運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1954-05-07 第19回国会 衆議院 人事委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年五月七日(金曜日)     午前十一時二十四分開議 出席委員    委員長 川島正次郎君    理事 赤城 宗徳君 理事 田中  好君    理事 櫻井 奎夫君       荒舩清十郎君    山口 好一君       池田 清志君    小山倉之助君       石山 權作君    加賀田 進君       森 三樹二君    池田 禎治君       受田 新吉君  出席政府委員         総理府事務官         (内閣総理大臣         官房審議室統轄         参事官)    田上 辰雄君         人事院事務官         (事務総局給与         局長)     滝本 忠男君  委員外出席者         専  門  員 安倍 三郎君         専  門  員 遠山信一郎君     ————————————— 四月二十八日  島根県江津市の地域給引上げ請願中村英男  君紹介)(第四六六一号)  和歌山県初島町の地域給指定に関する請願(坊  秀男君紹介)(第四六六二号)  茨城県大子町の地域給指定に関する請願山崎  猛君紹介)(第四六六三号)  新潟県安塚村の地域給指定に関する請願田中  彰治君紹介)(第四六六四号)  宮城県石巻市の地域給引上げ請願只野直三  郎君紹介)(第四六八六号)  兵庫県塩瀬町及び山口町の地域給引上げ請願  (山口丈太郎紹介)(第四六八七号)  福島県喜多方市の地域給指定に関する請願(河  原田稼吉君紹介)(第四六八八号)  埼玉県川角村の地域給指定に関する請願平岡  次郎紹介)(第四七一〇号)  埼玉県梅園村の地域給指定に関する請願平岡  忠次郎紹介)(第四七一一号)  岩手巻堀村の地域給指定に関する請願(田子  一民君紹介)(第四七一二号)  宮城県仙台市の地域給引上げ請願庄司一郎  君紹介)(第四七二二号)  茨城県高萩町の地域給指定に関する請願山崎  猛君紹介)(第四七三〇号)  岩手巻堀村の地域給指定に関する請願(中居  英太郎君紹介)(第四七三一号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  国の経営する企業勤務する職員給与等に関  する特例法案内閣提出第一六五号)     —————————————
  2. 川島正次郎

    川島委員長 これより開会いたします。  国の経営する企業勤務する職員給与等に関する特例法案を議題とし審査を進めます。質疑の通告がありますからこれを許します。櫻井奎夫君
  3. 櫻井奎夫

    櫻井委員 私はただいま上程になつております、国の経営する企業勤務する職員給与等に関する特例法案について、質疑を試みんとするものでございます。  本来この法案は、実は当委員会におきまして国家公務員法の一部を改正する法律案等法律案審議過程におきまして、同じ公務員の中にある五現業職員、それから一般職俸給表によるところの職員の間の非常な不合理、こういうものがこれは各党から強く指摘をされまして、この不均衡を一日も早く是正したらどうかというのが、当委員会におけるところの各党一致した大きな要望であつたと思うのであります。また現場における五現業労働者諸君の中におきましても、このような矛盾は一刻も早く解決をしてもらいたい、これも長年の要望であつたと思うのであります。またほかのこれに関連しておりますところの郵政委員会労働委員会、こういう国会の中における委員会においても、この点は強く指摘されておつたと思うのでありますが、政府は今回これらの声を率直に取上げられまして、ここに今回の提案なつたと思うのであります。吉田内閣は次々に反動立法をやつておるわけでありますが、その反動立法の中にたまに人民の声を率直に取上げられて、このような法律案が出たということについては、特筆大書すべきものというふうに——われわれ社会党は常に反対するというような御批判がございますが、このように筋道の通つた法律案であるならば、われわれは賛成するに何らやぶさかでないのでございます。ただしかし、この法律案を詳細に検討いたして参りますと、この法律案提案されました趣旨については、われわれもこれに全面的に賛意を表するにやぶさかでないのでございますが、各条章を検討して参りますと、いささか不安と申しますか、将来にわたつてこの法が運用れる場合に、このような事態が起きはしないかというような不安な点が二、三あるのでございますので、それらの点につきまして政府の所信をただしたいと思うのであります。  この法律案は、あくまでも五現業諸君、いわゆる公共企業体等労働関係法適用を受けている諸君、これらの諸君は、明らかにこの第八条によりまして、使用者との間に団体交渉権を持つているわけでありますが、こういう人たちの不均衡を是正するところに、大きな重点があると思われるのでございます。従つてわれわれが特にこの条文の中で指摘いたさなければならないのは、第四条及び第六条の問題でございます。この第四条を見ますと、「国の経営する企業主務大臣又は政令の定めるところによりその委任を受けた者は、その企業勤務する職員に対して支給する給与について給与準則を定めなければならない。」こういうふうにはつきりうたつてあるわけでありますが、この主務大臣の制定しますところの給与準則内容は、いわゆる公労法の第八条によつて団体交渉をして、団体交渉の結果得られたところの一つの基準、こういうものと同一のものであるかどうか、それを下まわるものではないかどうか、ひとつ第四条についての御回答をいただきたいのであります。
  4. 田上辰雄

    田上政府委員 ただいま櫻井委員の御指摘になりました、第四条規定してあります給与準則内容でございますが、それはここに書いてあります通り主務大臣給与準則をきめるということだけではありますけれども、しかしその給与準則は、当然ただいまお話になりました公労法適用職員団交の結果においてきめられました給与準則の線に沿うてきめられることが予想されておるのであります。しかしながら実際問題としましては、予算等の束縛も当然ありますので、主務大臣としましては、具体的な事情を勘案いたしました上、できるだけ公労法適用職員に与えられます給与準則に沿うて、できるだけ今日問題になつております不均衡是正の線に沿うてこれをきめて行かなければならないということになるのであります。
  5. 櫻井奎夫

    櫻井委員 大体の趣旨は判明いたしましたが、まだ給与準則が一本のものでない。一本であるという確言ちようだいしないわけであります。やはり予算等制約のために、それにできるだけ近づけるような努力はするが、同一かどうかということははつきり答弁をいただかないわけでございます。いろいろこまかい制約もある思うのでありますが、われわれといたしましては、この立法精神が、そこの不均衡を取去るという大きな前提があるわけでありますから、どうしてもやはりそういう不安を持たせないように、団体交渉をもつて獲得したところの線に一致させるということ、最終的にそのような同一のものであるという確認をいただきたいのであります。  それからなお第六条の問題でございますが、これも第四条の今の御答弁趣旨からいたしますと、この主務大臣の定める職員勤務時間、休憩、休日及び休暇についての規程というものは、おそらく団体交渉権によつて得たところのものを侵すものではないというふうにわれわれは考えるわけでありますけれども、その点の御解明をいただきたいのであります。
  6. 田上辰雄

    田上政府委員 第六条に規定してあります主務大臣がきめまする勤務時間、休憩、休日及び休暇につきましては、公労法適用職員は、当然公労法第八条の規定に基く団交の結果によつてきめられて行くのであります。第六条の規程について、団交の結果を侵害するような内容規程を定めるおそれがありはしないかという御懸念につきましては、公労法関係の法規を主務大臣規程によつて侵害することはできないのでありまして、第六条の規程趣旨は、あくまでも主務大臣勤務時間等を規定いたします法的基礎を与えるということの趣旨条文であります、いわば主務大臣勤務時間、休憩、休日及び休暇について規程を設ける法的な基礎を与えるという点が一つと、同時にまた言葉をかえて言いますならば、この法律主務大臣に対して訓示的な規程をここに定めておるのだということもできるであろうと思うのであります。
  7. 櫻井奎夫

    櫻井委員 従つてこれは、いわゆる労働協約によつてきまつたものを何ら侵すものではない、大体それに一致するものである、こういうふうに確認してよろしゆうございますか。
  8. 田上辰雄

    田上政府委員 櫻井委員のおつしやる通りであります。
  9. 赤城宗徳

    赤城委員 関連して……。労働協約の線を侵さないという確言があつたようですが、ただちよつと懸念されるのは、第三条二項の「職員給与は、一般職職員給与に関する法律適用を受ける国家公務員及び民間事業従業員給与その他の事情を考慮して定めなければならない。」この適用を強く主張して団体協約以下に定め得る場合もあるのであります。今の御答弁のように団体協約の線を下らないということが、第三条の二項との振合いにおいてはつきり言い得るかどうか。それをもう一度お聞きいたしたい。
  10. 田上辰雄

    田上政府委員 第三条二項に規定してあります国家公務員及び民間事業従業員給与その他の事情を考慮して給与が定められなければならないという場合は、現在の公労法適用職員の場合においても同一内容規程があるのでありまして、いわば給与をきめる上において、他とのはなはだしき不均衡内容をきめないように配慮されなければならないという訓示的な内容であります。経営者側と申しますか、政府側において給与決定がなされる場合あるいは団交過程におきましても、こういう点を十分考慮してその内容をきめなければならないという趣旨を示しておるものでありまして、ただいまお話のように団交決定されたものを、さらにこの規定と次の第四条規定において侵害するというふうな内容を盛り得るということにはならないと思うのであります。
  11. 櫻井奎夫

    櫻井委員 大体提案者の御説明によりまして、私の非常に危惧しておりました点が氷解いたしました。しかしながら法案が制定された当時は、そのような立法精神がなまなましく生きているわけでありますけれども、法律というものは長く残つて行くものでございますので、この法文の上からだけだとやはり私の今申し上げたところの不安は除去されない。特に吉田内閣以上の反動内閣ができましてこのような法律をどのように悪用するかわからない、私はそういう危惧を多分に持つわけでございます。従つて——この法案趣旨には私どもも賛成しておるのでありますから抜本的に修正するというような気持はございませんけれども、この四条、六条については、なお念を押すために、何らかはつきりしたとえば当委員会附帯決議を付するというような処置をぜひ講じていただきたいというふうに私は考えます。従いましてまた次の機会においてその四条、六条についての今の答弁にありました趣旨を文章の上にはつきり生かしまして附帯決議をいただきたいと思うのでございますが、その案文等については後刻十分練りまして各党の御賛同をいただきたい、こういうふうに考える次第でございます。以上をもちまして私の質疑を終了いたします。
  12. 加賀田進

    加賀田委員 この問題は大体公労法に基いて団交決定された線に沿うて勤務条件主務大臣によつて決定するという説明がありましたが、そういたしますと危惧されることは、たとえば賃金問題において団交決定されない前にこの非適用者給与主務大臣によつて決定されるという危惧はないかどうか、このことを御説明願いたいと思います。
  13. 田上辰雄

    田上政府委員 団交の結果を待たないで主務大臣がいわゆる非適用職員に対しまして給与準則をかつてにきめられないかというただいまのお話でありますが、主務大臣はさつそくにでもその適当と考え給与準則を非適用職員にだけ規定するということはこの法律によつてできるわけであります。しかしながらかりに主務大臣給与準則決定いたしますについても、各大臣あるいは五現業関係の各省の幹部は、現在のいわゆる非適用職員の不均衡についてはこれを是正することに非常に熱意を持つておるわけでありまして、従つてもし予算的に配慮ができるならば、団交の結果を待たずとも、多少とも均衡をはかることができるような給与準則をつくりたいという希望を持ちますならば、あるいはすみやかにこの法律適用して適当な給与準則をきめるのではなかろうかとも思うのであります。しかしながらその線は、御憂慮になりますように、現在の非適用職員に一層不利な、また一層不均衡をはなはだしくするような給与準則決定するような非常識な幹部はないはずであると思うのであります。
  14. 加賀田進

    加賀田委員 私の危惧いたしますのは、そうした場合に、この法案から行きますと、主務大臣が非適用職員に対して独自に給与準則決定することができる。しかし法案趣旨として説明の中では公労法適用者団交に準じて給与準則その他の勤務条件決定する趣旨である、こう説明されておりますけれども、法案内容考えてみますと、たとえばベース・アツプ等団交によつてまだ具体的に決定されない前に、主務大臣が非適用者に対して給与準則等決定してしまつて、その決定団交に非常に影響を及ぼすということも、この法案ではできることになつておるわけであります。これは現在の公労法適用職員に対しても大きな脅威になるのじやないかと考えます。従つて、われわれはこの趣旨そのものに対しては了解いたしますけれども、法の解釈から行けば、この法を悪用することになれば、団交権に法的には拘束しないけれども、運用面で実質的に拘束あるいは制約を加えることもできるということが、この法案の中でわれわれとして非常に危惧する点であります。従つてそういう点に対して、やはり団交で諸条件決定された以後に、それに準じてこれらの非適用者給与等に対する問題を主務大臣決定するという方法を確認していただかなければ、そうした危惧が非常に起つて来るのではないかと思いますので、その点に対してのお考えを承りたいと思います。
  15. 田上辰雄

    田上政府委員 ただいま加賀田委員のお触れになりました点は、政府側としましては御趣旨のあるところを十分尊重いたしまして取扱いについて注意をいたしたいと思います。制度上といたしましては、ただいまお話のありましたように、団交のありました後に、その結果に基いて給与準則をきめて参りたいと思います。但しさしあたつてアンバランスを多少とも是正するということにつきましては、御承知のような不合理が相当長く継続しております関係もありまして、もしもそのアンバランスを是正することについて主務大臣給与準則を至急に改正をいたしたいというふうな場合がありますならば、ただいまお話になりましたような御趣旨にそむかないような配慮をいたした上で善処いたすことかありますことを申し上げておきたいと思います。
  16. 加賀田進

    加賀田委員 大体了解いたしましたが、二十九年度のすでに決定された予算の額で、公社が経理上あるいは業績上すぐ現在の団交対象組合と同じ水準給与準則決定されることは、財政上困難な点もあるかとも思いますけれども、今申し上げた危惧がないように、将来にわたつて善処していただきたいと思います。  それから、人事院総裁がおいでにならないそうでありますから、給与局長にお尋ねいたしますが、今度は逆に公労法適用者立場に立つて御質問いたしたいと思います。  われわれがいつも言つているように、憲法で保障された労働者労働権、特に罷業権その他団体交渉権も一応制約されておる政府関係職員給与その他の労働勤務条件に対する諮問機関として、人事院がこういう形で独立機関として制定されておるわけであります。従来これらの非適用者職員人事院保護下にあつたわけでありますが、今度それが給与に対してはとりはずされて主務大臣権限下に置かれるということになりますと、一般政府職員と異つて人事院からの保護が特に重要な給与問題についてははずされてしまつておるのだ、こういうことでこれらの非適用者はまつた保護機関がないという立場で、主務大臣の独自の権限によつて決定されるという、労働者として非常に不安な状態に陥れられることになるのではないかと思うのであります。もちろんそのことは団交によつて決定された団体交渉権を持つ労働組合の線に基いて実施されるならば、これはそう多くの危惧を持つ必要がないと思いますが、今の御答弁の中では、法の解釈上から行けばいろいろ悪用される点がある。その点で人事院としてはこの法案に基いて、人事院権限からはずれたこれらの職員に対してどう擁護されようとするか、その点に対して一応御説明いただきたいと思います。
  17. 滝本忠男

    滝本政府委員 ただいまのお話は、形式的にはまことにごもつともであると思います。ただ今回こういう法律案提案されました趣旨は、そういう公企労法の非適用者でありまして、しかも職場におきまして公労法適用職員と同様——同様というと語弊がありますが、机を並べて勤務している職員の処遇に関しまして、そういう職員人事院管理下保護下に置かれまして、一般職給与法適用者として扱われておりますと、公企労法適用職員との間にいろいろのアンバランスがある、このことが問題であるということになりまして、その点を是正するためにこういう法律案が提出されたわけでございます。お話の形式的な点はまことにごもつともと思いますけれども、われわれといたしましてはむしろそういう人人の給与を、現状における公企労法適用職員と同様にするというこの法律趣旨に賛成いたしまして、こういう法律ができるということはいいであろう、このように考えた次第であります。かりに人事院勧告権を残して置くといたしますと、一体いかなる根拠に基いてそういう人々給与について人事院勧告することになるかという点をいろいろ考えてみたのであります。人事院勧告いたすということになりますれば、これは一般職給与法適用者と同様な勧告しかできないのではなかろうか。一々人事院団体交渉の結果がどうなるであろうかということまで予測いたしまして勧告いたすということはできないのじやないか。従いまして形式的には御指摘のような点はございますが、実質問題といたしましてはこの法律をつくる趣旨がそこにあるのでありますから、むしろそのことはいいのではないか、このように考えた次第であります。従いましてそういう公企労法適用職員が、この法律によりまして将来団交の結果適用されるということに相なる、このようにわれわれは期待いたしておる次第であります。
  18. 加賀田進

    加賀田委員 趣旨はそうなんですけれども、今答弁の中で明らかになつたように、法解釈から行けば、悪用する場合に、公労法適用職員がさらに悪い条件に陥れられることも危惧されるわけです。そういう場合には人事院としても従来保護して来た職員としてのひもをもつて、それらに対する援護をする必要があるのじやないかと思うのです。そういう点に対しての御説明を願いたいと思います。
  19. 滝本忠男

    滝本政府委員 ちよつと申し落しましたが、そういう職員に対しまして行政措置要求ということはできるようにこの法律でなつておるのであります。行政措置要求ができますので、従いましてそういう職員は、主務大臣が不当な給与準則を定めるということになりますれば、そういう権限を発動いたして人事院に提訴するという道が開けておりますので、むしろこの際は人事院勧告権を保留するということで、そういう人々を別の意味で拘束いたしますよりも、むしろ行政措置要求ができるという権限を残しておくということによりまして、万一の場合にも対処し得る、このように考えております。
  20. 加賀田進

    加賀田委員 もちろん勤務条件に関する行政措置要求というのは、国家公務員法の八十六条以降にずつと載つておると思うのですが、従来と同じように人事院としては権限の意図する事項として、同じ勧告権限を持つのかどうかということ。この法案で見ますと、所管長に対して勧告することができるということになつております。この法案賃金その他の条件に対しては主務大臣決定するということになつておる。主務大臣に対して勧告する権限は、この公労法の中では明確になつていないわけです。この点に対して、人事院としては主務大臣勧告するのか、あるいはその所管している所管長勧告し、それが実質的に主務大臣勧告すると同じ効力を持つような考え方を持つておるのか。この点御説明願いたいと思います。
  21. 滝本忠男

    滝本政府委員 行政措置要求公労法にありまするただいま御指摘の点とまつた同一でございます。人事院といたしましては主務大臣勧告いたすことになると思います。ただ主務大臣権限を委任いたしておるというような場合には、その委任された人に勧告することになろうと思いますので、建前は主務大臣勧告することになる、このように解釈いたします。
  22. 加賀田進

    加賀田委員 そういたしますと勧告の力というようなものが非常に稀薄になつて来るのではないかと思います。現在給与問題等はすべて人事院が相当多くの権限を持つ勧告行つておるのですが、人事院権限からはずされて主務大臣がこれを決定するという、掌握権主務大臣が持つておるとするならば、そういう中において人事院勧告行つても、従来の勧告とこの法案が通過した以後における非適用職員との間の勧告相当権限の相違が起つて来るという危惧があるのですが、その点に対しては人事院としてはどうお考えですか。
  23. 滝本忠男

    滝本政府委員 場合をわけまして、人事院勧告をいたしまして、一般職給与水準なり何なりがきめられる場合、それから主務大臣がきめる場合というふうに話をわけて、主務大臣がきめる場合には少し稀薄になりはしないだろうかというお話があつたのでありますが、ただ人事院給与水準引上げ勧告を出すという場合におきましても、これを決定するのはやはり法律決定されまして国がおきめになる、こういうことでありまして、別にその管理勧告厚薄があるというようには考えてないのであります。この法律がもし通りましたならば、その際に行政措置要求につきまして人事院勧告をいたします場合の効果は従前通り同じであると考えております。
  24. 加賀田進

    加賀田委員 最後に人事院にお願いいたしたいのですが、こういうふうにして、人事院が従来ずつと給与問題に対して、保護機関として公労法適用職員にもあたたかい手をさしのべてずいぶん考慮されていた、しかし今度主務大臣になりますると、やはりこうした賃金その他の勤務条件というものは、主務大臣によつて決定されるので、特に一般職員より以上に、それらの主務大臣権限に基いて決定される労働条件こ対しては留意していただかなければならない。同時にこうした行政処置要求に対しても特に考慮して万全の処置を講じていただきたいことをお願いいたしまして、私の質問をこれで終ります。
  25. 川島正次郎

  26. 受田新吉

    受田委員 大体加賀田櫻井両君お話で尽きておるのですが、私から追加して基本的な問題でお尋ねしておいて終りたいと思います。たとえば国の経営する企業に従事する職員の中に、国家公務員を存置しておる法理論的根拠政府並びに人事院から御説明いただきたい。
  27. 滝本忠男

    滝本政府委員 人事院の方からお答え申し上げます。現在公務員法におきまして、少くも国家から給与を受けておる人々、そうして国の業務に従事しておりまする人々、ひとしくこれは国家公務員であります。そういうことでありまして、国家公務員法が全般的に適用されておる。これが現在の状況であります。ただそういう場合におきまして、特別会計でありまする現業というようなものについては、その一般的な規定よりもむしろ若干、たとえば団交を許すということの事情に適合するという面につきましては、ある程度公務員法規定をはずしてある、このような状況になつておる。従いまして今御指摘になりました点につきまして、ある種の意見があるということはわれわれ承知いたしておりまするが、現在の公務員法のもとにおきましては、でき得る限り国家公務員といたしまして全部の処遇なり待遇なり、また保護という点につきまして、統一的にいたしたいということで現在の公務員法がでぎておるわけでありまするから、これはやはりその公務員法趣旨に従いまして、国家公務員という身分を与えてあるということは当然であろう。現在の法体系のもとでは、このように考えておる次第でございます。
  28. 受田新吉

    受田委員 最近国家公務員、地方公務員というようなそれぞれの基本的な法体系の上に混同される傾向が多分に起つておる。たとえば今度の警察法案のごときを見ましても、地方の警察職員の中に国家公務員を少数置いてみたりして、その国家公務員が地方公務員を事実上任免するような形に持つて行つてあるような事態が起つておるのです。また政府は地方公務員の身分のあるものを、政治的な活動とか、その他特別な事項については国家公務員並に取扱うとかいうような、教育二法案のようなものもこしらえておる。こういうところに何か国家公務員と地方公務員との混同を来さしめるような、いろいろな施策をとつておられるのです。これは政府自身が何か確固たる信念を持つていないということになると思うのです。私はこの法律の制定の趣旨については、櫻井君同様、政府の最近とつた政策の中では、最も妥当性を帯びた賞揚すべき一面を持つた法案だと思つて歓迎しておるのでありますが、そうした点について、政府自身にはなはだ法体系に一貫した信念がないように感ずるのです。これをいかがお考えになりますか。
  29. 田上辰雄

    田上政府委員 先ほど並びにただいま受田委員が仰せられました公務員の身分体系が合理的に整備されておらないという点につきましては、私どもの間でもその点についていろいろ論議はされておるのであります。しかしながらこの問題はきわめて広汎にわたることであり、またそれに関連して非常に複雑な影響もありまするので、その点につきましては、近く開催されまする公務員制度調査会におきまして、その問題を取上げまして、ただいまお話のありました一般職員と五現業公労法適用職員との関連の問題、あるいは国家公務員と地方公務員との関係の問題等も研究される予定であります。その点を一応御了承いただきたいと思うのであります。  なお今回提案いたしました国の経営する企業勤務する職員給与等に関する特例法案は、実は基本的なその問題に関連して取扱いまするために、やはり他の体系との関係も起りまするので、さしあたり公労法適用職員と非適用職員との間の相当はなはだしい不均衡というものを、さしあたり是正する必要があるというので、この案件だけ取上げまして提案いたした次第でありますが、先ほど申しました国家公務員制度調査会におきまして、さらに先ほどお話になりました根本的問題も検討を加えて参りたいと存じておるのであります。
  30. 受田新吉

    受田委員 この法案の三条の二項、六条の二項というように特別に考慮する規定をあげておるのでありまするが、先ほどの御説明によると、これは気休め的な規定のように感ぜられるのですが、この規定をここへ置かれた理由はどこにあるのか、もう一ぺん御説明いただきたいと思います。
  31. 田上辰雄

    田上政府委員 第三条の二項は、公労法適用職員に対しても、現在の特別会計法に同様の規定があるのでございます。その規定をここにあげだまででありまして、職員給与は、国家公務員及び民間事業従業員給与等事情を考慮して、はなはだしく不均衡な状態にならないように考慮されなければならぬということの訓示規定であることは先ほど申し上げました通りであります。第六条の二項につきましても同様の趣旨でありまして、勤務時間、休憩、休日及び休暇等、給与とうらはらをなすこれらの勤務条件につきましても、一般職職員給与に関する法律適用を受ける公務員勤務条件、そういう点につきまして考慮を払つて、はなはだしい不均衡、非常識にならないように十分配慮しなければならないということを、主務大臣に対しまして訓示的に、決定する上の考慮条件として示したものであります。先ほども申しました通りに、団交の結果による諸条件をこれによつて侵害するというふうな内容でないということを御了承いただきたいと思うのであります。
  32. 受田新吉

    受田委員 そういう団交の結果の束縛をするものでないということに考えられた場合に、この規定は非常な束縛規定になつておるかどうか。つまり考慮ということが必須要件になつておるかどうか。考慮ということは、ただ単に基準を示すだけの訓示規定というような軽いものであるかどうか。そういうものであるならば、これをことさらに規定するような必要があるかどうか。もうちやんと一般職職員給与法国家公務員法、こういう法律をすべて尊重する建前になつておることは間違いない。団交の結果実を結んだものが、そういう民間事業の従業者給与などとそう隔たりのある結論が出るわけはないということになるのですが、この点について御所見を承りたい。
  33. 田上辰雄

    田上政府委員 ただいま受田委員のおつしやるような軽い意味でなくてもいいんじやないかといえばそれまででありますけれども、しかし一応法律的な立場からこういう点を考慮しなければならないということは、他の規定にも所々に見えておるところであつて、こういう一つの考慮——考慮というのはその点をしんしやくして、その線に沿うように努めなければならない、こういう程度のことであつて、実質的なものでなくて、たびたび申しますように訓示的な規定、こう申しますのが当つておるのでありまして、そういう点を考慮しながら主務大臣規定を定める際に、そういう観点から注意をして扱わなければいかぬ、こういうことを一応申しておる点であります。
  34. 受田新吉

    受田委員 これはそういう注意をここであげておるということになつておるようでありますが、主務大臣が考慮するようにして団交の結果をも見合せるようにすべきだというような、御注意を申し上げるという軽い意味にはとれないと思うのです。こういうような規定をできれば基本的に給与体系に法的根拠を与えるような——公務員制度調査会などからどういう結論が出るかしれませんが、すべて給与に関する法規に一環したものは一まとめにした体系をつくつておく必要はないか。私は最近いろいろな職種の公務員給与の体系がまちまちであることをはなはだ不愉快に思つておるのです。保安庁の職員の問題にしても日給がまだそのまま残つておるとか、あるいは外交官の場合とかあるいは警察職員の場合とか、特に国家公務員である職員と地方公務員である職員との給与の差等が生じておるというところにひとしく全体の奉仕者の立場に立つ公務員の受ける給与がいろいろな形でまちまちになつているというそしりを政府は受けてもしかたがないと思うのです。この点給与に関してももう少し公務員立場が安定されるように体系をつくつておく必要はないか、こう考えます。今この情勢においてこの法案が出されることについては何ら異議はなく、むしろ大いに歓迎したところでありますが、この法律案を出された機会に政府そのものがそういう問題で十分検討を加えていただきたいわけで、政府はこの際単に一般職、特別職あるいは公労法適用を受ける職員とかいう問題のみならず、国会の職員についても十分検討を加えて行く必要があるし、すべての公務に従事するものに対するそうした法理論的納得の行く説明ができるような法案を御整理なさる必要があると思うのですが、この点いかがお考えになるか。また人事院としても、ただ人事院一般職国家公務員に対しての重要なる保護をする機関であるというような形でなくして、国家公務員の範囲を離れてはおるが、こうした現業企業に従事する職員立場もつと基本的に考えて行くような法律の制定を必要とするのではないかというような点についても人事院の何か御意見はないか。ひとつ双方から御答弁願います。
  35. 田上辰雄

    田上政府委員 御趣旨の点は十分考慮いたしまして、今後研究を続けて行きたいと思います。
  36. 滝本忠男

    滝本政府委員 御指摘通り現在一般職というものと特別職、また一般職の中におきましてもたとえば検察公務員でございますとかいう特別の給与法の制定されておるものがあるわけでございます。これは御指摘のように、同じ公務員でありながら、その処遇等につきまして相当の径庭があるというようなことは、はなはだどうもぐあいの悪いことではなかろうか、そういう状況は十分に認識いたしております。ただ現在の人事院立場といたしましては、一般職しかその所管にないのでありますから、ただいま田上政府委員から御説明がございましたように、公務員制度調査会が設けられ、その中には人事院関係も参画し得るような機会が与えられておりますので、そういう機会に十分検討いたしたい、このように考えております。
  37. 川島正次郎

    川島委員長 山口好一君。
  38. 山口好一

    山口(好)委員 ただいま各委員の御心配になつておられます事柄を、裏の方から御質問いたしたいと思うのであります。この法案が通過いたしますれば、あるいは政府としては、さつそくにもこのアンバランス是正のために、第三条に基きます給与準則というようなこともきめることと思いますが、現実の問題として団交の結果などを制約しない、それに反しないところのアンバランス是正というものが、特に現在の予算関係などから実現できるかどうか、これをまず御質問いたします。
  39. 田上辰雄

    田上政府委員 ただいま山口委員のお尋ねの、法案が通過すればただちに給与準則をきめて、このアンバランスの是正に努めるか、こういうお話でありますが、これは五現業関係の各省庁局におきまして、いろいろ事情が異なつておりますので、ここでたたちにどういたしますということを答弁いたしかねるのでありますが、しかし五現業のそれぞれの幹部におきましても、この不合理をすみやかに是正して行きたいと考えておりますので、それぞれできるだけの配慮をいたしまして、そのアンバランス是正の早く実現されますようにできるだけの努力をいたすことだと思つております。
  40. 山口好一

    山口(好)委員 ただいまの御答弁で極力努力するというのでありますが、現在よりも処遇関係が悪くなるというような、そういうアンバランス是正ではないでありましようね、それをお尋ねいたします。
  41. 田上辰雄

    田上政府委員 申すまでもないことだと思います。予算制約もありますので、本年度においては、是正は非常に困難だと思うのであります。しかしながらなお五現業のうちにはただちに内部的にいろいろ考慮されておる筋もありますし、御趣旨に沿うように現在のアンバランスをできるだけ早く是正したいという線で進んでおりますことを重ねて申し上げるのであります。なお来年度以降につきましては、このアンバランス是正につきましては、新規の予算請求もできるわけでありますし、相当是正の行われることにつきましては、私ども期待をいたしておるわけであります。
  42. 山口好一

    山口(好)委員 この法案によりますと、この準則を定めまする権限主務大臣あるいは政令で委任を受けた者にあるということになつておりますが、この各主務大臣をやや異にいたしておりますから、その間の連絡統制ということをお考えにならなければならない。やはりその間の連絡かうまく保てなければ、真のアンバランス是正というものはできないと考えるのでありますが、その点政府のお考えを承りたい。
  43. 田上辰雄

    田上政府委員 各省間の給与準則内容の連絡統制を御希望のようでございますが、希望は、持ちたいと思うのでありますけれども、しかし各五現業の間は特別会計で全然別々になつているわけで、その点を統一的に一本にするということはできないのであります。事実上のいろいろな連絡は各省間でいたす機会もあるのでありますけれども、建前といたしましてこれを統一する、あるいはその間の調整を具体的にはかる、ということはでき得ないと御理解願いたいと思います。
  44. 山口好一

    山口(好)委員 しかしそういうことは今後として考えて行かなければならないと思うのですが、その点はいかがですか。現状はそうなつているとしてもですね。
  45. 滝本忠男

    滝本政府委員 ただいま山口委員の御指摘のありました点は、むしろそういうことであるならば、各現業もそれぞれ団交によりまして給与をきめるというのでなく、一般職給与法適用されるというようなことになりますれば、これはおのずから統一はとれるのであります。しかし公企労法に五現業が入つて行きましたゆえんのものは、やはり現業の特質に応じましてそれぞれ給与をきめようということでありますので、全般的に政府職員給与というものが、ある観点から、たとえば三条の二項あるいは六条の二項というものの訓示規定によつて統一されるということは期待できるかもしれませんが、しかし現実の問題といたしまして、やはり個々別々の企業におきまして、その企業公企労法適用職員と非適用職員の調整をはかろうというようなねらいでございますので、御希望の点はなかなかむずかしいのではないか。今やろうとしているのはそれと反対の方向に向つておるように、われわれ考えておる次第であります。
  46. 川島正次郎

    川島委員長 これにて大体の質疑は終了しました。  次会は公報をもつてお知らせいたします。散会いたします。     午後零時二十四分散会