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1954-03-20 第19回国会 衆議院 地方行政委員会 第33号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年三月二十日(土曜日)     午前十一時六分開議  出席委員    委員長 中井 一夫君    理事 加藤 精三君 理事 佐藤 親弘君    理事 灘尾 弘吉君 理事 吉田 重延君    理事 藤田 義光君 理事 西村 力弥君    理事 門司  亮君       生田 宏一君    尾関 義一君       前尾繁三郎君    山本 友一君       床次 徳二君    橋本 清吉君       阿部 五郎君    石村 英雄君       北山 愛郎君    伊瀬幸太郎君       大矢 省三君    中井徳次郎君       松永  東君  出席国務大臣         国 務 大 臣 塚田十一郎君  出席政府委員         自治政務次官  青木  正君         自治庁次長   鈴木 俊一君         総理府事務官         (自治庁財務部         長)      後藤  博君         総理府事務官         (自治庁税務部         長)      奧野 誠亮君         通商産業政務次         官       古池 信三君  委員外出席者         通商産業事務官         (重工業局車両         課長)     馬郡  巖君         専  門  員 有松  昇君         専  門  員 長橋 茂男君     ――――――――――――― 三月十九日  地方財政法の一部を改正する法律案内閣提出  第一〇五号) の審査を本委員会に付託された。 同日  公営発電事業の施設に固定資産税賦課に関する  陳情書(第二〇五  八号)  市町村自治体警察制度廃止反対陳情書  (第二〇五九号)  同(第二〇六〇  号)  同(第二〇六  一号)  同(第二〇六二  号)  同(第二  〇六三号)  同  (第二〇六四号)  同  (第二〇六五号)  同(第二〇六六  号)  同(第二〇六七  号)  同(第二〇六八号)  警察制度の改革に関する陳情書  (第二〇六九号)  同  (第二〇七〇号)  地方財政再建整備法制定に関する陳情書  (第二〇七一号)  競輪国庫納付金制度廃止に関する陳情書  (第二一一五号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  小委員及び小委員長選任  地方財政法の一部を改正する法律案内閣提出第一〇五号)  地方税法の一部を改正する法律案内閣提出第五六号)     ―――――――――――――
  2. 中井一夫

    中井委員長 これより会議を開きます。  まず、昨日地方税法改正に関する小委員会を設置いたしましたが、その小委員及び小委員長委員長より指名することになつておりますので、これより指名いたします。  小委員には加藤 精三君  佐藤 親弘灘尾 弘吉君  吉田 重延君藤田 義光君  床次 徳二北山 愛郎君  西村 力弥門司  亮君  大矢 省三松永  東君を指名いたします。また小委員長には灘尾弘吉君を煩わすことといたしました。さよう御承知を願います。     —————————————
  3. 中井一夫

    中井委員長 なお昨日に引続きまして、地方税法の一部を改正する法徳案議題として質疑を続行いたし、ことに本日は床次加藤西村三君からの御発議に対し、塚田国務大臣より御答弁があるはずでありますけれども、それに先だち、昨日本委員会に付託されました地方財政法の一部を改正する法律案議題として、政府より提案理由の説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 中井一夫

    中井委員長 御異議なしと認め、さように決しました。塚田国務大臣。     —————————————  地方財政法の一部を改正する法律案   地方財政法の一部を改正する法律  地方財政法昭和二十三年法律第百九号)の一部を次のように改正する。  第四条の二を第四条の三とし、第四条の次に次の一条を加える。  (地方公共団体における年度間の財源調整)第四条の二 地方公共団体は、当該年度において地方交付税法昭和二十五年法律第二百十一号)の定めるところにより交付を受けた交付税の額とその算定に用いられた基準財政収入額との合算額が、当該交付税算定に用いられた基準財政需要額を著しくこえる場合においては、災害その他やむをえない事由がある場合を除き、当該超過額の一部を積み立て、又は地方債償還財源に充てる等翌年度以降における財政の健全な運営に資するための措置を講ずるようにしなければならない。  第五条が一項第五号中「入場税」を「道府県たばこ消費税市町村たばこ消費税」に改め、「標準税率」の下に「(個人に対する道府県民税所得割にあつては、所得割課税総額算定に用いる標準率とする。)」を加え、同条第三項中「百分の十八」を「百分の十三」に、「百分の十」を「百分の七・五」に改める。  第五条の四中「第三百九条から第三百十一条まで」を「第三百七条、第三百九条から第三百十一条まで及び第三百十六条」に改め、「「債券」とあるのは「証券」と」の下に「、第三百七条第一項中「記名社債」とあるのは「記名地方債」と、「社債原簿」とあるのは「地方債証券原簿」と、「会社」とあるのは「地方公共団体」と」を加える。  第十条中第二十二号を次のように改める。  二十二 漁業関係調整に要する経費  第十条の三中「地方財政平衡交付金法昭和二十五年法律第二百十一号)」を「地方交付税法」に改める。  第十条の四中第八号を削り、第七号を第八号とし、第六号を第七号とし、第五号の次に次の一号を加える。  六 あへんの取締に要する経費(第十条第六号の二に係るものを除く。)   第十条の四に次の一号を加える。   九 未引揚邦人の調査に要する経費   第十一条の二中「地方財政平衡交付金法」を「地方交付税法」に、「地方財政平衡交付金」を「地方交付税」に改める。   第十二条第二項第二号中「国家地方警察」を「警察庁」に改める。   第二十六条中「地方財政平衡交付金」を「地方交付税」に改める。   第三十六条を次のように改める。   (国がその全部又は一部を負担する法令に基いて実施しなければならない事務に要する経費に関する特例)  第三十六条 第十条第七号の二の規定及び同条第八号の規定母子手帳に関する部分は、当分の間、適用しない。     附 則  1 この法律は、昭和二十九年四月一日から施行する。  2 改正後の地方財政法第十二条第二項第二号中「警察庁」とあるのは、昭和二十九年六月三十日までの間は、「国家地方警察」と読み替えるものとする。     —————————————
  5. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 ただいま議題となりました地方財政法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容概略につきまして御説明申し上げます。  政府は今般地方税制度を初めとし地方税財政制度改正を行うこととし、すでに関係法律案につきまして、各位の御審議を煩わしているのでありますが、これら諸制度改正に伴いまして、地方財政運営に関しましても新制度に即応して、その健全で自主的な運営をはかりますために所要改正を行う必要がありますとともに、補助金等臨時特例に関する法律案等地方財政に関する諸法案制定に伴いまして、地方財政法中の諸規定につきましても所要改正を行う必要が生じて参りましたので、ここに本法律案提案いたした次第でございます。  次に、法案内容につきまして、その概要を御説明申し上げます。  第一は、地方財政運営自律性を高めるため、地方団体自体において年度間にわたる財源調整を行うことを地方団体財政運営の基本的な方針の一としたことであります。今回地方財政平衡交付金地方交付税とすることによりまして、地方財政自律性は一段と高められたのでありますが、一方地方交付税総額は一応自動的に定まつて参ります結果、現実に各地方団体について算定したいわゆる財源不足額合算額交付税の額とが一致を見ない場合が主ずることとなり、あるいは財源不足額以上に地方交付税交付を受けたり、あるいは地方交付税財源不足額を満たすに足りないこととなる事態が起つて来るわけでありまして、これらの事態に対処するため、現実地方財政運営について慎重な配慮が必要であるとともに、地方現下国地方を通じてその財政規模合理化を進めて参りますためにも、その財政運営にあたつて、より一層計画的な運営を行うことが必要となつて参るのであります。これらの諸点を勘案いたしました結果、いわゆる地方団体一般財源基準財政需要額を著しく越える場合には、地方団体は、地方交付税交付団体であると不交付団体であるといなとを問わず財政規模の激変を避け、交付税財源不足額に不足する場合に対処する等のため、超過額の一部を積み立てまたは地方債償還財源に充当する等みずからその財源調整する措置をとるものとし、年度間における財政運営の円滑を期することといたしたのであります。  第二は、補助金等臨時特例に関する法律制定等に伴い、国と地方団体相互間における経費負担関係所要改正を加えたことであります。すなわち、母子相談員母子手帳等に関する国庫負担に関する規定の適用を当分の間停止し、漁業関係調整に要する経費を国がその全部または一部を負担するものとするとともに、地方団体負担する義務を負わない経費に関する規定整備いたしたのであります。  第三は、地方債流通性確保に便ならしめるため、地方債に関する商法の準用の規定整備するとともに、その他諸法律制定に伴い、規定整備をはかつたことであります。  以上が本法律案内容概略であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに本法律案の成立を見ますよう御願い申し上げる次第であります。     —————————————
  6. 中井一夫

    中井委員長 きのうに引続き地方税法の一部を改正する法律案議題として質疑を続行いたしますが、昨日の床次委員入場税に関する質疑に関して、本日塚田国務大臣より答弁していただくこととなつておりますので、まずその答弁を求た後、市町村税の各税に対する質疑に入ることといたしたいと思います。床次徳二
  7. 床次徳二

    床次委員 実は昨日当委員会において議題なつたのでありますが、まず第一は入場税、第二は競輪モーターボートその他の国庫納付金に関する件であります。  第一の入場税に関しましては、今日政府におきましては、国税移管処置提案せられておるのでありまして、このことに関しましては当委員会においてもすでに審議中でありますが、この入場税審議に関しまして、大蔵委員会状況を伺いますと、場合によりましたならば政府提案課率を低減いたしまして、これを通過させんとするような動きもあるように承つております。元来地方財政計画におきましては一定の額を予定して入場税並びに入場譲与税を受入れることを地方財政計画としては考えておつたわけでありますが、ただいまお話いたしましたごとく、もしも大蔵委員会におきましてその課率を減少いたしまして、そうしてこれを通過せしめるということになりましたならば、それだけ地方収入計画は齟齬を生ずることになるのであります。かかることは地方財政立場から見まして、まことに遺憾なことと思うのであります。右に関しまして主管大臣でありますところの塚田長官はいかように考えておられるか、私どもはかかることは好ましくないということを強く考えておるので元来入場税移管に対しましては反対気持を持つておるのであります。いわんや今日審議中の法案におきまして、かかる減税を行つて、そうしてこれを通過せしめるというようなことがありましたならば、これは地方財政上ゆゆしきことであるということを痛感するのであります。これにつきまして長官の所信を伺いたい。第二もありますが、御答弁伺つた後におきまして、さらに質問いたしたいと思います。
  8. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 入場税大蔵委員会において減率をするという空気があるということは、実は初めて伺つたのでありますが、実は私どもといたしましてはこの減率をいたしませんでも、現在の政府法案の骨子になつておりますものだけでも、はたして私どもが期待しているだけの入場譲与税が得られるかどうかということにかなり心配をいたしておるのであります。この点は最終的な決定をいたしますまでに政府部内におきましてもずいぶんいろいろと検討いたしました結果、一応大蔵省側において十分自信がある、確信があるということでありますので、そのように了承しておるのであります。従つて今の税率をさらに引下げるということになりますならば、おそらく当然の想像として当初の収入が確保できなくなるということが考えられますので、これは大問題である。御指摘のように地方財政立場からは減率をするというようなことはとても考えられないし、賛成申し上げられない、こういう考え方であります。
  9. 床次徳二

    床次委員 大臣の御趣旨は了解いたしましたが、大蔵省が徴税いたしましたならば、往々にして課率は低くても予定収入が上る、これが地方税として自治庁の所管に残つておりますと、相当課率を高くしておかないと予定だけの収入は上らないというような偏見があるといたしましたならば、これはすこぶるゆゆしい問題である、かように考えますので実はただいまの問題を提起いたした次第であります。なお入場税に関しましては当委員会におきましてそれぞれ審議中でありまして、過去の地方税入場税の中におきまして第三種に類するものが取残されているということに関しましては、地方税の体系また地方税現状からいいまして、非常に問題である。いずれ近く当委員会といたしましては、これに対しまして意見を明らかにすることと思うのでありますが、今日政府のとられました処置に対しましては、当委員会としては不満の意を持つておるという点を、この機会に申し添えたいと思います。  この機会に第二の問題について御質問いたしたいのでありますが、それは競輪モーターボートその他は今日地方団体において施行しておりますが、その実施施行者におきまして国庫納付金をいたしておるのでありまして、この国庫納付金を今後廃止いたしまして、これが地方収入に全部入るという状況なつたことは御承知通りでありますが、これに対しまして最近関係団体等におきましては、特殊の産業振興団体をつくりまして、その団体の基金と申しますか、資金といたしまして、地方団体より寄附金あるいは分担金というような形式におきまして競輪収入あるいはモーターボート競走収入等の一部を受入れる、そうして振興団体をつくり、関係産業振興をはかろうという動きがあるかのように聞いておるのでありまして、この動きは初め通産委員会において論議されたということを承つておるのであります。これは今回国庫納付金を廃止いたしました趣旨とは、非常に異なるものであるばかりでなしに、地方団体に不当な負担を、法律をもつて強制しようというすこぶる筋道の立たないものである。この点地方団体におきましても大きな懸念を持つておるのでありますが、これに対しまして、大臣といたしまして、特に地方団体を所管せられる自治庁長官といたしましての所見を承りたいと思います。
  10. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 この点は国会側の一部にそういう御意見があるということは、私も承知をいたしておるのでありますが、しかしこれは地方財政立場からいたしましても、また事柄自体性質からいたしましても、私は賛成できかねるという意見を強く表明をいたしております。具体的にどういうぐあいになさろうというのであるかまだ十分承知をいたしておらぬので、最終的な決定は今後に持ち越さざるを得ないと思うのでありますけれども、現在伺つておる程度におきましては賛成を申し上げかねる。と申しますのは、一つは私どものこの地方財政計画は、そういうことを予期しないですでに組んであるのでありまして、その組まれてある財政の中から地方がさらに支出を余儀なくされるということは、地方財政欠減を生ずるということになりますし、それから実際的なものの考え方といたしましても、そういうものは事柄性質として国がやれればやつてしかるべきことであつて地方がどうしてそれをやらなければならないか、自治団体がそういうことをやらなければならないということについては、どうも理論的に考えても理論立てがむずかしいという考え方を持つておりますので、従つてもうどんな形におきましても、法律の形においてそれを自治団体に義務づけるというようなことは、とうていできる性質のものでないのではないか、こういうふうに考えたわけであります。
  11. 門司亮

    門司委員 私きのう鈴木さんにお伺いしておきましたが、大臣が来てからというお話であつたものでありますから大臣にお伺いしておきますが、先ほど床次さんからお話なつております件と大体趣旨は同一の趣旨でありまして、この税法審議をできるだけ早くして、地方自治団体に迷惑をかけないようにするということは、当然われわれ考えておりますけれども、しかし問題になりますのは、この審議過程において、たとえば遊興飲食税についても、これのいきさつがどうであつたかということは、はつきりわれわれにはわからぬのであります。そのいきさつというのは御存じのように、かつてこれを国税にするという意見があつた。そうして国税にするならば税率を下げてもいいという大蔵省意見であつた。これは間違いないと思う。ところがそれがたまたま地方税に残された。そういたしますと、大蔵省としては、これを国税移管すれば税率を下げてもいいというのなら、自治庁においてもこれを下げてもいいということにならないと、どうもぐあいが悪いので、従つてその間の事情をひとつ大臣からこの際聞いておきたいと思います。どうしてこの遊興飲食税について大蔵省の言うように税率が下げられなかつたか、その点もしおわかりでしたらお話を願つておきたいと思います。
  12. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 これは私どもの党におきましても、政府側におきましても、ものを考えます過程におきましては、いろいろな意見があつたということは承知をいたしておるのであります。しかし私どもが最終的に今度のような税法として御審議願いますように結論を出しましたのは、しばしば申し上げておりますように、地方財政計画の全体的な考慮の上で、この程度が一応しかるべきじやないかという結論なつたわけであります。そこで国税で下げられるものならば、地方税でも下げられるのじやないかという考え方でありますが、私は御指摘のように、国税に持つて行こうが地方税に持つて行こうが、下げられるものであるならば下げられるし、下げされないものならば下げられない、そういう考え方をいたしておるわけであります。ただ遊興飲食税につきましては、全体的な感じといたしましては、もう少し捕捉が完全に行くならば、総収入を確保するという考え方からすれば、税率を下げてもあれだけの収入が確保できるという考え方はあり得るかもしれない、そういうようには感じておりますけれども、現在の段階ではやはりそこまでは行けないのじやないか。御承知のように、この税率はなかなか捕捉困難な税でありますので、ただ頭で考えておる以上に、現実運営の上では困難である。それからさらに現在の遊興飲食税の状態を見ましても、実は私どもとして非常に問題になるといたしますならば、これはやはり花代が一〇〇%ということが問願になるかと思うので、その他の部分は大体今日の程度で今のところしかるべきじやないかという考え方をいたしておるわけでありまして、花代は御承知のようにああいう特殊の性格のものでありますからして、今日のような情勢のときに特にこれを下げるということを考えるのも少しどうかという感じを持つておるのでありまして、全体としては率としてもこの程度にすえ置いて、あの税率のもとで捕捉を確実にするという方向にもう少し努力して行つてみるというのが、今の考え方であるわけであります。
  13. 門司亮

    門司委員 私昨日それを聞きましたのは、たとえば入場税にしましても、国税御存じのように税率をかなり下げております。そうして昨年度から地方財政の中に見込まれておつたくらいのものと譲与税として出そう、こういうものの考え方をいたしております。そうなつて参りますと、実情はどうしても実際上の問題として、今の塚田大臣答弁では実は承服をするわけにはいかぬのでありまして、この捕捉は非常に困難だということになつておりますが、今年度のこの書類を見てみますと、九〇%くらい捕捉するように書いてあります。去年は非常に捕捉が悪かつたのでありますが、もし捕捉が完全に九〇%行われるものとするならば、私は税額はもう少し上るのじやないかというように考える。しかしこの数字的のことはあとで係の諸君に聞くといたしまして、次に聞いておきたいと思いますことは、今入場譲与税大蔵委員会でかなり難航しておるようにわれわれは聞いております。もしこの入場税国税移管が——これは仮定のことだから答弁ができないと言われれば、それまでかもしれませんが、現状から見ると相当難航しているような気がするのですが、もしこれが大蔵委員会ぐあいが悪い、地方税にさしもどすということになれば、自治庁としては、あのきめられておる税率で大体所定税額が収納し得るものというようにお考えになりますかどうか。
  14. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 これは仮定の話でありますから、そのつもりでお聞き願いたいと思うのでありますが、地方税にもどつて参りました場合、先ほども私ちよつと申し上げましたように、今の国税なつておるあの税率では、かなり徴収に困難があるのじやないか、あの税額を確保するのに困難があるのじやないかという考え方を持つておることは、先ほども申し上げた通りでありますが、しかし地方税にこれがかりにもどつて参りました場合においては、先ほどこれも床次委員から御指摘がありましたように、第三種部分が残つておりますので、地方税にもどつて参りますれば、私どもといたしましては第三種が別に扱われるという考え方は、とうていとり得ないという気持でおりますので、第三種を従来通り入場税の中に入れるということによつて、十分あれだけの税額というものは確保できる、こういう考え方をいたしております。
  15. 門司亮

    門司委員 これは非常に詭弁だと思います。大臣がそんな答弁をされちや困ります。第三種を除いておるからこつちへ返つて来ても所定のものがとれるというのは話が合わない。私は第三種が除かれておる、また除くことがいいという理論は、たとえば第三種に対して法定外普通税でかけるかどうかという処置がとらるべきだと思います。これは当然この税法の中には載つておりませんが、これはわれわれの方からやはり修正をすべきだと考えておつた。あるいはこれの修正ができなければ、自治庁相談をして、そうしてやはり法定外独立税としてこれを収納するように、府県に慫慂をしなければならないと考えておる。また府県は必ずそういう形で私は自治庁に願いを出して来ると思う。だからそれは私はこの算定の中に入れるべきではないと思います。あくまでも現在大蔵委員会審議いたしておりますものを基礎としての御相談をいたしておるのでありまして、こつちへ来れば三種を入れるから、大体そのくらいのものがとれるだろうということは、私はどうもちよつと話がわからぬのであります。もう少しそういうことを離れた、あの税率で行けるか、どうかということが、実はわれわれは心配になるのであります。もし大蔵委員会でそれを否決して、そしてどうしてもこちらに盛り込もうということになると、こちらに来たからといつて、なかなか税率を上げるというわけに行かぬと思う。もしあの税率で行くとすれば、結局今までの考え方、今までの行き方からすれば、所定税額はとうていとれない、こういうように私はなりはしないかと思う。その点を心配するのです。
  16. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 これはもちろん、政府があの税率でもつてあれだけの税収を確保できるという計画をいたしておるのでありますから、確保できるという考え方でおることはもちろんなのであります。それがかりに地方税にもどつて参りましても、私ども地方税としてそれだけの収入が確保できるように努力しなければなりませんし、またそのように研究をして行かなければならぬわけでありますが、しかし私は、先ほど門司委員の御指摘の点が、税額が確保できないで地方財政というものに穴が出て来やせぬだろうかという点に重点を置いたお尋ねであつたかと思つたものでありますから、そういう御懸念ならば、こういう面もあるからそういう心配は毛頭ございませんというように考えていたのでお答え申し上げたのでありまして、その点若干言葉が足りませんでしたので、この機会に補足申し上げさしていただきます。
  17. 中井一夫

    中井委員長 どうですか、床次委員質疑が途中になつているのですが……。
  18. 門司亮

    門司委員 それじやどうぞ。
  19. 中井一夫

    中井委員長 通産大臣の出席を要求しておるのでありますが、目下参議院の予算委員会において質疑応答中なのであります。それで、大臣の代理として通産政務次官古池信三君が出席されましたから、古池政務次官に御質疑になり、古池政務次官から答弁を得ることといたしたいと思います。もしそれでよろしければ御質疑をお進めいただきたいと思います。
  20. 床次徳二

    床次委員 古池政務次官にお尋ねいたしたいと思います。今回地方税法改正にあたりまして、従来地方におきまして実施いたしました競輪あるいはモーターボートその他の各種の事業がありますが。この国庫納付金を今回は廃止いたしまして、地方団体にその予定収入を全部帰属せしめるという取扱いになりまして、地方財政の確保に資せられたのであります。ところが、たまたま伺いますところによりますと、今回通産委員会等におきましては、この競輪あるいはモーターボート競走法の益金のうちより、関係産業振興のために寄付を醵出せしめて、一つの団体を結成いたしまして、その事業の振興に努めるというような案が進行しておるかのように承るのであります。これは国庫納付金を廃止いたしました趣旨から見ますと、すこぶる異なつておるばかりでなしに、地方団体に対しまして新たに寄付金あるいは分担金等を法律によつて課するというような取扱いでありますので、きわめて邪道な方法であると思うのでありまして、今日かかる案が国会の一部においてあるそうでありますが、通産当局としていかように考えておられるか。先ほど自治庁長官の御答弁をいただきましたが、やはりこれは通産当局よりもその御趣旨を明らかにしていただきたいと思うのでありまして、お尋をする次第であります。
  21. 古池信三

    ○古池政府委員 お答え申し上げます。自転車競技法は、御承知のように議員立法で成立した法律でございますが。その第一条に目的を掲げまして、自転車競技の目的は、これによる収益を自転車産業振興並びに地方財政の増収に向けるということが明定されておるのであります。御承知のようにわが国の自転車の産業は、本邦といたしまして、きわめて重要なる産業でございます。特に今後ますます輸出を増大しようという際にあたりまして、一層これが助成をはかることが必要ではないかと考えておるのでございます。もちろん、それと同時に地方財政の確立、あるいは地方収入の増収ということもきわめて大切なる問題であろうと思うのでございますが、この三項目が自動車競技法の目的には掲げられております。一方、明年度財政方針といたしまして、この自転車競技から得られた収益の一部を国庫に納付するということをとりやめることになつたのであります。従来は、この国庫納付金を目当といたしまして、この中から一部自転車産業振興のために助成の費用が出ておつたのでありますが、自然それもなくなるという結果に相なるのであります。そこで、私ども自転車産業の行政をつかさどつている立場から見まするならば、この法律に明定してある目的の一つであるところの自転車産業の育成振興のためには、現下のわが国の経済情勢からいたしましても、ぜひこれは何とかしたい、こういう気持は持つているのであります。ただ、御指摘になりましたようなわけで、今回の予算措置としましてはさような変更を見ましたので、これにかわるような妥当な方法がないものであろうかと、目下政府部内でもそれぞれ打合せをして相談をしているようなところでございます。
  22. 藤田義光

    藤田委員 関連して伺います。現在予算が衆議院を通過いたしております。ただいまの政務次官の御答弁ではいろいろ相談しておるというようなお話でございますが、たしか今年度の中小企業の補助金は増額されておると思いますし、そういう面から多少でも自転車振興にまわしてもらうというような方法をとることによりまして、納付金を蚕食するということを回避していただきたい。これはおそらく当委員会全員一致の希望でございます。それで、私の直感したところによれば、地方自活法とかあるいは地方財政法等に関連して非常な問題が起きて来るだろうと思います。仄聞するところによれば、機械工業振興会というような名筋のものをつくりまして、従来国がやつてつた仕事をそこでやらして、そうして地方自治体から吸い上げて、それを自転車振興にまわすというような計画も聞いております。そういうことがありますと、当委員会としましては、かつて起債の問題で大蔵委員会と研究しましたように、反対法律提案しなくちやならぬということで、国会の審議上も非常にまずいことになりやしないか。これはおそらく通産委員会でそういう法案が出れば、この委員会ではそれを否決するような法案を出すことは必至であります。なるべくそういう事態が起きないように、ひとつこの際通産大臣に善処していただくように政務次官から御伝達願いたい。私は改進党の委員ですが、これはほとんど各党委員の一致した要望であります。何か御所見がありましたらお伺しておきたい。
  23. 古池信三

    ○古池政府委員 ただいま藤田さんからのお話趣旨につきましては、十分大臣にも伝えることをお約束いたします。なお、いろいろ御意見伺つたのでありますが、確かに地方財政の確立は非常に私は大事なことだと存じます。その点につきましては御同感でありますが、しかしまた一方、あの法律にはつきりと掲げられております自転車産業振興に充てるという目的も、これはこの際否定さるべきものではないということをかたく信じておるのであります。ただいま御指摘になりましたような中小機械工業の振興のための何らかの団体をつくろうというような案も、一部にはあるように私も承知しております。しかしそれは今検討中であるというふうに了承しておるのであります。なお別途に一般の補助金から中小機械の振興のために出ておるではないかというお話でございますが、これも確かに若干出ておるのであります。しかしながらこれを従来自転車競技法に基いて自転車振興のために出されておつた補助金額と比較をいたしてみますならば、非常にその額は少いのでありまして、これをもつて、今後わが国の輸出産業の大事な自転車産業振興に向けて十分であるということは、とうてい私は言えないと考えております。どうぞさような点も御了承願いたいと思います。われわれとしましては、できるだけ妥当な方途を見つけたいと努力しておるわけであります。
  24. 藤田義光

    藤田委員 御答弁趣旨は一応了承しますが、自転車競技法の第一条の目的を達成するための金ならば、これは当初予算で大蔵省から強引にとるべきであつて、実は二十九年度地方財政計画にはつきり入れておるのです。それだけの金をまた引揚げられますと、地方財政計画にひびが入りまして、非常な問題を起すと思う。これはあなたが通産省的な感覚で計画されましても、われわれ地方自治体の財政審議する委員会としましては、絶対実現の可能性はない、こういうふうに私確信しておりますから、どうぞ善処願いたい。
  25. 加藤精三

    加藤(精)委員 現在のわが国地方行政の最大の弊害の一つは、府県がその委託されたところの行政を実施するのに、府県財源がないときには市町村に寄付を申しつける。市町村が当然やるべき業務について、財源がないときには、PTAとか、あるいは任意団体をつくつて負担をさせるとか、そういうような弊風が至るところにあるのであります。そういうことは国としても取締らなければなりませんのにかかわらず、国が財源が少いことに籍口して、地方団体に寄付を申しつけて仕事をするというようなことは、もう何のことだが、まさにあきれたさたであります。それを聞くところによりますと、国会議員の一部やあるいは政府の一部が関係しているのじやないかという疑いがありますが、そういうあきれたことを計画しているということは、まことに嘆かわしいことなのであります。  次に、私自身のことを申し上げまして恐縮でございますが、約三十年間この地方自治の関係の業務をやつているのでありますが、法律でもつて、強力な手段でもつて地方団体から財源を吸い上げて民間団体に持つて来て、それで政府の当然やるべき助成の代行をやらせるなんという制度は、いまだかつて私は見たことがないのであります。わが国の地方自治、地方財政の歴史に一大悪例をつくるものであります。かかる方法をとることは、地方財政の秩序を紊乱させることのはなはだしいものでありまして、地方自治法、地方財政法その他の法律に照らしましても、まことにその精神を蹂躪するものであります。かかる暴挙をあえてすることは、おそらくないだろうとは思いますけれども、通産御当局におかれましても、通産省の行政を運営するためには、いかなる乱暴な手段をも顧みないということのないように十分御留意を願いたい、こういう意見でございますが、これに対する通産省側の御意見を承りたいと思います。
  26. 古池信三

    ○古池政府委員 ただいま御質疑のございましたような乱暴な措置をとることは、どの場合でもよくないと私は考えます。やはりあくまで妥当な措置でなくてはいかぬと思うのであります。そこで、あの法律ははつきりと第一条にその目的を示しているのであります。その目的が二つあつて、その一つの、地方財政のための増収も非常に大きな目的でありまして、ぜひそれも実現させなければならぬと思います。それともう一つの目的でありますところの、それによつて自転車の振興をはかろう、そしてわが国の輸出産業を増進させて、国の産業経済の発展をはかつて行く、こういう目的も非常に大切な目的である。でありますから、この両者の目的を適当に調整をして、両方とも満足して行くような、乱暴でない方法がないかというので今苦心をして努力しているような次第であります。
  27. 加藤精三

    加藤(精)委員 ただいまの政府委員の御答弁によりますと、通産省は、地方団体から金を吸い上げて民間会社に持つて来て、それを政府代行の助成のようなことをするトンネル会社のようなものをつくることを、まだ考えておられるようでありますが、はたしてそうであるかどうかをお尋ねいたします。
  28. 古池信三

    ○古池政府委員 私の申し上げましたのは、自転車競技法第一条の趣旨を尊重して行きたいということを申し上げたのであります。
  29. 西村力弥

    西村(力)委員 自転車競技法ですか、その法律には、確かにこの法律でもつて地方団体財政をゆたかにするということと、それからその工業の発展をはかるということはありますが、法律の条文がどうあろうとも、競輪と自転車工業振興と直接関連があるということは考えられない。競馬ですと、確かに馬匹の改良になるでしよう。例をとつて言えば、ドツグ・レース法案というものが考えられている。ドツグ・レース法案をやつて行けば機関車の改良になる。それは犬公を走らせるときに、機関車の前にうさぎをぶら下げて走らせると、犬はうさきがほしいから走る、それで機関車の改良になるというようなりくつと似ているのでありまして、牽強附会の解釈であると思います。それでありますから、自転車工業の振興をはかるということであつても、それを厖大な財政的なものによつて、その振興をはからなければならぬというほどの関連性を持つていないと私は考えるのであります。これは自転車の品評会を政府主催でやつて、賞牌をやり、それを張りつけていても十分に振興の目的を果しているということになるのでありまして、財政的なものを大きくとらなければ振興にならぬという考え方は、私は納得が行かぬ。この条文第一条そのものからしましても、これは地方財政にほとんど大部分が使用せられて、あとの振興の方には、ごく少額のもので、名誉的なものによつて奨励されて行くのが妥当であると私は考えるのです。そういう立場からしまして、今までの競技法の第一条をとられましての理由については私は納得できない、それでありますので、そういうことをやられる場合は、たとい議員立法でありましても、皆さんがそれに対するサゼスチヨンをやつて行くだろうと思いますが、それだけに、これだけの二十二億なら二十二億という赤字が、地方財政に出るというのですから、それが出ないように皆さんが善後措置を講ぜられてやるべきである。そういうはつきりした立場をとられ、また自治庁長官はそういうことが通るときに、たとい議員立法であろうとも、通産当局との連繋のもとに、そういう財政的な裏づけができない限り、この法律制定は困るというぐあいにして、その見通しの立つまでは阻止される、こういう立場をとられるか、御答弁を願いたい。
  30. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 私が考えておりますことは先ほど申し上げた通りでありまして、地方財政というものの立場からも、それから自治体がそういうことを義務づけられるということは、自治体の性格からもおかしいことでありまして、そういうことはとうてい考えられないと考えております。
  31. 古池信三

    ○古池政府委員 ただいまお話がございました点は一応ごもつともにも存じますが、数字から申しますと、二十二億という地方財政収入は十分確保されるのであります。なおそれ以上確保されるのでありますが、私どもの希望いたします点は、従来自転車産業に与えられておつた程度の金額は、何とか与えてもらうようにできないか、こういうことでございまして、それ以上のことを何も考えておるわけではなく、また、今まで地方財政の方で収入されておつた額は、当然これは確保せられるべきであり、またそれ以上今後の増収が見込まれますので、その分も地方財政の方の収入として入つて行くことは、これはもう当然のことと考えております。
  32. 西村力弥

    西村(力)委員 今の御答弁、これは自治庁当局もその通り納得せられるかどうか。これははつきり今度は納めないのだから、その分だけは財政計画の中に収入としてぶち込んでおるのですが、それを新しく出して行つても穴が明かないという今の御答弁ですけれども自治庁当局もそのようにお考えですか。
  33. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 これはこれの収入だけじやなしに、大体財源として見込んでおりますものというのは、それは最終的にとつてみないとどれだけとれるかということはわからないのでありまして、私どもはあの収入は二十二億という考え方財政的な計画を立てておるわけでありまして、通産側にもつととれるという御意向のあるようには話は聞いておりますけれども、私どもはそういうものの考え方はいたしておりません。
  34. 北山愛郎

    北山委員 私もこの問題はよく調べておりませんが、実は変な、納得のできない感じがする。なぜかというと、この国庫納付金制度というものを今までやつた。それは今お話の自転車産業振興のために、その財源として政府が納付をさせて、それでもつて振興をはかつてつたのじやないかと思うのです。従いましてこの納付金制度というものを、少くとも政府の意思としてやめた以上は、これから先はこのような納付金とかそういうようなものにはたよらないで、別な財源によつて自転車産業振興をはかるという決意のもとに、この納付金制度をやめたのじやないかと思うのです。そうでないとりくつに合わない。それをこういうことをしておいて、納付金制度をやめておいて、今度は金が余るであろうから少しずつその金を出させる、それも自発的に出すというのならば別ですが、法律でもつてそのような分担金を出させるというようなことでは、まるきり前後が撞着しておる。もしもほんとうに自転車産業の自転車競技法ですか、それの第一条の趣旨を貫徹なさるのならば、このような納付金制度というものをやめる前にお考えにならなければならぬ。一旦やつてしまつてから、まだこれに恋々たる未練を持つということは、りくつに合わないと思うのです。これはやはり別途の方法で自転車産業振興をはかるべきである。従いまして、もしもその競技法の第一条というものはまだ尊重しなければならぬとお考えになるならば、それはその法律の方を直した方がむしろ筋が通るのであります。私はどろもそういうふうに考えるのが常識的じやないかと思うので、先ほど来の御答弁にはどうしても納得ができないのですが、ひとつその点を明らかにしていただきたいのであります。
  35. 古池信三

    ○古池政府委員 ただいまのお説は、私まことにごもつともに存じます。確かに形式的に言えば、この予算の面において、はつきり国庫納付金は削られたのでありますから、これに見合うべき補助金も出さぬでもいいじやないかということは、話の筋として私まことにごもつともに存じますが、また一方われわれの立場から言えば、やはり何とかこの競輪収入を自転車産業振興に出したいという気持を持つておるものですから、率直にそういうことを申し述べたのであります。
  36. 加藤精三

    加藤(精)委員 実はこの問題につきましては、大蔵省から補助金を出せば、それで用の済むことで、それを何もトンネル会社みたいな変なものをつくつて地方団体の業務でないようなことにまで支出させるというような、とんでもない見当違い、心得違いなことを考える必要はないのです。しかもこの地方財政計画との関連でございますが、私与党の政務調査会や総務会等の際に、どうも地方財政の規模並びに財源が少な過ぎると言うて大いに主張したところが、大蔵省の正示主計局次長から、君は知らないのだ、今度競輪等の国庫納金も全部納めなくてよいことになるし、それまで財源は十分やつてあるのだから、かれこれやかましいことを言うなとまで言われた。ところが今度それからまた吸い上げるというに至つては、これははなはだどうもおかしいことだ、こう思つておる。これはどうも偶然にも与党と政府の間のこれを言つたようで、たいへん悪いのでありますが、これは超党派的な問題でありまして、こういうことがあるから国政の不信ということになるので、私はこういうことを言つてもさしつかえないと思つておるのですが、はなはだけしからぬと思う。これはたとえば町村合併促進法の審議にあたつても、愛知通産大臣、当時の大蔵政務次官は、今度合併関係の町村の優先助成のために、一般町村の助成金等が少くならぬように、必ずわく外の補助の予算をとつて置くと言つて、ここの委員会において確実に約束せられたのにかかわらず、今回はその何らの措置もしてない。大体国会の審議にあたつては、誠実、真実の原則によつて処置しなければならぬと思うのであります。しかるに、そうしたいきさつを見てもわかるように、せつかく国庫納付金の廃止によつて、乏しい財源に若干の寄与をしよう、そうして地方財政に一つのともし火を与えてやるのだといつておきながら、途中でそのともし火を消してしまうようなことをしている。こういうふうなことは政府は、国会の常任委員会においては厳に慎んでいただきたい、こういう熱烈な希望を持つております。この点を通産省の政府委員におかれては十分に認識せられて、お帰りになつたら政府部内にもその旨を侵透さしていただきたい、こういう希望でございますが、そういうふうな心構えを持つていただけるかどうか、ひとつお尋ねをします。
  37. 古池信三

    ○古池政府委員 私このこまかい数字的なことは、地方財政全体の問題としては詳細に存じていないのでありますけれども、ただいまお話のように、地方財政を堅実なものにして行かなくちやならぬ、このためには政府も協力をしてやるべきであるという御趣旨にはまつたく同感であります。(「トンネル会社が悪いのだ」と呼ぶ者あり)トンネル会社とおつしやいますが、これはそういう案も一つある。会社かどうか知りませんが、そういうふうな団体をつくつてつたらどうかというふうな案もあるということを聞いております。しかしこれは何も法案として提出されたものではありません。ただいまのあなたの御意見は十分に承つておきます。
  38. 門司亮

    門司委員 さつきの北山君の意見に関連してお伺いしたい。私は北山君の意見は当然だと思うのです。政府国庫納付金を予算の面から落すのなら、当然そのように法律を直すべきだ。法律を直してないものだから、いろいろうわさされておるような問題が必然的に起つて来るんだと私は思う。これは悪く言えば、政府の予算技術の問題であつて、あれを入れて置くとどうも一兆を越えるもんだから、あれをはずして一兆を越えないようにした、そういう予算技術の問題が今度の予算編成の中には、方々にずつと現われて来ておる。このために地方財政は非常に迷惑している。ガソリンの譲与税のようなものも四十八億だけはちやんとひもをつけておきながら、これを地方に出しておる。そうして何とかして一兆円予算を堅持しようという無理がこういうところに現われている。だからあなたの方では、国庫納付金というものは、全部いらないんだという最初からの腹でああいうことをおやりになつたかどうか、この点をはつきり聞かしていただきたい。未練があつて法律改正すると全部とられてしまうことになるものだから、法律だけは置いておいて、何とか多少でも自転車振興費をとりたいというようなことがあつたのじやないでしようか。その点をひとつはつきりさしておいてください。そうしなければわれわれの態度をきめるのに困りますから……。
  39. 古池信三

    ○古池政府委員 ただいまのお尋ねでございますが、国庫納付金の予算を削つたのはどういう理由で削つたか、これは大蔵省の所管でございまして、私は責任をもつて答弁を申し上げかねます。ただ今まで大体二十億程度の金を国庫に納付いたしまして、そのうちから、正確な数字はちよつと覚えておりませんが、大体六億程度自転車振興のために支出をされておつたのであります。でありますから今回二十億程度の納付金はなくなつたが、それだけ結局地方財政の方には寄与しておるわけでございます。従つて従来の六億程度は、やはり出してもらいたいという気持は、その当時からも持つてつたわけでありまして、今御指摘なつたような予算技術の面におきましては、決して上手な方法じやなかつたというふうに私自身は考えております。しかしまた大蔵省大蔵省としてのお考えがあるかと思います。
  40. 門司亮

    門司委員 そうすると、念を押して聞いておきますが、今の御答弁からいたしますと、自転車振興のためにだけ使いたいということに解釈しておいていいのですか。私不幸にして資料を一切置いて来たのですが、資料を見ればよくわかると思いますけれども地方財政には二十二億くらいしか見ていない。実際は、この自転車だけでなく、ほかのオート・レースだとかいろいろなものを入れて考えますと、三十八億くらいあるようになつておりませんか。そこでこの残りだけをもらいたいということが、おそらく会社か何かしらないかとにかく法人をこしらえて、そこにまとめようという、それにはいろいろな機械振興をともにはかるということで拡大されているように私は聞いている。従つて自転車競技だけを考えて行けば今の次官のお話のように、自転車振興に必要なだけあればいいとあなたの方でお考えだというように、はつきり解釈しておいてよろしゆうございますか。
  41. 古池信三

    ○古池政府委員 自転車競技法が一番代表的なものでありますので、これについて申し上げたのですが、このほかに小型自動車だとか、モーターボートなどの競技もあります。しかしこれらは金額的に見ました場合には、自転車競技に比べてずつと少いと思いますから、一つの代表としてこれを申し上げたのであります。
  42. 中井一夫

    中井委員長 通産省関係については、この程度で御質疑はよろしゆうございますか。——それではこの程度で終了いたします。ただ委員会の各委員からの御発言につきましては、特に通産大臣に十分にその意を伝えられんことを希望いたしておきます。     —————————————
  43. 中井一夫

    中井委員長 それでは第三章市町村の普通税、第一節市町村民税から質疑を開始いたします。北山委員
  44. 北山愛郎

    北山委員 市町村民税についてお尋ねをいたします。市町村民税のみならず、ほかの今年度地方税でもそうでございますが、税の見積りというものが過大じやないか、いわゆる自然増を多く見積つているのじやないかと思うのであります。今度、市町村民税の一部の約三割というものを道府県の方にさいて、道府県民税というものを創設するのでありますが、その道府県民税の方の見積額は百六十九億、ところがそれと同額のものが市町村民税において減るかというとそうではなくて、八十一億しか減つておらない、それは、そこに八十数億の自然増を見ておるのではないかと思うのであります。そこでお尋ねをしますが、昨年の十一月だつたと思うのですが、政府が今度の中央及び地方の税制をおきめになる基礎になつた税制調査会の報告でございますが、それとこの税の見積りについて非常に開きがあるのであります。たしか税制調査会の方の二十九年度の市町村民税の見積りを、現行法のままやりますと、八百二十八億であります。ところが政府の案によりますと、現行法のままの自然増収を見込んで八百八十二億というように、両者の間に非常な開きがあるのであります。この前の委員会でたしか御答弁があつたはずでありますが、税制調査会の見積りの方はむしろ時期が少し早いので、新年度、二十九年度の経済活動なりあるいは国民所得というものを、割合高く見ておるのだというようなお話もあつたのでございますが、しかしそれならば税制調査会の見積りの方が高くならなければならぬ、政府の案の方が低くなければならぬ、ところが逆に今申し上げたように、政府の方が八百八十二億で、税制調査会の方がずつと低く、八百二十八億というような市町村民税の見積りでございます。どうしてこういうような開きが出たのか、これを市町村民税のみならず、すべての市町村税について考えますと、両者の開きは約二百億もあるのであります。要するに政府の方が市町村税をよけいに見積つておるのではないか、ことに市町村民税と固定資産税においてそれがひどいのでございますが、それらの点について御説明を伺いたいのであります。
  45. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 第一点は、府県民税で百六十九億の増収を見込んでおきながら、市町村民税の減収を八十一億円しか見ていないじやないかということのようでございます。これは少し違つておるのでありまして、市町村民税の減収とおつしやつております八十一億七百万円と、それから現行法で行つた場合の増収額九十二億三千二百万円とを足していただきました百七十三億円の減収を見込んでおるわけであります。市町村民税は百七十三億を減収するが、府県民税は百六十九億を増収するというわけであります。従いまして差額で四億円くらい、府県民税をつくることによりまして減収を生じて参るわけでございます。もちろんこれは実質的の減収じやなしに、翌年度へずれて行くだけのことでございます。  第二は、地方制度調査会のときと比べて自然増収を多く見ておるという御意見でございます。これにつきましては当時はまだ二十八年分の所得額なり所得税額なりを、はつきりつかんでなかつたわけなのでありますけれども、この立案をいたしますころに、大蔵省の方で二十八年の実績見込を立てて参りました。ところがそのころよりはだんだんと多くなつて来たわけであります。市町村民税の中の個人分は、もつぱら前年度所得を課税標準に用いて行くわけでございますので、それらの数字が固まつて来たにつれまして、計算をし直しました結果、このような数字になつて参つたわけであります。法人税割の方、大蔵省が二十九年度の法人税の見込み額として予算に計上しております額を基礎にして、算定をいたして参つておるわけであります。
  46. 北山愛郎

    北山委員 どうも市町村民税についてのただいまの御説明は、ちよつと納得が行かないのであります。なぜならば固定資産税についても、実は同じように税制調査会の見積りよりは政府案の見積りがずつと多い。税制調査会の方は二十九年度の見積りが八百七十九億になるが、政府案によりますと、現行法で行くと九百九十九億、約一千億の固定資産税がとれるということになつております。固定資産税の方はただいまお説のようなことにはならないのでありますから、結局土地の値上りとかそういうものをいかように見込むかということによつて出て来るのじやないか。そこにおいて結局市町村民税につきましても、あるいは固定資産税についても、どうも政府案においては今お話のあつた理由以外に見積りをよけいに見ておるのじやないかというような気がいたしますが、その点再度お答えが願いたいのであります。
  47. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 御疑問にされます点、まことにごもつともだと思つております。ただ地方制度調査会の当時におきましては、宅地の値上り倍数なども正確につかんでいなかつたのでありますが、勧銀で調べましたのを基礎にしてはじき直して参りますと、さきにこれらの固定資産税の見込みを立てました基礎を印刷いたしましてお配りいたしたわけでございますけれども、それらをごらんいただきましたらおわかりになるような経過から、あのような見積りをいたして参つております。ただ固定資産税で増収額を百七十九億も見ている。しかしこの中にはたとえば家屋の新築分によります増収が二十五億ございますし、それから新しい償却資産によります増収が三十九億入つておるわけであります。これは自然増収と言いますよりも、新たに課税対象が加わつてつたわけでありまして、この家屋の新築分と償却資産の新規取得分だけで六十四億に近いものも入つておりますので、その点も御了承願いたいと思います。
  48. 北山愛郎

    北山委員 次に市町村民税の一部、約三分の一というものが都道府県の方へ移る。これをわける場合に、個人についての市町村民税については約四分の一、法人税割の方は五分の二を都道府県の方へわけるようなかつこうになつておるようでございますが、これはどういうふうな理由でございましようか、お伺いいたします。
  49. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 府県民税を設けます場合に、個人と法人とをどう考えて行くか、これが根本の問題としてあるわけであります。この場合にやはり個人も法人もまつたく同じように考えようじやないか、そういう意味において、個人からは所得税の五%を所得割で納めてもらう、同じように法人からは法人税額の五%を法人税割として納めてもらおうじやないか、こういう考え方をとつたわけであります。市町村民税につきましても、所得税額の一八%なら、法人税額も一八%でいいのじやないか、こういう考え方も実はあり得るわけなのであります。しかしながら現在それはすでに違つておりますので、府県民税の場合には大同小異なものだから、むしろこの考え方を徹底した方がいいのじやないか、こういうことから、法人税額の五%をもつて府県民税の場合の法人税割の標準税率と定めたわけであります。その結果は個人所得割の移譲額よりも法人税割の移譲額の方が若干多くなるわけであります。多くなつた方が、むしろこのような年度間の安定を欠いております収入であるだけにこれを大規模団体に移して、その穴埋めを比較的安定したタバコ消費税のようなもので埋めて行きたい、かような考え方をとつたわけであります。
  50. 北山愛郎

    北山委員 この要綱の、今度の規定の二百九十二条でありますが、これに「市町村民税を非課税とされる寡婦の範囲を所得税法における寡婦の範囲と同一とするものとすること。」というように書いてあります。たしか十万円以上の所得があればこれは非課税の範囲からのけられてしまうということになつておるはずでありますが、全国の未亡人の団体におきましては、この範囲をもう少し広げてもらいたい、せめて二十万円にしてもらいたいというような要望も強くあるようでございます。そこでその事情につきましては、私どもが特に申し上げるまでもないことだと存じますが、地方税について地方団体にそのような弾力性、若干の裁量の余地を与えるというような方法でもつて今の要望に沿うことができないかどうか、その点についてどういうふうにお考えになつたかをお聞きいたします。
  51. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 おつしやいました問題につきましてもいろいろ考えたのでございますが、御指摘になりましたように、市町村によりましては若干違つた扱いをしておるところも現にあります。これはやはり市町村が特別の判断をそういう気の毒な方々に向けるということとは、何らさしつかえないという考え方をとつております。ただ基本的には、ここまでは課税をしてはいけないのだという線だけをきめておるわけでありまして、市町村が適宜にさらに軽減の措置をとりますこと、たとえば扶養親族の多い者について若干別の軽減の措置を加えておるところもあるのと同じように考えております。
  52. 北山愛郎

    北山委員 最後に一点。これは毎回問題になるわけでありますが、源泉所得者の課税、これは所得税でもそうでありますが、いわる勤労所得者に対する所得税あるいは市町村民税等が非常に不利であるということは今まで再再問題になつたところであります。私どもも昨年の地方税法改正の際には、何とかしてこの不均衡を是正したいというわけで修正案を出したのでありますが、遂にそれは通りませんでしたけれども、その実態についてはおそらく自治庁においてもよく御存じだろうと思います。なぜ今回の改正の際におきましてその是正の措置をおとりにならなかつたのか、何とか方法を講ずる余地があつたのではないか、かように考えるものでありますが、その点についてその経緯あるいはお考え、今後の措置とか、そういう点について御見解を承りたいのであります。
  53. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 北山さんの考え方は個人的にはまつたく同感であります。ただ現在の所得決定の場合にあたりまして、給与生活者であります場合は的確に把握できる、事業所得の場合におきましてはその点がかなりむずかしいものだろうと思つております。ことに記帳が十分に行われておらない事業の関係におきましては、その関係が一層強いだろうと思います。これらの一つの原因といたしましては、事業税が非常に高いものだから、他に事業税の負担を控えておりますだけに納税者側の抵抗が非常に強い、こういう考え方もあると同時に、やはり所得税そのものが非常に高いということもあろうと思います。この点につきましては今回思い切つて個人事業税の税率を引下げるという方法をとつておりますので、漸次是正されて来るのじやないかというような期待をわれわれとしては持つております。  第二に、それでは市町村民税の場合の所得というものと、国の所得決定とを異にしてよいかどうか、これは納税者の立場から見て行きますと、両方から調査されて行くことになつて参りますし、また所得というものが二つあるということは国の制度としてはおもしろくない、こういうような考え方も持つておりますので、これはやはり国のとつております所得を正確なものに持つて行くよりいたし方がないのじやなかろうか、かような考え方を持つのであります。従いまして今回の地方税法改正案におきましては、国と府県と市町村とが密接に協力して行けるような形というものを若干挿入しているわけでございますが、この面におきましても今後若干是正されて行く点が出て来るのではないだろうかというふうに思つております。  第三には、勤労控除をもつとふやしたらいいじやないかというような問題も出て来るのではないかと思います。これは国税当局とも実はいろいろ話合いをしておつたわけでありますが、結果におきましては、今回のような予算一成の軽緯から見まして、所得税の軽減がそれほど行われないということになつて、十分じやございませんけれども、これはやはり将来におきましてなお問題として残つて行くことじやなかろうかと思つております。  第四に給与生活者と事業所得者の税の負担を考えて行きます場合には、そのほかに事業税等の負担も一緒に合せて比較して行かなければいたし方ないのではないかというふうに思つておるわけであります。総体的には御意見の点は将来におきましても十分研究、努力をして行かなければならないと考えております。
  54. 門司亮

    門司委員 この法案に基いて少し聞いておきたいと思います。この前の委員会でも申し上げましたように、道府県民税を創設するということに、一応なつておりますので、この場合に聞いておきたいと思いますことは、道府県民税を創設するということになると、現在の市町村民税の徴税の仕方は、前年度所得のあつた人にみな人頭割みたいなものをかけて来るのだが、この際道府県民税をこの中に含ませるということになれば、勢い世帯主に限つた方がいいのではないかというような考え方をするのですが、その点のお考えはどうなんですか。
  55. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 これはいろいろな角度から考えなければならないと思うのでありますけれども道府県民税を創設するにあたりましては、道府県の住民である以上は、広く負担を分担してもらいまして、道府県の行政に対する関心を強く持つてもらいたい、かような考え方に立つておりますので、納税の主体も、世帯主だけでなしに、もう少し広く持つてもらつた方がいいのではないかというふうな考え方を持つております。     〔委員長退席、西村(力)委員長代理着席〕
  56. 門司亮

    門司委員 この税の性格は、一番強い応益税の性格を持つておりますので、従いまして応益税の原則におきまして、市町村民税である限りにおきましては、同じように村に住んでおる、町に住んでおるということで、われわれは必ずしもそれがいいとは思いませんが、まあ納得するといたしましても、県全体ということになつて参りますと、やはり負担分任の関係があるからという理由で、これを全部に推し広げることは私はどうかと考えるので、やはり道府県民税の場合は世帯主に限つた方がいいのではないか。道府県民税を創設する場合には、やはり市町村民税をそういうふうに直した方がいいのではないかという考え方を持つております。それからもう一つ、その次に聞いておきたいと思いますことは、この前の委員会でも話しましたように、現行七百円のものが六百円になり、五百円のものが四百円になり、三百円のものが二百円に、県にとられるだけというか、県に移譲しただけがずつと人頭割が減つて来る。そういたしますと、その次の制限税率ではどうなつているかと申しますと、改正された法律を見ますと、人口五十万以上の現行制限税率九百円のところは八百円になつておる。現行制限税率が六百五十円のところは五百五十円になつて、いずれも制限税率は百円下げております。ところが一番財政の困難であろうと考えられるいわゆる五万以下の市町村の制限税率というものが、現行四百円であつたものを三百円に押えておる。従つて標準税率はあるが、制限税率との間にやはり百円しか開きを持つておらないということになる。このことはわれわれから考えて参りますと、一方においては今までの大都市の七百円のところが百円をとられ、さらに五百円のところが百円をとられておる。そうして三百円のところも百円をとられて二百円に下げられておる。従つて一律に百円ずつ引きましたことのために一番大きく被害を受けるところは、結局五万以下の市町村であるということには間違いないのである。そういたしますと、ここに標準税率の百円がやはり同じように制限税率の場合も書かれておるということになつて参りますと、勢い財政が苦しくなつて参りまする関係から、五万以下の市町村はほとんどと言つていいほど制限税率一ぱいこの税金をとりはしないかと考える。そうするとどうしても貧弱な町村の住民は今までよりも百円よけいに負担するという形が私は必ず出て来はしないかと思う。従つてもし、市町村民税の修正をしようとするなら、やはり何らか住民の負担にならないような道を講じておかないと、政府の説明では大体負担のふえないようにしたいというお話でありますが、現実にはそれが必ずふえて来ると思う。この点について自治庁は何らかの処置をされる御意思があるかどうか。
  57. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 この前もお答え申し上げた通りでありますが、門司さんの御意見ごもつともな御意見であると思つております。ただ他の面からも配慮いたしまして、このような措置をとつたわけであります。府県が増税をしようといたします場合には、自治庁長官への届出義務を課しているわけでありまして、こちらの面から市町村の税源を浸蝕して行くということはまずないと思つております。市町村民の均等割は御指摘通り標準税率も制限税率も一律に百円ずつ引下げております。ただこの間も申し上げたことでありますけれども、人口一万のところで納税義務者というのは大体二千五百人くらいのものじやなかろうか。そうすると百円の金額がちようど二十五万円くらいに当つているわけであります。これでほかに税源がないのなら格別でありますが、タバコ消費税等も別途に設けるわけでありますので、均等割に特にしわが寄つて行くということは、均等割の性格からいいましても、また今日のような民主化の段階におきまして、なかなか容易にできぬことじやないだろうか。また私たちといたしましても、容易な均等割の増収を求めるような方向に持つて行くようなことは、できるだけ避けさせて行きたいというふうな考え方を持つているわけであります。
  58. 門司亮

    門司委員 これは均等割だけではございません。やはり所得の方にもこの比例は同じようにかかつて来ると思う。だから現在は比率を直しましたから、必ず本年やるとは私は言いませんが、オプシヨン・ワンをとつている大都市におきましてもやはりオプシヨン・ツーの税相当額まで上げることができるようになつているわけでありますから、やはり勢いそこで増徴して来る。さらに今オプシヨン・ツーでとつているところはオプシヨン・スリーに持つて行つて必ず増税するということになると思う。ただ今のように人口一万のところでわずかに二十五万円くらいだといつても、小さいところはそれだけ損なんです。その打撃は大きいのです。それは東京都のように一千億という予算、国家予算の十分の一という大きな予算を組んでいるところなら、多少削られてもあるいは大した問題は起らないかもしれない。予算の大きいところになれば、その比率というものは割に軽くなつて来るのである。ところが小さな予算を組んでいるところは、わずか二十五万円ばかりならいいという筋合いのものじやないと思う。おそらく町村の二十五万円という数字は、かなり大きなウエートを占めていると思う。だからそういう面から言うと、役人のものの考え方で頭から二十五万円くらいのものはどつちでもいいじやないかという考え方だとすると、町村はかなわぬ。上げたくても事実上上げることのできない町村があると思う。上げることはけしからぬと文句を言つているようですけれども、上げられるところはまだいいのであつて、事実上上げることのできないような貧弱な町村があると思う。そういたしますと、そういうところはどうしてもそれだけ財政の中に食い込んで来るのであつて、タバコ消費税その他をやるからいいというりくつは成り立たない。タバコ消費税をもらうから片方の税金を少くするというりくつは、地方財政にはちつとも役立つていない。今日タバコ消費税を地方に移譲して行くということは、主として地方財政のプラスのためにやつているのであつて、差引同じになるなら何もそんなことはしなくてもいいと思う。従つて私のもう一つ聞いておきたいと思いますことは、自治庁としてはそういう処置を——はつきり言いますと、従来の市町村民税以上の徴税に対しては、何らかの通牒でこれを抑制されるようなお考えはあるかどうかということです。このままの法律が施行されると私は必ず増徴が行われるにきまつていると考える。これは住民の納める税金でありますから、増徴が容易に行われるということは、あまりいい形であはりませんし、政府の説明の中にも、県民税を創設しても住民の負担は加重されないという意味のことが書いてあるのであつて、その趣旨がほんとうであるとするならば、住民の負担のふえないような処置をとつてもらわなければならぬ。従つてこの処置をいかようにとられるかということを、もう一度ひとつ御答弁を願いたいと思います。
  59. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 御指摘の点はまことにごもつともな点があるわけでございまして、この改正案におきましても、道府県民税税率のところには、標準税率と異なる率を定めようとする場合には、あらかじめ自治庁長官に届け出なければならない、こういうようにいたしたわけであります。それは自治庁長官がその届出を受けました場合には、はたしてそういうふうにしなければならない積極的な理由があるかどうか、またそういうことにすることが、住民の負担の上から行つて妥当性を持つておるものであるかどうかということを、地方財政審議会等と十分協議をいたしました上、何らかの必要な意見を述べるということによつて、これを調整をいたすつもりでおるのであります。そういう意味で届出事項にいたしておるわけでありまして、また立法の趣旨といたしましても、先ほど指摘のございましたように、両税を設けることによりまして新たなる負担をこの際生ぜしめるということが趣旨ではないわけでありますから、御指摘の点は、自治庁としても運用上十分留意いたしたいと考える次第であります。
  60. 門司亮

    門司委員 それからもう一つ聞いておきたいと思いますことは、さつきの北山君の質問の中にちよつとありましたが、例の法人税割と所得割税率関係であります。あれはやはり百分の十八というふうに上げるわけに行きませんか。個人と同じような率にそろえるというわけに行きませんか。これを私が聞いておりますのは、国税の法人があるという意見もあるようですけれども国税国税であつて、たとえばここでいろいろ府県税で問題になつておりましたような事業税のような場合も、やはり法人が割安ということをたびたび言われておるが、地方税についても、どうも法人の方を優遇し過ぎるということが現われて来ていやしないか。従つて市町村民税ぐらいは個人と同じように百分の十八くらいまで上げて行つたらどうか。これは国民感情の上から行つてもいいのじやないかと思うのですが、これはどうしても上げられないという理由がほかにありますか。
  61. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 法人税割と所得割とを同じような税率にして、両方に同じように課税することにいたしたらどうかという点は、確かに一つの見解と思うのであります。当初法人税割がなかつたものを、その後国会の御修正によりまして法人税割が市町村民税の中に新しく加わつてつたというような経緯にかんがみましても、法人と一般の個人との間に、市町村民税としては同じような負担要求するということも、その面から申しますれば、一つの考え方と思いますけれども、結局において、法人の所得になりましたものは、最後に個人の段階において再びそれが課税をせられる機会があるわけでございます。そういう観点から申しますと、すでに法人税の方に対して同率の税率を課するということはいかがなものかというふうに考えるのであります。これは当初修正をせられまする際におきましても、個人の百分の十八に対して百分の十五というような制限税率を設けられたこともあつたわけでございます。いやしくも市町村民税として、非常に巨大なる会社があるというようなところで非常に高率の税率をとるということになりますと、税の偏在と申し百ますか、そういうようなことも一面考えられるわけでございまして、従つて今回はそれを若干分割いたしますことによつて。ある程度そういう意味の弊害は是正せられることになるのであります。しかし反面法人税割に非常に多く期待するということになりますと、法人税収が年度間非常に大きな変動を生ずるということもありまして、いわゆる安定性の面から申しますと、個人の場合に比しますと、地方財政のような伸縮性のないものにつきましては、若干疑問もあるわけであります。そういうようにかれこれ考えまして、法人税割につきましては、かれてより若干の税率の差等を設けているわけでございまして、かような差等の方式は、今日の段階ではやはり維持して行つた方がいいじやないかというふうに考えて、かようなことにいたしているわけでございます。
  62. 加藤精三

    加藤(精)委員 この法人事業税の課税標準の総額の分割問題について、私どもといたしましては、金融業等について今度新しい制度をつくつてくださつたことは、非常に恵まれない府県に住所を持つておる者にとつては感謝しているのでありますが、法人税割の課税標準の総額の分配についても、何らか考えられないかどうかということをお尋ねいたしたい。
  63. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 法人税割の課税標準額の分割につきましても研究はしてみたのでありますが、何分関係地方団体が非常に多いものでありますので、特定の業態を選びましても、まだ関係地方団体が非常に多くなつて参るわけであります。従いまして、若干の事業についてだけ、特別な課税標準を用いるということは、かなり煩瑣な手続になつて参るじやないだろうかということを懸念いたしたわけであります。もう一つは、事業税とは違いまして、市町村民税あるいは府県民税ということになつて参りますと、一種の応能的な税金でございまして、事業税は応益的な税金だ、こう言えるのであります。市町村民税、府県民税は能力を主体に考えた人税でございますので、それを中心に考えて行きますと、むしろ従業者の多いところによけい収入を与える方が、このような税の性格に合つているじやないだろうかというような考え方も持つたわけでありまして、御心配になるような方向の研究は、さらに将来に続けて参りたい、こういうふうに結論をとつたわけでございます。
  64. 加藤精三

    加藤(精)委員 その問題は、地方自治振興の問題に関連いたして大きな問題でございまして、中央の財閥が、あるいは北海道あるいは東北等にたくさんの炭鉱、鉱山、工場等を持つておりまして、そしてその工場におきましては、その購入物資もほとんどみな東京の中央から直送するというようなことで、あまり地方経済の助けにもならぬ場合が多いのでございます。それから配当はうんとする、中央では会社の重役やあるいは従業員が社用族の暮しをして、金を濫費し、しかも地方の僻陬の地にある工場、炭鉱所在地等におきましては地方の商店から購入したものの支払い等も五箇月も六箇月も延納して、地方の商人を困らせておるというような事例が非常にあるのでございまして、法人という人格が、市町村の一つの住民であるということの自覚が非常に足りないのであります。自治教育をするのに、そういう工場等があると非常に害になるので、そういう会社も地方の構成分子の一つであるという自覚をうんとつぎ込ませてもらうように、何らかの措置を講じていただきたい。機械設備等について固定資産税を納めるからいいじやないかということがおありかもしれませんけれども、そうした物的な面だけでなしに、主観的な税の方面におきましても、自治の負担を分任するという気風を促進する上にも、考えていただきたいこと、でございますし、同時にそうした炭鉱等におきましては、炭鉱の不況等の場合には教育費がいたずらにかさばりまして、税収入は非常に少いのであります。そういうことをお心得にねつて、近く改正等の機会にはこういう点を慎重に研究していただきたい、こう考えておりますが、今申しました実情をお考えくださつて、将来十分考えていただく御意思があるかどうかお聞きしたいと思います。
  65. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 ただいま御指摘になりました、事実大きな会社があります場合に、それと市町村との関係を、さらに税制の上においてももつと強い負担といいますか、強い責任を感ぜしめるような方式を考えるべきではないかという点につきましては、私どもも御見解にまつたく同感の点があるのであります。先ほども申し上げましたように、全体の経済界の情勢等との関連もございますが、しかし地方自治の立場から申しますならば、確かにお話のような点は私どもとしても研究しなければならぬ点と考えますので、将来十分考究いたしたいと思います。
  66. 中井徳次郎

    中井(徳)委員 二点だけお伺いします。あるいは御説明があつたかと思いますが、市町村民税の個人の所得割であります。これについては御案内のように三つの方法がとられておるわけでありますが、今年の地方交付税の配分につきましても、やはりオプシヨン・ワンで基本財政収入額の計算をなさるのであるかどうか、その点を伺いたい。
  67. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 その通りでございます。
  68. 中井徳次郎

    中井(徳)委員 資料を拝見いたしますと、現実にオプシヨン・ワンでとるというのは六大都市と人口二十万以上の都市ということになつておるわけであります。町村に至りましてはオプシヨン・ツーあるいはスリーということでやつておると思うのでありますが、これは特別交付税その他の場合に十分考えて、このことを計算に入れておられるかどうか伺いたい。
  69. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 今御指摘のように市町村の中でオプシヨン・ワンを使つておりますものは、六大都市と特殊な都市が例外的にあるということだけでありまして、第三に至つては、なお少いわけでありますが、平衡交付金——将来は普通交付税でありますが、普通交付税算定につきましては、今申しましたように第一方式の百分の十八というのを基準として、基準財政収入を計算するわけであります。特別平衡交付金の際におきましてもさようなことで、第二方式をとつておるから、その分だけは差引いて特別交付金の算定をするというようなことは全然考えておりません。
  70. 中井徳次郎

    中井(徳)委員 先般来北山委員がしばしば指摘いたしました県民税と市町村民税を課する場合と非常にやり方が違うというのは、結局このことであろうと私は思うのでありますが、それを調節するために、せつかく交付税という制度がある。そこでお尋ねいたしたいのは、そういう制度によつて救われて、これまではオプシヨン・ツーあるいはスリーでやつてつたのが、まあ交付税もたくさんもらつたから来年はまたひとつオプシヨン・ワンにもどろうというような非常にまじめなりつぱな市町村が全国にどのくらいあつたか、ちよつと承つておきたいと思います。
  71. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 第一方式によらないで、第二方式によります場合は、御指摘のように増収を上げようという意味合いにおいてやつておるところもございますし、また第一方式によつた場合には、所得税の納税者が少な過ぎる。少な過ぎてもそれで負担の均衡が十分とられておるならばよろしいのでございますけれども、町村住民の立場から見ました場合には、若干容易でない面もあるのであります。そういう意味であえて第二方式をとつておるところもあります。そういう関係もございますので、地方財政平衡交付金の配分を受けた結果、第二方式から第一方式に移つたという例はあまり聞いておりません。
  72. 中井徳次郎

    中井(徳)委員 この問題は私非常に重大だろうと思うのでありまして、全国の市町村長が今納税に関して一番頭を悩ましておるのは、この点であります。この点以外はほとんど一律なので、これだけが自由にまかされておる。ところが現状におきましてはその都市、その町村の特殊性というふうなものがなかなか住民にかりにくい。特に勤労者の源泉所得の場合に、すぐ隣の町や村との比較になります。これは実は非常に重要な案件となつておると思うのであります。従いましてこの三つの制度が考えようによつては幅があつて非常によいという考え方もできると思うのでありますが、現在理論的に考えまして、ほとんどもう六大都市というふうな都市に集中してしまつているという面から、この点はもう一度再検討される時期に実は来ておるのではなかろうか、かように考えておるわけであります。結局のところそれは地方交付税の絶対額によつて決定されることであろうかとも思いますが、そういう問題について、今自治庁として基本的な研究を進めておられるかどうか、ちよつとお尋ねしたい。
  73. 加藤精三

    加藤(精)委員 ちよつと関連して。私も中井委員の前段の御議論には大賛成なのでありまして、今地方税の中で個人住民税と固定資産税とが、住民の最大の苦しみの原因になつておる。ことに財政のゆたかでない市町村において、そういうことを認めるのであります。ことに控除を全然しないで、オプシヨン・ツーをとる場合にそうです。これは著しい非社会政策的な課税になつている実情にある。私も門司委員考え方と同じように、あるいは全部の市町村のうちで、人口四万ないし六万ぐらいまでの都市が、一番財政が苦しいのではないかという気がするのでありますが、それと一戸当りの反収率の少い山間僻地の農村など、そういうところではほとんど殺人的なオプシヨン・ツーの課税をやつておる。これに国として一定の強制を法律上やつた方がいいのではないかという気が、このごろするのであります。それでオプシヨン・ツーにある程度の控除はしなければいかぬ、非社会政策的でないことを保障するために、何らかの制限を設けるべきじやないかという気がしますが、この点についての御意見を承りたいと思います。自治庁にお答え願いたい。
  74. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 府県民税をつくるにあたりまして、市町村民税の所得割の課税標準を統一した方がいいんじやないだろうか、どうだろうかということは、内部でずいぶん議論をいたしました。お説のような主張もございました。しかし結論といたしまして改正案のような形にいたしておるわけであります。主として統一した方がよろしいのではないかという考え方は、府県民税をつくつて市町村間の均衡が得られておつても、特定の市町村住民と他の市町村住民を比較した場合に、必ずしも正確な均衡が得られないことになります。この点が理論的に難点だから、むしろそういう意味で統一した方がよろしいのじやないかという議論も強くあつたわけであります。結果においてはそういう方式をとらなかつたわけでありますが、個人的な見解を申し上げてたいへん恐縮なのでありますけれども、どちらかといいますと私は統一しない方がよろしいのではないか、むしろ選ぶならば第三方式が一番理論的である、こういう考え方を持つているのです。その次に第二方式がよろしい、第一方式は大都市のようなところでは所得割決定して行くことがなかなか困難だから、やむを得ず第一方式によらなければならないのであつて、どちらかといえば私は一番最後に選びたいという考え方を持つておるのであります。根本といたしまして現在国税の納税義務者は千万人内外であります。市町村民税の納税義務者は三千五万人内外であります。私はこういうことでよろしいと思つておるのであります。府県民税の納税義務者はその中間に位しているのではないか、国税の場合には思い切つて所得者は課税をしない、市町村民税になつて参りますと、もちろん非常に困つておる人に課税をすべきではございません。しかしながらなるべく広い住民に市町村民税の負担をしてもらつた方が、市町村の自治運営のためにはよろしいのではないだろうか、こういう考え方を持つておるわけであります。そういう考え方を基本に持つておるわけなのでありますが、加藤さんの御指摘になりましたように、第二方式の課税、総所得金額の場合に、但し書をむやみに使い過ぎているのではないだろうか、こういう御非難がございましたが、私も同じような気持を持つております。ただそれでは但書を使わないで、国の課税、総所得金額をそのまま持つて行つていいだろうかどうかという問題になつて来ますと、国の場合にはいろいろな政策的な配慮がそこに加えられて参りますし、またそうすべきだと思います。しかし市町村民税の場合を考えてみましたときには、社会保険診療というものを相当控除している、生命保険に入つていれば、これをどんどん控除して行く、こういういろいろな社会政策的な配慮を国税と同じように、市町村民税にあつても考慮してよろしいだろうかどうだろうかということになつて参りますと、市町村民相互間において必ずしも納得しがたくなるのではないか、扶養控除になつて参りますと、大体同じような考え方でよろしいと思うのでありますけれども、それ以上の政策的な控除になつて参りますと、多少問題が起つて来るのじやないだろうかというふうに思つておるのでありまして、根本的には加藤さんと同じような考え方に立つておるわけであります。
  75. 中井徳次郎

    中井(徳)委員 御意見よくわかるのであります。わかるのでありますが、そういう個々の具体的な問題を離れて大きく日本全体として見ますと、この面だけでも現われておるわけでありますが、大都市に行けば税金が安い。それから町村や小さな市であれば税が高いということが、日本の現在の都市集中の傾向に実はますます拍車をかけておるというふうな、私は大きな政治的な感じがしてしかたがないのです。そういう問題を何とか税金だけでどうこうするというふうなことは、あるいは小さな問題であるかもしれませんけれども、しかしそういう傾向が現実には非常に多い。いなかにおると税金も何もよけいかかるから、ひとつ東京に行つてしまえば、とにかくわからぬのだからまあいいわいというので、これは個人だけではなくて、法人でも今全国の法人の資本金の七〇%までは、東京へ集まつているなんということは、私はやはり直接間接こういうことが非常に影響があるように思います。そういう面から大局的にこれはぜひひとつ研先をしてもらいたい、かように思うのです。この点について青木さんの素朴な御意見でけつこうでありますから伺いたい。
  76. 青木正

    ○青木(正)政府委員 だんだんお話を承つておりまして、ことに最後の御説明につきましては、私も実は農村人としてまつたく同じ考えを持つておるのであります。個人的なことを申し上げまして非常に恐縮でありますが、私前に東京に住所を持つてつたときに同じような問題がありまして、村の方でむしろ東京に居を移した方がいいのじやないか、こういうことまで言われたことがあるのであります。それほど都市と農村と、そうした面におきまして懸隔がありますので、これは確かに大所高所から考えまする場合に、同じ国民でありながら、ことに農村におきましてはむしろいろいろな恩沢に浴する点が少いのでありまして、そういうところがかえつて税金が高ということは、確かに御指摘通りと思うのであります。今回の税制改正にあたりましては、一応事務当局におきましてもいろいろ検討いたしました結果こうした線におちついたわけでありますが、御承知のごとく今回の税制改正は、先般の地方制度調査会に諮問いたしまして、さしあたり改正を要する点はどういう点かということで答申をとりまして、それに基いて改正案を出したわけであります。なお自治庁といたしましては、引続き根本的に地方制度そのもの並びに税の根本について、引続き地方制度調査会の意見を徴して根本的な問題も検討しよう、こういう態度をとつておるのでありまして、お話のような点につきましては、やがてまた開かれるでありましようところの地方制度調査会の根本的な問題として私どもも十分検討を願い、その結果によりましてできるだけ改善して参りたい、かように考えるわけであります。
  77. 加藤精三

    加藤(精)委員 ただいま政務次官から非常に同情的な御意見を承りまして、非常に感謝にたえないのでありますが、その同情心というものは実行力を伴わなければ私は意味をなさないと思うのでございまして、私たち考えるところによりますと、交付税税率なんかをぐんと上げていただけば、こういう実際非人道的な高いオプシヨン・ツーの税率の住民税や、それから固定資産税のとんでもない高い税率のほとんど財産税という共産主義的な思想で設けられているかと思われるくらいのひどい税率の市町村がございます。非常に財政の窮迫した市町村におきましては、こういうものが生れて来ると思う。それを地方財政計画上の交付税の比重を非常に多くすることによつて、こういうことを解決するというほかに方法がないように思うのでございます。それについて次長さんの御意見を承つて、なおその後に政務次官の御意見を伺われれば非常にありがたい、同時に地方制度調査会の調査云々ということを、すぐ政府はおつしやるのですけれども地方制度調査会というのは、学者が議論をもておそぶ遊技場みたいな感じがいたしますので、実際また各団体から代表者が出ていますけれども、これはほとんど中央に来ているような人で、実際にわらじをはいて各部落を歩くような農村の理事者とか村会議員とか、あるいは実際に自分で予算を編成して徴税しているような、そういう実際家を、もう少し地方制度調査会によけい入れて——ほんとうの国民の考えている痛切なことは、どうも今の地方制度調査会では触れてないような気がするので、この地方制度調査会の構成を少しかえる御意思がないか。二つをお尋ねをいたします。あとの問題は政務次官にお尋ねをいたします。
  78. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 この所得割の課税方式につきまして、いろいろ御意見があつたわけでございますが、確かに私どもも、かような同一の課税につきまして三つの方式を原則的に認めているということは、これはシャウプ勧告があつて初めて生れた、今までに例のない方式だと思うのであります。そういうことの結果からいたしまして、そのいずれの方式をとるかということによつて、同じような所得状況にありますものについて、甲の市町村と乙の市町村、あるいは御指摘のように、大都市と農村等において開きが出て来るということは、地方自治という面から見れば、ある程度考えられる、そういう差異があつてもやむを得ないという論も立つかと思うのでありますけれども、しかしもつと全体を通じての考え方としては、そういう不均衡がやはり国民として容認できないという考え方も、考えられると思うのであります。それが軽い程度負担の差でございますならば、御容認いただけると思うのでありますが、それが御指摘のような非常な負担なつておるというようなところが相当あるわけでございまして、そういう場合についてはいよいよその感が強くなるということは、私どももまつたくさように思うのであります。そこでそういうものをなくすのには、根本の調整財源をもつとふやして、交付税財源によつて補填をすれば、この市町村民税に期待するところが軽減されるのだから、何らかの最も合理的な軽い方式一本にすればいいではないかという点は、確かに一つの御議論だと思うのであります。私どもといたしましても、この点は先ほど税務部長からも申し上げたわけでございますが、今後さらに研究を進めまして、大都市と地方との関係といつたような点もさらに考慮いたし、また税制自体の問題といたしましても、十分検討いたして参りたいと思います。ただ先ほど税務部長が申しましたような、所得税の納税義務者と、市町村民税の納税義務者との構成の量の上においての大きな違いということは、やはりある程度考えて行かなければならぬかと思うのでありまして、所得税の納税義務者だけに限るということになりますと、市町村の中においてある一部の者しか税を納めないということになります。そうなりますと、どうも若干問題が起るのではないかと思うのであります。しかし反面均等割との関係もごもざいますから、均等割の方でさような負担分任の考え方もとれるのじやないか、所得割の方は所得の実情に応ずるだけでいいのではないかという議論も立つかと思います。私どももこの点は十分御意見を検討いたして、今後早急に結論を出したいと考える次第であります。
  79. 青木正

    ○青木(正)政府委員 地方制度調査会の委員の構成の問題でありますが、御承知のごとく、地方制度調査会の設置の法律によりまして、学識経験者また国会側というよう規定があつて委員を御委嘱申し上げておるわけでありますが、いろいろ委員の人選の問題につきましての御意見、まことにごもつともの点があるのでありますが、実際の点を申し上げますと、先般地方制度調査会へ当面改善を要すべき点につきまして答申をお願いいたしまして、あわせて根本的に地方の行財政について検討すべき点を、さらに引続いて答申をお願いいたしておるわけであります。そこで地方制度調査会におきましては、特別委員会を設置いたして審議の継続中に、たまたま任期が参つたのであります。そこで審議の継続中でありますので、これをまた引続いて御検討願わなければなりませんので、そうした関係で、委員の人選につきましても若干その関係を考慮してお願いする必要があるのじやないか、こういう段階にありますことを御了承いただきたいと思います。
  80. 加藤精三

    加藤(精)委員 結局住民税割の問題は、この零細貧弱納税者等、ことに子供をたくさん持つていて非常に困つておるような納税者に対して、自治庁としてこのままほつておくという手はどうしてもないように思う。先ほど扶養控除だけは——幼弱も含んでいると思いますが、そういう控除だけはどうも考えてもいいじやないかという税務部長のお言葉があつて、私たいへんうれしいのですが、この納税者の構成がどうのこうのといいましても、これは徴税費がかかるだけの話で、オプシヨン・ツーに全部統一して、ある程度社会政策的なものを加味して全国を統一する、そうして標準税率と制限税率との間に、あまり差をなくするという方向におかえになつた方が、いいのではないかという私の考え方でございまして、その差額は、交付税の率を上げることによつて、解決した方がいいのじやないかという考えでございますが、それに対しての税務部長さんの御意見ちよつと承りたい。
  81. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 御意見の根本には共鳴する点も多いのでありまして、今後なおよく研究して参りたいと思います。
  82. 北山愛郎

    北山委員 ちよつと疑問の点がありますので——この所得割のことです。三百十三条、特にこのオプシヨン・ツーの制限税率を百分の七・五にしたわけですが、これは今までは百分の十であつた。そういたしますと、結局オプシヨン・ツーでかける場合、今までのかけ方を見ますと、この所得者の担税能力によりまして、税率を百分の十から百分の八、百分の七というふうに下げて行つて、最高が百分の十になるというようなかけ方をしておるわけであります。ところが今度の改正のように百分の七・五に頭を押える、そういたしますと、これは結果として、数は少いけれども、担税力のある所得の多い人の税率が二・五も下るということになつて、上の方の税金が非常に安くなる。また地方団体としては、オプシヨン・ツーを採用する場合には、高額というか、割合所得の多い人にはよけいかけられぬ。百分の十をかけておつたものを、百分の七・五に最高を押えられてしまうということから、そのしわ寄せが下に行くのではないか。そうでないと全体の税収が上らぬということになるわけであります。結果としてはそういう結果が出て来て、実際この通りやれば、今申し上げたように、割合所得の多い人の方が減税になり、下の方にしわ寄せが行き、そうしてその結果、この第二方式をつた場合には、割合収入が上らないということになつて、勢い第一方式をとらざるを得ないということになつて行きそうに思うのですが、そういうことはお考えになつておるのでしようか。非常に疑問になつて参りましたのでお尋ねいたします。
  83. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 お話のような欠陥が生じて参るのであります。そういう関係から、この問題をどう扱うかということもいろいろ考えたわけでありますけれども、昨年改正の際にいろいろな論議もあつたことでありますので、いましばらく見送つて、実施の状況を見た上で適当な修正を加えたい、かように考えたわけであります。根本の問題といたしまして、第二方式をとりました場合に、最高税率が今でありますと百分の十でなければならない。その百分の十でなければならないということは、根つこから計算いたしまして、百分の十以内であればよろしいのだと考えておるのであります。ところが法律の書き方が適当じやないものでありますから、超過累進の制度をとつた場合であつても、超過額に対してやはり百分の十を越えてはいけないのだ、こういうふうな解釈を持つておる向きもあるようであります。従いまして超過額に対しましては、百分の十以上の税率にしようといたしました場合には、超過累進の税率をきめることができませんで、常に根つこから税率を引き出しまして、累進税率を定めて行かなければならない、こういうようなかつこうになつておるわけであります。この辺の不都合も直したいと思つたのでありますけれど、いろいろな論議の経過にもかんがみまして、いましばらく様子を見た上で必要な改正を加えたい、こうい、うふうに考えたわけであります。
  84. 北山愛郎

    北山委員 今お聞きのようでありますと、非常に大きな欠陥だと思います。私どもの知つております解釈は、最高が今までであれば百分の十です。ですから個人々々の納税義務者に対して百分の十以上はどうしてもかけられぬ。それは超過累進の場合であつても単純累進の場合であつても、そういうのであるというふうに了解して、それが正しい解釈であるとして実施して来ておるわけです。それ以外の解釈があることは私も実は存じなかつたのです。従つてお話通りであれば、今まででもそれに欠陥があつたのだ、しかもその解釈でもつて二・五を頭から落すということになれば、ますますこれはひどくなるのです。従つてこのような制度に直す以上は第二方式をやめてしまうか何かしなければ、政府としては良心的なものじやないと私は思うのです。第一方式の所得税額を基準にするとかなんとかの方式によらなければ、地方団体、市町村では、ある場合には非常に非常識なやり方をする場合が相当あります。法律にはこう書いてあるのだということで、結局所得の少い人に重くかかつて行くというような傾向を、今度の改正によつてますますはげしくするということが出て来るのではないか。自治庁当局がこの欠陥を知つておられて第二方式をこのままの形で残しておくということに対しては、私はどうもどう考えてもわからないのです。今直せれば直さなければならぬと思うのですがどうですか。
  85. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 問題の点は超過累進の率を百分の七・五に押える結果、所得税額と比例して考えて来た場合に、高額所得者は早く頭打ちになるという関係じやないかと思うのです。そういう意味で私も問題があると、ということをお答えしておるわけです。ただ従来の考え方としては、町村民税だけで負担の均衡を考えることは必ずしも穏当ではない、所得税額が非常な累進になつておる。非常な累進になつておるものだから、相当の高額のところにおいては頭打ちになつても、むしろ一方では非常な累進の税率による負担をしているのだから、それでさしつかえないという考え方をとつて来ているのであります。しかしながら全体としてはそうでありましても、市町村内におきましてはがまんがしにくい向きがあるじやないだろうか、そういう意味におきましてなお研究して行きたい、かように考えているわけなのであります。これらの向きは国税地方税をあわせ考えた場合には、別にふつりあいじやないわけでありますが、町村税だけをとつて参りました場合には、お説のような問題が起きて参るわけであります。ただ市町村の住民感情として容認できがたい問題であるかどうかということにつきましては、実施の経過を見た上で研究して参りたいという考えを持つているのであります。
  86. 北山愛郎

    北山委員 どうもそれはお話としては矛盾すると思うのです。所得税とあわせ考えるというならば、第二方式だけをとつて、第一方式がなければそれはお話通りでわかるのです。第一方式の場合には所得税と同じような方式をとつて、第二方式の場合には今の所得税とこみにして考えるという考え方もあるというような、一貫しない矛盾したことを並べているということを並べているということ自体がおかしいじやないかと思うのです。所得税の方は非常に累進が鋭いから、住民税においては第二方式のようななだらかな線でもいいじやないか、両方をあわせ考えたならばそれでいいじやないかというお考えと、第一方式の場合も認めているので、第一方式の場合は所得税並になつているのですから、それを両方あわせてここに並列しているということ自体が、考え方として混乱しているじやないか。あわせて考えるならば、そういうような考え方を市町村ごとの自由裁量にまかせるということは、ちよつとおかしいじやないかと思うのです。別の面において自由裁量にまかせるということはいいでしようけれども、そういうような大きな住民負担のやり方について、町村に相反するようなやり方をとらしてもいいのだ、そういうような制度を置いておくのだということは、私は実におかしいと思うのです。今までであればまだそれでも百分の十であり、それから第一方式も元のままであれば、そこにはそれほどの開きはなかつた。しかしこの前の改正、それから今度の改正によつて、ますますその第一方式と第二方式の差が開いて来たわけなんです。従つて今回の改正によつて今までのやり方のまま、第一、第二方式を、非常に開きのあるやり方を残しておくということ自体が非常に無理があるじやないか。この際これはあわせ考えなければならぬじやないかというふうに考えるのですが、どうでしようか。
  87. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 実はこの第一方式をとる場合と、第二方式をとる場合によつて混乱といいますか、弊害が出て来るというふうに考えていないのであります。ただ第二方式の税率につきまして、北山さんは多少考えが違つているのではないかと思いますが、税率につきまして百分の七・五以上を使つてはならない。しかしその百分の七・五以上を使つてはならないということは、常に超過累進の税率のきめ方をしなければならないということはない。単純累進の税率の使い方をしてもよいのだ。だからかりに百万円の所得のある人に対して、百万円に七・五をかけてよろしいのでありますが、それを越えては、行けないのであつて、五十万円までは百分の五、五十万円を越えて八十万円までは百分の七・五、八十万円を越えて百万円については百分の十だ、こういう税率をきめようとしますと、百分の七・五を越えた税率を適用することになるわけであります。そういう税率をかりにきめたところで、百万円全体に対しましては百分の七・五になつていないだろうと思います。要するに負担額が課税総所得金額の百分の七・五にならなければいいのだ。ただ条文だけ読んで見ますと、その辺の意味が非常にあいまいだ。しかし実質的な考え方は、課税総所得金額の百分の七・五未満の所得税額であればさしつかえない、こういう考え方に立つていると思うのであります。北山さんは累進税率を使つて課税して行く場合のことを中心に考えておられるようでありますが、税率のきめ方といたしましては、単純累進の税率のきめ方をしてよろしいのであります。そういうやり方をしますと第一方式、第二方式の関係において別段齟齬を来すことはないというように思つております。
  88. 北山愛郎

    北山委員 それは従来の場合でも実はお話通りに超過累進というのはなかなかむずかしいのです。従つて単純累進をとつているところが相当多いのです。その場合でも頭を七・五に押えられますと、所得の少い方にもかけて行かないと、その町や村の収入が上らないということになる。従つて下げて行きます。そしてその間の開きを詰めて行かなければならぬから、結局上の方が得をすることになる。これは実際にやつてみればすぐわかることなんです。最高を百分の十とされた場合に、平均税率でなくて最高ですから、そこで結局高額所得者が得をするような方式である。しかも七・五にすればさらにその差がひどくなると考えるのですが、この点は実際問題でまだまだいろいろゆつくりとやらなければならぬのですが、時間もないようでありますから、この程度で質問を留保しておきます。
  89. 西村力弥

    西村(力)委員長代理 それでは時間も大分経過しましたから、午前中の審議はこのくらいにしますが、市町村民税については、ただいま保留がつきましたので、一応は終つた予定にしますけれども、留保の件は今後も継続することを認めて、休憩いたします。     午後一時二十二分休憩      ————◇—————     午後二時四十八分開会
  90. 中井一夫

    中井委員長 再開いたします。  休憩前に引続き、地方税法の一部を改正する法律案議題として、質疑を続行いたします。中井君。
  91. 中井徳次郎

    中井(徳)委員 午前中の市町村民税につきまして、私の質疑に関連して加藤さん、北山さんいろいろ御意見があつたわけであります。それに対する政府の御答弁も、たとえば所得税を納めておる者だけが市町村民税を負担するというのは、少し範囲が狭過ぎるというような御意見につきましては私も同感なんでございます。しかしある点は同感でございますが、結局のところ先ほどいろいろ問答の間に出ましたように、この市町村民税の個人の所得割についての三つのあり方、このあり方が現状におきましては、ほとんど固定をしておるという点において、私は非常に問題があるように思うわけであります。たとえばある一つの都市、横浜なら横浜が本年度において特に道路を非常によくしなければならぬ、あるいは大火があつたので、特に方式をかえる、来年になればまた元へもどす、そういうふうな形、あるいはまた非常に貧弱な都市でも、百分の十八でやつておるのもあれば、そうでないものもあるという形でありますから、この設けられました趣旨はよくわかるのでありますが、政府のこの統計資料によりますと、ほとんど固定化されてしまつておる。それから午前中の御答弁にもありましたように、一たびオプシヨン・ワンがツーになるというような場合に、それがまた元へもどつたということがほとんどないという点で、全体として見ましてやはりこれは農村方面には非常な重税になつておるということが言えると思うのであります。ぜひそういう大局的な見方から——私はこの制度の妙味をもちろん認めるものでございますけれども、そういう姿にどうしてなつて来たかという原因をよく探究なさいまして、この調節をぜひお願いしたいと思うのであります。先ほど答弁に対する結論としてひとつ申し上げておきます。
  92. 中井一夫

  93. 北山愛郎

    北山委員 先ほどの市町村民税の問題につきましては、計算上の相当実務的な問題に関連しますので、また小委員会等におきまして詳しく御説明を承りたい、こう考えますので、その点は小委員会の方へ留保をいたしておきます。
  94. 中井一夫

    中井委員長 それでは市町村民税の質疑は一応これをもつて終了いたしました。  次に固定資産税について御質疑を進めていただきたいと存じます。
  95. 北山愛郎

    北山委員 固定資産税につきましてまずお伺いしたいと思いますのは、現行の固定資産税のとり方につきましても、単に土地なりあるいは家屋というものに一定率をかけるというのではなくて、そこにやはり重要産業なりあるいは発電の施設なり、そういうものに対しては一つの政策的な意味を加味して税の軽減をはかつたりするような方法をとつておるわけであります。従つてそういうような考え方を導入するといたしますならば、こういうことは一体お考えになつておらないかどうか。たとえば遊休宅地に対する税を重課するという問題、これは御承知のように最近宅地の急激な値上りによりまして、家屋を建築するという金は持つておる、しかし土地が得られない、また非常に、高くなつておるという関係からしまして、この住宅の供給が阻害されておる面があり、また一方からいえば、宅地の値上りを見越して自分の遊んでおる土地を、いつまでも離さないというものもあるわけであります。従いましてこれに対する一つの租税政策といたしまして、遊休宅地に対しては固定資産税を普通の場合よりも重くかけることを考えてもいいんじやないかと思いますが、この点についての御意見、あるいはそういうことをお考えになつておるかどうかということをお答えいただきたい。  もう一つは、これと同時に住宅の不足を補うという意味におきまして、小さい住宅、二十坪以内とかそういうふうな住宅について、固定資産税は特に最初の何年間、三年なら三年間は二分の一にするとか、そういうことにして、住宅の建築を促進するということも、同じような意味でこの固定資産税の制度の中に取入れることをお考えになつておられないか、またそういうことは考えてはいけないことであるか、その二点についてお答えをいただきたいのであります。
  96. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 遊休の宅地について課税上重課することを考えられないかというお話でございますが、社会政策と申しますか、そういつたような一つの考え方ももちろん成り立つわけでございますが、特に同一の税目におきまして軽減をする場合は、御承知のごとくいろいろと取入れた面もあるのでありますけれども、特に一定の税の対象の中で、ざらにある部分を取出しまして、それに対して重課するというような方式のことはほかにやつていないのであります。この点は実は先般不動産取得税について御質疑がございました際におきまして、やはり同じような考え方で、たとえば遊休と申しますか、比較的緊要度の少いと思われるようなビル、その他の建物についての重課はどうかというような御意見もあつたわけごございますが、これは確かに今後の問題としては、十分研究に値いする問題とは考えますが、今回は不動産取得税の中で、土地の売買につきまして、一年後にその土地に家屋を新築するというような場合におきましては、これは真に住宅の建設のための土地の売買でございますから、そういうものは六十万円までは徴収の猶予をする、あるいは減免をするという方式をとつたわけでありますけれども、ただいま御指摘になるような、主として投機の目的、あるいは財産投資といつたような意味で、宅地を取得したけれども、それに対し早急には家屋を建築せず、その値上りを待つという意味のものについては、若干なりとも不動産取得税は御趣旨のようなことに対してある種の効果を持つのではないかと思うのであります。しかし御指摘の点は必ずしもそういうことで解決せよということではないようでございますが、しかし反面、何か特別にそういうような対象が明確に測定されるならば、あるいは法定外普通税ということも考えられないことはないと思います。まあそういうようにその点は考えておりますが、なお今後十分に研究をいたしたいと思います。  それからなお住宅の建築のことにつきまして、これを促進するために三年間に限つて税率を二分の一にするといつたような措置がとれないかというようなことでございましたが、法律上そういうふうに規定するということも一案と存じますけれども、しかし住宅の新築につきましては、それぞれいろいろ事情もあることでございますので、先般も申し上げましたように、行政上の指導の通達を出しまして、大体御趣旨の線に沿つて三年間は十五坪未満の家屋につきましては、二分の一に減税をするというような方針を一方には出しまして、指導をいたしておるような次第であります。
  97. 北山愛郎

    北山委員 いずれも今後の問題としてお考えのようでありますが、いつまでも今後の問題ではいつになつてもできないわけであります。ひとつこれは今後の問題ではなくお考え願いたいと思うのです。そうでないとこれはすぐ関連するのですが、あとの非課税の問題、帝都高速度交通営団あるいは発電、変電・送電施設等、あるいは地方鉄道、軌道というようなものに対しては、相当大幅な減税をしておるわけなん、です。こういう場合は大幅な減税を認めておつて、そうして今のような問題には今後の問題としてしか考えられないということでは私は納得が行かない。でありますからこの点も十分、しかもすみやにお考えを願いたい問題でございますが、今申し上げた帝都高速度交通営団のようなものにつきましては、実を言うと今回は非課税の範囲から除いてしまわなければならぬと、私は個人的な考えとしては思うのです。なぜかならば今現に問題となつておる営団であつて、そして政府が援助を与え、政府資金の融資を仰いで、しかも地方税まで軽減の措置を講ぜられておる。こういう営団が、やはり船会社と同じように、関係会社との間にリベートの問題でもつていろいろ今調べておるというような事態にあるようでございます。そういたしますと、造船その他と同じような問題があるいはあるんじやないか。そうするとこのような国家的な、あるいは地方団体のあらゆる面の援助を得て奨励されておる企業において、このような抜け道でもつて、その金がどこかの料理屋で使われたり、あるいは政治資金に使われたりするような現状では、どうも私は気持として、このような地方団体地方税について優遇措置を講ずるという趣旨が没却されておるんじやないか、こういうように考えるものでありまして、この際これらの特殊な大きな企業あるいはその施設に対する減税措置については一考を要するんじやないか。あとの方でも、外航船舶あるいは航空機、航空運送業等に対してもいろいろな相当な減税が行われておりますが、これらのものも同じような関係に立つ、そしてここに書いてありますいろいろなこのような種類の事業は、国家的な見地から同じ援助をするにしても、つの国策として、国の産業政策上から応援をしておるというような事業のようでありまして、それはそれとして国の方でおやりになるということが正しいのではなかろうか。それをそういうような助成成策にまで地方団体も参加しなければならぬ、地方団体にもその負担を負わせなければならぬという理由が、どうも私には稀薄でないかと思われるのですが、そういうような問題についてひとつ見解を承りたいと思います。     〔中井委員長退席、加藤(精)委員長代理着席〕
  98. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 地下鉄道でございますとか、あるいは地方の軌道の新設というようなものにつきまして、今回減税の措置を講じておる、また、電源開発関係の施設あるいは外航船舶、外航航空機あるいは一般の航空機というようなものにつきまして、それぞれ減税の措置を講じておるのは御指摘通りでございますが、かような措置を講じましたことにつきましては、御承知のように地方制度調査会ことに税制調査会におきましては、償却資産税を固定資産から分離して別個にせよ、そうして償却資産については、これをできるだけ軽減せよというような、これはただいまちよつとお言葉にもございましたように、産業政策と申しますか、そういつたような見地を多分にまじえて答申があつたわけであります。もちろんこれらにつきましては、国税の法人税の面におきましても、重要物産でございますとか、企業合理化促進法の関係の法人につきましては、それぞれの減税の措置を講じておるわけでございます。従つてそれらのものは、法人事業税とか法人税割には、その限度において当然に地方にも反映いたして来るわけでございますけれども、固定資産税につきましては地方においてのみ存する税でございますので、従つて地方税としての、固定資産税としての面においてこれを考えるか考えないかということは、確かに御指摘通り一つの問題になるわけであります。ただ今申し上げましたような調査会の答申等も考慮をいたし、事実、たとえば地下鉄について考えますと、ここにございます帝都高速度交通営団というのは、これは地下鉄の建設に多額の経費を要するだけでなく、普通の鉄道軌道に比べますと、あのようなトンネルをつくるわけでございますから、固定資産としては非常に価格の高いものになる。そういうことが結局交通の運賃の上にも反映をして参るわけでございますので、この点はやはりそういう面からも考えた方がいいのではないか。のみならず営団は営団とございますように、国鉄と東京都から出資をしておるわけでございまして、国鉄が事業本来の用に供するものには固定資産税はかけられない。あるいは東京都でありますれば、都電に対しては固定資産税はかけられない。あるいは大阪では地下鉄を経営しておりますが、これも市営であるからかけられないというような権衡から考えますと、どうもかようなこともある程度考えていいのではないかというようなことで、地下鉄についてかような措置を講じ、また新設の路線につきましては、鉄道軌道についてと同様な措置を講じたわけであります。電源開発の関係の施設につきましても、これは基幹産業としての動力源でございますから、結局これは各種の産業のコストに影響して参りますので、もちろん根本には税ですべてそういうものをカバーすることはできないわけでございますが、ある程度そういう面も考慮いたして、盛んに電源の開発を促進いたしておる今日においては、かような程度の考慮を払つていいのではないかというようなことで、今回これらの非常に巨大なる固定資産を持つておりますものにつきましての軽減措置を考えておるわけでございます。なお外航船舶あるいは外航の航空機につきましては、その国際性という点を考えまして、所在の地方団体、市町村との間の関係は、どちらかといえば比較的稀薄であるということも考えられるわでありまして、そういうような点も考慮いたして、外航関係の船舶、航空機につきましては、一定の率に従つて軽減をする措置を講じたわけであります。なお一般の航空機事業は育成の途上にございますから、さような意味で若干の産業政策上の見地をまじえまして、軽減の措置を講ずることにいたしたような次第でございます。
  99. 北山愛郎

    北山委員 産業政策として、あるいはこういう特殊な施設に対する一つの援助という面だけから見ると、お話通りになるのであります。そういうような趣旨から、たとえば電源の開発が必要であるからこれに助成をする、あるいは船が日本には足りないから造船を奨励して行くというような趣旨からだけいえばその通りでございますが、しかし現実においてはそれが裏切られおる。そうしていろいろな国、地方団体の助成を受けておるものが、経営に余剰があるはずがないのに、その金でもつてむだな経費にどんどん使つておるというようなことが、だんだん明るみに出ておるわけであります。そのようなことを取締るというはつきりとした保証がなければ、こういうことはなすべきではないんじやないか。どうもざるに水を注ぐようなものであつて、一生懸命いい気持で、親心でもつてつてもやつて、それがどんどんむだに使われておるというような現実じやないかと私は思います。これは電力についても表面に出ないだけでありまして、結局国が財政資金、政府資、金の中から郵便貯金とかそういうものの中からまでさいて、安い利子でもつて貸して建設しているのに、出て来た電気というものは、ふえればふえるほどだんだん高くなつて来る。その原価の七割くらいが金利として払われなければならぬというようなことで、しかもその電力料金のきめ方については、いろいろわけのわからぬところがあるわけなんです。そうしてみると、せつかく一生懸命になつて税金をまけてやり、金を貸してやつて、電源開発をやつたところが、家庭の電気がだんだん高くなる、こういうふうな結果になつて来ることを考えれば、そういうような産業に対しての助成というものは、別な角度から根本的に考えるべきであつて、それをそのままにしておいて、いつまでもこのよろな方法をとつておるということは適当じやないんじやないか。ことに国が考えるべきものであつて地方団体としてはこの際はひとつこの責任を、解除してもらつた方が適当じやないか、私はそう思うのですが、その点はいかがなものでしようか。またかりに東京都でもつてこの高速度交通営団に対する固定資産税を安くしたという場合に、それが適切に使われておるという監督はどういうふうな方法で行われておるか。それが地方団体としてできるかどうかなんです。関係団体が税金をまけてやる以上は、それをまけてやつただけの効果というものがやはり現われておるということの保証がなければならぬ。そうでなければ、その事業に特別の利益を与える理由がないわけでありますから、これを明らかにしなければならぬ。そういう意味では、こういうような特典を受ける企業は、国はもちろんのことでありますが、地方公共団体の特殊な監督のもとに置かれなければならぬ。かように考えるのですが、現在ではどういうふうな監督が行われておるか、これを承りたい。
  100. 青木正

    ○青木(正)政府委員 ただいまの重要産業の税金の軽減の問題、また現在いろいろ問題になつておりまする疑獄等の関連の問題でありますが、北山さんの言うような理論も一応考えられると思うのでありますが、しかしまた別な見方から考えますと、私どもは事業そのものと、それを経営する人の問題と、むしろ問題を別に切り離して考える必要があるんじやないか。事業そのものはあくまで助成しなければならぬ仕事  と考えるのでありまして、その面から考えれば、やはり国におきましても、また地方団体においても、できるだけそれを助成するようにしなければいかぬのではないか。ただたまたま現実にその衝に当つておる人が期待に反するというようなことから、御指摘のような問題が出て来ると思うのであります。そこであくまでも事業の問題と人の問題と切り離しまして考える必要があるんじやないか。伸ばすべき事業はあくまでも伸ばすようにしなければいけませんし、またそれを担当する人に万一不正の問題等がありましたならば、これはその面において十分その人の面を、そういうことのないように、あくまでも正すべきことは正して行くべきじやないか。たまたまそれを担当しておつた人が不適当であつたということから、事業そのものの助成までこれをやめるというのもどうかと考えるのであります。  なおまた高速度営団の事業に対する監督の問題でありますが、これはもちろん会計検査院の方の監督もありますし、なお一般的の問題として、運輸省といたしましても、その権限において、監督いたしておるわけであります。
  101. 北山愛郎

    北山委員 人と企業とを切り離して考えると言われますけれども、しかし私はこれは制度の問題だと思うのです。先ほど申し上げたように電気の問題でも、会の制度では、せつかく地方団体なり国なり、あるいは住民がいわば犠牲を払つてつても、その結果が別な形で現われて来るというようなこと自体問題なんです。そこにおる者がさらにその金をむだ使いしておるとかいうようなことも、私は現在の状態では制度にも関係があると思うのです。その人の問題ではないと思うのです。先ほども申し上げたように、それは制度として国の方で産業政策上お考えになるべき性質の問題であつて地方公共団体としては、国の方、でやるべき分を負担しなくてもいいんじやないか。しかも現在進んでおるいろいろな現象というものを見ました場合に、ことさらそういう感を深くする。これに対しては国の方で結局何らか対策を立てなければならぬ。その対策が立つまでは、地方団体としてはまずこの問題はごめんこうむるという方が正しいのではないか。そしてその補いをつけるのはどこかというと、国でしかるべき処置をしてもらうという方が正しいのではないか。私はこういうふうに考えるのですが、その点についてもう少しはつきり承りたいのと、それから一体こういうような交通営団その他外航船舶あるいは航空運送事業というようなものについて、この改正案による軽減措置をいたしますと、それぞれどれくらいの金額になるか、ひとつ御説明を願いたいのであります。
  102. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 お話改正案による減収額は、参考計数資料の改正関係の中でお示ししておるのでありますが、発送変電施設の価格を一定期間軽減いたしますことによりまする減収額が六億九千万円、外航船舶について行いまするものが七億八千三百万円、国際路線に就航します飛行機等についていたしますものが二千六百万円、農山漁村電気導入促進関係のものが七百万円、企業合理化促進法の規定の適用を受ける機械設備等のものについての軽減が一億四千八百万円、重要物産の関係についての類似の措置が七億二千四百万円、地方鉄軌道の新設常業路線にかかる構築物の価格の軽減措置が九百万円、地方鉄道軌道整備法の規定関係によりますものが三百万円ということになつております。なおお話の帝都高速度交通営団についてとつておりまする措置には二つございます。一つは、新設後最初の五年間は三分の二を軽減する、あとの五年間は三分の一を軽減する、こういう一般の地方鉄軌道に対してとつております措置と、もう一つは帝都高速度交通営団に限りまして、これから取得いたしまするトンネルは、課税標準の中に算入しないという二つあるわけであります。前者の問題につきましては大臣提案理由の説明書の中にも詳しく書いてあるわけでございます。主として今北山さんから非難されております点は、後者の点についてではなかろうかと思いますので、そういう意味合いでお答えをいたしたいと思います。この問題をいろいろ検討しておりましたときには、御指摘のような疑獄の問題はまだ出ておりませんでした。疑獄の問題があつたらどうかということで申し上げるわけではございませんが、ただ運輸省がこの問題を熱心に主張いたしました当時には疑獄の問題は高速度交通営団については起つておりませんでした。その際において私どもとして考えました問題は、次長からも話をいたしましたように、帝都高速度交通営団の性格の問題であります。この性格を考えて参りますと、現在資本金が二億四千万円でございますが、そのうちの二割は東京都が所有しております。八割を日本国有鉄道が所有しております。民間の投資が許されていないのであります。しかも役員は全部政府の任命にかかつております。営業の実態につきましては十分な監督が行われるようになつているわけなのでありまして、国有鉄道の本来の事業の用に供するものにつきましてはあるいはまた地方公共団体が営んでおります鉄軌道につきましては、固定資産税を課さないという措置を考えて参りますと、若干従来の扱いには無理があるように思われるのであります。ことに今後東京都の交通緩和を考えて参りますためには、どうしても地下鉄の利用によつて行かなければならない、積極的にトンネルの掘鑿を進めて行かなければならない、そういう場合にそれらの経費を運賃に加算できるだろうか、実際問題として非常に大きな額になつて参りますので、そういうことでは大衆の利用いたします地下鉄として穏当ではないし、またそういう料金では実際問題として企業は成り立たない、こういうことにもなつて参るようであります。そういうようなことから特に帝都高速度交通営団のトンネルについてだけ特別な措置をしよう、しかもこれは二十九年以後に取得されたトンネルについてだけ、こういう特別な措置をしようというふうなことを考えたわけでございます。
  103. 北山愛郎

    北山委員 これらの高速度交通営団、その他発電所等もそうでございますが、これは地方公共団体にとりましては二重の負担をしておるわけなんです。というのは、一つにはこれらの事業には御承知のように資金運用部資金から相当な起債資金がそつちの方へ流れておる。開発銀行を通じても相当流れておりますが、開発銀行に対しては御承知のように二十八年度は百四十億、本年は二百七十五億でした。それから帝都高速度交通営団に対しては昨年は十五億、ことしは十億であります。電源開発会社に対しては、昨年は五十億、ことしは百六十億というようにふえておる。でありますからそのとばつちりを受けて、そうして地方債がきゆうくつになつてなかなか十分な起債ができない。しかたがないから公募債でもつて高い金利の市中の金を地方団体が高い利子を払らつて使わなければならぬというような事態なつておるわけです。ですからそういうような政府資金を使用する意味においても、地方公共団体としては、資金運用部資金等の中でこのような重要事業に対して金をまわし、そのとばつちりを受けているんだ、私はそう考える。その上に税金を負けてやる。負けてやつた結果が昨今出て参りますようないろいろな疑獄その他の問題であるということになりましたならば、私は普通の国民として、これは感情的だけに考えなくても、理論的に考えましても、やはりそれだけの助成した効果がはつきりと確保されるというような形が保証されなければ、こんなことをしても何の役にも立たない、金をむだに使われるだけだ、政治を腐敗させるだけだといわざるを得ないわけです。私のこの考えは私は間違つておらないと思うのです。この際この制度に対しては、この地方税法において十分考えるべきじやないか、かように考えております。ことに、この前これは資料をお願いしておいたのでありますが、固定資産税の農地の評価におきまして、昨年は田の推計単価が二万二千六百七十二円であつた。畑は八千七十三円であつた。ところが今年は約二割五分もそれが上りまして、田の方は二万八千九十三円、畑が一万六千百二十四円ですか、あるいは宅地の方でもそれぞれ値上りを見ております。こういたしますと税率を多少引下げましても、結局農家の負担は相当大きくなつて来ておる。固定資産税全体としてみますと、昨年に比べて相当の増収になつておりますが、結局その増収分というのは、このような地方の農民その他の小さい勤労大衆の方に負担をかけて、そうしてその恩典をこのような事業が受けておる、総体から見てどうしてもそういうような結果にならざるを得ない。そういうような関連性におきまして、私はますます納得がいかないのでありますが、この前資料を要求しておきましたから、本年度の固定資産の耕地あるいは宅地その他の家屋というものに対する昨年よりも推計単価の上つておる資料をお出しになつて、ひとつ説明をしていただきたいのであります。
  104. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 昭和二十九年度固定資産税収入見込みに用いられた土地及び家屋の単価算定基礎の説明という資料がお手元に届いておると思うのですが、いかがでしようか。二、三日前に提出したように思うのですが。——それでは資料を見ていただいた方がわかりやすいと思つたのですが、簡単に御説明申し上げます。田は昭和二十八年度におきます反当収益を推計いたしまして、反当収益を一般の利まわりの八%と固定資産税の負担額の一・六%、合計九・六%で資本還元して一反当りの金額を算出しておるわけであります。反当収益につきしては、米価がかわつて来ておる等の関係から、前年よりも若干かわつて来ておると思います。こういうものを基礎にいたしまして反当評価額を二万八千円ときめたのでございます。畑につきましては、田と畑との全国的な割合が賃貸価格当時からございますので、これをさきに求めました田の反当評価額に乗ずることによつて定めたわけであります。宅地につきましては、宅地価格がどのような上昇を示しているかということを町村別に調査いたしまして、この上昇率を基礎にして今年の見込額を決定したわけであります。山林につきましては、昭和二十五年から今日までにおきまする経済審議庁調査にかかります木材の価格指数、それと勧銀調査にかかります山林等売買価調べ、この両者の平均指数を用いまして、その倍率を乗ずることによつて、反当評価額千三百二十円を推定したわけであります。家屋につきましては、在来分の家屋と新築の家屋と二つあるわけでありますが、在来分の家屋につきましては、勧銀調査の全国木造建築費推移指数というのがございまして、この調査によります増加率が二一%でありますけれども、これをただちに固定資産評価額に持ち込むことは穏当でありませんので、この二分の一を上昇率として見込んだわけであります。それから新しい家屋につきましては、木造の坪当り単価は二万円、非木造の坪当り単価は五万円として算定したわけでありまして、二万円あるいは五万円と算定いたしました基礎は、それぞれ新築家屋の住宅であるとか、店舗であるとか、工場であるとかいうような種類の割合がわかつておりますので、これらの割合を一つ基礎にし、もう一つはそれぞれの平均単価、たとえば非木造でありましても、住宅であれば五万五千円、店舗であれば七万八千円、工場であれば四万二千円というふうな基礎を別途にいたしておりますので、加重平均をいたしまして、このような単価の基礎を定めたわけであります。もう少し詳しく資料に印刷してあるわけでありますが、いずれお渡しするようにいたします。
  105. 北山愛郎

    北山委員 食糧生産といえども、これは国民にとつてあるいは国全体にとつて非常に重要であるということは、これは言うまでもないと思うのです。その重要性においては、先に申し上げましたいろいろな事業と何ら劣るところがない。そういたしますと、米価の値上り等いろいろな値上りを見込んで、その耕地等についてはそれぞれ何割というような、固定資産税が重課されるというような方法をとる。そして先に申し上げたような事業に対しては、特別な軽減措置を講ずる。しかもそれが現実に現われたところは、われわれの期待と相反しておるというようなことについて、この両方を関連してひとつ青木さんから御見解を承りたいのであります。そういうことがいいか悪いか……。
  106. 青木正

    ○青木(正)政府委員 食糧増産の面から考え、また農家の生活の安定向上というような曲から考えますれば、御指摘のごとくできるだけ安くしなければならぬということは当然と思うのであります。そういうような意味におきまして、農家負担の軽減をできるだけはからなければいかぬという点は、私も賛成であります。しかしながら他の面から、つまり市町村の財政運営の面から考えますと、やはり市町村としての税源を確保しなければならぬという面もありますので、その両方の立場から考えまして、そうしてどこにおちつけることが最も適当であるか、こういう判断におちつくほかないと思うのであります。さような考えから見まして、農家側から見ればあるいは高いという見解も出て来るでありましようし、また市町村の財政の面から見れば、まだこれでも足りないという意見も、あるいは出て来るかと思うの、であります。そこでどこでその調和点をとるか、これが結局問題の解決点であると思うのでありまして、私どもは農家負担の面から見ると、今回の固定資産の単価を上げるという点については、必ずしも賛成というわけではありませんが、しかし一面から見まして、地方財政という面から見ると、他の市街地における宅地等の固定資産の単価の値上げということから見まして、やはり農家におきましても、この程度の単価の修正ということはやむを得ないじやないか、ころ考えるわけであります。
  107. 北山愛郎

    北山委員 結局今のお話は、どつかに調整点を求めなければならぬ、その調整点は、結局農家の方の増税によつて地方団体財源を補うほかはないというふうな趣旨に解されるのであります。しかしそれは、私は先ほど来申し上げているような趣旨から育つて間違つているのじやないか。国税やあるいはその他の財政的な援助を受け、しかも地方団体から大幅なこのような税の軽減の措置を受けているもののしわを、あの力のない農家が、しかも食糧をつくるという重要な仕事をやつている農家が負わなければならぬという調整の仕方、これが一体正しいかどうか。地方団体としては、どつちからとつてもいいということになるでしようが、結局これをひつくるめて考えてみますと、どう考えてもこういうような重要な国的家な施設、産業に対する助成措置のしわを、農民が負担すると言われてもしようがないのであります。こういうやり方がいいか悪いか、この際においておやめになるような気持はないか、その点の見解をもう少しはつきりと承つておきたいのであります。
  108. 青木正

    ○青木(正)政府委員 固定資産税が府県税あるいは国税であるといたしますならば、そうしたような全体をにらんでの調整もできると思うのでありますが、必ずしも御指摘のような鉄道なり何なりというような固定資産が、農村地帯にあるとは限りませんので、やはり農家の負担軽減につきましては、御承知のように事業税も全部免除する、あるいは所得税におきましても、数年前に比べますと、非常な低減をいたしているわけであります。しかしやはり町村民として町村の運営のためには、農家としてもその運営のために協力しなければいかぬ、こういうことから、農家においてもこの程度負担はいたし方ないじやないか。一方大きな産業に対するこの固定資産税の問題は、これはなるほど国民感情と申しますか、それから申しますれば、御指摘のような点も確かにあると思うのであります。しかし私先ほど申し上げましたごとく、だからといつてやはり助成すべき仕事は助成しなければいけませんし、不正ある問題は不正の問題としてこれはあくまで糾弾し、そうして正しいあり方に仕事が運営されるように、そうして国家が期待するような運営に持つて行かせなければいかぬ、こう考えるわけであります。
  109. 西村力弥

    西村(力)委員 私はこの前の国会で、外航船舶あるいは飛行機、そういうものが国策的な立場から、固定資産税を軽減しなければならぬという話が出まして、それに対して賛意を表したのでございましたが、実際その後の新聞紙等の報ずる状況から見ますと、まことにみずから恥じざるを得ないというような気持にもなるのです。しかしそういう感情的なものはともかくといたしまして、今までの固定資産税の非課税の範囲のわく内に入れているものを、ずつと調べてみると、そこに一貫した考え方があると思うのです。それでそれよりも、今度新しく入つて来るのは帝都高速度交通営団、こういうことになつて、ただいまはこの資金が国鉄公社とそれから東京都、これだけであるから、その非課税の範囲に入れる範疇としてはみ出さない、こういう見解でありましたが、この交通営団がその資本構成からだけその非課税の範囲に入れてもさしつかえないという場合だけを考える。実際今後、交通営団の資本構成がかわるということがないか、あるいは経理が営利的な会社の方向に行くということを認められておるか、こういうことを検討して行かなければならぬ。そうでなければ非課税の範囲に入れるということは、考え方としては少しいけないのじやないかと思うのです。その点ちよつとお尋ねしたいのであります。
  110. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 帝都高速度交通営団の性格が、単に資本構成が違つているということだけじやなしに、先ほどちよつと申し上げましたように、役員構成から見まして政府の任命にかかつておりますし、また高速度交通営団の運営委員会というものがありまして、東京都あるいは政府それぞれ代表者を出しておるわけでございます。そういう関係もあるのでございますけれども、全面的に固定資産税を課さないという態度もいかがなものかというふうなことから、昭和二十九以後に、工事されますトンネルだけには課さないという、こういうかけ方をしておるわけであります。この下を走つておる電車は東京都営であつて固定資産税は一文もかからない。地下を走つている帝都高速度交通営団の鉄道が東京都と日本国有鉄道の経営にかかるような実態のものであるにかかわらず、全面的に固定資産税が課せられる。しかも地下でありますだけに建設費に非常に大きな経費を必要とする。これではやはり帝都高速度交通営団も困難になるのじやないだろうか。こういう配属からこの程度の軽減措置を講じたわけでございます。なお全体を通じましていろいろ御心配なつております点もごもつともだと思うのでありますが、大きくわけて三つあると思います。一つは電気の関係と鉄軌道の関係であります。これは私たちは料金統制が行われておるということも、一つ念頭にも置いております。従いまして料金をきめます場合には、固定資産税がどのような形において課せられるか、従つてまた固定資産税について軽減措置がとられるならば、政府が料金の認可をするわけでございますので、その際に十分検討がなされ、固定資産税の減免はその結果また料金の引下げといいますか、あるいは大衆負担の軽減といいますか、そういう作用を持つのじやないだろうかということを考えました。第二の種類のものは、固定資産税が施設近代化の非常な障害になつているという非難を常々聞かされるのであります。それならば、施設を近代化して行かなければならないものについて、もし障害になつている部分があるならばできる限りこれを緩和して行きたい、そういうような意味合いにおきまして、若干のものについて三年間だけは二分の一に軽減をするというような措置をとつております。これはみずから施設近代化の促進を税法上阻害をしておる向きがあるならば、できる限りこれを緩和したい、こういう考え方であります。第三の種類のものは、これは外国と競争関係に立つものであります。外国との競争関係に立つものにつきましては、できる限り荷を軽くしておいて競争させたい、こういう配慮を持つておるわけであります。区分をいたしますと大体この三種類にわけられるのじやないだろうか、こういうふうに思つております。
  111. 西村力弥

    西村(力)委員 とにかく帝都高速度交通営団というのは非課税の範囲に入つていない、こういう前提のもとに立つているように思うのです。そうしたら、その中のトンネルだけを非課税にするというのは、これはどうも筋が通つていない考え方ではないかと思います。それは経理内容からいうと非常に苦境にあるということは私どももわかるし、その苦境にある点を何らかの措置をしてやらなければ立ち行かないだろう。そうして東京都の交通はまさに危険な状態になつて、処置なくなるだろということは考えられますけれども、いやしくも法律で非課税にするとかいうような特別な措置をやる場合には、一定の、——理論的にというか、系統的に一つの筋の通つたものに限定しておかないと、その場その場の考え方によつて広げられたり縮められたりする、こういうことになつて来るのではないかと思う。だから私はトンネルだけを非課税にすることは納得できないのであります。今三つの種類をここでお聞きしましたが、確かにそれはそのようなことも何らかの処置として必要である。北山委員から先まど言われました通りでありますが、けさ方も国庫の納付金の問題で問題になりましたが、通産省の意見はこの際自治庁側の立場からは肯定しなければならぬ方向に行くのではないか、かように私には考えられるのであります。資本蓄積あるいは重要産業の育成というような立場は当然国として考えられるのである。地方公共団体負担という立場において、それが考えられるとするならば、先ほど競輪等の納付金の関係の場合と同じことになるのではないかと思うのであります。そういうことをいろいろ講ぜざるを得ないということは、地方自治庁自体の立場から主張せられたのではないだろうと思うのであります。そいつはやはり政府の方針として考えられたのであるかどうか、というようなことになると話はおかしいですが、自治庁はやはり十分に納得してこういう軽減措置をやられたかどうかということに対して、私は非常な疑問を持つのです。たとえばものによつては運輸省などから盛んに言われたということはありますが、そういうことの経過をたどつておるでしようけれども、結局は朝方の自治庁立場立場が違つて来ると考えられるが、これに対する御見解と、それからこういうぐあいに決定せられた自治庁側のほんとうのところをお話願いたいと思います。
  112. 鈴木俊一

    鈴木(俊)政府委員 ただいまの点でございますが、第一に朝方の競輪の収益に関連した問題と考え方自治庁は違つておりはせぬかという点についてでございますが、この点は私ども先般大臣から御説明申し上げましたように、現実地方財政計画との関連があるという点も、もちろん一つの理由でございますが、やはり基本的に競輪の収益を、国庫納付金制度がやめて、地方財源にまわした、こういう今回の考え方から出発しまして、国が自転車産業振興のために経費を出すというのなら、これは別でございますけれども、一旦地方団体収入に入りましたものを、強制的に割当業寄附というような形で取上げるということは、これはやはりその事柄自体にたとえば地方自治法の寄付に関する、公益上必要がある場合に補助できる、そういう根本的規定との関係、あるいは地方財政法等の関係から考えて、どうも根本的に問題があるというふうに考えたのであります。自転車産業あるいは機械の振興、設備の近代化ということは、これはけつこうなことでありますけれども、それを別に否定しているのではないのでありまして、もしそれが必要であるならば、やはり従来のような交付制度の方式によるほかないだろという考え方を持つておるわけであります。  それから高速度交通営団の関係について、どういう経緯でかようなことになつたかというお話でございますが、これにつきましては、先ほど理論的な根拠につきましていろいろ説明を申し上げたのでございますが、運輸当局からこの点につきましては要望があり、またその他の方面からも要望がごいましたので、政府としてかような措置をとるということに、最終的に決定をいたしたものであります。
  113. 北山愛郎

    北山委員 今の問題でございますが、それぞれの税軽減の理由お話になられた。しかしたとえば発電事業あるいは地方鉄道等につきましても、料金統制をやつておる。しかし料金統制も、現実に現在の電力料金等の統制は、むしろいわゆる独占料金をきめておるのであつて、必ずしも一般の公共性を十分に尊重された料金制であるかどうか、はなはだしく疑問だと思います。問題は料金統制であるかどうかということにあるのではなくて、その実質において、はたしてこのような助成をした効果が確保されておるかどうかの問題だと思うのです。そういう意味で、実際にはいろいろな角度から助成しておるこれらの事業に対する国、地方団体の援助は、効果が確保されておらないというような現実を、われわれは見せつけられておるというところに問題があると思う。それからこの並べてある事業におきましても、外航船舶や航空運送というようなものについては、航空機等については、やはりこの並べてある中でも、特に国家的な色合いのこいものじやないか。そういう点で、特に地方団体としては関与しないで、むしろ国の方で全面的にやるべき性質の事業ではなかつたか。たとえばお話のように何らかの形でやるにいたしましても、地方公共団体にやらせるのはりくつが通らないのではないか、かような点も考えられるわけであります。かたがた先ほど申し上げたように、それ以外のたとえば農業であるとかの立場に対しては、どうも今の気持を生かしておらない。むしろ反対に税はどんどん上げるというような方針でおるということは、やはり正しくないと思いますので、この点は今後においても自治庁でもよくお考えを願うと同時に、やはり委員会としても、この際考えなければならない。私はそう思つております。いずれ適切なる措置を希望しておくわけであります。そのような希望を申し上げまして、私の質問は一応これで打切ります。
  114. 加藤精三

    加藤(精)委員長代理 固定資産税の点について、他に御質問はございませんか。——中井徳次郎君。
  115. 中井徳次郎

    中井(徳)委員 ちよつとお尋ねいたしますが、地方鉄道の関係であります。今回また改正されまして、新線については減額をするということでありますが、地方鉄道は現在新線の建設はあまりやつていないように思いますが、具体的にどの線でございますか、お聞かせを願いたいと思います。
  116. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 電気の問題とからみまして、地方鉄道、軌道の新設の部分につきましても、軽減の措置行つております。これは主として大都市交通の緩和を目途に、今後推進されて参ります地下鉄道をねらつて、このような規定をもうけたわけであります。
  117. 中井徳次郎

    中井(徳)委員 実は地方鉄道それから電気等につきましては、御承知通りその大部分自治庁において、評価をすることになつております。それで、先ほどからちよつと拝見をいたしましたが、たとえば東京都におきましては、自治庁決定地方鉄道については三十二億一千五百二十四万六千円、それから東京都庁関係におきましては八億一千万というような数字で、合計四十億ぐらいですが、これで間違いはないのでありますか。
  118. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 お話なつておりますものが地方税法の第三百八十九条の関係により多数の地方団体にまたがつて所在します施設について自治庁が評価したものでありましたならば、その通りであります。
  119. 中井徳次郎

    中井(徳)委員 そこでお尋ねしたいのですが、実際この固定資産税ができましたときに、電気業者あるいは地方鉄道の連中が大いに反対をされまして、がんばられてこういう制度なつたのであります。現実にこの数字を拝見いたしまして、私たちは実際に驚いておるのであります。もちろん公益の事業でありますから、多少そういう面も見まして、大いに安く査定をすることもけつこうでありましようけれども、原則はあくまで台帳価格とか、時価ということになつております。その原則に照らして、私はあまりにも少な過ぎると思うのであります。実際東京都内に地方鉄道を新しく新設すると仮定いたしますと、少くとも一千億はかかる。それをわずかに四十億、しかもこれは御存じ通り自治体の税金であります。もちろん交通によりましてわれわれは大いに利便を得ておりまするけれども、実際全国の府県や市町村が仕事をいたしますのに、道路にしましても、下水、上水道にしましても、軌道などよりはもつとやつかいなものでありまして、国家的な見地でやるならば、国家的なもので、国の税金その他でさるべきものであつて、こういうものを非常に低く評価されるということは、私はどうしてもわからないのであります。  それから、この点は各地方鉄道の営業成績その他に非常に影響があると言われます。しかしそれは現在の日本のまつたく特殊な経済形態から出て来るものであると思います。一例を言いますと、資本金は二十億程度である。しかし一年の収支は、収入が百二十億、支出が百十億というような会社が現在非常に多いのでありまして、こういう税金を安くするとか、高くするとかということによつて収益をどうこうするということは、私は本筋じやないと思うのであります。終戦のどさくさの状態におけるしばらくの間はいいだろうと思いますが、私企業である限りは、もう順次もとにもどるべきである。皆さんは私に言わせればおそらくだまされておると思うのであります。これの税金が少し高いと電車賃その他の賃金に影響する。その賃金は国が統制されておるからというようにお考えだろうと思いますが実際は収支が非常に大きいのであります。従つてこういう税金は、経営の内容から見ますと、微々たるものなのであります。個人の商売人の家などにつきましては、新しく家を建てて、それを十分の一に評価するとか、二十分の一に評価するとかいうことは、ほとんど考えられない。これは私はあまりにひどいように思うのであります。今回それに輪をかけて、また二つの問題が出ておりますが、これにつきましても、私はこんな地方的な問題は、たとえば百分の一・六か一・四でありますならば地方で折衝して下げることはかまわないのでありますから、私はどうしてそういうような地方の市町村に、こういう権限をまかしてしまわないかと思うのであります。先ほど説明を聞きますとわずかに三百万とか九百万、こういうことのためわざわざ法律を設けることは、どうも中央でもつて運動すると、それにへなへなとあなた方はやられてしまうというふうな形を、私はこの問題で具体的に実は見るわけなんでありまして、そういう点について率直な意見を聞かしていただきたい。
  120. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 自治庁の評価している額が、非常に時価から見て低いのじやないか、こういう疑問を持つておられるようであります。二十八年度の償却資産の評価額の総額が一兆二千八百三十一億二千四百万円と推定しております。このうちで自治庁の評価いたしました額が六千百九十四億六千二百万円でありまして、五〇%を越えておるわけであります。それからいたしますと自治庁の評価しておるものが、むしろ市町村の評価しておるものよりも高過ぎるのじやないかと、疑問を持たれるのじやないかと思うのでありますが、逆な御疑問を聞きましていささかふに落ちないのであります。  第二に地方鉄道などにつきまして軽減措置をとることが多少行き過ぎじやないかというふうな御疑問のようでございますが、ただ電気も関連いたしますので、償却資産に対する固定資産税の中に、これらのものが一体どれだけ占めておるかという意味で、一応お聞きいただきたいと思います。償却資産に対する固定資産税二十八年分の全額が百七十二億八千九百万円であります。このうちで発電関係のものだけで五十三億七千八百万円を占めております。三分の一弱であります。非常に大きな部分を占めておるということが言えると思います。鉄道の関係のものにつきましても同じようなことが言えるのでありまして、これは評価額で申し上げますが、自治庁長官決定しておるものによりますものと、都道府県知事の決定しております評価額だけを合せましても、四百五十億を越えておるわけでございます。従いまして、税額で行きますと、八億前後になりましようか、だからそう少い固定資産税の額じやないのじやないだろうか、こういうことが考えられるわけであります。根本といたしまして、電気でも鉄軌道でも同じなんでありますけれども、御承知のようにこういう建設事業につきましては、莫大な固定資産を要するわけであります。莫大な固定資産を要するのみならず、それらの耐用年数というものは非常に長いものであります。四十年近は耐用年数を法人税などの減価償却の計算においてさえも用いているのであります。そうしますと取得いたしました年には投資価格まるまるが課税標準になりまして、固定資産税がかつて参りますと、当初は非常に大逆な固定資産税を負担しなければならない。四十年にもわたつて続けて行く施設でございますので、だんだんその固定資産税の額が下つて参るわけであります。そういたしますと最初の年はむしろ固定資産税の負担の大きい関係から、料金を上げなければならないという問題にもなるのであります。それよりはむしろ当初の期間は、そういう料金統制が行われておる性質のものだから負担を緩和しておきまして、各年度を通じまして固定資産税の負担をならすという考え方も成り立ち得るのではないだろうか、こういうようなこともあわせ考えまして、最初の五年は三分の二下げ、あとの五年は三分の一下げるというふうな特別な措置の仕方をいたしたわけでございます。
  121. 中井徳次郎

    中井(徳)委員 今のお話は非常に表面的なお話でありまして、日本経済全体として再評価の問題が大きく取上げられておるのはそのことだろうと思います。帳面上のことだけではいけない。それからあなたは四十年も長いこと続くと言いますが、固定資産というものはみな長いこと続くのです。大体土地のごときは永久に続きますし、ほかのものだつて長く続きます。それから鉄道、いわゆる電気軌道というものは、だんだんと価格が下るのじやありませんで、これは毎年補修をせなければいがぬ。これは世界的な問題ではありますが、鉄道のたとえばレールについて減価償却するかどうかということは、非常な問題になつておるようなわけであります。従つてどもは今の御説明では、具体的な事物を前に置いて判断しますときに、実はどうしても納得のできない面があります。この点は十分御研究が願いたい。  それから今私はわずか三百万や九百万のことで、例をつくる心要はないと申し上げたのは、こういうことにも関連があると思うのでありますが、現在全国の市町村において工場誘致のことが盛んに言われております。工場誘致の場合に、ほとんど大半は五箇年間は固定資産をとらないとかなんとかいうことを言うのであります。そういうことがどんどん実際問題として許されておるのでありまして、そういうものと考え合せますと、どうもこれはあまりこまか過ぎるというふうに考えております。なお私はまだ固定資産税を免除する工場の誘致につきまして、日本の大きな国土計画の面から見て非常に心配であります。少くとも政府はそのことについて承認を求めよとかなんとかいうふうな一応の規定のようなものが、私はどうしてもこの際いるのじやないかと考えますので、その問題についてお尋ねをしたいと思つたのですが、ちよつと今会合がありまして出ますので、この次の機会にそれを伺うことにいたします。
  122. 加藤精三

    加藤(精)委員長代理 暫時休憩いたします。     午後四時八分休憩