○小林(与)
政府委員 ただいまお尋ねの点について簡単に御
説明申し上げます。実は
町村合併促進法につきましてはその後の運用の状況を考えまして、多少問題が生じたような点もあります。従来当
委員会また参議院の
委員会でもいろいろ問題として提出された点がありましたので、一応そういう問題点を拾
つてお
つたのでございます。それでできましたならば、そういう点について必要な
改正をお願いしたらいいのではないかと考えてお
つたのでございます。特に今度の合併は四月一日あるいは三月三十一日を現在として行われる件数が非常に多い。これは御参考に、最終の統計がまとま
つたので、先ほどお配りしておきましたのが、三月三十一日並びに四月一日施行の合併件数が多いのでございます。そこでできましたら、その合併によ
つて起る支障も取除けるものならば、その場合にこの合併についても適用したらいいじやないかというような問題もありましたので、四月一日までに
改正できぬものだろうか、こういう希望を持
つてお
つたのでございます。
参議院の方におきましても、従来この促進法を扱
つていただきました
関係上、この問題を取上げたいというので、今各党の方で寄り寄り御協議中でございますが、御案内の通り、いろいろな方面でお忙しい模様でございまして、ちよつときようあすというふうにも参りかねる、少し余裕ができたら取上げようというので、御協議中の段階でございます。当
委員会におかれても小
委員会を設けておられますので、御
意向の点もおありでありますれば、それもまとめてひとつ参議院の方でも考えていただいたらどうか、こういう気持で私どもの方としても内々御相談申し上げてお
つたのでございます。今あげましたのは、大体一応の問題点としてあげたのでございまして、今申しました通り、参議院の方でもまだ正式に御決定に
なつておりませんので、こういうことが問題に
なつておるということで御承知おき願いたいと存じます。
その一は、
教育委員会の
選挙の問題であります。御案内の通り、現在の促進法におきましては、議会の議員につきましては合併を促進するために暫時任期を延長する特例が設けてあるのでございますが、
教育委員会についてはそういう特例がありませんので、町村長は別問題でありますが、合併後ただちに
選挙をやらなければならない、こういう事態に立ち至
つておるのでございます。
それで実は一方では
教育委員会の
選挙の
執行も全般的に延期しようというふうなことで、
政府の方から案も出ておる際でもありまするので、かたがた
教育委員会の
選挙が教会
委員の存立そのものに支障のないような形で問題が考えられるならば、その
委員の身分の継続等について問題を考えることができるのではないか、こういうので
教育委員会の身分を引続いて継続する
措置を考える。それがために従来合併町村の
教育委員のうちから、合併町村の数だけの人を互選して、そうして引続いて新町村の教育行政を担当する、こういう問題が考えられぬだろうか、これが一点でございます。
それからその次はそれと似たような問題で、農業
委員会の問題でございまして、農業
委員会は合併によ
つて必ずしも統合されるとは限らぬのでありまして、それぞれの地区農業
委員会として存置される場合が、実は相当多いのであります。その場合に現行の農業
委員会法の解釈上多少疑義もありまして、地区農業
委員会として農業
委員会が残る場合は、農業
委員会の身分がそのまま継続するということをはつきりさせるとともに、かりに統合が行われたような場合におきましては、今の
教育委員会と同じふうに従来の農業
委員会のうちから
委員の互選によ
つて残るということを考えたらどうだろうか。農業
委員会も御承知の通り現在の任期が、ここで二回延期されて従来参
つておりますので、そういう延期されておる
趣旨にもかんがみまして、その
期間だけはやはり合併の場合も引続き延ばし得るということを考えた方がいいのじやないだろうか、これが第二点でございます。
それから第三点といたしまして都道府県の
選挙区が、町村の合併についていろいろ重大な影響をこうむることがありますので、それでこの前の促進法の
改正で、郡市の境界にわたる町村合併が起
つた場合には、
選挙区を従前通り置くことにしたい、あるいは
選挙区を合せて一
選挙区をつくるというような特例の道を開いていただいたのでありますが、それはいわゆる促進法の適用のある合併についてだけ適用がありまして、促進法の適用のない、たとえば大都市、大都市と申しましても十万以上の市に町村が入る場合、あるいはちよつと
規定が十分読めなくて、現に合併して一応町村に
なつたものがその後市になる場合、そういうふうな場合にはこの
選挙区の特例が、ちよつと現行法では読みがたい点がありますので、県
会議員の
選挙区というものは、やはり全県が
統一的にこれは問題を考えるべき性質でありますので、少くともこの
選挙区の特例だけは今回の合併に伴いまして同様な特例
措置を全合併について適用する、あるいは町村が市になる場合に適用するという必要があるのじやないかと考える。これは現実にその必要を痛感しておる事例もありますので、これはぜひ考えていただきたい問題点だと存じておるのであります。それからいま
一つは、町村の一部が合併に際しましてその町村全体の
意向とは別に一部落が他の町村に入りたい、こういう場合の
措置が、実は促進法にもあるのでありますが、その促進法の
規定によりますと、一部落がこの町村会の議決と
反対の立場で、住民投票の結果、他の町村に行こうとする場合は、合併が行われる事前にいわゆる県の勧告というものと一致した場合に行われる、こういうことに
なつておるのであります。そこで実際の合併の
実情を見ますと、合併前に円満に部落がわかれておるという事例も、実は少くないのでありまして、きわめて円滑に事が運んでおるというところもありますが、他の一部分におきましては、あるいはその方が大分だと思いますが、まずまず一応はまとまるだけまとま
つてそのあとから
調整するというような事例もきわめて少くないのであります。ところが一応まとま
つてしまうというと、その後部落の
人たちが隣へ行こうといたしましても、現行法では法的な保障がないために、まとま
つてしまうと、もうこれは知らぬぞというような形で、新しい議会ががえんじないという事例が、しばしばあるのでありますので、それがいろいろ問題を起しておる。これはよろしくないと考えられますので、合併後においても部落の一部の
人たちが、その区域を
調整するために部落住民の意思によりまして隣の町村に行き得る、こういう道を開いておく方が、万事円滑に進むのじやないだろうか。こういう考え方でその
規定を入れたいと思うのであります。しかしながらその場合に単に一部落の
人たちが、いつでも
反対だと言えば隣に行けるという形にしては、かえ
つて全体の秩序が保たれぬ場合がありますので、これは全体の立場からやはり合理的だと思われるような場合に限
つた方がよいと思うので、それは特に
町村合併促進審議会の審議を経て、知事の方で合併の際の話合いその他条件の点から考えても妥当だというような場合に、一部の住民の意思によ
つて、町村会の議決が
反対であ
つても隣の町村へ移り得る、この道を実は確保したいと思うのであります。この
規定を現実に必要とする事例は、私の聞いておる方でも全国的に相当あるのでありまして、とりあえず合併してその後地域的に再
調整をやる、その道を確保して行く、その方が合併も円滑に行けば、どの問題の処理も円滑に行く、こういう考え方でおるのでございます。
それからいま
一つは、都道府県の境界にわた
つて、
市町村の一部が住民投票によ
つて隣の県へ行き得るという道も、現行法で開かれておるのでありますが、これはやや
規定が不備でありまして、これもある一県につきまして合併計画があ
つた場合に、隣の全然
関係のない県の一部の人がそれに乗り移
つて自分たちがその県へ行きたいというふうな道を開かないと、ちよつと
規定が不備な点がありますので、その場合に自由に境界にわたる区域の一部の変更が、可能なような道を設ける
規定を整備したい、こういうことが
一つでございます。
それから第六の問題は、実は町村合併によ
つて先ほど申しました通り議会の議員の任期の延長の
規定が設けられておるのでありますが、ところがその合併によ
つて新しく市ができたところへもう一度ほかの町村が編入されるという場合があるのでございまして、そういう場合には現行法では、この任期延長の特例が働かないのでございます。そうすると、あたかも市ができたときに数町村の議員が全部任期延長をされておるのに、その後いろいろな都合であとから入
つて来るだけ、自分の議員を一人も送れぬということはいかにも不均衡でありまして、こういう事例も現に問題に
なつておるところがありますので、そういう場合も均衡上議員の身分継続の特例をあわせて開いておいたらどうだろうか、これが第六点でございます。
それから第七点は、これは全体新しい問題でありまして、もうすでに新聞にも載
つてお
つた事件で御承知かもしれませんが、組合町村をつく
つている町村が合併をやる場合に、たいていの場合は組合町村がそのまま一体になるのが通常の形でありますが、やはり組合町村が一部はAの村へ行き、他のものはBの村へ行く、あるいはそのまま残るという場合がしばしばあるのであります。その場合にその一部事務組合の始末をどうするかというので、従来いろいろ紛争の種に
なつておる事例がありまして、現にわかれわかれに
なつたものですから、組合も当然これで消滅だ、それで児童はその組合学校に行けるとか行けぬとかというふうな紛議があります。これは非常に遺憾なのでありまして、いわば親たちのけんかに子供を犠牲にしておるようなかつこうでありまして、こういうことは事前に良識をも
つて解決さるべきものだと、従来われわれは考えてお
つたのでありますが、現実にそういう問題が起りつつありますのでやはり何とか法的に道を解決しておいた方がよくないか、これは
関係地元の方でも強い
要望を持
つておる問題でもあり、
国会においてもそういう点を何か考えた方がいいのではないかということは、われわれも聞いたこともある問題なのでございます。そこでそもそも組合というものは新しい町村が廃置分合されてでも、従前の町村の地位をそのまま新町村が引継げるのがあたりまえでありますから、もし合併の際に事前に協議してうまい
方法があれば格別、協議が整わなか
つたならば、同じ地位をそのまま新町村が引継ぐ、これを
法律的に明らかにした方が、問題の妥当な解決策じやないだろうか、こういうのが第七点でございます。これは全然新しい問題でありますが、この問題だけは現実の問題として起
つておりますので、ぜひ解決をしてやりたい、こういうふうに考えております。
それから第八点といたしまして、これはいろいろ従来から議論がある問題でありますが、現在促進法の適用があるいわゆる市への編入は、人口十万までの市でありまして、これを十五万に上げた方がいいじやないかというような御
意見が一部に非常に強い、また外部にもそういう
意見も相当あるのであります。しかしながら促進法はもともと町村の区域を再編成する問題であるから、大都市への編入はそう奨励までする必要がないじやないか、それはほ
つておいても事実行けるじやないか、むしろそこに行き過ぎがあるのじやないかという他の面の批判もある問題でありますが、これも人口十万以上の市への合併が、全国相当な範囲で行われつつありますので、この際この問題の何らかの解決をはか
つていただけたらどうか、これもとるかとらないか、ぜひこの
機会に一ぺんそれぞれ御判断を願
つて、御決定を願
つたら仕合せだというふうに存じまして問題を取上げておるのであります。
第九点は、これはちよつと話がこまかいのでございますが、実は国有鉄道の職員は、御案内でございましようが、国有鉄道法によりますと、町村会の議員の身分と兼ねられることには
なつておりますが、市
会議員の身分とは兼ねることができないように
なつておるのであります。そこでその制度自体について根本にいろいろ問題がありましようが、そういう問題には全然かかわりなく、現に町が市に
なつた場合において、議員の身分の継続が一般的に認められておる。しかるにたまたまその人間が国有鉄道の職員であ
つた場合には、その者だけが身分が断絶する。これだけはいかにも不均衡じやないか。そこで身分が継続している間だけ、せめて同じように机を並べた者は、そのまま市
会議員としての身分を継続できるようにしてや
つたらどうだろうか。こういう御
意見を持
つておられる方も参議院側におありになりまして、それではその問題もあわせてお考え願
つたらどうだろうか、われわれとしてもその程度の暫定的な
措置ならば、十分促進法の問題として考え得べき問題ではないか。現にこういう職員で今度市になるという事例の
場所もありまして、その地方でも気にしておりましたので、実はこういう問題を、四月一日から施行になるならば、できるだけ四月一日までに、はつきりしてやりたい、こういう気があ
つたのでございます。大体問題点はそういう程度の問題でありまして、かりに
法律の制定がこういう事情で遅れましても、あるいは遡及適用してさしつかえないようなものは遡及さしてもら
つて、そしてかりに
改正に御賛同を得るならば、その
改正の
趣旨を今度大幅に、この四月一日から行われるものについても、さかのぼり得るような道もあわせて考えていただいたらどうだろうかと思
つておるのであります。
大体こういう問題を骨子にいたしまして、参議院の方で法制局で法文を練
つておりまして、大体もう案も固ま
つておるはずだと思いますが、全体としての問題につきまして、今各部の方で御
意見をまとめておられる段階でございます。
以上が概要でございます。