○
清井説明員 明年度の
予算でございますが、ただいま
事務的に省議を決定いたしまして、
大蔵省に
説明をいたしておる最中でございます。従いましてただいま御
説明申し上げる
予算は、
水産庁が裁定いたしまして、農林省といたしまして
大蔵省に
事務的に申出をいたしておる
予算の
説明であるというふうに御了解を願いたいと思います。
便宜最初に御配付申し上げてある資料について、おもなるものについて初めに御
説明申し上たいと思います。
番号の順に御
説明申し上げたいと思います。
水産庁一般行政の
経費、これは二億一千万円の
要求額でありますが、これは申すまでもなく
水産庁としての
人件費、
事務賢、
庁費等であります。いわゆる
事務費でありますが、それが二億一千万円であります。
それから
漁船乗組員養成事業、これは二十九
年度からの
実行の
継続でありまして、昨
年度は一千万円でございましたが、今年は三千六百万円を
要求いたしたいというふうに考えております。
内容は
備考に書いてございます
通り、
小型船舶職員の
養成であります。これは主として県において行う
事業につきまして、本省から
補助金を交付するという
意味で、昨
年度からの
継続事業費であります。もう
一つは船長、
機関長及び
通信士養成費補助金であります。これは主として大
日本水産会なり、
漁船技術員養成所なり、
無線全漁連というものがございますが、そういつたふうな
特殊養成機関に特殊の
専門家を
養成せしめて、これに対して
補助金を交付する。ことに
漁船の
大型化、
能率化に伴いまして、漸次高級の技術を要することに
なつて参りましたので、私
どもといたしましては、むろん他省においても
実行いたしておりますけれ
ども、
水産庁におきましても特に
丙種船長、
機関長、甲種二等
航海士、
機関士乙種通信士なりを
養成して参りたい、これを
要求いたしたいということであります。
その次の三は
まき網漁業等調整指導、これは
事務費であります。別に
予算の
説明を要しませんが、これは
まき網漁業の
転換に非常に
漁業調整上問題がありますので、しばしば
まき網漁業についての
調整協議会等の
協議会をいたしますので、それに要する
事務費でありますので、
説明を書いてございません。
それから四番と五番、この四と五は前々からの
継続でありまして、ことに
小型の
機船底びき
網漁業の
減船整理、これは
昭和二十六
年度からの五箇年
計画で
実行いたしております。
明年度は
最終年度に当るのであります。これはいわゆる
小型の
機船底びき網の船を
整理するという方向のもとに、これは古い船を沈船せしめたり、あるいは
運搬船等に
転換いたしますために要する
費用の
補助金を交付いたしております。
五箇年度の
最終年度でございます。
それから
中型機船底びき網これは
小型より大きい二十トン以上の
機船底びき
網漁業の
整理転換であります。これを二十八
年度から二十九年、三十年の三箇年間で第一の
計画を終了するわけでありますが、これの三箇年目といたしまして
金額を
要求いたしているわけであります。五は、いわゆる
減船整理転換の
補助金であります。
それから六は、
北海道の未
開発魚田であります。これはいわゆる農地の
入植というか開拓と申しますか、それと同じ
意味の
水産の観点からするところの
北海道の
特殊地域に対する
入植であります。それに対しまして私の方で農地の
入植に似たような
意味の
補助金を交付いたしているのでありまして、二十六
年度四百五十戸、二十七
年度四百戸、二十八
年度二百戸、二十九
年度二百三十戸、合計千二百七十戸が大体六基地に
入植したためにいるのであります。今回もさらにこれを強化いたしまして四百戸
入植をさせたい、それに対する住宅なりいろいろな
施設に対する
補助金を交付されたい、こういうように考えましたのが
魚田開発の
補助金であります。
それからその次の七番が
沿岸漁業の
調整であります。これは
調整と書いてございますが、その
金額の大
部分は
漁業調整委員会に要する
費用でありまして、
農業委員会の
農業委員と同じような趣旨の
漁業調整委員会というものが大体百三十四あるのであります。それの
委員の
費用あるいは開催に要する
事務費書記の給料の
補助金等であります。それが大
部分であります。それから各県のこれに要する市庁なり県庁の職員の
設置費であります。この二億円の大
部分は結局
委員会の
経費に費されております。それからこの
説明にも書いてございますが、現に
補助率がこの
委員会につきましてはか
つて全額でありましたものが、先般の
法律によりまして三分の二あるいは二分の一に
なつたのであります。これは本
年度一
年度限りの
法律でありますので、元にもどしまして、三分の一なり三分の二を
全額の
補助というふうに切りかえて
要求いたしている点がおもなる点なのであります。
それから八番は、
漁業の
転換促進、これは
事務費であります。これは
新規でありますが、これは
水産庁の中の
漁業転換を
促進するために要する
事務費であります。
小型の
漁業から大型の
漁業に、あるいは底びきからその他の
漁業へ、
沿岸から
沖合いへ
漁業転換をいたしますためにいろいろな
事務を要します。それにまた
公庫等の融資の
裏づけをして行かなければならないので、そういつた仕事を強化するために
事務費を
要求いたしているのであります。それが主となるものであります。
九番が、
沿岸及び
沖合い漁業の
取締り指導、これは申すまでもなく
水産庁の
漁業法違反に関するあるいはその他の
指導に関するところの
取締りに必要な船の
運航費であります。
小型底びき、あるいは
沖合いの
漁業、あるいは
瀬戸内海あるいは
有明海等に
官船を
——確か二隻出しまして、そのほか
用船が十三隻かあるのでありますが、特に今回は
沖合漁業取締りのために新しく百三十トン級のものを一隻建造いたしたいということで、新しく一隻つくる
予算が入
つておりますので、
金額が
相当張
つておるのでございます。昨年八千八百万円に対しましてことしは一億八千五百万円を
要求いたしたいと思います。
新船建造がありますので
金額が大きく
なつておるのであります。
用船をいたしますよりも、役所の直接自分の持
つておる船の方が
万事都合がよろしゆうございます。行動も自由でありますし、非常に効果が上りますので、できるだけ私
どもの方針といたしましては、
漁業取締りについては、
用船を
官船に切りかえたいという方針で実はおるのでありますが、御
承知のような
財政事情でありますので、なかなか思うようには行かないのであります。しかしながら少しずつ少しずつ実現をいたしておりますことは、非常にありがたく思
つておるのでありまして、本
年度もさらに新船を一隻つくりたいというふうに思
つておるのであります。それが九番であります。
それから十番は新
漁場開発、これは新しい
予算であります。と申しますのは、新
漁場開発は、要するに
水産庁のと申しますか、
水産の
施策の
一つの大きな柱であります。ただいまの
漁業の
状況からいたしますれば、今日まで
漁業者が十分熟知いたしております
漁場はもちろんでありまするが、さらに新
漁場を
近場の海においてもどんどん
開発をして行きまして、新しい
漁場、新しい
漁場をやはり見つけて行かなければならぬのであります。しかしながらやはりその新しい
漁場については、
漁業者が、積極的にこれを
指導いたしましても、なかなかその行くことがむずかしい点があるのであります。もしもうまく当ればよろしゆうございますけれ
ども、当らなかつた場合に、
相当の経済的の損失が伴いますので、よかりそうだということがわか
つておりながらも、なかなか
漁業者が進んで出て行かないということもございますので、そこで役所からと申しますか、国庫でも
つて若干それをバツク・アツプする、
しり押しをいたしまして、そこで新
漁場開発を
促進さして行こうじやないか、こういうような
考え方で、新しく
新規の
事業といたしまして、三千三百万円ばかり計上いたしてみたのであります。その
内容は、ここに書いてあります
通り、
中型の
機船底びき
網漁業の
試験調査、それから
まき網の
漁業の
調査、この二つにわけて考えておるのであります。
中型の方の底びきは、大体全国の八箇所くらいを考えております。たとえばオホーツクの方とかあるいは千島あるいは
利尻方面、あるいは金華山の
方面、それから紀州の
方面、能登の
方面、九州の日向灘の
方面、あるいは
兵庫方面等、大体考えておりますのはそういうところで、深海の底びき
——御
承知の
通りただいま大体二百メートルくらいが限度で底びきをや
つておりますけれ
ども、さらにもし少し深いところで底びきをや
つてみたらどうかということで、まず各県の
水産試験場の船が、とにかく
指導船として、参りまして、それに
相当燃料を
補助するとか、あるいはついて行きます船には
漁具とか漁撈の
施設の
補助金を出すとか、あるいは
乗組員の手当の
補助金を出すとかいうふうにいたしまして、万が一これが思う
通り行かなくても、とにかく
平常通りのものは収入としてあげ得る、経営の安定を来させるということによ
つて、とにかく新
漁場に出てみようかというような
指導をして参る、こういう
考え方であります。一旦これが成功いたしますれば、
補助金の必要はないのでありますが、とにかく最初に出て行くときだけは、何とかしてスムーズに出やすくしてやろう、こういう
考え方で
中型底びきの
深海方面への乗り入れと申しますか、発展を考えておるのでございます。それから
まき網の方は、これは直接
水産試験場の船が
指導するわけではございませんが、大体船の
一つに
試験場の人が乗つか
つて行きまして、そうして
指導して行こうというふうな
考え方であります。大体
日本海方面を主といたしまして、あるいは特に新しく復帰いたしました
奄美大島方面を考えまして、
まき網の
試験操業をさせる。それに対しまして、底びきで申しましたのと同じような燃料の
補助金とか、あるいは
乗組員の手当の
補助金というものを交付いたしまして、そこでたというまく行かなくても、平常の程度の収入をあげ得るということによ
つて、ひとつ出させよう、むろんこれは
希望者を募
つて出させるわけでありますので、
希望者を招集いたしまして、その中から
希望者が多く出ますれば、適当なのを選びまして、
補助金の交付を条件といたしまして、新しい
漁場に
試験操業をさせるということによりまして、少しでも行
詰まつておりまする
沿岸、
沖合いの
漁場を広くして行こうという
考え方をと
つておるのであります。これは
水産の
施策の
一つとしての新
漁場開発の一端でございまして、
新規予算でございますが、計上いたした次第でございます。
その次は
水産の
増殖であります。これもまた私
どもとして考えておりまする大きな
施策の
一つであります。御
承知の
通りの
状況でありまして、なるべく
沿岸の
詰まつた
漁場を沖合あるいは遠洋へというふうに
指導いたしまして
漁船の大刑化、
能率化をはか
つてや
つて参
つておるのでありますが、これまたそう一ぺんに行くわけにはなかなか参りませんので、漸次これを強化いたして参るのでありますが、同時にまた
沿岸そのものの
資源の
増殖ということを常にはかりまして、
沿岸におきます
漁業の安定に資さなければならぬということはもちろんでございます。また同時に内
水面の方の
指導も考えなければなりませんので、この
水産増殖の
事業の
補助金ということにつきましては、私
どもも
十分力を入れて参りたいと思
つておるのであります。その内訳といたしましては、ここに書いてあります
通り、内
水面の方の
資源の
維持費の
補助につきましては、いろいろの
稚魚を放流いたします
費用とか、あるいは
稚魚を
養成いたしますところの各県の
試験場の
施設に対する
補助、要するに池でありますが、いろいろ
稚魚の育成の
池等の
施設の
補助というものをいたしてみたいというふうに考えておりますのが、内
水面の
資源の
維持費であります。
それから遡
河性の
鮭鱒増殖事業費、これは
北海道は国営で遡
河性の
鮭鱒の
増殖事業をや
つておるのでありますが、
北海道以外の
内地——主として
東北等が主でございますが、につきましても
北海道と同様なふうに
事業をや
つて行きたいというふうに考えておるのでありますが、すぐに国営というわけにも参りませんので、
増殖の
事業費——施設がございまするから、その
事業費に対して国が
補助金を出しまして、漸次
鮭鱒事業というものの性格を
国家的性格に
引上げて参るという一段階といたしまして、内地の遡
河性の
鮭鱒の
増殖事業につきましても
補助金を出したいというふうに考えておるのであります。これは
新規に計上されておるわけであります。
それから浅海の
保護水面管理費、これは
法律に基きまして、
貝類、
藻類等の非常に繁殖する海面を特に
保護水面に指定いたしまして、
増殖について
関係者が十分な
保護をしなければならぬということになりますので、
経費がかかる、その
経費に対しまして
補助金を交付いたすのであります。
その次が浅海の
増殖開発費、これは
従前からもありましたもので、いろいろ
内容がございまして、ここに書いてありますが、耕耘、客土、築磯、
岩面掻破、
魚礁設置、
産卵場造成——耕松は
農業と同じように、土地を耕耘いたしまして、栄養分の発生を助けるということで、
貝類、
藻類、主として
貝類でありますが、これらを
増殖させる。客土は新しく客土いたすということであります。築磯も同様な
意味でありまして、魚の巣と申しますか、
繁殖保護のしやすいように築磯をいたす、あるいは
岩面をかきまわして
藻類の発生しやすいようにいたすということでありますが、問題に
なつておりますのは
産卵場造成、これは新しいのでありますが、主として
瀬戸内海のたこつぼの
造成であります。
瀬戸内海の
漁業が非常に
資源の減少が目立
つておるので、
産卵場を増成いたすということであります。また特に魚礁の問題でありますが、これは昨
年度——昨
年度と申しますか、実施は本
年度でありますが、いわゆる
瀬戸内海を中心といたしまして二千五百万円の新しい
予算をとつたのであります。非常にこれは好成績で好評でございますので、さらにこれを広げまして昨年の
倍程度を
要求いたしているのであります。地域も
瀬戸内海に限らず、その他特に
関係の深いところに広めて参りたいというふうに考えておりまして、去年の倍額を
要求いたしているということであります。それから最後の
重要貝類の
増殖補助金。これは帆立貝、
北海道のサロマ湖、青森の陸奥湾がそれの
増殖地であります。これは
従前からの
継続事業であります。これはその他の貝も一部ここに入
つております。その他は日光の
養魚場十和田湖孵化場の
経費、これは
水産庁の所管でありまして、その
経費を含めまして
水産増殖費といたしまして、とにかく二億六千万円の
金額を
要求しているのであります。
それから十二番が内
水面漁業調整でありますが、これは先ほ
ども申し上げました
農業委員会に準ずるいわゆる
漁業調整委員会のこれは内
水面に属する
部分であります。これは内
水面の方の
漁場管理委員会というものは、大体県庁の任命に
なつているのでありまして、この
費用に対しては今まで
全額であつたものが、本
年度は二分の一と三分の三になりましたものを、
全額にもとして
要求いたしているわけであります。
なお十三番目は
北海道内水面鮭鱒流し網漁業の
整理転換。それについて
漁業の
整理の方も、二十八
年度からの三箇年
計画の
最終年度でありまして、これは内
水面の
漁業を
鮭漁業に
転換させるに要する
補助金であります。
それから十四番、十五番、これはともに
水産業協同組合の
指導監督と
漁業協同組合の
再建整備及び
整備促進に要する
費用でありまして、
水産業協同組合の役員の講習であるとかあるいは
漁業協同組合事業活動促進対策補助費であるとか
再建整備のための
補助金であるとかということでありまして、ひとえに
水産業協同組合の
発展強化のために必要な
予算でありまして、
従前からの
継続事業をさらに拡充いたしたいと思いまして、
相当の
金額を増額して
要求をいたしているのであります。
それから十六番、これは今までの
漁業災害の復旧に関する
特殊立法ができておりまして、それが全部
利子補給及び
損失補償ということに
なつておりますので、大体従来の
法律の実施に基く借入金の実際
状況にかんがみまして、この
利子補給しなければならぬ
金額あるいは
損失補償しなければならぬ
金額を計算いたしましてここに計上いたしているのであります。
それから十七番が
中小漁業融資保証保険特別会計への繰入れであります。これは御
承知の
通りのような
漁業信用基金協会が各県に設立されているのでありますが、それが保証いたしました場合について
政府がそれをまた
保険をするという形に実は
なつております。
保険の
基金が大体今までのところ五億あるのであります。ところが五億ではなかなか実際問題として足らないのでありまして、二十九
年度も実は
要求をいたしたのでありますが、これは財政の
関係上認められなかつたのであります。しかし
明年度はぜひ四億五千万円は増額いたしたい、合計九億五千万円にいたすわけでありますが、そういうふうに
基金協会に対する
保険の
基金を増額するということによりまして、間接に
基金協会の運用を円滑化する、ひいては
基金協会に対する
保険料とかあるいはいろいろな
基金に加入したものの負担を軽減するということができるわけでありますから、この
基金を増額することによ
つて基金協会の
利用率を増加するということになり得るのであります。それの一段階といたしまして、ぜひ四億五千万円を増額いたしたい。
金額が非常に大きいのでありまして、非常にむずかしい
予算に
なつていますが、私
どもといたしましては、やはり
漁業の信用と申しますか、
漁業金融の
改善の一方策としてぜひとも増額いたしたい、こういうふうに実は考えているわけであります。
それから十八番が
漁船の
損害補償の問題であります。
漁船損害保険であります。この
備考に書いてございますが、
漁船保険中央会の
補助金とかあるいは
漁船保険組合の
事務費の
補助という問題がございますが、問題は
漁船保険特別会計の繰入れであります。再
保険特別会計の繰入れと
特殊保険の繰入れ、
給与保険の繰入れと三つに
なつているのでありますが、
一般の
保険事業に対する繰入れは申すまでもなくただいまは三十トン未満の船の
加入船につきまして半額の
保険料を国庫負担することに
なつておりますが、これを百トンに
引上げてあります。この経過につきましては今さら申し上げるまでもないことであります。これを
引上げて計上してあります。それから
満期保険についての
保険料、それから塔載
漁具、これは
新規事業でありまして、現在実際上は塔載
漁具は見てないのであります。それで船とともに搭載した場合の
漁具についてははつきり見て行こうということで、それについての
予算をこの際計上しているのでありまして、その点は
新規要求に
なつているのであります。
それから
特殊保険と
給与保険、これは申すまでもなく拿捕された場合の
特殊保険、それから抑留された場合の
乗組員に対する
給与保険を現在実施しておりますが、それがあまりに予定よりも
拿捕抑留数が多いために繰入れをする必要があり、繰入れに必要な
金額を計上いたしたわけであります。
従つて金額が
相当張りまして、本
年度は一億四千七百万円でございますが、
要求額は六億六千七百万円ということに
なつております。私
どもといたしまして最も重要視しております
予算項目の
一つでございます。
それから十九番は
漁業災害の
調査研究、これはたびたび
漁業災害が起るたびにしばしば各
委員において御議論があり、また私たちもその
通りだと思
つているのでありますが、何とかしてこの
漁業の
損害補償をもつと拡充強化する必要があるのじやないか。ただいまはむしろ
保険補償と申しますか、実体は
保険でございますが、二十トン未満半額、あるいは
特殊漁業でございますれば
搭載漁具であるわけですが、そこでこれを
定置網漁業に及ぼすとか、あるいは進んで
農業保険と同じように
災害保険あるいは
漁業保険というところまで発展せしむべきではないか。あるいは
災害の起つたときにそのたびに考えるということではなしに、何か恒久的な
制度を研究いたしまして、
漁業災害の
補償ということを考えたらどうかと考えているのであります。その問題について私
どもも実はいろいろ
調査を進めてはおりますが、また民間におきましても
調査をいたしているのでありますが、さらにこの
制度のために根本的な角度からいろいろ検討する必要があるということで
調査費を計上しているのであります。これは昨
年度も少し
特別会計の中にあつたのでありますが、本
年度は
特別会計から切り離しまして、
一般会計から
調査費を出したいということで計上いたしているのであります。
それから二十番は
輸出水産業に関する振興。これは
輸出水産業に関する
法律を実施いたすことに
なつておりますが、そのために
審議会を設置いたしまして、それに要する
費用なり海外の
普及宣伝に要する
費用等をここに計上をいたしたのであります。
それから
水産物の
取引改善、これは主として
調査費であります。
水産物の
取引改善のために流通の
調査なり、あるいは
卸売市場の
指導監督の
事務費を計上いたしたのであります。
それから
取引所の
指導監督についても計上いたしております。これは現在あります
取引所の
指導監督に要する
事務費であります。
それから二十三番は
魚食普及。これは名前が
魚食普及というのは必ずも当らないかと思うのでありますが、これは都会はもちろん
農村方面に対する、いわゆる
魚食普及を
学校給食を通じて行こう、こういう
考え方に基いているわけであります。
農村に対する
魚食普及ということはかねがね考えておりますし、また各
委員からもいろいろ御意見を承
つておるわけでありますが、なかなか実際は
実行がむずかしいのであります。主として
塩干魚等で
相当供給されておりますけれ
ども、なかなか鮮魚で供給されにくいという問題もあります。われわれといたしましてもいろいろ考えまして、
予算をいろいろ組み合せして来たのでございますが、結局考えましたことは、現在
学校給食制度が
相当普及しているわけでありますから、そこを通じてとにかくまず
水産カン詰の
普及ということから乗り出して行こう、鮮魚についてもいろいろむずかしい問題がありますので、
カン詰についてや
つて行こう、こういうことであります。そこで
水産カン詰等を、
学校給食を扱う団体に
水産物が非常に安い時期に購入せしめてそれを一定期間貯蔵せしめるわけでありますが、その貯蔵せしめる
貯蔵費なりあるいは利子の補給ということで少しでも安い
水産カン詰を
学校給食に与え、それを通じて
魚食を
普及させて行きたいという
考え方であります。これは
新規であります。そのほか
魚食普及推進移動展示講習会等もや
つて参り、
水産物の
消費普及と
農村の
栄養改善、
生活改善にも資して行きたいという
考え方であります。
それから二十四番、これは
事務費でありまして、いろいろの
漁業条約を実施いたします場合に必要な
会議費とか、あるいは
国際漁業会議とかそういう
関係のいろいろな
事務費であります。
それから二十五番はおつとせい
調査並びに
指導監督であります。それは現在でもや
つておるのでありますが、おつとせいに関するところの
調査並びに
取締り等を必要といたすのでありまして、三十
年度もさらに太平洋
方面、
日本海方面あるいは北洋
方面で、いろいろ
調査なり
取締りをいたして参りたいということで、おつとせいの
調査のための
経費を計上しておるのであります。
その次は捕鯨業
指導取締り並びに
調査でありますが、これは
事務費であります。捕鯨船に監督官が乗
つて参りますから、それに要するところの
事務費であります。
それから二十七番の北洋
漁業に関する
指導監督並びに
取締り、これは御
承知のように、北洋
漁業に出て参りますと対外
関係もございますので、非常な広範囲にわたりまして私
どもの取締船が出て参ります。その
指導監督に要する
経費であります。主として
取締り監督船の
用船の
費用であります。
それから日濠
漁業紛争処理、これは
新規であります。御
承知の
通りただいま日濠の
関係の問題が国際司法裁判所に提訴されることに進められておるのでありますが、そこで私
どもといたしましても、単に
漁業者がとるということでなしに、
調査船が行きましてあの付近の
新規漁場で採取してみる。どの程度とれるか、どういうふうな
漁場においてとれるか、その数量並びに品質あるいはその
漁場各般の観点からいろいろ
調査をして行きまして、も
つて日濠紛争の将来に備えまして有利な材料を集めることができればという
考え方あります。そういつたいろいろな観点から
調査船をひとつ出しまして、所要の
調査をやりたいというための採取あるいは
調査のための船を雇
つて向うへ派遣する
費用であります。
それから二十九番の遠洋
漁業の
取締り指導監督並びに新
漁場開発であります。これは主としてまぐろ
漁場——太平洋
方面の
関係とそれから、東海、黄海と申しますか、いわゆる西の方の
漁業取締り、北方以外の全体の
取締りに要するところの船を雇うための
費用であります。それが
一つ。それから
漁場開発といたしましては、ここに書いてあります
通り太平洋
方面の
調査、インド洋
方面の
調査をいたして行きたい、こういうふうに考えております。新しく五百トン級の船を一隻建造いたしたいと思いますので
金額が
相当張
つておりますが、新しく船を出しまして、主としてオーストラリアの東部の
方面あるいはインド洋
方面等に母船式あるいは単独によるまぐろ
漁場を
開発して行きまして、ただいまいろいろな
状況によ
つて非常に打撃を受けておりますまぐろ
漁業について、新
漁場をさらに発見して参りたい。これは役所がまず役所の
費用で
漁場を
開発して、
漁業者の使途に充てたいというふうな考えであります。太平洋、インド洋
方面を
調査したいということの
費用であります。
それから三十番がアラフラ海白蝶貝等採取
漁業の
指導取締りであります。これは現在もうほとんど終りかか
つておりますが、現在行
つておりますところのいわゆる真珠貝と申しますか、白蝶貝の採取
漁船が濠州との約束を破らないように、私
どもの方で
取締りをしなければならぬ、その取締船を派遣いたす
費用であります。これは二隻が一隻ずつ交代して行うということで、二隻の
費用を計上してあります。
それから三十一番は南方
漁業基地利用によるまぐろ
漁業の経営合理化
促進対策でありますが、これも
新規であります。これは主としてサモア
方面といいますか、サモアは御
承知の
通りオーストラリアの東北に当
つておりますが、そこら周辺で特にこれは南方の
漁業基地利用といいますか、いろいろアメリカからの働きかけもあるのでありますが、アメリカの
漁業者のいわゆる基地を利用することによ
つてその
漁業を発展させるということも考えるわけであります。これは正式に日本の
政府がアメリカの基地を利用できるというところまで行
つておるわけではございませんけれ
ども、現在
漁業者間に話がありますのは、要するにサモアにありますアメリカの基地の
漁場施設に対して、日本の
漁船が魚をとるということまで話が進んでおるのであります。そういつたようなことも頭に入れまして、その付近でそういうような形態によ
つて漁業を進展させるにはどういうふうにするか、あるいはまた将来日本が現在アメリカの勢力範囲にありますところの南方基地を中継地として、あるいはその他の
関係の
漁業基地として利用できることになるかもわかりませんが、これは将来のことになりますのでそういつたことも頭に入れまして、いろいろ同
方面のそういつた形態の
漁業を開くとすれば、どういうふうになるだろうかということを
調査したいということでありまして、これまた
調査船を雇
つて漁場を開く
調査船の
費用であります。
それから三十二番は海外
漁場開発であります。これは主としてアルゼンチンの
沖合い等へ
水産庁の
官船であります東光丸を派遣いたしたいということであります。現在世界中でおそらく
漁場の未知として残
つておりますのは、アルゼンチン
沖合いを主とした南米のところでありまして、これはただいま日本の
漁業者たちも行
つておりますが、将来日本の対外移民が行こうという企画も現在あるのでありまして、そういうことも頭に入れまして、将来
農業移民と同様に
漁業移民が行く場合の
漁場調査といいますか、ある程度
調査はありますけれ
ども、役所として正式につかんだ
調査はありませんので、役所が自分で行
つてはつきりデータをつかんで参りたいということで、いろいろな観点から
調査を進めたいというので五千万円を計上いたした
新規のものであります。
それから三十三番は
漁船の管理及び
改善であります。これはほとんど従来のものと同じでありまして、従来や
つております
漁船の検査なり登録なり、あるいは依頼検査などの仕事の
継続でありますが、ただここで新しく考えられておりますものが
相当あるわけであります。と申しますのは八番、九番あたりが新しいものでありますので、
漁業無線陸上局受信
施設整備費
補助、これは現在
漁業無線の受信
施設を利用しておるものを、
水産庁といたしましては三局程度選びまして、これに特に
補助をいたしたい、あるいは速力標柱、マイル・ポストの
補助、これも現在あるところはある程度
補助して行きたい、こういうことであります。今までになかつたのでありますが、そういうこともや
つて行きたいというふうに考えております。なおまた五番の
漁船用の
小型機関あるいは六番の無線電話取扱いの
費用、この五番、六番と八番、九番が
新規の
計画でございます。
それから三十四番、
漁業指導監督通信
施設整備、これは実は私
どもで
相当の取締船を持
つておりますし、あるいは
相当の
指導船、
用船を持
つておりまして、
漁業の
取締りあるいは
漁船の
保護に当
つておりますが、なかなかそれに対する通信の連絡が、十分なスピードで行かない場合が多いのであります。
一般の通信方法によるしか方法がないのであります。そういうことでは不十分であるから、むしろ
水産庁の本庁に無線電信機をつけて、直接に出先の
漁船に連絡をするということができれば、さらに効果があがるだろう、小伝馬船はむろんでありますが、
一般漁業者に対してもそういうことを通じてやるとか、いろいろの方法によ
つて、とにかく
水産庁自身が無線を持つということが、今よりもさらに有効適切に
漁船へのいろいろな連絡ができるというふうに考えまして、特に最近いろいろなことが多いのでありますから、そういう必要を痛感いたしまして、
水産庁というか、農林省の屋上に無線塔を立てまして
——海上保安庁と同じでありますか、そこで大いにやろう、そういう
意味の
予算であります。それに要する
施設設備のために千七百万円を
要求しておるのであります。
それから三十五番、
漁船研究所でありますが、現在
漁船研究室がございますが、これを研究所といたしまして、いろいろ
漁船の研究を将来発展させて行きたいという
意味の
経費であります。
それから三十六番が
水産業の基礎
調査、これはいろいろ
水産業に関する基礎
調査を進めて参りまして、別段特に新しいものではございませんが、
水産業の
調査を
継続してや
つて参りたい。こういうことでございます。
三十七番、
水産資料館、これは
水産庁の資料を整備しております資料館というのがございますが、これの整備費と運営費であります。
三十八番、インド太平洋・
水産理事会、普通にI・P・F・Cと言
つておりますが、これが来年日本において開催されますので、その開催に要する
費用であります。
三十九番、
水産研究管理運営並びに
水産資源開発でありますが、これはこの
備考に書いてあります
通り、対馬暖流
調査と漁況海況予報と、内海
漁場調査、こういうふうに
なつておるのであります。この内海
漁場と書いてあります三番目のものは
新規でありまして、いわゆる最近よく発達して参りましたところの魚群探知機によ
つて——現在の海図等では一番浅いところがわか
つておるというだけで、船の航行の便宜のためにのみ
調査をしておりますが、むしろ
水産ではそれよりもさらに土質を調べるとか、深浅の
状況等、詳しく調べる必要があるのであります。そういつたような
水産の観点から、主として
漁業探知機等を利用いたしまして、一定の
漁場を
調査したい、こういうことで、特に入会のはげしいところを選んで、少しずつ
調査をして行きたいということで、この分は
新規に
調査の
計画を組んでおるのであります。
四十番、冷害対策に関する海洋
調査、これは現在、昨
年度から始まりましたのをさらに拡充強化して参りたい。
調査船の
費用と各
試験場の
調査に要する
費用の
補助金であります。
四十一番、輸出冷凍
水産物の品質
改善研究、これはきはだまぐろの黒変の原因がまだよくわかりませんので、それで試験研究官が乗りまして、漁撈してから内地に持
つて来るまでの間の諸作用を一貫して
調査いたしまして、きはだまぐろの黒変の原因
調査に資したいということでありまして、そういう
意味の
事務費が組んであるのであります。
四十二番、国際
漁業生物
調査、これは今度の日米加の
漁業条約とも関連があるのでありますが、北洋におきまする
鮭鱒の回遊
状況を
調査いたして、いわゆるアジア系の
鮭鱒あるいはアメリカ系の
鮭鱒と申しますか、そういうようなことに基くいろいろの基礎
調査をいたしまして、ひいては日米加条約に基くところのいろいろな諸制限の合理的解決に資したいと思いまして、計上いたしておるのであります。この点は今度開かれます日米加
漁業条約の
会議の
一つの議題にもなるのであります、私
どもとしてはそれを来
年度の
予算に計上いたしておるのであります。
それから四十三番、
水産業技術改良
普及事業、これは現在や
つておりますところの技術改良
普及の技術員が、地方に六十九人おります。これがエンジン取扱いの
指導とか、養殖に対する
指導、いろいろいたしおるのでありますが、さらにこれを将来発展させて行きたいという
費用であります。
四十四番、
北海道の
鮭鱒孵化場の孵化
施設購入費であります。これは
北海道の
鮭鱒増殖の
漁業協同組合が農林
漁業の特別融通資金を借り入れて
施設した孵化場を、半額で国が買い入れようという
意味の
費用であります。
それからあとは
水産研究所の
費用、真珠研究所等の
費用がございますが、結局ここに総計いたしますと、
一般経費は、二十九
年度の
実行予算三十一億二千四百二十四万円に対しまして、三十
年度の
要求額は四十八億六千五百万円であります。
それから最後の紙は、漁港整備
事業であります。これは申し上げるまでもないのでありますが、既定
計画の推進と
新規七十五箇所を計上いたしまして、三十億千九百八十四万円に対しまして、三十
年度は七十八億四千二百万円という
要求をいたしておるのであります。むろんこれは
災害を含めての
予算でありまして、
一般の
災害を除きました分だけで申しますと、五十二億七百万円になるのであります。公共
事業として
要求いたしておるのであります。全部を含めますと、総計いたしまして本
年度は五十一億四千四百万円に対しまして、百二十七億七百万円というものを
要求いたしておる次第であります。
以上申し上げましたのは項目別の
予算でありますが、さらに私
どもが考えておりますのは、この
予算執行の裏打ちとなりますところの
公庫等の融資であります。これが私
どもといたしましては、別途と申しますか、形式的には
水産庁の
予算に直接計上されておりませんけれ
ども、最も重要視しておりますところの
予算でございまして、この分につきましては別途
要求いたしておるのであります。ただいまのところ二十九
年度貸付契約が三十億五千七百万円でありますが、
明年度は八十四億を計上いたすことにしております。ことに
漁船は今
年度は十五億でありますが、
明年度は五十億を
要求いたしておる。漁港については本
年度が三億八千万円でありますが、
明年度は十五億を
要求いたしたい。
水産施設は本
年度は十一億でありますが、
明年度は二十億を
要求いたしたいということで、総計
水産関係はことしは三十億でありますが、
明年度は八十五億を
要求いたしたいということで、一応計算をいたしておるのであります。もつともこの内訳は、全体がきまりましてからまた再精査をすることに
なつておりますが、現在の予定ではそういうふうに
なつております。農林
漁業金融公庫の総資金源としては、ことしは二百二十五億でありますが、それを六百九億、約三倍の
要求を出すのであります。一応現在はこういう建前でや
つておりますが、いずれまた合体のわくがきまりましてから、正式にそれぞれの
事業別所管のわくはきめることに
なつているのであります。そういうようなことでございまして、ただいま申し上げた
通り、公庫の融資額、ひいては
開発銀行の融資額もございますが、これも
相当金額を
要求いたしておりますが、公共
事業である漁港の
予算、この融資の
予算、あるいは
保険関係と申しますか、
漁船損害補償の
予算、あるいは
水産資源の
開発の
予算、新
漁場開発の
予算等が、
予算面から申しますれば最も力を入れてやらなければならぬものだというふうに考えるのであります。いずれまたいろいろ御援助を仰がなければならぬ問題があろうかと存じます。現在
大蔵省に
事務的に
説明を終了いたした段階でございますので、さよう御了承願いたいと思います。