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1954-11-24 第19回国会 衆議院 大蔵委員会 第80号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年十一月二十四日(水曜日)     午前十時三十六分開議  出席委員    委員長代理 理事 内藤 友明君    理事 黒金 泰美君 理事 久保田鶴松君    理事 井上 良二君       大平 正芳君    苫米地英俊君       藤枝 泉介君    宮原幸三郎君       三和 精一君    小川 豊明君       柴田 義男君    春日 一幸君       平岡忠次郎君  委員外出席者         大蔵事務官         (為替局長)  東条 猛猪君         参  考  人         (全国銀行協会         連合会中小金融         対策委員長)  酒井杏之助君         参  考  人         (全国地方銀行         協会会長)   亀山  甚君         参  考  人         (全国相互銀行         協会常務理事) 島崎 政勇君         参  考  人         (全国信用金庫         協会専務理事) 安武 善蔵君         参  考  人         (日本銀行政策         委員)     岸 喜二雄君         参  考  人         (外資審議会委         員)      駒村 資正君         専  門  員 椎木 文也君         専  門  員 黒田 久太君     ――――――――――――― 十一月十八日  委員有田二郎辞任につき、その補欠として山  口六郎次君が議長指名委員に選任された。 同月二十日  委員山口六郎次辞任につき、その補欠として  降旗徳弥君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  参考人より意見聴取の件  金融に関する件     ―――――――――――――
  2. 内藤友明

    内藤委員長代理 これより会議を開きます。  金融に関する件を議題とし調査を進めます。本日はまず金融に関する件のうち、中小企業金融対策に関する件につきまして、参考人の御出席を願つておりますので、ただいまから参考人皆様から御意見を拝聴することといたします。  その前に参考人皆様に一言ごあいさつ申し上げたいと思うのでありますが、本日は御多忙中にもかかわりませず、委員会に御出席いただき、まことにありがとうございます。御承知通り最近の中小企業金融逼迫はまことに憂慮にたえないものがありまして、当委員会といたしましては、この問題について従来から大きい関心を持つて検討を重ねて参つたのであります。特に年末を控えまして、何らかの積極的な方策を樹立して、この中小企業金融の行き詰まりを打解せしめんといたす所存であります。かかる意味合いにおきまして、本日参考人皆様の御出席を願いました次第でありますから、何とぞ皆様におかれましては、忌憚のない御意見の御開陳をお願いしたいのであります。なお参考人皆様の御発言は大体お一人十分程度にお願いいたしまして、皆様の御意見の御開陳通り終りましたところで、委員から質疑をいたしたいので、お許しいただきたいと思うのであります。  それでは順次御意見を承ることにいたします。全国銀行協会連合会中小金融対策委員長酒井さんにお願いしたいと思います。
  3. 酒井杏之助

    酒井参考人 私はただいま委員長から御指名がございました全国銀行協会連合会の中に中小金融対策委員会というのがございまして、その委員長をいたしておりまする酒井でございます。銀行全体のことは会長が伺いましてお話をするのが適当なんでございますが、私は中小金融対策委員会委員長をいたしております関係上、中小企業金融に対するお尋ねについては私が出向けという会長からの話で伺つた次第でございます。  中小企業金融対策というのは、われわれの銀行協会の中でも委員会は大分前からございまして、引続いて委員会を開いて検討しておるのであります。この中小金融というのは、金融界としても最も困難な問題でございまして、また同時に十分力を入れる必要のある問題でございます。今までいろいろ対策を講じて参りましたが、最近デフレ政策が徹底して来まして、金融の引締め、財政の切詰めという点から経済界全体が、これは大きな意味でいえば安定に行く道程ではございますが、いわゆる不景気になつて参りましたために、企業は大小といわず収益は減り、経営は困難になるという状態でございますので、特に中小企業信用力というものも少うございますし、また資金方面からいつても力がないものでありまして、特に中小企業の方に困難がよけい出て来るということが考えられますので、また事実そういう状態も現出しておりますので、できるだけ金融方面からもその困難を除去するようにしたいということで、特にまた最近中小金融対策委員会でも今までいろいろ講じておりました手段のほかに、銀行としてさらに面接にどれだけのことができるか、できるだけのことをしたいというので対策をきめましたのが、ただいまお手元に差上げたかと思いますが「金融引締め下の中小企業金融対策要綱」というのでございます。  先ほどちよつと申し上げましたが、この中小企業は日本におきましては経済界において特に重要な役割をいたしておりまして、いわゆる大企業というようなものも中小企業を離れては存在できないのでありまして、大企業仕事のかなりの部分は中小企業がさらにこれを下請として実行しておる状態でございます。それでありますから優良な中小企業強化育成することは最も大事なことでありまして、中小企業自体強化され育成されて行きませんと、また金融対象としても非常になりにくいのでございます。それでございますから、中小企業対策金融面からのみではとうてい立たないのでありまして、この中小企業自体を何とか強化する、あるいはこれと大企業との関係を非常に円滑にして行くというように、やはり一方には中小企業を強くするということが根本的に必要でありまして、その強くする過程において金融としてもある程度の手を差延べなければならない、こう思うのであります。  御承知通り銀行は大衆からお預かりしました預金を安全に運用するということが、銀行金融業としての仕事でございますので、貸し付けた金はやはり返済してもらわなければならないので、そこに一つ限界がございます。しかしこういう特殊な中小企業に対しましては、銀行としましてもできる限りその限界を広げまして、ある程度そのためにただ収支の利益ということだけではなく、銀行自体としては決して利益にならないことでも全体の経済界強化のために取上げて行く、あるいは信用保証協会というのがございまして、もし貸倒れになりました場合にはその保証をしてくれる制度がございますから、その制度を利用する、あるいは審査の限度を幾分ゆるやかにして行く、あらゆる方法中小企業金融というものを円滑にしたいと努力している次第でございますが、ただいま申し上げました金融対策要綱をごらんいただきますと、ここに一、二、三とございますが、その一というのにわれわれ銀行が直接に中小企業金融をどうしたらば今日の場合において積極化することができるか、その銀行施策が書いてございます。簡単でございますからそれを読み上げてみますと、「1 各行はその資金計画の策定にあたり、あらかじめ中小企業金融に対する特別の資金わくを自主的に設定する等の措置をとること。」これは大体中小企業に自分の銀行ではこのぐらいのものを全体として出そうというようなことを自主的にそこにわくをつくつたらどうか。そうしませんでほうつておきますと、ややもすればそのわくよりひつ込んで全体の貸金が減るようなことがあつてはいけませんので、これは中の心覚えでございますが、わくをつくつておくのがいいのではないか。ただどこの銀行がどれだけのわくをつくるということは各銀行の判断にまかせ、ただ中小企業強化育成という根本方針に照して、このわくをきめるようにしたらどうかということなんでございます。その2は「中小金融特別店舗の運営を改善し、その融資量増大をはかること。」御承知通り市中銀行には中小金融特別店舗というのがございます。これは中小企業金融のために特に設けた店舗でございますが、その取扱いについては、われわれとしては十分できるだけのことはしておるつもりでございますが、いろいろ御批判もありましてあるいは預金に比して貸出しが少いじやないかというような御批判もあります。これは実情を申しますと、その中小金融店舗の中では、預金はだれからでも預かれるということになつておりますために、預金が多くて、その割合に貸出しが、その預かつた預金を全部貸出しすることができないのでそうなつておるのでありますが、これはできるだけその貸出しの資金量増大をはかろう、こういうことでございます。その3は「中小企業金融専門機関活用を積極化するため、その債券引受け等により銀行より資金を供給すること。」この中小企業金融専門機関活用ということは、専門機関と申しますと中小企業金融公庫国民金融公庫その他商工中金でございます。ただいまのところ商工組合中央金庫の債券は、われわれ普通銀行で引受けておりますその形において資金を供給しておりますが、なお中小企業金融公庫国民金融公庫等についても、これらの資金の不足の場合には、これはどういうふうにして資金を供給していいかまだ法的にはそういう方法がないのでありますが、法の許す範囲でできるだけの協力をしたいということを考えております。それから4の「大企業に対する融資にあたり、ひもつき融資等により下請企業に対する支払い促進措置を講ずること。」これは、大企業がややもすれば下請中小企業に対して支払いが遅れるというような御非難がありますので、これにつきましても、大企業等融資する場合に、それが下請企業にできるだけ円滑に流れるような融資の仕方をしようということであります。第五が、輸出前貸し金融について中小製造業者に対して資金が円滑に流れるようにすること。第六に、ただいま申しましたような、中小企業金融関係機関との連絡をもつと密接にしまして、その連絡上常に連絡会を開きまして事務的にできるだけのことをしようということでございます。この事務的のことが非常に大事でありまして、事務的に提携をすれば、こういうわれわれのやれる範囲がまだ拡張できる点があるようでございますので、せんだつて懇談会をいたしましたが、続いて連絡会をいたすつもりであります。そのほかに中小企業者のために金融相談に応ずる共同施設というものを考えてみたい。それを銀行協会内に設けて皆さんの御相談に応じ、あるいはこういうものはこういうふうに処理したらいい――たとえば中小企業の方が金融を得るためにはやはり財政状態をはつきりします帳簿とか、あるいは貸借対照表というようなものが必要なのでありますが、そういうものが十分でない方もありますが、そういう点もこういう相談所を設けて御相談に応ずればできるというように考えますので、こういうことも考えております。この年末に際しましては、東京都の信用保証による金融わくが昨年は三十二億、今年は三十七億ございますので、これは各銀行とも積極的に貸出しをすることに決定いたしております。  大体私の申し上げますことは、時間でございますからこれで打切らせていただきます。
  4. 内藤友明

    内藤委員長代理 それでは次に全国地方銀行協会会長亀山さんにお願いいたします。
  5. 亀山甚

    亀山参考人 御指名によりまして申し上げます。私は地方経済状況等を一応申し上げて歳末金融見通し等を申し上げたいと思います。  昨秋以来の金融引締めを主軸としますデフレ政策が、財政資金の意外な散超もありましてまだ所期の効果をもたらすには至つておりませんために、地方都市及び農村とも、購買力の著しい減少が現われておりません。従つて物価面における影響も卸売の段階にとどまつておりまして、小売り価格は依然としてそう下りません。保合つている状態であります。地方都市も特に高額所得者購買力にあまり衰えが見えません。勤労所得による購買力はほぼ横ばい状態を続けております。農村においては、副業収入に若干の減少傾向がありましても、農村所得全体としてはその購買力が下降するけはいはまだうかがわれません。このため地方経済デフレ政策によつてたいへんな打撃をこうむつておりませんで、一般的にいえば平穏といつてよろしいかと存じております。このような購買力横ばいという背景のもとに、中小企業は、石炭であるとか、あるいは造船関係等極度に状況の悪化しておる特定の部門を除けば、一般に四月から六月中にデフレ即応態勢を一応整備し終えたのてはないかと観察し得るのであります。われわれ金融機関といたしましても、デフレ政策の続行を考慮して、取引先金融に対する融資にも、ある程度慎重な態度を持する一方、業者側においても操業短縮とか、あるいは人員整理等による経営規模の圧縮に努めたのでありますが、反面購買力予想外に低下いたさなかつたために、企業在庫減少傾向に向い、地方中小企業は比較的平穏にデフレ即応体制に入つたのであります。このような中小企業におけるデフレ即応体制整備の結果は、資金需要減退として現われております。設備の増設が抑制された結果、設備資金需要減少いたしました。原料購入、あるいは商品仕入れ手控え等は、在庫減少と相まつて運転資金需要減少せしめたのであります。以上のような中小企業資金需要減退は、地方銀行における中小企業貸出しの減少に現われておりますが、その減少傾向も六月において底をつきまして、七月及び八月に増加傾向に転じまして、第三・四半期においては相当増加を予想してさしつかえないものと思われております。  地方銀行中小企業貸出しは、今申し上げましたような通りでありますが、顕著な現象といたしましては、昨年八月末において総貸出しの残高中に、二・五%の割合いを占めておりました地方公共団体への貸付が、本年の八月末におきましては、四・一%に達しておることであります。このため地方産業資金にやはり相当の圧迫が加えられていることは言うまでもありません。話の本筋から幾らかそれるかもしれませんか、多額の赤字を抱えている地方団体財政整備し、財政規模の抑制をはかることがきわめて緊要なことだと存じまして、さき地方財政再建整備に関し、関係方面要望をいたした次第でございます。  本筋にもどりまして、現在のデフレ政策下において、最も経営の悪化している中小企業は、石炭であるとか、あるいは造船関係企業、大企業下請企業、並びに従来から適切でない経営を行つていた弱体な企業の三者であります。第一の極端に状況が悪化している企業につきましては、状況回復見通しが立たないため、状態はもはや社会問題として取扱うべき域に達しているものもあるように思われます。第二の下請企業におきましては、大企業からの発注の減少と、大企業支払い遅延によつて苦境に追い込まれているのでありますが、受注の減少デフレ政策に即応する大企業生産規模縮小に結果するものでありまして、デフレ政策の堅持されている以上は、どうともいたしかたがないのであります。支払い遅延に関しましては、大企業においても改善傾向は幾分現われているようでありますが、金融機関及び大企業協力によつて改善措置が一段と推進される必要があるかと思われます。地方銀行といたしましては、敢然大企業に対してひもつき融資を行う等の方法によりまして、下請企業に対する支払い改善に努力しております。  第三の弱体な企業デフレ政策の進展に伴つて苦境に陥ることは、これはまことにやむを得ないことかと存じております。申すまでもなく、中小企業の問題は金融施策のみで解決するものではありませんが、政府におかれましても総合的な中小企業育成強化策を実施されますとともに、さきにわれわれが関係方面にお願い申し上げました、中小企業信用保険制度改善強化というようなものを、すみやかに実施しまして、さらに一段と中小企業信用の補強をはかられんことを要望いたしておく次第でございます。  年末景況の見通しといたしましては、今年度の第三・四半期におきます財政資金は、供米代金支払いが二千億円に達する見込みであると伝えられております。地方資金相当程度に潤い、地方銀行における一般預金も相応の増加を示すものと予想されます。しかも前に申し上げました通り地方中小企業経営規模縮小をはかつたために、資金需要が急速に増加するとは考えておりません。歳末金融状況はおおむね平穏に推移するものと思料されます。ただ例年通り季節資金として相当資金需要を見込む必要がありますから、地方銀行の中には、すでに例年通り歳末特別小口融資制度の実施を計画している向きもありまして、この制度は一口当り十万円から三十万円程度小口貸付信用保証協会保証を付して、一行当り総額一億から二、三億円程度融資を行つております。このほかに例年地方公共団体から預託金を受けて、預託額の二、三倍程度中小企業融資を行う制度が行われて来たのでありますが、本年は地方財政逼迫を考慮いたしますと、地方公共団体からの資金預託はきわめて期待薄であります。われわれといたしましては、資金繰り相当の苦心を要するものであると考えております。なお地方公共団体財政資金繰りは悪化の一途をたどつておりますために、年末においては職員給与であるとか、あるいは手当等支払いのために、地元銀行に対して多額融資を申入れて来ることが危惧せられまして、この面より中小企業向け歳末資金に支障が生ずることも予想されますので、政府におかれましてもさようなことのないよう、特に御考慮をお願いいたしておる次第であります。  要望等も申し上げて恐縮でありますが、私の申し上げることは以上をもつて終らせていただきます。
  6. 内藤友明

    内藤委員長代理 ちよつと速記をとめてください。   〔速記中止
  7. 内藤友明

    内藤委員長代理 速記を始めて。それでは春日君。
  8. 春日一幸

    春日委員 それでは第一番目にお伺いいたしたいことは、この「金融引締下中小企業金融対策要綱」の中の第一項の第一番でありますが、今回この申合せによりまして全国銀行協会では、中小企業金融に対する特別資金わく自主的設定ということが申し合されている様子であります。これは申し上げるまでもなく、一応計画的なわくをつくつて、大企業融資によるところの一方的な蚕食をあらかじめ防いで置こうということは、計画としてはけつこうでありましようが、しかしながら大体どの程度わくをその銀行の総資金量の中において歩合を示させて行くかということが、重要な事柄であろうと思うわけであります。従いましてそのわくについては、各銀行において大体の比率というようなものはきめられているのであるか、それとも全然そういうことについては検討がなされていないのか、この点をひとつお伺いをいたしたいと思うのであります。  それから第二点は、この中小企業専門店舗、これの拡充強化の問題がここに述べられておりますが、私仄聞いたしましたところによりますと、この中小企業専門店は一応その任務を終つて、来年の四月か何かにもうその特別店舗の指定が解除されるというような話も承つておりますが、この間の経緯についても伺つておきたいと思うのであります。  それから第三点は、いろいろな金融債の引受け問題を通じて中小企業金融機関資金銀行から供給しよう、こういう御計画であるようでございまして、けつこうでありますが、今まで金融債と申しますと、商工中金、農林中金、輸出入銀行、それから長期信用銀行、こういうようなものと了解いたしておりますが、この四つの金融債の中で割商の占めておりまする歩合がどの程度であるか、それから比較的大企業対象とする長期信用銀行、それから興銀でありますか、この二つの合計と商工中金との対比率を今の実績によつてお示しを願いたいと思うのであります。  それから第六項目の信用保証協会の問題でありますが、本委員会で先般も河野銀行局長その他渡辺主税局長に対してわれわれが要望いたしておりますのは、地方信用保証協会保証能力を高めるために、現在地方公共団体出捐をいたしておりますけれども、現実にはその出捐によつて利益を受けているものは、その借り受ける当事者もさることながら、銀行はこれによつて巨大な利益を得ている。たとえば貸出しに対しては貸倒れ準備金損金算入制度によりましてその貸出しに対しても百分の十なり、今回中小企業に対しては百分の十五の留保が認められている。ところがこれは貸倒れ心配があるから、そういう優遇措置が講じられておるのでありますが、この信用保証協会保証によるものは貸倒れ心配が全然ない。全然ないものに対してそういう社内留保の恩典が講じられている。従つてこれは二重の優遇措置になる。そこで私は現在各地方にありまする信用保証協会出捐、これがその九九%までが地方公共団体母指にまつておるのだが、その使命、性格並びにそのよつてもたらす恩恵等を考えまするとき、当然その地方におきまする金融機関もこれに出相をすべきものであると思うのであります。現在各目的な出捐が行われておるが、それはただ名目に堕して、実質は伴つておらない。そこで、私は税法を改正いたしまして、銀行がその地方信用保証協会出捐をした場合は、これを免税にすべきであると思う。かつて明治神宮やオリンピツクなどの寄付が免税なつたと同じように、信用保証協会に対する母指はこれを免税にすべきであるという所論をなして、これが当局において検討中の様子でありまするが、信用保証協会は、今や信用保証協会法によつて地方信用保証協会自体のカがだんだん強まつて来たので、これをさらに増強して、中小企業金融の力をさらに高めるために出捐する意思ありやなしや、そういうような免税問題について検討されたことがあるかどうか、この点をお伺いいたします。  それからもう一つつておきたいのは、二の(二)の5のとこに保証料率日割計算、これを期限前に返済した場合には割もどしてやるという、ばかにこまかいところに気を使つてはなはだ親切な御配慮であります。ところが現実銀行が先般来論難されておりますのは、両建預金歩積み預金、こういうようなことでやつておる――現実銀行はそれほどでもありませんけれども、そういうような金融機関から金を借りる場合には、信用保証協会保証によつて金を借りる場合でも、はなはだしいものになりますと、別途の定期を要請する。相互銀行などは、ひどいものになりますと、中小企業金融公庫から借りた分ですから、これの半額ぐらいはいきなり歩積みさしてしまうというような悪虐非道な相互銀行もあるわけであります。私はこういうようなこまかい、いわば日割計算で借方の負担を軽減してやろうというような御配慮があるならば、現在行われておる両建預金歩積み預金、こういうようなものに対して銀行協会あたり中小企業金融に対して、少くともこういうような慣習をできるだけやめるような申合せ、自主的な決定、そういうことが望ましいと思うが、両建、歩積みに対する銀行協会の考え方、現在行われておる指導要綱、これをひとつ伺つておきたい。  もう一つは、最後の項の三の2で、貸倒れ準備金損金算入率をもう少し高めて行けというようなお話がございました。これはさきにわれわれが本会議において、現在大企業には千分の十であるが、少くとも中小企業には千分の二十にしろというので、その後中間をとつて十五に実施されて今日に至つおります。われわれが検討したいことは、やはり損金算入率の絶対額についても、次第に頭打ちのところもあるように考えておりますので、ここで考えられることは、千分の十五をさらに千分の二十に高めて中小企業と大企業融資との判定をつける場合、一方において大企業融資の千分の十率、このを低めて行く必要がありはしないかと考えるのであります。  この機会に伺つておきたいことは、今までの実績に照して千分の十なる大企業に対する損金算入の限度率と、現実貸倒れによる金額との対比率、この率によつてそれが減じられておるか、相当銀行がもうけておるのであるか、あるいはさらに赤字が出ておるのであるか、こういうような累計からここ三、四箇年前にさかのぼつて実績はどんな状態になつておるか。われらが検討の資料としてこの機会に伺つておきたい。  以上であります。
  9. 酒井杏之助

    酒井参考人 お答えを申し上げます。ただいまの御質問で、一の1、資金計画の策定にあたつて資金わくを自主的に設定することについて、各行でその全体のわくをきめているかというお話でありましたが、これは中小企業に対する金融減少しないために、内部で心覚えのわくをつくるという意味でありまして、これを決定するということはしておりません。  それから中小金融特別店舗の廃止ということは私はまだ聞いておりません。  第三の、中小企業専門機関のうちの、割引商工中金債券の引受けが、ほかの債券の引受けにして何パーセントにあたるかということは、私ここではわかりませんから、調べて御返事いたしますが、これはこの割合で云々することはできないと思うのであります。大企業は非常に預金量が多いのでありますから、それが多いから大企業に偏しておるということは言えないと思います。  それから第六の、信用保証協会出捐をした場合にはそれを免税にするようにというお話がありましたが、金融機関では今では出捐ということはしておりません。そういうことが起りますれば、もちろん経費支出にしていただきたいと思うのであります。  次の御質問の再建、歩積みの問題でありますが、これも先ほどの全体の問題と同様に非常にむずかしい問題でありまして両建という問題は、ある銀行預金と同時に貸出しが共存しておるということ自体は悪いことではないのでありますが、これが故意に預金をしいて、そのために預金と貸出しとが多額に両立しておつて、事実上借手の金利負担が多くなつておるような形になつておりますことは非常にまずいのであります。また歩積みも同様でありまして、歩積みは信用の少いところに貸出しする場合に、個人で言いますと、ちようど月給から少しずつ貯金をしておけば、万一のときに困らぬというのと同じでありまして、信用の少いところが知らず知らずの間に幾分か銀行へ金をためておく、そういう金があるために信用を――手形を割引いてもらえるとか、そういう信用の裏づけになるというのが起りがちであります。そういうふうに活用すべきでありまして、それが濫用されてそのために多額歩積みか行われ、それか借手の金利負担になるというようなことはもちろん反省しなければならないことで、これはたびたび金融機関としましても、その両建にしても、歩積みにしても健全な意味のものは決して悪いわけではないのでありますが、それがたまたま悪い例が幾つかあるために非難を受けるということにつきましては、たびたびこれに関していろいろ改善措置をとりまして、最近にも両建、歩積みにつきましては、担保あるいは見合いになつておるというようなものに対しては、貸出し金利を下げるという措置をとつております。  それから最後の御質問の中小企業の貸出しによつて金融機関利益を得ておるじやないかというようなお話でありますが、これは今の現状においては、普通銀行、ことにわれわれ市中銀行は日本銀行から高率適用を受けておる次第でありまして、利益だけの打算によればむしろ金融をしない方が利益なのでありますが、中小企業の育成という意味から打算をはずれて金融をいたしておる次第であります。貸倒れ準備金というものは銀行利益になつてしまうものではございませんので、それは蓄積されて銀行の内部を強化する、もし貸倒れが起つて銀行の力が弱まるということがないために備えられてあるものでございます。大企業貸倒れがどれだけあつて貸倒れ準備金とどれだけの差があるかということの御質問でありますが、これはあくまでも準備金は準備金でありまして、今まで貸倒れが起らないから準備金は少くていいということにはならないと思うのであります。これはやはりできるだけ多い方がいいのでありまして、ことに財界が悪くなつた場合には、最後の始末はほとんど金融機関にしわが寄るわけであります。  簡単でございますが、いずれまた御質問がありましたら、私はあらためていつでも御質問に応じて出て参りますから、今日のところはこれでごかんべんを……。
  10. 春日一幸

    春日委員 もう一つだけ簡単に伺つておぎますが、ただいまの御意見の中で、中小企業の貸出しについては日銀から高率の適用を受けておるのでもうからない、できたらば貸出ししない方がいいくらいだとおつしやつたのですが、日銀から中小企業の貸出しについてはどういう理由で高率適用を受けておるのか、その点をひとつ伺つておきたいと思います。  それからもう一つ簡単に伺つておきますが、最後の御意見の中で、貸倒れ準備金貸倒れがあろうとなかろうと、これはあつた場合の積立てで、多ければ多いに越したことはない、これは銀行側の意見としてはよくわかりますが、われわれこの法律を審議する立場におきましては、必要を越えたものを銀行留保させることはいけないのでありまして、当然これは金銀で取上げて他の方向に使わなければならないと考えますので、たいへん恐縮でありますが、過去三箇年間において貸倒れ準備金として社内で留保された総額、そうして現実貸倒れのあつた総額、この資料をひとつ御提出願いまして、われわれのこの貸倒れ準備金のいろいろな検討の上によき資料といたしたいと思います。なお銀行側で御調査が困難でありますれば、委員長を通じて政府にこの資料の提出を要求いたします。
  11. 内藤友明

    内藤委員長代理 了承いたしました。
  12. 酒井杏之助

    酒井参考人 私はただいまの御意見にもう一応申し上げますが、貸倒れというものは起つたものをすぐ今考えるというよりは、一番減らしておいた場合に、財界に非常な変動が起つた場合にそれをもつて補填するのでありまして、ことに今の貸倒れというものは税法上は非常に厳密でありまして、つぶれてしまつたもの以外は貸倒れになつていないのでありますから、その数学をもつて云々することは私は非常に危険だと思うのであります。
  13. 春日一幸

    春日委員 では前の日銀から高率適用の問題について……。
  14. 酒井杏之助

    酒井参考人 それは別に日銀からこれによつて高率適用を受けるのではないのでございます。普通銀行は、今日本銀行の貸出しが非常にふえておりますから、全部全体として高率適用を受けておるわけであります。
  15. 春日一幸

    春日委員 それじや何も中小企業だけのことじやないじやないですか。そうでなかつたらそんな間違つた御意見を述べられては困ります。
  16. 酒井杏之助

    酒井参考人 それはちつとも間違つていないと思います。中小企業でも……。
  17. 春日一幸

    春日委員 日銀から借りた分だけを中小企業に貸すのでなく、全体としてのプール計算でお貸しになつておるのを、中小企業だけにお貸しになつておるという、そういう間違つた意見を述べては困ります。
  18. 酒井杏之助

    酒井参考人 全体として高率適用を受けておるものを貸すのでありますから、それでただ利益を得るためにやつておるというお話が私は納得できない。やはり利益を受けるということは、高率適用だけに限定しておるのではありませんから……。
  19. 春日一幸

    春日委員 高率適用は中小企業だけではないのでありますから、そういう御意見を述べていただいては困りますよ。
  20. 酒井杏之助

    酒井参考人 それが違つておれば私の言い方が悪かつたかもしれませんが、私は銀行利益を得るために中小企業金融をしておるのじやないということを申し上げたのであります。
  21. 春日一幸

    春日委員 そんなことはわかつていますよ。
  22. 酒井杏之助

    酒井参考人 それを申し上げておるのです。
  23. 内藤友明

    内藤委員長代理 それでは酒井さん、亀山さん、両参考人に対する質疑はこれで終ります。ありがとうございました。  次に全国相互銀行協会常務理事の島崎政勇さんから御意見をお聞きしたいと思います。
  24. 島崎政勇

    ○島崎参考人 さしあたつて年末金融一般的な中少企業金融と二つにわけてみたいと思うのですが、最近の情勢は、われわれから見れば、中小企業者、零細企業者ともに資金的には相当行き詰つて来ておるのでありまして、この年末にかかつてどういうふうな対策をとるかというのがわれわれ業界としても問題になつて来ておるのでありますが、ことしの対策として多少違つたものは、これはもちろん相互銀行全体が、各行全部やつて行くこともいろいろな事情からできないのでありますが、ある銀行では十億円を限つて、今までその銭行と取引のない人に限つて、最高五十万円を限度で新規に融資をしておる。それからある相互銀行では滞納をしていない人に対して、これも新規の人でありますが、国税庁からその滞納していないという証明を出してもらえれば、その人に対しては、新規の人に限つて、年末金融として金融をしようというところもありますし、また相互銀行全体としての行き方は、相互掛金の給付を一月にするものは、できるだけ今年末に全部繰上げ給付しようじやないかというような方法で進んでおります。大体昨年は、年末と申しましても十一月からもそうでありますが、十一月、十二月で相互銀行の新規融資が八百八十億でございます。おそらくことしは千二百億から千三百億程度になりはしないかというふうな気がいたします。と申しますのは、最近の相互銀行資金が非常に潤沢になつて来ておるのであります。そういう点もございますので、ことしは二箇月間で千二百億から千二百億程度新規融資をして、できるだけ皆さんたちの御要望にこたえたいというような方法で今進んでおります。  それからこれは早ければ年末金融対策になることと思いますが、指定預金の引揚げ延期、もちろんこれは必要でございますが、われわれは指定預金だけにたよるということはいけない。この際できるならば日本銀行が別わく融資というものの点を考慮されて、相互銀行、信用銀行、その他中小企業金融の専門金融機関に、こういう点からひとつ資金を出してもらつて、それを中小企業金融難に充てるというふうな方向に持つてつていただければ非常にけつこうかと思つております。それから中小金融公庫の点でありますが、現在も相当相互銀行もこれを利用しておりますが、現在やつておられる甲式、乙式以外に、さらにわれわれに対して、公庫の方でお願いできるならば、この保証というものを百パーセント各金融機関がいたします。それによつて資金を割当てて、今までの手数料を多少引上げてもらつてできるならば三百万以下は実質所得の六割程度、それ以下は五割五分程度を頂戴する、そのかわり損金ができた場合は、各相互銀行が全部責任をもつてこれに当る、こういうふうな方法をこの際考えてもらう必要があるのですが、この点についてひとつ何分の御配意をお願いしたいと思つております。  それから中小企業信用保険の問題でありますが、この相互掛金は、この間の法律改正によつて一応適用されたのでありますが、保険事故が、満期にならないといけない。御承知通り、相互掛金というものは融資期間が非常に長いので、満期にならなければいけない。そこでお客さんの方も銀行の方も非常に事務的にめんどうになりますので、これを解約して処理をするという、その解約時というふうに改めてもらえれば非常にけつこうかと思います。  それから信用保証協会にお願いしたいことは、この相互掛金が、大体入つておりますが、まだ地方によつては相互掛金を信用保証対象としておられないところもありますので、そういう点について、ひとつ全部の保証協会が、相互掛金を入れてもらうようにしていただければ非常にけつこうかと思います。  まだかれこれございますが、時間が相当経過しておりますので、私はほんとうの要点だけを申し上げまして、何か御質問があれば、そのときにお答えいたしたいと思つております。
  25. 内藤友明

    内藤委員長代理 それでは次に全国信用金庫協会の専務理事の安武さんにお願いいたします。
  26. 安武善蔵

    ○安武参考人 信用金庫の窓口を通じましての中小企業金融の現状を申し上げますと、お手元にお配りしております信用金庫の預金と貸出しの趨勢の大きい表でございますが、それをごらん願いますと、大体預金が十月末で二千百七十億という数字でございまして、この増加状況は、本年の初頭、四月までは、三月きを除まして減少をいたしたのでございます。しかしながら、五月から若干持ち直しまして、八月が最高の三十七億というような増加でありますが、九月には御承知の災害のために、被災地の方の預金の伸びが、意外に伸びません関係から、三十一億にとどまりましたし、十月は一部推定が加わつておりますが、二十五億程度になつておるわけでございます。これらの事情は、上の欄の前年同期の表をごらんになりますと、大体金額におきましては昨年の六、七割、率にいたしますと半分くらいにしかなつておらない、こういう実情でございます。  貸出しの方は、十月末に千七百二十四億という数字でございますが、借入れの申込みの状況は、前の表でごらん願いますと、業者の方の手控え等も若干ありましたのか、累月減少をいたしております。信用金庫全体といたしましては、預金の伸びが思わしくありません関係で、資金の不足を告げておりますので、貸出しの方も一応引締めざるを得ない、こういう実情でございます。しかしながら、九月には災害地の資金需要もございましたので、本年最高の貸出しの増となつておりまして、この貸出しも、全体を通じますと、大体昨年の半分程度、こういうことでございます。貸出しの申込みと貸出しの実績とにつきましては、そこに表に出しておりますが、特異の現象は見られないのでありまして、大体申込みに対しまして八割程度を、件数におきましても金額におきましても満たしておる。これが金庫といたしましては手一ぱいのところじやないかというふうに考えております。ただここに貸出しの申込みといつておりますのは、窓口に口頭でもつて来たのではなくて、直接書面が出され、借入れの申込みがなされたものだけの件数でございますので、口頭なりその他で来ます分はこの件数に入つておりませんので、それらの方の状況を考えますと、これよりも相当上まわる数字じやないかと考えております。  そこで年末の方の予想は、一番前の表に出して見たのでございまして、これは一応各金庫の資金の第三・四半期の需給見込みを別表のような表でとつてみたのであります。それを累計したのでございます。それによりますと大体三箇月間に千五百七十七億資金の需要が考えられる。それを預金増加なり、貸出しの回収、それから政府の指定預金の引揚げ、公共企業体の方の関係、こういうものを過不足いたしまして、千五百九億程度はどうにかまかないがつく。従つて差引六十八億が金庫全体としては足りない額になりはしないか。十一月、十二月の指定預金の引揚げが延期されるというようでございますが、これを見ましても、せいぜい七億六千八百万という数字でございますので、やはり六十億程度が不足する、こういう実情のようでございます。この関係はすでに御案内のように、いろいろ銀行さんのお話のように、中小企業についての御熱心な御検討が進められておりますが、数字の上におきましては、中小企業向けの貸出しが、昨年の九月には総貸出しの三二・三%から今年の八月には二九・二%ということで、中小企業向けの全体の比率銀行さんの方はかなり下つてつておりますので、そうしたしわ寄せなんかがやはり信用金庫なり相互銀行の方に来ておるということが言えるのではないかと思います。どうしてもこの年末を越しますためには、その程度資金を必要といたしますので、何としてもこの政府の指定預金の新規の預託を御考慮願うなり、先ほど島崎さんから話したような、日銀の別わく資金というようなものを考えていただきたい。これは要望を申し上げて恐縮でございますが、そういうふうに考えるのでございます。  それからもう一つお願い申したいことは、ことしあたりは御承知のように豊作でございますので、地方ではこの十月、十一月にかけましては供米代金等の支払いが進みまして潤つておるわけでございますが、この供米代金の取扱いにつきまして、信用金庫なり相互銀行では取扱いができないのでございます。これは特に米作地におきましてはそうした声が強いのでございますが、現在のところまだその実現を見ておりません。さらに農協の取引も、これは系統機関強化して行く上におきまして当然のことかとも思いますが、信用金庫なり相互銀行なりに対します農協からの預金取引ということができないのでございます。従つて現在農村の方におきましては、ある程度資金の余裕がありますにもかかわらず、その土地にあります信用金庫なり相互銀行なりにはその資金がまわつて来ない。こういうような関係で、農中に集まりました金は、大銀行のコールなりあるいは最近は売オペレーシヨンなりに使われております。これをじかに農協との取引なり供米代金の取扱いということができますならば、その土地におきます金が中央まで来なくて、年末におきましての中小企業向けに充てられるのではないか。そういたしまして、また中小企業者の方がある程度余裕があります春先になりますれば、また農協を通じまして肥料の資金なりにまわす、こういうそのときにおきます資金の還流ができるということからかねがね要望しておるわけでございます。特にこの年末にさしかかりまして、そうした供米代金がたくさん出ておるわけでございますので、格段の御配慮をお願いしたいと思います。  それから全国信用金庫連合会におきましても、かなり年末金融に対しまして考慮を払いまして、現在大体百億程度の余裕金を持つておりますので、このうち十億ないし二十億を特に年末に放出しよう、こういうような計画で進めております。特にそれには現在の中小企業者が一番最後の担保として持つておるのは、店舗なりあるいは若干の不動産でございまして、不動産に対しまする貸出しが、信用金庫の場合におきましては昨年の一九%からことしは二一%というように、一年間に不動産担保貸付がふえておるのでございまして、この不動産担保貸付の担保になつておるものを連合会に持ち込みまして、資金化をして年末に間に合せよう、こういうことで進んでおるのでございまして、自主的な貯蓄増強はもちろんのこと、連合会自身といたしましても、何とかそこに資金の配意をしておるわけでございますが、総体におきましては、先ほど申しましたように、まだ十分と言えないわけでございますので、政府その他日銀の特別の御高配を願いたい、こういうふうに考える次第であります。
  27. 内藤友明

    内藤委員長代理 御両君の意を承つたのでありますが、引続き質疑に移りたいと思います。
  28. 柴田義男

    ○柴田委員 今相互銀行の方と信用金庫の方の御説明を承つたのでありますが、要は資金わくが非常に足りない、こういうことは今の金融状況からわかるのでありますが、具体的に相互銀行の島崎さんにお尋ねしたいのは、日銀の別わくを出してもらいたい、こういう御要望でございますが、これらに対しましてどういう手を打たれておるのか、これをまず簡単に承りたいと思います。
  29. 島崎政勇

    ○島崎参考人 お答えいたします。ただいまのところは、大蔵省、日銀に対して、こういう点について考慮してもらいたいと、よりより話はしておりますが、日銀はなかなか応じておられない、また大蔵省もまだ積極的な交渉に入つておられない状態で、われわれとしてはこういうデフレの時期において、この指定預金をいつまでもふらふらさしておくことはいかがかと存じますし、また一方日本銀行としましても、現在の金融情勢からして日本銀行のあり方そのものもある程度考えてもらうならば、われわれ中小金融機関に別わく資金を出してもらうということも、必ずしもそれはおしかりを受ける点はないのじやないかという気がいたします。昭和二十七年から八年、あのころでも指定預金として相互銀行だけでも百三十億を出していただきましたが、現在はわずか二十三億一千万しかございません。しかもこれは近々に引揚げなければいけないというのでありまして、少くとも相互銀行に対して百三十億から百億、おそらく信用金庫さんも六十億以上をお願いしておられるのではないかと考えます。この点について大体の経過を御報告いたしますと同時に、なおひとつ御協力をお願いいたしたいと思います。
  30. 柴田義男

    ○柴田委員 いろいろな資料で拝見いたしますと、七十二行の相互銀行がある。そうして現実に日銀との取引を冬つておるというのが現在十三行、それから他行との為林取引をやつているのが二十五行、こういうような資料をいただいておりますが、現在でもそういう状況でございましようか。  もう一つは、日銀との取引を認められました場合に、日銀からただちに借入れが可能だとは考えられませんが、現実に取引が行われておる相互銀行が、日銀からの借入れをやはり現実に行うことを目的として取引をされておるのか、こういうことを承りたいと思います。
  31. 島崎政勇

    ○島崎参考人 お答えいたします。日銀取引の十三行、それから他店為替をやつているのが二十五行、これは現在もその通りでございます。日銀取引をしている十三行といいましても、これは単に当座取引だけでございまして、国税歳入代理店その他貸付についてもまだ結ばれていないのでありまして、国税歳入代理店にしても現在一行、近々に二行ぐらい取扱うようになれるかと思いますが、そういうような状態で、資金の借入れということについては、まだ日本銀行と何ら具体的な道をとつておらない状態でございます。
  32. 柴田義男

    ○柴田委員 これは相互銀行協会というあなたのお立場では、非常に御熱心に日銀の取引を要望をせられておる。ただその末端に参りますと、具体的には日銀と取引をやつても大した恩恵はないじやないかというような消極面が相当見受けられるのじやないか。われわれは現実地方におつて相互銀行経営者から話を聞きますと、そういうきらいがありはしないか、こう思うのですが、これに対しまして実際の銀行協会の運営に当つておる島崎さんとしては、いかようにお考えでしようか。
  33. 島崎政勇

    ○島崎参考人 資金量、特に預金の少い地方相互銀行には、たしかそういうような気持も多少ございます。日本銀行と取引をしていろいろなことを言われるよりも、この方がよくはないかという点もありますが、だんだん資金量が多くなり、手形もだんだん枚数もふえる。そうすると、交換を利用しなければいかぬことになりますので、そういうような銀行もだんだん自分の方の預金が多くなればなるほど、日銀取引を痛切に感じて来られるのじやないかと私は思つております。
  34. 柴田義男

    ○柴田委員 日銀の取引をやるという問題は、大体資金量によつて、たとえば三十億、こういうようなことで押えておると記憶しておりますが、この方針に対しましては、われわれはもつと資金量わくを収縮していいではないか、こう考えられますが、この点に対する島崎さんのお考えを承つておきたいと思います。
  35. 島崎政勇

    ○島崎参考人 お答えします。私も同感でございまして、現在日本銀行が取引を開始する場合には、資金量が五十億円とか、そこにはつきりした線は出さないが、何かそこに線を置いておられる。私たちは資金量がかりに三十億でも、やはり地方地方的な事情もございまして、三十億のものが五十億、百億になれということは、これはできない場合もございます。そういう意味で日本銀行にお願いするのは、新立した地方銀行預金が十億や二十億の少いところでもすぐ取引をされる。ところが相互銀行にはなかなかそういう態度に日本銀行は出てくれない。それでわれわれとしては、要するに新立した地方銀行さんと同じような線で日本銀行の取引をひとつ考えてほしい、こういう点を終始一貫日本銀行、大蔵省にお願いしておるわけであります。残念ながらそういうふうに解決していないのであります。
  36. 井上良二

    ○井上委員 ちよつと信用金庫の方に伺いますが、この年末金融資金需要の根拠ですね。といいますのは、さき地方銀行の代表者の意見を聞いておりますと、地方の経済の事情というものはそう悪くない、全般的に大体物価はそう下つていないし、かつ収入も大体横ばい状態にある、それほどデフレは深刻化していない、そこへ持つて来て、御承知通り供米代金が二千億も政府から出る、そういうことからして相当それが地方銀行及び各金融機関に流れて来るのじやないか、一番今日困つておるのは、造船、石炭、大企業下請産業が最も困つておる実情だということが述べられておつた。そういう点から考えてみると、この資金需要の多くなつておる理由はどういうところから一体そういうことになつておるか、その点を一応御説明願いたい。
  37. 安武善蔵

    ○安武参考人 お答えいたします。この調査は先ほど申しましたように、各金庫に一応照会いたしましたものの集計でございますので、あるいは年末金融でいろいろな対策を立てるからという意味も書いておりますので、少し山をかけたというきらいもあるのではないかと想像はされます。  次の表の借入れの申込みの状況は、先ほど御指摘のように実際の書類に出たのは横ばい状況になつておりますが、書面に出たのはこの程度でございますので、実際口で申し込んだり何かで五十億なり六十億もこれより上まわつておるというふうに考えておるわけでございます。そうなりますと、大体十月で四百五十億、それから十一月、十二月はそれを上まわつてこの程度は考えられるのじやないか。それから昨年の実際の貸出しも、ちよつとここに持つて来ませんでしたが、申込みなり貸出しの数字は十一月、十二月には非常にふえております。そういうことからして、そう山をかけた数字とも想像しておりませんが、算定の基礎はそういうことで各金庫が自分の窓口でそろばんをはじいて報告したものの集計でございます。
  38. 井上良二

    ○井上委員 問題は、あなたも御指摘になつて要望されております通り、この数字から年末の資金不足が約七十億くらい――六十八億、これに政府預託をかりに延期するとしても約六十億は足らぬ、こういうことになつて六十億か何か融通してもらいたい、こういうお話でございますから、われわれも年末金融の重大性から、実際資金需要が切実にかくなつておるかどうか。ぜいたくといつてはいけませんが、そういう山をかけた数字が出ておりはせぬかという点を確かめまして、ほんとうに足らぬものは足らぬもので、これは日銀なり市銀なりで何とか年末金融としてまわす必要がありますから、かたいはつきりした数字がつかみたいゆえに問うておるのであつて、その点は御了承願いたいと思います。
  39. 安武善蔵

    ○安武参考人 それは供米代金の問題などで地方銀行の方ではかなり潤うという見通しでございますが、私どもの方の預金の上に現われて来るのは、先ほど申しましたように実際取扱いいたしておりませんので、年を越さなければわかりません。それですから二千億かりに出るといたしまして、若干は潤うといたしましてもそれは直接に影響しておらないということだけは御了承願います。
  40. 内藤友明

    内藤委員長代理 久保田鶴松君。簡単に願います。
  41. 久保田鶴松

    ○久保田(鶴)委員 時間がないそうですから簡単に安武さんにお伺いしたいのです。これは政府の方でないのだから私参考に伺うわけですが、御承知通り国会が解散されるかもしれない。あるいは来年の四月を見越して、知事なり市長、その他の地方選挙がある。そういうことによりまして十二月を控えての小企業といいましようか、これはこの際非常に困つておる。そこで一番便宜をはかつてもらえるということから、たよつておるのは相互銀行なりあるいは信用金庫、その信用金庫なんかで、いろいろ取引いたしております小企業の人らの間で、最近地方で起きております問題は、先ほど申しました選挙というものを中心として、信用金庫の理事長さんなんか今度はこの地区からだれだれが出る、ひとつ彼の応援をせよ、こういうことを言つて来られる。それはいけません、私たちはそんなことは約束できません、こういうふうにことわる。ことわられるのはあたりまえですよ。ようすると取引しておりました取引を手形なんか割らない。さつととめてしまうのです。そういうようなことが至るところに行われておる。私は金融機関というようなものは、党みたいなものを超越してもらいたいと思う。大体信用組合とか、信用金庫というものをつくられましたのは、地方のボスが集まつてつくつたのに違いない。それをいつまでもバス的な考え方で、選挙なんかにも利用して、今申しますようなことを行われるというようなことになればたいへんだと思う。そういう点あなたは全国の信用金庫の協会の専務理事さんだから、そんなようなことはお聞きでしようが、またそんなような御指導をしておられますか、どうですか、それをちよつとお聞きしたい。
  42. 安武善蔵

    ○安武参考人 信用金庫といえどもこれは金融機関でございますので、政治的に中立であるべきでございます。かりに御指摘のような事態があるとすれば、それは理事者の間違いでありまして、協会といたしましては特にそういうような点のないように、今後とも指導したいと思います。     ―――――――――――――
  43. 内藤友明

    内藤委員長代理 次に外資政策に関する件につきまして参考人の御出席を願つておりますので、これからその御意見を拝聴したいと思います。それではまず日本銀行政策委員の岸さんから御意見を承りたいと思います。
  44. 岸喜二雄

    ○岸参考人 私は今御指名がございました岸でございます。政策委員の方は任務としまして、外資政策問題につきましては権限がないのでございます。ただ外資導入そのものについての理論というものはときどき雑談的にやつております。それは信用調整という大きな問題から出るのでありまして、特に外資政策について何か言えとおつしやいましても実は困りますのですが、ただ先般新聞に外資導入につきましての批判的な意見が政策委員会で行われたかのごとき記事が出ておりまして、それにつきまして何か御質問があるように承知いたしまして出て参つたのでございます。私どもの方としましては、たとえば日米石綿の問題、あるいはパイン・ミシンの問題などは具体的には議題にしたこともございませんし、外資導入政策いかんというような議題を持つたことはないのでございます。ただ雑談的に、先ほど申しましたように、ときどき出るわけでございます。その中で特に日本の国際収支の改善に資するために、外資導入をやるということはもちろんけつこうなんでありますが、あまりに安易に、外資導入をやられるのは困るという意見がときどき出ております。それから特に外国の機械を輸入しまして、あるいはそれを向うの投資によつて輸入するというようなことにつきましても、民間側におきましてあまりに簡単に、安易に、バスに乗り遅れては困るというような考え方で、十分に検討しないで、争つて入れるというような風潮に対しましては、常に批判的なのであります。それは別口外貨貸付制度がありましたときにも、よくその問題が出たのであります。それからよくあまりたくさん出て参りますと、過剰設備問題が起ります。それにつきましても常に批判的であることは事実でございます。それから新聞記事なんかに出ておりました中で、輸出を急速に伸ばすについてもいろいろな施策を行いましても、相手方のある仕事であるからなかなかこれは思うようにいかない。だから日本の側で食糧の自給力を向上させて輸入外貨の節約をはかり、あるいは産金などももう少し力こぶを入れる余地がありはしないかというような研究はしております。それから投融資をしますにつきましても、たとえば合成繊維等につきましての政府融資その他につきましてあまりに総花的になり過ぎる傾向がありはしないかというような、批判意見がときどき出ておるわけでございます。これも合成繊維そのものが外貨の節約になり、国際収支の改善になるということから、政府でも力こぶを入れていらつしやることはよく承知しておりますが、それにつきましても集中的にやつた方が効果があるんじやないか。われわれの方としましては、資金の効率的運用ということを、任務上特に強く考えるので、そういう点を取上げて議論が行われておる次第であります。  大体以上のようなことでありまして、特に具体的な問題で議論したことはございません。一般論としてそれだけ申し上げておきます。
  45. 内藤友明

    内藤委員長代理 それでは次に外資審議会の委員をしていらつしやいます駒村さんにお願いいたします。
  46. 駒村資正

    ○駒村参考人 私外資審議会の委員をやつておりますが、御承知通り民間人でございますので、法律なり政策の根本義というものは、すでに国会の立法府においでになる皆さんの方がお詳しいのでありますが、ただ法文に出ておりますものを実行いたして参ります上において、いろいろ民間人らしいセンスでもつて色づけて行くというふうなときに、多少の役立ちをしておるというふうな考え方で、ここ二、三期間引続き委員になつておりますので、外資政策その他につきましては、外資審議会の中にも各官庁の方面からの権威者が出ておられます。そういう方々の御審議を基本として、われわれ独自の考えをもつてそれに賛成したり反対したりしておるようなわけでございます。何か具体的にこういう問題はどう思うかというようなお尋ねでございましたら、私なりの意見を申し述べさしていただきたい、こういうふうに考えております。
  47. 内藤友明

    内藤委員長代理 それでは御両氏の御意見はこれでお聞きしたのでありますが、引続いて質疑に移ります。
  48. 春日一幸

    春日委員 両参考人にこの外資政策に関する事柄について、特に御足労を煩わしたことについて敬意を表するものでありますが、最初にお伺いをいたしたいことは、先刻来御承知通りジヨンスマン・ビル並びにシンガー・ミシン、この二つの資本と技術が日本国内のそれぞれの企業と提携して、日本に進出の計画があり、これが外資法に基いてそれぞれ許可申請が出されておる様子であります。ところが賛否両論にわかれてなかなか結論に達しがたく、すでにこれが数箇月にわたつてペンデイングの案件として外資審議会でそれぞれ審議されている様子であります。そこで駒村さんに特にお伺いいたしたいことは、一体どうして一つの案件が数箇月にわたつて結論が出ないのであるか、その内情についてひとつお伺いをいたしたいと思います。  なお申し述べたいことは、この二つの問題は、すでに経済界でもわれわれの委員会でも大きな問題になつておりまして、先般東条為替局長の御答弁によりますと、この二つの問題だけではなく、類似しているところの案件がすでに四十数件にわたつて、これまた結論が出ないままにあなた方の審議会にかけられて、問題が山積いたしているということでございます。私は、それぞれの問題についてそれぞれの内情が介在をして、結論が出ることはなかなか困難な面も多々あろうと思いますが、少くともその外資審議会なる、法律に基いて国民の信託を受けているこの機関が、四十数件に及ぶ案件、なかんずくこの二件のごときは、国内の産業がこぞつて反対し、関係労働者数十万がこれまた反対をしている事柄について、何ら結論を出すことなく数箇月をけみするがごときは、あまりに国際的に顧慮し過ぎるというのか、あるいは政治的に配慮し過ぎるというのか、これは職責を尽しておられる姿ではないのではないかとすら私は考えられまして、外資審議会の審議そのものに、重大な疑義をさしはさまざるを得ないのでございます。従いまして、この機会に伺いたいのは、この二つの問題その他四十幾つの案件が何一つ結論が出ないという理由は何であるか、それから、その二つの案件は今どういう方向に向つて審議が進められているのであるか、ありのままにひとつ御意見をお伺いいたしたいのであります。
  49. 駒村資正

    ○駒村参考人 お答えいたします。巷間にやかましくいわれている問題でございますが、御承知通り、外質法自体が外資導入を歓迎するという建前でつくられたものであつて、外国の投資家に、かなり安心感を与えるということが一つの基礎になつておりますが、一面また外資に関する法律の第八条でございますか、それに、国内の経済界に悪影響を及ぼすものは、これは大蔵大臣は認可してはいけないという規定もございます。そういうふうな面で、今やかましくいわれております問題一も、いろいろ検討されたのでありますが、外資のいろいろな面において非常にコンプリケートした問題を検討しなければ、認可の結論に達しないものがたくさんございます。シンガー・ミシンと石綿の二つの問題は、御承知通り国内の業者の間で非常に反対の声が高いのでございまして、非常な猛運動をして反対をしておられるのでございますが、国内に同種類の産業がたくさんある場合、その影響いかんということがまず大きな問題になるのでありまして、非常に技術のすぐれた、また製品として非常にすぐれたものであつて、それが日本に導入されれば、またそれを日本でつくることができれば、非常に役立ち、また一般の文化の上にも、国民生活の上にも非常にいい結果をもたらすのじやないかというふうなものもございますが、それとまた類似した仕事で、その程度まで日本の技術も急に向上するであろうと思われるものは、今日の段階では見合せておけばいいじやないかというようなことも考えられているのであります。しかし遠く及ばなく、十年かかつても二十年かかつてもこの程度にはできないであろうというふうなものは、文化の方面とか公共性とかいうようなことを考えて導入してもいいじやないか。その導入することにおいて、同業の業界にどれだけの大きな反響を及ぼすかということが顧慮されておるわけであります。今四十何件と言われましたが、私の記憶いたしますところでは、審議会に表向きに出ておりますのは二件あるいは三件だけでございまして、そのほかのものは、この審議会に付属いたしておりまする幹事会でいろいろと検討しておられる案件だろうと承知いたしております。そういう関連からいたしまして、この石綿問題にいたしましても、日本の技術が、導入した後にこしらえた製品とどのくらい開きがあり、どれだけの程度の差があつて、その成果が上るか上らないかというふうな点、これは主としてやはり外資審議会に出ておられまするスタッフの権威者に検討していただいて、その報告に依頼しておるのでありますが、その点がまだはつきりした線が出ておらないということが一つと、一面業界から非常な反対の運動があることは御承知通りでございまして、その及ぼす影響が通産行政の面から見まして、どういうふうな結果になるであろうかということが、今まだあまりにはつきりといたしておりませんので、現在ではこの運動もありますことでもあり、このままの形では許可しがたい。何かほかに新しいフアクターが指摘されるならば、審議するにやぶさかでないという観点で、現状のようなかっこうになつておるのであります。これも外資法とまた対外的な通商航海条約とかいうようなものの見合いもありまして、すこぶるデリケートな問題でございますので、現在の形では許可、不許可の決定はむつかしい。また新しいフアクターができてそれをモデイフアイすることができるような形の申請になれば、また審議してもいいというふうな考え方で保留されているわけですパインの方も非常な情勢でありますが、これは現在のミシンの業界から見まして、かりにパイン・ミシンとして製品が国内で売れて行きますれば、国内の消費者が多少のロイアルテイを――たしか一台二ドルのロイヤルテイを払つて操業しなければならぬというふうな案件でございますので、これは技術的に見ましても、現在のミシンの姿が、わが国で十分使われている状態であるにもかかわらず、新しい、入つて来たもののために、かりにそれを使おうとすれば、一台につき二ドルを払わなければならない。これはおもしろくないというので、これも許可されておらないというふうな状態であります。今申しました通り、同じような種類でも遠く及ばない技術が導入されて、それが日本の国民生活に非常に役立つものであるということになりますれば、必ずしも外貨の収支をもつてのみ認可、不認可のフアクターとはいたしておらないのでございますので、この御指定の二件につきましては、ただいま申しましたようなことで認可と申しますか、決定が遅れておるような次第でございます。
  50. 春日一幸

    春日委員 ただいまの駒村委員の御答弁によりますと、現状においてはこれは許可すべきものではないという大体の御意見である。そうであるといたしましたならば、これは却下するとかあるいは不許可の答申をされるとか、とにもかくにもあなたの方の機関は学術団体でも思想団体でもないので、これは明らかに法律に基く行政機関なんだから、あなた方がそういうような大多数の意見がほぼそこということであるならば、これは新しきフアクターの出現を待つということはどうかと思われるのです。現状において許可すべきでないという段階ならば、これは不許可にするのがたれが考えても当然であります。しかも何とか許可をするにしても、新しいフアクターの出現が必要だから、その出現を待望して、その結論を回避するというようなときには、私は公正なる行政機関のあり方ではないと思うわけであります。従いましてこういうような問題が結論がペンデイングになることによつて続々と新しい申請が出て来る。あなたの手元には二、三件しか付議されていないと言うが、幹事会においては、先般東条局長の御答弁によると、数十件の問題が審議され、いまだ結論が出ていないという。すなわち一殺多生の剣といいましようか、一つの規範を示すことによつて後続にその範を示す、ジヨンスマン・ヒルの問題といい、シンガー・ミシンの問題といい、国内産業の大多数のものがこぞつて反対するという事柄については、それぞれしかるべき理由があつてのことでありますから、お説のごとく現状においては許可すべきでないというお考えであるならば、不許可もしくはそのような御処理をされることを強く要望いたします。  そこでさらにお伺いいたしたいことは、先般新聞の報ずるところによりますと、大蔵省はその技術援助契約で送金保証を希望しないものは外資法上の認可を要せず、為替管理法上の支払い許可の手続によつて送金が許される、こういうような見解をとられておるということが新聞に報道されたのでございます。そこでお伺いをいたしたいことは、本委員会において大蔵当局あるいはまたこの許可推進論者の中からここでむつかしかつたならば一応これを取下げて、外資法によらずして為替管理法でありますか、そういうようなもので、これを取扱つたらどうかというような御意見が頭を出しておるが、そういうことが正式の論議として論議されたことがあるのでありましようか、どうでありましようか、この点をひとつお伺いいたしたいと思います。
  51. 駒村資正

    ○駒村参考人 最初の御質問でございますが、ペンデイングしておるのは、他のフアクターを待つておるという趣旨はありませんで、その間いろいろと品質の点、その他において目下試験所でまだいろんな試験をしておられるという段階でありますので、そういうものを一応考慮に入れ、かつまた先ほど申しました航海通商条約のような、対外的ないろいろな条約から見まして、非常な強い根拠がなければ拒否し得ないような情勢にも一面うかがわれておりますので、ペンディングになつておるような状態であります。  なお第二問といたしましては、この間少しそういうことを伺つただけでまだ審議されておりませんし、公式に議題になつたこともございませんので、新聞の報道の方が何か先走つておるような気持で私自身はおります。それでありますから、審議会でわからないものは別の方法でもつて許可するとかしないとかいうふうなことを、大蔵当局でお考えになつておるかどうかということはまつたく不明であります。
  52. 春日一幸

    春日委員 本委員会はこの問題をずいぶん深く掘り下げまして、特に通産当局の御出席等も願つていろいろ検討いたしておるのであります。但しフアクターの問題のことなどに関連をいたしまして試験をせられたというような御説もございますが、これはさきに国立試験所によつてすでに権威ある試験のデータが提出されておるのでありますが、聞くところによりますと、そのサンプルの抽出方法にうなずけないものがあるというようなことから、さらに再試験が行われておる様子であります。いずれも官庁による公正なるその抽出試験の結果が思わしくないからといつて、さらに再試験を行うということについても、本委員会相当の疑義を持つておりまするし、さらに当事者におきましても猛烈な疑義を唱えておる事柄であります。あなた方があまりに国際関係にまでまたがつて御判断になるということになりますと、これは結局結論が出て来ない形になつてしまいまして、よつてもたらすところの弊害は重大なものがあろうと思うわけであります。私があなた方専門家にとやかく申し上げるまでもないのでありますが、結局この許可、認可の事柄が、外資法によろうとあるいは外国為替管理法によりましようと、それらの事柄はすべて国際収支に関係をして、日本の保有外貨の流出を防ぐという事柄にのみ局限されることでありまして、日米通商条約に関係して、向うの人々が日本国内においてそれぞれの経済活動を行うことについての制限をするわけではない。ただその外資を向うが送金する場合、やはり国際収支の立場からこの外資法があり、そしてこの外国為替管理法というものがあるのでありますから、私は日米通商航海条約の約定をしておりまする内容と、この事柄とは何ら抵触するものではないと思いますから、アメリカ人が日本に帰化するとか、あるいは日本の円資金を獲得することのための経済活動であるとか、そういうことならばちつともさしつかえない。ただ日本でもうけて日本が保有しておる外貨を持つてつてしまう。日本の外貨事情が悪くなつて国際収支が悪化するから、やはり経済の自立という立場からそういう法律があるのでありまして、これは通商条約などというものとは、この事柄に関する限り何ら交叉する点はないと私は思う。従いまして問題は、日本の産業をしてアメリカの植民地産業への転落からいかに防禦するか、こういうところにわれわれの任務もあろうと思いまするし、本委員会の職責もそこに尽されると思いますので、この点を十分ひとつ御判断願つて、早急な結論をお出しになることを要望して、やめます。  そこで進んでお伺いをいたしたいのでありますが、この為替管理法では、外資法で許可、認可の届出を要する場合は、為替管理法上の支払いの許可をしてはならないと規定いたしておるわけであります。これは外国為替管理令第十一条第一項、十七条第二項の但書通りこういう事柄があるわけであります。従いまして外資法の認可の対象となる場合は、当然これは外資法によつて処理さるべきものでありまして、為替管理法上の支払いの許可等は、これは取扱い上与えらるべき筋合いのものではないと確信をいたしておるわけであります。ただ大蔵省がこの間うち、今御説のように、本委員会において、外資法でむずかしければ為替管理法でというような、御意見開陳があつたということは、これは外資法で認可を受くべきでありながら認可を受けられなかつたり、あるいは申請してもこれが認可を受けるに至らなかつた場合、こういうような場合は為替管理法上の支払いの許可をしてはならないというような規定がないから、してもいいじやないかというような御理解のようにわれわれは聞いておるのでありまするけれども、しかしこれは明らかに、こういう支払いの許可はしてはならぬといつてこれが規定されておりまする以上は、してはならないとないからといつて、これをしてもいいというような大蔵当局の御意見は、私はいただけないではないかと考えるわけでありますが、こういう事柄について委員会はどんなふうに御審議を進められておりましようか、この点伺いたい。
  53. 駒村資正

    ○駒村参考人 お答えいたします。ただいま申し上げました通り、まだ委員会では議題になつておりませんが、外資に関する法律の中では一時的のもの、もしくは突発的のものは――外資法によつては一年以上またがるものを主として取扱つているわけでございますが、私自身の考えといたしましても、外貨の収支の点は大蔵当局においてももちろんよくおわかりだと思いますが、その他の通産行政、国内にどういう影響を及ぼすかというふうなことについては、やはり通産省の方々がよくいろいろなデータなり、いろいろ通常よくタツチせられているだけにお詳しいじやないか。どういう法律が新しく生れて参りましても、こういう問題に関しましては、やはりなるべく外資委員会意見を一応確かめていただいて、そうして単に外貨のバランスをもつて事とするのではなく、産業その他の国内に及ぼす影響というふうなことの通産省の方面からの意見をお聞きして、そうして処理して行く方がいいという考え方をいたしております。
  54. 春日一幸

    春日委員 これは外資法の第八条の第一項と第二項との関係になると思うのでありますが、第一項は許可をなし得る場合を積極的に規定してあり、第二項は許可してはならないという消極的な基準が示してあると思うのであります。そこで問題となりますのは、許可を受け入れる場合はいいわけでありますが、かりに外資法上許可すべきでないというような、あるいは疑わしいから結論が出ないというような問題を、これは大体第二項の、すなわち消極的基準の中に私は包含されているのではないかと思う。どちらかといえば、そちらに近いのが結局許可が得られないということに相なろうと思う。外資法上許可すべきものでないというものを、理由がどうでありましようとも、これを為替管理法によつて許可をするということは、これは矛盾撞着もはなはだしいものであつて、むしろこれは法律の悪用だと私は考えるのであります。ただお願いいたしたいことは、われわれが新聞報道その他国際情報等によりますと、大蔵大臣がアメリカに参られてジヨンスマン・ビル等の会社のはなはだ高度の技術に心酔されて帰つて来られた、そのようなことから、小さい国内産業の育成というようなことを何となく等閑に付せられて、そんなものの導入に積極的な意思を表示されておるような報道もされておりまして、私どもはそのようなことが事実無根であることをこいねがつてやみませんけれども、いずれにしてもアメリカからこの日米通商条約等をたてにとつて、なかなか許可をしろという強い要請が政治的には加えられておる。こういう事柄等考えますると、いずれにしても、われわれの法律を研究いたしました範囲内においては、外資法によつて許可のされないようなものならば、あるいはすでに四箇月間も五箇月間も深く御研究願つて結論の出ないようなもの、そういうようなものを為替管理法の中に逃げ込んで、便宜な処理をするということは、まことに許されない事柄であろうと思うわけであります。のみならずよつてもたらす影響が国内産業の全面的な閉止――これは先般ミシン工業会の会長の御意見も伺つたのでありますが、イギリスのごときはシンガー・ミシンの進出が行われて以来、以前には相当のミシン産業がイギリス国内に繁栄しておつたのが、今はネジ一つの町工場すらイギリス国内から影を断つてしまつた。同様の事柄がセメント工業といい、さらにはミシン工業といい、さらにはまたそれに続く明治製パンとの関係といい、国内産業がアメリカの巨大資本と高度の技術によつて抹殺されてしまう、みな殺しになつてしまうということになりますれば、これももちろん産業、経済の重大問題でありますが、さらには労働問題、社会問題という形になつて大きな問題になろうと思うわけであります。幸いに財界を代表いたされまして、あなた方が国際貿易にも通暁していらつしやる立場において――名目は国際収支の改善とか何とかいつておりますけれども、国際収支の改善は日本の国内産業をお互いに保護育成して、そうしてアメリカ資本と闘い勝つて、国際収支の改善に寄与せしむべきものである。今国内産業の犠牲において、外国資本によつて、日本の国際収支を改善しようということは、遂に日本をして外国の植民地経済に堕せしめ、経済の自立の機会を失つて行く。経済の自立がなければ独立の達成はない、こういうことも深く御考慮願いまして、今政府が向米一辺倒の媚態を呈することによつて、アメリカの圧力に屈して為替管理法の中に狡猾に逃げ込んで、アメリカ財閥に奉仕せんといたしておりますが、あなた方の良識によつて果敢にこれを食いとめていただくために、早期に権威ある結論を下されんことを強く要望いたしまして、私の質問を終ります。
  55. 内藤友明

    内藤委員長代理 井上良二君。
  56. 井上良二

    ○井上委員 岸さんにひとつ伺つておきたいのであります。これは日銀の政策委員会で審議されましたかどうか存じませんが、外資問題ではございません。問題は農林中金の余裕金の処理に関する問題であります。御存じの通り、供米期を控えまして、供米代金が約二千億出る。これが一ぺんに農林中金に回収されて来て、約七、八百億の余裕金が農林中金にできる。一方日銀を通して金融引締めをやつておるとき、農林中金がかような余裕金を抱くことは、一方で高率適用などをやつておるのに、一方で窓をあけはなしてしまつたようなもので、効果がないから、そのうち二、三百億を信用保証とか何とか、何かわけのわからぬような日銀の肩がわりで、この金を日銀の方に吸い上げよう。こういうことで農林中金の方と話をされて、大体方針はきまつたように伺つておりますが、これはもうきまりましたのですか。農林中金の資金運営というものが、農林漁業資金としまして非常に重大な役割りを果しているときでありますし、また余裕金のありますときに、それぞれの関係金融機関、あるいは産業にこの金を有利にまわすときにおいて、初めて金融機関全体の運営が、年間を通してうまく運営されるという一つの大きな資金源になつておるわけですが、そういうような全体の動きをお考えくださらずに、単にそのときだけ余裕金が生ずるということで、これだけをねらつて吸い上げられるということになりますと、これが農林金融全般に及ぼす影響というものは非常に大きいのでありまして、特に県信連を中心とする動きというものが非常にややこしい問題になつて参ります。と申しますのは、もしこれを中金に預託するということになりますと、結局おれの方に資金の融通がなされない。それならば県信連でこれを押えておけということになりまして、結局全体の運営がうまく行かないことになります。そういうような実例から、政策委員会として、この問題についてどういう見解をもつて、どういう結論をお出しになり、そしてどういう処置をされて参りましたか、その経過を一応御説明願いたい。
  57. 岸喜二雄

    ○岸参考人 今御質問の点につきましては、昨年も一部今おつしやいました肩がわりが行われたのでございますが、その程度ならばやむを得ないだろう。それにつきましては、農林系統金融機関の維持ということも考えまして、――御承知のように、農林関係から政策委員には荷見委員が出ておられまして、十分事情を御承知であろうと思います。それと一般金融との兼ね合いによりまして、まあ昨年程度の肩がわりはよかろうというような方針はきめております。一部実行しておるはずであります。但しこの問題の詳細は執行部の方にお聞取りを願いたいのでございまして、私は毎日の業務はそこまで深くは存じません。ただ一部肩がわりがすでに行われておりますが、それは何もとんでもないところに融通するということではないようでございまして、御承知のような、金融機関の方にオーバー・ローンがあります関係上、そういう金が集まるときに、集まるところから出して、貸しておるところから回収するというオペレーションをやるのであります。その程度のことは話はいたしております。
  58. 内藤友明

    内藤委員長代理 この際参考人各位に一言お礼を申し上げたいと思います。本日は御多忙中にかかわりませず、当委員会に御出席いただき、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、当委員会の審査のため多大の参考になりました。ここに厚くお礼を申し上げます。  本日はこの程度にとどめ、次会は明二十五日午前十時より開会することにいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時三十九分散会