○春日
委員 それでは大臣にお伺いをいたしたいと思うのでありますが、本日の新聞の報道によりますと、例の東証のストライキは、警察官吏の警棒を伴う介入によりまして、労働者側は涙とともにこのピケツト・ラインを解いて、そうして一方経営者側は得意満面として、取引再開の座にすわつたということが報道されておるわけでございます。このことはそのストライキの妥当性あるいはそうでないといういろいろな批判は別といたしまして、いずれにしても労働
関係のいろいろな法規に基いて行われたこの争議行為が、警察力の介入によ
つてこういうみじめな結末を遂げつつあるということにつきまして、世上の関心は非常に高まりつつあると思うのでございます。
そこで私が大臣にお伺いをいたしたいことは、先ほどから労使の
関係には介入をしない、当事者たちの自主的な解決にゆだねるというのであ
つて、政府はあくまで中正の態度を保
つて行きたい、こういうことを一応表面的におつしや
つてはおりますけれ
ども、実際的にそういうふうに行われておるならば、私は決してそれらのことを申し上げるわけではないのであります。ただいま柴田
委員も申されておりますが、まずその前提の歴然たる
一つの事件といたしまして、さきには銀行課長の地方財務局長あて通達をもちまして、現在全銀連が別途
行つておりますところの賃金交渉、これは好ましくない、こういう一方的政府の通達が行われておるわけであります。このことは労働
関係調整法第三条が政府に対して規制をいたしておりますところの労働争議に対する態度、すなわち自主的解決にゆだねる、みだりに介入すべきではない、争議行為の勃発することを防ぐために、公正なる援助を行うべきである、こういう法律に対して違反をする事柄が、あなたの下僚によ
つて現実に行われておるわけであります。ただいま河野
銀行局長の御答弁によりますと、これは銀行経理の内容をよくせしめる、もしも銀行の経営内部において、そういう余裕があるならば、その余裕はむしろ金利の引下げに持
つて行くべきであるというお説等もございましたけれ
ども、そういう事柄はまさに詭弁でございまして、銀行経理の内容をよくするか、しないかは、これは当事者がいろいろな経費の支出だとか、その他いろいろな経営面の合理化等をはかりまして、その中に労働賃金等の要素をも含めて検討するものであ
つて、今そういう
要求が行われておるときに、監督官庁である大蔵当局から賃金値上げは好ましくない、そういう余裕があるならばかくかくすべしというような一方的意思表示が与えられ、しかもそれが経営者に大きな
影響力をもたらすことは当然の事柄でございまして、この一事をも
つていたしましても、大蔵当局が所管産業の労働争議について、すなわちその一方の経営者の側に暗に加担して、一方の労働者側に対しては冷たい態度、峻厳なる態度をも
つて臨んでおるということは明らかであろうと思うのであります。あなたは今や一大蔵大臣ではないのであ
つて、国際的な大政治家に成長を遂げられたのでありまして、私はまことに御同慶の至りと思うものでありますが、昨日この証券ストがこういうみじめな結末に終つたということにつきましても、結局労働大臣のステートメント、これは当然閣議において大蔵大臣の大きな
影響力を受
けつつ、こういう決定が出されたものと思うのでありますが、これな
ども明らかに、労働者側に対してきわめてぞんざいにああいう政府見解の発表が行われ、同時にそれに伴う警官の出動とな
つて参つたと思うのであります。
そこで私はあなたに御要請を申し上げたいことは、あなたには所管産業をいろいろと政治的に御指導願い、御監督願わなければならぬのでありますが、これはやはり法律が政府を拘束いたしておりますように、あくまでも労働者、それから経営者はあなたから見れば一視同仁、法律の前にはやはり平等公正の原則に立
つてこの処理がなされなければならぬ。さきには銀行の賃上げに対して、これは好ましくないという意思表示を行つた。今回のごときは、スト破りということもこんな方法でできるのだ、こういう指示を与えるということは、
関係労働者に対して奴隷的屈従をしいるものであ
つて、銀行にいたしましても、証券労働者にいたしましても、彼らの持つ任務が重大であればあるほど、彼等の職場をして快的なものにしてやらなければならぬと思うのであります。彼等は法律の前には、このストライキが破られても結局方法がない。力と力とが激突するような形にな
つて参りますと、そのよ
つて及ぼす
影響は非常に大きなものがある。たとえば昨日ラジオで、大阪の労働組合の責任者が発表いたしておりましたが、かりに警察官吏が強権をも
つて介在して来てストライキが破られてしまうということであれば、やはり弱き者同士は力を合せなければならぬ。さすれば大阪、名古屋、神戸というような取引所の労働者たちが、やはり共同闘争というような形をとらなければならないような場合にも到達することがあるであろうということを言
つておりますが、これは労働
関係調整法で、労使の、主張が相反する場合のあらゆる事柄を規定して、この法律に万全を期しておるというのであります。今までどのような争議がありましても、政府がこのような形で介入し、しかも警察官が警棒をも
つて、とにかく組合側において昨日は十八名も負傷者を出しておるようでありますが、こんな形で問題をねじりつぶしたというような争議は今までか
つてないと私は思うのであります。今後こういうような形がもしとられて行くといたしますれば、これは労使の抗争を激発する以外の何ものでもないのでありまして、かりにそれに対しましていろいろな友好団体の同情ストがさらに波状的に行われるという形になりますと、これはただ単に東証のストライキを解決するということでは納まらないのでございまして、他の一般産業に対して大きな激動、衝撃を与える結果にもなろうと思うのでございます。そこで今や都の労働
委員会の職権に基く調停が行われている様子でありますが、今まで大阪の証券ストにおいても名古屋の証券ストにおいても、これはお互いに両方の当事者、労使の
関係者が十分話し合
つて、しかもあつせんするには地方の労働
委員会もあり、さらに解決がつかなければ中央の労働
委員会があり、それぞれ国の機関があるのでありまするから、そういう専門機関にゆだねて、政府や警察がこれに介在すべきではない、こういうことで、今までこの問題はいずれにしても労使間の自主的な解決で解決がはかられて参
つたのでありまするが、今回東証の場合は、こういうような無残な形で大きな傷口を開いておるのでありますが、今後この問題の解決のために、あなたは所管産業の労働者に、その職場でどういうような立場でその労働条件を守らるべきものであるか、こういうことについても十分なるごしんしやくがあろうと思うのでありますが、この解決について、今後どういうような手を打
つて行かれるというお考えがあるのであるか。ひとつ大臣の御所見をまずも
つてお伺いをいたしたいと思うのであります。