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犬養国務大臣 お答え申し上げます。たくさんありますが、まず最初に
共産党、右翼というような問題で申し上げましよう。たびたび繰返して申しますが、私は
共産党とは
言つていないのです。破壊主義的な暴力
活動というので、この中には右翼が入ります。いつでありましたか朝日新聞に私の参議院の
予算委員会における戦後の右翼の動向についての説明が、ほとんど一欄ぶつ通しに出ておりました。おそらく
法務大臣として、あんな長い右翼運動についての分析をした人はないと思います。それくらいに私は、個人的な事情からいえば右翼のテロの
犠牲者の家族でありますから、その意味からも
関心を持
つております。要するに
お互いに、伊瀬さんが私の所論を反駁する、私も
自分の信ずるところを反駁する、
お互いの相対立した
意見をここで言い
合つて、
国民の批判をまつというこの
議会主義、この
議会主義を否認して、とにかくナイフや鉄砲でや
つてしまおう、こういう主義は右翼だろうが左翼だろうが、私区別しておりません。その意味で私は、暴力主義的な
革命手段をとる者に対しては、
国民に対してもそれに備え得るだけの
警察制度をしておかなければならぬ。まだや
つてないじやないかとおつしやいますが、や
つたあとでつく
つたのでは、これはそれこそあなた方のおしかりを受けるのでありまして、やる徴候を見たら、いち早く衆に先んじて、予防するというのが、
政治家ではないかと思うのでございます。そういうことについて資料を出せというお話でございますが、資料も出しますが、事柄の性質上あるいは書き物で残せない部分もございますから、一般の方にははなはだ相済みませんが、
秘密会で申し上げる部分もあるかと思います。ほんの一例を申し上げますならば、これは昨年私はよそでしやべりましたからいいのでありますが、暴力主義的な方のものは、
一つ一つの件について攻撃
目標というものをちやんと持
つておるのであります。書き物にしてあります。その攻撃
目標は、米軍の基地であり、軍要工場であり、波止場であり、停車場である。そして、それに対する米軍、
保安隊、あるいは
警察隊の兵力、これに対して
暴力主義的破壊活動に賛成する人の人員の力、それの足りないところは、どの県からどう持
つて来るというようなことまで、書き入れたものがあるのでございます。また、昨年の秋でしたか、私がある
地方に行きますと、秘密文書をしさいに点検いたしましたが、もう「何々報告、司令官殿」と書いてある紙もあるのであります。純然たる軍事
組織にな
つております。また山間部においては、軍事訓練の
あとがときどきあるのであります。たとえば私が大阪、神戸
地方に視察に参りましたときには、六甲において、あるいは丹波において軍事訓練をや
つたとおぼしき形跡がありまして、それについて調査したこともあるようなわけでありまして、平穏でございますが、軍事訓練、軍事
組織というものは、やはりそのスピードはゆるんでいない、こういうふうに
考えているのでありますが、表向きの情勢は、例の昨年のメーデーで火炎びん騒ぎで、
国民がこれを非常に非難したものですから、表向きは反米、反
吉田、反再軍備の
国民統一戦線と、たいへんおだやかな名前にかえておりますけれ
ども、その底流に流れるものは、私は軍事
組織であり、暴力
手段による
革命運動であ
つて、ただ世界的なチヤンスというものが熟していないというために自重していると、少くとも
治安当局は
考えて行かなければならないのではないかと存じます。これについてまた御
意見を伺いたいと思います。
それから
占領政策の一助として行われたと申したことは事実でございますが、同時に
占領政策で生まれた現在の
警察になかなかいいところがあります。おそらく戦争前と戦争中は、今日のように
国民が
警察に親しむことはなか
つたと思います。ときどき
交通巡査などが子供に笑
つて話しかけたり、実に見ていて私もなごやかになります。そういうことはやはり
占領政策が偶然持
つて来たいい点だと思います。ただしいて分析して申せば、あのときは二大陣営が何とか仲よく行ける、
アメリカも資本主義を一〇〇%主張しないで、ニユーデイールその他で資本主義の悪いところを除去して、ソ連の
言葉でいえば、資本主義を六〇%ぐらいに発揮してくれれば、ソ連もレーニン時代のようなボルシエヴイーキを一〇〇%発揮しないで国際協調的に六〇%にすれば、米ソは仲よく行けるではないか、こういうことをルーズヴエルトも言いますし、スターリンも
言つて、はなはだ近寄
つた。同時に
日本降伏の直後におきまして、
日本という国は恐しい、だから力を全部
分散しなければいかぬ、ことに
日本の
警察というものは、二度と
組織網をつく
つてはいかぬというので、
日本の脅威を二度とあらしめないという細心な注意のもとに
警察制度をつくりましたから、
警察単位が今日から見ると小さ過ぎると思います。これは
吉田内閣の
警察法改正の態度がいいとか悪いとか、たくさんあります。それは「自由な御批判でありますが、少くとも
警察単位が分割され過ぎていて、これは
犯罪捜査にもややこしい。
連絡調整にも実際の手続では限度がある。制度そのものにも再検討すべきときが来たのではないかというのは、
吉田内閣の
警察制度をかりに反対する人といえ
ども、この点だけは認めている。その最大公約数をとると、まあ
府県単位がいいのではないか、
中央一点張りはこわいし、またあまり細分化されてもだめだ、まあまあ
府県単位というのが、郷土愛の単位にもなるし、いいのじやないか、こういうのが
国民の大部分の常識のように私は承
つているのであります。その
府県単位にしたその
あとは、いろいろ任免権や何かであなた方にしかられますが、これは
意見の
相違で
お互いにありましようが、
府県単位においてということは、五大都市出身以外の方は大体賛成ではないか、こう私は思
つておるのであります。