○加藤(清)
委員 では簡単にただいまの
政府の
金融引締め
政策に
関連いたしまして、
政府の
施策を反省していただきたいために、二、三
質問をしたいと思います。
御
承知の
通り、今日倒産商社がまたふえて参りました。
不渡り手形の数も日を追うてふえておるようでございます。昨年末一番ひどか
つた日に、
不渡り手形が東京の交換所だけで二千枚、大阪がその四割五分、名古屋が一割五分、合せて日に三千枚
程度以上の
不渡りが出てお
つたのでございますが、これが一月にな
つてずつと下
つたのでございますが、一月の終りから二月にかけてだんだんふえて来ておるようでございます。その額面
金額が大体十万といたしましたも、なお日に三億から四億の
不渡りが出ておる、こういうことでございます。そこでその倒れる商社の数をながめてみますと、これは大体バランス・シートが一億以下七、八千万というのが平均にな
つておるようでございます。それで二商社平均倒れておるようでございます。まだ倒れずに残
つておるものがありますが、結局これも、この
政策が続く限り、いずれかの時期に
しわ寄せが来る、こういうことになるわけですが、その時期を私は大体三月の終りから六月にかけて行われるのではないかと思う。その理由は、内訳を見ますと、倒産して行く商社の
内容が、ほとんどこれは糸へんに
関係しておるものが多い。八割方は、倒産商社は糸へんでございます。これが、その値がわり、値ぎめ、返品の来るときが御
承知の三、六、九、こういうことに行にな
つておりまして、この時期に至れば、そういう
金融以外の問題でもなお倒産を免れない、時期でございますが、かてて、加えてこの
金融の
しわ寄せが来る。一層高率適用の強化、
金融引締めがここへ
しわ寄せされて参りまして、少くとも三月の終りから次の切りかわり目の六月ごろには
金融パニックが来るのではないか。これは
経済を行う者、実際に業界に携わる者のひとしく憂えているところでございまするし、すでにジャナーリストの方々は、その点をちらほら
指摘していらつしやるようでございます。この時期にあた
つて政府及び
日銀としては、
金融引締め、高率適用をなお一層強化しようという意気込みでいらつしやるようでございまするが、その
施策に対して、はたして
中小企業が耐え得るやいなやという問題についてまづお尋ねしたいのでございます。これが第一点でございます。
そこで、オーバー・ローンを解消するために
金融引締めが行われるということは、これは筋が通ると思います。ごもつともなことだと思います。コストを引下げるためにも
金融引締めをしなければならぬとおつしやる小笠原大臣のお説も、一面理のあることだと思います。ただ問題は、それだけを主体に行われまする
関係上、
日銀の命を受けました窓口
銀行が、親心を忘れてしま
つて間違
つた方向に出て行くから、せつかく引締めようとしていたものが、ただいま
春日委員のおつしや
つたように、引締めができなくな
つて、むしろ一層大
企業の方は貸出し増という傾向に相な
つておる。一萬田さんが関西へ旅行なさ
つた場合に、あるいは中京地区へ旅行なさ
つた場合に、法王の気分を一層発揮なさ
つて、向うはもみ手でお願いします、お願いしますと言うておるからいい気分にな
つて、一層引締めをする、逆ざやにな
つてもやるのだ、倒産商社が続出した
つてやるのじや、こういうことを言
つておられる。その
言葉を聞きますと
——窓口にな
つてみれば、一体どこから
引揚げようとするかといえば、これは当然のことに資本力の浅い、
経済力の少い
中小企業から
引揚げようというのは無理からぬことなんです。そこでここから
引揚げるものですから、結局信用
取引をしていた
連中が、期日が来ても納めることができなくて
不渡りになる。
中小企業の
不渡りは、大
企業の
不渡りと事かわりまして、これは倒産を意味することなんであります。
取引停止という結果を意味することなのであります。
銀行管理はしてくれません。助けの手救い手というものは、どこにも伸べられていない。しかもこうなることをおそれて、
中小企業が救いの手を伸べようとすると、これが選別融資となり、系列融資となり、系列のはては結局コンツェルンにな
つて行く、こういうことなんです。その上この系列に入るには、情実というものがつきものなんです。こういう社会悪までも来しているのが現状なんです。しかしながら、おぼれすとする者はわらをもつかむ
気持でそれが情実であろうと、あるいはその
銀行支店長との間に料理屋会談が行われようとどうなろうと、とにかく救われたいために、ここにいろいろな社会悪の花が咲いているというのが現状なんです。こういうところを見て、今までの傾向でよろしい、今までの
施策でよろしい、こういういうことで、ますますこの傾向を進めて行こうとなさ
つていらしやるのが、あるいはこの際何とか手を打とうとしていらつしやるのか、この点についてお尋ねするわけです。
この
中小企業に対する
しわ寄せは、
市中銀行から見放された
連中のやがて行く先は
国民金融公庫であり、商工中金であり、あるいは
金融公庫であるわけなんです。ここへ
しわ寄せがどんどん来る。この
金融の引締めは大
企業に行われたのではないけれ
ども、大
企業はそれを口述として、下請に対して支払いを遅払にして延期している。三〇であ
つたものが六〇になり、六〇のものがきようこのごろは一五〇以上にな
つておることをあなたはよく御存じでございましよう。これをつなぐために、今
国民金融公庫あるいは商工中金あるいは公庫へ借りたいという業者が殺到している。せつかく
政府が、またことし百三十億用意なさ
つても、これは焼石に水であり、娘一人にむこ百人という勘定で、とうていあの公庫の
法律の精神を生かして行うということはできない
状況に相な
つておるわけなんです。それでもなお
金融引締めの
施策はよろしいとして、これを遂行しようとしていらつしやるのか。あるいは近き将来において、
中小企業の
金融パニックがやがて大
企業にも波及し、
銀行にもあふりが来る、こういうことになるのは火を見るより明らかでございますす、がそれでもなお続けてこの
施策を行おうとしていらつしやるのか、この点次官の認識の
程度と、それに対する
施策をいつの時期どう打出すかという点について、まず承りたいのでございます。