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1954-03-18 第19回国会 衆議院 行政監察特別委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年三月十八日(木曜日)     午前十一時十三分開議  出席委員    委員長 塚原 俊郎君    理事 高木 松吉君 理事 田渕 光一君    理事 長谷川 峻君 理事 中野 四郎君    理事 山田 長司君 理事 小林  進君       天野 公義君    鍛冶 良作君       鈴木 仙八君    瀬戸山三男君       高橋 英吉君    山中 貞則君       橋本 清吉君    久保田鶴松君       古屋 貞雄君    佐竹 新市君       杉村沖治郎君    矢尾喜三郎君  委員外出席者         証     人         (東京国税局         長)      脇阪  實君     ————————————— 本日の会議に付した事件  保全経済会等特殊利殖機関に関する件     —————————————
  2. 塚原俊郎

    塚原委員長 ただいまより会議を開きます。  前会に引続き、保全経済会等特殊利殖機関に関する件について調査を進めます。ただちに証人より証言を求めることにいたします。  ただいまお見えになつておられる方は脇阪実さんですね。——あらかじめ文書をもつて承知の通り、正式に証人として決定いたしましたから、さよう御了承願います。  これより保全経済会等特殊利殖機関に関する件について証言を求めたいと存じますが、この際証人に申し上げます。保全経済会は、全国に二百箇所以上の店舗を有し、出資総額約四十五億円、加入者は約十五万に達する特異な利殖機関でありまして、従来その業務運営につきましてはとかくの風評があつたのでありまするが、昨年十月二十四日突如として全国一齊に臨時休業に入つたのであります。この休業に立ち至つた事情につきましては世上幾多の疑惑と関心を有する向きもあり、また一方これら類似の特殊利殖機関の累増を見た今日、これら特殊利殖機関業務運営実態を明らかにし、かつこれら特殊利殖機関に対する関係官庁の監督の当否につきまして調査を進めることは、国の行政が適正にしてかつ能率的に行われておるかどうかを監察し、もつて立法その他国政の審議に資するため行政運営上障害となつておる各般の事情を総合的に調査しかつその責任調査する本委員会の使命にかんがみ、きわめて有意義なりと考え、本委員会は本件の調査をいたすことになつた次第であります。証人におかれましては率直なる証言をお願いいたします。  それでは、保全経済会等特殊利殖機関に関する件につきまして証言を求めることになりますが、証言を求める前に証人に一言申し上げます。昭和二十二年法律第二百二十五号、議院における証人宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならないことと相なつております。宣誓または証言を拒むことのできるのは、証言が、証人または証人配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係のあつた者、及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき、及び医師歯科医師、薬剤師、薬種商、産婆、弁護士、弁理士弁護人公証人、宗教または祷祀の職にある者またはこれらの職にあつた者が、その職務上知つた事実であつて黙秘すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には証言を拒むことはできないことになつております。しかして、証人が正当の理由がなくて宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることとなつておるのであります。一応このことを御承知になつておいていただきたいと思います。  では、法律の定めるところによりまして、証人宣誓を求めます。御起立を願います。  宣誓書の御朗読を願います。     〔証人脇阪実朗読〕    宣誓書   良心に従つて、真実を述べ、何事もかくさず、また何事もつけ加えないことを誓います。
  3. 塚原俊郎

    塚原委員長 それでは宣誓書署名捺印してください。     〔証人宣誓書署名捺印
  4. 塚原俊郎

    塚原委員長 これより証言を求めることになりますが、証言証言を求められた範囲を越えないこと、また御発言の際には、その都度委員長の許可を得てなされるようお願いいたします。なお、こちらから質問をしておるときはおかけになつていてよろしゆうございますが、お答えの際は御起立を願います。  脇阪証人東京国税局長に就任されるまでの経歴について簡単にお述べ願います。
  5. 脇阪實

    脇阪証人 昭和八年学校を出まして、四月大蔵省主税局大蔵属として就任いたしました。ついで昭和十年司税官金沢税務署長昭和十一年七月神田橋税務署長、十二年六月大蔵事務官になりまして、大蔵省主税局勤務、ずつと主税局におりまして、昭和二十年二月経理課長、三月同じく主税局第三課長、同じく六月主税局国税第二課長昭和二十二年七月主税局国税第一課長昭和二十三年七月主税局査察部長国税第一課長昭和二十三年十二月専任主税局査察部長昭和二十四年六月関東信越国税局長昭和二十七年十二月末であります。東京国税局長になつて、現在に及んでおります。
  6. 塚原俊郎

    塚原委員長 税の畑以外にどこへも行つたことはありませんね。
  7. 脇阪實

    脇阪証人 どこへも働いておりません。
  8. 塚原俊郎

    塚原委員長 脇阪君が東京国税局長になりました前の前任者はどなたでしたか。
  9. 脇阪實

    脇阪証人 前任者は現在の大蔵省主税局渡辺主税局長であります。
  10. 塚原俊郎

    塚原委員長 今問題になつております保全経済会に対しまして、税務当局としてはどういう見解のもとに、どういう課税をしておられたか、御説明を願います。
  11. 脇阪實

    脇阪証人 保全経済会その他のいわゆる特殊金融機関というものにつきましては、御承知のように二つ形態があるわけでありまして、一つ株主相互金融というものがあります。もう一つは、今保全経済会のようにいろいろ問題になりまして、今日匿名組合に準ずるものであるという解釈をしておるものがあるわけでありますが、保全経済会はその匿名組合に準ずるものとして現在考えておるわけであります。しかし、事ここに至りますまでには、なかなか法律上の性格について問題があつたわけであります。御承知のように、保全経済会がほんとうに保全経済らしくやつたというのは、私の記憶によりますと、昭和二十五年ごろからであると思うのであります。それがだんだん発展して参りまして、出資金がふえて来る。出資金がふえて来るということになつて問題が起つたわけでありますが、これのまず法律的な問題について申し上げますと、何しろ新しい一つの特殊な形態でありますので、これを税法上どう扱うべきものであるかということについていろいろ議論があつたわけでありまして、私の聞いておるところでは、昭和二十六年ごろからいろいろ研究をしておつたようであります。その後だんだん行きまして、昭和二十六年分の所得申告あるいは昭和二十七年分の所得申告というようなことになつて参りまして、いろいろどうも社会的にも大きいものでありますし、何としてでもこれの解釈を決定しなければならぬというので、昭和二十七年の終りごろからであつたと思いますが、いろいろ研究いたしましてやつたわけであります。  一応その問題を考えてみますと、その保全経済会定款約款、その他投資案内書に用いられている言葉というものはかなり漠然としたものでありまして、これをどう解釈するかということがなかなか問題になつおるのであります。しかも、商法匿名組合というのの規定は、強行規定でなてく、むしは解釈規定のように考えられるわけであります。保全経済会定款第一条によりますと、商法第五百三十五条ないし五百四十二条の規定に基き設立云々という言葉があると思うのであります。そうして、第五条でありますか何かに、やはり匿名組合という言葉も使つてあると思います。それで匿名組合とされていますが、その名目にかかわらず、それが匿名組合でないということになれば、それは匿名組合でないということになるわけであります。それが一つの問題であります。  それから、次に、保全経済会においては、御承知のように配当を行つておるわけでありますが、これは定款ではなくて普通の契約と見るべき約款配当するということが記載されております。利益の確定以前、しかも個々の契約によつて随時配当を支払つておるということで、この性格は一体どういうように見るべきものであるか、利益が確定しない前に配当を払つてしまうということの問題であります。  それから、次は、保全経済会利益分配をしないとは書いておりません。しかし、実質上は、契約期間は三箇月でありますが、契約期間満了の際には決算も何もしないで単に元本を返しておる。配当はむろんやつてありますが、元本を返してしまう。この場合にもし保全経済会利益の配分というものはしないのだといいうことになれば、消費寄託であるとかあるいは信託というようなことに解釈されると思うのでありますが、利益は分配しないとは書いてありません。それが問題であります。  それから、その次は、現金出資が非常に多いわけでありますが、そのほかに株式出資があります。その場合、株式を出資いたしますと、契約が満了すると返すわけでありますが、その場合に株が値上りしておるというと、その一定率保全経済会がとることになつておる。現金出資の場合は、今申しますように、利益があつてもなくても配当を出して、あと元本を返しておるのでありますが、この株式出資の場合は値上りした場合に配当するということになつておる。これをどう考えるか。  その次は、保全経済会理事長あるいは理事ということが定款役員として書いてあるわけでありますが、一体役員組合とどういう関係があるのかというようなことがいろいろ問題になつたわけでありますが、最後の大体の結論といたしましては、最初に申し上げましたように、匿名組合に準ずるものであるというように今考えてるわけであります。  この場合に、保全経済会をどういうふうに考えるかというようなことについて、三つの考え方があつたように聞いております。すなわち、匿名組合であるという見解もあつたのであります。それは、保全経済会定款匿名組合という言葉も書いてございますし、両当事者の意思をそんたくして、一番、何といいますか、すなおな解釈と申しますか、そういう見解であります。それから、いやそうではないのであつて、これは消費貸借あるいは消費寄託であるというような見解もあつたように聞いております。それは、約款から申しますと、生産もしないで一定配当金を配る、これは、たとえば預金の利子でありますか、そういうものに当るような、つまり消費寄託である、こういう解釈であります。それから、三番目にはそうじやないんだ、これは信託契約だ、一定の財産を信託して、そうしてその利殖をはかつておるのだというような解釈があつたわけでありまして、この最後信託ということは、特に株式出資の場合に値上りがあつたらその一部をやるというようなことを強調した立場とも考えられますが、そういう見解があつたように思いますが、先ほど申し上げましたように、現在といたしまして、われわれは匿名組合に準ずるものである、かように考えておるのであります。  そこで、話は前後いたしましたが、どういう調査をしてどういう課税をしておつたかということを申し上げたいと思うのであります。  さいぜんも申しましたように、何しろ特殊の形態利殖機関でありますので、十分に研究を要するというわけで研究をしておつたわけでありますが、まず昭和二十五年分以前については、伊藤理事長も別に申告納税の実績はございません。これは源泉課税しておつたと思いますが、それは一括して職員と一緒に入つてるだろうと思いますが、一年別徴収簿がすでにないので、その詳細はわからぬのでありますが、そこに入つてると思います。  昭和二十六年の所得税の問題につきましては、これは昭和二十六年度の後半のように聞いておりますが、これはもともと日本橋の税務署の所轄であつたと思うのでありますが、税務署調査いたしましても、これはなかなか重大な問題で、しかも全国発に大きい機関でありますので、これはとうてい税務署ではできまいというのでもつて国税局調査したように思います。調査して、これではいかぬというので、昭和二十七年一月十七日に、昭和二十六年分について国税局調査課所管指定をいたしておりますが、昭和二十六年分についてまだこれがどういう性格のものであるということが確定しておりませんので、申告を待つてつたわけであります。そして、昭和二十七年三月二十日に伊藤理事長申告申告票によつて出ております。それは全額給与でありまして、総額百三十九万四千二百円、扶養控除五万一千円、基礎控除三万八千円、課税所得金額が百三十万五千二百円ということで、その税金が五十七万八千七百五十六円、源泉で徴収せられた税金が九万四千四百四十円、差引四十八万四千三百十六円の納税ということになるのでありますが、その税金については、昭和二十七年四月十二日に三十八万八千二百十六円、同年六月十日に九万五千九百円それぞれ納付されております。これは、今申しましたように、一応申告を待つて適正なる課税をするという建前でおつたわけであります。  昭和二十七年分の所得税についても、やはり国税局調査課でやらなければいかぬということで、昭和二十七年十月十五日、調査課所管指定を受けております。そして二十七年分については二十八年三月十六日に申告がありました。やはり全額給与ということになりまして、八十五万二千六百五十円、社会保険などの控除が一万八十円、扶養控除が五万円、基礎控除が五万円、課税所得金額が七十四万二千五百円、その税金が二十六万九千六百二十五円、源泉徴収した税額が二十五万五千八百円、差引一万三千八百二十五円の税金を納めるということについて伊藤理事長から申告が出ており、これは納付済みになつております。ところが、その後伊藤さんから、これは間違つてつたというので更正の請求書が出ております。それによりますと、総所得金額が赤字で千九百三十六万五千九百二十八円、従つて税金はないということになつて、過納が七十二万五千二百二十円ということで、つまり直してくれという請求が出ております。これは、昭和二十七年時分にはまだ性格がはつきりきまつておりませんでしたので、申告を徴したわけでありますが、その申告に対してわれわれはどうであつたかと申しますと、さいぜんも申しましたように、二十四年分以前については今調査しておりますけれども、二十五年分は源泉に入つておるのではないか。それも調査を要するかと思いますが、今は出ておりません。二十六年分以降については、さいぜん申したように、一月十七日指定をいたし、だんだん調査に着手して、同時に保全経済会性格を確定したいと考えておつたわけであります。しかし営業実態課税法にはさいぜん申しますように疑問が多い。また保全経済会自体営業による損益の計算も、非常に大きい組織になつておりますし、同時に決算期がたしか五月と十一月だつたと思いますが、そういうわけで、所得税と合つていないということになつて、二十六年分は一応伊藤氏の申告を待つてつたわけで、一応これは是認しております。ところが、二十七年分につきましては、さいぜん申し上げましたように、十月十五日に指定して、ずつとさかのぼつて調査するようにいたしまして、昭和二十七年十一月にいよいよ瀬踏み的な調査として、定款約款あるいは契約方法投資状況利益処分方法等について調査をやつて来たわけであります。それを国税庁へも中間報告を出して、この法律的な性格を早くまとめてもらうようにというので、いろいろな調査をやつたわけであります。それからだんだんたちまして、翌年の三月三日付であると思いますが、国税庁長官から通達が参りまして、保全経済会伊藤斗福個人営業者として各出資者組合員とする匿名組合またはこれに準ずるものと推定されるから、伊藤斗福個人については主として事業所得、つまり有価証券及び不動産を売買する営業ということになると思いますが、各出資者については所得税法基本通達百六十四の但書によつて雑所得に属するものという推定のもとに調査を行うものとするという指示がありましのたで、それからいよいよ国税局におきましても調査を徹底するようにいたしまして、昭和二十八年四月に今までより徹底するために、調査課長保全経済会に出しまして、伊藤斗福氏に対して調査課調査上必要とする書類の開示を求めた。そこで、国税庁指示に基きまして、保全経済会そのもの性格を把握するために質問書を出しております。それに対して伊藤理事長は一応了承いたしまして、質問書に対しては四月二十七日に回答が来ております。
  12. 塚原俊郎

    塚原委員長 保全経済会に対して本格的調査を開始したのは二十七年ですか。
  13. 脇阪實

    脇阪証人 本格的にと申しますか、だんだん調査を密にして参つたのは二十七年の後半じやないかと思います。
  14. 塚原俊郎

  15. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 ただいま証言を承りましたが、二十六年から調査されて、二十七年、二十八年かかつて明確な法律上の解釈ができたのでありますか。どうも、私どもから考えますると、少くとも税務署税金を課す場合には、その容体であるところの保全経済会並びにこれに類似する機関に対しては早く規制づけなければならぬ責任があると思う。いずれにしても、事業をしておるのでありますから、所得税の対象にならなければならぬが、その性格をきめるのに二十六年から二十七年までかかるということについては、私どもは納得行かないのでございますが、何か特殊な事情でもございましたか。
  16. 脇阪實

    脇阪証人 今からお考え願うと多少遅れているように思いますが、何しろ新しい独特なものでありまして、税法において課税するということについては、やはり十分な確信と申しますか、税法を適用するのでありますから、その税法規に当てはまるということの確信がなければなりませんので、それでそうやつてつたのでありまして、別に特別な何か事情があつて遅れたという事情はないように記憶いたします。
  17. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 非常に納得が行かなくなるのですが、絶対に特殊な事情がなくてそんなに長くかかつたということになりまするので、それでは承りますが、ただいまの御説明によりますると、保全経済会のやつておりまする実態匿名組合に準ずべきものであると御決定されたというのでございますが、それは、先日河野銀行局長証言によりますと、昭和二十八年の三月四日のときに役所関係の集約された結論であつた、かようなことを申しておられまするが、そうしますと、ただいまの証人証言によりますと、二十八年の三月四日以前にただいま証言されたような結論だけは出ておつたのですか。
  18. 脇阪實

    脇阪証人 ただいまおつしやつた点は三月四日ということだそうでありますが、私どものところに来ております日付は、おそらく起案か何かの関係だと思いますが、前の日の三月三日の日付になつております。
  19. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 そうしますと、税務署では、保全経済会が非常に莫大な金を集めて、そうして事業をやつている、二十五年ごろから相当な金が集まつてつたことも事実だ、さような状態にあるにかかわらず、二十五年度については何ら課税をしない、二十六年度についても、課税するにつきましては確信がないから申告を待つような状況であつた、かような証言をされておりまするけれども、それで一体税務署では完全に職責を果したとお考えになるのですか。その点はどうです。
  20. 脇阪實

    脇阪証人 さいぜん申し遅れましたが、保全経済会課税の問題については二つの問題があるわけでございまして、一つは、現在と申しますか、昨年三月、保全経済会匿名組合に準ずるものであるということを決定する前にできる税金はございます。それはたとえば従業員の俸給といつたようなものであります。それについては二十六年から納まつておりますし、また二十七年の十二月にも監査をしておるのでございます。それで、その監査によつて、たとえば源泉給与によつて追徴した税金が四百三十六万七百四十円というような税金もございますが、それはさいぜんも申しましたように、匿名組合であるとかないとかいうこととは別の問題でございます。それにつきましては、税務署も常に注意もしておりましたし、それから、今申しましたように監査もして遺憾なきを期しておつたのでありますが、保全経済会そのものの今申しました性格をきめてもらわなければ、どうしてもわれわれとして十分公平な課税を行うということができないというので、その性格のきまるのを待つてつたわけであります。しかし、漫然と待つてつたのではないのでありまして、いろいろな調査をしまして、そうしてその調査資料国税庁に十分連絡しまして、私は、おそらく国税庁大蔵省と連絡してやつてつたと思いますが、その結論を待つてつたよう状況でございます。
  21. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 私のお尋ねしていることは、完全に職責を果されたと思うかどうかということなのでございますが、それでは伺いますが、とにもかくにも二十五年当時から相当事業をやられておつたわけなんです。それから、ほかの事業会社投資をしていることも明らかです。しからば、あなたの方でお調べになりましたのは、いつからのものをどういうぐあいにお調べになつているか。これは相当莫大な金なんです。小さい裏長屋の小商いにしても、税務署はまるで鬼のような仕方でこれを探し出して、そうして税金をかけている。これは天下に名の売れた事業なんです。それを三年目に税金をかける。これはどうも納得行かない。だから、私は、今あなた方のおやりになつていることが特別にさように延びた原因は何かと申し上げたところが、法律的な解釈だ、相手の実態関係だ—。これは初めから匿名組合とおつしやつているのです。あなたの方では初めから匿名組合おかけになればいいわけだ。あと匿名組合でないということにかわつて来られても課税は当然すべきだと思うのだ。事業をしていることは事実なんだ。しからざれば、伊藤個人事業つたら、伊藤個人に実際においてかければいい。何も法律解釈を三年待つという必要はない。だから、そこに何かの事情があるかどうか。事情がないとすれば、あなた方のやつていることは非常に緩慢であつて、完全に職責を果しておられないように思われる。だから、あなたのお考えでは、はたして完全にやられてもこんなにかかつたのかどうか、その点をあらためて承りたい。これから中に入りまして源泉課税の問題についても私承りますけれども、まず包括的に、一体こんなに長く研究をしておつて課税をしなんでおつたということに対する責任、これで税務署が完全に責任を果したと言われるかどうか、この点はどうなんですか。
  22. 脇阪實

    脇阪証人 さいぜんも申しましたように、その性格、これは保全経済会だけの問題でもないと思うのでございまして、全国相互金融——株式相互金融は別としましても、匿名組合保全経済会に類するようなものが大分あるわけであります。それを一律に何とかして法律的に解釈するということになると、国税局あるいは税務署でやるということはなかなか困難でありまして、従いまして、一生懸命税務当局としては調べて、それでその資料国税庁にも連絡をしまして、そしてその決定を待つてつたというので、私は一生懸命やつてつたと思うわけでございます。
  23. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 総合的な結論を出す必要はないのじやないですか。匿名組合であるかないかは別としまして、伊藤斗福のやつている事業は、伊藤斗福個人調査で、その仕事の状況、それに対する性格によつて課税すべきものであつて幾多のその当時続出した金融機関の総合された研究をされて結論を出すという必要は何もないと私は思いますが、いかがでございましよう。個人々々の事業について課税するのであつて、総合的にやつているのではないのですが、その点はどうなんです。今のあなたの証言によりますと、幾つも金融機関があつたから、それを総合的に結論を出される、こうおつしやつておりますけれども、従来あなた方の方の課税をいたします課税の対象となるべき事業については、個人事業については個々にきめて、個々の特殊事情に基いて判断をして課税をしていると私どもは思うが、そうではないのでしようか。その点はどうでしよう。
  24. 脇阪實

    脇阪証人 お説はごもつともでございますが、これを匿名組合に準ずるものとするか、あるいは個人事業とするか、あるいは法人的なものにするかによつて、経費の内容が違つて参ります。たとえば、匿名組合に準ずるものであるということになりますと、さいぜん出ております給与だとかいうものは、当然経費にそんなものは認めることはできないと思います。それから配当金でありますが、配当金匿名組合に準ずるということになりますと、損金とは認められないものが、出て来ます。非常にそこに保全経済会の計算が——まあわれわれの見ておつたところでは、なるほど株とか土地とかいうものは値上りはしておりますが、実際にそれをつかんでない。値上りというものは、個人事業であると、課税はそのときは名目的なものはできない。そうして、今申しますような給与であるとかあるいは配当金の問題とかいうようなものは、これは経費になるかならぬか、あるいはその配当金をそれでは伊藤理事長所得から引いて、あと伊藤理事長所得にするかという問題が、やはりそこに正確に性格がはつきりしませんと計算ができないというような状態にあるのであります。この課税方法が違つて来るように思うのであります。
  25. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 どうも私は納得が行かないのでございますが、その点は伊藤さん個人営業であるのでしよう。これは、匿名組合と言おうとも、匿名組合に準ずる無名契約だと言いましても、少くとも伊藤さんの事業であることは間違いないと思う。どう考えましても、あなたの方の結論する前も伊藤事業ということは間違いない。保全経済会という名前は使つてつても、伊藤そのものがやつておることは間違いない。ことに、あなたの言うように、そういうような無名契約だ、匿名組合に準ずる契約だということになればなるほど伊藤の財産であります。伊藤の財産ならば、伊藤の財産として課税をすればすぐできるわけではないのですか。これは私は、保全経済会の問題を一つ取上げてお尋ねしておるのですが、あとから日殖の問題も承りたいと思います。個々の営業、個々の事業について個々に対象として課税なさるだろうと私は思う。そうなさつているはずであります。裏長屋の細君が小さい学校用品を売つているところでも、やはりあなたの方でやかましく課税しておるわけであります。天下に有名な、何億、何十億と動いておる事業について二十五年度に課税をしておらない。まず二十五年度においてやつてないことは明らかです。課税をやつておらない理由は、どこか調査に不行届きがあつたのか、それとも課税すべき対象がなかつたのか、いかがでございましようか。二十五年度に対する課税はどうしてやらなかつたのか。
  26. 脇阪實

    脇阪証人 これは、さいぜん申しましたように、保全経済会はたとえば店舗が多いということもありますし、いつ調査に行つてもなかなか書類の提示が十分でない。その帳簿もなかなか出しませんし、そういう関係で、二十六年から一応調査して、それからあるいは前にさかのぼろうと思つて昨年四月から本格的に調査をして行つたというのでござまして、課税しないとかいうのではございません。やろうとは思つておりましたが、昨年調査が進んで参りましたときに、十月休業ということになつて、一時やめなければならぬ、その後今日は一切の書類が警視庁の方へ行つておるわけでありますが、そういう関係で滞つておるのでありまして、二十五以前をむしろわれわれとしては去年からの調査で把握するというふうに向つてつたわけでございます。
  27. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 そうすると、二十五年度に徴収するに至らなかつたというのは、伊藤の方から調査を拒否しておつたということを承つていいのですか。拒否されておつて調査ができなかつた、だから課税しなかつた、こう承つていいのですか。
  28. 脇阪實

    脇阪証人 拒否されたかどうかということは別として、書類をなかなか提示しなかつたし、必ずしも協力的でなかつたということは言えるわけであります。
  29. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 ほかの委員からもおそらく出ると思うのでございますが、こんな大きな事業——小さな事業ではないのですよ。あなた方の方の判断によつてはできるはずなのです。これは調査をする権利を持つておるのでしよう。それを一体二十五年度をほうつておく。私はただあなたの方をいじめるのではないのですよ。国民が納得しないのです。これだけ大きな仕事をしておつて、二十五年度には一銭も税金を納めない、とるような措置を税務署がしなかつた、これでは納得しませんよ。実際のことをおつしやつていただきたい。やらなかつたらやらなかつたでけつこう。できなかつたらできなかつたでけつこう。そうして、昨年三月四日にはつきりあなたの方のお考え通りの法律解釈が出ました以上は、さかのぼつて二十五年度の分についてもまつ先にあなた方は徴収すべき順序と方法を講ずべきだと私は思う。ただいまの証言によりますると。昨年の十月に休業の宣言が行われた、世間で大きな問題になつて今日まで来てしまつておる、そこで今やろうとしても捜査をしておるからできない。こうおつしやつて逃げるのだろうと思いますけれども、それでは国民が納得しないのですよ。あなたの方では権力をもつて調査ができるはずなんです。調査をした事実があつたかどうか。二十五年度について具体的にいつごろやつたかということを御証言願いたい。
  30. 脇阪實

    脇阪証人 査察部には権力があるのではないかとおつしやることはごもつともです。しかし、たびたび申しましたように査察をするということになりますと、やはり十分な内偵をして、脱税があるということがはつきりする——しなければ困るわけでありますが、この場合は、さいぜんも申しましたように、なるほど資金はたくさん集まつております。それから、同時に株式、不動産について値上りがありましたけれども、それはただ値上りがあつたということであつて、キヤツシユになつていない。でありますから、はたしてこれが脱税であるかどうかという十分な査察をやるだけの確信が持てなかつたわけであります。従つて、査察部で手をかけるというようなことは差控えて、むしろそのいろいろな基礎的な資料をつかんで、そうして課税を適正にするというように努力しておつたわけでございます。
  31. 塚原俊郎

    塚原委員長 脇阪君にちよつとお尋ねしますが、先ほどの経歴のときにちよつと時期を聞きましたのですが、あなたが査察部長をなさつてつたのは何年何月から何年何月までですか。
  32. 脇阪實

    脇阪証人 私は、査察部長は主税局の査察部長をやつてつたのでありまして……。
  33. 塚原俊郎

    塚原委員長 国税局の査察部長ではなかつたのですね。
  34. 脇阪實

    脇阪証人 ええ。そのときは二十三年七月から二十四年の五月までであります。
  35. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 どうも私は納得が実は行かないのですが、こんな大きな事業をやつておるにかかわらず、査察ができなかつた、こういうことについては、何か査察のできない理由があつたのでありましようか。査察のできなかつた理由をお伺いいたします。
  36. 脇阪實

    脇阪証人 それは、できない事情というものは別にありませんのですが、今申しましたように、なるほどその資金は集まつておりまするし、しかも投資もたくさんやつておりますけれども、これが脱税であるかどうかということの十分な確信が持てなかつたからやらなかつたのだと思います。現に、たとえば向うの資産内容を見ましても、なるほど株式や土地不動産が上つてつたことは確かなのです。けれども、それを匿名組合に準ずるものとすれば、そういう実現していない値上りに課税することは税法上できないのでありまして、そこに今言つた査察をするだけの確信が持てないわけであります。
  37. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 株は二十六年ごろには相当値上りしているのです。あなたの方でそうおつしやるけれども調査したと言いますならば、個々に当つて事業内容を全部調査されたのですか。調査いたしたとするならば、報告書なんかはございますか。その点をもう少し御説明願いたい。私どもは、査察をしなくても調査を十分されたというならば、三十五年度以降今日まで三年間保全経済会の明細な事業内容の調査が行われておるはずだと思います。そういう調査をした事実と、調査報告書のような記録に残されたものはございますか。
  38. 脇阪實

    脇阪証人 それは、さいぜん申しましたように、昨年の三月保全経済会匿名組合に準ずるものとして、調査をするということになつて、四月に課長をやりまして、それからずつと調査をしておつて、まだ結論が出ておらぬのです。
  39. 中野四郎

    ○中野委員 関連して。課長をやつて調査が未了だとあなたはおつしやる。しかし調査査察部の証券業係長をしておつた内田弘輔君、これは完全に調査査察しておるじやありませんか。そうしてこの人は保全経済会から約六千万円からの金を借りて六日商事というものを今やつておるはずじやありませんか。国税局調査査察部の係長が、保全経済会から六千万円の金をひつぱり出して、国税局をやめて、別に保全経済会と連絡をとつて今日六日商事というものをやつておる傾向がある。しかもそこの専務には、あなたの方の係員である小川亮という人が入つておるじやありませんか。今の古屋君の御質問に対するお答えの中で納得行かないのは、二十六年の十月から十一月ごろにかけて二十五年度の所得税調べておつたということは、明らかに内田君はこの委員会の下調査で言明をしておる。どういうわけなんですか。これは調査が未了であつたと言うが。その調査をしておる査察の係官が、現にその保全経済会から金をひつぱり出して、そうしてその人間が別な会社をつくつて、今日保全経済会と一緒に仕事をしておるという事実に徴して、いかに国税局の中が乱れておつたかということは言えるじやありませんか。私は、古屋君の今の質問に関連して、当時の内田君の状況から、あなたの方が調査査察をした事実について報告をする義務があると思うから、伺いたいと思うのです。
  40. 脇阪實

    脇阪証人 内田君が六日商事に行つておるということは、私は最近聞いたわけでありますが、六日商事はこれは保全経済会投資しておる出資会社だと思つております。内田君は調査官であつたと記憶します。それで、査察しておつたわけではないのであります。さいぜん私が調査が未了であると言つたのはどういうことかと申しますと、匿名組合に準ずるものとして、向うから五月、十一月の決算のころ年度別の決算を出してもらつて、それを検討して、そして、さいぜん申しましたように、経費は経費として、経費でないものは経費でないとしなければならぬのでありますが、その結論が出ていないということを申し上げたのであります。
  41. 中野四郎

    ○中野委員 それじや、小川亮君は現在常務で、そうして東京国税局調査査察部第二課の係長じやありませんか。あなたのところの係官がどうしてみんな途中でばたばたやめて保全経済会と関連の深いこういう会社に入られるのですか。それで調査が未了だと言う。調査をしておつた人間が途中でほつぽり出してしまつて、局長のあなたの方に報告しないかもしれないが、自分らは全部知つておるのです。課税すべき対象であることを知つておる。知つておるものを、故意にかけなかつたか怠慢でかけなかつたかは知りませんが、二十六年度以降はわかりますが、二十五念度当時の課税に対しては当然この係官というものは調査をして知つておるわけなんです。知つておればこそ、この保全経済会から特別な出資を受けて、こういう密接な関係のある会社をつくつておるという事実に徴しても、だれが考えつてわかるじやありませんか。官紀の紊乱が近ごろ非常にやかましく言われる折から、東京国税局の査察部の中から、いわゆる相当な地位におる係長とかこういうものが保全経済会関係の深い会社にどんどん流れて行くということ自体に、世間の疑惑が起つて来ることは当然じやありませんか。これはどうなんですか。
  42. 脇阪實

    脇阪証人 小川君は私の聞いておるところでは、保全経済会に直接関係のある仕事じやなかつたように聞いております。内田君は保全経済会関係があつたように思いますが、内田君が関係しておるのは、私の聞いておるところでは、二十六年の申告について一応是認したというところであると聞いておるのであります。しかし、さいぜん申しましたように、二十八年にはつきり大体こうやるときまつたときには、もう内田君はいないわけでありまして、そのために遅れておるとは思われないのであります。
  43. 中野四郎

    ○中野委員 元名古屋の東海財務局長をしておつた松崎健吉君、これが内田君を紹介したり、小川君をあなたのとろに入れたのですね。今松崎君はこの保全あるいは六日商事の方とどういう関係をしておるのでしよう。御存じありませんか。あなたは先輩だから御存じでなければならぬ。
  44. 脇阪實

    脇阪証人 その点承知いたしておりません。
  45. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 そこで、ただいま中野委員からも御質問があつたのですが、結局結論調査未了ということでおるわけなんですか。どうも、私ども三年もかかつておるのですから、そういうことは個人事業にしても会社の事業にしても、今まで経験しておらないのです。保全経済会だけにそれがある。しかも、ただいま中野委員からも御質問のように、関係者が保全経済会関係事業会社に役所をやめて来ておるというようなことがある。私が先刻、あなた方のおやりになつておることは職責を完全に果したとお考えになるかどうかということを聞いたのはその点なんです。実際やれぬことをやれなかつたと言うのならば話はわかるわけなんですが、その点はどうなんですか。二十五年度を徴収するためにちやんと準備手配はできておるのですか。やはり今言つたよう調査未了だからだめだとおつしやるのですか。その点はどうなんですか。
  46. 脇阪實

    脇阪証人 その点、まことに申訳ないのでありますが、目下資料が警視庁の方に行つておりまして、結論が得られないので、結論を得れば、源泉もいろいろありますが、それを適正に処置するように検討したい、私は一日も早くそうしたいと思つておるわけであります。
  47. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 そこで、私は、この際伺いたいのは、そうすると、この事件が問題になつて刑事問題にならなければやらぬとおつしやる一つの逃げ道だと思いますが、少くとも昨年の三月四日から今日までですかから、さように長くほつておかなくとも、二十五年度の徴税はできると思うのです。ただいま自分の方でもそうすべきものをしなかつたというようなお話がございましたので、これ以上は追究はいたしませんけれども、やはり昨年決定されたときに調査は十分出ておるはずなんです。すぐ二十五年度の課税ができる状態におくべきであつた。あるいは十月の休業までには二十五年度分については課税の手続が行われるべき時間が相当あるわけなんです。この点について私先刻お伺いしたのは、どうもいろいろの事情があつて税務署課税をするに至らなかつた、こういうようなことを私どもとしても国民としても疑うわけなんです。でありますから、せい一ぱいやつて来て、課税する考えであつたのだけれども、やはりできなかつたのは、ただいまのような関係でできなかつたということになるのですか。それは課税するお気持はあるのでしようね。その点どうなんでしよう。
  48. 脇阪實

    脇阪証人 この問題は、さいぜん申しましたように、金融法規上いろいろ問題があつて遅れておるということは、自分としても残念であると思うのであります。十分に適正な処置をするということはやつておりますし、この調査が済み、十分検討してやるということにはかわりはございません。現に源泉でも監査をして、とるべきものはとつておるわけでありまして、決して税金はとらぬとか、どうでもいいというような考えを持つておるわけではございません。
  49. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 さような御態度ですから、これ以上は追究はしませんが、しからば、日本殖産に対する関係におかれましても、この税金はどうなつておりましようか。いつからどういうぐあいに課税しておるか、どういう解釈のもとに課税対象を考えられておつたのか、御答弁願いたい。
  50. 脇阪實

    脇阪証人 ただいま日本殖産のものについては資料を持ち合せておらぬのでありますが、日本殖産は非常に大きいわけであります。これの決算を見ますと、二十六年の十月から二十七年の九月までが三千六百七十二万五千円、それから二十七年の十月から二十八年の九月までが一億八千七百十八万一千円の赤字が申告してありますが、これはまだ調査しておりません。これは調査課にたくさんございますので、まだこの点は遅れておるわけであります。
  51. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 そうしますと、かような大きな有名な事業に対する課税がみな遅れておるということになるじやありませんか。これが納得できないのですが、御調査になればこの報告はわかりますか。その点は課税していないのでしよう。私の聞いておるのは、課税をしておるかどうかということを聞いておるのです。赤字を聞いておるのではない。
  52. 塚原俊郎

    塚原委員長 脇阪君、係の者がきよう見えておられるようですから、御相談なさつてもけつこうですよ。
  53. 脇阪實

    脇阪証人 ただいま資料を持ち合していないのでございますが、会社そのものについての申告は今申し上げた通りでありますが、これは未決定であります。それから利益配当でありますが、そういうものは調べればわかると思います。
  54. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 調べて書類でお出しになれますか。  委員長の方から御要求になつていただいて、それを見てから私は質問いたしたいと思います。
  55. 塚原俊郎

    塚原委員長 脇阪君に申し上げますが、ただいま古屋委員から言われました資料の提出要求に対して応ぜられますね。いつごろお出し願えますか。
  56. 脇阪實

    脇阪証人 たとえば日本殖産の源泉所得税というようなことになると、これは全国的な問題になると思いますけれども配当とかそういうものは三、四日あれば調査できます。
  57. 塚原俊郎

    塚原委員長 三、四日もかかるのですか。脇阪君に申し上げますが、今当委員会の審議に非常に重要な問題ですから、可及的すみやかに御提出願います。
  58. 脇阪實

    脇阪証人 東京だけであれば、それはすぐ出せると思います。
  59. 塚原俊郎

    塚原委員長 すぐ出せますか。本日中に出せますか。
  60. 脇阪實

    脇阪証人 東京のだけなら、あしたは出せると思います。
  61. 塚原俊郎

    塚原委員長 それでは御提出願います。
  62. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 関連して。先ほど承つておりますと、匿名組合もしくはこれに準ずるものというお答えがありました。準ずるものとは、多少違うが匿名組合と認めていい、こういう御認定であつたのですか。
  63. 脇阪實

    脇阪証人 それは、昨年の所得税法の一部改正によりまして、匿名組合またはこれに準ずるものとなつたと思いますが、その準ずるものという意味だと思います。つまり、源泉課税ができるというように解釈しております。
  64. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 これは問題になるので私は答弁を承りたいのですが、匿名組合に準ずるということは、あなたの方から先に出たのですか、大蔵省からら出たのですか。精密に調査せられた結果、あなたの方で匿名組合に準ずるもの、こういう意見を出されたので、大蔵省でも大体そういうものだ、こういうことになつたのですか。この点は実情はいかがですか。これは、あなたがおわかりにならなければ、その係の方方でけつこうでございます。
  65. 脇阪實

    脇阪証人 私の聞いておるところでは、さいぜん申しましたように、匿名組合に準ずるとしましても、全国的にこれはいろいろ幾つもあるものでありますから、資料を提供して、そうして国税庁と相談しておつたのであります。国税庁大蔵省と相談する、あるいは法務省と相談しておるように聞いておるので、私自身がその解釈について直接大蔵省とか法務省と相談したわけではございません。
  66. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 あなたは意見を言われる。あなたと議論してもしようがないのだが、私らは、法律家として、たいへんな食い違いがあると思う。私はここで一つ二つ指摘してあなたの御考慮を煩わしたいと思う。これは、あなたが認定せられたというなら一番いいのだが、当時の係の方がおれば係の方から承りたい。  第一に私が承りたいのは、匿名組合というのは不特定多数人が組合員になるものではない。事業者と特別関係にある特殊の人だけが組合員になるのが匿名組合だと思うのですが、これが第一点です。この点に対してどういうお考えをお持ちになつているか。
  67. 脇阪實

    脇阪証人 その点、御指摘の通りでありまして、匿名組合というのは結局事業者と相手方とでありますから、幾つも組合ができるようなかつこうになりますので、匿名組合そのものと言うのは行き過ぎだ、だから準ずるもの、こういうようになつているように聞いております。
  68. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 それをお認めになれば、われわれとは根本的に考え方が違う。  もう一つの大事なことは事業です。事業というものは確定しておらなければならない。何をやつてもいいというもので匿名組合というものがあろう道理がないと思われる。そこで、あなたは、そこまで認められるならば、保全経済会定款を十分お調べになつたと思うが、定款を見ますと、株式の売買及び不動産の取得売買、その次には理事会で定める事業となつているのだが、これは理事会で定めさえすれば何でもやれる。しかも、その理事会は理事のおらない理事長一人の理事会であるから、そうすれば理事会というのはうそなんで、伊藤斗福の認定する事業は何でもやれるということになつている。これでは一体私は匿名組合というものでないと思いますが、この点はいかがですか。
  69. 脇阪實

    脇阪証人 その点につきましては、私が申し上げるのはその任でないのでありまして、国税庁に相談して、国税庁解釈を待つてつて、そうだということになりましたら調査をやろう、こういうわけであります。
  70. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 もう一つは、商法五百三十八条に「出資カ損失二因リテ減シタルトキハ其填補ノ後ニ非サレハ匿名組合員ハ利益配当請求スルコトヲ得ス」となつておりますが、ここへ出た証人は、初めから全部赤字ばかりだと言う。理事長室長だつて、全部赤字だつた、こういうものは長続きせぬと思つてつた、こう言う。これは、あなた方はほかと違つて国税局でお調べになれば、経理の方面は十分おわかりになるのだから、利益がなかつたのにこういう利益配当をやつているとすれば、その点でもただちにわかると思うのですが、この点は利益があつたとお認めになつたか。それは、個人々々に利益があつたら、これに対して源泉課税をかけられるのはよろしゆうございます。けれども、本社が利益をあげておつたとお認めになつてつたかどうか、この点はいかがですか。
  71. 脇阪實

    脇阪証人 そこは、さいぜん申しましたように、なるほど株式なり不動産の値上りはあるということは私はわかつておりました。けれども、それがはたして、個人と申しますか匿名組合に準ずるものとして計算をしたときに、その年に十分出るかどうかということになると確信はございません。
  72. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 私はこれだけあなたに申し上げお冒すが、これは、われわれは本気で法務委員会調べたからわかつたのですが、この意味において、これは絶対に匿名組合じやないと私は思う。匿名組合という名前を使つた金集めの会社である、これ以外にないものだ、こう思つております。これはあなたが認定されたのではないから、ここで議論してもしかたがないが、これだけ申し上げておきます。
  73. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 そこで、今度は源泉課税の問題なんですが、源泉課税の問題については、昨年の八月に源泉課税がとれるような法律が出ましたが、保全経済会休業に至るまで源泉課税をとつておりますかどうですか。とつておるとすれば、その内容は幾らか。
  74. 脇阪實

    脇阪証人 源泉課税につきましては、御承知のように、昨年の八月七日であると思いますが、その日から源泉課税ができるようになりましたので、その間の事情はこういうことになつております。本人から八月分として申告があつたのが、課税金額一千万円、納付税額二百万円。それではこちらが監査しなければならぬというので、十一月一日に八月及び九月分、十二月一日に十月分を決定しておりますが、その金額は、八月分として納付すべき税額は一千五十二万九百七十一円、九月分が千七百六十五万九百八十一円、十月分として一千百四十五万七百七十五円、合計三千九百六十二万二千七百二十七円となつおりますが、そのうち二百万円はさいぜん申しましたように納まつておりますが、あと休業になつてつておらぬのであります。それについては、財産を差押えまして、保全措置を講じております。
  75. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 財産の差押えをして徴税をする手続中だというが、手続をしておるかどうか。私はそれを聞きたいのです。
  76. 脇阪實

    脇阪証人 それは、さいぜん申しましたように、休業前にやれなかつたので、休業後に調停を、調査してしまして、そうしてそれに今申しました三千九百万、そのほかにまだ源泉所得税が少しあります。これについての加算税その他を合せまして、見合うものとして大体五千三百万円ほどの財産を差押えております。
  77. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 伊藤の財産全体を出資者に移動しておるようなことを承つておりますが、相当不動産もあるはずなんですから、不動産か何かを差押えて、競売のできる手続は全部お済みなんですか。早くやらないと財産が移動されてしまうのではないかと私は心配です。
  78. 脇阪實

    脇阪証人 さいぜん申しましたように、今後調査を進めて参りますと多少の税金は出るかもしれませんが、今のところ滞納となつておる税金は四千七百十七万四千七百六十五円、このほかに延滞で加算税が多少つきますし、利子税も多少つくと思いますが、それに対して差押えております物は、日本橋橘町九番地の本店の建物、土地、それから駒込動坂町三三九の自宅の宅地、それから港区の建物、宅地、それから家具、什器、電話加入線六本、合計しまして、確実ではありませんが、大体の評価は五千三百万は下らないと思つておりますので、その保全措置は十分であると考えております。
  79. 塚原俊郎

  80. 矢尾喜三郎

    ○矢尾委員 ちよつと一点お尋ねいたしますが、源泉課税のことに関しまして保全経済会の顧問として平野力三あるいは早稻田柳石工門、松本信次、大谷瑩潤その他の人が顧問料あるいはいろいろの名目において保全経済会から支出を受けておるのでございますが、それに関しまして、これらの人々に対して源泉課税が完全に課せられておるかどうかということを一点。  もう一つは、保全経済会からあらゆる方面にいろいろの金が支出されておるのでございますが、その点につきまして、国税庁の方におきましては詳細に調査されておるかどうかということをお尋ねしたいと思います。
  81. 脇阪實

    脇阪証人 源泉所得税は、さいぜん申しましたように、二十六年から保全経済会申告をしております。二十七年の十二月に、二十六年の六月一日から二十七年の九月三十日に至る間の漏れておる源泉所得税について調査をしております。そのときに調査した結果を見ますと、顧問料として七百九十二万五千円、その他嘱託費三十万円、宿直費十三万三千円、その他を合せまして合計で千三十九万八千九百五十二円、所得金額が抜けておるというので、さいぜん申しましたように三百五十五万一千七百九十円の本税と八十万八千九百五十円の源泉徴収加算税、合計しまして四百三十六万七百四十円を追徴いたしております。その後の二十七年十月以降については、監査しようと思つてつたのでありますが、まだ監査がしておりませんから、十分わかりませんが、そこのところは今申しましたようにわかつております。
  82. 矢尾喜三郎

    ○矢尾委員 そうすると、国税庁の方には申告の漏れておつたということについて、だれくに何ぼやつた、それがどういうぐあいに漏れたというような具体的な資料はございますか。
  83. 脇阪實

    脇阪証人 これは保全経済会源泉徴収すべき税金調査したのでありますが、その内訳について私は承知いたしておらぬ。これは税務署調査したわけであります。
  84. 塚原俊郎

    塚原委員長 天野公義君。
  85. 天野公義

    ○天野委員 ただいま御証言の中で、税をとる場合に、給与に関する税はとり、監査もしていたというお話があつたのですが、源泉徴収は別といたしまして、どの程度の監査を二十六年以降やつてつたんですか。
  86. 脇阪實

    脇阪証人 さいぜんも申しましたように、保全経済会が、二十五年の四月であつたと思いますが、台東区北大門町にいたわけでありますが、それが二十六年の三月に日本橋に移つたわけであります。そこで、日本橋としては二十六年の三月からすべきであつたのでありますが、二十六年の四月から二十七年の九月まで調査した、こういうわけであります。
  87. 天野公義

    ○天野委員 その保全の内容を調査した場合に、保全自体の経理の内容というものはどういうぐあいになつていたか。たとえば、二十六年の暮れ、二十七年の暮れ、大体こういうことに税額の確定をする以前に内容について調査ないし監査をした、このように考えるわけですが、保全の内容についてどういうような結論国税庁ではやられましたか。
  88. 脇阪實

    脇阪証人 それは、再三申しますように、保全経済会の性質がどうあろうともきまる税金でございまして、そのときには、私の聞いておるところでは、源泉なら源泉資料しか見せたがらないし、それで決定した、こういうふうに聞いております。
  89. 天野公義

    ○天野委員 そうすると、源泉の分だけ見て、それで保全自体の内容というものについてはほとんど国税局としては調べなかつた、こういうように了解していいですか。たとえば、保全が全体として相当な利益をあげておる、もしくは非常な欠損を出しておつた、そういう点については国税局は何ら関知しなかつたのですか。
  90. 脇阪實

    脇阪証人 それは、さいぜん申しますように、源泉課税の方は税務署にやらしておりまして、保全経済会の性質をきめなければならぬものについては、二十六年ごろから調べて、これはどうしても国税局調査課所管に移さなければならぬというのでやつてつた、こういう二本建になつておるわけであります。
  91. 天野公義

    ○天野委員 二本建の片一方の源泉の方は別として、片一方は、性格がきまらなければやれないにしても、どういう性格——たとえば、匿名組合に準ずるものという認定が下ろうとも、もしくは法人の事業というものに認定が下ろうとも、どつちにしてもすぐそろばん玉がはじけるような調査は全然しておらなかつたのですか。
  92. 脇阪實

    脇阪証人 さいぜん申し上げますように、あれは二十七年の十一月であつたと思いますが、国税庁中間報告をいたしております。それから、いよく性格が大体こうだときまつたあとでもそれを調査しまして、調査と同時に性格を決めてしまうという順序で、漸次性格を決定しようと思つて調査しておつたわけであります。
  93. 天野公義

    ○天野委員 どうも納得が行かない。この委員会で下調べをやつたところによりますと、二十六年の前半期で大体三億一千万、二十七年が三億六千万、二十八年三月で六億、二十八年九月で七億で、発足以来二十四億の赤字を保全経済会は出したのです。こういうものすごい経理内容であつたにかかわらず、この内容について国税局は全然関知しなかつたのですか。
  94. 脇阪實

    脇阪証人 関知するという意味はどういう意味でございますかよくわからないのですが、利益がなければ課税のしようがないのでありますが、調査をして課税をするというのがわれわれの立場でありますので、それについてたとえば損だからどうだこうだということを言う考えはありません。
  95. 天野公義

    ○天野委員 これはずいぶん無責任考え方で、誇大な宣伝を盛んにやり、大衆から金を集めて回転配当をやるということで自転車操業をやつておる。その内容を見ると毎年々々赤字を出しておる。それについて国税局の方では税金だけとればよいというような観点に立つてつたとしたならば、これは非常な怠慢だと思う。なぜと言えば、この保全経済会性格がきまらなければ、あなた方の方でも税がとれるかとれないかわからないでしよう。たとえば匿名組合であるか、あるいは詐欺的な行為であるか、法律的な性格が確定しておらない。片一方で赤字をどんどん出しつつ大衆から金を集めておる。そこで、法律的な性格をきめようということについて、国税局としては一体どういう努力をしていたのですか。一日も早くきめてもらわなければ国税局としての立場はないじやありませんか。そうしたならば、国税局の方では、国税庁なり大蔵省の銀行局なり、もしくは法務省なり、こういう方面についてその実態に即して一体どういう連絡をとり、どういう措置をとつて来たのですか。
  96. 脇阪實

    脇阪証人 それは、さいぜんから申しますように、二十七年一月に調査して二十七年暮れには中間報告国税庁に出し、そうして国税庁にその性格をきめてもらうように相談しておつたのでありまして、それは一生懸命相談しておつたのであります。
  97. 天野公義

    ○天野委員 その中間報告の中には、経理内容についてのことは全然報告されておらなかつたのですか。
  98. 脇阪實

    脇阪証人 向うが出したいろいろな経理諸表というようなものはつけて出してあります。そのときはまだ向うも十分協力的ではありませんし、こちらの国税局の方針もきまりませんから、十分な調査ではありませんが、わかつたところを中間報告してあります。
  99. 天野公義

    ○天野委員 わかつておるところの中間報告——では一体損益計算はどういうものがあつたのですか。
  100. 脇阪實

    脇阪証人 それは、向うが出した、何と言いますか計数とか、出資者とのいろいろな約款であるとか、そういうものを参考として、いろいろ書類をまとめて出してあります。
  101. 天野公義

    ○天野委員 そうすると、性格がどうきまろうとも、すぐ課税ができる、こういうような調査にはなつていなかつたのですね。
  102. 脇阪實

    脇阪証人 二十七年十一月のときにはまだきまつていないので、それから大蔵省国税庁、法務府が会議をして、二十八年三月になつて大体取扱い方がきまつたように思います。
  103. 天野公義

    ○天野委員 大分時間もおそいですから、最後に一点。日本殖産については調査していないという御答弁がありましたけれども、そう他のこれに類するような匿名組合ないし株主相互金融、こういう種類のものについて国税局としてはどの程度の調査をし、どういう態度をもつて臨んで来たか、伺いたい。
  104. 脇阪實

    脇阪証人 株主相互金融会社の状況は、昨年の六月に調べておるところによりますと、東京の管内には百六十四ございますが、その課税の実績を見ますと、東京の管内だけでは、事業年度の二十五年度については六つの法人で負本金は六千五百万円となつております。二十六年は資本金が十二億円になつておりますが、それが二十三の法九人。二十七年度について見ますと三十六の法人で資本金が十四億八千五百万円、二十八年度はまだ遅れておりますが、二つの法人について決定はしております。
  105. 天野公義

    ○天野委員 内容その他について調査その他をやつたことがありますか。そういう点をお伺いしておるのです。
  106. 脇阪實

    脇阪証人 今仕事の済んだものについてはちやんと調べてあるわけです。たとえば、二十八年で申しますと、二つあるうちの一つ所得金額が七万円、一つは欠損金額が十八万二千円、こういうことであります。
  107. 塚原俊郎

    塚原委員長 午前の会議はこの程度にいたしまして、午後は二時より再開し、脇阪証人より引続き証言を求めることにいたします。  暫時休憩いたします。     午後零時三十九分休憩      ————◇—————     午後二時三十九分開議
  108. 塚原俊郎

    塚原委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  脇阪証人に対する尋問を継続いたします。田渕光一君。
  109. 田渕光一

    ○田渕委員 午前中の証人証言で、古屋委員の御質問に対してでしたが、どうも帳簿を出さなかつたから課税ができなかつたというようなお話を聞いて、私たちは非常に不可解に思つたのでありますが、少くとも、所轄税務署ならいざしらず、税務署を監督すべき地位にある国税局調査課がみずから乗り出して行つて、帳簿を出さないから課税ができない、あるいは調査ができないというようなことで、今日国税局としての責任は果されるのか果されないのかという点に私は非常に疑いを持つたのでありますが、保全経済会のみならず、一般に帳簿を出さなければ課税ができないということをあなた方は認めておるのでありますか。これからます伺いたいと思うのであります。
  110. 脇阪實

    脇阪証人 午前中のお答えがあるいは不十分であつたのかと思いますが、私は保全経済会が拒否したとは言いませんけれども、それはその組織のゆえもありましようが、必ずしも協力的でなかつたということは言われると思いますが、昨年の三月きまりまして、その後は帳簿も相当見ておりますし、その他外部調査として、取引先である証券会社も調べております。それから銀行の店舗も調べております。また、六月には調査官を派遣しまして、大阪にございます近畿の総支店、また高松にあります四国の総支店も調べております。それから京都にあります仏教保全経済会の本部等の調査を行つて、相当出て来たわけであります。しかし、その最後結論を出すまでにはなかなか至らなかつたうちに休業になつたことは御承知の通りであります。しかし、今日までたとえば課税をなまけておつたとかなんとかいうのではなくて、休業になります前、それからそのあとにかけましてのこちらの調査の結果によりますと、実は、その二十五年、二十六年、二十七年、いずれも匿名組合に準ずるものとしてやつた場合には、今のところでは、その後のいろいろな調査によつてそれがふえるかどうかということは別としますと実は赤字なんであります。それを赤字として決定することは、いろいろな資料がまだ十分でありませんので、その点については最後の決定をまだ控えておるということでありまして、何もしておらぬとか、帳簿を見せぬから捨てておいたとかいうわけではないのであります。
  111. 田渕光一

    ○田渕委員 私はそうだと思つてつたのでありますが、古屋委員の御質問に、帳簿を出さなかつたからできなかつたということがあつたので、それではあなた方の責任が将来論ぜられると思いましたから伺つたのであります。  そこで、まず二十五年、二十六年、二十七年の調査の前に、あなたは御就任が二十七年の十二月からだということを、そのとき私はちよつと他の委員会に行つておりまして伺いませんで、同僚議員から伺つたのでありますが、これは二十七年の十一月ですから、就任前かと思いますが、あるいはあなたの就任後かもわかりませんが、内田君があなたの方をよしたのは、一体あなたが赴任されてからでありますかどうですか。
  112. 脇阪實

    脇阪証人 私は、さいぜん申しましたように、私の責任とかどうということは別としまして、たしか昭和二十七年の十二月の二十七日、御用納めの日であつたと思いますが、東京国税局長になりましたので、内田君がやめましたのはその前であると記憶いたします。
  113. 田渕光一

    ○田渕委員 そこで、これは前任局長の関係であり、あるいは前任局長の時代の主席と申しますか、そういう方の責任をただしたいと思うのでありますが、内田君が保全経済会の税務の調査官として調査されて、そこで完全な調査ができたかできないかに疑いを持つ点は、少くとも内田君は、この保全経済会から五千万円出されて、銀座西六の二で六日商事株式会社という貸金業をやつている。これは全部保全経済会投資五千万円でやつておるのであります。しかもこの会社の社長になつておる。そうして取締役に收原四郎というのを入れておりますが、この收原というのは閉鎖当時まで保全経済会理事であり、証券部長をやつてつた。こういうふうな理事であり証券部長をやつてつた者を会社の取締役に持つて来ておる。しかも一税務官吏として国税の対象になるかならぬかを調査に行つた者が、その調査の実績をあげずして、私から言えば、物質的な買収があつたかどうかわかりませんが、少くとも、税務署におつてもしようがないだろう、おれの方に来いというような一つの黙約があつたから調査を粗漏にしてこれを国税の対象にしなかつた。そうして保全経済会の金を五千万円も出させて貸金業をやつた。こういう不良なる税務官吏というものを部下に持つてつたという、その責任者はどこにあるかしれません。査察部長であるか調査課長であるかしれませんが、それらに対して、あなたはこれらに対する対処をされましたか。それを承りたい。
  114. 脇阪實

    脇阪証人 ただいま御指摘の六日商事の設立は、私の聞いておるところでは、二十七年六月六日であるようであります。貸金業も営んでおることも御指摘の通りであります。それで内田調査官がやめておるのは二十七年十月三十一日かと思いますが、おそらくそのときにやめて——私はそのときのことは十分わかりませんか、局長もあるいは部長も内田君がそこに行くということを十分承知しなかつたのではないかと私は考えておるのであります。もつとも私はそのことについて十分責任ある答えはできませんが、そういうわけで、今別に調査課長あるいは査察部長を処置したことはございません。
  115. 田渕光一

    ○田渕委員 少くとも、私は、こういうところに行く以上は、普通社会人一般常識から考えても、完全なる調査は結果から見てできてなかろうと思う。とにかく調査に行つた課税の対象にすべく、とろうとして行つたんだが、国家のために尽さずして、自分の一身一家のことを考えてああいうようにしたから、こういう会社ができたのだ。その会社の設立があるいは二十七年六月の六日であるかどうかは知らぬが、申告当時にそういう会社をつくり、そごに入るという約束があつたとするならば、なおさらこれに対しては、自分の私欲のために、国家の奉仕者として完全な調査はできなかつたと私は思う。それがためにできてないのだから、二十五年、二十六年、二十七年、あなたが就任されるまで上つてないのだから、こういうようなものがここに出て来た以上は、少くともその調査が完全であつたかなかつたかというようなことを調べたのか、あなたの方の中には監察制度というものはないのでありますか、それを伺いたい。
  116. 脇阪實

    脇阪証人 監察制度はございます。
  117. 田渕光一

    ○田渕委員 監察制度があるならば、こういうものを監察にかけましたかどうですか。
  118. 脇阪實

    脇阪証人 実は、その点申訳ないのでありますが、内田君が入つておるということも実はついこの間承知いたしたようなわけでございます。
  119. 田渕光一

    ○田渕委員 かりに内田君が大日商事に行つたということをごく最近知つたといつても、少くとも今日これだけの問題になつており、二十五、六年の徴税の実績があがらなかつたということは、あなたの言うように、あなたの前任者の局長時代にこういう部下の監督不行届きからこういう失体を演じておる。とれたかとれないかは別問題である。少くとも行つている者が国家のためにやつておらぬ。自分のためにやつた。そこで、実にこの伊藤は人心収攬術のうまいやつだから、うまいことを言つて税務署くらいごまかすのはわけはない。たまたま、全国の税務官吏のうちには、弱い者に対してはつけ込んで、遠慮仮借なく黙つてつてつて査察する、指令書さえ見せずにやつておるということがひんぴんとわれわれの耳に入つている。この間東北の福島市においてひどいことをやつているということを聞いたから、こういうことは仙台の国税局長に厳重にやれと言つておるが、非常に弱い者に対しては強くやる。自分に対して何ら対価、報酬、地位などを与えない者に非常に極端な取立てをやつている。今日警察官よりも税務官吏がこわいというふうになつておる。国民が税金に協力するような思想のなくなつている原因はこういうところにあるのです。少くとも国会のおひざ元である東京の国税局調査官が、国民から四十五億の金を集めておる詐欺会社の調査に行つて調査を完了せずして、その国税局をやめて、その会社から五千万円も金を出してもらつて社長にすわつておるということを、あなたはついこの間知つたと言う。いつ知りましたか。知つたならその処置をとらなければならぬと思うが、いつごろ知つたか。少くともこれは重大な問題です。簡単な問題じやないですよ。役人が自分の職務を利用して次の地位を得るというようなことは、とかく大蔵官僚に多いのです。たとえば、専売公社の役員はみな大蔵官僚がずつと占めてしまつている。当委員会で専売公社調べたときも、専売公社というものは大蔵官僚で占めてしまつておる。先般私はある結婚式に行つたところが、ある大蔵官僚が、国鉄一家のことを論じ、しかもその団結力り強いことを論じておつた。少くともあなたはそういう人だとは思わぬけれども、国会のおひざ元、あなたの東京国税局でこんなことをしておつて全国に取締りがつくかつかぬかということを伺いたい。いつお知りになりましたか、それをひとつ……。
  120. 脇阪實

    脇阪証人 その内田君のことを知つたのは、実は内田君のことについて警視庁から照会があつたそのときに私は知つたのであります。
  121. 田渕光一

    ○田渕委員 警視庁で検挙されるまで知らなかつた。それはあなたは知らなかつたかもしらぬが、あなたの部下のたとえば東京国税局に総務部長もおりましよう、あるいはまたあなたにかわるところの何かありましようが、それらが知つていなければならぬ。あなたが知らなくても、内田君が辞表を出して、どうゆうわけでやめるのだということになれば、わかると思う。少くとも官職をやめて行くことは自由であろうけれども、自分が査察に行つたその対象のものから税金をとらずして会社をつくつてもらい、保全経済会から五千万円もの金が出ておるということは、当初からはつきりしていたじやないですか。しかも、これがただの並び大名の重役なら私は言わぬ。社長になつておる。こういうようなことで、私はこれをこのままでは黙認できません。これに対する責任をあなたにとれとは言いません。前局長にだれがいたか私は調べておりません。同時に、あなたにかわるところの当時の上役と言いましようか、つまり内田君を監督すべき地位におつた人がだれでありましたか、もしあなたがお知りなければ、一緒に来ておる方に聞いてお答え願いたい。われわれはこれをどこまでも追究しなければならぬ。こういうことを東京の国税局で許したのであれば、少くとも全国では何をしているかわからない。国会のおひざ元でこういうことが行われる。銀座通りで保全の金をもつて堂々と貸金業をやつている。元国税局におつたのだから、あなた方に対して、君らばか正直なことをするな、安月給で国民をいじめても何にもならぬ、おれは要領よくやつて保全経済会から五千万円も金を出してもらつてここにやつているのだといつて範を示すことになる。こういうような者を許すことはならぬ。われわれは断固として処置したい。当時のいわゆる上司とする課長なり部長なり、あるいは総務部長なりの責任はどういうふうになつているか。あるいはこれからでもおそくありません。どうゆう処置をとられるか、伺いたいと思います。
  122. 脇阪實

    脇阪証人 私は、さいぜん、監察官にかけたことがないと申しましたが、監察官が調べたかどうかということについて私は記憶しておらぬ、こういう意味でありますから御了承願います。  内田君は二十七年の十月三十一日にやめておりますが、当時の局長は、さいぜん申しました今の主税局長であります。調査査察部長は明里、次長が田代、調査第一課長が佐野、こういうふうになつております。  そこで、責任問題ということでございますが、今ここで私だけで答えるということもできないと思います。
  123. 田渕光一

    ○田渕委員 答えることはできますまいが、あなたがここでこういうことがわかつた以上は、当時のたとえば上司といいますか、これらに対してどうなさるという——少くとも税金をとつておればいざ知らず、国税の対象となるべきまのをとらないでおいて、しかもそれがよすと同時に今問題になつておる保全経済会から五千万円出させて銀座で店を張らして、その社長で置いておくということになれば、あなたが就任後日が浅いとすればやむを得ぬとしても、少くとも東京国税局というものは堕落腐敗し切つておると思うのです。この一例をもつて論ずるわけに行きませんが、あなた方がこれに対してどういう処置をなさらんとするか、これを委員会として承つておきたい、少くともこういうようなことをこの委員会で放置しておくということになると、この調査の目的のほんとうの完遂ができないと思いますから、いろいろ官庁の責任も追究いたします。国税局長の言いまりほうだいの観察官なら、各省にある監察官制度なんかよしてしまえばよい。行政管理庁が全国を統一して行政管理をやつておる。全国一律の規律をもつて各省に監察官を置いておる。それが自分の省をカバーする監察官ならば、われわれの税金をもつてつておく必要はない。われわれが行政監察をして、国の行政はどんなに適正に運用されておるか。あるいは能率を上げておるかということを監察しておるうちにこういう問題が出て来るということはまことにはずかしいことである。あなたの時代じやないからあなたの責任じやないだろうけれども、引続いて来ておるから、あなたの下におるところの者に対してこれからどういう処置をとられるか、つまり、証人の喚問が終つたならばただちにこれにどう処置したという報告を当委員会になさる義務があると思うのだが、どうですか。やる意思がありませんか。そんなことがないならば、あなたを東京国税局長としてわれわれは信任できないということになるでしよう。
  124. 脇阪實

    脇阪証人 ただいま申し上げましたように、やめたときの事情は、よくわかりませんが、おそらくそうじやなかつたかと思います。公務員がやめまして営利企業の役員の地位につくということになりますと、国家公務員法の百三条の規定があるのであります。その際に国家公務員法第百三条の第二項の「国の機関と密接な関係にある」企業というこの規定だと思うのでありますが、責任を追究するということになれば、それは人事院規則の十四の四によりますと、「国の機関は、各省及びその外局」ということになつております。はたして国税局が外局言とえるかどうかということも、私はここでははつきりお答えができないのであります。それから、もし国税局が外局であつて、それが密接な関係がある営利企業ということになれば、これは人事院の承認がなければ役員の職につけないのであります。当時かりに知つていないということになると、むしろ内田君個人責任になることになるのではないかとも思われる。従いまして、その監督者の責任ということになると、それは十分調査してやらなければなりませんし、私が今ここでお答えできないのは遺憾に思つております。
  125. 田渕光一

    ○田渕委員 私はなぜこれをここでやかましく証人に申し上げるかと申しますと、東京の国税局調査に行きまして、そうしてその調査資料を国会が要求した。御協力を願つたのはわかつている。そのときにこの二千五百万円の政治献金という書類が出て来た、これはもつといろいろありますけれども、当委員会で取上げた一つの大きなものはこの二千五百万円の政治献金です。それはあなたは報告を受けたかどうか知りませんが、三千百万円で三重県飯南郡森村の蓮というところにある山林百六十八町歩というものを買つた。ここにあなたの方の調査官が不審を抱いてこれを直接調べている。私たちは名古屋国税局長も調べ、東海財務局も調べたのでありますが、そうすると、あなたのところで直接調べておる。名古屋を経由したかと思つたがしておらぬ。そうして、三千百万円で買つたという山を調べてみると、売つた人間の村田卓蔵というのは松阪の公安委員長をされておるが、これが五百万円しかとつておらぬ。二千五万円という金はどこへ行つたかということをあなたの方で追求した追求した結果、この二千五百万円というものは政治献金をいたしましたと言つておる、これは井上俊吾です。井上俊吾の出した二千五百万円の政治献金というものに対して、あなた方はどういうふうにとられたか、ことはあと証言でわかりましようが、その井上俊吾がこの会社の監査役に入つておる。内田君がほとんどつくつた会社と言つてもいい会社です。牧原四郎という、少くとも理事をし証券部長をした者が取締役になり、伊藤斗福が全盛をきわめた時代の理事長室長であつた井上俊吾、これが二千五百万円は政治資金に使いました、こういうことで、三千百万円の金は書類を一本とつたきりで何ら調査をしていない。それが六日商事の監査役だ。これほどおかしな、とにかくこれは常識で判断できすまか。保全経済会理事であり、しかも全部をかきまわしておる牧原証券部長を取締役に入れて、そうして井上俊吾が二千五百万は政治献金だと言つて出して来たメモといいましようか便箋一枚によつてそれを承認してしまつた。その井上俊吾が内田弘輔君の六日商事の監査役だ。私がこう御報告申し上げなくても、あなたはすでにこういうことは調査されていると思うが、こういうようなことで、まつたくわれわれは納得が行かないのです。  それでは質問をかえて行きますが、この二千五百万円は政治献金です、こう言うならば、何党に献金したかということをあなたの方で追究しなくてはならない。三千百万円で買つた、どうもあんな百六十町歩ぐらいの山が三千百万、おかしい、調べたら六百万円で買つて、余りの二千五百万円は政治献金に使いました——。それではこれが何党一行つたかということがわれわれが力を入れた問題の一つです。われわれは徹底的にうみを出してしまおうと思います。やります。やりますが。こういうようなぐあいに、将来も、金の行方がわからなくなつたならば、政治献金をいたしましたという便箋一枚でもつてあなた方はこれを調査しないで済ますつもりであるかどうか、この点をお伺いしたい。これに対して調べなかつたということが悪かつたのであるかどうか。あるいはこれは調べる余地がないというのかどうか。この二千五百万円というものがなぞが解けませんから、この点を知つている範囲において、そのときにはこうすべきであつた、将来はこうしなくてはならぬと思うという御意思をひとつ御証言願いたい。
  126. 脇阪實

    脇阪証人 三重県の山林の水増しと申しますか、それによつて政治献金をしたと井上氏が書面を出しているということは聞いております。その場合に、それではなぜ内訳をもつと追究してやらぬのかということでありますが、私はその調査した人の気持は知りませんが、私とすれば、あるいは寄付をしたということであつて、それがはつきり寄付金ということになれば、一応そのときの所得をきめるについては損金にはむろんなりません。なりませんから、そのときに出したか出さぬかということが確信が得られれば、その人の所得についての決定については必ずしも必要でないような気もいたします。
  127. 田渕光一

    ○田渕委員 それでは、こういうふうに解釈してよろしゆうございますか。たとえば、将来われわれのうちにも来るかもわからぬが、われわれも税務官吏が来たら政治献金いたしましたという便箋一枚で、何ぼでもあなた方はそれを認めるかどうか。これはどうです。
  128. 脇阪實

    脇阪証人 それは、具体的にはたして出ておるかどうかという確信を得るかどうかということが一つの問題であると思いますし、この際の問題といたしますれば、実は二十七年なら二十七年の末のいわゆる収支、それから財産の現在額、今われわれが最後的に、いろいろな赤字にしても黒字にしても、それを決定するということが困難なことがあるわけです。
  129. 田渕光一

    ○田渕委員 少くとも東京国税局長ともあるなら、私はもつと責任ある返事をしてもらいたいと思う。二千五百万円政治献金をいたしましたという保全経済会の便箋一本で、あるいは自由党、改進党、どこでもよろしい、この政治献金はどこへしたという領収証なり納得できるところのものを求めなければ、少くともあなた方は認められないと私は思うのですが、何でもかまわずに、政治献金だと謂いて来ただけで行くのなら、将来全部これで脱税ができるのでありますから、これを聞くのです。その当時にこの井上俊吾の書いたものが相当問題になつたので、あなたは御記憶があると思うのだ。これは二十七年の十二月だから、あなたが二十七年の十一月に御就任——あるいは十二月の二十七日とかいうふうに伺つておりますが、少くともこの売買のできたのは二十七年のことです。あなたの方で三月四日の銀行局長の大蔵委員会の答弁によつてどうこうというお話でありましたが、そこでその結論が出たからでありましようが、こういう書類が出ているのです。「昭和二十八年七月四日、保全経済会理事長室、秘書課主任井上俊吾」これは後に理事長室長になつておりますが、「三重県山林に関する価格の差異に就て、このことにつきましては、実際取引額六百万円でしたが、本会の表示し得ざる資金調整を行う為、私の責任に於て、取得価を参阡壱百七万円余と改変致しました。尚その実費との差額、弐肝五百万円は政治資金として流用致しました。此の点御報告申上げます。」これだけでもつてあなたの方は認めてしまつた。少くとも政治資金規正法ならば、改進党が何月何日に届けたか、自由党がいつ届けたかということの資料を求め、あるいは政党の領収証なりあるいはそれに携わつたところの議員諸公があるならば議員諸公のたとい名刺であろうとも受取りを見るなりして、この二千五百万円というものを処理しなければならぬと私は思うのです。御参考にお目にかけますが、これだけでもつてあなた方は将来もこういう点は認められるかどうか。     〔書類を証人に示す〕
  130. 脇阪實

    脇阪証人 御指摘の通りでございまして、それはその確信を得なければならぬのでありますから、これについても最後的に決定するについては十分調査しなければならぬのです。ところが、その最後結論が、たとえば二十七年で申しますれば、有価証券関係のものも少し落ちているような点もあると思います。その他いろいろな点がまだありますから、それは調査しなければならぬと思つております。
  131. 田渕光一

    ○田渕委員 私はそういう概括的なことを伺つているんじやないんです。その問題を処理するときに、これでよろしいとあなたの方で納得したのか、あるいはこれを納得せずに、あなたの方ではこれに対して決裁も何もしておらぬのかどうか。
  132. 脇阪實

    脇阪証人 それは、部長などに聞きましても、何回か書類が来ても、これは不備じやないか、あれが悪いじやないかということで返したりしてやつておりましたので、さいぜん申しました、たとえば二十五年、二十六年、二十七年は、大体これからの調査にまたなければならぬところが多いけれども、一応赤字になるというような現状だと言つておるのでありまして、まだこれに対して決裁はしておらぬのであります。
  133. 田渕光一

    ○田渕委員 私が先ほどから伺うことは、釈迦に説法かもわからぬが、あなたはこういうことを知り抜いておらなければならぬ。調査に行つた者が、ミイラとりがミイラになつてしまつて、それで会社をつくつて保全経済会から五千万円出させて、井上俊吾が内田弘輔の会社の監査役、取締役が証券部長の牧原四郎、全部保全経済会の一統でできた保全経済会の子会社というか第二会社、全額資本五千万円が保全経済から出ているんですよ。これはまことにけしからぬことだ。当時の査察部長なり、あるいは総務部長なり、あるいは課長なり、その上司たる者が十分なる責任をとつてなかつた、それがために内田が十分調べなかつたのであろう、しかもよしてしまつてこういうところへ行つたのだろうということを調べる義務があると私は思いますが、いかがでしようか。
  134. 脇阪實

    脇阪証人 私の承知しておるところでは、内田君はなるほど二十六年の調査について申告の書類について関係していることは事実でありますけれども、先ほども申しましたように、保全経済会所得を計算するについてのいわゆる方針というものが、去年の三月になつてようやくきまつたというような状況で、その山林の調査というのは、御承知であると思いますが、去年の六月十八日から二十日までに調べております。その後そう言つては悪いのでありますが、もつとほかに隠れた金があるのではないかということで調べの中途なのでありまして、よく最後まで行つていない。そのときは内田君はもちろんおりませんし、私も内田君を最近まで知らなかつたのでありますが、去年の三月以後の調査については内田君とは関係がないのでありますから、そういうことで遅れておつた。あるいはこれを調査官は調査として受取つたかもしれませんが、これでよいとか言つておらぬと私は思います。
  135. 田渕光一

    ○田渕委員 あなたが就任前でありましようが、かりにもあなたの部下であつた。そうすると、就任前によしたのでありまするけれども、税務官僚として、調べに行つた先から金をもらつて会社をつくつて、そこで相手方と一緒に金貸業をするということは、税務官僚としていいことと思いますか。少くとも常識上われわれの良心が許さないことだと思いますが、どうですか。
  136. 脇阪實

    脇阪証人 法律的な責任とか処分とかいうことは別として、私はその具体的な事情にもよると思いますけれども、たとえば特別な関係があつたものについてそういうことがあるとすれば、私はどうかと思います。
  137. 田渕光一

    ○田渕委員 それでは、どうかと思うのなら伺いますが、内田君は懲戒免官ですか、辞職願によつて辞職したのですか。
  138. 脇阪實

    脇阪証人 内田君の退職したときの事情調べてみましたが、そのときには扶養家族が多いという生活上の理由で任意退職になつております。
  139. 田渕光一

    ○田渕委員 退職金は幾らやりましたか。
  140. 脇阪實

    脇阪証人 退職金は、今ここに書いてありませんので、わかりません。
  141. 田渕光一

    ○田渕委員 参考までに伺いますが、どのくらいやるのですか。私は何十何万何千円まで聞くのじやないのです。およそどのくらいのものを渡すのですか、常識上。
  142. 脇阪實

    脇阪証人 内田君は途中から入つた人だと思いますので、年限はかなり短かいと思います。今ここで何万円くらいだということをはつきり申し上げられませんが、私のまつたくの勘でおりますけれども、きわめて少い退職金かと思います。
  143. 田渕光一

    ○田渕委員 そうすると、結局、扶養家族上生活ができないというようなことで、退職願を出したとすれば、現在東京国税局で俸給をとつておるあなたの部下は、いずれも内田君と同じような立場で、非常に生活が苦しいから、調査に行つた相手からいろいろ国家に徴収すべき税金をとらずに、自分の一身一家、家族のために職をなげうつて、国家に奉仕せずして、内田君のようになつて行くというおそれがありはしませんか。内田君が最もいい例です。内田君の功罪を言うのではないが、結果から見て非常に道義上よくない。よくないが、そこへ行かしめたということは、税務官吏の月給が安いからで、涜職事件とか汚職事件にならないまでも、こういう事件が起きて来るということがありはしませんか。あなたは国税局長としてどうですか。
  144. 脇阪實

    脇阪証人 ただいま理由を申し上げましたが、これは本人の申し立てたことを大体書いておりますから、私は、そのときの具体的な事情について、ただ書面の上でそういうふうになつておるということを申し上げたわけであります。税務職員の給与という問題になりまずと、税務職員というものは、御案内のごとく、何といつて納税者の財産についての重大な職責を持つておりまして、そう言つては悪いのでありますが、いろいろ自分のことを考えられる場合もあると思いますから、できるだけ待遇はよくしていただくのがいいと思います。
  145. 中野四郎

    ○中野委員 ちよつと関連して伺いたいのですが、国家公務員法の第百三条には「職員は、商業工業又は金融業その他営利を目的とする私企業(以下営利企業という。)を営むことを目的とする会社その他の団体の役員、顧問若しくは評議員の職を兼ね、又は自ら営利企業を営んではならない。」となつております。その次には「職員は、離職後二年間は、営利企業の地位で、その離職前五年間に在職していた人事院規則で定める国の機関と密接な関係にあるものにつくことを承諾し又はついてはならない。」「前二項の規定は、人事院規則の定めるところにより、所轄庁の長の申出により人事院の承認を得た場合には、これを適用しない。」としてあるのですが、人事院規則の三には「人事院は、左に掲げる職員につき、前二項の規定による承認又は許可を与える権限を所轄庁の長に委任する。」としてありますが、あなたは、内田君が六日商事といういわゆる保全経済会と密接な関係にある職員として職につくにあたつて、長としての許可を与えたかどうか。これは明らかに国家公務員法の規則に違反するものだし、人事院規則にも反するものですが、この点あなたの方で許可を与えられたかどうか。これに対する処置をとつておるかということを伺いたいと思います。
  146. 脇阪實

    脇阪証人 ただいま御指摘の国家公務員法百三条の第二項につきましては、先ほど申し上げましたように、人事院規則によつて、国の機関というのは各省及びその外局となつております。いわゆる国税局がはたして外局に入るかどうかということも一応疑問があると私は思います。それから、同時に、密接なる関係のある営利企業と言えるかどうかということも一応疑問があると思いますが、それは別といたしまして、最初の御指摘の、国税局長に下級職員だから一任してあるのじやないかということでございますが、それは、人事院が、営利企業の役員たる地位につくことはその権限を留保しておるのでございまして、人事院の承認を得なければならぬと思います。ところが、その内田君がやめたときは、私はおそらく前の局長もそれを知らなかつたのだろうと思うのです。従つて、あるいは注意すべきであつたかもしれませんが、知らないものだから注意しないで、結局ついてしまつた。こういうことになりますと、国税局長を通して承認するということになつておりますけれども、問題は、その内田君が国税局長に依頼すると申しますか、申し出るわけでありますが、その申出はありません。従つて、承認は得ていないと思います。少くとも私の時代には申出がなかつたのであります。
  147. 中野四郎

    ○中野委員 外局として疑いがあるというのはどこにあります。それから、いわゆる密接な関係のある営利企業に疑いがあると言うが、どこにあるか。重ねて伺いますが、内田君も小川君も同じあなたの監督下におつた人なんです。こういう人が現在二人出られておるのですが、外局としての疑問点がどこにあるか。それから、密接な関係のある営利企業ということは、はつきりしておるじやありませんか。たとえば、その出資金がことごとく保全経済去から出ておりまして、保全経済会の内情を査察しておる担当官が証券の方り担当にしましても、その担当官がそういうような反則を犯すということは、正しいことでないことは論をまたぬところなんですが、一体どこにその処置をする方途をとつておられるか。どこにその外局としての疑いがあるか。また、第二点である、密接な関係のある営利企業という点に疑いがあるというお言葉ですが、私は決して言葉じりをとるのではありませんから、慎重にお答え願いたいと思いますが、これは大事な問題です。官紀が粛正されるということは、これは日本の現在の国政の上において大事な問題で、官紀が紊乱しておるところから、そもそも今日の事態を起しておる。従つて、その監督の地位にある国税局長がその問題をばただ不問に付しておくということは許すべきでない。官紀粛正の意味から、あなたは進んで処置をとられるべきであると思うのですが、その疑問点をまず明らかにしてもらいたいと思う。
  148. 脇阪實

    脇阪証人 ただいま疑問があると申しましたのは、私は実は人事院の見解を何も聞いておりませんからというような意味であります。外局と申しましてもいろいろありますが、たとえば税務署国税局が全部外局になるかどうかということは、これは人事院の解釈にまたなければならぬと思いますので、疑問がありますと言つたわけでありまして、そのように御承知おきを願いたいのであります。そこで、内田君がこの間やめてそこについておるということを知りましたけれども、その後処置しておりません。やめた者に対して、私が、承認を受けなければならぬとか何とかいうことを、どうもそこまで言えないのではないか。むしろ内田君が自分で承認をしてくれと言うて申出があつたときに、それを私が取次ぐという規定じやないかと思うのです。
  149. 中野四郎

    ○中野委員 第二の方の、密接な営利企業であることにあなたは疑問があると言うが、どこに疑問があるのですか。いわゆる監督官庁である国税局の査察部におられた方が、証券の方ならなおさら深い関係があるのです。その人が当然その監督のもとにあるところの営利企業会社の現在専務をしあるいは常務をしているというのが、どうして密接な関係がないと言えるのでしようか。  それから、もう一点、私は申し上げておきたいのでありますが、必ずしも私はあなたを責めるわけじやありませんけれども、今の日本全国税務署管轄の税務署員というものは、たいへん世間から顰蹙を買つているのです。そのことは、いわゆる自分の裁定、裁量によつて便宜を供し、それがために自分の利益を得るというような、あるいは饗応を得て便宜を与えるというような点が多々あるのであります。これは事例が全国にずいぶんありますから、ここで論ずる必要はない。しかし、私は、税務署を監督しそれを総括するところの国税局みずからが、自分のひざ元から出た者に対して、あなた自身がその処置をとられぬというところに疑惑が起つて来ると思うのです。現在の日本の徴税方法は、科学的にこれをば徴収するにあらずして、想像税なんです。だろうというのでやるのです。あれはこのくらいもうけているだろうというふうなことで課税しますがために、税務官吏とかあるいはあなた方の役割は相当重要なポストにいらつしやる方なんです。国民の生活と直接つながつている立場においでになる方が、ごうもそういうことがあつてはならぬことです。ところが、現に、今言うような反則を犯している。これに対しては、官紀粛正の見地から、あなたが進んでその処置をおとりになるというのが、私は妥当じやないかと思う。向うから来るのを待つてつてやるべきであるというような、消極的な態度でなく、官紀粛正をあくまでも実行するという見地から、進んでこういう問題に対してはあなたが慫慂されるのが妥当ではないかと思うのですが、この二つの御答弁を願いたい。
  150. 脇阪實

    脇阪証人 先ほど国と密接な関係のある営利企業に疑問があるがと言つたことは、私があるいは言い過ぎだつたかもしれないと思います。それは国家公務員法第百三条の第二項の、国の機関と密接な関係のある営利企業にあたるかどうかという観点において、今申しましたように、その解釈を人事院から聞いておりませんので、そういう意味に御解釈願いたいと思います。  そこで、あとの官紀粛正の問題については、これは御説明するまでもなく、われわれが常に努力しなければならぬことでありまして、いつも気をつけているわけであります。今後もこの点については慎重に努力しなければならぬと思いますが、しかし、この間内田君のことを聞きまして、はたして元役人であつた人に、私がそれを言う権限があるかどうかということが疑問があつたわけであります。たとえば内田君が国家公務員にあたるならば、それは国家公務員法違反になるのじやないか。そこで、私が、君は前におつたからということで、すぐ出したらどうかということが言えるかどうかについて疑いを持つているのであります。
  151. 中野四郎

    ○中野委員 そこが問題です。あなたの話では、昭和二十五年の保全経済会課税に対していまだ調査中と言うのです。そうして、その調査の結果が出ておらぬでしよう。そこで、実は、そういう御誠意があつても、当時これを担当しあるいは担当官と同じ席におつた人なれば、同じ国税局の中なれば、これはしばらく待つてくれとか、これはこうしてやつてくれないかというようなことが人情としてあり得ることです。また間々行われている。そういうことによつてことさらに二十五年の課税に対して手心を加え、あるいは加えんとして便宜を供したことによつて、いわゆる保全経済会から特別な地位をもつて待遇されて、そうして六日商事というものの今日社長に遇せられているという過程を考えてみれば、官紀粛正という観点から言つて、悪いことと言つては悪いが、反則を犯した人がみずから名乗り出て来るわけがないのですから、あなたの方から、こういうようなことは国税局として許すべきでないから、こうすべきじやないか、ああすべきじやないかというような処置をとられるのがあたりまえじやありませんか。むしろ、権限の問題から言えば、あなたはそういう地位においでになる。これは国税局の一官吏の方なら私はこうは申し上げない。しかし、総括的に監督をなさる国税局長として、そういうことが平然と行われれば、今後あなたの局の者は、今言う、調べに行つたところに手心を加え、加えんとすることによつて便宜を供して、そうして自分の地位を獲得する。その獲得をした結果においては、あなたの今言う立論から言えば、向うから出て来るものであつて、こつちには権限に疑義があるというようなことは、私は国税局長という見地からは少し不当ではないかと思うのです。あなたは不当でないとおつしやれば、それはやむを得ませんが、私らは、およそ不当な処置である、むしろ進んでこの問題はあなたの方で処置すべきものではないかという見解を持つておるのですが、いかがですか。
  152. 脇阪實

    脇阪証人 内田君が不当なことをやつておるかどうかは私は承知しておりません。しかし、たとえば、役人をやめるときに、ぼくは会社の社長になるということならば、私は注意もしますけれども、一旦やめて——私はこの間知つたのでありますが、二年近くもたつてから、私がそれに反対してああせいこうせいと言う権限があるかどうか、疑問があると思います。
  153. 中野四郎

    ○中野委員 今あなたの仰せのような立論から言えば、やめるときに会社の社長になるとか、専務になるという違法行為を申し出るわけはないのです。というのは、それだけうしろ暗いことかあるからです。保全経済会のようなものは、匿名組合匿名組合に準ずるものか、実態が解明されていないでしよう。いわゆる投資機関であるかどうかということすら鮮明にされていない。しかも課税の対象になるのが何人であるかわからないときじやありませんか。そのときにあたつて、彼がその倒に当つてつたのだから、当然便宜を供し、あるいは供さんとしてかなり好意をもつて処置したことはわかり切つたことじやありませんか。その人間がやめるときに、あなたにその内容を報告するわけはない。そういうことこそ、局長としての職務上の権限から、一年後においても半年後においても、当然処置しなければならない。現に、小川君にしましても、あるいは内田君にしましても、ずいぶん早い機会に就任しておるじやありませんか。その事実がわからなかつたことはあなたの不徳のいたすところです。しかし、あなたのところの係長とか課長は知つておるはずだ。知らぬはずはない。そうしてみれば、あなたはなるほど新任でいらつしやつたから知らないかもしれませんが、局全体から考えた場合には当然知らなければならない。そのときの局長が何らかの処置をするとか、あるいま今日わかつたときには即刻に処置する。  誤つたことを改めるにはばかることなかれ、ただちにこういうことは間違いじやないか反則じやないかということをあなたは官紀粛正の見地かり言うべきではないか。どこに疑問がめるのですか。そんな疑問の考え方を付つておられれば、あなたのところかつそういう人間がどんどん出ます。あばたは一、二年おれば栄転するか、横物するか知らないけれども、それじや済まない。単なるあなた個人ではない。東京国税局長としての責任を問うておる。当然そういう責任を感じてしかるべきだと思いますが、疑問があるといつて済まされるならば、それでもよろしい。われわれは立法府における行政監察委員会としてあなたの責任を新たなる立場に立つて追究するだけの権限を持つております。しかし、私はそういうことを好ましいとは思つておりませんので、今でもおそくないから、将来あなたが内田君なり小川君に対してこのことの処置をされるという御気分があるならば、私はあえてこれを深追いしようとは考えておりませんが、これは大事な問題です。官紀粛正、綱紀粛正、このことは道徳を確立して日本の政治を正常な姿に返す上において一番大事な問題だと思いますから、御一考あつてしかるべきだと思いますが、いかがでしようか。
  154. 脇阪實

    脇阪証人 私はここで即答をいたしかねます。
  155. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 関連して。あなたの責任を追究するとか、あなたにどうせよという問題ではないと思う。要するに、先ほどから聞いておると、内田なり小川のやつたことは官吏としていいことだとは言われないでしよう。その点はいかがですか。
  156. 脇阪實

    脇阪証人 もし、さいぜんおつしやるようなことがあるのでしたら、いけません。また、そういう立場におつた者がなるということは、私はさきにも言つたように、前官吏としてはどうかと思うと考えておるということは申し上げられます。
  157. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 とにかく自分が調べておつたのだから、そして調べておる途中でやめて、その調べておる会社から出資させて——五千万円といえば大金です。そういう資本を出させてその社長にすわるということは、何人が聞いてもただとは聞きません。従つて——前の局長のときであつたかもしれない。あなたの時代ではなかつたからそういうことを知らなかつた、それは人間ですからやむを得ない。そこで、今日わかつたとすれば、これは捨てておけないという考えは起らなければならないと思いますが、この点どうですか。
  158. 脇阪實

    脇阪証人 この点につきましては、この間からも実はいろいろ考えておつたのですが、どうもその権限がないじやないかというように思うのです。
  159. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 権限のあるないじやない。権限がなかつたらないでもいいですよ。私の言うのは、国税局として、もしくは国税庁として、こういう事実が国会で明瞭になつたとすれば、これは捨てておけないので、何とかこういうことのないようにしなければならぬ。まずそれについてだれかが責任をとらなければならないということが当然起ると思うのです。私はあなたにどうしなさいこうしなさいと言うのではありません。それらの見地に立つてこれらの責任を明瞭にし、今後このようなことがあつてはたいへん困るから、ないように努めるという御意思はありませんか。
  160. 脇阪實

    脇阪証人 その点については、そういうように努める意思はございます。
  161. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 これはぜひともおやりにならなければならぬと思います。これは深く調べれば必ず刑事問題が起つて来ると思います。私は今までこれだけのことを知らなかつたが、これだけのことが明瞭になれば、ただでそんなことが行くものではありません。いわゆる臭いも臭い、これほど臭い問題はないと思います。それらの点は将来一般官吏に対する戒めともなりますし、国民に対する疑惑を解くことにもなるし、いわゆる官紀粛正ということに対しては重大なことだと思うから、あなたもひとつ、あらゆる面から御研究つて、かようなことのないようにお努めくださることを私は希望いたします。
  162. 中野四郎

    ○中野委員 私、ちよつと忘却しておつたのですが、内田君のときはあなたの局長のときでないようです。小川亮君の退職は昭和二十八年六月で、あなたのときなのです。そうすると、あなたは国家公務員法の手続をとらしめずにそういう処置をしたことは、あなたの責任じやありませんか。
  163. 脇阪實

    脇阪証人 小川君は、私が局長になつてから、去年の五月三十一日にやめております。もつとも、小川君は職務関係から申しますと直接関係はないように私聞いております。それでは、やめるときにどうだつたということになるのであります。それは、そのとき私は全然知りませんでした。そして、やめるのは一身上の都合ということになつておりまして、任意退職も発令されておりました。小川君の問題も私はついこの間知つたわけでありますが、小川君は、内田君と違いまして、昭和二十七年六月一日までは特殊業係、すなわち貿易・百貨店業関係、その後二十七年六月一日から退職のときまでは公益事業の係長をしておつたのであります。それで、内田君とはちよつと職務の関係が違うのであります。
  164. 中野四郎

    ○中野委員 そういう職務の関係でないのです。小川君はあなたが局長としておいでになる間に退職しておるのです。理由はどうでもよろしい。繰返して言うのじやないのですが、先ほども言うように、少くとも自分が関係している一つの役所の傘下にある、監督下にある会社に入るのに、国家公務員法の違反を犯して局長に進達するわけはないので、何か理由はありますよ。家庭の事情とか、一身上の事情とか、経済上の事情とかいうことは訴えて出るでしよう。しかし、現に、昭和二十八年の五月三十一日にやめて、そしてこの密接な関係にある、監督下にある、課税の対象になる、しかもその課税が曖昧模糊の間にあるような保全経済会の小会社の六日商事の常務の職についているというが、国家公務員法の手続をとつたかどうか。それを聞いているのです。あなたはその際これに対して手続をとらしめたかどうか。最近になつて聞いたとか聞かぬとかいう問題じやない。昭和二十八年六月のことです。今から九箇月かそこら前の話じやないか。最近になつたつて、いつになつたつて、できるじやありませんか。どうしてそれをやらなかつたか、それを伺いたい。
  165. 脇阪實

    脇阪証人 小川君は、やめるときにもぼくは知らなかつたのであります。それで、その手続はとつておりません。
  166. 中野四郎

    ○中野委員 それは不見識きわまるじやありませんか。これは私は局長さんの答弁としてはまことに見識がないと思うのです。知らぬといつたつて、今知つたでしよう。知つた限りにおいては、どういう処置をするのですか。これからあなたは、あなたの局の方々がおやめになつて、こういう違法行為を行つている場合に、知らなかつたからといつて通りますか。あなたは当の監督者である局長じやありませんか。その局長さんが、その手続をしらなかつたといつて平然としておつて、権限に疑いがあるなんといつてばかげたことを言つてつたんじやだめじやありませんか。これは少し御勘考になつたらどうですか。そうして、自分の職の責任上からただちに処置をとるのが妥当な道じやありませんか。それをもしもあなたが疑義かあるとかなんとか言つて逃げて行かれるなら、けつこうです。あなたの証言がそれならそれでけつこうですから、われわれの方は量られた権限において、行政監察委員会としてあなたの職務に対して監督する権限があるから、いたします。けれども、そういうことを私は好まないから、あなたみずからがこの際あやまちを改むるにはばかることなかれで、何らかの処置をとるとおつしやれば、穏便に済むと考えて新司な意味で先ほどから繰返しているのですが、小川君に対しても内田君に対すると同等の立場に立つてあなたは何らの処置をなさらないつもりですか。それならそれでよろしい。ただその答弁だけ伺つておきましよう。
  167. 脇阪實

    脇阪証人 おつしやる御指摘の点はよくわかりますが、人事院ともよく相談をいたします。
  168. 田渕光一

    ○田渕委員 国税局の局長がこの点どう考えているか。国家公務員法の第九十六条には「すべて職員は、国民全体の奉仕者として、公共の利益のために勤務し、且つ、職務の遂行に当つては、全力を挙げてこれに専念しなければならない。」あるいは人事院規則のいわゆる服務の宣誓等もあるのですが、こういう法律はもちろん徹底していることと思う。ところが、伺つていると、——局長みずからが道義的な責任を負えと私は言うのではない。わからなければ前局長も呼びます。あなたのところの監察官も。どう調べたか、呼ぶのですけれども、そこまで横へそらしたくないから、この機会にわれわれが伺うのですが、どうです。こういう国家公務員法の九十六条の精神をほんとうに体しているとすれば、内田君は六日商事、小川君も六日商事だけとあなたは思つておりますか。ほかにもあることをあなたは御存じですか。それだけ御証言願いたい。
  169. 脇阪實

    脇阪証人 今特に聞いておりません。
  170. 田渕光一

    ○田渕委員 それじや私が申しましよう。こういうわけです、私は小川君の問題までそういう関係で出したくなかつたが、二の六日商事の取締役に小川君をひつぱり込んだ。あとからですから、内田君が小川君をひつぱり込んだと私は見るんだ。小川君が六日商事の取締役です。そうして日本和紡株式会社という、これは大谷瑩潤氏の息子がやつている長浜の、仏教保全会の関係している会社です。この仏教保全会が最も大きな投資をしている長浜の日本和紡の監査役になつている。もう一つ、内田君は、上野工業株式会社という中央区日本橋本町四の五にある会社これにも保全経済会から一千四百万円出ている。これの監査役になつている。それでやはり証券部長であつた理事の牧原が取締役である。三つも四つもこういう会社に関係している。まことに東京国税局の職員各位のつらよごしのやつらだ。内田にしろ、小川にしろ、けしからぬやつらだと思うけれども、なるほど、あなたの証言の通り、出て行つた者調べることはできないが、少くとも内田や小川をたれが入れたかということから聞いて行かなければならぬ。こういう点についてあと資料で提出を求めますが、少くとも今中野委員が言うごときことは——私は、国会というところは甘いところだ、代議士も税金関係もあるのか税務官吏に対して手心を加えるというように見られちやいかぬから、公的な立場でこの問題の証言をあなたに求めている。決して私怨私情があなたにあるわけじやありません。少くとも査察部長なり総務部長なり、あなたの部下で当時の直接責任者であつた者だけは、あなたが調べて、一人くらい責任をとらせなさい。保全経済会の問題で顧問として顧問料をとつたというだけで、社会党の顧問の地位にある平野君を社会党は離党さした。平野君が政治的な生命を社会党からとられてしまつた。政治家としてこういう道義的な責任をとつております。——判決がなくても。また一つは、一月二日の二重橋事件を見ましても、警視庁の取締官が左遷され、訓戒を受けている。こういうことがあつて、信賞必罰がなければ、あなた方の部下の将来の戒めにならぬ。ここまで来た問題を、私たちは、あなたが知りません、あるいは考えてみましようと言うことで済ますことはできませんので、少くとも当時の上司たる者に対して、あなたがお調べになつて責任をとらしていただきたいということを私は要求する。結果としてどういう処置をしたかということは、当委員会へ書面をもつて御報告を願えばたくさんだと思う。それがないのならば、当委員会結論を出すまでに、あなたに対する方法考えて行かなければならぬ。これを要求いたしておきます。
  171. 小林進

    ○小林(進)委員 緊急動議の提出をいたしますが、今、本証人に対して、田渕委員並びに中野委員から、実に行政監察委員として当然追究しなければならない最も重点を追究いたしているのであります。いわゆる行政庁の長として、国家公務員法並びに人事院規則に照しまして、局長としてその責務を全うしているかいなかということを言葉を重ねて追究しているにもかかわらず、彼はそれに対して誠意のある答弁を行うことをしない。またそれに対する自己の責任一つも意識していない。考えていない。ただ自分の責任のがれのみに汲々といたしているのでありまして、これには私は国家の公務員あるいは公僕として見のがしておくことはできないと思うと同時に、こういう責任感のない者をなんぼわれわれが貴重な時間を費し労を費して追究いたしましても、これ以上の効果をあげることは不可能であると思います。この際、委員長におきましては、こうしたむだな質疑を繰返することを中止せられて、ただちに理事会を開いてこの証人をいかに取扱うか、たとえて言えば、所管大臣にわれわれ理事会の名において重大な勧告をするか、あるいはその他の適宜な処置をとらなければならないと思うのであります。そういうことに関し委員長がさつそく質疑を打切つて理事会の招集手続をとられんことを緊急動議として提出する次第であります。お諮りを願いたいと存じます。
  172. 塚原俊郎

    塚原委員長 ただいま小林君から、質疑を打切つてただちに理事会を開いて相談すべしという動議が出されておりますが、御異議ありませんか。
  173. 田渕光一

    ○田渕委員 異議はありませんが、私たちはこの証人に対してこのまま証言を打切るわけには行きません。まだまだ求めなければならぬものもありますから、これは打切りでなくこの証言を留保しておいて、私は今の小林君の動議に賛成いたします。
  174. 塚原俊郎

    塚原委員長 小林君の動議は、質疑を打切つてただちに理事会ということでありますが、田渕君から、質疑をなお残しておるから保留して理事会を開けということでありますから、そういつたふうで小林君いかがでありますか。
  175. 小林進

    ○小林(進)委員 それでは、私は田渕君の意見に同意をいたします。
  176. 塚原俊郎

    塚原委員長 お諮りいたします。御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  177. 塚原俊郎

    塚原委員長 御異議なしと認めます。脇阪証人に対する質疑は保留いたします。  なお、脇阪証人には今後出頭を求めることになりますから、さよう御了承願います。  本日はこれにて散会いたします。     午後三時五十二分散会