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小笠原国務大臣 今
拿捕されました
漁民の
方々の
お話を聞きまして、心から御
同情申し上げるのであります。ただ
吉武委員の
お話の中には、二つの重大な点が
違つております。このことをはつきり申し上げておきます。私は船をつくる金を貸さぬということをいまだか
つて言
つたことはありません。お
貸しすると
言つておる。これをどういう間違いから言われたのか知りませんが、お
貸しすると
言つておる、貸さぬと言
つたことはない。それからもう
一つは、こちらから出て
行つたから
しようがない、そんなことを私は言
つたことはありません。そういうことを
言つた人があるということを話しただけのことであ
つて、私はさように
考えていない。この点も
違つておる。しかし
お互い議員同士の間ですから、そんなことはどうでもよろしいが、私が
考えておることをここで率直に申し上げてみたいと思います。私は、船が
拿捕されて
漁民の
各位が非常に苦しまれ、また船も返されないということは、これらの
方々にと
つての非常な不幸であるのみならず、
日本にと
つても非常な不幸であると思います。従いまして船はできるだけ返してもらわなければならぬと思うが、これは
吉武さんもよく御承知のように、
大蔵大臣がなし得る範囲ではないので、その問題で
大蔵大臣をお責めになるよりも、これは
外務大臣をここへ呼んでや
つてください。
日韓交渉の事柄を
大蔵大臣が出しやば
つてやるということはできません。しかし私
どももできれば早く返してもらいたいと思うが、しかし返さない場合もあるであろう。また返さない場合にしからばどうするか、これは何
といつても
代船を建造しなければならない。
従つて私は代
船建造の金は、
農林漁業金融公庫を通してお出しいたしますと
言つておる。出さぬと
言つておるわけではない。お出しいたしますと
言つておる。最初から御答弁にそういうことを申し上げております。但し
農林漁業金融公庫は、
普通市場の金利と
違つて七分五厘という非常に安いもので、これは
吉武さんも
知つておられるが、そこらの銀行へおいでにな
つて、たとえば興業銀行でもあるいは勧業銀行でも、長期
信用金庫でも、今日長期の金を借りるものはみんな一割一分以上、一割二分です。それを
農林漁業金融公庫であるから七分五厘のをお出ししておる。しかしこういう特殊の事情もあるから一分ぐらいおまけして――おまけするというのは行政的措置をと
つて六分五厘ぐらいでお出ししてもいいということを
言つておる。このことははつきりお聞きとりのはずです。われわれとしてはなすべき最善を
しようとしておる。それに対してあなた方の方でどういうことをおつしや
つておるかというと、これに対して、
政府は保証しろということをおつしや
つておる。
農林漁業金融公庫が金を出すのであるから
政府が保証する必要はない。これは金を出すのですから、何も保証はいらないと私
ども思つております。それが
一つ、それからもう
一つの点は、三分五厘にしろこういうふうにおつしや
つておる。なるほど今おつしやるようなことでわかりますが、今
日本の国の財政はどういう事情におかれておるか。私
どもはそういう補助金を出し得ない事情にあるということをはつきり申し上げておる。特に今日以後、そういうことはもうなし得ません。二十九年度予算では補助金も大幅に打切らなければなりません。今あなた方も全部の方が口をそろえて、
日本はそういう補助金を整理をしろ、補助金を整頓しろということを口をそろえて
言つておる。そういうときに新たに補助金を出すことはできません。そういうわけで、今の
日本をインフレに持
つて行つてはならぬので、すべての諸君が、反対党の諸君でも――反対党
といつては語弊があるかもしれませんが、もつと財政規模を縮小しろ、もつと金を出すなということを一様に
言つておる。補助金などを整理して打切れ、こういうことを
言つておられる。これが全部の輿論です。財政規模はもつと縮小しろということを
言つておる。(「
保安庁費をやめてしまえばいい」と呼ぶ者あり)但し今言われておる社会党の諸君は、
保安庁費をやめてしまえ、全部削れといえばこれは別です。ここに改進党の方がおられるが、改進党の方も全部予算規模を縮小しろ、もつと小さくしろ、こういう御
意見なんです。全部がそういう御
意見である。しかし御
意見はどうでもよい。御
意見もそうであるが、今の
日本はそういうものをやるべき
日本ではない。やり得べき余力がないのです。従いまして私は
自分が責任者としてなすべき最善を尽します。なすべき最善を尽すが、
政府としてやり得ないことまでやれとおつしや
つても、私としてはやれませんということを申し上げておるのです。言いかえますれば、代
船建造について、必要な資金は
農林漁業金融公庫で出させま
しよう。しかしこれに対しては利息を六分五厘まで、行政措置でできるだけのことをいたしま
しよう。おそらく今
日本で、 これらの
方々がおつしや
つておる一万円の金を借りるのに、七千円で頼うと言うておる。そういう事情のときに、むろん不十分に相違ない。しかしこれは国家の責任であるから、国家がやれ、これはまだ別な人が
考えてくれなければならぬ。大蔵省としては財政的の切り盛りをするだけですから、財政措置としてなし得べき最善を尽す。これで私は大蔵省としては皆さん方に対する
自分のなすべき最善を尽しておるので、今日大蔵省が
自分の財政資金を出して、その中から六分五厘の金を出す。これは私はなし得べき最善だと思う。補助金を計上しろ、私はこれはできません。また今後の
日本の財政はそういうことを許しません。これは二十九年度予算をごらんくださればわかるが、相当大幅に、皆さんがたえず御希望にな
つておるごとくに大幅に削減します。そうや
つて初めて
日本をインフレに持
つて行かぬように救
つて行くのだから、この点はどうぞあしからず御承認願いたい。