○中野
委員 検察当局の取
調べ過程は、すでに御承知のように、
保全経済会
そのものの内容と、
伊藤斗福が投資事業として受けた分と、それから
詐欺的行為をも
つて処理した点とを分離してただいませつかく取
調べ中です。特に政党献金、政治献金の問題は、犯罪の要素があるかないかという点にも重点を置きまするが、さらに非常に広
範囲にわた
つてデリケートな問題を含んでおりますから、勢い一段落して
伊藤君らの取
調べの済んだ過程においてこれを取上げるというのは常識で考えられることです。
従つて、今日まで
児玉誉士夫君の取
調べは一応あ
つたと思う。
三浦義一君並びに
広川君らの取
調べは今後に移されるものと私は推定するのです。そこで、今あなたのお答えにな
つたように、三千五百万円の金がどこへ
行つたかという点については、今後にもたらされる問題でありまして、調書をとられないのが当然であります。私の方は、すでに御承知のように、あなたのところへ水増しのこのよう
なつけかけがしてありますのみならず、
保全経済会の実態を解明して参りますと、
保全経済会というものがたとい投資事業にいたしましても、あるいは匿名組合に準じてや
つたにいたしましても、その集められた金が
伊藤個人の名によ
つて相当使途不明の金があることであります。これはすでに御承知だろうと思います。その
金額も、朝鮮特需の影響によ
つて株価等が暴落したことによ
つて受けた損害から比較いたしますれば、使途不明の金が非常に多いことであります。その不明の一部分に、あなたのところの
新聞社に現に三千五百万円入らざる金が入
つたかのようにつけておるのでございます。特に、
山崎さんの
おいでを願う過程においては、政党献金あるいは政治献金というものに深い関連ありという観点に立
つてお尋ねをしておるのであります。先刻来
お話しましたように、
東京会館における
広川君にいたしましても
三浦君にいたしましても、たとい
三浦君が箔をつけるからとい
つて広川君を漠然と連れて来たといいましても、今日の状況から言えばなるほどそういうような
言葉も通用するかもしれないが、当時の
広川君は、総理の吉田さんの御寵愛めでたくして、なかなか簡単には動かない男なのです。昔の
広川なら少し軽率な点が多々あるくらいでしたけれ
ども、近ごろはどうしてなかなかそういう風格は見えない。その
広川君を多忙の最中に
三浦君が連れて行かれた政治力は大いに私は買います。しかも、その
広川君とあなたが特に
伊藤君の家をたずねておられます。こうい
つた一連の
関係を想像いたしますと、
昭和二十七年の八月二十八日のあの抜打ち解散があ
つて、当時政治家はみんな金に飢えてお
つた。この飢えた政治家が、いわゆる命をかけて闘う選挙の最中ですから、相当無理な金を求めようとすることは当然だと思う。いわんや
広川君が、あの場合の立場から言うと、相当資金を求めたい、
——これは、
保全経済会が今のようにしつぽを出しておるときには別でありますが、あの時分には後光がさしてお
つたような勢いでありますから、資を求めて
伊藤に接したいという
気持は、おそらく政治家の心理としてあ
つたのだろうと思うのです。これが何らの金銭的な
関係なしに、いわゆるあの忙しい最中に親切と
三浦君のはくをつけるという見地に立
つていろいろ行動されるということは常識では判断できませんが、私はこれをここで追究しようとは思
つておらない。ただ、三千五百万円の使途がどういうふうに使われたかということを想像いたしますれば、あなたも相当な方なんですから、おおよその想像はつくだろうと思いますが、こういう速記の手前においては、なかなか言えるものではありません。ただ、私は、先ほどからあなたの
お話を聞いてお
つてふしぎに思うのは、
平野が
言つたことはつくり話であろうということを一昨日
証言されております。井上君のいわゆる政党寄金ということについても、それはつくり話であろうということを
言つておられます。
広川がどういう
言葉を使
つておるか知りませんけれ
ども、
平野君の
証言がつくり話だというあなたの根拠はどこにあるのでありますか。私は率直に申し上げます。
山崎さんともある人が、
平野の話を全部つくり話だと言う根拠があると言われることは疑わしいと思うのです。私は
平野の話が全部が全部
真実であると肯定をする根拠はありません。しかし
平野君の
証言の半分以上のものは
真実なりと肯定する根拠を私は持
つております。
従つて、あなたが
平野の
証言はつくり話だと思う、井上の話もつくり話だと思うと言う根拠はどこにあるか。あなたが全然
伊藤君と
関係のない人であるならば、あるいは
広川君らのあつせんについて何らの
関係を持たない方ならば、そういうことも言われると思います。しかし、いやしくも
山崎さんともあろう人が、そういうことを言うということは、少し
言葉が過ぎはせぬか。もし断じてつくり話とおつしやるのならば、その根拠を示していただきたい。私は全部がうそだとは断じて否定でき得ない根拠があるのでありますから、それについての立証をしろとおつしやるならば、あえて立証する用意を持
つて、お尋ねをします。