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井上委員 ちよつと関連して……。ただいま
内藤氏の質問しております本年度産
米価格の決定問題は、本年の供米確保の上に非常に重大な
政治問題化しておることは御承知の通りです。しかるにこの価格決定の最高責任者たる
大蔵大臣が、この問題に対して明確な御答弁をされていないことははなはだ遺憾であります。
政府が本年の産
米価格を一体何ぼにきめるかということは、本年の作柄なりあるいは配給日数の問題なり、あるいはまた輸入の実績なりを総合しまして、この
程度に買わなければ予定通りの供出は出ないだろうというところできめる、これは例年繰返しておるところであります。ところが御
指摘の通り
事務当局間ではそれぞれ正確な
資料を持ち寄りまして、具体的な適正価格の算出の作業を続けられておることはわれわれも
伺つております。しかしこれはあくまで
事務当局のやることであつて、
政府として本年の産米は一体どの
程度にきめるのが妥当かということについては、これはおのずから別問題であろうと
考えます。御存じの通り、私
どもの推定するところによつても、毎年二千万石からの食糧の不足を生じつつあります。この二千万石をかりに輸入にまたなければならぬということになりますと、ここに年間五、六千万ドルの外貨を余分に食糧につぎ込まれなければならぬことになるのであります。
反対に、あなたも御
指摘のように、また御賛成のように、農民に食糧増産に協力の手を少しでも差延べられますならば、たとえば昨年から本年にかけてまきつけられました小麦及び裸麦、大麦の実績を見ましても、昨年の麦価
政策が農民の期待にある
程度合致したというところから、特に
日本において米食と混炊できます裸麦の作付面積は五万四千町歩に増大いたしております。あるいはまた大麦の増産面積も四万町歩に増大されております。合せますと約十万町歩からの増大で、三百六十万石が増産をされておる。それをもし輸入にまつということになりますならば、外貨は四千万ドルをかせいでおることに
なつておる。この生きた事実を
大蔵大臣は一体どうお
考えに
なつておるか。現在作柄は平年作以上といわれておるが、
政府が必要とする所要量を集荷いたしますには、一に価格を何ぼに買い上げるかにかかつているのであります。すでに早場がどんどん供出されておる今日、まだ価格を決定しない、またその最高責任者たる
大蔵大臣がこの問題に対してま
つたく抽象的な答弁しかできないということは、農民の供出意欲をいたずらに押えつける以外に効果はありません。
そこで具体的に伺いますが、本年の
米価はあなたも御存じの通り、すでに国会においては本年度予算において九千二百円ときめられておりますが、はたしてこの九千二百円の線を
大蔵省は、
政府としてはあくまで固持する
方針でありますか。それとも
全国生産農民の大会で一万二千五百円を今年の産
米価格と主張いたして、あなたの方にも陳情に行つておるわけであります。かようにいたしましてここに
相当の開きが出ております。昨年あれほどの凶作であるといえ
ども、いわゆるどぶ酒に使
つた米、あるいは小づかい米としてやみに流れました米は
相当多量に上つております。本年また
政府が低
米価によつてこれを押えつけようといたしますならば、
相当多量の米がやみに流れて、正規の配給ルートにこれが上らぬことになります。そうなりますと、それだけの不足分は外貨によらなければならぬ。
大蔵大臣は、別の面では国際収支を改善することが当面のわが国
経済再建の主要題目であつて、これに国家は総力をあげて
努力をせなければならぬということをたびたびあらゆる機会に述べられておるが、国内において正規なルートに上すことができず、しかもその不足分を海外からの輸入にまたなければならぬというこの実情をあなたが見た場合、ここに農民心理をくみ、増産をすればそれだけの価値があるという
感じを持たしてやることは、これは当然の農民心理にな
つて参りますから、さような
意味から、あくまで九千二百円の予算
米価で
政府が押切ろうとするのか、それとも
農林省が主張しています九千七百五十円
程度のところまでは歩み寄ろうとするのか、さようなことは全然
考えないとするのか、これは一に本月中ごろ開かれます
全国供米
会議にも重大な関係を持つておりますので、農民が進んで
政府に協力して供出しようという
気持を起さすためにも、本日あなたの答弁は非常に重要な影響を持つて来るのでありますから、ぜひこの点は率直に農民の心理をくみ、今日の
米価事情を
考え、国際収支の改善を
考える場合、
事務当局の作業にこだわる必要はないと思う、
政府はこういう
考えをもつてやりたいと思うという点について率直に御答弁を願いたい。