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1954-02-25 第19回国会 衆議院 地方行政委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年二月二十五日(木曜日)     午前十一時四分開議  出席委員    委員長 中井 一夫君    理事 加藤 精三君 理事 佐藤 親弘君    理事 灘尾 弘吉君 理事 吉田 重延君    理事 藤田 義光君 理事 西村 力弥君    理事 門司  亮君       木村 武雄君    床次 徳二君       橋本 清吉君    石村 英雄君       北山 愛郎君    伊瀬幸太郎君       大石ヨシエ君    大矢 省三君       中井徳次郎君  出席国務大臣         法 務 大 臣 犬養  健君  出席政府委員         国家地方警察本         部長官     斎藤  昇君         国家地方警察本         部次長     谷口  寛君         国家地方警察本         部警視長         (総務部長)  柴田 達夫君         国家地方警察本         部警視長         (警備部長)  山口 喜雄君  委員外出席者         専  門  員 有松  昇君         専  門  員 長橋 茂男君     ――――――――――――― 二月二十四日  乗合自動車事業税外形標準課税廃止に関する  請願堀川恭平紹介)(第二三〇一号)  同外三件(藤枝泉介紹介)(第二三〇二号)  同(稲富稜人君紹介)(第二三〇三号)  同(永田亮一紹介)(第二三〇四号)  同(小川平二紹介)(第二三〇五号)  同(中居英太郎紹介)(第二三〇六号)  同(中村庸一郎紹介)(第二三八四号)  乗合自動車税軽減に関する請願堀川恭平君紹  介)(第二三〇七号)  同外三件(藤枝泉介紹介)(第二三〇八号)  同(稲富稜人君紹介)(第二三〇九号)  同(小川平二紹介)(第二三一〇号)  同(永田亮一紹介)(第二三一一号)  同(中居英太郎紹介)(第二三一二号)  同(中村庸一郎紹介)(第二三八五号)  営業用トラックに対する自動車税軽減に関する  請願石橋湛山紹介)(第二三七六号)  同(大野伴睦紹介)(第二三七七号)  同外一件(早稻田柳右エ門紹介)(第二三七  八号)  同(山下春江紹介)(第二三七九号)  貨物自動車運送事業に対する事業税外形標準  課税廃止に関する請願石橋湛山紹介)(第  二三八〇号)  同(大野伴睦紹介)(第二三八一号)  同外一件(早稻田柳右エ門紹介)(第二三八  二号)  同(山下春江紹介)(第二三八三号) の審査を本委員会に付託された。 同日  入場税及び遊興飲食税国税移管反対に関する  陳情書(第一〇六  三号)  町村合併経費補助増額に関する陳情書  (第一〇六四号)  地方制度改革に関する陳情書  (第一〇八六号)  風水害被害による地方税収入減に伴う財政措置  に関する陳情書外一件  (第一〇八七号)  消防機構改革に関する陳情書  (第一一一七号)  同(第一  一一八号)  同  (第一一一九号)  同(第一一二〇  号)  同  (第一一二一号)  遊興飲食税国税移管反対等に関する陳情書  (第一一二一号)  同(  第一一二三号)  入場税及び遊興飲食税国税移管反対に関する  陳情書(第一一  二四号)  同(第一一二五  号)  同(第一一二六号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  警察法案内閣提出第三一号)  警察法の施行に伴う関係法令整理に関する法  律案内閣提出第三二号)     ―――――――――――――
  2. 中井一夫

    中井委員長 これより開会いたします。
  3. 門司亮

    門司委員 議事進行について。きようの日程には入つておりませんが、委員長にちよつとお願いをしたいと思います。例の補助金等臨時特例等に関する法律案という法律が実は出ておるわけであります。そうしてこの法律審議は、議運で、特別委員会をこしらえて審議する、こういう取扱いがされるようになつております。これは文部省、厚生省、農林省、通産及び運輸、建設というような各省の補助金が、この対象になつておるようでございますが、しかしこれの最後のしわ寄せば、全部地方財政関連性を持つておるのであります。従つて委員会としては、この補助金等臨時特例等に関する法律案については、特別委員会ができるからといつて、これをそのまま放置しておくわけには行かないと私は思う。やはり当委員会としても、これを十分審議をするというか、知つておかなければならないと考えておるのであります。大体ざつと見たところ、今までの二分の一が三分の一になり、あるいは四分の三が半額になるというようなことで、地方財政にしわ寄せされるものは総額十億くらいのものではないかということが考えられる。しかし単に十五億の補助金整理されたといつても、予算説明書を見ると、国の助成金その他の削減が三十八億になつておる。これらの関連性は勢い地方財政にしわ寄せされて来て、地方の自治体では、補助金等がなくなれば、それで打切ればいい仕事も多少あるとは思うが、しかし全体の仕事は、補助金がなくなつたからといつて、今までの仕事をそう簡単に打切るわけには行かない。そうすると、国から出て参りまする今度の補助金等整理に関して十五億ばかりと、それから国の助成費の三十八億、それからもう一つは、補助金の現在減らされておるものが大体七億くらいに上る。こういうものを勘定して参りますと、やはり六十億ないし七十億の地方負担増加を見なければならないということに、私は結論はなると思う。そうなつて参りますと、地方財政計画にかなり大きな影響を必然的に持つて参りますので、今せつかく地方財政計画に対する質疑をまだ続行いたしておりまして、これもまだ終了しておりませんので、委員長はこの補助金等臨時特例等に関する法律案に関する参考書——むろん特別委員会にも配付されると思いますが、当委員会にもこれの配付をしてもらいたい。これは当然合同審査になるとは思いますが、一応こちらでもこの問題を審議することがいいと私は考えております。従つてこれらの参考資料を至急当局に請求をしていただきまして、そうして御配付を願いたいということを、まず委員長お願いをいたしておきます。
  4. 中井一夫

    中井委員長 お答えをいたします。門司君の御意見はよく了承いたしました。ただちに参考書政府より提出せしめるよう、政府要求いたします。
  5. 西村力弥

    西村(力)委員 昨日私地方財政計画に関する質問を本会議開会まで時間を区切つてつたのでございますが、それが本日は全然考慮に入れられていないということに対して、委員長はどういうぐあいにお考えになつていらつしやるか。与党各位としては警察法案審議を促進しよう、われわれとしてもこの重要法案については慎重に徹底的にこれを検討して行こう、こういう心構えでおりますので、熱意を持つておる点については、われわれも何ら与党各位に劣るものではございませんが、それを急ぐあまり、そのほかのものを全然無視してやるというようなことについても、われわれとしてどうも納得できないところがある。数日前に理事会申合せを一応ほごにして、改進党の橋本君の質問というか、議事進行の動議の発言を許した。このことも、結局この重要な警察法案審議は、まず総理に対する質疑によつて全般的な政府意向、最も本質的な意向を聴取して、そこから細部にわたつた検討を進めて行く、こういう大体の構想を持つてつたために、橋本君の発言を許しておるわけなのです。しかるところ総理は、目黒のお屋敷などへおいでなさつておるということを新聞で見ておるのですが、明日は予算委員会にも出る、こういうことになつておる。この点は、委員長においてもこれは当然のことであるから、総理出席に対しては十分な努力をすると申されておるのでありますし、明日たまたまそういう機会もつかまえられるということになつているのであります。順序から申しましても、当然そういう総理に対する総括的な問題の検討から進めるべきでありますので、その筋をくずさないで審議を進めたらいいじやないか。熱意々々と言つても、何のスケジュールを持たないで、めちやくちやに審議をして行くということは、かえつて審議を遅らせることになるのではないかと思われる。そういう点などについても委員長の見解を求めたいと思うのです。  われわれの地方行政委員会は今まで、もつぱら地方行政財政の問題、ことに財政の貧困をいかにしてカバーするかということに集中しておつたために、与党、野党を問わず、その間同じ意向をもつて非常に和気あいあい裡に友愛をもつてつて来た。だから地方行政委員会に席を置くと新聞に出ないから落選すると、大石さんにしかられたというようなこともあるのでありますが、何ぼそういうぐあいにしましても、警察法審議に関しては一つの限度があると私は思う。これは対立的にやらざるを得ない、これは間違いないことでございますので、そういうぐあいに審議を経なければならぬということを見込んでおるとするならば、委員長審議方法について、もつととことんまで理事会においてそれの結論を得るように努力することが、むしろ審議をスムーズにすることじやないか。それを理事会審議が従前のごとくうやむやになつて、そうしてただそのときどきによつて一方的に警察法に進もう、進もうとだけせられることは、かえつていけないことじやないかと思う。  なおもう一つは、本日の新聞を見ますと、今まで地方財政計画においては、地方公立学校教職員は首切りもしないけれども増員はしない、こういうことを言つておる。百万人の生徒が増加するのに対して約三万人の教員増加を必要とする、しかしそれはやらない、こういうぐあいにして地方財政計画も組んで来た。ところが本日の新聞を見ますと、小学校では七千六百六十四名の増員をする、中学校一万一千七百七十六名、合計一万九千四百四十名の増加をする、こういうことが文部省とそれから自治庁次長の連名で各地方団体に通牒が発せられた、こういうことになつておる。そうすればわれわれの地方財政審議過程において、もうこれがくつがえされておるということにもなるのでありまして、何としてもこの地方財政計画に対するわれわれの質疑を、もつともつと続行する必要がある。先ほど門司君からお話がありましたこともその通りでありまして、なお質疑通告行つて一言発言する機会を得なかつた人もおる。そういうぐあいであるのだから、何としても地方財政計画に対する審議などを先に取上げて、とことんまでそれをやつてあとはよかろう、それじや今度は警察法に集中しよう、こういうぐあいに行つた方が最もよい方法である。与党各位熱意もわれわれの熱意もともに生かされるものである。かように思うのでございます。結論として、そういういろいろな残された問題に対して、委員長は今後どういうぐあいに対処せられるつもりで、今議事を進められておるかということについて質問したいと思います。
  6. 中井一夫

    中井委員長 お答えをいたします。地方財政計画警察法もともに重要なる問題であることは申すまでもない。それゆえにいずれも十分その審議を尽すべきものということも、これまた言をまたざるところでございます。ただ審議進行方法につきましては、関係政府当局都合等もありますから、しかもその関係当局、たとえば警察につきましては犬養国務大臣、これらの人々につきましては各委員会とも、いろいろなる点においてその出席要求いたしつつあるところでございます。ことに予算委員会もいよいよ昨日から分科会に入ることになりまして、従つて関係大臣出席というような問題からして、できるだけ互いに各委員会が譲り合うということも必要であるかと思いますし、かたがた大臣出席可能の場合においては、他の法案審議はこれはあとまわしにしても、その出席可能の大臣について質問を集中するということが、きわめて適当なことであろうと思います。あなたの御質問につきましては決して無視などはいたしていないのでありまして、きわめて重視をし、これを尊敬することを決して忘れておるのではないのであります。従つて引続きその質疑を承ることに相なつております。本日は法務大臣出席機会を得ましたから、法務大臣に対し警察法についての質疑を集中せられんことを希望いたす次第であります。
  7. 西村力弥

    西村(力)委員 委員長の苦衷というか、そういう御誠意というか、十分了承しておりますし。常々敬意を表するものでございますが、総理出席の問題は全会一致そういう要望でございますので、その間の努力、それからいつ出席を得られるかという見通し、そういうことについてお伺いをいたしたいと思います。
  8. 中井一夫

    中井委員長 お答えをいたします。総理出席要求につきましては、単に橋本清吉委員の御意見だけでなく、委員会の総意とも認められますので、ただちにこれを政府に通告し、総理大臣出席の一日もすみやかならんことを要求いたしておりますが、さらに本日は重ねてその要求を続けたい、こう考えております。総理大臣出席可能の際は、ただちに出てもらうことにいたします。
  9. 北山愛郎

    北山委員 私も議事運営につきまして若干の意見を申し上げて、委員長信念をお伺いしたいと思うのです。ほかの委員と同じように、この地方財政の問題あるいは地方税の問題は天下非常に注目しておりまして、これを論議することは、他方において国の予算審議する予算委員会等審議とも並行いたしまして、私はまずもつてこれをやらなければならぬ、かように思つておるのです。しかし警察法を早く上げなければならぬというような政府意向従つて、一部では三月初めの予算が上る時期までに、この警察法を衆議院を通過させようというような御意見もあるようでありますが、これはまことに暴論であると私は思うのであります。なぜならば、地方財政計画なりあるいは地方税というものは、純粋に地方財政の問題である。しかしながら警察法は、予算とはもちろん関係はありますけれどもその金銭、予算以外に、国民権利義務に関する重大な問題でございます。しかもまた地方自治から警察という仕事を取上げて国の仕事にしてしまうということは、これは地方自治にとつても非常に大きな問題なのであります。地方の地域における治安維持、秩序の維持という仕事が、地方団体仕事であるという考え方に立つて、戦後の警察運営されて来たのでありますが、今回の警察法は、この仕事地方団体から取上げて、これを国の仕事にしてしまおうというような、非常に地方自治にとつても基本的な改革と言いますか、改悪だと思うのでありますが、そういう点、それからまた国民人権あるいは自由にとつても、ゆゆしいいろいろな影響がある。根本的に言えば、日本の民主主義にとつて大きな影響のある重大な法案であります。単に予算審議都合というような便宜主議をもつて、この法案を取扱うということは、国会として間違つた行き方である、かように考えるのであります。以上のような重要な法案でございますから、予算審議等のことは別個の問題として、われわれ国会議員としては、これを慎重にそして深く掘り下げて、徹底的に審議をしなければ、われわれの任務が果せない、かように確信をするのであります。従いまして現在の警察というものがどこに欠陥があるか、現在の警察がどういうふうに運営されておるかというような点を、よく調査をしなければならない。最近伝えられておりますように、警察官の教員思想調査という問題が各府県に起つております。こういうように、現在いわば民主的な警察運営におきましても、思想調査というような行き過ぎが行われておるという実情を見、また治安の状況、そういうものをよくこの委員会としては調査をしなければならぬ。まずこれが必要であろうかと思います。それから関係の各団体からいろいろな陳情意見が出されておりますので、こういうような府県なり、あるいは市町村というような関係団体意向を、われわれ委員会としては十分に聴取しなければならぬ。また同時に、学界、あるいは言論界、あるいは一般の有識者というような、国民のこの法案に対する声を十分に聞かなければならぬと思うのであります。この法案取扱いにつきましては、以上のようなことが絶対に必要である。国会議員として、これを単に予算審議便宜主義でもつて軽々に決定するということは、国の百年の大計を誤るということになりまするから、私どもはそのような見地に立ちまして、慎重に審議をしなければならぬ。もしこれを軽率に扱いますならば、現在汚職あるいは疑獄等によりまして、政府あるいは政界に対して国民の疑惑が非常に大きい、こういう際に、このような警察国家をつくるような、中央集権的な警察法を通すならば、これはおそらく汚職隠蔽法案である、かように国民は思うかもしれないのであります。従いましてそのようないろいろな情勢を考えまして、私どもはこの法案財政あるいは予算というような面と切り離して、徹底的に調査をしなければならぬ、かように思うのでありますが、委員長のこれに対する御信念をお伺いいたしたいと思います。
  10. 中井一夫

    中井委員長 お答えをいたします。警察法重要性にかんがみまして、その審議を慎重にいたすべきことは申すまでもないところであります。ただ私ども考えによりますれば、この法案はいろいろな点につきまして、非常な対立抗争意見のあるところであります。従つてこの法案決定については、結局は各政党政派の腹をどこにきめられるかということによつて、この法案運命が決せられるべきものと思うのであります。従つてその各党の腹をきめられるまで、この委員会でただただ審議を急ぎましたとて、それでもつて今おつしやるような決定を無理にするなどということのできないことは、これまた申すまでもないところであります。従つてどもは慎重に審議を進めまするとともに、各政党のこの法案に対する腹をどこにきめられるかというときを待ちたい。それがきまりましたら、ただちにこの法案運命を決すべき採決に入りたい、かように考えておるのであります。特別にこの法案ために無理に審議を進めようなどというようなことは、毛頭考えておりません。その段格別の御了承を得たいと思います。
  11. 北山愛郎

    北山委員 どうも委員長と論争するわけではございませんが、ただいま私が申し上げたのは、各党の腹というような問題とは、また別個だと思うのであります。この警察法案というものは、今申し上げましたように、国民人権、自由にとつて、あるいは地方自治にとつて、非常に重要な法案である。従つてこれは各党内の意見をまとめるという問題だけではなくて、この法案審議を通じて、国民審査過程が十分に納得をされて、また国民が何を考えておるか、何を希望しておるかということを、各党においても、各委員においても、これを十分取上げて審議をするという、審議方法をとらなければならないという意味で、申し上げたのでありまして、私どもはこの点について委員長意見が違うのでありますが、その点についてはいかがお考えでありますか。
  12. 中井一夫

    中井委員長 お答えをいたします。ただいまのお話につきましては、あなたの意見も私の意見もちつとも、かわらないのであります。何分にも重大な問題でありますから、これを審議決定いたすにつき、国民の納得して行くような方法でいたすべきことは、まつたくあなたの御意見委員長意見はちつともかわらないのであります、ただしかしそれをいたしますには、相当のところということが必要でないかと存じております。この委員会におきまして審議をいたすに、何もかもどんなに時間がかかつてもやるのだというようなことでは、これはまた行き過ぎではないかと思います。そこには皆さんのごとき賢明なるお方々のお考えをよく尊重いたしまして、委員長としては最もよろしいところにおちつけて参りたい、かように考えておる次第であります。
  13. 石村英雄

    石村委員 地方行政は今度初めてなんですが、今までのほかの委員会の例を考えましても、最初は基本的な問題をいろいろやつておるのですが、その途中で具体的な法律案が出て来る。それと一緒にやるというやり方審議を進める。そういたしますと、結局その出て来た具体的な法律案の方の審議にとられまして、根本的な問題の解決、検討ということは、うやむやになつて来たように思うのであります。地方行政委員会におきましても、私は警察法はもちろん重要だということはわかつておりますが、しかし何も今警察がないわけではない。自治警国警があつて、非常に治安が乱れておるという現状でもない。むしろ今地方財政というものが、どうにもこうにもならなくなつておる。この根本的な問題にもう少し先に力を注いで、——これは何も社会党とか自由党とかいう政党的な立場を離れて、地方財政の確立ということは、ある程度の方向は出て来るのではないか。結局その日暮しの政治が行われて来るにいうようなことに、委員会やり方によつてはなつて来ると思う。警察法もちろん重要ではありますが、もつと委員会審議の進め方については、根本的なものを、もう少しやつて行くように進めていただきたいと希望いたします。
  14. 中井一夫

    中井委員長 この際、御報告を申し上げておきたいことがございます。それは地方税法の一部を改正する法律案提案理由説明につきましては、きのうの理事会の申し合せによりまして、本会議においてその趣旨説明政府よりなさしめることを、議院運営委員会に申し込んでおいたのであります。議院運営委員会におきましては、何分各党からの代表の人たちが出ておられるのでありますから、自然各党派の御意向というものがこれに反映いたすこと当然であります。つきましては、本委員会としての申出が貫徹されますよう、各党各派におかれまして、格別の御配慮をお願いいたしておきます。従いまして、申入れはいたしましたが、委員会皆さんの御希望通りただちにこれをいたすという結論は得ておりません。これから議運において審議をした上で態度決定する、こういうことでありますから、この際中間の御報告をいたしておきます。  なお私は、実は流感を数日前からわずらつておるのでありますが、熱を冒して出席をいたしているような次第であります。声のお聞き苦しい点は何とぞお許しをいただきたいと思います。
  15. 加藤精三

    加藤(精)委員 議事進行。ただいま西村委員及び北山委員からるる議事進行について御発言がありましたけれども西村委員のおつしやいますのは、はなはば失礼でございますが西村委員理事でないかのごとき態度をもつて理事会もう少ししつかりしろというのでありまして、これはどうも何ともかんとも、同僚としてひとつ十分御発言に注意していただきたいと思つております。なお北山委員の御発言は、警察法審議を非常に丁寧にすべしという議論のようでありまして、この点につきましては、すでにもう数十分前に法務大臣並びに政府委員も御出席になつておられますのに、社会党の方が一人も姿をお見せにならない。そうして審議が進まないと言うということでは、どうも言行が一致しない。もう少しほんとうのことをこの委員会言つていただかないと困ると思うのです。もはや時間も相当経過いたしておりますので、もう御審議をお始めになつていただきたい。そういうようないきさつでございますので、かれこれいろいろな言い分もありましようし、あとから北山さん並びに西村さんからしかられると思いますけれどもせつかく政府委員法務大臣もおそろいでございますので、この際は警察法に関する質疑通告者から質問をさせていただきたい、こういうふうに考えております。
  16. 西村力弥

    西村(力)委員 ただいま加藤委員からおしかりをいただきましたが、しかしこの理事会というものは委員長が招集し、そして結末をつけるのだろうと思うのですが、いつもこの理事会やり方というものは、前々からの惰性ではつきりした結論が出ないままにうやむやに終つている。加藤さん初め皆さんは、もう警察法で頭はそこら辺に行つて、足はこの辺で、そうして先ばかり急いでおる。そして最後はうやむやにする。しかもそれに対してしつかりした収束をつけずにやつて行く。これは私自身の責任であると言われればその通りでございますが、そういう行き方を改めて行くことが、しつかりと構えて審議を慎重にして行こうという、われわれの、あるいは国民の熱望、国会の任務ということからいつても必要であるから、委員長はそういう今までの行き方を、これからどういうぐあいに持つて行くかということを質問したわけです。その点に関する私どもに対する御非難は、まずあなたたち自身が改めらるべきであると私は思うのです。その点を考えていただかなければならない。与党の上の方から何かいろいろあるかどうか知らぬが、とにかく急がれる心情もわかるのでございますけれども、先ほど北山君からるる申し上げました通り、われわれはわれわれの任務が完全に遂行せられるだけのおちついた態度で進むべきである、かように思うのです。しかも今までの委員長発言加藤君の発言を聞いておりますと、政府委員がおいでになつているからやらなければならないという、まるで政府委員の御都合によつて、われわれ委員会が左右されるごとき印象を与える発言というものは、よろしくないと私は思う。しかも、口をすべらしたか知りませんが、あなた方自身は、常々は二、三人しかおいでにならないで、採決のときだけ全員そろつて、早く採決をやれといつて、おしりをもじもじさせて、採決を終つたとたんに雲散霧消するような態度を示しておるが、われわれの状態を見なさい。いつでもほとんど満員になつて審議に熱を示しておる。それにもかかわらず、たまたま本日だけあなた方が早く来て、それでわれわれを責めるようなことは、絶対にわれわれの了承できないところであります。そういう発言は慎んでいただきたいと思います。     —————————————
  17. 中井一夫

    中井委員長 それでは警察法案及び警察法の施行に伴う関係法令整理に関する法律案の両案を一括して、議題といたします。質疑を始めます。質疑の通告がありますから順次これを許します。大石ヨシエ君。
  18. 藤田義光

    ○藤田委員 ちよつと議事進行について。委員長、この警察法の問題は非常に重大でありまして、実はただいま委員長から大石委員発言を指名せられたのでありますが、もちろん私文句はございません。ございませんが、委員会審議が進むに従いまして、おそらく相当の紛糾も予想されますし、従来当委員会の常識といたしましては、大体質疑の通告順にあらずして、野党第一党から小党に至る順序に従つて指名をいただきまして、最後に与党たる自由党が発言をするという順序で長年委員会運営され非常に円満に行つておりましたので、今後の議事進行に関しましては、なるべく野党第一党の改進党からひとつ御指名を願いたい。朝の質疑通告順に発言を許すということになりますと、いろいろ紛糾が予想されますから、今後の運営に関しまして、私の希望として委員長の了承を得ておきたいと思います。
  19. 中井一夫

    中井委員長 お答えをいたしますが、この発言順につきましては、ただいま藤田委員の仰せの通りいたしたのであります。あなたはあるいは御出席がなかつたのであろうかと思いますが、改進党の橋本清吉君を質問第一陣に指名し、その質問は終りました。
  20. 藤田義光

    ○藤田委員 それはその日その日の順序でなくて、ずつと連続して行くわけですか。
  21. 中井一夫

    中井委員長 そういうつもりでおります。
  22. 藤田義光

    ○藤田委員 それではそういうふうに了承しますが、この委員会は相当紛糾すると思います。その際におきまして、その順序を踏襲して行かれますと、また非常に問題になると思いますので、でき得れば当日の委員会ごとに、先ほど私の述べました順序に従つてつて行く方がスムーズに行くのじやないか、かように考えております。これは後ほど理事会で御審議つてもけつこうでありますが、すでに一週間前の橋本委員発言が第一陣で、一週間後の本日が第二陣ということは常識的にも非常に無理があると思います。本日は私の非常に尊敬する大石先生が最初に立たれますので、もちろん異存はございませんが、今後はなるべく当日の割振りを先ほど申し上げたようにしていただくことをお願いしておきます。お願いでありますから御答弁はいりません。
  23. 中井一夫

    中井委員長 よく了承いたしました。大石ヨシエ君。
  24. 大石ヨシエ

    大石委員 犬養法務大臣にちよつと一点質問をしたいのは、一体日本を今日のようになさしめたのはいかなるものであるか、日本が警察国家であつた、軍閥であつた、既成政党であつた、官僚政治であつた、このことが日本をかくのごとく敗戦に導いたということは、あなたも御承知であろうと思います。この点いかがでございますか。
  25. 犬養健

    犬養国務大臣 すこぶる広汎な御質問で、はたして任にたえるかどうかわかりませんが、できるだけ考えておることを申し上げます。  今日の日本のまことに悲しむべき混乱の状態というものは敗戦から来ております。この敗戦のよつて来るゆえんというものは、日本を構成している国民の各層に、それぞれ責任があると考えます。もちろんその当時主として政局を担当していた政党にもありましよう。また国民がほんとうに国会制度の真髄に徹しないで、事大主義で割合にお役人の言うことには頭を下げるというような気風がまだ抜け切つていない、一言で言えば民主主義が徹底していない責任もありましよう。しかしわれわれは今日過去を顧みまして真にえりを正す気持で、日本をもう少し国民と為政者との間に精神的なつながりができるように改革しなければならぬということを考えておりまして、おそらくこれは大石さんと同じ気持だと思います。ただその改革方法、手段、時期、経過措置等について残念ながらときどきあなたの党とは意見を異にいたしますけれども、だれも日本を悪くしたいと思うものは一人もないのでありまして、この点では根本精神において一致しておると考えます。また警察法審議せられる委員会で、特にその発言がおありになつたことでございますから、おそらく過去におけるいわゆる俗に言う警察国家も、相当責任があるんではないかという御質疑のようにも受取れたのでありますが、私どもは戦前及び戦争中に見られたがごとき、いわゆる警察の力の行き過ぎということは、極力みずから戒めておりまして、だんだん御質疑に応じて申し上げますが、このたびの警察法改正についても、特にその点は注意してかかつておるつもりでございます。
  26. 大石ヨシエ

    大石委員 しからば犬養さんは、現在の自治警国警と二本建になつておるこの警察法というものは非民主主義的である。ゆえに非常に民主主義的な今回の警察法に改正なさろうという意思でございますね。あなたはこれを民主主義的な警察法であるとお考えでございますか。その点をお伺いしたい。
  27. 犬養健

    犬養国務大臣 お話を二つにわけて申し上げたいと思います。  日本を今日までにしたものはだれの責任かという御質疑、これはもう一つ仕切りのこつちです。それに対していろいろ責任もあるが、国民が真に民主主義に徹底する部分がまだ少くて、何でも政府の方針といえばへいへいした、その点も改めなけれならぬ。また国民をへいへいさした政府も政治家もひとしく責任がある、こう申し上げたのであつて、それから仕切りのこつちに、今度は警察法お話になるのでありまして、一ぺんそこでピリオドを打つていただきたいと思います。  そこで現在御指摘のように国家地方警察、自治体警察と二本建になつております。これは占領治下においてできたものでありまして、手取り早く言えば占領政策の所産の一環と申してもよろしいでありましよう。もちろん占領政策とはいえ、たいへんいい点も残して参りました。しばしば申し上げますように、国民に親しみやすいおまわりさんというものができたのは、確かにこのたびの改正する以前の警察制度の所産でありまして、この美点は残さなければならないと思います。また発生論的に申せば、警審というものはそもそももつと時代が古いときに、自分の家は守らなければならぬ。自分の家ばかりでなく一緒に隣り近所を守らなければならぬ。さらに拡大して一つの町を一緒に守らなければならぬ。さらに一つの市を一緒に守らなければならぬというふうになつて来たのでありまして、発生論的に言えば、みんなこれは人民のため警察でございます。これは確かにもう警察の本質的なものであると思います。しかるに御承知のように国際的にも国内的にも地面の下で社会を破壊する、暴力で破壊するという革命的な運動が世界のどこにもありまして、日本にももちろんあるのでありまして、同時に数個の県あるいは同時に数箇の市に突如として起る騒擾事件、すなわちこれは近代の社会の産物でございますが、こういう大仕掛な擾乱とか、またこの間のように三県も四県も五県も一緒くたに突然見舞われる風水害というような大仕掛な事態に対しましては、一つの町だけを親しみやすく守る、一つの村だけを親しみやすく守るという形の警察だけでは、処理できない部分がありますので、さればこそ今度は国警自治警も仲よくこれを解消いたしまして、府県単位の警察をつくる、つまり自治機関である府県を元とした自治体の警察をつくる、しかしそれだけでは足りないのでありまして、この点が御意見の相違になります。あるいは法律で限られた国家的な騒ぎに対しては中央から指令することができる。しかしそのなすことはもちろん公安委員会でながめていて、けしからぬと思う警察長官や隊長は懲戒罷免ができる。また府県会で予算にからんで警察のふだんやつておることを、公然と県民の前で批判することができる。ここに民主主義的な警察官吏の運営の保障がある、こういうふうにいたしたわけでございます。
  28. 大石ヨシエ

    大石委員 ただいま大臣は革命的ないろいろな点があると言われたが、この革命的ということはどういうことを意味していらつしやいますか。私にはそれは解することはできません。
  29. 犬養健

    犬養国務大臣 たびたびほかの委員会でも申しておりますように、お互いは議論が違つても、これは議会主義です。議会の中で改めて行こうという議会主義でございますが、軍事訓練をやつたり、武器をひそかにたくわえたりして、武器による暴力革命で、社会を改革して行こうというのが、俗にわれわれは暴力革命の手段をとる人々、あるいは暴力革命主義と申しておるのでありまして、これはなぜそう言うか、予算委員会でもしばしば詳細に御報告しておりますから御了承のことと思います。
  30. 大石ヨシエ

    大石委員 私は今回のこの警察法こそ無血革命であると思うが、あなたはどういうふうに思つていらつしやいますか。
  31. 犬養健

    犬養国務大臣 大石さんの大石さんなりの御意見というものは尊重いたしますが、私どもはそう思つておりません。これは御意見の相違ということになるかと存じます。
  32. 大石ヨシエ

    大石委員 大体今まで警視総監がおつて、それがボタン一つ押せば三府四十三県に訓令を発し、警保局長が来てボタン一つ押せば日本にすべて訓令した。そうして特高警察があつて、赤でないものを赤にしてしまう。私は知つておる。私の知つておる人はほんとうは共産党でなかつた。ところがその共産主義でない者が警察が共産主義にしてしまつた。こういうような例がたくさんあるのです。それで私たちは中央集権主義になり、かつまた警察がおいこらになつて、このごろ大分おまわりさんがまたしても威張るようになつた。これは何であるか。こういうようないわゆる無益革命である警察法が、やがては国会において通過するであろう、こういうことをおまわりさんはもはや頭に置いている。そうしてあるいは政治に干渉し、あるいは特高警察のようなものを置いて、やがてはわれわれが何ら発言することができないような昔のような状態におかれることを私は嘆きます。われわれ野党が演説会をやると干渉したり、そういうようなことをあなたはなさろうと思うために、こういうような警察法をあなたがお考えになつたであろうと思いますが、これは私の思つている通りでしようか、どうでしようか。
  33. 犬養健

    犬養国務大臣 大石さんが今御心配になつている点は、私どもも十分心配している点でございます。だんだん申し上げてみたいと思いますが、ボタン一つで内務省の警保局長あるいは警視総監が動きましたそういう時代がありました。あなた方も多分被害者の一人だと思いますが、(大石委員「私のおしりを先だつてなぐつた」と呼ぶ)少し聞いていただきたいと思いますが、有名な治安維持法その他いろいろありまして、そういう時代もありました。私も被害を受けた者でございますが、今度のはボタン一つで動きません。あなた方がお選びになり、国会で承認を得て、府県会で承認を得た公安委員会というものが目を見張つておりまして、これはけしからぬ隊長だということになれば、しばしば申し上げますように懲戒罷免の勧告権をもつて迫ることができるのであります。そうすれば新聞にも書き立てられますし(大矢委員「そんな甘いもんじやないよ」と呼ぶ)これはどうも大矢さんと私と意見が違いますが、輿論というものが日本はなかなかきびしい国でございますから、警察隊長が府県民から懲戒罷免の勧告を受けたといえば、仕事がやりにくくなるのでありまして、そこに私は民衆の輿論を反映した警察官に対する制約というものが行われると考えているのであります。  それから過去の警官がいろいろ思想取締りがきびしくて、共産主義でもない青年に憤激を与えて共産主義にしてしまつたということも相当あつたと思います。申し上げたいのは、この警察法を改正させていただきますけれども、一体思想をよくして行く、健全にして行くということは取締り法規だけではできません。取締り法規というものはその手段です。ほんの一部分だと私は思つているのであります。だから警察法を改正すると同時に、社会保障というものをほうつておいていいかというと、ほうつておけないのであります。これは政府の総合的政策でやつて行かなければならない。また女の人がからだを売る。それを法規で取締る。それだけで事が済むのではないのでありまして、女の人がからだを売らなければ食えないようなはめになつた場合に、相談ができる婦人ホームだとか、その他の社会制度だとか、職業安定所が親切に指導をするとか、あつせんするとかいう総合政策でなければならぬと思うのでありまして、治安取締りというものも、この警察法の改正ということはすこぶる重要だと思いますが、それはむしろ末の方でありまして、総合的な社会政策というものが、一番青年を健全にするものだと思つております。
  34. 大石ヨシエ

    大石委員 ただいま犬養さんが公安委員会というものは、非常に威厳のあるようにおつしやいましたが、ここへ公安委員を呼んでわれわれは参考人として聞いた。ところが公安委員は何も知らぬ。ロボツトである。そういうロボツトを置いておいて、そして斎藤さん方はそのロボツトを使つておる。これが現在の公安委員である。こんな公安委員警察の何を知つておりますか。それを使うものはいわゆる今回つくられる国務大臣とそしてここにおられる斎藤国警長官、そのロボツトである。(加藤(精)委員「ノーノー」と呼ぶ)こら、加藤。(笑声)こういうロボツトを公安委員に置いておいて、あなたは理想的なものであるとお思いになる。それはあなたがお坊ちやんであるということなんです。(笑声)いかがですか。
  35. 犬養健

    犬養国務大臣 いや御忠告ありがとうございます。そういう場合も私はあると思う。(大石委員「あります」と呼ぶ)それでこまかく申し上げてみましよう。たとえば国家公安委員に金正米吉さん、大矢さんよく御承知の総同盟の大先輩、それから大阪に神宅さん、なかなかこれら議論の立つ人がおります。ことに社会党の党員でおられるようですが、私は金正さんを心から尊敬しています。私どもが何か警察問題できめるときに、やはり金正さんがこういうときは相当異論があるだろうとかいうことは相当遠癒して考える。従つてそれだけ制約を受けます。また大阪の神宅さんというのもなかなか有名な一言居士でありまして、無理をすればたちまち反駁を受ける。だからこういう方は何も知らないなどというようなつまらないしろものではありません。そこでそういう人ばかりかというと、そういう人ばかりでない部分もあるようでございます。大石さんの言われるように何にも知らないというのも全然ないとは言えないと思います。そこで今度はそういう措置を考えてみたのでございまして、結局これは資格をもつと広げた方がいいだろう、つまり何十年前に官吏を一ぺんやつたら絶対に公安委員になれないというようなことでは、少し人間の経歴とか教養というものを軽んじていることになると思いまして、今度は検事と警察官をやつた前歴のある人は御遠慮願いますが、あとは広げたわけです。大石さん御心配のような場合も私は全国にあると思いますのは、今まであまり制限をきびしくしましたので、悪口を言う人は公安委員はお医者と坊主だけだ、こういうように言うのでありまして、もちろんお医者さんと宗教家というものは人格のいい人が多いのでありますが、人格だけでは警察の見張りというものはできにくい部分もありますので、今度は警察行き過ぎた場合たちまち眼光紙背に徹するような社会的な経験を持つた人も混ぜて、ひとつ煙たい存在、監視役になつていただこうというのが、私どもの本旨でございます。
  36. 大石ヨシエ

    大石委員 先ほど大臣は日本の国はきびしい輿論の国である、こうおつしやいました。あなたは輿論を御承知でございますか。輿論は国家警察と自治体警察とこれを二つにしてくれ、これが輿論です。この輿論をあなたは雲の上にいらつしやいますからお聞きにならないと思うが、大衆の輿論は現在のままにしてほしいというのが、大衆の輿論であることをあなたは御承知でございますか。
  37. 犬養健

    犬養国務大臣 これはせつかくの大石さんの御意見でありますが、承服できません。輿論は大体私も全部読んでおりますが、どうも今のまま分割された形では無理だろう。これはひとつ何かの単位で一致させなければならない、その大部分はまあまあ府県単位だろう、国家一単位では警察国家になるし、分割された単位では犯罪が町から農村に逃げ、農村から町に逃げるからつかまらない。親しみやすい警察というものを国民は望むが、どろぼうのつかまらないようなただにこにこしている警察では困る、ぴつと一つ骨が入つてもらいたい。この両者の融合、両者の何といいますか統一というものを、われわれ考えているのでありまして、輿論の話にもどりますが、府県単位の、大体の民衆がこごとが言え、民衆が監視できる警察になるのがいいんじやないか。輿論をいろいろ御指摘になりますのは、これからも御質問があると思いますが、たとえば国務大臣が公安委員長になるのがいいとか悪いとか、あるいは地方警察隊長を任命する任命の仕方が、もう少し地方の人に意思を聞くようにした方がいいのじやないかとか、あるいは五大都市だけは独立した方がいいのじやないかというような、第二、第三義の御議論はありますけれども、大体今の警察ではいけないというのはもつともだろうということは、この委員のどなたに聞いても、そういう輿論を読んだり聞いたりしておる人が大部分ではないかと考えております。
  38. 大石ヨシエ

    大石委員 大臣にお聞きしたいのは、警察法第十六条によると「警察庁の長は、警察庁長官とし、内閣総理大臣が国家公安委員会意見を聞いて、任免する。」とございますが、ちよつと私わからないので、お教えいただきたいと思うのであります。
  39. 犬養健

    犬養国務大臣 この点や今申し上げました二、三の点が、このたび委員会で御審議を願います間における各委員の一番力を入れて御質疑がある点だと思います。どうしてこういうふうにしたかということでございますが、これも本会議で申し上げたと思いますが、大体今の警察に対して、一番だれが責任者なのか、責任者があるようで実はわからない。二重橋事件もそうでありますが、吹田事件その他大須事件とか大きい事件がたびたび起つても、だれが一体国民に対して総括しておわびをする責任者か、それがあるようでないのでございます。二重橋のことは警視庁も非常に御苦心になつたので、ここで申し上げたくございませんけれども、あのときも二重橋から一メートル入つたらだれの責任、外は違うだれの責任、その上のだれかれもそれぞれみな違つておる。私も一々委員会でおわびをしますが、国警担当の国務大臣であつても、国警大臣ではないのでありまして、だれもわび手がないから、まあ私どもわびておこうかというふうな形もなきにしもあらず、それではどうも責任が明確化しないじやないかというのが、昨年以来の御議論でございます。それで警察事務について不祥事が起つたら私が一番の責任者だといつて名乗つて、男らしく堂々と国民にわびる人をつくろう、こういう趣旨から出た問題でございます。これはいろいろ御議論があるでありましようから、御議論なりおしかりなりは、十分えりを正して伺うつもりでございます。
  40. 大石ヨシエ

    大石委員 私は昨年来からこの警察法が作成されていることをよく知つておりますが、これは自由党が改進党の案に乗つたのです。改進党がこれは先生です。改進党が県単位にしようじやないか、じやちようど都合がいいから、改進党のおつしやるようにしようじやないか。ここにおる床次さんと鈴木さんがつくつた案です。自由党はなぜ自由党独自の立場からこの警察法をおつくりにならないのですか。これは改進党の案です。改進党の案をあなたはさも自分がつくつたようにおつしやつておられますが、一体どうなのですか。その根本をはつきり聞かせてもらいましよう。
  41. 犬養健

    犬養国務大臣 どうも多少迷惑でありまして、証拠もないのにお前がどうだというのは、毎日非常にはやるのでありますが、これは私の方でもお調べくださればわかるのであります。政府でも、自由党でも府県単位にするということは、初めから言つて来ておるのであります。それはたまたま改進党が考えたかもしれませんが、改進党の脳みその中で働くことまで統制できません。同じことをおつしやつたらそれはけつこうですと言つて、同調するほかはないのでありまして、おれの方の知恵だからお前黙つているというのでは、これこそ警察国家になつてしまうのでありますから、これはひとつ御了承願いたいと思います。
  42. 藤田義光

    ○藤田委員 ただいま大石委員発言がありましたので、この際誤解のないように申し上げておきますが、改進党案はいずれ数日中に天下に発表します。この政府原案とは全然違います。こういう国警一本の非常に極端な、右旋回の法案ではございません、非常に民主化という点を考えました法案を計画いたしておるのでありまして、自由党の原案とは全然違います。同じ都道府県警察とはいいましても、これは都道府県警察という名前の国警であります。われわれ都道府県警察は都道府県自治警察とはつきり明言いたしております。全然違いますから誤解のないように、ひとつ質問を進めていただきたいと思います。
  43. 大石ヨシエ

    大石委員 ただいま藤田委員から民主主義的な警察制度をこれから提出するのであるということをお聞きして、私は安心しました。  そこで大臣にお伺いしたいのは、警察庁長官の任免権は現行法では国家公安委員会にある。それを取上げて今度のこの警察制度の改悪——改悪と私は言いたい。この改悪で、内閣総理大臣の手に移そうというのは、これは明らかに国家警察である。また戦前のようにわれわれの人権を蹂躙しようとする国家警察である。これに対して犬養さんはどういうふうにお考えになりますか、これは事詳細に御返答を願いたい。うそを言うたら承知せぬです。
  44. 犬養健

    犬養国務大臣 うそは申し上げませんが、意見の違うところは遠慮なく申し上げたいと思います。この問題は先ほど申し上げましたように、責任を明確にするには、人の任命した者をただ受動的に受け取るというのではいかがであろうかという考え方でありまして、これは政府も自由党も強い主張をいたしたわけであります。しかし総理大臣がかつてにあいつは好きだ、あれは気に入らないといつてきめれば、それこそ大石さんの御心配の通りでありますが、今申し上げましたように、国家公安委員意見を聞くのでありまして、意見を聞くといつても聞きつぱなしというわけにはなかなか参りません。国務大臣の待遇を受けておる五人の委員が、その過半数であれは気に食わない、あれはよくない。あれは前歴がよくない。思想傾向もよくないと言うのを押し切るということは、実際の政治情勢でできるものではない。こういうふうに考えておる次第であります。
  45. 大石ヨシエ

    大石委員 ただいま思想傾向がよくないとおつしやいましたが、人が考えておる思想は賢明なる法務大臣は、どういうふうに解釈なさいますか。あれは赤である、これは社会主義者であるということなんですか。
  46. 犬養健

    犬養国務大臣 あなたは総理大臣と間違えておられるのであつて、そうじやないのです。あなた方がお選びになつた複数の五人という人がめいめいの考えから、総理大臣がこういう者はどうだろうかと聞いて来たときに、あれは国民ためによくないぞと思えば、遠慮なくあれはだめだと言う発言権を持つておる。かりにその五人のうち二人、いわんや過半数があれは困る、公安委員の中で相談しましたが、あの者は困ると言えば、これは輿論のバツクがあるのでありまして、新聞も国家公安委員は三人まで総理大臣の指名者に賛成しなかつたと書く。輿論が沸く。それを押し切つてまで一警察庁長官につて無理をするということは、政治上賢明でもございませんし、むだな摩擦の起ることであつて実際上できにくい、こう申し上げたのであります。
  47. 大石ヨシエ

    大石委員 しからば申しますが、現在の吉田ワンマン首相は公安委員が進言したつてあの人は聞きませんよ。自分の思う通りやりますよ。これが民主主義ですか、どうですか。これを私はいけないと言うのです。公安委員がこういう人はこういうものであると言うたつて、自分の思う通りしかやりませんよ。これが非民主主義的な今回の警察法の改正であるということを私は言うのです。あなた、吉田さんを御存じでしようが、これはいかんと思えば自分の思うた通りあの人はきめます。こういうワンマンの総理大臣から相談を受けてやるような公安委員は一体どうなるか、これを私は心配する。要するところ、これは中央集権になつて国民を弾圧し、治安維持法のようなものにだんだんとなつてつて、そうしてここにいる斎藤国警長官は吉田さんの最もお目に入つて、自分のすきなようになさろうとする結果が出て来る。それを私は心配するのです。今回の警察法に対して私が絶対反対するゆえんはここにあります。吉田さんのようなワンマンが総理大臣であつたら、何ぼ進言したつてお茶坊主の言うことより聞かぬ。これをどうするのですか。公安委員をきめるのに、これはよろしいこれはよろしいと言うたつて、いやこれはいかぬと言う。おれの方は何ぼこうだと言つても、こういうふうな総理大臣がおつて、そうして公安委員をきめたらどうなりますか。あたな、吉田さんの性質をよく御存じであろうと思うが、これをどうお考えになつておるか、御返答を望みます。
  48. 犬養健

    犬養国務大臣 これは吉田さんの性格分析から入つて行かなければならぬのだと思いますが、あなたより多少私の方が詳しいと思うのです。ワンマンというのはあなた方がつけたので、われわれはワンマンと言つておりません。過去六年のあれに徴しましても、国家公安委員と吉田総理大臣との間にいざこざが起つたことは一度もありません。また強い性格であるから、何でも自分の気に入つたものはそのまま任命するということはないのであります。この点は御了承願いたいと思います。
  49. 大石ヨシエ

    大石委員 大体吉田さんという人がそういう人であるということは、あなた方あまりそばにおられるからわからない。私たちは、外からこう見ますからよくわかる。あんな人が国家公安委員をきめて独善的にやつたら、これは一体どうなるのです。ゆえに今回の警察法は実に非民主主義的なものであるから、基本的人権を無視する、憲法に違反する、これを私は言うのです。違いますかどうですか。
  50. 犬養健

    犬養国務大臣 御忠告の点は、総理大臣によく伝えておきます。
  51. 大石ヨシエ

    大石委員 それから大体管区本部というものくらい、くだらないものはない。この管区本部をまたしても置かれる。これはいかに自由党さんはお金がたくさんあつて国費を濫費なさるといつても、こんなくだらぬ管区本部を置く必要はないじやないか。この管区本部をなぜお置きになるか、この点詳細に私に聞かしていただきたい。
  52. 犬養健

    犬養国務大臣 これも重要な点だと思います。それでよく事情を申し上げませんと、いかにも屋上屋を架しているようなきらいがあるとお思いになると思います。従つてこれに対しては十分御説明をいたしたいと思います。もつとも現存の管区本部には行政事務的なものがありまして、これは各府県あるいは中央の警察庁と二軍になる部分がございますから、今度は行政事務的なものは全部落します。それでもなおかつ管区本部をなぜ残さなければならぬかという理由を申し上げたいと思います。これはどうしても私ども警察事務から言うと必要なのでありまして、たとえばこの間風水害がありました。熊本県にもある、福岡県にもある、長崎県にもある、飛んで山口県にもある、そういう場合、東京から一々指令を出していたんでは現場がわかりません。それでは各府県だけでいいかといいますと、たとえば福岡県で非常に水が出て来た、熊本県から応援にやりたい、しかし熊本県は自分の県の方がかわいいのでありまして、そんな応援にやる手はありませんと断わる。自分の県がかわいいから当然でしよう。そのときに東京から見たのではあまり遠いから、近所の四つか五つかの県を持つておる管区本部の本部長が見て、それは熊本県一千名ぐらいさくことはできますとか、いや一千名以上に手が必要だが、あとの三百名は長崎県からやりましようということを、中間の単位の管区本部長が間髪を入れずに命令するという中途の機関は、ぜひ必要なのでございます。この意味で私は管区本部というものが必要だと思つております。  もう一つは、この管区本部が無電通信のセンターになつております。犯人がどこへ逃げた、五百万を持つた巡査部長がどこへ逃げたということを、すぐこれは無電でやるわけです。ところが東京、長崎、福岡、北海道とやつてつたのでは、あまりにスケールが大きいのでありまして、それぞれの管区本部長が中央から受ける範囲でもつて無電の連絡をする。それですからいろいろな犯人もつかまるし、いろいろな水害の措置もできるのです。これは今度管区警察局と名前をかえますが、行政事務の二軍のところを、きれいさつぱり落したあとは、ぜひ今申し上げたような意味において、この存置をお願いしたいと思つておるのであります。
  53. 大石ヨシエ

    大石委員 しからば今回の管区本部に要する費用はいかほどですか。
  54. 犬養健

    犬養国務大臣 政府委員から答弁させます。
  55. 斎藤昇

    ○斎藤(昇)政府委員 約二億でございます。管区本部の中においては、ただいま大臣から申し上げられた通信関係が相当部分を占めております。有線、無線の通信センターになる通信職員は、各府県も全部管区の職員という形に相なつております。いま一つは、管区の警察学校を管区に付設いたす。それで学校と通信施設というものはどうしても存置をしなければいけません。そのほかに、ただいま大臣がおつしやいましたように治安、公安に対処をするための人員がおります。そこで管区全体の中から——通信職員といいますのは中央、地方、都道府県に至るまでの一切の通信職員で、これが管区の職員になつております。府県におります通信職員も、これは管区の出張所という形でおるわけでありますが、その通信関係と学校関係を除きました予算というものは二億円、人員にいたしまして六百人余りでございます。
  56. 大石ヨシエ

    大石委員 私はこういうふうな考え方を持つておる。大体管区本部へ行つてみると、みな毎日遊んでいるのです。その遊んでいるような人間を、二億円も出しておく必要はないと思う。こんなくだらぬもの、必要が第一ありませんよ。通信事務は警察がやつたらよいじやありませんか。それに管区本部を置く、そんな連絡機関に置く必要ありませんよ。前からこの管区本部というもんは問題になつてつた。またしてもこんな管区本部を今度の法律で置いていらつしやいますが、こういうものは民主主義の現下において、私は必要がないと思う。斎藤さんどうですか。それはあなたは管区本部置いたらよろしいでしよう、部下がふえて。こんなものいりませんよ、二億円も出して。こんなばかな、毎日々々、あなた行つてごらん、遊んどりますよ。こういう不必要なものを置いて国費を濫費する、こんなものはいらぬ、あなたどういうふうに考えておられる。
  57. 犬養健

    犬養国務大臣 御質問の内容から大体私御事情がわかるのでありますが、今申し上げましたように、管理本部の中の行政事務は二重になつておる部分があるので、きれいさつぱり——御忠告までもなく切り捨てると申しました。大石さん、おそらくそういう部屋をごらんになつたのだと思いますが、そういう部屋でなまけておるとは思つておりません。通信施設はあなたは足を踏み入れたことはないはずでありまして、これは四六時中非常に多忙に各方面にやつております。これは警察がやればいいじやないかということでありますが、一警察が、つまり長崎県とか福岡県とか山口県とかの全般を広く見て、さしずをするということは不可能なんでありまして、この点は私の方も意見の相違として、自説をあくまでも主張いたしたいと思うのでございます。
  58. 大石ヨシエ

    大石委員 それから大臣にお聞きしたいのは、この法案に府県単位の自治警をつくる、こうおつしやつておられますが、これは私は明らかに国家警察であると思つております。それでこういうものはお互いが大いに研究する余地があるとともに、もう一つこの財産面を尋ねたい。たとえて言うと私の郷里舞鶴の警察は、舞鶴市民がつくつた警察である。福知山市の自治体警察は、これは福知山市民のつくつた警察である。その警察には建物がある、電話がある、什器がある、いろいろなものがある、この財産は一体どうなるのですか、これに対して聞かしていただきたい。
  59. 犬養健

    犬養国務大臣 これはこういうふうにいたしたいと思います。今度府県と市町村の間のお話合いにするわけでありますが、もつとつつこんで申し上げますと、もともと——そういうこともありませんでしようが、あなたの舞鶴の警察署の建物が、かりに国家から戦時中か何かもらつた、今度府県にもどすという場合には、おそらく有償にならないと思います。もともと差上げたものを府県にもどすのでありますから。ところが市民が借金してかわいい警察だといつてつくつた建物が、今度は府県単位の方に移る場合には、お話合いの上で、借金なすつたのは払う、こういうふうになると思つております。大体個々のケースについてお話合いになると思います。
  60. 大石ヨシエ

    大石委員 大臣は雲の上にいらつしやいますから、そんな末端のことはおわかりになりませんが、市の警察の財産をあなた方のおつしやるように一本にする。そうすると、これはたいへんなことが起りますよ。これを根本的にどういうふうに考えていらつしやるか、この財産のことです。舞鶴の市などは、市民が警察を建てて、政府のごやつかいになつておりませんが、これがもし府県一本になると、これは国家警察となる。これを全部買上げなさるのですか、これをはつきりしませんと、市民は納得しませんです。
  61. 犬養健

    犬養国務大臣 舞鶴なら舞鶴の市民がかわいがつて建てたものが、今度は府県単位になると国家警察になるという前提には、私は賛同できませんが、しかしそれは巻き上げてしまうのかというのですが、だから一、二分前に詳細に申し上げたのでありますが、国、府県、市町村でそれぞれ隔意なくお話をしていただいて……(大石委員「その話ができぬ」と呼ぶ)できないという前提のもとにお話になることは、一方的で承服できません。そういうことなら委員会と言うわけに行きません。お互いに違う意見を話合うから委員会なんでありまして、皆同じ意見ならば委員会を開かないでいいのであつて、反対論のいいところをよく伺つて心中なるほどと思うというようなことが、委員会の一番いいことでありますから、結論は私どもの方も申しませんが、結論なしに、まず御意見の異なるところを詳細に御教示願いたいと思うのであります。  そこで舞鶴の市民として、舞鶴市の警察を建てた。それが今度京都府の警察になる。いわゆる郷土愛で、大石さんは何県ですか、何県ですかというふうにお互いに聞くので、私は京都府だ、それじや同郷だ、それじや御懇親願うというふうに、府県単位も協同体の一つの単位であります。私はそこへ移つてすぐ国家警察になるとは思つておりませんが、これはまたあとで申し上げたいと思います。そこで舞鶴の建物が京都府に移る場合、市民の借金や何かでできておるのは話合いで、おそらく払うことになると思います。おそらくではない、話合いの結果なります。しかしもともと舞鶴市があるいは海軍からもらつたとか、その他公共の国家の建物をもらつて、今度府県に返すという場合は、もともとただでもらつた建物は払わずにお話合いでしたい、市民の負担になつているものはお払いしたい、こういうわけでございます。
  62. 大石ヨシエ

    大石委員 大臣、怒らないでくださいよ。これは市村町のものは自分のつくつたもの、このつくつたものが国家に取上げられる、こうなると非常に選出されておる代議士は困るです。この点を明確に御返答願いませんと、今言うて来とるのです。自分たちの血税でつくつたこの警察を、もし府県単位になつて国家が取上げるということになつたらわれわれは承知せぬ、こう言うて来とる。困るもんは私です、それを一体どうしてくれますか。
  63. 犬養健

    犬養国務大臣 いや、御事情よくわかります。そこでこういうことになると思います。たとえば今度はあなたの警察署の建物を巻き上げて——そういうことはありませんが、かりに国が農林省の林野局の支所にする、これはめちやくちやな話です。それは市民は怒ります。しかしやつぱり市民の毎晩の戸口を守る同じ警察になるのであつて、ただ管轄が違う。管轄が違うけれども、兄弟の間柄といえどもこのごろでは借金払つたりするのはあたりまえでありますから、市民が払つた建物ならば、京都府に移つても、お話合いで京都府があなたの舞鶴市にお払いする。しかし仕事はかわらない。大石さんの毎晩の戸口を守るという仕事は同じ、こういうわけでございますから御了承願いたいと思います。
  64. 大石ヨシエ

    大石委員 私はそう大臣を責めようとは思わぬですが、この点をはつきりしておきませんと、大きなけんかが起るのです。現に起つとるんです。この点が法文に入つておらぬ。府県一本になつた。一本になつたから……(「入つているよ」と呼ぶ者あり)けれど、詳細な点は入つおらぬ。
  65. 犬養健

    犬養国務大臣 それは御心配ごもつともでございますが、この法文に有償となり得るということが書いてあるので——法文というものはそう何円をいつどう払うということは書かないのが例になつております。それはこまかい法律の施行令やなんかで書きまして、その点はまた御審議を願うと思いますけれども。ひと御了承願います。要するに御心配ごもつともです。今申し上げたように、舞鶴警察の建物をとつてしまつて、今度国の都合があるから農林省の支所にする。これは舞鶴の人は怒りますよ。しかし同じ京都府に移すが、舞鶴市民の借金になるものは払いましよう、こういうことになるのです。そうしてその建物は何にするか。やはり大石さんやその他の市民の毎日毎晩の警備をやる。警察の機能はちつともかわらないわけです。ただ市民の借金でできたものならこの際お払いする。これでもやはりあなたは相当しかられますか。
  66. 大石ヨシエ

    大石委員 ええ、しかられます。(笑声)犬養さんのおつしやることは私よくわかるんです。けれども市民が、たとえてみると、三百六十二円で自治体警察をつくつたんです。それをぽつこりとられる。それは承知せぬよ。福地山も自分たちの血税で、これは五百万円でつくつた。これをぽつこり府県にとられたら、承知せぬよ。この点を大臣は、国家が補償する——国家の警察になるんや。これは一体どうしてくれますか。金ということになると、なかなかみんな承知せぬのです。困るのは私なんです。これをどういうふうにしてくれますか。(笑声)
  67. 犬養健

    犬養国務大臣 これは、結局看板をかけますと京都府警察になるので、国家警察にならぬのです。三百六十二円市民が借金してつくつたものが、今度府県の警察の建物になる、その場合に、これはお話合いで、どうしても市民が困るというときには、今度は京都府が舞鶴市に、三百六十二円の建物を移譲するから、それをお払いしましよう、こうなるわけです。
  68. 大石ヨシエ

    大石委員 大臣はそういうことをおつしやいますけれども、やはり自分たちの血税でそうした建物をつくつた。それを自分たちのため警察であるからして、しんぼうしろと言つたつて、なかなか承服するものでありませんよ。——私の言うことを聞いてください。
  69. 犬養健

    犬養国務大臣 今聞いておるのです。
  70. 大石ヨシエ

    大石委員 この点をどういうふうになさるお考えであるかということを、この次までによう考え——今でもよい。
  71. 犬養健

    犬養国務大臣 結局、国警隊長と署長が知らない間にきめてしまうわけではないのであつて、舞鶴の市会にかかるのです。ですからみんなの前で、三百六十二円がよいかあるいは五百万円がよいか、そこできめるわけです。
  72. 大石ヨシエ

    大石委員 きめられるのがいやだと言うておる。自治体警察を置いてくれと言うておる。(笑声)
  73. 犬養健

    犬養国務大臣 それでは建物の値段のことでなく、根本の問題ですから、それは先ほど申し上げた通りで御了承願いたいと思います。
  74. 大矢省三

    ○大矢委員 今単純な応答でありますが、それは国民感情なんです。警察というものには今までもう苦しい経験を持つて、恐ろしいものだと感じている。今度府県にかわつたからといつても、あれは自治体だ、だから自治体警察だ、但し政府が任命するのだから自治体警察国警のちようどあいのこみたいなものだ、こう言つておられる。決して国警じやないということをしきりに大臣は言われておる。ところがここで塚田長官は、もう国家のいろいろな事務の八割もやつており、あれは国家の出先機関だと言つている。御承知の通り戦争前はあそこに十六の御紋がついておつた。あれは国家機関だと思つている。知事が官選であつたり。警察をまた国警にまとめるということは、これはどうしたつて国家警察の再現である。しかも長は時の政府が任命するのだから、どんなにあなたが説明されても——あなたは公安委員を重要視されていて、これはみなさん方が選んだんではないかと言つて国民は納得しない。それをよく理解していただかないと、この問題は審議できない。それが大きな問題です。実はこの間橋本委員から、総理大臣に来てもらつて、この警察に対する理念を聞いた後審議をやろう、こういうことで、それまで待つて、それを聞いていろいろ質疑を行おうと思いましたが、今国警でないと、あるいはそういうことは困るという議論がありましたから申すのです。警察というものについて、ただ単に治安とか、犯罪を検挙することだけ非常に重要に思つているが。それよりも、警察は防犯あるいは地方行政の上にきわめて大きな役割を持つている。これを非常に軽く見られていることは、民主主義の上から、自治体の健全なる発展の上に大きな支障になる。それを心配しているのです。それから私は、この間のうちからの質疑応答で二つ感じたことがある。それはこういうことなんです。一つは、時の政府に国の治安維持する責任があるのに、その責任の所在が明らかでないとうこと。いま一つは、自治体警察国警の二本建ではどうにもうまく行かない。能率が悪い。特に都市の犯罪がいなかに行き、いなかから都市に来た場合、警察の警戒が非常に違つて能率が悪いということが言える。いま一つ加えて言えば、横の大きな計画的な暴力革命、すなわち暴力によつて政権を奪取しようという共産党対策だと言う。この三つが大きな理由のように説明し、また世間でもなるほど一理あると考えているが、これは根本的な間違いだと思う。私はこれを総理大臣から聞きたかつた。しかし幸い犬養さんが来られておりますから聞きますが、私はあなたの手元でこれを出したことを非常に遺憾に思つている、あなたのために。というのは、今度内務官僚はなやかなりしころそのままをやつておる。ただ違う点は、公安委員——金正さんはりつぱな人だと言われているが、これはもう卑近な例ですが、決してそういうものではない。人間は環境と立場によつて違う。時の政府に命令され、それに首をまかされているのだから——今度社会党が天下をとつて、各長官をかえてやつたらどうなりますか。それがわれわれ心配なんです。今申しました三つの理由——そこであなたの意見を聞きたいが、自治体警察のできたときには、御承知の通り警察予備隊はなかつた従つて都市の治安は重要だから、東京初め大阪、その他六大都市、産業の中心都市はきわめて大きな数に上つた。自治体警察を置いたゆえんもそこにあつた。ところがその後警察予備隊ができて、警察予備隊の最高責任者をちやんときめて、それが今日保安隊となつておりますが、木村長官が時の大臣として責任を持つておる。それからあなたの言われる非常に広範囲な災害であるとかあるいは暴力革命、かつては米騒動、二・二六事件——あなたのお父さんが犠牲になられたのですが、ああいう大規模なときの、そのための保安隊であり、警察予備隊である。私はこれがないときなら、あなたの方の意見はそれもそうだ、こういうことでは力が足りない、これでは国民が安心ならぬということも考えるかもしれないが、あの警察予備隊ができ、さらに保安隊ができて、あれだけの装備を持つて共産党の鎮圧ができないというようなことをみずからが言うのは、私は政府ために、また担当の大臣として、はなはだどうかと思う。あのときの情勢とかわつている。これが一つ。それから民主主義というて、自治体警察というものはまだ生れて短かいのですが、一体その自治体警察を完全なものにする、今の欠陥を補う努力はどうしたか。どれだけの努力をしたか。与えられた民主主義を育てるためには、相当の日月と容易ならざる努力の結果、日本にふさわしい警察制度を打立てる努力が必要なのだ。安易に考えて、これが成立したら能率が上るというよりも、もつと欠陥を補うような努力をしたらどうか。私は二つあつても行けると思う。あなたはこの間相談をされて、波長が違うというたが、無線電信はどこでもかかる。そんな子供だましのようなことをいうても、東京のラヂオが大阪で聞えるのと同じなのです。それの波長くらい合せられないようなことで、それが理由で国警にしたということはこつけいな話です。民主主義を育てるためにどういう努加をしたか。それもせずしてただ欠陥だけをいつて、それをすればいいのだということで、自治体がせつかくみずから努力し、みずからの犠牲において、ようやく緒についた自治体警察を廃止しようなんて——先ほど言うたように、地方行政、それから治安の問題等、単に犯人の検挙をすることでない大きな使命を持つている自治体警察を、簡単に廃止してしまうということは、私はどうもわからぬ。まだあと質問はずつとありますが、これは要約いたしますと、いわゆる前の状態と指揮が違う。それから今は警察はなるほど二本建で欠陥もあろうが、それをりつぱなものにするためにどういうことをすれば、もつといいというような努力を払つて来たか。民主主義を育てる努力が足らぬということを私は考えますが、この二点について、大体聞いておりますから、簡潔にひとつ……。
  75. 犬養健

    犬養国務大臣 大矢さんのお話考え方の違う点はありますが、非常に私敬意を表して伺いました。今後とも進んでそういうように誠意のこもつた質問を受けたいと思つております。以下お答え申し上げたいと思いますが、第一に波長のため警察制度をかえるというようなことは、いかに私が不敏でもございません。この波長のことも、私はあなたと同じで、そんなものは一日でかえられるじやないかといつて、実は無知識を笑われたのでありますが、これはここに専門家がおりまして図面を持つておりますから、もし時間が許せばむずかしい点をお聞き願います。それから検挙本位の警察であつてはいかぬ、これは私も痛感しております。この間の二重橋の事件も私は非常に遺憾に思います。あのときがそうだとは申しませんけれども、人命の尊重ということを、もつと耳にたこができるくらい私が言うことが今後必要だ。私などがそういう点をひとえにもつと力説して、人命を守るため警察であつて、犯罪人の検挙はその次くらいの頭を持つてちようどいいのじやないか、こういうことを痛憾しております。ですからあなたのおつしやる苦言は、私はすなおに聞いておるつもりでございます。それから今度の警察法の改正では、警官の数はむやみとふえません。行財政整理という国民の要望にこたえ、これは一々税金ですから、三万人ほど四箇年かかつて減らします。初年度では一万人減らすことをお約束申し上げたいと思います。それからなぜ育てなかつたか。これは率直にいつてあなた方の目から見れば育て方が足りないとお思いになる部分も、しばしばあつたでありましよう。私もそれは率直に認めます。しかしそればかりではなく、警察の単位がこうちりちりばらばらでは、今の近代犯罪が非常に複雑になつたことになかなか対応できない。あなたは大阪のことは詳しい。大阪の周辺は大阪の警察がすぐ連絡をとればわけないじやないかということでございますけれども、命令系統の違う役所の連絡というものは、お互いに身にしみておりますが、なかなかうまく行かない。日本の方はいろいろ美点がありますが、命令系統が違つて同じような仕事をする場合が、美点の多い中で一番欠点の多い方じやないか、こう思つております。どんな法律でも民族の特性というものを考えてやることが実際的ではないかと思います。大矢さんなどは、きつと大阪の警察を先頭に立たれて育てられた先覚者の一人だと思います。だからあなたは、母親のような気持でここまで育てたものを、府県にとるとはひどいじやないか、ちようど子供を寄宿舎にやつてしまうようなわけで、この際情においてしのびない、そのお気持もよくわかります。わかりますけれども政府の今度の警察法案は、いろいろ非難はありますが、府県単位がまあまあ妥当ではないかということは、五大都市以外の方はほとんど輿論が一致しておるのじやないか、こう思うのでございます。その他の点立場が違いますけれども、今のお話は真剣に伺つたつもりであります。
  76. 大矢省三

    ○大矢委員 こういうことをしばしば力を入れて大臣が言われる、たとえばこの間の宮城の問題について責任の所在が明らかでないと言われる。私はこんなことを大臣言つてはどうかと思いますが、憲法では主権在民です。その主権者たる国民が選んだ地方議会において選ばれた公安委員、これが責任者なんです。何もほかに責任者はない。あの問題はもうこの委員会ではわかつておる、不可抗力というか、警察に制度上の落度はなかつた。それを責任の所在を政府が持たなければならぬというところに、主権在民の原則がほんとうに理解されてない。自分らで守ろうというのを、お前らを守つてやるんだといつてせつかく平和の家庭に土足で上つてしまうようなことをする、そんなことまでする必要はない。今度国警一つにまとまれば、四年間に三万人を減員するという。なるほどそれを聞けばそれだけ国民の負担は少くなるが、そのかわりに保安隊を四万一千ふやすという、四年間に三万人減らしても一年間に四万一千人ふやしては国民は納得しません。それから政治家として責任の所在ということを考えることは当然と思いますけれども民主主義のもとにおいては、責任というものはあくまでも主権者たる人民にあるのですから、あなたのそう心配することではない。  それからいま一つは、しきりに共産党の対策を言われます。この点については、これも釈迦に説法かもしれませんが、共産党対策というのは思想の問題です。思想の自由は日本の憲法によつて保障されておるが、暴力というものは、極右たると極左たるとを問わず、個人たると団体たるとを問わず、法律において取締ることは当然であります。そこで共産党対策ということは、ひいては思想対策ということになる、思想対策というのは思想に対しては線がひつぱられる、ときの政府からこれは共産党だといつてやられたら、これが私は一番恐ろしい。だから暴力に対して取組るのに力が弱いのなら、それこそ保安隊を出して来たらよい、保安隊がなければ別ですが、あるのですから。そのために莫大な金をかけて日常訓練して、あれだけの装備を持つてつたならば——いかに共産党が大きな力を持つておるか知りませんが、これを出したら国民自身も安心する。そこで三万減してもその逆に四万一千もふやすのですし、飛行機も千台か二千台こしらえるのですから、そういうことは国民は少しも心配はしておりません。従つてそういうことは理由にならぬ。理由にならぬことをまことらしく言うところに、私どもが納得できぬところがあるから、しつこくこういうふうに尋ねるのであります。今度の予算を見ますと、国警一本にするために百五億ふえておる、もちろん二十一億を国から補助しますけれどもあと地方団体で八十何億というものを負担しなければならぬ。この点は調べれば調べるほど、私はどうも納得できない。そういうことをもつて、これは、はなはだ小さいことについては私は今後ずつと述べますが、大綱について、非常に力を入れて大臣説明されたことについては、どうも私は自分をどう逆に立場をかえて考えてみても組得できない。そこで私は最後にいわゆる政府警察庁長官の任免権の問題ですが、これは公安委員会があるから大丈夫だ、そんなことはないと言いますが、それほど公安委員を信頼するならば、一体なぜ公安委員が推薦した人を選ぶようにしないのか。それをしないで、政府が長官を任命しなければならぬというのは逆ではないか、公安委員を信頼できないのではないか。私はちやんと確信を持つておる。それは必ずなるのだ。犬養さんはそう思つておらないかもしらぬが、しかしあなたが永久に法務大臣としておるわけじやない。次にかわる人——法は悪法なりとも法であるから、次に来る者は自分のいいように解釈してやるそれがこわいから、私が努めてあなたの手から出すことを惜しむというのは、そのゆえなんです。従つてこれはへそをかむということをよくいなかで言いますが、私はこの法律案を出すならば、必ずや国家警察になるということを人が言うのは無理もない。何と言葉をごまかしても、そうなるということの私は長い間の経験——人間の立場とその人の環境が物を支配するということは、これは昔から——犬養さんが大臣のときと、冷飯を食つてつた野党のときと考え方が違うように、必ずやそういうことになりますから、私はその点を言う。いやそうでないという私の納得のできる説明があればお聞きする。
  77. 犬養健

    犬養国務大臣 先ほど警察予備隊の問題を落しまして失礼いたしました。暴力主義的破壊活動と言つたのは、共産党を言つていないのです。共産党だ共産党だとだんだん言葉がかわつてしまつては、まことに困るのであつて、これは右翼も含んでおるのであります。そこで共産党その他、議会に失望してほかの手段をとるということを取締るだけであるということは、これは末の末です。本会議でも申したように、社会制度とか、あるいは失業保険とか、あるいは養老保険とか、あるいは育英資金が貧しい人のところにも公平に行けるようにとか、いろいろな総合政策でなくては、それはできないということは、私のような者でもわかつておるつもりでございます。しかしそれだから警察法はほつておこうじやないかという議論には、また逆にならないのでございまして、そこで警察予備隊の問題、これはなかなか大事だと思うのです。私は警察予備隊と言われた程度の時代ならば、まつたく御同感なんです。ところが今は何か直接侵略に備えるのだとか、そして相当飛行機や何かを持つ、そうなつて来ると、これはいろいろ予算委員会で軍隊だとか軍隊でないとか、あるいは戦力があるとかないとかいう、とにかくどつちの議論にしろ、国民は大体そういう方に見ております。そこで右翼の二県にわたる擾乱、あるいは共産党の三県にわたる擾乱に、一々警察が手を上げて、保安隊に電話をかけてどつと戦車や何かが出ると、これは中米だの一時のバルカンの非常にけわしい国情のように見えて、私は外交も貿易も非常に阻害されると思うのであります。よくよくの場合のほか、やつぱりおまわりさんが出たという形にしておかないとまずいのではないか。だからせつかくの仰せではございますが、警察予備隊という名前でなく、保安隊となつて、直接侵略にも信えようというので、ちよつとしたらすぐ保安隊に頼むということでは、私は国の治安国民の心理撹乱の上からもまずいのではないか、こういうふうに考えておるのでございます。  それから国務大臣は主権在民だから公安委員の責任でいいんだ、国務大臣国会も実は主権在民の上に立つておるわけでありますが、これはまことに失礼でございますけれれども——あなたはそうじやございません。社会党の方などがやはり二重橋事件その他があると、犬養大臣早く出て来い、責任をどうするんだと言つて、私をお責めになる。やはり常識が、そちらの潜在意識が、国務大臣に責任があるというふうに思つておられるので、公安委員なぜ出て来ない、とはちつともおつしやらない。国民の常識がそういうふうになつておりまして、その責任の不明確さがこの問題にかかつておるのであります。よくりくつを洗つて調べてみると、あなたの言われる通り公安委員に責任がある。しかし何か起つたときに国民及び国会議員が責めるのは、まず最初に公安委員でなくて、政府の担当大臣だ。ここにやはり国民の潜在的常識があるのじやないか、こういうふうに考えておる次第でございます。
  78. 大石ヨシエ

    大石委員 今回の警察法は、共産党がいろいろなことをやるから、その防衛のために、警察法をかえた、こう私たちは承知しておる。ところが日本をつぶしたのは、イタリア、ドイツ、日本と防共協定をつくつて、日本を敗戦に導いたのであることは、犬養さんは御承知であろうと思う。その点はどういうふうにお考えになつていらつしやいますか。
  79. 犬養健

    犬養国務大臣 ただいま大矢君に詳細申し上げましたように、暴力主義的、つまり議会というものの値打ちを否定して、ほかの暴力で政治的理想を実現しようという人たちは、共産党ばかりではありません。過去には右翼もございました。広くこれらの人に対処する態勢をとるということが必要でありますが、それが警察法改正の唯一の理由でなし、また最大の理由でもないことは、先刻申し上げた通りでございます。
  80. 伊瀬幸太郎

    ○伊瀬委員 資料をひとつほしいのですが……。大臣はこの前、共産党の地下組織に対するために、この府県警察の一本化をせねばならぬと、こうおつしやる。どうも法律をこういうふうに改悪するときには、いつも共産党共産党で、きのうの教育法案の改正案にも共産党を言われる。こういうと、どれくらい共産党は地下組織にその恐るべき実態を持つておるか、こういうことが一般大衆にはどうもわからない。ここで具体的にひとつ、今の日本の共産党というものの実態を資料にして出して、私どもの納得の行くような方法をとつていただきたい。これは即刻ひとつこの資料を提出していただきたいと思います。
  81. 犬養健

    犬養国務大臣 お答えいたします。これは資料を差し上げますが、実態となると、あるいは祕密会をお願いして、説明員が説明に当るかもしれません。
  82. 伊瀬幸太郎

    ○伊瀬委員 けつこうです。至急にひとつ出して下さい。
  83. 門司亮

    門司委員 いろいろ審議が進められておりまして、資料の要求もございましたが、それは左翼だけではございませんので、私からも頼んでおきますのは、右翼をひとつ頼んでおきたい。そういうものがどうなつておるか。それからもう一つは、さつき大臣のしばしば言われておりまする直接侵略のような形があると思われる、こういうことでありますが、非常に大きな問題であります。従つて国際情勢がそういう事態になつておるかどうかということの、私どもの納得の行くような資料があつたら、ひとつぜひお示し願いたい。これだけをお願いしておきます。  そこできようは大体この程度でひとつ審議を打切つて、明日に延ばしてもらいたい。なおこの機会お願いを申し上げておきますが、今資料を配布いたしましたように、横浜市の市会で、警察法の問題について市民大会を開いた決議を持つて、代表者が参つておりますので、はなはだ恐縮でございますが、ひとつ大臣委員長と同席で、陳情だけをお聞きを願いたい。委員長から御了承を得られるように願います。
  84. 中井一夫

    中井委員長 それでは委員会の終つた後に理事会を開きますから、理事の方はお残りを願います。  一応午前の委員会はこれをもつて休憩いたします。     〔午後一時休憩〕      ————◇—————     〔休憩後は開会に至らなかつた