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1954-07-12 第19回国会 衆議院 大蔵委員会 第66号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年七月十二日(月曜日)     午前十時三十三分開議  出席委員    委員長 千葉 三郎君    理事 淺香 忠雄君 理事 坊  秀男君    理事 山本 勝市君 理事 内藤 友明君    理事 井上 良二君       有田 二郎君    大上  司君       小西 寅松君    島村 一郎君       苫米地英俊君    福田 赳夫君       宮原幸三郎君    三和 精一君       福田 繁芳君    本名  武君       小川 豊明君    佐々木更三君       柴田 義男君    平岡忠次郎君  出席国務大臣        大 蔵 大 臣 小笠原三九郎君  委員外出席者         大蔵政務次官  植木庚子郎君         大蔵事務官         (主計官)   谷川  宏君         大蔵事務官         (主税局長)  渡辺喜久造君         大蔵事務官         (銀行局長)  河野 通一君         国税庁長官   平田敬一郎君         郵政事務官         (貯金局長)  小野 吉郎君         専  門  員 椎木 文也君         専  門  員 黒田 久太君     ――――――――――――― 六月十日  委員本名武辞任につき、その補欠として金子  與重郎君が議長指名委員に選任された。 同月二十三日  委員金子與重郎君及び宇都宮徳馬辞任につき、  その補欠として本名武君及び三和精一君が議長  の指名委員に選任された。 同月二十六日  委員片島港君辞任につき、その補欠として佐々  木更三君が議長指名委員に選任された。 七月十二日  委員藤枝泉介辞任につき、その補欠として宮  原幸三郎君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 六月三日  補助金等に係る予算執行適正化に関する法  律案内閣提出第一四七号)  接収解除ダイヤモンド処理等に関する法律案  (中野四郎君外二十一名提出衆法第一五号)  接収貴金属等処理に関する法律案内閣提出  第一二五号)  銀行法の一部を改正する法律案春日一幸君外  六名提出衆法第四六号)  国有炭鉱医療施設の譲渡及び貸付に関する特  例法案伊藤卯四郎君外六十三名提出衆法第  四七号)  資金運用部資金法の一部を改正する法律案(福  田赳夫提出、第十六回国会衆法第五一号)  税制に関する件  金融制度に関する件  専売事業に関する件  国有財産管理状況に関する件  印刷事業に関する件  造幣事業に関する件  補助金等予算執行適正化に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  税制に関する件  金融に関する件  国有財産管理状況に関する件     ―――――――――――――
  2. 千葉三郎

    千葉委員長 これより会議を開きます。  税制に関する件、金融に関する件、国有財産管理状況に関する件の三件を一括議題として審査を行います。各件については質疑の通告がありますので、順次これを許します。  まず国税庁長官に対する質疑がありますから、先にこれを始めます。佐々木更三君。
  3. 佐々木更三

    佐々木(更)委員 国税庁長官に、少し小さいことでございますが、関係するところが非常に大きい問題ので、こういうことをお聞きしたいのでございます。去る六月の四日の私の方の新聞紙に、税務署員小室尚夫という男が税金の督促に参りまして、夕方遅く疲労困憊その極に達して、ほとんど失神状態になつたために、列車に触れて即死をしたという不祥事件があるわけであります。これが俄然問題になりまして、どうしてこういうふうに夜遅くまで、徴税吏員が心神喪失の状態になつて列車が来るのがわからずにふらふらしなければならないかという原因が一大社会問題になつて論議されたわけであります。その結果、こういうような事態の起きて来たということは、近来国税庁が国の予算に基いて一つ徴税目標を立てる、その徴税目標がほとんど見込みに基くものであつて、この過大な見込みに基く徴税目標を達成するために、現在これらの税務署吏員がいわゆる苛酷な勤労に従事しなければならないということが原因だと、こう社会的にはほとんど結論をされておるわけであります。この過重な徴税目標を達成するためには、今日一般にしりたたき戦術という言葉で表現されておりまするが、これらの職員しりをたたいて、この徴税目標を達成するために、近来国税庁内においては多くの内規の改正といいますか、あるいは内規にあるのを特別厳重に励行しておるのかわかりませんけれども、まず第一には、特別昇給制度というような制度を設けて、税金を多くとつた者を表彰する、こういうような制度をとつておるそうであります。一体税金を多くとつた者がはたして職務に忠実だという証拠はどこから来るかということであります。見ようによつては、税金を多くとつた者は苛酷な取立てをしたということもあるでありましようし、たまたまその勤務地域徴税によい条件を備えておつたがゆえに、要するに徴税成績上つたとも見られるわけであります。反対徴税成績の額が上らなくとも、実際には、その人は誠意を尽してあらゆる努力をしたのであるけれども、その人の政治的その他のいろいろな条件が悪いために徴税成績が上らない、こういうような具体的な観点からいたしますれば、この特別昇給制度というものは、私はこれは水増しの徴税目標達成のために、いわゆるしりたたき戦術としてこれを国税庁が採用しているものである。その結果これらの職員は、この特別昇給制度その他のこういう制度のために、要するに列車にほとんど失神状態に疲れ果ててひかれなければならないということが起きて来ると思うのであります。そこで私は、国税庁が実際にこの特別昇給制度というものをとつているのかどうか、こういう制度が今の小室君の死のように悲惨な状況をこしらえた原因であるかどうか、この点について御意見を承りたいのであります。
  4. 平田敬一郎

    平田説明員 ただいまお話になりました仙台局塩釜税務署におきまする小室君の死亡につきまして、その間いろいろ事情があるにいたしましても、職務を遂行した後の帰りのできごとでありまして、私どももまことに深甚なる弔意を実は表している次第でございます。平素から非常にまじめな勤務をいたしておりまして仕事に非常に熱心であつたということもよくわかつております。その日は職務執行につきまして、帰りしな、その付近で一番交通の頻繁な所で、ときどき事故がある所らしいのでございますが、そこにさしかかつた際に、不幸過失死に至りましたことは、まことに私ども同情をいたしておるわけでございまして、その善後措置につきましては、私どももできる限りの措置をいたしておる次第でございます。  それから今のお話徴税目標というお話一つございましたが、これはもう前々この国会におきましてもよく御説明いたしておりますように、率直に申し上げまして、昭和二十二年から四年までこの三年間、一種努力目標というものを設けまして税務署に働いてもらうことにいたしたわけでございます。これはその当時非常に社会が混乱し、税金も入つて来ない、インフレがはげしくなつてどうにもいかぬという場合の非常措置といたしまして、実はそういうやり方もやつたのでございます。ところがこれをやつてみますといろいろ弊害が多い、それからまたそういう必要も漸次なくなつた、この二つの理由からいたしまして、二十五年度からすつぽりそういうことはいたしておりません。しかしやはりそういうことを一ペんやりましたために、その後におきましても、どうも税務署仕事やり方等に、そういう事前にある程度の額の目標をきめておきまして――仕事にいろいろ抽象的な目標がありますことは、これはもちろん理想としましているく目標を掲げることは、ございますが、具体的な額につきまして、事前によく調べもしないで目標的なものをきめて、それで仕事を進めて行くというやり方はよくないというので、事あるごとにそういう考え方、あるいは方法のいろいろな問題にわたるやり方の是正に努めて来たのでございます。昨年もこの国会におきましてもたびたび問題になりました、たとえば所得の査定につきましても、前年に比べて所得が幾ら伸びるかということ、これは目標ではないのですが、一昨年あたり大分それにとらわれて一律に行きがちになりましたので、これもいかぬという趣旨で、実は伸びという言葉自体も抹殺しようじやないかというので、実績なんかとります場合に、私は必ず増減――人によつて減る人もある、ふえる人もある、これは違うのだから、個々事情をよく調べてやらなければならぬという趣旨で、実は昨年は大分このことについて努力いたしました。それから目標につきましても、ややもしますと、事前にあの税務署はきまつた税額のどれくらいおおよそ行き得るだろうということで、中央では全然そんなことはいたしておりませんが、国税局税務署を指導いたします場合に、そういうやり方をやつていたところも実はあつたようでございます。しかしこれも下手しますと行き過ぎになりまして、税法通りやるという趣旨が徹底できないということがございますので、これも今年の基本方針にははつきりうたつておりますが、そういうやり方はやめる。事前にどれくらいのところは、あの税務署では納期までに完成しそうだということをきめるというやり方は全然やめることにする。こういうことで、実は私ども考え方としましては、今お話の御懸念のような、事前に額を何か目標らしいものをきめてやる、そういう行き方並びにそういう考え方はできるだけ払拭いたしまして、税務行政の本来のやるべき姿、すなわち税法個々納税者納得を得まして、よく個別的に妥当な結論を得る。従いましてまず正しい申告を出してもらう。それが正しくないと思う場合には、個々によく調査いたしまして、調査の結果で税法に照して正しい所得を見出す。それから差押え、公売などにつきましても、千編一律に行かないで、納税者の現状をさらによく見まして、納付能力調査ということを昨年から始めているのですけれども、そういうことを見た上で適切な徴税をする、こういうふうに税務行政全般につきまして、個々納税者の実態によく即応するように、そうしてそれは正しく税法を当てはめてやつて行くようにというので、私その点を特に強調いたしております。税務官吏は、とるだけが能でない。税法で負けるのは当然に負けるようにするのがあたりまえだ。むしろとる、負けるという言葉自体も、できますれば避けたいくらいの気持でおりまして、要するに税務官吏というものは、税法を正しく執行する、それが唯一任務である。その結果収入が入つて来るわけであります。最初から少しでもよけいとればいい、あるいは負けるべき税金も負けないでやるということはよくないということで、今年の申告書なんかも、今までは納税者に有利な、減免になるようなことはどうも書き方が小さかつたのですが、特に大きく書きまして、よく納税者に知らせる。青色害なんかにつきましても、いろいろ恩典がありましても、なかなか税務署が進んで教えてくれない、こういう非難がありましたので、そういう点につきましても進んで知らせるようにいたしまして、税務官吏任務というものは、要するに国会で御審議を願つてきまりました税法個々納税者に正しく適用して行く、それのみが唯一任務であるということを徹底させるべく実は努力いたしているわけでございます。大分そのような方向に最近は来ていると思いますが、なおまだところによりますと、やり方その他いかにも洗練されないやり方をやりまして、おもしろくない結果を生じている事態も確かにございますので、そういう点につましては、今後われわれといたしましては、一層正しい方向に行きますように指導して参りたいと考えております。  それからもう一つ特別昇給の問題でございますが、この問題は、実は昨年から人事院が、各省にわたりまして全体の五%くらいの程度は特別昇給させてもよろしい、こういう人事院方針がきまりまして、私どもその方針に従いまして、少しでも税務官吏待遇をよくするという方向でございますから、こういうことにつきましても、できる限りこういう制度を活用いたしまして、待遇をよくすることに努めて行く、こういう意味で実は私どもの方も実行いたしているわけであります。その際におきまして、今お話のように、少しでも税金をとりさえすればいいという考えではおりません。これはまつたくそういう考えであります。私どもは各人がほんとう納税者納得を得て親切によく話をして、公正に税法を適用してりつぱな税務行政をやつて行く、そういう角度から考うべきことでありまして、今お話がありましたように、税法を越えてよけいとるなんということは、とんでもないことであります。わかれば、そういうことはおもしろくありません。むしろ責任問題であろうと思うのであります。税法従つてほんとう納税者納得を得て、親切に、しかも方法よろしきを得て税務行政を正しくやつて行く、こういうものが実はいい税務官吏でありますし、そういう見地から、優秀な成績を上げるように、先に昇給させまして、順次そのほかのものにも及ぼしたい、こういう考え方税務官吏待遇を漸次よくして行くということに実は考えているのでありまして、それ以外に全然他意はないということを御了承願いたいと思う次第であります。
  5. 千葉三郎

    千葉委員長 ちよつと御注意ですが、国税庁長官の声が低くて速記がとれないそうですから……。
  6. 佐々木更三

    佐々木(更)委員 国税庁長官は、この特別昇給制度がいわゆるしりたたき方法ではないと言われるが、むろん人事院がこういうことをきめる場合には、そういうことを意味しないと思うのであります。しかし実際には、徴税目標を立てておらないと国税庁長官は一人信ずるのでございましようが、下の税務署に参りますと、やはり本年度は昨年の何割増し、こういうような大体の目標がついておることは、もはやだれも疑わないところであります。こういうような状態で、小室尚夫君のそういう不慮の死が証明するように、やはりそういうような目標というものが実際にはありまして、その目標を達成する勤務に対して特別に昇給制度を考慮するということになれば、たとい人事院の意図がどうあろうとも、たとい言葉で、長官が命令しなくとも、徴税する吏員はやはりおほめにあずかりたい、あるいは徴税成績を上げて特別昇給にありつきたい、こういう考えを持つことは人情の自然であります。だから国税庁長官が個人的にどういうことを考えようとも、徴税目標なり、こういうような特別昇給制度というものがある以上は、実質上はこれがしりたたき戦術になることは明らかでありまして、国税庁長官は、たといそういうような規定があつても、こういうようなものは、国税庁のような特殊の業務の上ではしりたたき戦術になるのであるからこれは適用しない、こういうふうにお考えになれないかどうか。この点をもう一度ただしておきたいと思います。
  7. 平田敬一郎

    平田説明員 結局職員がある期間勤務に対しまして、われわれがほんとう理想とするような仕事ものさし、そのものさしが大事だと思います。今お話のように、真によけい入ればよいというものさしでは、これはいかぬと私は思いますが、先ほど申し上げましたような意味におきまして、正しい税務行政はどうあるべきか、それから正しい職員任務はどうあるべきか、このものさし考えまして、ある期間いい勤務をいたしたものに対しまして一刻も早く昇給させる、こういう事柄自体はいいことじやないかと思います。ただそれが、今お話のような弊害に非常に陥りがちなところは、これはよく考えまして公正に運用して行く。運用につきましては、私どもその趣旨をさらに一層徹底させ、改善をはかることに努めて行きますれば――実は制度自体をやめた方がいいというふうには考えていないのでございまして、そういう点につきまして、末端にもしも十分徹底していないことがございますれば、今後とも徹底をはかりまして、仕事も公正に、それから褒賞も正しく行われるようにして参りたい、こういう考えでおりますし、またそれ以上他意は全然ないということを申し上げて、御了承を願いたいと思う次第でございます。
  8. 佐々木更三

    佐々木(更)委員 もう一つ国税庁が、長官がどう言おうとも、一種しりたたき戦術をとつておるということは御承知の通りでありまして、昨年度のことになりますが、山形県の最上地方に起きたあの思想調査事件でも明らかであります。この事件がその後において協議団の問題になり、相当是正されておる事実から見ても、これは明らかだと思うのであります。そのことはしばらくおきまして、このしりたたき戦術として国税庁は今回――これまた人事院の定めた規則からすれば合法的かもしれませんが、いわゆる定期昇給をある者に対してはストップをする、こういう制度をとつておるのであります。一方においては、特別昇給制度というようにしりたたき戦術をとり、一方においては特殊の事情によつて、たとえば納税能力のない人々を多く受持つた者がたまたま徴税額が不足であると、これらの者を勤務成績不良として、逆に今度は定期昇給ストップさせる、こういう二重の制度をとつておると私たちは見るのであります。そこでこの定期昇給制度ストップするというのは、それならばどういうお考え国税庁では現在実施をしつつあるのか。この点について承りたいと思います。
  9. 平田敬一郎

    平田説明員 昇給の問題につきましては、実は今まで各局がそれぞれ適当にやつていたのでございますが、大分各地から、なるべく統一してくれるようにという要望がありましたので、本年の四月に全国的に基準統一をはかつたのでございます。そのはかりました際におきましては、できる限り人事院規則の定める精神で行きたいという趣旨参つたのでございますが、私ども二つ考えているわけでありまして、相当長い期間休んだ人を昇給させるのはどうであろうか、これが一つ、もう一つは、今御指摘の人事院規則では、その期間勤務成績が良好である者は昇給さしてもよい、こういう二つ角度があるのであります。その二つ角度につきまして、実は一定の基準を設けまして実行に移してみたわけであります。ところがこの基準は、率直に申し上げまして、全国的統一をはかる際におきまして、少しきつ目の線に統一されたということがその後よくわかりましたので、今回その点につきましては、さらに実情に合うように直すつもりでおります。直しまして実際に合せるようによく考えて――これは四月にさかのぼつてほんとうにきつかつた人については直す、こういうことで目下実は実行すべく具体案を作成中であります。
  10. 佐々木更三

    佐々木(更)委員 この定期昇給の一部ストップは、現在各関係官庁職員間で非常に大きな問題を起しておるようであります。私の調べたところによりますと、なるほど人事院規則は、その成績不良とか、あるいは病気療養中、特に長期欠勤等の者についてはその昇給を除外することができるようになつておりますけれども、各官庁におきましては、実際上は現在これをあまり適用しておらないのであります。むろん病気療養が特に長期にわたつた場合には、間々多く職員納得するような方法でやられている例もあるのでございますが、こういうような、単に成績不良とかいうことになりますと、どうしても監督権者意思が大きく支配することになる。その意思が支配するということになれば、そこには感情等も入り、いろいろこれがしりたたき戦術に利用されるというような幾多弊害を生むので、規則にはありますけれども国税庁を除く各官庁においてはこれを実行しておらないというのが実情であろうと思うのであります。幸い国税庁長官から、少し行き過ぎがあつたから、これを是正して実情に合うようにというお答えでございますが、十分気をつけて、こういう問題で職員長官との間にあつれきが起らないように御配慮を願いたいと思います。  そこで私は、今の国税庁職員間における一つ紛争についてお尋ねいたしたいのでございます。こういう幾多の問題を中心にして、現在国税庁長官職員との間に紛争が惹起されております。すでに相当長期にわたつて、現在一つの手段が講ぜられているのでありますが、国税庁長官勤務成績を上げよう、こういうことでとつ措置がかえつて職員間に疑惑を生ぜしめ、不安の念を抱かせて、そのために国税庁内が一つ紛争状態に入り、その結果としては多かれ少かれ、やはり国税庁長官の意図するところと反対の現象を生んで行くと思うのであります。すみやかに国税庁長官はこれを解決して、国税庁業務が正常に円満にかえるような措置を講ずることがあなたの責任と存ずるのでありますが、これはどういうふうに考えるか、国税庁長官はこれらの紛争の収束についてどういう具体案を持つておるか、承りたいと思います。
  11. 平田敬一郎

    平田説明員 紛争につきましては、実は先般来たびたび話合いを重ねまして、大分話合いが進んでおります。私ども誠意を持つてうまく解決するように努力いたしたいと思いますが、よろしくお願いしたいと思う次第であります。
  12. 佐々木更三

    佐々木(更)委員 国税庁長官誠意を持つて近い機会において解決するという答弁を得まして、私もぜひその方向国税庁長官努力をされて、こういうような一つしりたたき戦術等の問題と同時に、職員の間の話合いを円満に妥結するように、最大の努力をされんことを希望いたしまして、一応私の質問を終ります。
  13. 千葉三郎

  14. 有田二郎

    有田(二)委員 国税庁長官にお尋ねする前に、先に主計局谷川主計官にお尋ねいたします。ずつと税務署国税局をわれわれまわつておる。それにつきまして感じますことは、第一線の徴税経費の問題であります。結局国税庁は他の所管違つて、やはり国の税をまかなう役所でありまして、従つて実際において必要な旅費あるいは通信費というものは、もちろん先般は一律天引きの形で引かれておるのでありますけれども、現段階においては来年度の予算の編成にあたつて、特に谷川君は国税庁におられた関係もありますし、また両主計局次長国税庁次長をしておられた関係もありますし、他の官庁違つて税収入を確保するのみならず、その税を納められる方々に対する人権蹂躪のないようにする。このためには旅費あるいは通信費というようなものは十分考えていただきたい。その金の使用の方法については、主計局でそういう名月で金をとつておきながら、国税庁の幹部の方で他へ流すというようなことがあつては相ならぬのであります。とにかくかりに一千万円この予算をふやしますことによつて、五千万円の逃げておる税金が把握できるということになりますれば、国は四千万円の増収となるわけであります。これらの点で、谷川主計官国税関係はお詳しいのでありますから、事情をよくお聞き願つて、必要やむを得ざるもの、あるいはそういうところにそういう費用を認めることによつて国税庁全体の収入の上において大きく影響があり、あるいは税を納められる方の基本的人権を侵さないようになる、あるいはそういつた逃げておる税収が確保されるというような面につきましては、十分に私は見るべきだと思うのでありますが、御所見を承りたいと思います。
  15. 谷川宏

    谷川説明員 従来とも今有田委員の仰せられたような考え方によりまして、必要な経費を認めて来たつもりではございますが、今後ともただいまのごもつともな意見を十分尊重いたしまして必要な経費予算的に措置をするということで行きたいと思います。
  16. 有田二郎

    有田(二)委員 これも谷川主計官所管ではないかと思うのでありますが、社宅あるいは税務署の建築の問題でありますが、やはり今申しましたように、税務署所管事項につきましては、若い税務吏員が税を決定する権限と権力を持つておるのであります。従いまして、どうしてもそこに間違いが起りやすいのでありまして、税務吏員の転勤ということは、間違いを防止するために欠くべからざるものだろうとわれわれは考えおるのであります。従つてそれらの設備とかいうものについても、他の官庁違つて特別な考慮が払われるべきだと思うのでありますが、この点について御所見を承りたいと思います。
  17. 谷川宏

    谷川説明員 国税庁職員の住宅の数が非常に不足をしておるというお尋ねでございますが、その点はまつたく同感でございますけれども、政府全体の職員の割合から見まして、年々の公務員住宅費が比較的少くなつておる関係もございまして、十分に住宅を建設するということはできませんが、配分の問題等につきましては、管財局ともよく連絡をとりまして、国税庁職員の、ことに転勤その他が非常に多いという状況等を勘案しましてできるだけ善処して行きたいと思います。こまかくなりますが、参考までに国税庁に対する住宅建設資金の予算的なわくの問題を申しますと、二十八年度に比べまして、二十九年度では大体五割見当ふえておるという状況もございますので、今後ともできるだけ御要望に沿つて行きたいと考えております。
  18. 有田二郎

    有田(二)委員 国税庁長官にお尋ねしたいのですが、協議団の問題については、国税庁長官非常に熱意を持つておやりになつておるようであります。長官になられてから協議団関係は隔世の感がある、私はかように痛感をいたしておるのであります。しかしながら国税庁長官のせつかくの御意思でありますけれども、まだまだこれが末端に及んでいない。各税務署では、これらの問題について協議団に出すことが税務署成績にかかわる、面子にかかわるとかという問題がまだまだあるのであります。先般関東信越国税局の熊谷税務署に参りましたときにも、そういう点を痛感して参つたのであります。国税庁長官はぜひとも税務署の訓練教育をやつてもらいたい。直税部長の村山君もこの点について協議を続けてもらいたい。特に協議団の方面の意見を聞きましても、支部のある、たとえば宇都宮なら宇都宮の支部のある周辺は割合に協議団の利用度が高いのでありますが、県境に行きますとほとんどない。これらにつきましても、どうしてもその土地の税務署の協力がなければ私はいけないと思う。たとえば高知の場合に、高知市に協議団の支部がある。高知の附近につきましては、長官の御趣旨にのつとつてある程度の利用度が考えられるのでありますが、ずつと室戸岬あるいは大分県寄りの方べ参りますと、この利用度がほとんどない。協議団というものがあるかないかわからないし、また税務署では協議団というものに対する関心を持つていない。もちろん今日の協議団のあり方については、いろいろな議論がありますけれども、しかしながらわずかな税務吏員で多数の人の税を正しく決定するということは、なかなかむずかしいのであります。従つてある程度の更正決定、ある程度の無理は私は今日においては避けがたいのではないか、従つてこの協議団というものは、新憲法で保障されておる基本的人権を擁護するためにもなくてはならない存在でありますし、今日の税務行政では、協議団というものは私は非常に必要であると思う。のみならず検察庁であるような国税庁の中に、裁判所である協議団というものが置かれておるという状態からあわせ考えましても、東京とか大阪とかいう大都会のみならず、また支部を持つておる県庁所在地のみならず、辺鄙な方面にまで国税庁長官ができ得る限り力を入れて伸ばして行く、こういうふうに願いたい。三年ばかり前に、名古屋の西税務署で七十八件協議団で修正されましたために、一部取消しあるいは全部取消しをされましたために、名古屋の西税務署では署長以下決議をし、そうして協議団には爾今一つも出さない。そうしてそれは税務署において再調査して修正するというような決議すら行われたのであります。従いまして、今日はもちろん非常にかわつてはおりますけれども、まだまだ税務署の方々の協議団に対する理解が非常に乏しいと私は思うのであります。従つて今日の協議団国税庁の中にあつて税務署と同じ立場にあるものであつて、それには税務署員があげて協力しなければならぬ。また特に辺鄙な県境その他のところの税務署においては、よけいこれに対して関心を持つべきである。かような考えを持つているのでありますが、長官の御所見を伺いたいと思います。
  19. 平田敬一郎

    平田説明員 ただいま有田議員からお述べになりました協議団に対する考え方、並びに現状に対する御批判、これは私まつたく実は御同感であります。今後私やはり協議団制度は大いに納税者が利用するように持つて行きたいということを、強く実は考えているのであります。その方法として、今御指摘のように県庁所在地には支部を置いておりますが、その他のところに常駐しておりません。そこに問題がもう一つあるのではないかと思つておりますが、ただ個々のところにたくさん常駐を設けるということになりますと、また人間とか費用の問題もございますので、私は少し巡回的に協議団仕事をして行くようなやり方考えてみたらどうだろうか。苦情相談所につきましては、巡回式のやり方をやつておりますが、協議団についても、何か期間をあらかじめ予告しておいて、巡回式に各税務署にまわつて行きまして、その間に事案をさばいて行くというようなやり方をとりますれば、もう少しお話のような点も徹底できるのではないかと思つて、実はそういう点につきましても若干研究いたしております。いずれにいたしましても、この制度はでき得る限り納税者が利用するようにいたしまして、いやしくも税務に関して人権云々の非難が起らないように、しかも公正な税務ができますように鋭意努力いたしたいと考えております。
  20. 有田二郎

    有田(二)委員 さらに更正決定の点についてお尋ねしたいのでありますが、昨年度より更正決定が本年度は非常に数が減つて来ているように存ずるのであります。その更正決定のあり方について、ぜひ税務署員に御指導願いたいことは、更正決定をするにあたつて納税者を脅迫したりすることのないようにしていただきたい。言うことをきかなければ更正決定するぞ、こういうような言葉が今まで再々行われて来ておつた。更正決定をするなら黙つて更正決定すべきで、あくまでも言葉はいんぎん丁寧、税の決定にあたつては、それは厳正におやりになることはけつこうでありますが、納税者を、たとえば帳簿がないということで脅迫することは私はよくないと思う。今日長官はどういうようにお考えになつておりますか知りませんが、実際において、帳簿を書き得る納税者の数というものは帳簿をつくつてない納税者の数よりも多いのじやないか。また実際小さく商売をしているものが、商売はするが、片一方で帳簿を書いて行くということはなかなかできないのでありまして、ただいま長官が、青色申告について非常な熱意と非常な御指導をなさつておられることは私は満腔の敬意を表しているものでありますけれども、青色申告の進展とともに帳簿の書けないもの――いかにだれが長官になろうとも、日本国民あげて納税者すべてに帳簿を書かせるということは、私は不可能だろうと思う。従つて帳簿のないものに対する御指導の方法はどういう方法をとつておられるか。帳簿がないから脅迫せいというような方針で御指導なさつておられるのか。大体この程度は帳簿があるべきだ、しかしこの程度のものについては帳簿がないのは妥当だろう、従つてこれらに対してはこういうような税決定をすべきである、徴税方針で行くべきである、こういうように私は行くべきじやないかと思う。私は今まで長い間大蔵委員をやつて五年になりますが、あつちこつちへ行くたびに、帳簿がないということでおどかして税決定に脅迫的に導くという線が非常に多いことを聞くのであります。今日においてもなおそういつた点を多々見出すのでありまして、帳簿の書けるような段階のもの、帳簿のほとんど書けないようなもの、帳簿の書けるものは、すでに青色申告方法が非常に強力に長官の御指示によつて進められているのでありますから、帳簿のないものに対する長官としての御方針を承りたいと思います。
  21. 平田敬一郎

    平田説明員 帳簿のない納税者所得をどうきめるかという問題は、実はなかなかむずかしい問題でございます。実際問題としましては、帳面がなくとも、所得についていろいろ会計的な事実はできるだけ調査するようにいたしております。帳面がなくとも、相当いろいろな方法で資料が集まつて、雇人がどの程度いるか、あるいはごく短期間にどのくらい売上げがあるか、あるいは電力の使用量いかんというような、いろいろ所得を推定するに足る間接の資料をいろいろな角度から調査するわけであります。それに基きまして、最後は比較検討といつたような方法も加えまして、そうしてなるべく正しい所得を生み出すように鋭意努力いたしております。農業等につきましては、標準率をつくりましてそれによつてつております。営業者の場合におきましても、帳面のある納税者につきまして調べたところによりまして、効率などをうまく適用し、これまた標準率等を適用しまして所得を推定しているという状態でありますが、できますならば、やはり帳面をつけられる人は帳面をつける。それに基いて所得をきめる。これが正道であるので、一方において極力青色申告の普及をはかつている次第であります。  それから帳面のない人を最後にきめる場合の態度ですが、これはまつたくただいま有田さんのおしかりごもつともですが、ただ帳面がないからといつて、理由も示さないで押しつけてしまうということはよくないと思います。税務署がこういうように所得を見たがと、その辺のことをよく話してやりまして、帳面のない納税者についてもとことんまで納得するような努力をし、説明をいたしまして、円滑に行くように進めたいと思つております。今後ともそういうように進めまして、私ども一層努力したいと思つております。
  22. 有田二郎

    有田(二)委員 長官の御趣旨はよくわかつております。長官のような人が全国の税務署員であれば問題でないのでありますが、いろいろかわつた税務署員が全国におられる。その点だけは長官より厳重に全国に御通達を願いたい。脅迫をしないこと。帳面の指導を十分にしていただいて、一人でもよけいに帳面を書いていただくように、青色申告その他の指導をしていただくことはまことにけつこうでありますが、しかしながら帳簿がないからいかぬというような脅迫をすることのないように、また納税をするのに、更正決定の制度をわれわれは認めているのであります。相手が言うことを聞かなければ更正決定にまわせばいいし、さらにそれで話合いがつかなければ協議団にまわせばいいのでありますから、脅迫がましいことはこれからやらない。全国的に私は今までずいぶん調べて参りましたが、脅迫するのが早い。お前、刑務所にほうり込むぞ、検察庁にまわすぞというような脅迫によりまして相手に判を押させるというのは一番効果的なんです。しかしながらこれは絶対に私はやめるべきだと思う。ですから私のどうかお願いしたいことは、私はあすの晩から北陸に参りますが、おそらく私が今度調べて参りましたら、脅迫的なものが必ず出て来ると思う。脅迫だけはやめてくれ。言うことを聞かなければ黙つて更正決定をして、言葉はあくまでやさしくして更正決定できめればいいのでありまして、何もおどかしたりする必要はさらさらない。一時あのときには更正決定の数をうんと減らしたいというようなところから、説教強盗式に判を押させるようなことがはやつたのでありますが、どうかひとつ納税者の税決定には、脅迫的な言辞は断固将来使わない、言葉はあくまでも丁寧にする、しかも税決定は厳然たる態度でやつていただく、こうあるべきだと思いますが、長官のお考えを承りたい。
  23. 平田敬一郎

    平田説明員 まつたく同感でありまして、そのような趣旨の徹底に今後とも一層努めたいと考えます。
  24. 山本勝市

    ○山本(勝)委員 ただいまの質問に関連してちよつと伺つておきたいと思います。今の脅迫の問題ですが、有田委員からは脅迫があると言い、地方の税務署へ行つて聞きますと、そういうことはしないと言う。長官もそういうことはないものというふうに思つておられるかもしれませんが、私が客観的に見ておつて、確かに税務署員は脅迫したつもりはない、しかし納税者から見ると脅迫されたという意識をはつきり持つているのです。だから両方ともうそを言つているのではないのです。なぜそういうことが起つて来るかということをだんだん調べてみますと、こういう場合が往々にしてある。これは局によつて違いましようけれども、いわゆるお知らせなるものをしている。そしてあなたのところの所得は大体これだけだという予告をする場合に、本人は、帳面はないけれどもそうあるわけがないといつた場合に、どうしても予告の線を、とにかく時間も短かいし、これで判を押しなさいと言われて、いやそうはないと言つて押さなければ、もうしかたがないから更正決定するよりほかない、こういう言葉を吐いた場合に、中にはどえらい更正決定をぶつかけて来るからとはつきり言うている者もありますけれども、そこまで行かぬでも、更正決定するほかないと言われたことが、やはり一方からは威嚇されたように受取る場合がある。また中には二度も三度も呼んで、そしていろいろ聞いてやつて、最後に、もう経費として書き出すものはないか、いやこれ以上書けと言われても思い出せぬということで判を押したのだから、何も脅迫したのじやないと税務署は言う。ところが本人に聞いてみますと、二度も三度も呼び出されて、なおこの上四へんも五へんも呼び出されるということになると、家の仕事をほつておいて出て来て、まだこれから何べんも呼び出されるのだと思うと、そろばんを置いてみると泣寝入りした方が勘定が合う、実際決定には不満やる方ないのだけれども仕事を休んでこれからいつまでも引出されてはかなわぬということで、泣く泣く判を押した場合に、税務署側では、二度も三度も呼んでやつたのだから、何も頭からぶつかけたのじやないと言うが、一方は、二度も三度も呼ばれたことが、まだあと四へんも五へんも呼ばれるのじやかなわぬということで判を押している。そこに一方は脅迫しない、一方は脅迫しているというふうに感ずることが起つて来ているのです。その辺の機微をひとつよく長官考えてほしいと思うのです。  それからもう一つ、御承知の通り今日非常に売掛金の回収がむずかしい。そうかといつてその債権を放棄するということも、なかなかそこまではつきりしない、しかしまず八、九分までこれはとれぬ、こういう場合が非常に多い。ところが帳面の上では、これが利益となつて計算されて来ている。債権を放棄したわけでもなし、また回収不能ということが裁判ではつきり確定したわけでもないというので、結局帳面の上では利益となつているために、税金としては現金で払わなければならぬ。金が入らぬのに現金で払わねばならぬというこの苦しみ、この点をどういうふうにして処理して行かれるか。これはかなりむずかしい問題ですけれども、現実に納税者から聞きますと、今金が入らぬのみならず、おそらく八、九分まで入らぬだろうけれども、思い切ることはできない、税金は現金で納めねばならぬということですが、この点どういうふうに処理するか、伺つておきたいとい思ます。   〔委員長退席、内藤委員長代理着席〕
  25. 平田敬一郎

    平田説明員 ただいまのお話の前段の御注意に対しましては、よく私どももそういう事態があるということを認識いたしまして、実際の運営、現場の指導に十分意を尽す考えでございます。  それから後段の問題につきましては、これは実は税法の根本原則にも関連して来るわけでございますが、現在は所得計算も、御承知の通り権利の確定と申しますか、発生と申しますか、収入支出もそれぞれある期間に権利義務が確定した、発生したものをもとにしまして所得を計算している。これが原則でございますが、やはり会計原則もそのことを認めているような状態でございます。そういうわけで所得を計算いたしているわけでございますが、ただ実際問題としまして、徴税になりますと、お話のように経済が円滑に動いているときはいいのですが、売掛金がよけいに出て来るということになると、どうもその辺のところはぎごちない、実際に即しないという点が確かに見受けられるわけでありまして、今後現金主義で計算する場合は、ある程度緩和して行くということについても、私ども率直に検討してみたいと思つております。しかしこれは相当根本問題でございますので、なかなか簡単には出て来ないと思いますが、当面の問題といたしましては、最近の経済情勢に対応いたしまして、売掛金が増加し、しかも貸倒れの危険が伴つて来ているという状態でございますので、現在貸倒れと認定しております認定の基準が、非常に確実なものだけに限つておりますが、その確実な度合いを少し緩和いたしまして、もう少しゆるやかな認定の方法をやつたらどうか。そういたしまして、もちろん帳面から落してしまわないで、帳面には一応あげて置くが、貸倒れとして認めておいて、入つて来た場合には収入にするといつたような、扱い上のある程度の緩和措置をやりまして、今の所得の計算と現在の経済状勢から来る実情に即しない点を、少しでも即するようにしてみたいということで、目下そういう方法で幾つかの案を実は検討中でございます。近くきめて地方に流すつもりでおりますから、御了承願いたいと思います。
  26. 山本勝市

    ○山本(勝)委員 大蔵大臣、国税庁長官のどちらからでもけつこうですけれども、実は徴税上のいろいろなトラブルが毎年々々繰返されているけれども、次第に税務行政というものが改善されたことば認めます。しかしどうも国税局の方では、青色申告というものに非常な期待を持つてつて、できるだけ青色申告をやつてもらつて行けば、この問題は大体解決するのだ。こういうふうに、ひどく青色申告に期待をかけておられるように見えるのですけれども、私は青色申告はもちろんけつこうだと思います。これはだんだんふえて行くように努力しなければなりませんけれども、これが徹底すれば解決できるのだというふうに簡単に考えられない点があるのです。それは結局青色申告をやりましても、必要経費というものをどういうふうな計算でどこまで認めて行くかということです。この点について私は再検討しなければ、青色申告をやりましても牛はり問題が残つて、結局幾らかはトラブルは少くなりましようが、最後は本人は脅迫ではありませんけれども、もう泣寝入りになつて行くということで不満は鬱積して来る。それでいろいろ今度の医者の例の問題に関連して、かなり方々の税務署を歩いてみた、また医者の実態を調べてみて感じた、それで申し上げるのでありますが、元来戦争で非常に日本は蓄積を消耗した、また敗戦によつて領土も四割五分も失つた、そういうふうに非常な蓄積を失い、領土を失つた日本が、消費水準だけが戦前の最高水準をはるかに越えておるということ、まあ奇異なる現象でありますけれども、この奇異なる現象がどうして可能になつておるかという根本問題を考えて行きます~、結局これは外国の援助と資本の食いつぶした、外国の援助と資本の食いつぶしによつた、こういうふうに見るよりほかはない。そうでなければ、富の厖大な蓄積を消耗し、領土の半分近くも失つておいて、そうして消費水津だけが戦前の最高水準、昭和九年ないし十一年の最高水準をはるかに突破して行つておるわけです。それで外国援助の問題はしばらくおきまして、資本の食いつぶしの問題でありますが、個人の営業とか個人の生活を見ておりましても、結局家屋の償却、家財道具の償却というふうなものはほとんど度外視して、その日の生活を続けておるのが私は実情だと思う。例外はあります。それは会社は御承知の通り資産を過小に評価し、利益を過大に評価して、そうして配当に充て、賃金に充て、また社用族の費用に充てておる。こういうつまり個人も会社もそういう実情で、結局資産、資本の償却というものをしないで食いつぶして行つておる。それはたけのこ生活という、そこらで着物や道具を売つておるということは最近なくなりましたけれども、しかし家屋その他のかなり恒久的なものの償却というふうなものはほとんど無視されておる。個人も会社もそうです。しかもそういう個人や会社から国家が税金をとつて――税金の種類にもよりますが、所得ありとして税金をとつてつてつておるという事態は、国家の財政そのものも資本の食いつぶしの土にささえられておると言つても過言ではない。全部が全部じやございません。少くとも会社の資本の食いつぶしの上に利益を出して、その利益を前提として税金をとつて国家財政をささえて行くということになれば、国家自身が会社の要するに資本の食いつぶしの上に立つておると言えないことはない。個人営業についても同様だと私は見ておる。ですからほんとうに日本の自立経済を達成するという大蔵大臣のねらいから申しますと、一足飛びに完全な資本償却というものを見て、その上に財政を立つて行くということは不可能でありましようけれども、少くともどのくらいほんとうに個人も会社も十分に資本償却をして行つた場合にはどれくらいの税金、財政はどの程度になるかということを私は知つておく必要があると思う。そうでないと、今度の医者の問題などでも、国税局の方の計算から見ると五割五分ないし六割五分くらいの所得があるのだ、これは五、六百軒について実態調査をした結果は所得率はどのくらいあるのだと、こういうふうに出て来ておる。ところが私が実際に調べてみますと、これは地方の郡部の個人医者の場合ですけれども、これまでの三割ですらも実は高過ぎる、これはうそを言つておるのでもかけひきを言つておるのでもない、実際高過ぎる、医者自身の直感でだんだんと自分の地位が落ちて行く、資産が消耗して行くということを感じておる場合に、税務署の方では、そうではなくして三割などというものは安過ぎるのであつて、五割か六割にすべきだ、こういうふうな見解の相違がどこから出て来るかというと、私は必要経費というものの見方から来ておると思う。ですから地方の税務署員としては国税局から通達されたものによつてつておる。だから必要経費の見方、この点に再検討を加えて通達でも出さないと、青色申告をやりましてもやはり問題は残る。だからむしろ帳面などない場合に、昔の所得税の調査委員、こういうふうなものを考慮する余地はないのか、そういう気持はないかということを伺つておきたいのです。つまり二点でありますが、経費調査について、これまでいろいろ償却ついてはこういうふうにしろ、ああいうふうにしろと通達を出しておりますが、それではとうてい私はほんとうの償却はできないと思う。それを検討することと、それから所得調査委員、これで補つて行くのが日本の実情であるのではないか。
  27. 平田敬一郎

    平田説明員 率直に申し上げまして、実は私どもも青色申告ですべてが解決するとは思つておりません。まだ合理的な所得申告及び査定のスタートだと実は考えております。まず帳面がなくして所得をきめるというのはなかなかむずかしいのでありまして、まず第一歩を、しかもそれがそろわなければうまい条件もあとから出て来ない、こういう気持でありまして、その点は御了承願いたいと思います。従いまして、その次はやはりお話のように帳面で記載されております収入金が正しいか、経費を認めるか認めないか、この問題が出て来ると思います。余談になりますが、一例を申し上げますと、経費の備品についての見解の差が、税務署納税者の間のほとんど大部分の問題だということを至るところで言つておりますが、おそらくそういう問題が出て来る、これは相当所得計算が本式に入つて来た証拠だと思います。そういう際におきまして、私どもはやはり経費の見方につきましては、今までいろいろやつておりますが、今後におきましてもいろいろなフアクターを検討いたしまして、できる限り実情に即するようにいたしたいと思います。今度の健康保険に関連いたしましても、今まではほとんど問題にしていなかつたようなこまかいフアクターまで、地方からもいろいろ取上げまして、たとえばこういう経費は見るようにという趣旨のことを流しております。そういうことにつきましては、今後ともりくつにもかない、実情にも合うように一層検討して参りたいと思います。ただ私が感じますのは、資本支出をする経費と見るかいなやということは、そこに納税者意思に今後の計算をする上において実際上にギャップがある、たとえば機械を買うとなりますと、買つた人にとりましては何だか経費のように見えますが、実際問題として金はいる、しかし現金は残りません。そういう場合におきまして、それを見てくれどいうことになるのですが、そこまで行きますのはどうも所得計算の根本に触れまして、ぐあいが悪い。そういうものは、やはり一定期間にくずして経費と見て行くのが償却でございますが、そういうことに関する納税者の理解を得るようにさらに努めるようにいたしまして、一層所得税が円滑に行きますように努めたい。立法論といたしましては、現状の黙認からしまして、さらに税率なりあるいは償却をどうするか。これはまた他の角度からいろいろ問題のあるところだと思います。そういう点につきましても、問題も確かにあると思いますので、今後とも検討いたして参りたいと思います。  それから所得調査委員会の話が出ましたが、所得調査委員会というものは、結局第三者が公平に見るということですが、率直に申し上げまして、各自の所得は外側からだけではなかなかわからない。従いましてこういう制度は、私はどちかと申しますと、世の中の進歩しない場合に出て来るやむを得ない制度でありまして、できればそういう制度に依存しないで合理的に所得税がきまつて来るという行き方の方がいいと考えておりましてもちろん問題ではあろうかと思いますが、今のところ所得調査委員会をこの際考えるということは、私どもといたしましては実はそこまで考えていないのであります。
  28. 山本勝市

    ○山本(勝)委員 経費の点で、たとえばスクーターを買つた場合に、スクーターというものは車だからといつて、五年とか六年とかで償却するというような形になつております。しかしそのスクーターを五年とか六年とかいいますが、実際スクーターを使つてみればわかりますが、あのスクーターが五年も六年も持つものではありません。一年乗つたら三分の一にも売れないものなのです。だから、これは一例ですが、そういうふうな経費の方式を十分検討する必要がある、私はこういうふうに考えておりますが、その点いかがお考えですか。
  29. 平田敬一郎

    平田説明員 今のお話は償却年限をどう正しくきめるかというお話ですが、これは私どももしよつちゆう検討いたしております。そういう問題につきましてもいろいろ検討いたしまして、実際に合うようにいたしたいと思います。
  30. 山本勝市

    ○山本(勝)委員 質問はあとに留保いたします。
  31. 三和精一

    三和委員 最近新聞等によつて見ますと、約束手形が日増しに激増しておるように聞いておりますが、これはどういう原因でそう多くなつておるか、この点をまず承りたい。
  32. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 約束手形がふえておる原因については、いろいろ見方がございましよう。ただこれについては、一時現金取引が非常に多くて現金でなければほとんど取引されなかつたものが、その後だんだん手形で取引するようになり、それがまたその領域がだんだんふえて参りまして、特にこのごろはその手形期日までが相当長くなつて来ておる。またこれが常態になつておる。こういうのが実情であつて、その原因はやはり信用の膨脹から来ておるものだと思います。たとえばこれを銀行の貸付等に見ましても、全国の銀行貸付は昭和二十五年ごろまではまだ一兆円をあまり越さなかつたものが、二十六年、二十七年とだんだん越えて、今日は総貸出しが二兆七千億近くにもなつておる。こういうことはやはりそういつた信用の膨脹ということが主たる原因だろうと思います。
  33. 三和精一

    三和委員 大臣の答弁はわかつているようなわからないような答弁ですが、私がこれから聞こうとするのは、いわゆる財界、金融界の不況でなくして、農民に対して東京の一流の大銀行と共謀して手形を不渡りに陥れた一例であります。これは青森県に起きたことでありますが、青森県は御承知の通りりんごの生産県でありますが、あわれな二百何十名かの貧弱な組合がある。そこに東京から一流会社と称して名刺を持つて来て、しかも三菱銀行と取引がある。三菱銀行は御承知の通りその辺の者とはやたらに取引しない。一流のものでなければ取引をしないという触れ込みであります。そこで三万五千箱のりんごの契約をして、当初一割の三千五百箱を手形でもつてつたのでありますが、いなかの百姓でありましても、はたしてこの手形が落ちるかどうかというので、青森銀行ほか二行でもつて、この詐欺漢の取引のある三菱銀行の中野支店に照会した。その回答では、月千五百万の取引をしておる。この会社は昭和二十四年にできてから漸次成績が上つておる。心配無用である、こういうふうな回答であります。従いまして青森銀行外二行は、三菱銀行を信用してこの手形を割引をした。ところがこれが期日が来ても落ちません。三菱銀行へ行つてみたところが、三菱銀行では、私の方は銀行同士の調査でしたのであるから責任は持たぬという話である。本人はひつかかる前にわざわざ東京へ出まして、銀行に寄つて支店長に会つて、この会社は大丈夫かといつて聞いておる。ところが支店長いわく、この会社は一流会社である、千万や二千万のはした金は心配はないと言う。ところが調べた結果、その当時預金はたつた二万円、昭和二十四年につくつた会社は何にもない、いわゆる幽霊会社である。この幽霊会社と取引をしておる三菱銀行、しかもこういう調査をつくつて青森の銀行に送つておる状態である。今日この不況の場合、手形の不渡りになる原因はそこにあると思う。こういう詐欺的な行為に対して協力しておる銀行がある。しかも一流銀行で、日本一の銀行であるといわれる三菱銀行がみずから共謀しておる。この監督の立場にある銀行局に数目前に調査願つておりますが、その後の状況はどうなつておるか伺いたい。
  34. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 大蔵大臣は、実は個々の会社の実情について、またその手形については承知しておりませんから、銀行局長から答弁いたさせます。
  35. 河野通一

    ○河野説明員 今の事案につきましては、かねて三和委員から厳重なお申入れをいただいておるのであります。爾来この問題につきましてはいろいろ調べて参りましたが問題はいろいろあるようであります。しかしながら、少くとも私が調べました範囲におきましては、今三和さんからお話のようなことはないようであります。問題は今お話のようなことで、青森県のりんごの関係の取引が行われておる。私の承知いたしておりますところでは、そのりんごに関する取引が行われたのは昨年の十二月であるように聞いております。ところが三菱銀行に当事者が初めて見えたのが一月の中ごろだというふうに私は聞いております。従いまして契約はすでに十二月にできておる。その契約に基いて手形が振り出されて、その手形に対してある金融機関から三菱銀行に、その手形の振出者に対する信用の調査を依頼した。その信用の調査の依頼に対して、これは銀行間で常にやつておることでありますが、調査に対する回答をよこした、こういうことに相なつたのであります。しかもその回答の内容は、私は今つまびらかに記憶はいたしておりませんが、今お話のようなことは私は書いてないように記憶いたしております。従いましてこの問題につきましては、今お話のような具体的の問題については私は問題は確かにあると思います。たとえば信用調査調というものの制度が一体どういうふうに行われているかというような問題が一つ。また金融機関の間に最近の情勢に応じて当座取引というものがきわめて安易に開かれ過ぎているといつたような問題について、これをどう考えて行くかといつたような問題は確かにあると思います。しかしながら今お話し申し上げたようなことで、結論を申し上げれば、当事者の間に共謀関係といつたようなことはもちろん私はないと信じておりますし、またそういうふうに聞いております。従いましてこの売買の当事者の契約自体に対して、御指摘の三菱銀行が責任を負わなければならないという事情は私はないと伺つておるのであります。もつともこれは私の一方的な調査でありますから、あるいはその点の事実について私が十分承知いたしていない点もあると思いますから、なお詳細はお申しつけによりましてさらに調べてみたいとは思いますが、私が現在まで調べましたところでは、以上のようなふうに相なつておる次第であります。
  36. 三和精一

    三和委員 銀行局長にお願いしたのは二週間前であります。今日もつてまだそういうような調査もしておらぬというに至つては、これは言語道断だ。契約したのは一月の三日、それから手形をとつたのは一月の九日から十八日まで、りんご会社数にして七社、それから十八日に青森の銀行から調査願つて回答が来たのが二十一日、その回答は先ほど申し上げた通り、間違いない、千四、五百万円も預金があると言つて来た。これを調べた結果がたつた二万円、つまびらかでないと言うけれども、ここにあるのが写しだ。千五百万円の取引がある、昭和二十四年にこの会社ができておる、こういう報告だ。どうも答弁を聞いてもあなたが何か銀行のお先棒をかついでいるような気がする。こういう調査調をあなたの係も見せたでしよう、あなたに見せたはずなんだ。これは相互銀行から来ている写しなんだ、回答の写しです。この会社はないのですよ。ありませんよ。実在しない幽霊会社だ。この幽霊会社と三菱銀行がどうして取引したか。しかもこの幽霊会社は昭和二十四年にできておるとは何事であるか。こういうことで、あなた方監督の立場にある方々が故意に会社の肩を持つて、銀行の肩を持つて、そうしてかばう。一方農民を殺すつもりであるならばわれわれ考えなければならぬ。かわいそうなのはりんごをつくつている農民なんだ。二百万円、百九十八万ひつかかつて今もう瀕死の状態なんだ。それを助けようともしない。反対に三菱銀行の庇護をするような言辞を吐くなんて言語道断だ。これを見てくれ、見たらわかる。これはにせものじやない。(発言する者あり)これでもまだわからぬというなら頭がどうかしている。もう一ぺん答弁を伺いたい。
  37. 河野通一

    ○河野説明員 私はただいまお答え申し上げましたので尽きておると思うのでありますが、三菱銀行とこの手形を割引きました銀行、金融機関との間においてどちらが責任を負うべきかという問題は私は残ると思います。私はこの調査は、手形の割引を依頼されたのにあたつてその取引があつた三菱銀行に照会をいたしたと聞いておるのであります。従いまして、契約はすでにその前にできておる。農民の方々はお気の毒でありますが、それは普通の契約としてできておつて、その契約がうまく履行できなかつた、こういう事態であろうと思うのであります。従いまして、その契約に基いて手形を三菱銀行からの信用調査調に基いて割引をした金融機関と、三菱銀行との間にいずれが責任を負うべきかどうかという問題は私は残る、こう申し上げておるのであります。しかしながら契約自体はすでに成立しておつて、これは当事者の責任において解決されるべき問題である、かように私は考える次第でございます。
  38. 三和精一

    三和委員 契約自体がすでに成立しておるというけれども、銀行の調査のいかんによつて品物を渡すということの契約はできておる。それをあなたは見てない。私の開かんとするのはそうではないんだ。今聞くのは、この信用調というものを見た。事実無根の幽霊会社が実在しているごとく書いてよろしいのか、たつた預金が二万円しかないのを千五百万円の預金があるがごとく報告してよろしいのかと聞いている。この返事を聞きたい。
  39. 河野通一

    ○河野説明員 私はこの信用調査調の中に書いてあります会社の設立がすでにできておるかいないかにつきましてはつまびらかにいたしませんが、この信用調査調に基いて青森のある金融機関が手形を割引いたということは事実のようであります。しかしながらこの信用調査調といいますものは、これは私はこの問題について非常に関心を深くいたしましたので、各銀行についてこの信用調査調というものの実情及びその意味はどういうものであるかということを個々に当つて詳しく聴取をいたしてみたのであります。先ほどもちよつと申し上げましたように、この信用調査調の取扱いについてはいろいろ問題がまだ残つておるように私思います。しかしながら各銀行の間では、この信用調査調というものがどういうものであるか、どういう意味を持つておるものであるかということは十分に慣熟されておるようであります。従いまして、これがただ何もなしで手形を取引をいたしますよりも、その手形を振り出した人と取引があるか、あるいはその地域によく通じておるような銀行から大体の信用の状況を聞いておくことが、手形を割引いたします場合に必要である。しかしながらその割引をいたします銀行は、信用調査調だけを材料にして割引をいたすというようなことは絶無であるように私は聞いておるのであります。ただ、この問題につきましては信用金庫でありますとか、あるいは相互銀行等に参りますると、若干これらの信用調査調の取扱い方について慣熟をいたしていないというようなこともあるような事例も私は聞いております。従いまして、この信用調査調自体につきましては私はさらにいろいろ研究をいたしたいと思いますが、私の承知いたしておりますところでは、この契約ができた後においてそういう信用調査の依頼を受けた、その依頼に基いて三菱銀行は信用調査の調べを出した。しかしその調査は、私の承知いたしておりますところでは、貸越契約もない、単なる当座取引だけでありまして、当座の預金取引の残高がわかる程度でありまして、その他はおそらく推測に基いていろいろ取引、商い量がどの程度あるかということを書いてやつた程度であると思います。
  40. 三和精一

    三和委員 どうもポイントがはずれている。   〔発言する者あり〕
  41. 内藤友明

    ○内藤委員長代理 静粛に願います。
  42. 三和精一

    三和委員 それでは重れて聞きますが、しからばこの調査調なるものはでたらめを書いても、うそ八百を並べてもよろしいというわけですか。
  43. 河野通一

    ○河野説明員 私は調査調にでたらめを書いていいとは申しておらぬのであります。いろいろ調査を依頼されて、その調査に対してわかる範囲のことを書いてある。しかもそれはある程度推定である場合もありましよう。そういうようなことでありましてこの調査調というものの性質を私はいろいろ調べてみたのでありますが、これは何らそれによつてその信用を保証したものでも何でもないものとして慣熟されているようであります。従いまして、できるだけ……。   〔発言する者多し〕
  44. 内藤友明

    ○内藤委員長代理 静粛に願います。
  45. 河野通一

    ○河野説明員 その書いた内容が著しく誤つているということは、これはやはり信用調査の依頼を受けてその回答をいたします場合の取扱いとして適当であつたかどうかという問題は残ると思います。従いまして、具体的な問題の適否につきましては、いろいろ問題があるということは、先ほど来申し上げた通りであります。
  46. 三和精一

    三和委員 それではきようはこれでやめて、明日またやりますから、あなたも頭をすつかり洗つて、水で冷やして来なさい。
  47. 井上良二

    ○井上委員 簡単に大臣に二点ほどお尋ねいたしたい。今日本の財政経済の中で一番重要な問題は、円の信用価値をどう維持するかというこの問題がすべてではないかと私は考えております。政府としては、この信用維持にあらゆる手を講じて努力をされておるようでございますが、政府の努力は対外的には、どうもわれわれの勉強の足らぬところがあるかもしれませんが、私どもの感じる対外的な報道によりますと、日本の円の信用に対しまする考え方に、どうも大蔵大臣がいろいろの方面で強調されるのとは逆の情報が盛んに入つて来る。このことがまたわが国の経済界に影響いたしまして、為替レートを改訂するのではないかということがちまたにはもう非常にやかましく論議されております。このために先般大蔵大臣が関西へおいでになりましたときも、記者団に対して、為替レートは堅持するということを言われておりますが、はたして現在政府がやつておりますような政策によつて為替レートをあくまでも堅持して行くだけの自信をお持ちでございますか。はなはだ簡単な質問でございますが、非常に重大な問題でありますから、これを一点だけお尋ねいたしたい。
  48. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 現在の政策をもつてして、一ドル三百六十円の為替レートは堅持できると確信しております。これはだんだんと日本の通信価値維持、財政経済の健全化に対する努力が各方面から認められて参りまして、たとえば世界銀行などが今度の借款について多少向うから進んだような意向の出ておるのもその現われであり、またFOA等の人が来ておられるのもその一つの現われではないか、こう私は思うのであります。端的に数字で申しますと、香港でほんの半年ほど前までは一ドル四百六十円であつたものが、とにかく朝日新聞等に報道されたごとく、三百八十円台から四百円のところになつて来ておる。この一事をもつてしても、漸次日本の通貨価値に対する皆さんと相まつてのお互いの努力が各方面から認められつつあると思うのであります。この政策を続けて参れば、必ずこれが堅持できると私は確信いたしております。
  49. 井上良二

    ○井上委員 もう一点伺いますが、それを堅持するために、政府としては財政投融資の面で、あるは金融引締めの面で、あるいは輸入抑制の面で所要の対策を、いろいろの反対や摩擦がありましても強行しておるのは事実でありますが、それに相伴つてやはり財政計画といいますか、わが国の経済計画を……計画経済というとすぐ社会主義計画経済のように誤解されておりますけれども、吉田さんはそれをひつくり返して、経済計画という言葉を使つておりますが、経済計画でけつこうでございまして、経済計画を一体どう打立てようとするか、この柱が一つ抜けておりはせぬか、その三つの柱は非常にりつぱな柱で、これはどうしてもわが国としてやらなければならぬ当然の要請でございますが、それに伴つてもう一つ大切な経済計画の柱が財政計画とともに抜けておりはせぬか、その点が抜けておるために、いたずらなる摩擦なり混乱を起しているんじやないか、その柱さえきつちり立つておりますならば、国民が今は苦しくても、一年後にはこうなつて行く、二年後にはこうなつて行くというわれわれは将来の見通しを持つことができる、そういう一つの希望と自信を国民に与えるのですけれども、そのかんじんの財政計画なり経済計画が立てられておりませんで、ただ一方だけ締めて行きますから、今後どうなつて行くのであろうかという不安が高まつておるのが事実ではないか。これはぜひ必要です。あなた方はそれだけの機関をお持でございますから、御検討されて、すみやかに計画を発表されるようにお願いをしたい。同時に現在のままで、そういう計画を並行して総合的に立てずに参りますと、御存じの通り、わが国の原始産業の農村全体は、昨年来の打続く災害や諸般の被害で非常な窮状に追い込められておりますし、また本年は冷害がもう間違いなく来ることが予想されております。そこへ持つて来て、都市の産業は御存じの通りデフレで非常なきゆうくつな状態にございます。しかるに政府は、一方においては徴税は去年よりも一つもひつ込めておりません。さらに去年は多少水増しを計画して徴税がされようとしておる。そのしわがこの九月から十月にずつと寄つて行きます。そうなりますといよいよたいへんなことになります。しかも都市を中心とする産業方面の徴税というものは、どつちかというと政府のインフレ政策をとつておりました時代の収入が土台になつていまして、それを今日査定をして税を払えといつたところで、なかなか現実に払い得ない。本年は御存じの通り不渡りが多く、倒産が多く、売掛代金が多くなつて来ておる現実において、去年通り、もうけた通り払えといつても、とてもそれは払えません。いわゆる徴税に対する手心を一体政府はどうやろうとするか。特にデフレの底が八月であり、九月に入つて行くということをいわれておりますが、それと徴税とがちようどぶち当ることになつてしまう。ここでよほど徴税に対する技術的な対策をお考えになりませんと、たいへんなことになります。  いま一つは、過年度の滞納に対する処置です。これは現在の税法でできなけば、一応これを一年なり二年なりたな上げをする、いわゆる支払い猶予をする、あるいは年賦で払わして行くというような処置でも講じてやらなければ、実際上困るではないかという現実に来ておるのですが、これに対する大蔵大臣としてのお考えをひとつお聞かせ願いたいと思います。
  50. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 まず最初に申し上げますが、これは私どもがよく申しておる通りに、今の私どもつている財政の緊縮、金融の引締め、及び外貨予算を通じての操作、その他各般の税制措置等で、大体昭和二十九年度は一億ドル以内の赤字にとどめ得、そうして三十年度はこれを若干でも黒字に転じ得る、かように考えておるのでありまして、三十年度を経過すれば日本の国際収支が均衡を得ることになつて、そこで日本が初めていわゆる拡大均衡というところに持つて行ける基盤ができると考えております。しかしながら、今仰せになつたように、経済に計画をある程度持つことは必要でありまして、私どもも相当な計画を持たぬではありません。どんなことをやるのでも、そのところ勝負でやつているわけでありませんが、しかしながら今のところ国際情勢等いろいろ織り込まなければならぬ点もありまして、発表するに足るようないわゆる計画はまだ出されておりませんけれども、井上さんもよく知つておられる通り、かつて昭和三十二年度までの一応の計画を立てたことがあります。それはいろいろの前提があります。これはこういうことのかわりがないこと、たとえば防衛費は増加せざることということがある。そういうことがはたして言えるか言えないか、こういうような問題等もありますので、今日までここでそれを申し上げる段階には参りませんが、仰せになつたような、経済にある程度の計画がなければならぬことは、私もまつたくこの点は同感でございます。但し計画経済のごとくに、こうきちんとなつている、来年はこうなる、再来年はこうなるという発表されたものは、今のところはございません。けれども今また経済審議庁におきまして、その後の情勢を織り込みまして、元出した昭和三十二年度までの大ざつぱなものがありますが、それに対して修正したいろいろな計画を立てておりますから、これはもう少しあの時分よりは実情に即したものができるんじやないかと考えております。  それから今の徴税についてのお話、及び税金の過年度繰越しの分についてのお話、最近相当繰越し分も多くなつて、過年度というか、前年度まで合せると、どうかすると一千億近くになるようなときもございます。従いまして、これらの税についてどうするか、またどういう方法が一番いい徴税成績を上げ得るか、よく井上さんも知つておられると思います。税というものは去年の実績に対してとるのでありますから、従つて悪くなつて来るときには非常にとりにくくなる、こういう事実をあなたは言いたいところから言われたものだと思うのでありますが、この点はよくわかるのでありまして、これは徴税当局、特に国税庁長官の方で、俗な言葉で緩急よろしきを得てひとつつてもらう、こういうことにいたしたいと思います。
  51. 福田繁芳

    福田(繁)委員 私はよい機会に大蔵大臣に本日お目にかかることができたのでありますが、御承知のように今経済、なかんずく金融の最大危機に直面いたしておりますので、本日は数項目にわたつてあなたの御高見を伺いたい、かように存じておるのでありますが、非常に時間が切迫なさつたようですから、今日は根本問題を一点だけ伺つておいて、あとは明日に続行いたしたいと思います。  小笠原大蔵大臣の財政政策、なかんずく金融政策に関しては、わが改進党は多少意見を実は異にいたしておる。しかしながら終戦後の大蔵大臣をひもとくとき、あなたくらい人格高潔にして、そうしてまた非常に職責におまじめであつて、政党人の先輩として議会の意思を尊重する方は、あなたをおいておそらく他になかろう、こういうように考えて、わが改進党ではあなたに対して衷心から支援と協力をいたして、そうして経済的の危機を国民とともに脱却いたしたい、こういうふうにしておることは、あなたもお思い当りになるであろうと私は考えるのであります。これはもちろん改進党だけでなくして、心あるところの財界人もその感を同じくしておることであろうと私は思います。しかるにここ数目前に二、三の大新聞に現われた文句、あるいはまた政界の裏をたどるところの情報屋の情報によりますと、現内閣はここ数日のうちに内閣改造をやる、その前提として大蔵大臣の更迭をもくろんでおられるということであります。これを見て唖然とするのは、われわれのみならず、心ある財界人ことごとくさようであろうと私は考えるのであります。そこで私はあなたに伺いたいのでありますが、政治家としての経験においては、大よそ私たちの大先輩のあなたが自由党内におられ、また現内閣の閣議に御参画されておる。そういう大蔵大臣自身が更迭されるというような感じを受けたことがあるかないか。この見通しをまず冒頭に伺つておきたいと思います。
  52. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 私としてはそういう感じを受けたことはなく、ただ最善を尽したいと考えております。
  53. 福田繁芳

    福田(繁)委員 そのことを聞いて非常にわれわれも意を強くするのでありますが、何さま政治家としての御感覚が、今申したように非常にすぐれておられるあなたでございますから、今の各政党あるいは政界の見通しにおいて、大体お察しがつくだろうと思うのであります。もし今日の吉田内閣が続く以上、この経済危機の段階において、無謀にも大蔵大臣の更迭をやるようなことがあつた場合には、何を苦しんで今日まで経済的危機打開をはかろうとして来たか、根本的に水泡に帰すると私は考える。もしさようなことが起つたときには、決して犬養法務大臣のまねをなされないで、騒然と立つて吉田総理大臣に対して、この問題を打開するだけの御意思をもつて臨んでもらいたいと思う。あなたは一自由党の大蔵大臣ではなくて、経済的危機今日以上大なる事態がないときの、国民の大蔵大臣でありますから、それだけの御決心があるかないかということを伺つておきたい。
  54. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 お言葉でございますが、私として福田さんにはつきり申し上げることは、私が任にある間は最善を尽す、こういうこと以外にございません。
  55. 柴田義男

    ○柴田委員 大蔵大臣はお急ぎのようでありますかう、ちよつとお伺いいたします。以前には国民大衆の貯蓄を郵便貯金という形で吸収しまして、この郵便貯金が預金部資金となつて地方の中小企業に対しましていろいろの形において融資されておる。現実はそういうことは許されないということになつたので、その代償として今の政府の指定預金制度というものが設けられたと私は考えておるのであります。郵便貯金の農ということ、いろいろの面で国民大衆から貯蓄の吸収をはかるということはよいといたしましても、郵便貯金で集まりました場合の預金部資金というものは大体どういう比率で貸し出されておるのか。郵便貯金の局長も御出席になつておりますけれども、この預金部資金の運用にあたつては大蔵大臣が中心になつてこの運用をはかつておられると私は考えておるのであります。いわゆる運用が大企業偏在ではないか、こう考えられますが、この点を大蔵大臣から簡単でよろしゆうございますから承つておきたい。
  56. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 さつきちよつと仰せになつたそのうちの指定預金というのは、一般会計の分をやつておるのでありまして、これは資金運用部の金ではございませんから、誤解のないようにお願いいたします。それから今の資金運用部の金でございますが、これは審議会がございまして、審議会に相談いたしまして、審議会でそのわくを決定いたすのであります。その際に、政府側といたしまして国が要望しておる、たとえば電源開発に幾ら向けるとか、造船資金に幾ら向けるとか、あるいは国民金融公庫、中小企業金融公庫、そういうものに対してどうするかということは、そのときにみな一応検討いたすのであります。それでやつております。その比率はたびたび表をお手元に差上げておりますから御存じかと存じますが、そういうぐあいで、これは一口に申しますと、何ら私なく、政府の指示なくこれをやることに制度がなつておりますし、また運用というものが確実なものであると同時に、国家のために役立つものでありますので、あるいは国の要するときには比較的大企業に多くなつておる。たとえば電源開発であるとか、今申し上げた類のものが――造船資金もそうでありますが、そういうことでそれが目につくのではないかと思いますが、大体は今申し上げた審議会で厳重検討して、その結果これを取扱つておる次第でございます。さよう御了承願います。
  57. 柴田義男

    ○柴田委員 私の言わんとするところは、今申しましたように、預金部資金は運用議会でいろいろ国家的事業に投資される、これは財政投融資の問題にも関連があるでありましようが、そういうように大衆から集めた郵便貯金がそういう形で運用されておるのだ、だから地方の中小企業に対する政府の援助の手というものが、たつた一つ残された問題は指定預金以外にないのだ、その指定預金を、たとえば今度四箇月なり五箇月延期される、しかし残された問題は十六億そこそこでございますから、その十六億そこそこは九月になればみな引揚げられるのだという現実が目の前に現われておる。そういたしますと、地方の金融機関というものは、期間を限定されておる指定預金に対しましては、なかなかそれを勇敢に貸し付けることができないのです。十月になればこれは返さなければならない、九月になれば政府にお返ししなければならぬという期間に迫られておるから、それを勇敢に貸し付け得ない。だから信用保持のため預金として帳面上は残されておるけれども、それを貸付することが困難である、こういうのが現実の状況なんです。そういうことが地方の中小企業者に対するいわゆる金融の引締めとなつて現実に現われておる。これはもう小都市では盛んに倒産が続出しております。現在の物価の引下げ案というようなことも大蔵大臣はしばしば御発表になつておりますけれども、現在物価引下げが行われたということは、生産費のコストが安くなつたのではなくして、投売りや倒産が起きたから、それによつて生じた物価安というものが大きな比重をここに現わしておるとわれわれは考えておる。現実に政府のデフレ政策がほんとうに浸透した結果物価が下つたものではなくて、中小企業の倒産、破産というものによつて引下げられた。その証拠は、今度は物価の状況を見ますると、現在物価が非常にたくさん上つておる、こういう状況も見受けられるのです。これに対しまして新しい指定預金というものはどうしても必要に迫られておるのだが、まだこういう点はお考えくださいませんでしようか。どうか新しい指定預金ということをお考え願いたいと思うのです。
  58. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 物価についての意見は私と少し違いまするから、これはここでお答えいたしません。  指定預金の問題につきましては、六、七の分は四箇月延ばしてありまる。八月来る分ついてどうするか、これは先に残された問題であります。今仰せになつたように、六、七の分が四箇月延ばしてある、これは御了承願いたいと思います。それからさらに新規預託をすべきかどうかということになれば、ただいまの一般の財政計画等から多少考えなければなりませんので、この点は考えることにいたします。
  59. 内藤友明

    ○内藤委員長代理 それでは大蔵大臣は御多用なのでありますが、あすもし時間が差許しますれば、ぜひこの委員会に御出席願いたいことを委員長からお願いいたします。
  60. 柴田義男

    ○柴田委員 郵政省の郵便貯金の局長さんがお見えになられておるようで、ございますが、最近の郵便貯金の預金状況というものはどういう状況に伸びておりましようか。簡単でよろしゆうございまするが、伸びている状況と、それから第二点は、地方で郵便貯金を奨励なさる場合に、われわれはいろいろな宣伝等を見受けるのです。これを見ますると、たとえば十五日に計算いたしまして金利を支払うわけなのですが、実際宣伝ちらし等を見ますると、毎日金利計算をやつて、相当高金利で支払うのだというような宣伝を大わらわになつて地方でやつておる。もう一つは、郵便貯金だからこれは一番安全なんだ、民間の金融機関というものはさもさも不安であるのだというようなことを、露骨ではございませんけれども、暗にそういうようなことが見受けられるような宣伝方法をとつておられる、これらに対しまして御意見を承りたいと思います。
  61. 小野吉郎

    ○小野説明員 最近の郵便貯金の伸びの状況でございますが、今年度へ入りまして、四月、五月は前年に比べまして成績がずつと下まわつておりました。六月へ入つてやや好調に転じまして、六月末現在におきましては、今年度九百億の目標に対しましては、順調と申していいような成績をあげております。ここ両三年の状況を比較いたしてみますと、六月末で、一昨年度におきましては、目標に対する達成の割合は約二〇%、前年は一五%、さらに今年度四月から六月までのそれは、前年、前々年に比較いたしましてかなり上まわりまして二五%、ちようど年度一・四半期を過ぎて目標のざつと四分の一近いものが達成された、かような状況になつているわけであります。  次に郵便貯金の宣伝等の問題でございますが、郵便貯金といたしましては、毎年非常に大きな目標を持つております。そういつた関係で、この目標は何といたしましても達成をいたさなければなりません。ところが日本の当面の要請であります貯蓄の増強につきましては、ひとり郵便貯金のみでなく、銀行その他各種の金融機関全部全力をあげてこれは達成して参らなければならないものとかたく信じております。そういつた関係で、現場におきましてはそれぞれ各金融機関、どんな部類に属しましようと共通の目標を持ち、共通の使命を持つているわけでありますが、勢い同種の資金を吸収するわけでありますので、幾分か競争の立場に立つことはこれはやむを得ない現実の状況であろうと思います。しかし郵便貯金といたしましては、この事業が国家事業でありますし、そういつた関係で、特にフェア・プレーをモットーとしているのでありまして、決して他の金融機関を不利に陥れて郵便貯金の増強をはかるというような気持は持つておりません。ただ郵便貯金の宣伝文等の中で、いろいろ批判をされているような文句もありますが、決してこれは他意はないのでありまして、現実を曲げて宣伝をいたしているわけでもありませんし、またそのために他の金融機関を不利に陥れる意図も持つておらないのであります。そういう気持で運営いたしているわけであります。
  62. 柴田義男

    ○柴田委員 大わらわになつて集められたその方法は、これはその努力のほどはわれわれも了承するのですが、ただ実際問題といたしまして、金利なんかも現金を現わして盛んに宣伝することはけつこうなんですが、現実を相当離れた宣伝方法をとつているということはわれわれ幾多の証拠を持つている。金利も年何分にあたる、金利計算というものを十五日で締め切つて、こういう金利を払うんだ。正当の宣伝であつたならば、何もわれわれ文句はない。そうじやなく、毎日日歩計算をやつて最も高率なものが郵便貯金だ、こういうような宣伝をもしやつたといたしましたならば、それに対する責任は局長負いますか。そういう点を伺つている。
  63. 小野吉郎

    ○小野説明員 従来の郵便貯金の宣伝のそういつた方面のものを振り返つてみますと、法律で定められた、たとえば通常貯金で申しますと、三分九厘六毛であり、また積立貯金ならば年四分二厘であり、定額貯金であれば、これは半年から二年まで四段階ありますが、それぞれそのままの宣伝をいたしているわけであります。従つてこれは法律に規定されたそのままでありまして、郵便貯金の内容を一般に知つてもらう、こういう意味の宣伝を出ないのであります。ただ思いあたりますことは、ただ一件定額貯金の利子につきまして、これは半年をすえ置き機関といたし、漸次利子がよくなつて参るのでありますが、預入期間は十年になつております。十年預けておけば年利このくらいになる、こういう計算は出るわけであります。これは事実その通りに出るわけでありますが、非常に紙面の少い宣伝でありましたので、十年というその期間が抜けておつた。そのために、しかも現在すぐ非常に高い利子をもらえるような誤解を受けたことはあります。そういつた点は今後注意をいたしたいと思うのでありますが、同様な問題につきましては、われわれも常にそういつた面につきましては、国家事業として適正な宣伝をいたし、最初申し上げましたように、貯蓄推進の根本理念が、ひとり郵便貯金が伸びればあとはどうなつてもいいんだ、こういう気持は毛頭持つておりませんし、全貯蓄機関の力をあげて当面の要請にこたえなければならない。こういうふうに運営して参りたいと存じておりますので、その点には特に注意をいたしているわけであります。いろいろ現場におきましては、共通の使命を持ちながら悲しいかな競争の立場に立つ場合もあるわけでありますので、特にほかの機関の不利を来さないで、しかも郵便貯金としては与えられた使命をりつぱに貫徹し得るような方途で運営をして参りたいと思うわけであります。
  64. 柴田義男

    ○柴田委員 河野局長に伺いますが、他の地方等の金融機関から、郵便貯金の宣伝のために預金の増強率がにぶくなつたというような話が銀行局等に来ておりませんか。その点を承りたいと思います。
  65. 河野通一

    ○河野説明員 この問題につきましては、かねているくな問題がありましてしかしこれは単に郵便貯金だけの問題でもありませんし、民間の金融機関側における宣伝等の問題にもいろいろ問題がありまして私は今貯金局長の答えられた通りの気持で問題を処理していただけばけつこうだと思つております。ただ具体的には、事実に反することは必ずしも言つておられないのだけれども、ややもすればミスリードする、そういうようなことをできるだけ改めていただくように今いろいろ話をいたしております。これは単に郵便貯金の側にだけ一方的に要求するのではないのでありまして、民間の金融機関側にも行き過ぎた点があれば直していただく。これはお互いに虚心担懐に、対立的感情的な気持なしに、淡々とした気持で今お互いに話し合つておりますので、だんだん問題が行き過ぎ等がなくなつて来るということを私は期待いたしております。またそういうような努力を各方面とも願いたいと考えている次第であります。
  66. 柴田義男

    ○柴田委員 郵便貯金には、たとえば五十銭未満のものは切捨てになるというようなことがございます。あるいは貯蓄した当人がどつかへいなくなつちやつた、それで郵便貯金として政府側に没収してしまつていい。法律で許された範囲のそういう金額は概算どのくらいございましようか。
  67. 小野吉郎

    ○小野説明員 切り捨てていいわけではないのでありまして、郵便局の窓口におきまして即時に支払いを受けるためには、それはいろいろ利子も計算しなければなりません。郵便局の窓口には原簿がありませんので、別に所在しております原簿所管庁で計算をいたさないと、全額どのくらいの国の債務になつているか確認できないわけであります。その関係で、ある一定の金額は置いておいて、あとの残金は即時に窓口で支払うわけでありますが、全払いの要求をされますと、窓口ですぐ現金にはなりませんが、支局をまわりまして、利子をつけた計算をしたもので全額支払いをいたすことになつているわけであります。今日ただ郵便貯金の国家債務の時効の特例が規定してございます。これは通常民間でありますと、十年たてば当然にその間権利の行使がなければ時効にかかるわけでありますが、郵便貯金の場合には、非常に特殊の規定を設けておりまして、当然には時効にかかりません。十年たつて、われわれの方から権利の主張を督促するわけであります。そういつた督促に対して、さらに権利の主張がなければ、そこで初めて国庫に帰属することに相なつているのでありますが、今日非常に困難な定員事情をもつて処理いたしておりますので、法律の規定そのままのように、十年たてばただちに督促をいたすような段階になつておりません。従いまして、年々そういつた関係は見通しはつけておりますが、今日の状況において計算いたしますと、ざつと三、四千万円程度のものが督促をしても申出がない、こういうことで国庫に帰属しているわけでありまして、金額としては非常にさ少なものでございます。
  68. 福田繁芳

    福田(繁)委員 植木政務次官にちよつと伺いたいのですが、先ほど柴田君において、実は大体言い尽された例の預託金の問題であります。ちようど衆議院の院議をきめたときに、大蔵大臣なりあなたなり河野局長は、御趣旨は了承するけれども、その時機については、もう少し金融界の趨勢をながめた上において、何分の考慮と善処をしようという言葉で、一応幕は終つたのでありますが、それから約三箇月経過しまして、もう申し上げるまでもなく、お役人であろうが寺の坊さんであろうがおわかりの通り、金融経済界の推移は非常に悪くなつて来ております。不渡り手形が続出するとか、中小商工業者が倒産するとかいう言葉は、もう新聞であろうがラジオであろうが、何もかにも言い尽されているのでありますから、私がくどく言なかなかても、金融界の推移はもうおわかりであろうと思うのです。そこでどうです、このあたりで、もう都会は一両日でお盆になり、地方は来月はお盆になる。先ほど郵便貯金局長さんが、熱心に貯金を勧誘されたとき、ころばぬ先のつえと言うて貯金を集めなさつたということですが、中小商工業者が倒産してしまい、不渡りを出してしまつた後に、日本の国の中小商工業者を助けてやらなければ日本の産業は再建せぬのだ、こう思つて金をやつても、ころばぬ先のつえにならぬ。でありますから、この新のお盆と旧のお盆を控えておつて、中小商工業者の危機というものは新暦の八月と九月なんだから――おそらく政府の方針ならば、十月にならなければ臨時国会をやりはしないと思う。だから臨時国会まで待つておれない。幸いにしてここに大蔵委員会が開かれたのです。そして自由党の諸君も口を並べてこの中小商工業者に対する新規預託は何とかしてやらなければ、ことごとく倒産すると言つておる。この言葉がもう委員会に満溢しておるのでありますから、どうです植木さん、このあたりで預託してやろうということを、一面大蔵大臣、一面河野局長にあなたからはつきり線を出させて、そうしてまさに全部が倒産せんとしておるところの中小商工業者を助けてやる、ひいては大蔵委員会なり衆議院の院議をまつたくその通り尊重するということを、ここで表明してもらいたいと思うのでありますが、いかがでございましよう。
  69. 植木庚子郎

    ○植木説明員 ただいまの御質問に対しましては、先刻来大臣がお答え申し上げている通りでございまして、政府の今日までいろいろ現状を考えつつ善処しようと思つて考えております結論は、六、七月分の引揚げ予定の分をこれを将来に引延ばしまして、この際善処して参りたい。いわゆる新規預託の問題につきましては、ただいまのところ政府としては、いまだその時機でない、むしろこれは従来の方針を当分守つて行きたい、かように考えておる次第でございます。しかしながらいろいろ御要望もございますし、また世上の状況も決して楽観を許さないものでございますから、常にこうした実情には十二分の留意を払つて参りたい、かように考える次第でございます。
  70. 福田繁芳

    福田(繁)委員 非常に御苦心と御責任を感じて御関心を持つておられることには感謝いたしますが、なおこれでも物足りない。もう少し真剣に、深刻に考えてもらいたい。それから今のお言葉の中に、六月、七月の旧来の預託を適当に繰延べるというお言葉がございましたが、大体いつごろまでに六、七月分を繰延べる今日のお考えであるかということを伺つておきたいと思います。
  71. 植木庚子郎

    ○植木説明員 お答え申し上げます。六、七月の二月分の引揚げ予定をこの際引揚げないでおきまして、それに該当する分を、当初予定の九月において全部引揚げてしまう予定でありましたのが、従つてそれが残りまして、十、十一の二箇月に六、七月分を引揚げるというような予定でおる次第でございます。
  72. 福田繁芳

    福田(繁)委員 九月にお引揚げになるのを、十月、十一月に繰延べたところの親心は、おそらく中小商工業者は随喜の涙を出してあなた方に感謝をされると思う。だが繰返して申す通り、それを一月、二月延はしてもらつただけでは、やらないよりましでありますけれども、とうてい今日の中小商工業者は助からない。のみならず旧来中小商工業者に直接携わつている金融機関が、あぶない時期が来ているのであります。この間中小商工業者の金融機関であるところの全国信用金庫の連合会に、私も党人として出席し、政務次官も御出席されて、ともに東京と大阪のあの金融機関の涙ぐましい声を聞いたのですが、あれを聞かれてもおわかりであろうと思う。九月のものを一月、二月延ばした程度じや治まらない。もし信用金庫なりあるいは相互銀行なりが、一朝事あつた場合どうします。河野さん、少くともあなた個人としても、もう少し大きく視野を開いて、深刻に考えてもらわなければいかぬと思う。あなたがなるほどこうだということをおつしやつていただきますれば、小笠原さんも植木さんも判を押すのですよ。それをやつてもらわなければいかぬのです。河野さん、もし九月、十月になつて中小商工業者がますます倒壊して行き、金融機関が不幸にして、この前の京都の信用金庫みたいなことがたまたま新聞に出たり、あるいはわれわれも非常に関心を抱いているところの相互銀行が、もし万一事あつたときには、あなたは一身上で辞職したくらいで終りませんよ。重大問題です。おそらくあなたの孫子の代までたたると思う。もうお盆を控えている今日だから、仏心をお出しになつて、そして即刻、明日の大蔵省の首脳部会議で適当におきめなさつて、口の悪いところの社会党の諸君もにつこり笑うようにやつてもらいたい。これだけ私はあなたに懇請しておいて私の質問はこれで終ります。
  73. 内藤友明

    ○内藤委員長代理 本日はこれをもつて散会いたします。明日は定刻より開会いたします。    午後一時十三分散会