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1954-04-02 第19回国会 衆議院 大蔵委員会 第34号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年四月二日(金曜日)     午前十時四十五分開議  出席委員    委員長 千葉 三郎君    理事 淺香 忠雄君 理事 黒金 泰美君    理事 坊  秀雄君 理事 山本 勝市君    理事 久保田鶴松君 理事 井上 良二君       大上  司君    大平 正芳君       小西 寅松君    島村 一郎君       苫米地英俊君    福田 赳夫君       藤枝 泉介君    堀川 恭平君       池田 清志君    福田 繁芳君       小川 豊明君    春日 一幸君       平岡忠次郎君  出席政府委員         大蔵政務次官  植木庚子郎君         大蔵事務官         (主計総務課         長)      佐藤 一郎君         大蔵事務官         (主税局長)  渡邊喜久造君         大蔵事務官         (銀行局長)  河野 通一君         大蔵事務官         (為替局長)  東條 猛猪君  委員外出席者         大蔵事務官         (主計官)   谷川  宏君         大蔵事務官         (国税庁直税部         長心得)    村山 達雄君         専  門  員 椎木 文也君         専  門  員 黒田 久太君     ――――――――――――― 四月一日  揮発油税率の据置きに関する陳情書  (第二五九七号)  同  (第二五九八号)  同(第二五九九号)  富士山頂払下げに関する陳情書  (第二六〇〇号)  消費及び投資の過剰抑制並びに賃金の安定に関  する陳情書  (第二六五六号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  参考人招致に関する件  国有林野事業特別会計法の一部を改正する法律  案(内閣提出第一二二号)  国民金融公庫が行う恩給担保金融に関する法律  案(内閣提出第一二三号)  外国為替銀行法案内閣提出第七三号)(参議  院送付)  日本銀行券預入令等を廃止する法律案内閣提  出第三五号)(参議院送付)  特別調達資金設置令等の一部を改正する法律案  (内閣提出第一二〇号)  証券取引法の一部を改正する法律案内閣提出  第八八号)     ―――――――――――――
  2. 千葉三郎

    千葉委員長 これより会議を開きます。  まず参考人招致の件についてお諮りいたします。昨日の理事会で申合せいたしました通り企業資本充実のための資産再評価等特別措置法案等につきましては、参考人より意見を聴取いたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 千葉三郎

    千葉委員長 御異議なしと認めます。よつてさように決しました。  なお参考人の選定及び日時等につきましては、委員長に御一任を願つておきたいと存じます。
  4. 千葉三郎

    千葉委員長 次に、去る三月二十九日、当委員会に審査を付託され召した国有林野事業特別会計法の一部を改正する法律案及び国民金融公庫が行う恩給担保金融に関する法律案の両案を一括議題として、順次政府当局より提案趣旨の説明を聴取いたします。植木政務次官
  5. 植木庚子郎

    植木政府委員 ただいま議題となりました国有林野事業特別会計法の一部を改正する法律案外一法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  まず国有林野事業特別会計法の一部を改正する法律案について説明申し上げます。  従来国有林野事業特別会計におきましては、決算利益を生じたときは、森林資源維持のための積立金として積み立て、これを控除した額に相当する金額は、すべて一般会計に納付しなければならないこととし、例外として、当分の間、損失補填のための積立金を保有することができることとなつているのであります。今般この森林資源維持のための積立金森林基金とするとともに、毎会計年度損益計算利益を生じ、かつその年度歳入歳出決算剰余金があるときは、その剰余金相当する金額範囲内で、予算の定めるところにより、基金に組み入れ、または一般会計繰入金をすることができることとし、さらに利益があるときは、損失補填のための積立金として積み立てることの原則を確立しようとするものであります。  次に、今国会に保安林整備臨時措置法案提案し、御審議を願つているのでありますが、同法案が成立する場合におきましては、同法の規定により買い入れる国土保全上必要な森林等は、国有林野事業特別会計において経営することが適当であると認められるので、この会計の負担において買い入れることができることとし、買入れ及び買い入れた森林等についての治山事業に要する経費の財源に不足するときに限り、予算の定めるところにより、一般会計からこの会計繰入金をすることができることとしようとするものであります。  次に国民金融公庫が行う恩給担保金融に関する法律案について説明いたします。  従前恩給担保金融は、恩給金庫によつて行われていましたが、昭和二十四年国民金融公庫設立伴つて公庫は解散し、恩給担保金融の道はとざされたのであります。しかるに最近恩給等担保とする金融上の措置を強く要望され、昨年恩給法及び戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部を改正することによつて、すでに国民金融公庫を通じて再び恩給等担保とする金融の道が開かれたのでありますが、今回、右金融に関する貸付債権の確保をはかるとともに、国民金融公庫業務範囲を拡張することにより、恩給担保金融を円滑にすることを目的として本法案を提出いたした次第であります。  次に、この法律案概略を御説明いたします。  まず第一に、本法により、公庫担保に供することができる恩給等は、恩給法その他の法令による年金たる恩給戦傷病者戦没者遺族等援護法による障害年金及び遺族年金並びに条例により支給される年金で右に準ずるものといたしました。  第二、担保に供された恩給等は、国民金融公庫だけがその支払いを求めることができるものとし、また債務者は、その債務を完済するまでは恩給等を受ける権利を放棄することができないこととし、その他担保の効力について所要の規定を設けました。  第三に、国民金融公庫は、恩給等担保とする貸付限つて事業資金以外の資金小口貸付ができるよう特例を設けることといたしました。  第四に、公庫における恩給担保貸付の適正円滑な運営を資するため、国民金融審議会委員国民大衆利益を代表する者一人を追加することといたしまして、これには恩給等受給者の代表を充てることを予定しております。  以上、この二法律案提案趣旨及びその概略を申し述べた次第であります。何とぞ御審議の上すみやかに御賛成あらんことをお願いいたします。     —————————————
  6. 千葉三郎

    千葉委員長 次に、外国為替銀行法案日本銀行券預入令等を廃止する法律案及び特別調達資金設置令等の一部を改正する法律案の三案を一括議題として質疑を続行いたします。質疑は通告順によつてこれを許します。春日君。
  7. 春日一幸

    春日委員 為替局長にちよつとお伺いしたいと思うのであります。きのう参考人の御意見をいろいろ承つておるうちに、次のような問題に疑義を生じて参つたのであります。たとえば政府手持ち外貨がこの十二月末において九億七千万ドルあるわけであります。ところがこれの大部分、パーセントにして八八・八%を外銀預託されておるわけでありまして、残余の一一・二%の九千八百万ドル程度のものが内国銀行預託されている。独立を回復いたしました現在、日本政府手持ちであるところの外貨が、一体どうしてその大部分のものを外銀預託されておるのであるか、その理由、それから預託については何らかの特殊の協約があるのであるか、ないのであるか。もしあるとすれば、この預託に付随するところの協約等につきまして、お伺いをいたしたいと思います。
  8. 東條猛猪

    東條政府委員 ただいまの春日委員からの政府手持ち外貨預託先に関するお尋ねでありますが、私どもといたしましても、政府手持ち外貨を逐次日本側為替銀行預託がえして参るという根本考え方につきましては、ただいまの御趣旨とまつたく同感でございます。ただお考えをいただきたいと存じまするのは、一つは預けられるところの日本側為替銀行の力と申しますか、態勢の問題、いま一つ預け金に伴いますところの外国側に与える影響、この二つの点につきまして御配慮を願いたいと思います。御承知のように、独立日本為替銀行もぼつぼつ海外に支店を設けておるわけでありますが、現在、先ほどお話のような外貨日本側為替銀行に預けますると、実際問題といたしましては、日本側為替銀行は、まだその大部分外国銀行に再預託をするというような状況になつております。もちろん日本側為替銀行も今後いろいろと力もついて参りまするし、またこれはぜひつけてもらわなければならぬわけでありまして、日本側銀行にそういう力がつき、海外における情勢もいろいろと把握でき、十分な活動ができるようになりますれば、今申し上げたような現象も相当解消するわけであります。そういう意味におきまして、私どもといたしましては日本側銀行実力を養い、伸びることの一日も早いことを希望するわけでありますが、この預託の問題にいたしましても、そういう為替銀行の力とにらみ合わせましていろいろやつて参る必要があるのではないか。ただいま御審議を願つております為替専門にいたします銀行ができましたような場合においては、そういう意味におきましても実力が非常につくわけでありますから、政府外貨預託先につきましても十分いろいろと考え直す機会があろうかと思います。  それから第二に、外国側に与える感触の問題でありますが、われわれは、もちろん日本側銀行に対して預託をいたしますことが、右に申し上げましたようないろいろの情勢に伴いましての当然やるべきことであるというような場合におきましては、外銀あるいは外国側に与える感触というようなものは、第二義的に考えてよろしい問題でありますが、相当預けてあります預金を急激に引出すというようなことは、申すまでもなくいろいろの影響のある問題であります。その意味におきまして、慎重な配意がいりはしないか。先ほど約一二%見当という数字を仰せになりましたが、事実その通りでありまして、これは逐次そこまで持つて来ておるわけであります。今後の方針といたしましても、私ども情勢が熟し、適当なるときには、日本側銀行に対する預託の割合を逐次ふやして参りたいという根本方針につきましては、仰せ通りであります。  なお第三の問題でありますが、この外国銀行手持ち外貨を預け入れることにつきましては、契約その他それを拘束するようなものは全然ございません。
  9. 春日一幸

    春日委員 外貨外銀預託しておるのだが、その預託しておるということは自然の趨向であつて、何も外交上または経済上の協約に基くものではない、いつ何どきでも引揚げ引揚げられないことはないというふうに了解いたしました。そこで引揚げれば何がしかの影響があるであろうが、そのことは日本自立経済を確保して行く立場においては、その程度の抵抗があつたとしても、しよせん覚悟の前である、こういうふうに述べられておると思うのであります。  そこで私は念のために伺つておきたいのだが、日本国際的信用がどの程度のものであるかということを証明するには——日本保有外貨がとの程度あるかということを証明する一つ方法として、結局集中的に外貨信用をギヤランティするような意味合いにおいて預託されておるようなケースがありはしないかということをわれわれは常識的に考えておるのでありまするが、これを引揚げることによつていろいろと対外的な信用上の紛争等を巻き起すことになり、日本経済的信用がどの程度のものかわからない、すなわち円に対する信用がどの程度のものかわからないというようなことから、円価格に対する法定レートにおのずから何らかの影響がしわ寄せられて来るようなことがありはしないかと案ずるのであります。この点について、ひとつ政府の検討されておるところをお伺いいたしたいと思うのであります。
  10. 東條猛猪

    東條政府委員 ただいまお尋ねの御趣旨は、外国銀行相当外貨を預けておるのだが、、外貨保有高日本の対外的な信用をはかる一つの標識である、そうすると、外国銀行からそれらの外貨を引出すことは、あるいは日本対外信用影響がありはしないかという御趣旨お尋ねだと拝承いたしました。もちろん、日本手持ち外貨幾らあるかということが、日本信用をはかるバロメーターであることはお話通りであります。しかしながら、対外信用の問題は、私から申し上げるのも恐縮でありまするが、もちろん今幾ら外貨を持つているかということも非常に重要な要素でありますが、日本の国内的な財政なり金融政策がはたして健全な方向をたどつておるかどうか、日本輸出競争力がはたしてどういうことになつておるかと、単に手持ち外貨以外の、ほんとう意味日本経済実力をはかり得ますような要素が、同時に裏から申し上げますれば、日本国力自体日本対外信用を決定する非常に重要な要素であるということは、私から申し上げるまでもないごとであります。その意味におきまして、外貨を現在幾らつておるかということも非常に重要な要素でありまするが、それ以外に、多方面にわたりまして日本国力を十分つけるということでお考えいただかなければならぬ事項、要因が相当に多いと思います。  それから日本手持ち外貨をかりに外国銀行から引出しました場合、それがただちに日本の円に対する信用等影響がありはしないかという点でありまするが日本が今幾ら外貨を持つておるという場合、その外貨が実際あるかどうかということに対する信用の問題は、外国銀行預金しているかどうかによつてどういう影響を受けるであろうかということは、もちろん考えなければなりませんけれども、いろいろの情勢を総合いたしまして、外国銀行に預けてありまする外貨を、情勢の熟するに従つて逐次日本側為替銀行に移して参るということ自体、別段円の信用を傷つけるとか、円の信用を失わせる傾向になるというようなことまで、この預託の問題については考えることもないのではないかと考えております。
  11. 春日一幸

    春日委員 この為替専門銀行がやがてできるでありましようが、その為替専門銀行は、しよせんはこれらの内外銀行預託してありまする外貨を逐次集中的に手元に納めて行く傾向をたどらなければならぬと思うのでありますが、現段階において、外貨預託してある外貨を、法律趣旨従つて回収することが当面はたしてできるかどうか、そういう情勢であるかどうか、この現状について御説明願いたい。
  12. 東條猛猪

    東條政府委員 外国銀行に対する預金は、大部分定期預金であります。貿易資金をまかなうのに最小限度必要なものを当座預金として今ただちに引出せるかという仰せでございますが、この定期預金は、定期が来るまで引出せないのは当然であります。お尋ねは、そういうことではなくして、為替専門銀行ができた場合に、この銀行からすぐ外貨を引出す上に、何らかの約束があつてそういうことができないことはないかという御趣旨と拝聴いたしました。為替銀行ができまして、この銀行実力がつき、また実力をつける、そういう意味におきまして、いろいろの——情勢を勘案いたしまして、外国銀行から外貨をこの銀行に移しかえるということにつきましては、何ら支障がないと考えております。
  13. 春日一幸

    春日委員 もう一つ伺います。この為替専門銀行をつくるのは、やはり集中的な技術経験とによつて為替変動に対処して、特に為替利益をも考えつつ貿易の進展に寄与するためであろうと思うのであります。現在日本法定レートによつて円価維持されているわけであります。従いまして、技術経験によつて操作し得る面は、ごく限られた範囲である。やがてこの日本の円為替自由交換制にでもなつて参れば別でありましようけれども、どのような技術、どのような経験をもつてしても、為替変動ということがほとんどない現段階において——将来の問題は別でありますけれども大蔵大臣その他の言明によりますと、政府としては死力を尽して現在の法定レート維持する、こういう方針を明確にされております。しかその方針は、当分堅持されなければなるまいと考えられるわけであります。そうだとすれば、この法定レートの振幅の範囲内においては、為替専門技術者たち知識、能力の活動し得る限界というものは、ほとんど無にひとしいと考えられるのでありますが、なおかつそのような状況下において専門銀行をつくらなければならないというその必要性について、ひとつ政府考えておられるところをお聞かせ願いたいと思います。
  14. 東條猛猪

    東條政府委員 現在の三百六十円のレートを堅持して参るということは、今お話通り政府のかわらざる方針でございまして、三百六十円というものがかわらない限りにおいては、為替裁定、その他特殊な為替専門知識、あるいは技術を要する活動範囲がないではないかというお話でありますが、各国とも一定平価維持いたしまして、昔のように為替市場情勢によつて相場変動し、売買取引に非常に余地がある、あるいは先行きに対するいろいろな見通しによつて取引妙味があるというようなことは、一定平価をきめ、国際間に為替裁定余地がほとんどない現状におきましては、そういう意味取引妙味、あるいはうま味のないということはやむを得ないことであろうと思います。しかしながら日本におきましても、三百六十円という平価は別といたしまして、その間の、たとえば売買の開きでありますとか、あるいは手数料の問題でありますとか——これはただいまは大蔵大臣が全部公定をいたしておりますが、そういう値開きなり、あるいは手数料の面において、すべて政府公定しなければならぬものかどうかいろいろと考えなければならぬ問題があると思います。ただいまのところでは、先ほどもちよつと申し上げましたように、銀行実力から考えまして、私どもといたしましては依然として値開きなり手数料の問題は公定しておいた方がよろしかろう、こう思つておるのでありまするが、為替専門銀行のようなものができまして、日本側銀行実力がだんだんくついて参りますれば、その辺につきましても自由競争が行われるということは、これはひとつ考えていい方法ではなかろうかと思います。なおこの為替専門銀行必要性につきましては、先般来御説明申し上げておる通りでありまして、さような為替取引、あるいは裁定というような、為替取引あるいは為替技術に伴いますところのうま味というものはしばらく別といたしまして、こういう外国為替専門にし、そうして国際的に十分実力のある銀行ができまして日本貿易を伸ばす、為替さやとりでありまするとか、裁定でありますとかいう技術を離れて、ほんとう意味での日本輸出の伸張に役立つようなことが、ぜひこの金融面からも必要であるという意味において、専門銀行設立をお願いしておるわけでありまして、今の公定相場の決定、あるいはその間の為替取引うま味が少いという事態はございますが、それとはまた別個のより高い、また緊要度の高い問題から、専門銀行はぜひ必要であるということで、これの設立をお願いいたしておるわけであります。
  15. 春日一幸

    春日委員 この法案によりますと、一つもしくは複数の銀行為替専門銀行としての指定を受けるような方向に行くと思うのでありますが、戦前におきましては、為替銀行としては横浜スピーシ・バンク、ほかにたしか台湾銀行朝鮮銀行等もそういう面を負つておつたと思うのであります。今度の法案政府意図しておるものは、大体何行程度のものを為替専門銀行として法定して行くお考えであるか。さらにおわかりになつておるとすれば、現在たとえば東京銀行のほかにどんな銀行為替銀行として取上げて行くお考えであるか、河野銀行局長から、ひとつ大体の御構想を承つておきたいと思います。
  16. 河野通一

    河野政府委員 今御審議をいただいておりまする外国為替銀行法仕組みから申しますと、先般来たびたび御説明申し上げております通り、これは特殊銀行法ではない。従つてある一つ基準法と申しますか、カテゴリーをきめた法律である。例を申し上げれば、長期信用銀行法と同じような仕組みになつてある法案であります。従いまして私どもは、この法案によつて生れて参りまする外国為替銀行の数は、必ずしも一つということを予定しておりません。しかしながら実際問題といたしまして、現在の日本貿易量、あるいは国際的地位、その他の点を考えてみまするならば、当面外国為替専門にいたしまする銀行は、一行程度であろうと私は考えております。しかし何分にも、まだどこからもこの法案に基く新しい仕組み銀行になろうという意思表示を正式に受けておりません。従いまして、今東京銀行という例が出たのでありますが、あるいは非公式には、東京銀行がこの新しい仕組み銀行になるごとを予定されておるやに私は聞いておりますけれども、これも公式の話ではございません。またその他に、この問題に対してどういう構想があるかにつきましては、私はまだ存じておりません。少くとも非公式に存じておる限りにおいても東京銀行の問題だけであります。
  17. 春日一幸

    春日委員 それに関連いたしまして、この為替銀行といえども、しよせんは輸出に伴う円資金を調達調弁して行かなければならないと思うのでありまするが、現在この輸出のための貿易資金産業資金を調達しておる特殊の銀行に、長信もあり輸出入銀行もあるわけであります。従つて今回新しくここにスタートせんとする為替専門銀行は百パーセント国策的意図に基くものでありまして、同様の意図のもとにできておるところの長信あるいは輸出入銀行、まあ開発銀行は別といたしましても、この二つ銀行とやがてできるであろうところの為替専門銀行とは、密接不可分関連の上に立つような思いがするわけであります。政府は後日この為替専門銀行と、すでにできておりまする、すなわち為替専門銀行がないときに必要のためにできておりますところの長信並びに輸出入銀行一つに合同して、さらに為替専門銀行としての機能を十分に果し得るようなことが望ましいものとわれわれは常識的には考え得られるわけでありまするが、こういう問題について政府はどういう検討を加えられ、さらにまたどんな見解をお持ちになつておるのかこの点ひとつ伺つておきたい。
  18. 河野通一

    河野政府委員 今お尋ね長期信用銀行外国為替銀行とは、銀行法に対する一つの別のカテゴリー銀行であるという観点から、ステータスを同じにいたしておりますが、仕事の内容はまつたく関係のないものであります。御承知のように長期信用銀行は国内の設備資金なり、あるいは長期運転資金 、そういつた長期資金を供給することを目的とする、ここで今御審議をいただいておりまする外国為替銀行法に基く銀行は、普通の貿易金融を取扱う機関であります。その意味におきまして、長期信用銀行外国為替銀行とが一つの機構になつて働くということについては、両者の間にそれほどの関連性はないということを申し上げざるを得ないと思います。むしろ関連が非常に深いといえば、輸出入銀行であろうと思います。輸出入銀行は御承知のように、貿易輸出入関連する長期金融をいたしております。特にプラント輸出等に対する長期金融がその業務の主体をなしておるわけであります。この輸出入銀行輸出入に関する金融をいたしておるという面から一種の貿易金融をいたしておる、この観点から、外国為替銀行というような制度をつくる前に、輸出入銀行をそういつた銀行に改組することがいいではないかという議論が一部に行われたことは私も承知いたしております。私ども考え方は、実はそういう考え方には立つておらぬのでありまして、普通の外国為替業務というものは、決して政府機関としての特殊の国家的背景を持つ性格の金融機関によつて行われるべきものでない。これはあくまで民間の銀行として、普通の商業金融一つカテゴリー、もちろん特殊の能力と経験とを有しますけれども、商業金融カテゴリーに入るべきものとして、民間の金融機関の中で行われるべきものであろうと考えております。しかるに輸出入銀行の行つておりますような長期のプラント輸出に関する金融等は、現在の商業金融を担当いたしておりまする市中銀行でありますとか、あるいはここで新しくできることが予定されておる外国為替銀行のみに期待して十分なる金融の疏通が期待できるかというごとになりますと、この点は現在の日本金融情勢から見てなかなかむずかしいと言わざるを得ない。従つて、これは開発銀行におけると同じような性格のもとに、純然たる政府機関として、市中におけるこれからの金融に対する補完作用を営む政府機関として輸出入銀行というものが成立いたしておるわけであります。その機能があくまで長期のブラント輸出ということを対象にいたしておる金融機関であつて、民間で本来行つて参るべき外国為替業務というものとは、その間におのずから一つの線を画して考えるべきものであろう。従いまして、私どもはあくまで輸出入銀行の制度とこの新しい外国為替銀行の制度というものは、貿易金融という面から見ますと非常に密接な関連がありますにもかかわらず、制度としては両々相まつて並行して当面は進んで参らなければならぬ、経済が非常にゆたかな状態になり、日本国際的な信用が非常に上つて参りました場合におきまして、あるいは政府機関としての輸出入銀行というものは必要でないという時代が将来来るかと思いますけれども、そういう時代が来るにもかかわらず、この外国為替銀行の制度というものは将来永久に伸びて行かなければならぬ制度であろう、かように私ども考えております。
  19. 春日一幸

    春日委員 まあ、この為替専門銀行相当額の外貨を必要とすると同時に、やはり相当額の円貨を必要とする。一説によれば四千億、ときに三千億、きのうの土屋氏の御意見なんかでも二千五百億程度のものは必要であろうと言われておつたわけでありまするが、しよせんはこの程度の円貨を何らかの形で弁じて行かなければならない。その場合に一つの中心になるところの東京銀行にいたしましても、一行でもつてその程度の現実の円は持つておりません。そういたしますると、これを日銀からめちやくちやに貸し出せばインフレーシヨンになりましようし、限られたわくの中で他行からこの円資金を吸収して、その為替銀行に集中するという形になりますれば、これはやはり国内のいろいろな金融事情より一応デフレの形になることは争われないと思うわけであります。そこでわれわれが考えますのには、輸出入銀行はしよせん輸出のための産業資金を弁じております。これが大体六、七百億ぐらいの運転資金を持つておるのじやないかと思うのでありますが、さらに長信にいたしましても、これは一部は輸出のための産業の設備資金、一部は国内の基幹産業の設備資金というものを弁じておるわけであります。そうすれば、輸出のためのものは輸出の方へぐつと割つて、国内のものは別に開発銀行等があるわけでありまするが、そういうふうにして、一応その円資金の明確な一つ金融の区画整理というようなものがこんな場合にあわせて考えられてもいいように私は考えるわけであります。従つてもしそれ輸出入銀行円資金をごの為替銀行の方に合併して行くとか、さらに長期信用銀行の方の運転資金の中で、なかんずく輸出の方面に現実に使われておるのをそちらにさいて、そうして基幹産業に長期信用銀行が供与しておるようなものについては開発銀行に当らして行く、こういうようにすれば、円資金を調弁する形においても国内の産業融資というものとあまり大きく衝突を来さないで、しかも通貨の絶対量にあまり大きな異動を生じないで、この目的が達成せられたりするように考えたりするわけでありまして、これはしよせんは個人的な一つの常識的な意見にすぎないかもしれませんが、そういうような構想一つあり得るということをお考えつておきたい。そうして私のこういうような考え方は、一体専門的な立場においてどういうような見解を政府においてなされておるか、この機会に参考のために伺つておきたいと思うのであります。
  20. 河野通一

    河野政府委員 輸出入銀行資金の余裕を、たとえばこの新しい外国為替銀行にまわしたらどうかという御議論が第一点だと思います。この点はいろいろな観点から考慮される問題だとは思いますが、第一に、私はこの問題について申し上げておきたいと思いますのは、輸出入銀行資金繰りは、近来相当輸出入銀行の融資活動が伸びて参つておりまして、おそらくここ数箇月中には、現在考えられておるような、輸出入銀行は常に余裕金を持つて活動が非常に不振であるというような事態が相当かわつて来るようなふうに私は予測いたしております。従いまして、ここ当面数箇月後におきましては、今お話のような、輸出入銀行資金繰りは非常に楽である、余裕金を非常にたくさんかかえておるという状態はまずなくなつて来ると私は考えております。従いまして。この余裕金を新しい銀行に使わせるということは、実際問題としてそう長い間にわたつて、しかも多額に期待するということはできないと思います。これが事実問題としての私の見通しでありますが、さらに金融制度として考えた場合に、そういう政府機関の持つておりまする余裕金がかりにあつたといたしました場合に、それを新しいこの民間の金融機関に流すということが資金の流れの道筋としてはたしていいものであるかどうか。今インフレーシヨン、デフレーシヨンの問題をいろいろ御指摘になつたのでありますが、これらの問題はもちろん金融全体として、政府資金に限らず、民間資金もあわせて私どもは総合的に考えて参らなければならぬ、そのわくの中でもちろんこの問題を論じなければならぬと思いますが、その限りにおきましては、政府機関の余裕金を民間の金融機関に流すということが、はたして資金の流れの筋道としていいのかどうかについてさらに検討を要する、私はかように考えておる次第であります。  それから長期信用銀行の問題についてお話があつたのでありますが、たとえば長期信用銀行為替の面における資金をこの銀行の方へ移す、そうして国内の開発面の資金については、これを開発銀行の方に移すというようなことは考えられないか、あるいは私の御質問の聞き違いであるかもしれませんが、(「まあそんなものだ」と呼ぶ者あり、笑声)そういうふうに聞いたのでありますが、これはなかなかそういうわけには参らない。開発銀行というのは、御承知のように政府機関であります。政府機関は、先ほど輸出入銀行について申し上げました通り、あくまで市中の金融機関が、民間の金融機関がその本来の仕事としてやりにくいもの、あるいはやることができないものについて政府機関がこれを補完して行くということがその使命である。従つてどちらでもやれるものであるならば、私は政府機関がこれをやるべきではなく、民間の金融機関がやるべきだと考えております。その意味開発銀行長期信用銀行資金なり機能なりというものを移して行くということは、私はむしろ逆だと考えておるのでありまして、そういうことで長期信用銀行がやれる仕事であるならば、むしろ政府機関たる開発銀行はその面からは手を引くべきであると私ども考えておる次第であります。その点におきましては、外国為替銀行長期信用銀行との関係については、これは若干事柄が違うと思いますけれども、御案内のように長期信用銀行は、現在のところこの新しい銀行業務の対象とするような仕事はほとんどやつておりません。ごく例外的に一、二行つておりますが、そういう仕事はごく例外の問題でありまして、長期信用銀行外国為替銀行との間には、その業務上ダブるといつたような面は、あるにしてもきわめて少い範囲である。これは先ほど御説明申し上げた通りであります。従いまして、その間に資金上の余裕関係を彼此融通するというようなことは考えられないと思つております。  なおこの新しい銀行円資金の充実の問題につきましては、今お話の点もありますので、さらにそのことについては一層の努力をいたしたい、かように考えておる次第であります。
  21. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 春日君の質問に関連しまして、きわめて簡単ですがお伺いしておきたいのです。この外国為替銀行法をただ見ただけでは、外国の銀行日本におりまして、それが第四条の二項にうたわれておるような条件を備えて、ここで為替銀行として許可を求めて来た場合も考え得ないことはないと思う。この法律規定されている限りではそのことが必ずしも不可能ではない。ただ大蔵大臣の免許にかかわら上めておる点でしぼれるとは思いますけれども、この点に対しましての御見解を伺つておきたいと思うわけです。
  22. 河野通一

    河野政府委員 結論を申上げますと、私どもはこの法案において外国銀行日本外国為替銀行——新しいこの法案による外国為替銀行になることを免許することはまつたく予定いたしておりません。ことに今の銀行法のもとにおいて外国銀行銀行になるわけでありますが、これは非常に技術的なごとを申し上げて恐縮でありますが、今外国銀行がこちらで支店を持ちますと、その支店が支店ごとに一つ銀行になるわけであります。向うの本店が日本における銀行になるわけではないので、その支店ことにそれが銀行法による一つ銀行になるわけであります。それかまた外国為替管理法その他によりまして、外国為替業務を営む店舗としての認可を受ける、こういうことになるのであります。しかも外国銀行日本に支店を設けて銀行法による免許を受けました場合には、その仕事の内容は大体この為替銀行法で予定しているような仕事をやるのであつて、国内業務をほとんど考えておりません。従いまして実際問題としては、銀行法によつて免許された外国銀行というものは、ほとんど実際は、店の数からいいましても、その仕事の内容からいいましても、外国為替及びそれに付随する業務を中心にして行つておるというのが現状であります。また当然それを目的にして考えておるわけであります。そういう点から考えましても、この新しい法案による免許ということは予定もいたしておりませんし、そういう必要は起つて来ないと私ども考えている次第であります。
  23. 千葉三郎

    千葉委員長 井上君。
  24. 井上良二

    ○井上委員 外国為替銀行法案関連して伺うのですが、この法案を制定をします裏づけになる外国貿易の問題でございます。貿易の最近の状況が非常に悪くなりまして、政府はいろいろの施策を講じておるようでありますが、特に外貨予算の割当について、本年は不要不急の輸入をできるだけ食いとめるという方針をとりまして、手持ち外貨の減少を食いとめようとしておるのでありますが、この外貨割当のうちで特にここで指摘を申し上げたいのは、一つはわが国の産業の近代化、合理化、そういう面での生産財の輸入ということに全力をあげなければならぬ。その面から今度の外貨予算の内容を見ましても、大きな部分が米、食糧関係、その次に原料資材関係が出て来ており、第三に砂糖、大豆等がございますが、特に砂糖の輸入について、依然として四十万トンを上期において割当て、年間八十万トン、全体の外貨が四千二百万ドルから割当をいたしております。一体この砂糖の外貨割当、あるいは大豆の外貨割当、これは外貨による原糖買付をやらなかつたら、他のバーター、リンクでは事案困難な実情にあるでありますか。この外貨買付というのが、実は国内のわずかの製糖貧小に巨大な利益を得さしめ、その結果糖価をあおつて国民生活に非常な影響を来しておるということが本年一月以来問題になり、これが国会で相当議論をされたのでありますが、依然としてこの原糖買付に多額の外貨を割当てておるというこの事典を、一体為替局長はどうごらんになつておりますか。ごれをまず伺います。
  25. 東條猛猪

    東條政府委員 ただいまの井上さんの御意見の前半の、日本の現在の貿易構造、特に輸入の面におきまして、食糧あるいはそういうような消費物資が大きなウエートを持つており、そうして設備の近代化、合理化に必要な機械の輸入に十分手がまわらない傾向がありはしないかという点でありますが、私どもも、今後の日本輸出力を伸ばして国際競争力を強めるためには、何としても設備の近代化、合理化というものが必要であろうということにつきましては、まつたく御意見通りであります。今年度の予定といたしましては、現在の外貨予算で大体年間九千万ドル見当の機械の輸入を予定いたしているわけでありますが、これによりまして、できるだけ設備の近代化、競争力の培養ができるようにということを意図いたしておるわけであります。  その次に砂糖の問題でありますが、これは井上委員承知のように、昭和二十八年におきましては、百万トンを越える約百十万トン近い砂糖の輸入がありましたので、今年度の大体の見通しは八十万トン見当を予定いたしておるわけであります。この砂糖につきましては、考え方はいろいろとあると存じますけれども、私どもといたしましては、本年度差向き八十万トン見当の砂糖の輸入はやはり国民生活の上から必要であろうか、かような見解を持ちまして、その程度の数量を予定いたしておるわけであります。なお御指摘のございました本年一月以降の砂糖の価格の騰貴に伴いますいろいろの問題でありますが、本年八十万トン見当の砂糖を予定いたしまして、この輸入が、何と申しますか、順序よく、あまりとぎれを生じませんように行われますならば、砂糖の価格の異常な騰落ということまで考える必要はなかろうか、あまり数量が減りますと、輸入が順調に行われましても、現在の情勢におきましては、国内価格の騰落というようなことは当然覚悟いたさなければなりませんが、八十万トン程度の数量が順次規則的に行われますならば、そう砂糖の国内価格が大きく波を打つということもないのではなかろうかというように考えているわけであります。われわれといたしましては、決して一部の業者の利害関係等を考慮いたしまして、この数量の決定ないし輸入の割当をいたしておる次第ではございませんで、国民生活に必要な砂糖の輸入が八十万トン見当は必要であろうという観点から外貨の割当をいたし、これが順調に輸入せられますようなことになることを期待いたしておる次第でございます。
  26. 井上良二

    ○井上委員 私は砂糖の輸入の全体のわくの問題がけしからぬと言うておるのではありません。砂糖、大豆等のようなものに対して貴重な外貨を割当てて、原糖を買いつけるという行き方、そういう行き方よりもリンク、バーター等によつてやり得ないのかどうか、そのことの方がもつとあなた方としては検討を加えてみる必要がありはしないか。たとえばここに自動承認制による輸入を認めておりまして、この自動承認制による特権を貿易業者に認めておるが、これらによつても、少くとも自動承認制を一億ドルから認めておる。相当大きな比率であります。この自動承認制による分でも、あなたの方の指示によつて砂糖を買いつけて来いということはやり得ないのかどうか。あるいはリンク、バーターにおいて少くとも砂糖を持つて来いということがやり得ないのかどうか。全体のわくは八十万トンでよろしい。八十万トンならば、相当糖価は安定した上昇線をたどつて行くと見ております。私はこのわくならば、砂糖は決して下りません、上ると見ております。そうならば自動承認制なりバーターなりリンク制において、製糖会社においても、あるいは糖業関係業者においても相当利潤は確保できる計算が出て参るのです。さような意味から、できるだけ外貨を節約して貴重な生産資材を入れるということからして、その面をそういう面に切りかえるべきではないか、そういうように私は考えますが、その点をあなたに伺つておるわけであります。
  27. 東條猛猪

    東條政府委員 砂糖の割当について、現在のやり方を改めて、リンク制というか、、バーター、輸出が行われて初めて砂糖の輸入が行われるというやり方はとれないか、あるいは自動承認制との関係はどうなのだというような御質問だと思います。現在一部の輸出物資につきまして、砂糖の輸入をするリンク・システムが行われておりますことは御承知通りであります。しかしながら冷静にこのリンク制の行われて心ります場合の採算その他を見てみますると、多くの場合に、砂糖を輸入いたしました場合の利益の一部を輸出の出血あるいは損失をカバーするのに使うというように行われておりますのが、現在に行われておるところのリンクと申しますか、そういうものの実態でございます。プラント輸出であまりすとか、そういう目先の国際競争力が非常に弱い物資につきましては、あるいはかようなリンク制というものもやむを得ない点もありまするが、全体といたしましては、一つの物資を輸出したものに砂糖の輸入を認めるというようなリンク・システムは、むしろいろいろ逆効果の面が多い。日本為替相場を堅持し、あるいは日本国際競争力を強める。先ほど来お話のございまする産業設備の合理化、近代化をはかつて、コストを下げて行くという観点からいたしますと、輸出と砂糖の輸入リンク・システムというものは、むしろいろいろ考え直すべき点が多い、かように私どもといたしまして現在のリンク・システムを考えております。  それからお話の御趣旨は、何か非常な輸出の努力をした業者に砂糖の輸入を認めるというような、バーターというものも一つ考え方ではないかという御趣旨かと承つたのでありますが、今申し上げましたように、やはり輸出輸出だけ切り離して行われ、それでもつて日本外貨資金が入つて参る。そうしてその外貨資金を国全体の立場から見まして最も必要な部門に流して便つて参るということが、やはり物事の筋道であろうと存じておりますので、バーターにつきましても、これをむしろ例外的な取扱いとして考えて行くのが適当じやなかろうか、かように考えておるわけであります。  それから自動承認制の仕組みはもう御承知通りでありまして、一定金額に達しますまではここにあげてあります品目の輸入は自由なわけでありまして、やはり砂糖につきましては、八十万トンというものを一つの目標にいたしまして、その目標までは確実に割当て、またその目標が正しければその目標を下まわらせないというのが、砂糖の輸入については適したものではなかろうか、さような考え方をいたしておるわけであります。
  28. 井上良二

    ○井上委員 もう一点伺いますが、そうすると大蔵省の為替割当の関係におきましては、外貨で買いつける分は八十万トン認める。ところがその後この上期に四十万トンが、いろいろの思惑や船の都合また外国の商社等の都合によつて予定通り入らないことがある。そごに糖価の暴騰が起つて参ります。そういう場合に、リンクあるいはまた自動承認制等によつて砂糖を輸入して来た場合、それは認めるというのですか。そうしますと、大体の計画は八十万トンが年間の輸入計画になつておりますから、それを上まわつても一向さしつかえないということになりますか。そのリンクあるいは自動承認制その他によつて輸入する分は、八十万トンの中に入れるのですか、わくを出てもさしつかえないのですか、それはどうなつておりますか。
  29. 東條猛猪

    東條政府委員 例外的にリンクあるいはバーター等で砂糖が入つて来るということを仮定いたしました場合におきましては、私どもといたしましてはこの八十万トンの中である、かように考えております。
  30. 井上良二

    ○井上委員 わかりました。  次に、為替相場の問題ですが、御存じの通りわが国の対ドル為替レートは、最近わが国の物価高あるいは国民生活、労賃等の前途を考えて容易に対外競争の関係から引下げるわけには行かないというようなことから、為替の実勢レートというものは非常に上つておるように見ます。はなはだしきは四百円くらいと言つておつたものが、このごろは六百円というようなことが新聞に出て来ておりますが、一体かような状態をあなたはどうお考えになるか、またどう安定させようとなさいますか、この問題が安定しない限り、この為替レートの円価切下げの問題に非常に影響して来て、それが国民全体の経済の上に大きな圧迫になつておるわけでありますが、これに対してあなたは一体どういう見通しをお持ちになりますか。  それから、これらはあなた自身ではちよつとむずかしいかもしれませんが、事務当局として、たとえば対日援助の資金日本の負債になつたということから、これを支払わなければならぬ義務が日本に生じておることを政府はだびたび国会で言明をして来ておりますが、一体これは本年中支払う必要はないのかあるのか、あるいはまた南方、つまり東南アジアヘの賠償問題は一体どうするのか、この対日援助資金の支払い、東南アジア諸国へのこの賠償の支払いというものが一体貿易為替関係にどう影響して来ると考えておるか、こういうものはこの二十九年度一年間見送つて一向さしつかえないものかどうか、これがやはりわが国の国際収支の上に影響なしとは言えませんので、これらに対して事務当局としては一体どう考えておるか、その点を伺つておきたい。
  31. 東條猛猪

    東條政府委員 前段の日本為替相場の実際の姿が三百六十円を遠くかけ離れておるのではないか、これに対して一体どういう考え方を持つべきであろうかというお尋ねであります。御趣旨は、日本の現在の実際の輸出の可能性、あるいは輸出商品の実勢から考えてのお話だと存じます。少し話をそらせるようで恐縮でありますが、日本の円の相場が、たとえばニユーヨークならニユーヨクで立つております。これはお話のように四百円、あるいはひどい場合は五百円近くまで参ります。しかしながらニユーヨークの円の為替相場という問題ももちろんわれわれといたしましては注意をし、これに目を払うことを怠つてはならないのでありますけれども、御承知のように米国は為替管理をやつておりません。従つてあそこのマーケツトでは各国の通貨の為替相場が立つておるわけであります。その意味におきまして、もちろんこれはこれは日本為替管理の外にありますし、われわれとして統制ができる筋合いではありませんが、これはやはり日本の現在のいろいろな実力というものを表わしているという意味におきましては、この評価に対しては注意を怠つてはならぬと思つております。今この観点におきましては、われわれといたしましては、ニーヨークで取引せられますところの円資金の操作をむしろ断つ、この円資金の供給の源泉は非常に複雑でありまして、二つ三つにはとどまりませんが、目ぼしいものを断つということで、一例を申し上げますれば、外国映画を輸入せられました場合の蓄積円の処理の問題でありますとか、あるいはいわゆる海外のギヤランテイによりますところの海外渡航者の経費の流れ方の問題でありますとか、こういうところには相当の規制を加えて参らざるを得ないのじやないか、こういうように考えております。しかしながら、井上さんのお話はそういう海外相場の問題ではなくて、日本の現在の輸出の実績からいつて為替の相場がもう三百六十を離れているのじやないか、三百六十ではなかなか海外向けの競争がむずかしいのじやないかという御質疑でありますが、御承知のように、一部の商品につきましては、なかなか三百六十円という相場では海外との太刀打ちが困難な商品がありますことは、御指摘の通りであります。しかしながら私どもといたしましては、先ほど来の御意見にもございますように、現在の三百六十円の為替相場は絶対堅持をして参らなければならぬ。それがためには設備の合理化もやつていただきまして、コストも下げてもらわなければならぬ。また大蔵省の関係いたしておりますところの財政金融の引締めによりまして一般の物価を下げる。それによつて日本の全体の競争力を強めまして、輸出が三百六十円でもつて十分海外との太刀打ちができるような方向に向つてできるだけの努力を講じて参らなければならぬということで、これは私から申し上げるまでもなく、財政あるいは金融の各方面におきまして、皆様方の御鞭撻によりまして、政府といたしましてもそういう方向に努力いたしておる次第であります。  それからいわゆるガリオア対日援助あるいは賠償関係と、国際収支あるいは外貨資金とのとの関連についてのお尋ねでございますが、これはもちろん事務当局といたしまして、この両者の直接の問題につきましてはお答えいたすのもいかがかと存じますが、私ども年度国際収支の見通しを立てます合場におきましては、もし対日援助関係の話合いが成立いたし、あるいは賠償関係の話合いが進展をいたしましても、これが直接外貨面の負担になろうという要素考えておりません。特に賠償関係については、御承知のようにいわゆる役務賠償でありまして、日本外貨の負担にならないような方向でもつて、現在外務省その他で賠償問題の話合いにあたりましていろいろと苦心いたしている次第でございます。
  32. 井上良二

    ○井上委員 私の聞いておりますのは、対日援助資金は本年度中は支払わないでもいいのか、それからまた南方諸国への賠償問題も、本年はほおかむりでおつていい見通しかどうか、このことを聞いている。それがやはり影響して参りますから、その見通しを聞いている。なければない、支払わないでもいいということは、これは政治的にも解釈できますが、事務当局としてはどういう見通しをお持ちになつているか、こういうことです。
  33. 東條猛猪

    東條政府委員 これはどうも私の身に余る御質問でありますが、賠償の問題は、御承知のように逐次外務省でいろいろと関係政府と相談をいたしまして、たとえば沈船の引揚げでありますとか、そういうようないわゆる中間賠償というか、そういう話合いもぼつぼつやつているわけであります。従いまして、賠償についても本年度全然ほおかむりでいいのかということになりますと、さようなことはございませんで、やはり日本側といたしましては、日本の国情を訴え、平和条約の線に沿いまして、衷情を披瀝して関係国といろいろと話合いをいたしているわけであります。対日援助の問題につきましては、これは将来の問題でありまして、私どもといたしましては、ただいままでそういう話合いが政府として行われたということは承知をいたしておりません。本年中に話合いが始まるかどうか、これは諸般の情勢と勘案して今後決定せらるべき問題であろう、かように考えております。
  34. 井上良二

    ○井上委員 次に銀行局長に伺いますが、この外国為替銀行を設置せんとする目的は、外国為替取引の正常化、外国為替銀行の自立化をやつて行こうということだろうと思うのですが、これは過去においては外国為替管理委員会、二十七年八月から大蔵省によつて行われて来たこの為替業務を、自立化さすということになりますのにあたつて、これを民営にする。日本のように貿易依存量の非常に高い国においては、これは少くとも国の責任において為替業務を管理する方がいろいろな面でいいのではないか。民営に移すことによつて利益と、国でやります場合の利益と、あるいはそれによる不自由、損失といいますか、そういうものはどう違うか。国でやつて一体どこに不都合があるのか。少くとも国が貿易を管理し、為替を管理している現状において、その為替業務だけを民営に移すという根拠は一体どこにあるのかという点を伺いたい。
  35. 河野通一

    河野政府委員 これは井上さん御承知のように、従来外国為替管理委員会があり、それが二十七年に大蔵省為替局に移つて参つたのでありますが、これらの政府機関が扱つている為替というものと、今われわれが御審議をいただいております為替銀行法によつてできる新しい銀行が取扱う業務というものは、まつたく違うのです。前者は御承知のように、主として為替管理という面から為替政策なり、あるいは外貨の管理といつたような、いわば政策的な問題を取扱うのであります。対顧客との窓口の為替業務為替売買をいたしますとか、あるいは信用状を開設するとか、そういつた外国為替業務、これはいまだかつて政府機関が取扱つたことはございませんし、また今後もおそらく私はないと思います。従いまして、ここでやはり問題をわけてお考え願いたいのでありまして、この新しい法律に基く銀行は、従来市中の為替銀行がいろいろ取扱つておつた業務、あるいは外国の銀行日本に参りまして取扱つておつたような業務、この業務を専念して取扱つて行く、これによつて貿易依存度の高い日本経済の確立なり、あるいは貿易の進展なりに寄与する方向に持つて行きたい、こういうのが目的でありまして、為替局は従来取扱つていたようないわゆる為替管理に関する業務を、この新しい銀行に取扱わせようというのではないというふうに御承知を願います。
  36. 井上良二

    ○井上委員 政策と業務と区別する、こういうのですけれども日本銀行は日銀政策委員会というものを持つておりまして、政府金融政策をさらに具体化し、諸般の対策を立てる委員会を持つています。その委員会の決定によつていろいろな業務が行われておる。従つて政府が政策を立てて為替業務を管理することは決して矛盾するものではありません。私どもは今まで政府がそういうことに携わつて来ていない各民間銀行に、ばらばらにやらしておつたのではぐあいが悪いからこれを一つにまとめて専門的にやらす、こういう筋合いは一応わかりますが、それでは政府がいかなる決定をしても、営利を中心にする民営になつた場合、政府の政策通り為替業務が行われぬ場合はどうしますか。そういう事態が起らないとは言えません。またこれが民営になります場合は、民間市中銀行との摩擦、あるいはまたなわ張り争い、いろいろなことが起つて来ることは必至であります。一体そういう調整をやります場合においても、少くとも日本のように非常に貿易依存度の高い国においては、正常な貿易の事態が確立いたしますまでは、やはり政府がそこまで責任を持つてやらすことは、現実において少しも矛盾するものではない。一体何ゆえにそれをすぐ民営に移さなければならぬかということについては、一応私どもは疑問を持つのです。そういう点で、この際ここしばらくの間は、少くとも日本貿易の帳じりが非常に困難な事態を克服するまでの間くらいは、政府が必要な資金を流すこともでき得れば、また対外的にもいろいろな情報を早くキヤツチして、十分政府として必要な機関を動員することもでき得るのですから、そういう有利な条件に立つておる政府が、日本のこの国際収支の不均衡な現状を打開し得る時代までは、少くとも政府の責任においてやるべきが妥当ではないかという気持を私どもは持つておりますので、単に政策と実務とを分離するということだけで私どもは納得できない点があるのでありまして、これは意見の相違でありますが、さように私どもは一応理解をいたしまするから、その点に対して伺つただけであります。それ以上私は追究をいたしません。私はごの法案についてはなお二、三ありますけれども、問題が小さいですからこの程度にしておきます。
  37. 千葉三郎

    千葉委員長 小川豊明君。
  38. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 特別調達資金設置令ですか、この問題に関連してお尋ねしたいと思いますが……。   〔私語ずる者多し〕
  39. 千葉三郎

    千葉委員長 静粛に願います。
  40. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 第一に、改正する法律案の一条の中に「アメリカ合衆国軍隊」の下に「若しくは日本国とアメリカ合衆国との間の相互防衛援助協定に基くアメリカ合衆国政府の責務を本邦において遂行する同国政府の職員」こういう規定があつて、こういうものを承認するようになつておりますが、そうすると、先般問題になつた顧問団とかなんとかいうのは、この「同国政府の職員」に入るわけですか、これはどういうことですか。
  41. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)政府委員 おつしやる通り入ります。
  42. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 それからこれは私つい四、五日前に、千葉委員長の選挙区なのですが、九十九里の漁民が演習によつて非常に生活が窮迫している、同時に網主と漁夫との間に非常な対立ができて来て、こういうことからそこの調査に行つたわけですが、そこで網主に対しては百万円程度の補償がある、漁夫に対しては七円程度の補償があるということを聞いたと同時に、この補償の問題をめぐつて、水産庁、それから特調といいますか、これは調達庁のことだと思うのですが、それと大蔵省との関係が非常に混乱しておる。こういう漁場等、あるいは漁船等の損害は特別調達庁はこれに関係しておられるのか、関係しておられるならどういう形で関係しておられるか。
  43. 谷川宏

    ○谷川説明員 お答え申上げます。ただいまの御質問は、ただいまかかつておりまする設置令の改正とは関係ございませんのですが、具体的に申上げますと、漁業の操業が制限された場合における補償の措置についての取扱いがどうなつておるか、それが非常に低いのではないかというお尋ねでございまするが、その点につきましては、調達庁におきまして実際の損害額を調査し、その補償の事務をやつているわけでございまして、大蔵省といたしましては、この調達庁の補償の要求金額に対しまして、補償の金額が妥当であるかどうか、適正な金額であるかどうかという点を査定いたしまして、調達庁をして支払いを行わせるわけであります。
  44. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 そうすると、アメリカ合衆国政府からの受入金、物及び役務の調達ということがごの説明にありますが、それによつてこういうことはやつておられるのですか。
  45. 谷川宏

    ○谷川説明員 この法律とは全然関係ないのでございまして、漁業の補償に対する補償金は、防衛支出金から直接被害者に対して支払われるごとになります。
  46. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 なお一点お尋ねしますが、私どもが行つて聞いたのでは、水産庁からこれこれの損害があるということで、水産庁の方と地元の府県当局、あるいは町村長、漁業組合等が折衝してきめられる。ところがそれがあなたの方へ行くと、特別調達庁の方でこれを何ぼか査定するというか、そういうことをなすつておられます。またあなたの方のものが大蔵省へ行くと、さらにそれがまた再査定されるというようなふうに聞いておりますが、事実そういうことがあるのですか。
  47. 谷川宏

    ○谷川説明員 補償をいかほどするかという点につきましては、実際の損害額を補償するごとになつておりますので、被害者御本人の要求、あるいは水産庁、調達庁等調査した結果がはたしてほんとうの被害額であるかどうかという点につきまして、それぞれの官庁でそれぞれの権限に基いて査定あるいはお互いに連絡協議いたしまして、ほんとうの真正なる損害額を決定するようにいたしておるわけであります。
  48. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 そうすると先ほどの答弁で、これは損害を補償する、こういうことであつた。損害を補償するについて大蔵省が公正な査定をする、こういうことを今御答弁になりましたが、大蔵省は、水産庁なり特調なりが査定して持つて来たものをさらに再査定するのはどういう基準で査定されるか、あるいはどういう機関を動員して再調査されるか、そういう点を今度は大蔵省側から伺いたい。
  49. 谷川宏

    ○谷川説明員 大蔵省におきまして査定をするという点についてでございまするが、詳しく申上げますと相当長くなりますので、簡単に申上げますると、魚の補償につきましては、その補償すべき年次における被害者の収獲が幾らであるか、その補償すべき年次以前の三箇年間の平均の所得額が幾らであるか、その点を比較いたしまして補償金額を出すわけでございまするので、まず第一に、補償を受くべき年次以前三箇年間の平均の当該被害者の所得というのがはたして幾らであつたかという点につきましては、水産庁の統計等によらざるを得ないのでございまするが、そのとりかたにつきまして、いろいろ考え方、あるいは用いる統計の齟齬によりましてかわつて来るわけであります。さらに当該年度の所得につきましても、全体の水揚高のうち経費をどの程度見るか、所得をどの程度見るかという点につきましては、なかなか問題があるわけであります。さらに一番問題は、御承知通り漁業者におきましては、帳面がなかなかついておりませんので、その点の数字を的確に把握する点てつきまして、関係者それぞれできるだけ手厚く補償したいということでやつておりまするが、なかなか数字を的確に把握するという点について困難な事情があるわけでございます。
  50. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 その困難な事情は私も行つてみてわかつたのですが、現実に漁夫に対しては、一日に七円程度の補償なんですね。七円程度の補償だとすると、損害が一日に七円である、あなたの方の損害を補償するということから言うならば、こういうことになるわけです。その七円の損害であの人たちが、ああいうように非常に生活に窮乏しておる。しかもその補償をめぐつて網主との対立まで生じて来ているというこの現実をもう少し見きわめる必要があるのじやないか、こういう点をただ過去三年間のというが、私が行つて聞いたところによると、過去三年間のとり方というのが非常に問題があるらしい。さらに最近起つて来ておる問題は、ここが三万ヤードかそこらの禁止区域になつておつた。ところが今度それをアメリカ側の方で二万二千ヤードに減らした。従つて、七千二百ヤードからのものは禁止区域から安全区域になつた。安全区域になつたから、これだけはお前の方は漁ができるのだから、それだけ損害の査定を減らす、こういうことを言つておるそうですが、今度行つて聞くと、この二万二千ヤードと、減らされた七千二百ヤードの中間が非常に漁獲のあるところで、ここが何かたまが十万発に一発しか落ちないのだという話であつた。その程度ならいいのだろうということで了承したところが、十万発に一発どころの騒ぎじやなくて、百発に一発ぐらいずつ落ちて来る。こういうことではとうていやりきれないということを当時私どもが行つて聞かされた。これはもちろん当事者であるからあるいは相当誇大に言つているかもしれませんけれども、こういうようなことで損害をあなたの方で査定して行つたとすれば、今のような七円という数字が出て漁民をほし殺しにしてしまうようなことになつてしまう。この点をもう少しあなたの方でお考えになる必要があるのじやないか、こう思うのですけれども、この点をいま一点お尋ねしたい。
  51. 谷川宏

    ○谷川説明員 お答え申上げます。現在その問題につきましては、外務省、調達庁等におきまして、現地の事情をできるだけ聞きまして適切な措置を講じて行く、また二十八年度の損害金額につきましても、目下調達庁におきまして全力をあげて調査しておるというふうに承知いたしておりますので、その結果をまちまして適切な措置を講ずるようにしたいと思います。
  52. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 そこで、私はこれをぜひお願いしておきたいと思うのは、行つて見て気がついたのですが、水産庁は当然十分な調査をすべきであるし、しておると思う。それと同時に、調達庁の方でも、水産庁と協同するかあるいは並行してなさつておる。現地で聞くと、水産庁なりあるいは調達庁なりから行つたものが、大蔵省でそれをさらに削られるという。削るようなことがなければいいのだが、ぼくがお聞きしているのは、これを削つておいてもつと減らしておるというのは、どういうことで、どういう調査に基いて減らしておるのか、それをお尋ねしているわけなんです。ひとつそういうことがないようにしてほしいと思うが、大蔵省としてはどういうことでそれを減らしておるのか、どういう調査に基いて減らしておるのか、その点をお尋ねしておきます。
  53. 谷川宏

    ○谷川説明員 現在におきましては、水産庁が調査する権限もありませんし、やつていないと思いまするが、主として調達庁の地方の出先機関、あるいは府県の水産部の調査した報告等につきまして、疑問の点がある場合におきましてはそれをただし、損害の見方につきましてもいろいろ考え方の相違がございまするので、具体的な場合に具体的な誤りを発見いたしましてそれを正す、数字を矯正しておるわけでございます。
  54. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 どうも一点の問題に限つて恐縮ですが、前に三万ヤードを禁止区域にして損害を補償しておつた。今度それを二万二千ヤードに圧縮したから、七千ヤードはもうお前たちの方では損害にはならないのだということが当然数字として出て来る。出て来るけれども、現実には非常な損害をここからかもし出されておるということをあなた方の方で考えられて、ひとつこの点を善処してもらいたいことと、それからきようの新聞を見ますると、東京の在の柏で、ここでもレーダーの基地か何かできて、そこの開拓農家四十戸か五十戸がせつかく電燈を引いたところが、電波の妨害になるからその電燈を取去れというような要求がされて、その開拓農民に非常に困り抜いているということが出ているのですが、こういうことはやはり調達庁の方で交渉その他に当るわけですか。それともこれはどこが当るごとになるのですか。
  55. 谷川宏

    ○谷川説明員 ただいまの前の第一の問題につきましては、制限区域と実際の損害額との関係につきまして、十分調査いたしまして適切な措置を講じたいと思います。  第二の点につきましては、主として外務省がアメリカ政府と折衝するごとになつておりまするが、ただいまのお話の点につきましても、現在外務省と千葉県当局との間で調査を進めておると思いまするので、その結果をまちまして、実際に損害があり、補償すべきである場合におきましては十分なる補償措置を講じたいと思います。
  56. 井上良二

    ○井上委員 特別調達資金設置令等の一部を改正する法律案について疑問の点を伺うのですが、この特別調達資金は、伺うところによると、この法律によつて一般会計から七十五億円を一時借入れて、この資金を持つているそうですが、この資金の収支は一体どこへどう報告しております、それを伺いたい。
  57. 谷川宏

    ○谷川説明員 この資金の収支は、調達庁長官のもとに調達庁の職員が各府県の数字をとりまとめまして、調達庁自体で整理しておるわけであります。
  58. 井上良二

    ○井上委員 それは国会に報告する義務はありませんか。
  59. 谷川宏

    ○谷川説明員 資金設置令によりますと、検査院に決算報告を出す義務は定められておりまするが、国会には法律上は出す義務はないことになつております。
  60. 井上良二

    ○井上委員 一般会計からこの金を借り入れて来て、そしてアメリカ駐留軍の必要な物資を調達して渡すということで、この会計がありますが、一体アメリカ側に立てかえてやるという場合の金利はどうなつているのですか。
  61. 谷川宏

    ○谷川説明員 御承知通り、特別調達資金設置令に基きます資金によりまして取扱つておりますのは、ただいまのところ労務の提供に関する経費だけでございます。ただいまお話の金利の点につきましても、日本政府が立てかえておるという関係にありまするので、米国政府に対しまして金利相当額の償還を受けるということで話をいたしまして、現在償還を受けている事務費の金額の中には一応金利相当分も入つております。最終的な決裁の場合におきまして、現在償還を受けております金利をどう取扱うかということは問題になる余地はございまするが、ただいまのところは償還を受けておるということでございます。
  62. 井上良二

    ○井上委員 労務の提供をいたしまして、その賃金を日本政府から支払いをする、そして今度アメリカ政府の方から清算をして来るまでの期間はどのくらいの期間になつておりますか。
  63. 谷川宏

    ○谷川説明員 昨年あるいは一昨年、資金を設置した当時におきましては相当長かつたのでございますが、ただいまでは、日本側及び米軍側におきましても償還について相当努力いたしまして相当早くなつております。
  64. 井上良二

    ○井上委員 相当早くというのは、時間的にどういうことに相なりますか。議会答弁としたはなかなか満点ですけれども、そういうことじや困りますね。
  65. 谷川宏

    ○谷川説明員 大体一箇月程度でございます。
  66. 井上良二

    ○井上委員 それでは金利をもらつておるというのだが、この会計が設置されまして以来の収支についての清算を、資料として後ほど出していただきたい。そしてそういう金利が入つていることを明確にひとつお示しを願いたい。  次に、MSA協定による連合国の軍隊、及びアメリカ合衆国の特定職員の需要に応ずるための調達を従来の駐留軍同様この資金で取扱うということに法案が改正されましたが、このMSA協定による国際連合の軍隊、及びアメリカ合衆国の特定職員で、日本に参りましてこの資金でまかなわなければならぬ職員、その他負担となるべき人員、及びそれの予算資金的需要というのはどういうことになつておりますか。その点を御説明願いたい。
  67. 谷川宏

    ○谷川説明員 ただいまお尋ねの第一の、この資金の収支全体の数字につきましては、調達庁の方が所管しておりますので、調達庁からお出しするように連絡いたしたいと思います。  それから第二の、アメリカ政府との協定に基きまして労務の提供を行う、その行う場合の人員、金額につきまして、まず人員につきましては、米国政府との間の話合いを目下進めているわけでありますが、現在保安顧問団が使つておりまする労務者を相当程度圧縮いたしまして、大体百五、六十名程度にいたします。それに応ずる経費について年額大体五千万円程度が必要であるというふうに考えております。
  68. 井上良二

    ○井上委員 この法案は大体その程度にしまして次に日本銀行券預入令等を廃止する法律案、これは銀行局です。二つ問題がありますから伺つておきます。今後引揚者が海外において旧日銀券を集め、これを持ち帰つて引きかえることを防ぐために、二十万円の限度を設けているが、現在海外に旧日銀券がまだどのくらい残つているという予想を持つているかということが一つ、それからいま一つは、この法案によりますと、五万円以上の分については、その七割だけに引受けをとどめることになつているが、それはどういう理由によるのか。それからこの引きかえは、五万円以下の場合でも一円対一円の割合で、引きかえるのであるが、その利子は全然考えていないようでございます。利子は一体どうしてやるつもりか。この二点について伺つておきたいと思います。
  69. 河野通一

    河野政府委員 第一の御質問は、旧日本銀行券で引きかえが終つておらないものがどの程度あるかということです。特に海外においてどの程度あるかという御質問でございますが、現在引きかえてなくて、そのまま残置いたしておりまする旧日本銀行券は大体二十八億ございまして、そのうち国内関係が約三千万円と推定されます。残りが大体海外で、海外に約十六億、行方不明、つまり現在どこにもありかがわからないであろうというもの、たとえば焼失したりしたものがその残りというふうに大体想定をいたしております。国外にありますものは、これも大体推定でありますから正確な数字とは申しかねますが、二つにわけて申し上げたらいいと思いますが、すでに現物を処分済みのものが約十五億であります。そのうちには終戦の直前に北鮮において焼棄せられたもの、それから終戦の後において南鮮において焼棄せられたもの、それから内地において英濠軍によつて処分せられたもの、これはやはり焼かれたものと思います。それから沖縄において焼き捨てられたもの、こういつたものがございます。これらのものを合わせて大体十六億と私どもは推定いたしたのであります。それから国内の方は、内訳をもし必要ならば……。
  70. 井上良二

    ○井上委員 それはいりません。
  71. 河野通一

    河野政府委員 それから第二の御質問の点は、五万円に切りました点でありますが、これは主として海外にありました旧日本銀行券と国内に旧日本銀行券を持つておりましたものとの権衡を考えたのであります。具体的に申し上げますと、国内においては昭和二十一年の金融緊急措置令及び日本銀行券預入令に基きまして、旧日本銀行券を持つておりましたものはその一部は新円と申しますか、新日本銀行券に引きかえられ、大部分はこれを金融機関への預金とさせたわけであります。しかもその預金は封鎖預金なつたわけであります。封鎖預金になりますと、その後の再建整備の過程を経て切捨てられたものが相当にあるわけであります。そういつた点を頭においてこの問題を考えたわけであります。切捨ての対象にならなかつた第一封鎖預金、つまり後には自由預金なつたのでありますが、切捨ての対象にならなかつたものが、そのときには大体家族の数によつて違いますが、一家族大体最高三万二千円までは切捨ての対象にならないで自由な金になつたわけであります。それから上のものは、各金融機関によつて切捨ての率は違つておりますが、私どもが大体例にとりましたのは郵便貯金であります。郵便貯金におきましては、第二封鎖預金については三割を切捨てております。これらの例等を見まして、大体五万円程度をシーリングと考える。それから上のものは、国内において旧券をもつておつた場合と権衡をとつて、大体三割程度金額で切つた方がいいであろう。こういう観点から切捨てをいたしたわけであります。なお二十万円にシーリングを置きました点は、先ほど御指摘のように、海外においてこれを無制限に認めた場合におきましては、やはり今後買いあさり等のことが行われるごとによつて、不当にこれらの方々に利益を与えるということになることもいかがかと思いますので、常識的に考えますならば、大体二十万円程度にシーリングを置くことは何ら公平を失することはあるまいという観点から、そういうふうな限度を置いた次第であります。  引きかえが非常に遅れましたために、その間の金利を考えたらいかがかという御議論でありますが、これは普通の場合におきましては、それが公に引きかえが認められますまでの間におきまして、もちろん理論的にはとめ置かれた場合の金利というものがあるのでありますが、従来からこういつた問題の処置にあたりましては、この期間の金利ということは頭に置いておりません。しかしながらこれらのお気の毒な方々の、つまり自分の責めに帰すべき事由によつて遅れたわけでないという点も頭に置きまして、先ほどちよつと申し上げた国内にそのままあつた当時におきましては、三万二千円が自由預金なつた。それ以上がシーリングであつたのですけれども、これらの点も頭に入れておきまして、五万円を一応シーリングとするといつたようなことをいたしたわけであります。金利幾らというような検討はしておりません。
  72. 久保田鶴松

    ○久保田(鶴)委員 簡単に銀行局長にお伺いいたしますが、今度外国為替銀行法案というのが出ておりますが、これに関連して、金融三法の改正法案を今国会に提出されるようなことはこざいませんか、その点を承りたい。
  73. 河野通一

    河野政府委員 いわゆる金融三法という言葉は私は使つたことはないのでありますが、今言われておりますのは、おそらく日本銀行法の改正とか銀行法の改正、金利調整法の改正という一連の問題じやないかと思いますが、これはいろいろ検討を要する点が多々ございます。従いましてまだこの国会に御提案申し上げるまでにはちよつと検討が十分できておりませんので、さらにこれらの問題の検討を続けながら、今後の金融情勢の推移等ともにらみ合せまして、今後結論を出して参りたいと考えております。
  74. 久保田鶴松

    ○久保田(鶴)委員 そうすると今国会にまだ出すか出さないかはつきりわからない。都合によれば出すかもしれない、こう解釈していいですか。
  75. 河野通一

    河野政府委員 おそらく今国会に御提案申し上げるまでには間に合わないであろうと私は考えております。
  76. 久保田鶴松

    ○久保田(鶴)委員 今問題になつております外国為替銀行法の改正とMSA援助の問題との関連と申しましようか、そういう点はいかがでございましようか。この問題はどうもややこしいように思うのですが、銀行局長のお考押えを聞いておきたいと思います。
  77. 河野通一

    河野政府委員 USAの問題とこの新しい法案との間には何ら関係はございません。この法案は御承知のように金融制度、銀行制度の問題でありまして、MSAの問題はむしろ実際的な問題でございます。実際問題としても、制度の問題としても関係はないわけです。
  78. 久保田鶴松

    ○久保田(鶴)委員 それでは外国為替銀行法は、金融政策全般から見て、大蔵大臣の権限強化、こういうふうに解釈してよろしうございますか。
  79. 河野通一

    河野政府委員 外国為替銀行の制度は、別に大蔵大臣の権限を強化するためにこういう法案をつくつたわけではございません。この法案は、御承知のようにいろいろ御批判があるかと思いますが、私どもとしては民間銀行、たとえば一例をあげますと、長期信用銀行と同じような制度のカテゴリ−に属するものと考えております。純民間金融機関であるというように考えております。ただそれを銀行法のわくの中で特別の仕事をする銀行を縛ることは非常に適当で、ない。従つて別のカテゴリー銀行制度としてこの法案の御審議をいただいておるわけであります。従いまして、この間において特に大蔵大臣の権限を強化しようということは考えておりません。ただ普通銀行の場合における銀行監督の態様とこの為替銀行法に基く銀行に対する監督の態様とは、仕事の性質が違いますから、これはやはり違つて参ります。同じ民間金融機関という立場で考えておる次第であります。
  80. 藤枝泉介

    ○藤枝委員 動議を提出いたします。ただいま議題となつております特別調達資金設置令等の一部を改正する法律案日本銀行券預入令等を廃止する法律案外国為替銀行法案の三案につきましては、この程度にて質疑を打切られんことを望みます。
  81. 千葉三郎

    千葉委員長 ただいまの藤枝君の動議に御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  82. 千葉三郎

    千葉委員長 御異議がないようでございますから、さように決定いたします。すなわち右三法律案につきましては、以上をもつて質疑を打切ることといたします。  これより日本銀行券預入令等を廃止する法律案議題として討論に入ります。
  83. 藤枝泉介

    ○藤枝委員 動議を提出いたします。ただいま議題となりました日本銀行券預入令等を廃止する法律案につきましては、討論は省略いたしまして、ただちに採決せられんことを望みます。
  84. 千葉三郎

    千葉委員長 藤枝君の動議のごとく決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  85. 千葉三郎

    千葉委員長 御異議ないようでございますから、本案につきましてては、討論を省略して、これよりただちに採決に入ります。  日本銀行券預入令等を廃止する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔総員起立〕
  86. 千葉三郎

    千葉委員長 起立総員。よつて本案は原案の通り可決いたしました。  次に、特別調達資金設置令の一部を改正する法律案議題として討論に入ります。
  87. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 私は日本社会党の両派を代表して、この案に反対いたします。現行憲法を尊重し、平和を守ることは、日本社会党の基調をなしております。従つてMSA協定は平和に脅威を与え、経済的にはアメリカに日本経済を従属せしめるものである。われわれは強くこの点にも反対いたします。特別調達資金設置令等の一部を改正する法律案は、MSA協定の関連法規でありまするがゆえに、当然われわれは反対するのであります。(拍手)
  88. 千葉三郎

    千葉委員長 これにて討論は終局いたしました。  引続き採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  89. 千葉三郎

    千葉委員長 起立多数。よつて本案は可決されました。  次に、外国為替銀行法案議題として討論に入ります。討論は通告順によつてこれを許します。苫米地君。
  90. 苫米地英俊

    ○苫米地(英)委員 政府提案外国為替銀行法案による為替専門銀行設立は、為替の自主権を確保し、わが貿易業者に対する対外競争力を付与して、内外にわたる貿易為替金融面で国内商業銀行のみでは得られない諸種の国民経済的並びに国際金融上の使命をこの為替銀行に果させ得ると信じますがゆえに、われわれ自由党はこれに賛意を惜しまないものであります。けれどもこれら使命の遂行は、口で言うことはたやすいのでありますが、実際面からはまことにむずかしいのであります。当面する内外経済の環境には、専門銀行の健全にして急速なる成長を阻害すべき、あるいは桎梏ともなる幾多の要因が伏在しているといわなければならない。従つて、せつかく各界の要望をになつて専門銀行が発足する以上、その使命を円滑に遂行して行けるよう、また進んではその活躍を積極化するため、同行発足後の育成について、政府に各段の関心と果断を要求するものであります。外国為替銀行法案には、その育成強化に資する条項が欠けているので、そのために何となく焦点のぼけたような、なまぬるい感じがいたします。政府はその性格に応じて行政運用面で育成措置を構ずると言つているのでありますが、横浜正金銀行の歴史を振り返つて見ても、明治十三年発足以来、当時として一応の国際為替銀行の体裁を整え、相応の機能を発揮するまでには相当の歳月を要したのであり、その間明治政府による幾多の育成措置が講じられたものであります。これを思い合せるならば、いたずらに金融界の勢力関係に拘泥して、当然なすべきをなさないようではこの法案の精神を殺してしまうことになるのであります。本法案政府の保護育成措置について何らの規定を設けていない点に不満を感じているのは、ひとり私どもだけでなく、昨一日の参考人が口をそろえて陳述しておりますし、さらに業界並びに産業界からも、その声が聞えているのであります。  さて、積極的育成施策についてさらに立ち入つて述べることにいたしますと、専門銀行を一日も早く一流の国際為替銀行に仕立て上げ、その機能を通じて積極的にわが国貿易振興の基礎工事を早急に完了するとともに、消極的には将来外貨資金不足の事態に処し、これが調達に遺憾なからしめ得るよう、専門銀行実力培養を急がなければなりません。専門銀行のこうした使命は、主としてその海外金融活動にまつものであり、それには何よりも海外金融市場における信用力が基本となることは申すまでもありません。この信用力の培養は専門銀行自体の努力によることはもちろんでありますが、これは一朝一夕にできることではありません。そこで政府保有外貨をでき得る限り専門銀行預託し、これを十分に活用させる必要があり、また日本商社の海外商業活動に対する金融的バツクという当面の必要もあるのであります。かかる事態を外にして、いたずらに政府外貨外銀の金庫に眠らしておくのは策の得たものではありません。また国内面においても貿易商社の弱体といい、短資の欠乏といい、専門銀行円資金吸収源の狭隘かつ劣弱といい、いずれも為替銀行の支店設置、貸出し業務の制限、コール市場の資金総量の小規模から来るものでありまして、為替銀行独力ではいかんともしがたいのであります。他方専門銀行としては、為替買取り資金輸出前貸しその他いろいろな関連融資に少からぬ円資金を必要とするのであります。かかる事情にかんがみ、ある程度量質両面にわたつて優運策を講じても決して不当でないばかりでなく、そうしなければ専門銀行をつくつても何ら意味をなさないのであります。これには反対論もありますが、すでに専門銀行設立国際競争という広い視野に立つての国家的要請に出たのである以上、何らためらうことなく、政府は敢然として所期の目的を達成し得る施策を講ずべきであります。これを端的にいえば、政府保有外貨を重点的に預託すること、金融債の発行並びに日銀より低利資金の融通をなし得る道を開くことにあります。輸入金融は、商品到着後三箇月程度までは外国為替面で金融するのが常道であります。これは輸入業者に外貨金利を享受させるものであり、輸入コストの低廉は、間接に輸出品コストにも好影響を与えます。ユーザンス制は早急に復活すべきであると信ずるのであります。  次に、為替相場の正常化であるが、現在わが国の為替相場は何から何まで公定制をとつておりますが、元来一国通貨の対外価値たる為替相場の水準を一定維持しようとするには、政府外貨準備を持ち、かつ為替管理の面で為替投機とか、資本逃避とかの防止をすれば足りるのであります。すべての取引相場を公定するのは必要ではなく、それはむしろ害をなす面が多いのであります。政府為替に対する売買相場のみを公定するだけにとどめ、為替の刻みまで公定するには及ばないと考えます。さらに資金の負担や為替リスクは漸次為替銀行に移りつつありますが、将来は為替をすべて政府会計に集中する方式はかえて行くべきものと思うのであります。  これまで述べましたところの趣旨を要約して、外国為替銀行法案に対する要望を附帯決議としたいと考えるのであります。ここに附帯決議をつける動議を提案いたします。    外国為替銀行法案に関する附帯決議   外国為替専門銀行に課せられた国民経済的使命の重要性にかんがみ、同行機能の完全なる発揮を図るため、政府は外国為替専門銀行に対し低利円資金の供給、政府保有外貨預託、輸入ユーザンス制を認める等為替貿易金融制度の正常化の強力なる諸施策を検討の上急速に実施に移されたい。  右決議する。 以上であります。
  91. 千葉三郎

  92. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 私は両派社会党を代表しまして、ただいま上程されました外国為替銀行法案並びに今苫米地君の述べられました附帯決議に対しまして、賛成の意を表明せんとするものであります。  今回政府外国為替銀行法を提出して参りましたのは、私をして言わしむるならばむしろおそきに失しておる、かように考えておるものであります。さてせつかく提案されて参りましたこの法案をつぶさに検討いたしてみますと、一言にして言うならば、ぬるま湯に入つておるようなまことに性格のはつきりせざるところに不満があるのであります。あるいはまたしゆうととしゆうとめにいびられたところのいびつな法案、かような感じがするのであります。しかし春ともなれば、この嫁の装いも一応やらなければなりませんし、こうした点が、あるいは嫁の働き次第でしゆうともしゆうとめも納得しまして、日本の国家的な大きな立場から、この法案を契機としまして、われわれの庶幾するところの外国為替銀行の問題が日本に有利に展開することを切に祈つてやまないのであります。そこで私は、こうした点につきまして、むしろこの法案——むろん賛成でございますが、注文をつけたいのでございます。  ただいまの法律案におきましては、せつかく為替専門銀行設立されましても、はたして完全にその機脳を発揮することができるかどうか、まことに心細いのであります。これは単に一銀行の経営いかんということにとどまる問題ではないので、ありまして、国家的見地から申しましても、貿易依存度の高いわが国として最も緊要な為替取引及び貿易金融の健全なる発展を企図することができない問題として、このまま捨てておけないのでございます。為替専門銀行が完全にその機能を発揮して行きます上にまず第一に必要なことは、ただいまの決議案でも指摘された通り、国内資金としてある程度の低利資金を供与されるということであります。昔はコール資金の利用ということでこの点が行けたのでありますが、戦前のコール市場、特に東京のコール市場だけを取上げてみましても、当時の金で七、八億円、従いまして約二千億円ぐらいのものがここで求め得られたのでありますが、現在の東京のコール市場ではたかだか百五十億あるいは二百億程度のものしか求め得られないと思うのです。こうした点にかんがみまして、日銀なりそうした点のバツク・アツブがなければ、むろんこの点に対しましての問題が解決せぬ、かように私ども考えております。さらに海外資金として、政府保有の外貨の優先的預託を受けることが必要であることは申すまでもないのであります。しかしてこれに加えまして、円資金の不足をカバーする意味から行きましても、輸入ユーザンス制を認めるなど、為替貿易金融制度の正常化をはかりまして、さらにこれでも足らぬというような場合には、円資金確保のために、あるいは将来法律を改正しまして金融債発行の道を開く、こういうふうなことも必要であろうかと思います。むろんこうした恩典を与えますと、これが一般法で規定された銀行である限り、他の銀行からも文句がつくのでありまして、私どもはこの法案はこういう形で出て来ましたが、むしろ昔のように単独法による特銀を要望したいくらいでございます。私どもといたしましては、むしろこれは国家的な立場において推進さるべき性質のものであるということを主張したいくらいなのであります。これらの措置を講じますと、いかにも専門銀行というものに対して特典的な措置を講ずるように聞えるのでありまするが、今私が申し上げたように、むしろ単独法を出すべしという建前からいいますならば、なまぬるいということになるのでございます。  さて、以上私は専門銀行育成のためにさしあたり考慮されなければならない点を指摘したのでありまするが、最後に申し上げたい点は、専門銀行に対してのみ政府の特別保護施策を施すことは、自由競争を阻害するという意味金融界の一部になお反対の存する点であります。しかしすでに専門銀行設立問題自体が国内商業銀行自由競争ということに対する限界認識から出発し、広く国際競争という視野に立つての国家的要請である点を顧みまするならば、かかる主張は、単純幼稚な自由競争讃美論にすぎないか、あるいは競争の国内面のみあるを知つて国際面のさらに重要なるを忘れた短見者流の見解と申さなければなりません。問題は自由競争のもたらす利益と国家目的とをどう調整するか、両者の接点をいずこに求めるかという点にあると思うのでありますが、もとよりこの種の問題は理論的には割切るごとができましても、現実問題としては至難のわざに属します。為政者の叡智と果断にまつよりほかないものと言わなければなりません。しかしながら専門銀行の国民経済的意義と機能遂行の喫緊性から申しましても、またすでに専門銀行に対しては、店舗業務両面にわたる制限によつて国内商業銀行との摩擦を避けている事情から見ましても、これが育成策に相当積極性を出して決して失当ではないと考えるものであります。また、このために必要ならば専門銀行に対する政府の監督を厳重にし、考えらるべき弊害を除去することも決して不可能ではないのでありまするから、単なる利害関係筋の功利的主張に抱泥して、政策の基本とタイミングの重要性を忘れるごときことのないように特に要望いたしまして本法案に賛成を表するものであります。
  93. 千葉三郎

    千葉委員長 討論は終局いたしました。  これより本案の採決に入ります。本案を原案の通り可決するに賛成の諸君の起立を願います。   〔総員起立〕
  94. 千葉三郎

    千葉委員長 起立総員。よつて本案は原案の通り可決せられました。  次に先ほど苫米地君から提出されました附帯決議について採決いたします。本附帯決議に賛成の諸君の起立を願います。   〔総員起立〕
  95. 千葉三郎

    千葉委員長 起立総員。よつて本附帯決議は決定いたしました。  なおただいま採決いたしました三法案委員会報告書の作成、提出手続等につきましては、委員長に御一任を願うごとに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  96. 千葉三郎

    千葉委員長 御異議ないようでありますから、さように決定いたします。     —————————————
  97. 千葉三郎

    千葉委員長 次に、証券取引法の一部を改正する法律案議題といたします。本法案につきまして、春日一幸君より質疑の通告がありますので、これを許します。春日一幸君。
  98. 春日一幸

    春日委員 証券取引法の一部を改正する法律案関連をいたしまして、次の諸点について大蔵当局の所見をお伺いいたしたいと思うのであります。  昭和二十八年二月二十六日付の直所一−八八という国税庁長官の通達によりますと、次のような通達が発せられておるのであります。それは有価証券の取引から生ずるところの所得に関する所得税の取扱い方針についてでありますが、それによりますと、営業として証券取引をしておると認められる者の取引であるときは、事業収得、その他の取引であるときは、雑所得として取扱うこと、こういう通達が発せられておるのであります。渡邊主税局長にお伺いをいたしたいことは、こういう国税庁長官の通達は、所得税法第六条の第五号に規定する有価証券の譲渡による所得は、非課税所得と規定しているこの法律に違反する通達ではあるまいかと思うのでありますが、これについて渡邊主税局長から御見解を承りたいと思います。
  99. 渡邊喜久造

    ○渡邊政府委員 今御質問の点につきましては、過般内藤委員からるる御質問がございまして、それに対して相当御丁寧にお答え申しておいたと思いますが、それをもう一ぺん繰返さしていただきたいと思つております。  御指摘のように所得税法の第六条第五号には、有価証券の譲渡所得に対する非課税の規定がございますが、これは、ごく簡単にそういうふうに有価証券の譲渡に対する所得について課税しないと一口にわれわれ言つておりますがこれは非常に常識的なものの言い方をしておるだけでありまして、その法文をごらんいただきましてもわかりますように、五号に書いておりますのは「第九条第一項第八号に規定する所得のうち、有価証券」云々と書いてありまして「の譲渡に困るもの」有価証券の譲渡による所得のうちで第九条第一項第八号に規定するものというふうに限定してございます。それで、それで、は九条第一項第八号という点について見てみますと、そこには幾つかの規定がございますが、八号は「資産の譲渡に困る所得」括弧いたしまして「前号に規定する所得及び営利を目的とする継続的行為に因り生じた所得を除く。」こういうことになつております。すなわちこの条文でわれわれ解釈して参りますと「営利を目的とする継続的行為に因り生じた所得」これは八号の所得ではない。八号の所得というのは、譲渡所得、一時所得とわけてございますが、八号、九号と並びまして譲渡所得、一時の所得、この譲渡所得だけが要するに八号に入つておるわけですが、この八号の中の有価証券の譲渡による所得というものだけが一応非課税の所得になつております。従いまして、法文を離れまして別に御説明申し上げて参りますと、この九条の規定は、所得を一応分類いたしまして幾つかあげておりますが、まず第一に一番顕著なのが事業所得、これは有価証券の取引を商売にしておるいわゆる証券会社的な方々、ああいうような意味の事業所得がまず考えられます。それからそのほかに、営利を目的とする継続的行為による有価証券の売買の所得、こういうものが考えられる。それからもう一つ、営利を目的とする継続的行為でない、しかし有価証券の売買による譲渡所得、これは一時の譲渡所得である有価証券の売買による所得、この一番最後に申しました三の分だけが一応非課税の規定になつておる、こういうふうにわれわれこの法文を解しております。従いまして国税庁の通達として出してありますものは、これはその法律の解釈に基くものでございます。それでその法律解釈の点で議論のある点は、結局それではどういうものをもつて営利を目的とする継続的行為による所得と見るか、この点だと思います。それがいろいろ解釈の点におきまして議論のあるところだと思いますが、それを国税庁の通達におきましては、少くとも税務官署の扱いとしてはこういうものを言う。年五十回以上、株として二万五千株以上扱つた場合において、これを営利を目的とする継続的行為と見る。それではなぜ五十回まで、二万五千株が出たか、この点につきましては、これも過般内藤委員の御質問の際に、ここにおります国税庁の村山直税部長がるる御説明申しましたが、大体昨年におきまして一応行われました有価証券の譲渡の状態というものについてのサンプルをとりまして、その中でかなり顕著なものが多かつたのですが、そのサンプルの中で大体半分ぐらいは該当し、半分ぐらいは該当しないといつたような線を一応引きまして、その特に顕著なものがこれに該当するという線を引きますと、五十回以上、二万五千株以上、こういう線が出ました。これはやはり営利を目的とする継続的行為と考えるべきでないか、そういう意味におきましてただいま御指摘の通牒を出したわけでございまして、一応われわれといたしましては、法律の解釈からしましてこの辺が行政庁としての扱いとしては適当なところではないか、かように考えております。
  100. 春日一幸

    春日委員 それではお伺いをいたしたいのでありますが、昨年の八月でありましたか、この有価証券取引税法が新しく設けられたと時を同じういたしまして、この法第六条の第五号の中に、すなわちこの証券の売却によるところの所得は非課税所得とするという法律の改正が行われたのでありますが、この所得税法を流通税として新しく課税することの見返り措置として、すなわち従来証券譲渡によるところの所得は譲渡所得として課税されておつたものを非課税にしたことについては、やはり何らかのつながりがなければならないと思いますし、われわれもこれが審議の過程においてそのように了解をいたしておつたので、ありますが この五号の中には何のつながりもないのでありますか、あるいはまた何らかのつながりがあるのでありますか、これについて御答弁を願いたい。
  101. 渡邊喜久造

    ○渡邊政府委員 昨年の国会でもいろいろ御論議があり、われわれもお答えいたしたと思いますが、今御指摘の有価証券の譲渡所得に対する所得税をやめる、そのかわりとして有価証券取引税をつくつた、こういう意味のつながりがあるという御説明はしたこともございません、われわれは現在でもそのように考えております。ただそのとき政府提案説明でも申し上げましたことは、有価証券の譲渡所得に対する課税を廃止する機会において有価証券取引税を新しく設ける、まあたまたま時を同じくしてということは申し上げております。過去の事例を考えて行きますと、譲渡所得に課税しておつた時代におきまして、なお有価証券移転税というものがずつと引続きありまして、それがシヤウプの勧告によりまして税制改正が行われました機会におきまして、有価証券移転税だけは廃止され、譲渡所得に対する課税はずつと残つて行つた。民間のいろいろな御意見としては、どうも譲渡所得、それも今言つた一時の所得と考えられる譲渡所得、これに対する課税についてはいろいろな批判があるから、こういうことはやめて、むしろ有価証券取引税を課税したらいいじやないか、これを非常に緊密に結びつけての御意見はございましたが、われわれとしましては、有価証券取引税を創設すること、これは一つ考え方である、これはとるべきじやないか。ただしかし厳密に、片方の所得税をやめる、従つてそのかわりに取引税をつくる、こういう考え方では取引税の説明ができないから、これは違つた見地に立つてやる。ただちようど有価証券譲渡所得に対する課税をやめる、この機会にこれを起すのは一番時宜に適したものであろう、こういう意味のつながりはあるわけでありますが、片方をやめたから片方をとるといつたような意味のものとは解しおりません。
  102. 春日一幸

    春日委員 それでは国税庁にお伺いをいたしますが、直所一−八八の通達の第一項目の中に「事業として行われているときは事業所得とし、それらの取引が事業と認められる程度に至らないものであるときは雑所得とする。」というふうになつている。それから第二項目には、「継続的行為と認められる取引以外の有価証券の取引から生じた所得は、譲渡所得とする。」こういうふうにきめられております。この第二項の譲渡所得と、それから事業と認められる程度に至らない雑所得、これの具体的な相違、限界は一体どこにきめられておるのか、ちよつと伺いたいと思います。
  103. 村山達雄

    ○村山説明員 第一の御質問でございますが、継続的行為たる取引とそうでないものという限界は、ただいま主税局長からお話がありましたように、一応の目安を、有価証券の取引が回数におきまして年間で五十回以上、かつ株数におきまして二万五千株以上の取引をやつたものについては、一応の目安として、それは継続的行為たる取引である、従つて譲渡所得ではなくて雑所得ないし事業所得として扱うべきである、かように取扱つておるわけであります。その反面、それ以外の取引はすべて譲渡所得として、一応の目安はそう取扱つておるわけであります。第二点の問題の、しからば継続的行為である取引のうち、事業所得として扱うものと雑所得として扱うものの限界はどうであるかということになるわけでありますが、これは、事業というものが一体何であろかという問題と同じように、事案認識の限界線はかなり困難な問題であります。そこでわれわれは、この点につきましては、世間一般の常識の観点に立ちまして、証券界あたりでも、あの人は事業としてやつていると、何人もその人が事業としてやつていると認められるものについては事業所得として扱うが、そうでないものは雑所得とする。その限界が疑わしいものは当分のうち雑所得として扱う、こういう取扱いを定めておるわけであります。
  104. 春日一幸

    春日委員 どうもわからないのだが、この第二項に「継続的行為と認められる取引以外の有価証券の取引から生じた所得」ということは、すなわち第一項目の後段にあるところの、「事業と認められる程度に至らないものである」取引と、同じような形態を存しているものと解釈できるのでありますが、いずれにいたしましても第一項後段においては、これを雑所得とせよといつておる。それから第二項目においては、大体それと似たような表現によつて指示されておるものを譲渡所得とせよといわれておる。この第一項後段と第二項との差は、一体限界は具体的にはどこにあるかということを伺いたいのであります。
  105. 村山達雄

    ○村山説明員 今春日委員のおつしやつていることは、多分昭和二十八年十二月二十六日の直所一−八八だけをお引きになつているのだろうと思いますが……。
  106. 春日一幸

    春日委員 これからどういうふうに解釈できますか。
  107. 村山達雄

    ○村山説明員 これは第二項の方から説明するとわかりやすいのですが、第二項の方は、譲渡所得とそれ以外の所得の限界をやつているわけです。一項のところは、譲渡所得以外の所得のうち事業所得として扱うべきものと、それから雑所得として扱うべきものの原則的のラインの区分をしているわけです。そういう意味であります。
  108. 春日一幸

    春日委員 だからあるものは事業所得に、あるものは雑所得に、あるものは譲渡所得に課税されるわけでありますが、ところが事業所得になるものは法律で明確になつております。ところが、雑所得に課税せよ、あるものは譲渡所得に課税せよと通牒が発せられているけれども、しかしこのうたわれている文字そのものからわれわれが考えられることは、いずれにしても、事業所得に至らないそれ以下のものは、あるものは第一項後段において、これは雑所得にせよといつておられるし、あるものは、これを譲渡所得に課税せよといつておられるのだが、この譲渡所得と雑所得との限界というものは、一体ここからどういうふうに解釈すべきものであるか、これをひとつ御答弁願います。
  109. 渡邊喜久造

    ○渡邊政府委員 国税庁の通達ですから、あるいは国税庁から御説明した方がいいかもしれませんが、私よくわかつておりますので、一応御説明申し上げます。今のお話は、譲渡所得として扱うべきものと雑所得として扱うべきものとの限界をどこに置いているか。譲渡所得の場合は、先ほども御説明申し上げましたよううに、譲渡所得である有価証券の売買による所得は、これは課税しておりません、雑所得になつた分だけが課税される、こういうことになるのですが、この限界は、課税の対象になるかならないかということで、相当重要な問題になつて来るわけであります。その点についてはどこで区別するか。これは法律的根拠としては、先ほども申しましたように、営利を目的とする継続的行為であるかないかということで、譲渡所得か雑所得かの違いがあるわけです。そこで、それでは営利を目的とした継続的行為というところをどこで見るかという問題がその次に出て来るわけです。それにつきまして、先ほども申しましたが、一年において五十回以上売買をやつており、株数においても二万五千株以上をやつている。この二つの要因を兼ね備えている場合におきまして、これは党利を目的とする継続的行為じやないか、従つてこれは雑所得、あるいはさらに頻繁になれば事業所得にまで行くのではないか、これは別の問題としまして、今の譲渡所得と雑所得の区別ということにおきましては、五十回、二万五千株でやつている。それでは何で五十回、二万五千株という数字が出て来たかということがすぐに問題になるわけでありますが、その点につきましては、国税庁において昨年そうした売買をかなり目立つてつている人について具体的に調べてみまして、その人たちが何回取引をやり、どのくらいの株を扱つているかという点を検討してみた結果、大体半分のところに線を引いてみて、一応話題になつた人の中で、特に回数も多い、株数も多いその半分公上の人が該当する、こういう線で一応引けばあまり問題はない、そういう意味で出て来たのであります。
  110. 春日一幸

    春日委員 そこで問題は私はいろいろできて来ると思うんだが、こういうふうに法律は文字通り解釈をしてはどうか。この非課税所得は、第六条の第五号の中に、第九条第一項第八号の所得のうち有価証券、これは非課税にする、その系列の中には、皇室経済法等の規定する所得と同じように、これはとにかく課税しないんだ、こういうことが明確になつております。しかも実際的には時を同じくして、これを非課税にするかわりに流通税を課する、こういうことに相なつておるわけであります。そこには雑所得に課税するとか、譲渡所得に今まで課税しておつたものを雑所得に転化するとかなんとかいうようなことは、一言もここには触れられてはおりません。特に重視せなければなりませんことは、この法律第九条の第八によつてとにかく課税のできる対象というものは、すなわち継続的行為によつて生じたものだけであります。すなわちこれは事業所得として行われた場合だけに課税することができるのであつて、それ以外の場合は課税することができないことになつておる。それ以外の場合は雑所得として課税できるという法律規定はどこにもありません。従つて、従来は譲渡所得に課税しておつたんだが、譲渡所得はごの証券取引法が新しく設けられたときを契機として、これを課税しないものとして規定しておる。従つてこの事業所得以外の証券売却によるところの所得に対しては、これは課税できるという法律はないし、課税しないという法律はあるわけであります。しかもそういう状況下において、国税庁通達で、その他のものを譲渡所得にするということ自体法律違反ではないかと私は思うんだが、この点はどうなんでございますか。
  111. 渡邊喜久造

    ○渡邊政府委員 事業所得の方は、御承知のように商業とか工業とか、いろいろ並べてあるわけです。それで今の譲渡所得の中で括弧して抜かしてある分は、商業とか、工業とか、そういつたものを除くというようなものじやなくて、営利を目的とした継続的行為によるもの、こうなつているわけでして、営利を目的とした継続的行為によるものが、すぐに証券取引法の対象とした商業というのは、これは現実の問題として見て参りますと、やはりそこに中間的なものがあり得るんじやないかとわれわれは見ております。従いまして春日委員の御主張によりますと、商業に該当しない限りは全部譲渡所得じやないか、こういうふうに伺いますが、しかし商業に該当しないもの、営利を目的とした継続的行為によるもの、こういうものがそこにあるんじやないかというのが、今申しました五十回以上、二万五千株以上を扱つていながら、しかもどうも商業ということになれば、これは事業税の問題も出て参りますし、そごまではつきりした姿ということには言い切れないものがあるんじやないか。といつて二万五千株以上、五十回以上取引しておる、世間からも相当目につくような取引をしている、こういう中間のものがあり得るんじやないか。それか雑所得に該当するものとして解すべきじやないか。こういう論理の追い方で今国税庁通達が出ているわけであります。
  112. 春日一幸

    春日委員 それでは伺いますが、証券取引法にきめる証券業者の証券売却による所得は、これは事業所得でわかるんです。ところがそれでは今通達に示されております年五十回以上、それから総株数二万五千株以上、こういう取引をした人は、事業所得か、雑所得かどつちかなんでございますか。
  113. 渡邊喜久造

    ○渡邊政府委員 証券取引法との連関につきましては、これも過般内藤委員の御質問のときお答えしておりますが、証券取引法の証券売買というのは、これは法律趣旨から言いまして、大衆を相手にして証券売買をしておる、そういうものが証券取引法の取締りの対象になる。これは証券取引法のいろいろな商売としての制約を受けておる上から考えても、これはそういう性格のものではないかとわれわれは考えております。従いまして、むしろある証券会社を通じて、ある個人の方が頻繁に売つたり買つたりしておる。これは証券取引法の取締りの対象というものじやないのじやないか。しかしこの人としては、結局株の売買によつて利益を得、それを生活の資におそらく充てておるのじやないかと思いますが、そういう方があるとすれば、あえて証券会社と同じように、あるいは取引法の取締りの対象でなくとも、営利を目的とする継続的行為により、証券の譲渡による所得を持つ人がある。こういう解釈は少しも法律とぶつからないのじやないかとわれわれは解しております。なお、それでは営利を目的とする継続的行為というのは、これは広い意味になりますから、ここで場合によつては事業所得になり、場合によつては雑所得になるという場合が出て来るわけでありまして、それではどういうものを事業所得にするか、どういうものを雑所得にするかということにつきましては、先ほど村山直税部長からの、結局たれが見ても商売としてやつておるということになつておるとすれば、これは事業所得であると思いますが、それほどでもない、しかし五十回以上、二万五千株以上やつておるもの、こういう方を雑所得として扱う、疑わしき場合においては、一歩下つて雑所得として扱う。これが現在の国税庁の扱い方であります。
  114. 春日一幸

    春日委員 それでは村山さんにお伺いいたしますが、この五十回、それから総取引株数二万五千株以上、これは継続的取引としてあなたの方は雑所得をかけるというように通達を発したのであるか、あるいはこれは常業としてやつておるきらいがあるので、事業所得として課税するように通達を発しておるのであるか、この通達からははつきりわからないので、ひとつあなたからお答え願いたい。
  115. 村山達雄

    ○村山説明員 その点は非常にむずかしい問題でございますが、実際問題はあまり苦労がないのでありまして、普通会社の方、あるいは銀行の方で、本職を持ちながらいわゆる株をいじつておるといわれるような人は、これは雑所得として扱つておる。定職がなく、株だけ専門に扱つておりまして、しかしそれはもちろん証券業者じやない、株だけを扱う以外には収入の源泉がない、しかも規模も相当数の規模でやつておる、世間でもあの人は株をいじるのが商売だ、こういう人があつた場合だけ事業所得として扱うという趣旨においてできておる。しかし実際問題といたしましては、去年の二十七年度分の課税につきましては、ほとんど全部雑所得として扱つておるのが実情であります。
  116. 春日一幸

    春日委員 その実情と通達と違つては困ります。あなたの通達は二万五千株以上、五十回以上取引して、客観的にいろいろ判断して見て、この人は常業としてやつておるように見受けられる、類推できる、これは事業所得として課税するという通達なのですね。そうですね、それを伺いましよう。
  117. 村山達雄

    ○村山説明員 五十回以上、二万五千株以上のものは、事業所得か雑所得かのいずれかに該当するはずだ、そのうち事業所得として扱うのは、事業所得として課税しても、世間で常業者と認める人だけである、こういう意味でございます。通達の趣旨と実情が違うというのは、実は通達違反をやつているという意味ではありませんので、現在われわれの方で調査いたしました結果では、ほとんど大口の取引をやつている方は、ほかに商売のある方々がわれわれの今までの調査の対象になつて来た。二十八年分については、ほとんど大部分のものが雑所得として扱うべき人であつた、かように申し上げておるわけでございます。
  118. 春日一幸

    春日委員 これはもう皆さんもお聞きでわかると思うのだが、私はとにかく三日間ずいぶんいろいろ深く検討してみたんだが、どうもわからない。ということは、二万五千株以上やつて、年に五十回以上やると、その人がそのことばかりやつておれば事業所得だ、それで事業所得を課するとあなたは言つている。ところが証券取引法の中では、証券取引法は免許制になつておるのだから、事業所得を課せられる形において本業だ。これをやろうと思えば、これはすべからく登録を受けてそして資格をやはり完備しなければならぬと思う。その資格のない者がやつておる。それに税法上では同じ事業所得を課して、そうしてこの証券取引法規定しておるところの有資格者と同じような処置を講じて行くということは、これは私は変じやないかと思う。まあそれはそれといたしまして、この皇室財産や、あるいは不具廃疾者がいろいろ給与を受けるのだが、そういう給与と同じように、この株の譲渡所得に対しては課税しないということがここに規定してあるのに、あなたの方がこの通達で一方的にこれを課税する。しかもその課税の仕方が、あるものは事業所得で、あるものは雑所得と言つておられる。ところが雑所得には、どういう場合が雑所得かということを制限列挙して、明確に規定してある。その場合、証券取引によつてその得たところの所得は雑所得でこれを課税することができるということは、ここに規定してありませんよ。そうして譲渡所得の中には、継続的に取引をしておる者以外の者は云々とここに規定してある。そうして第六条の第五号には、譲渡所得としては証券の売却による収入には課税しない、こういうぐあいに規定してある。従つて私が申し上げられることは、この通達は法律違反の通達であり、しかもこの通達によつて課税してみたら、結局はほとんど雑所得になつて来た。こういうようなことは、その課税そのものが、これは国税庁通達違反の執行を税務署がやつておる形になる。これは税制の混乱であり、執行の紊乱であろうと思うのです。こういうような事柄は、これはただの質疑応答ではなくして、法律の中には、所得税法と証券取引法、それから有価証券取引税法と、この三つの関連において明らかに欠陥があるのです。これはいろいろ調べてみればみるほど、疑義ができて来るし、さらにはあなたの御答弁を得ても、そういうつもりで通達しておるのたが、結局はそれに反する結果が現われて来た。こういうようなことでもある。しかも第一項目の中にあるものは、その常業とみなせないものはこれは雑所得にすると言われておる。そして同じようなものを譲渡所得にすると言つておるので、これを受けた税務署員が、この通達で執行しようと思つたつてできるはずがない。世間がだれが見てもと言つておるが、世間とはだれか、天を仰ぐか、地に伏して尋ねるのか、これは見当がつかない。世間が世間がと言つたところが、世間に聞いて課税をしなければならぬような課税というものは——これは法律規定によつて課税しなければならぬ。一々世間に聞いてみろと言つたつて、そんなめちやくちやなことはできるものではない。こういう不明確な法律はすみやかにその欠陥とするところを——こういう税務署員の判断や、あるいは世間に聞いてみなければわからないような、そういう通達を発すべきじやないか、従つてこの欠陥はすみやかに補填されなければならぬと思います。  いろいろ伺いたいことはありますが、次の機会に引続いて質問することにいたしまして、本日はこれをもつて質問を留保いたします。
  119. 千葉三郎

    千葉委員長 次会の委員会は六日火曜日午前十時から開くことにいたしまして、本日は一応休憩いたします。    午後一時三十六分休憩      ————◇—————   〔休憩後は開会に至らなかつた〕      ————◇—————