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1954-03-30 第19回国会 衆議院 大蔵委員会 第31号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年三月三十日(火曜日)     午後一時五十七分開議  出席委員    委員長 千葉 三郎君    理事 淺香 忠雄君 理事 黒金 泰美君    理事 坊  秀男君 理事 山本 勝市君    理事 内藤 友明君 理事 久保田鶴松君    理事 井上 良二君       宇都宮徳馬君    大上  司君       大平 正芳君    小西 寅松君       島村 一郎君    苫米地英俊君       福田 赳夫君    藤枝 泉介君       堀川 恭平君    池田 清志君       福田 繁芳君    小川 豊明君       柴田 義男君    滝井 義高君       春日 一幸君    平岡忠次郎君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 草葉 隆圓君  出席政府委員         大蔵政務次官  植木庚子郎君         大蔵事務官         (主税局長)  渡邊喜久造君         国税庁長官   平田敬一郎君  委員外出席者         専  門  員 椎木 文也君         専  門  員 黒田 久太君     ————————————— 三月三十日  委員有田二郎君及び佐々木更三君辞任につき、  その補欠として堀川恭平君及び滝井義高君が議  長の指名で委員に選任された。     ————————————— 三月二十九日  国有林野事業特別会計法の一部を改正する法律  案(内閣提出第一二二号)  国民金融公庫が行う恩給担保金融に関する法律  案(内閣提出第一二三号) 同日  揮発油税軽減に関する請願伊藤好道者紹介)  (第四〇五八号)  同(木下郁紹介)(第四〇五九号)  同(前田正男紹介)(第四〇六〇号)  同(松井政吉紹介)(第一四二四号)  クリーニング業における揮発油税免除に関する  請願堤ツルヨ紹介)(第四〇六一号)  同(森幸太郎紹介)(第四〇六二号)  同(高橋圓三郎紹介)(第四一二五号)  同(佐々木更三君紹介)(第四一二六号)  同(小平忠紹介)(第四一二七号)  同(井手以誠君紹介)(第四一二八号)  同(安平鹿一君紹介)(第四一二九号)  彫刻に対する生産課税小売課税に変更の請願  (伊瀬幸太郎紹介)(第四〇六三号)  揮発油税すえ置きに関する請願武藤運十郎君  紹介)(第四一三〇号)  同(有田喜一紹介)(第四一三一号)  同(只野直三郎紹介)(第四一三二号)  公認会計士法の一部改正に関する請願柴田義  男君外一名紹介)(第四一三三号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  租税特別措置法の一部を改正する法律案内閣  提出第五三号)     —————————————
  2. 千葉三郎

    ○千葉委員長 これより会議を開きます。  租税特別措置法の一部を改正する法律案を議題として、質疑を続行いたします。質疑は通告順によつてこれを許します。春日一幸君。
  3. 春日一幸

    春日委員 社会保険診療収入に対する所得税課税あり方についてお伺いをいたしたいのであります。私ども調査するところによりますると、昭和二十六年度並びに二十七年度においては、この医師に対して課税上特別の措置がとられておつたと思うのでありまするが、この際本件について、国税庁長官からその経過並びにてんまつについて、ひとつ詳細に御説明をお願いいたしたいのであります。
  4. 平田敬一郎

    平田政府委員 御質問社会保険診療収入に関しました所得税課税に関します件でございますが、本件につきましては、今御指摘通り昭和二十六年度分と昭和二十七年度分の二箇年分につきまして、たしか昭和二十六年の暮れでございましたか、報酬の問題に関連いたしまして、課税取扱いにおきまして特別の考慮を加える必要があるということで、中央から地方に対しまして一定の率を示しまして所得計算するようにという趣旨通達をいたしたのであります。ところがそれに対しまして、実行の結果に顧みまして、その後いろいろ問題がございまして、一つは税法によらずして、税法の解釈でこのような特別の扱いをすることは妥当でないという問題がございまして、そういう点から至急解決をはかる必要が出て参つたのでございます。それからもう一点は、一定の率で所得計算いたしました結果、各お医者さん全部についてではございませんが、ところによりましては、ほかの納税者との間に著しい負担の不均衡を生じている、あるいはお医者さん同志の中におきましても非常な不均衡を生じている、こういう問題で、むしろ現場から大分そういう非難が参りました。そういう点から考えましても、この際といたしましては、こういう特別な措置を長く続けるのはよろしくないということになりまして、昨年の初めごろ閣議決定をお願いいたしまして、そういう中央から率を示しまして、課税上の特別な扱いをすることにつきましては、これをやめるということになつた次第でございます。別な方法を講じたらどうかということであつたのでございます。従いまして、私ども昨年の初めからそういう考え方で臨むことにいたしまして、関係官庁ともたびたび打合せいたしたのでございます。それからまた各方面におかれましてもこの問題を取上げられまして、いろいろ審議されたのでございますが、最後に決定いたしましたところによりますると、私どもその趣旨のことは前々から地方執行機関へは流していたのでありますが、最後的にそのことをはつきりいたします通達といたしましては、今年の三月四日付の国税庁から国税局長に対する通達といたしまして、従来のいきさつ等にもかんがみまして、このようにやるようにという趣旨通達を出したのでございます。その通達をこの機会はつきりもう一ぺん読み上げまして、正確にいたしておきたいと思う次第でございます。  社会保険診療報酬に対する一律の標準率による課税取扱を、昭和二十八年分から取りやめることとなつたことに関連して、医師及び歯科医師研究費図書購入費交際費などの取扱については、本年一月十九日付通達で指示したとおりであるが、なお、従来の経緯に顧み、昭和二十八年分の業況が前年に比して大差がないにもかかわらず従前取扱が廃止されたことにより所得金額が著しく増加する向については、必要経費算定につき特に配意する等、できる限り実情に即するよう十分留意されたい。  こういう趣旨地方局長に対する長官通達をいたしまして、この問題に対処することにいたした次第でございます。なおそれでも最近になりまして、さらに現場におきまして若干のトラブルが出ているという情報を得ましたので、さらに円滑を期するために、本年の三月十九日付をもちまして、これも私の名前で地方局長あて通達をいたしたのであります。その要領を簡単に申し上げますと、  医師及び歯科医師に対する昭和二十八年分申告所得税課税に関しては、本年三月四日付通達において、必要経費算定につき特に配意する等、できる限り実情に即するように十分留意されたい旨指示したところであるが、なお、実際の課税にあたつては、従前経緯にも顧み、関係医師会及び歯科医師会と緊密な連絡を図り、趣旨取扱徹底に努め、課税事務の円満な運営に遺憾のないように期されたい。  この通達をあらためて出しまして、先ほど最初に申し上げました通達趣旨が十分徹底するようにいたしておる次第でございます。  なおこの問題に関しましては、いろいろないきさつ等もありまするので、私どもといたしましては、今読み上げました二つの通達趣旨徹底につきましては、今後におきましてもさらに一層遺憾なきを期しまして、この問題が円滑かつ公正に処理できるように努力いたしたいと考えておる次第でございます。
  5. 春日一幸

    春日委員 なおこの際あわせて伺つておきたいことは、健康保険法その他船員保険法共済保険法国民健康保険法労災保険法生活保護法結核予防法による治療、こういうような社会保険治療に関する給付でありますが、これは現金であろうと現物であろうと、課税対象としてはならない旨法律に規定されておるのであります。このことは、すなわち給付されたところの金品の実際的効果を保つための措置であろうと思うのであります。従つてこの法律精神は、社会保障につながるあらゆる施策を通じて、政府において十分尊重をされなければならぬと思うのであります。しかるところ医療給付によつて支払われるところ医師への報酬課税対象となりまするならば、税金額だけ、その実額だけ給付実質的価値を減抗することは明らかであるのでございます。従つて私がこの機会に強調したいことは、社会保険による医療報酬は、国が規定した政策単価であつて、しかも現行単価日本医師会要求した額をもはるかに下まわるところの額に押えているのである。従つて現行単価においても、すでに完全治療を危ぶまれるような向きもないわけでもないのでございます。そこで法定単価の中においては、いろいろの所得税というものは含まれていないと見るのが常識であろうと思うわけでございます。一口に言えば、そういうような社会保険関係立法の中には、金銭であろうと物品であろうと、この法律に基く給付には税金をかけないようにという規定が一方にあるのだが、その法律精神を尊重するならば、その給付に基く治療の効果を減殺するような医者に対する税金をかけるというようなことは、この法律精神に違反をすると思う。しかも一方医師要求しておる一点単価と、政府の規定しておる一点単価との間には、すでに大きな開きがあるのだ。これは医師犠牲的経営によつてこの保険法が保たれておるという立場において、保険による治療収入に対しては、むしろ課税すべきではないもののように考えるのであるが、この問題について草葉厚生大臣はどういう御見解をお持ちになつているか、この機会に御答弁願いたいと思います。
  6. 草葉隆圓

    草葉国務大臣 お話の点につきましては、一点単価計算いたします場合に、いろいろ論議がなされた点であると記憶いたしております。従いまして、従来それらの経緯にかんがみまして、ただいま国税庁長官から御答弁申し上げましたように、二十六年、二十七年におきまして、臨時的の特別処置を講じながら、二十八年もただいま読まれましたような方針によつて、この課税の問題は特別に取扱うという行き方でやつております。ただ現在の税制上では、今御質問になりました点がはつきり現わえてはいないと思いますが、そういう点を含みながら、従来課税をなされて来たのだと思います。
  7. 春日一幸

    春日委員 私の質問しておることは、そういうことではないのでありまして、この社会保険関係法律精神は、これによつて給付されるものが、金銭たると現品たるとを問わず、一切の給付課税するな、そのことは、すなわち給付価値を保つための法律措置であろうと考えるのであるが、医者に対して一般事業と同じように課税をするということならば、その一点単価の中には医者経営から生じて来るところ税金も含まれておらなければならない、ところが一点単価たるや、医者が十五円にしてくれというのを、現在の保険会計の中にはそういう財源はない、一円上げれば五十億も費用を要するのだから、四円も五円も上げるというようなことはできない、こういうことで、とりあえず彼らの要求にもかかわらず、はるかに下まわるところの十二円五十銭でありますか、今それで押えておるわけなのであります。従つてそこの中には、税金というものはほとんど考えられていない、そこで二十六年、二十七年の特例によると、二四%ないし三〇%ということで取扱われて来ておつたのではあるが、その低い税率そのものといえども、やはりこの社会保険法律精神からいうならば、そういうものは免税すべきである、こういうように私は考えるが、基本的なあり方として草葉大臣はどう考えておるか。たとえば地方税においては、事業税は、保険診療給付収入に対しては免税にしておる。これは法律精神を重視して地方税はそういう特例を設けておる。従つて国税といえども徴税精神においては地方税と何らかわるところはないのですから、国税においてもそれを免税にするのがほんとうだと思うし、しかも社会保険精神はそこに基本的なものがあると思うのだが、大臣は現在それに税金がかかつておることについてどういう考え方を持つておられるか、このことを御答弁願いたいと思うのであります。
  8. 草葉隆圓

    草葉国務大臣 御質問の点はごもつともな点と存じます。ただ現在の税法上の建前からいたしまして、課税対象に一応なつておると思います。将来社会保障の体系から考えて、これらの社会保障に対する課税の問題を、課税対象にしない方針をもつて参りますこと、これは社会保障の進展の上にけつこうなことではございますが、現在はただいま申し上げましたように対象といたしておるわけでございます。こういう点でございます。
  9. 春日一幸

    春日委員 それでは、大臣としての個人的の御見解か、あるいは責任ある御答弁か、それは別といたしまして、いずれにしても、この社会保険収入に対する課税あり方というものは、理想としてはこれは課税せざるにしかず、しかし現段階においては、いろいろな情勢課税対象としておるのだ、こういうふうに了解をいたしまして、質問を進めて参りたいと思うのであります。  そこでこれは植木政務次官にお伺いいたしたいのでありますが、二十六、二十七の両年度において、医師並びに歯科医師会に対してこういう特例措置が講ぜられて参りましたことといえども、当時の日本医師会並び橋本厚生大臣との覚書によりますと、これは覚書に示されてあります通り、一点単価を上げるわけには参らない、それは保険経理内容が許さない。従つてこれは当分の間とにかくこの税金において特別の措置を講ずるから、つまり大臣から、一点単価を上げぬかわりに税金手かげんを加える、税金を安くするから、そういうことで妥結を見たことは次官も御承知の通りであろうと思うのであります。しかるところその後におきまして、一点単価の値上げされたこともございません。客観的情勢においては何ら異同のない現段階において、この特例措置を廃しまして、そうして収入マイナス経費という、こういうところ課税するということは、この原則的なところ課税に臨まれるということにいたしましたならば、その結果医師経営並びに患者の受ける不利益、こういう面にどういう影響をもたらして来るかということについて、いずれ御検討相つておると思うのでありますが、これに対して政府当局はどういう見解を持つておるか、この機会に御答弁を願いたい。
  10. 植木庚子郎

    植木政府委員 お答え申し上げます。私はいわゆる社会診療の一点単価の問題と、そうして課税上の取扱いの問題に関連しまして、今のお話のような、一点単価一定ところで押えておくから、従つて所得税取扱いの上においては一定標準率所得計算するということに対しては、個人的の意見としましてはいかがかという疑問をつとに持つておりました。もちろん社会診療が非常に大切な問題であり、それに関連して単価の問題、それに関連して所得税の問題一ここにいろいろ関連のあることは十分承知しております。しかしながら、医業所得に対しての所得計算にあたつて一般所得取扱いと全然異にして、標準率をもつてやるというようなことがはたしていいだろうかということには、私は疑問を持つておりました。ただ所得計算にあたりまして、医業医業としての特殊ないろいろな経費も、研究費用もあるだろうと思います。そうした過程において十分手心を加えて行くと申しますか、実情に即して行くということは、これは必要がある、かように考えておりますので、今仰せになりましたような二十六、二十七年において標準率使つた、それが今度二十八年分については標準率を使わなくなる、それは社会診療にどういう影響を及ぼすか、お前はどう考えるかと言われましても、私自身としてはむしろ今回政府が考えております、あるいは、税務当局が実行しようとしておりますように、なるべく実情に即した調査をして、そうしてその調査の上において、必要なる経費見方その他について医業には医業の特殊の状態があることを十分頭に入れて、そうして課税をして参る、これが最も正しい方法だと私は考えます。
  11. 春日一幸

    春日委員 政府が今までやつて来たことは非常に間違つておる、だから今回改めるんだ、こういうことでありますけれども、私はこういう御答弁政府からいただくということは無責任きわまると思う。大体あの困難な全国の医師会と厚生省、政府との交渉において、当時あらゆる条件が出されて、そうして政府政府立場において、しかも税制百般との均衡の上に立つて決定した措置、すなわち二五%ないし三〇%によつてするんだという決定、これは相当権威のあるものであり、しかもそういう決定を行つたところの当事者である政府は、その決定に対して相当の責任をもたなければならない。二箇年やつたことは実は間違つてつたんだから今度かえる、こういうような一片の遁辞でもつて、この重大な問題が解決できるものではない。無定見、無責任のそしりを受けることは免れないと思う。そのことはすなわちこの二箇年にわたつてつたことに対して、これは相当の理由があつてつたことであり、しかもそれは二箇年の長きにわたつてその実績を持つということについては、それはただ今まで間違つてつたということでなく、そうやらなければならないのには、それだけの理由があつたのだから、その理由にさかのぼつて、さらに抜本塞源的な検討を加えて、どうしたら医者保険法に基くところ患者に十二分の診療サービスを行うことができるか、こういうことを私は検討し直さなければならない問題だと思うのであります。この点はあなた方が朝令暮改であつて、きようやつたことをあしたかえるという、そういうでたらめ政策であるならば、何をか言わんやであるけれども、少くとも責任ある政府が、みずからやつたことを顧みて、これを罵倒する、そうして今度やることだけが正しい、こういうことを言われるならば、やがて二、三年たてば、あのことも間違つてつた、このことも間違つてつたということになれば、国民は一体どこに信頼をつないで行つたらいいのか。この点は政府においてみずから十分御反省願わなければならぬ問題だと思う。そこで私はこの機会に特にお伺いしたいことは、医者が今度は税金が課せられる、さらに多く課せられるという形に相なりますと、これは現実の問題として、保険患者をきらうような形になりはしないだろうか。あるいはあと二、三本ペニシリンを打てば完全治療ができるのだが、これは保険患者としてやつたんではそろばんに合わぬから、あとの分は自由診療でやつてもらいたい、こういう形になつて、一部は保護診療、一部は自由診療というようなことで、せつかくのお医者さんのあの治療やみ治療になつて行くというようなことは、これは重大な問題、あろうと思うのであります。そういうような一連の影響を通じてしわが寄つて来るものは、患者大衆に対するところ影響となつて来るわけであります。わが国が置かれておる段階は、社会保障制度はあくまで拡充強化して行かなければならない。しかしてこの社会保障制度の腰骨をなしておるものが、医療保障制度であります。この医療保障制度現場においてそういう悪い影響をもたらし、しかもやがてはこの医療保険破綻崩壊に導くようなことがあつては、問題は重大だと思う。従つて政府は今回特別な措置を講じようとしておるのでありますけれども、どうも平田長官答弁によると、これは格別そう大して税金を余分にとれという指令を出したわけではないとは言つておられるが、現地における状況というものは、そんななまぬるいものではない。結局去年の三割増とか、あるいはひどいところになりますと、去年の二倍、三倍というような課税が行われようとしておつて、これが全国的な大きな輿論となつてわき起つておるわけであります。この問題について、国税庁長官はどういう考え方を持つておられるか、こういうような一片のあなたの通達によつて社会保障制度並びにその背骨であるところのこの社会保険制度が大きく動揺しようとしておるのだが、あなたの一片通達でその問題が完全に解決されると考えておられるか、あるいははそこに何らかの立法措置を講じ、その心配を除去しなければならないと考えておられるか、この点をお伺いしたい。
  12. 平田敬一郎

    平田政府委員 従来の通達を改めましたことにつきまして御批評があつたのでございますが、私ども最初そういう通達を出しましたのは、単価が上らなくて、お医者さんの報酬が非常に少い、そういう場合でありますれば、あまり無理にいかぬという趣旨におきまして、所得率が非常に低いだろうということで、実は率を示してやつたわけであります。しかしその後いろいろ調べました結果によりますと、先ほどもちよつと申し上げましたように、収入に対する医院の所得というものは、人によつて非常に違う、一率の率で行きますれば、お医者さんの中におきましても非常に不公平を生じて来るので、こういう方法で行くのはどうしてもやはりおもしろくないということを強く感じまして、先ほどから申し上げますように、むしろ収入支出をよく調べまして、その支出を明細に、しかも政務次官先ほどお話になりましたような医業特殊性に応じました経費見方は十分に見る、そういう行き方で対処するのが、各お医者さんにとりまして一番親切かつ納得の行くゆえんであろう、こういう趣旨におきまして、こういうような通達を出すことに今年度といたしましてはいたしたのであります。こういう趣旨にいたしますれば、課税一般方針にも即応し得ると私は思いますので、今度のような、特に医業所得についての所得計算に対する中央からの通達は、一般方針にも反していない次第であることを申し上げておきます。  なお趣旨徹底につきまして、これは私ども当然の責任でございます。従来ともいろいろ情報等も流しまして、円滑に行くように努めておるわけでございますが、問題のいきさつにかんがみまして、私は非常に注意して実は見ておりますが、むしろ私どもの見たところによりますと、全部でありませんが、相当多くの税務署におきましては、大体円滑に話が進んで来つつある、きまつたところもあるし、来つつあるところもありすす。しかし御指摘のように一部のところでは、どうも話が円滑に進まないところがまだあるように私どもも耳にいたしておるのであります。従いまして、先ほど読み上げました第二回目の通達を出したわけでございますが、趣旨伝達徹底をはかりますことは、国税庁といたしましても当然の責任でございます。なお趣旨伝達徹底につきまして、とにかく一段の努力をいたしたいと思う次第でございます。もしも現場におきまして何か特別な事情があつて問題があるような場合におきましては、国税庁からしかるべき人を派遣しても円滑に行くように片づけたい。趣旨徹底をはかりますのも私の責任でございますので、この機会にそのことをはつきり申し上げまして、御了解を得たいと思う次第であります。
  13. 春日一幸

    春日委員 ただいまも申し上げましたように、この問題はきわめて重大な問題でありまして、この税金の問題を通じて、この社会保険制度そのものにあるいはひびが入るのではないかとすら案じられておる。こう言えば私の過大な表現であるというそしりがあるかもしれないけれども、このことは、二年前あの一点単価の値上げの要求医師会から出されたときに、その要求が通らなかつたのだが、通らないならば、医師会はこの保険治療を総辞退するというような重大な段階に入りましたときに、それならば税金で調節をするからひとつ納得してもらいたいと、税金のことで問題が解決をしておるのであります。ところがこの税金の問題は徴税上疑義があるから、これは白紙に返すのだということになつて来れば、医師要求というものは、結局ペテスにかかつたような形になつてしまうのでございます。従つてこれは結局重大な結果を招いて来る、こういうことになるのでございます。従いまして私は平田さんにたいへん失礼でありますが、こんな重大な問題を一国税庁長官通達でもつて、いろいろと自由裁量するとか留意するとか、そんなことで許さるべき問題ではないのでございまして、結局これは立法措置によつて、あらゆる場合を想定し、法の完璧を期した立法のことを考えることが政府並びに国会の責任ではないかと思うのであります。この徴税の具体的な内容については、これは法律が直接にあらゆる場合を規定しなければならない問題である。あなたの通達の内容をいろいろ読んでみますと、これを税務当局の便宜的な裁量、あるいはまた独善的な認定、こういうような結果にゆだねられているというにおいが多分にその中にするのでありまして、現に一月十九日にあなたが出しておりますところのこの「直所五−五」の国税局長あての通達におきまして、冒頭にこういうことが書いてある。すなわち「従来事業所得者が支出した接待費、交際費、寄付金その他の家事関連費は、所得計算に当つて必要経費に算入する部分としない部分との限界が必ずしも明確でなくその取扱が区々にわたつていると認められる」従つてこういうような医院といわず、一般の税額を決定する場合において、あなたがみずから言つておられるように、限界が明確でなく、しかもその取扱いが税務署によつて区々になつている。こういうような問題こそ、われわれは国会と政府責任において解明、解決しなければならぬと思う。すなわち直接あらゆる場合を想定して、いかにこれを課税するかという基準を規定しなければならぬと思うのであります。それでさらにお伺いをいたしたいことは、あなたの通達の中に、第一項目から第五項目まであつて、こういうようなものは経費として見てやれということがいわれているわけであります。ところがその中においてはいろいろ研究する場合の施設「研究用機械の講入費その他これらに準ずる資本的支出に属する費用は、その償却額を研究費としてその年分の必要経費に算入するものとする」こういうことが書いてある。このことは明らかに法律違反であります。こういう特別措置を講じたいと思うならば、これは租税特別措置法の中にこれを制限列挙して、こういうことができるということを規定しなければならぬ。さらにその次に、図書の講入費は必要経費に算入してもいいということを言つているのだが、海外の医学の本を厖大に買つて、その図書を充実して行くということになれば、それは極端な場合を言えば、何十万の支出でもそれは必要経費とみなすことができるが、こういうようなものは明らかに資産であります。資産がふえたものを経費としてみなせというような権利を一体だれがあなたに与えましたか。そういうような権利をあなた方が行使しようと思えば、それは法律によらなければならない。われわれが審議しております租税特別措置法たるや、所得のあるところ課税しない場合はどうしたらいいかということのあらゆる場合を規定して、そのことをそこへ明確に制限列挙の形で示しております。今までのような三〇%前後の課税標準が間違いであつたと言われているのだが、それならば、今度のこの三月四日の通達こそさらに間違いである。法律違反には何らかわりはない。植木政務次官は、この三〇%に押えたことは法律違反であつたが、しかしながらこの資産がふえてもこれを経費とみなすという通達は、法律違反でないと考えられているかどうか、この点を植木政務次官から責任ある御答弁を願いたい。また国税庁長官は、みずからの通達によつて所得のあるところにこれを損失とみなすところの権限をいかなる法律的根拠によつて与えられているか、この点を明確に御答弁願いたいと思います。
  14. 植木庚子郎

    植木政府委員 ただいまの御質問中に、先ほど私のお答え申した言葉が不十分であつたからかもしれませんが、二十六年、七年における標準率適用の問題が法律違反であつたとか、あるいは過去のやり方が全然間違つてつたのだと私が申し上げたようにおつしやいましたけれども、私自身先ほど申し上げましたのは、個人的見解としてはこういうふうに考えておりました、疑問を持つておりましたということを申し上げたのでありまして、政府のああした措置を講じましたのにつきましては、それは相当の理由があるのであります。すなわちその理由と申しますのは、いわゆるあの一点単価の引上げの際におきまして、税法の上で、従来の課税上の取扱いが必ずしも適実でなかつたがために、いわゆる単価の上でも、もつとたくさん出してもらいたいという要望の出ておることは、おのずからその実情から察せられるのであります。そこで一体どの程度の課税が適正であろうか、適実であろうかということを考えた場合に、当時政府の持つておりましたいろいろな資料から判断いたしまして、一つの材料として、しかも営業所得に対して、でき得る限り今言つたような社会診療の目的も達し得るように、経費も寛大に見るやり方で行くとほぼどんなところに率が行くだろうかという一つの目安がいわゆる三〇という標準率になつてつた。だから三〇という標準率を当時一応使つてみたのであります。しかしこういう率をある業態について全部一律に適用するということは、所得税法の考えているところではございません。他の業態との間の権衡も乱れます。そこでいろいろその間におきまして実情調査をやつてみたところが、中に、なるほどあの率では安過ぎるという場合が出て来ることがわかりましたから、今度はなるべく適実な課税をして行くのが一番よろしいというので、実額調査といいますか、実際の調査をできるだけたくさんして、しかも医者の診療意欲と申しますか、いわゆる患者に対する態度がなるべく親切に行われるように、それには税法上認められるところ経費はできる限り経費として認めて参る方が一番適実だ、それの方が他の業態との間の権衡がとれるだろう、こうした考え方で、二十八年度からは、先ほど来申し上げているような趣旨によつたのであります。  なお今回のこの通牒の趣旨につきましては、長官からも申し上げますが、やはり医者によつてどれだけの研究書を買うか、いろいろ場合によつて違いましよう。だからどんな万巻の書を買つても、これをみんな必要な経費として認めるというのではなしに、おのずからそこに普通の場合における各医者の間の権衡ということも考え、実情に即してこの通牒が適用されるものと私は考えておる次第であります。
  15. 平田敬一郎

    平田政府委員 ただいま一月に出しました通達が、法律趣旨に照してどうかというお話でございますが、現在も直接医療の施設の償却費は、当然これは経費に見ております。これはもう所得税法の原則上当然なことでありまして、事実の調査がなかなかはつきりしない場合もございますが、これをはつきりさせていたしております。そこでここに特にうたいましたのは、研究室とか、研究所をつくつた場合に、はたしてそれが医療のためにすぐ必要なものであるかどうかということにつきまして、先ほども申し上げましたように、一般はつきりしないことがあつた。それを今回、社会保険診療のような収入はつきりしている場合におきましては、経費の方もりくつのつく限りなるべく認める方がよいという趣旨からいたしまして、研究室をつくつた場合、その資本支出そのものを経費に見るわけではございません。この方は、もちろん年々の償却額を経費に見るということにいたしておる次第でございます。  それから図書につきましては、これは通常の場合におきまして、お話のような例外があるかもしれません。図書を講入しまして、あとで処分するような場合の処分差額、その差額を何年かで償却して行くというのが、りくつをやかましく言いますとそうなるわけでございますが、お医者さんのような場合、特に医業をやつて行く場合は、ほかの場合と違いまして、医療に必要だということが比較的認定しやすい。従いまして、新聞、雑誌、図書類等と書いてありますが、そういうものはその年の経費に見てよいだろうということであります。しかしお話のように、非常に高価なもの、何年かの所得に相当するようなものを一応に講入した場合になおかつ認めるかというと、その辺は随時の常識でおのずから限界がつくものと考えている次第であります。
  16. 春日一幸

    春日委員 それはいかぬですよ、そいう御答弁は。あなたの通達によりますと、法律でさしつかえない範囲のもの、すなわち家事の経費であるとか事業経費とかいうものは、この通達があろうとなかろうと、これは当然経費として控除されるべきものなんです。そうして普通の法律で控除されないものがここにあげてあるのだが、建設費とか、あるいは研究機械の講入費だとか、あるいは書籍、新聞の費用とか、獣を買う売るというような費用、こういうような資産的なものを経費に見ることは、いずれにしても——合理化法に基く償却の年限制限法等もこの間通産委員会で詮議したところであるが、さらにまた先般私が税法の討論の中で述べたように、とにかく六百何十億にわたる大企業に対する減税の特例措置も講ぜられておるのだが、そういうようなことは、国税庁長官の独断にゆだねられてはいない、そういうようなことはすべて立法措置でしなければならぬのです。だから資本的支出に対する費用をその年の経費に見るということは、それは法律違反なんです。法律違反であることにはかわりがないのです。法律違反でない分は、医者であろうとげた屋であろうと現に法律で認められていることで、いまさらあなたの通牒をまつまでもないのです。従いまして、あなたの一月十九日の通牒は、これはあまり権威のないものであるということを私は申し述べたい。さらにまた、これを一歩進めて言いますと、獣と書いてある。その獣にはモルモットから象までありますが、一体牛や馬はいけないのか、ライオンはいけないのか。モルモットは何十匹、何千匹までいるのが——税務署員の自由裁量で、そこへ行つて見て常識といつたところで、常識のレベルは教務や、知識、その置かれている環境によつていろいろかわります。従つてその人が認定しなければならぬ、判断をしなければならぬ。そういうようなばかげた通牒は権威のないものでありますぞ。あなた方は、過去を顧みて三〇%にきめたが、権威がなかつた、そこでこういう方式に改めたと言つておられるが、改める限りは、過去のあやまちは余すところなくこれを補充して完璧にしなければならぬ。ところがこの一月十九日のあなたの通牒たるや、こんな通牒がなくても、経費と認められるものを指摘したり、あるいは法律違反に問われるようなことを指摘して来ている。しかもその指摘した五項目の中には、税務署員が一々判断をしなければならぬ、自分が判断できなければたれかに相談しなければならぬようなことがある。こういうようなことでもつてこのような社会保険税金の問題の解決がつくでありましようか。私が今申し上げたことに何か詭弁があるならば、あなたから十分伺いたい。私はありのままのことを申し上げておる。私が今申し上げたように、税務署員の認定、推量、判断、しんしやく、裁量、そういうようなことによつて税金を査定されると、一方において安い人があり、一方において高い人があり、これではすなわちはなはだしき不権衡、不公正ということになつて参る。このことがあつてはならぬというのです。従いまして、私が主張したいことは、いろいろ弊害募ろう、しかしながら二箇月前にああいう決定をしたことは、おそらくはそれだけの事由あつてのことでなければならぬが、その事由をさらに深く検討して、たとえば保険収入というようなものは、これはりストによつておのずから明日でありますから、これをごまかしたり、インチキするということは断然不可能であります。これはガラス張りの中の経営のごときものである。たとえば今八百屋だとか、他の事業についていろいろ権衡を失すると言つておられるが、げた屋とか八百屋とかいろいろお互い商売をやつておるのだが、そういうような商売の収入は、タバコとかあるいはまた医療だとか、あるいは保険治療だとか、こういうものの収入とはおのずから性格が違つておる。実態も全然異なつたものであつて、こんなことに権衡を失するというのはへりくつなんです。これは権衡を失しない、そのものずばりです。たとえば、保険治療をやつているのは医者と歯医者しかないのだから、そういう問題につきましては、別に権衡を失するようなきらいはない。私思うのに、この際法律の欠陥があるならば、ひとつ立法措置をして、会計検査院がいろいろ疑義を抱くような困難をこの法律の上で措置してはどうか、かようなことを申し上げておるのでありますが、幸いに租税特別措置法を今審議しておるこの機会だから、記録にとどめるために一口申し述べておきますがこの租税特別措置法の中で、価格変動準備金百五十二億、所得のあるところにこれだけのものを控除することを認める、貸倒れ準備金百六十億、退職準備金二百二十三億、それから電力会社がもうけておるが、しかしいつ渇水するかもしれない、そのときの準備金として二十億、こういうものを認めておる。それから船舶会社の特別修繕費五億、異常危険特別積立て、これが炭鉱の場合においては十五億、それから保険会社の違約損失が六億五千万、輸出関係において五億、増資配当控除二十二億五千万円、新鉱床に関する特別措置二億円、こういうふうに、所得のあるところには課税しなければならぬのだが、しかし政治的に大所高所から考えて、これに課税しない方がいいと考えた場合においては、これに課税しないところ立法措置というものは、この租税特別措置法の中において、かくのごとく六百何十億の減税措置が講ぜられておる。そういうことが保険診療にだけできないというはずはないじやないか。私は、なぜ大胆にこの問題を取上げておやりにならないのであるか、この点も重ねて草葉厚生大臣からひとつ信念に満ちた御答弁をお伺いいたしたいと思うのであります。
  17. 平田敬一郎

    平田政府委員 前段に所得計算のことにつきまして御意見がありましたので、私からそれにお答えいたしたいと思います。  所得計算に関しましては、春日先生も御存じのように、実は税法では、収入金額から必要な経費を控除して計算する、それが大原則でありまして、それに関連しまして、若干の重要事項につきましていろいろ規定のありますことは御承知の通りであります。その中に家事に関連した経費をどう見るかということも、税法にはある程度基準は示しております。しかしそれを具体的に解釈をし、適用して行きますのは、これはなかなか簡単に問題がきまらない、簡単なことではございません。所得計算の解釈だけに関する通達も、厖大な量に上つておりますことは御承知の通りであります。それで私ども所得税行政の一番の中心は、実は事実をよく調べて、その調べました事実に基きまして税法をどう解釈をして、正しい所得を見出すかということに直接行政のほとんど大部分が置かれておるわけであります。これはもちろん御指摘通り、簡単なことではございません。相当複雑なことであります。複雑ではありまするが、そういうことをやつて初めて真実の所得が見出され、真実の所得に対して所得税がかかるというので、所得課税が初めて公平な課税としまして——近代各国ともこれが非常に発達をいたし、アメリカやイギリスなどにおきましてはさらにもつと精密な法律なり通達ができておりまして、所得解釈に関するいろいろなことをやつておるわけであります。それで私どももいろいろな場合にやつておりまするが、今回医業所得につきまして特にいろいろ問題になりましたので、ここに通達を出しましたのは、中央から、今御指摘のように税務署でできるだけ判断の余地を少くしまして、解釈を明らかにして、事実をよく調べてこういう趣旨でやつて行け、こういうことを言つておるわけでありまして、ひとり医業だけではございません。農業につきましても、内藤委員と二、三年前大分質疑応答をいたしまして、相当こまかい農業所得計算法に関する通達書を出しておることも御承知の通りだと思いますが、すべてそういうふうに、所得につきましていろいろ問題がある際は、さらに掘り下げまして、よるべき計算の基準を示しておるわけでございます。そういう趣旨でこの通達も出しておるわけでございます。従いまして、私どもこの程度でありますれば、法律違反の疑いは起き得ないで、税務署も正しい所得計算ができる、そういう趣旨におきまして出したわけでございまして、その点御了承願いたいと存ずる次第でございます。
  18. 草葉隆圓

    草葉国務大臣 お話のように、社会保険診療報酬に対します課税の問題はずつと以前からたいへん大きい問題として、その結果二十六、二十七両年度の取扱いという形で現われて参つたのでありますが、この方法につきましては、先ほど大蔵省からの話にもありますように、いろいろ検討の余地もあつて、今回の通牒になつて来た。しかし通牒はただいま平田長官からも話のおりましたように、従来の経緯にかんがみ、また第二回にはさらに府県その他の医師会長等ともよく連絡をしてという、それらの内容を含んだ実際上の、十分現実に即した方法がとられておると存じます。今後の問題につきましては、今お話のように社会保障社会保険立場から課税対象等の問題につきましては十分検討をして進んで行かなければならないと存じておりまして、寄り寄り大蔵省等とも私ども協議をいたしておる次第でございます。
  19. 春日一幸

    春日委員 ずいぶん質問して来たのだが、一向その問題が解決をしない様子でありますから、不本意ではありますが、それではひとついろいろな交渉の内容にわたつてお伺いをいたしたいと思う。  十二月初句でありますが、国会の中に医療議員連盟というのがございます。その医療議員連盟の会合の席上において、次のような事柄が加藤国務大臣から談話の形式で発表されたということが、日本医師会の雑誌に掲載されておるのでございます。なおこの会合にはわが党からも岡君並びに堂森君が医師として参加をいたしておりますので、つぶさにその当時の模様を承つてつたのでありますが、その十二月初句の医療議員連盟の公の会合の席上において述べられたことは、自由党総務会は、社会保険医療報酬に対してはその課税対象を総支払いの二四%ないし二八%とすることに決定した、こういうことを国務大臣は述べられております。これは総務会の決定でありまするから、これはこれといたしまして、さらに一箇月を経過いたしまして一月二十日ごろ、加藤国務大臣より同一の席上において次のごとく了解が求められておるのであります。すなわち、医療報酬課税については、前述のごとく文書をもつてこれを国税庁長官より地方に流すこととする——したということでもありませんから、するということに述べられておるわけでありまするが、すなわちこの自由党の総務会の決定が述べられ、さらにこのことを国税庁長官より地方国税局に流すということが、この公の席でも発表されておるのでありまするが、本件について大蔵当局に対してどういう連絡がその当時においてあつたものであるか、この点をひとつ植木次官から御答弁願いたいと思うのであります。
  20. 植木庚子郎

    植木政府委員 御承知のように、私が政務次官に就任いたしましたのは一月の中旬でございます。従つて十二月の問題につきましては、うすうす、ただうわさにその問題は承知しております。それから一月になりましてからのお話の件も、私直接に連絡は受けておりませんが、そういう事柄は間接に、そういう問題があつたようなことは聞いたことがございます。
  21. 春日一幸

    春日委員 ここに見えておる国税庁長官は当の当事者でありますが、本件について加藤国務大臣、あるいは草葉大臣からこういう通牒を地方に発すべき旨の何らかの御連絡を受けたことがあるのでありまするか、あるいは事実無根のことでありますか、ちよつと伺いたい。
  22. 平田敬一郎

    平田政府委員 私もそういう動きがあるということは聞いておりましたが、そういう趣旨通達を出してほしいという要望はどこからも聞いてはおりませんでした。
  23. 春日一幸

    春日委員 それではさらに進んでお伺いをいたしたいのであります。私も同郷の先輩である草葉大臣に対してはたいへん失礼な質問をすることに相なりまするが、事態まことにやむを得ない。昭和二十九年二月十六日参議院厚生委員会の速記録によりますると、中山委員質問に対して次のごとく答えられております。まず中山委員質問は、「この昨年の十一月の末に私が今年度の社会保険診療費に対する所得税課税率が二円乃至二八%になつた、こういうことを聞いておつたのでありますが、その後いろいろのところから情報が入りますと、この課税率の軽減に関して大蔵省内にもいろいろ意見がある、又閣議でもまだはつきりしていないというようなことを聞いておるのであります。その真相を厚生大臣から一つはつきりとお答えを願いたいと思います。」こういう質問に対しまして、草葉さんの御答弁は、「実はお話のように社会保険診療報酬に対しまする課税の問題は、昭和二十七年度の閣議決定で大体三〇%以内ということに相成つて、二十七年度はその方針でとつて参りました。そのときに更に二十八年度になりまして、二十七年度に今後のことについては更に検討するとかいう一項が加わつてつたと思う。そこで二十八年度の問題になりまして、これは二十七年度の暫定措置として行つたから、二十八年度では普通のように戻してもらいたいというのが、一応の徴税事務の当局の意見であつたと思います。併しこれは大変大きい影響をいたしますので、厚生省といたしましてはどうしても二十七年度と同様な方法、二十七年度と同じ率を以てそれ以上はいろいろな関係から認めがたい一そこで只今お話になりましたようにざつくばらんにお話しようという御質問でございまするから、そのまま申し上げますると、閣議におきましても両三度の懇談をいたしました。最後に二十八年度も二十七年と同様なことにするということで閣議了解決定をいたしました。従いまして二十八年度は二十七年度通りにいたすことに決定いたしましたから、この点御了承を頂きたいと思います。」中山委員はこれに対して「よくわかりました。」こういうことに問答が相なつておるのでありますが、さすれば現政府閣議決定を認めないのであるか、あるいはまたこの閣議決定は事実無根、虚構であるのか。この点をひとつ草葉厚生大臣から明確なる御答弁を願いたいと思うのであります。
  24. 草葉隆圓

    草葉国務大臣 これはお話通りに、二月十六日でありましたか、参議院の委員会においてそのような答弁をいたしたことは記憶をいたしております。またその通りであつたと存じます。そこで、先ほど来だんだんお話のありますように、この課税の問題は、ひいては社会保険単価の問題とあわせまして、大きい一つの問題でございまするから、閣議でも再三この実際の取扱いを相談したのであります。相談しました結果、今申し上げましたような線に沿つて、しかしこれが具体的な行き方というものは、さきに私が御答弁申し上げ、また平田長官からなり、大蔵政務次官から御答弁申し上げましたような、一つの行き方のかわりはありまするが、その取扱いの実際上の精神としては、そういう精神をもつて進んで行くというところに、さきにも申し上げましたが、いろいろ苦心をして通牒をしておられる通達、通牒等の内容があると存じます。根本の行き方におきましては、急激な変化は、この際はいろいろ影響の大きいところであるから——大体の精神はそういう精神であるが、しかし従来通りにすることにおいては、これまた疑義が相当強くある。従つて実の取扱いについては、ただいま大蔵省で取扱つておられるような取扱いをするが、具体的の問題としては、地方医師会長なり国税局長なりとよく相談をして、トラブルの起らないようにという大体の根本は、長官から先ほど答弁いたしました点と存じます。従いまして、この精神におきましては、別に政府部内において食い違つたことはないと思います。こういう方針で参つております。
  25. 春日一幸

    春日委員 ちよつと伺いますが、私の伺つていることは、その精神とかなんとかいう問題ではないのであります。ここで述べられておりますることは、すなわち税務当局からしかじかの議論はあつたのだが、それにもかかわらず、その議論を含めていろいろと検討を加えた結果、最後に二十八年度も二十七年と同様なことにするということで閣議了解決定をした。従つて二十八年度は二十七年度通りにいたすことに決定いたしましたから、この点御承知を願いたいとあなたは述べられているのであります。従つて二十七年度と同様ということは、三〇%以内にするということになるのでありますが、それは一体どういう形になつているのであるか。閣議決定を見ているのであるか、見ていないのであるか。この点明確率直に御答弁願いたい。
  26. 草葉隆圓

    草葉国務大臣 そのとき申し上げましたように、答弁いたしておりまするように、閣議了解として決定をいたしておりまするが、そのやり方につきましては、大蔵省でこれが具体的な趣旨決定、あるいは方法、そういう点については大体昭和二十七年度のような内容を含んだ意味というので、ことしのやり方は少しかわつておりまするが、そのかわつたのは、むしろ現実においてはいろいろ疑義を生ずるから、現実に即応したやり方で行くというので、そのやり方等につきましては、かわつてはおりますけれども、その行き方はそのままでございます。
  27. 井上良二

    ○井上委員 ただいまのことは非常に重大な問題でございますから、関連して私からお伺いをいたしたいのでありまするが、ただいま春日君から質問をいたしておりますのは——あなたは参議院の厚生委員会において、二十八年度は二十七年度と同様の方針でやるという決定を閣議でした、こういう明確な答弁であります。そうしますと、今あなたの御説明は、それをさらに具体化して、実行上多少の手心を加えるような注釈を加えておりまするが、そういう注釈が入つてつてもよろしいが、要は閣議で決定はつきりされておりますか。問題はそこです。そういう注釈の加わつたものも含めて閣議決定事項としてはつきり閣議は決定されておりますか。そこを伺つている。それをもう一度ごめんどうですけれども、御答弁を願いたい。
  28. 草葉隆圓

    草葉国務大臣 これは閣議におきまして、ただいま申し上げましたように、この問題の取扱い方について再三相談をいたしました。その相談の結果、大体前年のような内容を含んだ行き方にして行きたい。但しこれのやり方については、検討を加える必要がある。そういう意味の内容でありまするから、今申し上げたのであります。
  29. 井上良二

    ○井上委員 語尾がはつきりいたしませんが、私どもこの問題を解決する上において、あなたの発言が非常に重要だと思いますので、そこで実は午前中大蔵委員会の打合会におきまして、内閣官房の総務課の方に向つて、そういう閣議決定をしたことの事実があるかどうかということを総務課長の方に問合せをいたしました。そうしたところが、さような閣議決定をしたことはない、また了解をしたこともない、こういう文書が来ておりますが、違うじやありませんか。その点はどうでございますか。
  30. 草葉隆圓

    草葉国務大臣 閣議決定というその意味でございますが、閣議決定はいろいろな形において決定をするのですが、私は特に了解として決定したと申しておいたのであります。それは閣議決定は、いわゆる文書による決定が正式の決定——しかし相談の上で、いろいろやり方を相談をして、その相談の結果、今の通牒等を含めた意味においての行き方で参りましたので、従つて書類等の決定はいたしておりませんことは事実でございます。
  31. 井上良二

    ○井上委員 あなたは閣議の了解決定ということを明確に申されたのであります。従つてこれはあなたが参議院の厚生委員会で御答弁されました了解決定という意味の中に、多少新しい解釈を加えたことは了承いたしますが、さようでございましても、一応あなたは閣議決定をされたという御解釈に立つて答弁であろうと思います。そうしますと、その閣議決定了解決定であろうと、あるいは正式決定であろうと、いかにしても閣議として正式な国家の機関でお話合いの上で話が成り立つたものについては、当然その成り立つたものが正式文書として正規なそれぞれの機関に通達をされなければなりませんが、通達はされておりますか。
  32. 草葉隆圓

    草葉国務大臣 閣議において了解いたしました決定は、ただいま先刻来平田国務税庁長官から申し上げたのであります。最終決定——従つてそれが国税庁長官から各地方国税局に対しまする今後の取扱い方は、こうこうこういうふうにして行くというので、最後の結論を得た次第であります。
  33. 井上良二

    ○井上委員 私どもの調べたところによると、閣議はさような了解決定をしていない、こういうことになつてつて従つてそういう事務当局から各機関に対して必要な通達はしてないということが明らかになつておりますが、あなたの言うことと違いますね。
  34. 草葉隆圓

    草葉国務大臣 もちろん閣議が決定して通達するというのではなしに、私が先ほど申し上げましたこれは、何回かの懇談の結果了解事項として、懇談として決定をいたしたのでありますから、従つてそういう意味で私は申し上げております。
  35. 井上良二

    ○井上委員 これは大事なことですから、もう一度私は伺いますが、閣議で懇談的に了解を求めるという意味と、閣議における正式機関において了解決定という意味とは意味が違います。あなたは所管大臣としてこの問題の円滑なる解決をはかろうとして、関係大臣に必要なる了解を求めることは当然の任務であります。その結果閣議がこれを了解をして、厚生大臣の申入れ通りつておこうじやないか、あるいは関係の大蔵大臣の申入れ通りきめておこうじやないかということで、正式に閣議決定となるのです。だからあなたの了解するところという意味は、それは正式な閣議決定ではない。正式な閣議決定ではないものを了解の上で閣議決定したというさような答弁は、国会における審議の上において非常な問題を起して参るのであります。そうお考えになりませんか。
  36. 草葉隆圓

    草葉国務大臣 それは私は、実は参議院でもその点は注意して、了解として決定したと申したつもりでございます。閣議がこれを正式に文書にし、あるいは正式に閣議の議題として決定したという意味ではなしに、さようなことになつておると存じます。了解決定したと、こういう了解という字を入れましたのは、そういう意味で申したのであります。もしや不十分でありますならば、そういう意味であります。但し今お話の点につきまして、実はこの点をその後もいろいろ相談いたしたのであります。文書による閣議決定の形ということが一つでありましよう。しかし最後の結論は、大蔵省と厚生省その他関係閣僚の間に了解ができましたので、今平田長官のあの通牒の線で了解をいたしましたから、従つて形の上で現わす必要がなくなつて、それで今後の地方に対するやり方の方針決定した、こういうことに相なつたのであります。
  37. 福田繁芳

    福田(繁)委員 議事進行……。草葉さん、あなたそういう詭弁的な答弁をすると非常にぐあいが悪い。というのは、さつきからの空気で反映されて御承知のように、実はきよう租税特別措置法を上げぬと政府が困るわけです。そこで問題になつておるこの春日君の重大な質問に端を発して、こう紛糾しかかつておるのです。それで私はあなたと初めてでございますが、改進党でございまして、(笑声)改進党も社会党もかつて政権を担当したことがあるのです。そこで言いかえれば、閣議決定ということに対する書面の決定あるいは了解決定も、十分経験して知つております。あなたは大臣になられて、おそらくこのときは日が浅いものだから、御錯覚されたものだと思う。おそらくあなた自身として閣議で了解してもらうつもりであつたんじやないですか。閣議了解決定ではなく、了解してもらうつもりであつて、参議院でそういうところの御答弁をされた、こう私は考えるのですが、よくお考え直して、今からでも大局的から見ておそくないのですから、(笑声)この際お間違いであつたということを御反省なされて、お取消しになつてはどうかと思うのであります。そこであなたに対して率直な御心境を伺いたいと思います。
  38. 草葉隆圓

    草葉国務大臣 私が今まで申し上げましたように、私むしろありのままを申し上げておるわけであります。この問題は、たいへん前から政治的にまた実際的にも大きい問題でありまして、再三再四相談を具体的にはいたしたわけであります。そのいたしたこととただいまのような、最後にはもう方法はないので、こういう方法で行かねばいかないが、さて具体的にはどうするかというのが根本問題でございます。従つてその具体的の根本問題が、結論としては、さきに長官が申された形になつてつたのであります。その間のいきさつを私先ほどから実は申し上げた。あるいは不十分であつたかも存じませんが、そういう意味でございます。
  39. 福田繁芳

    福田(繁)委員 あなたも非常に御経験浅いお立場として、御苦心されたことはわれわれ了解できるのです。むしろこの際、この段階になつては潔く、二月十六日に参議院においての中山君の質問に対する答弁と、本院において先ほど春日、井上両君の質問に対する答弁の中で閣議了解決定を見たということは聞違えておつて、閣議の了解を得るつもりであつたのだと、こうひとついさぎよくお取消しになつた方がいいと思う。もう一度あらためてあなたに御進言しておく。
  40. 草葉隆圓

    草葉国務大臣 私が参議院で申し上げましたのは、ただいま申し上げたような意味でございます。
  41. 井上良二

    ○井上委員 さようですと、厚生大臣は何ですか、前二回閣議で決定したことを、今問題になつておりますその了解決定によつて、前回の閣議決定は踏みにじられることになりますが、踏みにじられた場合の処置はどうされたのですか。ただ国税庁長官の一庁の通達によつて問題は解決しておりません。もし前二回における閣議決定と三回目の閣議決定によつて事態が別なことにかわつて来た以上は、当該の利害関係団体である医師会長に了解を求めて、医師会の協力を求めた上での処置をとらなければならぬ。最初の出発は、厚生大臣医師会長との間の了解事項になつておる。それが閣議に持ち込まれておる。それが一つの税法の新しい特別措置を講じて行こうということの申合せになつて、二十六年、二十七年は過ぎていた。二十八年度を取扱う場合において、あなたが新しい別の角度を考慮せなければならぬという事態が起つたことになるならば、当然その新しい事態に対する政府の所信を利害関係団体の代表者に十分納得心さすの手を打つべきである。しかるにそれを打つてない。ただ一方的に国税庁長官をして通達をさせただけにすぎないでしよう。そこに問題の紛糾の大きな原因が横たわつておる。それと今あなたにもう一度はつきりお聞きしておきたいのは、了解決定という意味と、了解を請うたという意味とは非常に違うのです。閣議において了解を願つた、そして相手方の言うことも納得し、またこちらの立場も納得してもらわなければならぬから、そこに相身互いに、お互いの立場を調整をして了解を願つたという意味と、その了解に基いて決定されたという意味とは意味が違うのです。閣議は内閣決定機関ですから、この決定機関において相談されたことが単なる相談事項に終る場合と決定される場合とは違うのです。だからあなたははつきり参議院の委員会において了解決定されたということを答弁されておる以上は、これは閣議決定です。ところが今の御答弁によると、閣議で正式な決定になつていないというお話なのです。そこで国会に対するあなたの発言が非常に不穏当な発言をされておるということを、あなたはお考えになりませんか、了解というのと決定という意味は違いますよ。閣議において了解していただきましたから、その了解に基いて必要な措置をとらせましたというのと、決定によつて必要な措置をとらしたというのとは意味が違います。私はそう解釈するが、福田君の聞いておるのもさような意味であります。従つてあなたが前段の了解だけにおいて事を納めたというのなら、決定になつていないのですから、決定したという言葉を使つたのは不穏当である。だからそれは行き過ぎの答弁であつて決定というところまでは閣議としてはやつていない、単に関係大臣了解を求めたにすぎない、その了解を私ども納得したから、必要な措置をとらした、これがほんとうじやないですか。ところが速記録ははつきり決定となつており、その決定となつておるところにおいて国会は了承しておりますから、そこに非常に問題の食い違いが起つております。そこまで私が申せば、あなたもたいがいおわかりだろうと思う。了解事項だけにとどまつたものであるか、あるいは了解に基いて決定されたものであるか、この区切りをはつきりしてもらえばこの問題は解決いたしますから、あなたからさような点をお答え願いたい。従つて私の質問は二つになつております。一つは前二回における閣議決定と、今のあなたの報告によると、取扱いがかわつて来ております。かわつたことにおいて、関係団体にどう納得させたかということと、了解決定の意義の違う点を御説明願いたい。
  42. 草葉隆圓

    草葉国務大臣 昭和二十六年と二十七年との通牒は、先ほど来話がありました二五ないし三〇%、これはそういうはつきりした線で来ております。今回の場合は、ただいまの通牒のような次第であります。しかし昭和二十六年、二十七年のときにこれは本年限りであつて、他の方法検討するという意味をつけ加えて当時閣議決定をいたしたのであります。そこで二十八年の場合には、二五ないし三〇%というやり方、あの表現のしかたがどうもいろいろな点から考えて適当ではない、そこで精神は今申し上げた大体二十七年度の内容を持つた行き方をして行こう、二十七年度の内容のやり方をして行くが、そのやり方をどうするかということに苦慮したわけであります。その具体的な方法は、平田国税庁長官から通牒の内容として先ほど申し上げた通りであります。従いまして医師会等におきましても、地方医師会等でいろいろトラブルが起りますと、そういう線に沿つて地方国税局長なりとよく相談をする、内容は二十六年あるいは二十七年のような内容を含んだ具体的な行き方と私どもは承知して、現在も取扱つております。
  43. 井上良二

    ○井上委員 もう一つ私は質問しております。決定了解とはどうお考えでありますか。
  44. 草葉隆圓

    草葉国務大臣 私が参議院で申しましたのも、少し言葉が足りませんのでそういうことになりましたが、了解をいたしたわけであります。
  45. 井上良二

    ○井上委員 非常に大事なことですから伺いますが、二十六年度の分と二十七年度の所得税取扱いについては、当該利害関係団体である医師会会長と厚生大臣との間に、かようなことにやるというお打合せの上であの出題は解決しておるのです。もちろん今あなたの厚生省としての立場といいますか、あるいは厚生大臣としては、別に二十六年に行われたあの処置と精神的には何らかわるものでないから、従つてさようなことを相手の医師会に厚生大臣として了解を求める必要はない、こういうふうにお考えになつたかもしらぬが、しかし今のいろいろな説明を聞いておりますと、二十六年、二十七年の取扱いの事態と、今度あなたが関係大臣との間に了解を求め、またあなたもそれを了解されてやろうとされる事態とは、非常に事態が変化しておる、かわつておるのであります。かわつて来たから問題が起つて来ておる。そうすると、あなたはその利害関係団体の監督指導の重大な責任にある大臣として、この問題の解決について当然医師会に対して、新しく了解を得られました事項について、了解を求めるの措置を講ずべきであります。この前の決定とは違うことになつたが、しかし取扱い方については前年度を踏襲して、大きな変動、変化を与えないということを、十分徴税の担当官に注意をするように処置をしておいた上、万々一トラブルが起るようなことがあつた場合は、私の方で十分関係当局とさらに打合せをするから、ひとまずこの措置によつて了解を願えないか、こういうことを医師会会長にあなたが十分納得得心さすならば、この問題は起らない。それをやつていないでしよう、それともおやりになつたか伺いたい。
  46. 草葉隆圓

    草葉国務大臣 この点につきましては、医師会並びに歯科医師会関係者には、それぞれこの内容並びに今までのいきさつ等もよく伝えておきましたので、最近は歯科医師会等におきましては、本部から各府県に具体的に通知を出したと存じております。
  47. 春日一幸

    春日委員 これはまことにもつてけしからぬ事柄であろうと思うのであります。ただいま承りますところによりますと、今までの三〇%以下というその課税方針は、これはいけなかつたから、この一月十九日の通牒の第一項目から第五項目によるような方法で行くのだ。ところがその結果は、とにかく去年と同じような課税になるようにという了解事項だと、こう言われる。去年のやり方が間違つてつた、だからこれを修正してこの新しいやり方でやる。ところがその結果は去年と同じ結果になるようにという了解に達したということは、これはやおちよう課税ではないか。こんなやおちよう課税国民が納得すると思いますか。あるいはこんな医師歯科医師だけにいろいろ法律上の疑義があるという。疑義があるならば、その疑義をただすべきではありませんか。その疑義はほつておいて、ただ単に体裁だけをつくろつて、結果は同じになるような了解に達したからそれでよいと言われるが、問題はそこに一つ生じて来る。はたして同じ結果になつておるかどうかが問題であつて、これは医師会方面の主張によることであります。ところがそれはなつていないから、ここにすでに問題が起きておるのだ。そういうやり方自体は違うものさしではかつて、同じ寸法が出るというようなこんなやおちよう課税国民が納得すると思いますか。国会がそういう徴税行政を看過してよいとお思いになられますか。この問題は私は重大であろうと思う。  さらにもう一つ伺いたいことは、この段階に至つて一われわれは冷静にこの事態の経過並びにてんまつを分析して判断して、そうして誤たざる決定を行わなければならぬと思う。私が冒頭に申し上げております通り、この問題については、医者はもとよりでありますが、国民も、それから各政党も、ひとしくこれは重大関心事でございまして、だからわれわれはこれに対していろいろな意見を述べなければならない。しかしながら、こういう問題に対する私どもの代表であるところの岡君であるとか、あるいは参議院の堂森君、こういうような諸君がその会議に出ますと、加藤国務大臣がおつしやつたように、これは三〇%以下である、これは去年よりもベター・サービスだ、二四%ないし二八%と総務会で決定をし、それでいいということで党に報告され、党を通じて国民に報告される。その後二月十六日に至つて、これは国会の公の委員会において、大臣の御答弁によつて、これは二十七年度と同じように決定したのだ。だから中山委員を初めわが虎の厚生委員諸君も、各党の委員諸君も、去年の通りならばまあしようがないだろう。こういうことで納得して来ている。そうして今や租税特別措置法は明後日からとにかく実施しなければならないところ段階に来ておる。いろいろな問題を処理しなければならないのだが、かりにこういうような事柄がいけないんだ、去年のやり方はいけないから新しいやり方でやるんだということがあなたの方からオフイシヤルに発表されておつたならば、各党ともそれぞれの意見があつたでありましよう。また租税特別措置法立法措置の中においても、本委員会はこの問題を取上げてさらにいろいろと技術的に操作をするだけの余裕があつたと思う。ところが加藤大臣は大丈夫だ、草葉大臣は大丈夫だ、大丈夫だからよかろうというので今日まで在韓日をけみしたことになる。そして今一日、二日というところになつて、あれはどうも閣議決定じやなくて、閣議の了解を得たように思つてつたとかなんとかいうようなことでは、これは問題が重大であつて解決はつきません。私は問題がここに来ると思つたので、この問題は各党のありのままで判断をして、そうして穏便な、しかも適切妥当な結論を得なければならないと考えて、午前中長時間にわたつてことさらにこの委員会を開かないで、懇談会でこれに対するいろいろな意見の交換を行つた。しかし結論に到達しないで、記録にとどめることのために委員会に入つたわけなんだ。ところがあなたは、二月十六日の参議院における厚生委員会の御回答に対しても責任をお持ちにならぬ。そんなことではいけない。あなたが責任を持つて二十七年度と同じであると答弁されたならば、あくまでも二十七年度と同じところの執行をされるだけの責任がある。それを今あなたが取消すとか取消さないとか、そんな問題じやない。あなたがそう言われたなら国民責任をお持ちなさい。そして二十七年度と同じ決定になるんだと委員を初め国会議員にあなたが保障されたら、あなたが責任を持つて同じ結果を得るような努力をされる責任があるのは当然のことだと思う。それを今間違いであつたとか間違いじやないとか、そういうことは町内会の寄り集まりの申合せ事項とは違う。少くとも委員会答弁に対して大臣責任を負わないということは断じて承服できません。そんなことは国会を瞞着し国民を愚弄するものだ。このようなことは許されません。大臣は二月十六日の参議院におけるあなたの答弁にどういう形でもつて責任をとられるか、この機会にあらためて御答弁願います。
  48. 草葉隆圓

    草葉国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、今後の一切の運営は、各地方におきまする実情に照しまして、いろいろトラブルがありますれば、厚生省も大いにこれに協力をして解決するようにいたそうというので、医師会歯科医師会等とも相談をいたしている次第であります。従いまして、昭和二十八年度で取扱います取扱い内容は、今平田長官からああいう通牒が出ておりまするが、その内容については二十七年度の内容を持つた行き方地方でも取扱つてもらいたい。こういうので進んで参つております。
  49. 春日一幸

    春日委員 二十七年度の関係ということは、二十七年度の結果と同じような措置を講じてもらいたいということに了承したのでありますが、さすればこの機会に重ねて私は渡邊主税局長にお伺いをいたします。十二六、七年度の閣議決定に基くところのこの徴税方式と、この一月十九日の長官通達に基くところ徴税方式とは、明らかに違つておる。違つておるその方式、尺度をもつて測定した結果が同じ寸法であるというようなやおちよう的な課税方針というものが、徴税制度として許されていいものかどうか。この点をひとつあなたからまず御答弁を願いたい。
  50. 渡邊喜久造

    ○渡邊政府委員 税法の建前から見まして、そこにいろいろ問題がありますので、本年度におきまして新しい行き方をとろう、そこで平田長官からの通牒にありますように、税法の許す限りにおきましてできるだけ見て行きたい、こういう行き方になつておるのだと思います。
  51. 春日一幸

    春日委員 それでは私は平田国税庁長官にお伺いをいたしますが、去年と同じような結果の出るような別の取扱いの方式をきめてくれ、こういう御相談を厚生省当局から受けられて、よろしいといつて御回答をなすつたから、これですなわち閣議の線がまとまつた、こういうことに私は了解せざるを得ない。去年と同じような結果になるということは、すなわち保険診療収入に対しては三〇%以下であるということになるのであるが、あなたは三〇%以下にする通牒を出されたかどうか。この点をひとつ御答弁願いたい。
  52. 平田敬一郎

    平田政府委員 私どもの方は、先ほどからそのままを読み上げたのでございまして、その通達そのままの趣旨をよく実情に適するようにやる、それだけでございます。
  53. 春日一幸

    春日委員 それでは大臣答弁と食い違うではないか。大臣は去年と同じ結果が出るようにひとつ措置をとつてくれということを税務当局お話をして、税務当局はそれを承認して意見の合致を見たという御意見である。ところ国税庁長官答弁は、そんなことは全然知らない、すなわち、こういうような通牒を発して、この通りをやりなさい、その結果どういう形になろうとも、二〇%になろうとも八〇%になろうとも、これについては何ら言及されてはいない。これでは言うことが違うではありませんか。われわれは社会保険診療というものを考えているが、その税金については、閣議においても了解決定に至つておるのだから、従つてそういう方式でひとつ徴税してもらいたい、こういうことを医師歯科医師と相談され、その努力をもつて国税庁と折衝される。そこに法律上の疑義があれば、その疑義をただすことの立法措置が必要となつて来るであろう。ただいま国税庁長官は、技術的に完璧を期したものでなければならぬと言つておるけれども、そんなことはあたり前のことである。法律が未熟で欠点だらけであつてはいけない。従つていかに困難であろうとも、その困難を乗り越えて、その法律の完璧を期するための努力は払われなければならない。私をして批判せしめるならば、これはずさんな通牒だ、それは非常に狂うところのものさしなんだ、伸び縮みができるゴムひものようなものさしなんだ。そんなものでものをはかつて、それで徴税行政がうまく行くと思われますか。しかも二十六、二十七年度は三〇%ということである、そういう結果が出て来る。そうすると、課税金額がそのものさしではかり出されたが、今度全然別のやり方で同じような結果が出て来るような徴税を行つてくれというようなことを言われて、もしそれをあなたの方がよいと言われるならば、それはもう徴税制度の混乱です、秩序の混乱です。正直者がばかをみるような立法措置を何でする必要があるか。国税庁長官の独断でどんなことでもできる、通牒一本で課税ができることを許すならば、所得税法も法人税法租税特別措置法も全然いらなくなる。通牒一本でよいということになつてしまう。そんなめちやくちやなことはありません。これは責任ある答弁を要するから、さらに伺わなければ承知できません。
  54. 平田敬一郎

    平田政府委員 私先ほど通達を三つくらい読み上げましたが、その全部をひとつ総合して判断していただきたいと思います。結果が前と同じようになるとは言つておりません。ただこういうことは申し上げております。「なお、従来の経緯に顧み、昭和二十八年分の業況が前年に比して大差がないにもかかわらず従前取扱が廃止されたことにより所得金額が著しく増加する向については、必要経費算定につき特に配意する等、できる限り実情に即するよう十分留意されたい。」これは率直申し上げて、つけ加えております。しかし率が三〇になるようにという通牒はいたしておりません。またそういうことは、私どもとしましては事柄の性質上、それを改めるのが今回の主たる趣旨でございますので、とうていむずかしいのではないかと思います。ただ今申し上げましたように円滑にやれということと、それから激増する向きに対して、特に注意するようにということは、先ほど厚生大臣お話になつておりますような趣旨を、私どもとしましては相当組み入れて行つておるつもりでございます。
  55. 井上良二

    ○井上委員 非常に大事なことだから伺いますが、厚生大臣のおつしやることと平田国税庁長官お話とではこの問題解決の上に非常な食い違いが起つております。厚生大臣は、さきに春日君からも読み上げましたように、参議院の厚生委員会においては、二十八年度も二十七年度と同様にすることに閣議の了解決定をいたしました。つきましては、二十八年度は二十七年度通りいたすことに決定いたしましたから、さよう御承知を願いますという答弁をされておる。従つて厚生大臣のそのときの考え方は、国税庁、大蔵当局との間において、厚生省の立場了解されて、二十八年通り徴税が大体無理なしに行われるだろう、そういう考え方でこの答弁はされているのだろうと思う。ところ国税庁長官から出ました通達というものは、前年度より増加する分については、そこで多少の配慮を講じてやれということであつて、それはまつたく商談地方税務署の署員の良識に基く尺度にこれをまかしておるのであつて、全然その意味が明確化されておりません。そこで問題が起つて来ているわけです。ある地方の税務署では、二信になり三倍にもふつかけて来ておる、そういうことが至るところに起つて参りましたから、問題が紛糾して来たのです。だからあなたが参議院厚生委員会答弁をされた趣旨が、国税庁の方において十分了解され、税務署においてもそれに基いて取扱いが行われておりますならば、これは問題になりません。そういうことじやなしに、それとはまつたく逆な結果が至るところに起つて来て、それがこの法文化を必要とする議論になつて来て、この租税特別措置法で何とかならぬかというところへ来た。だからそこを両方が誤解されておつたのでは話になりません。国税庁の今の通達に関する答弁で、あなたが参議院の厚生委員会答弁した通り答弁になつておるとあなたは思いますが、それをまず伺いたい。それから聞かぬととても話がつかぬ。
  56. 草葉隆圓

    草葉国務大臣 先ほど来だんだんお話申し上げました内容を持つた通牒、これはあるいは場所によりますと、この通牒がはつきりしないような場合がある。その場合にはよくはつきりするように医師会等とも連絡をして、医師会等が当該国税局等と十分連絡をして、そして納得の行くようにという心持を持ち、またそういう態度をとつてつておるのであります。
  57. 井上良二

    ○井上委員 私は、この問題は少くとも閣議に持ち出されて、関係閣僚の間で了解された事項、であると思う。この了解された事項が、厚生大臣の口を通して国会において答弁をされている。その答弁をされたことが実行にあたつて、閣議の了解事項が具体的に支持されてないということになつて来ますと、問題は一応もう行政的な措置だけではいかぬことじやないかと思う。閣議決定といえば、少くとも政府の最高の機関において了解されたことです。その了解されたことに聴いて厚生大臣が国会でこれを答弁しておる。一方その答弁通り行われておるかと国税庁通達を見ると、非常に疑わしい通達になつておる。そういうことになりますると、法文化するより方法がないじやないか、実際法文化より行く道はありません。閣議了解事項をひつくり返してみたところが、多少気がねをした通達だけになつてつて、少しも二十七年度の徴税実績というものを尊重してやろうというのじやなく、増加した分については、特別な考慮を加えてやれというくらいのどちらにも解釈のできるような通達になつておるということからして、そうなつて来た以上は、ここでどうだこうだと言つてみたつて実際上問題になりません。暫定措置としては、これをやはり法文化して明確化しておくより解決の道はないと考えます。いずれ後ほどこの問題に関連する質問が終りましたら、一応委員長の方においてもこの問題についての解決の道を見出すように、もう一度休憩をされて、懇談に入りたいと思います。
  58. 滝井義高

    滝井委員 関連して……。今春日委員から社会保険課税の問題に関する重要なポイントについての御質問が行われましたが、私社会保険の問題を割合に専門的に当つておりますので、一、二点質問しなければならぬと思います。三年前にこの問題が決定をせられた経緯を考えてみますと、大体において当時の一点単価が十一円五十銭、甲地は十二円五十銭、こういうものではやつて行けないというので、当時の医師会の幹部と厚生当局との間の政治的な取引によつて行われたのがこの問題でございます。ところがその政治的な取引で行われた問題、同時に課税の問題として閣議決定となつて現われたのが、いわゆる二五%から三〇%の課税社会保険についてはやるんだ、こういう閣議決定了解事項が出て来たわけなのであります。ところがそれから三年経過したこの昭和二十九年度において、昭和二十八年度の課税をやる段階になつたときに、その閣議決定の線がなぜくずれたかというと、大蔵大臣は二つの理由を私の予算委員会における質問で述べている。まず第一には、他の納税者との関連、第二番目には、いずれにしても二五%、三〇%の課税をするということは、会計検査院の摘発を受けて処置に困る。従つてこれはどうもできませんというのが大臣理由であつたのでございます。従つてそういう理由によつて、いわゆる政治的なニユアンスのある解決をした問題を、ここで二五%ないし三〇%をぴたつと一応押えて、普通の租税の支払いの仕方における図書費とか研究費、学会への出張旅費というような経費の形で落して、今まではあまり厳重に見ておつたので、それを今後比較的ゆるやかに見て行こうというのならば、これは普通の処置なんです。従つてこれは会計検査院その他には触れないでしよう。ところが問題は、今度の単価の問題にこの問題が同時に響いて来る。日本医師会の首脳部は、三年前の政治的な取引が現実において破綻を来したために、武見副会長も、榊原副会長もすでにやめております。なぜやめたかといえば、税金問題が自由党総務会の決定の二〇ないし二八%のはつきりした線が出なかつたために、日本医師会の首脳部は全部やめております。従つて現在の日本医師会の首脳部がやめたことによつて、ここに具体的な新たな政治問題として、昭和二十六年に起つたところ単価の問題が起つて来る。昭和二十六年の甲地区の十二円五十銭、乙地区の十一円五十銭にあつてさえも、これでは社会保険の良心的な診療を担当して行くためには低いという結論のもとに、課税面で軽減されておる。ところがすでに三年を経過した現在においては、十二円五十銭、十一円五十銭でやつて行けぬことは明らかだ。従つて税金の問題において破綻を来し、単価の引上げもどうにもならないというところに、いわゆる日本医師会の幹部の総辞職がある。これはひとり日本医師会の問題ではなくして、日本の社会保障制度を推進して行くところの厚生行政の重大なポイントだと思う。そういう点から考えて、課税が今までと違つた線に持つて行かれ、単価もそのままにすえ置かれるとするならば、その一切のしわ寄せは、社会保険の中枢であるところの勤労大衆、あるいは農村における国民健康保険に一切のしわが寄つて来ることは火を見るより明らかである。そういう状態に置くことは、私は許されないと思う。もし大臣の今の御答弁のように、閣議了解決定をしたというあいまい模糊たる政治的決定によつてこういう問題が解決せられ、しかもそのあいまい模糊たる政治的決定によつて税務当局の出先の税務吏員のきわめて主観的ないわゆる筆先だけの決定によつてこの社会保険に対する課税が行われて行くとするならば、今まで長い間この委員会で論議していただいたこういう問題は、何らこれは確とした結論が出せないという状態になつて来る。われわれは、少くとも私は、一人医系の議員でありますが、こういう線を確定した線として了解いたしております。すでに大蔵大臣も、二月二十六日の私の予算委員会第一分科会においての質問に対して、今まで二十六年、二十七年はそういう三〇%でやつて参りました。しかしさいぜん申しますように、納税者に対する意欲の問題とか、会計検査院等の問題もありますので、学会や研究費等で必ず所期の目的を達します。こう言つた。所期の目的というのは、二十七年、二十六年に行われたその率でやるということです。これはあなたもすでに参議院で言明せられた。ところが現実にわれわれが地方医師会に行つて調べてみますと、現在医師会は三〇%以上で申告しております。なぜかというと、出先の税務当局はそのくらい申告してもらわなければきかないのでございます。従つてこういうふうにすでに一応われわれが了承しておる問題が、出先に行つた場合にまつたく混乱するということは、これは明らかに国税庁長官責任と言わんよりか、私は大蔵大臣責任であり、しかも医業行政を推進して行く厚生大臣責任でなければならぬと思う。少くとも閣議決定をしておるというあの速記録の線がほんとうであるならば、あすでも大臣はもう一回この問題を閣議に持ち込んで、はつきり閣議決定をして、ひとつ平田国税長官の方に通達してもらいたい、それが大臣できるかどうか、御答弁願います。これが私はポイントだと思う。
  59. 草葉隆圓

    草葉国務大臣 実は先刻から再三申し上げましたように、この問題は数回閣議で懇談その他の形におきまして相談しました。これはお話のように、昭和二十六年来のまことに大きい問題であります。しかもこれの取扱いによりましては、社会保険単価にたいへん大きく響く問題であります。そういう意味におきまして慎重にこれを検討し、何とか方法を講じておかねばならないということで、だんだんせんじ詰めて、先ほどるる申し上げましたが、今のようなことに相なりました。これが末端に参りました場合に不十分な結果になつたというただいまのお話でありますが、これは厚生省も大蔵省も——今大蔵大臣答弁等もお話になりましたが、よく相談して参つたのであります。従いまして、地方でこれらの点について所期の目的が不十分なような場合は十分連絡してもらつて、不十分でないようにして行こうじやないか、現在の税法のもとにおきましては、この方法をもつてする以外にはないのじやないかというので相談をしながらやつたのであります。
  60. 柴田義男

    柴田委員 厚生大臣にお尋ねいたしたい。大分議論が尽されたと思いますが、結局単価の問題が税金の問題に関連して来る、これはだれもわかることでありますが、この単価の問題が戦前十五銭だつた。そうして現在乙地で十一円八十三銭でございます。そうすると、この指数から申しますと七五に上昇しております。諸物価の今日の状況はいかがでございましようか。大体戦前の三六七、八から三七〇というのが標準の物価指数でございます。この報酬単価の七五と物価指数の三七〇と比較いたしました場合に、四分の一しか当つておりません。こういう非常に低い報酬を押しつけておりまして、もしもこの税制の問題がこんがらがつて地方におきまして保険に関係を持つ医者が全然診療ができないというような問題が起きた場合は、当然厚生大臣責任であると私どもは考えるのでございます。そういう事態が生じました場合はどのような御処置をおとりになるのか、承つておきたいと思います。
  61. 草葉隆圓

    草葉国務大臣 実はそういう事態の起らぬように努力をし、また苦労をいたしておるのであります。現在はほんとうに単価が安いと存じます。しかしこれを改めますことはいろいろな面に影響が大きいので、現在開業していらつしやる医者の方々は相当御苦労をいただいておると感謝いたしておりますが、にわかに単価の改訂等は困難な状態であります。
  62. 福田繁芳

    福田(繁)委員 この問題は実に大事な問題であつて、本委員会がいかに関心が深いかということは草葉大臣も御了承と存ずるのであります。元来現内閣において草葉大臣ほど純情で、公平な、責任観念の深い方はない、われわれは大いにそこに期待しているわけであります。同時に局長並びに長官諸君も、このまま置いておきますならば、この純情な厚生大臣を苦境に追い込むということになつて、この内閣が十日や十五日続くかわからないが、今のうちから両省の対立を見るということは、われわれとして嘆かわしく存じますので、あらためてよく御協力するように願いたいと思います。  そこで委員長に申し上げるのでありますが、本日は租税特別措置法に関して、涙ぐましいほど与党の諸君がじりじりと非常に御心配されておりますので、一応このあたりでちよつと休憩されて、厚生大臣は参議院の方の本会議で待機しておられるらしいから早く行つてもらう。同時に本委員会は休憩して理事会を開いて、この法案をいかに処理するかということを、超党派的に各委員で協議してもらうようにしてもらいたい、これを委員長に私は動議として提出いたします。
  63. 千葉三郎

    ○千葉委員長 いかがでございますか、ただいまの福田君の御発議のごとく決定してよろしゆうございますか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  64. 千葉三郎

    ○千葉委員長 御異議がないようでありますからさよう決定いたしまして、しばらく休憩いたします。    午後三時五十分休憩      ————◇—————    午後三時五十九分開議
  65. 千葉三郎

    ○千葉委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  租税特別措置法の一部を改正する法律案を議題として質疑をさらに続行いたします。井上君。
  66. 井上良二

    ○井上委員 この租税特別措置法で、今度新しく交際費一定限度を越えない部分については損金に繰入れ、さらにその残る部分についての二分の一以上に課税するということになつておりますが、このうちで、この法の適用を受けますのは資本金が五百万円以上ということになつておりますが、五百万円以上と押えました理由はどこにありますか。五百万円以下のものは恩典を得ることができませんのか、この点を伺いたい。
  67. 渡邊喜久造

    ○渡邊政府委員 五百万円以上と押えましたのは、大体小さな法人につきましては、そうした制限の必要はあるまいというので五百万円以上と押えたわけでありまして、これは今恩典とおつしやいましたが、その実は、この規定の適用を受けない場合におきましては、交際費についての制限とか、そういつた意味のものはないというわけでありまして、むしろこの規定の適用を受けるものだけが一応交際費について制限を受ける、こういうわけのものであります。考え方としましては、そうした小さな法人を抜かしました理由のものは、現在とかく交際費としてうわさのありますのはいわばお雇い重役的な性格のものじやないか。しかし五百万円に足らない小さな会社で、いわば同族会社的なもの、そういう会社におきましては、そうむだな交際費も使うまいし、従いまして特にこういう制限も必要あるまいじやないか、こういう点が一点と、それから前会同じような提案がなされ、議論がなされましたとき、小さな法人におきましては、帳簿の整理などが不十分であり、あるいはこれに対する税務署の署員のいろいろな調査という点においても、トラブルが多いじやないか。しかし五百万円以上ということになりますと、これは実は調査課所管のことになつておりますので、調査課所管になれば、税務署の調査に参る者も相当の年配でもあり、経験も知識もあり、それやこれや考えまして、調査課所管のそうした法人だけにこうした制限の規定を適用したらいいのじやないか、これはむしろ規定の適用を受ける会社の方が一応の制限に当るのでございまして、小さな会社にはそういう意味の制限は必要あるまい、こういう意味で今申したような趣旨の提案をした次第でございます。
  68. 井上良二

    ○井上委員 それからこの交際費の規定について一応定義的なことが下されており戻す。つまり「交際費等とは、交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、きよう応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するもの」と、非常に範囲が広く解釈されるのでありますが、得意先、仕入先その他事業に関係のある者というのはどういうことでありますか。
  69. 渡邊喜久造

    ○渡邊政府委員 得意先、仕入先、これはあらためて申し上げるまでもないのであります。その他事業に関係のある者、これは現実の事実としてわれわれ見て参りますと、あえて得意先、仕入先という名前には入りませんが、その事業関係の者、いろいろあろうと思います。そういう人たちにやはりこういうことをやるのが事実でございまして、これを得意先、仕入先の者だけに限定するのもおかしかろうというので、その他事業に関係のある者等に対する饗応、接待もやはり入れるべきじやないか、かように考えておるわけであります。
  70. 井上良二

    ○井上委員 この「その他事業に関係のある者」ということになつて参りますと、たとえば政府が監督し、またはいろいろな物資の割当あるいは許可、認可、そういう関係から役所の人がその会社へ行きまして、そこで接待を受ける場合にはこの中へ入りますか。
  71. 渡邊喜久造

    ○渡邊政府委員 その他事業に関係のある者というと、私思い違いもしておりましたので、ここで補足させていただきますが、この中にはその会社の重役さんなり、それから部長とか、そういつた者がお互いに一緒になつてやる場合もやはり入るものと考えております。それから今お話のような場合もいろいろあろうと思いますが、そういう場合もやはり入るものと考えております。
  72. 井上良二

    ○井上委員 役所から当該工場や会社に行つて必要な調査、必要な指導監督をいたします場合は、必要な旅費、必要な宿泊費というものが支給されて参ります。それを会社の方が料理屋、待合等で宴会をいたしまして、そこで必要な経費として交際費を認めるということは矛盾しませんか。
  73. 渡邊喜久造

    ○渡邊政府委員 これは認めるというのが私にはちよつと——これは多少井上さんに誤解もあるのじやないかと思いますが、役所の若が会社等に行きまして接待を受けるというようなことは決して好ましくないことであり、厳にこれは避くべきことであると思いますが、しかしこれは、一定の範囲の交際費はもうできるだけ節約しろ、こういう趣旨の規定なんでありまして、もしそういうものがあつた場合の話でございますが、そういうものを節約すべき交際費の範囲の外へ出すのはむしろおかしいのじやないか、こういう考え方に基いておるわけであります。
  74. 井上良二

    ○井上委員 これは趣旨として、われわれは交際費課税をすべしということをやかましく主張して来ておりますから、そのたどつておる方向についてはわれわれ原則的には賛成でありまして、こういう強制的な交際費抑制の措置をとるべきじやないか、単に制限を加えるだけではなしに、制限を加えるとともに、節約された分についてさらに資本に組み入れて行く場合には、それ相当の減税の措置を認めるという方向に考えることが一つであるとともに、大体これの算出の基準を出しておりますけれども、いろいろ検討しますと、これらの算出の基準というものがなかなか問題が多いし、なおかつこれを七〇%というところで押えておるところに、われわれとしては非常に問題があるわけであります。少くとも政府みずからが国民に耐乏を求め、奢侈的消費をできるだけ抑制して行こうというときに、交際費だけは七〇%認める、さらにその後また一五%を押まて、実際は八五%まで認める、こういうことになつているわけです。だから少くともこれはもつと率を低く押えてやるべきじやないか、全然交際の必要はないということは申しませんが、しかし今まで交際費があなた方の推定においても七、八百億くらいあるじやないかと思う。われわれの推定では少くとも千億を越しておるじやないかと思うが、そういう面がいたずらに発展するために、不案不急の建物がどんどん建つて、かんじんの人間の住む住宅はほとんど建つておらぬ。この実情から見ましても、この面に対する思い切つた重税を加えて行くということが、当然あなたとしては考えなければならぬことではなかつたかと思う。どういうわけで一体八五%も認めなければならぬかというところに、われわれとしては非常に政府税制の面における主張と異なつた結果がここへ出て来ておるのじやないか、こういうふうに私ども思うのですが……。
  75. 渡邊喜久造

    ○渡邊政府委員 七割がいいか、あるいは五割がいいか、六割がいいか、これはいろいろ御意見のあるところと思いますが、政府といたしましては、やはり会社におきましてもそう今までのことを極端に急に云々ということも問題がありましようし、大体この程度がよかろう、それでその範囲を越えたものを半額だけ損金に算入しないということになつております。これが八割五分になるということは、正直なところちよつと違うわけでありまして、八割五分ということになりますれば、たとえばある会社が七割五分であるという場合には、全然この規定にかからないわけでございますが、現在御提案申し上げております制度は、七割五分の場合におきましては、その五分についてはその半分、すなわち二分五厘に当りますが、これはやはり損金に算入する。従来と同じように、百が百あつた場合には三割だけ超過する、従つてその三割の半分、こういう場合には井上委員のおつしやるように、ちようど八割五分に当りますが、八割五分に制限したというのとはちよつと意味が違う、これはよくおわかりだと思います。一応そういう趣旨で、とにかく七割程度というものを基準とするのが適当ではないかと考えた次第であります。
  76. 井上良二

    ○井上委員 次に法人が増資を行つた場合、利益配当金の一部を免税とするということになつておりますが、この場合、これらの法人に対する業種を指定しております。製造業、鉱業、建設業、運輸業、通信業、これらに大体限つておりますが、どういうわけでこれだけの業種に限つたのですか。
  77. 渡邊喜久造

    ○渡邊政府委員 その他命令に定めるものというのがございまして、これにつきましては、実はお手元に政令で定める事業の種類を御配付申し上げていると思つております。まだ最後の決定に至つておりませんが、現在われわれの趣旨は、すでにたびたび御議論があつたと思いますが、法人の自己資本をできるだけ充実さして行きたい、こういう趣旨から出ているわけであります。従つてその範囲は、相当広く認めて行くつもりであります。ただこれは、そういうのをあげていいかどうか多少疑問があると思いますが、たとえば待合、料理屋といつたようなものも法人があるわけでございますが、そういつたものまで自己資本充実の必要があるかどうかということになりますと、これはいかがかというふうな感じがいたしますので、この際そうした自己資本充実という面におきましても、特に推進すべき業種と考えられたいような業種だけをむしろのけるといつたような趣旨におきまして、これの適用を受ける業種を規定して行く。こういうつもりでその他の政令に定める業態につきましても指定して参る、こういうつもりで、実はお手元に資料を差上げてある次第であります。
  78. 井上良二

    ○井上委員 もう一点、今度の特別措置法で鉱床の探鉱を容易ならしめるための機械設備の必要経費を認めるとか、あるいはまた鉱床を探すための機械設備を取得したとき、新鉱床の探鉱に支出したときというような特例を設けて損金に算入しない、こういうことになつて、おります。この鉱床の探鉱を容易ならしめるというが、一体そういう措置を講じる必要のある場所、つまりこの減税措置に該当し得る年間の見込み場所、それからそれに必要とする機械設備、あるいはそういう措置によつて新鉱床は一体どれだけ発見され得る見込みを持つておるかというこの二点と、それからこれは政務次官に伺うのですが、御承知の通りわが国の探鉱の機械設備といいますか、採炭の施設の老朽化等によりまして、非常に炭価が高くついておるために、外国石炭と比べて非常に炭価が高いので、これが工業原料として動力源に、また熱源に使います場合、非常なコスト高になる。それよりも輸入の重油を使つた方が停電その他にもさしさわりなしに行けるというところから、恐ろしい勢いで工場の動力が重油化されておる。また国内の炭価が高いところへ持つて来て、今申したような外国燃料源によつて圧迫されておる。両方からして滞貨が非常に多い。滞貨が多いところへ持つて来て、こういう新しい措置を講じてどれだけ一体炭価が引下げられ、わが国の生産コストがこの措置によつてどれだけ一体下るかということが具体的にねらわれませんと、この措置は結局炭鉱業者だけの利益になつてしまつて、全般のわが国の生産力に役立たぬことになつて来る。そういう点に対して政務次官はどうお考えになりますか、あわせて伺いたい。
  79. 渡邊喜久造

    ○渡邊政府委員 最初に私に対する御質問からお答えしたいと思いますが、これは本委員会でも前に御答弁申し対げたのではないかと思つておりますが、この新しい鉱床のための探鉱が必要なといいますのは、もちろんコール・マインの関係も入りますが、主として金属関係が非常に多うございまして、通産省との話合いによりましても、大体金属関係の鉱床の探鉱費について何か特別な措置を考えるべきじやないだろうか、こういうような筋で参つて来ております。と申しますのは、石炭の関係でございますと、上の方からボーリングなどしまして、一応どの程度に炭があるかといつたような点がかなりわかるようでございます。ただ金属の関係におきましては、それがなかなかわかり切らぬものですから、特に金属関係におきましては、新しい鉱床を引続き探して行きませんと、日本の将来における金属鉱業というものが今のような程度の生産も維持できなくなつて行くのじやないか、こういうような見通しがあるようでございまして、それに基きまして実はやつておるわけでございます。具体的にそれではどこでどういうふうなという点につきましては、これはおしかりをこうむるかもしれませんが、現在手元に資料がございませんので、あるいは遅れて恐縮ですが、後ほどでよければ、通産省の方から取寄せましてお目にかけたいと思います。
  80. 植木庚子郎

    植木政府委員 ただいまの渡邊政府委員答弁によつて了解できたと思いますが、石炭の問題と申しますよりは、石炭以外の鉱物資源関係の採鉱を主とするものでございます。従つて石炭についてただいまの御質問に当りますような資料は、私も今手元にございませんので、さよう御了承を仰ぎたいと存じます。
  81. 井上良二

    ○井上委員 そうすると、これは石炭には全然関係はないのですか。
  82. 渡邊喜久造

    ○渡邊政府委員 規定の趣旨からいたしますと、石炭を特に除外している規定ではございません。ただ現在盛んに採鉱をしながら新しい鉱床を求めているというものは、金属関係であり、同時にその必要の痛切に感じられているのも金属関係であります。こういうような意味でございます。
  83. 井上良二

    ○井上委員 石炭はこれに適用しないのですか。
  84. 渡邊喜久造

    ○渡邊政府委員 冒頭に申しましたように、法律の上から言いますと、石炭についてもこの法律は適用がございます。ただ要するにこの法律の規定を御制定願いたいと思いまして御提案を申し上げました理由は、メタル・マイニングの方にあるということで、従いまして石炭の方におきましてこの規定の適用を受けるというのは、むしろ割合に少いのではないかということを申し上げているわけでございます。
  85. 内藤友明

    ○内藤委員 私は動議を提出したいと思うのであります。それは先ほど医師及び歯科医師社会診療報酬に対する昭和二十八年度の所得税の問題につきまして、政府質疑応答があつたのでありましたが、これに関連いたしまして、本委員会といたしまして意思を定めまして、委員長から議長を通じ、政府にこれがほんとうに実現するように申入れを願いたい。その動議を提出したいと思うのであります。この案文をこれから朗読いたします。   医師等の徴税に関する件  医師及び歯科医師社会診療報酬に対する昭和二十八年分の所得税課税については、従前採られた標準率に関する特別の措置がこの年分から廃止された事情等にも顧み、その業況が前年に較べて大差のない者の負担額が、この措置が廃止されたことによつて著しく増加することのないよう、政府課税上特段の措置を講ぜられたい。  右決議する。  なおこの問題につきまして立法すべしという議論もありますので、この点につきましては、願わくは委員長におかせられまして、税制委員会において十分御検討願いたいということを付言いたしまして、動議を提出いたします。
  86. 千葉三郎

    ○千葉委員長 ただいまの内藤君の動議について採決いたします。内藤君の動議のごとく当委員会において決議いたすに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  87. 千葉三郎

    ○千葉委員長 御異議なしと認めます。よつてさように決定いたしました。  次に、ただいまの決議につきまして政府当局において御意見があれば、この際発言を許可いたします。
  88. 植木庚子郎

    植木政府委員 ただいまの御決議の趣旨大臣にも伝えまして、部内におきましてもでき得る限り尊重いたしまして運営いたしたいと存じます。
  89. 淺香忠雄

    ○淺香委員 動議を提出いたします。ただいま議題となつておりまする租税特別措置法の一部を改正する法律案につきましては、質疑も大体終つたと思いますので、この程度で、打切られんことを望みます。
  90. 千葉三郎

    ○千葉委員長 ただいまの淺香君の動議のごとくに決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  91. 千葉三郎

    ○千葉委員長 御異議ないようでありますから、本件につきましては、以上をもつて質疑を打切ることといたします。  これより本案の討論採決に入りたいと存じますが、本案に対しましては、改進党の内藤友明君及び自由党の黒金泰美君よりそれぞれ修正案が提出されておりますので、まず修正案提出者から修正案の趣旨弁明を求めます。内藤友明君。
  92. 内藤友明

    ○内藤委員 ただいまの租税特別措置法の一部を改正する法律案について修正案を提出いたしたいと思うのであります。案文は皆様のお手元へお配りいたしてありますので、それをごらんいただきたいと思うのであります。速記にはこのままお載せいただきたいと思います。  第一は、陶磁器の輸出奨励のために所得税、法人税などの免税措置をとつたのであります。  第二は、消費生活協同組合及び同連合会の法人税に対しまして、特別の減税措置をとつたのであります。これをどうぞ満場一致御決議あらんことをお願いいたします。
  93. 千葉三郎

    ○千葉委員長 次に、黒金泰美君。
  94. 黒金泰美

    ○黒金委員 私どもから出しました修正意見は、やはりお手元に配付してあります通りで、第五条の十一第一項の改正規定の中で「昭和二十九年二月一日」とありますのを、「昭和二十八年十二月一日」にさかのぼりまして、若干の会社にもこの趣旨の恩典を与えたい。同時に法文の中で条件といたしております第四項の中の年百分の二十に相当する金額、年二割の配当を越えてはならないという規定を削除いたしまして、いささか配当制限的なきびしい感じを財界に与えて、無用な摩擦の生ずることを避けたい。かような措置でございます。どうか皆様の御賛成を望む次第であります。
  95. 千葉三郎

    ○千葉委員長 修正案の趣旨弁明は終りました。  これより本案及びただいまの両修正案を一括議題として討論に入ります。
  96. 淺香忠雄

    ○淺香委員 ただいま議題となりました租税特別措置法の一部を改正する法律案及び二修正案につきましては、いずれも討論を省略して、ただちに採決に入られんことを望みます。
  97. 千葉三郎

    ○千葉委員長 ただいまの淺香君の動議のごとく決定するに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  98. 千葉三郎

    ○千葉委員長 御異議ないようでありますから、本案及び右両修正案につきましては、討論を省略して、これよりただちに採決に入ります。  まず内藤友明君提出の修正案について採決いたします。これに賛成の諸君の御起立を求めます。   〔総員起立〕
  99. 千葉三郎

    ○千葉委員長 起立総員、よつて本修正案は全会一致で可決いたしました。  次に、黒金泰美君提出の修正案について採決いたします。これに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  100. 千葉三郎

    ○千葉委員長 起立多数、よつて本修正案も可決いたしました。  次に、ただいま議決いたしました再修正案の修正部分を除いた原案について採決いたします。これに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  101. 千葉三郎

    ○千葉委員長 起立多数、よつて本法案は内藤友明君及び黒金泰美君提案のごとく、修正議決いたしました。  この際お諮りいたします。ただいま議決いたしました内藤君提出の修正案中、若干字句の訂正を要する箇所がありますが、その方法手続等につきましては、委員長に御一任願つておきたいと存じますが、これに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  102. 千葉三郎

    ○千葉委員長 御異議なしと認めます。よつてさように決しました。  なおただいま修正議決いたしました本法案に関する委員会報告書の作成、提出等の手続につきましては、委員長に御一任願つておきたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  103. 千葉三郎

    ○千葉委員長 御異議なしと認めます。よつて委員長に御一任をいただくことに決しました。  本日はこの程度をもつて散会いたします。    午後四時三十分散会      ————◇—————