○春日委員 私が聞きたいことは、繊維税のそれにも走り、造船疑獄のそれにもあり、原糖割当のそれにもあり、いろいろと
政府が業者の暗躍に影響力を受けて来た過去の
実績については、今ここではつまびらかにいたそうとは思いませんが、
法案審議の資料といたしまして、
遊興飲食税が一たびはあなたの党の党議で決定して、新聞発表にまで
行つていた。その後全国的な料飲業者諸君の猛反対によ
つて遂にこれが撤回されたということについては、国民がはなはだしく疑惑を自由党に投げかけておるということだけは、御明記願わなければならぬし、のみならず、それと同じ立場にあ
つたところの
入場税の
関係者たちが、
一つは輿論の名においてそれが取入られ、それと劣らざる熾烈なる輿論をも
つて政府に陳情しておりながら、この
入場税関係の輿論だけは全然しんしやくされていないということに対する憤激は、これまたあなた方当事者として十分明記されなければならぬと思うのであります。従いまして私
どもは、頑迷なる、しかも強いものには弱く、弱いものには強いあなた方にかわ
つて、これを阻止することのためにベストを尽しておるのでありますが、この機会にあなたに申し上げなければなりませんことは、あなたは
地方財源の
偏在ということを非常に強調しておられる。なるほど今日基準財政需要額並びに基準財政
収入額の差額が平衡
交付金によ
つて調整されておるという、この制度に対する
議論はずいぶん行われておるのでありますが、この富裕県、すなわち平衡
交付金の不
交付団体というものが、現在のこの平衡
交付金制度によ
つて数県ここに頭を出して来ておる。このこと自体は必ずしも
地方行財政の
偏在の矛盾、あるいは妥当性を証明するものではないのであります。それはそのようなものさし自体が誤
つているのではないかということは、今
青木次官も述べられております
通り、不
交付団体が出て来ておるということの原因になるところの現在の平衡
交付金制度に、幾多の批判があるのである。だから
地方財源の
偏在を是正するためにこういう法律をつくるということは、その
考え方自体の出発においてすでに誤りがあるということを、あなた方は御反省を願わなければならぬ。たとえば
東京都でありますが、まず
東京都においては、相当の事業税、あるいは
遊興飲食税、
入場税、いずれもこれはたいへんな
収入がありますが、同時にまたものすごく
都市的
偏在支出がこれに伴
つているということを御銘記願いたい。たとえば警視庁の費用などというものは、これは
東京都の
財源でまかなわれておりましようが、造船疑獄とか有田君の問題だとか、こういう警視庁にいろいろごやつかいを煩わす国の支出、こういうものはみんな
東京都の
入場税や、あるいは
遊興飲食税、こういうものでまかなわれているということを、あなたは御銘記願わなければならぬ。さらにまた自由党の大企業偏重政策、あるいはまた金持ち政策の重圧に耐えかねて、この大
都市七百万の中には生活困窮者が、これは他の
府県には比ぶべくもないくらいの大きな数を示しておる。これまた三分の一は
東京都の
負担にな
つておることもお
考え願いたい。さらには道路の問題もあろうし、電車の問題もあろうし、あるいはただいま
門司君が指摘されたように、水道の問題等もあ
つて、大
都市には大
都市的支出が伴
つて来るのだ。
従つて不
交付団体が生れて来たということは、これは必ずしも是正しなければならぬなどというがごときものではないのであります。それはやはり
一つの天のしかるべき配剤とも称すべきものである。自由党の貧困なる政策によ
つてこれを是正するということは、これはまことに角をためて牛を殺すのたぐいであります。これはそういう拙劣な手段に出られぬことが、国家のためであり、また
大衆のためであろうと思われるので、この点については、十分あなたの方で反省されなければならぬと思う。
そこでこういう問題はこういう問題といたしまして、それでは質問に入りますが、あなたの方の
提案趣旨の
説明によりますと、
義務教育費国庫負担法によ
つて、これらの富裕県も
義務教育費国庫負担法によるところの
交付を受けることになる、だからやはり富裕県はますます富裕を加えるという形になるので、今回これを調節するためにこういう
方法を講ずるということが、ここにうたわれておると思うのであります。しかしながらあなたも御承知の
通り、この
義務教育費国庫負担法の特例法は、前後二回にわた
つて国会に出された。そして国会で
審議され、特例法というものが否決されていることであ
つて、これは国の意思である。この国の意思を自由党の即興的な判断によ
つて、江戸のかたきを長崎で討つような形でこういう法律を出して来るということは、さらに拙劣の上に悪を加えるものであると私は思う。さらにわれわれが見のがすことができないのは、江戸のかたき長崎で討
つておいてそしてその遺族たちにどういう陳謝、謝罪を出しておるかというと、今度はタバコによ
つて、少く
なつた分だけまた余分にあげます、こういうまわりくどいことをや
つておる。すなわち
東京や
大阪、そういう富裕県がこの
措置によ
つて一応貧困にな
つて来る。その貧困を補うために、タバコ消費税というものを新しく
地方税につく
つて、そしてそこへ配付するのだから、
入場税で減
つた分だけは、タバコでふえるから、同じことじやないか、こういうことでは、
地方に
偏在するところの
財源調整という
基本的な論理も、これによ
つて跡形もなく消えうせてしまうのではないか。私がここで申し述べたいことは、
ほんとうにあなた方が
地方の行財政というものをこの
入場税の国管によ
つて調整しようという意図であるならば、タバコの消費税の問題は、それによ
つてしりぬぐいするような、あるいは江戸のかたきを長崎で討
つて、その遺族に対して謝罪金を出すような、こういうばかげた
措置は、私は論理の一貫性を欠くと思うが、顧みてはずかしいところはないかどうか、一応
答弁してみてはどんなものでしようか。