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春日委員 理解できないのであります。たとえば殺人の問題を例に出されましたけれ
ども、殺人の場合におきましても、やはり過失致死の場合があり、あるいは正当防衛の場合があり、過剰防衛の場合があり、いろいろの場合を制限列挙いたしまして、殺人という事柄
一つを対象にいたしましても、あらゆる場合を刑法の中できめてあると思うのであります。私は
法律専門家でないのでありまして、ただ
一つの常識論を申し述べておるのでありますが、しかしながら少くとも国民を拘束して行くという立場におきましては、
法律を見ればや
つていい限界とや
つては悪い限界とが
はつきりどの
法律でもわか
つておる。ここに六法全書がありますが、私は
関係法律を審議する過程においていろいろこれを参照しておりますけれ
ども、多くの場合すべて制限列挙をいたしております。そうしてこの場合場合その他これ準ずる場合ということで、制限列挙が不可能な面はそれに準ずるということで、やはりそれに包含をして、ごく小部分の制限列挙が不可能な場合もその中に掲げておる。そうして読む者をしておのずからこれが文字
通り判断ができる、こういうことにな
つております。そこで私は、
法律が出発する当切から立法者もわからない、審議に携わるわれわれも十分腹に理解をすることができないというような抽象文字によ
つてこれを国民に君臨させようということは、はなはだ冒険ではないかと思うわけであります。もとよりこの大きな問題がわずか九条の条文によ
つてここに取扱われておりまする事柄について、これは多少の飛躍はありましようけれ
ども、私はやはりこれが刑事罰を伴
つて参るという立場において、さらに深い検討を必要とする事柄であろうと思うのであります。先般私が指摘いたしました第一条のこの「誤解を生じさせるような仕方」というような問題についても、同僚諸君の御理解を得て大体の御検討が進んでおる様子でありますが、私はあわせてこの第二条の第二項についても「不
特定且つ多数の者からの
金銭の
受入で、」このことは具体的に申しますれば、
株主からの借入金ということに局限されるでありましようが、
河野銀行局長のただいまの御
答弁にありましたように、この事柄こそは現実に行われておる事柄であります。現実に行われておる事柄であればあるほど問題が重大でございまして、その行われておる事柄がどういうものはいいのであるか、どういうものはいけないのであるか、こういうことを裁判所の判決によらなければわからないというような
法律であ
つてはならないのであります。あなたの御指摘のように、同族会社にして、さらにまたその株券の譲渡を
禁止しておるものはいいならいいと書かねばならぬ。ところがここには書いてない。だからあなたがいいと思
つている人々にしても、これはあるいはいけないのかしらという不審を生ぜしめて、当然いいこともやめなければならない人々も生じて参る事柄であります。それからまたあなたは、そういう人たちが現実にや
つておるから、おれたちもあるいはや
つてもいいかもしれないというので、やはりその必要に迫られた諸君があなた方の期待のラインを乗り越えて、あるいはそういうような要するに
特定という自己判断の上に立
つての
株主からの借入れを行おうとするような場合がないとは断定できない。こういうような
意味合いにおきまして、この第二条の第二項は多大の疑義を持
つておりまする事柄でありますので、今の
質疑応答では私はなお御理解が願えないのではないかと思いますので、願わくば後刻懇談会において当局の御見解並びにわれわれ
委員側の意見とを、ひ
とつ十分交互に検討を加えまして、そうして第二条については、さらにこの完璧を期せられたいことを強く要望いたしまして、私の質問を終ります。