○大矢
委員 今単純な応答でありますが、それは
国民感情なんです。
警察というものには今までもう苦しい経験を持
つて、恐ろしいものだと感じている。今度府県にかわ
つたからとい
つても、あれは自治体だ、だから自治体
警察だ、但し
政府が任命するのだから自治体
警察と
国警のちようどあいのこみたいなものだ、こう
言つておられる。決して
国警じやないということをしきりに
大臣は言われておる。ところがここで塚田長官は、もう国家のいろいろな事務の八割もや
つており、あれは国家の出先機関だと
言つている。御承知の
通り戦争前はあそこに十六の御紋がついてお
つた。あれは国家機関だと思
つている。知事が官選であ
つたり。
警察をまた
国警にまとめるということは、これはどうした
つて国家
警察の再現である。しかも長は時の
政府が任命するのだから、どんなにあなたが
説明されても
——あなたは公安
委員を重要視されていて、これはみなさん方が選んだんではないかと
言つて、
国民は納得しない。それをよく理解していただかないと、この問題は
審議できない。それが大きな問題です。実はこの間
橋本委員から、
総理大臣に来てもら
つて、この
警察に対する理念を聞いた後
審議をやろう、こういうことで、それまで待
つて、それを聞いていろいろ
質疑を行おうと思いましたが、今
国警でないと、あるいはそういうことは困るという議論がありましたから申すのです。
警察というものについて、ただ単に
治安とか、犯罪を検挙することだけ非常に重要に思
つているが。それよりも、
警察は防犯あるいは
地方行政の上にきわめて大きな役割を持
つている。これを非常に軽く見られていることは、
民主主義の上から、自治体の健全なる発展の上に大きな支障になる。それを心配しているのです。それから私は、この間のうちからの
質疑応答で二つ感じたことがある。それはこういうことなんです。
一つは、時の
政府に国の
治安を
維持する責任があるのに、その責任の所在が明らかでないとうこと。いま
一つは、自治体
警察と
国警の二本建ではどうにもうまく行かない。能率が悪い。特に都市の犯罪がいなかに行き、いなかから都市に来た場合、
警察の警戒が非常に違
つて能率が悪いということが言える。いま
一つ加えて言えば、横の大きな計画的な暴力革命、すなわち暴力によ
つて政権を奪取しようという共産党対策だと言う。この三つが大きな理由のように
説明し、また世間でもなるほど一理あると
考えているが、これは根本的な間違いだと思う。私はこれを
総理大臣から聞きたか
つた。しかし幸い
犬養さんが来られておりますから聞きますが、私はあなたの手元でこれを出したことを非常に遺憾に思
つている、あなたの
ために。というのは、今度内務官僚はなやかなりしころそのままをや
つておる。ただ違う点は、公安
委員——金正さんはりつぱな人だと言われているが、これはもう卑近な例ですが、決してそういうものではない。人間は環境と立場によ
つて違う。時の
政府に命令され、それに首をまかされているのだから
——今度
社会党が天下をと
つて、各長官をかえてや
つたらどうなりますか。それがわれわれ心配なんです。今申しました三つの理由
——そこであなたの
意見を聞きたいが、自治体
警察のできたときには、御承知の
通り警察予備隊はなか
つた。
従つて都市の
治安は重要だから、東京初め大阪、その他六大都市、産業の中心都市はきわめて大きな数に上
つた。自治体
警察を置いたゆえんもそこにあ
つた。ところがその後
警察予備隊ができて、
警察予備隊の最高責任者をちやんときめて、それが今日保安隊とな
つておりますが、木村長官が時の
大臣として責任を持
つておる。それからあなたの言われる非常に広範囲な災害であるとかあるいは暴力革命、か
つては米騒動、二・二六事件
——あなたのお父さんが犠牲になられたのですが、ああいう大規模なときの、その
ための保安隊であり、
警察予備隊である。私はこれがないときなら、あなたの方の
意見はそれもそうだ、こういうことでは力が足りない、これでは
国民が安心ならぬということも
考えるかもしれないが、あの
警察予備隊ができ、さらに保安隊ができて、あれだけの装備を持
つて共産党の鎮圧ができないというようなことをみずからが言うのは、私は
政府の
ために、また担当の
大臣として、はなはだどうかと思う。あのときの情勢とかわ
つている。これが
一つ。それから
民主主義というて、自治体
警察というものはまだ生れて短かいのですが、一体その自治体
警察を完全なものにする、今の欠陥を補う
努力はどうしたか。どれだけの
努力をしたか。与えられた
民主主義を育てる
ためには、相当の日月と容易ならざる
努力の結果、日本にふさわしい
警察制度を打立てる
努力が必要なのだ。安易に
考えて、これが成立したら能率が上るというよりも、もつと欠陥を補うような
努力をしたらどうか。私は二つあ
つても行けると思う。あなたはこの間相談をされて、波長が違うというたが、無線電信はどこでもかかる。そんな子供だましのようなことをいうても、東京のラヂオが大阪で聞えるのと同じなのです。それの波長くらい合せられないようなことで、それが理由で
国警にしたということはこつけいな話です。
民主主義を育てる
ためにどういう努加をしたか。それもせずしてただ欠陥だけをい
つて、それをすればいいのだということで、自治体が
せつかくみずから
努力し、みずからの犠牲において、ようやく緒についた自治体
警察を廃止しようなんて
——先ほど言うたように、
地方行政、それから
治安の問題等、単に犯人の検挙をすることでない大きな使命を持
つている自治体
警察を、簡単に廃止してしまうということは、私はどうもわからぬ。まだ
あと質問はずつとありますが、これは要約いたしますと、いわゆる前の状態と指揮が違う。それから今は
警察はなるほど二本建で欠陥もあろうが、それをりつぱなものにする
ためにどういうことをすれば、もつといいというような
努力を払
つて来たか。
民主主義を育てる
努力が足らぬということを私は
考えますが、この二点について、大体聞いておりますから、簡潔にひ
とつ……。