○大石
委員 私は別の観点から、智さん三人に
質問したい。一体こうした問題が起きたということは、
日本が非常に非民主主義的であるという
一つの証拠である。私の言わんとするところはもう多数の皆さんがおつしやいましたから、私は別の観点から申し上げます。
日本は敗戦したのです。その敗戦した国の天皇、皇后を神さんと思
つて拝みに行つとる人もあるでしようが、やじうま的に、禁断の実、一年に一回しか
二重橋を通れないのだから、ひ
とつ見に行
つてやろうというやじうまもある。それを皆さん御存じでございますか。私は先日デンマークへ行きました。デンマークで道を歩いてお
つたら、デンマークのクイーンが買物かごをさげて、グロサリーへ買物に入
つておられた。そこで私は非常に感心した。デンマークの王室は何年続いておるか、四千百年続いておる。
日本は皇統連綿と聞きましたが、
日本よりもつと長く続いておる王室のクイーンが、みずから買物袋をさげて買物をしておる。もし
日本の天皇、皇后が銀座、新宿へ買物に行
つて、そうして民衆ともつと親しくな
つておられたら、こんなことはないんです。なぜあの
二重橋を一年に一回の
参賀にしか渡らせないのですか。
二重橋は、この民主主義のもとに毎日いつでも渡らして、
参賀さしたらどうですか。イギリスはどうですか、オランダはどうですか。この国でも一年に一回しかさせないということはない。そうであるがゆえに、ああいう三十八万という多数の人が押しかけて行
つた。それは珍しいものを見たいために押しかけて行
つたのである。その心理を皆さん御存じない。それで私は
宮内庁の皆さんに申し上げたいと思います。今後あの
二重橋は常に平気で大衆が渡れるようにしたら、こんな惨害はないのです。齋藤
国警長官と
田中さんとあなたの三人は話合うてここに来ておるか、一体どうなんですか。もつと民主主義的にな
つたら——敗戦の
日本です。そんなに天皇も皇后もおいばりにならないでもよろしいでしよう。大体それが根本なんです。あの
二重橋を毎日々々渡らしたら、こんなに三十八万人なんて押しかけて行かない。今ここを見ますと、九州から東北から大勢の者が集ま
つておる。これは一体何であるか。禁断の実を食べたいからだ。だからここに集ま
つて行
つておるのです。こういうことを皆さん御存じありませんか。
それから私は齋藤
国警長官と
田中さんにお尋ねしたい。
日本人の
群衆心理について、日常あなた方はどういうふうに
警察において訓練なさ
つておられますか。
日本人の
群衆心理を御存じないために今回のようなことができたのです。では
宮内庁の人がおやあにな
つたら死んだ者が生き返るか。かわいそうに死んだ者は子供と女子と老人、ただいま
田中さんは何とおつしや
つたか。老人、子供、女子こういう人は一家の支柱でないから生活に困
つておらぬ。では女子や子供や老人は死んでもよろしいのですか。
田中さん、そう
解釈してよろしいかどうですか。あなたはいまさつきそうおつしや
つたじやないですか。女子であろうが、子供であろがが、老人であろうが、だれでも人間は同じである。死んでよいという
意味がどこにあるか。一家の主人は長生きして、女や子供や老人は早く死んだらいいのですか。あなた方はそういうような非民主的な見解をお持ちであるからこういうことが起るのです。
宮内庁の
次長もどうですか。
皇居じやないか。今後毎日々々あそこを通路にして堂々と開放してごらんなさい。だれが三十八万も四十万もの者が押しかけて行きますか。今後毎日あそこを通路にさせて通させるかどうですか。あそこを通路にしたらどれだけ便利であるか。敗戦国の天皇、
皇居をそんなに周囲の者がいばらさたくてもよろしい。デンマーク、オランダ、スエーデンの王様はどうですか。先日私見ました。自転車に乗
つて袋をさげて買物に歩いておるじやありませんか。あなたはよく御存じであろうと思う。私はそれがほんとうの民主主義の天皇であり、皇后であると思う。今後あの
二重橋をいかにするか。あなたのほんとうの見解を私に話してください。時間がありませんから早く
言つてください。