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1954-04-20 第19回国会 衆議院 大蔵委員会 第43号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年四月二十日(火曜日)     午前十時五十六分開議  出席委員    委員長 千葉 三郎君    理事 淺香 忠雄君 理事 黒金 泰美君    理事 坊  秀雄君 理事 山本 勝市君    理事 内藤 友明君 理事 久保田鶴松君    理事 井上 良二君       宇都宮徳馬君    大平 正芳君       島村 一郎君    苫米地英俊君       藤枝 泉介君    福田 繁芳君       本名  武君    小川 豊明君       柴田 義男君    春日 一幸君       平岡忠次郎君  出席政府委員         大蔵政務次官  植木庚子郎君         大蔵事務官         (管財局長)  窪谷 直光君         大蔵事務官         (銀行局長)  河野 通一君  委員外出席者         大蔵事務官         (理財局外債課         長)      上田 克郎君         専  門  員 椎木 文也君         専  門  員 黒田 久太君     ――――――――――――― 四月十六日  国の所有に属する自動車交換に関する法律案  (内閣提出第一五二号) 同日  クリーニング業における揮発油税免除に関する  請願(勝間田清一紹介)(第四四五五号)  同(松永東紹介)(第四四五六号)  同(稻葉修君紹介)(第四四八一号) の審査を本委員会に付託された。 同月十七日  高額時計に対する物品税撤廃に関する陳情書  (第二八二〇号)  強制資産再評価並びに増資に伴う租税特別措置  等に関する陳情書  (第二八四四号)  企業資本の充実のための特別措置等に関する陳  情書  (第二八四五号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  経済援助資金特別会計法案内閣提出第一〇四  号)  金融機関再建整備法の一部を改正する法律案(  内閣提出第一〇八号)  旧日本占領地域本店を有する会社本邦内に  ある財産整理に関する政令の一部を改正する  法律案内閣提出第一〇九号)  閉鎖機関令の一部を改正する法律案内閣提出  第一一一号)  日本国における国際連合軍隊地位に関する  協定実施に伴う所得税法等臨時特例に関す  る法律案内閣提出第一四三号)  補助金等に係る予算執行適正化に関する法  律案内閣提出第一四七号)  国の所有に属する自動車交換に関する法律案  (内閣提出第一五二号)     ―――――――――――――
  2. 千葉三郎

    千葉委員長 これより会議を開きます。  本日はまず去る十三日当委員会審査を付託されました日本国における国際連合軍隊地位に関する協定実施に伴う所得税法等臨時特例に関する法律案補助金等に係る予算執行適正化に関する法律案並びに去る十六日審査を付託されました国の所有に属する自動車交換に関する法律案の三法律案一括議題として、政府当局より順次提案趣旨説明を聴取いたします。植木大蔵政務次官
  3. 植木庚子郎

    植木政府委員 ただいま議題となりました日本国における国際連合軍隊地位に関する協定実施に伴う所得税法等臨時特例に関する法律案外二法律案につきまして提案理由を御説明申し上げます。  まず日本国における国際連合軍隊地位に関する協定実施に伴う所得税法等臨時特例に関する法律案につきまして申し上げます。  日本国における国際連合軍隊地位に関する協定実施に伴い、その円滑な運営をはかるため、日本国内にある国際連合軍隊軍人軍属またはこれらの者の家族等につき、同協定に基いて、所得税内国消費税関税等国税課税に関する特例のほか、国税犯則取締り並びにタバコ及び塩の専売に関して特例を設ける必要がありますので、ここにこの法律案を提出いたした次第であります。  以下順次この法律案大要を申し上げます。まず、国際連合軍隊軍人軍属もしくはこれらの者の家族軍人用販売機関等または同軍隊公認調達機関に対する所得税法相続税法通行税法印紙税法物品税法揮発油税法、しやし繊維品課税に関する法律または入場税法適用につきましては、日本国アメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定実施に伴う所得税法等臨時特例に関する法律規定を準用して、これらの国税を課さず、または免除することといたしております。  次に、国際連合軍隊軍人もしくはこれらの者の家族または軍人用販売機関等輸入にかかる物品または国際連合軍隊により運航されている船舶もしくは航空機につきましては、日本国アメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定実施に伴う関税法等臨時特例に関する法律規定を準用して、関税、トン税及び内国消費税を免除することといたしております。  次に、国税に関する犯則事件調査するため、国際連合軍隊使用し、かつその権限に基いて警備している施設内において、国税犯則取締法または関税法規定によつて臨検、捜索または差押えを行う場合におきましては、日本国アメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定実施に伴う国税犯則取締法等臨時特例に関する法律規定を準用して、国際連合軍隊の権限ある者の承認を受け、またはその者に嘱託して行うこととしているのであります。  最後に、国際連合軍隊軍人軍属もしくはこれらの者の家族または軍人用販売機関等による製造タバコまたは塩の輸入等につきましては、日本国アメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定実施に伴うたばこ専売法等臨時特例に関する法律規定を準用して、その特例を設けることといたしております。  以上、この法律案提案理由内容大要を申し上げました。  次に、補助金等に係る予算執行適正化に関する法律案につきまして、提案理由を御説明申し上げます。  国の歳出予算は、国民から徴収された税金その他貴重な財源でまかなわれており、厘毛たりといえども、これが不正、不当に支出されるがごときことは許されないのでありまして、政府におきましては常にこれを公正かつ効率的に使用するように努めている次第であります。  しかしながら昭和二十七年度決算検査報告によれば、不当事項として千三百余件が指摘され、そのうち約八割五分を占める千百余件は補助金等に関するものであり、その内容は、事業費について過大に積算したり、不実の積算をしたものや、設計通り工事を施行しなかつたり、はなはだしいのは架空の工事や二重の申請をして国庫補助金等交付を受けているもの等があります。補助金等が国の歳出予算の約三割を占めている現在、これら補助金等にかかる予算執行適正化をはかることは、喫緊の要請であり、かつまた、第十七回国会参議院予算委員会において決議されました予算の不正、不当支出防止に関する決議をも尊重いたしまして、この法律案を提出した次第であります。  この法律案は、補助金等交付申請決定等に関する事項罰則その他補助金等にかかる予算執行に関する基本的事項規定することによりまして、補助金等交付の不正な申請及び補助金等の不正な使用防止等をはかるとともに、他面補助金等交付を受ける者に対しては、その不当な取扱いを防止する等の措置を講じ、もつて補助金等にかかる予算執行適正化をはかることを目的とするのであります。以下この法律案の主たる内容につきまして、その概要を御説明いたします。  第一に、この法律適用を受ける補助金等とは、補助金負担金利子補給金その他国が相当反対給付を受けないで交付する金銭であつて政令で定めるものとし、補助金等に関しまして他の法律またはこれに基く命令に特別の定めのない限り、この法律によることといたしておるのであります。  第二に、補助金等交付申請及び決定につき必要な手続を明確にいたしました。すなわち、補助金等交付申請及び決定手続規定するほか、決定に際し必要な条件を付することといたすとともに、交付決定後に天災地変等特別の事情が生じた場合等において、当該交付決定の全部もしくは一部の取消しまたは決定内容もしくは条件の変更ができることとしております。  第三に、補助事業等または補助関係事業等の遂行にあたつては、常に善良な管理者の注意をもつて遂行すべき義務を課するとともに、補助事業者等の提出する報告等により必要がある場合には、当該補助事業等を適正に遂行すべきことを命じ、また必要に応じ一時停止を命じ得ることとし、さらに事業完了後は、必ず実績報告を徴し、その審査及び必要に応じて行う現地調査等により補助金等の額を確定することといたしておるのであります。なお、補助事業等により取得した財産等につきましては、補助金等交付目的に反する使用処分等を禁止することといたしたのであります。第四に、補助事業者等または補助関係事業者等補助事業等または補助関係事業等に関し、法令等に違反し、または補助金等もしくは補助関係利益を他の用途使用した場合には、補助金等交付決定の全部または一部の取消しをすることができることとし、この取消しがあつた場合ですでに補助金等交付されているときは返還を命ずることとし、右の返還命令があつたときは加算金納付させることとし、返還金納期日までに納付しないときは延滞金納付させることとするとともに、これら返還金等納付がない場合には、他の補助金等交付を一時停止もしくは当該補助金等と未納付額とを相殺または当該納付額国税徴収法の例により徴収することができることといたしておるのであります。  第五に、詐欺その他不正手段による補助金等交付を受けた者、補助金等の他の用途への使用をした者等に対し所要の罰則規定を設けることといたしておるのであります。なお地方公共団体に対しては、その団体の性格上罰則適用しないことといたしたのであります。  右のごとく補助事業者等に対し相当厳格な規律をもつて臨むことといたしたのでありますが、他面補助金等交付する側においてもその取扱いを適正にする必要を認め、補助金等に関する事務その他補助金等にかかる予算執行に関する事務に従事する職員に対し、事務を不当に遅延せしめたり、または必要な限度を越えて補助事業者等もしくは補助関係事業者等に対し干渉してはならない義務を課したほか、補助金等交付決定その他の処分不服のある地方公共団体に対しては、不服申立ての道を開くことといたしておるのであります。  なお、日本専売公社日本国有鉄道及び日本電信電話公社に対しましても、この法律を準用することといたしております。  以上、この法律案提案理由及びその概略を申し述べた次第であります。  最後に、国の所有に属する自動車交換に関する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  財政法規定によりまして、国の財産法律に基かなければ交換をすることができないこととなつているのでありますが、諸般の状況にかんがみ、国が所有する自動車につき、当分の間国以外の者が所有する自動車交換をすることができる道を開き、これが効率的な活用をはかり、かたがた経費節減等にも資することができることとし、交換に際しましてその価額がひとしくないときにおける差額は、金銭で補足することとしようとするものであります。以上が、この法律案を提出した理由であります。  何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願い申し上げます。     —————————————
  4. 千葉三郎

    千葉委員長 次に、金融機関再建整備法の一部を改正する法律案、旧日本占領地域本店を有する会社本邦内にある財産整理に関する政令の一部を改正する法律案閉鎖機関令の一部を改正する法律案及び経済援助資金特別会計法案の四法案一括議題として質疑を続行いたします。質疑は通告順によつてこれを許します。苫米地英俊君。
  5. 苫米地英俊

    苫米地委員 ただいま上程されております問題は相互に関係がありますので、逐次お尋ねいたしますから、該当する問題について係の方から御答弁を願いたいと思うのであります。  まず第一にお尋ねしたいのは、第十六国会に提出された閉鎖機関令の一部を改正する法律案は、最終的な処理態勢を整えるためであると提案理由に述べてあるのであります。そこでお尋ねいたしたい第一は、この閉鎖機関はいつごろ廃止するお考えであるかということであります。  次に、この前の法案附帯決議付で可決されたものであります。参議院におきましても、その附帯決議がついておつたから、問題にせずに無事に通過をさせたのだと申しておりますが、政府は、国会の意思を尊重して新会社を早急に発足せられることに御努力中と存じますが、在外財産問題調査会に諮問してというような口実で逃げられるおそれもあるような気持がいたすのであります。この前の委員会の御答弁によつてそういうような形がちよいちよい見られたのであります。それではこの問題の解決が荏苒延ばされてしまつて当該会社だけでなく、国としても大きな損害をこうむることになりますので、この点を明らかにしていただきたいのであります。  もう一つ、この前の委員会における政府答弁では、旧株主権を否定するのやら束縛するのやらと感ぜられるような点があつたのでありますが、これは一体どういう意味であるか、はつきりお伺いいたしたいのであります。それだけまず伺います。
  6. 窪谷直光

    窪谷政府委員 閉鎖機関をいつごろ廃止するかというお話でございますが、閉鎖機関清算につきましては、前々から当委員会において御説明申し上げましたように、鋭意清算促進をはかつておるのでございますが、目下懸案になつておりますいろいろな事項がございます。一つは訴訟問題にかかつておるものもございます。一番大きな問題は、何と申しましても、在外資産負債を持つておる会社清算の問題でございます。もう一つは、さらに別途御審議を願う予定にいたしております接収貴金属等処理に関する法律案でございますが、これに関係いたしておりますのは、交易公団日本金属の二つの会社でございます。そういうような事柄に関係いたしまして、若干清算最終段階に至りまして支障があるのでございます。これらを解決いたしましていつ廃止いたしますか、これは、今確たる見通しを申し上げることができないのははなはだ残念に存ずるのでございますが、できるだけすみやかに清算を結了するように努力をいたしておるのでございます。  なお十六国会におきまして附帯決議がありまして、閉鎖機関制度を事実上終局せしむるように考慮せよ、第二会社申請をして、特殊清算人は別に選任するようにという申入れがあつた場合には、それの処置をして善処せよ、こういうことと存ずるのでありまするが、それに基きまして私どもとしてもやつておるのでありまして、まず閉鎖機関でありまする朝鮮銀行台湾銀行につきましては、それぞれ特殊清算人を別個に設けて事務促進をはかつておるのであります。目下この終局的な処理について必要な数字の資料の整備特殊清算人は当つておられるのであります。閉鎖機関令によりますれば、昭和二十年の八月十五日現在の在外資産負債というものをつかまなければなりませんので、数字をいろいろと御苦労して調査をされておるのであります。  それから朝鮮銀行台湾銀行以外の閉鎖機関につきましても、第二会社なりあるいは継続復活いたしたいという御希望の会社が出ております。目下それぞれのところですでに株主総会等手続をふまれて正式に御申請になつておる会社も数個あるのであります。これから間もなく継続復活なり第二会社という方向に進み得るというふうに考えておるのであります。  それから第三点の、旧株主権を制限するような趣旨発言があつたかという御質問でございますが、どういう御趣旨の御質問でございましようか。
  7. 苫米地英俊

    苫米地委員 この前の委員会において、旧株主権をそのまま認めるのではない、ある制限があるというようなことを言われたのでありますが……。
  8. 窪谷直光

    窪谷政府委員 それはおそらく大蔵大臣から、朝鮮銀行台湾銀行残余財産処理の問題に関して、残余財産がすべて株主に帰属するものと考えるかどうか研究を要するというような意味の御発言があつたのでございますが、それかと存じますが、その点につきましては、いろいろ御意見があるようでございまして、その意見の出て参ります原因と申しますか、理由は、朝鮮銀行台湾銀行発券銀行である、すなわち発券業務、いわゆる国の特権を付与されたものであります。従つて残余財産が出て来ました原因も、その原因をたどつてみますと、発券業務を担当しておつたというところから出て来ておるような面も見受けられるというふうなことから、その辺については、やはり慎重な検討を要すべきものであろうというふうな御趣旨大臣の御発言と了承しております。
  9. 苫米地英俊

    苫米地委員 朝鮮台湾銀行発券業務行つてつたから云々という御答弁でありましたが、これはとてつもない見当違いであります。そういう意見事務当局の間にあるということを聞いたので、きようは河野事務次官に御出席を願いたいということで、委員部の方へ要求しておつたのでありますが、河野事務次官はお見えになつておらないんですが、これはどういうわけなんでしようか。
  10. 千葉三郎

    千葉委員長 河野事務次官は後ほどお見えになるそうです。
  11. 苫米地英俊

    苫米地委員 それではそのときにまたお尋ねすることにいたしますが、発券業務は一割にすぎなかつた。しかもその発行されたところのものに対しては、両銀行は何ら責任を負うべき理由がないのであります。これは、参議院議員青木一男君が弁護士の資格においてこの問題を研究しておるのでありますが、この青木弁護士鑑定書においても、昭和十六年の法律第五号の附則第四項によつて朝鮮銀行法第二十二条及び、第二十四条の適用が廃止され、その銀行券は不換紙幣となつたのである。従つて朝鮮銀行は、銀行券所持者に対しては他の資産との引きかえその他何らの責務を負うべきものでない。こういうふうに断定し、以下こまかく法律的に、この点はどう、この点はどうというようなぐあいに論及されて鑑定書が出ておるのでございます。私はこの青木弁護士意見が正しい、かく信じておるのでありますが、これはおそらく管財局もこの鑑定書はごらんになつたと思いますが、それでもなおそういうことを問題にされるのかどうか、この点をお尋ねいたしたいと思います。
  12. 窪谷直光

    窪谷政府委員 青木先生鑑定書、私どもも拝見をいたしました。そういう考え方も確かにあるというふうに考えるのであります。今残つております財産発券業務との間に直接の因果関係があると見れるか見れないか、いろいろ問題があろうと思います。青木先生の御見解では、これは発券業務とは関係のない財産であるという御結論に結局はなると思うのでありますが……。ちよつと速記をとめていただきたいのですが……。
  13. 千葉三郎

    千葉委員長 速記をとめてください。   〔速記中止
  14. 千葉三郎

    千葉委員長 速記を始めてください。
  15. 苫米地英俊

    苫米地委員 この問題は非常に重大な問題であります。私はこの前の十六国会質問において、もしそういうことを言うならば外交上非常にまずいじやないか。のみならず、こういう問題が起きて来たら政府はどうするつもりかとお尋ねいたしました。ところがそれに対して大蔵省の方から、あれは後に困ることが起るかもしれぬから取消してくれというので、取消したのです。議事録から抹殺したのです。抹殺はしましたけれどもその事実は残つて来る。そういうものにひつかかりが起つて来たならば、一体大蔵省はどうするおつもりなのですか。これは責任がないのだ、しかし今は外務省との折衝においてそういう問題は起つておらない。ところがそういうことの理由で、これに対して残余財産処理をしないで、要求して来たならばこれで払うのだという態度を示したならば、今外務省要求して来ている以上のものが出て来る。そんな愚かな政策というものは、大蔵省ではとるべきでないのですが、御見解を伺いたい。
  16. 千葉三郎

    千葉委員長 速記をとめてください。   〔速記中止
  17. 千葉三郎

    千葉委員長 速記を始めてください。
  18. 苫米地英俊

    苫米地委員 違つた角度というのはどういうことであるか、ひとつ説明を願いたいのでありますが、この点に対する青木弁護士意見もこう書いてある。韓国がわが国から独立したときは、朝鮮銀行にかわつて韓国銀行を創立したけれども、二年間にわたり、韓国銀行法規定に基いて朝鮮銀行券をそのまま韓国銀行券として発行、流通せしめ、その後現在の韓国銀行券発行し、朝鮮銀行券を等価で交換、回収した。韓国銀行法規定に基いて、韓国銀行朝鮮銀行銀行券発行負債、その他の債務を引受けるとともに、朝鮮銀行から資産の譲渡を受けた。私もまさにこの通りだと思うのであります。そこで私は、こういう要求が出て来る理由もなし、またかもしれないというようなことで、大蔵省が呼び水をつぎ込むというようなことは、これはまことに大蔵省としては拙劣な方法じやないかと思うのであります。他の角度と申しますけれども、先ほど申しました通り朝鮮銀行台湾銀行発券はわずか一割であります。普通の商業銀行為替銀行業務によつて利益を得たものが大部分であつて発券は、この鑑定書にもあります通り、内地と朝鮮との通貨制度統一性保持のためにのみこれが効果があつたのであります。営業上はそう効果が多くあつたとは認められないのであります。この二点について御答弁を願います。
  19. 千葉三郎

    千葉委員長 御要求によつて二回速記をとめたのですが、御答弁を拝聴すると、そんなに国際支障がないようなのですが、むしろ速記をとつてそれを読んで、支障のあるところだけを取消した方がよいのじやないかと思うのですが、いかがですか。
  20. 窪谷直光

    窪谷政府委員 やはりとめていただきたいと存じますが……。
  21. 千葉三郎

    千葉委員長 それでは速記をとめて。   〔速記中止
  22. 千葉三郎

    千葉委員長 それでは速記を始めてください。
  23. 窪谷直光

    窪谷政府委員 第二の発券業務が全体の業務の一割程度であつた発券業務というものと現在残つておる残余財産との間には関係がないというふうなお尋ねと思うのでありますが、まさにそういう考え方もあろうと思います。ただ残つております資産内容を見ますと、発券業務保証準備をしておりましたような時代の登録国債でございますとか、ああいうふうな中央銀行国債を持つというのはむしろ異例なことでありまして、信用基礎として朝鮮銀行台湾銀行としては持つてつたと考えられます。その信用基礎は何かというと、やはり朝鮮銀行券なり台湾銀行券なりに対する信用維持ということが一つの大きなねらいであつたのではないかというふうに考えられるものでありますから、この発券業務という国から与えられた特権相当関係を持つておると認められるこの残余財産については、やはりその辺のことを考慮した上で最終決定をなすべきものであろうというふうに考えておるのでありまして、これはまだ株主にやるべきものではないというふうに結論を出しておるわけではございません。その辺の点は憲法上の問題もございましようし、実体上の問題もございましようし、もう少し研究さしていただきたいというふうに考えておる次第であります。
  24. 苫米地英俊

    苫米地委員 発券業務信用維持のためであつたことは疑いがございません。けれども発券業務行つた利益については、それを国庫納付しております。今日本銀行利益金政府納付しているがごとくに、朝鮮銀行台湾銀行納付して来た。その上銀行自体がその責任を負うというのは私には理解できない。のみならず朝鮮銀行が持つてつた担保品まで含めてのあらゆる資産——朝鮮政府は、その後にこの金も債権も担保品も全部運用している、それで利益をとつておる、これを一つ考えなければならぬ。のみならず朝鮮銀行在外残余財産として残して来たものは、国の犠牲においてとられてしまつたのです。朝鮮銀行が悪かつたとか、過失があつたためにとられたのではないのです。講和条約の政府の方針に従つて、在外残置財産というものは、あるいは賠償のかたにとられたのであります。もし政府がそうお考えになるならば、当然銀行に対して国家が補償すべきなのです。それを内地にある銀行残余財産からまだとろうというのは一体どういう考えですか。これは正当に言つて、国家のためにそういうものを残して来て、国家のためにその財産を失つたのだから、あるいはまた賠償のかたになつたのだから、当然政府銀行なり在外会社なりに賠償すべき責任を持つている。国家のために出したのです。であるのに、さらにその内地にある財産までこれを留保して押えて行かなければならぬというお考えはずいぶん無理だと私は考えますが、この点はいかがでしよう。
  25. 窪谷直光

    窪谷政府委員 先ほどから申し上げましたように、私どもとしてまだきまつた考え方は実はできておりませんので、いろいろ検討いたしておりますうちに、そういう問題が出て来たわけであります。苫米地先生のようなお考えもまさに出得るのであります。先生の御意見も含めまして、慎重に検討させていただきたいと思います。
  26. 苫米地英俊

    苫米地委員 検討していただきたいと考えるのでありますけれども、どうも検討の仕方を近年見ておりますと、政府は国民の在外残置財産に対しては、何ら責任がないのだというたような角度でいつも検討しておられる。検討の方向が違つておる。その検討の方向を正しくやつてもらわなければ、問題はいつまでたつても解決しない。その点を要望いたしまして次の問題に移ります。   〔発言する者あり〕
  27. 千葉三郎

    千葉委員長 静粛に願います。
  28. 苫米地英俊

    苫米地委員 この特殊清算の方式は、もし今度の法律案が成立いたしますと三度かわつたことになります。第一の方式は、履行地主義をとつた結果、外地発生原因債務及び外貨建債務はこれを対象外に置いた。第二の方式は、店舗主義をとつて、在外店舗の債務は、履行地がたとい国内であつても、これを対象外とするということにした。これは昭和二十五年十二月二十六日の政令第三百六十八号でありますが、このときに問題となりましたのは、海外から仕向けられた送金為替が閉鎖機関内地店舗の債務となり得るやいなやということだつたのであります。これについては、三つの場合を除いては債務と認めないということが法律委員会結論であつたのであります。大蔵省もその線に従つてその後考えを進めて来たように聞いておつたのであります。そこでもし今度の改正をしようとされるならば、この法律委員会結論であるものをくつがえすだけの法的根拠がなければならぬと存じます。その法的根拠を伺いたいのであります。
  29. 窪谷直光

    窪谷政府委員 法律委員会と申しますのは、閉鎖機関事務所の中におきまする事務的な事務以外についての考え方をまとめる仕組みでございます。それはこの改正前、今の現行法のもとにおいてはそういうふうに処理をしなければならぬ、しかしながらこういうふうな立法ができますれば、またそれに従つてそれは法律の運用をやつて行くということから、おのずからかわつて参るということになろうかと存じます。
  30. 苫米地英俊

    苫米地委員 それは今度の法律ができればまさにその通りであります。けれども今度の法律を通すかどうかということには、そこに大きな問題があるわけなのであります。一体これは、その法律委員会決議にまつまでもなく、送金為替手形というものは、あて先の店舗で引受けたものでなければ義務を生じないものなんです。これは商法できまつた原則なんです。この商法できまつている原則をひつくり返そうというのでしよう。それで政府が当然責任を持つべきものを持たないで、閉鎖機関に背負わせ込んでしまう。この閉鎖機関令というものは、占領政策であつたのであるから、独立したあとは当然廃止すべきものを、だんだん強化して、閉鎖機関の荷物を重くして行つている。そこのところが私どもの理解のできないところであります。何ゆえにこういうふうに閉鎖機関を残しておいて、だんだんその責任を重くして行かなければならないのか、その理由をお尋ねしたいのであります。
  31. 窪谷直光

    窪谷政府委員 一般の商法の規定によりますれば、為替手形というものは、引受けなければ支払い義務がないということは、仰せの通りであります。しかしながら当時の引受けがなかつたという状況は、これは当事者のだれの責任とも言い切れない問題であります。とにかく現地におきまして送金の依頼を受けて、それを内地の方に手続をしたということでありますれば、やはり国内の閉鎖機関におきましては、国内の資産負債をまず第一に整理するということが第一歩であります。それが完了して、なおかつ残余財産が残りますれば、それはその依頼を受けた店舗の義務として支払いをするということが、適当であろうというふうに考えておるのであります。なお今回の送金為替の処理の問題につきましては、別に閉鎖機関だけの問題ではございませんので、ほかの金融機関につきましても、同様の処理をしようということでありまして、別に閉鎖機関だけを目当てにした今回の改正案ではないわけでございます。
  32. 苫米地英俊

    苫米地委員 送金為替を出しさえすれば、出したということにおいて支払いの義務を生ずるというのは、これは私はとんでもないやり方だと思うのであります。あの当時の問題についてこういう法律をお出しになるならば、後にお尋ねしますが、そういうことをするために起つて来る、非常にいろいろな国民の間の不満もあり、また混乱も起つて来る危険があるのであります。まず第一に、今、ある銀行と申し上げておきますが、ある銀行が北支において、正金銀行に外貨建の金の払込みをして、送金を依頼した。そして即日その金を正金の北支の支店に払い込んだ。そうすると、これは正金に支払い義務があるはずだと私は思うのです。ところが今度の法律で行くと、正金銀行に送金を頼んだ銀行が支払うようになつて来るのですが、これは問題じやないでしようか。また一体政府はそういうふうにやつてやるならば、郵便貯金や郵便為替は全部お払いになるのですか。この点もあわせてお伺いしたいと思います。
  33. 窪谷直光

    窪谷政府委員 苫米地先生の御質問はつきり受取れなかつたのでありますが、もちろん為替は引受けなければ支払う義務はないのであります。支払人が支払わない場合には、取組みをいたしました店舗の債務にはかわりないのでありまして、そこに送金を依頼した人は、金のとりもどしの請求はできる、これは普通の商法ではそういうことになつておるわけであります。今回の案におきましては、現地におきまして送金の依頼を受けた店舗がございますが、その店舗の所属する店が送金為替の支払いをするということでございます。今御設例になりました、正金銀行に送金を依頼して、正金銀行が現地において金を受取つたという場合におきましては、それは正金銀行の債務になるという立て方に相なつておるのでございます。
  34. 苫米地英俊

    苫米地委員 私はまだその点は理解しませんが、今度の改正の目的が引揚者の援護ということであるならば、これはりくつ抜きにだれでも賛成すると思うのであります。ところが今度の法案を見ても、提案理由を見ても、そういうことは表面に何も出ていない。実質を見れば、引揚者援護である。そこのところに非常に私どもは割切れないところがある。閉鎖機関清算促進するために、未払い送金為替と在外預金にかかる債務、これを特殊清算の対象とするということになつておりますが、この場合に外貨建であつてもそうでなくても、この区別は何もしていないのであります。これではちよつと筋が通らないと思うのでありますが、この点はどうなんでありましようか。
  35. 窪谷直光

    窪谷政府委員 大体会社清算というものは、総合清算をするというのが建前であるわけであります。まず第一に国内の資産負債清算をやつて参ります。それからさらにこの問題につきましては、従来は在外負債という考え方処理をいたしておつたのでありますが、固有の狭い意味の国内負債を支払つて、なおかつ余力がある機関につきましては、なるほど現地において送金を依頼され、また現地において預金をされたのでありますが、今日引揚げて見えて、内地と申しますか、わが国に居住をされております方々の債権というものは、やはり閉鎖機関の側から見ますれば、国内債務に準ずるものとして扱う清算をやつて行くのが適当だというふうに考えておるのでありまして、なおこのことが兼ねて引揚者の方々の援護の一助になるというふうには考えております。
  36. 苫米地英俊

    苫米地委員 もしこの閉鎖機関在外残余財産というものが、その閉鎖機関に帰属しており、それが運用されるものならば、局長の言われることは私は当然だと思うのであります。ところがこれはとられちやつてないのですよ。しかもとられちやつてないものの責任は、国家にある。国家がその機関に対して賠償すべきものである。それを賠償する方は口をぬぐつて知らぬ顔をして、お前の方へ預けたのだから出せ、これでは少し無理じやないでしようか。ただ多少なり援護のために出せというのなら、これは金融機関も喜んで出すだろうと思うのです。ただ金融機関、閉鎖機関処理するためにこれを出せといつたのでは、これはりくつが通らないのが当然だと思う。同胞に対する同胞愛で出せというのならわかるのです。けれども法理ずくめで今度はこういうふうに出させるのだ、これでは私はどうも筋が通らないと思うのです。のみならず二十年の九月十六日に大蔵省はこういうものを出しております。「日本政府及陸海軍ノ発行セル一切ノ軍票及占領地通貨ハ無効且無価値トシ一切ノ取引二於テ之ガ受授ヲ禁止ス」さてそこで私はこれの内容を伺いたいのでございます。
  37. 窪谷直光

    窪谷政府委員 これは当時占領下でございまして、占領軍の指令に基きまして日本政府が声明をいたしたものであります。内容と申しますと、今お読み上げになりましたことに尽きるのでございますが、通貨の内容といたしましては、軍票、これは陸海軍が発行いたしたものでありまして、軍用手票と申します。それから占領地通貨でございますが、儲備券でございますとか、聯合準備銀行の聯銀券でございますとか、南発券とか、そういう種類のものでございます。
  38. 苫米地英俊

    苫米地委員 そこで、こういうものを在外資産で払えというのなら、この南発券だとか聯銀券とか儲備券、これが外国で問題になつているのに、日本ではどうするつもりなんですかとかつて質問したところが、これは将来困るから速記録から消してくれというので消したのです。それでこれは無効にしてしまつたのですよ。それであるのに、日本の関係機関にだけ今になつて法律を改正して、これは有効なんだ、こういうことをやつて、この問題が外国から持ち出されたら、朝鮮銀行券だけの問題じやありませんよ。日本は破産してしまいますよ。破産してもかまわないつもりでこの法案をお出しになつたのですか。
  39. 窪谷直光

    窪谷政府委員 そういうことは全然考えておらないわけでございます。当時日本に送金をいたしましたもので未払いになつておるもの、それから外地で金融機関が預金を受けたものというようなものだけを問題にしておるのであります。南発券等をこの際全部有効化するというような考え方は全然ないわけであります。
  40. 苫米地英俊

    苫米地委員 問題にしないと言われますけれども、こういう通貨で預金されておるのです。日本に送金もされておるのです。しかも終戦後に日本に送金されたものは外貨建のものがたくさんある。しかもここでわれわれがしつかり考えなければならぬことは、在外公館が在留民の引揚げのために金を貸してくれといつて借り上げた。ところがずるい連中はこの借上げに応じないで身がつてに外貨建の金を持つてつた。それを終戦後にこの無効宣言があつたのにどんどん日本に送つて来ておる。しかも終戦後に送られて来た金に対して、今度の政府の換算率を見ると、公館の借上げよりはるかに優遇しているが、これはどういうわけですか。
  41. 窪谷直光

    窪谷政府委員 送金為替は、現地の金融機関に送金を依頼いたしまして、終戦当時に内地に送金されたものであります。これにつきましては、在外公館の換算率よりも有利な率を使つております。それはその送金当時に行われておりました実効換算率によつておるわけであります。それ以外の預金につきましては、大体在外公館借入金の処理の場合の換算率と同様のものを使つておるのでありまして、全般的に在外公館の率よりも非常にいいものを使つておるというわけではないのでございます。
  42. 苫米地英俊

    苫米地委員 それがあるので陳情が出て来ておるのです。そこであの換算率はどういう基準でおきめになつたか、それを伺いたいのです。
  43. 窪谷直光

    窪谷政府委員 これは当時為替管理を日本政府もやつておりましたので、そのときにすでに現地におきましては相当のインフレーシヨンが進行しておつたのでありまして、単純に公定のレートだけで換算をいたしましたのでは、貨幣の交換としては非常に不適当であるということから、為替管理法に基きまして措置をやつたのであります。その場合に公定的なレートのほかに、実効的なレートを使つてつたのであります。そのときの実効的なレートを基準にしてその算出をしたのであります。その場合に、小額債権をできるだけ優遇した方が適当であると考え、また当時におきましても、送金につきまして、たとえば家族の生活費については優遇された率が適用されておりましたので、そういうことあたりを勘案して一応算定いたしたのであります。それから在外預金等につきましては、これはまだ現地の預金として残つてつたのであります。これらの点は、在外公館の借入金の場合と同様のレートを基準にすることが適当だろうということになつたのでありますが、在外公館の借入金の場合におきましては、当時借入れが行われました時期の物価の実勢をいろいろと資料によつて比較をいたしまして、その辺に基準を置いて算出された換算率であります。今回の措置におきましても、在外借入れのものにつきましてはその基準と同様の換算率とするのが適当であろうと考えておる次第であります。
  44. 苫米地英俊

    苫米地委員 終戦前のはお説の通りでいいと思うのでありますが、終戦後のは、これを適正にやるとしたら、非常なインフレーシヨンが起つて変なことになつてしまつているのですから、これは私はなかなか簡単に行かないと思うのであります。引揚者の持ち帰る金もしくは送金等については、十倍の積立金をせいとか、持帰り金について幾らとかいうような大蔵省からいろいろの通牒が出ておるのでありますが、終戦後にこれが持ち帰られたりいろいろなことをしたものが大分あるのでありまして、これらは、今度の措置ではどこでどういうふうにしてきめて行くのか、はつきりしない点がたくさんあるのであります。そこで海外に店を持つてつた金融機関だけがこういつた負担を負わせられるというのは非常に不公平だと私は考えるのであります。預金ということを申されますが、一口に言えば預金でありますけれども、そう簡単なものではないのであります。たとえてみれば、通帳だとか預かり証で発行店が内地の店舗である、だから内地の責任だ、こういうようなことも言われますが、事実上は外地店舗における外貨建預金であり、外貨表示の内地特別預金であるような場合もあるのです。こういうものに対してはどういうふうにお扱いになりますか。
  45. 窪谷直光

    窪谷政府委員 在外預金はもちろん現地通貨建てになつておるのが大部分でございます。それは、今回の法律によりまして処理されるものと考えております。ただその場合——あるいは御質問の御趣旨は、当時内地に送金をいたします場合に、積立金に該当しますものを特別措置預金といたしまして外貨建にいたした、この処置をどうするかというお話かと存じますが……。
  46. 苫米地英俊

    苫米地委員 それは特別措置で積立てをやらしたのですから、片がついているわけでしよう。
  47. 窪谷直光

    窪谷政府委員 そういうふうに考えております。
  48. 苫米地英俊

    苫米地委員 そうではなしに、内地の店舗が出した通帳とか預かり証というものは、実際は外地店舗の外貨建預金、外貨表示あるいは特別預金もあるのです。これをごちやごちやにするということになれば非常な混乱が起つて来ると思うのです。それをどういうふうにされるのか、こういうお尋ねをしているわけです。
  49. 窪谷直光

    窪谷政府委員 それは内地店舗の発行した外貨建の預金、こういう御質問でございましよう。
  50. 苫米地英俊

    苫米地委員 そうです。
  51. 窪谷直光

    窪谷政府委員 それはやはり外貨建の外貨表示の預金でございますので、同様に扱われるわけでございます。
  52. 苫米地英俊

    苫米地委員 その外貨建のものは二十年の九月に無効、無価値のものになつてしまつているんですよ。今度の法律ができたら立て直るけれども、今度の法律ができる前、現在は無価値のものなんです。取引の禁止されているものなんです。非合法のものなんです。それを今度非合法のものを生かしてそれを払え、こういうわけなんです。これはどうなるかということです。
  53. 窪谷直光

    窪谷政府委員 どうも御趣旨がわかりかねるのでありますが、当時そういうふうな、内地に引揚げて来ました方は税関でお預かりするとか、いろいろな措置を講じて参りましたけれども、債権債務を無効にするというような措置をとつたことはありません。
  54. 苫米地英俊

    苫米地委員 先ほど申し上げました日本政府昭和二十年九月十六日、一切の軍票及び占領地通貨は無効、無価値として一切取引を禁ずる、こう言つているその中にある外貨建のものなんです。現在まだ無効なんです。今度の法律が成立したらば、この政府の通牒は無効になつて価値が出るかもしれぬけれども、現在こういう無効であるものを授受したのです。政府命令に反してやつたのです。政府命令に反したものをお認めになるというのはどういうわけか、こうお聞きしているのです。
  55. 上田克郎

    ○上田説明員 ただいまの御質問は二十年の九月十六日の「日本帝国大蔵省声明」という中で無効、無価値という言葉を言つてあるということで、まだ有効であつた時代にその通貨を基礎としてつくられた債権債務関係も同時に無効ではないか、そういうふうにおとりになつておるように承つておるのでございますが、この声明は、先ほど管財局長から御説明がありましたように、司令部の指令に基いて大蔵省としてとりあえず出した声明でございますが、この声明を出す基礎になりました向うの指令の中に、この趣旨を実行に移すための法的措置は司令部と相談してきめるようにということが出ておるわけです。それできめましたものが、B号軍票は法定通貨として日本で流通するのだということと、それからあとは八十八号省令をその年の十月十五日に出しまして、外国とのいわゆる外貨建表示の債権債務の処理であるとか、それから渉外関係の取引であるとか、そういうものは一切大蔵大臣の許可を得なければやつてはいけない、いわゆる許可事項にかからしておるわけであります。その際に日本銀行券以外の通貨の授受というものも許可にかからしておるわけであります。そういうような関係で、この声明書そのものには「一切ノ軍票及占領地通貨ハ無効且無価値トシ」と書いてございますが、それを立法化してはおらないのであります。   〔委員長退席、内藤委員長代理着席〕 そういう関係で、今おつしやいましたように、その表示でやるからただちにそういう債権債務関係は無効、無価値であるというふうには、法的にはならないと私たちは解釈しております。
  56. 苫米地英俊

    苫米地委員 その無効、無価値で一切の取引に授受を禁止すると言つておいて、法的には政府の声明は無効だなんてこれはおかしなことで、こういうやり方でやるから国民を迷わしてしまうのです。政府が無効、無価値だと言つたなら国民は無効、無価値と考えなければならぬ。であるのに、無効、無価値が声明された後に、現地においては預金もしておれば送金もしておる、隠して持帰りもしておる、こういうことが現状なんです。引揚者の持帰金に対する云々という通牒も出ておるけれども、それを犯しておるものが相当あると思う。そういうものに対して、政府がこれは法的な措置を講じなかつたから、声明をし、もしくは通告を出してあるけれども、それは無効だなんというのは無責任きわまつた答弁だと思うのですが、これはどうなんでしよう、責任があるのでしようか、無責任なんでしようか。
  57. 上田克郎

    ○上田説明員 御承知のように、占領当初はいろいろな法的機構も整備されておらなかつたために、向うから司令部の指令として指令がありますと、それをとりあえず実行に移すために——当時はまだポツダム勅令とかポツダム政令とかはなかつた時代だと記憶しておりますが、大蔵省としては一応こういう声明の形で出しておいて、従来の日本の法制との関係も考えて、これを国民に強制するための法的措置というものを考えなければならぬ、そしてその考え方として、司令部と相談したところ、結局こんな宣言だけで通貨などを無効にできるかどうかということについてはいろいろな問題がある、それで法的にはつきりとして国民を縛るという形になつたのは、先ほど申し上げましたようにB号軍票が強制通用力を持つのだということを法制化したことと、それから日本銀行券、それから貨幣、金貨を除く、政府発行する小額の紙幣、臨時補助通貨及びB号円表示補助通貨以外の一切の通貨の取引については、大蔵大臣の許可を受くるにあらざればということで許可にかからせておるわけであります。そういうようなわけで、声明をして無効だといつて、それをあとで法律で無効にしなかつたのはけしからぬじやないかということでありますと、法的措置をとつて初めて国民に対しては法的な拘束力を持つ、そういふうにわれわれは考えております。
  58. 苫米地英俊

    苫米地委員 それではこれから先大蔵省が声明や通牒を出しても、法律になるまでわれわれはそれに従わなくていいのですか。
  59. 窪谷直光

    窪谷政府委員 当時の声明は、占領下という特異の状態におきまして行われたことでございます。今日のようにきちんといたしましたもとにおきましては、大蔵省が声明を出します場合に、国民に強制をいたします場合のことは、声明という形はおそらくとらぬと思うのであります。必ず法律に基きます政令でありますか、省令でありますかということに相なると思うのであります。声明というような形をとります場合には、大蔵省の希望意見を公表するというようなことであろうと思います。占領中の特異の形態であつたということで御了承願いたいと思います。
  60. 苫米地英俊

    苫米地委員 局長はそうおつしやいますけれども銀行あたりに聞くと、実は銀行局長のこういう通牒があるから、これは何ともどうにもならぬと言つているのです、そういうことは、一一法律できめなければ今後は聞かなくてもいいというように解釈できるのですか。  そこで今あげられたものについては許可制度だというけれども、儲備券だとか、南発券だとか、南発券はないでしようが、いろいろな外貨建のものが送られて来て、こちらでいろいろな通牒なりを出しているやつがあるのです。それは許可しておつたのですか。
  61. 上田克郎

    ○上田説明員 ただいまの終戦後内地で出しました外貨建の特別措置預金は、私の記憶ではないと存じております。従つて外貨建の表示の特別措置預金を、支払いを許可するということは起つておりません。
  62. 苫米地英俊

    苫米地委員 そこで法人についても今度の法案でいろいろ問題が起つておりますけれども、これは企業再建整備法の臨時措置として、在外債務は、これはたな上げにされているはずです。これはたな上げにしておいて、そうして今度はやめてしまうというお考えかと思いますが、これはどうなんです。
  63. 上田克郎

    ○上田説明員 企業の再建整備では、御承知のように在外の資産負債というものは一切全世界包括いたしまして、資産負債を比べまして、それで資産が超過の場合はそれをマイナスに立て、負債が超過の場合はもちろんその負債を内地の負債と考える、そういう形で整理されておつたことは御承知の通りでありますが、私の聞いておりますところでは、今回その従来の整理方式が平和条約締結後の事態に即応しないために、たとえば平和条約では各国別に、連合国でございますか、各国別に資産負債清算する、そういう形になつておりますので、それに即応したような経理をやるような改正法案が提出されておるようであります。
  64. 苫米地英俊

    苫米地委員 この点は、どこまでも国家が在外財産などに対して責任を持つべきものを持たないでいて、国家はもう責任を持たない、けれども在外会社は自分の債権債務について自分で責任を持て、こういう形になるのです。これは不合理ですから、どうか今後研究していただきたいと思いますが、さらにこの預金のうちには眠り預金が相当あるようであります。この眠り預金の措置については、今度の法案ではちつともわからないのですが、これはどうなさるのですか。
  65. 河野通一

    河野政府委員 お尋ねの眠り預金という意味がよくわかりませんが、おそらく預金者が申出をしないという意味の預金じやないかと思いますが、外地の支店に預金をいたしておりました者で帳簿その他がはつきりいたしません、そういう場合におきましては、その預金者が申出をいたしません限りにおいては、これは確かめる方法が実はございませんので、金融機関再建整備法の改正の分に関する限りにおきましては、これは在外勘定の預金として経理ができない、こういうことに相なるわけであります。ただその原則につきましては、申出のないものにつきましては、これを確認する方法に欠けるという点におきましておそらく閉鎖機関その他の関係のもとにおける取扱いも同じことになるのじやないかと私は思います。
  66. 苫米地英俊

    苫米地委員 眠り預金についてはこういうことなんです。これは内容から申せばいろいろありますけれども、中には死んでしまつた人もあるだろうし、それから放棄しちやつた人もあるでしようけれども、中には戦時中いろいろな団体をこしらえて貯金をさせられた、貯金したものは預金になつている。この中には準法人的のものもあるのです。その代表者はおつて、知つておるのです。そこでそういうグループの人が、自分たちの団体そのものはなくなつてしまつたけれども、しかしながら団体内容をなすところの人々はまだ生きておつてお互いわかつている、こういうものを返してくれと言つても、団体がなくなつたら返さないという態度があるのです。こういうものを返してもらえればその人たちの更生のために使われるのが、外地にあつて団体がくずれちやつたから返せない、こういうことになつて来ておるが、それはどうするか、こういうわけなんですが、返す方にやるのか、没収して持つて行くのか、こういうことに対してお尋ねいたします。
  67. 河野通一

    河野政府委員 御質問の点はわかりました。そういう問題につきましては、その団体団体を構成せられた方方との関係というものが法律上立証されるかどうかの問題にかかると思います。おそらくこれは単に外地の問題だけでなくして——外地に例が多いかと思いますが、国内でも同じ問題が実はあると思います。そういつた場合につきましては、その団体を解散をし、あるいはなくなつてしまつた場合において、それを構成しておつた人々の持分としてその団体の名義になつてつた預金が当然に来るか来ないかということは、個々の法律問題、法律関係について判断をして行くよりしかたがない、かように考えております。その関係で、その預金が実質的に個々の団体構成員のものであるということがはつきり確認できるならば、これは当然に払われるものだ、要するに問題は立証及びそれに対する確認の方法いかんである、それをちやんと立証ができて、それをこちらが認められるかどうかという事実問題にかかると考えております。
  68. 苫米地英俊

    苫米地委員 その点は私も銀行局長と同じ考えを持つております。こういうことはこればかりでなしに、まだいろいろの問題があるが、時間がないから申し上げませんが、そこでどれだけの証拠を立てたらいいかという限度が今度の法律ではわからないのです。そこでこの証拠類を確認する限度、こういう基本条件を何かの形で示していただかないと、今後常識では判断できない問題が起つて来る。そうすると、この法律が通つたあとで非常に複雑ないろいろな混乱が生じて来ると思いますが、この確認の基本条件をどうするかということについてのお考えを伺つておきたいと思います。
  69. 河野通一

    河野政府委員 これは実はなかなかむずかしい問題だと思います。ケースケースによつて法律関係がおそらく非常にまちまちになつておると考えます。従いまして、私どもはこれを通用するような抽象的な判定の基準というものができますかどうですか、これは実は私自信がございません。しかしこの点は十分研究をいたしまして、そういうものができるならばつくつて、皆さんの法律関係はつきりさせてあげるという努力はいたしたいと考えております。万一そういうことができません場合には、結局私は訴訟の問題だと思います。裁判所においてそういうことが確認されるかどうか、つまりこの人の預金である、それは名儀は違つておるけれどもこの人の預金であるということで、裁判所によつて確認されればこれは問題がないわけであります。そこまで持つて行かないで、今お話のような何か抽象的な基準ができれば非常にけつこうだと思いますが、この点につきましては、もう少し研究させていただきたいと思います。
  70. 苫米地英俊

    苫米地委員 その点で、これは団体の更生施設に使うような場合に、私個人でやろうということは考えたくない。それからそれはそれだけにいたしまして、もう一つ二つお尋ねいたしたい。  一つは先ほど申し上げました換算率に非常に不公平があるものはどうするか、これは不公平だということが判明して換算率が問題になるのかどうか、その不公平だということはこちらが立証しなければいけませんけれども、やるつもりかどうか。  もう一つは、満鉄問題はあちらこちらの委員会で大分問題になつているらしいのですが、政府のお答えを総合してみると、満鉄会に信託した場合には、財産の保全を期しがたい心配があるから、大蔵大臣の指定した銀行に預金して払出し制約をするというお答えでありますが、満鉄会のことについてはあちこちの委員会でいろいろお尋ねしておるようですから、私は今ここで繰返しませんけれども、あれがりつぱな財団法人になつて、その人たちの更生のために使うというのならば、この法文を修正しなくてもできることではないか、これはお考えになつてもしかるべきだと思いますが、いかがでしようか。
  71. 窪谷直光

    窪谷政府委員 初めの換算率が送金為替と在外預金で違つておるのはおかしいではないかというお話でございますが、先ほど申し上げましたように、私どもとしては区別をするのが適当であるというふうに考えておるのでございます。従いまして送金為替と在外預金とか、その成立の経緯等から見まして、やはり現在御審議を願つております案を修正するような考えは持つておりません。  それからなお満鉄会の問題でございますが、満鉄会は現在まだ任意の団体でございまして、これに財産を信託するということは不可能だと思います。ただ財団法人が成立し認可されまして、それの基礎がしつかりいたしました場合には、その団体に信託をするということは研究に価する問題だというふうに考えております。ただ財団法人ができます場合に、どういうでき方をするかによつても大分違つて来ると思うのでありまして、それが信託するにふさわしいような団体ができますれば、それに対する信託財産の運用等を適当に規制をいたしまして、妙に流用されたり、あるいは浮貸しされたりするというような心配のないように、会計監査もある程度組織を備え、あるいは経理の内容を適当な方法によつて公表し、その間に不当でありますとか不正でありますとかいう余地の入らないようなくふうを凝らしますれば、確かに研究に価する問題であるというふうに考えております。何分にもどういう財団法人ができ上りますかわかりませんので、まだはつきりしたことは申し上げかねるかと思います。
  72. 苫米地英俊

    苫米地委員 それでは満鉄の問題については、満鉄の財団ができ、そのでき方によつてはさしつかえない、こういうふうに了解いたしましてよろしゆうございますか。
  73. 窪谷直光

    窪谷政府委員 おおむねそういうふうにおとり願つてけつこうでありますが、その場合にも、この信託する財産というのは単純に満鉄職員の更生の資金ではないのでありまして、退職金の未払いを払うという金だけであります。従いまして、これは単純に更生資金だというような安易な気持でははなはだ遺憾と思うのであります。従いまして、りつぱな財団ができていましても、無条件で信託するということは不可能と思います。それぞれやはり信託財産の運用の方針、運用の範囲なんというものを、安全な運用ということに限り、また経理の内容も公明にするようなくふうを凝らした上であるということであろうと思います。
  74. 苫米地英俊

    苫米地委員 それは今局長のお答えになつた通りだと私は思つております。ただそういうふうな形に早く持つて行つて、恩給基金としてこれは大蔵省に監督してもらつてもいいし、とにかく満鉄会の人々が熱望しておるような問題でありますから、大蔵省もこういうふうにやれ、そうすればいいのだ、ここのところはこうしなくてはいかぬと御指導願いまして、完全なものにして、そういう希望を達せられるようにしてくださるようにお願いします。  まだ問題は残つておりますが、あまり長くなりますので、あらためてお伺いいたしたいと思います。きようはこれで終ります。
  75. 内藤友明

    ○内藤委員長代理 それでは本日はこれをもつて散会いたします。    午後零時二十七分散会