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1954-04-03 第19回国会 衆議院 水産委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年四月三日(土曜日)    午前十時三十九分開議  出席委員    委員長 田口長治郎君    理事 小高 熹郎君 理事 鈴木 善幸君    理事 田渕 光一君 理事 中村庸一郎君    理事 山中日露史君 理事 田中幾三郎君       遠藤 三郎君    濱田 幸雄君       白浜 仁吉君    赤路 友藏君       淡谷 悠藏君    石村 英雄君       辻  文雄君  出席政府委員         総理府技官         (調達庁次長) 堀井 啓治君         水産庁長官   清井  正君         通商産業事務官         (鉱山局長)  川上 為治君  委員外出席者         総理府事務官         (調達庁不動産         部補償第二課         長)      佐藤 長治君     ――――――――――――― 四月三日  委員勝間田清一君辞任につき、その補欠として  石村英雄君が議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 四月一日  漁船損害補償制度拡充強化に関する陳情  (第二六一一号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  小委員長及び小委員補欠選任  漁業用燃油に関する件  漁業損樺補償に関する件     ―――――――――――――
  2. 田口長治郎

    田口委員長 これより会議を開きます。  この際小委員及び小委員長補欠選任についてお諮りいたします。先般辻文雄君が委員を辞任されました結果、同君が従来担当しておりました公海漁業に関する小委員及び同小委員長が欠員となつております。この際その補欠選任を行いたいと思いますが、その後同君が再び委員に選任されましたので、これは選挙の手続きを省略し、委員長において従前通り同君公海漁業に関する小委員及び同小委員長に指名いたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 田口長治郎

    田口委員長 御異議なしと認めそのように決します。     ―――――――――――――
  4. 田口長治郎

    田口委員長 まず漁業用燃油に関する件について調査を進めます。質疑を許します。赤路友藏君。
  5. 赤路友藏

    赤路委員 先般来当委員会漁業用燃料のことについて各委員から御質問があつたのでございますが、最近の新聞を見ますと、二十九年度石油外貨割当決定したということでございますが、新聞紙上では一億二千六百六十万ドル、こういうことになつておるわけなんでございます。この点間違いがないのかどうか、お知らせ願いたいと思います。
  6. 川上為治

    川上政府委員 ただいまお話がありましたように、外貨総額につきましては、石油関係は大体一億三千六百万ドル程度でございます。
  7. 赤路友藏

    赤路委員 外貨割当決定いたしますと、いよいよ輸入という問題になるわけでございますが、為替は従来通りのように、原油原油製品製品として別に組まれるのか、それとも、通産委員会等でもいろいろ問題になつておりますが、為替一本化で行くのか、その方針は御決定になつておるのかどうか、伺いたい。
  8. 川上為治

    川上政府委員 今のところは、大体従来と同じような考え方で考えております。すなわち原油については原油外貨をつけますし、ガソリンについてはガソリン外貨をつけることになつております。重油についても製品外貨をつけるわけでありまして、従来通り行きたいと考えております。この際一本化しようという考えは持つておりません。これは結局需要に対しまして供給力が比較的少いものでありますから、やはり外貨は別々に組んだ方がよろしいというように考えております。
  9. 赤路友藏

    赤路委員 それでは、二十九年度石油輸入は、今鉱山局長からお話がありましたように、それぞれ品種別によつて輸入をされることになるわけでありますが、二十九年度需給計画をどういうふうにお立てになつておるか。その需給計画との関連において、今度の外貨割当によつて品種別輸入される量は、どういうように計画されておるのか。その点をお聞かせ願いたいと思います。
  10. 川上為治

    川上政府委員 品種別については、大体今内定しておりますものは、国内消費を二十九年度においては、揮発油燈油軽油重油、これだけの品種の総計を八百九十四万キロリットルというように考えております。これ以外にある程度潤滑油とか、そういうものが入るわけでございますが、大きなものとして申し上げますと、揮発油燈油軽油重油総額を八百九十四万キロリットルというように考えております。この八百九十四万キロリットルは、二十八年度消費実績が八百六十万というようになつておりますので、それよりも約三十四キロリットル程度ふえるわけでございます。この八百九十四万キロリットルの消費につきまして、これを品種別に申し上げますと、ガソリンは二百、二十万キロリットル、燈油が五十万キロリットル、軽油が七十万キロリットル、重油が五百三十七万キロリットルというふうに考えております。この中で、ガソリンの二百三十七万キロリットルのうち、約三十万程度製品として輸入するというように考えておりまして、それを差引きました二百七万程度が、原油を買つて来て精製してガソリンをつくることになるわけでございます。それから燈油軽油については、製品輸入ははとんど考えておりません。原油を買つて来て精製してつくるというふうに考えております。それから重油について、は、五二百三十七万キロリットルのうち、約三百四万キロリットル程度が原料からつくるものでありまして、残りは二百三十万ちよつとと思いますが、これが製品を買つて来る製品輸入でございます。昨年に比べると、総額において約三十四万キロリツトル程度ふえるわけでございまして、そのうちガソリンについては、昨年は二百十五万キロリットルでございますが、約二十二万キロリットルふえるわけでございます燈油が昨年は四十四万キロリツトルで、これが今年は五十万キロリットルというふうに見ております。軽油についは、六十四万キロリットルを七十万というふうに考えております。重油は昨年と比べますとまつたく同じ数字考えておりますが、三月三十日の閣議におきましても、重油については石炭企業との関係があるので、昨年の実績程度に押えるということにいたしたわけでございます。また衆議院の通産委員会におきましても、重油については大体昨年の実績程度という了解になにつておりますので、これは先ほど申し上げましたように、石炭企業との関係からふやすことはできないというわけでございます。
  11. 赤路友藏

    赤路委員 昨年度八百六十万キロリットルのものが、本年度原油及び製品輸入をまぜて八百九十四万キロリツトルで、三十四万キロリットルふえておるわけでございます。しかし全体の国内需要量は昨年よりずつとオーバーして来ると思うのであります。特に重油の面においては、それがはなはだしいのじやないかと思うわけでありますが、ただいま鉱山局長の方からも、通場委員会でも重油面では昨年度と同じ量ということは了解されておるのだというお話がございました。しかし通産委員会参考人を呼びましたときの意見の中にも、たとえば日本鉄鍋連盟岡村武君のお話によりますと、二十八年度七十七万キロリツトルであつたものが、二十九年度は九十三万五千キロリツトルに増加するだろう、また電気事業連合会の平井参考人意見の中にも、二十八年度四十万キロリツトルであるものが、二十九年度は四十四万万千キロリツトルになるであろう、こういうことが言われております。また水産関係から参りましても、昨年度より船全体が大型化されております。従つてこれらの面でもふえて来ることは明らかであります。こういうように二十八年度よりも二十九年度石油関係需要最がずつとふえるという前提の上に立つて、通産省の方では第一次の需給計画をお立てなつた、こう私は考える。第一次の需給計画によりますと、全体の需要量が、千百三十七万九千キロリツトル、この需要量に対して見合うように需給量を持つておるわけなのであります。こうなつて参りますと、国内原油がそうたいして大きくない、全体から申しまして四%くらいにしかついていないといことになりますので、相当大幅な供給不足ということになつて来るかと思うわけなんです。特に私たちが心配いたしますのは、重油面の五百三十七万キロリツトル、これか昨年と同じで押えられておるということになりますと、ことしの下期に至りましては、相当重油不足ということが表へ現われて参りまして、漁業操業等につきましては非常に大きな圧迫になる、こういうふうに考えるわけなんですが、どちらにいたしましても、この数字では二十九年度需要量は絶対にまかなつて行けないと思いますが、このほかに何かこれらの調整をはかる方法をお考えになつておるかどうか、その点をお聞かせ願したいと思います。
  12. 川上為治

    川上政府委員 重油の五百三十七万キロリツトル消費は、私どもの方としましてはいろいろな方法によりまして、漁業用あるいは農林用船舶用、こうした方面需要に対しましては、これは絶対に確保する方法を講じたいと考えておりますが、それ以外のたとえば暖厨房用でありますとか、あるいは浴場用でありますとか、こういうものにつきましては消費規制をわれわれの方といたしましてはいたす考えでございます。ただいまお話がありましたように、五百三十七万キロリツトルではとても足りないのじやないかというようなお話があるのですが、これはその通りでございまして、私の方の大体の見通しといたしましては、現在自由にそのまま放任いたすということにいたしますと、少くとも二十九年度におきましては六日三十万、あるいはそれ以上の消費があるのじやないかというふうにわれわれは考えておるのでありますけれども、今申し上げましたように石炭企業との関係等からいたしまして、どうしてもこの五百三十七万程度に抑えなければならぬということになつておりますので、私どもといたしましては、事業に対しましてこれくらい圧縮されますから、どうしてもそれはそのまま放置いたしますと問題が起きると考えますので、今申し上げましたように農林用水産用船舶用、こういう方面に対しましては絶対に必要量は確保するような措置を講ずる。それから不必要な需要でありますたとえば暖厨房関係とか、浴場関係とか、こういうものは消費規制する。それからその他の大品、たとえば鉄鋼でありますとか、あるいは電力でありますとか、ガスでありますとか、そういうものにつきましては、これまた消費規制をするというふうに考えておりまして、これは先ほども申し上げましたように、二、三日前の閣議におきましてもその方針決定されております。この委員会におきまして私は、再々農林あるいは水産関係船舶用につきましては、これを確保するような措置を講ずる、ただまだ文書として出していないということを申し上げましたが、いよいよ閣議におきましても決定をされましたので、私の方としましては近いうちにはつきりした方法を通牒いたしまして、それによつて確保する方途を講じたいというふうに考えております。ただその五百三十七万キロリツトル以外に、実はランニング・ストツクとしまして、重油につきましては三十三万二千キロリツトル、この程度考えておりまして、合計いたしますと五百三十七万に対しまして五百六十九万二千という数字になるわけでありますが、どうしても問題が起きましたときはこういうランニング・ストツクの方で調整をはかりたいというふうに考えております。なお五百三十七万キロリツトルのうちで、船舶運輸関係、農水産関係、これは合計いたしまして三十八年度実績が百五十八万キロリツトルでありますので、この五百三十七万から見ますと、数量としましては比較的少い方でありますので、ランニング・ストツクをある程度つておりますれば、急場の場合におきましては私はある程度調整ができるというふうに考えております。
  13. 赤路友藏

    赤路委員 この重油石炭との総合燃料計画はなかなか大きな問題でもありますし、本委員会ではそれらの問題には触れないといたしまして、ただいま鉱山局長の方から、農水産及び船舶関係必要量は絶対に確保するということをおつしやつていただいたので、非常に心強く感じるわけでございます。もちろんこれに対しましては、ここまでおつしやつていただくのですから、十分な御確信を持つた上のことであろうと思いますので、くどく申し上げたくはないと存じます。ただこの五百三十七万キロリツトルの中で、製品として輸入いたしますものが二百三十三万キロリツトル、あとの三百四万キロリツトル原油からの精製になるようでございますが、最近の精油工場設備は、通産委員会の方でも何か話になつてつたようでございますけれども、高オクタンの揮発油精製装置がほとんど各工場ともに完成しつつある。従つて原油精製いたします場合は、ほとんどが高級用のものがつくられるということは当然なことになりますので、二百三十三万キロリツトル重油がこの原油精製によつて出るというふうにおつしやつておられるわけなんでありますが、この精製過程において高オクタン価高級油がより多くとられるということになつて参りますと、当然重油というようなものの製品は量として低下して来るのじやないか、こういうことが一つ心配されるわけなんであります。特に水産関係あるいは農業関係等で使われますA重油あるいはB重油というようなものが率としてはぐんと少くなつて、むしろ重油という範疇においてはC重油が多くなつて来る、こういうような傾向になつて来る可能性があると考えられるのでありますが、この二百三十三万キロリツトルのうちA重油がどれだけ、B重油がどれだけというようなことがおきめになれるかどうか、この点をひとつお聞かせ願いたいと思います。
  14. 川上為治

    川上政府委員 今の原油を使つて精製する場合の品質の問題は、揮発油の問題が主でございまして、揮発油につきましては今おつしやいますように、最近においては精製設備も非常に近代化されておりますので、比較的品位の高いものがとれるようになつて参つておるのでありますが、しかしまだとても外国の油よりも相当高いオクタン価というところまでは行つておりません。大体今オクタン価七〇くらいの程度ではないかというふうに考えておりますが、外国製品は七五以上のものが入つて参つておりまして、ガソリンについては国内製品だけにたよることは非常にむずかしいのじやないかと考えますので、われわれの方としましてはこの二百三十三万キロリツトルガソリンのうちで約三十万くらいはやはりオクタン価の高い製品を入れるべきじやないかと考えております。従いまして三十万大体引きました二百七万程度をベースといたしまして、そうしてこの重油なりあるいは燈油なり軽油というものができるわけで、その数字が先ほど申し上げましたように、三百四万キロリツターという重油数字になるわけでございまして、それが原油からつくるものであります。残りの約二百三十万くらいというものは輸入に仰ぐわけであります。今おつしやいましたガソリン品質関係から重油の方が率が少くなつて――数字はこういうふうになつているけれども、ほんとうに出る数字は少くなりはせぬだろうかという御心配なのでありますが、これは私どもの方でもいろいろ専門的に技術的に検討しました数字でありますので、これよりも少くなるということは絶対にないというふうに考えておりますし、また品質そのものにつきましては、これはそのときどきの事情に応じまして、あるいはA重油の方がよけいいるとかあるいはC重油の方がよけいいるとかいうような場合におきましては、これは大体四半期ごとにこの計画は組んで行きますので――一年の大体の想定でありますが、そのうちで四半期ごとに実際の数字はきめて行きますので、その際にA重油を大体どれくらいにするか、あるいはB重油を大体どれくらいにするか、あるいはC重油を大体どれくらいにするかということは、その際きめて行く考えでございまして、不自由のないようにわれわれの方といたしましてはいたしたいと考えております。なおその内訳の数字につきましてはまだ別にきまつておりませんので、ただ全体の数字が五百三十七万キロリッターという消費を予定しているわけでございます。
  15. 赤路友藏

    赤路委員 今詳しくお話を承つたわけでございますが、そのときどきの状態によつてA、B、Cの品種の出て来る数量は違つて来るということでございますが、違つて来るということになると、当然そこに需給のバランスというものが破れて来るということがこれまた考えられることだと思うわけであります。しかしお話のように四半期ごとにそれらの線をはつきりして、そうしてAにいたしましてもBにいたしましても必要量を確保して行く、こういうようなお話のように承つたわけで、まことにけつこうだと思うのでありますが、非常にくどいようでございますが、現在の製油工場というものは、これは今の自由経済の上に立つた営利事業であると考えなければなりませんので、従つて政府の方からこれに対して、たとえばA重油需給関係からこれだけは出さなければならないというふうに、数字はつきりと指定して確保できるものであるかどうか、この点ちよつとお聞かせ願いたいと思います。
  16. 川上為治

    川上政府委員 実は特別な法的な統制はいたしませんので、その点は法律的にはできないわけでありますが、行政指導によりましてそういう措置は十分できますし、従来もあるいはA重油が非常に足りなくなつたという場合におきましては、Aの方をもう少しつくれとか、このくらいつくれということを言つて指導をやつて来ておりますので、その点については行政指導で私は十分できると考えております。なおもし製油会社の方でそういう情勢になりましたときには、これは先ほど申し上げましたように製品輸入を二百三十万以上入れることになつておりますから、その入れるときにちやんと条件をつけまして、C重油を入れるとかあるいはA重油を入れるとかいう条件をつけることは、外貨割当関係から十分できますので、もちろん四半期ごとにやるわけでありますが、その際十分そういう措置はできると考えております。
  17. 赤路友藏

    赤路委員 大体これで、私どもの方では農水産関係の、少くとも需要重油面については確保できるという御確信を承りましたので、安心できるわけなんでありますが、しかしながら実際の今の市場関係を見て入ますと、たとえば本年度外貨不足による石油類輸入外貨割当というものが、需要量見合つてアンバランスが生じて来るというような空気が出て参りますと、当然価格の面に大きく影響を持つて来ると思うわけなんであります。最近、特に昨年来からずんずん上つおりますし、本年の三月十五日の市場の状況を見ましても、非常に高くなつておる。こういうような、実際上においては、今鉱山局長の言われますように供給需要の面では大して大きな不足はない、むしろ当然やつて行けるんだというような状態机上数字上はなりながらも、市場においては非常な混乱を生じて不足がちになる。そのことのために価格がやみくもに騰貴して行くというような状態が現出されておるわけなんでありますが、これらの面を何とか調整しなければならぬ。この調整は単に一片の政府の発表なり何なりでは、ちよつとつかないのじやないかと思うのですが、この消費者が使用する重油価格の安定と申しますか、これをはかる何か特別な方法をお考えになつておるかどうか、この点をお聞きしたいと思います。
  18. 川上為治

    川上政府委員 実はこれらの問題につきましては、もう二、三箇月前からいろいろ私の方でも申し上げていたのですか、閣議決定がまだ最後的にきまりませんでしたので、私の方としましては、はつきりした通知なりそういう措置をとれなかつたのですが、二、三日前に閣議はつきりきまりましたので、私の方としましてはさつそく、特に農水産関係船舶関係のものにつきましてはこういう措置をとるということを、はつきり通知をすることにいたしておりまして、今その成案をつくりつつある次第であります。その内容は今までもときどき申し上げましたが、大体水産関係にとりますと、水産関係特約店といりのをはつきり指定する。それから全国に適宜、かつまた各漁村なりそういうところに、どこの特約店からこの漁村関係の油を出すというようなことをはつきりさせる。その名簿をもちろんつくります。そうしてその特約店に対しまして、どこどこの元売業者の方から出すということもはつきりさせる、その系統はつきりさせまして、これはもちろん水産関係の団体とか、あるいは農林省の方、その他の関係方面には全部私の方から通知申し上げようと考えておりますが、そういう特約店元売業者というものを私の方としましてははつきりさせまして、そうして各元売業者別に、漁村関係のものは重油を大体どれくらい――これは少し余裕を持つた数字にしたいと思うのですが、そういう数字はつきりさせたいと考えております。そうしましてその元売業者責任を持つということにしまして、もし特約店の方で非常に不当な価格で売るとかいうような場合、あるいはあつても売惜しみをして売らないというような場合が生じましたときには、苦情処理機関というのを各地方別に設けまして、これは大体県別考えておりますが、県に一箇所ということは別に考えておりません。場合によつて代理機関というものを二、三設けるかもしれませんけれども、そういう苦情処理機関というものをちやんと設けまして、そこに行けばどこどこの店がとにかく非常に高い値段で売つておるとか、あるいは物がありながら売つてくれないという場合におきましては、その苦情処理機関の方へ申入れをしますと、その系統元売業者というものがはつきりいたしますので、その元売業者に対しまして責任を持たして制裁措置をとる。その制裁方法もましては、いろいろ法律的に考えたのですが、別に問題はないということでありますので、その元売業者系統が非常にまずい配給なり、あるいは高い価格で売つたりしたときには、その元売業者に対する外貨割当を減らす。これは元売業者にとりましては最も痛いことでありますので、やはり自分責任において、指定された自分系統特約店を督促して配給すると考えられるのであります。私の方はそういう元売業者責任を追究して、元売業者外貨を押えることにしたい。そうしてまた非常にうまくやつている方面系統元売業者外貨をつけるというふうにしたいと考えております。なお苦情処理機関には、価格の問題とかいろいろな問題を申し入れてもらいたいと思つておりますが、価格の問題につきましては、適正価格というのは大体これくらいだということを、私の方ははつきり指示する考えでございます。それ以上に非常に不当に販売するものにつきましては、今申し上げましたような系統をたぐつて元売業者を徹底的に制裁するという考えでございます。  それから価格につきましては、今大体適正な価格を指示すると申し上げましたが、これはやはり公定価格制にしない限りにおきましては、ある程度の競争はしないと、公取委との関係もありますので、若干の上下はやむを得ないのじやないかと考えておりますが、今申し上げましたようなことで、なかなかうまく行かないというような場合におきましては、あるいは場合によつて統制をしなければならぬということも、われわれの方としては考えておりまして、その点も十分研究しております。私どもとしましては、何とかして一の方法によつてうまく切り抜けてか行きたいと考えております。  一方暖厨房関係は、閣議決定によりましても十一月一日を目標として消費規制を行うことになつておりますが、これは現在の法律で使用制限というのができますので、十月以降の暖厨房関係のものは、場合によりましては禁止ということになるかと思うのであります。  それから大口方面につきましては、これまた農山漁村関係に非常にうまく配給するためには、どうしても大品の方をある程度抑制しなければなりませんので、大口につきましても今農水産関係について申し上げたような方法によりまして規制をしたいと考えております。
  19. 赤路友藏

    赤路委員 非常にこまかく心を配つていただきまして、非常に消費者側からするとありがたいことであると思うのであります。おそらく今鉱山局長のおつしやるような配給機椿をもつて、しかも外貨割当という一つの線で締めて行くということによつて規制して行くなれは、配給はかなり円滑に行くものと解釈していいと思います。問題点は適正価格であろうと思う。先ほど鉱山局長のおつしやるように、統制をしない限りにおいては、適正価格というものを押しつけるわけには行かない。これは当然なことでありまして、従つて相当の幅をもつてそれが運営されて行くだろうということはやむを得ないことであろうと思います。ただその適正価格の押え方が問題になると思うのでありますが、三月十五日の標準価格と高値とを見てみますと、相当高いものになつている。これは事実でございまして、私の方で調査いたしたのですか、この三月十九日の通産委員会で全国石油協会会長の森平東一氏の答弁の中から見てみますと、元売業者の卸売価格A重油で二万二千五一百円、B重油で一万五百円、軽油で一万六千円、燈油で二万円、こういうよりなことをおつしやつているようであります。これか三月十五日の調査による標準小売値の平均をとつてみますと、A重油が一万五千二百七十五円、B重油が一万二千六百一十五円、軽油が二万円、燈油で二万五千七百五十円、こういうような数字か出るわけであります。  従つてこの面だけでも卸売業者と小売業者の開の――小売業者消費者へ渡す間のマージンというものが相当大幅になつている。しかもこれは三月の統計ではございませんか、二十九年一月の石油製品輸入価格を見てみますと、CIFでA重油が七千二百円、B重油が四千六百八十円、軽油が六千二百二十八円、燈油が一万八十円、こういうことになつている。そうなつて参りますと、A重油の場合、日本の港着値段、CIFで七千二百円のものが八十百七十五円も中間的な元売業者と販売業者とのマージンになる。原価よりも大きなものになつている。倍以上なものか出ている。B重油にいたしましても七千九百四十五円、それから軽油にいたりしてしては一万三千七百百十二円、燈油が一万五千六百七十円という厖大なマージンになつている。これか数字の面にはつきり現われて来るわけであります。これによつて末端の零細な水産業者等がどれだけ大きい負担を負うているかということを十分お考え願いたいと思うのであります。おそらくそういう小適正な、非常に中間マージンの大きな形における適正価格というものはもちろん出されないだろうと思います。ただ一点、私たちかみずから水産委員会委員として漁業面を考えて参りますと、燃料の購売に対する支払い関係におきまして、確かに漁業者の面が非常に悪いということが言える。それだけに、今の野放しのと申しますか、野放しというとちよつと害い過ぎかもしれませんか、自由経済状態において重油か販売されておりますとき、これは販売業者といたしましては、当然支払い面の悪い業者にはより高く売るということ、あるいは支払いのいい方へ重油をうんと流して行くということは考えられることだと思うのです。そういう面も作用しているかと思います。今まで鉱山局長のおつしやつていただいたことで、私どもある程度需給調整もはかれ、しかも適正価格も打出されて、今までよりはずつと安定した状態において燃料が確保できる、こういうふうに確信はいたします。しかしながら今の自由経済の実態の上に立つて考えた場合、必ずしもそれで完全なものであるとは言いがたいじやないか、こういう杞憂を私は持つわけであります。そこで非常に飛躍した考え方ではございますが、外貨割当をそれぞれの消費者の団体なら団体にするということ、その満費者団体がそれを元売業暫なら元売業者に委託輸入をいたしまして、これが末端の消費者にそれぞれの団体によつて、委託業者の削給ルートをもつて渡されて行くことになりますと、そういう偏在的な燃料の動きというようなものもなくなりましようし、また価格の面におきましても、手数料というきめられたはつきりした形の上でありますので、末端の消費者は、当然価格の安い無理のないものが使えるということ、もう一つは、団体で責任をとるということでありますから、今までのような支払いの不円滑さというものかなくなつて行く、こういうようなことで消費者石油売業者もすべてがいい形になると、私はこういうふうに考えるのですが、政府の方ではそういうような措置をおとりになる考え方は、お持ちになつていないかどうか、この点をお聞かせ願いたいと思う。
  20. 川上為治

    川上政府委員 現在のところ私どもの方としましては、そういう需要者に対しまして外貨割当をするという考えは、今のところは持つておりません。先ほども申し上げましたように、価格の問題につきましても、あるいは配給の問題につきましても、今までの措置としましては、また閣議決定されておりませんでしたので、はつきりした通知、あるいははつきりした指導をやつていなかつたのですが、今回はもうすでに決定を見ましたので、さつそくこの問題につきましては、はつきりしたやり方を明示し、また各地方の通産局なり、あるいはその他の機関をして督励さして、これを実行させるようにしますので、これをやつてみましてどうしてもこれがうまく行かぬというような場合におきましては、今おつしやいましたような需要者に対する外貨割当ということも考えなければなりませんし、あるいはその配給にほんとうの法的な統制なりあるいは公定価格制というものを実施しなければならぬと考えておりますが、それまでの間は、現在申し上げましたようなやり方で極力確保したいと考えております。需要割当ということになりますと、これはやはり輸入業者の商権との関係等ありますし、いろいろそこに複雑した問題も出て参りますので、私の方としましては、さしあたりは今申し上げましたような措置で行きたい。どうしてもそれでうまく行かぬというような場合には、おつしやいましたようなことを考えます。ということを申し上げたいと思います。
  21. 赤路友藏

    赤路委員 最後に一点だけお聞きしておきたいと思います。いろいろ丁寧に御答弁願つておりますので、大体この程度で了解したいと思います。ただ私どもが危惧いたしておりますのは、この鉱山局の方でお考えになつておる配給のルートの問題、消週正価格の問題、これらによつてうまく運営されて行くかどうかということでございます。これはやつてみなければわからない。もしやつてみてそれでもなおかついけない場合は、外貨割当消費者にすることももちろん考えられる、こういうようなお話でございますので、私はこれでけつこうだと思います。  そこで第一に考えられております配給ルートの問題及び適正価格のこと等につきましては、一体いつごろに文書化して流されることになりましようか。現在の状態においては、できるだけ早くこれをやつていただきまして、需要者側の不安定な気持を一掃することが、この際最も必要ではないかと思うのであります。  それからこれは別に希望でございますが、適正価格決定については、もちろん私が申すまでもないと思いますけれども、十分ひとつ御検討の上でお出し願いたいということを、希望として申し上げておきたいと思います。
  22. 川上為治

    川上政府委員 農林及び水産業関係、あるいは船舶業関係の今申し上げました供給調整措置といいますか、そういうものにつきましては、おそらく十日以内にはこれを各方面に通知できると思つております。われわれの方としましても、前からいろいろ検討をやつておりまして、近いうちに省議決定をして措置をしたいというふうに考えております。  それからその際、あるいはそれより少し遅れるかもしれませんが、要するに系統別どこどこの漁村に対する配給はどこどこの店からだす、しかもその系統元売業者というのはどういうところだということもはつきりさせたいと考えております。それから適正価格決定につきましは、われわれの方としましては、今までは価格につきましてはあまり立ち入つた指導はやつて来なかつたのですが、最近の情勢にもかんかみまして、またこういう措置をとりますれば、勢いどうしても価格をやかましく言わなければならぬことになりますので、私の方で大体その地区別の適正価格というものをつくりまして、この価格を基準として販売しろということを言いますし、その価格を私の方としましては各方面はつきり連絡したいと考えております。もちろん先ほど申しましたように公取との関係がありますので、これは若干は上下しなくてはならぬだろうと思いますが、一応の基準価格と申しますか、そういうことははつきりさせたいと考えております。
  23. 赤路友藏

    赤路委員 そこで希望だけ申し上げておきますが、適正価格の作成にあたりまして、通産省の方でおつくりになりますときは、もちろん十分手だてはお持ちだろうと思いますが、先般通産省からいただきました石油製品価格のところで、現状とそぐわない点があるように思つて、そのときそういうことを私は御注意申し上げておいたこともございますので、一応各生産者側の意見等をもお聞き願つて、各般の民間の意見を一応参考に総合された上でお立て願いますように、希望だけ申し上げておきます。
  24. 鈴木善幸

    ○鈴木(善)委員 関連して。ただいま赤路君から詳細にわたりましてお軒ねがありまして、御当局の今後の御方針が明確になつたわけでありますが、私は二、三点についてお尋ねをしておきたいと思うのであります。  第一点は、鉱山局長の御説明によりますと、苦情処理機関を設けるということでありますが、その苦情処理機関の構成メンバーはどういうぐあいにお考えになつておりますか。  第二点は鉱山局長も十分御承知のように、漁業用の燃油の需要量というものは、非常に漁況に支配されて浮動いたす特殊性を持つておるわけであります。この点は水産業界自体におきましても、十分その需要量をその時期その時期に把握することはもとより困難でありますけれども、水産庁及び業界の意見を十分徴することによりまして、各漁期における需要量が大体把握できるものと思うのであります。もとより完全な統制でございませんから、その配給の確保、需給調整を完全にすることは困難かと思うのでありますけれども漁業の特殊性に即応しまして、大体需給の調和がとれるように御配慮をいただく意味合いから、十分その需給の操作にあたりましては、水産庁と緊密な御連絡を願いたい。また水産庁は漁業界の各団体の意見を十分聴されまして、需給調整が円滑に行きますことを希望いたすのでありますが、この点についての今後の運び方をどういうぐあいにお考えになつておりますか。この二点だけをお伺いしておきたいと思います。
  25. 川上為治

    川上政府委員 地方の苦情処理機関、これは大体私の方としましては県別に設ける考えでございますが、その県の苦情処理機関は元売り業者と特約店特約店は全国の特約店の協会というのがありまして、そこの支部が各県にありますので、その支部に今申し上げましたメンバーでつくりたいと考えておりますが、なおこれにつきましては単に石油の販売業者だけではなくて、あるいは漁業関係の代表者とかそういう方々も入つていただくと非常にけつこうではないかというふうに考えております。この構成メンバーにつきましては、各方面の者も入れて公正な機関にしたいというふうに考えております。  それからこの水産関係需要につきましては、非常に浮動性があるとおつしやいましたが、まことにその通りでありまして、私の方としましては、ほかのたとえば鉄鋼とかあるいは電力とかそういうものと違いまして、そういう率節的な浮動性と申しますか、それに対しまして十分対処しなければならぬと考えておりますが、ただ年間の全体の数量としましては、最近の実績を見ましても、そう飛躍的に鉱工業みたいにふえてはいないわけでありまして、すなわち二十六年度数字を見ますと、船舶、運輸、農水産合せまして百十七万キロリツター、それから二十七年度が百四十一万キロリツター、それから二十八年度が百五十八万キロリツターというような数字になつておりまして、もちろん年ごとにふえては参つておりますけれども、ほかの産業と比べますと問題にならぬくらい数量そのものは比較的安定しておるような情勢になつております。ほかの需要を見ますと、鉱工業関係全部で二十六年の九十四万八千、これが二十七年度には百六十五万、ところが二十八年度になりますと三百六万というふうに飛躍的に非常にふえておりますそういうものと比べますと、水産関係とかあるいは漁村関係船舶関係というのは、比較的数量は漸次ふえてはおりますが安定しております。そこで私の方としましては、その浮動性に対しまして対処する方法としましては、常に一定のランニング・ストツクというものを持つておりますので、それが大体重油につきましては全体で二十日分くらい持つておりますので、もし何か問題が起きましたときは、そつちの方から指示いたしまして出して、それで調整したいというように考えております。全体で約二十日分くらい常に持つておりますと、漁業関係は量的には比較的少いのですから、私の方としましては、いざという場合にはそちらの方から調整できるのではないかというふうに考えております。なおこれらのいろいろな問題につきましては、水産庁なりあるいは業界の方とも十分連絡をとつて対処したいというふうに考えております。     ―――――――――――――
  26. 田口長治郎

    田口委員長 次に漁業損害補償に関する件について議事を進めます。  本問題に関し、本日政府出席者は清井政府委員、立川説明員、調達庁次長堀井政府委員、補償第二課長佐藤説明員。大蔵省谷川主計官はいましばらくしたらおいでになるそうであります。質疑を許します。石村英雄君。
  27. 石村英雄

    石村委員 主として国連軍関係漁業による損害に対する補償問題についてお尋ねしたいと思うのですが、まず一般的に、国連軍との行政協定等で、漁場を演習場その他の基地として提供されるような話合いが、どういうふうに進んでおるかという問題と、もう一点は、そういうことになつた場合に損害補償をどのように考えておいでになるか、この二点をまずお尋ねしたいと思います。
  28. 堀井啓治

    ○堀井政府委員 国連協定に関しましては、ただいまなお合同委員会におきまして協議進行中でございますが、ただいまお尋ねの件に関しましては、従来国連軍に提供されました地域に限定いたしますことと、その補償関係は現在駐留軍で扱つておりますと同じ方針をもつて補償をいたしたい。なおその補償額は全額国連軍より償還を求めるという建前をもつて交渉いたしております。
  29. 石村英雄

    石村委員 では具体的な問題に入つて行きますが、実は英濠軍関係の演習場というものは、全国的にはあまり広くなく、主として山口県の岩国市の沖合いの姫子島付近にほぼ限られておるように聞いておりますが、この姫子島付近というのは現在米軍によつて約四キロ平方の立入り禁止があつて、どちらかといえば中心になくて、外の方に姫子島どいう小さな島がありまして、従来主として英濠軍がこの姫子島を爆撃演習の目標に使つておるわけなんです。もう島の様相もすつかりかわつておるくらいにやられておるのですが、これは今後も引続き爆撃演習場として使用されるかどうか。従来姫子島はその一部分が立入り禁止になつております関係上、昨年の国会の決定によりまして米軍関係の補償を正式に受けておるのですが、事実上はほとんど英濠軍が爆撃演習に使つておる。その被害区域というものは、立入り禁止区域よりも非常に広いわけなんです。米軍はただ水上飛行機の着水あるいは繋留に使つておりますが、爆撃演習は区域が非常に広く影響を受けておるわけなんです。これを今後も使用させられるお考えかどうか。特に瀬戸内海のような小さな海の中で爆撃演習をやられると、非常に広い区域にわたつて漁業がさつぱりできなくなるという実情なんですが、先般三月二十四日の山口県議会でも全員一致で、こうした演習を即時に廃止してもらいたい、それから従来こうむつておる漁業の損失を早急に補償していただきたいということをきめました。以前は見舞金という形で、ある程度のこうした方面も含めた金が出ておつたようですが、昨年の国会の決定によりまして米軍に対する補償が限定されて来た結果、こうしたものは昨年以来全然出ていないわけなんです。この点お伺いいたしたい。
  30. 堀井啓治

    ○堀井政府委員 ただいま御指摘の点につきましては、私どもも地元から再再陳情がございまして、当時ただちに外務省にも連絡いたしまして、特に国連軍が爆撃に使用することにつきましては、これを中止してほしいという申入れをいたしました。なおこの交渉は、現在も外務省において引続いてその中止方を――中止と申しますよりも爆撃場としての使用の廃止を交渉中でございます。幸いにして廃止されますれば、ただいまお話のように、事実上損害を受けました点につきましてはもちろん補償を要すると存じます。また不幸にして爆撃演習場としてこれの使用を認めるということに相なりますれば、これに対してももちろん補償を要すると存じますが、先ほど申し上げました通り、その補償額はやはり全額国連軍より償還を受けるという建前で、ただいま交渉中でございます。
  31. 石村英雄

    石村委員 廃止するような方向で交渉しておいでになるということで、安心もいたしましたが、これはぜひ実現せられるように。御承知のように瀬戸内海は非常に狭い湖のようなところですから、ここで爆撃演習をやられるということは非常に不適当だ。かりに演習を認めるといたしましても、瀬戸内海のような狭いところで爆撃はやらないように、これはあくまでも廃止の方向で主張を貫いていただきたいと思います。それからすでに受けておる損害に対する補償の問題ですが、これは何か米軍関係と同様な法律をお出しになる御予定でございますか。
  32. 堀井啓治

    ○堀井政府委員 国連協定に基きます各種損害の補償につきましては、なお政府部内におきましても各省協議中でございまして、現在お話のような措置をとるかどうかということにつきまして、ただいま検討中でございます。
  33. 石村英雄

    石村委員 これを補償するとすれば、やはり法律がなければ補償できないんじやないかと思いますが、昨年からずつと被害を受けているのにまだ検討中だとかいうことでは、はなはだ怠慢というか、何か損害を受けている者にとつてはたまらない御答弁だと思うのです。この点いかがですか。
  34. 堀井啓治

    ○堀井政府委員 政府部内におきましても、ありていに申し上げますれば、ただいまの御意見のような意見もあり、また一方事実問題といたしまして、原則として国連軍の償還を受けるという建前から、すべて承認を要する、そういう関係から国連軍との交渉に時日を要しますし、また場合によつては、そういう事実関係に基いてその都度措置をするというふうにしてはどうかという意見もございまして、ただいま完全な意見の一致を見ていない点が多少残つておるような次第でございます。
  35. 石村英雄

    石村委員 国連軍から金をもらつてそれを漁民に渡すということで、まだ法律上の補償には至らないということかと思うのですが、いずれにいたしましても現実に一年以上被害を受けておるわけです。国連軍からくれるのをいつまでも便々と待つておられたのでは、漁民としてはたまらないわけです。何かすみやかな措置を講じていただきたいと思うのです。
  36. 堀井啓治

    ○堀井政府委員 その点につきましては、私どもも地元民に対してまことに御同情申し上げ、政府側といたしましても国連軍に対しまして、損害に対する立てかえ支払いをいたしまして、それを国連軍から償還を受けるという措置を交渉してはどうかということを、実は外務省にも通じまして、調達庁といたしましてもその促進方を窓通したのでありますが、国連協定ももう間近にできるのであるから、もうわずかな時間だから待つてもらいたいということで、実は今日に至つておる次第でございます。
  37. 石村英雄

    石村委員 立てかえられるにしてもやはり法律的な何か根拠がなければ無理だと思うのですが、いずれにいたしましてもまず廃止の方向にぜひ進んで行つていただきたい。これも現在の交渉過程では大体廃止になりそうかどうか、まあ今後の交渉次第ではあると思いますが、現在国連軍がおもにどんなことを申しておるか、その点を明らかにしていただきたいと思います。
  38. 堀井啓治

    ○堀井政府委員 その交渉はただいま外務省でいたしておりますので、私どもよく承知いたしておりません。
  39. 赤路友藏

    赤路委員 関連して。ただいま石村委員の方からいろいろ姫子島の件についてお話があつたわけなんですが、結論といたしましては国連協定ができていない。国連協定ができるのが間近になつているので、国連協定でもつてこれをやろうということが結論であつたかのように思うわけなんです。法律がないのでごもつともだと思うのでありますが、私はつきり調べておりませんが、英濠単が再三再四にわたつて暴行事件を巻き起した、これが非常に問題になりまして、結局英濠軍の刑事行為については、アメリカ駐留軍と同一に扱つて行くというようなことにたしかなつたと思う。そういうことになつたといたしますと、当初日本政府考えておりましたように、国連軍の駐留というものは講和条約発効以後九十日で撤退するということで、これは認めないという一応の表面上の原則が立つてつたと思うのですが、この国連軍の刑事問題にからんで、これを米駐留軍同様に扱つて行くのだということが一本にできたといたしますならば、実質的にこれは認めたということになる。そうなつて参りますと当然補償問題が出て来ると思うわけなんです。これは再三、再四この委員会でも前から問題になつた点でありますが、遅々として一向に進んで行かない。しかしながら今石村君が申しましたように、現地の情勢というものはそう生やさしい情勢ではない、こういうふうに私ども解釈しておるわけなんです。これは姫子島だけではない。もう一箇所は江田島の海岸線の物資集積場であります。この物資集積場もくしの歯形にあつて、飛び飛びに米軍と英濠軍が使つておる。そうして米軍の方は補償を受けておるのに、英濠軍の方の物資置場は全然補償を受けていない。こういうようなことが末端におる漁民の諸君の感情的な面にからまつていることは事実なんです。これはすみやかに手を打つていただかなければいけない。だからこの際国連協定を待つまでもなく、ちようど九十九里浜のあの問題のときにもあつたように、何か別途の形でできるのじやないか。この点を先般来当委員会でもお話申し上げたときに、答弁の集約された結論といたしましては、とにかくさしあたりのところは見舞金として出すという手はある、それは何かというと、閣議決定だ、こういうことなんです。閣議決定をすれば見舞金として出せる、こういうような線が出ておるとすれば、国連協定などいつできるかわからない。あしたできるならそれはそれでいいでしよう。しかしこれから三箇月、六箇月先になるかもしれない。これはまだわからぬ。すでに現在まで相当な日時を要しておる。そうなつて来ると、これはいつまででもほうつておかなければならぬということになるわけです。そこで当面これにかかつておられます当局の人たちといたしましては、政府の方で十分その点を督促願つて、将来ある一つの算定基準によつて、補償をするときの前提と申しますか、前払いというとおかしい形にはなりますが、一応見舞金として出しておいて、そうしてそれは、今度国連協定ができた場合に、基準により算定した補償金で相殺して行く、こういうような方法が私は考えられると思う。ほんとうに政府において末端の漁民の諸君の窮状をよく考え、親心があるならば、そのくらいの手はとつていただくのが、私は当然じやないかと思う。それを今日までやりつぱなしで、委員会でつつがなければ一向何もしないというに至つては、私は言語道断だと思う。もちろん調達庁におきましても、外務省におきしても十分いろいろな処置は講じていただいておると思いますが、一向進展していないということになると、これはやつぱりほつておるんだということにしか第三者は解釈しない、こういうことになろうかと思う。この点十分お考え願いたいと思う。従つて可及的すみやかにこの点は調達庁なり外務省が水産庁ともよく御相談願つて、それぞれの所管大臣にむしろ強くこれを要害して、早くこれらに対する適切な手を打つていただくことを、私は質問でなしに要望として強く申し上げておく次第であります。
  40. 小高熹郎

    ○小高委員 東京湾の防潜網及び特別損失補償法による損失補償がいまだ出ておらない。この問題については、漁民が非常に困窮しておる際に、なぜ早くしてくれないのだという怨嗟の声となつて、今各地区からその声を聞くのでございます。ただいま聞きますると、大蔵省の谷川主計官が来られるそうでありますが、いまだお見えにならぬようですが、谷川主計官と特別調達庁の方々と一緒に議論を進めて行きたいと思いますので、谷川主計官が来るまで、その間水産庁長官に原爆及び朝鮮、中共の漁業横掛補償の問題につきましてお尋ねをいたしたいのでございます。  昨日私神奈川県三崎に参りまして、原爆による被害対策委員会へ顔を出したのでありますが、その被害が意外に大きかつた。その実情を聞くにつけて、漁船及び漁業者の被害ばかりでなく、間接的なこれを取扱う魚価の値下りによるところの業者の損害が実に大きいのを調査、研究して参つたのでございますが、この問題をどういうように解決するかということになりますと、これは日本だけの手ではどうにもしようがないという実情にあろうと思うのであります。そういうことを考えながら、この結末をつけまするには、第一に政府が急拠救済措置を講じ、あるいは救済措置を講ずるうちに金融という問題が当てはまつて来るのでございますが、直接損害、間接損害のこの補償、いろいろ議論はされておりますけれども、ただいまのところ話が固まつておらない。ですから漁業者及びこれの関係取扱い業者も絶えず不安におびえておるのでございます。そこで根本的な解決は、国際問題をからみますがゆえに、来る二十四日からジユネーヴにおいて開かれます極東平和会議に、本問題を持ち出す用意を今からしなくてはならぬかと思うのであります。極東平和会議は、過般のベルリン四国外相会議の際にとりきめたものでございまして、朝鮮問題の平和的処理とインドシナの平和回復の問題、この二つの問題を議題としてとり行われるのでありまするが、この機会に日本は発言を得たいのでございまするが、私が調査した範囲によりますると、日本はこの平和会議に参加できない遺憾さを歎かざるを得ないのでございます。これの招請に応じて集まる国は、米、英、カナダ、仏、ビルマ、インドネシア、シリア、エジプト、メキシコ、タイ、これらの国が自由国家として出席するやに聞いております。共産国系統といたしまして、北鮮、中共、ソ連、チエコ、ポーランド、中立的態度をとつている国といたしまして、インド、スイス、さらに米国から特別に招請を受けておる国としてフィリピン、オーストラリア、ベルギー、コロンビア、エチオピア、ギリシャ、ルクセンブルグ、オランダ、ニュージーランド、これらの国々があるやに聞いておるのであります。そこで日本がこの極東平和会議に招請されておらない。また出席することもできない。できないけれども、この機会をとらえて、原爆実験によるところの大づかみに見積りました損害は、魚価の低落によるもの約二十億、魚族減の見込みが十億、少くとも二十億以上の損害を与えられておると私どもは推定いたしておるのでございますが、これをどういうように極東平和会議のこの絶好のチャンスをとらえ解決するかという点につきましては、本会議へは出席できませんけれども、打つて行きようによりますると、本会議外の会議がこの種の会議には絶えず附帯的に行われるものでございまして、会議外の会議等で上手に空気をつくつて、場合によつては極東全体の平和懇談会というものに日本が出席するこいうことは、少しく政府が上手に動きまするとできるのでございまするかつ、さようなことをいたしまして、第一に、原爆の実験中止に関して先般の衆議院の本会議において決議案を決定いたしましたが、この案文に基く実施三行いたい。いま一つは、さらに中止の声が相当強いのでありまするから、これらの結果を出したい。この問題にからんで国際的に見たるところの補償問題が当然生じて来るのでございます。この補償問題が国際的に取上げられて、アメリカ側も確かにこの際補償しなければならないということになりませんと、日本政府が補償金を出しにくい。出すということにきまりますならば、そのつなぎ資金とか、あるいは中間解決として補償金を代払いするなり、あるいは金融措置を講ずることができるのでございますか、大本は何といつてもアメリカであるということになりますと、これらの国際平和会議を上手に取入れた一つの行動をとつて行かなければならないのじやなかろうか、この点について水産庁長官はいかなるお考えを持つておられるか、まず一点お尋ねいたしたいのでございます。これに関連いたしまして、今まで朝鮮海域及び中共の海域において、あるいは海域と言われ、あるいは海域外と言われておるものもございまするが、すでに年々拿捕抑留されました漁船の損害は、今日まで約百億と言われておる。この両三年間において三十億近い損書を受けておるのでございまして、現在の状況をもつてすれば、中共及び朝鮮あるいはソ連関係の拿捕抑留は次第に強化されるとも手がゆるんでいる情勢には見受けられないのであります。これらのことを根本的に解決するには、一体どこでどうすればいいんたということになりますと、極東平和会議、この絶好の機会をとらえまして答えを出して行かなければいけないのでありまして、この点につきまして水算庁、はさだめし政府部内において相当の折衝なりあるいは話合いをつけておられることと思うのでございますが、それらの見解についてまずお尋ねいたしたいのでございます。
  41. 清井正

    ○清井政府委員 ただいま御質問のありました点でございますが、今回の原子力の爆発実験に際して、日本の漁船並びに漁夫が罹災をしたという問題につきましては、私どもといたしましてもこの問題に関する解決策につきましては、早急に政府側としても目鼻をつけたいということで、目下関係省で打合せ会を開催いたして、今までに四回会合を重ねて相談をいたしておるのでございます。しかしいまだ確実なる結論に達しておりませんので、御説明申し上げる段階になつていないことは、私といたしましてもはなはだ実は残念に考えておるのであります。しかしこの問題は、非常に深刻な問題でございますし、直接の関係漁業者の方はもちろん、これによつて影響を受けましたものは非常に広範囲にわたつておるのでございます。特にまた最近、ただいまお話がありましたように、三崎においてもいろいろ問題を起したというふうなこともございます。この問題につきまして、私どもとして打つべき手等につきましては、目下できるだけこれを具体化すべく相談をいたしておる最中であります。特に補償の問題等につきましていろいろ問題があるのでありますが、この問題につきましても、私ども水産庁の立場といたしましては、できるだけのことはいたしたいという考えで、数字を今練つておる最中であります。いずれまた結論がつき次第アメリカ政府とも相談をいたす段階に近く相なるのではなかろうかと思いますけれども、この問題につきましては、私だけでこういうふうになるということを申し上げる段階ではございませんので、この点御了承願いたいと思いますが、とにかく私どもの立場といたしましては、できるだけ早くこの問題を具体的にするように、そうして関係の業者の方々に対して、少しでも早く適切な手を打つようにいたして参りたいという考えでございます。この考えのもとに関係省の方とも相談を進めて参りたい、こういうふうに考えますので、その点は十分御了承願いたいと思います。  またこの問題に関達して、平和会議においていかに取扱うかという問題でございますが、この点は後段において御質問のありました中共等に拿捕されている問題との関連もあると思うのでございますが、私どもちようどこういうような会議の開かれる際におきまして、日本の漁業家が他国の不当なる措置によつて受けた損害に対しまして、何らかの形においてこの問題について接触を持ちたいという気持のもとに、実は私ども外務省ともいろいろ相談をいたしておるのであります。しかしこの問題は、私よりお答え申し上げることはできないのでありますが、国際会議のことでもございますし、これを別途の観点からいろいろ検討しなければならない問題もあるようであります。私どもといたしましては、水産問題の取上げ方について、外務省とも事務的な話合いをしておりますが、この問題についてはまだ結論に逃しておりません。しかしこの問題について私どもできることならば、何らかの措置をとつて参りたいということで、目下協議中でありますので、御了承願いたいと思います。
  42. 田口長治郎

    田口委員長 なお本問題について、委員長からも御相談いたしますが、実は公海に関する小委員会を至急開きまして、水産委員会としての具体案をつくつて、来週中に農林大臣、外務大臣を呼んで話を進めたいというふうに考えておるのでございますが、皆さん方の御了承を得れば、そういう方向に進んでみたいと思います。ここに問題をとり上げましても、なかなかまとまりがつきませんから、公海に関する小委員会でひとつ、どういうことを政府に要求し、また委員会としてどういう方法をとるか、具体問題をまとめて、しかる後に処置してみたいと考えております。
  43. 小高熹郎

    ○小高委員 ただいま水産庁長官の答弁と、水産委員長のお言葉によりまして、この結末をつける方向は大体わかつたのでございますが、私がただいま主張いたしておりますのは、水産庁長官に伺いましてジユネーヴのかかる大きな平和会議があるのであるから、この際に正式に出席することはできないけれども、このチャンスをとらえて、日本政府及び業者代表でもいいのでございますから、それらの人々がジユネーヴに乗り込んで、そうしてパーティーでも開いて大いに語り合つて、こういう輿論を喚起することに努める、これに対していけないという国はないと思います。ことに英国等においては、前回の会議において極東の平和会議を開いたらどうかという発言さえもあるのでありますから、正式会議ではなくても、会議外の会議が開かれると思いますので、これが外務省のとるべき態度であり、同時にまた国民外交としても、このくらいのことをやらなければいけないのでございまして、それらに対して水産庁長官は、被害の当の責任者という資格において、特に今後この事を運ぶにつきまして、たくましい行動をとつていただきたいことをこの機会に要請いたしておきます。  次に谷川主計官がお見えにならぬようでございますから、特別調達丘の方にお伺いしたいと思いますが、実は東京湾の防潜網の補償金が出る出ると言つて、一体いつになるのだ、書類はトラックで一ぱい満載しても積み切れないほど複雑きわまりなきところの大量持ち込んだけれども、一向事務が動かないじやないか、どうしてくれるのだという声が業者からしきりに出ていますが、仄聞するところによりますと、大蔵省と折衝中だというが、その折衝中の額がどの程度になつておるか、またいつころ出るように相なつておるか、どういうところに意見の食い違いがあつて延び延びになつおるか、これらの諸点についてお答えが願いたいのであります。
  44. 佐藤長治

    ○佐藤説明員 お答えいたします。東京湾及び佐世保湾に敷設されております防潜網及び水中聴音機によりまして漁業者のこうむる損害につきましては、二十七年の末までは見舞金として支払い済みでございます。それ以後の損害につきましては、特別損失補償法によつて損失補償を行うことになつておりますので、調達庁といたしましては昨年末以来申請書の受理、調査等に構手したわけでございます。何にしても組合数にして九十の組合に上つております。経営者数にすると八千、その他労務者を入れますと数万ということになりまして、非常に相手が多数なものでございますので、申請書の提出もまちまちになりまして、やつと三月の中ごろに調達庁にそろつて提出されて来たわけでございます。仰せの通り今回は見舞金とは違うのであります。地元もそれを強く申しておるのでございます。見舞金とは通う、実損を補償しろということを強く要望されております関係上、われわれとしましてよく実態を調査する必要に迫られまして、九十組合につきまして標準調査も行いました。大体その調査も完了いたしまして、計数整理のしただいま大蔵省に折衝中の段階にあるわけでございまして、これも間もなく妥結がつくものと考えます。四月一ぱいにはどうしてもやりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  45. 小高熹郎

    ○小高委員 三月一ぱいにはどう間違つても必ず現金が出せるということであつたのが、四月一ぱいに延びた。そこで事務が多岐にわたつておることはよく了承しておるのでありますが、これは法律が成立するとともに、ただちにわかつていたことでありますし、成立しなくても、すでに前年度の見舞金を出したその基礎等によつて――かくのごとく事務が渋滞するのはおかしいじやないか。漁民も事務がなれないからあるいは手落ちがあるかもしれないのでありますが、役所側にも何らかどこかで食い違いがあるから、その折衝のために遅れておるのではないか。仄聞するところによると、大蔵省の主計官の連中が算数でもやるつもりで、加減乗除の一つの基礎的な考え方のもとに、何パーセント上げたらいいか下げたらいいか、こういう考え方をして、この法律の精神に基く実損額を全額、補償するということを無視いたしまして、いささか総体的に何パーセント下げたらいいじやないかというような考え方があるやに私どもは見ておるのでありますが、そういう考え方でこの法律を覆してもらうならば、われわれはそんなつもりで法律をつくつたのではございません。これに対しては大いに抗議をしたい。しかしそういうようなことでなしに、実際に調査の結果こことここがこう違つてつて、ここはこういうように直さなければいかぬとか、こういう説明を聞かなければ了解ができない。計算的な考え方で、算数でもいじくるようなつもりでもって、千篇一律に何けたかけてみたらとか、どういう比率をかけてみたらということは、よく今までの大蔵官僚にはあるのであります。だから今回に限つてこういう過程があるかどうか、たいへんつつ込んで失礼でございますが、そこまで打明けてもらいたいのであります。それによつて大蔵省側に対するわれわれ議員の態度もまた明らかにしなければいけませんので、一応お尋ねいたします。
  46. 佐藤長治

    ○佐藤説明員 大蔵省が何パーセント削るというようなことはないわけでございます。仰せのように防潜網による実損ということはなかなかむずかしいことでございまして、実態をつかむこと自体なかなか不可能に近いような問題でありまするために、いろいろと議論の生ずるところもあるのでございまして、そのためにいろいろと資料を持ち寄つて検討中でございまして、頭から何パーセント切るというようなことは、私の方も承知はいたしませんし、そういうことはあり得ないことと考えております。
  47. 小高熹郎

    ○小高委員 私が仄聞したところと、今佐藤補償課長の答弁とはちよつと違つておるように見られるのであります。数学的見解をもつて――もつとも補償金でございますから、数学を基礎に置かないというわけには行かないのでありますが、学校の問題を解決するような簡単な感覚のもとに、数字的に何パーセントどうだこりだということをやつておるやに私は聞いておつたのであります。しかし今の答弁によりますと、そうであるとも言いかねるようなところも推察できますので、これ以上追究いたしませんで、問題はさらに大蔵省の主計官に対して伺うことにいたしまして、本問題に関してはこれで質問を打切つておきます。
  48. 田口長治郎

    田口委員長 遠藤君。
  49. 遠藤三郎

    ○遠藤委員 駐留軍の演習に対する損害の問題について、ただいま小高委員から質問がありましたが、小高委員の質問の趣旨はまつたく私は同感でありますから、重複を避ける意味でただ一言だけ申し上げておきたいと思います。私どもの方の関係は伊豆半島の南端のマイク地区の演習地問題であります。これは数千の漁民が非常に大きな損害を受けておるわけですが、しかもそれは昭和二十八年に爆撃演習をやられた。しかもその地帯は共同漁業権のある場所でありまして、最もいいえびだとか天草だとか根つけ漁業の中心地になつでおる。えりにもえつた一番いい所をやつて、非常に大きな横書を受けておるわけであります。その損害の補償の要求をしておつたのでありますけれども、なかなか結論が出て来ない。もう数千の漁民は業を煮やしておるわけなんであります。何でまたこんなに遅れるのだろうか、よく考えてみると、どうも調達庁がふらふらしておるような気がする。一方駐留軍の方に行くと、非常に強い壁にぶつかる。ところが他方大蔵省のさいふを握つている方に行くと、これまた頑固であつて、なかなか金を出さない。その間はさまつて調達庁がふらふらと右往左往しておるのじやないか。こんたことをしておつたのでは、三年たつても五年たつても補償なんか結論が出て来やしないのじやないかという感じを受けるのであります。はなはだ失礼な言い分でありますけれども、これは何とか機構でもかえて行かないと進まないのじやないかというような印象を持つて、非常に私ども悲観をしておるわけなんですけれども、これは何とかならぬものでしようか。どういうふうにしたらこういう問題が手取り早く漁民の意向を採用していただくことができるようなことになるか、何か案があつたらひとつ示していただきたい。現状のままでよろしいというなら、いつごろになつたらどういうふうな補償ができるか、そういうことをお答え願いたい。
  50. 佐藤長治

    ○佐藤説明員 マイク地区の漁業補償につきましては、御承知のように、マイク地区は去年の八月から演習を始めておるのでございます。従つて、十八年度の上半期分の補償から顔を出すことになつておりまして、二十八年度の上半期分の補償はすでに作業を終りました。そしてただいま横浜調達局で支払い手続中でございます。間もなく支払われると存じます。これは本庁にも協議が来ておりますので、明らかになつております。
  51. 遠藤三郎

    ○遠藤委員 間もなく間もなくというようなことを言い出してから、いつでも半年か一年くらいかかるのです。そこで私も間もなく払うということを信用いたします。どうかその言葉が間違いがないように、間もなくひとつやつていただきたいと思う。間もなくと言つてまた半年も一年も引きずられて行かれてはとてもかなわぬ、そのことをはつきり申し上げておきたいと思います。  それから先ほど来問題になつており律した原爆の被害の問題でありますが、原爆問題は、水産業にとりましてこれほど大きな問題はないと私は思います。そこで先般の去る三月二十六日の原爆実験は、無警告でやつた。これは重大問題であります。無警告でやるということは、半径四百五十マイルにも及ぶような厖大な海域において、無期限の占領状態が続くというふうに考えられるのであります。漁民はあぶなくてその近所に寄れないのであります。そこで無警告の原爆の実験というものは、常識的に言いましても公海の自由をまつたく無視するものである。公海は世界各国の人々が自由に漁業もできるし、航行もできる。そういう国際法上の慣例であるのをまつたく無視したことになる。しかもその慣例を無視されて一番大きな被害を受けるのは日本の漁民であります。これは李承晩ラインで魚がとれなくなつたのとまつたく同じであり、沿岸においてアメリカ軍が演習をして、魚がとれなくなつたのとこれまた同じであります。国際法上の性格は違うかもしれませんけれども、日本の漁民からみれば、今までどんどん魚をとつていたところでとれなくなつてしまつたということは、まつたく同じ性格の損害が漁民に発生しているわけであります。そこでこの問題は、アメリカに向つて強く要求すると同時に、日本政府責任をも明らかにしなければならぬと思うのであります。アメリカに向つては、先般の本会議の決議においても、その趣旨が明らかにしてあるわけでありますけれども、アメリカに向つては、かかる無警告の原爆の実験は絶対にやつては困るということをあくまで追究しなくちやならぬと思います。これは日本の国民の権利を無視するだけではなく、世界を無視するものであります。このことを私は強く要求しなくちやならぬと思うのでありますけれども、これに対して水産庁の長官はどういう御意見を持つておられますか。御意見を漏らしていただければありがたいと思います。
  52. 清井正

    ○清井政府委員 根本的な国際的問題になりますと、私がお答え申し上げる範囲を出ると思うのでございますが、私ども水産庁の立場として率直に考えておりますことは、先般私どもといたしまして、当初事件が起りましてすぐに、政府部内において申し進めをいたしたのであります。その問題は、ただいまもお話がありました通り、今後無警告で爆撃実験が行われるということにつきましては、水産業の立場から申しまして非常に危険があるということによりまして、何とかこれを事前に知らしてもらうような方法はないだろうか、こういうような趣旨であります。それから第二回目の区域拡張が行われましたときには、すでに新聞紙等にも報ぜられておりますけれども、その期限あるいは区域その他の問題につきましては、できるだけこの問題をわが国の水産業界への影響を少くするという方向で、できるだけ早くそれを解決してもらいたいという意味におきまして、外務省とも、あの事件が起りましてすぐ折衝を開始いたしたのであります。その後の水産業界の、こういうような演習はぜひやめてくれという強い御要望もあります。私どもといたしましても、業界の声としてもつともであると思うのでありますが、私どもの立場としてこれをどういうふうに取上げるかということについては、十分外務省と相談をいたさなければならぬと思うのであります。私どもとして、率直に申し上げまして、かつお・まぐろの漁業のみならず、ひいてわが国の水産業界に対して悪影響がある問題につきましては、できるだけこれをなくす方向に努力しなければならぬと思いますので、こういう方向において、政府部内において十分連絡を緊密にして折衝して参りたいと思います。
  53. 遠藤三郎

    ○遠藤委員 外交上の問題については、外務大臣の出席を求めていろいろ論議したいと思うのでありますが、水産の問題についてもう少し伺いたいのであります。先般、三月二十四日の委員会で、この第一回の原爆実験の結果生じたところの日本漁民に対する損害はどの程度になるか。もし金額が出ないとすれば、どういう項目について損害があるかということを、至急明らかにしていただきたいということを申し上げていたのであります。その損害についての大体の見通しでいいんですが、調査が進みましたら、ひとつここでお示しいただきたい。
  54. 清井正

    ○清井政府委員 この損害の問題につきましては、御質問の御趣旨は十分わかりますけれども、ただいまこの内容について申し上げる段階にないことをお許し願いたいと思います。ただ今度の問題の起りました損害は、非常に範囲が広いものであります。それには直接あるいは間接を問わず、いろいろな問題があると思います。また損害の種類もいろいろあるわけであります。こういつた問題を事務的にくまなく当つておるのであります。そこで何とかしてこれをすみやかに解決したい。できるものから先にどんどんやつて行くという形でやつて行きたいということで、私どもとしては徹夜を二度も三度もして急いでいるのであります。そういうことである程度数字をつくつて部内で交渉をいたしていることは事実であります。そこでだんだん固まつて来つつあるのでありますが、この問題についていつごろどうなるか、どういう金額であるか、項目等につきましては、ちよつと今申し上げる自由がございませんので、御了承を願いたいと思います。われわれとしては、できるだけの努力をいたしまして、早くいたしたいと考えております。
  55. 遠藤三郎

    ○遠藤委員 原爆被害に対する損害補償の問題でありますが、先ほど小高委員からも報告がありましたが、神奈川県の三崎の港にしましても、最初の被害地の焼津の港にしましても、もう火が消えたようになつてしまつた。とにかく日々の生活にも困るような状態になつて来ているわけであります。その損害がどの程度であろうかということを調査するのに、すでに一箇月かかつてつて、まだどの程度の損害だか見当もつかないようなことであります。しかし漁民から見ますと、毎日々々生活をしなくちやならぬのであります。もうしりに火がついているわけであります。でありますから、これを国際問題とかなんとかいつて長く調査なんかされておりますと、ひ上つてしまうのは漁民であります。なるほど国際問題でありますから、簡単に行かぬということは、説明としては一応でぎますけれども、漁民の方から見れば、日々の生活にも困つて行くような問題が次から次へと出て来るわけであります。そこで私はこういうことを考えるのであります。今回の原爆の被害は、三面においてはアメリカの責任であります。私どもは一点の疑いもなくアメリカの責任であるということをかたく信じております。これは同時に日本政府責任でもあるであろう。日本の漁民が非常に困つている。公然と、しかも平穏無事に漁業しておつた漁民が生業ができなくなつて来た、あるいは大きな被害を受けたということは、見方によれば日本政府責任でもある。でありますから、日本政府がとりあえず適当なりと信ずる損害賠償をまず漁民に与えて、漁民の生活のめんどうを見て行く。そうして日本政府がこれだけ漁民に金を出したんだ、アメリカよこしなさい、そういう請求の仕方もあると思いますけれども、その点についてはどういうお考えを持つているか、水産庁当局の御意見を伺いたいと思います。
  56. 清井正

    ○清井政府委員 日本政府責任という問題につきまして、私どもはつきりお答え申し上げることはできませんが、とにかく私どもといたしましては、この問題は、できるだけ早くその解決をとりあえずでもしなければならぬと考えております。漁業者並びに病気にかかつておられる方につきましては、さしあたり船員保険法の適用、あるいは地元組合で若干支出等をいたしまして、一応は今行つているようでありますけれども、むろんそういうことでは不十分でございます。またそういうことでほつておいてはならぬわけでございまして、私どもといたしましては、関係の方々が少しでも早く安心できるように措置をとらなければならぬということで一ばいでございます。そこでいろいろ相談をいたしまして、私どももできるだけ早くやりたいと思つておるのでございますが、実際問題といたしましては、なかなか結論に達しないではなはだ残念でございますが、私どもといたしましてはもう誠心誠意、できるだけすみやかにごの問題を解決して参るようにいたしたい、こう思つておるのであります。
  57. 遠藤三郎

    ○遠藤委員 水産庁当局のおつしやることもよくわかります。非常に困難でございますし、簡単に結論が出て来ないこともよくわかりますが、事柄は漁民の日々の生活の問題である、こういうことを念頭に置かれて、とにかくこの問題はあちこちと持ちまわつてつて、どこへか行方不明になつてしまわないように、漁民が安心できるような手を一日も早く打つていただくことを特にお願いして、私の質問を終りたいと思います。
  58. 石村英雄

    石村委員 先ほど姫子島の問題につきましては、主として英濠軍の関係を申し上げたのですが、現地の人の話を聞きますと、これは従来英濠軍が主として爆撃演習をやつておるのだが、ときには米軍もやつておる、こういう話なのですが、それでいろいろ複雑な問題もまた出て来たのではないかと思うのですが、あの姫子島を含む禁止区域につきましては、行政協定では米軍は砲爆撃の演習もやるということになつておるのかどうか、この点を確めておきたいと思います。
  59. 佐藤長治

    ○佐藤説明員 姫子島の爆撃の問題でございますが、アメリカの駐留軍はここで爆撃演習をやることにはなつておらないはずでございます。
  60. 石村英雄

    石村委員 なつてないということになりますと、英濠軍の関係さえ――英濠軍があそこで砲爆撃をやらないということに決定すれば、自然はつきりして来ていいと思いますが、それではぜひとも英濠軍に砲爆撃の演習をあそこでやらせないという方針を、一歩も退かずに交渉していただきたいということをお願いしておきます。
  61. 小高熹郎

    ○小高委員 大蔵省の谷川主計官がいまだに来ないようでありますから、特調と両者そろつたところで私の意見を開陳できないのはまことに残念でございます。しかし特別調達庁に一言意見として申し上げておきたいことは、私は、昨年この特別損失補償法の審議中にこういうことを言うたのであります。大蔵省は往々にして特別調達庁が作成した基礎的の案について、意見を加えたりあるいは数字をもじるが、そういうことをやるならば、これは水産庁もいらなければ、特別調達庁もいらない、大蔵省へ万事まかせるのが妥当ではないか。支出責任者はだれなんだということを尋ねますと、支出責任者は特別調達丘だとお答えになつておる。その支出責任者がつくりまして、しかも数箇月もかかつて、的確な基礎資料はこれであるといつて特調の方々がつくり上げた資料を提出すると、大蔵省はこれに対して意見を加えたりあるいは減額する。そういうことであるならば、大蔵省設置法の一部改正をすみやかに行つて、すべてを上あげて大蔵省の所管に移すべきである、こういうことを議論したのでありますが、その点について責任担当官はあくまでも特別調達庁であるというので、今までそのお答えを信じておつたのでありますが、それにしては特別調達庁の態度は自信がなさ過ぎる。おれたちがこれだけ熱心に、何箇月もかかつて漁村の実態をも調査に出かけてつくり上げた資料なんだ、これをくつがえすならそこにくつがえすだけの反証の的確なものがあるかと言うぐらいの自信を持つていただかないと、いつまでたつても事務がはかどりません。この点はお答え願わなくとも、一つの希望意見として参考にお聞きとり願つておきます。
  62. 田口長治郎

    田口委員長 お諮りいたします。従来神奈川県の小泉君からもたびたびお話もあつたのですが、今回の水爆問題に関しまして、実は委員会でも一度三崎町に現地調査に行きたいと考えておつたのでございますが、幸い本日草葉町長、産業観光委員長小菅氏、業者代表の久野氏などがおいでになつておりますので、本会をとじまして、皆さんから三崎の実情の陳情を承りたいと思いますが、さようにいたしてさしつかえございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  63. 田口長治郎

    田口委員長 それでは本日はこの程度にとどめまして散会いたします。    午後零時三十七分散会