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1954-04-16 第19回国会 衆議院 人事委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年四月十六日(金曜日)     午前十一時七分開議  出席委員    委員長 川島正次郎君    理事 赤城 宗徳君 理事 永田 亮一君    理事 山口 好一君 理事 舘林三喜男君    理事 櫻井 奎夫君       荒舩清十郎君    田中 萬逸君       西村 英一君    池田 清志君       小山倉之助君    石山 權作君       森 三樹二君  出席国務大臣         国 務 大 臣 加藤鐐五郎君  出席政府委員         人事院総裁   浅井  清君         総理府事務官         (行政管理庁管         理部長)    岡部 史郎君  委員外出席者         判     事         (最高裁判所事         務総局人事局         長)      鈴木 忠一君         判     事         (最高裁判所事         務総局人事局給         与課長)    守田  両君         専  門  員 安倍 三郎君         専  門  員 遠山信一郎君     ————————————— 四月十二日  委員荒舩清十郎辞任につき、その補欠として  生田宏一君が議長指名委員に選任された。同月十三日  委員生田宏一辞任につき、その補欠として荒  舩清十郎君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  国家公務員法の一部を改正する法律案内閣提  出第一〇一号)  公務員給与に関する件     —————————————
  2. 川島正次郎

    川島委員長 開会いたします。  国家公務員法の一部を改正する法律案を議題として審査を進めます。櫻井奎夫君
  3. 櫻井奎夫

    櫻井委員 私は国家公務員法の一部を改正する法律案につきまして、その概括的質問をいたします。この法律案につきましては、すでに各党から概括的質疑があつたわけでございまして、大体の質疑は尽きておると思うのでございますが、しかしいまだに納得の行かない点が二、三箇所ございますので、その点につきまして担当大臣の責任ある御答弁要求する次第であります。  まず、今回の国家公務員法の一部を改正する法律案提案理由の一番大きなものは、わが国行政機構実情に調和した組織と権限を持たしめるためにこのような改革をやつた、こういうことが述べられておるわけでございます。しからば、従来の人事院というものがやはりわが国行政機構の中においてその実情に調和しなかつた、とこういうふうなことになると思うのでございますが、どういう点が一体従来の人事院においてはわが国実情に調和しなかつたか。その点をはつきりと御答弁いただきたいのであります。
  4. 加藤鐐五郎

    加藤国務大臣 これは先般来、従来の人事院のあり方が少しくわが国情に適さない、やや行き過ぎたる点がありはしないかということは、しばしば申し上げた通りでございます。それで今の実情に今度の改正案が沿うべきものであると、いろいろ先般も申し上げた通りのことでございます。
  5. 櫻井奎夫

    櫻井委員 私が聞きたいのは、具体的にどういう点が実情に即しなかつたかということをひとつお示し願いたいということを質問したわけでございます。
  6. 加藤鐐五郎

    加藤国務大臣 これはさきに、ほかの御質問に対しましてしばしば申し上げたことでございます。
  7. 櫻井奎夫

    櫻井委員 明確な御答弁を私は聞いていないのです。実情に即しなかつたということはしばしば聞きましたけれども人事院の持つておる機構権能と申しますか、この中のどういうところがしからば実情に適しないのか、こういう点が適しないからこういうふうに改めるのだという具体的な問題があるはずである。そこをお示し願いたい。
  8. 加藤鐐五郎

    加藤国務大臣 これも私申したつもりでございますけれども、今までの人事院の存在というものがあまりに準司法的と申しますか準立技的と申しますか、少しくそういう点において学者の間に講論の余地があつたやに聞きおりますがゆえに今度の改正をしたようなわけで為りまして、また今度改正をいたしました点のごときは、たとえば御承知のごとく宣誓制度であるとか、二重予算制度であるとか、百分の五であるいは増し、あるいは減らす場合に勧告をするとかいうようなことでありますが、そういう点は、今度の改正をした点のうもにそういう百分の五というような基準を示さなくてもいいではないか、また二重予算のごときは、そういう実例もまた実際の必要もなかつたのですから、こういうことはやめてもかまわぬではないかというような点ございまして、これは従来の実情に徴しましてあまりさしつかえないし、人事院独立性というものがこれで何も侵害されておるわけではないのであるから、むしろ行き過ぎたと申しますか実情に即するようにいたした、こういうことでございます。
  9. 櫻井奎夫

    櫻井委員 二重予算の問題とか純司法権と申しますか、こういうものが非常に強過ぎた、そのためにこれを今度のように改革して行くのであつて人事院の持つておる権能はそんなに今度の改革案によつても侵されていないという御答弁のようでございますが、これはやはり根本的に考身方が違うのであつて今度の改正案になりますと、これほ人事官がいわゆる単なる総理府の外向になつてしまうのでございまして、人事官身分そのものはなるほど保障されるのでございましよう。そういうことはしばしば先ごろの御答弁にありましたけれども、しかし人事院機構そのものが根本的に骨抜きになるということは、だれが見ても否定することのできない厳然たる事実であります。ただ人事官身分を保障したからといつて、すべての機構総理府の中に吸収してしまつて、それで人事院の持つてつた今までの独立的権能が保障されたと言うことは詭弁にひとしいのでございまして、事実上これは人事院骨抜きになり、国家人事委員会といういわゆる内閣に隷属するところのものになるというふうに判断せざるを得ないのでございますが、特に今回のこの改正案では、初めは政府行政機構改革ということをあのように大きく宣伝しておきながら、事実においては何らこの行政機構改革というものができていない。各省の単なる天引き人員整理に終つてしまつておる。ただ政府としてもし承機構改革をやつたという事実があるとするならば、この人事院改組と、いまだ衆議院で審議もやつておりませんが警察制度改革、この二つだけがまず大きく取上げられておる問題だと思うのであります。この人事院権能を縮小することは、これはやはり容易ならぬ、いわゆる公務員基本的権利の擁護をある程度大きく抑制するものでございまして、この人事院改組警察機構改革ということは、やはり今の吉田内閣の持つておる反動性を明確に露呈しておるというふうに私どもは感ぜざるを得ないのであります。大体この人事院のできた当座の事情は、もちろん今日の事情とは異なるでございましよう。しかしながら日本の公務員制度を民主化するということと、それからいわゆる公務員利益を擁護して行くという大きな原則に立つてこれが打立てられておるのでありまして、あくまでもこういう立場に立つ限り、この人事院というものは、独立権能を相当幅広く認めなくちやなもないことは当然でございます。特に第三回国会でございますか、国家公務員法が上程されたときの国家人事委員長であられた浅井さんからも、その点は極力強調されております。人事院が不偏不党で、いかなる勢力の制肘も受けない厳正公平な行政を行うためには、どうしても幅広い独立権能を持たなくちやならないということをるる述べておりますが、私は浅井総裁に御質問を申し上げたいのでございます。もちろん公務員法が上程されたときの昭和二十三年の状況と今日の状況は、国内的にも国際的にも大いに異なるところはあると思うのでございます。しかしこの人事院の使命というものは、それほど急激な変化は遂げていないと私は思うのであります。従つて第三回国会において提案されました提案理由にこれらのものが三点、四点にわたつて強調してございますが、これらの原因が今日の国内情勢においてすでに必要がないというふうに総裁はお認めになつておるかどうか、あるいはやはり人事院を置くという根本的なこの原理、これは今日といえども絶対に守つて行かなければならぬというふうにお考えかどうか、その点ひとつ総裁の御意見お聞かせ願いたいのでございます。
  10. 浅井清

    浅井政府委員 その提案理由は、今日においてもその通りであると私は信じております。
  11. 川島正次郎

    川島委員長 石山權作君の御要求によりまして、この際公務員給与に関する件の調査を進めたいと存じます。本件調査最高裁判所当局より発言の要求があります場合には、国会法第七十二条第二項の規定によりこれを承認することといたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 川島正次郎

    川島委員長 御異議なしと認めます。さようにとりはからいます。  石山樺作君。
  13. 石山權作

    石山委員 本委員会任務は、公務員諸君給与身分等すべての人事の点に関して審議をして、万遺憾なからしめるような結論を出すのが任務だというふうに考えております。たまたまわれわれの審議対象になつている現在の人事院改組問題が今論議されておる最中、しかもその人事院改組が、われわれに言いわしめれば非常に弱体化されつつある。公務員があまりにも大多数の公の犠牲になり過ぎる面が出過ぎてしまつてそれを擁護する分野が非常に薄れて行くというような懸念のある最中において、最高裁において最近四号調整の問題を対象にしまして、労働組合圧迫と申しますか、四号調整に名をかりて組合脱退を懲通したというふうな点が新聞などで、しかも一つ新聞でなく有名なる新聞に数多く報告されているのを見ますと、その事実の輔をわれわれは知つおく必要があると思いましたのできようおでましを願つたわけなんでございまして、その点をひとつここで御報告願いたいと思う次第であります。
  14. 鈴木忠一

    鈴木最高裁判所説明員 ただいまの御質問に関して、私最高裁判所事務局におつて給与方面を担当しておる責任者として御説明申し上げます。御承知のように、ただいまの公務員給与は、仕事内容困難性、それから環境等労働条件によつて給与の高低が定まつておるわけでありますが、裁判所職員については、その仕事困難性ということに着目されまして、人事院大蔵省との折衝の結果、昭和二十五年の多分十二月と記憶しておりますが、二十五年の十二月以来、裁判所書記官及び書記官補、それから少年調査官並びに調査官補、これにはそれぞれ二号ないし一号の号俸調整ということがされておつたわけなんです。ところが裁判所事務官については、この号俸調整がないわけです。と申しますのは、事務官職務の広容と書記官職務内容調査官職務内容というものは異なるから、事務官には号俸調整がつけられないというのが従来の主張で、これは私どもも常に努力をして来ておりましたけれども、これが実現し得ないのであります。ところが職員の方では、なるほど公判に立ち合い、調書をつくる、つくらないという点からいえば、仕事内容は異なるには相違ないけれども裁判所内部におつて、しかも仕事は密接な関係を持つているのだから、裁判所職務内容特殊性を主張して、事務官書場記官とを一緒の給与にしてくれ、つまり書記官に右へならえをさすべきが当然なんだ、これが職員一般の非常に強い要望で、事あるごとにこれが強調されるわけです。もちろん組合もいわゆる職員の一本化ということを従来主張して参つたわけです。ところがこれは、裁判所事務官特殊性をいかに強調いたしましても、それは他の行政官庁と大差はないじやないかというような意見が強くて、なかなか通らぬわけなんです。ところが一本化を叫ぶのは職員のみでなくして、実は所長、長官等も一本化すべきだという線で、われわれ事務局がずつと責められておつたわけなんです。ところが、検察庁事務官に四号調整をするということがたまたまこの一月ごろになつて初めてわかつたわけなんですが、従来、検察庁検察事務官になつている者と裁判所職員になつている者とは、御承知のように司法省の傘下で、裁判所の書記ということで同じ待遇を受けてずつと来ておつたわけです。でありますから、号俸調整はそもそも、検察事務官最初について、なぜ裁判所書記官につかないのだということを非常にせつつかれて、われわれが、少しおそまきながら努力をして裁判所書記官にもつくようになつたわけです。ところが、今度四号調整検察事務官につくと、裁判所書記官が黙つているはずはない、これは必ず水平運動が起されるということを見越したものですから、大蔵省は非常に反対をしたのですけれども、とにかく予算の締切りまぎわになつてしまったので予算的処置だけはしておいた、つまり、裁判所書記官に四号調整をつける、つけ得るというような段階になつたならば、そのときには予算的の措置がないからつけられないということを言わせないために予算的措置をとりあえずしたわけなんです。しかし、御承知のように、刑務所職員であるとか、消防署の職員であるとか、海上保安庁の職員であるとかいうようなものは大体四号調整に匹敵するところの俸給を受けているわけです。それについては、御承知のように、国家公務員法によつて職員団体結成禁止が決定をされているわけです。それと同時に、勤務時間が延長されているわけです。五十二時間になつているわけです。ですから、大蔵省方面としては検察庁と同様な条件勤務時間が長くなる。そうして、事実上検察庁職員組合結成をやめた、こういうことである以上は、裁判所のみに対して有利な条件を付するわけには行かないわけです。私どももまた、裁判所なるがゆえにそれ以上有利な条件で、しかも四号調整が可能な場合にはつけろということは言えないわけです。そういう条件のもとに、職員がそれでも四号調整を受けて、現在以上の給与を受けることが望ましいということに足並がそろうならば、われわれとしてはつけられるような態勢を整えておこう、こいうことでそういう態勢を整えておつたわけなんです。今回新聞で、組合解散を命じたとか通達を発したとかいうようなことが言われておりますが、そういう事実はないわけです。四号調整という内容はどういう内容であるか、それからどの範囲の職員につけるか、それを各地職員周知徹底させて、そうしてその上で自由にきめてもらいたい、ということは、われわれとして今まで一本化ということ職員待遇ということについて非常に苦心をし、あとから押され、強調されて来たわけなんですが、結局この程度ならばできるから、それをよく検討して自由にきめてもらいたい、そういう趣旨各地職員に徹底させて、そうして態度をきめてもらいたいういうのが事の内容であります。従つて通達を出したとか、職員の現在の団体禁止をするとか、そういうことは少しも当面の問題にしていないのです。大体の事情は今申し上げたような事情であります。
  15. 石山權作

    石山委員 整備された御答弁なので、今の御答弁では、組合に対していささかも容豫の箇所がないようにも思われるのですが、実際から言うと、給与課長守田という方がこういう重大な問題をば口頭指示をしておつたということがもつぱら言われておる。今まで裁判所というところは、これは無理もないと思うのですが、くだらないという言葉使つてはいかぬと思うのですが、非常にささいなこと、わずかなことでも文書で通達をする慣例だつたそうでございます。それが四号調整について、組合離脱勧告と申しますか、離脱に関する可否を調査するアンケートをするような場合において、口頭でやるなどとは、私は、その内容のよくわかつている裁判所だけに、その法の盲点をつきまするやり方が、非常にあくどいような印象を受けざるを得ないのでございますが、その点はいかがでございますか。
  16. 鈴木忠一

    鈴木最高裁判所説明員 ただいま申しました四号調整に、書記官のみでなく、事務官の多くの部分がなるということについて、大蔵省にむしろこつちからせつついて、大蔵省の了解を得たのがきわめて最近のことなのです。多分今月の五日、つまり一月からわれわれはいろいろ大蔵省——大蔵省の方から言えば、おそらく無理を言つて来たと思うだろうと思うのですが、その結果、最初は、書記官は従来二号と一号なのを四号と二号にするかどうかということも、実は大蔵省はなかなか譲歩しなかつたわけなんですが、それを、書記官について四号調整にするということも大蔵省が譲歩し、さらに事務官の大部分についても実質上つけるということを譲歩せしめたのが、今月の多分五日だつたろうと思うのです。ところが七日に、各地高裁の次長を事務連絡のために集めておつたのです。これは、主任書記官首席書記官というものの試験を今度やつて、その任命をどういうふうにするか、つまり各地裁判所家庭裁判所には事務局長というのがございますが、事務局長首席書記官というようなものを兼務させるか、どういうようにさせるかということを主題にして、事務連絡のために集めてあつたわけなんです。その席上で、こういうことになつたから、帰つたら至急連絡してくれ、そうして諸君職員の先輩なんだから、こういう事情だということを周知徹底をさせた上で、異存がないという見込みのときには正式に事を運ぶから、こういうような趣旨であつたわけなんですから、時間的にいつても、各裁判所に正式に通知をすることができないわけなんです。その間にこれがもう最高裁判所態度なりとして組合が騒ぎ出し、職員が騒ぎ出したというので、実は正式なあれが行く前に先手を打たれてしまつた、こういうことなんです。
  17. 石山權作

    石山委員 それから私大蔵省の問題について三日したいのですが、大蔵省高裁事務当局に何か指示をしたというふうな風聞もございます。たとえば検察庁あるいは消防警察、監獄の看守、こういうもののように組合をつくらなければ、そういうふうな手段を講じてもよろしいというふうな意思表示をしたかどうか。これは相当重大な問題だとわれわれは解釈しているのですが、そういうふうに指示みたいな、あるいは忠告みたいなものがあつたかどうか。
  18. 鈴木忠一

    鈴木最高裁判所説明員 御承知のように、消防関係職員刑務所関係職員等につきましては、法律組合結成が規制されております。それから法務省の検察事務官は事実上解散しているわけです。それで給与体系から申しますと、同じような待遇を受けるからには同じような条件でなければ困ると、大蔵省は言われるんです。こちらに対して圧迫を加えるとか、そういう意味でなく、同じような条件でつけるならばつけられるけれども、もし条件が少しでも有利になれば、大蔵省としては、給与の建前上、それはつけられない。というのは、少しでもゆるやかな条件だとすれば、各官庁みな右へならえをするから、自分の方としては給与体系をくずすわけには行かない。私どもの方としてはくずしたいのでありますが、そこはくずせないから、職員がどうしてもつけるというなら、そのときの用意をしておかなければならない。こういう苦しい立場で、大蔵省可それでもいいから、とにかくつけるということになれば、つけられ得るような予算的措置してくれ、こういうことになつたわけです。大蔵省解散をしろと言うことはもちろん言えませんし、またそういう越権を私どもはのむわけもないわけです。
  19. 石山權作

    石山委員 これはやはり大蔵省の一種の越権行為に見えます。あなたたちが特に使いたがる教唆扇動というような言葉に類似する行動にもなりかねない。これを推し進めれば、不当労働行為の範疇に属するのではないかというふうな疑いが出て来ます。疑いのあるようなものは罰しないのが裁判の慣習だそうですが、あなたたちのやつて来た今までの経緯を見ますと、公務員法の九十八条に違反する可能性が非常にあるわけです。その言葉はどういうふうに使つたか知らぬけれども労働運動というものは、御承知のように、労使話合うときはいろいろなあやがございまして、感情も入るし、いろいろあるようでございますけれども、その経過から見ると、どうしても組合内部に干渉した印象が濃くなる。労働法から見ましても、労働組合法の七条の一号、三号、つまり組合アンケートなんかした場合は組合運営に対して容嫁したという印象を受ける。こういうふうな非常に容疑の濃いような場合に対して高等裁判所ともあろうものが、軽々にそういうような行動をとられるということは、組合諸君を刺激して、組合諸君先手を打つたかどうか知らぬが、いきり立つのは当然のことだと思う。少くとも人情の機微と法律を守られる高裁においては、もう少し周到にこの手段を講じてもよかつたのではないか。皆さんが四号調整に対して特に努力されたということはよくわかります。しかし努力された結果が組合内部に干渉したような、つまり非組合員であることによつて利益を得て、組合員であることによつて不利益を受けたということになれば、これは完全に七条に違反します。非組合員であれば四号調整を受けられるのであつて組合員であれば受けられないということは、これをあなたの方から指示したとすれば、これは組合内部組合運営に対して容喙したという判定が出ざるを得ない。それはあなたたちはおそらくいろいろな法律をどこからかひつばつで来て、その穴埋めをやつているでしよう。そうして法律にひつかからないようなすれくの見解で指示したかもしれません。あるいは勧告なんかで意思表示をしたと思うんだ。組合をやめれば、四号調整をしてやる、こう言つたと思うんです。そうした場合コにおいては、はなはぜけしからぬと思う。えさを与えて組合を弱体化する。特に四号調整になろうとする者は、年齢からいつて組合の中堅にある人でございます。それらの人に対して、しかもうまいというか、変なことは、時間延長によつて給金を上げる、四号調整をしようという。時間延長によつて給金を上げるということは、何でもないあたりまえの話で、何も皆さん努力してもらわなくともいいような印象を受けるわけです。こういう点から見ましても、今回の措置ははなはだ私は不手ぎわなものであるというふうに、御忠告を申し上げざるを得ないと思います。なおこれからも多々あると思いますけれども、これからまた再度こういうことが起きるかもしれない。これは老婆心かもしれないけれども、特にああいうふうな官庁裁判所検察庁なんというものは、非常に私は近代社会一つの断面を現わしているものだと思います。近代社会はその機構制度の上において非常にきれいなシステムを組んでおる。そうした場合はその国家はまことにいい発展途上にあると思うのですが、反面われわれの自由が非常に奪われがちだということも事実なんであります。そのときにその制度機構においてわれわれの自由を守るということは、社会発展のための欠くことのできない要素なんであります。この場食われわれは公務員法を厳重に守らなければならないという点を力説しておる。労働組合も守らなければならないということを力説をしているのでございますが、あなたたち自分機構制度のみをば非常に上手にやろうとしてかんじんかなめの元になることを、ちつとも御理解しようとしないなうば非情に片手落ちになるし、社会そのものがびつこになる。あなた方は裁判所の高いところにおつて社会全般を見ておるからよくおわかりだろうと思います。片一方を弾圧したら片一方がふくれる。犯罪というものはそういうところから出て来るということはあなたはよく知つているはずだ。そういうことをあえて片手落ちにして自分たち機構制度を維持するために、団体交渉を受けたり、組合と折衝する煩雑さをいとつて組合解散をやろうとか、勧告しようなどというのはとんでもないことだ。紳士協定というような話があつたようでございますけれども組合はそんなことによつて規制されないものだと思う。たとえばあなたと今の組合委員長紳士協定をしても、組合というものはそんなものじやないと思う。組合を阻止する、つくつちやいかぬということは、あなた方の方で文書でつくれないはずです。だからいわゆる紳士協定だと思う。こんなものはあなた方は文書がなくてやつたのでは、年数がたつてあなたが今の席からやめれば、あるいは今の組合委員長がその席からいなくなれば、自然発生的に組合ができてもやむを得ないことだと思うのです。そういうむだになるような紳士協定を目当にして、そうして組合の動揺を来して、あなた方自身も不愉快な思いをするようなことは、ぜひともこれからおやめ願いたいということを最後に申し上げまして、私の質問を終りたいと思います。
  20. 鈴木忠一

    鈴木最高裁判所説明員 組合を弾圧するとか、組合と交渉することをいとうとかいうようなことは、われわれちつとも考えておりません。それから少くとも組合と交渉することをいとつておるか、いとつておらないかということは、組合諸君によく聞いていただけば、それはわかると思います。それから裁判所職員給与をどうするかということは、私どもがやはり事務の当局にあるものとして、裁判所職員給与を常に少しでも引上げて行かなければならないということは言うまでもなくてこのことは現在の職員のために必要であるだけでなくて、将来裁判所以外の官庁に劣らない、いい職員をひつぱつて来るようにするためにもぜひとも必要なんです。御承知のように裁判所とか検察庁とかいうようなものは、必ずしもほかの官庁のようにすかれる官庁ではないと思います。そういう点からいいますと、給与だけは少くともできるだけよくしておきたい。そのためにはできるだけのことは無理な場合にも大蔵省に言つて手を尽そうというのが——たまたまこういうことになつたのです。おつしやる通り少し早計ではないかと言われれば、もう少しほうりつぱなしにしてみておつて、そうして職員から言つて来た場合に立ち上ればいいということも考えられますけれども職員から必ず来ることなんだからその措置だけはしておこう、そうして職員によく実態を見てもらつて、自由にきめて行こうというのがわれわれの考えで、御指摘になりましたような点では私ども同感で、組合をどうこうという意思は少しもないのでありますから、その点は御了承願いたいと思います。
  21. 森三樹二

    ○森(三)委員 ただいまの石山委員質問に関連いたしまして、私も人事局長の鈴木さんに質問をしたいと思うのです。本格的なこの法案に対する質問はあらためていたすこととして、きようは時間がありませんから、先般の司法労組の四号調整問題について質問をしたいと思うのです。  私は本職が弁護士なんです。そこにいる山口君もやはり同じ弁護士です。私どもは常々裁判所に行つておりまして裁判所職員くらい実際待遇の悪いものはないと思つておる。裁判所に行つてごらんなさい。実際着ている洋服でも、はいているくつでも裁判所職員は、私は全国の国家公務員の中で一番みじめなかつこうをしておると思うのです。たとえば戦時中のように商工省の役人連中はいろいろリベートがあつた。(笑声)統制時代でありますから、物を頼むのでも、晩餐に招待するとか、あるいは物を包んで行くとか、特に商工省の繊維局などは、自分が繊維を握つているから、かつてにメーカーからくつ下だとか、シャツだとか、われわれが着られないもの着ておつたのです。商工省が全部ガソリンでも、あるいは鉄鋼でも、燃料、衣料、そういうものを皆握つてつたのです。だから商工省の役人は戦時中でもとてもぜいたく三昧をしていた。そうして夕方になりますると、商工省の前には各会社の、たとえば日本冶金とか、あるいは石川島とか、日平産業とか、そういう会社の車が行つて自分の会社の能率を見てもらいたいといつて課長級を招待するのです。見てもらいたいのではないのです。ごちそうするために自動車を出しておる。そうして連中が自動車を何台も繰出して乗つてつて、工場を見るのはちよつとで、そのころは戦時中の料理屋というものは少くて、酒もなかつた。会社の直営のサービスのところに連れて行つて、どんちやん騒ぎをやつて、帰りには町にはないようなおみやげをたくさん持たせた。これは皆知つていることだと思います。ところが裁判所の連中はリベートも何もない。そうして給料は実に安い。私は以前から当時の司法大臣をやつていた林頼三郎さんとは非常に懇意です。あの人が大臣をやつていたときは、大臣の給料は皆同じですけれども、下級の職員になりますと、商工省の役人と、裁判所におる役人の待遇というものは実際に相当の懸隔がある。こういうことは改めなければならぬということは、二十年も前から私は言つておるのです。しかも今はどうなつているか知りませんが、このごろは万年筆を使つておるようですが、昔は皆墨でやつた。その墨から、筆から、硯から、また裁判所事務官書記官が着る——今は着ておりませんけれども、以前は裁判所の書記もガウンを着ておつた。そういうものを皆買わせた。筆墨代も自分のもらつた給料で買つておる。この、ごろ聞きますと、多少は予算が出るようでありますが、それでもやはり足らない。筆墨を自分で買わなければならぬ。裁判所職員というものは何ら余徳がないし、気の毒な立場にあると思つておるのです。それらに関してあなた方はどういう見解を持つておられるのか。裁判所職員が一般の国家公務員に比べて私が今申し上げたような、非常に待遇が悪い立場にあるとお考えになつているか、あるいはそうでない、漸次改善されてよくなつているとお考えになるか。これは人事局長あたりはそういうところ目をあげなければ、下級の職員は実際哀れなものだと思つております。幸いあなたがいらしておるから、今後この司法職員給与に関してはよほど注意しなければならぬと思うのです。連中は今も石山委員からもいろいろ質問がありましたが、とにかくあなたがさつき言つたように法務省の職員労働組合から切り離されて今度またそういう労働組合をあなた方の圧力でやめさそう乏する。これは結局政府の弾圧政策にあなた方が直結しているといわれてもしかたがないのではないかと私たちは思うのです。その問題はあとでだんだんとやりますが、現在の職員待遇に関して他の国家公務員に比べて一体どうなつておるか、その点を率直に答弁してもらいたいと思う。
  22. 鈴木忠一

    鈴木最高裁判所説明員 裁判所職員待遇給与について非常に御同情を持つた質問でございますが、筆墨類を自腹を切つておるとかいうことは絶対にないと思います。現在裁判所職員なるがゆえに、他の一般公務員に比して特に給与上不利益待遇を受けておるということは、私としてはないと思います。つまり形式の額面上はほかの公務員に少くとも劣らない待遇にあるということが責任者としていえると思います。たださいぜんおつしやられましたような、裏の方の待遇ということ、これは別問題で公の問題でございませんからもちろん裁判所はそういう儀礼的な面においての待遇を受けるということは、ほかの官庁に比してこれはあるべきことでないと思いますけれども制度の上の建前、それから現実の面として忙裁判所職員は戦前の裁判所職員に比べればずつと待遇がよくなつており般公務員に比して現在なお劣つておるのではないかといわれない程度の待遇は受けておると思い場ます。ただ御承知の、さいぜん申し上げましたように裁判所の事務ということが般人には興味のない事務です。書記の事務にしろ事務官の事務にしろ、各省の事務に比べればきわめて地味な事務で、そうして必ずしも容易な事務ではない、いろいろな困難が伴い、技術が伴う職務内容であることは申し上げるまでもないわけです。私どもとしてはそういう裁判所の事務の特殊性ということに着目してその点で給与をできるだけ他の公務員以上の待遇に持つて行かなければならない、それをどういうように理由づけるか、どういうように主張するかということで、常に頭を悩ましておるわけであります。そういうように御了解いただきたいと思います。
  23. 川島正次郎

    川島委員長 まだですか、これは櫻井君の質問の間でちよつと切つて入れたのですから……。
  24. 森三樹二

    ○森(三)委員 それでは緊急質問をもうちよつとやらしてください。あなたは今答弁されまして、表面上のことはあなたそう思つておるかもしらぬが、裏面はまつたく違うのです。一例をとりますと所長や検事正というものは年柄年中管内視察だ何だといつて汽車に乗つて歩いている、汽車に乗ると一等か二等の旅費が出て宿屋に泊つてもとにかく余るのです。だから歩けば歩くほど収入が太つて来る。私の知つているいなかの検事正や所長などは、どういうふうにして手に入れたか知らないが、ちやんと代議士と同じように鉄道パスを持つている、そうして歩いてちやんと旅費をもらうのですからこんなうまい仕事はないです。そうしていわく管内視察だといつてずつと歩いているのです。行けば宿賃なんてほとんどいらないのです。いなかなどでは所長さんがおいでになつたというので、村長以下うやうやしくお迎えに行つて、温泉のあるところでは温泉へ行つて一級酒、特級酒なんて飲ましてやつておる。(「それは北海道だけではないか。」と呼ぶ者あり)いやそうじやないよ。その辺の温泉へ行くとみなそうだよ。驚いたものです。宿賃もその地方で払つてしまうのです。下級職員の連中は出張旅費がない、だから裁判所へ行きますと出張したがつてばたばたしている。しかもおもしろいのです。下級職員は、この前お前は出張したじやないか、今度はおれの出張する番だ、ところが裁判官はやはり事務官の好ききらいがありますから、おいお前行こうと言つて好きなやつをひつぱつて行くのです。気のきくような、自分の言うことを何でも聞くようなやつをひつぱつて行く。そうするとほかのやつはやきもちをやく、やきもちをやく理由を聞いてみると、出張した方が自分のふところぐあいがいいのでありまして、旅費、日当、汽車賃もやはり二等が出るでしよう、浮かして生活のかてにしようと思う。ところが裁判所以外の役所というものは出張が多いのでありまして、固定給のほかに出張が多い。従いまして役人というものは出張によつて潤いがつくということは、私の知つている親戚なんかにも若い役人がたくさんおりますが、おじさん出張がなかつたらとつてもわれわれやつて行けませんという、出張して少し金を残してそうして洋服の月賦でも払つて行くのだという、実際そういう実情ですよ、あなた。出張がなかつたら、首でもくくらなければ、しようがありませんよ。あなた方そう言う点も研究しなければ、ただ表ばかり見たつてだめです。あなたは筆墨なんかは今買つてないという、私はこれから行つて調べて来ようと思う。いつからそういうようになつたか知りませんが、とにかく私の知つている範囲の時代だつたらそうでした。このごろ多少よくなりましたということを言つていましたが、それでもやはり役所で買つてくれる筆は悪い筆で書けない、やはり自分でもつてつたいい筆でなければ書けない、このごろ記録なんかは大分ペンで書いていますから、筆はあまり使わなくなつたでしようけれども、それでもやはり筆の好きなやつは筆で書いている、そういう実情ですよ。あなた知つてつて、他の官庁から見ると非常に不利益だということは言えないから、そういうような場当り的な答弁をしたのかもしれませんが、局長たる者は、そういう深い深いところまでも見なければ、下級職員は大臣や局長なんかは自分で相当高い俸給をもらつてつて、あの人たちはしよつちゆう汽車に乗つて歩いておつて、旅費かせぎしているのだから楽なものです。われわれみたいな下級職員は実にみじめなものだということをいつでも言つているのです。われわれには言つていますよ、それはあなた方が耳をおおうて聞えないようにしているのか、さもなければ聞こうとしないのです。これは重大問題なのです。やはり司法の職務を忠実にやれるように今後考えてやらなければならぬ。  それからまた昇格なんかも、これは私時間があったら、もつともつとつつ込んで聞こうと思うのですが、どうもほかの役所と違つて昇格がおそいようです。女の子なんかでもほんとうに安い、人をただ使つているような安い給料で、おしろいでも買つたらなくなつてしまうような安い給料で使つている。ほかの銀行なんかは、これは公務員じやありませんが、勤めるのだつたら女の子は富士銀行でも協和銀行でも、銀行に勤めさした方が得ですよ。これはあなた方のところに行く三倍くらいくれますから。もつとも金を扱つているところですからあまりあさましいことをすれば千円札の十枚くらいふところに入れたくなる、そういう間違いが起きる、現に起きています。ところがあなた方は昇格についても、やはり高等学校を出て十年もしても、普通の役所から比べると三年か四年した者と同じくらいになつて来ている。昇格等についてあなたはどういうようにお考えですか。
  25. 鈴木忠一

    鈴木最高裁判所説明員 いろいろ御質問でございますけれども裁判所職員といたしましてはやはり今の給与法律できまつている以上は、法律できまつた給与以外のことは考うべきじやなくて、出張というようなことも問題にされましたけれども裁判所職員は長官からずつと下級職員に至るまで、無料のパスなどはだれももらつておりません。
  26. 森三樹二

    ○森(三)委員 あなた知らないのです。
  27. 鈴木忠一

    鈴木最高裁判所説明員 いや絶対にそれはありません。検察局の方はいざ知らず裁判所職員はそういうものをもらつておる者は一人もないはずです。
  28. 森三樹二

    ○森(三)委員 ないはずなんですけれどもね。
  29. 鈴木忠一

    鈴木最高裁判所説明員 ありませんと断言してもよろしゆうございます。ですから私の方としては出張のこともいろいろおつしやいまし存れども、これも実際の問題といたしましては確かに考慮すべき問題でございますけれども、ただ給与の面はやはり法律できまつておる面ですから、それをさいぜん申し上げたような裁判所職員仕事特殊性ということに着目して、できるだけ上げていただくという方向を従来もとつておりました。これからもそういう方針で努力するつもりでございます。御指摘になりましたように下級職員の生活状態ということについては、もちろん十分注意を払うつもりです。  それから昇格の問題でございますが、他の官庁に比してむしろ昇格は現在早いのではないかと思います。これもひとつ具体的にこういう例があるではないかというような例がありましたら、別の機会にお聞かせ願いたいわけでございますけれども、昇格の点については、他の官庁に比してそう劣つておるとは思つておらないわけであります。
  30. 森三樹二

    ○森(三)委員 給与の問題についていろいろ御答弁がありましたが、ひとつあなたが今答弁されたようなお気持で大いに改善をしてもらいたいと思う。しかし裏と表というものはいつの時代でもギヤツプがある。たとえば、パスの問題などもそんなに出つこないのです。出つこないのですけれども、やはりそれは各鉄道の局長あたりと話をすれば話はつくと思うのです。今度またそういう材料をいろいろと教えてあげます。それで時間がないですし、櫻井さんが質問するようですから一、二の問題を聞きます。  全司法労組の解散がこれほど各新聞に出まして、私ども非常に憤慨しておつたのです。あなた方は司法労組を解散さすというような気持を持つてつたものと私は考える。何のためにそういう労組解散の構想を持つてつたのか。労働組合があるとあなた方上部からの仕事に対する指令というものが思うように行かないいわゆるあなた方の一挙手一投足によつて下部まで仕事を画一的にさそうとするため、個人の意欲というものをまつたく無視してしまうというような結果が起きるのではないかと私は思う。いわゆる一つの一組合員がお互いに自分たちの生活を改善するために、こうしたところの金司法の職組というものが全国的にあつてそうしてお互いに切瑳琢磨をして生活水準を上げて行こうとしている。これは非常にいいことなのです。それにもかかわらず、あなた方がそういうものがあると絶手いろいろ華求や陳情をされて、非常に仕事の上において上部機関としては、下部から吹き上げられるといいますか一いろいろ注文をつけられたり、抗議を申し込まれたりして仕事がやりにくい、そういうことから今度の問題が起きたのだと私は思う。この司法労働組合というもののあり方並びに今後の組合の活動というものが、組合のほんとうの目的や精神をもつて進んだ場合、あなたはこれを大いに成長さすというだけのお考えがあるのかどうかお尋ねしてみたいと思います。
  31. 鈴木忠一

    鈴木最高裁判所説明員 四号調整の問題についてはさいぜんお答えした通り組合員の弾圧とか、解散とかいうことを目的としているのでないことは、さいぜんるる申し上げた通りでありますからお答えいたしませんが、将来組合をどうするかということは、これは組合が自主的にきあるべきことで、今までといたしましても裁判所組合に圧力をかけたとか、組合に対してどうしたとかこうしたとかいうことは一度もなかつたと思います。裁判所組合というものは一番自由な立場に置かれているといつてむしろいろいろな方面から困ると言われておるくらいで、私どもの方としては組合に対してどうせいこうせいと言つて注文をするというようなことは一度もございませんし、将来ももちろんそういうことはないと思います。それから交渉のめんどうだとか、交渉の煩にたえないのだろうというようなことを言われますけれども、これは組合がある以上、交渉をする責任が最高裁判所としてもある以上、別に少くとも私は煩と思つておらないのであります。私が組合の交渉に対してどういう態度をとつておるか、少し組合諸君についてお聞き願いたいわけです。煩にたえないと思つたことはないので、会いたいと言えばたいていの場合会つております。むしろ最高裁判官というものがだらしがないから、裁判所組合はわがまま過ぎるのではないかというような非難も聞くぐらいなのであります。これはもう一般にお聞きくださればきわめて明らかであろうと思います。裁判所組合に対してはずいぶん自由な立場——自由な立場と言うよりも、むしろ関せず焉の立場と言うのが適切かもしれません。それぐらいの立場であるのが実際ではないか。これは自分のことをみずから申して恐縮なのですけれども、そういうふうに私は考えておるのであります。
  32. 森三樹二

    ○森(三)委員 あなたのお話を聞いておると、組合の自主的なあり方については、これを何も弾圧する意思がないと言つておりますが、そうすると新聞に、あなた方が号俸調整によつて組合解散させようというようなことが記載されておりますが、新聞の記事は全然うそだというふうに考えてよろしいのですか。
  33. 鈴木忠一

    鈴木最高裁判所説明員 その範囲においては、新聞の記事は事実の真相に合つておりません。解散させようという意図はない。ただ四号調整内容はどういう範囲について付せられるかということをはつきりした上で、自主的に職員がきめたらいいじやないか、こういう態度で参つて来ておるわけであります。
  34. 森三樹二

    ○森(三)委員 きよう五鬼上君はどういうわけで当委員会に見えないか知りませんが、五鬼上君の談話もこの新聞に載つております。これをあなたはお読みになつたかどうか知りませんが、五鬼上君あたりの意見としては、やはり組合というようなものはない方がいいのだというような意見を述べておられるように見えるのですが、あなたは奏書らといろいろ相談で走れたことがありますか、あるいはまた五鬼上君のこうした談話をごらんになつたことがありますか。
  35. 鈴木忠一

    鈴木最高裁判所説明員 ただいまおつしやられた新聞は、いつの何新聞でございましようか。
  36. 森三樹二

    ○森(三)委員 十一日の日経です。
  37. 鈴木忠一

    鈴木最高裁判所説明員 日経の記事は五鬼上総長の話したところと事実が相違しておるので困つた、記者は調整というようなことを育つて、こういう記事を出されては困ると言つてつたのを、五鬼上総長とこの問題について話し合つておるときに聞きました。その同じ日に私の談話が時事に載つておるはずです。これを見てくだされば私どもの気持がはつきりわかつていただけると思います。御承知のように号俸調整ということは、実際は普通の人になかなか理解されないのです。ですから新聞記者でも、電話で私ども三十分も話したのですけれども、電話で話してもそれから口で話しても、号俸調整がどういうものか、またさいぜん申し上げましたように裁判所職員については号俸調整の沿革がございますから、その沿革のことを話しても記者になかなかのみ込めないのです。そういう意味で五鬼上総長が話された点も、今の日経の記事は間違つておる、ちつとも了解しておらないと言つて憤慨しておつたのを私は聞いております。
  38. 森三樹二

    ○森(三)委員 私はきようあたりやはり五鬼上事務総長も当委員会に来て、そうして率直に自分の見解を当委員会に対して表明すべきだと思うのです。人事局長だけが来ていろいろ御説明になつておりますが、大体あなたの気持はわかりましたけれども、やはり事務総長という重職にある者は、軽々に談話すべきでないと思うのです。やはり十分理解の上に立つて自分の見解を発表しなければ、これは天下に大きい一つの問題を、提供しておる。裁判所みずから、ことに事務総長の地位にある者か、いくら話してもわからぬとあなた言われますけれども、しかしわからぬからといつて右へならえが当然だとか何とかいう、こういう傲慢がましい記事が載るということは、これはやはり事務総長自体の発言に、むしろ誤解を起さすような点があつたのではなかつうか。この号俸調整自体は非常に難解なものであうたにしても、しかし自分の持つておる気持が、やはりこの記事の内容に現われているものだ、こう解釈されてもしかたがないではないですか、その点はどうですか。それは新聞記者との話のやりとりもいろいろありましようけれども、しかしながら新聞記事としてこういうような傲然たる記事が出るということ自体に、やはり私は問題が残つておると思うのです。こういう点は最高裁判所の事務総長ともあるものは、十分その用語についても注意をしなければならぬと思うのです。誤解を起して、いやおれはそういうことは言わなかつたとか言つたとか、あとで言つても旦それが活字となつて全国にその新聞が配付されました以上は、これを一々取消すということもなかなか容易じやない。そういう誤解を招くこと自体が、やはりあなた方に責任があると思う。そのように新聞は間違いですとか何とか言つて説明するよりは、そういうことが起らないように私はしなければならぬと思う。それについて人事局長は当時五鬼上君あたりと、どういう話をしたか答弁していただきたい。
  39. 鈴木忠一

    鈴木最高裁判所説明員 御趣旨はよくわかりました。それからおつしやる通り誤解のないような話し方をすべきで、相手がわからなくとも、わかるようにできるだけくだいて話をするだけの用意がなければならぬことは、おつしやる通りであります。帰りましたらその点は総長によく伝えます。新聞の記事については、その前の日に総長のところ、私のところ、それから次長のところ曇り、いろいろな新聞社からみんなかかつてつた。私のところへは朝日と時事がかかつて参りました。そのうち時事だけが記事になりましたけれども、朝日は記事になりませんでした。私の談話したのと総長の談話したのと少し違つておるようでありましたから、総長にそういうことを話したのかと言つたら、いやぼくはこういう話し方はしなかつたのだけれども、こうなつた、これは困るね、こう言つておりました。ですから、どういう話し方をしたか、その点はつきり聞きませんでしたけれども、抽象的に言えば、御指摘になりましたように、誤解をするような話し方をしたとすれば、これは確かに悪いと思いますが、その点どういう話し方をしたかという内容にまでわたつて伺いませんでしたけれども、御趣旨は、帰りましてこういうことをおつしやられておつたからということは伝えるつもりでございます。
  40. 森三樹二

    ○森(三)委員 それでは私の問わんとすることも大体わかりましたが、最後に人事局長に善処を願いたい。労働組合の健全な発達をあなた方自体もお考えになつて組合を弾圧したり、あるいは組合に誤解を生ぜしめるような措置を、今後とらないように十分御注意を願いたい。私はこれで一応打切ります。その他の国家公務員法質疑はあらためて質問することを委員長に申し上げておきます。
  41. 櫻井奎夫

    櫻井委員 私はもとに立返りますが、先ほどの私の質問、いわゆる国家公務員法というものが制定された当時の、この制定の理由、これは今日の情勢において何らかわりがないということを総裁から御答弁いただいたのですが、これは非常に重要なことでございますので、私は重ねて総裁に念を押しておきたい。そうしてこの点から私の論旨を進めて参りたいと思うのでございますが、きようは時間がございませんので来週の火曜に譲りますが、本日確認しておきたいことは、あなたはこの提案理由の冒頭において、この国家公務員法というのは日本の民主的諸制度を成功させるには、日本の官僚制度の根本的改革が不可欠であるという事実の認識のもとにこの洪律が考えられたということを述べておる。それから人事院としては「不偏不党、いかなる勢力の制肘も受けることなく、厳正公平な人事行政を行うとともに、国家公務員の福祉と利益の保護機関としての機能を果すためには、この委員会は、そのために必要とし、かつ十分な権限が与えられるとともに、あとう限りの独立性が確保されることを、必要欠くことのできない要件」であるということを言つております。この点も今日かわりございませんか。
  42. 浅井清

    浅井政府委員 少しもかわりはないと思います。ただこの国家公務員法の現状がE本の国情に適しないということはよく聞くのでありますが、私はこの国情の方においてなお直すべきものが存在しておる、どつちをどつちに合せるべきかが問題だろうと思います。
  43. 櫻井奎夫

    櫻井委員 もう一点確認しておきたい。それは政府における職員関係と私企業における労働者関係の区別を明確にするため、国家公務員につきましては労働組合法、労働関係調整法、労働基準法、船員法等の規定の適用を排除し、政府に対する同盟罷業その他の争議行為及び怠業行為は、すべてこれを禁止するとともに、国家公務員に対し、オープンシヨップ制の原則に基く団結権を認め、また限られた範囲内においてではありますが、交渉権を認めたのであります。」ということがございますが、この現在限られた範囲でありますけれども国家公務員の団結権ということ、それから限られた範囲の交渉権ということ、これは現在の日本の情勢のもとにおいても必要欠くべからざるものであるというふうに総裁はお認めでございますか。この点もひとつ御確認をいただき」たいと思います。
  44. 浅井清

    浅井政府委員 お説の通りだろうと思つております。その限られたと申しますのは、団体協約を締結する権利がないことだろうと思います。但し地方公務員については文書をもつて交渉して協定を結ぶことができるという規定が地方公務員法に入つております。
  45. 櫻井奎夫

    櫻井委員 それから最後に私がお聞きいたしたいことは、塚田長官の答弁にあつたと思うのでありますが、今回の国家公務員法の一部を改正する法律案をつくるについては、人事院とも十分打合せをしてこの案を提出したのだという長官の説明でありましたが、はたしてこの法律案の提出にあたつて人事院政府から十分なる相談を受けられたかどうかということを念を押しておきたいと思います。
  46. 浅井清

    浅井政府委員 もし立案の最初から相談を受けたかどうかというのならば、否定するほかはありません。行革本部において案ができるときには人事院は全然関係しておりません。ただ一、二回意見を述べたにすぎないのであつて、行革本部案ができてからそれを示されて、それによつて話合いをいたしたのであります。
  47. 櫻井奎夫

    櫻井委員 それだけきよう確認をいたしまして、私はそれを元にいたしまして、この次に質問を進めたいと思いますが、本日は私の質問はこれで終ります。
  48. 川島正次郎

    川島委員長 本日はこの程度にとどめまして、次会は公報をもつてお知らせいたします。散会いたします。     午後零時二十一分散会