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1954-10-12 第19回国会 衆議院 水産委員会 第39号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年十月十二日(火曜日)     午前十時五十九分開議  出席委員    委員長代理理事 鈴木 善幸君    理事 小高 熹郎君 理事 川村善八郎君    理事 中村庸一郎君 理事 田中幾三郎君       田渕 光一君    中村  清君       松田 鐵藏君    濱田 幸雄君       志賀健次郎君    赤路 友藏君       淡谷 悠藏君    辻  文雄君  委員外出席者         大蔵政務次官  山本 米治君         大蔵事務官         (主計官)   鹿野 義夫君         大蔵事務官   大角  武君         大蔵事務官         (銀行局特殊金         融課長)    加治木俊道君         農林事務官         (農林経済局金         融課長)    松岡  亮君         水産庁長官   清井  正君         専  門  員 徳久 三種君     ————————————— 十月七日  委員田渕光一君及び辻文雄辞任につき、その  補欠として船田中君及び中村高一君が議長の指  名で委員に選任された。     ————————————— 同月八日  委員船田中辞任につき、その補欠として田渕  光一君が議長指名委員に選任された。 同日  委員田渕光一辞任につき、その補欠として淺  香忠雄君が議長指名委員に選任された。 同月十一日  委員錢香忠雄辞任につき、その補欠として田  渕光一君が議長指名委員に選任された。 同月十二日  委員中村高一君辞任につき、その補欠として辻  文雄君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  漁業災害に関する件     —————————————
  2. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員長代理 これより会議を開きます。  この際お諮りいたします。災害被災者が陳情に来られておりますので、議事に入る前に懇談の形で実情を聴取し、調査に資したいと存じますが、御異議はありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員長代理 御異議なしと認めます。それではこれより懇談に入ります。      ————◇—————   〔午前十一時一分懇談会に入る〕   〔午前十一時十二分懇談を終る〕      ————◇—————
  4. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員長代理 それでは、前会に引続きまして漁業災害に関する件について調査を進めます。  なお、山本大蔵政務次官は四、五分の間に大蔵委員会の方からこちらへまわるそうでありますが、それまで水産庁当局に御質疑ございますれば許したいと思います。
  5. 赤路友藏

    赤路委員 大蔵省の方が出て来ないとどうも話にならないのですが、今まで災害に対する対策について、水産庁の方でそれぞれ御尽力を願つておるわけなんでありますが、現在までの経過について御説明をお願いしたいと思います。
  6. 清井正

    清井説明員 ただいまのお話でございますが、実は私ども関係者一同部内並びに金融機関大蔵省とも話合いをいたしておりますが、まだ数字的にこうということを申し上げる段階に至つておりません。先般御説明を申し上げたのでありますが、漁港については別途措置をいたすということでございます。その他一般の災害といたしまして漁船漁具施設、経低上の資金というふうに大きくわけられるのでありますが、いわゆる漁船漁具等施設につきましては、将来の立法前提といたしまして、とりあえず金融機関から融資してもらう。金融機関としては、御承知通り農林漁業金融公庫からの施設関係融資と、さらにもう一つ考えられるのは、将来の利子補給なり損失補償なりの立法前提といたしまして系統機関、主として農林中央金庫からの融資、特に将来の立法目当としてつなぎ的の意味を持つ融資ということがただいまの緊急問題になるわけであります。この問題は、官房においても十分金融機関と連絡をいたしておるのでありますが、農林中金といたしましては、つなぎ資金といたしましていわゆる基金協会というのがございますので、基金協会保証をも考えて、とりあえずのつなぎ考えてもよいと言つているのであります。私どもといたしましては、基金協会保証をも考えつなぎ資金系統機関から出してもらいたいというふうに考えているのであります。特にこの前問題になりました漁業権証券担保として融資するということも、これまた立法いたしたいということでただいま話を進めておるのでありまして、中金といたしましても、この際漁業権証券担保として融資することを考えているのであります。そこで先ほど申し上げた通り公庫融資と、それから将来の立法前提としての系統機関、ことに中金融資ということについて、ただいませつかく準備を進め、金融機関とも話をしておるのでありますが、水産被害のみならず、農業関係被害も非常に多額に上つておりますので、それらの集計あるいはいろいろ事務上の問題等につきまして、ただいま折衝いたしておりまして、ただいまはつきり申し上げる段階に至つていないのははなはだ残念に考えておる次第でありますが、なお緊急に話を進めまして、取急ぎ措置をいたしたいと考えております。  なお岩内につきましてただいまお話があつたのでありますが、この点につきましても、とりあえず緊急に融資をいたしたいということで話を進めておりますが、これは、まず第一に船をつくることでは間に合いませんので、用船料補修費と申しますか、あるいは漁具代等運転資金と申しますか、着業資金と申しますか、そういう意味の金がいるのでありまして、これは、系統機関からのつなぎ融資をしなければならぬのでありますが、よく道とも話をいたしまして、道に相当程度決意をしていただいて、相当保証をするということを前提といたしまして、中金からこれに対して融資をしてもらうということ以外に方法がないじやないかと考えている次第でありまして、今道庁、金庫とも話合いをいたしておる次第であります。そういつた程度しか申し上げられないことは残念でありますが、ただいま話をいたしておる途中でございますから、御了承願います。
  7. 赤路友藏

    赤路委員 ただいま水産庁の方の大体の構想をお聞きしたわけでありますが、今度の災害に対しては、公庫の方からと、それから系統機関としての農中の方からそれぞれ融資措置をとり、それにあわせて基金協会保証と、証券担保の問題が出て参りましたが、基金協会保証については、基金協会自体出資、あるいは基本金協会基本である中小漁業融資保証法の範疇から参りましても、これは金額の面で大きく期待できるとは私たち考えられない。  いま一つ証券担保の問題であります。証券担保と申しましても、ほとんど漁業権証券はすでに担保となつておるんじやないか。それを見返りに融資を受けているというようなところが相当ある。大半がそうじやないかと思う。従って基本協会保証なり、証券担保というものは、今回の場合大きく融資対象として融資をするための一つの原資のわくの中に入れるということは、これは少し甘いんじやないか、こういうふうに考えられるわけであります。やはり重点はどこまでも公庫と農中に置いて、それにどういうふうな形で出さしめるかということがより重要な問題と思います。基金協会保証なりあるいは証券担保というお話がありましたが、大体今までのところ水産庁の方では、これができるとすれば、この基金協会保証でどの程度、あるいは証券担保でどの程度出ると御推算になつておるか、それを承りたいと思う。
  8. 清井正

    清井説明員 漁業信用基金協会会保証の問題は、実はこれは異例の問題であります。御承知通り、これは災害のための施設ではございませんので、異例でございますが、特に北海道等につきましては非常に問題か、ございます。また北海道基金協会相当強力な基金協会でございますので、それを元といたしまして何とかひとつやつて行こうじやないかということで、実は考えてみたのでございます。今ただちに、基金協会によつてどれたけ出るかという数字については、ちよつとただいま持つておりませんので、残念ながらお答えいたしかねますのが、御承知通り基金協会出資に対しての限度がございますので、これに多くの期待をかけることはできないのであります。ことに岩内町におきましてもあまりわくかございませんので、今お話通りこれに多くの期待をかけられません。それから漁業権証券は今二十億くらい全部で残つておりまして、災害資金関係で約九億くらいあるのであります。そこで現に担保的な措置が講ぜられておるから、新たにはにはむずかしいだろうというお話もございますし、私はある程度は出る部分もあるかと思いますが、しかし全部が全部そういうわけではないので、この中でも相当部分は動かし得るのではないかというふうにも考えておりますが、しかしこれもあらゆる方法一つ方法として考えておるというだけでありまして、やはり問題は、今度のようなことになりますと、相当金額が大きくなりますので、単に漁業権証券とか基金協会から使用するということが、いろいろの方法考えておるうちの一つ方法ということになるのであります。問題は、やはりこれはどうしても公庫わく系統金融機関、特に農林中央金庫わく、この二つにたよらざるを得ないと考えております。この二つについて目下相談しておる次第であのます。
  9. 赤路友藏

    赤路委員 いただいております資料によりますと、水産関係だけで、総額といたしまして十二月台風から十五号台風まで大体八十七億、従つてこれに五号台風が入りますとやはり九十億を少し上まわる程度になるのじやないかと思うのであります。もちろんこれは各県の方から提出されて来たものでありますから、このままのものであるかどうかということは、今後にまたなければならぬと思いますが、この約九十億という損害に対しまして、水産庁の方としては、どの程度融資をしなければならないと考えておられるか、特に緊急を要すべきものとして、どの程度出せば当面やつて行けるとお考えになるか、それらの点がもしもおわかりになつておれば、ひとつここで御説明願えればけつこうだと思います。
  10. 清井正

    清井説明員 実は今度の災害関係で今までにわかりましたいわゆる五号から十二、十三、十四、十五を入れました総計が、表に差上げてある通り約八十六億になつておるのでございますが、そのうち漁港被害は三十三億でございます。これは別になりますから、それを引きますと五十三、四億になります。それが漁港以外の施設その他の問題になるということでございます。これが県から申出のあつた数字をそのまま出しましたのが五十数億。そこで私どもといたしまして、従来水産だけではございませんで、全部がそうでございますが、やはり県の報告はとつさの報告でございますから、精査いたしますといろいろ問題があろうかと思いますので、これをある程度査定をいたしておるわけであります。これは岩内でも全部そうでございます。それから一旦融資をいたします場合におきましても、自己負担というものはどうしても見ざるを得ないわけであります。そういうものを見る、あるいは小さな災害はがまんしてもらう、いろいろなことを考えますと、今までは大体それに七割とか八割とかそういうような数字をかけるわけでございます。大体今までの行き方からいたしますと、これはまあ一様じやございませんが、やはり実は半分程度のものになつておるのであります。これがかりに半分になりますと、三十億程度のものであるわけでありますけれども、はたしてどういうふうになりますか、はつきり今のところは数字は申し上けられないのでありますけれども、ただ私ども考え方といたしましては、いわゆる漁港以外の五十数億のうち、県の報告に対して査定と申しては何ですけれども、ある程度の、七割なり八割かける、さらに現金化のいわゆる自己負担分といたしましてさらに七割かけるということになりますと、やはり半分ぐらいのものに実は今までたいがいなつておるのであります。そういうことでやつていただいておるわけであります。これは今までの災害についてはみなそういうことになつております。そういうことにいたしますと、三十億から三十五億の間にはなろうかと思つております。しかしまだ集計全部出ておりませんし、また集計もこまかく上つておりませんので、はつきりこうであるということは申し上げかねますが、その程度数字であると考えております。それから緊急としてどのくらいかということでありますが、とりあえずの問題として、今までのところ非常にやかましい問題でありますが、これにぜひやらなければならぬ問題だと思いますが、そのほか各地からいろいろお話がございますが、また具体的にこのくらいの数字を緊急にやればいいという数字はまとまつておりませんので、われわれといたしましては、特に緊急のものから逐次やつて行くということをいたす一方、また全体の金額について考えるというふうに両建で考えて参らなければならぬと思つております。
  11. 松田鐵藏

    松田(鐵)委員 長官のいろいろな御答弁によつて大体わかりましたが、私が非常に心配しておるのは岩内の問題であります。岩内の問題は、ただいまの長官の御答弁から行きますと、とりあえず用船をしなければならない、小修理をしなければならない、それから着業しなければならないその資金、これらは系統機関である中金から出すということで、これは当然であります。しかしこれに対して道が相当保証をしなければならないという方に持つて行くべきだろうと思うのであります。しかし今ただちにこうした必要なものに対する、漁期が迫つて着業しようという段階になつたものに対する系統機関融資ということは、これは当然なことであり、これをやつていただかなければならぬ。道がこれに対して強力な保証をしなければならぬ。次に起るのはこれらの臨時的な措置である。岩内漁民はどうしてもある程度漁船をつくつて行かなければならないことになるのであります。ほとんど焼けてしまつた、大破してしまつたというところから行けば、相当漁船をつくらなければならない。しからば漁船をつくるのに公庫から出すというように先ほどのお話もあつたように思われるし、公庫から出すことが災害に対する一つ方法でないかとも思うが、それならば公庫から君内の漁民に対して出せるかどうかということであります。私は現在の公庫法からいつて岩内漁船ふつくることに対して公庫から融資の道に絶対にないというように考えております。なぜならば、第一これはほとんど資産というものがない。しかもまたことしは、かりに着業いたしましても、利益というものはほとんど一冊もない。食わんがために働かなければならない現状である。利益があつたところで、まず着物を買わなければならぬ、それから食器を買わなければらない、寝具を買わなければならない、こういうことから行けば、いかに利益があろうとも、すけそう漁業によつて生れる利益がどれだけあるかということははつきりしておるのであります。災害からどうにか生活するための利益以外に生れて来ないものだと思う。それならば公庫から融資を受けて船をつくろうとしても、その頭金がない。大体船をつくる頭金二割なら二割というものがなかつたならば、とうてい融資対象にならない、こういう災害に対して水産庁はどのようにお考えになつておるか。これはひとり岩内ばかりではない。これから各地において起るこういうような場合において、まじめな漁民を救う施策政府考えなければならないことだろうと思うのであります。農業においてもしかりだと思うのでおりますが、しかし農業田地田畑がある。それに対して土砂が流れて来た、または河原になつたというような問題に対しては、ある程度救済の方法、あるいは国が援助してやる方法があるが、漁業について、水産についてはそれがない。こういうことに対してどのように考え施策を行つて行くか、これは大きな問題だと思うのであります。しかも一つの区画において、たとえば三そうや五そう遭難にあつて、二度あつた三度あつたということも、その自治体なら自治体、その地方なら地力全体におけばほんの微々たるものであるという場合においては、町村でもあるいは漁業協同組合でも、これらに対して援助してやる方法があり、それを救助してやる方法があるのであります。岩内限つて  はもうすべてのものを失つてしまつた漁業協同組合施設そのものもほとんど失つてしまつた。個人々々が借りるわけにはとうてい行きません。組合が一貫して融資を受けるよりほかに方法がない。しかしそれに対して現在の公庫法から言つたならば、全然その資格がないものだと私は考えるのであります。どうしても国が船をつくつて貸してやるか、また国が道に金を貸して、道の責任においてこれを建造して貸してやるか、しかもその漁船は最後に漁民のものになるような方法でもつてつて行く以外に道はないと思うのでありますが、こういう点で岩内のああいう特殊な場合に対して、相当の御覚悟施策を行わなければ——あそこの漁民ばかりではない、町民全体は立つあたわざる打撃を受けておるのであります。幸いにしてあそこの漁民というものは、北海道においても優秀な経済的な経営を今までやつておる漁民でありますから、必すやそういう施策行つて行つたならば、立ち上ることは火を見るよりも明らである。だが一歩誤つたならば、日本の沿岸漁民というものは零細化されつつある今日において、またそろあそこにおける漁民というものが集団零細化されて、職を失わなければならぬということになるのであります。こういう点に対する水産庁のお考えと御決心をお漏らし願えれば、非常にけつこうだと思いますが、もし腹案がありまするならば、お知らせを願いたいと思うのであります。
  12. 清井正

    清井説明員 今岩内についての特別な措置考えたらどうかという趣旨の御質問でございますが、とりあえず船をよそから借りて来て、小修理をしたり漁具を積んたりする金というものは、地元の道に十分心配してもらいまして、系統機関から融資をするという方法で行くよりほかに方法がないと私考えております。そういう方法で道とも相談をいたしておりますし、また中金にいたしましてもある程度覚悟をいたしまして、何とかしてやりたいものだというふうに考えております。また北海道全体——岩内を含めての全体の問題でありますが、全体の融資の問題につきましても、中金は先ほど申し上げました通り北海道基金協会保証ということも、これは災害に対しては、例外でありますけれども、一時考えてもよいのじやないかという気持もはつきり言つておるのであります。とりあえずのことは、そういうことでやるよりほかに方法がないのでありますが、さてそれでは新たにこの漁船を建造する場合の方法ということでありますが、これはただいま御指摘のありました通り岩内はことしの一月の末に公庫から四千万円ばかり融資が出まして、たしか十八隻分だつたかと思いますが、四千万円の融資公庫から出たわけでふります。その金でもつてつくつた船がまさにでき上らんとするのが全部焼かれたというのでありますので、はなはだお気の毒であるわけであります。しかもまた町が全体焼けたために、金融対策としてははなはだ不適格であると言わざるを得ないのであります。そこでただいまのお話のように、あるいは国が直接漁船をつくるとか、あるいは国が融資をして道につくらして、道がその船を貸すなりというような方法を講じてやるということを考えたらばどうかと、こういうようなお話でございますが、確かに私どもといたしましては、岩内の問題は金融ベースに乗るという観点から言いますれば、ほとんどゼロであります。特に前の分が借りつぱなしになつて、一度も操業せずに、そのまままた焼けたということでありまするし、しかも前のは公庫から融資されておるということでありますので、おそらく相当な特別な考え方をしなければ、公庫としても中金としても、岩内に対しての融資ということはできないのだと思います。そこでこの特殊な災害であるから特別な考え方をやるということにするかどうか、あるいはまた進んでただいまお話のように、積極的な融資以外の方策、あるいは融資といたしましても、特別の融資方策ということを考えてやるかどうかという問題でありますが、この点は私ども今すぐにはつきりした決意がつぎかねるのでありますが、私はsの点は十分ひとつ考えて行かなければならないじやないかと思つております。ただここでこうしますということは、ちよつとまだはつぎり申し上げる段階ではありませんが、とりあえずの計画として、融資をして船をつくるということにとりあえずの重点を置いて行きたい、さらにかわりの船ということについては、今までお話いたしましたように、特殊な災害でごさいますので、何とか進めて行きたいと考えておるのでありまして、これは地元の方も十分責任をとり、道も十分責任をとらなければならぬので、道も責任を持ち、われわれもできるだけのことをするということで、具体的な考え方を進めて参らなければならぬ、こう考えております。
  13. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員長代理 ただいま大蔵政務次官山本氏がお見えになりましたが、大蔵委員会の審議の都合上、こちらにあまり時間をとれないそうでございますから、お含みおきの上で、まず山本大蔵政務次官に御質問を願いたいと思います。
  14. 松田鐵藏

    松田(鐵)委員 まず前段から行かなければならぬので……。ただいまの長官の御答弁は、現在の段階として、それを了承する以外に何ものもない。であるから、せつかくひとつあらゆる努力をしていただきたいと思うのであります。そこでその五月災害における北海道に対する融資特別立法もできておるのに、これがまだ遅々として進んでおらぬ、この点であります。これが一体どういうわけでそう進んでいないかということから行きますと、これは中金におけるいろいろな煩雑な調査の結果ということになつておるのであります。しかもそれを一々干渉しておるのは大蔵省である。こういう点であります。立法したときには政府提案であります。政府提案立法されて、それに対して資金わくもきまり、しかも金利の引下げも法制化されておつて系統機関である中金がいまだにその問題が、やれ保証の問題がどうのこうのということで、なかなかまとまらない、そういうような実態になつておる。大体こういう事柄がすべて大蔵省の了解を得なければならないという段階になつておる。これが今日の大蔵省が最高の権力ということになつておるのではないかと考えられるのであります。山本政務次官はわれわれが最も信頼し、しかも自由党のエキスパートでございます。現在の大蔵省の行き方は、すべての国が関係しておる金融機関に対して相当こまかいところまで圧力を加えられ、いな指導されておるということから、五月の災害の金が今日まだ出ていないという実態になつておる。ただその間においてつなぎ資金は出しておる。ほんとうの契約、ほんとうの決定はまだされていないというのが実情であります。これらをいま少し簡素化する方法がないか、あつてしかるべきじやないかと思います。それからまた私は、こんな機会に申し上げることはいけないかもしれないが、党の政調において今後の予算を組みかえする場合において相当議論になることだと思うが、あらゆる問題が大蔵省によつてこまかいところまで査定されておる。人間は万能ではない。山口県の昨年の問題など、あれが農林省だけでやつてつたならば、農林省において相当責任調査というものがあるはずなんだ。すでにやつたことでありましようが、それが一々大蔵省査定を受けなければならない制度になつておる。それであるから、農林省は何とか自己の要求した額をそのまま通して行きたいということから、これは必ずなた割りに削られるのであろうということから、その含みを持たせてやつたということが原因ではないかと私は思う。農林省だけの責任でありません。査定したのが大蔵省なんですから、大蔵省責任もあるわけでございます。そういうことで含みを持たせて、切られるであろうという考え方から持つてつたものが、その場において切られなかつたから、あのまま行つた。それがああいう不祥事を世間に暴露したのではないかという考え方を持つておる。間違つておるかは知りません。あまりにもすべての問題に大蔵省は干渉し過ぎると思う。これは大蔵省の政務次官としての立場と、党の主要な幹部としての立場から、政調会におられてよくこのことは御存じのはずだと思います。こういう点が五月災害における問題や、今次十五号台風から北海道の冷害、宮崎県の問題などに大きな影響を来しておるのではなかろうかと思います。私どもの最も信頼し、尊敬しておる山本政務次官は、大蔵省の機構そのものをどういうように改善しなければならないとお考えになつておるか、この点を承りたいと存じます。
  15. 山本米治

    山本説明員 さつそく大蔵省の批判で恐れ入りました。私もついこの間までは党の政務調査会の方におりましたので、大蔵省に対する批判が非常に強いということはよく承知しておりました。私が大蔵省へ参りまして、幹部の方々に最初のあいさつをしたときも、大蔵省に対する批判が非常に強いから、その点はみんな知つておるだろうが、重々注意していただきたい、こういうことをあいさつしたような次第でございます。しかし一面考えますと、財政の問題にしてもそうでございますが、こういう政府資金の関係、民間は一応別といたしましても、予算、財政資金の関係につきまして、やはり全体として通貨価値を維持して行こう、インフレをやるまい、こういうのが大蔵省の建前でございますので、どうしても金に対しまして渋くなつたりきつくなつたりするということは、これはまたお役所の性質上やむを得ないのではないか、この点は御了承いただけるのではないかと思うのであります。しかしあまりに各省の所管事項についてこまごましくさしず等するということは、これまた行き過ぎではないかと思うのでありますが、そこの調和をどうして行くかということだろうと思います。今後これらのやり方につきましては、各省あるいは大蔵省ともに反省して、うまく調和を保つて行かなければならぬと思つておるのであります。さりとて、それじや全体の通貨価値維持ということを大きな目標とする大蔵省が、何もかも入り込んでやるということもこれまた困つたことでございますので、今後どうも渋い態度は続くと思いますが、気持の上では十分今私の申し上げましたようなことを心に持ちましてやつて参りたいと思いますから、御了承願いたい。
  16. 松田鐵藏

    松田(鐵)委員 たいへんとんでもないことを申し上げましたが、党におられてよく党の意見というものも御存じでありますから、その点を十分ごしんしやくの上、しかるべく調整を願いたいと思うのであります。  ところで今回の災害に対しまして、ただいま水産庁からの報告から行きますと八十六億、そのうち公共事業に関する漁港が三十三億というようなことであるが、これは融資を受けるにしても何をするにしても自己負担というものが必要であろうということからいつて、大体これの半額くらいになるのではないかということであります。党においても災害対策特別委員会をつくつてこうした問題を連日討議しておりますが、何といたしましても資金源の問題であります。日本のインフレをいかにして克服するかという大きなねらいからいつてやむを得ないことであり、一兆億のわくにおいてこれをまかなつて行かなければならないという今日の状態であります。だが昨年のあの災害立法から行きますと、四百八十五億でございますか、そのうち中金自己資金によつてまかなつたのが二百七十五億でございますか、信連においてまかなつたのが百三十八億、合計四百十何億という金をまかなつたのであります。そうしてあの災害復旧を自由党の唱える政策によつてつたということになつておりますが、その後、前の委員会においてはつきりわかつた問題は、大蔵省においてどれだけ国の財政の中から援助したかということを調査してみたところが、漁業証券の買上げによつて十三億五千万、農林中金の債券の前渡しとして八億を出したにすぎない、こういう点であります。そこでそのしわ寄せが、現在の中金系統機関に対する融資に対して相当のしわ寄せが来ておる。しかもまた公庫において財政投融資の緊迫からいつて十億の節減をしなければならないことになつておるというようなことからいつて公庫の一般政策というものも非常に渋滞して因つておる。そこへまだこうした災害だ、これも公庫だ、これも公庫だというような議論になつて水産庁もそう考えておられるようであります。この対策委員会においては、その十億というものは引揚げを中止するように、また二十億の信連関係に出したものをも返還をさせないようにしようじやないかというように大体自由党の対策委員会ではまとまつたようでありまするが、しかしそこにおいて初めて公庫わくというものを切り詰められているのが緩和したような形になり、こうした災害に対してもでき得るだけの援助はでき得るようになつておるようであります。大蔵省においては、中金の金というものは、今日のような状態であれば非常に金がだぶつくのであるから、足らないときには昨年は二百五十億日銀から一時出してあり、今年は三百億出しておるということで大体まかなつたのだ、こういうことであります。まかなつておることでありましようが、そのしわ寄せが今日あらゆる系統機関に対する無理な要求となり、事務が渋つているという状態であるようにわれわれは見受けられるのであります。中金の性格からいつて中金はそうじやないじやないか、お前の方はもつと出してやつたらいいじやないかというても、ないそでは振れないというような言葉を常に使われるのであります。農林省の官房長に、党として来ていただいてわれわれがお聞きした。きようもまた午後からおいで願つて聞くことになつておりますが、そのときにおいては官房長も非常に楽観的なんだ。今金がうんと余つておるのだから、つなぎ融資は幾らでもやれるのだ、ただ六月、七月になつて端境期になつたら困るのだから、このときには何とかしてくれればそれでけつこうなんだ。ちようど大蔵省の言われるのと同じようなことを言われるのでありますが、こういう点がはたして可能であるのかどうか。資金源が不足であつたならば——今のこの災害北海道におけるこの冷害において、かぼちやさえ食えないというような現状だ。きのうあたり農林委員会に持つて来た豆などというものを見たならば、実際ひどいものであります。米は一粒もなつていないというのが現状であります。こういうときにおいて、中金系統機関には今は金あるのだけれども、来年の端境期になつて、六月、七月になつてどうなるかという不安があつたならば、とうてい今この手持ち資金でまかない得るのだという金でもつてそれをまかなつてやるということはでき得ないことだろうと思うのであります。それからただ金さえ借りればいいという農民や漁民では因る。やはり自分は自分の立場においてりつぱに返すことのでき得るような方法をもつて、自分の経済というものを守つて行かなければならないことなのです。しかしそういう農民の保守的な考え方が今日の農中の資金繰りというものを、先日来てよく聞いてみるときに、まつたく困つた状態になつておるのだという痛切なお話がここであつたのであります。この漁民、農民の系統機関である中金に対して大蔵省はどいういうお考え方を持つておられるか。この点われわれがはつきり把握してかからなければ今後の対策というものが満足に行かないのではないかと思うのであります。こういう点に対する見通しを承りたいと存ずるものであります。
  17. 山本米治

    山本説明員 農林漁業関係の経営資金の問題と存じますが、今度の災害におきましても去る五月のときのような措置がやはり必要ではないか、これには立法措置が必要でございますが、そういうふうに考えております。すなわち損失補償とか利子補給とかいう問題でございますが、さてそういう措置をしましても、その元の貸し出す金があるかという問題、それが出す金は大体農中系統の金と考えられるわけでございます。なかなかこの種の金は普通銀行から出ませんので、農中系統の金でございますが、ただいまお話もありましたように、農中は今日は供米代金の関係で非常にたくさん金があるのでありますけれども、これは一時的な短期の金でございまして、今問題となるような経営資金となると一年、二年、場合によつてはそれ以上も続くような長い金でございますので、金の性質が違う。今だぶつている金をこちらに向けるというわけには参らないことはお話通りでございます。さりとてそういう法律が出まして、実際上困つた人たちがあるという場合には、金がないから出せないということはこれまたできませんので、農中等の金繰りも十分考えまして、いよいよ足りないときは、さらにそれじや農中資金をどうしてふやす措置を講ずるか、これはあるいは日銀が問題になるかもしれませんし、あるいは資金運用部の金というものも問題になるかもしれませんが、今のところはそこまて考えておりません。ともかく何らかの方法措置ができまして、ほんとうに困つた人にはぜひ貸し出す、こういう方針でいろいろ研究しておる最中でございます。
  18. 松田鐵藏

    松田(鐵)委員 一昨日の党本部における対策委員会において大蔵省説明があつたのでありますが、そうした財政資金というものはないんだというように私は承つてつたのでありますが、この財政資金は今どのくらいの手持ちになつておりますか。
  19. 山本米治

    山本説明員 財政資金とおつしやられるのは、主として資金運用部の金だと思いますが、これはあると言えばある、ないと言えばない、これは非常にむずかしい問題でございます。ただいまのところでは、数十億はまだ余裕があるかと思いますけれども これに対する資金借入れの要望が山ほどあるのでございます。それをどう扱うかということによりまして違つて来るわけでございます。その原資の関係は、今後郵便貯金などがどのくらい伸びるか、あるいは伸びないかということでかわつて来るわけでございますが、かりにこれを当初の通りと見ましても、そのほかいろいろ原資の関係で差引がありまして、金がどれだけできるかという問題、また需要の方におきまして問題があるのでございますが、ただいま申しました山ほどの要求と申しますのは、大口で今問題になつておりますのは輸出入銀行でございます。これが大体百億くらい金が足りないという申入れがありまして、資金運用部から何とかしてもらいたい、むろん百億そのままそうかと言つてそう出すわけには参りませんけれども、こういう大きな要求がございますし、また御承知通り国鉄にこの間ああいう不祥事が起りまして、国鉄は相当会計が困難でございますので、一部資金運用部から借入れしたい、金額はまだはつきりわかつておりませんが、国鉄の申すところで言えば、損害百億、あるいは百億以上と言つておりますが、手持ちの金が二十億ほどあるので、八十億ほど何とかしてもらえないか、こういうような話がございます。それから、一月ほど前東京で、水道料金を上げる、あるいは電車賃を上げるという問題が起つたのでございますが、デフレ政策の折からそういうものを上げたくないということで、やはりこの資金運用部から建設関係に設備資金を出すことに大体方針をきめて、これを出し、て、料金値上げをやめることになつたわけでございます。これまた金額はわかつておりませんが、相当金額をこの方にも出さなければなりませんし、またつい最近自由党の総務会で御決議になりましたが、地方の鉄道の新線でございます。十七本かございますが、そのうちにこの工事がとまつてしまうから、ぜひ資金通用部から十億はかり出してくれ、こういうお話がございます。あるいはまた水道の起債予算が今年は大体百億でございますがとてもこれでは足りない。すでに数箇年たつて償還期が来ておるのに、まだ水が通らぬというような地方もございまして、何とか水道の起債をもつとふやしてもらいたい、二、三十億ふやしてもらいたいという要望が自治庁方面から来ております。こういうようなわけで、資金運用部に関しましては起債の要求、借入れの要求が山ほど来ておるのでございますから、それをどう処理するかということによつて、それらを一切け飛ばしてしまえば、金はあるとも言えるわけでございますけれども、これは固定的なものではないのであります。原資の万の関係も動いておりますし、需要の方も動いておりますので、これをどう調整して行くかによつて、金があるといえばある、ないといえばないのでございますが、ただいま申しました要求は、いずれも相当熾烈な要求でございますので、そのあんばいの調整がなかなか困難である、こういうのが現状でございます。
  20. 赤路友藏

    赤路委員 ただいま政務次官の方から特別立法の話が出たのでございますが、私たちも当然特別立法をされなければならないと思つております。と申しましても臨時国会が開かれなければならないので、立法措置をしておつても遅れる。立法措置がないと、なお系統機関における融資等も困難を生ずると思いますので、この立法措置をするまでの間、ほとんど数字が集まるならば、この際原案を閣議決定してもらつて、閣議決定されたものを御発表願つて臨時国会を待つということになると、融資関係等もかなりスムーズに行くと私ども考えておりますが、この点についての御意見を承りたい。
  21. 山本米治

    山本説明員 これは立法事項でございますので、立法がないうちに立法があつたと同様な措置をとることは、ちよつと困難ではないかと思つておるのであります。
  22. 赤路友藏

    赤路委員 昨年李承晩ラインのときに、やはりそういう措置をとつた。そうして一応農林大臣から閣議決定の原案を発表していただいて、それで金融機関が安心をされる、あるいは各県においても、そうしたものは必ずされるんだという前提に立つて補償等の措置をとる、こういうことをやつたケースがあるのでありまして、当然できるものと思うのでございます。これはこの前の委員会においても、石井運輸大臣に来ていただいて特にお願いしておいたわけであります。  もう一点申し上げますことは、ここで遅れますと何にもならなくなる。今の千円は先の五千円にもかけ合うということになろうかと思います。特にこの点お願いしたい。災害は全面にわたつておりまして、農林、建設、厚生等等ございますが、広汎な数字をまとめるのに相当時間がかかる。幸い水産関係の方は、先ほど来水産庁長官にもいろいろお聞きしたのですが、数字がほとんどまとまつておりますので、この際できるならば、水産関係だけでも特別にそういう措置をおとり願いたい。これをひとつ大蔵省の方でも御了解願いたいと思う。これが一点です。  それからもう一点、特にお願い申し上げたいのは、先ほど松田委員の方から岩内の話がございました。これはすでに御承知と思いますが、一月に暴風雨でやられたのに融資をいたしまして、相当立ち直りを見せておつたところを、今度ほとんど町の四分の三は焼滅した。しかもこの十一月が漁期なんです。これををはずすと、おそらく岩内というあの町が立ち上るのは困難ではないかと私は思う。それは災害の中でも特別ケースだと思う。もちろんその他にもそういうものがあろうかと思いますが、特にこういう緊急を要するものに対しては、政府の方で政府資金を都道府県に貸し付ける、それで都道府県の責任においてこれを末端に流して行くという特別な措置をこの際おとり願いたいと思いますが、その点に対すろ御意見はどうでしよう。
  23. 山本米治

    山本説明員 ただいま立法事項でも、立法できないうちに閣議決定でやつた前例があるというお話でございましたが、そういうことができますならば早速研究いたしてみまして、その御趣旨に沿うように努力したい存じております。  なお、岩内町の火事等につきまして、どんどん政府資金を出せというお話でございますが、政府資金の関係につきましては、先ほども申し上げました通りに、なかなか需要が多くて、簡単に出すわけには参らないのでございますけれども、さりとて町の四分の三も焼けてしまつたというような異常な事態でございますので、できる限りの措置を講じて行きたいと思います。
  24. 赤路友藏

    赤路委員 政務次官から今できるだけのというお話があつたが、できるだけがなかなかできませんので、くどいようでございますが、このケースも、ないことを私はお願いしておるわけではない、御承知通り、ビキニのあの被害のときに問題になりまして、神奈川県及び静岡県に一億二千万円であつたかを県貸付をした前例がある。その後またこの問題が非常に広汎にわたりましたので、一億数千万円出していただいた、こういうケースがあるわけです。今回の岩内の場合は、四分の三焼かれ、しかも目の前に漁期を控えておる、これを逃がすと岩内にとうてい立ち上りができません。私は鹿児島ですから、もちろん岩内は行つたこともないのでございますが、そこに写真にあるような状態ですから、これは何とか特別にしてやらないと見殺しにすると同じです。もちろんこれは岩内に限つたことではないと思います。他の方にもあろうかと存じます。われわれか知らないから他の方面はわからないが、かりに岩内にとつてみましても、何十億という大きな金じやない、一億三千万円あれば、何とかこの際二百の船が操業できる。こういう月の前に控えたものを逃がして、岩内町の二万数千の人間を見殺しにすることは、私は生きた政治じやないと思う。政治に少くとも生きていなければいけない。この点を特に私は大蔵次官にお願いしたい。ぜひひとつお考えを願いたいということです。
  25. 川村善八郎

    ○川村委員 関連。ただいま赤路委員から岩内の例を取上げて申しましたし、かつ松田君からるる山本政務次官質問し、懇切なる御答弁を伺いましたが、大体大蔵省の腹はわかつておるのでございます。そこで、今赤路君の言われたように、特に岩内町のごときは、金融ベースに乗るといつて相当めんどうなことになつておりますし、さりとて漁期を前に控えておるところから、これを救わなければ、岩内漁民が死ぬばかりでなく、岩内町全体の経済が行き詰まつてしまつて岩内町そのものが倒れてしまうという段階に来ておるのでありますから、ぜひともこれは赤路君の言われるような方法をとつてもらわなければならない、かように考えます。  ところで、これと同じようなケースではございませんけれども、やや類似したものは噴火湾でございます。噴火湾は定置漁業の非常な盛んな所でありまして、かつての五月の台風にもやられ、さらに今度の第十五号台風には全部流されてしまつたのが現状でございます。そこで先般私が帰りました際に、対策を講じたのであるが、何といつてもこれはつなぎ資金で早く復旧をしなければならぬ。もちろんわれわれは特別立法をするということに努力をしなければならぬと存じまするし、先ほど山本政務次官も今度の十五号台風の問題には特別立法をしなければならぬじやないかということを考えて、研究をしておるということでございまするから、特別立法は迫つてされるでありましようけれども、とりあえず漁期を控えた水産の復旧資金については、  ぜひともやつてもらわなければならぬのであるが、先日私のところに数本の電報が参つて系統機関つなぎ融資をするということには大体きまつたけれども、噴火湾の定置漁業等については、数回にわたり災害を受けており、従つて経済危機になつておるのと、これまでの実績等においては芳ばしくなかつた、すなわち漁がなかつたためにこれを除外する、いわゆるつなぎ資金を貸さない方針であるということが明らかになつたから何とかしてくれという電報が参つたのでございます。そこでもちろん岩内のことは早急にやらなければなりませんけれども、噴火湾もこの十、十一、十二月がもう盛漁期であります。この盛漁期をはずせば一年中何ら漁業をやらないも同様になつてしまう。噴火湾の沿岸にあるところの漁民は、全部崩壊してしまうはかりでなく、町村の経済も崩壊してしまうということになるのであります。幸いつなぎ資金が出るという方向に向つたそうであるから、数回台風等に遭遇して、財政的に困つておるという地区には、特別の配慮によつてつなぎ資金を貸してやるようにという、言いかえれば大蔵省なり水産長官から指示をしていただけはいいんじやないかという気もするのでございます。もちろんこれは中金から出ますところの信連の系統機関融資資であるということがはつきりしておりますので、こういうような点に御配慮願えれば幸いと存じます。  それからさらにもう一点は、これは特に山本大蔵政務次官に申し上げたいのですが、今度の漁船漁具の損害をけても大体二十七億五千万になつております。漁船の損害が相当大きい。ところがこれは個人のものであつて、これらの融資の道は相当めんどうだと考えるのでありまして、われわれはかつて漁船損害補償法を制定いたしまして一トンから百トンまで保険に加入し得るところの道を開いたのでありますが、前の国会におきまして、大蔵省から特別臨時立法を出してこの補助金を打切る、わずか一億の金を出ししぶつて、二十トン以上百トンまでの保険に加入の補助金を出さないということに相なつたのでございます。こうしたようなことで、今度の台風漁船損害も二十トン以上のものが相当ございます。一億の金を惜しまなければ、相当の掛金によつて国の力を借りぬでも立ち上ることができるという方法があつたのにもかかわらず、特別臨時立法によつて二十トン以上百トンまでの船が入ることができなかつたということで、結局政府資金なりあるいけ予算措置なりを請じて補助してやらなければならぬ。いわゆるあとからこぼした米を拾つておるというような実態になつたのでございます。そこで今度の臨時国会において、あの特別臨時立法の中の、漁船損害補償法に関する分だけは、確かに条件をつけて通過さしておるということになつておりますので、復活する御用意があるかどうか。今後とも受けるであろうこの漁船の損害を見越して、われわれはああいう立法をしたのでございまするから、大蔵省だけが一億出してやろうという腹になつて、あの臨時立法を改正するならば、ただちにそうしたものか救われるのであるが、このへんのお考えはとうか、この二点についてお伺いいたしたいと存じます。
  26. 山本米治

    山本説明員 噴火湾の問題につきましては、実は私まだ聞いておらないのでございまして、はなはだ申訳ない次第でございます。  第二点の漁船保険の保険料、二十トン以上百トン以下の問題でございますが、これにつきましては、補助金等の打切りのときにも非常に問題になつた点でございましたが、遂に四月一日から発効の法律が、そのまま停止されておる状態でございます。この問題につきましては、政府は必ず誠意をもつて善処することをお約束いたします。
  27. 清井正

    清井説明員 今噴火湾についてのお話がありましたが、岩内も重要だが、また噴火湾にも同じような条件がある、こういうことでございますが、事情は十分承りました。先ほどもお話申し上げましたように、農林中金も非常に心配いたしまして、北海道漁業資金基金協会保証するという制度がありますから、これを利用してとりあえず何とかつなぎを出したらどうかということを、向うから言い出したのであります。御承知通り基金協会災害については考えていないのでありますけれども、こういう特別の場合でありますから、そういうことも考えていいのではないか、こう言つております。そこでそういう一つの補償の裏打ちというか、農林中金としてもある程度金額は出すという腹でおるようであります。なお具体的に中金お話いたしまして、早く、時期を遅れないように処置をいたしたいと考えております。
  28. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員長代理 委員各位に申し上げますか、山本政務次官は、大蔵委員会との約束がございまして、すぐ退席しなければいかぬ事情にございます。従いまして簡明に、大蔵政務次官に関する質問だけを数分間お願いいたしたい。田渕君。
  29. 田渕光一

    田渕委員 この前の委員会で、水産庁北海道庁とがデータのとりかわしをして、大蔵省に当るということになつておるのであります。松田君あるいは赤路君からいろいろお話もございましたので、私は重複を避けますが、少くとも今度の北海道災害は、非常に広汎なものであるから、まずできるところからやつて行かなければならぬ。最も重点的に行くならば、私は岩内町の被害と、漁期を控えておる問題だと、こう思うのであります。そこで先ほどからのお話を伺つてみて、まだわれわれが納得できないことは、先刻岩内町長からここで当委員会に陳情がありましたのによると、道並びに国から一銭のつなぎ資金も行つていない、救援物資が来ただけだ。二十六日に災害が起きましてから今日まではや半月、十七日たつております。それに一銭もつなぎ資金をやらぬ、何のために大蔵省は七十億の災害予備金を持つておるのか、この災害の予備金をなぜ生かしてお使いなさらぬのかと思う、即刻これはデータもできて知るごとと思いますから、きようにも——一億三千万というつなぎ資金の要求をしておるのです。すなわちこの漁期を控えて最小の額を要求しておるのだ。七十億の政府災害予備金もあるのだから、データがそろつてもそろわなくても、一億や一億の金のいることはわかつておるのだから、なぜ先に送つてやるくらいの親心がないかと私は思う。それは書類がなければできないということにもなりましようけれども、すでに道と水産庁が数次の折衝をされて、このことは私は次官にきよう初めて申し上げたのであるけれども、あなたの下におられる課長あるいは事務官には、数回道庁なり水産庁当局、か折衝しておると思う。私は時間が数分間と限られておりますから、イエス、ノーです、この一億三千万という金をきようにもお出し願えますか、それをひとつ伺いたい。できぬことはないと思う。次官の腹一つでこれは出せるのです。すでに対策本部もできていろいろやつておるけれども、行政的な措置として特別立法を閣議決定で、ビキニの例あるいは李ラインの例で、こういうぐあいにやろうというのでやつた例があります。そういうようにしてやろうという大体裏づけができておるのだから、出したつて心配ないでしよう。かりにそういう心配があつても、雪を迎えている一万七千ほどの羅災者がおる。こんなところに今日十七日もたつて一銭のつなぎ資金も行つていないということに対して、憤激を禁じ得ない。大蔵省に金を預けておるのは、黙つてつておれというので預けておるのじやない。私はそこが聞きたい。これを言うのがまた議員だ思う。去年の災害で非常に助けてもらうて、私なんか行くというと、罹災者は泣いて喜んでおる。おそらくこれは来るか来るかと待つておるのに、十七日たつて一銭も来ない。何たることだ。中央においては政党がだらしなくて、首脳部が政党だとかへちまだとか騒いでおる。こういうことで遅れておるのかどうかわからぬが、どうですか次官、きようにも出してやるのか出してやらぬのか、これだけ聞きたい。
  30. 山本米治

    山本説明員 今のお話つなぎ資金と言われるのは、財政の方面から出る金でありましようか。それとも農中から出る、つまり漁民の仕込み資金とか、そういう種類のものか、もし先ほど問題になりました立法ということになりますと、農中系統の金融機関から出す金に対して政府損失補償をする、これは金を出すわけではございません。つまり利子が違いますから、利子の五分程度の補給をするということが問題でございまして、その場合金を出す資金源は農中系統の金融機関の問題でございまして、今政府が七十億持つておるというのは、これは財政の予備資金でございますので、それは他の公共事業的なものとか、そういうものに対して出す予備金でございますので、そこがちよつとはつきりしないのでございますが……。
  31. 田渕光一

    田渕委員 私はそういうこまかいことは、どれから出してもよろしい。つまり災害が起つた場合には助けてやるのだという、災害予備金として七十億あると私は思つておる。そのうちから出してやればいいので、そんなものは出しておいて、あとから手続すればよろしい。手続をして、立法措置をする、閣議決定をする、行政的措置をする、やれ中金とか道庁とか、こんなことをしておつては正月が来てしまいます。ただほうるわけではない。なぜ生きた金を使わぬかということを私は言う。どんな金でもいい。七十億という災害予備金がある以上は、要求する金を岩内町に一応出してやつたらいい。大きな災害には九州だつて中国だつて、今日までやつておる。資金を送つて間に合わすのがつなぎ資金でしよう。いろいろどう使うとかこう使うとか、それはあとで取上げてもいいじやないですか。そんなお互いに国民を信頼できないような政府ではいかぬし、少くともそのくらいの人情がなければいかぬと思う。これだけはきめておいてもらわぬと出やしませんよ。どんな名目だつていいじやないですか。一億三千万送つてやればいいじやないか。方法は別だよ。
  32. 山本米治

    山本説明員 ただいまのお話は、どこまでもやはり農中から金を応急に出すという意味つなぎじやないかと思いますが、農中の問題でございまして、政府から出すのは、たとえば災害関係とか、あるいは大火にしましても災害でございますが、災害関係、それにつきましては千万円ほど今つなぎ資金の要望が出ておりまして、これについてはさつそく善処するつもりでおります。なおこの種の場合に、非常に政府がスロー・モーシヨンであるということに対する御叱責はもつともでございまして、われわれも常にそう考えておつたところでございます。今まで災害にしましても、まず各現地で調査をするのに相当時間がかかります。北海道なら北海道から、建設関係は建設省、農林関係は農林省へと来ます。そこでまたいろいろ資料を整えて取捨をしまして、それを大蔵省に持つて来るのでございます。北海道の十五号につきましても、北海道の知事が来られたのはつい二、三日前だと思つております。それにいたしましても今の、手続と別問題に出すべき金は出せということは御意見の通りでございまして、私の今考えるのは、どうも農中のことじやないか、農中のモーシヨンがスローじやないか、こういうふうに考えております。
  33. 田渕光一

    田渕委員 農中がスローであれば、農中をわれわれこれから調べますけれども、少くともどんな金で出るとか——課長級や事務官級の諸君は、こんなことを、政務次官に報告してなかつたのか。十七日も何をしておつたか。おそらく僕は当局に折衝してると思う、あなたの所には行かぬけれども。どんな名目でもいいじやないですか。豊中から出すなら農中から出して、おれがひとつあとは引受けるということを言つてくれませんか。そうすれわれわれが大蔵省に行つてかけ合つて出せと言えば出せる。水産関係だけでも二十七億の損害だという。岩内にあがる十七億のうち十四億は水揚げだが、一割もうけて一億四千万もあがつておるじやありませんか。十四億からあがつておる岩内町だ。少くとも日本国民の食糧増産に影響しておる。諸君も忙しいだろうけれども、なぜそういうぐあいに十七日も金を出さぬか。きようにでも出してやるかどうか。ただ大蔵省へ陳情に行つたんじや来やせぬから、委員会で出すか出さぬか聞くよりしようがない。それが済んでから大蔵委員会に行つてもらいましよう。われわれもタツチした以上は、一億三千万と岩内町長が言うんだから、それを出してもらいたい。われわれは大蔵省を攻撃したくない。攻撃はし尽しておる。こんなものは批判しません。私は大蔵省と自治庁に対しては、敵愾心をもつてその官僚臭をたたぎ直してやろうと思つてつたが、大分よくなつて来た。しかし十七日たつて出ておらぬのだから言わざるを得ない。農林中金が、悪いのならあなたが責任を持つて出してやつたらいい。一億三千万出せ、こうおつしやいますか。
  34. 山本米治

    山本説明員 一億三千万、いう金額を私今まで承知していなかつたのでありますが、その金額そのまま、信用ということははなはだ失礼でございますが、そのまま行ける数字であるかどうかということにも問題があると思いますが、農中に対してさつそく善処方申し入れることについては、はつきりお約束します。
  35. 田渕光一

    田渕委員 それはまことに次官は人情がある。それだから私は政党の出身でなければならぬと言う。大体私はいつも言う。大蔵官僚はほんとうにいいところの息子です。森永君だつて大体若槻礼次郎の孫をもらつてるじやないか。いい中学を出、いい高等学校、いい大学を出ておる。温室育ちである。こういう諸君だから、大蔵官僚はほんとうに悪い、一向人情がない。また実際言うと、絹のふとんで寝ておつて、いいところと閥族結婚をして、いい学校を出ておる。こういう人間でなければ入つておらぬ。しかも大蔵一族だと称しておる。実際見てそうだ。だからあなたの言うように、今にも手配すればできる。なぜ生きた金を使わないか。僕らがどなり上げて金が出るなら、金が死んでしまう。だから大蔵官僚はろくなやつがないということになつてしまう。一億三千万なんてはした金じやありませんか。それじや農林中金へさつそくあなたが手配してください、それなら安心する。
  36. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員長代理 辻文男君。
  37. 辻文雄

    ○辻(文)委員 まことに田渕委員の要求されていることは、私ももつともだと思う。赤路委員もその通りだし、他の委員もおとなしくあなた方にものを言うだけで、本質から言つたらどうしてもそうなくちやならぬ。それこそほんとうの政治だと私は思う。われわれは野党であるし、また北海道じやない、他の県の出身ですけれども、どこであろうとも、私は人道的に考えてみても、さつき岩内の町長がここで陳情をしたが、それを聞くと、最低一億三千万あればよろしいと言う。私どもは今まで党から出した調査その他を聞きましても、山口県で不祥事があつたというようなものじやないと思う。少くともわれわれは常識から考えれば、これはもうほんとうに最低なもので、これを流用するようなことはないと思う。しかも田渕委員が言われるように、生きた金を使わなければならぬのに、立法してとか何とか言つてつたらいつのことになるかわからぬ。この前の水害対策委員会のときも、そういうことはよく経験しております。こういう問題から言えば出せないことはない。というのは、さつき赤路君が申し上げた通り、道があげて岩内なんかのことを心配して、新聞などにも載つているというから、あなた方が道にしつかり責任を持たして、貸してやられても私はいいと思う。必ずしも農林中金だけにぶら下つていなければならないということはない。その後の善処方をどうするかということは、あなた方に御研究願い、われわれもまたそれに同調して、あなた方を困らせないような方法考え、またさらに審議し、討議しなければならぬと思う。そんなことを言つて時間をつぶしておられぬということは、今田渕委員が言われる通りなんです。どうかそういう意味で、私もくどくは申し上げませんが、陳情は幾つもここにありますし、書類ももう出ておりましようから、水産に関係あることを水産庁長官が知らないはずはないと思う。また水産庁長官は、私たちしよつちゆう言つておりますからそんなぬるいことはしておらぬと思う。ですから、その意味水産関係のものを——岩内の方は実際は水産関係ばかりじやないかもしれぬけれども説明を聞いても、あるいは各調査報告を、聞きましても、これはもう漁業にたよつておる。それで全体がやつておるということははつきりしておりますから、これはその意味の金だぞ、ほかに使つちやいかぬぞということで責任を持たして、道にお貸しになつたら私はできると思う。そういうことを大蔵省の方ではしつかりお考えいただきたいと思います。
  38. 赤路友藏

    赤路委員 先ほどの松田君の質問になるのですが、今のところは申し上げません。やつていただけるものと確信いたします。それから今の全体の融資の問題ですが、農中への原資手当の問題、次官の方は、まだはつきり源資手当をどうするというようなことは考えておられないということで、一応研究過程だと思います。しかしどの面から考えましても、何とか農中に原資手当をしてやりませんと、無理が来ると思う。先ほど次官の御説明にありましたように、性質が違つておるのです。私たち一番心配するのは、災害はもちろん早急に復旧しなければならぬが、それとともに恒常的な資金繰り、これをおろそかにするわけに行かぬと思う。恒常的な資金繰りに全部しわ寄せされるようなことでは、全体の面として非常に後退することになりますから、この点ひとつ十分お考えを願いたい。源資手当がなければ非常な無理が来る。この前の委員会で、その点については特殊金融課長からいろいろお話を承りましたけれども、この線でぜひ次官にお考えおきを願いたい。原資手当の問題は、方法はいろいろあろうと思いますが、できるだけこれらの点でカバーしてやりませんと、農中一本にしわ寄せということでは今後の恒常的な資金繰りに非常な無理が生じて来る。これまたおろそかになりませんので、どうかその点だけ御考慮おきを願いたい。それだけであります。
  39. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員長代理 なお大蔵省から加治木特殊金融課長、鹿野主計官、大角理財局事務官、御三名見えております。
  40. 田渕光一

    田渕委員 次官が行かれましたから、ひとつ事務官あるいは課長級にお願いしたいのだが、どうです。今言つた一億三千万というのは事務的にできますか。もつともあなた方には水産庁から陳情なり資料が行つているでしようが、少くとも立法したら何億という金がいる。今度の災害で北海直に相当金が行くのだから、一億や二億北海道に出してやつても心配はない。今から直接大蔵政務次官に行つてもらうのだが、そのときあなた方担当官としてできますか、できる可能性があるか、きよう中に送れるかどうか。われわれは一旦言い出したら夜を徹してもとらなければならぬ。実はきようまで十七日間待つてつた。ところが今日町長がここへ来て、まだ一銭ももらつておらぬと言う以上、われわれは黙つておれぬ。きよう中にわれわれは送つてもらいたいと思うのだが、できますか、あなた方のどなたでもけつこうですから、答弁願いたい。
  41. 加治木俊道

    ○加治木説明員 私は農中の関係で申し上げたいと思います。農中の資金手当、財政資金で何か手当をしなければならぬということになれば、私はちよつと御答弁いたしかねますが、農中の関係は、今までどの程度この事情を承知しているか、われわれきようのことは十分伝えます。あるいは出先の方で、すでに農中なりその系統なりに連絡がしてあるかと思いますけれども、念のために御連絡だけはいたしておきます。単純に資金を送るということは送金手続だけのきわめて事務的な問題でありますが、しかし農中がこれを確保して貸すかどうかということになりますと、やはり融資の判断の問題になりますので、きよう送つたらすぐ向うの手元に入るかどうかということは、私として断言いたしかねます。ただ先ほど御意見かありましたように、道が責任を持つならそれを通して貸せばよいじやないかということも、農中の資金を他に貸し付けるということは、起債の関係がございますので、私限りでは御答弁いたしかねます。ちよつと答弁にならぬかもしれませんが、農中に連絡し、いろいろ伝えるということ以上、私でははつきりした御答弁は申し上げかねます。
  42. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員長代理 なお清井水産長官から御答弁があります。
  43. 清井正

    清井説明員 先ほど来田渕委員から大分おしかりを受けて恐縮に存じますが、実はこの問題につきましては中金と相談をいたしておるのであります。先ほど御説明申し上げた通り、これはすつかり焼けてしまつたもので、しかも前に一度公庫から貸しているので、いわゆる普通の金融の考え方から行くと条件が非常に悪い。しかしこういう特殊の状態で相当金がいるわけですからぜひ出してくれということで、私の方は中金を通して話をしているわけであります。中金としてもある程度覚悟をしております。しかし今申しました通り、やはり金融機関ですから、だれかが保証してくれなければ困る。第一は、道がとにかく大幅に保証をしてくれるという約束さえしてくれれば、私どもも何とかしたいと言つているのであります。それについて道の方とよく相談いたしまして、とにかく道の方でそういう覚悟でやつてくれ、そうすれば中金としても金を出すようにするからということで話合いをしておりますけれども、またきまつたというところまでは行つていないのであります。しかし先ほど来お話もありましたように、私の留守中もやつていると思いますけれども、なおさつそく帰りまして話をしまして、できるだけの措置をいたすようにしたい、こう考えております。
  44. 田渕光一

    田渕委員 水産庁長官の御苦心並びに大蔵事務当局の御苦心は多とするのであります。けれども、今あなたがおつしやるようなぐあいにして、中金に電話をかけても、中金大蔵省の裏ずけがなければ出しません。二割のわくたとか何とかいうことを言つている。岩内町長もまだおるだろうから申し上げますが、全部引受けますという犠牲的なものがなければ引受けられないので、町長としてもおそらくそのくらいの覚悟は持つていると思いますが、北海道に一億や二億の金を送つても心配はありません。よそへ使うという心配はない。今一億三千万あれば町が立ち得るという最低の線の陳情がありましたから言うのですが、とかく私たち役所へ行くと、あなた方はいすに腰かけていて、議員がぺこぺこ大蔵省の官吏に頭を下げて絶えず非難を受けるのですけれども、やはり場に行けば礼をもつてしなければならぬし、あなた方の仕事のじやまをすると思うから、こういう委員会である程度までおとなしく——私もこのころに二年生たからむちやは言わないが、ほんとうは胸ぐらをとつて言いたいくらいなのです。大蔵省へ行つて事務の方のじやまにもなろうから行きませんが、せめてこの委員会では一つ一つ固めて行きたい。いろいろ論はありましようが、今度の十五号台風並びに大きな災害のうち三十何ぼ——一万七千人から学校に避難しているところに一銭も金が行つていない。これでは吉田内閣をのろうのはあたりまえです。その与党としてわれわれは黙つていられない。大蔵大臣は帰られて間もないことでもあろうけれども、とにかく一億や二億の金をくれというのを送つてやればいいのです。国が助けてくれぬとなつたら、いよいよ食えなくなつてやけくそになつてしまう。それを私は言うのだ。とにかく送つておいて心配ないのだけれども、今のお話ですと逃げ口上で、ちつとも答弁になつておりません。事務的にできるかできないかということを聞いておる。今次官も農林中金に電話をかけるでしよう。農林中金事務的な手続ができておればよいでしようが、農林中金はこの調子では一億三千万というものは出せまい。もうすでに六千万というものは出ているし、おつしやる通りだから、大蔵省北海道にやる何がしの金があるから、これで差引くということでもいいのじやないか。生かしてやらなければならぬ。今切実な要望があるのは、この岩内町の現実の問題です。だから現実にお願いすることは、事務的に親切に御協力をしてやつて、こうしてやれば行けるじやないかというやりくりがあると思う。実際から言うと、今の七十億というのは、国の非常品ときに使う金だ、こうういうふうに解釈している。それからやつてやればいいじやないか、その手続は事務当局でやつてやれば、次官も閣僚も文句は言わないと思う。それを言うのだつたら無政府と同じなのだ。これを言うのたつたら大蔵大臣の資格もなければ内閣の閣僚の資格もない、それが現実なのです。ここへ来て、委員会を開いて速記に残る以上は、われわれもだてや道楽で言うわけではないので、きよう出せるということまで言つてもらわなければいかぬ。それで事務的にやつくれるのかどうか、今の話でに答弁になりません。そのためにわれわれのような知識のない者に教えられる、あなた方は国家公務員として専門のいすにおるのでしよう。
  45. 加治木俊道

    ○加治木説明員 私は事務的にやることをいとうわけではありません、できるだけのことをいたします。ない知恵をしぼりまして——先ほどの町長というようなことは知りませんが、町で保証するとか道で保証するとか、あるいは場合によれば適格な条件を整えられるかどうかわかりませんが、そういつたことで信用の裏づけをする。そういつた条件が整えば、やはり農中として出すかどうか、少くとも十分信用条件として時分らの見通しがつけば、農中としてもよかろうじやないかという話はあります。しかしたとえばこれが何年かかるかということと、それからもしこれが償還に少くとも一年以上もかかるということであれば、先ほど政務次官のお話がありましたように、今農中は金でございます、ございますがその先どうするかということを一応農中としては聞いて来ると思います。また一年以上ということであれば、当然道なり町なりの起債という形に振りかえないと、これははなはだ事務的なことで恐縮でございますが、そうすると特殊金融とか農中の問題とちよつと離れるのじやないかと思います。その点で、やることを私はいとうわけではありませんが、だからといつて、きよう農中が一億三千万円送るといつても、現実に地元の人たちに手渡せるところまで行けるかどうかということについては、ちよつと私自信がないということを申し上げます。
  46. 赤路友藏

    赤路委員 関連。ちよつと混乱しているのですが、私が先ほど言つたのは、全体の災害対策としては、これはこの前の御答弁にあつたように、資料も全部寄せて、そうして査定もしてやらなければならぬ、これはそれでいいのです。ただ今田渕君が言つているのは、一億三千万というのは岩内の分なのです。十一月一日から漁期なんですから、もうあと何日もないのです。これは特に緊急を要する。今漁具を二百隻分仕入れて出て行かなければならぬ、それに間に合わすために当面私はビキニでとつたような措置をとつてくれというのです。農中から出せとかなんとかいつておるが、結局心配するのはそこなのです。これを機中に交渉していろいろやつてつたところで、これはなかなか速急に間に合わない。現に立法化している五月の災害のあれが、いまだに金が出てこない。そういう事態で、事態に急を要するから、私の申し上げるのは、ビキニでとつたように、とにかく政府が道へ一億三千万円貸し付けてやる、それのあとの善後措置はあとで全体のものとして考えて行く、今緊急を要するもの、今やるものをこの際やつてやるということを何とか考えてもらいたいということであつて、全体としてにあとでまたそれをもくるめて善後的な措置考えて行く、こういうことなんです。金融機関に今御助力願つておりますが、おそらくわれわれが今までの経験から考えた場合、これはむずかしい。それでは漁期を送らせてしまうのです。そうするとこのある二万何千は立上らねばいかぬということを私たちは考えるから、この際生きた政治をやつてもらいたい。ここで思い切つて一億三千万たけ政府資金の中から道へ貸し付けてもらいたい、これを言うのです。そうしてあとでこれを全体のものの中でひとつ善後処理を考えていただきたい。こういうことですから、その点はひとつ御了解を願いたい。
  47. 加治木俊道

    ○加治木説明員 政府資金からほんとうに出すかどうかということは、私では答弁いたしかねますが、そこまで腹がきまつておれば、その金が手続上遅れるということであれば、きようにでも私は農中と十分協議いたします。但し最後のところは私としてお答えいたしかねますから……。
  48. 赤路友藏

    赤路委員 それでわかりました。
  49. 田渕光一

    田渕委員 われわれとしても、この委員長も心配されあるいは水産庁も心配されて立法手続をやつておると思います。ことにわれわれも閣僚には言います。党の首脳部にも言います。そうしてこの生きた金を大蔵省がむちやに出したというような責任を言うようなことは、決してわれわれはいたしません。われわれはその立法手続をとるならば、あなた方がああせよこうせよと支持してくれればそう行きます。北海道庁、岩内町長を呼んで、こういうふうにまた心配せぬで出せ、きよう入る入らぬというようなことは別として、こういうような空気になつて来れば政府が出しそうだ、こうなつて来れば向うでやれると思う。そのように課長にひとつお願いいたします。
  50. 大角武

    ○大角説明員 私からちよつと簡単に申し上げておきます。私は資金運用部資金の方をやつておるものでありますが、今お話のことはおそらく資金運用部資金から何とかせいということだろうと思います。それは言葉を返すようでありますが、われわれのところにおきましては、岩内町につきまして一億三千万は全然話を聞いておりません。それから今の岩内町から聞きましたのは、土曜日の日に町長さんと土木部長が見えまして、あすこの都市計画をやるので予算三十万を要求しておる、それについてとりあえすいわゆる清掃といいますか、取片づけ費用として一千万の金を貸してもらいたいという申入れだけであります。それにつきましては、一般の災害については御承知のように公庫でやつておるようでございますが、特異の例だから、しかも金額も大したことはありませんから、そういうことでなく、道庁へ至急に正式の借入れ申込書を出したらどうかということで、昨日私の方から北海道の財務局へ、道の方からそういう申込書をとつたらどうだということを今連絡しておりますので、それさえくればそうひまどるものではありません。
  51. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員長代理 時間も大分経過いたしておりますし、なお今日は午後一時から水爆対策漁民大会も予定されておるようでありますから、本日はこれでとじたいと思います。  なお次会は公報をもつてお知らせいたします。    午後零時四十九分散会