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1954-03-05 第19回国会 衆議院 大蔵委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年三月五日(金曜日)     午前十時三十四分開議  出席委員    委員長 千葉 三郎君    理事 淺香 忠雄君 理事 黒金 泰美君    理事 坊  秀男君 理事 山本 勝市君    理事 内藤 友明君 理事 久保田鶴松君       宇都宮徳馬君    大平 正芳君       福田 赳夫君    藤枝 泉介君       池田 清志君    福田 繁芳君       小川 豊明君    加藤 清二君       春日 一幸君    平岡忠次郎君  出席政府委員         大蔵政務次官  植木庚子郎君         大蔵事務官         (日本専売公社         監理官)    今泉 兼寛君         大蔵事務官         (主計局総務課         長)      佐藤 一郎君         大蔵事務官         (銀行局長)  河野 通一君  委員外出席者         専  門  員 椎木 文也君         専  門  員 黒田 久太君     ————————————— 本日の会議に付した事件  米国日援助物資等処理特別会計法等を廃止す  る法律案内閣提出第三号)  農業共済保険特別会計歳入不足を補てんす  るための一般会計からする繰入金に関する法律  案(内閣提出第五号)  資金運用部特別会計法の一部を改正する法律案  (内閣提出第八号)  製造たばこ定価決定又は改定に関する法律  の一部を改正する法律案内閣提出第一〇号)  国民金融公庫法の一部を改正する法律案内閣  提出第三三号)  日本銀行券預入令等を廃止する法律案内閣提  出第三五号)(参議院送付)  食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案(  内閣提出第五四号)  外国為替銀行法案内閣提出第七三号)(予)     —————————————
  2. 千葉三郎

    千葉委員長 これより会議を開きます。  本日は、第一に米国日援助物資等処理特別会計法等を廃止する法律案、第二に、農業共済保険特別会計歳入不足を補てんするための一般会計からする繰入金に関する法律案、第三に、資金運用部特別会計法の一部を改正する法律案、第四に、製造たばこ定価決定又は改定に関する法律の一部を改正する法律案、第五に、国民金融公庫法の一部を改正する法律案、第六に、日本銀行券預入令等を廃止する法律案、第七に、食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案、第八に、外国為替銀行法案の八法案一括議題として質疑を行います。
  3. 内藤友明

    内藤委員 質疑に先だつて資料を出していただきたいと思うのです。それは私ども非常に心待ちにお待ちしている例の出資の受入れ預かり金及び金利などの取締り法案証券取引法の一部改正法律案、それから組合保険法案、この三つの要綱を至急にお出しいただきたいと思います。実はこの間から今か今かと思つてお待ちしているけれども、まだいただきませんが、少し勉強したいと思いますので、その要綱はできるだけ早くお願いしたいと思います。聞くところによりますと参議院行つていろいろこまかい御説明をなすつておられるようでありますが、私どもがいろいろお尋ねしても、お答えがきわめて簡単で、何だか参議院行つて御熱心で、衆議院へ来ると冷たい風が吹くようで、まことに残念に思いますので、御答弁はいりませんから、その資料要綱——もし何なら原稿をいただけますれば私どもの方で印刷いたしますから、どうかひとつお出しいただきたい。
  4. 河野通一

    河野政府委員 お話の三法案の最初の二つの法案は、来週の月曜日には御提案を申し上げるところに来ております。しかし一刻も早く要綱はお手元へ差上げるようにいたします。  それから第三の組合保険の問題につきましては、これは御案内のように、現在議員提案提案されておりますものの処理問額がまだ残つておりまして、今後この法案政府提案として御提案申し上げるのがいいか、あるいは議員提案として出ておりますのを修正していただくというような形で処理されるのがいいかというような問題につきまして、いろいろ今御検討になつているようであります。案は持つておりますけれども政府として御提案申し上げるのがいいかどうかという問題は、もう少し研究いたしたいと思いますが、内容につきまして御説明申し上げることはいたしたい、かように考えております。
  5. 千葉三郎

  6. 春日一幸

    春日委員 河野銀行局長にお伺いいたしますが、昨日の夕刊所報によりますると、またもや問題の例の不渡り手形が新記録、一日でもつて三千四百五枚に達したという報道がありますが、中小企業金融はまことに憂うべき状態に、むしろ破局にすら当面しておるのではないかと心配されますが、銀行局長はこれに対してどういう見通し、そしてその見通しに対するいかなる対策を持つておられるか、まずもつてこの点からお伺いいたします。
  7. 河野通一

    河野政府委員 不渡り手形枚数が最近非常にふえて参つておりますことは、今御指摘通りであります。この問題につきましては、かねがね当委員会でもたびたび御質問をいただいておるのでありますが、確かにその不渡り手形の大部分が中小企業関係から出ておると考えられることは、御指摘通りであります。しかしながら私どもは、この手形不渡りについていろいろ分析をいたして参つたのでありますが、大体本来の金融のルートに乗らない、言葉は悪いのでありますが、いわば手形濫用といいますか、手形制度というものの本来の機能を逸脱したような振出しが行われておるというものが、近年非常に多くなつてつておる。従つていわゆる不渡りということの意味も、数年前に言われておつた不渡りと、現在の不渡りとは、相当内容が違つてつておるということも認めざるを得ないと思うのであります。従いまして、この不渡り手形枚数が非常にふえたということの原因のすべてが金融に帰せられるべきものであるとは、私は考えておらないのであります。確かに中小金融というものが非常にきゆうくつになつて参つた、その結果、不渡り手形枚数が非常にふえておるということの一つ原因であることは申すまでもないところであります。私どもは、金融財政を通じての引締め方針というものを堅持しながら、そのうちの中でえてしてしわが寄るであろう中小企業金融については、できるだけ今後においてもその不当によるべきしわを排除いたすと申しますか、これを緩和すると申しますか、そういう措置は今後とつて参りたい、かように考えている次第であります。  なお、それらの方策一環として、たとえば、今御審議をいただいておりまする国民金融公庫のこれらの出資をできるだけ資金源をふやして行くとか、あるいは中小企業金融公庫に対する資金をできるだけ財政の許す限りふやして行くというようなことも考慮いたして参つております。もちろんそれだけでそれらに対する対策が十全であるとは私ども考えておりませんけれども、今後といえどもそういつた面から努力をいたして参りたい、かように考えている次第であります。
  8. 春日一幸

    春日委員 現在中小企業関係における不渡り件数激増内容原因が、これはむしろその金詰まりというような問題ではなくして、手形濫用にその主たる原因があるようなことを申し述べられたのでありますが、これは私はなはだけしからぬことだと思うのです。少くとも中小商工業者が、手形不渡りの余儀なきに至るというようなことは、これは先刻も申し上げたと思うのでありますが、いずれにしても払ら金を押え、労務賃金の支払いも押え、やむにやまれずして遂に不渡りの余儀なきに至るということであつて手形遊びの結果がこういう不渡りの結果になつて現われるというような、そんなじようだんめいたことじやないと私は思う。私は銀行局長中小企業を含めての金融の総元締めの主管者責任者という立場において、もう少しこの中小企業不渡りというものについての業界の真相について、もつと理解を深めてもらうのでなければ、われわれの百の言説も一つの効力も生じないのではないかと思うのであります。われわれがここに申し述べることは、われわれの即興的な着想ではない。やはりそれぞれの資料、さらにはまた国民の広い与論を代表してあなたに申し上げておる。だから、これはやはり天の声というような気持で、もう少し敬虔な気持で、胸襟を開いて聞いてもらうのでなければ何にもならない。現にあなたは重大な過失を犯しておられるのだ。第十三国会以来、庶民金融の問題についてその立法の必要があるであろうということをしばしばあなたに強調した。ところがあなたは、そういうようなものは、ボロ会社のボロ株を買うような連中には、そこまで立ち入つて世話するわけにも参りませんし、これは法務省所管であつてわしらの所管じやないからといつて、一向その国民の声にあなたは傾聴されなかつた。これらの結果がどういう形になつたかというと、法務省所管のものを、結局今度はあなたの方との共同の責任において法案を出さざるを得ざるの余儀なきに至つた。しかしその間において、国民何十万という人々が何百億円という大きな損害を受けた。そうしてざくろのように口を開いたその傷口を、国民並びに国会に露呈しながらわれわれがそれの審議をせざるの余儀なきに至つた、これは一にかかつてあなたの責任なんだ。そのことは、国会におけるわれわれの声をあなたは、空吹く風のように聞き流して、諸君はそう言うがわしらはこうだというので、一向その声に従つたところの放策を講じられなかつた結果がこういう結果になつて来たということについて、あなたはもつと深い反省をなさるべき必要があると思うのです。ことに中小企業不渡り激化のこの事情について、これはおそらく私は重大問題だと思うが、特に大蔵当局愕然として、何らかの方策に出なければなとぬ。あなたがお考えになつておるかと思つて、私はこれに対してどう考えておるかと質問を申し上げたら、げたらこれは手形遊び、結局手形濫用するの結果がこうなつたという一方的な、独断的な見角を述べられたということは、まことにもつてわが国中小企業者のためは悲しむべきことであろうと思う。ほんとうに現在のこの不渡り激化真相原因が、彼らが必要以上に手形を発行した結果であるか、あるいはたまほんとう政府金融財政を通じての施策が遂にはこういうような中小企業しわを寄せられて、そうしてそれがこういうような結果になつたものであるかどうか。これはもう一ぺん大蔵次官から御答弁願つて、それから次の質問に入りたいと思います。
  9. 植木庚子郎

    植木政府委員 不渡手形の少額なものの数字が非常にふえて参つておりますことは事実でございまして、まことに残念に存じます。その原因につきましては、れだいま銀行局長から申し述べましたような原因もその一つになつておると、どうも考えられる点があるのでございまして、中小企業のそうした事情については、でき得る限りの措置考えなければならぬというので、いろいろと苦慮をいたしておる次第でございます。
  10. 福田繁芳

    福田(繁)委員 ちよつと関連して……。ただいま同僚議員春日君から銀行局長並びに政務次官に対する御質問がありましたので、それに関連して銀行局長伺いたい。話が枝葉に入るようでございますが、あなたは最近地方へいわゆる金融状態の御視察にお越しになつたことがあるかないかを伺いたい。
  11. 河野通一

    河野政府委員 なまけておるわけではございませんが日々仕事に追われておりまして、最近地方に出てみずから視察したことはございません。しかし地方状況につきましては、地方出先機関もございますし、私どもの方でもたくさんの人が地方にたびたび出ておりますから、これらの人から地方情勢については聞いているつもりであります。しかし直接に私が見聞きましておらぬという点は、やはり感覚としてぴんと来ないという点があるかと思いますが、仕事に追われておりますために、はなはだれの点に遺憾に存じますけれども、最近は出たことはございません。
  12. 福田繁芳

    福田(繁)委員 私は銀行局長にぜひお願いしたいのでありますが、大体予算の目鼻もついたのでありますから、ぜひ地方にお出ましなすつて、生きたところの世り中の金融情勢をとくと御調査願いたい。私案は一昨日北海道へ参りまして、昨日帰つたわけでありますが、一日間でしたが、あの比較的日本国内において経済的にゆたかといわれております北海道金融の行詰つておる状態目のあたりに見まして、実はつ愕然としているわけです。北海道は御承知のように水産王国でありますが、あの水産関係をやつておる事業家連中も、十中の八、九割が倒産しておるということを目の前に見て参つた。こういう点は、原因金融にあるのでありますから、ぜひとも銀行局長はとくとごらんを願いたい。今春日君の御質問に対して、不渡り手形激増が、言いかえれば手形制度濫用だ、こういうお言葉でありますが、これはもつてのほかだと思います。何がゆえに中小商工業者手形を出さなければならないか。もしあなたのお説に百歩譲歩いたしまして、濫用しておるというのならば、何がゆえに濫用せざるを得ないかということの原因を掘り下げて、そうして御検討されて、根本的な問題を打開してもらわないと非常にぐあいが悪いと思う。それに関連しましては、先ほど内藤君が御質問になりました法案が月曜日に上程されると承りましたので、要するに来週の委員会で、いわゆる中小企業に対する根本問題についてとくとあなたの御意見を伺いたい、こう思つて私は待機しておりますから、もう予算が済んだのでございますから、間接に情報を得ないで、どうぞあなた御自分で全国へ、言いかえれば金融状態を行脚されて、そうして目のあたりの生きたところの金融ごらんになられて、御自身として大いに検討なさる必要がある、かように思いますから、非常に私的に入りましたが、あなたに苦言を呈しておきます。
  13. 春日一幸

    春日委員 そこでまず金融政策一般についていろいろお伺いをして参りたいと思うのでありますが、ただいまのような、中小企業手形不渡り激化原因はもつぱら中小企業者たちの必要の度を越えた手形遊びの結果であるというばかげた答弁は、今後なさらないように、もう少し慎重に御検討願います。さらにはまたわれわれ国会議員の声というものは、これをすなおに聞いていただくのでなければ、後日重大な禍根をそこにはらんで行くものであるということを十分御銘記願いたいのである。そのことは保全経済会の問題もあり、行政監察委員会は、河野銀行局長もやはり参考人として招致して、この間におけるあなたの行政措置を糾弾せようとしておるが、どうかこの中小企業金融について、後日行政監察委員会に召喚されることのないように、ひとつ今から十分御注意を願つて、その施策に万全を尽していただきたいことを、まずもつてお願いをいたしたいと思うのであります。  そこでお伺いいたしたいことは、この政府金融引締め政策日銀金融と相呼応してだんだん強化されて参つつたかと思うのでありますが、そこでたのは、昨年の十月ごろからではなかお伺いしたいことは、昨年の十月当時における日本銀行から市中銀行への貸出し金額、それから本日ただいまにおける貸出し金額、これの実額並びにその増減をお答えを願いたいと思います。
  14. 河野通一

    河野政府委員 ちよつと手元資料を持つておらないのでありますが、昨年の十月当時には、大体三千四、五百億程度の貸出しであつたと思います。もつとも御承知のように、日銀の貸出しは月中でも相当動きます。二、三百億は動きますから、大体ならしてその程度。月末ぐらいの一番多いところが三千四、五百億だつたと私は記憶いたしております。最近は御承知のように、これが七百億といつたような数字になつておるわけであります。最近の状況につきましては、貸出しが相当ふえて参つておることは事実であります。この貸出しのふえている原因並びにそれがいいか悪いかという議論につきましては、これから御質問がどうせあると思いますから、後ほど御質問によつてお答えいたしたいと思いますが、私どもといたしましては、やはり日本銀行市中に対する貸出し額が多いか少いかだけを問題として考えて行くわけに参りません。あるいは国庫收支、あるいは外貨状況、すべてをにらみ合せて、日本経済が今後歩むべき方向等を頭に置きながら、適正なる通貨量というものはどの程度にあるべきかということを想定して、その通貨量を大体頭に置きながら国庫收支外貨状況その他をにらみ合せながら、市中銀行に対する日銀の貸出し政策というものを考えて参らなければならないと思うのであります。少くとも現在において私どもが言えることは、国庫の収支が揚げておるから、それと同額だけ日銀の貸出しがふえてもよろしい、こういう議論は成り立たないというのが一つ。それから国庫放出強化をいたしておるから、その放出強化をいたしておる額まで日銀の貸出しが減ればよろしいということも正しくないこ、ういうふうな観点から日銀の貸出しというものを考えておるということだけを申し上げておきたいと思います。
  15. 春日一幸

    春日委員 それからお伺いをいたしたいことは、政府政政余裕金が、いろいろ金融機関指定余金として預託をされているわけであります。これまた昨年の十月ごろから次第に漸減いたして参りまして、現在は百五十何億に減つておるかと思うのでありますが、昨年の十月ごろにごろにおける政府財政余裕金というのがどの程度のものであつたか、それから年度末、年度内においてのいろいろの関係等も、時日的な関連もいろいろありましようが、現状とこれを比較いたしまして、政府財政余裕金の中に占めるところの指定預金金額ウエート関係、これが一体どういうような関連の上にあるか、概念的でけつこうでございますから、あなたの御批判をひとつ承りたいと思います。
  16. 河野通一

    河野政府委員 数字につきましては、ちよつと私手元に持つておりませんから、調べた上でお答え申し上げたいと思いますが、概念的に国庫余裕金というものと指定預金というものとの関係はどうであるかという問題であります。これは必ずしもその間に一定の法則はないと私は考えております。むしろ国庫余裕金というものと日銀金融政策というものとの間にこそ関係はある。その中で、日銀金融政策に負荷されるべき一部を国庫余裕金のうちから一部市中にこれを預託することによつて日銀市中貸出しというものとの調和をはかり、かたがた特に日銀取引のない中小金融機関に対しては中小金融を打開して行くという観点から、余裕金の一部を指定預金としてまわして来た、こういうのが従来からの指定預金に対する考え方です。元来指定預金という制度は、これは基本的にいえば、決して普通のやり方の制度ではないと私は思うのであります。何と申しますか、一種の権道と考えております。最近におきましての財政金融を通ずる引締めといいますか、これをできるだけ健全なベースに持つて行きたいという努力一環といたしまして、国庫余裕金は必ずしも今非常にきゆうくつであるという状態ではありませんけれども財政金融を引締めて行くという政策一環として、指定余金制度はこれを引揚げることにいたして参つております。先般御説明申し上げたと思いますが、大体現在残つておりますものは、今お話のように百五十億程度であります、これを大体九月末までの間に原則として均等に——ものによつてはある程度均等でないものもありますが、大体原則として均等にこれを引揚げて行く、九月末においては、指定預金制度は大体残高ゼロというところへ持つて行きたいということで今計画をいたしておるわけであります。この点から申し上げますると、先ほど御指摘のような、国庫余裕金指定預金というものの間には、特別な法則的な関係はない、かように私は申し上げざるを得ないと思います。
  17. 春日一幸

    春日委員 ただいま御答弁によりますると、日銀は昨年の十月ごろと比較すれば、現在市中銀行に対する貸出しは相当額ふえておるであろう、こういう御答弁なのです。これは、日銀対象となるところの金融機関は、大銀行を含めての市中銀行でありましようし、大銀行を含めての市中銀行の貸出し対象は、これは大企業に重点が置かれておることは、いろいろな金融統計が明確にこれを示しておるところであります。そうすると、こういうことがいえるのではないかと思う。たとえば、日本銀行金融引締めのいとを強く強調してはおるが、しかし現実にはその貸出しを相当ふやしておる。しこうしてその対象になるものは大企業である。現実日銀の金を市中銀行を通じて使つておるものは大企業が多い。それは三割五分対六割五分という比率も示されておるが、いずれにしても大企業が多い。ところが日銀のその足らざるところの施策政府財政余裕金によつて政府指定預金制度によつて、これをいろいろカバーしておられると承つたが、そこでこの指定預金の対衆となるのもは、一般市中銀行もあるが、農林中金であり商工中金であり、相互銀行であり、さらに信用金庫、こういうぐわいに中小企業にこれらはウエートが置かておると思うのであります。そうするとこの半箇年間における政府並びに日銀政策は、大企業資金需要を満たすためには、現実にはその貸出し増加をもつてこれにこたえておる。ところが中小企業に対しては、昨年の十月ごろには四百五十億の指定預金使つてつたものが、今日大体百六十億とすれば約三百億減つておる。逆に三百億をぐつとしぼつて来られておる。大企業に対しては、日銀政策を通じてその資金需要にこたえて、中小企業のためにこういう大幅な、急激なしぼり方をしておる。その結果昨日の夕刊新聞の報じた通り、一日において、中小企業が三千四百五枚というような、これはほとんどゼネナラル・パニックそのものをおそれしめるようなこういう不渡りを出すに至つておると思うのでありま  そこで植木大蔵政務次官にお伺いいたしたいことは、なるほど大企業金詰まりで困つてはおるのであろうが、大企業に対してはいろいろの金融機関があります。日銀を通じてのいろいろな方法もあろう開銀もあり、輸出入銀行もあり、長銀もある。ところがこの中小企業に対しては、中小企業金融公庫に対する政府出資並びに預託にしろ、あるいは国民金融公庫、商工中金そのものしたところで、総額合してわずかなものである。その足らざるところをどうして補填するかということになると、これは結局政府財政預託金指定預金による新法以外にないと思う。この足らざるところはやはり指定預金制度の妙味を発揮して、金融の実情に即した施策に出るべきであると私は思うが、終局出なかつた結果中小企業者——ども抽象論を言つておるのではなくて、こういうきわめて悲惨な苛酷な被害を彼らに及ぼしておると思うが、この一連の政府並びに日銀金融施策に対して、どういうぐあいに植木政務次官はお考えになつておるか。この機会にひとつ率直な御答弁を願いたい。
  18. 植木庚子郎

    植木政府委員 政府の来年度におきましての金融引締めの方針につきましては、いろいろな機会大蔵大臣その他から申し上げておる通りでございまして、わが国経済自立のために、どうしてもインフレ抑制の必要がある。そのためには、予算の面におきまして御承知通り非常な引締めをお願いしておると同様に、金融の方面においてもぜひともその方針を一貫いたしまして、さらに各省における諸般の施策と相まつて、ぜひとも現在の方針を貫徹したい、かような考えでおる次第であります。従いまして日銀のいわゆる貸出しの面におきましても、でき得る限りこれをだんだんと圧縮をして参りたいという方針でおりますので、当局とも十分に打合せをいたしております。また政府指定預金の問題につきましても、やはりその大きな施策一環として、ただいま申し上げましたように、本年の九月ごろまでにはこれをゼロにする程度にまでぜひともだんだんと圧縮して参りたい、こうした基本的な方針を持つておるのであります。しかうながら仰せの通り、今日いろいろそうした悪い、また悲しむべき現象が出ておりますから、こうした面について今後ともどういうふうに善処して参つたらよろしいかこれについては先ほど申し上げましたように、いろいろ苦心、苦慮しておるというのが実情でございます。
  19. 千葉三郎

    千葉委員長 ちよつと春日君に申し上げますが、あなたの質問関連して、加藤君からこの次にお願いしたいということですから……。
  20. 春日一幸

    春日委員 私もう一発やつてからにしてください。(笑声)私はそういうことを伺つてはいないのです。私が伺つておるのは、政府並びに日銀金融引締め施策がいろいろ天下に流布されておることは、これはよくわかつておるのだ。ところがその日銀の貸出しは現実に昨年の十月からふえておる。それは引締めではなくて、やはりゆるめおることなんだ。これで日銀を通じての一般市中銀行並びに十一大銀行たちは、その傘下にあるところの大企業に対して、たとえば救済融資というか、政府融資というかそういうような金を貸し与えることによつて企業資金需要を満たしておるのです。一方はふえており、そうして一方中小企業者たちに対しても同じような政策融資救済融資が必要だと思うが、片一方やりながら片一方やらないその理由について、何らかの矛盾があるがどうか、この点をあなたはどう考えておるかということを伺つておるのです、この点に対して御答弁を願いましよう。
  21. 植木庚子郎

    植木政府委員 日銀の貸出し増加の点は、数字的に仰せの通りでございますが、しかしながらその内容その他におきましては、十二分に引締めの方針をもつてつておりますので、その点は、政府が非常なる緊縮方針日銀と協力してやつておるのにかかわらず、そうした結果には相なつておりますが、しかしそれは単なる救済融資とかなんとかいうような意味のものはその中には入つておらないのでございます。この点は御了承を願いたいと思うのであります。
  22. 春日一幸

    春日委員 救済融資というものがそこの中に含まれていないなどというようなことは、それははなはだ真実を曲げた御答弁なんだ。貿易商社において、あるいは地方の大企業において、いろいろの日銀指導によるところの市中銀行の協調融資や、あるいはまた救済融資が決定されたということは、その都度新聞に大きく報道されておりまして、われわれの記憶に残るものだけでも一再ではない。いわんやあなたの方の統計を御調査になればはつきりわかることだが、実際的に大企業というものは、抜き差しならないところの形で、その大企業をつぶすかどうか、つぶしてはいけないといういろいろなことから救済融資、政策融資が大企業には行われておる。だからこそ、政府がいろいろと引締めを行おうと考えておりながら、一萬田総裁もそのことに重点を置きながら、なおかつ結果はこれに逆行した、すなわち貸出し増という形になつて現われておることは、これはやはり明らかに率直にお認めにならなければならぬ。そこで私ども申し述べることは、中小企業についてそれと同じことを言うておるのです。政府政策を誤つて有効需要がない。つぶれればオーバー・ストックになり、やがて資金梗塞を来して来る。払う金がないので、遂にこういう不渡りになつておるのです。だからこの不渡りを出せばその中小企業体はつぶれるのです。大企業と同じように、この何千という業者が毎日つぶれて行こうとしておる。だから私は、大企業を救済するところの必要を日銀並びに政府が認めたとするならば、なぜ中小企業のその破綻をも救済するだけの措置を講じないかということをあなたに申し述べておるのです。  そこで私の特に強調いたしたいことは、先般来この指定預金を何とかふやしてくれという中小企業者の訴え、これの要望にこたえて、この委員会でも河野銀行局長に強く申し述べた。かろうじてこの二月末期限到来、三月末期限到来の百六十何億のこの引揚げを六月まで延ばしていただいたというお話であるが、今の御答弁によるとこれをさらに九月ごろまでには全部引揚げてしまうという方針であるそうだが、これは現実に一萬田日銀総裁の敏腕をもつてしても、すなわち一萬田法王としての独裁権をもつてすら、結局自分の引締の政策は行えない、すなわちこれをコマーシャル・ベースで処理して行こうと思えば、やはり実情は、結局そのめんどうを見なければならないというとようにおちつかざるを得ない。これは一萬田日銀総裁が結局その市中銀行に対する貸出し増という形によつて、これが示されておるのです。ところが政府は強権を握つておる。生きようと死のうと、そんなものはかつてだというような考え方で政治を行つて行くとすると、結局こういう形になつて来るわけなんです。私は古くさいかびのはえたようなことは申し上げたくないが、池田さんが、中小企業者が死んだつて生きたつてというようなことを言われておるが、今なをその考え方が、大蔵省の中にやはり一つ方針として堅持されておるというようなことは、日本中小企業者のために重大なことであろうと思う。そこで私はさらに具体的に申し述べたいが、政府財政余裕金政府預託金との関連は何もない、あろうがなかろうが、必要があれば預託することができるのだ、こういう考えであるならば、やはりこの中小企業の本質が金融危機に臨んでいる今こそ、その必要を満たすことのためにこの預託制度の妙味を発揮されなければならぬと私は思うのでありますが、これに対して大蔵次官はどういうふうにお考えでありますか、もう一ぺん御答弁願いたい。日銀政策を通じての大企業の救済の実情とにらみ合せて、国民は法の前に平等でなければならぬ、機会均等でなければならぬという立場において、大企業偏重政策が世人の非難をはなはだしく受けておるというこの段階において、中小企業に何らかの施策を及ぼす、その誠意の片鱗はないかどうか、この点を一つ植木さけから答弁願いたい。
  23. 植木庚子郎

    植木政府委員 政府のやつておりますことは、先ほど申し上げた通り方針でございまして、その結果として現われているところが、必ずしも希望通り数字なつおらないことは、御指摘通りであります。従いまして政府としましては、やはり今後とも日銀と協力して、日銀のいわゆる高率適用制度の強化等によりまして、日銀の貸出しについてもどんどん引締めの方針をもつて行かなければならぬ、かように信じておるのであります。  また中小企業の点につきましても、同様に指定預金制度の問題につきましても、先ほど来お話にもありました通り政府としては当初考えておりました計画よりは、いろいろな御事情等も考えて、そうしてこれを全部引揚げてしまう時期を引延ばした、あるいは計画を若干変更したというようなことをやつております。他面本年度の財政投融資の計画におきましても、中小企業の救済のために、他の投融資面におきましては非常に金額が減つておりますにかかわらず、中小企業金融公庫に対する投融資でありますとか、あるいは国民金融公庫に対する投融資の面においては、前年と同額もしくはそれよりも増加しておるというようなやり方を考えておりまして、また今回の衆議院の予算修正にあたりまして、いろいろ各派の御意見を承つて、それに従いまして、十九億とかあるいは二十一億という投融資の額をふやして行くというようなことに賛成いたしましたのも、またこうした中小企業に対する措置の万全を期したいがためであつたのでございます。さよう御了承をお願いいたします。
  24. 春日一幸

    春日委員 そこで中小企業金詰まりを何とか緩和しようというようなことで、二月、三月に引揚げようとしておつたところの指定預金を御延期を願つたのです。だからこの考え方は、やはり中小企業の被害が甚大であればあるほど、さらに預託を増加することによつて、その考え方を前進せしめるというようなことは、これはやり得ることであり、さらに政府が今までやつてつたことを一歩前進せしめることであつて、何でも金融引締め政策の根幹をくつがえすとかなんとかいう問題ではございません。さらにこれが延期された当時、これは二月の十日ごろであつたかと思うのありますが、その当時の中小企業金融事情と、それから本日並びに本日以後に示されるであろうところの中小企業金融事情とは、またさらに数段とその悪化したものが、ここに露呈されておるのであります。そこで日銀ですら、一萬田ですら、とにかく大企業が今目に見えて倒れて行く、そうすると国家の産業経済をいかにするかという根幹に触れて、この問題を取扱おうとすれば、勢い貸出しに応諾せざるを得ない。一萬田がそういうふうに現実にやつておることを、政府そのものがやれないということに私はないと思う。だから私が申し述べたいことは、今この際、中小企業のこういう実情にかんがみて、百億なりあるいは百五十億なり、許し得る範囲内において新規の預託をなさるべきであると思うし、さらにその機会を逸するならば、中小企業をおおうところの参禍は目をおおうものがあろうと思う。そういうお考えは、今ここで御即答願うことは御無理でありましようから、いずれにいたしましても十分ひとつ御検討を願つて、ただ春日がこう言つたからいきなりやるというようなことでは、こけんにかかわるというようなけちくさい考え方ではなしに、そういう感情にとらわれないで、天人をもつてこれを言わしめるということなのだから、(笑声)十分聞いていただいて、これは最も近い機会に省議に諮られて、その実施に移されたいと思うのであります。  なお私は、本日たくさん質問がありますので、さらに継続して質問いたしますが、同僚加藤君から関連質問があるようでありますから、二、三許します。(笑声)
  25. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 では簡単にただいまの政府金融引締め政策関連いたしまして、政府施策を反省していただきたいために、二、三質問をしたいと思います。  御承知通り、今日倒産商社がまたふえて参りました。不渡り手形の数も日を追うてふえておるようでございます。昨年末一番ひどかつた日に、不渡り手形が東京の交換所だけで二千枚、大阪がその四割五分、名古屋が一割五分、合せて日に三千枚程度以上の不渡りが出ておつたのでございますが、これが一月になつてずつと下つたのでございますが、一月の終りから二月にかけてだんだんふえて来ておるようでございます。その額面金額が大体十万といたしましたも、なお日に三億から四億の不渡りが出ておる、こういうことでございます。そこでその倒れる商社の数をながめてみますと、これは大体バランス・シートが一億以下七、八千万というのが平均になつておるようでございます。それで二商社平均倒れておるようでございます。まだ倒れずに残つておるものがありますが、結局これも、この政策が続く限り、いずれかの時期にしわ寄せが来る、こういうことになるわけですが、その時期を私は大体三月の終りから六月にかけて行われるのではないかと思う。その理由は、内訳を見ますと、倒産して行く商社の内容が、ほとんどこれは糸へんに関係しておるものが多い。八割方は、倒産商社は糸へんでございます。これが、その値がわり、値ぎめ、返品の来るときが御承知の三、六、九、こういうことに行になつておりまして、この時期に至れば、そういう金融以外の問題でもなお倒産を免れない、時期でございますが、かてて、加えてこの金融しわ寄せが来る。一層高率適用の強化、金融引締めがここへしわ寄せされて参りまして、少くとも三月の終りから次の切りかわり目の六月ごろには金融パニックが来るのではないか。これは経済を行う者、実際に業界に携わる者のひとしく憂えているところでございまするし、すでにジャナーリストの方々は、その点をちらほら指摘していらつしやるようでございます。この時期にあたつて政府及び日銀としては、金融引締め、高率適用をなお一層強化しようという意気込みでいらつしやるようでございまするが、その施策に対して、はたして中小企業が耐え得るやいなやという問題についてまづお尋ねしたいのでございます。これが第一点でございます。  そこで、オーバー・ローンを解消するために金融引締めが行われるということは、これは筋が通ると思います。ごもつともなことだと思います。コストを引下げるためにも金融引締めをしなければならぬとおつしやる小笠原大臣のお説も、一面理のあることだと思います。ただ問題は、それだけを主体に行われまする関係上、日銀の命を受けました窓口銀行が、親心を忘れてしまつて間違つた方向に出て行くから、せつかく引締めようとしていたものが、ただいま春日委員のおつしやつたように、引締めができなくなつて、むしろ一層大企業の方は貸出し増という傾向に相なつておる。一萬田さんが関西へ旅行なさつた場合に、あるいは中京地区へ旅行なさつた場合に、法王の気分を一層発揮なさつて、向うはもみ手でお願いします、お願いしますと言うておるからいい気分になつて、一層引締めをする、逆ざやになつてもやるのだ、倒産商社が続出したつてやるのじや、こういうことを言つておられる。その言葉を聞きますと——窓口になつてみれば、一体どこから引揚げようとするかといえば、これは当然のことに資本力の浅い、経済力の少い中小企業から引揚げようというのは無理からぬことなんです。そこでここから引揚げるものですから、結局信用取引をしていた連中が、期日が来ても納めることができなくて不渡りになる。中小企業不渡りは、大企業不渡りと事かわりまして、これは倒産を意味することなんであります。取引停止という結果を意味することなのであります。銀行管理はしてくれません。助けの手救い手というものは、どこにも伸べられていない。しかもこうなることをおそれて、中小企業が救いの手を伸べようとすると、これが選別融資となり、系列融資となり、系列のはては結局コンツェルンになつて行く、こういうことなんです。その上この系列に入るには、情実というものがつきものなんです。こういう社会悪までも来しているのが現状なんです。しかしながら、おぼれすとする者はわらをもつかむ気持でそれが情実であろうと、あるいはその銀行支店長との間に料理屋会談が行われようとどうなろうと、とにかく救われたいために、ここにいろいろな社会悪の花が咲いているというのが現状なんです。こういうところを見て、今までの傾向でよろしい、今までの施策でよろしい、こういういうことで、ますますこの傾向を進めて行こうとなさつていらしやるのが、あるいはこの際何とか手を打とうとしていらつしやるのか、この点についてお尋ねするわけです。  この中小企業に対するしわ寄せは、市中銀行から見放された連中のやがて行く先は国民金融公庫であり、商工中金であり、あるいは金融公庫であるわけなんです。ここへしわ寄せがどんどん来る。この金融の引締めは大企業に行われたのではないけれども、大企業はそれを口述として、下請に対して支払いを遅払にして延期している。三〇であつたものが六〇になり、六〇のものがきようこのごろは一五〇以上になつておることをあなたはよく御存じでございましよう。これをつなぐために、今国民金融公庫あるいは商工中金あるいは公庫へ借りたいという業者が殺到している。せつかく政府が、またことし百三十億用意なさつても、これは焼石に水であり、娘一人にむこ百人という勘定で、とうていあの公庫の法律の精神を生かして行うということはできない状況に相なつておるわけなんです。それでもなお金融引締めの施策はよろしいとして、これを遂行しようとしていらつしやるのか。あるいは近き将来において、中小企業金融パニックがやがて大企業にも波及し、銀行にもあふりが来る、こういうことになるのは火を見るより明らかでございますす、がそれでもなお続けてこの施策を行おうとしていらつしやるのか、この点次官の認識の程度と、それに対する施策をいつの時期どう打出すかという点について、まず承りたいのでございます。
  26. 植木庚子郎

    植木政府委員 中小企業に対する金融の問題につきましては、政府も、ほんとうに、それこそ心を砕いて心配をしているのであります。しかしながら、大体の全体の方針といたしましては、先刻来申し上げます通り政府の基本的な引締め方針というものはかえたくない考えでおります。しかし経済は生きものでございますから、これが殺されてはたいへんだ。従いまして、今後の推移というものは十二分に心に刻みつつまた調査研究も遂げつつ進んで参りたい。かようにお答えするほかに私としては答えようがないのであります。
  27. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 それではもう一つ端的に承ります。あなたは、オーバー・ローンを解消するために、かような金融引締めをやるということに相なつているわけですが、オーバー・ローンの原因が那辺にあるかという点、一体どこからよつて生じて来たものであるかという点、これならばはつきりお答えができるであろうと思います。  それから次に、将来オーバー・ローンにならぬようにするためにはどのような手を打つたならばよろしいかという点、これもお答えできると思います。
  28. 植木庚子郎

    植木政府委員 政府金融引締め方針が、今お話のような単なるオーバー・ローン解消だけを目標としてやつているのでないことは、すでに大蔵大臣もいろいろな席で申し上げていると思います。私たち考えておりますことも、オーバー・ローンが解消するようにという方向に向つて行きたいことはもちろんでございますが、政府全体の施策は、今日の日本の物価が国際物価に比較してどうも少し高過ぎる、何とかこれをもつと経営の合理化その他をはかつてでも国際物価にさや寄せをして、日本の輸出をもつと伸ばして参りたい、そした国際收支の逆調をだんだんと克服して参らなければならぬ、こうした考え方からやつておるのでありまして、単なるオーバー・ローン解消を目標で金融引締めをやつているのではないことは御承知通りだと思うのであります。
  29. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 それはもちろんそうでしよう。あなた、私の質問に対してはぐらかさぬで、正面から答えていただきたいと思いますが、オーバー・ローンの原因がどこにあるかという点を私は聞いている。
  30. 植木庚子郎

    植木政府委員 オーバー・ローンの原因がどこにあるかという単刀直入な御質問でございますが、それはいろいろな原因があると思います。一番の基本的なことを申せば、日本の戦後の資本蓄積がまだ十分でない、そのためにこうした結果が起つて来るというのが一番の基本的な原因であると私は考えます。
  31. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 それは、あなたのおつしやいましたことはその通りでございます。トータルからした答えが一番正しいと思いますが、私の見たところによれば、なるほど資本の蓄積とか、あるいは資産の再評価とか、そういうことが行われていない、だからこうなつたのだ、これはそうですが、それは裏の意味であつて、直接の意味はどういうことかというと、大企業がよけい借り越していて、復金の融資も見返り資金も焦げついている。こういうことなんでしよう。大企業がよけい借りたからオーバー・ローンになつておるわけにんです。そうなんでしよう。それがオーバー・ローンのはつきりした原因なんです。その裏を返せば、あなたのおつしやつた資産再評価とか、あるいは資本の蓄積が行われていないからだ、こういうことになる。これはあなた、どうお考えになるか。
  32. 植木庚子郎

    植木政府委員 私はそれのみが原因であるとは考えません。それはやはり金融機関の貸出しが大企業のみであるならば、仰せの通りになりますし、なるほど金額的に大企業が相当の地位を占めることは仰せの通りであります。しかし中小企業に対してもやはり相当額——私、しつかりしたパーセントは知りませんけれども、少くとも三割や四割程度まわつていると思います。こうしたすべてのものが累積して、その結果がいわゆる資本需要と、一方資本の蓄積がアンバランスになつておる、こういう状況であると思います。
  33. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 あなた、逃げてはいかんです。数字がはつきり物語つているんですから。こういう金融の問題だけは、抽象論ではいかぬ、数字の上から行かなければ。数字の上からいつたら、銀行が貸している金を見てごらんなさい。今私が申し上げました通り不渡り手形の額面金額は大体目下のところは十万台でございますよ。不渡り手形全部合せてみたところで三億か四億です。ところが一箇所に固まつて何十億という金が財政投融資でもつて行つているでしよう。ことし初めてこれを引締めるということを言つていらつしやるようでありますが、財政投融資の中から中小企業に一体どれだけ行つています。そんな逃げ口上を言つちやいかぬですよ。事実大企業にたくさん行つている。それが焦げついている、返つて来ない、だからオーバー・ローンになつて来ておるのです。これはだれしも認めているところなんです。だからといつて、あなたの犯罪になるわけじやないのですからどうぞ御心配なく。そこでこの原因を解消するか、あいるは徐々に直して行くために引締めということを行われたわけでございますが、その引締策が当を得ていない、おかげで罪のないとは言いませんが、罪の非常に少い中小企業へ全部これがおおいかぶさつて行くほんとう原因をつくり、罪をつくつた。大企業の方には、目下の施策では非常に風当りが少い。その証拠に、春日委員の言われたように、大企業の方にはまたぞう貸出増になつておる。そうでしよう。きのう、きようの新聞を見てごらんなさい、貸出増になつておる。片や中小企業の方は引締めを受けて、倒産商社が続出になつておる。かつて加えて、ここでつくつた下請の品物を大企業に納めても、その代金の支払いは一五〇以上になつておる。そこでまたこれのつなぎのために、資材を買うためにやむなく借りなければならない。従つて中小企業の方々は、目下のところは銀行の金利を納めることと税金を納めることに汲々としてしまつておる。そのしわ寄せばどこに来るかと言えば、中小企業で生産される物価を高くするよりほかに手はない、こういうことなんです。そうすると、政府のいうところの物価引下げということはから念仏に終るじやないか。そこでこれに対してどうお考えでございますか。これに対して、そんな抽象的なこの場のがれのことではなくして、目を開いて窓の外の倒れて行く中小企業を見てください。きようの新聞を見てもわかります。経済新聞を見てください、そうするとよくわかります。これに対して生きた政治家は一体どう手を打つたならばいいかという点について、大蔵省は考えておるはずだと思いますが、その考えの片鱗などを示してください、そうすれば中小企業も助かります。
  34. 植木庚子郎

    植木政府委員 何回お答えしても、私としては同じようなお答えになるだけでありまして、政府といたしましては、今回の中小企業不渡り手形の増加及びいろいろな状況につきましては、非常に心配をいたしております。何とかしなければ思いますが、政府の基本的な方針とどういうふうに、マッチして行くかということが非常に大事な問題で、この点軽々にかような方針の変更とか、あるいは新しい手を打つとかいうことをこの際申し上げ得ないのでございます。
  35. 千葉三郎

    千葉委員長 加藤君にちよつと申し上げますが、あなたのは関連質問でありますから……。
  36. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 わかりました。これで終ります。軽々と手を打つことができないとおつしやるようでございますが、手を打たないというと、このままの形で進んで行く、こういうことでございますね。そうすればパニックが来てもよろしい、中小企業は倒産続出してもよろしい、こういうことになるわけですね。
  37. 植木庚子郎

    植木政府委員 私は金融パニックが来ようと、中小企業がどんどん倒れて行こうと、それはどうあつてもかまわぬ、こういうような結論まで申し上げておるのではありません。そのためにこそ、政府の基本的方針と現在の現象とをにらみ合せていろいろ苦心をしておるのです、こう申し上げておるのです。
  38. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 その苦心のほどは遅くてはだめなんです。今相手は病人で倒れて行こうとしておるでしよう。大企業が倒れても、銀行管理をしてもらえるからいいようなものです。ところが中小企業はだれも管理してくれませんよ。倒れたならそれでおしまいですよ。不渡り手形一枚出したら、あしたから銀行取引はできませんよ。よろしゆうございますか。それが日に何千枚と出ておる現状を見て、一体これを早期に解決しなければ、カンフル注射というものは事経てからではだめなんですよ。そこで早期に手を打たなければならぬということは同感のようでございます。  しからばお尋ねするわけでごぢいますが、きようお答え願わなくてもけつこうです。オーバー・ローンの原因はどういうことから生じて来たのか、これが一点。これはあとで答えていただきます。書類をもつてでもけつこうですから。  第二点は、オーバー・ローンということがそんなに悪い、倒産商社を続けさせてもなおこの解消をやらなければならぬほど悪いことだつたら、将来それにならないようにする根本的な方針施策というものは、金融引締めだけでいいのか悪いのか、つまり解消の方策いかん。  次にその方策に対して、現在のように資本力の浅い、経済力の少い中小企業は耐え得るやいなや。この三点についてよく御相談の上、お答え願いたものでございます。
  39. 植木庚子郎

    植木政府委員 十分相談の上でお答え申し上げます。
  40. 千葉三郎

  41. 福田繁芳

    福田(繁)委員 それでは一点だけ銀行局長に……。今の問題に関連して河野さん、あなたにこの際お教え願いたい。ほかではありませんが、政府は、御承知のこの今問題になつております中小企業金融といいまするか、庶民金融といいまするか、そういつた問題を打開するために、今国会国民金融公庫法の一部改正法律案をお出しになられて、そうしてここに約二十億ほど増資されるということを承つておるのでありますが、昨日三党修正予算が成立しましたが、あの三党間の申合せにおきまして、国民金融公庫にはこの二十億の増資以外に、もう二十億はぜひとも借入金でまかなわさぬことには困るというのが、わが改進党の主張でありまして、幸い与党もそれをおのみくださいまして、決定したわけなんです。そうするこのもう二十億に対する借入金の運営の処理方法と申しまするか、それをこの際ちよつと明らかにしてもらいたいと思います。
  42. 河野通一

    河野政府委員 予算の修正によりまして二十一億借入金が、資金源が増加することになつたのであります。この点につきましては私として、政府の中の一員としての私としては、従来から努力があるいは力が足りませんで、そういうことができませんでしたのに、今度それだけふえるということになりまして、私は非常にありがたいと考えております。さてこの資金をどういうふうに使つて参りますかという点につきましは、目下検討を加えております。私はやはり主として国民金融公庫の事業全体——これは各種の貸出しをいたしておりますが、その中におけるウエート従つてこれを配分して行くべきではないか、たとえば一般の貸出しのわくもふやして行きたい、それから恩給関係の貸出しのわくもある程度やはりふやして行きたい、それから先般実施を決定いたしました小額の、小口の特別金融、この方のわくも今大体五億程度をわくとして予定いたしておるのでありますが、これもふやして行くことが適当であろうと考えておりますので、この二十一億をどのように配分いたしますか、これらのいろいろな形の金融を、ウエート従つて適当にみなそれぞれわくをふやして行くことにいたすべきではないかと考えております。主として金額的には、やはり一般の貸付のわくをふやすということがます第一であろうと思いますが、今申しましたように目下検討を加えておる、こういう段階であります。
  43. 福田繁芳

    福田(繁)委員 よくわかりました。それでなお銀行局長伺いたのでありまするが、先ほど内藤議員から御質問しました、来週月曜に御上程されるという法案関連いたしておりますので、それまで留保いたします。月曜日に間違いなく御上程くざいますように待望しております。
  44. 千葉三郎

    千葉委員長 山本君。
  45. 山本勝市

    ○山本(勝)委員 春日委員、加藤委員福田委員から、だんだん中小企業全局の問題で深刻なお話がありましたが、まこにごもつともな質問と思うのであります。われわれも非常に心配しておるのですけれども、どういうふうにしたらいいかということに関しても、私は各委員から参考意見をそれぞれ出して、大蔵当局で十分それを参考にして練り上げてほしい。これは大藏当局だけを責めても、なかなか解決できるようななまやさし段階ではない思います(「そうだ、内閣がかわらねばだめだよ」と呼ぶ者あり)内閣がかわつてだもだめなんと私は思います。おそらく改進党内閣ができても、あるいは社会党内閣ができても、なかなか簡単には片づかぬ。そこで最初に銀行局長から、手形濫用ということがありましたが、これは言葉が少し悪かつたと思います。しかしある意味においては、それも不渡り手形がたくさん出ておる一つ原因になつておる。最近われわれが接しておるところでこの金融引締めがまつ先に来たのが、融通手形の割引ができなくなつた銀行が一流会社の手形ならば割引く。一流会社の手形だけで運営しておつた中小企業ならばよろしいのですけれども、しかし足らないところを同業者から友人に頼んで融通手形を振出してもらつて、それを割引いてもらつて繰りまわしておつたようなところが、金融引締めの結果、まず融通手形の割引ができなくなつたというところに、手を上げざるを得ないという場面に逢着しておる。これが非常に多いのであります。そこでこの融通手形というものが、手形濫用といえば濫用と言えないではありませんけれども、しかし原因は、説明はどうあろうとも、とにかく現実が融通手形で受取つてつた。そこでそこまで来ておるのですから、これをどういうふうにとたらいいか。融通手形を相からず割引くように金融引締めの手をゆるめて行くということになれば、いつまでたつて日本経済は固まらない。そうかといつて今言つたように、手を上げさせるということはこれまた大問題だ。これは一つの大きな研究問題であります。ですから、やはりごく常識的な行き方になりますけれども、健全にするにも、一ぺんやろうとするとトラブルが多い。やはり徐々にやつて行くということと、それから銀行が一律に融通手形だから割引かぬとかというのでなくて、やはり企業それぞれの実態を見て、これは少しめんどうを見て行けば十分生き延びられるというものと、少々めんどうを見たところでどうせこれはだめなんだというところとを、これは銀行だけではありませんで、政府の方でもあらゆる方法で、やはり企業の実態を見て行かぬと、一ぺんにつぶしても——もう少し余裕を与えてやれば十分に乗り切れるというものを殺すということはいけない思うし、そうかといつて、いくらやつたつてこれは結局もうだめなものを、ただ金融をゆるめてやつて行くということでもいけない。めんどうだけれども、やはりその企業をそれぞれ診断をして、そうして融資の道を考えて行く。平凡なんですけれども、抽象的に言えばそういうことになるのじやないか。  それからもう一つ、私はいなかに住んでおりますけれども、戦前には銀行取引なんというものを一切したことのない連中が、銀行の味を覚えて、ことにインフレの過程において借金を払うということがきわめて簡単であつたのを、何か自分が偉いから事業が成功したように思つて、どんどん拡張して行く、それも借金をして拡張して行く、こういうふうなこともある。それかき手形というものを全然知識を知らないで授受される。普通の借用証書と同じように考えて、書いてくれというから、よし書いてやる、こういうふうなことも、こまかいことですけれどもやはり原因になつておる。しかしもうここまで来たものだから、これをつぶしてしまうというわけには行きませんけれども、そういうことも、今後の日本経済を健全にして行く上からいうと、もう少し手形の知識を普及することも必要だし、これはこまかいことのようで大切なことです。この前に私は一応銀行局長にここで申し上げたと思いますけれども手形の用紙ですが、あの紙をどこの印刷所でも印刷して、どこでも買うて来るということにしないで、あれはやはり銀行の窓口かどこかで——これは方法はいろいろ研究せねばならないでしようけれどを、手形の用紙は印刷局か何かで一手に印刷して、それをみだりに全然知識のないような人がかつてに買うて来てかつてに書くということに対して、何らかの手を打つべきではないだろうか。外国にもおそらくそういう例はあるだろうと思うのです。手形というものは、取引を円滑にするという目的で行われておるのに、今日の手形は、取引を不円滑にすることになつてしまつておる。手形を持つたが最後、いよいよそれが金になるまでは心配で心配でしかたがないということ、しかしそれでも実際もらわぬよりましだからもらつておるというようなのもあります。何も書きつけがないよりも手形の方がましだ、どうせとれぬかもしれないけれども一応書かしておこうというのもあります。しかしとにかく手形というものがそういうふうに簡単に授受されるということは、これにほんとう中小企業者のためにならぬ。ことによく見る例でありますけれども、過剰投資、つまり固定資本にたくさん投資してしまつて、運転資金がない。これは大企業においても、中小企業においても、借金でも何でも、金が入つたらあとは運転資金のことを考えないで設備してしまう、こういうことになつたについては、政府のこれまでの政策にも原因があると思います。思いますけれども、ここまで来てしまつたものですから、これからどうするかということにつきましては、大蔵委員諸君の全知全能を集めて、それぞれ案を出してもらつて、大蔵省も一生懸命に現地についても調べられ、またそれぞれの意見も考えられて、中小企業金融について大蔵委員会のみならず特別に——ただやたらに金を出すというようなことは私は不賛成です。やたらに出すのでなしに、ほんとうに生きるものは生きる。そして日本経済が健全になるような金融政策考える、何か審議会でもひとつつくつて真剣にやつてもらいたい。これは決して植木政務次官に今こうだ、ああだと、口頭試問のようなことを言つておるのではありません。加藤君なんかも、自分はこうしたらよろしいと思うというように、まず自分の意見を大いに出してからされるのがほんとうの大蔵委員としてのあり方であると思う。まだ申し上げたいことはいろいろありますけれども、確かにこれはなかなかむずかしい。また日本銀行は、おそらくただ銀行という立場でやりますし、ことに政治家でないので、代議士から責められる心配もないものですから、ただやたらに締めるときには締るということを言いますけれども、もう予算がすでにきまつた後は、日本経済を健全にすると同時に、崩壊させないようにする手は金融政策以外にない。やたらに手形を書くなどいうことも、民間に金融を膨脹させるようなものですから、これは日本銀行だけのことではない、手形をやたらに出すことは通貨膨脹、信用膨脹になりますから、財政金融政策それから国民自身が信用通貨の膨脹をさせないように、緩急よろしきを得てやつていただきたい。これだけ申し上げる。
  46. 植木庚子郎

    植木政府委員 先刻来中小金融の問題につき引して、春日委員その他からお話がございました。おそらくその大綱は、今日の状況にかんがみて、政府指定預金等をこの際新規にふやして善処すべきではないかという御意図があるのじやないかと私は推察だけ申しておりました。いろいろな方法を考えなければならなぬのでありまして、だたいま山本委員の仰せになりましたように、単にこの際新視の指定預金をふやすというような安易な考えで参りますと、そこにはおのずから政府の基本的なな方針である全般的な金融引締め——それはもさろん中小業者を初め、日本の各種産業が合理化、その他国の経済の実情、あるいは国際収支の実情にかんがみそ、お互いにもつともつといろいろ経済の上で考え直していただき、くふうしていただきたいのでありますが、そういう面の、何と申しますか、十二分のくふうが行われなくなつてしまう、こういうことになると思うのであります。さればといつて、先ほども申しますように、日本経済が破綻する、あるいは金融のパニックが起る、そういうような問題を政府が放置するわけにはもさろん参りませんので、私が政府としていろいろ苦心、苦慮いたしておりますと申し上げますのは、その間の対策がただちには立てにくい状況にあることを申し上げた次第でございます。なお手形用紙の問題でありますとか、その他の問題につきましては、銀行局長からお答も申し上げます。
  47. 河野通一

    河野政府委員 手形の問題つきましては、先般も山本委員からの御質問にお答もしたことがあるのであります。手形の信用を維持するところの何か制度的な改善策はないかということをこの前御指摘になつたのであります。この点はしごくもつともだと私ども考えて、研究はかねていろいろいたしておりますが、やはり手形というものに対するみんなの考え——手形を出す人も、手形をとる人も、手形というというものに対する考え方を基本的に改めて参りませんと、やはり手形の信用を維持するということは、制度的にいろいろ考えましてもむづかしいのではないか、かように考えております。しかしこの問題は、御指摘通り重要な問題でありましで、放置すべきものではないと考えておりますので、私どもさらに研究を続けたいと思つております。いろいろ対策があるのでありますが、銀行協会その他で研究した対策もございます。そのうちの一つとして、今御指摘になりました手形用紙の統一という問題も、数年前から実は取上げております。この問題につきましても、たびたび検討いたしまてし、たとえば銀行協会といつたようなところで統一した手形用紙をつくる、それを銀行に配付して、銀行取引者にこれを渡すといつたようなことがいいのではないかといふ意見がございました。これは私も一考に値する問題と考えておりましたが、ただこの問題は他面において弊害を伴う。と申しますのは、銀行手形用紙を統一されて、銀行の発行した手形によつて、その手形が出されていると、その手形関係人は、決して信用がないにもかかはらず、その手形銀行によつて発行されていると誤認して、何か銀行が支払い保証しているとか、あるいは銀行責任でカバーをしているといつたような印象を与えることによつて、かえつて手形用紙を統一したいめに銀行の信用を傷つけるおそれがあるといつたような弊害のある点も考えまして、彼此勘案して、これを全体に強制することはなかなかむずかしい。現在のところでは、そういつた統一手形をつくつて、それを使いたいという銀行は、それを使つたらいいであろう。しかしながら、今申し上げたような弊害ある点から考えまして、これを強制することは、もうしばらく研究をしなければならないのではないかという段階にあるわけであります。  また手形の信用を維持するために、金融面からいろいろ改善できないかどうかという点につきましては、民間の金融界に対しても、今十分に研究をさせておる段階でありますが、今山本委員からも御指摘がありました通り、なかなかこれはむずかしい問題でありまして、今的確で非常にいい案というものがまだ出て参つておらぬ、こういう段階にあるので、今後も検討を進めて行きたいと考えております。
  48. 福田繁芳

    福田(繁)委員 手形用紙の問題に対しての銀行局長の御意見は、われわれも一応了承できるのでありますが、それに関連して一点率直に言つてもらいたい。ただいま自由党の山本君から、融通手形銀行が割引しなくなつたので、不渡りが多くなつて来た、こういう意味合の言葉があつたのですが、私はこの融通手形というものは、それこそ今自由党の金融政策の完全な表現であつて、私は、融通手形によつて銀行が割引するということは、金融の邪道であると考えておる。そこで、銀行局長は一体融通手形をどういうようにお考えなつおられるか、これに対するところの御意見を先ほど山本君の御質問が速記に残る参考資料として、率直に御答弁を願いたい。
  49. 河野通一

    河野政府委員 手形制度の本来の趣旨かう、金融ルートに乗る手形として考えました場合に、融通手形というものは手形の本来の筋に乗るものではない。これは早い話が、日本銀行において融通手形を割引するということはいたしまん。ということは、正常な金融のルートにおいては、融通手形は適正なものではないということは言えるのであります。しかしいやしくも融通手形というそのは、銀行は絶対に貸出しの対象にしてにならぬかというと、私は必ずしもそうではないと考えます。物によつて普通の信用貸付ということがあるのですから、信用貸付の一つの形態として融通手形というものもあり得ると思います。全部融通手形というものに対しては銀行が信用を供与してはいかぬということはない。かように考えております。  それから御参考までに申し上げておきたいのでありますが、先ほど来いろいろ手形制度濫用ということを申し上げたので、はなはだおしかりを受けたのでありますが、実はいろいろ事情を調べてみますと、こういう事例が非常に多いのであります。金額的には大きいものではございますが、件数としては割合に多いのは、銀行取引のないものが手形をそのまま他の銀行に持つ行く。そうした場合において、銀行は相手方の銀行取引があるかないか判断できない。支払い場所は何々銀行何々支店、これは支払の責任をもつているということでなくて、物理的にその場所で払うというだけです。しかし手形にはそういうことははつきり書いてありませんから、提示された銀行は、一応それを受取つて他の銀行にまわしてみた、手形の交換にまわしたところが、結局不渡りでおるといつたような、銀行取引のサークルに入つて来ないような手形が、相当銀行の物理的な窓口を通じて動いている。経済的な取引として窓口を通るのではなくて、物理的に窓口を通つて行つて、結局不渡りの形をとつているが、私の聞くところででも相当あることも事実であります。そういうような手形制度のか用といつては悪いかもしれませんが、安易に手形が出されているということの一つの現われであろうというふう考えて、今濫用ということを申し上げたのでありますが、そういうことがやはりどうしたら改まるか、うかしこれは金融の問題だけではないと考えます。別に金融行政の当局者として責任を回避する意味ではありませんが、やはり産業政策全体の問題、その他の問題とからみ合せて考えなければならぬのであります。ただそういうものが出て来たときに、それを何とか資金化しなければならぬということを、金融の面に責任を負わされるということであるならば、先ほども山本委員の言われたように、結局私ども考えておる金融を引締めて行かなければならぬという政策とぶつかつて来る。引締めをして行かなければならぬというわく内において、中小金融というものに対してできるだけウエートを置いて考えなければならぬ、こういう議論でありますれば、私どももしごく賛成でありまして、今後金融機関に対しても、できるだけ健全な中小企業に対する金融は、決して軽視してはならない。十分にこれにウエートを置いて、今後とも金融をやつて行かなければならぬということにつきましては、私ともできるだけの力を傾けたい、かように考えている次第であります。
  50. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 議事進行について。金融の問題については、ちようど今映画の予告篇を見せてもらつたような気がするのですが、本問題についてもつとしつかりしたところを聞きたいと思いますので、ほんとうの映画をいつ見せていただけるのか、なるべく早くお願いしたいと思います。
  51. 千葉三郎

    千葉委員長 御承知のように、本委員会に税法関係法案が十七かかつております。そこで来週は火曜日からぶつ続けに税法と金融に集中して審議を進めたいと思います。そこでお諮りいたしますが、明日と月曜日は休会といたしまして、来週は火曜日から土曜日までずつと続けて審議をしたいと思いますか、いかがでしようか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  52. 千葉三郎

    千葉委員長 御異議ないようでありますから、さよう決定いたします。  本日はこの程度で散会いたします。    午後零時八分散会