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1954-01-28 第19回国会 衆議院 地方行政委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年一月二十八日(木曜日)     午前十時五十二分開議  出席委員    委員長 中井 一夫君    理事 佐藤 親弘君 理事 灘尾 弘吉君    理事 床次 徳二君 理事 西村 力弥君    理事 門司  亮君       生田 宏一君    加藤 精三君       木村 武雄君    田嶋 好文君       吉田 重延君    橋本 清吉君       藤田 義光君    阿部 五郎君       石村 英雄君    北山 愛郎君       伊瀬幸太郎君    大石ヨシエ君       大矢 省三君    中井徳次郎君  出席政府委員         国家地方警察本         部長官     斎藤  昇君  委員外出席者         国家地方警察本         部警視長         (警備部長)  山口 喜雄君         宮内庁次長   瓜生 順良君         参  考  人         (警視総監)  田中 榮一君         参  考  人         (警視庁警備課         長)      土田 国保君         専  門  員 有松  昇君         専  門  員 長橋 茂男君     ————————————— 一月二十七日  委員熊谷憲一君及び三浦寅之助君辞任につき、  その補欠として相川勝六君及び木村武雄君が議  長の指名で委員に選任された。 同月二十八日  佐藤親弘君及び門司亮君が理事に補欠当選した。     ————————————— 本日の会議に付した事件  理事の互選  警察に関する件(二重橋関係事件)     —————————————
  2. 中井一夫

    中井委員長 これより会議を開きます。  昨日に引続き二重橋事件について調査を進めることといたします。質疑通告がありますので、順次これを許します。なお警視総監らにつきましては、昨日同様参考人として取扱うことといたしますが、御異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中井一夫

    中井委員長 異議なしと認め、さように決定をいたします。それでは、通告順に従いまして質疑を許します。藤田義光君。
  4. 藤田義光

    藤田委員 正月早々のいわゆる二重橋事件は、いろいろな意味で非常に問題か錯綜していると考えるのでありますが、私は数点にわたり、私の持つております疑問、国民関心に対する回答を与える意味におきまして、お尋ねしてみたいと思うのであります。  まず第一にお伺いいたしたいことは、昨日いただきました資料地図によつて、一応はつきりいたしておりますが、念のため、事故現場管轄責任者丸の内警察であるか皇宮警察であるかをお聞きしたいと思うのであります。この丸の内署所轄は、地図によりますると駒寄による遮断線という表現を使つておられますが、これから外が丸の内署所管で、橋から中は全部皇宮警察責任区域であるのかどうか、念のためお答え願いたいと思います。
  5. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 ただいまのお言葉通りでございます。
  6. 藤田義光

    藤田委員 その管轄区域は何によつてきめられておりますか。一説には、この石橋渡つた正門のところまでが、丸の内警察区域であるということも聞くのでありますが、管轄区域をきめました条例なり、政令その他、何かお示し願えれば非常に幸いだと思います。
  7. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 これは皇宮警察の仕事の内容を規定いたしておりまする国家公安委員会規則できめておるのであります。昨日も申しましたように、法律上は一応警視庁管轄区域に入つておるのであります。しかし皇居護衛というものは皇官警察でやることに相なつておりますので、その皇居区域内は皇宮警察が一応護衛の任に当る、かように規定をいたしております。
  8. 藤田義光

    藤田委員 私は法律警視庁管轄区域によつておるものを、公安委員会規則によつてくつがえすことは、法理論としても不可能であろうかとも存ずるのでありますが、その点ただいま長官の出されました結論は、どういう法律解釈に基くものであるか、お示し願いたいと思います。  それから警察法第四条の中に、皇宮警察の問題に関しましては、国家公安委員会が権限を持つような漠然とした一箇条がございますが、その区域はただいまの長官の御説明のように駒寄までであるというふうに公安委員会規則が明示をしておりますか、どうですか。お伺いいたします。
  9. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 皇居ということを書いておりますので、皇居区域はそこまでになつておるのでございます。
  10. 藤田義光

    藤田委員 そこが私は非常に御題だろうと思いますが、この二重橋前の少くとも道路以内の広場は、個人邸宅の観念からすれば当然前庭でありまして、邸宅の一部であります。従いましてこれは駒寄の外のじやりの広場も、一定限度皇居であるというふうに解釈するのが常識ではないかと思うのであります。従いまして区域を明示して規則法律にうたつていない以上は、皇居区域に関する定義というものは、非常に広まつて来るのではないか、かように考えておりますが、瓜生次長就任早々でありますが、どういう解釈をとつておられますか、お示しを願いたいと思います。これは労働組合の宮城前広場使用等に関しまして、しばしば微妙な問題も起きておりますが、私は少くともあの労働組合等が使用いたします区域よりも中の方の面は、いわゆる皇居の一部ではないかというふうな解釈をとつておるのでありますが、いかがでございますか。
  11. 瓜生順良

    瓜生説明員 私の今まで承知しておる範囲では、あの前の方の広場は、厚生省の方の所管になつておりまして、従つてわれわれ宮内庁の方でいろいろ管理をします区域とは、別の区域になつておりますから、従つて皇居という中には入らない、こういうふうに考えております。
  12. 藤田義光

    藤田委員 そこでお伺いしたいのでありますが、いずれにしても皇宮警察所管内で起きた事件であります。これは非常に奇妙なことを聞くようでありますが、諸外国元首に対しましても、こういうような一般国民の儀礼的な面接というようなことが行われておりますか、宮内庁で御調査がありましたらお示し願いたいと思うのであります。実は日本憲法の第一条は象徴という言葉であります。ドイツの憲法学者等は、これをすべて元首という意味解釈するそうでありますが、実際この憲法をつくりましたアメリカの兵隊さんの解釈元首ではない、象徴だそうであります。いわゆる国際間の常識としましては、シンボルすなわち元首というような意味解釈することが、外国憲法学者の定説になつている。元首に対しまして、こういうふうな儀礼的な制度が諸外国王侯制度を採用しております所において行われておりますか、お伺いしておきたいと思います。
  13. 瓜生順良

    瓜生説明員 これも承知をしております範囲で申し上げますと、諸外国においてもさような例があるようであります。たとえば英国の場合でありますと、エリザベス女王がやはりあの宮殿のバルコニーに出て、一般の集まつておられる方にあいさつをすることのあることは承知いたしております。日本だけの例ではないと思います。
  14. 藤田義光

    藤田委員 そこで私は最初に、皇居警察丸の内警察責任区域の問題をお尋ねしたのでありますが、この質問は当然警察制度本質にも触れて来る問題であります。私はこのアサヒグラフあるいは毎日グラフ等を拝見しましても、これは警察が一本化しておりましても、当然こういう雑沓では、同じような事態が起きたということを、はつきりと了解する一人でありますが、本朝いただきました資料によりますと、皇宮警察本部警備部長から、事前丸の内署に対しまして、当日の警備計画だけ送られております。ところが警備に対する協力を求められる文書というものはなかつたやに拝聴いたしております。もちろん警察法規定によりまして、当然協力の義務が相互にあるわけでありますが、何はともあれ、こういう国家的の大行事の際におきまして、皇宮警察から警視庁に対する援助協力要請が正式になかつたということに、一つの落度があるのじやないかと考えておりますが、その点はどういういきさつになつておりますか、お伺いしておきたいと思います。
  15. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 けさほどお手元にお届け申し上げましたと存じますが、昨年の十二月二十二日付で皇宮警察本部警備部長から丸の内警察署長あてに、「きたる昭和二十九年一月一日並びに同月二日、皇居において行われる、新年祝賀並びに参賀に際し、当部の護衛警備計画は別紙のとおりでありますから宜しく御協力願いたい。」という文書を出しておるのであります。これは昨日も申し上げましたように、昭和二十二年、それから二十六年でありましたが、二回、警視庁丸の内署皇宮警察、それから宮内庁一緒に集まりまして、協議をいたしておるのであります。それで集まりませんでも、その精神はお互い協力合つて内外整理をやるというのは、もう常識になつておるわけであります。ことしはこういう内部計画でやるという、かわつた点だけを知らせ合うということこいたしておるのでございます。
  16. 藤田義光

    藤田委員 ただいまの長官の御答弁でありますが、事前に数回、打合会を開かれたということを言われましたが、皇宮警察本部警備部長からの護衛警備計画丸の内署に送られておりますが、こういうものは、群衆の数からいいましても、警視総監じきじきにひとつ提出することが必要ではないか、むしろそれが常識ではないかというふうに考えております。非常に事態を軽く見られまして、警備部長から一署長に対する文書つて正式な取引を終つておられるということは、場所柄だけに私たちもはやや軽率ではないかというふうな気がいたしますが、これは従来の慣例でございますか、それとも昨年末だけの異例でございますかお伺いしておきたいと思います。
  17. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 参賀行事をおやりになるということがきまりましたときには、昭和二十二年でありましたが、これは警視庁本部の者も集まり、警視総監もわれわれも全部承知をして、そうして先ほど申しましたように、三者寄り集まつて協議をいたしておるのであります。実施の担当責任者としては皇宮警察と、それから丸の内署協力をしてやるという申合せになつておるのであります。従つて具体的な細目は、丸の内署と打合せるということになつておる関係から、丸の内署長に書類を出しておるのであります。やはり同様のものは警視庁の本庁の方にも、もちろん送つておるのであります。その計画警視庁の方に参りますれば、これは警視庁としては総監まで御承知のはずなのであります。また二日に参賀が行われるということは、これはもう総監も十分知つておられる、細部計画まで総監あてに出す必要がなくて、細部は下で打合せをしようということに今までなつてつた次第でございます。
  18. 藤田義光

    藤田委員 そうしまするとこれは国警最高責任者警視庁最高責任者が出られた事前打合会をやられておるから、当然承知しておられるはずだという意味解釈してよろしうございますか。
  19. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 さようでございます。
  20. 藤田義光

    藤田委員 それでは警察法の五十四条、五十五条でいわゆる二分化された警察に対する能率あるいは犯罪の捜査の脱漏等を防止するための救済規定というような規定が置いてありまして、これによつて二本建の警察の弊害が、はつきりと是正されるようになつておるのでありますが、事件が起きました現場皇宮警察の管轄なるがために、の援助を請求されましたいきさつ、どこにだれが援助を請求されましたか、事件の発生しました時刻とにらみ合せまして、ひとつ説明を願うとけつこうだと思います。
  21. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 援助警察官要求規定は、ただいまお述べになりましたが、先ほども申しますように、皇宮警察は他の警察とは違いまして、これは皇居警備皇宮警察が、一応やるということになつておるのでありまして、警察署と対立した形においてあるのではないのであります。例ははつきり合うか合わないか存じませんが、たとえば鉄道公安官というのがありまして、これは鉄道施設内については一応取締りはいたします、警察もそこには権能を持つておる。しかし鉄道公安官の方で一応こういうことはやるという申合せになつておる事柄は、さしでがましく出て行かないという協定がありますように、皇宮警察警視庁との間も、そういう関係であるわけであります。当日の二重橋の上において事件が起りました際には、警視庁ももちろんあの橋のところでは、両者実際一体になつて整理に当つていたわけでありますから、これはもう事実行為として警視庁警察官一緒に救護に当つたというわけであります。あの際に援助要求がなければ、けが人ができておつて警視庁警察官が手をつけられないという、そういう関係ではないのであります。救急車を呼ぶとかなんとかいうことは、これは救急車は消防の方から呼ばなければなりませんから電話をかけて呼びます。警視庁警察官現場活動につきましては、お互いにあの橋のところでは両方一緒になつて警備をしておつたわけでありますから、事件が起つた警視庁の中に入つてもらいたいというような、そういう関係は起つていないのであります。事件の起ります前に、十一時半ごろから広場前の整理をやつてほしいということは、数回にわたつて連絡はいたしておつたのであります。これもしかし皇宮警察内部へ入つて整理をしてほしいという援助要求というものではございません。お互い協力して整理をするわけでありますから、外側をもう少し整理をしてもらわなければ、内部収拾がつかないという連絡をいたしておつたというだけであります。
  22. 藤田義光

    藤田委員 長官のお答えの通り警察法第四条第二項第七号を見ますると、皇宮警察に関しましては、当該機関要求がなくても警視庁あたり警備におもむく。国会、各省あるいは会計検査院、最高裁判所等は、当該機関要求がなくては出られぬような意味規定がございますが、当日の問題直後の新聞報道におきましては、警視庁に対する連絡の時期が一つの大きい問題になつておりましたからお伺いしたのであります。十一時半ごろからしばしば広場前の整理要求があつたということでございますが、もしこれが事実とすれば、警視庁はこの要求に対してどういう措置をとられたのでありますか。また事態発生後に相当の大きな部隊が現地に行つておりますが、これはどういう系統で出動したのであるか、この際警視総監からお伺いしたいのであります。
  23. 田中榮一

    田中参考人 現場皇宮警察から十時半ごろでありますか、内桜田門から参賀者を出すという最初連絡がございまして、これは丸の内署で応答いたしております。確認いたしております。その次十一時三十分に混雑するから警察を増してくれという要請があつたそうでありますが、この点が丸の内署といたしましてははつきりいたしておりません。それから零時十五分に大手門より出すという御連絡がありまして、この点は丸の内署連絡確認をいたしております。零時三十分に駒寄の前のところが混雑しているから、通行遮断をしてくれという連絡がございまして、この点も確認をいたしております。それから零時四十分に皇宮警察の小菅という方から、記帳所付近が非常に混乱をしておるから、一時正門前の参賀者の入場を阻止してもらいたい、よろしくお願いいたしますという連絡がございまして、その連絡によりまして、たたちに次席がサイド・カーで現場に急行いたしまして、整理をしようといたしたのであります。そのときにはもうすでに相当正門前が雑沓いたしておりまして、整理に非常に困難を来しておつたようであります。  次に午後一時四十分に前と同じような連絡事項があつたのでございますが、この点はこちらの丸の内署側といたしましては、はつきりいたしておりません。それから午後二時に正門前が混雑して整理し切れないから、至急整理を願いたい。かような連絡が署の方にございましたので、署の方からただちにそのことを現場の方に連絡をいたしております。これは別のことでございますが、もう一回二時十分に連絡がごさいましたが、皇宮警察側といろいろ連絡してみますと、大体八回くらいの連絡があつたようであります。そのうち二、三回が丸の内署側としては、はつきりした確認ができないのでございます。
  24. 藤田義光

    藤田委員 連絡は再三いたしておるようでございますが、実際の警備にしろうとのわれわれが考えても奇妙に感じますことは、これだけの大群衆広場に雑沓しておりますし、皇宮警察では当然放送用の車その他の施設を動員しまして、ただちに群衆の離散を放送することも可能であつたと思うのでありますが、皇宮警察機械整備状況はどういうふうになつておりますか、きわめて簡単でけつこうですが、お伺いしたいと思います。
  25. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 広場前の整理警視庁でやることになつておりますので、広場前の整理に要するような放送車とか、そういうようなものは皇宮警察は持つておりません。
  26. 藤田義光

    藤田委員  広場混雑して来たということは、結局は、根元は宮内庁前に人が停頓したことと、記帳場所が昨年なんかに比較いたしまして非常に整理されて縮小された、名刺受けをもつて代行するというような、女、子供の多い参賀に対しまして、実情を無視して準備されたことに、大きな原因があるわけであります。従つて広場にこれほど人が出て来るにつきましては、先は大混乱をしておつたことは当然想像されるのでありますが、この正門以内におきましては、群衆整理に対しまして、どの程度の警察官を動員されまして、どういう方法をとられたかお伺いしたいと思います。それから記帳施設がただいまも申し上げましたように、非常に縮小されたという状況についても、この際お伺いしておきたいと思います。
  27. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 記帳所の点は瓜生次長から御説明があると存じますが、皇居内の設備、御記帳所、そういつた関係のために、特に広場前が非常に混雑をしたというようには、私どもは考えておりません。御記帳所が数が少なかつたかもしれませんが、むしろ名刺受けで済まされたので、昨年よりはその点はスムーズであつたと思つております。きのうも申し上げましたように、十一時ごろから参賀の人々が非常に殺到をされまして、あの石橋をもう一ぱいになつて渡つてつておるという状況になりましたために、鉄橋との間の広場がもう一ぱいに詰まつてしまいまして、鉄橋からさらに宮内庁の前の方に群衆が歩いて行くというよりも、石橋渡つてつて行くという群衆の方が多くなつて来たということが原因だと考えておるのであります。
  28. 瓜生順良

    瓜生説明員 計帳所の問題についてお答えしますが、昨日申し上げたことと同じことになりますが、昨年は記帳所のところにはテーブルを三十脚、これをずつと六脚ずつ五列に並べまして、お入りの方はその間を縫つてちようど駅の出札口を出られるようなふうにして入つて来られた。そうしてそこで記帳をされるのですが、そのためにそこはかえつて混雑をする、お入りの方がスムーズにずつと進まれない。なおこの記帳といいますのは、陛下にお会いしてあいさつをされる方は、必ずしもこれは必要でないというような解釈もありまして、大部分の方は陛下のお出ましを待つて、このあいさつをして帰られるから、全部の方が記帳されなければいかぬような出札口のようなのは、かえつてよくないというようなことから、本年からはこの机の数を減らしまして、ことしは五脚でありますが、これを出札口のようにしないで、片側の方にずつと並べまして、そこに記帳の帳面を六冊ずつ載せまして、記帳をされたい方はされる。なお去年はなかつた名刺受けも出しました。これは混雑を防ぐために考えたので、そういう点では混雑を防ぐ上にはよかつたのじやないかと考えておるのであります。その点御了承を願いたいと思うのであります。
  29. 藤田義光

    藤田委員 現場を見ておりませんし、ただいまの次長のお説明でも私はあまりはつきりしないのでありますが、この問題に関連して当然責任問題が国民の間に論議されておるのであります。またこの責任問題に関連しましては、すでにそれぞれの機関において一応の結論が出ておりますが、この際警視総監にお伺いをしたいことは、私は首都警察というものが、各国の例を見ましても、別個の規模と本質をもつてつくられておる。この際におきまして、自治警察でありますが、この厖大な自治警察警視庁という強力な組織の中に、皇宮警察いう租界的な一部少数の国家警察が存在するというところに、今回のごとき事件一つ原因があるのじやないかと思うのであります。警視庁はほとんど完璧に近い装備を持つておりまして、一貫せる所轄のもとに、ことしのごとき問題が起きたと仮定いたしますれば、当然警視庁放送車等によりまして、事態収拾を相当早くし得るのではないか。責任の本源がどうしても皇宮警察であるということ、所管の違う国家警察であるという関連が、事態を大きくした一つ原因ではないか、これは私の主観でありますが、そう考えております。この際警察制度の改正も計画されておりますので、いずれ論議されると思いますが、皇宮警察警視庁に併合いたしまして、別個な構想から運営して行くということも、一つ方法ではないかと思うのでありますが、皇宮警察が発足しましてから数年の間の実績を、警視庁側から見られておりまして、どういうふうな行き方が一番能率的であると同時に、理論的にも正しい方向であるか、この際警視総監の所見をひとつお伺いしたいと思います。
  30. 田中榮一

    田中参考人 ただいまの御質問に対しましてお答えいたしますが、過去におきまして、旧警察制度におきましても、皇宮警察というのは別個一つの体系でございまして、旧警察制度におきましては、宮内省所管になつておりまして、その当時の警視庁とは全然系統を異にいたしております。また皇宮警察本質的な職分は、一般警察と非常に異なつた点がございますので、ただ概念的に一般警察皇居内において同様な警備警戒に当るというのとは、非常に性質が異なつておりますので、一般警察かただちにこれに当つていいかどうか、適当であるかどうかということは、これは研究せねばならぬ問題ではないかと思つております。ことに新しい警察制度におきましては、たまたま皇宮警察国警所管になつておりまして、自治体警察である警視庁とは全然別個系統になつております。この関係は、前の旧警察制度における関係と、全然同じような立場に両者か相なつております。旧警察制度におきましても、やはり警視庁皇宮警察というものは、外部の警備については当然警視庁か負いまして、ただ接触点警戒警備につきましては、結局両者か緊密なる連絡をとつて実施するという以外にはないのであります。今回の事件におきましても、私は皇宮警察警視庁とが、その間に非常に連絡の不十分の点かあるかといいますと、私どもから言わせますと、たとえば今回の参賀の例以外に、陛下正門から出御されるという場合におきましても、これは常時皇宮警察警視庁とか非常に連絡を密にいたしまして、一週間に何回でもかような連絡をいたしておりますので、要するに両者が少しなれ過ぎた——なれ過ぎたと言つては、どうも言葉が妥当でないかもしれませんが、あまり何回もの経験を積んでおつて事故もなく済んでおつたので、両方ともある程度事柄を非常に甘く見たのじやないか、少くとも警視庁側におきましては私は今回の事故につきましては、警備上におきまして手薄であり、また事態を非常に甘く見過ぎて、こういう結果になつたのだということを、事件か起りましてから私どもはつくづく感じております。これは率直に申し上げますが、いま少しこうしたことについて関心を持ち、もつとこういう事態の起ることを予想して、警戒警備をするのが当然であつたということを、私は率直に認めております。従いまして、今警視庁皇宮警察を管轄いたしましても、これは特殊の一つ警察でございますので、警視庁皇宮警察を管轄して、はたしてできるか、もちろんできないことはないと思いますが、ただいろいろの特殊性からいたしまして、やはりこれは別個なものにしておいていただいた方が、双方においてやりやすいのではないか、かように考えております。もちろん警備上におきまして、いろいろな装備、施設の必要な場合におきましては、現在警視庁の持つておるあらゆる装備、施設皇宮警察に提供して御協力申し上げることにつきましては、私どもは賛成をいたしております。
  31. 藤田義光

    藤田委員 ひとしく警察である以上は、警察本質たる公の秩序の維持、生命、財産の保護、あるいは犯罪の捜査、予防、犯人の逮捕、交通の取締り、こういう問題は普遍的な通性として、当然皇宮警察も持つておるべきである、特に天皇御一家の生命財産の保護という点に中心を置いた警察でありましようが、警察である以上は一般警察の職務は断然持つておるわけでありまして、今回の事件が起きました一つ原因として、私は皇宮警察が終戦前の感覚で職務を運営しておる結果起きたのではないか。戦前にはこういう参賀というような方法はなかつたのであります。つまり、警察行政の重要な一翼たる交通の取締りと申しますか、整理に対するふなれから、正門の中が必要以上に混乱いたしまして、こういう事態を起した一つ原因となつたのであろうと思うのであります。この際皇宮警察も——長年の伝統、習慣あるいは特殊な儀仗等に習熟せる一部の者は必要でありましようが、大体において一般警察の中に溶け込んでしまう方が、こういう問題を将来発生しないというふうに考えておるのであります。この点は警視総監のお考えと見解の相違になりますから、これ以上お尋ねいたしませんが、瓜生次長は長年警察におられまして、今回次長に就任されたので、まだ日は浅いのでありますが、率直なお感じをひとつこの機会に聞かせていただきたいと思います。
  32. 瓜生順良

    瓜生説明員 この問題は警察制度の問題になりますので、宮内庁次長として、とやかくあまり申すべき筋ではないと思うのでありますが、感じとおつしやるので申しますと、この皇宮警察は、先ほど田中総監の言われたように、一般警察と共通する面もありまするが、かわつた面もある。天皇並びに皇室財産の保護、それから宮中の儀式の場合には儀仗といつて特別の服装をした仕事という面がありますので、普通とちよつと違つた面もございます。しかしそれではこれを宮内庁所轄にしてしまう方がいいかどうかということを考えてみますると、これが一般警察組織から離れて、別の分離した組織になります場合の、長所短所を考えますと、必ずしもそれがいい悪いとも言えないのであります。これは長所短所があつて、かえつて広い警察から離れた小さな組織で、そのために、他との緊密な連絡のもとにやつて行けばいいと言えはいいのでありますけれども、場合によつては、仕事のうまく行かない面の出て来ることも考えられますので、これはいずれともはつきり申し上げかねるので、今のところは、今のようなやり方でやつてつて、特に大きな支障があるとは考えておりません。率直に申し上げます。
  33. 藤田義光

    藤田委員 この際齋藤国警長官の御見解を聞きたいのでありますが、もともと皇宮警察は宮内省の管轄下にあつたのでありまして、それを新しい警察制度のもとに国家公安委員会所轄に属せしめておるわけであります。田中警視総監の御発言でありますが、この観点からしますると、国警、自治警いずれにしても一般警察に溶け込んで、ただいま瓜生次長が言われましたように、儀仗等に関する特殊の体験を持つている人は、別個の扱いにするというようなことも可能ではないかと思いますが、国警長官としては、いかように考えられておりますか。現在の国家公安委員会所轄が一番いいというふうに考えておられますか。それとも、昔のようにむしろ宮内庁の中に溶け込んだ方がよろしいというふうにお考えでありますか。お伺いしたい。
  34. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 先ほど警視総監瓜生宮内庁次長からもお話がありましたように、以前は宮内省の一部局として皇宮警察があつたわけでありますが、これを今の宮内庁と切り離して別の皇宮警察という形に相なりましたにつきましては、占領後ではありましたが、やはり相当の理由があつたんじやないだろうかと私は思つております。もちろん、ただいまにおきましても、やはり従前のように宮内庁の一部局にした方がいいか、あるいは現状の方がよろしいかということについては、なお研究の余地があろうと考えておりますが、私は今日の段階では現状のままでいいのじやないだろうかと、かように考えております。しかしこれは将来さらに十分研究する余地はあるだろう、かように考えております。
  35. 藤田義光

    藤田委員 質問者が多数ありますから、最後にもう一点だけお伺いしておきたいと思うのでありますが、この問題の責任に関しましては、丸の内署長、あるいは警視庁警備部長等が左遷されました。また皇宮警察本部長は、自発的に辞表を出して、国家公安委員会でこれを受理されたようでありますが、どうも責任の所在、またそれに基く結果というものに、私たちはまだしつくりしないものを感ずるのであります。特に前皇宮警察本部長の武末氏は、群馬県の工場課長時代以来の人となりをよく知つておりまして、非常に人間的にりつぱな人でありますが、この責任はつきり認めて、国家警察本部の方でやめさせるという結果になりましたが、責任の根拠とそのいきさつを、ひとつ最後に国警長官からお伺いしておきたいと思います。
  36. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 皇宮警察本部長といたしましては、あの事故が起りましたことについて、非常に申訳ないという感じから、辞表を提出せられたのであります。私、辞表の提出を受けた者といたしまして考えてみたのでありますが、当日皇宮警察の総括責任者である本部長として、もつと最善を尽して事前広場前の群集の整理ができるように、警視庁とさらに強い連絡をとる道もあつたのじやないかという点を、武末君も特に強く考えたことだと考えております。私といたしましても、皇宮警察本部長として責任を痛感されるのはもつともであろう、かように考えまして辞表を聞き届けた、かような次第でございます。
  37. 藤田義光

    藤田委員 ただいまの御答弁に関連してお伺いしておきますが、そうしますると、武末本部長が辞任された最大の理由は、連絡不十分であつたという、ただいまの長官の御答弁の結果であるというふうに了解しておいてよろしゆうございますか。
  38. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 その一点だけとは申しませんが、自分みずから警視庁の幹部にまで電話をかけて、早く広場前の措置を願うということをしておれば、武末君もおそらくもう少し気はやすかつたであろう、かように考えます。
  39. 中井一夫

    中井委員長 藤田君の御質疑は一応この程度でよろしゆうございますか。——それでは門司君。
  40. 門司亮

    ○門司委員 同僚からすでにたくさん聞かれておりますので、多く聞く必要はないと思いますが、私はまず最初に聞いておきたいと思いますることは、きのうの長官のお話で、当日の警備は主として天皇、皇后両陛下の身辺の警衛が第一義的であつたというようなお話を聞いたのでありまするが、今その通り解釈していいかどうかということを、念を押しておきたいのであります。
  41. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 昨日、当日の皇宮警察護衛活動の目的は何であつたかとお聞きになられましたから、陛下の御安泰と参賀の人々の雑沓の整理、この二つが主目的でありましたと申し上げたのであります。
  42. 門司亮

    ○門司委員 私が聞いておりますのは、聞き誤りがあつたかどうかと思いますが、私は大体第一義的の目的は陛下の御安泰にあつたように実は聞いたのであります。従つて今のような質問をいたすのでありますが、このことを質問いたしますのは、最近何といいますか警備というものが、非常に厳重になつておりまして、これは天皇ばかりではありません。たとえば内閣総理大臣の吉田さんにいたしましても、箱根においでになれば、おいでになつた宿のまわりを鉄条網で囲つて大衆との間を遮断する。福岡においでになれば、武装した警察官が二百名も出て来て、二メートルおきに配置されておつたということを聞いておる。これは戦争の前に陛下がおいでになつても、ああいうことはしなかつたと思う。ややともすればこうした事大主義的のものの考え方が、やはり警察の中にあるのじやないか。そうしてことさらに大衆との間を切り離すような感じがわれわれにはするのでありまして、国警長官の答弁は、ただいまは両方の目的だとお言いになりましたが、昨日の御答弁では、私が申し上げましたように、第一の目的は陛下の御安泰であるというようなことに承つておるのであります。従つてこのことの警備自身は、そこから来る一つの大きな誤りがなかつたかということであります。  そこでまず聞いておきたいと思いますることは、記帳所の問題でありますが、これが昨年は総数で多少の配置は違つておりましても机を三十脚ぐらい出して、それを五列に並べて大体記帳所としては百八十箇所くらいの記帳所があつた。今年はそれが記帳所としては配置をかえて三十箇所くらいにきめられておつて、そうして大体五つの机が設けられおつた、こういうふうに言われております。問題になりますものは、この記帳所とそれから警備群衆の誘導との関係であります。群衆は八列になつて誘導されております。そうして記帳所に行けば五箇所になつておる。三十箇所あると言つておりますが、机は五つしかない。私どもは、記帳所は列があれば一つの列に一つずつのものが配置されておる方が順序としてよかつたのではないか、群衆はよく迷いますから三十箇所あるといつても机は五つしかないので、その五つの方向に八列に並んで来た人が向うことになりますと、中には混雑がありはしなかつたかと思う。従つてこの誘導された八列と五つ机が横に並べてあつたという考え方のもとに、こういう群衆がはけきれなかつたという問題が残されておるのではないかと考えるのでありますが、皇宮警察の方ではそうお考えになつておるようなことがありますか。
  43. 瓜生順良

    瓜生説明員 記帳所のあたりは、私も当日現場を十二時半くらいには拝見したわけでありますが、先ほども説明申したように片側にずつとありますので、この記帳をなさつておる方は一部で、記帳をされずにずつと進んでおられる方がおる。これは先ほど申したような解釈もあつたものですから、そういうふうにしたのでありますが、記帳所のところが特に混雑をしておつたというようなことはなかつたように私は思います。その後総務課長があのあたりに行つてみての話でも、その方がよかつたということを申しておりました。そういうふうにわれわれは今は考えておるわけであります
  44. 門司亮

    ○門司委員 これは齋藤国警長官にお伺いするのでありますが、今度の事件起りまして、世間ではいろいろな問題が残されております。この事件の最も大きな問題として取扱われておりますものは、いまだに原因が明確にされていないということであります。どこが一体悪かつたのか、多少の責任者として責任をとられた方がありますので、一応行政的にはそういうことでいいかもしれませんが、大衆にはこれを納得するだけの原因はつきりしておりません。警視庁からお出しになりましたものも、あるいは国警からお出しになりましたものを見ましても、原因と思われるようなところにちつとも触れておられない、ただ当日の経過報告だけであります。これではこういう問題の解決はなかなか困難である。先ほどからの藤田君の質問、さらに昨日の質問と、いろいろ論議がされておりますから、私はこれ以上は聞きたくはないのでありますが、原因と思われるものが一体どこにあるかということ、警察制度が悪かつたからこういうようなことになつたと率直に認められるようなことがあるなら、この際はつきり言つていただきたい。
  45. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 警察制度がこうなつてつたから、ああいう事件が起つたとは私は思いません。原因は、警視総監も私も申しておりますように、当日の群衆整理のやり方がまずかつたお互いに申訳ないと思つておる次第であります。
  46. 門司亮

    ○門司委員 制度の上に欠陥がなくて、ただ運営の面で落度があつたということに解釈すれば、今の答弁ならさしつかえないというふうに考えます。そうだといたしますと、今警察法の改正にからんで、いろいろな問題がうわさされておりますが、われわれの仄聞するところによりますと、どうも警察が二つにわかれておるというようなことで、やはり連絡その他でうまく行かなかつたから、こういうものが起つたのではないかということが、世間でよく言われておる言葉であります。従つて警察法を何とか一本化さなければうまく行かないであろうということが、しばしば考えられておるので、もう一応聞いておきます。国警長官としては警察法の落度ではない、運営の誤りであつたということになりますれば、この事件警察法改正の一つの具に使われるというようなことについてはお考えになつていないかどうか。
  47. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 私は二重橋事件そのものが、警察法改正の具に供せられるというようなことはないと考えております。
  48. 門司亮

    ○門司委員 その次に聞いておきたいと思いますことは、皇宮警察警視庁関係でありますが、これは先ほどからいろいろ御説明がありますように、皇宮警察は特殊な任務を持つておるということは、われわれにもうなずけるのであります。従つてこの警察が、やはり警視庁警察の管轄と同じような仕事をしておらない関係から、これを警視庁一緒にするというようなことについては、あまり賛成できがたいように私は承つたのでありまするが、その通り解釈してよろしゆうございますか。
  49. 田中榮一

    田中参考人 さようでございます。
  50. 門司亮

    ○門司委員 もう一つ聞いておきたいと思いますのは、今お伺いしておりますと、別に警察法の落度でもないし、さらに皇宮警察というものが特殊の任務を持つておるので、警視庁と一本化してもいいということが考えられないとなつて参りますと、当日の事故というものは、先ほどから説明されておりますように、明らかに両警察連絡が不十分であつたということと、さらにその運営がよろしくなかつたということであつて事件自身は警察法の落度でなくて、単に一つの——こういうと言い過ぎかもしれませんが、突発的の交通事故というように考えられる、こう解釈してさしつかえないかどうか。
  51. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 私は突発的な交通事故と考えるわけには参らないと思つております。すでに十時半、十一時ごろからあれだけ混雑いたしておりまして、その整理ができなかつたということは、突発的な交通事故とは考えられません。
  52. 門司亮

    ○門司委員 そういたしますと、この問題の原因は、何度も繰返すようでありまするが、あくまでも両方警察連絡が不十分であつたということにならざるを得ないような形になつて参ります。そこで皇宮警察から警視庁の丸の内省に参つております書類を見てみますと、いろいろ配置のことがずつと書いてありますが、この殺到の際に、警視庁に対して連絡をされて、二重橋外の群衆整理に当つてもらいたいということを要請されると同時に、皇宮警察としては、自己の持つております職員——これを見ますと詳しくは存じませんが、書いたものをずつと読んでみますと、日直以外の職員を集めるというように書いてありまして、何か非常招集をしたようには見受けられないのでありますが、そういうことはなさらなかつたかどうか。
  53. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 皇居内部におきましては、あれ以上整理をする方法がないのでありまして、昨日委員長のところにも写真をまわしておきましたが、先ほども申しておりますように十一時ごろからはほとんど人の波で、あの石橋の上を渡つております。こういう状況正門から皇居の中に入られては、中の整理が——整理というよりは、人が収容し切れないから、外を整理してもらいたいということを申しておるのであります。そういう意味で意思の疏通はできておつたと考えまするし、警視庁としても外部には責任者がおられて、整理に当つておられたのであります。十時半、十一時ごろからその状況は十分連絡をしなくてもわかつておるのであります。さような意味から総監整理には手抜かりの点があつたと言われておりますし、私も先ほど申しておりますように、もう少し上の幹部の方が直接話し合えば、もつと迅速な手が打てたのではなかろうか。その点は武末君も一番申訳なかつたと思つておる点であろうと私は思つております。当日の参賀客が大体私の観測では三十四、五万から七、八万くらいあつたと思うのであります。平均いたしまして一時間に六万人でありますが、あそこを通る一番の隘路は、二重橋の上の鉄橋でありますが、あそこを一時間に六万人通過いたしますということは、なかなかたいへんな殺到なのであります。十一時過ぎから警視庁連絡を頼んで、あの事故が起りますまでの間に、約二時間ばかりございますが、この間にバルコニー前で陛下を奉迎して去りました人数が一回に四万人といたしまして十五、六万人、あるいは二十万近くはその間にすでにはけておるものと私は考えます。従つてその間に強力な措置をとれば、また八列縦隊に並んで入つてもらうという措置もできたのじやなかつたろうか、かように考えております。
  54. 門司亮

    ○門司委員 もう一つどもはこの原因でなかつたかと思われる節は、先ほどからの御答弁の中にだんだん出て来ておりますが、皇宮警察として、二重橋から中の雑沓整理は、できるだけこれを確保して行くということは当然であつたろうと考えられる。そのことのために二重橋外の群衆がよけいにたまつた。今齋藤国警長官鉄橋が非常に問題だと言われましたが、なるほど鉄橋の両端の木のところは腐つてつて、あそこから人間が落ちるような非常に腐つた橋をかけておりますので問題でありますが、いずれにしましても、この問題は、原因一つとして私どもが考えてみますと、皇宮警察の側に、できるだけ場内の自分の管轄内の雑沓を避けるというようなことが非常に強く考えられておつて、必要以上に二重橋外に群衆をためたのではないかというような考え方が、私ども浮んで来るのであります。そのことは先ほどの御答弁にもありましたように、記帳所のまわりというものは、そう混雑していなかつたというお話でございまするが、それがもし事実だといたしますると、これはやはりそういう面にお互いのなわ張り争いというほどでもないかと思いますが、お互い責任というものだけを完全に果して行くということが、つい連絡の不十分のような形になつたのではないかというように考えられるのでありますが、そういうことは考えられませんか。
  55. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 お昼前からの内部状況は、あの石橋とそれから鉄橋の間の広場が、ほとんどまつたく一ぱいになつてしまつた。そしてさらに予定の所よりももつと奥の方まで、群衆が一時たまつた、ためざるを得ないというような状況にまで行つたのであります。
  56. 門司亮

    ○門司委員 それじやもう一つ二つお聞きしておきたいと思いますが、これもこの書類で大体拝見をいたしまして、私どもの気のつくことでありまするが、書かれておりまする字句の中で、当日ロープその他で群衆に対して整理を行つたということが書いてあります。ところがきのうの警視総監のお話を開きますと、このロープは警察官の捕繩であつたということでありますが、私はこれが事実だといたしますると、あまりにも用意がなさ過ぎたといいまするか、それから同時に相当時間があつたのでありまするから、やはりこういう警察官の捕縄というような間に合せのもので、一時間も二時間もこれを食いとめておつたということについて、私は必ずしも警視庁の処理もよくなかつたと思いますが、この点についてはそういう手抜かりが事実上あつたのですか。
  57. 田中榮一

    田中参考人 少し説明が足りなかつたと存じますので、私からあらためて御説明申し上げます。最初祝田町の警備出張所から坂下門に向つて張りましたロープは、従来この派出所に夜間警備の必要のために、ロープを常に置いてあるのであります。この普通のロープをもつて一応最初つたのであります。その後このロープをさらに駒寄せ付近の方に張る必要があつて、それを移動いたしましたために、午後一時十五分にさらに丸の内警察署におきまして、二十六名の警察官を召集いたしまして、二回目の阻止線をつくつたとき、そこにロープがないためにやむを得ず捕縄をもつてつなぎ合せまして、ロープのかわりに一応これを使つたわけであります。従いましてロープがここに一本しかなかつたことは事実でございます。
  58. 門司亮

    ○門司委員 これは皇宮警察の人に伺いますが、昨年は何か時間の都合で三時半まで延ばされた、こういうようなお話を承つたのでありますが、その通りでございますか。
  59. 瓜生順良

    瓜生説明員 昨年は九時から三時までというふうに公表もし、そういうことになつておりましたが、門前にまだ大分おられたので、便宜上三時半まで三十分延長したのは事実であります。本年は三時きつかりに締めました。その理由は昨日申し上げたような事情であります。
  60. 門司亮

    ○門司委員 私はそういうことがやはり一つの大きな問題ではないかと思います。去年はいつ延期されたか知りませんが、去年よりも非常に数多い群衆が前にたまつております場合には、これはやはり便宜の処置として、去年と同じように三時半まで延長するということにしたら、そう無理な雑沓はなかつたと思いますが、群衆の、やはり限られた三時までに入らなければ目的を達することができないというような心理状態が、この問題を起させた一つ原因じやないかと私は思う。このことはその時の状況の判断ではございますが、去年が三時半まで延ばされておるとするならば、先ほどから申し上げておりますように、ことしも三時半までお延ばしになつても、大して支障はなかつたのじやないかと思いますが、もしこういう措置が適宜にとられておれば、私はこういう群衆が短時間のうちに何でもということで、午後になつて非常に混雑しなくてよかつたのではないか。これは群衆というか、ここに集まつております者の心理だと思います。時間までに入らなければならないということになれば、かけ足で前の人を突きのけて行くことは当然であります。時間にまだ余裕があるということであれば、整理をする方にも十分余裕も出て来るのであります。また群衆の方も納得してそう人を突きのけたり、け飛ばしてまで行かなくてもいい、私はこういう混雑時の心理状態を持つと思うのであります。この処置がとられなかつたことは、私はきわめて残念に思つておりますが、ことしは事故が起つたから三時で切り上げたということでありますが、どうしてそういうことが行われなかつたかということを、いまさら追究する必要もないと思いますが、私は当局としては、もしそういうふうに事前にあの混雑の状態を見て、ことしも去年と同じように三時半まで延期するということが、事前群衆にわかつておれば、こうまで混雑しなかつたであらうと、今お考えになつて、御感想はありませんか。
  61. 瓜生順良

    瓜生説明員 その点はその後宮内庁内部で、いろいろこの次の参賀のやり方について検討いたしておりまするが、今おつしやいましたような点も十分考えておるわけであります。ただあまりおそくまで開門しておけないので——入られて中をずつと相当おいでになるのでありまして、暗くなるまでおられてもいかぬ。その関係上そうおそくもできませんけれども、その点を十分含んでこの次の場合には、もつと考えようじやないかということを検討中であります。
  62. 門司亮

    ○門司委員 結論的にこれだけ申上げておきます。どなたからでもよろしゆうございますが、以上のことをずつと総合いたして参りますると、第一の一つの理由は、警察自身の制度の欠陥でも何でもなくして、一応相互の連絡がきわめて不十分であつたということ、もう一つは今お答えになりましたように、適宜の処置が欠けておつたということが、一応認められるというように解釈してさしつかえございませんか。
  63. 田中榮一

    田中参考人 現場整理の措置の点につきましては、手落ちのあつたことは確かでございます。整理の不行届きの点のあつたことは事実でございます。
  64. 中井一夫

    中井委員長 西村力弥君。
  65. 西村力弥

    ○西村(力)委員 それでは簡単に……。管轄が二つになつておる、そのことからどうこうという問題でなく、私は首都警察というものの名誉といいますか、誇りといいますか、そういう点に立つて警視庁側としては皇居の中の警備をわれわれがやるのだという立場に立つべきではないか、かように考えておるのであります。宮城内だけが国警所管になつて、この首都の中にぼつりと一つだけ残つておるということは、考え方として非常に古いではないか、さように考えるのであります。そういう点から警視総監におかれましては、たとい皇宮警察の勤務の内容が違つても、それは違つたなら違つたなりの勤務をさせればいいのですから、これを警視庁の管下に置くことが正しいというような結論におなりになることはできませんか。その点をお伺いしたいと思うのであります。
  66. 田中榮一

    田中参考人 皇居に関しまする限りは、もちろん首部の地域の中に皇居が存在いたしておりますので、皇居警備責任は当然警視庁にございます。ただその皇居内部につきましては、これは特殊任務を持つておる皇宮警察に御担任を願うことが——国民の生命、身体、財産を保護するといういわゆる警察法からいう警察そのものが、これに当ることがはたして妥当であるかどうか、かような観点から、首都警察としまして皇居内部責任を負うということは、むしろ不適当ではないか、それよりはむしろ最も適当なる、特殊任務を持つ皇宮警察をして担任せしめることが妥当ではないか。但し皇居外部に関する警備につきましては、警視庁が全責任をもつてつておるわけであります。あるいは例が違うかもしれませんが、たとえば議事堂内部警察というのは、議長警察権のもとに運営されております。従いまして議長からの要請があつて、初めて警視庁がこの議事堂の構内に入つて協力を申し上げることができるような状態でありまして、原則といたしましては、この議事堂内部警察というものは、議長警察権の権限内に入つておりますので、これは皇居皇宮警察とは、あるいは立場が異なるかもしれませんが、さようなことで従来東京都内におきましても、さような形式をとつておるところは他にもあるのでございます。さような意味から申しまして、本質的に警察の性質が違いますので、皇居内部警察は、やはり皇宮警察に御担任を願うことが妥当ではないか、かように考えております。
  67. 西村力弥

    ○西村(力)委員 警視総監の立場としては、参賀をする人々であるから、それを積極的に取締るがごとく出ることを避けたというふうに善意に出たことは、われわれもその通りの立場を支持したいと考えるのでありますが、ただ田嶋委員からお話がありましたように、年の初めの気分といいますか、それとともに、このたびの事故にあつた人々をずつと調べてみますると、七十九人のうち都民外の人が二十人ばかりおるのでありますが、こういう点なんかもやはり十分に考えなければならぬ。たまたまその場所におつてあわれたという人は七十九人のうちの二十人、その比率通りには全員ならないとしても、そういう訓練の不十分な地方の人々も相当入つておるのではないかと思われる。そういう点からいいましても、やつぱり私としてはその群衆の良導といいますか、そういう点に関する事前の考えが甘かつたのじやないか、さような見解を持たさるを得ない。そういう点からではございませんがお聞きしたいのは、その犠牲者に警視庁もそれから国警もお見舞を出されたという点なんです。これは確かに自分たちの不行届からとうとい人命を失い、あるいは遺憾なことに立至つたということに対してお見舞をするのは、世間一般の立場でごさいましようが、しかしそういう例が他にもなかつたかどうか、その点をお聞きしたい。もしあるとすればそういう場合においてもお見舞をしたかどうか。極端にいえば政府が政府の相談によつて犬養法務大臣をお見舞にさしつかわしておる、こういうことから、この事件の取扱いが、時も時、場所も場所というそういう考え方が先になつて——きのうは国警長官が天皇の御安泰が第一であると答弁をされて、きようは少し違つた答弁をされましたが、そういう考え方が一番主になつて、そうして日本国民の人命というものを大事にしないわけじやないが、そういう立場からその犠牲を考えるというような意識しないものがあるのではないかということが考えられる。そういう点からいいましてお聞きしたいのは、国警におかれましても警視庁におかれましても、お見舞の人を出されたということが前例としておありかどうか。またそういう警備の不手ぎわから犠牲が起きた事例があるかどうか、これについてお伺いをしたいと思うのであります。
  68. 田中榮一

    田中参考人 今回の警視庁側といたしましてお見舞を差上げましたのは、正式のお見舞といたしましては東京都といたしまして、東京都知事としてお見舞を差上げるのが、一番適当じやないかという考え方であつたのでありますが、東京都と警視庁と公安委員会とで協議いたしました結果、まあ警備上手違いがあつたという点から、むしろ公安委員介の名前で差上げた方がいいじやないか、かような意味で東京都知事名でなく、公安委員会名をもちまして、東京都といろいろ予算措置等を協議をいたしまして、お見舞金を差上げたのであります。  それからそのほか警視庁としましてお見舞金等を差し上げた例はいろいろございます。たとえば直接警視庁の持つております自動車等が他の通行人を負傷さしたとか、面接原因のこちらに責任のあることがはつきりしておることはこれは問題はないのでありますが、しかし双方どちらに責任があるかわからないというような場合も時折起るわけであります。こういうときには当然の事例といたしまして、お見舞として若干のものを差上げたことは従来におきましても相当ございます。従いまして警視庁側といたしまして、お見舞を差上げたというようなことは過去におきましても再三再四事例がございますが、今回は特にああした大きな事件でもございますので、むしろ警視庁というよりも、東京都知事もしくは他の名目をもつて差上げた方が適当じやないかと考えまして、東京都と協議いたしまして、公安委員会名をもつて正式のお見舞金を差上げたわけであります。
  69. 西村力弥

    ○西村(力)委員 次に皇宮警察宮内庁の方にお聞きしたいのでありますが、年々参賀の人数を増して行く、去年は六十三、四万といわれておりますが、実数は二十万人くらいとしますと、今年は三十八万で、年々数が増している。そこで今年の事件を契機として今後の参賀の方式などを検討中である、こう言われますが、その検討には技術的の場合もいろいろあるでございましようが、もつと回数というかそういうものをふやすというか、あるいは天皇をもつと国民に接触させる方法をとる、年二回だけあの禁断の地に入り得る、あるいはめつたにお会いできない天皇の顔を見かけると、随喜の涙を流す人々もたくさんいるわけであります。そういうことになつておりますが、われわれとしては決して天皇をわれわれ国民から離すべきじやなく、ますます近つけて行くというのが天皇の御気分をゆるやかにするのだ、こういうように考える。回数をふやすとかそのほかもつとさまざまの方法で接触をよけいにする、こういうような点についてのお考えは進められているかどうか、単なる今度の事件に伴う技術的の処理方法、措置、そういう方法だけであるかどうかそれをお尋ねしたい。
  70. 瓜生順良

    瓜生説明員 この陛下にお会いをする機会をふやすというようなことにつきましても、これはいろいろ考えておりまするが、たとえば決定的のことでありませんが、考えておるところを言うと、その参賀の先ほどの事件関係もございましたか、そういう事件関係につきましてももつと延ばす、あるいは二日のほかにあるいは三日ももしお願いできれば考える、三日は別の行事がありますので、場合によつて記帳だけを考えようかというようなことも、これはまだ一応考えただけでありまして、結論じやございませんか、そういうことも考えているわけであります。  なお皇居の中をひとつ見たいというようなお気持でおいでになる方も相当ある、現在平常において皇居の参観に入つていただきまする方については資格の制限などがあります。一般の方が入られないようなことになつております。この点を検討して一般の方についても、平素においてもある程度お入りを願えるように考えよう、これも結論ではありませんですが、そのやり方につきまして、今研究を進めておる、そういう状況であります。
  71. 西村力弥

    ○西村(力)委員 それから宮内庁におかれましても犠牲者、事故を受けられた人々に対してお見舞せられたように聞いておりますが、そういうのは天皇のお言いつけですか、そういうものによつてなされるのですか。営内庁の庁議というか、長官の意思によつてなされるのでございますか。これは、週間朝日を見ますと徳川侍従は御宸襟を悩まし奉り、まことに申訳ないと漏らした、こういうことを言つておりますが、御宸襟を悩まし奉る、これはけしからぬことでございますが、しかしそれよりもさき、やはり天皇の御意思を考えてみれば、多数の人のとうとい人命を失つたというところに、根本の考え方が置かれなければならないのではないか。今もつて御宸襟を悩まし奉りという考え方だけで、すべての行動が律せられるとするならば、これはまた旧態の天皇制に復活する素因を十分そこに認められるのではないか、そういうことでは日本は不幸になると私たちは考える。それでお見舞を出されたのはどういう手続といいますか、考えで出されたかお尋ねしたいわけです。
  72. 瓜生順良

    瓜生説明員 お見舞を出されましたのは、陛下御自身からの分は陛下の御意思であります。それから宮内庁としていたしましたのは宮内庁の考えであります。このお見舞を宮内庁としていたしましたのは、皇居に新年の参賀においでになつた——俗な言葉で言うとおかしいですが、お客の方がこの門前でああした痛ましい事故にあわれました、それに対しまして、まことにお気の毒である、遺憾である、お客に対してこれは誠意を尽さなければいけない、お気の毒であるというような気持で出したような次第であります。
  73. 西村力弥

    ○西村(力)委員 もう一つだけ。この事件のほんとうの責任の所在というものは、一体現在調査せられておるか、この調査する機関はどこにあるか。それを待たずにそれぞれ行政的な立場から辞表を出したり、それを許可したり、その他やつておりますが、ほんとうの第三者的な立場で、責任の所在が調査せられておるかどうかということを齋藤長官にお尋ねしたい。
  74. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 これの責任として、もちろん刑事責任があるかどうかということは、これは検察庁がお調べになつておられます。近く結論をお出しになるだろうと思います。行政上の責任、どこに行政上の手落ちがあつたかというようなことにつきましては、皇宮警察については皇宮部内及び私の方で調査をいたし、警視庁関係におきましては、警視庁責任を究明せられておるのであります。これを統轄してどこにあるかというその責任を究明する機関はございません。国会でいろいろ御調査を願うのか、唯一のものであろうと考えます。
  75. 北山愛郎

    ○北山委員 ほかの委員の方からいろいろ質問かありましたから、私は簡単に二、三お伺いしますか、この事故原因はいろいろあるでありましようが、やはりあの参賀に集まつた多数の群衆の流れがスムーズに流れなかつたというところに一番大きな原因があるだろうと思う。これを裏を返せば、あの一般参賀を受入れる計画において、あれを予想した十分な準備かできておらなかつたというところにあるのではないかと思うのですが、そういう意味では、単にこれは警察だけの問題ではなくて、受入れの参賀計画をなさつた宮内庁の方にも責任があるように思われる。そこであの流れをスムーズに流しておれば、あるいは昨年同様に事故なく済んだかもしれませんか、今年は昨年よりあるいは多かつたかもしれません。そこで流れをせきとめた二つの関所というものは一つ記帳所である。一つ宮内庁のあのバルコニーの前、いわゆる陛下が出御をなされる前のところにとまるということが、外部から見て想像されるわけです。ところが先ほどの宮内庁のお話でありますと、記帳所は今年のやり方を変更したけれども、そのために特に混雑はなかつたのだと言われておる。しかしわれわれに配られておる警視庁警備課の報告によりますと、先ほど十一時半ごろと言われましたが、午前十一時四十分ごろ現場皇宮警察官から丸の内署員に対し、記帳所群衆があふれておるから参入者の整理をしてもらいたい、こういう連絡があつたと報告されておる。それから先ほど国警長官のお話の中にもそのことが裏書されておる。そうしますと記帳所の前で相当混雑をしたということにつきまして、宮内庁次長のお話と、国警長官ないしは警視庁の報告とは食い違いがある。どちらがほんとうであるか。これは宮内庁の方にお伺いします。
  76. 瓜生順良

    瓜生説明員 先ほど記帳所の付近はそれほど混雑はなかつたと申し上げたのですが、それは記帳をするためにその場所、机の付近で特に混雑をしておられた状況はないと申し上げたので、その前をずつと多数の人が動いて行つておられました。その入つておられる数が相当多い関係になりましたから、見方によりましては混雑というふうにも考えられ、先ほどは私として昨年の五列並べたときに比較して、混雑はしていなかつたというふうに申し上げたのです。
  77. 中井一夫

    中井委員長 皆さんに申し上げます。実は本日の審議につきましては、本会議もありますので、十二時半をもつて打切る旨、昨日から申合せになつております。しかるところただいま聞きますと、議運におきましては一時半から本会議を始めるそうであります。しこうしてただいま北山さんの御発言につきましては、本問題将来のため、きわめて重要なる点に御論議が触れておると存じます。もし皆さんが御用意ならば、十二時半の時間をさらに長くいたしまして、一応問題のはつきりいたすところまで突きつめて進めたいと思いますが、異議はござりませぬか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  78. 中井一夫

    中井委員長 それではそのつもりで進行をいたします。  北山さんにおかれましても、実はこの問題の起つた原因が、すつかりわからないまま来ておるのであります。今までの委員諸君のたびたびの御発議でありますが、この問題が当局からはつきりと答弁をされていないことを、私も感じております。どうぞ北山さん、その点を特に御考慮の上、御質問を願います。
  79. 北山愛郎

    ○北山委員 宮内庁からは、そのような今の答弁があつたのですが、これは警視庁並びに国警の方は、先ほど申された通り、あるいは報告誰にある通りだと思いますが、もう一ぺんこの記帳所の前の混雑についてお伺いいたします。警備課からは、はつきり報告書の中で十一時四十分、先ほど瓜生さんは十一時半ごろ連絡をしたと言われておりますが、十一時四十分の状況を書いて、そしてわざわざ丸の内署に対して、皇宮警察から、特に混雑しておるから、参入の方を整理してくれというような要求まであつたというような状態にある。ですから、その点相当に観察が違うのじやないかと思うのです。私どもはこれらの点を、さらにできれば現地の状況について調べたいと思うくらいでありますが、一応さらに今の記帳所前の混雑ということにつきまして、警視庁並びに国警の方にお伺いをいたします。
  80. 田中榮一

    田中参考人 最初私が説明の中に申し上げましたごとくに、若干時間の食い違いはあるかも存じませんが、午前十一時三十分を過ぎたころ、参賀者が非常に数を増して参りました。そこで現場皇宮警察官から、記帳所付近群衆があふれているから、参入者の整理をしてほしい、こういう連絡がございました。そこで現場警察官といたしましては、石橋駒寄せに六名を配置いたしまして、駒寄せの木棚がございますが、最初その木棚を利用いたしまして、この参賀者を一応そこで食いとめることに協力いたしたのであります。従つて現場警察官としましては、正門の中に入つておりませんので、記帳所にどの程度群衆があふれておるかどうかということは、外におります警視庁側としましては、全然わからぬわけでございますので、一応皇宮警察官の連絡に基いて、警視庁側としましてはそういうふうな阻止の措置をとつたわけであります。
  81. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 記帳所辺が混雑しておるという連絡をいたしましたのは、記帳所混雑しておるというのでなしに、その近辺が人で一ぱいになつて、これ以上中へ入れることができないから、従つて前の方を整理してもらいたい、こういうわけでございます。先ほども申しましたように、一時間に六万人あの鉄橋を渡るという人数は、これはたいへんな人数でありまして、しかも十二時ごろから相当制限をしてからでも、なおかつそういう状況であつたわけなのです。当日の写真も委員長にお渡しをいたしておきましたが、何分東京駅前の馬場先門、それから有楽町の辺から来る参賀の客が、お昼ごろになりますと、もう陸続と続いて参りまして、中にはもう収容し切れないというように、たくさん集まられたわけでございます。朝日新聞の航空写真もございまするが、これはちようど一時三十分現在となつておりましたが、それをごらんになりましても、この二重橋前の広場から石のあの橋は、群衆で埋まつておるのであります。この状態が内部までも続いておつたわけでありますから、あとからあとからこう詰めて参りましては収容の余地がない、向うの鉄橋が渡れない、こういう状況に相なつたのでございます。
  82. 北山愛郎

    ○北山委員 それでは先に進みまして、鉄橋から宮内庁の庁舎までの状況が、どうもはつきりしないわけであります。鉄橋が非常に混雑して渡れないというのでありますが、これは先が詰まつておるから渡れないのか、鉄橋から奥の方は十分ゆとりがあつたけれども鉄橋を渡るところの建物の方、記帳所辺にあふれておつて急には渡れなかつたのか、その辺がさつぱりわからないわけであります。そこで鉄橋から宮内庁の庁舎のところまでの間が、相当混雑しておつたのではないかと思うのですが、その辺を聞きたいわけです。特に出御をされる時間というものは、四十分ないし一時間ばかりの間隔を置いてなされるわけであります。そうして先ほど国警長官のお話でありますと、一ぺんの出御の場合に、そこに集まる人は四万人とか言われましたが、そういうような人が陛下のお出ましになるのを待つてつて、三分ないし四分くらいでそれが済むと、その四万人が退出するというように、きれいさつぱりとうまく行つたかどうか。この報告によりましても土手の上に上つてみたり、いろいろな混雑があつたようであります。また救急車もすでに午後の一時、それから二時十分に二回要請してある。これは内部の方の事情で、この事故の発生した門ではなく、別の門から救急車が入つておるわけであります。ですから内部の方でも相当混雑しておつたのではないかと思われる。それからさらにそういうふうに群衆混雑しておるならば、宮殿跡に収容することが考えられなかつたというようなことも、図面を見ると想像されるのですが、その鉄橋から宮内庁庁舎の前あたりの状況をもう少し詳しく宮内庁次長もしくは国警長官の方からお伺いをいたします。
  83. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 ただいまの御質問の点は、まことに重要な点だと存じまして、私も特に念を入れてその点を調べたのでございます。鉄橋からさらに先の方、いわゆる宮内庁の建物のある広場までの間が、すでに一ぱいになつてつて、これは陛下のお出ましを、もつと回数をふやしていただいて、そしてもつと早くはかせるということが必要であつたと、私は思つたのであります。もちろん御予定よりも二回数をふやして、七回お願いをしたのであります。ところが宮内庁の建物の前のあの広場周辺を合せまして、私四万人と申しましたが、ここに集まられるその一群と、それから鉄橋との間には人が一ぱい詰まつてつたという状況ではなかつたと聞いておるのでありますが、もちろん人影がなかつたというのではありませんが、人が充満しておつて、そこがはけないから、鉄橋が渡れないという状況ではなかつたのであります。先ほども申しますように、四万人の方が陛下参賀をされて、そしてあと門から退出をされるのであります。退出門は大手門と内桜田門と坂下門の三箇所であつたのでありますが、今までは坂下門だけであつたのであります。特にそれを内桜田門からも退出させ、また大手門もあけて退出をさせるという状況にして、できるだけ早く内部整理いたしたのでありますが、この四万人の人がこの三つの門から退出をされて、そうして四、五十分の間にまた四万人そこに集まるわけであります。従つて私は、四万人そこへ集まるのには、やはり四、五十分ぐらいはかかるだろう、これを十分や二十分で四万人入れかえるということはとうていできませんので、四、五十分は要する。しかもその広場前と鉄橋の間には、人が充満しておつたという状況ではなかつたのでありますから、私は隘路はやはり鉄橋であつたと判断をいたしたのであります。しこうしてその鉄橋を通過し得る人数はどのくらいであるか、従つてそのために人が混雑をして来れば、どれだけ外にあふれるかということは、警備整理責任者といたしましては、十分承知をしておらなければならない問題であります。さような意味におきまして、整理をする皇宮警察及び外部の警視庁が、警視総監言つておられますように、これはやはりそういう意味で一番の責任者と考えざるを得ない。二重橋を通つて参賀をされるというこの計画に基いて、参賀に来られる方々を整理をするということは、皇宮警察警視庁両方責任でありますから、さような意味から私は、これは宮内庁側に責任があつたということは考えられない、かように思うのであります。
  84. 瓜生順良

    瓜生説明員 宮内庁の方からも補足をいたしますが、当日の記帳所から宮内庁のバルコニー前の状況は、今ほど国警長官が言われたような状況であります。正門から入られますと、記帳所などが設けてありますところは広くなつております。それから次に鉄橋がありまして、鉄橋のたもとのところには皇宮警察官が立つて、ある程度車道だけを通すようにして、これを十列か、もうちよつとの列にして渡しておられました。それから少し先の方でもう一ぺん整理をする。といいますのは、宮内庁のバルコニーの前の広場には、陛下にお会いしたいという方がたくさんおられますが、そのところに行きます前に坂があるのです。多数の人がずつと押して行きますと坂があぶないから、そこに多数の人が殺到しないように、途中である程度皇宮警察の方で、幅を狭めて整理をしたのであります。なおバルコニー前の広場には、今齋藤長官も言われたように、四万ぐらいの方が集まつてつたわけであります。バルコニーのありますのは宮内庁長官室の前ですが、私は当日その横の次長室の窓のところに立つて、そういうふうに集まつておられる方の模様も拝見しておりましたのですけれども、この集まつておられる方が大体一ぱいになられるころには、陛下にお願いをしておつたわけでありますけれども、集まつておられる方々がずつと退出される状況を見ておりますと、必ずしも全部退出されているというわけではなく、長く待つておられる方も相当ありました。バルコニー前のところで退出される方々が一ぱいになられる。それにある程度の時間がかかる。その時間を見ながらところどころで整理しております。従つて正門から入られる方も、それに相応して、一ぺんに入られてもいかないというので、皇宮警察では整理要請されたのたと私は思うわけであります。そういうような事情であります。
  85. 北山愛郎

    ○北山委員 今お伺いしますと、結局鉄橋からバルコニーの宮内庁の庁舎までの間、やはりところどころ整理をなさつておる。そうするとそこで行列の流れが相当とまるわけです。しかも相当長い時間とまるのじやないかと思うのです。そうすると、当然あとからどんどん来るという状況が出て来れば、さつそくこれ連絡なり何なり、全体の状況からして、措置しなければ事故が起るということは、予想されるのじやないか。あとから来るのはどんどんたまつて来る。前の方はどんどんはけるのじやなくて、途中で押えてみたり、あるいはバルコニー前に一々集めてははき出し、集めてははき出すというようなことを操作するでしよう。しかもそれが全部退出をしないで前の分が残つてしまう。そうすると常にそこにたまりができてしまう。これは当然やつておればあとが詰まることはわかり切つている。それがわかり切つてつて、なぜ正門から入つて来る者を事前に思い切つた整理をしなかつたか、そういう措置をとらなかつたか、ここに私は問題があると思う。それはわかり切つておることなんですが、そういう点についてどういうふうに考えますか。しかも宮内庁の窓からながめておられたり、各所を見てまわつておられる。あるいは皇宮警察の人たちも実際に整理をしてわかつておる。そういうふうな内部状況からして、当然うしろから来る者を、相当思い切つた手段で整理をしなければならぬということは、十二時以前において想像できたのじやないかと思うのです。その点どう思われるか、ひとつお伺いいたしたいと思います。
  86. 瓜生順良

    瓜生説明員 正門前の整理関係につきましては、これは警視庁の方でおやりになつておりましたので、警視総監から伺つていただきたいと思います。
  87. 北山愛郎

    ○北山委員 それは両方の報告書などから見ますと、要するに正門のところで警備しておる方からいえば、前の方がどんどんはけて来れば、まあ入れられるというようなことを期待しておるわけですから、これをどの程度に警備したらいいかということがわからぬ。だから単に広場外のところの警視庁では、判断はなかなかつかぬのじやないかと思うのです。内部の方の状況判断で外部の警視庁なり何なりに強く伝達するというのが本筋であつて、そういう措置が十分とられていないということに、私は事故の上原因があると思う。警視庁としては、外部では十分そういう内部の事情の連絡がなければ判断がつかないということなんですから、その点は国警なり宮内庁の方から聞きたい。
  88. 瓜生順良

    瓜生説明員 私の方から申し上げられる範囲を申しますと、中の状況宮内庁としてはわかつておりまして、その状況に基いて皇宮警察本部の方に連絡をいたしました。これは長官官房の総務課が主としてその任に当つておる。そしてこの整理の方を特にお願いをするということをいたしておりました。それから先は警視庁の方でさらにおやり願うという状況であります。
  89. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 内部が一ぱいになつて整理ができないから、従つて石橋を通つて入れる人を制限といいますか、内部状況を見て入れるように整理をするというのを、十一時半ごろですか、昼前に警視庁現場整理員と話をつけまして、石橋を通つてつて来る人を整理をしておつたのであります。従つて警視庁側もそのことを了承されて、石橋を無制限に通らないように、警視庁側整理をしておられたのであります。事故の起る二時間前からその整理をやつておられたのであります。従つてそのことは警視庁側は十分御承知になつておられたのであります。
  90. 北山愛郎

    ○北山委員 それからこれに関係がありますが、出御の時間、回数につきましては、両者警備計画によつて、別にこれを通知することになつておりますが、どういうふうに通知をされましたか。その都度何時何分に出御されるというような通知であつたのか。あらかじめ何時何分からというふうにまとめられてやられたのか。それから両方の共同の報告によればそうなつておるが、当日どういう連絡をしたか。
  91. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 大体前例がありますから、何時、何時、何時ということは、お互いに了解をいたしておりますが、はつきり何時何分ということは、御出御の二十分ぐらい前に、今度は何時何分と正確な時間を宮内庁側からお知らせがあつて、それを連絡し合うわけであります。ただ出御が何分にあるかということは、バルコニー近辺の人たちにもお知らせをする必要はもちろんありますが、宮城の外部の一般の人たちには、大体何時ごろということはわかつておりましても、いよいよ三時の分は三時十分であるとか十五分であるとかいう正確な数字は、おそらく直前までわからないと思つております。
  92. 北山愛郎

    ○北山委員 もう少しはつきりしたことを聞きたいわけなんです。結局これは護衛警備計画に基いて、宮内庁のバルコニーに出御される予定、括弧して「出御時間は、別に通知する」ということになつておる。警視庁国警の間のこういう計画になつておるわけなんです。しかも当日の警備から考えれば、こういうことも非常に重大である。今までの前例の通りじやなくて、やはりこの時間なども相当違つておるのです。第一回と第二回の間は六十四分、第二回、第三回の間は四十七分、第三回、第四回の間は五十七分というふうに、だんだん間隔が違つておるのです。短かい間は四十分の間隔を置いております。しかも予定外に三回もやつておるというようなぐあいですから、外で待つておる者にとつては、この出御される時間とか、そういうことは相当問題じやないか。これは先ほど門司さんからもお話があつた通りなんです。それを現地の皇宮警察から丸の内署に対して、どういうふうに連絡があつたか、ほんとうに連絡があつたかどうか、これを聞きたいのです。
  93. 田中榮一

    田中参考人 その陛下の出御に関しましては、丸の内警察署といたしましても、その警備の必要もございますので、ぜひこれは知つておかねばならぬことでありますから、午前十時ごろ、丸の内署の警部が伝令一名を帯同しまして、二重橋より皇居内に入り皇宮警察警備課におもむきまして、両陛下のバルコニーにお出ましになる時刻、回数等についてお伺いをしたのでありますが、その当時はいまだ判明してない旨の回答がありまして、やむなくそのまま坂下門から状況視察をして中隊本部に帰つた、こういうことになつております。
  94. 瓜生順良

    瓜生説明員 陛下のお出ましの時刻につきましては、おおむね最初計画としては午前二回、午後二回程度とし、但したくさんの方がおいでになる場合、なお陛下の方の御都合も許せば、さらにこれをふやすという考えでおつたわけです。大体集まられる状況を見ておりますと、おおむね一ぱいになりそうたというようなときに、陛下の方に申し上げましてお出ましを願いました。間隔が相当長いときはそれほど込まなかつた時間で、相当込みましたときには短かい間隔の問に陛下にお出ましを願う。陛下にお出ましを願うことは、私の記憶では十五分か二十分前、時によると十分くらい前には大体見当つけまして、これを皇宮警察本部の方へ総務課の方から連絡をしておるというような状況であります。
  95. 北山愛郎

    ○北山委員 やはり初めにお話した通りで、この記帳所の問題と、それからその出御という点が、この行列の流れというものをせきとめる役目というか、そういう作用をしておるわけです。  そこで今後の問題もありますが、こういうふうな形で出御するということは、これは趣旨はけつこうだと思うのでありますけれども、しかし予想もしないようなたくさんの参賀者がおるというような事態が出て来た。そういう場合に対してはこういうやり方はあるいは適当でないじやないか、何十万というたくさんの人を一ぺんにやるか、あるいは全然やらないか、やはりこの事故には、責任という問題は別として、関連は私はあると思う。従つて今後今までの通りにおやりになつていいと思うか。こういう事故に関連があると考えますために、その点をお伺いするのですが、出御のやり方をどうお考えになつておるか、こういうふうに断続的に、しかも予定しない時間に、何回もぽつんぽつんと出られるというようなことは、先ほども次長からお話があつた通りに、一回でもつてお会いしてあとすぐ退出するじやなくて、相当多数の人が現地に残つて、またお目にかかりたいといつて残る者が出て来るということになります。そうすると先がつかえてしまう。そういうことになつて結局あとがつかえる。それが事故原因になるということにもなるのでありますから、その辺をお考えになつて将来どうしようというふうにお考えになつておるか、その点を伺いたい。
  96. 瓜生順良

    瓜生説明員 これにつきましていろいろ検討しておる過程においては、場合によつて皇居前においでになつて、あの広いところで会われた方がいいじやないかというふうな意見もありましたが、しかし皇居へ参入して参賀をしたいというお気持の方が多いわけです。皇居の中で出られるということを原則として、やり方について検討し合う。そこでその陛下がお出ましになります場所、これは昭和二十三年でしたかのころは、旧宮殿の焼け跡の片すみの、侍医のいます寮、そこの屋上に出られたことがあるのです。そうするとその場所が広いからどうだろうというふうなことも考え、それも屋根の上ではおかしい、また別のところを考えようということでやつて来ておるのですが、しかしこの旧宮殿跡の広場は、バルコニー前より広いのでありますが、そこに集まられた方が、今度退出される場合に、宮内庁のバルコニー前に来られる間に坂道がありまして、これにさつと殺到されると、今度は帰りがあぶないというような関係もありますので、これをどうすべきかというようなことも検討したり、今までと同じ方法でまたやるんだという気持でなくて、改善策は検討しておるのですが、結論が出ていないので、はつきりしたことを申し上げられないのは遺憾でありますが、そういうような状況であります。
  97. 北山愛郎

    ○北山委員 時間もありませんから、最後に一つ宮内庁次長にお伺いしておきますが、先ほど国警警視庁の方では警備上十分でなかつたという点について、やはり責任のある話をしておられる。これは一般参賀の受入れ態勢の全体の計画というものをおやりになつたその計画に、やはり予想しなかつたよう事態が起きて来た、その計画に不備があつた、結果的に見ればそういうことになると思うのです。でありますから、そういう点においては、単に整備に責任を負わせるということはできないじやないか。今回の一般参賀の受入れ方式というものを昨年と同様に甘く見ておやりになつたいう点について、宮内庁としても責任を感じておられないかどうか、この点を最後にお伺いしておきます。
  98. 瓜生順良

    瓜生説明員 宮内庁が昨年度とおおむね同じような方法でやつて、そのことから関連して、この二重橋上にああしたことの起きましたことに対しましては、まことに私たちとしては心から遺憾の意を表して、これをさらに検討して間違いないように改める方法も、十分考えなくもやいかぬという意味において、この際責任は感じておるわけであります。
  99. 中井一夫

    中井委員長 北山君の御質疑はこの程度でよろしゆうございますね。——阿部五郎君。
  100. 阿部五郎

    ○阿部委員 時間もありませんから一点だけ……。昨日の国警長官のお答えで、警備の目的が第一に陛下の御安泰と承りましたが、先ほど門司委員もこの点に触れておられましたが、私としましてはやや意外であつたのであります。当日の集まつた方々は何十万ありましても、みんな拝賀に集まつたのであつて、いわば陛下のお客であります。陛下に危検があろうとはわれわれとしましては全然予測しなかつたわけなのであります。この点総監におかれてもやや近いお考えをしておられるのではないかと思いますのは、当日の予想したところは大体交通の整理であつた、かようなお答えがきのうあつたのでありますが、その点多少国警長官とは差があるやに聞えたのであります。つきましては国警長官におかれては、その陛下の御安泰に対する危険をどのように御想定になり、これに対していかなる備えをなさつたのであるか、この点伺いたいのであります。
  101. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 私もただいま阿部委員のおつしやいますように、当日陛下の御身辺に、こういう危険があるだろうということを予想して皇宮警察がやつてつたとは思えません。思いませんが、皇宮警察本質といたしまして、大勢の方々が来られるという際に、陛下の御身辺に万一のことがないようにということを念頭に置きますることは、これは当然のことでありまして、さような意味から申しまして、当日の皇宮警察警備といたしましては、陛下の御身辺の御安泰——これが皇宮警察本来の性格であります。同時に大勢の方々の雑沓の整理ということを申し上げたのであります。具体的に当日どういうような不穏計画があつて、それがどういうように行われるであろう、そういう予想のもとにおいて警備をしたというようなことはございません。
  102. 阿部五郎

    ○阿部委員 ごもつともと承りましたが、さて本来の性格として、皇宮警察陛下の御安泰ということはわかりますけれども、当日のごとき場合に、その点を第一に考えるという平生の訓練なり教育なりということが、過大に結果を現わして参りますると、何しろ何十万という人に対して、どの部分に危険があるということは予測ができないものでありますから、全体に対して警戒をしなければならぬということになつて参ります。そうすると何十万の人に対して警戒をするということになれば、これはとうてい人間の神経として負担し切れないほどの大きな負担になろうかと思います。こういう点に皇宮警察の重点が置かれますると、とうてい民衆自身の間に起つて来るところの混乱などというものに対して、十分頭が働かなくなるのは当然予測されることであろうと思うのであります。そこで交通の整理、民衆自身の間の秩序の維持という方面に対して、手落ちができるというようなことにもなろうかと思います。そういう点に今回のこの事件の遠い原因があつたのではなかろうか、すなわち常々警察におかれては、こういう抽象的な治安といいましようか、そういう方面にあまりに重点を置かれていない、具体的な民衆自身の保護ということが、おろそかになりがちであるというようなことが、こういう点に現われて来るのではなかろうかという気がするのでありますが、御感想いかがでございますか。
  103. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 私はそのあとで、当日の警備配置について大体申し上げましたが、やはり私は大勢の方が集まられて雑沓のために、けがを起されるというようなおそれのあるところに重点を置いて、皇宮警察官を配置をし、その目的も、そういつた雑沓のためにけがをするということのないような整理ということが、実際の配置としてはやり、また配慮もさようであつたのでございます。当日の皇宮警察内部における交通整理が悪かつたために、外部にああいう事態を起したのじやなかろうかという御意見のようでもありますが、私は内部整理といたしましては、あれで最善を尽したと、かように考えております。
  104. 阿部五郎

    ○阿部委員 当日の警備については、私はとやかく申すのではありませんが、常々の警察全体としての心構えに、多少ただいま申したように抽象的な危険、あるいは治安一般の危険というようなことに重きを置かれ過ぎて、当面具体的なる民衆の保護ということが、やや軽く扱われるという傾向が伝統的にあつて、常々の警察官の教育においても、訓練においても、また一般的に職務の執行に当つても、そういうきらいがあるのではなかろうか。常々そういつたような考えを、私は時折持たざるを得ないような現象にぶつつかるのでありますが、これもその一つではなかろうかと思うので、その点について警察全体として、多少将来方針に考慮を加えられる必要がなかろうかという点をお聞きいたしておるのであります。
  105. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 昨日も田嶋委員から、特に民衆の保護という観点から、もつと重点を注いだらどうかという御意見がごさいました。私も現在におきましてもそのつもりで教養をし、そのつもりで仕事をみなやつておると確信いたしますけれども、なお今後もつとその方面にさらに一歩進めるように参りたいと昨日申し上げたのでありますが、その通りでございます。
  106. 阿部五郎

    ○阿部委員 いま一点、警視庁警備課の報告書の別表第二というのによりますと、この犠牲者の方々の家族及び生活の状況というのをお調べになつておるようであります。これはおそらくは、この事故のために犠牲をこうむつた人々が、このために生活に困つたりすることがないようにという御趣旨からお調べになつたのではなかろうかと思うのでありますが、その点いかがでございましようか。それから、それならば、ここには死亡者の家族及び生活の状況についてはお調べがあるようでありますが、負傷者に関しては、負傷者といえども、手当においても、治療上においても、その医療期間中の生活においても、またそれに対して不具、癈疾というような問題が起れば、将来長い間の生活にも大いな関係があるのでありますが、この負傷者の家族及び生活の状況というものは御報告がないようでありますが、この点はいかがでございますか。
  107. 田中榮一

    田中参考人 現在警視庁におきましては、各警察署に命じまして、遺族の方々の家庭の状況、それから現在病院に入院して治療中の方々の毎日の容態の状況、これは所轄警察署の者が最初は病院に詰めておりましたけれども、最近は非常に数が少くなりましたので、毎日参りまして、医師と連絡をとりまして、経過がどういうふうになつているか、容態が急変したようなことはないかどうかということを、絶えず表につくりまして、これを私の方に全部まとめて、それから皇宮警察であるとか、宮内庁方面にも差上げております。  それからこのほかに自宅で治療されておる方も、相当あるわけであります。その自宅で治療されておる方の中で、あるいは容態が急変したようなことがないかどうか、あるいは経過が良好であるかどうかというふうなことも調査いたしまして、これもまた私の方で毎日、それは毎日というわけには行かぬと思うのでありますが、調査して一応まとめてございます。大体におきましてその後の状況というものを常につかんでおきたい、かようなことをやつております。
  108. 阿部五郎

    ○阿部委員 お答えはわかりましたが、その後の状況というものをつかんでおられるその目的、そのつかむ目的がどの点にあるのでございますか。それから死亡者については特に調べておられるようでありますが、死亡者の家族の生活状態というものについてお調べになつておるかどうか、この点をひとつ伺いたい。
  109. 田中榮一

    田中参考人 負傷者の点につきましては、ただいま申し上げましたごとくに、ことに重傷と認められる者が、現在入院されておるわけであります。その入院の状況なんかも毎日々々容態の変化を調べまして、これをまとめております。
  110. 阿部五郎

    ○阿部委員 要するに、私が伺いたいのは、陛下に拝賀に参上したために、その責任はどこにあるかを問わず、とにかくそれがために、それが原因となつて将来不幸に陥る者ができるという事態であるのでありますから、はたしてそれを救助する責任があるやなしやにかかわらず、東京都において、また政府において、そういうことを最小限度にとどめる何らかの処置をとるお考えがあるのかどうか、この点であります。
  111. 瓜生順良

    瓜生説明員 このおなくなりになつた方に対する関係についても、また負傷されました方につきましても、皇居参賀のためにおいでになつて、ああしたことになつたことに対しましては、十分とは行かなくても、できるだけのお見舞をやつて参りたい、こうわれわれは考えております。このおなくなりになつた方に対しましては、弔慰のしるしにある程度の金額をお上げするとともに、負傷された方につきまして、その治療費について当人が負担をされると思われる部分を見舞の形で、宮内庁を経て出すということにいたしておるわけであります。これは宮内庁の方の処置でありますけれども、そのほか東京都でも別にお考えになつておる点があるかと思います。
  112. 田中榮一

    田中参考人 今回負傷もしくは死亡せられました方々は老人、それから婦人、子供さんが非常に多いわけであります。従つて現在その方が一家の支柱となつて家族を扶養しておるというような方々が非常に少いのでありまして、さような点から、それがために一家の方が非常に生活に困つてしまうというような状況は、今のところないようでございます。ただ私どもが非常に心配しておりますのは、一人、山田けい子さんという十一になるお嬢さんがございますが、これが現在東京病院に入院いたしております。最初医師は失明をするのじやないかということで、私も非常にお気の毒に思つておりました。私もそのけい子さんのところに行きまして、いろいろ医師からも聞きましたのですが、医師のそのときの状況では、今のところよくわからない、治療のいかんによつては視力が回復するかもしれない、かようなことでありまして、場合によつては専門的な眼科に入院させた方がいいのではないかと私考えまして、実は宮内庁長官を訪問いたしまして、場合によつては専門眼科の方に入れさせていたたくかもしれぬから、その際よろしくお願いするということをお願いしまして、両親に御相談いたしまして、私の方から医者に言うのもどうかと思つて御両親から、場合によつては専門眼科へひとつかえさせてもらえぬかということを、医者の方にお話いたしましたところが、医者のいわく、これは眼底出血ではないのであつて、要するに脳の神経の一部に阻害を来したものであるから、目玉を調べてみたところが、その眼底に出血をしていない、脳神経の方が多少麻痺しているのであるということで、これは専門眼科に入れても同じことであるというような御回答で、御両親も大体それを納得されまして、現在なお東京病院で入院加療中でございますが、きのうの報告によりますと、二、三日前から青とか赤い色の識別が、大体一メートルの付近でできるようになつた、こういう報告を受けております。私どもとしましては、もし不具癈疾になるような場合におきましては、当然これは何らかの別途な方法で救済せればならぬのではないかというようなことを考えておます。  そのほか一般の負傷者の方々は幸いにいたしまして、非常に経過が良好でございまして、逐次退院される方もありますし、すでに起き上つて普通通り日常生活をされている方もあるようでございます。
  113. 中井一夫

    中井委員長 大石君。
  114. 大石ヨシエ

    ○大石委員 私は別の観点から、智さん三人に質問したい。一体こうした問題が起きたということは、日本が非常に非民主主義的であるという一つの証拠である。私の言わんとするところはもう多数の皆さんがおつしやいましたから、私は別の観点から申し上げます。日本は敗戦したのです。その敗戦した国の天皇、皇后を神さんと思つて拝みに行つとる人もあるでしようが、やじうま的に、禁断の実、一年に一回しか二重橋を通れないのだから、ひとつ見に行つてやろうというやじうまもある。それを皆さん御存じでございますか。私は先日デンマークへ行きました。デンマークで道を歩いておつたら、デンマークのクイーンが買物かごをさげて、グロサリーへ買物に入つておられた。そこで私は非常に感心した。デンマークの王室は何年続いておるか、四千百年続いておる。日本は皇統連綿と聞きましたが、日本よりもつと長く続いておる王室のクイーンが、みずから買物袋をさげて買物をしておる。もし日本の天皇、皇后が銀座、新宿へ買物に行つて、そうして民衆ともつと親しくなつておられたら、こんなことはないんです。なぜあの二重橋を一年に一回の参賀にしか渡らせないのですか。二重橋は、この民主主義のもとに毎日いつでも渡らして、参賀さしたらどうですか。イギリスはどうですか、オランダはどうですか。この国でも一年に一回しかさせないということはない。そうであるがゆえに、ああいう三十八万という多数の人が押しかけて行つた。それは珍しいものを見たいために押しかけて行つたのである。その心理を皆さん御存じない。それで私は宮内庁の皆さんに申し上げたいと思います。今後あの二重橋は常に平気で大衆が渡れるようにしたら、こんな惨害はないのです。齋藤国警長官田中さんとあなたの三人は話合うてここに来ておるか、一体どうなんですか。もつと民主主義的になつたら——敗戦の日本です。そんなに天皇も皇后もおいばりにならないでもよろしいでしよう。大体それが根本なんです。あの二重橋を毎日々々渡らしたら、こんなに三十八万人なんて押しかけて行かない。今ここを見ますと、九州から東北から大勢の者が集まつておる。これは一体何であるか。禁断の実を食べたいからだ。だからここに集まつてつておるのです。こういうことを皆さん御存じありませんか。  それから私は齋藤国警長官田中さんにお尋ねしたい。日本人の群衆心理について、日常あなた方はどういうふうに警察において訓練なさつておられますか。日本人の群衆心理を御存じないために今回のようなことができたのです。では宮内庁の人がおやあになつたら死んだ者が生き返るか。かわいそうに死んだ者は子供と女子と老人、ただいま田中さんは何とおつしやつたか。老人、子供、女子こういう人は一家の支柱でないから生活に困つておらぬ。では女子や子供や老人は死んでもよろしいのですか。田中さん、そう解釈してよろしいかどうですか。あなたはいまさつきそうおつしやつたじやないですか。女子であろうが、子供であろがが、老人であろうが、だれでも人間は同じである。死んでよいという意味がどこにあるか。一家の主人は長生きして、女や子供や老人は早く死んだらいいのですか。あなた方はそういうような非民主的な見解をお持ちであるからこういうことが起るのです。宮内庁次長もどうですか。皇居じやないか。今後毎日々々あそこを通路にして堂々と開放してごらんなさい。だれが三十八万も四十万もの者が押しかけて行きますか。今後毎日あそこを通路にさせて通させるかどうですか。あそこを通路にしたらどれだけ便利であるか。敗戦国の天皇、皇居をそんなに周囲の者がいばらさたくてもよろしい。デンマーク、オランダ、スエーデンの王様はどうですか。先日私見ました。自転車に乗つて袋をさげて買物に歩いておるじやありませんか。あなたはよく御存じであろうと思う。私はそれがほんとうの民主主義の天皇であり、皇后であると思う。今後あの二重橋をいかにするか。あなたのほんとうの見解を私に話してください。時間がありませんから早く言つてください。
  115. 田中榮一

    田中参考人 私が今申し上げました言葉の中に、婦人、老人、子供だからということを申し上げましたが、私はそういう意味で申し上げたのではないのであります。その点はひとつ誤解のないようにお願いしたいと思います。
  116. 大石ヨシエ

    ○大石委員 そんな意味じやなかつたらどんな意味だ。はつき言わぬか。
  117. 田中榮一

    田中参考人 私の申し上げましたのは、生活の支柱となる方がおなくなりになつておるとすると、従つてそれによつて扶養される方もあるわけであります。従つてそれも救済されねばならない。こういう意味から申し上げたのでありますから、何も老人、子供を差別待遇する、そういうことは毛頭ありません。その点ひとつあしからず御了解願いいたいと思います。
  118. 瓜生順良

    瓜生説明員  二重橋を平素から道路のようにお入りを願うかどうかという問題につきましては、現在皇居は天皇の住居、お住いになつておるものですから、普通のお宅でも人がそう自由にお入りになつておらないような所もありますし、また特に天皇は国民の総意に基いて、国の象徴憲法第一条にありますので、国民の総意がどこにあるかということを十分に考えて、われわれもこの問題を考えてみたいと思います。
  119. 大石ヨシエ

    ○大石委員 齋藤国警長官に尋ねたい。あなたは一言も悪いとはおつしやらないじやないか。あなたは被害者の家をずつと見舞いに行かれましたか。田中さんはずつと見舞いに歩いておられる。あなたはおいでになつたか、それを聞かせてください。
  120. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 私は昨日もまことに申訳ないことたと思いましたので、参事にかかられた方々に対しましては、警視総監皇宮警察本部長とでお見舞いに行つていただくということをお願いを申しておつたのであります。
  121. 大石ヨシエ

    ○大石委員 それでは田中さんと齋藤さんにお尋ねしますが、日本人の群衆心理について、日常警官にどういうふうな訓練をされておるか。その返事をしないで横道に入つたらだめだよ。
  122. 斎藤昇

    斎藤(昇)政府委員 群衆がたくさん集まりますと、ああいつたような予測できない事柄が起り得るということは、これは警察官の教養の第一歩といたしておるのであります。先般の警備の際におきましても、あれだけの群衆が集まりますれば、どういうような事態になるかということは十分配慮して、整理をしなければならないのでありまして、その点についてまことに申訳なく存じておるのであります。
  123. 大石ヨシエ

    ○大石委員 ちよつと質問しますが、さつき宮内庁次長さんがおつしやいましたが、私はもちろん憲法承知しております。日本象徴です。天皇に対しては敬意を表します。けれどもあまりに天皇と大衆とがこうだんだんと離れて行つて、右へ右へと行かんとしておる。それは天皇の周囲におるあなた方が悪い。天皇と民衆となるべく接近するようにしたら、この事件は起きないのです。どうですか、銀座へでも買物に行つたら……。そうして大衆と親しくされるようになつたら……。あの三十八万人が九州から北海道から、どつと来てかわいそうに死んでおるじやありませんか。これは一体どうなんですか。いかに日本が非民主主義であるか、いかに日本がまた元の日本にならんとしておるかということを、あなたはどういうふうにお考えでございますか。それを聞きたい。  それからあの死んだ人に対して、聖上という花をあげておられましたが、ちよつとお尋ねいたしますが、天皇のことを聖上とはどういうことでございますか、私はわかりません。聖上とは戦前の日本の姿である。そういう古い言葉はこの民主主義の日本に、またしても宮内庁の人がこういう言葉をお使いになつて、だんだん日本国民大衆と離さんとしておる。皆さんがそうなさる、それでよろしいか。それで民主主義の日本と言えますか。日本は負けたのです。聖上というその花を、たくさんの見舞いの人のところに捧げられた。それは一体どういう意味であるか。それを聞かせてください。私はわからないのです、聖上という言葉が……。
  124. 瓜生順良

    瓜生説明員 民主日本としての天皇のあり方につきましては、これは国民の方との密接な関係を十分考えて行かなければならないのでありまして、遠ざけるようなことは、われわれは決して考えておりません。私も最近に入りましたが、そういう点は大いに努力いたして行きたいと思つております。  それから聖上という用語、これは考え直す必要があると私も思います。しかし今までずつとああした用語を使つていたようであります。私もこの点は考え直して、はたしてどういう用語がいいだろうかということを、内部でも研究いたしております。
  125. 大石ヨシエ

    ○大石委員 内部でも検討しておるということは、どういうことですか。
  126. 瓜生順良

    瓜生説明員 宮内庁内部で……。
  127. 大石ヨシエ

    ○大石委員 どういうふうにして行くか……。
  128. 瓜生順良

    瓜生説明員 これをどういうふうにするかということは……。
  129. 大石ヨシエ

    ○大石委員 あなたは、聖上という言葉が悪い言葉であつて、軍団主義調を帯びておるということはお認めでございますね。そう解釈してよろしゆうございますね。
  130. 瓜生順良

    瓜生説明員 軍国主義調を帯びておるとは思つておりません。ただ民主主義日本の今の立場からは、この用語については、もう一ぺん考え直そうと思つております。
  131. 田中榮一

    田中参考人 先ほどの群衆心理ということでありますが、われわれも群衆心理ということにつきましては、従来あまり研究してはいないのでありますが、今度こういう事件が起りまして、いろいろ群衆に対するわれわれの研究の不足であつたということを考えておりますので、今後こういう点に少し検討を加えまして、特別な一つの措置を講ずる必要があると考えております。
  132. 大石ヨシエ

    ○大石委員 特別な措置とはどんな……。
  133. 田中榮一

    田中参考人 たとえば群集整理方法はどういうものを使うか、そういつた特別な方法を研究したら、それからまたそのときの措置を事前にどういうようにとるかというようなことを、研究して行きたいと思つております。
  134. 大石ヨシエ

    ○大石委員 もう一つ田中さんに聞きたい。ちよつと人から聞いたら、あなたその日どこか——あなたも人間ですから——遊びに行かれましたね。どこか遊びに行つておられたそうですね。どこへ遊びに行つておられましたか、それを聞かしてちようだい。
  135. 田中榮一

    田中参考人 私は実はある一つあいさつ——毎年新年にあいさつをいたしますのですが、そういうものを自分で起案いたしますために、二日の日にいろいろ書類を持ちまして……。
  136. 大石ヨシエ

    ○大石委員 書類なんて持つておらぬでしよう。ちやんと知つているんですよ。
  137. 田中榮一

    田中参考人 いえ、そうじやありません。
  138. 大石ヨシエ

    ○大石委員 うそ言つたらだめだ。遊びに行つておるじやないですか。場所を言おうか、ちやんと調べてある……。
  139. 田中榮一

    田中参考人 うそじやありません。
  140. 田嶋好文

    ○田嶋委員 私はこの場合資料の提出をお願いしたいと思います。これは国警でございますが、昨日の私の質問で、配置された警察官の配置状況説明がございましたが、これはちよつと言葉で承つてもわかりませんので、二百二十名、予備隊八十名この警察官の配置状況地図の上でお示し願つて、御提出願いたいと思います。
  141. 中井一夫

    中井委員長 それでは、今田嶋君から言われた資料につきましては、警視庁の分についてもお出しを願いましよう。     —————————————
  142. 中井一夫

    中井委員長 この際理事の補欠選任について、お諮りをいたします。すなわち委員の異動に伴い理事に欠員が生じておりますので、その補欠選任を行いたいと思いますが、これは投票の手続を省略して、委員長より指名するに御異議ございませんか。   [「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  143. 中井一夫

    中井委員長 御異議なしと認め、さようにいたします。すなわち佐藤親弘君及び門司亮君を、理事に指名いたします。  次会は公報をもつて御通知いたすこととし、本日はこれをもつて散会いたします。     午後一時三十七分散会