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1954-08-11 第19回国会 衆議院 大蔵委員会 第69号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年八月十一日(水曜日)     午前十一時十一分開議  出席委員    委員長 千葉 三郎君    理事 黒金 泰美君 理事 有田 二郎君    理事 内藤 友明君 理事 久保田鶴松君    理事 井上 良二君       大上  司君    苫米地英俊君       福田 赳夫君    藤枝 泉介君       宮原幸三郎君    三和 精一君       福田 繁芳君    佐々木更三君       柴田 義男君    春日 一幸君       平岡忠次郎君    山村新治郎君  委員外出席者         総理府事務官         (自治庁次長) 鈴木 俊一君         大蔵事務官         (主計局次長) 正示啓次郎君         大蔵事務官         (主計局給与課         長)      岸本  晋君         大蔵事務官         (主計官)   谷川  宏君         大蔵事務官         (理財局長)  阪田 泰二君         大蔵事務官         (管財局長)  窪谷 直光君         大蔵事務官         (為替局外資課         長)      太田 亮一君         中小企業金融公         庫理事     中野 哲夫君         専  門  員 椎木 文也君         専  門  員 黒田 久太君     ————————————— 八月十一日  理事淺香忠雄君の補欠として有田二郎君が理事  に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した事件  理事の互選  税制に関する件  金融に関する件  国有財産管理状況に関する件     —————————————
  2. 千葉三郎

    千葉委員長 これより会議を開きます。  まず理事補欠選任の件についてお諮りいたします。理事でありました淺香忠雄君が昨日委員を辞任いたしましたので、理事一名が欠員となつております。  この際理事補欠選任を行いたいと思いますが、これは先例によりまして、選挙の手続を省略して、委員長より指名いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 千葉三郎

    千葉委員長 御異議なしと認めます。それでは委員長におきましては有田二郎君を理事に指名いたします。     —————————————
  4. 千葉三郎

    千葉委員長 次に税制に関する件、金融に関する件、国有財産管理状況に関する件の三件を一括議題として審査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。井上良二君。
  5. 井上良二

    井上委員 この際地方金融対策について伺いたいのですが、最近の地方公共団体財政は、政府みずから御存じ通り、その窮乏はいよいよはなはだしく、各府県においては、府県職員給料遅払い、それから昇給停止、さらに府県費による災害復旧その他公共土木事業の一時停止という事態さえ起りつつある。そのおもなる県を見ますと、青森県の場合は、県の赤字が約五億、職員は向う一箇年間昇給停止し、さらに人員整理を行わねばならぬ状況であり、秋田県においても、赤字約十一億、同県においても職員昇給停止を行わんとしておるし、新潟県は赤字八億、これまた給料遅払いが起つており、その他京都府、佐賀県、群馬県、茨城県等に至つては、公共事業の打切りをもつて事態を収拾せんとする状態にあります。この問題を重視しました国会では、去る七月二十三日から四日間にわたつて衆議院地方行政委員会を開いて討議した結果、次のごとき決議行つて政府の善処を促したのであります。すなわち決議の内容は、    地方財政に対する緊急措置に関する件   政府は、一部府県給与問題をはじめ深刻化した地方公共団体財政窮迫重大性に鑑み、その実情を速かに把握し短期融資等応急対策を早急に具体化すること。   右決議する。  こういう決議をいたしておるのでありますが、これらの国会の議決に対して、これらの地方公共団体財政窮乏打開に関する当面の短期融資に関して、政府はいかなる措置を今日までおとりになつて来ておるか、またとらんとしておるか、その具体的な御説明をいただきたいと思います。
  6. 鈴木俊一

    鈴木説明員 ただいま御指摘がございました衆議院地方行政委員会決議につきましては、政府も十分これを尊重いたし、その趣旨に従つて善処しなければならない、こういうことで、九月に交付を予定しております地方交付税半額を繰上げ交付をするということに方針をきめまして、九月約二百八十億交付する予定のうち、百四十億を今回交付することにいたしまして、これはすでに配分を了しておる次第でございます。その結果、御指摘のような各地方団体金詰まり状況でございますが、赤字の累積の結果やりくりが非常に困難になつております県を除きまして、一般的に赤字のあります程度の県におきましては、八月の処置というものは、給与の支払いその他の点につきましては、まず一応やつて行けるものと考えておるのであります。ただ全体の地方財政計画から申しまして、第一・四半期、第二・四半期は元来が非常にきゆうくつにできております。第一・四半期で約四百億余り、第二・四半期で百六十億余りというものはやはりバランスが合わない形になつておりまして、第三・四半期、第四・四半期至つて全体の地方財政計画バランスが合う、こういうような形になつているのであります。そういう関係から赤字がありますところに、さらにそういう財政計画上の——これは例年のことでございますが、そういうことのために相当地方としては困惑し、きゆうくつになつてつたのは事実でございますが、今の地方交付税の繰上げ交付によりまして、八月当面の措置といたしましては、これは一応しのいで行けると考えておるのでございます。しかしたとえば京都でございますとか、あるいは佐賀でございますとか、その他非常にきゆうくつなところにつきましては、大蔵省とも十分連絡をいたしまして、赤字再建についてのある程度見通し等を得た上で、これにすみやかに融資をして緊急の措置を講ずるようにしたい、こういうことで、話をいたし、佐賀等につきましては、必要な措置をすでに了したと考えております。その他の県につきましては、先般の交付税交付後の状況をさらににらみ合せまして、早急に必要なところについては措置いたしたいというふうに考えております。
  7. 井上良二

    井上委員 ただいまの御説明によりますと、さしあたり応急的な第一、第二・四半期財政窮乏を一時肩がわりする意味における措置がとられたようでございますが、これは私がここでよけいなことを申し上げるまでもないこと、地方財政窮乏はここ数年来はげしくなつて来たもので、最近になつて突発的に生じた事態ではありません。そこでまず地方財政赤字の根本的な原因を一体どう解決しようとしておるか。御存じ通り地方財政規模昭和二十四年に三千九百十五億であつたものが、昭和二十七年になりますと、これが八千四百二十億、さらに二十八年は九千百四十九億と年々増大をして参りまして、国の一般会計とも比較してみますと、二十四年度は五二%でありましたものが、二十六年度になりますと八四%、二十七年度は九〇%というように、非常に上昇をいたして来ておるのであります。この財政規模増大原因は、一つは俸給の非常な値上りといいますか、給与関係にあり、第二は臨時事業費となつており、特に給与関係では年々五百億以上が増大を示し、臨時事業費は二十六年度において三百九十六億、二十七年度において五百二十八億、二十八年度においては実に一千億円と増大を示しておる。このはげしい歳出増加に対して、財源はこれに見合つて増加されておるならば問題はないのでありますけれども、この歳出増加の非常な上昇に伴うのに、その財源としてほとんど裏づけするものがない。これらの増大政府みずからが認めておきながら、その裏づけの財源を認めてないというところに大きな地方財政赤字を生んでおる根本的な原因がありはせぬか、こういうふうにわれわれは考えおるのであります。この問題が根本的に解決されませんと、単に政府は、いやそれはやつているのだ、たとえば第十九国会でいろいろ地方独立税について必要な措置を講じ、また地方交付税制度というような新しい制度によつて均衡をできるだけ直して行こうということで、地方財源の貧困と不均衡を直そうということに努力していることは、われわれも一部認めますけれども、それはまつたく焼石に水の努力であつて、問題にならぬ。そういう根本的な対策について一体どうお考えになつておりますか。  それから今お話になりました、さしあたり地方交付税九月のものを繰上げて百四十億支給する、それによつて当面何とか措置を講ずる、こう言うが、そうするとそれから先は具体的に一体どうなりますか。九月の分を繰上げたあとはどうなりますか。そうしてそういう措置に対して大蔵省当局としては一体どうお考えになつておりますか。  それからただいま佐賀県の方については、一定の金融をいたすようなお話がございましたが、先般新聞に大きく出ました京都府の措置は一体どう具体的に御解決になりましたか、これもあわせて伺いたい。
  8. 鈴木俊一

    鈴木説明員 赤字対策をどういうふうに考えておるかという第一点のお尋ねでございますが、この赤字がどうして生じたかという原因については、今いろいろ御見解を御披瀝になりましたが、そのように地方人件費ベースアップ等によつて年々非常にふえて参ります。国の場合に比較いたしまして、地方公務員地方財政に占める割合が、国家公務員国家財政に占める負担の割合よりも、はるかに高いというところからベースアップが年々行われて参りまして、これが地方財政に非常に大きな重圧を加えておるということは、これはまさに御指摘通りでございます。と同時に、年々の災害による臨時事業費とか、あるいはその他の各種の単独事業費、あるいは最近では学童の増加が今年あたりは百万近くふえ、ここ数年は同様な状況でございますが、そういうための学校の建築費といつたような、単独というか、文教の事業費、こういう事業費が非常にふえて来ておる。それに対する財政措置というか一財源措置というか、これが十分であるかどうかという点については、葉からいろいろ議論があつたことでございまして、昨年の地方制度調査会等においては、たとえば三百億程度さらにこれらの点の調整をすべきである、こういうような意見があつたわけでございますが、政府といたしましては、そういう点もあろうけれども、しかしこれは国と地方団体とが両方協力をして解消するように努力しようではないかということでおおむねその半額を是正する。すなわち百五十億程度のものを、従来の地方財政規模が実隊に比して少いというところで、今年の地方財政計画においてはこれを是正したわけでございます。残りは地方でひとつこれは調整をしてもらう、こういうことになつて来ておるわけでございまして、あるいは御見解から申せば不十分かもしれませんけれども政府としてはさような点の改善の方途を今回とつたわけであります。ただ残りますところは、そのような将来の財政計画の問題とともに、今まで累積しておりますところの赤字解消する方策をどうするかということになるわけでございますが、これにつきましては、これもやはり地方制度調査会答申の中に、地方財政再建整備法案というものの答申がございます。この答申趣旨は、要するに赤字長期債に借りかえて、それによつて長期になしくずしにくずして行く。そのかわり歳出を節減し、歳入の増徴をはかり、また財政健全化を実施するための必要な方策を確保する、こういうようなことがその答申の要旨になつてつたと思うのでございます。それに基いてというわけでもございませんが、その趣旨をくまれて、過般衆議院地方行政委員会に同趣旨法案が提案され、今日継続審議中になつておるわけでございます。私どもといたしましても、今日非常に巨額になつております地方赤字、慢性化しましたこの地方赤字をどうして解消するかということは、非常に大きな観点からよほど再検討をして考え直さなければいかぬと思うのでございます。   〔委員長退席内藤委員長代理着席〕 そういう意味から申しましても、この赤字再建整備法という形の一つの立法を実現をしていただきまして、それによつて、やはり赤字解消は自主的な再建計画を立てて、それに基いて実施して行くという、自主再建の機運を一面において強く打出さないことには、どうしても赤字解消は困難であろうというふうに今考えておるのであります。しかしながらその赤字解消いたしますためには、同時にある程度政府資金赤字債解消のための融通ということを考えていただかなければならぬわけでございますが、そういうこととあわせまして、赤字再建整備計画というものを各赤字団体につくつてもらいたい、それを実施して行く、こういうことが必要であろうと思うのであります。ただそれをいたしますのには、やはり現行制度上いろいろの制約がございまして、府県なり市町村財政当局再建整備計画を実施しようといたしましても、その所期の計画をその通り実施することが困難であるというような、制度上、組織上の問題がございますので、再建整備計画を実施中は、何らか一種の非常措置的な法権限を与えて、そしてこれを解消するというぐらいな考え方でひとつこの問題を解決できないであろうかということで、私どもといたしましても、次の国会の機会におきましては、これをぜひ現実化するようにしていただきたいという希望を持つておるのであります。そういうようなことによつて根本的にこの問題を解決して行くほかはないというふうに考えておる次第であります。  それから第二点のお尋ねで、さきに地方交付税を繰上げ交付したその結果、九月に交付すべきものがいわば先食いになるわけでございますから、その穴をどうするかという意味の御質問であつたと思いますが、これは先ほど申し上げましたように、ことしの地方財政計画におきましては、第一・四半期、第二・四半期では当然に——当然にというと何ですが、バランスが合わぬようになつております。第三・四半期、第四・四半期至つて全体にバランスが合うようなことになつております。従つて繰上げ交付をいたしましても、むしろ調整の時期を早めたというだけであつて、総体としてはその穴埋めという問題は起らないと私ども考えておるのでございます。  それから第三のお尋ねの、京都府に対する緊急融資措置はどうなつているかということでございます。これは先般京都知事以下お見えになつたわけでございますが、具体的に再建整備法案もまだできておりませんから、ほんとうにこれは事実上の自主的な再建計画になるわけでございますが、その一応の案を持つて来られましたけれども、なおいろいろな意見がこれにはございまして、いま少しこれを固めて持つてきていただき、そしてその上でそれを自治庁においても、また大蔵省の方でもいろいろ検討した上、調整を要するならばすみやかに調整を加えて、そしてこれに融資をしてもらう、こういうことで、京都知事も一旦帰られまして、たしかきようあたり案を持つて来ることになつておると考えております。こういう状況でございます。
  9. 正示啓次郎

    ○正示説明員 大蔵省考えはどうかというお言葉がございましたから、お答えを申し上げますが、大蔵省としても、大体ただいま自治庁鈴木次長から申し上げた通りであります。ただ、先ほど来いろいろ赤字の出た団体を対象にしてのお話でございますから、非常に深刻なお話ばかりでございますが、半面比較的堅実に、今までも黒字を出し、あるいは今まで赤字を出しておつたの黒字に転換しておる団体もあるのであります。私どもは、そういうふうに努力をいたしますれば、必ずしも今日の地方団体は全部赤字になるものだというように宿命的に考える必要はないと思つております。ただいま鈴木次長からも申し上げましたが、地方財政再建計画ということが今後の問題になつて参るわけでございますが、現品に先ほども井上委員からも御指摘のように、佐賀県につきましては、誠実な計画がある程度認められておつたのではないかというふうにも考えられるのでありまして、私どもは今後の考え方といたしましては、やはり個々の赤字の発生した原因には、国の施策によるもの、地方の固有の事情によるもの、あるいは地方責任によつて処理しなければならぬもの、いろいろあろうかと思うのでありますが、それらの点についてはお互いに改むべきところは改めて参り、そしてどこまでも自主再建の誠意の認められる計画を基本に置きまして、必要な援助とか指導を与えなければならぬ、こういうふうな考え方を持ちまして、そうして現にそういうりつぱに成績をあげておられる団体もたくさんあるのでありますから、そういう点を考えて、大きな希望を持つてやはり今後この地方財政の問題に努力して参りたい、こういうふうに考えております。
  10. 井上良二

    井上委員 根本的には地方財政再建整備法案政府考えているようでございますが、問題は地方財政再建整備をいたさなければならぬようになつたというこの事態は、政府地方財政に対する怠慢によるので、こういうしりぬぐいをしなければならぬということになつたことについて、私どもとしてははなはだ遺憾に思います。特に現実に、各地方団体において給与未払いが相次いで起つておる、この給与未払いに対処するため、唯一のたよりにされておるのは政府資金短期融資であります。大蔵省では従来、短期資金融資がいつの間にか赤字に固定してしまつて短期資金融資の目的をはずれておるというところから、今後短期資金については相当厳格にやつて行きたい、こういうように伺つておるのでありますが、そのこと自身は非常に大切でありますけれども、問題は、この給与未払いを生じた府県は、それならば一体どこへたよつてつたらよいかということになりまして、結局政府短期資金にたよらざるを得ないことになり、一方この政府デフレ政策というものが浸透して参りまして、相当小口の預貯金が最近ふえて参りまして、いわゆる政府資金にまわるものはどんどんふえて来ておるのではないかと思います。そういうことから考えて、一体この政府短期資金にまわそうといたします原資の状況、その実情はどうなつておるか、つまり短期融資見通しについてこの際具体的に伺つておきたいのであります。  それからいま一つ警察法施行によつて地方財政に生じた赤字は、自治庁が見積りましただけでも全体で大体四十億くらいになつておりはしないかといわれておりますが、自治庁では一体四十億の警察法施行に伴う地方財政赤字をどう処置しようとするのか、政府は、地方自治体の持つておる自治警察府県国家警察に移行した建前から、当然この自治体警察法施行に伴う赤字については責任があるわけであります。この四十億の赤字に対して、大蔵当局は一体どうこれを処置しようといたしますか、この二点をまず伺いたい。
  11. 阪田泰二

    阪田説明員 政府資金地方公共団体に対する短期融資余力といますか、そういうものについてのお尋ねと了承いたしますが、御承知のように資金運用部といたしましては、長期資金運用計画——これは国会の御了承を得て毎年立てておりますが、これによりますと、本年は大体千五百八十億円程度資金増加を見込みまして、それと同額に運用するように計画が立つておるわけであります。従つて長期資金関係におきましては、ふえた資金を全部使うということに一応なつておるわけです。ところが実際の運用におきましては、いろいろ預貯金その他だんだんと増加して参りますが、運用として出す方のものの時期にいろいろずれがありますため、その間短期にまわし得るという余力が出て来るわけであります。そういうような意味で、地方に対しましても短期運用し得る余力が出て来るわけであります。その金額といたしましては、いろいろ現在余裕がありましても、いつごろそれじやその金を的確に短期にまわして行けるかということになりますと、いろいろ内容的に問題がありますので、現在何億金があるから、それはすぐ短期にまわし得るというふうに的確には申し上げかねるわけであります。ただ、今のお尋ねのような地方団体短期資金の奄、地方団体の方のいろいろ歳入歳出ずれに伴いまする短期資金不足というものに融資し得る資金は、現在のところでは、資金わくとしては十分にまわし得るというふうに考えておるわけであります。  なお簡易保険の方も、資金運用部と同様、大体百億程度短期資金を出しております。これは大体この程度わくで今後も出し得るものであろうと考えております。  資金余裕といたしましては大体そういうことでありまして、現在のところ最近の資金繰りの状態では、地方団体短期金繰り程度はまかない得るものである、こういうふうに御承知願いたいと思うのであります。
  12. 正示啓次郎

    ○正示説明員 警察制度の切りかえに伴う地方財政財源不足についての御質問でございますが、これは井上委員も御承知通り、従来の国家地方警察と、市を中心といたしました自治体警察、これが府県警察一本になり、多少国費支弁中枢機関、いわゆる管区機関、こういうものが残つております。そこで自治庁の推計で云々というお話もございましたが、実は先般来地方行政委員会でもやはりこの問題が取上げられまして、いろいろ御質問があつたのであります。率直に申しまして、全体の金は、これは大ざつぱに申し上げますと、従来国費で全部まかなつておりました国家地方警察のうち府県移つた分は、そちらの財政計画に織り込んだ。それから市町村、おもに市でございますが、市の財政計画に入つておりましたいわゆる自治体警察経費は、財政計画上府県の経費として織り込んだ。ただ五大市だけは従来通りになつておる。そういう筋でございますから、その筋から申しまして、大きな狂いはないはずでございます。大体の数字を申し上げますと、二十八年度の予算では、国費は二百十六億、地方費が二百六十一億、合せまして四百七十七億であつたのであります。これがベースアップその他の関係で、国費が二百三十八億、地方が二百八十五億、合せて五百二十三億くらいに、放つておけば、そのままの制度で行くとなつたはずであります。これを切りかえまして、御承知通りこれは七月からの切りかえになつておりますが、国の方では百五十三億、地方の方では三百大十九億、合せて五百二十三億、こういうふうに国から地方へ移し、あるいは市から府県の方に移した、こういう操作をいたしたわけであります。  そこでただいまいろいろお話があるのでありますが、これは私どもとしては、たとえば先ほど来お話のように、給与の水準の問題が一つあろうかと存じます。また通信費の問題とか、旅費の問題とか、いろいろ指摘をされておるのでありますが、一つは今申しましたように、なお百五十三億というものを国費で支弁することになつておるわけであります。この金がどういうふうに使われるかということでございますが、これは大体国家的な事犯ということを想定いたしておるのでありますが、そういうものが現実警察活動のうちでどの程度になるかということが一つあろうかと存じます。それからもう一つは、市の方から府県に移されました経費の見方、これが一体どういうことになつておるかという点もあわせて検討しなければならぬのであります。そこでいろいろ地方からの御指摘の点もございますので、それは最初から私どもとしては予定いたしておつたのでありますが、七月一日で切りかえられた実情をまず把握することが前提になろうかと存じます。そこで最近自治庁、警察庁、大蔵省の三者が共同いたしまして、実態調査をいたすことにいたしております。それでまず実情を把握いたしまして、ただいま申し上げましたような状況について正確にまず実情を調査いたしました上で、これに対する対策を講じなければならぬ。実はこういうふうに考えているのでありまして、今御指摘のように、伝えられるような数字があることはあるのでありますが、これは私どもとしては全体のわくの中で大体処理できるような問題ではなかろうか、こういう考え方をもちまして、今後できるだけすみやかにまず実態の調査をいたしたいと考えているわけであります。
  13. 井上良二

    井上委員 一つは今の短期融資の御説明でありますが、給与未払いに対する融資を申し入れた場合、さしあたりやれるというのは、実際上百億くらいありますか。具体的にひとつ御説明願いたいことが一点。  それからいまひとつ。今正示さんから御丁重な御答弁がございましたが、正示さん、つまり大蔵当局のただいまの御説明では、自治庁としては警察法施行に伴う地方団体赤字がそれによつて合理化されるとお考えになつていますか。また実態を十分把握してというお話ですが、それは一体いつになつたら具体的に実態を把握し得るのですか。それを一応具体的に御説明願いたい。
  14. 阪田泰二

    阪田説明員 具体的な数字でありますが、現在地方公共団体短期融資として出しております金は八十四億ほどあります。そのほかにただいまお話のように、百億程度の金は、資金として出せばもちろん出し得る程度短期余裕は持つております。ただ先ほど申し上げましたように、これは長期資金運用計画がありまして、ふえた金だけ長期の運用にまわす、こういう計画になつておりますから、短期の金はだんだんと、ことに年末にかけまして長期の運用にまわさなければならないわけであります。従いまして、そのときまでに短期で貸しておつた金が返つて来ないということでは、長期の運用ができなくなつてしまう。従いまして現在俸給が足りない、そこで短期融資をする。しかしこれが実質上赤字に対する融資にかわりまして、いつまでたつても回収ができないということになりますと、正当な長期の融資を受けるものに対して、今度はそのために金がまわらなくなる、こういうことになりますので、やはり回収の見込みを、言いかえますれば融資先の財政計画というものをやはりはつきり検討した上で、年度内にもどつて来て、それを正当な運用にまわし得るというような見通しを立てなければ、現在金はありましても簡単に貸すわけには行かないということになるわけでありまして、そういうようなことで、融資の申込みがありますものにつきましては、財政の整備計画見通し等を検討いたしまして、一々個々に決定いたしている実情であります。
  15. 鈴木俊一

    鈴木説明員 警察費の問題につきましては、いろいろ御指摘があり、また正示次長から御答弁がありましたように、地方団体、ことに府県といたしましては、これを非常に問題といたしているわけでございます。当初自治庁が一応予定をしておりました警察費の額と、また各府県現実にその方針で計上をいたしました予算の数字との間には相当の開きがあるようになつております。これは同じ方針でやつたのにかかわらず、そういう開きがあるのはどういう点にあるかということになつて来るわけであります。知事会の方ではあまり開きがあると申しているのでありますが、しかしそれは、やはり一つ一つ問題をよく拾つてみませんと明らかにならないのでありまして、ただ抽象的には、いろんな給与関係の問題でありますとか、退職手当の関係の問題でありますとか、あるいは通信費の問題でありますとか、あるいは異動のための特別にいる特殊な旅費でありますとか、あるいは電話の通信線の修理費の問題でありますとか、それぞれの問題なり、あるいは巡査の見習生の問題でありますとか、休職者についてどうなつておるかというようなそれぞれ問題の点がございまして、そういうような点は先ほど大蔵省の方からお話がございましたように、自治庁大蔵省、警察庁三者共同いたしまして実態調査をしている、その実態調査に基いて必要な措置を講ずる、こういうことにいたしておるのであります。実態調査をいたしませんと、やはり各県によつてそれぞれ予算の編成上の方針が若干違つておりますから、それをただ生のまま集計をして、足らないものを出すという式のものには参りませんので、やはり一定の基準に従いまして、はたしてどういう数字が出て来るかということを、はつきりと実態を把握しまして、その上で必要な措置を講じたい。その調査は、八月三十一日までに資料を提出してもらうことにいたしておりますので、大体九月の中旬、遅くも下旬までには全体の資料がまとまり、それに対する措置についての政府の究極的な所見も把握することができると考えておるのであります。そういうことで、目下鋭意調査中でございますので、それまでしばらく御猶予願いたいと思います。
  16. 井上良二

    井上委員 もう一度理財局長に伺うのですが、あなたの説明を聞いておりますと、全体の普通の長期資金計画といいますか、その資金計画が立つてつて、その資金計画に、事業の性質上時期ずれになるものがある。そこでその計画に乗らすまでの期間の余裕の金を短期資金にまわしたらいいというようなわくがすつかりきまつてつて、そのわく中における操作しか実際にはできないような御説明であります。ところがさきに申しましたように、政府デフレ政策の結果購買力は低下をいたしまして、その低下しました部分が預金となつて、これがはね返つて来ておるわけでありますから、従つて政府の預金部資金その他による原資の増加というものが予想され得るのです。だからそういう預金部の方における預金高の増加による原資の増加ということは、全然最近は、昨年かことしの春立てました資金計画通り一向ふえないということになつておりますのか、原資はふえておりますのか。問題は原資がよけいふえればふえるほど、資金計画関係なしに、それだけは短期資金に貸せる資金がそこに出て来るわけです。だから私どもは、実際上は預貯金が相当増大して、あなたの方の手元に相当余裕ができておる、こうにらんでおりますが、さように預金は増大してない、こういうことで、あくまで石橋をたたいて渡る採算の上に立つたわくを固持されての御説明のように伺いますから、その点を伺いたいのが一つです。  それからもう一点、正示さんに伺いますが、ただいま鈴木さんからの御説明にありました通り、大体来月に具体的な資料が整うそうですが、その整いました結果、それから出て参ります地方団体の当然負担となる赤字については、大蔵省はこれを見るに確信をお持ちですか。それはまたそのときに考えるということで行きますか。これはちようど昨年度産米のバック・ぺイと同じで、一応こういうようにするときめておきながら、今日になつてどうのこうのということでやらぬということを盛んに大蔵当局は言つておるというので、全国農民の憤激を買つておりますが、まあひとつ具体的に資料を出してくれ、出せば私ども考える。考えるというのは、ほんとうに赤字が出たならばそれは見てやろう、こういうことに腹をきめておるのでありますか。そこの確信をお聞かせ願いたいと思います。
  17. 阪田泰二

    阪田説明員 先ほどの御説明はちよつと不足でありまして、確かに御指摘のような資金運用部の原資の増加としましては、千五百八十億を見込んでいるわけでありますが、これの実績はどうかという問題があるわけであります。それでその実績につきましては、私どもいろいろ心配な点がありますので、しよつちゆう見ているわけでありますが、大体原資の増加の中のおもなものは郵便貯金でありますが、昨年は八百億ほど増加したのであります、ことしは九百億の増加を見ておるのであります。この増加状況を見ますと、実は四月、五月あたりは予想よりもやや悪くて心配したのでありますが、この六月、七月はかなりいい成績であります。六月は百億、七月はちよつとはつきりいたしませんが、百五、六十億程度のものがある、年度全体といたしましては、今の状況ならば九百億、あるいは多少それを上まわることがあるのではないかというように考えております。ただ郵便貯金は何といいましても、第三、四半期状況がどうなるか、これが非常に問題点でありまして、あまり早まつた見通しをすることはなかなか危険であろう思います。それからその他の資金につきましても、実はいろいろと新しい要素が出て参りまして、増減があるわけでありますが、たとえば厚生年金保険の資金等につきましては、これは保険料を引上げまして、資金も相当増加するように見込んでおりましたが、法律の改正の実施が遅れまして、その関係上どうも見込んだほどの資金増加が期待できなかつたという要素がございます。またたとえば失業保険等におきまして、失業者が増加いたしますので給付がふえる、従いまして失業保険会計が資金運用部資金を引出して給付に充てるという事態が起つて参ります。そういつたような増減両方の要素がありますので、現状といたしましては、大体におきまして総体をしめたところで、当初の計画通りのところにまずまず大体行くのじやないかという程度の目標を立てているわけであります。この点はこれからも十分慎重に検討して参りたいと考えております。
  18. 正示啓次郎

    ○正示説明員 お答え申し上げます。御承知のように先ほど申し上げたような全体のわく、これは国と地方とわけたわけでございます。このわけ方につきましては、大蔵省は一応警察庁と自治庁のおつしやる線をよく研究いたしまして、大体正しいというところでこういうようにわけたわけでございます。そこでやつてつた結果、今のようないろいろ問題が起つているわけでございますから、まず実情がどうなつているか、これを調べることが先決である、こういうふうに考えているわけであります。そこで警察庁といい、自治庁といい、その道のヴェテランがそろつておられるところから資料を出して来られたのだから、これは基本的に間違はあるまい、私どもは絶大なる信頼を置いている。そこで問題は、先ほども申し上げましたように、国の方でとつている金と府県で今度当てられた金、ということは、すなわち国からある程度減らして、市町村から持つて来たわけでありますから、その持つて東方がどうであるかということになるのであります。要するに今のところは結果が出ておらないわけであります。話がかたくなつて恐縮でありますが、そういう過程に対して、結果の出ない問題に対しては私は実ははつきりしたことは申し上げられない、こう申し上げるのでありますが、これでは井上先生におしかりを受けますから、われわれとしては国及び地方を通じまして財政計画を検討いたしたい。しかしそれは、全体としてのわくの外に出るというようには、私は今急いで結論をつけたくはないのでありまして、さつきも申し上げましたように、日ごろから絶大なる信頼を置いておる方々からお出しくださつたデータによつて組んでおるのだから、これはわく内でうまく処理できるというようにただいまのところは信頼をいたしておる。そういうふうな実情を調べました上で、その処理については事務的に研究いたしたいと、かように考えております。
  19. 井上良二

    井上委員 問題は、今お話を伺つておりましても、地方財政の行詰まりについて根本的には再建整備をやり、地方財政財政計画というものを十分今後立てて、誤りないような指導もして行きたい、こういうまことに抽象的なことでありまして、それに一体自信を持つておるかどうか。かように地方財政が大きな赤字をかかえ、しかも調べてみますと、赤字の出ております府県は、御存じ通り十一府県市町村では千三十八町村に及んでおります。そして金額は、府県において四十五億、市町村において百十億、合計いたしまして百五十億からの具体的な実際の赤字が出ておるわけでありまして、これらが、主として具体的に人件費その他によるものが非常に多いというようなことになつて来ますと、人員を整理するということが一つ言われており、あるいは昇給停止するということが言われており、あるいはまた既定の自主的事業を中止するという事態まで生む結果になつて参りますから、この解決というものは容易ならぬ問題であろうと思います。そこでさしあたり給料遅払いに対する処置としての短期融資も、はつきりそういう府県が起つた場合は、事態深刻であり、急を要するということから、必要な短期融資は用意をして、緊急の事態対策に充てる。根本的にはこういうようにやるつもりだけれども、さしあたりはそうするよりしようがないということで、短期資金計画についても、どうもたよりのないようなまことに不安なようなお話であります。いま一つ具体的に現われております警察制度の移行に基く問題にいたしましても、当然政府の方では、全体のわくの中で何とか処置ができぬものか、できる合理化の具体策を講じようと大蔵省考えておるし、片一方の方ではやはり実際に赤字が出るものは当然負担をしてもらわなければならぬという考え方に立つておる。ここに食い違いが起つて来ておるわけです。だから具体的に大蔵当局としては、不必要な支出を認めるわけには参りませんけれども現実財政窮乏し、赤字が累積しておる地方団体に対して、当然国の政策の変更によつて起る赤字は、穴埋めをしてやるのでなければ、ほんとうの地方自治体というものの確立はできません。さようにこの地方団体の問題は、非常に大きな影響を持つて来ておるのでありまして、これは自治庁大蔵当局との間で、財政的にもつと私は抜本的な対策を至急に立ててもらいたいし、なおこの抜本的対策を立てる一つの方法として、単に政府地方団体に対して交付金を渡すとか、あるいはまことに不確実きわまる税を地方に委譲するということだけでこの問題は解決いたしません。国がみずから最も確実な徴収のでき得る所得税とか法人税を握つておりまして、地方団体はまつたく不確実きわまる遊興飲食税とか、固定資産税とか、あるいはタバコ消費税とか、景気の変動によつて非常に不確実に動く税をたよりにしてやつておりますから、こういうことで地方財政が確立するはずがありません。根本的に税制の建前においても、地方税制との総合的な観点から考えてやる必要が起つておるわけです。ぜひさような見地から、当面急を要する問題に関して、自治庁当局と大蔵当局とで、ほんとうに腹を割つて、一体どうしたらいいかということに真剣に取組んでもらいたいと考えます。これは政治的な問題で、事務当局の問題でないということになるわけだけれども、あなた方が実際は事務の最高責任者でありますから、これらの点について御所見を伺つておきたいと思います。
  20. 鈴木俊一

    鈴木説明員 地方財政の慢性的な赤字の現象に対しまして、ことに最近激化して参りました赤字状況につきまして、非常に御心配になつての御意見でございまして、私ども地方自治の関係の仕事をやつておる者といたしましては感謝にたえないところであります。先ほどもちよつと申し上げましたように、この地方財政赤字を解決するということは、これはほんとうに並々ならぬ努力を今後要すると思うのであります。ただその赤字には、地方団体財政運営が適切でないという面も原因となつておりましようし、また国のすべての場合の財源措置というものが、必ずしも常に適切に過去において行われて来ておつたということも言い切れないと思うのでありまして、原因は両面にあると考えておるのであります。従つてそのような原因に応じた措置をそれぞれ打たなければならない。国の面において調整をしなければならぬ点につきましては、ただいまお話のございましたように、私どもといたしましては大蔵省関係当局と今後とも十分協議をいたしまして、何らかの打開の方策を考慮して参りたい、こう考えておりますし、半面また地方団体に対しましても、従来とかくこの赤字は国の財政計画が悪いんだ、国の各種の補助金政策が悪いんだという、国の政策が悪いということがあまりにも強調されて、自主再建という機運において若干欠くるところがあつたのではないかということさえ看取されて来ておりますので、私どもといたしましては、半面国に対してお願いいたしますことは十分お願いいたしますけれども地方団体に対しましても、もつと自主再建の点を強く主張し、強固な決意を持つてつてもらいたい、こういうふうに要望いたしております。ただその際実際問題といたしまして、単に知事がそういう気持になりましても、県会と調和がとれておりませんとこれがうまく行かない、あるいは府県知事と県会がそういう気持になりましても、各種の行政委員会との間で話がうまく行かなければ結局再建計画が実行できない、こういうことに相なりますので、財政再建計画というものはその県なり市町村が全体としてこれを実施して行かなければならぬものである、こういう一種の制度上の調整的な措置を持たせることが必要ではないか。先ほど再建整備計画中には一種の非常措置権のようなものを与えて、ある程度思い切つた措置ができるようにすることが必要ではないだろうか、そういうことを研究しておると申し上げたのはそういう意味なのでございます。やはり何らかそのような措置を半面において講じませんと、自主再建の決意は持つておりましても、なかなか実が上らない、こういうように考えられますので、どうしても先ほど来申し上げました再建整備法案の中において、今申したような点もこれを実現いたし、地方団体がほんとうに決意と気魄を持つて再建をはかろうとするなら、それができる、こういうやはり一つ措置を与える必要があろうかと考えておるのであります。今後大蔵省と十分ひとつこの点は話し合いまして、早急に何らかの解決策を得たいと考えておる次第であります。
  21. 内藤友明

    内藤委員長代理 午前の会議はこの程度にいたしまして、午後一時半まで休憩いたします。    午後零時十一分休憩      ————◇—————    午後一時五十五分開議
  22. 内藤友明

    内藤委員長代理 休憩前に引続き会議を開きます。  税制に関する件、金融に関する件、国有財産管理状況に関する件の三件を一括議題として審査を進めます。質疑の通告がありますので順次これを許します。宮原幸三郎君。
  23. 宮原幸三郎

    ○宮原委員 私は、国連軍への供与国有財産の返還状況についてまず管財局長に質疑をいたします。これに関連して、主計局のお方が見えましたらあわせて後に質問をいたします。私の質議は、英軍の場合にも一部共通の面もあることと思つております。政府は第十九国会において承認となりました国連軍協定提案理由の説明においても、また同協定の説明書においても、国連軍は相当数の施設の返還を用意しているという観測を強調していらつしやつた。また四月二十日の本院の外務委員会における調達庁の堀井政府委員の答弁では、相当数の施設の返還は今後の折衝に待つと発言されておりますし、また四月二十六日の同委員会における外務省の伊関国際協力局長の答弁でも、基地の公共団体が必要とする施設はなるべく早急に返還させる方針であると声明されました。国連軍の施設使用を無償として均等待遇を与えた一面の理由は、実に不用施設の返還を促進することを期待されたからにほかならなかつたことは、当時の事情ではつきりいたしております。政府はこの不用施設の返還については、国連協定当時の既定方針を強化されるべきものであつて、もちろん一歩も後退せられてはいないものと思うのでありますけれども、この既定方針を私の質問の第一において再確認をいたしたいと思うのでありますが、管財局長の御所見を伺つておきたいと思います。
  24. 窪谷直光

    窪谷説明員 国連軍協定に基きまして国連軍側に提供をいたしております施設でありますが、これは協定が成立する前におきましても、御承知のように数次にわたりまして返還の折衝をいたしたのであります。その結果、国連協定の発効とともに返還するという約束でありましたものは、呉の広地方におきまして、土地で十万九千三百十七坪……。   〔発言する者あり〕
  25. 内藤友明

    内藤委員長代理 私語を禁じます。
  26. 窪谷直光

    窪谷説明員 建物におきまして四千二百四坪というものは即刻にと申しますか、できるだけすみやかに返還をするという約束をとりつけたのであります。この分につきましては、もうほとんどその約束が実行されていると存ずるのであります。ところが私ども希望しておりましたのは、これだけの返還ではございませんで、もう少したくさんの施設を返還してしかるべきだという交渉をいたしておつたのであります。この点につきましては、協定の成立までにはとりきめができなかつたのであります。その後におきまして、地方委員会におきまして各施設について個々にその実情を検討した上で、それぞれ日本側は日本の中央機関に、国連軍側は国連軍の中央機関に意見を申達した上で、中央において処理をいたすという手はずに相なつてつたのでありますが、この委員会の実情調査はまだ十分にできておらないような状況であります。従いまして、それ以外の施設につきましては、さしあたり返還を現することはなかなか困難な状況があろうかと思いますが、日本側としては、従来の努力は依然として継続して行くべきものだというふうに考えている次第であります。
  27. 宮原幸三郎

    ○宮原委員 すでに国連軍協定が成立後数箇月経過しておりましても、ただいまの御答弁にありましたような、わずか土地で十万坪、建物で四千二百坪というような程度のものにしかすぎないのでございます。政府はしきりに相当数の施設返還と言われるけれども、現在は土地だけでも百十一万坪も国連軍は使用しているのに、その返還されているところはその一割にも足りないというような状況であります。これでは相当数の返還どころか、きわめて僅少軽微な返還にすぎない。しかも返還されておる施設は土地十万坪、建物四千二百坪といわれても、いろいろ条件つきだ。たとえば代地を提供せいとか、移転費用は日本側で負担しろ、共同使用をしようというように、みないわくつきの返還の仕方であります。これでは国連軍協定の承認を求められた政府としては、この承認を求めるがための羊頭狗肉の一種の表現をせられたというような誤解さえも起るのじやないかと思う。いずれにせよ不渡り手形にならないように、大蔵省管財局において、国連軍との合同委員あたりを強硬におつつばりいただかなければならないであろうと思うのでありますが、この点についての御意見はいかがでありますか。
  28. 窪谷直光

    窪谷説明員 国連軍協定が成立します前若干の期間は、向う側との折衝の事務的な窓口は、一時管財局でやつてつた時代があるのでありますが、国連軍協定が成立しましてからあとは、協定に基きます機関によるわけであります。外務省が向うとの折衝にあたりまして、国内関係は調達庁がとりまとめをやることに相なつております。管財局といたしましても、向うで不用と申しますか、節約して使えばもう少し縮められるというような余地があれば、当然返還を要求すべき筋合いでございます。それらの点につきましては、現地の委員会の意見も聞いた上で、外務省なり調達庁なりにその要求を伝達をして、一緒に返還の仕事に当りたいというふうに考えております。
  29. 宮原幸三郎

    ○宮原委員 基地の実例は、私から釈迦に説法しないでも管財局においてもよく御存じとは思うのでありますが、事柄はあまりに基地を圧迫し過ぎている。ただいまの御答弁の中にも、何か施設の最小限度の節用を先方にさせるのが御方針のような御言明がありましたけれども、実際問題といたしますると、大蔵省のあなたの方の出先機関の説明によりますると、呉市内の旧海兵団地区というものが十万坪ありましようか、その地区に旧海兵は一万人から収容していた。いくら国連軍であるからと申しましても、僅々三千か四千しかいないその国連軍が、百十一万坪というような厖大な地域を必要とするということは信じることができないのであります。それは調査視察等をなさる場合には、いかにも全面的にフルに使用しているかのごとくカムフラージユをして視察者に見せるというのが実情のようでありますけれども、その手に乗つてはならないだろうと思うのであります。統計くらい真実を語るものはありません。三、四千人の少数の国連軍が百十一万坪というような厖大な地域を使うということそのことが、すでにもう施設の濫用ということを意味しておると思うのであります。それで独立直後は英連邦側が、これから先は占領軍ではないのだ、お客として置いてもらうのだからというような、いかにも礼儀と節義を守るがごとき外交辞令を振りまわしていたこともあつたのでありますが、爾来独立後の二年有半の実績というものは、お客さんではなくて、むしろゆすり類似の行動の連続であつたと言つても過言ではないように思うのであります。従いまして、彼らはわれらの国土、基地の施設を、あるいは戦利品か鹵獲品と考えているのかもしれないというような感じさえわれわれは持つのです。幸いにして朝鮮休戦が長期にわたりまして、国連軍増強の根拠というものはます、ます薄弱になつて来ている。単なる国際法上の通過地であるにすぎないところの基地に客分として駐留する国連軍には、この際施設の節用を徹底的にさせて、そして不用施設の全面返還を実行するのが適切妥当なる態度と思うのであります。昨年基地におきまして、都心から他の地区への全面移動を駐留軍に政府側から提案されたことがありましたが、その際、もしも移動中に朝鮮動乱が再発したならば用兵作戦に支障を来すということを口実に不同意をとなえたのでありますが、国連軍側がかくのごとき口実を繰返すことはもうすでにできなくなつておる。そういう点から、この基地の状態を御観察願いまして、そうして返還折衝の具体的目標及び具体的目標達成の時期並びにその方法、たとえば合同委員会は活用されているものであるかどうか。大蔵省は十分イニシチアーヴをとつておられることでありましようけれども、その辺のところはどうなつておるか。先ほど申されましたけれども、現地委員会というものははたしていかなる成果を現在あげているのであるか。この不用施設の全面返還を達成するための目標として、基地の中心部、重要地点から他の地区へ移動させるという意向は政府側にはないのか。また日本の防衛庁、自衛隊の必要とするところの地区、たとえば呉市においては、新宮地区のごとく、その中に前潜水学校跡地がありますが、かくのごとき方面に自衛隊を持つて行く、そうしてこういう特殊必要施設を国連軍に明け渡さしめるというような御方針はいかがになつておるか。また地元から具体策も政府側に申達いたしておるはずでございますが、これに対する大蔵省側の御見解はいかが相なつておるのでありましようか。
  30. 窪谷直光

    窪谷説明員 向う側の返還が非常に不十分であるという点につきましては、私も同感でございます。従いましてさらに返還の折衝は継続してやるべきものと考えておりますが、ただどれがどういうふうにということになりますと、やはり現地でよく実情を調査しなければならぬかと存じます。従来は現地にそういう委員会がありませんで、現地の人といえども、なかなか向うの施設の中に立ち入つて調査することができなかつた。また中央から人が参りましても、ごく短期間の調査でありますので、なかなか実情の把握ができなかつたのでありますが、これからは現地における委員会においていろいろの調査が出て参ることと存じます。ただ今日までのところは、調査の途中であると思われるのでありますが、成果としてあがつて来ているものはまだございません。なお呉市の中心部にある施設を移すということについてどう考えるかということでございますが、これは向うの経費で移るということについては非常にけつこうなことでありますが、向うはなかなか男の経費で移ろうということは言わないのであります。従つて日本側で移つてもらいたいというときには、そのかわりの施設を建ててくれ、あるいは修理をしてくれ、あるいは移転の費用を出してくれというふうなことを言つておるのであります。これは私からお答え申し上げるのはいかがかと思いますが、なかなか財政上の負担もそう簡単には出せないというようなことから、その方の実現もなかなか困難であるというふうに考えております。なおそれと関連して、防衛庁の方の施設との関係でありますが、これにつきましては、防衛庁の方では相当大きな規模のものと申しますか、今度返されたものを相当防衛庁に使わしてもらいたいというふうな希望の表明はございます。しかしながらこれは呉の地元の実情をよく調査した上でなければ決定いたしかねる問題であります。それらの問題につきましては、目下調査をいたしておるような状況でございます。
  31. 宮原幸三郎

    ○宮原委員 ただいまの施設返還に伴う負担のことを管財局長は申されましたが、何か誤解をしていらつしやるのじやないでしようか。四月二十六日の本院の外務委員会で、伊関政府委員は「施設提供に伴つては日本側に負担をかけないということになつておりますから、その補償そのものは国連軍側からとるという考えでおります。」という言明をしておられる。これは私はきのうも念のためにもう一度速記録を見たのでありますが、そういうふうになつておるのであります。ですから、もうあきらめてしまえばそれまでで、あちらが喜ぶだけで、日本側が負担をすればそれは国連軍は喜ぶでしよう。そうなつていないように外務省の担当官は言つているのであります。こういう点もよくお考え願いまして、今後の御善処を切望いたしておきます。  ただいままでの御答弁でわかりました通り、施設の返還というものはまつたくできていない。また今後についても、それから地元の意見を調査して将来に対処するというような、まことに漠とした御見解でありまして、この順で参りますと、もう施設の返還でもしようというときは、国連軍が朝鮮を引揚げるときと同時かもわからない。そういう状態でありましたならば、この未返還というものが相当長期にわたる危険を感ずるのであります。そうあつてはならないのでありますけれども、その場合における地元の被害については、政府はどういうお考えをなされようとするのでありますか。主計局のお方がお見えになつておりますから、これは主計局のお方にお尋ねいたします。代替施設を建設するとか、税源を喪失した者に対する補償とか、いろいろある財政需要に対する補償、民間の農水産補償、いろんな補償がある。ことに最近は代替施設——承知のように戦車とか重いトラックとかで道路をこわす。この道路をこわす損壊率というものは、駐留軍がほとんど六〇%、七〇%を占めておる。こういう問題を代替施設の建設によつて補償すべく、ただいま政府側において、地元の要望をも考慮せられて、予算措置をなされようとしつつあるのが情勢のように伺つておりますけれども、これに対して政府は徹底的な補償をなさるべきものである。予算とか財源不足をするというような理由では、これを拒否する理由にはならないであろうと思うのであります。これは一種の天災やまた地変ではないかもしれませんけれども、これに準ずるだけの被害を受けているのであります。現在予算査定に入つていらつしやると思いますが、おさしつかえない限り、これに対する主計局のただいまの御方針をこの際伺いたいと思うのであります。
  32. 谷川宏

    ○谷川説明員 お答え申し上げます。ただいま御質問になりました国連軍駐屯に伴いますいろいろな補償の問題でございますが、この問題につきましては、前の国会におきまして主計局長から申しましたように、筋の通るものにつきましては、できる限り予算措置を講ずるということに相なつておりまして、地元からの要望を広島県でとりまとめまして、相当厖大な要求が出たのであります。その後再三地元選出の参議院、あるいは衆議院議員の方々と懇談いたしまして、現地調査を行おうということになりまして、その結果調達庁の方でとりまとめまして、私どもの手元に出て参りましたのが総額で十六億円くらいになつておりますが、これにつきまして、個々の事案をどう扱うかという点につきまして、目下私どもの手元で関係各省と折衝しております。最近も主計局の方から現地に出かけまして、調達庁の要求の個々につきましてさらにもう一応調査するという段階になつておりまして、できるだけ早く、また認めることができるものにつきましては予算措置を講じて行きたい。その額がどの程度になりますかは今後の調査の結果にまつ以外にはないのでございますが、できるだけ御要望に沿えるものは沿つて行きたい。たとえば道路が相当損傷をこうむつているというものにつきましては、駐留米軍の場合に先例がございますので、それらの先例にならいまして、あるいは港湾あるいは砂防工事等につきましてもそれぞれ先例がございますので、国連協定は臨時的な協定でございますが、その点も考慮しまして、でき得る限りの予算措置を講じたい、かように考えます。
  33. 宮原幸三郎

    ○宮原委員 やはり国連軍基地の呉市に関連することでありますが、旧海軍の文官に退職賞与が一時支給されて、その一部は現金払い、一部は銀行預金で支払う。そうして後にマッカーサーの方から指令が出たりいろいろなことがあつて、銀行の定期預金を政府の方でお取上げになつた。その後マッカーサー指令が解除になつたが、そのままになつている退職賞与の問題があるのであります。この問題を大蔵省においていかに処理せられようとするのであるか。外国の在外預金でさえももうそれぞれ調査して支払いを促進しようかというときに、すでに一旦支給した預金証書を取上げつばなしにしておくということはまことに了解に苦しむ。この問題をいかがお考えになつているかということをこの際伺つておきまして、その他の問題は後日にして、今日はこれで私の質問を終ります。
  34. 岸本晋

    ○岸本説明員 ただいま御質問のございました終戦当時支給した退職賞与の取扱いでありますが、これを一度マッカーサー司令部の指令によりまして取上げたことは事実であります。これを現在そのまままたもとにもとしてやれということになりますと、技術的にもまた法制上もいろいろ難点があるのでありますが、そういう点を抜きにいたしましても、財政上から見まして——当時の引揚げた金がたしか二、三十億だつたと存じます。正確な数字はただいま記憶しておりませんので失礼いたしますか、たしか二十億ないし三十億の金であります。それを今の貨幣価値に直しますと一千億を越すのでありまして、財政上もとうてい負担にたえきれない。先ほどちよつと申し上げました技術上の問題、法制上もはたしてそういうことができるかどうかという問題がございますので、ただいまにわかにこの問題を取上げて処理をする段階にはないように存ぜられます。
  35. 柴田義男

    ○柴田委員 管財関係の方に承りますが、この間九州方面に国政調査に参りましたら、国鉄が現在事業を行つております志免炭鉱が、たまたまわれわれが聞きまするに、志免炭鉱そのものは大蔵省の普通財産と申しましようか、何か財産になつておるが、現実には国鉄が石炭を掘つておる。しからばその鉱業権はどうなつておるのかと聞きましたら、鉱業権を持つておらぬ、租鉱権はあるのかと聞いたら租鉱権もない、まつたく石炭の掘り方としましては違法をあえて行つていたわけなのですが、経緯を一通り聞きますると、前に海軍省の直営の石炭鉱山であつた。それが運輸省に移り、運輸省からそのままの姿で国鉄に移つて現在に至つておるのだという事情で、どういう関係昭和二十三、四年から五年も六年もそのままの状態国有財産を国鉄にただ使わしておつたのか、賃貸料をとつて——しかもとつて使わせるということ自体も鉱業法からいえば違法なはずなのですが、どういう処理をとつてつたのか、その点をまず承りたい。  もう一つは東北から北海道へかけまして国政調査をやつてみまして、各地の財務部を調査いたしましたところが、戦時中にあつた営団の引継ぎ財産か相当残されておるわけなのですが、その引継ぎ債権の回収状況というものは、どこの財務部を聞いてみましてもあまりよく行つておらぬようであります。特殊な小部分のところは割方成績のいいところもありましたが、そのうちでわれわれが最も奇怪に思いまするのは、配炭関係のもの、あるいは産業復興営団と申しましたか、あれの引継ぎ財産というものの回収率が非常に悪いようでございましたが、これは全国的傾向であるのかどうか。  それからもう一つは、この各種の営団の引継ぎ財産でも、非常に小額な債権が残されておつて、その小額債権でも、請求する場合には、やはり同じ手続をとつておるのか、たとえば、非常に少い例なのですが、百円の債権があつてもやはり十円の切手を張つてしばしば請求をしなければならぬというのは、現行許された法律でそうなつておるのか、この点を承りたいと思います。
  36. 窪谷直光

    窪谷説明員 今国鉄が使つております志免炭鉱でございますが、これは柴田先生御承知のように、もと海軍で自営をいたしておつた炭鉱であります。終戦後国鉄が自分の炭に充てるためにそれを運営いたしたいというから、運輸省に引継ぎをして、当時公社ができますまでは国営でございましたので、鉱業権等の問題も深くは考えないでやつたと思います。ところがその後特別会計から公社という性格に切りかわつたのでございます。そのときにきちんと本来整理すべきものであつたと思うのでございます。それでこの問題は、運輸省が国鉄が持つておりました船を朝鮮に引渡したのがございます。これは一般会計でやるべき仕事を、さしあたり現物を国鉄が持つておるので処理をいたしました。その処理をいたしますために、昭和二十五年に法律が一本出まして、それを物々交換で整理をするということに相なりました。その処理が非常に手間取りまして遅れておつたのでございます。その点はまことに申訳ない状況でございました。柴田先生が現地にお出向きになりました直後に大体この成規の手続が済みまして、向うに正式に財産を引渡すという処理が完了いたしたのであります。その間非常に処理が手間取りましたのは評価の差でございまして、国鉄の方では、いろいろ民間の鉱業権なり鉱山の書冊のときにとつております方式がございますが、その方式で行くとむしろマイナスになるという意見も出て参りましたりいたしまして、その辺の意見調整もいたしますために相当の時間を要したのでございます。処理が遅れましたことはまことに申訳ない状況でございますが、今日におきましてはすつきりと国鉄に鉱業権も財産の所有権も移つて整理が完了したということに相なつております。  それから公団の引継ぎの債権の問題でございますが、これは柴田先生現地でいろいろ実情を調査くださいましたように、私どもその徴収につきましては非常に難渋をいたしております。と申しますのは、これは公団が解散いたしました際に本来清算をすべてやつて決済すべきものであつたのでありますが、その完了を待つておりましたのでは依然として清算法人としての公団を残さなければならぬ。そうしますればやはり清算の経費が相当かかるということから、とにかく公団の清算は打切つてしまつて、その債権だけを国に引継いで、財務局なり財務部なりをしてその徴収に当らせるという建前に相なつておるのであります。従つて国が引継ぎました債権というのは相当部分が焦げつきと申しますか、非常に不良債権であるわけであります。優良な債権でありますれば、公団の清算中に片がついておるのであります。一般的に非常に難渋をいたしておるのでありますが、今日までの概況を御報告申しますと……。
  37. 柴田義男

    ○柴田委員 それは資料かなんかでいただけばけつこうです。簡単に概況だけを承りたいと思います。
  38. 窪谷直光

    窪谷説明員 公団から引継ぎました引継ぎの債権は二十五年度、二十六年度にわたつておりますが、この総額が五十六億五千万円程度ございます。その中で今年の三月末日までに回収をいたしましたのが二十五億三千万円、従いまして未徴収で二十九年度に繰越しておりますのが三十一億二千万円という数字に相なつております。引継ぎを受けましたもののまだ半分にも達していないという状況でございます。これは見方によりますれば徴収が非常に手ぬるいということにも考えられますが、また御同情を持つていただきますれば、不良債権をよくここまでやつたということのお考えも出るかと思います。それからなお小さな債権が実はございます。これは当時としては相当な貨幣価値であつたと思いますが、その後の貨幣価値の変動によつて小さくなつておるのであります。これらの処理につきまして、私どもいろいろ苦慮をいたしておるのでありまして、そのために徴収経費が取立て債権より多くなるというようなことでは、これははなはだもつておかしなことでありますので、そういうことはやつておらないのでありますが、相当小額なものにつきまして、これを債権を免除するということもできませんので、徴収経費と取立ての債権額とにらみ合せて運用をいたしておるということに相なつております。
  39. 柴田義男

    ○柴田委員 このことなんですが、この不良債権を引継いで非常に苦労されておるということは、現実に私ども調査の結果でわかつたのでありますが、その中でも、われわれ第三者が見ても、このものなら何千万でもとれるというものもあるのです。そういうものについては、大きな見地から見てとれる分は積極的な方法でとる、一面今申しましたような、たとえば百円とか千円とかいうような、現在の貨幣価値で労力をそれに相当打ち込むことは非常にいかぬというようなものは、法規上の処理は別といたしまして、何かもつと簡単な処理の方法をとつてあげなければ、財務部において人数の足りない職員が、百円の債権に対してもしばしば書面を出して請求しなければならぬ、足を運ばなければならぬというようなことは、実際むだな経費がかかるじやないかと思いますので、そういう点は適切な処理をやつて、とれる分に対しては極力とる。  それからもう一つこういう問題があつたのです。これは青森の例なんですが、国有財産を含め金額にすれば五百七十万ですが、これは昭和二十三年ごろに登記をして渡してしまつた、渡したが金がとれないという問題があつた。こういう問題は会計検査院から指摘を受けておると私は思つて来たのですが、こういうへまな処理をやつたものが各地にあるかどうか、国有財産を渡してしまつた。金は一銭もとつていない。請求したくても請求の相手のその団体がもうないのだ。しかも物件が次々と第三者に渡つてどうにも手の下しようがないという問題を青森財務部で一件聞いて来たのですが、こういうのがよその財務部にもあるのですか、この一点を伺いたい。
  40. 窪谷直光

    窪谷説明員 最初の方の小額債権について、実情に即した処理をしたらどうかというお話でございます。これはまことにごもつともな御意見であります。私どもといたしましても、行政の範囲でできるものについては行政の運用によつて当然やるべき事柄でございますし、あるいはまた行政の範囲でやることが不可能だ。しかしながら実情は何かはつきりした整理をした方がいいというものにつきまして、実は前々から、公団の債権整理につきまして何か特別立法をお願いしようか。いろいろやつてみたのですが、どうもなかなか適切な線の引きようがむずかしいというようなことから、まだ管財局の内部でいろいろ論議をいたしておる程度でございます。これはさらに考えてみたいと思います。  それから国有財産を売払いをいたしまして、その代金の取立てと申しますか、収納ができてないという件でございます。これは一例でございますが、そのほかにも若干ございます。これは会計検査院の方からも御指摘を受けま’て、国会にも報告されておる事件がございまして、その中には、はなはだしいのは、これも団体がなくなつておる。それによく似たような例が実は二十五年度の決算の報告でございます。これは終戦後相当混乱と申しますか、なかなか事務がはつきり行かなかつた時代の売払いかとも思いますけれどもそれにつきましてはできる限りの善後措置を講じております。この青森につきましてどういう善後措置を講じておりますか、今私ちよつと記憶がありませんが、そのほかの件につきましては、なかなかどうもどういう回収ができるか、非常に疑問の点はありますけれども、あらゆる手を講じて回収をすべきであるということで、いろいろ手を講じておりますが、中にはどうも回収がなかなか見込み薄というのも若干はあるような状況でございます。
  41. 春日一幸

    ○春日委員 議事進行について。実は本委員会は一箇月間にわたつて委員たちが国政調査をいたしまして、その調査に基いての重要な国事について、この委員会を開いて質問をしようということで、昨日来それぞれ大蔵省当局に出席を求めておるわけなんです。ところがけさから大臣、政務次官、銀行局長、その他関係責任者がだれも立て来ないのです。これは一体どういうことなのでございましようか。私どもなんか、朝からそういう問題についてぜひとも政府責任ある見解を承らなければならないというので、とにかく朝からずつと控えておるわけなんだが、だれも出て来ない。こういう事柄では、われわれはその国事をどういうふうに審議していいのか、まつたくわれわれの審議権は妨害されておることはなはだしいものがあると思うのであります。昨日の新聞報道によりますと、吉田総理は、もはや日本の法律をも否認せんとしておる様子でございまして、わけて政治資金規正法なんというものは有害な法律だなどと罵言を弄しておるそうでありますけれども、そういうようなことで法律を無視し、国会を無視し、これでもつていよいよフアツシヨに驀進して行こうというのでありましようか。いずれにしてもこれではわれわれは職責を尽すことができないのでありますが、一体委員長は、大臣並びに政務次官、その他銀行局長等に対して、はたして出席を求められたのであるかどうか。さらに国会法に基いて出席を要求されて、なおこのようなぐあいに相手が応諾をしない、こういう状態でなおのほほんと議事を進行して行かれるお考え方であるのかどうか、一体本日まで政府と本委員会との間において持たれた交渉の経過、てんまつ、それから国会側のこの要求が無視されたことに対する委員長の決意、こういうようなものについて承りたいと思うのであります。
  42. 内藤友明

    内藤委員長代理 お答えいたしますが、けさほど来大蔵大臣並びに政務次官その他関係局長に出席を求めております。なかなか出て来ないのでありますが、出て来ない理由をはつきり明示してもらいたい、それを委員会で相談して何らか対策を講じよう、こう考えておるのですけれども、その理由もいまだに明示がない、こういう状態であります。
  43. 春日一幸

    ○春日委員 そういたしますと、出て来いということについては出て来もしない。なぜ出て来ないかと言つても答弁もしない。それではいつそ頭からてんで無視して、ばかこしておるという態度なんだが、これではわれわれは国会法並びに衆議院規則に基いてそれぞれ継続審議にゆだねられておる諸法律案を審議することもできないじやありませんか。私はとりあえず小休憩でもされて、出て来ないならば、なぜ出て来ないか、少くともその出て来ない理由を議長を通じて聴取していただき、そういうわけで万やむを得ず、たとえば本人が重態であるとか、あるいは収賄のために本人が懲役へ入つてしまつておるとか、いずれにしても出て来れないそれ相当の理由があるならばともかく、サボつて左うちわで扇風機に吹かれて寝ころんでおるくらいのことかもしれないので、ひとつ委員長はどういうわけで出て来ないのか、出て来ない真相を調査されるか、あるいは議長を通じてその理由をすみやかに取調べられて、少くとも国会法並びに衆議院規則が守られないような状況下にこの委員会を置いておくなんというようなことは、たいへんなことだと思うのです。すみやかにその善後措置を講ぜられて審議を軌道に乗せてもらいたい、このことを強く要望いたすわけであります。どうされますか。
  44. 内藤友明

    内藤委員長代理 春日君の希望委員長聞いておきます。  福田繁芳君。
  45. 福田繁芳

    福田(繁)委員 今春日君が議事進行の名のもとに非常に重要な発言をされましたので、委員長はとくと御配慮願いたいと思うのです。私も実は目下の急務でありまする中小金融対策に対して、中小企業庁から午前中から御出席してもらつて、この問題をある程度掘り下げて、目下の急務である行き詰まつておる中小金融打開の一義を果してみたい、かように思うて先ほどから待つておるのでありまするが、春日君も申されましたように、中小金融公庫に対する質問も即河野銀行局長に関連があります。なお大蔵政務次官、大蔵大臣に重要な関連がありますので、この諸君たちの御出席をしてもらわなくて、中小金融公庫とただ単に一対一の質問をするならば、むしろ御出席してもらわなくて、われわれが中小金融公庫に行つて意見の交換をする方が可及的すみやかに効果が上ることになるのだ、そういう関係もありますので、私は中小企業金融公庫に関する問題は、いずれ委員長の御配慮の結果、今に銀行局長なり大蔵大臣、あるいは政務次官が来られると思うから、それまで保留しておきまして、そうしてよい機会でありますからこの際管財局長にいささか質問申し上げて、この委員会の空白のおそれを免れたい、かように思うのであります。  まず管財局長に伺いたいのでありますが、前国会においてしばしば問題になつておりましたところの例の国有財産に帰属するところの昔の各兵器本廠なり、あるいは工廠などで、あなたの手で管理いたしておりまする例の工作機械でございます。あれが一体その後どうなつておりまするか。話によりますると、相当大量のものが財閥筋に払下げされんとしておるとか、あるいはまた中小商工業者がたとい三台でも五台でも払い下げてもらつて、国内産業に一役を果したいと思つても、遅々として払い下げてくれそうにないというようないろいろな声が、実は国政調査に現われておるわけなんです。この際よい機会でございますから、その後の国有財産に帰属するところの工作機械がどうなつておるか、どういう見通しであるかということを、せめて今申した銀行局長なり、その他の諸君が来られるまで、この際詳細に御発表願えれば非常にけつこうであります。
  46. 窪谷直光

    窪谷説明員 詳細にということでありますが、実は御質問を予期しなかつたため資料を持つておりませんので、数字等につきましてはちよつと申し上げるのを差控えたいと思いますが、私が就任いたしましてから、そういうふうに特別に大きな財閥に払下げをいたしたというようなものはございません。ただ従来から貸付をいたしておりましたものに払下げの申請が出て参りました。これを払下げをいたしましたのがございます。それからなお中小企業につきましては、御承知のあの特別の交換の法律がございます。中小企業の古い機械と国有財産の中で比較的新しい機械とをとりかえてやるのがございますが、これにつきましては、当初どの程度に申出があるかわからぬというので、大体五万台ばかりのものを用意しておきました。その中で今日までに申出がありましたものは、おそらく一万二、三千台になつておるのじやないかと思います。それらにつきましては漸次処理をいたしておるのでございまして、ことに中小企業については、二台でも三台でもとにかく申出があれば、五十万円以下のものは随意契約ができるわけでございますから、それの運用によつて幾らかでも、とにかく中小企業の能率改善に貢献することができればという心構えでやつておるのでありまして、もしそういう非難と申しますか、声があるとしますれば、私どもの心構えがまだ現実に出ていないというようなことでございますので、それらについても特別に配意をしてみたいと思います。
  47. 福田繁芳

    福田(繁)委員 この問題に関する局長の非常な君づかいは、われわれも全面的に了承できるのです。そこでお伺いしたいのですが、中小企業者諸君が管財局に対して、たとい五台なり十台なりの払下げを希望する場合には、いわゆる随意契約も五十万円以下ならばできるのであるから、可及的すみやかにされるというところのお心づかいの点はわれわれは非常に了といたします。そこで参考に伺いたいのでありまするが、ただ問題は、そういつた中小企業者が申請をしようとするときに、どうもあなたの方の評価されておりまする金額が何を基礎にされておるのか、いつの価格を基礎にされておりますのか、比較的高いというような声が、ことに通産省の機械局関係からするのでありますが、どういうところから基準を割出しておられるかということを、この際おわかりでありますれば伺いたい。
  48. 窪谷直光

    窪谷説明員 これは一般的な方針といたしましては、それと同種の機械を今日も製作いたしておるとしますれば、それの新品の価格を調査いたしまして、それからあと経過年数がございますので、経過年数による定率の償却をいたします。それから国有の機械は必ずしも保管が完全でないものがございますので、欠品等が相当あるのでございまして、これらの欠品率を引いてやつておるのでございます。それからなお、新品価格、新しい製品についての価格の調査のなかなか困難なものにつきましては、ちようど占領中に賠償機械の評価をやつたのがございます。これは進駐軍と一緒にやつたのでありますが、それは一九三九年、昭和十四年の価格に引直して見ておるわけでございます。その後の物価の変動を見まして、一定の修正倍率をかけて、一応新品価格とすればこの程度になるだろうという推定をいたしております。この推定の倍数が、実はそれでやつてつたのでありますが、検査院から、二十七年度の決算に関しまして、低過ぎるというお話がございまして、どうも私どもとしては高いということでなしに、むしろ低過ぎるという御批判をこうむつておるような面もあります。検査院の言われておりますのも、必ずしも実情には即しないように思います。単純にそれだけでは言えぬと思います。と申しますのは、私どもの方で見ておりますのは、いろいろな制式の改善による能率の低下と申しますか、そういうふうなものは、その指数を使つておりますものにつきましては、必ずしも見てないのでございます。従いまして、一般的な指数としては、やや低目に置くのが適当であろうということで、その指数を事務簡素化の意味で使つてつたのでありますが、理論的に申しますれば、やはり倍数は倍数でかけて、それからあと能率が非常に現在のものと比べて落ちておるというようなものは、そういうふうな能率の陳腐化と申しますか、そういう要素として減額をすべき筋合いでありますが、それがなかなかそこまでの作業が行かぬために、便宜そういう指数を使つておてたのてありますが、その指数につきましては、かえつてむしろ低過ぎるのじやなかろうかという御批評もございます。それからまた民間から承ります声といたしましては、通産省の払下げ価格に比べて高いという声もちよいちよい耳にいたすのでありますが、どうもその辺が実情が何ともはつきりはつかめないのでありまして、そう無理な価格ではないのではないか。個々に見ますと若干高い低いはあるかもしれませんが、大局的に見ますれば、大体あの基準がやつて行くところがまずまず適正なところであろうというふうに考えておりますが、検査院からそういう御意見もございますので、目下これらの問題も実は国有財産の評価額全体につきまして、先般の国会でも井上委員から、何か評価協議会でも設けてやつてみたらどうかという御意見もございましたので、先般その協議会を設けまして、協議会について今検討をしてもらつておる状況でございます。
  49. 内藤友明

    内藤委員長代理 ちよつと申し上げますが、大臣はただいま不在で行き先がつきとめられません。従つて連絡はできません。聞くところによりますと、午前中千葉委員長に了解を求めてあると秘書官が申しておるそうであります。それから政務次官は目下事務引継ぎ最中だそうであります。それから銀行局長はやむない事情がありますので、特殊金融課長をして今そこへ行かせるという報告でございます。
  50. 福田繁芳

    福田(繁)委員 管財局長に重ねて申し上げておきますが、どうぞその評価に対して、なるべく可及的すみやかに実情に即したような評価査定と申しますか、それを鋭意やられることを懇請いたしておきたいと思います。今あなたのお話の中で、会計検査院から二十六年度に比較的安い、低いというところのおしかりがあつたと申しまするが、これはほかの不動産と違いまして、ことに目下国有財産に帰属しておりまする工作機械のごときは、たとえば一例をとつて申し上げますならば、あの枚方工廠の機誓われわれが大蔵委員の諸君とともに現場をくまなく見て参つたのでありますが、ああいう工作機械はいわゆる戦時型と申しまして、昭和二十六、七年の日本の国内にあるところの機械、あるいは二十六、七年の外国から優秀な機械が日本に入つて来る数の少いとき、こういうときから、あの戦時型の機械でいうならば、ある程度機械の評価を高くふむことができるわけなんです。それが明けて二十七、二十八、二十九年、本年度になりますれば、御承知のようにああいつた工作機械のいとも優秀なものが日本国内に相当入つておりますので、勢いああいう戦時型の方はむしろここ二、三年すれば私はスクラップにしてしまう、こういうような見方なんです。スクラツプにすれば二束三文になつて、トン当り二万円くらいになつてしまう。それをやたらに一台十五万、十八万円だという価格にとらわれて、外国の優秀な機械がどんどん入つて来ることを考えなくて、あの終戦どさくさの戦時型をほうり込んで、間に合せの機械でやるつもりのしろうと考えで、不幸にしてわからなくて依然としてそれを持つておりますときには、今言つたところのとんでもない一トン二万円以下のスクラップで処分しなければならなくなるということを、生きた機械であるということを頭に置かれて、そして別にそれがために一日を急げというわけじやありませんけれども、目下のところの中小企業は、あの機械でも三台なり五台なりというものを非常に希望いたしているわけであります。もう三台なり五台なりをよけい設備することができるならば、それだけの増産が上るというところの組合なり、あるいは企業組合からそういう相当懇請なり請願をわれわれは受けているわけです。どうぞその点をよろしく御配慮願いたいと思います。そこであわせてひとつあなたに私申して、資料も要求いたしておきたいのでありますが、目下の国有財産に帰属しております工作機械が大体どの程度の台数があるか、たとえば旋盤がどうである、何がどうである、種類、こういつたものをあわせて次会までにわれわれに資料として出してもらいますれば、幾らか皆さんたちに対して御協力できるのではなかろうかしら、また間違つたところの世の中の声も正しくこれをわれわれが指導いたしてやれるのではなかろうかしら、かように思いますから、その資料を一応御提出を願つておきたいと思うのであります。
  51. 春日一幸

    ○春日委員 関連をいたしまして、つなぎに伺つておきますが、ただいま福田委員から質問になりました、いわゆる新旧価格の評価に関する事柄でありますけれども、これは先国会においても大分論議をいたしましたが、これは国有財産として売買の形で評価するというのではなくして、おそらく中小企業振興対策とか、あるいは設備合理化政策とか、こういうような一つの政策的な目的でああいう工作機械の交換の方法か決定されたと思うわけてあります。そういうぐあいに了解をいたしているのであります。従いまして、新しい機械はできるだけその古い機械とパーになるように、どうしてもパーになるような査定ができないような場合においては、古い機械で何か決済せしめて、できるだけ現金を中小企業者から取上げるような形にならないようにということが本委員会においてもずいぶんこれは論議された事柄なんです。そしてそのように大臣からも答弁されておりましたが、しこうしてこれに関連する事柄といたしまして、税金の方も特別に税法をつくつて、圧縮記帳の特例もつくつて、そういう新しい機械を有利に手に入れたところに何らの負担もかからないということで、本委員会は万全の策を講じている。ところが国政調査でずつと各地を調査して見ますと、やはり古い機械は安い値段、新しい機械は高い交換値である。中小企業者は結局相当市価に近いような差額をやはり払わなければ機械が入手できない。従つて政策の妙味というものは何だかコマーシャル・ベースの中に込めてしまつて、そして政府がまるで新しい機械を売却するような形で評価されている。これはそもそも政策の本義というものを没却した形ではないかと思うのでありますが、これは何回あなたの方に言つても、ちつともあなたの方は財務局の方にそういう示達を行つていない様子なんです。これは一体どうしたことなんでしよう。われわれは何回もこの委員会で同じことを繰返すなんてばかげたことはあり得ない。われわれは国会の権威において、とにかく一応質疑応答があつて、あなたの方も責任者がそういう答弁をした限りは、やはりそういう方式で執行されるのでなければ、ここで言つていることが言つただけのしやれで、漫才や落語とちつともかわらないということではほんとうに困るじやありませんか。もう少し真剣に取扱つてもらわなければ困りますよ、実際。大臣も政務次官もどこかへ行つて行方不明だと言つているし、与党は漫才みたいなものだと言つておりますし、これじや国民が実際困りますよ、あなたは平気かもしれませんけれども。そこで福田委員の言われたような新品評価の問題と、古い機械評価の問題、これは明らかに政策の目的、これを没却した形で行われている。これはまさに誤てる執行なんです。これについてどういう執行をされているか。そしてまた私の申し述べた意見に対してどういうような考え方をお持ちになつているのであるか、この機会に御答弁願いたい。
  52. 窪谷直光

    窪谷説明員 あの法律の執行につきまして、中小企業者から多額の徴収をなるべく少くするように運用をするというようなことを、私も実は管財局長に就任いたしまして速記録で拝見をいたしました。ただどうも政府側で言つております場合には、一台二台では差額が出るが、そういう場合には、二台、三台と古い機械を国としては結局スクラップにする以外にないのですから、それでもとにかく引取つて現金の差額が少いようにするという趣旨のように私は読んだのであります。国から渡す機械を特別に減額をして評価するとか、あるいはまた減額をして売り払うというような答弁にはなつていないように私は考えているのであります。
  53. 春日一幸

    ○春日委員 そんなばかなことがあるか。それは新しい品物はコマーシャル・スケールで計算する、ちつとも政策的評価というものをここへ加味しない、千円なら千円ということで評価する、古いものはスクラップの価格で評価する、足らぬ分だけはかさで来いということになれば、こんなものは何にもならないじやありませんか。政府に買つてもらわなくても、それだけスクラップ屋に売り飛ばせばそれだけの金が出る。それだけの金で機械屋に行つてつて来ればいくらでも買えるのですよ。そんなばかげたことにあなたが理解されているからこそこういうとんでもない結果が現われて来る。私はあなたにお伺いしたいのだが、新しい機械は新しい機械の価格で評価をして、古い機械は古い機械の価格で評価をし、足らぬところはその金でとるのでなくして、遊んでいる機械でとるという形になると理解していると言われますが、現実にどんな工場でも、古い機械は古い機械なりに使つているのですよ。不自由だけれども、金がないからしようがないで使つている。一台の新らしい機械を買うために五台も七台も持つて行くならば、結局一台のいい機械は手に入るけれども、他の何十台という機械を失つてしまうために、その工場の総合的な生産力というものに何のプラスも加えないということになる。ただきれいなものが一つあるというさびしいことになつてしまうのです。われわれのこの法律の目的も、当時アメリカがこの賠償を解除した当時にも、やはり中小企業の生産設備の合理化並びに中小企業の振興対策の一助にというのでこれを解除したことが、その解除の契約条項の中に入つているということを聞いておりまするが、同時にわれわれがこの法律を審議する過程においても、やはりこれはひとつただでやるのだけれども、ただやつてはどうも不公平のそしりを免れがたい、従つて古い機械をとつてそれによつて調節をして行くのだ、こういう論議をし、そういう回答が与えられている。だからもう一ぺん委員会の速記録を読んでいただいたり、さらにはまたその当時の答弁された事柄と違つたような執行をされるということになるならば、あらためてその事柄を諮られるのでなければ、委員会においてはそういう色よい答弁をしておいて、現実の執行においてはやはり相当の国庫収入をはかつておる。こういうことでは、これは政治と商売とがごつちやになつている。これではいかぬと思うのです。だから国政調査で諸君が調べて参られましたところの工場というものは、相当のものであると思うのだが、なおこの機会に、あの交換によつて国庫収入は一体どのくらい得られたものか、ちよつと伺つておきたい。
  54. 窪谷直光

    窪谷説明員 中小企業から国が受取ります機械の評価でございますが、これはスクラップとしての評価をいたしておりません。機械としての評価をいたしているわけであります。それでスクラップで処分いたしますればやはりその間に若干の差額は出るわけであります。
  55. 春日一幸

    ○春日委員 スクラップとひとしい値段でやつているから……・。
  56. 窪谷直光

    窪谷説明員 ひとしい値段でと申しますが、やはり動いている機械としての評価をいたすのでありますから……。
  57. 春日一幸

    ○春日委員 だからうんと高く評価すればいいのです。たとえばこれは五百円のものを六百円に評価することもいけないのです。五百円の価値しかないものを大百円に評価することはいけない。それは会計検査院の検査があつて、五百円のものは五百円に評価しなければならない。ところがこの五百円のものを千円に評価しろということを私は言うのです。それをあなたは千円に評価することはできないが、六百円くらいならば評価してもいいということに帰着するのですが、問題は、これは新しい機械を中小企業者にただでやるんだ。それによつて国の産業、経済に寄与するんだ。金を全部もらうことはできないが、それかといつてそれだけただでやれば不公平になるから、従つて、そこから古い機械を形式的にとるんだ。そうして帳簿を落して行くんだ。そこで税法上いろいろな所得がふえるが、これは結局所得税で免除するんだ。そういうことまでやつているのだから、やはりあなたの方がその法律の精神に基いて執行して行くのでなければいけない。あなたの方の実際上の施行細則だとかいろいろな問題は、われわれの審議を経ていないで、大蔵省でかつてに立案した方式によつてやられているから結局こういう食い違いを来して来るのです。これは、結局中小企業者はおそらくは何億円かを大蔵省によつて収奪された形になる。法律上はこれをただで与えておる。そういうピンはねみたいなことをやつては困るのです。蝙蝠安かきんちやく切りみたいなことをやつては困る。ひとつもう一ぺんその委員会の速記録をよく読んでいただいて、法律の精神にのつとつてこの執行をしてもらわなければ困るということを強く要望いたします。
  58. 井上良二

    井上委員 関連して……。この際ちよつと局長に質問をいたしておきたいのですが、それは、先般本委員会で問題になりました枚方造幣廠を小松製作所に払い下げられたことに関連いたしまして、あの物件は中宮地区及び甲斐田地区とも登記は完了いたし、かつ所定の第一回政府納付金は納められておりますか、それを伺いたい。
  59. 窪谷直光

    窪谷説明員 これは第一回の分納金でございますが、それを徴収いたしました後に登記をいたしました。いずれも完了いたしておるわけであります。
  60. 井上良二

    井上委員 あれはたしか十年か九年かの年賦になつておるように考えておりますが、第一年分が納付された。そういたしますと、かりにあの土地、建物及び工作物等を九億何千万円ということで払下げを十箇年年賦でいたしますならば、あれは実は不動産が全部政府に抵当に入つておるので、そうなりますと、これは金額を払うまでは抵当権は解かないのですか。それとも年賦で払えば払つた部分だけは抵当権は解いて行くのでしようか。その辺はどうなつておりますか。
  61. 窪谷直光

    窪谷説明員 これは何と申しますか、債権担保に必要な程度の抵当にとどむべきものであります。ただああいうふうに一体の施設になつておりますので、なかなか部分的な解除ということは困難な点があります。これは相当に分納金が入つて参りまして、あれをたとえば一棟なら一棟をはずしていいというような状況になりますれば、はずすことは可能だと思いますけれども、ただ毎年々々の分に応じて部分的に解除して行くということは、なかなか技術的に困難だろうと思います。
  62. 井上良二

    井上委員 そういうことを何で問うかというと、実はあれが小松製作所に払い下げられまして以来というものは、現にあそこで作業をどんどん盛大にやつているにもかかわらず、地元枚方市に対する固定資産税を滞納して払つていない。それで市役所の方で不動産を押えようとかかつたところが、あなたの方で押えておるということで差押えができない状態にある。実に市としてやつかいしごくなことで、約二千万円近い固定資産税が全然とれないということになつておるのです。そこで、あなたの方でかりに一年分納付金が納まれば、それだけ抵当権の分は軽くなつて来るから、どこかはずしてやれば、市役所がそれを押えますによつて、はずすときには市役所の方にちよつと連絡をつけてもらわなければ困ると思うのです。それをあすこはもうけておりながら、不届きなことをやつておるのですから、そういうことについてよほど注意を払つていただきたいのと、それからもう一つ、これはあの物件の隣にあき地がずつとございますが、これはやはりあなたの方が管理されておるのですが、この奥の方に枚方第一中学校というのが建つておりまして、その第一中学校へ通います生徒がこの官有地を通ることができずに、ずつと西の方を通りますために、学校に行くまで表から約二十五分の時間を要しておる。そこで府当局及び住民及び学校当局から直通の道路をつけさすようにしてくれということを要求しておるらしいのです。ところがあなたの方の大阪の事務所においては、あの地域にはかつて枚方火薬所があつた関係上、相当爆発物が埋まつておるので、そういうところをうかうかと通すとあぶない、こういうことを申して、完全に危険物が埋蔵されていないという実証が明らかになるまでは通すわけに行かない。かようなことで約一年余りというものはさつぱり事態は進まず、そのままになつておるわけです。ところがかんじんのその話を進めておりました管財局長なり大阪の管財部長なり、また当該の課長が転任をしまして、新しい人が来ましたために、また初めからやり直さなければならぬ、こういうことになつて実は地元の人が非常に困つておるのです。実はあの中に約三千数百坪の私有地がそのままあるわけですが、その私有地があなたの方の管理下に入つてつて、全然使用料も何も払つていないはずです。それで一方今の道路を設営いたそうとすると、危険物があるとかなんとかいつてなかなか書類を決裁せぬ、こういう事態に実はなつておるわけでありまして、地元としては非常に困つておるわけであります。そこでその私有地を一応あなたの方へ管轄がえをいたして、そして今申しました地帯を通用道路として市の都市計画路線として設定をいたしてやるようにすれば、両者ともによいからという話を地元の市長がいたしているらしいのでありますが、これは事態がなかなかうまく行かないで弱つておる。それでもし爆発物がかりにあると推定されることでありまするならば、一応市自体がさようなことを要求しております以上は、市当局にその爆発物があるかないかということについての試掘をある一定の距離やらせまして、その実態をはつきりつかんで、さような後に事態の処理を運ぶようにお願いしたい、こう私は考えておりますが、あなたのお考えはどういうことでございましようか。これは非常に困難でございましようか。
  63. 窪谷直光

    窪谷説明員 初めの方の抵当権の解除の問題でありますが、これはあの状況から見ますと一年分ということで解除することはなかなかむずかしいと思います。解除をいたしますような時勢になりますれば、もちろんこれは公共団体の滞納がありますれば、公共団体財政の大きな問題でございますので、適宜連絡をとらすような方法はいたしたいと思います。ただあれはおそらく今度小松の方では、借金の担保に、二番抵当か何かに入れておるのではないかと思いますが、従つて市の方としては、今ただちに一番抵当でなしに、二番抵当でも何でもいいと思うのであります。市税の滞納を確保するだけの今とれる手があると思うのでありますが、それをおとりになつておきますれば、一番抵当がなくなれば当然二番抵当が上に上つて来るわけでありますから、それをおとりになるのが一番いいのではないかと思うのであります。  それから第二番目の道路の問題でありますが、実は私現地の状況承知いたしておりませんので、これは調べました上で御報告いたしたいと思いますが、御了承を賜わりたいと思います。
  64. 井上良二

    井上委員 東条為替局長が来ていないようですから、外資課長さんにちよつと質問をいたしたいのですが、先般本委員会で日本の小野田セメントとアメリカのジヨン・マン石綿会社との合同によります日米石綿会社の設立に関連して、これがわが国のいわゆる中小石綿会社の運営に重大な関係があるというところから、大蔵大臣及び所管の関係者に本問題について質問をいたしましたところ、国内産業を圧迫するがごとき外資の導入は全然しないし、かつ石綿会社の設立というようなことは考えてない、かような答弁がございました。また外資の審議会においても、事態はなかなか他にも影響するところがあつて、この外資導入を許可するということにはなかなか意見はまとまらぬ、こういう考え方一つの答弁が局長からございました。ところが最近これをことさらに設立しようという運動が依然として執拗に行われて、日本にこれの市場を求めれば日本の産業を圧迫するから、日本でつくつたものは全部輸出をする。輸出をするならば日本に何ら問題はないじやないかというように、輸出を条件にして、近く開かれます委員会ではさような条件のもとにこれを決定するがごとき方向にきわめて慎重な態度で動いておるということが、中部経済新聞に報道されておるのですが、さような事態になつておりますか。この点を一応当面の外資審議会の、多分幹事をおやりになつているだろうと思いますが、外資の方の責任者であります太田課長に御説明を願いたいと思います。
  65. 太田亮一

    ○太田説明員 ただいま御指摘になりました日米石綿の問題でございますが、これは前会において為替局長からたしか御説明申し上げたと思うのでございますが、現段階は今先生もおつしやておられましたように、審議会におきまして慎重に審議をされているところまで行つております。ただ新聞の記事に出ておつたということで御引用になりました事例は、私幹事をいたしておりますけれども大蔵省並びに当面の関係者、通産省でございますが、幹事の方といたしましては、そういう動きは具体的に何ら承知をしておらないのでございます。全部各委員の自由な御判断に実はおまかせしている段階になつておりまして、まだその面で結論が出ておらないというところまでしかわれわれとしては承知いたしおりません。
  66. 井上良二

    井上委員 そういたしますと、そういう運動や、そういう計画や、そういう意図を持ち、そして外資審議会でそういう方向で通してもらうということについては、あなた自身としては、そういうことを感づいてもおらなければ、そういう情報もキャッチしていないということは、一応今の答弁で明らかになりましたが、かりに国内には全然販売をしない、輸出をするのだ、こういうことになりました場合には、ここれは大体許可をいたす方向にありましようか。一応合同の新会社ができて、輸出を目的にしてつくるということにして会社をつくり、今度輸出をしようと思つてもなかなか値段が合わぬとか、あるいは販路がそううまく行かぬとかいうことから、国内に滞貨をして、それを国内の市場に出すということがなきにしもあらずだし、またそういうことは多分に起り得る実際の現象でないかと思いますが、そういう輸出をするという美名に隠れて新会社をつくつて——国内の全石綿関係団体が反対し、そうしてあらゆる労働組合がこれに反対しております実情考えて、あなたの方はさような美名の裏に隠れて新会社を設立することに審議会は進むとお思いになりますか、進まぬとお思いになりますか。あなた自身幹事として、さような方向には断固として反対する、こういうおつもりでおりますか。これから上になつて来ると、ちよつと政治的に多少考えなければならぬからむずかしいと思いますが、事務当局として、特に会を主催している幹事として、そういう方向に持つて行こうとする動きがあるということを明らかにしました以上、そういう方向へはわしの方は絶対反対だ、こういうおつもりでおりますか。その点を明らかにしていただきたい。これが一点。  それからその次に、これと似たもので、シンガー・ミシンが国内のパイン・ミシンと提携をいたしまして、これは聞くところによると、前大蔵大臣の向井忠晴氏が先般総理の顧問役というか、相談役で、総理が外遊するに先だつてアメリカへ向井さんが行きまして、そのみやげということがもつぱら伝えられておりますか、このシンガー・ミシンの国内進出に対して、これと同じように日米合同のミシン会社をつくろうという動きが最近相当強くなつて来ている。これもやはり外資を輸入し、非常な機械を入れて大量的にこのミシンをつくる、その結果は、国内におけるミシン業者に大きな圧迫を加えて、日本のミシンは御存じ通り今日まで相当外貨をかせいで来ておりますが、これらの上に非常な影響を来して、反対に向うさんにお得意を奪われるという状態になつて参りますが、これらの問題について、あなたは外資審議会の幹事としてどうお考えになりますか。またこの問題については、お帰りになつて局長にもぜひ御相談を去れて、さような国内産業を圧迫するがごとき外資の導入及び新会社の設立には、大蔵省としても断固反対という立場を明らかにしてもらいたいが、さようなことができますか、この二点を伺いたい。
  67. 太田亮一

    ○太田説明員 最初の御質問の、日米石綿が輸出だけでやつてつた場合にこれを認めるという方向に行くものだろうかどうかということでございますが、実はあの当初の申請の説明の中には、相当部分を輸出するんだということは書いてあるわけでございます。その後もいろいろ説明の中間段階におきまして、場合によつて海外の輸出は非常に困難であるというふうに心配するなら、向うの親会社でございましたか、ジヨンス・マンビルの方で全部日米石綿の製品を買い取つてもいいというようなことを漏らしておる、そんな話も聞いておつたわけでございます。ただそういう事態になつて参りました場合に、国内への——輸出を目的とすれば横流れということになりましようが、これを完全に防止する手があるかどうか、また相手方にそういつた誠意を期待することができるかどうかという点、それから、はたして目的とするように相当額の輸出、つまりわが国からいえばある程度の外貨の獲得ということになりますが、これが期待できるかどうかという二点が、やはり問題として残るわけでございます。国内への横流れ防止ということになりますと、現実に製品を販売していかぬということは、これは現行法としてチエツクする方法がございません。やはります原料として石綿を輸入しなければならない、これの輸入割当の場合に、国内へ出しておるからだめだといつてとめる、そういう行政措置の一点にかかつて来るのではなかろうかと思うわけであります。  それからもう一つ間接的に押える方法といたしまして、合弁会社でございますので、向うの持株についての利潤の配当を外国へ送金するということがございますが、それについて、輸出をした場合でなければ向うへ送らせない、こういう条件をつけることも、これは可能でございます。しかしいずれにいたしましても、それらの点だけでは完全に活動を防止するというところまでは、あるいは行かないのではないかという懸念は残るかと思います。  それから輸出の見込みの方でございますが、これはいろいろ見方によつて違うようでございます。日米石綿社側の説明では、いろいろこういう方面、こういう方面に期待できるという資料を持つてつておりますし、また反対の意見を持つておられる方からは、とても現状では、そういつたところへは伸びはしないという意見で、これまた資料をお持ちになつておるわけであります。この辺になりますと、非常に判断がむずかしい問題になつて参ります。現に今審議会の方で、各委員に慎重に御審議を願つておるという点も、輸出ははたしてどの程度できるものか、かりに国内をあの手この手で相当押えて、もつぱら輸出の方に向ける、それによつて相当かせぐことができるということでなければ、わざわざこういつたものをつくるに当らぬじやないかという結論になりますので、その点の慎重な御検討を願つておるわけでございます。今のようにもつぱら海外へ向うということをいわれて参りました場合におきましても、やはりわれわれとしては、その点を十分についてみなければならない。そう簡単に、こういう説明があつたからということだけで結論を出すことはなかなかできないのではなかろうかと感じております。  それから第二の、これは別個の会社の例でございます。大分いろいろ新聞その他にも出ておりますので、問題を御承知になつておると思いますが、シンガー・、ミシンとわが国のパイン・ミシンとの提携によつて、シンガーの販売網を通じまして大いに海外に売り出そうということに趣意書は書いてあります。一応そういう形でなければむろん外資法に基きます申請は受けられないかつこうになるわけであります。これにつきましては、先ほどの日米石綿の場合と一つつた面があるわけであります。それは、日米石綿の場合には、わが国のこれに代替するような石綿製品は従来ほとんど海外には出ておりません。ところが、ミシンの場合には、わが国のミシンの生産の大部分、八〇%くらいにもなるかと思いますが、これは全部海外に輸出しておりまして、一部はアメリカにも出ております。そういう点、非常に日米石綿の場合と条件が違つておるように感ぜられるわけであります。これは何分にも、まだ私どもの方といたしましてもまた通商産業省の方におきましても十分に検討しておりません。と申しますのは、申請が正式に出て参りましたのはつい最近でありまして、まだわれわれの方で説明を聞いておらない段階でございます。また最終的には、技術の面では通産省の方か、スタックの方でも検討していただくことになるわけであります。技術面の差が一体どの程度のものであるか、わが国の現在の業界でもつて一応世界的水準に達しておるというふうに自負されておるわけでございますが、申請の方の内容では、まだまだその間にギヤツプがあるのだということになつて、この点に一つの問題がある。さらに本件につきましては、ミシン、特に家庭用のミシンでございまして、基礎産業、あるいはそれに類するような重要産業という面にはちよつと当りかねるかと思います。本件を取上げるだけのメリットがあるとすれば、国際収支の改善、言葉をかえていいますれば、この場合には輸出の増進に大いに役に立つということでなければならぬわけでございます。現在すでに日本の製品が出ておるわけでありますが、本件がかりに提携ができて実施された場合に、従来のわが国のミシン製品の輸出に、さらにこれが別の階層というか、あるいは別個の相手国というか、そういつた新しい分野を開拓するなり何なりして、全然プラスのものになつて行くということであれば、これは一つの利点があるが、これが単にわが国が従来出しておりましたものに置きかわるというようなことであれば、全然意味がない。そこで、究極の問題は日米石綿の場合と同じように、他に影響を与えないで輸出をさらにプラスすることができるかどうかというところに行くのじやなかろうかというふうに、われわれ実は感じおるわけであります。この点の検討、これは技術面並びにシンガーの商標と申しますか、それの持つている値打ち、それからわが国ミシンか海外の市場においてどういつた評判をとつておるかというような点等をにらみ合せまして、検討を要することであると思います。この辺が十分に有利だというふうに結論が出ない限り、やはりこれもなかなかむずかしい問題である、かように感じております。
  68. 井上良二

    井上委員 よくわかりました。あなたは幹事役ですから、ここではつきりどうするという言明はなかなか困難で、審議会がどう結論をつけるかということで、実際はあなたとしてはどうにもならぬことではないかとも想定はされますが、しかしながら委員会は近く開いてこの問題を審議する予定になつておりますか。たとえば今の日綿の問題を最近議題に供して、この結論をつけるような動き方にあるということがもつぱらいわれているのですが、ここ二、三箇月に委員会を開いて、この問題の解決を委員会としてはばかろうとしておりますか、それともそう簡単には解決はつかぬという見通しをあなたは幹事として各委員意見を総合して御判断になつておりますか、その見通しを一応伺いたい。  それからあとのミシンの問題ですが、これは御存じ通り、もしこのシンガー・ミシンとパイン・ミシンとの合同のミシン会社ができて、日本でどんどんシンガー・ミシン型を生産されて、これが東南アジア方面にどんどん出ました場合は、日本の弱小のミシン業者などというものはひとたまりもなく倒れてしまい、市場が全部失われてしまうことは明らかであります。現に私どもの推定するところによると、ミシンの輸出は年間八十億から百億になつているといわれている。ここまで日本のミシン工業が発展して外貨を獲得するまでになつて来ておりますから、彼らの持つておるよい技術は大いに導入し、また生産施設の近代化への道は大いに政府も力を入れなければならぬが、向うの資本をもつて、そうしてアメリカの一つの手先になるような会社をつくるということは、もつてのほかであります。ぜひこの点は外資審議会においてもつと日本の産業の立場と国民生活と、あわせて外貨の獲得という面を考えてひとつ御検討願うように幹事としてごあつせんを願いたい、こう私は思うのです。  そういう意味で、先ほど申しました第一の日米石綿会社の設立に関する外資の導入に関連する問題を外資審議会は近く議題に供することになつておりますか、それとも結論はなかなかそうは簡単につかぬとあなたはお考えになつておるか、これをもう一度ごめんどうでしようけれどもお答え願いたい。
  69. 太田亮一

    ○太田説明員 外資審議会におきまして日米石綿の件が議題に供されて、結論が出される段階になるかどうかという御質問でございます。先ほどちよつと説明のときにその点はつきり申し上げなかつたかもしれませんが、審議会自体として、幹事会の段階から審議会の段階にすでに移りまして、審議会の各委員の御判断にお願いしておりますので、委員の方でこの件についてそろそろ結論を出してもいいというように御判断になれば、問題点としては出て来るかもしれませんが、ただあらかじめ議題として幹事会の方から持つて行つて用意をするということにはなつておらない。形式的に言えば、ずつと継続審議に実はなつておるわけなのでございます。そういう状況でございます。  それからなおこの際一言申させていただきたいのは、毎々井上先生からわが国の輸出産業全般にわたる非常な御鞭撻をいただいておりますが、われわれ外資を導入いたします場合にも、今お話のありましたようにわが国の産業の力、あるいは現在ただちに及びませんでも、努力によつて容易に追いつき得る程度のギヤツプ、そういう段階のものにつきましては極力と申しますか、原則としてそういうものは許可しない、これがわれわれとしてのとるべき立場ではなかろうかというふうに感じられます。幹事会といたしましては、私が出ております限り、その趣旨は十分に体して努力をいたすつもりでございます。できますれば今後とも御鞭撻を賜わりたいと思います。
  70. 春日一幸

    ○春日委員 ただいまの問題に関連をいたしますが、この日米石綿の問題があいまいな状態に置かれておりまする事柄から、次から次へと同じようなケースの問題——技術の導入とか、外資の導入とかいうような形で申請運動が次々と新しく頭を持ち上げて来つつあるのではないかと思われるのであります。ただいま井上委員からお話のありましたパイン・ミシンとシンガー・ミシンとの合弁の問題がありまするし、さらには明治製パンがアメリカの製パン会社の大資本と提携することによつて高度の製パン機械を輸入するような計画もあるようでありますが、こういうようなぐあいに次々といろいろな製品産業の中において、アメリカの技術とアメリカの資本によつて、高度に機械化された生産に移されるというような形になつて参りますと、現在日本にありますところの産業はほとんど手をあげざるを得ないような状況になるのではないか、このことを通産委員会も本大蔵委員会も最も深く憂え、心配をいたしておるのであります。先般そういうような所論の上に立ちまして、東条局長に対してわれわれが質問いたしましたことは、いずれにしても日本の産業がアメリカの植民地産業に堕し去つてはならない。たとえばインドに高碕達之助氏が昨年参りまして、目印合弁の鉱山、製鉄事業について話合いをしたけれども、向うは断然これを蹴つた。あるいはまた南方諸地域においても、開発会社等の問題でいろいろのプランは立てられておるけれども、これまた経済の自立と独立の完成は一心同体の事柄であるとして、それぞれの国国がこれを蹴つておる。これはやはりわが国におきましても、経済上の支配がアメリカによつて行われれば、やがてそこから政治の支配が行われる。われわれはただ単にコマーシャル・ベースとして限つてこれを論じておるのではないのでありまして、やはりわれわれはどんなに困難であるとしても、その困難を乗り越え、追いついて、アメリカと競争できるだけの研鑽をみずからの力で積んで行かなければならないのであつて、われわれの調査によりますと、浅野セメント、スレートその他において、やはりフレキシブル・ボードの研究もずいぶん積んでおる様子であります。いわんやシンガー・ミシンに匹敵するソーイング・ミシンのこの精度の問題等も論ずるまでのこともありません。さらに製パン事業等におきましても、これはなるほどアメリカに相当の遅れはありますけれども、しかし相当の遅れがあるとするならば、粉食について政府が相当の考え方を持つて腹をきめるならば、これまた相当の資金を導入しさえすれば、国内のそれぞれの業者の手によつて、それぞれの目的、必要とするところの要請はかなえ得るわけなのであります。従いまして私どもの強く強調いたしたいことを、あなたは幹事ですから、お帰りになりましたら特に東条君にお伝えを願いたいのだが、この日米石綿の問題は当然六月一日に結論が出るべくして出ないで、しこうして七月、八月と二箇月ずれておる。ずれておる間にシンガー・ミシンの問題が出て来、この明治製パンの問題ができ、今度は電気機械の問題ができ、いろいろな問題がアメリカと日本との資本の提携によつて高度の機械生産、大規模生産というような形になつて来れば、しまいには収拾のつかないことになつて来る。一つを許して他を許さぬということには参らぬでありましよう。そうすれば、今あなたが言われた基礎産業以外の一切の産業は、資本的にアメリカに従属せざるを得ない。結局日本は植民地経済になり、植民地そのものに堕し去つてしまうのだ、こういうことをわれわれは心配をいたしておるのであります。従つて東条君に特にお伝え願いたいことは、六月一日の委員会の賛否は、大体認可の方針をとつたものが、大蔵、通産、外務の三者、反対の方針をとつたものが経審並びに民間側、三対六であつたそうだが、しかしこれは審議未了、継続審議という形で結論が出てはいないそうであります。しかしそんなに結論が出せないような問題ならば、これを不許可にすればよろしい、こういうような申請は一応却下する、そうして問題を明確にしてやる。そうすればあと次々とミシンだとか、電気機械とか、ハンとか、きびすを接して同様のケースのもとに問題をさらに新しく起して来るということはないわけなのです。問題を明確にして処理するために、ひとつすみやかにこの問題に結論を出して却下する。却下しなければ当分これを審議会にかけないで、何らかの形で、この問題についてもうそういうばかげた方針をとらないものであるということを、日本の産業界に対してよく納得の行けるように布告をしてもらいたいと思うわけであります。いずれにいたしましても、先般、東条さんの言質によりますと、七月二十一日の委員会にかかるかということを質問いたしたら、当分特別の新しい条件がなければかける意思はありませんし、もちろん七月二十一日の委員会にはかけませんということであつた。それではいつかけるんだと言つたら、その見通しはありませんということであつた。それで、聞くところによると、今度は国会の休会中に結論を早く出してしまえというようなことで、八月の十七日か何かにその委員会が持たれるそうでありまするが、その委員会で結論を出して許可の方針へ強引に持つて行こうというような動きがあるようでありまするけれども、問題はもつてのほかのことであり、もしそういうような前例が開かれますると、ミシンも許さなければならぬ、パンも許さなければならぬ、電気冷蔵庫も許さなければならぬ、いろいろな問題全部許さなければならぬということになると、今度はたいへんなことになり、東条局長の首つ玉を百や五百ねじり切つても問題の解決がつかぬ形になるわけであります。このことをひとつ十分お伝え願いまして、日本の労働者、日本の中小企業者が、このことについてずいぶん心配をしておる、だから早期にこの問題は結論を出す。その結論たるや、そういうばかげた方針はとらないで結論を出していただきますことをお伝え願うことを強く希望いたしまして終りといたします。
  71. 福田繁芳

    福田(繁)委員 先ほどから自由党、社会党、改進党の方から、目下の急務であるところの中小企業に対する金融対策を、ぜひとも大蔵並びに通産両省の首脳部をこの委員会に招致して、根本から検討を加えてみたい、こういう熱心なるお声が全会一致でありますので、委員長は可及的すみやかに理事会を開かれまして、これを決定せられんことをお願いします。  本日はこの程度にて散会されんことを願います。
  72. 内藤友明

    内藤委員長代理 ただいまの福田君からの発言を了承するに異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  73. 内藤友明

    内藤委員長代理 ではさように決します。  委員長から各位に一言申し上げたいのであります。それは今日の中小企業金融問題についてでありますが、これは重大なことはいまさら申すまでもございません。本委員会でも何らか具体的結論を出さねばならぬことになつておると思いますので、別紙、指定預金預託制度が廃止せられた場合における中小企業金融資金対策案を一試案としてお配りした次第であります。次会に審議したいと思いますので、各党においてそれぞれ御研究方お願いいたしたいと思うのであります。  本日はこの程度にとどめ、次会の委員会は来る九月の九日、十日、十一日の三日間にわたり、それぞれ午前十時より開会することにいたします。なお各小委員会の小委員長におかれては、小委員会を開かれる場合には、この三日間のうちの午後にでも開会するようにとりはからつていただきたいと思います。また明十二日は予定通り午前十時より補助金等に係る予算執行の適正化に関する調査小委員会を開きます。御出席願いたいと存じます。  本日はこれをもつて散会いたします。    午後三時四十五分散会