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1954-10-07 第19回国会 衆議院 水産委員会 第38号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年十月七日(木曜日)     午前十時四十七分開議  出席委員    委員長代理理事 鈴木 善幸君    理事 小高 熹郎君 理事 川村善八郎君    理事 中村庸一郎君 理事 田中幾三郎君       遠藤 三郎君    田渕 光一君       松田 鐵藏君    志賀健次郎君       椎熊 三郎君    赤路 友藏君       淡谷 悠藏君    辻  文雄君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 石井光次郎君  委員外出席者         大蔵事務官         (理財局次長) 石野 信一君         大蔵事務官         (銀行局特殊金         融課長)    加治木俊道君         大蔵事務官         (主計官)   鈴木 喜治君         大蔵事務官   大角  武君         農林事務官         (農林経済局金         融課長)    松岡  亮君         農林事務官         (水産庁次長) 岡井 正男君         農林事務官         (水産庁漁政部         長)      増田  盛君         運輸事務官         (大臣官房長) 山内 公猷君         海上保安庁次長 島居辰次郎君         海上保安監         (警備救難部         長)      砂本 周一君         運輸事務官         (中央気象台総         務部長)    北村 純一君         運 輸 技 官         (中央気象台予         報部長)    肥沼 寛一君         農林中央金庫副         理事長     江沢 省三君         農林中央金庫特         別融資部長   杉野精一郎君         農林中央金庫審         査部次長    栗本  平君         専  門  員 徳久 三種君     ————————————— 十月六日  委員並木芳雄君及び辻文雄辞任につき、その  補欠として白浜仁吉君及び中村高一君が議長の  指名委員に選任された。 同月七日  委員中村高一君辞任につき、その補欠として辻  文雄君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  漁業災害に関する件     —————————————
  2. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員長代理 これより会議を開きます。  前回に引続き漁業災害に関する件について調査を進めます。質疑を許します。松田鐵藏君。
  3. 松田鐵藏

    松田(鐵)委員 農林中金にお尋ねいたします。前回委員会におきましては漁業権証券が十二億資金化された、農林債券において八億認められた、合計約二十億程度のものが資金化されたということでありましたが、この表を見ますと、昨年の災害における四百八十五億の法律に定められたわく融資実績は、信連扱いをも合せまして四百十二億になつておる、こういう表が現われておりまするが、今次の災害というものは、全国を通じて約二千億になんなんとする大きな災害であり、また冷害であると思うのであります。前回お話でありますと、これから例年米の金が相当出る、それによつて操作ができ得るというお話のように思われましたが、これはこまでも臨時的なものであつて恒久対策また長期災害に対する融資ということから行きますと、中金そのものの機能がまつたく停頓しなければならないように考えられるのでありまするが、中金においてはどのような操作をされるのでありまするか、また農林債券によるとする、あるいは財政資金によるとするならば、これらに対してどの程度のことを中金がお考えになつておるか、この点を承りたいと存じます。
  4. 江沢省三

    江沢説明員 ただいまの松田さんのお話に対しましてお答え申し上げたいと思います。  昨年の災害融資の四百八十五億は、法律上のわくでございまして、資金的には裏づけがなかつたこの四百八十五億に対して、政府損失補償並びに利子補給をするという関係財政援助がある、こういうようなことになつております。これに対しまして、府県と官庁と御折衝いただきまして、きまりましたわくが四百五十億くらいであります。そのうち府県補償等がないために、国のせつかく補償がありましても、あるいは利子補給がありましても、全体としてのその制度に乗せ得ないものもございます。また融資の実際に当りまして、不適当なものもありまして、これが落ちましたために、御指摘のございましたように四百十二億というような融資実績、こういうふうになつておるわけでございます。中金としましては、こういう災害に際しましては、できるだけ非常の措置に出まししても、何とか御期待に沿いたいと努力したわけでございまして、ほぼ法律の予想されておりますところの額に近い額が、きわめて短期間に融資できたというように私ども考えておる次第でございます。  それから、今後の災害についての金庫資金準備はどうかというようなお話のように承りましたが、この実績ごらんになりますように、四百十二億という大きな資金系統内部で、ほとんどまかない得たわけでございます。先ほどお話申し上げましたように、政府関係から約二十億の特別の御援助がございました。一つ漁業権証券の買上げ、これが十二億五千万、それからもう一つは、農林債券前渡し——農林債券資金運用部の引受けが、毎月一億ずつございますが、これを来年の三月までの分を繰上げまして八億ちようだいしておる、こういうような御援助がありました。が、どちらにいたしましても、大部分を系統でまかなうことになつておるわけでございます。内訳はここにございますように、金庫で二百七十五億、信連扱いの方で百三十七億、こういうような数字が出ておるわけでございます。  こういうようなことが系統としてともかくもできましたことは、私どもとして非常に御同慶に存ずる次第でございますが、これは前回御説明申し上げましたように、系統全体の非常な努力によつてできたのでございまして、今後またこういうような災害に対して、さらに中金あるいは系統の力をもつてまかない得るかということになりますと、これはよほど疑問があると申さねばならぬ、こう存ずるのであります。現在の中金資金のボリユームは相当大きなものになつておりますが、そのうち中長期、すなわち相当長期のものにまわし得る資金と申しますのは、債券によつて得た資金、こういうふうになると思います。債券は三年の債券と一年の債券とございます。一年の債券も乗りかえ乗りかえしてやりますれば、長期にも使えるというような観点からいたしまして、双方合計して、これが大体二、三年になれば使える金、こう申しているのではないかと思います。この額が現在のところ二百八十億くらいになつております。こまかく申せば二百七十八億ですが、大体二百八十億と考えたいのでございます。このうち金庫が、系統関係中長期に運用しておりまする額が、百三十億ございます。ですからあとの百五十億というものが、その以外の資金としてあつたわけでございますが、これに対しましてごらんになりましたように災害融資がすでに二百七十五億になつております。一部これが回収されまして、現在では二百六十億ということになつております。それにいたしましても、百五十億の資金源に対しまして、二百六十億というものが乗つておるわけでございます。その差額の百十億というものは、他のやや浮動的な資金に依存しておる関係になつておる、こう見ざるを得ないのでございます。そういうような観点からいたしますれば、今後の災害について、中金自分の力をもつてまかない得る額は、きわめて限定されたものになるということを申し上げざるを得ない。系統の活動を十分にやつて行くことを犠牲にしなければ、今後の災害資金中金系統ではなかなかまかない得ない実情にあると申していいのではないかと思うのであります。それででき得べくんば、昨年の法律による融資わくというようなことだけでなく、すなわち法律による利子補給及び損失補償ということでなしに、財政資金をこれにつけてやらしていただければ、われわれとしては十分なお手伝いができるのではないか、こういうふうに考えておる次第であります。どういうふうにして財政資金をつけるかということになるわけでございますが、たとえば長期の三年の農林債券を、政府関係機関において引受けていただくということも一つ方法ではないかと私ども考えておる次第であります。
  5. 松田鐵藏

    松田(鐵)委員 非常に詳細な資金繰りをお聞かせ願いまして、われわれも実に意外とするものであります。そういたしますと、現在ではもはや昨年の中金扱いの二百七十五億に対して、返つて来たものもあつて、大体二百六十億になる。それから中金のこうした長期わくというものが大体二百八十億だ。そうしますと、それに二十億くらいより余裕がない、そうなるのであります。それからまた、昨年漁業権証券の十三億五千というものと、農林債券前渡し八億というものだけが、こうしたものになつておるということになりますと、今年の災害というものに対して、中金とすれば、もはや系統機関の自己の手持ちというものは、ほとんどない。系統機関に年々の災害によつて、これまた非常に苦しい立場になつておるということから行きますと、これは何といつても、農林債券または財政資金によつて、国が援助をしなかつたならば、とうてい今年の今回のような災害に対しては、手の打ちようがないという結論になると思うのでありますが——大蔵省はおいでになつておりますか。
  6. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員長代理 いますぐに来ます。
  7. 松田鐵藏

    松田(鐵)委員 こういう問題は、この水産委員会のみならず、農林委員会においても大きな問題であろうと思うのでありますが、大蔵省はまだお見えになつておりませんが、われわれが最も尊敬しておりまする運輸大臣においては、こういうことに対して、どういうようにお考えになつておるか、閣僚としての意見をひとつお聞かせ願えれば、たいへんけつこうだと思います。
  8. 石井光次郎

    石井国務大臣 お尋ねでございますが、私どもは、そういう今のような金融関係資金問題その他につきましては、この出題だけでなく全般的に実際の問題から考えますと、非常に金額が少くて、これでは思うように各方面の施設とか災害復旧等にも、なかなか及ばぬものがあるということをいつも痛切に感じます。結局するところ、だんだんそういうものをせんじ詰めて行きますと、最後には、ないそでは振られぬという非常に情ない話のところにおちついてしまうのでありまして、私どもこんなことでいいかと言われますと、決していいと思つてないことは松田委員同感でございます。何とかいたしまして、金庫その他の部面においての資金の充実ということには、できるだけ私どもも力をいたさなければならぬのでございますが、どうか松田さん初め皆さんのお力添えを得て、だんだんそういうものをふやして行くということに努力するほか、方法はないと思います。私もその趣旨には全然同感でございます。
  9. 鈴木善幸

  10. 赤路友藏

    赤路委員 関連して。ただいま江沢理事長の方から詳細に御説明願つたわけでありますが、現在の状況では、このままの姿では、おそらく今度の災害に対する救済資金というようなものを出すといたしますならば、恒常的な資金運営ということに相当大きな影響があろうと思います。当然私どもの方といたしましても、あるいはまた政府当局の方でも、今回の場合は考えられると思うし、また今度の救済対策につきましては立法化もされることと思います。ただ問題は、事は非常に急を要するのでありまして、ここで臨時国会を開いて立法化を急ぐといたしましても、なかなか早急には行かないんじやないか、こういうふうに思います。  それから一昨日の当委員会において松岡金融課長お話を聞いてみますと、公庫の方の二十五億の回収金は、ある程度増加するだろうという見込みで、これらのものをこの救済のための融資にまわして行きたいというようなお話があつたようではありますが、これとてもただちに二十五億というものが現在回収され得るものとは思われない。そうなつて参りますと、事は急を要するのでありますから、ただちに手を打つてやらないと、現地ではどうにも動きがとれないという状況下にあると思います。そこで農中の方にお尋ねいたしたいことは、当面救済措置を速急にする、つなぎ融資を出すという場合、現在の段階においてどの程度お出しになれるか、これの数字がここでちよつとお知らせ願えればはなはだけつこうだと思います。
  11. 江沢省三

    江沢説明員 ただいまのお話、まことにごもつともだと思います。急を要する資金につきまして、金庫自分の責任で出し得るものはなるべく早く出したい、こういうようにしたいと存じております。それから先ほどのつなぎ融資につきましては、つなぐ対象がはつきりしますればそれは可能だろうと思います。ただ予算が通るだろう、あるいは補償があるだろうというような期待だけで、それでつなぐということは取扱いに困難だと思いますので、なるべく早く地方庁その他の措置をおとりいただいて、そのかつこうが大体つきますれば、でき得る限り御要望に沿いたいと考えます。
  12. 椎熊三郎

    椎熊委員 関連して。そのつなぎ資金のことですが、今幸い傍聴席北海道庁の係の者が来ておりまして、つなぎ融資総額等は大体できているようですから、委員長初め同僚諸君のお許しを願つて参考のためにそれを承つたらどうですか。
  13. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員長代理 速記をとめて。    〔速記中止
  14. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員長代理 それでは速記を始めてください。
  15. 椎熊三郎

    椎熊委員 当委員会水産委員会ですから、主として水産関係のことをやつておるのですが、今度の十五号台風北海道その他の被害というものは、水産だけではない、水産はほんの一部でございます。水産だけを切り離して解決することはできがたい、総合的に全般を救済しなければならぬことだと思うのです。そのために政府にもよほどの御決意を願わなければならないので、昨日来緒方副総理とも折衝をしております。幸い運輸大臣がお見えになつておるので、この機械にお願いしておきたいのは、運輸大臣は、一部分ではあるが、北海道現地もて見おられます。お帰りになつていろいろ意見の御進言もあつたということを漏れ承つておるのですが、私ども本日緊急に政府に要請しておる重大な問題は、この救済のために政府部内に災害対策本部を設置してもらいたい。それは九州前例等もございます。というのは、非常に災害が広範囲にわたつておりまして、各省にまたがる問題なのであります。この季節にあたつて緊急を要する諸種の問題を、各省に一々陳情にまわつて歩いておるということでは、急速なる救済はできないのであります。そこでこの救済能率を高め、徹底的なことをしてもらうためには、やはり政府対策本部をつくつてもらいたい。聞くところによると、明日閣議が開かれるそうです。われわれは今十一時三十分を期して内閣官房長官にこのことを要請に参るのですが、特に現地状態ごらんなつ石井大臣におかれましては、明日の閣議には強くこのことを御主張願いたい。そうしてとりあえず政府部内に対策本部をつくつていただきまして、そこを通じて、各省と統一ある行動で総合的なる救済に向つていただきたい、こういうことを私ども特に要請しておきます。どうぞよろしくお願いいたします。
  16. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員長代理 中金方々役員会議を開いておるそうでありまして、時間の都合もありますので、まず中金方々に御質問のある方は御発言を願います。
  17. 小高熹郎

    小高委員 農林中金の副理事長にお尋ねいたします。ただいま松田委員椎熊委員からも実は一昨日の会議に引続いて融資問題が論議されておりまして、私もまた今回の救済融資に関して非常に心配しておるものの一人であります。何ゆえに心配するかといいますと、救済という言葉が、実際は窓口取扱いになると救済として扱われない。先般のビキニの臨時措置の一億三千五一百万の融資及び李承晩ラインの、本年一月つくりました法律に基く七千万円の仕込み資金被害融資等参考考えてみますると、今回のこの指置が、法律裏づけがあつても、なおかつ窓口取扱い信用を期そうとすることはこれはしかたがございませんが、担保力がないとか、あるいは過去の業績がどうであるとかいつて——そういうものがあれば何も文句はないのでありまするが、担保力もないあるいは被害を受けておりますから信用力も減つておる。そういう環境が破壊されておる。これに対して融資をするのがほんとう救済融資であり、同町にこの救済融資というものは、政策を多分に含んだ政策融資であつていい、かように私は考えておるのであります。しかるに実際の窓口取扱いになりますと、これは一般の金融業のルールによるところの普通取扱いと同様に見られるために、往々にして救済救済にならぬ、これを憂えるのでありますが、今回のこの十五号台風及び最近の台風被害に関しまして、救済融資はいかなるお考えのもとにこれをとり行うか、その点をお聞かせを願いたいのであります。
  18. 江沢省三

    江沢説明員 小高さんの御意見もつともであります。ただ私ども農民の金あるいは漁民の金を預つてそれを運用して行くという建前から申しますと、法律損失補償されておりますのは四割で、六割はそういう農山漁村方々の危険においてやらなければならぬということになつておりますので、おのずから単純なる救済ということはできない、こういうことが出て来るわけだと思います。もしもつと徹底的に救済的な色彩を強くしたいというようなことでございましたならば、補償額の割合をうんと高くする、あるいは国庫の代理事務として金庫が取扱うというような特別の措置がないと、これはなかなか御期待に沿うだけのことができがたい実情にある、こういうことになるのじやないかと思います。なお御意見ございましたらまたお答えいたします。
  19. 小高熹郎

    小高委員 特別の金の措置ということになりますと、臨時国会でも開いて法律裏づけということが必要になるのでありますが、臨時国会等は今のところ総理も不在であるし、わからないということになりますと、緊急に方策を立てて、臨時措置として何らかの方法を講じて行かなくちやいかぬのでありますが、もしそういう方策が立ちましたとしましても、これは辛口でなく、甘口に考えて、政策本位考えてもらいませんと、せつかく国法律をつくりましても、今までの事例から行きまして救済にならない。私も信漁連関係君の一人として金融の事柄はよく了承しておるのでありますが、ここできめました政治政策に関連しましたところの施策が、事務として行われない、これを遺憾に思うのであります。その点これからだんだんこの議を進めまして結論が出ると思いますから、結論が出ました上においても、特に政策的な意味を含めて融資を願いたいことと、それから事務簡素化をはかつて、迅速に結果が出るようなことを希望して私の意見といたします。
  20. 松田鐵藏

    松田(鐵)委員 水産庁でもよろしゆうございますし、それから農林省でもけつこうでございますが、大体において、今次災害に対して北海道は十六億ということを言つておりますが、他の府県において緊急必要な金というものは総額どのくらいであるか、これをお知らせを願います。
  21. 松岡亮

    松岡説明員 大体このたびの災害に対しましてどのくらいの融資が必要となるかということでございますが、これはこの前の委員会におきまして、水産庁の方から水産関係被害について資料の提出があつたわけでありまして、それによりますと、被害額が七十二億であります。それに十五号台風の方はさらに本日新しい被害資料をいただいておりますが、一応これをベースにいたしまして——これはきわめて大ざつぱな数字でございます。むしろ勘と申し上げた方がよろしいかと思いますが、昨年の災害に対する融資の例などから考えまして、大体二十億前後の融資が必要ではないか、このように推定をいたしてみたのであります。これは水産関係だけでありまして、農業、林業は別でございます。なおこの計算では、漁港などの補助率がどうなるかということは一応昨年の例によつておりますし、共同施設等につきましても被害の査定、あるいは漁船につきましては大破、中破、小破の区別がないために、一応全部が融資対象になるような前提に立ちまして計算しておりまするので、これは大幅な異動があるものと御承知を願います。
  22. 松田鐵藏

    松田(鐵)委員 農業関係はどのくらいありましようか。今ただちに緊急必要であるというのは……。
  23. 松岡亮

    松岡説明員 農業関係は目下被害全国的に集計中でありまして、まだどのくらいいるかちよつと見当がついておりません。
  24. 松田鐵藏

    松田(鐵)委員 勘でどうです。
  25. 松岡亮

    松岡説明員 これは勘で申し上げても非常に危険でございますし、相当異動もございますから、誤差を生じます。
  26. 松田鐵藏

    松田(鐵)委員 そうしますと、ただいまのように水産関係で、これはほんとうの勘で二十億緊急なものが必要だ。農業関係はほとんど九州から北海道全国にわたつておるもので、緊急として相当額の必要なものが出て来ると思うのであります。そうしますと、これは私の勘でございますが、百から百五十億のものが必要じやないか、こういうように考えられまするが、そうなりますと、中金の現在の小持ちでは応急対策もまつたく不可能な状態になるのじやないか。そうなると、これはどうにもこうにもならぬということになりますが、東京はやれ深川の方が水がついたとか、あつちが水がついたとかということでありますが、全国における災害というものは悲惨もはなはだしいものであります。冬空を控えて食わんがために、住まうために緊急な対策をして行かなければならないというような状態であります。そういうことになりますと、これは中金としてもないそでは振れないというだけではいけないんです。何といつても、国が系統機関である中金に対して大幅の政策的な金を出してやらなければ、どうにもこうにもならないことになると思うのであります。委員会ではやれ中金が横暴だとか、能率がはかばかしくないとかというように中金を責めることでありましようけれども、大体中金そのものというものが全然金の操作ができないということになつておる。そうなりますと、これはただ傍観しておるより方法がないということになつたならば、国はどういうことになるか。民生の安定もほとんどできない。そうすると自由党の政策というものが非難されるということになるのであります。ここは大きな考え方を持つて行かなければならぬ。幸いにして石井運輸大臣も、明日の閣議に臨まれるということであつたならば、農林大臣をうんと輔佐して、この問題を強く考えて行かなければならないものだろうと思うのであります。臨時的に今米の金が入つて来る、こういうものは、中金としてそれを出してやることができるものですか、できないものですか、この点もひとつ緊急として、農林省水産庁から裏づけをさせて、政治的な解決によつてやる場合においても、そういう金を使い得るかどうか、この点を承りたいと思うのです。
  27. 江沢省三

    江沢説明員 今のお話に対しましてお答え申し上げます。現在は御承知のように供米が非常に盛んになつておりますので、従つて中金としては一時的に相当金は集まる、こういうことになつております。その金が短期に回収できるというような前提のもとに、私どもは一時のお世話はできる状態にある、こう申してよろしいのではないか。短期にかつ確実に回収して、翌年の営農資金に向け得るというような条件のもとにおいて一時運用するということは、私どもとしては考えております。
  28. 松田鐵藏

    松田(鐵)委員 さて結論が大体わかつて来ましたが、水産庁にお伺いいたします。こういう災害に対して、今臨時国会を開くことはできない。国会がないために法律をつくるわけには参りません。よつて水産庁農林省においては、どういうような心構えで行かれるか。臨時国会において法律をつくつて行く考え方であるかどうか、この点を承りたいと思います。
  29. 岡井正男

    岡井説明員 ただいまの御質問ですが、災害に対して議員さん方が御心配いただくのも、われわれ事務当局が考えているのも同じような気持でございますので、できる限り早目に、関係業者の悲惨な状態からこれを何とかしてやりたいという気持は一緒なんでございます。従いまして前例もあることでございますが、政府においては適当な法律をつくるという心構えで、今準備中でございます。しかし時間的ずれがある間をどうするかということでありまして、これもいろいろ検討を加えておるさ中でございますが、さしあたり各府県の議会あたりで相当困る。一例をあげますと、急を要する漁船の資金面等につきましては、都道府県において県補償、あるいは都道府県それぞれが補償して系統機関を通ずるなり、適当な方策によつて臨時的に金融措置を講じてもらつて、やがてそれを法律ができるまでのつなぎとして、応急措置をとるようにしてほしいというような行き方を、各知事あたりにはわれわれとしてはお勧めしておる次第でございます。
  30. 松田鐵藏

    松田(鐵)委員 大体において水産庁の意向はわかりました。そうなりますと農林省も同様だろうと思うのであります。そこで農林省だけの意向であつたならば、県としてもそうした場合において、いろいろと系統機関との間において、これまた不安な状態意見が出るところだと思います。農林省においては、ただいまの御意見のように行くためには、急速にこれを裏づけするために、閣議決定の線まで持つてつていただかなければ、これは中金としてもなかなか至難な問題である、こういうふうに考えておりますが、閣議決定まで持つて行くだけの用意と自信を持つておられるやいなや、この点を承ります。
  31. 岡井正男

    岡井説明員 これは水産庁だけでなく、農林省は全般的に内部的には応急措置を講ずるための内部連絡委員会といいますか、内部的にやつておりますので、その方ともよく連絡いたしまして、今御発言の御趣旨もよくそれを服膺して、われわれも参考にし操作して行きたい、かように考えております。
  32. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員長代理 大蔵省から石野理財局次長、加治木銀行局特殊金融課長鈴木主計官、理財局の大角事務官がおみえになつております。なお石井運輸大臣は、省議の関係で十二時ちよつと前に退席したい、こういう申出がございまますから、その点をお含みの上御審議願いたいと思います。
  33. 松田鐵藏

    松田(鐵)委員 そういたしますと、水産庁意見も大体におわかりのことと存じます。もう中金は御心配なく必ず裏づけがあることでございますから、今日の委員会政府意見によつて、御心配なくつなぎ資金を急遽出してやつていただけるようにお願いいたしまして、私の中金に対する質問を終ります。
  34. 椎熊三郎

    椎熊委員 私十一時半から官房長官と会う約束がしてありますし、大蔵省の人が見えたようですから、ちよつと承りたい。  今度の災害救済に対しては、急速に臨時国会を開かれないような状況にもあるので、臨時的な措置を講じなければならないのではないか、それは最も緊急を要する問題だけに限られるであろうと思う。そこで昨日緒方副総理と面会してそれぞれの話をしたのですが、大体緒方さんの考え方では、まだ閣議で相談したわけでもないが、予備金の支出によつて緊急を要するものはまかなつて行きたい、こういうことで、予備金がどのくらいあるのかということを質問いたしましたが、明確でありませんでした。現在予備金はどれだけ残つておりますか。
  35. 鈴木喜治

    鈴木説明員 はつきりしたことは覚えておりませんが、大体七十億残つておると思います。
  36. 椎熊三郎

    椎熊委員 そのうち今北海道だけの問題でも、緊急を要するつなぎ資金としては十六億を要する。その中には四億の水産関係等も含まれておるということだが、そういう予備金を出すときの形式はどういうことになるのですか。先ほど銀行側の人の意見を聞くと、何か農林債券か何かを政府に引受けてもらうことも一つのやり方だということをいつております。最も迅速に出す方法としては、どういう方法があるのですか。
  37. 鈴木喜治

    鈴木説明員 今の御質問の内容ですが、予備金の方とちよつと違うのじやないかという感じがいたします。融資関係じやないかという気がするのです。
  38. 椎熊三郎

    椎熊委員 私もよくわからないのだが、緒方さんが言うのには、緊急を要するものは予備金の支出によつてまかなうことができるということを言われたので、予備金というものは、こういうふうなつなぎ資金等に出してもらうようなことにはならないものかどうか、流用できないものであるかどうか
  39. 石野信一

    ○石野説明員 ただいまのは予算措置がとられる場合に、その前につなぎ融資というような形で、できるだけ早く措置をする方法はないか、こういう御質問かと了解いたします。その点は主計局の方でも、主計局の支出を前提といたしまして、つなぎ融資という措置考えることがあるわけです。主計局の方の支出が決定いたします前にも、それぞれとよく連絡をいたしまして、大体見込みがつきましたらその範囲内で融資考える。その場合、御趣旨に沿つてできるだけ早くするというふうに考えます。
  40. 田渕光一

    ○田渕委員 私は中金がお帰りにならないうちに大臣の決意を促し、同時に中金もそれにおいて御安心を願うような意味で、まことに釈迦に説法かわかりませんけれども、明日の閣議で強く石井大臣に御発言を願いたい点について、御参考に申し上げるのであります。御承知の通り北海道は来月に入るともう雪が降つて来ますから、緊急にやらなければならないことに迫られておることは事実です。そこで大蔵省にこの問題を交渉するについて、結論から申し上げますと、大蔵省つなぎ資金の放出、つまり今までのやつて来たことははなはだ遺憾なことでありますけれども、山口県の佐波郡の出雲村、八坂村の災害の復旧に対して、何でもつなぎ資金を一ぺんに出したために、五、六百万円銀行預金をしておつたということが会計検査院で摘発された。こういう悪例のために一ぺんに渡してはいけないから、三千万、五千万くらいずつこま切れに出すということが今の大蔵省のやり方、現在もこの思想はかわつていないと思います。こういうような点から私は申し上げるのでありますが、なるほど三十年度の予算の編成一兆八千億という各省の折衝で、各省の局長の忙しいことはよくわかるけれども、大臣は渡米中であり、各局長が出られないという煩瑣の中において、去年の災害と、今年の災害と、額においてほぼ匹敵し、ことに冬季に迫られた北海道の特殊地域ということを考えてやつてもらわなければならぬ。そこで大臣のところは九州の大きな災害地だから、こんなことは十分御認識であろうと思いますけれども、去年の災害は六月中旬に、御承知の通り梅雨前線の長期雨によつて九州の麦が腐つた。食う米がないから食麦を貸せというのが陳情であつた。そうこう折衝しているうちに、六月二十五日の九州の大災害になつて現地と中央に災害対策特別本部が設けられて、当時の大野国務大臣が九州災害対策本部長を担任し、中央においては緒方副総理がこの対策本部長をされて、非常に積極的にやられた。当時第十五国会からずつと続いて臨時国会に来ておりましたから、この九州災害を救うために、これはとても異状な災害であるから、そこで災害対策特別委員会というものを国会内に設けて、特別立法をしようということで、これが進捗をはかつたのであります。ところが時期的には北海道災害は、雪将軍に迫られておるし、昨年の九州の水害と額において私は大差がないと見ております。そこでただいま国会が、臨時国会が開かれていないということは、去年と今年は違いますし、ことに特別立法をつくつて国が八割、九割補助をするらしいと言いましたから、災害地で各工業者が、国から金が来るから間違いがないというので、たとえば和歌山県においてもその他の県においても、大きな法律的な金が何十億と来るというので、大成建設とか清水建設、大林組、みな夢中になつておる。払う府県に向つて工事請負者が進んでやつて来たということは、当時臨時国会が開かれているし、災害対策特別委員会が設けられ、これに対する政府の補助の立法ができるというから出て来たのであります。こういうような意味で現在は着々として工事が進んで行つて復旧は成りつつあつた。それですらも十二月の末でなければ三千億という災害総額が予算の関係上、当時の森永主計局長や小笠原大臣等が——われわれは内幕を知つておりますが、実際において二千億近いものがあつたが、これは大きな水増しだといつて、予算が足りないために千五百六十七億になつてしまつて、これの約三割の四百五十億を出す。こうした例があるのであります。結局あれだけやつてつても十二月の末でなければ法律的な金がまわらなかつたという例がある。でありますから、今度は非常に法律裏づけがないのでありますから、農林中金としても、この法律裏づけがあつたからこそ非常な御苦心もしてくださいまして、信連扱いが百三十七億、金庫扱いが二百七十億、このパーセンテージが出て来た。しかし法律融資額が四百八十五億という額があつたから、それを出しても中金が国家に迷惑をかけないという非常な御苦心もあつたのだが、今度はそれがないのでありますから、まつたく手放しの状態において、宮崎とか、ことに雪将軍で急ぐ北海道の問題に対して、いまだに災害対策本部が建てられないのは、私はふしぎでしようがない。しかし総理外遊中であり、大蔵大臣これまた渡米中であり、ことに大蔵省の局長連が、予算の折衝に名をかりて当委員会に出て来ない。それはここに有能な課長やその他の担当官が出ておりますから、これから私どもは伺いますけれども、ことに災害予備金が七十億もあるから、これで飛ばして急いで出してしまつて、そして中金がやるのだから、ひとつ中金は貸してやつてくれというような閣議決定の線に持つて行かなければ、災害復旧ができないと思う。この点は去年の情勢と非常に違うところで、北海道は 年中仕事ができる九州とは違う。和歌山や九州は冬でも仕事ができますが、雪が降つて来たら仕事ができない。こういうところを見ておりますから、あすの閣議こそ石井大臣の命をかけてやつてもらわなければならない。まあ総理不在中、大蔵大臣不在中、もつとも有能なる閣僚の——私は、わが党の次期幹事長としてわが党をまとめて立つて行こうという運輸大臣の実力を知つておるのでありますから、閣議におけるあなたの発言力というものは緒方副総理を動かす——私は午後の内閣委員会でも緒方副総理に申し上げますが、率直に言つて緒方副総理は御承知のようにお人よしで、聞いてはくれるけれども、その点において私は遺憾な点があると思う。だからこの点において私は、大蔵官僚の、山口県の例にならうて、つなぎ資金を一ぺんにやつたら預金を出さないだろうといつて、三千万円のはした金をやつたんでは何にもなりませんので、早く出せば旦那の金であり、遅れれば野郎の金だ、なぜ出さぬかといつてとるわけに行きません。ことに政局安定のためにも手を打つべき最もいいこの際ではないか。この災害に対する対策がまことにおそきに失します。災害対策本部をつくるにはデータがいるというけれども、すでに八百億の数字が出て、今度また出て来る状況でありますから、どうか明日の閣議では、閣議をひつくり返すぐらい石井大臣にやつていただいて——国会も開かれない、立法手続もないし、また工事請負者も入つて来ない、雪が降つて来る、一体どうしたらいいかというのが現地被害者の不安だと思いますから、予備費の七十億あるやつを三十億、四十億も出して、中金にまかすから去年やつたようにやつてくれというふうにやれば、それによつて現地の罹災者は生き返つて来る。私は去年北海道に行つたんだが、どうせ出さぬといつたつて、野党が強くわれわれは弱いんだから、決議すればとられてしまう。だからは私は、ここは先は出しましよう、ここで政府与党は挽回すべきだというわけで、よろしい、引受けた、二億送ろうと約束をして、電話をかけて送つたことを覚えている。これは大臣、ほんとうにくれぐれも頼む。大臣によろしいという返事をいただければ、中金も案が立つて行くだろう、そうして現地の罹災者も安心感を持つて復興の意欲に燃えるだろう。少くとも私は、大臣を将来の自由党の総裁と立てておる。われわれはあなたの政治力のほどを知つておるから、この点をひとつしつかりと、安心するように、決意のほどを御答弁願いたいと思います。
  41. 石井光次郎

    石井国務大臣 田渕君のお話の数々はまことにごもつともだと思います。明日の閣議にも自然、いろいろなデータが集まつておりますから、こういう話が出ると思います。このに点つきまして、私は一閣僚でありますが、この間現地を早く見たという因縁もありますし、実際の状況も少しは知つておるわけでございますので、できるだけのことを迅速に処理するようにいたしたいと思います。
  42. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員長代理 それでは運輸省関係の御質問をお願いいたします。松田鐵藏君。
  43. 松田鐵藏

    松田(鐵)委員 運輸大臣も非常にお忙しいところでしようが、少しの間しんぼうして、われわれの意見を聞いてもらいたい。  まず、毎年災害または冷害が日本の国の経済、人心の安定に非常に影響していることは、御承知のはずだと思います。これをどういうふうに防ぐかということが政治の妙諦でなければならない。しかしそれには、農業であれば土地改良であるとか、農業政策においていろいろ研究されておることであります。また水産においてもその通り、あらゆる研究をされておるのであります。われわれが今日において一番重大に考えておるものは、気象の観測であります。この気象の観測は、災害国である日本として、世界に冠たるものでなけばならないと思う。農業においても水産においても、また船舶においても、最も科学的な航空においてもしかりであります。しかるに災害が起きて損害ができれば、気象台は何をしておるんだ。また冷害が起きれば、気象台は一体何をしておるんだ、もつと早く長期の予報を出すべきである、こう国民は叫ぶのであります。その担当の大臣は石井大臣であります。しかるに気象台というものの考え方、年次計画、これに対して政府当局、しかも担当大臣である石井大臣は、はたしてどのような考え方を持つておるか、この点であります。ただいま田渕君が言うがごとく、われわれが最も尊敬しておる石井大臣であります。この石井大臣の管轄にある気象台というものは、日本国民が一番関心を持つておる、また一番たよりにしており、かつ一番怨嗟の声を放つておるのが今日の状態であります。この気象台に対してわれわれは、二十八年度の予算の編成にあたり、二十九年度の予算の編成にあたり、党の政調会、総務会においても、ほとんど徹夜するがごとくにして、予算の要求及び内容の充実を力説したものであります。しかるにあの台長などはほんとうの学者であり、われわれが質問をするときにおいても、首をたれて、どうにもなりませんという言葉以外には、お答えできないのであります。また気象台のあの庁舎に行つてみると、全官庁のうちにあれほど古い官庁はほとんどありません。しかるに気象台の中の整頓というものは、学者なるがゆえにああいうように整頓しておるのか、またはその職務においてあのような整頓をしておるのか、実に整然たるものであります。しかもあらゆる書類が、表面は古い文字を書いておる、新しい今度出そうとするものは、その裏に書いておるというような状態になつておることを、われわれは目撃して来たものであります。そのようにしてあらゆる点において経費を省いて、夜昼寝ずの番をして気象観測をしておる者の暖房の費用に見ているというような状況でございます。これをあなたの同じ運輸省の中でも、朝来て晩帰る役人と同じような、状態によつて予算が計上されておる。こういうようなことであつたならば、どうして満足な気象観測ができ得るかということを深くわれわれは憂うるものであります。ただ大蔵省の一律なる査定、またこれに対する運輸省の考え方で、かつて文部省にあつた同時と雲泥の差に今の予算が切り詰められておる。しかもこの表に現われておる三十八年度の予算の要求額は八十一億八千万に対して、その予算の成立によつて割振られたのが二十億よりなつていない。しかもまた補正減額されておる。また二十九年度においても同様、八十二億に対して二十二億という査定であります。これは一般の農林省であるとか、運輸省であるとか、文部省であるとか、いろいろな重大なものもあるだろうが、それと同列の査定を受けて予算が成立しておる。これで一体気象の観測ができ得るものかどうか、こういう点であります。二十九年度の予算も来年の三月には終るものでありますが、三十年度の予算というものに対して、今次洞爺丸の遭難も、あれは私ども考えておる面から行きますと、責任は決して船長にあるものではない。不可抗力とわれわれは信じておるものであります。こういう点もいま少しく気象の観測が正しかつたならば、未然に防ぐことができ得たことであろうと考えるのであります。しかし今日の気象の充実というものはそこまで行つていない。せつかくの北太平洋における定点観測もあの通りの状態になつております。かようなことでどうして日本の民生の安定、農民、漁民、あらゆる階層における災害を防ぐことができ得るかということを考えるときにおいて、われわれは現在与党であります。その責任と運輸大臣の責任というものは実に重大なものでなければならないと、われわれは考えておるものであります。よつて私は、大臣の今後における予算の獲得に対する、いな予算の獲得ではありません。気象観測を正常なものに、もつもつと充実したものにするというお考えから、どのような対策をとられるか、この御意見を承りたいと存ずるものであります。
  44. 石井光次郎

    石井国務大臣 お答えいたします。気象台の職務がどんなに重要であるかということは申すまでもないことでありますが、特に昨年の風水害から、いろいろなものの設備の不備ということが明らかになりまして、昨年補正その他によりまして、各地の予報設備、早期に予知して雨の状況、風の状況をできるだけ早く適当な方法によつて各方面に早く知らせるということがまず第一の問題だということでありまして、いろいろな設備をすることを補正予算においても認められまして、全国で速急に必要だと思われます二十県あまりにいろいろな設備を昨年からすることができました。それは今度の風水害においても、相当効果をあげ得たと私どもは聞いておるのであります。来年度の予算におきましては、それに入つていない各府県に設備を充実して行きたい。そうして全国的に天候を予知し得るようないろいろな設備と、これを早く各方面の要所に知らせ得るような、そして安全に、風水害のときと言えども知らせることができるような無線電話の設備等も、必要な向きにはするということがもう差迫つた問題で、ぜひこれは来年度の予算において実現を期したいと思うておるのであります。  それから定点観測の問題は、これは衆議院の運輸委員会においても、ぜひこれを復活すべしという決議を私どもはいただいております。この定点の観測は、ちようど今問題になつておりまする北の方面の冷害問題等を知る問題については、非常な大きな力をなすものでございます。これがないからといつて全然わからないというのでなく、いろいろな方法を講じてやつておりまするが、ふだんの観測がきまつた船によつてできるということになりますれば、これは必ずそれの方がいいにきまつておりますので、戦争前はこういう制度はなかつたのでありますが、ひとたびこういうものがあるということを知り、こういう制度を一度使つた以上は、私どもはできるだけ万全を期するような意味におきまして、何年目かに一度は来やすいような冷害地帯のいろいろな気象状況を早く知つて、早く知りしめて、そうして準備のできる限りのものをしてもらうということは、何としてもやりたいことで、ございまして、今度の予算にその船の計画をいたしておるのでございますが、この問題は、ぜひ本年度の予算においてはこれを組んでもらうようにいたしたいという覚悟をもつて、いろいろと折衝を今始めておりますから、ぜひ何とかやつてもらいたいと思います。今度の予算にごらんになると、二十九年度よりも三十年度の要求額が減つております。なぜ減つておるか、おそまつにしているんじやないかということをお考えになるかとも思いまするが、本年度全体の予算と来年考えられまする全体の予算とは、ほとんど同じような範囲を出ないと思います。その際にただ自分たちだけ満足してこれだけ要求した、それから先は大蔵省がやつてくれなかつたんだというようなことでおさまつてはならぬと私は思うのであります。それでこれには一番大きな影響は、船を定点観測のために五はい要求しております。これは南方の方に二はいと、それから北方に三ばいという予定でございます。ところが南方の方は二はいの船で今やつております。そして半年の調べをやつてことは御承知の通りでごごいますが、これに支那方面の気象通報というものが、どうかして私たちの手に入ることができますれば、これはまずまず現在やつておることで一応の形はとれるのでありますが、北方の方は全然ゼロでございます。これは常時は二はいあればいいわけなんです。一ぱいだけ出ておるわけでございましし、二週間ごとくらいに交代をしますために、二はいはいつもいるわけでありますが、一年のうちに二箇月くらいはいろいろな修復をするような必要があります。そこ一箇所としては三ばいは多過ぎるのでありますが、二はいはいる。そして南方と北方と合せまして、そういうふうな予備も含めまして、定点観測のために三ばいというものを今度は出しました。これはひとつ皆さん方のお力添えを得てやつていただきたい、こういうふうに思うておるわけでございます。支那大陸の話をついでに申し上げておきますが、この方面の気象状況を向うは一つも出してくれないのであります。これが台風時期における台風の方向判定に、実に大きな問題を起すのでございます。私はかねてからだれか向うへ行つて、これは世界的の人類の問題じやないかという意味において——全然向うに設備がないなら別でございますが、おそらく全然設備のないことはないのでございますから、この方面からの無線通報というものを出してもらえるような折衝をしたいということを念願いたしておりましたが、ちようど運よく今度文化関係の人たちを中共の方で招待することになりまして、気象台長の和達君を名ざしてその中へどうかという話でありましたので、ちようど学術会議でローマに出張中でありましたが、和達君をぜひ出してもらいたいということをお願いいたしまして、そして今中共に行つておるはずだと思います。私北海道へ旅行したり何かして、あとの様子を知りませんが、そういうことを知らしてやつて出ましたから、多分一緒に行つていろいろその折衝もしてくれているはずだと思います。そういうことで何かできますと非常にいいのであります。もしこれが来ないと、実は南方は一応二はいの船があると申しましたが、南方でもこれは定点的には半年やつておりますが、そのほかにももつと充実しなければならぬということは考えられる。しかしゼロと何かあるものとの関係に今あるものでございますから、南方は一応そのままにいたしまして、北方の定点と、それから全体に対する予備的な意味におきましてのものを加えまして、三隻は何とかしてこしらえてもらいたい。これが必要だということは、大蔵省もお考えになつておるように私ども聞くのでございますが、そのほかの私どもの方の関係の海上の訓練関係の船であるとか、海上保安の船だとか、いろいろなものがありますので、そういうふうなものといろいろあわせて、ものによつては共用できないかというような話等もちらちらあるようでございますが、いずれにいたしましても、予算の許す範囲において、また少し無理でありましても、大局的から見ました気象通報という意味からいたしまして、来年は何とかしてこれをやつてもらいたいというふうに思うておるわけでございます。
  45. 松田鐵藏

    松田(鐵)委員 大臣の御意見はよくわかりました。しかし三十年度の予算も大蔵大臣は、昨年の一兆予算よりももつと減らしたいというような御意見まで新聞に載つておりました。各省から出た総合要求額が、一兆五千億というような記事も新聞に載つております。これは日本の国の財政がどのようになろうかということから、各省においても良心的な数字をここに表わしたものと思います。例年の予算の要求額とは、三十年度の予算の請求というものは、全然意味が異なつているように、われわれは新聞の上から見て考えているものであります。そこで各省においても、そうした良心的な予算の請求を今組みつつあり、また大蔵省に提出しつつあるというように見受けられるのであります。そこであります。運輸省にもいろいろ重要なものもありましよう。また農林省にもいろ——重要なものもありましよう。文教関係においてもその通りでありますが、しかし引続くこの災害というものに対する日本国民の人心の安定ということからいつたならば、何をおいてもこの気象台の予算というものに対しては万全を期さなければならない。われわれが常に会つている気象台の方々のあの謙譲な気持が、本年の予算請求額よりも明年の予算の請求額は不足である。それは大臣の努力によつて、今までふえたのもありましよう。しかしこれこそほんとうの良心的な予算とするならば、大臣は、日本国民全体の今非常に心配しているこの面を、みずからの手によつて解決せんとするならば、職を賭してもこの予算を、一銭一厘の減額なきまでの予算を通過させるというお考えでなければならないと存じます。われわれは農林省の予算、水産庁の予算、これらに対しては、むしろ役所の請求額より減つても、この気象台の予算というものを通過させなければならないと考えているものであります。こういう意味合い、われわれの気持ちも十分了承されて、気象台に対して明年度の事業の立つて行くように、あらゆる努力をしていただきたい、責任を持つて努力していただきたいと要望して、私の質問を終ります。
  46. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員長代理 淡谷悠藏君。
  47. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 松田委員から詳細にわたつて要求がございましたので、私簡単に申し上げておきます。気象観測の予算、これについて四分の一に削つて来た過去二年間の総決算が、今度の悲惨な洞爺丸初め一連の事件となつて現われたと思つても、私は過言ではなかろうと思います。特に気象通報は、必ずしも遅れていなかつたらしいのでございますが、これを伝達する方法において、はなはだ遺憾の点があつた。一例を申し上げますと、函館の測候所のごときは定員わずかに三名でございまして、主事補が一人無電を受けますと、あとの二名は天気図をつくるに汲々としているばかりで、ほとんどこれを一般に伝達する余裕がなかつた。人員が極度に圧縮されておりますので、夜昼を問わず働いておりますが、この気象台並びに測候所の仕事というものは、まつたく一般国民に対する伝達並びに啓蒙の方面で仕事ができなかつた。こういう点なども新しい予算では十分にお考え願いたい。普通の役所と違い、不時に備えた大事な仕事のためには、特別な御配属を願いたい。これが第一点。  さらにまた、無電の設備にいたしましても、あるいは定点観測のいろいろな設備にいたしましても、こうした大きな災害を一ぺん受けたならば、予算を増す以上の大損害を起すことは今度明らかになつたところでございますので、この千数百人という同胞の災厄にあいましたあの犠牲をもつて、ぜひともこうした不備の点はお直しをいただきたい。特に北方の定点観測につきましては、これから春に向けて起つて参ります北の方の旋風、おそらくは北洋漁業の上におきましても、アメリカ航路におきましてもこの北方の定点観測を行わなければ、また不測の災いが起るようなおそれも十分にございます。どうかこの中央気象台関係の予算は、平常時における態勢を基礎にしないで、非常時における態勢を十分に考えて組んでいただきたい。いくらふだんはつきりしました態勢がとれておりましても、事はこういう不測の事態に即応しまして、てきぱきと機動的に行わなければならない性質の仕事でございますので、こうした点につきましても十分御配慮を願いたい。この配付されました資料について見ましても二十八年度二十九年度は四分の一に減らされておる。今度はみずから八十億を六十億に圧縮しまして、非常に良心的な要求が出ておると思います。大蔵省当局におきましても、そういう点からみまして、災難が起る前に出す六十億は、災難が起つてから出す百億にまさる大効果があるということを十分御認識くださいまして、死んだ人たちの精霊の名においても、ぜひともこれを獲得してもらいたい。特に石井大臣からは、はつきりした御決意の披瀝もございましたが、この際十分な覚悟をもつて、この予算はぜひとも通すように御努力を願いたいと思うのであります。
  48. 辻文雄

    ○辻(文)委員 松田委員からも淡谷委員からもいろいろお話がありましたので、私も簡単に申し上げますが、非常時という言葉を淡谷委員からお聞きしまして、非常時というものは、今日確かに世界的な意味から申し上げても考えなければならぬ。それはどうしてかと言いますと、たとえばビキニの水爆のように、ああいう自然現象を科学に広く応用して、自然現象を変革するというような時代になつて参りますと、平常の気象観測というようなことでは、常識的な判断に沿わなくなるのじやないかと思われるのであります。従つてそういう自然現象の変革というものは、空間動勢の変革にかわることは確かであると思う。ですからそれがだんだん人為によつて自然現象を科学化してどうするかということが、より以上に深くなつて行くというような場合は、常にその心構えで、いかなる急速な変化に対しても対処できる学問的なものが研究されなければならぬと私は思う。そういう大事な問題に直面した今日であります。そういう場合に、たびたび各委員から言われたように予算を請求した中の四分の一くらいをまかなつておるというようなことでは、私は決してやれないと思う。石井大臣の御決意のほどは十分わかりまして、たいへんけつこうだと私ども感謝しますが、淡谷委員からも言われました通りに、いずれの面かに小さな欠陥があつても、その起つて来る損害は莫大なものに倍加されて参ります。そういう点を考えましても、ただいま申し上げましたような根本の理念に対して、心構えをすえてやらなければならぬ今日だと思います。幸い大蔵省方々もおいででございます。松田委員の話ではありませんが、文化の面あるいはその他文教の面、いずれの面にもまことに予算というものの必要なものはございますけれども、少し大きく申し上げると、人類の福祉に貢献しなければならぬような大問題でございますので、この点はぜひ御協力願いたいと存じます。これだけ御要望申し上げておきます。
  49. 赤路友藏

    赤路委員 気象台の方にちよつとお尋ねいたします。台風十五号の進路の予想ですが、コースが大体全体を通じて、左の方に予想より寄つてつた、こういうようなことが言われておるようですが、この点はどうか、これが一点。それから函館の事件が起りました直後、二日間にわたつて北海道の情報が絶えておつたということを聞いたのでありますが、そういう事実があるのかどうか、これが第二点。第三点は、こういうような状態を巻き起した後において、その結果について検討したかどうか、その検討をどういうような形で行われたか、これが第三点、以上三点についてお聞きいたします。−
  50. 肥沼寛一

    肥沼説明員 お答え申し上げます。十五号台風のコースにつきましては、私どもが予想しておりましたよりも、多少西へ寄つたという事実がございます。函館で出しました警報の内容について多少問題もあるということを聞いております。これには函館の付近から北海道の釧路の東の方へ出るということを最初に予想いたしまして、この警報を出しましたときには、台風が能登半島の付附にあつたときに出したのでありまして、で今の制度から言えば北海道南部へ向うということは言えますけれども、函館のどちら側へ出るかということは私ども残念ながら今そこまでの技術を持つていないのであります。実際通りましたコースは、寿都から北海道の西岸を通つて稚内の方へ抜けて参りました、そういう実情であります。  それから第二点は あの台風が北海道で一番強くなりました晩の六時ごろには、寿都の沖にありまして、それからだんだん上つて行きましたので、晩の九時前後が一番ひどかつたと思います。私どもの通信は、気象専用線というのでやつておりますが、その線が幾つか切断されました。その全部の時間を覚えておりませんが、函館の線は、あの晩の七時半ごろに、中央気象台との連絡がとれなくなりました。これの保守は電電公社の方にお願いしてあるのでありますが、ああいう際で復旧が多少遅れたということがありまして、その切れた線に関しては、資料の集り方が多少遅れたという事実がございます。  それから第三点でありますが、あの台風の検討のことは、今非常に忙しい最中で、詳しい——どもでやつております検討というのは、大体全国の予報関係のものを集めまして、予報検討会というのをやつております。これで正確な検討をするつもりでありますが、さしあたりの検討をやりました問題は、あのときにとつた処置がどうであつたか、どういう連絡をやつたかという検討はやつております。技術的の検討は今後にまだ残されております。一箇月か、二箇月後にこの天気図をもう一ぺん検討し直しまして、そういう通報ができなかつた資料も加えまして検討をやり直すつもりであります。以上であります。
  51. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員長代理 赤路委員に申し上げますが、農林中金がお待ちでありますので、なるべく簡単に願います。
  52. 赤路友藏

    赤路委員 今の点でもう一点。もう質問ではありません。要望だけです。今の事件直後、北海道の方の情報が一部切断たれたために出なかつたということ、このことは、無電装置を持つていない一つの欠陥だと思います。それに今後十分対処していただきたい。それから今非常に忙しい最中である、検討していない、これは私はもつてのほかだと思います。これだけ大きな事件を起しながら、現地にも行かないで一体何を検討しておるのか。これは測候所としては考えなければいけない。これは予算があるとかないとかの問題ではない。いかなる無理をしてでも、この検討はやつていただかなければいけないと思う。もちろんやつておられるでしよう。やつておられると思います。地方でいろいろ情報をとつてつておられるだろう。しかし、私はあそこの場合は違つておると思う。およそああいうような状態になろうとは、測候所の方でも予想していなかつた、予想していなかつたとすれば、現地へ出て行つて、少くともこの実態を調査して、そこで資料を積み上げて行くということが、私は当然なされなければならぬ道だと思う。これは予算の問題ではありません。十分そういう点をお考え願いたい。一箇月先か二箇月先かというのんきなことを言つていてどうしますか。そんなのん気な状態ではない。予算がなければ、どこからでもとつてくればよい。これは無理な話かもしれません。しかしそのくらいのことは、私はやつていただいていいと思いますから、これだけ御要望申し上げておきます。  次に農林中金にお尋ねします。農林中金江沢理事長からいろいろ御答弁願いまして、ありがとうございました。ただ一点不要な点がありますので、お聞きいたしますが、先ほど水産庁岡井次長の方から、当面とにかくつなぎ融資としては、各県議会でもつて決議をして——これはもちろん損失補償の決議だと思いますが、そういうようなことをやつておるという話があつたわけです。そこでお尋ねしたいのは、各都道府県議会でもつて決議をして、融資を申し込んだ場合は、お出し願えるか、この点をお聞きしておきたい。
  53. 江沢省三

    江沢説明員 お答え申し上げます。こういう緊急な場合に、どうしても必要だというような金については、先ほども申し上げましたように、中金としては、自己の危険で自己資本を動員してもやらなければならぬものもあると思います。また地方庁の関係で、それをカバーするだけの措置が講ぜられれば、これまたやりやすくなるということでありますが、これはやはり個々に調べて私どもの責任でやれるものは私どもの責任でどんどんやる。それから地方庁のある程度損失補償がなければやれないものは、その損失補償をまつてやるとか、あるいはさらに進んで国の補償が必要だというものもあると思います。これはその前の災害融資についてもいろいろ問題がありましたように、わくでこれだけは何でもかでも出せというお話だと、私どもとしてはなかなか踏み切りにくい点があります。ですから個々に御相談いただいて、私ども系統機関としての責任があるわけでございますから、系統としてどうしても必要だというものについては、ある程度の危険を冒しても出すというところでやらざるを得ないこういうふうに考えております。
  54. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員長代理 ただいまの赤路君の中央気象台に対する御発言に対して御答弁があります。
  55. 肥沼寛一

    肥沼説明員 ただいまのことでちよつと申し上げないと誤解を受けるといけないと思います。一箇月後、二箇月後の検討と申しましたのは、台風がどちらへ行つたかという学問的の検討の問題であります。それから現地には責任ある予報官を派遣いたしまして、あの当時の状況は調べてございますから、これは御要求があれば書類で差出してもよろしいかと存じます。
  56. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員長代理 川村君。
  57. 川村善八郎

    ○川村委員 各委員から熱烈な質問があつて、それに各関係官の方々から誠意ある御答弁がありまして、すべてが了承できたのでございます。ただ一点党ほど小高君から御指摘がありましたように、上の方が非常に急速にやるという誠意を持つておりましても、窓口はなかなかそう参りません。私も現地におりまして、系統機関はすべからく早急につなぎ資金に準ずる資金を出すべきであるという折衝をしたのでございます。もちろん下部のさらに下部でございますので、上の方からおさしずがなければ、当然そういう措置がとられないことは重々われわれもわかつておりますが、大体総合して各関係機関の末端の考え方を申し上げますと、われわれにはこういうケースの資金を出すというとりはからいはいたしかねるのだ。要は上から完全に資金を流して、緊急の措置をかように講じろということでなければ、われわれとしては同情は持つており、ぜひやりたいと思つておるけれどもできないのだということ、ほとんど全部の系統機関がそうであつたということがはつきりしたのでございます。もちろんわれわれといたしましても、道に呼びかけ、町村に呼びかけ、国に呼びかけて、国の補償がそれぞれ適当な方法で行われるよう十分措置は講じなければなりませんし、私どももしなければなりませんけれども、とにかく北海道は御承知の通り十、十一、十二というのが盛漁期でありまして、この時期を失するならば、あとで出した金は死んでしまう。それでありますから早急に出してもらわなければならぬし、出すという意思が十分にわかりましたので、この際でき得れば中金の本所から、書類とかいろいろなそうした補償とかいう問題はあるでありましようけれども、とにかくこの急場を救うために、こちらの方でも決意しておるから、早くその措置を講じろという、いわゆるつなぎ資金を出すような準備をしろというおさしずがあるならば、現地の方も非常にやりやすいのではないかということを考えて参つたのであります。もちろん道信連の方にも伝えて参りましたが、末端はどうしても書類とか手続とか、あるいは上司に伺わなければならぬというようなことで、時期を失するのがこれまでの例でございます。今度は何といつても、三箇月の漁期を失するならば、漁民がせつかく資金を出してもらつても、それを十分活用することができない場面に追い込まれますので、できるならばどうか中金の方から、それぞれ系統機関におさしずをしていただいて、そうしてその書数が上つて来ましたならば、ただちにつなぎ資金措置を講ずるというふうに出してもらいたいということを、私は念願するのであります。ただ、今までのように、書類が一字間違つたとか、あるいはこの信用がどうとかこうとか申されましても、漁村にはまつた信用がないということははつきりわかつておりますので、この点については、われわれもできるだけ内部のいろいろな信用措置あるいは保証の措置がとられなければならないと思う。その意を含まれて、早急に本日でもおさしずを願われるようにしていただきたい、このことを要望しておきます。  そこで大蔵省の方にお聞き申し上げますことは、大蔵省のとりました措置は、どうもりくつつぽくて、今まで早急にやつてくれたことはない。今七十億という大体の見込みがあるということでございますので、これはもちろん閣議が決定しなければ簡単に出し得ないとは、われわれは想像はつくのでありますけれども石井運輸大臣も、閣議において十分主張して、ぜひ要望にお答えするという御答弁がございました。従つて閣議の決定になりましたならば、これまたあまり手続の複雑なことにとらわれて長く延びないように、特段の努力をお願いいたしたい。何とぞ漁民を救うために、いろいろな事情がありましようけれども、その事情を突破して、急速に措置をとられんことをこの際切望いたします。  それからもう一つ中央気象台の方方に申し上げますが、実はわれわれも現地におりまして、これはこごとではありませんけれども、実は函館の測候所からは、二十メートルないし三十メートルの風だという発表があり、それを信じておつた。ところで私らは自分でも長い間漁業の生活をしておりますし、漁船生活もしておりますので、この風では三十メートルや四十メートルではない、非常な突風が来るのではないかという想像はついておつた。ところで気象台の方では、いろいろな設備の関係もありましようし、あるいは人の関係もございましようし、いろいろな関係がございましようけれども、あの津軽海峡におきます——北海道全土といつてもさしつかえございませんが、ああした突風の観測が十分できておらないというようなことがわれわれは感じられるのです。いまさらそれを責めるのじやございません。従つてわれわれは、それに対処すべく予算の獲得なりあるいはいろいろな方面に働きかけなければならぬけれども、かりにそういう機械が完備しましても、二人や三人の人ではどうにもなりませんので、函館はああしたようなことにはなりましたが、あの狭いところ、しかも北海道ののど首でありますので、津軽海峡を抱いてああした突発的な突風が来るということがたびたびあるのでありまして、ひとり洞爺丸初めたくさんの連絡船が沈没したということばかりでなく、たびたびそういうことを重ねて参つたのでありますから、こうした点も十分御協力願いまして、北海道の気象観測の充実と、さらに伝達の促進ということに努力あらんことを切にお願いしておきます。
  58. 松田鐵藏

    松田(鐵)委員 気象台関係の予算に対して、各委員から熱烈なる御意見がありました。そこで私は次の決議をいたしたいと思います。    風水害対策に関する件  累年頻発する風水害によつて蒙るわが水産業の被害は誠に激甚にして寒心に湛えないものがある。政府は、速かに気象の観測予報機構の飛躍的拡充整備を図る等根本的対策を確立し、即刻実施しなければ、水産業の破壊はもとより民心の安定すら危からんとする現状である。   よつて政府は、昭和三十年度予算の編成に当つては、気象観測関係経費の確保について万全の措置を講ずべきである。   右決議する。  こうした決議をしたいと存じますが、委員長はしかるべくお諮りを願いたいと思います。
  59. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員長代理 ただいま松田鐵藏君から、気象関係予算の確保に関しまして決議をしたいとの動議がございました。松田君が朗読されました案文に御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  60. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員長代理 それでは本委員会松田君提案の決議を決定することにいたします。
  61. 松田鐵藏

    松田(鐵)委員 なおこの決議は総理大臣、官房長官、大蔵大臣、運輸大臣農林大臣等に送付すること、またこの決議は農林委員会、運輸委員会、大蔵委員会、建設委員会、予算委員会、厚生委員会等の各委員会に通知することをお願いするものであります。委員長からしかるべくおとりはからい方を願います。
  62. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員長代理 了承いたしました。委員長においてさようとりはからいます。     —————————————
  63. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員長代理 小高熹郎君。
  64. 小高熹郎

    小高委員 海上保安庁砂本警備救難部長にお尋ねいたします。先般の十五号台風による北海道周辺における被害漁船及び三陸沖に出漁しておりますさんま漁船の被害は、千葉県千倉町の栄徳丸ほか非常に数が多いのでございます。この被害につきましては、先ほど気象に関していろいろ御意見がございましたが、どうも南方の気象は非常に詳しいのでありますけれども、日本海へ入るとちよつと安心してしまつたような形で、常に北東へ急速に台風が回転する、これが非常に粗略に扱われているために、今回のような思わざる被害が起きたというこも考えなければなりません。この点についてはすでに論議されておりますから、御答弁は願わなくてよろしいので、ございますが、今回の洞爺丸事件は知名の士も乗つておりますし、世界的に見ます大被害でございましたので、これが一躍大きく浮び上つておりますが、こういうことがなくても、年々三陸から北海道沖においては、これ以上の暴風による災害を受けておるのでございます。この今後の対策を根本的にとりきめて行かなければならないのでありますが、とりあえず北海道及び三陸のさんま漁船等の被害隻数及び状況を報告願いたいのであります。
  65. 砂本周一

    砂本説明員 私警備救難部長でございます。次長も列席しておりますが、どちらでもよろしゆうございますか。
  66. 小高熹郎

    小高委員 どちらでもけつこうです。
  67. 島居辰次郎

    ○島居説明員 まず最初にお話のございました三陸の漁船の被害でございますが、それから申し上げますと、栄徳丸というのと帝王丸という漁船でございますけれども、二十六日の午後三陸沖で鯖崎東方百マイルから二百マイルの地点で、漁場から帰つて来る途中で通信を絶つたという報告を受けましたので、私どもの巡視船のみやけ、かわちどりの予想海面に派遣いたしまして、五昼夜にわたつて捜索を続けたのであります。そういたしますと、栄徳丸につきましては、その両船が二十七日に栄徳丸らしい漂流物を発見したのでありまして、もつと詳しく言いますと、栄という字ははつきりわからなかつたのでありますが、おけにまるのついた徳という字が書いてあつた。それから千葉県の千倉という港の名前が書いてあるというので、これは多分栄徳丸であろうということがわかつたのであります。それから乗組員の死体を発見してあげたのであります。一方竜王丸についてはまだ消息はわかりませんので、引続いて捜索をしておるようなわけであります。北海道の東方の海難につきましては、さめ漁船漁福丸、第五開進丸、漁寿丸、永運丸、神栄丸、ほかに四隻の海難がございまして、右の九つの漁船は、二十六日中に知床方面に出漁したまま帰港しないというので、巡視船のれぶん、あぶくま、さぎり、ゆうぎりというのが出動して捜索中であつたのでありますが、そのうちの漁福丸、第五開進丸、漁寿丸、永運丸の四隻につきましては、依然として手がかりがありませんので、これはあるいはソ連領に行つたのではないかと思いまして、去年もいろいろソ連等の局地の漁船については連絡しておるわけでありますので、向うの方へ行つたらひとつ頼むというような通信をやつているわけでございます。  そのほか島根の隠岐島周辺の海難がございますが、これは天神丸、大成丸、万吉丸、海静丸という四つの漁船が、二十六日に隠岐島の東方約十海里付近で操業中台風のため遭難したので、日本海において哨戒しておつた、おき、ながら、かわせみ、やぐも、この四隻が急遽出動いたしまして、捜索中でありましたが、天神丸の乗組員三名が船体の一部につかまつて漂流中でありましたものを救助した。大成丸からは漂流中の二死体を収容した。万吉丸、海静丸は大破して無人の水船となつて漂流しておるのを発見したようなわけであります。  これはおもなものでありますが、こういうような海難がありまして、今回の場合は、すぐ私の方のそれぞれの巡視船を出動いたさせますし、米軍の極東空軍にも救助捜索方を依頼いたしますし、自衛隊の方にもまたヘリコプターそのほかの応援を求めまして、万全を期して当つているような次第でございます。
  68. 小高熹郎

    小高委員 かようなことは年々歳々繰返されておるのでありまするが、これに対して海上保安庁としては、今回の台風に限らず、今までの経験からいつて、こういう点をもつと強化したらどうかというようなことが、さだめしおありと思うのでございますが、どういう面の予算措置を強化するとか、どういうようにしたらいいかというような、役所としてのいろいろの御意見があろうと思いますから、その点を重ねてお尋ねいたしたいと思います。
  69. 島居辰次郎

    ○島居説明員 御存じのように、日本の沿海は約八万海里でございまして、そのうちで現在私どもの方の警備救難の巡視船は、九十七隻しかないわけでございます。そのうちに——港内艇を合せるとまだありますが、ほんとうに外洋に出て活躍しているのは、大きいのがまず千トン、小さいのが二百七十トンでありますが、こういう船で哨戒をしておるのであります。御存じのように荒天になりますと、ほかの漁船なり商船は逃げるのでありますが、われわれの船は荒天だからこそその中につつ込んで行かなければならぬので、乗組員の方もまつたく御苦労なわけでありまして、船もこういう中で非常に苦労する。そこで何としてもほしいのがこういう施設でございます。少くとも二百五十隻くらいいるのでありますが、予算その他の関係でそうも行きませんので、逐次増加をはかつておるわけであります。一口に申しますと、船舶、航空機で、ございますが、航空機は、最初は機雷の捜査その他のことで、ヘリコプターは、シコルスキー、ベルが、おのおの三機ずつで六機ありありますが、これは荒天の場合にはあまり用をなさない、と言うのはひどいのでありますが、なかなか困難であります。何といつても探す海面が広いので、いつも米軍に頼んだりしているようなわけで、この手足になるようなビーチクラフト程度の航空機がぜひ必要なのであります。それから可と言つても主体になるのは救助の船舶でございますので、この船舶の増強を念願しているようなわけであります。
  70. 小高熹郎

    小高委員 海上保安庁の水難救済関係については、私大いに意見を持つておるものでございますが、時間の都合等もございますので、私の質問を展開いたしますと相当時間もとりますから、あらためて機会をつくつていただくことにいたしまして、本日はこの程度で終ります。
  71. 川村善八郎

    ○川村委員 このたびの第十五号台風について、私さつそく函館の海上保安部にかけつけていろいろ事情を承つたのでございますが、ずいぶん涙ぐましいほど御活躍をくださいましたことは、私は十分認めます。しかしこの内容を聞いてみましたところが、あの当時どうにか港外に出られる船はたつた一隻しかなかつた。しかもあの突風であつたので、なかなか実際の活動ができなかつたというようなことであつたのでございます。そこで北海道においては、小樽に海上保安本部があるわけでありますが、御承知の通り函館は津軽海峡を抱いて、しかも函館からでありますならば、青森県、ひいては遠く秋田県あるいは同じ青森県の方でも、いわゆる太平洋岸あるいは岩手県の方にもただちに出動できるので、地理的条件がいいと思つております。今度の場合におきましても、いろいろ本土の方から応援を求めて、今使命を達成しておるようであります。これは予算措置関係もありましようけれども、津軽海峡のあの潮流の早さ、それからあの狭いところで潮流と風との闘いで、大きな波が出るといつたようなことから考えまして、やはり函館にも、小樽にひとしい本部を持つべきである、こういう考えを持つておるのでございますが、もちろん急速にできないとは思いますけれども、この考え方はどうかという点について、お答えを願いたいと思います。
  72. 砂本周一

    砂本説明員 ただいまの御質問ですが、津軽海峡自体が非常に重要でありますし、また北海道を含めて奥羽一帯に対しましても非常にいい場所であることは、私ども同感でございます。ただ管区本部の問題でございますが、管区本部自体は船を持つていないのでございます。小樽にも管区本部がございますが、その下に保安部という出先の実際に船を運航いたします現場機関がございます。それから函館にはやはり保安部と申しまして、現場機関があるわけでございますが、現在の保安部の規模、内容からいたしますと、函館の方が船艇の数も多いようでございますし、それから人員も多いようでございます。従いまして北海道全体から見ますと、函館に今一番重点を置いております。ただ管区本部がありますことは、何と申しましても中枢機関でございまして、各方面に通信連絡が十分徹底できますし、また指揮権も持つておりますから、他の保安部あるいは本庁関係の連絡その他に非常に便利なことは事実でございます。しかし船艇の運用は必ずしも本部がなくても、運用によつて十分と申しましようか、程度はありますが、できると思います。それから何と申しましても、船艇の勢力がああいつた非常時には問題でございますので、われわれといたしましても努力しなければならないと思いますが、要するに函館強化は、それに付属いたします船艇の強化、それに付属するいろいろな施設の整備がまず大切ではないか。管区本部を置く以上にそういつたものが大切ではないか、かように考えております。
  73. 川村善八郎

    ○川村委員 私は別に管区本部を置けという主張ではありませんが、機構を知らないためにそういうふうに申し上げたのです。つまり函館は重要なところであるから、いわゆる船舶の強化をはかれという意味なんでございます。大体先ほど申し上げましたように、今度の問題については、船がなくて実際に活動ができなかつたということが結論であつたようでございます。従つて今後函館に船を配置するについて、トン数においても規模においても、十分内容の整備された船を、もう少しよけい配置することが適当でないかという気持で質問申し上げたのでございますが、ただいまお答えを承りますと、やはり私と同じような考えを持つておられるようであります。津軽海峡を控え、さらに本土の突端に面した重要な函館の救難船について、どうかすみやかな拡大強化をはかつてもらいたいということを申し上げまして、私の質問を終ります。
  74. 赤路友藏

    赤路委員 関連して海上保安庁の方にお尋ねいたします。きよういただいた台風十五号に対する措置及び被害状況ですが、この中に応急救難の限界を越え、救助を打切つたもの五十隻というのがある。この応急救難の限界を越えというのはどういう意味か、これが第一点。  それから捜査その他救助のために巡視船を十六隻集結している、こういうふうに報告にあるわけなんですが、この十六隻の中で函館関係以外の操業中の漁船捜査及び救助に対してどの程度の隻数が向けられたか、一体どの程度の船が行つたのか、それをひとつ数字でお示し願いたいと存じます。
  75. 砂本周一

    砂本説明員 応急救難の問題でございますが、そこ書いてありますのは、普通でございましたら、せつかく捜査なり救助に参つておりますから、途中からそれ以上のよほどの急迫した事態がなければ、曳航するとか、直接護衛をして帰つたと思うのでございますが、他により以上の緊急な事態が生じましたもので、それを打切つて他の救助に向つたわけでございます。そのときの実情は、急にはそれに危険が伴つていないという状態だと思うのであります。それから、一般に応急救難と申しますのは、民間事業で私たちの仕事に非常に似かよつているものは御承知のようにサルベージでございまして、一旦海難が起きますと、いろいろな方法で情報が入ります。そうしますと、ただちに出動するわけでございますが、その出動の判断を要するのでございます。これは海上保安庁みずから行つて早急に救助の手配をしなくても、他の方法がある場合でございます。民間のサルベージその他の手でもつて十分できるといつた場合、それから人命あるいは船体にそう急迫した危険のない場合は出動をしない場合、そういう意味におきまして、応急救難という言葉でもつてどもの課せられた仕事の限界を言い現わしているのであります。ただ今回の調査にありますのは、おそらく現場の実情から考えまして、向つておりました船がすでに危険な状態を脱している。ところが他に非常に危険を伴つた事態が発生した、そういう意味で書いてございます。  十六隻の内容でございます。これは海上保安庁の第一管区に所属しているものとに管区、三管区から応援に出したものでございまして、その内容は港内艇と申しまして二、三十トン程度のものから七百トン、四百五十トン、二百七十トン、こういうものを含んでおります。  それから漁船の出動でございますが、今ちよつと正確な資料を持つておりませんが、私の記憶では二百隻程度小さいものを含めて入つたんではないかと思います。なおあとでよく調べまして御報告をしたいと思います。
  76. 赤路友藏

    赤路委員 私の聞きたかつたのは、要救助船舶が百六十四隻、従つて相当広汎な範囲にわたつていると思うんだが、その広汎な範囲にわたつている要救助船の救助に、どの程度差向けられたかということが問題点だと思う。その非常に広いところへ、片方では洞爺丸のあの事件があつたんだから、十六隻の中から相当数それにさかれていると見なければならぬ。そうすると、この方へ向けられへた船というのはごく少数じやないのか。そういうようなことのために、当然救うことのできたものをも救えなかつたという事態がないでもないじやないかということを心配するのであります。だからそういう点を詳細に知りたかつたのです。それはまたあとで文書ででも御報告を願うことにいたします。  今の第一点の応急救難の五十隻というのは、これは行方不明でもなんでもないのですか。これで見ると、百六十四隻の要救助船舶に対して、ここへ現われている数字は百五十三隻になるのですが、行方不明で現在までわからぬものは一体何ぼあるのですか。全然ないのですか。
  77. 砂本周一

    砂本説明員 先ほど申しました十六隻と申しますのは、洞爺丸並びに国鉄関係五隻の遭難に関しまして、港内並びに渉外のその後の死体捜査その他に当つているわけでございまして、他の遭難船に対しましては非常に広範囲になつておりますので、一つ一つの船に対する船艇の出動はみな一々わかつておりますが、ここに正確な資料がございませんから、これもあらためてまた御報告したいと思います。
  78. 赤路友藏

    赤路委員 資料はあとでいただきましよう。ただ十六隻ここへ集結しておる。これが函館のあれなんですね。そうするとこの今度の十五号台風による漁船操業に何ほども出ていないという、私の推測ですよ。全体として九十七隻しかないそうですね巡視船が。
  79. 島居辰次郎

    ○島居説明員 先ほど言いましたが、外部の方へ出られる航洋船が九十七隻であつて、今の十六隻の中には港内艇も入つているわけです。二十三メーターというごく小さな船も入つておるわけです、函館の港内ではありますが……。
  80. 赤路友藏

    赤路委員 そうするとここへ何ぼ出たかわからぬ、それはまたあとで聞きましよう。
  81. 島居辰次郎

    ○島居説明員 なおちよつと結末的に私からお答えいたしますと、おつしやる通りなんでありまして、実例をあげますと、この間の洞爺丸のときに、沖の方でSOSを発した船へ行つた船があるのであります。ところがそのあとで洞爺丸の方のSOSも来たわけです。前の方へ行つてみるとSOSは発しておるけれども、まだエンジンが故障ぐらいで浮いておる。そう今危急に瀕しておるのではないというので、ひつくり返つた洞爺丸の方へかけつけたというような実例もあるわけでありまして、何分にせよ先ほど申しましたように、船が少い関係で、あちらこちらとおつしやるような事態も確かに起きるようなわけでありまして、先ほどもお話がございましたように、私の方としてはできるだけ船、航空機というものをふやさぬことにはいかぬのでありまして、そうすればもつもつと多く助かるかと思つております。
  82. 赤路友藏

    赤路委員 もう答弁は求めませんが、ただ先ほど来から中央気象台関係の話を聞いてみましても、あなたの方の話を聞いてみても、よく昔の言葉にちぶんちぶんの金失いということがありますが、わずかな金を出し惜しんで大きな国費と国民の財産を蕩尽しているということは、今度はつきりわかつて来たと思うのです。船が足らぬ、船が足らぬからしかたがないんじや、私はこれは政治じやないと思う。政治の貧困をそのまま現わしておると思う。私たちもちろん責任はございますが、この当面の責任者として、海上保安庁の方でも十分ひとつお考え願いたい。もちろん大蔵省方々もおいでになつておりますから、ちぶんちぶんの金失いにならないように、大蔵省の方も十分御努力を願いたい。
  83. 田渕光一

    ○田渕委員 大蔵当局に伺いたいのでありまするが、この十五号台風と今度の岩内町の火災に対して、どのくらいすでにつなぎ資金が出ているかということをまず伺いたいのであります。
  84. 石野信一

    ○石野説明員 お答え申し上げます。まだつなぎ資金は出ておりません。これは各省の方からの要求と、こちらの査定と申しますか、調査を済ましまして、それで先ほど申し上げましたように出すのであります。
  85. 田渕光一

    ○田渕委員 各省の要求と大蔵省の査定がまだその段階に来ていないというお話でございますが、たとえば水産庁農林省、あるいは建設省の関係から、これだけの査定をしたからひとつ緊急に出してもらいたいという大蔵省への担当各省からの要求を、大蔵省の査定がまだできないから出していない、こうおつしやるのでありますか、それをお伺いしたい。
  86. 石野信一

    ○石野説明員 つなぎ資金ということの御質問でございましたが、つなぎ資金というのは、大体そういう主計局の方の査定が見込みがついたところで早目に内輪に出すわけであります。まだ各省の方からもその数字が出ておらないという段階でございます。
  87. 田渕光一

    ○田渕委員 私はこれはけしからぬ話だと思う。各省の要求書がもし出ていないとすれば、これは農林省の責任であり、水産庁の責任である、ことに建設省の責任であります。これはまたあとで質問します。しかしながらたとえば大蔵省の札幌事務局を通じてどうだこうだという資料をとつておられるのであるから、その各省資料あるいは要求が来るならば、あすにでもただちに出す用意がありますかどうか、伺いたいのであります。
  88. 石野信一

    ○石野説明員 仰せの通り事務局長その他から各県の御報告をいろいろいただいておるわけであります。ただやはり手続と申しますか、決定に至りますまでには、どうしても責任の省と主計局の方と話をして、ある程度のめどがつきませんと、御報告だけでつなぎ資金を出すというわけには参りませんので、その点御了承を願いたいと思います。
  89. 田渕光一

    ○田渕委員 昨年の災害に対してはすこぶる敏捷につなぎ資金が出ておるのであります。たとえば七月三十一日の北海道の風水害に対して、これがわかつたのが八月の四日です。そこで第十六臨時国会でありましたかに、すべり込んで八月の十日にあの十六国会が終つた思つております。その六日に治山治水協会の会議をして、十二日に北海道へ飛んで十四日か十五日に出ておるのであります。こういうふうな点から見ましても、まあ臨時国会中でもございましたが出ておりますが、すでに十五号台風から今日十一日終つておりますが、まだ政府たとえば内閣から、さしずめこのくらい送つておいてくれというお達しがございませんでしたかどうか。
  90. 石野信一

    ○石野説明員 別にそういう達しがあつたことを承知いたしておりません。
  91. 田渕光一

    ○田渕委員 それはまた別途の方で伺いましよう。そこで、私が最近山口県佐波郡の出雲村、八坂村を調査して参りましたが、あそこへまとまつたつなぎ資金をやつたために、その金が余つて銀行へ預金しておつた、こういうふうなことがあつたという関係から、大蔵省としては将来は二億、三億というつなぎ資金というものはやらなくなつて、一億の要求が出て来れば、五千万円出すというふうに、ぼつぼつ使える範囲だけをやるというようなことをされておるように承つておるのですが、そういうふうな省議とか方針でこの十五号台風、あるいはこういう北海道の大事な緊急対策に対してやはり出し渋る御意思であるかどうか。
  92. 石野信一

    ○石野説明員 先ほどの御質問の中にもございましたが、つなぎ資金としては五百万円というようなお話があつたかと承知いたしております。それほどの金額を出しておりませんので、別にその仰せのような意味で、何か一つのことがあつたからつむじを曲げてどうするとか、そういう変なことはいたしません。実情に応じて考えております。  なおただいまの御質問に関連して、つなぎ資金はできるだけ手続等を遅らせないようにという点につきましては、私どもは十分注意したいと思います。
  93. 田渕光一

    ○田渕委員 昨年は臨時国会が開かれており、特別対策委員会が開かれており、ことに二十幾つかの法律までできても、当時の大蔵当局というものはなかなか出し渋つた。率直に申し上げますが、とることは遠慮なくとるが、出すことはべろを出すのもいやだというような感じを私たちは受けるのであります。ことに役所の中でも一番大蔵省が官僚の思想があるといつもたたいて来た。しかしながらそれはだんだん是正されていると思いますけれども、たとえば各省の予算一兆八千億の査定をしておる。それを農林省でも建設省でもがんがんやつて来ると、こつちの予算で組むという危険があるから、私は各省の官房長でも、予算係はあまり強く言えぬと思う。そこでそれをカバーしていたのが昨年の臨時国会であり災害対策特別委員会である。この災害に関する限りは野党も与党もございません。実際打つて一丸となるのでありますから、出方が悪いと、率直にいつて大蔵省は総たたきですよ。でありますから、十一日もたつているのに大蔵省の方で各省から来ぬということについては——これは私は水産庁当局にも伺いたいのでありまするが、今日まで岡井次長から大蔵省の方へこのくらい、たとえば北海道は二十四億の損害を受けたけれども必要な題は二十九億、五億カバーしていますが、そのうち緊急に四億いるのだということを先ほど陳情で聞いています。そうすると緊急にいる四億というものに対して水産庁が要求した場合には、ただちに七十億の予備費のうちから、四億とは言わなくても、水産庁から行つた要求とあなたの方の査定したものについてぱつと送つてやる心構えと御用意がございますか。
  94. 石野信一

    ○石野説明員 大蔵省の査定におきます手続が遅れるというような点については十分注意して参りたいと思うのでありますが、ただこれは申すまでもないことでございますが、資金の全体の量が何分きまつておりますので、従いまして予算査定の場合には、全体を見てやつて行かなければならない、こういう点も御了承願えると思うのであります。従いましてただいま具体的な数字をここで申し上げるわけにも参りませんが、しかし仰せの通り、できるだけ早くやるということにつきましては、私どももそういうふうに進めて参りたい、こう考えております。
  95. 岡井正男

    岡井説明員 ただいま田渕先生から非常におしかりをこうむつたわけですが、実はきようも資料を御配付申し上げたように、逐次訂正して、あるいは追加というように事情がだんだん判明しますと、府県からのデータもその都度かわつて参ります。それでわれわれも大蔵省へ責任をもつて折衝するという段階に至る前に、一応府県からの資料がある程度コンクリートしたもので当るということが、とりもなおさず府県においての裏打をする場合にも、府県行政にもあやまちのないような作業ができるものだと思いますので、ただいま石野次長が申されましたように、各省もそういう意味で、まじめに一生懸命やつておりますが、資料関係で遅れておるのだと思つております。われわれも予算と災害対策でほとんど徹夜でやつておるようなわけでありますから、災害地の窮状をつぶさに御承知になつておる先生方としては、そういうふうにお急ぎのお言葉をいただくのは当然だとは思いますが、われわれもまじめにやつておりますので、しばらくその点は御猶予をいただきたいと思います。
  96. 田渕光一

    ○田渕委員 そこで今大蔵省お話では、量もあるというようなお話でありましたが、大体予備金が七十億残つておる、これは災害予備金と私は存じておりますが、もう十五号台風で台風は大体終る。十六号台風も出ておるけれども、北風西風が三分吹き出して来たら、私はここらで台風も終りではないかと思う。そうすればあとは地震とか大火とかいう問題でありますけれども、この大きな北海道並びに宮崎県あたりのものに対しても、大体八百億近く言うておる。それは査定してみなければわかりません。またふえるとも減らぬと思いますが、次長としては、この七十億をこの災害に対してどのくらい出すというような御方針でありますか、そのわくをひとつお伺いしたい。
  97. 石野信一

    ○石野説明員 私は理財局の次長でございますので、その点は主計局の方からお答えいたします。
  98. 鈴木喜治

    鈴木説明員 災害関係は二通りございまして、一つは公共土木施設災害でございます。それからもう一つは漁船漁具その他の一般の操業資金といいますか、そういうかつこうのものでございます。そのうち公共土木施設の方は予備費その他の予算措置を通じて、最終的には災害復旧事業費として出るわけであります。それのつなぎは資金運用部資金つなぎ融資というかつこうで出されるわけであります。先ほど予備費からのつなぎというようなお話がございましたが、ちよつと誤解があるのではないかと思います。  もう一つ漁船漁具その他の操業資金でありますが、これは先ほど水産庁次長が申し上げましたように、ああいうかつこうで将来特別な立法等がとられれば、それを前提といたしまして、われわれの方で水産庁に対する数字を決定したい、そういうかつこうになつております。
  99. 田渕光一

    ○田渕委員 私は昨年の災害にあたつて、まつたく大蔵当局の堅実なことには非常に敬服するのですが、国の予算を使うのですから大事にしなければならぬけれども、あたかも死んだ子に注射をするようなもので、腐つた魚を料理するようなもので、生きているうちに手を打たなければならぬ。ことに主計局と来ると特に冷たい感じがするのです。それはなぜかというと、予算が限られているせいもありましようけれども、少くとも内閣で、あれだけお聞きの通り、石井運輸大臣閣議の席で力説して、叩く閣議決定をしてこれだけ出せということをあなたの方に言いましても、今度は主計局の方では、事務ができない、資料がまとまらない。これはどれくらいかかるかわからないのです。こういう場合には生きた方法をとつて、昨年よりももつとひとつスピーデイにやつてもらいたい。北海道は御承知の通り特殊な地域で、これからあと雪が降る。去年は九州あるいは近畿地区でありましたから、一年中仕事ができました。こういうような点で、もし閣議でぱつと決定して来れば、たとい五億でも十億でも、すぐ北海道に出すように——今伺えば、災害予備金の七十億は別だというお話でありますが、そういう場合には、資金繰りをして北海道に送つてやれるような準備がもう、すでにできておるかどうか伺いたい。予備金でできなければ別途の方法でやるかどうか。
  100. 石野信一

    ○石野説明員 仰せの通り、先ほどからお話がございましたように、各省の方から要求がございまして、主計局ではできるだけ早く査定をいたします。その見込みがつき次第資金運用部の方でその前につなぎ融資をいたしたい。その手続につきましては、御意見の御趣旨に沿いまして、できる限り早くいたすようにいたしたいと思います。
  101. 松田鐵藏

    松田(鐵)委員 きようの委員会大蔵省では時間的に非常に遅れまして、中金の答弁を全部聞いておられないことだろうと思うのです。そういうことは非常に都合の悪いことでございますが、今後そういうようなことのないように、ひとつ御注意を願いたいと存じます。  前の委員会においてもきようの委員会においても、一番論議の中心になつた点は中金資金繰りであります。昨年の災害に対しまして法律が定められまして、その資金わくは四百八十五億、融資実績は四百十二億、中金の自己資金でもつてつた分が二百七十五億、信連扱いとして出したものが百三十七億と報告されておるのであります。そうして現在の中金資金繰りの点を、いろいろと詳細にわたつて聞いたのであります。この詳細にわたつて聞いたうちにおいて、要するに長期資金として出せる資金というものは二百八十億よりない。しかもこれはすべて系統機関から集まつた自己資金というものです。これが百三十億であり、それ以外のものが百五十億であり、合計して三百八十億というものが一年以上三年以内のものである。よつてこのうちに返つて来た金もあるので、二百六十億よりないのだ、但し昨年が二百七十五億というものを出してあるのだ、よつて長期に出せる金というものは幾ばくもないものである。こういうところまでは大蔵省は聞いていないのでございます。そのあとのことは聞いておるだろうと思います。そこでそれならば、中金においてこの災害に対してどういうぐあいに金繰りを考えるかということが議論になつたのであります。ところが中金は年々に及ぶ災害によつて、自己の責任において出せる金というものはもはやない、農林中金債を認めてもらうか財政資金を出してもらうか以外には、とうていでき得ないことであろうという議論であつたのであります。ところがそれに対して、これは今後臨時国会には法律が制定されることでありましよう。二千億になんなんとする今日の災害であるがゆえに、そういうようにかりに法律に定められて、そのわくが決定したとしても、一番ここでわれわれが考えなければならないものは、中金資金繰りそのものが非常に窮迫しておるという現実の姿からいつて農林債券をどのくらい認めるかということが一番のポイントになり、次には財政資金は幾ら出せるかということが要点になることだろうと思うのであります。ところが北海道の五月災害において、法律わくはたしか八億五千と思つたが、これに対してどういう中金操作をしたかということを調べてみるときにおいて、昨年の災害から引続き政府農林債券を消化してくれたのは八億だ、それから漁業証券を買上げ、資金化したのが十二億五千だ、そうして行つて今の二百七十五億というものは、中金の自己資金によつてまかなつたという。そこで今ならば米の買上げをするための金は潤沢にあることであるから、どうにかやつて行けるかもしれぬ、やり得るのだ。たとえば閣議ででも決定してくれればやり得るのだ。法律による裏づけをやつてくれればこれはやり得るのだ。しかし実際面といつたならば、中金ではもはや精一ぱいだ。ところが四百十二億融資したうちに、大蔵省はわずかに二十億のうち十二億五千を漁業証券の買上げ、しかも農林債券に対しては八億だけだ、しかもそれは来年の三月までの前渡しだとこう言う。そして来年の三月までの農林中金債券をもう使つてある。しからばいかにつなぎを出せ、何をせいといつたところで、これはとうてい中金とすればでき得ないことなんだ。今の臨時のものは、閣議決定すればいい、また地方庁がこれに対して裏づけすればいい。どうにかやつて行ける。しかし恒久的な三年、五年というものに対しては、自分のところには手持ち資金というものはもうからつけつだとこう言う。それがためにあらゆる系統機関から中金に対する怨嗟の声が出ておる。中金をひとつとつちめてやろうと思つて、呼んで、委員会に聞いてみると、中金はあらゆる努力をしておる。そうしてこの中金の預金は、手持ち資金というものはどれだけあるのかわかりませんけれども、あるというて出したのが二百七十五億だという。ようやくこれを出したというのです。あなたの大蔵省はたつた八億、それから十一億五千万の漁業証券しか資金化してないのだとこう言う、しからば中金が今日系統団体からあらゆる怨嗟の声を聞いて、しぶつておるから結局出せないのだ。そこで一つの問題に三箇月、四箇月かかる。それはただこの問題一つ考えたのじやない、自分の全体の資金繰りを考えるから三箇月、四箇月かかるのです。そういうことになつたときにおいて、系統機関のその農民、漁民というものがいかに対策を立てて、いかに自由党の政策により農業政策水産政策を実行せんとしても、これはでき得ない。こうなつたときの責任というものはどこにあるかといえば、全部政府が負わなければならない。政府が負つてそれでいいかといつたつて、それは金が出ないのだから結局同じことなんだ。四百八十億の法律わくをきめてやつた、この法律に対してわずかに三十億だけより資金わくを出さなかつたという大蔵省は、どういうお考えをもつてつたかということなんです。ここなんだ。中金はまだ手持ち資金があるから大丈夫だという見通しでもつてつたものだろう思う。とにかくやれたのだから大丈夫だという考え方があつかたら、去年はこれでできた。さて今年において、はたして中金はどれだけの自己資金を打つておるか、系統機関がどれだけの金を融資できる能力があるかということを、あなた方大蔵省考えていなければならない。その考え方がどれだけあるのか、あなた方がおいでになれば、中金に対して私はそれを聞きたかつた。二つ合せればはつきりわかる。一方だけではいいかげんなことで、——しかも大蔵省にはいつでもわれわれの方が要領よくごまかされる。それで両方合せたかつたけれども、片方はちやんと加治木さんなんかと打ち合せたとみえて、昼までより時間がない、あとは役員会だと言うから、しかたがないから帰つてくださいと言つた。こういうことになつておるわけだ。しかしわれわれはまたこれから中金を呼べるのです。そしてこの問題についてわれわれは、水産委員会農林委員会と合同委員会をやりたい、こういう考え方を持つておる。そこでこの委員会において、中金がまだどれだけの余裕があるか、能力があるかということに対してのその内容を大蔵省から聞きたいのであります。しかもまた、もしないのであつたら、ない、どういう方法考えてやらなければならないかということを、閣議にばかりお話にならないで、われわれの方へもひとつお話を願いたいと思うのであります。
  102. 加治木俊道

    ○加治木説明員 農中の今後の資金繰りがどういうふうになるか、これは単純に災害だけを別わくにして資金繰りをするわけに行きません。それから一方で、単純に資金の需要面ばかりでなく、資金の源泉、これは農中債と預金でございますが、これがどういうふうになるか。しかも御承知のように農中の資金繰りは、春と秋で非常に変化があるのであります。たとえば、実は私きようは公庫の資料ばかり持つて来たのではつきりしたことは申し上げかねますが、夏は一番資金の足りないときでありまして、これはいろいろ批判はありますけれども、一応資金の谷底では日本銀行でつないでもらつておるのであります。去年はたしかピーク二百五十億まで行つただろうと思います。ことしはこれが大体三百億程度で渡つたのであります。こういう問題も、一応どう考えるかということを考慮に入れて、資金繰りの見当をつけなければなりません。ことしの災害に伴う農中に対する資金需要がどういうふうになるかは、これは先ほどからいろいろ論議がありましたように、災害に対する資金なり災害の規模もまだ確定しないことでありますから、その規模によるのでありましようが、大体去年とことしの九月末を一応とりますと、農中の債券及び預金の増がそれぞれ約六十億程度でございますから、合せて百二十億であります。これは本来の自分の力で、もちろん資金運用部からの農中債の引受けもございますけれども、そういうものを含めた年間のこの面だけの数字は、そういう数字になつております。この災害を除いた一般の資金需要がどういうふうになるかということは、これは実はさつきもちよつと議論がありまして内部で検討したのでありますが、私はまだ的確な返答を申し上げる自信がありません。一応去年とことしの数字前提にして考えますと、この災害関係は四百八十億のうち二百七十億程度金庫の貸金の負担になつておるのでございます。ところがこの資金の一番足りないときの谷底を渡る場合に、政府からわずか二十億しか出さなかつたじやないかとおつしやいますが、日銀から借り入れた数字は、去年は三百五十億程度のやつが、ことしは三百億程度ふえまして、三百億で一応谷底を渡ることができた。かりに二百七十五億がまるまる負担となつてつたならば去年は二百五十億の借り入れが、ことしはおそらく五百億程度にならなければあるいは渡れなかつたかもしれません。一方百二十億ばかりの預金及び農中債の増がありますから、それを差引きまして、あるいはもう少し三百億を越える日本銀行への依存状況なつたであろうということは、容易に想像できるわけであります。ところがちようどことしは麦のできがよくて、実は春の預金の状況が去年の場合よりよかつたのであります。ですからそこらをいろいろ計算いたしますと、通常の災害を除いた営農資金その他の資金需要は、大体年々同じ程度であまり変化がないということも、一応推測できるかと思います、これと同じ線で来年まで考えますと、来年までは預金と農中債が百二十億またおそらく増加するであろう。農中債は消化の問題もいろいろありますが、また来年度の資金運用部からの農中債の引受けがどういうふうになるかによりますけれども、かりにそういうことでありますれば、あるいはまたことしと同じ程度日銀に依存する、それがまた認められるという前提考えれば、ある程度余裕が出て来ようかと思いますが、しかしそういう計算ばかりできるとは思いません。食糧の統制あるいは扱いがどういうふうになるかによつて、農村の資金需要は非常に大きく変動して来るわけです。御承知のように、農手というような制度で、農村の資金需要の一部はまかなつておりますが、かりに統制が撤廃になるということになれば、集荷資金その他で政府の金に依存しない金融をやらなければなりませんので、ここらで非常に大きな変動要素が出て来ると思います。つべこべ言つて別に逃げてまわつているわけではありませんが、的確に予想を立てることは非常に困難であります。農中の責任ある方から、今後もし災害関係でわれわれの方に依存して来ても、あまり実は余裕がないのだという返答があつたそうでありますが、あるいはそういうことかと思います。ただそういう災害の場合の営農資金その他の利子補給の国の援助の仕方でありますが、その場合に利子補給ということは、当然その災害を受けた場合に、金融ベース上非常に不利になるだろう、それを利子の補給という形で通常のベースにまで引上げてやることは、おそらくあの方向でやらして来てよかろうと思います。従つてこれをもしそうでなくて、資金それ自身も政府がめんどうをみるということになれば、おつしやる通りやれるだけのことはやりますけれどももつとはつきりと、たとえば農中なり、あるいは公庫に対する財政投資なり、あるいは資金運用部からの貸付なり、また農中債の問題がありますれば、農中債の引受けのわくなり、これはただ農中債のわくは市中の消化ととんとんでありますから、やり方が、市中でたとえば五十億しか売れなければ、政府でも五十億しか引受けないという原則に大体なつておりますので、単純にこれは資金運用部わくだけふやしても、市中で消化できなければ、わくだけで農中債の消化を多くすることは困難でありますけれども、そういつた点も同時に決定しなければならぬのであります。従つてこれらの問題をどういうふうに考えるかということになろうかと思います。これは私では答弁できない問題であります。むしろ主計局なり、あるいは資金運用部の責任ある当局の方からお答え願つたらと思います。
  103. 松田鐵藏

    松田(鐵)委員 加治木君のただいま御説明から行けば、もう何も心配ないのだ、毎年繰返される資金繰りというものを対象にしてやつて行けるだろうという見通しを持たなければならないことになる。毎年々々二百五十億、三百七十億というものがあつても、昨年はとにかくまがりなりにもやつたのだ。であるから今後また来年の農中債なり、その他の預金なりでもつて毎年百二十億くらいずつ行くのだから、来年もそういうことになるであろう。今年もそうであろうという、まことに楽観されたりつばな財政政策だと思うのであります。ところが先ほどの農林中金の副理事長の方の説明から行きますと、もはやわれわれの方は限界点に達しておるのだ、そういう方法がつかないのだということである。それを実証するのには、北海道のあの五月災害に対して、つなぎ資金はわずか出したけれども、まだこれに対しても資金は出していない。それがために、ぼくはこの前の委員会では、佐藤漁政課長を殺したのは中金であるとまでここでののしつたのだ。そういうように佐藤課長が非常に苦労して、融資を受けなければならないということで、万々の策を講じて手続をやつて来たけれどもできなかつた。いまだに五月災害の金は出ておりません。こういうことはどこから起たつかというと、昨年の四百十億に対して国がめんどうを見てやつたのはわずかに三十億だ。もはやこの災害に対しましても、非常に気の毒に思つております。何とか自分らの努力によつてつて行きたい、人様に迷惑をかけずにやつて行きたいが、どうにも方法がないというのが結論でありました。そうなりますと、加治木君の言うことから行くと、年々歳々の常識から割出して行つたことで、非常に都合のいいようになつて行くようだ。場合によつては三百億の日本銀行からの臨時の融資もできるであろうということです。ところがこれは一年じやないのでしよう。日銀だつてそのときのバランスを見てやつて行くことだろうと思いますが、災害そのものということになれば、これは長期にわたるものなんです。中金は今の操作から行きまして、麦であろうと米であろうと金はたくさん出て来るから、それは一時の融通はいいけれども政府が責任を負つた方法を立ててくれなかつたならば、つなぎまでめんどうだということであります。そこに大蔵省の見解と中金実情との間に見解の食い違いがあるのでございます。まさか日本銀行から来た副理事長がいいかげんな話をすることもありますまい。そうしますと、ここに食い違いが出て来たならば、すぐ困るものは農林省松岡課長ばかりだ。そこで金融課長ほんとうのことはどういうことなんだ。加治木君がうそを言つているのか、副理事長がうそを言つているのか、このところを役所としてはつきりしてもらわなければ、われわれがこれから進めて行く議論が立たない。
  104. 加治木俊道

    ○加治木説明員 先ほどの説明のとき私少しくだくだ申しましたので、誤解を招いたのじやないかと思います。私が申し上げましたのは、いろいろな点を総合して勘案すると、去年と今年の災害を除いた資金需要は大体同じ程度じやないかと思います。そういう前提をもし先にまで延ばして行けば、百二十億という資金わくは場合によれば災害の手当にも使えるかもしれぬということを申し上げたのであります。しかしそれは今年と来年の農村における資金需要を同一と見るということは非常に危険であります。またそういうふうに申し上げたつもりであります。もう一つ松田さんもおつしやいましたように、二百五十億とか三百億とかいう必ずしもたよりにならない日本銀行への依存ということを前提にして論ずることは、もちろん適当でないのであります。その点も実は申し上げたつもりでありますが、かりにこれができるならばという前提でありまして、前提することの問題はあるのでありますが、農中としては、当然できるだけ日本銀行に依存しないで、自力でしかも来年度の通常の資金需要の増加というものを見込んだ上で、いろいろなことを考えなければならぬと思います。そういう前提を新たに経て来ますと、副理事長の御答弁のようなことになるであろうということを実は申し上げたつもりでありますけれども、その点だけ誤解のないように願います。
  105. 松岡亮

    松岡説明員 ただいま特殊金融課長からのお話で大体尽きると思いますが、金融機関の当事者としては、やはり日本銀行に依存する政策というものは、非常に浮動するということを懸念しております。  それから来年どのくらい預貯金がふえるかということも、これは確実な見通しは立ち得ないわけけでございます。それに資金需要の方としましても、有畜農家創設事業とかいうものの拡大がございますし、それらを考えますると、どうしても長期資金源としては金融債、農林債券の発行に依存せざるを得ない、こう考えるのは金融機関の当事者としては自然な考え方ではないかと考えております。同時に災害という異常な事態でありまするから、これは大蔵省でもそうお考えと思いまするが、いろいろなくふうをいたしまして、できるだけ捻出することも考えて行かなければならぬと思います。
  106. 田渕光一

    ○田渕委員 私は議事進行上申し上げるのですが、休会中の委員会は国会法、衆議院規則等によつて何回とかきめられていやしませんか。それともこういう必要な緊急事態があれば、何回でも開けるということになつておりますか。それをまず伺つてから……。
  107. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員長代理 お答えいたします。こういう重大な問題でございますから、委員会結論を得るまで適切な対策を生み出すまで引続き開きたいと考えております。
  108. 田渕光一

    ○田渕委員 そうすると対策委員会をつくつたと同様な水産、農林その他合同の委員会で大蔵当局から聞くのでありますけれども、たとえばあすの閣議であるものが決定した、それが立法的措置をとらずに、事後承諾というような線ですか、次に開かれるべき臨時国会が短かければ、通常国会では事後承認をするということで閣議決定をした場合にはこ、の災害に対してつなぎ資金とか必要なものをやつて行くということが、昨年のような立法措置裏づけなくしてやれますかどうですか。見通しをひとつ大蔵当局から伺いたいと思います。
  109. 松岡亮

    松岡説明員 この問題は先ほど来いろいろ御意見があつたのでございますが、これについて先例を申し上げますと、実は北海道の五月災害につきまして、これは農作物の方でありますが、五月災害と同時に起きました六月の凍霜害の被害対策でございます。これは実は法律の改正案が参議院でまだ継続審査中であります。従つてつておけば対策がとれなかつたのでございますが、幸い大蔵省と予算上の話合いができましたので、事前に道当局と話を進めまして、道において一応対策を講じておいてもらう、法律が成立次第国の措置を加える、こういう了解によつて措置をとつておる、同じような考え方が今度の場合にも適用できるのではないか、私はそう考えております。
  110. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員長代理 委員各位にお諮りをしたいと思います。時間も大分経過して二時になんなんとするのでありますが、大分大蔵当局の御答弁によつて事情はだんだんわかつては参りましたけれども、なお私ども——大臣は旅行中でありますが、政務次官、主計局長あるいは理財局長、銀行局長等の責任者に、責任ある御答弁を求めたいという点がたくさんございます。従いましてこれを一両日中にこの責任者が出られるように交渉いたしまして、引続きこの問題の調査を進めたい、こう考えるわけです。なおあわせて委員会といたしましても理事会あるいは全員の打合会を開きまして、今後の対策の進め方等につきましてお打合せをしまして、早急に結論を出したい、こう考えておりますが、本日はこの程度にとどめたいと思いますがいかがでしよう。
  111. 田渕光一

    ○田渕委員 それはたいへんけつこうだと思います。結局昨年の水害対策特別委員会でも、実は法案ができるかできないか審議しているうちに、実際言つて速記にとつて大蔵当局、事務当局も答えていない問題があるのであります。こういう場合には、やはり十時なら十時に理事会を開く前に、まず秘密懇談会のような形式で、うちとけたことを聞かしてもらう、こつちもそれに乗つて行かなければ私は進まぬと思うのであります。そういうような考えの下に、今日は私はまだずつと行きたいのだけれども、やはり大蔵省各省の予算折衝で忙しいだろうし、ことに食事もしないでやつておるし、一方災害地では、どうなるかと非常に目をつけて、うまく行きそうだといえば安心するが、どうも法律の援護がなければいかぬのではないかという不安が戦々きようきようとしていると思いますので、ひとつ各省とも今予算の折衝で忙しいでございましようけれども、ともあれある程度の見通しをつけてやるとうい線まで連日お開きになつて、そうして横の連絡をとる、そういう方法で運営願いたい、そうして結論を早く見出したい、こう思うのです。
  112. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員長代理 それでは本日はこの程度にいたしまして会議をとじたいと思います。  なお次会は公報をもつてお知らせいたします。    午後一時五十二分散会、