運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1954-03-12 第19回国会 衆議院 大蔵委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年三月十二日(金曜日)     午前十時二十六分開議  出席委員    委員長 千葉 三郎君    理事 淺香 忠雄君 理事 黒金 泰美君    理事 坊  秀男君 理事 山本 勝市君    理事 内藤 友明君 理事 久保田鶴松君       宇都宮徳馬君    大平 正芳君       島村 一郎君    苫米地英俊君       福田 赳夫君    藤枝 泉介君       堀川 恭平君    池田 清志君       福田 繁芳君    小川 豊明君       加藤 清二君    春日 一幸君       加藤 鐐造君    平岡忠次郎君  出席政府委員         大蔵政務次官  植木庚子郎君  委員外出席者         参  考  人         (日本銀行営業         局長)     佐々木 直君         参  考  人         (全国銀行協会         連合会業務部         長)      安原米四郎君         参  考  人         (全国信用金庫         協会常務理事) 安武 善蔵君         参  考  人         (全国相互銀行         協会専務理事) 島崎 政勇君         参  考  人         (東京都信用組         合協会会長)  佐々田三郎君         専  門  員 椎木 文也君         専  門  員 黒田 久太君     ————————————— 三月十二日  委員井上良二君及び宮原幸三郎辞任につき、  その補欠として加藤鐐造君及び大上司君が議長  の指名委員に選任された。 同日  委員加藤鐐造君辞任につき、その補欠として井  上良二君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  参考人より意見聴取の件  国民金融公庫法の一部を改正する法律案内閣  提出第三三号)  日本銀行券預入令等を廃止する法律案内閣提  出第三五号)(参議院送付)  外国為替銀行法案内閣提出第七三号)(予)  出資の受入、預り金及び金利等の取締に関する  法律案内閣提出第八一号)  中小企業金融に関する件     —————————————
  2. 千葉三郎

    千葉委員長 これより会議を開きます。  加藤鐐造君から議事進行について発言を求められておりますので、この際これを許します。
  3. 加藤鐐造

    加藤(鐐造)委員 たいへん恐縮でありまするが、議事進行について一言発言をお許し願いたいと存じます。  私は、今国会に提案されておりまする租税特別措置法の一部を改正する法律案に関しまして、これにさらに一部の修正を加えるの動議を提出いたしたいと存じます。ぜひ皆さんの御賛同をお願いいたしたいと存じます。  この趣旨は、一口に申しますれば、先般十二月の臨時国会において修正されました繊維関係と同様の趣旨陶磁器にも適用されたいというのでございます。年間百四十五億円、四千万ドルの外貨を獲得いたしておりまするわが国の陶磁器は、輸出産業として繊維、機械に次ぐ地位を占める重要な商品でありますが、外貨手取り率から見るときは、綿糸布金属機械等のごとく原料の大部分外国に依存するものと異なつて、その原料のほとんど一〇〇%を国内に求め得るという点においてさらに重要性があるのであります。外貨が急激に減少しつつありまする現在、かような産業こそますます輸出の振興をはからなければならないと存ずるのであります。第十六国会を通過した租税特別措置法はまことに時宜に適した法律でありますが、陶磁器に関する限り少しく実情に沿わない点があるのであります。  陶磁器輸出されるまでの径路を簡単に申し上げますると、生地生産者輸出業者との中間におおむね問屋が介在しておりまして、この問屋生地生産者から製品を買い取つて、これに上絵付を施すために、これを完成業者とも言つておりますが、陶磁器の場合、生地と称するものはすでに完成品であり、この生地が何らの加工を施さずして輸出される場合もあるのであります。従つて輸出品としての価値を高めるためには、生地製品の向上が必要でもあります。また上絵付は、この生地注文者の好みに応じて施す装飾であります。生地上絵付加工との生産工程における分量の割合は、七対三であります。しかも陶磁器が他の輸出品生産と異なる点は、生地製造の際の質、形状ともに内需向製品とはつきり区別されていることであります。中間業者が、ただいま述べた通り問屋であるがゆえに、生地のままで輸出される場合もここを通るのでありますが、この場合は明らかにトンネルにすぎないのでありますから問題はないと存じまするが、生産工程におけるわずかな部分にすぎない上絵付加工を行うがゆえに、この中間業者が三%の免税恩典に浴し、重要な部分を占める生地生産者が全然除外されておるということははなはだしい不合理であります。また本法制定趣旨にも沿わないことになりますから、生地生産者に対して、生地価格の範囲内で三%免税恩典に浴させようとするのが、本修正趣旨であるのであります。従つて一方上絵付加工によつて附加される価格に対する免税措置は、その加工業者に対して行われることになります。  大体以上が本修正案を提案いたしました趣旨でございます。修正案内容はお手元に配付いたしました印刷物によつてごらんの上、何とぞ御賛成あらんことを切望いたします。租税特別措置法の一部を改正する法律案に対する審議の過程であるようでございまするが、この際提案いたしまして、適当な機会にこの修正を加えられんことを重ねてお願いいたしまして、提案の説明といたします。
  4. 千葉三郎

    千葉委員長 ただいま加藤君から租税特別措置法の一部を改正する法律案について、その修正案提出せられましたが、これは同法案審査の際にあわせて審議いたしたいと存じますから、さよう御了承願います。     —————————————
  5. 千葉三郎

    千葉委員長 次に、国政調査の一環として、金融に関する件を議題として調査を進めます。  本日は中小企業金融の問題につきまして参考人出席を求めておりまするので、ただちに参考人から御意見を聴取いたしたいと存じます。  この際、参考人各位一言ごあいさつ申し上げます。本日各位の御出席をお願いいたし、中小企業金融に関して御意見を拝聴いたすことにいたしましたのは、御承知の通り、現在政府がとつておりまする金融引締め政策によりまして、政府各種金融機関に対する指定預金は逐次減少傾向をたどつております。しかるに日銀の貸出し残高を見まするに、政府並びに日銀当局の貸出し制限努力にもかかわらず、なお増加傾向にありまして、比較的恩典を受けていると思われる大企業に比較いたしますると、指定預金減少引揚げ等によりまして直接影響をこうむる中小企業にとりましては、その金融の逼迫は真に憂慮にたえないものがあります。最近の不渡り手形濫発状況等が、これら中小企業金融の行き詰まりを顕著に現わすものと思われるのであります。当委員会といたしましても、従来より中小企業金融に関する問題につきましては鋭意検討を重ねて参つたのでありまするが、最近の情勢にかんがみまして、早急に具体的施策を講ずる必要を認めて、本日特に中小企業金融の実務に携わつておられる各位の御出席を願い、その実情について詳細なる御意見を拝聴して、これを参考として今後の委員会における対策樹立の一助といたしたいと存じた次第であります。従いまして、参考人各位におかせられましては、かかる見地からその実情について、十分忌憚のない御意見をお述べ願いたいと存じます。なお発言時間はお一人約二十分程度にお願いいたします。また委員各位から参考人に対して質疑の御希望があると思いますが、質疑参考人全部の御発言が終りましてから一括して行いたいと存じますので、御了承を願います。  それではこれより順次参考人の方々の御意見を拝聴いたしますが、発言順序等につきましては、議事進行委員長に御一任を願いたいと存じます。まず日本銀行営業局長佐々木直君にお願いいたします。
  6. 佐々木直

    佐々木参考人 中小企業金融につきまして、日本銀行立場から意見を述べろということでございますが、実は昨日御連絡をいただきましたときに、政府指定預金という問題を中心というふうに伺いましたので、中小企業金融全般について述べるような準備が足りませんので、私が今から申し上げますことは、あるいは非常に不十分かと思いますが、一応私の取扱つておりまする事務に関してお話申し上げたいと思います。  中小企業金融につきまして、日本銀行として直接具体的にやつておりますことは、いわゆる中小別わく融資という言葉でよくいわれておりますが、商工組合中央金庫と、興業銀行勧業銀行、それから北海道拓殖銀行の四つの金融機関に対しまして、二次高率のかからない安い金を中小企業金融のために供給いたしております。その金額がたしか四十数億だと記憶いたしておりますが、直接いたしております金融中小企業のものという意味で特別な優遇措置を講じておりますのは、そういう金額でございます。  今委員長からも御指摘がありましたが、日本銀行の貸出し残高はただいま四千百億近くになつておりまして、引締めをやつているにかかわらず、日銀の貸出しが相当増加していることば事実でございます。この金額の中のどれだけが中小企業の方へまわつているかという実情を調べますことは、非常に困難ではございますが、この貸出しの増加原因がどういうところにあるかということを申し上げますと、これは直接には、この一月に入りまして以後の政府資金の非常な大幅の引揚げが理由になつております。一月には政府資金引揚げが約千百億、それから二月が約五百億、一月と二月のたつた二箇月間で千六百億の政府資金引揚げが行われております。これには政府指定預金回収も入つているわけでございます。そういうようなことで、日本銀行に預けてあります政府当座預金が非常に急増いたしているわけでありますが、一方日本銀行券発行高の方は、年が明けましてから順次順調に回収せられて参つておりまして、一月は六百三十億、二月には百七十億ばかりの回収になつております。この回収は、去年の第三・四半期に増発されました銀行券の総額に対しまして、二月末は約八五%くらい返つて来ております。要するに、一月と二月で約八百億くらいの銀行券が返つてきたのでございますが、それにもかかわらず、政府の金が千六百億も引揚げられたために、その千六百億と銀行券回収の八百億円の差額の約八百億というものが日銀の貸出しとしてふえざるを得なかつた、こういうふうになつております。一月、二月の各銀行預金貸出しの実情を見ましても、一月、二月に引続きまして、銀行預金は急激に減少いたしております。これば今の銀行預金というものが、貸出しによつて相当ふくらんでいるものが多いために、貸出しの増加がとまると預金がひつぱり出される。ことに今申し上げましたように、政府資金が二箇月で千六百億円も引揚げ超過になる、要するに税金がどんどん入つて来る、支払いがこれに伴わないという状況におきましては、結局は預金の引掛しによつて政府に納税するというふうなことになりますので、こういうふうな引揚げ時期においては、預金減少が起るというのも当然でございます。そういうことで、日本銀行の貸旧しの増加市中金融機関の貸出しの増加によつてつていないで、預金の急激な減少、引出しで穴埋めするということで起つているのが最近の一つの特徴でございます。中小企業金融につきましてそういうふうな金の動き方がどういう影響を与えておるかということにつきましては、なかなか具体的に調べることはできませんが、そういう大銀行その他各銀行の貸出しの内容を見ます場合に、私どもとしては、大企業自分下請企業に対してどういう支払い状況にあるかということは、常に機会あるごとに調べておりまして、大企業支払いに対する銀行の貸出しその他も、結局はその下に流れております各種下請企業に対する支払いが大企業に対する融資を通じて出て行く、こういう点について、途中で金のひつかかりのないようにということを常々注意いたしておるのであります。しばしばその銀行貯金口座下請企業口座をつくりまして、大企業に対する貸出しの起つたときに、その貸した金をすぐ中小企業預金口座に張り込まれるように制度的にしてはというようなことも考えて、そういう勧奨を行つたこともございますが、これはなかなかこまかい点にいろいろタッチしなければならないので、必ずしも思うように運んでおりません。しかしながら年末からこの春にかけまして、金融引締めの関係、そういうものがどういう影響一般企業金融に与えておるかということにつきましては常に非常に私どもとしては心配いたしております。企業調査というものは、今度融資斡旋部というものは日本銀行機構としては廃止いたしましたけれども、その中で中小企業関係を担当いたしておりますものをそのまま営業局に引取りまして、そこで前と同じ調査を引継いでやつておるような次第でございます。  先ほど委員長から不渡り手形枚数増加ということの御指摘がございました。この点もこの月の初め非常に目立つた時期がございまして、私どもも心配したのでありますが、その後ややおちついております。ただ苦しくなりますと、今まで現金で受払いしておりましたものが手形で受払いするという傾向が出て参りまして、そういう関係で、今まで普通手形取引していたものが、ぐあいが悪くなつて不渡りを出すというよりも、むしろ手形を使用する力のない人が苦しまぎれに手形を出すというような点もございまして、必ずしもあの枚数そのままが中小企業の苦しさをその数字通り表わしておると見られない節もございますが、しかし不渡り手形増加、ことにその一枚当りの金額が割合小さいという点につきましては、私どもとしましても常々手形交換所とも連絡をとりまして警戒をいたしておるところでございます。日本銀行といたしましては、直接中小企業に対する窓口を持つておりませんものですから、話が間接的でございまして、御説明がはなはだ抽象的になりましたが、この点はひとつお許しください。
  7. 千葉三郎

    千葉委員長 いかがでしようか、先ほど参考人全体の意見終つてから一括して質疑ということを申し上げましたが、実は佐々木営業局長は十一時から日本銀行政策委員会がある、それまでには帰らなくちやなりませんので、十五分間まだ時間がありますから、もし質疑がありましたならば、佐々木さんだけ先にお願いしたらどうかと思いますが、よろしゆうございますか——質疑を許します。春日君。
  8. 春日一幸

    春日委員 佐々木さんにお伺いをいたしますが、ただいまの御説明によりますと、日銀の貸出しが八百億ふえた、このふえた原因はいろいろあるが、なかんずく政府指定預金引揚げされた、このことは、やはりその足らざるところを日銀が補つて行くという立場において、それが貸出し増の原因の大きなものである、こういうお説であつたと思うわけであります。そういたしますと、一般銀行あるいは地方銀行等、この日銀取引のあつたところの金融機関、これは政府指定預金引揚げた分だけはかくのごとく日銀めんどうが見ていただけるから、その金融機関の運営は支障がない。並びにこれらの金融機関につながるところの事業者は、やはりその金融機関から資金の供給が受けられるので、とにもかくにも糊口をしのぐことができようと思うのであります。ところが政府指定預金なるものは、これはひとり大銀行地方銀行ばかりではなく、たとえば相互銀行あるいは信用金庫信用協同組合等のものが全部一様に引揚げられて参つておることは、資料の示しておる通りであります。そういたしますと、日銀取引のある金融機関は、日銀政府引揚げしりをぬぐつてくれるからさしつかえない。その金融機関を利用する大企業あるいはその他の企業は、これまた大体においてさしつかえない。ところが日銀取引のないところの他の金融機関は、一方において今まであつたところの政府指定預金引揚げられてしまう。そのしりをぬぐつてくれるところの日銀のてこ入れというものはここにはない、そうすれば、これらの金融機関資金梗塞を来すことは必然である。そうすれば、これらの金融機関を活用しておるところのそれぞれの企業体資金がなくなつて融資が受けられないから、その中小企業者はおのずから不渡りを出さざるを得ないようなはめに陥ることは、これまた避けがたいものと思われる。そうすると、やはり日銀取引のある金融機関取引のあらざるところの金融機関並びにそういう金融機関取引を持つものとそうでないものとによつて、これは日銀並びに政府財政金融政策を通じてはなはだしく不平等、不均衡な取扱いを受けておると思うが、これに対して佐々木さんはどういうふうにお考えになつておるか。  さらにあなたの御意見伺いたいことは、それならば一体どうしたらいいか、たとえばあなたの方は、なかなか信用のないところの金融機関口座を開こうとはなさらない。だから現実にこれが不公平だと思つても、しかしながら融資をする、こちらはそういうパイプができていないから金を流すわけには参らぬ。これは、勢い現在の機構ではこれを見殺しにせなければならないであろうと思われる。そこで、そういう中小企業を主たる対象とするところの金融機関にあなたの方が他の地方銀行やその他のものと同じような取引を開くか。あるいはまた日銀取引のないところのそういう金融機関に対しては、政府が新しく預託行つて、他の金融機関と同等の——すなわち日銀並びに政府の共同の措置によつて公平なる措置を行うということを考えれば、あなたの方がめんどうを見れないところの金融機関に対しては、政府指定預金によつてこれのめんどうを見て行かざるを得ない、こういうふうに私は思つたりするのだが、こういう私ども考え方に対して、佐々木さんはどういう御見解をお持ちであるか、この点をひとつ伺いをいたしたいのであります。
  9. 佐々木直

    佐々木参考人 ただいまの御質問は二つありますが、最初の日本銀行取引のないものについては、指定預金引揚げの際日本銀行信用でそれを補うことができないのではないかという点でございますが、この点は、確かにそういう傾向があるということは認めざるを得ないかと思いますが、ただこういう直接日本銀行取引を持たない金融機関は、おおむね日本銀行と直接取引のあります銀行資金預託しており、またはその銀行から貸出しを受けたりして、資金的にはちようどそういう親銀行的なものをみな持つております。従いまして指定預金期日が来て、日本銀行政府の金を返さなければならないというときには、そういう親銀行の小切手を日本銀行に持つて来るというかつこうになつております。従いまして、そのときにその日本銀行取引のない金融機関資金的に困つておる、たとえば指定預金期日は来たけれども、それに見合うような貸金の回収はできないというような状態におきましては、おおむね親銀行から金を借りまして、それで日本銀行に返済しておるというのが実情でございます。手形交換などにもそういう金融機関は直接入つておりませんので、親銀行を持ちまして、その親銀行を通じて手形代理交換行つておる。手形交換行つておりますと、その日その日の資金が、ある日は支払い超過、ある日は受取り超過になりますが、そういう金の調節親銀行にあります預金または当座貸越しといつたようなものを利用するのが普通であります。従いまして、直接日銀取引のありますものほど簡単に日銀信用は受けられませんが、親銀行を通じて間接的にそのときどきの資金調節はできるかつこうになつております。従いましてある程度不便ではあるけれども日本銀行の金で一時的には泳ぐこともできるようになつておるように考えております。  それから第二番目の御質問の、そういう日銀と直接取引のないものに対してば指定預金がいいのではないかという御意見だと思いますが、その点は、政府においてもただいま約百三十億ぐらい指定預金がございますが、この中で一般銀行、すなわち日銀取引のあります銀行指定預金は今月末でなくなるはずでありますが、それ以外のものは、今後九月ごろまでに分割して引揚けるというような措置政府としても考えておられるのでありまして、そういう指定預金というような制度中小企業金融、ことに日銀取引のない、そういう機関に相当大きな役割を果しておるという点が認識せられて、今度の引揚げにつきましても、特殊な措置が講ぜられたのだと思つております。この指定預金というものの制度につきましては、金融政策の上からいろいろ議論のある制度ではございますが、今のような、要するに長く安定した金としては政府がなかなか傾けにくい。要するにある程度の時期が来ればどうしても引揚げなければならないという性格を持ちましたものとしては、これの扱い方は、あまり金額が大きくなりますと、半年で引揚げられてしまえば結局あと何とかして見なければならない。その見方になかなか骨が折れるということでありますと、やはり本来の安定した預金をふやすという方法努力中心が向けられるのがほんとうではないか、こういうふうに考えておる次第であります。
  10. 春日一幸

    春日委員 ただいま佐々木さんの御見解によりますと、中小企業金融対象とする金融機関は、直接日銀の援助を受けることはできないにしても、その親銀行の間接の段階としてそういうルートはないわけではないということでありますが、しかしその親銀行なるものが、かりにそういうような便宜の方法を講じてめんどうを見れるといたしましても、それは、結局親銀行自体が楽なときにはそこまで力を及ぼすこともあるいは不可能ではないのではないかと思う。ところが現段階においては、親銀行それ自体がもう資金梗塞で悩んでおる、自分みずから第二次高率というような制限がありつつも、なおかつやむを得ず、とにかく自分資金手当のために現実にこの八百億も貸出しがふえるような交渉を日銀とせざるを得ない。こういう窮状において、まず自分のことはほうつておいて自分子供めんどうを見るというようなことは、事実できないのではないか。これは講談にもあるが、石川五右衛門がかまの中でうでられるときに、自分が苦しくなると、子供を下にしてその上に乗つたというようなばかげた話もあるのだが、そういうふうに、親銀行も苦しくないときには子供めんどうも何とか見るでしようけれども自分がやりきれなくなつて来れば、そういう金融機関からいろいろな相談が来ても、聞かぬふりをしたり、何ならそんなものはいつそつぶれた方が競争相手がなくなつていいと思うかもしれない。だから、そういうようなことで中小企業が救われる道もあるのだから、何とか立つて行けるだろうというようなことを日銀営業局長なんかが考えておるならば、認識不足もはなはだしい。これはもつと実情に適した——自分取引先だけをめんどうを見ておこうという考え方は、あなたの方は政府でもないのであつて、あるいはコマーシャル・ベースでそういうふうにお考えになるかもしれないけれども、それだからといつて、そういう子銀行に対する政府預託を妨害するようなことを言われることはけしからぬ。現実にあなたの方でめんどうを見もしないでおるから不公正になるのだから、あなたの方と関係のないところの中小金融機関零細金融機関に対しては、あなたの方でめんどうの見れない分を機会均等、公正の原則によつて政府指定預金にせよというような慣習があるならば、そういう方法をとつて、とにかく当面の危機を切り抜けてはどうかという考えに対して、そういう方法はあまりとるべきではないと思われるというような、一方的な見解をとられることは、中小企業のためにはなはだ害毒を流すものであると思うので、よく御注意を願いたいと思う。  それから第二問としてお聞きいたしたいのは、最近日銀は、高率適用の制度によつて銀行金融事業としてそろばんの合わないような方法によつて貸出し制限の施策に出ておられる様子でありますが、この制度が効果があるかどうかということをお伺いいたしたいと思う。御承知の通り、一萬田総裁が金融引締めの大方針を発表いたしましたのは、昨年の九月、十月ごろが契機ではなかつたかと思うのでありますが、その当時に比較いたしまして、現実にあなたの方の貸出しは十月が三千四百億でありましたから、三月の本日現在で四千億だとすれば、これまた逆行すること実に六百億であります。あなたの方は貸出しを制限するのだ、そうして金融を引締めるのだと言うておりながら、現実には六百億というものを貸出しせざるを得ないということは、金融機関にとつてはそろばん勘定よりも、自分めんどうを見ておる会社が手をあげてしまえば、元も子もとれなくなつてしまうから、多少そこで金利の一分や二分の利ざやの損があつても、日銀に泣きついて、自分の危機を救うためにこの企業を救わなければならぬ。おそらくこの六百億は、多分に救済融資的な性格内容を持つているのではないかと思うのであります。これに対して日銀はどういうような見通しをしておられるか、それを伺いたい。
  11. 千葉三郎

    千葉委員長 ちよつと春日さんにお答えになる前に、佐々木さんにお願いをしたいのですが、約束の十一時が来たのです。それで質疑者は春日さんのほかにもう二人おりますので、まことに恐縮ですけれども、もう十分延ばしてもらえませんか。そしてまた日をあらためてもう一度おいで願うことにして、あとの二人の人は一問ずつお願いしたいと思います。
  12. 佐々木直

    佐々木参考人 それでは今の御質問にお答えいたします。二次高率の引上げがあつても、今のように苦しまぎれに金を借りておるような場合には、そういう金利を上げてもあまり役に立たぬじやないかという御趣旨であろうかと思いますが、確かに金利が上りましたからそれで貸出しがとまるというふうに、日本においては、ほかのたとえばイギリスとかアメリカのようなノーマルな経済状況にある国のように、金利政策が十分力を発揮し得る状態にないということは、私どもも承知いたしておりますが、やはりそういう場合にでも、金利が逆ざやになつておるときの方が、そうでないときに比べますと、銀行としても日銀への借入れ依存、日銀資金への依存度を切つて行く、控えて行く傾向は相当強いと思います。その点は決して逆ざやになれば困るというほどの徹底的な力は、金利は今持つていないようでありますが、わき役としての力はやはり今でもあるように私どもは見ております。
  13. 千葉三郎

    千葉委員長 大平君。
  14. 大平正芳

    ○大平委員 年末の状態はアブノーマルな状態だとわれわれは思う。去年の十月末の数字を見ますると、日銀の貸出しは三千四百九十五億になつております。そのうち割引が千六百九十三億、貸付が千七百八十四億という数字が私の手元にございますが、その後、ただいま伺いますと四千百億の貸出しになつておる。そういうことになりますれば、増の六百億の内容を分析しますと、割引、貸付——特に割引の中で貿手の割引、そういつた数字がどのようになつていますか、ちよつと教えていただきたいと思います。
  15. 佐々木直

    佐々木参考人 ただいまの御質問は、今の四千百億の日銀貸出しの内容が割引手形手形貸付でどういうふうになつておるかという点だと思いますが、実は割引手形というのは、日本銀行では最も条件がいいといいますか、金利も安く、かつその割引きますときの割引態度も楽に通るという性質のものでございますので、銀行は手元にあります日本銀行で割引き得る手形は、いつもほとんど全部持ち込むという傾向がございます。従いまして、今のように貸出しがふえます場合には、手形貸付でふえて参りまして、割引手形はほとんど移動がないというのが現状でございます。従つて千六百億の割引手形残高は去年の十月からほとんどかわつておりません。あとの二千五百億というものが手形貸付ということになつている。手形貸付で六百億ふえたかつこうになつておる。これは要するに、日銀で一番条件のいいものを常に銀行が持ち込むということになりますので、極端な言い方をしますと、貸出しが千六百億より下まわるということになると、手形貸付がゼロになつて割引手形が全部になるというかつこうになる。説明の便宜上例を引きますとそういう状況であります。
  16. 千葉三郎

  17. 加藤清二

    加藤(清)委員 私は現在日銀がとつておられまする金融引締め政策というものと、この影響を一身に受けておるところの中小企業の現状をにらみ合せてみまして、この状況ははたして正常なりやいなや、あるいは日銀としてはこれに対してどうお考えでございまするか、将来なおこの状態が続いても金融引締めということは行おうとしていらつしやるかいなか、あるいはどういう状況が起きて来たならば、この引締め政策ということについて、何らかの政策転換をなさろうとしていらつしやるのかというようなことが聞きたいのでございます。と申しまするのは、すでに日銀行つていらつしやいまする金融引締めの政策は、オーバー・ローンの解消だとか、あるいはコスト引下げというような、たいへんきれいな名前のもとに行われておるようでございまするが、そのしわ寄せがほとんど中小企業に寄せられておるということは、もう事実なんでございます。引締めする、引締めすると言いながらも、大企業の方への貸出しは増になつておる。ところがこのしわ寄せを受けた方の中小企業は、不渡り手形続出で、倒産商社が毎日跡を絶たない。しかもそれが、先ほどあなたの御説明にございましたように、額面金額が大体十万前後というところでございまして、これが日に三千枚も四千枚も出るような状況、これが正常とは思われませんが、なおこの引締めを続けて行かれるとするならば、中小企業の倒産のおかげで金融恐慌が来るのではないか。具体的に言えば、すでに先般大阪の糸岡が倒れました。東京の織荘が倒れました。ついこの間のこと、名古屋では徳川時代からも続いておるような、春日先生と同じような名前のあの春日井商事が倒れた。しかもそのバランス・シートは四億から八億、このあふりはその連関関係にあるところの機場から、あるいはこれの取引先の小売にまでも大きな影響を及ぼしておる。そのおかげでまたぞろ関連の仲間から倒産商社が続出しようとしておる。こういうことをこのまま放置しておけば、その倒産がほかならず糸へんに多いという関係上、やがて糸へんの値がわりの来る三、六、九の月には、金融引締めと同時に値ぎめ、値がわり等の原因がかてて加えられまして、そうして金融恐慌の原因を一層大きくするように考えます。そこで私はこれについて五十嵐さん——いや日銀の代表としての五十嵐さんにお尋ねいたしましたところ、このぐらいのことは日本経済は十分に耐え得るものと認める、こういう御答弁を私はここにいただいております。ところがこんなに毎日々々商社が倒れて行つても、なお日本経済は日銀政策に耐え得るとお考えでございまするならば、耐え得ないという状況は、一体どういうときが来たら耐え得ないとお考えでございましよう。私どもや業界では、もう耐え得ないと考えておるのでございますが、ここに大きな見解の相違がございます。そこでこの辺の模様をひとつ営業局長、いや日銀代表としてのお答えを願いたいと思うわけであります。
  18. 佐々木直

    佐々木参考人 今、日本銀行の全体の金融政策の今後につきまして、私に日銀代表として意見を述べろというお話でございますが、最初申し上げました通りに、私どもとしては指定預金の問題で出て来いというお話がございましたので、日本銀行の今後の金融政策いかんというような問題を、政策委員会の御意向も知らずにここで私がお話し申し上げることはできないのでございます。この点はひとつお許しをいただきたいと思います。ただいまおつしやいます通りに、繊維関係の商社に最近倒産が相次いでありますことは、私どもも非常に窓口の者として心配いたしておることでございまして、五十嵐理事が十分耐え得るというように申し上げたそうでございますが、決してこういう問題を私どもは等閑視して、倒れるものは倒れさせるといつたようなのんきな考え方をいたしておるものではございません。それぞれの商社につきましては、その支払い手形がどの位あるか、支払い手形を持つている先がどういうところであるかということをこまかに調べておりまして、その及びます影響の範囲につきましては、決してそのままでなおざりにしているわけではございません。そういう点については、十分に考えておるということだけを窓口の担当者として申し上げます。
  19. 千葉三郎

  20. 安原米四郎

    ○安原参考人 私、安原でございます。本日は先ほど佐々木さんがお話になりましたように、指定預金の問題ということでございましたので、中小金融の問題についての資料を十分持つて参りませんでしたので、はなはだ不行届きかと思いますが、銀行の方での今の金融状況の見方と申しますか、そういうことを簡単に述べさせていただきます。  御承知の通り昨年十月から大蔵省、日本銀行の方で金融引締めの政策をとり始めましたのですが、このことにつきましては銀行といたしましても、現在の日本の経済情勢から考えまして、これ以上のインフレをあまり進めることはいけない。通貨価値はぜひ安定させなければいけないという大きな目的のために、銀行としてもそういう点を要望いたして参りましたのですが、ただ実際問題といたしまして、経済は生きているものですから、あまり急激に引締められ、そのために経済界に混乱を起させるということであつてはいけない。ぜひ経済の実態をよく見ながら、時宜に適した締め方と申しますか、インフレにならないような措置をとつていただきたい。こういうふうに当局には機会がありますごとにお願いしておりましたのですが、その昨年以来の引締め政策が漸次今春になりまして出つつありまして、先ほどお話のように、今月に入りまして不渡り手形は月初に一日で三千枚を突破するという最高の記録を出すようになつたのですが、金融の逼迫の結果、中小金融をおろそかにするというわけではございませんが、金融機関以外の方の産業界の方でも、金融が苦しくなりますと、たとえば手形を少し長くするとか、あるいは買掛が多くなるとかということで、自然に中小企業の方にある程度のしわが寄つて来ているようでございます。ただしかし、一方先ほど申しましたインフレを抑制する、通貨価値の安定をぜひはかつて行くということは、これは非常に大きな問題でありますので、そのためには、日本銀行の方で信用の増発を押えておられるということは当然なことだと思われるのであります。従つて新しい資金を出すためには、何と申しましても預金増加をはかつて行かなければならないのでありまして、預金増加によつて、そういう金に困つておられる方へお貸しする、それが本筋であろうと思うのでありますが、遺憾ながら御承知のように、ことしに入りまして、一月も二月も銀行預金はかえつて減少して行つておるという状態でございます。銀行といたしましては、預金増加につきましては、日々第一線の者が非常に努力いたしておりますが、諸般の情勢からそういう結果になつておる次第でございます。しかしこれは銀行員の努力も必要でございますが、それ以上に預金をされる方、金を持つていらつしやる方が預金をしようという意欲を持つていただくようにならなければなりませんし、また当局の方でも、そういう施策をとつていただかなければならないと思いまして、そのための一つの方策としまして、われわれとしましては、預金利子の課税につきましてかねがね優遇措置をとつていただきたいということを申して来たのであります。それで昨年も源泉課税を二割から一割に引下げていただきましたが、預金者の心理といたしましては、御承知の通り二割が一割に下るということももちろんけつこうでございますが、預金利子には税がかからないということになりますことか非常な魅力で、これは質的な相違といつていいほどの問題だと一般に見られておるのでございますので、今度の国会で、臨時特別措置法で長期預金を五分に下げることを提案になつておりますが、われわれといたしましては、むしろこの際は大乗的見地から、租税理論の方ではいろいろ問題があるかもしれませんが、預金利子をぜひ無税にしていただいたらいいのではないか、せめて長期預金につきましてだけでも無税にしていただいたらどうだろうかということを申しておる次第でございます。(「ほかのことを言え」と呼ぶ者あり)  なお指定預金の問題につきましては、現在銀行の方では、御承知の通り七億になつておりまして、この三月末には全部引揚げられる予定になつております。指定預金の問題につきましては、われわれといたしましては前々からの希望といたしまして、財政資金引揚げ超過になります場合に、これは原則としてなるべく時期的にあまり収支に変動がない、引揚げ超過にならないように希望しておるのでございますが、実際問題といたしましては、どうしてもずれがございますので、ある時期には相当引揚げ超過になる、あるいはある時期には散布超過になる。その引揚げ超過のときに金融界に非常な影響がないように、取扱い金融機関と申しますか、そういう方面に暫時滞留するような方策をとつてもらつた方がいいのではないかということを希望いたしておるのであります。これは大蔵省の方でいろいろお考えの上、中小金融関係以外の方は引揚げする、こういう御方針でございまして、それは同時に金融の引締めという問題との関連でございますので、われわれとしてはやむを得ないことではないか、そう考えている次第でございます。  はなはだ簡単でございますが、以上でございます。
  21. 千葉三郎

    千葉委員長 この際一言申し上げます。安原君は、銀行協会で目下委員会を開催中でありまして、従つてあとで一括して御質問する予定でございますが、この際安原君に対する質問を許します。
  22. 加藤清二

    加藤(清)委員 私は、全国銀行協会連合会の安原さんに、三点だけお尋ねしたいと思います。お急ぎのようでございますから、要点を簡単にお答えいただけばけつこうでございます。第一点は、倒産商社続出の折から、銀行にも焦げつきができてたいへんお困りだろうと存じまするが、あるものは倒し、あるものは生かしということをやつていらつしやるようでございます。すなわちあるものは、不渡りが出たらあくる日からもう取引が停止になる。ところであるものは、不渡りが出る前によく御相談なさつて銀行管理という名前のもとに、なお続いてその業者を援助するということをやつていらつしやるようでございまするが、この銀行管理の場合におきまして、その資産と、焦げつきないしは返却できない金、つまり銀行がすでに貸しなさつた金、これとの比率、一体どの程度のものは見捨て、どの程度のものは管理あそばされますか、この点をお尋ねいたしておきます。
  23. 安原米四郎

    ○安原参考人 今お尋ねの件につきましては、実ははなはだおはずかしい次第でございますが、私の方では直接そういう実際の審査と申しますか、貸出しの方の関係をいたしておりませんし、またその点についての知識も私個人持つておりませんので、どの程度の比率かということは存じませんです。これは、一般的には御承知の通りでありまして、現在において相当マイナスになつていても、将来近いうちによくなるという見通しがつくものには、さらに貸増しをやつて行く。そういうふうな、いわゆるコンマーシャル・ベースとよくいわれておりますように、やはり銀行としましては、大事な預金を預かつて、それを堅実に運用するということが大前提になつておりますので、単なる比率ということでなくて、やはりその経営者の信用なりその事業の全般の調査、たとえば自動車部門なら自動車部門がどうなるとか、機械部門がどうなるというような全体の調査、そういうものをすべて勘案して、各銀行はきめておるんだろうと思つておるのであります。なおお尋ねの点につきましては、後刻銀行の担当者にどういう処置をとつているかよく聞いて御返答申し上げることにいたしたいと思います。
  24. 加藤清二

    加藤(清)委員 ぜひ比率をお教え願いたいと思います。後ほどでもけつこうでございます。それは他の問題にも重大な影響があるからでございます。今日金融が苦しい苦しいという折にも、その資金を借りるに一番よいものは政府資金でございます。政府の金を借りて来たら、一の資本に対して十の投資をされているというのがあの造船会社でございます。あなたのよく御存じの通りでございます。ところが銀行管理をやつてもらえる会社は、一に対して十ではございません。半々か四分六かというところでございます。しかし倒れて行かなければならない中小企業の会社は、バランス・シートはでんとしておつても、なお銀行から見放されたがゆえに倒れて行かなければならない。つまり言えば、自分のところは十の力を持つていたにかかわらず、その一割を拝借して、これが返せないおかげで停止を食つて行かなければならぬし、手を上げて行かなければならぬ、こういうことに相なつておるわけでございます。  そこで次にお尋ねしたい。今日そういうことになつているその原因は、高率適用の強化の具体的方策として、選別融資ということになつておるようでございます。選別融資はやがて系列融資となり、系列融資は情実を生む。これはもう世の中の一般の事実でございます。そこでその情実にもようつかまり得なかつたものが見放されて行く。自分の会社のバランス・シートは健全でありながら見放されて行く、こういう事実に対して、銀行としては今日どのようにお考えでございましようか。なおこの傾向は将来も続けようとお考えになつていらつしやるのでございましようか、この点を……。あともう一点でおしまいでございます。
  25. 安原米四郎

    ○安原参考人 今お尋ねの情実融資というふうなことは、銀行としてやつていないだろうと私は思つております。まあ選別融資とか系列融資というのは、銀行の人としましては、そういうことを意識的にやつていないと思いますが、月間の融資残高を資料として整理した場合にそういうふうになつておるので、外部の方からいろいろそういう御批判があるようでございますが、私が聞きましたある銀行など、決してそういうことはやつていない、こういうふうに申しております。
  26. 加藤清二

    加藤(清)委員 それではもう一点でおしまいにしますが、日本の経済が、資金がなくて困る。その資金がないおかげで倒れて行く。人間に対する主食にひとしいものでございまするが、これが、国民一般の間でこれほどないないないないといわれておりまするやさきに、いま一つ言えば、二重投資、過剰投資、設備過剰ということは反省を要することであると、ジャーナリストの方々までが盛んに言われておりまするやさきに、銀行は一体何がゆえに設備にあれほど投資しなければならないのでございましようか。ビルの建築が東京都でも盛んに行われておるようでございまするが、見ると、これはほとんど銀行関係のものか、ないしは大企業関係のものでございます。それはいいとして、銀行の資本は、今の資本で行けば、いくらその資本が大きいからというても、五十億を越えるものは一つもないと思います。農林中金なんかも、政府の見返り資金を借りてせいぜい二十八億でございまするが、普通市中銀行だつたら、大体十億見当のものであるはずでございます。ところが、これが設備、建物に至りますると、ものすごいものを持つておる。それだけでなお足らぬで、次から次へと建築がされて行くようでございます。国民がこれほど資金がない、資金がないという折に、あの資金は一体どこから出て来たものでございましようか、どこから出て来てもよいのでございますが、何がゆえにああいう設備投資が必要とされるのでございましようか。  もう一点と申しましたから、お答えいかんによつて聞きたかつたのでございますが、続いて言います。実はこういう設備をりつぱにし、建物をりつぱになさることが、一般庶民をして銀行から遠ざけて行く結果に相なつているということにお気づきでございましようか。保全経済会その他のいかがわしいものが繁昌した原因の一つには——市中銀行やその他の銀行があまりにもでんと控えて、りつぱな洋服を来た人なら入りやすいですけれども、ほんとうの庶民、きたない服装をした者にはあの敷居は高くてまたげない。にもかかわりませず、これをあえて一層増加させるような、ますますりつぱな殿堂をどうしてつくらなければならないのか、この点について、ぜひひとつほんとうのところを承りたいのでございます。
  27. 安原米四郎

    ○安原参考人 今お話の、非常に金に困つておられる方が多いということは、これは事実でございますが、銀行としましても、先ほど申し上げましたように、お貸しする金の元は大部分預金でございますので、それがふえない限り、いくら要求がございましても、お貸しすることはできません。従来はある程度日本銀行から信用が増発されまして、その預金の不足を補つておつたわけでございますが、そういうやり方をしますと、ぐんぐんインフレは進んで行くということになりますので、まずインフレをとめなければならないということを前提といたしますと、どうしてもそこに不足な部分ができるということになるわけでございます。  お話の過剰投資とか二重投資の点につきましては、銀行といたしましても、内部に融資自主規制委員会というものを設けておりまして、そこでそのときどきの情勢に応じましていろいろな対策を考えております。過剰投資、二重投資の問題につきましても、昨年末にそれを抑制するという線を打出しまして、銀行にもその方針でやつてもらうようにいたしております。  なお一般の建築の問題につきましては、これはやはり融資自主規制の方でも、融資はしないということにいたしておりまして、われわれが聞いておりますところでは、銀行から直接そういう建築資金として出ておるものは非常に少い、ほとんどないのじやないかと思つております。ただ御承知のように、いろいろの実情を聞きますと、権利金その他の形でその方に金がまわつてつくられておるという状態ではないかと思います。  なお銀行の建物につきましては、いろいろ御批判がございますようですが、確かに従来よりはかなり大きな建物を建てておるところが多いのでございます。これは周囲のいろいろな均衡と申しますか、そういうことを銀行の者も考えなければならないと思いますが、仕事の量も最近非常にふえて参つておりますし、焼けなかつた元の建物では非常に狭隘を感じておるのでございまして、建てる以上、数十年今後使う営業場としてはある程度の余裕はつくらなければならないということで、自然従来よりは大きくなる、これが実情だろうと思います。  貸しビルにするようなのは、これは私もはつきり存じませんが、大蔵省の方で、やはりそういう銀行の店舗としては、貸しビルはしない方がいいというふうなお話もありまして、原則としてはやらないことになつておると思うのでございますが、一、二例外があるように私も聞いております。どういう事情でされたのか、地方の銀行あたりで、郷里の関係なんかで事務所に困つておられるところなどの関係もあるのではないか、これは私の想像でございます。直接その関係者からお聞きいたしておりませんが、そういう方々との話合いで、そういうビルのようなものが一、二できておるのではないかと思つております。
  28. 苫米地英俊

    ○苫米地委員 時間がありませんので、端的にお伺いいたします。  預金をふやさなければならないということは、お話の中にもございましたが、私どももよく存じておりまするが、預金をふやすのに二つ障害があるのじやないかと思います。  その第一は、先ほどもお話のありましたように、金利に対する課税の免除——今度引下げられておりますが、私ども——というより、私自身は、これはやはり全廃してしまう方がいいのではないかと考えております。それと同時に、預金者が一番苦にしておるのは税務官吏が銀行へ来て、いろいろな財産調べをやる、この方をきらつておるのではないか。それで私どもは、この際預金増加するために、この双方を何とかきまりをつけなければいけないと考えておりますが、もし双方をやることができないとしたならば、金利の方はしばらくがまんをしても、税務署の官吏の立入りを、英米におけるがごとく、許さない方が重要ではないかと思いますが、いずれに重きを置かれますか。この点を一応お伺いしておきたいと思います。  さらに指定預金は、国庫の事情もありますので、長期間ということは望まれない事情もございますけれども、現在私どもの見るところでは、期間が短かいために、指定預金がフルに使われておらないように見受けるのでありますが、この辺の事情は、私どもの見ているところがほんとうか、実情はどうかということをお伺いしたいと思う。またフルに使われるためには、どのくらいの期間がほしいかということもお伺いしておきたいと思います。
  29. 安原米四郎

    ○安原参考人 今お尋ねの、預金増加するためには、税をかけぬようにすることの方が効果的か、税務署の取調べを全部やめてもらうことの方が効果的かということでございますが、税務署の取調べにつきましては、従来銀行としきても、たびたび国税庁の方へお願いし、銀行局の方へもお願いしまして、中央の方ではその点は御了解していただいておるのでございまして、これをたびたび各税務署の方へも御通知を出していただいておるのでございますが、やはり脱税その他の関係で、やむを得ないものはいたし方ないということでございます。実際問題としまして、少し行き過ぎと申しますか、第一線であすこまでやつていただかない方がいいだろうという実例は、われわあれもときどき耳にいたしておりますので、そういう点は、今後もなお預金者に不快な感を持たせないようにやつていただきたいと思います。しかしこれは部分的なことでございまして、もし預金利子課税が無税になりますと、そういう税務署の関係も比較的少くなりますので、そういう問題の起る危険性も少くなると思いますので、預金増強には、むしろ無税にしていただく方がより重要なことでないかと考えております。  それから次の指定預金の問題でございますが、これはお話のように、非常に短期のものでございますと、その運用についてはいろいろ制約がございますので、これは金融機関によつていろいろ違つておるかと思いますが、銀行といたしましては、少くとも半年とか、まあできれば一年ぐらいというふうに、はつきりきまつてある程度長期間にわたつて置いていただけば非常に運用しやすい。但し、指定預金は御 承知の通り政府とされましては一時的な金でございますので、これを、そういうふうな目的に強くそれをお願いしてぜひやつてもらいたいということを申し上げるのは、われわれとしましてはいかがかと思う点もございます。
  30. 大平正芳

    ○大平委員 いい機会ですから、ちよつと資料をお願いしたいと思うのですが、預金が減つて日銀から締められて、銀行の方の手元も非常に楽でないということはわれわれもよく承知しておりますが、最近聞くところによりますと、地方銀行預金を中央に持つて来まして、貿易金融等にあやかつておるというようなことも聞きます。ローカルな金融がお留守になるということを間々聞きますが、金融機関の機能の分化ができていない日本におきましては、それを今抑制する道はございませんが、一体地方銀行資金の還元について、そういつたものがどうなつておるのか、これはまあいろいろ集計の仕方がむずかしいと思いますけれども、もし資料がおありでしたら、本委員会に御提出願いたいということをお願いしておきます。
  31. 久保田鶴松

    ○久保田(鶴)委員 きようは安原さんに全国銀行協会連合会業務部長として出席つているのですが、これは銀行も非常にいろいろあると思うので、あまりにも漠としていると思うのです。そこで先ほど預金増加をはかつてもらいたいという話でございましたが、私たち考えまするに、今預金をする人らと申せば——これはもう預金をする余地がない、その日の生活に困つておるような人たちが多いと思うのです。そこで、預金増加をはかる方法という話があつたので、それはどういうふうなことにして預金増加をはかればよいのか、専門家のあなたに教えていただきたいと私は思います。これは今後私たちが金融の問題について審議するのに非常に参考になる、こう思うのであります。  それから次に、まあ今は日銀の方でも非常に金融の引締めをやつております。その金融の引締めをやつておるのに、たまたまその預金をする人があるとするならば、その金は中小企業の、あるいは零細企業の方にまわらずして、これは大企業の方にまわつてしまうというようなことだと思う。そういう点が、今の銀行のやり方というものは私たちは納得ができない。こういうような点についてもあなたのお考えを述べていただきたい、こう思うのであります。  それからもう一つは、先ほど加藤君も申しておりましたが、預金をしろしろと、こうおつしやいますが、あわせて銀行の方では自己資金というものがあまりにない、こうおつしやいます。自己資金なくして、いろいろ各銀行においては鉄筋や何かの建物を増築されて行かれますが、こういうような金は、その預金された金によつて増築しあるいはビルを建てて行くのではないか。私はそういうような金があるのなら、今日この金の行き詰まつておるときには、中小企業、零細企業の方にまわしてやつたらどうか、銀行もちよつと考えたらどうか、こう思うのですが、その点を教えていただきたいと思います。
  32. 安原米四郎

    ○安原参考人 預金をどういうふうにふやすかという問題、これは非常に大きな国民所得全体の問題、あるいは生産の状態とか貿易とか、あらゆる問題が関連いたしますので、ここで私のようなものが御即答申し上げるという十分の準備もいたしておらないのでございますが、一つの大事な点は、やはり今苦しい中で多少でも天引き貯金のようにしてでも——これは強制的にはできませんが、国民全体がそういう気持で、苦しい中で多少でもたくわえて行く、こういう熱意が出るということが、現状においてはさしあたりの貯蓄をふやして行く一つの大きな道ではないかと思つております。  それから銀行の建物の点につきまして、預金をその方へまわしておるのではないか、それを貸出しにまわすべきではないかというお話でございますが、金にはどうも区別がございませんので、どつちの金、どつちの金ということは申せませんが、建前としては、大蔵省の方で銀行で持つております営業用の不動産の額というものは制限されておりまして、あれは自己資金の七割でございますか、それ以上にはふくらまさないようにしろ、こういう御方針でございまして、銀行はそれによつて自己資金の七割内でとにかく押えてやつておるのでございますから、一応建前としては預金でなくて、自己資金でやつておると言つていいのじやないかと思つております。
  33. 春日一幸

    春日委員 金融機関が資本主義的な規模で事業をおやりになつており、従つて資本主義の政府政策に同調、共感されるということは当然であろうと思う。そこでただいま安原さんのお話によりますと、引締めのためには日銀の貸出しが減つて来ることもやむを得ないであろう、政府指定預金引揚げられるということもやむを得ないであろう、こういうことで、それを全面的にほとんど了承されておる。そこであなた方は、どうしてこの資金需要をまかなつて行くのか。こういうことについてあなた方の心構えは、それは自己資金増加をはかるよりしようがない、こういうことです。ところがただいま久保田君が御質問の中にも意見を述べられたように、大体もうこの預金というものは最高限度額をついて来たのではないかと思われる。現実には、あなた方の非常な御努力にもかかわらず、一月、二月は、もうあなた方のそういう外交員や銀行員のベストを尽した御努力にもかかわらず、預金はだんだんと減つて来ておる。そうすると、あなた方が当面しておるところの経済活動の資金の需要を満たすことのためには、あなたが政府の方針を支持されておる限りはほかに方法がないので、自己資金、すなわち預金増加をはかるというが、預金はあなた方の努力にもかかわらずだんだん減つて来る。そうすると、あなた方の方針というものは、あなた方の希望というものは、現実の姿になつて現われては来ない。そうすれば、産業は欲するところの資金を得られないので萎縮して来る、パニックが来る。こういうときにあなた方は、そういう場合になつても、私たちは商売人だから、あるだけ貸して、金がなくなればあとは知らぬ、そういうことでもあなた方は済むとは思うが、しかしそういうような無責任は、ないそでは振れぬということで、けろつとしてそれで済ますつもりであるか。あなた方の御努力にもかかわらず、自己資金がふえなかつた場合、資金需要を満し得ないところから来る経済的影響をどういうぐあいに見通しておられるか、またそんな場合にどういうふうに対処すればよいとお考えであるか、この点あなたの御見解伺いたい。
  34. 安原米四郎

    ○安原参考人 今のお話は非常に大きな問題でございまして、実はわれわれの銀行の方としては、協会の最高機関として理事会というのがございまして、その理事にはおもな銀行の頭取がみななつておりますが、その理事会でも先般その問題について話が出まして、先ほど申し上げましたように、やはり通貨価値の定安をはかつて行く、インフレはあまり進めてはいかぬということにおいてはもちろん一致しておりますので、その前提のもとに、それではどうやつたらいいだろうか、その場合には、現在大蔵省や日本銀行でやつておられます金融引締め政策がはたして日本の経済全体にどういう影響を与えるであろうか、あるいは現に与えつつあるかということを、銀行銀行として見守つて行かなければならぬ、司時に大蔵省や日本銀行の方々にも、いろいろ御研究にはなつておるでしようが、なお銀行から見た実情をわかつてもらわなければいかぬのではないだろうか、なお産業界の方でも、今の金融引締めについてどういう考え方を持つておられるだろうか、これは今お話のように、銀行だけで預金をふやそうとしても限度のあることでございますし、また貸出しにつきましても、極力押えるといつても、これは一方的な問題ではございませんし、資金を必要とされる日本の産業界全般のお考えもお聞きしたり、また現状をよく認識してもらわなければならぬのではない、だろうかということで、そういうことについて何かこちらの見解をまとめて皆さんの方へごひろうして、お互いによく話合うことが必要ではないだろうかというので、近々、早ければ来週の月曜日——月曜日がわれわれの定例の理事会になつておりますので、月曜日の理事会あたりで、大体原案はできつつございますので、それをまとめまして、大蔵省や日本銀行、また一般産業界の方にもそのことをお話し申し上げて、お互いに認識を深めて行く、これは、こういう情勢になりますと、どうしても銀行だけでどうこうということはできませんので、やはりすべての方面によく理解していただき、同時にまた銀行もわからない点はよく考えるというふうにやつて行こう、こう考えております。
  35. 春日一幸

    春日委員 これからぼつぼつ相談して、よつてもたらされるであろうところのいろいろな情勢に対する対策は、これから立てるということでありますので、われわれの意見を申し述べて、そういう重要会議の資料にしていただきたいと思うのであります。同時にあなた方のその結論は、われわれが金融の基本的国策を樹立する上においての大きな資料になるわけでありますから、どうかそういう資料はここへ出してもらいたい、  そこで申し述べたいことは、ただいまあなたの公述の中にもありました通り金融梗塞を来す、企業はどういうふうに運営して行くか、すなわち買掛をまずふやす、それから支払い手形を延ばす、発行手形支払いを停止する、この三つというこことになる。ところがこの三つのものには限界がある、これがだんだん高じて行けば、もうその企業は破産、閉鎖という形になる。そこであなたの方の自己資金の増強を何とかはかろうとするが、努力にもかかわらずその結果が得られない。一方政府金融梗塞はだんだんと引締められて行こうとしておる。そうすると企業はパニックを来して来る。中小企業においては、三月初めにおいて一日当り三千通だというが、やがてそれが中企業、大企業に及んで来る、相手方が金をくれぬから、果てはゼネラル・パニックである、モラトリアムである、銀行は全部飛んでしまう、そのときはインフレーシヨンを抑制するとかなんとかいうことじやない、国民生活は全部破綻してしまう。そのことをよくお考えつて、ほんとうに権威のある、すなわち時の権威におもねらざる結論を、当委員会に責任を持つて提出されたいということを強く要望いたしまして、私の質問を終ります。
  36. 千葉三郎

    千葉委員長 委員長から一言お願いしたいのです。先ほどのあなたの公述の中に、一月と二月の預金が相当減つて来た、一月は五百二十億の減、二月は六十六億の減と承知しておりますが、その原因についてのお話がなかつたのです。これは、どうしてそういうふうに減つて来たかということを十五日の理事会で皆さんが協議して、銀行協会としてまとめた意見をひとつお知らせ願いたいと思います。
  37. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 一月末における全国銀行預金と貸出しのポジシヨンを見ますと、預金におきまして大体二兆六千四百億、それから貸出しにおきまして二兆六千七百六十億ですか、ほとんど一緒で、むしろ逆に貸出しが三百五十億ほど多いのです。通常の預金と貸出しのポジシヨンはどんなふうにあるべきなんですか。われわれ聞くところによりますと、もし預金が一〇ならば貸出しが七、このくらいの比率が大体健全な状況である、かように考えておりますが、これについては異論はありませんか。
  38. 安原米四郎

    ○安原参考人 通常の場合がどうあるべきか、これは厳密に考えるほど非常にむずかしい問題でございまして、そのときどきの情勢で国民経済全体のすべての要件がそこに現われて来るのであろうと思います。日本だけの例を見ましても、先ほどお話のように、少くとも戦前の預金と貸出しの比率は七対三とか、あるいは六対四になつて、あとの大部分は有価証券を持つておる。それから現在アメリカの状態を見ましても、お話の通りに貸出しは半分か半分以下になつておる、あとは有価証券と準備金にしておる、こういう状態でございまして、通常というか正常の状態がどうあるべきかということは、経済の実態との相対的な問題でございますので、どこが正常かということは一概には言えないと思いますが、一般的には、銀行の発達の歴史から申しまして、銀行のあり方としては、お話の通り貸出しは預金よりもある程度下の方が好ましいことだと思います。しかし、そういうふうに貸出しを押えておりますと、日本の戦後の状態から申しますと、資金需要が御承知の通り非常に多いものでございますので、経済の再建をはかつて行くのが急務である場合には、どうしても貸出しがある程度ふえて行かざるを得ない、こういうことじやないかと思います。
  39. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 私が最初さようにお尋ねしたのは、一〇の預金に対して、七の貸出しをやる、これはもちろんそのあとの算定のバランスを採算のよい株式投資にするとか、そういうこともあろうと思いますが、いずれにしても圧倒的に資金の需要が多いので、銀行はフルに預金を活用して貸出しに充てている。従いまして今の銀行は、通常のときよりペイのぐあいがうんとよいのじやないか、かように想像するのです。それで、あなたの今のお話では、預金が非常に減少して困るので、これを何とか預金がたくさん集まるように考えたい、かような点から、一番初めに、租税特別措置法において百分の十の現行の銀行利子の税率を百分の五にするというのを、ゼロにしてほしい、かようなことを御主張なさつておるように思うのですが、しかし実際に、たとえば百万円の一箇年の定期預金が現在六分の利子を払つておる。そうすると預金者の側から行きますと、百万円の一箇年の定期で六万円を受取る。そこで今までのあなたの主張で、百分の五の今度の租税特別法案の利率もゼロにしてくれ、つまり百分の五をもう一つ下げてくれというようなお話ですと、それから預金者が得られるところの利益は六万円の百分の五の三千円です。ですから三千円を預金の刺激にしろ、かようなことになろうと思います。ところが私が今申し上げたように、一〇対七であるべきところをすでに一〇対一〇以上にも資金需要において活発に貸しておる。銀行は十分ペイしておるはずだから、むしろ三千円くらいの刺激を求めず、定期預金の利子を一%増しても、資金コストの悪影響なしに十分その預金の目的、預金を刺激する目的が達せられるだろうと思うのです。こういう点をぬきにしておいて——ただ今の税制の問題、税法の中心課題が租税負担の公平にあるわけなのです。それを今言うような経済政策を税制問題に持ち込まれることは、かなり当を失しておると思うのです。私は租税負担の原則からいいますれば、銀行利子は源泉選択制をとつて百分の五十から百分の四十にし、しかもそれをたな上げにして、分離課税としての現在の百分の十というようなこともものすごく不公平なものです。どつちかといいますと、所得が大きければ累進課税率は多いのです。ところがそれが分離課税されますから、比例課税となりまして、高額所得者の利益を不当に増さしめているわけです。こういう点で、おのずから限界があると思う。あなたがここで主張なさることはお取下げなさつて、定期預金の利子を引上げることによつて、しかも今の資金コストを高めずに済むと思うのです。ですからそういう点を自主的に御解決なさる方途に進むべき甘と思うのですが、こういう点でひとつ御答弁をいただきたい。
  40. 安原米四郎

    ○安原参考人 今の問題につきましては、そういうお考え方もおありかと思いますが、私としましては、全然違つた考え方をいたしております。と申しますのは、あの預金利子、貸出し利子は、御承知の通りに今法律できまつておりまして、ただ貸出しでまわすから余裕があつてもうかるというのでなくて、今預金利子と貸出し利子の利率で銀行は立つて行くという状態に置かれて、貸出し利子は資金量がふえるに従つてだんだん引下げられて来たわけなのであります。そういう相関関係がございますので、預金利子を上げたらということは、経理の状態が許せば預金増強のためにはそういう方策も必要かと思います。先ほど申しましたように、利子課税の点につきましては、租税の理論的な面からいえば確かに問題はあろうかと思います。しかし、資金をふやさなければならないという一つの大きな目的のために、そういう特別な措置をとつていただきたい。  それからもう一つは、一割とか五分という税がかかるかかからないかということと無税ということは、預金者の心理にとりまして、質的には違いますが、聞くところによりますと、最近農村方面では、一時例の保全経済会その他の高利な方へまわつていた資金を、銀行へ預けると税務署の方の関係があるというので、またたんす預金ができつつある、これは別に確実な話でありませんが、そういううわささえ出ておるようでございまして、わずかな利子の問題よりもそういう点があるということを御了承願つて、特別の措置をおとり願つて非常にけつこうだと思うのでございます。
  41. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 今の心理的な効果があるのだから、竿頭一歩を進めて、百分の五をゼロにぜいということですが、そういうことは非常に不当である。今の銀行利子の源泉選択税率というものは、一応たな上げにはなつておりますけれども、百分の四十というものが現存しておることを申し上げておいたわけです。それから、確かにあなた自身の主張なさるように、心理的な効果があろうかと思います。しかし預金者も、今の心理的と申しましようか、感情と勘定、フィーリングとアカウントで行きます。今いいました百万円の利子に対しては、先ほどあなたの申されましたように、あなたの主張からは、ただ三千円だけが預金の刺激になり、一分上げれば今の六万円が七万円になり、一万円の刺激になるわけです。それば今の心理的な効果より、いわゆる感情より勘定の方を預金者としてはとるわけです。ですからその点を十分お考え願いたいと思います。
  42. 千葉三郎

    千葉委員長 全国信用金庫協会常務理事安武善蔵君にお願いいたします。
  43. 安武善蔵

    ○安武参考人 信用金庫の数字を通じまして、中小企業金融の問題を述べさせていただきたいと思います。お手元に資料を若干お配りしておるのでございますが、預金状況が二十七年、二十八年と見ますと、大体六百五十億、二十八年は百億ほど減りまして、五百五十億の純増を示しております。しかしながら額におきましても若干減つて参りましたが、増加率におきましては相当低くなつて参りまして、特に昨年の下期以降は、増加が停滞をしておるという数字が見えるわけでございます。けれども、本年に入りましては、一月の減少が四十数億という厖大なものに上つております。と同時に二月の数字は、やや推定が加わつておりますけれども、今までかつて二月に減つたという事例がないにかかわらず、五億程度の減少を示しておる、こういうことに相なつております。これを見ますと、一つは金融引締めによります効果が中小企業、特に信用金庫対象にしております零細なところまで資金の詰まりがだんだんひしひしと押し迫つておるということが言えるのではないかと思います。  それからもう一つ私どもの方で目立つてこの預金増をはばんだのは、御承知のように町の利殖機関が相次いで破綻を来しまして、これによりまする預金の不安というものを見受けるのでありまして、特にこれらの機関の中で、金庫という名前を使つておりましたものがぼつぼつ倒れて参りますと、信用金庫もやはりその一族でないかという一般大衆の認識が、どうしても信用金庫預金を伸ばすことになつて来ない、むしろそれが大きなマイナスになつておるということが、特に一、二月の現象を一番強めた原因でなかろうかというふうに推察いたしております。それに反しまして貸出しの方は、二十七年、二十八年を見ますと、大体五百億ちよつと上まわつた程度の新規の増加に相なつておるのでございますが、これも昨年の上期以降の預金の伸び悩みを反映いたしまして、かたがた政府預金の引上げというようなものも加わりまして、貸出しの率が——先ほど銀行の貸出率のこと等についても御議論かありましたが、二十七年三月に七〇%程度にとどまつておつたのでありますが、九月には七五%、二十八年の二月に七七%、しかも昨年の十一月には一番高くなりまして、八二%近くの貸出率になつておるわけでございます。ほかの銀行さんに比べますれば、この率は非常に低い方でございますが、私の方は日銀さんから直接金を借りて来てどうするというルートがございません。従つてどうしても一定の支払い準備をするということに特に大蔵省からもやかましく言われておりますので、資金増加が望まれない段階に参りますと、当然ここにまた貸出しを急激に締めて来なければならない、こういう状況でございます。しかしながら御承知のように信用金庫、あるいは信用協同組合でもそうでございますが、会員制度金融機関でございますので、今まで会員として出資の増加預金増加、あるいは金庫の発展のために相当協力をしてくれたメンバーに対しまして、今金融が苦しいからということで銀行さんのようにあつさり引締めを断行して行くということが、なかなかやりにくいという特殊事情がございまして、今申しますように、貸出しの率も自然増高せざるを得ない、こういう状況でございます。     〔委員長退席、内藤委員長代理着席〕 従つて一、二月におきましての預金減少に伴いましては、ここに少しブレーキをかけ過ぎたかと思いますが、貸出しもまた減らざるを得ない、こういう状況でありまして、これは資金源がないために結局貸出しも手控えしておつた、こういう現象に相なつておるわけであります。  なお最近協会等にも地方の金庫の理事者が上つて参られましての話に、先ほども話がありましたように、大手筋の倒産がだんだん目立つて参つたのでありますが、新聞でも出ないような小さい会社なり個人が非常にたくさん倒産をしておるという凄惨な報告を受けておるのでございまして、それらに対しましては、やはり金融の面で相当バツク・アップしなければならぬのではないかということを痛感しておる次第でございます。それで私どもといたしましては、何といたしましても資金源の獲得に大いに努力をいたしておるわけでございまして、特に昨年下期からは比較的零細な資金というものを目当に——郵便貯金が増加しております状況を見まして、やはり小口に、零細な資金の獲得ということに一段の努力を払うという対策を立てまして、小口預金の吸収に努めておるわけでございますが、何といたしましても、今申しますように金庫窓口だけから見ましても資金繰りが非常に悪くなつておる、資金源が非常に枯渇しておるということが言えるのでありまして、指定預金の問題も、政府の方では、今後の指定預金についてはあらためて考慮しがたいような言明をしばしば耳にするのでありますが、この制度はどうしても残していただいて、中小企業専門の機関に対しましてこの指定預金制度を活用していただきたい。特に先ほど日銀の方からのお話もありましたが、日銀には中小企業向けの別わくがあるそうでございますが、これらは商中なり興銀、勧銀、拓銀ということで、相互銀行なり私ども信用金庫につきましては、そういう別わく融資の道はありません。従つてこうした道もひとつぜひとも日銀当局考えてもらわなければならぬのじやないかということで、私どももこれは日銀にしばしば陳情しておるような次第でございますので、この点もひとつ御考慮を願いたいと思います。  なお指定預金の問題と関連いたしまして、私どもしばしば主張しておりますのは、政府の方の資金を導き入れるためには、資金運用部資金がかつてはわれわれの方にも低利の資金としてまわされておつたこともあるのでありますが、これが現在の法律では禁ぜられておりますので、皆さん方のお力で、資金運用部資金法を改正し、中小企業専門機関に貸しつけられるなり預託の道が講ぜられますように、格段の御配慮を願いたいということを重ねて申し上げまして、一応私の報告を終りたいと思います。
  44. 内藤友明

    ○内藤委員長代理 それでは、次に全国相互銀行協会専務理事島崎政勇さんにお願いいたします。
  45. 島崎政勇

    ○島崎参考人 相互銀行の最近の状況を簡単に御報告いたし、同時に今後またお願いすることをお聞き願いたいと思います。  銀行金融引締めで中小企業者が非常に大きな打撃を受けている。その結果、今まで相互銀行取引をしなかつたお客さんが相当殺到しております。銀行の方はなるほど引締めておられるが、先ほどもお話があつたように、反面には結果的には日銀への出入りがふえておる。それをもつと詳しく申しますと、結局日銀からの借出しがふえておる。その原因は、大企業あるいは基幹産業に対する融資がふえておるだけであつて、結局中小企業者の普通銀行の方は逆に相当締められておる。そのお客さんが相互銀行、あるいは信用金庫の方に最近相当まわつて来ておられるじやないか、こういうような感じをわれわれは持ちます。そういう意味で、政府指定預金引揚げられるというような形でおられますが、中小企業者の今日の窮状を見られた場合には、指定預金はもつと出してもらうべきが妥当ではないか。昭和二十七年には、われわれ相互銀行には百十五億の指定預金がございました。また信用金庫にも六十何億の指定預金がございました。それが現在ではわずかになりまして、今年九月一ぱいでこの指定預金を廃止するという大蔵省の方針のようにも私は聞いております。政府資金運用部の資金繰り、そういう点から見た場合に、指定預金というものがいいとは思わないのでありますが、われわれ中小金融機関というものは、ほかに外部からの、政府からの資金の援助を受ける方法は何もない。そういうような情勢から来ますと、銀行金融を引締めると言いながら、実際の形においては日銀借出しがふえておる、そして実際は中小業者が非常な金融引締めの余波を受けておる。そうなつて来ると、中小金融対策として考えた場合には、政府自身ももつとこれに積極的なお考えを願つた方が、結局中小業者が今日の窮状から幾分でも脱することができる手じやないかと思います。幸い相互銀行は、最近の業績はそう不振ではございません。この一月には預金が大体三億円減りましたけれども、二月には大体三十億円以上増加しておるような情勢でございます。しかしながらこれだけではとてもできないので、その点をひとつお願いしたい。同時に、先ほどから安武理事が言われた通り、この指定預金がいけないとなるならば、これを資金運用部の面でひとつお願いできないだろうか。大体郵便貯金というものは大衆の金である。ところが政府はこの大衆の金を今は大体基幹産業の方に使つておられる。しかしもう少し大衆というものを頭に入れてお考えなつたならば、この資金運用部の金がわれわれに来ないというりくつはないではないかというような気持を持ちます。また一面日本銀行の別わくというものもありますが、これはわれわれ相互銀行信用金庫等には何ら考えられておらない。むしろ日本銀行相互銀行信用金庫との取引がないからという感じのようでもございますが、しかしながら日本銀行も昔の日本銀行と違つて日本銀行自身もこの金融の社会性というものをある程度考え直してもらつてもいいではないか。そういうような意味から、この中小金融に対する日本銀行の積極的な援助という現われからしても、ある程度日本銀行も別わく融資の点をもう少しわれわれ中小金融機関考えてもらつて、そして幾分でも資金を出してもらうというような点をひとつ考えてもらいたいと思うのであります。もう一つは、われわれももちろん貯蓄の増強は非常にやらなければならぬ。実は昨日も今日も全国から集まりまして、これらの問題について、地方中小企業実情と今後の行き方について、会議を二日間にわたつてつておりますが、また一面われわれの希望としては、小口の貯金にしても、あるいは小口の融資にしましても、今までの状態ではいけないので、大蔵省にお願いして簡易店舗というものをつくりまして、そして十万以下のものについてはもつと積極的に融資をする。こういうことがやはり必要ではないかというような気がしますので、簡易店舗あるいは出張所ということにしまして、その店もできるだけ質素にする。そしてできるだけお客さんが気楽に店に出入りされるようなふうにいたしまして、同時に貯蓄と金融の両面を盛り込みながら、ひとつ大衆の方にも便宜を与えていただきたい、こういうふうな気持を持つておりますので、この点大蔵省に対してもお願いする予定でございますが、皆さんからも何分の御援助をお願いできれば非常にけつこうだと思います。  大体の状況を簡単に申し上げました。
  46. 内藤友明

    ○内藤委員長代理 それでは次に、東京都信用組合協会会長佐々田三郎君にお願いいたします。
  47. 佐々田三郎

    ○佐々田参考人 信用組合のことにつきまして、簡単にお話申し上げて御参考に供し、かつお願いいたしたいと思います。  信用組合は昭和二十六年の下半期以来、各都道府県の監督下に入りまして、きわめて順調に発達して参つたのであります。しかるに昨年の秋類似金融機関の問題が起りまして、当時信用組合の中に、東京におきまして二、三類似金融機関と密接な関係のあつたものがありまして、これが非常な悪影響を受けたのであります。全体といたしましては、あまりひどい悪い影響もなく参つたのでありまするが、しかし政府のいわゆる金融引締め政策というものが漸次信用組合にも響いて参りまして——本年一月までは預金が僅少ながら増加いたしたのでありますが、漸次増加が鈍化して来まして、二月は預託金の引揚げ等があつて、むしろ減少なつたのであります。こういうふうな状況にあるところへ持つて行きまして、大銀行等が非常に金融を引締めましたので、その結果、われわれ中小企業対象とする信用組合に向つて、一時的でもよいから融資をしてくれとかいろいろな傾向が出て参りました。銀行のわくが縮められたのか、あるいは銀行で借りかえをしようとしても、一週間なり二週間一旦返金をして、しかる後にまた貸し出すというふうな場合のつなぎ資金もほしいというような申込み等が信用組合の方にぼつぼつ出て来るようになつたのであります。こういう情勢にあります。しかしこれをどうしたらよいかということは、結局各信用組合個々が事前に努力するということが第一番でありまするが、そのほかに、やはり政府あるいは地方庁からの預託金をもつと出してもらいたいというのがわれわれの強い念願であります。  それからいま一つは、先刻来お話がありました通りに、預金利息に対する課税を廃止してもらいたい。これを私どもは非常に強く希望するのであります。ことに中小企業金融機関預金利自だ対する課税は全廃していただいてもよくはないか、とかように考えるのであります。このために、国庫に大した響きはないと思うのであります。  なおそのほかに、信用組合としましては——これは衆議院なり国直接の問題ではありませんけれども、その設立の認可権が各都道府県にある関係から、自然信用組合の設立が、従来非常に楽にできたような感があります。ずいぶん厳選はされておるようでありますが、しかし、かりに東京都だけにいたしましても、この二年半ばかりの間に四十幾つふえたというような状況であります。これはやはり信用組合同士ばかりでなく、すべての中小企業金融機関の間の競争をあまりに激化させるような結果になりはしないかとおそれますので、この新規設立のことにつきましては、ただいま私どもとしては東京都長官に対しまして、今後は最も慎重にやつてもらいたいという嘆願をいたしておるところであります。  また信用組合の現況といたしましては、従来政府預託金は、商工組合中央金庫を通じて各信用組合に割当てておられたのでありますが、このたび信用組合は全国信用組合連合会をつくりまして、多分来期、つまり四月以降は、この連合会を通じて預託金を流して行くようなことになるであろうと思つております。何しろ非常に金融の逼迫が伝えられておる際でありますので、以上私の申したことにつきまして、つまり預託金の増加、あるいは金利に対する課税免除等につきましては、格別の御配慮を願いたいと存じております。  簡単でありますが、御報告申し上げます。
  48. 内藤友明

    ○内藤委員長代理 それではこれから安武さん、島崎さん、佐々田さん、お三人に対する質疑をお許しいたします。
  49. 福田繁芳

    福田(繁)委員 私はごく簡単に、島崎全国相互銀行協会専務理事伺いたい。  本日は、目下問題になつております、御承知の行き詰まつておる中小企業金融対策に関して、皆さんたちに御出席つてわれわれ御高見を拝聴して、今後の対策の参考にいたすわけでありますが、実は先ほどあなたのお話を聞きますと、われわれのいたく共鳴する点が多々あるのであります。何と申しましても、この中小企業金融の打開は、あげて相互銀行信用組合、こういつた機関の健全なる発達ということと、おのおのの銀行なり信用組合のおい立ちの趣旨をあくまで感得してもらわぬことには、いかに政府預託金を増額しようが、とうてい中小企業の救済にはならぬわけであります。そこでちよいと伺いたいのでありますが、あなたのお話を伺つておりますと、ぜひとも預託金を増額してもらいたい、郵便貯金というものは大衆の金である、しかるに政府は基幹産業に重点を置いて、中小金融にまわさないのはもつてのほかだというのでありますが、われわれももちろん同感であります。  そこで単刀直入に、はなはだ失礼でありますが伺いたいのであります。私は、この相互銀行というのは——郵便貯金が大衆の金のごとくに、相互銀行預金というものもこれまたやはり大衆の金である。いわゆる零細なる大衆を対象にして業務を営んでおられてこそ、相互銀行の法自体にしましても、ほんとうの提案の趣旨がそこにあつた、こう考えるのでありますが、あなたはどうお思いになりますか、ちよつと伺いたいと思います。
  50. 島崎政勇

    ○島崎参考人 ごもつともでございまして、相互銀行は普通銀行と違つて大口の貸付をしてはいけない、これは法律にもございまするし、また法律だけでは不十分で、大蔵省からも大体一人に対しては一千万円を目途として、それ以上の大きな貸付はするなという通牒も行つております。それから全国の相互銀行の一件当りの貸付の平均を見ましても、大体十六万七千円ということになつておりまして、今日二千九百億の金を融資いたしておりますが、平均は十六万七千円。これをできるだけ小口の方に持つて行くようにしたい。またお客さんもほとんど大部分中小企業者および大衆でございますので、その線をあくまで忠実に守つて行きたいと思つております。
  51. 福田繁芳

    福田(繁)委員 ただいまの島崎さんのお答えで非常にわれわれよくわかりました。それは言うだけでなく、実際にぜひともそうしてもらいたいと思うのであります。そうしないと、今後も非常にぐあいが悪いと思うのであります。この間新聞を見ますと、目下問題になつております保全経済会伊藤斗福に対して、金額の最高限度である一千万円というものを相互銀行が貸しておる。これは実に相互銀行のおい立ちの趣旨に反しておりはしないか。なお最近聞くところによりますと、むしろ相互銀行は、無尽会社であつた方が庶民になじみがあつてよかつたのだ。相互銀行なつたばかりに大衆の手が届かなくなつて来た、こういう声がちまたに満ちておるきらいがある。そこで私はちよつと資料をもつて調べてみたのでありますが、今あなたのお話で、相互銀行の貸金というものは平均十六万七千円、これはなるほど平均額はそうでありましよう。また大蔵省が一千万円以上貸したらいけぬということも私はよく存じておる。しかるに、名前は控えますけれども、ある相互銀行のごときは、ある事業会社に対して億以上の金を貸しておる事実がある。こういうことをされるからこそ零細な者から、相互銀行はむしろ無尽会社であつてもらつた方が、今日の行き詰まつた中小企業の救済に役立つたのだという怨嗟の声が耳に入つておる。あなたも相互銀行協会の最高責任者であられるのでありまするから、今国会で申されたところのその御意思を、末端の相互銀行まで徹底するように奨励してもらいたい。これをやつてもらわなければ非常に困つて来るので、私は特にお願いしておきますから、お忘れなさらないように、ぜひとも末端に浸透してもらいたい、これを申し上げておきます。  その次に安武全国信用金庫協会の常務理事伺いたいのでありまするが、信用金庫は何と全国で五百六十二ありますか、実にたくさんで、これはいずれ後ほど佐々田さんにも伺いたいと思うし、佐々田さん自身もそういつたお声ではあつたのでありますが、これは私は多過ぎると思うのです。そうして今日こんなに金詰まりになつて来て、全国五百六十二の信用金庫がおのおの健全に経営が継続できるものか、あるいは協会自身として自粛自戒されて、合同といいますか合併といいますか、そういつたことの必要がないか、もしあるとすれば、そういう機運がないかということも参考に伺つておきたいと思います。
  52. 安武善蔵

    ○安武参考人 お答えいたします。ただいま御指摘のように、全国の信用金庫は五百六十二に及んでおりますが、数が多過ぎるか少いかということは、必ずしも当らぬのじやないかと思います。これらの金庫がすべて健全な発展を遂げ得るかどうかという点につきましては、私ども協会の者といたしましては、これらのものが破綻なく順調に中小企業の振興に邁進できるような形へ持つて行くということに、全力をあげてやつておる次第でございます。しかしながら数字的に見ますと、一番大きいのが七十億近くあります反面、地方のものになりますと、二千万、三千万程度の預金しか持たない金庫があるわけでありまして、それらが今申しますように、今後の経済的な不況の中でほんとうに働き得るかどうかというような点からしますと疑問なきを得ないのでありまして、業界におきましても、この際お互い同士がある程度合併でもして、一層健全にならうというような機運も若干見られておるわけであります。ごく最近の機会におきましても、東京あるいは横浜、その他におきまして二、三の合併が実現いたしておりますし、協会の方といたしましても、今後そうした自主的な合併が進められるならばきわめて好ましいことじやないかということで、陰ながら応援しておるというような現状であります。
  53. 福田繁芳

    福田(繁)委員 ただいまの安武さんのお話で、そういつた合併の機運がもうすでに実行に移つておるという御意見でありますが、これはより一層そういつた機運を濃厚にさせてもらつて、合理的な経営ができるようなことにしていただかないことには、この資料を見ましてでも、一番大きいものは六十数億、小さいものは預金量が二、三千万、私どものあさはかな知識でも、五億から七、八億くらいなければ信用金庫としての健全な運営はできないと考える。皆さんたちのお話で政府預託金がどうだ、日銀がどうだとおつしやいましても、信用金庫自体が五百六十二あつて、ピンからキリまである、二、三千万の預金量のものも信用金庫、こういつたものに対しては、いかに自由党さんが政府資金をそういう方面に流すことがお好きであられても私はできまいと思う。その点を自粛自戒されて、そういう機運がより一層濃厚になるように、実行に移されるようにということをあなたに特に懇請しておきたいと思う。  同時に佐々田さんにもそれが言えると思うのであります。まつたくきようの御出席のお三方ともそうだと思いますが、ほんとうに零細金融になじみが深いのは信用組合です。その信用組合がもうなんと三百十もできておる。こう言つておるうちにまた一つできるかもわからない。こういうことでは健全なる発達はしないと思う。それで私たちは、信用組合というものは地方長官に伝達して、絶対にこれ以上つくつたらいかぬということを強く要望したいと考えておる。そうしてこの三百十ありますところの信用組合も、われわれの資料によりますと、半数は預金こそ預かるが、貸出しはまだ一向それだけの資金がないというのが半数であります。こういつたことでは健全なる発達はすまいと思う。業界から聞くところによれば、佐々田さんはその点においての非常に経験者であり人格者である。同時に三百十の信用組合に育ての親としていたく尊敬されておるという話を聞いておる。さすれば、先ほど来借用金庫の方もおつしやつたごとくに、こういつた時代になつて参つたら、信用組自体を健全に育成発達をさすために、どうぞ合同と申しますか、合併と申しますか、合理化をはかつていただいて、ボロを出さないようにやつてもらいたいということを佐々田さんに私は強く要望いたしておきたい、こう思うのであります。私はこれで終ります。
  54. 佐々田三郎

    ○佐々田参考人 ただいまのお話はしごくごもつともでありまして、すでに三百以上もできておるというのはたいへんな数でありますが、これは全国的に見てどうか、ある地域にはまだ少いところもあるいはあるかもしれませんが、東京とか大阪等はよほど数がふえておりますので、先ほど申しましたように、われわれは東京都長官に、新規設立については慎重な態度をとつてもらいたいということを請願いたしております。また大阪におきましては、大阪府知事の談話の形式によつて、当分信用組合の新設は見合せるというような意味の声明があつたそうであります。これは向うの大阪方の信用組合の方から私が又聞きいたしたのでありまして、その新聞に発表された声明がどういうものであるかは私は見ませんが、そういう傾向になつております。  なお一言私が申し上げたいのは、信用組合と信用金庫というのは、実質的に違いがないものである、ただ監督官庁が違うというようなことで、実質的に違いがない種類のものを併立しておくということはどういうものであるかということの疑問を常に持つておるのでありまして一この点は議員各位におかれましても、御考慮いただければ非常にけつこうだと思います。
  55. 加藤清二

    加藤(清)委員 私は信用金庫及び信用組合、相互銀行の方々が、あなたたちの業務を進展させるには一番い、チャンスが来ておると思うのでございます。そこでそのチャンスをどのように有効に使おうとなさつていらつしやるか、具体的方策がすでにありとすれば、それを承りたいのであります。そのわけは、片や政府高率適用の強化、金融引締めで、そのしわ寄せがみなさんのお手元へ来ている、片や保全とか、あるいはその他の類似のものがぶつ倒れたおかげで、その不信の声が、ついでに名前のよく似た皆様の金庫にも来て、預金者が少くなつたというようなことも聞きましたが、それは事実でございましようけれども、結局は、相互金融だとか、あるいは保全経済会のような匿名組合を相手としておつたものは何かといえば、やはり商人でありまして、皆様のお客さんと同じ層の人が多いと思うのです。これを今皆様のお手元へ吸収すること、つまり預金も、あるいは貸出しも皆様のお手元へ吸収することによつて、皆様方の業務もふえると同時に、庶民金融が健全に運行されるではないかと思うのであります。この点、ただいま先輩議員から、数を制限したらというお話がございましたけれども、数を制限する以外に何らか考慮が払われているかいなか、いかがなものでございましようか。私の見たところによりますと、これがかえつて逆なことが行われておるのではないか。と申しますのは、信用組合と信用金庫というものは、大体名前が違うだけで、ほとんど同じだ、あるいは預金額が違うだけで、ほとんど類似のものである。にもかかわりませず、これら両者がお互いに相手方の悪口を言つて、相手方の勢力拡張を阻害していらつしやる、兄弟かきに相せめぐようなことが去年ございました。こういうようなことでは、自分信用を傷つけるのみならず、これは天に向つてつばを吐くようなことになるのじやないかと思います。ちようど保全その他がやられたこの際、何らかの方策によつて庶民金融を健全化する、こういう方途が計画されているかいないか、その点についてお尋ねするわけでございます。
  56. 安武善蔵

    ○安武参考人 信用金庫の者としてお答え申し上げます。先ほどもちよつと触れましたように、まず預金吸収の面におきましては、金庫ができましていろいろ御批判を受けまして、どうも金庫になつて、ねらいが高くなつたというようなこともあつたのでありますが、お手元に貸出しの資料もお差上げしておりますが、現実には十万円以下の貸出しが、全国平均しましても六〇%、特に地方等で見ますれば、六六%の件数は十万円以下の貸出しであります。従つて預金を伸ばしますある段階におきましては、営業用の会社なり、あるいは個人の大きなところの営業資金をねらつて参つたのでありますが、それらはどうしても動きも大きいし、従つて大きな貸出額も伴つて参ります。それはほんとうの信用金庫の行き方ではないということを、業者におきましてもかなり自覚をいたしております。従つて先ほど申し上げましたように、小口零細な預金というものに重点を置いて、そうした資金を集める、またそういい今まで加入をしていない方方に対しましては、やはりそうした大衆をわれわれの傘下に組織化して行くということに努めておるわけでございます。なおこれは当るかどうかわかりませんが、類似金融機関がこの数年の間に何億、何百億という資金を集めましたその集め方自身につきましては、これは金利の点もありましようが、いろいろな宣伝、あるいは非常にこまかいところまで足まめにまわつたというような事例は、われわれとしても学ぶべきものがあるんじやないか、われわれはまだ力が足らなかつた点があるじやないかという点も反省をいたしまして、そうした点の、預金の集め方につきましても一段のくふうをするというようなことを寄り寄りやつているような次第でございます。
  57. 加藤清二

    加藤(清)委員 もう一点だけ、次に三者とも関係がございますことをお尋ねいたします。それはほかでもございませんが、中小企業金融公庫の窓口業務に関してでございます。私どもがこの中小企業金融公庫法を制定する場合に、これこそは、ほんとうに過去の金融機関融資することを困難とした対象融資しなければいけないのだ、つまり倒れて行こうとする者を救うためにあれをつくつた。そこで、それの業務をやらせるには、まず信用組合、信用金庫相互銀行、これが最も妥当であるというわけで、十一大銀行をオミットした——あの大きな銀行から相当ひどい悪口を言われてまでもなおこれをやつたのでございまするが、その後の皆さん方の窓口業務の様子を私どもほのかに見てわりますと、悲しいことに、あなたたちがほんとうに主体になつてつていただかなければならぬ方が金額も少いし、あるいはまた借りに行つた人に対する態度です。これがあまり芳ばしくないのでございます。これは皆さんが、私が最初に申し上げましたように、信用を増大して、ほんとうに大きくしなければならぬというやさきに、これはマイナスな行為じやないかと思うから申し上げたわけでございます。一例を申し上げますと、百万円の金を公庫に借りに行きますと、まずおつしやることは、あんたに貸してあげたいけれども、まず月に十万円くらいずつ半年預けてくださいよ。そうしたらその後になつて貸してあげましよう。こういうことをおつしやるのは、特に相互銀行に多い。これはとんでもない話であります。金がないから借りに来る者に対して、しかもこれは政府預託金なんであります。それを貸してもらうのに、半年くらい毎月十万円ずつ預けろと言う。それを続けて行つたら、借りる金よりも預けた金の方が多くなつて来る。そんなことはとうていやり得ることではありません。そこで相互銀行はいいけれども、あんな無体なことを言われては、とても借りられないという訴えが大分来ております。これは私は名前をあげてもけつこうですが、差控えます。  次に、今度は信用金庫でございますが、やはり同じようなケースがございます。これは娘一人に婿百人だが、この中から選んであなたのところに貸してあげましよう。ところが百万円の政府預託金のこの金を貸して上げるが、貸したとたんに月々十万円ずつ預けてください。こういうことをやらされる。今までの歩積みでさえも困つているのに、なおその上この余分の金を預けさせられちや、ないから借りに行くのですから、この金をそういうことで責められては、皆さんの預金をふやすということには一時効果があるかもしれませんが、やがて、そういうことをせず、十一大銀行がこの金を貸している事実を見て、やはりたよるのは、寄らば大樹の陰とやらで、あつちに行つた方がいいということになつて行きます。これに対してあなたたちはどう対処されようとしているのか。私は社会党でございますけれども、決して空理空論でございません。血の出るような訴えを聞えて皆様にお尋ねしているわけでございますから、ひとつ具体的にお答え願いたいと思います。
  58. 島崎政勇

    ○島崎参考人 ただいまのお話、私も二、三耳にしたことも実はございます。それは結局は、公庫の資金の貸出しについての事務のふなれの点等、それからわれわれに割当ててもらつた金額が非常に少い、こういうものが重なつたり、あるいは中には、結局ある程度それによつて預金の増強をはかろうかというような自分銀行の金を出すのと同じような考えを持つた人もあるのではないか。この点は実は公庫からも注意がございます。そういうわけで、できるだけその点についてはひとつお客さんの不平をなくするようにしたいというので、これは協議いたしておりますし、また私の方からも、そういうことのないように通知したこともございます。ただ資金源が非常に少いので、まあできるだけわれわれ中小金融の専門金融機関はひとつつて行きたいという熱意は十分ありますので、そういう悪いところは改めますので、どうぞこの点を御了承願いたいと思います。
  59. 安武善蔵

    ○安武参考人 信用金庫の場合におきましても、今相互銀行について島崎さんが申し上げた通りでございまして、この点はたくさんの中でありますから、一、二御指摘をいただいたようなこともあると思いまするが、私どもといたしましては、そういうことが絶無となるように今後とも努力いたしたいと思います。
  60. 佐々田三郎

    ○佐々田参考人 ちよつと御返答申し上げます。  ただいまの中小企業金融公庫の代理業を営む、つまり国庫の金をもつて貸し出すことによつて自分の組合の預金をとろう、こういうことはよくないということは、この前の委員会でもお話がありましたので、私はそういうことがないようにということを皆さん方に申して、多分信用組合にはその例はないかと自分では思つております。
  61. 久保田鶴松

    ○久保田(鶴)委員 簡単に御質問いたします。いろいろきよう伺いましたことは参考なつたことはあります。あわせて私お願いがある。あなた方は零細な金融機関である、こう思つております。そこで各金庫の金を借ります場合に、株を持たされる。何ぼ金を貸してやるから株を何口持て、こういうことでございます。借りた金を会社から持たされた株券と交換されてしまつて、天引きされてしまう。こういうようなことが信用金庫等で行われている。はつきり申し上げますと、大阪で大阪の八尾市における信用金庫ではそれをやつております。ほかにもたくさんやつているところがあります。こういうことをほかでもやつておりますか、ちよつと伺いたい。  それから、その次に相互銀行さんでありますが、私大蔵委員会金融関係といたしまして国政調査に参つたときに、日本銀行等に金融機関の方にみんな集まつてもらつたときに申したのですが、相互銀行には警察あがりの方が非常に多い。これは私ちよつと言い過ぎたかもしれませんが、無尽の成り上りが銀行なんというなまいきなことを言うな、銀行という名前をとつちまえ。というのは、貸した金をきつい取立てをする。そうしたこと等も今後ひとつ十分注意してもらいたい。非常にそういうようなことが多いのです。あわせてはつきり申しますと相互銀行といたしまして、大阪には福徳銀行というのがあります。そこには林という専務さんがいらつしやいます。この人のおつしやいますのには、零細な人に金を貸すのに、とよかけということを言いました。私はとよかけということは何のことだかわからなかつたけれども、とよかけということは預金せよということだつたのです。預金した上において金を貸す。預金をしなければ金を貸さない。その金は何の金だと申しましたら、先ほど加藤君が申しました中小企業金融公庫の金なんです。この窓口の扱いが非常に悪いのです。こういうようなことはどうなんですか。やはり今でもそういうようなきつい取立てと、それから不親切なやり方でやつておられるのかと思いますが、その二点だけ両方の方々にお伺いしたいのです。
  62. 安武善蔵

    ○安武参考人 お答えいたします。信用金庫の場合には、御承知のように員外に対する貸出しというものはできませんので、従いまして新しく金庫の窓口においでになりました方に御相談されますと、どうしても会員になつていただかないと金を貸せない。今おつしやる株というのは、金庫の出資のことだと思いますが、これは持つていただかなければならぬということは、法律的にやむを得ないのであります。ただその場合に、五万円貸すのに一分持てとか二分持てとかいうような一つのスライドをさせて持たせるということはいけないことだと思いますし、これはまあ資本金、出資の増加ということから、一時そういうことをやつておりました金庫もなきにしもあらずでございましたが、そうしたことのないように、特に私ども配意をさせているわけでございます。ただこれに関連いたしまして私どもの方で考えておりますのは、たとえば一口五万円以下ぐらいの少額な貸出しについては、これは法律的な金庫制度そのものにひびが入るわけでありませんので、できますれば会員外の貸出しというものが認められればどうであろうか。それば今御指摘のように、入りますときにかりに五万円の金を借りますと、今でありますと五有円か千円の出資がなければならぬはずです。そうしますと、それだけ手取りが減つて来るわけです。また考えようによつては、それだけ金利が高くつく計算になりまして、しかも先取りに利子を取られるわけですから、手元には、五万円借りましても四万円そこそこぐらいにしかならぬではないか。こういうことでございますので、きわめて零細な、たとえば今度国民金融公庫の小口貸付五万円以下というものがございますが、それ以下ぐらいのものは、員外でも貸せるというような制度をしいていただいたらどうか。こういうようなことを私ども今要望いたしておりますが、今大蔵省と折衝いたしておりますので、ひとつ何分の御助力を願いたいと思います。
  63. 島崎政勇

    ○島崎参考人 ちよつとお答えいたします。先ほどのお話の福徳相互さんは、実は終戦後でき上つた銀行でございますので、会社が設立当時、なかなか人材を得ることができなかつた。そういうような点から、特に林さんが専務になられたので、警察関係の方が多少いるのじやないかと思いますが、ことさらにそういう方が多いということはないのじやないかと思います。それから金融する場合の預金等のことがありましたが、それは先ほど申しましたように、できるだけそういうことはなくしたいという考えでございますし、全体から申しますと、相互銀行金融というのは、おそらく金融機関のうちでは一番大胆に金融をしているところではないか。三千百億の金で、二千九百億出す、これはほとんど全部がお客さんに還元しておるというような状態でございます。なお芳ばしくないものがおりますので、今後十分注意いたしたいと思います。
  64. 内藤友明

    ○内藤委員長代理 春日一幸君。
  65. 春日一幸

    春日委員 本委員会は付託されておる議案が今山積をいたしておる。多端の折から、議案の審議を一日休んで、特に諸君の公述を求めたゆえんのものは、現在中小企業者が当面しておる金融梗塞の惨状を特に重視してのことであるのであります。従いまして、われわれは本日の公述によつて知らざるところがわかり、おおむねその真相が究明し得たと思うのであります。いずれ日をあらためて、本委員会は重大な議決を行うことがあろうと思うのであります。そこで私が最後に補足質問をして、これに対するよき資料といたしたいことは、次の三点であります。ただいま日銀佐々木営業局長の答弁によりますると、日銀取引のないところの金融機閥は、その親銀行を通じて日銀の援護を受けるという便宜な道がある、こういうことを述べて行かれたが、信用金庫相互銀行信用組合の諸君ば、その親銀行を通じて、資金面において日銀の援護を受けておる事実がはたしてあるかどうか、この点を三者から御答弁を願いたい。  次は、あなた方が仕事をおやりになつておるその資金量の九割以上のものは、おそらくお得意に、わくというものでおのずから一定の契約ができてしまつて、その資金量は固着、定着してしまうのではないかと思われる。従つて新規の貸出しの申込み、あるいは古い諸君からのつなぎ融資の申込みに応諾する余裕金というものは、諸君が持つておられるところの資金量の五分か、一割程度のごく上積みの資金ではないかと思われる。ところが二十七年度、二十八年度に政府預託が行われて、この金額が大体資金量の五%ないし一〇%を対象として預託が行われたという実績から考えて、いつしか諸君の慣習になつたことは、政府預託金をそれぞれの操作資金として活用されておつたのではないかと思われる。今やその指定預金が全面的に引揚げられようとしておるこの段階においては、諸君が持つておるところの資金量というものは、もはや固着、定着しておるので、新規の要求に応諾するとか、あるいは古いお得意さんの危機に臨んでのつなぎ資金の申込みに応諾するとか、そういう操作能力を喪失するに至つたのではないかと思われるが、これらの状況はどうであるか、これが第二点。  それから第三点は、中には信用金庫相互銀行信用組合等を通じて、それぞれ親金融機関があると思われるが——ある場合もあるし、ない場合もあるでありましよう。そこである場合はそれの支配力、すなわちそれらの金融機関が相当の株を持つておるか、資金の応諾、資金の供給をしてくれるか、さらにはまたそういう親金融機関から、重役等があなた方の金融機関へ来て指導、協力しておるかどうか、すなわち親銀行のあなた方に臨むところの支配力いかん、この三つの問題についてひとつ御答弁を願いたい。この三つの問題はわれわれがまさに行わんとする議決の大きな資料となる問題でありますので、はばかるところなく率直にひとつ見解を述べられたいと思います。
  66. 安武善蔵

    ○安武参考人 第一点の、佐々木さんのおつしやいました中で、親銀行を通じて信用金庫日銀資金が導入されておるかという問題でありますが、信用金庫の場合におきましても、銀行から若干の借入れはいたしておりますので、それは預託引揚げられました穴埋めに銀行から金を借りておるかどうかということは判名いたしませんが、日銀当局のお話になつたような事例はきわめてまれで、おそらくないんじやないか、こういうふうに私どもは 見ております。  それから特に私どもの万は全国連合会があるのでございますが、これと日銀との当座取引は今認められておりまして、交換その他の決済には役立つておりますが、日銀その他からこれを通じまして金を導入するということは、今まで一回もやつておりません。従つて第一の点では、親銀行あるいは親の連合会を通じての日銀の恩恵というものはない、こう申し上げていいのではないかと思います。  それからそういう親銀行からいろいろな人が参りまして、金庫の経営にどの程度の支配力を持つているかという点でございますが、私らの場合は、そうした銀行さんから参られる場合も少くないのでありますけれども、端的にそこの銀行の支配下にあるというような関係は、私の知つている範囲ではないのではないかというふうに考えます。
  67. 春日一幸

    春日委員 上積みのことはどうですか。
  68. 安武善蔵

    ○安武参考人 申し落しましたが、第二の点の政府資金が今のわれわれの方の運営の上積みになつていないか、従つて本来の自分資金は特定の人に固定してしまつているのではないかという御質問でございますが、具体的に全部の一々の金庫についてみますと、あるいはそうした金庫が若干ないとは言えないと思うのでありますけれども、全体的に見ますと、やはり預金も、伸びは悪いですが、若干伸びているわけでございますし、それから貸出しも大口なり、あるいは特定のへに常に固定しているという状況ではございません。特に私どもの方としても、比較的長いのもございますが、やはり短期資金が主体でございますので、手形の決済なり、あるいは満期が参りますれば、かなり資金はまわつておりますので、そういうところまでは行つておらないというふうに申し上げてさしつかえないと思います。ただ数字の上で見ますと、たとえば支払い時におきまして、書きかえの件数が従前よりふえるとか、あるいは延滞になつているのがふえるというのは、もちろん資金繰りが悪くなりましてからは、やや顕著に現われているということは言えるのではないかと思います。
  69. 島崎政勇

    ○島崎参考人 お答えいたします。第一の点でございますが、われわれは日本銀行取引はない、平常は結局銀行を通じて取引しておりますが、先ほど申されたような事例は一つもございません。もちろんそれば銀行を通じて日銀に小切手が行くかもしれないが、大体平常から普通銀行に対してまあ四、五百億の預金をしております。それは支払い準備としてやつておりますので、従つて普通銀行から金を借りて日銀の方に政府資金を返したというような事例は一件もございません。  それから資金の上積みをしているのではないかという御質問でございますが、表面から見ますと、一見そういうふうにとられるかもしれませんが、大体相互銀行は新規貸出しに四百億から五百億、十二月は六百億の新規融資をしておりますので、資金の回転ということから見た場合も、その資金がきまつているという点は一つもないと思います。  それから政府資金を停止した場合に、その結果困つているというような見方もございますが、今のところはそれもないし、またこの見方によると、政府資金銀行預金等にして、さやかせぎといいますか、支払い準備をしておるような感じも受けますが、これは、金繰りがなかなかつかない、結局においては、政府資金が出るから支払い準備を要しないで、それを借り手の方にまわすことができるという点でございますので、そういうようなことはございません。もう一つは、最近銀行が株を持つておるというような点も一、二ございます。また銀行の方から人が来ておることもあります。ありますが、これは、普通銀行自分考えているような相互銀行の運営をしようというのでなくして、普通銀行としては、どうしても中小企業及び大衆金融ができない面がありますので、これをひとつ援助する——資金的ではなくて経常的に援助するといつたようなことで、相互銀行法の第一条の根本趣旨を誤つて運営しているようなところは、今のところは一つもないのでございます。簡単でございますけれども、お答えいたします。
  70. 佐々田三郎

    ○佐々田参考人 信用組合について御答弁申し上げます。大体において、信用組合は親銀行に対して平素支払い準備金として何百万、あるいは何千万というものを預金をしておりまして、必要な場合に、それを見返りに金を借りるというのが普通のやり方でありまして、なおそれで足りないときには、商業手形の再割引を頼むとかいうこともありまするが、預金支払い準備として保有すべきものを銀行預金をしておきまして、その中で必要の場合には使う、こういうようなことをしておるのが普通であります。それから信用組合の資金の回転が固定してしまうのではないかというような御質問でございまするが、それはもとより内容の行き詰まつたものはそういうことがあるかもしれませんが、大体においてはそういうことはありません。やはり毎日資金ば入つて来るし、またそれは回転が十分に行くのであります。毎日、あるいは日掛、あるいは月掛、その他の普通預金というものがやはりあるのでありますから、その点はたといきゆうくつであつても、全然固定して、何も回転がつかぬというようなものはごくまれな例であろうかと考えます。  それから親銀行信用組合に対してどのような支配力を持つているかという御質問でありますが、これは御案内の通り信用組合はつまり組合組織であり、その理事会というものが非常に力が強いのでありまして、親銀行信用組合に対して経営上その他の支配権を振うということはまずない、今のところはその例もありませんし、将来もないことじやないかと思うております。
  71. 福田繁芳

    福田(繁)委員 ただいまのことに関連して、島崎さんにちよつと資料についてお願いしたいと思うのですが、春日君が申されましたように、来週の火曜日あたりに、この委員会において中小企業金融打開策の重大な決議をいたすことになつておりますので、その参考のために資料をいただきたいと思う。信用金庫協会だとか、地方銀行協会は、実にりつぱな資料をわれわれのところへどんどん提出されておるのですが、あなたの相互銀行協会は、この間なかなかりつぱな建物ができたが、一向資料が不十分で、非常に失礼なことを言わなければならないことになる。そこであなたにお願いいたしたいのは、ほかでもないのですが、あなたの銀行協会にもしあれば、貸出しの業種別の内訳表、もしおわかりでなかつたら、信用金庫協会のりつぱなひな型があるから、それを差上げてもよいが、これをひとつつくつていただきたいと思う。何だか聞くところによると、相互銀行は花柳界、三業関係、料理屋、飲食店、こういつた方面の貸出しが圧倒的に多いということも、われわれのところへ投書が来ておるのであります。まさかそんなことはなかろうと思うが、正確に判断するために、貸出し業種別の一覧表を至急いただきたいと思う。  それともう一つ伺いたいのですが、全国の相互銀行関係には、かつて大蔵省におつた役人、大蔵官僚、これが相当枢要な役職についておられる銀行が相当あるらしい。それから、これは政務次官がいらつしやれば御参考に聞いておいていただきたい。大蔵省、なかんずく銀行関係に奉職しておつた者が、相互銀行の重役に入つてつて、大蔵省と実にうまくスムーズに何かとおやりになられて、預託関係にしろ、実にりつぱにやつておられるということをちらほらわれわれ耳にするのですが、これもお調べ願つて、全国七十の相互銀行にかつての大蔵省の役人がこれくらい入つておりますということも、ひとつ知らしていただきたいと思う。
  72. 内藤友明

    ○内藤委員長代理 ほかに御質疑もないようでありますから、以上をもちまして参考人の方々からの御意見聴取を終ります。  参考人各位一言御礼を申し上げます。本日は御多忙中のところ長時間にわたり熱心に御意見をお述べいただき、当委員会といたしましては、中小企業金融につきまして、今後の対策樹立のためたいへん参考になりましたことを厚く御礼を申し上げます。  なお、明日は入場税について地方行政委員会と連合審査会を開きますので、御了承を願います。  本日はこれにて散会いたします。     午後一時十七分散会