がありますので、順次これを許します。門司亮君。
  8. 門司亮

    ○門司委員 私は、きようは内容にはほとんど触れませんで、概括的のことについてだけ質問をしておきたいと考えております。  第一番に大臣にお聞きしておきたいと思いますことは、地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案ということになつております。そうして案の内容を見てみますると、「地方財政平衡交付金法昭和二十五年法律第二百十一号)の一部を次のように改正する。題名を次のように改める。」として、「地方交付税法」と、こう書いてあります。これは一体地方財政平衡交付金法と解釈していいのか、あるいは地方交付税法と解釈していいのかわれわれは迷うのであります。この点について、大臣は一体どつちがほんとうだとお考えになつておるか、その点をひとつはつきり教えていただきたいと思います。
  9. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 まことにどうも適切なお尋ねで、私もどうお答えしていいかよく考え方がまとまらぬのでありますが、もちろん今度地方交付税法になりますから、これは地方交付税法、とこういうように御理解願わなければならない性質のものであります。
  10. 門司亮

    ○門司委員 大臣も考え方のまとまらぬと言われるような不見識なものをどうして出されるのです。少くとも国会で審議しようといたしますものであります以上は、やはり法律の定義だけははつきりさしておきたい。従つてもしこの内容が異なつて参ります場合には、当然題名をかえなければならぬ。題名をかえる場合には、一部改正というようなあいまいな文字を使わないで、やはり地方交付税法というようにかえてもらいたい。私はその精神にのつとつて審議がしたいのであります。そういたしませんと、これは一体どつちにどうなつているのか見当がつかない。地方財政平衡交付金趣旨はシヤウプ勧告から来ておるもので、今日の地方財源のアンバランスをこれによつて調整して行こうというところにその基準が置かれていたことは間違いがない。ところがこの地方交付税法という法に直さなければならなかつた理由はこれと非常に大きな開きがあつたので、地方制度調査会におきましても財政部会等でしばしば議論が行われた点でありまして、今日の地方財政というものは非常にきゆうくつになつておる。今の地方財政平衡交付金というものは、単に基準財政需要額とさらに収入額とのアンバランスを埋めるというだけであつて、しかもそれは国の予算の都合でいつでも伸縮自在になつている。これでは法律自体は下からの積み上げ方式で自主性を持たせているが、実質的には自主性を持つておらない。そこで何とか地方財政に自主性を持たせることにするには、昭和二十四年まであつた配付税的な性格を持たすことがよいであろう、そうして地方財政の根幹をはつきりさせようというのが、大体この地方交付税法の生れて来たゆえんだと私は考えている。そういたしますと、配分の方法等についてはやや似たようなことが言えるかと思うのでありますが、しかし実質的にはこれは非常に異なつ法律であります。全然別な法律の考え方から出ているにもかかわらず、地方財政平衡交付金法の一部改正であるというようなあいまいな言葉を使われて、しかも今の大臣の御答弁のように、そう書いてあるからそういうように解釈してもらいたいということでは、われわれこれ審議するわけに参りません。法制局にお聞きしておきますが、一体こういう法律の取扱いは妥当であるかどうか。
  11. 林修三

    ○林政府委員 まことに適切な御質問だと思うのであります。私どもといたしまして、今までありました制度をかえて新しいものをつくる場合、立法技術をどういう形式でやるかということにつきましては、大体二つの方式があると考えております。一つはその法律を廃止、制定いたしますことと、一つ改正の形でやることであります。その事柄が本質的に、根本的に違う場合には大体廃止、制定という形をとられるのが通例である。しかしながら、事柄の相当部分その内容が違つてつても、根本的な変革でないような場合には、大体の議論として改正という形がとられてもよいものであろう、かように考えておるわけでございます。そこで従来の地方財政平衡交付金法を今度新しい地方交付税法にすることがはたして根本的な変革かどうかということにつきましては、これは実は自治庁の方からお答えすべきことかと思うのでありますが、私どもは、やはり制度としては地方財政調整という制度であると理解しておるわけでございます。どちらも地方財政調整するための一つ制度で、ただその財源保障の点におきまして、今までの平衡交付金法は、形式的には非常に整つた形であるけれども、財源保障が足りない。そういう意味で、その財源保障を一つの税にリンクして調整しよう、こういう御趣旨であろうと思うのでありまして、貧弱な地方公共団体の財政を調整するという立場においては本質的にかわつておらない、こういうようなものではなかろうかと、実は自治庁の御説明を伺つて考えたのであります。そういう意味におきまして、改正という方式もとり得るではなかろうかと考えているわけであります。従来改正という形をとります場合、全文改正という形と一部改正という形がございます。私ども今までこれはまつたく便宜的に考えておつたのでありますが、従来の法律の内容を大部分形式的にもかえなくてはならない、こういう場合には、大体全文改正という形をとつております。しかし、かりに題名がかわりましても、その法律を形式的に一部いじれば済むような場合には、一部改正という形式をとつていることがしばしばございます。こういう形は、政府から御提案申し上げました法律案にも、あるいは議員の方からお出しになりました法律案にもあるのでありまして、昨年の十六国会に、これは議員提案で出ておりますが、特定中小企業の安定に関する臨時措置法の一部を改正する法律案というのが出たわけでございますが、これは、中小企業の中の特定のものについてある程度カルテルの結成を認めるという臨時措置法であつた。これが改正になりまして、題名が中小企業安定法という、まつたくの恒久法にかわりました。また範囲も相当広がつたわけであります。こういうような形で題名の変更を加えまして御提案になつて成立しております。また政府から出しました法案といたしましても、例を申し上げますと、これは一昨年でございますが公共企業体労働関係調整法という法律があつたわけでございます。これは御承知のように、いわゆる三公社と申しますが、国鉄、専売公社あるいは電電公社の労働関係を調整するための法律であつたと思いますが、これにいわゆる政府の五現業という特別会計の五つをこの対象に加える。これは内容から申すと相当本質的な改正であつたと思うのでありますが、これを加えます際にもやはり一部改正の形で実はやつておるわけであります。題名に等という字も加えまして、新しく公共企業体等労働関係調整法という題名にいたしました。内容から申しますと、従来の三公社のほかに五現業を加えるという形の改正をいたしたわけであります。これは御承知のように、実は適用する法律規定ははとんど同じで、ただ適用範囲が加わつたという形の点をとらえて、そういう一部改正の形で御審議を願つたものであろうと思う。大体そういう考えでございまして、本質的、根本的に制度がかわつてしまうという場合は別といたしまして、ある程度従来の制度が維持されておるという場合には、必ずしも廃止制定にならず、改正という形も本質から考えていいのではないか。またその改正の措置をとる場合には、その規定のかわり方の多い少いによりまして、これは全部改正で行くか、あるいは一部改正で行くかというようなことは、実は立法技術の問題であろう、大体においてかように考えておる次第であります。
  12. 門司亮

    ○門司委員 今法制局からの御管弁でございますが、先ほど事例に引かれました二法案は、本百質的には、実際の問題としては、そうかわつていないと私は考えております。この場合に、本質的にもう一つ大きくかわつておると思いますことは、表題が現在ありますものは地方財政平衡交付金法と書いてあります。従つてこれは地方の自治体が——法律の内容的には積上げ方式になつておりまするが、必ずしも地方の自治体の力というものがここに加わつておらない。そこに現在の国家財政の都合によつて伸びも縮みもするというような危険性があるのでありまして、これは一つ交付金制度なつておる。ところが今度の場合は地方交付税法——税という文字を使つております。税という文字を使つております以上は、地方の公共団体がある程度の課税権があるということが考えられなければならない。いわゆる国に対して当然それだけ地方に譲与すべきものであるという、地方団体の強力な一つ基礎がここに生れておると考える。またこれがこの法律制定した一つの大きな原因であつたと考える。従つて本質的には地方の自治体に対しましては私は非常に大きな相違があると思う。今までのは交付金であつたから、法律の内容はアンバランスを埋めるということではあつたが、しかし国の財政の都合によつては、その交付金が多くなることもあり、あるいは少くなることもやむを得ぬではないかという解釈が一部に行われたことは事実であつたと思う。ところが今度の場合は、税と書いております以上は、地方の公共団体は明らかにこの税に対して、それだけのものはせひこちらによこさなければならないという権限が与えられておる。従つて案の内容の中には、所得税、あるいは酒の消費税であるとか、法人税一定割合地方に配付するということが明確に書かれておる。このこと自体は、全文改正どころでなくて、ほとんど本質的に趣を異にしていると思う。これは地方公共団体とつて非常に重大な問題だと考えておる。こういう重要な内容を持つておりまする配分の方法であるとか、あるいは算定基礎であるとかいうようなものについては、従来の平衡交付金とそうかわりのないような内容は持つておりましても、法律自体の性格というものは、地方の公共団体から見て参りますると、これは非常に心強い一つの大きな力を政府に対して持つておることであつて、これだけきめられたものは必ず地方に出さなければならないということになつておる。そういうことから考えて参りますと、これは明らかに全然別個な法律であると解釈することが私は正しいと思う。またそうでなければならぬと思う。これについて今の法制局の答弁は二つの例を引かれておりますが、その例は全然違うと思う。そこで聞いておきたいと思いますことは、交付金でありまする場合の性格と、ここに税法として現われて参りましたときの性格の相違でございますが、これについて法制局ではどういうふうに御解釈されているのか、その点を承つておきたいと思います。
  13. 林修三

    ○林政府委員 その点は私あるいは自治庁からお答えすべきが筋かと存ずるわけでありますが、昭和十五年の改正のときにも実は配付税という制度がございまして、地方財源一つ調整のために税という名前の措置がとられたわけでありますが、この税という名前をおとりになつたのは、やはりこれは国税の一定のものにリンクして、当然それだけのものを地方に配付するという、たとえば国税としてとる税金の一部が地方財源になる、こういうところに主として御着目になつたものではなかろうかと思うのであります。実質的に申せばやはり一つの財政調整の措置でございます。地方対国の関係で申せば、国でとつた税金を一定基準によつて配分するという点においては、今までの交付金制度とやはり本質的な差はないのではなかろうか。財源の保障の措置が違うことはおつしやる通りでございますが、配付する、あるいは交付するという点においては、本質的な差がないのじやなかろうか、さように考えておるわけであります。
  14. 門司亮

    ○門司委員 私は今の答弁はちよつと承服しかねるのであります。なるほど配分の方式が違うだけだということならそれだけで済みますが、しかしさつきから私が申し上げておりますように、地方の自治体の側から考えて参りますと、一つの課税権とまでは行かなくとも、明らかに課税権にひとしいものがやはり生れて来ていると思う。さつきお話のように、徴収は国税としてするが、しかしその中の一定割合というものは地方にこれを還元しなければならないということになつて参りますると、ここに明らかに、課税権は持つておらないが、しかし課税権にひとしい考え方が地方に生れて来る。同時に、取上げられた国の収入というものが地方に義務づけられて、それだけのものがやはり配付されなければならなくなる。従来の平衡交付金性格上違いますることは——同じようだとおつしやつておりますが、私から考えて参りますと、これの違いということはどこに出て来ているかと言えば、従来の地方財政平衡交付金でありますならば、当初予算において大体交付さるべき額がきまつておる。足らなければ補正予算ではつきり額だけはきめておる。ところが三つの税の一定割合ということになつて参りますると、これは額がはつきりしていないのであります。事実上徴税してみなければわからぬのであります。額自体ははつきりしておらない。去年は一千二百五十億くらいのものでありましたが、今年もこれを当初予算において計算して参りまするならば、あるいはそれと同じような数字が出て来るかもしれない。しかし税の徴収をしてみなければ一定割合の数字というものがはつきり出て来ない。ここに同じような形は示しておりましても、実際の取扱いの上には相違が出て来ると私は思う。従つてそれらの問題が条文の中にいろいろ書かれておりますが、地方財政法の中にも余裕財源その他等については地方の自治体が積み立てることができるといようなことになつておると思うが、これは明らかに従来の交付金性格が画然と異なつておるから、これでは財政法も修正しなければいけないような形になつて生れて来ていると思う。そうすると今の御答弁で、同じようなものであるから、税と書こうと交付金と書こうと同じようなことだということになると、これは少し考え方が違いはせぬか。もしそういうお考え方ならば、これははつきり交付金にしておいた方がまだいい。地方においてはどれくらい来るかわからぬ一定の割合というよりも、むしろはつきりした数字で出した方がいいかもしれない。同じ義務づけるなら、はつきりした総額政府に義務づけるか、あるいは税の徴収額で義務づけるかということの二つのうちのどつちをとるかということになると、今の法制局のような御答弁なら、私はむしろ総額政府に義務づけておいた方があるいは安心かもしれないと思う。従つてどうも今の御答弁だけでは私ども納得がしがたいのであります。さらに聞いておきたいと思いますることは、ここできめられた一定割合というものは国が必ず地方に配付しなければならない義務があると私は考えます。また地方団体はこれを要求することができると考えるのだが、そういう解釈で間違いないかどうか。
  15. 林修三

    ○林政府委員 この改正案の内容を拝見いたしますと、交付税総額所得税法人税酒税の百分の二十ということが一応はつきりきまつております。従いまして国としてはそういうものを交付税財源として計上し配付すべき建前にたつておると思います。ただこの六条の第二項で見ますと、やはりこれを一応の見込みで交付税というものが予算に計上されて、その額が出て行くということに実際は相なると思います。それで過不足があれば翌年度以降で調整するという建前なつております。また六条の三の二項を見ますと、その年によつて地方財源とか国の財政、ことに地方財政の点において制度改正とかいろいろの関係があれば、その率をかえるということも書いてございます。それ以外はこの率がかわらないという意味においては、もちろんその年度においてこれら三つの税でとりましたものは、一応地方に配付する建前でありましようが、その配付します年度予算できまつておるのであります。その年度が次の年度になるかあるいは翌々年度になるかは別といたしまして、こういうことに相なる建前なつておると考えるわけでございます。
  16. 門司亮

    ○門司委員 私の聞いておりますのはそういうことではありません。税とはつきり書いておりますから、地方の公共団体はこの額を請求——と言うと、少し言葉が過ぎるかもしれませんが、要求して、地方に配付してもらうことができる。あるいは国はそれを必ずやらなければならない。これは決算額と予算額との間に、国の税金の開きが相当ありますので、従つて当初予算で見積つた額だけでは、必ずしも決算額と同じようなものは出て来ない。そこに当初予算との間の伸び縮みが多少出て来る。そこで当初予算にはある一定の数字が出ておりましても、決算額において必ずそれをオーバーすると私は思う。そのオーバーした分については、これは当然地方の公共団体に配付しなければならない。私は、税とここに書いた以上は当然そうならなければならないと思います。交付金の場合はそうでないかもしれない。必要なだけ配付すればいいのでありますから、それ以上のものは出す必要がないと思いますが、ここに税という字を書いて、地方にそれだけ安心感を与えるというか、権限を与える形になつております以上は、決算額か来たものが当然配付さるべきであると考えるが、自治庁は大蔵省に向つてそれを要求することができるかどうかということであります。
  17. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 御指摘の通りだと思います。また法律もそのようになつておると思いますが、ただ最初からの御疑問の点は、実は部内での審議の経過を申し上げますと、私も門司委員の考えと同じような考え方で、相当長い間事務当局との間で話合いをしたわけであります。しかし結局において私が、なるほどそういう考え方に立つならばやむを得ないかなという考え方で、まだ十分な了解点には行かなかつたのですが、一応この行き方で行こうということになつたのは、法制局側の意見もあつたのでありますが、実は私もこの地方財政平衡交付金法というものをじつと読んでみておりまして、そういう感じがして来たのですが、これは題名から見ると地方財政平衡交付金というものの法律のように書いてあるわけです。ところが第一条を見ておるとそうではなくて、この第一条をごらんいただくと、財源の均衡化をはかるということと財源を供与するということ、この二つを目的にして、その手段に財政平衡交付金という制度を用いるという行き方、これがこの法律建前なんであります。そうすると財政平衡交付金というものは、この法律の第一条が目的としておるものの手段として使われておるのであるからして、この平衡交付金交付税というものにかわつても、この法律自体の大きな筋にはかわりがない。ただその用いられる手段が平衡交付金であるか交付税であるかによつて、非常にかわつて来ることは御指摘の通りだと思います。私も実はこの題名をかえて何べんも読み直してみたのですが、題名をかえてもなるほどこの法律の表現の仕方から行くと、そう大して変なところがないなというところから、私も平衡交付税法でいいのじやないか、かたがた大部分がそのまま使うという形になつておるものでありますから、便利な点もあつて、全文改正というところへ行かぬでもよいかもしらぬという感じになつたのでありますが、御納得が行くかどうか。私がその考えでこういう判断に到達しました径路はかようなものであります。
  18. 門司亮

    ○門司委員 同僚の質問もありますので、これ以上質問いたしません。いずれ条文にわたつてはまたあとで質問いたしますが、もう一つ大臣に伺つてはつきりしておきたいと思いますことは、決算額から来るいわゆる一定割合というものについては、自治庁は大蔵省に対してそれだけを必ず地方に配付できるようにされるものだというふうに、先ほどの御答弁で承つたようでありますが、その通りであるかないかということを、重ねて聞いておきたいと思います。
  19. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 その通りであります。
  20. 加藤精三

    加藤(精)委員長代理 床次徳二君。
  21. 床次徳二

    ○床次委員 私はこの交付税法の趣旨に関連してお尋ねしたいと思います。今度提案せられました交付税法は、いわゆる所得税法人税あるいは酒税収入額の二割が交付税として交付せられるのでありますが、これは予算上にきめられました地方財政計画、あるいは地方税法、あるいは地方起債というようなものの総合されたものを前提として、提案されておるのではないかと思うのです。従つてもしもその前提であります地方税、あるいは起債等の処置について相当大きな方針の変化があれば、あるいはこの交付税法の内部において修正を加えなければならないものとも思うのでありますが、この点大臣の御意見を伺いたいと思います。
  22. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 大体の構想はその通りになつておると思います。そしてまたその結果が、今年の酒税交付税の率に現われておるわけであります。しかしそこのところを基準にしてスタートはいたしておりますが、一応こういうぐあいにきまつて参りました以上は、個々の部分は一応固定をいたして参るわけであります。もつとも非常にずれて参りますれば調整をしなければりませんので、他の部分調整できる範囲においては、調整して行くことになつておるのであります。ところで今年のこの決定の仕方によつて他の部分に非常に大きなずれが出て来るということになると、少くとも今年の単年度についてはどういうように考えるか。ただ今年の情勢の変化に応じて、すぐに交付税の率などをかえるということになると、今年の変化が今年だけの変化であるかどうかということによつて、影響するところが非常にかわつて参るものですから、今年想定しておる税法、起債の変化がそのままこの交付税法の基本部分にまで影響して来るかどうかは、変化をして来る部面によらなければわからない。こういう関係になつております。
  23. 床次徳二

    ○床次委員 大体御趣旨はわかりました。しからばお尋ねいたしたいと思いますが、今回の交付税法の附則におきましては、特例を設けておりまして、本年度におきましては大体百分の十九・六六、来年度からはこれが百分の二十というふうになつておりまして、わずかな数字ではありますが、明年度の変化に対応いたしまして数字をかえておるのであります。かようなこまかい修正と申しますか、訂正を各年度において一々やるようでは、ただいま御答弁の税率を固定しておくという御趣旨には反するのではないかと思うのでありますが、この点どういう御見解でありますか。
  24. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 今年のこの法律ができますれば、この二十という率というものは、こういうこまかい修正の段階においては、今後変更は全然あり得ないわけであります。今年だけは編成のいきさつから、こういうことになつております。
  25. 床次徳二

    ○床次委員 なおこの際参考として承つておきたいのでありますが、今日地方税法につきましてはそれそぞれ当委員会において審議中であります。場合によりましたならば、相当の異同も生じなければならないかとも思うのでありますが、その一例としても最も著しいものをとりあえず参考に申し上げてみますと、事業税におきまして、個人事業税算定の場合の基礎控除を増率したい、政府の案によりましても本年度並びに明年度との間におきましては、基礎控除の額に一万円差をつけておるのであります。この二万円ばかりの差が、やはりただいまお話になりました十九・六六の数字の一つ基礎でもあつただろうと思うのでありますが、当委員会の今日の空気におきましては、個人事業税基礎控除を明年度以後におきまして十万円に引上げようという、大ざつぱに申しましてこれでおよそ六十億くらいの財源がかわつて参りますが、これだけの財源の異同が予想せられる場合におきまして依然として百分の二十を明年度以降固執するということは、地方財政上非常に無理なことであろうと思う。むしろこの際百分の二十を修正いたしまして、もう少し適当な数字にしておく方が、今日の財政計画あるいは将来の交付税に対する方針といたしましては適当であろうと思うのでありますが、この点に関して大臣の御意見を伺いたい。
  26. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 国会側にいろいろ修正の御意見があるということを伺つて、当初考えました構想と大分いろいろな点でかわつて参りましたので、弱つておるのでありますが、ただ今お尋ねのような考え方からは、すぐに百分の二十という率をかえるというようには実は参らないと思うのでありまして、私どもとしましては、あの部分は一応あそこで固定しておきまして、むしろそういう御修正がありますならば、他の部分で彼此相殺して、大きな増減の生じないように操作をして行きたいという考え方を強く持つておるものであります。
  27. 床次徳二

    ○床次委員 明年度のことでありますので、これはなかなか困難ではありますが、もしも明年度から相当の財源が所要であるということが明らかになりますならば、本年度のうちにおきましてその対策を講じておくのが適当であろうと考えるのでありまして、大臣は、他の方にも適当なものがあるだろう、その方で調整することができるかもしれないというお話でありますが、一例を申し上げますと、タバコ消費税を増徴いたしまして財源を確保するという方法もあるのであります。その方法もよいと思うのでありますが、あるいはタバコ消費税の増率、あるいは平衡交付金の増率と申しますか、この率の修正、まあこのいずれかによるのが一番よいのじやないか。六十億ぐらいを節約でもつて補填することは、今の財政需要の状況から見ますと、困難ではないかというように予想されるのであります。この点、予想の話でありますが、どちらに持つて行く方が当局として事務的に都合がいいか、御意見が承れれば承りたい。
  28. 後藤博

    ○後藤政府委員 本年度の問題と来年度の問題と二つあると思います。本年度の場合に非常に大きな穴があきますと、やはり本年度の率の問題ということに相なると思います。来年度から平年度計算をいたします際には、現行税制を基礎にした場合の平年度計算でありまして、その場合には自然増収を考えておりません。従つて自然増収がどの程度あるかという問題もからんで参りますので、今ここでにわかにどういうようになるのかというふうにおつしやいましても、すぐには結論が出ないのじやないか、かように考えております。
  29. 床次徳二

    ○床次委員 ただいまの問題は、来年度の問題であり、将来の仮定の問題でありますから、この程度にしておきますが、この点はしかし当局もよくお考えおきをいただきたい。いずれもう少し具体的に承らなければならぬ場合もあり得るということを留保して先に進みたいと思います。  次の問題は補正係数の問題であります。当初平衡交付金制度が実施せられる場合、当委員会におきまして私は当局にお尋ねいたしたのでありますが、たとえば寒冷地の問題あるいは積雪度というものが補正係数の四号のうちに入つておるのでありますが、これと相並んで、災害、台風というようなものも考慮し得るのではないかということをお尋ねしたのであります。但しその当時災害、台風等に関しましては十分な資料がなかつたのでありましてこれは特別平衡交付金等において考慮すべきことであろうというところで、今日に至つておつたと思うのであります。しかしその後経済審議庁その他において調査を進めていただきますと、この災害、台風というものの頻度、被害等に関しましては、相当恒久的な係数が出ておる。私伺いましたところによりますと、やはりかなりの部分までこの係数を加味して考慮することが必要である。しかもそれが実際地方団体の財政に影響するところが、相当大きいということが明らかになつておりまして、しかも関係府県等を見て参りますと、これは一種の恒久的な段階がやはり見得ると思つておるのであります。自治庁当局も当然この調査というものを御存じになつておることと思うのでありますが、今回の改正の機会におきましては、このでき上りました調査は、完全ではないかもしれませんが、大体の係数が出ておるものにつきまして、これを取入れることについてどういうふうにお考えになつておるか、承りたい。
  30. 後藤博

    ○後藤政府委員 台風が常に来襲いたしまする地帯の行政経費が増高いたしますことはお話の通りであります。私どもといたしましても現在特別交付金で措置いたしておるのでありますが、しかしそれを恒久的な制度として補正係数に入れることは、研究はいたしておりますが、ただ問題は地域をどういうふうに決定いたしますか、それから割高となる経費をどういうふうに見るか、こういうところに問題がございまするので、現在のところは一応将来の研究問題として考えておりまして、今度の補正係数の中に入れておりません。十分に今後も研究いたしました上で、補正係数補正事由としてあげて行きたい、かように考えておる次第であります。
  31. 床次徳二

    ○床次委員 ただいま御答弁をいただきましたが、かりに台風度によるところの補正係数とでも申しますか、これを考慮すると考慮しないとでは実は相当の影響がある。特別交付金等において考慮いたしましても、なかなかこれは他の地方にも影響を与えることでありまして、むしろこの本則の中において考慮すべきものではないかと私どもは考えておるのでありまして、すでに経済審議庁において相当の時日を費しまして大体の結論が出ておりますので、こういう機会にこれをすみやかに採用せられてしかるべきものと私は思つておるのであります。この点に関しましては、適当な機会に、経済審議庁の係官から、その調査いたしました所見を委員会において明らかにしていただきたい。同時に、政府当局におきましても当然御承知のことだと思うのでありまして、これを御採用になることについて研究をしていただきたい。私の意見から申しますならば、寒冷積雪度等において係数が処理せられ、しかも同時に、この寒冷地あるいは特殊な地帯に対しましては、相当特別な予算が考慮せられておるのであります。そういうことと比較検討してみますと、かなり事実上において不公平ができておるのではないかということがかりに見られますので、せつかくの政府の調査でありますので、この政府調査をひとつ活用していただくことを、特にこの機会にお願いをしておく次第であります。  それから第三点としてお尋ねいたしたいのは、これは先ほど課長からも御説明がありましたが、附則におけるところの奄美大島の特例であります。この特例の取扱い方について、あるいは重複してお尋ねすることになるかもしれませんが、もう一回お聞きしたい。一応平衡交付金等の計算によりまして交付税を与えておる、しかもそれぞれ特例法によつて補助金その他を特別に増率する、かように解釈してよろしいのでありましようか。この取扱い特例は政令をもつて定めるというようになつておりますが、その取扱いをもう一回重ねて御説明をいただきたいと思います。
  32. 柴田護

    柴田説明員 先ほどの台風係数のことで、ちよつと補足でございますが御説明申し上げておきます。今回法案を制定いたしますときに、経審の方々とも実は相談したのでありますが、その際、実は私の方からも御依頼をしておきまして、経審で作業を進めてもらつてつたのであります。そうして、出て参りました資料を拝見いたしまして、お互いに意見を交換したのでありますが、結局のところ、台風の進路が実は最近非常に移動しております。そこで、台風の地域というものをどういうぐあいにとるかということにつきまして、台風係数ならば台風係数というものは理論的には成立ち得るのでありますが、現実の係数として見ました場合には、なお精査検討する必要がある。この際ずいぶん考えたのでありますが、やはり現在の段階では無理じやないか、なおもう少し精緻に研究する必要があるということで、割愛せざるを得なかつたというのが実情でございます。  それから奄美大島の問題でございますが、奄美大島につきましては、実は交付税算定いたしまする基礎になります係数がわからないのであります。道路の面積にいたしましても、河川の延長にいたしましても、何もわからない。現在調査の段階なつている。古い帳簿はございますけれども、それは何年間かの空白によつてわからなくなつている。そこで、この交付税法をまともに適用いたしました場合におきましては、奄美大島に関する部分につきましては、県分につきましても、また市町村分につきましても正確な計算が出て来ない。県分につきましては全然係数が現われて来ないことになります。それで国の予算におきましては奄美群島善後処理費といたしまして、一括して二十億きまつております。それから自治庁所管のものに移すわけでございますが、交付税は特別会計になつております。一般会計に含まれました善後処理費から直接、特別会計である交付税交付金の方へ移しかえ得ないのであります。そこで一般の交付金計算交付税法に従いまして計算いたしまして、特別会計から出す。奄美群島にかかります部分だけは、善後処理費から、一般会計の自治庁所管に移しかえた交付金の科目から別に算定して出す、つまり二十八年度特別交付税でやつておりましたのを、そのまま二十九年度も踏襲するということでございます。その方法といたしまして、交付税法をきめてしまいますと、その間の調節がとれなくなりますので特例を設けた、こういう考え方であります。
  33. 床次徳二

    ○床次委員 そうしますと、本年に関する限りは交付税の特別会計からは奄美大島には出さずに、特別費目の設定してありまする方面から出すということに了解していいわけですね。そうするとここに一つ十九億でありますが、特別振興費がありますが、その中に交付税に関する限りのものは、一応計算は見込んであるのだというふうに解釈していいかという点でありますが、ただこの点につきましてははたしてその程度の予算で、適当な振興計画が成り立つかどうかということについては相当な疑問があつたと思うのでございまして、事務当局におきましては、この点あるいは数字が少いという感じを持つておられたのではないかと思いますが、これが予算の査定を経ておるのであります。平衡交付金でありますと特別な査定を受けるということがなくて、一定額だけは保証せられるのでありますが、たまたま特別な経費で項目が別になつておつたばかりに特別な査定を受ける。平衡交付金以外のその他の振興費というものが相当はなはだしい影響を受けておるのではないかということも、地元では非常に心配しておるようでありまして、かかる特別なる予算の削減と申しますか、節約予算の影響を受けておるかおらぬかということについてお尋ねするわけであります。
  34. 柴田護

    柴田説明員 少し誤解がおありのようでありますが、奄美群島善後処理費としての二十億の中には、お尋ねの振興費関係のものも交付金計画に関するものもぶち込みになつております。それから振興費につきましては、おつしやるようなこまかい査定が行われておりますが、交付税関係につきましてはかような査定は行われておりません。現在のこの法律によります交付税算定方法に準ずる方法によつて算定方法をきめまして、それに従いまして算定するわけであります。
  35. 床次徳二

    ○床次委員 今の御説明によりますと、大体交付税額というものがきまつておれば、そういうことが一応言える。しかし交付税額が確定しておらないときは幾ら入つておるかということが、なかなか明瞭でないのじやないかと思うのでございますが、大体この点内訳として交付税額は予想しておられる、その予想された額が前提となつて、振興費というものが出ておるかという点を伺いたい。
  36. 柴田護

    柴田説明員 昭和二十八年度におきまして地方財政平衡交付金として、普通交付金系統のものと特別交付金系統のものと合せまして、確か四億ばかりだつたと思います。その中から特別交付金系統のものを除きまして、奄美群島の日本に復帰するために要しました特殊の財政需要、それを落しまして、普通特別交付金系統のものは、大体平年度化いたしますと、十億に満たない額じやないかと思うのでございます。その辺に復帰後第二年目に要します必要な特別財政需要額というものを計算いたしまして含んでおることになるわけであります。大体その額の細目につきましてはまだ大蔵当局と折衝中でありますが、二十億の奄美群島善後処理費でやつて行けるのじやないかと思います。
  37. 床次徳二

    ○床次委員 一応これで質疑を打切りますが、適当なときに経済審議庁の調査しました結果につきまして、政府から伺いたいと思います。このことを申し添えておきます。
  38. 加藤精三

    加藤(精)委員長代理 北山愛郎君。
  39. 北山愛郎

    ○北山委員 私は当面の問題についてお尋ねしたいと思うのですが、実は先週の金曜日でありましたが、当委員会地方税委員会におきまして政府の方から年度の当初における地方財政の運転資金がこの四月の初めに困る。そこで地方財政交付金法律の成立を待つてつては時間がおそくなるから、暫定的に臨時的な立法によつて地方交付税交付金の概算交付をするようにしたいと思うがというようなお話がありまして小委員会では皆さんが了承をされたわけであります。ところがその後そういうふうな立法は、技術的になかなかむずかしいというようなお話があつたわけでありますが、それがどういう点でむずかしいのであるか。何でも大蔵省の方で反対されたということでありますが、その間の経緯をこの際お話し願いたいのであります。
  40. 後藤博

    ○後藤政府委員 概算交付の法律の問題でありますが、御存じの通りまだ特別会計ができておりません。従つて概算交付をいたしますと、現在の予算科目では特別会計の繰入金になつておりますので、特別会計を新しくつくらなければなりません。新しい特別会計をつくつて、そこに一般会計から入れて交付する、こういうことになるのであります。これは交付金の時代でありますと、特別会計制度がなかつたので非常に簡単な法律で行くのでありますが、特別会計制度というものをつくるような建前なつておりますので、その特別会計の法律が通らぬ限りは別の特別会計をつくる必要がある、そういうことで技術的に非常にむずかしい法律になるのであります。そういうむずかしい法律をつくるよりも、交付税を早く議決してもらう方がいいではないか、こういう意見が一方ではございます。その点で政府の間で意見がまだまとまつてないのでありますが、われわれはできるだけ早く概算交付ができるような方向に持つて行きたい、かように考えて努力しておる次第であります。
  41. 北山愛郎

    ○北山委員 今の点はこの前の小委員会でも、さようなお話があつたのでありますから、自治庁としては法律的にはこれは可能であるという見方でおやりになつたと思うのでありまして、私どもも非常に異例な法律ではあるけれども、あるいはできないこともなかろうと思うのですが、大蔵省の反対があつたというふうにも聞いておりますので、この際この点についての大蔵省側の御意見を承つておきたい。
  42. 鳩山威一郎

    ○鳩山説明員 ただいま後藤財政部長から御答弁申し上げましたように、特別会計法を至急に設置いたしませんと金が予算上出ない、これは項を動かすことになりますと、予算補正することが必要になつて参るのであります。応急措置として特別会計を設置するということにつきましては、大蔵省としては前例のないことでありますし、そういうことであれば現在御提出してございます特別会計法を、至急あげていただく方が筋ではないか、こう考えております。なお今後いろいろなほかの条件によつていろいろかわつて来るという面が当然考えられますが、そういつた面はあとでこちらの方を改正して、その最終的にきまつたところに合わすというようなことが可能ではないかというようなことで考えておる次第でございます。なお大蔵省といたしましても、地方団体年度当初非常にお困りになるということは非常に心配いたしておるのであります。これについてこういう場面になりますと、金融的な措置を何とか講ずるというようなことを、まずやらなければいけないのじやないかというように考えておる次第であります。
  43. 北山愛郎

    ○北山委員 ただいまの災例な立法措置でありますから、それなどにつきましても、やはりなお御研究を願いたいと思うのであります。私どももこの交付税法を、なるべくすみやかに審議をする建前からきようやつておるわけであります。しかし何しろ地方税法との関連もありまして、いろいろ難航しておるわけでございますから、それらの点についても遺漏のないような立法的な準備というものを、並行してお進めを願いたいということを要望しておきます。  さらにそれ以外の年度当初における地方財政に対する臨時的な運転資金の知期融資の問題、この例は今まででも年度の初めにはあつたわけでありますが、本年は特に地方の金融が引締まつておるようないろいろな関係があつて地方財政としては年度初めは特に苦しいときではなかろうか、かように考えるわけでありますが、これに対する矩期融資についての具体的な準備等がどの程度に進んでおるか、またどの程度に運転資金の融資ができるか。要するに平衡交付金等が入つた場合に返還するその間のつなぎとしての短期融資、これをどの程度にお考えになつておるか、できるだけ具体的に御説明を願いたいと思います。
  44. 後藤博

    ○後藤政府委員 年度当初の一時融資の問題でありますが、昨年までは大体三百億程度の繰越金がございましたので、その中で短期融資をいたしまして、大体やつて来たのでありますが、本年は御承知の通り国の資金運用部資金、簡保資金等の繰越しが百億ちよつとばかりしかございませんので、実は昨年からその心配をしておるのであります。百億くらいでありますと、非常に不便なところが出て来る可能性もありますし、御存じのような金融の引締めでありますので、私どもといたしましては大蔵省と協議いたしまして、その点遺憾のないようにお願いしたいということはたびたび申しております。現在のところでは、この八日ごろに今月の俸給が出るわけでありますが、俸給が出ますし、一回のところは二十日でございますが、二回のところはさらに二十二、三日ごろ出る、こういうことに相なつておりまして、できれば第一回の八日に間に合うように交付税法をあげていただきたかつたのでありますが、これがいろいろな関係で遅れておりますので、次の機会にはどうしてもあげていただいて、そうして現在の短期融資と合せて処理していたたくようにしていただきたい、かように考えております。大蔵省との間ではいろいろ協議いたしまして、これは毎年のことでありますので、私ども別に通牒を出しておりません。大蔵省の資金の還流の状況を見てそうしていろいろ財務局方面に手当をしていただくようにお願いしておる次第であります。
  45. 北山愛郎

    ○北山委員 その短期融資の金額につきましては、一説によるとあるいは百五十億ぐらいになり得るかもしれぬ、現在ではお話のように百億ぐらいしかないが、今後の還流状況を見れば百五十億くらいになるかしれぬというような見通しを開いておるのでありますが、大体今のところではどの程度になるかということ、それから単に資金運用部資金等の金繰りという問題だけでなしに、地方財政に対する政府一つの考え方というものが、その根底にあるのではないかというふうに推測されるのであります。と申しますのは最近地方の銀行等から地方団体が金を借りるというようなこと、それが地方の金融の引締めにまた一つの影響を与えておるのでありますから、そこで日本銀行においては地方団体地方の市中銀行等から金を借りるということを好まない、何でも自治庁あるいは大蔵省等に申入れをしたというような話も伝わつておるわけであります。そういう日銀あるいは銀行、金融団体等の意向が政策に反映して、そうして地方公共団体年度の初めにおいて、相当に金繰りが苦しい、台所が苦しいにもかかわらず、地方団体にはなるべく金を使わせないようにしようというような気持から、積極的に短期融資の問題を考えてくれないのじやないか。これは邪推かもしれませんが、そういうふうにも考えられる。そこでそういうことがあるかないか、その点も塚田長官あるいは大蔵省の方からもお伺いしたいと思うのですが、以上の二点をお伺いいたします。
  46. 後藤博

    ○後藤政府委員 第一点の繰越金の額でありますが、これは私はつきりしたことを記憶していないのでありますが、百二、三十億になると私どもは思つております。百五十億ぐらいになるかもしれませんが、最近の状況を私聞いておりませんので、その点百二、三十億、こういうふうに私は考えております。  それから第二点でありますが、日本銀行が引締めておることは事実であります。しかしこれにはいろいろ事情がありましてこの間地方の市中銀行の大会がありまして、私参りましていろいろお願いもいたして来たのでありますが、その際いろいろ御質問もありましたが、地方銀行の中で日本銀行からの借入れに待たない銀行と、それから高率適用まで受けておる銀行と二色あります。問題は高率適用を受けておるような銀行でありまして、特殊な地域に問題があるわけでありまして、もちろん全体的に引締めはいたしておりますが、資金の余裕のある銀行と、余裕のない銀行の差が非常にありはしないか、従つてわれわれの方の公募債の問題も、それから一時融資の問題につきましても、同じような基準で判断されては困るということを申し上げたのであります。それから地方団体側の地方財政需要の問題もからんで参ります。しかし私どもは、二十八年の公募債は、二百三十五億もありまして非常に厖大な公募債でありますので、この消化を非常に憂えておつたのであります。しかし実際問題として三月の終りまでに公募債というものが案外返つて来ないのであります。引受けができなかつたという額は非常に少くなつております。これは地方銀行が逆に借り入れたものを日本銀行に持ち込みまして、そうして日本銀行と地方銀行との間の問題として、それが大蔵省の方にいろいろ話が出おるということになつておるのであります。しかし私ども日銀にも参りまして、いろいろ公募債の消化につきましてはお願いもいたしておりますが、因る困るとはおつしやいますけれども、しかし別に正式なものとして何の意見も聞いていないのであります。私どもは、地方団体側も困るのだから、ぜひ引受けてもらいたいという一本やりで、現在お願いいたしておるのであります。
  47. 加藤精三

    加藤(精)委員長代理 北山委員に申し上げますが、非常に重要なことで、目下地方団体の資金の逼迫の事情にかんがみまして、適切な御質問と御応答でありますが、何しろ両法律案の成立を相当急がなければならぬ関係がございましてできれば二つの法律案の内容について御質疑あらんことを希望いたします。
  48. 北山愛郎

    ○北山委員 今のをもう少し、百三、四十億というのは、もしできればまるまるこの短期融資の方にまわすというお考えであるか。ただそれだけ出て来るのだ、日銀にも頼んでおるのだというようなことでなくてできるだけかき集めてこれくらいの分は貸せる、できたら貸すんだというような方針であるか。どうも非常に抽象的ではつきりしないのです。
  49. 後藤博

    ○後藤政府委員 四月初めの一時融資は、大体地方団体が大部分であります。従つて部分のものが地方団体に私どもはまわるものと考えております。またそういうお願いをいたしております。
  50. 加藤精三

    加藤(精)委員長代理 石村英雄君。
  51. 石村英雄

    石村委員 ちよつとさつきの門司さんの質問に関連いたしまして、法制局の方にお尋ねいたしますが、今度の平衡交付金交付税法というようにかわつたり、あるいは入場税が入場譲与税というように税という言葉が使つてあるのですが、これはわれわれの常識からいうと、税金というものは国民が国あるいは地方団体に義務的に納める金というのが常識だと思うのですが、こういうように税という言葉をお使いになつたことから、法律的にどういう差があるかということです。交付金あるいは譲与金とするのと、入場譲与税ということにし、あるいは交付税とする、そこに法律的な効果の差がどうあるか、お教え願いたいのです。
  52. 林修三

    ○林政府委員 これは御承知のように昭和十五年の中央地方を通ずる税制改正の場合に、配付税と還付税というものが実はできておつたわけです。今度の交付税あるいは譲与税も、そのときの税という言葉をお使いになつたお考えに、大体近くなつておるのではなかろうかと考えるのでありますが、これはもちろんいわゆる普通の国税なり地方税のように、国なり地方公共団体が、一般の国民なり住民に対してかける普通の税とは、どうも性質が大分違うのですが、しかしやはり実は地方公共団体の独立の財源であるという趣旨を強調するという御趣旨から、独立財源というものは、やはり税という名前をつけるのが至当であるという御趣旨ではないかと思うのであります。もう一つは先ほどちよつとお答えいたしましたが、国税の一定のものについて一定の割合でリンクする。従つて国全体として考えれば、一応国税としてとつたものの一部を地方にわける、そういう意味で税という名前がついているのであります。この税という名前がついたから、ただちにこれが普通の国税なり、地方税と同じ性格になるというものではないと存ずるわけでございます。これはやはり具体的な法律の内容に従つて、その性格は判断されるものと思うわけでございます。結局申しますれば、大体その気持と申しますか、そのニユアンス、こういうところに現われているのではなかろうか、こう考えているわけであります。
  53. 加藤精三

    加藤(精)委員長代理 床次委員に申し上げますが、経済審議庁から総合開発第二課長の奥田説明員が参つておりますが、先ほどの……。
  54. 床次徳二

    ○床次委員 簡単にお願いします。
  55. 奥田亨

    ○奥田説明員 台風度の御説明を申し上げます。経緯を申し上げますと、御承知のように特殊土壌の開発保全を考えます法律が通つておりまして、その法律にかんがみまして特殊土壌対策審議会というのが設けられておるわけですが、この審議会におきまして平衡交付金算定をする場合に、特別の補正を行つてもらいたい。地方債の発行額を増してもらいたい。補助事業の補助率を引上げてもらいたい。その他の方法につきましては審議会決定ということになつておるわけでありますが、その第一項の平衡交付金算定に際して、特別の補正を行つてもらいたいというものを考えます場合の一つの資料といたしまして、中央気象台が作業をし、資料として審議庁の方に送つてつたのが、台風度というものでございます。これは審議会の決定ということになつておりまして、内容をかいつまんで申し上げますと、大正十五年から昭和二十七年までの間に来襲いたしました台風の回数、それからその強度というものを組み合せまして、それがどのような形に分布されておるかというのを指数化して現わしたものであります。内容は印刷物がなくなりまして、お手元にお届けするわけには参りませんが、後日でき次第お上げするようにいたしたいと思いますが、かいつまんで申し上げますと、鹿児島、宮崎、高知といつたようなところに来襲の頻度、強度が高い数字が出ておる。だんだん東進し、北進するに従いまして低くなつておりまして、北海道が一番低く、さらに太平洋と大西洋岸とをわけてみますと、太平洋岸の方が日本海岸に比較いたしまして高い数学を示しておるというような結果になつておるのであります。先ほど申し上げましたように、この資料というのは特殊土壌審議会で決定になつたものでありますが、これをいかように使うかというような点につきましては問題に触れておりませんし、さらに若干の点につきまして補足の資料の整備が必要なところもあるというのが現状であります。ごく簡単でありますが……。
  56. 床次徳二

    ○床次委員 今説明員から報告を聞いたのでありますが、できるだけその結論を整備いたしまして、これが平衡交付金の配付、補正係数等に役立つように研究を続けてもらいたい、なお関係当局に十分打合せられんことを要望いたしまして質問を打切ります。
  57. 加藤精三

    加藤(精)委員長代理 他に御質疑はございませんか。なければ散会後ただちに理事会を開きますから御参集を願います。  本日はこれにて散会いたします。     午後四時十九分散会