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1954-03-16 第19回国会 衆議院 行政監察特別委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年三月十六日(火曜日)     午前十一時十八分開議  出席委員    委員長 塚原 俊郎君    理事 高木 松吉君 理事 田渕 光一君    理事 長谷川 峻君 理事 中野 四郎君    理事 山田 長司君 理事 小林  進君       天野 公義君    鍛冶 良作君       鈴木 仙八君    瀬戸山三男君       高橋 英吉君    原田  憲君       山中 貞則君    橋本 清吉君       久保田鶴松君    古屋 貞雄君       佐竹 新市君  委員外出席者         証     人         (大蔵省銀行局         長)      河野 通一君         証     人         (東京国税局         長)      脇阪  實君     ————————————— 三月十五日  委員田中角榮君辞任につき、その補欠として瀬  戸山三男君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  保全経済会等特殊利殖機関に関する件     —————————————
  2. 塚原俊郎

    塚原委員長 これより会議を開きます。  前会に引続き保全経済会等特殊利殖機関に関する件について調査を進めます。ただちに証人より証言を求めることにいたします。  河野証人に申し上げますが、宣誓趣旨及び偽証罰等については前今申し上げた通りであります。  それでは、宣誓趣旨及び偽証罰等について御了承の上、法律の定めるところによりまして証人宣誓を求めます。御起立を願います。  宣誓書を朗読してください。     〔証人河野通一君朗読〕    宣 誓 書  良心に従つて、真実を述べ、何事もかくず、また何事もつけ加えないことを誓います。
  3. 塚原俊郎

    塚原委員長 それでは宣誓書署名捺印してください。     〔証人宣誓書署名捺印
  4. 塚原俊郎

    塚原委員長 これより証言を求めることになりますが、証言証言を求められた範囲を越えないこと、また御発言の際には、その都度委員長の許可を得てなされるようお願いいたします。古屋貞雄君。
  5. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 証人は大分長いこと銀行局長をおやりになつておりますから、特に本件について問題になつております金融行政の問題について、きようは少しつつ込んでお尋ねしたいと思うのでございます。  第一に、早くこの問題を熱心に御研究願つて結論を出されて、今回御提案になつておられます保全経済会に類似いたしますようなものの取扱い法規を御制定になれば、現在のような多数のぬえ的な金融機関が続出いたしまして無知な多数の国民が迷惑をこうむらなかつただろうということが、私ども結論では考えられるのであります。従つて、今日まで放任された行政運営に関する問題と、特に、先日来証人から御説明がございました、保全経済会金融取扱いの面においては匿名組合とは断じられないというような結論が出た、さような御説明がございましたので、その断じられないという結論が出ました根拠についてお尋ねしたいと思うのであります。  第二にお尋ねしたいことは、昭和二十七年の二月十八日に、当時の大蔵大臣でございました池田勇人氏に対して、予算委員会におきましてわが党の成田委員から、保全経済会金融機関としては非常に怪しげなものであつて大蔵省はこれに対していかなる態度をもつて処するかというような御質問がございましたときに、もしも法規に違反する場合におきましては厳重な取締りをいたしますという答弁をせられておりますので、当時証人銀行局長でございましたから、大臣からこれに対して実態調査をするようにという御命令、あるいは政府委員として同席されておられたとも考えられますので、この成田委員の御質問に対して大蔵大臣がお答えになつておることについて具体的にいかなる調査、いかなる関係を持たれたかということについてひとつ承りたいと思います。
  6. 河野通一

    河野証人 第一のお尋ねでありますが、現在国会に御提案申し上げておりますこれらの出資受入れ等に対する取締り法案、これをもう少し早く提案し、その成立を見ておつたならば、保金経済会等についてああいう大きな大衆の被害は起らなかつたであろうというような点でありますが、これにつきましては、先般の当委員会におきましても私からお答え申し上げました通りであります。昨年三月に大体これらの問題に対する私どもの方針を御説明申し上げまして以来、その後の動きは、やはり放置いたしますにおいては社会に非常に危害を及ぼすおそれがあるといつたような点からいろいろこれらの問題について検討を加えて参りましたことは、この前申し上げた通りであります。その措置が遅れたために非常に迷惑を及ぼすことになつた結果については、私どもも早くそういう措置ができたことが望ましかつたとは思いますが、これもこの間も申し上げましたよりに、非常に複雑な技術的な問題もございますので、これらの検討をいたしますために時間を要したということでございまして、この点ははなはだ申訳ないことと私は考えております。  それから、第二点の、私が去年三月政府部内の一致した見解として大蔵委員会に御説明申し上げましたところの、この匿名組合方式等の問題に対する私ども考えでありますが、これは匿名組合とは断じられないというのではないのでありまして、匿名組合でないとは言えない、こういうふうなことを申し上げておつたのであります。匿名組合であるかないかにつきましてはいろいろ議論があると思いますが、その点に関しましては後ほど御質問があると思いますので省略させていただきたいと思いますが、二十七年の初めでありましたか、当時大蔵大臣であつた池田氏にたしか予算委員会でこの問題に対する御質問があつたことは、今古屋委員のおつしやつた通りであります。私もたしかその委員会に出ておつたと思いますが、それに対する答弁も、今お話のように、いろいろなこういつた機関ができておるが、これらが調査した結果金融法規等に違反いたしておるような場合には厳重に取締る、こういうことを当時の大蔵大臣から御答弁申し上げておるのであります。池田大蔵大臣からは、この問題についてはすでに昭和二十六年のたしか秋ごろに、保全経済会というものが相当全国的に店と申しますか支所と申しますか、そういうものを持つて出資受入れをいたしておるようだが、この問題はどういうふうなものであるか、これを法律上あるいは行政上どう取扱うべきであるか、ひとつ調べてみるようにという話が私にありました。もちろん、私どもは、当時池田大蔵大臣から話があります前から、先般申し上げました通りこれらの問題について調査の進めておつたのでありますが、大蔵大臣の話もありましたので、その後も鋭意これらの問題に対する取扱い方あるいはこれらに対する法御上の解釈という問題につきまして検討を加えて参つたことは、先般御説明申し上げました通りであります。
  7. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 そこで、お尋ねしたいのは、前会の委員会証言によりますと、保全経済会定款事業案内あるいは新聞広告その他において御調査をなさつたとおつしやつておりましたが、一体現在の経済状況において、あの事業方法——定款営業案内というふうなものに記載されたような事実が行われた場合に、はたして営業が成り立つというふうに断定されたかどうか。たとえば、最初は月七分、月五分、月三分、最後は月二分になつたのですが、月二分あるいは月三分を、利益があろうがなかろうが利益配当として出資者配当するということで、現在の日本の情勢においで営業が成り立つかどうか。大蔵当局調査され、お考えになつておられる立場からして、経済上の鑑定はどういう鑑定をなさつたのでありましようか。その点をお尋ねいたします。
  8. 河野通一

    河野証人 この点も、先般の委員会でお答え申し上げたところに関係があるのでありますが、こういつた仕組みの業態というものは、私個人としては、いわゆるインフレーシヨンの進んでおります時期、つまり株価も騰貴を続けておる、不動産等も値上りが続いておるというような状態のもとにおいては、あるいはこれらの業態高率配当を続けてなおかつ業務を維持して行くことができるかもしれないが、経済がおちついて正常な状態に入つて来ました場合においては、ああいつた高率配当を続けながら業態を維持して行くということはなかなかむずかしいものであろう、その意味におきましては私は決して健全な業態ではないと従来から考えて参つております。しかしながら、私といたしましては、これらの業態についての正確なる判断責任を持つてこれらの業態は成り立たないということを公に確言いたすだけの自信もございません。私個人としては今申し上げたように考えておりましたが、それを公にするだけの自信は持つておりません。
  9. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 私どもはその点が非常にふしぎに思のです。少くとも日本の正常なる経済運営日本経済の立て直し、自立経済を念願といたしまする大蔵省といたしましては、ただいまのような、証券の売買並びに不動産売買を目的とする保全経済会営業実態から考えまして危険な状態、危険な仕事である、健全な営業ではないという程度だけの御認定であるように承りますけれども、少くとも経済常識しか持つておりませんわれわれですら、これは自転車営業であつて必ず最後には破綻するのだ、先の利益配当あと出資によつてこれを行われておるのだということの実態は、大体しろうとでもわかるのでありまするから、私どもどうしても納得行かないのです。やはり大蔵省のような日本金融行政を取扱つておりまする、しかも終戦後における混乱状態の中から日本経済自立に推進しようという御指導をされておる大蔵省が、ただいま証人のおつしやられた断定をされてああした危険な商売そのものを放任されたというところに、私ども納得が行かないのです。実は、日本経済においてああいう営業が成り立つか成り立たぬかというような鑑定法務委員会でやらしましたところが、成り立たない、こういう鑑定になつております、大蔵省といたしましては、あらゆるエキスパートを集めてさような調査研究をなさつた事実があつたかどうか。そうして、鑑定をされた結果、皆さん方研究の結果、結論づけられたかどうか。この点どうでしよう。鑑定もし調査もし結論づけられたその結果が、ただいま証人のおつしやられるような証言に集約されるのかどうか、この点はどうでしよう。
  10. 河野通一

    河野証人 私どもは、この問題につきましてはいろいろ調査もいたしましたが、こういう業態一体営業として成り立つか成り立たないか、計算が成り立つか成り立たないかという点につきましては、実は深く検討いたしておりません。むしろ、私ども立場といたしましては、こういつた業態というものが一体金融法規その他の立場から禁止さるべきものであるかどうか、つまり、申し上げますと、金融法規に違反した業態であるかどうか、こういう点にむしろ検討主眼を置いて従来から調査をいたして参つたのであります。その調査過程におきまして、今御指摘のような、たとえば月に七分とか八分とかいつたよう高率配当を行つておる、こういう事実も私どもは知り得たのでありますが、そういうことが一体成り立ち得るものかどうかという点につきましては、非常に私どもは不安定な業態であるということは十分に考えたのであります。しかしながら、かりに七分、八分という配当ではできないという場合においては、それじやこれを二分、三分に下げた場合にはできるか、あるいは、さらにまたこれを一分にし〇・五分にし、そういうふうにだんだん下げて行つた場合に、そういつた業態一体つて行けるのかどうかという点につきましては、私どもは的確にこれらの問題についての結論を出すまでには至らなかつたのであります。現に私の聞いておりますのは、保全経済会等におきましても、当初毎月八分とか七分とかいうような高率配当をいたしておつたようでありますが、後には二分あるいは三分というような配当にだんだん引下げて参つておるように聞いております。さらにこれを引下げた場合において、そういつた業態が成り立つか成り立たないかということになりますと、私どもといたしましては必ずしも判断がつかない。少くとも不安定な業態であるということは言えるけれども、こういう業態一体禁止すべきであるか、あるいは——こういう業態は危険であるから公衆に加入すべきじやないということを公に政府の一員として申し上げるまでには私ども自信はなかつた、こういうわけであります。
  11. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 その点が、大体金融行政取締りまする大蔵省といたしましては、成り立つか成り立たぬかという結論を得ることが私はほんとうであつたと思うのです。ただいま、禁止規定に違反するかどうかということだけをお調べになられたそうですが、そりすると、経済的に成り立つか成り立たないかということは重点を置かなかつたということに承つていいですか。私は、成田委員質問趣旨はそこにあつたと思います。池田大蔵大臣に対する質問趣旨は、ああいうような危険な営業を放任することは日本経済界悪影響を及ぼすのではないか、それについてどうだ、こういう質問趣旨のように承つたので、現在ある法規に違反するかどうかということは大蔵省としては第二の問題である。法規違反があるかどうかということは、これは法務省でやるべき筋である。大蔵省はそうでない。ああいうような金融営業をすることが日本金融界悪影響を及ぼすか及ぼさないか——。従つて大蔵省としてはこれをどう措置するかということが主として研究さるべき問題だ、こう考えるのです。その点どうでしようか。どつちに主眼を置いて調査研究をされたのですか。
  12. 河野通一

    河野証人 少なくとも銀行局長としての私の立場から申し上げますと、これが金融業務対象になるかならぬかという点に重点を置いて調べたのであります。かりにこれが金融法規に違反するような状態でありますならば、厳重に取締り禁止をいたさなければならぬ。しかしながら、金融行政対象外でありますならば、これは銀行局長としての私の職務のらち外であるというふうに私は考えて参つたのであります。その観点から研究をいたしました。  なお、今お尋ねの、成田委員からの当時の池田大蔵大臣への御質問に対する池田大蔵大臣答弁は、ここにございますが、こういうふうに言つております。「大蔵省といたしましても、今そういうものの実態を調べておるのでございます。もし銀行法等の法令に違反する場合におきましては、十分な取締りをいたしたいと考えております。」こういう答弁をいたしております。この観点も、やはり、私が今申し上げましたように、金融行政のうち内の問題であるならば私は十分に取締りをいたして参りたいと考えるということを申しておるのでありまして、私どももそういう観点からこの問題の調査をいたして参つたのであります。その結果、昨年の三月に申し上げたような結論を得た、こういうことであります。
  13. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 その実態そのものは、経済的な実態ではないでしようか。取締るということの方面でなくして、その営業実態そのものを御調査すべきだ。  しからば、保全経済会の問題はそれとして、仏教保全経済会の問題を御調査なつたかどうか。仏教保全経済会は、これは伊藤がはつきりと大蔵委員会において証言しておりますけれども、あれはサービス機関だ、トンネル機関——。あれだけ日本中に組織を持つた、しかも国民の中心となる信仰の組織を持つたあの組織を、単なるトンネルサービス機関としてあれを利用して金を集めたという詐欺的な行為が行われておる。これに対してどういう調査をなさつたか。この点を伺いたい。
  14. 河野通一

    河野証人 仏教保全経済会につきましては、私どもは十分な調査をいたしておりません。私どもといたしましては、保全経済会というものを対象にして、いわゆる匿名組合方式ということによつて出資受入れておるその形態でまず結論を出したいということで、私どもが入手し得る限りのデータによつてこの問題の検討をいたしたのであります。実態という古屋委員お話でありますが、私どもは単なる形式の問題だけで議論はいたしたくない。従つて、そういうふうな方法で行われておる出資受入れの形が、銀行法の禁じておる預金受入れ行為になるかならぬかという実態について調査をいたしておることは事実であります。その結果は、ただいま申し上げましたように、預かり金禁止規定に違反するとは言えない、断じがたいという結論なつた次第でございます。その限りにおきましては、私どもといたしましては、これは金融機関ではない、少くとも金融行政対象になるようなものでない、それは受信の面においても与信の面においてもそういうふうな対象にならないという結論なつた次第であります。
  15. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 二十六年から昨年の三月まで相当に長い間調査されたとおつしやつたのに、仏教保全経済会実態を調べなかつたというこの点は非常に無責任だと思う。  もう一つ私が申し上げたいことは、違反行為のみの調査をするというわけではないのです。大蔵省の権限は違反行為を調べろということではおそらくないと私は思うのです。もしも現在法規に欠陥があつて取締りができないということになりますならば、今回のような取締り法規は早く出すべきものだ。でありますから、仏教保全経済会調査は行わぬというような無責任なことを局長がここで申されるからわれわれは納得が行かない。従つて、二十七年の二月十八日に成田君からも質問せられておりますのはそういう意味なんです。法規にひつかかる、ひつかからぬという問題ではなくして、実態を調べて、日本金融行政の上に、金融界の上に弊害があるならば、これに対する処置をすることが私は大蔵省責任であり、官庁としては義務だと思う。この点について、法規違反かどうかはあとから私は承りますけれども、そうではなくして、その不健全なる営業そのものに対する処置大蔵省としてすべきだと思う。それが一年以上一年半も研究された結果、しかもただいま質問申し上げますならば、仏教保全経済会調査はされていない。これはもう絶対に問題の詐欺行為一つ、疑問を抱いて金を集めたという典型的な一つの形なんです。こういうことを調査されずに、単に法規に違反しない違反しない、こういうことで答弁されても、これは国民納得しないと私は思う。不健全な金融機関であり、しかも現在の法規にひつかかることかできないならば、これに対する行政措置大蔵省金融行政の面からやつていただかなければならぬ。この点を私は承つておるのです。しかも池田さんは国会においてはつきりとこれに対する、ただいま読み上げられたような答弁をなされておる。これは何も、成田君の質問は、ひつかかるから罰しろということじやないと思う。日本の健全なる金融運営というものを要求しておるのだと思う。でありますから、今日まで取締り法規をつくらずに——あなた方の結論から申されましてもつくらずに放任されたことについて、どういうわけで運営を放任しておつたかということを聞きたい。この点が行監としては最も聞きたいところなんです。金融行政運営について、故意にやられたのか、あるいは不注意でやられなかつたのか、あるいは熱心でなくして放任しておつたのか、この三つにかかると思う。だから、いずれにいたしましても、その当時の実際の状況について、——金融行政面に対する処置、罰則で罰するという処置ではないのです。それは法務省でやられるわけです。その処置を今日まで放任され、たまたま本件が大きな社会問題になつて初めてこれに対する立法措置取締り措置をしようということであるから、その点の事情を聞きたいのです。大蔵省はどういう考えであるかということをお聞きしたい。
  16. 河野通一

    河野証人 この点は、たびたび私から御答弁申し上げておる通りであります。私は、こういう状態金融行政対象でないという結論を出しておる。これは私だけが出したのではございません。なるほど金融の問題については大蔵省の所管であるし責任であります。しかし、この問題を私ども研究した結果、これが金融行政対象外である。先ほど申し上げましたように与信面においても受信の面においても金融行政対象外である、かように私ども結論を出したのであります。はなはだ責任を転嫁するような言い方で恐縮でありますが、私はさように考えておる。これは私だけがそういう考え方で参つておるのではございません。これらの結論を出すために私どもは相当長い期間を要したのであります。その長い期間を要しましたことについては、確かにもう少し早く結論を出せばよかつたというおしかりは受けなければならぬと思いますが、結論といたしましては、先ほど申し上げましたように、金融行政対象外であるという結論であつたのであります。しからばこのたびこれらの問題に対しての取締り法案を提案したのはどういうわけだという御質問かと思うのでありますが、この問題は先般の委員会でもお答え申し上げました通りであります。私どもはこの保全経済会等業態がはたして金融法規に該当するかどうかという点でいろいろ研究をいたしましたこともございます。それに関連いたしまして、これらの業態に対しては私どもも相当調べたのであります。その過程におきまして、金融行政対象外ではありますけれども、私どもとしてはやはりこれについて何らか措置をしなければならぬのじやないかという考え方が出て参つたのであります。これは先般の委員会でも申し上げました通り、昨年の夏ごろからそういつた個人的な私ども考え方研究いたして参りました。非公式でありますが、このことは法務省当局にも連絡をいたしたような次第であります。ただ今般、その研究の結果、非常に遅れて恐縮でありますが、法案を提出するに至つたのであります。この法案内容はいろいろな事柄についての規定を設けておる。しかもこの法案法務省大蔵省の共管ということに相なつておる。しかも、その中で、第一条つまり出資受入れの制限の規定は、主たる担当者法務省であるということに両省とも話合いができておる次第であります。そういう関係から、私が今まで御説明申し上げましたような考え方に立つて従来からいろいろ調査もし、立案についての検討も続けて参つた、かように御了承をいただきたいと思うのであります。
  17. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 ただいまのような処置を一年か二年か前にやられればこういう問題は起きなかつたので、それで私ども責任を問いたいのです。  そこで、先刻証人は、昨年の三月四日の意見の発表、ただいま証人がしばしば繰返されますところの匿名組合ではないと断ずることができないという結論政府部内の一致した意見だとおつしやるのですが、法務大臣は、法務委員会に参りまして、匿名組合ではない、従つて銀行法違反である、かような答弁をされておる。従いまして、法務省会議をされた結果のただいまの御意見でしようか、その点をひとつまず承りたい。
  18. 河野通一

    河野証人 三月四日に私から衆議院の大蔵委員会においてこれらの問題についての統一的な見解ということで申し上げた限りにおきましては、法務省と十分に意見一致を見た結果であります。この点は、なおいずれ後刻、法務省政府委員証人として呼ばれておるようでありますから、その方からお聞き願えると思います。
  19. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 そこで、その点は法務省民事局長自身匿名組合とは断ぜられないとはつきり言つておる。これはついこの間法務委員会でやられた。そうすると、あなたと法務大臣のどちらかが食言ということになるか、偽証ということになりますか、この点を承つておきたい。
  20. 河野通一

    河野証人 私が三月四日に御答弁申し上げた限りにおいては、法務省と完全に打合せをした結果であります。その内容につきましては、先ほどお話したように、匿名組合方式によつて出資受入れをいたしておる業態は、商法の規定する匿名組合契約ではないと言い切るだけの根拠がない——。この限りにおいては一致した意見であります。ただ、問題は、私はさらにここにつけ加えて申し上げたいのでありますが、私が三月四日に御説明申し上げました内容には入つておりませんが、こういう結論を出すについて私ども研究対象といたしましたものは、保全経済会について入手し得るあらゆるデータをもとといたしまして検討いたし、その結果の結論が今申し上げました通り結論である、こういうことであります。それから、なお、この三月四日の答弁にも申し上げておる通りでありますが、これらの方式は実際には千差万別である、従つて典型的な方式としては今申し上げましたような結論であるが、個々の業態調査するならば、これは金融法規違反になるというおそれのあるものもあるであろう、そういう場合におきましては個々に十分に取締つて行くつもりである——。これは株主相互金融について現実に例があるのでありますが、株主相互金融等の仕組みは金融法規に言う預金行為ではない。しかし、実態として株主から借入金とかあるいは株金の仮受金という形で脱法的に預金行為をやつておるようなものにつきましては、これは金融法規違反として取締つておるわけであります。そういつたふうな現実の問題としては、十分調査をした上でないと、これは決して金融法規違反ではないとは、はつきり私ども自信を持つて申し上げることはできませんが、典型的な場合におきましては今申し上げましたような結論であるということを申し上げたのであります。なおかつ、この結論を出すについては、くどいようでありますが、保全経済会のかなりの書類を検討対象といたしましてこういうことを申し上げたのであります。
  21. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 それでは承りますが、昭和二十七年の七月十八日に大蔵省と東京地方検察庁等とが会議を開きまして、はつきり申し上げますならば、昭和二十七年の七月十八日に、場所は法務省会議室で、法務省の代表者と、最高検、高検、東京地方検察庁、国警本部、警視庁と、これだけが寄つて保全経済会の問題について具体的に捜査を始めるということについて意見を交換して協議をした事実はありませんか。この点はどうですか。
  22. 河野通一

    河野証人 この保全経済会の問題につきましては、たびたび申し上げておりますように、二十六年の秋ごろから当時の法務府、現在の法務省でありますが、法務府当局あるいは法制局、それから検察庁も入つておりましたか、そういつた関係の当局で十数回にわたつて会合を開いております。従いまして、あるいは御指摘のような昭和二十七年七月十八日にそういつた会合を開いたことがあるかもわかりませんが、私は確的に記憶いたしておりません。少くとも、今申し上げましたように、これらの問題の検討のために十数回にわたつて関係者の会合を開いておることは事実でありますから、あるいはその一つが御指摘のような日にちにおいて開かれたのかもしれませんが、私は的確には記憶いたしておりません。
  23. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 それで、昭和二十八年の十月三十一日の法務委員会におきまして、養老参考人から明確にこれが述べられて、そのあと法務大臣が、そのときに大蔵省意見法務省意見が食い違つた法務省の力ではこれは犯罪が成立する、従つて捜査をする、しかしながら大蔵省では消極的であつてはつきりと積極的な考えを持つていなかつた、こういうことを言うておられるのです。従いまして、そのときに、しからば検察庁はこれを捜査する、こういう積極的な意見のあつたということは御記憶ありませんか。ただいま申し上げたのは、昨年の十月三十一日の法務委員会における養老参考人の明快な詳しい供述があるのです。そのときに、そのあとを受けまして法務大臣が、大蔵省は消極的であり、法務省は積極的であつた、こういう意見を述べられた。そうして、民事局長にこれに対する法律見解はどうかと言つたら、法務省としては法律解釈としてはこれは匿名組合では断じてない——。しからばそれは法律的に消費寄託であつたのか消費貸借であつたのかと質問しましたところが、大体消費寄託だと思う、消費寄託だとすれば、業として行われておれば銀行法違反となる。こういうことで、われわれはやりとりいたしましたが、少くともその会合に大蔵省の代表が出ておつたかどうか。そういうような協議をした事実があるとはつきりおつしやつておりますけれども、あなたの方でこれに出席したかどうか。ただいま証人証言によりますと、まことに消極的なのであります。いわゆる言いまわして、申しますれば匿名組合であるとは言えない、こういうことで逃げておる。ところが、法務省の解釈といたしましては、これは銀行法第一条の最後の方の違反だ、こう言うのです。従いまして、証人のおつしやるような意見で申しますならば、大蔵省は、金融行政対象でないとすれば、法律上の罰則に対する関係は、これは法務省におまかせすべきであるところが、法務省の方から申しますならば、大蔵省が消極的であつて、積極的に意見が開陳されない、消極的になされた、だから法務省は捜査を進行することができなかつた、こういうことを言つておるわけですが、この点はどうなんですか。
  24. 河野通一

    河野証人 非常に意外なことを伺うのでありますが、私は今お話申し上げました通り、この問題について検討を加えた結果、金融行政対象でないという結論法務省とともに得たのであります。その結果を私はあの三月四日に申し上げたわけであります。その限りにおいてはこれは間違いございません。その前においていろいろ意見があつたということは、これは大蔵省の中にもいろいろ意見はありました。従つて法務省が一致した意見としてこの問題について非常に強くあつて、それを私どもが消極的なために法務省としてこれらに対する措置がとれなかつたということであるとは私は考えておりません。いろいろ打合せをいたしましたことは事実でありますが、七月十八日、御指摘の日において会合をやりましたかどうか、私は今はつきりした記憶は持つておりません。とにかく十数回この問題について会議を開いておりますから、そのうちの一つの会合の日であつたかもしれませんが、その点については私は今ここではつきりした記憶を持つておりません。また私はおそらくそのときには出ていなかつたと思います。係の者が出ましたかどうか、私ははつきり記憶しておりません。特に、この問題につきましては、今私の読み上げましたこの文章の書き方については、実は法務当局が手を入れてくれたのであります。そういうことを申し上げるのははなはだ何ですが、法務当局の手が入つた結果こういうような文章にもなつておるということは、これは事実でありまして、三月四日に私から御答弁申し上げました趣旨については、その限りにおいては大蔵省だけの意見ではない、このことははつきり申し上げておきたいと思います。
  25. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 これは、くどいようですが、そうすると、法務省意見並びに法務大臣法務委員会に対するところの答弁は、これはどつちかうそということになるのですね。あなたのおつしやつたよう政府部内の統一された意見、それとは明確に食い違つておるわけです。これはどういうわけでこういうような——これは第十八国会ですから、ごらんになればもう会議録にはつきり書いてあります。これは、養老参考人の参考意見、それから法務省民事局の村上局長意見は、匿名組合とは断じられないと、はつきり言つておるのです。しかも、私どもがこういう供述を得るに至つたその経過は、前の国会のときに国警並びに警視庁から法務委員会に、現に保全経済会は犯罪容疑として捜査しておるから、この問題に委員会で手をつけて相手に証拠隠滅をされる機会を与えては困るからと了解を得て、取上げないでもらいたいという申出があつた。これは当時の委員長は田嶋君でございました。それを、一年もほうつておいて、保全経済会が休業の宣言をされた後に大騒ぎをされたので、法務委員会といたしましては、法務行政に関する立場から、何か理由があつてこの調査をやめたのかどうか、こういう質問をしたわけです。そうして、その答弁結論が、今申し上げたように、関係者が寄つて協議をいたしましたところが、政府部内の意見不統一を申し上げることもどうかと思うけれども、やむを得ないが、法務省意見は積極的であつて大蔵省は消極的であつた従つて遂に今日かようなことになつた、その責任は私どもに半分はありますから、相済まぬという供述を法務大臣はつきりしておる。そこで、私は念を押すのですが、証人のおつしやられた政府部内の統一された意見だという、いわゆる匿名組合でないとは断ぜられない、こういうような結論をお出しになつておるのですが、その点は間違いないですか。統一された政府部内の意見であつたというあなたの証言が間違いないとすれば、法務大臣が食言したということになつて来る。それでこれは重大な問題になるわけです。その点いま一回明確に御答弁願いたいと思います。
  26. 河野通一

    河野証人 去年の三月四日に私から申し上げた限りにおいては、法務省とは十分に打合せております。このことは間違いございません。ただ問題は、その際も申し上げました通り保全経済会自体の実態については私ども調査をいたしておりません。このことはその際申し上げております。私どもはできるだけのデータは手に入れて、それを検討の材料とはいたしましたが、具体的に見ますと、たとえば出資を仮装しておるようなところがあるとされて、典型的な場合においてはそれは出資であるけれども、いろいろな条件から見て、それは偽つておるのだ、出資を偽つて、実質的には預金であるというような結論が出ないとも限らない。この点は、私が先ほど来申し上げました通り、これらの業態については実際のあり方は千差万別である、株主相互金融におきましても、株主相互金融自体のやり方は金融法規違反ではないけれども、実際的には預金行為をやつておるのがある、これらについては銀行法違反として取締つて行かなければならない、こういうことは貸金業法第七条違反として取締つて行かなければならない、こういうことを申し上げておるのでありまして、典型的な場合及び保全経済会について私どもがデータとして集め得た限りにおいての結論は、今申し上げました通りでありまして、この点については間違いございません。
  27. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 なお承りますが、大蔵省では調査方法がないとおつしやいますけれども、今の証人証言によりますと数十回法務省と打合せたと言つている以上、法務省の方から法務省の調べた資料というものを提出しなかつたですか。大蔵省は積極的に調べることはできませんでしようけれども法務省は犯罪予防の立場から相当つつ込んで調べができるのです。なぜ私がこういう御質問をするかと申すと、今回預金者——預金者でありましようか出資者でありましようか、法務委員会で参考人を呼んで調べました。十人が十人、自分たちは銀行と同じようにあそこに金を出しておくと利息の配当があるから——利息と言つております。利息の配当を受けるから持つてつてつたんだということを言つております。おそらくこういう捜査は警視庁で十分できるはずです。いわゆる出資者に対して、どういう気持で一体金をあそこに持つて行つたかということくらいはできるはずです。そういう捜査は私はされたと思うのです。思うのではなくて、されたと私どもは確信します。なぜかと申しますと、それは、今回も問題になりました森脇の問題から、森脇が警視庁で当時の警部から、やがて保全経済会に手を入れるのだ、保全で買つている株は必ず暴落する、だからこの際もうけるんだから金を貸せと言われたということをわれわれは承知しております。従いまして、警視庁がどの程度まで保全経済会を捜査しておつたか、あるいははつきりと積極的な意見があれば、今回のようにこれに手をつけることがもう目の前にぶら下つた程度まで進められたということは明らかになつております。従いまして、その資料をあなた方の方へ出すことはやぶさかでないと思います。あなた方の方で、また官庁同士でその資料を求めることも十分にできたと私は思う。私どもはそういう資料についての御判断を願つておるのじやないかと思うのです。そこで、私どもは非常にふしぎに思いまするのは——大蔵省そのものを私どもは責めよのというのじやないのです。ただ、もつと早く今回のような立法措置が行われることになつたならば、かように一千億になんなんとするような迷惑を困つておる国民にかけないで済んだろう、それに対する金融行政の面について私どもは聞きたいのですが、そこで、そういう資料をお求めになることができるのでしようかできないのでしようか。私はできると思うのですが、どうでしよう。できるとすれば、しばしば会合されているのだから、警視庁なり国警なり検察庁からそういう保全経済会実態の下捜査をしたものを見せてもらいたいというようなことも御発言がなかつたのだろうか。その点が私どもどうしても納得行きませんが、どうなのでしようか。そういう点までつつ込んでの御相談はしなかつたのでしようか。
  28. 河野通一

    河野証人 私もはつきり記憶はいたしませんが、少くとも十数回にわたつて打合会をやつておりますから、各方面からいろいろな形として入手されたデータ、——たとえば、大蔵省にいたしましたならば税務当局がございます。税務当局等がこれらの業態に対していろいろ税務上調査をいたしたものもあります。そういつた結果手に入りました材料等ももちろん提供されておる。また、法務省等におきましても、あるいは検察庁等におきましても、これらの関係について入手せられた材料というものはすべてその会議の席上において提供されておる。また、私どもといたしましても、先ほど来申し上げておりますようないろいろな形で手に入れました材料は提供いたしております。これらの提供されたる材料を全部持ち寄つて実は検討いたしたのであります。その結果が三月四日の結論になつておるということでございます。  それから、もう一つ、先ほども御指摘がありましたが、現在御提案申し上げておるような法律案をどうしてもう少し早く提出しなかつたのだというおしかりであります。この点も、実はたびたび御答弁申し上げておるのでありますが、私といたしましては、できるだけそういつた問題についての立法措置を進めて行くことが適当であろうという考え方に立つて、昨年の夏以来いろいろ検討はいたして参りました。また法務省においてもこれは検討されて参つたところであると思います。またまた保全経済会の休業という事態が起りましたが、そういう時期が来る前にこういう立法ができておつたらさらによかつたということは、私も考えておる次第であります。これらの点につきましては、御提案が遅れたことについては、私ども研究調査のための時日を要したという点について遺憾に存じております。
  29. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 そこで、私は、証人たちが政府部内の統一された意見だと称しておる、匿名組合でないと断ずる根拠はないということなのですが、一体どもの承知しておりまする匿名組合というものは、まず伊藤が事業をやつており、伊藤を信頼して自分たちが出資をする、そうして事業をやつた結果、利益のない場合には、損害がありました場合には、もちろん損害を補填してから後でなければ利益はもらわない、利益がなければ利益配当を受けないというのが私は匿名組合の本質だと思う。しかるに、保全経済会におきましては、不特定多数の日本中の伊藤を知つておらない者が、伊藤が実際いかなる商売をやつておるかわからぬ者が金を出す、これに対して保全経済会は、もうかろうがもうかるまいが、三月たつと二分なり三分を必ず利益として交付する、こういう実態でございますが、匿名組合ではないと断ずる根拠がないとおつしやつておるのですが、私どもは、はつきりと、信用関係がなかつた営業の結果いわゆる利益を見ない先からこれに配当を与える、こういうことでありまして、匿名組合でない根拠はそこにあると私どもは思う。たとえば、信頼関係がなかつた、いかなる事業をやつておるかも承知していない、利益があろうがなかろうが利益をもらう約束だ、こういう点が匿名組合ではないと断ずるはつきりした証拠になると私は思うが、証人たちが政府部内の統一された意見として、断ずる根拠がないというのは、どこをおつしやるのですか。ひとつ承りたい。
  30. 河野通一

    河野証人 この点も、昨年の三月四日に私が御答弁申し上げました中に実は書いてあるのであります。それをもう一度誤解を避けるために読んでみたいと思います。「次に、匿名組合契約による資金の受入れ方式であります。この業態は」——その業態はどういうものであるかということをまず定義して、それから先ほど申し上げましたような結論を出しておるわけでありますが、その業態というのは、「匿名組合契約による金銭出資を広範囲に募つて——広範囲とは、いわば不特定多数という意味であります。「広範囲に募つて金銭を受入れ、これに対しては確定利息を付する形態」、この形態が、それからあとに「その出資された資金は通常株式、不動産投資を目的として」、こういう形態である。この形態に対してどう考えるかということの結論を出しておるわけであります。形態としては古屋委員の今御指摘の通りの点を実はあげて、広範囲にということは言葉はいろいろありましようが、広く公衆から金を集めておる、——個人的な少数の範囲の信頼関係とは別に、広範固から金を集めるということが一つと、これに対して確定利息を約束するような形態、こういうことを前提にして、これは一体どういうものなのだろうかという結論を出したのが、さつき申し上げた通りなのであります。  なお、今お話のように、そういうふうな利益があがらないにもかかわらず確定利息を約束するということは、私はもちろん商法なりその他に対する違反であろうとは思います。この一番いい例は、株主相互金融で実は同じ問題がある。株主相互金融の株主になつておる者に優待金という形で月二分なり三分なりを約束している。しかもそれは利益のあるなしにかかわらず毎月月二分なり三分なりというものを利益配当として約束いたしておるわけであります。これは商法に違反するという問題があるのじやないかと思います。私は商法の専門家でないからよくわかりませんが、おそらくそういう問題はあるのでありましようが、それにもかかわらず、これはやはり出資であるということについての結論は私は間違いない、かように考えている次第であります。商法の違反はあるかもしれないが、出資というものの性格をかえるものでない、かように私ども考えてこの結論を出しておる次第であります。
  31. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 今証人のおつしやられたことは預金になるのじやないですか。これが預金という法律上の解釈になると——法務大臣のおつしやつている銀行法違反というのも、銀行法第一条の例の預金を業として、つまり今のように確定利益をもらう、そうして信頼関係はない、こういうことだからだと思う。保全経済会の目的は、出資に基く金をもつて営業をすることが目的じやない。金を集めることが目的であるならば、やはりそれは法律にいういわゆる預金ということになるのじやないか。また、今証人のおつしやるように、商法違反にはなる、こういうような考えを持たれておるならば、こういうときこそ、拡張解釈じやございませんけれども、預金になるかならないかの疑いがあるというならば、これは法務省にまかして、こういうような疑いがあるから、あなたの方ではつきり研究をして、預金になるかならないか、銀行法違反になるかならないか、法務省で教えてもらつて、あなたの方でそういう処置をとることが行政庁として当然ではないか。今あなたがおつしやるように商法違反だというならば、どういう問題がひつかかるかということは法務省にまかせればいい。その点はいかがでしよう。そういうように商法違反だと断じられるならば——匿名組合でないとは断ずる根拠がないとおつしやつて、あいまいな御発表をなさつておりますけれども、少くとも商法違反がある、こう考え法務省はやろうと言つておるのだから、法務省にまかされたならば、今回のような問題は未然に防げたと思うが、なぜ法務省におまかせをしなかつたのでしようか。それとも、法務省とは相談したけれども法務省納得をして、そして今日まで荏苒放任したということになつておるのですか。この点はどうなんでしよう。
  32. 河野通一

    河野証人 ちよつとお断りしておきますが、私は先ほど商法違反があると申し上げておるのではありません。その点は私はわかりませんが、商法違反の疑いがあるのじやないかということを申し上げておるのでありまして、商法違反が確実にあるということは私としては申し上げる筋にはないと思います。その点は御了承いただきたい。  それから、第二点の、そういうことであるならば、それは預金ではないかという御疑問でありますが、その点についていろいろ検討した結果、先ほど申し上げましたように、こういう業態のものは金融法規とはどういう関係になるか、そのことについての結論は、この方式による出資は預かり金に準ずる資金の受入れとは言いがたい、つまり預金行為に準ずるものとは言いがたいという結論を私どもは出したわけであります。この結論は三月四日の結論でありますから、法務省とは十分打合せをして出した、こういうふうに御了解いただきたいと思います。  なお、今お話の、法務省当局がこの問題についていろいろな措置をしようと思われたのに対して、いかにも私どもがこれを押えたというような印象があるのじやないかと思うのでありますが、そういうことは全然ございません。私どもといたしましては、昭和二十六年の夏以来、衆議院の大蔵委員会において、これらの業態一体どうなるのだということの質問を受け、また私どももそういうことに対していろいろ調査をいたして参りました。しかし、非常にむずかしい問題でありますので、私どもといたしましては、法務省とよく相談をして、法務省意見を聞いた上で結論を出すということで、たびたび法務省と打合せをして参つたのであります。私どもは、先に結論を持つてつて、その結論で、法務省なりいろいろな行政官庁がある処置をとられるのについて、それを私どもがチェックをするという立場には実はなかつたのであります。私どもとして、むしろ積極的に、大蔵委員会等から意見を聞かれておりまして、これらに対する措置を一日も早く結論を出せ、こういう督促を受けておりましたので、私ども結論を出すについて法務省当局といろいろお打合せをして参つた、こういう結果であります。
  33. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 それでは法務大臣答弁を読んでみましようか。法務大臣は「私率直に申し上げます。これは法務省政府の一員でありますから共同責任であります。私も責任を感じておるのであります。ところが法務省意見といたしましては、どうも保全経済会は先ほど申し上げました諸理由によりまして匿名組合と言いにくいという見解を持つております。従つて銀行法違反である、」と断じております。「五千円の罰金にしろ、違反は違反である。それに対しましてもう一つ意見政府の中にありまして、」——これは大蔵省のことです。「これは昨日地方行政委員会においてその方面の意見の発表がありましたからお隠しする必要もないわけでありますが、これは明らかに匿名組合である、従つてこれを防止するには商法の改正を要する、商法の改正ということになると、法務省の範囲だ、こういう御意見が一方にあるわけであります。まずこの考え方を両者統一する必要があるのであります。統一できない半分の責任はもちろん私どもにありまして、私は責任を回避する者ではございません。しかし私どもとしましては、銀行法をいじるよりも、先ほど民事局長が申しましたように、特殊金融取締法というようなものを出したい」とこう言つてはつきり法務大臣銀行法違反であるとおつしやつているのです。そうすると、あなたのおつしやることと法務大臣のおつしやることが、何回も繰返すようですが食い違いが根本からある。また、私どもが前に法務省の人たちをお調べ申し上げたときに、ここには非常に円滑な言葉を使つております「もう一つ意見」、これは大蔵省意見でありますと、ほかの会のときにはつきり申しておるわけであります。従つて、その食い違いについて法務省の方におまかせすれば、食い違いがなくなつて済んだ。おまかせをしなかつたところに問題があると私どもは思うのですが、この点は、こういう関係はなかつたのですか。ただいま申したように、法務省と一緒になつて協議して、捜査を進めるか進めないかの合同協議をいたしましたときに、あなたの方では消極的、法務省は積極的、こういうことであつた。従いまして、法律的解釈は、大蔵省はただいま証人のおつしやつたように商法違反であるというお考えがありますならば、法務省に全部まかされて、そちらでしかるべくやつてもらいたい、特に金融行政の面においては強く取締りはできないけれども、立法処置だけは考えましよう、しかしながら現在保全経済会のやつております営業状態が犯罪にひつかかるならどうぞ存分にやつてくださいという立場でなければならなかつたのに、これが消極的だということは、何かここに理由があると思うのですが、どうですか。
  34. 河野通一

    河野証人 私は、商法違反とかあるいは刑法の詐欺とか、そういつたことの疑いについてかれこれ意見法務省当局に申し上げる筋ではないと思います。それによつて法務省なりあるいは検察庁等が行政上の措置をいろいろとられることを拘束したり、あるいはそれをチェックしたりするような資格も、そういう権利もないと私は思います。従いまして、そういう問題について私はかれこれ一度も申し上げたことはございません。今までかつて申し上げたことはありません。ただ、この問題が一体金融法規に違反するかどうかの点は、これは私どもとしては金融行政立場からも十分に関心を持つて研究しなければならぬ。いわんや国会からこの問題についての結論を早く出せということで督促されている状態もありますから、私どもとしてはこの問題について一体金融法規とどういう関係があるかという点に問題の主眼を置いて検討いたしました。またその限りにおいて私は法務省意見も十分に聞かしてもらいたいということで、何度も会を開いて参つたのであります。また、その場合において、いまだかつて法務省がこれらの問題について銀行法違反として処置されることについて私どもはそういうことはやめられたらいいということは申したことはございません。私は、ただ私ども立場からいたしまして、国会から、これらの問題についてどう考えるか、一体こういうものを放置しておくのは金融行政立場からいかぬではないかというたびたびの御指摘をいただいておりますので、一体これを金融行政立場からどう考えるべきかということを研究いたして参つたのであります。その研究結論を得るために非常に時間を要したということについては、これはたびたび申し上げるように申訳ないと考えております。そういう経過でありまして、私は、法務省が、あるいは詐欺であるとかあるいはその他、要するに、金融法規関係あるとなしとにかかわらず、そういつた問題について行政上の措置をとられることについて、それをチエツクするようなことはいまだかつて私はいたしておりません。
  35. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 それじや私は申し上げますが、養老参考人の申したことを読んでみましようか。もつとはつきり出ております。これはやはり昭和二十八年十月三十一日の法務委員会におきまして、養老参考人はこう言つております。「ただいま御質問のございました点、当時私は警察庁に在職しておりませんので、自分自身の直接経験したこととして申し上げることはできないのでございます。当時その打合会に出席いたしました係官の、これも記録を持つておりませんから記憶によりまして私が聴取いたしましたことを申し上げたいと思います。先ほど申しましたような事情によりまして、二十七年の七月十八日の午後、法務府の会議室におきまして、大蔵省、法務府、最高検、高検、それから東京の地検、国警本部、警視庁、これだけの関係の係官が出席した会合があつたのであります。その際に、問題はもちろんこの保全経済会の問題でありませんで、一般金融取締り方針等について討議されたのでございますが、会際の終了まぎわにあたりまして、匿名組合形式による金融、例としまして保全経済会が話題となつたようであります。その際に警視庁の係官より、このような金融機関はきわめて不健全なものと考えられる、将来被害者を生ずるおそれがある業態と思われるのであつて、もし最悪の事態等を生ずるということになれば、もうそのときにはおそいということになるのではないか、おそらくそうした場合には相当な社会問題等を起すことが予想されるので、こうしたことについて行政的な措置、監視規定等によつて何らか未然によく規制を加えることがないだろうかどうかということを申し述べたと申しておるのであります。」こう言つております。だから、この会合にはただいま読み上げましたように関係者がみんな寄つているわけです。保全経済会の問題も出ているわけです。今にして何とかしなければ、問題が起きたいときには非常に被害が大きくなるからというので、今日のこの事情の起きることを予想して発言されている。この席上にあなたの方では関係されていないのですか。一番の中心だと思う。この意見に対しては、何とか至急に処置しなければいかぬという意見が出なければならぬと思うのですが、この点はどうなんです。あなたのところに報告はないのでしようか。記憶はありませんか。これが問題です。
  36. 河野通一

    河野証人 この点は、先ほど申し上げましたように、私は七月十八日にそういう会合が開かれたかどうか記憶いたしておりませんが、しかし、繰返して申し上げます通り、十数回にわたつて会合を開いておりますから、おそらくその会合の一つではないかと私は想像いたします。しかし、私は、先ほど来たびたび申し上げておりますように、くどいようでありますが、かりに私が去年の三月四日に御説明申し上げました見解が法務当局の見解と違つているならば、これは私は法務省と一致した意見だということを申し上げるわけに参らぬ。それは時期がお話のように二十七年七月でありますから、私が御答弁申し上げました時期より前であります。去年の三月四日に法務省意見が一致したものとして私が御答弁申し上げる趣旨は、ただいまお話のようなことであれば一致した意見であり得ない、私はかように考えます。従つて、たびたび申し上げておりますように、二十六年七月からこの問題を関係当局と研究いたして参りましたし、部内でも研究いたしました。また、部内でも、私ははつきり申し上げますが、これは銀行法違反の預金行為であるという意見もありました。現にそういう意見で問題をむしろ法務省検討しようということまで行つたのであります。これはここに記録がございますが、二十六年七月二十六日に保全経済会調査に行きました。その結果は、この前申し上げましたように、十分な調査はできませんでしたが、預金行為として疑わしいという結論をその係官は持つて帰りました。その結論従つて——従つてということは言葉が悪いのでありますが、そういう意見もあるので、これらの問題について金融法規との関係をすぐ調査研究をしなければならぬということで研究を始め、法務省とも相談いたしたのであります。私ども部内にも、やはりこれは銀行法違反の疑いがある、預金行為の疑いがあるという意見を持つた者もあつたわけであります。そういうわけでいろいろな意見があつたのでありますが、それらの意見を調整いたしました結果が、昨年三月四日のただいま申し上げましたような結論に相なつた、さように御了承をいただきたいと思います。
  37. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 最後にいま一点お尋ねいたします。これは、昭和二十七年の二月十八日に大蔵大臣池田さんが成田君の質問について答弁をされておる、それから、証人お話では二十六年からこの問題を研究されて来た、そうしてただいま昨年の三月四日の発表になつたということですが、それまで相当長い期間研究をされたのであるが、今の調査した皆さん方結論を得ましたことは、池田さんにも御報告になつて、御了承を得て発表をされておるのでありますか。それとも、当時は池田さんは大蔵大臣ではなかつたの関係ないということになるのですか。その点をひとつ。  もう一つは、大蔵省部内にも預金だというような意見の方もあつた、こういうことになればどうしても大蔵省といたしましては進んで法務省に出かけて、これに対する実態調査と同時に、違反行為があるかどうかをそちらに至急にやつていただいて、積極的に法務省を促すような態度をとつていただくことが、私は大蔵省の当然やるべき処置でなかつたかと思うのでありますが、いかがでありましようか。そういうような態度をとらなかつたのでありますか。非常に疑惑の問題として三年も前から問題になつておりますものを今日まで大蔵省が放任しておつたから国民に非常に迷惑がかかつたということは現実の事実なんであります。だからそれに対して相当な処置をされたという、実際われわれの納得の行くような御弁明があればけつこうですが、ただいま証人銀行局長としての御答弁によると納得が行かないのです。法務省との食い違いがあり——証人は、食い違いはない、政府部内の一つのまとまつた意見であると御発表になつておる。しかも、ただいま私が読み上げたように、当時の会合においても、今日のような弊害の来ることをおそれて、警視庁自身が具体的に意見を述べられておるのでありますから、これに対して、金融行政を取扱つておる大蔵省といたしましては積極的な御意見があるべきものであつたが、ただいま御発表のような消極的な御意見であつたということに、私ども納得が行かないのでありますが、これには何か理由があるのでありますか。この二点をあわせて承わりたいのであります。
  38. 河野通一

    河野証人 昨年の三月四日に私から国会において御説明申し上げました趣旨は、当時の大蔵大臣は向井さんでありましたから、従つて向井大蔵大臣までは十分に報告をし、その承認を得て御発表申し上げたのであります。  それから、第二の点でありますが、これは、ただいま申すように、大蔵省の部内にも、一部にはこれは預金行為ではないかという意見はありました。ありましたが、その結論は、三月四日に申し上げた結論大蔵省も統一されたわけであります。その間においては、何ら特別な他からの圧迫とか、そういうことは全然ありません。中にはいろいろな意見がありましたが、その意見を統一する——これは、法律解釈の問題としてはなかなか、専門家であられる古屋さんにもおわかり願えると思うのでありますが、いわば紙一重という点があります。従いまして、これらの点につきましては、非常な意見もあり、これを統一するのには相当な時間を要したのでありますが、その結論が、先ほど来たびたび申し上げておりますような、三月四日に御説明申し上げました結論だ、かように御了承願いたいと思います。
  39. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 私は、ただいまそういうことを申し上げて、法務大臣説明証人証言に食い違いがある点が一つと、従いまして、現在の非常に生活に困るような国民大衆が保全経済会でまた非常に苦しめられて社会問題を起しております問題について、大蔵省銀行局長としてのあなたの立場から、これに対する現在のあなたのお気持はどうなんでしようか。警視庁の養老参考人の意見によりましても、非常に積極的な意見が出て、そうして早く取締りをしなければならぬということがしばしば申されたということの事実になつておりますのに、現在まで放任されておりましたために、この大きな社会問題を起し、国民に迷惑をかけた現在のこの事実に対して、銀行局長としてのお考え最後に伺つておきます。
  40. 河野通一

    河野証人 この点も、先般の委員会が申し上げたのでありますが、私ども見解といたしましては、事柄自体としては金融行政対象外であると私も考えて参つております。しかしながら、現実に私どもはこれらの問題について相当関心を持ち調査をいたしてみたのであります。しかも多数の人々に大きな被害を及ぼすという事態が結果として起りましたことに対しては、私といたしましてもはなはだ遺憾である、かように考えておる次第であります。
  41. 中野四郎

    ○中野委員 関連して。先ほどから古屋君の御質問に対して、あなたはしばしば昨年の三月四日に法務省意見が一致したということを言つておられる。ところが、まつた意見の一致していない事実がある。それは、昨年の十二月四日に、私らの保全経済会を調べる小委員の田渕君を初め委員の者が法務省をたずねた。そのときに、民事局長は、銀行法違反であるけれども、この大きな実害を及ぼした保全経済会等の類似機関に対してたつた五千円の罰金で済ますというのはあまりにふさわしからざるものであるということを明らかに言うておるのです。あなたは三月四日に大蔵省法務省との意見が一致したと言うのだが、同じ政府部内において、法務省の民事局ともあろう者がこういう意見を発表するのはどういう意味であるか、これが伺いたいことの一つ。  それから、もう一つ、先ほどの話の中に、匿名組合でないと断ずる根拠がないというお話でしたが、私は、これが匿名組合であれば当然配当というものが不確定でなくてはならぬと思うのです。匿名組合の渕原は、その節民事局長から話がありました。中世紀におけるイタリアにおいて、海上貿易をするのに、当時禁じられておつた僧侶とか貴族というものが、名前を表に現わすことができないから匿名で船長等に出資をして、そうしてその利益を配分するところに匿名組合の渕源があると言つておる。商法五百三十八条には明らかにそのことも明示されておるのですが、匿名組合でないということを断ずることはでき得る。あるいは、自分自身が顧問をしておつた松本君が言うがごとく、また特定の、いわゆる確定した利潤を何ら計算することなくこれを契約しておるのでありますから、匿名組会の規定に反しておることは明らかなんだ。それをあなたの方で断ずることができないという根拠がわからないのです。従つて、今お尋ねしたように、三月四日に意見が一致したというにもかかわらず、昨年の暮れの十二月四日には、民事局長は、明らかに銀行法違反だということを言つておる。前の意見の不一致の点が一つと、今お尋したのを第二として、明確に御答弁願いたいと思います。
  42. 河野通一

    河野証人 この点に関しましては、私といたしましては、三月四日に御答弁申し上げました限りにおいては法務省とは意見の一致を見て申し上げておるということを繰返し申し上げたいのであります。民事局長についていろいろ御発言があつたように私も伺つておりますが、はなはだどうも恐縮でございますけれども、この点につきましては民事局長から御意見を御聴取いただきたい。私が三月四日に衆議院の大蔵委員会におきまして御答弁申し上げました限りにおいては法務省と一致した見解である。この点については私は確言申し上げます。あとの点は民事局長からお聞き願いたい。  それから、第二の点でありますが、大体匿名組合配当というものは不確定であるのが本質である、これは私は株式会社の株式配当も同じだと考えております。従いまして、そういうものがそういつた確定付の配当をするということは非常にその本質を誤らせるおそれがあるということで、今般そういうことをとめるための取締り法案を御提出申し上げているわけであります。しかし、さればといつて、これらの問題については、先ほども古屋委員にお答え申し上げたのでありますが、こういう業態一体金融法規との関係でどうなるかということを検討いたします際に、この業態というものの一つの定義として、匿名組合契約による金銭出資を広範囲に募つて金銭を受入れ、これに対しては確定利息を付するという形態があるが、こういうような形態は一体何だということで、先ほど来申し上げておるような御答弁を申し上げたのであります。この点は、たとえば株主相互金融の方式の一つにもあるのでありますが、出資者を募つて、その株主に優待金を出す。優待金は月に三分であるとかあるいは三月に一割だとか、こういうふうな約束をする。そういうふうな約束は、それが確定利息をつけられた出資というような非常な誤解を起す。そのために善意の公衆は非常に誤つた誇大宣伝によつて災いされるおそれがあるということで、そういうふうな形における出資受入れあるいは株式の募集はとめなければならぬ。そういうふうなことをやることは商法の何条か、あるいは今お話匿名組合についてはたしか商法の五百三十八条に違反するおそれがあるのじやないか。しかし、私は商法の関係はしろうとでありますから、違反すると断言はできませんが、そういうおれは多分にあるようであります。けれども、さればといつて、これは出資の性格をかえるものではない。これは私だけでなく、そういう点も検討いたしましたけれども、しかし、これはあくまでも出資であるということの性格をかえるものではない、かような結論に到達したのであります。
  43. 中野四郎

    ○中野委員 だから、私はお尋ねしておる。民事局長に聞かなくてもいいのです。あなたが、一筋に三月四日に意見が一致したと言うにもかかわらず、法務省においては明らかに銀行法違反だと言つておる。あなたは一致したと言うが、それはあなたのひとり合点であつて法務省ではこの見解を堅持しておる傾向が強いのだが、事実はどうなんだ。一致していないのじやないか。あなたが単に一致したと言うておるだけであつて、事実は一致していない現実が現われておるが、どうかと聞いておるのです。これは先ほど古屋君から大分お聞きになりましたが、大蔵省は今日このような法律を出して来る段階になつたが、これを一年前なり一年半前に出せば文句はなかつた。あなたの方は、立案するについていろいろ日にちがかかつたという答弁で免れておられるが、そういうものじやない。本質はあくまでもきわめておられるのだから、もつと早く出すべきであつたのであります。しかし、このことを私はここで聞こうと言うのじやないが、三月四日に意見が一致したと言いながら、昨年十二月現在においても法務省はこれは銀行法違反なりとわれわれに報告しておるのだから、ほんとうに一致したのかどうか。あなただけがひとりよがりで一致したと思つたのか。一致して、何か両方が公文書でもとりかわして、そうし一致したということを言つておられるかどうかということを私は聞いておるのです。
  44. 河野通一

    河野証人 三月四日に御答弁申し上げました事柄につきましては、お互いに決裁をとるとか、公文書をかわすということはいたしておりません。しかし、私は、先ほどちよつと申し上げましたように、この文章自体も相当法務省において手を入れてもらつております。たとえば、今の匿名組合のところは一番いい例だと思いますが、相当手を入れてもらつている。そういつた関係で、決裁をとつて公式に判こが押してあるということで意見の一致をはつきり確かめる方法はございませんが、私は、たびたび申し上げますように、三月四日に私から御説明申し上げました限りにおいては法務省とは意見の一致を見た結果として申し上げております。この点は、なお私のお答えに御満足が行かないかと思いますから、法務省当局からお聞き願いたいと存じます。
  45. 中野四郎

    ○中野委員 十二月四日に民事局長はこういうことを言つている。銀行法違反にならないかということで、民事局はどう見るかという打合会があつた、ところが、二、三日考えさせてくれと言つて、数名の者が打合せして、銀行局へ吉田参事官を通じて、匿名組合と見ることは困難であると回答したと言うが、この事実はあつたんですか。
  46. 河野通一

    河野証人 私はそういう御意見を最終的に承つたということは記憶いたしおりません。しかし、いろいろ研究いたして参りました過程において、民事局のだれか、刑事局のだれかから意見はいろいろあつたと思う。これは、大蔵省の中でも、今申し上げましたように、預金ではないかという御意見もあつたのであります。各人いろいろ意見があつたことは事実でありますから、その研究過程において、これは匿名組合ではないぞというような御意見があるいは民事局長からあつたかとも思いますが、はつきり記憶しておりません。いずれにいたしましても、三月四日にこういう結論を出した際には、法務省としてはこの結論について全面的に同意していただいたのであります。
  47. 中野四郎

    ○中野委員 あなたは、今言つた吉田参事官を通じてそういう答弁を聞いたことがあるんですか。あなたが聞いたことがあれば——あなたの方から問い合せているんだ。打合せをした回答が民事局から出ている。正式に出ているのに、あなたが聞いていないわけはない、聞いていれば、当然この回答を根拠にしてそれぞれの処置がとられなければならぬと思うのですが、どうなんですか。
  48. 河野通一

    河野証人 日にちは覚えていませんが、衆議院の大蔵委員会でたびたび督促を受けておりましたので、大体話がまとまつておりました最後会議——二月四日の直前、たしか二、三日前だと思いますが、この最終的な結論を得るために、私の方では銀行局と国税庁、検察庁ではたしか最高検察庁の関係の検事の方、それから法務省では刑事局以下民事局の方々みな集まつて、この文章を検討していただいたのであります。その結論従つてこういう文書ができた、こういうことであります。その最後結論を出すときに、民事局の方は確かに出ております。局長が出ておつたか、今お話なつた吉田君が出ておりましたか、はつきり記憶いたしませんが、とにかく民事局の方方も、刑事局の方々も、最高検察庁の方も、私の方は銀行局も国税庁もたしか国税庁長官も出ておつたと思いますが、集まつていただいて、最後にこの文書を検討したのであります。その結果大分手を入れたことも確かでございますが、会議をいたしたのでございます。この点は間違いございません。
  49. 中野四郎

    ○中野委員 かんじんな関連点を聞いている。あなたがしばしば三月四日に法務省大蔵省との意見の一致を見たと言われますから、意見の一致の根拠を聞いておるのです。あなたの方が法務省意見を聞かれて、金融法規違反にならないか、民事局にどう見るかという意見を聞いておられる。これに対して村上民事局長は、吉田参事官を通じて、匿名組合と見ることは困難であるという回答をしておるのです。その結果銀行法違反という断定を民事局長は下しておる。あなたが先ほどから三月四日を非常に強調されますから、現段階においても法務省大蔵省との意見の食い違いがあるのはいかなる根拠かと聞いておる。その根拠をなすものは、今申し上げたような、吉田参事官を通じて法務省の民事局の意見をあなたの方へ通達しておる。なぜそれを根拠にやらなかつたか、これを聞いておるのですが、吉田君からそういう報告を聞かれなかつたか、聞いたかということだけを御答弁願いたいと思います。
  50. 河野通一

    河野証人 この点は、先ほど申し上げましたように、私ははつきり記憶いたしておりません。ただ、吉田君でありましたか、あるいは民事局長でありましたか、最後にこの結論を出すときに、民事局の責任の方がその会に出ておられた。そのことだけは私ははつきり記憶しております。その結論を出したのであります。これは私は、民事局長であつたか吉田君であつたか、はつきり記憶いたしません。
  51. 中野四郎

    ○中野委員 そうじやないのです。あなたの方から民事局に対して意見を求めておるのです。従つて、民事局では、即答は困るから二、三日待つてくれと言うて、そして数名の者と打合せをし、熟議をした結果、銀行局に吉田参事官を通じてこの意見を通達しておる。銀行局から民事局の意見を聞かれたのに対して、民事局が意見を述べておるのだから、それを記憶はないというわけはない。三月四日に意見の一致を見たというが、現段階においてすら意見が不一致の状態にある。吉田参事官からのこの答弁をあなたが聞かれた記憶がなくてどうして一致を見た結論が生れて来るか、私は疑わざるを得ない。だから、吉田参事官からあなたはお聞きになつたのか、聞かないのか、これをはつきり言つてもらいたい。記憶があるとかないとかが問題じやない。正式に民事局からあなたの方へ答えたことで、これが民事局の銀行法違反と断ずる一つ根拠にならなければならぬから、伺つておるのです。
  52. 河野通一

    河野証人 この点は、先ほど来申し上げましたように、民事局当局において意見があつたことは、私も承知しております。ただ、そういう話が吉田参事官からいつごろありましたか、私は的確に記憶いたしません。ただ、この問題については、匿名組合というものに対する議論が相当民事局にあつたことは私は承知しております。しかし、各局の関係者の間にいろいろ意見はありましたが、それらの意見を最終的に調整するための会議には民事局も出ていただいて、この結論について同意は得たのであります。このことだけは私ははつきり申し上げられると思います。こう申しておるのであります。
  53. 中野四郎

    ○中野委員 だから、古屋君も言われるように、大蔵省の中には何かもやもやした空気があつて法務省の方でこれほど熱心に、しかもその根拠を明らかにしてあなたの方に提示しておるにもかかわらず、あなたの方はこれを抑圧するかあるいはこれを何らかの形でずらして今日まで放任しておるという責任を問われるのです。ただそう申し上げたのでは抽象的になるから、一つ一つの理由をあげて伺つておるのです。だから、現段階でも法務省の方では、先ほど古屋君が速記録を読み上げられたごとく、所管大臣の犬養君ですらこのことを言い、そうして所管局長である民事局長ですら銀行法違反だと言うておるのに、眼行局長は何ら手を入れなかつたかということを聞いておるのです。それはどうなんですか。
  54. 河野通一

    河野証人 この問題についていろいろな意見のありましたことは先ほど来申し上げた通りであります。はなはだくどいようで恐縮でありますが、少くとも三月四日のこの結論を出すときには関係当局の一致した意見で出ておることだけは、私ははつきり申し上げたいと思います。それで、その過程において、民事局その他の部局に対して私が何か強圧的にこれらの問題についての見解を押しつけたというようなことのように承りますが、そういう点は全然、ございません。
  55. 塚原俊郎

    塚原委員長 小林進君。
  56. 小林進

    ○小林(進)委員 私はまず結論からひとつお伺いいたしたいと思うのでありますが、あなたの答弁を承つていると終始自分の責任のがればかりの話である。これくらいずうずうしい話は聞いたことがございません。自分も興奮を感じながら答弁を聞いたのでありますが、一体この保全経済会の問題でだれが責任をとればいいのか、こういうような十五万の出資者で四十五億の零細なる大衆の金を金融機関まがいの形で取上げて、そうして今この連中の被害はこれだけに上つておるが、これに対する責任者というものがない。責任者は一体あるのかないのか、だれも責任をとる必要がないのか、私はそれからまずお聞きしたい。
  57. 河野通一

    河野証人 少くとも当面の責任者はやはり営業者である伊藤斗福氏であります。政府部内においてだれが責任をとるべきかというお話でありますが、その点については私としてはわかりません。ただ、この問題については、長い間検討した結果、金融行政のらち外であるという観点におきまして、私は金融行政担当者としては金融行政の範囲外であると考えております。ただ、私どもも、この問題の金融行政との関係についていろいろ研究をし調査をいたしておりました関係から、これらの問題についてはいささか関心もあり、またいろいろ調べたこともございますので、こういう結果になりましたことについてははなはだ遺憾であると考えておる次第であります。
  58. 小林進

    ○小林(進)委員 あなたはさつきから、いささか関心を持つて調べたなどと言うのは言語道断の答弁である。各般の金融行政の最高の責任の地位にある者が、関心なんというもので調べたのでは困る。責任を持つて調べてもらわなければならない。任務の上から、職責の上から調べてもらいたい。関心があつたから調べる、関心がないから調べない、そういう不謹慎な答弁では困る。なるほど、先ほどからあなたの答弁を聞いておりますと、いかにも申訳ないということをしばしば言われておる。その申訳ないということに対して、私は申訳ないという責任をとつてもらわなくちやならぬ。申訳ないと言いつぱなしで済む問題ではないと思う。申訳ないと言うからには、その言集の裏には何か期するところがあると思う。その申訳ないという言葉の具体性を承りたい。
  59. 河野通一

    河野証人 私は、先ほどから申し上げました通り、この問題についての立法化に非常に手間取つた、また昨年の三月四日に結論を出すまでに非常に長時間の検討の時間を要した、これらの点につきましては、私どもは決してなまけておつたわけではございません。なまけておつたわけではございませんが、力が足りない点もございまして、非常に時間をその間に長い間かけて、こういう結果を来したということについて、私は非常に申訳ないと考えております。ただ、その申訳ないという意味は、文字通り申訳ないと考えております。
  60. 小林進

    ○小林(進)委員 これはなまずるい官僚の通弊だ。何でも申訳ないとか遺憾に存じますという言葉だけでこの場をのがれていようとする。どうもそういう責任性のないやり方でもつて申訳ないと何百回言つてもらつたところで、この被害者が救われるわけではないしもちろんこの問題に対する責任者は伊藤斗福である。そんなことをあなたに聞いているのじやない。いやしくもこういうようなやみ金融機関——あなたはさつき匿名組合ではないとはつきり言つている。——必ず責任がぶつかかると思うから、腹の中で承知しながらも匿名組合でないとは断ぜられないと言いつつ、しかし匿名組名にあらざるというような疑点を残しておるとかいう実にややこしい答弁をして、自分に責任のふつかかるところだけはのがれようのがれようと苦労されておるのだが、われわれ、この問題については、理事長の伊藤斗福をほかにしては、行政官庁たる大蔵省当局が何といつて責任をとらなければ困ると思う。結論から言えば、私は何も感情問題で言うのではないのですけれども、この保全経済会の単なる——単なると言えばあるいは語弊があるかもしれませんが、顧問をしていた、かつてはわが党で、今は離党したのでありますが、平野力三氏が顧問をした。それはわが党に入党する前だ。党に入党したのが二十七年の十月で、彼が保全経済会の顧問になつたの昭和二十六年の四月だ。一年半も前に顧問に就任した。そのときには代議士になつていない。まだ彼は追放中だ。そういうときに顧問に就任した。しかし、そういうやみ金融の顧問をやつていたのを党が知らずして入党させた。それは党の最高責任者たる者の責任でもあるし、いやしくも政治家としてそういうやみ金融の顧問をしていたのは断じて責任をとらなければならないということで、われわれは涙を振つて彼に責任をとらして、彼を離党させた。なお、われわれは、わが党の小平忠君が北海道通信機株式会社の正当なる株を伊藤斗福に提供して二百万円の出資を要請した。それに応じて二百万円出資してくれたというだけでも、こういう世間の疑惑を生むようなインチキなやみ金融会社に出資させたということは政治家として責任をとらなければいけないというので、今わが党で非常に大きな問題になつた。それはいずれは何らかの責任をとらせるということになつている。このように、われわれは、顧問だとか、取引をしたというだけでも至厳に責任をとらして、その被害者大衆にわびを申し入れるというわれわれのこの態勢は、われわれはみずからひとつ粛正して、しかし返も血刀では責任の本体である大蔵省当局、あなた方に責任をとつてもらわなければならぬという一つの伏線がある。どうしてもわれわれは責任をとつてもらわなければならぬ。あなた方は責任はないと言う。一体だれが責任をとるのです。大蔵大臣がとるのか、銀行局長がとるのか、あるいは大蔵大臣銀行局長責任をとる必要がないというなら、ないとここではつきり言明してもらいたい。
  61. 河野通一

    河野証人 私は、先ほど来申し上げました通り、この保全経済会というものは金融機関でないという考え方に立つております。私は、金融行政対象外の問題でありますから、私どもとしてはその限りにおいて責任をとる必要はないと考えております。ただ、先ほど来申し上げましたように、これらの措置についての結論を出すことが非常に遅れた、あるいはそういつた点につきまして非常に皆さんに御迷惑をかけたということについては、はなはだ遺憾である、もう少し早く結論が出ればさらによかつたであろうが、結論が早く出なかつたことについては申訳ない、かように考える次第であります。
  62. 小林進

    ○小林(進)委員 私はこの責任追究はまたあとまわしにいたします。どうも、自分たちの結論を出すのがおそかつた、おそかつたから迷惑をかけたというようなおざなりな遺憾論で、そんなことでこの場合済まされるなどというあなた方の常識を私は疑わざるを得ない。  そこで、問題は、具体的に入つて行きまするが、先ほどから古屋君や中野君の質問を聞いていると、民事局長と、いわゆる法務省大蔵省との間に重大なる意見の食い違いがあるということが明らかにせられた。あなたは三月四日の大蔵委員会における答弁を金科玉条にし、すべてのあなた方の失敗をこの答弁一つに帰してのがれようと非常に苦悶をしておられるが、しかしそうはのがさせない。大体民事局長とあなたとの意見の食い違いだけではない。われわれもやはり小委員会を持つて、十二月の初めには警視庁にも行つた。その警視庁での席上においても、田中警視総監がやはり同じ発言をしている。聞いたのは私だけではない。中野君も田淵君も聞いている。警視総監それ自体も、昭和二十六年の七月以降われわれは何回もこの取締り関係について関係官庁と相談をしたが、われわれは積極的に早くこれは調査、手入れをしなければ重大問題になると言つたのでありますけれども大蔵当局が常に消極的であつた、こういうことをはつきり言つておられる。だから、あなた方の食い違いは、単なる法務省だけではなく、警視庁とも食い違つておる。だから、この点は追究して行くと大蔵省法務省も警視庁も——私はまだ国警の意見は聞いておりませんが、最高検も高検も地検も全部、早くやるべきであると言うにもかかわらず、ただ大蔵省だけがこれに反対をして、遂に今日のように事を大ならしめたという結果が出て来た。それがもしうそだと言うならばうそでよろしい。あなたも先ほど証言せられておるように、十数回会合をしたというのであります。もちろん十数回の会合の期日とそこに出席した人員をあなたは御存じだろうと思うし、そんなことをまた資料としてここへ提供することは何らあなたの利害関係やあるいはあなたの不利になる問題ではないのであります。当然私は出してもらえる資料と思います。昭和二十六年の七月から十数回のその会合の期日、出席者、しかもその中に論ぜられた話の内容、それをひとつ資料として私はあなたに要求しておきます。これは委員長においてもひとつ資料の提出を御督促願いたいと思います。
  63. 河野通一

    河野証人 私は、これらの問題について十数回の会合をいたしたことについてははつきり記憶いたしておりますが、何月何日にだれとだれが会つて、その会合の席でだれがどういうことを言つたということは何ら私どもは持つておりません。従いまして、ごく大まかなことでありますならば申し上げられると思いますが、あるいは場合によつては単にわれわれの方の係の一人と法務省のだれか一人との間に打合せをしたこともありましようし、あるいは警視庁当局の一人と私どもの方の係の一人とが打合せをしたこともございましようし、すべての会合にこれらの関様者が全部集まつて会合いたしたわけではございません。従いまして、私は一々そういうことについて実は日誌をとつておりませんし、私の係の方もそこまで的確な資料及び会合のたびごとの出席者、ことにその会合の討議の内容について的確に記憶をいたしておらないと私は思いますので、今御要求になりました資料は的確のものをお出しすることはなかなかむずかしいのではないか、かように考えております。
  64. 小林進

    ○小林(進)委員 これは、私は、このたびの保全経済会の監督の責任を明らかにする重大なポイントだと思う。みずから十数回会合してしばしば調査をしたということを何十回も証言しながら、しからば一体その会合した期日と出席者の名前を資料にして提出を願いたいと言つたら、日記をつけていなければ何もわからないから明確に言えないなどという、そういうずるい答弁は、私は、われわれ行政監察委員会に対する侮辱であり、軽視していると思う。もちろん私はあなた個人の記憶を呼びさませと言うのじやない。関係官庁もあるのでありますし、あなたの部下もいるのでありますから、そういう資料をあなたの力によつて集めることは容易であると私は思う。またそうして集めた資料に若干の期日のずれや出席者の一、二名の違いがあるとか、そういうことまでも、私どもは検察庁でもなければ裁判官でもないのでありますから、それまでも追及しようとしているのではないので、どうかひとつ、これは委員長の職権においても、これらの資料はわれわれが保全経済会の問題を審議する重要な問題でありますから、委員長の権限において委員長みずから御督促願いたいと思います。
  65. 塚原俊郎

    塚原委員長 河野君にお聞きいたしますが、先ほどの証言中、はつきりした日時、人員等については記憶を呼び起せばその十数回の会合についてもお話できるというふうに委員長はとつたのですが、それはできますか。記録はありますか。——ないとしますと、その十数回の会合の内容等は、三十分くらい間を置いたら思い出せませんか。
  66. 河野通一

    河野証人 これは、私が出ておる場合もありましようし、課長が出ておる場合もありましようし、係官が一人しか出ていない場合がありましようし、いろいろな場合があると思います。従いまして、それらの出席した者の記憶をたどれば十数回以上あると思いますが、その記憶をたどれば、はつきりした日にちはわからないでも、大体あの人といつごろこういう問題で会つた、あるいは法務省のだれと会つたかくらいのことは、あるいはわかるのではないかと思いますが、今私が記憶をたどるといつても、私が自分で出ている会合ならわかりますけれども……。
  67. 中野四郎

    ○中野委員 それは会議記録がないわけではないでしよう。自分のところの省内会議と違つて、他庁と打合せをやるのだから、ないわけはない。現に吉田君が行つておられたり、課長が行つておられたり、いろいろあるはずだから、会議録の上において初めて意見の一致を見たというならあなたの言われることも信用できるけれども、あなたが意見の一致を一応見たと言いながら、現実に意見の一致を見ていないものがあるのだから、これはあなた方の係を調べれば、その会議録はなくとも、会議のメモがあると思う。これだけは出した方がいいと思う。そういうことがなかつたら、意見の一致を見たということがうそになつてしまう。
  68. 塚原俊郎

    塚原委員長 河野証人に申し上げますが、その会合に出られた課員の方はおわかりでしよう。——ちよつと速記をとめて。     〔速記中止〕
  69. 塚原俊郎

    塚原委員長 速記を始めてください。  それでは暫時休憩いたします。     午後一時十五分休憩      ————◇—————     午後三時二分開議
  70. 塚原俊郎

    塚原委員長 休憩前に引続き会議に開きます。  河野証人に対する尋問を継続いたします。小林進君。
  71. 小林進

    ○小林(進)委員 午前は河野証言による昭和二十六年の七月からの保全経済会等やみ金融取締りに関する関係官庁の会合の日時その他の証拠書類の提出が完全になるまでの時間を休憩するという趣旨によつて休んだのでありまして、私は当然私の要求する資料が提出されるものと期待いたしておるのでございますが、その点いかがになつておるか、委員長お尋ねいたします。
  72. 塚原俊郎

    塚原委員長 小林君にお答えいたします。先ほど休憩前に河野証人から、関係課員並びに法務省との間に連絡をとつて小林君に対する御答弁を申し上げたいというお話でしたので、その間約三十分予定よりずれてお待ちしたのですが、整つたそうでありますから、河野証人からお聞きしたいと思います。河野君。
  73. 河野通一

    河野証人 お答え申し上げます。ただ、あらかじめお断り申し上げておきたいと思うのでありますが、十分に記録にとつてございません会合もございましたために、関係者の記憶をたどりましたので、あるいは日時、出席者の顔ぶれ等につきまして記憶違いの点があるかもしれませんが、大体のことは誤りないと思います。ひとつその程度でお許しをいただきたいと思います。  最初に、私どもがこの保全経済会あるいは株主相互金融、この二つの問題を大体対象として関係当局と協議をいたしました回数は、いろいろ係の者に聞いてみますと、数十回に上つておるようであります。おそらく三十回か四十回になるのではないか、こう申しております。従いまして、その一々についてはなかなか記憶がはつきりいたしません点もあるのでありますが、特に昭和二十六年から七年の初めにかけての当時のことにつきましては日時等がはつきりいたしませんそうであります。この点はごく抽象的に申し上げることでお許しをいただきたいと思います。昭和二十六年の秋ころから二十七年の二、三月ごろまでの間に、この問題について、当時は法務府と申しておりましたが、その行政訟務局という局の第二課長——名前は、私、係の者から聞いておりませんが、その第二課長を中心にして、私の方からは有吉という特殊金融課長、長谷井という課長補佐、中谷という事務官の三人、あるいはそれに他の事務官が一、二名加わつたようなこともあるようでありますが、十回以上の会合をいたしておるようであります。この会合の目的は、かりにこの保全経済会等の行つておる資金の受入れが預金行為であるということで提訴をいたした場合に、行政訟務局がこの行政訴訟の相手方になるわけでありますが、一体勝訴の自信ありやなしやということでいろいろ検討いたしたのであります。その結果、昭和二十七年の二月ごろと係の者は記憶いたしておるようでありますが、二月ごろに、いろいろ検討したけれども、どうも預金行為として告発して訴訟になつた場合に勝訴の自信がないということであつたということであります。従いまして、行政訟務局との折合せはそれで終つた、これは昭和二十七年の二月か三月、つまり寒いときだと記憶いたしておるようでありますが、そのころに打切つたということであります。それから後は、もつぱらその当時の法務府、今の法務省の、民事局、刑事局とこの問題の検討を進めて参つたようであります。午前中に、どの委員の方からございましたか、二十七年七月十八日という日が示されておりますが、係の者の記憶をたどりますと、まさにその日に会合いたしておるようであります。法務省から刑事局の津田総務課長、安原検事、古川検事、それから最高検から、名前はちよつと記憶がないようでありますが、経済部の係検事、それから私の方から、今申し上げました有吉、長谷井、中谷、あるいはもう一人くらい出ておつたかもしれませんが、そういつた者が出て、この保全経済会の問題及び株主相互金融の問題についての打合せをいたしたようであります。そのときの議論はいろいろ出たようでありますが、結論は、これらの問題について、これは一体金融法規の違反であるかどうかについては軽々に結論を出すことができない、従つて、さらに会議を続けて検討をすることが必要である、そういうことになつたと、出席をした者から私は聞いております。それから、同じような問題について、昭和二十七年十一月二十日、十一月二十九日——この間まだ数回あるようでありますが、記憶がはつきりしているのはその日付であります。これらの日にも、大体大蔵省からは今申し上げましたような顔ぶれで、主として法務省の刑事局総務課長及び刑事課長等と、これらの行為一体預金行為であるかどうかについて会議を何回もやつてつておるのであります。これらの会議は大体全部法務省でやつておるようであります。それから、十二月に入りましてから、かりに保全経済会等が行つておる出資受入れの実体が預金行為でないにしても、あるいは信託行為ではないかという疑問が一部に起きたようであります。この問題で、十二月一日に、私どもから、今申し上げました者と、さらに当時の銀行課長でありまして今総務課長をやつております大月という者が加わりまして、民事局長及び民事局の吉田参事官等と打合せをいたしております。さらに十二月三日 五日、十日、これらの間に民事局の吉田参事官及び刑事局の津田総務長課、長戸刑事課長等と、今申し上げました大蔵省の大月、有吉その他が、この資金の受入れ方が一体信託であるかどうかということについての会議を何回もにわたつて開いております。  ちようどこれと前後いたしまして、昭和二十七年十二月一日に私どもの方の有吉課長以下の者が法制局の林次長及び吉村、田邊両参事官と会議を開きまして、この保全経済会の性格及びその受入れておる出資の本質的性質という問題について会合を開いております。その結果、はつきりした結論にまでは到達しておらぬようでありますが、どうもその出資受入れ方は預金行為とは言えないだろうということであつたように記録が残つておるようであります。それから、法制局とは、さらに十二月十一日、それから少しさらに前後いたしますが、二十八年二月二十四日というのもありますが、そういつたころに、やはり法制局の第一部において、私の方の有吉課長以下、国税庁の法人税課長その他法人税課の者との間に、この保全経済会の課税の問題、——つまり出資に対する配当をいかなるものと見るべきか、それによつて課税をいかにすべきかという問題が起つて来るわけなんです。従つて、この問題は金融法規との関係においてこれを預金と見るべきかどうかというような点とも関連して参りますので、銀行局及び国税庁の課長等が法制局の第一部で、そのうちの会合一回の分については、法制局林次長も出席をしておられますが、会合を開いて検討を加えたようでございます。ちよつと話が前後いたしましたが、法制局と打合せをいたしましたのは、大体その三回ばかりの会合であるのであります。  その後、昭和二十八年に入りましてから、一月二十日、一月二十一日、一月二十二日、法務省刑事局の津田、長戸両課長、安原、田宮両検事と私どもの有吉課長以下とが、今申し上げましたような、預金行為かどうか、信託行為かどうかというような点について、さらにこれらの問題の検討を進めたようであります。その結果、大体二月十八日でありますが、これが実は正式の会合としては一番最後の会合になつておりますが、この会合が法務省刑事局長室で開かれたのであります。この会議は、大蔵省からは銀行局長の私も出席いたしました。それから有吉課長、長谷井課長補佐その他が出席いたしたのであります。国税庁からは平田長官及び原次長及び法人税課長その他の関係の者が出ております。それから、法務省からは、前の刑事局長でありますが、岡原刑事局長、津田、長戸両課長、安原、田宮両検事、民事局から吉田参事官が出ております。どうも私の記憶では民事局長は出ておられなかつたようであります。それから最高検からは熊沢検事、市島検事、それから高検からは司波検事、地検からも関係の検事がこの会合に出ております。この会議で、先ほど来申し上げました、また三月四日に大蔵委員会で私が御説明申し上げましたような文書の草案を検討いたしたのであります。そこで若干の字句の点については修正が残されて、その点はさらに同日の午後の担当官の会議、つまり課長以下の会議に持ち越しました。そこでいろいろ私から国会において御説明申し上ぐべき原稿の調整を行つてつたのであります。それから、そのあとにおきましても、関係者が集まつて、たびたび、三月四日の結論が出ます原稿の整理を法務省大蔵省の係の者でやつてつたようであります。  その間にもたびたび同種の会合が開かれたようでありますが、記録もございませんので、その点については正確に申し上げることはできませんが、これを担当いたしております係の者の記憶では、大体押しなべて三、四十回の会合は前後開いておる、こういうふうなことであります。
  74. 小林進

    ○小林(進)委員 大体詳しい御説明をいただきましたが、この三、四十回の会合においては、ほとんど課長以上の方々が事務的な折衝をされていたということが明らかになつたのでありまして、今の御説明によれば、局長の出席された会合が一、二回しかないようでありますが、私は、こういうような口頭の証言じやなしに、いま少し印刷物にした正確なものがいただけると思つたのでありますが、これはやや期待はずれだ。期待はずれでありますが、しかし、今この御証言を得ただけでも、要は、法務省あるいは警視庁がやはり積極的な意見であつたにもかかわらず、ひとり大蔵省が消極的な意見であつて、両者に意見の食い違いがあつたということに対する私どもの疑いは一つも解消していないのであります。ただ、あなたのおつしやるように、最後の三月四日の国会大蔵委員会においてあなたが発言をせられるその原稿を調整するために、この二月十八日の各局長を主たるものにする会合で、やや一致する意見が調整せられた。今の証言によつて、三月四日のあなたの発言の下打合せができ上つたということだけは了承できると思うのであります。しかし、このときには、今も言われるように、法務省の民事局の吉田参事官が出席しておられる。この吉田参事官が、これは午前中の中野四郎君の発言でありますが、その後やはり民事局としては匿名組合ではないということを申し出ておるという。この間の経緯はどうも私ども了承できない。しかし、これはもうこれ以上あなたに追究する余地はございませんから、民事局の吉田参事官なりに直接われわれがお伺いをしてみなければならぬと思う。従つて、これに対する私の質問は、いわゆる民事局、銀行局あるいは警視庁、この三つの間に意見の相違があつたという点はひとつ留保をいたしまして、次の問題をお伺いいたしたいと思うのであります。  あなたは、午前中の証言で、二十六年の七月以降しばしばこの保全経済会調査した、こういうことを言つておられるのであります。ところが、調査をしたと言いながら、今度は、他の機会の証言では、実態調査はしなかつたと言われる。われわれはこの証言を聞いて非常な矛盾を感ずるのであります。実態調査をしないで、一体何の調査をされたか、この点をひとつお答え願いたいと思うのであります。
  75. 河野通一

    河野証人 私どもは、保全経済会の現場に臨んで調査をいたしましたのは一回しかいたしておりません。それは先般の委員会でも申し上げたのでありますが、昭和二十六年四月二十六日に、私どもの方の係の者と大蔵省の地方部局であります関東財務局の担当の者とが保全経済会に臨んで、伊藤理事長に会つて調査をいたしました。しかし、その際、前の委会員でも申し上げたと思うのでありますが、伊藤理事長からはつきり、私のところは貸金業者ではありません、貸金業もやつておりません、預金も受入れておりません、従つて金融機関ではありませんから、大蔵省としては御検査をなさる権限はないはずですということで、検査いたすことに対しては拒否的態度に出られております。また、実際私ども法律的には保全経済会を検査すべき権限を持つておりません。従いまして、当時調査に参りました係の者は、雑談的に一応の話を聞いて、現状の大体のことを聞いて帰るよりはかなかつたという事情であります。従つて、私どもは、それ以来保全経済会実態調査いたしますについて、現地に臨んで保全経済会の帳簿とかあるいはいろいろな伝票とか、そういつたものを調べることはいたしておりません。しかしながら、あるいは定款でありますとか、あるいはパンフレットでありますとか、事業案内書でありますとか、出資申込書でありますとか、そういつたものをできるだけ私どもは手に入れまして、今の文書の中に書いてある事柄に関する限りにおいて、一体この保全経済会業態というものは法律上いかに判断すべきかということについて、長い間研究をいたしました。また、国税庁におきましては、保全経済会等これと類似の形態のものに対して、やはり課税という面からいろいろ調査をしたこともありますので、その調査に基く資料等を私どもは通報を受けまして、国税庁当局ともあわせて、いろいろこれらの問題に対して法律上の解釈、法律上の判断というものをいかにすべきかということを研究して参つたわけであります。私が調査と申し上げましたのは、そういう意味の、いわば一種の書面調査でありまして、現場に臨んで調査をするということは、先ほど申したように、一回だけ行つたにすぎないような次第であります。
  76. 小林進

    ○小林(進)委員 私は、あなたの午前中からの答弁で、この法律上の違法適法の結論を出すための調査及び必要な資料のみをお集めになつていたというお話を繰返し承つておるのでありまするが、それももちろん重要な仕事であろうと思うのでありますけれども、これほど全国的に大きく羽ばたきしたこの事業が、正当であるか正当でないか、パニツクではないけれども、将来必ず倒産する性質のものであるかどうか、そういうような事業の内容について、あなた方が普通の銀行の内容調査されるようなそういう感覚で、この事業が一体すなおに伸びて行くのか伸びて行かないのか、倒れた場合には一体どういう被害者が生ずるか、あるいはこういうようなやみ金融がはびこることによつて日本の正常な金融機関がどういう被害を受けるか、これがあなたは銀行局長として一番調べなければならない重要なポイントだと思う。そういうふうな角度においてお調べになつたという返答を伺うことができないのは、私はいかにも残念なんです。法律上の解釈、そのための資料をお集めになつたのはけつこうでございます。それ以外に、こういう金融機関類似のものがほんとうに正常なわが日本経済状態のもとで将来伸びて行くのか行かないのか、そういう角度からお調べになつたことがあるのかないのか、これをお伺いしたいと思うのであります。
  77. 河野通一

    河野証人 この点も、たびたび私からお答え申し上げておる通りであります。私は、この機関与信あるには受信の面で金融行為をいたしておるのでありますならば類似金融機関として、あるいは無免許銀行として、私どもはこれに対して相当なる処置をとらなければならない。もつとも、無免許銀行に対しましては、私ども銀行法上これを検査する権限を持つておりませんから、なかなか実地に臨んで強権的な検査をすることはできませんが、しかし、かりにこれが預金行為等をいたしておるということでありますならば、これは金融全体に対する影響の非常に重大なことにかんがみまして、私どもはこれに対して適当なる措置をとらなければならぬと考えております。しかしながら、この機関は、先ほど来るる申し上げましたように、そういう判断をするもとは、やはりこれらの業態一体金融法規あるいは金融行政対象になるものかならぬものかということをまずきめてかからなければならぬ。それをきめてかかるために、私どもはたびたびそういう観点から、この問題を取上げて調べて参つたのであります。そのために非常に時間を要したということについては、私は顧みて申訳ないと思いますが、そういう結論を得るために実は去年の三月までかかつた。その結論の結果、これは金融機関でない、金融行政対象でない、対象外であるという結論を得ましたがゆえに、私どもはさらに進んでこれらの業態に対しての調査をいたたすということはいたしておりません。これがかりに金融法規違及の行為であるということになりますれば、私どもはさらに進んでこれらの問題に対する調査を進めなければならなかつたかと思いますが、私どもとしては、去年の三月に、一応与信の上においても受信の面においても金融機関でないという結論を得ましたがゆえに、爾来私どもはこの問題についての調査は行つておらなかつた
  78. 小林進

    ○小林(進)委員 どうも、しばしば言われておるように、官僚は政治家でない、だから、ただ馬車馬のように一つのことを深く掘り下げるだけで、周囲全般の連鎖作用をながめるという広い目がない、こういうことを言われておりますから、その点においては私も官僚の特異性というものは十分了承しておるのですが、今のあなたの答弁なんかはまつたく課長以下だ。いやしくも銀行行政に携わる局長、いわゆるその部門における最高の責任者である。これが、単に法律上無免許銀行であるかどうか、預金であるかどうかというようなその一点だけに二年半も三年も頭をつつ込んでしまつて、そうしてやみ金融機関がぼつぼつでき上つて、あなたが監督指導いたしておるところの銀行それ自体を全部足元から荒しまくつて日本金融に重大なる影響を及ぼしておる、その事実を何ら調査をすることもなく、関心を持つこともなくて、ただ一点法律上の根拠だけを二年も二年半も求めて来たということは、私は笑いごとだと思う。しかも、あなたは帝大出の秀才じやありませんか。秀才の頭を持ちながら、そんなことしか考えない。あなたの午前中からのそういう答弁を聞くと、まつたくもつたいない。国民の税金であなたに高禄をはまして銀行局長といういいいすにすわらしておるのははずかしい。しかもそんなことをとうとうとしてここに答弁をされる常識を私は疑わざるを得ない。一体あなたはこういうようなやみ金融を二年間も三年間も放任しておいて銀行にどういう影響を及ぼしたかということをちつともお考えになりませんでしたか。あなたが監督しておる銀行にちつとも影響がなかつたとお考えになつたのですか。ひとつお聞かせを願いたいと思います。
  79. 河野通一

    河野証人 これらの業態が正規の金融機関に対してどういう影響を及ぼすかということにつきましては、私は非常な関心を持つて見て参りました。その点につきましては、私は、今までのところ少くともこれが悪い影響を及ぼしたということは考えておりません。ただ、私どもは、本来普通の正規の金融機関に預金として集まるべきものが、こういつた機関に対する出資という形で、すなわちいわば高率配当ということでこれに出資するということで、本来の正規の金融機関の預金に集まるべきものがそちらに流れたというようなことはあり得るかと思いますが、この点は非常に遺憾でありますが、休業したり不始末を起したということによつて正規の金融機関に非常に悪い影響を及ぼしたということはないと考えております。
  80. 小林進

    ○小林(進)委員 今の御証言は非常に重要な証言だと思いますが、いずれまたその言葉を私どもが再検討させてもらうときがあると思います。  次へ進んでお尋ねしたいのは、あなたは、この調査過程においては、課税の面からも調査したので、そういう方面からも資料をもらつて判断あるいは解釈の材料にした、こういう証言があつた。それはその通りであります。われわれも、予備審査において、国税局で昭和二十六年度の所得その他について検査をされたというその検査の結果を承つておる。もちろんあなたのところに提出した資料と私は同じだと思う。その二十六年十二月末の保全経済の資産状態を、二十七年の五月ですか六月ですかに、国税局が課税の対象として調査した。その結果によれば、当時においてすでに十数億、二十億近くの赤字ができておつたということまで、もうわれわれに対する報告書類に現われております。私は、当然あなたのところにも行つたと思う。二十六年末においてもうそういう厖大な赤字が出ておるということをあなたがお知りになつていたら、それを承知の上でなおかつ法律上の解釈という一点に疑点を集中して、そのままにしておられたということは、そこにも、あなたのいわゆる監督権といいますか、国家の役人としての責任感の非常に稀薄な点を私は認めなければいかぬ。それほど二十六年の末に赤字ができた。それをあなたは見られて一体どうお考えなつたか、お尋ねをしたいと思うのであります。
  81. 河野通一

    河野証人 私は、国税庁で調べました結果につきまして、どのくらい赤字とということになつてつたかは、はつきり記憶いたしませんが、表面に出ておる計算から見ますと、決して利益は出ていないということであることは承つております。ただ、私は、先ほど来非常におしかりをいただいておるのでありますが、これらの機関金融関係のあるものでありますならば、私どもはこれに対して、銀行局長としての責任上、いろいろな点から関心を持つて処置をいたさなければならぬと思うのでありますが、今申し上げましたように、これは与信受信の両面から言つて金融機関でないということでありますので、私ども政府の公務員、政府職員の一員としては、いろいろな観点で私ども強く関心は持ちましたが、銀行局長立場からこれらの問題についてさらに進んで内容等を検討いたすということはいたさなかつたのであります。これが金融機関であるとかいうことでありますれば、預金者を保護するということの非常に重要なる使命にかんがみまして、私どもはそういうことに対してできるだけのことはいたすのでありますけれども、今申し上げましたように、これは与信受信、いずれから見ましても金融機関でない、こういう結論でありますので、特に私どもといたしましては職責の立場からこの保全経済会内容についてさらに検討を加えるということはいたさなかつたのであります。
  82. 小林進

    ○小林(進)委員 あなたは午前中からそう言つておられる。それではお尋ねいたしますが、この金融行政対象外であるという結論を、あなた方は二十八年の三月四日にお出しになつた、こう言うのでありますが、しからば一体、保全経済等のやみ金融、あなたの言われる金融行政対象外のこういつたやみ金融を、これを主管し監督して取締政府機関はどこでありますか。あなたにお伺いいたします。
  83. 河野通一

    河野証人 この所管という点につきまして、だれが所管するのかという点は、的確に申し上げることは非常にむずかしいと思います。たとえば非常な統制経済でもやつております場合におきましては、各企業等についてすべての主管官庁というものが、統制をいたしておりますればあるのであります。しかし、現在のように経済が自由経済に入つておりますと、各企業について監督官庁というものが必ずしもない。自由企業であります限りにおいては、それを監督いたします官庁のないものが非常に多いと思うのであります。そういう意味で、こういつた種類の企業に対して、だれが監督官庁であり監督者であるかということにつきましては、私は少くとも取締りの面から見れば法務省ではないかと思いますけれども取締りの面からだけではこの主管官庁ということはなかなか言えないのであります。その意味で、監督官庁という意味のものはないのではないか。これは、現に、自由経済でありますれば、監督官庁のない企業というものがたくさんあると思います。そういつた意味で、取締りの面から言えば私は法務省ではないかと思いますけれども、一般の監督官庁というものはないのではないかと考えておる次第であります。
  84. 小林進

    ○小林(進)委員 これはまことに重大なる発言を承つたのでありまするが、これはあなたと討論するのではなのであります。しかし、言われてみれば私も考えさせられるところなきにしもあらず。私は、こういう金融機関とか金融機関類似のものは、すべて監督主管官庁は大蔵省であると常識に基いて考えている。ところが、今あなたの答弁をお伺いすると、先ほどからあなたが金融行政対象外であると言うのは、銀行局長対象外ではあるが、やはり大蔵大臣の管轄下における他の局か他の課の監督下かと考えておりましたら、大蔵省全般の管轄あるいは監督下ではなしに、むしろ取締りだけで言えぱ法務省ではないかというようなことを聞いて愕然としたのでありますが、しかし、私も実は勉学が足りませんから、あなたの言葉を反論して言うだけの資料はないが、これは実に恐るべきことだと思う。こういうようなやみ金融をやり、国民に恐るべき巨大なる被害を与えたこの問題が、もし大蔵省の管轄でないというならば、これは政府自体の責任に行かなければいかぬ。吉田ワン・マン総理大臣責任に行く以外にないと思う。これはたいへんなことだと思う。     〔委員長退席、高木委員長代理着席〕  どうも、こういう恐るべきことに責任を持つ官庁がないというのだから、これはたいへんなことになりました。たいなことになつたが、しかしわれわれの常識から言えば、厳密に言つて銀行局長金融行政対象外とは言いながらも、あなたが扱つている銀行と類似の行為をやつている、預金類似の行為をやつているのだから、被害を受けた国民の側から見れば、銀行その他を監督している大蔵省の銀行局が黙つてこれを見ているのだから、これは合法的なりつばな仕事だと思つている。伊藤斗福などを信用するよりは、大蔵省銀行局長がいわゆる不作為でいるところを信用している。だから、ほんとうは、これは言いかえれば、不作為の作為と言うか、伊蔵斗福を黙認して見ておいて、最後のどたんばに国会あたりに締められたらおれの管轄外だという言訳いでもふところの中に入れて黙つて手をこまねいて見ておることが、こういう一部の不良金融業者を助長するのには非常に効果をなしている。どうも、われわれは、あなたの答弁を聞いていると、そこまで悪意の推定をしたくなつて来るのでありますが、そういう一つの疑問に立つて質問したいのでありますけれども、三月四日第十五国会大蔵委員会であなたが答弁をせられたこの速記にこういうことが書いてある。「高い金利を認めるような金融機関を制度として立法化するようにという要望が一部に強く行われております。」これはあなたの言葉であります。どうもこういうのは悪くとりたくないけれども、こういう強く立法化したらどうかという者が確かに一部に暗躍をした。こういう連中の暗躍に基いて政治献金が行われたり、あるいはまた、かつてはわが党であつた平野力三君あたりが顧問に就任をしてあるいは立法化の一役を買つたのじやないかというような一つの疑惑を持たれておる。これは言い訳はいたしませんが、何しろ二億の金が政党献金されております。廣川弘禪以下にも三千万円、改進党に二千万円、鳩山自由党に一千万円の政治献金が行われた、こういう証言がこの国会において行われておるのであります。これがみな流れて行つておるのでありますが、そういう政党献金があなた方大蔵省の官僚の手にも流れているのじやないかという深い疑いがあるわけなんです。どうかこれに対してひとつ知つていられる範囲の御答弁をお願いしたい。特にあなたがここに言われておる、一部に強く行われているというこの言葉の具体的な内容を御答弁願いたいと思います。
  85. 河野通一

    河野証人 私が昨年の三月四日に御答弁申し上げましたところで立法化の問題を言つておりますが、これは速記録にも書いてあると思いますが、「いわゆる株主相互金融の形態による貸金業者に、預金業務を新たに認めるとともに、金利についても一般の政府金融機関よりも高い金利を認めるような金融機関を制度として、立法化するようにという要望が一部に強く行われております。」こう申しておるのであります。この意味は、今議題になつている保全経済会のような仕組みのものではないのであります。株主相互金融の形でやつておる貸金業者に預金業務を公認しろ、そうしてそれに高利をつけた金融を認めろ、こういう形で立法化をするようにという要望が、主として貸金業者の一部から私どもの方に陳情があり要望があつたのであります。この問題についてここで言つておるわけであります。そういう立法化は私ども考えてない、こう言つておりますなお、伊藤斗福氏あたりがアメリアの投資銀行法——投資銀行法というのは実はアメリカにはないのでありまして、御承知かと思いますが、アメリカには投資会社法というものがあります。この投資会社法にならつた投資銀行の制度を法制化するという運動をしたということをたびたび聞かされおりますが、この点は、先般の委員会でも申し上げました通り、私どもは何ら要望を聞いておりません。従つて、三月四日に私から答弁いたしておりますところは、そういう匿名組合方式の資金を受入れておるいゆる利殖機関に対して立法化するという問題ではなくして、貸金業者である株主相互金融という仕組みを法制化してこれを金融制度と立て取上げろ、こういう要望に対して私はそういうことをすることは適当でないという答弁をいたしておるのであります。
  86. 小林進

    ○小林(進)委員 株主相互金融の形態による貸金業者から非常に強く立法化を要求せられたというのでありますが、そういう業者以外の何か政党関係者あるいは政治家、そういつた者からこういう強い要望があなたに具体的にあつたかないか、承りたいと思います。
  87. 河野通一

    河野証人 公の席上では、私は今はつきり記憶いたしませんが、たしか三月四日の大蔵委員会で私が説明いたしましたときに、そういつた立法を考えるべきではないかという御意見が、たしか一部の委員からあつたと記憶いたします。これは、私は速記を見ておりませんので、あるいはその会合の席でなかつたかもしれませんが、一部たしか、その三月四日に説明をいたしたときに、私は立法化する考えはないと言うのに対して、立法化すべきでないかという御意見があつたように記憶いたしております。そのほかについては、私は政治家その他から立法化しろというような声を聞いておりません。これは主として業者から要望があつたのであります。
  88. 小林進

    ○小林(進)委員 その三月四日の説明のときに一部の政治家からとおつしやるのは、おそらく私は大蔵委員長の千葉三郎氏じやないかと思いますが、その点についての御証言を願いたい。  この言葉の発言せられた三月四日前はよろしいのであります。そのあと保全経済会の休業後までの話でもいいが、御承知のように、顧問団の諸君も休業後この立法化のために国会にも陳情に見られたことがあるのでありますから、そういう顧問団を含めて、今日に至るまで政党政治家があなたにこういう立法化の問題を依頼せられたことがほかにあつたかなかつたか、ひとつお聞かせ願いたい。
  89. 河野通一

    河野証人 去年の三月四日当時大蔵委員長は千葉さんではなかつたと思います。また千葉さんは大蔵委員でもなかつたと、これは実ははつきり記憶はないのですが、おそらく大蔵委員でもなかつたのじやないかと思います。誰からそういう話がありましたか、姓も記憶いたしませんが、これは速記録を見てお答え申し上げたいと思います。  それから、その前後及び保全経済会が休業するまでの間に、保全経済会等に対するいわゆる投資銀行と申しますか、アメリカのインベストメント・カンパニー・アクトですか、そういつたものに類似するような制度化の問題について、私はどなたからも一度も陳情なり要望なりを受けたことはありません。
  90. 小林進

    ○小林(進)委員 私は、実は先ほどのこういうやみ金融に対して国家の行政機関としては責任を負うものが一つもないのだというあなたの証言を聞いて、唖然としてしまつた。実際責任者も監督官庁もないのだ言われれば、もうこれは質問する余地がないのでありますけれども、実はここで、あなたの責任を追究する意味ではないのでありますけれども、聞いておかなくちやならぬことは、先ほどからの証言でも、しばしば十数回も会つて、そしてそのためには保全経済会の資料を持ち寄つて、それを中心にして会合を持たれた、協議を持たれたというような証言があつたのでありますから、そういう会議過程においてこういう事実をお知りになつていたかどうか、これをお尋ねしたいのであります。その事実というのは、保全経済会が成立して以来過去四年間において一回も利益をあげてなかつたという事実です。先ほども古屋君かだれかの質問によつて、インフレ経済が続いて行けば保全経済会も確かに利殖機関として黒字になる可能性があつたと私は思う——。しろうとならばいいけれども、銀行を監督する親方のあなたがそういうような証言を先ほどまでしていられた。ところが、この保全経済会ができ上つてから休業に至るまで、あの株式のブームのさ中においても黒字になつたことは一回もなかつた。参考までに申し上げるが、二十五年四月二十五日以降十二月三十一日ですでに五千二百九十六万一千百十四円の赤字なんだ。二十六年一月一日以降二十六年十一月三十日までで三億一千百九十一万六千五百十一円、二十七年の五月には、これは六箇月で、これも三億六千六百万円、二十七年の六月一日以降九月三十日までの三箇月で二億九千八百万円、それから二十八年三月三十一日までのわずか半年の間に六億五百万円の損失を出している。二十八年の九月三十日、いよいよ休業直前のときには七億九千二百三十六万円の赤字を出している。一回も保全経済会には黒字がなかつたのですよ。取引所創立以来と言われるあの株価のばか上りしたさ中においても、これだけ赤字が出ている。通計いたして二十四億二千七百六十六万円という損害が現われている。あなたは十数回か調査をしたと言われるのですから、こういう数字は私はたしかに調査過程において出て来たと思う。毎期々々、半年もしくは三箇月に六億、七億というようなべらぼうな赤字の出ているこの保全経済会を、私は監督官庁じやない、金融行政の方の所管行政じやないからというようなことでこれを見逃していたなどということが、一体国家の誠実なる官吏として適当な答弁であるかどうか。私はあなたの良心を疑わざるを得ない。知つても、なおかつ、被害を受けるのは大衆なんだからどうでもいいというお考えで、そのまま黙認しておつたのか、あるいはほんとうに知らなかつたのか、知つていたが、だれの管轄かその管轄の主体を研究するのに忙殺されて、そつちまで手がまわらなかつたのか、ひとつその真意を聞かしていただきたい。
  91. 河野通一

    河野証人 たびたび同じことをお答えするので恐縮でありますが、私は、徴税の立場からいろいろ国税庁国税局で調べておりました結果を聞いております。しかし、主として私が、これはおしかりを受けるにもかかわらず私が関心を持ちましたのは、これらの企業自体が成り立つか成り立たぬかという問題では実はなかつた。少くともその当時においては、私はこれを金融行政としてどういうふうに考えて行くかということについて、専心その問題に携わつてつたのであります。先ほど古屋委員にお答え申し上げたのも、インフレの間では十分成り立つということを私は申し上げたのじやないので、少くともこういう形態のものは成り立つとしてもインフレのときでなければむずかしいだろうということを申し上げたのであります。そういう赤字が非常に出ているということにつきましても、私は一々の資料の結果を見ておりません。主として私が国税庁からいただいた資料は、——たとえば定款等は私どもの手に入つておらなかつた、しかし、保全の定款も調べる必要がありましたので、そういうものは国税庁が手に入れておりましたのをいただくとかいたしましたり、大体の出資はどの程度あつて加入金額がどの程度ある、そういつたこととか、大体の経理の状況は聞いておりますけれども、そう詳くし損益の点までつつ込んで調べたことは実はないのであります。これはおしかりを受けるかもしれませんけれども、率直に言つて実はそこまで手が届かなかつた。しかるに、ああいういうふうなことになつて非常に大きな損害を公衆に与えたということについては、私は非常に遺憾だと思います。その当時におきましては、私は非常に微力でありますために、申しわけないのでありますけれども、そういうところまで手がまわらないでおつたということを申し上げざるを得ないのであります。
  92. 中野四郎

    ○中野委員 関連して千葉試案というのがありましたね。あれは何を意味するものなんですか。少くとも大蔵委員会であれほど話題をにぎわして、あなたも銀行局長としてしばしば大蔵委員会に出ておるでしよう。千葉試案の意図するものが何らかなくちやならぬ。これは何を意味し、何を意図しておつたかということを伺いたいと思う。
  93. 河野通一

    河野証人 実は、千葉試案と言われておりますものを、私も案はいただいてこれはどうだろうかという意見を千葉大蔵委員長からごく非公式に聞かれたのは、去年の秋じやないかと思います。私は、一応研究はいたしましよう、しかし私はこれらの問題についてこう考えるということは、この前の委員会で申し上げたように、実は大体去年の夏ごろに私個人としてのこれらに対する見解というものができかかつてつた。そのときに、私の見解から申し上げますと、大部分の点は千葉試案に盛られているものと私ども考えているところと大体同じ意向だ、今度この国会に御提案申し上げております出資の受入、預り金及び金利等の取締に関する法律案というものは、その大部分が実は千葉試案の中に盛られているものが入つておる。ただ一つ大きな違いは、いわゆる株主相互金融という、これは貸金業の一つの形態でありますが、これを法制化して、そうして許可制にして、ある程度まで預金的なものを取扱わせよう、そうしてある程度高利のものを認めよう、こういう案がございます。この案は、先ほども小林委員にお答え申し上げましたように、去年の三月四日以来、こういつた株主相互金融という仕組みをいわゆる法制化する——私はあえて保護立法とは申しませんが、そういつたものを許可制といつた形で法制化することは反対である、これは一貫して反対であるということを私は申し上げて参つたのであります。そのかわりに、むしろこれに対してとるべき措置は、今御提案申し上げておるように、証券取引法の改正によつてつておりますような、アメリカにおけるいわゆるブルースカイ・ローといつた意味取締り規定をこの株主相互金融業態に対しては設ける、こういう意味で、その点だけは千葉試案と私は全然考えが違う、こういうことははつきり申し上げたわけであります。  それから、もう一点御参考までに、ちよつと脱線するかもしれませんが、申し上げておきたいのは、出資受入れを制限する法案の第一条であります。これも千葉試案では実はこういう規定になつておりません。これは実は私が初め考えた案ですが、つまり、不特定多数の者から特定の形で金を集めることを禁止する、こういうふうな規定になつておる。この点は今度の法律ではそうなつておりませんで、法律の形は違つておりますが、内容は大体同じであります。この株主相互金融に対する法制化の点で根本的に違う、こういうことを申し上げておるわけであります。
  94. 中野四郎

    ○中野委員 私は人様を疑うことは好ましくない。しかしながら、昨年の保全経済会の休業以来突如としてこの株主相互金融に対する保護立法的な案が出たことに実は驚いておつたのであります。これは、保全経済会等類似金融機関を調べる上において、非常に問題が複雑多岐ではありますけれども、やはり株主相互金融というものが現段階において相当疑惑があるのです。それが保全経済会の休業後——たしか休業後だつたと思いますが、こういうものが出されたことは非常に不可解だというので、その意図するところ那辺にありやということは、すでに世間の世論になつているところであります。まあ、あなたに聞くことは無理かもしれませんけれども、当時どういうふうに感じられたか。この株主相互金融だけを保護する、立法化するということは少しおかしい。納得できぬ点がある。こういう点についてあなたは何と考えられるか、伺いたい。
  95. 河野通一

    河野証人 いわゆる千葉試案というものが研究されましたのは、今お話のような九月の末に保全経済会が休業する前、たしか八月ごろじやなかつたかと記憶いたしております。従つて保全経済会が休業して後に急遽ああいうことが立案されたとは思いません。  それから、どういう動機でああいう案ができたであろうかということは、今中野さんのおつしやる通り、私からかれこれ申し上げることはございませんが、少くとも千葉さんに関する限り不純な動機でやつたことではないと信じておりますが、この点については、私に聞かれてもなかなかむずかしいことでございます。私は不純な動機でやられたことではないと確信いたしております。
  96. 佐竹新市

    ○佐竹(新)委員 一点だけお伺いしますが、証人はもう二回にわたつて証言でございますが、こういう保全経済会の問題について直属の長官である前大蔵大臣池田さん、現大蔵大臣の小笠原さん、これらの方にしさいに報告し、また協議されたことはありますか、ありませんか。この点をお聞きいたします。
  97. 河野通一

    河野証人 これは、たびたび申し上げましたように、池田大蔵大臣の当時から実はこの問題は起つております。池田大蔵大臣からも、この問題について至急ひとつ研究をして見解をまとめるようにということをたびたび督促を受けております。中間的には池田大蔵大臣にもこの問題について意見は申し上げておりましたが、結論が出る際にはすでに大蔵大臣でなかつた。私が三月四日に大蔵委員会で御答弁申し上げる際には、たしか向井さんが大蔵大臣つたと思います。答弁を申し上げる前に、向井さんには逐一説明をして、承認を受けた上で、大蔵委員会において御答弁申し上げた。それから、現在の大蔵大臣である小笠原さんにも、この保全経済会その他に対する一連の私の考え方は、非常に重要な問題でありますから、もちろん保全経済会が休業する前にもたびたび御協議を申し上げて参つております。ことに、先般申し上げましたが、私は、昨年六月か七月ころ、これに対して立法的に考えなければならぬじやないかということを考え出した当時においても、それらの構想について大蔵大臣たる小笠原さんとも事前に十分御相談いたしております。その点については、大蔵大臣了承を得て私としてはいろいろな行動をとり、見解を述べておるつもりであります。
  98. 佐竹新市

    ○佐竹(新)委員 保全経済会の創業当時の二十六年ごろは、池田さんが大蔵大臣であつた池田さんの保全経済会に対する見解はどういう見解であつたか、あなたの知つておられる範囲内において証言していただきたい。
  99. 河野通一

    河野証人 これは、先ほど古屋委員からもお話がありましたように、国会で、たしか予算委員会であつたと思いますが、二十七年の初めごろに成田委員の御質問に対してお答えをしております。いろいろな形態のものがあつて非常に複雑であるが、これらは十分に調査をさせる、現に調査をさせておる、調査をした結果これが金融法規に違反するというようなことでもあれば厳重に処罰をいたします、至急にその結論を得るように今事務当局を督促しておる、こういうふうな趣旨の御答弁であつたと思います。それから、もう一つ、当時の大蔵大臣としてどう考えられておつたかという問題は、それもこの前の委員会で申し上げたと思いますが、二十六年の十一月に、当時衆議院議員でおられた深澤さんからの質問書の中の、立法化して日本最初の投資銀行として発足する準備があるということを伊藤斗福は言つておるが、一体そういうことに対する政府見解はどうかという御質問に対して、政府からお答えしておる。これは大蔵大臣が現実には起案をいたしたことになつておりますが、その投資銀行法の立案を推進し日本最初の投資銀行としたいという希望を持つておるように仄聞はするが、政府としては同会の言うところの投資銀行法の立案の計画はまつたくない、こう答弁を申し上げておるわけであります。これは当時の大蔵大臣池田さんの考えと御了承いただいてけつこうだと思います。そういつた考え方で、当時池田さんも、これを立法化して投資銀行をつくつて行こうといつたよう考えは、少くとも私ども、たびたび話し合つたのでございますが、全然なかつたように記憶しております。
  100. 小林進

    ○小林(進)委員 私はいま二、三点質問して終りたいと思うのであります。きよういただいたこの資料の中に、株主相互金融等が、推定数字でございますが、三百三十一億八千六百万円、それから匿名組合等で百三十三億二千五百万円、合計四百六十五億というような厖大な金が、この被害者の数字として表われているのであります。この数字はどうでもよろしいが、この合計四百六十五億という金額の内容は、ほとんど被害者です。この被害数字の内容の分析、これは困難かもしれませんが、あるいは俸給生活者とかあるいは農民とか、あるいは都市と農村別にわけては都会地が少いとか、一応この内容の分析ができ上るのではないか。私どもは、ささやかな研究でありますけれども保全経済会については、案外東京とか大阪という利にさとい都会地には被害が少く、農村にはことに多いという実態が現われて来たのでありますが、そういう観点から、この金額の内容について、知り得る範囲の御見解をひとつ承りたいと思うのであります。
  101. 河野通一

    河野証人 これは、実は私もなかなか的確にお答えができないむずかしいお尋ねだと思います。この保全経済会につきましては、今小林委員からも仰せの通り、農村を主体にいたしておつた、ことに関東よりも関西、関西から九州、四国が多かつたというふうに聞いております。ことに四国等にこの保全経済会出資者が多かつたということを聞いておりますが、しからば、どの程度の割合が農村であり、どの程度の割合が都市であるかということにつきましては、これは遺憾ながら、私としても、私どもの系統にある各地方出先をして調べさせましても、なかなか的確に出ないのではないか。いわんや、株主相互金融というのは、これは御承知のように全国にわたつておるのであります。それで、数も非常に多いわけでありまして、この点も都市と農村とをわけることは——ことにこれは関東における場合と関西における場合とはまた違つておるようであります。そういつた関係で困難かと思いますが、できることならばひとつやつてみたいと思います。やつてみて、もしお示しして御参考になるようなものができましたらお届けしたいと考えております。
  102. 小林進

    ○小林(進)委員 それではひとつお願いすることにいたしておきます。  次にお伺いいたしたいことは保全経済会が休業いたしまするや、出資者が相当大騒ぎをした。そのときに、伊藤理事長を中心にして、その側近筋から、大蔵省を中心にして必ずこれを立法化、あるいは立法化せないでも、何とか救援の策を講じてくれる、今出資者諸君が、あるいは出資者代表諸君が騒ぐと、せつかく大蔵省がてこ入れをして助けてくれるのもだめになつてしまう、騒いではいけない、こういうようなことで、出資者も騒がずして、事が静々と行われて、あれだけの大きな失敗を繰返しながらも、それほど社会的な波紋を起さないで済んだという重大な理由があるのであります。私はそれを問うのではなくして、そういうのをちようど裏書きするように、昭和二十八年十一月二十二日、保全経済会理事長伊藤斗福という名前で、「全国出資者の皆様へ謹んで御報告申し上げます」という書類を配つた。その書類の内容を見ると、いろいろ書いてある。「最近における当局の法制化に対する態度」こういうような見出しでじゆんじゆんと述べてあるが、その末尾の方に来るとこういうことが書いてある。「十一月中旬」——これは二十八年の十一月中旬であります。「十七日衆議院大蔵委員会において、結局保全経済会をいかにするかとの委員会質問に対して、河野局長は」——河野局長というからは、もちろん私はあなたであると思う。「法務省と連絡の上立法案を通常国会に提出する、その内容については目下研究立案中とあらためて声明するに至つた。今や本会を含む類似金融機関の法制化は朝野をあげて常識化するに至つた。しかして当局の法律案の審議はあと旬余に迫られて、通常国会に上程せられることになつております。以上休業後における再建工作の結果わずかに二旬にして法制化の朗報を御報告申し上げる次第であります。」こういうようなことを言つて全国の出資者にばらまいておる。それで、出資者は、輝ける銀行局長がこういうような証言をしておられるのであるから、もう助けてもらえるだろうというので、非常に安堵の気持になつて年を越したというふうなことになつているのであります。私はもちろんこれを質問するからには大蔵委員会におけるあなたの速記録を読んだ。読んだところが、どうもこういううまいことは書いてない。書いてないようでありますが、しかし、事実上こういう証言をされたことがあるかないか。大蔵委員会にないにしましても、これを文書にして配布するからには、銀行家のあなたの方で彼をしてこういうようなことを言わしめる何らか一つの原因があつたんじやないか。どうも疑わしい点がありますので、この点ひとつ的確に御証言を願いたいと思うのであります。
  103. 河野通一

    河野証人 その文書は私は実は存じません。存じませんが、十一月十七日の衆議院の大蔵委員会かと思います。そこにおける答弁でどういうことを申し上げましたかは、私は的確に覚えておりませんから、速記録を見てお答え申し上げざるを得ないし、また速記録をお読み願えれば、非常に恐縮でございますが、そういうばかなことを私が申し上げるはずはない。ただ、私は、立法を考えているということは申し上げた。その立法化の成果が遅れて、おしかりを受けておりますが、それは今御提案申し上げておるところであります。これは決して保護立法じやなくして、取締り立法である。その意味の立法は出さなければならぬということは、すでにあの当時の国会において犬養法務大臣も小笠原大蔵大臣も申し上げておる。事務当局をして今立案をさしておるから、近く提案を申し上げるということを申し上げており、その立法を私ども考えていたことは事実であります。しかし、今言われておるような、いわゆる投資銀行法といわれておるような保護立法は全然考えたことはないということは、たびたび私が申し上げた通りであります。ただ、そういうことを言わせるようにしたことはけしからぬというおしかりを受けることは、非常に恐縮であります。私は、実は、そういう書面が配られたことは、非常に不注意であつたかもしれませんが、存じておりません。そういうことを知らぬのはけしからぬということであれば、おわびをするよりしようがないが、私は存じません。いわんや、私は、そういうことを彼が言うことについて何か特殊の関係があるようにもし言われるならば、これははなはだ迷惑であつて、私どもが従来たびたび申し上げておるようなことでありまして、一度も伊藤斗福個人に会つたことはありません。休業が起りました後において大蔵大臣に対して伊蔵斗福氏が面会を申し込んで来たことは事実であります。大蔵大臣はもちろん会う筋合いではないということで会つておりません。それから、立法化の問題について何らの陳情要望を受けたことも、私の銀行局にはもちろん全然ありませんが、おそらく大蔵省全体としてもないと私は確信いたしております。
  104. 小林進

    ○小林(進)委員 これ一点で私は他の委員諸君にお譲りしたいと思いますが、私は、当初にも御説明しましたように、こういうようななやみ金融の、顧問どころじやない、取引をしただけでも、わが党としては断じて黙認できない。まず泣いて馬謖を切らなければならないということで、わが党の幹部である平野君に党から離党を勧めた。これはすなわち政党員にとつて離党せしめられるということは自殺にひとしい。その人の政治生命を奪つたことであります。それほどの厳罰を与えて、われわれは一応、いいにつけ悪いにつけこの保全経済会やみ金融に借りがあつたということで、われわれみずからの責任を明らかにしたのでありますから、他を振り返つてみて、他に責任のある者は断固容赦仮借なくあくまでも追究いたしまして、全国にまたがる十九万に近い被害者あるいは零細なる出貧者を守らなければならないという、非常に厳粛なる決意の上に私どもは立ち上つたわけであります。そして、あなたに対しても、そういう質問を繰返して来たのでありまして、むしろわれわれのねらいは、率直に言えば大蔵省にある。こういうやみ金融類似の監督の責任者であり、最上の主管者は大蔵省であるから、まず泣いて馬謖を切つたその力をもつて、私はあなたの首を切らなくちや承知できない、大蔵大臣の首を切らなくちや承知できない、こう思つていたのであります。しかも、大蔵省責任を明らかにするがために午前中古屋君がしばしばその質問の要旨にせられた第十三国会予算委員会における成田委員質問に対する池田大蔵大臣答弁によれば、大蔵省といたしましても今そういうものの実態を調べておるのでございます、もし銀行法等の法令に違反する場合におきましては十分な取締りをいたしたいと考えております、こういうような答弁をされております。われわれに言わせれば、法的根拠を追究しないでも、これだけの答弁がある限り、やはりこうしたやみ金融の主管官庁は大蔵省である、一応こういう前提のもとに立つておる。今もそう考えておる。今あなたの答弁を聞いておりましたら、こういうやみ金融金融行政対象外であるから、一般の主管官庁はどこか、監督官庁はどこかと言われるならば、それは大蔵省じやない、取締り官庁と言われればあるいは法務省が主管官庁であるかもしれない、一般官庁と言えば大蔵省じやない、こういうような答弁を得ておる。これほど全国的に被害を及ぼした問題に対して、責任を持つ官庁もなければお役所もない、こういうことが明らかにせられたのでありまして、私どもはまことに愕然といたしました。振り上げた刀も振る場所がなくなつてしまつた。しかし、これは重大な証言でございます。ほんとうに大蔵省銀行局長責任がないのか、いま一回私ははつきり伺つておきたいし、あわせて、この問題は私は決して了承できませんので、われわれも十分研究をして、いま一度私はあなたに見参しなければならぬが、どうかきようのところいま一度繰返して御証言を願いたい。  これで私の質問は終ります。
  105. 河野通一

    河野証人 先ほど来お答え申し上げました通りでありまして、保全経済会等につきましては、私が去年の三月四日に御答弁申し上げましたラインと申しますか、見解を今かえておりません。従いまして、この問題は金融行政のらち外にある。この点については重ねて御答弁申し上げます。しかし、私も政府職員の一人として、こういう多数の人に迷惑をかけたという事態が起つたことについては、私は非常に遺憾だと思うということもあわせて申し上げておきたいと思います。
  106. 高木松吉

    ○高木委員長代理 田渕君。
  107. 田渕光一

    ○田渕委員 午前中私は他の委員会が二つ三つありましたので来られなかつたのでありますが、小林委員にちよつと伺つておきたいのであります。というのは、ちよつと委員長がかわられましたが、小林君が証人に求められた資料は、先ほど来の証言通りのお言葉だけでよかつたのか、それとも、それに対する資料を提出されたいと求められたのか、これをひとつ小林君に伺つておきたい。それから質問に入りたいと思います。つまり、資料を求められたのであるか、あるいは証人説明でいいのかどうか。
  108. 高木松吉

    ○高木委員長代理 便宜上小林君からお話願います。
  109. 小林進

    ○小林(進)委員 今の田渕君の御質問でありますが、午前中委員長を通じて河野局長に資料の提出をお願いした私の真意は、二十六年の七月から保全経済の性格その他について関係官庁で十数回の会合、あるいは研究会といつてもよろしいが、それが行われたといいますが、その会合の日時、出席者及びその会合における協議の内容の主たる重点について、知り得る範囲で資料を提出願いたいというのでありますから、もちろん書面にして提出をお願いしたいというのが私の真意であります。従つて委員長から、小林君、提出期間はどうかと言われたときに、私は、あすでもあさつてでも、日にちを置いてよろしいのであります、こうお答えしたわけでありしす。委員長はどう解釈をせられたか、どうだ、休憩の時間か一時間半の間にそれが一体できないかどうかということを証人に相談をせられて、できそうだと言うから、それならばひとつ休憩をしようというので休憩に入つたのでありまして、この間私と委員長さん、証人の三者の間に若干意見の食い違いがあつたのではないか。また、証人に対しては、証人は速記録やらあるいは記録があるわけじやないとおつしやるから、それでは検察庁や検事局に対するような正確な資料でなくてもよろしいが、できる範囲の記憶を呼びさまして、関係者にも連絡をとつて、できるだけ正確なものがほしい、こうお願いしたのでありまして、私の真意はあくまでも書面によつて提出してほしかつたということを、重ねて申し上げておきます。
  110. 田渕光一

    ○田渕委員 小林委員のいわゆる資料の要求というものの範囲がわかりましたので、この点については私後刻伺います。  ただいま小林君からいろいろお話があつたうちに、結局この関係官庁は一体どこであるかという点がまだ抜けているように思います。一体このような大きな問題を起したが、関係官庁として責任の最も重いところは、たとえば大蔵省法務省であるのかどうかという御見解を伺いたいのであります。
  111. 河野通一

    河野証人 私どもがこの保全経済会の問題について長い間一生懸命検討いたして参りましたのは、実はこの業態銀行法その他のいわゆる金融法規に該当するかしないかという点にあつたのであります。その結論を出すのに非常に日にちがかかつて、申訳なかつたのでありますが、その結論が出まして、これは金融行政対象外であるということに相なりましたので、こうなりますと、これは金融行政を受持つておる私どもの所管の外にある、こう私は申さざるを得ないのであります。しからば、どこに一体所管官庁があるかというお話がありましたので、これは私見でありまして恐縮でありますが、経済が相当自由になつて来れば、企業の中で監督官庁がないという企業がたくさんあるだろう、その一つではないだろうか、従つて監督官庁というものは直接にはないであろうけれども取締りをして行くという関係からの官庁というものはあるのでありまして、それはおそらく法務省であろうと思う、しかしこれは法務省の所管のことまでかれこれ私がきめるわけに参りませんから、私の推測でそう申し上げたのであります。この点につきまして、余談でありますが、御参考までに少し申し上げておきたいと思いますのは、実は、今度の出資の受入、預り金及び金利等の取締に関する法律案というのをお手元にお配りいたしてあると思いますが、その附則の十項に、「大蔵省設置法の一部を次のように改正する。第十二条第一項に次の号を加える。十四預り金となるべき金銭の受入についての情報の収集その他法令違反の防止に関すること。」これは銀行局の所管の改正でありますが、実はこういう設置法の改正の規定がこの出資の制限等の規定の中に入つております。この規定も、実は入れることがいいか悪いか、いろいろ立法論としては問題があつたのでありますが、少くとも大蔵省としては預かり金の違反の行為に対しては十分それを防止することに努力すべきであるという観点から、この規定が入つておるわけであります。しかるに、今お話がありました出資受入れ等の形、つまり預かり金ならこれは金融行為でありますが、出資受入れ行為等につきましては、この規定の裏から言いましても、大蔵省金融の分野ではない、かように私ども考えておる次第であります。
  112. 田渕光一

    ○田渕委員 そうすれば、私見でありましようとも、一応法務省取締り対象になつて来るわけでありますが、今回出されたこの取締法というものは、要するにこういう一つの社会現象か起きて来てつくつたのでありますから、たといその取締り対象でなくとも、そういう取締法を出す以上は、——今日となつてはもうあとの祭りではありますが、要するに取締り上必要欠くべからざるものということを多少とも感ぜられて出されたことだろうと思いますが、そうすると、以前のことに遡及するわけではないが、その当時でも幾分大蔵省責任があつたのではないかというように感ずるのでありますが、率直な御意見でけつこうですから、伺いたい。
  113. 河野通一

    河野証人 御質問の点についてはこうお答え申し上げたらいいのじやないかと思います。出資の受入、預り金及び金利等の取締に関する法律案は、法務省大蔵省の共管ということになつております。現在大蔵委員会にかかつておりますが、この共管の点は、各条文ごとに所管と申しますか主たる担当者が違つておるわけでありまして、例を申しますと、この一条、つまり今問題になつておる事柄に対する取締り規定でありますが、この問題になつておる出資受入れ制限の規定は、主たる担当者法務省ということに両省の間できめてあります。第二条の預かり金を禁止しておる規定、これの主たる担当者大蔵省である、——主たる担当者という意味はどういうことかと申しますと、この条文を解釈する場合、あるいはこの条文を改正する場合に、どちらが改正案をつくるかというような、そういう意味担当者でありますが、第二条の預かり金ということについては、預金行為であるから金融関係があるので、これは大蔵省が担当する、第三条は法務省の担当である、そういうふうに、実は担当を条文ごとに両者で申し合せております。実際は法案全体にいろいろの規定が入つておりますので、大蔵省法務省の共管ということになつておりますが、そういうようなことで、主たる担当者を条文ごとに区分して、両方で打合せをいたした上で、こういう規定を置いたわけであります。
  114. 田渕光一

    ○田渕委員 しからば、それによつて、今日まであつたいわゆる町の不正金融利殖機関というようなものが取締れるか、かつてつた保全経済会並びに日本殖産その他の類似機関というものは今回出した法案によつて大蔵省法務省の共管によつてこれを取締つて行けるという御決心でお出しになつたのかどうか、お伺いいたします、
  115. 河野通一

    河野証人 その点につきましては、私はこれによつてすべての弊害がなくなるということにはならないと思います。しかし、少くとも、この法案が施行されますならば、出資者出資した元本が返されるとか、あるいは一定の配当が約束されるとか、出資の本質と相いれない性質を持つた出資のやり方と誤解をするようなことはない、そういうようなことで出資者になるということは防げるであろう。しかし、一般株式会社でもそうでありますが、株主になろうと思つて株主になつた場合において、その会社がうまく行けばよろしゆうございますが、その事業がうまく行かない場合にはやはり損失を受けることは、これは株主になつた人には必ずあり得るわけであります。あくまでもそれは危険を覚悟して入つておるわけでありますから、甘んじてと言うと言葉は悪いかもしれませんが、当然最悪の場合には元も子もなくなるという気持で入つておるわけであります。ところが、こういうような誇大宣伝によつて、元本が保証されておるような気持で善意の大衆が出資をしたことによつて生ずる損害は、この規定があることによつて防げる。もちろんこの規定をよく読んでやつていただかないとやはり問題があるのでありますが、これは取締りの問題として十分に監督して参りたい、かように考えておる次第でございます。  それから、今お話日本殖産の問題でありますが、これは、法律の第一条よりも、別に証券取引法の改正の規定を出しておりますが、この方の規定によつて、今おつしやられたような一定の配当率の約束をするとか、あるいは元本を必ず金額以上で買取るとかというような約束をして証券を募集することを禁止する法案が別に提出いたしてございますので、その法律によつて取締られることになるわけであります、
  116. 田渕光一

    ○田渕委員 それでは、その点はあとでもう一つ関連してお伺いいたしましよう。  そこで、先刻小林委員から資料を求めたというようなお話について、わずかなことでありまするから、あるいは電話その他で御連絡なすつたことと思いまするが、その日時、出席者等が相当具体的に証言されたのであります。結局こういうことは、いかに大蔵官僚の頭がいいといつても、なかなか全部を覚えておられるものではない。すなわち、その当時の会議録あるいはその当時のメモというようなものがあつたから、それだけのお答えができ、あなたがここで証言ができたのだろうと思いますが、先ほどからの証言で、町の金融機関について三十回、四十回くらい会議を開いておる——。この当時の省議もしくは局議というもの、あるいは他省との連絡会議と言いましようか、打合せ議会というものに対しては、私は官庁として当然会議録をつくるべきものだと思いまするが、いかがでございますか。あなた方は、今日まで大蔵省会議というものは会議録をつくらずにやつておるのでありますかどうですか。それを承りたい。
  117. 河野通一

    河野証人 私どもの省談は、決裁をちやんととりますものと、打合せをいたしましてその打合せが済んだということを書き加えておくという程度にとどめておるものと、両方ございます。いずれにしても、省議をした場合において、その結論を出すときにはどういうことになつたということがはつきりわかるように締めくくつてございます。それから、各省との間の会議でありますが、これも、今申し上げました例で、たとえば二十七年の七月十八日の会合、これは非常に大きな会合であつたのでありますが、そういう会合については、ちやんと出席者その他の名前を記録いたし、大体の議事の内容もメモにとつてございます。それから、最後に大きな会議といたしましては、去年の二月十八日、これは各局長以上の者がみんな出たのでありますが、この会合については、出席者、それからこの会合でどういうことが言われたかということがメモとしてとつてございます。もちろん、判こを押してみんながこれに署名すのということはいたしておりませんが、メモとしてとつております。ただ、その間毎日のようにいろいろな打合せをいたしておりますから、これらについては一々はメモをとつておりません。局議を開いておきながら、急におかしいということになつた場合、すぐ行つて来いといつたようなことで法務省へ係の者が出かけて行つたというようなこともありましようし、そういうわけで、締めくくりをしなければならぬような段階になつた場合の会議については、メモをとつてございます。しかし、一々のものについてはメモをとつておりません。
  118. 田渕光一

    ○田渕委員 これはどうも私はふしぎなことだと思う。民間人がちよつと会議を開きましても、一つの協会のような団体でも会議録をみんなつつて、これを保存しあるいは通知をしておる。少くとも町の大きな金融機関などに対して責任がどこにあるとかどう取締るとかいうような重大な省議あるいは局議を開くのだから、メモ程度のものじやないと私は思うのです。あなたはメモと思われても、少くとも大蔵省の何月何日の銀行局長室における会議とか、あるいは何月何日の省議というものは、一つ保全経済会についてだけでなくとも、その他の問題と一緒に議事録として、サインまではしないまでも、銀行局長はこういうことを言つた、主計局長はこういうことを言つた、あるいはまた主税局長はこういうことを言つたとか、こういうような発言内容は記録されていると思うのですが、そういうものは全然ございません。
  119. 河野通一

    河野証人 この問題は、問題によると思います。たとえば、去年の三月四日に私が大蔵委員会で読み上げたいわゆる説明書、これらにつきましてはたひたび省議をいたしております。何日に省議をし、何日にこの議案が決定したということもすべて記録にとつてございます。その結論が出て、これが省議として決定になつたという記録はありますけれども、その間に、だれがどういう発言をしたとか、どういう意見かあつたということは、そういう議事をとつておかなければならぬ場合もありますし、そういうような必要がない、こういうことがみんなで決定になつたという結論だけでいい場合もありますので、事柄に応じて処置をいたしておるのでありまして、私どもは正式の会議としての議事録をあらゆる場合にすべて持つておるというわけではないのです。ただ、省議を開いた場合には、文書課でちやんとそういうことを書きとつて結論だけは出しております。ものによつてはさらにおつかけて決裁をとる、つまり判こをみんなとつて行くということをいたす場合もございます。事柄によつて違えて取扱いをいたしております。
  120. 田渕光一

    ○田渕委員 それはそうでありましよう。事の軽重あるいは緩急によりましようが、少くともこの問題は大蔵省としては相当重大な協議事項じやないかと思いまするが、これに対して、あなたはおとりにならなくとも、会議の席のすみ、もしくはあなたのおそばででも、議事の内容を記録されたことはございませんか、全然ございませんか、あるいはやつたことがあるか、御記憶ございませんか。
  121. 河野通一

    河野証人 たとえば、大蔵省の省議をいたします場合には、今あげましたような原案を出します。その原案を直すこともありましよう。直すときは、ここはこう直したということのしるしをつけておきます。その原案を読んで説明する原稿等もございますが、そういう原案をみなに配つて、これを読んで、これでよしということになつたら、これで省議決定。重要なものについては、場合によつてはさらに判こをとるという処置をいたしております。ですから、内容がわかることにはちやんとなつておるわけであります。ただ口で、これはこういうことにしようということでやつておるわけではないので、やはり書類にして、それに判こを押す場合と押さない場合がある。この場合は判こはとつてございます。ございますが、だれがどう言つたというようなことは残つておりません。結論として省議はこれでよろしいということの書類はできております。
  122. 田渕光一

    ○田渕委員 議事録はとらぬとすれば、たとえば、何か提案する、その起案者によつてできたものを会議の各列席者、すなわちその会議委員に対して配付しているだろうと思う。たとえば銀行局の者が主計局へ、主計局の者が銀行局へ来れば、そういうものを自分の局へ持つて帰らなければならぬのだから、銀行局としてはそういう議案なり配付されたものは残つているわけであります。なぞ銀行局長に各委員が熱心にしつこくこう聞くかということは、これだけ大きな問題を起した責任者は大蔵省であるか法務省であるかということなんです。これが町の八百屋が倒れたとか魚屋が倒れたということで銀行局長を呼んでおるわけではありません。少くとも私たちは、銀行局長並びに大蔵大臣責任なりという意味でいろいろ伺つたのであります。ところが、法の欠陥、法の盲点をついたほんとうの知能犯だということがわかつたのでありますが、少くともこの委員会結論を出すにおいては納得行くまでやりたい。われわれはここまで調査したのであります。ところが、こういう欠陥で大蔵省はやれなくなつたと言う。大蔵省は非常に横着で国家公務員法に反するところの行為があつたかどうかということの結論を出さなければならぬ。こういう意味で、私は、ことに小林委員がお願いしたいことに対して、小林委員委員長とあなたとの間に、証言に入る前に、食い違いがあつたということのお話がありましたが、もちろん法務省にも要求いたします。あなたの方は、はつきり要求しておりますから、ひとつ資料として御提出願いたい。これは憲法六十二条の「両議院は、各々国政に関する調査を行ひ、これに関して、証人の出頭及び証言並びに記録の提出を要求することができる。」という規定国会法の規定とによつてわれわれは求めるのであります。これはなぜであるかというと、そのときに政治的な圧力があつたかなかつたか、これは非常に今与党と野党とを問わず疑うところであります。あなたの説明によれば、この会議局長や課長はこれでなけばならぬと言つたというのであるけれども国民大衆は、大きな政治献金等が行われておるから、政治的な上からの圧力等があつたのではないかということを疑つておる。この点はいろいろ伺つているうちにわかつて来てはおりますけれどもはつきりなかつたのだということを記録上によつてだけでもはつきりしておきませんと、われわれは結論が出せませんから、非常にしつこくあなたにお伺いしてこういうことを要求するのであります。それで、先ほど御証言いただきましたこの日時、あるいは、法務省に残つておるかもしれませんが、最高検の市島検事あるいはそこらの人が会議されたというような記録はもちろん法務省にあると思います。こういうような意味で、ひとつどうか、先ほど証言された以外に、参考になる記録の写しがあるならば、委員長から提出を求めていただきたい。これは憲法並びに国会法、衆議院規則によつて私は要求していいと思いますので、もし私の提案によつて理事会を開く必要があるならば、あと理事会を開いて御決定を願つて、この資料の提出を公式に要求し、これらを参考にしたいと思います。
  123. 高木松吉

    ○高木委員長代理 それでは、私の職権で資料要求をいたします。河野証人に申し上げます。田渕委員より要求いたしました通り、ひとつ書面にして当委員会までなるべくすみやかに御提出願いたいと思います。
  124. 田渕光一

    ○田渕委員 それでは、どこまでも会議録の内容を知りたいということにおいて、われわれは、どういう起案がなされ、そうしてどういうこれに対する決裁が行われたか、大蔵行政ことに銀行局の行政というものが適正にかつ能率的に運営されておつたかどうかということを知りたいから要求するのであることをつけ加えて申し上げておきます。  それから、どうも、先ほど平野議員が責任を負つて離党されたという小林委員の発言、これは一個の議員としての政治的な責任をとられ、あるいはまた社会党というつまり大衆の味方であるという党が、こういう騒ぎて起訴されるような保全経済会——公判の結果はどうなるかわかりませんが、少くともそこに党員が顧問をされ、顧問料をとらてれおつたというようなことについての責任をとられたことであろうと思うので、私は他党の議員の責任どうこうには言及いたしませんけれども、少くとも、私は、国家公務員としてあなたは遺憾の意を表しておつたということについては納得できますが、しかし、いわゆる国民全体の奉仕者であるという観念がどうも大蔵官僚に限つてまま欠除しているような気がしてならないのであります。銀行局長は、いろいろ伺つていると、質疑応答のうちにおいて官僚独善のところがございませんけれども、主計局などに至つては、各省に対して予算をやるのだ、予算の査定権を握つておるのだというような意味で、たとえばわれわれが議員立法をいたしましても、裏づけ予算において会計検査院などと結託してやつておることはままあるのであります。今日の午前中の会議もそれにあるのであります。少くとも予算が足りなければわれわれ議員がつくつた立法までも予算面において押えておる。こういうようなことについては午前中他の委員会では非常に議論があつたのでありますが大蔵官僚のその各省に対する優越性と言おうか、おれはこうだという、いわゆる氏がいいと言いましようか、そこに閥族を持つておる。先般もある名士の結婚式に出ましたところが、当時今の河野大蔵事務次官が、大蔵官僚は一体であると言う。国鉄一家のような思想を持つておる。お互いに助け合う。そこで、他省には見られないような団結力と優越性、——われわれの非常に納得きないところがあるために、すべて同で僚が可愛がるというようなところもここに出て来ると思うのです。先ほど資料の要求等をお願いしたのでありますが、少くとも、私は、職務の遂行にあたつては全力をあげてこれに専念しなければならないという国家公務員法の九十六条から言うならば、あなたが局長として下の部課長を監督することにおいて、はたしてほんとうに職務に忠実に専念されたかどうかということを疑うのでありますが、これはどうも法がないためにやむを得なかつたのだ、まつたく法の盲点を突かれてここまで発展した、私たちもそう思つて調査しておるのでありますが、こういうような点において、実際の部下の監督というものを完全にやつたのであるけれどもどうであるというような点についてひとつあなたの御心境なり、やつて来られたことについてこの際証言つておかぬと、他党の方からあなたに対して感情的な非常に強い発言がありましたし、屋長も二十六年に現職に御就任なされて、長い間の御経験があるけれども、これから法務省の民事局長あるいは刑事局長あとで御証言いただく上において、私たちは公平に言つてこの点を伺つておかなければならぬのじやないか。大蔵省としては非常に熱心にやつたけれども、どうもわれわれは法務省の諸君がはがゆかつたというような点があれば、この点もおさしつかえなければ率直に言つていただきたい。しかし局長としては他省に影響するようなことは発言もなさるまいと思いますけれども、そういう二、三の点もこの際御証言願いたい。
  125. 河野通一

    河野証人 私ども銀行局におります者は、この問題について怠慢あるいは放置をしておつたために今日のような事態になつたということは私はないと信じております。その限りにおきましては、私は私の部下に対して責任を持つてそう申し上げることができると思います。ただ、遺憾ながら力が足りなかつたというような点、あるいは判断について非常に日にちを要したというような点について、はなはだ私どもの微力はおわび申し上げなければなりませんが、この問題に対して放置したとか、怠慢であつたというようなそしりを受けないだけの努力をして参つたことは事実でございます。ただ、非常にむずかしい問題でありまして、いわば、先ほど田渕さんのおつしやつた通り、法の盲点と言いましようか、非常に境のところがむずかしい問題でありますために、そこにはつきり結論を出すために割切ることが非常にむずかしい。そのために非常に時間をとりましたことにつきまして、これは非常に弁解がましくなりますが、申訳なかつた、かように考えております。  それから、法務当局あるいはその他の関係当局がこの問題の処理について非協力であつたとか、あるいはこの問題について非常に怠慢であつたというような事実は、私の承知いたしておる限りにおいてはございません。先ほど御証言申し上げました通り、しよつちゆう私は会議に出ておりませんから、一々その会議の経過等につきましては報告はいただいておりますけれども、今まで報告をいただいたところによれば、御質問のようなことは全然なかつたように私どもは聞いております。
  126. 田渕光一

    ○田渕委員 昨年の三月四日の大蔵委員会において最後結論を出されるまでに、いろいろ会合されておるのであります。先ほども証言があつたごとく、数回法務省とあなたの方の連絡と申しますか協議によつて結論が出されておるのであります。先ほども中野委員からお尋ねがありましたが、昨年の十二月四日の午後の四時ごろでありますが、村上民事局長の部屋へ私並びに中野委員が参りまして、井本刑事局長、村上民事局長その他課長たちもおいでくださいまして伺つたところでは、大体二十七年ごろからも話がありましたが、二十八年の一月に大蔵省の方からも銀行局から二、三の事務官が来られたので、当時の営業案内あるいはパンフレット、それから収支並びに先ほど証言がありましたような申込書その他いずれのものを見ても、これはどうも匿名組合ではないのだけれども、何か大蔵省の方でこえ切らなかつたというような印象を受けたというお話があつたから、中野委員は御質問なさつたのだろうと思います。これはどういう見解があつてもよろしい。あとで村上民事局長にもおいでを願いますから伺いますが、少くとも、先ほど中野委員お話なつ通り利益配当することが、つまり利益があつた場合に配当することが匿名組合であるのだ、それは中世イタリアの北の方で、当時の僧侶あるいはその他の貴族等が金を何してはいかぬから、こういうふうに名前を隠してやつた、そこに商法の匿名組合の起つて来た沿革があるのだというお話を伺いまして、どこまでも利益配当しておればこれは匿合組合であるけれども利益配当しておらぬ、——小林委員の御質問のごとく、毎期決損を続けて、二十四億からの決損をしておる、こういうのは全然——あとで言おうと思いますけれども法務省は匿合組合でないと言い切つておるのです。そうすると、銀行局長証言と食い違いが出て来ると思います。そこで、私は、他の委員会のつまり参考人としての御意見を伺うことと違いまして、第一回の十三日でしたかの御証言を願う冒頭に申し上げたごとく、やはり宣誓をされての法律二百二十五号による証言でありますから、もし食い違いが出て来た場合にあるいはまた御対決を願わなければならぬと思うのだが、そういうときに来て、銀行局長は、そのときに二、三の事務官しか行つておらぬということで、——そのときには銀行局長は行かなかつたでありましようが、あとの二月十八日の会議等にあるいはそういうことがあつたということになりますと、ここの証言と食い違いが出て来るのですが、そういうことがあつたかなかつたかということをこの際念を押して伺つておきたいのであります。
  127. 河野通一

    河野証人 私は、三月四日の結論を出しますまでの間に民事局長と直接会つてこの問題については議論をいたしておりません。私は、民事局の吉田参事官とはいろいろ打合せをしたことは覚えておりますが、民事局長とは直接会つておりません。刑事局長とは十分に打合せをいたしております。それで、今お話の中野さんからの御質問の点でございますが、この点につきましても、先ほど来御証言申し上げた通り、私が三月四日に御答弁申し上げましたように、一体匿名組合契約による資金の受入れ方式というものの性格はどういうものであるかを私は定義したのですが、その定義は、匿名組合契約によつて金銭出資を広範囲に募り、つまり不特定多数と申しますか、公衆から広範囲に募つて金銭を受入れる、これに対しては確定利息を付するという形態である、これはどうだということに対して、先般委員会でも申し上げましたように、これは預かり金に準ずる貸金の受入れとは言いがたい、預金行為とは言いがたいという結論を実は出したのであります。しかも、この結論に関する限りは、けさほど来実はたびたび御質問を受けておるのでありますが、私は法務省とは一致した見解として申し上げたのであります。たしかこの説明を私が大蔵委員会で三月四日にいたしたときは、はつきり私は記憶はいたしておりませんが、時の刑事局長及び時の刑事局総務課長、それから民事局の方はおつたかどうか私ははつきり記憶いたしておりませんが、それと国税局の原次長、これは大蔵委員会にみな列席して、そうしてそのうちで私がみんなのかわりとして御答弁申し上げますということで答弁しておるはずであります。法務省もちやんと責任者が立ち会つて、このことに対して私が答弁をし、しかもこれは大蔵省だけの見解ではございませんと私はつけ加えて御答弁を申し上げたつもりであります。それに対して法務省も立ち会つた上で答弁を申し上げたのでありまして、私自分の責任のがれを申し上げるようで恐縮でありますけれども、この点は事実として私は申し上げたいと思う次第であります。
  128. 田渕光一

    ○田渕委員 昨年十二月四日に私並びに中野委員と事務局の調査員とが行きまして聞いた私たちの受けたそのときの六感と申しましようか勘は、どうも刑事局はなつておらぬと考えた。あれは刑事局長の井本さんはその後かわられたのでわからなかつたのかと思いますが、非常に割り切れなかつたのであります。それに加えて、伊藤斗福君か、この私の小委員長の報告にあります通り、勤めておつた保険会社の金をうまいことを言つてだまして、その金を会社に納めなかつた。そこで保険会社から告訴されておつたが、それが六年間も東京地検において握りつぶされておつた。検事がかわるごとに——これはことごとく当時の担当検事を証言台に出して、何がためにこれができなかつたのかということを私は追究し調べるつもりでありますが、少くとも六年間もこれを握りつぶして、最後に東京地検が不起訴処分にしたから、これはけしからぬということで最高裁判所に訴えまして、最高裁判所はこれを受理しておる。起訴すべきである。とにかく保険会社に大きな詐欺をした伊藤斗福君を当時詐欺として起訴しておれば、ここまで出て来なかつただろうと思いますが、これは刑事局長にこれからずつと伺つて行くつもりです。ところが、今伺いますと、銀行局長も会談しあるいは協議したというのが二十八年の二月の最後の会であるのだからそのころまでに、あなたの方で出された、たとえば先ほど証言がありました長谷井君あるいはまた中谷事務官あるいは有吉課長、こういうような方々に、民事局の村上さんが、これは匿名組合ではないということをずつと言うたという記憶があるわけです。はつきり言うている。こういうような重大な問題についてなぜ公文で交換しておかなかつたのか。どういうものだということを大体あなたの方で意見を求められても、法務省意見を出さなかつたのか。銀行局には十分言うたのだけれども銀行局長は何しろ取締り罰則というのは五千円しかないので、なまじつかこういうものに手をつけると金融界に大きな影響を来すということで遠慮しておつたのではないかというお話があつたのです。これがあつたとすれば非常にけしからぬ。こういう点について私が伺いたいのは、大蔵省が五千円の罰金——当時の銀行法昭和二年にできた法律でありますから、五千円しかなかつただろうが、五千円の罰金ぐらいでこういう大きな問題を起しちやいかぬということを考えたかどうか。これはあなたがこの前証言されているのでこれはよろしいが、それ以外に、たとえば保全経済会の顧問に前農林大臣であり社会党の顧問であるところの平野力三君、あるいは改進党の早稻田柳右エ門君あるいは経済学博士の松本君あるいは参議院議員の大谷瑩潤君等が関係されている政治的な非常に力を持つているところだから、うかつに手をつけたらこれはどうもうるさいというような、つまり一つの何と言いましようか、うるさい議員にはからかわぬ方がいい、いわゆるはれものにさわらぬような考えで、やらなかつたことがなかつたか。こういうこともはつきりあなたのもとにそういう報告がなかつたかどうか。あなた御自身として、政治家が関係している。顧問をしている、こういう会であるから、それに、何と言いましようか、いわゆる手心を加えたことがあつたかなかつたか。そういうことに断じてかまわずあなた方としては研究して行つたのかどうか。あるいは研究して行くうちに、先ほども証言がありましたけれども、政治家連中があなたの方へこういうぐあいにやつているのだからというような陳情あるいは局長室をたずねて行つたようなことがなかつたかあつたか。こういうようなこともひとつ御証言つておきたい。
  129. 河野通一

    河野証人 それは、たびたび御証言申し上げました通り、私自身がそういう関係者からこれらの問題について頼まれたりあるいは要求を受けたりしたことはございませんし、銀行局に関する限り、私の部下、主として今お話がありました特殊金融課の係でありますが、特殊金融課の者におきましても、そういつた保全経済会関保でいろいろ要望なり陳情なりを名士の人々から受けた事実は、私は全然聞いておりませんし、ないと確信しております。従いまして、そういうことのためにこれらの問題に対する処理、事務的な処理が冷静にされないで、本来あるべき姿を曲げたというようなことはございません。それから、私、これは非常に手前みそになりますが、私の性格から言つて、そういうことがあつても、私は実はそういうことをしない主義でをります。ここで申し上げても何も証明はつきませんけれども、私は性格上そういうことはできない者であります。その点をひとつ……。
  130. 田渕光一

    ○田渕委員 従来、大蔵官僚は、特に何でありますけれども、非常に国会を軽視し、あるいは議員を非常に何しておりますけれども、たとえば愛知銀行局長とか前の舟山銀行局長、それから、あなたはそういうことがないということをわれわれは同僚議員から聞いておりますから、そういう点であなたは非常に公平で大蔵省にも大蔵官僚型の典型的な官僚主義の強いのもありますけれども、私はその点あなたに対して尊敬をしておる。しかし、こういう点をはつきり見出す上において、しつこいようだけれども伺うのですが、第十回同会の大蔵委員会会議六十二号——つまり昭和二十六年七月十日から二十日までの間に大蔵委員会は当時四国へ調査に行つたのです。これはあなたが銀行局長に御就任なさつてから後、その年の夏であります。そのときに、当時の改進党の内藤友明君と早稻田柳右エ門君と、これは共産党の深沢君であろうと思うのですが、保全経済会運営について疑惑を抱いている出資者多数の訪問を宿屋に受けております。いろいろ事情を聞いた結果、保全経済会運営が明らかに法の盲点をついているという事実を発見した。保全経済会のいわゆる奨学金制度というようなものを大きく広告をしておりますが、これは実際においてはまつたくやつておらぬ、そういうふうな広告で出資者を釣るインチキら手段であつたというようなことも発見されている。それから、保全経済会の類似機関日本興財株式会社が有価証券偽造詐欺容疑で高知県の国警に検挙され、これがたまたまあつたため大蔵委員会調査団の宿屋を訪問していろいろ質問している。この四国地方の金融状況について、その調査に基いて、二十六年七月二十八日、委員会でいろいろ質問をし、あなたが答えている点が速記録に残つている。そのときに、あなたも、法の盲点をくぐつて脱法的金融方法をとつておる機関が全国に相当数あり、経済会全体の安全を害し、信用を破壊して行くおそれが非常に多いという点については、私どもも非常に関心を持つております、こうあなたはだれかの質問に対して答えているのです。先ほば、中野委員でしたか小林委員でしたかの、完全なる銀行に影響はなかつたかどうかという御質問に対して、影響は感じなかつたというようなお話でありますが、この経済会が非常な信用を破壊するようなおそれがあるというようなことは、一面善良なる銀行に対して、要するに預かり金利が安いから、そういうところに行かぬようになつて来れば、私は銀行にも多少の影響はあたんじやないか、関連はあつたんじやないかと思うのですが、こういうような点お考え違いがありはせぬかと思いますので、この点も伺つておきたいのであります。
  131. 河野通一

    河野証人 この点も、先ほど御答弁申し上げたのでありますが、私は全然影響がなかつたと申し上げておるのではありませんので、たとえば預金であれば正規の金融機関なら非常に利率が安い、ところが、こういう利殖機関出資をいたしますと、月に二分とか三分とかいう高率配当がもらえる、こういうことがなければ本来正規の金融機関の預金になつたであろうものが、こういうものがあるためにそつちに流れるということは、私はあると思います。その金額がどの程度であるか、これは、これらの機関に対する出資額がすべてそうであるかどうか、はつきりいえませんが、とにかくそういう意味の影響はないとは言えない、こう申し上げたつもりであります。但し、私は、これらの機関が破綻を起したというようなことで正規の金融機関に影響してその信用を非常に害するというようなことは今までのところはなかつた、むしろ逆に言えば、こういう利殖機関等が休業をいたしましたことによつてかえつて正規の金融機関の信用を向上した……と言うのもおかしいかもしれませんが、これはやはり正規の金融機関に預けておくべきであつたという空気がむしろ出て参つたというふうにも私は見ておるのであります。これらが休業したために正規の金融機関が信用を害されたことはない、この点を先ほど申し上げたのであります。
  132. 田渕光一

    ○田渕委員 わかりました。こういうような結果昨年今だんだん正常なる預金ということに国民が関心を持ち、郵便貯金等がふえたということはまことに喜ばしい傾向だと思つております。  そこで、財務局はあなたの管轄でもあるだろうと思うのですが、先ほど御提出を願いました資料のうちに、東北の財務局と中国の財務局がいまだ報告が未着であるという点が載つておりまするが、これだけ大きな問題を起したものを、昔の軍国時代の師団長ともいうべき財務局長が、その主管である大蔵本省あるいは銀行局長のもとへ未提出であるとか、未到着であるとかいうことは、非常にこの方面に対する財務局長のつまり職務の熱意というものに対してわれわれはあき足らないものがあるのであります。私たちは先般名古屋の東海財務局を調査いたしましたが、なるほど、町の金融機関は秘密にやつているのでありますから、確実には握れないまでも、検察当局、あるいる六大都市なら六大都市の自治警からでも、資料はおよそとれる、こういうようなことで相当資料が出た結果こういうふうになつておりますということは、完全でないまでも、われわれが要求すればただちに大体こういうぐあいだということができなければならぬと思います。報告ができてからぬということは、東北の財務局長並びに中国の財務局長に私としては実際警告をしなければならぬと思う。これはまことにけしからぬ。さつそくあなたの方に、こういうものがあればある、なければないという報告をする義務があります。また、それくらいの関心がなければ地方の財務局長は地方の各銀行の支店あるいは銀行というものに対する取締りはできないのじやないかと思いまするので、これは局長からひとつ十分なる警告をしてもらいたい。  それから、もう一つお伺いしたいのは、地方の財務局は非常に地方の銀行に対して監督権で絶えず圧力を加え、財務局というと銀行がぴりつとしているのです。銀行法でわずか五千円しか取締りに罰則がない規定であつて、あれだけ銀行局長とかもしくは地方の財務局長といえばわれわれ民間人がこわがつているといいましようか困る銀行が非常にふるえておるというような点について、この裏をくぐつて行くところのやみ金融というものは将来この立法によつてなくなるでありましようけれども、少くとも今日正しい銀行に対してはあなたの銀行局長としての監督というものは完全にかつ行き過ぎていないという点も私はこの際に御証言を願つておきたい。私は、こういうような関係から災害地における復興のいわゆる資金の調達その他について行き過ぎている財務局もあると思うのでありまするので、こういうような点もひとつこの機会に御証言を願えれば幸いだと思うのであります。
  133. 河野通一

    河野証人 銀行その他の正規の金融機関に対しましては、私どもは常時非常に強い監督をいたしております。その点について行き過ぎておるという議論をされる方もありますし、また甘いという御批判をいただく点もございます。たとえば、先般の委員会で田渕委員から御指摘をいただいた不動産等に対する問題について、銀行に対して大蔵省は甘いという御批判があるかと思います。こういう御批判は私もたびたび実は聞いております。甘い辛いの御批判はいろいろあろうと思いますが、私どもといたしましては、金融機関、ことに銀行というものが公共的な使命を持つておるものであつて、公に対して非常に重い職責を担つておるものであるという点から考えまして、単に預金者を保護するという観点だけでなく、これらの金融機関の積極的な与信活動の面においてもそれが公共がの利益に合致するように常時指導もし監督もいたして参つておるような次第であります。個々の問題につきましては、私どもとしてもまだいろいろと十分なことができないという点もございますし、また監督が十分でないというおしかりをいただかなければならぬという点もあるかと思いますけれども、そういう点につきましては、今後御指摘によりまして極力そういう支障のないように改善に努めて参りたい、私ども公共機関としての銀行の使命に背くことのないように監督をいたしたい、かように考えている次第であります。
  134. 田渕光一

    ○田渕委員 それから、一昨十三日に私が申し上げました資料について、あるいは十大銀行と申しましようか、あるいは六大信託と申しましようか、また地方の大きい銀行等についての資料をいただきまして、銀行の資産総額の土地建物等に対するパーセンテージは二%以上に出ていないということを見て、私は安心したのでありますが、大衆の戦災者がいまだ仮小屋にいる、あるいは災害地の学校すらも復旧しないというようなときに、大衆の預金を預かつている銀行が、これは東京ばかりではありませんで、大阪の心斎橋筋におきましても、東京の銀座通りにおきましても、あるいは新宿の駅前とか、一番いい場所にどんどん新しい建築をしているというようなことは、銀行の経営上あるいはそういうことが今日の大衆の信用保持上、預金獲得上必要かもしれませんが、必ずしも今日国民感情としてはいい感情を持つておりません。もちろん、官庁の建築等におきましても、忍ぶべきものは忍ばなければなりませんけれども、一流銀行がいい場所にりつぱなビルディングを建てるというようなことについて、あるいは、今日生産に携わつて実際生産部門を立てて行かなければならぬ銀行が、間々、われわれの聞くところにおきましては、支店長に何かのお届けをし、一席設けなければ銀行は貸さぬというような非常な苦情を聞いておりますが、銀行局長として今日までそういうような点について聞いたことがあるか、あるいはこれらに対して銀行協会その他に対して注意をしたことがあるかということも、ひとつ参考までに伺つておきたいのであります。
  135. 河野通一

    河野証人 銀行の店舗につきましては、今御指摘のような御批判をたびたび国会でも伺つております。私どもはこの問題について現在どういう措置をしているかということについて御参考までに申し上げます。二つにわけて申し上げたいと思います。一つは、営業所としての銀行の店舗の設置の問題、もう一つは物理的な建物、つまり営業所には違いないのでありますが、物理的な建物をどういうふうに建てさせるかという問題についての私どもの現在の方針、この二つにわけて申し上げます。  店舗につきましては、銀行に関する限りは、数年前まで、戦後における経済事情の変選に伴いまして、一応配置転換ということをやらせました。その後におきましては、現在のところでは各銀行ごとに支店の数の純増加は一切認めないとい方う針が一つ。それから配置転換、何と申しますか、経済事情の変遷によつて甲の地にあるものをやめて、さらに経済上必要となつて来た乙の地にこれを移す、そういう移転をやる場合もあります。一方をやめて一方を新設するということもありますが、そういう配置転換でさえも非常に限られた場合しか認めていない。そういう方針で臨んでおりますたとえば、電源開発事業がある地域に起つて経済上の事情が非常にかわつて来た、そういつた場合におきましては、その地にやはり銀行の店を置かせることが必要である。その場合には、他の地域の店をやめるなり、あるいはやめることが非常にむずかしい場合には、その電源開発が続いている限りにおいて臨時に店舗の設置を認めるというように、こういう店舗の設置については非常にやかましく言つており、銀行といたしましては、むしろ相互銀行とか信用金庫にはどんどん店舗を認めているじやないか、——これも認めていないのですけれども、にもかかわらず銀行には認めないのは実に差別待遇だという非難さえあるほどに押えて参つております。ちよつと話が脱線しましたが、信用金庫等に対しても同じような方針でやつているのでありますが、そういう非難さえ出て来るほど非常にやかましく押えている。これが営業所としての店舗の設置に対する私どもの方針であります。さらに、この店舗の設置につきましては、たとえば地方銀行の東京とか大阪、そういう大都市に対する支店の設置、これもできるだけ押える。それから、大銀行、都市銀行の地方における店は、できるだけ引揚げさせる。現在のところこういつた方針でありますことを御参考までに申し上げておきます。  物理的な建物の方でありますが、これもいろいろな御批判をいただいております。目立つところに非常に銀行の店が並んでいる。御承知の通り、たとえば丸の内とか銀座通りに並んでおりますので、この点についての世間一般の輿論と申しますか、そういう点からの批判はいただいておりますが、私どももこれをルーズに認めているわけでありません。私、就任以来ただちに、一件の不動産取得五百万円以上のものは一々承認を受けろという処置をとらしております。さらに、これは前からの指導方針でありますが、営業不動産も入れて、銀行の不動産の保有額は、資本金に積立金を加えた自己資本の七〇%を越えてはいかぬ、総資産の幾らということでなしに、自己資本の七〇%を越えて営業不動産を所有してはならぬ、こういうことで指導いたして参つております。この二点から私どもとしては現在この物理的な建物の方の店舗の設置について監督及び規制を加えているわけであります。ただ、具体的な問題といたしましては、そういうふうにして押えて参つておりましても、あるいは都市計画のために店をやめなければならぬ、あるいは戦争直後あるいは戦争中のバラックでやつて来ているとか、非常に狭隘になつて来たとか、いろいろの事情もあるために、現象的にはやはり新しいビルディングの中に銀行の店が堂々と出て行くというようなこともあるわけです。こういう点については私どももできるだけ押える方向で進んで参つてつたのでありますけれども、個々につきますと、事情まことにやむを得ないというような点がございます。しかしながら、今後といえどもさらに一層厳格にこれらの不動産取得等については規制を加えて行くという方針にいたしているのであります。御了承いただきたいと思います。  なお、銀行の職員の中に、金融をいたします場合に何か貸出先からいろいろ饗応を受けるとか、いろいろな問題も間々耳にはいたします。こういうことは全然銀行としてあるべきでない。銀行局長として私がそんなことは注意するまでもないことです。しかし、私も、こういうことは、あらゆる銀行の集まりの機会におきまして、銀行がそういうことをしたのでは経済全体の秩序というものは維持できないという点から、やはりそういうことについても注意を喚起して参つております。遺憾ながら銀行が不祥事件等の絶滅を期することができておらないような現在につきましては、私もはなはだ遺憾に考えます。今後ともこの点については十分に銀行当局者の注意を喚起したいと考えます。
  136. 田渕光一

    ○田渕委員 いろいろお伺いいたしまして、けつこうでした。先般銀行協会自身がネオンサインなどを自発的にとめたということについて、これはよいことであつたと私どもも思つておるのであります。こういうふうに目覚めて来ればけつこうでありますが、ただ資金面をにぎつているというような優越感でやつてはいかぬということについて、御証言いただいて安心いたしました。いただきました資料についてまだいろいろ伺いたいし、対策はこうだということも考えるのでありますが、これはまた後日の機会に譲ることにいたしまして、大体、保全経済会に対する問題について各委員が御質問なさつたことについて、あとで民事局長、刑事局長などの証言と食い違いがあつてはいかぬというような点について申し上げた次第であります。  私の質問はこれで終ります。
  137. 高木松吉

    ○高木委員長代理 鍛冶君。
  138. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 私はいろいろ聞きたいのだが、時間がないし、一つだけ聞いておきたいのは、今こういうものがずいぶん起つて、社会的に非常に大なる影響を与えておる。そこで、遅ればせながら新しい法律をつくろう、これをつくつて取締ろうということであろうが、かようなことができないことを要望せられることが主たる目的だと思われる。そこで、私は聞きたいのだが、これだけで一体こういうものがなくなるかどうかということです。今あなたの御説明を聞くと、多額の利益配当をするというのにつられた、こう言われるが、それだけでは私はこれまで行かぬと思う。そこで、社会的に、こういうものにつられるような社会の雰囲気があつたのではないか。なるほど、われわれから見れば、こんばかばかしいものに入るあほうがあるかということであつても、そういう何かの経済的な方面があつたものではないか。この点あなたはどうごらんになつたか。これは将来のこういうものに対する大きな見解だと思うからお聞きしたいと思います。
  139. 河野通一

    河野証人 こういつた利殖投資機関がいろいろ簇生いたしました原因のお尋ねがありますが、これはいろいろな原因がある。但し、これは、よく言われておりますような、一般の正規の金融機関が金をなかなか貸さぬということでこういう問題が起つているのではないと私は思う。これはむしろ金貸をやらない。金を集めるばかりで金を貸さないのですから、そういう金融の問題は、貸金業者についてはあると思いますが、利殖機関にはないと思う。それで、原因はいろいろありますが、何といつても一番大きな原因はインフレーシヨンだと思います。インフレーシヨンというものが、やはりこういうものが何とか表面を糊塗しながら高率配当を続けて行くことができるようにした基礎事情であります。従つて、株の値もどんどん上る、あるいは不動産の値もどんどん上る、こういう時代においては何とか高率配当が続けられるものだから、それに加入して来る人もだんだんふえて行くというようなことで、このように大きくなつたのではないか。それでは一体インフレーシヨンのもとにおいてこういうものが育つかどうか、こういう点は私はもちろん自信がありませんが、少くともインフレーシヨンの時代でなければこういうものはおそらく伸びないのではないか、私はかように考えております。さればといつて、それじや今後経済がだんだん引締つて参るとこういうものは全部やまるかということになりますと、これはやはり、国民の中にたとえば泡沫会社と申しますか、そういつた会社の株を持つ人が絶えないということと同じような意味において、そういつたものに対して出資する入が絶無になるということはおそらくないわけであります。ただ、少くとも最悪の場合においても元本が返る、月に二分なり三分なり必ずもらえる、しかもそれは出資であるというように誤解して入ることのないように、この規定によつて十分に取締りが行われるならばそういう誤解に基いて入る人はないであろう、それを取締ることがまた一番必要なことである。つまり、善意と申しますか、誇大宣伝に乗つてそういう本質と違つた事柄だと思つて入る人だけを予防することがこの法律の目的であると思います。しかし、こういつた機関かこの法律によつて絶滅するということを請合つてここで申し上げるわけに参りません。
  140. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そういうことかと思うけれども、今までもインフレになつたこともありますし、それから、昔からわれわれも少しは知つているのだが、いなかの百姓の手に株が入るようになれば終りだと思つているのですが、ずいぶん株にひつかかつたことがありますが、こういう形のものがこれほど——保全経済会だけならまだいいのですが、何十というたいへんな数です。こういうものが出るということは、そう簡単に考えられないと思います。われわれにはわからぬ。あなた方専門家でなければわからないが、そこから考えてもらわぬと、いくらこんな法律をつくつたところが、これより上手に人をつることを考える人ができたらたいへんなことであります。私らも覚えがあるようになつてから初めてだと思います。インフレも今までこれほどのインフレはなかつたのかもしれませんが、それにいたしましても、もつと根本的にひとつ大いに考えてもらいたいと思つております。
  141. 高木松吉

    ○高木委員長代理 他に御発言がなければ、河野証人に対する尋問はこれにて終了いたしました。  証人には長時間にわたつて御苦労でございました。  なお、本日午後尋問を予定しておりました証人脇坂實君につきましては、明後十八日あらためて出頭を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  142. 高木松吉

    ○高木委員長代理 御異議がなければ、さよう決定いたしました。  次会は明後十八日午前十時より開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後五時二十六分散会